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1953-02-19 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       大村 清一君    小山 長規君       島村 一郎君    中田 政美君       西村 茂生君    西村 直己君       宮幡  靖君    三和 精一君       小川 半次君    笹山茂太郎君       平岡忠次郎君    吉田  正君       小川 豊明君    久保田鶴松君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      今泉 兼寛君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         農林事務官   槇  重博君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      石谷 憲男君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    大島  靖君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月十八日  委員中崎敏君辞任につき、その補欠として平岡  忠次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十七日  製造たばこ定価決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五九号) 同月十八日  米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する  法律案内閣提出第六二号)  一般会計の歳出の財源に充てるための緊要物資  輸入基金からする一般会計への繰入金に関する  法律案内閣提出第六四号)  国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第三号) 同日  農業所得税撤廃に関する請願大石ヨシエ君  紹介)(第二一五四号)  物品税撤廃に関する請願早稻田柳右エ門君紹  介)(第二一五五号)  酒税法の一部改正等に関する請願三宅正一君  紹介)(第二一五六号)  コーヒーに対する物品税撤廃請願淺香忠雄  君紹介)(第二一五七号)  台湾における外地資産補償に関する請願(淺  香忠雄紹介)(第二一五八号)  台湾における外地資産補償等に関する請願(  淺沼稻次郎紹介)(第二一五九号)  揮発油税軽減に関する請願山手滿男紹介)  (第二一六〇号)  酒税引下げに関する請願熊谷憲一紹介)(  第二一六一号)  同(坊秀男紹介)(第二一六二号)  同(川村継義紹介)(第二一六三号)  同(松前重義紹介)(第二一六四号)  同外一件(福田赳夫紹介)(第二一六五号)  同外三件(荻野豊平紹介)(第二一六六号)  同外八件(舘林三喜男紹介)(第二一六七  号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  農業協同組合に対する課税全廃に関する陳情書  (  第一三三五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第四二  号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)  酒税法案内閣提出第四四号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四七号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律案(  内閣提出第五三号)  製造たばこ定価決定又は改正に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第五九号)  国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決  を求めるの件(内閣提出議決第三号)     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長 これより会議を開きます。  まず一昨十七日本委員会に付託されました製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び昨十八日本委員会に付託されました国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの作の両案を一括議題として政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵政務次官。—————————————————————
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  まず最初に製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  この法律案は、日本専売公社製造たばこ最高価格を定めている価格表改正内容としたものであります。その概要を申しますと、まず日本専売公社昭和二十八年四月から新たに発売することとなつている両切紙巻たばこ冨士最高価格決定することであります。冨士は、外国たばこに対して高級たばこの需要を充足するとともに、たばこ専売益金の増加をはかるため発売するのであります。従つて品質も優秀なものでありますので、外国たばこ小売価格及びピースとの品質差等考慮して、十本当り六十円といたしました。  次に朝日、ピース、光、桃山及び日光最高価格を、昭和二十六年に値下げを行つた現在の小売価格に一致させることとしましてまた、現在製造及び販売を廃止しているいこい、ハッピー、きんし及びのぞみの最高価格を、日本専売公社製造たばこ価格表から削除することといたした次第であります。  以上がこの法律案提案理由であります。  次に、国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件につきまして御説明申し上げます。  日光国立公園及び中部山岳国立公園については、その景観を保護し、環境を利用して自然生活を享受できるよう、施設整備充実をはかつてきたのでありますが、今般栃木県上都賀郡日光町及び長野県南安曇郡上高地に所在する農林省所管企業用財産である国有林野の一部について、国立公園計画に基く集団施設地区として総合的な管理運営をはかる必要が生じたのであります。  すなわちこの両区域は、それぞれ日光国立公園及び中部山岳国立公園中心地でありまして、その景観はきわめてすぐれ、もつぱら国民のレクリエーシヨン及び外客の観光等大衆的に利用されておるものでありましてその利用者は毎年激増の一途をたどつておる現状であります。従つて今後公共福祉用財産としてこの集団施設地区施設をさらに整備充実することは、その利用価値を増し、国立公園事業目的達成のため最も適切な措置と認められますので、これら農林省所管国有林野厚生省所管公共福祉用財産とすることについて国有財産法第十三条の規定により提案して次第であります。  以上が、この法律案及び議決案提案理由でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成及び御承認くださいますようお願い申し上げます。
  4. 奧村又十郎

    奧村委員長 本案に対する質疑次会に譲ることといたします。     —————————————
  5. 奧村又十郎

    奧村委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案外七税関係法案一括議題として質疑を続行いたします。なおこの際、先日宮幡靖委員から御質問されたことに対して、愛知大蔵政務次官からの御答弁がなお保留されておつた部分がありますから、本日その御答弁を願います。
  6. 愛知揆一

    愛知政府委員 先般の本委員会におきまして、宮幡委員から日米通商航海条約交渉経緯を詳細に承知したい。なお特に大蔵省関係といたしまして、たとえば外国銀行活動等に対する考え方、その中の例としては、たとえば信託受益証券外銀が買い受けているが、これらに対する意見があるに違いないが、どういうふうな考え方を持つておるかというお尋ねがございました。その点につきまして、前会の答弁を補足させていただきたいと思います。  日米通商航海条約につきましては、一昨年の末から外務省を中心として関係各省間において検討が進められ、昨年二月から日米間に非公式な予備的折衝が進められて参りました。この会談は昨年十一月下旬に一応終了したのでありますが、なお二、三の点について日米両国間に意見の調整を行う必要がある問題がございまするほかは、おおむね意見の一致を見ておるのでございます。主要な問題についての交渉経緯は、以下申し上げる通りでございます。  第一に、内国民待遇を与えなくともよろしい業種として、米国側は当初通信、航空、海運、自然資源開発預金信託業務というようなものを主張いたしましたのに対しまして、日本側は、鉄道、長距離輸送、造船、公益事業——ガス、水道、電気等公益事業でありますが、これを加えることを主張いたしまして、先方も了承いたしました。  次に不動産の取得に関しましては、両国のそれぞれの法律に従うことを先方も了解いたしました。  第三に、なお未解決の問題として次のものが残されております。その一つは、米国人の円による株式取得の問題でございます。米国案によりますると、右の制限業種以外の株式については、それを円によつて取得することも当然認めることとなりまするが、現行外資法外国人の円による旧株の取得を認めておりませんので、この点が日本経済相当影響を及ぼすおそれがありまするので、目下検討中でございます。  その二は、公企業私企業との関係の問題でございます。米国私企業日本にありまする場合、かりに同種の企業を国営としたというようなときに、公企業に与える待遇米国私企業にも与えるように米国側は要求しておるのでありますが、日本としては、そのままの要求には応じがたいと考えておるわけでございます。  その三は、銀行業の問題でございますが、米国側預金信託業務のほか、貸付業務等についても内国民待遇を与えるよう要求されておるのであります。また預金信託について、すでに米国側銀行に認めたものは一応既得権として尊重することを希望しておる次第でございます。  その四は、為替管理の問題でございますが、米国の案は米国人送金をいたします場合、相手国通貨による旨規定しておるのでありまするが、たとえば米国人のポンドによる投資等の場合を考えますと、ドル送金のみすることは無理がありますので、これらの点についてはさらに折衝したいと考えておる次第でございます。  なお特に御指摘がございました外国銀行に対しましては、わが国の銀行差別的な考え方はしていないのであります。しかしそれぞれの性質と機能に応じまして、この活動分野にはおのずからなる差異があることはもちろんであるということを基本的な考え方といたしているわけでございます。なお昨年十二月末までに外国銀行が買い受けました受益証券の額は二千八百万円でございます。  次に外資導入につきまして、最近向井蔵相が、外資は入らなくともよいと聞えるような趣旨談話を発表いたしておるが、外資導入はなかなかむずかしいことは事実だと考えられまするので、この際外資導入について大蔵省としてどういうふうな根本的態度をとつておるか、それについて承知をしたい。なお外資法改正については、これらとの関係でどの程度のお考えを持つておるのであるかというのが、その第二の御質問の趣旨であつたと思うのであります。外資導入についての大蔵大臣談話趣旨は、日本経済の自立とその健全な発展、及び国際収支の改善に寄与する外資につきましては、もちろんその導入に大いに努力すべきであり、また歓迎するものでありまするが、これは外資のみに依存するという意味ではなく、かりに外資が入らないといたしましても、日本経済の健全な発展に十分な努力をすべき心構えを持たなければならないという考え方を現わしたものと思うのであります。現在までに民間外資として導入されましたものは、技術援助契約二百十五件、株式持分取得約九十二億円、貸付金債権取得約百二十億円でございまして、民間外資としては少からぬ額と思われるのであります。なお現行外資法改正するかいなかにつきましては、日米通商航海条約に関する日米間の話合いの結果を待ちまして、さらに検討をすることといたしたいと考えておる次第でございます。  以上先般の答弁に補足いたしまして、御説明申し上げた次第でございます。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員長 質疑通告順にこれを許します。佐藤觀次郎君。
  8. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 昨日の公聴会に現われましたいろいろな意見を聞きますと、現在一審困つておるのはやはり中小工業者が一番困つておりまして、同じ中小工業者と申しましても、最近法人の組織が非常にふえまして、そのために今度の法人税改正の中で、中小工業者を助けるような方法で、法人税大会社法人中小企業法人と何らかの区別をする意思がないかどうか、その点についての渡辺主税局長答弁を願います。
  9. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。中小企業負担の問題につきましては、われわれも常に重大な関心を持つて検討しているのでございます。御承知のように最近小さな法人が大分ふえておりますが、これら法人内の傾向を見て参りますと、やはり個人である場合よりも法人である方が、ほかにもいろいろの理由があると思います。企業の経営の合理化の面がやはり果されるというようないろいろな理由もあると思いますが、一つはその方が負担が安いということも一つの原因じやないかと思つております。従いまして個人企業法人企業というものとの比較で行きますと、むしろ中小企業で、個人法人になつて行くような場合におきましては、むしろ個人並課税をすべきではないかという議論も実は一部にあるような程度でございます。しかしわれわれ決してそれは賛成していないところでございます。同時に、逆に今度は大きな法人と小さな法人法人税の税率をかえたらどうかという議論につきましても、いろいろ検討しておりますが、現在としてそれに賛成するような結論が出ておりません。現在の法人税の税額は、御承知のようにいわばイギリスの所得税における法人に対する所得税と同じように、法人の方で課税しておるというのは、終局的には、これは個人課税するそのかわりに法人課税して行く、こういうような性格のものになつております。伴いまして法人でもつて課税した分、これも結局は個人負担になるのだ。大きな会社におきましても、最近の状況でございますと、ずいぶん株式が民主化されるといいますか、大衆化されておりまして、小さな所得の方にも相当株が行き渡つておる。そういう点を考えてみますと、大きな法人と小さな法人といつたものにつきまして差別をつけることがはたして適当かどうかという点につきましては、相当検討の余地があろうと思つております。現在大きな法人と小さな法人につきまして、きわめてわずかではありますが、課税差別をつけておる例は、アメリカ沖人税に見られるのでございますが、そのアメリカ法人税は、ちようどシヤウプ勧告前の日本法人税と同じように、法人法人で独立した納税の義務があるというか、納税能力担税能士がある、個人個人でもつて独立した担税能力がある、こういつたような考え方に立つておるのであります。従いまして現在日本では配当に対しまして、個人配当をもらいました場合に、もらつた配当の二割五分相当額税金から差引いておりますが、これは法人税課税されておるがゆえに、その二割五分を差引いておるのだ、こういう観念になつておるわけでございますが、アメリカ法人税考え方は、全然こういう考え方をとつておりません。将来の問題としまして、アメリカのような、あるいはかつて日本でやりましたような法人税をとる場合に、さらにそうした差別をつけることがいいか悪いか、これは別に新しい議論として提起される問題だと思つておりますが、現在の日本法人税の建前をとつておる限りにおきましては、それが先ほど申しましたように個人に対しての課税というもののかわりに、法人課税して行く、こういう姿におきまして、小さな法人と大さな法人とを区別することは、ちよつと適当じやないじやないか、かように考えております。
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 法人税の問題はそのくらいにしておきまして、今度の税法改正で一番大きな問題は、やはり十四万円以下の人が大体無税になつてつたところが、十八万円以下の人が無税なつた点と、もう一つは、最高所得者富裕税がなくなつたということでございます。こういう点から、盛んに政府は一千億の減税ということをいわれておりますが、しかし年二、三十万円の収入から三、四十万円、その程度のいわゆる中小企業者あるいは中産階級の人の税金は、そういう大きなかけ声にかかわらずちつとも楽になつておらぬ。こういう点について、政府は一体中小工業者、あるいは日本の健全なる階級である中産階級に対して、税法上にどんなくふうをしておるか、こういう点について愛知政務次官に質問したいと思います。
  11. 愛知揆一

    愛知政府委員 まことに失礼いたしましたが、要点を聞き漏らしたかもしれません。お尋ね趣旨は、中層階級については減税の率が少いのではないか、そういうことかと伺つたのでありますが、租税及び印紙収入予算説明の資料の三十五ページにもございますように、私どもとしては他の大額の所得、それから事業所得等につきましては家族の構成等を総合的にごらんいただきますと、私どもの苦心のあとが十分おくみとりいただけると思うのであります。税収入を一面において確保したいということ、一面においてできるだけの減税中小以下の階層に行き渡らせようとする両方の配慮から、まずこの程度のものがわれわれの成案として結果において現われて参つたわけでございまして、十分配慮をした結果つくりました案でありますことを御了承願いたいと思います。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ただいまの愛知政務次官答弁によりますと、税収入の確保はしたけれども、実際は中小企業とかいわゆる中産階級に対して、何らの考慮が払われていない事実は、この二つの点でもわかるのでございます。少くとも現在大蔵省は、国民所得が昨年より多いということを強く申しておることと、もう一つは、一般の物価が上つて参りましたので、その比例から参りますると、かえつて増税になるのではないか。この税制改革要綱だけで考えましても、まことに数字上においては非常に減税になつておるようでございますけれども、実際の場合にはむしろ増税になつておるような面があるのでございます。こういう点について、一体政府はどういう考えを持つておるのであるか。愛知政務次官にお伺いしたい。
  13. 愛知揆一

