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1953-02-14 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十四日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長代理理事 淺香 忠雄君    理事 川野 芳滿君 理事 内藤 友明君    理事 松尾トシ子君       上塚  司君    大泉 寛三君       大村 清一君    奧村又十郎君       中田 政美君    西村 直己君       宮幡  靖君    小川 半次君       加藤 高藏君    笹山茂太郎君       中崎  敏君    小川 豊明君       坊  秀男君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    石井由太郎君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四一号)  富裕税法を廃止する法律案内閣提出第四二  号)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四三号)  酒税法案内閣提出第四四号)  登録税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四七号)  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第四八号)  酒税保全及び酒類業組合等に関する法律案(  内閣提出第五三号)     —————————————
  2. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 これより会議を開きます。  前会に引続き、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案富裕税法を廃止する法律案相続税法の一部を改正する法律案酒税法案登録税法の一部を改正する法律案揮発油税法の一部を改正する法律案及び酒税保全及び酒類業組合等に関する法律案税関係法案一括議題として質疑を続行いたします。質疑は通告順によつてこれを許します。大泉寛三君。
  3. 大泉寛三

    大泉委員 所得税引上げについてお伺いしたいのです。低額所得の方は引下げられるようでありますが、その引下げに対しては異論はありません。低額所得の方は、何といつても賃金あるいは給与所得増加等によつて、当然引下げも必要でありますが、物価あるいはまた給与所得等関係からいつたならば、全体がやはり引下げの対象にならなければならないと思います。一方において引下げられた分は引下げられておるけれども、他の分はいわゆる引上げになつておる、かように私は思うのであります。やはり全体を引下げなければならないと思います。  それから富裕税廃止について、高額所得の方は五%あるいは一〇%上げるというようなことになつておりますが、これは当然財産から生ずるところの所得であるから、別個に考えるべきである。これを総合所得の中にみんな織り込んでしまうということは、今までのいわゆる勤労所得能率所得、こういう財産以外の所得に対して、結局税率引上げの結果になつてしまう。財産より生ずるところの所得というものは、別個に六〇%でも六五%でもよろしいが、今までの所得にみんな加算してかけるということは、あまりに酷ではないかと思います。もちろん今までの財産より生ずる所得のない人まで被害をこうむるという結果になるが、この点どういうふうにお考えになりますか。
  4. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 お話のような考え方も実はあり得るとは思います。ただ過去の事例を振返つて見ますと、シヤウプ勧告によつて富裕税をつくりますまでは、所得税最高税率というのは八五という税率が実はあつたわけでございます。相当高い税率が盛られていたわけでございます。富裕税をどういう見地でつくつたかといふ点についてはいういろいろな考え方があり得ると思いますが、一応富裕税をつくりましたときの考え方といたしましては、とにかく財産課税をやろう。あのときの考え方ですと、たしか五十万円をもつて最高税率五五でした。そのかわり財産の価額が五百万円以上の方に富裕税課税して行く。利回りをどう見るかはいろいろ議論があると思いますが、大体一割とか何とか、その辺で利回りをまわしてみますと、昔の八五の税率とほぼぶつかるようなふうに実は税率を見たというわけでございまして、現在の富裕税多分にそうした意味における、所得税の補完税的な感覚が入つているものじやないかと思います。そこで今お話のように、富裕税を今まで納めていない、所得税だけ納めていたという方は、あるいはそういうことによつて負担は軽くなつたということにそのときの結果としてはなつた。それから今度富裕税をやつてみまして、実行上いろいろ難点がございますから、それをやめて、昔に返るということになりますれば、お話のように富裕税はあまり納めなくても済む。ところが所得税負担が多くなるという方が確かに一部は出るわけでありまして、これもどういうふうに考えて行くべきであるかという点は、いろいろ御議論があると思います。しかしそこをあまりこまかく区別していろいろきめてて行くということも、いろいろむずかしい点があるわけでありまして、従いまして今度富裕税をやめる場合におきましても、いろいろ勘案いたしまして、昔の八五というような税率をつくることは、その当時といろいろな関係も違つておりますから、非常に無理があろう。従つて六〇、六五と、昔に比べますれば相当低いところで最高をとめる。この程度でしたならば、富裕税廃止によつてかえつて負担の重くなる方方におかれても、まあがまんしていただけないだろうか、大体こういう考え方を持つているのであります。
  5. 大泉寛三

    大泉委員 なるほどシャウプ勧告を受ける当時は、高額というか、いわゆる累進の税率が上の方にきわめてきびしかつたのはよく知つております。当時の財産より生ずるような所得は、きわめてインフレの渦中にあつて政府の方針としてもインフレ防止のような建前から、非常に高率な税率をもつてこれに臨んだ。当時の滞納者に対する延滞利子に対しても、日歩十銭なんというような苛酷なとり方をしたということは、これは当時の物価が毎月高騰して、いわゆるインフレ的な傾向をいかにして防止するかというようなことが、多分に織り込まれておつた。であるから同じ八五%の税率でも、さほど納税者は苦しくなかつた。いわゆる物価が半年あるいは一年において倍にもなり三層倍にもなるというような状態であつたから、納税に対してはあまり苦労はなかつたようであります。今日のような安定したときにおいて、やはり五%あるいは一〇%引上げるということは、これは納税者にとつてきわめて苦痛であります。シャウプ勧告声受けるときの状況と現在とでは、やはり比較にならないと私は思う。であるからせめて今までの能率所得といいすか、いわゆる財産によらないところの所得に対しては、これは今まで通りの恩典を浴すべきである、一律にこれを六%あるいは六五%に引上げベきじやない、かように私は思うのであります。当時の状況をひつぱり出されたから私はそれを申し上げるのでありますが、当時の状況とは全然趣が違つている。この点お伺いします。
  6. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 シヤウプ勧告前の考え方の中に、お話のようなインフレ的な関係についての考慮が全然なかつたとは、私も言い切れないと思つております。過去の所得税税率を見ましても、たとえば昭和十五年に税制改正行つておるのでありますが、あのときにおきましては、分類所得税総合所得税と二つにわけております。これは現在は一本の税率になつているわけであります。昭和十五年におきまして最高税率はどんなふうであつたかといいますと、総合所得税だけで六五であります。これは分類所得税と現在合せておりますので、分類所得税の百分の十の税率と合せてみますと、一応その当時において七五になつていたわけであります。これも戦争中だからといえばたしかにそうでありますが、しかしまだ昭和十五年には大東亜戦争というものを予想して、それほど大きなインフレがあるということは夢にも思つていなかつた時代だというふうに思つております。所得税税率最高をいかになすべきかということについては、いろいろ御審議があると思つております。昨日の中崎さんの御議論のように、これでも低いじやないかという御議論もあるだろうと思います。それから先生のように、六五は高過ぎるという御議論もあると思います。私どもとしましては、日本の現状においてあまり所得税税率引上げるということにつきましては、相当考慮の必要があろう。しかし六五程度でありますと、片方富裕税を廃止するというようなことも考えまして、それは確かに富裕税が廃止されることによつて所得税の増税の負担だけは相当多くふえるという方もあろうと思いますが、所得税自体だけを考えてみましても、もし富裕税がないという状態を想像しますれば、最高が六五という税率でありましても、それほど無理な税率ではないのじやないか、かように考えまして、実は六五という税率をつくたわけでございます。
  7. 大泉寛三

    大泉委員 この問題はあとでまた伺うことにいたしまして、酒税引下げについて質問したいと思います。  この引下げの動機は、密造酒防止であるということを聞いておるのでありますが、密造酒防止けつこうでありますが、高級酒にきわめて薄く、低級酒といいますか、二級酒が比較税率引下げられておる。そこでこれは密造酒防止建前、あるいはまた社会政策的な立場においてもそうあるべきだと私は思うのですが、ビールなどはどういふうな税率になつておりますか。
  8. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 ビール税率につきましては、今度二割二分四厘と、清酒二級と同じ税率引下げにしております。それでヒールについていろいろの見方があるわけでございますが、たとえば酒についての課税につきましては、アルコール分なぞをかなり重点に置いた考え方もございますし、そういうことになりますと、しようちゆうなどはもつと高くしていいのじやないかという考え方になるのですが、しかしそれだけではもちろん税率をきめるべきではない。やはりそれをお飲みになる方の所得の層といいますか、どういうクラスの方が主として飲まれているか、これをねらつて行くべきではないか。そうしますと、ビールはそんなに下げる必要はないではないかという議論もあるわけでありますが、しかし何と申しましても従来のビール税率というのが、大体ビールは配給でもそう大してまわらなかつたといつたような関係で、ビールについては税率は割合に高くなつていたのではないかというふうに私は思つています。そういうこともございますので、この機会におきましては、せめて清酒二級と同じ程度に下げたらよかろうという考え方で、現在の案ができている次第であります。
  9. 大泉寛三

