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1953-02-03 第15回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月三日(火曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 大村 清一君    理事 松岡 松平君 理事 河野 金昇君    理事 竹谷源太郎君       中峠 國夫君    濱田 幸雄君       原 健三郎君    福井 盛太君       森下 國雄君    亘  四郎君       山本 粂吉君    前田 種男君       三輪 壽壯君    安平 鹿一君       只野直三郎君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君         検     事         (刑事局長)  岡原 昌男君  委員外出席者         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 大村清一

    大村委員長 これより会議を開きます。  前会に引続きまして、フリートーキングの形で議事を進めます。なお、フリートーキング以外に、御質疑等の必要があります場合におきましては、前会同様散会前にまとめまして発言を願う予定でおります。お含みおきを願いたいと思います。
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員 終戦後、選挙法が、選挙を前にして毎回いろいろ修正が加えられまして今日に至りましたが、いつもどろなわ式で、選挙の前に急いで選挙法改正するというわけで、ほんとうりつぱな選挙法に対する根本的な検討ができないうらみがあつたと思うのであります。二回にわたるフリートーキングにおける皆さんのいろいろな御意見を伺いますと、あるいは根本的な問題から、あるいは事務的なこまかい問題に至るまで、いろいろと意見がございましたが、考えてみますると、また参議院選挙を五月の初めに控えておる。委員長の御意見では、三月中ごろまでには仕上げなければならぬと言つておりますけれども、いつも選挙直前選挙法改正になるというようなことで、選挙法規が、選挙運動に携わる人たちにも、まして一般選挙民に対して周知徹底が十分でないうらみがあるために、心ならずも選挙法違反するという事態も多々あつたと思うのであります。従つて、五月初めに行われる参議院選挙目途とするならば、ぜひとも今月中に一応選挙法改正案をつくり上げなければならぬと思うのでございます。それで選挙に突入する前に、わずか半箇月か二十日間くらいの猶予しかないのでありまして、事務的に選挙管理委員会がいろいろな手続をとるだけでも、この期間では十分でないのでありまして、まして八千万の国民が十分にこれを知つてりつぱな選挙を行うというには、準備は不十分でございます。従つて、どうしても二月中にこれをつくり上げる必要がある、こう考えて参りますと、今根本的な問題についていろいろ検討しておりましたのでは、とうてい間に合わないと思うのであります。われわれは、どうしても選挙には金のかからない公明な正しいりつぱな選挙が行われる、これを目標としなければならないと思うのでございますが、現在の国民選挙に関する考え方あるいは政治的な認識における現段階におきましては、いろいろ罰則を強化するとか、あるいは連座規定を設けて強く候補者なりあるいは選挙運動員の反省を促すという手だけでは、とうてい十分ではありませんでして、どうしても選挙法の別表の改正なり、その他根本的に、選挙に金をかけてもむだである、かけてもかけなくとも結果は同じであるというような、そういう選挙制度をつくらなければ、ほんとうに公正な選挙というものはできない思う。そういう観点からしますると、現状におきましては、衆議院選挙にありましてはできるだけ選挙区を小さくする、これが現在の日本選挙界において、選挙を粛正する一番の根本的な問題じやないか、かように考えるのでありまするが、これは大問題でございます。こうした根本的なことは一応あとまわしといたしまして、一応五月上旬に行われるであろう参議院選挙目標として、二月中に、やむを得ない必要欠くべからざる改正をこの際すみやかに行て、この参議院選挙目途とした改正ができ上つた後におきまして、今度は抜本塞源的な、根本的な選挙法のりつぱなものを生み出して、正しい選挙が行われるような制度をつくる。そういうことを目標として、一応二月中にとりあえず必要な改正をいたしまして、その後に根本的な問題を徹底的に研究をして、りつぱな選挙法をつくる、かような方向で進むことが一番妥当ではないか、かように考える次第でございます。  そうしますと、当面の改正目標とする問題は非常に局限せられると思うのでありまするが、わが党の委員からも個人的の見解として表明せられましたが、私も大体それと大同小異でございまして、まず選挙運動につきましては、できるだけ金のかからないようにするために、また金のある人もない人も、なるべく同じようなスタート・ラインから出発できるようにする意味合いにおいて、公営の部分を非常に拡大する。すなわち、現在選挙法において許された選挙運動は、言論文書でございまするが、この言論におきましても、立会い演説会をできるだけフルに運用すること、あるいは個人演説会をできるだけ有効に、しかも候補者に場おいて費用がかからないように、公民館その他公共施設を、できるだけ個人演説会にただで公営施設をして、候補者はそこに行つて演説をすればよろしいという制度を一層徹底的にやろう。