    愛知政府委員 この点はよく御議論になる点でありますが、少くとも今から一年前程度税制改正案につきましては、税法上の減税といわゆる予算上の減税と申しますか、その問題は、かなり深刻な問題であつたと私は思うのであります。最近のCPIの現状その他から申しますならば、実際所得がふえておる分の方が多いのであつて、それにもかかわらず減税ができるのであります。これは具体的に数字をあげて御説明もできるのでありますが、まず理論的に申しましても、完全な減税であつて税法上の減税はすなわち実質上の減税である。税法上の減税という言葉が、今日では特別の意味を持たなくなつたように私としては考えます。ただその程度等については、所得の増大に比べて減税になる率がどのくらいになるかというような点については、こまかい御議論はありましようが、大局的に申しまして、今度は税法上の減税は即ち実質上の減税である、私はこう答えることができると思います。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 愛知政務次官なかなか答弁がうまいので、うまくごまかされるのでありますが、なかなかそうは行きません。それからわれわれがいつも問題にいたしますのは、しからば本年度の税法改正によつて、昨年度のように——昨年度は御承知のように七百一億という自然増収がございました。こういう点について、一体政府は今度の税法改正によつて自然増収を認めておるかどうか。この点についてひとつ答弁を願いたいと思います。
  15. 愛知揆一

    愛知政府委員 自然増収の問題については、結論から申しますと、今度の予算案といいますか、二十八年度中には、自然増収は、少くとも過去において見られたようなものは起らないと思います。また自然増収が起らないような状況と判定されるので、今度の予算の編成についてもずいぶん考慮をいたしたのであります。裏から見まするならば、今回の歳入見積りというものは非常な手一ぱいである。法人税についてももちろんでありまするし、また個人所得等につきましても、今度の歳入見積りは、従来におけるような自然増収を予期したものでは絶対にありません。おそらく客観的な事実としても、さように推移して行くものと考えております。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今度は渡辺主税局長にお伺いします。今問題になつております、いわゆる企業組合をつぶす法案について、たびたびこの委員会においても小川委員よりいろいろ質問いたしましたが、なお納得の行かない点がございますので、もう一、二点お伺いしたいと思うのであります。それは先ほど渡辺主税局長の言われましたように、現在、中小工業が税が非常にえらいので、法人にしようというような傾向があることも、これはわれわれもはつきり認めることができるのであります。しかしこれは少くとも現在憲法に保障されておる国民基本的人権によつてやられたものでありまして、これを阻止することは、これはいかなる考えであろうとも、民主主義の政治に反しておると思つております。ところが今度の所得税法の六十七条の二によりますと、こういう国民の根本的な人権を阻害するような点があるのじやないか。あなた方は再三そういう意思はないということを言われますけれども、少くとも今度のあなた方のこの法律案に現われたものを見ますと、国民人権を阻害するような、非常に悪い法律案であるという点が認められるのでございます。そういう点について、大蔵省はそういうことを意図してやつておられるのかどうか、国民の自由な法的措置を過度にやつてはいかぬというような考えを持つておられるかどうか、その点について渡辺主税局長に伺います。
  17. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。その点につきましては、本委員会におきましても、私前にもお答えしたことがあります。従いまして繰返して申し上げるようなことで恐縮でございますが、われわれとしましては、企業組合をこれによつてつぶすとかなんとかいうことは。毛頭考えておりません。また法案自体をごらんくださいましても、これが企業組合設立を阻止するとか、そういつたような意図を持つたものでは全然ございません。ただ現在の税務行政の実際を見て参りますと、企業組合設立が自由にされているせいもあるのでございますが、実際は企業組合の本質を備えていないのに、なおかつ企業組合であるという看板を掲げていて、そのゆえに企業組合としての課税上の取扱いを受けようと意図する人があるようでございます。たとえば九州で問題になつておる組合のごときもそういう事例ではないか。結果がまだはつきりいたしませんから、はつきりしたことは申せませんが、そういう疑いを持つております。従いましてそうした関係におきまして、税務行政におきましても非常に苦労をしておるわけであります。従いまして、健全な企業組合であり、それがその企業組合内容はつきりお示し願えば、もちろん問題は全然ないわけでございます。ただ実体を備えていない企業組合が間々ある。割合としては全体の三割くらいがまだ疑わしいものとして残つておりますが、数からすれば相当の数になる。こういつたような点がございますので、やはり何らかの措置法律の上でもつてつくつていただくことによりまして、そうした看板だけの企業組合はつきりさせたい。むしろそうした企業組合が、本来の姿である企業組合発展して行くことをわれわれは希望しておるわけであります。税法としまして、それを阻止する考えでこの法案を立案したつもりでないことだけを申し上げておきます。
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 渡辺主税局長答弁は前と同じ意見でありまして、その後何らの進展を見ておりません。現在の企業組合は、御承知のように地方においては大体税務署が、はつきりした認可というようなことにはなつておりませんけれども企業組合法人組織としてはつきりつているものは、実際に現在認めてやつておるわけであります。しかし不良なものは、これは実際は末端の税務署でも認めていないのでありまして、今お話のように、係争中のものが千五、六百あるのでありますが、そういう点で整理されるのでございまして、これをわざわざこういうような法律で縛つて、こういうように不安を与えるという点が、私は今度の六十七条の第二項に該当するものではないかと思うのでございます。少くともせつかく中小企業庁が今日まで三年も四年もかかつてはぐくんで来たところの企業組合を、今度の税法改正によつてこういう法律案を突如として出されたことは、中小企業者に対する大きないわゆる大蔵省の攻勢ではないかということで、各地とも非常に騒いでおるようなわけであります。昨日の公聴会におきましても、中小企業の代表者の方から強くこれを指摘されたことは、われわれ同僚委員がひとしく認めたところでございまして、ああいうところへ大蔵省の方が来てもらえば、どこにそういう不安があるかということがはつきりわかるのでございますが、大蔵省の偉い方はお忙しい方でございまして、ああいう公聴会には議員以外は絶対に出て来られない。しかし大蔵省の方こそ、こういう困つておる企業者、公述人の話を聞くのが至当ではないかとわれわれは思うのであります。そういう点において、大蔵省がただ自分たちの机上の案で国民税金を押しつけるということを非難されるのもまことに当然なことでございまして、そういう点についてどういうあれをされましても、われわれは納得ができない。従つて少くとも大蔵省当局がそうであるならば、地方の末端の税務官吏のごときは、これに倍加するような苛斂誅求をやつおるということをわれわれは認めざるを得ないということをはつきり申し上げたいと思います。そういう点についても、もしこの法案が通過しますならば、現在の税務署と中小企業者の間にはさらにいろいろな問題が錯綜するのでありまして、そういう点について主税局長はどういうようなお考えを持つておられるか、質問したいと思います。
  19. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 昨日の公聴会に、私もちよつと出席させていただきましたが、ちようど参議院の方で税法改正委員会が始まりましたので、そちらの方へ出席せざるを得ないことになりまして、つい直接伺う機会を得ませんでしたが、私の方の職員はずつと終始お話を伺つておりまして、われわれもそれを聞いておりますので、決して不熱心であつたわけでないということだけ御了承願いたいと思います。それから中小企業庁がいろいろこの問題につきまして心配していたのですが、われわれと中小企業庁との間におきましても十分よく話合いまして、先日中小企業庁の振興部長がここに参りまして発言いたしましたように、現在の企業組合といいますか、企業組合と言いたくないのですが、いわゆる企業組合の看板をかけているものの中に、いわば実体を備えておるものがあるということは中小企業庁としても認めておりますし、またそういう人たちの課税の問題におきまして税務署が非常に苦労をしているということも、中小企業庁としては認めざるを得ない立場にあるようでございます。税務署で法人として認めたものと、それからそうでないものについては、現在の税制においてすでに区別しているからいいじやないかという点でございますが、確かに一応の区別はしております。しかしまだ問題は相当残つておりまして、同時にその区別をするために税務職員の手が非常にその方に食われまして、結局普通の納税者の方の調査も行き渡らない、税務行政全体の成績が優秀になるということができないというのが現在の実情でございまして、やはり何らかこういう規定によりまして問題をはつきりさせて行く必要があろうということを痛感している次第でございます。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今渡辺主税局長お話になつたのは、いわゆる国税庁、中小企業庁、主税局長三者の覚書の問題でございまして、われわれも中小企業庁へ参りまして事情を聞いてみますと、大蔵省からこういうようなことを言われたからこういう秘密の覚書をとつたということで、私もその覚書を見ました。しかしこれは各官庁の都合のいい覚書でございまして、少くともこれが法律上に現われた効果については、そういう覚書は一片のほごであります。従つてわれわれは中小企業庁と主税局長との間にどういうようなお話がありましようとも、この六十七条の第二項につきましては納得ができないのでありまして、そういうような不良な企業組合に対しましても私たちは決してこれを等閑に付するものではございません。けれどもこの企業組合というものは、できてからまだ三年か四年であります。こういう点について多少の不備があるのは当然でありまして、企業組合は今日決して脱税組合でなくて、真に中小企業合理化のために努力しておるわけであります。そういうものの取締りについて、何のためにこんなぎようぎようしい法案つくらなければならぬかということをむしろ、怪しむのでありまして、これは大蔵当局がいろいろなことを言つておりましても、何ら中小企業者に対して考慮を払つてないという反証でありまして、われわれはこの点をあくまでも追究しなければならぬと思いますが、大蔵当局はこの法律案について何らか考えをかえるつもりはございませんか。この点についてもう一度お尋ねしたいと思います。
  21. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 この法律案につきまして非常に御心配を煩わしておることを恐縮に存じますが、私見て参りましたところでは、この企業組合が始まつてから三年くらいになつておりまして、その間の課税の問題につきまして、地区的ではありますが、税務署の手がほとんどこの問題だけにとられているといつたような事例がずいぶん見受けられております。そういうことになりますと、税務署のほかの方への仕事が手薄になりまして、全体としてのいい税務行政がなかなかできないというのが実情であります。従つてこの機会に、こういう規定によつて一応両方が正体をはつきりさせることによつて問題を解決して行くことがぜひ必要ではないか、かように考えておるわけであります。ただひどく悪く解釈しますと、これをもつてむしろ中小企業をつぶす方向に向おうとする意図があるのではないかという疑念を持たれる方がありますので、いや、そういうわけでは決してないということを何回もこの委員会において答弁申し上げておりますし、また現在におきましても同じような気持でおるわけでありまして、健全な企業組合が発達して行くことを念願こそすれ、阻止する気持は毛頭ないということを重ねて申し上げておきます。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 こういう問題につきましては、いずれもう一ぺんあらためて大蔵大臣に御答弁を求めようと思つておりますので、きようはまだほかの人の質問があることでもありますし、一応これで打切つて保留いたします。
  23. 小川豊明

    小川(豊)委員 主税局長お尋ねしますが、この問題の焦点というのは、結局農民とか中小企業とかの方々は協同によつてのみ存続され発展して行く以外に道はないのである。そういうことから、私はこういう法案ができ、奨励されて行つたと思うのであります。ただいまお聞きしますと、企業組合の中に三〇%程度のよくないものがある、そのためにこういう法律案がつくられて行くということでありますが、三〇%程度のよくないものがあるからこういう法律案をつくるのでなくて、つくるときにこういう組合を育成して行くということに重点が置かるべきではなかつたか。それが逆になつて、この法案は取締りに重点を置くような法案になつて来た。そこに問題の焦点があるのではないか、     〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕 こういうように考えるのであつて、三〇%程度のものがあるとすれば、そういうものをもつと指導してなくして行くということも必要だと思います。それによつてまじめに一生懸命共同化によつて努力して行こうとするその発展を阻害することが現われて来るということがわれわれの心配するゆえんであつて、この点についてそうでないという理由等があつたら十分にひとつ御解明願いたい。
  24. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 お答えいたします。三〇%悪い組合があると私は申し上げたわけではなくて、三〇%程度まだ疑わしい、ほんとうにいい組合だというはつきりしたことになつていないものがあるというのが、私が申し上げた趣旨であることをまず申し上げておきます。それから、それじやそういう組合はもつと育成強化するように指導して行つたらいいじやないか、これは私もさように思つております。同時にそれは税務行政、税務当局の仕事というよりも、おのずから中小企業庁の仕事であるわけでございまして、私は中小企業庁の線に沿いまして、もちろん政府がそういう線に沿つて努力して行くべきであるということは考えております。同時になおそういう指導、努力にもかかわらず、そういうふうな線に乗つて来ないものもあり得ると思つております。従いましてそういうような場合におきまして、税務行政の方としては、そういうものについてはこれではつきりさせるというふうに、いいもの、悪いものをはつきりさせることが、むしろそうしたほんとうの企業組合にならなければ企業組合としての負担は受けられないということをはつきりさせることが、健全な企業組合に促進させる方に向つて行く一つの道じやないか。従いまして、私はこういう法律ができることは企業組合発展を阻止するという問題よりも、むしろほんとうの意味での企業組合を促進して行く一つのてこになるのじやないか。もちろんこれがその目的のためにできているわけじやありませんが、しかし副次的な作用としましてはそういう効果も持ち得るのじやないか。従つてこれが企業組合の健全な発達を阻止するものじやない、私はこう考えております。
  25. 小川豊明