    大泉委員 ビールには密造がないから、引下げることはいらないという結果じやないのですね。けれどもビールなどは大衆酒として非常に飲むものであろうと私は思うのです。やはり酒と同じような一つ立場においてこれを取扱われるのが適当ではないか、かように考えます。これも、あとでまた調べた結果を申し上げるとして、あとに譲ります。  それからきのう法人税の問題もやはり他の委員から聞かれましたが、法人税は、これはシヤウプ勧告で三五%に限定されているのですが、あとでこれもどんどん上げてしまつて今日のようになつている。これこそ私どもには非常に不満であつたけれども日本立場上今日でがまんしておつた。  そこでこの中小企業法人というものは最近きわめて多くなつて来ている。これに対して他の委員から、中小企業に対して非常に優遇策を述べられたようでありますが、私は優遇策よりもむしろ同等な取扱いすら今日やつておらぬ、積立金などは非常に虐待している、かように思うのでございます。一般法人といわゆる大会社に比して、小さな工場や中小企業を虐待し過ぎているのじやないか。しかも今日大会社等はみな帳簿は整頓している。またそれぞれの手がそろつているから、国税庁税務署に対してはきわめて通りがいい。中小企業の方は、ほとんど税務署員との間にいつも問題を起しているというような状態である。実態がそうである。これに対して中小企業を真に優遇するならば、やはり何らかの方法においてもう少し帳簿上簡便な方法をとつて、しかもだれが行つても甲乙のかわりなく、どの署員が行つてもただちに問題が解決できるという方法によつて、あるいは話合いによつて課税の額が変化するというようなことのないように、簡便な帳簿取扱いを零細な法人に対しては考えるべきではないか、かように思います。今まで中小企業法人に対して非常にトラブルが多かつた。かような点から、政府としては何らか考えていないか。
  10. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 中小法人に対しましていろいろ問題があることは、ただいまお話通りだと思つております。そこでそういう実施上のいろいろな困難といいますか、トラブルのよつて来るところを見て参りますと、これは中小法人の方の方にもいろいろ同情すべき点はありますが、まず第一に帳簿が十分ついていないというところに問題の一番の出発があるようでございます。この点につきまして、税務署の方で要求している帳簿があまりに複雑なものであるから、従つて帳簿がつけられないのだ、この点も私は一応理由はあると思つております。ただせめて現金出納帳でもはつきりついていればという問題があるわけでございますが、それすらなかなかつけられないということになりますと、個人の事業と、法人という一応の形態をとりましても、どこが違うんだろうかといつたような疑問を起すような場合も実はあるわけでございまして、せめて中小法人として法人格を持つ限りにおいては、簡素な形である必要はありましても、帳簿だけはぜひつけていただきたい。といつて税務署が、現在青色申告などでわれわれは考えておりますが、言色申告で要求している帳簿などについて、あるいはその全部を整えるのは無理かもしれない。そこで実は今われわれの方の中でも国税庁といろいろ相談をしております。もう少し簡略化した形における帳簿の形式をつくろうじやないか。そして青色申告においても、その程度帳簿をつけていれば、一応青色申告としてそれが十分いばつて通れるというかつこうにして行こうじやないか。そうすれば今度は青色申告していろいろ考えられおります、救うと言つては失礼でございますが、軽減のいろいろな措置がされ、けつこう救い得るのではないか。従いまして、われわれの方でもできるだけ簡略な帳簿によつてその点をかえて行こう、法人の方におかれましても、せめて少くともそういうものくらいはやはりつけていただくということにして、両方の歩み寄りによりましてやつて参りますれば、お話のような点は全部が全部解決するとは申しませんが、相当の部分は何とか解決できるのではないだろうか。われわれの方でも真剣にその問題は考えてみたいと思つております。
  11. 大泉寛三

    大泉委員 中小企業法人はまつたく同族的な内容を持つておるから、個人との課税比較からいうと、今までお話をいたされた点においては無理のない点があるのでありますが、同族会社であるから個人に見られる。だから積立金などはどうも一般法人よりは多く課税するというような結果になつて、きわめて冷遇されている。こういう点だけでもせめて同じように扱つたらどうか。それから個人と大体同じような立場に比べられるけれども中小企業法人というものは個人経営をある程度脱却していない。何といつても組織立つた大きな会社のような、多くの人員が有機的に活動をするというようなことはできない。個人で、あるいは家族によつてほとんどなされる。あるいはその活動能力というものは、資本で区別ができないほど活動をしておる。かような立場において、個人法人の境がつかないから、どうしても課税が重くなるというような結果になつているのだと思う。これに対してはもう少し合理的な見方をもつて課税の区分を明確にして、問題が起らないような方法を講じてもらいたい、かように思います。  それから今度は交際費の問題、会社交際費一定額以上は利益とみなして課税するということであります。こういうことは株主が言うのだつたら問題はないが、政府としてこんなことはよけいなおせつかいであります。初めから利益なら利益と認定するのはよろしい。しかし一定経費利益とみなすというが、交際費も当事者は経費のうちに入れておる。それを利益とみなす、そして課税するというのはよけいなおせつかいである。経理統制時代ならいざ知らず、今日のように自由活動をさせておく立場において、政府がそういう考え方を持つということは、私はどうも越権じやないかと思う。株主が言うならば、法人である以上は全体の利益のためにみな日をみはつているのだから、これは株主の総意にまかすべきじやないか、かように思うのですが、政府はどういうふうにお考えになりますか。
  12. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 最初の同族会社の問題でございますが、これは同族会社についての積立金課税の問題だということに理解しまして、御説明申し上げたいと思います。同族会社におきましては、何と申しましても利益配当するかしないかということにつきまして、普通の公開されている会社に比べまして比較的そこに自由がきく。そこで普通に配当をすれば、今度は個人の方に課税になる場合があるのですが、それを避けるために、無理に積立金にしておくという場合があるわけでございます。従いまして、かつては御承知のように加算税制度というような制度をとつたこともございますが、それよりも積立金課税することによりまして、そうして配当していただく。要すれば払込み資本をふやすということによつて、結局一度税金がかかるだけでそれで終るわけですが、そういうことによつて同族会社積立金をふやして行つて配当しないで配当課税を免れるということのないようにしようというのが、積立金課税の趣旨だと思つております。現行の積立金課税につきましては、もう少し私の方で検討してみたい。実は最終結論を出すまでには至つておりませんが、現在の積立金課税の姿においても、もう少し再検討する余地があるのではないか。実はこれは現在特別措置法にある程度特別な規定になつております。あの特別措置法規定をもう少し再検討しまして、本国会における特別措置法改正のときにもし間に合えば、もう少し再検討した案を出してみたいと考えております。  それから交際費の問題でございますが、確かにこれは倫理的にいいか悪いかという問題については、政府の関することではないという御批判もあり得ると思つております。ただ税法でいろいろやつておりますのは、使つていけないということをいつておるわけではもちろんございません。私としてはこういうふうに御理解願えないかと思つております。現在資本蓄積のために政府としてはいろいろの措置を講じておることは御承知通りであります。貸倒れ準備金制度でありますとか、やれ何々準備金制度でありますとか、いろいはの制度片方でつくつている。それは税の本来の建前からいいますと、いろいろ議論のあるものが幾つかございます。しかし資本蓄積ということを重点考えておりますがゆえに、税の理論だけというわくから多少入り込みましても、全体がくずれない限りにおきましては相当考慮しようというので、今回も資本蓄積のための措置幾つか講じております。そういうことを他面やつておるときにおきましては、これも結局税金が高いからではないかという御批判もあろうと思いますが、たとえば税金が高いから片方会社濫費するのだというお話をよく伺うわけでして、こういう規定があつた濫費がなくなるとも思いませんが、やはりできるだけそれ以上の濫費にわたらないことにしていただいて、資本蓄積という線に沿つていただきたい。いわば片方貸倒れ準備金とかいろいろな積立金制度をわれわれが考えておりますのは、積極的に資本蓄積の方に進める。交際費制度は、あるいは消極的な観点に立つかもしれませんが、考え方の一面としては、やはり資本蓄積のためにこういう制度があつてかえつていいのではないかと考えまして、さような制度を設けた次第であります。
  13. 大泉寛三

    大泉委員 私はどうも政府としてそれは行き過ぎだと思います。これは会社の自粛にまつべきである。あるいは悪い言葉で、社用族会社費用濫費するというようなこともありましようけれども、しかし統制がはずれて自由競争になつて来たこの社会において、お互いに得意先に対する熾烈な競争が行われておる。そういうために費用がかさむのではないか、かようにも思う。もう一つは、政府もこれは悪いのだと思う。いわゆる資産の再評価を実際の現在の価格に持つて行くまでやりさえすればいい。それをやらない。厖大な資産をふところに持つてつて、三割、五割というような利益が上る。上るのが当然です。物が上つているからだ。この間の話でも、五十円払込みの株券が三百円も五百円もする。当然です。むしろ物価からいつたらあれではまだ安過ぎるくらいだ。株は物なんだ、別に額面ではないのだ。それを政府資産の再評価を自由にさせる。そしてほんとうの競争のできるように方向づけなければならぬ。こういう数字によつて資産を抑圧しておるところにこういう無理ができる。いわゆる利益などは、現在の建設資金から新しくこれを計算して行つたら、もうけどころではない、まつたく手一ぱいだと私は思う。こういう大きなところに政府のずさんなところがあるんじやないか。もちろんそういう利益の隠しどころとして交際費等の場合もありましようけれども、とにかく根本的な考え方が私は必要ではないか、かように思うのであります。あまり長くなりますと、ほかの方に迷惑をかけますから、きようはこれくらいでやめておきます。
  14. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いろいろ御意見はあると思いますが、なお今お言葉にございました資産の再評価の問題につきましては、御承知のように今度第三次の再評価をやろうという考え方で、近く再評価法案を前すつもりでおりますから、その機会に御審議にあずかりたいと思つております。
  15. 内藤友明

    内藤(友)委員 渡邊局長にお願いしたいと思うのでありますが、できるだけ早くこの酒税法案を上げたいと思いますから、そこでこれを審議いたしますのに一番私の必要とします資料は、販売価格更正表なのでありますが、とれをおそくとも来週の火曜日までにぜひこの委員会にお出しいただきたい。これがないと、税金がこれでいいか悪いかということはわかりませんから、ぜひどうかひとつお出しいただきたい。
  16. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 今の御要求の資料は、結局最後の小売価格が幾らにむるかというものを込めての資料だと思いますが、実はわれわれの方も、一生懸命業者の方の出されたデータなどを検討しましてやつておるのですが、ちよつと二十日までと言いますのは無理じやないか。これによつて大体どれくらいの価格になるだろうかということにつきましては、前から申し上げておりますように、清酒については四百四十五円くらいになるんじやないかと考えておるわけでありまして、結局十五円税金の差額がある。それが大体コストの切下げというふうに考えておりますが、十五円ではたしていいものかどうかという点などにつきまして、実はまだ最終結論を得ておりませんので、大体その程度でお許し願いたいと思つております。
  17. 内藤友明

    内藤(友)委員 これは三月一日から引上げなさるのでしよう。じや、もう十四日ですな。それじやあまりどうかと思うのですが、それでいいのでございますか。
  18. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 仕事の順序だけから言いますと、大蔵省告示でやりますものですから、大蔵大臣の決済を得れば一応告示できますので、三月一日の数日前で仕事は十分できるわけでして、それまでの間できるだけ時間の許す限り慎重に検討していただきたいというのが、われわれの考え方でございます。
  19. 内藤友明

