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1952-12-08 第15回国会 衆議院 厚生委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月八日(月曜日)     午後一時五十分開議  出席委員    委員長 平野 三郎君    理事 大石 武一君 理事 野澤 清人君    理事 堤 ツルヨ君 理事 長谷川 保君       新井 京太君    新井 堯爾君       池田  清君    勝俣  稔君       加藤鐐五郎君    永山 忠則君       日高 忠男君    平澤 長吉君       吉江 勝保君    亘  四郎君       佐藤 芳男君    町村 金五君       鈴木 義男君    島上善五郎君       柳田 秀一君    只野直三郎君  出席政府委員         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田邊 繁雄君  委員外出席者         総理府事務官         (恩給局調査課         長)      堀内  浩君         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君         専  門  員 山本 正世君     ――――――――――――― 十二月三日  委員鈴木義男辞任につき、その補欠として西  尾末廣君が議長指名委員選任された。 同月四日  委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として片  山哲君が議長指名委員選任された。 同月八日  委員片山哲辞任につき、その補欠として鈴木  義男君が議長指名委員選任された。     ――――――――――――― 十一月二十八日  元満洲開拓犠牲者遺族等援護に関する請願  (渡邊良夫紹介)(第一六八号)  癩予防法の一部改正等に関する請願山花秀  雄君外二名紹介)(第二一四号)  未復員者給与法適用患者生活扶助料支給  に関する請願山下春江紹介)(第二三九  号)  国立筑紫病院定員増加に関する請願(福田  昌子君紹介)(第二七四号) 十二月一日  立川市の水道施設完備促進に関する請願(山  花秀雄君外一名紹介)(第二九七号)  国立ハンゼン病療養所栗生楽泉園建物修築  費増額等に関する請願武藤運十郎紹介)  (第三二一号)  戦傷病者及び軍属に対する国家補償確立に関  する請願大森玉木君外一名紹介)(第三四  二号)  未復員者給与法適用患者生活扶助料支給  に関する請願島上善五郎紹介)(第三六  五号)  母子福祉法制定請願並木芳雄紹介)  (第三六六号) 同月四日  未帰還抑留者及び留守家族救護法制定に関す  る請願中曽根康弘紹介)(第四二四号)  同(谷川昇紹介)(第四二五号)  同(園田直君外六名紹介)(第五〇一号)  国立大竹病院存置請願西村茂生紹介)  (第四二七号)  傷い軍人に対する補償法制定請願石坂繁  君紹介)(第四六二号)  結核病床増設に関する請願坂本泰良君紹  介)(第五〇〇号)  未復員者給与法適用患者生活扶助料支給  に関する請願勝間田清一紹介)(第五〇  三号) の審査を本委員会に付託された。 十一月二十七日  生活保護費全額国庫負担陳情書  (第四三二号)  国民健康保険事業に対する国庫補助増額の陳  情書(第四三三  号)  母子福祉法制定に関する陳情書  (第四三四号)  国立病院地方移管反対陳情書  (第四三五号)  戦犯刑死者遺族に対する戦傷病者戦没者遺族  等援護法適用に関する陳情書  (第四三六号)  同(第四三  七号)  同(第四三八号)  遺族補償に関する陳情書  (第四三九号)  同  (第四四〇号) 十二月二日  人口問題に対する積極的施策樹立に関する陳  情書(第五三七  号)  医療給付費国庫補助に関する陳情書  (第五三八号)  国民健康保険事業改善強化策実現に関する  陳情書  (第五三  九号)  国民健康保険制度強化に関する陳情書  (第五四〇号)  日本医療団精算剰余金地方還付に関する陳  情書(第五四一  号)  戦争犠牲者遺族年金及び弔慰金支給の円滑  化に関する陳情書  (第五四二号)  戦犯刑死者遺族に対する戦傷病者戦没者遺族  等援護法適用に関する陳情書  (第五四三号)  同(第五四四  号)  元満洲その他開拓団員犠牲者遺家族援護に  関する陳情書(  第五四五号)  第十東予丸による死没復員軍人遺家族援護  措置に関する陳情書  (第五四七号)  簡易水道施設国庫補助に関する陳情書  (第五九七号) 同月四日  清掃事業施設整備に要する財源措置に関する  陳情書(第  六三七号)  国民健康保険給付費に対する二割国庫補助の  実現に関する陳情書  (第六三八号)  国民健康保険補助増額陳情書  (第六三九号)  結核療養施設の拡張並びに療養費国庫負担の  陳情書(  第六四〇号)  戦傷病者更生援護に関する陳情書  (第六四  一号)  未復員者給与法適用患者援護措置に関する  陳情書  (第六四二号)  戦犯刑死者遺族に対する戦傷病者戦没者遺族  等援護法適用に関する陳情書  (第六四三号)  同(第六四  四号)  遺族国債現金化予算大幅増額陳情書  (第六四五号)  老齢元軍人等特別給与支給範囲に関する陳情書  (第六四六号)  元満洲その他開拓団員犠牲者遺家族援護に関  する陳情書  (第六四七号)  同(第六四八  号)  戦災空襲横死者遺族に対する補償陳情書  (第六四九  号)  宮古港の検疫港指定に関する陳情書  (第六五〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する  件  国立病院地方移譲に関する問題     ―――――――――――――
  2. 平野三郎

    平野委員長 これより会議を開きます。  まず小委員会設置の件についてお諮りいたします。委員各位の御要望に基き、この際当委員会に小委員七名よりなる同和事業対策に関する小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長選任に関しましては、委員長より指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  3. 平野三郎

