○山口(傳)
政府委員 これまでの
委員会でもたびたびその点に関する御
質問がありまして、その都度ある
程度お答えして参
つたのですが、ただいままた御
質問がございましたので概略申し上げて、なお私の御説明で足らないところは警救部長も参
つておりますので補足させたいと思います。現在海上保安庁の警救部がこの問題に当
つておるのですが、警救業務に当
つておる船艇の勢力は、巡視艇と名のつくものが現在九十三隻でございます。なおこれに補助する小型のものが、これは一括して港内艇と申し上げていいと思いますが、中には二十三メートル
程度のものもありまして、海上平穏なときには出て行
つて補助をしておりますが、これが現在のところ二百五隻ございます。船艇は総体はそれだけでございます。これでえんえん一万海里にわたる四つの島の沿岸の警備に一応当
つておるわけですが、御承知のように昨年の五月の閣議の決定、その後にまた
開議の了解がございましたが、北方あるいは朝鮮海峡、東支那海等で
日本の
漁船に対する襲撃事件あるいは拿捕事件が相当出て参りましたので、この沿岸警備に当
つておる巡視艇の中から、それの優秀なものでなければとうていその方面の活動には使えませんので、そのときの閣議決定によりまして、北方水域に常時二隻が哨戒に出る、それから朝鮮海峡には一隻ないし二隻、東支那海の方へは常時二隻、すなわち合計しますと五隻ないし六隻が常時パトロールに出るという対策がきめられて、その線で今日まで哨戒を続けております。これだけの
隻数を現場に常にあらしめるためには、どうしても二倍半くらいの舟艇が入ります。これは交替して出なければ出られません。大体十日ないし十数日の間の一行動で出て参りまして、帰えりましていろいろ休養をし、補給をし、次の出番を待
つて交替をするわけであります。東支那海の方は九州に配属しております巡視艇の最も優秀な新造のもの四百五十トン型、これが九州の管区には全部で六隻あるのですが、この六隻全部が
漁船保護のために東支那海を担当いたし、二隻ずつ組にな
つて行動をいたしております。朝鮮海峡の方は、舞鶴の管区になりますが、そこの四百五十トン型ともう
一つ小型の二百七十トン型、この二つを合わせて五隻ございますが、これの一隻ないし二隻が常に朝鮮海峡の哨戒区域を行動するように交替で出ております。
従つて沿岸警備の方は巡視艇のうちの老朽船がまわり、それで間に合わしてや
つておるという形でございます。北方もほとんど同様でございまして、北海道が第一管区になりますが、優秀な四百五十トン型が輪番で出ております。最近韓国との間に大邦丸事件その他が非常に問題になりましたので、この事態にかんがみまして、さらに何とかしてしぽりまして、せめて韓国水域だけは一隻でも二隻でも増加したいと思
つて、目下検討していただいておりますが、ちようどただいまは海難の最も多い時期でございまして、毎日十件以上救難作業に従事さしております。海難も多くの場合かなり遠いので、そういう場合には四百五十トン型、少くとも二百七十トン型を使わなければならぬ、その他のものは遠くの救援には出られないものですから、実は非常に苦しんで今計画を立てつつあるわけであります。そんな状況でございまして、
隻数はそう多くはとても期待できないのであります。その他従来からの経験によりまして、巡視艇が最も効果的にこの
保護に当れるようにと現在いろいろ検討しているわけでありますが、今まで
漁船等との連絡電波等につきましていろいろ実績を調べてみますと、的確に行
つていないような場合もございます。せつ
かく約束いたしておりましても、その波数で打たずに、最寄りの
漁業船の方へだけ打ち込まれ、巡視艇の方で待
つているSOSを使わなか
つた場合もあ
つたりいたしますので、この辺もつと徹底して緊密な連絡のとれるように、その辺の
研究も最近いたしております。それからかねばね
お話しているのでありますが、巡視艇の今の二百七十トン以上でございますが、業務執行上どうしても火砲が必要だというので、小品径砲もしくは機銃
程度のものを装備することになりまして、その一部はすでに二十七年度の補正予算で組まれまして、二十六隻の予算が成立いたしたわけでありまして、目下これは各管区でそれぞれ造船所にその改装方の入札その他の手配をいたしております。最近の情勢にかんがみまして、これが遅れないように促進いたしておるような次第であります。しかしこれがすぐさま実力行使をするかどうかという点につきましては、なお今後火砲の扱い等につきまして
政府といたしましても関係方面とよく御相談の上、また皆様の御意見も聞いた上でや
つて行きたい。とに
かく火砲をとりつけるのは二十六隻の予算が成立いたしておりますし、二十八年度のただいま国会に上
つておる予算案の中に残りの三十三隻分が出ております。そんなような状況であります。