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1953-02-07 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月七日(土曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       小山 長規君    島村 一郎君       中田 政美君    西村 茂生君       西村 直己君    宮幡  靖君       三和 精一君    小川 半次君       加藤 高藏君    笹山茂太郎君       中崎  敏君    小川 豊明君       坊  秀男君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 向井 忠晴君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (主税局長)  渡辺喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房文書         課長)     村上  一君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 二月三日  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律案内閣提出第三  八号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三九号) 同月二日  酒税引下げに関する請願田中伊三次君紹介)  (第一四六二号)  煙火類に対する物品税撤廃請願木下郁君紹  介)(第一四六六号)  同(白石正明紹介)(第一四八〇号)  同(山下春江紹介)(第一五二二号)  揮発油税軽減に関する請願竹山祐太郎君紹  介)(第一四七五号)  同(平野三郎紹介)(第一四七六号)  同(大野伴睦紹介)(第一四七七号)  同(灘尾弘吉君外一名紹介)(第一五二四号)  同(平澤長吉紹介)(第一五六一号)  同(福永健司紹介)(第一五六二号)  同(大石武一紹介)(第一五六三号)  漆器類に対する物品税撤廃請願(小金義照君  紹介)(第一四七九号)  果実エツセンスに対する物品税撤廃請願(船  田中紹介)(第一五二三号)  小型乗用自動車に対する物品税撤廃請願(本  間俊一紹介)(第一五二五号)  戦没者遺族国庫債券現金化に関する請願(松  井政吉紹介)(第一五三八号)  軍艦陸奥の払下げに関する請願西村茂生君紹  介)(第一五六〇号) の審査を本委員会に付託された。 同月二日  物品税撤廃に関する陳情書  (第九二六号)  揮発油税収入道路整備事業費に充当の陳情書  (第九  二七号)  税制改正に関する陳情書  (第九二八号)  揮発油税軽減に関する陳情書  (第九  二九号) 同月六日  外国技術使用料に関する課税実施延期陳情書  (第一〇二  九号)  有価証券移転税法案に関する陳情書  (第一〇三〇号)  延滞税廃止に関する陳情書  (第一〇  三一号)  葉たばこ収納代金引上げ並びに乾燥室の助成に  関する陳情書  (第一〇三二号)  揮発油税軽減に関する陳情書  (第一〇三三号)  農業協同組合に対する課税全廃に関する陳情書  (第一〇三五号)  農業協同組合法人税軽減等に関する陳情書  (第一〇三六  号)  農業所得税課税対策に関する陳情書  (第一〇三  七号)     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三六号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第三七号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律案内閣提出第三  八号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三九号)  税制及び金融制度に関する件  提出予定法案に関する説明聴取     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 これより会議を開きます。  去る三日、本委員会に付託されました国有林野卑業特別会計法の一部を改正する法律案開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の四法案一括議題として、まず政府当局より提案趣旨説明を聴取いたします。愛知大蔵政務次官。     —————————————
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農林省の林野庁におきましては、従来政府直轄民有林野治山事業一般会計に所属する職員行つて参つたのでありますが、この民有林野治山事業は、国有林野における治山事業とその性質においても、また労務、技術の面においても共通いたしますので、この際、両者をあわせて国有林野事業として行わせることとするとともに、政府面轄民有林野治山事業及びその附帯業務に従事する職員についての給与その他の経費の財源は、一般会計から繰入金をすることができることとしようとするものであります。  なお、従来国有林野事業附帯業務として行つてきた公有林野宮造林地の管理及び経営の事業をも国有林野事業とすることを明定する等の措置を講じようとするものであります。  次に開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  開拓者資金融通法による農地の開拓者に対する資金貸付に関する歳入歳出につきましては、開拓者資金融通特別会計を設けて経理いたしており、同特別会計法におきましては、開拓者に対する貸付金財源は、同会計の負担による公債の発行又は借入金によつて調達することとなつておりますが、従来この貸付金財源は、一般会計からの繰入金をもつて充てることとする措置が講じられてきたのであります。  昭和二十八年度におきましても前年度と同様、開拓者に対する貸付金財源に充てるため、一般会計からこの会計に十七億二千五百万円余の繰入をしようとするものであります。  なお、この繰入金は、将来貸付金がこの会計に償還された際に、繰入額に相当する金額に達するまで、予算の定めるところにより、この会計から一般会計へ繰りもどすことといたしております。  次に漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補填するための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  漁船損害補償法規定により拿捕、抑留等事故保険事故とする特殊保険につきましては、昭和二十七年度において保険事故が異常に発生いたしましたため、漁船保険特別会計特殊保険勘定における再保険金支払いが著しく増加し、その支払い財源に約五千万円の不足が生じたのであります。この不足金は、その事故性質にかんがみまして、一般会計からの繰入金をもつて補填することが適当であると考えられるのであります。  最後に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月に設立せられまして以来、その融資活動によつてプラント輸出を中心とする貿易振興に努めて参つたのでありますが、最近における貿易の状況及び同行業務運営経験等に顧みて、同行の機能の拡充をはかることが適当であると認められますので、今回日本輸出入銀行法の一部を改正し、日本輸出入銀行業務範囲を拡張するとともに、その融資条件等に改善を加えることといたしたいと存じます。  次に今回の改正の要点を申し上げます。  まず第一に、海外投資のための資金供給及び海外において生産事業を営むための設備資金供給融資対象に加えたことであります。輸出振興をはかり、海外市場を確保するためには、国内産業海外市場との資本のつながりを緊密にすることがきわめて有効な方法であることは、申すまでもないところであります。しかしてこれがための資金は、その回収に長期間を要することが通例でありますので、その融資期間は一年以上十年以内とし、やむを得ない特別の事情があるときは十五年まで認め得ることといたしました。  第二に、輸出金融対象設備輸出に関する入札保証金融資にも広げることといたしました。設備輸出契約国際入札の場合における入札保証金は、金額においても、その期間においても、市中金融対象に取上げられがたいことが多く、かねて各方面からこの点について強い要望があつたものであります。  第三に、輸入金融について加えられていた条件を若干緩和すること、現在最長五年に制限している融資期限を七年まで延長すること、市中銀行との協調融資方法によるべき建前に対し単独でも融資し得る例外を認めること、業務を行うに必要な範囲内に限つて外国為替業務を営み得ること等の改正を加えるとともに、日本輸出入銀行設立後五年を経過した後は、新規融資行つてはならぬ旨の制限を除くことといたしました。  以上がこの四法律案提案いたしました理由であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。     —————————————
  4. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 次に、今後本委員会に付託されます法案の数が相当多数に上ることが予想されますので、委員会審査を円滑、適正ならしめるため、この際政府当局より、これら提出予定法案についてその構想及び概略の説明を聴取いたしておきたいと存じます。文書課長村上一君。
  5. 村上一

    村上説明員 委員長からお話がございました通り、今後提出予定しております法律案の数は、目下検討中でございますので、多少増減があるかと存じますが、約六十件近くに上るかと存じます。そのうちすでに国会に提出済みのものは四件でございまして、ただいま提案理由の御説明をいたしました四法律案でございます。引続きまして本日提出可能と考えております法律案が五件ございます。二十六番、所得税法の一部を改正する法律案、二十七番、法人税法の一部を改正する法律案、二十八番、相続税法の一部を改正する法律案、二十九番、富裕税法廃止する法律案、それから飛びまして三十二番、酒税法案、この五件はいずれも税法でございますが、本日多分提出可能と存じております。その他になお残りが相当あるわけでございますが、目下立案を急いでおります。相当件数が多いために、内閣の方でも、各省を通じまして緊急の度を勘案いたしまして、相当時間的に遅れるものについては、あるいは場合によつては急がないものについては、提出を見合すというような整理をいたされております。それに従いまとて、大蔵省関係法律案も、ただいまお手元に差上げてあります件名一覧表に載つておりますものが相当移動が起ると考えております。従いましてこのお手元に差上げましたものは先月の末につくりましたものでございますが、すでにそういう移動を生じつつありますので、これを至急内閣の方とも相談いたしまして整理し、あらためてお手元に差上げたいと存じまして目下作成中でございます。  そこでこの件名表につきましてずつと御説明するのも便宜かと存じますが、ただいま申し上げましたように相当移動を生ずる見込みでございますので、このうちに予定しておりますもののうちの比較的内容が重要と思われるものにつきまして、お手元要綱を差上げてあると思います。本日配付したはずでございます。産業投資特別会計法案とか、特別減税国債法案というのは、簡単な要綱を差上げてあると存じますが、それにつきまして、ごく簡単な御説明をこれから加えさせていただきたいと存じます。  なお税法は、御承知のように今回の法律案のうち件名がたしか十五、六件にわたり、内容相当広汎なものでございますから、これにつきましては、別に主税当局からやや詳細な御説明をいたすつもりでございます。