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1953-02-05 第15回国会 衆議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月五日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 平野 三郎君    理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君    理事 山下 春江君 理事 堤 ツルヨ君    理事 長谷川 保君    新井 京太君       新井 尭爾君    池田  清君       勝俣  稔君    永山 忠則君       日高 忠男君    平澤 長吉君       亘  四郎君    高橋 禎一君       町村 金五君    鈴木 義男君       島上善五郎君    只野直三郎君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局整備課         長)      小沢 辰男君         衆議院法制局参         事         (第二部長)  鮫島 眞男君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ————————————— 二月四日  医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に  関する法律の一郎を改正する法律案亘四郎君  外二十四名提出衆法第三三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  回力球競技法案亘四郎君外十四名提出衆法  第三二号)  医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に  関する法律の一部を改正する法律案亘四郎君  外二十四名提出衆法第三三号)     —————————————
  2. 平野三郎

    平野委員長 これより会議を開きます。  まず医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります、まず提案者より趣旨の説明を求めます。提案者亘四郎君。
  3. 亘四郎

    亘委員 ただいま議題となりました医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。日本医療団は、昭和十七年二月二十五日法律第七十号国民医療法つて設立せられた特殊法人でありまして、医療内容向上とその普及をはかることを目的として、医療体系整備に当つて来たのでありますが、終戦厚生省医療行政上の必要から自発的に昭和二十二年十月三十一日法律第百二十八号をもつて解散したのであります。  そもそも同団が解散した当時におきましては、医療施設経営上多額の欠損を生じていたことと、赤字施設を経営しながらの清算でありましたので、その清算見通しとしては、残余財産の生ずることなどは予想せられなかつたのが実情でありましたが、その後清算が順調に進捗しまして、まだ結了までには至つておりませんが、現在の見通しとして約六億余円の残余財産を生ずることがほぼ確実となつたのであります。然るに、現行解散法によりますと、この残余財産は一方的に国庫に帰属することになつているのであります。  さて医療団清算は、自己清算の建前をとつているのでありまして、医療団がその財産をもつて債務を完済できない場合には何ら国家の保証がなく、清算人破産宣告請求義務を負わしめられているのであり、ひとり剰余を生じた場合にのみ国庫に帰属せしめることは不合理でありまするし、またこの残余財産は、医療団所有施設を処分した結果生じたものでありますことは言うまでもないところでありますが、元来医療団施設は、その重要性にもかかわらず、内容がはなはだしく不完全なものが多かつたのであります。しかしながら清算上やむなくそのまま移譲した実情にありますので、この残余財産は、特別の場合のほかは、原則として当然これら医療団から移譲した医療施設整備のために使用すべきであると存ずるのであります。なお医療団所有施設の移譲を受けたものは、国のほかは、大部分地方公共団体でありますのみならず、事業面からいつても、医療団解散後、医療施設普及整備をはかる事業医療団にかわつて遂行しているものは、国のみならず、地方公共団体もまた相当部分を担当しているのであります。従つて地方公共団体からは、残余財産医療機関整備のために使用せよとの熾烈な要望のあることは諸君の十分御承知通りであります。  以上のような次第であつて見ますれば、現行法第十八条の規定は、明らかに不適当であると考えられるのであります。医療普及目的として事業をいたして来ました日本医療団清算によつて生じた剰余金は、当然これと同じ目的のために使用すべきものでありまして、以上のような事情を考え合せますときは、そうした措置をとることが一層適当と考えられるのであります。  以上の理由によりまして、今日、有志諸君の賛同をいただき、医師会歯科医師会及び日本医療団等解散に関する法律の一部を改正いたしまして、この残余財産日本医療団から譲渡された医療機関等整備のために処分できることといたし、もつてわが国医療普及に資したいと考えた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 平野三郎

    平野委員長 これにて提案説明は終りました。     —————————————
  5. 平野三郎

    平野委員長 回力球競技法案議題とし、質疑に入ります。通告によりまして順次これを許します。山下春江君。
  6. 山下春江

    山下(春)委員 回力球競技法案内容に入ります前に、法案扱い方に、非常にずさんな点があつたことしを申上げて、今後こういうことのないようにしていただきたいと思うのであります。  この回力球競技法案提出者の中に私の名前が列記してありましたが、私は回力球競技法のみならず、もはや日本も敗戦後八年を経ました今日では、かくの、ごとき不健全ないわゆる賭博法をなくしなければならないと念願いたしておりました私が、この世界でもあまり一等国で用いられたことのないように聞いておりますこの競技法提案者になるということは、私にとつては非常な迷惑なことでございまして、取消されたようでございますから、その点は了承はいたしておりますけれども、今後国会議員法律関係する提案者を決定する場合には、かくのごときずさんなことがあつて、その当人の人格を毀損するようなことのないように注意していただきたいと思うのであります。  第一、このいわゆるハイアライというものは、私はその内容をよく存じません。しかしながらわずかに聞いたところによりますと、世界でもスペイン、あるいは上海、あるいは天津の一部等において行われた最も品の悪い、最も賭博性の強い競技のように聞いております。この法案は、いつの日か国会を通過しようとずいぶん前から策謀されたことを聞いておりますけれども、その都度良識ある議員によつてこれが排除されて来たことは、たいへんけつこうであつたと思いましたが、今回この提出内容社会事業に、あるいはその他の団体連絡をとられまして、われわれがまつこうから反対するのに非常に反対しにくいようなところに利益金を繰込むことにおいて、この法案を通過しようと試みられたことは、非常に卑怯な扱い方だと思うのでございます。なるほど今日社会事業費は非常に不足いたしておりまして、どんな金でも金が入つて来ましたならば、その方にまわしたいということは、私どもまたやみがたい希望ではございますけれども、しかしながらこの賭博によつた金によつてこういうことをまかなうということは、それならば阿片を売つて、その阿片を売つた利益によつてでもかまわないではないかということとまつたく同一なことであろうと思うのであります。国が独立いたしまして健全性をとりかえそうとする今日、こういう法案を通しまして、そして社会事業費の一部にこれを充てようという不健全な考え方でなく、もしこのねらいの七億余円がそういう方に充てられるということでありますれば、昨日も赤十字の方からもぜひその金をまわしてもらいたいというようなお話ちよつと聞きましたが、しかしながらわれわれ議員は、それらの金は地のいかなる努力をいたしましても、たとえば赤い羽というものは公定価格が十円にきまつたものではございませんし、これらのものに非常に大きな努力を払いまして国民運動を起しましても、それくらいな金はほんとうに健全な財源が得られると思うのであります。従つて逐条に入つていろいろ申し上げる調査も知識も私はございませんが、こういう法案がこの委員会を通過いたしまして、国の法律とならないよう、私ども厚生事業関係を担当いたしておる者の念願する財源が、かくのごとき不健全たものによつてまかなわれない厚生行政を打立てなければならないということのために、私は本法案が本委員会を通過いたしませんことを心から念願するものであります。  これは討論になりまして、たいへん恐縮でありますが、私は実は、法案をきのうどこかに取落しましたために、ないものですから、この法案に対する逐条の意見を申し上げることができませんので、質疑にならないのでありますけれども、私が最初発言お許し願つたゆえんは、いずれの理由によりましても、この法案が本委員会を通過しないようにということを良識ある委員皆様方に訴えることをもつて私の質問にかえる次第であります。
  7. 平野三郎

