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1952-12-19 第15回国会 衆議院 水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)     午前十一時三十四分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 田口長治郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 大森 玉木君 理事 日野 吉夫君    理事 山中日露史君      甲斐中文治郎君    川村善八郎君       薄田 美朝君    椎熊 三郎君       志賀健次郎君    中村庸一郎君       辻  文雄君    赤路 友藏君  出席政府委員         食糧庁長官   東畑 四郎君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 濱田  正君         専  門  員 杉浦 保吉君         専  門  員 徳久 三種君     ————————————— 十二月十八日  委員椎熊三郎君及び井手以誠君辞任につき、そ  の補欠として愛野時一郎君及び鈴木茂三郎君が  議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員愛野時一郎辞任につき、その補欠として  椎熊三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十八日  厚内に漁港築設の請願高倉定助紹介)(第  一二六〇号)  演習及び防潜網による漁場荒廃対策に関する  請願福永一臣紹介)(第一三六三号)  漁船損害補償法の一部改正に関する請願(奥村  又十郎君紹介)(第一三六四号)  佐世保湾内における漁業禁止による損害補償に  関する請願田口長治郎紹介)(第一三六五  号)  公海漁場における操業の自由擁護に関する請願  (田口長治郎紹介)(第二三六六号)  漁業許可料制度の廃止に関する請願福永一臣  君紹介)(第一三六七号)  製氷工場建設資金融資に関する請願田口長治  郎君紹介)(第一三六八号)  本泊漁港及び雄志志内漁港改修工事施行等の請  願(佐々木秀世紹介)(第一三六九号)  追直漁港を第三種に指定請願南條徳男君紹  介)(第一三七〇号)  漁業資金融資機関設置に関する請願田口長治  郎君紹介)(第一三七一号)  漁港修築促進等に関する請願田口長治郎君紹  介)(第一三七二号)  小値賀漁港修築工事施行請願田口長治郎君  紹介)(第一三七三号)  勝本港防波堤延長工事施行等請願田口長治  郎君紹介)(第一三七四号)  沖合漁場沿岸漁民に専用の請願田口長治郎  君紹介)(第一三七五号)  芦辺漁港を第四種に指定請願田口長治郎君  紹介)(第一三七六号)  鯛の浦湾を第四種漁港指定請願田口長治  郎君紹介)(第一三七七号)  漁港修築費予算増額に関する請願田口長治郎  君紹介)(第一三七八号)  長磯に漁港築設の請願川村善八郎紹介)(  第一三七九号)  宮野に漁港築設の請願川村善八郎紹介)(  第一三八〇号)  以東底びき漁区拡張反対に関する請願綱島正  興君紹介)(第一三八一号)  漁業災害保険補償制度確立請願日野吉夫君  紹介)(第一四四九号)  三陸津波被害による漁業漁業権免許料免除  の請願日野吉夫紹介)(第一四五〇号)  カムチャッカ地震による漁業災害に対する助成  等に関する請願日野吉夫紹介)(第一四五  一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  鯨油価格安定対策に関する件  漁業金融に関する件  小委員長より中間報告聴取     —————————————
  2. 松田鐵藏

    松田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の都合により、私が暫時委員長の職務を行います。  まず漁業災害補償に関する件について調査を進めます。この際漁港漁船及び漁業災害補償に関する小委員長より発言を求められております。これを許します。薄田委員長
  3. 薄田美朝

    薄田委員 さきに小委員会皆さんから付託されましたオホーツク暴風浪及びカムチヤツカ沖地震による漁業災害復旧資金の融通に関する特別措置法案につきましては、本日大蔵省水産庁並びに各方面と連絡いたしまして、大体早急に本会議に上程するというふうなぐあいに運びました。大体各方面意見を入れまして総合いたしますると、本案の趣旨は全部賛成でありますが、ただ最後に、小委員会で御報告申し上げました通り、政府といたしましては、補償関係で、第三条第二項の「前条第一項の規定による契約に基いて政府が行う損失補償金額の限度は、融資機関ごとに、当該融資機関のした同条同項の融資(以下「融資」という。)の総額の百分の五十」の下に「以内で政令で定める率」という言葉を入れまして、「百分の五十以内で政令で定める率に相当する金額とする。」ということに、皆さんと相談しまして修正しようということになりました。そしてそれにつきましては、都道府県が三割補償をする場合にはこれでもつて五〇%補償するというふうな政令をこしらえよう、その政令でもつてそういうことを定めるということを水産委員長の本会議における報告の際に報告するということであります。  もう一つは、本件は特殊な事情であるというので、これ限り、一回限りにしてもらいたいというふうな意味を本法案に入れてくれという主張もあつたのであります。それでこれを入れることは法文上非常に問題でありますので、これを水産委員長が本会議で本法案説明する際に、本件は特殊の事情災害がひどいからこういうふうに補償の率を多くしたということをうたうということであります。そういう了解のもとに大体本案は各方面了解を得て参つた次第でありますから、一応経過報告いたしまして、皆さん同意を得たいと思います。
  4. 松田鐵藏

    松田委員長代理 濱田課長より発言を求められております。濱田課長
  5. 濱田正

    濱田説明員 この法案につきまして、今の小委員長の御報告なつたようにいたしますと、法案細部にわたつて多少のつけ加えなければならぬ点ができるであろうと考えます。と申しますのは、まず第一にこの精神を貫いて行きますと、率はこれできまつたが、さて実際に損失補償で金を金融機関に払う場合、どちらが先に払うかという問題であります。地方公共団体が三割の場合国が五割となつた場合、まず地方公共団体が三割払う、それから金融機関が国に要求して来て、国が五割払うというような順番の問題、もう一つは、この七条のところにありますが、そういうように損失補償をしても、金融機関は、債権を打切ることなく、善良な管理者の注意をもつて保有し、かつ回収に努めなければならないという一項と、二項のところで、債権の回収によつて得た金額のうちから、債権行使に必要とした経費を控除し、残額がある場合には、金融機関損失補償を受けない損失の填補に充当し、なお余りがある場合には国に返すと書いてある。この場合は、地方公共団体損失補償をしておる。だから国に返せということで国だけがとつてしまうのは、そこのところにも問題があります。これは法制局で審議してもらわなければなりませんが、国及び地方公共団体に返せというふうな書き方になるわけであります。そうすると今度返す場合、返す順位が次の問題になる。返すのは、金融機関が好きな方にかつてに返すというのではなく、返す順序が問題になります。この場合五割を国が補償し、三割を県が補償する、たとえば三対五の割合で返せとか、こういう書き方細部の点にわたつてつけ加えられるであろうと考えますので、その点だけ申し上げておきます。
  6. 日野吉夫

