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1952-12-16 第15回国会 衆議院 人事委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)     午後二時二分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 竹山祐太郎君    理事 受田 新吉君 理事 森 三樹二君       小澤佐重喜君    木暮武太夫君       竹尾  弌君    根本龍太郎君       松野 孝一君    池田 禎治君       加賀田 進君    小松  幹君       館  俊三君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         法制局長官   佐藤 達夫君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         保安庁人事局長 加藤 陽三君         検     事         (大臣官房調査         課長)     位野木益雄君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         検     事         (大臣官房人事         課長)     宮下 明義君         最高裁判所事務         官         (事務総局人事         局長)     鈴木 忠一君         最高裁判所事務         官         (事務総局人事         局給与課長)  守田  直君         衆議院参事         (庶務部長)  山崎  高君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十二月十六日  委員濱田幸雄辞任につき、その補欠として小  坂善太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小坂善太郎辞任につき、その補欠として  濱田幸雄君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十五日  安芸町の地域給引上げ請願長野長廣君紹  介)(第九一三号)  横手市の地域給引上げ請願飯塚定輔君紹  介)(第九一四号)    通津村の地域給指定に関する請願西村茂生君  紹介)(第九一五号)  藤沢村の地域給指定に関する請願平岡忠次郎  君紹介)(第九一六号)  公務員給与引上げ等に関する請願外十一件(  山口丈太郎君外一名紹介)(第九一七号)  同(加賀田進紹介)(第九三七号)  同(山口丈太郎君外一名紹介)(第九三八号)  同(山下春江紹介)(第九三九号)  同(青野武一紹介)(第一〇一四号)  公務員臨時職員給与引上げ等に関する請願  (淺沼稻次郎君外二名紹介)(第九四一号)  三島市の地域給引上げ請願宮幡靖紹介)  (第九四二号)  小川町の地域給引上げ請願松山義雄君紹  介)(第九四三号)  加茂町の地域給引上げ請願亘四郎紹介)  (第九四四号)  多々良町の地域給引上げ請願緒方竹虎君紹  介)(第九四五号)  熱海市の地域給引上げ請願山田彌一君紹  介)(第九四六号)  同(勝間田清一紹介)(第九五三号)  龍野市外三箇町の地域給引上げ請願館俊三  君紹介)(第九四七号)  益田市の地域給引上げ請願館俊三紹介)  (第九四八号)  相生市の地域給引上げ請願有田喜一君紹  介)(第九四九号)  上野原町の地域給引上げ請願内田常雄君紹  介)(第九五〇号)  南高安外四箇村の地域給引上げ請願(田中  萬逸紹介)(第九五一号)  釧路市の地域給引上げ請願森三樹二君紹  介)(第九五二号)  能代市の地域給引上げ請願松野孝一君紹  介)(第九五四号)  手稲町の地域給引上げ請願町村金五君紹  介)(第九五五号)  佐用町の地域給引上げ請願小畑虎之助君外  一名紹介)(第九五六号)  高麗村外二箇村の地域給指定に関する請願(松  山義雄紹介)(第九五七号)  稲生沢村の地域給指定に関する請願宮幡靖君  紹介)(第九五八号)  上村及び中村地域給指定に関する請願(川村  継義紹介)(第九五九号)  京都郡下の地域給引上げ等請願木下重範君  紹介)(第九六〇号)  大河村の地域給指定に関する請願横川重次君  外一名紹介)(第九六一号)  元狭山村の地域給指定に関する請願平岡忠次  郎君紹介)(第九六二号)  沼館町の地域給指定に関する請願飯塚定輔君  紹介)(第九六三号)  北陸電波監理局監視部職員地域給指定に関す  る請願内藤隆紹介)(第九六四号)  泗水村の地域給指定に関する請願石坂繁君紹  介)(第九六五号)  福島町の地域給指定に関する請願北村徳太郎  君紹介)(第九六六号)  小諸町の地域給指定に関する請願井出一太郎  君紹介)(第九六七号)  箕面町の地域給指定に関する請願松原喜之次  君紹介)(第九六八号)  高根村外三箇村の地域給指定に関する請願(勝  間田清一紹介)(第九六九号)  上川町の地域給指定に関する請願芳賀貢君紹  介)(第九七〇号)  多寄村の地域給指定に関する請願芳賀貢君紹  介)(第九七一号)  上富良野町の地域給指定に関する請願芳賀貢  君紹介)(第九七二号)  日佐村の地域給指定に関する請願中島茂喜君  紹介)(第九七三号)  上山田町の地域給指定に関する請願井出一太  郎君紹介)(第九七四号)  三日月町の地域給指定に関する請願小畑虎之  助君紹介)(第九七五号)  豊川市の地域給引上げ請願鈴木正吾君紹  介 )(第一〇一〇号)  八王子市の地域給引上げ請願外十八件(山花  秀雄君紹介)(第一〇一一号)  鳥羽町の地域給指定に関する請願加藤清二君  紹介)(第一〇一二号)  長谷村外七箇村の地域給指定に関する請願(小  畑虎之助紹介)(第一〇一三号) の審査を本委員会に付託された。 同日  公務員給与ベース引上げ並びに年末手当に関  する陳情書  (第七〇二号)  同  (第七〇三号)  同  (第七〇四号)  福島市の地域給引上げに関する陳情書  (第七〇五号)  中村町の地域給指定に関する陳情書外一件  (第七〇六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一二号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一六号)     ―――――――――――――
  2. 有田二郎

    有田委員長 これより人事委員会を開会いたします。ただいまより一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第十二号及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第十六号の両案を一括議題として質疑を継続いたします。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 この給与体系の上から本日は一般職のみならず、特別職並び保安庁職員あるいは裁判官検察官在外公館並びに国会職員等、一連の給与体系を総合的に検討をしてみたいと思うのであります。  特に今御出席の方の担当である検察官給与関係してお尋ねしたいのでありまするが、現在検事職務を持つたもので、本省局長をやつている人が少数あると思うのであります。この職員給与において局長職務を執行するものであるにかかわらず、検事給料を与えておるというその理由はどこにあるかをお尋ねしたいのであります。
  4. 宮下明義

    宮下説明員 お答え申し上げます。御承知のように法務本省におきましては、支分部局でございまする検察庁及び法務局等事務指揮監督をいたしておるわけでございますが、検察庁におきましては、申すまでもなく検察官検察権行使をいたしておりまして、その最高検察庁以下の検察庁を監督いたしておりますのが、法務省刑事局でございます。法務局地方法務局等におきましては、国を当事者といたします訴訟実施をいたしておりますが、これを本省訟務局において指揮監督いたしております。本省訟務局におきましては、これらの指揮監督だけではなくて、自分みずからが直接訴訟実施にも当つておるのであります。このような職員は、その職務特殊性から申しまして、どうしても検事あるいは判事の中から、それらの職員を補充いたしませんと、実際に事務が運用できないのであります。従来もそのようにいたしまして、裁判官あるいは検察官から、これらの局長あるいは課長を補充いたしております。その場合に、御承知のように裁判官検察官一般職俸給とは別個の体系俸給になつておるわけでございますが、この俸給を切りかえまして、一般俸給にして局長につけるということは、人事交流の上でどうしてもやり繰りがつかないのであります。それで法務省設置法法務省職員のうち、百三十三人については検事をもつて充てることができるという法律改正をいたしていただきまして、その後検事をもつてこれら万やむを得ない職責の局長課長等検事をもつて充てる措置を講じておるわけでございます。
  5. 受田新吉

    受田委員 検事職務を執行している訟務局関係で、検事職務を執行しておるというように今おつしやつたんですが、判事で兼ねている場合も判事職務を執行するのでありますか。職務内容と違う給与体系があるということは、国の給与体系をくずすことになる。この点においてはつきりと局長課長職務を執行する場合には、判事検事であつたものであろうとも、当然局長課長の段階に入るべきであるのに、何か特権階級のごとく判検事がここに存在して、その判検事俸給をもらつて局課長職務を執行するということは、どうも国の給与体系職務内容を規定するこうした一般公務員体系を乱すおそれがあると思つて、この間から調査しているうちにここに疑義を感じまして、今日お尋ねしているのでありますが、判事局課長を兼ねるような場合に裁判をするようなことがあるのか。検事の場合には今のような訴訟事務をするとかおつしやつたので、それは検事事務を一応行うことがあり得るということになるのですが、判事で兼ねている場合には、局長が実際裁判をやるのですかどうか。こういうことを一つ確めておいて、実際にやつていない職務俸給をとるということは、公務員体系をくずすものであるという御意見をお持ちではないか。やむを得ざる措置としてこういうものを置いておるということになるという解釈が私にはどうしてもできないとで、人事交流に困つた場合にも、その場合には局長ちよつと切りかえをしておけばいいのであつて、また検事にもう一ぺん任用がえしておけばいいので、これは国会職員とほかの官庁職員との交流人事などにも盛んにやつておることなんでありますが、この点非常に疑義がございますので、ちよつと詳細にお聞きいたしたいのであります。
  6. 有田二郎

    有田委員長 ただいま受田委員より最高裁判所関係について御質疑があつたようでありますが、国会法第七十二条第二項の規定により、最高裁判所説明員としてお見えになつている最高裁判所人事局長鈴木忠一君より、御説明を願うこととしたいと思いますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 有田二郎

    有田委員長 御異議なしと認めます。それでは鈴木最高裁判所人事局長より御説明願います。
  8. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 最高裁判所事務局にも、検察局法務省におけると同様に、判事の資格で、しかも局長それから課長等を兼任しておるものが若干ございます。その場合に判事の肩書を持つておりながら、判事仕事を何にもやらないかというと、これはやり得る建前になつており、現にやつておる者もございます。たとえばこれは本則ではございませんが、例外的に全国の裁判所で手不足で事件を片づけるためにどうしても手が足りない、しかもその管内の判事で臨時的な補充がつかない場合には、いわゆる代行判事という名目のもとに、最高裁判所事務局のスタッフを、そこへ一箇月、場合によつては半箇月、長きにわたる場合には二箇月くらいやつて仕事をさせる。それから現にある課の課長は、東京地方裁判所判事職務を一週に二回やつておる例が現在ございます。ですから原則としては裁判官肩書き事務局仕事をしており、従つて裁判はやりませんけれども例外的にはやつておりますし、やろうと思えばいつでもやり得る体制になつておるわけでございます。
  9. 受田新吉