    平野委員長 御異議もないようですから、該小委員会を設置することとし、小委員には     池田  清君 永山 忠則君     日高 忠男君 山下 春江君     高橋 禎一君 堤 ツルヨ君     長谷 川保君の七名を、小委員長には永山忠則君を指名いたします。     —————————————
  4. 平野三郎

    平野委員長 それでは国立病院地方移譲の件について、堤ツルヨ君より発言を求められておりますので、これをお許しいたします。
  5. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、六十の国立病院地方移譲の問題につきましては、実は大臣が御出席でないと問題にならないのでございまして、大臣の御出席要求しておいたはずでございます。従つて大臣おいでにならないのに、いろいろと質問してみましても始まりませんので、本問題につきましては、近日のうちに、大臣出席できる日にもう一度委員会を開いて、大臣出席を得て質問をいたしたいと存じますので、大臣に対する質問はまず保留をいたします。また新しい医務局長が御出席でございますが、局長にお尋ねいたしましても、失礼ながらこれも無理かと思います。従つて次長事務的なお尋ねをいたしますが、この間の御答弁では、一つだけ十二月中に移譲の話が円満に行きそうだというお話がございました。局自体では、新任大臣だとか、新任局長以外の方々が、いろいろと地方移譲の問題について、地方方々と折衝しておられるやに仄聞いたしますが、その見通しなり、それから来年度の予算要求など、どの程度までお考えになつておるか、もう一度あらためて正式にお聞きいたしたいと思います。
  6. 高田浩運

    高田説明員 地方移譲の問題につきましては、御承知のように、発足が予定よりも大分遅れましたし、その後選挙のその他局長逝去等いろいろな事情がからみまして、予想通りの進捗を示していないことはお話通りでございまして、われわれとしても遺憾に存じておる次第でございます。現在までに現実に移管いたしましたのは、十二月一日現在におきまして国立秋田病院、これは県立移管をいたしました。従つて現在県立として経営継続中でございます。その他につきましては、数府県と話合いが進んでおるものもございますが、具体的には、相手のあることでございますし、でき上つてみなければ確実なことは申し上げかねる次第でありますが、私たちとしましては、そういうふうな関係で、相当進捗するものと考えておる次第でございます。  来年度の問題でございますが、これは今申し上げましたように、発足が遅れましたのと、その他の関係もありまして、勢い来年度に繰越さざるを得ないのでございます。従いまして、来年度におきましても、この国立病院地方移譲は進めて参りたいと思いますけれども、しからば予算にどう組むかということは、予算編成します最後の段階において、そのときの状況でさらによく検討の上組むように、大蔵省とも話し合つておる次第でございます。さよう御了承願いたいと思います。
  7. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 私は、もうこの前の委員会で、事務当局方々には大体お話を申し上げたし、聞いてもらつたはずでございます。従つて大臣がきようおいでにならなければ、問題にならないことはわかり切つておるのでございまして、私の考えるところでは、大臣国立病院地方移譲の問題を一つのがんのようにお考えになつて、きようはわざと逃げていらつしやるような気がいたします。早急に次長は、局長さんと大臣に、今までの経過を誤りなく伝えられまして、厚生大臣自体のお考えを確立していただいて、早く委員会に出られるようにしていただきたい。私はきようは、大臣は何も御所見がないから、いらつしやらないのではないのではいかと思つております。  そこで私はこの委員会でお諮りを願いたいのでございますが、この国立病院地方移譲の問題につきましては、各政党にいろいろな御意見があろうかと存じます。もちろん病院の中には例外がございまして、そんなにトラブルを起さなくても地方移譲がスムーズに行く、また地元も喜んでもらうという病院もあろうかと思いますけれども、それはごく僅少であると私は存じます。従つて全般的な問題といたしましては、地方移譲の問題は、われわれ国会議員としても考えなければならないのではないか、私は必しも地方移譲反対するのではございません。大体国の医療体系というものをどう考えておるか、厚生省に筋金の入つた意見は、前の委員会などでもずいぶん尋ねてみましたけれども、ないのでございます。ただ困つた持ちぐされのものを、赤字地方財政に押しつけるという以外の何ものでもないと私は存じます。従つて政党を抜きにして、ここで新たに構成されましたところの厚生委員会の良識を集めて、地方移譲の問題に対するこの委員会態度を、予算編成以前に政府に申し入れるように御考慮を願いたいと思うのでございます。委員長、どうぞきようはこれを取上げていただきたい。
  8. 勝俣稔

    勝俣委員 国立病院移譲問題につきましては、私ども新しい議員は、どういう方針でどういう理想で、どういうような医療体系でこれを移譲せねばならぬのか、単に赤字だけを埋め合せるというような考え政府はやつたのではなかろうかと私は思うのであります。そういう意味合いにおいて、ほんとにどういう趣旨であるかということを、われわれ新しい者にひとつ示しを願いたい。これは大臣出席のときでもよろしゆうございますが、根本的の問題から、少しく研究する必要がありはしないか、こういうように私は思うのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
  9. 新井京太