    日野委員 小委員長に伺いますが、府県が三割を補償した場合は、国が五割を補償する、三割以下の場合は……。
  7. 薄田美朝

    薄田委員 それは三割となつたのであります。
  8. 日野吉夫

    日野委員 そうすると大分問題になつたことですが、地方自治庁は義務づけるような政令は絶対に反対するということでありましたが、地方自治庁との折衝はいたしましたか。
  9. 薄田美朝

    薄田委員 その点につきましては、まだ交渉しておりませんが、本件水産庁の方からひとつ……。
  10. 濱田正

    濱田説明員 それは前例がありまして、ことにこの間審議願いました中小漁業融資保証法政府保険率の問題のところで、これは七十条ですが、地方公共団体が総出資額の半分を占めておる場合は七〇%の保険、その他の場合は五〇%の保険、こういうふうな書き方でそれを政令に譲つております。それは地方公共団体が半分を占めろとか、それ以下でなくてはならぬというような強制はしてないので、公共団体出方によつて国もまた出方が違うというような規定の仕方で、どういうふうに出て来るか地方公共団体はまかされておる、こうやれというのでなくて、まかされておる、こういうようにやつてあるので、まだ自治庁とは交渉しておりませんが、考え方としてはこの前審議願つたのと同じような考え方でやつております。
  11. 日野吉夫

    日野委員 そうすると、水産庁では地方自治庁了解をつけ得る自信を持つておられるのですね。前回の例もあるから、政令の内容として、これは出せますね、そう解してよろしゆうございますか。
  12. 濱田正

    濱田説明員 前例によれば出せると考えますが、今話がきまるところなので、さつそく自治庁と交渉しなくてはならぬと考えております。
  13. 日野吉夫

    日野委員 この問題は大分長いこと小委員長を中心にして、各委員方の熱心なる努力の結果、こうなりましたことについて、大いに感謝するのでありますが、非常に長い関係もあり、過般の小委員会に提出されましたオホーツク暴風浪及びカムチヤツカ沖地震による漁業災害の上をとつて、これがいつでも漁業災害にスライドできる法律にしたいという希望を強く申し上げたのですが、各種事情から今回はできなかつたという点は了承いたします。ただ将来災害の起り得ることは十分予想がつくのでありまして、できればそういう完全なものにつくり上げたいという希望を捨てないで、今後その方向に向つて努力したいと思いますので、今回はこの程度でやむを得ませんが、この三条二項の「政令で定める率」、これに関しても今水産庁からもお話のありました幾多の問題が起されてあると思うのでありますが、十分災害者を保護する意味の周到な政令をもつて救済されることに御努力を願うことにして、私は本案賛成いたしておきます。
  14. 田口長治郎

    田口委員 本問題に関しましては、いろいろ御努力の結果ここまで来たと思うのでありますが、被害者立場からいいますと、一日も早く実施されたい、かような強い希望もございます。今までの小委員長との質疑応答で条文及び字句の整理が残つておるようでございますから、この点を小委員長においてすみやかにひとつ整理していただきたい。できるだけ早い機会にこれを整理した上で本委員会にもう一回提案される、かように処置をお願いいたします。
  15. 松田鐵藏

    松田委員長代理 この災害の問題はこの程度で終ります。次の委員会においてこれを議題として決定したいと思つております。     —————————————
  16. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に鯨油に関する件につき椎熊委員より発言を永められております。これを許します。椎熊委員
  17. 椎熊三郎

    椎熊委員 前会の本委員会におきまして、鯨油価格維持の問題で水産庁長官食糧庁長官等の詳細なる御説明を聞きました。その間事すこぶる重大な点があつたために、速記などをとめてかなり機密に属する点等をも承つたわけでございますが、公開の委員会では、影響するところが非常に大きい点にもかんがみまして、水産貿易の小委員会で深く掘り下げて研究すべしとの御決定に相なりました。そのために昨日水産貿易の小委員会を開いたわけでございます。小委員長は本日病気のために出席できませんで、私依頼されましたので昨日の小委員会概要について御報告申し上げたいと存じます。  小委員会におきましては、小委員ほとんど全員に近い方々の御出席を見まして、水産庁長官も特に出席せられてさらに詳細なる説明がございました。それに対し各委員から活発なる質疑が行われたのでございます。しかし小委員会におきましてはいまだ最終的に結論に達したわけではございませんが、中間的の問題でありまするけれども、あらましこの質疑応答の中の重要なる点を御報告申し上げて御参考に供したいと思うのであります。  おもなる御意見の中に、本邦沿岸漁民によつて生産さるる魚油は、当局の指導と漁民生産意欲と相まつて、年一年と生産を増大し、年産二万トンに達し、漁村経済に寄与するところ甚大であるが、最近魚油価格が、ドラムカンカン一万八千円より一万三千円に低落した。その原因は、南氷洋捕鯨業による鯨油一万七千四百トンの内地滞貨の圧迫によるものであるから、政府はすみやかに食管特別会計を利用して鯨油を買い上げ、魚油価格の低落を防止せんことを申入れる。なお南氷洋捕鯨油脂確保源として国際的に重視さるるに至り、列国は競つて鯨油政府買上げその他の措置により、南氷洋捕鯨業保護育成に努めておる現状であるから、本邦においても鯨油価格維持、業界の金融逼迫緩和のためにも、政府鯨油買上げは緊要である、との意見が強力に主張せられました。  これに対していろいろの質疑はありましたが、社会党側におきましては、最後決定は党に帰つて相談の上に結論に達したいという御意見のようでございました。改進党側にいたしましても、委員長その他の委員が全員出ておつたわけではないものですから、同僚委員にも相談し、党にも相談する必要があるということで、最後意見ではないのですが、ただいま報告したような線に沿うた主張を持つておることだけは御了解願いたいのであります。ことに自由党側におきましては、田口君初めこの問題に対して非常に注意深く御研究になつておることと思われまして、その主張せられる点には傾聴に値いするものがあつたのでございます。  なおこの食管特別会計を利用して鯨油を買い上げる点につきましては、ひとりこの魚油の問題のみでなくて、農業方面のたとえば種油のようなものにおいても、今日は価格維持が困難な状態にあるという点もありまして、鯨油を買い上げるにつきましては、おそらくそういものにも何らかの措置をしなければならぬというようなことが起る場合がありますると、これはさらに大きな問題にもなりますので、幸い本日は農林次官もお見えでございますから、これらに関しまして後刻適当な機会農林当局の御意見等をも拝聴できれば非常に仕合せだと思います。  以上、はなはだ簡単でありましたが、昨日の小委員会概要を御報告申し上げます。
  18. 松田鐵藏

