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1953-02-27 第15回国会 衆議院 水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十七日(金曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 田口長治郎君 理事 山中日露史君      甲斐中文治郎君    川村善八郎君       薄田 美朝君    濱地 文平君       白浜 仁吉君    中村庸一郎君       杉山元治郎君    辻  文雄君       赤路 友藏君    大橋 忠一君  出席政府委員         外務政務次官  中村 幸八君         外務事務官         (アジア局長) 倭島 英二君         水産庁長官   清井  正君         海上保安庁長官 山口  傳君  委員外出席者         海上保安官         (海上保安庁警         備救難部長)  松野 清秀君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ――――――――――――― 二月二十三日  委員辻文雄君及び日野吉夫辞任につき、その  補欠として河野密君及び川島金次君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十四日  委員勝間田清一君及び河野密辞任につき、そ  の補欠として八百板正君及び辻文雄君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十五日  委員川島金次辞任につき、その補欠として日  野吉夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員日野吉夫辞任につき、その補欠として伊  藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員宇都宮徳馬君及び杉山元治郎辞任につき、  その補欠として岡田五郎君及び平野力三君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十七日  委員平野力三辞任につき、その補欠として杉  山元治郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十四日  函館漁港設促進請願平塚常次郎紹介)  (第二五一二号)  太櫓漁港設工事継続請願平塚常次郎君紹  介)(第二五二八号) 同月二十五日  熊石漁港修築工事促進等請願川村善八郎君  紹介)(第二九一二号)  関内に漁港築設の請願川村善八郎紹介)(  第二九一三号)  相沼に漁港築設の請願川村善八郎紹介)(  第二九一四号)  鹿部漁港拡張工事促進請願川村善八郎君紹  介)(第二九一五号)  函館漁港設促進請願川村善八郎紹介)  (第二九一六号)  長磯に漁港築設の請願川村善八郎紹介)(  第二九一七号)  宮野に漁港築設の請願川村善八郎紹介)(  第二九一八号) 同月二十六日  庶野漁港修築等に関する請願南條徳男君外一  名紹介)(第三〇三八号)  保戸島漁港整備促進に関する請願村上勇君紹  介)(第三〇三九号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十四日  漁港修築費予算増額に関する陳情書  (第一五五一号)  同(  第一五五二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  アラフラ海及び朝鮮半島周辺公海漁業に関す  る件     ―――――――――――――
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  アラフラ海及び朝鮮半島周辺公海漁業に関する件について議事を進めます。  まずアラフラ海における日濠漁業問題について大橋委員より発言を求められておりますので、この際これを許します。大橋忠一君。
  3. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 さきに濠州政府からわが方に向つてアラフラ海の真珠貝保護の問題について条約交渉をやりたいという申入れがあつたことを聞いておりますが、その申入れの具体的の内容はどういうことを言つて来たのか、それを第一にお伺いいたしたいと思います。  またそのアラフラ海において濠州あるいはその他の国が今まで真珠貝をとつてつたかどうか、私の感じでは、どうも濠州は日本及び日本人に対して非常に強い警戒心を持つておるように思うのでありまして、蘭領ニューギニアに行くことさえも好まないことは御承知の通りであります。そこで私は、これはただ真珠貝保護する漁業上の理由からでないような印象を持つております。つまり日本人船団を組んで、多数濠州付近に押しかけて行くということをきらうところに一つ原因かあるのではないかというような感じを持つておるのであります。こういう点について、外務当局はどういうような考えを持つておられるか、その点をひとつお尋ねしたいと思うのであります。外務当局自由主義陣営自由主義陣営ということをしきりに言つておられます。なるほど安保条約の現存する今日においては、日本は好むと好まざるとにかかわらず自由主義陣営にくつついてはおりますが、その自由主義陣営のうちの有力者の濠州が、かくのごとく日本毛ぎらいする、そうして日本生命線一つである公海漁業までこういうふうに圧迫するということは、かんじんの自由主義陣営を弱める結果になると私は思う。従いまして、そういう大局的の観点からも、私は濠州側の反省を求める必要があると思うのであります。その点はいかがでございますか。まずこれだけ御質問いたします。
  4. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 去る二月四日に濠州側のワーカー大使より、四月ごろに日濠の間で漁業条約の締約の交渉をしたいから、会議を開催したらどうかというような申入れがあつたのであります。場所についてはカンベラを一応希望する、こういうような趣であります。しかし協定内容につきましては一切提示がございませんので、ここにお示しいたすわけには参らないわけであります。  それからその次のお尋ねの、濠州側で日本人漁師の入つて来るのを好まないわけはどういうことであるかというお尋ねでありますが、この点につきましては、あちら側の意向を推察する由もないのでありますが、ただ私ども考えまするには、戦前におきまして、濠州の方面に出漁いたしました日本漁師たちが、薪炭等補給等の必要上領海に入り、さらに上陸いたしたような例もあつたのであります。そういうようなことを濠州側では非常に警戒いたしておるのではないか、かように一応推測はしておるようなわけでございます。
  5. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 真珠貝保護するという名目のもとに、おそらく講和条約第九条の規定によりまして、向う協定締結を申し入れたものだと私は思いまするが、一体濠州側から見て、はたしてこの真珠貝のようなものを保護する必要がありやいなや、この点について外務省側ではどういうふうに思つておられるか、その点を伺います。
  6. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 魚族保護ということはもちろん必要であろうと思いますが、このアラフラ海の場合に、はたしてどの程度保護を加えたらいいかというようなことにつきましては、今後検討を要する問題でありまして、そういう問題は、日濠間の漁業条約折衝の経緯において明らかにさるべき問題であると考えております。
  7. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 私がそれを聞くのは、こういう意味なんです。つまり別真珠貝なんか保護する必要がないにもかかわらず、ただ日本人がたくさん来るからいやだ、こういう意味でやつておるのではないかという疑いを私は非常に持つておる。真珠貝なんか実は問題てない、敵は本能寺にある。向うがこういうことを言い出す魂胆をきわめないことには、実は条約交渉というものはできない。その魂胆研究し、突きとめないことには、第一向うの言うままに屈従せんならぬという結果になる。従いまして、その魂胆について、どうも今までの御答弁によると、一つも御研究になつておらないようでありますが、これではどうもどこにどんな協定ができるのか、われわれとしては非常に不安なんです。しかしこれ以上つつ込んでみても無益でありますから、この点はやめます。次いで御質問いたしたいと思うことは、本日の新聞によりますると、濠州の下院は、政府領海外漁業管轄権を与える法案を承認した、さらにマックウエンという同国農商相も、政府は近く領海外管轄について宣言を発するつもりであると述べている、こういう新聞記事があるのでありまするが、これについて政府の方で何か情報がありますか。もしあるならば、一体どういう種類法案であるか、どういう内容宣言であるか、その点を知らしていただきたい。  なお万が一こういうことを一方的に濠州側がかつてにきめて、公海漁業を禁止するというようなことをやり出した場合において、日本政府としてどういう態度をとろうとせられるのでありますか。これは第二の李承晩ラインでありまして、もしかくのごときものを認めて屈服するということになりますれば、李承晩ラインを拒否する理由もなくなる。さらに聞くところによりますると、インドネシア近海における日本人によるまぐろ漁業をチエツクするような傾向があるという情報があるのでありますが、かくのごとくして第二、第三の李承晩ラインが世界全体に広がるということになりますと、日本漁業一大生命線であるところの公海漁業というものが、事実上閉鎖されてしまいまして、これは漁業のみならず、日本の人口、食糧問題にも影響する重大問題でありますから、従つてこれは非常な大問題であると私は思うのであります。そういうような場合に政府はどうするつもりか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  8. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 私もけさほどの新聞で拝見したのでありますが、濠州のマツケウェン農商相下院におきまして、濠州は近く領海外管轄について宣言を発することになろうと語つたというような記事が載つてつたのであります。外務省の方にはまだ確報が入つておりませんので、この問題について深く立ち入つて批評を加えることは差控えたいと存じまするが、ただ外務省の見解といたしましては、国際法によりましては、公海上の漁業各国が自由に行い得ることになつておる、かように了解いたしております。この点は韓国の李承晩ラインについてわが方が主張いたしておりますことと、何ら相違はないのであります。
  9. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 それでは三月出漁を今準備しておりますアラフラ海の真珠貝採取船団は、外務省としては予定通り断固として出すことに賛成でありますか、どうでありますか。あるいは出す場合に、あらかじめ何らかの措置をとつてから出すのか、あるいはこのまま黙つて無警告で思い切つてやるのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  10. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 三月中旬ごろに日本漁船出漁するということになつておるのでありまして、この点につきましては外務省といたしましては、漁業者立場も考慮いたしまして、漁期が遅れるというような点もありますので、別段外務省がこれをチェックするということはいたしておりません。但し関係国に無用の刺激を与えることは、日濠間の漁業交渉を前に控えまして、できるだけ慎まなければならないと考えますので、出漁にあたりましては漁業隻数制限をするとか、あるいはまた漁獲高制限する、あるいは領海に立ち入らないようにする、また政府監視船を派遣いたしまして、日本漁船が、いわゆる不法行為を行わないように厳重に監督する、こういうことにいたしまして、要するに日本政府といたしましては資源の保存、国際法の遵守の二点に重点を置きまして、濠州側に与える刺激最小限度にとどめまして出漁いたしたい。もつとも出漁いたしますにあたりましては、事前に濠州側に通告いたすつもりであります。
  11. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 かくのごとくして、日本漁業生命線でありまする公海が次第くに狭められる傾向にあることは、日本国民としてまことに遺憾なことであります。こういうことになつたのも、結局は講和条約第九条によりまして、公海における魚族保護という名目のもとに条約を結ぶことに同意したという、この条約の結果だろうと私は思うのであります。またこの条約に基いてでき上りましたところの日米加漁業条約が、こういう傾向を助長した重大なる原因であると思いまして、まことにこの外交上の失敗は遺憾にたえないのであります。しかしすでに約束したことはこれはしかたがない、しかしながら濠州といえども、どこの国といえども、何らの協定もなく、一方的に国内法によつて領海外日本漁船の活動を制限もしくは禁止するなどということは、海国日本漁業日本としては断じて承服することのできない点でありまして、この点は日本政府といたしましても、全力をあげて闘わなければいかぬ、こういうふうに私は思つておるのであります。そこでこの問題は、外務当局におきましても全力をあげて研究をし、そうして向うと闘うための方法研究していただきたい。大体外務当局漁業問題に対する態度というものは、私は李承晩ラインが問題になつて以来見ておりまするが、どうも冷淡であります。私の知つておる限り、外務大臣がここに出られたことは一度もない。私はこういう冷淡な態度をとつておられることは非常に遺憾であります。今からでも遅くないから、ひとつこの問題は全力を振つて研究し、かつ闘つていただきたい。今の答弁によつても、本件に関する外務当局の熱意というものがあまり認め得られぬのでありまして、この点は遺憾にたえぬのであります。その態度を改められて、真剣にこの問題ととつ組んでいただきたい。それを希望いたしまして、質問を終りたいと思います。
  12. 赤路友藏

