運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-02-10 第15回国会 衆議院 水産委員会農林委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十日(火曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員   水産委員会    委員長 福永 一臣君    理事 田口長治郎君 理事 日野 吉夫君    理事 山中日露史君      甲斐中文治郎君    川村善八郎君       中村庸一郎君    杉山元治郎君       辻  文雄君    赤路 友藏君       小松  幹君   農林委員会    委員長 坂田 英一君    理事 青木  正君 理事 野原 正勝君    理事 井上 良二君       秋山 利恭君    木村 文男君       寺島隆太郎君    松岡 俊三君       金子與重郎君    中村 寅太君       芳賀  貢君    山本 幸一君       中村 英男君  出席政府委員         調達庁長官   根道 広吉君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     川田 三郎君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君  委員外出席者         水産庁長官   清井  正君         農林事務官         (水産庁次長) 岡井 正男君         参  考  人         (山形北村山         郡戸沢村村長) 後藤 三郎君         参  考  人         (山形県議会議         員)      結城吉野助君         参  考  人         (千葉水産加         工業協同組合連         合会会長)   鈴木 一郎君         水産委員会専門         員       杉浦 保吉君         水産委員会専門         員       徳久 三種君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       岩隅  博君         農林委員会専門         員       藤井  信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為に  よる特別損失補償に関する法律案内閣提出  第三五号)     ―――――――――――――
  2. 福永一臣

    福永委員長 ただいまより水産委員会農林委員会連合審査会を開会いたします。  私が議案の付託を受けている水産委員会委員長でありますので、先例によりまして本連合審査会委員長の職務を行います。  ただいまより、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案について審査を進めます。  本案は昨年十二月二十四日水産委員会に付託されたものでありますが、農林委員会とも関係がありますので、当連合審査会を開会し、また農林及び漁業利害関係者三名を参考人に選定し、本案について御意見を承ることにいたした次第であります。  本日参考人としておいでを願つた方方は、お手元の名簿の通り千葉水産加工業協同組合連合会長鈴木一郎君、山形北村山戸沢村の村長後藤三郎君、山形県議会議員結城吉之助君、以上三君であります。参考人各位には御多忙中にもかかわらず御出席いただき、厚く御礼を申し上げます。  参考人の御意見を承ります前に、農林委員の方々のために本案趣旨について政府説明を願います。調達庁長官根道広吉君。
  3. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま委員長よりお話のございました、本委員会提案になつておりますところの、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて、日本国内及びその附近に配備されましたアメリカ合衆国陸軍海軍または空軍によりまして、防潜網水中聴音器、その他の水中工作物設置または維持、あるいはまた防風林のような防風施設または防砂施設除去または損壊等が行われましたことによつて、従来適法に農業林業漁業その他の事業を営んでおりました者が、その事業の経営上損失をこうむりましたときは、国がその損失を適正に補償する必要があるのでありまして、これが本法律案提案理由でございます。  この法律案の内容につきましては、本法律案の第一条には、前述趣旨を規定しておるのでありますが、補償すべき損失の原因となるアメリカ合衆国陸軍海軍空軍行為といたしましては、一には防潜網その他の水中工作物設置または維持、第二に防風施設または防砂施設除去または損壊、そのほかに第三にその他政令で定める行為というものを掲げまして、行為種類政令で定めることにいたしております。なお損失補償を受けるべき事業といたしましては、農業林業漁業以外の事業につきましては、政令でその種類、範囲を定めることといたしております。この損失補償は、他の法律により国が損害賠償または損失補償の責めに任ずべき損失については適用しないことといたしまして、補償する損失は通常生ずべき損失といたしております。  次に、この損失補償の手続につきましては、第二条に規定いたしまして、この損失補償を受けようとする者は、総理府令の定めるところによつて自己の住所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して、損失補償申請書内閣総理大臣に提出しなければならないことといたしまして、都道府県知事該申請書を受理いたしましたときは、当該事案に関する意見書を添えてこれを内閣総理大臣に送付し、内閣総理大臣補償すべき損失有無及び損失補償すべき場合には、補償の額を決定し、遅滞なくこれを都道府県知事を経由して、当該申請者通知しなければならないことといたしております。  この内閣総理大臣補償すべき損失有無及び補償額決定に不服のあります者は、前述通知を受けました日から三十日以内に、内閣総理大臣に対して異議申立をすることができることといたしておりまして、内閣総理大臣はこの申立のあつた日から三十日以内に、これについて決定の上申立人通知しなければならないことといたしております。  次に、補償金の交付につきましては、これを第四条に規定いたしまして、前述異議申立がないときは、異議申立期間満了の日から三十日以内に、補償を受けるべき者に対しまして当該補償金を交付し、異議申立があつたときは、異議申立に基く決定通知した日から三十日以内に補償を受けるべき者に対しまして当該補償金を交付することといたしております。  次に、第五条におきましては、増額請求訴えについて規定しております。この法律によりまして決定された補償金の額に不服のある者は、その決定通知を受けた日から九十日以内に、国を被告とする訴えをもつてその増額を請求することができることといたしております。  次に附則第一項におきまして、この法律は公布の日から施行することとし、同第二項におきましては、この補償義務担当庁調達庁とするため、調達庁設置法の一部を改正して調達庁不動産部所掌事務を規定している調達庁設置法第八条に、第六号といたしまして、この法律の施行に関することを挿入することといたしました。さらに調達庁付属機関に当る中央調達不動産審議会調達庁長官諮問に応じて、この法律による損失補償についてもその基準その他の一般的事項を調査審議することができるようにいたしますとともに、調達局付属機関であります地方調達不動産審議会においてこの法律による損失補償についても、調達局長諮問に応じまして、調査審議できるように同庁設置法に所要の改正を加えることとしておるのであります。  以上概略御説明申し上げました次第であります。
  4. 福永一臣

    福永委員長 次に参考人各位より順次御意見の御開陳を願うことといたしますが、時間の都合もありますので、御一人当り約十分間程度でお願いいたします。それではまず後藤三郎君より発言をお願いいたします。
  5. 後藤三郎

    後藤参考人 ただいま御紹介にあずかりました山形北村山郡戸沢村村長後藤三郎であります。接収地となる経緯や今日に至るまでの概況を総括的に説明申し上げます。  終戦後間もない昭和二十一年十二月三十日に山形北村山戸沢、大高根西郷富本四箇村と西村山白岩町の一部は、一方的な見解のもとに、無条件に当時の進駐軍射撃用地として四千七百余町歩接収されていんいんごうごうたる大砲、バズーカ、機関銃実弾射撃演習地なつたのであります。戦に負けた国としましてまたその国民として、忍びがたきを耐え忍ばねばならぬと思つて来ました。しかしながら講和を締結されて独立日本となれば、幾多の悲劇があつたにしても、また莫大なる被害損失も完全なる補償をされて、用地四千七百余町歩部落民各自に返還されるものと望みを捨てずにがまんして来たものであります。当時の状況を詳しくお話申し上げませんと、御理解に苦しむことと思うのでありますが、実はあの広大なる山林地帯は、私ども部落民生活の基盤であつてこれが接収されるなどとはゆめゆめ思つてもみたことはないのでございますが、事実危険きわまる実弾射撃演習地となり、立入禁止となるに及んでは、関係町村猛然接収地反対ののろしを上げたかつたのは、ひとしく部落民心情でありました。しかしながら、当時進駐軍への絶対的服従を余儀なくされている状況であり、反対すればかえつてあだになること等も考えられるし、またあくまで反対を唱導する際は、弾道下部落は危険だから北海道へでも移転しろとの命令が来るかもしれないという恐怖心手伝つて、純朴なる農民は泣寝入りしなければならない気持でありました。すべては日本が独立すれば接収地は解除されるであろうとの望みも果されず、今日に至るも、いつまで続くかわからぬ実弾射撃演習をしている現状であるところから、俄然四箇村民西村山白岩町の山林地帯では、驚愕、憂慮して、昨年六月には、ただその成行きを傍観するに忍びず、この際接収地を返還されたいというのと、昭和二十一年接収となつて以来こうむつた、直接にまた間接に損害を受けたものを、政府の責任でもつて完全に補償されたいと、関係村の合同協議会を開催しては、決議され、請願し続けて来たのであります。  次に北村山郡の戸沢村、大高根村、西郷村、富本四箇村の、昭和二十三年より同二十六年までの四箇年の損害額は、すでに提出してあります請願書に現われておりますが、四箇村役場より支出し、村財政に及ぼした損害は九百三万二千余円、その内訳は、村道、農道の修理費は七百五十三万六千七百余円、危険防止及びその設備費は九万五千三百余円、人件費その他の雑費は百十万余円、四箇村民収入減損失額は一億七千六百十九万八千四百余円、その内訳収入減損失総額は一億八千五百九十七万一千三百余円でありますが、そのうち借上料離作料として九百七十七万二千八百余円を差引けば、損失額さきに述べました通り、一億七千六百十九万八千四百余円となるのであります。  以上申し述べた損失は、村財政に現われたものと、また関係町村民損害であつて、これは実際に日常生活にはつきり現われたもののみであるが、そのほかに精神的損害影響は、数限りなくあるわけであります。関係村民は、一日も早く接収解除されることを念願しておりますが、申し述べた損失額一億八千五百二十三万六百三十八円、これは昭和二十三年より二十六年までのものであるが、完全に補償すべく措置を講じていただきたい次第であります。  次に接収地用地状況については、総面積は前にも述べました通り四千七百余町歩、そのうち戸沢、大高根富本三箇合計面積三千九百五十九町歩国有民有地に対しては、関係村民二千二百五十戸は、従来より自由に入山して、副産物採取して生活面に充当して来たのであります。特に国有地については、部分林委託林簡易委託林等の設定により、従来からの慣例に基き、入会関係村民一同山火事盗伐等管理方を営林署より委任され、その恩典として副産物採取はもちろん、自家用燃料まき製炭用資材等を年続の計画を立てられ、毎年払い下げ、なお村民全部の八割、千九百二十戸の農家は、肥料の原料並びに家畜飼料として刈り下げ、これを肥料として食糧生産に充当しておりまして、生活資源地として直接生活につながつておるのでありますから、さきに申し述べました通り損害額はぜひ補償せられるよう、お願いするものであります。  簡単でありますが、以上申し述べまして終りといたします。
  6. 福永一臣

