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1953-02-20 第15回国会 衆議院 厚生委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十日(金曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 平野 三郎君    理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君    理事 堤 ツルヨ君 理事 長谷川 保君       新井 京太君    新井 堯爾君       池田  清君    勝俣  稔君       加藤鐐五郎君    日高 忠男君       平澤 長吉君    佐藤 芳男君       高橋 禎一君    町村 金五君       鈴木 義男君    島上善五郎君       柳田 秀一君    只野直三郎君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君  委員外出席者         厚生事務官         (社会局保護課         長)      黒木 利克君         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  山本 正淑君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君 二月二十日  委員永山忠則君辞任につき、その補欠として小  山長規君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 二月十六日  国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正  する法律案内閣提出第五四号) 同月十八日  生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号) 同月七日  元満洲開拓犠牲者遺族等援護に関する請願(  粟山博紹介)(第一五七七号)  同(櫻内義雄紹介)(第一六三八号)  同(山下春江紹介)(第一六六五号)  医療給付費の二割以上国庫負担に関する請願(  小澤佐重喜紹介)(第一五七九号)  同(平野三郎紹介)(第一五八〇号)  同外一件(勝俣稔紹介)(第一五八一号)  屠場法の一部改正に関する請願小澤佐重喜君  紹介)(第一五九六号)  津久見市上水道敷設工事費国庫補助に関する請  願(村上勇紹介)(第一六〇二号)  はり、きゆう、マツサージ等健康保険制度適  用に関する請願西村茂生紹介)(第一六一  五号)  六条保健所昇格等に関する請願田中伊三次  君紹介)(第一六一六号)  国立公園支笏湖整備計画促進に関する請願(  薄田美朝君紹介)(第一六三九号)  理容師美容師法の一部改正反対に関する請願(  砂田重政紹介)(第一六六六号)  未復員者給与法適用患者生活扶助料支給等  に関する請願外一件(日高忠男紹介)(第一  六六七号)  国立療養所における給食費増額請願日高忠  男君紹介)(第一六六八号)  生活保護法による生活扶助料引上げ等に関する  請願日高忠男紹介)(第一六六九号) 同月十二日  健康保険療養給付期間延長に関する請願日高  忠男紹介)(第一七一〇号)  国立療養所における給食費増額等請願(吉田  正君紹介)(第一七一一号)  日雇労務者に対する健康保険法適用に関する請  願(羽田武嗣郎紹介)(第一七二〇号)  日雇労務者健康保険法制定に関する請願(前  田榮之助君紹介)(第一七二一号)  十勝無水地帯上水道敷設請願高倉定助君  紹介)(第一七七八号)  理容師美容師法の一部改正反対に関する請願(  内藤友明紹介)(第一七七九号)  母子福祉法制定請願中澤茂一紹介)(第  一七八〇号)  生活保護法による生活扶助料引上げに関する請  願(横路節雄君外一名紹介)(第一七八一号)  助産婦資格基礎教育に関する請願床次徳二  君紹介)(第一七八二号)  保月保育所新築に関する請願有田喜一君紹  介)(第一七八八号)  未復員者給与法適用患者生活扶助料支給に  関する請願内藤友明紹介)(第一七八九  号)  戦傷病者及び軍属に対する国家補償確立に関す  る請願加藤鐐五郎紹介)(第一七九〇号)  戦傷病者援護に関する請願前田榮之助君紹  介)(第一七九一号)  同(石坂繁紹介)(第一七九二号)  同(内藤友明紹介)(第一七九三号)  未復員者給与法適用患者生活扶助料支給等  に関する請願加藤鐐五郎紹介)(第一七九  五号)  結核患者医療費全額国庫負担制度確立に関す  る請願川野芳滿紹介)(第一七九六号)  清掃施設整備に対する財源措置に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一七九七号)  身体障害者に対する更生医療費全額国庫負担に  関する請願川野芳滿紹介)(第一七九八  号) 同月十六日  保育所に対する国庫補助増額に関する請願(楢  橋渡紹介)(第一九二八号)  国立療養所における給食費増額請願柳田秀  一君紹介)(第一九三〇号)  生活保護法改正等に関する請願柳田秀一君  紹介)(第一九三一号)  助産婦資格基礎教育に関する請願只野直三  郎君紹介)(第一九三二号)  栗生楽泉園病棟内に廊下増築請願武藤運十  郎君紹介)(第一九三四号)  羽根村開拓地上水道施設設置促進請願(長  野長廣紹介)(第一九三五号)  工業用水道敷設費国庫補助等に関する請願(  只野直三郎紹介)(第一九三六号) 同月十八日  保健婦助産婦看護法の一部改正反対に関する請  願(大石武一紹介)(第二一七七号)  身体障害者福祉強化に関する請願川島金次  君外二名紹介)(第二一七八号)  国立福知山病院患者輸送用自動車の配置に関  する請願大石ヨシエ紹介)(第二一七九  号)  結核病床増設に関する請願三宅正一紹介)  (第二一八〇号)  星塚敬愛園の病床増設に関する請願永田良吉  君紹介)(第二一八一号)  国立療養所における文化教養費予算計上に関  する請願永田良吉紹介)(第二一八二号)  癩予防法の一部改正に関する請願逢澤寛君紹  介)(第二一八五号)  慰安謝金増額に関する請願永田良吉紹介)  (第二一八六号)  国立らい研究所設置に関する請願逢澤寛君紹  介)(第二一八七号)  同(永田良吉紹介)(第二一八八号)  国立らい療養所職員の増員並びに待遇改善に関  する請願永田良吉紹介)(第二一八九号)  国立療養所における給食費増額の請  願(三宅正一紹介)(第二一九〇号)  同(熊谷憲一紹介)(第二一九一号)  理容師美容師法の一部改正反対に関する請願(  堤ツルヨ紹介)(第二一九二号)  の審査を本委員会に付託された。 同月六日  母子福祉法制定に関する陳情書外一件  (第一〇  四一号)  国民健康保険制度強化に関する陳情書  (第一〇四二号)  国民健康保険事業振興育成に関する陳情書  (第一〇四三号)  国民健康保険給付費に対する二割国庫補助の実  現に関する陳情書  (第一〇四四号)  はり、きゆうを健康保険法医療として指定の  陳情書  (第一〇四五号)  乙種看護婦養成所存置に関する陳情書  (第一〇四七号)  遺族補償に関する陳情書外二件  (  第一〇四八号)  同  (第一〇四九号)  遺族年金等交付促進に関する陳情書  (第一〇五〇号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法による弔慰金の繰  上げ償還等に関する陳情書  (第一〇五一号)  未復員療養者援護措置に関する陳情書  (第一〇五  二号)  身体障害者雇用促進に関する陳情書  (第一〇五三号)  盲ろうあ者に対する政府の助成に関する陳情書  (第一〇五四  号) 同月十一日  遺族補償に関する陳情書  (第一一三八号)  遺族国債早期償還に関する陳情書  (第一一四六号)  生活保護法適用者に対する遺族年金に関する陳  情書(第一一四七  号)  国立病院地方移管反対陳情書  (第一一四八号)  らい予防法改正促進陳情書  (第一一四九号)  国民健康保険補助増額陳情書  (第一一五〇号)  愛媛県下の国立療養所施設拡充に関する陳情書  (第一一五一  号)  はり、きゆう、マツサージ健康保険法の療術  に指定陳情書  (第一一五二号)  生活保護費全額国庫負担陳情書  (第一一五三号)  乙種看護婦養成所存置に関する陳情書  (第一一  五四号)  同  (第一一五五号)  同  (第一一五六号)  秩父多摩国立公園施設整備拡充に関する陳情  書外一件  (第一一五七号)  健康保険入院料点数引上げに関する陳情書  (第一一五八号) 同月十二日  理容師美容師法実施に関する陳情書  (第一二四〇号)  入院結核患者に対する給食費増額に関する陳情  書  (第一二四一号)  農山漁村保健所機構充実に関する陳情書  (第一二四二号)  らい予防法改正促進陳情書  (第  一二四三号)  栗生楽泉園夫婦寮裏廊下増築陳情書  (第一二四四号)  乙種看護婦養成所存置に関する陳情書  (第一二四五号)  同  (第一二四六号)  同  (第一二四七号)  戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正等の陳  情書(第  一二四八号)  日光国立公園施設整備に関する陳情書  (第一二五七号)  富士箱根並び秩父多摩国立公園施設整備  に関する陳情書(  第一二五八号)  阿蘇国立公園等施設整備に関する陳情書  (第一二五九号) 同月十七日  国民健康保険給付費に対する二割以上国庫負担  に関する陳情書  (第一三四七号)  国民健康保険事業に対する国庫補助増額陳情  書(第一三四八  号)  入院結核患者給食費増額に関する陳情書  (  第一三四九号)  結核患者用ベツト三十万増床に関する陳情書  (第一三五  〇号)  未復員療養者援護措置に関する陳情書  (第一三五一号)  未復員者給与法による入院患者生活費支給に関  する陳情書  (第一三五二号)  満洲国開拓者遺族並びに留守家族援護促進に関  する陳情書  (第一三五三号)  同(第一三五四号)  清掃事業施設整備に要する財源措置に関する陳  情書(第一三五五号)  同(第一三五六  号)  同(第一三五七  号)  町村清掃事業施設費財源確保に関する陳情書  (第一三  五八号)  同(第一三  五九号)  上下水道及び簡易水道等に対する補助金増額  に関する陳情書  (第一三六〇号)  婦人福祉対策に関する陳情書  (第一三六一号)  母子福祉法制定に関する陳情書  (第一三六二号)  母子家庭貸付金貸付に関する陳情書  (第  一三六三号)  中部山岳国立公園施設整備に関する陳情書  (第一三六五号)  を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員会及び小委員長選任に関する件  国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正  する法律案内閣提出第五四号)  生活保護法の一部を改正する法律案内閣提出  第六五号)     ―――――――――――――
  2. 平野三郎

