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1953-02-24 第15回国会 衆議院 厚生委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十四日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 平野 三郎君    理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君    理事 山下 春江君 理事 堤 ツルヨ君    理事 長谷川 保君       新井 京太君    新井 堯爾君       勝俣  稔君    日高 忠男君       平澤 長吉君    吉江 勝保君       亘  四郎君    高橋 禎一君       鈴木 義男君    島上善五郎君       只野直三郎君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 山縣 勝見君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正己君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  山本 正淑君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 二月二十一日  委員小山長規辞任につき、その補欠として永  山忠則君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十一日  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第八六号)  民生委員法の一部を改正する法律案内閣提出  第八七号) 同月二十日  結核患者身体障害者福祉法適用請願熊谷  憲一紹介)(第二二九四号)  国立療養所における給食費増額請願熊谷憲  一君紹介)(第二二九五号)  戦傷病者及び軍属に対する国家補償確立に関す  る請願赤松勇紹介)(第二二九六号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正に関す  る請願外一件(柳田秀一紹介)(第二二九七  号)  生活保護法の一部改正に関する請願吉江勝保  君紹介)(第二三三六号)  生活保護法改正等に関する請願鈴木茂三郎  君紹介)(第二三三七号)  理容師美容師法の一部改正反対に関する請願(  倉石忠雄紹介)(第二三三八号)  同(船田中君紹介)(第二三三九号)  アフター・ケア施設設置に関する請願鈴木茂  三郎紹介)(第二三四〇号)  健康保険療養給付期間延長に関する請願鈴木  茂三郎紹介)(第二三四一号)  結核患者身体障害者福祉法適用等請願(長  谷川保紹介)(第二三四二号) 同月二十一日  国立療養所における附添手当増額請願松野  頼三君紹介)(第二四五五号)  国立療養所における義肢義歯製作費予算計上  に関する請願松野頼三君紹介)(第二四五六  号)  国立療養所における医療施設整備費継続請願  (松野頼三君紹介)(第二四五七号)  生活保護法による生活扶助料引上げに関する請  願(熊谷憲一紹介)(第二四五八号)  国立療養所における給食費増額請願鈴木義  男君紹介)(第二四五九号)  同(松野頼三君紹介)(第二四六〇号)  慰安謝金増額に関する請願松野頼三君紹介)  (第二四六一号)  国立らい療養所職員増員並びに待遇改善に関  する請願松野頼三君紹介)(第二四六二号)  国立療養所における文化教養費予算計上に関  する請願松野頼三君紹介)(第二四六三号)  国立らい研究所設置に関する請願松野頼三君  紹介)(第二四六四号)  医療券打切り反対に関する請願鈴木義男君紹  介)(第二四六五号)  国立病院療養所看護婦増員に関する請願(  鈴木義男紹介)(第二四六六号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十三日  戦傷病者戦没者遺族等援護法改正等に関する  陳情書(第一四  四一号)  理容師美容師法実施に関する陳情書  (第一四四二号)  医薬品配置販売業登録等に関する陳情書  (第一四四三号)  乙種看護婦養成所存置に関する陳情書  (第一四四  四号)  岡山県に国立アフター・ケアー施設設置に関す  る陳情書(第一四四五  号)  西大寺保健所庁舎新築に関する陳情書  (第一四四六  号)  清掃事業施設整備に要する財源措置に関する陳  情書(第一四四七号)  同(第一四四八号)  同(第一四四九号)  同(第一四五〇号)  清掃事業施設整備に要する財源措置に関する陳  情書(第一四五一号)  同(第一四五二号)  町村の清掃事業施設費財源確保に関する陳情書  (第一四五  三号)  同(第一  四五四号)  同(第一四  五五号)  同(第一四  五六号)  富士箱根国立公園施設整備に関する陳情書  (第一四  五七号)  高野山、龍神温泉地帯国立公園指定に関する  陳情書  (第一四五八号)  雲仙国立公園内硫化鉄採掘権に関する陳情書  (  第一四五九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長補欠選任  国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正  する法律案内閣提出第五四号)  生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号)  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第八六号)  民生委員法の一部を改正する法律案内閣提出  第八七号)     ―――――――――――――
  2. 平野三郎

    平野委員長 これより会議を開きます。  まず小委員及び小委員長補欠選任の件についてお諮りいたします。去る二月二十日永山忠則君が委員辞任されたのに伴いまして国民健康保険に関する小委員会同和事業対策に関する小委員会及び戦争犠牲者補償に関する小委員会において、それぞれ欠員を生じましたので、その補欠選任を行いたいと存じますが、同君は二月二十一日再び当委員に選任されておられますので同君を再び辞任前についておられた三つの小委員補欠選任し、あわせて同君辞任前についておられた国民健康保険に関する小委員長及び同和事業対策に関する小委員長の職にも補欠選任することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
  4. 平野三郎

    平野委員長 次に国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案議題とし、前回に引続き質疑を続行いたします。日高忠男君。
  5. 日高忠男

    日高委員 国民保険の一点単価について当局に御質問やらお願いを申し上げたいと思います。国民保険の一点単価は、大体健康保険単価に準ずるということになつておりまして、準ずるというのは、ひとしい、イコールでないというように考えますが、ただ準ずるだけでひとしいのか、あるいは同額でなくてもいいのか、その点の解釈が非常にまちまちになつおります。この国民保険単価というものは、単に国民保険ばかりでなく、これに関連して生活保護法単価並びに結核公費負担の面も、やはり国民保険に準ずるということになつておりますと、単価健康保険それから国民保険、また結核予防法公費負担、それから生活保護診療費と、いろいろまちまちになりまして、取扱いに非常に煩雑をきわめますので。今回医療費の大体一割五分が国庫において負担せられるということがきまりますならば、この際そういうものを統一する意味におきまして、国民保険単価健康保険同額であるということを、法律はつきりとうたつてもらいたいと思うのでございますが、その点に関する当局の御意向をお伺いしたいと思います。
  6. 久下勝次

