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1952-11-11 第15回国会 衆議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月八日       植木庚子郎君    丹羽喬四郎君       竹山祐太郎君    受田 新吉君       森山三樹二君 が理事の当選した。     ————————————— 昭和二十七年十一月十一日(火曜日)     午後一時四十二分開議  出席委員    委員長 有田 二郎君    理事 植木庚子郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 受田 新吉君    理事 森 三樹二君       灘尾 弘吉君    濱田 幸雄君       福永 健司君   生悦住貞太郎君       小島 徹三君    松野 孝一君       池田 禎治君    小松  幹君       館  俊三君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁次長) 鈴木 俊一君         総理府事務官         (自治庁財政         部長)     武岡 憲一君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国政調査承認要求に関する件  連合審査会開会要  求に関する件  公務員給与説明聴取に関する  件     —————————————
  2. 有田二郎

    有田委員長 これより人事委員会を開会いたします。  まず国政調査承認要求に関してお諮りいたします。諸君御承知通り衆議院規則第九十四条によりまして、会期中に限り各常任委員会議長承認を得て、所管に属する事項国政に関する調査をし得ることとなつております。当委員会におきましても、調査する事項公務員給与に関する事項とし、公務員給与の適正をはかる目的のために、調査方法関係各方面よりの説明並びに意見聴取及び資料の要求等といたしまして、議長に対し国政に関する調査承認要求いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 有田二郎

    有田委員長 御異議なしと認めます。よつてように決定いたしました。  なお議長に提出する国政調査承認要求書作成提出等手続につきましては委員長に御一任をお願いいたします。     —————————————
  4. 有田二郎

    有田委員長 次に、連合審査会開会開会要求の件についてお諮りいたします。去る七日労働委員会に付託せられ、審査中であります公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求むるの件、内閣提出議決第一号、すなわち国鉄裁定につきましては、当委員会と密接な関係がありますので、労働委員会に対して本件について連合審査会を開会するよう要求いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 有田二郎

    有田委員長 御異議なしと認めます。よつてように決定いたしました。  なお連合審査会開会の日時につきましては、私と労働委員長とが協議して追つて公報をもつて御通知申し上げますが、大体明後十三日午後二時より開会する予定でありますので、あらかじめ御了承を願つておきます。     —————————————
  6. 有田二郎

    有田委員長 次に去る八月一日、人事院より国会及び内閣に提出された国家公務員法第二十八条、及び一般職職員給与に関する法律第二条第三号の規定に基き、一般職職員給与に関する報告及び勧告、すなわちいわゆる給与ベース改訂勧告、並びに現在人事院において作業を進めております勤務地手当支給地域区分改訂勧告等につきまして、人事院側より説明を聴取することといたします。まず人事院総裁より概括的説明を徴し、次に給与局長より詳細な説明を徴し、質疑のある方は後刻これを許すことといたしたいのであります。まず人事院総裁より説明をお願いいたします。淺井人事院総裁
  7. 淺井清