    平野委員長 山下君に申し上げますが法案提出過程に何か疎漏があつたというようなお話でありますけれども、本委員会としては、成規手続をもつて付託になつておりまする関係上、審査に入つているだけでありまして、本委員会としての責任はないことでございます。ただおそらく議案課で、本法案受付過程の場合において、何か疎漏があつたことと存じますので、議案課の方にひとつ、私の方からも注意をいたしますが、山下君からもその方面に御留意をお願い申し上げておきます。  なおただいまの御発言は、いきなり討論に入られるような感じがいたしますが、御質疑と解釈して、提案者において御答弁があれば、お許しいたします。
  8. 大石武一

    大石(武)委員 ただいま山下春江さんからいろいろの御注意がございました。確かに仰せ通り、この提案をいたす場合におきまして、山下さんの十分なる御了解あるいは連絡を得ずして提出者の一人にいたしましたことは、明らかに私の手違いでございまして、この点深くおわび申し上げる次第でございます。仰せ通り、正当な取消しの手続をいたしておりますので、この点御勘弁いただきたいと思います。  ただこの法律案は、私どもは正しいものと信じて提出いたしておりましたもので、決して国会の権威を汚すものではないと信じております。従いましてただいま、われわれの人格を傷つけられるようなことはしないようにしてほしいというお話でございましたが、手続手違いは明らかにおわび申し上げますが、そのことによつて山下委員の御人格を傷つけたとは私どもは信じませんので、そのように弁解いたす次第であります。  なお競技ごらんにならないので、わからないが、最も下劣なというお話でございますが、決して私どもは下劣なスポーツであるとは信じておりません。スペインの闘牛、日本の相撲のようなものでございます。見た者は、百人のうちおそらく九十九人は非常に爽快なスポーツであると申している現況でありまして、その点もあわせて提案者の考えを申し上げる次第でございます。
  9. 山下春江

    山下(春)委員 提案者大石委員の御釈明は了承いたしました。  それから下劣なスポーツでないということは、初め私申し上げましたように、私は一回も見たこともないし、全然内容はわかりません。かつて司令部がおりましたときに、このハイアライ法というものが国会ちよつと顔を出したことがありまして、私は司令部のこのようなものの係をしておる者に、名前は忘れましたが、聞いたことがあります。世界一等国でない国々がやつておるこういつたようなことを、なぜ日本が採用しなければならないか、日本人は終戦後そういうことに対して節度を忘れたのではないか、こういうものを国会を通過させようとする企てに対して非常に悲しく思う、とその男は説明したのであります。私は知らないものですから、そういう人たちのその言を信じまして、こういうことはあまりけつこうな競技ではないというふうにその後考えておつたのであります。そればかりでなく、競輪が今日青年たち——過去の日本青年と違いまして、まつたく軍隊の訓練もなし、徴兵検査という人間一つの節もなくなりまして、ずんべらぼうな節のない人間になつた日本青年たちが、つい世の中の苦労に耐えられないで落ちて行く安易な世界は、パチンコのようであります。このパチンコが正しいか正しくないかということは、今日ではもはや社会問題として取上げなければならないときと思うのでありますが、競輪も同じようなことでありまして、農村においては、これの弊害の方がむしろ非常に大きく取上げられておる今日、同じような賭博的な競技法案国会から送り出すことは、私どもとしてはどうも賛成できないのであります。大石委員のお説はお説として承りますが、私はどういう点が悪い、どういう点がいいということは何も持ち合せませんけれども、賛成はとてもできないということだけは遺憾ながら申し上げざるを得ないのであります。これは質問ではございませんでまことに恐縮でありますが、いいと仰せられるならば、どういう点がいいか、御存じならば参考に御説明を承りたいと思つております。
  10. 大石武一