    松田委員長代理 質疑はありませんか。——社会党の方の御意見は……。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 私の方は、今小委員長から報告があつたように、この問題は他に及ぼす影響相当考慮しなければならないというので、実は本日の国会対策委員会の方でも十分審議したわけでありますが、この捕鯨事業が単なる営利事業としての性格だけでなしに、国家的な事業としての性格を持つておることに対しては異議はないのであつて従つてこれに対します国の強力なる保護政策と申しますか、そういう線を出すことはけつこうであるが、これの買上げによつて国内における一般加工業者に与える影響というものも相当考慮に入れなければならないという一点がありますので、そういう面をも十分考慮に入れて善処してもらわなければならぬ。こういうことで、大体私の方としては賛成の意を表しておるわけであります。  なお、ただいま小委員長報告に付加されまして、本件に対しては農林当局の方の御意見をも聞きたいということがございますので、農林当局の方の御意見を承りました上で、なお私どもが一点持つておりまする不審の面については、後ほど御質問を申し上げたい。大体は私の方の党はそういうふうな決定を得たわけであります。
  20. 松田鐵藏

    松田委員長代理 社会党の右派の方はどうですか。
  21. 日野吉夫

    日野委員 ただいまの意見と同様のことが考えられまして、いろいろ相談いたしましたが、国際的な関連を持つということと、さらに国内的には中小漁業者魚油価格安定の面から、臨時的な措置としてこれは認めなければなるまい。国際的な捕鯨漁業に対する保護政策の面は、国家財政において根本方策を樹立すべきであるが、当面間に合わない緊迫した事情のあることは認められますので、これによつて起る各種影響等十分考慮されて、暫定措置として食管法による処置賛成することに意見をきめました。
  22. 松田鐵藏

    松田委員長代理 食糧庁長官質問のあられる方がございましたならば、この際御質問をお願いいたしたいと思います。
  23. 椎熊三郎

    椎熊委員 先般も食糧庁長官から詳しい御説明がありましたが、食管特別会計法をこれに利用するということについて、何かやりにくいような、支障の点があるのでしようか。
  24. 東畑四郎

    東畑政府委員 食糧管理法食糧管理特別会計法二つ法律がございまして、厳密に申しますと、食糧管理特別会計食糧管理法に基く制度運用しておる特別会計でありまして、政策的なものは食糧管理法自体できめなければならぬということになつておるのであります。ただ食糧管理法食糧というのと、食糧管理特別会計法上の食糧というのが、今までのところ実は若干食い違つております。たとえば昨年も澱粉を買い上げたことがございまして、従来買つたことはあるのでありますが、これは食糧管理法上の制度としては、澱粉を買うことはできないことになつておるのであります。ところが食糧管理特別会計法上の食糧であるという意味において買上げができる、こういう措置を実はとれるということで、食糧管理法上の食糧以外のものを食糧管理特別会計法上の食糧として買つております。予算の問題としましては、実は国内食糧買入れ費という大きな目になつておりまして、その内訳は米麦でございます。令回の補正予算澱粉北海道てん菜、この二つは明らかに予算上の措置が講じてあります。その他のものは実は予算上の措置がないのでありますけれども、目を置きますことは、これは行政府としては自由でありますので、必要がある場合は目を置けるわけであります。企業会計になつておりますので、借入金はやりますが、全体としての資金が三月末に千四百七十億で行ければいいということになつております。これで足らない場合にはやむなく政府資金預託を願いまして、金融機関に立てかえ払いをお願いしなければならぬということで年度末を越しておるのであります。厳密に言いますと、これはあまりいいことではないと思います。そういうことで、資金もたとえば鯨油を買う場合にかりに十億いるということになりますと、米麦等集荷が多くなつて来ますと全体として金が足らなくなつて来る。そこで三月末に千四百七十億に糧券の発行を減らさなければならない。そのときに、ほかのものをたくさん買いますとなかなか糧券が減らないということで、国の預託願つて立てかえ払いをすることが必要となつて来るのであります。揚超であれば国庫余裕金も相当あるのでありますけれども、そのときの財政上の事情国庫余裕金がありませんと、そういう点がなかなか困難である。こういうことが現実であります。今年はなかなか資金が苦しいのであります。米の集荷が非常にいいわけでありますが、資金としては実は非常に苦しいのであります。はたして三月末に千四百七十億として、かりに鯨油を買つて行けるかどうかということになりますと、もう少しよく資金源を検討してみなければいかぬのじやないか。そういう点も、大蔵省はつきりしなければいかぬと思つております。そういうのが現実でありますので、臨時的であれば、これは私は買わないということは言えないと思います。ただ恒久的に、たとえば鯨油価格安定というようなことを政策的にやるということであれば、これはひとつ立法的措置はつきりしていただいた方がいいんじやないか。北海道てん菜のごときも、今回の国会で期限を切りまして、はつきりと政府買上げをきめていただいておるような次第でありまして、鯨油等も継続的、恒久的な制度か何か、そういう価格安定の必要があれば、これはやはり立法的の措置を考えていただけばいいのじやないかと思う。ただ本年だけの臨時的な措置でやるということになりますと、これは法の運用でできないことはない、こう実は考えておる次第であります。
  25. 椎熊三郎

