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1953-03-02 第15回国会 衆議院 行政監察特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月二日(月曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 内藤  隆君    理事 荒舩清十郎君 理事 高木 松吉君    理事 中野 四郎君 理事 久保田鶴松君       佐々木秀世君    丹羽喬四郎君       明禮輝三郎君    栗田 英男君       吉川 大介君    田万 廣文君       前田榮之助君    木下 重範君  委員外出席者         証     人         (元軍需省機械         局長)     橋井  真君         証     人         (閉鎖機関交易         営団清算人)  黒瀬 勘一君     ————————————— 二月二十五日  委員高橋長治君辞任につき、その補欠として吉  川大介君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  委員会報告書に関する件  接収解除貴金属及びダイヤモンドに関する件     —————————————
  2. 内藤隆

    内藤委員長 会議を開きます。  この際お諮りいたします。二月中の調査経過報告書につきましては、委員長において、お手元に配付してあるような簡単な調査報告書を作成の上議長に提出いたさせましたので、御了承願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内藤隆

    内藤委員長 異議なければ、御了承を得たものと認めます。
  4. 内藤隆

    内藤委員長 前会に引続き、接収解除貴金属及びダイヤモンド関係事件について調査を進めます。  ただちに証人より証言を求むることにいたします。ただいまお見えになつておられる方は橋井真さんですな。
  5. 橋井真

    橋井証人 はい。
  6. 内藤隆

    内藤委員長 これより接收解除貴金属及びダイヤモンド関係事件について証言を求むることにいたしますが、証言を求むる前に、一言証人に申し上げます。宣誓の趣意につきましては、前回委員長より申した通りでありますが、偽証等の場合には処罰規則のあることを念のために申し上げておきます。  では、法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  宣誓書の御朗読を願います。     〔証人橋井真朗読〕    宣誓書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。
  7. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  8. 内藤隆

    内藤委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長の許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  去る二月、十八日の証人陳述内容会議録によつて調査した結果、証人は当時機械局長として最高責任者であつたにかかわらず、あたかも第三者の立場にあつたよう答弁が多かつたが、本日はその責任を十分考えて御答弁を願いたいと思います。  まず第一には、先般佐々木委員尋問で、当時の課長若林課長であつたかどうかについて委員長まで御回答を願うことになつておりましたが、いかがでありましようか。
  9. 橋井真

    橋井証人 私が機械局長をいたしておりました昭和二十年三月末から終戦に至るまでにおきましての課長は、海軍大佐若林幸二であります。ただ、つけ加えたいと思いますのは、このダイヤモンドの供出は、その前の年から私の就任までの間に実際上買取りの大部分が行われております。その場合におきまして、当初課長をいたしておりましたのは大友という海軍大佐であつたよう承知いたします。また局長美濃部洋次という人であります。
  10. 内藤隆

    内藤委員長 終戦当時の課長武内課長であつたのではないのですか。
  11. 橋井真

    橋井証人 実はその点もう一ぺん確かめたい点がありますが、記憶はつきりしないのであります。大部分課長をやつておりましたのは若林幸二であります。武内課長機政課長として機械局におりました。何かの都合で若林君が海軍に帰りまして、武内君が一時兼務したことがあるかもしれませんが。大部分若林君であります。
  12. 内藤隆

    内藤委員長 なお、その武内君が課長をしておつたかどうかを、もう少し調べなければわからぬということですな。
  13. 橋井真

    橋井証人 ちよつとはつきりしないのです。
  14. 内藤隆

    内藤委員長 橋井君は、この問題が起つてから、武内課長私市軍需官その他通産省の当時の関係者に面接したことがありますか。
  15. 橋井真

    橋井証人 武内君をたずねたのでありますが、不幸にしておりませんので、会いませんでした。私市君とは会いました。ただ、そのときは、この席に出る前でありましたので、課長の問題は話合いませんでした。
  16. 内藤隆

    内藤委員長 ダイヤモンドの問題についてはどうです。
  17. 橋井真

    橋井証人 実はお互いに遠慮しておつたようなぐあいであります。
  18. 内藤隆

    内藤委員長 これはすこぶる重大な問題でありまするから、宣誓にかんがみまして、よく真実を述べてもらわなければ困るのですが、ダイヤ等のことには遠慮をして話合いをしなかつた、こういうわけですか。
  19. 橋井真

    橋井証人 うわさ話程度で、具体的な、たとえて言いますと、何個あつてどうしたとか、どういうこととか、そういうようなことは、あまり詳しく話合うことがむしろよくないというような感じで、うわさ話以上の具体的な、たとえてみると、課長はどうであつたかというような話合いはいたしておりません。
  20. 内藤隆

    内藤委員長 現在の通産省からの報告によりますると、武内課長は、二十年の六月六日から二十年七月六日まで、約一箇月間の課長であつて終戦当時は課長でなかつたことに報告が来ております。しかるに、この武内課長は、終戦の翌々日、すなわち八月の十七日軍需省において精密機械課長の現職で営団児玉課長代理と面接をし、さらに翌十八日同じく軍需省において営団細次長土橋工具統制組合理事長と面接して、ともにダイヤ保有について要談した事実があるようであります。ちようど証人在職中、証人部下である武内課長が、ダイヤ保有について、それぞれ関係者と重要な相談をしておるようでありまするが、これは証人命令であつたのかどうか、あるいは、あなたはこれについての報告を受けておるかどうか、その点を明瞭にお述べ願いたい。
  21. 橋井真

    橋井証人 いかなることで営団の人と話したか、こういう問題に関連すると思うのであります。ある種類の問題でありますというと、私と相談の上で武内営団と話した事実があるだろうと思います。
  22. 内藤隆

    内藤委員長 ある種類とは何です。
  23. 橋井真

    橋井証人 たとえて言いますと、戦争に負けた、この場合にダイヤモンドをいかに保管すべきかというようなことについて、私は武内話合いをいたしました。あるいはそのことについて営団と話したのではないかと私は思うのです。
  24. 内藤隆

    内藤委員長 戦いに負けた以上は、愛国の赤誠のこもつたこのダイヤをどうすべきかということを相談したわけですね。
  25. 橋井真

    橋井証人 そうであります。
  26. 内藤隆

    内藤委員長 これはすこぶる重大な相談だと思いますが、その報告を正式に武内課長から受けましたか。
  27. 橋井真

    橋井証人 そういう問題について相談をいたしたことは聞いております。
  28. 内藤隆

    内藤委員長 しかし、正式な報告等は……。
  29. 橋井真

    橋井証人 これは官庁の中で話を聞いたのでありますから、正式な報告と考えてよろしいと思います。
  30. 内藤隆

    内藤委員長 委員長尋問はこの程度でありますが、委員諸君にありましたならば……。
  31. 前田榮之助

    前田(榮)委員 橋井証人にお尋ねいたします。証人機械局長として就任した期間中は、ちようど買上げダイヤ桐生において再鑑定の最中であつたが、証人はこの様子について報告を受けたことがありますか。その点お伺いいたしたいと思います。
  32. 橋井真

    橋井証人 報告を受けたという記憶を持つておりません。
  33. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そうしますと、桐生において再鑑定の最中であつたことは認められるのですね。そういうことは御承知なんですね。
  34. 橋井真

    橋井証人 報告を受けた記憶がないのでございますから、たとえて言いますと、その事実ありやいなやということについて、実はお答えする能力を持つておらないのでございます。
  35. 前田榮之助

    前田(榮)委員 局長の職務にある方がそういうことはおかしいと思います。いろいろあなた方で調査をされますならば、大体そのことは明らかになりますか。
  36. 橋井真

    橋井証人 すべてのことを非常にはつきり報告を受け、また記憶いたしておればいいのでありますが、実はそこまで及んでおらないのを申訳なく思います。このごろ新聞等を見まして、そういう事実があつたのかなというふうに思う程度であります。
  37. 前田榮之助

    前田(榮)委員 その次にお尋ねしたいのは、証人機械局長在職中、皇室関係王冠その他のダイヤ処理要綱を定めて、これを処置したのであるが、この折、大粒の五個のダイヤは、宮内次長証言によつて宮内省において紛失したことが判明した。しかし白金の冠の台は宮内省には返還されていない。また営団にも、当時白金取扱つた金属配給統制株式会社へも渡つていないのであるから、これは証人が当時の最高責任者としての責任を持たれねばならぬことになるが、どうでございましようか。
  38. 橋井真

    橋井証人 機械局で所管いたしましたのは、機械工業関係するところのダイヤモンド関係であります。白金は、軍需省ではたしか非鉄金属局という名前つたと思いますが、金属関係を扱うところで所管いたしておりまして、機械局関係では白金の取扱いはいたしておらなかつたと私は思います。当然、その台の問題につきましては聞きました記憶もございませんしどうなつたか、うわさも聞いておらなかつたように思います。
  39. 内藤隆