その他件名としてこの件名表に載つておりますうち、たとえば六番から二十三番、二十四番、二十五番、ここらあたりは約二十件ぐらいに上りますが、それは御承知通り予算に伴います繰入れの関係でございますとかいつたような事項規定しております法律案でございますので、特にそう内容に複雑な要素を含んでおりませんし、この際ずつとその辺の説明は省略させていただいたらどうかと存じます。  そこでお手元にございます本日配付しました要綱案をごらんいただきたいと思います。まずそのうち特別減税国債法案要綱というのがございます。これは大体事柄を御承知かと存じまして、ごく簡単に書いたのでございますが、一、二十八年度歳出財源に充てるため、三百億円を限り特別減税国債発行することができる。これは御承知通りでございます。  二は、減税限度でございますが、個人につきましては、購入した国債額面額の四分の一、百分の二十五に相当する金額所得税額軽減するわけであります。これは所得ではありませんで、税額軽減するわけでございます。但し括弧の中にございますが、無制限ではございませんので、所得税額の二割を最高限度として、購入した額面額の四分の一を減税する、かような構想であります。  三のところは、手続規定でございますので、いずれ法案につきまして御審議願うことといたしまして、説明を省略いたします。  四は法人の場合でございますが、この方は税額について規定いたしませんで、所得について計算いたしております。購入いたしました減税国債の半額に対する所得についての法人税軽減するということになります。但し括弧の中に免税限度がありまして、所得の四割を限度とするというふうに書いてございますが、税額に換算いたしますと、免税率購入額の半分につきまして、四二%の法人税を設けておるわけでございますから、二一%ということになります。それから括弧の中は、個人の場合と同じように、税額については二割という計算になります。  五は、個人の場合と同様に提出手続規定でございます。二十八年度の予算歳入にどれだけ見込んでおりますかということは、これも御承知でございますが、総額三百億円を、個人が一応百億購入するものとする、法人が二百億講入するものとする、かような予定を立てまして、個人については、税額といたしましては二五%の軽減になりますので、二十五億、法人につきましては二一%の軽減になりますので四十二億、合せまして六十七億の減税ということで、歳入を調整して計上してございます。取扱い機関目下検討中でございますが、日本銀行の本支店、それから歳入国債等代理店、これは一般市中銀行になりますが、その代理店等は、大体において全部取扱うことにいたしたいと考えております。証券業者が取扱うことにいたしますかどうか、この点は目下検討中でございます。  以上で特別減税国債法案を終ります。  次に、これも税に関連いたしますが、第三次資産評価実施に関する要綱というのが配付してございます。第一次再評価は、御承知通り昭和二十五年一月一日を基準日といたしまして、同年の八月末までの間において行いましたわけでございます。その実績は、これは推定を含んでおりますが、大体法人が六千二百億、個人が三百億程度資産評価による資産評価増が行われたわけでございます。それから第二次、これは二十六年一月一日を基準日といたしまして、同年九月末までの間に行いましたものでございますが、その実績は、これも推定が入りますが、法人が約千億、個人はやや不正確でございますが、百億見当かと存じます。以上合せまして約八千億に近い再評価がすでに行われておるわけでございますが、この際二十八年の一月一日を基準日といたしまして、第三次の資産評価を行うことにいたしたいというのが骨子でございます。今申し上げました再評価数字は、推定を含みます。ほかに個人がその家屋を売りましたとかいう場合に、いわゆるみなし再評価として税をとられる場合があるわけでございますが、これは資料が整いませんから、含んでおりません。御了承いただきたいと思います。今申し上げましたことは第二の要領の一。  それから次に、第二に入りますが、再評価日は今回は相当期間を長くいたしまして、今後基準日以後二年間ということにいたしたいと考えております。  括孤いたしまして、二、再評価の申告、これは手続規定でありますが、事業年度が済んでから申告するという建前に多少時期を修正してございまして、従来の場合と多少かえております。  それから三、再評価の仕方、これも前二回やりました場合と同様でございます。  それから四、再評価範囲、これも前回と同様でございます。  五、再評価限度額、これは法律をもつて法定いたしたいと考えておりますが、その率につきましては、目下検討中でございます。前回の再評価は、原則として二十五年一月一日を基準日としておりますので、今回は一番新しいところをとるわけでございますが、二十七年の後半期くらいの数字を押えることになると思います。それと、それぞれの資産の取得時の価格との差額が再評価で出て参る、かようになるわけでございます。その点は目下検討いたしております。  それから六の再評価税、税率は六%で、これは第一回からずつと同様でございます。  七、再評価積立金資本組入れ、これも前回同様にいたしたいと存じます。この措置によりまして、将来再評価がさらに行われるかどうかということはちよつと見当がつきかねますが、広範囲に行われるならば、約一兆円くらいに上るのではなかろうか、しかし実際にどれだけ行われるか、これはちよつと推定がつきかねます。そこで今回の再評価を行います期間は二年間というように相当長くいたしました。従来の規定によりますと、その期間の終りごろに至りまして、どつと再評価が行われるというのが実情でございますので、二十八年度の歳入につきましては、とりあえず約千億円程度の再評価が行われるという推定を立てまして、歳入を計上しております。  次に産業投資特別会計法案要綱について申し上げます。これもお手元に差上げてございます。その一は、これは御承知通りでございまして、特に御説明の問題はないと存じます。  二は、この会計資本額規定いたします。ものでございますが、この会計においては、見返資金特別会計廃止の際における資産価格、これは約二千二百六十九億に上つております。及び昭和二十七年度末における一般会計からの見返り資金に対する出資合計額、そのあとの方が輸銀、開銀合せまして千百八十七億二千万円という数字上つております。従いましてその両者合計額三千四百億ばかりの資本ということになるわけでございます。  それから三は、特別会計を新設するわけでございますので、それぞれの特別会計歳入事項歳出事項規定しておるのでございます。今申し上げました引継ぎの資本のほかに、御承知特別減税国債発行による収入金三百億をこの会計収入に入れまして、歳出面におきまして運用をやつておるわけでございます。  四は、特別会計提出手続及び手続関係の例文を設けた、かような趣旨でございます。  それから信用保証協会法案要綱というのをお手元にきよう配付いたしました。これも大分前からの話でございまして、事柄はよく御存じかと思います。  一の目的、現在信用保証協会は民法に基く公益法人という形で存在しておるわけでございまして、全国で五十一に上つております。これの基礎を強化し、またある程度組織、監督そういつた面を整備いたしたいというのが、この立法の趣旨でございます。  二以下にその概要が書いてございますが、本法による法人とする。それから資本金最低限度、これも規定いたしたいと考えております。  それから業務その他、これは大体やつております現状そのままを、法律でもつて規定するわけであります。  右の方へ参りまして、六の監督主務大臣大蔵、通産両大臣設立については認可主義。それから権限の一部を委任するということが書いてございますが、これは届出あるいは営業所の設置とか、場合によりますと検査の場合も、そういつた地方公共団体の長に委任するというようなことも考えております。  七の税法上の取扱い、これは所得税法人税免税関係でございますが、免税にいたしたいと考えております。その他経過的な問題としまして、最後に現在の社団法人あるいは財団法人が、本法に基く法人に移りかわるわけでありまして、若干の経過規定が必要かと思います。  大体事柄は前からの話でございまして、よく御承知かと思いますので、その程度にいたしておきます。  それから中小企業金融公庫法案要綱でございます。これもいろいろ問題がありまして、二十八年度の予算では、一般会計に三十五億の出資金を計上しております。それからそのほかに、これは二十七年度の補正予算で、商工中金に対する一般会計からの貸付金としまして、二十億計上いたしました。三の出資金のところに書いてございますが、公庫資本金は、一般会計からの五十五億、この五十五億といいますのは、今申し上げました三十五億と二十億、合せましてこれを一般会計からの出資金ということにいたすわけでございます。それから見返資金特別会計から出資があつたものとされる金額というのは、ちよつとごたごたしておりますが、これは見返り資金として中小貸付を別わくでやつてつたわけでございます。これが約三十二億円くらいに上つてつたかと思いますが、これは開発銀行が昨年の十月に発足いたしますときに、貸付がそのまま開銀に引継がれたわけでございます。さらにまたその貸付開銀から公庫に引継ぐということにしたいと考えております。この金額はその後回収がありましたので、多少動いております。また今後動くかと思いますが、三十億に近い数字に上るかと思います。ほかにこの公庫の金繰りとしましては、出資金ではございませんが、預金部から五十億円の借入れを予定しております。  その他特にかわつたところはございませんが、業務は、一千万円までの貸出しを目安にしたいと考えております。それから中小企業者範囲、これは出資金一千万円、従業員三百人というところで押えたいと存じます。  六の業務の委託、金融機関に対して委託すると書いてございますが、これはたとえば商中、あるいは普通銀行相互銀行、それから信用金庫というようなものに、業務の一部を委託いたしたいという考えでございます。  七の会計、これは政府機関予算、決算ということで、特にかわつたことはございません。  借入金監督、これも既存のものに準じたのでございます。  それから経過措置、これはさつき申し上げた通りでございますが、開銀見返りから引継いだ中小企業者等に対する貸付にかかる債権、債務、これはこの公庫に引継ぐ。そのあとに並びに同行のと申しますのは、その後開銀自体が今日までに行つている分がございますので、それも中小企業貸付については、公庁が承継することにいたしたいと思います。この数字はちよつとはつきりいたしませんが、約十億見当かと考えております。  それから証券取引法の一部を改正する法律案要網、これは少しごたごた細かく書き過ぎましたので、かえつてわかりにくいようなかつこうになりましたが、第一というところには、いろいろな届出事務がたくさん規定してあるわけでございますが、要するにこれをできるだけ簡素化いたしたいという趣旨で、その内容を内訳として、一から十までいろいろ書いてございますが、たとえば第一の二のところをごらんいただきますと、現行法によりますと、募集または売出しの券面額または発行価額の総額が、そこに五千万円となつておりますが、現行法では一千万円になつております。こういつたところも相当大幅に引上げて、できるだけ簡素化して参りたいというような趣旨で、各事項について検討をしているわけであります。  それから第二は、証券業者の登録要件を強化するほか、監督規定の整備をはかること。これは最近証券業者の中で、ちよちよ資産が不良であるとか、あるいは経営の内容がどうも穏当でないというものも見受けますので、多少その点を勘案いたしまして、規定の整備を考えているわけでございます。たとえばそこの一にございますが、登録拒否原因ということを、はつきりそこに規定いたしたいと考えております。またその二におきまして、取消し原因として、そういうものを追加するというような規定を考えております。  それから第三、これは例の信用供与の問題でございますが、今度の書き方はつまり金を預託する方の割合を三割というふうに規定いたしたいと思つております。