    大石(武)委員 現在日本で最も必要なことは、社会保障制度の確立であろうと思うのでございます。これは昨日の委員会におきましても、鈴木委員あるいは長谷川委員その他の皆様方より強調されまして、われわれもひとしく認識するところでございます。従いまして何とかして社会保障制度を高めようというのが、われわれの念願でございますが、御承知のような日本の財政の現状でございまして、必ずしも十分なことをなし得ないのが、日本の国のありさまでございます。ことに昨日長谷川委員の御発言がございましたように、民間社会事業は、その資金において極度の困窮を来しておる次第でございます。これを救うものは、現在わが国におきましては、赤い羽共同募金制度がただ一つあるだけでございます。この共同募金は、今お手元に差上げたいろいろな資料ごらんになりましてもわかる通り、非常に少い額でございまして、その要求額の三七%、おそらく三分の一しか集まらないのが現状でございます。しかもこの共同募金の集め方を見ますと、一般の街頭募金あるいは戸別募金とありますが、戸別募金はその目標額相当近いところまで進んでおりますが、二十三年以来現在まで減少の一途をたどつておるのが現状でございます。街頭募金もわずかに一〇%、その要求の一割を満たすにすぎない現状でございまして、最も必要である大口募金あるいは特殊募金の方におきましては、昭和二十六年度においては、わずかに二・四%あるいは一・八%というきわめて悲しい数字を示しておるのでございます。従つてわれわれが民間社会事業団体にてこを入れて、これを十分に活用させますためには、どうしても十分な資金が必要でございますが、わが国の憲法においてこれらに何らの資金を与える方途がなく、しかも昨日の長谷川委員質問に対する厚生大臣答弁によりましても、これらの民間社会事業団体に対して何らの措置を講ずることができないのが現状でございます。従いまして、私どもはできるだけ早く民間社会事業団体に十分なる資金を与えてこれを活用せしめて、わが国の生活にあえいでいる人々に対して光明とあたたかさを与えることが最も必要であると信じておるのでございます。従いましてこの資金の募集のためには、ハイアライ競技法を利用いたしまして、ここから赤い羽根共同募金で集まると同等程度資金が毎年入ると予想されますので、これをそれにまわしましたならば、それと同時に、もう一つ災害救助の場合に最も必要である赤十字の活動に対して相当資金を与えることができましたならば、日本国民にとつて非常に仕合せであろうと思いまして、このハイアライ競技法案をあえて提出いたした次第でございます。確かにこのハイアライ競技におきましては、いわゆるギヤブリングがついて参ります。しかし御承知のように、わが国においても、競馬であるとか競輪であるとか、あるいは小型自動車競走法モーターボート競走法とかいろいろな協議がございまして、同じような性質のものがあるのでございます。しかも競馬わが国国営競技でございまして、国でギヤンブリング競技をさせておるのが現状でございます。さらに日本の国の政府宝くじというものを発行いたしておりますが、宝くじギヤンブリングの思想でございます。しかも宝くじと申しますものは、買う者の意思の働かない一方的な押しつけによつてきめられるギヤンブリングでございまして、これに比べますならば、競馬競輪回力球競技のような、自分の意思によつてこれとこれとが勝ち得るという選択をなし得る競技の方がはるかによいと私は思うのでございます。もちろんギヤンブリングは、日本の今までの習慣、ものの考え方から行きますと、多少の弊害はあるようでございますけれども、この弊害をはるかに上まわる利益があると思いまして、あえてこの競技法案提出いたした次第でございます。  なお競馬競輪等日本各地に行われておりまして、いわゆる徴兵検査のなくなつた青年に悪い影響を与えておると申されておるのでございますが、回力球競技は、おそらく東京と大阪の二大都市にしか実行できないと思うのであります。この都市におきましては、いろいろなこの種の競技がございまして、相当訓練が行われておりますので、訓練を受けた者、競技の好きな者がこれに参ればよろしいのでございまして、法律でこれに参ることを強制するものではありません。訓練を受けた、競技の好きな者がこれに参る、それによつて日本社会事業の発展に資することができるならば、非常な仕合せであろうと思いまして、この法案国会提出いたした次第でございます。
  11. 平野三郎

    平野委員長 山下君に申し上げますが、討論の時間はいすれございますから、その点お含みの上で御質疑をお願いいたします。
  12. 山下春江

    山下(春)委員 私の議論は討論になりますのでこれで終りますが大体今大石提出者の御説明を聞いたそのことが私の許してはならないと言うことの結論でございまして、このことによつて得られました金を社会事業に使う、募金の振わないところを、民間社会事業をこれによつて助ける。そういうねらいをおつけになつたところに非常に私どもの許しがたい点がございます。私は社会事業をはばむものでもなければ何でもございませんが、少くともわれわれはそういう安易な道を選ばないで、社会事業費に対してはいろいろな努力をいたさなければならない。日本社会保障制度かくのごときものによつて確立されるということは、ほんとうにはずかしいことであり、とつてはならないことでありまして、そういう面をお考え出しになつたというところに、私どもがまつたく残念だつたと思う点があるのでございます。逐条審議を待ち構えておられる皆様方に対して、こういう討論的なことで時間をとりますことは恐縮に存じますのでこれで打切りますけれども、とにかくそういう考え方に対しては——聞くところによれば、ある第三国人から、これの許可がとれれば何億円とかの金が来るのだというようなことも漏れ聞きました。こんなことは実際であるかどうか、自信を持つて申し上げるのではありませんが、そういうことが耳に入るのでありますが、そういうことはぜひとも慎まなければならないことであり、厚生委員会にかかりましたということは、厚生委員会をねらつてこの問題をお出しになつたということが、はなはだもつて私は残念であつたということを今の大石委員の御説明に対して申し上げて、私の発言の終局にいたします。
  13. 平野三郎

    平野委員長 なお政府測から社会局長も参つておりますから申し上げておきます。次に長谷川保君。
  14. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま議題となりました回力球法案につきまして御質問をいたしたいのでありますが、まず第一に、この法律基礎と申しますか——おそらく私は第二条の施行者、それから第三条の競技実施の委任をせられる施行者、これが両方とも法人であるということがこの法律基礎である。おそらくこれが、最初にうたわれておりまする第一条の社会福祉の増進を目的とするものであるか、それともまた利益目標とするものかという二つの大きなわかれ目になるところであると思うのであります。そこでその公益法人整理をいろいろなさつていらつしやいます。結局その公益法人の名においてなされておりまする事業が、しばしばその看板と実体とが違つておりまして、形は上手に公益法人を模しておりますけれども、たとえばその理事者その他の給料あるいはその他の費用等の中に、上手に営利の性格をもぐらしてしまうという面がしばしばございまして、それが政府公益法人整理をなさつた理由であると思うのでありますが、本法案におきましても、その懸念が十分にあるのであります。いただきました類似の競技関係資料を拝見いたしますと競馬法その他この種の競技法律におきましては、その施行者が都道府県、市町村等であります。しかるに、この回力球競技法案におきましては、この施行者が民法第三十四条によりまする公益法人となつております。この施行者であります公益法人が、この法案によりますと、百分の十を収入とする、百分の十を共同募金及び日赤に交付する、百分の五を国庫に納付する、こういうことになつております。まず百分の十という額でありますが、先ほど提案者説明によりますと、赤い羽と同額のものが出る予定である、そういう予想を言われました。そういたしますと、この公益法人なるものが収入いたしますものは、実に数億という巨額のものとなります。提案者から予想が言われたところを見ますと、すでに具体的な事業計画があると思われますが、その事業計画がおありでありましようか、伺つておきたいと思います。
  15. 大石武一