    内藤委員長 それでは、ちよつとお聞きしますが、その宝冠を解体するときには、その非鉄金属局ですか、それは立ち会つてつたのですか。
  40. 橋井真

    橋井証人 私実は、機械局長になりましたのは、昭和二十年の三月の末であつたようにありますが、私は四月の初めと思つております。ここが違つております。それで、王冠お下渡しになつたのはずつと前のことであります。解体になりましたのも、もつと前であつたと思います。従いまして、私のときには王冠解体とか、ダイヤをお返しする問題というのは実は済んでおつたのであります。
  41. 内藤隆

    内藤委員長 終つてつたら、さような報告等、何か記録でもありませんか。
  42. 橋井真

    橋井証人 ございません。今ほしいのでありますが……。
  43. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつと関連して。橋井さんにちよつと伺うのですが、あなたは昭和十八年の十一月に軍需大臣官房秘書課長をしておられるはずです。それから二十年の四月あなたが機械局長就任までは、たしかそういう職におられたはずでありますから、当時の皇室お下渡しになつた王冠というものは、当時、現通産省政務次官室飾つてつたのでありまして、各部課長は珍しいというので、みな拝観に出ておつたように思いますが、橋井さんは一体そのときに行かれなかつたかどうですか。たしかここには、あなたのあれから言えば、大体お行きになつたように思うのですが、どうなんですか。
  44. 橋井真

    橋井証人 この前のときにお尋ねがありまして、申し上げたと思いますが、私は拝見いたしております。しかし、これは飾つてつたというのではなくて、そういうありがたいお品物を並べまして、一日か二日、日を限つて拝見いたしただけのものであります。私も確かに拝見いたしております。
  45. 中野四郎

    中野(四)委員 それなら、その飾つてつたのは、どういうふうにして飾つてつたのでしようか。たとえば、王冠三個とか二個とかいうようなことを言われるのですが、見られれば大体わかつておるのですが、クラウン、いわゆる王冠、公式の場合におかぶりになるもの、あるいははち金のものとかいうように、区別がついておると思いますが、幾つつて、どういう形のものがあつたか。—ダイヤモンドの数を今あなたに聞くのは無理です。所管ではありませんから、それはよろしゆございますが、当時の形ですね。どういう形のものが、どういうふうにして飾つてつたかということを証言を求めたいのです。
  46. 橋井真

    橋井証人 私の目に残つている記憶を申し上げます。非常に小さいお冠のような形をいたした白金のものがありまして、これは私の目に残つております。ただ私ども、イギリスの王室の冠というような非常に冠らしい形をしたものを連想するのでありますが、それよりはずつと小さい軽いものであるというように拝見いたしました。私がはつきり目に刻んでいるのはそれだけであります。そのほかに幾つお冠があつたよう承知いたしますけれども、その形は、私どもの概念にあるお冠とは違つてつたのじやないかと思います。私の目にはつきり残つておりません。それから、それは白い布がかけてあつたと思いますが、テーブルの上に並べてありました。そうして、その手前に縄が引いてあつて、近寄れないように人が立つておる。そういう状態で拝見いたしました。
  47. 中野四郎

    中野(四)委員 もう一点伺いますが、御記憶に大体間違いないと私は思うのです。一つは皇太后様が公式におかぶりになつた御木本製お冠であろうと思うのです。それから他の二個は、現皇后陛下がたしか御使用になつている髪飾りに相当する、王冠というよりも、むしろ前にはち金のようにおかけになる髪飾り式のものであつたと思うのですが、それが二個あつたのでしようか、一個あつたのでしようか。これを伺つておきたい。
  48. 橋井真

    橋井証人 今申し上げましたのが私の記憶でありまして、はち金のようなものがあつたかもしれませんが、一個だつたか二個だつたか、記憶ございません。ただ私どもは、お冠の形をしておつたのは一個だつたというように目に覚えておるのです。
  49. 前田榮之助

    前田(榮)委員 次にお尋ねしたいのは、当時現通産次官玉置君は、証人部下として機械局機政課長であり、かつこの課長機械局の庶務課的な課長であつて、局の予算はもとより、皇室関係等重要事項には関係したのではないかと思うのですが、この点いかがでしようか。
  50. 橋井真

    橋井証人 玉置君は、私の部下として働いたことはございません。と申しますのは、私は美濃部洋次君の後任者として機械局長になりました。私と入れかわつて、たしか玉置君が軍需省秘書課長になつたと思うのです。玉置君が機械局農政課長として勤務いたしましたのは、前任者美濃部洋次君がおりました昭和二十年三月の終りまでの間であります。
  51. 前田榮之助

    前田(榮)委員 その次に、皇室関係お下渡しの拝受や、これが返還等は、純然たる事務であつて技術ではないのであります。従つて、この事務の担当は、事務官たる軍需官仕事であつて技師仕事ではないと思うのですが、当時機械局においては、軍需官を抜きにして、技師にこのような事務を担当せしめていたのでしようか。いかがでしようか。
  52. 橋井真

    橋井証人 事務の分担は仰せ通りであると思います。ただ実際上、戦争のまん中でございましたので、人が便宜的にかなり動いておりまして、事務技師によつて非常にすべてがはつきりされ、片方事務だけ、片方技術だけ、片方は政策、片方はそれ以外というようにわかれておりませんでした。そういう例が非常に多うございます。お下渡しの問題は、実は私が秘書課長であり、機械局長でなかつたときのことでありますので、だれがどうしたか、はつきりいたしておりません。ただ私の記憶に残つておりますのは、たしか竹内軍需次官が、宮内省伺つてこれをいただいて下つたというように私は記憶いたしております。
  53. 前田榮之助

    前田(榮)委員 その次に、機械局精密機械課において、私市信夫君は、今の課長補佐のような仕事をしていたと証言されたのですが、ほかの省においては、これは課付事務官であつて、課内の一切の事務はもちろん、技術上のことについても、これに対して判こを押す、すなわち課長の決裁を受ける一切の文書が、事務技術の別なく、必ず事務官を経てまわるのではないかと思うのですが、この点いかがですか。
  54. 橋井真

    橋井証人 今仰せの手続が本則でございます。
  55. 前田榮之助

    前田(榮)委員 当時、ダイヤ買上要綱によつて買い上げたダイヤは、証人在職中にはいまだ占領軍による接收はなかつたのであつて、その要綱には、ダイヤの処分は軍需省のさしずによることに定められているのですが、この事務はいまだ完成してはおらないので、従つて退職の場合にこの事務引継ぎ後任局長行つたのでしようか。それから、このような場合は、重要な引継ぎ事務として後任者に引継ぐことが官庁慣例ではないかと思うのですが、この点はいかがでしようか。
  56. 橋井真

    橋井証人 普通の慣例といたしまして、扱つた事務はそのままで後任者に引継がれます。特にこれが変更があつて引継ぎされたというように記憶いたしておりません。
  57. 前田榮之助

    前田(榮)委員 終ります。
  58. 内藤隆

    内藤委員長 それでは中野四郎君に発言を許します。
  59. 中野四郎

    中野(四)委員 まず第一に伺つておきたいのは、話の順序ですから、この所有権所在について一応橋井証人から証言を求めたいと思います。  先日おいでの際は、買上要綱がよくおわかりにならなかつたようでありますので、それで証言を求めるのを延期したわけでありますから、その後買上要綱等をばよくお読みになつておいでになつたと思うのであります。この買上要綱によれば、はたしてその所有権はいずこにありやということがはつきりして来ると思うのです。たとえば、これは国の委任行為であつたか、あるいは単なる買上げ行為であつたかという点がはつきりして来ると思いまするから、これは先回は引続いて証人より所有権所在について意見を伺いたいと思います。
  60. 橋井真

    橋井証人 この間拝見いたしました買上要綱につきまして申し上げますと、「買上機関」という字が使つてございます。これは、それだけではつきりと所有権主体があるという意味にはなり得ないのでありますけれども、とにかく買上げ主体であるということは間違いない、こう考えるのであります。それから、問題になりますのは、これを買い上げたときに、これに払つた対価がどこから出たかという問題であります。国の予算で、ダイヤモンドを買う金であるということを見まして、それを営団国家予算から配付いたしまして、それで営団買つたものでありますと、これは明らかに軍需省のものになるのであります。私がその後多少聞きましたところによりますと、—実はこれは、私非常に関心が深いので、当然でありますが、どうも国で、買上げダイヤモンドの代金として予算をとつて営団を単なる代行機関として使つて、これに予算を配付して買つたという事実が認められないのであります。むしろ逆に、営団が手持ちの資金でもつてダイヤ買つた、こういうような事実があるようであります。そういたしますと、当初簡単に考えましたように、これは軍需省ダイヤである、営団をして買わしめた国家ダイヤであるというような結論が簡単にはつきかねる。この点がむずかしい微妙な問題であります。私が今存じておる限りで申し上げ得る最大の意見は以上であります。
  61. 中野四郎