    椎熊委員 今の御説明でよくわかつたのですが、当面問題になつておるのは、これは恒久的措置じやない。臨時的措置であることは間違いない。従つて本年は米麦等生産も非常に好成績であつたので、そういうものに拡大して買い上げることは資金的な困難さがあるやにも想像されますけれども、法的な考え方からでなしに、臨時的には農林当局が決意し、大蔵当局同意さえすれば、不可能でないということを私は感知できると思います。そうだとすれば、昨日の小委員会等の空気から見、各党の態度から見ても、国会意思としては、この際国際貿易上のわが国の今日の立場を堅持するためには、農林当局としては勇断をもつて積極的にこれを買い上げるという方針で、大蔵当局との間に積極的なる交渉をやつて、一刻も早く難局を打開するという方向に進んでもらうことが、当委員会を通じての国会意思を尊重してもらうことになるのではないか、こう私は思うのでございます。でき得べくんば国会意思を尊重せられて、善処せられんことを熱望する次第であります。
  26. 辻文雄

    ○辻(文)委員 本日までの経過において、大体私もよくわかつたようであります。しかし私のように新しい委員には、将来に一抹の——あまりに念を押し過ぎるようですけども、考えられることは、不幸にして澱粉問題というようなことがあつたそうで、そういうことを仄聞いたしておりますが、鯨油買上げの場合に、理論から申しますと、今のように国除的の関係とか、あるいはそれを買い上げたために魚油上つて、そして零細漁民も助かるというようなことを考えておられるのは当然でありまするけれども、もし万一、くだらない評が世評として起つて来るとかいう場合に、私どもが腹の中でほんとうに納得が行かないのは、今の官庁側のお答えで、法律的にそうなつておらなくてもこういうことでやれるということはわかつたのです。わかつたが、そういう場合にもしこれが一部の業者の利益になるのだというようなことに結びつけられた場合に、私も水産委員会委員でありますし、諸君も委員であられる。こういう人たちがその決議においてそういうことに運んだという場合に、お前たちも十分の責任を負わなければならぬじやないかという結論になると私は思うのです。そういう場合には、私ども責任じやなくして、それをさばいた官庁側のあなた方の責任においてなされたということになるのかどうか。そのことをお答え願いたいと思います。
  27. 東畑四郎

    東畑政府委員 臨時的な措置の場合の恒久的な措置の場合と、これは同じでございますが、政府買上げ決定いたします以上、これは政府、ことに食糧庁長官責任においてやるわけであります。ただ国会の御意思を尊重いたしまして、運用の場合には厳正を期さなければならぬ、こういうことであります。
  28. 辻文雄

    ○辻(文)委員 それはよくわかりました。
  29. 椎熊三郎

    椎熊委員 ただいまの御質問に関連して、私は自分の立場等を明らかにしておきたい。それは、買上げにつけては政府責任でございましよう。しかしながら国会でこういう意思表示をしておる水産委員たる私ども責任というものは、回避するものではない。私はいかなる世評が起りましても、買上げの当事者は政府であるが、そうういことを主張したるわれわれ、少くとも私の責任というものは回避しません。当然世評を受けてもいい。そういう確信のもとに、私はこれを主張しておるのであります。けれども委員のそれぞれの考えについて私は何も注文をつけるのでなく、それぞれの考え方は自由であります。私がこれを主張する以上は、買上げ責任政府にあつて主張したる責任を回避するものでないことをここに断言しておきます。
  30. 赤路友藏

    赤路委員 私はちよつとこのことについて要望があるのであります。ただいまの長官お話を承つております。と、たとえば本委員会において、強く皆さん鯨油買上げ措置を講ずべきであるという御意見——どもそういう意見を持つておりますが、長官の御説明を聞くと、なかなか速急にその点はむずかしいのではないか。現在の食糧債券の現況とにらみ合せて、その運用の範囲内においてこの問題が解決づけられることになるわけなのでありまして、ただちにここで買上げ措置云々ということは出て来ないと思うのであります。しかしかりにこのわれわれ委員会の要望がいれられ、水産当局の方で十分な活動が願えて、政府が食管会計の中でこれを買い上げるという決定をいたしたといたしましても、そういうような財源措置の問題から、速急には解決がつかない。しかしながら政府が買い上げるということがはつきりいたしますなれば、ただちに現在滞貨されているものは、当然資金化されて来ることが考えられるわけなのであります。またそうなければならぬと思うのでありますが、一点私どもが要望いたしたいことは、これからの政府買上げによつてまわされる、あるいはそれを前提として融資されます資金の用途の問題であります。この用途については他に流用することなしに、これは国際事業としての捕鯨業の進展のためにのみ使わるべきである。この点を強く私は要望を申し上げておきたいと思うのであります。
  31. 大森玉木