    新井(京)委員 この問題について、堤さんが非常に力こぶを入れておりますが、御無理のないことだと私は思うのであります。私は、全国六十の国立病院がどういう姿であるかということは知りませんが、私、長く都に出ておりました関係上、東京都で今度たしかに三つか四つ移譲をされるということを承つておるのであります、これをしさいに見てみますると、かりにちようだいをいたしまして、表面から見ますると非常にけつこうのように見えまするけれども、一つ病院補修をいたしまするのに、少くとも一億の金をいただく、四つでも三億以下ではとうてい済まないのではなかろうかと私は思います。実際問題として私は申し上げておのでありまするが、そこで患者も、事務の人も、そつくりそのままいただくのでありまするから、その後のいわゆる維持管理の上におきましても、都といたしますれば年々莫大な赤字を生じて参ります。従いまして、当局の方ではどういう御存念であるか、すなわち補修費も出してやろう、そうしてもしこれを維持して行く上において不足を生じた場合には、国からこれを補助してやる、補填をしてやるという御存念か、何もかまわないで、要するに、ただ地方移譲すればいいのだというような考え方であるといたしますならば、地方といたしましてはたいへんな迷惑をいたさなければならないと思うのであります。でありまするから、この点につきましても、私は、移譲をいたしまする場合、並びに移譲をいたしました後のすべての諸経費に対しても、厚生省としては、かようかくかくの考え方を持つているのだという、そこのけじめをつけていただかなければ、これは軽々しく扱えない実に重大な問題じやなかろうかと思うのであります。この点について、私は、いいかげんなことでない、ほんとうに親切な実意のある御答弁を願いまして、そうして態度考えなくちやならないのではなかろうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  10. 長谷川保

    長谷川(保)委員 この国立病院地方移譲は、すでに皆様承知のように、非常に、問題のあつた案であります。しかもこの議が出ましてから後、全国国立病院のうちのほとんど全部が、これにまつこうから反対をいたしたのであります。また地方県会等におきましても、これが大きな問題になつた例外もありますけれども、まず全体から申しますと、地方府県といしましても、この移譲には、ほとんどが反対たといつてさしつかえないと思います。しかも、この前委員会でこれが決議されたときには、わずか二人の差で通つたのであります。それほどの大きな問題でありますから、この新しい委員会において、根本的に考え直す必要があると思います。ただいま堤君その他の皆様がおつしやつたように、この問題を再び取上げて、根本的に考え直しまして、国民の福利のために、これを合理的に解決したいと思いますので、これを提案いたします。
  11. 野澤清人

    野澤委員 本問題については、勝俣委員の申されたことに私も賛成いたします。実際にどういう経過で、どういう根拠をもつて地方移譲を決定されたのか、その詳細についてぜひとも御説明を願いたいと思います。その根本的なものは、今長谷川さんが申されましたが、長谷川委員の言われるような単純なものでなしに、日本厚生行政に対する厚生省根本的な考えが重点になるのじやないかと思います。要は、予算面において厚生省が背負いきれないために、自然にそういうはれもの的な存在になつて、地新移譲に移つて行くということであれば、むしろこの際に根本的な手当をする必要があるのではないかという感じがいたしますので、今までの行きがかりについては、詳細な御報告が願えたら、あえて大臣でなくてもけつこうでありますから、その点重ねてお願い申し上げます。
  12. 永山忠則

    永山委員 議事進行に関することでありますが、ただいま堤委員その他から提案されておりまする国立病院に関する件につきましては、根本的に研究をいたしたい点があると思いますので、全員で研究するか、小委員会をつくつて十分に研究するか、委員会態度をきめていただきまして、いずれにしても、根本的にこの問題の研究を進めて行くということに議事をお進めいただくことを、この場合議事進行として申し上げます。立ちましたついでにお問いをいたすのでありますが、国立病院に関しましての移管問題は、行政的処置でやつておられるのですが、その行政的処置は、任意的なものでありますか、ある程度強制的な考え方でおやりになるのでありますか、どういう御方針移管問題をお取扱いになつておるかを、ちよつとお聞きしたいと思います。
  13. 高田浩運

