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1952-11-28 第15回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月二十八日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 奧村又十郎君    理事 淺香 忠雄君 理事 川野 芳滿君    理事 内藤 友明君 理事 松尾トシ子君    理事 佐藤觀次郎君       上塚  司君    大泉 寛三君       大村 清一君    佐治 誠吉君       西村 直己君    宮幡  靖君       三和 精一君    荒木萬壽夫君       笹山茂太郎君    中崎  敏君       小川 豊明君    坊  秀男君  出席政府委員         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (銀行局特殊金         融課長)    有吉  正君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      伊東 正義君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      永野 正二君         農林事務官   上田 忠造君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         専  門  員 椎木 文也君         専  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 十一月二十七日  政府資金統一運用に関する陳情書  (第四二四号)  同(  第四二五号)  同(第四二  六号)  同(  第四二七号)  昭和二十七年産米超過供出等に対する課税の特  例立法に関する陳情書  (第四二八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第八号)  漁船保険特別会計における漁船保険事業に  ついて生じた損失を補てんするための一般会計  からする繰入金に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九号)     ―――――――――――――
  2. 奧村又十郎

    奧村委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず漁船保険特別会計における漁船保険事業について生じた損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御出席になりました政府委員は、水産庁漁政部長伊東正義君、同じく水産庁生産部長永野正二君、農林事務官上田忠造君、国民金融公庫総裁櫛田光男君、大蔵省主計局法規課長白石正雄君、銀行局長河野通一君、銀行局特殊金融課長有吉正君であります。  質疑は、通告の順にこれを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 水産庁漁船部長お尋ねしますが、今、拿捕されておる日本漁船状況並びにその将来の見通しについて御説明願いたい。
  4. 永野正二

    永野説明員 ただいま日本漁船拿捕状況についてのお尋ねがございましたが、御承知通り、本年講和条約発効とともに、従来日本漁船行動制限しておりましたマツカーサー・ラインというものが解消いたしたわけであります。ところが、このマツカーサー・ラインがございます時分に、日本漁船がそのラインを出たという理由で、ソ連中共韓国国民政府というような関係の国から、拿捕された数が非常に多かつたのでございまするが、講和条約発効とともに、しばらくは、そういうわが漁船拿捕は影をひそめておつたのでございます。現在までこの拿捕の起りました数字国別に申し上げますと、第一にソ連関係が、全体の数が百九十六隻になつております。そのうち百三十八隻は帰つて参りまして、まだ帰つて参らないものが五十二隻あるのでございます。そのほか、このソ連領土の近海におきまして座礁あるいは沈没したというような事故のものが六ぱいございます。このうち、講和条約発効後の事故といたしましては、全体で三十五はいの拿捕を見たのでございまするが、このうち三十三隻はすでに帰還いたしておりまして、未帰還のものが二隻ございます。それから大体このソ連関係拿捕は、千島と北海道の間におきまして、彼我の領土が非常に近接いたしておりまするために、日本漁船で往々にして注意を怠つた結果、先方領海を侵したというかどで拿捕されるという例が多いようでございます。  次に、中共関係でございまするが、中共関係国民政府との間の戦闘のはげしい時代におきまして、わが国の船が相当多数に拿捕されておつたのでございます。大体昭和三十六年ごろが非常に多かつたのでございます。現在までの総数は九十七隻になつております。そのうちすでに帰還せるもの一隻、いまだ帰還せざるもの九十六隻に及ぶ状況でございます。このうち十五隻は講和発効後起りました事故でございます。この方面事故特徴といたしましては、これはわが国の下関、博多、長崎等を根拠にいたしまする以西底びきの船がこの災厄にあつておるのでございます。この船は相当大型優秀船でございますので、これが拿捕、未帰還ということに相なりますと、その経済的な損失が非常に大きいということが特徴であろうと考えます。  それから次は、国民政府関係するものでございまするが、これはマツカーサー・ラインがありました当時の事故が全部でございます。講和条約発効いたしましてからは、拿捕した船が帰つて来ないという事例は全然ございません。現在までの総数を申し上げますと五十四隻になつておりまして、そのうち帰還せるものが二十三隻、未帰還のものが二十九隻、これは本土と台湾との間の戦争がはげしいころに向うにとられたものでございまりす。そのほかに座礁沈没船が二隻ございます。これらの未帰還船舶につきましては、当方の請求権を確保するために、先般行われました国民政府との交渉におきまして、この点を先方に確認いたさせておる次第でございます。  それから次に韓国関係でございますが、韓国関係朝鮮半島に戦乱が起りましてから、あの戦線がはげしく移動しておりました時期に、非常に多くの船が先方の不法な奪取に遭遇しておる次第でございます。現在までの総数は百四十八隻になつておりまして、このうちすでに帰還せるものが百九隻、いまだ帰還せざるものが十一隻、座礁沈没等事故が八隻、それから盗難と目すべきものが二十隻、つまり先方の個人がこちらの船をかつてに盗んで行つたと目すべきものが二十隻、こういう数字に相なつております。韓国関係講和条約発効いたしますとともに、従来ありましたような不法拿捕ということがしばらく影をひそめておりましたのでございまするが、本年の夏から再びそういう傾向が現われて参つております。この韓国関係につきましては、御承知通り本年の一月李承晩大統領が一方的な宣言をもちまして、その周辺の水域にある漁業資源について韓国の主権下あるという宣言を出しましたのでございまするが、その後の韓国の実際の行動は、必ずしもこの李承晩宣言なるものをそのままわが国漁船に対してあてはめて、これに違反するものをただちに拿捕するというような態度はとつておらないのでございます。しかし本年の八月の中旬に一隻、九月の中旬に二隻の船が、先方済州島付近の領海を侵犯したという理由に藉口いたしまして、これを拿捕し、これを先方の一方的な裁判にかけ、あるいはかけんとしておるという状態にございます。この点は私どもとしては、これらの船が先方の船に拿捕されます際のこちらへの無電の通信の状況から考えまして、またこのうち帰還した船員がおりますので、それらの船員の陳述を聞き取りました結果から見ましても、これらの拿捕はいずれも領海にあらざる公海において不当に行われたものであるということを確信いたしております。現にこのうちの一ぱいの船のごときは、先方の船に拿捕されましてから約七時間も航行した後に済州島に到達したというようなことが、その当事者の言明で明らかになつておるのでございます。これは明らかに公海の上におきまして平和に操業をしておつた漁船を不当に拿捕したものであるというふうに、われわれは確信いたしております。しかしながら、先方はこれらの船を拿捕いたしました後に、乗組員を脅迫いたしまして、領海侵犯自認書をとつて、その自認書を基礎として裁判をなし、あるいは今後裁判をせんとしておるようでございます。これらにつきましては、外務当局を通じて、今後これらの船舶返還乗組員即時返還、及び一切の損害賠償交渉いたしておるのでございます。  以上が船の数につきましての概観でございまするが、これに伴いまして、乗組員の数について関係数字を申し上げますと、ソ連関係が、全体の数字が千七百四十七名になつております。そのうちすでに帰還いたした者が千六百七名、いまだ帰還せざるものが八十九名、死亡及び行方不明が五十一名、こういう数字に相なつております。中共関係は、全体の数が千百三十一名、そのうちすでに帰還いたした者が八百九十名、いまだ帰還せざる者が二百二十九名の多きを数えております。また幸不にして死亡したと認められる者が十二名ございます。国民政府関係は全体の数字が六百七十六名になつております。そのうち六百六十五名がすでに帰還いたしております。死亡いたした者が十一名と認められております。韓国関係は全体の数が千四百九十八名に相なつております。そのうちすでに帰還いたした者が千四百七十二名でございます。いまだ帰還せざる者が十六名、死亡及び行方不明が十名という数字に相なつております。  以上を通計いたしますると、船舶の総計が四百九十五隻であります。乗組員総数が五千五十二名に相なつております。以上申し上げましたのは、昭和二十七年十一月十三日現在の数字でございます。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 こういうことは、全面講和をやらぬからこういうようなこなるのである。われわれも非常にこういうことを心配したので、今なお全面講和のことについて考えておりますが、一体講和発効後とその発効の前との月の割合で、どれくらい増加したものであるかということが、当局はわかつておるかどうか。
  6. 永野正二