    ○大森委員 この問題に対しまして、私も反対をするものではありません。しかしながらここに長官にお尋ねをしておきたいのは、今国際的に最も必要であるという観点のもとに私どももこれに賛成いたしまするが、しかしこの鯨油のみを買い上げて——これは少し筋違いのようでありますが、この機会に尋ねておきたいことは、やはり滞貨しておりまする菜種、農村でつくつておりますところの食用油、これらに対しましても、やはりこうした法案が出まする場合には、食糧庁としては食管法に基いて買い取られる御意思か、ちよつと承りたい。
  32. 東畑四郎

    東畑政府委員 鯨油以外に、菜種の買上げの問題が農林委員会等で実はございました。菜種の問題は農産物である菜種の価格を安定するということでございます。それに関連いたしまして菜種を買つたらいいか、油を買つたらいいか、こういう問題もあると思うのですが、私の方の食糧買上げは、同時にそれを管理維持し、国損を来さないように持つて行くということがまた非常に重要な責任でありますので、管理になるべく適当したものを買いたいという気持を実は持つておるのであります。従いまして菜種の問題に関しますると、菜種そのものを買い上げて価格安定をすること、またそれの払下げ方等によつて油そのものの安定をはかるととが望ましいのじやないかというので、今の研究といたしましては、原料である菜種を買い上げることが必要なりやいなやという問題に実は限定をいたしておるのであります。油そのものの買上げについては今のところ考慮をいたしておらないようなわけであります。鯨油になりますると、これはある意味において鯨油そのものの管理というものが一番やさしい商品であるというようなこと、鯨油そのものが人造バターの原料としての価格安定のために必要であるということであります。その商品の性格で——食糧庁という役所がやる仕事でありますので、国損を来さない、また管理をしやすいというもの、しかも終局の目的を達せられるものが一番いいのじやないかということで、その商品々々の性格によつて仕組みをかえて参りたいという検討をいたしております。こういうふうに御了承を願いたいと思います。
  33. 大森玉木

    ○大森委員 ただいまの御答弁でよくわかりましたが、しかし現在相当の量のものが油として滞貨しておる。この点に対してはどうお考えになりますか。今後における処置は菜種の管理のしやすいものということはごもつともであります。しかしながら現段階において滞貨をいたしておるものに対してはどうするかということを承りたい。
  34. 東畑四郎

    東畑政府委員 油脂全体は非常に代替性を持つものでございますので、各方面の全体的な総合的な油脂の対策をやることがまず第一に必要じやないか。それには油脂全体の需要に対して供給が国内的に非常に多い場合でありますと、輸入の問題等につきましても、もう少し厳密な検討をする必要があるのじやないか。この点は通産省と今いろいろ油脂についての打合せをやつております。菜種油そのものが原料高でしかも製品安であるという現実から。原料も安く、高い製品のものが滞貨して来る。こういうように菜種はこうした事態においても苦況の状態に入りつつあることはわれわれとしましても十分これは考えております。菜種の価格安定ももちろん必要でありますが、菜種油の安定ということは油脂全体の輸入問題にもからんで参りますので、そういう面の政策と併行いたしませんと、この問題は解決いたさないのじやないか、こういうふうに実は考えておる次第であります。
  35. 田口長治郎

    田口委員 本問題につきましては、先般の水産委員会及び昨日の小委員会で十分検討いたした次第でございますが、各委員意見も大体先ほどの小委員長報告の線を了承されているようにも考えておるのでございます。別に決議とかなんとかいう筋合いのものではありませんから、小委員長報告を了承するということ、もう一つは、政府当局にお願いする次第でございますが、第七次の油がおそらく来年の三月ころには第一船が入船すると思いますが、そのためにはヨーロツパの商談を今からただちにかからなければ間に合わない、こういうような事情もありますし、この滞貨のために、先ほどの小委員長の御報告の通り、沿岸の零細漁民のつくる魚油が、普通ならば一ドラム一万八千円程度するのでありますが、今一万三千円に値が下つて、みなが非常に困つている。何とかてこ入れをしなければならない、こういうような二つの切迫した事情もありますから、政府におきましても切迫した事情を御了承くださいまして、一日も早くこの問題の解決について御努力を願いたいと思うのであります。また水産委員会といたしましても、側面的にこの問題をすみやかに解決するように御一同に対して御努力をお願いする、こういうことで御処置を願いたいと思います。
  36. 松田鐵藏

    松田委員長代理 小委員長報告を了承し、政府に対して強く当委員会意見を具申して、善処させるようにすることにきめたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  37. 松田鐵藏