    高田説明員 それでは、この国立病院移譲問題の今までの経過等について説明をしたらというお話もありましたので、一応申し上げまして、足りないところその他数字上のことにつきましては、また機会を与えられますれば、そのとき申し上げることにいたしまして、考え方根本だけをあらまし申し上げさしていただきたいと思います。  御承知のように国立病院は、旧陸海軍病院を、終戦後の昭和二十年十二月に厚生省が引受けまして、これを国立病院として経営をして今日に至つておる次第でございます。従いましてそういう経過でございますので、その当時から、終局において国立病院をこのままずつとやつて行くか、どうするかということについては、御推察の通りにいろいろ議論があつた次第ございます。その当時から国として、病院計画病院体系をどうするかということについては、厚生省といたしましてもいろいろ意をいたしておつたことでございますし、また世上におきましても、いろいろ議論の出てうつたことでもございますので、医療制度審議会その他各種の委員会をこしらえまして、その都度学識経験方々の御意見を拝聴いたして参つたのでございますが、こまかいことは省略いたしまして、結局、根本考え方として、公の病院というのは、やはり県が中心経営主体になることが、経営上最も適当である。考え方においては、そういうのが大体今までこういう機会においての一致した見解のように、われわれとしては承知いたしておるのでございます。従いまして国としましては、その上に立つて、どうしても国でなければならない部面を担当する。すなわち端的に申し上げれば、数府県にまたがつて県立病院その他一般病院を指導すると申しますか、あるいはまた医者の再教育をすると申しますか、そういういわば病院病院というような、何がしかの病院でありますとか、あるいは温泉、整形外科というような特殊な目的を持つたものに限定をしてやるのが、国としていいいのではないか。もう一度申し上げますと、公の病院というものは、やはり県立中心で行くべきである。国立というのは、さらにその上に立つてそれを指導するような、もう一段高次病院ということを考えるべきじやないか。こういうことが大体一致した見解であつたと、われわれは承知したしております。従いまして厚生省といたしましても、大体将来の病院のあり方としましては、こういうことの方がいいんじやないかというふうに考えておつた次第でございます。もちろんこれは公の病院について申し上げたことでございまして、そのほかに私立あるいは法人立病院整備されなければならないことは言うまでもないことでございますが、公の病院については、そういうような考え方をとつてつたのでございます。従いまして国立病院につきましても、そういつた根本的な考え方、構想に照して、これをいつかは引直すべきであるというような考え方がありましたし、国会におきましても、この国立病院は早く地方移譲しなければならないという、むしろそういつた意見がたびたび出たのでございますが、その都度、当局といたしましては、行く行くはそういうふうにいたしたい、しかし今はその時期ではない。そういうような考え方で通して参つた次第でございます。と申しますのは、終戦後におきましては、御承知通りに、旧軍人でありますとか、引揚者でありますとか、そういつた特殊の治療対象の人がたくさん国立病院に入つておりましたし、その意味においては、いわゆる一般病院とは違つた形を多少持つておりましたし、なお運営面におきましても、その当時の社会的な、あるいは経済的な、あるいは政治的な背景にからみまして、相当不安定な要素もございましたし、またそういつたような事情から、経済的にも相当難渋をいたした時代もございますし、さしあたつて、いわゆる一般病院としてやつて行くについては、外来患者が来る設備もしなければならない、あるいは今までなかつた産婦人科とか、眼科とか、そういつた方面の整備といつたような、とにかく軍病院から一般病院への引直しということもしなければならない。そういうような、いわゆる最小限度整備もしなければならない事態でございましたので、とりあえず国としてこれをやつて行く。しかし行く行くはこれやはり地方移管すべきじやないか、そういうような考え方がずつと支配的で今日まで参つたと、私はさように承知いたしておる次第でございます。それらの患者内容につきましても、漸次交代をいたしまして、一般病院的な患者の様相を呈して来ましたし、またその他のいろいろな動揺した一時の空気も、だんだん平和におちついて参りましたし、また収支のバランスの上からいつても、もちろんこれは所によつて違いますけれども、漸次平衡状態になつて参りましたし、かたがた地方におきましては、最近は、県の病院をつくりたい、あるいは市町村の病院をつくりたいという希望が、年年非常に熾烈でございまして、これがために起債の要求に来られるものが、二十六年度においては、私たちの方に世話をしてくれと来られた分だけでも五十億近くありますし、二十七年度におきましては、九十億を越すような状況であつたのでございます。さような状況でありまして、地方において公の病院整備したいという熱意は、非常に高まつて来つつあるのであります。所によりましては、この国立病院と同じ区域にさらに県の病院が設けられるというような所もなきにしもあらずであります。あるいはまた地域の違つた所に設けられる分も、もちろん多いと思いますが、いずれにしましても、地方側としては、県立なり、市町村立なりといつた公の病院整備をしたい、あるいは国民健康保険等にももちろん補助の申請がたくさん参つておるような状況でございます。そういうように、病院整備したいという熱意、すなわちある意味においては、社会保障に対する熱意が非常に高まつて来ておることは、十分看取される次第でございます。そういつた点を彼此勘案いしまして、二十七年度におきましては、この国立病院移譲に着手するという段取りになつたのでございます。  その計画の大要は、現在国立病院施設が九十九あるのでございますが、そのうちの二十四施設は国に残存せしめ、十五施設結核療養所に転換し、六十施設地方移譲をする。一応そういう計画のもとに、二十七年度予算編成が行われた次第でございます。これはもちろん世上往々いわれておりますように、いわゆるたたき売りという考え方ではなしに、秋どもとしましては、どこまでも国、地方を通じた全体としての病院体系整備する第一歩というふうにも考えております。従いまして、移譲いたします病院は、やはり地方病院として十分その機能を果し、できればさらに生成発展することを期待いたしておる関係もございまして、これが譲渡の価額等についても、相当考慮をするし、あるいは整備についても気を配つてつたのでございます。そういう関係で、これは法律を要するというので、法律案として提出をされたのでございます。  その内容は、御承知と思いますが、土地建物等のいわゆる国有財産につきましては、時価の七割引、すなわち三割。それから医療器械器具等のいわゆる設備器具器械につきましては、時価の五割引。それからその他の紙とかあるいは筆、墨といつたような消耗品につきましては、時価そのまま。それから未収金債権、これは保険等関係から取立てが一、二箇月あるいは三、四箇月ずれる関係もありましていわゆるこげつきという意味でなしに、一般的なランニングの未収金債権があるわけでございますが、これにつきましては三分の一以内を差引いた価額でやる。そういつたように、譲渡の面におきましても、価額の面においても、十分考慮する。さらにこれが支払いの方法等につきましても、交付公債によつてやりまして、そして十五年年賦というような長期の償還期限にして、この移譲を容易ならしめるというふうに考えますと同時に、もちろんこの移譲につきましては、建物その他について整備を要することが多々あるのでございますが、これを、たとえば今まで木造であつたのを鉄筋に建て直すとか、あるいはすつかりやり直すということであれば、これは多額の経費を要しますし、いわばきりのない話でありますが、さしあたつて国立病院として、もうちよつとここを何とかしたいというような面については、大体それによつてまかなえるという見当のもとに、六億四千万円の整備のための補助金を計上いたしまして、これを移譲に伴つてつけてあげるというふうに考えておつたのでございます。六億四千万円と申しますと、この点は、非常に少い、もつとたくさんの経費をかけた上で譲渡すべきじやないかというふうな議論が、非常に強かつたのでございますけれども、この点は、過去における国立病院整備に費しました費用に比較してみますと、四、五年分に相当する額であります。そういうふうに、過去の実績に比べて、必ずしもそう少いとは言えない額になつておるのでございますが、それをつけて整備をしていただく、そういうような考え方のもとに、この移譲をする。もちろん移譲に対しましては、強制的に押しつけるということでは、将来の運営その他に支障を来すことは言うまでもございませんので、どこまでも地方とよく話合いをして、協議のととのつたところに譲渡をするということでございまして、今、永山一先生からお話がありましたように、無理やりに押しつけるということはもちろん考えていないのでございます。協議の上でこれを譲り渡すという方途にいたしておつたのであります。従いまして、この問題については、今後も、今申し上げたような線に沿つて促進をして参りたいと思います。なお思し足りない点がございましたならば、あらためてまた説明をさしていただきたいと思います。
  14. 永山忠則