    久下政府委員 お答え申し上げます。国民健康保険診療報酬の額につきましては、法律に基きますと、厚生大臣標準額を定めまして、これを基礎として各保険者が額を定め、都道府県知事の認可を受けるという制度になつておるのでございます。従来の取扱いを申し上げますと、厚生省におきましては、国民保険実情から考えまして、それぞれ、各保険者ごと事情の異なることもありますので、ただいまの取扱いとしては、その法律そのままで全国一律の基準を定めるということでなしに、多少ゆとりのある取扱いをいたしておるのでございます。具体的に申し上げますると、厚生次官通牒をもちまして、国民健康保険診療報酬基準は、その一点単価について健康保険基準によるべきものであるということを原則としておりますけれども、しかしながら、多数の国民保険保険者におきましては、地方々々によりましてそれぞれ、従来の関連もあり、健康保険単価よりも安い単価で実際上契約をし、またその意味において医療担当者の御協力を得ておるような実情でありまするので、従来ともさような考え方で、できれば国民保険現状を考えて、一割程度割引をしていただくように、診療担当者交渉をするようにというような取扱いをいたしておるのでございます。ただいまのお話は、そういうような多少あいまいな点をはつきりしろというお話であろうかと思いまするが、何分にも五千有余の国民保険保険者、それぞれの従来の慣例等もございまして、これを一律に律することは、まだ今日の段階では適当ではないと考えておるものでございます。そこで昭和二十八年度から医療費に対する国庫補助が出ることになりましたので、その関係上一点単価健康保険並にもどしたらどうかというお話でございましたが、この点につきましても、もともと国民健康保険療養給付金に対する国庫補助が出ることになりましたのは、国民保険財政が窮迫いたしておりまして、これを何とかいたさなければならないというのがこの補助実現を見ました理由でございまするし、またこれを推進されました各方面の一致した御意向であつたと理解をいたしておるのでございます。そういう意味合いにおきまして、現状のような各保険者まちくの単価ではありますが、とにかく診療報酬現状をもつてしてなお相当の赤字が出て参りますので、そのためにやむを得ず今度の療養給付国庫補助というものを実現したという解釈をいたします以上私どもとしては、単価の問題につきましては、できるならば従来のような取扱い診療担当者の御協力を得るようにということを願つておるものでございます。しかしながら過去一年間の、ことに単価値上りに伴います各地方交渉実情を見ておりますると、中には相当な無理をいたしておる向きもあるようでございます。さような点につきましては、なおまた保険者診療担当者との間であらためてお話合い願つて、御趣旨に沿うよう——結局におきまして御趣旨に沿うような結果になることも適当であろうと思いまするけれども建前といたしましては、診療報酬単価に関する方針は、私どもの気持を率直に申し上げますと、診療担当者各位の御協力を得まして、御同情と御理解とによりまして、できるだけ従前のしきたりを続けて行つていただいて、ひとつこの際国民健康保険の文字通り安定した再建ができるように御協力を願えれば、こういうことを考えておるのでございます。
  7. 日高忠男

    日高委員 これまで地方医師会におきましても、厚生省の御意向がそういうように医師会協力によつて国民保険を運営するという方針であつたのでそれに応じて来たわけでございますか、しろうとが考えましても単価が違う、十一円五十銭と十円五十銭でやつた場合には、医療関係者でない者が考えました場合には、内容が低下しておらぬかということを第一に憂えはせぬかと思うのでございます。そういうことを今日までは医師会協力によつて社会保険は同じ内容でやつて来たのでございまするけれども、しかし当局としては、ただ医師会協力によつて単価違つてつて内容は同じものができると考えておられますか、また国民保険は、普通の健康保険よりも内容は低下してもかまわぬという御意思でございますか、その点をはつきりさしていただきたいと思います。
  8. 久下勝次

    久下政府委員 私どもは、筋道の議論として、国民保険健康保険単価に違いがあつていいとは考えていないのであります。というのはまた、お話の中にありました診療内容が下つていいと考えているのではございません。ただ問題はそう簡単にりくつだけで割切れない事情もあると私どもは考えるのでありまして、また御協力のいかんによりましては——その辺のところは、従来から実際にやつていただいておりまするように、今お話の中にありましたように、診療報酬は安くてもかわらない医療をやつていただくような御協力願つている向きが相当多いと私どもは信じているのであります。この無理をいつまでも続けさせるつもりかとおつしやられますといろいろ議論はあろうと思いますがこの際初めて診療報酬療養給付に対する国庫補助が出ました場合に、これを、いろいろそういう特別な御協力によつて実現をしておりました事情を一挙に変改いたしまして、そうしてすべてを十一円五十銭なり十二円五十銭に引上げ、今度の療養給付金として出ました補助が、その意味においてお医者さんの方へまわつてしまうということでありますと、そこにはやはりいろいろ問題があると考えますので、私どもとしては、くどいようでありまするけれども、従来の関係はできるだけ診療担当者の側にも御協力をいただきましてしかしながら過去において相当無理がありましたような、実際問題としてだれが見ても無理だというような事情があつたような場合におきましては、これはまた別個考え方をお話合いでやつていただきたい、こういう意味でございます。     —————————————
  9. 平野三郎

    平野委員長 ちよつと質疑の途中でございまするけれども厚生大臣が出席せられましたので、この際児童福祉法の一部を改正する法律案及び民生委員法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入りたいと存じます。  まず政府より提案趣旨説明を願いたいと思います。山県厚生大臣
  10. 山縣勝見