    大石(武)委員 事業計画と申しますと、何とお答えしていいかわかりませんけれども、こういうものを出す以上——この種のものにおきまして、たとえば赤い羽共同募金、あるいは赤十字に何パーセント入れるということを規定したものは、この法律が初めてでございます。その他の今までの法律案は、大体どのくらいをやろうという漠然としたものがあるのでありまして、このように規定をはつきりいたします以上は、ある程度は数字算定の上に立たたなければできない計画でございます。どなたがどのような事業をなさいますか、私どもの関知するところではございませんが、ある種の資料によりまして数字算定基礎を立てたために、このような計画が出たのでございまして、事業計画というものは私どもには関係のないところでございます。
  16. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま提案者の御説明でございますが、すでにこの法案が用意されまして、数回にわたつて議会に出されたということであります。私は実情をよく存じませんが、もしそういうことであり、今日までに提出されました資料等を拝見いたし、その熱意の盛んな実情を見ますと、私はおそらく相当具体化した計画があらわれると思う。そうして第一条に掲げられたような目的ではなく、おそらく営利的な目標を持ちましての団体がすでに用意せられてあると私は思うのであります。おそらく事業計画書があるに違いないのでありますが、もしありますならば、その事業計画書を出していただきたいのであります。と申しますことは、公益法人といたしまして厚生省が認可するといたしますれば、少くとも今日は向う三年間、もしくは五年間の事業計画書がなければ許可いたさないようになつております。従いまして私は、今日ここまで計画が進んでおる以上は、その具体的な事業計画書があるに違いないと思うのでありますが、その点重ねてお伺いいたします。
  17. 大石武一

    大石(武)委員 数回国会提案されておるというお話でありますが、それは私の存じないところでございます。私の知つておるところでは、一昨年何月ごろでありましたか、私は当時アメリカの厚生行政視察に行つておりましたので、内地にはおりませんでしたが、そのころ、国会の終るまぎわに厚生委員会提出されたことがあつたという話を聞いております。それ以外に国会提出されたことは一度もないと私は思つております。と申しますのは、私はこの法律案をこういう構想のもとに約四年半手がけて参りましたが、今まで占領期間中は、GHQの許可を得ることができなかつたわけでございます。従いまして私どもといたしましては、どのようなことがなされたか知りませんが、私の関係いたしております限りにおきましては、このたびの提出が初めてごございます。その他の方々の御計画はどうであるか知りませんが、私どもは今申しましたように、ある特殊の団体がつくられてあるとか、そういうものは考えておりません。なおこの法案が通つてから、それをしたいと思う正しい人々が許可願を出して、厚生大臣の許可を得て設立するであろうと思うのでありまして、それは私どもの現在関知しないところでございます。私どもがこの法律案を出しましたのは、この目的に正しく沿うような気持で出しておるのでございまして、表の意味だけをくんでいただければ幸甚と思う次第であります。
  18. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私は残念ながら、ただいまの提案者のお言葉をそのまま受入れることはできないのであります。しかしながら次の質問に移りたいと思います。  まずこの法案を見ますと、相当大きな設備のようでありますが、競技場の建設の費用は幾らくらいかかるのでありましようか。
  19. 大石武一

    大石(武)委員 これは一箇所大体六、七億円かかるそうでございます。
  20. 長谷川保

    長谷川(保)委員 聞くところによりますと、この競技をなし得る者が日本人の中にはないので、外人を迎えて行うということでありますが、その事情について詳しく承りたいと思います。
  21. 大石武一

    大石(武)委員 この競技を行う場合には、選手が出て競技をするわけでございますが、その選手は、やはり特殊なものでございまして、現在においてはスペイン人の選手しかできないそうでございます。ちようど日本の相撲が、日本人の関取りによつてなされると同じような関係にあるという話であります。従いましてその選手は、一箇所について約四十人必要だそうでありますが、これは私はスペイン大使館に参りまして、スペイン大使とも連絡をいたしまして、そのあつせんによつて向うは派遣し得るという見通しがついております。
  22. 長谷川保

    長谷川(保)委員 競技場の設置に一箇所六、七億円かかり、外人を受入れてやる。そうすると、経営の費用も相当かかりましよう。そこで先ほどお話の赤い羽と同額のものが出る予定だというような御予想がうかがわれるのでありますが、年どれくらい社会福祉事業に寄付ができるという御予想でしようか。もう少し具体的に承りたいと思います。
  23. 大石武一

    大石(武)委員 赤い羽と同じくらいの資金が入るだろうという予想は、大体東京、大阪、二箇所にできるという想定のもとに申し上げておるのでありまして、一箇所大体五億円くらいだろうと計算しておる次第であります。それはこの法案にございます通り、売上高の一〇%でございます。従いまして、おそらく年間この一つ競技場において大体五十億円くらいの売上げがある。そのうちの七五%、三十五億円は勝つたものの投票の払いもどしに充て、その五%を国庫に納入する。一〇%ずつが会社設立の減価償却、あるいはすべての経営費、あるいはおそらくは株式会社組織になるのでありましようから、その株式の配当にも充てるのでございましよう。そういう計算でございます。
  24. 長谷川保

    長谷川(保)委員 ただいま株式会社にして、株式の配当に充てるというお話でありますが、それでは話が違うと思うのであります。つまりこの法律によりますと、施行いたします団体は入場料をとつて、それがおそらく実施をいたします法人の収入となるのでありましよう。それが多分利益として配当されるのでありましよう、それでこの勝者投票券を発行いたします団体公益法人であるというように、この法案では考えられるのでありますが、問題はそこにあります。先ほど申しましたように、地方自治体等が施行者でありますならば、まだまだ問題は社会福祉的なものに持つて行きやすいと思うのでありますけれども、この施行者がいわゆる公益法人——私は公益法人にはなるまいと思うのでありますけれども公益法人であつて、そうして入場料をとつて実施いたしますものがもう一つ法人である。そこで考えられますことは、この施行者であります公益法人理事と、入場料をとつてこの競技をいたします法人の株主、重役とが一つになるというおそれがございます。そうなりますと、先ほど赤い羽と同額というお話でありましたが、一箇所五億円、二箇所で十億円、この十億円が同じく公益法人といわれております法人の収入となつておるのでありまして、その理事者がどれほどの俸給をとるにいたしましても、これは法律から申しますならば文句は言えないことになります。そこに私はこの法律の非常に大きな暗い影があると考えます。実情を推測いたしますときに、厚生省当局はこれを公益法人として認める意思がありますかどうか、この点を承りたい。
  25. 安田巖