    永野説明員 ただいま一月当りの平均の一数字の御質問でございましたが、これはちよつと帰りまして計算をいたしませんと、すぐには出て来ないのでございますが、概観的に申し上げますと、先ほど申し上げましたように、中国及び中共関係戦闘が非常にはげしかつた時代、及び朝鮮半島におきます戦況が非常に険悪であつた時期において集中的に漁船奪取が行われたということが言えるのでございます。先ほど申し上げましたように、講和発効後の拿捕といたしましては、非常に数は少くなつておるのでございまするが、ことに中共関係について申し上げまするならば、一時講和発効後は拿捕の影をひそめておつたのでございます。最近になりまして、再び大型優秀漁船を目標としてこの拿捕が行われるような事態が起つてつた、こういう全体的な傾向にあるわけでございます。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 こんな莫大な損害を受けておるわけであるが、業者にそういう問題が起きることについて、一体政府注意をしてあるかどうかという問題が一つ。それから今後こういう状態が続くのであるけれども、そういうことに対してどういう対策があるか、ちよつと説明して、いただきたい。
  8. 永野正二

    永野説明員 相手国に対します外交折衝その他の関係につきましては、しかるべき当局からお答え願うことが適当であろうかと思います。水産庁といたしましては、講和発効いたしますとともに、相手国領海線までは、一応われわれといたしましては国際法上認められた公海漁業の自由を有しておるわけでありますが、ただ何しろわが国との間の関係が相当険悪な実情にございますので、相手領海線ぎりぎりで操業するということは、事実上非常な困難が伴うわけでございます。従いまして水産庁といたしましては、この方面漁業監視船というものをなるべく強化いたしまして、現地相手方の実力、あるいは相手方のわが方の漁船に対する取扱いぶりというものをある程度見通しを立てまして、この監視船の巡航する区域を現在定めておるわけであります。漁船に対しましても、できるだけの広い漁場を与えたいという考え方で、そういう巡視船が巡航をいたしておりますけれども、この区域を遠く相手方の方へ越えて出るということに相なりますと、こういう漁船を保護するだけの力が現状においては残念ながらわが方として整つていない実情にございます。漁船方面におきましても、この点は、よく現地のわれわれの監督官と事実上常に連絡をとつていただいておるのでございます。われわれとしては、できるだけ詳しい情報なり情勢判断漁船の方に伝えて、こういう不法な事故が少しでも起らないように極力努めておるつもりでございます。またこういう事故に対します経済的な損失というものをできるだけ軽減するために、当業者の方からもいろいろな御要望があつたのでございますが、われわれといたしましては、現在の漁船保険制度に特殊な制度を織り込みまして、この拿捕が起りました場合に、その船舶の代価を補償いたしますための保険制度、及び船員拿捕されて帰らない場合にその未帰還船員に対する給与を補給するための保険制度というものを制度化して参つた次第でございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最近の拿捕状況、それからそれに対する損害についての参考資料をせひいただきたいと思います。
  10. 宮幡靖