逆に申しますと、信用供与が七割ということでございます。これに対応する現行法は、信用供与を百分の五十五というふうに規定しております。従つてそれを相当引上げるという趣旨でございます。  その他は特に重要な事項はございません。現在取引所の定款その他で規定されておりますことを、あるいは法律に移しましたり、その他若干の整備をはかつておるわけであります。  それから証券投資信託法の一部を改正する法律案要綱というのがございます。これもそう重要な改正事項は含んでおりません。但し証券投資信託の数も、認可しました金額もすでに五百億を越えております。解約等もございますが、残額につきましても、ほぼ五百億に近いような実情でございますので、多少内容の整備、監督規定の整備等をはかつております。  たとえば一といたしまして、その委託者となろうとする会社は免許を受けなければならぬというような規定を置きたい。  二も同様の趣旨に出たものでございます。  それから三、これは一般の大衆の利益保護の面からいたしましても、業務廃止というような場合には、承認制にいたしたいと考えておるわけでございます。  それから四につきましても、大衆に迷惑をかけることを防止するという意味で、監督規定の整備をうたつたものであります。  五は、免許の取消しを受けたような場合に、契約者に迷惑をかけることはいかがかということを考慮いたしまして、経過的に残務整理の期間は、事業を継続できるというような規定を置いたわけでございます。通じまして、相当金額もふえて参りましたので、この際契約者の利益保護というような見地からも、監督規定の整備をはかりたいというのが骨子であります。  以上本日お配りしました要綱につきまして、ごく簡単な御説明をいたしたわけでありますが、全体の法律案の御説明なり、またこういうものがいつごろ出て来るかというような見込みにつきましては、最初に申し上げましたように、今お手元にあります件名表を至急最新版に画しましてお配りして、御説明をするということにさせていただきたいと思います。
  6. 奧村又十郎

  7. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 私今度主税局長に任命されました渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  簡単に今度提案されます税制改正関係要綱について御説明申し上げたいと思います。  今度考えられております税制改正につきましては、お手元税制改正要綱というのを差上げてございますが、大体の本筋的なねらいといたしましては、休会前の国会において御審議を願いました臨時特例法を平年度化するということによつての租税負担軽減が、今度一番大きな筋でございます。そのほかの部分といたしましては、相続税の負担軽減、それから酒税の税率引下げ等を行いますとともに、その他租税負担の調整、課税の簡素化、資本蓄積のための各種の措置行つて行きたいということを考えております。  関係法律案といたしましては、本日所得税法法人税法相続税法のそれぞれ一部を改正する法律案、それから富裕税法廃止する法律案、酒税法改正法律案、この五つが提案されます。所得税につきましては、まず第一が臨時特例法の平常化の問題でございますが、これはたとえば基礎控除五万円を六万円に引上げる、それから扶養控除の最初の一人につきまして、現在二万円でありますのを三万五千円に引上げる、それから勤労控除につきまして、現在三万円になつております最高限度額を四万五千円に引上げる、それから社会保険料を控除する、百分の十五の税率をつくる、これらはいずれも特例法の措置そのままでございます。ただ税率につきまして、三百万円超の金額に対して百分の六十、五百万円超の金額について百分の六十五の税率を設けることを提案しておりますが、これは富裕税法廃止というものとうらはらに考えております。なおこの税率引上げによります分は、大体八億くらいの増収を見込んでおります。以上が特例法の平常化でありますが、その他幾つかの措置を行おうと思つております。  その第一は、生命保険料の控除が現行四千円になつておりますのを八千円に引上げよう、それから医療費の控除は、現在所得の百分の十を越える場合につきまして、その越える金額につきまして十万円を限度に控除しておりますが、今度その範囲を広げまして、医療費が所得の百分の五を越える場合におきましては医療費控除を認め、同時に控除限度額を十五万円にするということを考えております。  それからその次、青色申告者につきまして、われわれ専従者控除と呼んでおりますが、納税義務者の親族等でその事業に従事しております方につきまして、特別の控除をしており、現在は基礎控除に合せまして五万円控除しておりますが、今度基礎控除額が六万円に上りますので、同じように六万円に上げようということを考えております。なお現在はその親族の範囲を高等学校卒業者以上の人を対象に考えまして、十八歳以上となつておりますが、今度中学卒業者以上の人を考えまして、十五歳以上に引上げたい。それから退職所得につきましては、現益十五万円を控除しまして、他の所得とは別に、半額にして税率を適用して課税しておりますが、今度この控除額を二十万円に引上げよう。半額にして、他の所得とは別に税額を計算して行くことは、現行通りであります。  それから有価証券譲渡所得に対する所得につきましては、いろいろな議論がございますが、証券民主化を促進する見地から、この際廃止しようというのであります。  それから山林所得、不動産の譲渡所得でありますが、山林所得は、現在はシヤウプ勧告によりまして変動所得の中に入つておりますが、相当むずかしい計算方法で課税して行くことになつております。執行官庁の方から見ましても、ことに納税者の方から見ましても、非常にいろいろ手数がかかりますので、簡略化いたしまして、まず第一には、これをわれわれ五分五乗と呼んでおりますが、五分五乗の制度に改めたい。五分五薬の制度と申しますのは、山林所得金額がたとえば百万円ございますと、これを五分した二十万円を他の所得金額と合算しまして税額を出します。残りの五分の四につきましては、今出しました税額所得の割合、その平均税率を適用しまして、そしてその五分の四に対する分の税額を取出しまして、この両者を合算したところで、山林所得者の方の税額にする、こういう考え方でございます。山林所得に対する改正の第一はそれでございます。  それから第二の点といたしましては、現在は山林所得、不動産等の譲渡所得、それから一時所得、この三つを合せまして十万円を控除をしておりますが、五分五薬の制度だけでは、少額の山林所得に対しての軽減緩和が不十分だと思いますので、今度は山林所得については、山林所得だけで十万円のものを十五万円までの控除をしようということを考えております。もう一つ山林所得につきましては、現在の課税の方向で参りますと、再評価関係が結びつきまして、財産税当時の値段が幾らであつたかということがなかなか知りにくい場合がございます。ことに間伐などの場合にその事例を見るのでございます。そこで今考えておりますことは、いわば概算的な経費を算定いたしまして、そしてその概算経費によつて所得を計算できる道を開いておきたいというふうに思つております。但しこれは臨時措置法で規定したいと思つております。もつともこの概算経費の方法は、納税者の方が選択された場合だけに使われるわけでありまして、本来のやり方で課税を受ける、あるいは納税なさることはもちろん自由でございます。それから不動産所得、その他の一時所得でございますが、これにつきましては、これも現在は変動所得になつておりますが、この変動所得からはずしまして、第一にはこの二を合せて十五万円の控除額を認める。第二には山林所得よりもその生れる機会が少いと思われますので、これは半額にいたしまして、他の所得と合算して税率を適用して行くということを考えております。  それからその次に源泉選択の税率の問題でございます。いろいろ議論がありますが、現行の百分の五十を百分の四十に改正しよう。  以上が所得税に対する主要な問題でございますが、なおこのほか課税の簡素化、あるいは適正化のために措置か講じようと思つて法案に幾つかの条文が載つておりますが、いずれ別の機会に詳細御説明申し上げることにいたしたいと思つております。  それから次が法人税でございますが、法人税につきましては、現在の税率を動かすことは考えておりません。従いまして法人税について改正しようとする措置は、それぞれ部分的な措置が多うございますが、その第一は企業合理化促進法及び租税特別措置法による特別償却を認める範囲を拡張して行こう。御承知のように現在は業種、機械等を限定いたしまして、企業合理化促進法におきましては、最初の年度に五割の特別償却を認めて行く、租税特別措置法におきましては、最初の三箇年間五割の特別償却を認めているわけであります。この適用を受けます業種、機械の範囲を広げて行きたい。貸倒準備金、価格変動準備金など拡張をはかりまして、貸倒準備金につきましては、現在は毎期の期末より貸付残高に対しまして千分の十とか、千分の七とか、一定の割合の金額を出して、片方で毎期の所得金額に対しまして、一年決算ですと原則として百分の二十、そのいずれか少い方の金額を貸倒準備金として積み立てる場合は、課税の対象にしないという制度になつております。貸付金に対する割合、これが現存卸、小売の場合は千分の十になつている。製造、金融業については千分の七、その他については千分の五になつております。その後に実情を調べた結果によりまして、千分の十のものを千分の二十、千分の七のものを千分の十、五のものを七とそれぞれ引上げて参りたいと考えております。  価格変動準備金につきましてはいろいろ議論がございますが、現在考えておりますのは、その対象に国債を入れようという場合と、それからもう一つ、これは四期にわけて、四分の一ずつ積み立て得るということになつております。もうすでに二期たちましたので、その制限を撤廃いたしたいということを考えております。  それから第三は、貿易振興海外進出等のことにかんがみまして、貿易商社について、一応五年を限りまして輸出契約取消準備金制度をつくろう。この制度は大体貸倒準備金制度の例と似たようなものに考えております。ただ対象といたしましては、その期における契約額の一定割合、利益の一定割合かのいずれか少い方を毎期積み立てるということにしたいと思つておりますが、割合等については、現在通産省と検討を重ねております。  海外支店設置費でありますが、これは企業の合理化の例にならうのですが、初年度五割の特別償却を認めることを考えて行こうと思います。  なお要綱には書いてございませんでしたが、法人税法には、これと並べまして、海外支店等が外国におきまして外国の法人税等の課税を受けた場合におきましての二重課税防止の措置を講じたい、これは法案に盛つてございます。現在これは経費には認めておりますが、それだけでありまして、二重課税になつております。別途、たとえばアメリカなどの租税協定の話は進んでおりますが、国内法だけでこれを行い得るという措置を講ずるつもりでございます。従いまして海外支店等の利益は、本店の利益と合算して一応所得を計算しまして法人税を算出いたしますが、海外支店で払つた税金は差引くということにしたい。もつとも外国の方の税率が日本の税率と比べて高い場合は、それはそのまま差引きますと日本の利益に対する負担まで差引くことになりますので、その高い分は差引かない、こういう考え方で法案ができております。  それから第四に、法人の支出の交際費、接待費、機密費等が一定の限度を越える場合におきましては、超過額の二分の一を損金に算入しない。考え方としては、資本蓄積につきましていろいろ政府が措置を講じているわけでございまして、従いましてその償却的な措置の一環とも考え得るのでありますが、こういうことも考えて行きたいと思つております。いろいろ問題がありまして、まずその範囲をどうきめるか。これは法律である程度はつきりきめるつもりでおります。考え方としましては、接待費等、飲み食いのための費用を中心にいたしまして、なお年末年始、中元等の贈答といつたものの費用を考えております。