    内藤(友)委員 実はそれがなければ、この税金がこれでいいか悪いかということは判断できませんのですが、それはできますか。だから三月一日より遅れてもいいとおつしやるのならば、それはぜひあなたの方で慎重審議をやつていただきい。われわれは一生懸命に御努力申し上げておるのですが、政府が御協力申さぬということはどういうことなんですか。
  20. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私どもの方の考え方としましては、できるだけ三月一日から実施したい。それにつきましての必要な数字は全部出したいと思つております。実はコストの関係につきましては、いろいろ業者の方の利害関係が錯雑されておりますので、従いましていろいろ見た上で最終的な結論をきめたい。それで税率の御審議につきましては、実はそう最終のところまでなくても、大体の輪郭がわかれば御審議願えないものだろうかという考え方でいるわけなんですが、ちよつと最終結論をそれ以前に出すというのはかなり無理じやないかというふうに思つております。
  21. 内藤友明

    内藤(友)委員 それじや三月一日からということは、できるだけという意味ですか。
  22. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 三月一日にぜひ実行したいということをわれわれは希望しております。
  23. 内藤友明

    内藤(友)委員 だからそれはできるだけ実行したいという意味ですか。
  24. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 要するに結局国会で御審議つているわけでございますから……。
  25. 内藤友明

    内藤(友)委員 でありますから、私どもは御協力申し上げたいから御相談申し上げたのであるが、しかしそれはそうでないんだ。われわれ慎重審議なんで、お前たちはそれでわかるはずじやないかとおつしやられると、われわれは一生懸命になつているが、政府が一生懸命になつておらないような気がするものですから、どうもおかしいじやないかと思うのですが、これは打明けて相談したいと思います。これは資料を出していただかなければ、酒の値段が幾らになるのかわからずに、税金がこれでいいかどうかということを審議できない。
  26. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 大体わかるのですよ。ただ最後の一円、二円、五円がどうなるかというところに問題が残つていると思うのですが、そこの最後の一円、二円、五円がはつきりしなければ税率審議できないものだろうかどうだろうかということについて、もう一ぺんあとでとくと御意見を承りたいと思います。
  27. 内藤友明

    内藤(友)委員 今の程度にしておきます。
  28. 中崎敏

    中崎委員 さきの質問に関連しているのですが、第三次資産の再評価政府考え方としては、今まで通りに任意的に再評価をさすということのようであります。これを強制的に義務づけて行くという考え方はないかどうか。
  29. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 再評価につきましてはいろいろなことがございますが、政府といたしましては、第一次、第三次の再評価と同じように、低率の再評価税はやはり課税すべきじやないかと考えております。そういう問題もございまして、現在会社によりまして相当利益とかいろいろな関係もございまして、無理に強制して再評価をさせるということにつきましては、相当の無理ができるじやないかと考えております。ただ第一次再評価の場合のように、再評価をなし得る期間をあまりに短かくしておきますと、現況が悪い会社におきましてはやれないというので、また第一次再評価あとで第二次再評価を行つた例をつくつたようなことに陥る憂いがありますので——といつてあまり長くしておきますのも仕事が片づきませんので、先般お話しましたように二年くらいでいいのじやないか、その間に一回限り任意でやるというような考え方がやはりいいんじやないかと考えておりまして、現在のところ全部強制的にやることは考えておりません。
  30. 川野芳滿

    ○川野委員 刻下の経費多端の折にかからわず、今回酒類値下げ案を国会に御提案になりました政府に対し、私は最大の敬意を表するものであります。さらにいろいろ法案作成に当られた大蔵当局に対しましても、最大の敬意を表する次第でございまするが、今回の値下げ案を検討してみますると、五十六万石の密造酒が成規のルートに乗らなければ、予定の税収入が確保されない、こういうことに相なつておりまする点等から考えますると、密造対策というものは、まことに今回の酒税引下げに対する大きな問題ではなかろうかと考えるわけであります。そこで昨日加藤委員の質問に対しまして、あるいは酒価の引下げ、あるいは二十度しようちゆうをつくつてその対策を講じた、こういうような御説明が実はあつたのであります。しかし今回の値下げが業界要望の通り五割ということに相なつておりますならば、昨日申されましたそのお言葉で、あるいは密造対策ができるのではなかろうかとも私は考えたのでございまするが、しかし一般が要望いたしました通りの値下げになつておりません。それらの点から考えますると、昨日御答弁になりましたほかに、さらに密造対策という問題をまたお考え願わなければならないと思うのでありまするが、この点についてはすでにいろいろな方法考えられておるものと考えまするがゆえに、どうかその対策について御説明を願いたい。  さらに現在の推定密造石数並びに最近の推定脱税総額をお示し願いたいと思います。
  31. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 密造の推定がどれくらいあるだろうという数字は、われわれ当局にも、ほんとう持し自信のある数字はございません。いろいろな角度から考えまして、あるいはもつと多いのじやないか、もつと少いかなという考えもありますが、大体百五十万石ぐらいの密造はあるのじやないだろうか。百五十万石といたしますと、税金にして約三百億といつたような問題になるわけであります。この数字につきしては、実われわれの方も、正直に言いましてそれほど自信はございません。一応の推定でありますことを御了承願いたいと思います。  なお密造対策の問題につきましては、私はやはり二つの考え方を並行して行くべきだ。これは私が執行官庁におりましたときも、同じような考え方を持つておりました。一つ税率引下げることによりまして酒の値段を安くする、これが第一だと思つております。但しこの点につきましては、税率引下げ等につきまして、酒税の総額をあまり減らすことができないという現状におきましては、おのずから限度があると思つております。従いましてやはりこれと並行して、従来もやつておりましたが、より強力な密造の取締りというものが、片方にまた繰返されることがぜひ必要じやないか。またわれわれは特に販売密造と呼んおりますが、密造したものを売つているような人たちにとりましては、結局取締りによつて押えられる、器物を没収される、あるいは罰金を課せられるということで、いわば一種の危険負担料のようなかつこうで自分たちのコストの一部に考えられているような場合もあるのではないかと思います。従つて取締りが頻繁に行われるならば、結局危険の負担が大きくなりますから、従つて正規の酒との競争がむずかしくなつて来るというような事情も考えますと、正規の酒があまり高いと何回やつてみても効果がない。しかしその間の値幅が小さくなりますならば、片方の取締りが相当に強化されれば、そこに効果が相当出て来るのじやないかと考えまして、今回の予算におきましても相当の取締費を計上しているわけでございます。なお取締りの詳細につきまして、現在執行官庁としてどういう対策を持つているかということにつきましては、ちようど平田国税庁長官も御出席でございますから、長官から御説明願つたらいいのじやないかと思います。
  32. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 酒類の密造につきましては、私も前々から皆さん方にいろいろなことを申し上げておるのでございますが、今回相当の減税が幸いにいたしまして国会を通過して実行できるということになりますれば、これは絶好の機会ではないかと実は考えておる次第でありまして、この機会にぜひともこの忌まわしい密造をできるだけ少くするように——できれば絶無にしたいと思いますが、そこまで行かないと思いますけれども、できるだけ減らすようにひとつ努力してみたいと考えております。今密造がどういうふうに行われておるか、これは御承知だろうと思いますが、まずどういうものから先に重点を置いてやるかということにつきましても、よく考えてやつてみたい。まず順序といたしましては、集団部落で密造酒をつくつておる。これが単に酒を密造しておるということではなくて、そのほかの社会的な犯罪の一番温床になつておる。犯罪だけではなく、治安の問題にまでそれがつながつておるということもございますので、そういう部落等におきましてつくつてつているもの、これはまつ先に力を入れてやつてみたい。最近もこの点につきまして大分やつては参つておりますが、なお依然として相当盛んにやつておるところがございますので、そういうところにつきましては、いろいろな障害があると思いますが、障害を排除して、この際にできるだけの処置をとつて行きたいと考えております。しかしこのことはひとり税務官庁の努力だけではできませんので、警察、検察庁等とも万全の連絡をとりまして、実行上遺憾なきを期して参りたいと思つております。  なおそれに関連しまして、密造を取締つたあとの職業の転換と申しますか、その問題が実は社会的には相当大きな問題でございます。この点につきましても、できればいろいろな配慮を、各官庁なりあるいは皆様方の御協力を得ましてやるようにしたらどうか。川野さん御存じでしようが、宮崎県では職業の転換につきまして大分いい施策が立つておりまして、すでに実行に移されて、相当にいい成績もあげておるということを私ども聞いておりますが、そういうことも参考にいたしまして、その他の地区におきましても、そういう手をあわせ考えつつ取締りと両方をやりまして、現在の社会悪の根源の一つをできるだけなくするように努めて参りたいと考えております。  その次には、一般的にそこまで行かないにいたしましても、密造酒をつくつて販売しておる者、これは何と申しましても、この値下げの機会に、やはりできれば取締りを強化いたしましてなくするようにいたしたい。それにつきまして、いろいろ政府のアルコールが流れておるというような問題がございますが、そういうものにつきましても、よく官庁と緊密な連絡をとりまして、徹底的な取締りをいたしたいと考えております。従いましてつくつて売る密造酒、これは何としましてもこの際できるだけ力を入れてやつて行きたい。値段も、二十度しようちゆうをある程度出しますと、二百三十円前後になるのではないかと思つております。現在密造酒はアルコール度数が二十度前後らしい。それが二百円前後——いなかですともつと安いらしいですが、都会ですと二百円前後で売つているところもあるようですから、二百三十円くらいで競争しますと、相当経済的にも競争できるのではないか。わずかの差で、下手をすると目がつぶれるものを飲まないでくださいというような宣伝等も、この機会にできるだけ行いまして、消費者の注意を喚起いたしまして、そういうものは消費者自体が警戒して飲まないように持つて行く。値段もここまで行きましたならば、そう無理なところではないでしようということも宣伝いたしまして、強力にひとつ販売されている密造酒の絶滅を期するようにいたしたい。  それからこの次が農村方面ですが、農村方面でも冠婚葬祭等で大びらに密造酒を飲んでおる。これらは何とかしていろいろな宣伝その他をやりまして、根絶をはかつたらどうか。どうも公の席上で密造酒が公認されたがごとく飲むということになつちや、これはやはり非常におもしろくない。そういうことにつきまして、ぜひ私ども一種の運動をあわせてやつてみたい。しかしこの点につきましては、特に皆様方の御協力を願わなければなかなかきき目がないと思いますので、特段の御協力、むしろあるいは御鞭撻をお願いいたしたいと思つておるのでございます。そういうところからまず手を打つて行きまして、最後は農家が自分でつくつて自分で飲むものと思いますが、そこまで手を届けたいと思いますけれども、そこは最後の線にいたしたい。これは決していいとは申し上げませんが、最後のところにいたしたいので、そういつたようなところの前のところは、少くともこの機会にできるだけ努力いたしまして絶滅をはかり、あるいは大幅に減らすことに努めて行きたいと考えておるのでございます。なおその他、予算も大分御努力を得まして、大体本年度一億五、六千万円ですが、これは必ずしも十分でございませんけれども、この予算を有効に使いましてやるようにいたしたいと思います。  それからこうじの取締りですが、これがやはり最近なかなか手が届いておりません。今度法律の改正で販売の申告もしてもらうようにいたしておると思いますが、その辺もよく調べまして、密造の原料のルートをできるだけ押えるようにして行きたい。できるだけいろいろの方策を講じまして、せつかく相当大幅減税ができて値段が安くなる機会に、この問題を解決するようにぜひ努力してみたいと存じまするが、宣伝あるいは具体的なことにつきまして、どうぞひとつ御協力をお願い申上げたいと思う次第でございます。
  33. 川野芳滿