    松田委員長代理 次に漁業金融の問題につきまして政府より発言を求められております。これを許します。水産庁濱田協同組合課長
  38. 濱田正

    濱田説明員 農林漁業金融公庫法案がただいま議員提案で農林委員会にかかつておりますが、私直接の担当者ではありませんので、正確なことは自信がありませんが、一応御説明いたします。なぜこういう公庫を設立する必要があるのかといいますと、農林特有の資金ボリユームが非常にふえつつある。二十六年度におきましては百二十億、それから二十七年度におきましては二百億、それから二十八年度におきましては、これは予算要求中でありまして、何とも言えませんが、四百億要求しているわけであります。そういうふうに資金量がだんだんふえて行くということと、従つて同時に貸付件数も相当ふえて来ている。二十六年度におきましては五千八百件の貸付件数、二十七年度におきましては現在ですでに七千件になつております。二十七年度の二百億のうち百五十億程度は貸付が決定し、あと五十億残つておりますが、その百五十億程度もすでに七千件になつているというように件数もふえて来ている。これをさらに二十八年度で考えて行けば、金額も、予算要求中でありますが、四百億であり、件数も厖大な数になるだろう、こういうことであり、またすでに貸し付けたものも逐次回収の運びになつて来る。たとえば二十七年度におきましては三億が回収される、二十八年度においては八億の回収見込みだ。こういうふうに片方においては資金量がふえ、貸付件数がふえ、また今度は回収事務が入つて来る、こういうふうに事が複雑になつて参りましたので、現在の特別会計政府職員二十四名、各局にもそれぞれ担当者はおりますが、そういうものだけでこれを処理して行くということが非常に困難な事態に立ち至つて来ているということ。しからば他方においてそれだけ公務員の数をふやせばいいじやないかということも考えられるわけでありますが、公務員の地位は固定しておらず、よく転々とかわります。すると責任の所在が不明確になつて来る。そこでこれは一つの恒常的な機関をこしらえて、責任の所在を明確にする必要があるのではないか、こういう点でただ公務員をふやしたということだけでは事が解決できないということになつて来ているわけであります。それから公務員によりますと、これは財政資金でありますから、貸し付けた債権の確保については十分注意をしなければならないのでありますが、他方こういう金の回収については相当の機動性を要する措置が必要になつて来るのであります。この点については財政法八条の規定により、その都度国会の承認を経てやらなければならぬという事態もありまして、なかなか機動性の発揮が十分でない点もあります。大きな資金ボリユームで、貸付件数もだんだんふえて参り、複雑な回収の事務も始まつて、事務量も大きくなつたので、ここで一つの国の機関としての公庫をこしらえて、責任を明確にしてやつて行く心要があるのじないか、こういう考え方で提案されたと解釈しております。この公庫においては、資本金に金額国でやり、役員は主務大臣が任命する、またこれに従事している者については公務に従事する職員と同じように刑法上の罰則とかいろいろの罰則が適用されるということであり、業務の方法、資金計画などは主務大臣の認可を要する、予算はもちろん国会の議決を要し、決算は会計検査院の検査を受けなければならない、利益金はもちろん全額国庫に納付される、こういうふうに別の一つの国家機関として処理して行くということになつて、議員提案になつたようであります。  そこで水産の問題でありますが、だんだんと資金量もふえて参りまして、当初は十三億、次年度の本年度は二十三億九千万、約二十四億でやつております。来年度、これは二十八年度予算の問題でありますが、さらに十億加えて三十四億ということで目下要求しております。大ざつぱに申し上げますれば、毎年十億づつくらい増加しているというふうな形になつております。  そこで来年度の予算の問題でありますが、これが通過すればでありますけれども、その内容として考えております点は、今までの特融の中で、協同組合の共同施設というのが一つの空間地帯といいますか、特融ができないという点があります。空間があると申しますのは、漁港の中にあるいわゆる機能施設としての共同施設は対象に乗つております。また漁業自営の施設としての共同施設は対象に乗つております。ところがその協同組合は漁港の地区にはない、そうかといつて自営もやつてない、しかしながら仕事としては、あるいは市場をこしらえたりあるいは漁船の修理場をこしらえたりするようなものは、漁港施設、自営施設と同じように必要なんだ、しかしそれだけは乗つていないとその空間を二十八年度の予算ではふさぐ。つまりそういう共同施設も対象になる。言いかえれば漁業共同施設は、漁港施設であろうが、自営施設であろうが、そうでない施設であろうが、共同施設は全部対象になる、こういうことにしますれば、体系としては水産の諸施設は、金額の問題はありますが、貸付の対象としては全部そういうことになりますので、さらに二十八年度で十億の追加要求をいたしまして貸付対象を広げて行きたい、かように考えて要求をいたしておるわけであります。大体以上の通りであります。
  39. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま課長の方から歴年的に水産関係の方の融資額が与えて来ているという御説明であつたのですが、まことにけつこうだと思うのです。しかし融資対象になるわくが非常に限られている。二十八年度においては空間的なものを一応対象にするということなのでございますが、現在の漁業の実態から見た場合沿岸漁業が非常に窮迫した事情にあるので、漁業全体が近海から遠洋の方に発展して行かなければならぬという状態にあると思うのですが、この貸付のわくの中には漁船が全然加えられていない。この点について水産庁の方ではどういうふうにお考えになつておりますか。
  40. 濱田正

    濱田説明員 この特融は特別の場合を除いて大体農業協同組合、森林組合、漁業協同組合というような協同組合が貸付対象になつておりまして、漁船につきましては、協同組合そのものの自営という点が制度改革以来証券資金化を通じて促進されておりますので、協同組合の自営の漁船についてはわくがあるわけであります。その他の個人の漁船ということになりますれば、先ほど御審議願いました中小漁業融資保証法の形で促進して行きたいと考えておるわけであります。
  41. 赤路友藏

    赤路委員 漁協自営の漁船についてはわくがあるというが、それに対してはトン数制限があるのじやないですか。
  42. 濱田正

    濱田説明員 法律ではトン数制限も何もしておりません。ただ一概に自営自営といつても、自営というのは相当危険性のあるものであつて、勢いだけでは事は片づかない。沿岸からぼちぼち腕を磨きながら沖合いに出て行くというのに、機動力が少く、何らの経験のない者が、欲を張つて一挙にぱつとああいう競争の激しいところに入つてしまつてつぶれたということになれば、事は全組合員に影響する点が多いというので、初めのうちは用心に用心を重ねて、沿岸から腕を磨きながら逐次出て行く、こういうふうにする方が組合の自営としては安全ではないか。そういう意味で、その限界を一つの行政指導と申しますか、そういう点で十トンから五十トンくらいのところがまずまず安全性があるものではないか。それ以上になるとあぶないということで行政指導でやつておるので、それ以上は法律でとか、あるいは業務の方法でそれでなければならぬというふうには押えておりません。安全性を確保するために漸進主義を考えております。
  43. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまの御説明を承りましてわかるわけなんですが、それでは漁業協同組合の自営船のトン数については法律では制限がない。ただ課長が御説明なつたように、一躍沿岸漁業のものが遠洋に出るというようなことは、技術その他の面においても非常に危険性があるから一応のものとして押えておる、こういうふうな行政的措置としてやられているのであつて法律で禁止をされているのではない、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  44. 濱田正

