○堤(ツ)
委員 社会局長にちよつとお尋ねをいたします。本日提案の
生活保護法の一部
改正は、単なる
医療機関に対する
支払いの窓口の問題だけでございます。私はこの
委員会で超党派的に
委員諸公の御良識を煩わしたいと思うことがあるのでありますが、それは現在の
生活保護法の対象にな
つておる
人たちの実態でございます。御存じの
通り予算が非常に少うございまして、要求した
人たち全部がこれの恩典に浴するようなものではございませんので、はなはだ遺憾でございます。とりあえず
生活保護法の対象とな
つて要
保護者となりました
人たちの実態を見てみますときに、社会党の代議士としてこういうことを申し上げるのはいかがかと思ますけれ
ども、非常に大きな矛盾があると思うのです。それはどういうことかと申しますと、
生活保護法の対象と
なつた者は、働けば損という矛盾が生れて来ていることであります。たとえば何がしかの
基準額をもら
つております際に、夜十二時か一時まで起きて内職をいたしまして七百円なら七百円の収入があつた場合に、その収入は
基準額から引かれまして、そうして働いても働かなくても同じ
立場になるわけでございます。これは
生活保護法の
建前に準じたものでございまして、決して無理ではございませんけれ
ども、要
保護者が少しでも芽を出せばちよん切
つてしまうというようなことは、自力更生をはかるという法の
建前にほんとうにのつと
つておるものであるかどうか。私全国をまわ
つて見ますときにいろいろとこの問題にぶつかり、民生
委員、社会福祉事業団体などからたくさんの
陳情を聞き、社会局においてもここ数年来この問題で悩んでおいでになると思うのでございますが、月五百円くらいの収入であるならばこの収入を収入とみなさないで、せめ三箇年でも自力更生のために期間を置いてあげてそうして生活
保護というげたを脱がせてしまう
建前をとるところまで行かなければ、
生活保護法の国民の税金から出た貴重な金を、流れ川に捨ててしまつたのと同じ結果にな
つてしまうのであります。たとえば函館市の浮浪者収容所をごらんなさい。私は視察をいたしましたが、あの浮浪者収容所には
生活保護法の適用者が実は百五、六十世帯おりまして、こういう
言葉を使うのはいかがかと思いますけれ
ども、隔年くらいに子供を産む
保護法被適用者が、岸辺にある魚をもら
つて来て、国からもらう生活
保護費と合せて何のなすところなく寝ている。そうして子供は親の一生を見てまたこれに準ずるでありましようが、この
人たちに自力更生の日がいつ来るか。白昼にふとんを被
つてみな寝ておるのであります。働けば損になる
生活保護法であるならば、惰民養成であることはこれは私の
説明をまたなくともわかると思うのであります。この際
生活保護法の
建前を、
政府でやらないならばこの
委員会で考えて、長年とは申しません、たとえ二年でも三年でも、月五百円ぐらいの増収があ
つてもこれを収入とみなさないで、依然として補助をしてや
つてそうしてこの
人たちが
生活保護法のげたを脱げるようなところまで持
つて行かなければ、二百数十億の国の予算はこれはみな死に金になります。社会党の代議士がこういうことを言うのは変かと思いますけれ
ども、私は函館の市長に、あそこに、ごろごろ寝ころが
つている
人たちにどぶの掃除でもさせなさいということを申し上げたのであります。実に見るにたえない。いかに私たちか社会主義政策を主張いたすといたしましても、惰民養成であ
つてはならないのでございまして、この点局長は、
生活保護法の現在の適用者の実態を見てどういう考えをお持ちにな
つているか、まず承りたいと思います。