    ○川野委員 実は密造酒が、私の県等におきましては百三十円、品によりましては四十五度、こういう実情でございますので、従つて二十度の値段の安いしようちゆうができました半面において、取締りをやらなければならないのであるから、私は御質問を申上げたのでありまするが、先ほどの主税局長お話によりますると、大体脱税の推定が三百億ということでございます。そこで三百億の脱税を捕捉するかしないかということが大きな問題であります。天下の悪税と称せられております物品税でも、二十七年度にはわずか百四十億、それを考えますると、この三百億の脱税を捕捉するかしないかということは、国家にとりましてはまことに大きな問題であると存じます。しかるにわずか一億五、六千万円の費用で三百億の脱税が捕捉できるかどうかということを考えますると、私はとうてい不可能である、こういうふうに実は考えるわけでございます。そこでどうしても密造取締費をもう少しうんと出、して、そして三百億のなんなんとするところの脱税を捕捉するということにしなければ、とうてい密造の絶滅は不可能であると存じております。ことに、資料を見ますると、第一線に働きまする税務署にはわずかに御配分になりましてそうして、国税局あたりが相当費用を使つておる。こういうようなことでは実質的な密造絶滅ということは私は解決できないと存じます。この点についてさらに長官の御説明を承つてみたいと存じます。  さらに、私はこの問題につきましては、委員会で、一、二回問題にいたしたことがあるのでありまするが、密造対策については非常に隘路があるわけであります。密造取締り費用は、トラック等以外にはあまり使われない。あるいはまた警察が密造犯を検挙いたしましても、警察の功績にならない、検挙いたしましても、税務署に引渡すだけであるから一向功績にならないので、警官は密造者があつても知らないふりをしておるという実情であります。そこで私は、法務省あるいは警察、大蔵省の三者で会談をおやりになりましてこういうような隘路を断たなければ、密造絶滅は不可能であるということを、当委員会におきましても一、二回実は申し上げた次第でございまするが、これらのことについて対策をお講じになつた事実があるか、この点についても承つてみたいと存じます。
  34. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 密造の取締費でございますが、私どもとしても多くいただくに越したことはない、またできますればふやしていただきたいと思つておりますが、そこにはまず全体といたしまして予算の立て方もございますので、一億五、六千万円くらいのところで何とかして効率的な計画を立ててやつてみたいと考えておるのであります。今御指摘の二十七年の実際の使用状況を見ますと、予算は一億六千六十一万三千円で、大部分各局に配付いたしておりますが、そのうちすでに十二月までに使用済みのものが九千三百三十万となつております。局で二千四百万、税務署が六千万ということになつておりまがこれはいろいろな宣伝のための費用、その他は本庁あるいは局でやるという場合もございますし、それから大がかりな動員等を行いますれば、局の費用で出すというようなこともございます。今御指摘の点は、私ども今後の計画上よく注意してみたいと思つておりますが、大点そういうような状況になつておる次第でございます。しかし何とつ申しましてもこれは第一線の取締りが中心でありますので、お話のような点をよく考えまして今後の運用によろしきを得たいと考えております。  それからもう一つ、各関係官庁との連絡でありますが、実は中央にも連絡協議会というものを設けております。それから各地方にも国税局単位に協議会がありまして、ときどき会合してそれぞれ密造取締りについて一緒になつてやることになつておりますが、従来ともこれには相当の実績を上げておるようでございます。お話のように自分の手柄にならないということでやらぬということになると、これは必らずしも妥当ではございませんので、そういう点につきましても、よく関係の局と話し合いまして、それぞれ責任のある仕事は責任のところでやつて行くというふうに持つて行きまして、実務を上げるようにいたしたい。  それから単に密造ということだけでなくて今日では社会悪の根源の一つになつておる集団密造の問題でありますが、これは単に税務署だけでなく、やはり警察なり検察庁といたしましても重大な関心があるようであります。従いましてこういう面で適切な取締りをしてもらうということは、そういうところの職責上当然なことと考えますので、その辺はよく連絡いたしまして、実効を上げるように努めてみたいと考えておる次第でございます。
  35. 川野芳滿

    ○川野委員 この密造による脱税問題はどういうものか社会一般においてもそう悪質な犯罪者であるとは現在考えられていないような実情であります。この点をよく考えてみますと、これを税務署がお取締りになるからそういうよう考えが出ておるのではなかろうか、こういうふうにも私考えてみたことがあるわけであります。現在の実情等から考えますと、実績がそう上つておるとは考えられません。そこでひとつ大蔵省の方は大英断をもつて取締り権を警察に委譲して、警察の手によつて密造犯を取締る、こういうことになるならば私は非常に効果があるものと考えます。しかし官庁には昔からなわ張りがございまして、現在大蔵省が持つております密造脱税犯を検挙する権限を警察に委譲するということは大蔵省としてはおきめにならないかもしれませんが、三百億の税金を把握するかしないかという大きな問題でございますので、大蔵省から警察の方に取締りの権限を委譲することをお考になる意思があるかないか、これは愛知政務次官に伺つてみたいと存じます。
  36. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 密造の取締りにつきましては、先ほど来るる御説明申し上げておりますように、大蔵省といたしましても非常に力を入れておるつもりであります。ただいまの警察に委譲したらどうかというお話でございますが、現在でも、国警はもちろんでありますが、自治体警察についても非常な協力を得てやつております。さらに検察当局とも緊密な連絡をとつてつてつておるようなわけでございまして、これは率直に申しまして警察側においても、警察だけの力ではたして引受けてくれるかどうかもなかなかむずかしい問題だと思います。今のところは大蔵省としては警察に全部これを委譲するという考えは持つておりませんが、ただいまの川野さんのお話は、新し御提案として、われわれも十分慎重に研究をいたしたいと思つております。
  37. 川野芳滿

    ○川野委員 実はこの問題は、まだ質問いたしますれば相当長い時間をとりますので、後日に譲りたいと存じますが、どうか私が最後に申しました取締り権限の委譲問題につきましては、ひとつ慎重にお考えを願いたいと存ずるわけであります。  さらに今度の法案の中に、指定販売業者制度を一年後にやめる、こういうことに実は相なつております。ここでかりにこれが実現した、——法律が通りますとそういうことになりまするが、そういう場合には現在の指定卸業者はさらに免許をもらわなくても卸行為ができるかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  38. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 現在指定販売業者として免許を受けております分につきましては、やはり卸としての免許というものはそう簡単に取消さるべきものではないというふうに思つております。ただ現在入つているものをそのまま免許していいか悪いかという問題につきましては、多少検討の余地があるのではないか。と申しますのは、これは私この間まで東京国税局長をやつていた場合の事例でございますが、現在の配給所の中には、公団の時代の配給所がございまして、現在としましてはもうあまり活動をしていないようなものも幾つかあるようでございます。これはある程度酒の需給関係と結びつくわけでありますが、適当に併合した方がいいのじやないかというようなものも幾つかあるんじやないかというふうに思います。従いまして、原則としては大体現在のままのところへ卸が行つていいんじやないかと思いますが、全部が全部行くということがいいか悪いかという点については、疑問があると思います。しかしそうした実際の運用につきましては、国税庁の方でやつておりますから、国税庁長官から御答弁願つた方がいいんじやないかと思います。私としましては大体従来甲卸の免許を持つていた人には、甲卸の制度がなくなつても免許して行くのが原則じやないかと思つておりますが、しかしときにやはり幾つかの例外を考えないと、将来おもしろくないことが起きやせんかと実は心配しております。実際の運営につきましては国税庁長官から御説明願つた方がいいと思います。
  39. 川野芳滿