    ○淺井政府委員 委員長の御命令によりまして大体の御説明を申し上げたいと存じます。  御承知のごとく八月一日に、人事院は新しい給与ベース勧告国会及び内閣に対していたしたのでございます。これは従来の方式を少しもかえておりません。従来の通り方式でございまして、この方式は皆様もよく御存じ通り生計費民間給与とに基準を置いておるのでございます。人事院は昨年以来一箇年にわたりまして、生計費上昇並びに民間給与上昇の傾向を研究いたし、それに基きまして新しいベースを出したものでございます。この点に関しましては一応給与局長より数字にわたりまして、詳細御説明を申し上げさせた方がよいかと存じます。  次に勤務地手当勧告に関しましては、この前の国会で成立いたしましたところの法律によりまして、人事院はさらに勤務地手当について勧告をいたすことになつておりますので、その後研究を重ねて参りまして一応の成案を得、ただいま最後の検討を行う段階に至つておるのでございます。今回の勧告参議院修正をも尊重いたし、やはり数百箇所にわたり新しい勤務地手当支給場所の指定並びに引上げを含んでおり、相当大規模のものでございます。この点に関しましても給与局長より申し上げさせたいと存じます。なおこの勤務地手当勧告の時期は、今日のところいつともはつきり申し上げることはできませんが、いずれ遠からず当国会に提出されるものと存じております。
  8. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院給与局長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま総裁から申し上げました点につきまして、詳細に御説明申し上げたいと思います。去る八月一日に人事院は、公務員給与水準引上げ勧告いたしました。総平均で申しますると一万三千五百十五円、こういうことに相なつております。人事院勧告と申しまするものは、俗に給与ベース引上げ勧告であるというふうに理解されておるのでありますが、実は給与ベースということよりも、むしろ現在の国家公務員に適用されておりまする俸給表金額改訂するということが主眼でございます。あわせまして俸給以外の各種給与にわたりまして、もし必要がありまする場合には、これも改訂するということで勧告いたしておる次第であります。すなわち今回の一万三千五百十五円というものの中には、具体的詳細な地域区分は出ておりませんが、これは追つて後に具体的なものを勧告いたすということで、わくだけは勧告いたしてあるのであります。また、たとえば特殊勤務手当というようなものにつきましても、これを改正いたすということを勧告いたしておるのであります。今回の改正案主要点を申し上げますると、まず俸給表金額を一七%ないし四九%、平均いたしまして約三割増額していただきたい、これが主眼でございます。一七%ないし四九%といいまするのは、これはこの俸給表におきまして、金額の低いところ、高いところいろいろとございまするが、これをそれぞれ職務責任におきまして、民間における職務と比較いたしました場合、それぞれ均衡のとれまするよう改訂いたしたいということで、比較的高いポジシヨン給与を、民間の方で上つておりまするので上げるということで、これが一七%ないし四九%という数字になつておるのであります。この給与水準は、本年の五月一日におきましてこの俸給表を適用いたしまするならば、一万三千五百十五円ということになるであろう、こういうことでございます。繰返して申し上げるようでございまするが、一万三千五百十五円ということは、それほど問題ではないのでございます。むしろ俸給表自体、また地域給を改正するならばそれ自体、これが問題でございます。一万三千五百十五円というものは、これは新しい俸給表を適用したならば、一人当り平均がこうなるであろうという数字でございまして、もし職員の構成がかわりますれば、この数字はとたんにかわるというようなものでございます。これ自身にそれほど意味のあるものではないというふうに御理解いただきたいと思うのであります。  次に大きな問題は勤務地手当、これは先般参議院修正議決いたされましたところを十分尊重いたしまして、近く勧告いたします。このことは先ほど総裁が申し上げた通りでございますが、この問題はまとめましてあとで御報告申し上げます。  それから特殊勤務手当、これはいわゆる二千九百円ベースというときから、ずつとすえ置き願つております。また同じ作業をやつておりましても、ある特定の官庁作業には支給されておるのでありますが、別の官庁には支給されていないというような不合理が現在ございます。それで同じ作業をやつておりまするならば、いずれの官庁を問わずこういう勤務手当を支給するということにいたすと同時に、その額をある程度引上げるという措置をいたしていただきたいということでございます。  また現在給与法以外の別の法律で年末手当というものが支給されております。御存じように、これは公務員一人当り年間を通じまして約一箇月分ということに相なつておるのであります。本年にすでに六月におきまして半箇月分支給されております。残つておりまするのはあと半箇月分でございまするが、この六月あるいは十二月というようなときにおきまして生計費が膨張するということは、一般日本におきまして生活慣習でございます。この生活慣習に即応いたしまするために、民間実情調査いたしました結果、年間を通じまして約一箇月半程度のものが、俸給以外に臨時的支給されておるという実情がございますので、人事院はこの年末に平均半箇月分、これはただ俸給に比例して支給するというのではなくして、ある程度成績を考慮いたしまして、ここにこの成績を反映するよう支給方法をいたしたい、その平均額は半箇月分、こういう勤勉手当を支給していただきたいということを勧告いたしたのであります。  勧告主要点は、以上申し上げましたような点がおもなことでございまするが、その俸給表改訂につきまして、どういう方法をとつているかということを御説明申し上げたいと思います。この俸給表作成にあたりましても、従前違つた方法をとつておるわけではございません。すなわち俸給表勧告いたしまする際に、民間給与、それから標準生計費この二つの問題を主要点といたしまして、この二つの点を研究いたしました結果、この俸給表作成いたしておるのであります。すなわちまず成年単身者生活して行くのに一体幾らかかるであろう、この点が第一点であります。この点いつきましては、まず食料費につきましてマーケットバスケットというものを用いております。現在民間の主要な労組におきまして、いろいろマーケット・バスケツト方式によつて給与要求をされておるのでありまするが、人事院がやつておりまするマーケットバスケット方式というものは、その方法は同じでございますが、いささか民間でいろいろ問題にされておりまするマーケツト・バスケットと違つております。そのおもな違いは、まずわれわれは、理想を言うのではなくして、民間において一体いかなる消費実情であるかということを研究いたすのであります。公務員給与をきめまする際に考えますることは、民間一般勤労者が得ておる給与よりも高からず低からず、またその消費水準も、民間一般的な事情と歩調を合わすということが原則であります。従いまして、このマーケツト・バスケット作成いたしまするのにあたりましては、まず一般に、現在栄養をどの程度とつているかということを研究いたすのであります。昨年度までは、経済安定本部におきまして、いわゆる国民食糧需給計画というものがございまして、そのわくというものがはめられておるわけでございまするから、これを逸脱することはできないので、そのわく従つて標準生計費をマーケツト・バスケツトを策定いたしておつたのでございまするが、本年度はそのようなものがございません。従いまして人事院におきましては、厚生省が年四回国民栄養調査というものをやつておるのでございまするが、その結果より、国民一般がとつておりまするカロリーというものが、どういうカロリーであるかということを研究いたしたのであります。国民一般と申しましても、これはいろいろにわけて考え得るのでありまして、たとえば全国平均でありますとか、あるいは六大都市でありまするとか、あるいは東京都というようににいろいろわけて考えます。われわれはその際、公務員に最も近似しているものといたしまして、東京数字をとつたのでありますが、その結果、成年単身男子につきましては、一日二千四百七カロリー栄養をとるということに決定いたしました。この数字を昨年度の成年単身男子数字に比較いたしまするならば、昨年度は二千三百三十六カロリーということに相なつてつたのでございまして、七十一カロリーだけ本年は増加いたしておる、こういうことになつております。厚生省におきましていろいろ栄養の問題が研究されております。で、成年単身男子が軽労働に従事いたしまする場合において必要なカロリーというものが、いろいろ計算されておるのでございます。従前は二千四百カロリーということが言われておりましたが、ごく最近におきましては二千五百カロリーという数字があげられておるのでございます。しかしわれわれは、あくまで国民一般がとつておりまする実情というものに基きまして、二千四百七カロリーということを決定いたしたのでございまして、この数字従前厚生省が言つておりました軽労働は従事いたす場合のカロリーと同じことになつておるのでございます。終戦後におきまして、各種労働組合給与要求いたしまする際に心要カロリーとして掲げましたものは、二千四百カロリーということでございましたが、数年後におきまして、日本消費事情が非常に回復いたしまして二千四百七カロリーという数字を、われわれがあげ得るということに至りましたことは、これはまことに感慨深いことであるというふうに考えておる次第であります。この二千四百七カロリーということを基礎にいたしまして、いかなる費目を、いかなる食品を組合せて、このような二千四百七カロリーをとるかということが次の問題でございますが、その際におきましても、やはり総理府統計局でやつておりまする消費者実態調査というもので現われておりまする実際消費者消費しておりまする食品、それを食品別にいろいろウエートをつくりまして、二千四百七カロリーがとれるようにわれわれはいたしたのでございます。そこにおきましてもまた消費者一般がとつておりまする品物をそれぞれのウエートによりまして採用いたしたのでざいまして、ことさら好んで価の安い品質の悪いものをとるとか、あるいは国民一般消費しておりまするよりも、よりぜいたくなものを多くとるというような行為はいたしておらないのでございます。そのような結果、食料費は一箇月東京におきましてどれくらいかかるかと申しまするならば、二千六百三十円という数字に相なるのでございます。生計費の中におきましては、食料費以外に、被服費光熱費住居費雑費と、いろいろなものがございます。われわれはマーケット・バスケツトということでは食料費だけ計算いたすのでございます。被服費光熱費住居費というものにつきましても、マーケットバスケットを組むという考え方もございます。しかしながらマーケットバスケットを組みまする際には、消費が非常に短かい期間に片づくというようなものでございませんと、なかなか幅のできる問題であります。たとえば洋服にいたしましても、これはていねいに着るのと、粗末に着るのとでは、同じ品質のものでもずいぶんもちが違うというようなことがあるのであります。いろいろ被服費等につきましてマーケット・バスケツトをつくつてみましても、いたずらに議論が多くて紛糾いたすということになりまするし、的確なものがつかみがたいという事情がございまするので、このよう被服費光熱費住居費雑費というようなものにつきましては、消費者実態調査というものから、その実情から単身者のそういう数字がいかになるかということを調べまして、そういう数字使つたのでございます。このようにいたしまして、食料費以下の費用の金額を定めまして、東京における金額が五千三百七十円かかるということになつたのであります。それでこれを勤務地手当のつかない地域に直しまして、さらにそれだけの金額が手取りになるためには税金のこと、そのほか各種の諸がかりというようなものがございますから、それらを含めて一体いかなる金額があつたらいいかという計算をいたしてみますると、それが四千七百円ということに相なるのでございまして、この数字をわれわれは十八才の単身成年者に保障しよう、こういうことに相なつておるのであります。この十八才の単身者というのは、俸給表でいうと一体どの辺になるかということを検討いたしてみますると、これはいわゆる二級三号という辺にあたるのであります。現在新制高等学校を卒業して就職いたします者は十八才でございます。これは二級三号ではございません。しかしながら現実公務員では、まだまだ年令の低い層も多くございまして、現実公務員年令分布から見てみますると、これが二級三号くらいに当つておる、こういうことになるのであります。すなわち標準生計費を二級三号に定めました。このことが第一点でございます。  それからもう一つは、民間におきまする各種職務調査いたしまして、それは公務員におきましていろいろ職務の軽い人、また責任のいろいろな程度の人がおるわけでございます。職務の困難あるいは複雑の程度、また責任程度というものによりまして、それぞれそれと比較し得るよう民間一つ職務をとつて参るという調査をやつておるのであります。この調査も従来人事院が毎年やつておりまする調査大同小異でございます。ただ言えますることは、昨年の調査をより合理的なものにしておるということがございます。たとえばその調査の制度をあげまするために、いろいろと近年の推計学というようなものを用いまして、そうして選抜の方法をきめますとか、あるいは特に公務員と比較いたしまする場合に的確でないと思われるよう職務は除外して、より的確な職務を入れるというようなくふうはいたしております。従いまして若干の進歩はあるのでございますが、その方法従前つておるものと大同小異でございます。そういうことを人事院であらためてやる必要もないのではないか、世上にいろいろ信頼し得る民間給与統計があるのではないかとお話になろうかと思うのでありますが、この職務別調査をいたす方式は、現在の人事院がやつておりまするものがただ一つでございます。労働省等におきまして、たとえば毎月勤労統計というようなものをやつておりますが、これは一事業場平均賃金あるいは産業別平均賃金というようなことに相なつておりまして、的確な職務別の個々のポジシヨンの比較ということは、それではなかなか期しがたいのであります。従いまして人事院は、この問題をやむを得ず人事院が独力によりまして毎年行つているという次第でございます。そういう調査をやりました結果はいかがなつてつたかと申しますと、職務の比較的困難でないもの、あるいは責任の軽いものというようなものにつきましては、昨年度の調査とあまりかわつていないという実情明かにつたのであります。また職務の困難であり、複雑である、あるいは責任が重いというものにつきましては、昨年度の調査よりも相当高い数字が高い数字が出て参つたのであります。これは現在戦前に比べまして実質賃金が約七十数パーセントになつているということが言われております。その数字だけ見ますならば、必ずしも戦前同様になつているとは申しがたいのであります。しかしやはり経済の回復に伴いまして、給与支払い方法がだんだん民間におきましても職務責任によりまして、そこにある程度ウエートを付しつつあるという実情があるのであります。こういう民間実情がありますならば、公務員につきましてもやはりそういう実情を入れて行くということがよろしいのであるということで、民間のそういう実情を導入することにいたしたのであります。この標準生計費民間給与調査との二つ根幹といたしまして、俸給表というものを作成いたしております。  なお具体的に申しまするならば、われわれの公務員に適応いたしております俸給表は、基礎通し号俸表というものがあるのであります。御存じかと思いますが、一号から八十二号まで伸びておりまして、その通し号俸表というものがございますが、これを根幹としてまず今のよう方法作成するこの通し号俸表を何べんか折り曲げまして、いわゆる一般俸給表というものがつくられております、そのほかに特別俸給表というものもございますが、すべてはこの通し号俸表というものを基礎にしてつくつておるのであります。従いましてわれわれは以上の手続によりまして通し号俸表をつくり、一般俸給表をつくり、また特別俸給表をつくるという方式をとつたのであります。その結果が先ほど申しましたように、おおむね三〇%程度増額になる。詳しく申せば通し号俸表の下の方におきましては一七%程度、また上の方におきましては四九%程度増額になるということに相なつておるのであります。職務責任の軽いところにおきましては、先ほども申しましたようにほとんど昨年の実情とかわつていないということになつておるのであります。しかしながら人事院がこの公務員給与の案を決定いたします際には、標準生計費ということにウエートを置いておりますので、これを二級三号とするということでありますならば、昨年に比べて標準生計費が上つておるだけ、そこの部分は上つておる。これは民間よりはその辺の給与というものは上げることになつておるのであります。  以上のようにいたしまして、われわれの俸給表というものをつくつておるということになるのでありまして、人事院がやつております方式は、ただ最初に公務員給与というものは、民間における消費者一般的消費水準がまず確保されなければならないということと、それから職務別に比較いたしました場合に、民間職務の複雑困難な程度、あるいは責任程度、そういう観点から公務員給与というものはバランスがとれなければならない。この二点でございます。そのようなことを根幹にいたしまして、標準生計費並びに民間給与調査ということをやりました。その以後におきましては、機械的に最もいい方法によりまして作成いたしておる、こういうことになつておるのであります。  以上のようにいたしまして、われわれの俸給表というものをつくりました。この俸給表を本年の五月一日で適用いたしてみますならば、そのほかの特殊勤務手当あるいは地域給というものを加えまして、平均一万三千五百十五円ということに相なるのでございます。この数字は本年五月におきまして、民間バランスする数字でございまして、すでに数箇月経過いたしておる今日におきましては、いかがになつておるかということでございますが、われわれはその研究もいたしております。その後におきまして若干の経済指標上昇はございまするが、現在におきましてもなおかつこの数字を改めて、もう一度別の数字勧告しなければならないという程度には相なつていないのであります。  以上が公務員給与改訂に伴います勧告の概要でございます。  ただ一つ残しておりまする勤務地手当について申し上げまするならば、先ほどもちつと申し上げましたように、この勤務地手当参議院修正議決をしんしやくいたしまして作成しております。もとよりそれだけが趣旨ではございません。われわれの方はやはり勤務地手当作成いたしますにつきまして、いろいろと方針を持つております。  まず第一は、いわゆるCPIというものを根幹といたしまして、それの地域別指数というものをつくる。そのバランスにおいて全国平均を見るということであります。もう一つ府県からわれわれの方への意見の申出ありまする府県内における生活水準の順位というものによつて、都市の順位をお出し願つておるのでございまするが、この両者をかみ合せてやるということがその主眼でございます。しかしながらそのほかにも各種の観点から、より地域給というものを合理的にいたしまするために、種々の研究をいたしまして、そういう研究に基きまして、現在具体的な地域の支給率を決定すべく作業を進めておりまして、大体作業が終了に近づいておるのでございまするが、今日の作業の大まかな点を申し上げまするならば、まずこういうことが言えるであろうと思います。それは、一万三千五百十五円——一万三千五百十五円でなくても、現在の給与平均額でもいいのでありまするが、その中におきまして、現在指定されておりまする地域別のそれぞれの地域給—そのそれぞれの地域公務員がおるわけであります。そういう人々にこの地域給の率をそれぞれの俸給にかけまして、地域給の額の総計を求めます。なお一人当りの平均にいたしてみまするならば、一人当り支給される給与額の中の一三%が地域給に当つておるのであります。一万三千五百十五円の勧告をいたしまする際に、われわれが想定いたしました地域給の率というものは、約一五%ということになつておるのであります。なお御参考までに申し上げまするならば、参議院修正されました案というものは、これが〇・七%に当つております。従いましてわれわれは平均的には約二%増の案をつくろうということで、この作業を進めておるわけでございます。言いかえまするならば、参議院案が〇・七%でございまするから、この約二倍以上に当りまする地域給増額を行おうと、こういうことをやつておるのであります。  地域給におきまして、現在一番運営上困難な点は何であるかと申しまするならば、これは申し上げるまでもなく、職員の異動に非常に困難であるという点がございます。従いまして県内における人事交流というようなことを考えます際には、やはり一級地、いわゆる五%ついております地域というものを、相当程度数をふやすということが心要であろうというふうに考えられるのであります。また一つの県内におきましてあまり地域給の違つた地域がぽつぽつございますると、これまた異動に困難でございます。そういう点の考えもなくてはならないということに相なろうかと思います。また地域給というものは、現在の制度それ自身でよろしいかと申しますると、これはやはりそうは参りません。運営の上からいたしましても、現在の五段階というようなことは、なかなか運営上大きな支障がございます。従いましてこれは段階を縮める必要があろうかと考えるのであります。これはまた別の面から漸次経済の状況が回復いたして参りまして、都会と地方の町村におきまする生計費の実態というものが漸次幅を狭めて来る。これは一般的にはそういうことが言えるであろうと思うのであります。そういう事情がありますならば、やはり地域給の幅というものは漸次縮小されなければならないというふうに考えるのであります。地域給の幅を縮小いたしまする際に、いかなる方法でこれをやるのがよろしいかと申しますると、これはやはり一級地を漸次増加して行きまして、そして次には現在の零級地を廃止するというよう方法によるのが、一番穏当ではなかろうかと思います。かつて人事院が三割上げました地域給の差を二割五分にいたしたい、しかしその五%だけは本俸に繰入れていただきたいというよう勧告をいたしたのであります。しかしながらこれはいろいろな都合で国会におきましてわれわれが要求いたしますだけの給与引上げがなされなかつた。ただ地域給が三割から二割五分にされたことがございます。そのときにおきましてはみな地域給は切下げられたという、非常な不満を持つたのでございます。このようなことは、運営上非常に支障がございますので、地域給を廃止するのには漸次一級地をふやして行くという方法によらなければならない。その上に零級地を廃止するというよう方法に行かざるを得ないのではないかというふうに考えます。まあ理論的にはそういうことになろうかと思いますが、実際作業といたしましては、これはなかなか困難もございますが、なるべく一級地を増加するという方法をとりたいというふうに考えております。また参議院修正で行われておりまするこの地域給の改定は、いろいろ研究はされておりますが、府県によりましては必ずしも全国的なバランスがとれていない向きもあるのであります。そのようなものにつきましては、人事院で十分調査いたしまして、全国的な地域バランスをとるという必要があろうかと思います。また正式に議決はされておりませんが、衆議院におかれましても、人事委員会を中心に御要望等が相当整理されておつたのであります。今後もおそらく整理されるでありましようが、そういう御意見も、参議院の御意見と同様に、われわれは尊重いたしまして、この案の作成に当る必要があろうというふうに考えておる次第であります。いずれにいたしましてもわれわれは衆議院の案が〇・七%の修正平均的には試みることになるのでありまするが、それを約二倍以上にいたしまして、全国的なバランスをとりたいというふうに考えておる次第であります。  以上給与引上げ勧告並びに地域給について御説明申し上げた次第でございます。説明の不十分な点につきましては、御質問にいくらでもお答え申し上げます。何とぞよろしくお願いいたします。
  9. 有田二郎