    中野(四)委員 私のお尋ねしているのは、客観的な問題でなくて、軍需省機械局長として、たとい買上げ当時にいなくとも、その後任局長として責任があるのですから、その買上要綱に基いて、軍需省はその所有権についていかなる見解を持つてつたかということをお尋ねしているのであります。客観的な御意見でなく軍需省としての当時の意見を明らかにしていただきたいのです。たとえば、今あなたのお話を聞いておりますると、買上げのときの金の形がどうだとか、そういう場合においてはどういう所有権になるとか、事はそんなものじやないのです。問題は、国が必要として、—当時陸海軍の間に熾烈なる軋轢がありました。軍需省が航空機を製造するにあたつて、どうしてもダイヤモンドが必要だ、しかしながら、そのダイヤモンド陸海軍から配給が受けられないから、やむにやまれず、高いことは承知の上で、全国民法律命令を出して、強制的とは申しませんが、とにかく強制的に、こういうわけで必要だからというので、一般国民から装飾用ダイヤ買上げたのです。高く買う安く買うということは時の便法であります。要は、国家が必要としてこれを買う。国民は、交易営団や松屋に売るのではなく、戦争に勝ち抜きたいというので、国家のために、国家の求むるところに従つて売つたものであります。その通ずるところは一貫性がありまして、決して中間における交易営団中央物資活用協会というようなものがその責めに当るべきではないのであります。たとえば、株を買うのでもそうなのです。自分が株を買おうとすれば、株屋名前を使わなければならぬ。こちらの委任行為によつて株屋をして株を買わしめる。向うは、銀行から借りようと、どこから借りようと、自由であります。買つて、売つて、その結果をその人に報告する。所有権の帰属というものは明らかであります。あなたは、当時の軍需省機械局長として、この所有権がどこにあるかということを明確にしなければならぬわけでありまして、もしあなたがそういう点にすら全然関与していなかつたというなら、これは重大なあなたの責任です。全国民から莫大な貴金属を買い上げておいて、その所有権所在すらわからぬということは大事な問題なんです。橋井証人に求めたいのは、当時の軍需省見解を明らかにしていただきたいということであります。
  62. 橋井真

    橋井証人 微妙な点であると私が申し上げたのは、その点でございます。当時交易営団がどういうものであつたかといとことについては、お調べがあつたことと私は思うのでありますが、交易営団は、国家のために、必要なものを買い、保管し、また配付するための組織であつて、これは国家組織であると考えております。従つて、そういう意味合いからいたしますと、交易営団に買わせ、保有いたしましたものは、国家のものであり、国家の目標のためにそういうことをいたしまして保有しておると私は考えるのであります。ですから、当然の結果としまして、必要な場合には交易営団にこれを保有せしめ、また必要な場合には国の意思に基いて、責任あるさしずによつてこれを処分することができたわけであります。ただ、これがすぐに国家自身であつたかどうかということになりますと、これは法律的な問題でありまして、そういうつもりで、またそれでさしつかえなくやつてつたということだけで言い切れない。それを申し上げるのであります。
  63. 中野四郎

    中野(四)委員 この貴金属処理については、いろいろな問題が起つて参ります。しかしながら、国会国会として独自の見解を明らかにしますからよろしいのですが、証人には証言を求めるのでありまして、従つて、今のあなたの証言が、当時の軍需省一つの考えであつたかどうか、ただ橋井個人では困るのです。この点は、私市証人とあなたとちよつと食い違いがあるのです。軍需省関係のものは当然国家のものであるという考え方を持つておるようでありますが、今のあなたの答弁にはちよつと微妙なところがありまして、納得ができぬものがあります。しかしながら、これについては私の方からあらためて項を追つてお聞きすることにいたします。  続いて、もう一点伺つておきたいのですが、あなたは、終戦後、終連事務局の副部長部長をしておられますが、これは参考にちよつと伺つておくのですが、当時、陸海軍関係ダイヤ貴金属等関係について、連合軍の方に連絡をとつてくれというようなことに何か関係をしたことはありませんでしたか。
  64. 橋井真

    橋井証人 そういう事実の記憶はございません。
  65. 中野四郎

    中野(四)委員 それならそれでよろしゆうございます。  もう一つ伺つておきますが、先ほどあなたの証言では、終戦直後において武内課長とあなたとがいろいろとお打合せになつていらつしやるようだが、委員長質問の中に、この重大な問題の相談内容というようなものを聞き漏らしております。当時、この重大な問題をばどういうふうに相談をされたか、おそらく相談内容というものは御記憶であろうと思いまするから、その内容の全般にわたつて証言を願いたいと思います。
  66. 橋井真

    橋井証人 終戦の当時私どもが非常に心配いたしましたことは、国の大事な資産、財産をできるだけ国家に何らかの形で保有しておきたい、こういうことでございます。戦いに敗れ、無条件降伏したのでございまするから、すべての財産は戦利品としてとられるであろう、こういうことをみなも申しましたし、私も考えました。その場合に、この貴重なダイヤを何とかしてとられないで済まないものかどうか、こういう相談をいたしたのであります。それで、たとえてみれば、これをどこかへ持つてつて埋めるというようなことがあつて、これが将来確かに日本国民が立ち上つたときにとりもどせるのであれば、それもいたしたいと考えたのであります。その場合に、当然私ども責任をとるということは覚悟したのであります。できるならばそれをいたしたいと考えまして、その話合いをいたしました。これが事件内容であります。武内君もおそらくその話を率直に伝えたと思います。私が責任をとると申しました。しかしながら、その後営団でいろいろ研究し、武内君から私に報告のありましたことは、多数の人がこれには関与することである、従いまして、どうしてもこれだけのものがどこかに隠しおおせて、そしてたれもが口を割らないというようなことはあり得ない、反面に占領軍の心証をこういうことで非常に悪くすること自体が日本国民全体の利益にならないであろう、こういうことであつたのであります。その当時のわれわれの気持は、非常に混乱したものがございました。また占領軍の態度その他も、日を追うて、一日、二日、三日、四日たつ間に、だんだんはつきりして参りまして、結局そういうようなことをしないで、明確に引渡すべきものなら引渡した方がいいだろうという判定のもとに、幸いにしてダイヤは当初の保管の形のままずつとあつたはずでございます。その後、日本銀行に移つた、その他の問題は、私はうわさにおいて聞いておりますけれども、これは、うわさ以上に聞いておりません。その当時の話合い内容は以上であります。
  67. 中野四郎

    中野(四)委員 日本銀行に移つたあとのダイヤはそのままでないのです。ダイヤ白金、金も原状のままではなかつたのです。ここから持ち出した者があるのです。そのもとをつくつたものは当時の軍需省関係にあつたと思うのであります。  続いて伺いたいのですが、終戦の直後、竹内軍需次官通牒によつて、全国の各府県知事にあてて、現段階におけるところの物資は進駐軍の上陸前に適当に処理をしてよろしいという命令を出したことは御存じだろうと思いますが、機械局長関係で何かそういうものも御存じの点があつたら御証言を願いたい。なぜかと申しますと、これは隠退蔵物資あるいは不当財産委員会のときに、この点は明らかになりました。御承知のように、いろいろ問題を起しました人々が、それぞれの刑を受けておりますが、当時の証言によりましても、軍需次官が終戦直後においてそういう通牒を発したということが、いろいろな問題で一番大きく関係をしておるのですけれども、今のあなたのお話を伺つておりますと、やはり機械局長も、進駐軍が上陸すればこれを戦利品としてとられるおそれがある、従つて、何とか隠してしまおうじやないかという気持があつた、しかもあなたの責任においてこれをやるという重大なことを言つておられるのですが、当時竹内軍需次官おいでであつたから、そういう考えを起したのは当然だと思うのです。ですから、軍需次官依命によつて全国にそういう通牒を出したはずでありますが、そういうものに対して、橋井証人は御関係になつたことがあるか、お聞き及びになつたことがあるか、あるいは事実を知つておられるか、伺つておきたいと思います。
  68. 橋井真

    橋井証人 そういう依命通牒があつたかどうかということは、はつきり記憶しておりません。ただ、当時の考え方は頭にはつきりございます。戦争のために無理をして物資を集中いたしております。反面において、国民が非常に苦しんでおりますし、またそのままの形でもつてすべての物資が失われれば、日本の再建が非常に遅れるであろうということを、だれでも同じように心配いたしたのであります。当然戦争終つており、しかも物資は接收されておらない状態において、できるだけこれを元の形にもどせるものがあれば、できるだけみなが使えるような形にいたしたいという気持を持つておりました。当然そういうところからそういう扱いがある程度つたかと思います。
  69. 中野四郎

