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1952-11-28 第15回国会 衆議院 人事委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月二十八日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 植木庚子郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 受田 新吉君    理事 森 三樹二君       木暮武太夫君    竹尾  弌君       灘尾 弘吉君    濱田 幸雄君      生悦住貞太郎君    小島 徹三君       松野 孝一君    池田 禎治君       三宅 正一君    加賀田 進君       小松  幹君    館  俊三君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長事         務代理)    久田 富治君         人事院総裁   浅井  清君         人  事  官 入江誠一郎君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     滝本 忠男君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      小林与三次君         総理府事務官         (自治庁行政部         公務員課長)  山野 幸吉君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十一月二十四日  委員緒方竹虎辞任につき、その補欠として保  利茂君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員白石正明辞任につき、その補欠として竹  尾弌君議長指名委員に選任された。 同月二十二日  豊平町の地域給引上げ請願正木清君外一名  紹介)(第四号)  下松市の地域給引上げ請願青柳一郎君紹  介)(第五号)  生野町の地域給引上げ請願有田喜一君紹  介)(第六号)  酒田市の地域給引上げ請願外一件(上林與市  郎君紹介)(第七号)  福住村の地域給指定に関する請願有田喜一君  紹介)(第八号)  柏町の地域給引上げ請願吉川兼光紹介)  (第一三号)  柳井町の地域給引上げ請願青柳一郎君紹  介)(第二三号)  大内村の地域給引上げ請願青柳一郎君紹  介)(第二四号)  徳山市の地域給引上げ請願青柳一郎君紹  介)(第二五号)  宝塚町及び良元村地域給引上げ請願(富田  健治君紹介)(第二六号)  棚倉町の地域給指定に関する請願白石正明君  紹介)(第二七号)  真幸町の地域給指定に関する請願小山長規君  紹介)(第二八号)  立石村の地域給指定に関する請願熊谷憲一君  紹介)(第四一号)  平戸町の地域給引上げ請願綱島正興君紹  介)(第五六号)  糸魚川町の地域給引上げ請願田中彰治君紹  介)(第五七号)  城島町の地域給引上げ請願荒木萬壽夫君紹  介)(第五八号)  甘木町の地域給引上げ請願中島茂喜君紹  介)(第五九号)  徳島市外三箇市の地域給引上げ請願三木武  吉君外十五名紹介)(第六〇号)  御船町の地域給指定に関する請願川村継義君  紹介)(第六一号)  北狩野村の地域給指定に関する請願宮幡靖君  紹介)(第六二号)  土肥町の地域給指定に関する請願宮幡靖君紹  介)(第六三号)  浮羽町の地域給指定に関する請願外一件(荒木  萬壽夫紹介)(第六四号)  松島町の地域給指定に関する請願三木武夫君  紹介)(第六七号)  町田町の地域給引上げ請願栗山長次郎君紹  介)(第七五号)  灘崎町の地域給指定に関する請願星島二郎君  紹介)(第七六号)  福野町の地域給指定に関する請願河合良成君  紹介)(第七七号)  呉市の地域給引上げ請願外一件(前田榮之助  君外三名紹介)(第九四号)  豊岡市の地域給引上げ請願(甲斐中文治郎君  外一名紹介)(第九五号)  安芸町の地域給引上げ請願濱田幸雄君外一  名紹介)(第九六号)  宇部市及び小野田市の地域給引上げ請願(今  澄勇紹介)(第九七号)  岡崎市の地域給引上げ請願小林かなえ君紹  介)(第九八号)  氷見市の地域給引上げ請願河合良成君紹  介)(第九九号)  木更津市の地域給引上げ請願水田三喜男君  紹介)(第一〇〇号)  川尻町の地域給引上げ請願谷川昇紹介)  (第一〇一号)  舞鶴市の地域給引上げ請願柳田秀一君外一  名紹介)(第一〇二号)  倉吉町の地域給引上げ請願足鹿覺紹介)  (第一〇三号)  御嵩町及び中町の地域給引上げ請願安東義  良君紹介)(第一〇四号)  喜多方町の地域給引上げ請願山下春江君紹  介)(第一〇五号)  中和村の寒冷地手当引上げ請願和田博雄君  紹介)(第一〇六号)  棚倉町の地域給指定等に関する請願山下春江  君紹介)(第一〇七号)  尾去沢町の地域給指定に関する請願小松幹君  紹介)(第一〇八号)  小坂町の地域給指定に関する請願小松幹君紹  介)(第一〇九号)  標津村の地域給指定に関する請願森三樹二君  紹介)(第一一〇号)  岩村田町の地域給指定に関する請願井出一太  郎君紹介)(第一一一号)  石動町の地域給指定に関する請願河合良成君  紹介)(第一一二号)  小杉町の地域給指定に関する請願河合良成君  紹介)(第一一三号)  福島県下の地域給指定に関する請願鈴木直人  君紹介)(第一一四号)  松尾町の地域給指定に関する請願森清君紹  介)(第一一五号)  宮陣村の地域給指定に関する請願楢橋渡君紹  介)(第一一六号)  三ヶ日町の地域給指定に関する請願中村幸八  君紹介)(第一一七号)  岩国市の地域給引上げ請願西村茂生君紹  介)(第一四六号) の審査を本委員会に付託された。 同月十二日  北海道下地域給引上げ等に関する陳情書  (第六号)  有馬村の地域給引上げに関する陳情書  (第七号)  八鹿町の地域給引上げに関する陳情書  (第八号)  三石町の地域給引上げに関する陳情書  (第九号)  米子市の地域給引上げに関する陳情書  (第一〇号)  湯沢町の地域給指定に関する陳情書  (第一一号)  鳴子町の地域給指定に関する陳情書  (第一二号)  鶴来町の地域給指定に関する陳情書  (第一三号)  橋立町の地域給指定に関する陳情書  (第一四号)  田口町の地域給指定に関する陳情書  (第一五号)  上下町の地域給指定に関する陳情書  (第一六号)  胸上村の地域給指定に関する陳情書  (第一七号)  戸次町の地域給指定に関する陳情書  (第一八号) 同月十四日  静岡県下の地域給引上げ等に関する陳情書  (第一〇一号)  小坂町の地域給指定に関する陳情書  (第一〇二号)  増田町の地域給指定に関する陳情書  (第一〇三号)  和具町の地域給指定に関する陳情書  (第一〇四号)  岩倉町の地域給指定に関する陳情書  (第  一〇五号)  北川内村の地域給指定に関する陳情書  (第一〇六  号)  鹿児島県下の地域給指定に関する陳情書  (第一〇七号) 同月十九日  陸別村の地域給指定に関する陳情書  (第二〇二号) 同月二十一日  土居町の地域給指定に関する陳情書  (第三〇五号)  高山町の地域給指定に関する陳情書  (第三〇六号) 同月二十七日  米原町の地域給引上げに関する陳情書  (第四〇六号)  棚倉町の地域給指定に関する陳情書外一件  (第四〇七号)  北海道在勤公務員石炭手当に関する陳情書  (第四〇八  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  公務員給与改訂に関する件     ―――――――――――――
  2. 有田二郎

    有田委員長 これより人事委員会を開会いたします。  議事に入る前に、まず御報告いたします。去る二十四日、人事院より一般職職員給与に関する法律第二条第三号及び第六号の規定による勤務地手当支給地域区分に関する勧告が、国会に提出せられました。  また昨二十七日、国家公務員法第二十三条の規定に基いて、人事院より一般職職員給与に関する法律の一部を改正する必要を認めて、その意見国会に申し出ました。  また去る十一日の委員会におきまして、皆様の御賛成を得て議長承認を要求いたしました国政に関する調査承認要求に対しましては、十二日、議長はこれを承認いたしました。  以上、御報告いたしておきます。     —————————————
  3. 有田二郎

    有田委員長 ただいまより公務員給与改訂に関する件を議題として調査を行います。まず調査方法についてお諮りいたしますが、最初に人事院側より昨日申し出て参りました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する意見に基きまして、勤務地手当支給地域区分改訂に関する勧告について、あわせて説明を聴取し、次に内閣及び大蔵省側よりこれに対する意見と、今回の補正予算提出に伴う政府給与改訂に関する大綱の説明とをあわせて聴取し、次に自治庁側より政府職員給与改訂に伴う地方公務員給与改訂についての要綱説明を聴取し、時間があればその後に質疑を行うというような順序で進めて参りたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 有田二郎

    有田委員長 御異議なしと認めます。それではさように決定いたしました。  それでは内閣側より御説明を願います。菅野官房長官
  5. 菅野義丸

    菅野政府委員 今般政府が考えておりますところの一般職職員給与改訂に関しまして、法律案を提出する前でございますが、大体の考え方を申し上げたいと存じます。  地域給の点につきましては、十一月二十四日人事院から勧告がありました。それから一般職職員給与に関する法律改正につきましては、昨日人事院から意見書が提出されたのでありまして、政府は、その勧告、それから意見書並びに本年の八月に人事院から勧告されました公務員給与ベース改訂に関する勧告等を参酌尊重いたしまして、今回一般職職員給与に関する法律改正案を、近日中に国会に提出いたしたいと考えている次第であります。  その要綱を申し上げますと、まず従来ベースと言われておりますところの公務員平均給与は、本年の十一月一日から現在の平均給与に対しまして約二〇%の引上げをいたしたいと存ずるのであります。この点につきましては、本年の八月に人事院から出されました勧告は、本年の五月から当時の平均給与に対して約三割に近いものを引上げるというような勧告でございましたが、この点につきましては、国の財政その他を勘案いたしまして、十一月から平均給与二〇%引上げということに一応結論をつけた次第でございます。最近の平均給は、国家公務員について見ますと、一万七百十四円いとう数字でございます。これはもちろん俸給扶養手当勤務地手当特殊勤務手当が入つておるのでありますが、一万七百十四円という数字が出ております。これは昨年の十月に一万六十二円ベースと言われた改訂が、今日に至りまして昇給あるいは人の入れかわり等でもつて一万七百十四円に上昇して参つたのでございますが、今回政府は、これに対しまして約二割の引上げをいたしまして、平均給が一万二千八百二十円という数字になる予想であります。この程度平均給になるように、今回俸給表その他給与改訂をいたすわけであります。  次は勤務地手当でございますが、勤務地手当につきましては、人事院が本月の二十四日に両院及び内閣総理大臣勧告をして参りました地域区分改訂を、政府といたしましては全然手を触れないで、そのまま法律案といたしまして国会に提出いたしたいと考えております。地域給の点につきましては、ことに地域区分につきましては、いろいろな要素を考えてきめなければならないのでありまして人事院といたしましては、莫大な手数をかけて慎重に調査して勧告をいたしたように聞いておりまするので、政府はこの際これに何らの変更を加えることなく、そのままの地域区分でもつて改訂を行いたい、かように考えておる次第でございます。  次に二、三の点について、給与制度改正を加えたいと思いますので、その点を申し上げます。一つ管理職といわれる管理または監督の地位にある職員、これは普通管理職員といわれておりますが、例を申しますと中央政府の本省の課長以上の人であるとか、あるいは地方で申しますると局長とか部長という人たち、これは人事院人事院規則で指定することになつておりますが、そういう管理職員につきましては、この際超過勤務手当支給をやめようという考えを持つております。管理職員は主として監督とかあるいは政策の立案というような重要な仕事をしておるのでございまして、仕事性質上時間外勤務をするということは非常に多いのでありますが、その仕事の量は、むしろ定まつておらないのが普通でございます。そとで実際の勤務状況超過勤務手当支給する状況とは、ややもすると一致しないような傾向にありまするので、この際そういう職員超過勤務手当支給を廃止して、そのかわりに管理職員に対しましては俸給額調整という方法で行きたいと思つております。御承知通り俸給額につきましては、人の非常にいやがる仕事であるとか、あるいは得がたい仕事であるとか、危険な仕事であるとか、こういうものにつきましては俸給額調整ということが行われておるのであります。そういう一般的な調整のほかに、ここに特別な調整法を考えまして、その調整額は将来恩給とか退職手当基礎にはしない、その職にあるときだけやるというような調整額を考えて、しかもそれもある基本給に対しましては、パーセントをきめて、あるパーセントだけその職にある間だけはやる、そういうふうな仕方でもつて俸給調整をして行きたいと考えております。  それから従来日直宿直をする一般職公務員につきましては、やはり超過勤務手当がついておつたのでございますが、これは非常に不合理なことには、その仕事本務をずつと深夜まで行いますものならば、当然超過勤務手当がつくべきでありますが、その本務仕事ではない、たとえば防火のためとか、あるいは盗難を防ぐためということで日直宿直をやる場合がありますが、これに超過勤務手当をやることは、超過勤務手当性質上から言つてもおかしいのでございます。そういう職員に対しましては、今回超過勤務手当支給をやめまして、そのかわりに一定額定額手当支給することにいたしたいと考えております。現在教職員等につきましては、一定額定額手当支給して日直宿直をやつております。また地方団体等におきましてもほとんど定額でございます。そこでいろいろな実例あるいはいろいろな方面から算定いたしまして、現在大体一回の勤務について三百円程度のものが通例行われておる数字でございますが、この三百円を基準といたしまして、今回の給与改訂の二〇%増を加えまして三百六十円程度定額手当支給することにいたしたいと考えております。  その次は期末手当でございますが、本年は六月に臨時手当半月分公務員に出したのでございます。それから年末につきましては、これは特別な法律がありまして、やはり半月分給与をやることになつておりますが、今回この法律をかえまして、本年の六月にやりましたような臨時手当を年末手当と一緒にいたしまして期末手当という名前にして毎年六月及び十二月にそれぞれ基本給半月分、一年を合計しますと一月分でありますが、それぞれ半月分支給したいと考えております。  それからそのほかに勤勉手当あるいは奨励手当というような手当を出したいと思つております。奨励手当というのは、通俗的に現業官庁といわれております、たとえば郵政職員とか、あるいはアルコール工場であるとか、営林署の職員であるとか、あるいは印刷局、造幣局というようなところに勤めております現業職員に対しまして、十二月に大体基本給の約半月分を越えない限度でもつて奨励手当を出したいと考えております。これは奨励手当でございますから、勤務成績等を考えて、必ずしも全部の人が平等な額ではないというような制度にいたしたいと考えております。その他の職員、つまり現業職員でない職員につきましては、勤勉手当という名前でもつて同じようなものを毎年十二月にやはり基本給の半分を越えない程度でもつて出したいと考えておる次第でございます。  また今回給与ベース改訂いたしますので、たとえば非常勤務職員手当というものも、やはり同じ率でもつて上げなければなりません。現在非常勤職員手当最高額は二千二百円になつておりますが、これを二割ばかり上げまして三千円にする。もう一つ新しいことでつけ加えましたことは、先般明神礁調査に参りました海上保安庁の船が遭難いたしまして、乗組員が行方不明になつたようなことがあつたのでございますが、こういう人たちは所定の年月が経ちまして失綜宣告等法律上の手続が済みますまでは、休職という取扱いをいたしておるのでございます。しかるところ現在法律休職者というのは、病気のためとか、あるいはまた裁判等関係でもつて休職しておる者とか、いろいろ種別はございますが、その俸給はたいてい一箇月に満たない、たとえば百分の七十とか百分の五十とかいうような額でございます。従いましてああいうふうな公務のために遭難して休職なつたという者につきましては非常にお気の毒でありますので、海難等の特別の場合におきましては、基本給の百分の百、つまり基本給全額まで支給することができるという制度を、今回は新しく加えたいと思う次第であります。  その他二、三の点の改正はございますが、これは俸給支給方法であるとか、あるいは昇給期間に応ずる昇給間の差額の改正とかいうような事務的なものでございまして、いずれ法律案を提案いたしましてから詳細に御説明申し上げたいと思う次第でありますけれども、ただいまのところは大きな要綱だけを申し上げたような次第でございます。
  6. 河野一之

    河野(一)政府委員 今回の給与改訂に基きまして、どの程度の金が必要であるかということについて申し上げたいと思います。人事院勧告は大体三割の引上げでございますが、政府の今回補正予算に計上いたしましたのは、先ほど菅野長官が言われました通り平均二〇%程度引上げを今年の十一月一日から実施するということでございます。政府機関職員—国鉄専売等職員につきましては、人事院勧告は別に影響ないのでありまするが、現在裁定なつております分を一般公務員について引上げをなすと同じような趣旨に基きまして国鉄はこの十一月から二〇・三%アツプの裁定べースをのむというようなことで計算いたしますると、今年度予算に計上いたしました給与所要額は、一般会計において百二十八億円、特別会計において八十億円、政府関係機関、つまり国鉄専売電通等職員につきましては百五十億円、これを会計いたしまして、さらに各会計間の重複がございますので、これを差引きまして、政府関係におきまして総額で三百二十二億円ということに相なります。  地方団体におきましても政府職員に準じて引上げをなすということになりますと、これが二百七十五億円でございまして、今年度総額五百九十八億円を所要とすることに相なります。平年度におきましては、一般会計において二百五十億円、特別会計において百五十九億円、政府関係機関におきまして二百九十九億円、その間の繰入れその他の関係重複を整理いたしますと、六百三十四億円ということに相なります。地方団体におきましては五百三十三億円、合計いたしまして千百六十七億円に相なります。  次に人事院勧告基礎としまして—人事院勧告は御承知のように一般職公務員だけでありますが、それに準じて、国鉄専売その他の政府関係機関、それから地方団体も同じようにいたすことにいたしまして、勧告通りに五月から実施することにいたしますと、繰入れその他の関係重複を整理いたさないところで、一般会計において三百二十億円、特別会計において二百九億円、政府関係機関において四百二十一億円、地方公務員において六百七十九億円、合計いたしまして千六百三十一億円に相なります。これを政府の意図しております十一月から人事院の一万三千五百十五円ということでやりますと、数字ではなはだ恐縮でありますが、一般会計において百六十九億円、特別会計におきまして百九億円、政府機関において二百三億円、地方団体において三百六十一億円、合計いたしまして八百四十四億円に相なります。これを平年度にいたしますと、一般会計におきまして三百四十四億円、特別会計において二百二十五億円、政府機関において四百二十七億円、合計九百九十七億円、これに地方団体が七百二十八億円でございまして、総計千七百二十六億円に相なる次第であります。これにはもちろん基本給のほかに超過勤務手当休職者給与共済組合負担金恩給、その他一切のものを合計した数字であります。政府といたしましては、給与引上げ明年度財政にも影響を及ぼすのでありまして、明年度財政状況はもちろん、国鉄専売電通等政府関係機関につきましても、今回の給与引上げにおける影響を勘案いたしまして、先ほど申し上げたような給与引上げ方針を決定した次第でございます。
  7. 浅井清

    浅井政府委員 ただいま内閣側から御説明申し上げましたので大体尽きておると思うのでございますが、人事院は去る八月一日に勧告いたしました一般職公務員給与引上げ勧告に基きまして、去る二十四日、勤務地手当、いわゆる地域給勧告をいたし、さらに引続いてその八月一日の勧告に基く給与法改正案を提出いたした次第でございます。この提出案は八月一日の人事院勧告に基きまして、その給与水準勧告せられてあることは御承知通りでございます。その給与法改正内容は、ただいま官房長官から申し上げた通りでございますのでここに触れません。大体私の申し上げることはそれでよろしいかと存じます。
  8. 小林与三次

    小林説明員 自治庁関係数字は、実は今大蔵省主計局長から御説明のありました数字に尽きるのでございます。あとは御質問に応じまして、必要があれば内容等について御説明申し上げることにいたします。
  9. 竹尾弌

    竹尾委員 私は主として今回の改訂にあたりまして地域給に関して人事院総裁にお尋ねしたいと思います。地域給設定根本方針といたしますところは、申すまでもなく給与に関するアンバランス調整にあることは当然だと思いますが、前回甲、乙、丙にわかれたあの三段階地域給を五段階に修正したということも、そういう趣旨にあると思われます。ところが今回の勧告によりますると、上級地域に関する地域給、すなわち四級から五級に上つたものが十五地域ばかりあります。また三級から四級に上つたのが四十五地域に上つております。そういうことになりますると、このアンバランス調整にあると言われた当局のお考え方と少しく違うところがあるのじやないか、こう思われますが、その点いかがでございましようか、お尋ねいたします。
  10. 浅井清

