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1953-02-06 第15回国会 衆議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月六日(金曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 平野 三郎君    理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君    理事 山下 春江君 理事 堤 ツルヨ君    理事 長谷川 保君       新井 京太君    新井 堯爾君       池田  清君    勝俣  稔君       永山 忠則君    平澤 長吉君       亘  四郎君    高橋 禎一君       鈴木 義男君    島上善五郎君       柳田 秀一君    只野直三郎君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局清算指         導課長)    小沢 辰男君         衆議院法制局参         事         (第二部長)  鮫島 真男君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 本日の会議に付した事件  回力球競技法案亘四郎君外十四名提出衆法  第三二号)  医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に  関する法律の一部を改正する法律案亘四郎君  外二十四名提出衆法第三三号)     —————————————
  2. 平野三郎

    平野委員長 これより会議を開きます。  まず、医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。永山忠則君。
  3. 永山忠則

    永山委員 この清算は大体いつごろ完了する見込か、またはどういう計画を持つておられるか、清算完了のネツクとなつておる要素はどういうところにあるかということをお知らせ願いたいのですが……。
  4. 小沢辰男

    小沢説明員 私、厚生省における医療団清算の監督をやつております清算指導課長小沢でございます。ただいまの永山委員の御質問に答えさせていただきます。  現在清算事務のうちで、まだ解決をしないで残つているものの大きなものを申し上げますと、経営の移管のいまだ完了していない施設が二箇所ございます。これの一箇所は駐留軍接収中のものでございます。それから財産処分関係では、未処分財産が三十一件ございましてこれが七百十四万八千円の帳簿価格になつてございます。それから処分代金で、いまだ代金収入に至らないものの件数が、こまかいのを入れまして約三十件ございます。それから所有権移転登記、そういうような登記関係残務として残つてございますのが七十六件あります。それから訴訟係属中のもので、いわゆる訴訟関係で懸案になつておりますのが、この統計は去年の十月末の統計でございますが、係属中のもの十一件ございます。その他訴訟以外のこまかい、たとえば強制執行中のものとか、あるいは不良債権関係で、若干争いのひつかかりになつておるようなものが二十九件、それから債務関係では、未償還金医療団のいわゆる施設の拡充のために使いました昔の医療債券でございますが、これが未払いの状況で残つてございます。但しこれは償還期限が参つておりませんので、医療団としては償還にやぶさかではございませんが、繰上げ償還をする場合にはこれを割引をしてもらいたいという希望を持つておりますので、実はできるだけその間の有利な清算をしたいために、そういう意向を持つておりますが、これは対外債務として十口残つてございます。(永山委員償還期限はいつまでですか」と呼ぶ。)昭和三十五年ごろと記憶しておりますが、今正確に覚えておりません。それから債務としてあと対内債務でございます。これは各出資者出資金の十六条による分配をしなければいけないわけでございますが、このうち若干が残つてございます。それから寄付を受けた設備について、これをやはり現物出資とみなして清算をするような規定になつておりますけれども寄付設備の中で若干のものが未清算で残つております。  以上大体申し上げましたようなものが、残務として現在残つておるものでございまして、厚生省といたしまして、医療団を督励しまして、できるだけ早く清算をさせまして、一日も早く終了することを望んでおるわけでございます。ただ現在接収中の施設とか、あるいは訴訟関係ということになりますと、相手のあることでありますので、その見通しを何月何日までというふうにはつきり切ることができない事情もございますので、その点は御了承願いたいと思います。
  5. 永山忠則

    永山委員 接収中のものやあるいは償還期限の来ない小額債券関係あるいは訴訟行為等相当清算は長引くと考えられるわけでありますが、今度この法律によりまして清算機関中心となつて費用配分なさるわけでありますが、それは清算と並行しておやりになるわけですか、清算が済んでからおやりになることになるのですか。大体の計画をお聞きしたい。
  6. 小沢辰男

    小沢説明員 昨日当委員会におきまして御提案なさいました法律案並びにその提案理由説明を私ども拝見をいたしましてその翌日のきようでございますので、私どもとしては今ここではつきりと詳細にお答えするあれがございませんけれども、もしも御提案のような改正が行われましたということを仮定いたしましてお答えをさせていただきたいと思います。もしもこれが改正されたといたしますと、この改正条文にございますように、出資金分配を終えた後に残余財産があつた場合には、これを医療機関整備のために使うことができるようにするという御趣旨のように拝見いたしました。従つて形式的に考えますと、出資金分配を全部終了いたしまして、その後制限のあります一年以内にやらなければいかぬということになると思うのですが、ただ出資金額分配という問題は、出資者とその出資金額というものがはつきりいたしてございますから、それを全部終つてから残余財産計算をしまして、それで配分をするというような手間をかける必要はないと思うのでございます。従いまして、出資金額を正確に計算できますのでそれだけを別にして、その他のものについてそれと並行して、清算事務の一環としてこの医療機関整備のために処分するということは可能だと思う。従いましてお尋ねの点に関しましては、法律改正が有効になりましたときから計画をし、実行できるのじやないかというふうに現在のところ考えております。
  7. 永山忠則

    永山委員 その配分に対しての計画厚生大臣の認可を要することにはなつておりますが、委員会などを設けてやるという構想になるものでありますかどうか。これは提案者の方になるかもしれませんが……。
  8. 亘四郎

    亘委員 これはできるだけ公正を期さなければならないと考えておりますが、大体医療団接収されました設備を買い取つた相手方でありますからして、おおむね地方公共団体がその相手方になつておりますし、また一部分国が買い取つたような状態でございまして、従つて国の買い取つた部分に対しましては、これは国の設備でありまするから、その配分に当つては考慮に入れる必要がないものではなかろうか、かように考えますし、その他のものは御案内のように設備その他の数量も明らかでございますから、それに準じて当然配分されなければならないものである、かように概略考えておるような次第であります。なお詳細については事務局の方から説明していただきます。
  9. 小沢辰男