    山縣国務大臣 ただいま議題となりした児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。改正の第一点は、児童措置費負担能力に関する認定機関を調整しようとするものであります。すなわち、従来は国庫または都道府県が支弁した児童措置費を、本人やその扶養義務者負担能力に応じて徴収する場合に、その負担能力に関する認定はすべて市町村長が当つていたのでありますが、この制度のもとでは費用支弁主体認定機関が異つていますので、その徴収事務煩雑をきわめる等実情に沿わない点が多々あり、また他の社会福祉立法と軌を一にしない面もありましたので、今後は国庫または都道府県知事がその認定に当るようにいたしたのであります。なお従来は児童措置費都道府県がかわつて負担した場合、その十分の一額を市町村にも負担させておりましたが、この規定も右の改正に伴いまして廃止いたすことにいたしました。改正の第二点は、現在地方財政平衡交付金に繰り入れられている都道府県児童福祉審議会に要する費用等国庫負担に関する規定を廃止いたすとともに、新たに国庫都道府県が支弁する児童委員に要する費用のうち、別に定めるものについてはその一部を補助し得るようにしようとするものであります。  以上の措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。  次に、民生委員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  改正の第一点は、民生委員職務につきまして、福祉事務所その他の関係行政機関に対しまする協力関係を明確にせんとするものであります。すなわち、昭和二十五年の生活保護法改正によりまして、民生委員は、同法の実施について補助機関から協力機関に変更されたのでありますが、現行の民生委員法におきましては、この点が必ずしも明確でありませんので、今回、民生委員福祉事務所その他の関係行政機関の業務に協力することについて、特に明文の規定を設けることにいたしまして、両者の職務内容責任分野との明確化をはかることにいたしたのであります。  またこれと関連しまして、生活保護法第二十二条に規定いたしまする「求められたときにとあります字句が、社会奉仕者としての立場から進んで保護指導実施に当つております民生委員積極的意欲を冷却いたし、その本来の使命の遂行に支障を来すおそれがある現状にかんがみまして、今回これらの字句を削除いたし、民生委員が自発的に協力できるようにいたしまして、もつて公的扶助事務の円滑適正な実施に遺憾なきを期することにいたしたのであります。  改正の第二点は、民生委員推薦会組織を改めたことであります。すなわち、民生委員推薦会は、従来市町村の議会の議員、社会事業実施関係のある者、学識経験者をもつて構成されていたのでありますが、このような方法をもつていたしましては、社会福祉の各分野意見を十分に代表するような適任者が必ずしも委嘱されないうらみがありましたので、今回の改正におきまして、推薦委員会を広く社会福祉全般代表者の中から委嘱できますようにその範囲を具体的に明示いたしますとともに、その定数を各分野についてそれぞれ二名以内にすることにいたしたのであります。  第三点といたしましては、民生委員協議会の任務中に福祉事務所その他の関係行政幾関との連絡に当ることを附加するとともに、市町村の区域を単位とする社会福祉関係団体すなわち市町村社会福祉協議会組織に加わることができることといたしまして、民生委員協議会地域社会における社会福祉積極的増進に広い視野に立つて活動することができることとしたのであります。  第四点は、常務委員及び常務委員協議会に関する規定法律上削除いたしまして、すべて民生委員協議会自主的運営にゆだねることにいたした点であります。  最後に、民生委員事務所を廃止いたしたことであります。  以上がこの法律案の概要でありますが、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに可決せられんことをお願い申し上げる次第であります。
  11. 平野三郎

    平野委員長 それではただいま説明のありました両法案を含めて、ただいま当委員会に上程せられております政府提案法案全部を一括して議題といたします。大臣に対する御質疑がありましたならばこの際許可をいたしますから御発言を願います。大臣に対する御質疑はございませんか。         ————— 別にないようであります。     —————————————
  12. 平野三郎

    平野委員長 それでは引続き質疑を続行いたします。日高忠男君。
  13. 日高忠男

    日高委員 もう一度保険局長にお尋ねいたします。先ほども申しましたように、国民健康保険単価は、やはり生活保護法単価及び結核予防法公費負担単価にも影響するのでございますので、この際はつきりと、国民健康保険単価健康保険同額であるということを法律にしておいてもらつて、そして国民健康保険のむずかしい地域におきましてはその地方医師会との話合いによりまして、表向きは十一円五十銭なら十一円五十銭にしておいて、実質的には保険料徴収料とかあるいはその他の名目をもつてこれを保険組合なりに寄付してやる。そういう形にするとすべてが円満に解決して行くように思いますが、私の今言いました方法についてはどういう御見解でありますか。お答えを願いたい。
  14. 久下勝次

    久下政府委員 問題は、先ほどのお話の中にもありましたように、今度国庫から一割五分の療養給付費補助が出ることに関連してのお話と承知をいたすのであります。それらと関連をつけないでのお話でありますと、問題は全然別個になると思います。ところで療養給付費に対する国庫補助の一割五分、約三十億円が補助金として二十八年度出ることになつたことについてその関連しただいまの御意見であろう思うのでございます。もともと先ほど申し上げました昭和二十七年当初の次官通牒にもございますように、私どもとしては国民健康保険診療報酬単価基準は、健康保険単価基準とするけれどもというような表現で、原則的には健康保険単価基準とするということはうたつてあるわけでございます。ただ国民健康保険の従来の実績から考えまして、あるいは財政実情から見まして、健康保険並単価を支払うととうてい立つて行かないところがほとんど大部分と見られましたので、できるだけ診療担当者の御協力を得て、一割引程度までのところで単価をきめるようにというような通牒が出ておるのでございまして、今日まだその方針でやつておるわけでございます。ただいまのお話は、その方針をもつと積極的にかえろという御意見であろうと思うのでありますが、私どもは三十億の療養給付に対する補助が出ましても、はたしてこれで国民健康保険がそれぞれ赤字のない健全財政を保持して行くように立ち直れるかどうか、ただいまのところとしては単なる見通しにすぎませんので、はつきりした自信が持てない実情でございます。もちろん私どもとしてはこの際大いに内容を立て直して、国民健康保険が自力で赤字のない財政、安定した経営ができるようにということを強く要望いたしておるのであります。またそれを期待もいたしておるわけでありますけれども、今日の段階におきまして三十億の金で完全に立ち直れるかというと、その点に対しては十分なる自信を持てない現状でございます。これはやはりもう少し事態の推移を見定めませんと、単価の問題についても今申し上げました従来の方針を根本的にかえるというところまで行くのはいかがであろうかと考えておるものでございます。お話を伺つておりますと、次官通牒で出しておりまする私どもの方の方針なり考え方なりとそうかわつたことをおつしやつておるようにも受取れないのでありますが、私どもとしては、今申し上げましたように次官通牒の線を、ただいまの段階において根本的にかえるということにつきましては、相当検討を要するものがあるというふうに考えておるのであります。
  15. 日高忠男