  7. 結城吉野助

    結城参考人 接収地なつたために、関係町村民生活に及ぼしておる損失状況は、次のようなものがありますので、説明申し上げます。  まず植林のできなくなつたことであります。昭和二十三年から実弾射撃演習をされまして、町村におきましても、また町村民各自も、植樹計画を立てることができない。万一危険を冒しまして植林いたしましても、木は育たない。とにかく昭和二十三年以来、接収地内には植林されないというのが現状であります。もし接収されないで今日に至つたならば、二十一年接収されたあの年ごろに植林をしたならば、もうすでに現在八年になりますので、そのすぎの木を見ますれば、大体四尺、五尺というくらいに伸びておるのが事実でありましてこれが将来における個人の財産、ひいては町村財政にきわめて大きな損害を与えておるということは明らかでございます。現在、平和日本は緑の山からと、大きなかけ声で、全国一斉に植林運動を展開しております。苗木の無償と、植樹奨励金というわけで、補助金まで政府が力を入れてやつておりまするけれども、何と接収地関係町村民の情ない将来が思いやられるのであります。  次は、接収地四千七百余町歩山林原野は、国有といわず民有地といわず、この戸沢、大高根富本三箇村民は、だれでも入山できまして自由に採草し、その採草したものを堆肥にし、あるいは家畜飼料にしておるのが現状であります。なお山菜きのこ、これも採草と同じように、自由に採取しまして売り払つたり、あるいは自分のうちでもつて副食として食べておる現状であります。そのほかまき材、これも採草山菜きのこと同じように、自由に枯枝をとつてあるいは枯すぎ葉を集めて、個人々々のまき材に使つておるというのが現状であります。この地方には、山の所有者に何の断りもなく、こうしたまき材あるいは採草あるいは山菜きのこというようなものは自由に採取できるということが、昔から長い慣例で認められておるのでありましてこれらの収入減退より生ずる損害は、きわめて多いのであります。山林所有者へは一応借上料あるいは、離作料というものが払われておりますけれども、この採草したものを堆肥にして水田から収穫を上げる、あるいは畑地から収穫を上げておるのであつて、しかもこの山麓田畑酸性土壌であつて、こういう土壌性質から、どうしても堆肥を必要とするというのが事実でございます。もちろん金肥をどんどんと入れるだけの力はない。また金肥を毎年どんどん入れたならば、土壌がやせて収穫がとれないというのがこの土壌性質でございます。山麓農地には採草よりの堆肥が絶対不可欠のものであるということを御理解されたいのであります。この採草ができなくなつた、採草がきわめて困難になつたという事実からいたしまして、補償の問題を考えていただかなければならぬと信ずるものであります。  次は先ほど申し上げました山菜、きのごの採取、これは田畑を大体二、三反しか持つておらないので、どうしても山菜あるいはきのこをとりまして、山村の生活維持するというのが現状でございます。こういうぐあいに部落民全員が春秋の山菜きのこ採取でもつて自家の食糧としておるという現状であつて、この損失補償問題も当然考えていただかなければならぬと思うのであります。  さらにまき材について申し上げますが、前に述べましたように、この山麓部落まき材を購入するということは全然考えてもおらなかつたのでございます。しかしながら接収地なつたがために、思う存分にまきをとれないというような現状から、現在亜炭を買つてふろに使つたり、あるいはソツペ板を買つて使うというような、まつたく考えておらなかつた現状が、事実こういうぐあいに消費生活に起つて、大きな損害を与えておるというのが現状でございます。  次は木炭の製造者いわゆる炭焼きでありますが、この炭焼きは、戦争中は政府から製炭者特殊配給までして、非常な奨励をしたものでありますが、現在接収地になつて昭和二十二年六月から実弾射撃演習地として実弾射撃演習を開始されました当初から、射撃日には生業に携わることができないのみならず、射撃のために山火事となつて、せつかく払い下げた林野が燃え尽すというような状況であります。また製炭かまどが弾丸のために破損して作業の休止となつておるというような状況は枚挙にいとまのない現状でありまして、製炭業者は他に転業のやむなきに至つたような状況であります。政府土地あるいは山林所有者には、借上料離作料払つてはおりますけれども製炭者山菜きのことり生活者には、何ら補償をしておらぬというような状況でありして、ますますその生活に惨禍をこうむつておる現状であります。  次は弾丸破片でありますが、弾道下部落といつてニユースや新聞雑誌に出ておりますが、実は山形北村山部戸沢大字宮ノ下部落のことであります。この部落は九十六戸ありまして、この部落弾丸破片が前後三回落下しており、きわめて危険なる接収地外土地であります。昭和二十六年仙台の特調山田局長がごの現状を見まして、嘆息していたような実情でありまして、きわめて危険きわまる接収地外部落であります。なぜこういうような損害を黙つてつたかと申しますと、もちろん接収当初は進駐軍がこわい、あるいは早く接収地を解除してくれというような猛烈なる声が出れば、あるいは無人の北海道に追いやられるというような非常なる心配があつて、黙つてつたというような実情でございます。さらに、こういうような危険な部落でありますがゆえに、隣の村から、あの部落には危険であるから嫁にやれないというような話も飛んで、この部落の古老は嘆いておるという笑えない話もあります。これはこの部落青年心情をますます暗くするものであつて、ゆゆしき社会問題であるとも思うのであります。なお弾道下部落病人が出れば、大砲轟音によつて、入院せぬで直る病人も、病院に入れるというような、むだな費用もかかるわけであります。さらに婦人がお産をするに際して、いんいんごうごうたる轟音に、どうしても自分の家ではお産ができない。隣の部落へ行つたり、あるいは遠い自分の実家に行つてお産をするというような悲劇も、実は笑えない現実でございます。さらに接収地なつたために、鶏が卵を相当に生んでおつたのが、轟音がはげしくなつてから産卵が減つたというのも、現実でございます。  さらに神町から大高根に通ずる県道は、ジープ戦車が頻繁に交通するので、田畑に通う農民あるいは学校に通う学生、あるいは役所、会社、工場等に通う人々は、そのジープ戦車が五十台、六十台と続けば、大体二十分あるいは三十分待たなければならない。結局七年間のごの時間を換算しますと莫大なる時間の空費になります。こういうぐあいで、個人の労働に、あるいは公共の仕事に携わる者の大きな損失であろうと思うのであります。  さらにジープあるいは戦車が時折田や畑あるいは苗代に車を入れて荒しまわつて帰るというような損失もあります。こうした問題は数限りなくございますけれども、立ち去つた跡は杳としてわからぬというのが現状であります。さらに小さな問題ですが、ジープ戦車が頻繁に交通するために、どろやほこりが、蚕が食べる桑の葉をよごすので、これは桑園の持主の嘆息でございます。  以上のような問題がありますが、さらに感情の問題を申し上げますと、射撃演習地に天幕を張つて演習をします。そうしますとパンパン嬢都落に入りまして、農家住宅を借り受けて駐留軍の将兵と遊んでおる現状は淳朴なる山間部落の純真な学童、あるいは青年男女、大人にも決してよい影響を与えません。若い娘たちに、あんな風にただ駐留軍の兵隊と遊んで暮せることもできるという空虚な気持を抱かせるだけでも、精神的に大きな損害であります。  さらに、一つの政党を非難するわけではありませんが、共産党のこの地方組織細胞が、いかにも自分たちがこれを解決しようというような宣伝によつて、不健全な思想がかもされるような空気がありますので、地元の村長並びに有力者は憂慮しておるというような現状でございます。実際損害をこうむつておる者は、山林または農地所有者だけではありません。今まで申し上げましたように、村民全員であるのであります。製炭あるいはまき材山菜採草というようなことで、部落全体がお互いに助け合つて収入を上げておつた。こういう損失に対して、きわめて不公平であるというのが部落民同士の間で大きく叫ばれるようになつたのでございます。きわめて遺憾千万でありまして、これに対しては法律によつて措置されたいというのが私どもの希望でございます。さら町村のいろいろな計画が齟齬を来しております。一つダム建設の可能なる適地が接収地帯にございます。しかしながら、国会の採択を得ましたけれども接収地というために着工ができない現状でございまして、これがもし完工すれば、三箇村にわたる灌漑を潤し、水の不足はなくなるし、荒地は水田化する計画が立てられ得るのでございまするけれども――従つて二毛作もできないというのが現状でございます。次に開拓団体八つ地区にありまするが、この八つ開拓団が、それぞれ計画がばらばらになりまして、全然計画中止、やり直し、住宅も移転しなくちやならぬ、まじめに働こうとしましても、なかなかそれもできないというわけでありまして、開拓者は、ある地区におきましては遠い見知らぬ開拓地に移転をしなければならぬというぐあいに悲劇を生じております。学校を建築しましても、あるいは消防署の整備にいたしましても、村財政がこの接収地のために大きな損害をこうむるために、建築も遅れ、あるいは整備もできないというような現状でございます。  最後に要望でありまするが、損害補償昭和二十一年十二月三十日接収以来の損失を、法律が遡及して適用されたいということを強調いたします。接収地なつたという悲劇を考え合せれば、損害補償することはまことに当然なりと確信して申し上げたいのであります。  以上簡単に説明さしていただきましたが、物心両面にわたる損害に対しまして政府のあたたかい公平なる政治が行われますように法律に規定され、損害補償は完全にされて、接収地になつても、接収地にならない町村と同じような生活維持ができたというぐあいになつてもらいたいと、悲願を込めて、委員長初め委員各位に心からお願い申し上げまして私の説明を終ります。
  8. 福永一臣