    有田委員長 次に質疑に入りますが、通告順にこれを許します。竹山祐太郎君。
  10. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 きようはこまかいことはやめます。今最後の給与局長説明で一応了解いたしましたが、参議院修正基礎にして地域給をやつておられるというが、これはあのときの政治情勢から見て、衆議院にも多数の修正意見があつたのですが、自由党絶対多数で、たしか政府案を通さざるを得ない情勢になつたから、そういう結果になつたので、参議院だけに修正希望があつたのではないと私は理解しておる。従つて今度は議員もすつかり新規まき直しに出たのであつて、今までの委員とはまたおのずから情勢がかわつて来ておるわけですから、前国会の経過から見て、参議院修正を参考にすることには別に異議はないが、新たなる立場に立つて、政府もつくるべき地域給の問題は検討をされるのが当然だと考えるし、委員長においてもそのおはからいのようでありますから、私は今最後に言われた給与局長の言を信頼をして、今後委員長のおとりはからいで新しい衆議院の意向を十分織り込むように、質問とも希望ともつきませんが申し上げておきます。  それから大蔵省が今言うことはないと言つておられるのは、給与全体の問題はまたあとで論議するが、さしあたり地域給について人事院要求をしておられる予算額というものがあるわけなんですが、それは今の一五%を目標にして言つておられる額が、今後の予算上十分見通しを持つておられるのか、予算折衝の重大な段階において、人事院総裁の今の段階でけつこうですから、従つてその御返答いかんによつて大蔵省に対するわれわれの質問もかわつて来るわけですから、その辺をひとつつておきます。
  11. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一点につきましては、実は私にも責任があるように存じます。それは過般の参議院の本会議におきまして、地給域に関する質問が出ましたときに、参議院修正は尊重する、かように申しましたことが、ある新聞などにはたいへん大きく出まして、あるいは衆議院側の御感情もいかがかと存じますが、これは参議院の議場で申しますことでございますからして、さように申したのであります。さいぜんここで申しましたのは、参議院修正案も尊重いたし、かように申したのでありまして、もとより参議院修正のみが基礎になつてつておるわけでは毫末もございません。衆議院方面にも数々の御意見がありまして、これは詳細に承つてもおりますし、またわれわれ合理的に全般的に考えております。これはここで申し上げても御納得が行かないかと存じますが、これは勧告が出ましたあとに御検討くだされば、必ず御満足が行くんじやないか、かように考えております。  第二点は、お示のごとくさように心得て予算折衝等もいたしておる次第でございます。ただ問題は、大蔵省の立場から申しますれば、給与改善費の総額をきめ、その中で本俸の引上げ及び勤務地手当増額というふうなものをあわせて考えておるというのではないかと思つておりますが、私どもといたしましては、ただいまの一五%を目標に折衝をいたし、大体これでうまく行くんじなやいかという見通しは持つております。
  12. 有田二郎

    有田委員長 この際委員長として人事院総裁にお願いしたいことは、今竹山委員からお話がありました通りに、選挙によつて衆議院の様相もかわつてつたのでありますから、新しき議会の構成メンバーによりましてつくりました意見についても、参議院同様、衆通院についても十分お考え願いたいと思います。つきましては各党に大体十三、四日ごろまでに各党の地域給の問題に対する新しい意見が出ております。さらにこれもこうすべきだというような御意見がございましたら、まとめまして人事院方に本委員会として通達いたしたいと思います。至急各党でひとつおまとめ願つた意見を專門員の安倍さんのところまで御提出をお願いいたします。それでは池田禎治君。
  13. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 ただいま内閣側からおいでになつておりませんので、これは本来政府にお尋ねすべきことであると思いますが、私は先般の本会議の緊急質問においてもお尋ねしたのでありますが、確たる答弁を得なかつたので、本来ならば政府に重ねてお尋ねすることでありますが、それはあとまわしとしまして、まず人事院総裁にお尋ねいたしたいことは、政府は人事院を廃止する、あるいは改組するやの言動をなす人があるのですが、こういうことについて人事院総裁はいかなる通告を受けておるか、さような打合せがあつたものであるかいなや。またあなたはこれに対するいかなる見解をお持ちになつておるのでありますか、これがまず一点。  その次に、これもまた政府にお尋ねすることでありますが、人事院の立場においてあなたに御答弁を求めたいことは、従来人事院がしばしば勧告をし、あるいは申入れをした事柄というものが、常にその通りに実行されておらない。期間的に非常に長くなつたり、あるいは人事院勧告を下まわるところの決定が行われておる。いわば人事院軽視の実態というものが従来もしばしば行われておる。こういう事実に対して人事院はいかなるお考え方を持つておるか、不満であるというだけであるか。あなたの運営なさる人事院を将来どういう形のもとにおいて運営なさる御意思であるか。この点を私は伺いたいのであります。まず以上の二点についてお伺いいたします。
  14. 淺井清