    日高委員 そうしますと、国民健康保険の方はそれで質問を打切りまして生活保護法の方の単価でございますがこれは国民健康保険に準ずるとなつておりますのを、健康保険診療単価に準ずるというように法律改正していただきたいと思うのでございますが、それに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  16. 安田巌

    安田政府委員 国民健康保険医療単価健康保険の方の医療扶助単価はならつておるわけでございます。これは生活保護建前が、必要にして最低医療ということになつておりますので、同じ市町村に住んでおります般の者が掛金を出しておりまして、組合に入つておる。そうして受ける医療よりも、生活保護医療の方が料金が高いということになりますと、生活保護法根本精神から考えまして、いかがかと実は考えております。国民健康保険で、いろいろその保険者規定によりまして、制限診療なんかをやつておるところもあると思うのでございますが、私どもやはり国民健康保険国民医療の基本となるべき大事な制度だと考えておりますので、その国民健康保険が、将来りつぱなものになることを期待いたしております。それに実は私どももならう、こういう行き方で参りたいと思つております。
  17. 日高忠男

    日高委員 局長お話はわかりましたが、実際問題として、現在地方におきましては、生活保護法診療費、それから健康保険診療費国民健康保険診療費、また自由診療診療費を比較、検討してみますと、実際においては、生活保護法が最も多額の費用を要しておりまして、それに次いでは社会保険、それから自由診療の方がむしろ一番診療費が少くて済んでおるような実情でございます。それは厚生省の統計にもはつきり現われておるのでございまして、最低治療をするとおつしやいますけれども、実際は最高治療が行われておるように思うのでございます。単価でただ十一円五十銭を十二円五十銭にしておくだけでやるのでは、十分な診療ができぬと思います。実質は、確かに生活保護法の方が最高治療地方においては受けておるのでございます。これは実情がそうなんでございますから、いまさら開き直つて十一円五十銭ではいけないというようなことではなしに、ここはあつさりと健康保険単価に準ずるというように、御改正なつた方が適当だろうと考えるのであります。
  18. 安田巌

    安田政府委員 お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、私申し上げましたのは、とにかく国民健康保険が十円なり十一円なり単価をきめておりまして、そこで医療扶助を受ける者が、それより高い単価医療を受けるということは、建前としてはぐあいが悪かろう、こういうわけであります。しかし今日高委員お話の、生活保護法の方が最高医療費がかかるというお話でありますが、これは一件あたりの点数等を調べてみますと、お話のようなことが出て来るのであります。これは私ども非常に苦心をいたしておる点でございまして、生活保護医療扶助を受けるような者は、いわば病気が非常に悪くなつたり、あるいは慢性的な疾病になつたような者が治療を受ける場合が多いので、勢い今お説のような一件当りの点数が高くなつておるのじやないかとも考えるのであります。しかしこれらの点につきましては、いろいろ調査をいたしたり、あるいは監査と申しますか、そういう点につきましても、もう少し力を注いで行きたいと考えております。
  19. 平野三郎

    平野委員長 大石武一君。
  20. 大石武一

    ○大石(武)委員 ただいま日高委員から、生活保護法診療報酬についての御議論がございました。これは妥当な御議論だと思うのでございますが、一面社会局長お話にもありますように日本の国の保険経済の現状を考えます場合には、一概にわれわれの希望するような、ただいま日高委員の申されましたような希望も、ただちに実現することは不可能だろうということは、ある程度推定されるのでございます。ただこのことに関しまして、今は診療報酬の問題でございますが、報酬ばかりではなくて、健康保険並びに国民健康保険診療方針につきましても、相当の差異があるわけでございます。ことに国民健康保険診療方針というものは、各町村において別々でございまして、必ずしも同じような方針のもとにおいて行われておるとは申されません。従いまして先ほど局長の申されましたような、必要にして最低医療を完全に行つておるかと申しますと、必ずしもそうは断ずるわけには行かないことがあり得ると思うのでございます。従いましてこの生活保護法の第五十二条を改正いたしまして、診療方針を大体国民健康保険並になさるという御意見があるかどうか、これをお聞きしたいと思う次第であります。
  21. 安田巌

    安田政府委員 お答えいたします。国民健康保険を個々に見て参りますとたとえば入院を認めないとか、あるいは往診料は自前でやれというようなことをきめておるところがあるのでございます。生活保護を受ける者が入院はできないとかあるいは往診は自分で出せと言つても無理な話でございます。そういう場合には、もちろん健康保険方針によることになつております。ただ一般的に診療方針といたしまして生活保護法医療扶助診療方針健康保険のとつておりますところの診療方針が、それでは差異があるかということになると、いくら最低と申しましても、事が人命に関することでございますから、やはり必要にして十分なものは与えなければならぬ。これはもう常識的に考えられることでありまして、私はそれほど差はないのじやないかと考えております。前はたとえばパスやストマイ等につきましても、いろいろ制限がございましたが、実は私が記憶を呼び起すことが困難な程度の差異しかないのじやないか、かように考えておるわけでございます。
  22. 大石武一

    ○大石(武)委員 ではもう一言申し上げます。ただいま局長の申されましたお言葉通りであるならば、まことにけつこうでございます。おそらく局長はそのような国民健康保険健康保険との診療方針の間に大した差は認めない。国民健康保険並の方針でやつて行こうという御方針だと解釈いたしますが、そのような方針に持つて行かれることを希望する次第であります。
  23. 平野三郎