いずれ詳細は御説明申し上げます。なお一定限度が非常に問題なのでありますが、せつかく今資料を集め、業者の意見なども伺つております。考え方としましては、資本金、利益金の一定割合というのが、一つの基準に考えられますが、それだけではどうもいい基準が出ませんので、取引額の一定割合を一つの標準に入れるべきものだと考えております。はつきりした基準をきめにくい関係もございますので、超過額の二分の一を損金に算入しないという措置で参りたいと思つております。  それから有価証券の譲渡所得税廃止が行われますのに伴いまして、法人が合併、解散した場合等においての分配剰余金——払込み以上に分配された金への課税というか、現在これはみなす配当として、譲渡所得と並んで課税になつておるわけでありますが、譲渡所得の課税がなくなります機会におきまして、どうもその姿ではおもしろくございませんので、昔行われておりましたように清算所得ということで、法人手元でもつて課税をしてしまつて個人の方では課税しないという制度にしたいと思つております。それから法人税についてはこういう幾つかのことを考えておりますが、企業合理化促進法、租税特別措置法による特別償却の問題とか、貸倒準備金等の問題、これはいずれも政令で処理できる事項でございますので、法案の方には入つておりません。それから貿易商社等の問題も、これは措置法の問題になりますので、法人税法改正法案の中には入つておりません。法人税法改正法案の中に入つておりますのは、交際費等の問題、清算所得等の問題がおもでございます。その他幾つかの付随的な改正をするつもりでおりますが、いずれ別途御説明申し上げたいと思います。  それから富裕税につきましては、廃止したいと思つております。  それから相続税につきましては、累積課税——現在の制度は、御承知のようにシヤウプ勧告の線に基きまして、人の一生を通じて、その人がもらつた贈与、相続等を漸次積み重ねて参りまして、最初のうちにもらつた金額三十万円までは税金が全然かからない。三十万円を越えて参りますと、だんだん税金がかかつて参りまして、しまいにもらう金額につきましては、相当高い税率による税金を負担するという制度になつておるのでございます。このことは理論的には一応考えられますが、実際やつてみますと、税務署の方も記録の保存等で仕事がなかなかできにくい。ことに納税者が住所を移されるような場合においてそれを痛感いたします。納税者の方におかれましても、いろいろ御不便があるようでございまして、この制度はどうも理論倒れのようなかつこうになるように思われますので、それを改正いたしまして、相続につきましては相続の都度、贈与については一年分を合算したもので毎年課税して行きたい、こういう制度に改めたいと思つております。しかし、昔ありましたような遺産税のような制度に返るつもりはございません。取得者課税の制度をそのままとりたい。従いまして残された財産が一千万円の場合に、昔の税法でありますと、この一千万円に対して税率を適用して相続税額を出して行つたのでありますが、今度の改正案では、たとえば五人の方が均分相続されますと、それぞれの方に対して二百万円づつを課税価格として税率を適用し、税額を出して行くということを考えております。取得者課税の制度はそのまま続けて行きたい。基礎控除の額につきましては、現在三十万円になつておりますが、これを五十万円に引上げる。贈与税につきましては、先ほど申したように相続、贈与を合算して課税して行く関係で、贈与税だけの基礎控除はございませんが、今度はわけて課税しておりますので、新しく十万円の基礎控除の制度をつくりたい。それから死亡保険金と退職金の控除額は、現行の二十万円から三十万円に引上げる。退職金は、生前に退職金をもらわれますと、所得税の方の退職所得の課税になります。死後遺族の方がもらわれますと、この相続税の対象になるわけでございます。次に税率でございますが、最高の一億円以上の百分の七十はそのままにすえ置きますが、下の方は大体五%程度を、現在の税率は多少高くなつておりますので、これを引下げて行きたい。それから贈与税でございますが、贈与税は、どこの国の税を見ましても、大体分割贈与による相続税の負黒軽減を防止しようといつた考え方が一応入つております。従いまして、今度の改正案におきましても、相続税よりは大体五%高い税率——現行の税率かほほそのまま適用されるような姿にして行きたいと思つております。相続税の延納の問題でございますが、現在は、金銭をもつて納付することが困難と認められる場合におきまして、五年の延納を認める、さらに相続財産の半分以上が不動産とか山林とか処分のしにくい場合におきましては、十年の延納を認めることになつておりますが、今度はこれを改めまして、相続税額が一万円以上である場合におきましては、原則として五年、不動産とか立木とかが半分以上の場合は十年の延納を認めるが、延納額は一万円以下にならぬように均分して延納をしていただく。但し最終回の分は一万円以下になつてもよろしい。四万五千円というような場合におきましては、四年間一万円ずつ、最終の五年目が五千円ということはよろしい、十万円であれば、普通ならば二万円ずつ五年で納めていただく、こういうふうに考えております。なお贈与税の場合におきましては、相続税と多少事情が違いますので、現在のように金銭をもつて納付することが困難な場合には、延納を認めるという制度にして行きたい。  それから酒の税でございますが、昭和二十八年三月一日から二割ないし三割程度の税率引下げを行いたい。酒につきましては二十五年十二月でしたか、一回税率引下げがありましたが、現在なお相当高い値段になつておりますので、税率を下げ、これによつて密造酒の駆逐ということも考える。税率は下げますが、消費の増加と相まつて、税収全体としては大体現行税率の場合と同じくらいの税収を確保したい、そういう意味の改正を行いたいと思つております。なお提案が非常に遅れて恐縮なのですが、酒は、三月に入りますと、メーカーの方から小売業者、卸売業者の方に大分花見酒が参りまして、四月一日に切りかえが行われますと、切りかえの際の支障が非常に多いように思われます。そこで、でき得れば三月一日から施行したい。どうも値引き前ですと、買控え等もおのずから行われますし、三月に入りますと、酒の出まわり関係から非常に支障が多いので、何とか御審議を願いまして、三月一日から施行したいと希望しております。  なおこの税率引下げによりまして、清酒は現在五百二十五円のものが四百四十五円に、以下それぞれ相当下ることを予定しておりますが、ただここに書いてございます清酒四百四十五円、合成酒三百三十円、しようちゆう三百円、ビール百五円という値段の中には、メーカー、卸小売のマージンがある程度引下げられることが予定されております。その後いろいろな数字検討しておりまして、この数字は多少動くことがあるではないかと予想しております。もつとも五円以上の幅で動くことはないと思つておりますので、御了承願います。  なお、現在酒の税率は基本税、加算税の二本になつておりますが、これは自由販売酒ができましたときに、配給酒は基本税だけ、自由販売酒はさらにそのほかに加算税が課税されることになつていることは御承知通りでございます。現在自由販売酒がほとんど大部分で、配給酒がほとんどなくなつておるという現状におきまして、また税率がかなり全体として低くなつておるという関係からいたしまして、この制度は一本にしてしまいたい。但し配給酒、指定販売業者の制度は、向う一箇年は存置したい。過渡的に一年間くらいは別途考える必要があろうと考えております。なお酒の税法昭和十五年に全文改正になりまして、大分古い法律でありまして、いろいろ支障がございますので、この機会におきまして全文改正を行いたいというので、そのつもりでやつております。  以上は本日提案になつた法案でありますが、そのほか酒、砂糖消費税につきまして、含蜜糖の現在の税率は四百円のままでございますが、その他につ  いて大体二割程度の引上げを行いたい。それから物品税につきましては、貴石、貴金属製品等現在製造課税になつておりますが、これは昔できたときは小売課税になつておりまして、どうも製造課税をやつて参りましても、うまく参りませんので、これを小売課税にもどしたい。  その他幾つかの品物につきまして、負担調整を行いたいと考えております。財源的には減税財源として、見込みでは一応二十億の財源を考えておりますが、どの品物をどういうふうにするかということにつきましては、目下検討を重ねております。  それから有価証券取引税でございますが、有価証券の譲渡所得に対する課税を廃止する機会におきまして、これを流通税としまして、こういう税金を起したい。大体昔ありました有価証券移転税の形をとりたいと思つておりますが、納税義務者は、移転税の場合におきましては譲り受け人でございましたが、今度は譲り渡し人にした方がよかろう。なお税率につきましては、しろうとが売る場合においては千分の二、それから業者の行う場合においては千分の一程度と書いてございますが、その後検討いたしまして、前の場合は千分の二、あとの場合は万分の八くらいで提案をしたいと考えております。  それから第三次再評価、これは再評価法の改正法案を出すつもりでおります。第一次再評価と第二次再評価と二回再評価が行われましたが、第二次再評価は第一次再評価基準日、あるいは再評価限度額はそのままにすえ置いて、ただ第一次再評価を時間的に行えなかつた方に対して再評価を追つかけて行い得る道を開いておつたわけでございますが、今度は少し考え方をかえまして、もちろんこれも第一次再評価の調整と考えられますが、基準日を最近の二十八年一月一日にいたします。従いまして再評価限度額は、その後の物価の値上り等を考えまして、相当引上げようと考えております。なお再評価の税率は従来通り百分の六、それからその他につきましては、大体第一次、第二次の再評価規定がそのまま使えるようにして行きたいと考えております。ただ会社等におきまして、再評価を行う時期をあまり短かくしますと、また第一次再評価あとで第二次再評価を行うような必要があつたと同じようなことにならぬとも限りません。今後二箇年——あまり長いのも困りますので、今後二箇年の間に一回限り行うように御決心願うというように考えております。  それから特別減税国債でございますが、これは別途理財局の方と一緒になりまして、国債法案が出るはずでございます。税関係だけのことについて申し上げますと、法人の場合をお考えになると一番簡単に頭に入りやすいのでありますが、百万円お買いになりますと、その半額の五十万円を損金にするといいますか、益金からはずす。従いまして五十万円に対する四割二分、二十一万円が税の軽減になります。同じような意味で、個人の場合におきましては、百万円買われますと、二十五万円の軽減になります。個人の方が少し割がよくなつております。なお条件その他は追つて理財局の方から御説明があると思いますが、大体年利四分、三年すえ置きで四年。五年目くらいに償還する。均等償還ですから、五年で償還するということが考えられております。利回りは個人の場合には一割二分くらいになるのですが、法人の場合には一割くらいになるんじやないかと思つております。詳細は追つてきまり次第御報告申し上げます。なお購入につきましては、一応限度をきめます。そこにありますように、法人の場合は所得の四割、個人の場合は税金で二割、これは個人の方が多少ゆるやかになつておるわけであります。なお担保、譲渡についての制限は行わないつもりでおります。ただ日銀には、国債として担保としてとることはしないというようなことが考えられております。  そのほか収入印紙の不正使用防止のための登録税の改正、それから間接税につきまして、利子税の制度を設けるといつたようなこまかい幾つかの改正をすることが考えられております。  なお酒税の保全、それから酒類の取引の安定を行うために、酒類業者団体法とでも申すべきものをこの際つくりたい。これも別途あわせて提案に至る考えであります。これによりまして、現在公定価格等をやつておりますが、でき得れば漸次協定価格のようなことに移して行くことも考えたいと思つております。この法案は近く提案になる見込みでございまして、酒税法改正案と一緒に、でき得れば三月一日から施行したいということを考えております。  以上申し述べましたのは、大体今度考えられております改正要綱でございまして、本年度の租税及び印紙収入は全体としまして七千八十億でございます。従いまして二十七年度の予算額に比べますと、六千八百五十三億、これが二十七年度の予算額ですから、二百二十七億増になつておりますが、現行法による収入見込額に比べますと、約千九億円の減収を見積られております。もつともこの千九億円の中には、減税国債の減六十七億が入つておりますから、それを差引きますれば、九百四十二億ということに相なるわけであります。租税の負担等も相当軽減されるものと思います。お手元に差上げました要綱に幾つかの事例があげてありますからごらん願いたいと思つております。  以上、今度の税制改正の大要を御説明申し上げましたが、本日提案になる見込みのものは、先ほど申しましたように、所得税法人税、相続税、富裕税、酒税、この五つでございます。あとの分につきましては、至急に成案を今急いでおりまして、引続いて提案いたしたく努力いたしております。以上をもつて一応の御説明を終ります。