    ○安田政府委員 私も実はこの回力球という競技を見たことがございませんし、よく存じないのでございますが、この法案が出ましたので、ただいませつかく勉強いたしておる次第でございます。お尋ねの公益法人が、ともすると公益という名前に隠れていろいろ私益をはかるようなことがあるというお話がございましたが、そういうことが多うございますので、御承知のように社会福祉法人という非常に公益性の高い法人制度をつくつているわけでございます。お話の第二条を見ますと、施行いたしますところの主体の公益法人と、その下にさらに今度は普通の法人、これはまた実施受任者というふうに書いてございますけれども、その二つができるわけであります。こういう法律ができまして、そうして第一次の実施の主体であるところの公益法人の願いが出ますれば、私どもはその内容をよく検討いたしまして、公益性にありと認められる団体に認可しなければならぬ、こういうふうに考えておりますし、なおまた実施の途中におきましても、よくそういう点を検討して行かなければならぬ、こういうように考えております。
  26. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 今のお話に関連して明らかにしておきたいと思うのでありますが、長谷川委員のお尋ねは、施行者公益法人ということで設立されたものがこれに当る、その施行者が実際の競技の実施は他の法人に委任する、そうしてその委任される法人公益法人でなくして、先ほどの提案者説明によれば、株主に対する配当ということがございましたから、これは株式会社、すなわち営利会社がこれに当る、こういうわけでございます。こういうときに、形式は一応公益法人として設立をして、そうして実際の競技の実施は営利団体、営利法人である株式会社に施行させる。こういう建前になつていることは、これは法案上明瞭なのでして、そういうような形をとつてこの競技を実施する。そういう機構でもつてこの競技が行われるというときに、その第一の施行者として設立される法人公益法人と言われるか言われないかということは、法律常識を持つた者にはそうは言われないということは、もう明瞭なことだと私は信ずるのですが、ぞの点を、これは法律上の問題ですから、これから研究してというような問題、あるいはまた実際の書類が出たときに調査してというような問題ではないのでありまして、明瞭なものですから、そこのところを明確に御答弁願いたいと思います。
  27. 平野三郎

    平野委員長 法制局から鮫島第二部長が参つておりますから申し上げておきます。
  28. 大石武一

    大石(武)委員 御答弁申し上げます。たとえば第二条にあります公益法人は、すでに御承知のように社団法人、あるいは財団法人のうちであろうと思うのであります。そのいずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、その競技場の建設費が数億かかるということになりますれば、法人において実施をすることができないのは明らかであります。それだけの資金が社団法人や財団法人をもつて集まるわけはないのでございます。従いまして、この法人において直接競技場をつくり、競技を施行するということはほとんど不可能でございます。従いましてこれを委任する以外に道はないと思うのであります。また先ほどの長谷川委員の話にさかのぼりますが、公益法へと受任会社との間の理事は同じであろうというようなお話がありましたけれども、私どもは詳しいことは何ともわかりませんが、これは厚生省令なり何なりをもつて全然別個のものにする。公益法人は受任会社を正しく監督し得る、正しいもので構成されたものを認めるということにして行つたならば、その間の誤解は解けるだろうと思うのであります。いずれ詳しい法律的なことにつきましては、法制部長からお返事申し上げたいと思います。
  29. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 いよいよもつてどもの懸念しておる点が明らかになつて来たわけであります。施行者として許可を受けて設立しようとする公益法人は、この事業実施の能力なし、こういうお考えで立案されておるようであります。そこでこれを実際に実施するのは営利会社たる株式会社がこれに当る、こういうことでありましては、いわゆるこの法律は公益ということに名をかりて、そうして営利会社たる株式会社にこの事業を遂行せしむる、こういうことになるわけであります。この点は明瞭になつて参りました。すなわちこの法律が、先ほど山下委員からもお話がございましたように、社会福祉の増進を目的とするところの事業資金を調達するという美名に隠れた賭博行為によつて、営利をはからんとする実態がここに見られるというところに、私どもは非常に危険を感じておるわけでありまして、この法律目的一つの擬装であり、そしてまたその施行者という点及び競技の実施者というその構成がまた一つの擬装であるということを、私どもは明確に先ほど来の答弁によつて知ることができたのでございますが、その点について、私の今申し上げた考えが間違いであるというのであれば、明確にお答えを願いたいと思います。
  30. 大石武一

    大石(武)委員 私どもはただいま高橋委員が申されたようには考えておらないのでございます。そのように御推定なさるのは、どうもこれは各人のお考えでございますが、私どもは確実に第二条の規定による公益法人が正しくこれを監督し得ると信じております。これ以外に、赤い羽あるいは赤十字に対する資金を得る道はないと信じておりますので、正しき機能を発揮してりつぱにやつて行こうという構想のもとにこれをつくつたわけでございます。
  31. 高橋禎一

    ○高橋(禎)委員 私は法律の条文、すなわち法律規定から申し上げたのでして、すなわち第二条の公益法人ということはもはやただ名義だけであつてほんとうの仕事は営利会社がやるんだから、従つて営利会社にその施行を委任するというような構成でもつてこの事業を行おうという第二条の法人というものは、決して公益法人でないのだ、これはもう法律の常識を持つた者は争いのない見解であると確信いたしておるのでございまして、長谷川委員質問された事項に関連してこの質問でございますから、この程度で打切つておきますが、なお私は時間を得まして、これらの諸問題について明確にいたしたいと考えております。
  32. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこでもう一つ伺いたいことは、勝者投票券の発行額に対する制限規定等がこれには全然ありませんが、そういうものはどういうようにお考えになつていらつしやいますか。
  33. 鮫島眞男