    福永委員長 次は鈴木一郎君。
  9. 鈴木一郎

    鈴木参考人 私がただいま御指名をいただきました鈴木でございます。私どもは去年の暮れから、駐留軍演習射撃による損失に対して補償をしていただきたい。こういうふうな趣旨のもとに、各方面に対する陳情請願を実施をして参りました。その結果、本連合審査会において参考人として御紹致いただいたことに対しまして、厚く御礼を申し上げます。  まず第一番にお断りしたいことは、私どもの今度の陳情請願が、決して時局に便乗したところの功利的なものでない、このことについてお話申し上げたいと思うのであります。  私どもは今から三、四年前、政府においてなお補償金の制度が確立しておらなかつたときに、駐留軍演習が九十九里の私ども漁民――この漁民という中には水産加工業者を含むのでありますが、この漁民に及ぼす影響、その損害が非常に大きく、またこの損害は当然政府においてあるいは駐留軍によつて補償されなければならないと考えましたので、補償金をいただけるような、何とかしたところの陳情請願運動を起そうではないか、こういうふうになつたのであります。従つて今から三、四年前に、私ども千葉県の演習補償金に対する陳情請願政府方面に対して漁業家とともに実施をしておつたのであります。この漁業家と申しますのは揚繰、地びき、雑漁業の三者、これに私ども加工業者を加えまして、この四業者が一体となつて政府方面に対するところの陳情運動を行おうじやないか、こういうふうになつたのであります。従つて事前におけるところのごのような申合せはもちろんでありますが、県内における当初の運動は、この四者によつて行われたのであります。その当時県内におきましては、漁業家と私ども加工業者の被害の程度は大体同額と、これくらいに軽く見ておつたのでございます。このようにして当初の陳情請願運動が行われたのでありますが、政府方面に対する若干の運動を進めるに従つて、加工業者というものに対する一般的な解釈に、どうも疑義が持たれるような心配が見える、これでは非常にややこしくなりますから、この際は何としても間接に効果的の運動をする必要がある。こういうふうになりましたので、表面からは私ども加工業者の名前を除いて、漁業家一本のかつこうで行おうじやないか、もちろん表面は漁業家一本の形で行いますけれども補償金が交付されましたあかつきは、当然水産加工業者に対しても至当なるところの補償金が交付されることになる。これは内部的の問題であるから、交付をされたあかつきにはどうにでもなるのではないか、これが当時の両者の考えでありました。これはまたその当時の漁業家の言い分でございまして、これによつて話合いが成立をしたのであります。右のような次第でありますので、私どもは私どもで今度の陳情請願を行つておりますが、これは決してこのたび交付を見ました防潜網その他の補償金の交付に便乗をしたところのものではない。どこまでも私どもの被害の実態に即して、至当なるところの補償をしていただきたい。ここに出発をしたものでございます。この点まず第一番にお断りしておきたいと思うのであります。  次に、私ども水産加工業者がどういうふうなところの地位にあるか、またどういうふうな自覚を持つておるか、そうしてその間に、九十九里におけるところの水産加工業者はどういうふうな特殊的な環境にあつて仕事をしておるか、この点について申し上げたいと思うのであります。私ども水産加工業者は、水産業協同組合法に基いて水産加工業協同組合を結成しております。これについてはすでに御承知の通りであります。水産業協同組合法にはその第一条に、この法律の目的として、水産業の生産力の増進をはかることが眼目であると明記をしてございます。従つてどもは一般的に申しましても、漁民とともに、これは間接ではなく、どこまでも直接的に水産業の生産力の増進をはかる、これが課せられた使命であると存じておるのであります。あくまでも商行為によつて利潤を追求する立場にはございません。特に千葉県、なかんずく九十九里沿岸の水産加工業者は、その地理的な条件から言いまして、漁業の経営形態の特殊性を持つております。これは魚撈とはきわめて密接不可分な関係に置かれておるのであります。言いかえるならば、私ども九十九里における水産加工業者は、漁業経営の一環の中にある。そうして九十九里の漁業の形態というものは、漁業者なくして水産加工業者の存立もありませんけれども、またこれと逆に、水産加工業者なくして漁業者の存立もないのであります。  さらにこれを実際的な問題について具体的に申し上げますと、九十九里の浜には、あのような地形でございますので、市場制度は存在をしないのであります。またいくら市場制度をつくつてその適用を迫つても、これが成立をしない。今ここに一つの例をとつて言いますと、揚繰網一箇統が約四千貫の漁撈をして参ります。その場合に揚繰網一箇統については、加工業者と称するものが二十名ないし二十五名くらいずつついておるのでございますが、これら加工業者が原料魚の――そのとつて来たところの魚の値段のいかんにかかわらず、もちろんその場合に採算がとれるかとれないか、これは別問題でありますが、この二十名ないし二十五名が、約四千貫の魚について等分な割当を受けるのでございます。その場合には、なおその魚の価格は決定をしておりません。そうしてどうなるかと申しますと、加工されたものは梱包をされて京浜その他の市場に運ばれて商品化される。こういうふうな階梯を踏んだ後に、そのときに揚繰網の網主が、そういうふうな広いところの市場価格をにらんでおつて、初めてこの原料魚の価格は幾らにしたらいいか、こういうことの見通しをつけて網主から決定をされるのであります。魚市場がないこの特殊性、とつて来た魚については、採算がとれるとれないにかかわらず、やりたいやりたくないにかかわらず、自分の配当される量だけは必ずとらなければならない、こういうふうな特殊性、その場合に、他に船がありまして、隣の船が五千貫とつて来た、自分のついておる船が一つもとつて来ない、こういうふうな場合に、とつて来た船の方に飛び込んで行つて魚がとれるかというと、とれないのであります。そうしてそういうふうな状況によつて、今言うたように、漁業家の方から、最後に、一応このくらいの賃加工の利幅を見られたらいいだろうというような考えに基いて、一方的に魚価が決定されるのであります。従つてどもはこういうふうな業態から見ましても、どこまでも漁業経営の中の一環である、こういうふうに感じておるのであります。ましてや九十九里におきましては、御承知の通りにいわし漁がその大宗でございます。いわし、特に背黒やジヤミというふうなものは、その十が十までが加工されなければならない。加工されて初めて商品化される。背黒やジヤミの鮮魚出荷ということは、これはだれが何と言つても思い及ばないものでございます。従つて九十九里の加工業者はどの程度のものを扱うかと言いますと、今のような時期につきまして言いましたならば、漁獲の一〇〇%が九十九里の加工業者の手によつて加工されて市場に出る。年間を通じまして八五%から九〇%というものは、加工業者の手を経なければ商品化されない、こういうふうなのが実情でございます。こういうふうな実情から見まして、私どもはいわゆる加工業者という名前はもらつておりますけれども、水産業協同組合法第一条の目的にありますように、水産業の生産の増進をはかるというところの使命の中に含まれておりますところの漁民である、こういうふうに自分の地位を認識し、それだけの自覚を持つておる次第であります。  こういうふうな状況の中に、私ども加工業者は加工業に専従しておる者でありまして、他に仕事を持つておりません。従つて漁獲の減少は、必然の結果として事業量の減少となります。事業量の減少は経営上の損失でございます。従来、沿岸町村財政の面から見ました場合に、私ども加工業者は町村財政の面に対して主要なる地位を占めておつたのであります。ところがここ数年来経営上の損失が続いておりますので、困窮のどん底に陥つております町村財政に寄与し得ないのはもちろんでございますが、一方あれだけの施設を持ちながら町村税すらも納め得ない。食えない者が続出である。これが実情でございます。  このような実情にありますが、私どもは水産県千葉におけるところの私どもの地位を十分認識しておりますので、いくら苦しくてもこれを乗り切つて漁業振興のために十分寄与したいと思つております。どうか以上のような私ども九十九里における水産加工業者の地位、特に特殊性、そうしてこの駐留軍射撃演習によるところの被害損失を御認識いただきまして、特別に御配慮をお願いしたいと思うのであります。  先ほど来から九十九里におけるところの加工業者の特殊性ということについて申し上げましたが、これについては去年の夏以来慶応大学の経済研究室において、九十九里浜の漁村の実態調査を続けております。その際に漁業の実態調査の中に、私ども加工業者の特殊性ということについては、学問的に十分なる資料をお持帰りになつているはずでありますから、要すればこの方面からも貴重なるところの御資料をとつて御調査願いたい、こういうふうに感ずるのであります。  次は、直接射撃演習によるところの損失補償の問題に触れたいのであります。私ども前述しましたように、今度の陳情請願は、単に時局に便乗するものではございません。これに従属するものに一千三百二十三名の業者がございます。従事員は六千八百十二名、そのほかに家族を含めておるのでございまして、この請願はここ三、四年来のそれらの者の悲痛なる叫びでございます。前にも申し上げましたように、今度の陳情請願については、私どもは至当なる補償を要求する権利がある、こういうふうな立場から出発しておるのでございます。千葉県に対しては、従前前後二回にわたつて補償金が交付せられました。それについては第一次の補償金が総額の八%、第二次は総額の七%、これに応ずる額が、漁業者の決議によつて同情金として私ども加工業者におすそわけいただいたのでございます。これらが一番最初にも申し上げましたように、千葉県における最初の陳情請願運動の事前の申合せによられたものでございます。これを見ましても、漁業経営者の名で交付せられたものが現地の漁業家によつて来ること自体が、私ども射撃演習による被害の実態を物語つておると考えるのであります。その場合に漁業者が、間接的に利害が影響するからといつて、運輸業者や資材販売業者にはやつておりません。  次に、今度の陳情請願にあたりまして、九十九里沿岸の町村会あげてきわめて多忙の中から一堂に会して、この問題を取上げていただきました。そうして陳情請願趣旨の達成と、これがために強力なる運動を展開するという決議をしていただきました。この町村会の決議はあくまでも自主的な意思に基くものでありまして、現在私ども加工業者の方が町村会の空気に押されぎみでございます。これは町村会があくまでも私どもの地位と立場と損害の実態を至当に認識をしておつてくれるために起きた現象である、こういうふうに考えるのであります。  以上るる申し上げましたが、私は単なる一業者で、ございまして、毎日魚のつらをながめてやつておるものでございますので、全般的な説明として御理解願えない点があつたかと思うのでございますが、九十九里沿岸水産加工業者の経営状況、これが射撃演習によつてどういうふうな損害を受けておるか、これはなかなか微妙なものがありまして言葉の上では説明し得ないものがたくさんございます。よつて私がぜひお願いをしたい点は、これらの点についてぜひとも現地を御調査の上、私どもの窮状を見ていただいて、格別なる御措置をもつて数年来の宿願を達成できますように、御尽力を最後にお願いいたします。
  10. 福永一臣

    福永委員長 これより参考人及び政府当局に対する質疑に入ります。  なお、ただいま出席の政府委員及び説明員をちよつと申し上げます。根道調達庁長官、川田調達庁不動産部長、平川農林農地局長、岡井水産庁次長、以上であります。  それでは通告順によりまして順次質疑をお許しいたします。まず寺島隆太郎君。
  11. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私は、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案に対しまして、以下順を追つて政府委員並びに参考人にお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。本法案は無過失責任による損害補償を新たに立法化いたしました、考えようによつては劃期的な法案であると考えるのでありますが、本法案運用の上に、これを圧縮して解釈をするのと拡張して解釈するのとでは、その間に天地雰壌の差が存在するであろうと思います。  本法はかかる法律的な背景を持つて水産委員会並びに農林委員会に付議せられました。ただいま三参考人からるるたる御説明を承つたのでありますが、今日までこのお三方以外に間接被害について農林省、特別調達庁いずれでもけつこうでございますが、本法案の内部にメスを加えて行く必要上、本法案の背景をなす具体的事例についてお伺いいたしたいと思います。
  12. 平川守

    ○平川政府委員 この種の具体的事例は、大小ざまざまでございますが、最も顕著なものといたしましては、九州の芦屋の飛行場で、防風林、防砂林を飛行場建設のために切り払いましたために、その海岸からの海風の影響を耕作物等に受けましてその被害が非常に大きいので、最近やかましく言われております。これが本法立案の一つの直接的な動機にもなつておるわけでありまして、本法案におきましては、防風林等を伐採いたしました場合にというのを一例としてあげておるほどであります。そのほか先ほどからの陳述にもございましたように、農業上あるいは生活上間接的な各種の被害は、ほとんど枚挙にいとまがないのであります。こまかいものまで申しますと、非常にたくさんありまして、たとえば鶏が卵を生まなくなつたとか、あるいは牛が流産をしたとか、そういう種類の事例は各地に非常に多いのであります。
  13. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私がお尋ねをいたしましたのは、実は本法案は四つの骨格構造からなつておるのでありますが、ただいまの各地の事例が、はたして第一条第一項に分類してあるような分類のしかたでよろしいかどうかということであつたのでありますが、御懇意を願つておる平川さんからの御説明でありますから、これ以上追及いたしません。第一項には一、二と具体的な事例をおあげになつておるのでありますが、本法案立案の直接的な原因ともなつておる九州の芦屋の事例並びにただいまるる申し述べられました山形北村山郡の事例、千葉県の九十九里浜における事例は、内容的に見ましては、いずれも直接的あるいは間接的被害がきわめて甚大でありまして、本法に明確に一とし、あるいは二として付記いたしております、これらの問題のいずれにも匹敵し、またそれをオーバーするような問題であるにもかかわらず、その他政令で定める事項というふうに本法はこれを要約いたしておるのであります。もとより賃疑でありますから、討論に類したことを申し上げる意思はないのでありますが、政令の委任事項がきわめて多いように私は考えるのであります。なぜこれを法律に逐条、箇条書に明記せられないのであるか、これがお尋ねいたしたき第一項。次いで、政令とここにおうたいになり、われわれが審議して可決いたしたならば、本法案は即日公布を見るということであるならば、現在用意いたしておりまする政令の骨格について、あらかじめその案文を御提示願いたい、これがすなわち質問の第二項であります。
  14. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいま御質問の第一点、駐留軍行為の第一条の第一号、二号で明記しておる、それ以外は政令で定めるとした理由、この点につきましては、現在この法案を提案いたしますまでの段階としましては、非常に顕著でありましたものがこの一号と二号に上つたので、ございまして、これも急遽提案をいたさねぱならぬという要請から、この法案立案の当時におきましては、それ以外のものについて法文で明記をいたしますだけに、種々の権衡上、どれを大とし、どれを小として取捨するかといふだけの余裕も、ございません。従つてここに顕著なものを出しまして政令で定める行為につきましては、この一号、二号との振合いを考えまして定めて行くというのが法定事項を二つにいたしました理由であります。  それから政令につきましては、ただいま政令案の提示をお求めになつておられます。まことに、ごもつともでございます。ただ前段御説明申し上げましたように、この軍の行為並びにその行為によつて影響せられる被害のある事業、この二つの限定をいたさなければなりません。これにつきましてすでに総理府におきましては、各省の協議会を開催いたしまして各省から従来その御所管によつて経験されており、また陳情等のありました事項を、とにかく逐一漏らさず提出していただきまして現在その草案ともいうべき事項の表はできておる段階になつておりますが、まだこれを資料として国会に提出するだけの整理はちよつとできておらないわけであります。しかしその準備で進めておりますので、御了承願いたいと思います。
  15. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私の質問第二項に言つてありますところの政令委任範囲が多いではないか、この点については、先ほど三人の参考人からそれぞれるる話があり、農林省の農地局長からも、芦屋の例を引いて懇切なお話があつたが、これはやはり法律の明文にうたうべきである。よつて私はもちろん与党の質問でありますから、これ以上の追究はどうかと思いますが、やはりわれわれが法律を審議いたすべき上において、本委員会において本法の改正を試みるならば、この辺が確か改正の骨子であろうというふうに考えるのであります。ただいま陳情のお話もありましたが、どうも最近陳情攻めで、われわれ代議士どもは、陳情の案内でまつたくくたびれるというありさまであります。こういうことは政令にまかせるのだ、政令の骨格は大体各省から来ておるけれども、いまだ整理して議員諸君にお目にかける段階に至つていないのだという、かかる答弁を聞くことは、私はむしろ意外とするのであります。これ以上押問答をいたすこともいかがかと思いますから、本員の質問の趣旨をよろしく了とせられまして、善処を切に要望しておく次第であります。  次に第三点、もとより本法を御提出に相なります以上は、これに伴います二十八年度の予算の骨格、外貌というものをお示しになつて法律案の一条一条を裏づけいたして行かなければ相ならないと信ずるのであります。およそ立法というものはかくのごときものであろうと考えるのであります。その具体的御説明もなく、具体的資料もない。よつて予算委員会にも上程せられていることでありますから、二十八年度予算における本法施行に関する予算の具体的措置を御説明願いたい。
  16. 川田三郎

