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1953-02-10 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年二月十日(火曜日) 午前十時四十九分
開議
出席委員
委員長
奧村又十郎
君
理事
淺香 忠雄君
理事
川野
芳滿
君
理事
内藤 友明君
理事
佐藤觀次郎
君
上塚
司君 大泉 寛三君
西村
茂生君
西村
直己君 三和 精一君
荒木萬壽夫
君 加藤 高藏君 吉田 正君 小川 豊明君
久保田鶴松
君 坊 秀男君
出席政府委員
大蔵政務次官
愛知
揆一君
大蔵事務官
(
主税局長
)
渡辺喜久造
君
委員外
の
出席者
大蔵事務官
(
主税局税制
第 二課長) 塩崎 潤君 専 門 員 椎木 文也君 専 門 員 黒田 久太君
—————————————
二月七日
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 四〇号)
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 四一号)
富裕税法
を廃止する
法律案
(
内閣提出
第四二 号)
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 四三号)
酒税法案
(
内閣提出
第四四号) 同日
戦没者遺族国庫債券
の
現金化
に関する
請願
(粟
山博
君
紹介
)(第一五七八号) 同(
山下春江
君
紹介
)(第一六六四号) 台湾における
外地資産
の補償に関する
請願
(關
谷勝利
君外一名
紹介
)(第一六〇九号) 同(
砂田重政
君外二名
紹介
)(第一六一〇号) 同(
山本正一
君
紹介
)(第一六一一号)
電気洗濯機
に対する
物品税軽減
に関する
請願
(
川野芳滿
君
紹介
)(第一六二七号)
酒税法
の一部
改正等
に関する
請願
(
清瀬一郎
君
紹介
)(第一六二八号)
建築用大理石
及びテラゾーに対する
物品税撤廃
の
請願
(
大村清一
君
紹介
)(第一六五九号)
蓄音機針
に対する
物品税撤廃
の
請願
(
早稻田柳
右エ門
君
紹介
)(第一六六〇号) の
審査
を本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した事件
公聴会開会承認要求
に関する件
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 四〇号)
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 四一号)
富裕税法
を廃止する
法律案
(
内閣提出
第四二 号)
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 四三号)
酒税法案
(
内閣提出
第四四号)
—————————————
奧村又十郎
1
○
奧村委員長
これより
会議
を開きます。
議案
の
審査
に入ります前に
ちよ
つとお諮りいたします。それは
公聴会開会承認要求
に関する件についてでありますが、去る七
日本委員会
に付託されました
税制改正
の五
法案
中、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
、
富裕税法
を廃止する
法律案
及び
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
の四
法案
につきましては、重要な
歳入法案
として
国会法
第五十一条により
公聴会
を開き、
審査
の慎重を期したいと存じますので、この際お諮りいたします。右四
法案
について
公聴会
を開くため、
議長
の
承認
を求めたいと存じますが、この点御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
奧村又十郎
2
○
奧村委員長
御
異議
ないようですから、さよう決定いたします。 それから
公聴会開会
について
議長
の
承認
がありました場合に、
公聴会開会
の
日時等
を決定の上
議長
のもとに
公聴会開会報告書
を提出することにな
つて
おりますが、それらの
手続
及び
新聞公告
、官報の告示、その他
公述人
の