    受田委員 そういうへんてこな関係身分の者を国家の公務員の中に持つているということは、まことにふしぎなことなんで、判事判事判事職務があるのですから、そういつた者一般公務を担当する場合には、当然一般公務の立場の方で動くべきもので、ごくまれに臨時的にちよつとやることがあるから判事に置いておくのだ、その方の給与をもらつておるのだということは、本末が転倒されておりませんか。局長課長職務の方が主体であるならば、その方の給与をとるのが主一体であつて判事職務ちよいとたまたまやる。検事職務ちよちよいやるということで、判事検事の方の給与をとるということは、本末転倒ではありませんか。その点をはつきりしていただきたいと思います。
  10. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 実質的な議論を申せば、確かに本末転倒だと私は思います。しかし実際論といたしますと、ただいま法務省人事課長から答弁がありましたように、他の官庁の例と比べて、はたして妥当かどうか私は存じませんけれども、つまり現場仕事を知つておる者でなければ勤まらないという面が、裁判所事務局仕事、それから法務省の代弁をするわけではありませんが、法務省の内部の仕事には非常にあるわけであります。そういたしますと、現場仕事を知つておる、現場の経験を積んだ者を持つて来ようとするためには、どうしても判事なり検事なりを持つて来なければ事務がうまく行かないわけです。さてそれを持つて来ようとすると、判事検事給料一般職員給料との差がございませんから、いかに裁判所のため、検察庁のためといいながら、わざわざ現在の俸給より下つて来いというわけには、実際の人事のやりくりとしてできないわけです。従いまして裁判所の建設当時は、判事俸給をとれる者も、判事肩書きをなくして、全部事務局事務官ないしは局長部長というような肩書きでやらしておつたのです。ところがそうしますと、べース・アップが毎年のようにございますので、判事俸給をとらせておかないと、その差がますく大きくなつて事務局におる連中は総退却をするというようなけはいが見えたものですから、当時人事院とも相談をし、またその当時は占領治下にあつたものですから、GHQの方の意見も参酌などいたしまして、人事院の了解のもとに、最高裁判所としては、やむを得ず司法行政上の職務に関する規則という最高裁判所ルールをつくりました。「司法行政に関する事項審議立案その他司法行政上の事務を掌る職務のうち、最高裁判所において指定するものは、判事又は判事補をもつてあてることができる。」こういうようになつておりますが、やむなく法律と同じ効力を有するものだという意味でこのルールをつくつて、形式的にはその間のギャップをふさいでいるわけなんですけれども、実質上から申しますと、実際判事の職をとらないで、しかも判事俸給をとつておるということは、給与体系上不都合ではないかという御質問の通りに、私は理論上は決して無理な御質問だとは思わないわけでございます。判事の職をやらないならば、判事の職に対する俸給以外の俸給を充つべきだということは、これは理論としてはまことにごもつともだと存じておるわけであります。ですから最高裁判所も、判事肩書きがあるから、これ幸いとしているわけではなくて、その点については、十分理論的な不都合を感じつつ、それを埋めるためにわ、ざくこういうルールをつくつて実際をやつておるわけです。でありますから、私どもの実際の面から希望を申し上げますと、つまり現業を知らない者はできないのだという特殊性を認識していただいて、少くとも裁判所あるいは法務省の一部の者に対しては、裁判官検察官ではなくとも、同等の俸給給与するという建前にしていただくならば、今の理論的な矛盾撞着というようなものが防げるのではないか。私どもとしては将来ひとつそういうように御考慮を願いたいと考えておるわけです。
  11. 受田新吉

    受田委員 法務大臣犬養さんがなられるにあたつて、この大臣法務事情に通じていない門外漢である、このような大臣がわれわれの省の責任者になつては困るという一部の動きがあつたと聞いておりますし、その他裁判あるいは検察事情に通じない者は、法務省課長局長に不適当だ、従つてその事情に精通した者でなければいかぬという観念が大臣にまで及んでいるということが、今の御答弁でもとれるのでありますが、こうことによつて裁判官あるいは検察官でないと法務関係局部長になし得ないということになると、ここに非常にきゆうくつな割拠主義が起ると思うのです。これを何とかわれわれは防止して人事交流も行わなければならないし、高い観点から見て法務大臣適任者があるならば、それが法務関係の出身の者でなくても、大臣としてその人に高い観点から公平な行政を行つてもらうということで歓迎をしてもらうべきであると思うのでありまするが、こういうセクト的な考え方法務関係にとられておるというにおいがしてならないのでありまして、今の局部長として法務省に勤める者の給与判検事と同じものに引上げるという例外よりも、判検事で一部それになる人に対しては、何とか技術的にその間判事検事職務を解いて局課長にして、それからまた判検事なつたときにはそこへもどすという筋をはつきりして体系をつくることができないものだろうかと思うのですが、身分が保障されているという特権があるがために、少しかびのはえるような感覚人たちもできはしないかと思うので、そういう本省局長部長課長ということになつたときには、おれは行政官として大いに権威をもつてやるのだという誇りを感じて、安い給料でも甘んじてそこへ行く。いやしくも本省局課長になるような人は人材なんですから、それで喜びを感じて行けるように手続上において何とか措置できないものですか。それがだめであるとするならば、さらにまた新しい観点からこれを検討しなければならぬと思うのでありまして、今のお答弁の点とは逆に、法務省関係から判検事がある期間その職務を解いてあちらへ行く。また局課長になつて任が解かれればまた判事になるという処置はできないものか。身分が保障されておつても、その期間中は本省の名誉ある局課長になるということであれば、これは大いに希望者を募ればいいのであつて、無理に任命するわけじやないのですから、そういう点において私は非常に国の給与体系を崩し、公務員の系列を乱すおそれを感じますので、今のような一部の例外規則をつくつてまでも認めるということでなくて、またもしその人が判、検事でなければならぬというような今の御説を今度逆にいつて、適材適所で、判、検事でなくとも、そういうことに高度の批判力と手腕を持つた人であるならば、これを局、課長に向けるというような手を打てるのじやないか。それとも門外漢は一切出入させないというようなわくをはめた法務省であるかどうかをちよつと御答弁いただきたいのであります。
  12. 宮下明義

    宮下説明員 法務省一般がセクト的なわくをはめた考え方を持つているということは全然ないと思います。ただいま犬養大臣お話もございましたが、部内においてそのような動きがあつたということは私も考えておりません。なお補足して申し上げますと、法務省のたとえば刑事局は、法務大臣の補佐をいたす一つの機関でございますが、その仕事実態は、最高検以下が行つております直接検察権行使自体を、法務大臣指揮する事項を補佐いたしておるわけでございまして、日常議論をし、処理をしております事項は、検察庁のやつております事項と、ほとんど同様な事項が大部分でございます。それ以外にもちろん刑法、刑事訴訟法等刑事実体法規立案改正というような仕事もいたしておりますが、直接の検察権指揮監督をいたしておりますので、これらのものの仕事実態においても検察指揮である直接検事につながる仕事をしておるわけでございます。もちろんずつと検事をやつて来た者でなければ、公正な検察ができないというふうに固苦しくは考えておりません。あるいは広い視野から検察権行使するということも考えなければならないかと思いますが、今の実情では、やはり長年検事をやつて参りまして、現場仕事がよくわかつております者が初めて検察権指揮ができるのでございまして、このような人を得るために局長課長等に従来検事から充てておるわけでございます。今お話のように、そういう地位につく者は、検察官のうちでも優秀な検察官であるから、その地位につく限りにおいては、検察官身分を剥奪いたしまして普通の事務官としてやることはできないか、それくらいのおおらかな気持になれないかというお話、まことにごもつともでございますが、従来法務省ができましてから、人事管理をやつて参りまして、その点で実際問題として行き詰つたのであります。検事の中に十分事態を理解しない検事が多いということでおしかりを受けるかもしれませんが、実際問題として、そのために人事が行き詰りまして、さきの国会において法務省設置法の十七条に、法務省所管職員のうちで、検事をもつて充てることができるという法律改正がございまして、それに基いてやむを得ない法務省のポストに検事を充てておるわけでございますが、これはまつたく人事管理上やむを得ない措置であるということは、私も十分了承いたしております。
  13. 受田新吉

    受田委員 この問題は法務省としても、たいへん苦労しておられるという実情伺つたのでありますが、人事に非常に行き詰つて困つたから、こういうことをしたというような便宜措置が早く除かれるような空気をつくつていただく方がいいのじやないかと思うのです。これは私たちとしても、今非常に行き詰つた空気があるのを、一挙に解決するということは無理にしても、漸次切りかえる努力法務省でしていただき、最高裁判所でもしていただく、こういうふうに皆様方責任の衝にある人たちの一層の努力をこの際要請して、この問題が何とか本筋にかえるように、大いに奔走していただきたいと思うのであります。  もう一つの問題は、裁判官検察官給与の相違でありますが、これは検事総長俸給最高裁判所判事俸給とを一つにしてありますし、一般判事俸給検事俸給とにおいて、判事の方が相当高額の率になつておるのでありますが、判検事職務内容から来る差等というものを、この俸給に比例したようにどういう基準からわけられたのか、これは裁判官一般行政官の性格を持つ検察官との職務の執行の程度というものに対して、こう差等をつけられた理由をはつきりさせておかないと相ならぬと思いますので、この点特に双方からの御答弁をいただきたいのであります。
  14. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 裁判官検察官との間に、給与について差別を設けておりますのは、申し上げるまでもなくこれは戦後の現象でございます。戦前は判事検事一本建の俸給で、差別はなかつたわけなのでございます。今御質問のような差別ができたのは、戦後の現象でありまして、最初一般公務員の二千九百二十円ベース俸給を定める際に、裁判官検察官との、バランスをもとつて差等を設けたのでありまして、その二千九百二十円ベースの際に定められたものが、そのまま両方とも同一だんだんスライドして来て、現在までその差を維持しておるわけであります。なぜ二千九百三十円べースつまり戦後最初俸給を定めるときに裁判官検察官両者の間に差別を設けたかということについては、当時私はその実際にタッチいたしませんものですから、具体的ないろいろ議会との関係、それから当時の総司令部との関係人事院との関係というようなことは今申し上げられませんですけれども、きわめて抽象的に申し上げれば、終戦前の裁判所と終戦後の新憲法による裁判所というものについては、その作用と性格というようなものが異なつておるのだ。つまり戦前の裁判所というものは、その作用から言いましても、いわゆる法令の審査権というようなものはございませんでした。つまり議会を通つた法律に対しては、形式的な瑕疵を云々することはできても、その実質が憲法に違反するかいなかというような判断は、裁判所としてはできなかつた。それからさらに戦後の裁判所は、戦争前に制限主義で時効を制限しておつたところの行政事件を全面的に解除して、行政官庁の行政処分について不服がある場合には、裁判所が全面的にそれの審査にも当る、こういうような、憲法に適合しておるか、いなかの法令審査権、それから行政事件を全面的に裁判所の管轄にしたという点からいつて内容及びその地位から、裁判官は従前の裁判官以上の地位と作用を与えられているのだ。しかるに検察官は、その点から言えば、戦前の公訴の維持ということを主眼としておるところの検察官の作用というもの、検察官地位というものについては、必ずしも戦後かわつておらない。しかもその性格からいつて検察官というものは行政官の一部分である、こういうような考えから、裁判官俸給というものを検察官に比して差等を設けたものというように私は考えております。
  15. 受田新吉