    赤路委員 ちよつと外務当局の方へお尋ねいたします。ただいま大橋委員から御質問があつた答弁の中に、濠州政府の方から協定会議を開きたいという申入れがあつた内容については何ら指示はないということでありますが、新聞によりますと、その濠州との漁業協定ができるまでの間は、真珠貝採取を中止してもらいたいというような申入れがあつたかのごとく載つておりましたが、その点はいかがですか。
  13. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 そのようなことは、正式には承知いたしておりません。
  14. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、これはなかつたと了承いたします。先ほど大橋委員から指摘されましたが、昨日の日本経済新聞のAP・共同の通信の中に「最近の国際法傾向によれば、国家はその漁業と安全とを守るため三マイルの領海外まで管轄下におく権利がある、濠州は近く領海外管轄について宣言を発することになろう」というようなことが載つておるのでありますが、この最近の国際法傾向によれば云々ということ、この濠州側の言う国際法傾向というようなことについて、外務当局の方ではどういうようなお考えを持つておるか、その点をお伺いしたい。
  15. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ただいまお尋ねの、国際法上の最近の傾向というようなことが新聞記事に載つておるが、これはどういう実例があるかというようなお尋ねと思いますが、まあ李承晩ラインの問題があります。なおアイスランドにも、そういうような事例が最近あつたと聞いております。しかし外務省としては、国際法上はあくまでも公海の自由の原則が破れたとは信じておりません。
  16. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまの御答弁で、日本政府外務省は、国際法上あくまでも公海漁業は自由であるという観点の上にお立ちになつておると了解いたします。この国際法傾向という問題は、実に重要な問題であろうと私ども考えておるのであります。李承晩ラインにいたしましても、あるいは最近におきますところのインドネシア海域におけるまぐろ漁業の場合において、現に日本漁船の方では、百海里以外への退去命令を受けておるということを先般聞いたのでありますが、かような情勢にあつて国際法上の傾向ということについては、あくまでも公海自由の原則を堅持するという御答弁でありましたが、日米加漁業協定におきまして、明らかに百七十度という線を一線画しておる。このことは公海の自由をみずから放棄しておるものであると思うが、この点についての御意見を承りたい。
  17. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 公海における漁業の自由ということは、あくまで堅持いたしまするが、各国話合いによりまして魚族保護、あるいは濫獲を防止するといういろいろな点からいたしまして、話合いの上で一線を画するということは、必ずしも不当なことではないのではないかと考えております。
  18. 赤路友藏