  8. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 これにて休憩いたします。午後は一時より再開しまして、税制及び金融制度全般にわたつて大蔵大臣に対する質疑を行いたいと存じますから、定刻に御参集を願います。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時二十九分開議
  9. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。  午後は大蔵大臣が出席されましたので、税制及び金融制度に関する件を議題として質疑を行います。質疑は通告順によつてこれを許します。佐藤觀次郎君。
  10. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今度の税法の中で問題になりますのは、この前のときにも問題になりましたが、大蔵省は富裕税を廃止することになつておることであります。これはどういう意味で富裕税を廃止されるのか。それについての大蔵大臣の御答弁を伺いたい。
  11. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 富裕税は、私は不幸にして個人的には少しとられる方で非常に痛いと思つてつたわけであります。ところがとる方の身になつてみますと、とられる者は苦しいということもありますが、非常にとりにくい困難な税制でありまして、正直に言い出せばとれるのですが、なかなか申告がなかつたり、それからまた申告が一部分できても、ほんとうにできていないとかいうふうなことがありまして、いわば默つているととれないというふうなことが多いので、不公平なことにもなる。またその取立て上の手数、困難が非常に多いというので、税の精神からいつたらほしいのですが、やはりやめる方がよかろうということになつたわけであります。
  12. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 富裕税が廃止されることになりますと、一般の課税所得の面におきまして、相当高額の所得者に対して、五百万円、三百万円以上の収入のある人には、当然もつと高率の課税をすべきが適当だと思うのでございます。御承知のように、戦争に勝つたイギリスやフランスでも、最高の課税法につきましては、相当高額の課税をされておりますのに、今度の改正では、最高百分の六十五になつております。こういう点について、大蔵大臣はどういう御見解を持つておられるのか。富裕税をなくすならば、当然年二百万円以上、三百万円以上の人にはもつと高く課税すべきだと考えますが、御所見を伺いたい。
  13. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 私はもつととつてもいいようにも思うのですが、しかし何分外国と比べまして、日本はまだ民度が低いので、向う並に割合を高くとるということは、やはり力をそぎ過ぎるというふうな意味があるので、この辺にとめておくのが妥当ではないか、そう考えております。
  14. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今度大体一般の税金は下つて来るような形になつておりますが、大衆と密接な関係にある砂糖消費税だけが二割も上げられるということが問題になるわけであります。大衆に非常に影響のある砂糖の税率をどういうわけで政府は二割も上げたかということについて、御説明を願いたい。
  15. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 砂糖は今前ほどに高くないので、そのくらいの税を負担してもよかろう、そういう見込みでございます。
  16. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今度酒の税率について二割あるいは三割の引下げが行われております。酒とタバコは御承知のように非常に高い税率でございまして、密造酒の関係などで税金を下げるという点については了解できますけれども、特級酒とか一級酒というような非常に高級な、中小階級以下の口に入らないものはある程度までいいけれども、ビールあるいは二級酒以下のもの、あるいは合成酒、しようちゆうというようなものについては、もつと下げるべきではないかと思いますが、それについての大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  17. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 ごもつともでありますが、あまり安くしますと税収が少くなるので、その兼ね合いをとつて、上は減らし方を少くして下の方は減らし方を多くしたのですが、それ以上に減らすということはできなかつたのでございます。
  18. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いろいろ問題のあるところでございますが、一般の勤労者に対しては勤労控除があるわけでございまして、今度もこの説明を見ると、昨年やりましたのと同じような意味で、勤労控除の最高限度が四万五千円ということになつておりますが、勤労者においてはもちろんのこと、今の日本の農民においても、あるいは中小工業者も、実際勤労者と同じような労働をしておるわけでありまして、どうしてこういう人々にも同じように勤労控除をやらないのかということについて、ひとつ大蔵大臣の解釈をお願いしたいと思います。
  19. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 これは政府委員にお答えいたさせます。
  20. 渡辺喜久造

    ○渡辺(喜)政府委員 いろいろな考え方があると思いますが、現在勤労所得に対して控除しております勤労控除の考え方は、勤労所得につきましては、御承知のように課税標準として給与の収入金額をそのままとつておりまして、経費がないわけでもありませんが、全然これを見ていないというようなことから、勤労控除の制度がつくられておるわけでありまして、課税の実際等をながめてみますと、むしろ控除はもつと大きくすべきじやないかという御議論も一応片方にあるわけでありまして、問題はいろいろあると思いますが、少額所得者の課税については、基礎控除を引上げるとか、税率を引下げるとかいうことによりまして、全面的に負担の軽減をはかる方がむしろよいのではないかというような考え方で、現在の制度を考えております。
  21. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういう点でわれわれも非常に不満を持つておりますが、さらに勤労控除の引上げと同時に、農民、中小工業者に対しても、ぜひ勤労控除を実行していただきたいと思います。  それからもう一つの問題は、政府はいつでも減税々々ということで新聞にも伝えられ、ラジオでも騒がれますけれども、これはよく検討してみますと、むしろ帳面づらの減税でございまして、一般の大衆には、実際に大蔵省が言つておるような減税にはなつておらないということは、末端の方に行きますと確実な事実となつて現われておるわけであります。政府は今まで税法上の減税々々で国民を相当期待させて来たけれども、末端においては税金の過重で悩んでおり、中小工業者はもうすでに倒れかけておるというような現状をわれわれはよく見受けるのであります。そういうようなわけで、中央においては机の上で盛んに減税案を出しておられるけれども、末端の税務署におきましては、昨年の暮れなど相当ひどい取立てのために、会社、個人のつぶれた例がたくさんあるのであります。こういう点について表向き政府あるいは大蔵省は減税をしたということを言つておるけれども、日本の今の実際の経済状況を考えますと、決してあなた方が言つておられるように税金は楽でない。こういう点について大蔵大臣は、こういうような意味で税法を出しているのだ、中小企業者を救つておるのだというような自分の考え方があるはずである。向井さんは御承知のように三井の大番頭をしておられた人であり、事業家として最もすぐれた人でありましよう。そういう点で、自由党の党員でないのに大蔵大臣になつておられますが、昨年は御承知のように就任早々でございましたから、われわれもがまんしておりましたが、今年度はもう二年にもわたつておりますので、ひとつ自分の信念をわれわれにはつきり申していただきたい、これが私の質問であります。
  22. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 税法減税をやつてつて、事実上また減税になつているものと思うのであります。今おつしやいますのは、税の運用上前線においてやり方が悪いということと思いますが、それは私も考えまして、税務署長あるいは国税庁の各地の長が集まりましたときに、——また日は浅いのでありますが、会いますたびに、とり方を苛酷でないように、また恨まれることのないやり方をしてもらいたいということは言つておるのでございます。またその人たちも、実際問題として、もりもり税をとつて、手柄顔をしようというふうな気分があるとは私は思いませんが、やはり法律があるとその法律に従つてやる。その手かげんの仕方についてはよほど骨が折れるものと見えるのであります。手かげんの程度をどういうふうにしますか、法律というものに手かげんが加えられるとしますれば、なるたけ苦しい人を助けるという方針で行つてもらうようにと考えております。それから中小商工業の人の苦しみを助けるためには、ほかの施設でもつて税制以外の措置で緩和のできるようにいろいろ考えております。
  23. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大蔵大臣としての一つのわくがあるので、はつきりしたことも申されぬのだろうと思いますが、今の一般の大衆が重税のために泣いておるという現実は、ぜひとも大蔵大臣は今後も御検討の上、処置を願いたいと思つております。  それから日本の経済は底の浅いものであるということは、先の大蔵大臣説明でも聞いておりましたが、何と申しましても、わが日本の国は領土を四割も失い、さらに経済的な打撃が大きかつたために、経済がそこなわれているということは、だれも知らぬ人はないと思つておりますが、これほど日本が税率を高くいたしましてもさらに経済が伸びないということは、中共貿易の問題とかいろいろ政治上の問題がありますが、何といつても防衛分担金、いわゆる安全保障のためのアメリカとの契約から来る莫大な費用がとられておるという事実は、見のがすことができないと思つております。昨年は千八百億をとられまして、今年度は昨年の繰越金の関係上少しは減つておりますが、大蔵大臣が防衛分担金の問題、あるいは保安庁費の問題について努力されるというお話を聞いております。そういう観点に立つて、日本の経済自立のためにどういう方法で折衝されたのか、この際一応御説明願いたいのであります。