    宮幡委員 今の事務的なお話で、拿捕船状況はきわめてよくわかつたのであります。ただ韓国との問題に対しまして、水産庁——農林省を代表しての御意見だとは聞いておりませんけれども公海自由の原則ということをやはり御説明に加えておつたが、公海自由の原則というものは現在の立場において水産庁は認められておるが、はたしてこれは対外的に認められておるかどうか。これはあなたに伺うことは無理だと思うので実は遠慮しておつたのでありますが、なるほど漁船拿捕せられ、これに対します当然の保険、あるいは九〇%の再保険、こういうものを給付するということには異論がないのですけれども、一体拿捕される機会を撲滅する方針をとつておらない。しかも外交交渉関係の上においていまだはつきりした結論のないところに、たとい給付すべき理由はあつたとしましても、ただちに国民の税金からなります一般財政資金を繰入れることを同意するということに、なかなか困難さがあると私は思う。しかもこれはまだ昭和二十六年度の問題である。昭和二十七年度の分に対しても順次こういうことをやつて行く。あるいは続いて提出されるでありましよう来年度の本予算、これらに対します予算措置考慮等考えてみますと、なかなかむずかしい問題であります。そこでひとつ委員長にお願いし、理事会の議に諮りまして、外務農林等関係省の責任ある方においでを願いまして、そうして根本を確かめた上でこの法案取扱い考えたい、こう思つたわけであります。それでただいまおわかりの程度で、事務的でけつこうでありますが、公海自由の原則というものは、一体どの程度まで守られておりますか。渉外的や政治的な話は他日に譲りますが、事務当局でどのようにお考えなつているか、これだけ明らかにしていただきたい。
  11. 永野正二

    永野説明員 漁業につきましての公海の自由という原則は、現在国際法上認められた通念であることは申すまでもないのでございます。ただいまのお尋ねは、現実に最近の国際法動きとしてこれがどの程度に確認され、確立されているかという点についての事務的な見解、こういうことにお伺いいたしました。この点は、私ども現在でもこの公海漁業の自由ということにつきましては、何ら制限なく現在の国際法原則として確立されておると考えるのであります。最近の国際法動きにおきましては、領海に近接する公海につきまして、あるいは関税の関係、あるいは禁止法の取締りの関係等、若干沿岸国管轄権を外に及ぼそうという動きがあることは事実でございますが、漁業につきまして、領海の外に沿岸国の一方的な管轄権を及ぼすという主張は、国際法上認められておらないのであります。ただ関係国合意に基きまして、世界の人類の共通の資源でございます漁業資源に対しまして、これを保護し、最高度に利用し、これを絶滅させないために、国際的な合意に基きまして、おのおのの国民に対して若干の制限条約によつて行うという例はたくさんございます。今わが国が当面しております一番の問題は、韓国の行つております李承晩宣言の問題でございます。これはわれわれといたしましては、ああいう広大な水域におきまして、韓国の一方的な必要から、そこの資源を一方的に韓国管轄に属させるという主張はとうてい容認できませんし、また国際法の上からいつても、これはとうてい認めがたいものである、こういう結論を出しております。
  12. 宮幡靖

    宮幡委員 水産庁事務当局のお考えとしては、そう考えるほかはないと思うのでありますが、事実といたしましては、さらに李承晩ラインのほかに国連軍防衛水域がある。これはほとんど同じような線でありまして、もちろん図上で見ることで、現地関係はもつと複雑多岐でありましよう。その中におきまして、出漁禁止をされる、あるいは警戒区域の中に入つていいときと悪いときがある。こういうことを勘案して参りますと、いわゆる保険事故というものは非常に増大して来るわけであります。これに対して李承晩ライン宣言は、これはもちろん一方的でありまして、国際法の正常なる解釈並びに慣習から言いまして、逸脱しておるものであるということには異論がない。しかしながら、これに対して何らの解釈が与えられず、こちらも原則があるからということで一方的に漁船出漁を認めておる。こういうことになりますと、迷惑するのは実際の漁民であり、ひいては日本国というものの面目に関する問題になつて来ると思います。ただいまのは事務当局意見でありますから、これを強く追究する意味ではありませんが、一方的な解釈のみに頼らずに、さらに外務省等を通じまして、それぞれ御折衝なさつておるかどうか。国連軍は大体出漁は禁止したけれども、話合いによりまして、黙認することになつただろうと思うということが、それぞれの漁港に風のたよりのように伝わつて参りまして、これを信頼して、防衛水域の中、あるいは李承晩ラインの中に入つて行く。韓国海軍はこれを拿捕するという事実があつて、先ほど御説明になりましたように、われわれの方の資料は少し違つておるかもしれませんが、十月二十七日くらいの現在で百四十二隻くらいが韓国海軍拿捕されておる。乗組員は千三百九十二人というように推定されておる。このほかに行方不明が二十隻くらい、沈没が八隻、未帰還の船もまた十隻ある。死者は六名、行方不明は四名、未帰還者が七十二名というような重要なる報道が、それぞれの港に伝わつておる。こういうときに、国際法の精神からいつて、また慣例からいつて公海自由の原則が認められただけでは、日本国漁民を保護する上において、その保護の一つの末端の仕事として保険制度があるわけでありますが、根本的に出漁を保護する点におきまして、私は残念ながら遺憾の意を表さなければなりません。そこでくどいようでありますが、この法律案自体には何にも異議はありませんが、当委員会が招請しても、渉外関係の方が出席しないとか、あるいは農林省にいたしましても、水産庁長官農林大臣くらいは一応出席せられまして、事の実情を話してもらわなければ、この解決を日韓会談になすりつけられたような現状におきまして、われわれはこの法律案を絶対的信頼のもとに通過せしむるということはできません。(「党内野党だ」と呼ぶ者あり)ことに委員長にもお願いいたします。が、いやしくもこれらの法律案をただ事務的な法律案として通過させようとするならば、これは政府当局がまことに不熱心であり、ひいては大蔵委員会を軽視しておるものだと私は思います。どうぞそういう意味におきまして、外務省がどんな忙しい用事がありましても、全漁民に対する福祉増進のために、あるいは日本の独立を真に擁護する意味におきまして、これは根本的に交渉の経過を話していただきたい。それは、必要があれば委員長のおとりはからいによつて祕密会にせられてもけつこうです。そして真相をきわめましてこの審議を進めて参りたい。本日は何分にも事務当局相手お話をいたしましても、これはかいないことでありますから、どうぞ本件につきましては、国会の面目にかけまして、忙しいではあろうが、外務大臣も、農林大臣も、水産庁長官せひおいで願つて、場合によつては保安庁の長官にもおいでを願いまして、この事実をお話願いたい。納得すべきものは納得しなければなりません。ただいま委員席からも、党内野党だとのお話もありますが、私がこうして申しておりますことは、これは野党の方々も御異議のないことであり。御納得をいただけると思う。(「異議なし」と呼ぶ者あり)そこでこれらの問題が解決せられておらない場合に、同法案審議し、あるいは来年度の予算に対しまして、保険基金等の問題を検討することは少し無理ではなかろうか、こういう意味で、私は本日はこれ以上質問いたしませんから、ぜひそのことをすみやかにおとりはからいを願いたい。そうしなければこれらの審議は進まないということを、私ははつきりと申し上げておくわけであります。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員長 委員長からお答えいたしておきます。ただいまの御発言しごくごもつともと存じまして、本日は外務省アジア局長倭島英二君の出席を当委員会に要求しておいたのですが、フイリピンの賠償関係会議出席のためということで出席ができなかつたのであります。これは委員長において了承いたしまして、次の機会に要求したいと思います。次に水産庁長官も、これまたちようど本日は参議院の水産委員会に参つておりますので、外務省政府委員とともに要求したいと考えまして、本日はこのようにとりはからつた次第でありまして、次の適当な機会に、この重要な問題は審議いたしたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。     —————————————
  14. 奧村又十郎