    ○川田政府委員 本法によります補償金の財源、予算科目は、行政協定に基く防衛支出金になるわけです。これはもう御承知であるわけでありますが、防衛支出金が本年度は不動産関係漁業関係で九十二億円、明年度が大体それと大差のない金額、この補償がかりに非常に多くなつた場合どうであるか、予算額には一応の切り盛りを出すべきであるかもわかりません。しかしこれは駐留軍に対する土地建物等の借料、漁業制限地区に対する一つの制限の対価としての補償金、ちようど借料に相当するものであります。こういう間接被害について款項目との兼ね合いから申しますと、これが非常に多い場合は、結局駐留軍日本に駐留するためのコストがそれだけかかつて来るということになりまして借料や漁業制限の方の財源がそれだけ減る。そうすると自然駐留軍日本における接収いたします財政上の原動力が減るということになりまして、結局接収家屋を少し減らしてもらうという交渉になります。従つて今これを接収関係の不動産を幾ら、借料を幾らというふうに予算上明確にすることは、まだ時期的に不可能であると存じますが、予算上この法律を実施いたしました際に不足をするということはないということだけ、今申し上げられる段階でございます。
  17. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 ただいまの御答弁は非常に駐留軍の経費に伴うきわめて専門的な御説明でありましたので、私どもにはのみ込みにくいのですが、あるいは参考人にもおそらくのみ込みにくいのではないかと思いますので、私からこういうことをお聞きいたしたいと思います。二十八年度予算においては、いまだ本法がコンクリート化しているものでもなく、また各省からいろいろな被害状況を集めている状況だと思うので、一体全体でトータルして幾らになるのか。補償額をきめるのに、大体不動産等で九十二億円ということでありますが、これからだんだんお尋ね申し上げるような被害等に対しては、防衛費というわくの款項目の振合いで何とかかつこうをつけるから、本法をこのまま通しても予算上の心配はないのである、かように了解してよろしいですか。
  18. 川田三郎

    ○川田政府委員 さようであります。
  19. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 了解いたしました。  第四点でお尋ねいたしたいのであります。本法は公布の日からこれを行う、こういうふうに相なつてつたと考えるのでありますが、これとは別に、やはり無過失責任損害に関する補償を国がいたして行くのだ、こういう立法の建前から行きますと、当然過去における損失は本法の救済対象になり得るかどうか、ということが一箇の疑問になつて来ると思うのであります。遡及効果を認めるとすれば、過去の損失を一体どういうふうに救済するのか。第一の質問は、本法の趣旨から言つて、当然遡及効果を認めるべきものであるとわれわれは考えるけれども、これに対する見解いかん。しこうしてこれを認めるという場合には、これに関する具体的措置いかん。イとロの問題についての御説明を願いたい。
  20. 川田三郎

    ○川田政府委員 まずイの方をお答えいたします。遡及をいたします。遡及いたしますが、この法案の表題にもございますように、「日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊」となつておりますので、かつての占領軍は駐留軍でございませんので、駐留軍行為が原因になつたもの、それまでに遡及するのであります。  恐縮ですが、ロの方の質問の御趣旨をもう一度。
  21. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 遡及するかしないか、遡及する場合には駐留軍であるか、過去の進駐軍であるかという区別がカテゴリーとして当然出て来る。駐留軍のなしたる行為が原因となつて遡及する場合に初めてお支払いする、こういうことでありますが、これを具体的にどうして救済せられるか。抽象的な、漠とした、雨は天から降つて来るとか、風が吹いて来れば斜めに三十度横へ傾くとかいうような御説明では、私も、それから列席の参考人諸君も納得行かないと思いますので、やや事例に触れて納得の行くように、そういうおつもりであるならば御説明を願いたい、こういうことです。
  22. 川田三郎

    ○川田政府委員 駐留軍がいたしました行為が原因になつている場合に遡及すると申しますと、結局本法が施行いたされますれば、政府が先ほど御指摘になりましたような特別の責任を負う。そうすると、その責任を負う損害の発生はどういう実情から出ておるか。駐留軍というものが存在するようになりましてから一定の生業を奪われ、ないしは物をこわされたという場合に、そのこわされた状態を過去にさかのぼりまして調査いたします。それによつて補償するということになります。従つて駐留軍が七月に家を焼いたという場合には、本法の施行が二月になりましても、七月のものを当時の評価によつて補償する、こういうことであります。
  23. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 第一条第二項に関する問題については、さらに追究してお伺いいたしたい点があるのでありますが、先を急ぎます。  第三項に、「第一項の規定により補償する損失は、通常生ずべき損失とする。」と「通常生ずべき損失」というのが唐突として出て来るのですが、三百代言諸君でも、こういうことを書かれては法律のマジヅクに引つかかつてなかなか意味がわからぬだろうと思います。ですからわれわれしろうとにもわかるように、「通常生ずべき損失」の意味、その算定方法、調査及び裁定の機構というものに触れて、納得の行くように御説明願いたい。
  24. 川田三郎

    ○川田政府委員 調査の方法は、都道府県の担当部長の御所管によりまして、その実情を調査していただきます。  それから算定をいたします場合の「通常生ずべき損失」、これは結局一つの原因に対しまする結果が起つて参りますが、その結果が、普通の常識で判断いたしまして、また経済情勢等を考慮いたしまして、相当な因果関係に立つものであるかどうかということでございます。従つてこれは、いかに担当の公務員が良識を働かせましても、相手方といたしましては自分の考え、つまり主観的には満足できない場合もあろうと思います。これに対していかなる用意があるか。これはこの法律のあとの方に出て参りますが、中央不動産審議会にこうした特別部門を設けます。また地方の不動産審議会にもこうした補償の委員を増加いたしまして、具体的の補償額については地方審議会において審議いたします。また補償の方針、基準等につきましては、中央不動産審議会において審議いたしまして、学識経験者の御意見を取入れまして決定して行きたい、こういう用意でございます。
  25. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 私の質問しているのを半分ほどお答え願つたのですが、実は特別損失額算定の基礎いかん、こういうことなんです。それはあたりまえのことなんです。地方に何とか委員会を置き、中央にかんとか委員会を置いて何とか委員会、かんとか委員会の兼ね合いによつてやるのだということは、役人の御説明としては及第かもしれませんが、私の聞いているのはそうではない。主観的には満足のできない場合もあるだろうから、客観的に何とか委員会とかんとか委員会を持つて来てかみ合せるのだ、と今おつしやいますが、たとえば税金とか供出とかこういうもののいずれか一つがその算定の基礎になるだろう。いかなる学識経験者を持つて来ようとそうだろう。そこにマジツクがある。税金とか供出とかいうものは、今度出す方の番になつて来ると、できるだけ少いように、場合によつては一割くらいしか申告もしないし、かけられない。こういうものを基礎とされては、おつしやるところの主観的意図に対する満足条件を与うる適格条項にはならない、こういうことになるので、どういう算定の基礎を用いられますかと、私の方から誘い水を出したのです。税金とか供出とかそういうものを算定の基礎にされた場合には、かかる矛盾とかかる撞着とを招来するも、これに関する立法者の思惟並びに用意いかんということの答弁を聞きたいというのです。
  26. 川田三郎

    ○川田政府委員 算定の基礎については、非常に詳細になるおそれがありますので、ちようど誘い水を出していただきました税金の問題について申し上げます。税金がかなりこういう損害を算定いたします場合の基礎になります。このことにつきましては、各省協議会でも当初、本人が申告をいたした税額をもつて補償額の基礎にする、という意見がまず出たのでありますが、これは農林御当局も反対になりまして、私どもも民権を擁護すべき職種にある者として反対をいたしました。しかし本人がそういう申告をしているのではないか、政府に対して二重の、違つた意思表示をするのはおかしいじやないか。これはしかしりくつであり、売値と買値は当然違うのであるから、補償補償で別だという議論をいたしまして、最後に要綱に定まりましたところは、一応申告税額によつて補償額を見るが、それによつて本人が納得しない場合は、当方において別に実地調査をいたしました補償額をもつて補償額とする。けれども本人においては、今度は別に、税金の方ではそれだけ納税していただくということになつております。
  27. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 これに触れてもう一つ聞きたいのですが、だんだん時間も経過いたしておりますので、それよりもう一つ、今度は別の、一歩前進といいますか、課題をかえて私この機会に伺つておきたいと思うのです。あるいは岡崎・ラスク交換公文によつてこういうことが起つたのじやないかとも考えるのですが、実際地方の各地へ行つてみますると、まだ占領時代の情勢そのままに、現地軍がかつてに立入り禁止の立札を出しておつて、言うことを聞かないと鉄砲のたまをどかんとやる。農民は話はできないし、おつかなくてどうにもこうにもしようがないから逃げて行つてしまう。参考人に聞いたわけじやありませんが、現地に行つてみるとそういう事態がきわめて多い。一体米軍のかような行為は条約上の根拠にのつとるべきものであるかどうか。米軍がかつてに立入り禁止地区をつくつて実力に訴えておるこの行為は、条約上の根拠によるものなりやいなやということがお伺いいたしたき第一点、イロハのイであります。  イロハのロは、しからば、あなた方はこれに対して民権を擁護するとただいまおつしやいましたが、おえらいお役人は一体どういう意味で人権を擁護されているか、その経過並びに結果を御説明願いたい。
  28. 平川守