    ○淺井政府委員 池田さんにお答え申し上げます。ただいまの内閣成立以来人事院の廃止または改組につきまして、私は何も聞いておるところはございません。おそらくさようなる決定はまだなされていないのではなかろうかと存じます。従いまして、私は政府委員の立場から、まだ内閣が決定をいたしませんことに対しまして、あらかじめこの席上で意見を申し述べることは遠慮いたしたいと存じます。  第二点は、勧告の尊重という問題でございます。御意見まことにごもつともでございまして、人事院の存在は一方において公務員の争議権等を押えました代償となつておりまする関係上、われわれといたしましては勧告の実現を欲することはもちろんでございます。ただ人事院は何が正当なる給与であるかと申すことを勧告するのでございまして、かようなる支出が財政上はたして可能なりやいなやということは、これは国会及び内閣の御判断にまつべきものと存じておる次第でございます。
  15. 池田禎治

    ○池田(禎)委員 これははなはだ愚論になるかも存じませんが、私は一年生のことでありますから、お許し願いたい。ただいまの御答弁を承つておりまして、政府は人事院勧告せんとする事柄及び調査立案に対しまして、これをセーヴするような、あるいは抑圧するような、そういう事柄は過去において絶対なかつたかどうかということを一言お伺いしたいのであります。
  16. 淺井清

    ○淺井政府委員 さような事実は絶対にございません。よく世間のうわさに、どうも内閣人事院勧告をいやがりまして、これを押えようといたし、あるいはちよつと待つてくれというようなことを言つて、これはうわさとしてはまことにおもしろいのでございますが、さようなことは、実際はないのでございます。
  17. 有田二郎

    有田委員長 森三樹二君。
  18. 森三樹二

    ○森(三)委員 人事院総裁にお尋ねいたします。八月一日に一万三千五百十五円の勧告をした、となつておりますが、その後いろいろ物価の面におきましても、相当変動があると思うのですが、人事院といたしましては、この勧告を改めて、もつと額を引上げ勧告するというような御意見があるかどうか。ということは、その当時と現在との物価の指数、あるいは経済情勢等も相当かわつているというような情勢からいたしまして、われわれはこの人事院の八月一日の勧告というものが適当でない、もつと水準引上げてもらわなければならぬという観点に立つておるのです。しかも国会の解散等によつて補正予算の組み方も相当遅れておるわけです。そういう観点からいたしまして、もつと引上げ勧告をする御意思があるかどうかということをお聞きいたします。
  19. 淺井清

    ○淺井政府委員 森さんにお答えを申し上げまするが、人事院がかりにここで再び勧告をするといたしますれば、やはり公務員法第二十八条の規定に従うほかはございません。同条によりますれば、勧告俸給表を五%以上引上げる必要ありと認めたときに、初めて勧告ができるのでございまするが、去る八月一日の勧告基礎となつておりまする五月の物価から、今日までの上昇傾向等を見まして、まだ再勧告する状態になつておらないと存じております。もちろん将来のことは存じませんが、ただいまのところはそうなつておらないと思つております。なお給与局長から、少しく数字的に申し上げたらよろしいかと存じます。
  20. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど私が説明申し上げました中にも、ちよつと触れておいたのでございますが、ただいま総裁からお話申し上げましたように、たとえば生計費等について申しまするならば、CPIの総合指数は、今年五月を一〇〇といたしまするならば、現在現われておりまする一番新しい九月の資料によりましても、一〇一・六%というようなことになつております。民間給与ということになつて参りますと、たとえば全産業のきまつて支給いたしまする給与というものは、本年の五月を一〇〇といたしまして、九月が一〇四・二%というよう数字になつております。われわれは先ほど申しましたように、俸給表をつくります際には、的確なポジシヨンの別によりまする比較をするということを申しておりますので、ただいま申し上げました民間給与というものは、毎月勤労統計によつておるのでありますから、これはほぼ見当をつけるにとどまるのであります。この数字をかりにとつてみましても、ただいま総裁から申し上げましたようにまだまだわれわれが五月に勧告いたしました俸給表を、さらに改正する必要は認められないのであります。
  21. 森三樹二

    ○森(三)委員 われわれは人事院勧告された数字そのものが低いというような観点に立つておりますが、一応人事院としてはそうしたところの数字を現わして勧告したのでありますから、この実施につきまして、本来ならばさきの国会でこれを補正予算に組んで、そうしてすでに実施をしておるべきものだと私は思つております。そうしますと今度開かれるところの国会において、この補正予算が組まれるであろうと思うのでありますが、その場合において、それは大蔵省その他閣議において決定されるのでしようけれども、人事院としては、いつから改訂の実施をしなければならぬというようなお考えを持つておりますか。
  22. 淺井清

    ○淺井政府委員 その点は、五月から実施を希望するということは、勧告書の中に書いてございます。
  23. 森三樹二

    ○森(三)委員 五月からさかのぼつて補正予算が組まれればいいのですが、そのことについては人事院責任を持てないわけですな。補正予算にはたして五月からさかのぼつて、そうした改訂されたベースでもつて支給されるような予算が組まれるかどうかということについて、人事院としては、政府が新しい給与ベースをきめましても、五月から必ずさかのぼつて支給されるのだということは言えるのですか、どうですか。
  24. 淺井清

    ○淺井政府委員 私といたしましては、さように努力はいたしますけれども、これは財政上の問題でございまして、国会内閣におきめを願う、こういう次第でございます。
  25. 森三樹二

    ○森(三)委員 新聞等を見ますと、大体二割程度引上げを行うというようなことが書かれてあるのですけれども、そういう面につきまして、人事院に対して政府がいろいろ諮問その他交渉といいますか、総裁にいろいろと打合せ等があるものかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  26. 淺井清

    ○淺井政府委員 政府部内の交渉につきましては、ちよつとここで申し上げかねる次第でございますから、あしからず御了承願いたいと存じますが、人事院といたしましては、もとより人事院勧告が実現するように努力をいたして参りましたし、また努力をいたしておるものと御了承願います。
  27. 森三樹二

    ○森(三)委員 次に地域給の問題ですが、先ほど地域給の問題につきましては総裁から、遠からず勧告するということを言われましたし、また十三、四日ごろまでに衆議院の意向も提出してもらいたいというような御要望があつたわけです。そのことに関して竹山祐太郎君からも、衆議院の意思を尊重するかどうかというような発言がありましたが、もちろん新らしく選出された議員として、たくさんの要望があるわけです。ありますが、今度の補正予算に組み込もうとするには十三、四日ごろまでに、衆議院の意思をまとめなければならぬことになるのですが、現状で言いますと、各議員諸公も休会のような形でみな相当帰つておりますし、われわれとしてもその点について非常に心配をいたしておるのですが、どうしても十三、四日ごろまでに提出しなければ、現在組みつつある補正予算に対して間に合わないかどうか、それをお答え願います。
  28. 淺井清

    ○淺井政府委員 さいぜん竹山さんにお答えを申し上げましたように、衆議院の御意向も十分に盛り入れてやりたいと存じます。もう大体入れてあるように私どもは確信をしておりまするが、人事委員会等でまとまりました案がございますれば、なるべく早目にひとつお出しを願いたいと思つております。私どもといたしましては、それがちやんと予算に盛り込まれるように、十分努力いたしたいと思います。
  29. 森三樹二

    ○森(三)委員 補正予算で今度は地域給の予算が組み入れられるわけなのですが、総裁としては十分われわれの意思もそんたくして、ふたをあけてみたら、よくもやつてくれたと思うようなかつこうになつておる、というような含みのある言葉を述べておられるのですが、もし多少漏れているような部分とか、不足の部分がありましたならば、それを次に勧告してもらう時期、それは大体今度は明年度の本予算という関係になると思うのですが、その時期等について参考にお聞きしたのです。
  30. 淺井清

    ○淺井政府委員 御承知でもございましようけれども、どこの地点にどれだけの地域給を出すかということは、法律の別表になつております。そこで人事院勧告をいたしますれば、内閣といたしましては、それを給与法の改正案の別表として国会に出すわけでございます。でありまするから、その法律案御審議の際に、修正国会の御権限でいくらでもできるわけでございます。但し人事院勧告について申し上げますれば、数百箇所にも上るような大規模の勧告は、もはや今回限りだろうと思つております。あとで三つや四つまた勧告をするようなことがあろうかと思いますけれども、まず大規模のものは今回限り、かように思つております。
  31. 有田二郎