    中野(四)委員 先日この委員会でいろいろお尋ねしたときに、あなたはなぜこの武内課長との御関係をおつしやらなかつたでしようか。いわば、きようの証言の中でも一番重大な問題です。こういうような問題について、武内君の名前だけは全然抜けておりましたが、どういうわけでお抜きになつたのでしようか。
  70. 橋井真

    橋井証人 率直に言つて、私はお尋ねのありましたことはまじめにできるだけお答え申し上げました。お尋ねの中に関連することがなかつたということでございます。
  71. 中野四郎

    中野(四)委員 むろんそういう御返事もできるだろうと思います。そこで、二、三関連した問題を伺つて参りましよう。先般佐々木委員からお尋ねをして、書面で御提出になることになつていたダイヤ買上げの数量、保管していた状況、これを交易営団でどういう方法でどういう報告証人にしていたかという事項について御調査になりましたかどうか。
  72. 橋井真

    橋井証人 たしか二つお尋ねがあつたのです。機械局関係者名前と、それから営団報告数量、この二つであつたと思います。関係者名前は省略いたしまして、数量のことを申し上げます。  終戦後商工省に対して交易営団並びに中央物資活用協会から報告されました買上げ数量というものを、その後調査いたしまして、承知いたしました。その数量は十五万三千五百五十九カラット余であります。  それから、保管状況でありますが、交易営団の保管分は、終戦後よそに移されるまでの間、すなわち日本銀行の地下室の金庫と申しておりますが、それまでは三井倉庫のうちの金庫に保管されておるように当時から承知しております。それから、この間の委員会後に承知したのでありますが、中央物資活用協会の分は、東京の田町三丁目の中央物資活用協会の倉庫において戦災にあつたそうであります。これは最近聞いたのであります。  それから、報告の形式とか方法については、はつきりした記憶はございません。この間もお尋ねがありまして、実はいろいろたどつてみたのでありますが、現在はつきり記憶がございません。
  73. 中野四郎

    中野(四)委員 そこで、ちよつと今伺いたいのですが、中央物資活用協会の田町三丁目の倉庫で戦災にあつたというのは、その内容はどういう品物でしようか。
  74. 橋井真

    橋井証人 この買い上げたダイヤが戦災にあつたというのは、率直に言いますと、うわさ話程度で、いろいろ尋ねた結果最近聞いたのであります。
  75. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつとそこが解せないのですが、中央物資活用協会買上げダイヤが田町三丁目の倉庫で焼けたということは、どういうところから入手になりましたか。
  76. 橋井真

    橋井証人 いろいろお尋ねがありまして、できるだけお返事したいと思うものですから、通産省関係で知つておる人から、こういうことだといううわさ話を聞きましたので、できるだけ申し上げるのがいいと思うので申し上げました。
  77. 中野四郎

    中野(四)委員 今の買上げ数量の数字はどこで御入手になりましたか。
  78. 橋井真

    橋井証人 同様の方法であります。
  79. 中野四郎

    中野(四)委員 橋井さんに出せるのだから、結局通産省には買上げ数量というものはある程度まであるわけですね。いかがです。
  80. 橋井真

    橋井証人 現在の通産省当局に正式に言いまして取るということは、非常に困難なので、通産省関係しておつた人をたどつたのでありまして、知つていそうな人から聞いたのであります。
  81. 中野四郎

    中野(四)委員 その知つていそうな人というのはだれでございましよう。
  82. 橋井真

    橋井証人 私はもう一人中に人を立てて聞いておりますので、その人に一ぺん聞きまして申し上げます。
  83. 中野四郎

    中野(四)委員 大事な問題なんです。今度のダイヤモンド貴金属は、終戦当時の官僚、軍人、その後における貴金属商、営団、中物というような、そこに、一貫して流れる一つの共通の目標のもとに動いておる傾向があるのです。私らが調査すればするほど出て来るのです。私らは、いずれの機会にかそのことを明らかにしますけれども、どうも納得のできぬのは、通産省の係の人が言つたように、田町三丁目の中央物資活用協会ダイヤが焼けたなんということは、断じてあり得ないと思うのだが、そのことがあると聞いてびつくりしたのです。ダイヤは焼けてもすつかり紛末になりませんから、焼けダイヤで、たしかあるはずであります。しかも、中央物資活用協会は田町三丁目の倉庫に入れておるなんという事実は全然ないのです。これはまつたく私らとしては納得のできぬ問題でありまするが、しかしながら、これはあなたがお聞きになつたことでありまして、あなたの御証言によつて出たことで、これ以上あなたに言うわけではありませんが、特に私らが納得できないのは今の買上げ数量等で、佐々木委員からあなたに質問しましたのは、当然当時の機械局長としての責任上これを求めたものであります。ところが、どういうわけか、役所は、かんじんなところに行くと、その人たちが死んだとか、行方不明だ、あるいは書類焼失というように言葉に隠れて、一切が抹殺されるおそれがある。これは国家のためにまことに悪いことだと私は思う。役所というものは、その人一人がやつておるのではありませんので、多数の書類も残り、いろいろ関連したものがあるはずでありますから、各方面に誠意をもつて聞き、その結果をよりいい方に持つて行くことが、お互い日本国民として大事なことだと私は思うのであります。こういう観点から、通産省に再三再四私の方から書類を求めておるのですが、通産省の方では、焼けたと称して、どうしても出て来ない。しかしながら、先日来私の方で証人を喚問していろいろ調べますと、あなたの数字とはちよつと食い違つておりますけれども通産省から各方面に出ている。あなたのところにも知合いが確かにある。他の方にも知合いがある。通産省にはダイヤ買上げ等について相当知識を持つておる人がなければならぬはずであります。だれであるかということは、御迷惑とか云々ということではない。だから、そんなことは御心配なく、むしろこの結果をよりいい方に持つて行こうという考え方から、一体どういう人からあなたが数量や数字を入手されたか、—中に入つておる人はどなたでしようか。その中に入つておる人を伺えば、その人を呼べば簡単にわかるでしよう。
  84. 橋井真

    橋井証人 余分なことを申し上げますが行方不明の人が出たり、死んだ人が出たからといつて、まじめにやつてつた仕事をごまかす気持ちはございません。これは最初にはつきり了解していただきたいと思います。私は、国家名前において議会が国民のためにお調べくださることについては、喜んでお助けしたい。これは私どもの光栄である義務であります。ですから、いろいろな人に尋ねました。そして、その人たちから得た数字を、これは信頼すべきものだと思いますから申し上げたのであります。また、そのルートは、怪しげなことはいたしておりませんから、申し上げます。ただ、私の秘書が来ておりますので、相談してから、もう少しはつきりと申し上げます。—では、数字の出所を申し上げます。現在通産省の技官をいたしております坂部君から出た数字であります。この人の持つておりますのは、公文書ではございません。個人的なメモもしくは書類の写しと称するものである。しかし、信頼すべき数字であると思いますので、申し上げたのであります。
  85. 中野四郎

    中野(四)委員 先ほどお話があつたように、お互いに国家のために国会調査することがいいことだという御理解の上に御答弁を願えることは、たいへんいいことだと思うのです。  そこで、重大な問題を伺いたいのですが、軍需省交易営団に対してダイヤ買上げをさした法律関係について、三つの点について証人の当時の考え方をお聞きしたい。  第一に、これは軍需省命令であつたのかどうかということです。命令で一方的にやらしたとすれば、これには法令の根拠がいると思うが、どういうふうになつておりますか、この点が伺いたい。  それから第二に、軍需省営団との間の公法上の契約のよつたと思うか、これにも法令の根拠を要すると思うが、どういうふうにしておつたか。  第三点、軍需省営団との間の私法上の契約であつたと思わないのか、私法上の契約であつたとすれば、民法の委任契約に該当すると考えないかどうか。  この点をまず伺いたい。先ほど最初に申し上げた、所有権の所属に関する重要な法的根拠を明らかにするために伺つているわけであります。
  86. 橋井真

    橋井証人 買上げ当時の私の地位については、たびたび申し上げた通りでありまして、秘書課長で、直接にタッチしておりませんでした。ただ、私がこうであつたろうと思うところでよければ、申し上げたいと思います。
  87. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつと待つてください。証人は二十年の四月に御就任になつていらつしやるので、まだ買上げ処理がついていないのです。当然このダイヤモンドについてはあなたは関係、関与しておられる。いわんや、あなたは武内君と御相談になつて、これは終戦のときですが、とにかくあなたは関与しておられる。従つて、当然前機械局長からあなたは引継いでおられるはずです。あなただけが単独におなりになつたのではないのだから、系統的にこの役所にはダイヤモンドに対するところの法的根拠というものが明らかになつていなければならない。それが、大蔵省なんかではひどいのです。聞いてみますと、接收とか接收解除に関する公法上の解釈というものを全然持つていない。そうして、かつてに立案計画をして、国家のものをかつてに一方的に処分してしまう。それがばれて、国会とつちめられると、悪うござんした、もういたしませんというようなことで、どろぼうが警察にひつぱられて、いよいよ裁判所に送られるというときになつてから、あわてて、とつたものを返しますから、どうぞ勘弁してくださいと言うのと同じようなことを言つている。あなたは、機械局長として、当然これの法的根拠を知らなければならない。当時関係していないからというりくつでは筋が通らないのです。あなたが当然、前機械局長から引継いでこのダイヤ処理に関するところの大きな地位においでになつたのでありますから、この三つの点については証言をされる責任があるのです。当時のことを知らぬからというて、言を右左にされては、私は納得できませんから、それだけお断りしておきます。
  88. 橋井真

