○堤(ツ)
委員 この
法律案が
提出されますまでには、皆様御存じの通り、生きておられるところの旧軍人、傷痍者それから遺族との間に、やはり私たちの目から見ても、いかがかと思われるような争いが、
政府を囲んであつたことは事実でございまして、私は今後の運営をはなはだ心配するものでございます。従
つて、ここで特に
政府に申し上げておきたいのは、大蔵省は
国有財産を法人だとかあらゆる機関に払い下げるということは、なかなかなさいません。これは簡単に旧軍人会館だけを対象にして、
財団法人日本遺族会に対する
国有財産の無
償貸付に関する
法律案とうた
つてありますけれ
ども、終戦後解散を命ぜられまして、その団体の所有物が国に没収されてしまつた、その
内容をよく検討してみますと、国が当然やるべきところの義務教育を、その機関において、父兄が自分たちの私財を投じて代行しておるところであるとか、極端に申しますれば、民間の
社会福祉事業、それも日本人がや
つておるのならまだましでございますけれ
ども、日本の士となる覚悟をして、日本の
国有財産の中で、私財を投じて一生懸命にやつた人が、解散団体の対象と
なつたがゆえに没収されてしまつた。そうして今度
国有財産として大蔵省の手にもど
つても、こういう軍人会館のようにうまくは行かない。だれの目から見ても、無償で貸付するか、譲渡してもよい、むしろ損害賠償してもいいというようなものが、逆に税金をとられたり、国に借り賃をとられておる病院などがたくさんある。だから遺族会などを対象としてこういう
法律がつくられることは、遺族のためには特典であります。その特典が事志に反して、生きておる旧軍人並びに遺族、傷痍軍人の争いの巣窟にな
つてはつまらない、かように存ずるのであります。遺族会あたりの内部の運営を見ておりましても私は遺族会の顧問でございますけれ
ども決して感心いたしません。たとえば大臣以下はどう
考えておいでになるか知りませんけれ
ども、去年独立いたしました直後に新宿御苑で英霊の追悼会をやりました。そのときに全国から集ま
つて来たところの遺族代表を各
都道府県ごとに見てごらんなさい。遺族会のボスともいうべき人々が遺児や未亡人や年寄りの母をさしおいて、しよつちう遺族の運動で東京に出て来る人たちががんば
つて、真の追悼会とならなかつたということを私は現実に見たのでございます。そうすれば、この軍人会館の使用にいたしましても、生きておられるところの実力を持つた軍人であるとかその他によ
つて、真に守らなければならない遺児とか未亡人とか年寄りなどの、英霊を中心としたところの行事にあらずして、そういう美名のもとに違つた
目的にこれが使われるということになるならば、ゆゆしき問題である。従
つて私はあくまでもこの
法律が出されるならば、公正妥当な運営に関する
委員会を設置して、これが監視指揮のもとになされるのでなければ、断じてこの
法案には賛成できないという態度をわが党はと
つておるのであります。この
委員会の諸公はどうお
考えになるか知りませんけれ
ども、私は遺族会の幹部全体の悪口を言うのではありませんが、一部にそうしたことがあるということを過去において見せつけられておりますから、私はそうしたボスともいわれる人たちの食いものにしてはならないと思うのでありまして、
厚生大臣、法務大臣がおいでになりましたならばよく御相談いたしまして、運営に関する監査、
監督、指揮機関を必ず設けるということがこの条文の中にうたわれなければならないと存じます。私まだよく見ておりませんけれ
ども、たしかうたわれておらないと思いますが、それについてしかとした御所見を承りたいと思います。