    永山委員 強制的なやり方はやらないのだというお話は了承をいたしておるのでありますが、上級官として、下級官に向つてある程度の威圧と強制性を持つような行動はないかという点を非常に憂慮いたすものであります。この点さらに十分御注意をいただいて、ほんとうに任意的な交渉において進められんことを期待するのであります。  そこでお問いを申し上げたいことは、任意制で行くことになりますと、何年もかかると思うのですが、何年かかつてもいいという限度を、大体何年くらいにお考えになつておるか、まとまらぬなら何年でも置くというお考えであるが、最後のおまとめは何年度にやるという基本的な考え方がありますが、ちよつとお聞きしたいのであります。
  15. 高田浩運

    高田説明員 前段のお話の点はよく了承いたしました。ただお含みおきいただきたいと思いますのは、私たちとしましては、国立病院の問題だけでなしに、県内における病院体系がいかにあるべきかということを指導する役割を、同時に医務局としては持つているわけでございまして、そのへんについては、県内における病院体系がいかにあるべきかということも、十分向うの立場にも立つて、これは考えて行かなければならないと常々思つております。この点もお含みをいただきたいと思います。  それから今後の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、二十七年度においては、もちろんこれは終了する見込みがございませんし、引続いて二十八年度におきましても、これは実施をいたしたいというふうに私たち考えておる次第でございます。それより以降においてこれをどうするかということにつきましては、まだその時期ではないと考えております。すなわち現在は、従来の方針をできるだけ円滑に促進するということで進めておりますので、最後の締めくくりというか、最後のどの辺までどうするということは、実はまだ考えるところまで至つていない、こういうふうに御了承いただきます。
  16. 永山忠則

    永山委員 国立病院地方移譲するという指導方針について承つたのでありますが、現地の経済情勢、その交渉後における地方事情等を勘案いたしまして、当局が持つておるところの指導方針は、絶対的のものではないとわれわれは考える要素があるのであります。従つて、各委員からこれに対して根本的に検討したいというので、小委員会のようなものでも設けたいという空気もあるようでございますから、この点を十分当局もお考えの上で、旧来きまつた指導方針であるがゆえに、指導的立場においてそのことをやるんだという考えで強く当られる点については、さらに御検討をお願いしたいと思うのであります。こうしてこの移管を、何年くらいの限度でひとつやつてみようという御方針があらねばならぬと思います。すなわち本年できなければ来年度において一応の結末をつけたい。そうしてそれができない場合はどうするかという基本的な考え方がなければならない。これを任意的に、自主的にやるという考え方で進む以上は、まず第一に、最後に残るものはどうするのかということの計画性を持つてやらなければならぬと思うのであります。今それを考える段階でないということにつきましては、遺憾ながら、当局がそういう指導的な具体性を持つておられぬということを示されることであつて、われわれの方も非常に遺憾に思う。  この場合、さらにお尋ねしたいことは、本年度地方移譲について話合をして、話合いがつかない分については、地方移譲を廃止するというような法律案を出す場合において、当局はどういうようなお考えで臨まれますか、お聞きしたい。
  17. 高田浩運

    高田説明員 もちろん国会は国権の最高機関でございますし、国会の意思決定に従うことは、行政官庁として言うまでもないことでございます。従いまして、それについて今ここで私の方の意見を申し述べることは、私は一つ事務局にすぎないまでございますから、差控えさしていただきたいと思います。
  18. 永山忠則

    永山委員 地方移譲問題に関しまして、本年度内に処置ができない場合加おいて、来年度の分は地方移譲を廃止するという問題については、事務当局として十分答えることができないということでありますので、私はこの問題に関しては、大臣の責任ある御答弁をお願いすることにいたします。先刻申しましたように、この問題についで種々の点から、あらゆる角度で再検討を要する要素があると思いますので、この場合小委員会をおつくりいただきまして、十分根本的な検討をされるように、委員長においておとりはからいをお願いいたしたいと思います。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  19. 野澤清人

    野澤委員 今の御意見に賛成いたしますが、ただ先ほど私が根本的な問題を解決しなければならぬと申し上げたことは、今度の国立病院地方移譲の本質的なものは、当局からお話をお聞きますと医療体系整備が目的であるというようにとれるのでございます。しかしその反対の理由としては、経済的な面において地方が非常に躊躇しておる。こういう点から考えると、当局上して、今度の地方移譲の限度もきめずにやられるという、その根本精神は、医療体系整備がほんとうに目的であつたのか、経済移譲が重点だつたのか、こういう点について、本日御回答を願わなくともけつこうでありますが、次会までにこれを十分御検討願わぬと、小委員会にまかしていただいても論は尽きないと思います。この点を十分御検討願つて、御回答を願いたいと思います。
  20. 堤ツルヨ