    小沢説明員 改正案の第十六条を拝見いたしますと、まず第一に医療団の設立の目的といたしておりました医療普及に資するためという制限があるように考えられると思うのであります。同時にその医療団医療普及という目的に資するようなもので、まず医療団から譲渡された施設が非常に悪いものが多かつた、それを当時の各地方公共団体に非常な御協力を願いまして引受けていただいたような次第もあり、それらの旧医療団施設については医療団としてやはり医療法に合致するようなある程度のまとまつた施設にしてあげる責任があるのではないか、私ども医療団関係者としてはこういうように考えるのでありまして、それを主に考えますが、同時に地方庁においてそれぞれの責任分野における医療配置状況普及状況その他を勘案して、もしそれ以外の必要な公的医療機関整備があればそれもなし得るような道を開いておられるように思うのでありますが、それらの実際上の配分にあたつては、今御質問になりました点は、公正を期するためにいかなる方法をもつてやるかということのようでありますが、もしも法律改正が効力を発しますと、この規定にありますように、清算人厚生大臣承認を得てなし得るようになつておりますが、この解散法令の原文を見ていただきますとわかるように、医療団清算に関しましては、厚生大臣心要考える場合には適当なる指示をすることができます。それからまた医療団清算に当つた、また厚生省がこれを監督して来た医療団厚生省との関係からいいまして、もしもこの改正法律案が成立し発効いたしました場合においては、いろいろ医療団の方の作業をしていただいたり、あるいは資料をとつていただいたりするようなことは、当然医療団仕事としてやつていただかなければいかぬと思いますけれども、実際の配分計画その他を立てますのは、事実上厚生省公的医療機関整備を全国的に考えております医務局におけるそれぞれの担当の課長なり、あるいは担当の係員なりが集まりまして、地方説明を聞き、医療団のかつて状況をよく資料をとりまして聞きまして、直接的には厚生省医務局においていろいろ作成するというようなことになるのではないかと思うのでございます。それから同時に、お尋ねのありましたような一つ考えだと思いますが、もちろん法律上の委員会を持つことはできませんので、適当な方々に参加していただきます委員会というようなものを持ちまして、できる限り公平を期すということになるのではないかと現在のところは考えております。
  10. 永山忠則

    永山委員 この返された施設の中には、国の療養所あるいは病院都道府県病院とか市町村病院その他の病院等全国にまたがつて種々なるものがあるのでありますので、これが配分は公正を期せねばならぬのでありますが、この清算機関に従事されておる人は、清算中心としておやりになつているわけであります。その機関配分に対する実質的な権限をもつて独善的に流れるということは、われわれははなはだ不同意であると同時に、清算はすみやかに終了せればならぬのでありまして、集めた金を、配分を遅らせてその利息清算をいつまでも食い続けられるというような結果になることも避けねばならぬのであります。この不清算的な清算費を定めて、整理された金額は多くの金ではありませんが、七億ばかりになると思うのでありますが、その利息清算をやつているのだというような安易な考え方でいつまでも清算がつかないということも喜ばざるものであります。この配分関係に対して、私は、厚生大臣が関与するわけですから、厚生省で何かの計画をして行かなければならぬと思うのでありますが、今の場合はそれに対する計画はこの法律案が通過してみなければない。ただ今のお話はあなたのお考えであるといつた程度ですか。厚生省はこういう構想のもとでこうやるのだという何かの計画を持つておるわけでしようか。もう一度お願いしたいと思います。
  11. 小沢辰男

    小沢説明員 御承知のことと存じますが、厚生省におきましては、公的医療機関整備のために、昭和二十六年度からわずかではございますが補助金予算を持つております。これを中心にしていろいろ行政をやつて参ります場合に、公的医療機関医療体系整備方針というものを一つつておりました。その方針に基きましていわゆる病院の全体の設置計画というようなものも持つておるのでございます。これがやはり基本的な方針になつて、今度の改正による医療機関整備のための資金が得られましても、その基本方針というものをやはり貫いて行かなければいかぬのじやないか、こういうふうに部内では申しておるのでございまして、ただこの日本医療団清算、それからこの剰余金がよつて生じました特殊事情というものが、やはりあると思うのでございまして、そもそも医療団を開設しまして清算に入りますときに、厚生省大蔵省もわれわれ自身がどれぐらい赤字が出るものかということを常に心配をいたしておつたのでございます。大蔵省の方でも、もしも赤字が出るようなことになつて国庫からさらにその赤字の場合の補填をしなければならないような事態になつては困るということで、この法案をごらんになつていただけばわかりますが、余りがあれば、一方的に国庫に取上げるような規定になり、赤字の出た場合には、国庫は補償しないというような規定になつておるのでございます。赤字が出た場合には、破産を申告しなければならないという義務を清算人に負わせておるわけであります。こういうようないきさつから申し上げましても、医療団清算がこのような好成績をあげたことにつきまして、私どもは、常常医療団清算をやつております赤木代表清算人以下の方々の努力を非常に多といたしておるのでございます。  それからお説のように、医療団清算をいつまでもだらだらやるというようなことは決して好ましいことではございません。私どもといたしましても、毎年目標をきめまして、その目標、たとえば十月三十一日までというような目標をきめまして、そのときに医療団から説明を聞いてさらにそれを整理し、ある一定の期間までというような目標を常に与えまして清算を督励して参つておるのでございます。終戦後いろいろな戦時中のこれらの類似団体清算状況は、御承知の通りでありますが、ほとんどすべてが赤字であります。それからまた医療団も現在まで長いようではございますけれども、まだ住宅営団、その他も、ほかの団体ではございますが、引続いで清算をやつているような状況であります。私どもは、もちろんお説に従いまして今後も一層清算を督励いたしまして、できるだけ早く清算を打切りたいと考えている次第でございます。同時に国の方針といたしましては、先ほど申しました医務局で持つております公的医療機関整備基本方針というものを中心にしまして、それに今回のこの医療団施設特殊事情をやはり加味いたさなければならぬのではないか。この二つの基本的な方針を、これは単に私の意見ということではなくて、私は医務局長にかわりまして申し上げることができるというふうに思つておる次第であります。
  12. 永山忠則