    浅井政府委員 ごもつともなお尋ねでございまするが、人事院といたしましては、ずつと前からついておりました地域給、それにアンバランスがある、こういう観点から、なるべくこれを合理化する趣旨でやつておるのでございまするから、別に上級のところが少い、下級のところが多いからというような趣旨は持つていないのでございます。
  11. 竹尾弌

    竹尾委員 今回のこの地域給引上げに要しまする予算のうちで、つまり四級から五級に上つた十五地域、及び三級から四級に上りました四十五地域予算は、大体どんなぐあいになつておりますか。
  12. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 お尋ねでございまするが、予算の詳しい数字はただいまここに用意しておりませんので、後ほどお目にかけたいと存じます。
  13. 竹尾弌

    竹尾委員 大体どんなぐあいかおわかりと思いますが、大体のところでけつこうです。
  14. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 後ほど詳しい資料を提出いたしたいと思います。
  15. 竹尾弌

    竹尾委員 詳しくなくても、大体のところでけつこうであります。
  16. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 後ほど資料を提出申し上げます。
  17. 竹尾弌

    竹尾委員 そうしますと、お答えができないということでございますか。給与局長でございますから、大体のところはおわかりになるはずです。私は詳しいことを聞いているのではなく、大体でけつこうなのです。
  18. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 地域給の問題は、もちろん予算関係はあるわけでございまするが、しかしながら、われわれがやりました作業におきましては、三級から四級にするのに幾ら予算のわくをきめてやるというような作業はいたしておらないのであります。従いましてはなはだ不用意ではございまするが、仰せのような資料をただいま用意いたしておりませんので、後ほど計算いたしまして提出いたしたいと思います。
  19. 竹尾弌

    竹尾委員 作業はいたしておらぬとおつしやいますが、大体こういう方針で、こういう道筋で行かれるということは、当然おわかりのはずであるし、またそういう計画のもとにやられなければ、これはできないはずなんでございまして、大体のところがおわかりにならぬのでは、結局何にもおわかりにならぬということになるので、その衝に当られる局長でありまするから、大体の数字がおわかりにならぬということはどうも了解に苦しむのです。何とかひとつ御答弁願いたいと思います。
  20. 浅井清

    浅井政府委員 だんだんと御追究でございまするけれども、人事院といたしましては四級から五級へ上げるわく、また三級から四級べ上げるわくというようなものは考えませんし、またその必要は人事院に関する限りないように存じております。人事院といたしましては合理的に考えまして、地域給引上げをいたすべきところを出しておるのでありまして、ただその結果としてどのようになつておるかという御追究でございまするならば、ただいままだ資料は準備していないとお答えするほかしかたがないと思います。
  21. 竹尾弌

    竹尾委員 私はそのわくをお尋ねしているのではないのであつて総裁の御答弁のようにその結果を承りたいと思う。その結果は、その衝に当られました事務当局の首脳者である給与局長が御存じないわけはないと私は思いますので、その点をお尋ね申し上げておる次第であります。
  22. 有田二郎

    有田委員長 委員長として一言人事院の方へお願いしたいのは、竹尾委員のおつしやることはもちろんであります。また人事院総裁のおつしやることも、ごもつともであります。しかし、いやしくも人事院勧告がなされまして、ここに相当の日にちがたつておるのでありますから、給与局長として五級が幾ら、四級が幾らということを決定されておつたら、それに所要する金額も、大体はじいておられるはずだ。また私の聞くところでは、今度の人事院勧告による金額が二十四億円と承つておるのです。そういう話も私は承つておるのでありまするから、大体、本日のこの席上において委員からの質問があれば、これに対して五級に上るものについては、これだけの金額が所要であるというようなことは、当然答弁されるべきであると私は思います。それがないということは不用意だと思います。決定するについてはそういうわくがないということは、けつこうでありますが、すでに人事院勧告がなされて約一週間の時日をけみしているわけでございまするから、どうかひとつこれからは、こういう委員の御質問に対しては、すみやかに答弁されるように御用意を賜わりたいと思います。給与局長の御答弁を伺います。
  23. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 ただいま委員長からお話がございましたように、われわれの計算によりますと、これはベースが幾らにきまるかという問題が、まず最初の問題になろうかと思います。しかしかりに人事院案が実現するといたしますならば、この総額は年間二十六億円強ということになります。そうして地域別にどれほど上つておるかという市町村数もわかつております。それは先ほど竹尾委員から御指摘がございましたように、市町村数にいたしますならば五級に新しく上りますものが十五、それから四級に新しく引上げられますものが四十五、三級に新しく上りますものが百二十、二級に新しく上りますものが二百九十、一級に新しく指定されますものが九百三十という数字になります。その結果人事院の新しい勧告の案によりますと、五級地は七十六、四級地は九十五、三級地は二百二十八、二級地は五百二十三、一級地は千六百七十三ということになります。この変更によりまして公務員数はどれくらい引上げになるかと申しますれば、全公務員のうち約一%が五級地に引上げられ、七%が四級地に引上げられ、一五%が三級地に引上げられ、一一%が二級地に引上げられ、七%が一級地に引上げられるという勘定になります。まことに不用意でございますが、その結果が年間どういう金額になるか、その額を言えとおつしやるわけでありますが、計算してみればすぐわかることでございますけれども、この点はあらためて計算して提出いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  24. 有田二郎

    有田委員長 竹尾君、この程度でひとつその点を御了承願つておいたらどうですか。
  25. 竹尾弌

    竹尾委員 もう一点その点について御質問いたします。ただいま給与局長からいろいろ御説明いただきましたが、私のお尋ねするところばそういう点ではないのです。今おつしやられるようなことは、私も臨時の人事委員でありますけれども、大体よく存じております。ただ私が今お尋ねしたいのは、今回五級に上る予算と四級に上る予算はどのくらいであるか、これをお尋ねしたいのです。給与局長はおそらく十分御存じのはずでありながら御答弁をされない、こういうぐあいに私はとります。御答弁されないならばされないでもよろしゆうございます。それで次に移ります。はなはだ残念ですが、まあやむを得ません。  そこで次のお尋ねでありますけれども、この前にこの地域給地域改訂がありましたが、その当時の経済情勢と今日の経済情勢というものは、相当に変化をしております。どういうぐあいに変化しておるかと申しますと、これはいろいろ考え方がありましようが、私の考え方では、現在の都市の生活に要する生計費とそれから農村の生計費というものはだんだん接近して来ておる。これは当局もお認めであろうかと思います。その意味で上級地を少くして、そして下級地を多くするということが建前でありまするし、それから私がしばしば給与長さんにも、総裁にもお目にかかつた折に、アンバランス調整の意味で、できるだけ下級地をふやして行く、こういうことをおつしやられておりましたし、また今度の勧告案によりましても、そういう点は一応は認められておると思いますが、全体としては私は非常に不満な点を感じておりまするけれども、当局はそういう点におきましてどうお考えになりますか、総裁の御答弁をお願いしたいと思います
  26. 浅井清

    浅井政府委員 御指摘されるまでもなく、竹尾さんのおつしやると同意見でございまする
  27. 竹尾弌

    竹尾委員 そこで、私は非常に意を強ういたしたのでございますが、そういう御意見でありますれば、この勧告案というものは決して総裁といたしましても満足されておらない、こういうことになろうかと思います。重ねてお尋ねいたしますが、そういうことになりますか。
  28. 浅井清

    浅井政府委員 満足しておらぬということになろうと仰せられまするけれども、私といたしましては、大体よくこれだけ行けたと思つて、その点では満足いたしております。もし都市と農村との間の物価が、竹尾さんのおつしやる極限まで同一といたしますれば、これはもはや地域給の問題ではなくて、本俸の操作よりいたし方ないように考えておりまするから、人事院といたしましては、まず本俸引上げ勧告をもいたしておる次第でございますが、そうも参らぬのでございまするからして、まず今回は竹尾さんの大体の御趣意のように、アンバランスを是正する意味の勧告をいたしておる、こういう状態でございます。
  29. 竹尾弌

    竹尾委員 まことに巧妙な御答弁で、私これにつつ込むだけのあるいは力がないかもしれませんけれども、今回の勧告においては大体御満足である。しかしこれ以上進めたならば、地域給を全廃しなくちやならぬというような段階にも達するかと思いますが、大体そういう段階に達しつつあるということは事実だろうと思うのです。そこで今後どういうふうにお考えかは存じませんが、とにかく今度の発表されたものは、私としては不満でございます。このアンバランス調整とおつしやいますが、いろいろ一々例をあげますると調整なつておらぬ点が相当多いと思うんです。たとえば、ここに松野さんいらつしやいますから秋田の例を私から申し上げるのはどうかと思いますけれども、秋田では大館市が上りまして、能代が上らない。山形では酒田が上つて、米沢はそのままである。群馬県では、ほとんどもう隣接している前橋が上つて、高崎が上らぬ。こういうような一例を見ても、今までこういう所をやらなかつたならば、あるいはアンバランス調整なつておつたかもしれない所を、こういうぐあいに一方を上げて、一方をそのままにしてある。こういう点は私はアンバランス調整ではなく、ますますでこぼこを多くするという結果になろうかと思いますが、総裁のお考えをお伺いしたい。
  30. 浅井清

    浅井政府委員 どうも、竹尾さんからそのような御批判があろうとはまつたく予想しなかつたのでございまして、この地域給引上げは、竹尾さんも非常に熱心に唱えられていたのでございますから、私どもとしては御希望に沿うだけのことはいたしたつもりでございます。ただどこが上つて、どこが上らなかつたという個々の御批判に至りましては、われわれ一々ここで論議すると、これは結局意見の相違とも相なる次第でございますが、また特に個別的に問題の点がございますれば、給与局長から御説明をいたさせてもよろしいかと思つております。
  31. 竹尾弌

    竹尾委員 個々の問題は、給与局長が一番よく御存じですから、私は総裁にお尋ねいたしません。しかし問題は、抽象的に非常に熱心にやるやらぬということは、具体的にそれが何らかの表現になつて現われなければならぬ。こういう現れ方というものは、これはアンバランス調整ではなく、アンバランスをますます助長するものであるというぐあいに私は考えておる。その点いかがでございますかということを、たとえばということで例をもつて私は申し上げましたが、その点例は例でいいですから、抽象的に今回の勧告アンバランス調整するものではなく、あべこべにそれを助長するというような結果になつておるんじやないかと思いますので、その点を私はお尋ねしたのでございます。
  32. 浅井清

    浅井政府委員 残念たがら私どもはさように考えておりませんので、これは各地方からもだんだんと要望がございまして、若干アンバランスはむしろ調整できたように考えておるのでございます。これ以上はどうも御意見との相違に相なりますから、御答弁をいたしかねます。
  33. 竹尾弌

    竹尾委員 そこで私は、これ以上総裁と渡り合つてもこれは意見の相違でやむを得ないと思いますから、もういたしません。ところがわれわれの考え方では非常にでこぼこがある。そこで私は委員長にお願い申し上げるのですが、こういうアンバランスをそのままにしておいては、われわれ議員としての職責を全うすることができない、こういうことになります。私は正式の人事委員ではございません。正式の人事委員でない者がここまでお伺いして叫ばざるを得ないということは、いかに今度の勧告アンバランスがあるかという証左であろうと私は思う。そこで委員長にお願いしたいことは、ぜひ野党の皆様方ともひとつ御相談を願いまして、人事院としては再勧告をされるような意思が毛頭ないと私は思いまするので、委員会といたしまして野党の皆さんに御協力を願つてこのアンバランス調整をしてくださる御意思が委員長さんにおありであるかどうかということを私は伺いたい。
  34. 有田二郎

    有田委員長 竹尾君の御質問に対してお答えいたします。参議院の諸君ともよく相談し、また本委員会としてもよく御相談申し上げまして善処いたしたいと考えております。
  35. 竹尾弌

    竹尾委員 善処と申されることは、そういうことを相談いたしまして国会で何か修正の道を講じていただくということでございましようか、その点をひとつ伺いたい。
  36. 有田二郎

    有田委員長 その点につきましても、委員各位とよく御相談をいたしまして決定いたすごとであつて、委員長独断で何事もできることではないのであります。委員の各位とよく御相談いたしまして善処いたしたいと考えております。
  37. 竹尾弌

    竹尾委員 ごもつともでございます。もちろん委員の皆さんもこれには反対がおそらくないと思いますが、せつかくひとつ委員長として御努力を願いまして、そういう結果に到達されんことを切に希望いたしますと同時に、委員長さんとしてはそういうことをやられるお気持でございましようかどうか、委員長の御心境をひとつお尋ね申したいと思います。
  38. 有田二郎

    有田委員長 重ねてお答えいたしますが、委員各位とよく御相談いたしまして、善処いたしたいと考えます。
  39. 竹尾弌

    竹尾委員 委員長さんは、そういうことをしていただく気持は十分あるのですね。
  40. 有田二郎

    有田委員長 最善の努力をいたします。
  41. 竹尾弌

    竹尾委員 国会の修正まで持つて行かれるという気持がありますか。
  42. 有田二郎

    有田委員長 その点につきましては委員の各位とよく御相談いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  43. 竹尾弌

    竹尾委員 やむを得ません。どうぞよろしく願います。
  44. 有田二郎

  45. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 私もやはりその点については特に委員長の善処を煩わして、必ずこの問題については到達するようにお願いいたします。先ほどからいろいろお話がありましたが、その点ではでごぼこであるとは私は考えてない。この問題については予算とにらみ合せて行われたものであるというふうな解釈をしております。そこで予算のわくがどの程度までに広げられるか、それについては委員長としてこの点に重点を置いて、どれだけわくをとるか、そうしてさらにどれだけ乗つけるか、この問題だろうと私は思います。何としてもこの際人事院総裁においても政府においてもさらに御努力を願いたい。この点は非常に重要な問題であつて、アンバランスのごとく見えるのは当然でありまして、当然引上げなければならないランクのところが引上げていないために、そういうふうに見えるのだろうと私は思います。その点について政府並びに人事院総裁の御意見を伺います。
  46. 浅井清

    浅井政府委員 もとより私どものいたすところでございますから、御意見通り、至らぬ点もあろうかと思いますが、人事院といたしましては一応勧告国会の方に差上げておる次第でございますから、さらに追加勧告をいたすという考えは持つておりません。但しこれはいかように御修正になろうとも、もとより国会の御権限にあることでございますから、人事院といたしましてはとやかく申し上げる筋合いのものではないというように思つております。ただ御決定になります前に、人事院意見をも述べる機会を与えていただきますれば、幸いだと思つております。
  47. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府の方からお答え申し上げます。ただいまの御質問は、予算のわくがきゆうくつであるので、上ぐべきところを上げなかつたことはないかというように聞えたのでございますけれども、それは全然ございません。私の知つておる限りにおきましては、人事院は各種の資料でもつて、予算ということを考えずに、正当な結論を出しておつたように聞いております。政府勧告を受けまして、もちろん予算との関係を考慮したのでございますが、内閣側といたしましてはどの地域にどれだけをというようなことは一切人事院の方には申し上げておりません。この点お答えいたします。
  48. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 予算のわくというものが根本にならないで、勧告が行われたということは私は納得できかねます。何としても予算とにらみ合すのがほんとうであつて、人事院が全然別個の立場からやつているものとは私には考えられません。しかしそれはそうでないということなら、この際地域給引上げなかつた分については、さらに引上げるようにわれわれ全員が努力して、これを行いたいと思いますので、今後参議院ともよく相談をしましてこの修正を勧告いたしたいと存じます。どうぞその点よろしくお願いいたします。
  49. 有田二郎

    有田委員長 今生悦住貞太郎君からお話がありましたが、官房長官委員長としてお尋ねしたいのは、予算関係ない、かようにあなたのお話を解釈してよろしゆうございますか。
  50. 菅野義丸

    菅野政府委員 私が申し上げましたのは、勧告が決定されるまでの判断の資料として、幾らく金がかかるから、ここを落とそうとかいうようなことは、人事院としてはお考えにならなかつたと私は思います。  なぜ私がそういうことを申し上げるかと申し上げますると、勧告を御決定になるまで人事院からいろいろな案を示されて相談をされたことは何らないのでございますから、そういうようなことは考慮に入れて決定されたものではないというふうに私は考えております。しかしながら一旦勧告が出されまして、政府はこれを法律案として提案するつもりでございまするが、それには幾ら幾らかかるということは、もちろん予算的の計算をいたしまして、予算に計上いたしておるのでございまして、これが予算に全然関係ないということで私は申し上げたのではございません。決定されるまでの経過として、予算を考慮に入れたかどうかという点については、少くとも私の知つている限りにおいては、そういうことはないというふうに考えております。
  51. 浅井清

    浅井政府委員 実は私から御答弁いたす方が適当ではありますが、菅野長官から申し述べましたので、差控えておつたのでございまするが、副長官が申し上げましたように、人事院が初めから予算のわくを考えていたしたということは毛頭ございません。勧告はまつたく別の立場から適当と認めるところの案をこしらえ、これを内閣へ差出し、そこで初めて内閣側におきまして予算の考慮がなされる、これが常道でございまして、今回もその通りでございます。  なおつけ加えますれば、勧告後におきまして、内閣の方から勧告内容を削るとか増すとかいうような要求は毛頭なかつたことを念のためつけ加えておきます。
  52. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 私主計局次長でありますが、大蔵省からただいまの生悦住委員の御質問についてちよつとお答え申し上げたいと思います。この勧告が出されるまでのいきさつにつきましては、菅野長官から申された通りでありまして、人事院政府の間に予算その他による連絡というものはございません。しかし今日、御承知のように、補正予算はすでに国会に提出されておるわけでございまして、補正予算におきましては、先ほど来るる申し上げましたように、平均約二割のベース・アツプということを予定いたしておるわけであります。従いましてこの二割のベース・アツプのわく内におきまして、この地域給引上げが処理されるわけであります。私どもの大体の計算によりますと、二割のわく内におきまして今回の人事院勧告を実施いたしますためには、約三%ぐらいがいわゆる引上げのための財源として必要だと考えます。従いましてもし引上げをさらにふやすということになりますならば、三%はふくらむわけであります。従つて二割のわくが、すなわち本俸その他にまわるべきものが地域給の方にまわるということに相なるわけでございますから、この点は皆さんはよく御承知かと存じまするが、一言大蔵省としてお答えいたします。
  53. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 その点は非常に重大であつて、同じ政府の中で私は非常な食い違いだと思う。予算の考慮のもとに当然考えておると大蔵省言つておるし、人事院予算を考慮しないでやつたんだ。同じ政府の中で、ベース・アツプの問題から言えば、当然そうなんだが、いつも地域給の問題は予算の関連で押えられておる、押えられておるということを言つておるんでずが、内閣として一貫性がないと私は思う。今度のベース・アツプのわくの中でやつたということを大蔵省言つている以上、内閣言つている予算に関連がなくきめたということとの間には、非常な矛盾があると思うのですが、もう一度これを伺つておきたい。
  54. 菅野義丸