    ○平川政府委員 立入りの問題につきましては、合同委員会の方におきましても非常に長い開議論をいたしまして、それぞれの地区について、この地区については自由に立入りを認める。あるいはこの地区については実弾射撃中はいけない。それ以外の実弾射撃をやつておらぬときには入つてよろしい。その場合はこういう合図をする、通告をすると、隊の方から村長なりあるいは警察なり、それぞれ代表者をきめておきまして通告をする、こういつたようないろいろこまかい協定をいたしております。従いましてその協定に基きまして、各地区別にそれぞれの立入りに関する条件がきまるわけであります。これは各地区にそれぞれ先方の司令部の方から通達をいたしております。この通達に基いて現地部隊は行動すべきものである。ただお話のように、現地部隊において、中央司令部の通達に基かずにかつてなことをやるというただいまの御質問と思うのでありますが、これに対しましては先方も非常に恐縮をいたしておりまして、もしそういう事例があれば具体的に教えてもらいたい。いつでも現地の部隊に対してそれをさしとめるような措置をとる、こういうことを申しております。
  29. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 そうするともう一つは、これは念を押すわけではありませんが、これは条約によるものじやないんだ。中央軍からそういう通達が出た場合には現地軍がこれを忠実に履行してやつておるものである。よつてもし現地軍にして私が申し上げたようなことが起つた場合には、これは十分阻止するというふうに解釈してよろしいのでございましようか。
  30. 平川守

    ○平川政府委員 それでよろしゆうございます。
  31. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 そのほかこれに関連いたしまして、現地軍がよく演習中にかつてに労力を徴発して、いわゆる雑役に使用いたしておるところの事実は、ただいまの御説明等に徴しましても、また私もこれは目撃いたしておる。現地軍がかつてに労力を徴発して、それつぱなしになつているという例が非常にあるのですが、こういう事例に対して、はたして本法は救済可能の能力を持つものなりやいなや。
  32. 根道広吉

    根道政府委員 ただいま御質問の労力を強要するということはあり得べからざることであろうと思います。もし強制的にそういうことが現実になされたというようなことがありますれば、これは日本政府側といたしましては、しかるべき見舞金等をもつて本人に補償するというような措置をとらなければならぬかと思います。また軍が、現地の状態におきまして日本国民を徴用するということは、まつたく条約違反以上のものであろうと私は思います。
  33. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 長官の御説明によつて大体明らかになつたのでありますが、よく半日くらい出て来て穴を掘つてくれ、これは好意か不好意か、あるいは駐留軍当局の主観的意図は、――農民そのものに対する客観的認識のかなたにおいては強制とわれわれは思つておる。駐留軍の主観的意図は好意である。あるいはこれは日米相互の互いに持つておるフレンド・シツプであるというふうに思考し得べきも、出たる事実の上においては、たとえばかような強制という主観的意図に日本農民もしくは日本の一般大衆が受取つた場合には、これは条的違反であるから見舞金等の措置をもつて、断固としてそういうことのないように努める、かような長官の御説明であると実は了解いたします。しからばもう一つお尋ねいたしたいのでありますが、大砲の発射等によつて、冒頭平川政府委員が御説明になりましたような家畜の減産、産卵の減少、これはあとでさらにつつ込んで聞きたいと思つておりますが、こういうような問題、たとえば大砲の発射等によつて鶏が現実に卵を産まなくなつた、あるいは牛の出産が流産になつたというような事例は、本法にいう特別損失と解釈してよろしいものでありますかどうか、これをまずお尋ねしたいのであります。
  34. 川田三郎

    ○川田政府委員 ただいまおあげになりましたような事故、そういう被害は本法の適用をするのでなければ、もうほかの現在の駐留軍関係の法制では救われないのであります。ただ鶏が卵を産まなくなつたのを、どの範囲まで適用の対象に取上げるかという点が問題なのであります。ごく小さい例は、一羽の鶏を飼つていた家庭までも及ぼすか、養鶏場の程度にとどめるかということで、それが第一条の農業林業漁業――幸いに鶏はおそらく農業に入ると存じますが、その他の事例でありますと、事業というものの輪郭を定めなければならぬ。従つてその他政令で定める行為が軍の大砲の発射というものを包含するような、たとえば軍の演習行為というようなものを政令で定めるといたしますれば、それから音が出ようと、火が出ようと全部含まれるというわけであります。
  35. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 ただいまの御答弁は私限りにおいては満足をいたしました。  しからば次いでお尋ねいたしたいのでありますが、本法では「事業の経営上損失をこうむつたときは、」というふうに規定されております。「事業の「経営上損失をこうむつたときは、」ということになつておりますが、当然これに表裏一体いたして起つて来ます問題といたしましては、駐留軍軍人、軍属の行為によつて肉体的なあるいは精神的な打撃を受けた場合、民事特例法により慰藉料の支払いに応ずることがはだしてできるかどうか。第一の具体的事例では、たとえば山形県の参考人から申されました出産に対する障害、そのために生ずる出費の増加、あるいはどかんどかん大砲を撃つて来たために、老幼を問わず神経衰弱、デビリーテーシヨンの状態になつて、そのためにデビ、テーシヨンをなおさんとする医療費がかかつて来るというような問題、さらに一歩砕いて言うならば、これがために生産意欲というよりは、むしろ生産意欲がただいまの陳述によつては減退して来て、右これに伴うところの損失が起つて来るのだ、あるいはただいま戸沢村の参考人から申された言葉でありますが、パンパン・ガールが入り込んで来て、児童教育上によくない、風紀上まことによくない、こういうような事態で、駐留軍軍人軍属の行為によつて肉体的あるいは精神的にわれわれの周辺に容赦なく迫つて来るところの問題については、民事特例法によつて慰藉料の支払いに応ずることができ得べき問題なりやいなやについてお伺いしたいのであります。
  36. 川田三郎

    ○川田政府委員 不幸にして私が民事特別法の担当部長でないものですから、しつかりした見解を今ここで申し上げることはできないのですが、もし今のようなお話の問題について、民事特別法を適用いたすといたしますれば、私はその原因に対する結果はやはり社会的にあり得る、あらねばならぬということになりますれば、行政協定十八条の関係補償をいたすべきだと存じます。ただ具体的な問題を一々取上げて考えてみませんことには、これはいたしませんということは今申し上げるわけには参りません。
  37. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 別に補償云々について政府委員とデイスカツシヨンするのが私の目的ではございませんので、その形式を伺えばこれは満足するのでありますが、ついで伺いたいと思いますのは、どうも駐留軍演習場ないしは射撃試射場になつたために、ただいまの山形県並びに千葉県の両方の参考人の御意見によると、市町村財政が非常に負担に購えかねておる、たとえば具体的には、それがための専属の書記を置かなければならない、書記の人件費が出ない。ジープで道をかつ飛ばされて、村道がめちやめちやになつてしまう、これに対する損害が、ただいま山形県の参考人の陳述によりますれば実に七百五十三万円にも達するのだという陳述がある、あるいは山火事がどんどん出て来る、そういうような事態が出て来て、それがための消火の費用、起り得べき山火事に対して備えなければならない、それが原因としては付帯せられる消火の経費、あるいは九十九里方面における事例でありますが、パンパン・ガールが来たり、あるいは普通の子女もありますが、これがパンパン・ガールなりやあるいは良家の子女なりやの識別を駐留軍諸君なかなか心得ないという主観的な恐怖等もあつて、婦女子に対する警戒要員等も現に付しておるというような事例も聞いておるのでございますので、こういうものに対する補償は一体いかにしてなさいますか、伺いたいのであります。
  38. 川田三郎

    ○川田政府委員 道路については、ただいま参考人のお話からも非常な被害がございます。七百五十三万円程度の被害があるわけでございますが、幸い道路については、この補償方針がきまりまして、接収地であると地区外であるとにかかわらず、道路の建設費について建設省と折衝されれば、建設省の方でこの道路修築に対する補助金なりまた公共事業費なりについて大蔵省の方に予算を要求して行つて、軍によつてこわされた道路の修復については建設計画上取上げるということになつております。それからその他の問題につきましては、行政協定十八条に関する補償によつて救われるものもあると存じますけれども、そうしたものをどうしても適用できない場合には、この提案の法案を施行いたしました際にこれを活用する、こういう心組みでございます。
  39. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 時間も経過いたしておりますので、結論に入りたいと思いますが、将来に対する期待収益の措置いかん。これだけ申し上げればおわかりのことでございますが、たとえば山形県の参考人の所論によれば、あのときに苗を植えておいたならば、すでに七、八年生のりつぱな杉山ができておるのだ、こういうことを仰せられておる将来に対する期待収入の減少、もしくは、これは農地局長の御専門でしようが、開拓計画の実施不能によつて生ずる減少、ただいま山形県の参考人から言われた農地の拡張等不能による農村振興の挫折、ただいま収入の大部分をなし、大きなウエートを占めておるといわれまする山菜きのこ山林副産物採取不能に陥つた場合、あるいは炭焼きの不能に陥つた場合等の、将来に対する期待収益減少に対する本法の措置並びに法精神の見解いかん
  40. 川田三郎

    ○川田政府委員 期待収益につきましては、本法においては一応考えておりませんが、本法を使わなくても、期待収益については、ただいま御指摘の山菜、たきぎ、木炭などにつきましては、接収に関する規定によりまして、現にその補償の要領を作成しておりましてこれを適用いたしまして補償するつもりでございます。また占領中の問題につきましても、見舞金を支出するつもりで、現在大蔵省と予算上の折衝をいたしております。それから一般に植林不能というような非常に将来性の濃厚なものにつきましては、なかなかこれを損害として取上げるかどうかは、私はまず自信がないのでございますが、権利として確定している――たとえばいい例は、借家権のようなものを、将来借家を継続せしめないようになりました場合には、その権利を制限または消滅するという観点から、補償いたします。従つて将来の利益に対しましては、二様の考え方がございます。一つは権利になつておるものは大体において補償される、権利関係の明確でないものについては、実態を十分調査いたしましてその補償をするかしないかを定める、こういう態度で進んで参りたいと存じます。
  41. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 将来の期待収益に関する問題については、純粋の法律的解釈の建前からは、本法のカテゴリーの外なるも、これはただいま申した二つの方法によつて救済の道あり、こういう御答弁と了解いたしますが、実はこの期待収益の問題が、三参考人のいずれもるるたる言葉で述べられ、むしろこれが大きなウエートをなしておるのじやないか、かように考えますので、本法を運用する上において、また本法の運用以外に、特別調達庁御当局において行政措置をせられるときにおいては、万全の措置を講じていただきたい、これは希望条件でございます。  次に、ちよつとこれは農地局長にお尋ねしたがいいか、あるいは法制局長にでも法律的にお尋ねして見るべき事項であるかと思いますが、二つの事例がただいま両参考人から出されたのであります。山林などを射撃試射場として指定せられた場合において、昔から入会権の続行というような形でこれは考えられると思うのでありますが、落葉、下草、薪炭原木等において、慣行上採取の権利が認められておつた。これは旧民法における私権の享有は出生に始まるという解釈が、やはり新しい法律においても延長せられておるものといたしますと、かような旧来慣行上、たとえば山林を試射場にした場合に、昔からあつたところの採草権とか、あるいは落葉をとる権利であるとかいうようなものがある。これに対しては、土地の所有権者に対しては借上げ料を払つておるのだ、しかしこういう不確定ではありましようが、慣行上享有いたしております権利の享有者に対しては、何らの措置がなされていないような参考人の陳述でございますが、これは単なる行政措置だけからは解釈できない問題だろうと思いますが、一体借上げ料の中に、所有権上の土地所有者、及びただいま申しました慣行上の採草権もしくは下草権、枯枝権等のものも加えて、本来の農地法の建前、所有権の建前の上において考えるべき問題であろうと考えております。たとえば具体的に申しますと、ここに農地というものがある。これは所有権の上において押える。もちろん所有権がある上に耕作権のウエイトが大きい。耕作権のウエイトのためには、土地所有権は幾ら持つていても何もならないのだ。土地というものの骨格を分析してみると、所有形態論上においても、所有権あり、耕作権あり、あるいはこの上に譲渡権も物権上は認められている。かかる観点に立つて考えて来ると、借上げ料には当然慣行上のこれらのものも含まれるであろうというように考えるのでありますが、これに対する見解をきびしく御説明願いたいのであります。これを第一点としてお尋ねいたしておきます。またただいま九十九里の業者から、同じように、慣例上の漁業の範疇に加工業者も含めてほしいという陳情があつたということであります。どこからどこまでが漁業であるという明々白々たる定義がなされない以上においては、漁業という範疇の中のものに対して補償せられるこの金額を、やはり加工業者も受けるが、受ける立場が不安定である。漁業の中には漁撈及び加工も含めて補償せらるべきであると思う。もちろん前者と後者とは立場は違つておるが、おのおのその補償せられる補償対象内に占める存在理由において好個の事例と思いますので、前者に対しては法律的に、後者に対しては事理明白にお答えを願いたいと思います。
  42. 川田三郎