  24. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 今おつしやつたような費用は、表面的に考えますとまつたく不生産的であつて、なるたけ出したくないということは御同様に考えるところであります。ただ治安確保あるいは不時の場合に備えるというためには、やはりなければならない費用で、これはできるだけ削減はする考えでございますが、ある程度まではなければならない。その兼ね合いについてはちよつと基準は立てにくいのでございますが、外国の例を見ますと、大して軍備などをしなくてもいいところでも、国の支出の三割くらいは出しているところもあります。それから見ると、日本あたりは割合に今は軽くなつていると思うのですが、今以上に削減することができるかどうかということはちよつと私は疑問に思う。それは、今の保安隊は割合に人数も少くて経費もかからないのですが、アメリカの兵隊がかりに引揚げでもしますと、やはりいろいろのことに備えるために、保安隊もふえなければならぬ。それがふえますと、アメリカ兵がこつちにいるための防衛分担金は減りましても、保安隊の方でふえるということで、今以上に防衛金を圧縮することは、できるだけやつても、ちよつとむずかしいだろうと考えております。
  25. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後にもう一つお尋ねいたしますが、今地方ではいろいろな関係上、地方の財源が枯渇いたしまして、大都市以外では、市や町村の税金はほとんどその吏員の月給に払われているという非常に苦しい状態であります。これは今の税法がシヤウプ勧告に基くアメリカ式の税法でありまして、そのために、日本のように地方に権力や財源のない国におきましては、今日非常にこういう矛盾が現われているわけであります。今年度はむろん公務員の俸給の値上げの問題も出て参ります。このままにしておきますと、地方は財源がないために、ほとんど抹殺される状態に陥つてしまう。これは大きな問題でありますが、地方税の問題を根本的に改草するお考えがあるかどうか、大蔵大臣に伺いたい。
  26. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 地方財政のことは、御説の通り非常にむずかしいことで、現状では不健全なものと私は考えております。不幸にしてまだ私は実情がはつきりわかつていないのですが、わかつているにしても、これをかえるには政府の人だけでなかなか整理ができそうもないと考えているのです。しかし幸いに地方制度調査会というものがあつて、これが審議してくださるそうで、その審議の答申がきまる過程においてでもよくわれわれ研究しまして、一つの案をつくりたいと考えております。
  27. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 内藤友明君。
  28. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 いつもお出ましにならぬ大臣がお出ましで、二、三当面の問題をお尋ねしておきたいと思います。実はきようお出ましになることを前もつて存じ上げておりますれば、私どもよく勉強しておつたのでありますが、あまり勉強しない質問で恐縮でございますが、よろしくお答えいただきたい。  まずお尋ねしたいのは、ことしの通貨をどの程度になさるかという問題であります。大臣から、二十八年度の予算編成にあたりまして、インフレを押えることに非常に努力せられたということをいろいろ聞かされまして、非常に敬服いたしておるのでありますが、この日本の苦しい財政経済の建直しにやはり大臣のようなそういうお考えでどうしてもやつていただかなければならぬことでありますので、私どもは心から敬意を表しておるのであります。しかし今度お出しになりました予算を見ましても、千五、六百億の散布超過と申しまするか、そういうふうなものがありますので、やはりこれはだんだんとインフレになつて行くのではないかという懸念が持たれておるのであります。その二十八年度の政府の財政も、インフレの大きな要素はあるのでありますけれども、それよりももつと大きな要素があるのは、通貨をどの程度お出しになるのかということにあるのではないかと思うのであります。いろいろ内容を御説明しますれば何でございますが、しかしこういうことはくろうとの大臣の方がよくおわかりだと思いますので、結論的に、ことしはこういう程度にするのだということを伺いたいのであります。このいただきました書類を見ますと、終戦時の翌年、二十一年におきましては、通貨は九百四十八億でありました。それが二十七年度末におきましては、驚くなかれ五千八百七億、約六倍半にこの終戦後の様子を見ましてもなつておるのであります。これがどちらかと申しますると、いろいろとまた増加して行くような傾向になつておるのでありまして、どの程度が一番今日の日本の国のインフレを押えるのにころ合いの通貨であるかということは、これは大きな問題なのであります。一国の財政の一番重い責任をになつておられる大臣といたされましては、私は去年よりも二千億もよけい出すのだ、いやいや去年よりも縮小するのだ、そういうあたりのお心持をひとつお漏らし願いたいと思うのであります。
  29. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 通貨が二十七年の暮れに大きく出ておりますが、これはことしの初めには相当また減つておるようであります。御質問のことしの通貨の高をどうするか、これは人為的にあまりいじくるということは非常に逆効果を来すおそれもありますが、去年の一番少かつたときに比べては、ことしはあるいはよけいになるかと思うのですが、ひどく引締めるということをすると、また悪い影響がとんでもないところに起るおそれがありますし、また投げやりにしてはむろんいけない。その点はよくそのときどきの情勢に応じまして、これは日本銀行及び金融機関とよく連絡を保ちまして処理したいと存じます。従つてただいま通貨は幾らにしようということを申し上げかねますが、ただいま申しましたように、去年に比較して幾らか多くなるのはやむを得ないというくらいの心づもりでおります。
  30. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 もちろん幾らになさるかということをお尋ねするのは、少し御無理かと思うのでありますが、しかし二十八年度の財政をおつくりになるときには、二十八年度は大体どういう方向に行くだろうか、この日本の国の歩み方がどういうふうなことになつて行くだろうかということは、責任者としてはやはりつかまえておかなければならぬのではないかと思うのであります。そういうところをつかまえまして、この通貨の問題は去年ぐらいにするのか、あるいは去年よりも一、二割ぐらいふやすのかというふうなところを押えられておかなければならぬのではないかと思うのであります。それは成行きまかせだということでは、向井先生の平生の御心配になつておられる心持からするとどうも受取れぬのでありますが、もし言いにくいことでありますれば、あとから私一人でもよろしいが、(笑声)これはこういうことにするのだということをおつしやつていただきたいのであります。これは私はさしつかえないと思う。やはり大蔵大臣は、二十八年度のこの日本の国の財政経済をどうするのだ、どういう方向に行くのだということを考えなければならぬ。しかしそれはいろいろな変化があります。その変化はいろいろな原因によつて変化して来るのでありますから、その原因は、やはり不測のことがない限りは、大よそこれは予想しておかなければならぬのではないかと思うのであります。そういう意味におきまして、くどいようでありますが、今のような抽象的でなく、もう少し何か具体的なものをお聞かせ願えないものだろうかと思います。
  31. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 これはりくつから申しますと、今年の国民所得がふえるとか、あるいは予算で金がよけい出るとかいうふうなことでもつて割出せるものでありますけれども、なかなかそれが規則通りに行かない。それから大体を言いますと、上半期は割合に政府が取上げる金が多くて、出す方の金は少いという見込みでございます。上半期においては、通貨の流通量もそう膨脹しないが、下半期において膨脹する傾向がある。その場合に、今までの通貨縮小方法を講ずべきときが来るかと思います。これはやはり何と仰せられても、そのときの仕事にしなければいけないと思います。
  32. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 それではいずれまたそれはお尋ねすることにいたします。  それから今度は、税の改正法律案をいろいろとお出しになりました。まことにけつこうなことであるのでありますが、今度のこの改正税法で、今予定しておられるこれだけの税収入が得られるかどうか。もちろん得られるから改正したのだとおつしやいますが、私どもはそこに一つの懸念があります。それは前の池田さんは税務官吏の出でありますから、なかなかこの方面に明るいのであります。ポケツト・マネーをつくる技術もちやんと心得ておられたのであります。ところが向井先生は非常に正直な方でありまして、そういうずるさのない方なんであります。(笑声)だから私は、今度のこの改正された税法改正法律案で、はたして予定されておるだけの収入が得られるかどうか、伸びきつたうどんのような気がするのでありますが、いかがでありましようか。大臣は、心配するな、ポケツト・マネーをつくることを、池田さんよりも上手にちやんと心得ておるぞという何か御自信があるのかどうか。これから税法のいろいろなことを私どもはこの委員会で心配して行かなければならぬのでありますが、そういう心配をして行く上におきまして、これは一番大きな問題になるのでありますが、そのところをひとつお漏らしいただきたいものだと思います。
  33. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 税収の方は、私は大丈夫と思います。それで自然増収というものは、今年は前のような話にはなるまい。とれもどちらかと申しますれば、信じております。しかし足りないということはない。そう思つてつくり上げたものであります。