  24. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいまの諸君の御質問関連するのでありますが、今月社会保障制度を、もつと法を整備いたしまして、一本の姿に持つて行くことが非常に大切なことだと思います。含のように各個ばらばらでやることは、国費を補助するという点から申しましても、これは非常に複雑である。また診療に従事いたします側からも非常に複雑である。これに結核の国費負担等が入つて参りますと、もう診療を担当いたしまする医師の方では悲鳴をあげておる。この際私はやはり健康保険国民健康保険、共済組合、あるいは生活保護法による医療扶助等の線を一つの線に盛り上げるということがきわめて大事だと思います。政府におかれましても、その点をもつと積極的にやつていただきたい。ただいまいろいろ御議論がございましたけれども、その点につきまして十分な御尽力をお願いいたしたいのであります。  なお、国民健康保険の今回の医療給付に対しまする一五%の国庫補助、及び再建整備についての貸付のわくの拡大、これはまことに私どもは喜ばしく思つておるのでありますが、ただいま申しましたような立場からいたしまして、今日全国に行われておりまする五千数百の国民健康保険組合医療給付の事情、及び保険料事情、これは五千数百あることでありますので、いろいろのものがあると思いますが、大体にわけまして、幾つくらいの種類にわかれますか、たいへん無理な御質問かもしれませんが、保険局長の御意見を伺いたいと思います。
  25. 久下勝次

    久下政府委員 長谷川先生の御質問の第一の問題は、私の立場でお答え申し上げるのには、あまりにも問題が大き過ぎまして、各層にわたる問題でございますので、個人的な見解を申し上げるのもいかがかと思いますから控えさせていただきたいと思います。私はただその必要は痛感しておるのでございます。  第二のお尋ねでございまするが、御質問趣旨をあるいは正確に了解しておらないかもしれませんが、一応御参考に申し上げますと、現在国民健康保険をやつておりまする保険者数は、総数五千二百六十七でございまして、被保険者の総数は二千五百五十九万七千五百九十三人でございます。これを内訳で申しますると、市町村公営でやつておりますものが大部分でありまして四千八百四十六ございまして、二千三百五十五万余の被保険者総数であります。それから組合でやつておりますのが二百二十五ございまして、その被保険者は百九万三千五百人ほどでございます。それから社団法人でやつておりますものは百九十六ございまして、その被保険者総数は九万九千五百人ほどでございます。一応の内訳はそういうことでございますが、あるいは御質問が別のことでございましたら、またお答えいたします。
  26. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 御無理な御質問かもしれませんが、もしただいま資料がなければ後に資料をいただければけつこうなのであります。私が御質問申し上げました第二点の方は、今回各国保に対しまして、補助金及び設備資金貸付のわくを拡大いたしましたが、各国保の保険料の払込みの額、料率及び医療給付の内容が違うんだろうと思う。そうすると、それによつてずいぶんと補助をする仕方も違つて参りましようし、それから今後再建して参ります具体的な方策もそれぞれ違つて来ると思います。そこで五千二百六十七組合ありますものが五千二百六十七通りやつておるのじやあるまいと思う。適当なモデルになります保険組合の例によりましてやつておると思うのであります。それが幾種類くらいありますか承りたい。
  27. 久下勝次

    久下政府委員 詳しい点はただいま持ち合せておらない資料もあるかと思いますので、足りない点は保険課長から申し上げます。  お話の御趣旨はわかりました。たとえば保険料の徴収の実績というお話でございますが、これは保険者ごとの徴収成績で分類をいたした数字がございますから、それでもごらんに入れればいいかと思います。給付の内容につきましては御承知の通り非常に差がございます。これは相当の給付制限をやつておりますところから、ほとんど健康保険並に近い給付をやつておるものもありますが、これも大体のことはわかつておりますので、後ほど資料を差上げたいと思います。
  28. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 保険料と申しますか、掛金と申しますか、どつちを言うのか正しいことは知りませんが、それがずいぶん違うのでございましようか。
  29. 山本正淑

    山本説明員 ただいまの点に関しまして御答弁申し上げます。保険料に関しまして申し上げますと、全保険者の中で、一世帯当り保険料が千円以下のものが一七・二一%でございます。それから千円から千五百円までのものが二五・七一%でございます。千五百円から二千円までが二九・四四%でございます。二千円から三千円までのものが二三・七一%でございます。三千円以上が約四%、こういうことになつております。
  30. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そういたしますとずいぶん保険料の差があるようでございます。これらに対しまして、さきに申しました社会保障制度を推進いたしますために、これらのものを統一して行く御意思を政府当局はお持ちになりませんか。
  31. 久下勝次

    久下政府委員 昭和二十八年度の療養給付費補助を出しますにつきまして、今申し上げました保険料の額の差というのは、結局給付内容の差になつて現われているわけでございます。これを改めまして、今度の補助は少くとも健康保険の家族並の給付をいたすようにということを目安にして、強く指導をいたすつもりでございます。
  32. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 ただいまの局長のお答えでございますが、少し長谷川委員の方が御解釈が変じやないかと思うのです。市町村によりましては、保険料を徴収しますときに、その世帯の税の負担額、たとえば所得税であるとか住民税であるとか、そういうものに比例してかけておりますから、同じ町村の中におきましても、千円のところもあるし、また世帯によつては三千五百円を越すところもある。従つて全国の平均をすれば二千八百五十円ぐらいが平均になるというふうに承知をいたしております。そういう解釈が正しいのしやないかと思いますが、局長はそれをどういうふうに御解釈になつておりますか。
  33. 久下勝次

