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1952-12-12 第15回国会 衆議院 人事委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十二日(金曜日)     午後一時五十九分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 植木庚子郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 受田 新吉君    理事 森 三樹二君       濱田 幸雄君   生悦住貞太郎君       小島 徹三君    松野 孝一君       池田 禎治君    加賀田 進君       小松  幹君    館  俊三君  出席政府委員         内閣官房副長官 菅野和太郎君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         総理府事務官         (大臣官房審議         室長事務代理) 久田 富治君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 十二月十一日  公務員給与引上げ等に関する請願外二件(前  田榮之助君紹介)(第六四九号)  同(中曽根康弘紹介)(第六八一号)  同(安平鹿一君紹介)(第七〇二号)  同(加賀田進紹介)(第七〇四号)  同外一件(田原春次紹介)(第七〇六号)  高田市の地域給引上げ請願塚田十一郎君紹  介)(第六五〇号)  白河市の地域給引上げ請願鈴木義男君紹  介)(第六五一号)  同(白石正明紹介)(第六五二号)  東金子村の地域給指定に関する請願平岡忠次  郎君紹介)(第六五三号)  中郷村の地域給指定に関する請願山田彌一君  紹介)(第六五四号)  中村町の地域給指定に関する請願高木松吉君  紹介)(第六五五号)  同(鈴木直人紹介)(第六九三号)  山口村の地域給指定に関する請願熊谷憲一君  紹介)(第六五六号)  古川村の地域給指定に関する請願山崎巖君紹  介)(第六五七号)  坂戸町の地域給指定に関する請願平岡忠次郎  君紹介)(第六五八号)  宮寺村の地域給指定に関する請願平岡忠次郎  君紹介)(第六五九号)  公務員の年末手当支給に関する請願受田新吉  君外一名紹介)(第六七六号)  太宰府町の地域給引上げ請願中村寅太君紹  介)(第六八二号)  柏原町の地域給引上げ請願田中萬逸君紹  介)(第六八三号)  刈谷市の地域給引上げ請願小林かなえ君外  二名紹介)(第六八四号)  佐々町外六箇町の地域給引上げ請願綱島正  興君紹介)(第六八五号)  青海町の地域給引上げ請願猪俣浩三君紹  介)(第六八六号)  静内町の地域給引上げ請願山中日露史君外  一名紹介)(第六八七号)  氷川町外二箇村の地域給引上げ請願山花秀  雄君紹介)(第六八八号)  浜松市の地域給引上げ請願長谷川保君紹  介)(第六八九号)  新居浜市の地域給引上げ請願安平鹿一君紹  介)(第六九〇号)  北比都佐村外二箇町村地域給指定に関する請  願(森幸太郎紹介)(第六九一号)  筑波町の地域給指定に関する請願赤城宗徳君  紹介)(第六九二号)  越知町の地域給指定に関する請願濱田幸雄君  紹介)(第六九四号)  福島県下の地域給指定に関する請願森三樹二  君紹介)(第六九五号)  同(加賀田進紹介)(第六九六号)  同(小松幹紹介)(第六九七号)   山口村の地域給指定に関する請願福田昌子君  紹介)(第六九八号)  滝山村の地域給指定に関する請願西村力弥君  外一名紹介)(第六九九号)  比布村の地域給指定に関する請願芳賀貢君紹  介)(第七〇〇号)  和寒町の地域給指定に関する請願芳賀貢君紹  介)(第七〇一号)  公務員給与引上げに関する請願受田新吉君  外一名紹介)(第七〇三号)  宮崎村の寒冷地手当支給に関する請願小林か  なえ君紹介)(第七〇五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一二号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一六号)     —————————————
  2. 有田二郎

    有田委員長 ただいまより一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一二号及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二八号の両案を、一括議題として質疑を継続いたします。
  3. 松野孝一

    松野(孝)委員 私は地域給に関してお尋ねしたいと思います。人事院月報の二十九号を読んでみますと、新しい給与をきめる要素となす標準生計費とか、あるいは民間給与調査とか、詳細に書いておるのでありますが、この点に関しては私も大体わかつたのであります。なおまたそれによつて新しい給与をつくる方法についても、詳細出ておりますので、その点はわかつておるのでありますが、ただ地域給のことに関しては、何ら説明も出ておりませんし、この前の委員会の当局の方の御説明でも、いくらかわかつたような気がしますけれども、私は初めてなものでありますので、どういうふうにして、たとえば五級地、四級地あるいはゼロ級地とか、そういうものをつくつたものであるか。各都市物価指数なんかを見てやつたものであるか。その点をもう少し説明していただきたいと思います。
  4. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院月報の二十九号には、勤務地手当につきましては、本年五月六日、参議院が行いました修正議決というものがございますので、それの趣旨を参酌して、別途改訂につきまして勧告を行うということを書いておるのであります。従来人事院は、勤務地手当支給区分を考えます際に、どういう方針でやつたかということを一応簡単に御説明申し上げまして、今回の作業と、どこが違つておるかということを申し上げたいと思います。  人事院におきましては、総理府統計局の方にお願いいたしまして、総理府統計局CPSというものをやつておられるのでありますが、これは常態といたしましては、全国の二十八都市を中心にいたしまして、三十八都市についてCPSというものをやつておられるわけであります。その際に出ましたCPSの各都市の結果から東京を一〇〇といたしまして、それぞれ地域的な指数というものをつくつておるわけでございます。人事院全国二十八都市だけではこれははなはだ不足でございますから、それと同様の方法によりまして、約三百市町ぐらいをとりまして、CPSをやつたのであります。そういう調査を前後三回にわたつてつております。そういうものを特別CPSと呼んでおりますが、各府県におおむね四つ、五つという程度都市があるわけでございます。われわれはこれをかぎになる都市——キー・シテイいうような名前で呼んでおるのでありますが、東京を一〇〇といたしましたキー・シテイが、各府県四つ、五つあるわけであります。一方におきましては、府県庁の方にお願いいたしまして、生計費あるいは消費水準というような面から見ました都市あるいは町村順位表を、人事院の方へ提出していただくということをいたしておつたのであります。このキー・シテイというものは、連続した都市でなしに、いろいろな形態から見まして、飛び飛びになつているような都市を考えております。最初の構想では、このキー・シテイ府県から出ました順位表をはさみまして、そしてこのキーシティの場合には、指数がはつきり押えられるわけでありますから、このCPSの結果から得ました地域差指数の、どういう指数以上は五級地にする、四級地にするというかつきりした基準があるわけであります。それではさんできめて行くというような方法を、一応算定方法としてとつたわけでございます。ところが御承知のように、この勤務地手当というものは、人事院給与実施の業務を引受けます前から、大蔵省において、新給与実施本部でこの問題を取扱われておつたわけであります。その当時は、新給与実施本部長通牒程度地域指定されておりました。それが十一次、十二次、十三次、十四次指定というような言葉で呼ばれておりますが、そういう通牒指定されておつたのであります。このときには、私はその当時の状況を考えまして、まことにやむを得なかつたのであろうとは思うのですが、そういうCPSというようなものがあるわけではございませんし、また府県から順位表というようなものをとるわけでもないのでありますから、いろいろな事情を勘案されて決められたのであろうとは思うのでありますけれども、かつきりした標準がないというようなことで、人事院方式による地域給のきめ方でこれをながめて見ますと、どうも少し順序の不同なものがあるのではなかろうか。一度これを御破算にいたしまして、新しい人事院考え方によりまして、級地を設定いたしたいというふうに思つてつたのであります。ところが級地問題は実績といものがあるわけでございますし、また一方におきまして、こういう上げ下げをするというようなことになりますれば、これはベースアップ機会をとらえてやるよりしようがないじやないかというようなことがございまして、ベースアップ機会にやりたいと思つてつたのであります。ところがベースアップは、必ずしも人事院が希望いたしますように実現しないというようなことがございまして、従来の実績を払拭するということが、事実上困難であつたというようなことがございます。従いまして、従来の実績で高かつたものは、これはなおその実績をそのままにいたしまして、従来の評価が低かつたものだけを上げるというような方法でやつて来ておつたわけであります。そういうことになつておりますから、地域給設定につきまして、人事院は独自の一つのものの考え方を持つてつたわけでありますけれども、その結果として現われて参りますところは、それは半分しか現われて来ない。従来の実績残つておるというようなことで、若干この地域給につきまして割切れない問題がずつと残つてつたわけであります。そういうことが何回かの地域給給地改訂を必要とした、大きな事情であろうというふうに思つております。たまたま前回人事院級地改訂につきまして勧告をいたしました。ところが参議院におきまして、ただいま人事院月報に書いてあることを読み上げた通りに、修正議決されたわけであります。これは衆議院の方におきまして、これを採用されるに至りませんで、人事院勧告政府原案として提出されたのでありますが、その地域区分が実施されたということに前回はなりました。ただ懸案として残つております点は、参議院修正議決ということをしんしやくして、もう一度出直しをするということが宿題として残されたわけでございます。そういうような状況になりますと、参議院修正案というものも、これは相当尊重しなければならぬということになりますが、参議院修正案そのものが、必ずしも一つ方針に基いて考えられておるということにはどうしてもならないのであります。われわれは参議院修正案なるものが、無意識的にしろどういうことが基準なつて、そういう修正案ができたのであろうかということを、いろいろ分析して研究してみたのでありますが、これは必ずしも人事院が従来考えておりました、CPSから求めております地域差指数というようなものだけが、根本になつていないということがわかつたわけであります。その点いろいろ研究いたしました結果、おおむねこういう点を研究したならば、参議院案というものが解釈がつくのではなかろうか。もちろん参議院案は非常に短かい期間に委員が努力されましてつくられたものでありますから、部分的には均衡のとれたことになつてるところもありますけれども全国的見ますと、なかなか均衡がとれておると考えがたい点があるのであります。そしてまた均衡のとれている部分だけについて見ても、やはりこういうことが一つの原則になるのではなかろうか、と申します点は、その土地土地における所得状況でございますね。こういうものがまわりまわつてその土地々々消費水準を決定するということになるので、そういう面が強調されておる。従つてたとえば個々都市につきましてそういうことが一々やり得ないまでも、府県別あるいは地域別でもよろしゆうございます、ある一定の地域をまとめて考えました際に、そういう地域における分配所得と申しますか、県別にいえば分配県民所得でございます。そういうものが一体どうなつておるかというようなことを調べ、またその土地々々における一般的な民間給与水準がどうなつておるか。これは労働省において毎月勤労統計というものがございますが、この全国的な毎月勤労統計に対しまして、府県別毎月勤労統計というものがありまして、それで結果が出ているわけでございます。もつともこの府県別毎月勤労統計は、その調査要綱府県によりましてまちまちになつております。従いまして調査範囲も違いますし、事業場規模も違うというようなことで、画一的に出ております数字をそのまま比較するということは困難な点があります。しかしながら参考のためには十分使い得ますので、そういうものを見て行く。またある都市におきまする金融機関の数でありますとか、あるいはその土地にあります企業規模別に見ますと、大体において規模の大きい企業給与水準が高くなつているというようなこともございますので、ある程度大きな事業場規模別に見まして、どういう地区にはどういう事業場があるというようなことも見る。それからまた農業とか林業でありますが、こういうものがその土地々々においてどういう事情でウエートを占めておるか。これはむしろ逆の要素になろうかと思うのでありますが、そういうものも見て行く。それからまた鉄道がありますところにおきましては、各駅におきまして広告を掲載いたします場合の料金が違うのであります。これは駅の昇降客数ということが大きな要素なつておると思うのであります。要するにその土地々々における消費水準というようなものに応じまして、その料金か違うということが大まかには言えるのではなかろうか。これが等級別にわかれております、こういうものも見て行く。すなわち府県別県民分配所得というようなもので、府県間の権衡をとる。さらにそれを補正いたしますのに勤労所得というようなものも加味して、その間の関係調べて参る。それから個々都市について申しますならば、先ほどから申し上げておりますように、企業の数でありますとか、金融機関の数でありますとか、あるいは駅の広告料金の掲載の順位でありますとか、こういうものを見ることによりまして全国的にバランスをとり、また府県内の見方をして行くというようなこともあわせていたしたのであります。しかしCPS数字も利用し得る限りは利用したということになります。しかし人事院がもはや数回にわたりまして地域給改正を、CPSによる地域差指数でやるということになりました結果、この数字は一概にそれだけにたよることがむずかしいような結果も若干現われておるのでありまして、それも考慮いたしまして、それだけにたよるということは必ずしもいたさなかつたわけであります。そういうふうにして人事院は考えたのでありますが、府県内における順位を考える際にあたりましては、これは県の方から府県内における消費水準あるいは生活程度というようなものから、市町村順位をつけてもらいまして、提出をしていただいておるのであります。これはずつと前からやつておることと同様でございます。この府県から出て参ります順位表をどこで切つて行くかということを、ただいま申しましたような作業によりましてやつて行くというような方法によりまして、たとえば級地引上げでございますとか、あるいは新たに一級地に繰入れられますものの範囲でありますとか、こういうものをきめていただくという作業をやりまして、今回の作業をいたしておる次第でございます。
  5. 松野孝一