    永山委員 公的医療機関整備基本方針従つて、これが配分にあたつてきわめて公正妥当に万全を期するということにつきましては、十分ひとつそのお考えのようにおやりいただきたいのであります。しかしこの場合非常に問題になることは、国の療養所とか病院とかいうものがありますし、都道府県市町村のものもありますが、ことに国の療養所病院は非常に改革を要するものがあります。そこで国側とその他の側とのこの配分関係改築関係は、やはり大蔵省予算とにらみ合せて行かなければならぬと思います。従つて大蔵省の方は、国の療養所病院改修計画等が、このため逆に悪いような結果になりはしないかという点について憂慮をされる点もあるのでありますが、大体国の関係とその他の関係に対してはどういうような考えで進もうとされておるのでありますか。そうして国の関係あるいは改築改修を要する予算関係との結び合せ等に対してはどういう構想を持つておられるか。
  13. 小沢辰男

    小沢説明員 私は医務局におきましてもう一つ整備課長を拝命しておるのでありますが、その私の仕事は、国立医療施設に対する整備事務担当いたしております。お話の国の療養所病院に対する整備予算との関係において、どういうようにこの使用配分をきめるかというような御質問でございますが、御承知のように国の施設を直接いろいろ手直ししたり、あるいは増築をいたします場合には、国家予算として支出に計上しなければいけないのでございまして、その予算書を国会の承認を得なければ私ども何ともできないのでございますので、ただいまのこの法律改正のことによりましては、この金を国の方へ使うということは、その処分を終りましたあと国庫に入つて来て、それを歳入に立て、同時に支出項目として国の医療施設整備というものをあげて行きませんとできないことになるわけでございます。私どもは、まことに貧弱な予算ではありますが、国立医療施設整備費を少しずつ毎年増額をしていただいておりまして、医療団から移管を受けました施設に対しましても、年々少しずつ悪いところを整備をして参つております。もちろん基本的には、すでに国の施設になりました以上は、あくまでも国の予算をもつて改良整備して行くのが建前だと思つておるのでございます。従いましてこの法律改正案によりまして国の方の施設にどの程度行くか、あるいは地方庁にどの程度やるかというお尋ねに対しましては、どの程度処分残りまして国庫に入るかという問題になるのでございますが、その点は地方庁の熾烈な前々からの要望もございますので、私どもとしてはおそらく多くは期待できないのじやないかというように考えておるのでございます。現在のところ国施設にどのくらい、地方庁関係施設にどのくらいというようなはつきりした割合というものはちよつと考えられないのでございます。
  14. 永山忠則

    永山委員 一番大きな問題はそこにあるのでありまして、元来清算によつて残りました残余財産政府へ帰属すべきものを、公団の性格上から、かつて公団へ強制的に集約いたしたものに還元配給しようというのでありますから、われわれは非常に趣旨は賛成いたしておるのでありますが、当然国に帰属すべきものを、国家予算を通ぜずに医療機関中心となりまして還元配給をするというところに、大蔵省の方から非常に強く干渉を受けまして、その結果として国の療養所病院等改築等予算に響いて来ることは考えられるのであります。従つてこの配分関係に対しては、単に医療機関が補足的にやろうとしたり、公的医療機関整備基本方針によるというような程度では、この費用の大部分を一番困つておる都道府県市町村その他の病院へやるということの折衝がとうてい困難になつて来るのでありまして、国の療養所病院改修改築予算というものが押えられて、これを還元配給するという結果によつて、逆に予算的処置大蔵省から迫られるというようなことがあつてはならないのであります。これがないようにやるためには、どうしても配分に対しましては権威ある公的なものでなくても、機構を動員するか、計画を立てて十分おやり願いたい。還元配給が非常に喜ばしいように思われましても、その結果が逆に来るようなことがないようにしなければならぬと思うのであります。この意味において、私は本案には賛成なんでありますから、いろいろ質問を続けることは避けまして、配分に対する権威ある構想をお練りになるということと、清算関係がいつまでも長引くということについても、できるだけ普通の角度から構想を練られて、清算をすみやかに終了する。しかしその清算の途次においても、その利息によつて清算はいつまで続けても財産は食うんじやないのだというような考え方ではなしに、その金をすみやかに並行的に配分をして行くというような点に特に留意をされたいのであります。この点に対して一応厚生大臣に申し入れていただきたいし、なお大臣からこの配分に対する考え方、それから清算中に並行してこれを地方へ還元するという問題、それから清算をすみやかに終了するところの構想といつたものに対する答弁を別の機会でよろしゆうございますが、お願いいたしまして、私の質問を終りたいと思うのであります。
  15. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 これは前の質問と少々重複ずるかもしれませんが、なお明確にしておきたいのですが、この医療団解散に関して、清算人のところで清算手続をとつておる。ところがその間に何か訴訟事件でもあるようなお話でしたが、そういうものが相当あるのですか、どうですか。
  16. 小沢辰男

    小沢説明員 現在訴訟継続中のものが十一件ございます。
  17. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 その十一件の訴訟の中で、その訴訟の内容、ことに医療団が後日財産的な負担をするような結果になるおそれのある案件というのはないのですか。
  18. 小沢辰男

    小沢説明員 特に医療団負担になるというようなことはないと思います。権利がなくなるというようなことはあると思いますけれども、特に債務を負うようなことはないと思います。
  19. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 今の訴訟係属中というものは、あと債務負担するというものはないわけですね。
  20. 小沢辰男

    小沢説明員 さようでございます。
  21. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 そこでこの十六条の二のいわゆる改正部分ですが、これは一項と二項と考えてみますと、二項の規定からすれば、いかにも残余財産分配が終了した後に残余財産処分を行うというふうに見られる。それから一項については、先ほど御説明がありましたが、御説明趣旨も大体私ども理解できないことはないのですが、一項と二項とをさらに総合的に考えてみますと、やはり一項の方も、残余財産分配終つてから、その後に残余財産処分をするのだ、そういう建前のように法文上考えられるのですが、その点いかがですか。
  22. 小沢辰男