    久下政府委員 私が申し上げましたのは、各保険者ごとの平均保険料に、保険課長から申し上げたような差があるということを申し上げたのであります。保険者の中の被保険者なり世帯ごとの差を申し上げておるのではないのであります。
  34. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 この前の委員会で私は局長に御質問申し上げましたが、四億五百万円のうち、一億八千六百万円しかまだ貸し付けておらなくて、実に国費の無計画な使い方であるということを指摘いたしましたときに、勝俣委員から、今中止しておるような市町村どもおそらく復活させるであろうから四億五百万円の予算は、私が心配するように使い切れなくなるのじやなくて足りなくなるだろうという御発言がありました。それ以後私はいろいろと考えましたが、やはりどうも三月の末までには使い切るようにならないような気がいたします。と申しますのは、政府の執行面の通念といたしまして、国民から税金をお取上げになるときにはできるだけ水増しをしてたくさん強制的にお集めになりますが一たび個人を援助するとか、あらゆる施設に援助するとか、また貸し付けるという場合には、極度にしぼつておしまいになりますから、私はやはり四億五百万円はやんやん言つてとつた予算でありながらどうも保険局長のもとにおいて使い切れないというような感がいたしますがもう一度そこのところが、勝俣委員の御反撥になりました復活するであろうところの見通しであるとか、各単位にお貸付になるところの御方針のパーセンテージが、どれくらいのものに対してはどれくらいの率でどういうふうに補うということが、こまかくはつきりしない、大切な問題でございますから私は了承しがたいのでございます。これがはつきりしないのならば、二十八年度の三十数億の予算につきましてもわれわれ国会としては十分な監視を必要といたします。国保の小委員会などで十分検討して、政府の運用内面をはつきりしてもらわぬことには、この法律案は一部改正なりといえども私は通すことができない、かように存じておるのでございますが、もう少し明快な局長の答弁を伺いたいと思います。
  35. 久下勝次

    久下政府委員 まずお尋ねの点についてお答え申し上げますことは本年度五百八十ほどの保険者にすでに貸付を実施いたしました金額が一億八千万円ございます。この貸付をいたしました者に、今回の法律改正によりまして十分の八まで、すなわち差額の十分の三を貸し付けるということにいたしますと、三億の金が使えることになる。これはもう文句なしに、特別の申請をまたずに——ちよつと書類だけは必要でございますが、貸し付けられることになるわけであります。そういたしますと、あと一億余が残るわけであります。この点は新しい申請を期待いたしておるのでございます。これにつきましても私ども期待しておりますのは、私どもの推定では、これは実態調査に基く推定でありますが、現行の貸付法によりまして一定の資格が限定されておりますが、この資格に該当いたします保険者数が二千三百三十五あるというふうに推定いたしておるのでございます。ところがその中の四分の一程度のものしかまだ申請が出て来ていない実情でございます。従いまして、今度十分の八までというように貸付条件が緩和されますことによつて、あとの四分の三の保険者から新しい申請が出ることは相当期待できるであろう、こういう見込みでございます。私どもの推定では、そういう双方の意味におきまして、四億円の金は少くとも年度末までに大部分消化できるでありましようし、また消化いたしたいという考えでございます。
  36. 平野三郎

    平野委員長 本日の日程に掲載した法案中、内閣提出の四法案を一括して議題といたしますから、御質疑を願います。
  37. 日高忠男

    日高委員 また逆もどりするようでありますが、先ほどの国民保険単価の問題であります。健康保険診療報酬標準額としてという次官通牒の但書でございますが、あれを削除してもらいたいのです。これは地方において民生部と医療担当者との間の自主的な話合いによりまして解決がつくと思うのでありますが、いかがでありましようか。また国民保険単価を決定します場合に、地方の保険課がこれに介入いたしまして、本省に忠義立てをするために、医療担当者の方を不当に圧迫する傾向があるのでありますが、県の保険課がああいうふうに地方医療担当者を圧迫しないように、ほんとうに実情に即して、地方医師会と協調してやるような指令を出してもらいたいと思いますが、その点の見解を伺いたいと思います。
  38. 久下勝次

    久下政府委員 第一のお尋ねの点でございますが、私どもとしては、先ほどるる申し上げましたような事情によりまして、今ただちに次官通牒方針をこの段階改正するということにつきましては、結論まで行つておらないのでございます。かと申しまして、それでは全然実態上は動かないのかと申しますと、それは先ほど来申し上げておりますように、従来相当無理なことをしておりますような地方におきましては、またお互いの間で考えて行かなければならないと思つておりますし、すでに全国の保険課長にもその旨を伝えてございます。また民生部長にもこの実情は話しておるのでございます。従いまして、この点は相当程度運用の面におきまして、私は円満な話合いのうちに解決を見るのではないかと思つておるのであります。今次官通牒の線を根本的にかえるということになりますと、先ほど申し上げましたようにせつかくの二十億の療養給付金補助の相当部分が、右から左に保険者赤字解消にならなくなつてしまうというような懸念がありますので、そういう点につきましては、診療担当者側におかれましても、従来の関係もあることでありますので、この際もうしばらく国民保険の安定した再建ができるまで御協力を煩わしたいということを申し上げておるのであります。  地方の保険課長が圧迫を加えておるということですが、もしそういう事実がありますればたいへん申訳ないのでありますが、私どもは常々その点は口をすくして注意をいたしておるつもりであります。もとよりこういう種類の問題は、圧迫というようなことで解決するはずはないのでありまして、双方の主張が合いませんために、あるいはときには強い言葉になつて出たりしたのであろうと存じますが、要するに地方の保険課長も、保険者側と診療担当者側の間に立ちまして、大分苦しんでおるような実情であるようでありますので、その辺は善意をもつて解釈願いたいと思いまする
  39. 日高忠男

    日高委員 局長はそういうふうに解釈しておられるようでありますが、実際におきましては、地方保険者の希望を無視して、本省に対して忠義立てをするために非常な圧迫を加えておるというような実情が多いのでありまして、本省には忠義立てをしないでもよいから、地方実情に即してやるように指令を出していただきたいと思います。  それからこれに関連いたしまして、今度国庫から三十一億の医療費に対する補助が出ますが、あれをどういうルートでお流しになるのか存じませんが私の考えでは、あれはやはり本省から出る分だけについては、現在あります支払い基金を通じて医療担当者の手に渡るようにしてもらえましたならば、最も迅速確実に入るように思いますがこの流し方についてはどういうふうにお考えでございますか、お伺いしたい。
  40. 久下勝次