    ○川田政府委員 農地または山林における従来の立入権、耕作権は、すべて権利という形で私どもも了承できますので権利に対してはすべて補償をいたすことにしております。それから加工業者の方は、加工という言葉は、私どもはなかなか吟味しなければならない言葉であると存じます。つまり漁業補償であります以上、漁業組合そのものまでで打切らなければ際限がないのでありますが、先ほど参考人のお話を聞いてみますと、加工業者という範疇にはたして入るのかどうか。やつている仕事は加工も含んでおりますが、その漁業の中に一団となつて働いておると、私どもも、漁業組合に補償することもあると同時に、組合における従業員にも補償するようになつております。これは事態を法制上補償され得る対象の中に入るように説明されて私どももその説明が十分とわかれば、あるいは従業者ということに扱うことができるのではないかと存じておりますが、これはなお水産庁当局とも、漁業補償の範疇に入るか入らぬかよく相談いたします。しかし加工業者、運輸業者まで拡げましたら、その漁場におけるカフエー、映画館が全部やはり関係が出て参ります。
  43. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 前者に対する権利のあるものは、これが不確定な権利であろうとどうであろうと、過去において慣行しているものである以上は補償するのだという答弁は了承いたしました。後者の、加工業者が一体漁民なりやいなやという問題については、漁業従事者であるという説明が事理明白であるならば認めよう、こういう建前であります。私は何も九十九里の魚がとれなくなつたから、東京日本橋の魚屋の補償をしろということを申し上げておるのではありません。これは九十九里の漁業の浮きつ沈みつの原因と当然表裏一体のものであつて、やはりこれは漁業従事者というカテゴリーにおいて処置した方が、法律的にも実際的にもよろしいと思うのであります。これは漁業の範疇いかんという問題でありますが、新しい水産庁長官清井君いませんか。――それでは清井君はいませんが、彼は改良局長から水産庁長官なつたばかりで、あまりよくわからないでしようが、さように了解してよろしゆうございましようか  しからば最後にお尋ねいたしたい。これはお願いになりますが、九十九里の漁場の陳情などは、私の直接扱つたこともあり、かつて私の同僚であつた田中代議士などが、実に克明に陳情せられた経緯をよく知つております。また本日参考人として御出席になられました山形県の後藤参考人ほか一名の方方は、これですでに上京十三回に及んだ、こういうふうに私は聞いておるのであります。土地に帰ると、後藤参考人村長さんは、東京に出る旅費ばかり使つて、空々寂々さつぱり効果を上げない、こういうたての反面の御非難があるように私は切実に聞いた。こういうところでこんな話をするのはいかがかと思いますが、村長のふところの旅費の出場がないので村政上実に弱つている、こういう話も聞いておるのでありますが、上京して参りますところの旅費、滞在費等々というものも相当多額に上つておる。この原因あらば、そして私が冒頭に聞いたことく、各地の陳情の声を聞いてこの政府のきめておりますところの第三項その他の指令がきまるのであるとすれば、いかんせん東京に出て来ざるを得ない。東京にときどき出るためには、公定運賃としての汽車賃も支払わなくんばあらず、旅館の費用も生理的現象として払わなくんばあらず。こういうものの町村財政に及ぼす影響も非常に多い。こういうことについていかように涙ある御見解を賜わつておりますか、最後にお伺いして私の質問を終りたいと思います。
  44. 川田三郎

    ○川田政府委員 それでは手短かにお答えいたします。道路の点は方法がございます。これは先ほど申し上げました。それから山菜、薪炭、木炭等については現在補償の計算を進める段階にございます。そうするとあと被弾木――たまを受けた木でございますが、これにつきましても補償の方法がございます。私ども実地調査を十分に進めまして、現在後藤村長陳情されておる面については、なるべく早くこの補償の実績をあげるように努力いたしたいと存じます。
  45. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 ちよつと質問と答弁とのずれがあるのです。私の聞いているのは、後藤村長は上京する経費で手をあげちやつたのです。グリコの看板で万才です。こういう点、今後も民意をくんで法律ができて来るのだ、声明ができて来るのだというならば、こういう旅費とか経費について、これははなはだ虫がいいとおつしやられればそれまでかもしれませんが、こういうことについて触れられるお気持があるかないかということを聞いておるのです。
  46. 川田三郎

    ○川田政府委員 これは地方自治庁の方の問題になるかと存じます。私の方では、直接駐留軍がその村長に被害を与えているというところまでの結びつきが、やはり困難だと思います。村の経費がそういう場合に特に出るとすれば、私ども考えられますのは、平衡交付金等においてそういう村の支出をカバーするということも方法ではないか。しかしそれは所管でございませんので、責任ある御答弁というわけにま参りません。
  47. 寺島隆太郎

    ○寺島委員 これは決してデイスカツシヨンではありませんが、平衡交付金の増額によつて村財政のオーバーするものをカバーする方法があるというただいまの御答弁でありますから、私は質問としてもう少しぎゆつとあなたとやりたいのですが、実は大分押えているのです。法律の執行は涙ある執行でなければ相ならない。本案に対して吾人がかかる審議をいたす以上は、こういうクレームも現地においてはあるのだということを考えられて、特別調達庁長官並びに所管部長は、地財委の荻田局長あたりにでも厳重に御折衝の上、平衡交付金増額等によつて参考人らの言わんとして言い得ざる点をカバーせられんことをお願いいたしまして、私の質問を終る次第であります。
  48. 福永一臣

    福永委員長 次は松岡俊三君。
  49. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 ただいまの寺島君との間の応答を承りまして、実情を身にしみている私としましては、どうも感服しないところがたくさんある。私は参考人にお聞きしたいことと、当局にお尋ねしたいこととあります。  第一に参考人にお聞きしたいのであります。ただいま参考人が時間の関係上述べられなかつたのでありますが、由来東北人は、実に鈍重であきらめやすい人間で、自分の権利を主張するにまことになつていないものであります。私は雪害問題を十年かかつてようやく法律に入れたようなあんばいで、これをひつ下げたときには、まつたくこれは気違いだ、ばかだ、何もできるものじやないというようなことを言うほど、東北人は鈍重であきらめやすいのであります。わが日本の治安を維持するための駐留軍による損害を、射撃場及びキヤンプを持つておる付近の者だけが負わなければならぬというはずはない。先ほど千葉県のお方がお話のように、決してこれは陳情じやない。哀訴ではない。当然の権利を主張すべきものである。これについては全国の方々は異議あるはずはない。伊関国際協力局長も言つておるが、アメリカにおいては決してさようなことは言わない、アメリカの方では出そうと言つておる。それを出さないのは日本の役人であるかの、こどく私には思われる。それで私は山形県の県議会の議員である結城君にお尋ねするのでありますが、あなたたちはもつぱら射撃場の戸沢富本、大高根及び西郷の方面のみのことを申されたのでありますが、このほかに同じ北村山郡内の東根町字神町若木林、あそこに大きなキヤンプがある。あのキヤンプの問題についてお尋ねしますが、昭和十六年以降あの通り一生懸命荒地を開拓して、ようやく生活の基礎を見たあの若木の開拓者九十七名が、突然二十一年の六月に百四十八町歩をキヤンプの敷地として接収された。そしてきわめてわずかな離作料によつてほうり出された事実は、結城君は御承知でございましよう。この措置がまだそのままになつておる。またこの土地は、ただいま寺島君との問答の中に、前段は権利として認めるということになつておりますが、農地開発営団があつて若木林の開拓をやつてつた。ところが戦争のために遂にこの農地開発営団が解散されなければならぬようになつた。開発営団においては、この土地を開拓したならば、みな君らにやるぞという約束のもとにあれはできておつた。そのできておつたやつが突如として解散されたものですから、そのままになつてしまつた。半分はちやんと耕作しておつた。それが開発営団の方に権利があつて片方の方にはまだ権利の譲渡も何もない。そのために離作料その他については、実にさんたんたる状況にあることは、農林省では一番よくわかる。山形県に任にあられた和栗さんなどは、さらに一層よくわかつていることだ。このキヤンプの問題が従来何ら問題になつておらない。ようやく私が行つて、こんなことはどうだと言つたら、そんなことありますかといつてびつくりするようなありさまである。これはとんでもない、国会に出たならば承知せぬぞと思つてつた。今度出て来たから言うのですが、幸いに寺島君が第一の質問で権利を認めるということを押えてくれたから、これははつきりしてたいへんけつこうなことだと思うが、あの若木開発営団の問題はどうしたんだ。この法律によれば、駐留軍がやつたことならばこの法律でやるけれども、その前のものはやらない、遡及せぬということになると、これはどうなる。ここにありますように、その他の政令によつて定める云々ということがある。あとはいけなかつたならば九十日以内に不服を申し出る、これで今まで問題になつていたことは多分満足は得ないだろうから、あとで訴えるだろうというようなことで、従来水産の方面にのみ重点を置いて、陸地の方面にはあまりに軽く扱つておるような気持が私はいたすのでありますから、私は参考人にお尋ねするのですが、参考人は、今のようなぐあいに、若木林の農地開発営団の問題がそのままになつて駐留軍の使用になつておるというあの事実は、よく申し上げていただきたいと思うのであります。それから若木のキヤンプの付近は全部りんご畑になつておる、そのりんご畑が今まで占領されておる間――これはこの席上で申し上げてはどうかと思いますけれども、事実だからしかたがない、りんごが一晩のうちにみなどんどんとられて行く、そのりんごがなくなつたものを一々警察に届け出て、その損害賠償を何とかしてもらいたいということが調達庁の方には出ているわけです。これを認めておられるようであるけれども、これは単にりんごばかりではない、あの付近の損害は実に容易じやない、寺島君の言うようなぐあいに、それはいかぬぞと言つてこれを押えるわけに行かない。しかしながらそういう損害があつたら現場で云々というようなことはあたりまえです、われわれ同士ならばやれるけれども、米軍の者に対してやれるはずはない。抵抗力がない。こういうぐあいになつているというりんごの損害は、参考人はよく知つておりますかどうですか、これもお聞きしたいのであります。  さらにもう一つは、キヤンプの米軍が一日百万ガロンずつ用いる水のために、川が干上つてしまつている。ああいうような問題のために、どのくらい損害があるかと申しますると、ちようど水田が二十一年以来非常な水害がありまして、まるつきりとれないようなところが七町歩もできた。そのほかに百八十町歩の水田がひからびている。こういうような事実を、県議会議員である結城参考人は御承知かどうか、これをまず承りたい。
  50. 結城吉野助