選定等公聴会開会
の
手続
につきましては、その煩を避けるため、すべて
委員長
及び
理事
に御一任願いたいと存じますが、この点も御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
奧村又十郎
3
○
奧村委員長
御
異議
ないようでありますから、御
一任願つて
さようとりはからうことといたします。
—————————————
奧村又十郎
4
○
奧村委員長
これより
議案
の
審査
に入ります。 まず
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
、
富裕税法
を廃止する
法律案
、
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
酒税法案
、この五
法案
を
一括議題
として
政府当局
より
提案趣旨
の説明を聴取いたします。
愛知大蔵政務次官
。
愛知揆一
5
○
愛知政府委員
ただいま
議題
となりました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
外四
法律案
について、
提案
の
理由
を説明いたします。
政府
は、
国民
の
租税負担
を
軽減合理化
するため、
さき
に
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律
によ
つて
、本年一月から三月までの
給与所得
に対する
源泉徴収所得税
の
軽減等
を
行つたの
でありますが、今回、この
措置
を平常化するほか、さらに
国民生活
の安定と
資本蓄積
の
促進
に資する等のため、
所得税
、
法人税
、
相続税
及び
酒税
その他について、
軽減合理化
の
措置
を講ずることといたしているのでありまして、さしあたりここに
関係
五
法律案
を提出した次第であります。 第一に、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
についてその
大要
を申し上げます。
所得税
におきましては、まず、
さき
に
臨時特例法
によ
つて
実施いたしました
控除
及び
税率
の
改正
を平常化することといたしております。すなわち、
基礎控除額
を五万円から六万円に、
扶養控除額
を
最初
の一人について二万円から三万五千円に、
給与所得
についての
控除
の
限度額
を三万円から四万五千円に、それぞれ
引上げ
るとともに、
社会保険料
を
所得
から
控除
することとし、また
税率
については、
最低税率
を二〇%から一五%に
引下げ
ております。なお、今回
富裕税
を廃止することに伴い、新たに
課税所得金額
のうち、三百万円を越える
部分
について六〇%、五百万円を越える
部分
について六五%の
税率
を設けることといたしております。 次に、
資本蓄積
の
促進
に資するために、
有価証券
の
譲渡所得
に対する
課税
を廃止し、また、
生命保険料
の
控除限度額
を四千円から八千円に
引上げ
ることといたしております。 さらに、
医療費控除
については、現在
医療費
が
所得金額
の一〇%を越える場合に、その越える
部分
について十万円を
限度
として
控除
しているのでありますが、これを
所得金額
の五%を越える場合に、その越える
部分
について十五万円を
限度
として
控除
することといたしております。また、
退職所得
についての
控除額
も、十五万円から二十万円に
引上げ
ることとしているのであります。 次に、
青色申告者
について認められている
専従者控除
の
限度額
を五万円から六万円に
引上げ
るとともに、
専従者
となる者の
範囲
を十八歳以上の者から十五歳以上の者に拡張することといたしております。 さらに、
山林所得
、
不動産等
の
譲渡所得
及び一時
所得
については、その
負担
の
軽減
と
課税
の
簡素化
をはかることといたしております。すなわち、
山林所得
については、十五万円を
控除
し、五分五乗の方式によ
つて他
の
所得
と合算して
課税
することとし、また、
不動産等
の
譲渡所得
及び一時
所得
については、その
合計額
から十五万円を
控除
した後の半額を他の
所得
と合算して
課税
することとしております。 これらの
措置
により、
所得税
の
負担
は相当
軽減