    赤路委員 もう一度、くどいようでありますが、インドネシア海域におけるまぐろ漁業退去について、何か情報をとつておられるかどうか、その点お尋ね申し上げます。
  19. 清井正

    清井政府委員 私どもといたしましても、その問題については承知いたしておりません。
  20. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 これはまことに遺憾な傾向でありますが、こういう傾向になれば、どこもここも同じようなことが起つて来るのでありまして、そこで日本としては、公海自由の原則はもちろん堅持しなければなりませんが、ただ堅持するといつてがんばつておるうちに、知らぬ間に公海が閉鎖されてしまうというおそれがあるのであります。積極的に、こちらの方でいかにせばこういう傾向を阻止することができるか、またこの傾向をくぐるために実際的の措置はどうしたら講ずることができるかという研究をしなければならぬと思うのであります。たとえて言えば、向うの国と合弁によつて漁業をやる、その他いろいろの方法があるだろうと思うのでありまするが、これを聞いてもおそらく外務当局においても案がないだろうかと思うから、質問いたしません。ただ受身になつて、血を出してがんばつておつても能のない話であります。進んで日本としては、積極的にどうする、どうしたならば、この傾向による損害を免れることができるかということを、ただ単に外務当局としてではない、水産庁の方でもよほど研究されて、積極的に生きる道を講ぜられないと、日本漁業は知らぬ間にとざされて、どうすることもできなくなるということを警告したいと思うのであります。そういうような点について、今まで研究がありましたら御答弁願いたいと思います。
  21. 清井正

    清井政府委員 ただいまのお話でございますが、私の方の立場で申し上げますれば、むろん私どもといたしましては、公海自由の原則に基きまして、できるだけ海外への漁業進出をはかり、もつて水産資源の確保をはかるということに努めて参りたいと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、ただいまいろいろ御発言がありました、各国におきますいろいろな傾向に対しましては、私どももきわめて重視しなければならないと思うのであります。従つてこの問題につきましては、私どもといたしましても、むろん積極的にいろいろ考えることが必要かと思うのでありますが、これもにわかに結論には達し得ないのでありまして、この点は外務当局とよく御相談いたしまして、十分先の見通しをつけながら漁業海外への進出方法を講じたいと思うのであります。
  22. 山中日露史

    山中委員 一点だけお尋ねしてみたいと思うのであります。先ほど外務政務次官お話によりますと、三月中旬に濠州向けの真珠貝採取出漁する場合に、外務当局としては、隻数制限する、漁獲高制限する、なお領海侵犯のないように注意を与える、あらかじめ濠州に出漁の通告をする、こういう処置をとつて出漁させる方針であるというお話があつたのでありますが、もとより領海侵犯をなさないように注意をすることは当然でありましようし、紛争の起らないように事前に通告することもけつこうでありましようが、まだ日本と濠州との間に漁業協定のつかない前に、日本側みずからが隻数制限して出漁させたり、漁獲高制限もするという態度に出ることが、かえつて日本と濠州との漁業協定の場合にみずから自繩自縛のことになつて、将来の漁業協定に不利な影響を与えるのではないかということをおそれるものでありますが、そういう点についてどういうふうにお考えになつておるか、この点をお尋ねいたしたいと思うのであります。
  23. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 私はただいまのお説とは反対な考えを持つておるのでありまして、今回の出漁にあたりまして、隻数制限しあるいは漁獲高制限する、あるいは領海に立ち入らないように十分監視船をつけて自粛させる、こういうことは、何もこれが基礎になつて今後の漁業交渉に入るわけではないのでありまして、ただせつかく漁業交渉を前にいたしまして、濠州側をいたずらに刺戟することは、かえつてまとまる交渉がまとまらなくなるおそれもあります。従つて濠州側をできるだけ刺激しないように、今度の場合はいわば一方的な出漁でありまして、慎重な態度をもつて臨みたい、かように考えておるわけであります。
  24. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 すでに向う協定を申し入れて来てからずいぶん日数があるようでありますが、その間に外務省としては、向うは大体どういう種類協定を結ぶ考えなのか、どういう魂胆であるのか、そういうことについて、向う在外使臣の方から何も言つて来ておらないのでありまするか。言つて来てなければ当然そういう点については向うに問いただして、そうしてこちらの準備をするのがあたりまえであるのに、ただその協定を結びたいという意向言つて来ただけで、それ以外は何も知らぬというような態度で、そういう熱のないことで、はたして協定がうまく行くかどうか、私は非常に懸念にたえないのでありまするが、それはどういう事情で向う意向というもの、あるいは魂胆というものがわからないのでありまするか。その間の消息を知りたいと思います。
  25. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 先方の漁業交渉申入れに際しまして、こちらといたしましては、その内容についてもちろ、ん問いただしておるのでありまするが、濠州側の外務省としては、各省との話合いがまだついておらないから内容について話すことができない、こういうことを言つてつておるのであります。当方といたしましては、漁業交渉に入る前に相当期間を置いて、その内容を示してもらいたいということは十分申入れいたしてあるのであります。
  26. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 一両日中に同国駐在西春彦大使を通じて正式に回答をするというこの回答は、それならば同意するという回答でありまするか、その内容も何もわからぬのに会談をやつてもよろしいという回答をされるつもりでありまするか。それではあまりにひどいことではないかと思うのです。やはり向う条約をやる際には、大体どういうことについて交渉をやりたいのか、条約を結びたいのかということについて、向う申入れ確かめてからでないと回答すべきものではないと思うのですが、その点はいかがですか。
  27. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 西大使云々のことは、これは単なる推測にすぎないと存じまするが、結局わが方といたしましても、近いうちに回答をいたすことになると考えます。それは濠州側の切なる希望もありまして、カンペラで開催する。この程度のことでありまして、ただいよいよ折衝を始めるには、その前に相当期間を置いて案を示してもらうということを、強く当方から要望いたしておるのであります。
  28. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 しかし講和条約第九案の規定には、魚族保護のために条約交渉をすることに同意すると書いてある。従いましてその魚族保護という目的がない限りは、交渉なんか開く義務はこちらにはない。従つてそれに同意する前に、はたして向う意向魚族保護するという目的申入れであるか、その魚族はどういう魚族保護するのかという問題について確かめもせずに、私は回答されては困ると思う。その点はいかがですか。
  29. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 もちろん魚族保護のために漁業交渉をいたしたい、こういう申入れが参つております。
  30. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 向う申入れには真珠貝保護ということも言つてないのですか。
  31. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 真珠貝とは言つておりませんが、魚族保護と申せばその中に含まれるのではないかと思います。
  32. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 そのくらいの程度でもつて、よろしゆうございますと応諾することは、私は不適当だと思うのです。大体どういうことを交渉したいのか、もう少し確かめられてからやらぬことには、これはまるで通訳外交で、屈辱的だろうと私は思うのであります。そういう例はあまりないと思うのですが、その点向う意向を恐れずに確かめてやつていただかぬと、条約交渉のときもまた向うの言うままをずるくとのんでしまうことになつたら、非常な不利益だろうと思います。私は質問はいたしません。質問してもむだでありますから、それを希望して終ります。
  33. 甲斐中文治郎