    平野委員長 これより会議を開きます。  まず小委員及び小委員長選任の件についてお諮りいたします。委員諸君より当委員会に癩に関する小委員会を設置されたいとの御要望が強いので、この際新たに癩に関する小委員会を設けることとし、小委員及び小委員長選任に関しましては、委員長より指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお小委員には  勝俣  稔君  野澤 清人君  吉江 勝保君  亘  四郎君  高橋 禎一君  堤 ツルヨ君  長谷川 保君をそれぞれ指名し、小委員長には野澤清人君を指名いたします。     —————————————
  4. 平野三郎

    平野委員長 次に国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案並び生活保護法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査に入ります。まず政府より趣旨の説明を聴取いたしたいと存じます。久下政府委員
  5. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま議題となりました国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  御承知の通り保険者診療報酬未払いを解消し、国民健康保険再建整備を助成するため、第十三国会におきまして国民健康保険再建整備資金貸付法が議決せられ、公布施行を見たのでありましたが、さらにこの貸付金額増額し、再建整備計画を促進いたしますために、この改正案を提案する次第であります。  改正の第一点は、現行法では昭和二十六年度末までの診療報酬未払い昭和二十九年度までの間に解消することになつておりますのを、昭和二十七年度末までの診療報酬未払い昭和三十年度までの間に解消するように改める点であります。  改正の第二点は、貸付対象額は、現行法では未収保険料の百分の五十となつておりますのを、百分の八十に引上げ貸付金増額し、これに伴い、保険者未払い診療報酬支払いに充てるべき自己資金が、現行法では貸付金額と同額となつておりますのを、貸付金額の四分の一相当額に引下げ、保険者負担の軽減をはかるように改める点であります。改正の第三点は、昭和二十七年度における貸付金予算額は、約四億五百万円でありますが、現行法により現在までに貸付の決定した金額は約一億八十六百万円であり、これは貸付金額が少いためでありますので、本改正案におきましては昭和二十七度の貸付につきましても、前に申し述べました改正にならつて、その貸付対象額増額することができるように改正いたしたいと存じます。以上がこの改正法律案要点であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやびに御可決あらんことを御願いする次第であります。
  6. 平野三郎

  7. 安田巖

    安田政府委員 ただいま上程されました生活保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由説明いたします。現在、生活保護法による医療扶助におきまして、被保護者医療を担当しております指定医療機関に対し、都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村が直接その診療報酬を支払つておるのでありますが、このため医療機関生活保護法による医療扶助診療報酬を、社会保険及び結核予防法による診療報酬とは別の窓口から支払われるという煩瑣を免れない実情でありますので、この生活保護法による医療扶助診療報酬支払いに関する事務を、社会保険及び結核予防法による診療報酬支払いの場合におけると同じく社会保険診療報酬支払基金等に委託することによつて指定医療機関に対する診療報酬支払いの一元化と迅速化をはかり、あわせて福祉事務所においてこの支払いに関する事務にあてられている事務能力を、保護決定実施事務に振り向け、よつて一層生活保護法による保護実施の適正を期するため、本法律案を提案することといたしたのであります。  次に今回の改正における要点を申し上げれば次の通りであります。  第一に、生活保護法第五十三条に一項を加え、都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、指定医療機関に対する診療報酬支払いに関する事務を、結核予防法における場合と同様に社会保険診療報酬支払基金またはこれと同様な支払い機関厚生省令で定めるものに委託することができることといたしたのであります。  第二に、これに伴いまして社会保険診療報酬支払基金法第十二条の一部を改正し、この支払いに関する事務の委託を受けたときは、基金はその業務としてこれを行うことができることといたしたのであります。  以上が本法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  8. 平野三郎

    平野委員長 これにて両案に対する政府説明を終りました。  次に、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。高橋禎一君。
  9. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 国民健康保険その他一般社会保険の、保険医に対する指導なり、監督に関しての厚生省の根本的な態度を、まず第一にお伺いいたしたいのであります。
  10. 久下勝次

    久下政府委員 法律的に申し上げますると、国民健康保険診療を担当いたしまする医師歯科医師と、健康保険等診療を担当いたしますいわゆる保険医とは、ちよつと取扱いが異なつておるのでございます。国民健康保険診療を担当いたしまする医療機関につきましては、国民健康保険をやつております市町村等は、保険者としてそれぞれの医療機関と契約をして診療をやつていただく、こういう建前になつておるのでございます。厚生省との関係におきましては、これら医療機関診療費基準につきまして厚生大臣が定めるという関連があるだけでございます。また都道府県知事も一般的な意味における指導あるいは監督健康保険事業について行つてはおりますが、保険医そのものに対しましては、特別な健康保険との関係はないことになつておるのでございます。これに対しまして健康保険の場合におきましては、診療を担当いたします医師歯科医師あるいは薬剤師につきましては、原則として都道府県知事が、医師の同意を得て保険医として、あるいは保険薬剤師として指定をいたすことになつておるのでございます。  これに関しましては、診療基準等につきましても、厚生省及び都道府県知事が必要な指導はできるように相なつております。またもしも保険医が不適当な処置をいたしますれば、現地について診療録その他の帳簿を検査し、また必要のあると認めました場合には、先ほど申し上げました指定を取消すというようなこともできる建前になつておるのでございます。これには中央及び地方社会保険医療協議会という諮問機関がございまして、重要な事項につきましては、それぞれそれらの機関に諮問して決定することになつております。厚生省におきましては、かような制度建前に基きまして、健康保険法に基く保険医指導につきましては、文字通り指導という建前保険医に接しておるのでございます。先ほど申し上げました法律の規定に基きまして、必要があります場合には、保険医のところに参りまして、診療録その他の帳簿を調べたりいたしておりますけれども、これまた私どもは常に指導監査という言葉を使いまして、あくまでも指導的な立場においてこれを実施するという意味でございます。もちろん中にはいろいろ不当請求等のこともございますので、結果において医療協議会審議を経て指定の取消しが行われておることもございますけれども、方針としては指導という立場でやつておるのであります。
  11. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 ただいまお答えになりました保険関係医師歯科医師等に対する指導監査について各所でいろいろと問題が起つておると聞いておるのであります。その問題と申しますのは、一体厚生省の係の人あるいは県のその方面の担当者指導監査と称して、医師あるいは歯科医師に当つていろいろ取調べをし、事情を聴取される場合に、きわめて非民主的な威圧があり、恫喝がある。また相手の人格を傷つける名誉を非常に汚辱するといつたような、きわめて非民主的な態度があるということが非常に非難されておるのであります。申し上げるまでもなく、国家公務員は、その職務遂行に当つては民主的であり、かつ能率的でなければならぬ、こういうのでありますが、その職務遂行に当つて、はなはだしく非民主的な者があつて関係者を憤慨さしておるという事例が各所に起つておると聞いておるのであります。これに対しては、厚生省本省としても十分指導監査に当る人たち指導監査しなければならぬと思うのであります。社会保険に関する事務の一部を担当して、社会保険協力しておるところの保険医、これらの人たち立場を十分考え、これもこの制度に対する大きな協力者である、その協力者としての本来の使命を果さすために、丁寧に、親切にこれを指導して行くという方法をとらなけれぱならぬと思うのでありますが、現地について直接指導監査をなさつておられる人等に対して、本省としては、その指導なり、監督なりにどういうふうな配慮がなされておるか、また出先の人たちの実際の職務遂行に当つて、それらについて御調査がなされておるのであるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  12. 久下勝次

    久下政府委員 御指摘の問題につきましては、おそらく私どもが考えており、また調査をいたしましたのと同一であろうと思うのでありますが、確かに私ども職員である一技官が、監査の際に行いました言動は穏当を欠いておりましたことを、私ども認めております。この点ははなはだ遺憾に思いまするし、また申訳なく存じておる次第であります。  保険医に対する指導は、今高橋委員から御指摘通りでございまして私ども全然同様の考えを持つものでございます。それゆえにまた、先ほど来申し上げておりまするように、ただ単に監査という言葉でなしに、指導監査ということで部下職員の督励をいたして、おるつもりでございます。当該技官の問題につきましては、従前にもそういうような非難があつたことがございましてさつそく注意をしておつた次第でございまするが、依然として改まるところがなくて、最近また同じような非難を受けておりますことを、われ我れ実は申訳なく思つておる次第でございます。ただ私どもが承知いたしておりまする限りにおきましては、その一技官に関する問題で、ございまして、同じような仕事をやつておりまする他の技官についてはさような非難を受けておりませんので、この点は特にまたその意味で申訳なく感じておる次第でございます。とりあえず私どもといたしましては、この事実につきまして関係職員に対して注意を促し、厳重に戒めておる次第でございます。なを現在そうした問題のあります技官につきましては、一応とりあえすの処置といたしましては監査仕事には従事させないように指導しておる次第でございます。
  13. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 実は広島医師会理事会で、昭和二十八年一月三十一日に以下読み上げるところの決議をいたしているのであります。それは広島民生部保険課名前決議文に書いてありますが、私はこの名前を某と読みます。   某氏は、社会保険育成に対する広島医師会の誠意ある協力を毫も認識せざるのみか、自己の地位が厚生省直属官たるを鼻にかけ、独善横暴を極めつ長社会保険運営を司り、更らに指導監査の嵐に於ても、その精神に逆行する悪意ある監査を慶次実施し、徒らに医師並医師会の名誉に汚辱を与え、且又社会保険国民保険に挺身する人々の意欲を傷け、医師会より発する再三の善意に満てる警告に対しても反省の誠意を示さない、吾々は陰忍自重以つて今日に及びたるも、最早同氏と共に保険診療の、明朗なる運営に当ることは、望み難きものと認めざるを得なくなつた。  仍つて広島医師会理事会は、今後某氏を信任せず。 右決議す。  こういう決議をいたしておるのであります。また同医師会理事会は同日声明書を発表いたしました。それによりますと、   昨年十月厚生省保険局技官により広島、呉、福山に於て保険医十数名が監査せられた。その監査時に於て同君が威圧恫喝傲慢非礼横暴専恣独善の限りを尽して被監査保険医に臨んだ態度は、民主々義に逆行ずる権力をかさにきたる「暴力行為」であると断ぜざるを得ない。   吾々は隠忍自重して今日に及んだのであるが、苟くも団体員がかくの如き侮辱を与えられたのに対し黙視する事が出来ないので、積年の悪弊をせん除し、保険医療明朗化のために討議せねばならぬど決心した。   先ず第一段階として地方医療協議会に於て、われわれは被監査者の中、問題となつた会員に対して弁明すべき点は担当者代表として充分に主張し、これを委員会に反映せしめた。   前記の状態によつて監査された結果が果して妥当なりや否やは別とし、地方医療協議会委員諸氏か、吾々の弁明をよく聞いて下さつた事に対しては、深く敬意を表する次第であつた。しかし医療協議会の最後に委員である松坂県医師会長は「吾々は関係当局に申し上げて置く」と前提し   一、今回の厚生省技官監査態度方法の問題   二、広島民生部保険課長の保険行政指導運営方針に就ての問題は本医療協議会と離れて、広島医師会は別に討議する決心であることを鮮明にして置くと述べるところがあつた。   これらの問題で本会は緊急理事会を開催し、前二項の具体方針を採択し、一切を常任理事に任せられた。   仍つて本常任理事会は、その解決に向つて今後最も有効適切なる処置に出すること長なつた。 こういう声明書を発表いたしておるのであります。厚生省におかれては、広島医師会理事会がかくのごとき決議をし、声明書まで発表するというようなことを決意するに致つた、その原因となつた事情について御調査があつたのであるがどうか、その点をお伺いいたしたいと思いますし、もし御調査がなかつたのであれば、これらの点をつぶさに御調査になることが、厚生省指導監督土岐も必要なことであると私は思うのでありまして、それを要望いたしますと同時に、私ども一般社会保険の普及発展ということに深い熱意を持つて努力いたしておるのでありますが、漸次厚生当局もその線に沿うて御努力になつておることは認めるのでありますけれども、出先において、この社会保険に対する有力な協力者である保険医に対する指導監査というようなことが、先ほど申し上げました声明書やあるいは、決議文に現われておるような内容を持つておりましたのでは、せつかく私どもまたは厚生省において考えておられるところの社会保険の発展のために、大きな阻害となると私は思うのでありますから、これらについては十分御留意があつてしかるべきものであると思うのでありまして、この点について政府委員の御所感を伺いたいのであります。
  14. 久下勝次

    久下政府委員 お話のございました問題は、一つは本管の職員に関し、一つは地方職員に関することでございます。本管の職員につきましては、先ほど申し上げた通りでございまして、直接本人に注意もいたしておりますし、調査もいたしておる。また広島だけでなく、ほかの県にも問題が起きておりますので、その方の関係者の出頭を求めて事実を調査いたしたりしております。それから広島県の地方職員の問題につきましては、直接本人の出頭を求めまして、調査もいたしておる次第でございます。結局今仰せになりましたような考え方で私ども自身も対処いたしておるつもりでありましてまず本省職員の問題につきましては、事柄がひとり広島県だけの問題でなく、ほかの方からも同様の申入れを受けております関係もございまして、とりあえずの処置として善処をいたしておる次第でございます。  広島県の地方職員の問題につきましては、医師会の受取つておられることと、私どもが直接本人から聞きましたところとでは、若干違う点がございますので、なおこれば詳しくその後の調査も続けて参りたいと思つておる次第でございます。問題はまつたく今先生のおつしやる通りでございまして、私どもとしても、保険医協力なしに社会保険が運用できるとは考えておらないのでございます。そういうような印象なり、お考えを医師会に与えるということは、私ども関係者としてまことに申訳なく思つている次第でございます。  ただあえて申し上げさせていただきたいことでございますが、多数の保険医の中には、事実不正の請求なり、診療をしないのに、したと称して請求をされる方もあるのでございまして、私どもとしては、これらを適当に処理するということもまた、社会保険に対してほんとうの意味における保険医の御協力を得られるゆえんではないかとも考えている次第でございます。この辺のところは、多少立場の相違もございましようけれども、御了承を願いたいと思う次第でございます。それにいたしましても、今御朗読のような事案は、私拝聴いたしておりまして、私が事実調べて承知いたしております点と比較すると、現象的にはやや違うような気もいたしますが、しかし私自身も事実は否定いたしておりませんので、監査実施にあたりましてはなはだ不穏当な言辞を弄した事実がございます。私どもは決してさようなものを正しいと信じているものではないのでございまして、関係者を十分この点は戒めます。本人はもちろんでございますけれども、他の全国関係者を十分戒めまして、ただいまのお考えと同様に処置をするつもりでございます。
  15. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 私も今政府委員のお答えになりましたように、不正な保険医はもちろん十分監督されなければならぬことは申し上げるまでもないところでありまして、決して不正な保険医をかばうという意味で私は申し上げているのではないのであります。要するにこれらに対する指導監督は、どこまでも民主的に、能率的に、賢明になされなければならぬ。少くとも指導監督に名をかりてせつかくの協力者にその熱意を減退させるというようなことがあつてはならぬ。またその間に、極端に申しますと、相手方の人権を尊重しないというような態度があつてはならぬ。こういう趣旨で申し上げておるわけでありまして、それらの点を十分取入れて将来の指導監督をなされんことを要望いたしておく次第であります。
  16. 佐藤芳男

    ○佐藤(芳)委員 ただいま高橋委員より所見を加えての御質問に対します政府委員の御答弁は、完璧だと私は考えますが、ただこの二つの問題について御調査がまだ不完全のように思われますので、もう少し徹底的に御調査を賜わりたい。私がかく申しますゆえんのものは、ただいま登場いたしておりますその二人の人物を徹底的に糾弾せんとする意思からだけでかように申し上げるわけではないのであります。それももちろん一面にはございますけれども、一面私保険者として十数年関係をいたしましたが、最初の数年間は——と申しますよりは、きわめて最近まで、全国的に見まして、医師のこの制度に対する協力が完璧ではなかつたように思われるのであります。しかしながら最近日本医師会指導、各府県の医師会指導、それから各国師の認識によりまして、きわめて良好な傾向をたどつておりますことは、まことに御同慶の至りであります。政府委員のおつしやるように、また高橋委員のおつしやるように、この制度医師協力なしでは成り立ち得ない制度でございます。ところがまだ府県によりましては、また地方によりましては、まつたき医師協力を得られないというところも相当程度あるのでございまして、かくてはこの制度がただ単に医師に対する診療報酬支払い保証制度というかつこうに堕する結果にもなりかねない。この点私どもは非常に憂慮をいたしておるのであります。  私はこの際ただいまの二つの問題について政府当局がお取調べになる一つの方法を提示いたしまして、御所見を承つておきたいと思うのであります。各府県におきまする医療協議会と申しますか、そうした機関について、十分こうした事件をお取調べを願いたい。特に国民健康保険の府県連台会の首脳者についても、十分その監察を御聴取願いたい。そうしてその事実を十分検討されまして、高橋会員がお読み上げになりましたが、医師会態度がおつしやる通りでありますならば、そのお二人に対しましては、徹底的な処断を加えていただきたい。また一面十分に調査をなさるというその結果から、指導監督がにぶつてはたいへんだと思います。悪は悪として処断されてけつこうでありますが、そのために池の技官あるいは他の府県の保険課長等が、国保に対する熱意を失つてもらつては困る。特に指導監査の面において萎縮されてはたいへんだと考えますから、あえで各府県の迫台会等につきましても、十分こうした問題についてお取調べを願いたい、かようなことを提示するのでありますが、これに対して政府委員はいかなる御所見をお持ちでありますか。
  17. 久下勝次

    久下政府委員 ただいま佐藤先生から具体的な方法を指摘してのお尋ねであります。先ほどはきわめて抽象的な答え方をいたしたのでありますが、本省職員につきまして関係者を調べましたところでは、一致した見解でありまして、これ以上私どもとしてほ事実を疑うことはないと思つております。従つて結果におきましてその言動、特に言葉づかいに不穏当なことがあつたことを認めておるものでございます。ただ県の職員の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、医師会の方の御主張もありましたので、とりあえず本人の出頭を求めまして本人から直接つ讐にいろいろ事情を聞いておるのであります。それによりますと、必ずしも医師会でおつしやるような表現のままではないように聞いておるのでございますが、これもまた一方的な言い分でございますので、ただいま佐藤先生の御指摘のような方法で、さらにできましたならば、もつと広く調査をしてから善処いたしたいと思います。ただ私どもが受けておりまする印象によりますと、前者の場合と違いまして、後者の場合におきましては、若干ゆとりがあるような印象を受けておるのであります。しかしこの点は、そうした決断を今私が下しますことは不用意でありますので、御指摘のような点につきまして再調査を続けたいと思います。
  18. 日高忠男

    日高委員 ただいま佐藤委員から指導監査がにぶるようなことがあつては困るというような御意見がございましたが、もちろん保険医の不正行為に対して医師会として臭いものにふたをするという意思は、地方医師会においては毛頭持つておらないのでございまして、私の考えといたしましては、保険医指導する権限を医師会にまかせてもらうことはできないかということをお伺いする次第でございます。終戦前までは請負制度のようなことになつておりまして、医師会指導監督をする権限を持つておつたのでございますが、サムス准将の指令によりまして、あの権限をすつかり医師会から取上げられてしまつたのでございます。医師会としては、監査のときに不正が出て来た場合に、医師会の責任だといつて医師会を悪く言われますけれども、実際には、法的には医師会はそういう指導監督をする権限を持つていませんから、そういうことをやかましく言われてもどうにもならぬのでございまして、この際昔のように医師会保険医指導監督する権限を付与してもらいたいと思つておるのでございますが、そこはどういうふうにお考えでございますか。
  19. 久下勝次

    久下政府委員 保険医指導あるいは監督ということと、その結果に基く処分という問題とは、おのずから性質をわけて考えてやつて行く必要があると思つております。保険医指導につきましては、私どもでは関係職員が、指導監督等の方法を通じてやつておるほかに、二十八年度におきましては、ただいま御審議をいただいておりまする予算案の中にも、ごくわずかではございますか、保険医指導に関する特別な予算を計上をいたしまして、この数年絶えておりました保険医指導を徹底して参りたいと考えておるのでございます。そういうような仕事を実際に行つて行く場合には、もちろんお話のように自主的に医師会の御協力を得てやりたいと思つております。ただ問題は、実際に不当請求をいたしますような保険医がありました場合にこれをどう処置するかということにつきましては、これは医師会立場でやるべき性質のものではないと私は考えます。保険者という立場を持つておる者もございますしまた被保険者という別の立場を持つ人もありますが、その間に保険医が介在しておるわけでございますので、これらを指定の取消しをいたすとか、あるいは戒告をいたすとかいうような、いわゆる行政処分を行いますためには、これら三者の利益を代表するような立場の、すなわち行政庁がやるということが、私は制度としては一応筋の立つことでぽないかと思つております。もちろんこの決定につきましては、制度諮問機関ではありますが、実際に医師会の幹部、保険者、被保険者の代表等の参画をしていただいております社会保険医療協議会というような制度がございますので、そういう際におきまして、それぞれの立場の方々の御主張が公正に述べられ、そこで民主的な御判断が下されるのでございます。私ども行政庁がこの処分をいたしますためには、そうした協議会の民主的な御意見を十分に尊重して決定をいたしておる次第でありますので、私は今ただちにお話のように、一切の保険医監督権を医師会におまかせをするということにつきましては、相当に考慮を要するのではないかと考えております。
  20. 日高忠男

    日高委員 ただいまの御説明で、処分の問題はやはり医療協議会において行われるのが至当だと思いますが、しかし平素かちの指導なり監督が十分であつたならば、本省から直接に監察指導してもらう必要はなくなつて来ると思うのであります。自主的に指導監督せよとおつしやいましたところが、やはり高橋先生からもお話のありましたように、人権を蹂躙するというような問題もありまして医師会としてはあまり立ち入つてそれができない場合があります。何ら法律もないのに立ち入つてあまりやかましく言うことはできませんので、自主的ということでなしに、これはやはり法的に監督指導ができる法律をつくつてもらいたいと思うのでございますが、そういうお考えは全然ないのでございますか。
  21. 久下勝次

    久下政府委員 医師会自身が、会員である保険医についていろいろな指導をされ、あるいは必要な処分をされるということにつきましては、医師会の定款の中にたしか明文があるはずでございます。医師会においてそれぞれ裁定委員会というものを設けられておるわけであります。医師会自身の総意によつて決定をされました、そうした定款の規定によつて現在やつておることでもございまするし、そういう線でおやりできることでもありまするし、私どもはこれを法文の中に入れるということは、かえつて不適当ではないかと考えております。
  22. 日高忠男

    日高委員 二、三年前には、指導の費用として、日本医師会に対し三二百万円くらいの補助が出ておつたのでございます。今のお話では、今年度は多少それを計上しておるとおつしやいましたが、その額はどのようになつておりますか、それをちよつとお伺いしたいと思います。
  23. 久下勝次

    久下政府委員 実は費用としてはごくわずかでございまして、一般保険医指導の予算は二十八年度百万円ございます。これは先ほど申し上げましたように、すぐに医師会に流しますか、あるいは医師会の方にお願いして、特に支払基金審査委員になつている先生方もございますので、そういう方々が保険診料の実態についてはよく御存じであります。そういう方に医師会の実際の指導をお願いするということになろうかと思います。まだ決定はいたしておりませんが、医師会にすぐ流しますかあるいはそうした方法でやりますか、まだよく検討しておりません。
  24. 日高忠男

    日高委員 現在においては基金審査委員というものは、やはり医師会理事者が定員の三分の一でございますか出ておるわけでございまして、実際はその審査会を通じまして請求書なんかをよく見ました上で、書面において指導はいたしておるのでございますが、一回その講習会を開いて、皆集まつて指導講習をいたしますにつきましては、相当の費用がかかるのでありまして、医師会全体で、日本全体としてわずかに百万円ではどうにもならぬと思います。これはなるべく多額を指導費の方へまわしてもらうように、そうしましたら直接本省監査というものは非常に少くなつて来るように思うのでございますから、増額について十分善処していただきたいと思います。
  25. 平野三郎

  26. 大石武一

    大石(武)委員 ただいまの質疑の関連事項ではございませんので、まことに失礼でありますが、二十七年度の予算において、この国民健康保険再建整備資金とほとんど同額のいわゆる奨励金というものが計上されておるのでありますが、現在それはどの程度まで各地方に流されているか、様子がおわかりでしたらちよつと御報告願いたいと思います。
  27. 山本正淑

    山本説明員 予算額は四億六百万円でございまして、現在まで確定いたしましたものは、件数にいたしまして、すなわち保険者の数にいたしまし三千七百六十六件、金額にいたしまして二億七千七十三万二千円となつております。
  28. 大石武一

    大石(武)委員 それはいつまでですか。
  29. 山本正淑

    山本説明員 十二月までであります。
  30. 平野三郎

  31. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、保険局長にだけ申し上げたいことではないのでございますが、先ほどから高橋委員から御発言がありました行政の府におられる官吏の方の行動の問題でございますが、これは私たちがたとえば厚生省などへ電話を一つかけましても、私が代議士の堤ツルヨであると言うまでは、厚生省の声は違うのでございます。私が社会党の代議士で堤ツルヨだということを申し上げますと、にわかに官吏の方の声はやさしくなつて言葉使いが丁重になるのでございます。いかに民衆に君臨の形で行政の府におられる方々がいげつておられるか、と申したら恐縮ですけれども、非常にそれがうかがえるのでございます。ただいまもその一つの例だと思いますが、まあこの中には官僚御出身の議員もおいでになりますから、こういうことを申し上げるのは恐縮でございますけれども、ことに吉田内閣は官僚出身の大臣をたくさんつくつて来ました関係上、官僚の方々は今日非常に横柄でございまして、官僚王国の感があります。公用族、社用族という言葉が生れて来ておるのも私はわけがあると思いますが、ことに厚生省に申し上げたい。これは厚生大臣がおいでになるときでないといけないのでありますけれども、生産部門にお携わりになるのでなしに、いわゆる人道上の見地から国民の生活を守るべき立場にある厚生省の役人の方々が、他の省と同様に横柄な態度でお出ましになるということは、非常に私は考えものであると思います。ここに社会局長もおいでになりますが、生活保護法の適用にあたつて、要保護者に対するところの地方公吏並びに中央の方々の態度などにいたしましても、実にけしからぬの一言に尽きることがたびたびあるのであります。私は特に厚生省の方々に、この点は他の省と違つてやさしくしていただきたいということをしの際申し上げておきたいと思います。  そこでちよつと保険局長にお尋ねをいたしますが、昭和二十七年度の予算の貸付金は四億五百万円であり、たかいまの委員の御質問に対しまして、奨励金二億七千七十三万円という金が地方に出ておるわけでございますが、非常に困難な中から二十七年度のいわゆる整備資金の貸付予算額をとつておキながら、現在までに貸付された決定額が一億八千六百万円という御報告でございます。気息えんえんの国保は、たとい一文たりともお金をたくさんまわして救済しなければならなかつた二十七年度の現実を私たち考えますときに、なぜ厚生省の方々は、保険局はもつとたくさん金を貸し付けてそうして今ごろでなしにもつと早く見通しを立てて、この四億五百万円をこの整備のために充てられるの策を講ぜられなかつたか、ふかしぎに思うのでありますが、大切な予算の使い方であるのに非常に頭の悪い使い方だと私は思うのですが、これは局長どうです。
  32. 久下勝次

    久下政府委員 私どもは実はこれほど貸付申請が少いとは思わなかつたのでありますが、何分にも法律によつて貸付の条件がきまつておる関係もございます。一つには実際に私どもの予想では、二千三百を越える保険者がこの現行の法律によりまして貸付を受ける資格があるものと見ておるのでありますが、実際に貸付を申請して参りましたものは六百ほどの保険者にすぎないのであります。そのうちで五百八十七の保険者に対して御指摘の一億八千六百万円の貸付が決定したというのが現状でございます。結局これは現行法の御審議の際にもいろいろ御注意がございましたように、貸付の条件がきつ過ぎるという点が問題であつたと思うのでございます。そのうち特に貸付対象額の半額だけを貸してやるということになつて、半額だけは自分で苦しい財政の中から支弁しなければならない、調達しなければならないということになつておりました点が、おそらく私どもの考えでは一番大きな障害であつたと思うのでございます。これは法律改正をしまた予算的な措置も財政当局の了承を得ませんとできませんことでございますから、たいへんおそくなつて申訳ないのでありますが、今度の法律改正によつて、先ほど提案理由で御説明申し上げておりますように、昭和二十七年度の貸付金四億五百万円は年度内に全部貸し付けられるようにいたしたいという考えでございます。少くとも今までに貸付を申請し、決定をいたしました五百八十七の保険者に対しましては、貸付割台を対象額に対する百分の八十とする、つまり百分の三十だけ余分に貸してやるということだけで三億二百万円ほどの金はただちに貸し付けることができるのであります。あと一億ほどの金が残るわけでありますが、これはおそらくこういう条件緩和によりまして年度内に新しい貸付申請があるであろうということを予想いたしましてこの法律改正案をお願いしておる次第であります。御了承を願います。
  33. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 おそまきながらもこの改正案を出されたということはけつこうでございますけれども、不眠不休で大蔵省と折衝して予算をとりながら、こうしたずさんな予算の使い方、見通しの立たない計画をお立てになるということは、私は局長として責任問題だと思う。ことしの予算でも三十一億の金が国保のためにまわつたのでありますが、いたずらに地方に向けて、こわいような寄りつきがたいような態度をおとりになりますと、また余つた予算を大蔵省に取上げられてしまうというようなばかなことが生じますから、十分御留意願いたいと思うのでございます。
  34. 平野三郎

    平野委員長 本案に対する御質疑はありませんか。
  35. 勝俣稔

    勝俣委員 再建整備貸付の予算が余つたようなお話でありますが、今回この改正が行われることには、私は非常に賛成する次第であります。今度国民保険に対するところの医療費の国庫補助が一割五分も行われることになつた際においては、おそらく今まで休止状態にあつたところが復活して来るんじやなかろうか、その再建整備資金の貸付を要求して来るところが非常に多くなつて来はしないか。そうなると堤さんのような御心配はいらなくなつて来るのではなかろうかというように私は感ずると同時に、これだけの予算では二十八年度は足りなくなつて来はしないか。そういうような場合には、政府はこれに対して何らかの財政的処置をおとりになるおつもりであるかどうかということを、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  36. 久下勝次

    久下政府委員 法律案の細部につきまして御説明申し上げればよろしいのでございますが、ただいま御引例になりました従来休止しておりましたものが、いろいろな事情から、特に整備費の補助が出るというようなことから、事業を再開することもあろうということを予想いたしまして、その分につきましても、実績に基いて昭和二十八年度に貸付をできるように法律には規定をいたしてある次第でございます。その辺のところは若干見込んでございまするので、私どもの考えでは、そう大きな心配はないかとも思いまするが、これは単なる予想にすぎませんので、実際問題としては、確かに予算に不足を生ずるというような事態が起るがとも存じております。かような場合には、私がこういうことを申し上げてよろしいかどうかわかりませんが、私ども立場としては、当然補正予算の機会でもあれば、補正予算を要求するというようなことをいたすべきだと考えております。
  37. 平野三郎

    平野委員長 本案に関しまして他に御質疑あるいは御発言はありませんか——別にないようでございますので次に移ります。
  38. 平野三郎

    平野委員長 次に生活保護法の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。堤ツルヨ
  39. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 社会局長にちよつとお尋ねをいたします。本日提案の生活保護法の一部改正は、単なる医療機関に対する支払いの窓口の問題だけでございます。私はこの委員会で超党派的に委員諸公の御良識を煩わしたいと思うことがあるのでありますが、それは現在の生活保護法の対象になつておる人たちの実態でございます。御存じの通り予算が非常に少うございまして、要求した人たち全部がこれの恩典に浴するようなものではございませんので、はなはだ遺憾でございます。とりあえず生活保護法の対象となつて保護者となりました人たちの実態を見てみますときに、社会党の代議士としてこういうことを申し上げるのはいかがかと思ますけれども、非常に大きな矛盾があると思うのです。それはどういうことかと申しますと、生活保護法の対象となつた者は、働けば損という矛盾が生れて来ていることであります。たとえば何がしかの基準額をもらつております際に、夜十二時か一時まで起きて内職をいたしまして七百円なら七百円の収入があつた場合に、その収入は基準額から引かれまして、そうして働いても働かなくても同じ立場になるわけでございます。これは生活保護法建前に準じたものでございまして、決して無理ではございませんけれども、要保護者が少しでも芽を出せばちよん切つてしまうというようなことは、自力更生をはかるという法の建前にほんとうにのつとつておるものであるかどうか。私全国をまわつて見ますときにいろいろとこの問題にぶつかり、民生委員、社会福祉事業団体などからたくさんの陳情を聞き、社会局においてもここ数年来この問題で悩んでおいでになると思うのでございますが、月五百円くらいの収入であるならばこの収入を収入とみなさないで、せめ三箇年でも自力更生のために期間を置いてあげてそうして生活保護というげたを脱がせてしまう建前をとるところまで行かなければ、生活保護法の国民の税金から出た貴重な金を、流れ川に捨ててしまつたのと同じ結果になつてしまうのであります。たとえば函館市の浮浪者収容所をごらんなさい。私は視察をいたしましたが、あの浮浪者収容所には生活保護法の適用者が実は百五、六十世帯おりまして、こういう言葉を使うのはいかがかと思いますけれども、隔年くらいに子供を産む保護法被適用者が、岸辺にある魚をもらつて来て、国からもらう生活保護費と合せて何のなすところなく寝ている。そうして子供は親の一生を見てまたこれに準ずるでありましようが、この人たちに自力更生の日がいつ来るか。白昼にふとんを被つてみな寝ておるのであります。働けば損になる生活保護法であるならば、惰民養成であることはこれは私の説明をまたなくともわかると思うのであります。この際生活保護法建前を、政府でやらないならばこの委員会で考えて、長年とは申しません、たとえ二年でも三年でも、月五百円ぐらいの増収があつてもこれを収入とみなさないで、依然として補助をしてやつてそうしてこの人たち生活保護法のげたを脱げるようなところまで持つて行かなければ、二百数十億の国の予算はこれはみな死に金になります。社会党の代議士がこういうことを言うのは変かと思いますけれども、私は函館の市長に、あそこに、ごろごろ寝ころがつている人たちにどぶの掃除でもさせなさいということを申し上げたのであります。実に見るにたえない。いかに私たちか社会主義政策を主張いたすといたしましても、惰民養成であつてはならないのでございまして、この点局長は、生活保護法の現在の適用者の実態を見てどういう考えをお持ちになつているか、まず承りたいと思います。
  40. 安田巖