    ○鮫島法制局参事 お答えいたします。第七条に、勝者投票券は一口十円になつております。ただ実際としましては、この十円券というのはいろいろの手数の問題がありまして、おそらく発行されないだろうと思いますが、そこでこの第二項で十枚分ですから結局百円券と百枚分の千円券が発行できる、こういうふうにいたします。これによりまして、大体法律的には制限ございませんけれども、実際問題として、これで実情としては制限されて行くような結果になるのではないか、そういうふうに考えております。ですから百円券を何枚でも買うことができますので、その意味では無制限ではございますけれども、事実上そこにはギヤンブリングの性質が当然伴つて来る場合がございますので、自然それには買う人の心理から言いまして、事実上そこには制限が行われるだろう。それからほかのこういう関係法律につきましても、別にこういう制限がございませんので、そういう法律と同じように規定を設けたのでございます。
  34. 長谷川保

    長谷川(保)委員 提案者に伺いたいのですが、今の勝者投票券の発行の総額は、これだと無制限にやつてよいことになりますが、総額に対する規定だとか、あるいは入場料を幾らとるかということの大体のお考えがありましたら承りたいのでございます。
  35. 大石武一

    大石(武)委員 たとえば百円券あるいは千円券を何枚発行するかという限度のお問いだろうと思いますが、競馬競輪すべてこのようだ競技におきましては、一切制限は設けておりません。ですから買う人のさいふのぐあい、あるいはその他によるので、たとえば国営競馬の状態を見ておりますと、府中の競馬では一日六千万円とか、中山競馬では五千万円とかいうようなおのずからの限度がございますが、その制限はどこにもないようでございます。それから入場料の場合でございますが、入場料の金高はきまつておりませんが、普通の競馬とか競輪の入場料は、大体五十円くらいだろうと見ております。それはいずれ省令その他で、受任会社あるいは法人の方できめるだろうと思うのでありますが、そこらを見ますと、大体五十円くらいのようであります。この中の入場税というものが府県に払われますので、実際に会社に入る入場料というものは半分でありましようが、そうなるわけであります。しかもこの種の競技の入場者は、おそらくは一日二千人くらいであろう、建物がございますので、人数が制限されますから、その程度に限定されると思います。
  36. 長谷川保

    長谷川(保)委員 そこでただいま伺いましたお話によりまして、高橋委員お話で大体の実態がつかめたと思うのでありますが、ただいままでの御説明によりますと、形式上施行者となりますいわゆる公益法人なるものが、年年十億円からの収入を得ることになります。これは仮定でありますけれども、年々十億円の収入のある公益法人というものを私はほとんど聞いたことがない。これでも安田社会局長はこれを公益法人として許可するということが可能であると思われますか、これを伺います。
  37. 大石武一

    大石(武)委員 十億円と申しますのは二箇所でございます。従いまして一箇所五億円でございますが、これはただ純益ではございません。六、七億円の建物に対する減価償却、あるいは補修の費用、あるいはこの競技場につきまして大体六千人くらいの人員が必要でございます。これらの俸給であるとかすべてお考えますと、五億円という収入は、私は詳しいことはわかりませんが、そう過大な純益を得ておるとも考えられないのであります。なお世上にありますたとえば東京の後楽園であるとか、京王閣であるとか、横浜の花月園であるとかいろいろの競輪場がございますが、ここの収益は五億とか十億どころの騒ぎではありません。一年間の売上高というものは何十億という金であります。日本の国営競馬におきましても、これは年四回、せいぜい三十日以内の開催でありますが、それだけでもおそらく百億に近い数字を各競馬場はあげておるわけでありまして、五十億円の売上げというものは、ほかの競技から見ましてそう過大であるとは考えない次第でございます。
  38. 安田巖

    ○安田政府委員 二条に出ております施行者たる公益法人は、第一条に「社会福祉の増進を目的とする事実の資金を調達するために」と書いてあります。その実施の方法として、この案によりますと、さらに他の法人にその仕事をやらせることができる。第一の施行者たる法人は、その中から利益金を得て、それを社会福祉の増進を目的とする事業資金として調達するのだということでございます。こういうような競技をやつて社会福祉の増進を目的とすることが公益に合うかどうかということは、いわばこの法律できまるわけでございまして、この法律でこのようにお書きになれば、私どもといたしましてはそういうふうな団体、つまり金を配る団体をつくつて公益法人と認めざるを得ないということになるのではないかと、私は考えております。
  39. 長谷川保

    長谷川(保)委員 私はいよいよこれに対する十分な調査をしなければならないと思いますので、なお質問をいたすべきことがございますが、時間の関係がありますから留保いたしまして、今日の私の質問を打切ります。
  40. 平野三郎

    平野委員長 鈴木義男君。
  41. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私もできるだけ議論は避けまして、あとで討論のときに申すことにして、わからないことをお聞きしたいと思います。回力球競技というものを大体知つておらなければ、いいか悪いか判断ができない。山下委員のように、見たこともないと仰せられる人もおるし、ひとり山下委員だけではないのじやないかと思う。これをひとつ何かの方法で、われわれによくわかるように、映画を用いるとか、何かそういうお考えはありますか。
  42. 大石武一

    大石(武)委員 実は映画のようなものを私はほしいと思つたのでございますが、用意いたすことができませんでした。大体概略だけ簡単に御説明申し上げてよろしゆうございましようか。
  43. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私は知つているのです。むしろ文書か何かで配付してくださつた方がいいと思います。
  44. 大石武一