    菅野政府委員 私の言葉が足りなかつたので、あるいはおわかりにならなかつたかと思いまするが、私が申し上げましたのは、人事院勧告が決定されるまで、いろいろな案があつたろうと思います。その間において予算ということを考慮に入れて、上ぐべきところを上げないとか、あるいは下げるとかいうようなことはなされなかつたということでございまして、もちろん地域給でございますから予算関係ないということは全然ないのでありまして、少しでも動かせばそれだけ予算が変更を受けるわけでございます。従つて勧告がなされましてからは政府は慎重に計算をし、予算の増額も計算しております。そうして今大蔵省の方からお答え申し上げましたことは、今回の二割増という予算は、基本給とか、地域給とか、扶養手当とかいうようなものが全部入つたものでございますから、その平均給の中でもし地域給が増せば、基本給とか扶養手当の方に影響するという意味合いでございます。その点あるいは言葉が足りなかつたかと思いますので、補足いたしておきます。
  55. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 いや、言葉が足りないのじやなくて現に前の基本的な勧告というものは、政府予算的にはほとんどのんでいない。だから大蔵省説明からいうと、この地域給だけについて予算的に中へ織り込んであるというふうな感じを受ける。人事院は原則的には予算を考慮しないで地域給をきめたとするならば、われわれ委員として審議する場合に、非常に問題になることがある。というのは、政府人事院勧告全体をのんでの話なら、お話のように多少どつちへ動こうとも、その中身の問題によつてかわるけれども、予算的に人事院勧告をのんでやしないのだ。のんでない勧告の中で、地域給だけはのんでいるのか、のんでいないのか、その辺が今の御両人の答弁からいうと了解できない。これじやわれわれ委員としては審議できない。この地域給政府が了承をしたのか。人事院独自の問題であるというならわかるが、どつちかはつきりしてくれなければ困る。これをわれわれはそのままのんだら、ほかの職員が犠牲になると言う。そういう基本的な方向がはつきりしないのでは、われわれは審議できないのです。その点は決して言葉の問題じやない。
  56. 菅野義丸

    菅野政府委員 お答え申し上げます。先般八月になされました人事院勧告をのんでおらないというのは確かでございまして、おつしやる通りでございます。しかしながら今回政府が無修正でのみましたのは、地域給地域区分の点でございます。その点は全部のんでおります。地域区分をどうするかということについては、人事院勧告をそのまま法律案にして提案いたしたいと思うのでございます。それで御承知通り平均給というのは基本給ばかりではなく、基本給扶養手当と、地域手当と、特殊勤務手当とが入つたものでございまして、なるほど平均給一万三千五百十五円という人事院勧告はのみませんで、それより下まわつたものでございますけれども、地域区分につきましては政府は完全にのんだ次第でございます。しかも政府が組みました基本給も、二割増の数字に当てはめた数字として予算を組んでいるわけでございます。
  57. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 そうすると浅井人事院総裁に伺つておかなければいけない。今の大蔵省の言からいえば、われわれ委員の審議権を非常に拘束するような発言をしている。というのは、政府は実に不都合な主張をしている。地域給はのんだ、しかもベース・アツプはのまないのだ、だから地域給について委員がいろいろ文句を言えば、それは全体の、のまない政府のかつてな予算を動揺させるのだから迷惑だと言わんばかりの言い分をしている。また私は人事院というのは非常に御都合主義だと思う。浅井さんに伺いたいのは、地域給だけについては政府にのませた、あとはのませないで、それでのこのことこの委員会に出て来て、われわれにこの案を押つけようとなさるのかどうか。この点もう一度人事院としての見解を伺いたい。そうでないとわれわれは審議できない。
  58. 浅井清

    浅井政府委員 ごもつともでございますが、人事院勧告いたしまする以上、それ全体について実現を期することは申すまでもない点でございます。その前提においてお話をいたしておるものと御了解願いたいと存じます。
  59. 竹尾弌

    竹尾委員 私が先ほどお尋ねした点はそこにあるので、地域給だけをのむということは実にけしからぬと思う。何ゆえにこういうアンバランスのはなはだしい地域給をのむか。どうですか、官房長官。これはのむのですか。
  60. 菅野義丸

    菅野政府委員 最初に御説明申し上げましたように、地域給地域区分というのは非常に複雑なものでありまして、これはいろいろな資料がなければとうていきめられるものではないのであります。人事院勧告を出す都合上相当多数の人と、長い年月を使つて調査をいたしておりまして、これをさらに政府が同じような人手、日数をかけて検討してこの不合理を直すという余裕はございませんし、また不可能に近いのでございます。従つて勧告は尊重いたしましてそのまま地域区分にいたしたいと考えておる次第であります。
  61. 森三樹二

    ○森(三)委員 議事進行について。竹尾さんは委員外なんですね。
  62. 有田二郎

    有田委員長 いや、人事委員です。
  63. 森三樹二

    ○森(三)委員 それならいいのですが、とりとめもなくお互いに発言しないで、順序を尊重して少しずつやつてもらいたいと思う。
  64. 有田二郎

    有田委員長 それでは順序を追つて生悦住委員
  65. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 浅井人事院総裁にお尋ねいたします。はなはだ奇妙なことを先ほどから聞きましたが、私どもは、今度の人事院勧告地域給の問題については、必ずしもアンバランスとは言いませんが、ランクを引上げないためにこういうふうに見えるということを再三申し上げました。それについて何としてもこのランクの引上げの足りないところを引上げをしなければならない。それについて人事院は再勧告するかどうかということの質問に対して、それは一旦した以上あとはしないのだというお話でございますが、これが人事院として妥当な行き方であるかどうか。一ぺん出した以上はそれを変更することはできないのだとおつしやることが筋が通るかどうか。その点人事院総裁から答弁をしてもらいたい。
  66. 浅井清

    浅井政府委員 再勧告ということでございますが、人事院といたしましては将来この点について何か訂正すべきところがあれば、それはいたしたいと思つております。かような大規模なものは、私の今の心境では、もうないように思つておりますが、若干の地域において、なお将来改正すべきところがあればいたします。その意味の再勧告はあり得ると考えておりますが、ただ今回の勧告国会ですでに御審議をされておるときにあたりまして、さらに追いかけて勧告をいたすという意味の再勧告はいたさないつもりである、かように申したにすぎないのであります。
  67. 生悦住貞太郎

    ○生悦住委員 重ねて言うことはむだだと思いますから中止しますが、先ほど申すように、総裁が政府に再勧告するということについて、格段の努力を払われたいことを希望しまして、私は質問を終ります。
  68. 有田二郎

    有田委員長 松野孝一君。
  69. 松野孝一

    ○松野(孝)委員 私はちよつと中座しておりましたので、あるいは私の質問せんとするところにお答えになつておつたかもしれませんけれども、この地域給に関する人事院勧告を拝見いたしますと、私は秋田県でありまして、秋田県の実情はよく知つておりますが、先ほど竹尾さんからもお話がありましたように、たとえば大館市が二給地になつて、能代市が二給地にならない。こういうことはどういう関係でこうなつているのかふに落ちない。たとえばそのほかにしても同様でありまして、私は弘前に長くおつたのでありますが、八戸市が上つて、弘前市がそのままになつておる。あるいは酒田市が上つて米沢市がそのままになつておる。この辺は私どもよく知つておるつもりでありますが、経済状態あるいは物価その他の事情も大体常識的に—数字的にははつきり知りませんが、常識的には知つているつもりでありまして、どうもふに落ちない点があるのでありますが、人事院といたしましてはどういう資料がどういうふうになつておつてこういうふうになつたのか、これはほんとうに自信のあるものかということについて非常に疑問に思うのでありますが、その点についてお伺いしたい。
  70. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 お答え申し上げます。われわれといたしましては、県の中における生計費の実情というようなものについて、一々の箇所を全部人事院の責任において調べ上げるということは至難なわざでございます。従いまして県の方に、あるいは県の人事委員会の方にお願いいたしまして、一つの県内における順位というようなものをお出し願つているわけでございまして、この県のお出しになりました修正の順位表というものは、よほどのことがない限り尊重して行くという建前をとつております。そのほかに国会等におかれましても国政調査等でいろいろ実地調査をされておるというような実情もございまして、そういう実情調査の結果も、われわれ十分拝聴いたしておるのであります。そういうふうにいたしまして、県の順位表というものを尊重してわれわれの作業を進めております。ただその際に、問題は県の間のバランスをとるという必要があろう、これは決定的に必要であろうと思うのであります。それにつきましては分配所得でありますとか、あるいは勤労者の所得というようなものを県単位にどういう平均になつておるかということを調べまして、県の間のバランスをとるという作業を—一応それが決定的な資料ではございませんが、問題を判断して参ります上にそういう作業もいたしております。ただいま御指摘のなぜそこで区切つて行くかというお話でございますが、その土地の生産事情等が相当活発であり、従つて物価等も相当高騰している、生活事情一般が高騰しているというふうに人事院が判断いたします場合には、たとえば順位でずつと出て参りますと、あるところで切るというような作業をいたしているわけでございます。そのようにいたしまして県と県との間のバランスをとり、県内におきまして人事院の判断といたしまして同様に取扱わなければならないというようなものを、無理々々引きさくというようなことはなるべく避けまして、そうして作業を進めた次第でございます。
  71. 松野孝一

    ○松野(孝)委員 これは非常にむずかしい問題であると思います。どこで線を引いて公平にやつて行くかという問題でありますが、県から出ておる内申というものを見ますと、その線までは入つておりますが、一つの町村と一つの町村の間の開きの大きいのと小さいのとがあるのではないか。私がずつと見ておりますと、ここまで入れれば皆がともかく納得するというような線があるように思うのですが、その線から見て、私はどうも適当でないところがあるように思う。やはりアンバランス化をかえつて尖鋭化するという点があるように見受けられる。これは私が知つておる範囲内のことだけを例にして申したのでありますが、その点に関しましてこういう種類のものは一町村ごとに正確に調べるということは困難でありましようから、地方の実情のよくわかつた人の意見を聞いて、そういう委員会をつくつて、こういうものは決定した方がいいのじやないかという気もするのであります。政府といたしましてはさらにこれを修正して出されるということも、今になつては困難かと思いますので、ひとつ委員長の方でわれわれの意図するところをおくみとりいただきまして、修正意見をまとめていただくようにお願いしたいと思います。
  72. 森三樹二

    ○森(三)委員 私は緊急意見を述べたいのですが、大体この程度で打切りまして、ちよつと各委員方で御相談したいことがあります。
  73. 館俊三

    ○館委員 今森さんの御発言はこの委員会のある時期に至つたならば適当だと思いますし、私もそういう形の委員会もどうかという気持も持つておりますが、まだ私の一般的なことについての質問もございますので、もしそういうものがおありでしたらそれをやつてから、あるいは森さんのような御意見委員会で賛成になつて、そこでこの委員会の空気の調節なり打開ができるというめどが立つということで皆さんが御承知ならば、そういうことに運んでもよろしいかと思いますが、一般的な質問もまだ多少私は持つておりますし、ほかの人があるとするならば、その質問を終られてから森さんの議事進行の提案を詮議していただきたい。それがいいのではないかと考えております。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 いろいろの御意見があることですし、私の順番になつておりますが、午前中の委員会を何時で打切るかをまず考えて、その間にできれば一応簡単でもいいから、要点の質問をやるということが大事だと思います。その打切るのを早く打切るようであれば、森さんのお説を取入れる必要がある。委員長の運営の態度……。
  75. 館俊三

    ○館委員 きようは一時から本会議がありますけれども、おそらく一時に開会にはなるまいと私は考えておる。それで、ちよつとお昼の飯を食いはぐれるかもしれませんが、続行してきようの質問はやつていただきたいと私は考えておるのであります。十二時のものは、三十分ぐらい延ばしますと一般質問が終るのではないかと考えております。そういうことにしまして、それから次の森さんの提案に移られたらどうかと思います。
  76. 竹尾弌

    竹尾委員 午後に続行するということになるといたしますれば、私は森さんの御意見に賛成いたしまして、ここで十分だけ、集まつていただいて各位で相談をしていただきたい。
  77. 有田二郎

    有田委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  78. 有田二郎

    有田委員長 それでは速記を始めてください。館委員
  79. 館俊三

    ○館委員 ちよつと遅れて来て、最初にどういう質問なり答弁があつたかわかりませんが、一般的にちよつと聞いておきまして、それから今頃し上げました休憩中のものの考え方についての私の考えをきめるための質問をしたいと思つております。  私は人事院勧告、ことに地域給勧告については、落選してからいないものですから、きよう初めてこの問題について出たのですが、前に参議院の修正が行われて、それが衆議院にまわされて再審議するということでしたか、私土地におつて聞いておつたのですからはつきりわかりませんが、そのときの話では、参議院の修正は決定したのであるけれども、予算の裏づけのない法律改正であつたために云々ということが巷間に流布されておつたのであります。この点について私非常に考えるのでありますが、この修正が予算の裏づけがなかつたということであるが、参議院の権威ある人事委員会で修正したにもかかわらず、予算の引出しがなぜできなかつたのであるかという疑念を、土地におつて、新聞を見ながら持つておつたのであります。ところが今度の修正については、人事院のおつしやることには、参議院における前回の修正を多分に盛り上げて、この勧告を出されたということである。前に予算がなかつた。今度はそういう参議院の予算の裏づけのない修正を多分に盛り上げて勧告をなさつたということについて、人事院としては、この予算の目途がついておるのかどうかという疑念を私は持つておるのであります。  もう一つ大蔵省といたしましては、前回に予算の裏づけがなかつたということは、大蔵省が出さなかつたのだろうと思いますが、予算がないという理由でこの修正案が通らなかつた。いいかげんな形で両院の妥協がついて、将来においてということでございましたが、今度は大蔵省でもこの勧告を大体見ておるようにも考えておりますが、予算の裏づけがあると私は見ておる。私非常に残念に思いますことは、そういうように一年の間に—修正を出されたのはこの春先でしたか、そのときはたくて、今度補正予算で、たくさんの予算の要求が各方面からある際に、こういう予算があるということになりますと、今年の春先にもすでに予算を出せば出せたのではないかと私は考える。この点について、そのときの大蔵省なり、人事院考え方をまず先にお聞きしておきたいと思う。人事院総裁と、大蔵省の方に、私が判断できるような御回答を願いたいと思います。
  80. 浅井清

    浅井政府委員 館さんにお答え申し上げます。人事院といたしましては、予算云々のことは存じないのでございます。要するに人事院勧告通りの案が衆議院を通過いたしまして、参議院に送付せられ、参議院において修正が加えられて、両院協議会と相なつた次第でございまするが、この両院協議会の内容は御承知のごとく秘密でございまするから、われわれとしていかようなる話合いがなされたかは存じません。ただわれわれが知つおりますところは、その両院協議会の成案において、参議院の修正は撤回され、衆議院を通過いたしました原案通り法律案が成立いたした次第でございます。ただそこに備考がつけ加えられまして、人事院がこの参議院の修正案をしんしやくして、さらに勧告をすべき旨がつけ加えられておる。それでこのたびは参議院の修正案を尊重いたしまして、勧告をいたした次第でございます。ただ申し上げたいことは、参議院の修正案のみを尊重いたしたわけでは決してないのでございまして参議院の修正案も尊重いたしておる、かように御了承願いたいと思います。
  81. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大蔵省からお答えいたしますが、参議院の修正が行われましたのは、本予算がすでに成立したあとでございます。今回人事院からの御勧告がありまして、政府部内の手続を進めまして、二十七年度補正予算といたしまして、べース・アツプ所要の財源を国会に提出いたしておるわけでございまするから、われわれとしましては、最も早い機会に補正予算を出したい、こういうふうに考えておるわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  82. 館俊三

    ○館委員 さつき人事院総裁の御返事の中で、多少の不均衡があるというお話がありましたが、この人事院の今度の勧告は最終決定であるのか、それともその次の段階を考えていらつしやるのかどうかということについて伺います。
  83. 浅井清

    浅井政府委員 給与法の本文がございます限り、人事院といたしましては、常に地域給の不均衡是正等について研究をいたさねば相ならぬことになつておりまするから、将来といえどもさらに改訂をお願いするような勧告をする機会はあろうかと思いまするが、ただ私の見通しといたしましては、今回のような大規模なものはもうやる必要がないのではなかろうかと思つておるだけの話でございます。
  84. 有田二郎

    有田委員長 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時より開会いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  85. 有田二郎

    有田委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  公務員給与改訂に関する件を議題とし、調査を進めます。通告順によりまして質疑を続行いたします。受田新吉君。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 人事院総裁にお尋ねいたしたいと思います。  一般職職員給与に関する法律に関して緊急問題とすべきことがあるのでありまして、御承知通り国鉄並びに全電通のごとき公共企業体の職員の諸君は、十二月の給与を一日に繰上げ支給をされる交渉に成功しておるのであります。同じ立場に立つて国家の公務に従事しておりまする一般職職員が、この差迫つた歳末を控えてその生活苦にあえぐ中に、給与の二回払いの方法が依然としてとられるということは、十二月に関する限りまことに不適当であると思うのでありますが、この点について一般職職員給与に関する法律の一部を改正して、特に人事院承認が必要なのでありますが、この月に割つた給与を繰上げ支給できるような措置をとる用意を人事院総裁としてお考えになつておられるかどうかお伺いいたしたいのであります。
  87. 浅井清

    浅井政府委員 お答えを申し上げます。現行法は給与期間を二つにわけまして、そうしてそのおのおのの給与期問について給与の月額を半分に割つて支給しておることは御承知通りであります。これは現行法でございますが、ただそれはその一つ給与期間につきまして先払いでもなくあと払いでもない中間払い的のものが現行法になつております。すなわち八、九、十、二十三、二十四、二十五日、こういうふうに払われておるのが現行法でございます。ところがだんだんとベース改訂の時期も遅れて参りましたので、人事院といたしましてはこれを当面の問題として取上げ、繰上げ支給を行い、一日、十六日のところにまで繰上げ支給を行つておるのが現状でございます。でございますから現行法のもとにおいてなし得る最大の繰上げ支給はすでに実施されておる状態であります。そこでただいまお尋ねの趣旨は、さらにそれを月の初めに一括して一回払いにするかどうかという問題であろうと思うのでありますが、これは現行法のもとにおいては不可能でございます。それがためには法律改正を必要とするように思います。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 その法律改正を必要とする段階に達しておると思います。これに対して政府としてこの改正案を提出する用意があるかないか。人事院総裁政府委員としての立場で、これに対する内閣提出案としての改正案を要望されておるかどうかをお尋ねしたいのであります。
  89. 久田富治

    ○久田政府委員 副長官菅野さんがおられませんので私かわりまして御答弁申し上げます。その点については現在の公務員法の建前が給与その他につきましては、すべて人事院勧告に従つてやることになつておりますので、もし諸般の情勢から人事院の方におかれましてその方が適当だというような勧告でもございましたらやれるのじやないかというふうに考えております。ただしかしそういう点は、今御発言がございましたので急に思いついたのでありまして、事務的にはまだ何ら進めておりません。
  90. 浅井清

    浅井政府委員 従来人事院といたしましてもその点においてはいろいろ考えておりまして、実は内閣とは非公式にいろいろ話合つたことはございます。さような勧告をするかどうかはきめておりません。しかしながら現在までのところおそらく内閣としてはそういう意思はまだきめていないのが現状ではないかと思つております。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 内閣はその意思がきまつていないので、勧告を遠慮されておるというのでありますか。
  92. 浅井清

    浅井政府委員 そういう意味ではございません。これは形式的な勧告というようなことを待たずとも話合いで人事院の方から内閣に話したことはございます。別に形式的な勧告は必要としないように思います。ただいま久田君の申しましたのは、その勧告を広義に解しての意味だろうと思つております。ただこれにつきましてはいろいろ考慮すべき問題がこれまで論議されたことは事実であります。第一に給与の本質から見ますと、これはあと払いが原則であろうと思つております。操上げ支給はやむを得ない事情—その事情はただいま認めたのでありますけれども、操上げ支給はやむを得ないときに限つて臨時に行うのが、まだよろしいのではないかと思つております。但しただいまの場合は、先ほどもお答え申し上げましたように、ベース改訂も遅れておりますので、現行法でできる限りにおいてはすでに一、十六日までの繰上げ支給は行つております。それ以上のことはまだきめてはいないのでございます。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 これは先ほど私から申し上げた通り、早急にきめなければならない段階に来ていると思います。繰上げ支給を月二回にされてはおるのでありますが、すでに歳末の迫つた最終の月である十二月に関しては、特に生活の逼迫を伝えているこの際、一箇月分をまとめてその月の最初の日である一日に支給することは、当然現状の実態をつかんだ政治家であるならば、また国家公務員監督の立場に立たれる責任者たちであるならば、これはおわかりいただけると思うのでありますが、この一日にその月の分をまとめて繰上げ支給するごとに対する時期が来ていると御認定にはなりませんか。
  94. 浅井清