    有田委員長 小松幹君。
  32. 小松幹

    ○小松委員 総裁にお尋ねいたします。現在国家公務員あるいは地方公務員の各位が組織的に一万六千八百円ベースの賃金要求をしておる。この問題について総裁としては、この現在の要求をどのようにお取上げになるお考えであるかという所見、そういうことについて、まずお聞きしたいと思います。  それから最低賃金の要求も考えられておるわけなのですけれども、これについて人事院としてはどのような考えを持つておられるか。それから給与の数的な問題で、これは局長さんにお尋ねした方がいいと思いますが、人事院勧告案の中の取上げようは、食糧バスケツトをとつておるのですが、そのとり方についても、五月の東京都のCPSをとつて実効価格を出してやつていますが、それがいわゆる民間でそれと同じものをとつても、抜取り方によつて人事院ように、八十六円いくらですか、そういうことにもなるし、あるいは百十何円にもなる。その点について局長さんはどういう勧点でそのCPSの実効価格をおとりになつたか、その抜取りの方法についてお答え願いたい。さらに生計費の中におけるところの食糧費は、大体食糧バスケツトでとつていると思うのですが、他のものは一般給与水準をみならつて、それによつてバランスをとつておる、こうおつしやられておりますが、一体賃金におけるところの食糧費と一般生計費との割合はどのように考えておるか。現在人事院で出されておるのは五十何パーセントの食糧費が含まれておる。世界の文化国家と比べても、食糧費の占めるパーセンテージが、人事院勧告の中でも、現在において非常に高過ぎる、私はこういう観点を持つておるのです。そういう観点に立つて、その食糧生計費一般生計費との割合は賃金構成において、人事院はどのように考えているか。  それからもう一つは、民間給与とのバランスとつたとおつしやられます。その点については根本的に議論はないのでございますが、そのとり方において、民間賃金においても現在民間賃金において表に出した賃金以外の現物給与とか、そのほか脱税行為によるところの種々なる実質賃金というものを構成しているのが現在の民間における実態だと私は考えている。そういういわゆる隠された現物給与賃金等についてのお考えはまつたく無視して、ただ表面的に現われたところの一般賃金水準をのみ人事院はこれを採用しておるのであるか。  それからたくさんございますが、最後にもう一つ地域給の問題でございます。地域給において大蔵省筆で二千円アツプによつてしわ寄せがこの地域給の問題に押し迫つて来るのじやないか。いわゆる勧告案を押えたから、その分地域の拡大性も押えて来る、こういう勧点が考えられる。そうした場合に人事院としては、そういう予算面ではなくして、真に地方の地域の物価価格から研究成果をあげたその地域給勧告について、予算面からの圧力を受けて、そのまま地域給勧告を、幅を狭めて行く考えがあるかどうか、この問題についてお答えが願いたいので、御質問するわけでございます。
  33. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一点は、民間労働組合等、あるいは官公労等におきまして唱えておりますところの賃金ベースのことでございます。これにつきましてはいろいろと論議もあろうと思いますが、人事院といたしましては、人事院勧告ベース程度でよかろうと存じております。ただよかろうと申しましても、お取上げにならぬと思いますので、後ほど局長から数字的に御説明を申し上げることにいたしたいと思います。  第二は最低賃金の問題でございまするが、これは現在いろいろ重大な問題を含んでいると思います。しかしながら人事院といたしましては、四千七百円の標準生計費、あの方式でよろしいと存じておる次第でございます。  第三点はマーケツト・バスケツトのとり方、第四点は食糧費とそれ以外のものとの関係、第五番目は民間給与のとり方の問題でございまするが、この三つにつきましては、局長からお答え申し上げたいと存じます。  最後に、この地域給勧告が予算からの圧力でゆがめられるのではなかろうか、こういうお話でございましたが、これはいまだかつてないことでございます。人事院勧告は、地域給に関しましては、そのまま従来とも承認されて参つておりますので、この点についてはわれわれは十分見通しを持つております。
  34. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、公務員につきましては、平均給与で申しますならば、五月に一万三千五百十五円、これは平均給与で申したのでありまして、実は俸給表を一七%ないし四九%かえてもらいたい。その基礎にはいわゆる実態生計費と申しますか、そういうものに基くマーケツト・バスケツトを基礎にいたしました標準生計費というものを、人事院は考えておるのであります。公務員につきましては、これで民間消費事情と歩調を合せ、それより低くもなし高くもないという意味におきまして考えておるわけであります。また先ほど御説明申し上げましたように、民間給与調査をやりまして、それぞれの職務に相応したよう給与を考えたいということになりますので、公務員につきましては、人事院勧告しておるものでよろしい。決して満足するという意味ではございませんが、現在の場合といたしましては、これでよろしいというふうに考えておる次第であります。CPSの実効価格のとり方、あるいはマーケツト・バスケツトのつくり方等について、やり方によつては違う方法ができるのではなかろうかという御質問でございまするが、それはいろいろできるかと思います。しかしわれわれがやつております方法は、先ほども御説明申し上げましたように、カロリーの点につきましても、最も公務員と対比し得るよう民間消費層というものをとつておるということでありまして、この点は従来よりもまた上の層をとるということも方法があろうか思いますが、われわれは公務員生活実態に最も近いと考えられる東京都の非農家の実態消費の状況というものをとつておるのでございます。この点はそれが一番的確であるというふうに考えております。また商品、食品の選択にあたりましても、消費者実態調査に現われておりまする各世帯が攝取しております各商品というものを見まして、各消費世帯の五%以上がそういう食品をとつておるというよう食品を、一応とるという方式をとつております。この食品につきましては、それぞれ好みがございまして、これはずいぶん多くの世帯を調査いたしましても、特定の消費者世帯しかとつていないというような商品が現われて参ります。しかしそういうものまで一々とるというわけには参りませんから、そういう場合には大体食品群というようなことで、同様の傾向のあるものをまとめてとるという方式をとつております。大体といたしましては、一般消費世帯が一般的にとつておる商品というものは、ほとんど網羅しておる。そしてそこには故意に高い食品を多くとる、あるいは多少廉価な食品をとるということでなく、一般消費市場で一般消費者が求めておりまする状況に応じまして、多く消費しておるものはウエートをつけまして多くとる。それは消費市場のそのままの姿をでき得る限り取入れるという方式でつくつております。この方式も実態生計費を反映さしめるマーケツト・バスケツトの方法といたしましては、これが的確であろうというふうに考えておる次第であります。  それから食糧費とそのほかの、たとえば被服費でありますとか、あるいは住居費光熱費、いろいろございますが、その中の食糧費の割合、普通エンゲル係数と呼んでおりますものが、人事院でやつておる方式でいいかどうかというような御質問であつたと思いますが、このエンゲル係数というようなものにつきましても、これをどういうふうに使つて行くかということは、相当問題があるのではなかろうかと思うのであります。そしてその意味の限界というようなものもあろうかと思うのであります。われわれはこのエンゲル係数を基礎といたしまして、たとえば食料費をこれだけに定めたならば、それから逆算して全体の生計費がかくなくてはならないというよう方法はとつておりません。またそういう方法をとるということが、最善な方法であろうかとも考えていないのであります。むしろ食糧費は食糧費としてとり、それから食糧費はマーケつト・バスケツト方法によつてとるのが的確であろうというふうに考えまして、そういう方法でやつておりまするが、そのほかの被服費光熱費住居費雑費等となつて参りますと、先ほどもちよつと触れましたよように、マーケツト・バスケツト方式でやるということは、どう申しまするか、非常に的確性がなくなつて、疑問が多くなる。消費いたしまする商品をどのように押えるか、たとえば洋服にしましても、くつにしましても、それをどういう期間で消耗するかというようなことは、非常に幅のある問題でございまして、そういう方法では的確に押えられません。従いまして、むしろそういうことよりも実態消費市場に現われておりまする被服費でありますとか、あるいは光熱費住居費というものから、いわゆるマルテイプル方式というもので、一人当りの消費額を導いて来るという方法がより的確であろうというふうに考えておるのであります。しかしこの方法とても、これが最善であるというふうには考えておりません。今後におきまして、もしいい方法が見つかりまするならば、そういう方法をとるに何らやぶさかではないのでありますが、現在の場合、これが比較的的確な方法であるというふうに考えまして、こういう方法をとつておる次第であります。  それから民間給与につきまして、いろいろ現物給与があろう、また脱税等もあろうというお話であります。あるいはそういうことがあるかもしれません。しかし民間におきましても、これは労働基準法によりまして、賃金台帳というものをつけております。この賃金台帳の中には、およそ賃金に換算されますような現物給与というものは、お金にかえましてこれを含めるということになつておるのであります。それから先、そこにうそがあるだろう言われましても、これはなかなか押えがたい事情があろうかというふうに思います。また脱税等につきましても、それはあるかもしれませんが、われわれはでき得る限り丁寧な調査をやつたつもりでありまて、そこから先になりますと、どうも何とも申し上げようがないというふうに考えるのであります。従つてわれわれはでき得る限り正確な調査をやりまして、これを押えておるということでございますから、これ以上脱税を見込むとか、あるいは現物給与をより以上見込むとかいうことにつきましては、これはわれわれの作業としてはなかなか困難であろうと考えております。
  35. 有田二郎