    ○堤(ツ)委員 まじめな皆様方に御検討願つて、私が発議いたしました問題が運ばれることを非常にうれしく思うのでございますが、医務局次長は、今のところ一番の責任者でなければならぬからお伺いしたい。参議院では結論を出し得ない、議会の終幕も迫つたというので、衆議院の最高権力によつて、数の力で決定してしまおうということでやられ、本会議の席上、わずか二名の違いで、与党が決選した過程については、あなたもよく御存じの通りであります。こういう強引な法律の遂行をなさつておるあなたとして、現実には移譲一つしかできない。しかも私の記憶では——これはちよつと失念しておるかもしれませんし、自由党では政務次官がよくおかわりになるから間違つているかもしれませんが、たしか松野政務次官と平澤政務次官の二人にかかつてつたのじやないかと思います。今話を聞いてみると、平澤さんの御郷里の秋田だけ移譲ができておる。これは申訳になさつたのではないかというような気が多分にする。従つて残り五十九をあなた方が現実にどういうふうに分析なさるかといことが問題であります。今野澤委員からお話がありましたが、医療体系整備のために、大所高所に立つて真に国民大衆のためを考え地方のためを考えてやると口にはおつしやつておるけれども、現実に国立病院経営の問題について政府はどういう態度をとつて来たか、これは過去の歴史がちやんとはつきり物語つておる。大体国立病院自体、ああいう形において発足すべきであつたかどうかについては非常に疑問がある。そこへ持つて来て、国立病院の会計が独立採算制になつてお。そのとわれわれ国会議員はどう言つたか。これを独立採算制にして、大蔵省にそでにされておる。従つて今後の独立会計実施後のいろいろな問題は患者にしわ寄せされ、働く従業員にしわ寄せされるというので、ずいぶん御警告申し上げた。ところが御存じの通り独立会計になつてからは、患者にみんなしわ寄せされて、国立病院は実に怨嗟の的になつておる。大蔵省が厚生省地方移譲しろと命じた形にひとしいと私は思つております。従つて、今日厚生省へ行つてごらんなさい。あなたの部下はどういうふうに国立病院の問題に取組んでおるか。この問題については、下級官吏はしやべるなと命じてあるはずである。そして地方についても多分に強要しておる。強要という言葉が当てはまるから強要と言うのでありますが、確かに強要しておる。一つ地方移譲すると、それだけ成績が上るというのでやつておる。今永山さんは穏健な言葉をもつて言われましたけれども、私は完全に強要をやつていらつしやると思う。地方移譲できないものをしようとしている。そしてこの一つしかできないという現実をどう分析しておられるか。しかもいつまでに移譲を終つてしまうかという計画もない。これじや野たれ死にです。国立病院地方移譲の話が出てかから、国立病院の従業員はろくたま働いておらない私に言わせれば、足が地についておりません。もちろん私たちは、従業員が国立病院地方移譲反対なさる理由は幾らもあると思つておりますけれども、従業員たちに、くわえて振りまわされはしません。しかし国立病院会計の金が六億四千万円も寝ておつて看護婦に超過勤務も働かせない、患者には八十三円何がしかのものを食べさせて、笑いの的になるような病院経営をやつておる。しかも地方移譲が五年かかろうが、六年かかろうが、ひまにまかせ、金にまかせてやる、こんな無責任なことをしている。これはみんな国民の税金じやありませんか。こういう問題に初めから取組んでいるのに、大臣委員会にも出て来られないとはけしからぬと思う。次長は、一つしか移譲できないというこの現実の分析を率直にやつていただきたい。これが解決しなければ、幾ら小委員会をつくつたつて場だめです。もちろん小委員会をつくして、掘り下げて研究する必要もありますけれども、委員全部に御認識願わなければならぬ重要問題です。あなたがおつしやるように、地方病院市町村立病院、いろんな国費関係病院など、ベッドは全国的に皆足りません。あなたの方に、起債の許可、国庫の補助を申し出て、地方病院を建てたいというところがあることは、現実に見せてもらつております。これは率直に認めます。しかしそれならば、地方移譲の話が出ておる際といえども、よけいに大衆のため、ほんとうに百パーセントに機能を発揮する病院でなければならないと思う。しかるに厚生省の無計画、しかも大蔵省のままにやる無定見な地方移譲のために、たださえベッドの足りない大衆が、入院もできなくて困らなければならない。しかも地方赤字財政で、病院を新たに建てることはできない。国庫の補助を願い出ても、地方起債を願い出ても、中央では許さないということではなく、ますます病院は足らなくなるのじやないか。足りない病院を手の中にかかえておりながら、医療体系を論ずるもくそもありますか。こんなむちやな話はない。これは大衆のものですよ。こうなつたら率直に、はつきり申し上げる。私は何も政党的にものを申し上げるのじやありませんが、前の議会では、御存じの通り衆議院は数でもつて強引に、参議院を無視してやつた。そういうものが、現実において半分さえも地方移譲できないで、あなたの方で計画も立つておらないというならば、大臣も私たちも真剣に頭をそろえて問題を検討し、金が百パーセント生き、病院が百パーセント大衆に奉仕するように持つて行く責任がある。それを漫然と、無責任な答えをなさるとは、私はまことにもつてけしからぬと思う。ですから、その点は委員全部の前ではつきりしてもらわなければならない。私は新しく御就任になつた医務局長を責めたてることもお気の毒と思う。えらくあなたに当つて悪いですけれども、もしあなたが責任ある答弁がはつりできないならば、また一つしか地方移譲できない事実に対して分析ができないならば、事務次官も政務次官も責任を持つておられるのだから、一ぺんここへ出て話をしなさい。しかる後に小委員会を開いてもらいたい。かように考えております。前任期中には、国立病院地方移譲の問題にまじめに取組んだものでありまして、極力反対を申し上げ、御忠告申し上げておいた問題が今日山積しておりますから、あなたの方でも責任を持つてつていただきたい。かように思います。
  21. 高田浩運