されるのでありまして、特に
低額所得者
につきましては、かなり顕著な
軽減
となるのであります。 なお、この
機会
において
課税
の
簡素化
と
適正化
をはかるため若干の
措置
を講ずることといたしております。 第二に、
富裕税法
を廃止する
法律案
について申し上げます。
富裕税
は、その施行の
状況等
にかんがみ、
負担
の調整と
税制
の
簡素化
をはかるため、
昭和
二十八年分から、廃止することといたしております。 第三に、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
について申し上げます。
法人税
につきましては、
資本蓄積
の
促進
に資するため、
企業合理化促進法
及び
租税特別措置法
による
特別償却
の
適用範囲
の拡張及び
価格変動準備金制度
の改善、貸
倒準備金
の
限度引上げ等
の
措置
を講ずるとともに、貿易の振興に資する等のため、
輸出契約取消準備金制度
の新設及び
海外支店設置
の
特別償却
を認めることとしておりますが、これらの
措置
は近く
提案
を予定いたしております
租税特別措置法
の
改正案
により、または
関係政令
の
改正
によ
つて
実施することを考慮しております。 しかして、
法人税法
の
改正案
におきましては、個人の
有価証券
に対する
譲渡所得課税
の廃止に伴い、
法人
の
解散等
の場合における
剰余金
に対する
課税
をか
つて
行
つて
いたように
法人
の
清算所得課税
によ
つて
行うこととし、また、
法人
の支出した
交際費
、
接待費等
が一定の
限度
を越えるときは、その越える額の二分の一は損金に算入しないことといたしております。さらに、
外国
で生じた
所得
に
法人税
を
課税
する場合には、
法人税額
からその
所得
に課せられた
外国
の
税額
を
控除
することとして国際二重
課税
の防止をはかるほか、
課税
の
避雷簡素化
のため所要の
改正
を行うことといたしております。 第四に、
相続税法
の一部を
改正
する
法律案
について申し上げます。 現在、
相続税
は、
相続
、
遺贈
または
贈与
によ
つて
取得した
財産
について
取得者
の一生を通じて累積
課税
いたしているのでありますが、今回、実行上の
難点等
を考慮して、これを
相続税
と
贈与税
とにわけて
課税
し、
負担
の一層の
軽減合理化
をはかることとしているのであります。すなわち、
相続税
は、
相続
及び
包括遺贈
によ
つて
取得した
財産
について、その都度
課税
し、
贈与税
は、
贈与
及び
特定遺贈
によ
つて
取得した
財産
について、一年間分を合算して
課税
することといたしております。 次に、
基礎控除額
は、
相続税
については、従来の三十万円を五十万円に
引上げ
、
贈与税
については、十万円を
控除
することとし、また、
死亡保険金
及び
退職金
についての
控除額
は、それぞれ二十万円から三十万円に
引上げ
ております。 さらに、
税率
につきましては、
相続税
にあ
つて
は、
最高税率
の七〇%はすえ置いておりますが、
課税価格
三千万円以下の
税率
をそれぞれ五%
程度
ずつ
引下げ
て
負担
の
軽減
をはかることとし、また、
贈与税
にあ
つて
は、
負担
の権衡を考慮して
相続税
の
税率
より若干高めとし、おおむね
現行税率
と同
程度
といたしております。 以上のほか、
相続税
の納付を容易にするため、延納の
条件
を緩和する等の
措置
を講じております。 最後に
酒税法案
について申し上げます。
酒税
につきましては、今回
税率
を
引下げ
るとともに、この
機会
において
酒税法
の全文を
改正
し、最近の事態に即応せしめることといたしました。
酒税
の
税率
については、
さき
に
昭和
二十五年末に
軽減措置
をとられたのでありますが、なお相当高率であり、
酒類密造
の弊害も著しいので、今回、特に
大衆的酒類
に重点を置いて、二割ないし三割
程度
引下げ
ることといたしております。これにより
自由販売酒
の
小売価格
は、たとえば清酒第二級では、一升五百二十五円が四百四十五円
程度
に、しようちゆうは、同じく三百八十円が三百円
程度
になる見込みであります。また、現在の
基本税
と
加算税
の
制度
は、
酒類
の大
部分
が
自由販売酒
で、かつ
税率
も相当