    浅井政府委員 まだそれを人事院としてきめておりませんので、ここで御確答は申し上げかねます。また当局の責任者もまだ来ておりませんので、内閣意見もわかりませんが、至急に御趣旨に従つて協議をいたすことにいたしたいと思いますが、ただこれは内閣側から法案を提出するかどうかの問題でございます。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 十二月一日というとあと三日後に迫つているのでありまして、立法下の手続などでも今明日のうちに処理しなければ、時期遅れがもたらされる結果になるのでありますが、非常に差迫つた問題と思いますので、本日なおその協議ができていないということに対して、政府として早急にこの改正案を出す態勢をとるかどうか、協議をするかどうか。本日もしくは明日中にこの委員会に提出するほどの責任を感じておられるかどうか。情勢をゆつくり見ようという気持であるか。この限界がどこにあるかを、われわれはつきりつかんで次の質問に入りたいと思うのであります。
  96. 浅井清

    浅井政府委員 政府としての責任ある答弁は私からいたしかねます。法律案の提出権は政府にございます。ただ人事院といたしましてはすでに現行法でできるだけ繰上げ支給は現にやつているということから見て、人事院の意のあるところは御了承願いたいと思います。
  97. 久田富治

    ○久田政府委員 ただいま受田委員の御発言の通り政府部内で十分に慎重に協議いたしたいと思うのであります。それは人事院の方と十分協議してきめたいと思つております。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 三十日が休みでありますので、今明日のうちに処理をすべき運命になつていると思うのであります。政府側としての法案提出についての可能性をちよつとお伺いしたいと思います。
  99. 久田富治

    ○久田政府委員 国会その他の御承認を簡単にいただければ、法律技術的には簡単でございます。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 しからばこれに対して与党である自由党の態度もいろいろわれわれとしても考えて、早急にこれが実現するように、委員長において政府を督励し、政府にその誠意なしと認める場合には、われわれの方において、委員会において、この処置をされるようにおとりはからわんことを委員長に希望しておきます。  次に、今度地域給勧告がされたのでありますが、これについて午前中種々討議されましたけれども、私は、この勧告案に対して人事院がすごぶる意を用いたという点も認めます。同時に、これに対してなお少数の考えるべきものが残されておることも認めるのであります。この地域給のそうした残された修正に関する問題を別にして、地域給はいつも政府がこれを受入れる、しかしべ—ス・アツプの方はいつもこれをしりぞけておるというこの態度について、午前中も討議されたのですけれども、どうも政府人事院を重視すると言う点において—尊重はするという言辞はいつも吐くのでありまするが、給与改定についてはいつもの人事院の意思得於無視した低い線でやつておる。また実施しないときもあつたのです。今まで3回やつて、今度で4回だと思いますが、この4回出された勧告の中で、1回は全然無視されてしまつて、2回勧告されてやられたことがあつたと思うのです。このように、政府自身が給与に関して人事院勧告を無視をし、地域給に対してはいつもこれを受入れるというその奥に、地域給くらいのことは何とかしてのんでやつて、人事院を尊重したことにしておき、予算を多く伴う給与改訂の方は重みをつけて行かなければならぬぞという、そういう差別待遇をしておるのじやないか。地域給勧告はいつも受入れ、給与勧告はいつもこれを無視したというこの下心に、今私が申し上げたような心配はなかつたか、内閣の御答弁をいただきたいのであります。私、きよう、大蔵省主計局長のお話を聞いていても、実に今申し上げたような点に心配を重ねたのです。何となれば、人事院勧告通り五月から給与改訂をするということにすると、中央、地方を通じて、あらゆる会計を通じて一千六百三十一億の予算がいるのだ、十一月からとすると八百四十四億、約半分で済むのだ、だからというような下心があるという感じがしてしようがないのです。この点において、地域給の必要とする予算くらいはごくわずかだから、人事院を尊重する形をとろうという下心があるのじやないか。この点、人事院の側としては、今まで給与改訂についても、もちろん地域給給与に関するのですが、地域給勧告にしても、予算とは別に、これはかくあるべきだという何か但書をつけて勧告している、こういうことだつたら、その意味から言えば、非常に研究して勧告しておるのだから、われわれは、人事院勧告は、国家財政も十分考えて、人事院としては、現実の実態調査、理論調査というものの総合されたものが勧告なつたと思うのでありますが、政府としては、地域給はいつもこれをのむ、ここに私は何かおかしいことがあると思うのです。そしてペース・アツプの方はいつものまぬ。特に二十四年の十二月勧告のときでしたか、それと二十五年八月の勧告、これはどつちも続けて勧告をされて、そしてやつと二十六年一月に実施されたのじやないですかね。そういうふうに勧告されても実施されないときがあつたのです。しかも実施したのは、ごく低い線で実施しておるという点に、政府はつい予算の都合で人事院の言うことを参考に聞くがという程度なつているおそれがあるのです。ここを私は確かめておきたいと思うのです。いかがでしようか。
  101. 久田富治

    ○久田政府委員 今の点につきましては、私責任者でございませんので、どうぞ責任の方にお願いいたします。
  102. 有田二郎

    有田委員長 受田委員に申し上げます。今官房長官を呼んでおりますから、ひとつ官房長官から責任ある答弁を聞いていただきたい。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 次は総裁にお願いいたします。もう一つ人事院国家公務員件に基いてまだなさねばならぬ大きな問題として、給与準則の提出をしなければならぬと思います。人事院では相当用意はされているとは聞いておりますが、これをいつごろお出しになるのか、その見通し並びにそれに対するところの要点をお話いただいたらと思います。
  104. 浅井清

    浅井政府委員 給与準則のお尋ねがございましたが、給与準則とただいまの給与法の違いと申しますれば、これはもうあらためて申し上げるまでもなく、一つは職階制を基礎として給与ができており、ただいまの給与法はそれ以前のものである点が違つておると思います。人事院といたしましては、すでに御制定をお願いいたしました職階法により着々と作業を進め、近くすべての官職の格付も済むことになつており、従つてその職階制に基く任用制度も動くことに相なります。従いまして、給与体系でありますところのいわゆる給与準則も、近く御制定を願わなければならぬと思つております。人事院といたしましては、従来から研究をいたしまして、その案を用意いたしておりますが、なおできるだけこれを実施しやすいものにするため、各方面の意見をも聞き、これを提出いたしたいと思います。その提出の時期は、ここで確言はできませんが、これはあまり遠くはないだろうと思つております。ただこの国会ではないということは御了承を願いたいと思います。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 この給与準則の内容について、もつと掘り下げてお尋ねをしてみたいと思うのでありますが、まだ発表されるまでは具体的なお答えができないでしようか。
  106. 浅井清

    浅井政府委員 公にまだこれを発表したことはございません。しかしながらこの案等もあちこちには見えておるようでございますし、別にこれを機密にする必要はない。ただ最後的にはまだきまつてないのでありますが、大体の構想でございますれば、給与局長から申し上げてもよろしいように思つております。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 ごく簡単に構想をお話願います。
  108. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 ただいま総裁からお話が、ございましたように、われわれの方といたしましては、一応給与準則の原案と申しまするか、そのようなものは用意いたしております。しかし今度公企労の関係で、従前われわれが、国家公務員の職階制が適用され、かつその給与準則が適用されるというふうに考えておりました一部の公務員が抜けて参りまするし、電電公社の、ごときは、これは明らかに抜けたわけであります。従いましてそういう面からも、われわれが現在用意いたしおります原案は修正を要することになつております。かく考えてみまするに、給与準則の根本は何であるかということになりますれば、現在はこの給与法が職務の級というものを使つてやつております。この職務の級はある程度職務と責任を明確にいたしております。しかしながらその根幹にはやはり学校の種類別に従つて初任給を違え、あるいは勤続年数に応じて昇給制度を考え、級のいかんにかかわらずやつて行くといつたような、これは終戦後の非常に実質賃金の低いときに制定されましたやむを得なかつた事情であろうかと思いますが、そういう生活給的要素が非常に多いわけであります。これを今度の給与準則におきましては、職務と責任に応じて行く、この点が一番大切な点であろうかと思うのであります。しかしながら職務と責任でやつて行くと申しましても、なおかつ現在の日本の実情を見て参りまするならば、そういう面を非常に強調することはいかがなものであろうかというふうに考えられるのであります。従いまして一つの職務の級に入つておりましても、それを統一賃金というようなことにはいたしませんで、もし二十年あるいは二十五年というふうに長く同じ仕事職員が従事しておりましても、昇給して行くことができるというような方法をとらなければならぬだろうと思つております。そういうことを全部見て参りまするならば、われわれの考えておる給与準則というものは、職階制を基礎にしてはおりますけれども、現在の実情を十分取入れておるということでございます。さらに現行給与法の運営のよろしきところも多々あるわけでございますから、そういう面の運営も従前考えておりましたものを、よほど取入れる必要があるのではなかろうかというふうに考えております。また現在一般俸給表の適用をされておりますもの以外のもの、そういうものにつきましても、先ほど申しましたように公企労法に抜けて行く部分もございますし、そのためにわれわれの給与準則の案では、特別に特別俸給表というものをつくつておつたものもあるのであります。しかしながら給与行政上俸給表が多岐にわたるということは、やはり複雑を来すわけでございますから、なるべく俸給表等は簡素にするのがよろしいであろうと思つております。問題は、公企労法に抜けて行くということを中心にいたしまして、従前われわれが考えておる給与準則の案をある程度かえなければならぬという点であります。この機会に各方面の、と申しますのは、主としてわれわれが接触しておりまする各省の管理者側の意見、また組合側の意見も十分取入れまして、職階制と言いながら、なおかつ現実の給与運営に支障がないのみならず、現在の状況よりも非常に合理化されたものというふうな案にいたして参りたいというので、目下最後的なわれわれの案の仕上げを急いでおる、こういう現在の状況であります。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 給与準則の中の俸給表も、なるべく簡素に一本的に取扱いたいというような御意見もあつたのですが、今自由党の方で、これはあまり気を悪くせない方がよろしいのですが、教員の俸給表の三本建の計画案を総務会で決定しておられるようであります。これが巷間に非常に影響を及ぼして学校職員給与体系に非常な変遷があるような不安を与えておる。この点について、人事院としてはこの給与が大学と、高等学校、中小学校との三本建を考えようとしておるのではないという結論でよろしゆうございますか。
  110. 浅井清

    浅井政府委員 教員の俸給表を中小学校一つ、高等学校一つ、大学一つ、これが世間で言う三本建でございます。二本建と申しますれば、中小学校、高等学校合せて一つ、大学一つ、これがいわゆる世間で二本建と言われておる観念でございます。現行給与法は一本建でございまして、一般俸給表で全部やつておりまするから、別に二本建とか三本建とかいう観念はございません。人事院給与準則を出しまする場合に、どれにするかということはもつと慎重に考慮を要する点だと思いまして鋭意研究中でございまして、まだ決定はいたしておりません。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 今度は予算的措置にも影響するのですが、国家公務員地方公務員とのべース・アツプに差等がつけられておる。特に国家公務員はその調査が大体において理論給与の線をとつておる、それから地方公務員は実態調査に基いてやつておる、こういうような関係で、現に国家公務員よりも一般地方公務員が三百四十八円、教育地方公務員は三百四十九円高い線にあるから、これだけは差引いたものによつてベース・アツプをしようという考えを補正予算に織り込んでおるようでありまするが、この点について人事院並びに大蔵省地方自治庁の見解を伺いたいのであります。
  112. 浅井清

    浅井政府委員 地方公務員給与の方は所管外でございますので、内閣もしくは大蔵省側から御答弁があると思います。
  113. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。私どもの方で自治庁並びに文部省と共同調査をいたしました結果、国家公務員地方公務員との間に俸給ベースにおきまして、ただいま御指摘のような相違があるということを発見いたしましたので、平衡交付金を算定いたす場合におきまして、そのベース差だけ、要するに地方公務員の方が高過ぎる分だけは二割アツプの場合に差引をしてやるという従来の方式を踏襲いたしております。ただ今回提出いたしました補正予算におきましては、先ほど申し上げました大蔵省、自治庁、文部省の調査の結果、前年度におきましての調査よりも、実情はやや緩和すべきものを認めておりますので、その分は緩和をいたしまして、すなわち財源的にはある程度よけいに今度の平衡交付金に織り込んで補正予算を編成いたしたわけであります。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 自治庁、文部省などと御協議なさるときのお話の中に、こういう問題はどう取扱われたでしようか。地方公務員の場合は理論的な根拠というよりは、実態調査に重点を置かれてあり、また教員の場合でしたら短期大学卒業を調査の対象にしておる。こういうような線が出ておりまするし、国家公務員給与の方は理論中心の給与なつておるということになりますと、調査方法に差等があるように思うのです。この点について確たる信念をもつて、これに結論をお与えになつたと思うのですけれども、その確信をお伝え願いたいのであります。
  115. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 国家公務員の方は理論的に推定といいまするか、あるべき姿においてやつておる。地方公務員は実態を調査してやつておるというふうなことはないかという御質問でございまするが、国家公務員地方公務員いずれも最近の実態を調べまして、それを基礎に二割アツプということをいたしておるわけでございます。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 これはいずれ給与法の審議をする際に、さらにそれぞれの調査の対象になつた人々の声も、できればあわせて参考意見として聴取してわれわれは審議を尽くさなければならぬと思います。  もう一つ、副長官がおいでになりますので、あともどりしてお尋ねしたいのですが、けさほど主計局長からも御説明があつた中に、この給与について人事院勧告通りにすれば、本年度の場合でも千六百億以上の予算がいるのだし、十一月からということにすれば、八百四十四億でいい、こういう御説明があつたのですね。こういう点で、人事院勧告通りにすれば、予算措置に非常に困る、財源がないのだ。それで十一月くらいに線を引いたら、ちようど手ごろになるからというお心組みで、この十一月実施、しかも二割増しという線で御決定になつたのであろうと思うのであります。ところが実際今度問題になるのは、人事院勧告をしたうちの地域給勧告は、その都度政府はのんでおるのです。地域給はいつものむのですが、ベース・アツプの方の勧告はいつものまない。非常に低い線でものまぬときもある、こういうことになると、政府自身の間において人事院勧告について、予算措置に非常に苦労する分はなるべくこちらへ重みをつけ、大して予算に困らない、しかもペース・アツプの中で合せて計算すればいいという簡単な地域給勧告の方は簡単にのむ、こういうような腹芸があるのではないかということを非常に心配して、その真意を確めたいのであります。
  117. 菅野義丸

    菅野政府委員 御質問のように人事院勧告のうちで一つベース・アツプの勧告でありますが、これは必ずしも人事院の勧合通りにのむとは限らないのでありまして、たいていの場合におきましては、財政の都合等によりまして、それより下まわつた実施案を出しておる実情でございます。しかしもちろん財源ということは非常に大きな要素でありまして、これを考えないで、実施案をつくることはできないのでありますが、ひとり財源ばかりではなく、現在の国民の生活状態なり、あるいはほかの方に振り向けられる財源、すなわち財政一般についての考慮をして、しかる後にいつから実施するとか、あるいはどのくらいの程度のぺース・アツプをするかということをきめるのでございます。この問題と地域給の問題とが必ずしも一致しないというのは、これまた予算影響するところが大きいということと小さいということとの違いばかりではないのであります。すなわち地域給というものは御承知通り基本給にあるパーセンテージをかけたものを地域によつてやるのでございますが、これは基本給がたとい一万円になろうが、あるいは五千円でも三千円でも各地域の差をつけるということでございますから、基本給が十分にのめないからといつて、地域給地域を少し減らすとか何とかいうことをすれば、それこそ非常な不合理になるのでございまして、各地域相互間の違いを具体的に表に現わしたのが、人事院地域給地域区分勧告でございます。これを政府予算関係におきまして十の村から三つの村をとつてしまうということにしたならば、非常な不合理なことになるのでございまして、この問題と基本給をどうするかという問題とは、単に予算影響するところが大きいとか小さいとかいう区別ばかりでなく、本質的な違いがあるように私どもは考えておるのであります。かりに基本給を上げる、つまりベース・アツプの勧告は全部いれることができなかつた場合におきましても、地域給の点は時々刻々の各地域の物価の違いを表わすものでありますから、これを採用しても少しもさしつかえない、かように考える次第でございまして、政府はそういう意味におきまして今回の実施案におきましてはベース・アツプの点につきましては一割方少いのでありますが、地域区分は全面的にこれを採用したような次第であります。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 今の地域給の性格と、一般のべース・アツプの問題との比較が全面的にできないことは私よく知つているのですが、大体人事院勧告をされた例を見ても、二十四年十二月と二十五年八月と二回勧告をされて初めて二十六年一月に実施されて来たわけです。一遍勧告されて、実施されるまでに続けて勧告されて来ている。それから、二十六年八月に勧告されて十月実施、こういう歴史を持つているのですが、その勧告された何パーセントかを承認したような形で案を出されることになつて来ておる。その基準は、まつたく財政的な都合で政府案としてお出しになるのであつて、人事院勧告を尊重するとはいいながら、これは名目的なものであつて、実質的には財政の余裕をながめて政府案を出されるということになつて来るのではありませんか。それをちよつと伺いたい。
  119. 菅野義丸

    菅野政府委員 御質問の通りでございまして、財政の都合ということは、人事院勧告に加えられる一番大きな考慮の要素であると考えます。何とならば、人事院の方では、もし財政が許すならば公務員給与はかくあるべきものという数字を出して来るのでありまして、これを実際にかくある数字とするには、やはりそこに国家財政一般についての考慮を加えて、全面的にのめる場合にはもちろん全面的にのむべきでありましようが、それだけの財源の余裕がないときには、それから下まわつたものを実施案とするよりしかたない実情でございます。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、人事院の存在は、ベース・アツプに関する限り、理論的な研究をして、政府給与を上げる参考に資する程度にとどまる機関であるということになりますか。
  121. 菅野義丸

    菅野政府委員 御質問は人事院の性格いかんということにあると思うのでございますけれども、私ども、国家公務員法の建前よりいたしまして、人事院の性格は、政府の中におきまして一応独立の位置を保つて公平に国家公務員給与なり任用なり、その他人事のことを考究いたしておると思うのでございますが、人事院公務員のことだけしか考えておりません。     〔委員長退席、植木委員長代理着席〕 そこで、かような給与にすべきものであるという勧告がなされましても、これをすぐに実施案にするということは、国全体の財政等に及ぼす影響がはなはだしいので、従つて実施案にはしない建前をとつております。すなわち勧告ということになつております。この勧告は、御承知通り両院の議長及び総理大臣にされるのでありますが、内閣はこれを受けて種々検討しまして、なかんずく国の財政上からどういう影響があるかということを考えまして、一つの実施案をつくる。これは必ずしも勧告と同じものではなく、多くの場合違うのでありますが、その違う勧告と実施案と一緒に国会に到着するようにいたしております。国会におきましては、国権の最高機関としまして、一方においては勧告人事院からとる、一方においては政府財政その他のものを勘案して実施案をつくる、そのいずれによるべきか、あるいはそれをどうするかということについては、国会の御自由なる判断できめるのでございまして、政府財政一般の事情からいたしましてこれ以上のことはできないという信念を持つて実施案を出すような次第でございます。従いまして人事院勧告案を支持することは人事院性質上当然でありまして、両者相まつて、それを最後におきめになるのは国会である、かように考えておる次第でございます。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問は終りますが、今の政府の御答弁で、人事院勧告はただ国家公務員法規定されておる線を尊重するという程度で、実施は政府みずからの腹中にあるのだということに結論はなつたわけですが、私非常に遺憾に思うことは、人事院勧告はすこぶる精密なる調査のもとになされたのであつて、現在のところ理想案ではないのです。これは日本の公務員としては現実にこの程度給与を出すべきであるという数字が出されたのであつて、これを実施しないことによつて起る幾多の障害が、またこの前の大蔵大臣の池田さんのような放言となつて現われたりして、生活にあえぐ人たちを犠牲にするわけなんで、この点少くとも人事院勧告案は、これを尊重するだけでなくして、これを実施する—勧告即実施というところまで行くべき性質のものじやないかと思うのです。この点ただいま副長官から、実施と勧告とでは相異なるという御答弁をいただいたのでありますが、私としてはまことに遺憾であると思います。以上ごく簡単でありますが、私の質問を終ります。
  123. 有田二郎