    ○甲斐中委員 私はこの朝鮮付近の水面における日本漁民射殺事件に関連して外務政務次官にお伺いいたしますが、日本漁民射殺事件に対する李承晩大統領並びに金公使、あるいは公使の秘書とかいう者の声明を総合しますと、李承晩ラインは正当なものである、これを侵すものが悪いということと、この区域内に入つた日本の漁民の生命は保障しない、つまり殺されても知らないという二点に要約されると思います。これは実にゆゆしき大問題でございます。つまり国際公法または慣例を無視して、自由の公海にかつて李承晩ラインを設定し、その区域内に日本の領土たる島根県の竹島を包含せしめ、その区域内に入つた漁船を拿捕し、略奪し、漁民を殺戮しても知らないというようなことは、純然たる侵略行為であると同時に海賊行為であり、従つてこの海賊行為を正当化せんとする韓国政府の声明は、とうてい文明国の政府の声明とは思われないのであります。このような韓国政府を相手に、文明国の政府に対するような紳士的な外交交渉を進めておられまして、はたしてこの問題が解決できる見込みがあるかどうか、その見通しを伺いたいのであります。
  34. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 お説のように李承晩ラインは決して国際法上認められておるものでないのであります。この李承晩ラインの中に入つて来た日本漁船を拿捕するとかその他の行為をすることは不法行為でありまして、わが方のとうてい容認することのできないものであります。従いましてわが方といたしましては、李承晩ライン内における漁船の拿捕事件が起りました都度抗議を申し込んでおり、また漁船の返還あるいは損害賠償等を要求しておつたのであります。過般の第一、第二大邦丸の事件の際には、特に殺人事件が引起されたため、今回は特に厳重な抗議をいたしたことは御承知の通りであります。その事件につきましては、わが方といたしましては、韓国側が誠意を示して回答を寄越すことを期待いたしておるのでありまして、近くいずれ回答が来ることと考えまするが、その回答を見た上で何分の態度をきめたい、かように考えておる次第であります。どういう回答がもたらされるか目下のところは見当がついておりません。
  35. 甲斐中文治郎

    ○甲斐中委員 見通しがつかないということでありますが、まことにごもつともなことと思います。私は何も外務当局が軟弱であるとか何とか非難攻撃する目的で申し上げておるのではございません。相手が紳士でありますならば、紳士的な交渉でもの事は解決するかもしれませんけれども、相手は紳士ではありません。下から出ればつけ上り、上から出ればぶら下るのですから、どつちからでも変な小りくつをつけて、あるいは暴力に訴えても何か日本の権益を脅かそうという精神が現われておりますから、そういう政府を相手に紳士交渉を始めるのはむだだから、こちらも暴に報いるには暴をもつてするがよい——とは私は言わない、日本は紳士国でございますから。それで紳士的交渉を始めるとともに、一方において実力でもつてこういう事件の起らないように防ぐことが必要であると思います。その実力の問題ですが、今日本には海軍がございません。われわれのたよりとするところは海上保安庁の実力、それだけでございます。そこでこの前の委員会においても私申しました通りに、私のまわりましたところの朝鮮方面に出張する地方の漁民の要求は、外務省も海上保安庁もたよりにならないから、機関銃を一ちようずつ船に貸してくれというのであります。そういう要求をしておるのですが、海上保安庁と外務省とで相談して、ひとつ機関銃を貸してもらえないでしようか、ちよつとお伺いいたします。
  36. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 漁船に機関銃を備えつけること等につきましては、これは慎重に考えなければならぬ問題じやないかと思います。
  37. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 ただいま外務省の方から御答弁なつたように、私どももこの問題はよほど慎重に考慮しなければならないと思つております。
  38. 甲斐中文治郎