    ○川野委員 実は先般甲卸関係の総会がございまして、この問題について数時間非常に検討が続けられたわけでございます。そういう大きな関心の問題でございますので、私はこの委員会においてこの問題を明らかにいたしたいと考えて、実は質問をいたしておるわけであります。ただいま局長のお話によりますと、眠つておる甲機関がある、こういうお話のように承つたのでありますが、私の調査いたしたところによりますと、そういう甲機関は一軒もありません。全部相当の出張所、支店を持つて活躍いたしておるところばかりであります。そこでそういうような問題に対してただいまのような御答弁になりますと、相当大きなシヨツクを全国的に起すと思いますので、さらに質問をいたすわけであります。私どもといたしましては、政府が甲機関に指定いたしました卸機関でございますので、この甲機関指定を取消しになる場合には、そのまま全部甲機関はお認めになる、こう考えて質問いたしたのでございますが、これについてはつきりといたしておきたいと思いますので、平田国税庁長官の御答弁をお願いしておきたいと思います。
  40. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 平田国税庁長官の御答弁の前に、一言申し上げさしていただきたいと思います。私が先ほど申しましたのは、甲機関として眠つているものがあるという意味ではございませんで、甲機関の持つている幾つかの配給所の中に、辺鄙ないなかにありまして、昔はいわば配給の時代でございましたから、そこは必要でありましたけれども、現在のような自由販売酒が大部分の時代になりますと、ほとんど活動していない配給所があるということを申しましたので、もちろん協同組合なり会社として、全体としては眠つているというものは一つもございません。それは川野さんのおつしやる通りであります。
  41. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 甲機関の卸売業者を一年内にどういうように円滑に普通の卸売業者に転換させるかという問題は、御指摘の通りなかなか問題があるわけであります。免許の方は今お話のように、とにかく卸売業者として免許を持つているのでございますから、それは優先的に尊重すべきものでありまして、川野さんのお話なつたことは当然のことではないかと思います。ただその際に、甲機関ですと、従来の機構を統合しまして相当大きなものができている。それが普通の卸売機関と申しますか、一般の機関になりまする場合におきましては、所によりましては、独立した卸売業者を分解とは言い過ぎでありますが、わけて認めなければならないところが出て来る。そういうところになつて来ると、やはり新規免許ということになつて来るわけでございまして、そういう場合におきまして、どのような考え方で臨むか、これは相当問題のあるところだと思います。それは各地の事情によりましてもいろいろ違うでございましようし、またわれわれといたしましても、今後さらに業界等の意見もよく聞きまして、円滑にするようにいたしたいと考えております。特に一番私どもの注意しなければならぬのは、今の甲機関は税金を扱う関係もありまして、金融機関の信用が非常に高い。これは税務署に率いても大分やかましく言つておりますが、やかましく言つている反面、帳面等が特にきちつとできておりますので、また取引等につきましても、税金に関連してやや厳重なことを言つております関係もあつて、金融機関の信用が非常に高いという事実がございますが、この金融機関の信用はあくまでも維持して、できればさらに高めるような方向に持つて行つて、いかにして卸売業者として旧機関が税金を扱うことなくやつて行けるか、そういうことを中心に、今後もうまく指導して行くように努めて参りたいと考えておる次第でございます。具体的な問題は、個々によりましていろいろ違いますが、よく御趣旨のあるところを承りまして、善処いたしたいと考えております。すでに一部の府県では、ある程度戦時中に統合しました甲機関がそのままになつておりましたのを、やはり元の卸売業者にわけて仕事をやりたいというところがあるようでございます。所によりましてそういうところが相当多いのじやないかと思いますので、そういう点につきましても、実情に即するようにやつて行きたい、こういうように考えておる次第であります。
  42. 川野芳滿

    ○川野委員 実は私重ねてその点をお尋ねいたしたいと考えておつたわけでありますが、御説のように甲乙の両機関の区別がなくなるということになりますると、地方におきましては、現在の支店、出張所が独立した卸機関になるということを希望する所が出て参ると存じます。そこでこの甲機関というものは、御承知のように政府が命令したとまでも申しませんが、慫慂してできた機関であります。そこでそういう機関が今度は政府の命によつて普遍の卸機関になる、こういう際でございますので、現在も支店、出張所というものが独立せんとする場合には、私に言わしむるならば、できるだけ全部を乙機関として認めていただきたいというふうに考えております。しかしどうしてもやむを得ない所は別問題でありまするが、原則においては今の出張所あるいは支店が本店と十分相談の上、納得できます場合には、ひとつ卸機関として認めていただく、こういう原則を私はここに立てていただきたいと思いまするが、これについての御答弁をさらに願つておきたいと存じます。
  43. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 今の点は、先ほども申し上げましたように、私もなるべくそういう方向は尊重して参りたいと思つております。しかしこれは独立して卸機関としてその小さい場所だけで認めた場合におきまして、将来経営がどうなるであろうか、酒の需給関係から行きまして適当であるかどうかという配慮は同時に加えていたしませんと、あとで困るという場合が出て参りますので、そういう角度もある程度考慮に入れまして、できる限り従来の沿革なりあるいは実情を考慮いたしまして、妥当を期するということにいたすべきではないかと思います。しかしこの問題は相当具体的なことになりますので、そういうようなことにつきましては今後さらによく御意見等を承りまして、妥当を期するようにして参りたいと思う次第でございます。
  44. 川野芳滿

    ○川野委員 たいへんくどいようでございまするが、全国に何千とございまする機関をどうするかという問題でございますので、さらにもう一点伺つておきたいと存じます。実はこの免許権の獲得という問題でございますが、どういうものか、大蔵省関係だけは非常に日時がかかるのであります。あるいは半年以上も免許権の問題で時間をお費しになることが多いのであります。そこで今度は、ただいま申しましたように、政府が強制的とは申しませんが、ある程度指令を出されてつくつた機関でございますので、今度のそういう支店、出張所が独立せんとする場合には、ひとつ早急に免許の下付が願いたい、これをもう一点伺つておきたいと存じます。  さらについででございますので、小売免許の点にも触れてみたいと存じます。小売免許を願うにおきましても、おそらく半年以内に免許が下るのはそうたくさんないのじやなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。そこで私は、できるならばこの小売の免許権は大蔵省から市町村役場に移譲された方がいいのじやないかとも考えまするが、そういうわけにも参りませんので、ひとつ大蔵当局の頭の切りかえを願わなければならぬ。例を一つ申しますると、蒲田税務署の管内である小売店の免許を申請した、ところが税務署で御調査になつて、既設の店と距離が近い、そこで距離を遠くするならば免許をしてやろう、こういう話でございまするので、その小売店は離れた所にあらためて店鋪を構えた、そうして免許の申請をやつた、蒲田税務署は東京国税局にその申請をし、免許を与うるべしという申達をした、ところが東京国税局はいかがでありましようか、一向免許を下付しない、どういうわけかと調べてみますと、ほかにそういう申出があるから、これを許可するならばそれも許可しなければなら血というので、書類を保留している、こういう状態である、まことに嘆かわしい次第であると言つても私は過言でたいと思います。そこでそういう国税局の係の人はかえてもらわなければならぬと存じますが、この免許の下付にも、現今の時勢の流れというものをよくおくみとりいただきまして、早急に免許を下付することくらいはしていただかなければならぬと思いますが、こういう点についてさらに当局の意見を承つておきたいと思います。
  45. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 この卸機関の転換の問題につきましては、私どもできるだけ早く方針をきめまして、その方針の実行はなるべく現地にまかせるということで促進をはかつて行きたいと考えます。一年間の経過期間を置きましたのも、できる限り円滑にやろうという趣旨でございまして、その間になるべく敏速に、かつ円滑にやりまして目的を達したいと思います。  それから小売業者の免許でございますが、これはどしどし免許するというとにしますと話は簡単でございますが、そうするとまた小売業者の競争が激しくなつて、共倒れになる、そういう点が心配でありまして、むしろ協会等からなるべく免許しないでくれという要望が強いのでございます。しかしそれも消費者の見地を考えるとよくない。消費者の見地から行きまして、不足しているところはある程度免許して行くべきだという考えを持つておりますが、これもあまり一ぺんにやるとえらいことになりますので、十分に運用でと今川野さんはおつしやいましたけれども、これは簡単なことではないということを御了承願いたいと思います。今お話のように、税務署が調べてよいと言つたのを長く押えるというのはちよつとどうかと思いますので、そういう際にはでき得る限り早く事務を処理いたしまして、迷惑をかけないように努力いたしたい。卸の方は大体の方針を示しまして、最近は国税局にもまかせることにして、小売の方は国税局の方から税務署におろしてしまう。本庁や局でやります場合はよほど異例なケースにとどめようということに現在もいたしておりますが、その辺の運用がまだ敏速を欠いておるうらみがありますので、よく御趣旨を体しまして、なるべく早くきめたいと存じます。ただ今お話のようにけ飛ばしてしまえばそれでよいかということは、そこが少しむじかしい問題でありまして、申請される立場にある人の事情を聞きますと、ぐあいが悪くてもその場で簡単に却下してしまうというのもむずかしい場合があろうと思いますので、その辺は場合によつて若干情勢を検討しつつ留保するという意味で遅れるという場合もあるのでございます。そういう場合におきましては、その辺の事情を相手方によく話しまして、誤解のないようにして行きたいと思います。おそらくその辺の親切さが十分ではないように思いますので、ひとつその点は注意して行きたいと思います。
  46. 川野芳滿