    結城参考人 実は大高根射撃場の問題というようなお話を承つたわけでありまして、山形県のこうした全般のいろいろな補償問題に対しては考えてなかつたという点につきましては、私が聞き間違えておつたのだろうと思います。ただいま松岡代議士からお話があつた三点については、私も存じております。
  51. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 ただいま私の言うたことはみな承知だという。さつきは時間のためで申し述べるのを省略せざるを得なかつたことだろうと思うのでありまするが、こういうぐあいに、寺島君の問答にもあつたように、いまだ解決されない問題がある。本法によつて駐留軍になつてからの問題はできるけれども、その前の、遡及する問題は、どういうあんばいにするかということを、もう一回はつきりしていただきたい。今日まで何回となく調達庁にも参り、農林本省にも参つて、本問題についてはよくよく申し上げているのでありまするが、今日のようなぐあいに、三月一ぱいに占領事務は完結するというようなことになると、これはどういうあんばいになるのか、これをお尋ねする。
  52. 川田三郎

    ○川田政府委員 占領中の被害につきまして、まだ十分にその被害を補償するための措置がとられておらないことは、まことにお気の毒であります。しかしこれは占領中の問題でありまして当時の情勢から見て、ある一部の人にだけその犠牲を忍んでいただくということも不合理であります。今後財政上の措置を要請いたしまして、でき得れば見舞金等によつて、こういうものを措置いたしたいと存じます。なぜ見舞金かと申しますと、法律上契約をしておるわけでありませんので、直接財政支出をする基礎がないわけであります。こういう法律ができておりますならば特別の負担をする方法があるのでありますが、ないものですから、特に見舞金という言葉を使いまして、行政上の措置としてやる。それは当然財政上の措置と相またねばなりません。今調達庁といたしまして、必ずこれを見舞をするということは言い切れないのであります。しかしとるように努力をするということで、御了承を願います。
  53. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 そこなんです。本法によると、はつきりできますが、これと同様なぐあいに占領中の六年間もやられている。これは事実でしよう。この事実をそのまま――富山県あたりのこれから射撃場が始まる所の問題は、それは非常によろしいですけれども、ずつと今までやられて来たものに向つては、今のようなぐあいじやどうも私ら承服できない。そんな話はないじやありませんか。占領されている時代だからしてまだ財政が云々というようなことは、どうも実に私は承服できない。これから出るものについては、本法でこうだという。しかし六年間に被害を受けたものはどうなるんです。損害の程度というものは容易なものではない。そこへ持つて来て、東北人のように鈍重で、引込み思案で、物を言うことのはなはだ下手なやつで、あきらめやすい人間、こういう人面を相手にするときには、よつぼど考えていただかぬといけない。これはどうもほんとうに東北のことがわかつた者が出て来ないと、たいへんなことだというようなぐあいに私は感じるのです。今のようなぐあいで、先ほど寺島君のお話によると、九十二億という予算のわくが裏づけされておるということです。これは本法によるところのものである。今までの占領されている六年の間の問題は、どうなるか。今、見舞金で云々という。それでいけなかつたら、九十日以内にやつて来い。訴えによれというのですが、私はこれはどうも承知できない。今日まで長い間の被害者は、ただいまの参考人ばかりじやない。まだまだたくさんおる。それらの人が今日まで使つた金、苦労、これは容易なものじやない。本法によつて救われるところのものはけつこうですが、今までの六年のものも、やはり本法と同様な待遇をもつて損害補償に当るべきものだという確言をなさるべきが至当だと思う。政府としては当然じやないかと思う。これはどうなんです。
  54. 川田三郎

    ○川田政府委員 そういうものを補償するという確言とするのが至当であるとは、私は考えません。私の所見といたしましては、やはり政府の方針によつてやるのでありまして、これはやはり政府の方針を聞いていただかなければ、私は政府委員として出て来ておりますが、調達庁としては財政の問題とはおのずから所管を異にしております。これは予算上の要請が強い問題であります。私ども調達庁としては、民意にかわつてこれが予算措置をすべく努力し、次に薪炭、山菜等につきましては、これが見舞金で出せるというところまでこぎつけたのであります。むしろ私どもの努力を認めていただいて、御激励があるべきもので、約束しろとおつしやつても私、約束はできません。
  55. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 議事進行について。二人の質問で相当の時間になつておそらく近く本会議も始まることと思います。その前にまた代議士会もあるじやなかろうかと思います。まだ相当の質問者があり、しかも水産関係はだれも質問しておりません。この質問はおそらく、まだ一時間や二時間で尽きないと、私は考えております。そうすると、時間がなくなつてだれもいなくなる、こういうことになりますから、この場合時間の関係上、参考人に対しての質問にとどめ、政府当局については、なお詳細な質問を次会において許すことにしたらどうかという意見を持つておりますので、皆さんにお諮りして、さようにとりはからつたらいかがかと存じます。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 福永一臣

    福永委員長 それでは、ただいま川村君の議事進行に関する発議の件でございますが、大分まだ残つております。あと松岡君を含めまして四人ございます。時間が許さないと思われますし、また取急いでは十分の質疑等もできませんから、本日は参考人に対する質疑だけにしておきまして、政府当局に対する質疑は、この次にすることにいたしたいと存じます。中村君。
  57. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 私は鈴木参考人に簡単に質問したいのであります。鈴木参考人よりるる九十九里の加工業に関する説明があつたのでありまするが、少少長かつたので、いささかぼやけた感がございます。九十九里における特殊加工業というもの、水産業の実態というものが大体わかつて参りました。しかしながら、九十九里の水産業というものの実態が、まつたく加工業と漁業家と不可分のものであるということを、もう少々つつ込んで伺いたい。この加工業という言葉は、九十九里においては不適当かと思うのでありますが、加工業の皆さんは漁業の方に奉仕もされ、あるいは船にも乗つて出漁されるというような実情も聞いておるのであります。かような特殊な加工業であると私は考えます。この点鈴木参考人はどう考えておられますか。
  58. 鈴木一郎

    鈴木参考人 ただいまお話がありましたように私ども業者といたしましては漁業家と一体のものである、こういうふうに考えております。その実際について申し上げますと、船が出る場合においては、加工業者の従業員をもつて船の出入りに協力をする。これは九十九里の場合は港でありませんので、船の上げ下しが非常なる仕事でございます。寒中においても、女までもほとんど首まで入つて船の出入に協力するのであります。また業者の中の何名かは船に乗る。こういうふうなぐあいであります。なお不漁が続きました場合においては、自分の持つておるところの金をもつてこれに対する協力をする。船具を買うための協力をする。また米を池のものをもつて協力をする。こういうふうなかつこうで実施をいたします。先ほど申し上げましたように、とつてきたものはそこで商いをするのではなくして、そのまま配当されてそれを加工する。これは漁業の中の加工という一分業をやつておる、こういうふうに考えるのでございます。
  59. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 山形県では北村山郡だけが駐留軍の被害者なんです。駐留軍射撃場またはキヤンプを持つているところの一町六箇村だけが山形県としての被害なのです。先ほどお話がありましたが、七百五十万円云々というような町村損害があると言つておるが、私の聞いておるところでは、一箇町村において千万円ぐらいずつ助成でもしてもらわなければ、とうてい償わないかのように聞いておるが、結城君はどんなふうにこの点を思つていらつしやいますか。射撃場及びキヤンプを持つている関係上、元ほど寺島君の言われたようなぐあいに、各町村の出費が非常に多い。この出費は七百五十万円ぐらいのものではない、一箇村においてどうしても千万円は必要だというようなぐあいに聞いておるが、この点もつと明白にしていただきたい。
  60. 結城吉野助

    結城参考人 松岡代議士の御質問にお答え申し上げます。山形県の進駐軍による損害の箇所は、この北村山郡の関係町村並びに酒田方面にもございます。そんなふうにして最も大きいのは、この北村山郡の一町六箇村でございまして、先ほど村長からるる説明があつたように、町村の役場より出しておる金が大体一千万円近い。そのほかに町村村民各位が、ただいま申し上げましたように、山をもつて生活の基盤としておつた関係上、製炭山菜きのこまき材採草というような損害を合せますと一億八千万円にもなつておるような状況でございます。決して一箇村一千万円ぐらいの損害ではございません。この点をはつきり申し上げます。     〔委員長退席、田口委員長代理着席〕
  61. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 私の一箇村千万円と言つたのは、その町村で特別に委員を置いたり、その他の関係のための損害を言うのであつて、それ以外の損害のことを言うのじやないのです。各町村の経済の上に影響しているものが、千万円ぐらいなければとてもだめだ。こういうように聞いておりまするが、この点もう一回伺いたい。
  62. 結城吉野助

    結城参考人 この損害町村の役場の金庫から出ておる金が九百万円でありましてそのほかに先ほど寺島代議士からお話があつたように、陳情とか、陳情の書類をつくるいろいろな費用あるいは各関係町村の協議会を開きましていろいろと善後対策を講ずる、あるいは特調の方面から調査に参ります、そうしたいろいろな諸経費、そういうものをあわせ考え、さらにこの六箇町村のみでなくして、山火事があつた場合に、隣の町村の消防団員が全部動員されて、あの十日以上かかつた山火事を消しとめたこともございましたが、やはり慣習として夕方帰る場合あるいは交代する際においては、握り飯を食べさせるとか、あるいは茶わんに酒の一ぱいも飲ませるというような、目に見えない費用がきわめて多いことは御理解いただけると思うのであります。そういう観点からこの六箇町村が負担しておる額は、役場の金庫から出ておる金の何倍であるかは今はつきり申されませんが、この六箇年間のそういう支出は、大体一千万円近い金が出ておるということははつきり言えると思うのであります。
  63. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 次に山口村の水利の問題ですが、山形県においては、あの東根町字神町のキヤンプのために、水が毎日百万ガロンずつ使われている。そのため二十一年以来過去六年において、約三千五百七十三石の損害といいますか、水田が水がないために、これだけの収入が減つておるということを、あなた方は県議会の問題としてどんなふうに取扱つておられるのか。これを認めて、どういうあんばいにして、食糧増産の上に貢献せんければならぬというような措置をとられておられるか、これらの点もお聞きしたいと思うのであります。
  64. 結城吉野助

    結城参考人 お答え申し上げます。この駐留軍が使つておる水のために、地元、山口村では水田灌漑用水の復元処置について県会に陳情に参りました。県会ではそれを審議しまして、中央の方に特調を通じてお願いしておるような状態であります。その後の経過は存じませんが、特別調達庁の不動産部長さんも見えておりますので、部長さんからお話願いたいと思います。
  65. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 あの水がとられたがために、金額にすると二千八百万円ばかりの損害を受けている。このため、どうしてもダム設備をつくらなければ、あそこの沿岸は干上るというような状況になつておるということは、参考人の結城君の方においては、県会の問題になつていたが、その以後の情勢がどうなつているかということは、部長さんの方からというようなお話で、ございましたが、これに関連して農林省においてはどんなふうにしておるかというようなところまでは、参考人においてはまだ進んでおらないのですか、どうですか。
  66. 結城吉野助