    受田委員 戦前は官等の上からも、検事正と裁判長、検事長とまた一方の裁判長というように、地方裁判所、控訴院、大審院等、とにかく同じ基準で来ておりましたことはよく承知しているので、特にこれは質問したのですが、今の裁判所地位が大いに高まつたということは私もうなずけます。同時に立法機関、行政機関、それから裁判所、この三つの最高責任者がそれぞれ十一万円という俸給をもらうことになつているのも、この三つの立場を同じ線に置いておるという点で私はうなずけます。ところが、一般判事検事の場立にその差等がついておるということになると、司法官を志す者には、検察官になりたい者もあろうし、裁判官になりたい者もあるのだから、おのおの向き向きへ行くのに、裁判官の方が待遇が高い、同じ試験をパスして、検察官の方がいつも下積みになるというような、ことは、士気の上にも影響をするおそれもあると思うので、最高裁判所長官最高裁判所判事というようなものの位置をはつきりすることは、これは国家の権威において、法令審査などを持つた立場からもよいことである。しかし、下級裁判所とは言いませんが、普通の裁判所判事検事の立場がこう開いておるのは、これは何かもう少し是正するような必要はないか。また何を基準にして判事の最高級を六万九千円に、検事の最高級を六万二千六百円としたのか。これは一般職の七十号に当るから、判事の最高級とする基準をとられたとお答えになるかもしれませんが、しからば検事の最高級も今の一般職の七十号の六万九千円のところまで上げていいじやないか。私は最高裁判所の場合は別と考えたい。これは裁判の権威を尊重する意味から、あなたのお説の通りうなずくのですが、普通の判検事の場合にこういう差等がついているということは、これは非常に了解に苦しむところであるのです。基準をどこに置いたか、ひとつ承りたい。
  16. 宮下明義

    宮下説明員 検察官側を代表いたしまして、法務省人事課長としてお答え申し上げますが、ただいま御質問のございましたように、私といたしましても、最高裁判所長官最高裁判所判事というものが、一般裁判官検察官よりも一段高い俸給を受けるということは十分了承いたします。しかしながら、一般判事検事差等をつけるということは、検察官全体としては了承しておらないのであります。最初裁判官俸給表、検察官俸給表ができます際も、検察官陣営全体といたしましては、かつて判事検事として、同じ司法官試補から一方は判事になり、一方は検事になつて同じコースをたどつて来たものである。現在におきましても、同じく司法修習生二年を経まして、片方は判事補になり、片方は検事補になりまして、一面は裁判、一面は検察ということで、同じく司法に関係した仕事をしておるわけでございまして、しかも検察官はもちろん性格的には行政官でございますが、やはり司法官的な行政官でございまして、これはどこの国でもクワジ・ジユデイシヤル・オフイサーと申しますように、裁判に直接関係を持つている行政官である。従つて裁判官よりも、その識見において、その能力において低いものであつてよいということは、どこの国でも言つておらないと思うのであります。そのような検察官の職責の重要性から申しましても、また任用制度の現在の形をとつておりますことから考えましても、普通の裁判官検察官というものは同じ俸給であつてしかるべき性格のものであると、私どもは考えておるわけであります。しかしながら、占領下に裁判官検察官俸給体系ができました際に、はなはだ遺憾ではございますが、一段ずれてできてしまつたわけであります。これを直すことはなかなかむずかしいことでありまして、私どもいろいろなことは考えておりますが、今度国会に出ております法案も、やはり現状をスライドした形で政府から提案になつておる次第でございます。
  17. 受田新吉

    受田委員 人事課長から私と同意見を述べていただいて、私はたいへん満足します。この点、判事なつた場合よりは、検事なつた方が低い線におるのだというような印象を検察官が受けるというだけでも、日本の検察事務が停滞するおそれがあるのであるから、判事検事は同じコ—スで、しかも学歴も同じ、資格も同じ、そうしてそれから先の努力も同じほとしておつて、一方は六万九千円の線まで行き、一方は六万二千円までしか行けない、こういうよう情勢は非常に不合理で、この点は政府としては、もう独立国になつて何も制約を受けることはないのですから、検察官地位を保全するために勇敢にこの切りかえをするよう努力してもらいたい。特に判事検事のような人たちは、清貧に甘んじてその職務執行に努力し、中には公明な生活をしたあまりに遂に死んで行つた判事があるようなときであるし、また検察官にしても世の多くの注視を浴びて行動するがゆえに、その職務の遂行にあたつて役得を得るということも全然できない、世の師表にならなければならない人々ですから、こういう人々に判事検事のわかちなく優遇の道を講じてやるということは、独立国の名誉にかけても大事なことであると思うのです。ここを政府としては十分考えていただきたいと思います。
  18. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 私ども学校を出ましてから同じ試験を受けて、そうして私どもの仲間の一部は検事になり、私ども判事になる、あるいは弁護士になる、そういうようなコースを考えてみますと、私どもは現在の検事内容裁判官より下だというように考えてはおらないのです。われわれのやはり愛すべき親しみを持つた同僚であり、われわれとできるならば同じ俸給を持つた方がいいということはわれわれ個人的な考えとしてはもちろんそう考えておるわけです。けれども検事判事を同じ俸給に制度の上で置いていいかどうかということは、これはまた別個の考えをしていただかなければならない事項じやないかと私は思うわけです。ここにおる宮下君とは年来の友達でありまして、検事俸給を私は下げろという意味で申し上げるのではないので、その点は御了承を願いたいわけなんです。もちろん法律家の生活でありますから、判事裁判をする場合と検事が公訴をし、そうして公訴の維持のために努力をするというその働き、その作用というのは、きわめて近接しておる作用で、いわゆる法律家、広い意味で言えば俗に司法官の仲間に検事も入ることは言うまでもないわけです。けれども今も宮下君から申されましたように、検事はその本質においてはやはり行政官なんです。ですからいわゆるピラミッド型の組織体をなしておりまして、組織体としての力をバツクにして個人が働き得るわけなんです。たとえば地方検察庁検事がある起訴をするかしないかというような場合に、自己の能力だけで判断をするには当らないので、最高検の検事総長まで行つてその力を借り、そのバツクを自分の力として事務を処理してかまわないわけなんです。いわば個人でなくて。ピラミッド型の組織体というものが力の作用になつておるわけなんです。ところが裁判官は、そういうことは裁判の作用の上ではとうていできない。それをしたらこれこそゆゆしき一大事であります。もちろん本を読み、他人の説を抽象的に聞くということはいたしますけれども、その全責任はその裁判官一人、会議体の場合は三人で背負つてやらなければならない。いわば個人が全能力を尽して働かなければならないというところに、裁判官の性格なり責任というようなものがあるわけなんです。この点はやはり検察官との最後の一線を画すところだと思うわけです。ですから民主主義国におきましては、検察官裁判官より劣つているというようなりくつを言う者は一人もございませんけれども裁判官より検察官は実際の能力においては、まだ若い者がしておるわけなんです。で将来の日本の裁判所を、どういうように理想的に持つて行くかということは、これは裁判所ばかりが考えるべきでなく、日本全体の、議会あるいは行政府の方の力も借りなければならないものなのですけれども、そういう方向に持つて行くためには、やはりその方向への考慮をも払つて、制度の上ではやはり差等を設けて置くべきではないかと思うわけです。ただいまは事情が若干かわりました。これはおそらく戦後裁判官の報酬が検察官より上つたためだろうと思うのですけれども、戦前のある時期には、判事志望よりも検事志望の者が非常に多かつたことが年々続いておつたわけです。そういう実態をも見ますと、私はやはり裁判官俸給検察官より制度の上では差等を設けておいていただいた方がいいのではないか、はなはだ我田引水の感があるかもしれませんですが、そういうように存じております。
  19. 有田二郎

    有田委員長 この際委員長としてお尋ね申し上げたいのは、菅野官房副長官に、今の受田委員質疑に対する政府のお考えを承りたいと思います。
  20. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 この問題は占領期間中からすでにいろいろ各方面で論議されておつた問題でございまして、独立後早急に考えなければならない問題でございますので、お聞き及びの通り、沿革的なりあるいはまた本質論的な議論がございまして、もうしばらく研究させていただきたいと思いまするが、いずれにしましても、御質問の趣旨に沿うように政府といたしましても努力して、早急に解決をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  21. 竹尾弌

    ○竹尾委員 各検察庁に副検事、簡易裁判所判事が置かれておるのですが、これらの人々の給与は、大体どんなぐあいになつておりますか。
  22. 宮下明義

    宮下説明員 副検事につきましては、一号から十四号までわかれておりまして、一号は、現行月額が二万六千二百円、十四号が九千六百円となつております。二万六千二百円は、今度一般職のスライドと同率で三万五千九百円、十四号が一万一千五百五十円という改正法案を本国会に提出してあるわけでございます。
  23. 竹尾弌

    ○竹尾委員 級の方は一般職の何級くらいに当りますか。
  24. 宮下明義

    宮下説明員 副検事の一級が一般職の十三級四号に該当いたします。それから一番下の副検事の十四号が、一般職の八級二号に当つております。
  25. 竹尾弌

    ○竹尾委員 簡易裁判所判事の方はどうですか。
  26. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 簡易裁判所判事の号俸数は、現在一号から十五号までございます。一号は現行で三万七千三百円、十五号は一万一千円になつております。
  27. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これらの人々は、たとえば副検事の場合には検事にはなれないのですね。それから簡易裁判所判事の場合は、これはどうでございましようか。
  28. 宮下明義

    宮下説明員 副検事は、検察庁法に基きまして裁判関係のあります二級官、ずつと古いことを申し上げますれば奏任官に当りましようが、この二級官を三年以上やりまして、副検事の選考審査を受けて副検事に任命されるわけでありますが、副検事を三年いたしますと、検察官特別考試令というのがございまして、大体司法試験と同じように、各大学実務家等の法律専門家を委員にお願いいたしておりますが、大体司法試験と同じ委員の方に、同法試験と同じような程度の各法律の科目の試験をしていただきまして、その試験に合格いたしますれば検事になり得るのであります。但し現在の法制では、これらの検事には弁護士の資格を与えることにはなつておりません。
  29. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私のお尋ねしたかつたのは実はその点でございまして、ただいま受田委員からもセクト主義云々というような話がありまして、この弁護士の資格をとるということについてはいろいろ議論があるようでございますが、その点で副検事の将来等と考えて、これらの検事になられた人には、弁護士の資格を与えるというようなお考えはないでございましようか。
  30. 宮下明義

    宮下説明員 法務省といたしましては、副検事は一応別といたしまして、副検事の中から、三年以上副検事の経験を積んで検察官特別考試に合格して検事になりました以上は、同じ司法修習生を通つて参りました者と同じように弁護士資格を与えられてしかるべきものであると考えております。検事の中で片方は弁護士資格のない検事、片方は弁護士資格のある検事という二色の検事ができるということはおもしろくないことでございまして、また実質から申しましても、いやしくも検事になる以上は弁護士資格が与えられてしかるべきものというふうに考えておりますが、弁護士法、弁護士会等のいろいろな関係もございまして、まだその実現の運びにまでは至つておりません。
  31. 竹尾弌

    ○竹尾委員 簡易裁判所判事の場合はどうでございましようか。
  32. 鈴木忠一

    鈴木最高裁判所説明員 簡易裁判所判事の中には、すでに判事を終えて、つまり年齢が六十五歳を過ぎたために判事をやめて簡易裁判所判事になつておる者がございます。それからそのほかに、司法試験を通つておるけれども判事になるだけの十年の期間をまだ修業していないために、簡易裁判所判事になつている者がございます。これらはもちろん期限が十年来れば判事になれるわけであります。それからもう一つは陸海軍の法務官、これはもちろん司法試験を通つておりますけれども法務官の年限が裁判官の資格に通算されない現在でありますから、やむを得ず簡易裁判所判事になつているというのが若干ございます。それ以外に裁判所に、たとえば少くとも二十年以上ぐらい勤めておつた者の中から試験をやりまして、それを簡易裁判所判事に任命する。この者は、今まで申し上げた者と異なつて、年限が参つて、も現在の法律のもとにおいては、やはり弁護士になれない、そういうぐあいになつております。それから最高裁判所としましては、最後に申し上げたいわゆる特任の簡易裁判所判事について少くともある年限簡易裁判所判事として勤務した者に対しては、立法的な措置によつて弁護士の資格を与えていただくようにしたいものだというようなことを考えておるわけですけれども、さいぜんも説明がありました通り、おもに在野の方のかなり強い反対のためにはばまれているような関係になつております。
  33. 竹尾弌