    高田説明員 医療体系整備という観点からすれば、いわゆる協議の上、話合つてやるということでなしに、これこれの病院は強制的に移譲する、これこれのものはそのまま存置をするというふうに、すつぱり割切つた方が、その意味からすればすつきりすることは言うまでもないことでございますけれども、病院経営という実際から見まして、むしろそうするよりも、無理がかからないように、あるいは円滑に行くように、話合いの上、協議の上で譲渡することがいいんじやないか、そういうような考え方のもとに、強制的な措置を避けた関係上、当初の計画が必ずしもその通りに行かない。すなわち相手のある関係もあつて、その通りに行かないのも、りくつからいえば当然なことでございますが、今お話のように、それにしてもあまりにも数が少な過ぎるという見解も成立すると思います。弁解するわけではありませんけれども、先ほど申し上げましたように、いろいろな事情で遅れまして、せつかく今話合いを進めておるところも数府県あるような事情でございます。そのへんのところ、御了承を願いたいと思います。  なお国立病院の職員につきましては、御心配のような点は、私たちももちろん心配をいたしておりますが、これにつきましては、移譲に伴つて、職員の身分に不安を来さないように、移譲後の関係については、法律的にも十分気を配つて参つたつもりでございます。恩給の問題でありますとか、共済組合の問題でありますとか、その他移譲に伴つて、そのまま向うに引きとつてもらう、これは秋田の場合の例を見ましても、県当局としましては、非常に親切な気持をもつて全員を引受け、給与の面においても、昔より、一般的な水準としては高かつた県の方に近づけるというような措置もとろうというようにおつしやつておられるのでございますが、そういうふうに、この移譲に伴い、職員に、やめるのじやないかというような不安、動揺を与えることがないように、極力気を配つて参つたつもりでございます。しかしいかなる場合におきましても、その経営主体がかわる、それに伴つて、職員の気持がおちつかない、その心情は、われわれとしても十分了とするのでございますけれども、それによつて経営自体に間違いがないように、われわれとしても十分気を使つておるつもりでございます。  なお特別会計云々の話がございましたが、国立病院としましては、すべて保険の単価、あるいは点数でやつておる次第でございまして、保険の単価につきましては、それをきめる機関においてきめられておるわけでございます。特別会計になりましたから、特に高く取立てる、そういうようなことはもちろんないのでございます。その点もひとつあしからず御了承いただきたいと思います。
  22. 柳田秀一

    ○柳田委員 ちよつと次長にお伺いいたしますが、国立地方移譲しながら、なおかつ二十四ですか、国立が残存しているのであります。その理由として、病院病院をつくる、こういうような御理念のように承つたのですが、そもそも病院病院なんというものが、厚生省でできるとお考えになつておるかどうか、これをひとつ承りたい。なるほど、戦時中の陸軍東一とか、陸軍東三というものならば別です。ほかの病院は、衛生材料も入らない、レントゲンのフイルムも入らない、注射薬も入らない。そういう場合に、いわゆる陸海軍の病院は、陸海軍の圧力によつて、優秀な衛生関係の技術者を入れたし、また今言つたような衛生材料も軍の圧力で入れた。その当時の陸海軍病院ならば、なるほど病院病院ができたかもしれませんが、現在厚生省がお考えになつている病院病院が、はたしてこの残存二十四でできるとお考えになつておるかどうか。特に私が言いたいのは、残存二十四の地域的分布を見ると、ほとんどがいわゆる大都市に偏在している。その中には厚生省関係よりもつとくりつぱな病院がたくさんあるのです。たとえば京都に例をとりましても、京都には大学病院もあれば、府立病院もある。そういうところにもう一つつてつて、府立病院や大学病院を指導するということを厚生省はお考えになつておるのか、また、現にそれができるとお考えになつておるか。また残存するといい、あるいは地位を移譲するといえば、その分布も単なる役人的の考え方から、いわゆる大都市というものをピツク・アツプして考えて来る。病院の実態を全然御検討なさらずにその場限りの御都合主義でやる。すなわち、役人というものは、大都市というものを重く見る。実態よりもそういう形態を非常に重く見る。そういうような考え方で残しておるものが二十四、それ以外のものは移譲する。こういうような御都合主義でなされておるように思います。先ほども申しましたように、病院病院というものが事実できるか、またやるについて、どれだけの御理想と御方法をもつておやりになるのか、これについて資金をつぎ込んでやられるのか、また、それが可能であるかどうかという点をお伺いしたい。
  23. 高田浩運

    高田説明員 大学の付属病院につきましては、これは教育というそれ自体の使命がございますし、もちろん大学病院にりつぱなものがあるということも、私たち承知いたしておるのであります。しかし国立病院としましては、それと違つた意味において、あるいは管理面において、あるいは再教育の面において、何と申しますか、今日非常に進歩いたしました医学的な、あるいは経営的な面において、他の病院の指導的な立場になることにこそ、初めて国立病院の意義があるのではないかと思うのでございます。すなわち今日一般病院において、設備その他について、万全の準備を整えることができますれば、これも一つの行き方かと思います。しかし今日の実態においては、必ずしもそういうことは期待できませんし、むしろ一般病院ないし診療所が、この国立病院というものを利用する形において、彼我あるいは長短相補う、これが技術的にも可能であるような姿において、そういう相関関係を成立させて行くことが、今後最も心要なことではないかと思うのであります。しからば、今日その域に達しておるかということでございます。これはなるほど国立病院としましても、発足早々でありますし、また今までその面にについて努力を重ねられたとはいうものの、もちろん短時日においてなし得べきことではございませんので、現在その域に達しておるということは、もちろん私としましても断言することをはばかるのであります。しかしそういう方向を目指して、着々と、一歩々々と進みつつあるというこの現実は認めていいんじやないか、私はかように考えます。
  24. 柳田秀一