    橋井証人 知らないからといつて、とおつしやいますが、できるだけ努力をして、知つていることを申し上げます。ただ、知らないことをいいかげんにこしらえて御満足の行くように御返事すべきではないと私は思いますので、知つている範囲で申し上げますので、お許しを願いたいと思います。  軍需省命令したかどうかということは、私は存じません。ただ、こういう場合には普通話合いで行くことでありますので、多分私は、命令ではなくて話合いで、すなわち営団買つてほしいということを言つて、たとえば必要な費用、人件費なんかは補助してもいいと言つたかもしれないと思うが、そういうような形で、いわゆる勧奨という形でやつたのではないかと、第一点は思います。  それから第二点に、これは公法上の契約であつたかどうかという問題でありますけれども、私はそういうような契約ではなくて、むしろ、軍需省でこういうようにきめたらば営団はそういうふうにやれというような指導関係にあつたの、ではないかと、こういうふうに考えます。  それから、従いまして、私法上の契約、民法上の委任契約というようなものではないと思いますけれども、形はやはり営団にそういうようなことをさせて、しかし実際上はそのダイヤを国の必要な方に流させるのでありますから、ある種の国の仕事営団が委任を受けて、自分の責任、もしくは国の命令であれば国の命令のあるやつの仕事をした、—委任に類するような形であつたのじやないかと思う。ただ、こういうものは、実際上は非常に微妙なものでありまして、具体的に法律上の解釈をはつきりきめろとおつしやいましても、私にはできないのであります。
  89. 中野四郎

    中野(四)委員 営団軍需省関係については、あなたの見解は、指導関係にあつたと言われるから、以上私がお問いした三つの方法の中には該当しないようですが、軍需省営団との法律関係は、どういうことと考えておられるか。一体営団の監督を軍需省ではしたのかどうか、こういう点が伺いたいのです。
  90. 橋井真

    橋井証人 それぞれの行政部門において営団を監督をいたしております。基本的には総動員局長であつたろうと私は思いますけれども、しかし個々の物資については各物資局が指導監督をいたしております。
  91. 中野四郎

    中野(四)委員 すると、橋井さんの営団に対する大体の感覚は、国家代行機関だという考えを持つておいでになるのが先決ですね、結論は。
  92. 橋井真

    橋井証人 そうであります。
  93. 中野四郎

    中野(四)委員 従つて営団をしてやらしめるということは、国家代行機関であるから、国家仕事をやらせるには、もうむずかしいことを言わなくても、それに対するところの指導あるいは監督を厳重にしておけばよろしい、執行時におけるところの監督指導をすればよろしいという考え方で、公法上の契約とか私法上の契約というものはない、こういうわけでございますな。
  94. 橋井真

    橋井証人 営団に全体的な命令というものがあるいは出ておつたかと思います。はつきりいたしませんが、普通ですと、めいめいの仕事の主要な状況とか、いわゆる運営状況とかいうものは、許可を得るとか、ないしは報告しろとか、全体的なものが出ておつたかもしれません。とにかく、全体の関係というものは、戦争をやるために営団は動いておつたのでありまして、営団仕事というものは非常に国家的色彩が強い、ほとんど国家の意思通りのものだつた、こう考えていいと思います。
  95. 中野四郎

    中野(四)委員 ちよつと重ねて伺つておきたいのですが、私ども橋井さんを率直な方のように思うのだけれども、この問題では、あまり深入りをすることを恐れているのじやないかという傾向が見えるのです。だから、あなたが先ほどおつしやつた、お互いに国のためになるならば非常に光栄あるところの一つのあり方だと言つておられるならば、私は、この際もう少し率直にあなたの気持を述べてもらいたいと思う点があるのです。たとえば、橋井さんは先日の証言で、買上げダイヤ営団の所有であるというふうに第一番におつしやつたのです。そこで、委員長からあなたに対して、どうして営団のものと思うかという反問があつたことは、御承知通りです。その後あなたの御答弁は、国家のものとも英団のものともここで判定することは不可能であるというような言葉を使つておられる。これがまず疑問の第一点。それから、あなたと、いわゆる軍需省営団との関係について、今日はやや明らかになつて参りましたが、この前のときの感覚というものは大分違う。むしろ私は、あなたの今日の証言を聞いておつても、何か営団のものであるのか国家のものであるのかという点をすつきりしてやられない、微妙だという言葉を使つておられるが、あなたが中間におられる第三者であるならば、今日の東京計器の社長さんであるあなたならば、そういう言葉はつけますけれども、当時買上げの衝に当つた、たとい自分が直接お買いにならなくとも、後継局長としてあなたがその衝に当つておられる限りは、この物件はどこのものであるということを断言できぬわけはないと思う。国家の必要として、国民から法律をもつて買上げを実行をいたした。従つて、当然国家のものだということは言えるのですが、どういうものだか、そこのところが私にはわかりません。あなたが、微妙であるとか、あるいは、いわゆる交易営団のものだか何だかわからないというような言葉を使われる点については、橋井さんの心情を私らはそぞろ疑わざるを得ないのであります。あなたは、何かごの問題に深入りしたくない、触れたくないという考え方を持つておいでになるようですが、私はあまりあなたにしつこいことを申し上げるのはいやなことなんですけれども、この点に関してはもう少し、機械局長を勤められ、しかもあなたは官歴、職歴から見れば、相当その道で、いわゆるなかなかの方なんですから、もつと率直に意見を述べていただきたいと思う点があるのです。たとえば、あなたが当時の買上要綱によつて処置をとつて行かなければならぬということになれば、その後におけるところの考え方というようなものはもうきまつておるわけなんです。何だかわからぬということは、私は納得できません。もう少し率直に橋井さんに意見を述べてもらいたいと思うのです。一体だれのものなんでしよう、こういうダイヤとか貴金属というものは。軍需省機械局長としてのあなたという気持でひとつ述べていただきたい。
  96. 橋井真

    橋井証人 私は、お尋ねのあることをできるだけはつきり申し上げるつもりでありまして、深入りするとかしないとかいうような、自分自身の都合の考え方を持つておりません。これをはつきり申し上げます。非常に私にとつて判定のむずかしいところは、私自身は、たびたび申し上げる通り軍需省営団も、どつちも国家であつて、同じだと思つてつたのです。ですから、どつちか区別しろと言われても非常に困る。これはほんとうのことであります。何か営団の構成の上で国家と他人のところがあるというのでありますと、別であります。また、事実多少あつたかもしれませんが、しかし、私ども自身のやつておりましたところの考え方は、営団というものは、こういう目的のために、—あるいは官民合同というような言葉をそのとき使つたかもしれませんけれども国家のためにできた機関である、ですから、営団の持つておる物は、国家のためにあるのだから、国で、物を持つことをお願いしてもいいし、出すことをお願いしてもいいし、他人ではない、こう考えておるのであります。
  97. 中野四郎

    中野(四)委員 だんだん筋は明らかになつて来て、お聞きすれば、大体国のものだという見解にとれるのです。結局、営団と国との関係は、代行機関としての交易営団というものが民間団体でないという見解からお扱いになつたというふうにとれて参りますが、そこで私は重ねて伺つておきたいのです。これは私の方で調べたのですが、あなたは大分民法上のことについてはいろいろ苦労しておられる。東京計器なんかの内容を見ると、なかなかあなたも御研究を積んでおることと思うのです。そこで伺いたいのですが、私の方では、民法学者の権威である東大の我妻教授にあの要綱を見せて、そしてこの買上げダイヤ営団の所有だなどと言つていることについて意見を伺つたのです。我妻教授は、もつてのほかだと言うのです。これは民法の委任契約の条項によつて解釈すべきものであつて、政府の委任によつて売買という法律行為を行つたのであつて、これは、政府の名によつてやる場合と、受任着たる営団の名によつて売買行為をやる場合と、両方ある、営団が借金をしても、実は政府が借金をしたのと同様で、後にこれが弁済方法も指示しておるのですから、従つて、形式は営団が借金をして営団の名で買い上げはしたけれども、実体は政府が借金をして政府が買い上げたのであつて従つて、その所有権は政府にあるべきであるとの意見であります。これが我妻教授が述べておる意見であります。それから、近い将来にこの委員会に参考人として、公法上のいわゆる権威者、あるいはそういう方面の専門家においでを願つて意見を聞きまするが、大体われわれが今日まで当たりました七、八名の方の意見は、我妻教授と軌を一にいたします。そこで私は橋井証人に伺うのです。あなたは、法律は専門にやられており、しかも当時最高責任の地位にあられたのであるから、この我妻教授の意見に対してはどういうふうにお考えになりまするか、一点伺いたい。
  98. 橋井真