    ○竹尾委員 わかりました。
  34. 森三樹二

    ○森(三)委員 先ほど受田君からいろいろ質疑が行われましたが、私は結論的には大体受田君と同じ意見を持つておるのです。私はこれから裁判所検察側に質問しようと思わないのです。先ほど菅野副長官から答弁がありましたが、もう一度菅野副長官質問したいと思うのです。ということは、私たち検察官あるいは裁判官に会つていろいろ話しますと、同期に大学を出て試験を同じに通つて、そして一方は検事になり一方は判事になつておる。おれらの方はなぜがゆえに安い給料にされているのか、非常な矛盾じやないかということをしばしば言われおります。しかも終戦後の国会において判事検事の代表がそれこそ陳情といいますか、デモじやありませんが陳情に参つて差等を設けられては困るということをしばしば言われおる。そのとき私も法務委員をやつておりましたが、応接にいとまがないほどやかましかつた。なるほど憲法によつて最高裁判所長官は総理大臣と同額に規定されております。裁判官の報酬等に関する法律の一部改正案を見ると、最高裁判所長官は十一万円になつております。従つて総理大臣と同額に取扱われておる。このことはこれでよろしい。ところがだんだん下を見て行くと、東京高等裁判所長官給料は八万二千円、東京高等検察庁検事長の給料は七万八千円で差等がついておる。それから判事の一号俸は六万九千円、検事の一号俸は六万二千六百円、こういうように頭からずつと差等がついている。さつき裁判所人事局長の方から、検察官は、自分が一つの問題を解決しようと思つても、高等検察庁あるいは最高検察庁の方で、法務総裁に稟議することができるので、責任がそこで薄らぐじやないかというようなお話がありました。担当検事がやつている場合にはそういう機構になつているけれども、しかしその担当した検事は、自分が調べた人間を起訴するかしないかということで、上からにらまれたり干渉されるだけによけい神経を使つている。かえつて裁判所は不鶴独立で、自分の判断でもつて判決書を書けばよい。この意味から行げばどちらが苦労しているかわからないです。しかも検察官は、もう下から詐欺、窃盗いろいろな事件を一ぱい持つて来られて、東京の検察庁へ行つてもいなかへ行つて仕事が山積していますよ。とてもやれるものではない。むしろ私は、自分の過表二十年の長い弁護士生活を通して見ましても、どちらの人が仕事をやつているかというと、検察官の方がよけいやつていると思います。これは争われない事実です。最高裁判所長官検事総長との差等はよろしいとしても、判事検事一号からの差等というものは私はやはり撤廃しなければいかぬと思う。どこの検察庁へ行つても、裁判所へ行つても、その問題でもつて実にやかましいのです。もう検察庁なんかへ行くと、どういうわけで国会ではわれわれだけを冷遇するのだ、自分と同じ大学を卒業して、同じに試験を通つて、同じ年数勤めているということを口をすくして言つている。それから最高裁判所人事局長は、裁判所の不離独立から言つてやはりおれたちの方が検察官より上の方にしておこうというような意識的な説明を加えておられたように思うが、これはきよう始まつた問題ではない。もう五年も六年も前からの問題であつて、何ぼ裁判所検察庁議論しても尽きない。これはやはり国会が自主的に解決をしてやるより方法がないと思う。で菅野官房副長官に対して、目下そうした問題も検討していると言われましたが、私はただいまの卑見を述べて、政府におかれても今後こうしたものに差等を設けないようにすることが大事だと思いますので、それについてなお御答弁を願いたいと思います。
  35. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 御質問の御趣旨、先ほどもお答え申した通りまことにごもつともであると政府も考えております。早急にこれを何とか調整解決をいたしますように、政府といたしましても努力をいたしたいと思いますが、国会関係におかれましてもぜひ御協力を願いたいと思つております。
  36. 有田二郎

  37. 受田新吉

    受田委員 保安庁職員給与法の一部改正を、きようゆつくり拝見をしたのであります。その拝見をしたところによると、第十一条の第一項及び第二項の改正の項に、但書のところで、「但し、政令で定めるところにより、期間を分けないで、月一回にその全額を支給することができる。」とありまして、次長、官房長及び事務官等の俸給は、月の一日から十五日まで及び月の十六日から末日までの期間について、半分ずつやる場合の例外として、政令の定めるところによつて期間をわけないで一ぺんに全額を支給することができると書いてある。ところが一般職職員給与に関する法律の中には、それが十六日以後人事院規則の定めるところによつて支給するとあるのです。ここに同じ政府の職員でありながら、保安庁職員は政令で一ぺんに、十五日以前でも支給されるのに、一般職の方は十六日以後に人事院規則で支給される、こういう大きな差等がついておるのでありますが、この理由はどこにあるか。保安庁の方と、それから政府の責任者の方に御答弁をいただきたいのであります。
  38. 加藤陽三

    加藤政府委員 お答えを申し上げますが、第十一条の改正は、今まで保安庁職員のうちで、事務官、技官というふうな方々で、部隊に勤務しておられる方があるのであります。その方々に対しましては、今までは第十一条の第二項の方の俸給の支給の方式をとつてつたのであります。それを今回改めまして、他の一般職職員と同じように、月の一日から十五日まで、月の十六日から末日までの二回払いにすることを原則とするというところに、改正の主眼があるのございます。この但書につきましては、一般職職員給与に関する法律の方で、第九条でございましたか、これと同じような趣旨のことが書いてございまして、その方におきましては、人事院規則で定めるところによりまして、人事院の承認を受けた場合において、月一回その全額を支給することができるということになつておるのであります。私の方は特別職でございますので、直接人事院規則で規制せられるということはないのでありますけれども、実質的には一般職職員と、こように点につきましては同じような扱いをしたいと考えておるのでありまして、人事院規則の方がきまりました場合におきまして、その内容と見合いまして、実質的に同じような扱いに持つて行くようにしたい、かように考えておるわけであります。
  39. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 御質問の御趣旨は、一般職の方は、一回に払う場合に、十六日以後の人事院のきめる日というふうになつておるが、保安庁の方は政令で定めるところによつて、いつでもいいように法律的にはなつておるではないか、その違いはどういう理由かというような御質問じやないかと考えるのでございます。ただいま人事局長からお答えもありましたが、法律的には保安庁の方は別に制限がないのでございますが、政令を定める場合におきましては、これは一般職でそういう例外をつくります場合に、人事院と相談して、人事院の承認を受けてやるわけでございますが、それとまつたく同じことを政令できめたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、いかにも何か特に上旬にやれるように故意につくつてあるのじやないかという御疑問が起るかもしれませんが、そういう考えは全然ないので、ございまして、あくまで政令でもつて一般職と調和をとりたい、かように考えておる次第であります。
  40. 受田新吉

    受田委員 この条文の上から見て、政令と人事院規則というのは、これはいずれも法律に準ずる重大な国家の意思になつて来るわけなんですが、これは国会が政令に委任して人事院規則にまかせてしまつたら、人事院がどういう規則を出しても、政府がどういう政令を出しても、それに対してはこれは法律的にも有効なものでありますから、少くとも政令で定めることになる以上は、期間をわけないで月一回全額支給できるという保安庁職員給与法の改正案と一般職の方の改正案の「その月の十六日以後の日のうち人事院規則で定める日」と書いてあるのと比較するときに、これは同じわだちにかけるわけに行かないのです。だから但し十六日以後の日のうち政令で定めるところにより、とこうやるならば、これは二つが対等の立場でよいと思いますが、一方は日をきめないでいつでも出せるような政令であつて、これは政府が話合いをするにしても、法律の文章の上からは大きな差違がつけてあるのです。これをこのままで今の官房長官のお説のような形で容認するということになると、つまり同じ政府の意思から出た一般職の方は、十六日以後人事院規則にまかせる、一方はいつでも出せるような政令にしておくということになる。これは十六日以後という人事院と同じような態度をとられるならば、はつきり十六日以後に政令で定めるところとやればよいのであつて、この二つが出発が違つておるというとこに、非常に矛盾があると思うのであります。これに対して御答弁をいただきたいのであります。
  41. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 御質問まことにごもつともでございます。多少の理由になると思いますことは、人事院規則の方は人事院限りでできのでございまして、これは法律的にそういう制限を与えておいた方がよいということも言われるのでございますが、政令になりますと、保安庁あるいは一省の自由にならないのでございまして、必ずこれは閣議を経ましてきめなければならぬことになりますので、その辺多少人事院規則よりか、むずかしくなつて参るわけでございます。しかもこの点につきまして政府といたしましては、一般職職員と同じ取扱いにするということは、これは方針としてきまつておるところでございまして、決して上半期に支給しようという考えは、毛頭ないことははつきり申し上げられます。しかしながら法律上は確かにその点が欠けておるということは御質問の通りでございます。
  42. 受田新吉

    受田委員 法律上欠けたものを認める法律ということは許されないことであつて、われわれとしても政府がそういうことがわかつてつても、なおかつ十六日以後というものと、それから特にそれをきめないのと、二つの線で出されるということは、非常にわれわれとしては矛盾があり納得ができないと思います。私たち保安庁職員を武官と考えていないのだし、一般の国家の公務に従事する同じ立場であるということで考えておるのであつて、決して軍隊ではないという前提のもとで、われわれはこれを審議しておるのでありますから、保安庁職員を優遇し、一方を軽視する、——人事院規則の方は、いつ人事院がどんなことをかつてに三人の人事官できめて出すかもしれぬ、こちらの方は閣議で全部の大臣が話合いをするのだから、そそうはないというその差等をつける基準が、そこにあつたようでありますが、そうすると、人事院軽視ということになるわけである。明らかに政府はかねてから人事院軽視の傾向があるということを——今日もここで、人事院規則は軽く出る、政令は非常に重いものと、ここに差等をつけて示されたわけであります。人事院規則というのも政令というのも、その重みにおいては同等に考えていいと思う。人事院規則は軽いものだ、三人の話で済む、閣議は十数名の閣僚でやるのだから、重大な重みがある、こうなると、われわれ法律で委任していたところは、人事院規則も政令も比重を同じように考えているのであり、また一般職職員の方は、軽い人事院規則にまかされており、保安庁職員は重い政令にまかされておるということになつたら、一般職職員保安庁職員とに軽重がつけられているのであつて、国家の大部分を占める一般職職員は軽い人事院規則で押えておき、少数の保安庁職員は重い政令で規定する、ということに、まことに私は危惧を抱くものでありまするが、これについて答弁をいただきたいのであります。
  43. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたことは、決して人事院規則を軽く見るという意味ではないのでございます。保安庁職員に対しては、御承知の通り人事院規則が適用になりませんので、やむを得ず政令できめるのでございまして、最初にお答え申し上げました通り、あまり深い理由にはならないかもしれませんが、制定の手続の上におきましては、相当慎重になる。しかしながらその間に効力とか、ちるいはその価値の軽重というものを考えているつもりは全然ございません。およそ公務員のことに関する人事院規則は、政令と同じであるというふうに考えておる次第でございます。
  44. 受田新吉