    ○甲斐中委員 ごもつともだと思います。それでどうでも貸してくれというわけではございませんが、漁民がそういう要望をしておりますから、国民の代表者たる私が政府に対してお伝えしただけであります。その要旨は、要するにこういう問題の起るのは、結局日本に海軍がないからだと私は見ております。ですからやはり実力を持たなければならない、そのためには海上保安庁の実力だけでは心もとないからして、漁民みずから自分を守るという覚悟を示す意味においても、機関銃の一ちようくらいは貸してやつた方が士気があがつていいじやないか、こういうような単純な考え方なんですけれども、これは必ずしもいいとは私は考えておりません。ただ一番お願いしたいことは、海上保安庁の警備の実情を詳細に知らしていただいて、漁民にある程度の安全感を与えたい、かように考えるのであります。今海上保安庁で警備をされる舟艇が一体何隻あつて、それが太平洋方面に何隻まわつてつて日本海方面にどれだけ配備されておるか、その状況などできる範囲で承りたいのでございます。
  39. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 これまでの委員会でもたびたびその点に関する御質問がありまして、その都度ある程度お答えして参つたのですが、ただいままた御質問がございましたので概略申し上げて、なお私の御説明で足らないところは警救部長も参つておりますので補足させたいと思います。現在海上保安庁の警救部がこの問題に当つておるのですが、警救業務に当つておる船艇の勢力は、巡視艇と名のつくものが現在九十三隻でございます。なおこれに補助する小型のものが、これは一括して港内艇と申し上げていいと思いますが、中には二十三メートル程度のものもありまして、海上平穏なときには出て行つて補助をしておりますが、これが現在のところ二百五隻ございます。船艇は総体はそれだけでございます。これでえんえん一万海里にわたる四つの島の沿岸の警備に一応当つておるわけですが、御承知のように昨年の五月の閣議の決定、その後にまた開議の了解がございましたが、北方あるいは朝鮮海峡、東支那海等で日本漁船に対する襲撃事件あるいは拿捕事件が相当出て参りましたので、この沿岸警備に当つておる巡視艇の中から、それの優秀なものでなければとうていその方面の活動には使えませんので、そのときの閣議決定によりまして、北方水域に常時二隻が哨戒に出る、それから朝鮮海峡には一隻ないし二隻、東支那海の方へは常時二隻、すなわち合計しますと五隻ないし六隻が常時パトロールに出るという対策がきめられて、その線で今日まで哨戒を続けております。これだけの隻数を現場に常にあらしめるためには、どうしても二倍半くらいの舟艇が入ります。これは交替して出なければ出られません。大体十日ないし十数日の間の一行動で出て参りまして、帰えりましていろいろ休養をし、補給をし、次の出番を待つて交替をするわけであります。東支那海の方は九州に配属しております巡視艇の最も優秀な新造のもの四百五十トン型、これが九州の管区には全部で六隻あるのですが、この六隻全部が漁船保護のために東支那海を担当いたし、二隻ずつ組になつて行動をいたしております。朝鮮海峡の方は、舞鶴の管区になりますが、そこの四百五十トン型ともう一つ小型の二百七十トン型、この二つを合わせて五隻ございますが、これの一隻ないし二隻が常に朝鮮海峡の哨戒区域を行動するように交替で出ております。従つて沿岸警備の方は巡視艇のうちの老朽船がまわり、それで間に合わしてやつておるという形でございます。北方もほとんど同様でございまして、北海道が第一管区になりますが、優秀な四百五十トン型が輪番で出ております。最近韓国との間に大邦丸事件その他が非常に問題になりましたので、この事態にかんがみまして、さらに何とかしてしぽりまして、せめて韓国水域だけは一隻でも二隻でも増加したいと思つて、目下検討していただいておりますが、ちようどただいまは海難の最も多い時期でございまして、毎日十件以上救難作業に従事さしております。海難も多くの場合かなり遠いので、そういう場合には四百五十トン型、少くとも二百七十トン型を使わなければならぬ、その他のものは遠くの救援には出られないものですから、実は非常に苦しんで今計画を立てつつあるわけであります。そんな状況でございまして、隻数はそう多くはとても期待できないのであります。その他従来からの経験によりまして、巡視艇が最も効果的にこの保護に当れるようにと現在いろいろ検討しているわけでありますが、今まで漁船等との連絡電波等につきましていろいろ実績を調べてみますと、的確に行つていないような場合もございます。せつかく約束いたしておりましても、その波数で打たずに、最寄りの漁業船の方へだけ打ち込まれ、巡視艇の方で待つているSOSを使わなかつた場合もあつたりいたしますので、この辺もつと徹底して緊密な連絡のとれるように、その辺の研究も最近いたしております。それからかねばねお話しているのでありますが、巡視艇の今の二百七十トン以上でございますが、業務執行上どうしても火砲が必要だというので、小品径砲もしくは機銃程度のものを装備することになりまして、その一部はすでに二十七年度の補正予算で組まれまして、二十六隻の予算が成立いたしたわけでありまして、目下これは各管区でそれぞれ造船所にその改装方の入札その他の手配をいたしております。最近の情勢にかんがみまして、これが遅れないように促進いたしておるような次第であります。しかしこれがすぐさま実力行使をするかどうかという点につきましては、なお今後火砲の扱い等につきまして政府といたしましても関係方面とよく御相談の上、また皆様の御意見も聞いた上でやつて行きたい。とにかく火砲をとりつけるのは二十六隻の予算が成立いたしておりますし、二十八年度のただいま国会に上つておる予算案の中に残りの三十三隻分が出ております。そんなような状況であります。
  40. 甲斐中文治郎

    ○甲斐中委員 フリゲート艦はいつころ就航しますか。
  41. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 フリゲート艦は私の方でなくて、保安庁の警備隊の方でございますので、詳しいことは私存じません。先般アメリカの方からフリゲートあるいはLST両型を数隻ずつ借りて、この間第二次の引渡しがあつた、そういう程度しか存じておりません。目下船隊訓練をやつておられるように聞いております。
  42. 甲斐中文治郎