    ○川野委員 ひとつ当局の善処方を希望する次第であります。さらに甲機関が乙機関にかわる場合でございますが、どういうものか、これは本省の方はそういうことはないと存じますが、大蔵省の地方当局になりますと、どうも協同組合をきらつて会社組織というものを推奨される点が多々あるわけであります。大蔵当局は税金をとるという点からこういうお考えになられるのかとも考えるのでございます。今日国家は協同組合というものを非常に御奨励になつておる。本日出ておりますこの酒類団体の法律も、組合でいろいろとやれというふうになつておる。ところが営業面になりますと、どういうものか会社でなければならないような御指導をされております。今日あるいは商工中央金庫あるいは農林中央金庫、こういうような金融面におきましても、あるいは課税の面におきましても、組合が三五%、会社は四二%、こういうようなことでずいぶん税金の面等につきましても、組合について御奨励になつておるにかかわらず、そういう経営面におきますると会社組織を御奨励になつておる点があるわけでございますが、こういう点はひとつぜひ考え直していただきたいと存じます。  さらに先ほどの卸小売のマージンの問題でありますが、今度酒税の値下げをやるから業者もマージンを少し奮発してもらいたい、こういうようなことで、十五円ないし十八円のマージンを縮める問題が実は起つておるわけであります。しかし考えてみますると、今年の一月十五日から運賃が上つた。昨年の十一月から月給が上つた、賃金が上つた、こういうことから考えますると、実は値下げがなければマージンを上げてもらいたいということが普通であります。そこで現在のマージン並にいたしておきましても、実はマージンの圧縮ができたものと、こういうふうに考えられるわけであります。そこでマージンを引上げてもらわなければならないという際に、マージンを現状のまま置いていただくのならばけつこうでありますが、小売マージンを縮めるというこの現状が、ただいま内藤委員の御質問されましたような、参考資料をお出しにならない重大な原因ではなかろうかというふうに私は存じます。時間がありませんので実はそう長いことは申し上げませんが、小売マージンは、私に言わさしめるならば、五円くらいお上げになるならいたしかたないのではないか、そういうことで小売マージン問題を解決して、そうして二十日以前に参考資料を当委員会にお出しにならなければ、おそらく衆議院においてこの法案が二十日までに通ることは不可能であると私は断言します。どうかひとつそういう問題も早くおきめになつて、そうして参考資料を出していただきたいと思います。しかしこれは答弁はいりません。  そこで、まだ質問の方があるのでございますが、最後にもう一点伺つておきたいと存じます。実は基本税と加算税の制度がまたこれ一年後にはなくなる、こういうことに実はなるわけであります。ところが酒税というものは御承知のように消費税であります。消費税という点から考えますると、最終段階において課税をされるのが適当である。言葉をかえて申しますならば、小売店において課税されるのが適当であるが、徴税技術の面から 酒造家からおとりになつておる現下の実情であります。しかし今やはり主税局長の御管轄になつておる物品税は、生産課税から今度は小売課税に移そうといつて案をつくられつつあるということを私は承つております。これは全部ではありませんが、一部の品物については小売課税を断行しよう、こういうような適切な考えを今日主税局長がお持ちになつて来た。こういう点から考えますと、せつかく加算税と基本税のわかれておりますこの制度を一本にするということは、物品税を消費課税にされるという観点等から考えますると、矛盾撞着もはなはだしいと言わざるを得ない。この点についてさらに御答弁を願つておきたいと存じます。
  47. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 消費税につきまして、できるだけ消費段階に近いところでもつて課税するのが望ましいという理論につきましては、私もさように考えております。ただ川野先生も御承知のように、そういう理論は理論といたしまして、やはり徴税の便宜、これはあえて政府も楽をしようという意味だけではなくて、結局徴税費につきましても、あまり徴税費がたくさんかかるということになりますと、またまわりまわりまして国の歳出もふえ、またいろいろな税負担もふえるもとになりますので、やはり徴税費があまりかからない方法があれば、その方法でもつてつて行く方がいいじやないか。脱税の防止等いろいろな点から考えましても、その方がいいじやないかということで、幾つかのものといいますか、今まで原則としては製造課税、酒についても製造課税、つまり庫出税という制度をとつていることは御承知通りであります。今度物品税につきまして、一部の品物につきまして、小売課税制度もとつてみたということで案を考えておりますのは、たとえば宝石のようなものでありますが、宝石のようなものにつきまして、はたして製造をどう考えるかといつたような問題につきましては、私はずいぶん議論があるのではないかと思います。むしろこれは製造課税ということ自体に無理があるので、こういうものはやはり本質的に製造課税に無理があるという意味におきまして、これはむしろ小売課税にすべきではないかというので、再検討してみたいというのが現在の考え方であります。これと同じ考え方で、実は酒の税金についても考えているのでございますが、これは同じことを繰返すようになりまして非常に恐縮でございますが、現在の基本税、加算税の制度は、その出発が、何と申しましても配給酒がたくさんあつた時代に自由販売酒を出そう、自由販売酒は値段が高くてもよかろう、それはやはり加算税でとろう、その場合に製造者のところでとるよりも卸の段階でとる方が、製造者の段階を出るときには、配給酒になるかあるいは自由販売酒になるかまだはつきりしない場合もございますから、従つて卸の段階でとろうというのが、現在の甲卸機関が生れた由来だと思つております。しかし御承知のように、ほとんど配給酒の量が少くなつてしまいまして、原則としては自由販売酒ということになりますと、配給酒というものを製造者のところで配給酒としてのレッテルをつけるということが、決して困難でなくなつております。従つて二段にわけてとるよりも本でとる方が全体として簡略ではないか。これは税率が従来通り非常に高うございますと、よほど慎重に考えなければならぬ問題でございますが、幸いにしてか、相当税率引下げることができまして、もしその引下げ分を加算税率だけに適用してみますと、加算税がほとんどなくなつてしまうというものも幾つかございますので、この機会に移したい。表に現われたところでは、あるいは片方は小売課税に持つて行くのを製造課税に持つて行くのはどういう意味か、前後矛盾しているではないかという御議論もあり得るかと思いますが、原則は消費の段階でできるだけとりたい、しかしやはり徴税の経費ができるだけいらぬように考えて行くという考え方からいたしますと、こういう現在考えておりますように、酒税については一本化して、片方においては小売課税の問題が出て来ることもやむを得ない結果ではないか、かように考えておる次第であります。
  48. 川野芳滿

    ○川野委員 まだ質問がたくさんありまして、三時間くらいかかりますので、後日に譲ります。
  49. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員 関連して質問もあるのですが、来週私の質問はいたすことにして、資料を要求したいと思います。二十五、二十六両酒造年度におきます甲乙両機関の総数、並びに甲乙両機関の取扱つた全酒類の総石数、これを各酒類別に火曜日までに出していただきたいと思います。
  50. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 中崎敏君。
  51. 中崎敏

    中崎委員 時間の関係がありますので、端折つて質問したいと思います。まず中小企業に関する問題でありますが、最近の中小企業の行き詰まつた状況につきしては、われわれ非常な憂慮を払つておるものであります。そこでこの中小企業の振興のためには、金融、税金、さらに技術、経営等を含んでおるところの強力なる指導というものが相伴つて並行的に行われて、初めてその目的を達するものと思うのでありますが、ここで私がお聞きしたいのは、所得税法の一部を改正する法律案について、ことに中小企業関係の深い面について質問してみたいと思うのであります。  そこでまず第一に、中小企業庁の方にお聞きしたいのでありますが、今度所得税の一部を改正する法律案の中の第三条の二あるいは第六十七条の二などの改正案に対しまして、中小企業庁といたしましては、この法案に参与されているかどうか、さらに参与されたとすれば、どういうふうな態度をもつて臨んでおられたかということをお聞きしてみたいのであります。
  52. 石井由太郎

    ○石井説明員 所得税法改正につきましては、大蔵省当局と中小企業庁との間に常時緊密な連繋を保つておりまして、中小企業政策を振興します上から申しまして、種々改正をお願いしなければならぬ点は、随時これを織り込むように努力いたした次第でございます。たとえて申しますれば、中小企業者の家族の専従者の控除、このような問題はわれわれから積極的に取上げげまして、大蔵当局が採用したというようないきさつもあるわけでありまして、常時このような連繋をとつてつたわけであります。従いまして、今回の改正につきましても、両当局間で連絡しつつ改正案をつくつたわけでございまして、第三条の二あるいは第十七条の二というものにつきましても、現下の徴税の実際上から見まして、その必要があるという見地からこれに賛成をいたしておる次第でございます。
  53. 中崎敏

    中崎委員 ことにこの法案と最も関係の深い企業組合でありますが、私たちはこの最も弱い立場の、ことに零細な中小企業者を保護育成するために、中小企業等の協同組合法の制定に際しても非常な努力と熱意を傾け、さらにこれが組織化については及ばずながら努力して参つたのであります。ところが今回の改正法案によりまして、これらの企業組合がほとんど壊滅の状態に追い込まれるのではないかというふうなことを業者も心配しておりますし、われわれもまたそういう懸念がないこ場とはないのであります。大蔵当局、ことに主税局長の言明等によりますと、今までに認められたところの企業組合に対しては、この法律ができたといたしましても、何らこれに弾圧を加えるといいますか、この行き方によつて影響を受けるものではないというふうなことは聞いておるのでありますが、実際これが運用にあたりましては、今まで幾多の例においてもそうでありますが、法律が一度できれば、その言明がいかにあろうと、法律の趣旨がいかにあろうと、実際においてはその最も悪いといいますか、業者にとつて悪い面でありますが、相当過酷な追究を受けまして、せつかく育成さるべき組合というものが、非常に窮地に追い込まれるということは、過去の例において火を見るよりも明らかだというふうに考えるのであります。ことに所得税法取扱い通達というふうなものの内容を見ましても、今までに認められておつたところの企業組合は一応尊重するのだということがあるのでありますが、それにもかかわらず、たとえば税務署があやまつてその組合を認定しておつたような場合とか、あるいは著しくその事情がかわつたような場合においては、これを否認するというふうな通達も出ておるようでありまして、法律ができれば当然この程度の運用はされる。しかもこの二つの条項の中においてさえ、それは著しく事情がかわつたといえば、一方的に認定して行くのでありますから、当然そういうふうな結論も出て来る。そうしてまた、あやまつて税務署が今までの組合を認めておつたのを認めないということは著しく不見識だと思う。言いかえますと、そんなことがあり得るとしても、公然とこういうようなことが公文書として通達されるというようなことはきわめて不見識だと思う。それは神様でないから、実際においてそういうようなあやまつたことはあり得るかもしれないけれども、万般の事例の一つのものとして公然とこういうふうな取扱いをされるということは、私は不見識きわまるものだというふうに考えるのであります。ただそれはそれだけの問題ではなしに、この橋頭堡の上に、過去の企業組合というふうなものが全面的に大きな影響を受けるのではないか。ことにこれは私の偏見かもしれませんけれども、概して大蔵省、ことに税務当局といたしましては、企業組合というふうなものについて、これを正当にもり立てるというか、税金の片寄つた立場から、むしろ個人的な感覚で個人的な立場においてとろう、言いかえれば企業組合を否認しようとするような考え方の上に運用されておるのじやないかという懸念さえ持つておるのでありますが、こうしたようなことは、企業組合、ことに健全に発達し、今後も大きく伸びて行かなければならなぬ企業組合に対する一大鉄槌だというふうに考えておるのでありまして、ことに中企業庁といたしましては、むしろそうした組合の健全な発達について努力をされまして、こうした行き過ぎになるようなおそれのある法律に賛成されるということについては、中企業庁の考え方並びにその政治力が著しく貧困であり、薄弱であるということを私は考えるものでありますが、こうした法案についてさらに大蔵当局とも交渉して再検討をしてもらう気持を持つておられるかどうかということをお聞きしたいのであります。
  54. 石井由太郎