    濱田説明員 その通りでございます。
  45. 赤路友藏

    赤路委員 その点漁協の育成という意味、またこれらを漸次向上せしめるという意味においてよくわかるのでありますが、あまりにも考え方がそれに固定されるということになれば、私は画一的ではないかと思うのであります。ということは、たとえば小さい沿岸漁業を主体にしている漁協の育成とい面においては、その点はわかるといたしましても、遠洋を主体にしている漁協の場合を考えました場合に、現在の水産庁の機構において十分な調査とか、あるいは漁場開拓とかいうようなことを積極的に行うだけの意欲はあつたとしても、予算裏づけ等の関係上それがなされていないという一点があることと、それから遠洋において漁船がある種の危難に遭遇した場合に、海上保安庁の船がただちにこれに対して救助の手をさしのべていないというのが現状なんです。もし遠洋においてエンジンが停止された場合、船に非常な危険性を感じて保安庁の船に救助信号を出して来てもらつた場合に、人命に支障はないじやないかというようなことで逆につるし上げられておるというようなことを聞くわけでありまして、さよういろいろな面から総合いたしました場合、かような遠洋に主体を置くところの漁協等におきましては、営利を目的にすることなしに、むしろ他の業者の持てる船をカバーするというような意味において、調査あるいは救援、そうしたものをも兼ね備えた全体の漁業発展のために、ある種の大型の船を漁協目体が持つて、側面的に水産庁のそういうような形のものを推進して行くという措置がとられていいのじやないか、こういうふうに考えるわけなんです。従つてたとえばそういうような財源的にもある種の余裕があり、あるいはまたそうした大きな遠洋漁業発展という観点の上に立つて、漁協自体が自営の船を持とうとするときには、それはいろいろと条件もあるだろうし、調査もしなければならぬが、原則的に制限されておるのでないので、許可をするというような御意思があるかどうか、その点をお聞きしたい。
  46. 濱田正

    濱田説明員 これは資金量がそうふんだんにあるわけではなくて、今年のわくといたしましても三億七千万円程度でありますので、私たち考え方としては、そういうふうにはなやかにできるよりも、むしろもう少し下のレベルのところ、定置漁業の自営とか、もう少し沖合いに出るようなところ、つまり沿岸がそういうふうに転換して行かないとどうにも食えない。こういうところをまず優先第一に考えておりますので、今赤路先生の言われたように、それ以上の段階にまでは、資金量の関係としてはまだまだ行き得ないのじやないだろうか、かように考えております。
  47. 松田鐵藏

    松田委員長代理 中村君。
  48. 中村庸一郎

    ○中村(庸)委員 実は本委員会で取上げました防潜網の問題のことでありまして、水産委員会として現地を視察しようということで私は地元に連絡方を依頼されたのであります。また事務当局の方は出席者の人員、並びにまた関係官庁方面の人に連絡をされたのであります。この問題に対しましては一昨晩の本会議の終了のときに、六時四十分に福永委員長ともはつきり昨日の九時四十分に立つて行くという打合せをいたして準備をいたして参つた、さような次第であります。ところがバスが玄関に参りまして出発しようとしますと、委員としましては杉山委員、辻委員、大森委員、志賀委員と私と、五人の委員が参りました。それから水産庁の研究第一課から見えました方、それから調達庁の補償課の方と財務課の方と二人、全漁連から一人、法制局から一人、それと専門員の杉浦さん、菅原さんが見えまして、昨日十時に出発いたしまして、まず県庁に立ち寄りまして、現地に連絡してみたのでありますが、視察はとりやめになつたということが現地に報告になつております。まつたく驚いたのであります。こちらの出た筋はだれかと聞いて、だんだん調べてみますと、福井順一君が何でも床屋へ電話をかけて、それから行かないということになつた。それで現地に集まつた漁業会の人たちどももう帰つてしまつた人もある。県庁でも心配して各所へ電話をかけたりして、そういう問題が起つて参りました。なお不可解なことは、出発いたしますときに、玄関に福井順一君が参りまして、バスのところに自動車をつけて、私に、きようは水産委員長と相談してやめることにしたのだ。これは行くのか……。速記をとめていただきたい。
  49. 松田鐵藏