    ○甲斐中委員 日本の現在の段階としては、海上保安庁の警備にまつ以外に自衛の方法はございませんので、元の日本の海軍が日本を守つたと同じような精神で、ひとつ漁民の保護全力を尽していただきたいということと、それからまた、そういう危険な仕事をする人たちに対しては、それにふさわしい何か政府の保証でもしないと気の毒だと思いますから、そういうことは遠慮なく要求されまして、保護に力を尽していただくことを要望いたしまして、私の質問を打切ります。
  43. 白浜仁吉

    ○白浜委員 外務政務次官に一言お尋ねいたします。最近の新聞報道によりますと、韓国側の声明が、硬軟あわせ出ると申しますか、内容についていろいろ関心を払わせられるような事項が多いと考えるのでありますが、外務省におきまして何かこの経緯と申しますか、経過につきまして知るところがありましたならば承りたいと考えます。
  44. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 前回の水産法務連合委員会の際にお答え申し上げました後におきまして、公式にわれわれの承知いたしておりますことはないのであります。ただその後あるいは李承晩大統領の旨を受けたと称して、金公使が声明発表せられております。またあるいはあちらの内務大臣でございまするか、これも声明を発表いたしておるのであります。これらの発表の文面を見ますと、依然として李承晩ラインを正当視するというようなことを述べておりまするが、全体の空気が非常に穏やかになつて来ておるように観察されます。たとえば李承晩大統領の言と称して発表せられましたものの中には、両国の親善のために、あるいは極東の安全と平和のためには、お互いに忍耐強く、刺激的な言動は避けて処理しなければならないというようなことを述べております。たいへん日韓の今後のために喜ばしい傾向ではないかと考えております。わが方といたしましても、できるだけ友好善隣の関係を早く打立てたい、かような観点に立ちまして、大邦丸事件に限らず、日韓に横たわる従来のあらゆる困難な懸案を解決いたして参りたい、かように考えておる次第であります。
  45. 赤路友藏

    赤路委員 きよう日本遠洋底びき網漁業協会会長から要望書が出ておるようで、多分お手元へ行つていると思いますが、この要望書の内容を見てみますと、第一点は、韓国水域に対する漁業者のあり方について、政府態度を明確にしてもらいたいということでありますが、もつともなことと思います。すでに大邦丸事件等がありましたので、日本の周辺の操業漁船に対する政府の方針が御決定になつておるはずであると考えますが、漁船に対する指示事項が決定されておるかどうか。  第二は、韓国に拿捕され、目下所在未詳のものについては、すみやかに船員、船体の安否を明らかにしてもらいたいというのであります。後段に拿捕未帰還船の船名がずつと載つておるようでありますが、これ以外にあるかどうか、その点十分お調べになつておると思いますので、お尋ねいたします。  第三点は、これは最も重要なことであつて、防衛水域内において特に作戦に支障ある場合を除き日本漁船の操業を認められるようあらためて強力なる外交措置を講ぜられたい。新聞等によりますと、政府の方では、国連軍の方へ申入れをしたということを聞いておりますが、国連軍の方へ申し入れた交渉の結果、どういうふうになつておるか、これをお尋ねしたいと思います。  第四点は、ただいま海上保安庁長官からいろいろ説明がありましたので、これは除きまして、この第五の、防衛水域内における韓国船による日本漁船の拿捕云々ということは、これも同時に申し込んでおられ、十分強力に交渉をされておることと思いますが、韓国政府の方から正式な返事があつたかどうか。  第六点は、これは漁業者として最も痛切に感じられることであろうと思いますところは、事故船に対する損害賠償の問題だと思つております。当然これは漁業者の方としては要求せられたと思いますが、この点に対して国連軍に交渉したかどうか。交渉をしておつたとするなれば、その結果はどうであるか、以上の点についてお尋ね申し上げます。
  46. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ただいまのお尋ねのうちで、外務省関係の事項についてお答えいたします。国連側に対しまして、防衛水域内における韓国側の不法行為について十分取締つてもらいたいというあつせんはいたしております。これに対しまして、まだ回答は参つておりません。それから損害賠償について国連側にあつせんを頼んだか、こういうお尋ねでありまするが、この点につきましては、日韓間の交渉の問題といたしておりまして、国連側に損害賠償等のあつせんは依頼いたしておりません。
  47. 赤路友藏

    赤路委員 二点御答弁を願つたのですが、第三の防衛水域内において、特に作戦に支障ある場合を除くということは、これは韓国側との交渉でなしに、当然国連軍との交渉になろうかと思いますが、国連軍の方では、先般来新聞に載つておるように、防衛水域内では操業を禁止するというようなことが報ぜられておつたようで、政府もこれに対して困るというので、国連軍側の方へ申入れをしたということを新聞で承知しておりますが、それに対する国連側の回答はどうあつたかということであります。
  48. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 その点につきましても、国連側から回答は参つておりません。
  49. 赤路友藏

    赤路委員 非常にこの問題は急を要する問題でもあるし、またこの朝鮮漁場のみによつて生活を維持しておる漁業家及び漁業労働者の諸君にとつては大きな問題でもあるので、回答が来ないというのでやりつぱなしでおるということでは非常に困ると思うので、早急にかような点については解決をつけて、そうしてほんとうに安心した状態のもとにおいて漁業ができるように促進さるべきであると思いますが、その後回答の襲いのをべんべんと待つておるのか、それともこちらの方から、早くそれに対する回答をしてもらいたいという要望をしたことがあるかどうか、この点を一つ承りたい。
  50. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 私どもも、この地域が非常に重要な漁場であり、また何万という漁民の生活問題であるということも考慮いたしまして、絶えずアメリカ大使館あるいは国連側と折衝を続けておるのであります。またアメリカ大使館あるいは国連側におきましても、この問題は非常に重大なる関心を持つておるようでありまして、好意的なあつせんはせられておるやに承つておりますので、近く何らかの回答がもたらされることを期待いたしておる次第であります。
  51. 赤路友藏