    ○石井説明員 中小企業庁といたしましては企業組合の育成強化ということにつきましては、これは単に法律をもつて組織を認めたというだけでなくて、あるいは金融の面、あるいは助成補助金その他の面におきましてあるいは経営の診断をいたしまして指導する、このような面におきまして十分にその助長に努めておるわけでございます。これに対しまして従来はなはだ不幸なことでございますけれども、とかく課税上これを冷たい目で見るというような風評があります。しかし全国の企業組合のうち、七〇%というものは大体法人性を税務署によつて確認されまして、法人税課税を受けておるわけでございます。残り三〇%程度のものにつきましては、今回の改正法にも書いてございますような、あるいは実際の収益の享受者と名義人とが違つておるような事実が従来はあつたわけでございましていい組合はよりよく助長し、また本来の姿にかなつていないものだけは、税法の面におきましても、これを実質上の収益者から課徴するような法体系に持つて行くということは、企業組合を擁護する立場からいいましても、当然言い得ることであると考えておるのであります。もちろんこの法律が出ることによつて不必要に企業組合を混乱させ、あるいはその団結を弱めるというようなことがありましたのでは非常に困ることでありますので、国税庁中小企業庁及び大蔵省主税局の間におきましてその実施上についてはきわめて綿密なとりきめをいたしまして今後の付属的な通達その他を十分に打合せて実行に移して参るということにいたしておる次第でございます。従来の実施状況につきましてはあるいは主税当局の方が税の面では詳しいと思いますが、税務当局におきましても、決して従来の企業組合を非常に弾圧しようというような取扱いでなかつたことは、七%が法人格を認められておるという事実によつて明らかであると思います。
  55. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私からもちよつと補足的に一応説明さしていただきたいと思います。  中崎さんの御心配は私も御無理ない点が多々あると思つております。ただ私ははつきりここに申し上げておきたいと思いますが、今度われわれが考えて立案いたしました法文は、決して健全な企業組合をどうこうしようという気は毛頭ございません。これはもうはつきり申し上げておきます。ただ非常に遺憾なことでございますが、過去にありました幾つかの事例を見て参りますと、企業組合の名前は持つておりますが、実体がどうも企業協同組合的な精神にのつとりました企業組合と見れないじやないかというものが幾つかございます。これにつきましては、実は税務の実際におきまして相当の摩擦があつたということは中崎さん御承知通りでございまして、このために、これは長官からお話し願つた方がいいと思いますが、税務当局としましては相当実はくたびれてしまいましてそれのために普通の営業者の方の調査に手が届かなかつたり、そちらの万へ御迷惑をかけたりという事例がございますので、何かひとつこの際規定をつくつていただきたいということを考えているわけでございます。  それから今お話にございました所得税の通達というのはおそらく案だろうと私は思つております。もちろんまだ法案ができていないのですから出るわけもございませんし、私もまだ実はよく見ておりません。私の気持としましてはこう考えております。従来税務署が認めておりますといいますか、法人税課税しておるような企業組合につきましてはよしいろいろな変化がそこにありましても、確かに御説のようにそれにすぐけちをつけていろいろこの規定を使うという危険がございますから、主税当局といたしましては、そういう組合について前の間違いをよし直す場合があろうとも、あるいは新しい形態についてどうこうあろうとも、それはその規定によらないで幾つかやつておりますから、そういう方向によつてやる、そしてそういう組合について急にこの際心配をかけるという問題としてこの法文は使つてほしくない、こういうふうに私は考えております。従いまして少くとも従来税務署が認めております組合につきましてこの法文ができたことによつて新しい取扱いができるというように扱うべきじやないということを、国税庁長官に申しておりました。あとは第一線の取締りをどういうふうに国税庁長官がやつてくれるかという問題にかかると思いますが、その点は、国税庁長官にむこの機会はつきりした言明をしてもらつた方がいいんじやないかというように思います。
  56. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 所得税法の六十七条の二の改正によりまして企業組合の方面におきましていろいろ御心配のようでございますが、基本的には今中小企業庁と主税局からお話がありましたように、私どもも企業組合が組合法本来の趣旨に従いまして健全に発達するというを妨げる気は毛頭ない、むしろそういうことはあつちやいかぬということにおきましては、これはまつたく意見が一致いたしております。運用におきましては、従いましてそういう点には十分配意を加えまして慎重を期して行きたい。なかんずく今御指摘の、従来からすでにあるものにつきまして、一ぺん認めたものをひつくり返すのはけしからぬ、これはまつたくその通りでございまして、そういうものにつきまして問題がある場合には、むしろその組合自体を善導してもらいましてほんとの企業組合になつてもらうということによつて問題を解決したらどうだろうというふうに考えております。ただ過去の場合におきましても、今渡邊局長からお話がありましたように、著しくこの組合法の趣旨を逸脱しましてほんとうの形式と申しますか、からくりにすぎない例があつたのでありましてこういうものにつきましてよく調査いたしましてそれぞれ適切な課税をするということにいたしているわけでございますから、今度の法律の改正の運用によりましても組合法の基本的な考え方、これはあくまでも尊重いたして十分善処いたしたい考えております。その点いろいろ御心配がおありのようでございますので、中小企業庁との間に、運用につきましても重用な事項は打合せて行くということにつきましてはつきり約束いたしているような次第でざいまして、御趣旨の点を私どもよく承りまして、この方面に不当のことのないように十分留意いたしたいと考えております。
  57. 中崎敏

    中崎委員 ただいまの御説の中にありましたのですが、以前できた組合の中に七〇%程度は健全な組合として税務署の方でもこれを認めている。他の三〇%については健全な組合でないということにもなると思うのであります。そうした組合の認可等については、まず当然中小企業庁がタッチしてやつておられると思うのであります。しかもそうした組合が三〇%そこに存在するということは、一つにはかかつて中小企業庁の指導よろしきを得ない、こういうことに帰属するものであります。従いまして、まずこのできている組合を一日もすみやかに完全な組合に指導して行くという重要なる責任あるこにとをここで言明していただきたい。かりにこの法律案が通過するとするならば、今後においてこの企業組合の新しい発達というものに非常な支障を来すということは明らかに申し上げることができると思うのであります。これらの点についても、一体中小企業庁としてはどういうふうな態度をもつて臨もうとするのか、そこの点をあわせて御言明願いたい。
  58. 石井由太郎

    ○石井説明員 ただいま私の申し上げました中に、三〇%程度あるいは完全でない組合があるという点を御指摘になつたわけでありますが、従来中小企業協同組合法の体系といたしまして、企業組合の設立はいわゆる自由設立になつているわけであります。法定要件を備えれば当然設立し得る。地方庁あるいは行政官庁は別段取立ててすることができない組合になつているわけであります。この辺にも、企業組合の中に従来の姿と違うものが出て来た原因があるのじやないかと考えているのでありまして、将来の問題といたしまして協同組合法の体系について検討を加える、自由設立からあるいは認証なり指導なりの余地があるような方向に持つて行くように検討を加える、これが第一点の根本的な問題かと思うのであります。  第二は企業組合に対しましては、従来法人格の非常に明確でないものの指導につきましても、いわば一定所得税法取扱い上の内規というようなもので各種の紛争があつたわけでありますが、今回はこの法律ができますれば、これを基準といたしましてよりよく実質上の人格をつくり上げることが楽になるのではないか。第三条の二に書いてあるような実体がなければならぬというような指導が、いわば所得税法の施行についての啓発と一緒に行い得るということを考えているわけであります。  第三は企業組合につきましては、従来各地ばらばらでありましたが、連合会その他の組織が逐次整つつあります。こういう組織を通じまして、さらに企業組合の経理の基準をつくる、あるいは金融の裏づけをするというようなことにつきまして、実質的に企業組合それ自身が強くなつて参るように十分なる指導をして参りたいと思つております。府県庁が主として従来企業組合の指導に当つてつたのでありますけれども、府県におきましても、あるいは国税局管内におきましても、指導を加えましたところはそう税法上にも問題を起しておらぬのであります。財務当局あるいは税務当局、府県庁あるいはわれわれとの間で相当の連絡を遂げまして指導した地域については、税法上の問題も起つておらぬという事実から考えても、指導改善して参る余地が非常に多いことを考えておる次第でございます。
  59. 中崎敏

    中崎委員 この法案によりますと、元来自由であるべき企業組合が、むしろ税金の対象において、大蔵省の方の認可組合のような性格のものになつておる。言いかえると、この法律によつて、自由であるべき企業組合が、税金対象の関係においては、許可組合にならなければならぬというような結果になる。これは中小企業庁の元の法律の趣旨を著しく逸脱するものだと考えるが、振興部長はどう考えるか。
  60. 石井由太郎