    松野(孝)委員 今お話を承つたのでありますが、非常に複雑なように承つたのであります。実は秋田県の能代市から資料が私のところに来ておるのですが、それによりますと、これは二十六年の十一月の臨時消費者価格調査というのをとつておるようでありますが、それの一世帯の一箇月の平均支出額というものが、東京都が一万七千九十八円、それから能代が一万九千百九十八円、横手もありますが、横手は一万九千百九十七円、こういうぐあいに出ているのですが、東京都のようなところは、総理府統計局CPS一箇月の資料によつた、こういうものを持つて来て、能代は今一級地、これを二級地に上げてくれという陳情でありますが、これを見ますと東京都と能代を比べますと、能代市の方が平均支出が高いように出ております。この数字能代の方はあるいは違うかもしれぬが、能代の方は秋田県の人事委員会調査したのでありましようが、東京都の方は総理府統計局のによつたようであります。だから二割五分あるいは二割という地域差がこれによると出て来ないようです。そのほかいろいろなフアクターがあるようにも伺つておるのですけれども、やはりその都市物価指数あるいは生活費がどれだけかかつておるのかということを現実につきつけられると、私どもは始終ほかにもたくさん陳情が来るのですが、説明にも非常に困難を来しておる、これだけだんだん都市といなかとの地域差というものが縮小して来ておるのじやないかと思うのですが、この数字はあなたの方ではお持ちであり、こうなつていることは御存じでしようが、あるいはCPSであなたの方で計算をしたところによりますと、東京を一〇〇とすれば、能代とか横手とかはどういうぐあいになつているのでしようか、そういう点をお伺いしたいと思います。
  6. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今私ども手元に持つておりませんが、おそらくそういう数字は言われておると思うのであります。しかしながら今お話がありましたように、東京総理府統計局調べ数字でございましようが、そのほかは府県人事委員会あるいはその支部でお調べなつたものもあるのではないかというふうに思うのです。先ほども申し上げましたように、われわれは今回の作業をいたします際におきまして、県から出て参ります順位表で、その県内のどういう地域を格上げをし、あるいは新しく入れるかということをきめて行くということを申したのですが、その際にくどく申し上げましたような方法によりましてこれをやつたということになります。それはCPSというようなもので示されております指数ももちろん見てはおりますけれども、必ずそれだけによつたわけではないのです。御指摘のようにきめ手となるようなかつきりしたものがないかと申しますと、われわれの方から申しますれば、一番はつきりした根拠と申しますのは、県から出ている順位表、これに従つてやるということがまあはつきりした、一つのよりどころをきめます際の一番のはつきりしたものになつて来るかと思います。CPS等も拝見はしておるのでありますけれども、往々にしましていろいろ数字が出て参りますので、必ずしもCPSとの比較だけでこれを決定するというような方法をとらなかつたということであります。
  7. 松野孝一

    松野(孝)委員 県から出しておる資料によると、第一順位、第二順位、第三順位、こういうふうにわけて、大わくにして、その中をまた一、二、三、四とわけて出しておるのですが、そういうふうに人事院の方から指示しておるのでありましようか、だから第一順位に並んでいるものは大体あまり差がないというようなことで、また第二順位の中に幾つか並べておるのですが、その点はどういうふうになりますか。
  8. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは府県から出て参ります際には、府県の立場もございましようし、いろいろなことで、第一順位の中を必ずしもわけないで、むしろ行政区画順位従つて書いてあるというような場合もあります。しかしわれわれの方として判断いたします際には、やはり第一順位としてあまり多くのものがあります際に、それを他府県との関係で切らなければならぬ、どこで切るかというような場合におきましては、われわれの方の判断の加わつているところもあるわけであります。
  9. 松野孝一

    松野(孝)委員 この民間給与なんかを調査しておるのが資料に出ておりますが、たとえば銀行とかあるいは会社とかによつて、こういうような地域差をつけておる例がありましようか、もしありましたら御説明願いたい。
  10. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 全国的に事業場を持つておりますようなところは、地域差をつけておるところがございます。しかし私が申し上げましたのは、必ずしも全国的な地域事業場を持つておるような事業場のことだけを申し上げたわけではないのでありまして、その土地土地における事業場というものを先ほどは申し上げたつもりでございます。申し添えておかなければなりませんことは、たまたまある地域製紙工場等がございまして、非常に高い賃金あるいはボーナスが支払われておるというような事情がかりにあるといたしましても、そういうような個々事情にとらわれてきめたというものでもないのであります。
  11. 松野孝一

    松野(孝)委員 たとえば銀行とか会社地域差をつけておるとしたら、東京を一〇〇とした場合に、どういうぐあいにつけておるか、その具体的な例をひとつ教えていただきたいと思います。
  12. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま手持ちいたしておりませんので、後ほど資料提出いたしたいと思いますが、たとえば日通のようなものでございますとか、あるいは全国的に支店を持つておる銀行でございますとか、こういうものにおきましては地域差をつけておる例もございます。それは後ほどお目にかけたいと思つております。
  13. 松野孝一

    松野(孝)委員 もうちよつとお尋ねしたいのですが、CPSによつて東京を一〇〇とした場合に、たとえば二割程度のところはずつとある線が出て来るのだろうと思いますが、具体的にどこどこがそういうふうになつていますか、私は統計を見たことがないのですが……。
  14. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 最初CPSによりまして、かつきり線を出したのでございます。今ただちにその数字を言えとおつしやいましても、ちよつと私記憶しておりませんので、これまた人事院月報に出ておりますから、その資料をあとで差上げたいと思いますが、参議院修正議決がございまして、これを検討分析いたしてみますと、必ずしもCPSだけによりまして順位をかつきりわけるという仕組みになつておりません。参議院修正というものを尊重いたすということになりますと、私がただいま申し上げましたようなCPS以外の要素を考えまして、これを判断して行く方が適当なのではなかろうか、そういうふうに判断してやりますと、およそ参議院考え方というものが、われわれの考え方とし取入れ得るということがございます。そういうCPS以外の要素を今回は相当取入れて勘案いたしたということになつております。
  15. 松野孝一

    松野(孝)委員 その参議院修正議決というものを私は見ておりませんが、たとえば秋田県についてはどのくらい入つておるのか、それをひとつ……。
  16. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 参議院修正によりますと、秋田県におきましては、秋田市が一級地でございますのを二級地にするということと、それから本庄町、湯沢町、十文字町、一日市町、二ッ井町、鷹巣町、花岡町、小坂町、尾去沢町、今読み上げました九つの町を新たに一級地にするということが参議院修正であります。
  17. 松野孝一

    松野(孝)委員 私はさつき人事院月報を見まして、たとえば標準生計費調べにあたつて、まず東京都をとつて非農家が六千何ぼですか出た、それを地域給のつかないものにするために〇・八をかけて、四千七百幾らか出した、こういうふうにするのですが、ちよつとその点はつきりしないところがあるのですが、もし全然東京都をとらないで、ゼロ級のところだけ全国幾つか集めて、標準生計費というものをつくつたら、どんなものになるだろうかという気がするのです。そしてそれに二割五分加えたものが東京都の標準生計費に合致するものであるかどうかという点にも疑問がある。というのは東京都とほかの都市とは、今はそれほど差がないのではないかというような漠然とした気がするのです。たとえば秋田なら秋田のものは、それに二割かけて、東京都のものにするというようにやつておるようでありますが、いかにもそれが机上計算のように思われるのです。実際それだけの地域差があるのかどうかという疑問を持つておるわけなのです。どうも地域給の問題について非常に陳情が多い。毎月々々はがきが来る、あるいは電報が来る。そして今申し上げたように資料を見ますと、どうも消費者価格が東京都と同じであつたり、あるいは高かつたり、また両者の関係も同じようであつて、はつきりしないのですが、こうなつて来ると、結局地域給というものはなくしてしまつて、本俸に繰入れて一本にした方が一番いいのじやないかという気がするのですが、これはこの前にもそういうお話人事院総裁からあつたようでありまして、将来の方針として漸次なくする方向に向けて行くのがほんとうだと思いますが、これについてどういう順序、階梯を経て、最後になくすという計画があるならば承りたいと思います。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御指摘のように現在の地域給というものは、いろいろとお困りになります場合も起きるのではないかということを、われわれ非常に懸念いたしておるのであります。地域差というものが漸次減少しつつあるのではなかろうかということでございますが、地域差というものをどういうふうに押えて行くかということが、非常に問題であろうかと思うのであります。たとえば東京等におきましては、どうしてもやむを得ませんで、交通機関を利用するということは、生活の状態として考えなければならないことでございます。またそのほかにおきましても、やはり東京における一般的な生活水準というものと、またある地方における一般的な生活水準というものと、必ずしも同じでないという点もあるということで見て参りますと、いろいろ地域差の押え方があると思うのでありますが、たとえば物価の差だけで押えて行くというようなことになりますと、これは現在のところにおきましても一〇彦%程度にしてもいいのではなかろうかというような問題も起つて参ります。しかしただいま私が申し上げましたように、消費形態と申しますか、生活水準と申しますか、そういうものを込みにして考えます際には、現在におきましてもやはり地域給のつかない地域と、東京とかあるいは大阪とかいうようなところにおきましては、二割五分程度の差をつけるのが適当ではなかろうかというような感じがいたしておるわけでございます。従いましてこれを将来どういうふうに押えて行くかということがいろいろ問題になります。  またこの地域給というものは、こういう場合にも一つ考えてみる必要があるのではなかろうか、すなわち公務員がやむを得ず異動いたす場合がございます。そのような際に、新しい任地に参りましたときには、やはり従前の一つの生活形態というようなものを続けて行くのではなかろうか、新しい土地に参りますと、どうしてもいろいろな便宜がございませんので、やむを得ずそういうことになりがちなのではなかろうかというようなことも考えられます。従いまして比較的異動いたしますものにつきましては、地域差というものはあまりつけないで、純然たる物価の差だけに着目した方がいいのではなかろうかということもございます。また公務員は一般に命令があれば異動するということにはなつておりますが、しかしながら事実上任地を動かないといつた種類の公務員もおるわけでございます。そういう人々につきましては、これはやはりその土地々々における一般的な消費水準まで入れて考えますと、これは相当の差をつけていいのではなかろうかというようないろいろなことがございます。われわれといたしましては、事務的に今後地域給のあり方はいかにすべきであるか、またいろいろな意味において物価差なり形態まで入れました差というものが、どういうふうに変化して行つておるかということは、絶えず研究いたしておるのであります。しかしわれわれといたしまして今後地域給を最後的にどの方向に持つて行くかということの事務的な結論には、現在まだ到達いたしておりません。目下盛んにその点を研究いたしておるのであります。ただ申し上げられますことは、現在の地域給におきましても、地域指定がぽつんぽつんとなつております関係上、実際この運営の面におきまして、すなわち地方におきましては教職員の異動というような場合に、たちまち支障を起すという面があるのではなかろうか、そういう面を解決いたしますためには、よほど級地の同じようなところを広げて行くということが、実際問題として必要なのではなかろうか、こういうことを考えておる次第であります。また現在五段階に区切つておりますが、これも五段階に区切るよりもむしろ段階を少くした方がはつきりするのではなかろうか。また一級地が相当ふえて参ります場合におきまして、たとえば現在におきましても国家公務員地域給のついておりません公務員は、全公務員のおおむね一〇%くらい——もしかりに今度の勧告並びに政府原案に盛られております地域区分が御決定になりますれば、そういうことになるのでありますが、そうするとこの一〇%というものをどういうふうに取扱いますか。次期におきましては、少くとも一級地というものを標準に、今度はものを考えていいのではなかろうかというようなことを考えております。すなわち根本的な地域給のあり方、また現在の地域給が運営上支障を来しておる面は、どういうところであるかという両面から検討いたしまして、さしあたりはこの階段を少くする、次期あたりにおいてはでき得れば現在の一級地あたりを基準にものを考えて行くというようなことで、段階を追いまして地域給の整理あるいは現在の地域給の形態を改めるということに努力して行きたいというように考えておる次第であります。
  19. 有田二郎

  20. 森三樹二

    ○森(三)委員 先般来公聴会が開催されまして、十人に余る公述者の公述を私は聞いたのですが、その場合におきましても、現在の人事院の決定しました給与ベース、これは最低の線として妥当であるから、どうしても政府が責任を持つて裏づけをしなければならぬのだという声が、非常に大きく叫ばれ、ておつたと思うのです。その点につきまして、人事院勧告しました給与ベースを、政府は財政の余裕がないから実現できなかつたのだということをしばしば答弁されおりました。そこで私は人事院の機構といいますか、制度の根本的な問題についてお尋ねしてみたいと思います。  そのことにつきましては、先般本多国務大臣が、人事院の制度を改革する意向がないかというような質問に対して、今後人事院一つの諮問機関というような形か、あるいは政府の直属の下級官庁というような仕組みにしようというようなことを述べておられたということが新聞に見えておつたのですが、これにつきまして政府はどういうようにお考えになつておられるか、お尋ねしたい。
  21. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 お答えいたします。ただいまの御質問は、おそらく予算委員会における本多国務大臣のお答えのことだろうと思います。私もたまたまその席におつたのでございますが、本多大臣も、これを諮問機関として政府のほんとうの相談相手というふうにしようということは、はつきり申し上げていなかつたように記憶いたします。ただ本多大臣といたしましては、現在の人事院は、国家行政組織法の適用も受けませんし、また行政機関定員法の適用も受けないのでございまして、独自に組織をきめ、独自に人も増減できるという立場にありますので、これをやはり普通の行政機関と同じように、定員法あるいは組織法の適用を受けるようにしたい、こういうふうにお答えしたと記憶しておりますが、人事院をどういうふうにするかにつきましては、政府といたしましてもまだ何ら構想がきまつておるわけではないのでありまして、本多大臣は、行政管理庁長官としまして、そういう意味のことをお答えしたように記憶しております。
  22. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 官房副長官が今お答えになりましたが、私ははつきりした日時は後に調べ直してもいいと思います。十一月四日であつたと思いますが、本多国務大臣は、閣議終了後、新聞記者団に対して、人事院を廃止して、内閣直属の人事委員会というようなものにかえたい、こういうことを進んで言明しておるのですが、この点につきましては、ただいまの官房副長官のお考えと違うと思います。その点の調整なり、そういう考え方は、いかようにお考えになつておるか、私はこの際関連してお伺いしたいのであります。
  23. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 お答えいたします。ただいま私が申し上げましたのは、政府としてまだ構想がきまつておるわけでないということを申し上げたのでございまして、本多大臣はいろいろな構想をお持ちのようであります。しかしこれは閣議で決定したわけでもございませんし、また公式にその案が提案されて、審議されたという事実もございません、従いまして、新聞記者に対して、あるいは御自分の私見を申されたかしれませんが、これは政府案でも何でもないのでございまして、政府といたしましては、まだ決定も何もいたしておりません。
  24. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいま政府委員の御答弁もありましたが、われわれは国家公務員の生活保障、結局生活の保障がなければ、国家公務員として業務の上に熱心にやつて行くことができない、それは表裏相一体するものでありまして、やはりわれわれはあくまでも新憲法に保障したところの、国民の健康にして文化的な生活を営むだけの保障をしてやらなければならぬと思う。その理想に立つて人事院という機関がありまして、そうして今回の勧告を行つておるわけなのですが、われわれといたしましては、こうした一つの民主的な機関を、裁判所のような不覇独立な機関というようなわけに行かぬといたしましても、少くともやはり何らの制肘を受けない、公正なる判断をするところの権威ある機関であらしめなければならぬと考えておるわけであります。ところが、せつかく人事院勧告がなされましても、政府はほとんどこれを目をつぶつて顧みない。政府委員の御答弁等では、尊重をするという言葉は使われておりますけれども、尊重といつたところで、いくら尊重しても、それが実現されておらなければ、尊重したのだかしないのだかわからない。そこで私は、本多国務大臣がああした言動をされるということは、人事院などがあれば予算上の措置についても非常にめんどうくさい、かえつて自分の隷属的な機関にしておいた方が話合いもつくし、また一々むずかしいところの給与ベースの問題等も紛糾しないのじやなかろうかというようなことから、むしろ自分の部下というような形の機関にかえようという意図があるのじやないかと思うのです。この席に本多国務大臣がおりませんから、本多さんの御意見を聞くことができないけれども、根本として、われわれは人事院の制度というものを、今後とも権威あらしめなければならぬ。しかも政府が尊重すると言うならば、少くともそれは最低の線として、やはり予算の上においてもその尊重した精神が、はつきりと明確に裏づけされなければならぬ。もしそうでなければ、毎回ただ尊重という言葉でもつて、ごまかす——という言葉は妥当でないかもしれませんが、いつも国会においての尊重々々という言葉でもつて人事院勧告が実施されないという結果になると思うのでありまして、この点について、政府が今後人事院の制度というものを権威あらしめるという考えがあるのか。それともこうした機関を、弱体化といいますか、だんだん政府の隷属的な便宜的なものにしてしまおうというお考えなのか、承りたいのです。
  25. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 政府は、人事院の立場を弱体化するとか、あるいは自分の意のままにしようというような意思は持つておりません。そうすることは結局人事院制度というものを否認することであります。しかしながら、ただいまの御質問の中で、人事院勧告は何でもかでも全部そのままのまなければ、尊重したということにならないように聞えた点がございますが、政府は遺憾ながらその点については若干違つた見解を持つております。人事院が政府の中の今のような地位でないものであるならば、そういうことが言えるのでございますけれども、御承知の通り、二重予算の制度を持つたほとんど独立した機関でございます。しかもその人事院は独自の見解を十分に発表でき、勧告もできるようになつております。その独自の見解の中には、政府がいろいろの政策を考える場合に、当然考慮に入れなければならないところの財政の問題とか、あるいは他の国民一般との関係というものはむしろ考慮に入れないで、ほんとうに国家公務員だけの立場で十分にその見解を表現できるようになつております。従いまして、これを実施案にするかどうかということは、政府の方に検討の余裕が与えられておるというふうに解しております。なぜならば、しばしば申し上げるように、人事院勧告は、公務員の立場から、公務員だけの見地から、公務員給与民間給与あるいは理論生計費等から比べて、かようにあるべきものであるという数字勧告するのでございまして、これには何ら国の財政全般の考えもないし、またこれに比較した大企業民間給与以外の、中小企業とか農民とか、国民全般の生活程度というようなことに対しては全然考慮されておらないのであります。しかしながら、政府が責任を持つて実施するという案につきましては、これに今申し上げましたようなことをさらに検討を加えまして実施案をつくるのでございまして、もちろん勧告でありますから尊重すべきは当然でございますが、必ずしも全部そのままのまなければ、人事院の存在の価値がないというのは、政府としてはそう考えておりません。独立の機関であるからこそ、それにまた相対して政府が独自の見解で検討し、実施案が出せる。最後の御判断はこの国会でおきめくださる、こういうふうな機構になつていると解釈する次第でございます。
  26. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいまの官房副長官の御説明を聞きますと、やはり人事院の制度というものは、将来においても独立の機関として権威を保持せしめなければならぬ、政府としては、この制度を、その権威を、今後弱めるような意向は毛頭ないのだというように承つてよろしいのですか。
  27. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 人事院という制度を置く以上は、これを弱めたり、あるいは政府の意のままになるというようにするということは矛盾したことであります。人事院の制度を廃止するというならば別でございますが、そうでない限りは独立の地位を保たすべきである、こういうふうに考えております。
  28. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうすると、ただいまの官房副長官の御説明を聞いておりますと、政府としては人事院勧告というものを尊重しておるのであるけれども、これに拘束を受けるものではない。予算上の財政上の勘案をして、これをのむかのまないかということは、これまた政府独自の見解において処理さるべきものだというような御説明であつたようですが、そうですか。
  29. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 仰せの通りであります。
  30. 森三樹二

    ○森(三)委員 そもそも一般の官公労の要求しているところのベースが一万六千八百円、その他の各労働組合等においても相当の給与ベースを要求しているわけであります。だから人事院勧告がそうしたところの輿論の要求と大体においてレベルがそろつておる、足並がそろつておるというような場合ならいざ知らず、そうした一般の要求よりも相当下まわつているところの勧告をしておる。その勧告をさらに政府は下まわつておるわけでありまして、一般の要求を下まわるところの人事院勧告、それをさらに下まわるところの政府の予算上の措置について、私は非常に不満足なものがあると思うのです。ただいま予算の補正案につきましてわれわれは修正案提出する。その他について政府も、この給与ベース等については、これはどうも野党の主張が正当としてのまなければならぬだろうというような状態であることも仄聞しておるのですが、それについてわれわれは先般から国家公務員の生計を維持しなければならぬという点から、予算の補正については、やはり人事院勧告のベースというものを取入れることが、まず国の予算の建前において、当然何をおいても取上げなければならぬのじやないかということも主張しておつたのです。最近では政府もこれをいれるやに聞いておりますが、その点いかがですか。
  31. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 予算委員会の方でいろいろのお話が出ておるようでございますが、もちろん国会で御修正等をなさるのは、これは政府として何とも申し上げられない次第でございますけれども、政府といたしましては、もちろん原案を出しておる立場上、原案を強く主張する次第でございます。なお先ほど人事院勧告を政府が独自でもつて考えるのは、非常におかしいというふうな意味の御質問がございましたが、これは勧告ばかりでなく御承知の通り、公共企業体等労働関係法にきめてありますところの、いわゆる公社の現業の職員の調停、最後の段階の仲裁裁定でさえ、政府が必ずしもこれをそのまま実行するのではなく、予算上資金上不可能な裁定については、すべてこれは理由をつけて国会に出しまして、そして国会でもつてこれを無条件で御承認になつた場合には、これを実行するのでございます。しからざる限りはこれが実行できない仕組みになつております。こういうふうに、ああいう裁判と同じでもつて、もし予算上資金上可能であるならば、使用者労働者当然すぐさま束縛を受ける、それに従わねばならぬような強い権限を持つておりますところの仲裁裁定でさえ、最後のところは国会がきめるということであつて、それを拘束力をつけておりません。それと同様に勧告なつております以上は、やはりこれはそれに対してすぐさま拘束されるというようなものではない、かように解釈しておる次第でございます。
  32. 森三樹二

    ○森(三)委員 政府委員の御説明では拘束はされないと言つておられますが、拘束をされればこれは問題なく人事院勧告というものは予算化されるわけであります。しかし絶えず政府委員の御説明の中には尊重という言葉が使われております。尊重ということは、われわれの解釈からするならば、まず何をおいてもこの給与ベースの問題は、国民の多数の人々の生活に関係のある問題であるから、予算上の措置といたしましても、優先的に何をおいてもこれだけはまず予算の裏づけをして、しかる後に公共事業費その他の予算というものを考慮することが、予算上の措置として妥当なものである、かように考えるのですが、今後においても尊重ということは、それは口で尊重と言つてつても、予算上の裏づけが一度もなされなくとも尊重ということになるのか、今後においても人事院勧告というものはなされるであろうけれども、それが政府の財政上の措置だといつて、常に人事院勧告というものが実施されない場合、それでも尊重となお言えるかどうか、御説明願いたい。
  33. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。給与に関する勧告は必ずしもベースを上げるときばかりでなく、下げるときもあると思います。まず上げるときの場合につきまして申し上げますと、尊事いうことはいろいろな意味に解釈されると思いますが、その内容によつては、必ずしもその通りの予算をまつ先にとらなければ、尊重にならないという意味にはとれないのでありまして、もつと打ちくだいてこまかく申し上げますと、今回の勧告は御承知の通り、民間の同じような仕事をしておる人たちと同じ給与をやるというのが人事院勧告でございます。しかしながら昨年の十月においては、民間給与公務員給与とは差があつたのであります。差があつたにかかわらず、今度はそれを一緒にしろ、こういう勧告でございます。もちろんその差があつたというのは、政府が人事院勧告通りにしなかつたから差があつたのかもしれませんが、とにかく国会の承認を得て法律案が通りまして、昨年の十月から実施しております現在の給与法は、民間給与とはある一定の差がございます。それを今回は民間給与と一緒にしろというのが人事院勧告でございます。政府は民間給与と一緒にするということは、これは理想的であるけれども公務員には恩給もございますし、また現在のような労働不安といいますか、経営上の不安といいますか、こういう事態におきましては、国家に使われておるということは、他の産業労働者から比べますと、非常に確実性があつて、羨望の的となつておるということもございますし、また共済組合とかいろいろな施設もございますので、必ずしも民間の者と同一の賃金にならなくても、今の場合はがまんしていただきたい、こういうつもりでございます。しかしながら昨年の十月から現在に至るまで民間給与が上つた率、これが約二〇%になりますが、その率までは上げよう、こういう考えでございます。その辺のところのどちらがいいかということでございまして、一挙に昨年の十月にはある一定の差があつた、今度はそれを全部同じにしてしまうということは、民間給与の上り方よりももつとひどい上り方をしなければ一緒にならないのでございます。中小企業あるいは農民の現在の生活の程度と比べて、公務員がそこまで行つていいものかどうか、その辺がキーポイントになるのじやないかと思うのでございます。実際の物価の値上りは、CPS、CPIから見ましても、CPIのごときは昨年の十月から比べてわずか一・五%しか上つておりません。CPSにいたしましても八・三%しか上つておらないのでございます。従いまして、物価の騰貴をカバーするというような意味のベースアップではないのでありまして、それだけ実質賃金は非常に上つております。CPS、CPIでもつてつた実質賃金を見ますと、今回の値上りでも二四%ぐらいの値上りになります。こういうふうにして今度の値上りがもし御承認得られれば、相当生活の程度は改善されるのだと思います。しかも中級以下の、中堅職員以下の者につきましては相当な減税を行いまして、その方の負担の軽減も行つておりますので、この程度のものならば、国家公務員の諸君もがまんしていただけるのじやないか、こういうふうに考える次第でございまして、一万六千円ベースの要求があるということも知つておりますし、いろいろありますが、国民全体のことを考えて、この給与の負担者であるところの納税者のことも考えまして、この程度をもつてがまんすべきじやないか、こういうのが実施案であります。
  34. 森三樹二

    ○森(三)委員 政府委員の方は、昨年の十月を基準として一割五分、一割七分程度引上げをしているから、非常に実質上の暮しはよくなるのじやなかろうか、こういうことを言つておられる。昨年の十月というものが、生活の基準として公務員が大体において普通人の生活をやつて行けるという基礎に立つてものを言つておられるように思いますが、われわれはそうでないのです。昨年の十月もやはり公務員給与は非常に低いのであつて、今回また改正されましても、決してそれでは楽になるものではないという基礎的な考え方が政府側と違つておるのでありますが、それにいたしましても、今回政府が提出せるところの補正予算における一割七分あるいは二割程度給与引上げによつて、それなら満足しておるかどうか。ただいまの政府委員のお答えだと、非常に給与がよくなつて、実質上の暮しも大体において満足できるのではないかというお話でありましたが、やはり現在の政府提出給与ベースによつて公務員の生活が普通人並の楽な生活ができる、そういうふうにお考えになつていらつしやるのかどうか。
  35. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 十分に満足ということは、おそらくできないと思います。聞くところによりますと、全官公が要求しておりまするところの、一万六千余円のベースでも、控え目に要求しておるのだということを、私は直接会つて聞いております。従いまして、一万六千円ベースにいたしましても、これは満足という点にはならぬと思います。いわんや政府案のごときは、それから大分下まわつておりますので、とうてい満足というところまでは行かない、また非常に楽になるというように誇るべきものでもないと思いますが、これはしかし国力とも相応して考えなければなりませんし、また国民の多数の人の生活とも比べて考えなければならないのでございまして、公務員だけが相当楽な生活あるいは満足すべき給与を得るということは、税金を支払う国民の方面から見ていかがかと、かように考える次第でございます。  それから昨年の十月を基準にするのは非常におかしいというお話でございましたが、私どもは昨年の十月から現在の一万六十二円ベースを実施しろという法律案がきまつた、通つたということは、主権者としての国会がきめたことでありまして、これは最後まで基準にすべきものであるというふうに考えております。もちろんこの法律が通るときに反対された方もありますけれども、とにかく国会の意思として決定した以上は、これを基準として考えなければならないのじやないだろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  36. 森三樹二

    ○森(三)委員 大体政府の御意見を聞けば、給与は満足とは言えないのだ、しかしそれでがまんしてもらわなければならぬのだというような御意見のように聞える。そこでわれわれは現在野党の修正案というものを出して、人事院勧告の線はどうしても実現しなければならぬというような主張をしておるわけでありますが、もし財源をたとえばインヴエントリー・フアイナンスとか、あるいは防衛費の削除とか、あるいは剰余金の使途等において、この人事院勧告給与ベースというものが修正によつてできるということになつて来れば、私は政府委員の方ができないのだ、財政上の余裕の面でできないのだと言つて来られたことと、非常に矛盾がそこに生ずるのではないだろうかと思う。不可能であると言われておるけれども、それが可能な状態がそこに現われて来るのではないかということについて、政府はどのような責任をお考えになりますか
  37. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 財政上困難とか不可能とか申しますのは、物理的な困難でも何でもないのでございまして、もともと何千億という予算を出すのでございますから、まつ先に給与の予算をとれば当然可能でございまして、それにも足りないような予算を出しておるわけではないわけでありますから、絶対に不可能とかそういう意味ではもちろんございません。ただきまつた歳入に対しまして歳出を分配する場合に、給与の額にこれ以上の額を割当てるということがいかがか、こういう点でもつてこれ以上は不可能であるとか、あるいは困難であるとかいうことを申し上げておるのでございまして、それは国会の御意思としましてこの分配の方法はよくない、ほかの方面を削つてもこれは増すべきであるということをおきめになつた以上は、それは政府としてそれを忠実に実行するのにやぶさかでないことは申すまでもないのであります。ただ御参考までに、私は予算の専門家でないからあまり詳しくは知りませんが、新聞紙で伝えられておるようないろいろな修正がありました場合に、本年の財源ということにつきましてはあるいはいろいろ考えられると思いますが、ベースの改正のごときはずつと来年にもまたがるものでございまして、これがずつと続きますと相当な歳出増になります。今日の予想からいいますと、一兆円を越えるじやないかというようなことになりまして、予算全体といたしましてインフレの危険も従つて考えなければならぬとというふうになるおそれがあるということは、しろうとでございますが申されるのでございまして、とにかくベースの改正ということは、本年度だけではなかなか考えられないことではないか、かように考えます。
  38. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいまの森委員の御質問に関連いたしまして、大蔵省からも一言申し上げたいと思います。  内閣からお答えのように本年度だけの問題ではない、これは御承知の通りで、ベースアップいたしますと、来年からどうするかという問題も当然考えなければならぬことは御承知の通りでありますが、そのほかにどうしても給与はバランスの問題がございます。公共企業体をどうするか、すなわち国鉄をどうするか、電電公社をどうするか、こういう問題がございます。それから地方公務員の分は、政府原案におきましても中央の国家公務員に大体準じて上げる、こういうことになつておる。そこで財政の立場といたしましては、本年度の問題につきましてもそういう諸般の関連をすべて考慮いたしまして、その財源の調達を考慮しなければならぬ、また来年度にわたりましても、そういう問題の全般を考慮しなければならぬ。そこでどうしてもわれわれとして考えなければならぬのは、財源すなわちわかりやすくいえば税金の負担と、公共企業体等になりますと料金、すべてはね返つて来る問題であります。そうすると、これが一般国民生活に直接に影響があるわけで、財政の当局といたしましては、もとより公費としてわれわれいただく立場でございますから、多いに越したことはないのでございますが、国民全般の生活、すなわち税金とか料金とかそういうものもあわせて考えなければならぬ、しかもそれを後年度にわたつて考えなければならぬ、こういう問題がございますので、われわれといたしましては非常に広汎な各般の事情を検討いたしました結果出ております。これは申し上げるまでもないと思いますが、一言大蔵省の立場を申し上げた次第であります。
  39. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいま大蔵省の御説明がありました。それは税金とかあるいは運賃というようなものとの見合せがあると言つておられますが、しかしまた一面からいえば、われわれが指摘いたしておりますところの防衛金とか、あるいは保安隊費用とか、そうしたところの問題にもからんで来て、これはそうしたわれわれの主張するような不要な経費を削減すれば、人事院勧告というものは可能であるというような考え方をわれわれは持つおるわけです。それは今ここで大蔵省と話したところで、結局水かけ論のようになりますが、私の言わんとするところは、人事院勧告を政府が尊重するという言葉を使われることは非常にけつこうでありますが、これを実施するという熱意と、実際において実現がなされなければ、私はこの人事院としての勧告というものが権威をあらしめないものになると思う。従いまして今後人事院の独立性と権威というものを、国会もこれを尊重すると同時に、政府も大いにこれを尊重即実現に持つてつていただきたい、かように私は考えるわけです。  そこで大体人事院の制度上の問題あるいは予算上の問題はこの程度にいたしておきまして、こまごました点につきましては、すでに相当質疑応答もなされましたが、私がちよつとお尋ねしてみたいのは、僻陬地手当の問題です。この僻陬地手当の問題が今度の一般職給与改訂の中に入つておらないのですか、従来は政令でもつて組まれておつた。それは従来級が五級にわかれておりまして、一級ごととして百五十円ずつの階級によつて組まれておりますがこれは金額が非常に少いと思うこと、それから今回の給与改正案の中にどうして入れていただかなかつたか。これはやはり政令等にゆだねないで、給与改正案の中にはつきりと盛り込んでいただいた方が明確になるのではなかろうか、かように考えておるのですがどうですか。
  40. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 僻地手当の問題でございますが、現在僻地手当は仰せのように政令で定めてございます。いわゆる特定勤務手当の一つの場合として定めてございますが、われわれは、給与体系の合理化ということはやはりべース・アップの問題と同様大切なことであるというふうには考えておるのであります。しかしながらごく近い将来に人事院といたしましては、職階制に基きます給与体系をつくりたい、いわゆる給与準則でございます。その際に、この職階制に基く給与体系とは申しますが、これは給与体系として完備したものにして行きたい。法律としまして、いわば給与の憲法といつたようなものにまでして行きたいというふうに思つておる次第であります。ごく近い将来にそのことを考えておりますので、すべて給与体系の合理化はその際に譲ろう、とりあえず今回は取急ぎましてベース・アップの問題だけをお願いしようということで、最小限度の給与体系の改訂にとどめたいのであります。しかしながら一万三千五百十五円の勧告をいたします際には、この政令で定めております。特殊勤務手当の額を増額する、——これは二九ベース以後形の上ではすえ置きになつておりまして、実際問題といたしまして、人事院で運用の際に、ある程度幅の中で事実上げておるものもありますが、制度上はすえ置きになつておりますので、これをその後——ほかの本俸とかあるいは調整額等は上つておるわけでございますが、そういうものとの均衡をとりまして、額を引上げたいということを勧告いたしておるのであります。すなわち僻地手当等につきましても八割程度この額を増額いたしたいということを勧告には申し上げておる次第であります。
  41. 森三樹二

    ○森(三)委員 では将来この僻地手当につきましても、法律でもつてやはり成文化する、法律の中に織り込みたい、こういうふうに承つていいですか。
  42. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 予定といたしましては、将来御審議願いますその給与準則の法律の本文に僻地手当を一本起して、明確にいたしたいというふうに考えております。
  43. 森三樹二

    ○森(三)委員 ただいまの給与局長の御答弁ですが、ぜひそうしていただきたい。額についても八割程度増額したいというのですが、御承知の通り離れ島とかあるいは燈台とか、そういうところで非常に大きな犠牲を払つておる人々が多く含まれておるようでありますから、ぜひひとつそうした点も御考慮を払つていただきたいと思うのです。     〔委員長退席、植木委員長代理着席〕  それから、この一般職職員給与に関する法律案の新旧対照表にあるのですが、二十三条の本文には、「職員が公務上負傷し、又は疾病にかかり国家公務員法第七十九条第一号に掲げる事由に該当して休職にされたときは、その休職の期間中、これに給与の全額を支給する。」とあります。それはそれでいいのですが、第二に「職員が結核性疾患にかかり国家公務員法第七十九条第一号に掲げる事由に該当して休職にされたときは、その休職の期間が満二年に達するまでは、これに俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の八十を支給することができる。」となつておるのですが、この区別をやはり百分の百、給与の全額を支給してやらなければならぬと思うのです。期間についても、やはり三年ぐらいは全額を支給しておらなければならぬ。本来からすれば、こうしたところの職にあつて、結核のような病気にかかつたのですから、できればお見舞金でもやらなければならぬと思うのです。それを見舞金どころか、実際は二割も下げられてしまつて、療養にも事を欠くというようなことになつておるのでありますが、その点についてお尋ねいたしたい。
  44. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、人事院の意見の申出におきましても、そのやり方をかえようということは考えておらないのでありまして、この二十三条の、今読み上げられました条項につきましては、従前こういうことを法律としておきめ願つて次第でございます。人事院といたしましては、こういうことでいいのであるかどうかということは、絶えず研究しなければなりませんので、今後におきましても、この百分の八十がいいか悪いかというようなことにつきまして、十分研究を進めて参りたいと思います。
  45. 森三樹二

    ○森(三)委員 現在のところではこれについて妥当であるとか妥当でないとかいう御意見は、人事院としてはお述べになるわけには行かないわけですか。
  46. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これはこの前の国会でおきめ願つたことでございまして、人事院はその後いろいろ研究し、今後とも研究して参りますが、一応前国会の御意思といたしまして、結核性疾患にかわつておるような、この二十三条の第二項に該当いたします者は、百分の八十を支給することが適当であるということを、おきめ願つた次第であります。
  47. 森三樹二

    ○森(三)委員 最後にもう一つ、やはり第二十三条のですが「国家公務員法第七十九条の規定により休職にされた職員には、他の法律に別段の定がない限り、前五項に定める給与を除く外、他のいかなる給与も支給しない。」こうなつておりまして、これも年末手当とかあるいは勤勉手当等は支給されないことになつておりますね。
  48. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この五項のところでかえさせていただきたいといいます趣旨は、従前休職者の給与が法文の上で明確でない点がございましたので、その点をはつきりいたしたいという趣旨でございます。今回あらためて、どういう休職者にはあるいは給与をやることをやめるとか、ふやすとか、そういうことを考えておるものではございません。
  49. 森三樹二

    ○森(三)委員 そうしますと、前五項に定める給与のほかに全然何もやつちやいけないという、余裕が何もないことになつたわけですか。
  50. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 概にそういうことではないのでございまして、たとえば二十三条の第一項には一番末尾に「休職の期間中、これに給与の全額を支給する。」すなわち国家公務員法第七十九条第一号に掲げる事由に該当して公務上負傷し、または疾病にかかつた者については、給与の全額を支給するということになつております。これによつて給与の全額を支給する、こういうことでございまして、従来明確でなかつた規定を整備いたしまして、とにかくこの二十三条の一項から五項までに掲げてあります条項を根拠にしてやろう、従いましてただいま読み上げましたように、第一項に該当いたします者には給与の全額が支給される、こういうことになります。
  51. 森三樹二

    ○森(三)委員 私の質問を一応打切ります。
  52. 植木庚子郎

    ○植木委員長代理 それでは受田新吉君。
  53. 受田新吉

    ○受田委員 今の森さんへの答弁に対する関連的なことについてお伺いをしたいことがあります。それは休職者、未復員者、こういう不幸な運命になつている人に対する期末手当の支給をしようという場合には、いかなる法的措置をとればよいのか、年末手当に関する政令ですか、これからこれがはずされておると思うのでありますが、未復員者あるいは休職者というようなものに対して、期末手当を支給しようという場合の法的措置、今申し上げた年末手当の政令あるいはそのほかどういう法的措置をとればいいのでありますか、人事院規則でも法律でも政令でもいい、どちらでもいいですから、双方の立場から言つていただきたい。
  54. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま森委員の御質問でお答え申し上げましたように、二十三条の第一項を基礎にいたしますと、給与の全額を支給するということになります。そうしますと公務上の疾病あるいは教員の結核の場合、こういうものの場合におきましては期末手当を支給されることになるのです。
  55. 受田新吉

    ○受田委員 支給されるのですね、年末手当を出すのですね。
  56. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そのほかの場合につきましては、われわれといたしましては、法的措置ということになろうかと思います。これはこの給与法を受けまして、人事院規則でやり得る余地はないというふうに考えております。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると未復員者に対する年末手当の支給の場合の措置はどうすればいいのでしようか。大蔵省でもどちらでもよろしい。
  58. 岸本晋

    ○岸本政府委員 現在の段階で未復員者に対して年末手当を支給するということは考えてないのでございます。かりにやるといたしますと、この給与法の附則の第三項に「未帰還職員給与の取扱については、この法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。」とございますから、これに対します何らかの規定をつくるよりいたし方ない、やはり法律事項であろうと思います。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 政府はその法律案を出す用意がない、それから附則の未復員者の場合の規定、従前の規定の除外的規定を設ける用意がないということでありますが、この休職者とか未復員者とかいうような公務員というものは、それでなくても非常に精神的打撃を受けておるのです。ごくわずかの期末手当を出して、お正月のおもち代だといつて病床に送つたり、その留守家族に送つたりする、何と美しい愛情の政治でしよう。国家予算に比べてほんとうに微々たる、九牛の一毛ですよ。これさえも出す用意がないという冷たい態度に対して、私は政府の施策の誤れることはなはだしいものと思うのです。われわれはわれわれと同じ立場で当然健康で働き、当然同じ条件で働くべき者の中に、不幸にして自分の犯した罪ではなくして、病気にかかつたり、あるいは帰ることのできない運命になつた人たちに、正月を控えて大事のときに、ごくわずかの手当を出すことで、どんなにその人たちや家族が息を吹き返すことだろうかと思うのです。こういうところが現在の政府として何と一方的な、あまりにも平面的なやり方であろうかといささか悲しくなるのですが、こういう点について、たとえば現在の未復員者は何人あるか、それに対して給与を幾ら出しており、それに半月分の期末手当を出すことによつて、どれだけの予算が必要か、という資料を研究のために出していただきたいと思うのです。それから休職者の数がどれくらいあり、これに対しての半月分の期末手当がどれくらいになるか、これは政治から忘れ去られようという人たちなのです。この年越し、それでなくても不幸この上ない環境におつて、きようもその人たちが集まつておりますが、そういう人たちに、ほんのささやかな贈りものによつて国の力がどれだけ強くなるか。道義的な国家がどうして建設できるかと思うときに、ここに心を配つていただきたいということを私は痛切に思うのです。  そうしてもう一つ、これは主計局次長正示さんはよく御承知でありますが、昭和二十二年七月以前にやめた公務員とその後にやめた公務員とでは、退職の際の条件が違うというので恩給が半分以下になつておる、終戦後の問題で戦争に関連しておりませんが、二十一年、二十二年ごろにやめた人たちの恩給というものは、それから以後やめた人たちの恩給の半分以下という矛盾を是正するために、去る十三国会で不均衡是正の法律案を出して、各派共同提案で党派を越えて通した、そうして十月から実施するということになつた、ところがそれが今日補正予算で出ておらぬということ、議員立法を無視するという立場とともに、時期的なずれで不幸な運命になつておるそういう人たちに対して、ほんの三億か四億の金を出すのに渋るというところに、政府としてどうしてそういう不用意があるかと思うのです。政治はすみずみ、まで愛情を及ぼす政治でなければならぬという感覚から御答弁をいただきたいのであります。
  60. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 昨日御質問をいただき、ただいままた重ねての御質問やや範囲が広くなつたのでありますが、御質問で昨日も申し上げましたように、私どもといたしましても、ただいま受田委員の御指摘の気の毒な境遇にあられる方に対しまして、政府はすべからく愛情を持つた行政を行うべきである、御趣旨は私も非常によくわかるのであります。われわれとしましてももとよりそういう気持を持つておらぬわけではないのであります。ただ昨日も申し上げました通りに、いろいろ軍人恩給その他の問題とも関連をいたしまして、小さなようでございますが、あちこちにいろいろつり合いの問題があるのであります。未帰還者、特別未帰還者、休職者等につきましては、今日やつておりますことは、その境遇にあられる方々には、御満足を得ておらぬと思うのでありますが、政府といたしましては、諸般の事情から目下いろいろ各方面に及ぼす影響等につきましても検討を加えておりますことは、昨日申し上げた通りであります。これらに対しましての資料は、われわれといたしましても、さつそく調製いたしまして、当委員会提出いたしたいと存じます。なお恩給の不均衡是正の問題でございますが、前国会におきまして法律の成立いたしましたことは仰せの通りでありまして、その施行期日につきましては政令をもつて定めることになつておるのでありますが、この点につきましても軍人恩給等の施行とにらみ合せまして、大体において来る一月一日から措置をとるべく、ただいま政府部内におきまして検討を加えておりますから、さよう御了承願いたいと思います。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 今の問題で私は既定の事実とほかのと関連して考えるということは、政治上やむを得ない場合は別ですが、今申し上げた二つの場合は、これはもうちやんとでき上つて給与が支給され、一般の人がベースアップするという進行状況にあつたものです。それと、一ぺんもう死んでしまつているのを復活する場合とはやり方が違うと思うのです。もうちやんとべース・アップで行つてつた国家公務員給与の場合と、それからまだ初めから支給していなかつたのを新たに復活する場合とは、感覚が違わなければならぬと思う。現行の恩給の問題でも、現に進行していると恩給受給者ですからね。この人と軍人恩給のように新しくやろうという人とは立場が違う。そういう意味から国会では各派協定であの別表まで直して、比率までかえて約二割四分の比率を高めた別表をつくつたのです。そのつくられた別表の通りに政府は補正予算を出さなければならぬ。十月、おそくとも、大体一月実施ということにきまつているわけですから。その第三四半期から実施するということになつておつて法律で別表までできていると、今から新たに審議会の方からの答申に基いて政府がこしらえて審議しようというものとをごつちやにして計算したのでは、これは立法機関の権威を無視することはなはだしい。国会でつくつた法律であるから、ほかのことを考えねばならぬからと、議員などなめてしまつて、彼らのことはごまかしておけば何とかなるというので、議員立法で別表までつくつた法律案を全然押えて、一月から一緒に考えようという行き方は、議員立法無視という傾向になりはしませんか。もう一つは、これだけわずかの予算であるのだから、当然法律の規定に基いた財政支出ですから、それに基いて支出するのが筋じやありませんかね。ほかのことは考える必要はないと思います。
  62. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 政府といたしましては国会のお定めになりました立法を軽軽しく考えていることはもとよりございません。ただ軍人恩給につきましては、御承知のように一応答申をいただいたのでありますから、非常に重要な問題でございまして、この恩給の成案をつくりますためには、現在文官が受けております恩給に対しましても、調整を必要とするのではないかと思われるような節もあるのであります。そこで仰せの通り、すでに法律できまつていることではないかとおつしやるのでありますが、現に文官が現在の法律によつて支給されておりますものにつきましても、あるいは調整をやむなくされるのではないか、こういうふうな状態にあると思うのでございます。かたがたわれわれといたしましては、これらの問題をあわせて一月からかりに実施するということになりますれば、御承知のように施行期日は四月でございますから、来年度の予算に計上してさしつかえないわけでございますので、今回の補正予算にもこれを計上せず、来年度の予算において措置をいたしたい、こういうことに考えている次第であります。
  63. 受田新吉

    ○受田委員 これはちよつと私解せないのです。審議会の答申をあわせ検討しているということですが、もう法律に基いた財政支出をする場合に、たとい十、十一、十二の三箇月であつてもそれは当然一ぺん出して、その後に今度は一月から新しく考え直すというのは筋が通るのですが、一月から原則として支給するような法律ができているのを無視して、今度一月からのにあわせて考えるというやり方は筋が通らぬですね。筋が通らぬということと、もう一つその筋が通らぬ理由として、法律で一度別表がつくつてあるのに、また幾ら予算があるというのもはつきりわかつているのを、十月から十一、十二、三箇月をつい三億か四億出せば済むことを、うるさいから、あとから計算がめんどうになる、ほかのとのつり合いがあるからということで一月に延ばすということは、この法律を初めからつくらないのと同じことになりはしませんか。十三国会でせつかくつくつた法律は、軍人恩給の復活とかなんとかいう問題とは別にして、二十二年以前の公務員は非常に不均衡であるからこれを是正しようということを考えてつくつたのであつて、軍人恩給とあわせて考えるのだつたら六月につくつてつたはずなのです。そういうものと一緒に考えるということは、従来の公務員の低率の恩給を是正しようという国会側の意向だつたそれを尊重したことにならぬのです。そこを十分つつ込んでいただきたいのです。
  64. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 手数がめんどうだからとか、そういうつまらない理由ではないのでありまして、受田委員よく御承知の通りに、あの法律は施行期日は政令をもつて定めるということでございまして、当時私はこの方に関係いたしてはおりませんが、当時の関係者からよく引継ぎを受けているわけでありまして、これは政令をもつて来年の一月一日から施行するということになりましてもさしつかえないように法律は定まつているものと了承いたしているのであります。われわれとしましてはもとより国会の定めましたところを、十全に尊重して参るということはもとよりでございます。たびたび申し上げましたように来年の一月からできるだけ早くこれを施行できますように目下準備をいたしている次第であります。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 正示さんのお答えでは一月からおそくともという方に重点を置いて考えておられるのですが、あの法律では原則として十月から実施するように政令を出さなければならないのです。おそくとも一月支給。だから二月になる場合は最悪の場合で、とにかく十月から実施という原則の法律なんです。従つて十月から実施するのが原則なんですよ。それを一月という、いよいよ万やむを得ないときにも一月ということの方にたてをとられては非常に心外なので、本則を重視する方をとつていただきたいと私は思うのです。それから十、十一、十二とベースアツプが公務員になされる以上は——従来の慣例として従来の公務員の退職恩給についても、その比率にことさらべース・アップを考慮したのは、過去二回ともそういう慣例でやつて来た、これはやらなければならぬということはないけれども、慣例として二回のべ一ース・アップで従来の退職公務員と新しい退職者とのバランスをとるために二回ともアップしているのですが、そのベース・アップも今回はやはり従来の退職公務員の人たちにはベース・アップがされていないのです。予算に組んでない。これはすでに二回とも過去にやつているのですが、今度こそ政府はその用意をあわせしているかというと、忘れているのですが、やはりこれは愛が薄れているのじやないか。その点において忘れられているのか、それとも故意にやつたのか。そこをひとつ……。
  66. 岸本晋

    ○岸本政府委員 不均衡是正の問題と離れまして、一般の恩給受給者のべス・アツプの問題でございますが、これは政府として故意に忘れたという性格のものではもちろんないのでございます。御承知のように三千七百円べースまでは旧ベースに長いことすえ置かれておりましたが、その時期は若干ずれはございます。六三ベースのときもやはり給与ベースが六三ベースになつてから一年くらい置かれて切りかえられた。その後八千円ベース、一万円べス、これは大体ベースと合せて参つております。このように恩給受給者のベースを引上げることに努力はいたしているつもりでありますが、今回のベース改訂に伴いましてどういう処置をとるか、いろいろ検討いたしたわけでございますが、先ほど正示政府委員からお話がございましたように、軍人恩給の復活という問題がやはりそこに割り込んで参つているわけであります。一般の文官の立場に立つて見れば、これは当然の権利だからいいじやないかということも言えると思いますが、軍人側の立場としますれば当然昔の既得権は復活するのだ、こういう考えを持つております。自分たちは一つももらえない、しかも一般の者はもらつているものがアップするのはおかしいじやないか、こういう感情も一方にあることを考えなければならないのじやないか。そうした振り合いを考えまして、今後軍人恩給を復活するときに歩調を合せてベース・アップをやつて行きたい。こういうように軍人恩給を復活するようになりますと、文官恩給に対して若干の調整措置が必要ではないか、必要が出て来るのではないかと考えているわけでございます。そうした面を総合的に検討いたしまして、来年の一月ごろから何とか努力いたしたい、かように考えているわけであります。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 これは感覚の問題として非常に重大な問題でありますから、軽く取扱うわけに行かないので、もう一度確かめておきたいのです。従来の軍人恩給者のベース・アップもやらない。その比率で当然法律をつくつたが、不均衡是正もやらない、それから未復員者の年末手当も出さなけば、ベース・アップもやらないのだ、もしそういう感覚があることを——ことに私は故意に軍人恩給復活に反対するものでもない。国家公務に従事したところの軍人恩給復活には当然賛意を表しておりますが、まだ未来の問題である場合に、現在進行しておる問題をほおつて、未来の問題とあわせてものを考えるというこの考え方は、政治の常識として、現実を無視した、あまりにも卑怯なやり方だと思うのです。第一、目の前にぶら下つておる、先に処理しなければならない問題があるのに、それをほおつて——軍人恩給の復活が政治情勢によつて将来遅れた場合にはどういうことになるか、そうなつたらこれはいくらでも遅れて来るのだから、それまでは現在進行しておる形で続けて行つて、軍人恩給の復活を待つた方がいいのではないか、それを軍人恩給の復活一本を理由に考えておることが今はつきりしたので、これは私はたいへん残念だと思うのです。そういうようなやり方であるならば、議員立法なんというのは——何のために六月にあの法律をつくつたのか、各派共同提案で、軍人恩給と別個に急いでやつた理由は、十月からすぐ実施せよ、国会の意思はそうであつたのであります。その意思が国会の解散によつて無視されたということは非常に残念であります。結論から言えば、国会で法律をつくつてくれたが、われわれは軍人恩給の復活まで国会の意思を無視してそれをほおつておくのです、結果はそういうことになるのです。こういうことをはつきり内閣の責任者として御答弁いただきたいのであります。
  68. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 内閣の方からお答えいたします。まず不均衡是正の問題でございますが、これは法文上から言いますと、立法者の意思としても、最悪の場合は一月一日からでよろしいというようにとれるのであります。もちろんあれをつくりました十三国会のときの質疑応答等を見ますれば、できれば十月から実施するように努力すると政府委員もお答えしておるのでございまして、一部には十月からの実施はもう既定の事実のごとく考えられた方がございます。これは無理からぬことであると思うのでございますが、ただ率直にあの条文を読みますと一月一日からでも法律違反にはならない、それを予想したような書き方になつております。それからベース・アップの問題でございますが、仰せのように前二回までは一般公務員と同時にベース・アツプをいたしておりますが、その前は相当の期間、長いときには一年くらいたつてからベース・アップした例もございます。すでに二回も一緒にやつたのであるから、今回は当然やるだろうということを予期しておられた人も多いと思います。ただいま大蔵省の方から申し上げましたいろいろの理由も、もちろんその一つでございますが、要するにこの問題はみんなのところに相当がまんをしていただくから、この辺は少しがまんをしていただきたいということ以外にはあまり理由はございません。この不均衡是正の問題にいたしましても、法律違反をするということは絶対にできませんから、法律でもつて許されている限度までがまんしていただく、それが一月一日実施ということになります。またこのベース・アップも過去においては一年も半年も延びたこともありますので、今回二月くらいあるいはがまんしていただくということになるのでございますが、これもひとつがまんしていただきたい。  軍人恩給の点がいろいろ問題になるのでありますが、また軍人恩給の方から言いますと、あれは本年の四月二十八日には当然復活すべきものでありますが、それを一年間も審議会にかけて延ばしてもらつておるようにとる人もたくさんございます。これまた理論的にも正しいと思います。占領期間中は最高司令官の命令でもつてとめておりましたけれども、平和を回復した以後は即日実施しなければならないものでありますが、それを延ばしてもらつておる。従つてこれは未来の問題ではなくして、すでに受けべきものを受けないというふうにとつておる人も多いのでございます。しかもこの審議会の答申をそのまま実施するにいたしましても、相当の不利益になつております。従いまして一般文官等の関係からいいましても、調整を行わなければならぬようになるのではないかということもあるのでございまして、こういうふうに、現在受けておる人も、当然受けべきものを押えられている人も、すべてが不満足のような状態になつておりますので、ひとつここでしばらくごしんぼう願いたい。不均衡是正については三箇月、ベース・アップについては二箇月くらいになりますが、そういうところをがまんしていただく、これ以外には理由はないのでございまして、理論的におつしやられますると、今お話があつた通りでございますが、そういうふうな事情でございますので、ここしばらくお待ちを願いたいということを申し上げます。
  69. 植木庚子郎