  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 国民金融公庫のことについて河野銀行局長に質問いたします。  先ほど懇談会の席上で、大分国民金融公庫資金の欠乏していることを聞きましたが、一体政府は、十月二日に選挙が開票になつてから今日まで、国民が金がなくて困つておる、あるいは国民金融公庫の金を借りたいために、私ども選挙区でも多数の申込みがあつて、どうにもならぬような重大な状況なつておるのに、どうしてこういうような重要な改正を早く法案として出さなかつたということ、それからどれほど急いでおられるのか、それについての的確な説明お話願いたいと思います。
  16. 河野通一

    河野(通)政府委員 国民金融公庫資金が需要に対して十分でないということはお説の通りでありますので、できるだけ早い機会にこれが資金源を拡充する措置をとりたいと考えておつたのでありますが、何分にも国民金融公庫は完全に政府の機関である。従いましてその資金はすべて広い意味財政と直結した関係において解決せざるを得ないということに相なつておるわけであります。従いまして、補正予算案提出にあたりまして、その一環としてこの問題を取上げざるを得ないという事態なつておるわけであります。今般補正予算案提出されるにあたりまして、出資として一般会計から三十億、資金運用部資金から二十億という資金の借入れ、この二つの金額合計五十億を資金源の拡充に充てたいということで、本法律案を御審議願つておるわけであります。私どもはなるべくすみやかにこの問題を御審議願いたいと考えておつたのでありますが、何分にも補正予算案提出がこういうわけで今日になりました関係上、この問題だけを切離して提出するというようなことは、少くとも政府当局としてできなかつたわけであります。遅れたことがいいことであるとは毛頭考えておりませんけれども、この辺の事情のところは御了承いただきたいと考えております。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 私の方の地方からも、国民金融公庫に対する注文が今日非常に殺到しておりますが、それがために莫大な金を、もつと零細な金のない人に貸し出せというのがわれわれの趣旨でございます。一体そういうような要求に応ずるだけの金を貸すのには、どれくらいの資金があつたらいいかということは、おそらく金融公庫総裁の櫛田さんはよく御存じだろうと思いますが、その実情を御説明願いたいと思います。
  18. 櫛田光男

    櫛田説明員 お答え申し上げます。三年前に国民金融公庫として再発足いたしまして以来、連日お客さんがふえる一方でございまして、常に資金が足りないということに追われ通しで、現状もさようでございます。ただ先ほど銀行局長から御説明がありました通りに、私どもの公庫の資金の源泉は、すべて広義の財政資金でありますので、予算関係と申しますか、それに拘束を受けまして、時期的に資金の需給がうまく合わないという点が、現在相当大きな悩みの一つでございます。今度政府から五十億という出資並びに借入れを受けるわけでございますが、その根拠は、大体十二月から来年の三月までの間に、概算でございますが、二百九十五億見当の申込みがあるのではないか、大ざつぱに申しまして三百億でございます。それに対しまして、一体どれだけの貸付が望ましいかという点になるのであります。私どもの経験から申しますれば、最小限度三割見当のものはどうしてもお貸付をしなければならない、すべきである。そういつたようなことから計算いたしますと、大体八十八億、九十億見当のものが資金としている。そのほかに軍人遺家族の国債を担保といたしまする貸付として十億円、それから母子家庭に対する貸付五億円というものを大体予想いたしますと、十二月から来年の三月までにかけまして、大体普通貸付が八十八億といたしますと、百三億という資金がいる、こういうことに相なるわけであります。ところが他方今までの貸付の回収金が十二月から三月までの間に四十六億円見当が見込まれます。そのほかに実は本年当初予算におきまして、政府出資三十億、それから資金運用部からの借入れ二十億、合計五十億というのが組んでございました。その中で八億見当の借入れを、実は最近までいたしておりません。これは軍人遺家族関係のために、さしあたり十億見当のものは別わくとして保留しておいたらどうかというお話もありまして、いろいろな関係からいたしまして、八億見当というものをまだ残しております。これを回収金四十六億に加えますと、五十四億ということに相なります。先ほどの所要資金の百三億円から五十四億円を引きまして、残額四十九億、概算五十億というのが、最小限度でありますが、ぜひ必要であろう、こういうふうに考えおります。ぎりぎり一ぱいでありますが、このたびの五十億円の新規資金の出資または貸出しをお願いすることによりまして、先ほど申しましたぎりぎり三割見当のお貸付はどうやらできるのではないか、こういうふうな状況でございます。
  19. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今総裁からお話を伺いましたが、今度のこの法案予算の成立前に二十億円を一時借入れをしようという案でありますから、今の話でも、また提案理由にもありました通り、中小企業の資金、あるいは遺族に交付する国債に対する融資、母子家庭に対するところの事業資金、こういう差迫つた問題のためと考えますが、はたしてあと一箇月に迫つているところのこの年末に、これだけを十分処理できるだけの自信がおありかどうか、この一点だけをお伺いしておきます。
  20. 櫛田光男