    受田委員 法律を作る技術の上で、これを十六日以後政令で定めるところによる、とやつてはぐあいが悪うございますか。
  45. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 これは、はつきりするためにそれを入れることは、よりよいことであると政府も考えております。
  46. 受田新吉

    受田委員 しからばこれを、政府の要望の線を、こちらの方で修正案として国会へ出された場合には、政府了承されますか。
  47. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 もちろん了承いたします。
  48. 受田新吉

    受田委員 保安庁職員の勤務は、非常に特殊な任務を持つている場合があると思います。それは特に国家の治安の確保のために、人命の保護のためにその出動を命ぜられるということが、保安隊の基本的な性格になつておるのでありますが、そういう場合にどういう手当を出すのか、これは国警とかあるいは海上保安庁職員とか、あるいは監獄の職員とかいつたような特殊任務を持ち、生命の危険にさらされる率の多い職務人たちとも考え合わせなければならないのでありまして、こういう立場の人たちに対する感覚のほかに、さらに今のような特殊任務を持つた出動という場合に、——これは国外に出動ではありません。国内に出動という規定がある以上は、それに対する手当というものは、どういうふうに考えておられるのでありましようか。
  49. 加藤陽三

    加藤政府委員 保安庁職務が、ただいま御指摘になつたような、非常な場合においてその任務を尽すのが、本来の使命であると思うのでありますが、その場合の手当の規定の規定は保安庁法で行くことは御承知の通りでございます。出動の場合について特別な措置をするかどうかということにつきましては、いろいろと研究をしなければならない問題も実はあるのでございます。御承知と思いまするが、保安庁職員給与法の第三十条におきまして、「保安庁法第六十一条第一項又は第六十四条第二項の規定により出動を命ぜられた場合における職員給与及び災害補償等に関し必要な特別の措置については、別に法律で定める」ということを規定しておるのでございます。保安庁法第六十一条第一項と申しますのは、内閣総理大臣の命令によつて出動する場合であります。第六十四条第二項と申しまするのは、府県知事などの要請に基きまして、内閣総理大臣が必要と認めて出動させる場合でございます。しかしながらこれらの事柄は、恩給の問題、退職手当の問題、国家公務員全体の災害補償の問題等とも関連をいたしまして、いろいろ研究しなければならない事項もありますので、当時保安庁職員給与法を立案制定いたされました場合においては、別に法律で定めるというその趣旨だけをうたいまして、具体的なことはまだ決定するに至つていないという状況でございます。
  50. 受田新吉

    受田委員 すでに保安隊の前身である警察予備隊が、昨年のルース台風その他において出動をしておる事例は幾つもあるわけですが、そういう場合の給与は何を基準にされているのか、これから今定められようとする基準も、そういうものを参考にしておるのか、これもお伺いして、今そうした特殊任務を持つて出動される場合における特別の給与についての大体の構想というようなものがあるのではないか。そうドいう場合でなければ、その日が来なければできないというのでなくて、すでに昨年あたり出動しておるのでありますから、その事例に基いた——その事例を極度に変更をするわけには行かないでしようから、過去の事例に基く特別給与というものをお伺いしたいのであります。
  51. 加藤陽三

    加藤政府委員 ただいま警察予備隊の当時におきまして、予備隊の出動があつたというふうなお話があつたのでありますが、あれは主として鳥取の火災でありまするとか、また災害の起りました場合におきまして、救援のために実は行つたのでございます。土木工事その他の救援のために出て行つておるのでございます。この保安庁職員給与法の第三十条に書いてありまする保安庁法第六十一条の総理大臣の命令による出動の場合でありまするとか、第六十四条第二項の規定による府県知事の要請に基く出動というふうな場合につきましては、いまだこれに準じたように例は、警察予備隊の当時においてもなかつたのでございます。この災害のために出ました場合の給与につきましては、特別なものを出そうということはただいまのところ考えておりません。
  52. 受田新吉

    受田委員 この保安官あるいは警備官の俸給が日額になつておる理由はどこにありますか。
  53. 加藤陽三

    加藤政府委員 これは昭和二十五年に警察予備隊が創設せられましたときに、最初給与体系につきまして、いろいろと研究をしたのでございます。その当時部隊の移動と申しますか、教育訓練等のために部隊の移動を、これは保安隊そのものの性格から申しましても、相当あるのではなかろうか。それに会計の職員等も急に慣れた職員をたくさん採用するというわけにも参らなかつたのでありまして、給与の計算が非常に複雑になる、間違いのないことを期さなければならないというふうなことが主たる理由でありまして、日額にいたしましてあと払い、一箇月分の給与をその給与期間の満了後において精算をして払う。概算払いのようなことをいたしませんで、精算をして払うということにしたのでございます。
  54. 受田新吉

    受田委員 これはちよつと理由があいまいだと思うのですが、この保安官、警備官というものは、一般事務官と比べてやはり常時勤務しておるものであつて、日々雇用の人たちとは違うのであつて、しかも日額で日曜は払わないというのではなくて、ずつと月を通じて払つておるわけなんですから、まつたく月給と同じ性格です。その月給と同じ性格で、しかもその支払いの技術の問題なども今は解消しておると私は思うのですが、こうした別の表をつくるという複雑化を避けて、これが一般の国家公務員職務との比率の土から見ても一等保安正はどこへ当るか、二等保安正はどこへ当るかというところをはつきりする必要があるし、事実もう一等、二等保安正以上の上級の職員は、一般公務員の中の課長以上の職務をとつている人と同じところへ行くのですから、そういう意味からもこれを月額に直すというときが来ているのじやないでしようか。この点一般に比較して何かここに特殊の任務を持つたような感じを与えて、それでなくても国民の疑惑を受けるときに、一等保安正あるいはそれ以上の人は、各省の各局長以上のところに当るのだというので、通し号俸のどこに当るということをはつきりさせておく必要がないのでしようか。
  55. 加藤陽三

    加藤政府委員 保安官、警備官につきましても、一般職職員との均衡をとるということは当然考えておるのでございまして、この俸給表の算定の際には、一等保安正の俸給一般職の十二級一号に相当するところから始める。あるいは保安監の方は十五級の一号に相当するところから始めるというふうに、実質的には均衡を考えております。ただ先ほどもちよつと触れて申し上げましたが、部隊の移動が相当にある。勤務地がかわることが相当多いというようなことで、給与の計算もなるべく単純化して、間違いのないようにいたしたいというふうなことから考えまして、ただいまのところは俸給の計算にあたりまして勤務地手当、超勤手当というようなものを別に払わない。込めて払う。それから恩給のごときでありますとか——これはちよつと例が違うのでありますが、共済組合の掛金に相当するものを控除している。しかし共済組合の掛金に当るものを控除するということにつきましては、保安隊、警備隊につきましては、その部隊におきましてある程度の医療機関を持つておりますので、国自体が医療を行うようにするというふうな事情もございまして、共済組合の運営上医療費の負担に相当する分は俸給から差引きまして、国の方でその医療を見るというふうなことからいたしまして、特別な計算方式をとりまして算定をしておるような次第でございます。一般職との均衡をはつきりするという点から申し上げますと、お説のようなことになるのでございまするが、今言いましたような給与の計算を単純化したい、それから医療費の部分を控除したいというふうなことから考えまして、ただいまのような計算の方法をとつておるような次第でございます。
  56. 受田新吉

    受田委員 給与体系としては月給制を納得していただいておると思います。それで今までの保安官、警備官は、一般公務員の中から転出して行つた制服でない幹部、一等保安正、二等保安正、保安監あたりもみなそれですが、そういう人が多数おると思うのです。そうして元軍人の中から中佐クラスを採用して、こういうところへ持つて来たのが相当おる。そうするとこの一般から制服になつて行つた人たちが、また一般へ返つて行くというような場合に、日額から月額、月額から日額、こうなるとこれまた非常に混乱を来すのでありますが、もうこうした俸給体系というものも全体を通じて国民が納得するような線にしておく方が、政府としてはこれは非常に国民に親切だと思うのです。転出する場合、移動する場合というものを考えて行くといつても、その月の月給は同じことなんですから、階級においては同じなんだから、月額を日額にかえる必要がない。それからこの間も菅野さんが政府を代表して、一般人から一等保安正とか、二等保安正とか、制服にかわつた人は、またいつでも一般に返れるのだから、別に制服になつたからほかの方にかわることができないというようなことはないのだ、いつでも必要なところへ保安官からかわつて行けるのだ、こういう御答弁があつたわけです。そうなると今そうした保安隊の幹部をしておつた人が、またほかの政府職員にかわつて行くという場合に、もう一ぺん制服になつたから出られないのだ、それからこのときの給料は日額から月額にかわるような非常に複雑な事情もあるから、技術的にもなかなかむず心しいのだということになると、もうこれは完全に保安隊というものは一般とはわく外に出たことになるのでありますが、こういう点についてできるだけわれわれは保安隊が現状において国民から離れない、特殊の任務は持つておるが、しかし一般の文民であるという意味から、これを見て行きたい。こういう観点からも俸給の問題、それから人事交流の問題、こういう問題についてひとつ一般公務員と同じ系列にこれを持つてつてもらいたい。この点についての御意見を伺いたいのであります。
  57. 加藤陽三

    加藤政府委員 人事の点でございますが、これは先般菅野副長官からもお話なつたということでございますが、大体同様に私どもも扱つておるのでございます。現に警察予備隊当時に他の省から参られました方で、また他の省にお返りになつた方も相当ございます。その後他の省から入つておられる方も相当あるのでございまして、ただ任務は違いますけれども一般と同様の存在であるというふうに、人事の上では区別しておらないのであります。俸給の点についてのお話でございますが、これは先ほどから申し上げておりまする通り、各階級ごとの俸給につきまして、一般職俸給の方と対応する号俸給というものは私どもつておるのであります。でありますから、保安隊、警察予備隊から他官庁にかえられましても、その方の俸給の算定決定につきましては、さほど困難があるというふうには感じておらないのでございまして、この給与体系全般につきましての御意見は、私どもただいまのところでは、これは先ほど来申し上げましたと同じで、日額の特別の俸給をきめておるということを御了承願いたいと思います。
  58. 受田新吉