    安田政府委員 お答えいたします。生活保護法の適用を受けておりす者が、なるべく働くようにして、自力更生するような方法を講じなければいけないではないかというお話でございますが、その点はまつたく同感でございます。ただ金をやつただけで惰民養成になるではないかというようなお話がございましたが、そういうことは厳に避けなければならぬと私どもは考えております。今生活保護法の適用を受けておりまして、たとえば内職をいたしますとかその他の仕事をいたしまして勤労収入を得ます場合には、東京あたりでございますと大体五百円というものは見ないことにいたしております。今のお話のように、そのほか交通費がかかるとか、あるいは若干費用のかかるものはそれを見ないことにいたしております。大体今堤委員のおつしやつた程度の金額をわれわれは考えておるわけでございます。しかし千円になりますとか二千円になりますとかということになりますと、結局生活保護法は、御承知のように国民の最低の生活というものをそこでささえておるのでありまして、そのささえ方も、原因のいかんを問わない、まただれがそういうところへ落ちたからとというので差別もつけないという、無差別平等の原則でささえておるわけでありますので、ある人は七千円になり、ある人は一万円になり、ある人は五千円になるというふうな区別をつけることは、やはり生活保護法建前をくずすもとになるのであります。従いまして今の勤労を奨励しなければならぬということはもちろんでありますけれども、もうけただけは一切収入と見ないで、今まで通り生活保護法の生活扶助をやるということは、やはりいろいろ問題がある。また同時に勤労意欲を刺戟する方法はそれだけでもないじやないかというようなことも考えられるわけでありまして、お話の点私どもよくわかつておりますし、私どもが同時に悩んでおるところでございますが、現在のところでは、ただいま御説明した程度のところが適当じやないだろうかと私ども考えておる次第であります。
  41. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私はいたずらに政府ばかりを責めるものではございません。いかにりつばな法律ができましても、民度が低ければ百パーセントその効果を生かさないものでございますから、大いに国民大衆の啓蒙という点にも問題があると思うのでございますが、しかし私たちがおよそ地方に参りまして、民生委員などの陳情を受けまする範囲におきましては、この生活保護法の現在の建前を何とか是正して更生自立できるような方面に、実際に法律を一部改正しなければならぬということを痛切に私は感じておるのであります。従つて会議員の皆様方にもお諮りしたいと思つておるのであります。たとえば局長の耳にはすでに届いておると思いますけれども戦傷病者戦没者遺族等援護法実施にあたりまして、妻一万円、父母・子・孫・兄弟五千円というささやかな年金が出ましたが、これによつて生活保護を打切られ、今まで生活保護法の適用を受けておつた方が、この法律ができるよりましであつた。——私の県にも近くの町に、お母さんが肺病で医療扶助を受けておる、子供が三人おつてみんな小さい、お母さんはその辺をはつてかまどに行かねばならないというようなみじめな要保護者がございましたが、遺族援護法ができたばかりに、年金が来たばかりに、生活保護法の適用を打切られた。そうしてこれはありがたし、かゆしで、こんなものは出なかつた方がましであつたという目にあつておる世帯が非常に多いのでございます。こういう点などは私が今申した逆の場合でございますけれども、非常に矛盾が多い。要するに収入があればこれを差引いてしまうというごの行き方は、私は今まで要保護者に国がつぎ込んだ金をほんとうに生かし得るものではないと思いますので、これはいかなる場合におきましても、今まで要保護者に国が国民の税金を入れた金が生きるように考えなければならないのは、厚生省の役目であり、社会局長の責任であると思うのでありますが、これに対して具体的な方法をお持ちになつておるかどうか。長年悩みの種となつておるが、こういう方法を講じたならはこの生活保護法建前をこうかえて、こうするならば、こういうふうに今の盲点をつけるだろうというような具体案をお持ちになつておりましたならば、御提示願いたい。
  42. 安田巖

    安田政府委員 生活保護法建前をどう考えるかということで、いろいろ今のお話の結論が違つて来ると思うのであります。生活保護法ができましたとき、長谷川委員もおられますけれども、いろいろ御審議いましたのですが、生活保護法の四条に、保護の補足性ということがあるのです。これは、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」ということになつております。これはたとえば今お話の子供をかかえた未亡人がおりまして、その人は生活保護法で五千円もらつておる、ところが子供がおるために働けない。その隣りは働く能力があるために、あと三千円働いて八千円の生計を営むことができるということになりましたならば、三千円というものは差引かないということになりますと、片方は働こうと思つても働けない、それで国は最低の五千円の生活を保障しておるわけです。ところが隣りは働けるから八千円の生活の保障をしておるのだということになる。その人がたまたま現在おる環境によつて、そういう区別がつくことがはたして生活保護法の本旨にかなうかどうかという問題だと思うのであります。そこで今の障害年金の問題にいたしましても、あるいは遺族年金の問題にいたしましても、私どもはほんとうは生活保護法はそういうふうな最低の生活を保障するのでありますからして、遺族年金生活保護法より額が多いのが普通なわけであります。そうなれば問題はないのであります。かりに遺族年金が先にできておつて、あとから生活保護法というものができた場合に、遺族年金をもらつておるけれども、それに生活保護法の金をやるかということは、これはだれが常識で考えましてもそういうことはできないと思います。そこで私どもいろいろそういうふうなりくつを申しましても、実際には気の毒な事情がたくさんございますので、何とかそこを理論的な調整をいたしまして、現実の実態に合わせたいということを考えまして、たとえば子供を持つている母親でありますと、それはいろいろ労働がはげしくなるから、軽労働が中労働になるというので、五百円ばかり上げるとか、あるいは弔慰金の方は、これはお燈明代といつては変でございますけれども、そういうような、政府が当然しなければならぬことをお金で差上げるのだから、それは差引かないということでりくつをつけまして、実質的にはやはり相当のプラスになるようなことは考えておるのであります。しかし依然として今堤委員のおつしやるように、収入があつたら差引くのがけしからぬという議論になりますと、今の生活保護法の根本に触れて来る、こういうことでございます。
  43. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私たちが厚生予算ととつ組みます場合に、生活保護法のこの予算というものは、年々減つて行つてこそ初めて私は法の目的を達するのだと思う。刻下の諸情勢からいろいろスライドした関係もございますけれども生活保護法の適用の対象というものは、ここ数年見ておりましても、決して減つておりません。これは皆さんの机の上にデータが出ておると思いますが、だんだんふえて行くばかりだ。これは政治の貧因の上からしめるところでございますから、吉田自由党内閣の責任でございますけれども、かてて加えて、局長も御存じの通り、引揚者が三万人帰つて参ります。この引揚者の職業なり生活安定の問題は大問題でございます。共産党が一部これを利用しようとかいうようなデマ心飛んでおるようでございますし、指令も正式に発したという問答も委員会でなされておりますが、好むと好まざるとにかかわらず、食えない人々、職のない人々は共産党に利用されるということは、世界の事実が物語つておる。この場合に私は木村引揚援護庁長官に、お帰りになつて職のない人、またパンのない人はどうするかと質問いたしましたら、日本には生活保護法というところのりつぱな法律がございまして、これで救う建前になつておりますので、堤委員の御心配は決していりませんと、こうおつしやつた。これはラジオでも録音したから御存じの通り。それでは木村引揚援護庁長官にお尋ねするが、厚生省の社会局の予算には帰つて来た人までの予算が入つておると思つておるが。窓口に民生委員を通じて要保護の対象になりたいという人が申請しても、三分の二くらいはふるわれておるようなボーダー・ラインを一ぱい持つておる現状であるのに、引揚げて来た人を受入れる予算が社会局にないということをはつきり聞いて知つておると、議論を闘わしたのでございましたが、この際局長にも——三万人お帰りになつた方々は、復員者ではございません。要するに極端にいえば、あちらで子供を連れてこじきしておつた人も帰つて来ることを予想しなければなりません。そうなつて参りますと、この生活保護法の金は、少くとも二億や三億は社会局で引揚者のためにおこしらえになつて、受入れ態勢を整えなければ、おとといの委員会でも、子供をかかえて、主人がアル中で寝ている看護婦の奥さんが、泣いて訴えている実例がある。四人の公述人を呼んで聞いてみても、そのうち一人がすでにそうなんです。女子供を予想される今度の引揚者のために、生活保護法の特定のわくをお持ちになつておるかどうか。質問が横にそれましたので、質問をもとにもどしますが、今この特定のわくをお持ちになつておるかどうか。厚生大臣と一緒にお考えになつているかということを、ちよつと先にお答え願いたい。
  44. 安田巖