    大石(武)委員 そのような準備をいたしたいと思います。
  45. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 私は幸か不幸か天津においてこれを見て参つたのであります。ぜひ見ておけというので、非常な熱狂をもつてギヤンブリングをやつておる光景を見て参つた。健全なスポーツかもしれませんが、見ておる人は目の色をかえてかけておるわけです。日本の相撲もやはり健全な国技でありまして、あれでギヤンブリングをやるはずはないのでありますが、やつておる者があるといううわさであります。しかしこれはへそくりでひそかにやつておる程度で、あまり弊害はないらしい。ハイアライの方は、目の色をかえて殺気立つているあの光景を見ると、そうなまやさしいものじやない。それであればこそ非常な収益があげ得られるので、これはよほどお考えを願わなければならぬと考える。そしてどんなスポーツもかけの対象になるわけでありますが、相撲とかハイアライのような、人が全力で輸贏を決する競技は、インチキが行われる可能性がある。日本の相撲のように、横綱になるとか、関脇になるとか、一身の栄誉を賭して戦つておる力士には、おそらくそういうことはないだろうが、競輪などは、しばしばわざと負けるというようなことから非常な問題が起きて、焼打騒ぎまで起きておるのは御承知通りであります。ハイアライはそういうことがあり得るものか、ないものか、それは正確には批判できないのでありますが、しかし全力で争い、しかも職業的なものであるから、かなりそういう点において危険性があり、従つて善良の風俗を害するようなおそれがある。金は社会事業のために使うというのでありますから、目的は非常にいいのであるが、それを得る方法として一種のギヤンブリングをして、しかも偶然の輸贏に金銭をかけるというならいいのであります。これは機械的であるほど弊害が少い。モナコでやつておる円盤を回転させるようなものは、これは種もしかけもない。しかし人の力でやるということになると、ずいぶん手かげんをし得る余地があるために、最もよろしくないものの一つになりはせぬか、そういう点についても御研究になつたかどうか承りたいのであります。
  46. 大石武一

    大石(武)委員 ただいまの鈴木委員の御質疑、まことにごもつともだと思います。確かにこの種の競技は、他の競技でもいわゆるやおちようがつき得るのが普通の慣例でございます。従つてそれはあり得る可能性はあろうと思いますが、でき得る限り監督を厳重にして、それを防ぎたいと念願いたすのでございます。さらに選手をできるだけ多く各地を交替いたしまして、できるだけやおちようを防ぎたいと考える次第であります。なお先ほど申し上げましたように、大都会だけしかできませんので、フアンの方々はギヤンブリングには相当なれておると思います。私も競馬が好きでございますのでときどき行つてみますと、国営競馬にもやおちようというシーンはたびたび見受けられますが、多くのフアンもそうであると思いますけれども、これをやはりおもしろく解釈して、騒ぎも全然起つておらないようでありますが、そのようななれたフアンに対しても、やおちようのないようにでき得る限り万全の措置を講じて、正しく競技を施行させたいと考えております。
  47. 鈴木義男

    鈴木(義)委員 いろいろありますけれども、この程度にしておきます。
  48. 平野三郎

    平野委員長 町村金五君。
  49. 町村金五

    ○町村委員 大体皆さんのお尋ねで、私の伺いたいと思うことは大体わかつたのでありますが、これは外国人でなければ競技ができないのでございますか。
  50. 大石武一

    大石(武)委員 ただいまのところは、この競技日本で初めてのものでございます。従つて日本人はほとんどこの競技を知らないと思います。従つていい選手がございませんので、当分の間は、スペインの選手に来てもらつて競技をする。その間に日本人の選手を養成して行つて、できるだけ早い機会にかえて参りたいと考えております。なおこの競技は非常に猛烈なスピードのある競技でありまして、特殊の訓練を受けた者、体質を持つた者でなければできないそうであります。たとえば日本の相撲があの特殊な三十貫、四十貫というような体格の相撲取りでなければできないような関係らしいのでございます。
  51. 町村金五

    ○町村委員 外人をお雇いになるというが、一箇所に四十名くらいとさつき伺つたのですが、それが多少ふえれば、相当の数になると思うのであります。そういう競技をする者に対しては相当の報酬を払わなければならぬのでしようが。一人大体幾らくらい程度の報酬で済むものでしようか。
  52. 大石武一

    大石(武)委員 これはどのくらい払うか、法人できめるだろうと思いますが、スペイン大使館の方にいろいろ向うの事情を問い合せましたころが、大体選手には二通りあるそうであります。いわゆるA級とB級の選手があるそうであります。A級は大体月に八百ドル、B級は五百ドルくらいの高給が払われておるそうであります。日本へ来るのはおそらくA級でなく、B級だと思います。一人月五百ドル払うのが基準になるだろうと思うのでありますが、これはすべて円で払うことにいたしたいと考えておる次第であります。
  53. 町村金五

    ○町村委員 この競技に、私が聞くところでは、スペインあるいはメキシコ、フイリピンのマニラ、そういうところがかなり盛んなところで、イギリスとかその他の国々、いわゆる一等国と称するところでは、大体これは禁止されているように聞いておるのでありますが、その辺のところは実際どういうふうになつておるのでございましようか。
  54. 大石武一

    大石(武)委員 私は詳しいことは存じておりませんが、大体ヨーロツパでは、スペインとかイタリー等で行われておるそうでございます。それからこちらではマニラとか中国とか、あるいはアメリカ、こと、にメキシコあるいはブラジル、あちらの方にもあるそうでございます。アメリカでは時折やるそうでありますが、これは定期的なものではなくて、やはり社会事業あるいは慈善事業資金を集める手段として、アメリカ合衆国内で不定期的に開催されることがあるそうでございます。その他の詳しいことはよく存じておりません。
  55. 町村金五

    ○町村委員 先ほども鈴木委員からお話があつたのでありますが、こういう人間が体力でやる仕事であり、しかも専門の選手がやるということになりますと、どうしても不正競技が行われるということは、防止ができないのじやないかと私は思うのであります。こういうようないわばやおちようになるような問題に対して、先ほど大石さんは十分に取締る、こうおつしやつたのでありますが、外人がやつたりするのでなかなか取締りも困難でありましようしいたしますが、こういうものの監督は——私はまだこの法文をよく読んでおりませんけれども厚生大臣がその取締りをなさるのでございますか、これをひとつ伺いたい。
  56. 鮫島眞男

    ○鮫島法制局参事 十五条ないし十九条にいろいろな取締りの規定がございまして、まず第一段には、そういうところの取締りは施行者であるとか、あるいはもし他の法人に委任しました場合には、そういう委任を受けました施行者、実施受任者が実際はその現場におりまして、いろいろな取締りをやることになると思います。それから最終的な取締りの関係厚生大臣がいたす。こういうふうにこの十五条以下の規定でなつております。
  57. 町村金五