    ○石井説明員 その点は、税法税法の精神がありまして、第三条の二に書いてありますような精神でいたしたい。従つて法人格そのものを云々するという問題ではないと考えたわけでございます。今回の改正法では、必ずしも企業組合だけを問題にしておるわけではないのでありまして、有限会社にいたしましても、株式会社にいたしましても、その他いかなる企業組織法上の体裁を備えておりましても、実質をとらえまして、第三条の二あるいは第六十七条の二というものを適用いたそうという趣旨でございまして、認可組合になるということにはならないと考えております。
  61. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 私からちよつと一言つけ加えさせていただきたいのでありますが、われわれは認可組合にするつもりは毛頭ございません。一応の推定はさせていただきますが、企業組合が、企業組合の実体を備えておる、少くとも企業組合である限りにおいては、協同組合の精神というものにのつとりまして、そこにやはり相当部分の利益、損失の共通性がなければならないのではないかと考えております。それがある退りにおきましては、当然それが企業組合の本質的なものであるという点を認めて、この規定を適用して行くべきじやないか。それで企業組合の問題につきましては、御承知のようにいろいろ議論がございます。国税庁のいわゆる九原則というものがございまして、いろいろ外形的な標準で、やれ着板が企業組合でなければならぬとか、個人じやいかぬとかいういろいろな事例が従来ございますが、ああいうようなものにつきましても、この機会を利用しましてはつきり検討し直してみたい。こういうふうに態度をはつきりさせることによりまして、ほんとうの意味の企業組合と、そうでない名前だけの企業組合とがはつきり区分され、ほんとうの意味の企業組合でなければ企業組合としてはだめだということに、皆さんが御理解願えれば、むしろ健全な企業組合として今後の発展が期待されるのではないか。われわれは決して無理なことを考えておりませんし、われわれがこれでもつて認可するとか何とかいう意味にこれを使う気は毛頭ございません。実体を備えておればもちろんけつこうであります。実体が備わつていない場合に、われわれとしてはそれを企業組合として取扱うことはできない、かように考えて参りたいと思います。
  62. 中崎敏

    中崎委員 企業組合をつくるような、いわゆる零細中小企業者になりますと、実際において税金の重さにたえかねて、特に末端においては、その所得が不当に高く評価される。天くだり的にというか、一方的に課税されるような場合が実際にはあり得る。そういうような重い税金にたえかねて、企業組合の中に、自己防衛というか、自己保存というか、そういうような考え方を持つて来ておる。従つてこれらの人たちが、能力に応じた適正な課税をしてくれというので、企業組合をつくつておるのです。しかしそれのみを持つて来ると、いろいろな弊害がある。そこで中小企業庁としては、そうしてできた組合については、一日も早くただ税金をのがれるための組合でないものに仕上げて行く、本来のそういう法人格の実体を持つた組合に仕上げて行く、そういう責任を持つから、こういう法律は出さないでくれということを要求して来るべきだと思う。それは中小企業者を育成して行くという熱意と同時に責任を持つものだと思う。そういう場合において、むしろこういうものはある期間留保してもらつて、実体においてはこういうことはできぬけれども——ほんとうの個人的な資格で、税金だけをのがれるような存在のものは、今大蔵省の方でも認めておられないと思う。だから、法人格を持つたこういうものは、一日も早く大蔵省の意見に合致するような線へ持つて行くから、どうかしばらくの間猶予してもらいたいとでもいう意見が、中小企業庁から出てよいと私は思う。それを、むしろ税金のお先棒をかつぐような形において終始考えておられる。健全な中小企業者の育成という現実だけを押えれば別でありますが、育成して行く熱意と責任に欠けておると思うが、その点について御意見を伺いたい。
  63. 石井由太郎

    ○石井説明員 私ども考え方としましては、決して企業組合の育成に熱意を失つておるわけではございません。この法律にも書いてありますようなことのあるのは、少くとも第三条の二の精神が貫かれていなければならぬのであるということの徹底が必要なのでありまして、第三条の二は、従来も理念としてありましたものを鮮明にした条文なのでございますから、こういう理念がにじみ出ますことの方が、企業組合をあるべき姿に指導いたしますためにもよろしいと考えておるわけでございます。ただ具体的に企業組合をどうして指導して行くのかということになりますれば、本法の精神と協同組合法の精神との間には一応相乖離するものがないわけでございますから、これをきつかけとして、従来の指導をさらに強化する方向に持つて参りたいと考えておる次第でございます。
  64. 中崎敏

    中崎委員 時間の関係がありますから、一応この辺で打切つて、問題を留保しておきます。
  65. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 加藤高藏君。
  66. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員 次の機会にいたします。
  67. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 坊君。
  68. 坊秀男

    ○坊委員 愛知政務次官に伺います。識見、政治力ともに大臣以上であると思いますので、その意味において愛知さんがお見えになつておりますので、伺いたいと思います。二十八年度の予算を見ますと、その特徴が二つあると思います。その第一は、総額が前古未曽有の一兆億になんなんとするということであります。その第二は、この一兆億の予算を編成するにあたりまして、三百億の公債を発行するというておられますが、これは長い間ドツジ・池田ラインで続いて参りました均衡予算に一つの突破口を開いたということにおいて非常に意義が深いものだろうと私は思います。そもそも予算を編成するにあたりまして、歳出に見合うべき歳入が不足であるというときには、これは公債を発行するらり、あるいは増税をするなりということになりますが、このたびの二十八年度の予算におきましては、歳入が足りないということではなかつたのであります。さればこそ一千億の減税ということが敢行されようとしておるのでありますが、かくのごとく一方におきまして減税を行い、一方において公債を発行するという手段に出られたことは——これにつきまして私はあえて非難をしようとするものではありません。個人の事業におきましても、会社の営業におきましても、片一方に貯金をし、片一方に借金をするというようなことがあり得ることは当然でございます。しかしながらこの二十八年度の予算を編成するにあたりましては、政府は与党の公約を実現するがために、減税の要請に迫られて一千億の減税をやつた。そのために片方におきましては、各省からの復活要求をまかなうべき財源が足りなくなつた。こういうことで三百億の公債を発行したということであつてみれば、これはまことに窮余の一策として、財源を公債に求めたということに相なるのでございますが、もしそうであるとすれば、政府はいやではあるが、しかたなしに禁断の木の実を食つたということに相なる次第であります。しかしながら私はさようには考えたくないのでございます。この三百億の公債こそ、今まで非常にきゆうくつでございました均衡予算に突破口を開いて、将来日本の再建のために非常に役に立つ財政の建直しの一歩を踏み出したものと私は考えたいのでございますが、もし前者の窮余の一策なりますれば、私はこの二十八年度の予算というものは、将来インフレにおそわれるというような導因をつくつたものとして、まことに国民の心胆を寒からしめるものがあると思います。後者であるとするならば、これは希望に燃えた予算である、私はかように考えるものでございますが、愛知大蔵政務次官は、そのいずれにお考えになつておりますか、その点について御所見を承りたいのでございます。
  69. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 端的に結論からお答えいたしますが、私は、窮余の一策での予算の編成でございませんで、将来に明るさを持たところの予算であつて、私どもは積極的にその気持で編成したものでございますことを、まず最初に申し上げておきたいと思います。  それからただいまお尋ねのありました中の問題にちよつと触れさしていただきたい思いますが、われわれといたしましては、いわゆる占領治下における行き過ぎの問題が、ほかの方面にも多々あると思うのでありますが、財政政策につきましても、われわれとしては、たとえば財政投融資というような関係で、民間の資本の蓄積されたものだけでは、十分にこの際使えないというような性質のものについては、財政資金を将来の経済自立の基礎づけのために使わなければならぬ、しかもこれは物が残り、かつ金としても回収が確実にやれるものである、そういう場合のものにおきましては、何も当年度の税金負担で裏打ちをする必要はないのであるということで、投資の関係におきましては特別会計をつくろう。またその財源については、この予算の執行伴うところのいろいろな金融情勢等を勘考いたしまして、三百億の特別減税国債と、それから二百二十億の国鉄、電電等の事業債につきましては、十分民間の消化が期待できるということで、こういうふうな編成をいたしたわけでございます。
  70. 坊秀男

    ○坊委員 愛知政務次官のお話を承りまして、まことに私も安心したのでございます。そこでこの一千億の減税と三百億の公債というものはお互いに相背反するような手を打つたことに相なりますが、この数字というものは、しからば窮余の一策であれば別といたしまして、希望に燃える予算であるということからいたしますならば、一千億の減税、三百億の公債発行というものは、医者のいわゆるトーテンクロイツと申しますか、公債の線と減税の線とを図表に描いてみまして、これがクロスしたというところの数字をとつて減税一千億であるとか、あるいは公債三百億であるとかいうようなきわめて不動な、動かすべからざるものとなるのであるかどうかということを承りたい。
  71. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 まず千億の減税の方でございますが、これについてはるる御説明を必要としないと思うのでありますが、考え方として、すでに補正予算案のときに、これに照応する税制の改正案として、御承知のように所得税の減税を実行いたしました。これを平年度化するということで、われわれの考え方としては、補正予算の当時からこれは特に低額の所得の軽減ということを念頭に置いてやつたのでありまして、千億の減税の中のほとんど八割五、六分までは、この平年度に引延ばしたということから出発しておるのであります。  それからこの千億と三百億との関係でございますが、私は二十八年度の予算としてはこれは不動のものである、これについては科学的に検討して、どれとどれとが数字的にぴつたり合う、トーテンクロイツというお話がありましたが、きつちりそこに符合するものがあつて、一文の微動もしないというような科学的な、そういう精微なものではないのでありますけれども、しかし財政の全体の需要の規模を、先ほど申しましたように二つにわけて、一方は一般会計として当年度の歳入で均衡財政をつくらなければならないという限においては、この減税をしても十分財政の需要は充足できる。一方において、先ほど申しました経済自立のために積極的な日本経済再建の基盤をつくるという方から申しますれば、どれくらいの財政需要があるかということを算定いたしまして、まずこの程度のものでその需要は充足できるということで計算したわけでございます。一方においておの予算案を執行いたしました場合に、これまた非常に正確な科学的な数字とは申し上げかねると思いますが、大体千百億ないし千五百億円の散布超過になるというふうな見当でございます。この散布超過になるそういう情勢を見て、この三百億の特別減税国債と、それから先ほど申しました二百二十億の事業債とは、日銀引受けにならずに、民間で消化し得る限度である。またその限度内であれば、これによつていわゆる悪性インフレを起す誘因にはならないというところから見たのでありますから、総合的に申しますれば、冒頭に申しましたように、これがどちらの方面から見ましても限界であり、またこれで必要にして十分なりというような結論に私はなると思うのであります。
  72. 坊秀男

    ○坊委員 私は愛知大蔵政務次官の御答弁を前提といたしまして、これから主税局長に対しまして財政についての質問を申し上げたいのでございますが、時間が大分たつておるようでありますから、次会に譲ることにいたします。
  73. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 本日はこの程度にいたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十一分散会