    安田政府委員 二十八年度の予算に、引揚者の三万人分の生活保護の金を含んでいるか、含んでいないかでございますが、これは考えておりません。三万人の中で幾らが生活保護法の適用になりますかまだわかりませんし、それを計算の根拠に入れておらないことは事実でございます。しかし大体生活保護法の予算というものは見積りでございまして、一定の定められた基準に適用するものが出て来れば、これは国として必ず払う費用でございますから、もしやつているうちに、これはどうしても足りないということでございましたら、補正予算にも当然組まなければならない費用でございます。そういうことも私ども考えております。
  45. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 補正予算ででも補うという局長のお言葉を聞きまして、安心したわけでございますが、ぜひそういう措置をしていただきたい。そこで私は局長に先ほどから問答いたして参りましたこの生活保護法の盲点を、何とか始末しなければならないと思うのでありますが、私はべらぼうなことは決して申し上げません、今申し上げたような五百円、七百円というものでなお現状を救いがたいものであるならば、もつと常識的に、物価生計指数などから考えて、この法律の中で一部を改正して、要保護者に対する処置を講じまして、少くとも三箇年ぐらいは収入の一部のものを自力百更生のために役立たしめるようにして、それでも自力更生できない人は処置してしまうというような附帯条件がついてもけつこうでございますから、何とかひとつ政府の方でこの盲点をつく具体的な案を考えていただきたい。私たち国会の委員会におきましても、私はぜひ御研究を願いたいと思つておりますから、さよう御承知を願いたいと思います。  それからもう一つこの際局長にお聞きしておきたいのは、生活保護法の適用者が遺族援護法の対象となることによつて、生活の扶助を打切つたという世帯が全国で幾らあるか。伺うところによりますれば、各府県の県庁の窓口には、厚生省から通達が参りまして、遺族援護法適用の対象になる人たちはなるべく生活保護を打切れということであります。従つて昨年暮れの十月ごろから、私の滋賀県などにおきましては、あなたは遺族援護法の適用の対象になつてその方から金が来るのだから、生活保護法の適用の対象になることは打切りになるということを宣言して参りまして、これは本省の通達であるというので、どんどん生活保護法の適用の対象となる権利を打切つている実例があるのであります。またこれは全国に非常に多いという陳情を遺族の代表から私たちはずいぶん聞いて参りました。これは当然厚生省の方にも参つておると思いますが、厚生省の机の上に、遺族援護法の実施によつて、生涯保護法の対象から除外された人たちの世帯数がもしはつきりしていましたならば、ひとつはつきり御説明していただきたいと思います。
  46. 安田巖

    安田政府委員 遺族援護法の対象になつた者は生活保護法の適用を打切れという通牒を出したことはございません。それから今まで遺族であつて生活保護法の適用を受けておつた者が、その後何件ほど打切りになつたかという調べはございません。
  47. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 ここにおいでになる委員の方も、その陳情はずいぶん受けておいでになると思いますから、ぜひひとつ統計を出していただきたい。それから私は今の局長の通達を出しておらないという言葉を信じましよう。しかし陰に陽に圧力をかけていらつしやるということは確かにあると思いますが、一応局長の言葉を信じておきますから、またあとの問題にいたしたいと思います。
  48. 安田巖

    安田政府委員 断つておきますけれども、遺族援護法の適用を受ける者、つまり遺族援護法の対象になる者は、生活保護法の適用を打切れという通牒は出したことはございません。しかし最初から申し上げておりますように、生活保護法一般の適用ということはいつも考えておりましてそれを弔慰金であるとか、あるいは年金であるとかにどういうふうに適用するかということは、先ほど申した通りで、何とかその点を実情に合うようにしたいと考えながらも、やはりある程度収入を見なけれげならないという場合があることは先ほど申した通りであります。
  49. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 だから芽の出た分はちよん切れという御趣旨は確かにあつたようですね。私は知事の性格にもよると思いますが、私の滋賀県のごとき知事は保守のナンバー・ワンでありますから、よけいひどかつたのであろうと思います。ひとつ滋賀県に例をとつて、最近にお調べ願いたい。それから全国のデータをお出しになつていただきたい。  なお基準額の問題でございますが、物価にスライドして実は基準額は上つておるわけでございまして、たとえば遺族援護法などの年金と比べれば比較にならないようなものでございますけれども、しかし私は都市と農村との開きがあまりにも大き過ぎると思うのであります。甲、乙の段階がございますけれども、東京あたりの五人世帯の標準額と、いなかの農産県などに行きました場合の標準額の開きが、半額にも満たないというような額でございまして、非常に納得しかねる点が多いのでございます。これは物価などから申しまして、ただ米があるから生活が楽だと申しましても、要保護の対象になる人たちはいずれ米を買わなければならない人たちでございますから、従つて生活のもとではすべて金に依存しなければならない人たちでございますので、基準額について都市といなかとの開きについて、もう一応御検討願いたいということをこの際お願い申し上げておきたいと存ずるのであります。  そこで私が先ほどから申し上げております要保護者の問題ごございます。これは誤解のないように局長は御検討願いたいのでございますが、生活保護の適用者をできるだけ小さくしぼつて、少くして、予算が年々少くなるように持つて行けということを主張したのではございません。もちろん憲法二十五条の精神に沿つてこれを守らなければならないのは国の責任でございますから、当然守つていただくのでございますけれども、守つた結果が惰民養成であり、また守つた二百数十億の予算として国民の血税が年々むなしく消えて行くということを、非常に憂慮するものであることを強調いたすのでございますから、その点に重きを置いて盲点をつかれたいことをお願いしておきたいと存するのであります。
  50. 日高忠男

    日高委員 生活保護法の一部を改正する法律といいますれば、これは結局支払い方法を変更するという法律の変更だと思いますが、現在生活保護法医療費の請求の審査は支払基金でやつておりましてその場合には一件について幾らという手数料をとるのでございますが、今度これを基金において支払いもやらせるということになりますと、やはあ二件について幾らかの手数料を基金からお出しになるのでございますか、それとも基金のサービスにおいてやらせるつもりでございますか、その点をちよつとお伺いいたします。
  51. 安田巖

    安田政府委員 健康保険と同じような料金でやつていただくことにいたしたいと思います。
  52. 大石武一

    大石(武)委員 東京都における例で申しますと、東京都では生活保護法による診療報酬支払い事務は東京都でやつているわけです。それが今度支払基金に移ると、社会保険診療報酬支払い事務基金等に委託することになるというのがこの法律の趣旨のようであります。これは現在東京都で扱つているのでありますが、その場合の支払いとこれとどちらが遅延するか。今度診療所の支払基金の方に移した方が、その支払い事務が遅れやしないかというおそれがあるようですが、これに関してお伺いしたい。
  53. 安田巖

    安田政府委員 私どもはこの改正によりまして、指定医療機関に対する支払いは早くなると考えております。たとえば東京都のような特別の審査機関がある場合でも、医師福祉事務所に請求いたしまして、それが都に出て、審査機関に行くということでありますが、今後は直接基金に参りまして、基金から支払いがされるわけでありますから、一元化されて非常に早くなると考えております。
  54. 平野三郎

    平野委員長 次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。     午後零時十八分散会