    有田委員長 池田禎治君。
  124. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 私は実は関係閣僚の出席を求めた上で質問したいのですが、とりあえず一、二の項目について政府の所信をただしたいと思います。公務員公務員法によつて拘束されておる。そして、いうならば、今日与えられた憲法のもとにおいては自由な行動を、その法によつて制約されておる。これと関連するものは国鉄であり、専売であり、近くはまた全電通も、そういうようないわゆる公労法によつて拘束を受けておる。こういう人々が何によつて、自分たちの不平なり、自分たちの訴えんとするところの道を開いて行くかということが、この法の精神であると思います。それは人事院であり、あるいは仲裁委員会であり、調停委員会であると思います。先ほどから聞いておりますと、各委員に対する答弁におきまして、政府はそういうものを尊重はするが、実施は政府にあると言うけれども、これらの勧告、これらの裁定が守られないとするならば、この人たちはその不平、不満をいずこの地点に持つて行こうとするのでありましよう。そういう点であなた方は、公労法なり公務員法の、法そのものは棒読みに御存じかもしれませんが、その法の精神をどこまで理解されておるかということを、私は実は疑つておるのです。これはこの委員会としては多少食い違いがあるかもしれませんが、今日民主主義の原理から言いますならば、不満足であつてもそういうものが法のもとにおいて行われ、かつまたそれに従わなければならぬという環境にある人々が、それらの勧告なり裁定というものが実施されないということになりまするならば、この人々はどこに不平を持つて行こうとするのでありましよう。こういうを点をまず冒頭において私はお考えを願いたい。そこでそういう裁定とか勧告とかいうものについて政府は、実施は政府にあると先ほどからおつしやるが、それではこういう人々が将来法を破るという行動に出た場合、いかなる処置をとられましようか。まずこの点からお伺いしたい。
  125. 菅野義丸

    菅野政府委員 公務員法上の勧告あるいは公労法上の裁定性質について御質問があつたのでありますが、この両者は非常によく似ております。しかしながら裁定の方は一定の法律的の手続を経まして会議体の仲裁委員会がきめるものでございまして、これらはやや裁判の判決にも似たようなものでございます。従いましてこれは予算上資金上可能な場合は、使用者も政府も絶対に拘束されるのでありまして、これに反対することはできないようになつております。そういうような非常な権威を与えた裁定でありましても、予算上資金上不可能の場合は、国会に出して最後の判決は、国民の主権の代表であるところの国会がおきめになる、こういう建前になつておると私は承知いたしております。いわんや勧告におきましては、人事院でいろいろな調査をいたしまして、勧告はいたしますが、その調査は、決して一国の財政全体を見て、産業であるとかあるいは文化であるとか、その他のいろいろなことを考えて、国全体の予算を考えた上での勧告では決してございません。公務員給与は、もし財政が許すならばかくあるべきものをというものでありまして、これを尊重するということはもちろん当然でございまして、公務員法の建前からいいましても十分に尊重するのでありますが、不幸にして国力が十分でなく、国民負担力が十分でない場合におきましては、それだけの歳入がない。そういう場合におきましては、やはりかくあるべきものの姿は勧告でありましても、実際の財政上の都合でもつて、それより下まわつたものでがまんをしてもらわなければならぬということがあり得るのでございまして、もしこれが、政府と同じように人事院が全部の点を考えてお出しになるものでしたならば、これを実施案としてもさしつかえないと思いますが、その点の考慮は人事院といえどもしておらないと思うのであります。それが公務員法上の勧告にして、ただちに法律案なりになさつておらない。最後の判断は、やはり国会でもつてきめて、そうして両者を比べておきめになる、こういう建前であると思うのであります。このことは決して人事院勧告を軽視するとか、あるいは無視するという意味ではなく、十分尊重するのであります。ただ人事院が考えないことを政府の方でもつて考慮に入れて、実施案を出して、その最後の断定を国会が、国民の主権の代表者としておきめになるということは、これはまことに妥当な制度ではないかと私ども考えております。
  126. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 それは私は政府の方の一応の申分として承りおきまするが、人事院はやはり政府に属し、政府の一角をなしておるのであります。それが独得な形態を備えておることは認めますが、人事院が今日までに行つたところの調査なり勧告の主体をなすものは、現実の生計指数と国の経済というものを全然無視したものはあり得ないと私は思います。たとえば、今日国民の最低文化生活を維持するにはいかほどの費用がいるかというような、そういう計数の立て方をしますならば、それはもつと高いものが出るだろうと思います。しかし、国家財政という見地を精密に検討しておるかどうかということは別としまして、わが国の状態を無視した人事院勧告案は、私はあり得ないと思います。この点については、人事院はどういう御見解であるか、全然財政上の措置は考えないけれども、国民生活の基本というものを、少くとも、特別の一等国並に見ているか、日本の現状を勘案してお立てになつているか、この点を伺つておきたい。
  127. 浅井清

    浅井政府委員 お答え申し上げます。人事院といたしましては、あの給与をきめます場合の民間賃金あるいは標準生計費、さようなデーダに現われて来る限りにおいて経済的な考慮が入つて来ることは当然なことでございます。しかしながら、一国の財政というものを人事院が考えまして勧告はいたしません。またさようなことは人事院としても必要でないと思います。もしも一国の財政を常に念頭に置きまして、言葉をかえて申しますれば、財布の中にこれだけしか金がないということを頭の中に入れて勧告をいたしますならば、それはいじけてしまいまして、正しい給与はかくあるべきものという線は出て来ないように思つておりますので、ただいま菅野長官から申しましたことと私の申しますこととは、これはちつとも違つておらないようでございます。
  128. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ただいまの総裁のお言葉を承り、また私ども通念として承知しておることは、人事院勧告というものは一国の財政基礎として立案されたものではないが、しかし民間給与その他を勘案していることは明らかであります。さらにまた公務員ベースの決定というものは、常に民間の基準よりも低いのであります。同じく日本人として、しかも国家の機関に奉公する人が民間水準より低い給与でよろしいというりくつは成り立たない。国家財政が許さないと言うが、国家財政を検討するだけの熱意はあらねばならぬと私は思います。従いまして、常に大局から考えて、国家財政の上からできぬと言うが、その際勧告というものが、現在の実情をはなはだしく無視した非常は高いものであるというならば、これは政府の所見は一応ごもつともと思いますが、今日出されておりまする勧告案は、民間給与その他いかなる面からながめましても、まず素朴にわれわれが見て、これははなはだしきものとは思われない。むしろ一般の人人が要求しているよりもはるかに下まわつておる。政府は常に国家財政の上からということをお考えになつておりますが、今回の場合におきましてまつ先に浮ぶことは、五月からこれを実施せよという声が出ておるのに、政府はこれを十一月からやろうという、こういう懸隔のはなはだしいものはないと私は思うのでありますが、政府はその点どういうふうにお考えになつておるか承りたい。
  129. 菅野義丸

    菅野政府委員 人事院勧告が常に民間給与より下まわつておるという見解に対しましては、私は不幸にしてそう考えないのでありまして、人事院の方の説明を伺いましても、また国家公務員法の条文から見ましても、民間給与をしんしやくしてきめるというのでありまして、実際に今度の八月出された勧告は、下の方はもちろん理論生計費で行つておりますが、あとは全部各級別の対応する職名別の民間の平均給与と同じにしております。従いまして、特に民間に対して勧告そのものが落ちるということは、私は考えておりません。しかし実際におきましてそれと同じ給与をやる場合におきましては、けさほど大蔵省から申し上げましたように相当の財源がいるのでありまして、この財源は、現在の財政としては負担できない。そこで、ある程度の下まわつたものでもつてがまんしていただく、こういうことになるわけでございます。そこで勧告は五月から実施しろということになつておるにかかわらず、十一月から実施するのはどういうわけであるかという御質問でございましたが、これはもう最大の原因はやはり財政でございます。財政上五月から実施した場合と、しかもそれを勧告通りに実施した場合と、それから政府案との違いは先ほど申し上げた通りでございまして、この莫大な財政負担をはたして国民の税金から出して勧告通りにすべきであるか、あるいは政府案のように十一月からやるべきであるかということは、これは国会の御判断にまかせるのでありまするが、政府といたしましては、五月から三割の値上げをするということは、今日の財政状態ではとうていたえ得られないというふうに考えまして、十一月から、しかも一割ばかり下げたものを実施するという実施案をつくつておる次第でございます。
  130. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 この点についてはたいへん見解が違いますし、常に財政上ということをおつしやられますが、私はこの政府考え方公務員の要求するものとの間に、あまりにも大きな隔たりがありすぎると思う。こういう点を政府はお考えになつたのか。やはり財政上の見地から十一月ということにしたのであるか、それともこれはそれ以上のことができぬという考え方でそういうふうに立てられたのか、その辺のことを伺いたいのであります。
  131. 菅野義丸

    菅野政府委員 公務員給与が必ずしも十分でないということはよく承知しております。私自身も公務員でございまするから、その点は身をもつて体験しておる次第でございまするが、しかし今回のベース引上げは、勧告もそうでございまするが、物価がどれだけ上つたからどれだけの給与を上げるというような仕組みにはなつておらないのであります。結局民間給与の平均と同じにするというのが、人事院勧告趣旨でございます。従いまして物価の値上りその他消費指数等を見ますると、必ずしも二〇%にはなつておりません。昨年の十月に現在のベースを実施したのでありまするが、それから見ましても、二〇%も上つておるようなものはございません。そういうところから見まして、これは昨年の十月に国会の御承認を得て実施をいたしましたベースに対して、その後の物価の値上りをカバーするという考えではなく、むしろ少しずつでも生活に余裕をつくつて行こうという考えでございます。人事院の考えもそうでございます。従いましてそれは、三割の値上げをして余裕を相当つくるか、二割の値上げをしてそれよりは少い余裕でがまんしてもらうかという問題になるのでございまして、二割の値上げによりましても、昨年の十月に実施した当時と現在とを比べると、物価一般の値上りよりも、今回の値上りの方が多いということは断言できると思うのであります。
  132. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 これは菅野長官にお尋ねすることはいささか御無理かと思います。政府はこの人事院勧告に基いて御審議をなさつたことと思いまするが、その間、これは思想上の問題とも関連することと思います。     〔植木委員長代理退席、委員長着席〕 単なる経済問題ではなく、たとえば公務員というものが拘束を受けておつて、しかもその唯一の頼みとする人事院勧告はその通りに実施されない。その場合におけるその及ぼす影響、思想的なもの、行動的なもの、そういうものを入れてお考えになつたのであるかどうか、その点を伺いたいのであります。
  133. 菅野義丸

    菅野政府委員 公務員の福祉の増進あるいは給与の増進ということについては、政府は非常に関心を持つて、でき得るならば給与も毎年相当な程度よくして行きたい。また公務員の幸福を増進することについては、あらゆる方法を講じたいという熱意は持つているつもりでございます。もちろん人事院勧告を受けましてそれを検討する場合におきましても、公務員の立場あるいは公務員の思想、考え方の面につきましても十分なる考慮を払つたつもりでございます。しかしながら今日の国家公務員法上の公務員の待遇といいますか処遇、これは物質的なものではありませんが、処遇というものは決して公務員諸君を軽視しておるのではないのでございまして、一方において政府の間にあつて独立的地位を持つているところの人事院という利益の擁護機関が、かくあるべきものとして勧告を出しますと政府はそれを尊重して実施案をつくるのでございますが、最後の断定を国権の最高機関であるところの国会にまかしておるということは、公務員諸君の生活に対して非常に大きな力となつておる。このように考える次第でございまして、政府公務員の福祉増進あるいは給与の増進については、十分なる考慮を払つておるつもりでございます。
  134. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 大体わかりました。最後に一点お伺いいたします。精密に私も調べたわけではありませんが、この新しい給与によりますると、下の方の人や中堅の人の上り方が非常に少い。大ざつぱに申しますと高い地位の人が非常に大幅に上つている。こういうことを見ますると、やはり政治の原理というものは下に厚くして上に薄くするということが、一言にして言うべき形態ではないか。これは大体どういう基準で出したのか、その点をひとつ御説明を願いたいと思います。
  135. 菅野義丸

    菅野政府委員 俸給表のつくり方につきましては人事院の方が専門でございまするからそちらで説明していただいてもいいと思いまするが、御承知通り俸給表というのは、現在におきましてある基準の—現在におきましては二級三号でございまして、通し番号から言うと五号俸というところが基準になつております。これは成年男子の独身者の独立の生計を営む者が、生計を営む標準の理論生計費でございます。これが先般の勧告によりまして四千七百円という理論生計費でもつて人事院勧告しております。しかしながらこれらは昨年の五月の数字に基いた理論生計費でございますので、政府はその後の物価の値上り、あるいはこの一月から実施いたしまするところの米の消費者価格の値上げ、あるいは今計画しておりますところの鉄道運賃の値上げといつたようないろいろのことを考慮いたしましてそれが九十何円かになりますので、四千七百円を四千八百円に上げております。従いましてこの点は下の方がむしろ人事院のよりも上つております。そしてこれを基準にしましてあとのカーブは、人事院勧告もそうでありまするが、全部これは各級別の類似した職名の民間の平均給与に合せておるのでございます。従つてこれが悪いと言うのならば民間給与が悪いのでありまして、政府人事院勧告のカーブを尊重いたしまして、そうしてそれになぞらえてこのカーブをつくつたのでございますが、ただ下を先ほど言いましたようによくしておりますので、上を削つております。従つて上下の差は現在におきましては九・三倍、そして人事院勧告は一一・六倍、今回の政府の出しますところの法律案におきましては一〇・五倍で、上下の差が勧告よりか下まわつておりますのは、上を削つて下を増したからであります。や全体カーブの傾向その他につきましては、私どもは人事院勧告のカーブそのままをただ平均的に下げたものでございます。
  136. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 以上のことで、大体私は本日の分はこれを了承します。以上述べたところによりますならば、本委員会がこの給与及び勤務地手当等につきまして委員会独自の構想を持ち、その成案を得たときには、政府は当然その案に従うという御見解を持つべきであることを、最後に念を押しておきます。
  137. 有田二郎

    有田委員長 森君。
  138. 森三樹二

    ○森(三)委員 官公労の要求が一万六千八百円ベースであるのに対して、人事院勧告されたのは一万三千五百十五円というようになつているのですが、それに対しまして、先ほど政府委員から、物価の値上りというものを考慮した予算の措置をとつたものではない、物価の問題については昨年より二割も上つておらないどいうようなお話でありましたが、これは昨年上げるべきものを上げなかつたから、結局だんだんと押し押しになつて来ているのであつて、物価の値上りは昨年の二割も行つていないけれども、それを物価の値上りということに見合わせでなく引上げているというふうに言われる、そうした考えに、われわれは立脚することはできない。物価というものはやはり今までだんだんと上つて来ているのであつて、こうしたことも考慮に入れなければならぬ。特にまた予算上の措置といたしましても、米価は明年の一月から約一割の値上げになつている。また国鉄の運賃も約一割の値上げになるのでありますが、その国鉄の運賃の値上げということは、さらに物価の値上りを来すことも必然であります。こうした含みを持つた上に立ちまして、われわれはもちろん人事院勧告をもつて満足とするものではありませんが、政府としては少くとも人事院勧告の線のように修正するだけの予算上の措置がなされてしかるべきだと思うのです。それに対しまして、政府はあくまでも修正をしないというのか、あるいは修正の含みを持つているかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  139. 菅野義丸

    菅野政府委員 一般的に申し上げまして、予算を出したのはつい最近でございまして、それとうらはらになる法律案も今まさに出そうとしておるのでございますが、こういう間近なときにおきまして、政府としてはすぐにそれをかえるというようなことは考えておりません。しかしながら国会がこれを御修正になるのは、私どもの方としては何とも申し上げられません。それから昨年の十月を基準にするのがいけないというような御意見でございましたけれども、十月一日に実施するということは決して政府が独断でやつたわけではないのでありまして、国会の両院を通過した法律によつてやつているのでございます。もちろんその中には反対された方もあるかもしれませんけれども、国会の意思として決定したものは、われわれは最後までこれを尊重し、それを基準にしてやつて行くよりほかはないのでありまして、昨年のもつと前にやるべきものを十月にやつたというのでございまするが、これは国会の御承認を得てやつたのでございますから、それを尊重する建前といたしましては、今後かえるつもりはありません。
  140. 森三樹二

    ○森(三)委員 もちろん国会承認と申されますが、しかしそれは多数のわれわれと反対の立場にある議員によつて可決されたものでありまして、われわれの立場からするならばそれは反対であるということを申し上げておきます。と同時に、憲法にも保障されてあるところの国民の健康にして文化的な生活を営むという点につきまして、先般人事院総裁あるいは給与局長から生活費の説明がいろいろあつたのでありますが、政府は最低線としても、少くとも人事院勧告のように予算上の措置をしなければならない。先ほど政府委員からも、財政関係上できなかつたと言われておりますが、しかしわれわれは、治山治水その他のいろいろ施設上必要な予算ももちろんありますけれども、まず予算の措置としては国民の多数の者が生活するということが、一番基本的に取上げられなければならぬことだと思います。そうした問題について予算編成に当られた当局はどちちらにウエートを置いたのか。われわれは生活というものが一番大切であると考えておる。しかるに予算上の措置において、他の方面に莫大な予算が盛られておるにかかわらず、最も必要とする生活上の予算が削られておるということはわれわれ納得できないのであります。従つてその点からいつて予算編成に当つた当局の御見解をお尋ねしたいのです。
  141. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。先ほど官房長官からも申し上げたのでありますが、人事院勧告されました三割強というベース・アツプは、いただく立場のわれわれとしては非常にいただきたいのであります。しかしまず考えなければなりませんのは財政の問題であるということは、先ほど来お話の通りであります。なお私ども予算を組みます場合には、もとより要求自体あるいは必要性自体の合理性を検討いたします。森委員もよく御承知通りに、CPIの騰貴率を見ますとわずか一%強しか上つてない。そこで、先ほど官房長官から繰返し申されたように、今回はCPI、消費物価の騰貴によるベース・アツプではなくて、民間給与とのバランスの問題である、こういうことになつたと思うのであります。そうしますと、民間給与は昨年の十月を基礎にいたしまして調べてみますと、約一割八分弱の騰貴を示している。それからもう一つわれわれの資料といたしまして検討いたしたのはCPSであります。これは物価指数というよりは生計費と申しましようか、むしろ実質的な生活の内容改善をある程度織り込んだ指数だと思いますが、これまた一割七分見当の騰貴になつております。そこで予算編成の当局者といたしましては、かような資料をも検討し、最小限度それをカバーするが一割八分というものを一つ目安に置いたことがあるのであります。それから先ほど申されましたように、米、鉄道運賃あるいは地代、家賃というような騰貴を見込みまして二割という線を出したことが一つであります。それからさらに申し上ぐべきは、先ほどもほかの委員の方から御質問がございましたが、国鉄では約二割というところに裁定が下つております。予算は別々に組むわけに参りません、国全体の予算でありますので、たまたまわれわれの算定した二割と、国鉄裁定をあわせ考えまして二割という線を出したわけであります。お話のように生活がまず先ではないかという御見解でありますが、もとより生活とは何ぞや、生活水準とは何ぞやという点につきましては、非常にむずかしい問題だと思いますが、私どもとしては国家全般の歳入歳出とにらみ合せ、今申し上げましたようなある事項々々の合理性を考えまして、帰納的、総合的判断の結論を今の二割アツプというところに持つて参つた次第であります。最後の御決定は国会にゆだねられていることは申し上げるまでもありません。
  142. 森三樹二