    小川(豊)委員 局長さんはそういうふうに説明されますが、これは解釈の違いといえばそれまでです。私はこの法案を出した思想というか、趣旨というか、そういうものは税をまず確保するということと、今言う三〇%程度のものを取締るということに重点を置いてつくられたものであつて、育成して行くという思想が欠けているのじやないかということが、この問題についてわれわれが質問しなければならぬゆえんなのでありまして、どうも私どもとしては、税の確保と取締るということに特に重点が置かれた、そういうことから、まじめに一生懸命にこれによつて苦境を脱して行こうとする組合が相当打撃をこうむり、不安を感じて、むしろ発達なり育成なりというものがかなり阻害されて行くのじやないか、こういうことを心配するのであります。そういうことはあなたの方では心配ないとおつしやるが、私どもの方では非常に心配になる、こういうことなのであります。
  26. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 どうもお言葉を返すようで恐縮ですが、私はほんとうの企業組合がこういう規定によつて発展を阻害される心配は毛頭持つておりません。それで結局企業組合の実体を備えないで——極端な事例は私も見ておりますが、中小企業者が何人か集まつて、いわば月に何百円か会費のようなものをとりまして、そうして組合の事務所をつくり、それで企業組合だ、ごういつたような姿をとつているものさえございます。私はこういうものは企業組合と言い得ないのじやないだろうかと思つております。ですから、そういうものについて、今度は内容が順々にその点ではつきりされて来れば——税務署はもちろん認めておりませんが、しかしなかなかそういう点をはつきりさせ得ないような事例がたくさんあるのです。それで前から私は申し上げているのですが、企業組合の方で、少くとも企業組合である限りにおいては協同組合精神というものがその底に流れていて、従つてそのあり方としては相当の利害関係の共通性がなければなりません。従つてそういう点をはつきりさせていただければ、もちろんそれでもつて税務署としては納得して、それが企業組合であると今まで考えて来ているのです。従つてその点をはつきりさせてくれということを申しましても、なかなかはつきりさせてくれない組合がある。結局はそうなりますと、われわれの方ではそういう実体がないのじやないかという点を疑うわけであります。決して意地悪く、企業組合の方で出したものを税務署がいたずらに否認するという立場をとつているわけではなくて、なおかつはつきりさせ得ない場合が非常にあるのです。従つてそういうものをはつきりさせることによつて、そのえせ企業組合とほんとうの企業組合をわけて考えて行く必要があるのじやないか、これがわれわれの考え方であります。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 渡辺さんは最近まで東京の国税局長をやつておられた方でございますから、もう少し下の事情を知つておられるはずだと思つておりましたが、遺憾ながらわれわれは満足することができません。少くとも現在、先ほど申しましたような名目上の企業組合だけならば、これはわれわれも問題にしていない。現に税務署はこういうものに取合つていないはずであります。そういうものをつかまえて、こういうような法律の中に入れられぬということは、これは今同僚小川委員が心配いたしましたように、非常に間違つた考え方だと思う。こういう点でわれわれはどこまでもあなたのお考えを直したい。少くともわれわれはそんな名目上の、ただ会費だけとつておるような企業組合企業組合と思つていない。今企業組合は五千二百税務署が認めておる——認めておるというか、今行われておる企業組合はそんなあさはかなものではない。こういう点が私たちとあなたと考えが偉う。よく町にある名前だけの企業組合は問題の対象にしていない。こんなものは企業組合でない。そこがあなたとはつきり考え方が通うということをもう一度追究したい。
  28. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 そうなりますと、大体基本的なところでは、われわれも今のお話と同じような考えを持つておるわけでありまして、私が前から申しておりますように、税務署が従来企業組合として法人税課税を行つて来た企業組合のようなものに対しましては、原則としてこれは大体がみんないい企業組合といつていいと思います。ただ多少疑わしいのも残つておりますが、しかしそういうことをあまり言うとかえつて話がごちやごちやとなりますから、少くともそういう企業組合に対しましては、この規定を援用することによつて問題をもう一度ひつくり返すということを毛頭考えていないことは、従来からるる申し上げているところでございます。それで、君たちはその残つた分は認めていないからいいじやないかとおつしやいますが、実はその残つているものについて、なかなか下部の問題としましては相当に係争がまだ残つております。それで税務署として一応認めないといつておりましても、納税者の方では決して納得しないといつて、現在盛んに争いが続けられているわけであります。従いまして、こういう分につきましてやはり何らかの手を打つのでなければ、この残つているものについての問題が片づかないのじやないかというのが、われわれの考えている点でございます。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どうも渡辺主税局長はぼくの意見が納得できないようなんだが、そうすればこの前久保田委員が言われましたようにこの法律をつくらぬでもいいじやないかということになる。こういう点が考えが同じならば、私もこういう法律はつくらぬでもいいだろうという結論に達する。
  30. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私はある意味において考えが同じであればこそ、こういう規定をつくつても決して御心配はいらないということを逆に申し上げておるわけでありまして、事実私は、こういう規定はこういうふうに運用して行くつもりであり、またされて行くべきものである、決して現在企業組合として税務署が認めておりますものをこの規定によつてどうこうしようという気は毛頭ないということを、重ねて申し上げておる次第であります。
  31. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それは渡辺さんの考えておられることと、皆さんが心配しておられるところと、見ておるところが違うのですな、正直に申しますと……。あなたは決して悪いお考えじやないと思うのでありますが、こういう法律でありますと、税務署の第一線の諸君は、えげつないことを盛んにやる。そうしていいやつまでもそういうことによつて圧力を加えてだめにしてしまう。それが心配なんだ。それは現実にわれわれは地方におつて税務署の人たちのやつておることがわかるものでありますから、そういう人にこういう鋭い刃物を持たしたらいよいよこれはたいへんなことになるのじやないか、こういう心配なんです。それからあなたは、いやおれの方の税務官僚は善人ばかりなんだから、お前たち心配なさるな。だからどれだけ議論したつて、これは現状認識の違いによつてこういう議論が出て来るのだ。私はやはり企業組合でも名前だけの変なやつは、ことに脱税を目的とするようなやつは考えなければならぬと思います。思いますが、あまりにそれに汲々としまして、善良な組合までにあなたの方の税務署の第一線の人たちがえげつないことをしますと、せつかく伸びようとするそういうものがだめになつてしまう。それは考えなければならぬのじやないか。そういうようなことからこの法律を見ますと、少し手きびしい。自由党の皆さんは小さなやつはつぶれてもいいのだ。それは自由党の性格が、自由資本主義経済を尊んでおるのだからしかたがない。そういうことからにじみ出ておることなんですから、納得はできますけれども、しかし物事を考えなさるにはもう少し徐々におやりなさい。手きびしくぴたつと行くべきものではない、ものの改革でも私はみなそうだと思う。だからそこらあたりをもう少しお考えなさつて、できるだけいい方向に向うのではあるけれども、弊害が少しでも起きないようにしなければ、そうしていいところに持つて行くようにしなければならないのじやないか、こう私は考えるので、その点は渡辺先生は非常に御良心的な方で、前の平田さんに比べると私は実際敬服しておるのですが、そこらあたりを、あなたは第一線の税務署を見ておられた方ですから、私は全幅の信頼をするのですが、やはりそういうことをよく御認識いただきたいと思うのであります。
  32. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 今の内藤先生のお話になりました点については、私も問題があると考えております。従いまして私は平田長官に前回も出てもらいまして、あの答弁が十分皆さん方を納得させるだけの発言であつたかどうか疑問だと思いまから、もう一ぺん委員会に平田長官に出てもらいまして、この規定については特に注意した使い方をする、ないし末端までその趣旨を行き渡らせる、こうしたことについて少くとも長官あるいは大臣が相当の責任を持つということをはつきりさせないと、これはあぶない武器じやないか。その御心配はよくわかると思つております。それでその点につきましては、これはわれわれ役所の中の問題になりますが、われわれが法律をつくり、執行機関として国税庁があるわけですが、国税庁がその点についてほんとうに責任を持つてくれないと、われわれの方としては国会にぜひこれを通していただきたいとお願いするわけにいかぬということは、繰返し繰返し国税庁の方には申しております。従つてその点について、平田長官からはつきりした答弁をする機会をつくりたいと私は思つております。  それから物事は徐々にやれ。確かにお説の通りでございます。従いまして、企業組合の問題が相当われわれの方の税務の問題になりましてから、実はことしですでに三年目になつております。過去におきましてずいぶんごたごたいたしまして、執行機関としても、早くこういうふうな規定法律でつくつてくれということを主税局の方に何回か言つて来ております。しかしとにかく執行機関の手でもつて何かやれないかということで、実は過去三年間やつてつたのです。それでいい組合と、悪い組合——と言つていいかどうかわかりませんが、とにかくそう認められるものが順々にふえて参つたのでありますが、ただ残つた組合について、とてもこれ以上執行機関ではやり切れないから、何か法案に盛り込んでくれということが国税庁の強い要求でありました。従いまして法案に盛り込む限りにおきましては、これが運用につきまして、皆さんの御心配もいろいろあろうと思いますから、決して御心配をかけないように、少くとも長官がしつかりした責任を持つということをはつきりこういう席でもつて言明しなければ、おそらく皆さん方も御納得できないだろうということは、私は国税庁の方には申しております。従いましてその執行の点について、ことに細心の注意をもつてやり、同時に責任を持つかということについては、これは私直接の責任者でございませんし、長官あるいは大臣がはつきりこの席で言明すべきものではないかというふうに考えておりますが、これは別途その機会を得たいと思つております。
  33. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 渡辺先生のお心持はわかるのです。そういうふうに国税庁長官も大臣も、特別に御心配なさつておられるということ自体が、この法律がなかなかすらつと行くものではないということを御認識になつておられる。そういう御心配のないように徐々にやつて行かれることをお考えになつてはどうですか。短兵急にさつさつとやる気持、これが日本人の悪いくせでいけないと思います。三年なんというのはこれは気短かでありまして、悠々と三年のものは六年、六年のものは九年かかつて、徐々に直して行くということをやつた方がいい。ことに今日は民主主義のはき違えもありまして、まだ世の中が穏やかに収まつておらぬ時代なのでありますから、よけいにその責任をお持ちになる皆さんとしましてはお考えになつてもらわなければならぬと思うのであります。
  34. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 あまり性急にやるべきではないという御意見はよくわかりますが、実は三年やつている間に、税務署がすつかりこの問題にくたびれてしまいまして何とか適当な手段がなければ、もうとてもやつて行けないというのが税務行政の実態でございますので、この辺をぜひ御了承願いたい。ただ今の下部の執行機関におけるこの規定の運用につきましては、私は健全な企業組合の発達を阻害するものではないという趣旨を十分徹底させまして、その運用についてはきわめて慎重なる配慮をなすべきものだと考えております。
  35. 久保田鶴松

    ○久保田委員 今内藤委員からお話がございましたが、渡辺さんはこちらからお尋ねいたしますと、企業組合を育成するものだ、つぶすものではない、こういうふうにお答えになります。だがこの三条の二と、六十七条の二項の条文を見ますと、これは育成ではございません。この間も私が申しましたように、これでは完全につぶされてしまう。それから質問される方々がよく企業組合企業組合と申されますけれども、この三条の二と、六十七条の二項には、これは合名会社、有限会社、協同組合、その次に次ぐべきものは企業組合なんだ。こうした人々がこの法によつてつぶされるというのなら、渡辺さんどうお考えになりますか。私はこの前にもこの点をあなたにお伺いしたのです。この点で日本の零細業者は全滅なんです。ここに独禁法の改正と、十八億という富裕税をとらないようにして、そのしわ寄せを零細業者の人たちの頭にかぶせようとしておる。だから私はこの問題についてはぜひ両方とも削除してもらいたいということをこの間からお願いしておるのでございまして、その点ひとつ考え直して、いい答弁をいただきたいと思うのであります。
  36. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 三条の二の関係は、われわれの方ではこう解しております。現状におきましてもやはり法律上の名義人と、実際の利益の享受者が異なる場合におきましては、利益の享受者に課税するという建前をとつて来ております。それは所得税法の底を流れている本質的な考え方であるというふうに考えております。従いましてこの間も申しましたことで恐縮でございますが、たとえば会社の株式を重役が便宜名義上持つているという場合がございます。一応その株式を発行した方の会社からいえば、重役が株主であるわけでありまして、形式的には重役に配当が行くわけでございます。それで形式的にやかましく言いますと、今度は重役から会社の方へ配当をどうこうするという問題が出て来るのかもしれませんが、しかしとにかく配当が会社の方に入つていれば、われわれの方としては重役には課税すべきものでなくて、会社に課税すべきものであるというふうな実態をにらんでいるわけでございます。しかしそういう事態におきましても、現在の合名会社とか合資会社とかいう会社の組織を無視して、税法の運用をやつているわけではございません。従いましてそういつたような場合における関係について、これは中にはそういうふうな疑いを持つような、一応形ばかりの会社というのがあるかもしれませんが、なかなかそこまで踏み込んでどうこうするということになりますと、問題も多うございますし、われわれとしましては一応合名会社とか合資会社とかいうものにつきまして、この法人形態を否認するという考え方は持つておりません。またこれによつて解釈もしておりません。従いましてこれがそう大きな問題に発展して行くものだというふうに考えているわけではございません。ただ最近たまに見られますのは、企業組合だと風当りが強いから、全然同じことを今度は有限会社でもつてやろう、それもやはり回避的な関係でやつているらしいのですが、そういうものもあるようでありましてこういうものはやはり企業組合の形態をとる場合と同じように考えて行くべきではないか、かように考えておりますが、この規定をそう大きく広げて、会社形態も全部否認してしまうというような考え方は全然持つておりません。     〔淺香委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 久保田鶴松