    ○柳田委員 ただいまのことは、議論を幾らいたしましても尽きませんから、このくらいでやめますが、ただいまの御答弁を聞いておりますと、そういう御答弁なら、なおさらこれは地方移譲せずに残して、今の御理想を実現されるように、格段の御努力をされるのが、厚生当局としてはもちろん、日本医療体系としても正しいのではないか、かように今の御答弁を聞いて考えます。その議論につきましてはいずれ別の機会に申し上げます。
  25. 野澤清人

    野澤委員 議事の進行の都合もありますので、きわめて簡単に申し上げたいと思います。本問題については、先ほどどなたか申されたように、一応小委員会を設置されることを望みます。理由としては、政府当局の方においては、これだけの法案に対する処置が、全然とられてない。すでに決定したものが一つ、交渉中のものが幾らあつて、今年度中に見込みのあるものが幾らある。しかも、その後において、打切るか、継続するかがはつきりしておるならば、小委員会は必要ありませんが、その見通しさえもつかないという現況ですから、これはぜひとも小委員会をつくつていただきたい。  なお、この問題については、仄聞するところ、前国会においては、厚生委員会の決定でなしに、大蔵委員会かなんかにかかつてきめられたというようなことも聞いております。これがいわゆる国家の総予算と厚生予算との関係からいたしました経済移譲であるとするならばやむを得ないけれども、厚生行政というものが常に下向きになり、なめられた形で国家の総予算から逐次減らされる。ちようどはれものと同じように、切つて捨ててしまえばいいんだというように国家全体から考えられることは、厚生行政の進歩でなしに退歩である。かように考えます。こうした点については、厚生当局がたくさんの病院を持つてつて予算関係上、手のまわらないことわれわれは了承いたします。従つて、その法律をひつくり返すとか、あるいはまた完全にその機能を停止させるというような小委員会でなしに、少くとも厚生当局の現在の情勢から判断して、そうした法律も必要じやないか、必要ならば、百あるもののうち六十なら六十は強制的にこれを実施する。但し、あとの四十は温存するとか、何らかその間に一定の目安をつけて実施するのが妥当じやないかと思われるのであります。従つて厚生委員会としては、小委員会を設けて、建設的な意見の交換を十分にして、この問題に対しての成案を得たいと考えます。御善処をお願いいたします。
  26. 佐藤芳男

    ○佐藤(芳)委員 先刻永山委員から御提議がありまして、ただいままた御賛成があつたようでございますが、小委員会を設けるという点につきましては私も賛成でございます。ただ大局につきましては、また根本の問題については、大体ただいま論議が闘わされており、また意見の御開陳もあつたのでございます。従いまして小委員会を設けることの条件と申しましては、はなはだ言葉が妙でございますが、次回のこの常任委員会には必ず厚生大臣並びに大蔵大臣、大蔵大臣が御存じないならば、やむを得ず政務次官でもがまんをいたしますから、必ず両当局出席を求めまして、根本的な問題につきましては、さらに論議を闘わしてみたいのでございます。これを条件とするのであります。  なお次長並びに事務当局におかれましては、今日闘わされた根本的な問題につきましては、十分事前に大臣とも御協議おきを賜わりたいと思うのであります。私が大蔵当局出席を求めますことは、私の以前からの経験によりますれば、厚生省ほどはなはだしく大蔵省になめられておる——と言つては語弊がありますが、そういう役所はないと考えておるのでございます。私どもが先般小委員会をつくつて、審議を今なお続けております国民健康保険の問題等につきましても、私どもはただ単に厚生当局だけを相手にいたしておりましては、よりよき結論を得ることができないという考えに到達をいたしておるのであります。しかし保険局の方は、率直に申しますれば、次長さん、あなたの方よりは比較的にささやかながら良心的だと私は思つているのであります。おそらく保険局におかれましては、内心私どもが大蔵当局と論議を闘わすことを期待しておられると思うのであります。あなたの方は期待されておられるかどうかわかりませんけれども、期待されているいないにかかわらず、私どもは大蔵当局から出席をしてもらつて、論議を闘わせなければ、よりよき結論が絶対に生れないということを断言してはばからないのであります。従いまして委員長おかれましては理事会を御開催になりまして、小委員をただちに設けていただく、なお次回の本常任委員会は両大臣出席状況とにらみ合せられまして開会していただく、このことをひとつ条件にいたしまして、私も小委員会設置に対しまして賛意を表するものであります。  なお付言いたしておきますが、国保の小委員会で問題となつております点につきましても、その際厚生大臣、大蔵大臣、または大蔵政務次官と一問一答をいたしたいと思いますから、この点もあわせてつけ加えておきたいと思うのであります。どうぞ委員長におかれまして、さようお諮りくださいまして、おとりはからいを賜わらんことをお願いいたします。
  27. 平野三郎

    平野委員長 ただいまの野澤委員その他委員方々の発言の通り、この際当委員会に小委員八名よりなる医療体系に関する小委員会を設置することとし、小委員、小委員長選任に関しましては委員長より指名いたしたいと存じますが、そのように決するに御異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  28. 平野三郎

    平野委員長 御異議なしと認め、そのように決し、小委員には    大石 武一君   勝俣  稔君    加藤鐐五郎君   野澤 清人君    佐藤 芳男君   山下 春江君    堤 ツルヨ君   柳田 秀一君の八名を、小委員長には勝俣稔君を指名いたします。  他に何か御発言はありませんか——御発言もないようでありますから、本日はこれをもつて散会いたします。  次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後三時八分散会