    赤路委員 外務省側への質問は一応打切りますが、外務省側の方へ御要望申し上げておきたいことは、この朝鮮水域における、かような漁業者が非常な圧迫を受ける、あるいはまた射殺事件まで起きて来た原因というものは、私たちの考え方で行きますと、防衛水域の設定ということが一番大きな問題の根本だと思つておるのであります。従つて朝鮮水域における問題の解決は、国連軍の出方一つによつて解決がつくものであるとわれわれは考えておりますので、今後とも国連軍に対しましては強力に、日本漁業を安心してせしめ得るような状態に持つて行くよう御交渉を願いたい。以上御要望だけ申し上げておきます。
  52. 清井正

    清井政府委員 ただいま御質問の点にございました拿捕未帰還船の表には、十三隻名前があがつておるのであります。このほかにないかというような御質問であつたかと存じますが、私どものただいま承知いたしておりますところでは、未帰還船は、この十三隻以外にはただいまのところはございません。ただ一番あとにと申しますか、最近に事故が起りました第一太平丸というのの乗組員あるいは船体の所在が不明でございますので、この点はすでに外務省を通じまして、この所在を知るべく、目下交渉を進めておる次第であります。  また当水域において特に水産庁関係の監視船をさらに強化する意図はないか、こういう御質問であろうかと思うのでありますが、この問題につきましては、私どもといたしましては、漁業監視船をこの東海、黄海方面には、ただいま八隻担当させておるのであります。もつとも漁業監視船は、御承知の通り本来の仕事は漁業法違反を監視する船でありまして、ちよつと目的が違うのでございまするが、御承知の通りの最近の状況にかんがみまして、特にこの方面に操業いたします漁船保護の任務をも、この漁業監視船に与えておる、こういうような状況でございます。八隻ではございまするが、担当区域が相当広うございますために、なかなか思うように行かないので、私ども残念に思つておる次第でございますが、先般当該の係官も上京せしめまして、十分打合せをいたしまして、さらにこの事件の多い方面に、重点的に漁業保護に当るということを命じまして、目下その方面に重点を置いてやつておる次第でございます。また監視船全般といたしましても、できますれば他海域に持つております監視船をこの方面に活用いたすことも考えておるのでありますが、実は監視船全体が非常に少数でございまして、なかなか任務が多うございますので、今すぐにふやすということもなかなか困難でございますけれども、この問題は非常に重要でございますので、私の方では、部内で目下慎重に検討いたしておるのでございますが、さしあたりといたしましては、目下この方面に働いております監視船を、さらに重点的に活用いたしたいということを考えておる次第でございます。
  53. 赤路友藏

    赤路委員 水産庁長官の御答弁を願いましたが、第一点の漁船に対する指示事項については御答弁がなかつたようでございますが、その点は……。
  54. 清井正

    清井政府委員 私どもこの問題に関しまして、昨年の暮れに、御承知の通り当刻海域に出漁いたします漁船につきましては、特に日の丸の標識をつけるとともに、いわゆる日本漁船の確認制度を実施いたしまして、出漁証明書というものを交付することにいたしたのであります。この点につきましては、特に係官が現地に出まして、当該漁業関係の団体及び県庁の関係者を全部集めまして、この方法の末端へ徹底をはかりまして、現在はこの標識とそれから出漁証明書によりまして、当該海域に安全に就航せしめるという方途を講じておる次第であります。
  55. 赤路友藏

    赤路委員 そのことは昨年末の委員会でも問題になつたことでありまして、もちろん国連軍側の方の許可証とか、標識とかいうことでなしに、日本政府独自の考え方の上に立つての標識、許可証による出漁なんでありますが、その結果が今日こういうような状態に追い込まれて来ておる。昨年もそういうふうな日本の標識をつけるとか、あるいはこれは正式な漁業であるという漁業許可証と申しますか、そうしたものを持つて行くということはすでになされて来たことであつて、今日こういうような現状になつたので、新たに何らかの漁船に対する水産庁側の方の指示がなされるべきではないか。これは先般大邦丸の射撃事件が起りました直後、間違いかどうか存じませんが、舞鶴の保安庁管区の方から、出漁船に対して、危険性があるから漁場を撤退せよというような通報が出て、その結果六十隻出ておつたものが全部漁業を中止して帰つた、こういうようなことが新聞に報ぜられておつたのでありますが、そういうようなことと、その後に対する打つべき手、指示すべきこと等が何らないというのでは、漁業家の方では安心もできないのじやないか。何か新しい方途を考え出されたらどうか、その点をお尋ねしておきたいのであります。
  56. 清井正

    清井政府委員 ただいまの御質問でございますが、その後私の方としては、まだ新たな手というものは打つておりません。御質問の点はまことにごもつともだと思いますが、私の方独自の立場ですぐ新しい方法はとりにくいのでございまして、ただいまはもつぱら保安庁なり、外務省と連繋を緊密にいたしまして、いろいろな角度からこの問題を解決するように努力するということ以外にはないのでありまして、さしあたりは私の方の警備船の警備を強化するということをして参りますが、今後の情勢の推移によりましては、またその他の方法考えて参りたい、かように考えております。
  57. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 韓国方面の水域がさしあたり危険であるから引揚げるようにということを、海上保安庁の地方管区から出したようなニュースが新聞に出ており、私ども見ました。しかしそれはたまたまそのときに当該八管区本部長が上京しておりまして、その本人にも聞いてみましたが、さような指令を出した覚えは全然ないということを申しております。ただ業界の方で危険と思われて、何かやつたかどうかよくわかりませんけれども、役所の方でそういうことを慫慂したことはございません。その点はつきり申し上げます。
  58. 赤路友藏

    赤路委員 大体外務省の方からも水産庁の方からも、保安庁の方からも御答弁を承つたのですが、要約いたしますと、日本政府としては、李承晩ラインはもちろん認めていないし、公毎自由の原則はあくまでも確保するということ、従つて昨年指示した日の丸標識をつけて、あるいは許可証を持つた形において今後といえども操業をすべきである、こういうように確認してよろしゆうございますか。     〔委員長退席、山中委員長代理着席〕
  59. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 別段従来と方針はかわつておりません。
  60. 赤路友藏

    赤路委員 海上保安庁の方へお尋ねしたいのですが、保安庁の巡視船は九十三隻ですか。
  61. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 全国の総計で巡視船と名のつくものは九十三隻で、これが各地に配属になつております。
  62. 赤路友藏