    ○森(三)委員 政府委員の御見解は御見解といたしまして、私どもはそうした御見解には賛成できないのであります。われわれはあくまでも人事院勧告は最小限度として、政府がその予算上の措置をしなければならぬと考えておるのであります。大体政府委員の御説明をお聞きいたしまして、これ以上質問を続行いたしましても、その点はお互いに水掛論になると思いますから、その程度にとどめておきます。  次に人事院総裁並びに局長にお尋ねしたいのですが、地域給の問題であります。これは各委員から非常に不公平と申しますか、あるいはでこぼこといいますか、先ほど来質問がございました。これに対しまして総裁からそうではないという御説明がありましたが、われわれといたしましても人事院の非常な御苦労はお察しします。今回の勧告に至るまでには苦労されておるのでありましようけれども、しかし私どもといたしましては非常に不満であります。ごとにわれわれ北海道関係といたしましては、昔北海道に勤務する者は内地と異なり、特別の勤務地手当がはつきりとつけられておつたのでありますが、現在は国内一様になつてしまつておるのです。そこでわれわれといたしましても人事院に再三お伺いいたしまして、—例をとるならば帯広等についても三級の指定をお願いしておつたのです。多数の陳情団も参りまして総裁にもお目にかかつておるのです。そのときの印象は帯広を三級にしてくれるのだというふうな印案をわれわれは受けておりまして、地元の方でも大体そういうふうに思つておつたのです。ところがふたをあけてみますとこれが落ちておる。釧路、旭川の間にはさまれているところの帯広が依然として二級にすえられておつたということにつきまして、関係者は非常に不満を持つておるのであります。これは単に帯広に限つたわけではありませんが、たとえば川を一つ距ててこちらのAの地域は三級にされており、その隣のBの地域は依然として二級にすえ置かれておるというような不合理性があるわけです。この問題も先ほど各委員から相当つつ込みましたが、今度の勧告案なるものが参議院修正案を基礎とされておるようにも見受けられますが、さらにつつ込んで御検討になつたのかどうか、この点をひとつお尋ねしてみたいと思います。
  143. 浅井清

    浅井政府委員 森さんにお答えいたしますが、さいぜんから申しましたように参議院の修正案は尊重いたしました。しかしそればかりではないのであります。参議院の修正案は現行の地域給を〇・七だけ拡大することにすぎません。人事院勧告はそれよりずつと上まわつたものでありますから、ただ単に参議院の修正案を唯一の資料としたものでは決してないのです。いろいろな事態を考えて陳情もよく聞き、やつだつもりでございます。ただ森さんはたまたま御関係なつた方の陳情を取上げなかつたようにおつしやいますが、それはいろいろものの見方がございますので、ここで抽象的に申し上げることはできないと思いますが、これはどうも見方の相違でございますから、これ以上ここで申し上げませんが、なお具体的な所についてのお尋ねがございますれば、給与局長から御説明を申し上げてもいいと思います。
  144. 森三樹二

    ○森(三)委員 帯広の点につきましてぜひ三級にしていただきたいという陳情が、しばしば行われおつたのでありますが、この点について御説明願いたいと思います。
  145. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 具体的なお尋ねでございますが、今われわれは今回の作業をいたすのにつきまして、府県別にバランスをとるということを重点に考えたのであります。この点は、たとえば東北地方がこの地域給の問題について非常に損をしておるのではなかろうかというような問題も、いろいろお考えの向きがあつたようでございます。われわれは従来そういうことのないように注意はいたしておつたのでありますが、さらに今回は府県間のバランスをとるということを非常に重点としてやつて参りました。そういうわけで北海道をどのくらいにするかという一応の考え方をきめまして作業をして行つたのでありますが、われわれの作業は主として北海道庁からお出し願つております修正順位表というようなものを最重点的に尊重いたしました。先ほど総裁からお話がありましたように、そのほかいろいろ陳情もございますし、また国会あるいはほかの機関でいろいろ実地視察をされた向きもありますので、そういうお話も承りまして一方的でないいろいろな面からお話を承つて、総合判断をやるということに相なるわけであります。従いましてわれわれといたしましては北海道庁から出ております修正順位表—、この順位表には北海道にあります国の各出先機関の首長というような人が、おそらくは意見を述べられたであろうということを考えるのでありまして、また北海道に在勤されております職員の組合の方々も、この北海道の意見が出て参ります際には、いろいろ御関係なつたであろうというふうに考えているのであります。その順位表を十分尊重いたしまして、そして内地の県とのバランス等も見て参りますならば、三級に引上ぐるべき地域はどの辺までやるべきであろうかということを総合判定いたしたのであります。ただいまは帯広だけの問題に限られておるのでありますが、たとえばわれわれがやりました作業の中で、北海道の稚内からずつとオホーツク海の沿岸のごときは非常に特殊な地帯でございますが、そういう所はべたに一級に引上げるというような操作もいたしておるのであります。そういうふうな総合判定といたしまして、今回は帯広が三級にならなかつたという事情がございますが、それはその総合判定に基きまして、北海道庁の順位をどの辺で切るかということをわれわれ種々の資料から総合判定をいたして、そのようにいたした次第であります。
  146. 森三樹二

    ○森(三)委員 一応御説明がありましたが、われわれといたしましては、どうしても帯広を三級にする修正を提出したいと思うのでありますが、これも質疑応答はこの程度にいたしておきます。  次に私は北海道の寒冷地の特殊事情よりいたしまして、石炭手当支給について質問をしてみたいと思います。現在支給されておるところの金額では、とうてい石炭三トン半というものは買えない実情である。しかもそのうちから税金をとられる。これは非常に北海道の勤労階級にとつては大きな痛手であります。しかも石炭の価格の算定にあたりましても、たとえば内地では四千カロリー、あるいは五千カロリーの石炭でも間に合うといたしましても、北海道の零下三十一、二度の寒冷地におきましては、六千あるいは七千カロリーくらいなければ暖房用にならないのです。その石炭を現在入手しようとするならば、現地で買いましても七千円程度の金を出さなければ買えない実情にある。石炭の価格の算定にあたりまして、暖かい所でたくカロリーの少い石炭の価格を基準にしておるように思われてしかたがないのですが、その点について、算定の基礎をお尋ねしてみたいと思うのです。
  147. 菅野義丸

    菅野政府委員 石炭手当は、法律に基く北海道在住の公務員に対する手当でございますが、この法律には、世帯主に三トン分、非世帯主に一トン分というふうに書いてあるだけでございます。何カロリーのものをやれというようなことは全然書いてございません。そこでそれを補うために、総理府で一トン当りの価格をきめるのでございます。その場合に、どういうふうにしてきめるかと申しますると、私ども政府の方で調べました実際の小売価格を基準にしてきめるのでございます。その場合、もちろんカロリーが高いものは相当高価であるし、低いものは値段が安いということは当然でございますが、従来ずつとここ数年間というものは、政府の方で計算いたしておりまするカロリーは、五千二百ないし五千六百カロリーを基準にしておるのでございます。人事院の方は、六千二百カロリーを基準にしてございますので、従つて人事院勧告よりか下まわつております。この点は、結局基準というものは別にないのでありまして、従来から五千二百ないし五千六百カロリーのものを基準にしてやるので、本年だけ非常に高いカロリーをやるというわけに行かないので、従来からの例に従つてやつておるのでございます。しかしもつと突き進めて考えますると、これもやはり先ほどから申しました財政の点が影響をするのでございまして、ことに内地居住者との関係上、先ほど実際に買う炭はそういう低いカロリのものではないというお話もありましたし、またそういうことも伺つております。また税金を引かれれば、三トン分の金をもらつても実際買えないじやないかということもごもつともでございまするが、石炭を三トンまるまる実際に買つておる金を払うという建前ではないのでございます。もしそういうような法律でありまするならば、これはもちろん税金を引いた手取りが、しかも実際に買つた個々の人たちの出費に合して支払われるべきであります。石炭手当は、内地に比べて—内地でありましてもどこだつて採暖用の炭なり石炭を買わないところはないのでございますが、北海道に、特に内地に比べてたくさん必要であるところの採暖用の燃料に対する手当をやるのが本法の目的ではないかと考えておるのであります。従いましてただいまの御非難の、実際のカロリーが低過ぎるとか、あるいは税金を引くというようなことは、そういうふうなことから考えまして、今ただちにこれを改めるという意思はないのでございます。
  148. 森三樹二

    ○森(三)委員 私が聞いておる範囲では、政府の石炭一トンに対するところの支払い価格は、六千百円あるいは六千二百円と聞いておるのですが、実情はそれでは実際において石炭を買えないのです。われわれとしても、少くとももう千円出していただきまして、七千百円ないし七千二百円くらいにしていただかなければならぬと思つておるのです。これは切実なる実際の問題ですから、石炭がなくては一日もおれない。     〔委員長退席、植木委員長代理着席〕 それにつきまして政府がもう少し考慮を払つていただくことを私はお願いしたいのですが、そういう考慮を政府において払つていただけるかどうか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  149. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほどからお話がございましたように、北海道在住の公務員の方々が、石炭の入手について非常な出費がある。また実際石炭が食糧と同じような重要度を持つておるということをもよく承知しておりまして、政府といたしましては、財政の許す限り、何とか考慮いたしたいと考えております。しかしながらここに具体的に申し上げるまでに至つておりません。ただ御参考までに申し上げまするが、ただいま御質問にありましたように、政府はことしの石炭を塊炭、粉炭切り込みまして平均五千八百十五円、それに平均の運搬料の三百円を加えまして、一トン当り六千百円といたしておるのでございます。これは本年の五月の小売価格の調査に基いてきめたものでございます。もちろん五千二百カロリーから五千六百カロリーの塊粉の値段を基準にしてきめたのでございますが、その後この価格は決して上つておりません。これも政府が調べたところでございますが、本年の五月から九月までの数字を見ましても、むしろ下つております。九月の実績から申しますると、六千三十六円でいいというような数字にもなるのであります。こういうような数字も出ておりまするので、カロリーの計算の仕方がけしからぬというならば別問題でございまするが、五千二百ないし五千六百カロリーのものとするならば、現在のところでは増額する理由に乏しいように考える次第であります。
  150. 森三樹二

    ○森(三)委員 この石炭手当の問題は、もう一点だけ私参考にお聞きしておきますが、例を釧路にとりますと、釧路には市内に太平洋炭鉱という炭鉱がある。従業員が約五千人ばかりおりまして、月に約六万トンくらい出炭しております。この市内における炭鉱で買つても、現実に六千五百円するのです。しかもその六千五百円に運搬賃がかかつて来ておりますから、現在釧路市内で掘つた石炭を手に入れるについても、七千円近い金がかかる。それをさらに貨車に乗せまして帯広その他の地方に輸送することになりますと、帯広へ行きますと、それが七千百円あるいは七千二百円出さなければ買えないという実情なんです。カロリーの問題もいろいろ言つておられますけれども、たとえば釧路市内にある太平洋炭鉱の石炭をとつた場合に、五千二百カロリーあるいは五千六百カロリーという石炭はない。やはり六千五百あるいは六千六百というカロリーの石炭しか出ていないのです。現実の問題としては、政府支給する価格では、安過ぎて石炭を買えないという実情にありますから、こうした問題につきましても、特に実情をよく調査、把握されまして、今後の石炭価格の決定につきましては、十分なる考慮を払つていただきたいということをこの際申し上げておく次第であります。  最後に寒冷地手当支給につきましても、これまたわれわれとしましては、政府の措置に対して—これも財政上余裕がないとおつしやるかもしれませんが、政府は増額する意思があるかどうか、この点についても説明を伺いたい。
  151. 菅野義丸

    菅野政府委員 寒冷地手当につきましては、新しく指定をするとか、あるいはその程度を高めるとかいうことは現在やつておりますが、今この額を増額するという意思はございません。
  152. 森三樹二

    ○森(三)委員 この点につきましても、政府はやはり今後においても増額する御意向を十分持つていただきたいということを申し上げて、私の質問を打切ります。
  153. 植木庚子郎

    ○植木委員長代理 小松幹君。
  154. 小松幹

    小松委員 時間がたちますから簡単に申し上げますが、委員長にまずお尋ねして推進したいと思います。それは先ほど受田委員から申しました一般職員に対する給与の十二月分の繰上げ支給の議員立法の問題でございますが、これを先ほど有田委員長に申し上げましたが、自由党の方の政調会との相談を一応するという見解でございましたので、私はここで明日人事委員会を招集いただいて、それまでに委員長の方で党内の一応の—これは各党問題はないと思いますけれども、一応そういう形式を踏むとするならば、それだけの御進行をお願いしたい。そうしてこの給与法律改正案を明日の委員会で出したい、かように考えますので、委員長ひとつお取上げ願いたい。それと同時にすでにこの問題は専売国鉄の方でも公社の側では一応了解して期日を十二月一日にするような運びになつておる。参議院においてもすでに法律案を提示いたしておりますので、専門員の方には御苦労でございましようけれども、そうした意味の法律案を御用意いただきたい。委員長のもとにおいてそれを御命じくださることができれば幸いと考えます。これが委員長にまずお聞きしておきたい点であります。委員長の見解をまずお聞きいたします。1よろしゆうございますか。
  155. 植木庚子郎

    ○植木委員長代理 よろしゆうございます。政府関係機関では適当に御善処願います。
  156. 小松幹

    小松委員 その次に人事院側にお願いしますが、都市の地域給の場合に、ある五級地なら五級地、四級地なら四級地という指定のわくがきまつた場合に、その近隣の川一つ隔てた隣りの町、こういう場合の地域給が、たとえば片一方は五級地であるけれども、片一方は一級地であるというようなことで、川一つ隔てただけで断層があまり大き過ぎるのではないかという見解を私は持つておりますが、それについてのお考えをお聞きしたい。  それから都市の偏在、いわゆる地域給の偏在ということを午前中も言われましたが、われわれはこれは地域給一つの歴史から来る点もあると思いますが、府県のバランスがまだ断層があるのではないかという気もいたします。それで公務員数はおわかりだと思います。それから割出して来る各府県の国家公務員だけ、あるいは地方公務員を含めての予算の額、いわゆる支給額の計算がおそらく出ておると思いますので、これを提示していただきたい。それからここにこういう地域差をこしらえる場合に、消費者物価地域差指数というのをとつてありますが、この消費者物価のとり方においても、いかなるものをとるかというその基準をどこにおいてやるか、いわゆる同じ生計費といつても、生計に関係がある、あるいはまつたく関係がないという問題があるわけです。それとそれをとる場合に、先般給与局長が申された生計費の中のエンゲル係数というのが問題になると思います。いわゆる一般消費者物価と、それから食糧の占める割合いというものがきめられていなければ、指数を出して来る場合に、食糧だけをたくさんとるか、あるいは食糧以外の一般物価というものをたくさんとるかという問題があると思う。その辺のいわゆる消費者物価地域差指数の根拠になつておるものはどういうものか、かような点と、それからエンゲル係数とはいわゆる関係がないのかあるのか、その点お尋ねしたいと思います。そうでないと、消費者物価地域差指数というものが出て、それはとり方によつて東京が百になつた場合に、岩手県が幾ら、あるいは香川県が幾らといつても、非常に内容では違つて来るのではないか、かように考えますので、その点の基礎になるものをお尋ねしたい。  それから政府が今度補正に組もうとする二千百円の給与引上げの問題でありますが、その俸給表の最高と最低は幾らに考えて二千百円を俸給表として編み出しているか、それをお尋ねいたしたい。
  157. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 まず第一に都市とその周辺との断層というものをいかに考えたかという点でございますが、われわれは都市を考えます際には、その水準をなるべく落して行く。漸次バランスをとつて下げて行くという原則を一応とることにいたしたのでございます。しかしながらある都市におきましては、相当地域が広汎であるというような場合におきまして、地域が広汎であるという事情が一方にあり、しかもまた一方特定の都市の状況を見てみますると、人事交流上その地域におきまして、たとえば新市域というような部分もあまり下げることができないというような事情があります際には、そういうことを考慮いたしまして、そうしてかりにその都市の周辺地に官署がありましても、官署指定という方法で拾つて行くというような方法を考えております。おおむね都市の断層ということには十分気をつけてやつているつもりであります。ただ例外的にただいま申し上げましたような官署指定で操作することが適当であると考えられたものも中にあるわけであります。  それから府県のバランスの問題でございますが、これは先ほども私が申し上げましたように、この点につきましては従来アン・バランスがあつたかどうかという御見解もあるわけでありますが、今回は特に気をつけまして、たとえば府県別の一般所得の状況がどういうふうであるか、あるいは特に勤労者だけに限つて見まするならば、その所得の状況がどういうふうであるか、あるいはその一つ地域にあります—これは県とは限りませんが、一つ地域にあります駅、国鉄の駅だけに限りませんが、そういうところの乗降客数というようなものがどういうふうであるか、あるいはその地域にあります一定規模以上の事業場がどういうふうであるか、また銀行というような金融機関がどういうふうにあるかというようなことまでいろいろ調べまして、各府県間のアン・バランス除去に努めたのであります。  第三に予算の額を提示しろというお話でございます。また府県別に公務員数がどれだけあつて、その公務員のもらいます地域給はどういうものであるかというお話でございますが、けさほども申し上げましたように、われわれはそういうところまで実は用意しておりません。たとえば府県別に今度改訂いたしまして、一級に新たになるか、二級になるか、三級になるか、そういうものの公務員数、これは国家公務員の数しかわかりませんが、その数がどれくらいになつているかというようなことは調べております。従いまして計算しろとおつしやるなら、ちよつと時間をいただきますれば、すぐできまずから、これはあとから資料として提出させていただきたいと思うのであります。ただその際に申し上げておかなければならぬと思いますことは、府県別に公務員が一人当りもらいます地域給の額というものは、同一になつているわけではございません。これは先ほどから御説明申し上げておりますように、府県別にそれぞれ事情が違うわけでございます。その点はあらかじめ御了解を願いたいと思います。  それからこれはやはり府県間のバランスをとりますときに考えたことでありますし、また特定のと申しますか、たとえば特定の総理府の統計局でやつている調査のごときは、これは限られた都市でございます。従いまして限られた都市の比較しかできないということになるのであります。その際に地域別のCPIから指数をつくつております。しかしこの場合にエンゲル係数ということがどうなつておるか、計算してみればわかるわけでございますけれども、おそらくはその土地々々の事情によつて若干の違いはあるでございましよう。しかしながらわれわれはそのことを取上げて問題にいたしませんで、ただCPIから導きました地域差指数というものを一応基準に物事を考えておる、こういうことでございます。
  158. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど今回の平均二千百円のべース・アツプというのはどういう構成になつておるかというお話でございますが、これは御承知通り平均給、平均給与と申しますのは俸給扶養手当勤務地手当特殊勤務手当この四つから成り立つておるのでございます。     〔植木委員長代理退席、受田委員長代理着席〕 そこで俸給の値上りだけを見ますと、現在の俸給の平均八千二百八十二円に対しまして九千九百十七円という数字になりますので、千六百三十五円値上りになります。扶養手当は今回は全然改正をいたしませんので、前のままで、現在平均九百十一円支給しておりますが、やはりこの九百十一円であります。勤務地手当は今回は人事院勧告を全部そのまま入れますので、従来一二・九%くらいのものでありましたのが今度は一五%くらいになつております。すなわち現在平均で千百八十五円という数字が出ておりますが、これに対しまして千六百二十六円、その差額は四百四十一円の値上りになります。特殊勤務手当は現在三百三十六円でございますが、それが約三十円上りますので、三百六十六円となります。そうしてその合計が一万二千八百二十円となるのでありまして、二千百円を分析いたしますとこういう形になります。それで最低の給与はどのくらいかと申しますと、一級の一号、これはもうほとんど実際にこれだけの給料をもらつておる人はございません。非常に架空なものでございますが、その一番下の俸給が今回の改訂では四千四百円となつております。それから最高給と言われております十四級の六号、通し番号で言いますと七十号、これが四万六千三百円という数字なつておるのでありまして、上下の差は一〇・五でございます。なお御参考までに申し上げまするならば、現在においては最低が三千六百円で、最高が三万三千六百円でございまして、九・三の率になつております。  以上でございます。
  159. 小松幹