    受田委員 この一般職職員給与法の中には、第二十五条に罰則があるのです。ところがほかの関係給与法には罰則がないのであります。これは政府として一般職職員給与法には、支払いを違反してやつたとか、あるいは支払いを拒んだとか、あるいは故意にそれを容認したとかいう場合に、一年以下の懲役や三万円以下の罰金に処するが、保安庁職員給与でそれを行き過ぎて払つたとか、それを知らぬ顔をしてねこばばをしたとかいうときの罰則がない。こういう給与法の罰則がただ一般職にだけある理由はどこにあるのでしようか。二十五条の罰則規定が他にないということです。一般職だけが厳重に処分を受けて、ほかの者は処分を受けないという、何か附則にそういうことが書いてあればいいですけれども、それもないのですから……。
  59. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 法制局の方からお答え申し上げるべきでありますが、私の聞いております範囲内におきましては、これは特別な理由はないようであります。もともとこの一般職職員給与に関する法律は、占領期間中にできた法律でございまして、その当時は一々法律を出すのにアプルーヴがいつたのでありますが、これを司令部の方としてはどうしても入れて、その給与の支払いを確保するようにという意見でこれをつけ加えられたのでございますが、特に他の法律にないという積極的な理由は、今私伺つておりません。
  60. 淺井清

    ○淺井政府委員 私からちよつとつけ加えますが、一般職職員給与法に罰則がついておりますのは、国家公務員法それ自体において支払いの適正を確保するために若干の罰則を設けておる、それから出て来ておるものだと思われるのでございまして、今官房副長官から申し上げましたような事情で、国家公務員法自体と関係があるからできておる。保安庁職員に対する給与法はその後できたものであるのであります。ちよつと副長官答弁を補足します。
  61. 受田新吉

    受田委員 これは占領が継続しているとすればこういうことがなくて、やはりこの保安庁職員給与法にも罰則を書いたであろうということに、理論を推し進めるとなると思うのですが、この罰則をつけなければならぬということは、これは国家公務員法にその根拠があるということですか、またこの給与法に関して別にしなくても、国家公務員法の方に罰則があるから、法の技術的な立場からは、この根本法がそういうことになつておれば、これで適用になるとおつしやるのでありましようか。
  62. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは国家公務員法の支払いに関する罰則と、それから一般職職員給与に関する法律のお示しの罰則、これはちよつと交わる円のような形でありまして、大部分は重複するが離れておる部分もあります。何となれば、罰則の規定は厳正に適用いたしまする関係上、どうしても隔たりができて来る、こういう意味でございます。こういうふうな問題に関しまして、刑事罰たる刑罰を科することがいいか悪いかということは根本的な問題でございます。明治憲法のもとにおきましては、こういう事犯に対しては、おそらく行政罰にとどまつていたのじやなかろうかと思つております。
  63. 受田新吉

    受田委員 給与に関しての事案というものは、事実上ほとんどこれを罰したことがないというような総裁のお話もあつたのですが、単にここへこういうものを並べて伝家の宝刀をちよつと置いておく、重みをつけるという意味のものではないかと私は思う。そういうものなら別にこういうものを設けなくてもいいことだし、また設ける以上はほかの法律にみな設けるべきであつて一般職職員の方には設けるが、保安庁の方は国家公務員の制約を受けぬからやらなくてもいいんだ、こういうことになると、同じ政府の意図で出された給与法が、保安庁の方については、ねこばばきめても故意に容認して——故意に容認ということは、犯罪をやつたことを認めたということで従犯ということになりますか、今度の刑法ではそういうことをやつても罰しないようになるのかどうか知らないが、しかしこちらの一般職の方は一年以下の懲役、三万円以下の罰金というような相当な厳罰が科される。これは非常に不公平じやないでしようか、保安庁職員給与に関してずるくなる、一方はきびしくなる。ただ保安庁の方は刑法の横領とか、あるいはそのほかの罰則によつて処罰されるということが言えるかもしれませんが、そうなれば給与体系を形づくる一連の給与法を一括して罰則をつくる、または取除くならば、国家公務員法の規定により、または刑法の横領の罪、詐欺の罪ということで十分処分すればいいのだから、これらは別に置かぬでもいいじやないかということになるのですが、これはいかがでしようか。
  64. 淺井清

    ○淺井政府委員 この前私が、過去において一回もこの適用を受けたことがないと申しましたのは、ただこれまでなかつたという問題を申し上げたのであつて、これが将来いるかいらないかは別の問題だろうと思つております。あまりにこれがひんぴんとしているというような状態になつたら、私はもうおしまいだろうと思つております。官庁の規律があります以上は、こういうことはきわめてまれに起つてしかるべきであつて、こういう規定がひんぴんとして適用された事例がないとお答え申し上げることに、おほめのお言葉をいただいてもいいじやないかと思つておりますが、さればといつて、こういう規定を全然なくしてしまつて、やるべき給与をやらぬでもいいんだという事態が起りましたときに、やはり公務員を保護する立場から見ましても、これは置いておく方が今のところいいだろうと思つております。ただこつちにあつて保安庁職員の方にないという点は、これは私の所管外でございますから、これは内閣の方からお答え申し上げた方がいいかと思います。
  65. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 御質問の点、まことにごもつともであると思つております。実はこの法律ばかりではないのであります。占領期間中から独立後にいろいろ法律ができまして、それを横の連絡で見ますと、ずいぶんこういうような例があるのでございます。政府も一日も早くこういう不統一、不合理な点を直したいつもりで、目下法制局を中心にいたしまして、法令整備の研究をいたしておるのでございます。これなんかも一例でございます。あたかも保安庁の方では給料の支払いにルーズになつてもいいかのごとき誤解を招いたことにつきましては、まことに遺憾でございます。この点につきましてはなお至急検討いたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
  66. 受田新吉

    受田委員 この人事委員会には一般職職員の方しか出ない、保安庁の方は内閣委員会に出ておる、裁判所関係法務委員会に出ておる、こういうふうに法律案がばらばらに出されておる。この委員会は広く政府関係職員を対象にしておるのでありますから、政府がそれらに対して統一あるものを持つておるかどうかを確かむるべく、各委員会に出ておる給与関係法律を全部持つて来て調べたのです。もしこれが内閣委員会で審議されればごもつともだということで片づく、人事委員会でもごもつともだということで片づく、こういうふうになりますが、一方には罰則があり、一方にはない。一方は占領下からの継続の法律であるから、二十五条削除という提案をすればいいのです。こういうふうなところは政府としてよほどよく考えてやつていただかないと、不用意の間に国自身が誤りを犯すことになる。また政府の関係機関において支払いが遅延する、月給を払わぬというような場合は、この法律の規定に違反して給与の支払いを拒んだということになるのですから、そういうような場合政府自身たれが責任を負うことになるのかということをここで確かめておきたいし、また淺井総裁のお話した中に、容認を広く解釈するときりがないから、故意にやつた容認だけを罰するというお話があつたのですが、容認ということになると犯罪を黙認したということになるのでありますから、結局犯罪を助けた形で従犯的な性格を持つことになる。そういうものが一年以下の懲役、三万円以下の罰金ということになる。しかしその反対に、法律の規定に違反して給与を支払つた場合または支払いを拒んだ場合に、故意でなくて過失であつても、この法の条文で罰せられるということになるのでありますか、これは提出者が政府でありますから、政府の方の御答弁をいただきたいし、また淺井人事院総裁は全般的に国家公務員動きを監視なさる責任者でありますから、その責任者の立場としておいでいただいたわけですが、特に初めの方に故意がなくて、単に違反だけで、誤つて給料を支払つている場合にも罰するのか、これはどうもはつきりしない点がありますので、故意という作為的なものも、そういうことをしない不作為的なものも合せてどういう立場で、この条文が書かれたかを御説明いただきたいと思います。
  67. 淺井清

    ○淺井政府委員 昨日お答え申し上げたことを繰返すのでございますが、一体こういう刑を定めた規定の解釈につきましては、すべて刑法総則の規定が適用される。これは刑法第八条によつて明らかでございまして、すなわち同条によりますれば、「本法ノ総則ハ他ノ法令二於テ刑ヲ定メタルモノニ亦之ヲ適用ス」という大原則が規定されておりまするからして、ただいまお尋ねの点は刑法総則の規定にかんがみましてこの中に故意のみを含むか、あるいは故意のみならず過失をも含むかということになります。ところが刑法総則の中にありまする刑法第三十八条の一項に「罪ヲ犯ス意ナキ行鳥ハ之ヲ罰セス」但し過失を罰する場合はそれぞれその本条に明記することを必要とするという旨の規定がございます。これは刑法総則の規定の一部でございまするから、この場合にも当てはまる。従つてこれは犯意のある行為を罰するということは、これは刑罰規定解釈の原則だろうと思つております。そこで本条におきましても、まず故意だけを罰するのだというのであります。そこで受田さんの御苦心は容認というところに故意があり、ほかのところに故意がないという、逆の方から御解釈になつて、過失が含まれておるのだろうと仰せられるのでありますが、この容認ということは、これは自分の犯罪行為ではなくて、他人の犯罪行為をとめないというところにあると思います。いわゆる不作為犯という一つの特殊のものなんでございます。でありまするから、その容認ということを明確にいたしまするために、特に故意ということをそこに説明的に加えて明確にしておる、こういうように私は解釈をこれまでいたしておる次第でございます。
  68. 受田新吉

    受田委員 この罰則の適用を受けたものが一人もないという御答弁でありましたので、私は起訴されたものとかあるいは不起訴処分、起訴猶予という事例はないかということをきのう人事院にお調べを願つておきましたのが、まだできておらないようでありますが、そういう事例がどこにあるかを見て、事実この罰則の該当者として取上げられたことはないか、そういうところがどういう事例からあがつておるかというところを見て、政府の支払いの際における今後の反省の種にもすべきではないかと思つたのですが、今資料がないそうですから、これでおきます。
  69. 竹尾弌

    ○竹尾委員 関連というよりはちよつと広いのでございますが、先ほどの私のお尋ね申し上げた件についての続きのようなものですけれども、政府当局にお尋ねいたしたいと思います。先ほど裁判所及び検察当局の方のお答えによりますると、副検事または簡易裁判所判事で長く勤められた相当の方には条件を付してと申しましようか、弁護士の資格を与えるようにしたい、こういうようなお話でございましたが、これは相当前から深刻な問題になつておりまして、現在副検事あるいは簡易裁判所判事を勤められている人は、非常にそれを希望しておるようでございます。しかるに先刻の御答弁にも在野の法曹団等々から非常な反対もあるから、なかなかうまく行かぬというようなお話でございましたが、これはああした人たちの将来を考えてみましても、また現在のあの人たち法律知識からいたしましても、当然ある条件のもとに弁護士の資格は与えるべきが当然だと私は思つておりますけれども、その点につきましては法務関係だけではこれはきまるものではないのでありまして、政府の方でどういう考えを持つておられるかひとつお答えを願いたい。
  70. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 先ほど法務省人事課長からお答え申し上げましたことは、すなわち政府の考えでございます。言いかえますれば検事の中に二つの種類の検事が存在するということは、今後の検察事務をやつて行く上において非常に不合理である。従いましてぜひこれはいろいろな試験等を受けて検事になりましたものにつきましては、同じ資格を持つて一方が弁護士になれるならば、他方もまた同様になれるというふうにいたしたいという考えと、同時にその意思を持つております。従いまして弁護士会の方ともよく相談いたしまして、一日も早く今の御質疑の趣旨に添うように政府も今後努力をいたしたいと考えております。
  71. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それは簡易裁判所判事の場合も同様でございますか。
  72. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 同様でございます。
  73. 竹尾弌