    赤路委員 九十三隻の中で現在ドックに入つているとか、あるいは航行不能であるというようなものは何ぼありますか。
  63. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 ただいまはつきりした数字を持つておりませんが、約一割くらいがいろいろな修繕とか故障とかでやつていると見ていただきたいと思います。
  64. 赤路友藏

    赤路委員 十隻ですね。
  65. 山口傳

    ○山口(傳)政府委員 その程度のものが大体ドッキングであり、また先ほど申しました火砲をとりつけるというようなことも今後やらなければなりませんので、ある程度のものは待機という形でないのがどうしても苦手はいるわけであります。だから九十三隻が全部日本の沿岸を常に遊弋しているという形はどうしてもとれません。
  66. 赤路友藏

    赤路委員 日本の周辺が非常に広いということはよくわかりますが、前回の御説明によります北洋あるいは朝鮮、支那海に二隻あるいは三隻というふうな方法ですと、これは常備であるから、それに対する予備船があつて交替をしなければならない。その交替をするために、九州に六隻、舞鶴に五隻というようにあるわけですが、一番問題になつておりますのは北洋及び朝鮮、支那海、この三海区で十七隻という計算に大体なろうかと思います。従つて九十三隻から十七隻を引きますと七十六隻、そこで一割がドックへ入つて修繕しているとすれば、六十六隻という船があるわけです。もちろん広い海区でありますが、おのずから問題の起つているところと起らないところがあろうかと思います。たとえば広い海区でありましても、三陸から熊野の沖等には何ら問題は起つておりませんので、従つて集約的と申しますか、重点的に船の配置を考えられてしかるべきである。それで補助艇が二百五隻ありますので、こうしたものは三陸沿岸とか、その他問題の起らないところへ配置して——六十六隻からの船があるといたすならば、もつとこのような問題のある方面へ重点的に配船できるのではないかというふうに考えますが、その点はいかがですか。
  67. 松野清秀

    ○松野説明員 ただいま長官からお答えがありました通り巡視船の総隻数は九十三隻でございます。しかしそのうち二百七十トン型以上の船舶の総数は四十四隻でございます。大体今度の拿捕船対策、あるいは五十マイル以遠の海難救助に使用できるものはこの四十四隻なのであります。先ほど長官から説明いたしましたが、毎日海難が十件あるいは十二、三件起つておる。このうち五十マイル以遠のものも相当多いということでありまして、これらのためにはやはり相当大型の巡視船をどうしても使用しなければならない。こういう関係がありまして、この四十四隻をすべて拿捕船対策に使用するということは、とうていできない現状にあるわけでございます。
  68. 赤路友藏

    赤路委員 ちよつとそこのところ数字がおかしいのですが、巡視艇が九十三隻で補助の小型が二百五隻ということでしたが、二百七十トン以上のものが、この四百五十トン級のものもまぜて四十四隻しかないということですか。
  69. 松野清秀

    ○松野説明員 九十三隻のうちには、たとえば戦時中急造しました特務駆船艇、これは木造の百トンばかりのいわゆる駆船艇と称するのてすが、これを二十八隻含んでおります。その他海上保安庁が創設されました当時、警察等から引継がれました不完全な製造のものが相当ありまして、九十三隻のうち今申し上げました四十四隻を除いたほかのものは、これは巡視船と申しましても、どく沿岸の警備以外には使用できないものである、こういうことでございます。
  70. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 ちよつとついでに外務当局お尋ねしておきますが、私はアメリカ側との交渉は、すべて大使館を通してやると了解しておりましたが、きようの御答弁によると、国連軍にも別に交渉をやつておられるのですが、これはどういうふうになつておるのですか。  いま一つお尋ねしたいのは、われわれが新聞などを見て非常に不満に思つておることは、外務大臣自身がマーフイー大使なんかを呼んで、そうしてこういう重大問題については適切に話されるべきだと思うけれども、そういうようなことが一向載つておらぬのであります。ただ単に口上書を向うに出すということでは、向うにインプレスすることが少いようでありますが、本件について外務大臣自身がマーフイー大使を呼んで、よく話されたことはあるのでありますか、どうでありますか。これは講和条約の前文にも対等国として扱つた方が適当であると書いてある。遠慮なくマーフイー大使を呼びつけて談判さるべきだと思うのでありますが、新聞などには一向にそういうことが載つてない、口上書を出すと書いてあるが、こういう重大問題については、もう少し親身を入れてやつてもらいたい気がするのであります。どのようにして向うと接触しておられるのでありますか、参考のためにお尋ねしたいと思います。
  71. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 先ほど私の表現の方法が少し不正確でありました。もちろんアメリカ大使館を通じて国連側に折衝いたしおります著れからも一う一つの問題につきましては、重要な問題につきましては、マーフイー大使を招致し、あるいはまた外務大臣がみずから出かけて行つて交渉するということもいたしております。本件の場合につきまして、国連側にあつせんを依頼する、また各国側との交渉についての各種の依頼をする。こういう依頼をする場合にマーフイ治大使を呼びつけるということは穏やかでございませんので、口上書をもつてアメリカ大使館に申入れをいたしておるような次第であります。
  72. 大橋忠一

    大橋(忠)委員 依頼する場合でもかまいません。われわれのときはだれでも呼びつけました。アメリカでは新木大使がアリソン国務次官補、すなわち局長級のところにしか行つてないように新聞には出ておるのでありますが、対等国ですからなぜ国務長官のところに行かないか、こちらでもマーフイー大使を遠慮なく国際慣例によつて呼びつけて、依頼したらよいだろうと私は思います。大蔵大臣が向うに行つたり、総理大臣が行つたりするようなことは対等国の関係ではないのでありまして、そういう点よほど神経質にやられないと、日本という国の格式がどんどん落ちて行く。そして第二の満州国になる、私はこの点を非常に憂慮しておりますから、どうぞ外務大臣は恐れることはないから、マーフイー大使であろうが、何であろうが呼びつけてどんどんやるようにということを私が言つてつたということをひとつお伝えを願いたいと思います。
  73. 山中日露史

    山中委員長代理 他に御質問ございませんか——なければ本日はごの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会