    橋井証人 我妻先生のような権威者がそういうように解釈なさるのであれば、あるいはそうであるかと思います。ただ、私自身の持つてつた考え方等は、先刻来申し上げた通りでありまして、法律的な結論を私がおこがましくつけるだけの勇気は持つておりません。ただ、私の考えておりましたことは、先刻来たびたび申し上げたような考え方であります。
  99. 中野四郎

    中野(四)委員 さらに一点伺いたいのですが、現在大蔵省が、接收解除を受けてから、ダイヤをば日銀へ保管させております。あれは私ちよつと納得が行かないのです。貴金属特別会計法によれば、金、白金は当然大蔵省で保管してよろしいのです。ところが、どういうものですか、本来から言えば通産省の方ヘダイヤの方はまわるべきにかかわらず、どうも大蔵省はこれをつかまえて離さない。その間ダイヤの払下げ等について、まだ占領軍が保管している間に行われましたいろいろの経緯もありますが、ちよつと私は納得行かないのですけれども、これはどこですか。本来から言えば通産省に行くべきものである。軍需省所管のものであつたのでありますから、当然通産省に行くべきものであつたと思いますが、証人はどうお考えですか。
  100. 橋井真

    橋井証人 軍需省は、昭和二十年八月末になくなりまして、商工省ができ、その後通産省になつております。商工省の所管事項は、商工省ができたときにきまつておりました。それが通産省にかわつておりますので、元来、戦争を目的としてつくられた、非常に広い範囲の権限を持つていた軍需省の権限をそのまま商工省に移管した、こういうふうには解釈しにくいだろうと思います。私は、大蔵省が持つべきか商工省が持つべきものであるか、はつきりした自分としての見解は持ちませんけれども、大蔵省は多分これは国有財産というような観念で持つてつたか、ないしは大蔵省が国有財産の一部であるとして、たとえてみると、交易営団なんか非常に出資その他の関係関係が深いので、そういうような関係を通じての意味で持つてつたのか、そんなようなことではないかと思います。ただちに商工省が保管すべきものであるというような解釈にはならぬというような気がいたします。
  101. 中野四郎

    中野(四)委員 証人在職中、買上げダイヤの工具加工要綱を定めて、初めて工具加工の指令を出しておられます。そうしてこれが製品の配給を命じておつたのであるけれども終戦となつて証人部下である武内課長、これがダイヤの保管方をそれぞれ関係者と協議をしておる事実があるのです。ゆえに、この事務終戦と同時に終つたのではないのであつて、依然としてこの軍需省ダイヤを保管して、従つて接収されまたこれを解除され、解除後の保管並びにこれが処置は、すべて軍需省、続いて現通産省に移つて行かなければならぬと私は考える。今の証人証言は、ちよつとどういうふうですか、私はわかりませんがね。いわゆるあなたの方でやつておいでになる仕事と、それからあなたのおつしやることと食い違いがあるが、どういうわけでしようか。
  102. 橋井真

    橋井証人 私の申し上げましたのは、軍需省仕事であつたから、そのまま当然商工省に移管されたものというふうには考えにくいということを申し上げたのであります。それから、私は、商工省になりましたときに商工参事官となり、また終戦連絡事務の方に移りましたので、その後のことは存じませんけれども終戦後それまでの間は、軍需省でこのダイヤは所管しておつたと考えております。
  103. 中野四郎

    中野(四)委員 大蔵省に移すとすれば、普通財産として保管転換の手続をとらねばならぬと思いますが、証人はどういうふうに考えられますか。
  104. 橋井真

    橋井証人 当然あつてしかるべしと思います。
  105. 中野四郎

    中野(四)委員 私は最後にもう一点伺つておきますが、私の先ほどの伺いようが悪かつたかもしれませんけれども、あなたが結戦連絡事務局長あるいは副部長当時、陸軍、海軍あるいは大蔵省、当時の軍需省、こういう方面を通じて、ダイヤ貴金属等に関するいろいろな関係をされたことは絶対にありませんか。
  106. 橋井真

    橋井証人 陸軍関係は第一復員局であります。海軍関係は第二復員局であります。そういうものがありまして、主たる事務はそこでやつたと思います。復員というのは非常に範囲が広うございます。これは財産についてもやつたのじやないかと思いますが、とにかく私は、終戦連絡の仕事をやつておりました場合に、陸海軍ダイヤのことについて事務をいたした記憶は持つておりません。ただ一つダイヤにつきましては、私がまだ終戦連絡事務局におりましたときか、その後であるか、わかりませんが、宮内省お下渡しダイヤ所在を知らないかということを聞いて参つたことがあります。これは進駐軍関係の日本人だつたと思いますが、私は、それは存じないと答えました。ありましたことはそれだけであります。
  107. 中野四郎

    中野(四)委員 もう一点伺つておきたいのだが、あなたが直接関係されたことではないのですが、陸軍航空技術研究所で、金、白金あるいはダイヤモンド相当数を、どういうわけか軍の軍事課にまわして、軍事課員がこれを宮内省に一応保管をしたという事実があるのです。先日来、宮内省の金庫の中に入つた皇后陛下あるいは皇太后陛下のお下渡しダイヤモンド五個の行方が知れない。これは私は、宮内省の中の一部的な関係であると見ておつた。ところが、今日調査の総合的結果においては、終戦当時には宮内省に相当数の金、白金ダイヤモンドが運ばれたという事実がある。うわさというものは火のけのないところからは決して出ぬものでありまして、昨年の暮れ、日本銀行の地下室にあるダイヤモンドが四、五万円程度で払下げになるそうだという言葉が業者の仲間に出ておつた。どうも納得ができなかつた。ところが、先日ここへ阪田管財局長を呼んで聞きますと、それでつけたというのですから、四、五万円程度でつけたということが初めてわかつて、驚き入つているのです。そこで、終戦当時に宮内省の中から約二億万円の金が行方不明になつているということが伝えられている。どうも納得が行かない。どこにそんな金があるのかということが私らにはわからなかつた。ところが、今日はダイヤモンドだけしか調査をしておらぬのでありますが、陸軍、海軍あるいは外地の方から入つたものをだんだん糸をたぐつて参りますと、宮内省名前が出ることはまことにつらいことでありますけれども宮内省の中に相当数の金、白金ダイヤモンドがやはり一応保管された例がある。それからどこへ行つたかわかりません。これは今後の委員会の調査にまつよりしかたがありませんけれども、そういううわさは相当各方面に飛んでおつたわけであります。これについて、機械局長であつた橋井さんは、何かそういうことが陸軍、海軍で行われたというようなことを終戦時にお聞きになつたかどうか、これをひとつ伺つておきたい。
  108. 橋井真

    橋井証人 ただいまの件は初耳でございまして、全然聞いたこともございません。
  109. 中野四郎

    中野(四)委員 私の質問はこの程度にいたします。
  110. 内藤隆

    内藤委員長 それでは佐々木秀世君。
  111. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 本日私は遅れて参りまして、先般証人にお尋ねしておいたことにつきましては、中野委員あるいは委員長からお尋ねがあつたことと思います。それで、重複することを避けまして、一点か二点だけお伺いしておきたいと思います。  人の構成の問題で、もう少しはつきりしておきたいと思うのですが、ちようどあなたが機械局長をしていたとき、下で仕事をやつていた、あなたにいろいろ報告する人はだれだつたかということを言つたときに、若林課長であつたかどうかというようなことをちよつと漏らされたのですが、きようそれが武内課長であつたということがはつきりされたようです。あなたのもとにダイヤのことについて報告される者が二人あつたというような証言のようにこの前聞いておつたのですが、武内課長と、もう一人はどなたでしたか、それを承りたいと思います。
  112. 橋井真

    橋井証人 就任当時は、精密機械課長若林幸二君、そのあとで武内征平君がこの仕事をある部分つたことがある、こういうわけで、二人でございます。
  113. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのお二人は今どこにおられるか、おわかりですか。
  114. 橋井真

    橋井証人 若林君は、たしか佐世保船舶という会社の重役をいたしております。
  115. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 現在ですが。
  116. 橋井真

    橋井証人 はい。それから武内君は、保安庁の第一幕僚監部におります。
  117. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それから、先ほどあなたは十五万三千五百五十カラットという数字を坂部技官から聞かれたというのですが、坂部という技官は今通産省におられるのですか。通産省のどこにおられるのですか。
  118. 橋井真