    櫛田説明員 ごもつともな御質問だと存じます。実は私ども、仕事の量が半期毎に五割ずつふえて行くような状況でございます。それに対しまして、実は十分な人手の増員が伴いません。かたがた現在一人の負担量が非常に過重に相なつております。そこではたしてこれだけ厖大な量を処理できるかどうかというお尋ね、ごもつともだと存ずるのでございますが、大体現状におきまして、すでに調査を完了いたしているが、ただ資金的な理由からお貸付を延期いたしておりますもの、普通私ども手持ちと申しておりますが、それが十一月上旬から相当程度たまつております。かれこれ合せまして大体十二月においては三十五億見当のお貸出しは十分にできます。そのほかに遺家族関係で四億円見当、大体三十九億円というものを今予想いたしております。それに対しまして回収金が大体十億円、また先ほど申しました借入れの残額をその方に入れます。かたぞれ大体二十億見当のものを十二月上旬くらいに、今度の特例によりまして御拝借できますれば、資金的にも十分に間に合いますと同時に、ただいま申し上げました程度のお貸付はけつこうできる、かように一応見込みを立てておりますので、御了承願います。
  21. 淺香忠雄

    ○淺香委員 自信のあるようなお答えでありましたが、今度の二十億円すら、実はいま少しくふやしてみたらどうだというようなことすらも今出ておるのですが、それについて総裁としては大丈夫こなせる、また調査の終つたものも、これこれの金額はこれに充当するんだというような御説明等もありましたが、私はその点非常に実は案じておるのです。といいますのは、御承知かもわかりませんが、この前の国会の休会どきを利用いたしまして、私ども大蔵委員のものが、私は大阪方面の班でありましたが、国政調査に参りましたときに、大阪の支所を調査に参りましたが、非常に事務が渋滞いたしておりました。それでどのくらいこれだけの申込みに対して処理できるものかということを支所長に質問いたしましたところ、まず三箇月くらいかかるという。実はあきれたですね。どういうわけで三箇月くらいかかるのかと聞けば、人手が足らぬ、人手が足らぬというが、これは公務員のわくもはずして自由に人を入れられるような機構になつておるが、本部の方でどうしているのかというと、本部の方から手はまわしてくれない。しからば大阪支所において、しかも東京に次ぐ商工都市であるところの大阪の商工業者が申し込んで三箇月、何人所員がおるのかと聞けば四十六人——この数字は今資料を持つておりませんのではつきりいたしませんが、たしか四十六人と聞きました。調査員が何人おるのかと聞けば六人おる。六人の調査員の中には休んでいる者がある。休むという理由を聞けば、超過勤務をもらえないし、非常に無理をしおるから、これがだんだん遅れて疲労して休んでおるんだといつたような理由でありまして、実は私ども唖然としたのであります。その後総裁等もこの支所等の問題についていろいろ調査をされておると思うのでありますけれども、申込人にとりましては、決定されるまでは戦々きようようで、しかも四回も五回も足を運んで、平身低頭しておる。こういう事態なつて来ました場合に、調査員の態度というものが非常に申込人に対して高圧的であり、しかも官僚的である。おれの筆先一本でどうでもなるんだというような態度もなきにしもあらずであります。こういう状態を見ました場合に、皆さん方から今度の問題にいたしましても、二十億円では少い、もつと多く出したらどうだと、野党の諸君すらそういう声があるのでありますけれども、金を出したところで、こういう処理状況ではちよつとおぼつかないのではないかと思うのですが、そのためには、私今質問しましたように、はたして年末一箇月間に迫つておるところのこの事態に、少いといわれておるところのその二十億すら十分に処理ができるかどうかという質問の第一点でありましたが、それと同時に、この営業方面につきまして、総裁としてもその後いろいろ改革の案を持つておいでになるだろうと思うのであります。そういつた方面についてお考えがあれば一応この際承つておきたいと思う。
  22. 櫛田光男