    ○久保田委員 第三条の二と六十七条、これを先ほど申し上げました合名会社、有限会社、協同組合企業組合、この団体等とのことをあげまして私お伺いしたのでございますが、渡辺さんはただ合名会社と有限会社だけのことについてお答えをいたされたのでありまして、続いて協同組合あるいは企業組合、これらについて私がお伺いしましたことに対しての御答弁をいただきたい。同時にもう一つ関連質問としてお伺いするのは何ですが、ついでですからお伺いいたしますが、そういう意味からいたしまして、新しくこうした法律を出されましたその意味が私たちにどうしても理解できない。それを私たちにわかるようにひとつ説明願いたいと思います。
  38. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 どうも私の説明が下手なものですから、何回か同じことばかり申し上げまして非常に恐縮ですが、協同組合とか企業組合とかいうものは、ほんとうの意味の協同組合企業組合であれば、そこに独立した人格を持つわけですから、従つて今度は組合員へ企業組合を経て利益が帰属して行きましても、それは企業組合からもらう俸給なり、配当なりといつたような姿においての利益の享受でありまして、企業組合へまず第一次的に帰属する、あるいは企業組合からもらう、こういつたような関係でありまして、そして事業の所得そのものがその方に直接帰属するという考え方は持つておりませんし、また解釈すべきでないと思つております。従いまして、ここに法律上の名義人と実際上の利益を享受する者とが違うというものは、そうしたいわば間接的な関係において違う場合、これは株式会社にしても同じだと思いますが、株式会社でもつて利益があつて、そしてその配当が行く。これはまわりまわれば結局株主が利益を享受するものだと思つております。それで現在の法人税におきましては、そういうようなイギリス式の法人税考え方をとつているわけですから、法人課税するのは、まわりまわつて株主に課税するかわりだというような考え方がありまして、従つて二割五分引いておるのであります。終局的には利益は帰属すると思つておりますが、しかし第一次的にと申しますか、少くとも第一次的の利益の享受者は会社である、こういう考え方が成り立ち得るのじやないか。同じことがほんとうの意味企業組合なり協同組合にも言えるのではないか。しかし企業組合を通し、協同組合を通して組合員が今度は第二次的には利益を得る。そこで今第三条の二で私ども規定しようとしているのは、そういう間接的な関係をとらないで、事実上直接その人自身が事業主であり、事業の所得を持つている人が、かつこうだけ協同組合のかつこうをとつている、こういうのは困るというわけでございましてその終局的な利益はそちらへ行くのだから、それはみな否認するのだという意味には、私は法律の上からいつても読めないし、また決してそう解釈するつもりもございませんし、運用するつもりもございません。
  39. 小川半次

    小川(半)委員 議事進行について……。実は今朝早朝から、本日の大蔵委員会銀行局長に出席するように要求してあつたのですが、いまだに銀行局長は出席しない。ただいま連絡者の報告によりますと、他の会議に出ておつて大蔵委員会には出席できないというようなことですが、一体国会委員会というものはそういう権威のないものか。委員長どう思うか。国会委員会に、他の会議のために出席できないというように、国会委員会が著しく軽視されてよいのかどうか、委員長はつきり答えてください。
  40. 奧村又十郎

    奧村委員長 お答えいたします。小川半次君の御要求に応じまして、委員長としてさつそく銀行局長を要求しておるのでありますが、小川委員にはお伝え申し上げておりますように、ただいま銀行局長は、小川委員の御質問の問題に関して法務省と連絡会議を開いておるということでありましてそれがためにしばらく御猶余が願えないかどうかということで、ただいま折衝しておつた最中であります。そこで、小川君の非常な強硬な御要求でありますれば、会議を途中で中断してでも要求いたします。そこで、御承知の通りただいま十二時になりましたので、時間の関係上いかがでしようか、一時開会早々にここへ出席させるということで……。
  41. 小川半次

    小川(半)委員 待てない。すぐ呼んで来てもらいたい。大体最近委員会政府委員の連中が軽視するような傾向がある。時間通り来たことがないじやないか。失礼ですけれども、私なんかいつでも時間通り来ているけれども、大蔵委員会政府委員の連中なんか時間通り来たことがない。こんなことで国会のこの重要な審議ができると思うのですか。もし政府委員の連中がそういうふうに委員会を軽視するなら、われわれもつもりがある。
  42. 奧村又十郎

    奧村委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後零時八分開議
  43. 奧村又十郎

    奧村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外七税関係法案を一括して議題として質疑を続行いたします。久保田鶴松君。
  44. 久保田鶴松

    ○久保田委員 朝方から私がお尋ねいたしました点に対して、企業組合はあなたが考えていらつしやるような方法で今日やつておる。それは国税庁から出されました九原則に基いて、その記帳等の方法等をとつて来ている。それで企業組合というものは、今日認められておるものが大分ある。それであるならば、この九原則に基いて今日の企業組合というものが認められるまでに至つておるのであるから、この三条の二あるいは六十七条の二項、六十七条の二を削除されて、あの九原則なるものをこれに入れかえられてそうしてやつて行くということであれば、あなたの考えも私の考えも同じこと、と同時に、この企業組合というものを大蔵省あるいは国税庁が育成して行くということの、あなたのいろいろお話しになりました点に当てはまるのではないでしようか。私はそういうふうに思います。だからこの三条の二とそれから六十七条の二項、六十七条の二を削除されて、九原則と入れかえるようにする御意思がございましようか。ぜひそうしてもらいたいと思う。
  45. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 率直に申しまして、九原則も確かに一つの道だと思つておりますが、しかしあの内容を一応検討して参りますと、通達であるから書けるようなものの、内容的に見ましても形式的に見ましても、あまり実態をつかんで、実態としての基準になつていないような幾つかのものも入つておるわけでありまして、なかなかあれでは最後の——ほんとうの意味企業組合ですと、ああいうものがなくつたつて別にはつきりわかるわけでして、大体あれによつてほんとうの実態を備えている企業組合につきましては、今まで税務署も納得して法人税課税しているわけなんです。ところが残つております幾つかのものになりますと、あの九原則ではどうも話が全然行き詰まつてしまつておりまして、動かなくなつておるというのが実情でございます。この執行の問題につきましては、私、自分が東京の国税局長をこの間までやつておりましたので、多少の事例を申し上げておりますが、この点につきましては、むしろ国税庁長官からよく御説明申し上げるのが、あるいはいいんじやないかと思いますので、至急国税庁長官の御出席を求めまして、現在の課税がどんなふうな実態になつておるかという点について御説明申し上げたい、かように思います。
  46. 久保田鶴松

    ○久保田委員 渡辺局長は、これは国税庁長官の平田さんにこの問題を聞いてくれとお逃げになりましたが、しかしこの問題については、局長自身が今日まで東京の国税局長としてそうしたこと等もやつて来られた経験者であられると私は思うのです。そういう意味から、主税局長としてこの問題に対して、幾つかの今残つておりまする組合はこの九原則では話合いができない、こういうお答えでございましたが、これを法文化することによりまして、これに当てはまらなければそれは認めないと申されました。幾つかの組合はこの法に当てはまらなければこれは認めない。今日すでに認めていないのだから、そういうことでいいんじやないでしようか、そういうことで平田さんに別に御相談なさらずとも、あなたが主税局長としてこれをおきめになつたらいいと私は思う。
  47. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私が国税庁長官に説明してもらつた方がいいと思うのは、現在企業組合課税において、税務行政においてどういうトラブルがあるかといつたような意味の点は、これは国税庁長官の方が現場でその責任を持つておりますから、従つて平田長官の方から説明してもらつた方がいいんじやないか、かような趣旨で申し上げたわけでありまして、立案その他につきましては、私がどこまでも御答弁いたすべきものだと思つております。
  48. 久保田鶴松

    ○久保田委員 どうでしよう。それじやひとつあつさりそういうことにしようじやありませんか。九原則を法文化して、第三条の二とか、あるいは六十七条の第二項、六十七条の二は削除する、こういうことにしようじやありませんか。
  49. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 せつかくのお言葉でありますが、遺憾ながら私としては賛成いたしかねます。
  50. 久保田鶴松

    ○久保田委員 今せつくかのお言葉と、こういうことを申されましたが、私たちは国民代表として先ほどから申しておりますように、合名会社、有限会社、協同組合企業組合日本の零細業者がほとんどこれに入つておるのでありまして、これは社会党、改進党、自由党といえどもこの法案にはおそらく賛成はなさるまいと思う。だから局長は立案者であつてこれを通そうとなさいましても、これを通しますと、日本の零細業者が全部殺されてしまう。前にも申しましたように、あなたが第二の池田さんのようなことをなさるとたいへんです。(笑声)だからそういうことをなさらないように申し上げているのです。
  51. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私はこれによつて日本の零細業者がつぶれるなんということは毛頭ないと思います。もちろんそういう意図でつくつた規定でもありませんし、そういう意義のものでもない。しかしこの点につきましては過般来るる申し上げておりますので、詳しいことは省略さしていただきます。
  52. 平岡忠次郎

    平岡委員 今の関連質問でございますが、中小企業等協同組合法におきましては、企業組合を明瞭に認めております。ところが今回の改正法をもちましては、所得税法においてこれを否定するという矛盾が出て来ます。道を譲るべきは一体どつちなのであるか、私はその点を質問したいと思うのであります。しかも所得税法におきましてこれを否定する理由がまことにわれわれは納得できないのであります。すなわち企業組合の中の三割程度がきわめてどうにもならぬ怪しげなものである、かような点がその理由となつているおいては、まことにわれわれは唖然とせざるを得ないのであります。法の通念におきまして、十人の凶悪犯人をたといとらえそこなうことがあつても、一人の無実の罪人を出すなと戒めておるのであります。しかも発生史的に見まして、この零細なる企業組合のメンバーというものは、ドツジ・ラインの超均衡予算の犠牲者であります。これが何で恐れ多くも法を犯して税をのがれようとか、さような好知にたけてのことではなしに、生活権の擁護から、自分の生活権の真のどん詰まりに立ちすして、何とか生きて行こうと一生懸命もがいたあげく、そうした機運がそこに認められて、企業法人というものがつくられた。この動機の中には、確かに税負担を軽からしめようという動機が入つております。しかしそういうところに持つて行つたのは政治が悪くて、いわゆる民を組するものである、そこえ追い込んでおいて、それを罰して行くというようなことでなしに、せつかく中小企業等協同組合法というものができてこれを育成して行くという立場にありますから、それと並行まして、所得税法におきましても、そうしたか弱い中小企業者を救うところの大きな観点に立つべきだと思うのであります。その意味で今回の第三条の二とか、六十七条二項、六十七条の二というような点は率直に撤回願いたい、私はかように考えます。しかも六十七条の二というようなことはずいぶん立ち入り過ぎている。たとえば米屋さんの企業組合ができたとして、そのメンバーの二分の一以上は過去において米屋を営んでおつたからそれはいかぬとか、そういうふうなことがありますと、あなたは非常に良識を持つてこれを立案されたかもしれませんが、税の担当の下部の執行する人たちがかつてに拡張解釈しまして、企業組合を根本から否定するような結果が予想されるのであります。動機がいかにあろうとも、結果においてこうした企業組合を初め、あるいはそれ以上有限会社とか合名会社すらも全部職滅させる懸念のある法案というものは、まさに悪法案でございますから、この点率直に御撤回いただきたい、かように思うのです。
  53. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私は、この規定が健全な企業組合を否認するものでもないし、またその発展を阻害するものでもないということをどこまでも確確信しております。所得税法で否認しているというふうなお感じをお持ちのようでございますが、別に所得税法企業組合を否認するとかしないとかいうことを考えておるわけではございません。六十七条の二ですか、それにおきましても、一応こういう姿のものと推定するというわけでございまして、これがもしみなすなんといつたらこれはとんでもないわけでございますが、一応推定する、従つていわば挙証責任が相手方に移るというだけのものでございまして、同時にその企業組合が先ほど来申しておりますように、企業組合としての実体を備えている場合におきま託して、それをどうこうということは毛頭考えているわけではございません。従いまして、遺憾ながら現在におきまして企業組合の実体を備えていなくとも、なおかつ企業組合だという主張をしている方がございますので、それにつきまして税務上いろいろなトラブルが起きておりまして、税務執行の上に大きく悪い影響を与えておるという点について何らかの措置が必要である、かように考えまして、挙証責任を相手方に移すことだけは実際において許されていいのじやなかろうか。それが企業組合であれば、もちろん企業組合としての課税を行いますし、企業組合でない場合におきましては、そうでない場合の課税を行う、これだけを考えているわけでございまして、別に企業組合を否定する気持もございませんし、企業組合の発達を阻止するつもりもございません。  それからなお下部の者がこれを拡張解釈するとか、あるいはそれによつて非常に危ういことになりはせぬかという御心配につきましては、私が先ほど来申し上げておりますように、執行機関としましては、どこまでもこの規定の運用につきましては十分慎重にやるということを言つておりますが、国税庁長官などから、直接その点についてははつきりした言明をこの席でする機会をつくりたいと思つております。
  54. 平岡忠次郎

    平岡委員 第六十七条の二、これはおそらくおかしな法律です。過去においてその事業をしておつた者とか、そういうものを、こうしたきわめて人権侵害の疑いのあることを具体的に織り込んで行つたならば、これを拠点にして、税務の徴収執行者というものは拡張解釈——拡張じやなしに、このままで適用しても、相当企業組合に脅威を与えておる。つまり所得税法において企業組合法人として認めない、そういうことに馴致される可能性がある、さように思いますが……。
  55. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私頭が悪いせいか、どうもよくわからないのです。挙証責任を相手方に移すということは、ある場合においては許されていいもんじやないだろうかというふうに私は考えております。それはどこまでも実体によつて課税して行くという手は、これはそのまま続くわけでございます。また問題は、税務署の方で一から十まで立証しなければならないか、あるいは納税者の方である程度立証の責任を負つていただくか、結局六十七条の二の趣旨は挙証責任だけの問題でございまして、それ以上に実体の課税に触れてそれをどうこうするということは、全然考えている規定でないのですから、従つてこの規定ができることによつて課税の実体がかわるということはあり得ないんじやないか、かように考えておるわけであります。ただ執行の面になりますと、挙証責任の問題のときに、今度はそれで納得するとか、納得しないとかいう問題が、お互いトラブルの元になりはせぬかと思うので、これにつきましては相当慎重に取扱つて行くべきものだということは、これはあり得ると思うのでありますが、ただ問題は挙証責任をどちらに渡すかというだけでございます。決して実体に触れて、これをいいとか悪いとかいつた問題になるわけではございませんで、まして企業組合所得税法で否認する規定だとは思つておりません。
  56. 平岡忠次郎

    平岡委員 挙証責任がどつちにあるかの問題についてきわめて簡単におつしやいましたが、中小企業者の人たちはそれほど法律にも詳しいわけではないのですが、挙証責任の所在がかわるということは、実際大きな不当な重圧であるわけです。大法人であつたら税務対策にそういう専門的なスタッフすらも用意しておくけれども、今の挙証責任がどつちかに移るだけで、それは何でもないのですということは、それは渡辺さん自身の知識のレベルから考えておるのです。それは確かに法的に純理をもつてそういうふうに討議すれば何でもないことも、実際上においては大きな脅威になるわけです。そこが政治なんですから、そういう点を特に御考慮いただかなければならないと思うのです。それでしたら富裕税のごときは、今の挙証責任のやり方一つによりまして、徴税することにめんどうくさいからということで、要するに便宜主義が富裕税においては理論的観念を駆逐している。そういう点から照し合せてみましても、あなたのやつていることは一貫していないと思うのです。やはり中小企業者自身はもともと弱いのですから、むしろあなた方はカバーして行くという気持で、あなた方が予想する以上に多くやつて行かなければ均衡がとれぬと思つておる。いずれにしましても挙証責任の所在がかわるだけであると簡単におつしやいますが、そのこと自体が非常に大きな意味を持つことを御考慮いただきたいと思うのです。
  57. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 私は法律論として、企業組合が否定されるのじやないかというような意味で御質問がございましたから、法律論としては挙証責任が転換するだけだ、ただしかし挙証責任の転換が決して現実の行政に参りましてそう簡単な影響だけで済むものだとは思つておりません。従いましてこの規定の運用につきましては、よほど慎重にやつて行くべきじやないかという点、実際中小企業の方がこの規定の適用を受ける場合におきまして、もし運用するものが誤解したり、あるいは妙な気持でやりますと、相当そこに危うい、あるいは御心配になるような点が起きる、これは私も危険性はあると思つております。それだけに、私は先般来申し上げておるのですが、この規定の運用につきまして十分慎重を期する、それで特に、たとえばすでに税務署でもつて法人として認めて、法人税課税しておるような企業組合に対しましては、この規定を援用することによつて挙証責任を相手方に移すようなことはしない、これは国税庁長官も言つておりますし、私もそうすべきだと思つております。そういうように、行政の実際につきましては、別に慎重に考慮しておるわけでございますが、法律論で挙証責任が相手方に移るだけだというふうに簡単に言い切つて、それでおしまいだというようにこの問題を単純に考えているわけではないのでございまして、その辺は御了承を得たいと思います。
  58. 平岡忠次郎

    平岡委員 竿頭一歩を進めてそういうふうなむしろ悪い方を的確に取締つて行く、かような点で、むしろあなたの立案をやめて、撤回していただいて、私は現状においてやつていただきたい、かように強く希望いたします。
  59. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 その点につきましては、実はこういう規定をつくれば、いろいろ心配の種ができるという点で、この規定を挿入するにつきましては、われわれとしても相当慎重に考慮したわけでございます。ただ結論といたしましては、やはり現状のままでは税務官吏がとてもくたびれてしまつて、何とも動きがとれぬというおそれもあるという意味で、どうしてもやはり執行上からこういう規定を入れていただきたい、かような結論で入れたわけでございます。
  60. 平岡忠次郎

    平岡委員 そうしましたら、お昼にもなりましたし、私はまだ質問がありますが、これを保留いたしまして、一応これでやめておきます。
  61. 奧村又十郎

    奧村委員長 午前中はこの程度にとどめ、午後は一時半から再開いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後一時五十七分開議
  62. 奧村又十郎

    奧村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  所得税法の一部を改正する法律案外七税制改正案及び国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案一括議題といたし、質疑を続行いたします。質疑通告順によつてこれを許します。小川半次君。
  63. 小川半次

    小川(半)委員 私はこの機会に銀行局長に株主金融についてお伺いしたいのであります。実は昨日の東京新聞によりますれば、株主金融にメスという見出しで、大蔵省銀行局、法務省及び警察等において株主金融に対して合法か違法かの討議を加えて、徹底的に取締るということが書かれているのであります。御承知のように、株主金融は商法に基いて設立し、あるいは増資をすることができるのであり、また貸金業法に基いて大蔵省に届出をすれば、それで営業ができることになつているのであります。また株式の売出しについては、証券取引法による手続をすれば法律上何ら違法ではないのであつて、現在営業している株主金融業者も、この手続なくしてはできないはずであります。手続を済ましておれば、法律上何ら違法ではないことは明らかであります。それをいまさら合法か違法か検討するということは一体どういう理由であるか、この点お伺いしたいのであります。
  64. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 まず午前中お呼出しをいただきましたにもかかわらず遅参いたしまして、まことに申訳ございません。おわびを申し上げます。  今お尋ねの問題でありますが、この問題につきましては、かねてこの委員会政府の態度をすみやかに表明するようにということの強い御要求を受けております。問題が非常に複雑であり、かつ影響するところが非常に大きいために慎重に検討を加え、本日も実は午前中この問題で関係の当局といろいろ打合せをいたしておつたのであります。ただ私も昨日の東京新聞の夕刊を見ましたが、きよういろいろ打合せをいたしておりました過程において、最高検察庁方面の意見も聞いてみましたが、あの新聞に出ておるところは、最高検察庁の考えとはまつたく違つておるようであります。結論的に申し上げますと、まだ最終的な結論に到達する段階に至つておりませんが、今午後も実は会議を続行いたしておるわけでありまして、結論が出次第、この委員会で十分に詳細御説明を申し上げたいと考えております。ただいまお話のいわゆる株主相互金融が法律違反なりやいなやという問題が起りますのは、この方法で資金を集めて参りますやり方が、銀行法なりあるいは貸金業法に規定いたしております預金または預金類似の資金の吸収方法になるかならぬかという問題であります。先ほど申し上げましたように、実は結論がまだ出ておりませんが、そういつた意味で、銀行法第一条あるいは貸金業法第七条に書いてあります資金の受入れということは、名目が何であろうと、それが経済的、実質的に預金と同じものであるならば、それはやはり預金の受入れということに相なるわけでありますが、それでは株主相互金融の資金の集め方が、一体銀行法第一条ないし貸金業法第七条に違反するかしないか、こういう問題が非常に大きなポイントとして今検討されておるわけであります。先ほど申し上げましたように、現在まだ結論は出ておりませんが、研究されておる問題のあり場所はそういうところにある、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  65. 小川半次

    小川(半)委員 私もかつてこの制度を研究したことがありまするが、これは株主が相互に出資しておるものであつて、資金の受入れとか、あるいは預金と解釈することはちよつと当らないと思うのです。大体株主金融の生れた原因は、現在のわが国の金融政策の不備が原因となつて、大衆の団結からこれをつくり上げたものであつて、御承知のように現在市中銀行におきましては、十万円以下の金は貸してくれません。また相互銀行は五万円以下の貸付を行わないのが現状であります。従つて二万円あるいは三万円の金に突き当つて苦しむ零細な国民大衆は、この国民大衆の零細なる資金を結集して、これを生かし、しこうして零細企業者等へ還元融資を行うごとによつて相互に資金融通の道が開かれるのであつて、現下日本の経済生活の中から必然的に生るべくして生れたものであつて、これを頭からもぐりだとか、あるいはやみ金融だとか、あるいは貸金業法違反の対象となると解釈することは間違いではないかと思うのであります。もし政府において株主相互金融を貸金業法違反なりと解釈した場合、現在営業を行つておる全国の約百五十社の企業のもとに四十万人の株主がおり、また動いておる金は大体四十億を越すといわれておるのでありまするが、この動かしがたい一大勢力をどう措置されるか。政府においてその場合の対策があるかどうか伺つておきたいのであります。
  66. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 先ほど申し上げましたように、この方式による資金の受入れのやり方が金融業法に離反するかしないかという点につきまして、まだ結論が出ておりません。従いまして、そういうふうに金融業法違反という結論が出ました場合には、さていかなる対策をとるかということが問題になると思いますが、今その問題も並行して研究いたしておるわけであります。金融業法違反という結論を出しておりませんので、これらの問題についてどうするかということは、今のところ申し上げる段階にない、かように思います。     〔委員長退席、淺香委員長代理着席〕 ただお断りいたしておきたいのでありますが、今申し上げました点は、いわゆる株主相互金融方式の典型的なものであります。しかしながら株主相互金融の方式の中にもいろいろかわつた方式がありまして、多種多様にわたつております。それらのもののうちには、やはり明らかに金融業法違反、つまり預金の受入れをやつておると認められるものもあるかとも思います。まだ確実に調査が行き届いておりませんから、はつきりしたことは申し上げられませんが、そういうものもあり得る。そういうものでありますならば、株主相互金融の典型的な形のものがどうであろうとにかかわらず、はつきり預金受入れとみなされるものにつきましては、これは厳重に取締つて参らなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  67. 小川半次

    小川(半)委員 最近ほとんど連日のごとく、株主相互金融に対する批判的な声、あるいは賛成、反対等の意見が新聞の記事を飾つておるのでありまするが、これは一体何を意味するものであるか。一言にして言えば、株主相互金融がわが国の経済社会に抜くべからざる一つの分野を打立てたものであつて、その反応とみなしてよいと思うのであります。そのよつて来る声は、最近株主相互金融を法制化した方がよいという意見となり、政界や学者の間に強く出て来たのがその原因であろうと思うのであります。政府の方では、株主金融は高額利子で融資を行つておるかのごとく誤解している向きもあるようでありますが、この種業君たちは、法制化さえしてもらえば、日歩七銭程度でよいという意見を持つておるのであります。局長は御存じないかもわかりませんが、今日市中銀行から融資を受けておる多くの人々の意見を聞きますると、その利子は大体日歩八銭くらいになつておるのであります。もちろん表面の形式は規定された利子となつてはおりますが、融資を受けるための運動金、ごちそう、謝礼金などを含むと、どうしても日歩八銭くらいになるというのであります。それではごちそうとか謝礼金とか、そういうものは不必要ではないか、出さなくともよいではないかという議論も出ると思うのでありますが、ごちそうしたり謝礼金を出さねば融資してもらえないというのが、今日市中銀行一般の常識とさえなつておるのであります。私は、株主金融にメスを入れるなれば、同時に一般の市中銀行等にも厳正なるメスを入れるべきであると思うのであります。この点いかなる考えを持つておりますか、お伺いしたいのであります。
  68. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 一般銀行等におきまして、正規の金利以外に、借りる方におきましていろいろなコストがかかるということは、私も聞いております。しかしこれは全部ではないと思いますし、もちろんそういうことはいいことでないことは申し上げるまでもないことであります。株主相互金融に対して今お話のように何らかの措置をとるといなとにかかわらず、こういつた問題については、厳重に今後とも取締つて参りたい。そういつた正規の金利以外のものをコストとしてとられるようなこと、あるいはもしそうしなければ金を貸さぬといつたようなことがありとすれば、これは厳重に取締つて参ります。株主相互金融の問題に対する態度のいかんにかかわらず、やつて参りたいと考えます。
  69. 小川半次

    小川(半)委員 局長が今はつきり言明されたように、一般市中銀行に対しても、ひとつ徹底的にその厳正なるメスを入れていただきたいと思います。本日局長はたいへんお忙しいようですから、私は最後に一点お伺いしたいのであります。  以上私が申し上げましたように、株主金融は今やわが国の経済社会に欠くべからざる存在となり、不動の基盤をつくり上げてしまつた以上、これを正しく育成し、また監督することが政府のとるべき態度ではなかろうかと思うのでございます。従つて政府においてこれを法制化される意図があるかどうか、この一点を伺いまして私の質問を終りたいと思います。
  70. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この問題につきましても、株主相互金融全体に対する政府の態度をきめる問題の一環として現在研究を加えております。まだ最終結論に至つておりませんが、現在のところでは、株主相互金融というものを法制化するという考えは持つておりません。
  71. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 同僚小川委員からいろいろな質問があつたと思いますが、現在やみ金融がわれわれ委員会で非常に問題になりまして、これが一般的にもいろいろ影響を与えておることは小川委員から述べられた通りであると思います。今国民が一番困つておりますのは税金の高いこと、これは午前中やりましたから言いませんが、それと中小企業者が金を借りるのに非常に困つておるということです。現在いなかでも申されておりますが、戦争中は錨と星が非常に横暴をしたということがいわれておりますが、今では、一般の言葉では銀行の支店長と税務署長が一番横暴をやるというのが言い習わしになつております。どういうわけでそう言うかと申しますと、現在床の間にすわるのは税務署の署長と銀行の支店長である。それでなぜ銀行の支店長がそういうところにすわるかと申しますと、現在中小商工業者が金を借りるのに非常に困る。今資金がないから困るのでありましてそれならば大蔵省は一体中小企業者にどんな金の貸し方をやつておるか、現在中小企業者が困つておるのにどういうような方法で金を貸す道をつけておるか、こういう点について、今の国民金融公庫のようなものでは今日おそらく中小商工業者は間に合わぬような現状になつております。それに対して銀行局長はどんな政策を持つておられるのか、ちよつとお伺いしたいのであります。
  72. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 中小企業の金融の問題につきましては、お話のようになかなか十分な金融がつかないということを私どももいろいろ考えおります。そういうように、普通の民間の金融機関で中小企業の金融が十分につかないから、そのために特殊の政府の金融機関をつくつておるわけであります。その一つ国民金融公庫であり、近く国会に御提案申し上げたいと思つております中小企業金融公庫、これは仮称でありますが、そういつたものもつくつて参りたい。これらの機構を通じて、政府資金を財政の許す限りできるだけ多額に流して参りたいという配慮のもとに、これらの金融の機構を整えて参つておるわけであります。そのほかに、中小企業の金融がつきやすくするようにいたしますために、信用力を保証するという観点から、中小企業に対する信用保険の制度をさらに拡充し、また近くこれも国会に御提案いたしたいと思つておりますが、信用保証協会の制度を法制化して、これを拡充して行くというような手も逐次打つて参りたいというふうに考えております。それとともに、本来の民間の中小金融の機関につきましても、あるいは相互銀行でありますとか信用金庫でありますとか、あるいは信用組合でありますとか、一般銀行における中小企業部門につきましても、できるだけこれらの金融機関の活動の許す限りにおいて中小金融の円滑化に努めるように、極力努力をさせて参りたいと考えておる次第であります。ただこれらの民間の金融機関は、どうしても金融機関でありますから、やはり金融に乗るものでなければなかなか出せないというところに非常に大きな制約が、当然のことでありますけれどもあるわけであります。いわゆる金融のベースに乗るものでなければ、なかなか民間の金融機関としては多額の預金者の預金をかかえておるという関係から、良心的な金融はいたしかねる。そういつた点についておのずからそこに制限があるわけでありますけれども、これらの制限につきましても、はつきりした区画は実はつかないわけでありますが、民間の金融機関といたしましても、できるだけ中小企業の方へ力を入れるように従来からも指導いたして参りましたが、今後においても、一そうこういう方面への指導を強化して参りたい、かように考えておる次第であります。なお政府金融機関に対する政府資金の投下をできるだけ多くして参りたいということは、かねがね私ども念願いたしておりますし、当委員会からもたびたびにわたりまして強い御要望があつたわけでありまして、来年度の予算案の中に、これらの問題もできるだけ財政の許す限り取入れたつもりでありますけれども、あるいはまだ皆様方の御満足の行く程度に至つていないかとも思います。今後におきましても、こういつた意味において中小企業金融に向けらるべき政府資金のわくをできるだけ拡大して行くように努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  73. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 さらにお尋ねしたいのですが、今度仮称の中小企業金融公庫というものができて長期化することについては、だれも望んでおるところでございますが、ただこういうものができると、今までいつも公庫の方へこの金を流すということになつて、それが表面上には中小企業のためにやるようでございますけれども、実際は中小以下のむしろ小の弱い方面には流されないという弊害がたくさんございまして、ただ名目的に中小企業の方へ五十億流す、八十億流すといいましても、実際には末端にはそういうものが円滑に行つていないという点が間々見られるわけであります。こういう点について大蔵省はもつと目を開いて、この金が公平に中小商工業者に流れるような方法を講じてもらいたい。  もう一つは、今まで国民金融公庫の問題は、借りた人はいろいろ潤つたわけでございますが、実際は借りる場合において半年くらい調査などにかかつて今借りれば役に立つものが半年も調査が遅れて、そのときには間に合わなかつたというような事件がたくさんあるわけであります。これは私も先日名古屋で実際にこの事情を見て参りますと、やはり調査期間が非常に長い。調査しようとするけれども、あの人員では非常に人員が少ないから調査ができないという点もあり、また御承知のように現在大蔵省の監督上、国民金融公庫の職員に対して一般銀行に比べると非常に待遇が悪いという点で、能力が発揮できない点もたくさんあるわけでございます。今度はむろん国民金融公庫の方の増資の問題が出て参りますので、いずれそのときには銀行局長にいろいろこつちから注文をつけようと思いますが、中小企業公庫にしましても国民公庫にしましても、もつと簡素化して、ほしいときにすぐまわるような何らかの方法をとる考えはあるのかないのか、この点をお尋ねしたいと思うのです。
  74. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 御指摘の二つの問題はいずれもごもつともなことだと考えます。ことに国民金融公庫なり今度新しくできる公庫の融資の手続が非常に日にちがかかる、能率が非常に悪いというような点、これらの点につきましては極力簡素化いたしまして迅速に処置をいたすようにいたしたい。ただこの点も、佐藤さんにお言葉を返すようでありますが、国民金融公庫にいたしましても新しくできる中小企業金融公庫にいたしましても、やはり金融をやるわけであります。従いましてやはりそれが返済ができるかできいなか、これは国民の租税を中心とした資金がもとになつておるわけでありますから、それに非常に大きな損失を与えるということはいけないわけであります。金融に乗るか乗らぬかということは慎重に調べなければならぬ。そのために申込があれば金のある限りどんどん出すというわけにも参りません。これらの調べ方につきましては、さらにできるだけ簡素化し能率化してやつて参りたいとは思いますが、やはり程度問題でありまして、申込めば右から左へすぐ出るというわけにはなかなか参りません。金融である関係上、おのずからそこに調査ということがどうしても必要となつて参ります。そこで一番簡単な調査で、必要最小限度にとどめるというふうに指導して参りたい。なお国民金融公庫については、いずれまた法案をこちらで御審議いただきますが、その際詳細に御説明申し上げたいと思います。
  75. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 笹山茂太郎君。
  76. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 私は税法の点についてお尋ねする前に、ここに提案されておる国有林好事業特別会計法の一部を改正する法律案についてお尋ねを申し上げたい。この改正の目的とするところはよくわかるのでございます。第一線で働いておる現業の職員を公共企業体等労働関係法によつて取扱うという趣旨については、私は別段異存はありません。ただこの取扱い方について、過去においてもそうであつたように、こういう扱い方は正々堂々と公共企業体等労働関係法を改正して扱うのが筋だろうというふうに思います。ところが今度の改正案によりますと、そういう方向をとらずに、国有林野事業特別会計法という会計法の中でもつてさような取扱い方をすることは、いかにも適当でないと考えておりますが、どうしてそのような取扱いをされるのであるか。また大蔵省関係から考えましても、収入支出の会計を経理するのが特別会計法の趣旨としなければならないところでございます。こうした公共企業体に含まれるかどうかということを特別会計法の改正によつて取扱うことは、どうも適当でないというふうに思いますが、その間の経緯等がありますればお聞かせ願いたいと思います。
  77. 大島靖

    ○大島説明員 ただいまお尋ねの公共企業体等労働関係法の関係についてお答え申し上げます。御承知の通り先般の公共企業体等労働関係法の改正によつて国営事業が新しく、公労法の適用を受けることになりました。その中で、公労法第二条第一項第二号口に掲げてありますように、国有林野及び公有林野官行造林地の管理及び経営の事業が新しく公労法の適用を受けて参ることになつたわけであります。ただ今回国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案によりまして、公有林野官行造林法第一条の規定により行う事業、それから受託治山事業というものを国有林野事業として規定いたしたい、こういうことになりましたので、この特別会計法の改正に伴いまして、公労法の公有林野官行造林地の管理、経営ということは不必要になりました。従つてこれを削除している、こういう考えなのです。ただいまお話の公労法自体の改正によるべきではないかという御意見も、まことにごもつともだとは存ずるのでありますが、ただ、国有林野という字句につきましての解釈を国有林野事業特別会計法のものによつて定めて行きたい、かような考えでありますので、御了承願いたいと思います。
  78. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 今の御説明によりますと、国有林野事業という概念の中には、公有林野官行造林事業も含まれておる、こうお考えのようでございますが、そういうことはあり得ないはずでありまして、この前の公労法の改正については、国有林野事業のほかに、公有林野官行造林事業をつけ足したという経過になつておるのであります。従つて、この受託治山事業を将来公労法の扱いにするというならば、過去において公有林野官行造林事業が公労法の修正としてうたわれましたように、今度の受託治山事業ということも、公労法の中でこれをうたうのが当然であります。御承知の通り国有林野につきましては、その法といたしまして、国有林野法があり、公有林野官行造林につきましては、公有林野宮行造林法という法律がある、また森林法という別立ての法律がある、おのおの性質が違つておるのでありまして、特別会計でこういうものを取扱うことになつたということでなくして、この前におやりになつたように、公有林野宮行造林が公労法の中に追加されたように、今度の受託治山事業も、必要ならば公労法の追加でもつてやるのが筋だと思いますが、そうではありませんか。
  79. 大島靖

    ○大島説明員 御意見まことにごもつともには存ずるのであります。ただ、先般の公労法の改正におきまして、国営企業を公労法の適用の中へ入れてよいことになりまして、郵政、林野、造幣、印刷、アルコールというような五つの事業を組み入れることにいたしたのでありますが、その組み入れておる国営企業の性格といたしましては、たとえば純粋な行政事務でない、技術的、肉体的な労働を主体とするもの、あるいは事業が経済的なものであるとか、ないしはその事業が企業として一体性を持つており、ことに特別会計として経理されておるもの、こういう徴標によりまして、公労法の適用に持つてつた次第であります。従つて特別会計でまかなわれておるという点が、国営企業の限界の一つの重要な点となつてつておるわけであります。そういう観点からいたしまして、今回国有林野事業特別会計法改正によつて公有林野その他が入つて参る、こういう関係になりますので、その意味でこういう規定にいたしまして、附則で改正をいたしたいと考えておる次第であります。
  80. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 どうもはつきりわかりませんが、従来は公企体の性格の問題といたしましては、まあ事業の遂行上、権力を伴わないもの、あるいはその事業が純然たる経済事業であり、またその要件といたしまして会計が独立しておること、こういつた要素が公共企業体の性格を裏づける条件だと思うのでございますが、今度新しく入つた受託治山事業につきましては、場合によつては権力の行使ということも当然考えられるわけでございます。またこれはもつぱら公益公安を主体とする事業であつて、経済事業というわけには参りかねると思います。そういう点から考えまして、従来の公共企業体に対する考え方と、今度受託治山事業を入れる考え方との間に少し変化があつたように考えるのでございますがも労働省といたしましては、今後公共企業体の性格を判断する場合におきまして、従来取扱つて来たおもなる三つの条件については、将来違つた取扱い方をする考えでありますか、どうでありますか、その点ひとつ伺いたい。
  81. 大島靖

    ○大島説明員 今回加わつて参ります受託治山事業につきましては、工事の関係を主といたしまして、約五百名強い人たちが公労法の適用へ入つて参る、かような関係になつておるので、大体やはり特別会計でまかなわれますもの、こういうふうな考え方によつておるわけであります。
  82. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 治山事業については、国営でやつておるものもありますし、また一般地方自治体において実行しておるところの治山事業もあるはずであります。そうした地方の自治体が主体となつてつておりますところの治山事業につきましては、労働省の見解としましては、これは公企業体の事業として考え得るかどうか、その点を伺いたいと思います。
  83. 大島靖

    ○大島説明員 お尋ねの御趣旨はよくわかるのであります。たとえば国営企業にいたしましても、まだこの五種類のほかに、たとえば土木事業でありますとかいろいろの種類のものも考えられます。地方公共団体の経営いたします公営企業にいたしましても、先般の地方公営企業法ないしは地方公営企業労働関係法によつて規定されております電気事業でありますとか、あるいは水道事業、ガス事業、そういつたもののほかに、いろいろ相似たような関係のもののあることもよくわかるのでありますが、ただ一応先ほど申しましたような徴標によりまして、国営企業についてはこれだけのものを公労法へ取入れて参る。それから地方公営企業法ないし地方公営企業労働関係法におきましては、第二条の所定の事業を公営企業として、ないしは公営企業の労働関係として規定して参るということにいたしておるわけです。なおその他条例等によりまして追加できる分もあるわけであります。大体の考え方はそういうふうな考え方によつているわけであります。
  84. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 私のお尋ねしているのは、治山事業というものは地方の自治体、県あたりで実行しているものもあるわけであります。そうした場合におきまして、特別会計が必要であるということでありますならば、県有林特別会計というものもあるようでございますし、そういうような取扱い方をしますれば、労働省としましては、この治山事業はやはり公共企業体として取扱われるものか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  85. 大島靖

    ○大島説明員 地方公営企業につきましてはこの公労法による国営企業と必ずしも範疇が同じではないのであります。地方公共団体の営みます公営企業、これが地方公営企業法で定まつておりますが、それの方の関係を見て参るわけであります。
  86. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 今度特別会計法の改正案によりまして、公有林野官行造林、受託治山事業がこの特別会計において経理されるということになりますと、この会計法の第三条でありますか、そこに当然この会計として資本の要素がはつきりしなければならぬと思います。しかるにこの第三条によりますと、この特別会計の資本というものは従来の国有林事業の財産のみが資本になつておりまして、今度新しく記入されたところの受託治山事業とか、あるいは公有林野官行造林の財産というものは資本の金額になつていないようでございますが、そういうふうな扱い方でいいのか。これはどこで主管するか知りませんが、御説明を願います。
  87. 槇重博

    ○槇説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。第三条の規定で、従来の国有林野の資産と申しました際に、この法律ができました昭和二十二年の四月当時におきましては、公有林野官行造林事業はやはり国有林野事業の中に入つてつたのであります。その後一時昭和二十三年の年度途中から一般会計に入りましたが、一般会計の時代に投資されましたものは、昭和二十七年度に一般会計からこの会計へ有償所管がえという手続をとつて、この会計の中に入れるごとになつております。従いまして公有林野官行造林につきましては、第三条の関係の上から申しますと、二十七年までの資産価額はその通り入つておるということになります。それから次に直轄治山事業でありますが、治山事業は御承知のように、工事の内容は、山の地すべり防止であるとか、あるいは山腹溝というようなものをつくりますので、広い意味で申しますならば、確かに資本的支出になるのでありますが、むしろ治山維持修理費というような考えから、それを資本化して扱うことはしておらないのであります。これは国有林内部の治山事業も同様であります。従いましてこの方は別に資本の増加という考えは持つておりません。
  88. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 今の説明によりますと、慣例上、公有林野官行造林事業はこの国有林野事業の会計の中に入つておるということでございましたが、それならば昨年公労法改正の際におきまして、国有林野事業のほかに特に公有林野宮行造林事業というものを追加する必要はなかたのではないかと思います。当然国有林野事業に含まれるという性質のものならば、特に公有林野官行造林事業として追加する必要はなかつたと思いますが、そういう点については、労働省関係としてはどういうことになつておりますか。
  89. 大島靖

    ○大島説明員 公労法の第二条には、御承知の通り、国の経営いたします企業、なおその附帯する業務を含むということに相なつております。その附帯する業務でやれるのではないかという御意見かと思いますが、ただその点はつきりいたす方がなおよかろうと考えまして、それを追加いたしたわけでございます。
  90. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 はつきりするに越したことはないと思いますが、当然そういうふうに沿革上なつておるならば、別にそういつた改正までする必要はなかつたと思います。私はかような点について実は相当疑義があつたから、そこにはつきり追加する必要があつたのではないかと考えております。  なおこの会計は、公債の発行なりあるいは融通証券の発行ということができ得るはずでありますが、将来この公有林野宮行造林事業なりあるいは受託治山事業について、公債の発行あるいはまた融通証券の発行を行う方針でございますか。
  91. 槇重博

    ○槇説明員 ただいまの御質問に対して、将来の問題といたしましてここで仮説的にお答え申し上げるのもどうかと思いますが、規定の解釈上は、事業施設費を支弁するために必要のあるときは公債なり借入金ができる。それから融通証券の方は、事業年度の途中におきまして元請の財源が足りない場合の問題でありますから、これは当然起り得る場合が予想できると思います。公債の方は、今申し上げた事業施設費として組み得る範囲のものならば、あるいは将来この事業につきましても起こる場合があり得ると存じます。
  92. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 この改正案の第十八条の二でございますが、これで見ますと、  一般会計の方からこの会計に繰入金をすることができるというふうに書いてあります。本来この改正が、受託治山事業の関係職員を公労法の適用に置くという趣旨でできておるところの改正ならば、こうした繰入れをすることもできるしできないこともあるというような、将来についてきわめてあいまいな書き方をしないで、将来とも国有林野事業の中で負担するのだというふうにはつきり書く必要があるのではないかと思います。また政府考えは、この一般会計からの繰入金を、その年の財政の状況によつてある年には繰入れをしたり、ある年には繰入れをしないといつたいろいろな使いわけを将来されるわけですか。
  93. 槇重博

    ○槇説明員 ただいまの御質問の点ごもつともでございますが、実は政府の特別会計法の条文を全部調べてみまたところが、やはり繰入れをいたします場合の規定といたしましては、従来の表現形式は十八条にありますように、予算の定めるところにより繰入金をすることができるということは、従来の用語例の使い方になつておりますので、こういう表現をしておるようでございます。
  94. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 そういうことにはあらずして、この改正というものは職員の身分についての重大な改正を促す、こういつたきわめて将来に対して影響を持つところの大きな意図を持つた改正であるから、こうしたあいまいな書き方をしないで、将来とも受託治山事業については公労法の適用を受けるというふうにはつきりした書き方をすべきではないかと思います。どうしてそういうことが書けないのであるか、規定ができないのであるか、その理由を事情がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  95. 石谷憲男

    ○石谷説明員 この提案大蔵省の主計局になつておりますので、ただいまの御質問に対しましては林野庁の方といたしましてはちよつと何とも答弁いたしかねます。
  96. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 それでは国有林野事業特別会計法の質問はあとにまわしまして、酒税法に対しまして御質問申し上げます。実は酒についての研究は十分いたしておりませんで、あるいは前の質問者と重複するような点があるかとも思いますが、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。  この酒に対する政府といいますか、国としての考え方でございますが、これは租税収入の対象としてはきわめて大きなウエートを持つておることはよくわかるのでございます。特に最近は租税総収入の約二一%に及んでおります。こういう点はわかるのでございますが、一方において酒類については、国民の生活必需品といいますか、そういう生活に最も重大な関係を持つという側から見ますと、その値段はでき得る限り低廉に、しかもまた豊富に供給するという態度も必要だろうと思います。そういう場合におきまして、この価格の問題でございますが、これはほかの物価が昭和九年ないし十一年ごろの平均の大体三百八倍程度でございますが、酒の値段だけは非常に高くなつておりまして、五百二十五倍と、一般物価から見るときわめて高いのでございます。消費者に対するところの国の扱い方としましては、これを一般物価並に下げてやるところの方向を強くしなければならぬのではないかと思うのであります。そうすると一方において、酒税の問題にもなつて来るのでありまして、酒税がそれほどとれないということになつて参ります。また造石の数から考えましても、酒税は相当減つている、こういう点から考えますと、この配給するところの数量、値段、あるいはまた税収入、この三つの関係をどういうふうな関連のもとに将来取扱つて行くのであるか。あるいはまたこの前の委員会におきましてどなたからかお話があつたように、将来公債等によりまして収入を増大して参るということでありますと、酒税に対するところの収入というものは、ぐつと激つて行く、そのときに初めて一般物価並に酒類の価格を下げることができるというふうにも思うのでございますが、将来のそうした見通し、将来に対するところの対策といいますか、方向について大蔵省意見をお聞かせ願いたいと思います。
  97. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 酒がほかの物資の価格に比べまして、大分値上りの倍数が多いということはお説の通りでございます。われわれといしましても、酒だけの見地から言えば、もつと安く酒が飲めるというような方向に持つて行くことを希望しておるのであります。といいましても、酒による税収というものが、何と申しましても租税収入の上に非常に大きな部分を占めております。それが容易にこれの減少を許し得ないという事情にあることが、全体非常に苦しい問題であるわけであります。従いまして今回の改正におきましても、御承知のように酒の税率は引下げまして、そうして酒の値段は下るように措置しておりますが、これによつて得る租税収入というものにつきましては、大体現行税率の場合に比べまして、そう違わないというところを一応の目途としておるわけでございます。従いまして今度見込んでおります、大体年間六百八十万石あるいは繰越しまで入れますと七百万石になりますが、この酒の数量といいますものは、もし人口増加というものを無視いたしますれば、おそらく終戦前後を通じましても最高の記録になるのではないかというふうに思つておりますが、しかしその当時に比べれば、人口が非常にふえておるといつたようなことが一面にあるわけでありまして、将来の問題といたしましては、日本の経済力が順次回復して参りまして、さらに酒の消費とかいうものが相当増加して行くということも一面考えられ、あるいはそれに対する原料の供給にも不安がないというような点がはつきり見込まれますれば、あるいは税収を減らさないで、なおかつ値段を下げ、消費増によりまして、それによる減収をまかない得るという事態も考え得るのではないか、あるいはそういう希望も持てるように思つておりますが、現状といたしましては、大体現在見込んでおります六百八十万石か七百万石というような数量がおおむね消費の面から見ましてもほぼ限界じやないだろうかというような見通しがございますので、一応今度の改正案程度にとどめたわけでございます。これを今年一年実施してみまして、その間における需給の関係がどんなふうになつて現実の点で動いて行くだろうか、われわれが一応机の上で予想しておりますような需給関係がそのまま実現するだろうか、あるいはまた違つたかつこうが出て来るだろうかという点がそこではつきりいたして来るわけであります。従つてもつともつと酒はつくりさえすれば、同時に値段さえ安ければどんどん売れるのだというような事態になれば、あるいは税率はもつと下げましても租税収入は確保できるという問題が出て来るのじやないかと思いますが、現在の情勢としましては、大体この辺が原料面から見まして、あるいは消費の面から見まして一応の限界じやないだろうか。ちようどその限界の点を頭に置きまして、今度の税率を見積り、値下げの価格を見積つておる、かようなわけであります。
  98. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 酒類の消費状況から見ますると、昭和九年、十年、十一年ごろにおきましては、配付されましたところの資料にもありまする通り、人口一人当り八升三合ということになつておりますが、現在は五升九合ですか、そういうふうになつております。ところが値段が安くなれば消費がふえる。そういう場合におきまして、これは原料、主として主要食糧というものにも相当関係を持つておるのでございますから、大蔵省としましては、一体日本の現在の経済状態から考えまして、一人あたり平均どの程度までこれを飲ませるのが適当であるか、そういつた見通しはないものでございますか。
  99. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 別にどの程度飲ませるのがいいか悪いかというような点は、そうはつきりした見通しというものはないのでございまして、われわれが考えているのは、経済の実態の動きからしまして、どのくらいの値段ならばどの程度まで消化されて行くだろうか、結局国民経済の力というものが大体そこを限定して行く問題じやないかと思います。そのような意味からいたしまして、国民経済の力がもつと大きくなりまして、国民の消費力も大きくなつて行くとすれば、おのずから酒の消費もそう無理なしに広がつて行く。ただ原料の面からいたしますと、何と申しましても清酒につきましては米をつぶしてしまいますので、おのずから一定の限度、わくがあるわけでございます。ただしかし最近かんしよなどを中心とした原料につきましては、かんしよの生産の面から見ましてもそれほど原料的な制約がないということも考えられますので、そちらの方には原料面からそう大きな制約はないのじやないか、そのような点から考えて参りまして、一面においては国民の消費力、一面においては原料の点から考えて、現在としましては大体この七百万石くらいの見通しが二十八年度としましては一応予想される。今後においてどういうような動きになつて行くかということにつきましては、もう少し事態の推移を見て見通しを立てて行きたい、かように考えております。
  100. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 今お話のありましたように、酒類の原料は米、麦、かんしよ、こういつた農産物が主でございますが、御承知の通り現在わが国の食糧事情は相当逼迫しております。増産計画を一方に立てるというような場合におきましてこの原料の点についても、相当これは食糧との関係におきまして配慮しなければならぬ問題が多かろうと思います。そういう場合におきまして、政府の方針としましてこうした原料を酒のために将来どういうような計画をもつて増加するのであるかという点が、結局増産計画ということについても重大な関係を持つておるのでございますから、そういうような食糧増産との関連性におきまして、この酒類の増石という将来の計画等がございますか。     〔淺香委員長代理退席、川野委員長代理着席〕
  101. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 会糧の増産計画というものが大きくございまして、それと結びつきましての酒の原料をどういうふうにふやして行くかという問題でございますが、ただ全体として見ますと、やはり酒に使用される分というものは必ずしも多くないわけでございます。従いまして食糧増産計画という大きな計画、これは主として農林省がお立てになつていますが、この増産計画の上に乗りまして、その増産計画の実現して行くその推移に乗つて、具体的にどのくらい食糧ができて行くか、もちろん主要食糧として配給とか、そういう面で消化される分がまず第一のものだと思つておりますが、そうした分に支障がない限度におきまして、同時に酒が相当伸びて行く情勢にあれば、これは伸ばして行きたい。酒を中心にしてどうこうということより、むしろ食糧増産計画というものになりますと、もつと広い見地におきましての増産計画、その上に乗りまして、酒というものが主要食糧としての供給を阻害しない範囲におきまして、なおかつ酒としてどういうふうに伸びて行けるかという点をわれわれの方としては研究して参りたい、かように考えておるのであります。
  102. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 ただ酒は将来値段を下げれば、それには相当造石数を多くしなければならないと、先ほどお話がありましたが、そういうことをするには、どうしても将来に対するところの計画を持つてかからなければならぬと思います。そういう際におきまして、一方におきまして食糧の増産計画というものがある以上、この食糧増産計画の中で、将来酒にもごういつた原料をこういうふうに増加するんだということを、政府部内におきましてよく打合せをしておかれないと、大蔵省の方の租税収入を多くし、また一方において低廉な酒を供給するという意図と食い違いが生ずるのではないかと考えるものでございます。そういう点について、もつと政府内部におきまして緊密なる御連絡を願いたいと存ずるものでございます。今食糧が不足をしておりまして、とにかく外国食糧を毎年三百万トン以上も輸入して、莫大な外貨をこれにさいておる。また国の税金負担におきまして莫大な価格差補給金というものがある。こういうような状況にありますが、この輸入食糧というものは、もつぱら国民の生活の基本である食糧ということからこれは出ておるというふうに思つておるのであります。従いまして食糧から見ますると、少し程度の低い酒につきましては、酒類の原料に当てるところの輸入米麦等につきましては、こういつた価格差補給金をつける必要はないじやないかというふうにも思います。また一方におきまして、内地米を酒米に供給する場合におきましも、これは一般の大衆に食糧として配給する米よりももつと高い値段でもつてこれを使つていただくこともいいのじやないかというふうにも思うのでありますが、こういう点についてはどうお考えになりますか。
  103. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 輸入米について、酒に使うものは補給金を出さなくてもいいのではないかというお話も一つ考え方だと思いますのが、現在におきましては、酒に使つております米は砕米だけでございます。結局考え方といたしまして、大体酒類の税率をきめます場合におきましては、小売価格につきまして、そう厳格な見通しとも言えませんが、大体これくらいになるだろうという点を一応見通しまして、同時に原料コストの方からその場合は大体どのくらいかかる、そうすれば税金はどのくらい徴収され得るだろうということで、実は税率を見通しております。片方で補給金を出さないことにしまして、高い砕米をもし合成酒などに使わせますれば、コストがおのずから上るのでありますから、従いまして税金で微収し得る率は減るわけでありまして、現在のように補給金を出しておりますればコストが下る。そのかわり税金がよけいにとれる。従いまして特に酒の方に使う分だけ補給金をはずして高いものを使わせるというのも手続上かなりめんどうな点もございますので、結局どちらの方法によりましても、国として出し入れの関係からしますとそう大きな違いはないということが言い得るのじやないかと考えております。  それから内地産米の問題でありますが、内地産米につきましては、現在酒のための好適米としましては、ある程度ほかの場合の米よりも値段を引上げておりますが、しかし今お話の点はあるいはそれとは多少違つた面で、酒につきましてはもつと高くてもいいのじやないかというふうなお話かもしれませんが、それはかえつて——何と申しましても酒の好適米をつくる地域というものはかなり限られておりますので、そこだけの米の、好適米としての余分にかかる経費のゆえの値差というものは当然だと思つておりますし、現在でも実行しておりますが、それ以上にあまり引上げるということは、今度は酒米だけをつくりたがるという傾向で、かえつて全体の食糧面から見ますとおもしろくない結果になるのではないだろうか、かように考えております。
  104. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 先般の御説明を承つておりますと、密造に使われている米が非常に多い百五十万石もあるというようなお話を承つたのでありますが、これは結局酒が高いということが大きな原因だろうと思います。今度の改正案におきまして、平田国税庁長官の談によりますと、安いしようちゆうを今度は配給することによつて、こういう密造というものは相当防止ができるというふうに言つておられるのでありますが、これはしようちゆうと米でつくる酒というものとはおのずから違うものでございまして、はたしてできるかどうか疑問でございますが、それに関しまして、従来農村方面に対しましては相当量のいわゆる配給酒というものが供給されておつたのであります。昭和二十四年度におきましては五十一万十千石という配給酒がとにかく配給されておつた。ところが最近になりますと、たとえば二十七年度におきましてはわずかにその三分の一の十七万六千石しか配給を受けておらない。こうした安い酒を農村勤労者に配給するその票こういうふうにだんだん減るということは、どういうようなお考えのもとに行われているのであるか。またその配給するところの値段につきましても、従来自由販売酒と配給酒とありまして自由販売酒一〇〇に対しまして配給酒が四〇%くらい。ところが最近になりますと、これらの勤労者に対する配給酒というものは自由販売酒に比較すると八十何パーセント、ほとんどあまり開きがないというような状況でございますが、こうした配給酒を豊富、低廉に供給することについて、どうしてこういうふうにだんだん値段も上げ、また配給量も減らして参つたのであるか。それらの経過等について御説明を願いたいと思います。
  105. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 農村方面に対しまして配給しておりました配給酒は、一時二十五万石程度配給していたことがございます。その五十一万石といつのはその他の部分も入つているのではないかというふうに考えております。鉱山とかいろいろな方面に一時大分配給しておりました。それで現在考えておりますのは大体十五万石。最近の経済状況の変遷に対しまして、大体その中心は農村で農村以外につきまして特に配給酒を配給する必要はだんだん薄れて来て、ほとんどないのじやないかというふうに考えております。一時酒が非常にきゆうくつでございまして、一般に配給すると同時に自由販売酒で片方に出す、そのかわりある特定の人たちには特配のかつこうで配給酒を出すという事態がずつと行われて来たのであります。最近だんだんいわゆる配給の制度もなくなつて参りまして、酒につきましても、特別な配給制度はなくなつて来たというような時代でございますが、この面につきましても、そう多くを期待する必要はない。しかしやはり農村方面につきましては、相当の配給酒をまわした方が密造対策とかいろいろな面から見ましてもよかろうというので、本年におきましても多少減つてはいますが、なお十六万石程度を予定しているわけであります。  なお価格の問題でございますが、価格の問題につきましてはいろいろな変遷がございまして、当初は、片方においては何と申しましてもインフレに対抗しまして物価をできるだけ安定させようという考え方で、ずつと配給酒の値段を押えて来た。しかしその後少しゆとりが出ましたので自由販売酒を出そう。その場合にいわゆるやみ酒の値段を元にしまして、自由販売酒の方につきましてそのくらい税金でとつて行くということでやつて参りましたために、自由販売酒と配給酒の幅が相当広かつた時代がございます。しかしやみ酒と普通の酒というものが差が大体なくなつて参りまして、全体自由販売酒になつたという時期におきまして、配給酒としてどのくらいの価格が適当かという点につきましていろいろ検討し直してみる必要があろうかと思つておりますが、そのような関係で、減税の機会におきましても、今までは加算税についても相当減じて来て、それで配給酒と自由販売酒との開きが減つて来たというわけでございます。今度はその加算税制度もやめたわけですが、大体の見当としましては、現在の一本にしました税率につきまして、清酒とビール等につきましては大体三割、しようちゆうについては二割を引いたのを配給酒の税率に盛つたわけでございます。しかしこれは従来の配給酒だけにとつての税率に比べますと、いずれも三割ないし三割四分引下つたことになつております。一般酒におきましては、清酒二級で二割二分四厘とか、しようちゆうについては三割とかいうようなことで、これは一般の酒ですから、加算税、基本税を加えたところにおきまして二割二分四厘、三割。配給酒の場合におきましては、配給酒だけとつた場合は大体従来の税金に比べまして三割一分から三割四分くらいかと思いますが、そのくらいの引下げをしているわけでありまして、コストにつきましては、配給酒にしましても自由販売酒というか、普通の酒にしましても違いがないのですから、酒の値段全体を見てみますと、開きが縮まつて来ているような傾向になつております。税率としましては相当慎重に考慮しまして、配給酒につきましても相当の幅の引下げをしたというつもりでございます。
  106. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 御説明によりまして大体のことは了承できるのでございますが、やはり大きな方向としましては、こうした農村あるいはまた勤労者に対しましては、とにかく従来は五十一万石以上も配給していた、今は十七万六千石で三分の一くらいしか出ておらない。値段もとにかく自由販売酒と配給酒がそう価格に開きがないというような、こうした方向はむしろ現在のいろいろな情勢から考えてみると逆なような感じがいたすのであります。さらに農村におきましては、みそにしろあるいはまたしようゆにしろ自分でつくつたり、農産物を加工して自家用に充てるということは許されているのでございますが、酒についてはそれが許されておらない。そのために、一方において価格が高いために密造ということが行われている。その関係につきましては、いろいろ政府の方としましても、取締りの強化その他によりまして手を打つておるようでございますが、こうした農村用の酒につきましては、農家が自分が供出して残つたところの保有米の一部を酒造業者に提供しまして、清酒に醸造する、いわゆる委託醸造といいますか、こういうふうにして、一つの制限を設けて、こういうような供給の仕方をすることがきわめて農家のためにいいと思うのでございます。あるいはまた一方から考えましても、酒税の総収入を上げるという面からしても弊害はない。むしろ収入が多くなる、こういうふうにわれわれは考えるのでございますが、こうした点について政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  107. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 今お話になりました委託醸造の問題につきましては、最近よりもむしろ一、二年前にそういう要望が非常に強うございまして、その当時から大蔵省としましてもずいぶん研究し、業界の方の御意見もずいぶん伺つたことがあるわけでございますが、どうもいろいろな面におきまして弊害が多いといいますか、結局どなたがどういうふうに委託して、委託した分として出て行つた酒なのか、そうでなくて、ほかの配給外の米を買つてつくつて出て行つたものなのか、いろいろ混乱するような問題もございますし、いろいろ研究して会したが、今のところは、どちらかといえばどうもこれはやりにくい。弊害の方が多くて、実効はむしろほかの方法によつて、たとえば配給酒などがその一つの例ですが、こういうような方法によつて確保する方がいいのじやないだろうかというような考え方もありまして今のところとしましてはその方法をとる気持は実はございません。
  108. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 なお若干御質問をいたします。配付された資料によりますと、外国酒の輸入の状況が出ておるのでございますが、昭和二十六年中に外国酒が日本の円に換算しまして二十一億円輸入された。その主たるものはビールとウイスキー、こういうふうになつておるのでございますが、日本の今の醸造技術の面から考えまして、こうした外国酒に劣らないものが相当あると思うのでございますが、大切な外貨をかようなものに使うということはいかにも惜しいような気がするのでございます。さらに進んで日本の醸造技術の水準を世界的なものにりつぱに引上げて、むしろそれを輸出に向ける、こういうことについて何かお考えがあれば伺いたいと思います。
  109. 渡辺喜久造