    橋井証人 たしか通産省の重工業局ですかにおると思います。
  119. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 坂部技官という人は、当時はあなたの部下か何かでありましたか。それとも、全然関係なく、軍需省のどこかほかのところにおられた人ですか。
  120. 橋井真

    橋井証人 私の機械局長当時の部下であります。
  121. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうすると、当時の坂部技官並びに若林課長あるいは武内課長、そういう人たちが、大体このダイヤ買上げて来た数量を逐次報告を受けたり、受けたものをあなたに報告したり、あるいはそれを保管したりすることの一切をやつていたのではないですか。
  122. 橋井真

    橋井証人 実は、ダイヤ仕事をずつとやつておりましたのは平賀という技官であつたようであります。これは私が機械局就任した当時おりました。しかし、間もなく広島へ行きまして、原爆で死にました。坂部君は、その後平賀君の持つてつた資料か、その他の人が持つてつた資料をもらつたのではないかと思います。当初からの係官というふうには私は考えません。
  123. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 どうも私らはそこが解せないのです。いよいよ責任ある問題になつて来ると、死んだ人をひつぱつて来る。平賀という原爆で死んだこの人がやつていたと言う。役所は一人でそんなにいろいろやることはないのです。やはり、たとえば課長なり技官なりあるいは局長のあなたであるとか、そういう人たちが相談してやられることで、今なくなられた平賀君の名前を出されても、調べようがない。しからば、あなたが今考えて、平賀君がそういうことを一人でやつていたとお考えになるのですか。それとも、一々課長なり何なりに相談してやつたとお考えになるのか。ダイヤのことはおもに平賀君がやつていたということになれば、その平賀君からどういう形式かで報告を受けて、あなたも知つていたと考えるのですが、どうですか。
  124. 橋井真

    橋井証人 役所の仕事は、あなたもよく御存じの通り、ものの大小によつて、それぞれの地位の人が必要の程度承知しております。重要なことは全部書類に残してあります。私どもは、それを非常に信頼して仕事をやつておるのであります。非常に遺憾なことでありますが、終戦直後において、日本全国において書類を廃棄することをいたしました。それが、私ども現在ものをたぐるのに一番困る点なのであります。こまかいことを全部覚えていることは困難なことであります。これは、たとい平賀が生きておつても、書類がなければ困難だろうと思う。たまたま坂部君がそういう数字を持つているということを承知いたしまして、御要求がございましたので、これを差出したのであります。  それから、全体の考え方でありますが、八年の間に幾人かの人がなくなつております。これは遺憾なことでありますけれども、私どもは、それらの人がずるいことをしたり、隠したりしたことはないと思います。生きておれば、もつとはつきりしたろうと思いますし、また私どもも、自分らがそれぞれの分において負担した責任を、死んだ人の陰に隠れてごまかすというような気持は全然持つておりません。従いまして、御遠慮なくお尋ね願いたいと思います。
  125. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは、平賀君のことはそれくらいにしておきまして、十五万三千五百五十余カラットあつたということを、今坂部君が何かのメモか何かそういうものでわかつたというのですが、その数字をあなたが坂部君から聞いてきよう証言されたのですか。それとも、あなたが機械局長のときにこの数字はあなたのもとに一応報告があつたものかどうか。記憶をたどつてお答えを願いたいと思います。
  126. 橋井真

    橋井証人 右の数字は、終戦交易営団中央物資活用協会から商工省に買上げ数量として報告されたものがそうであるというふうに承知した数字であります。
  127. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 商工省に報告された数字であるかもしれませんが、あなたが機械局長であつた当時、あなたのもとに報告された数字とそれとは違うのですか。
  128. 橋井真

    橋井証人 たびたび申し上げますが、機械局長当時報告された数字の記憶がないのであります。
  129. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 われわれから見れば、これだけの大きな数字ですが、あなたの御証言を聞くと、小さいことは担当官でやつているというように私には聞えるのですが、この十五万という数字が一回坂部君から出て来れば、あなたも一回や二回は報告を受けているはずです。その報告を受けたということはあつたでしようが、ただ数字の記憶がないというのですが、十五万幾らという数字が、今これとにらみ合せて、ああそうだつたなというような記憶は全然浮んで来ませんか。それともすつかり消えてしまつたですか。
  130. 橋井真

    橋井証人 率直に申し上げまして、十万見当ぐらいしか覚えていないのです。ですから、その後どこかでふえたか、ないしは五万覚え違いですか、その程度記憶です。
  131. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 十万程度でも覚えていたということであれば、それでよろしいのですが、忘れたというものを、そうひつぱり出すのもどうかと思いますから、この程度にしておきますが、そうすると、あなたがおやめになるときに、その報告を受けた数字—十万か十五万かわかりませんが、その数字をどの方面に引継ぎをなされたのですか。それともそのままダイヤのことは何もタッチしないでおやめになられたのですか。
  132. 橋井真

    橋井証人 やめたときは、それぞれ事務全体として一括して次に引渡すのでありますから、私、引継ぎの書類にダイヤが何方カラットあるというように書いたようには覚えていません。問題になるところだけを書いて引継ぎましたから、それだけのものは当然次に引継いでおります。
  133. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 数字は覚えていなくても、引継ぎの中に入つているはずだと思います。これだけの大きな数字を知つていながら、あなたが退職したらもうあとはかまわないということでは無責任だと思います。そこで、引継ぎをやつた人は、どなたにあなたが引継がれましたか、それを承りたい。
  134. 橋井真

    橋井証人 私から事務全体の引継ぎを受けたのは豊田雅孝君であります。
  135. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それは当時何をやつていた人ですか。
  136. 橋井真

    橋井証人 私のあとで工務局長をやりました。
  137. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 豊田という人は、やはり今通産省におられますか。
  138. 橋井真

    橋井証人 商工中金の理事長をこの間までやつておりました。
  139. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その人にあなたが引継がれたわけですね。
  140. 橋井真

    橋井証人 仕事全体を引継ぎました。ただ、数字を書いて引継いだかどうかということは、これは問題ですが、仕事全体は引継ぎました。
  141. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 数字はどつちにしても、ダイヤのことについて引継ぎした覚えがありますか、どうですか。
  142. 橋井真

    橋井証人 商工省の工務局に属する仕事を引継いだのでありますから、ただダイヤの何がどうなつてという引継ぎ記憶はつきりございません。
  143. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私らとしては、ちよつと解せないのです。これだけの大きな数字のダイヤが—これだけ買い上げて、これを工具に使おうと思つたが使えなかつた、それでこれをどうするということが、引継ぎの一番大事なことだと私は思うのです。未解決のものをあとの人に引継ぐということが引継ぎの要諦だと思うのです。もう一度考えていただいて、ダイヤのことについて、豊田某という人に引継ぎを、書類か口頭か何かで引継いだ記憶は、全然浮んで参りませんか。
  144. 橋井真

    橋井証人 一ぺん豊田君に会つてみます。それで、どういう話だつたろうか思い出してくれと豊田君にも協力を頼みます。私自身は、豊田君に、ダイヤ何ぼをあなたに引継ぐということを言つた記憶はございません。
  145. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは大事なことでして、結局こういう問題は、ずつと糸をたぐつて見なければ、その真相がわからないのです。そうすると、あなたの前後を調べれば、だんだん糸がほぐれて来るので、豊田さんに、その当時のことを、どういうお話であつたかということだけはお聞き願つて、これはわざわざおいで願わなくても、書面でけつこうですから、ぜひ委員長のもとまで出してもらいたいと思います。  そこで、あなたは、おやめになつてから、商工省の参事官かあるいは終連の方にまわつたようですが、先ほど中野委員から、ダイヤのことに対してその後何かなかつたかというお尋ねがあつたようですが、あなたは一回宮内省関係お下渡しになつたダイヤのことを聞かれたが、あとは全然ないということですが、あとでダイヤを扱われた方々から、そのダイヤのことは一回も相談を受けたことはないのですか、これは大事なことですから、もう一回はつきりと伺いたい。
  146. 橋井真

    橋井証人 ダイヤをどうしようかとか、どうなつたかというような相談を受けたことは、私の記憶に全然ございません。
  147. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 田町の倉庫で焼けたというのは、いつごろお聞きになりましたか。
  148. 橋井真

