○渡辺(喜)政府委員 私今度
主税局長に任命されました渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
簡単に今度
提案されます
税制改正関係の
要綱について御
説明申し上げたいと思います。
今度考えられております
税制改正につきましては、お
手元に
税制改正の
要綱というのを差上げてございますが、大体の本筋的なねらいといたしましては、休会前の国会において御審議を願いました臨時特例法を平年度化するということによ
つての租税負担
軽減が、今度一番大きな筋でございます。そのほかの部分といたしましては、相続税の負担
軽減、それから酒税の税率引下げ等を行いますとともに、その他租税負担の調整、課税の簡素化、
資本蓄積のための各種の
措置を
行つて行きたいということを考えております。
関係の
法律案といたしましては、本日
所得税法、
法人税法、
相続税法のそれぞれ一部を
改正する
法律案、それから
富裕税法を
廃止する
法律案、酒
税法の
改正法律案、この五つが
提案されます。
所得税につきましては、まず第一が臨時特例法の平常化の問題でございますが、これはたとえば基礎控除五万円を六万円に引上げる、それから扶養控除の最初の一人につきまして、現在二万円でありますのを三万五千円に引上げる、それから勤労控除につきまして、現在三万円にな
つております
最高限度額を四万五千円に引上げる、それから社会保険料を控除する、百分の十五の税率をつくる、これらはいずれも特例法の
措置そのままでございます。ただ税率につきまして、三百万円超の
金額に対して百分の六十、五百万円超の
金額について百分の六十五の税率を設けることを
提案しておりますが、これは
富裕税法の
廃止というものとうらはらに考えております。なおこの税率引上げによります分は、大体八億くらいの増収を見込んでおります。以上が特例法の平常化でありますが、その他幾つかの
措置を行おうと思
つております。
その第一は、生命保険料の控除が現行四千円にな
つておりますのを八千円に引上げよう、それから医療費の控除は、現在
所得の百分の十を越える場合につきまして、その越える
金額につきまして十万円を
限度に控除しておりますが、今度その
範囲を広げまして、医療費が
所得の百分の五を越える場合におきましては医療費控除を認め、同時に控除
限度額を十五万円にするということを考えております。
それからその次、青色申告者につきまして、われわれ専従者控除と呼んでおりますが、納税義務者の親族等でその
事業に従事しております方につきまして、特別の控除をしており、現在は基礎控除に合せまして五万円控除しておりますが、今度基礎控除額が六万円に上りますので、同じように六万円に上げようということを考えております。なお現在はその親族の
範囲を高等学校卒業者以上の人を
対象に考えまして、十八歳以上とな
つておりますが、今度中学卒業者以上の人を考えまして、十五歳以上に引上げたい。それから退職
所得につきましては、現益十五万円を控除しまして、他の
所得とは別に、半額にして税率を適用して課税しておりますが、今度この控除額を二十万円に引上げよう。半額にして、他の
所得とは別に
税額を計算して行くことは、現行
通りであります。
それから有価証券譲渡
所得に対する
所得につきましては、いろいろな議論がございますが、証券民主化を促進する見地から、この際
廃止しようというのであります。
それから山林
所得、不動産の譲渡
所得でありますが、山林
所得は、現在はシヤウプ勧告によりまして変動
所得の中に入
つておりますが、
相当むずかしい計算
方法で課税して行くことにな
つております。執行官庁の方から見ましても、ことに納税者の方から見ましても、非常にいろいろ手数がかかりますので、簡略化いたしまして、まず第一には、これをわれわれ五分五乗と呼んでおりますが、五分五乗の制度に改めたい。五分五薬の制度と申しますのは、山林
所得の
金額がたとえば百万円ございますと、これを五分した二十万円を他の
所得の
金額と合算しまして
税額を出します。残りの五分の四につきましては、今出しました
税額対
所得の割合、その平均税率を適用しまして、そしてその五分の四に対する分の
税額を取出しまして、この
両者を合算したところで、山林
所得者の方の
税額にする、こういう考え方でございます。山林
所得に対する
改正の第一はそれでございます。
それから第二の点といたしましては、現在は山林
所得、不動産等の譲渡
所得、それから一時
所得、この三つを合せまして十万円を控除をしておりますが、五分五薬の制度だけでは、少額の山林
所得に対しての
軽減緩和が不十分だと思いますので、今度は山林
所得については、山林
所得だけで十万円のものを十五万円までの控除をしようということを考えております。もう一つ山林
所得につきましては、現在の課税の方向で参りますと、再
評価の
関係が結びつきまして、財産税当時の値段が幾らであ
つたかということがなかなか知りにくい場合がございます。ことに間伐などの場合にその事例を見るのでございます。そこで今考えておりますことは、いわば概算的な経費を算定いたしまして、そしてその概算経費によ
つて所得を計算できる道を開いておきたいというふうに思
つております。但しこれは臨時
措置法で
規定したいと思
つております。もつともこの概算経費の
方法は、納税者の方が選択された場合だけに使われるわけでありまして、本来のやり方で課税を受ける、あるいは納税なさることはもちろん自由でございます。それから不動産
所得、その他の一時
所得でございますが、これにつきましては、これも現在は変動
所得にな
つておりますが、この変動
所得からはずしまして、第一にはこの二を合せて十五万円の控除額を認める。第二には山林
所得よりもその生れる機会が少いと思われますので、これは半額にいたしまして、他の
所得と合算して税率を適用して行くということを考えております。
それからその次に源泉選択の税率の問題でございます。いろいろ議論がありますが、現行の百分の五十を百分の四十に
改正しよう。
以上が
所得税に対する主要な問題でございますが、なおこのほか課税の簡素化、あるいは適正化のために
措置か講じようと思
つて、
法案に幾つかの条文が載
つておりますが、いずれ別の機会に詳細御
説明申し上げることにいたしたいと思
つております。
それから次が
法人税でございますが、
法人税につきましては、現在の税率を動かすことは考えておりません。従いまして
法人税について
改正しようとする
措置は、それぞれ部分的な
措置が多うございますが、その第一は企業合理化促進法及び租税特別
措置法による特別償却を認める
範囲を拡張して行こう。御
承知のように現在は業種、機械等を限定いたしまして、企業合理化促進法におきましては、最初の年度に五割の特別償却を認めて行く、租税特別
措置法におきましては、最初の三箇年間五割の特別償却を認めているわけであります。この適用を受けます業種、機械の
範囲を広げて行きたい。貸倒準備金、
価格変動準備金など拡張をはかりまして、貸倒準備金につきましては、現在は毎期の期末より
貸付残高に対しまして千分の十とか、千分の七とか、一定の割合の
金額を出して、片方で毎期の
所得の
金額に対しまして、一年決算ですと原則として百分の二十、そのいずれか少い方の
金額を貸倒準備金として積み立てる場合は、課税の
対象にしないという制度にな
つております。
貸付金に対する割合、これが現存卸、小売の場合は千分の十にな
つている。製造、金融業については千分の七、その他については千分の五にな
つております。その後に実情を調べた結果によりまして、千分の十のものを千分の二十、千分の七のものを千分の十、五のものを七とそれぞれ引上げて参りたいと考えております。
価格変動準備金につきましてはいろいろ議論がございますが、現在考えておりますのは、その
対象に国債を入れようという場合と、それからもう一つ、これは四期にわけて、四分の一ずつ積み立て得るということにな
つております。もうすでに二期たちましたので、その
制限を撤廃いたしたいということを考えております。
それから第三は、
貿易振興、
海外進出等のことにかんがみまして、
貿易商社について、一応五年を限りまして
輸出契約取消準備金制度をつくろう。この制度は大体貸倒準備金制度の例と似たようなものに考えております。ただ
対象といたしましては、その期における契約額の一定割合、利益の一定割合かのいずれか少い方を毎期積み立てるということにしたいと思
つておりますが、割合等については、現在通産省と
検討を重ねております。
海外支店設置費でありますが、これは企業の合理化の例にならうのですが、初年度五割の特別償却を認めることを考えて行こうと思います。
なお
要綱には書いてございませんでしたが、
法人税法には、これと並べまして、
海外支店等が外国におきまして外国の
法人税等の課税を受けた場合におきましての二重課税防止の
措置を講じたい、これは
法案に盛
つてございます。現在これは経費には認めておりますが、それだけでありまして、二重課税にな
つております。別途、たとえばアメリカなどの租税協定の話は進んでおりますが、国内法だけでこれを行い得るという
措置を講ずるつもりでございます。従いまして
海外支店等の利益は、本店の利益と合算して一応
所得を計算しまして
法人税を算出いたしますが、
海外支店で払
つた税金は差引くということにしたい。もつとも外国の方の税率が日本の税率と比べて高い場合は、それはそのまま差引きますと日本の利益に対する負担まで差引くことになりますので、その高い分は差引かない、こういう考え方で
法案ができております。
それから第四に、
法人の支出の交際費、接待費、機密費等が一定の
限度を越える場合におきましては、超過額の二分の一を損金に算入しない。考え方としては、
資本蓄積につきましていろいろ政府が
措置を講じているわけでございまして、従いましてその償却的な
措置の一環とも考え得るのでありますが、こういうことも考えて行きたいと思
つております。いろいろ問題がありまして、まずその
範囲をどうきめるか。これは
法律である
程度はつきりきめるつもりでおります。考え方としましては、接待費等、飲み食いのための費用を中心にいたしまして、なお年末年始、中元等の贈答とい
つたものの費用を考えております。いずれ詳細は御
説明申し上げます。なお一定
限度が非常に問題なのでありますが、せつかく今資料を集め、業者の意見なども伺
つております。考え方としましては、
資本金、利益金の一定割合というのが、一つの基準に考えられますが、それだけではどうもいい基準が出ませんので、取引額の一定割合を一つの標準に入れるべきものだと考えております。はつきりした基準をきめにくい
関係もございますので、超過額の二分の一を損金に算入しないという
措置で参りたいと思
つております。
それから有価証券の譲渡
所得税の
廃止が行われますのに伴いまして、
法人が合併、解散した場合等においての分配剰余金——払込み以上に分配された金への課税というか、現在これはみなす配当として、譲渡
所得と並んで課税にな
つておるわけでありますが、譲渡
所得の課税がなくなります機会におきまして、どうもその姿ではおもしろくございませんので、昔行われておりましたように清算
所得ということで、
法人の
手元でも
つて課税をしてしま
つて、
個人の方では課税しないという制度にしたいと思
つております。それから
法人税についてはこういう幾つかのことを考えておりますが、企業合理化促進法、租税特別
措置法による特別償却の問題とか、貸倒準備金等の問題、これはいずれも政令で処理できる事項でございますので、
法案の方には入
つておりません。それから
貿易商社等の問題も、これは
措置法の問題になりますので、
法人税法の
改正法案の中には入
つておりません。
法人税法の
改正法案の中に入
つておりますのは、交際費等の問題、清算
所得等の問題がおもでございます。その他幾つかの付随的な
改正をするつもりでおりますが、いずれ別途御
説明申し上げたいと思います。
それから富裕税につきましては、
廃止したいと思
つております。
それから相続税につきましては、累積課税——現在の制度は、御
承知のようにシヤウプ勧告の線に基きまして、人の一生を通じて、その人がもら
つた贈与、相続等を漸次積み重ねて参りまして、最初のうちにもら
つた金額三十万円までは税金が全然かからない。三十万円を越えて参りますと、だんだん税金がかか
つて参りまして、しまいにもらう
金額につきましては、
相当高い税率による税金を負担するという制度にな
つておるのでございます。このことは理論的には一応考えられますが、実際や
つてみますと、税務署の方も記録の保存等で仕事がなかなかできにくい。ことに納税者が住所を移されるような場合においてそれを痛感いたします。納税者の方におかれましても、いろいろ御不便があるようでございまして、この制度はどうも理論倒れのようなかつこうになるように思われますので、それを
改正いたしまして、相続につきましては相続の都度、贈与については一年分を合算したもので毎年課税して行きたい、こういう制度に改めたいと思
つております。しかし、昔ありましたような遺産税のような制度に返るつもりはございません。取得者課税の制度をそのままとりたい。従いまして残された財産が一千万円の場合に、昔の
税法でありますと、この一千万円に対して税率を適用して相続
税額を出して行
つたのでありますが、今度の
改正案では、たとえば五人の方が均分相続されますと、それぞれの方に対して二百万円づつを課税
価格として税率を適用し、
税額を出して行くということを考えております。取得者課税の制度はそのまま続けて行きたい。基礎控除の額につきましては、現在三十万円にな
つておりますが、これを五十万円に引上げる。贈与税につきましては、先ほど申したように相続、贈与を合算して課税して行く
関係で、贈与税だけの基礎控除はございませんが、今度はわけて課税しておりますので、新しく十万円の基礎控除の制度をつくりたい。それから死亡
保険金と退職金の控除額は、現行の二十万円から三十万円に引上げる。退職金は、生前に退職金をもらわれますと、
所得税の方の退職
所得の課税になります。死後遺族の方がもらわれますと、この相続税の
対象になるわけでございます。次に税率でございますが、最高の一億円以上の百分の七十はそのままにすえ置きますが、下の方は大体五%
程度を、現在の税率は多少高くな
つておりますので、これを引下げて行きたい。それから贈与税でございますが、贈与税は、どこの国の税を見ましても、大体分割贈与による相続税の負黒
軽減を防止しようとい
つた考え方が一応入
つております。従いまして、今度の
改正案におきましても、相続税よりは大体五%高い税率——現行の税率かほほそのまま適用されるような姿にして行きたいと思
つております。相続税の延納の問題でございますが、現在は、金銭をも
つて納付することが困難と認められる場合におきまして、五年の延納を認める、さらに相続財産の半分以上が不動産とか山林とか処分のしにくい場合におきましては、十年の延納を認めることにな
つておりますが、今度はこれを改めまして、相続
税額が一万円以上である場合におきましては、原則として五年、不動産とか立木とかが半分以上の場合は十年の延納を認めるが、延納額は一万円以下にならぬように均分して延納をしていただく。但し最終回の分は一万円以下にな
つてもよろしい。四万五千円というような場合におきましては、四年間一万円ずつ、最終の五年目が五千円ということはよろしい、十万円であれば、普通ならば二万円ずつ五年で納めていただく、こういうふうに考えております。なお贈与税の場合におきましては、相続税と多少事情が違いますので、現在のように金銭をも
つて納付することが困難な場合には、延納を認めるという制度にして行きたい。
それから酒の税でございますが、
昭和二十八年三月一日から二割ないし三割
程度の税率引下げを行いたい。酒につきましては二十五年十二月でしたか、一回税率引下げがありましたが、現在なお
相当高い値段にな
つておりますので、税率を下げ、これによ
つて密造酒の駆逐ということも考える。税率は下げますが、消費の増加と相ま
つて、税収全体としては大体現行税率の場合と同じくらいの税収を確保したい、そういう意味の
改正を行いたいと思
つております。なお
提案が非常に遅れて恐縮なのですが、酒は、三月に入りますと、メーカーの方から小売業者、卸売業者の方に大分花見酒が参りまして、四月一日に切りかえが行われますと、切りかえの際の支障が非常に多いように思われます。そこで、でき得れば三月一日から施行したい。どうも値引き前ですと、買控え等もおのずから行われますし、三月に入りますと、酒の出まわり
関係から非常に支障が多いので、何とか御審議を願いまして、三月一日から施行したいと希望しております。
なおこの税率引下げによりまして、清酒は現在五百二十五円のものが四百四十五円に、以下それぞれ
相当下ることを
予定しておりますが、ただここに書いてございます清酒四百四十五円、合成酒三百三十円、しようちゆう三百円、ビール百五円という値段の中には、メーカー、卸小売のマージンがある
程度引下げられることが
予定されております。その後いろいろな
数字を
検討しておりまして、この
数字は多少動くことがあるではないかと予想しております。もつとも五円以上の幅で動くことはないと思
つておりますので、御了承願います。
なお、現在酒の税率は基本税、加算税の二本にな
つておりますが、これは自由販売酒ができましたときに、配給酒は基本税だけ、自由販売酒はさらにそのほかに加算税が課税されることにな
つていることは御
承知の
通りでございます。現在自由販売酒がほとんど大部分で、配給酒がほとんどなくな
つておるという現状におきまして、また税率がかなり全体として低くな
つておるという
関係からいたしまして、この制度は一本にしてしまいたい。但し配給酒、指定販売業者の制度は、向う一箇年は存置したい。過渡的に一年間くらいは別途考える必要があろうと考えております。なお酒の
税法は
昭和十五年に全文
改正になりまして、大分古い
法律でありまして、いろいろ支障がございますので、この機会におきまして全文
改正を行いたいというので、そのつもりでや
つております。
以上は本日
提案にな
つた法案でありますが、そのほか酒、砂糖消費税につきまして、含蜜糖の現在の税率は四百円のままでございますが、その他につ
いて大体二割
程度の引上げを行いたい。それから物品税につきましては、貴石、貴金属製品等現在製造課税にな
つておりますが、これは昔できたときは小売課税にな
つておりまして、どうも製造課税をや
つて参りましても、うまく参りませんので、これを小売課税にもどしたい。
その他幾つかの品物につきまして、負担調整を行いたいと考えております。
財源的には
減税財源として、見込みでは一応二十億の
財源を考えておりますが、どの品物をどういうふうにするかということにつきましては、
目下検討を重ねております。
それから有価証券取引税でございますが、有価証券の譲渡
所得に対する課税を
廃止する機会におきまして、これを流通税としまして、こういう税金を起したい。大体昔ありました有価証券移転税の形をとりたいと思