    ○植木委員長代理 池田禎治君。
  70. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私はまず、先ほどから政府当局の御説明あるいはまた施政方針に現われた政府のお考え、あるいは各委員会等の考え方を合せまして、御出席の方に御質問いたしたいと思います。実は私は通告申し上げておらなかつたので何でありますが、総理大臣の出席を求めたいと思つております。これはいずれあらためて正式に要求いたしたいと思つておりますが、本日のところは間に合いませんので、まず私の考え方を申し上げておきたいと思います。  私は実は今日の状態を見ておりますと、これははなはだ憂慮にたえない事態であると思つております。御承知のように民間におきましては、電産、炭労のストライキがまことに長期にわたつて行われておる、これは実に事態容易ならぬものであります。これはあなた方どの程度お考えがあるかわかりませんが、私らみずから鉱山に生れ、鉱山に育つて参りました者から見ると、今日の炭労のストなんというものは、非常に恐るべきものを包蔵しておる。また御承知のようにベース・アップをめぐりまして、全公務員企業体の職員というものは、全国的に非常に大きな期待と努力をもつてこの要求を完徹しようとしておる。率直に言いますならば、私は一万六千八百円を要求されておる現実は必ずしも不当なりとは思わない。ただわれわれは、現実の国家財政、わが国の置かれておる環境などを総合的に大きく考えまして、やはりこれらの要求する額に対しましても、現実に即応するところの事態において、そういう人たちにも隠忍自重を望まなければならないということも考えまして、われわれは一つの妥当なる線を出そうとすることに非常なる苦慮をいたしておるものであります。しかるに政府のお出しになつておるところの案と、人事院勧告なつておる案というものは、その間にわずかに七百円程度、どうしてそういう程度のものが出されないかということに非常に大きな不満を持つのみならず、およそ政治を志す人々、行政に携わる人々の心根というものをまず私は疑いたい。一体全体政府の皆さん方は、今日の事態をどのようにお考えになつておるか、まずそれから私は伺いたいのであります。
  71. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 お答え申し上げます。お話のごとく現下の状況はまことに容易ならぬものがございまして、政府も重大な関心をもつてこの二大ストの早期解決のために努力いたしている次第でございまして、従つて等閑視しておるつもりはございません。また公務員あるいは公社の職員の、給与を政府案よりかもつと上げてほしいという要望もよく承知しております。そのために各種の運動がなされておるということも承知しておるのでございますが、国会の段階に来ておりますので、国会の御審議にゆだねておるような次第でございまして、政府の意図のあるところは機会あるごとに申し上げておる通りでございます。
  72. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 そういう事態というものを、表面上の形式でなく、ほんとうにお考えであるならば、大蔵当局といたしましてもあるいは内閣といたしましても、私はこの程度のものをのめないはずはないと思う。それはなぜかといえば、国家財政の見地からいたしまして非常に困難な事態だということを力説されるのでありますが、もつと私が恐れることは、今日ほうはいとして台頭いたしております、ベース・アツプをめぐりますところの俗に申します賃上げ闘争というものの波は、今日以上に放置して、かつまたこれをこのままにいたしておきますことは、私は非常に恐るべき事態を招来すると思う。そういう点から考えますならば、人事院勧告の案というものは、政府はどうしてものめないというお考えでありますかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  73. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 先ほども御質問がありましたからお答え申し上げました通り、絶対に不可能だとかなんとかいうことは、もちろんこれは予算のやりくりによつては、できないことはないと思います。しかしながらこれは国民ももちろんでございますが、この国会の審議に際しまして、よく御納得の行くものでなければ、これは予算上金がまわせるからといつて、これは政府原案として通すべきものでない、かように考えておりまして、政府の案はいろいろな点を考えまして、これが妥当であるというふうに考えておる次第でございます。
  74. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 その妥当であるとかいう線の出し方ですが、私どもは大まかに見まして、人事院勧告されたものについて、あるいは政府が提出されたものについて、それぞれの要素をお持ちであると、思います。一昨日であつたか公聴会におきまして今井仲裁委員長からも述べられたのでありますが、およそ賃金の科学的算定ということはきわめて困難のことである。私も率直にそう思う。これをしゆうといじめのようにするなら幾多の掘出物があるかもしれませんが、大体それを考えます道というものは、それは難くせをつけるならばいろいろあると思いますが、大体一つのラインというものは出せるのではないかそういたしますと、その算出の方式を私は論議しておるのではなくして、いやしくも人事院というものの存在がある。その存在は権威をもつて見られており、かつまた尊重するということを常に申し述べておるのでありますから、これはどうしても私は政府みずからが原案として提出されるときに、その案を下まわる修正案をお出しになつたその心境というものが、私は算定方式というものではなかろうと思うのです。それともあくまであなた方の考えている方式の方に、より科学的なものありとして、そういうものをお出しになつたのでしようか、どうでしようか。
  75. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 お話のごとく、賃金というものには、これはいろいろの説がございまして、必ずしも一定しておるわけではございません。従いまして人事院には人事院の主張があり、政府には政府の主張があるわけてございます。ただ私どもが一番重点を置いておりますのは既成の事実、現在のベースが昨年の十月から実施されたという、これは動かすことのできない事実でありまして、国民の代表であるところの国権の最高機関である国会がきめたことであります。これを基礎にいたしまして賃金を考えるよりほかにはないのでございます。そうして考えますと、あの当時一万六十二円ベースをきめてくださるときにも、政府の案は人事院勧告から比べますと、相当の開きがございます。しかし人事院勧告はこれは民間と同じ賃金をやれ、こういう勧告でございます。しかしながら政府はやはりそのときも、財政あるいはその他の点を考えまして、民間より下まわつた数字の案を出しまして、それが国会を通つたのでございます。その事実を基礎にいたしまして今日の状態を考えますと、今回の勧告もやはり民間と同じ賃金にしろ、こういうのが勧告でございます。そうすると昨年の十月に開きがあつたものを、今回かりに同じにすれば、非常な民間以上の値上りになります。昨年の十月から今日までの民間の値上りと同じ率でもつて、現在の平均給を値上げしたのが今回の政府原案でございまして、この点が違つておるところであります。一挙に公務員給与民間と同じにするか、あるいは昨年の十月にきまつたものを基礎にして、同じだけの値上りをここでやるか、これがわかれ道でございまして、政府は財政の点もございますから、もちろん人事院勧告通りにするということは望ましいことであつて、これはでき得ればその通りにしたいのでございますが、一応現在のものとのつり合い、あるいはそれからあまりに飛躍的に値上げするということも、国民の税金でまかなつている以上はいかがかと考える次第でありまして、必ずしも民間と同じにならなくても、あるいは恩給の制度があり、あるいはまた先ほどもお答えいたしましたけれども、国家という最も確実なるところに勤めておるというような点、あるいはまた共済組合とかその他の施設の点から、必ずしも民間と同じにならなくても、この際はがまんしていただけるのではないだろうか、こういうような考えで、人事院勧告よりも遺憾ながら下まわつた線になつておる次第でございます。
  76. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 これはこの前もお尋ね申したのでありますが、実は私どもの恐れることは、人事院勧告というものが無視されて、そうして従来こういうこともまた繰返されておる。こういうことになるならば、あるいは言い過ぎであるかもしれませんが、人事院などはいらぬという気持を起すという点が一点、さらにもつと恐るることは、国家公務員法に基いて人事院というものがつくられて、その勧告というのもは尊重されなければならぬというこの段階において、それが無視されるというと、将来いわゆる遵法精神というものがなくなる。デモクラシーの原理というものの中には、少くとも法律を守る、法律を尊重してこれに従うというところに社会の秩序が保て、そのデモクラシーの原理というものが確立されるものであると、私どもはかように考えておる。その点につきまして尊重はするけれども、国家財政の見地やあるいは総合的に判断した観点から見て、承服できないというようなお考え方、私はそういうものよりももつと恐るるものは、われわれは訴えるべきところに訴えても通らなければ、これからわれわれも法を守るとか、社会の秩序を守るということはばからしい、こんなものはやらぬ。これは当然起る事柄として私は恐れる。御承知のごとく、日本の国民が一つの安心感を持つておるのは裁判所だ、裁判所が公平にものをさばくというところに、国民が一つの安心を持つてこれに託する。公務員公務員法に従い、公共企業体の諸君が公労法に従つてその決定に従い、その決定をまた遵法するということは、それによつて発生した機関の裁定なり、勧告なりというものを最も尊重しておるというなら——この状態が行われないとするならば、そんならわれわれももうばからしい。こんなことなら法律を守るのはいやだ、法律をひつくり返しても、法律を踏みにじつても知らぬという考えを起す。これを恐れる。これは私は政府のお考えになつておるところの財源のわずかなことよりも、はるかに日本国民の中に、ことに公務員の中に、かような遵法精神を否定するような、法に従わざるような精神の発生することを最も恐れなければならない、こういう点をどういうふうにお考えになつておるのですか。すなわち私は何百億の財源よりも、もつとこういうふうに多くの国民に奉仕する立場にあるところの公務員が、こういつた気持を起した場合に、どういうふうにお考えになるか、まずそれを伺いたい。
  77. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 お話のごとく、人事院勧告を尊重するという点については、政府も同じ意見でございますが、今の御解釈とは遺憾ながら政府は多少違つた見解を持つております。ただいまのお話を伺いますと、勧告がその通り行われないと、人事院の存在の価値がないというふうなお話でございますが、人事院給与に関する勧告をするばかりが使命ではなく、あるいは人事のことについての不平あるいは訴えを、さばいてもおります上、またいろいろな点について、給与その他人事のすべての点についての実施官庁でもございます。従いましてその勧告が、かりに政府にそのままの形でもつて採用されなかつたからといつて人事院の使命は決して軽くなるわけではなく、むしろ私はそうあるべきものであるというふうに考えるのでございます。何となれば、ただいま池田委員は仲裁裁定とかあるいは人事院勧告とかは、そのままの形でもつて政府を拘束しないと、何か遵法精神が欠けている、法律を無視するというふうな仰せでございましたが、法の精神から法の命ずるところによつても、私は政府の方に検討の権利があり、それから最後は国会がきめるという建前になつておるのでございまして、もしかりにこれを司法権の裁判判決のごとく、当然これを束縛するというものならば、あるいはこれを採用しないことは法律を守らないことになると思いますが、一方においては公務員の立場に立つて、かくあるべき給与の額を勧告する。しかしそれは財政とかその他の点は何も考えておらない。そこで政府が財政上の考慮もして、これに検討を加えて実施案を出す。それがたまたま同じであれば、国会はそのままでよろしゆうございますが、違つた場合には、これを決定するのは国権の最高機関であるところの国会であるというふうにしておるのが、国家公務員法の建前であると思います。勧告よりかもつと強い束縛力のある、つまり予算上資金上可能ならば、当然政府並びに職員を拘束するところの仲裁裁定でも、予算上資金上不可能の場合には国会に出しまして、国会が最後の判決をするという建前をとつております。つまり仲裁委員会とかあるいは人事院とか、こういう半独立的な機関が、いろいろな勧告、裁定というようなものを行いましても、そこは財政的の考慮をむしろ考えないのが当然な責務でありまして、これを国家財政が幾ら幾らしかないから、これくらいのところでいいかげんな数字を出そう。これでは独立機関であるところの人事院の使命が達せられないのであります。従いまして、これは財政上の問題とどう兼ね合いをつけるかが、国家公務員法の建前として政府に検討の余地を与え、それを最後に決定するのが国会である、こういう仕組みになつておるように考えるのであります。従いまして、勧告案について十分尊重しながらも、その額が下まわつたからといつて、国家公務員法というものを踏みにじつておるとか、守らないということにはならない、かように考える次第でございますが、間違つておりますかどうか、そういうふうに考えておる次第であります。
  78. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 どうも公務員法や、そういうもののABCから入つた感じがありますが、私はどうもその点が了解できないのです。菅野官房副長官はそういうふうにお答えになつておるが、しかし国家公務員法においてはこれに罷業権を与えておらぬ。これは公共企業関係またしかり。けれども公共企業関係においては団体交渉権というものは確立しておる。およそ日本の労働運動の時代悲劇というものは、終戦まで、いわゆる労働階級に対する立法というものはなかつたのです。これは世界にいまだかつて類を見ざるところの、最も封建的な国家の状態が日本において行われた。日本におきましては、この敗戦の結果といいながら、われわれが得たるものは、初めて労働者に団結権が認められ、罷業権が認められ、労働権というものが確立されたということである。これは大きなデモクラシーの原理を確立したものであると私は思つておる。かんじんかなめな罷業権あるいはさらにその罷業権よりももつと幼稚である団交権さえも確立されておらない公務員の状態において、私は、その人事院勧告というものを政府が尊重はするけれども、国家財政の見地から顧みて、これはさよう参らぬのである、それは決して公労法を蹂躪するものにあらず、また違法にあらずというお考え方は、これは私は根本的に間違いであると思う。こういう団体交渉権も認められておらず確立されておらず、罷業権も持つておらないという人々の要求というものは、これは人事院がたとい財政のいかんを顧みず、独自の見地において立案されたものといえども、私は高く尊重されなければならないと思う。ちようどこれは司法権のように、確立しておらぬにしても、それは実際上の社会におきます通念としては、最も最高度に権威を持ち、かつ尊重されなければならぬと思う。この考え方は、政府の考え方と私とはたいへん意見の対立を来すものでありますが、その点はいかようにお考えであるかを、さらに伺いたいのであります。
  79. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 社会通念とかそういう点になりますと、また違つた見解が出ると思いますが、ただいま申し上げておりますのは、あくまで法律上の問題でございます。法律上は、もし池田委員のおつしやるように、裁判所の判決のごとく、これがすべてのものを拘束するというならば、勧告という制度はおそらくつくられぬと思います。当然これは国会の審議もいらなく、人事院がきめて、そしてそれを政府は予算を組む義務がある、こういうようなことになるのではないかと思いますが、公務員法上法律にもしない、勧告という制度をつくりまして、そして政府と両院の議長にあてて勧告をすることになつております。これはどうしても財政上の考慮をしていない。つまりかくあるべき数字勧告であるから、これに財政的の考慮を加えて、そして実施案をつくつて、最後は国会がきめる、こういうことにしているのじやないかと思うのでございます。なるほど団体交渉権なり罷業権なりはありません。しかしながら、これは日本だけの特有のことではなく、すべての外国の例から見ましても、国家公務員に罷業権を与えているというところは、寡聞にして聞いておりません。そのかわりに、人事院という制度が、日本においてやや完全な形でもつて行われておるのでございまして、その趣旨からいうと、その勧告は、もちろんこれは財政も許し、それから政府もこれをやろうという気特でもつて実施に移すのが理想な形でありますけれども、その財政考慮等を入れて、遺憾ながらこれをそのまま実施することができないという場合に、政府がこれより下まわつたものを出した場合に、国家公務員法を踏みにじるものであるというふうには、どうしても考えられないのでございまして、この点はまことに残念でございますが、見解が違つているように存ずる次第であります。
  80. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 公務員法に対する解釈なり、あるいは勧告の精神というものに対する解釈については、またいずれあらためて所見を伺いたいと思つておりますが、かえまして、官房副長官は先ほど、絶対に政府原案をかえないとは言い切れない。国権の最高機関の審議にまつというお答えでございますが、それは財政当局とも打合せの上のお話でございますか。
  81. 菅野和太郎