    久下政府委員 これは他の保険に対する補助と同様でございまして、支払い基金を通すという性格のものではないと考えております。結局、補助金交付の条件を示しまして、それに基いて関係の資料を整えて、各資格のある保険者から申請をさせます。それを府県においてとりまとめて審査をいたしまして、具申をつけて厚生省に出て参りましたものを、さらに厚生省で全国的な立場から検討をいたしまして、補助の決定の指令をし、その金は直接保険者に参ることになるわけでございます。受けました国民健康保険保険者は、これを療養給付費に充てるということになりまして、結局は滞りがちである診療費の支払いが、円滑に診療担当者にまわつて行くということを期待しておるわけでございます。そういう筋道でありまするので、支払い基金を通すということは、ちよつと性格が違うのではないかと考えております。
  41. 日高忠男

    日高委員 御説明で十分納得できましたが、まだわれわれの心配しますのは、地方保険者へそれが流れて行きました場合に、これを決して他へ流用させないように十分なる御監督をお願い申し上げます。
  42. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私が考え込んでおります間に、日高委員質問をとられたのであります。元にもどりますけれども長谷川委員からも御質問がありましたが、一応はこの四億六百万円については御説明を了承いたしましたといたしまして、日高委員質問せられました来年の三十五億近くの金についての使途、これをひとつ国保の小委員会に明細に御提示願いたい、そして年度末にこういう法律改正をしたり、また方針をかえたりして、余つた金を使い直さなくちやならぬというようなことが二十八年度にないように願うのです。と申しますのは、非常に困つております国保を救済するために、委員長のごときは正月もされずに一生懸命予算をとつたのですから、ずさんな使い方をしたり、また不公平であつたり悪平等であつたりするようなことがあつてはいけないと思う。ですから局長は責任をもつて、衆議院の国保の小委員会に御報告を願いたい。そして私たちも一緒に検討させていただくというふうにしたいと思いますので、委員長おはからいの上さように願いたいと存じますし、局長はそれに応じられたいと思います。
  43. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 私ども医療ということについてはしろうとでありますが一つの制度として考えてみますときに生活保護のための医療その他社会保険に関する医療の問題を考えてみますと医療方針に甲乙があるということがどうも納得ができない。昔から医は仁術だといつております。こういう言葉から受ける感じは、医療に当たる医師は良心的にその医療に当るということである。そうなると、患者の経済力に相応した医療の目的を達する方法というものは、おのずから決定すると思う。やはり医療費を無視して医療方針は考えられないでありましようけれども、患者の病気に対する方針というものは金にあまりとらわれないで、医療に当る医師の頭で良心的に方法を決定する。ところが今の制度を見ますと、その医療方針について非常に甲乙がある。しかも先ほどの政府委員の御説明を伺つてみますと、生活保護を受けておる者の医療最低のものであつてしかるべきだというお話なんです。もちろん最低であつてもそれが完全に医療の目的を達成できるのでしたら、私はけつこうだと思う。汽車に乗りましても、一等に乗つても、二等に乗つても、三等に乗つても、乗つている間の苦痛は違いますけれども、目的地には同じ時刻に達するのですから、やはり医療においても、医療方法に甲乙はあつても、その目的を達することにおいては同一でなければならぬと思いますが、どうも今の制度の上からみますと、ほんとうに医療の目的を達成できないということが考えられるのであります。たとえば生活保護を受けておる者の病気は、先ほど政府委員もおつしやいましたように、病膏肓に入るという、がまんにがまんをしてみたけれどもどうにも苦痛に耐えられない、生命もあぶないというときに医療を受ける。その医療に対して最も程度の低い医療方法を講じられたのでは、おそらく医師自身としてもきわめて不愉快な非良心的な医療しかできないのじやないかと思いますし、患者にとりましても医療の目的はとうてい達成できない。ちようど昔飢饉のとき、米が食えないからというので米を竹の筒か何かに入れて音を立てて病人に聞かせて、お前安心して死ねと言つたという時代ががあるということですが、非常な重病人に対して、しかもいまだ発達していない保険制度の全体を通じて最下級の医療行為をするというのでは、まさに米を食わすことができないから、米の音を聞かせて満足させて、医療行為を受けたのだということにしよう、こういつたような制度のごとくにしか私には受取れないのであります。医に関する問題は国民の健康の上からきわめて重大なんですから、やはり医は仁術だという精神を大いに培養し発展させて行くという制度の立て方が大切だと思う。ですから医師に対する税金をいかにも普通の業者のごとくにして、医というものを営業化して行もという思想は私は誤つていると思う。また医師の医療行為に対する良心を無視して、制度として一定の規格を設けてきわめて不十分なる医療行為を施すことを繰返しているということでありましたならば、お医者さんも不愉快でしようし病人も不満足ですし、また病人をかかえている家庭も不平不満だということになりましては、せつかく憲法が国民の健康を保障するといつておきながらそれと最も密接な関係の深い、医の問題について関係者が全部不愉快な思いをしなければならぬということであつては、そういう制度を持つておる国が国民の健康について責任を持つ、保障するというようなことはおこがましい限りであると私は思うのでありまして、この際厚生当局においては、憲法の精神をすなおに受けて、しかも国民健康保険等が発達しておらない現状においてはそれを大いに発達させ、そして医療方針は少くとも医師の良心と合致する程度のところまで引上げなければならぬと思いますし、生活保護を受けておる人たちの医療行為は最下低で満足しろというような考え方でなくて、いわゆる社会保障制度全体を通じて文化国家、福祉国家としての国民健康を保持するための医療はこの方針で行かなければならぬ、政府が責任をもつて解決して行くのだという一貫した制度を打立てなければならぬと私は確信するのであります。従つて先ほど来日高委員、長谷川委員等からもお話のございましたように、現在ある諸制度医療方針あるいは医療報酬ということはしつかりとここに統一ある方針を樹立させ、医師も満足し、病人も満足し、また病人をかかえた家庭も不平不満がないという線を打立てることが私は大切であると思うのであります。金にあまりとらわれ過ぎて、医療をいかにも営業化させ、崇高なる医術の進歩なりその精神の発達を阻害するということがあつてはならぬと思うのですが、政府の所見をお伺いいたしたいのであります。
  44. 安田巌