    櫛田説明員 いろいろ御指摘、御注意をいただきましてまことにありがたく思いますが、おつしやいます通り、人手の点につきまして少しばかり苦衷と申しますか、私の苦慮いたしておりまするところをこの機会に申し上げたいと思います。おつしやいます。通りに、公務員の適用は本年五月末にはずれたのでございまするけれども、定員、人数と、それから給与のベースにつきましては、なおそのほかに予算上の制約を受けております。予算総則におきまして、予算に定められたる人員と定員を越えてみだりに人を採用してはいけないし、またそのきめられたベースを越えてみだりに給与を支給してはならないという予算上の制約を受けております。この人手の関係でありますが、その点が現在千二百九十七人の定員でございまして、大体一ぱいであります。先ほど申し上げましたように、仕事の量は、ことに申込量から見てみますと、大体五割近くふえて行くような状況でありますにもかかわらず、人員の関係においては、不幸にしてそれに応じて増員その他の措置が適宜とれないというふうな現状にありまするために、一人あたりの仕事の量がたいへんに加重せられておるということは、何ともこれは認めざるを得ない次第でございます。このためには、結局能率の改善をできるだけはかりまするほかに、職員諸君の仕事の量がふえておると申しますか、まつたく真実を申し上げますると、調査員諸君は日に六件から八件というのを見てまわりまして、朝の八時半ごろから出かけまして、おそいときには晩の八時ごろまで一日中走りまわつて調査をいたしております。それから帰りまして自宅において、あるいはまた事務所に残りまして、大体十二時ごろまで調査報告をしたためまして、その結果を検討して決するというふうな状況なのであります。これは全体が大体そういう状況に相なつております。お客様方がたいへんにふえて来ておりますので、他方人員関係においてかような制約がありますために、申込みをいただきましてから調査に着手するまでの間が、今まで通常の場合はせめて一週間くらいでもつて調査に着手できればよろしいのでありますが、それがひどい場合には、四十日も五十日もお待ちを願わなければ調査に着手できないというふうな状況がたまたま起るような次第でございまして、ただいま御指摘になりましたような次第の事態が起きましたことは、まことに残念に思います。と同時に、力の足りないことをおわび申し上げる次第であります。実は十一月の中旬のところは、全体のものが休日返上と申しますか、休みを廃しまして、全体が出勤している状況であります。昼夜兼行の状態であります。たいへんなお客さんでありますが、資金の許します限度においてできるだけ早くお客様方の意に沿いたい、勉強する以外に方法がない、現在かような状況にある次第でございます。  それから超過勤務手当の問題でありますが、予算の限度はございますが、大体払つております。ただ自宅でやります場合の問題でございますが、これは何ともあれがございませんので、超勤の問題は一応全部支払いをいたしておりますので、御了承願いたい。かような状況でございます。また他方たいへん申しかねる次第でございますが、私どもお客様に対しましてよい相談相手なつて、ほんとうにひざ突き合せて皆様方の立つて行きますように、よい相談相手になるということをモツトーといたしておりますが、御指摘のようにあるいは感情的と申しますか、いろいろ不行届きの点のあることは御寛恕願いたいと思います。非常に疲れて参りますと、つい笑い顔もできなくなり、言葉もあるいは非常にぶつきらぼうになることがあるかもしれませんが、その点はしばらく御了恕いただきたい。
  23. 淺香忠雄

    ○淺香委員 今の総裁の答弁では私は少し納得できぬのです。公務員のわくははずれたけれども予算措置ができない、従つて人員も入れられない、こういうわけでありますが、しかし予算とかわく等の問題は、ふやすということについて私ども御協力を申し上げるのにはやぶさかではありませんが、いやしくも中小商工業者が一方に期待をかけて申し込んだものが、平均三月もかかることを当然かのようにいわれるような支所長があるといたしました場合に、私は当面の責任者であるところの総裁が、全国的にどうしてこのような人を選んでおられるのか首肯できないのでありまして、今の答弁では少し納得できかねます。要は人の問題でありまして、たとえば大阪の支所におきましても、私の数字が間違つておらなかつたならば、四十六人と答えられましたが、その四十六人の中でも、調査をされている人もありましようし、庶務、会計とか、その他いろいろやつておられる人があると思う。いやしくも支所長と名のつく人が二階の支所長室にがんばつて指揮をしておるというよりか、中小企業者の気持を察した場合には、何も六人が六人の調査員で置いておく必要はないのでありまして、たとえば会計から増員をするとか、庶務の方から何人か増員するとかして、全般的に政治的に事務を処理して行く人がなければならぬ。しかるに規定に当てはめられただけのことしか処理できぬようなこと、いわんや三箇月かかるというようなことにおいては、これは何のために国が国民金融公庫に金を出すんだ。むしろこんなことならば、あるいは信用金庫、あるいは相互銀行の方へ国の金をまわしたら早いじやないか、かえつて中小企業者や、あるいは今度問題になつております遺族に対するところの国債の発行の取扱いに対しても、その方がいいじやないかというような結果になることを私はおそれるのであります。従つて今総裁が言われるように、公務員のわくははずれたが、予算がないんだ、人間が足らないんだというようなことではなく、この公庫自体の運営ということにつきまして、失礼ながら総裁も副総裁も何も東京で総裁室にがんばつておられることが能じやないのですから、各支所の方をおまわりになつて、そういつた実態を見きわめて、私はもつと率直にいうならば、各支所におけるところの支所長や幹部は裸になつて——支所長室でいばつているのが能じやない、申込人とひざ突き合せて相談して話し合つて行くというようなことでなければ、この公庫のできました趣旨、また金をふやそうといたしましても意義はなさぬと私は思うのですが、もう一度あなたの心持をお伺いいたしたいと思います。
  24. 櫛田光男

    櫛田説明員 ごもつともの御意見でございます。先ほど人員の関係で申し落しましたが、能率の改善あるいは職員全体が挺進いたしますこと、これはおつしやる通りのことでありまして、私としても気をつけておるところであります。また支所長全体もこのような心組みでおるとは存ずるのでありますが、しばしばいろいろな点で至らぬところも多かろうと存ずるのであります。だんだんとまたよくして参りたいと存じますので、どうぞしばらくごかんべん願いたいと思います。
  25. 中崎敏