引下げ
られる後においては、その意義が少くなると認められるので、これを一本の
税率
に統合することといたしておりますが、
指定販売業者
及び
配給酒
の
制度
は、なお向う一年間存置することといたしております。 なお、
酒税法
の
改正
は、取引の実態にかんがみ、来る三月一日から施行したいと考えております。 以上五
法律案
の
大要
を申し上げた次第でありますが、
昭和
二十八年度の
租税
及び
印紙収入
の
総額
は、七千八十億四千九百万円でありまして今回の
税制改正
による
減収額
は、
総額
千九億五千八百万円であります。このうち
所得税
の
減収額
は、
特別減税国債
の
購入
による
減収額
二十五億円を含めて、
総額
九百三十一億円、
富裕税
の
減収額
は約十九億円、
法人税
の
減収額
は
特別減税国債
の
購入
による
減収額
四十二億円を含めて約百二十九億円、
相続税
の
減収前額
は約十億円とな
つて
おります。なお
酒税
につきましては、今回の
税率引下げ
は相当大幅でありますが、この
引下げ
後の
収入
は、
密造酒類
を駆逐すること等により、おおむね
現行税率
による場合と
同額程度
の
収入
を確保し得ると見込んでおります。 何とぞ御
審議
の上、すみやかに賛成せられるよう切望する次第であります。
佐藤觀次郎
6
○
佐藤
(觀)
委員
改正法
の
新旧対照表
を配付していただきたいと思います。その
資料
が出ませんと、
提案理由
ではわかりませんので、ぜひ早く提出して いただきたいと思います。
奧村又十郎
7
○
奧村委員長
政府
の方ではいつ、ごろ出される御予定ですか。
改正法
の
新旧対照表
が出ないととうてい
審議
が進められませんので、これは特に急いでもらわなければなりません。
川野芳滿
8
○
川野委員
この際
資料
を要求しておきたいと存じまするが、実は
昭和
二十七年の一月から十二月までが必要なんですが、実際その
資料
が得られなかつた場合は、得られるまでの月でけつこうであります。
密造酒
の
取締り
のための
経費
の
全国配分表
、すなわち各
税務署ごと
に配分された
金額
、
月日
、並びに
国税局
が
使つた
総
金額
と
月日
、並びに
国税庁
の使われた
金額
、
国税庁
と
国税局
と
税務署
、この区分をはつきりしていただきたいと思います。さらに
違反件数
とその
処罰件数
、
税務署
が
違反
として検挙いたしました数と
処罰件数
、あるいは
検事局等
において処罰された
件数
であります。それから
酒造家
の
違反件数
、さらに
甲機関
と
乙機関
の数、それから
免許条件
、これは
酒造家
の
免許条件
、
卸機関
の
免許条件
、
小売機関
の
免許条件
、以上の
資料
を御配付願いたいと思います。
渡辺喜久造
9
○
渡辺
(喜)
政府委員
ちよ
つとお伺いしますが、
最初
の
密造
の
件数
と申しますのは、
検挙件数
と了解してよろしゆうございましようか。
川野芳滿
10
○
川野委員
検挙件数
と
違反件数
です。
渡辺喜久造
11
○
渡辺
(喜)
政府委員
あとでおつしやいました
税務署
、
国税局
、
国税庁
というのは、
密造
に
使つた経費
の分類じやないかと思いますが、それでよろしゆうございますか。
川野芳滿
12
○
川野委員
密造酒
の
取締り
の
経費
の中から、
国税庁
が
旅費等
にお使いになるだろうと思いますが、その
国税庁
の使われた総
金額
、さらに
全国
の
国税局ごと
に使われた
金額
、さらに各
税務署
の使われた
金額
であります。これは先般の
臨時国会
に
資料
を要求しておきましたのでもうできておると存じますが、一向に御配付がないので、重ねてお願いした次第であります。
渡辺喜久造
13
○
渡辺
(喜)
政府委員
要するに
密造酒取締り経費
の使い方を知りたい、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
川野芳滿
14
○
川野委員
そうです。
渡辺喜久造
15
○
渡辺
(喜)
政府委員
かしこまりました。
奧村又十郎
16
○
奧村委員長
委員長
から申し上げておきますが、
酒税
の保全及び
酒類業組合等
に関する
法律案要綱
の内容をなるべく早く御提出願います。 ほかに御発言がなければ、本日はこれをも
つて
散会いたします。 午前十一時八分散会