    結城参考人 これは県の理事者からも、特別調達庁並びに農林省の方に折衝ましたが、具体的な、いろいろなことはわかりません。あるいはなるかもしらぬ、あるいはならぬかもしらぬ、いわゆるダムを新たに建設することの可、不可はまだ決定していないように聞いております。ちようど和栗課長さんも見えておりますので、その点御説明を願えましたならば幸いと思います。
  67. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 関連しておりますから、農林当局からこれに対する御答弁を私は煩わしたいと思うのでございます。食糧増産をなして、外貨を獲得する上においても、大いに努めんければならぬ場合において、キヤンプで使つた水は全部最上川にそのまま流れて行くので、キヤンプの水は少しも他の灌漑の用にはなつておらない。こういうぐあいに、水がそのまま最上川に流されてしまうので、食糧増産が非常にはばまれておる。これに対するダムの設備の必要なことを県当局も認めて本省の方によく言つているということでありまするが、これについて農林当局はどんなふうに考えておるか伺います。
  68. 田口長治郎

    ○田口委員長代理 松岡委員に申し上げますが、近いうちに官庁に対する総括的の問題をやりますから、きようは参考人だけにとどめていただきたいと思います。
  69. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 それなら委員長の言うことをお聞きしましよう。参考人が今のように農林当局にも言つているということでありますから、他日の機会においてこれを当局に尋ねることにいたします。以上のようなぐあいでありますが、寺島君と当局との応答をお聞きになつたようなぐあいに、これから駐留軍の問題については、このように本法によつてなされるが、しかし前の問題についてはまだはつきりしたぐあいになつておらないことはお聞きの通りであります。これでもつてあなた方は満足するかどうか。その点について東北人として忌憚ないところを、この際よく申し上げたらよかろうと思うから、私はお尋ねする。     〔田口委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 結城吉野助

    結城参考人 先ほどいろいろと実情をつまびらかに御説明申し上げまして、その後特調の長官並びに部長さんからお話がありましたが、それによりますと、いわゆる進駐軍という名前の時代にあつた損害は、見舞金というぐあいに言われました。しかもその見舞金もさつぱりどういうふうに出されるかわからぬというような状態にありましては、私どもは帰つて関係町村民に報告できないような状態でございます。しかもその損害が山の生産者なるがために、製炭あるいは山菜まき材採草、こういうような厖大なる損害であるにかかわらず、部長さんの説明製炭あるいは山菜というぐあいに言われましたが、まき材採草、これもきわめて厖大なる損害額になつておるのであります。これに対する言葉がございませんでしたが、まことに残念千万であつて、このような状況はこのまま帰つて報告されないというのが私の心境でございます。先ほども申し上げましたが、町村の金庫の損害並びに関係町村民の一億七千万円というような莫大なる損害、これに対する見舞金、しかもその見舞金が那辺にあるかわからないという状態では、まことに心外にたえない次第でございます。
  71. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 そうすると参考人の方においては、もしこういうあんばいのはなはだ不徹底な状態にあつて、見舞金等くらいで何とかしなければならぬというような場合においては、どういう状態になつても、その責任は参考人の方においては負うことはできないというところまでも到達するであろうというふうに考えてしかるべきものであるかどうか。そこのところを東北人としてはつきり言うがよろしいと思います。今までのような、東北人は鈍重で引込み思案で、権利も主張することのできないような東北人ではいけない。ほんとうの腹の中をしつかりして、あなた方は参考人として、代表して来られたのでありますから、この際十分議会に反映するように、本心を披瀝したがよろしいと思います。
  72. 結城吉野助

    結城参考人 ほんとうの気持は、これは接収解除になつてもらいたいという心境でありますが、しかしながらこうした日米関係にありますので、そういうこともでき得ない状態でありますならば、やはりこうむつた損害は、政府の方において完全な補償をするというぐあいに措置を改めてほしいというのが、私の念願であります。なお部長さんに申し上げたいのは、先ほどのこの該当するものが製炭山菜まき材採草、こうあるのでありますが、これを半分ばかりしかお話がなかつたようでありますが、この点をはつきりひとつお示しを願いたいと思うのであります。
  73. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 私の参考人に対する質問はこれで終ります。当局に対する質問は留保しておきます。
  74. 赤路友藏

    赤路委員 ちよつと今のに関連して簡単に結城さんに二点だけお尋ねします。この接収された場合、採算地、薪炭地にたいへん困つておられるらしいのですが、これに対する代地要求はしなかつたのかどうかということ、また周囲に適当な国有林野であつて、この採草地、薪炭地の代地はなかつたのかどうか、これが一点。  それから関係農民の方々は、今は非常に補償問題をやかましく言つておられますが、補償だけで納得するのかどうか、それでいいのかということ、この二点だけ簡単でけつこうですから、お聞きしておきたい。
  75. 結城吉野助

    結城参考人 お答えします。接収なつた場合にその換地のことでありますが、大体山林地帯が四千七百町歩というような厖大なる山林地帯でありまして、この山をもつて生活をされておつた方々は、炭焼きあるいは野菜とりの生活者、こういう方々が――採草も同じですが、代地を求めるだけの場所はないのであります。これははつきり申し上げます。  さらにこれは先ほども申しましたように、完全なる補償を要求しておる、これが従来の陳情であります。現在の関係町村民気持は、どうしても日米関係がこういうふうにあるに際してはやむを得ない。しかるがゆえに完全なる補償をもつて接収されておらないところの町村民と同じような生活をしたいというのが念願であります。これが町村民の考えであります。
  76. 赤路友藏

    赤路委員 もう一つ念を押して言つておきますが、関係農民の方々は、完全補償をやつてもらえばそれでいい、こういうことなんですね。そういうことですか、もう一度念を押します。補償だけでいいということですか。
  77. 結城吉野助

    結城参考人 現在町村民から言われておる言葉は、完全の補償を要求をしておる状況でありまして、それ以外にいろいろと感情の問題もありますが、それは省略さしてもらいます。
  78. 中村庸一郎

    中村(庸)委員 関連して。この九十九里加工業というものは特殊なものであるということは大体はつきりいたしました。今後におきましては、この特殊加工業というものをはつきりと認めるべきであると私は考える。そうして次会におきましては、第一条第三項の政令で定める行為という規定によりまして、その政令案も提出されたい。この政令案が提出されなければ、本案の審議は不可能であると私は一応考えまして、希望意見を述べまして私の質問は次会に譲ることにいたします。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 後藤参考人にちよつとお尋ねしますが、あなたが当初発言された内容の中で、四千七百町歩演習地を、しかも一方的に接収されたというようなお言葉がありましたが、これは非常に大きな意味を持つておるのであつて、この用地並びに施設の接収等については、行政協定に基く日米合同委員会の議を経て、それから合法的に接収するということになつておるのでありますけれども、この一方的に接収されたという意味は、そういうような一つの正しい根拠と経緯を経て行われておらなかつたという意味かどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  80. 後藤三郎

    後藤参考人 ただいまの御質問につきまして簡単に御答弁します。これは先ほど申し上げました通り、二十一年からと申しましたが、まつたく二十一年から進駐軍四箇村の方面にまたがつて射撃場の工作をしておりました。それで私どもは、いずれにしても射撃場にはなるのだなということは目撃してはおりました。しかしながらその間において一向こういう方面のことは連絡なかつたがために、なるとは思つておりましたが、その工事面に対しては、村民が道路の改修その他は人夫を入れて協力しておりました。しかしいよいよ昭和二十四年の二月になりまして初めて、二十一年から接収なつたんだということを聞いたわけなのであります。そういう関係からしてちよつと先ほど一方的にということを特に加えたようなわけであります。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点については、次回の委員会において当局にも質問したいと思いますが、もう一点結城参考人にお伺いしたいことは、アメリカが来てこれの接収をやつておるので、非常に迷惑ではあるが、やむを得ないような情勢のもとに、みんなは言いたいことも言えないで、がまんして来たんだというようなお言葉がありましたが、この駐留軍の基地として使用されておるその周辺の住民の人たちは、こういうような状態の中において、はたしてわれわれ日本人は独立しておるのだというような、一つの民族的な独立の意識がはつきりあるかどうかというような点について、参考までにお聞かせ願いたい。
  82. 結城吉野助

    結城参考人 私の目に映じた点をざつくばらんに率直に申し上げますが、進駐軍と名のついた当時の軍隊と、駐留軍という名前のついた時代の軍人の態度がかわつて参りました。この点ははつきりしたように見える点があります。やはり進駐軍という名のついた軍人のあの時代においては、小学校の生徒にもジープの上からつばをぶつと飛ばして顔をよごすという、きわめて失礼千万な態度も間々見受けまして、まことに父兄の連中も非常なる進駐軍に対する反感もあつたような状態であります。しかしながら駐留軍というぐあいに名前がかわつてからはそういう態度は全然見当らない。酒を飲んでよつぱらつていたずらをするというようなことはありますけれども、やはり酒を飲まない正常な態度においては、非常に紳士的になつて来た状況であります。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点お伺いしますが、どこの接収地の場合においても赤線区域の問題が非常に出て来るわけでありますが、場合によるとこれを地元の一つの繁栄の策としてやつておるような点も見受けられるわけであります。こういう点について、教育とかその他に及ぼす影響が非常に大きい場合においては、駐留軍当局等に対して当然正当な主張を行うべきであるというふうに考えられるわけでありますが、そういう点についてはいかなる折衝をされておつたかどうか、その点をお伺いしておきます。
  84. 結城吉野助

    結城参考人 ただいま議員さんの方からお話があつたように、この問題もやはり町村の議会で問題となり、さらにそれが県の議会でも大きく問題になりまして、県の理事者におきましても何とか善後策を講じようというようなわけでありまして、都市計画をつくつてそうしたいわゆるパンパンの遊んでおる状況が、学校の生徒に見えないようにしようというぐあいに処置をいたしますし、なお町村におきましても、県のそうした計画に協力してやつているというような現状であります。
  85. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 鈴木参考人に、ごく簡単に一点だけ伺つておきます。駐留軍演習等によつて千葉県は漁業水産加工業も大きな被害をこうむつて、もう生活をすることもできなくなつているということはわれわれよく知つております。そこでやはり日本の国の状態からいたしますと、いかに日米の行政協定が暫定的のものといいましても、相当長い問この状態が続くのではなかろうか、かように思うのであります。従つて今にして何らか方法を考えなければ、漁業者も加工業者も地に落ちるのじやないかと考えます。千葉県の漁業者も加工業者も他種の漁業に換転をするか、あるいは他種の職業に転換をするとかいうようなことを考えなければならぬと思います。加工業者の方では、漁業の不振に伴つて、単に自分たちの加工業も不振なんだということで、このままに仕事を続けて行くつもりかどうか。すなわち漁業が不振になれば加工業も不振になることは当然のことであります。従つて行政協定による駐留軍演習等は、長く続くということを考えたければならないので、今から加工業者も漁業者も転換するようた気構えを持たなければならぬと思います。これは全部が全部というわけでは、ございませんが、一部でも今転換するということを考えておられるか、またその方法を進めておられるかどうかということを一点お伺いいたします。
  86. 鈴木一郎

    鈴木参考人 完全補償されましても、今、言われましたように漁業不振が続く限り、私どもの今後の事業経営は非常に困難であります。従つてほとんど大部分の者が、できるならば営業の転換をしたい、あるいは営業の仕方をかえて行きたいと考えております。そういうふうな考えをもつて、県当局などにも再三御相談申し上げております。しかしながら何分ともに営業の転換をするにも資金がない、また土地に対する執着もありますから、言うようには容易にできない、これが実情でございます。
  87. 福永一臣

    福永委員長 他に参考人に対する御質疑はありませんか――それでは参考人に関する議事はこれにて終了いたします。  参考人各位には長時間にわたり御苦労でありました。これにてお引取り願います。政府当局に対する質疑はなお次会に続行することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十五分散会