    小沢説明員 十六条によりまして、残余財産の中から出資者出資金額配分をいたします。その際には、かつて国が出しました補助金を差引きまして、出資金額計算し、その出資金額割合に応じて、出資者分配するわけであります。その分配終つた後において、その残余財産の中で、なおかつ剰余がある場合、こういう規定でございますので、まず出資分配をやりまして、そのあと残つた残余財産医療機関の今度の改正趣旨に沿うような整備に充てる。但し先ほどの永山委員のようなお考えはもつともだと思いますので、おそらくそういう趣旨からだと思うのでございますが、いつまでもこれを許しておきますと、実際上永久に、少しずつ処分して参れば、何年も何年もかかつてこの残余財産医療機関に対する処分という行為が終るわけでございます。そこで出資金額分配を終えてから一年間という期限をお切りになつたのじやないかと思うのでございます。従つて出資金額分配を終りましてから、一年以内に十六条の二によります今度の趣旨による処分をいたしまして、それで一年が切れましたときに、その残余財産になお残りがあれば、それは国庫に帰属する、こういうような趣旨じやないかと思います。
  23. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 先ほどの説明から私の理解しておりましたのは、計算残余財産分配をして、その残りがあるからこれを処分したいのだ、こういうふうにお考えのように思うのですが、そういうふうな方法処分をして参りますと、それによつてすみやかに清算をするという御趣旨ですけれども残余財産分配というものが、何かの事情で長引く。しかしそれにはやはり清算人において清算費を必要とする。その清算費等に関してはどういうふうな処置がとられるものであるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  24. 小沢辰男

    小沢説明員 出資金額分配につきましては、これは非常に簡単な事務でございまして、明確に出資者別金額がわかつておりますので、実はやろうと思いますとまつたくたちどころにできるわけでございます。従つてこれを全部終えましたら、もう一年間という期間がそこに切れて来るわけであります。従いまして分配をいつまでも延ばすというようなことは実は考えられないのでございます。厚生大臣としては清算に必要な指示もできる規定になつておりますので、出資金額分配につきましては、やはり一つ清算が大体の見通しがつきまして、残余財産というもののある数量が確定した場合には、ただちに出資金額に対する分配をやらせなければいけない。それはもう計算上非常に簡単なことでありますのですぐできると思います。それが終れば、その後一年以内にこの十六条の二による今度の趣旨処置をやらなければならない。それをやつて一年目には、今度はその他の残余財産分配に入るということになりますので、その間の事務につきましては、普通現在やつております清算事務訴訟事務やあるいはその他の未収金、財産、債権の取立て、その他万々の清算事務につきましての事務費は、毎年厚生大臣承認をいたします一定のわくの事務費を設けまして、その範囲内で遂行をさせておるわけであります。
  25. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 先ほど御説明がありましたように、清算事務の過程において訴訟事件が起つておる、それは相手のあることであるからいつ解決するかわからない。ということは、それに要する費用が正確に幾ら要するか不明だ、こういうことになるわけですね。そうするとそれらをどの程度見込んで残余財産処分をされることになるのであるか、その点はいかがですか。
  26. 小沢辰男

    小沢説明員 ただいまお尋ね訴訟係属中の十一件に関します訴訟費用、その他をどの程度考えてそれを差引いて処分するかという御質問でございますが、第一審で医療団が勝ちましても、なお相手方が最後まで争つて来る場合には応じて行かなければなりませんので、現在のところどの程度訴訟費用がかかるかということにつきましては、私今具体的な数字を持ち合せないのでありますが、実は先ほど永山委員の方からお尋ねもありましたように、清算を何とか早く打切りたいという希望は強く厚生省も持つておりますので、実は目下研究中でございまして、どういう形で清算をあるところで打切り、適当な方法でこれをどこかへ引継ぐようなかつこうにするか、あるいは国が肩がわりできるものは肩がわりするか、いろいろ研究中でございまして、その目標はできるだけ清算事務を早く終結をさせ、どこかで医療団清算という仕事を打切りたいという意味から、できるだけ研究をしておるのでございますけれども、ただいまどういうような金額が予定され、それで残余財産がどれくらいになるというような正確な点につきましては、私手元に数字を持ちませんのでお答えをいたしかねるのであります。
  27. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 今の改正案がかりに通過して法律なつたとしても、結局清算事務というものはいつ結了するか不明である。そしてそれらに要する費用の額等も不明である。そういうことになると思うのであります。そういたしますと、今六億程度の金がある。それを国庫に帰属させないで、その中適当な目分量で公的医療機関整備の方に金を使つておこう、こういう趣旨の立法だということになるのですが、そんなあやふやしたことをこの段階においてやることが将来この清算事務遂行等に関していろいろ支障を起すようなことはないか、それに対する当局の確信をお伺いいたしたい。
  28. 小沢辰男

    小沢説明員 私どもは、六億以下に残余財産がなることは、これは確信を持つてお答えできますが絶対ないと思つております。従つて訴訟費用その他一切のものを考えまして、余裕を見ても六億は残余財産として残し得るというふうにはつきりした確信を持つております。もちろんその数字についてこういうような見通しであるということを御説明しなければいけないのでございますが、たまたま去年の三月三十一日現在の決算書をお手元にお配りしてあるのでありますが、それをごらんになつても大体見当がおつきになると思うのであります。現在医療団と、今年三月三十一日の決算をつくります準備としていろいろ話を進めておりますが、これは確信を持つて六億を割るようなことはないと申し上げ得ると思うのであります。
  29. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 今おつしやつた確信というのが理解できない。将来幾ら費用がいるかということが数字上説明できない。結局数字の問題なんですが、数字で差引き計算しなければ確信なんて出て来るはずがないのでして、私は、今おつしやつた数字はよくわからぬが六億を下ることはないという確信だなんておつしやることには、どうも信用がおけないわけであります。従いまして、その点は本日どうしなければならぬという問題ではないわけですから、やはり数字を示して、そうして確信のほどを明らかにされんことを希望するわけであります。なお改正案の第十六条の二の点について、「財産処分することができる」。この「処分」というのはどういうことを意味するわけか、なお念を押しておきたいと思います。
  30. 小沢辰男

    小沢説明員 「残余財産処分」と書いてありますその「処分」の意味でございますが、これは寄付行為もできましようし、それからたとえば物をつくりまして、それを寄付するということにもなりましようし、要するに、残余財産厚生大臣承認を得てこれらの公的な医療機関整備目的に出したい。府県に医療機関整備費として交付する方法、あるいは寄付する方法、いろいろ方法はある思いますが、そういう意味での処分でございます。
  31. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 そういたしますと、大体無償でもつて提供をする、そういう御趣旨だと思うのでありますが、そういうことは、これまでの改正前の現行法の規定の上から考えたのでは不可能なことであるかどうか、それをお伺いいたしたいのであります。
  32. 小沢辰男

    小沢説明員 お尋ね趣旨はこの改正をやらぬでも、そういう医療機関整備のために使い得るのじやないかということでありますか。
  33. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 使えるのか使えないのか、そこのところをはつきりと御説明を願いたい。
  34. 小沢辰男

    小沢説明員 現行法でございますと、十八条をごらんになるとおわかりの通り、出資金額分配を終りましたあと残余財産国庫に帰属するということになつております。従いまして、この法律だけを見ますと、使えるとも使えないとも何とも言えないのであります。国庫にとにかくその残余財産が入るということだけでございます。
  35. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 現行法の第十四条の「清算人は、厚生大臣の定める清算計画従つて清算を行わなければならない。」という規定、そういう方面からは無償処分ということは不可能なことであると当局では解釈されておられるわけですか。
  36. 小沢辰男

    小沢説明員 その通りであります。
  37. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 そういたしますと、清算人清算の結果、現行法の規定によつて少くとも六億を割ることはないという確信を持つておられる当局、すなわちそれは、六億は現行法の規定からすれば国庫に帰属することは明瞭であるという段階に到達しておるわけです。そういたしますと、国家はその六億については期待権と申しますか、国庫に当然帰属する権利を現行法上持つておるわけなんです。そういたしますと、そういうふうに国庫に帰属することが明瞭である六億の金を無償でもつて他に提供するというようなことが、財政法の規定とにらみ合せて正当のことであるかどうか、その点についてはどのようにお考えであるか。
  38. 亘四郎

    亘委員 ただいまの高橋委員の御質問でありますが、その正当性については、私提案者の一人といたしましてやはり疑問を持つたわけなのであります。但し国会の意思でこの法律改正ができました場合には、あえて心配する問題でもなかろうかように考えておりますし、大体この法律提案いたしましたものは、実情におきまして、戦争中国家権力によつてああした一般の意思に反して医療団をつくつた。そのつくつた医療団が御案内の通り解散させられたのでありますが、その解散の結果生じたのでありまして不当に安く強制的に買い上げて、そうしてこれをつくつたのでありまして、これを処分するにあたりまして、時価の何掛というように、買つた値段から見るとはるかに高い値段でこれを処分したわけであります。でありまするから、ここに残ります財産は、そうした意味において商行為によつてつた財産でございまして、国がその財産を取得するという点に幾分疑義を持つたわけなんであります。と同時に、地方公共団体等において引受けたそれらの施設の荒廃は御案内の通りでありますし、そういう点ですでに地方公共団体は貧しい地方財政のうちからそれをまかなつて来たわけでありまして、相当整備も完了した場所も多くあるわけであります。そういうことをにらみ合せて見ましたときに、こうした財産は、すみやかにこれを引受けた地方団体に還元いたしまして、そうして医療整備をすると同時に、そうした地方の財政上の負担も緩和しなければならないものじやないか、かような必要度をむしろ多く感じてこの法律改正することをここに皆様方に御同意を得るために出したわけなのであります。
  39. 高橋禎一

    高橋(禎)委員 私は、ただいまの御説明にも、ございました点、及び本法案提案理由の御説明を伺いましても、やはり医療機関整備のためにこういつた金が必要であるということは、これはまあ認めておるわけです。ただ、しかし財政法は国家財政全般の立場から国の財政を確立し、秩序立てて、そこにいささかの紊乱も許さぬという意図のもとにできた根本的な法規であるのであります。私どもとしては、その財政法の根本精神というものはどこまでも尊重して行かなければならぬと思うのであります。この日本医療団解散に際し、その清算中、その結果国庫に帰属するものが、その額においてもほぼ明瞭となつておるときには、これは国家財政、国家の立場という点から考えますと、もう一つのしつかりした見通しのある——簡単に申しますと、権利、期待権と申しますか、そういうものがあるわけでありまして、それを私どもが軽々しく乱して行くという態度はいかがかと考えるのであります。本立法に関連したような問題につきましては、いろいろ事情も理解きるところがあるのでありますけれども、すべての問題について、ことごとにこういつたようた国家財政をぶんどり主義で行くという立場は、私は今ごろの日本全体の政治あるいは財政の立場から考えまして、よほど愼重に考えなければならぬ点であると思うのでありまして、先ほど当局の方にも明瞭な調査をお願いいたしましたし、この問題についても、なお私は質問いたしたい点もあるのでありますが、それらは留保いたしまして、本日はこれをもつて打切りたいと思います。
  40. 平野三郎

    平野委員長 他に御質疑はありませんか。         ————— 他に御質疑もないようですから、本案の質疑は終了したものと認めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認めさよう決します。  次に本案の討論に入るのでありますが、本案の討論につきましては、別に通告もありませんので、これを省略し、ただちに採決に入ることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  これより医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認めます。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なお本案に関する委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  45. 平野三郎

    平野委員長 次に回力球競技法案を議題とし、前会に引続き、質疑を続行いたします。長谷川君。
  46. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 前回の委員会におきまして、本回力球を施行いたします実施者となる会社あるいは公益法人というようなものが、ただ、かりに営利会社が公益法人の美名に隠れておるということがほぼ明らかになつて来たと思うのでありますが、私はこの点が非常に重要な問題でありますから、さらに次のことを提案者の方にお伺いいたしたいのであります。  これは全国大体二箇所につくるというお話でありますが、一会場の入場者の定員はおよそどのくらいの数でありましようか。
  47. 大石武一

    ○大石(武)委員 入場者の程度は、建物の設備によるのでございますが、大体三千人か四千人が限度だそうでございます。
  48. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私はこの競技を知りませんのでたいへん恐縮でありますが、年何回ぐらい開くのでありますか。
  49. 大石武一

    ○大石(武)委員 大体年と申しますよりも、むしろ一箇月に二十日ぐらい開くだろうという話でございます。
  50. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 そういたしますと、昨日の御答弁によると、施行者といたしまして公益法人がこれを施行するわけでありますが、それに四十人ぐらいの外人を使つて非常にたくさんの金がいる、だから十億円、二箇所で合計二十億円入つて来ても、建物の償却その他で、それに相当費用を要するのだ、こういうお話でございまして、施行者としてはそう大きな利益を期待しておるものでもないようなお話でございましたが、しかし一方、この施行を委任されます方のいわゆる営利会社は、ただいま申しましたような非常に大きな数字の入場料一人五十円ぐらいずつの入場料をとる予定だというお話でございます。そうすると、それがまた非常に大きな額になると思う。そう考えて参りますと、おそらくどちらへまわつても、税金を出す方は、なるべく公益法人の陰に隠れて出さないようにするとか、あるいは利益はどつちかの陰に隠れて理事もしくはおそらく同じような人であろうと思われます株式会社の重役あるいは営利会社をいたしますものが利益を収めると考えなければならないというように思うのであります。すでに提出されてあります資料によりまして、この勝者投票券を発売いたしました金額の十分の一だけを共同募金もしくは民生的な事業に寄付するということでありますが、莫大な利益を予想できるのであります。昨日提案者の御説明によりますと、社会福祉事業に対しまして国家予算をあまり出せない。共同募金の金はたかの知れたものである。ほかに方法がないから、これで金をつくるのだ、こういうお話でございましたが、憲法第二十五条によりまして、国民の最低生活というものは国家が保障しておる。ことに憲法第二十五条の第二項によりますれば「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」ということになつておるのであります。そこで私は厚生当局の十分なる御見解を伺いたいのでありますが、憲法第八十九条におきまして、御承知のように公の金を公の支配に属しないところの博愛事業、慈善事業、教育等に支出してはならないという項目があるわけです。これは昭和二十一年であつたと思いますが、生活保護法がつくられますときに、この生活保護法の委員会におきまして、この憲法第八十九条を私は問題にいたしたのであります。つまり、もしもこういうような条文がそのままの言葉で実施されますると、国の施設の社会事業、教育事業というものは非常な痛手を受ける、それが国から与えられておりましたところの補助金というものを失うことになり、非常な問題であるが、これを厚生大臣はどう考えておるか当時河合良成君が厚生大臣であり、葛西君が社会局長でありましたが、この問題を生活保護法の委員会で十分に伺つたのであります。そのときに、たしか両方の御答弁であつたと思いますが、公の支配に属せざるという言葉の意味でありますが、この公の支配に属しないという意味は、それはいわゆるもぐりの社会事業を言うのである、当時の社会事業法及びつくられておりました生活保護法によつて設立されまするところの社会福祉事業、教育事業等は、公の支配に属するものである、こういう御答弁であつたことは、今日その当時の速記録を調べれば明らかであります。今日、先ほどの提案者お話のように、社会福祉事業に国の金が出せない、共同募金が集まらない、ほかに方法がないから、このハイアライのばくち法をひとつつくつて、そして金をつくろうというのでありますが、国民の最低生活を保障することは、明らかに国家責任である。しかも生活保護法をつくりますときにそういうことをうたわれておる。今日厚生当局は、この生活保護法の委員会におきまして御答弁になりました意味において憲法八十九条をお考えになつていられるか。それともまた別なお考えを持つておられるか。この点、厚生当局の御意見を伺いたい。
  51. 安田巖

    ○安田政府委員 お答え申し上げます。憲法を御審議になりましたときに八十九条の解釈がどうであつたかということにつきましては、私はつきり存じないのでございますけれども、当初、今長谷川委員お話のように、あるいは社会事業法であるとか、あるいはその他の法令の根拠を得て、そしてその法令の中に特に国の規定があるから、それは公の監督という言葉に当てはまるのじやないかというような議論がありましたことは、私も承知いたしております。その後、占領下のことでございますが、第八十九条の解釈が厳格になりまして、やはりただ一般的にそういうふうな法人の設立とか、取消しとかいう程度のことでなくて、あるいは会計面でありますとか、あるいは人的の監督の面でありますとか、そういうような点でもう少しつつ込んだ監督規定がないと公の支配に属さない、こういうふうな解釈にだんだんになつて来たようでありまして、現在でもそういう解釈がとられております。そこで結論は、現在社会福祉事業の施設に対してどういうふうに補助するかということでありますが、学校法人法でありますとか、あるいは社会福祉事業法でありますと、やはりそういう特別な補助を与える場合には、これに相応するような監督規定が書いてあるわけであります。従いましてわれわれの今の解釈では、そういう特殊な監督規定を入れれば、憲法八十九条からいつて補助を与えていかぬというのには正面からひつかからないじやないか、こういうふうに思つている。しかし八十九条の憲法の精神はやはり尊重すべきものがあるじやないかということは思つている。そういうような事情でございます。
  52. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今御説明の学校法人法及び児童福祉関係でもさようだと思うのであります。事実におきましては監督規定がありまして金が出ている。今日社会福祉法人に対する監督も相当きびしいのであります。従いましてそういう点におきまして、憲法第八十九条の規定というものの実施にあたりまして、もし実際すでに行われている学校法人、児童福祉関係施設に対して若干特別規定を設けて金が出ている、こういうことが事実であります。そういうことが行われるといたしまするならば、私は占領行政がとれまして独立をいたしました今日におきまして、この憲法の条章を、かりに生活保護法の委員会厚生大臣が御説明になりました意味の立場において公の支配に属する属しないという言葉の解釈、あるいは今の御説のようでありましたならば、すでに社会福祉事業法におきまして社会福祉事業に対して監督がきびしいのでありますが、監督規定を設けられてそうして金を出すというくふうをなさる。そうして今日、先ほどありました憲法第二十五条第二項の規定によつて、明らかに国家責任を持つて社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上増進に努めなければならないということになつているのでありますから、こういう点について厚生当局が十分に御努力をなさいますならば、われわれ議員たちが尽力をいたしますならば、私はこの方面に金が出ないということからいたしまして、このばくち法案をつくらなければならぬということにはならぬと思う。これは討論のときに譲りますけれども、厚生当局におきましては、八十九条の解釈及び実施について、社会福祉事業に対しましてそういうような積極的な態度をおとりになる意思があるかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  53. 安田巖

    ○安田政府委員 民間の社会福祉施設に対する補助のことでありますが、憲法八十九条の規定がございますから、その精神を尊重するということになりますと、特殊の場合に補助でも出すということになるのじやないかと思います。現在社会福祉事業法の中には、災害等があつた場合には便宜を与えることができるような規定があるわけであります。もつとも長谷川委員も御承知の通り、社会福祉事業法に基きまして、大体終戦の当時で七十五万円ばかりの補助予算が組んであつたのであります。これを、私はちようど当時課長をいたしておりまして、関係方面に何度復活要求に行つたかわからないのでありますが、どうしてもこれは認められない。その結果といつては何でございますけれども、そういう事情もかみ合せまして、実は共同募金というようなものも出て来たわけであります。民間のそういつたボランテイアーのおやりになります施設につきましては、そういう方面でやるのが筋だというのが当時の解釈であります。御承知のように今民間の施設は、あるいは公的機関に委託というようなことで、そういう性格を与えて、基準の費用を出しているわけでありますけれども、しかし御承知のようなたいへんきゆうくつなことも事実でございます。私どもといたしましては、将来できるだけこれを改善するように努力はいたしたいと思つておりますけれども、今すぐ八十九条の趣旨をのけてしまつて、堂々と国家が民間の施設にどんどん金を出して助けて行くのだということに、すぐ行くかどうかということには多少疑問があるかと、かように考えております。
  54. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 強力な組織を擁しまする学校法人の団体等に対しましては相当に出す、あるいは時代の流れに沿つて児童福祉法ができ、児童福祉施設ができると、それらにはまた監督規定を置きまして出す。しかし比較的弱く、運動もできませんところの社会福祉事業の団体等に対しましては、あまりそういう点が積極的にとられないということは、私は非常にいけないことだと思うのであります。これはすでに何回も申しておりますように、どうも厚生当局は、御尽力くださつておることは認めますけれども、少し弱いと私は思う。憲法に言う国民の生活の保障、社会保障、社会福祉等の向上というようなことは、最も重大な国民の権利であり、国家責任であると思います。こういう点についてどうか十分な御尽力をこの際要望いたしまして、私の質問を打切ります。
  55. 柳田秀一

    ○柳田委員 私昨日引揚げの特別委員会がありまして欠席いたしましたので、あるいは質問が重複するかと存じます。本法案の全体的な趣旨に関しましては、目的のために手段を選ばないという点、ことに政治の倫理性という点から見まして、これは当然反対でありまするが、ただ提案になつておりますから、一応審議の過程におきまして、提案者提案理由の中で二、三お尋ねしたいと思います。  第一点は、このハイアライ競技をもつて共同募金、赤十字等の社会事業と同じように社会福祉の増進をはかられるということでありますが、この目的が主でありますか、手段が主でありますか。従つて共同募金、日赤というようなものの資金造成のための何らかなる方法があり、その目的が何らか他によつて代替されるならば、必ずしもこのハイアライ競技に固執されることはないのかどうか、この点お尋ねいたしたい。
  56. 大石武一

    ○大石(武)委員 お答えいたします。第二番の目的はこの第一条に書いてある通りでございまして、何とかして社会福祉の増進に資したいという念願から、この法律案を出したのでございます。しかしまた、きのうも実は長谷川委員その他の方の御質問に対して答弁申し上げたのでございますが、私は四年半余りこの法律案を手がけて参つたのでございます。従いまして私はこのギヤンブリングと申しますことに対しては、さほど罪悪と考えておらないのでございます。ことにこのような爽快なスポーツが紹介されますことは、これが主たる目的ではございませんけれども、それにも喜びを感ずるわけでございます。以上のような気持が私の提案の気持でございます。
  57. 柳田秀一

    ○柳田委員 そういたしますと、目的はあくまでも社会福祉の増進ということでありますが、このハイアライ競技をわが国に輸入するということも、あえて手段ではなしに、やはり目的の一部と考えてよろしゆうございますか。
  58. 大石武一

    ○大石(武)委員 それは比重においては非常に違うのでございますが、一つの競技を紹介するということもその主たる目的の何分の一かの小さな比重は占めているものと思います。
  59. 柳田秀一

    ○柳田委員 これは仮定の話でありまして、仮定の話をいたしますと自由党からおしかりをこうむるかもしれませんが、かりに競輪事業というものにおいて自転車の振興とか、輸出の振興とか、この事業の目的が達成されたと仮定して、そしてその方を——自転車の振興をやめてそつくり社会福祉事業に持つて来るとするならば、このハイアライ事業というものは、目的が社会福祉の増進でありますから、やめてもかまわぬ、仮定の場合にはそういうことになつてもよろしゆうございますか。
  60. 大石武一

    ○大石(武)委員 これは私どもに直接関係のない他の分野の問題でございますから、そういうことを申し上げるのはまことに恐縮に思うのでございますが、一応私個人の考えを申し上げたいと思います。実は競馬、競輪等のいわゆるギヤンブリングの競技が行われておりますけれども、これらのものは、私の意見といたしましては、その収益の多くの部分をこの法律と同じような社会事業として社会福祉の増進に使つていただけるならば非常な仕合せである、ぜひそうした方面に進めたいと私は念願しておるのでございます。私は競輪は見たことはございません。競馬は好きでございまして、時折は競馬に参りますが、そのようなことをいろいろと仲間の人とも話し合つているわけでございまして、もしそのような方面に競輪や競馬の利益の大部分が入つて来ますならば、私は非常な仕合せであると思うのでございます。その場合に、しからばそれがすぐ現実にできるならばハイアライをやめてよろしいかと申しますれば、この法案の主たる目的が社会福祉の増進にあるわけでございますから、あながちこれを取下げることにもやぶさかではないわけでございますが、しかしながら現在の段階から見ますると、そのようなわれわれの理想がいつ実現されるか、しかも現実において、長谷川委員の一昨日のお話にもありましたように、民間の社会事業団体がいかに資金難で苦しんでいるか。赤い羽の共同募金の受給者の要望額と供給額の差を見ますと、三分の一しか満たすことができない。しかも年々その比率が下つて参りますことを見ますと、この際これを通していただけば非常な寄与ができると念願する次第であります。
  61. 柳田秀一