    安田政府委員 私の先ほど申し上げた言葉が足りなくて若干誤解しておられる点があると思いますが、診療方針つまりどういう病気についてはどういう程度治療をするというような診療方針につきましては、私が先ほど申し上げましたように、生活保護法診療方針と、健康保険診療方針とはほとんど差がない程度でございます。私が今ここで記憶をいたしておらぬ程度だということを申しましたのは、そのような意味でございまして、たとえば私が今考えておりますのは、歯科の診療方針の中で補綴、金なんか入れるものでありますが、そういうときに材料に金を使つてはいかぬとか、あるいは補綴の場合に若干の制限があるというようなことが私の記憶に残つておる程度のことでございますが、仰せのごとく人命に関することでございますから、貧乏人が手を折つたならばこの程度治療でよろしい、金持が手を折つたらこの程度治療でよろしいというような差は実はないわけであります。  それから先ほどから日高委員の問題にされておりますのは、診療単価が一番問題なのでございますが、これは実は先ほど申し上げたのでございますが、たとえば甲という村で国民健康保険をやつておるといたします。そのときに単価が十円なら十円で契約をいたしておるといたします。そういたしますとその人たちは自分たちの保険料を納めまして治療を受けて、それで単価は十円で払つておるわけなんであります。ところが生活保護——これは全部国費でございますけれども、その村におります者が医者に治療を受けたときに単価はそれでは十二円五十銭だあるいは十一円五十銭だということは生活保護法建前からいつていかがであろうか、私どもはこういう考え方でおるわけでございまして、実は実際も先ほど日高委員が、生活保護医療というものが一番最高医療だということをおつしやいましたけれども、そういう点については私も実は反省しなければならぬということぐらいは考えておるわけでございます。  それから先ほどちよつとお言葉にありましたけれども生活保護を受けておる者、あるいはそういう医療を受ける人が、重大なる疾病にならなければ私どもの方で取扱わないというのではなくて、生活保護を受けておりますところの人たちの実態を見ますと、大体が年寄りだとか、身寄りのない者だとかいう方がありまして、そういう意味でそういう方々の疾病が大体慢性的なものが多い。それから結核なんかで入院をするというような場合は、生活保護かあるいは社会保険でなければ現在におきましてはほとんど入院することは考えられません。そういうような点で生活保護の方の医療費が高くなつておるのではないかという気持で申し上げたのでありまして、現実には高橋委員のおつしやるように生活保護医療というものが人道的に見てひどいような状態だということは、私は毛頭ないのではないかというように考えております。
  45. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 それではこれだけはつきりとお伺いしておきたいのであります。先ほどの質問でも申し上げたところでありますが、今医療という問題が、非常に日本の制度が営業的な方向に向いて行つておるというふうに私は解釈するのであります。ある時代にはいわゆる営業税的な課税なんかもしなかつた時代もあります。医療行為は、普通の物品販売とか物品製造業者のようないわゆる営利を目的とするところの営業行為ではないのであつて、医は仁術なりという言葉の表現しておりますような、きわめて人道的な精神を多分に持つている。従つてそれをあまり制度として営業的に取扱うことは、かえつて医療行為あるいは医師の精神なり立場というものを蹂躙すると申しますか、冒涜すると申しますか、ほんとうに良心的な医療行為をはばむような結果になるのだというふうに私は考えますから、今の場合厚生省当局においては、私がただいま申し上げましたような医はあまり営業化させないような方針、医は仁術なりというあの言葉の持つている精神を十分伸ばして行くような制度を打ち立てられるお考えがあるかどうか、あるいはその点について今後十分御研究なさるお考えがあるのかどうか、それをお伺いいたしておきたい。これが第一点。  第二点は、この社会保険あるいは生活保護に関する医療方針なりあるいはまた医療費等に関する問題を統一的に解決をつけて行こうというお考えがおありになるのかどうか統一して行くという行き方は間違つておると思われるのかどうか、それらの点について御所見を伺いたいと思います。
  46. 久下勝次

    久下政府委員 私から申し上げます。第一段のお尋ねの問題は、実は私の方の所管ではございませんが、ただ私の方も社会保険医療という面におきまして大いなる関係を持つておりますので、率直に私の考え方を申し上げてみたいと思います。私ども社会保険医療をやつて行く上におきまして今お話のように医療は営業的なものであるという考え方は毛頭持つておらないのでございます。お話の通りの考え方診療担当者医療実施していただくことができることを念願をし、運用をしておるつもりでございます。もちろん現在の制度がそれでは確実にその線に沿つておるかと言われますと、いろいろ議論のあるところでありますし、また私ども自身も反省しなければならない点があると思つております。ただただいまの御質問の中にはございませんで、先ほどのお言葉の中にございましたが、すべてを診療を担当する医師の良心にまかせてほつておくということにも行かない事情があります。これは社会保険制度そのものの要請から出る事情もございますが、さりとて一般的に医学的に見て妥当であるという線をくずすつもりはないのであります。運用上について、その辺の兼ね合せにつきましては、必ずしも御期待に沿つておるとは私大きな顔はできないのでございますけれども考え方におきましてはそうした線で進んで日夜努力をいたしているものでございます。  第二の点でございますが、社会保険医療の統一ということにつきましては全然同感であります。大体現在の制度におきましても若干の差はございますが、健康保険方による保険診療制度を、他の保険におきましても原則として取入れるという建前をとつております。もちろん国民健康保険はそれとは違つた特殊な事情がありますので差はございますけれども、船員保険でありますとかあるいは国家公務員の共済組合保険でありますとか、こうした一運の社会保険医療の問題につきましては健康保険制度が中核になりまして、保険医の制度なりあるいは診療方針制度なり、みな方針としてはこれにならつてやるという建前になつておりますが、これまた必ずしも実際の運用が完全に統一された運用をされておらないということもございます。しかしながら、方針としては前段に申し上げたと同様に、高橋先生のおつしやつたのと同一の方針で進んでおるつもりであります。
  47. 平野三郎

    平野委員長 本月はこの程度にとどめまして、さらに次会に続行することにして散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。    正午散会