    ○竹尾委員 それは今後とも努力を続けられるというお話でありますが、大体実現される時期をここでお尋ねするのではございませんが、近き将来に実現されるような可能性がございましようか。
  74. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 先ほども法務省からお答え申し上げた通り、この問題は無理にそういう法律国会に提案いたしまして、いろいろな波瀾起すのもいかがと思いまして、でき得れば在野の法曹団とも話をまとめて、あるいはある程度の見解の相違くらいにまでこぎつけてから、国会法律に提案いたしたいと考えております。従いまして相手のあることでございますから、今ここでいつごろということは申し上げかねるのでございますが、政府の気持といたしましては、できるだけ早く話をつけて法律改正に進みたい、かように考えている次第でございます。
  75. 受田新吉

    受田委員 佐藤さんがおいでた機会に、法制意見長官もしていた関係もあるし、また国家公務員法の制定当時の政府委員としても淺井さんとともに御努力なさつた方でありますので、この一連の公務員給与に関しての体系的な質問をしたいと思います。今この給与に関する法律には、一般職職員及び特別職職員は、裁判官検察官保安庁最高裁判所、外交官という関係給与法のほかに、国会議員の歳費等に関する法律があります。ところがただ一つここに国会職員だけには国会職員給与規程というものでこれを認めているのですが、これは立法府の立場から見ると、非常に変則であると思うのでありますが、給与に関するものはこれは重大な事項でありまするので、これを法律に全部すべきものではないかと思うのでありますが、御意見を伺いたいのであります。
  76. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ただいまのお尋ねは、国会職員についてこれが給与規程で定められていることを御指摘になつたと拝承いたしますが、これは受田委員のお考えになつているものと実は考はほぼ同感でございます。できるならば法律できめた方がよくはないかという議論が十分成り立ち得ることと思つておりますが、ただこれは御承知の通りに国会職員法は国会で自主的にといいますか、国会で御立案なつた法制でございますから、われわれとしては実はそれがいいとか悪いとかいうような非難がましいことは差控えたいに存ずるわけであります。
  77. 受田新吉

    受田委員 これは法制局長官としては、法が適正に行われることが必要なんですし、また立法事項を誤つてもならないのでありまするから、正しい意味の御意見として、この国会職員の場合、これが規程で取上げられていることには、これは不都合であるという御解釈をいただいて、私もたいへん胸がすつとしたのです。その点あわせて御質問をしたいのですが、特別職の任にある者の俸給、これが非常に優遇されておるのでありますが、その中で職務内容俸給とのつり合いがはつきりしないような場合もある。それからちようどこれが他の省の、たとえば国会職員の場合と、それから特別職職員の場合との対等の立場にあるような職務の比較をした場合にふつり合いな点がある、こういうようなところを一、二感じておるのです。この点国会法国会職員の規程の中に特別給があげてあるのですが、その中に、事務局の総長がある。この事務局の総長は役員となつておるわけですが、この事務局の総長、それから各議院法制局の法制局長、こういうものは特に高額の給与を受けておる。また各議院事務局の常任委員会の専門員、これはこのほかの関係各省の特別職と比較して妥当であるかどうか、国会の内部における職員ではありまするが、これに対しての比較検討をした結果、国会として独特の存在ではあるが、特別職として取上げてなすべきほどのものではないと思いまして、一言御意見を伺いたいのであります。
  78. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これも純粋の法律論ではございませんから、私の口から申し上げるのはいかがかと存じますけれども、今御指摘のようなことの根本は、新しい国会ができたときから大体そういう建前でできて来て、今日に及んでおるように私記憶いたしております。それについて、この俸給の多い少いをどういう標準できめるかということについては、これは申すまでもなく数字的にどうという割り切つた答えが出るはずがございませんですが、大体職務の責任の程度の問題それから忙しいか、ひまかというような点も、もちろん考慮されると思いますけれども、そういう観点をあらゆる立場から総合いたしまして、このような制度になつておると思います。従いましてこの際それを改めなければならぬというまた積極的の理由がはたしてあるかどうか、はなはだあいまいなお答えで申訳ございませんけれども、まあ私としてはそういう気持を持つておるわけであります。
  79. 受田新吉

    受田委員 秘書官という特別職がありますが、この秘書官という特別職にやはり階等が付せられてあるのです。この最高の待遇が四万幾らでしたか、あれは十四級職に当る給与をもらつているのが最高給でありますが、最低が一万幾らでしたか、この階等が八階等にわかれておる。これは何を基準にしてこういう秘書官の俸給を定めたか、これはやはり人事院の担当でないので、政府の立場から法制局長官として、秘書官に差等をつけたということと、ちようどその該当者がほかの職務のどこに当るというのはどういう理由から生まれたものであるかという点を、御説明いただきたいと思います。
  80. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 大体のプリンシプルを申し上げますと、御承知の通りこの秘書官というものは、その所属しておる、たとえば大臣なら大臣というものと形影相伴うと申しますか、しよつちゆうかばんを持つて一緒に歩いておられるというようなことで、任用関係から申しましても、普通の役人とは違つて自由任用と申しますか、これは昔からそうでありますけれども、その大臣なら大臣が自分の最も信頼し得ると思う人を、自由に任用し得るようにという建前で、秘書官制度というものがそこに築かれておると思います。従いまして秘書官として採用せられる人の幅はそこに非常に広い幅を持つておるわけであります。そういう点から任用の方も比較的寛大な方法で、最も信頼し得る人を自由にとり得るようにということになつております関係から、その俸給の裏づけもむしろその方へ歩調を合して、上下の幅を非常に広くとつてあるというふうに、大体の原則は昔からさように来ておるように私ども思つております。
  81. 受田新吉

    受田委員 秘書官の最高給を十五級の官吏の最高のところに置かなかつた理由は、どこにあるのでしようか。
  82. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 十五級と申しますと、これは今までならば大体次官級と考えるわけでございますが、秘書官の責任と申しますか、その方から言いまして、これはそこまでにする必要はないだろうという考え方が、またここに出て来得るものじやないかというふうに思つております。
  83. 受田新吉

    受田委員 ちようど国会庶務部長も来られましたが、議員の秘書というものの性格にも関連するのですが、議員の秘書は、今度秘書官とのつり合いからベース・アップをしておられるようでありますが、あの一万九千二百円という基準はどこから生れたものでありますか。
  84. 山崎高

    ○山崎参事 秘書官の俸給でございますが、ただいまお話がありましたように、秘書官の方も関連いたしますし、その比較からも見ましたし、それから最初公務員ベースと同じときの議員秘書の月給との差額という倍率もとりまして、その比較検討からも考究いたしましたし、途中におきまして、両院の庶務小委員が研究いたしました結果、さらに上げなければいけないという点から、途中で訂正もいたしましたし、現行の一万五千円になりましてから、今度はそれに大体同率倍率をかけて一万九千二百円でよろしかろう、こういうことに大体議院運営委員会の庶務小委員会では御説明して、御承認をいただいたようなわけであります。
  85. 受田新吉

    受田委員 国会職員の場合、ほかの官庁職員より特別待遇を受けるということも、これは非常に考慮しなければならぬ問題だし、みんなバランスをとつて行かなければならぬ問題なんでありまして、その点におきましても、国会職員給与ども、ほかのものがみな法律でできているのですから、これも規程でなくて、ちやんと法律にして足をそろえるというような、事務局としては用意をされておりませんか。これは今まで院内の問題であるからというようなことで話合いをして行くということは、それはそれで済まぬことはないことではあるが、ちやんと筋を通すという意味で、まだ国会職員給与規程を出しておられませんから——一両日のうちに出される用意があるように伺つたのでありますが、その際に法律としてお出しになる用意はないか、事務局の御意見を伺いたいと思います。
  86. 山崎高

    ○山崎参事 国会職員法の二十五条によりまして、国会職員給料等につきましては「両議院の議長が、両議院の議院運営委員会の合同審査会に諮つてこれを定める。」というふうにはつきり手続きをきめておりまして、それによつて皆さん御異議なく御承認を得ておりますので、ただいまのところ隻と同じ方法で行つた方が、実情に合うだろうというふうに考えております。
  87. 受田新吉

    受田委員 それから事務総長の俸給の基準は、これは国務大臣と代議士の中間の辺にあるようですが、この基準はどこから出たものでありますか。特別職としての役員の俸給基準は、国務大臣と同等でもないし、また国会議員とも違つて、その中間辺に原案では置かれておるようでありますし、また今でもそういうふうになつておるようですが、この理由はどこにあるのですか。
  88. 山崎高

    ○山崎参事 事務総長の俸給のことでございますが、これは最初事務総長の俸給をきめますときに、事務総長は国会法によります国会の役員という点も考えまして、大体議員より少し上のところで、従来の慣例等によりまして、内部で十分御審議の上、御決定願つたわけであります。その最初の基準を元にいたしまして、ベース・アップのたびに、それと同じような方法で上つております。一時国会職員全般が一般職なつたときに、政府から提出されます法律によつてベース・アップが実施されまして、特別職に関する法律の中に、特別職職員給与に関する法律がありまして、あの中に規定があつたのでありますけれども、今年一月一日から国会職員全般が特別職になりましたので、やはり国会職員法によるところの規程によりまして、図書館長、事務総長、法制局長俸給は、従来と同じような基準で規定されておるわけであります。
  89. 受田新吉

    受田委員 これは各省大臣、あるいは次官、または裁判官でいうならば東京高等裁判所長官、こういうようなものと、ずつと各公務員の横のバランスというものを主として考えたいと思うのです。それでぎようお伺いしたわけですが、今のところ事務局の総長の給料は、裁判官でいうならば、東京高等裁判所長官に当るわけになるのではないかと思います。こうした特別職給与が、それぞれの職務の困難の度に応じてなされるというのなら、それで納得できろのですけれども、何か思いつきで、適当なところへはめて行くというような傾向があるのではないか。運営委員会などでいろいろ意見が闘わされて、この辺にはめたらよかろうというような、便宜的な出発であつたのではないか。こうなると私は、給与体系を形成する上に、たいへん遺憾なことだと思います。秘書も、この辺だつたらいいだろう、運営委員会でがさがさ騒ぐから、この辺でよかろうといつたようなさつきお話がありましたが、これは根拠としては薄弱で、少くともこのくらいものにすべきだという筋を通して、給与体系をつくるべきだと思うのです。この点運営委員会の声とか、初めの出発したときの意見で、ついここへ来たというような御答弁に、私はちよつと不満を感じたわけです。これがお手盛りだという批判を受けるおそれも、そこから出て来ると思うので、この点筋の通つた、納得のできる給与でありたいと思うのです。
  90. 山崎高

    ○山崎参事 事務総長の俸給につきましては、図書館長が大体、図書館法によりまして、国務大臣と同額の俸給を受けるということになつておりますし、職務の重要性等を勘案いたしまして、十分研究の上決定いたしたわけであります。議員諸氏の秘書の俸給につきましても、秘書には勤務地手当もつかない、共済給付もないという、いろいろな点から見まして、また秘書を十分に御活用になつておりますところの議員諸氏の御意向等も、十分反映いたしまして、さらにこまかい数字も十分検討した上、議院運営委員会におきましては、慎重なる審議の結果、きまつたわけでございます。急のことでございますので、秘書の、どういうふうにきまつたかという資料を持つて来ませんでしたけれども、大体ベース・アップのたびに、公務員ベースが幾らのときは秒書は幾らというふうに、検討いたしてやつております。御注意の点は今後は十分注意いたしますけれども、なお今までの分につきましても、十分慎重にいたしたということは、申し上げていいかと思います。
  91. 受田新吉