    渡辺(喜)政府委員 率直に申しまして、現在の日本の酒は、たとえばウイスキーなどにしましても、品質的にもかなり進歩したものであると思つております。もちろん現在が最高のものとはちつとも思つておりませんが、従いまして輸入酒につきまして、特に輸入なければならないというような事情もないのじやないかと思うのです。しかしやはりいろいろ嗜好が伴う品物でございますので、現在なお輸入ということが相当行われているのじやないかと思います。私ちよつと関係が違いますので、的確なことは知りませんが、外貨割当のような場合におきましても、特に酒を輸入するために外貨割当をするということはやつておりませんで、結局一種のインセンテイヴ・システムというものがございまして、ああいうものと結びついて、外貨を手に入れた人が酒を輸入しているというのが実情じやないかと思つております。なお酒の類につきましては、もちろん国内消費税をかけますほかに、関税として五割の関税がかかつておりまして、これをどうこうするという問題もありますが、ただ関税につきましては、一面大きくガツト加入の問題とかいろいろ問題がございますので、特に酒の関税をどうこうするということもむずかしい事情にあります。また事実外国の酒を輸入しなければならぬという実情もしいてないのじやないかと思いますが、結局嗜好の伴う品物ですから、ある程度の方が外国の品物の方を貴重がるというところに現在の輸入があるのじやないかというふうに考えております。
  110. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 なお先ほどの笹山君の質問に対する答弁が留保になつておりましたが、ただいま法規課長の白石君がお見えになりましたので、この際答弁をお願いすることにいたします。
  111. 白石正雄

    ○白石政府委員 第十八条の二に、「受託治山事業及びその附帯業務に従事する職員についての給与その他の経費の財源に充てるため、予算の定めるところにより、一般会計は、この会計に繰入金をすることができる。」こういう規定につきまして「繰入金をすることができる。」という文字は、繰入金をするというように規定すべきものではないか、こういう御質問の趣旨承知したのでございますが、まず第一にこのような規定の場合におきましては、従来の立法例が、権限を規定するというような意味におきましてこのような文字を使つておるわけであります。従いましてそういう例によつたわけであります。なおこの場合におきまして、この受託治山事業及びその附帯業務に従事する職員についての給与その他の経費をどれだけ繰入れるかということにつきましては、そのときどきの委託業務の内容によりまして経費が決定されるわけでありますので、それを予算において決定するということになります。従いまして実際問題といたしましては、ここに権限の規定だけ規定しておけば、それによつて事足りるわけであります。実際上こういうことをやつておればできるという規定でありますから、実際的に繰入れをやらないということになるわけでなくし、それは予算の定めるところによつて受託業務の経費の算定がありますれば、それだけのものは必ず繰入れるということになるわけでありますから、何ら支障を来さないと考えております。
  112. 笹山茂太郎

    ○笹山委員 今の御説明によりますと、権限を明らかにするための趣旨であるという御見解でございますが、この問題は今までいろいろ要望があつたのです。受託治山事業の職員の方々を公労法の適用を受けさせよう、こういう趣旨が基本でありまして、こういう点から考えると、そのときの予算の都合都合でもつて、これは特別会計の職員になつたり、あるいはまた一般会計の職員になつたりする。これは最も不安定な取扱い方と申さなければならぬと思います。従つてわれわれの心配するのは、こうした受託治山事業というものはどちらかというと収入を生む事業にあらずして、むしろ特別会計の性質から言いますと、損失を生むところの事業になりがちなものでありますから、大蔵省的な考えからするならば、会計の安全を確保するという点に集中すると、えてしてこうした収入を生まないところの経費を特別会計に繰入れるということについては、いろいろそう都度々々議論が沸くのじやないかというふうに思つておるのであります。従つてそういうことになると、せつかくこの改正によりまして、受託治山事業の職員は公労法の適用を受けるというふうに改正されましても、実効が、きわめて不安定な状態になりますと、非常に心配せざるを得ないのでございますから、そういうことのないように、はつきり将来ともこうした受託治山事業の関係職員については、公労法の適用を受けるのだという一つの安心感をはつきり法律の上においても与える必要があるのではないか、こういうことをわれわれは考えておるわけでございます。
  113. 白石正雄

    ○白石政府委員 そもそもこの法律改正をいたしました趣旨は、今御質問のように、公労法の適用を受けさせるという意図に出たわけであります。従いましてもし別個の見地から議論をいたしますならば、今まで通りの見解をもちまして、こういう治山事業につきましては、本来一般会計でやるべきものであるという見地をとりまするならば、むしろ公労法の適用を受けさせないということで進むべきものであるかとも考えられるわけであります。しかしながら二万人程度おりまする中に、わずか七百人程度の者を別扱いにするということは、実情にも沿わないという見地から、法律改正をお願いしておるわけでありまするので、私どもといたしましては、従来予算の取扱いが一般会計から出たり、あるいは特別会計から出たりして、必ずしも過去の取扱いが統一していなかつたということを、この際その点を特別会計において負担をするという意味法律改正いたしまして、公労法の適用上支障なからしめようという意図に出ておるわけでありまして、御質問のようなことにはならないだろうと考えておるわけであります。なおその繰入れ金額につきまして今御質問の趣旨によりますと、金額の多寡について問題があるように拝聴したわけでありますが、これはあくまでもそのときどきの予算措置の問題でありまするので、これは決して権衡を失しないように予算の積算が行われるということを私どもは期待しておるわけであります。
  114. 川野芳滿

    ○川野委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十二分散会