    有田委員長 小松さん、次長が参議員に参りますので、そちらを先にしてください。竹山祐太郎君。
  36. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は自治庁の方が見えておるからということでありますので、今の総裁の言葉と関連して三つだけ伺つておきたい。  その一点は、よく大蔵省の言うことのように思うが、地方公務員の月給は国家公務員よりもよ過ぎるから、下げた考え方でやつてもいいのだろうということを、言つているように私は聞いておるのです。今度の場合にもそのことが影響して来ると思うが、それに対する自治庁の今度の予算を通じての態度を伺いたい。  それから今総裁は、地域給については予算は影響がない、こう言つておられたが、影響がないというならば、一体幾ら今度の予算に要求されておられるか、地域給に関しては、わくの中でそれだけは確保されるかということを、ちよつと御発言に関連して伺つておきたい。  それから自治庁については、今度のベース・アップ及び地域給等を含んで、今度の予算を通じて地方自治体としては十分やつて行けるだけの予算、あるいは他の資金的の処置がありましようか、それについての現在の段階においての見通し、これを簡単に伺つておきたい。
  37. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、地方公務員給与国家公務員給与の基準に比較して高いという問題は、実は昨年の補正予算の際から起りました問題でございまして、当時は政府部内におきましても、地方自治庁、地方財政委員会あるいは大蔵省、文部省等の間におきまして、必ずしも意見の一致を見なかつた次第でございますが、さようなことでは実際の給与政策といたしましても非常に困りますので、今申し上げました四つの政府機関をもちまして、地方公務員給与調査のための連絡協議会を設けまして、そこで各都道府県及び市町村から資料を徴取いたしまして、これらの資料に基きまして、数箇月余りカン詰作業をいたしまして、国家公務員給与基準と地方公務員給与とを比較検討いたしたのであります。その結果といたしまして、昨年の予算におきまして、都道府県公務員につきましては、四百六十二円高いという数字が三百四十八円というふうに相なりました。また教育公務員につきましては、これは主として文部省が持つておりますカードによりまして調査をいたしたのでございますが、これも三百七十五円という数字が三百四十九円ということに相なりました。市町村につきましては、大蔵省の当初の調査では五百七十五円という数字でございましたが、これにつきましては大体同様な結果を得たのであります。これらの関係上、当初政府が補正予算に計上いたしました額は、地方公務員の実際の給与をあまりに高過ぎるというふうに見過ぎておつたということでございますので、今の財源措置の至りませんでした差額だけは、今回の補正予算の際におきましてはこれを調整いたして、不足分だけを財政計画の上で見て参りたいというふうに考えておるのであります。今回のベース・アップにつきましては、まだ最終決定には至つておりませんけれども、中央の公務員につきまして行いますると同じようベース・アップの財源は、これを地方公務員についても確保いたしたいということで、ただいま鋭意折衝中でございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 私給与体系の全体の問題から次長に一言お尋ねしておきたいと思います。地方の公務員で非常に交通不便な僻陬地に勤務する職員には給与が別に地域給ような特定なものもないし、きわめて冷遇されている関係で、山間僻地の公務にはほとんど希望者がないために、よき人材を得ておりません。この事実をよく御存じだろうと思うのでありますが、こうしたきわめて僻遠の地で、文化にも恵まれず、交通にも恵まれない地域に勤務する職員に対する僻陬手当というものが従来考えられておつたのですが、これが現在地域給で都市中心主義になつ関係上、捨てて顧みられない現状にある。このごく僻遠の地における公務に従事する者を優遇する道について、地方自治庁として何か具体的な案を持つておいでになりましようか。給与の全体の問題、地域給の再勧告がされる、こういう重大なときに、特に地方自治の責任者である次長にお尋ねをしておきたいと思います。
  39. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 特殊の勤務手当の問題でございますが、僻陬地域に勤務いたします職員のために、お話のように通常の場合に比較いたしまして、特殊な考慮を要するということは、給与政策の点から申しまして確かに御指摘のような必要があると思うのであります。地方公務員につきましては、教育公務員に関しましては国家公務員の例によるということに現在大体相なつておりますが、国家公務員につきましては後刻給与局長からお話があると思いますが、そういう建前がないわけであります。一般の都道府県、市町村の公務員につきましては、これは地方の条例において、このような問題を取上げるか取上げまいかを自主的に決定するような建前に相なつておるわけであります。国家公務員につきまして僻陬地手当の出ておりますようなところにつきましては、地方公務員につきましても条例をもちまして同様なことをいたすのが適当である、かように考えておりますが、これはそれぞれ地方自治体において条例によつて措置をいたすことに相なつておるわけであります。
  40. 小松幹

    ○小松委員 自治庁の方に質問いたしますが、よく地方公務員が三百四十八円ですか、調整して高過ぎるという資料なり、カードなりを一方的にやられておる、こういうことを私は勤務しておるところの公務員関係者からよく聞くわけであります。そうしてその資料は一方的であつて、そういう実態はない、実態に立つて基礎調査をすれば三百四十八円という違いはないと一方では言つておるわけです。     〔委員長退席、植木委員長代理着席〕 ところが大蔵省が一番先に言い出したと思うのですが、大蔵省なり自治庁がそういうことをいつておるわけですが、この点について両者の意見がまつたく反対的な立場をとつておる。われわれとしてはこの両者の一方だけを聞いて納得することはできないと思う。そこで自治庁なりあるいは大蔵省等の資料とそれぞれ公務員関係あるいは地方公務員等がそれは間違つておるというその資料についてつき合せて、実態の論拠をはつきりさせる意図があるかないかということをまず第一にお聞きしたい。同時に先ほど財源の点においては、そういう問題は抜きにして、大蔵省に折衝しておるということを聞いて、確かにその通りでなくちやならぬと思うのでありますが、この点について大蔵省等の見通しは、今のところどういうようにあるのか、今やつておる予算折衝とか、平衡交付金の折衝等の段階において説明できる範囲でいいからしていただきたい、それをまず自治庁にお伺いしたい。次に人事院の方にお伺いしたい。
  41. 鈴木俊一

    ○鈴木(俊)政府委員 地方公務員給与が高いか高くないかということにつきましては、いろいろ論議があつたわけでありますが、先ほど申し上げましたように、昨年の補正予算の政府原案の作成の際におきまして、当時大蔵省が地方の財務部を動員いたしまして調査いたしました資料によりますと、国定公務員給与基準に比較して高い、こういうことが言われたわけであります。しかしながら当時われわれの方におきましては、その数字にただちに同意いたしかねたわけでありまして、その結果さきに申し上げました給与調査をいたしたわけであります。この給与調査におきましては都道府県職員の大体二割程度の職歴その他給与実情を書いたカードをとりまして、さらに市町村につきましても、市につきましてはほとんど全部の市から所要の資料をとりましたし、町村につきましては各都道府県ごとに一定数の資料を徴しまして、それによつて主として自治庁、大蔵省の給与関係職員がカン詰作業調査をいたしたのであります。その結果経験年数、勤続年数、学歴といつたようなものからはじき出して参りまして、現在の給与の状態が国家公務員について定められております基準に比して高いか高くないかということを調査いたしたわけであります。その結果の数字が先ほど申し上げましたよう数字でございまして、政府といたしましてはこの数字につきましては関係機関それぞれ意見の一致を見ておるのでありまして、これを基礎にいたしまして今回の給与予算の要求をいたしておるわけであります。昨年の地方公務員給与の実態がそれほど高くないのに、もつと高いというふうに大蔵省が見ました分だけは—これは十億近くございますが、そういうものは今回の予算の再編におきまして、必要なる経費として見込んでもらうことに大体意見の一致を見ておるのであります。なお今回のベース・アツプがかりに二千円なら二千円ということに相成りますならば、これに必要なる財源は平衡交付金等の増額の措置によりましてこれを確保いたしたい、これで大体所要の額を達成することができるのではないか、またできるように大いに努力いたしておる次第であります。
  42. 小松幹

    ○小松委員 最後にお聞きしたいのは、先ほど賃金の構成において、いわゆる食糧費と一般生計費とのパーセンテージ——あなたはエンゲル係数を言われたと思いますが、そうしたものにおいて人事院としては理想をどの程度に考えておるのかという一つの賃金理想を私はお尋ねしたいわけです。というのは、現在いろいろな問題において電産争議等いろいろ国内争議も大規模に行われておるときに、人事院は、官公の勤務者であるところのそうした一般公務員の罷業権あるいは団体交渉権までを制約しておる、そうして移管された一つ人事院のセクシヨンが、一つの賃金に対する理想というものを持たない限り、今の御答弁によると、現在の民間給与に合せてせつなせつな出たとこ勝負で一つの計数をはじいておつた、こういうようにしか受取れなかつた。それならば現在の人事院というのは、その場その場で一つの理想というて行くのであつて一つの理想というものを持つていないんだと私は受取つたわけであります。そういうことでいいのかどうか。そのパーセンテージなり賃金構成に対して人事院人事院なりに一つの理想を持つておるかどうか。理想があるならば、一つの例としてエンゲル係数なるものは、一体どこのところを人事院としては理想的に考えておるのか。憲法に保障されたいわゆる健康にして文化的生活において、この国民生活生計費と食糧費との関係を、人事院の会議等ではつきり打出されておらなくとも、そうした理想を持つておるかおらぬか、こういうことをお尋ねしたいと思います。
  43. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 理想を言えということでございますが、これは一般消費水準が非常に上りまして、そうしてまた給与水準等も一般に上つて参りますならば、エンゲル係数は小さいほどよろしいということに相なろうかと思います。ただ給与というものと、エンゲル係数と申しますか、いわゆる生計費とどういうふうに結びつけるかということが、やはり相当問題であろうかと考えるのであります。人事院といたしましては、国民一般実情に合わすという勧点を重視いたしまして、ここに少くとも二級三号においては、こういう標準生計費を希望するということを申し上げておるのであります。給与水準がずつと高くなつて参りますと、そのよう生活給的なことを申さなくてもよかろうかと思うのであります。そういう状況が理想としは希望されるのでありますけれども、現実の状況といたしましては、最低と申しますか、少くとも一般消費事情としてこの程度消費水準は確保されておるというところを、一つの基準といたすということでございます。
  44. 小松幹

    ○小松委員 人事院としてはそういう観点で、その場をのがれておると思うのですが、現在民間においてもあるいは政府当局等でも、賃金は能率賃金でなくてはならないという産業形態から結びつけた賃金構成というものを、一つの理想として打出しておるわけであります。一方いわゆる産業資本家等においては、能率給的な一つの賃金理想を打出しておるのに、人事院としては生活給をあくまでも守つておるということは私はいいと思う。ところがその生活給の賃金理論に対する理想がないということは、私はどうもおかしいと考えられるわけであります。その点についてやはり人事院の確固たる理想をはつきりお伺いしたいと考えるわけであります。
  45. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 繰返して申し上げるようでございますが、国家公務員法の二十八条というもので人事院が情勢判断をいたしまする際には、やはり民間消費事情と上でもない下でもないところをねらうということが、当面の一つの目標になつております。従つてわれわれの作業はしておるということでございます。
  46. 受田新吉