    ○菅野政府委員 政府といたしましては、政府の案を出している以上、この原案の通過を熱望していることは当然でございます。しかしこの案が不幸にして修正された場合におきましては——不幸と言つては何でございますが、修正された場合におきましては、政府もこれを守るのは当然でございます。しかしながらこれは法律だけの問題でございませんから、もちろん予算とうらはらになつておりますので、予算の方とも関連があることは当然でございまして、私どもの方ではこれを修正してもらいたいとかどうとか、そういうような意思は申し上げたつもりではないのでございます。
  82. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大蔵当局にお伺いしますが、菅野官房副長官によりますれば、不幸にしてと言いますが、われわれは不幸でなくして、実は修正の案を用意いたしておるのであります。われわれはむしろ政府案を不幸にして直さざるを得ないような環境にあるのでありまして、われわれは現に修正案を用意しておるのであります。その場合あなた方は、これに対してどういうふうなお考えを持つておるか。たとえば、あくまでも原案をお通しになりたいということは言うまでもないでしようが、やはり国会がこれを議決した以上は、あなた方はそれに対して、これをただちに実行するところの用意を持つておるかどうか、この点をひとつ承りたい。
  83. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。建前として、国会が御修正の権限をお持ちであることは申すまでもございません。ただ財政の当局者としては、たびたび先ほどもほかの委員の御質問に対して申し上げたのでありますが、人事院勧告には、非常に人事院としての御見解は十分盛られておりますが、財政はまたさらに広い点から、いろいろと諸般の関係を考慮しなければならぬことは、先ほど申し上げた通りであります。     〔植木委員長代理退席、丹羽委員長代理着席〕われわれといたしましては、目下のところ税金の立場あるいは諸般の鉄道運賃その他の料金、また地方財政の立場、その他国家財政の歳出の状況等から考えまして、今日のところでは修正の余地は一応政当局としてはないものと考えております 国会がこれに対して御修正の権限をお持ちになつておるということにつきましては、もとよりわれわれとしては何らの疑いを持つておるものではございません。
  84. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 現在のところは財源がないということを言われておりますが、これはつつ込んだ言い方かもしれませんが、われわれは幾つもの案を用意しております。あなたの方の腰だめとして、まず人事院勧告程度の案であるならば、これはそう大した違いがないのでありますから、それならばすぐでも国会が修正をしたならば、補正予算をさらに組みかえる、あるいは修正できる、こういうことはお考になつておりますか、おりませんか。
  85. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 少し計数を申し上げて恐縮でございますが、人事院勧告が完全に実施される場合、すつわち勧告は五月にさかのぼりまして三割強の引上げでございます。なお合せまして、公共企業体の裁定が完全に実施される場合、すなわち八月にさかのぼつて実施される場合の数字のことを多少申し上げたいと思うのであります。一般会計におきまして、五月から人事院勧告を実施いたします場合には三百二十億四千七百万円でございます。これに対しまして政府案、すなわち十一月から二割程度引上げという案でございますが、これは御承知のように百二十八億五千四百万円、その差は百九十一億九千三百万円ということになります。特別会計におきまして、同じく人事院勧告をそのまま実施いたしますと、二百九億八千五百万円、これに対して政府案は八十億七千七百万円でございますから、その差が百二十九億八百万円、地方公務員に対しまして、やはり人事院勧告によりますと六百七十九億二千六百万円、これに対して政府案は二百七十五億八千二百万円でございますから、その差は四百三億四千四百万円ということになります。なお御参考までに、国鉄でございますと、裁定を八月から実施いたしますと百四十八億三千百万円、政府案は百七億六千八百万円でございますから、その差はやはり四十億六千三百万円ということになつております。これらを合せ、その他専売も合せまして、一応全体で申し上げますと、勧告裁定の完全実施のためには、千三百六十九億一千九百万円の金がいるのでありますが、政府は五百九十九億六千六百万円ということになりまして、その差は七百六十九億五千三百万円となつておるのであります。目下のところ、われわれといたしましては政府案が精一ぱいでございまして、人事院勧告なり裁定をそのまま実施いたすことは、とうていできないものと考えております。
  86. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 次に一般職給与に関します各号俸のカーブの問題で、一番多いところの四級から八級というような人々が非常に安い、こういうものをいじるときには、たとえば下の方に厚くして、上の方を薄くするということが政治の原理である。われわれはこういう一つ考え方を持つておるわけでありますが、この人事院の案あるいは政府の案をいじるということになりますと、たいへんな作業になりますかどうか、その点をひとつ伺いたい。
  87. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 どういうふうにいじるかということでございますが、人事院といたしましてこのカーブをつくります際には、公務における職務の困難、複雑の程度あるいは責任の程度、それと同程度のものを民間において調べまして、そしてカーブを合せております。従いましてこれは人事院の立場としては、いじりようがないのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。なお民間給与に合せてずつと上から下までカーブを引きますと、たとえば通し号俸で一号から五号あたりはまだまだ、低くなるのでございます。しかしながら人事院といたしましては、十八歳者の単身青年、この標準生計だけは確保しようということで、この点は五号のところを四千七百円に押えております。こういうことによりまして、現在の俸給表における五号あたりに比べますと、約二〇%程度つておるのであります。そういうふうにして標準生計費を押えるということで下を上げました。そしてそれをバランスをとりまして、若干俸給の間差等が適当になりますように、この民間給与調査標準生計費とを突き合せた、こういうことでございますので、これをある意図をもちまして上の方を低くするとか高くするとかいうようなことは、なかなかやりがたいのではなかろうかというふうに考えます。
  88. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大体私は本日はこの程度で終りますが、総括いたしまして、私が今まで伺つた答弁の中で、財政上の見地あるいは人事院勧告の趣旨、そういうものをよし百歩譲つて政府のお考えの通りであつたとしても、私は今日の段階においては、国内の不安、今日の労働階級あるいは国家公務員の窮迫しておる生活の、実態ということの方が、より大きな現象を日本の政治の上に、国民生活の上に現わしておると思つておる。従いまして私は財政上の見地ということよりも、さらにもつと大きな国の政治という観点から、現在のごとく不安な、動揺している社会を安定せしめ、そして公務員をして国民の公僕として仕えることのできるような道を講ずることが、政治の原理でなければならぬ。私どもはかように思つておるのでありますが、いずれこの点はあらためて政治的な見地から、政府の所見のほどをただしたいと思つております。
  89. 丹羽喬四郎

    ○丹羽委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明十三日午後一時より開会し、質疑を続行することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十九分散会