    受田委員 佐藤さんにちよつと最後にお尋ねして終りたいと思います。先ほどから非常に問題になつたのは、法律の最後に罰則をつけてある問題です。これは一般職職員給与に関する法律に罰則がある。ほかのものには全部ないです。保安庁のようにほとんどこれと同じ内容を持つたものにないということについて、政府としても、この不平等は何とか整理して行きたいという御答弁があつたのですが、法制局の責任者として見られて、法の制定の技術の上から、給与法にこういう差等があることに対しては、妥当でないとお認めになりますか。一般職職員給与に関する法律の最後の二十五条に罰則があるのですが、これを基準にして他の法律にもやるかどうか、やるならばみな同じにやればいいし、やらなければこれを削つてしまつた方がいい。こういう点について法制局長官としての御意見をお伺いしておきたいと思います。
  92. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 ごもつともなお尋ねであると思います。非常に平たい気持からいいますと、一般職というものの幅の広さ、数の関係等から、特別職に比べて非常に違うわけです。その重さといいますか、数等の面におきまして相違がある。従いまして、そつちの方の給与関係については罰則をつけ、その他のものにつけなくてもよろしいというようなことが言えるかどうか、一応は申しますが、そういうことは一応は常識的には成立つと思います。ただそういう観点から離れまして、今の問題は一般職職員給与に関する法律の二十五条でありますが、こういうことまで罰則をつけなければならぬかどうかという点につきましては、私は、これは何も政府としてきまつた意見でもございませんけれども、私の気持から申し上げますと、再検討されていいのではないかということでありす。と言いますのは、前からずつと、給与関係のこういうことについて、実は罰則というものなしにやつておつた。その励行の担保というものは、何で担保されておるかと申しますと、給与関係に当つておる者は、当然公務員でございますから、公務員の懲戒関係の厳重な規律のもとに服しておるわけであります。それによつて担保されるのだということが私は言い得ると思います。そういう建前から、御指摘のように、特別関係はほとんど全部罰則がついておりません。翻つてそれじや一般職の方の罰則をはずすかどうかということが次に出て参りますが、これは公務員法そのものの元の方からずつと、いろいろ罰則関係のつながりを持つておるものでございますから、そういう点から、その方はもつと根本的に考えてみなければいけないのじやないかという気持を持つております。従いまして、再検討の価値はあるだろうというのが、私の気持でございます。
  93. 受田新吉

    受田委員 庶務部長に申し上げますが、この一般職職員給与法はこの委員会保安庁職員の分は内閣委員会裁判官検察官の分は法務委員会というように、同じ給与法律案が各委員会にばらまかれておるのです。従つてわれわれのように全面的に研究しようという立場から言えば、保安庁給与の方もこの委員会が担当すべきだし、裁判官検察官の方もここでやるべきだ。そうすれば公平な審査ができるわけです。おそらく保安庁職員給与についても、内閣委員会においては、一般職の方はあまり考えないてすつとやるおそれがある。そういうところから、思わず比較検討の機会を失つて国会の権威を失う場合もあると思いますので、この点今後議運などにおいて、事務局として、今申し上げたように、給与に関するものは人事委員会が担当するのが妥当じやないかということを伝えていただきたいと思います。これで質問を終ります。
  94. 小松幹

    ○小松委員 政府当局にお尋ねいたします。法律案が重大視されて、そうしてそれに基いて予算を配付する考えに立つておるのか、それとも予算をきめて、それに合せて法律案をつけ加えようと考えておるのか、その一点をお尋ねいたします。
  95. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 ただいまの御質問法律が主であるか、予算が主であるかという御趣旨だと思いますが、政府が提案いたします場合におきましては、法律も予算もまつたく同等に考えております。従いまして予算の裏づけの必要な法律は、法律も予算も一体といたしまして、政府の意思を国会に表明する次第であります。
  96. 小松幹

    ○小松委員 過去幾日間にわたつて人事委員会において、この一般職公務員給与の問題について、法律案として質問をいたして来ました。また特別職の問題についても質問をいたしましたが、ややもすると政府当局、各担当大臣等は、この人事委員会にかかつている法案というものに対してウエートをかけていない。もつぱら予算にウエートをかけておる、これがうかがえるのであるが、この点について政府は実績の上から、どのような見解を持つておるか。
  97. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 政府といたしましては、法律を特に軽く見、予算を重く見るという考えは毛頭ございません。ただ予算は非常に関係するところが広いのでございまして、法律は予算等ともちろんうらはらの一体をなしておるもでございますが、中には予算と関係ない法律もございます。従いまして予算委員会の方には各担当大臣がそろつて行くようなこともございまするが、政府の国会に対する考えといたしましては、法律と予算との間に軽重の区別をつけるというような考えは全然ございません。
  98. 小松幹

    ○小松委員 それでは明日の人事委員会において、総理以下、関係大臣を全部この人事委員会にそろえていただけることができるかどうか。
  99. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 出席の御要求があれば、当然政府は出なければならないのでございまするが、しかし実際において総理並びに各国務大臣の都合がつきますかどうか、それは取調べました上でもつて御返事いたします。
  100. 小松幹

    ○小松委員 いよいよ審議も最終段階になつて来ると思います。これに対して労働行政等あるいは万般の政府当局の御声明から考えまして、この法案は最も重大なる意義を持つておると思います。かかる観点に立ちまして、この法案を官房長官が提案してその後そのままになつておる点から考えまして、政府当局のこの法案に対する審議の態度は、まことに不満足でございますので、あすは総理並びに官房長官そのほか労働大臣等全部の出席を願いまして、質問をさらに継続いたして行きたい、かように考えますが、この点について政府当局において、その通り処置していただけますか。
  101. 菅野義丸

    ○菅野政府委員 先ほど御答弁した通りであります。
  102. 竹尾弌

    ○竹尾委員 先ほどお尋ねのありました国会職員特別法につきまして、佐藤長官に聞いておきたいと思います。  受田委員のお言葉にもありましたが、この国会職員特別職にしたという理由については、どうも基礎が薄弱のように思われるのです。これは改めてもよろしいし、それから特別に改めなければならぬという理由もない、こういうような御答弁でございましたが、今国会職員特別職になつておりますが、特別職になつている現在と、一般職であつた当時と一体どのような違いがございまするか、その点をちよつと御回答願いたいと思います。
  103. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 りくつから申しますと、国家公務員法の条文が全然適用がない。そのかわりに国会職員法の適用がかぶつて来るということでございます。さてそれでは国家公務員法の内容と、国会職員法の内容とどう違つて来るかということになりますと、たとえば私の知つております範囲では、今の本人のための不利益の処分でありますとか、あるいは採用の際の、任用手続でありますとか、そういう点が違つていることを私は承知しておりますが、そのほかの大体のプリンシプルにおいては、国家公務員法の原則が踏襲されておると申し上げてよいと思います。
  104. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そういたしますと、理由というのはきわめて薄弱だと思われるのですが、そういう薄弱の理由のもとに、特にこれを特別職にしたということは、われわれにはちよつと納得いかぬのですけれども、その辺はどうでございましようか。
  105. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 これは国家公務員法の系統から申しますと、人事院が中核になつてつて人事院が諸般の連絡統轄の仕事をやつておるわけであります。特別職になりますと、その支配から全然はずれてしまう。そこでたとえば裁判所職員それから今御指摘の国会職員というようなものを特別職にして、はずしておるというような点は、先ほど申し落しましたが、今のようなところからも多少建前が違つて来るわけであります。言いかえれば国会の独自性と申しますか、あるいは裁判所の独自性というような気持も働いて、そういうような特別職制度というものになつて来ておるのではないか、こう申し上げてよろしいと思います。
  106. 竹尾弌

    ○竹尾委員 その独自性というものはきわめて私は薄弱だと思うのです。これが独自性をやや発揮できるということになれば——これは一例ですが、国会職員特別職であるから、ある意味の政治運動も許されるというようなこともあり得るかと思いましたが、そういうことはないわけなんですね。この政治運動のできるのは事務総長である。そうすると国会職員特別法によりますと、どれですか。前と同じですか。
  107. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 一般国会職員は政治運動を禁止されております。ただその中で今御指摘の事務総長などは役員でありますから、よいことになつておりましたかどうか、実は私その方の法令をきよう持つて参りませんものでしたから、はつきりしたお答えはいたしかねますが、一般的には国会職員といえども、政治運動はできないことになつていることは申し上げられると思います。
  108. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと、今のお答えはちよつとおわかりにならぬということでごさいましたが、これはどなたでもけつこうですが、国会職員で政治運動のできる人たちはどういう人ですか。
  109. 有田二郎

    有田委員長 ちよつと委員長から申し上げますが、この規定の中にこういうのがあります。「国会職員の政治的行為の禁止又は制限に関する規程」「第一条この規程は、各議院事務局事務総長及び常任委員会専門員、各議院法制局の法制局長並びに国立国会図書館の館長を除く国会職員に適用する。」というのであります。
  110. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そうしますと特別職になつても、まつたく一般職のときとほとんどかわりがない、ただ人事院からわくがはずれた、これだけの話なんですね、あとは地域給ももらつているし、それから扶養手当ももらつている、何の違いもない、こういうものを特別にこしらえなければならなかつた理由が私にはどうもわからぬのですが、何かはかに含みがあつたのではございま、んか、そんな含みはないのですか。今の法制局長お話だけの理由ですか、それが伺いたい。
  111. 淺井清

    ○淺井政府委員 私からちよつと補足いたしまするが、それでは竹尾さんの御言葉を逆にしまして、国会職員一般職として人事院の所管のもとに置いておけるかどうかということが問題だろうと思つております。人事院のもとに置きますれば、国家公務員法の全面的な適用を受けることに相なりまするが、国家公務員法の第一条第二項によりますると、国家公務員法というのは憲法七十三条に規定する官吏に関する事務、すなわち内閣の事務として規定されておりまする官吏に関する事務を定めた基準である。つまり人事院は内閣の下請としてやつているんだ、こういう観念に相なります。そういたしますると、三権分立の趣旨から見まして、国会裁判所職員を、今度は内閣の下請であるところの人事院の所管のもとに置いていいかどうかということが問題になるだろうと思います。
  112. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そういう名総裁のお言葉ならわかるんですよ。特別職にしたのはそういう理由なんですか。それなら筋が通つております。
  113. 淺井清

    ○淺井政府委員 ちよつと付言いたしますが、昭和二十三年に国家公務員法を改正いたしましたときに、第一条第二項に特に憲法七十三条の基準を定めた法律だということをうたいました趣旨でございます。
  114. 有田二郎

    有田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日の午後一時より開会し、両法案の質疑を継続することといたします。  なおこの際一言申し上げておきますが、衆議院規則第四十七条によりまして、議案を修正しようとする委員は、あらかじめ修正案を委員長に提出しなければないならことになつておりますので、両法案を修正しようとする委員がございましたら、討論採決を行いまする以前に、相当の余裕をもつて、あらかじめ委員長の手元まで修正案を御提出願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十二分散会