    橋井証人 この間委員会に出ましたあとで、できるだけいろいろ聞いてまわつて、そういううわさを聞いたのであります。
  149. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 私は、もうお尋ねしないつもりでおつたのでありますが、きよう証人証言を承りますと、どうしてももう一ぺん伺つておきたいことがあるのです。それは、中野委員から、所有権がだれにあるか、営団のものか、あるいは国家のものか、また委任契約ではなかつたのかという質問がありましたのに対して、その当時軍需省機械局長をしておられた証人として、それは知らないというような御答弁つたと思います。しかし、ここにおいでになつて証言していただいて、証人もまたでき得る限り協力したいというお気持でおいでになつておるというお話でありまするから、こういう大事なポイントについては、必ず御承知でもあろうし、また知つておられなければ、あなたの職責が務まらなかつたのじやないかという点は、これは私間違いないと思うのであります。そこで、お伺いしたいのは、これは何べんもお尋ねしておるのですが、昭和十九年七月二十一日付のダイヤモンド買上実施要綱に基いて買い上げられたそのダイヤモンドが国のものかどうかということは、あなたの御判断か、あるいはその当時御相談なさつた下僚といいますか、あるいは機械局全般として、こういう問題について買上げをさせるのはどういう法律上の性質のものであるかということについて御相談があつたことと私は思うのであります。従つて、その御相談の結果は、これが民法上の委任契約になるのか、あるいは、これは別個の営団独自の取引というか、売買契約になるのかというようなことは、十分研究されたものだと私は確信するのであります。そこで、先ほど、この実施要綱には買上機関というような言葉が使つてあるが、それだけでは判定できないというようなお言葉がちよつとあつたと思いますけれども、全般にわたつて国が二億五千万円以上金を出しておる事実も、これははつきりわかつておるのでありますから、所有権の点について協議があつたのかなかつたのか、それから、さらに、委任契約であるから、そういう取扱いは軍需省あるいは国家営団あるいは中物に買上げを委任したというようなことであつたかということについて、十分に検討されておることをぜひお話を願いたいのであります。私は、ここへおいでになつて証人として知らないことをつくり上げておつしやつていただきたくはありませんが、証人としては、どうしても知つておられなければならない事柄であつたと同時に、その職責上これは御研究になつておることが当然だと思うから、ここであえてもう一ぺんお尋ねをいたし、将来この問題を取扱うについて、あなたの御意見を二度と伺わぬでもいいだけにはつきりさせておきたい。ここにもう一ぺん重ねるようでありますが、お尋ねをするわけであります。
  150. 橋井真

    橋井証人 重ねて御懇篤なるお尋ねでございます。ぜひはつきり申し上げたいと思うのであります。ただ、たびたび繰返して申し上げたところでございますけれども、この案が最初検討せられ、買上げの行われる手続、買上げ主体等が検討されましたのは、私が就任する約九箇月前のことであります。おそらく始まりましたのは一年以上前のことだつたろうと思うのであります。私が引受けをいたしましたのは、この交易営団にこれだけのダイヤモンドがある、それを工具に使つて戦力に資するのである、こういう状態において引継ぎを受けたのでありまして、当初交易営団と折衝いたしますとか、中でどういう法律関係を確定して行こうというような論議をいたしますとか、そういう場合には私は全然タッチしておらないのであります。私の営団に対する全体的の考え方、またそういう戦争のために集中しましたものについての、ものの考え方につきましては、たびたび申し上げた通りでありまして、それから御判定をいただきたいのであります。当時、これが民法上の委任であるとか、ないしはどうであるとかというような議論は、私は、おそらくいたさなかつたのではないか、大体の考え方で、これは営団に買わせるのである、—文字を見ますと、買上機関と書いてありまして何かの道具であるようなことに書いてあります。買上げ主体とは書いてありませんのでここら辺に微妙な解釈の基本があるのではないかという気持がいたします。明禮さんから重ねてのお言葉に対しまして、恐縮なんでありますが、私の存じておることは以上であります。
  151. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 しかし、証人は、機械局長におなりになる前には軍需大臣の秘書官をされておつた軍需省におられたわけであります。それから、二十年の三月二十二日ころでありましたか、あなたが機械局長に栄転されました時分には、おそらく就任と同時に、かかる大きなダイヤ買上げがあるということは、少くとも御承知になつたことでありましよう。そうすると、この要綱ができた時分はかりに関係しておらぬとおつしやいましても、機械局長に御就任の当時にはその議が起つたはずであります。というのは、今証人が述べられている通りダイヤが買い上げられておつて、これを工具に使うということを聞いておつたとおつしやることによつても、その工具に使うところのダイヤをどういうふうにして手に入れるかということが、ただちにぴんと来るわけでありましようが、あなたは、その工具を新たに金を投じて軍需省で買い取るという頭でそのとき御判断なさつたのでありましようか。そのときのあなたの御所感といいますか、あるいは研究なさいました当時のことをお話願いたい。
  152. 橋井真

    橋井証人 この前に申し上げたところでありますが、私の就任いたしましたときは、東京爆撃がすでに進行いたしておるときでありまして、日本の重要生産力が逐次破壊され、そのもとにおいていかにして最後の戦局に転回をはかり、いかにして必要な軍需品をつくり、特攻機をつくり、この国土の危急を救うかというために、こわれた戦力の復旧と、必要な新兵器の生産、それに全体のカを注いでおつたと言つていいのであります。その一部分に、と申すと済みませんけれども、このダイヤ使つて必要なものをつくるという問題はございました。けれども、非常に詳しい検討をする前に—実は私は、機械局長就任したときに約十八貫の体重がありました。戦争が終えたときには十五貫五百ぐらい。声が出なくなつて、からだがほとんど動かない。ほとんど夜寝ないで、実は電話が全国からかかつて来た関係もありますが、必要なことに精力を集中いたしました。これは、その当時私と一緒に働いておつた者の志はみな同じであります。戦争に負けて非常に相済みませんけれども、自分の職分においては、みな努力しております。そのもとにおいて、すべてのことを記憶しろと仰せられますし、すべてのことをはつきり解釈しておつたろうと仰せられますが、職分上非常に済みませんけれども、不行届きがあつたと思います。私には、これ以上の判定は困難であります。
  153. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 どうも、爆撃当時で、そういうところまで手が届かなかつたというようなお話で、まことにその点もあつたかと存じますが、何だかこの点については、証人のお気持として触れたくないようなお考えがありはしないかというように、いつも私伺つておるのであります。かくのごときそんたくをすることは、いけないのかもしれませんけれども、今ここで証人がこの問題を平たくお考えになつて国家のためにできるだけ寄与するという証人の先ほどのお気持からこれをお考えになつて、かような取引といいますか、かようなやり方があつて、現在ありますダイヤ買上げに対する法律上の立場を、今一体どう見るのがほんとうかということを承りたいのであります。
  154. 橋井真

    橋井証人 これは当時の事実の問題でありまして、ただいま新しくこういう状況をつくつて、仮定的にお返事申し上げることは困難かと思うのでございます。ただ、たびたび申し上げておりますけれども、このダイヤにいたしましても、また交易営団にいたしましても、国が戦いに負けないために—国のためにあつた組織であり、そのために全国民が供出されたものであり、それには国の組織も動き、国の経費も相当に使われておつたものである、こういうことから判定いたしまして、非常に国家的の色彩が強いものであるというところまでは、私は申し上げられると思います。それ以上法律的な最後の判定を下せとおつしやいますと、私には言い切れない、確信が持てないのであります。
  155. 明禮輝三郎

    ○明禮委員 しかたがありませんから、もう一つ……。物の所有権というものは、使用、収益、処分の全体がなければならぬ。そういつたものが、ほとんど独立して全部満点であつて、初めてほんとうの所有権はあるわけなのであります。この場合において、営団にかつてダイヤをほかのところへ処分する権利があるんだとお考えになりますか、いやそれはないんだとお考えになりますか、その点を承りたい。
  156. 橋井真

    橋井証人 私は、なかつたろうと思います。
  157. 中野四郎

    中野(四)委員 関連して伺つておきたい。先ほどの中央物資活用協会の田町三丁目の倉庫で戦災にあつたという話を、どなたからお聞きになつたか。
  158. 橋井真

    橋井証人 同じルートであります。
  159. 中野四郎

    中野(四)委員 坂部君ですか。
  160. 橋井真

    橋井証人 そうであります。
  161. 中野四郎

    中野(四)委員 坂部事務官は今何をやつておりますか。
  162. 橋井真

    橋井証人 技官でございます。今産業機械課におります。     —————————————
  163. 中野四郎

    中野(四)委員 この際、委員会に諮つていただいてもよし、理事会できめていただいてもけつこうですが、私が先日来調査をしております。過程において、この坂部君という技官を証人として喚問する必要が生じて参りました。特に通産次官はどうしても証人として喚問しなければならぬと思います。この点は御考慮願つて、後日理事会の際にお諮り願い、証人として喚問し、尋問することに御決定を願いたいと思います。
  164. 内藤隆

    内藤委員長 中野委員のおつしやるのは玉置通産次官と坂部技官の両氏ですね。—理事会にお諮りいたしまして決定したいと思います。     —————————————
  165. 内藤隆

    内藤委員長 他に御発言がなければ、橋井証人に対する尋問はこれにて終了いたしました。証人には長時間御苦労さまでありました。  午後は一時半より再開いたします。閉鎖機関交易営団清算人黒瀬勘一君より証言を求めることにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた