○平田
政府委員 酒類の
密造につきましては、私も前々から皆さん方にいろいろなことを申し上げておるのでございますが、今回
相当の減税が幸いにいたしまして国会を通過して実行できるということになりますれば、これは絶好の
機会ではないかと実は
考えておる次第でありまして、この
機会にぜひともこの忌まわしい
密造をできるだけ少くするように——できれば絶無にしたいと思いますが、そこまで行かないと思いますけれ
ども、できるだけ減らすようにひ
とつ努力してみたいと
考えております。今
密造がどういうふうに行われておるか、これは御
承知だろうと思いますが、まずどういうものから先に
重点を置いてやるかということにつきましても、よく
考えてや
つてみたい。まず順序といたしましては、集団部落で
密造酒をつく
つておる。これが単に酒を
密造しておるということではなくて、そのほかの社会的な犯罪の一番温床にな
つておる。犯罪だけではなく、治安の問題にまでそれがつなが
つておるということもございますので、そういう部落等におきましてつく
つて売
つているもの、これはまつ先に力を入れてや
つてみたい。最近もこの点につきまして大分や
つては参
つておりますが、なお依然として
相当盛んにや
つておるところがございますので、そういうところにつきましては、いろいろな障害があると思いますが、障害を排除して、この際にできるだけの処置をと
つて行きたいと
考えております。しかしこのことはひとり税務官庁の努力だけではできませんので、警察、検察庁等とも万全の連絡をとりまして、実行上遺憾なきを期して参りたいと思
つております。
なおそれに関連しまして、
密造を取締
つたあとの職業の転換と申しますか、その問題が実は社会的には
相当大きな問題でございます。この点につきましても、できればいろいろな配慮を、各官庁なりあるいは皆様方の御協力を得ましてやるようにしたらどうか。川野さん御存じでしようが、宮崎県では職業の転換につきまして大分いい施策が立
つておりまして、すでに実行に移されて、
相当にいい成績もあげておるということを私
ども聞いておりますが、そういうことも参考にいたしまして、その他の地区におきましても、そういう手をあわせ
考えつつ取締りと両方をやりまして、現在の社会悪の根源の
一つをできるだけなくするように努めて参りたいと
考えております。
その次には、一般的にそこまで行かないにいたしましても、
密造酒をつく
つて販売しておる者、これは何と申しましても、この値下げの
機会に、やはりできれば取締りを強化いたしましてなくするようにいたしたい。それにつきまして、いろいろ
政府のアルコールが流れておるというような問題がございますが、そういうものにつきましても、よく官庁と緊密な連絡をとりまして、徹底的な取締りをいたしたいと
考えております。従いましてつく
つて売る
密造酒、これは何としましてもこの際できるだけ力を入れてや
つて行きたい。値段も、二十度しようちゆうをある
程度出しますと、二百三十円前後になるのではないかと思
つております。現在
密造酒はアルコール度数が二十度前後らしい。それが二百円前後——いなかですともつと安いらしいですが、都会ですと二百円前後で売
つているところもあるようですから、二百三十円くらいで
競争しますと、
相当経済的にも
競争できるのではないか。わずかの差で、下手をすると目がつぶれるものを飲まないでくださいというような宣伝等も、この
機会にできるだけ行いまして、消費者の注意を喚起いたしまして、そういうものは消費者自体が警戒して飲まないように持
つて行く。値段もここまで行きましたならば、そう無理なところではないでしようということも宣伝いたしまして、強力にひ
とつ販売されている
密造酒の絶滅を期するようにいたしたい。
それからこの次が農村方面ですが、農村方面でも冠婚葬祭等で大びらに
密造酒を飲んでおる。これらは何とかしていろいろな宣伝その他をやりまして、根絶をはか
つたらどうか。どうも公の席上で
密造酒が公認されたがごとく飲むということに
なつちや、これはやはり非常におもしろくない。そういうことにつきまして、ぜひ私
ども一種の運動をあわせてや
つてみたい。しかしこの点につきましては、特に皆様方の御協力を願わなければなかなかきき目がないと思いますので、特段の御協力、むしろあるいは御鞭撻をお願いいたしたいと思
つておるのでございます。そういうところからまず手を打
つて行きまして、最後は農家が自分でつく
つて自分で飲むものと思いますが、そこまで手を届けたいと思いますけれ
ども、そこは最後の線にいたしたい。これは決していいとは申し上げませんが、最後のところにいたしたいので、そうい
つたようなところの前のところは、少くともこの
機会にできるだけ努力いたしまして絶滅をはかり、あるいは大幅に減らすことに努めて行きたいと
考えておるのでございます。なおその他、予算も大分御努力を得まして、大体本年度一億五、六千万円ですが、これは必ずしも十分でございませんけれ
ども、この予算を有効に使いましてやるようにいたしたいと思います。
それからこうじの取締りですが、これがやはり最近なかなか手が届いておりません。今度法律の
改正で販売の申告もしてもらうようにいたしておると思いますが、その辺もよく調べまして、
密造の原料のルートをできるだけ押えるようにして行きたい。できるだけいろいろの方策を講じまして、せつかく
相当大幅減税ができて値段が安くなる
機会に、この問題を解決するようにぜひ努力してみたいと存じまするが、宣伝あるいは具体的なことにつきまして、どうぞひ
とつ御協力をお願い申上げたいと思う次第でございます。