つておりますが、納税義務者は、移転税の場合におきましては譲り受け人でございましたが、今度は譲り渡し人にした方がよかろう。なお税率につきましては、しろうとが売る場合においては千分の二、それから業者の行う場合においては千分の一
程度と書いてございますが、その後
検討いたしまして、前の場合は千分の二、
あとの場合は万分の八くらいで
提案をしたいと考えております。
それから第三次再
評価、これは再
評価法の
改正法案を出すつもりでおります。第一次再
評価と第二次再
評価と二回再
評価が行われましたが、第二次再
評価は第一次再
評価の
基準日、あるいは再
評価限度額はそのままにすえ置いて、ただ第一次再
評価を時間的に行えなか
つた方に対して再
評価を追つかけて行い得る道を開いてお
つたわけでございますが、今度は少し考え方をかえまして、もちろんこれも第一次再
評価の調整と考えられますが、
基準日を最近の二十八年一月一日にいたします。従いまして再
評価限度額は、その後の物価の値上り等を考えまして、
相当引上げようと考えております。なお再
評価の税率は従来
通り百分の六、それからその他につきましては、大体第一次、第二次の再
評価の
規定がそのまま使えるようにして行きたいと考えております。ただ会社等におきまして、再
評価を行う時期をあまり短かくしますと、また第一次再
評価の
あとで第二次再
評価を行うような必要があ
つたと同じようなことにならぬとも限りません。今後二箇年——あまり長いのも困りますので、今後二箇年の間に一回限り行うように御決心願うというように考えております。
それから
特別減税国債でございますが、これは別途理財局の方と一緒になりまして、国債
法案が出るはずでございます。税
関係だけのことについて申し上げますと、
法人の場合をお考えになると一番簡単に頭に入りやすいのでありますが、百万円お買いになりますと、その半額の五十万円を損金にするといいますか、益金からはずす。従いまして五十万円に対する四割二分、二十一万円が税の
軽減になります。同じような意味で、
個人の場合におきましては、百万円買われますと、二十五万円の
軽減になります。
個人の方が少し割がよくな
つております。なお
条件その他は追
つて理財局の方から御
説明があると思いますが、大体年利四分、三年すえ置きで四年。五年目くらいに償還する。均等償還ですから、五年で償還するということが考えられております。利回りは
個人の場合には一割二分くらいになるのですが、
法人の場合には一割くらいになるんじやないかと思
つております。詳細は追
つてきまり次第御報告申し上げます。なお購入につきましては、一応
限度をきめます。そこにありますように、
法人の場合は
所得の四割、
個人の場合は税金で二割、これは
個人の方が多少ゆるやかにな
つておるわけであります。なお担保、譲渡についての
制限は行わないつもりでおります。ただ日銀には、国債として担保としてとることはしないというようなことが考えられております。
そのほか
収入印紙の不正使用防止のための登録税の
改正、それから間接税につきまして、利子税の制度を設けるとい
つたようなこまかい幾つかの
改正をすることが考えられております。
なお酒税の保全、それから酒類の取引の安定を行うために、酒類業者団体法とでも申すべきものをこの際つくりたい。これも別途あわせて
提案に至る考えであります。これによりまして、現在公定
価格等をや
つておりますが、でき得れば漸次協定
価格のようなことに移して行くことも考えたいと思
つております。この
法案は近く
提案になる見込みでございまして、酒
税法の
改正案と一緒に、でき得れば三月一日から施行したいということを考えております。
以上申し述べましたのは、大体今度考えられております
改正の
要綱でございまして、本年度の租税及び印紙
収入は全体としまして七千八十億でございます。従いまして二十七年度の
予算額に比べますと、六千八百五十三億、これが二十七年度の
予算額ですから、二百二十七億増にな
つておりますが、現行法による
収入見込額に比べますと、約千九億円の減収を見積られております。もつともこの千九億円の中には、
減税国債の減六十七億が入
つておりますから、それを差引きますれば、九百四十二億ということに相なるわけであります。租税の負担等も
相当軽減されるものと思います。お
手元に差上げました
要綱に幾つかの事例があげてありますからごらん願いたいと思
つております。
以上、今度の
税制改正の大要を御
説明申し上げましたが、本日
提案になる見込みのものは、先ほど申しましたように、
所得税、
法人税、相続税、富裕税、酒税、この五つでございます。
あとの分につきましては、至急に成案を今急いでおりまして、引続いて
提案いたしたく努力いたしております。以上をも
つて一応の御
説明を終ります。