    松田委員長代理 速記をとめて…。     〔速記中止〕
  50. 松田鐵藏

    松田委員長代理 速記を始めて。  次にオホーツク暴風浪及びカムチヤツカ沖地震による漁業災害復旧資金の融通に関する特別措置法案は、先ほどあの程度まで進んだので、これは会期の都合上急速にやらなければならないものでありまするから、各派においてどうかひとつ意見をまとめておいていただきたいと思います。
  51. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 先ほど水産金融のことで濱田課長から説明があり、議員の方々からいろいろ御意見がありましたが、私ただ一点だけ次長もしくは濱田課長から伺つておかなければならぬことは、水産の今日までの金融は遅んとして振わなかつたのでありまするけれども、本委員会はもちろんのこと、内外ともに協力した結果が、今度の国会では中小漁業者個人までに金融をするという立法措置が講じられましたことは、まことに慶賀にたえないのであります。だが本日ここに全漁連からの陳情と、さらに全漁連がかつて総会が役員会を開いた席上で、いささか自己擁護のためとも考えられるが、既設の金融機関の圧迫であるというような意味のことを新聞に書いてあつたことは、先般の委員会でも非公式に濱田君に申し上げたのだが、濱田君はさようなことはないと言つてつたのでありますが、現実にここにこの陳情の中に六項目あげておりまして、はつきりそのことが現われて来たのであります。そのうちの一項目をひろつてみますとこういう字句がございます。「三、融資方式は信漁連転貸方式を原則とすること。」という題で、「左記事項を顧慮し信漁連育成の大乗的見地において農林中金は信漁連転貸方式を原則とし、積極的に推進し、単協直接融資の方式は信漁連のない場合若しくはこれに準ずる場合に限つての例外とすべきである。1、単協直接融資を原則化するが如きことあれば信漁連に対する関心を弱め之を浮き上らせ育成途上にある信漁連に重大なる悪影響を結果する。2、就中、信漁連えの貯金吸収の伸長が重大課題となつている矢先之に対しても悪影響を与える。3、融資の回収面に於て信漁連の能力を全面的に活用することは有利である。4、現在の信漁連の事務能力或は業務運営についての信用度につき批判があるにしても之を克服することは技術的に可能である。」というようなことで、その他にも幾多あがつております。しからば今まで中金なり、信漁連なりの貸付がはたして妥当であるかどうか。中金は現に漁業権証券の場合に、本委員会において前貸金には漁業権証券をとれないということを湯川理事長がここで言明しておるにもかかわらず、それを前貸金に充当せしめてとつて、あとはほとんど貸付をしないということもある。     〔松田委員長代理退席委員長着席〕 さらに単協がせつかく計画を立てて農林漁業特融の金を借りようと思つても、やかましくて中金が貸出しをしない結果が、こうした幾多の隘路となつて単協の計画を阻害しておるということは、もう枚挙にいとまないのであります。こうしたいわゆる独占的な立場にある系統金融機関のやり方というものは、もちろんわれわれは是正しなければなりませんけれども、かかる行為を持続するような考えを持つておることは許されることではない。一昨日通過いたしました中小漁業融資保証法なるもののごときは、個人にまでたやすく貸付けることになつておる。それを単協もいかぬ、どうしても信漁連を通さなければならぬという一方的な意見はあり得るものでもないし、許すべきではないと私は考えます。もちろん漁業協同組合といたしましては、系統機関を利用することは当然でありますけれども、それを利用しなければ融資ができないというふうな行為をとるということについては、私は承服できません。そこで一体濱田君は、この間の委員会で私は個人的にお話したのであるが、反対はしておらないという釈明をしておりましたが、現に出て来てわれわれはどこまでも系統機関の言うことを聞かなければならぬとか、あるいは水産庁がこれをどうしてもやらせるということになりましたならば、弱体な漁業協同組合は、せつかくの立法措置金融措置を講じてあるにもかかわらず借りることができない。いわんや信漁連の手によつて流さなければならぬということになりましたならば、私は個人の金融は絶対できないといつても過言ではないと思うのであります。もちろんこの全漁連の組織についても、われわれは疑義があり、先般の委員会でも申し上げたのでありますが、かような独占するがごときことで全漁連を結成したということになれば、これは農林大臣の許可なくしてできないような立法措置になつておりますので、事業を許すべきでない、かように私は考えるのでありますが、一体濱田課長はあの矛盾すなわち役員を四十人にして員外理事を十名出さんがために、そういう形式をとつた、いわゆる組合の連合会を許可をしておる。どうしてそういう意思なつたか、脱法行為をやつたものをなぜ許可したかということを、将来われわれの立法措置によつて金融措置ができた場合に、今全漁連から陳情が来ておりますこの三項にありますただいまの方法をとるつもりであるかどうか、この二点について伺いたいと思います。
  52. 濱田正

    濱田説明員 系統金融の問題でありますが、信連に限らず漁連だつて、結局は漁民のためにあるもので、単協も同じく漁民があつての単協であり、また信連にしても漁連にしても単協あつての系統組織であるので、ただいま川村先生のおつしやいましたやり方について、系統組織でその仕事をやつて行くという原則には間違いがないのだけれども、さてその系統組織というのが、会員といいますか、上からといいますか、こうやらないといかぬのだというふうに上からきめて行くというふうなやり方は適切ではない。むしろ下からそうやる方が便利だということになれば、その方法を使つて行く、こういうやり方をとつて行きたい、こう考える。しかし系統組織、すなわちこの場合の信連で考えて行きますれば、信連を育成強化しながら、われわれの金融関係を打開することが必要なのであつて、この育成強化をはかつて行きたいということには間違いない、ただやり方が一方的でないようにやりたい、かように考えております。  それから最後の全漁連の問題でありますが、この点は協同組合法に定款などに違反がなければ認可しなければならない。認可しない場合は二月たつたら有効だ、こういうふうな立て方になつておりますので認可いたしました。
  53. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 認可したとするならば、脱法行為がわかつてつて認可したのか、それともわからないで認可したのか。私はわからないはずはないと思う。あの会議を開いた当時、こういう脱法行為をしておるぞと言つたらば、自分も出席し、そう思つたと濱田君も言つておる。それを知りつつ当該課長が部長及び長官の判を押さしめたということは、私は官僚として許すべきでないと思うのであります。いずれ今度の委員会において私は責任をとらせますが、とにかくこういう会議で、議論もあつたそうだが、脱法行為をしたものに対して、濱田君は、私もそう思うと言つておる。それをおこがましくもここで許しましたなんて言うようなことは——あなたの権限で許したとすればこれはそれまででありますが、私はこの問題については、時間がそうありませんからあとで御質問いたします。ただ系統機関ですべて融資なり事業なりを許可することは私も賛成でありますけれどむも、現実は独占しているがごとき立場にあるのです。強制しておるということが一点と、さらにまるきり官僚のような立場になつて——あるいはもう少し悪く言うならば、独占銀行のような立場になつて、そして漁民を苦しめるという事実がたくさんございます。これは事実を指摘いたしましよう。御承知の通り協同組合法では加入脱退任意であります。加入しなくても当然金融の対象になるものであります。もちろん今度の中小漁業融資保証法というものは、個人にも貸すことができるようになつておるのであるから、私は全漁連のこういう申入れに対しては本委員会で後刻再検討をして、ただいま濱田課長が言われるような考えに警告を発して置くべきだと考えるのであります。この次の委員会におきましては、木下委員長及び湯河中金理事長を呼び、また大蔵当局も呼んで、われわれと本委員会を通じて対決して明らかにしておかなくてはなりませんから、委員長におかれましては、その手続をとられんことを要望いたしまして、私の質問を打切る次第であります。
  54. 福永一臣

    福永委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時二十四分散会