    受田委員 総裁にお尋ねいたしたいと思います。人事院の権威を守ることは、国家公務員法法律を制定した当時から、われわれ心から願つていたところでありまするし、当時国家公務員法の審議の担当者であつた総裁も、またそのときの議員の一人だつた私も、この権威を保つために努力を惜しまないことは同様だろうと思います。ところが現実人事院の権威が、とかく失われようとする傾向にあることは、池田委員その他を中心にお話があつたのですが、私は一例を地域給にとりますと、すでに人事院勧告が本年初頭に行われ、四月からこれが実施されるようになつてつた。ところが参議員でこれを大幅の修正をすることになつて、ごちやごちやになり、四月一日からの実施があのとき参議員で通つてつたならば、当然支給されていたであろう地域給さえも今なお行われていない。こういう実情で、そのときの政治情勢によつて動かされるような原案を、国会及び政府に勧告したということでは、人事院の権威もまことに心細い次第であります。私はこういう点で、全国の地域給引上げを運動する諸氏が東京へいろいろな方法をもつて旅費を募集して代表者として上る、その労力、その財政的の負担を考えたときに、地域給がいつまでもこういう権威を失墜するような形で進められるということは、実に憂慮すべきことだと思うのでありまして、何とかここに地域給に対して政治的な影響を及ぼすことのないように、最後までこれに対して人事院が権威を持つてよう勧告をしていただきたい、そして一たび勧告をされたならば、それが金科玉条とは私申しませんが、それに近いくらいの権威ある勧告をしていただいて、大幅修正しなければならないような、しかもその大幅修正したものを尊重しなければならないというようなことではますます心細くなるので、この点今後勧告されるにあたつて、少くともあとに憂いが残らないように、十分要望を満たされるよう努力をしていただきたいと思うのであります。  なお地域給の問題とあわせて、先ほど自治庁の次長にお尋ねした僻陬手当の問題ですが、現実に山間僻地、島、こういうところに住んでいる人たちは、実に悲惨な生活をしているのです。東京に品物を買いに来て、二割、三割安いのに驚いて、買いだめして帰る人たちもたくさんあるようなわけで、そういう実情を見たときに、きわめて交通不便なところに対する僻陬手              1当の支給は十分考慮しなければならないと思うのです。人事院の持つている僻陬手当を見ると、最低百五十円、最高七百五十円という限度のように思うのですが、これらは一体どこの何を算定基礎にして算定されたのか。人材はそうした僻遠の地にはほとんど吸収されておりません。こういうところに住む住民は非常に不幸な生活をしております。こういうことを考えて、文化に恵まれない地域に、これは同じ日本国土でありますから、ひとしく文化の恩恵に浴せしめるために僻陬手当の算定基礎を考える必要があるのではないか。こういうこともここで考えていただきたいのであります。この点、特に地域給が論議されているこの際、僻陬手当について、その算定基礎がどこに置かれたか、そしてこれを今後どういうふうに改訂ようとする用意があるか、まず、この二つについてお尋ねいたしたいと思います。     〔植木委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 淺井清

    ○淺井政府委員 受田さんの御質問にお答えいたしますが、第一は、地域給勧告に関し、人事院の権威の保全云云のお話がありましたが、まことにごもつともなお話でありまして、われわれといたしましては、人事院はあくまでも科学的な基礎において、諸種の勧告をいたすように努力いたしております。ただ受田さんがおつしやいました地域給の問題は、ちよつと誤解があろうと存じます。人事院のこの前の地域給勧告は、そのまま閣議で承認せられ、そのまま国会に提出せられまして、そのまま衆議院を通過いたし、参議院修正を受けまして、両院協議会でまた参議院修正は全部撤回されまして、ただこれは将来尊重するということになりまして、結局人事院勧告通りのものが法律として成立をいたし、四月一日から実施を得ておるのでございますが、その点は何かお思い違いがあるように存じております。  それから第二は、僻地手当、まことにごもつともな御質問でございまして、われわれといたしましても、この僻地手当の改善は特殊勤務手当全般の問題の一部として十分に考慮いたしておる次第でございます。ただ国家公務員の場合と地方公務員の場合とは、この僻地手当について少し考え方が違う。国家公務員の場合は、離れ小島の燈台もりであるとかなんとか、きわめて特殊なものに限られておるのでございますが、地方公務員の場合は、小学校の先生をひかえておりますために、これが非常に普遍的な手当になつてつておるように存じております。今算定の基準と申されましたが、これはまことにおはずかしい話でございますが、二千九百円ベースのときに大体くぎづけをされておる状態で、その後のベース引上げからは取残されておるかつこうに相なつておる。そこで人事院といたしましては、これをぜひ改善したいのでございますが、これは結局特殊勤務手当全体の問題となつて参り、僻地手当のみならず他の特殊手当と同様の改善をしなければならぬものも多多ございますので、これは給与準則に切りかえる際に何とかいたしたい、こういうふうに考えて参つたのでございます。私間違つていたならば取消しますが、少くとも八割程度引上げなければならぬのじやなかろうかと思います。この点は局長から詳細の数字を申し上げさせます。それと昨年は、私の記憶では僻地手当の支給地域を多少拡大をしたというように考えております。この僻村手当の問題は局長から詳細に申し上げさせます。
  48. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま総裁から給与準則の案を勧告いたします際に考えたいということを申し上げたのであります。実は今回の一万三千五百十五円の場合におきましても、この僻地手当の率と申しますか、額を上げてもらいたいという勧告をいたしておるのであります。もつともこれは一万三千五百円という数字は、ベース・アップの全額がどのようにきまるかという問題にかかつておろうかと思います。現在のところは最低百五十円から五段階きざみで七百五十円までございます。先ほどこれは総裁から申しましたように二九べースのときそのままのすえ置きになつておるのでございます。これをわれわれはやはり特殊勤務手当全体の支給額の引上げの問題として考えて行きたいというので、今回これを上げる勧告をいたしております。現在は支給の箇所にいたしまして千七、八百箇所くらいございます。これは昨年までは九百箇所くらいであつたものを、昨年におきましてよく検討いたしました結果、約九百箇所ばかりを追加指定いたしたのであります。その結果現在では約千七、八百箇所くらいが支給の対象になつております。それでは現在の基準で、もうすでにそういう支給地域は全部拾い上げておるのかと申しますと、それはなかなかそういうわけに参りません。われわれは各省と十分連絡をとりまして、この僻地というものに該当いたしますよう地域にあります箇所を、しらみつぶしに拾い上げておるのでありますけれども、まだまだ落ちがあるわけであります。そういうものにつきまして目下拾い上げ作業をやつておるというのが実情でございます。この国家公務員の場合に僻地手当をどういうふうに考えて行くかということは、これは確かに一つの問題であろうと思います。現在きめてありまする基準でありますと、バスが何日間も通わない、あるいは離れ小島であつて船の便がほとんどないというような非常にきつい基準になつております。従いましてこの基準につきましては再検討するという必要がございますので、その研究も目下進めております。しかしさしあたりにおきましては、現在あります百五十円ないし七百五十円というこの額をまず引上げるということと、それからわれわれの現在の支給基準に該当いたしますものを、まず拾い上げるという作業の方が先行いたすかと存じまして、そのよう作業を第一次的にやつておるというのが現状でございます。
  49. 受田新吉

    受田委員 今の僻陬手当の支給される地域の距離というようなものは、どういうところから算定されておりますか。
  50. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは、人事院はすでに大蔵省の給与時代に支給しておりましたものを受継ぎまして、そのままやつておるわけであります。僻陬地手当を一体いかに考えて行くかという問題は、非常にむずかしい問題になろうと思います。大蔵省時代にやつておりましたときには、僻陬地と申しますると、非常に文化から遠ざかつておるというような点が主として取上げられた点でありまして、経済事情というようなことは、あまり考慮されなかつたのではなかろうかと考えられるのであります。従いまして、そういう精神的苦痛に対応いたすのにはいかがな金額でよろしいかというようなことが問題にされたようでありまするが、これはなかなか的確な基準というものが出て参らないというのが本音であろうというふうに思うのであります。でこれは僻陬地であるから、たとえばかまどを二つにいたしまして、家族は残して置いて行かなきやならぬいうような例があろうというふうにも思いまするが、僻陬地に行つておる者が、必ずしもみなかまどを二つにわけておるという事情があるわけでもございません。従まして、われわれはこの問題を将来いかに考えて行くかということにつきまして、目下研究いたしておるのでありますが、やはり精神的な苦痛に応ずるということの方が、むしろ主眼的にならなきやならぬのじやないかというようなことで、研究を進めておる次第であります。
  51. 受田新吉

    受田委員 この僻陬手当を支給する基準が大蔵省のをそのまま踏襲しておられるということになりますと、距離で行くようになろうと思うのであります。距離ということになると、直線コースになつておるんだろうと思うのですが、間違いないですか。
  52. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは必ずしも直線コースはとつておりません。われわれが追加指定の作業をやりましたときに用いました資料は、郵政省で郵便を配達いたしますときに使いまする地図があるのであります。で、一番もよりの交通機関の終点というようなところから、普通の道路によりまして距離を算定するというよう方法によつております。
  53. 受田新吉

    受田委員 僻陬手当は、今申し上げたような意味で、どうしても大いに考慮してあげなきやならぬ問題で、今の道路が、通常使われている道路であれば私はいいと思いまするが、山の高いところに行つておる道路はうねうねしておるから、まつすぐ行くのと、道路で行くのとは、倍も三倍も違うところがあるのでありますから、そういうところも十分考えて、適用範囲を広げるということが大事なことだと思います。それから今千幾つを考えておられるようですが、これらもひとつ十分考慮されなければならぬと思いますが、今の手当の額ですが、最低百五十円と七百五十円という最高の額との基準は、どこから出たのでしようか。
  54. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その前にちよつと先ほど私が申し上げましたことを補足さしていただきたいと思います。距離がうねうねしておるような場合、あるいはずつと山になつておるような場合には、道路によつて考えなきやいけないという考え方でございますが、僻陬地というものが、やはりある一定のところから交通機関が全然ないとか、あるいは定期的にバスが出ていないというようなことでありますが、すべて根本は精神的苦痛というふうなことであろうと思うのであります。で、この問題は、たとえば寒冷地手当というようなものを考えてみましても、冬季間におきまして交通が杜絶するというよう事情は、やはりよく似た事情があるのです。すべて一定期間を限りまして非常に隔離されるというよう事情があります。将来地域給の問題なりあるいは寒冷地の問題なり、あるいは僻地の問題なり、これはある程度統一的に考えて行かなければならぬ問題ではないかというようなことでいろいろ考えております。ただ先ほど地方自治庁の方へ御質問になつたのでありますが、地方の場合のいわゆる僻地という問題と、国の公務員に対しまする僻地という問題は、若干基準等も違つて考える必要があるのではなかろうかということも考えます。従いまして、もし国家公務員に対して支給される基準というものを、そのまま地方において踏襲されるということになれば、この適用される対象が違いまする関係上、必ずしも適切でない面が出て来るのではなかろうかというようなことも懸念いたしている次第であります。  それから百五十円ないし七百五十円の基準は、どこで定めたかというお話でございますが、これまたわれわれは大蔵省の給与局時代にやつておられましたことをそのまま引継いだわけでありまして、よくその間の事情がわからないのでございますが、先ほど申しましたように、これはやはり精神的苦痛に対して支給されるということが主であつたのでありましようから、的確にその算定根拠があつたというふうには考えられないのであります。
  55. 受田新吉

    受田委員 これはまたいずれ給与の問題を論議するときに大急ぎで考えて行かなければならぬ問題で、きよう以外の日にお尋ねしたいと思いますが、もう一つ問題は、私が今総裁に申し上げた地域給をめぐるところの政治的な動きでありますが、これは地方の人たちがそれぞれ熱烈に、その地域の要望を携えてやつて来る。これは循環論法で行つて限りなく、最低一級地にはみなせねばならぬというところを目標にしている、地域給の支給の出発点までは全部を支給するような目標に行きたいというお話があつたんですが、いずれ地域給はそうした政治的なかけ引きなどに利用されないところの本格的給与に切りかえる必要はないか。特に四月から支給すべきものが、ずつと遅れて七月ごろでしたか給与がきまつて、遡及しましたね。そうしてそのときにまた少し無理をしてきめたところがあるから、それに基いて今度再勧告を考えなければならぬというようなことになつて人事院がしばしば半年もたたぬうちに、どんどんこうした地方の要望にこたえ、一ぺんきめたことがまた次の地域を刺激して、再勧告をしなければならぬというようなことになつて、停止するところを知らないという結果になると思うのです。こういう点をひとつ何とか基本的に考えて、地域給を本俸に繰入れるようなところまで考える必要はないか。そういう基本的な問題で、ちよつと総裁の御意見を伺いたいのです。
  56. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもつともな点でありまして、それは実はわれわれも同様に最も心配している点でございます。ただ人事院といたしましては決して地方の陳情に動かされたり、あるいは政治的情勢には動かされてはおらないのでありまして、ただ地方からの陳情はこれをなるべく聞きまして、われわれの至らない調査を補うということはいたしまするけれども、何か強く運動したところだけが入つて、運動しないところは取残さているというようなことのないようには、常にわれわれは反省をいたして努力をいたしているつもりでございます。ただこの地域給の制度それ自体としては、ただいま御指摘のように将来はこれを考えたいと思つております。これは私の試案でありまするけれども、要するに一級地をまず本俸へ繰入れてなくす。そうして五段階を四段階にする。それから出発して漸次これを本俸に入れつつ地域給をだんだんと漸進的に廃止して行く、こういつた方法はどうかと実は思つているだけの次第でございます。まだ正式に何もきまつてはいないのでございます。そこで今回今意図しておりまする勧告が実現いたしますると、おそらく国家公務員に関する限りほとんど全部は、少くとも五分の地域給を受けることになるのじやないか、こういうふうに考えております。
  57. 受田新吉

    受田委員 もう一つ給与関係する問題であり、かつ国家公務員法に基いた基礎的な公務員の権利でありますが、恩給の問題です。マイヤース勧告がなされて、当時の人事院はあるいは二十八年一月から実施するよう勧告するような声を聞いたことがありますが、それ以来ようとして今日まで声が出ておりません。しかもこの三月に退職した地方公務員のごときは、特に教員諸君のごときはことしやめておけば退職手当も出るのだが、しかも今度から恩給制度ができて非常に率は高くなるが退職金が出ないために、総計するとさしあたりの収入が非常に減るのだから、ことしやめてはどうかというような差迫つた勧告を受けて退職した者が相当あるように聞いている。この点恩給制度に関する国家としての確たる態度を示さないがゆえに、こういう心配が生ずるのだと思うのでありますが、人事院としては国家公務員法に掲げられている恩給というものをどういうふうに勧告ようとするのか。これに対して総裁の御意見を伺いたいのであります。
  58. 淺井清

    ○淺井政府委員 恩給の問題でございまするが、御承知ようにマイヤース勧告以来、ずいぶん時間がたつていることは、まことに恐縮の次第でございますが、あの勧告自体をそのまま日本の制度といたすこともできませんので、その後わが国に妥当なる案を立案すべく努力して参つた次第でございます。ところが御承知のごとく、公務員法におきましては、国家災害補償法と恩給法につきましては、ちよつと条文の立て方が違つているのでございます。それは勧告ではなくて、研究の成果を提出するという文字で表わしてあることが第一点。第二点といたしましては、人事院が同時に実施官庁であるということで、この二つについては公務員法に明確にうたつてある。そこでたとえば給与勧告のごとく、財政上の点を顧慮いたしませんで、ただ人事院として是と信ずるところを勧告するというのとは、多少そこに違いがあるのでございます。もとより成果の提出と申しましても、それは勧告の一種には相違ございませんが、同時に実施官庁であるということが書いてあります以上、実施得べきわくがはまつているということが、ちよつと違つている点であるのであります。そういうわけでございまするので、国家災害補償法のときにもやりましたように、人事院は案を一応社会保障制度審議会へ勧告前に付議することにいたしております。国家災害補償法もさようにして成立いたしました。恩給につきましても、人事院がその成案を社会保障制度審議会へかけて、ただいま審議中で、まだその結論は得ていないのでございます。そういうわけで遅れておりまするが、人事院といたしましては公務員の利益を保護するため、ことにあの恩給にはいわゆる雇員、傭員という昔の官吏、この区別を撤廃いたして通算しているような点、その他重要なる改正が含まれておりまするので、できるだけすみやかにこれを提出したい、こういう気持は当初から少しもかわつていないのでございます。
  59. 松野孝一

    ○松野(孝)委員 私は人事院総裁にお尋ねしたいのです。先ほど受田委員からの質問に対するお答えで大体わかりましたけれども、地域給の問題に関しまして、だんだん幅を縮小して、将来はなくすようにして行きたいというようなお話でありましたが、それの第一段階として一級地をできるだけ増加して、上級地をなくすようにして行く、今回勧告する予定は数百箇所で、あとはぽつぽつあるだろうというように伺つたのです。その対象になる市町村はどのくらいあるものでありますか—これは私だけわからないのだろうと思いますが、そのうち段階別に一級がどのくらい、二級がどのくらい、三級がどのくらい、五級がどのくらいあつて、それに今回勧告して、あとどのくらい残るのかということをお伺いしたい。  それからもう一つは、先ほど人事院総裁のお話によると、地域給の指定に関する法律案は提出した通り通過しておつて、削減しているところがないということでありましたが、今度大蔵省で予算額はどうなるかわかりませんが、地域給の方に優先的に充当されると解釈してよろしいのですか、その点をお伺いしたいのです。
  60. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一は、地域給は将来なくす方針であるから、今度は一級地をたくさんふやすのを主眼にするというようなお話でありましたが、それは心づもりを申し上げただけでありまして、物価の高いところ、地域給を支給し得べきところへつける、そうでないところはつけません。それは当然のことでございまするし、また現につけてありまするところを引上げるのも、ずいぶん含まれておるのでございます。全体で数百箇所でございまするけれども、決して将来なくす、本俸へ五分入れてなくするから一級地は安売りをする、そういうことは少しもないので、ただ心づもりをちよつと申し上げたにすぎませんから、それはお聞き流しを願いたいと思つております。それから予算は、私の信ずるところではおそらく給与の改善費という一本で出ておるだろうと思います。そこで地域給だから優先する、本俸にはあとでつくのだ、こういうことはございません。それはみんな同じことであろうと思つております。なお数字的の点は局長から申し上げます。
  61. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 町村数がどれだけあつて、どれだけの町村が入つておるかということでございますが、全国で約一万四百ばかり町村の数があるわけであります。そのうち現在のところにおきましては、一級地いわゆる五%地域が千百三十一、二級地一〇%地域が三百七十二、三級地一五%地域が百三十七、それから四級地二〇%地域が六十八、五級地二五%地域が三十六、こういうことに相なつておりまして、いわゆる地域級の支給されておりまするところは千七百四十四ということに地域の数ではなつているのです。しかしながら、これは数だけ申し上げましても、なかなか実態と遠い点があるではなかろうかというふうに思います。町村によりましては、非常に地域の広いところもございますし、小わけになつているところもございます。それからまたある特定の市域の近接地というようなもので、関連的に問題にされているところもございます。従いまして、数だけ申し上げたのでははつきりしないと思うのであります。さらに適用されている国家公務員が、その中にどれだけ含まれているかというよう数字につきましても、私の方で用意したものがございますから、この次にお目にかけたいと思います。
  62. 有田二郎

    有田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつて御通知することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十六分散会