    ○中崎委員 国民金融公庫が非常な努力をされまして、大衆資金の調達の上に非常に大きな貢献をしておられる事実を私たちは多とするものであります。ただ今までも論議のうちにありましたように、漸次資金が充実されるのでありますけれども、一面において五割ずつも需要が増加する、そういう業務の量に対して、これに対処する人員なりあるいは窓口なりというものが非常に不足しておるという現実は、私たち絶えず公庫に出入りしておる者として、現実にこれを認めて来ておるものであります。ことに日曜まで動員して絶えずやられるということは、これらの人たちの人道上の問題といいますか、いわゆる健康状態、あるいはまた業務が過重労働に陥るというふうなことなどから考えてみまして、この際資金のわくを拡充されるのと並行的に解決されなければならぬ問題と思うのであります。人のやりくりについては非常な顧慮もされておりまして、責任をもつてつておられると思うのでありますが、私たちの目をもつてしても、これくらい高度の仕事を、しかもほとんど精神的な事務でありますけれども、そういう類のものをやるにしても限度があるのであります。この際是が非でも人間の増員と窓口の拡張等をさるべきものだと私は考えておるのであります。私はことに長い間銀行に生活しておりまして、金融機関がいかにきわめて細密に、用意周到に事務を扱うべきものであるかということを身をもつて体験しておるのであります。およそこうした事務については、体力にも限度があり、あるいは人の点においても限度があつて、それ以上どうやれと言つてもできない、勢い日にちも遅れ、下親切にもなるというのでありますが、日にちが遅れ、不親切になるという点も軽視ができませんけれども、さらにまたこれらの従業員に対するところの非常な過重労働でもあり、さらに将来の健康上の問題でもあり、この金融問題というものが円滑に処理されない点等もにらみ合せて考えてみたときに、この際是が非でも人員の充実増員をやらるべきものであると考えるのでありますが、総裁はいつどういうふうな方法でこの問題を解決するというお考えであるか。さらに政府当局においてはどういうふうにこの問題を考えておられるかということをお答え願つて、そうしてこの際予算審議しておる過程でありますから、その予算審議と並行的に、これらの問題を一挙に解決すべきものだとも考えておるのでありますが、この点についての御意見をひとつお聞きしたいのであります。
  26. 櫛田光男

    櫛田説明員 ただいままことに御同情ある御鞭撻、ありがとうございました。人員の点でございますが、これは予算上の制約がございますので、予算をつくりますときに政府当局といろいろ御相談するわけであります。現状におきましては、まだまだ足りませんことはただいま申し上げた通りでありますので、予備費を使用させていただきまして、せめて五十人から百人くらいは至急増員させていただきたいということを、今御相談いたしておるところであります。また来年度の予算におきましては、相当程度の増員を組みまして、それの予算化につきましてお願いをいたしておる、そういう状況にございます。御了承願いたいと思うのであります。
  27. 中崎敏

    ○中崎委員 給与のわくについても、今予算の制約を受けておるということをお聞きしたのでありますが、この点についても、ことにこの同じ政府の機関でありましても、一面また現業機関でもありますし、そうした過重労働が絶えず継続的にやれらておるというふうな現実等も考え合せてみましても、さらにまた一般金融機関に携つておるところの勤務員の給与状態等を比較してみましても、相当に開きはあるやに私は想像しておるのであります。この点において、この給与問題について予備金のわくがどの程度つておるか、詳細わかりませんが、いずれにしても今後適当の機会にこの給与の問題についても十分に考慮さるべきものであると考えるのであります。この点についてひとつ政府当局の御見解を承りたいと思うのであります。
  28. 河野通一

    河野(通)政府委員 国民金融公庫の職員の給与につきましては、先般国会の御決議によりまして、職員が国家公務員のわくからはずれたことに伴いまして、相当程度の給与の引上げを実施いたしました。ちよつと今正確に覚えておりませんが、従来の平均して約三七%、四〇%近くの給与の引上げを実施いたしました。この引上げにあたりましては、非常に正確なる各類似の金融機関の給与の状況と比較いたしまして、あるいは年齡構成、学歴構成、業務の性質等、特に開発銀行、輸出入銀行のような政府の金融機関と一定のバランスをとつてきめた次第であります。従いまして、私どもはさしあたりの問題としては、その辺の類似の性質を持つておりまする機関とのバランスは一応とれておるというふうに考えております。今予算案で提出されておりまするような一般の国家公務員の給与が上るということは関係なしに、この点はきめてあるわけでありますから、その比較をとりました類似の金融機関等の給与が上ります際には、これはやはり並行してバランスをとつて考えて参らなければならぬと考えますけれども、国家公務員の給与が上るに従いまして、それと同じ率で国民金融公庫の給与を上げるということは必要でない。というのは、公務員と関連をはずしてしまつたのですから、そういう考え方のもとに、現在類似の金融機関として日本開発銀行、日本輸出入銀行、これらの給与の問題は今検討の途中にあります。もしこれを上げるということになりました場合には、国民金融公庫の職員の給与についても考えて参りたい。なお権衡をとつております類似の機関といたしましては、そのほか鉄道あるいは専売といつたような、いわゆる政府機関ではありますけれども公務員でない機関もございます。これらつの機関ともやはりにらみ合せながら、これと水準を同じにするという意味じやございませんけれども、これらの機関ともにらんで行かなければならぬ。彼此勘案いたしまして、結論といたしましては、大体輸出入銀行あるいは開発銀行、いわゆる政府機関である金融機関でありますが、これらと一定のバランスをとつた上で考えて行かなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  29. 中崎敏