  34. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 実はその自然増収なるものをお聞きいたしたかつたのであります。実は自然増収というものほどえたいの知れぬものはないのであります。この前の補正予算においては七百一億ほどの自然増収であります。そういうふうなことが平然とまかり通るような予算をおつくりになるならば、大蔵大臣は落第だと思う。そういうものではない。今年は一体この税法改正でそういうような自然増収、私は池田さんのポケツト・マネーという言葉を使つたのでありますが、あるかないかという裏からお尋ねしたのでありますけれども、さすが向井先生は非常に良心的な方でありますから、尊敬ますます高まつたのでありますが、これはやり方によつてはどうでもなる問題なのであります。今度平田さんが向うへおかわりになつたのでありますが、ことに平田さんというお方は心得た方でありますから、ちよつと大臣がおつしやいますれば、さつとやつてしまつて、一割や二割の自然増収はすぐ上つて来ると思う。これがいわゆる苛斂誅求なのであります。だから今年はそういうことのないように、伸びたうどんでけつこうなのであります。どうかそういうことで今年はやつていただきたい。ひとつ渡辺さんも大臣の意を体して、よろしく願いたいと思うのであります。  その次にお尋ね申し上げたいのは、今度は産業投資特別会計というものをおつくりになりまして——これは私前回初めて大臣がこの委員会にお越しになりましたときに、そういうことをおやりなすつたらどうだろうかということを申し上げたのでありますが、少数党の私どもの申し上げておることでも、いいことであればお取上げになるのは、実にけつこうであります。実際ほんとうに真実の話というものは、少数党にあるのであります。多数党には真実の話はない。私はかつてずいぶん前でありましたが、まだ向うに国会があつたときに、たまたまいなかから来まして傍聴しておりました。そのときに当時革新倶楽部を率いておられた犬養さんが、このわれわれの少数党に真実があるのだということを言われましたのが、今でも私の耳に残つておるのであります。私は今のこれがそうだというのではございません。ただ私が少数党に真理があるということをなぜ申すかといいますと、今日のような日本の国、選挙に金がかかるようなことをしておりましては、多数党からは真実の声は出て来ません。だから私はあえて少数党から真実の声が出るのだということを申し上げるのでありますが、それはともかくといたしまして、私どもは、この一般財政の中にこういう財政投資というようなものをおやりなさる、これは一本のまとめたものでおやりなさることがよろしいということを申し上げた。まだ全部とは行つておりません。出資及び投資の方に二百三十五億残つておりますが、将来これはなおお考え願いたいと思うのであります。そこでひとつ大臣にお尋ね申し上げたいのは、昨年の暮れに実は私ども大蔵省の片棒をかつぎまして、いろいろ苦労したのでありますが、簡保の分離運用の問題でありますとか、ああいう問題はこれからいろいろなことが起きて来ると思います。そこで私は、大蔵省で政府の金をいろいろな方面に流すのに、何かまとまつた一つの法律をおつくりになつて、そうしてきちんとせられるようなお考えがないのか。そうしませんと、今のようにいろいろな思いつきがいろいろのところでやられるということになりますと、私はなけなしの金が、非常にその効率が失われるのではないかと思うのであります。昨年私どもは向井先生の片棒をかついで、私も党から除名までするということで騒ぎ出されたのでありますが、これはちつとも苦痛を感じません。けれども、これは結局太い線を一つ出しておかなければ——私は大蔵省のためだとか、あるいは郵政省のためだとかいうことを申すのではありません。ただ国家として不幸なことが起きて来るのではないかと思うのであります。そこでいやしくも政府の資金、税金で吸い上げた金であろうが、あるいは国民が預けた金であろうが、どんな金であろうが、とにかく政府の資金というものを流すのに、一つの大きな方針でおやりなさるような御構想はないかどうか、そうして去年のような、ああいうばかげたことをやるべきではない、こう思うのでありますが、そういうことについて大臣はどうお考えになつておられますか。これも私は正しい声だと思うのでありますが、ひとつ大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
  35. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 あなたがいつも正しい意見をお出しになるものと私は了解しますが、ただいまの御意見もまさにその一つでありまして、まつたく御同感でございます。政府が出します金は一本で行くべきものだ。決して二道も三つも四つもにわかれるべきものではない。その方向で努めて参るつもりでおります。
  36. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 たいへんありがとうございました。そこでひとつ大臣、こは私ども非常に心配していることでありまして、いつもお隣の銀行局長にお尋ねしているのですが、このごろのやみ金融であります。あのやみ金融が正常金融を非常に阻害しておりますので、困つたものだと思うのであります。そうして今日あります勧業銀行の勧業という名前をつけたり、信用金庫の金庫という名前をつけたり、あるいは興業という名前をつけたりしていろいろやつておりまするが、何かああいうことにつきまして、抜本的な御構想はないものでありましようか。お隣の銀行局長と今まで三年間ほど問答して来たのでありまするが、のれんと相撲をとつているようなことでありまして、だめなんであります。ひとつ大臣、これは今のうちに心配してきちつとしておかないと、たいへんなことになるのじやないかと思いますが、何とかお隣の銀行局長に御命令くださらないものでありましようか、お伺いしたい。やみ金融征伐の問題であります。
  37. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 これもあなたの御正論の一つで、まさにその通りで、私もそれは案じております。何か事が起れば、さつそく大蔵省あるいは私が善処するつもりでおります。そこで銀行局長ものれんでなくなつたようにも思うので、ちよつと申し上げたらどうですか。(笑声)
  38. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 この問題はたびたび実は当委員会から御鞭撻を受け、またおしかりを受けて参つてつたのであります。暮れの国会でも、内藤さんからおしかりを受けて、その際も期限つきで返事をするようにというきついお達しを受けて、期限つきでお答えすることはなかなかむずかしいかもしれないが、大体これについてある程度の考え方はまとめてごひろう申し上げることができると思いますということで、部内で寄り寄り相談をいたしまして、現在のいろいろの複雑な情勢から見まして、これよりほかないという一つの対策につきまして、近くまとめてお話を申し上げられる機会があると思います。まだ若干の点でさらに検討を続けなければならぬ点がございますので、もうしばらく時期をお貸し願いたい、かように思います。
  39. 川野芳滿

    ○川野委員 ちよつと関連して……。ただいまのやみ金融の問題でございまするが、この問題が当委員会の問題になりました当時におきまして、大蔵省がある程度の強い施策を進めておいでになつたならば、今日のごとくやみ金融というものが跋巵しなかつたであろうと存じます。しかし今日の実情を見ますると、おそらく数百あるいは一千億に近いところのやみ金融が動いているのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。こう考えますると、ただ単にこれを強い罰則のみによつて押えるということは、非常に世の混乱を招くおそれがございますので、とうてい私は不可能であろうと考えます。そこで静かに考えますると、昔の無尽が相互銀行になりました。ところが名が銀行にかわつて参りますると、その行う行為というものが上流階級の金融機関に移つてつた。そこで下層階級の金融機関がなくなつたというので、今問題になりましたやみ金融が浮んで参つたものと私は考えます。こういうことを考えますると、下層階級に対する金融機関を世相は求めているのではなかろうかと思います。そこで下層階級に向つての適当なる金融機関という問題についても、ひとつお考えを願わなければならないのではないか。ただ単に今のやみ金融を取締るという方針だけでは納得せないのではなかろうか、私はこういうふうに考えまするが、この点についての政府の御構想を伺つてみたいと存じます。
  40. 河野通一

    ○河野(通)政府委員 お答え申し上げます。その問題につきましては、ただいまお話のように、ただこれを一も二もなく禁止をするとか、そういつたふうな処置をしやくし定規的にとるつもりはございません。それぞれそういう金融の姿というものが出て参りました社会経済上のいろいろな必然性と申しますか、そういつたものもあります。従つてその必要の範囲は満たしながら、弊害を押えて行くというところにいろいろな形で非常にむずかしい問題があるわけでありまして、今までなかなか結論が得られなかつた理由は実はそこにあるわけであります。しかしながら今お話のありましたような両者の点を考えながら、必要のある範囲においては、それについてのある程度の金融の道は残しながら、かつそれによつて起るべき弊害を厳重に取締つて行く。どこへその線を引くかというと、実は具体的には非常にむずかしい問題でありますが、そういつた考え方で私どもはこの問題に対処しておるのでありまして、すべてそういつた種類のものをしやくし定規的に全部禁止する、あるいは禁止的な処置をとるつもりはございません。
  41. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 お尋ねしようと思つたことを川野さんからお尋ねしていただきましたからありがたかつたのでありますが、そこで私が大臣にお尋ねしたいのは、今河野さんがおつしやる通りなんです。必然性というものはもちろん考えなければならぬ。そこで今銀行を新しくつくるのに、あなた方の方でいろいろとしぼられるよう現状なんですが、そういうものをもう少しどんどんとたやすく——いろいろな要件もありましようけれども、今日のやみ金融の状態から見まして、もつとそういう銀行をつくるときの条件を引下げて、どんどんとそういうものをつくるようなことにして行かれたらどういう州ものだろうかと私は思うのであります。今日のように一県一行主義——もちろんこのころはそれが崩れておりますけれども、もつとそういうところを緩和せられたらいかがかと思います。この前私どもは、無尽に銀行という名前をつけましたときに、向うから来ておられる皆様から、何かアメリカでは、銀行というものは無数にあるのだというようなことのお話を伺つたのでありますが、そんな極端なことにも行きますまいけれども、しかし今日の日本の政府のとつておられる態度も、遺憾ながらこのやみ金融の跋巵するような一つの原因をつくつておるのではないかと思われますので、もう少し金融機関をおつくりになるのに緩和せられたらいかがかと思いますが、そういうことについて大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  42. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 私も御同感でありまして、あまり渋つておると、今のやみ金融の方に伸びて行くおそれがありますから、多少緩和して——但しどしどしつくるということは私はいけないと思いますが、緩和して行つた方がいいと考えるので、銀行局長にも話しておきます。
  43. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 大臣予算委員会の方でお呼びのようでございますから、もう一つだけ。それは今日の株の問題であります。私はそういうことに全然知識のないものでありますから、だからよけいに心配を持つのかも存じませんけれども、今日のべらぼうな株の値上りを一体大蔵当局はどうお考えなすつておられるのか。実は私は驚いたのであります。この間、春に村まわりをいたしておりますと、こういう人がと思われるような人が日本経済新聞、産業経済新聞を買つて来まして、そうして株の値上り、値下りを見ておるのであります。なけなしの供米代金をそういうところへとられてしまうようなことになつております。もしこの株の値段に一朝にして妙なことがありましたならば、そういう方面に非常に大きな惨害を与えるのではないかと思うのであります。なるほど証券民主化、これはけつこうなことであります。けれども証券民主化ということは、これはわれわれも前から何かそんなことに片棒をかつがされてやつて来た男の一人でありまするけれども、その株式会社に対して自分が意識的に、この会社はこうしなければならぬ、ああしなければならぬという気持を持つて株を持つておるならそれはいいのであります。それがほんとの証券民主化なんでありますが、ただこれだけ上つた、これだけ下つたというだけでありましたならば、これは邪道に入つた証券の民主化だといわなければならぬのであります。そういうふうなことから今日の株の様子を眺めてみまして、そら恐ろしいものがあるのでありますが、政府はどうなされますか。自由経済をやつておられる自由党の内閣だからほうつておくんだということなんですか。一朝事があつたときには、これまた政府を非常に恨む者が出て来るのでありますが、そこらあたり大蔵大臣としてどういうさじかげんをして行かれるのでありますか、そのさじかげんをお聞かせいただきたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  44. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、やはり御同感であります。まさにその通り。但し日本経済新聞とか産業経済新聞とか、あのくらいな新聞を見てやつていてくれればまだいいのですが、もつと怪しげな新聞を材料にして買う一方の人が相当にあるものだと私は存じます。これが一番あぶないので、投資なんというものの範囲を越えていまして、ほんとうの投機であつて、今は買えばもうかるというふうな気持でおる人が相当大衆——または婦人などがこのごろは株を持ち始める、これが実にあぶないのであります。どうにも心配にたえませんが、これに対しましては、人為的に株を買うなというふうなことを言つてもいけませんし、やはりその会社の内容、利まわり、それから経営者の人格というふうなことを研究して株を持なら持つように指導する。それから業者に対しては、そういうことはないでしようが、株の上る方に努力をして、大衆がそれを買つて損をするということのないような仕向け方をさせるというふうに私は指導して行きたいと思います。
  45. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 宮幡靖君。
  46. 宮幡靖

    宮幡委員 まず議事進行について委員長に要望いたします。ただいまの国会の審議の方式は、御承知のように第一読会がございません。従いまして大蔵委員会におきましては、しばしば大蔵大臣の出席を願いまして、六十幾つを数えまする法案についての総括的な政府の見解を示してもらうことが必要であろうと思います。きようは非常に時間を急いでおられますので、その点は与党としてわれわれは了承しておるわけでありますが、この次はいつおいでになりますか、それをお確かめをいただいて、今すぐお答えができなければ——予算委員会にだけ行つて説明せられましても、大蔵委員会法案の審議というものに必ずしもマツチするものではありません。個人宮幡はマツチするかもしれません。しかしながら委員会全体としては必ずしもマツチしませんから、この点は今幸いに野党がおとなしいので、何も文句は言わぬようでありますが、近い将来にかかることもあろうと心配いたしておりますので、大よその大蔵委員会出席の御日程等は、委員長政府当局と御相談の上決定せられまして、場合によりましては、大きな問題についてはあらかじめ質問要旨等を伝えまして、真に天下に示してはずかしくないところの大蔵委員会の審議を続けたい、かように思うものでありますから、議事進行について特に私からお願いをいたします。  大臣お時間におさしつかえがあつたら、何どきでもやめます。まだあるということで委員長から御指名がありましたので、途中でやめてもけつこうでありますが、一つ二つ伺つてみたい。先ほど内藤委員の御質問、佐藤委員の御質問等を伺つてみますと、いろいろな問題がある。第一番に金融の問題、通貨発行量の問題、こういうようなことも出ておりましたが、今回の予算を通じて見ますると、財政と金融との間に弾力性を持たせまして、必ずしも超均衡予算を編成しておらない。そこに妙味があると思うのであります。千三百億程度の政府資金の散布超となるでありましようが、資金の還流から予算的に換算をいたしますと、わずかに通貨の量が四百億程度しか増さない。これをもつてインフレの要素を持つておるともし称する人があるならば、それが野党であつても、与党であつても私は承服はできない。そういう意味におきまして、大蔵大臣の御答弁はまことにうまみのある答弁でありますが、大蔵委員会としましては、もつと事務当局をして説明せしめてもけつこうでありますから、資金計画というものをはつきりしていただきたい。これがないと、インフレ予算などといつたり、あるいは税法は千九億減税すると言うけれども、これは税法上の減税であつて、実質の減税でないという議論もすでに出ております。このくらい実質の減税が行われるべく計画された予算は今までにない。いわゆる税務行政の正常化というものが、この予算を通じて行われておる。すでに二十七年度の徴税実績におきましても、今までまことに不振でありました申告納税のパーセンテージというものは極端に上つて参りました。従つて苛斂誅求の悪名を受けるであろうところの自然増収等は期待しないが、予算に組まれました税の確保は確実であるという大蔵大臣の答弁に対し、私は心から賛成をするものであります。こういう意味におきまして、今回の税制に対しましては、まず大蔵委員会といたしまして大蔵大臣に申上げたいことは、またこれは必ずしもやれという意味ではありませんが、本国会当初におきまして、二十七年度補正予算が審議されます段階において、税制に対しまして総括質問をいたしました。そのときに大蔵大臣からは、それぞれ適切な御答弁をいただきました。そのほとんど全部が、今回の税制の中に盛られておる。しいて言えば、いまだもつて法人企業に対する内部蓄積という問題に対して、思いはあつてもそこに至らないうらみはございます。相続税の点におきましても、かつてない大幅な減税措置をとられ、負担を軽減せられた等、非常によい線が出ておることは、まず敬意を表するのであります。しかしながら税制としましては、まだまだ正常化という定義のもとからながめますと、十分御考慮を願わなければならない。従つて委員会は、大蔵大臣の御方針を示された施政方針演説に附帯いたします財政演説及び今後機会あるごとに御表明をいただく点につきましては、あるいはその一部の修正もいたさなければならないかとも存じております。もちろん財政収支の均衡を破壊するようなことはいたさないはずでありますが、そういう意味で私は、もつとまじめな意味におきまして、真の減税の恩恵というものは、産業の興隆並びに民生の安定のために役立ちますところの税の正常化ということでありまして、これをぜひ実現していただきたい。これが個人宮幡のみならず、当委員会の私は強い要望であろう、こう信じておるのであります。他日機会を得まして、またそれぞれの項目につきましては、御迷惑でもあるいは微に入り、細に入りお尋ねするかもしれませんが、本日は時間がございませんので、一点だけ私はお伺いいたしたいと思います。  これは税の問題ではありません。税の問題、あるいは大蔵委員会に付託されます法案などを審議する上においては当然関連がございますが、日米通商航海条約の現在の段階はどうなつておりましようか。まずその実情をおさしつかえない程度お示しを願うこと。しかして、日米通商航海条約の中で最も問題になつておりまするのは、租税の協定ということがございます。さらには外国法人の国内におきます事業活動、いわゆる導入されております、あるいは現存国内に蓄積されておりますところの外資をもちまして、日本の事業会社の旧株を取得するところの問題、その果実に対しまするところの送金の問題、これは外資の導入と関連いたしまして非常にむずかしい問題になつておると私どもは推定いたしております。外国事業会社の活動に内国民待遇を与えるかいなか、これらの問題につきましては、租税協定というような面からながめましても、当委員会のあらゆる法案に関連を持つておるのでありますが、今日米通商条約というものはどういう段階に行つているか。巷間伝えられますような事態におるのかどうか、大蔵大臣として御存じの範囲をお示し願いたい。  続いて時間の関係上質問の要点だけ申し上げておきますが、貯蓄公債がかわりまして、産業投資特別会計に振り向ける三百億の特別減税国債、私は特別という字の意義に実は不賛成であります。これはあくまでも臨時の措置でありまして、公債を発行することは好ましくない。しかしながらインフレにならない限度で出すことは、必ずしも悪いことではないが、あまり額が少くてはその意味がないというような御表明を、新聞あるいはその他の機会におきまして大蔵大臣の意見として発表せられておるわけでありますが、そのことをおつしやつたか、おつしやらないかはもちろんここでとがめるものではありません。しかしそれが真実であるならば、まさにその通り、三百億くらいの減税国債発行したからといつて、これが公債政策への転回であるとか、これがインフレの要因になるであろうということは毛頭考えられないわけであります。そこでこれらのものは、あくまで今回の投資特別会計資金に一時的に間に合う臨時減税国債であつて、特別などという意味よりも、もつと臨時的なものであると私は信じております。しかもこれらの国債発行におきまして、起債市場や小売市場を圧迫しない限度において、こういう意味合いも確かに持つておるはずであります。かたがた一面におきましては、最近施行せられるかどうか知りませんが、貯蓄債券を資金運用部資金に充当するための資金源の一部として発行予定しまして、すでに昨年も三回にわたつて売り出したのでありますが、これは私の知る範囲では、わずかに九億円程度しか消化されておりません。こういうものは無用だからやめる、こういうことになりました場合と関連いたしまして、今回の減税国債については、とかくの議論は私ども申しませんが、今後これを継続的におやりになる意思があるかどうか。特別と銘を打つたことと、私の感じます臨時という意味とに対しまする大蔵大臣の御所見、この二点だけ今日はお伺いいたしまして、また詳しいことは、あとからこれに関連しまして局長さんあたりから十分伺いたいと思うのであります。
  47. 向井忠晴

    ○向井国務大臣 日米通商航海条約は、こちらの方の考えがまだ十分にまとまつておりませんので、不日先方に交渉を始めるはずでございます。それから国債の方は、お説の通り早くそのことを伺つたとしたら、私も臨時としたかもしれないのですが、臨時減税国債とするのがあるいはほんとうだつたかもしれません。これはほんとうに臨時であつて、たびたびやるべきものではない。私はむしろ今度限りでよすというつもりでおります。  時間が参りましたので、私はこれで失礼いたします。
  48. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 委員長大臣の出席を要求したのであつて、それはこちらからお話することです。まあ、今日はこれでけつこうです。
  49. 宮幡靖

    宮幡委員 結局短かい時間では結論を得ないのでありまして、だからいろいろ疑いをこうむるのです。どうかはつきりするように、ひとつ大蔵委員会の審議を進めていただきたい。  それで石田局長にちよつと伺いますが、貯蓄債券はやめるのですか。
  50. 石田正

    ○石田政府委員 貯蓄債券の問題につきましては、今宮幡先生が御指摘になりましたような大体の方向に相なつております。金額の点につきましては、まだ各地方からの数字が集まつておりませんが、大体実質収入におきまして六十億予定いたしておるのに対して、現在まで大体八億程度収入しかないのではないかと思つております。これは一応資金運用部の予算としてはやつておりますけれども、しかしそう売れ行きの悪いものを無理して売るのもいかがかと思いますし、また御承知通りにあの六十億の貯蓄債券によります収入は、電電公社に融資する予定でございましたが、その点も費用の関係上、それがないからさしつかえるというほどの状況ではありません。来年度におきましては、お話の通り名前は悪いのでありますが、特別減税国債発行するということもありますので、発行をとりやめるようにいたしたい。かように考えておる次第であります。
  51. 奧村又十郎

    ○奧村委員長 本日はこれをもつて散会いたします。次会は来る十日午前十時から開会いたします。なお理事会を開きますから、理事の方はお残りを願います。     午後二時三十二分散会