    ○町村委員 なお先ほど高橋、長谷川委員からおつしやつたのでありますが、御説明を伺つて感じますことは、やはりこの競技は営利会社にやらせる、こういうことに結局はなるのであります。従つて社会事業のために金を出してやろう、こういうことでたいへん美名で、いい目的のために行われるのでありますが、その反面に起つて参ります非常な弊害というものは、その程度の金が社会事業に入るということと比べて、大局的に考えてみて、一体どつちがほんとうに国家のためになるのか、われわれとしては深く考えさせられるところがあるのであります。しかも先ほど伺つたところでは、大体年間七億円程度のものが赤十字なり、あるいは社会事業に投ぜられる、こういうお話であります。わずか七億円や十億円くらいの金を赤十字なり社会事業のために出されるというだけのことで、これだけの大きな弊害を生んで参るようなハイアライをやらなければならぬのであろうかということを、われわれとしては深く考える必要があるのではないか。もし今日の社会事業にどうしても六、七億の金がいるのだということであれば、昨日も厚生大臣の御説明を伺うと、一年間にとにかく実質的に百億近く厚生省の金もふえているのでありますから、国家としてどうしても社会事業を育成しなければならぬのだということであれば、その程度の金は何としてでもできる金なんだ。しかもこれによつて非常に大きな弊害が起り、日本は今やほとんど賭博の国になつてしまうような状態なんで、競輪があり、競馬があるからといつて、さらにこれをもう一つ加えていいというりくつには毛頭ならない。むしろこういうようなものがあつて非常な弊害を生んでいる以上、一つずつこれをなくするという方向に当然進むべき筋合いのものであるにかかわらず、私はかようなことで金を得ようと考えること自体が非常に間違いだと思つているのです。それについて、今日の状態のもとにおいて——この点は厚生大臣にも伺いたいのですが、今日はお見えになりませんから、厚生当局としては、手段はどうあろうと、こういうことでも、とにかく金が入ればそれでいいのか、御意見を伺つてみたいのであります。
  58. 安田巖

    ○安田政府委員 この売上げの利益金のうちから社会福祉事業のために使われる金は、ただいま提案者の御説明によりますと、大体十億だということでありますが、ちようど共同募金が二十七年度十一億、日赤が五億何千万円でありますので、その金が入りますことは、社会事業にとりましては相当潤うのではないかと私ども思います。しかしまた今町村委員からお話のようなことも考えなければならぬことでございますし、どつちがどうだと言われますと、たいへん困るわけでございます。
  59. 大石武一

    大石(武)委員 町村さんの直接のお答えになるかどうかわかりませんが、一応の私の考えを申し上げたいと思うのでございます。私は約四年半前に初めてこの国会に出て参りまして、厚生委員に所属いたしました。爾来四年半あまり、常に厚生委員として勉強して参つた次第でありますが、その当時、日本社会事業あるいは社会保障制度がいかに貧弱であるかということを、だんだんは認識して参つた次第であります。私は当時ことに母子福祉に興味を持つておりまして、何とかして日本における母子の苦しみをなくしてやりたい。できるだけ全国に母子寮あるいは保育園、託児所をたくさんつくりたいと念願いたしましたのが、このような法律案基礎でございます。そのときはすでに私の構想といたしましては、母子寮とか保育園とか託児所をつくることに考えがあつたわけでございますが、その後次第に勉強いたしまして、このような保育所とか母子寮というものは、これは民間事業ではなくて国の仕事である、国の厚生上の正しい仕事でなければならぬということに考えつきました。ところが御承知のように、現状は非常にさびしい状態であります。来年の予算は、昨日の説明にもありました通り、全国の母子寮あるいは保育所をつくり、あるいはそのあらゆる設備改善をするのに四億前後の金しかない現状でございます。従いましてそのような母子寮をつくることは国の力である、しかし日本の国民の福祉というものは、ただ国の力だけでは当分やつて行けない、民間事業と相まつて、その協力によつて初めて成果を上げ得ると考えた次第であります。従いましてたまたまこの赤い羽の制度にまで思いつきまして——民間社会事業団体におけるいわゆる仕事というものは、赤い羽以外には日本にはない現状でございます。日本の憲法でもかえなかつたならば、当分どうしてもこれに与える道はないのであります。しかしながら日本人のこれらに対する理解の程度、あるいは国民の経済の状態によりますると、この五、六年間の赤い羽の実績が示すような現状でございます。従いましてこれにてこ入れをする以外に、民間社会事業を盛んにする道はないと考えておる次第であります。ここにこの事業を結びつける原因がございます。ところが七億や十億の金は、政府で何とかできる道があるのじやないかというお話でございます。これも初めはそう考えておりましたが、実際この民間社会事業にいかにして十億の金をまわすかといいますと、ほかには何ら方法がないと私は思うであります。日本の国にとつては、はなはだ残念な話でございますが、わが国現状においてはできないと思うのであります。先ほど申し上げましたように、来年度母子寮をつくり、保育所をつくり、その他すべてを含めての費用が四億内外である。これでもどれほど日本国民を潤すかということを考えますれば、この十億の金も非常に貴重な金であろうと私は思うのでございます。かようなわけでこの法案を出したわけでございます。ただ今申されたようにギヤンブリングですから、確かにある程度の弊害はあると思います。しかしギヤンブリングは旧道徳的な考え方では罪悪でございますが、考え方によれば、それほどの罪悪かどうか私自身としては疑う次第でございます。多少の弊害はございますが、今申しましたように、山間僻地にまでこの競技を行うことはございませんで、東京、大阪以外にはできないのでございますから、これによつてそうひどい弊害は起すまいと思う次第でございまして、あえて出した次第でございます。言葉は足りませんけれども、これは自分の心境でございます。
  60. 平野三郎

    平野委員長 他に御質疑もないようでございますが、本法案はきわめて重要法案であると存じますので、慎重に審議をいたしたいと存じまして、さらに次会に引続き続行することにして、本日はこれをもつて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時十四分散会