    ○中崎委員 実は先ほど総裁からの意見の発表がありましたが、非常に忙しい余りに家へ持つてつてまで仕事をやる。しかもこれが残業手当といいますか、そういうものとして正当な計算はなかなかし得ないものである。また実際において出すだけのわくがないというか、余地がないためにというか、そういうふうなこともあると思うのでありますが、ことに私たちは、いろいろ政府機関たる金融機関の状態については、ある程度は存じておるのでありますが、その中において、最も零細な、ただ単に数をたくさん扱うだけでなぐ、しかも書類の上だけで審査をなし得ない、また実行をなし得ないという特殊金融なるがゆえに、より以上の労力と苦心と苦労をしておられる。こういう点についても、他の政府機関たる金融機関との比較において、ウエートを持たすべきではないかというふうに実は考えておりまして、先ほどのような意見を申し上げたわけであります。この点については、特にひとつその特殊性を御考慮願いたいということを希望しておくのであります。  次に金利の問題でございまするが、これはやみ金融や何かに比べたら決して高いとは申しませんが、政府の扱うところの金融として、いわゆる国家的な見地から見た金融の金利としては決して安くないというふうに考えておるのであります。もちろんこれには回収不能の問題、いわゆる危険負担の問題もありましようけれども、また金額が零細であるというがためにコストがかかるということもありましようが、いずれにしても借りる側から言いますと、この年一割二分程度の金利というものは相当高いというふうに考えられるわけであります。この点について金利をさらに引下げて行くというふうな考えをお持ちであるかどうか。これに関連して一体今日までの回収状況、言いかえれば回収期限であるのにかかわらずこれの回収が遅れておる、あるいは全然回収の見込みがないというふうなものの大よそのパーセンテージといいますか、状況はどういうふうになつておるかということをあわせて御答弁願いたいと思います。
  30. 櫛田光男

    櫛田説明員 金利の点についてお答え申します。現在年一割二分、月一分ということでいたしております。これは当初におきましては、仕事が非常にこまかい、それからさらに調査その他に相当の人手その他もいりまする関係、また期限が大体三年以内ということになつておりまして、大体平均二年くらいになつておろうかと存じておりますが、そのような状況からいたしまして、市中金利と比べまして、日歩三銭一厘見当、年一割二分というのは必ずしも高いものではないというぐあいに考えまして、三年前にきめられたものでございましたが、最近全体が低金利の情勢にもあることでもありますし、また公庫自体は独立採算制をとつておりますが、納付金をいたすような事態なつております。それから本年度の決算においては、大体二億二千万円見当の剰余金が出るのではないかというふうな状況にも相なりました関係上、中小企業の方々の負担を少しでも下げるという意味において、できれば金利の引下げを考えてみたいと、今研究いたしておるところでございますが、ただ他方におきまして、件数も非常にふえて来ておりますし、またそれに伴いましてある程度の経費の増加の考えられる点もございます。かたがたどの見当にいたそうか、いつどの見当にということについてはまだ成案を得ておりませんが、できますれば金利の引下げを考えたいというぐあいに思つております。  それから回収の状況でありますが、お手元に大蔵省の方から資料としてお出しいたしたものがございますので、それに基きまして御説明申し上げます。国民金融公庫資金の運用状況に関する一枚の資料がございます。その下の段にあります回収という点につきまして、これは昭和二十四年六月、公庫としてでき上りましてから本年の九月までの成績でございます。三年と四箇月、四十箇月間の成績に相なるわけでございますが、その期間内におきまして、一等下の欄に書いてあります数字二百三十六億八千九百万円というのをお貸出しをいたしたわけであります。そのうちで貸付期間が到来いたしました金額が百二十四億二千八百万円、それから貸付期限がまだ到来いたしませんものが百十二億六千万円と相なつております。その貸付期限が到来した分百二十四億二千八百万円につきまして分析いたしてみますと、この一に書いてありまする貸付期限内に回収した金額が百二十一億二千四百万円でありまして、貸付期限が到来いたしました金額百二十四億二千八百万円に対しましては、九七・五五%ということになつております。期限が経過いたしまして、その後で回収しました金額が八千八百七十一万円、その比率が〇・七一%であります。なお返済期限が参りましてまだ未回収になつております金額——これが滞りということにな与まするが、これが二億一千五百万用、その割合は一・七三%になつております。一般的に申しまして昨年あたりから比べますると、延滞数が多少ふえて来ておる傾向はございますが、まだ一・七三%という程度にとどまつておりまして、かなり順調に回収ができております。これは、一つは支払い関係が月賦の長期にわたりまする関係から、お客様方がお返ししやすいという点もございますが、同時に私どもがお貸出しいたしました資金をお客様方が有効にお使いくださつて、事業を滞りなく進められておられる証拠であると、非常にうれしく存じておるところでございます。
  31. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいまの御報告によりまして、零細な中小企業者に対するところの資金の貸出しとしては、まれに見るような好成績だと思います。それは一面においては調査が十分に行き届いている。そしていやしくも危険性のあるようなものに対しては、きわめて注意を払つて貸し出しておられるという一つの証左でもあろうと思います。中小企業の金融といえば、相当危険をはらんでいるものだというふうに今日までは考えて来ておつたのですが、これだけ巨額の金の運用をしながら、これだけの状態にある。しかもこれの中においても、今後相当に回収の可能のものも、もちろんでき得ると思われまするので、その危険性の点は非常に微々たるものだというふうに考えておるのであります。そうしますと、先ほども申し上げましたように、金利の立て方の上において、さらに相当大幅に引下げられてもいいのではないかと考えるのであるまするし、一面において、これはまた政府の政策として取上げられておる事業でありますから、人件費等の点まで一切これにぶつかけて、いわゆる独立採算というような考えの上に全部を持つて行かれることはどうかということも、あわせ考えられるのでありまして、今後金利の引下げ等をお考えになる場合においては、そうした要素等も十分に取入れられて、できるだけ安い金利をもつて、そうして多くの困つている人たちの生業の資金、あるいは事業発展の資金のためにこの運用ができるように、私は特に希望しておくのであります。以上、私の希望意見を申し上げまして質問を終ります。
  32. 奧村又十郎

    奧村委員長 本日はこれをもつて散会いたします。次会は明二十九日午前十時から開会いたします。     午後零時二十五分散会