    小松委員 給与局長にお願いいたしますが、実は地域給を何とかもう少し引上げたいというときの、いわゆるわれわれの修正の場合の根拠になるところのものをある程度資料的にも持たなければいけないと考えるので、特に資料として出していただきたい、かように思つておるわけであります。ただその場合にここに消費者物価指数が小さく出ておりますがこの指数もそのままうのみにできない、こういう観点を持つておるので、一応質問したわけであります。その点は御回答になれなければ資料として出していただきたい。
  160. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 先ほど申し上げましたように、明日までに整えまして提出いたしたいと思います。  それからお手元に提出しておりますCPIの指数でございますが、これを機械的に使つたわけではちつともございません。
  161. 加賀田進

    ○加賀田委員 午前中の答弁の中で公務員給与ベースに対しては、政府としては約二割を考えておる。しかし地域給の問題はそのうちの三割程度であつて、もしその三割をオーバーする場合には、自然的に二割に食い込むというようなお説のようでありました。私は非常に遺憾であると思うのです。地域給の性格というものは、やはりその地域における物価の上下によつて生活水準の均衡をはかり、実質賃金の平均をはかるというのが目的である。本俸その他の手当影響をするということは非常に矛盾があるのではないか、そういう意味ではもしも三割をオーバーした場合に二割に食い込むというならば、われわれの審議すること、あるいは決定の範囲も大きく制約されるというような感じを強く持つわけであります。今までの委員会の空気あるいは請願書、陳情書をいろいろと考慮いたしまして、なお勧告案の地域給の問題を検討いたしますと、相当アンバランスも生れて来ると思います。これらを私どもとしては修正しなくてはならないという考えを持つておりますので、三割をオーバーする場合についても、やはり午前中答弁のあつたように二割に食い込むということをされるかどうか。私たちとしてはやはり地域給という問題は、別個の問題として取り上げてもらいたいというのであります。こういう場合には大蔵省としてどういうふうにお考えになりますか。  なお総裁の方でこの地域給勧告案を再勧告する意思はないが、しかしながら非常にアンバランスが特に認められた場合には一部修正するというような発言もありましたが、勧告案を出されてから国会通過までの間において、いろいろ矛盾が見出されたときに、人事院として特殊な立場に立つてこれを検討されるのか、あるいはこの委員会等の発言等を大きく取り上げて修正する意図を持つておるのか。その点に対して一応御質問を申し上げたいと思います。
  162. 浅井清

    浅井政府委員 予算との関係は、内閣または大蔵省から御答弁申し上げるだろうと思いますが、再勧告云々とさいぜん申しましたのは、これは将来のことを意味しておるのでありまして、この法案がすでにお手元で審議されておるときには、この修正は国会御自身の権限で御自由なのでありますから、これに対してまた特に形式的な勧告をやる意思はございません。
  163. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 大蔵省からお答え申し上げます。先ほど勤務地手当関係で三割という数字をあげましたが、これは支給率が一二%強でございまして、これが一五%、すなわち三%上るということを申し上げたのを、ちよつとお聞き違いになつたのではないかと思います。けさほどはたしか三彩ということを申し上げたのであります。ただいまの御質問でございますが、先ほど来るる申し上げました通りに、今回のベースアツプは人事院勧告、あるいは国鉄裁定、そういうものをわれわれとしては貴重なよりどころといたしまして、その上に先ほど申し上げたようなCPS、民間給与というもののさらに上昇率というようなことを加味いたしましてきめ、それから財政全体の状況ということを見まして、特に民間給与との関係に重きを置いておるのであります。そこで今申し上げましたような基本給、これは御承知通り俸給扶養手当勤務地手当、こういうことになりますが、その基本給をまず民間給与との関係において二割ぐらい上げるのが、要するにつり合いがとれるというところから、二割という数字を出したのであります。それで二割上げましたものをどういうふうに配分するかということにつきましては、けさほど来申し上げましたように、人事院地域給に関する勧告案を尊重して配分する、こういうことを申し上げておるのであります。従いましてただいま重ねての御質問でございますが、勤務地手当の方が支給率が高くなれば、二〇%のわくの中での配分がかわつて来る。こういう趣旨のことを申し上げたのでありますので、御了承を賜わりたいと思うのであります。
  164. 加賀田進

    ○加賀田委員 給与の基本的な考え方についてお尋ね申し上げたいと思います。人事院勧告の主体になつておる考え方はやはり物価の値上げ、並びに民間給与引上げの問題を対象として勧告されておる。従つてこれは生活給を基本とした問題として勧告案が出されておる。しかしながら現在の公務員給与体系におきましては、職階制的な問題が相当加味されている。給与引上げの対象が、いわゆる実質賃金の低下に基く引上げを中心として考えられておるにもかかわらず、そのベース引上げに基く給与体系の配分というか、そういう問題が職階制を大きく取上げておるということに大きな矛盾があるのであります。もちろん賃金、給与というものは労働の質と量によつていろいろ規定せられると思いますが、しかし私たちの考えとしては、やはり最低の生活保障の上に立つての労働の質と量に基く給与体系賃金体系というものが定められなければならないと思いますが、こういう最低の生活の保障というものがまだ実施されていない上に立つて、職階制というものが持ち出されるところに大きな矛盾が生れるのではないかと思う。そういう意味においてこうした給与ベースの具体的内容の賃金配分に対しての根本的な考え方というものをお伺いいたしたいと思います。  なおそうした給与体系の中で民間賃金を基準として公務員ベースが考えられたという御説明が再三ありました。もし公務員給与に矛盾があるならばそれはやはり民間給与の体系、あるいはベースにも矛盾があるという考え方ですが、政府としては、あるいは人事院としても、日本の労働者の賃金体系はこうであるという主体的、指導的な立場に立たなければならないにもかかわらず、民間給与に準じて、しかも時期的にいつも遅れて来る。こういう状態のようにわれわれは見受けるのですが、この点に関しての人事院としての見解を承りたい。
  165. 浅井清

    浅井政府委員 お答えを申し上げます。ただいま生活給という点から賃金引上げをすべきにもかかわらず、現われたものは職務給的なものであるという問題でありましたが、これは生活給と職務給との二つのいずれをとるかというきわめて重大なる点だろうと思つております。しかしながら私どもの考えといたしましては、純然たる職務給というものもこの世の中に存在しなければ、また純然たる生活給というものも存在しないと思つております。結局給与の中で生活給的な面と職務給的な面とがあつて、そのいずれに重点を置くかということが問題になるように思つております。公務員法の建前といたしましては、その意味においての職務給だということで、職務と責任の程度によつて賃金を払う、同時にそれが勤労者の生活給を意味するものである以上、全然生活給的なものから離脱し得ないようにも考えております。その意味において職務給か生活給か、こう二つ截然と割切つて人事院としてはやつていないのであります。なるべく職務給的な要素を多くするという意味においてやつておる。それは公務員法の中においても漸進的にその方向に進むべきものであるということが規定されているからであります。  なお民間給与に追従ばかりするというお話もございましたけれども、これは公務員法の建前から考えましても民間賃金と生活費この二つを二つの柱として給与をきめなければならぬということが規定されていることから来ておるのでありまして、民間賃金のみならず、一方におきましては理論生計費の一つでありますところの標準生計費というものを考えております。これはただいまお尋ねの、いわゆる世間で申しまする最低賃金制というものとは違うかもしれませんが、結局公務員の最低の賃金を押えておるという意味の要素は入つておるように思つております。  なお技術的な点で御質問がございますれば、給与局長から申し上げます。
  166. 加賀田進

    ○加賀田委員 もちろん現在の賃金が全部職務的な給与という指摘は私はいたしません。もちろん生活給的な内容も含んでおると思います。しかしべース引上げの対象となるのは、今申しましたように物価の値上りと民間企業の労働賃金の値上げと、—民間企業の労働賃金の値上げというのはやはり物価に基いてなされておる、こういうことで、それを対象として調査しながらも、その資料の内容の中にいわゆる職務給的な内容を含めるという矛盾が起つて来ておる、こういう問題に対しての質問でありますが、その調査の対象と、その調査に基いてなされた賃金ベース引上げというものの内容に、大きな矛盾があるのではないか、この点に対して人事院でどう考えるかということです。
  167. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 お答えを申し上げることが御趣旨を誤解しておりましたら、また再び御指摘を願いたいと思います。人事院で民間給与調査をやります場合には、たとえば労働省でおやりになつておるような毎月勤労統計—一つの事業場にもいろいろ職種がございます。たとえば事務的な職種もありますし、また工員のような職種もあるわけであります。そういうものを込みにいたしまして、そうして一つの事業場の賃金の平均が幾ら、また同種の産業の中でこれをまとめまして、産業別に見たならばその賃金が幾らになるか、こういう調査は労働省でやつておるのであつて、われわれがやつておりまするのはそういう調査ではないのでありまして、公務員の場合におきまして、たとえば職務と責任の程度がどの程度である、そういうところを押えます。これは民間の職務と公務員の職務は、おのずから違いがあるわけでございまするから、従いまして比較し得るものは限られておるということになろうかと思います。しかしながら相対比いたしましてそれほど無理がないというようなもの、また場合によつてはタイピストのごとき、これは完全に公務員であるタイピストといえども、民間におるタイピストといえども同じでありますが、そういうふうに同じもの、対比し得るような一つの職位と申しますか、職務の一つのポジシヨン、こういうふうに表現すればいいと思いますが、そういうものの給与というものが一体どういうふうになつておるかということを調査いたしまして、職務と責任の程度に応じてずつと幾つかのポイントを押えまして、たとえばわれわれの俸給表におきましては、現在職務の級の十五級というのがございますが、二級の平均、三級の平均、四級の平均というふうに押えてやつておるといことになつております。われわれが調べてやつておりまする調査におきましても、もとより統計資料でございまするから同じものが出るということはないのでございます。従つて平均をとるということであります。その平均をとる場合に、民間においてはその平均より高いものがあるわけでありまするし、またそういうものが特に目につくわけでありまするから、人事院でやつております調査数字は低いのではないかというような御意見も出ようかと思います。しかしながらわれわれはやはり統計を扱うわけでありまするから、平均値をとつて行かなければやりようがないわけでありまして、公務員の場合には平均値をとるのが適当だろうというふうに判断せざるを得ないと思うのであります。このように民間におきまするポジシヨンを調べてやつておるということであります。従いまして調査方法は職務と責任の程度ということを中心にいたしまして比較をいたしております。そういう意味において、この調査が職務的であるとおつしやるならば、これはやむを得ぬというふうに思うのでありますけれども、そういうふうにして比較することがむしろ的確であろうというふうに思つております。こういうふうにしてわれわれは民間の給与と対比しております。これは今職務と責任という観点だけから申し上げましたが、たとえば込みにして出ます毎月勤労統計というようなものでありますならば、その事業場に年齢の若い女子工員が多いとか、あるいは特に年配の男子職員が多いというような事情によりまして、たえば紡績業でありますならば平均給与が低く出るというようなこともあり得るのであります。しかしながらそれはある一つの会社の人事課長なりあるいは総務部長なり、そういう人の給与が低いということを意味しておるものでは決してないのであります。従つてわれわれのやるような方法によつて対比いたじますことがむしろ的確であるというように判断しております。もとよりわが国の給与というものは職務給かあるいは生活給だというようなことで割り切れないでありましよう。しかしながらたとえば民間におきます総務部長であるとか、営業部長であるとかいうようなポジシヨンにつきます場合には、おおむね年齢の範囲というものがきまつております。非常に若くてなるというような例外があるかもしれませんが、おおむね年齢あるいは家族構成というものも幅がきまつておるように思います。従いましてわれわれのやつております調査は職務ということで押えておりますが、やはりその裏にはその職務につきます平均年齢あるいは平均家族数というものも考えておる。従つてこれは、そういう民間の事業場における人々の生活の背景のとらえ方は的確であろうというように考えておる次第であります。
  168. 加賀田進

    ○加賀田委員 最後にもう一点だけ御質問申し上げたいと思います。これは舞鶴地区の問題でありますが、舞鶴地区は御存じのように前にABCにわかれたときにA級であつたのであります。現在全国的に見ますと前のA級は五級ないし四級に匹敵しておるわけであります。舞鶴は参議院において前には大体了承したというようなこともるる伝えられておりますが、今度見ますとやはり以前と同じく三級になつております。その点で特に三級にすえ置かれたという理論的の根拠があればお示しを願いたいと思います。
  169. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 先ほどから申しておりますように、われわれの地域給を設定いたしましたその明確な根拠を求めるということになりますと、これはなかなかむずかしいというふうにいわざるを得ません。先ほどから申し上げておりますように地域CPSから求めます地域差指数というものを原則としては尊重しておるわけであります。また府県間のバランスをとるというような点にも細心の努力を払つておる、これは何回か重ねて申し上げた通りでございます。それから府県内におきましては、たとえば京都府から出て参ります修正順位表というようなものを尊重しておるということも重ねて申し上げた通りでございます。そこで舞鶴は以前級が高かつたのに、それが上つてないではないかというお話でありますが、われわれは昔の級石元するというような意味でこの作業をやつておるわけではないのでありまして、この作業をやりますのにはやはり舞鶴の現在の状況というようなものも相当精細に調べておりますし、またあそこの地点について申し上げますならば、すぐ近くに福知山市、綾部市もありますし、また県こそ違つておるが、ごく近くにやはりこれと関連を持つております豊岡というような市もあるわけであります。そういう全体の均衡というものをはかつてみますならば、今回たとい参議院修正に舞鶴が出て参りましても、これを取上げるということは、バランスを若干くずすゆえんにならないであろうかということをおそれまして、その点については慎重に検討いたしたのでありますが、今回は、舞鶴の一部を四級にいたしますかわりに、舞鶴市は従来一部分が三級地で、そのほかの部分に二級地もあつたわけでありますので、そこでむしろ舞鶴市全体を同級地にする方が舞鶴市にとつては人事交流の点から言つてもかえつてぐあいがよいのではないか、これは若干のつけたりでありますが、そういうような考慮を加えて全体のバランスをとるというようなことをいたした次第であります。
  170. 館俊三

    ○館委員 大分皆さんの質疑応答を聞いておりましたのですが、抜き差しならぬ問題は予算がないということでございますが、今の政府としての立場から予算がないのであるというふうに私は了承するのであります。この政府でないほかの政府ができたときには、予算の措置はできるものであると私は結論づけて参りたいのであります。予算がないとお言いですが、今度の補正予算総額の割振りの問題をここできめるわけに行きませんが、その割振りの問題を政府がきめて、その基礎の上に立つて予算がないというふうにベース・アツプを求めている人たちには申し述べております。これは予算委員会において、精密に各種目について勘案した場合において、われわれの立場からは言うべきことが実にたくさんあるのであります。     〔受田委員長代理退席、委員長着席〕 四百五十何億という前年度の繰越し予算をまた来年度に繰越す、あるいはまた軍事予算につきましても、十一万の予備隊が十八万にまだなつておらぬ、あるいは七万五千のものが十一万になつておらぬというようなことについての繰越しもあるのではないか。使い果しておらない予算の幅を三月までに使い果し得るかどうかという疑問の余地もたくさんある。それがまた来年度予算に繰越しになるかどうかという疑問も持つている。金がないと一般に考えられることは、日本の国の経済が全般的に見て金がないということであつて、これは皆が了承しておる。しかし予算のやりくりについて、どこへどう金を盛るかという技術的の問題の上において予算がないと私は了解する。そういうことでありますから、裁定の問題にいたしましても、人事院勧告の問題にいたしましても、その他いろいろの問題にいたしましても、予算がないという規定の仕方をしてはいけないという心組みを私たちは持つておるのであります。しかし政府の当局者において、予算がないという建前でおつしやられておりますと、一向話は進展しないのであります。私はここで言うべき筋合いのものを一つも持つておらない、言うのがむだだという気持しか持つておらないのであります。こういうことは実に情ない話でありますが、残念ながらそういうことを言わざるを得ません。たとえば賃金の面におきましても、るるおつしやつておられるように、民間の企業のベースをよく見て、それに合せてつくられるとのことでありますが、そうすると人事院勧告なりその他のこれに類似した裁定、あるいは調停委員の案というものは、常に官公労働者に関する限り、民間の給与が上昇しているかいないかということを見た上で、それにさや寄せする形に聞えるのであります。ということは現在行われているベースが—民間のあなた方がお調べになつた材料のよしあしはとにかくとして、そのベースに比べて低いという結論の上に立つて、それだけの分をさや寄せしたのが今の勧告である、あるいは国鉄裁定も似たものでありますが、そういうものではないかと考えるのであります。そうなるといつも政府機関に携わつている、この人事院勧告の範囲内に入る職員ばかりでなく、その他のそれに類似した職員給与は、常に民間の給与よりも遅れておるということなんですが、この点についてお聞きをしたい。遅れておるとすれば、一体何箇月遅れておるかということについての御調査があるかどうか、それをまずお聞きしたいのであります。
  171. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 御指摘の通り、われわれが民間給与調査をいたしまして、そうしてその結果によりまして判断するということになるのであります。これは公務員法にそういう方法によつて判断するということが、基本的な一つ考え方なつておるわけでございます。従いまして、統計を作成いたしまするには、どうしても若干の時日がかかるわけでございます。これはどうも今の建前としていたし方がないのではなかろうか、それならば、少々推定を加えてやつてもよろしいのじやないかというお話もまた出て来ようと思うのでありますが、この推定ということは、経済事情の変化の多いときにはなはだ危険でございます。われわれといたしましては、やはり統計資料に基いてやるということをいたしておる次第であります。もつとも公務員給与というものは、われわれが勧告いたしましただけではきまらないので、国会が御審議になつて御決定になるわけであります。国会の開かれる時期等におきまして、これはやはり時期的に制約がございますので、そういう問題ともやはりこの問題はからんでおるのではなかろうかというふうに思うのであります。従いまして、われわれといたしますれば、でき得る限り統計を早くつくるということと、それから国会等におきまして、でき得る限り早く御審議をお願いするということ以外にはなかろうというふうに考えます。
  172. 館俊三

    ○館委員 そこで、人事院のいろいろの勧告及びその勧告をつくるための基礎的資料というものは、人事院が主体性を持つておらないで、常に民間の給与の趨勢に応じてやつておられる。人事院給与そのものについて主体性を持つてやつていらつしやらないように思われることを、ぼくは実に情ないと思うのであります。もう一つは、そういうことであつて、常に民間給与が上昇しておる状態を非常に詳しくお調べになるのに相当長い時間がいる。しかもその長い期間を通じて調査をしてできた、今度のベースで言えば一万三千五百十五円を勧告されるまでには、非常に日数がたつておるのであります。そういう意味から見て、人事院勧告五月一日実施というものは、民間はすでに上つておつたのであつて、勧告あるいは実施のずれが非常に多い、その遅れを取返すための五月一日なのか、その点はどうか。
  173. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院は五月現在で調査をいたしたのでございまして、従つて五月からこれが改訂されるということが適当である、こういうふうに考えた次第でございます。
  174. 館俊三

    ○館委員 五月一日にそういう調査をなさつたとするならば、一日に着手されたのではなくて、一日以前にすでに民間企業と政府職員類似のそれらの一般職員との差が非常に多かつた。その間における政府職員なり、あるいはそれに類似する一般公務員と普通言うておるそれらの人の生活の窮乏は非常なものであるということは、人事院なり、あるいは大蔵省としては想像がつくだろうと私は思うのであります。それにもかかわらず人事院勧告予算の面で拒まれておつたり、あるいはまた全政府職員その他の人たちの要求額よりも非常に少額の勧告が出ているということは、この最もよく国家の機関を動かす職にある人の位置を軽視しているものであるといわなければならぬと私は思います。同時に私は、一万三千五百十五円という一般ベース支給対象者の中から管理職人たちを除いた残りの最も数の多い、そうして最も苦しんでいるそういう人たちだけのベースならば、幾らになつておるのかということをお聞きしたい。
  175. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 われわれの方の統計としては、現在職務の級別にどのくらいの人員がおるということはわかつておりますが、管理職というものをどの程度に押えるか、これはいろいろ問題があろうかと思います。しかしながらたとえば十三級、十四級とかいうことになつて参りますれば、これは公務員数の中の割合から申しますれば非常に少いものであります。従いましてわれわれは、現在までに管理職と一般者というものにわけて資料を自分のところで用意したことはないのでありますが、そういう御要求がありますれば、たとえば十三級以上をわけた場合どういうふうになるという計算はただちにいたしてみます。しかしながらおそらくはこういう人たちの数は非常に少いのでありまして、その全体には大して影響がないことであろうというふうに考えますが、計算して提出申し上げます。
  176. 館俊三

    ○館委員 それは私もその通りだと思いますが、管理職と考えられる職の方々は、普通言う係長以上とかなんとかいうことになりますか。
  177. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 各省により、その組織により、係の大きい小さいはいろいろあるわけでございますが、比較的責任の重い係長でありますならば、そういうところから一応わけてもよいのではなかろうかというふうに考えます。しかしながら現在そういうつかまえ方はなかなかできがたいであろうというふうにわれわれは考えます。従いまして計算して出してますには、たとえば九級以上でありますとか、八級以上でありますとか、そういう押え方しかできないのであります。
  178. 館俊三

    ○館委員 全体の面において多数を占めている人たちベースが、管理職を除いて計算した場合に、一万三千五百十五円からかなり低くなるのではないかという結論が出ればおもしろいのですけれども、おそらく人数の面においてそれだけは出て来ないことは私も承知しているが、それはひとつ提出していただきたいと思います。しかし今の勧告案の内容をつまびらかに見るほどの資料その他を私たちは整えておりませんから申し上げませんが、ほんの概略的に考えますと、一日八十六円何がしで食えるという食糧のところでございますが、その一番最初に御飯の資料について書いている。これを見ますと、あげられているものは精米、外米、押麦、小麦粉、生うどん、ほしうどんあるいは食パンというものも書いてあるのであります。現在における一般の家庭生活者がこういうことをして食べておるのではないということを私は実際において認識しておる。どんなに給料の低い人でも、小麦粉を食べたり、生うどんを食べたり、ほしうどんを食べたり、食パンを食べたりすることは、米を食べるよりもかえつて高くなる。栄養の程度その他で高くなるという意味もあり、それから副食物のとり方が、なかなか牛肉なりその他のものが食べられないという関係もありますが、ともかく小さい一家庭における経済の切盛りの上からいつて、こういうものを食べないでほとんど米を食べておる。せいぜい入れても外米か押麦くらいの程度であります。そういうことを考えますと、米の量だけでここに示されておりますカロリーを計算しますと、こういう金高で一家の中は治まりがつかない。エンゲル係数はどうあろうと、これは実際の生活状態です。それにもかかわりませず、こういう統計を出される場合に、常にこういうものをざつと並べて、これで生活するのだということを言われるかもしれませんが、おかしなことを言つてはいけません。これでは池田大蔵大臣の、金持は米を食つて貧乏人は麦を食えというよりも、もつとおかしな品物をとつてやつておると言わざるを得ない。こういうことでは働く意欲がなくなります。一万円もらうにしても一万三千円もらうにしても、労働者は全部米を食わなければ働けない。こういうことを一つ考えてみましても、私はこの人事院勧告そのものをもはなはだしく実情から離れたものだと思つておる。しかも一万三千五百十五円なるものの最低給として、最低標準額四千七百円、あるいは政府は四千八百円といつておりますが、これらの人はやはり家賃も納め、部屋代も納めすべて諸掛は全部この中に含まれておる。ところが管理職以上その他になつて来ますと、官舎というか公舎というか、そういう無料のところにも入つておるし、旅費もたくさん出る。七万五千円に最高がきまる場合であるならば、それに付属するいろいろな収入が非常に多い。これはそういうことを計算して考えておられるのかということを私は痛切に感ずる。私は古い時分に国鉄当局と話合つたことがありますが、高級者になると、やれ社宅がほしい、公舎がほしいと言う。そうでなければ生活が困難だというようなことでその職につくことを望み、その職についたらそういう特権を得たいとあせるような傾向が出ておる。最低級におる人間は、子供を学校に入れ、あるいは借家賃を払い、その他衣料費を払つてやつて行くのに、高級者がそういう態度に出られることは困るということを私は主張したことがあります。今のベースが上に厚く下に薄いということも、お話によれば民間がそうであるから、それに合わされたということでありますが、いやしくも人事院という役所においては、その民間の立て方がいいのか悪いのかという御判断の上に立つてやられなければならないと私は思う。ことに官庁の全体はだれが動かしておるのかということもお考えになつていただきたい。民間がそういう体制になつておるから、こちらもそうやるということだけでは私はどうも得心がいかないが、この点についてどう考えるか。
  179. 滝本忠男

    ○滝本政府委員 人事院としてどう考えるかということでございまするが、これはやはり総裁も申され、われわれも何回も繰返して申し上げたことでございますけれども、公務員給与を民間の一般的水準より高くするということは、納税者の立場から考えますと御異論がある点であろうと思うのであります。また政府職員が民間の一般の水準より低くてよろしいということはあり得ないことでございます。われわれといたしますれば、現在のところ公務員給与は民間と平均を保つて行くということが、一つの目標になつておるわけでございます。ただ民間と平均を保つということでありますけれども、民間においては現在まだ最低賃金というようなものがきまつておるわけでもございません。しかしわれわれの方におきましては、とにかく現在の場合におきましては二級三号、現在公務員としては十八歳者はその辺に行つておるであろうという見当をつけておるのであります。この点をよりどころにいたしまして標準生計費というものを計算して、これを確保するように努めることをいたしておるのであります。もし標準生計費を確保する措置をいたしません場合におきましては、こういうところは民間に合せますればずつと下ることになるのであります。その点だけは、生活は確保さるべきであるということで二級三号に標準生計費を押えております。標準生計費についても理想があるべきではないか、それは高いほど好ましいということにかわりはございません。しかしながら現実に国民一般、生産者を除きました消費者層が一体いかなる消費の実情を示しておるか、この点はわれわれとして関心を持たなければならぬ。国家公務員と対比されるような民間の消費者層において、一体どのような消費をいたしておるかという事情は調査するわけでございます。従いましてこれを先ほど御指摘になりましたように押麦、外米、食パンとかいうような個々の例をとつてごらんになれば、食パンを食わない人もあるかもしれませんが、統計的に平均的にこういう割合で消費しておるという実情が出て参ります。そういう実情に着目いたしまして、このマーケツトバスケツトを組んでおるということになるのであります。
  180. 館俊三

    ○館委員 大分時間が経ちましたので、次の機会に譲りたいと思つておりますが、池田さんが言われたことについて私は非常に痛感いたしておるのであります。人事院あるいは国鉄の調停委員会あるいは仲裁委員会という機関がせつかくきめられるものを、予算がないということでいつも打切られておるというこの根本問題を直さなければ、どうしても問題が進まないのでありまして、これがわれわれの壁になつておることは事実なのであります。  そこで、これはこの前も申し上げたのですが、そのときにあなた方はいらつしやらなかつたから申し上げますが、国鉄裁定の場合でも、今年は中央調停委員会に調停案を持出さないで、詮議をしないでただちに裁定に引移されておる。そのことを政府は、委員の交代期であつたがゆえに、こういうことになつたというように説明されておりますが、その内情は、国鉄の調停委員になり手がなかつたというのが実情なのです。調停委員会は二十四年からすでに発足して来たのでありますが、その間三回、四回にわたつて、苦心をして調停案を出しておりますが、いつも政府あるいは総裁のいれるところとなつておらない。裁定の場合でもその通り。そこで調停委員の候補者をきめる場合に非常に困難をされたはずである。しかもようやくでき上つたときには、すでに二箇月の期間を経過しておつて、裁定に飛び込んでしまつた。しかも調停委員の任命が終つた時分に、当時の吉武労働大臣は、どうか調停委員になることをお逃げにならないように、何とかしてくれということを言われたそうであります。そういうことは、政府機関それ自身が、政府の現在のごとき態度ではみずから崩壊するような働きになつておるということであります。人事院総裁は、さつき予算を考えないで人事院勧告をすれば、いいのであるというようなお話に承つたのですが、適正なベースを出すならばそれでいいということをお話になつたのでありましようが、採用しようがしまいが、それは自分の権限外に属することであるとお考えになつておつても、採用になつたということになれば、やりがいがあつて非常にうれしいことだと思う。中央調停委員になる者はすでにさつき話したような状態である。しかも人事院が廃止になつてもいいんではないか、なるとかいううわさまで立つておる。私たちはそういうことにおいてベース調査しておる政府の周囲における各機関が、みずから崩壊の立場に立つような気持になるのではないかということを非常に残念に思うし、そこに政府みずからの大きな矛盾があると思う。そういうことを申し上げて、悪口を言つておるようでございますが、実に情ないことだと思う。せつかく機関をこしらえておいて、それをみな死物扱いをしておる。これは政府の政策の上から見れば、最大の黒星であると思う。しかも人事院総裁のところへはことし官公労の連中が勧告内容について押しかけて来ておるはずである。どうすることもできない。いろいろ官公労の諸君が詳しく調べておる事柄についての人事院の当局者の言葉の食い違い、あるいはまた当局者の返事のできない点、そういうことがあつたりして、大分すわり込みをやつておつたそうであります。その際にどうしても動かないということからか、官憲までが出て来てこれに追つ払いをかけておるという始末であります。さらにまた検束された者もあるかと私は聞いております。そういうことはさつき池田君が言つたように、こういう法律の無視—それは法律無視ではない、十六条で向うへ言うて行けということになつておるという逃げ口があるとおつしやるかもしれませんが、そういう形で続々現われて来る仕儀になりはせぬかと思うのであります。これは労働行政その他にも関係することでありましようが、私はそう考える。そこ菅野さんあたりがいろいろ四千七百円については間違つておるので、四千八百円にしたい。運賃の値上げその他を勘案して、間違つておるとおつしやつたのではないでしようけれども、米の値段も上るからということで、四千八百円にされたという処置はわかるのでありますが、そういう姑息なことでは、労働者の窮乏は救えない。私たちは何とかして予算の修正をやらなければならないとは考えておりますが、政府のこういう方面に対する施策については、大いに反省を促したいと思うのであります。私の質問はまだたくさんございますけれども、今日の質問はこれで打切りたいと思つておるのでありますが、そういうことであつては、一体そういうことをやらせるのが政府なのか、それとも困つておる労働者自身が自主的にやるのか、これをよくお考えを願いたいと思う。地域給の話だとか寒冷地手当の話、あるいは石炭手当の話、何を持ち出しましても、結局は予算がないということなので、私の質問に対する答弁については不満の限りなのであります。  それから、人事院勧告の中に超過勤務手当もありますが、実情において、超過勤務手当を払つておらないところがたくさんある。食糧庁の人たちの話を聞きますと、供出の督促をやらせられておるその分に対する超過勤務手当の支払いがされておらない。しかも、無責任なことには、係の当局が、供出を促進する意味において、夜中の十二時までですか持ち込むことをさせておる、そういう指令を職員に出しておる。そのために職員の超過勤務が非常に大きくなつておるけれども、その指令は予算の裏づけのない形のままに出されておる無責任な指令なのだ。そういう状態が今盛んにやかましく言われておるのであります。こういうことについて考えますと、政府がわれわれに働けということはわかるのだが、その働けの裏づけがないということは、実に無責任な働かせ方だと私は考えざるを得ないのであります。この超過勤務の問題についても詳しく調べてありますが、これは食糧庁の長官あるいは農林大臣に聞いてみなければなりませんけれども、超過勤務をさせる指令を出しておいて、それを計算して出しても払わないという状態で、一般問題についてもみなそうだ。私は、それについては、高給を食んでおる人たちは最低生活の苦しさを御存じない、どういう生活をしておるか御存じない、計数ばかりいじられておつたのではこの仕事はできないと考える。それであなた方の言われる通り国会できめるべきものであつて、あなた方の責任ではございません。しかし、残念ながら国会政府与党が多数を占めておる。その与党の多数を占めておる国会でおきめなさいとおつしやることである。私はそういう皮肉な気持であなた方のお話を聞かざるを得ません。国の政治をするためにはそういうことであつてはいけないと思う。私は質問するよりも文句をつけておるようで困るのですが、なんぼあの手この手で質問いたしましても、予算がないとか、あるいはこれこれだということはわかり切つておる。だからこういう不平たらたらを申し上げるより方法がない。この状態では困る、そう私は言わざるを得ない。ぐちを言つておると思われるかもしれないが、いずれ私たちは徹底的に予算の解剖をやらざるを得ないと思うのであります。気の毒なのは、人事院、中央調停委員であるとか、仲裁の方々でございます。政府予算がないことも考えながら、縮めて縮めて出しおる。人事院はそうじやないとおつしやるが、中央調停委員なり仲裁の方々は政府予算、あるいは国庫の予算を勘案して、これならばと出しておるのであります。人事院はそうでないとおつしやるならそれでよろしい、調停委員や仲裁委員は、何とかというわけでやつておるのでありまして、金の面も考えないで出しておるわけじやない。政府みずからの機関が崩壊するのではないか、実質的に崩壊しておるのではないかということを私は申しまして、こまかい点についてはあとでお聞きすることといたします。
  181. 竹尾弌

    竹尾委員 時間も大分たちましたから、簡単に一、二地域給の件につきましてお尋ねをいたします。  第一は、これは再三繰返すようですが、地域給引上げの明確なる根拠がないと、こう給与局長はおつしやられておるようでありますが、そうした明確なる根拠はないけれども、府県間のバランスをとることにも努力をし、またCPSの調査等々を勘案した、こうおつしやいますが、今度の勧告はきわめてずさんな点が非常に多いということを私は痛感しているのでございます。明確なる根拠がないからとおつしやるならばそれまででございますが、これも一例をあげますけれども、東北の諸県は、仙台を除いた各県庁所在地は大体二級にしかなつていないようであるが、北陸の方は新潟がこの間上つたばかりで今度また三級になつた。上ることはけつこうでございますが、そのために北陸の諸県の県庁所在地も当然上げざるを得ないというような状態のようでございます。ただいま舞鶴の話もありまして、舞鶴などは非常に問題になるところであつて、当然上げなくちやならぬところだと私は思いますが、これも上つておらぬ。山陰の県庁所在地は上つております。四国の方は、徳島が上つたためにほかの高知、高松、松山あたりが上つておる。こういうところを考えますと、結局のところ、明確なる根拠がないとおつしやつておられながら、そういうことをやられるのだということになると、きわめてその結果がずさんであると考えざるを得ないのであります。ただいま給与局長は、大都市の衛星的な地位にある小都市その他はできるだけ勧奨等々によつて上げるんだ、上げたんだというような御意見でございましたが、これは直接民間給与にも関することでありまするけれども、一例を—これは私の県の例で、自分の県の例はあまりとりたくないのですが、千葉県に例をとつてみますと、しようゆの生産地である野田という町がありますが、あれは明らかに東京の衛星的な小都市でございます。しかもあそこの従業員は非常に給与がよろしいので、平均ベース一万八千五百円をとつておる。しかもことしの年末賞与のごときは三万八千円をもらつております。あなたは、民間給与を重視したとおつしやるけれども、そうした重視の形すらもないと私は思います。そしてそれに近接しておる柏は—これも上つてけつこうなんです。上ることに反対するのではないのですが、二級から三級に上つておる。それからこれもしようゆの生産地である銚子は三級に上つておる。こういうぐあいで、府県のアンバランス調整するために非常に努力をしたというお言葉でありながら、その結果におきましては非常にでこぼこである。九州などにもこういう例がたくさんございます。でありまして、明確なる根拠がないからそういうことをされた、こうおつしやられればそれまででありますが、私は府県の昇級についての基準がどこかになければならぬ、その線が非常にあいまい模糊としておる、こういうぐあいに感じております。これも私の県の例でありますが、千葉市は四級になりながら、その付近の八街などはそのままになつておる。そこで、根拠のないところは何かの根拠によらなくちやならぬということになりましようが、私どもの考えることは、われわれは政治をしておるものでございまして、政治をするには円満なる常識と公正なる判断をする能力があれば、それでよろしいのでありまして、常識は常に真理を含みます。でありまして、北は北海道から南は鹿児島のはてまで、莫大な旅費を使つて、各都道府県から熱心なる陳情、請願が殺到して来た。そういうことに熱心だということは、つまり生活が非常に窮乏しておつて、につちもさつちも行かないから当局に請願するのでありますから、そういうもので、常識的にだれが考えても上げなくちやならぬところは上ぐべきである、こういう強い意見を私は持つております。そこで今回の勧告というものは—個人的には、滝本給与局長さんも人事院総裁も、まことにりつぱな方でありまして、常に敬意を表することにはやぶさかではない。しかし事ここに至りますと、どうにもしかたがないから、ここで臨時人事委員になりまして、皆様方にひとつ御意見を申し上げ、私どもの要求も貫徹していただきたい、こういう気持なんです。そこでこれは、私どもの要求をもう少し入れたならば、こんなことにはならなかつた、はつきり黒星であります。私は与党の一員でありますが、こういうことは黒星なんです。黒星をあえて申し上げるということは、まことに恐縮でございますが、まだ政府の案になつておらないのですから、ここでもう一度再勧告をされる意思があるかどうかということを、まず人事院総裁にお伺いしたい。ないとおつしやいますが、何とか方法があると思います。
  182. 浅井清

    浅井政府委員 それはまことに残念でございますが、すでに国会の御審議にかかつている間は、ございません。
  183. 竹尾弌

    竹尾委員 それではやむを得ませんので、私は委員長に、けさほどのことを繰返すようですが、そういう私どもの強い要求を御採択くださつて国会で修正されんことをお願いいたしますと同時に、最後にもう一つ総裁にお尋ね申し上げたいのですが、総裁は、今回ははなはだ残念だけれども勧告する意思はないが、この次には法規に従つて勧告することは当然である、こうおつしやつた。そこでお尋ね申し上げたいのですけれども、次に勧告されるということは、ただいまの段階においては、けさほども申し上げた通り地域給をとりやめる段階に到達したのではないかと思われるのです。そうしてまたその点については総裁もおそらく同じ御意見じやないかと私は拝察申し上げます。そこでこの次にされる勧告というものは、たとえば各地域の一級を二級に、二級を三級に上げるというようなことでなく、現在上つておるものを整理されるような段階になるのではないかということを私はおそれるのでございますが、そういう点につきまして総裁の御所見を承りたいと思います。
  184. 浅井清

    浅井政府委員 ただいま再勧告をいたしませんという意味は、すでに勧告の結果をお手元に差上げ、国会において御自由にこれを御審議になり、御修正になられるところに届いておるのでございますから、あえてここに再勧告を要しないという意味でございます。  それから将来地域給をどういたしますかはまだきめておりませんので、この席上で何とも申し上げかねます。ただ将来地域給勧告はもう一切しないのだということは、これは給与法の建前上できかねます。将来よく研究いたしまして、勧告する必要があれば勧告をいたしたい、かように考えておりますが、今回やりましたような全国にわたり千箇所以上にも上るような大規模な勧告は、もう私のただいまの見通しではないんじやないか思つております。
  185. 竹尾弌

    竹尾委員 そうした大がかりな勧告はおそらくないかも存じませんけれども、勧告する場合現在のものを整理されるのか、ふやすのか。そこの見通しを伺いたい。
  186. 浅井清

    浅井政府委員 その点はまだはつきりときめておりませんから、ここで明確に申し上げかねます。それは地域給を将来どう取扱うかという問題に帰するだろうと思います。
  187. 竹尾弌

    竹尾委員 そこで私はどうしてもこの国会で何とか修正をしていただかぬと非常に困りますので、これは総裁へのお願いではございませんが、委員長さんに、またけさほどのことを繰返すようですが、どうぞこの国会におきまして、本人事委員会の権威をもつて、われわれの要求を貫徹してくださらんことをお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  188. 有田二郎

    有田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十九日午後一時より開会することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会