    ○柳田委員 それ以上追究いたしません。  その次にお伺いいたしたいのは、現在世界各地で行われておる。それはスペイン、メキシコ、マニラ等ということでありますが、等という言葉ではなしに、世界各地というのを大体はつきりとおあげ願いたいのであります。それからそれは国で行つておるのか、自治体で行つておるのか、あるいは国でそれを認め、さらにそれをその国の各都市でやつておるのか、国際都市のごときは、国ではあえてどうこうということではなしに、上海のごときはその上海という国際都市でやつておるというのでありますが、その点もわけて、どの国ではこれを行つてつて、どの国のどこの都市でやつておるというように、世界各地ということを明細に伺いたい。
  62. 平野三郎

    平野委員長 ちよつと委員長から御参考に申し上げたいと存じます。今の競馬、競輪を社会福祉のために使うということは、私もまつたく同感でございますけれども、前国会で私が農林委員会におりましたときに、私ども中心となつて、競馬法の一部改正で競馬益金の三分の一は畜産振興のために充てなければならない、こういう法律をつくつて現に施行し、大蔵省をしてやらしておるのでございます。この点は御参考のために御報告申し上げておきます。
  63. 柳田秀一

    ○柳田委員 従つてただいまのは仮定ということでございます。
  64. 大石武一

    ○大石(武)委員 お答えいたします。これははなはだ申訳ない次第でございますが、あまり詳しく存じておりません。聞いた話では、スペイン、イタリア、フイリピン、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンでは国の許可を得て公然行われておるそうでございます。中国にもあるようでございます。それからアメリカあたりでは、時折不定期に社会事業、慈善事業の資金調達のためにこの競技が催されることがあるそうでございます。上海とかその他は国際都市でございますからございますが、大体以上申し上げました国々は、国の許可を得て行つておるように承つております。
  65. 柳田秀一

    ○柳田委員 ただいま大体国柄をおあげになりましたが、これはもとよりスペインで起つたのでありますし、大体おあげになりました国々もラテン民族の国家のように存じます。従つて他の民族のところは一箇所もないようであります。アメリカは御承知のように混合民族でありますから、そういうことはあるかもしれません。それならば、これを国で禁止しておる国がありましたならば、おあげ願います。
  66. 大石武一

    ○大石(武)委員 禁止している国ということでございますが、禁止しているのか、しようとしないのかわかりませんので、これはお答え申し上げられません。
  67. 柳田秀一

    ○柳田委員 次にお伺いいたしますのは、健全な国際的スポーツである、こういう表現がしてあります。提案者はそういう御信念で出されておると思いますが、健全なる国際的スポーツならば、私は当然オリンピツク委員会がこれを取上げるべきだと思いますが、こういう問題は全然取上げておりませんし、オリンピツク委員会でそういう競技のことが発議されたということも聞いておりません。それで健全なということと、国際的ということと、スポーツであるということに該当する根拠をお伺いいたします。
  68. 大石武一

    ○大石(武)委員 健全ということは、オリンピツク競技に入つておるから健全であるかどうかということは、多少違うと思います。なぜかと申しますと、日本の相撲は私どもは健全なスポーツであると考えておりますが、残念ながらいまだオリンピツクの競技に入つておらないようでございます。それから国際的と申しますことは、今言つたようにヨーロツパにおいても、アジアにおいてもあるいはアメリカにおいても行われております。ことにラテン民族の間に多いようでございますが、行われておりますから一応は国際的と見てもよろしいと思うのでございます。それから日本の相撲も外国人が非常におもしろいという人があれば、これも一応国際的と言い得るのではなかろうかと思います。それからもう一つ、これはスポーツの定義でございますから何と申し上げてよいのでありますか、とにかく私はやはりスポーツだと思うのでございます。これはお互いに勝負を楽しく争うということ、これはスポーツだと思うのでございます。ただもう一言申し上げたいのは、これがなぜ競馬、競輪のようにギヤンブリングがつくかと申しますと、大体競馬と同じ行き方だからつくのだと思うのであります。たとえばこの競技場の設立に関しましては、今申し上げましたように約六、七億円の金が少くともかかるそうでございます。そして大体一箇所に収容されます人数は六千人ぐらい収容されるそうでございます。しかしわずか三千人かそこらしか一日の入場者がない場合に、かりに入場料を五十円とりましても半分しか収入がありませんから、一年二百日かりに興行いたしましてもわずかに一千万円しか金が入らないわけでございます。これではとても経営ができぬので、本意ではないのでしようが、どうしても投票ということがつくのだろうと思います。
  69. 柳田秀一

    ○柳田委員 私が先ほど健全なということと国際的ということとスポーツということと三つにわけたのは、あるいはこういう考え方つたと思います。今相撲のお話も出ましたが、これは健全なスポーツでありますが、まだ健全な国際的スポーツまでには行つておらない。この三つを一緒に持つて行きますと、意味がわかつて来る。健全なスポーツでありますが、健全な国際的スポーツということになりますと、相撲はそれに入つておりません。柔道はややそこまで近づいておりますが、まだであります。従つて将来オリンピツク委員会で問題になるかもしれませんが、現在は問題にならぬ、そういう意味で申し上げたのであります。なお、「世上往々この種の競技に対してなされる非難」ということが書かれておりますが、「世上往々この種の競技に対してなされる非難」というのは、具体的にどういう点をおさしになつておりますか。
  70. 大石武一

    ○大石(武)委員 それは先ほど長谷川委員が申されましたように賭博的な性格を持つものであるという非難のことを考えておるわけでございます。私どもはその賭博行為というものが、これを人に強制するものでなくこんなことを申すのははなはだ口幅つたいのでございますが、日本人の各種の会合において、いろいろな場合においていわゆるかけというものを、しないことはほとんどなかろうと思います。これは共通の心理でございます。従いましてかけをするということは、私の道徳観から申しますとそう悪いとは思わないのでございますが、世間からたまたまそういうふうな非難がございますので、一応書いたわけであります。
  71. 柳田秀一

    ○柳田委員 本日は本案を審議する過程におきまして一応その点だけをお伺いするにとどめておきまして、後日また本案の根本的問題あるいはその他について質疑をいたしたい。この提案理由の中において一応お尋ねすることだけをただしておきます。
  72. 平野三郎

    平野委員長 本日はこの程度にとどめて散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十四分散会