なお、ラジオの利用なりをやつて言論の方面における公営を徹底するとともに、文書におきましては、ポスターを拡大すること、なおまた無料郵便でございますが、従来三万であつたものを衆議院にあつては一万に減らしましたが、やはり従前通三万枚ということに数を増加する心要があると思う次第でございます。なお、罰則並びに連座規定の強化につきましては、前田委員等から見解を述べた通り、私はそれが必要であると思うのでありますが、なお罰則等の問題につきまして、先般法務省の刑事局長の話では、岡崎外務大臣の場合、出納責任者が逃亡しておることと、出納に関する報告書の提出に関して、候補者は代行しなければならぬことになるのでありますが、これに対する責任規定並びに罰則においてきわめて不備な状況でございまして、こうした避くべからざる必要な改正もしなければならぬと思いますが、ともあれ、二月一ぱいを目標としてとりあえず必要な改正を行う、こういうことを目標にして本委員会において審議を進められんことを希望する。それよりほかしかたがない、かように思う次第であります。
  4. 濱田幸雄

    濱田委員 先般来他の委員各位からもいろいろ御意見が出ましたので、そうかわつた考えもありませんが、ただ単にこれは選挙法だけでないと思いますが、戦後の立法技術というものがよほどかわつて来て、米英法にかたどつたといいますか、法律條文のようなものも戦前と書き方がよほどかわつております。非常に親切な規定が設けられておるのでございますが、ただこの條文なんかを見ましても、見方によれば非常に冗長に過ぎる点があるのではないか。法律の適用の面からいうと、かえつて煩雑になり、また趣旨が案外逆はぼやけて来るというような傾向もなきにしもあらずと私は考える。特に選挙法は、一般国民がそれぞれ大体の内容を、実際の選挙にあたつて理解をしなければならぬ立場にある法律でありますので、今後の改正をやるにあたりましても、そういう点をよく考慮してみたらどうであろうかということを、かねがね考えているのであります。なるべく法文を簡素化するという傾向で、今後の改正をやつてみてはどうであろうかと私は思う。たとえば全国選挙管理委員会試案として、私ども今拝見しておりますこの案を見ましても、たとえば第一條の選挙の意義、第二條の選挙権の本質、第三條の候補者たる要件というようなものは、これはもうわれわれ国民常識としてわかり切つていることである。こういうものを一々條文に書き立てる必要があるかということは、これは現在の立法技術から言うとどうかと思われるもかしれませんが、こういうような條文は設けなくても、選挙というものは、国民常識から考えれば、本来こういう点はすつかりわかつているはずだと思う。こういうような立法技術について、お互いにもう少しこの際考えてみたいと思うのであります。  それから今も御意見が出ましたが、大体最近の選挙法というものは、選挙たびごと改正になつているというような傾向がある。これでは、とても選挙法趣旨国民に徹底することは困難であると思う。でき得べくんば、今後は、選挙法というものは年々改正するようなことは避けて参りたいと思うのでございますが、ただ必要なことは、もちろん今後改正を断行しなければなりますまい。しかし今後の委員会において取上げられます選挙法改正についての仕事は、単に今度の参議院選挙目途として、さしあたり改正をやつてみようという気持でなくて、少くともここしばらくの間は、今後の改正法律を適用してさしつかえないくらいの内容を持つたものにしてみたいということを、私は念願しております。  それから、これも先日御意見が出ましてが、今後の改正にあたりましては、結局選挙の大きな眼目を達成するというところに重点を置いて、あまりこまごました規定はなるべく削除するというようなこと、これは私もしごく同感であります、申すまでもないことでございますが、結局選挙というのは、候補者人物、その意見、これを有権者になるべく親切に知らしめるということが、大きな眼目であるはずだと思うのです。これがためには、選挙公営というものによつて、ずいぶん最近改善せられておる点もあると思いますが、これをもつと徹底するということ、そうしてあくまでも買収のような、ああいうような腐敗を根絶するという、この二つを大きな眼目として、他のこまごました規範、これはなるべく削除するというような建前で、今後の改正をやつてみてはどうかと思うのです。それから、これは非常にとつぴな考えかとも思うのでございますが、私も、いろいろこれまで、少い一、二回の経験によつて痛切に感じることでございますが、戸別訪問取締ることになつておる。これはもう常識的にわかつておるのです。ところが純真な意味で、その候補者の人柄を宣伝普及する意味で、有権者お互いが横の連絡をして、人物の批判をし合つたりするということ、こういう意味での戸別訪問というものは、本来取締るべきものであるかどうか、これは根本において私は非常に疑問だと思うのです。そうして戸別訪問取締るのは、言うまでもなく、買収というものに非常につながりがあるかもしれぬというような意味で、私は取締つておると解釈しておるのでございますが、私のこれまでの経験からいろいろ考えましても、いわゆる戸訪問とは何ぞやということになりますと、おそらくこれは正当な解釈かどうか知りませんが、個々有権者の家を訪問するということ、——訪問というのは何かというと、敷居をまたいでその家の中に入ることだ、入らないで、相手の人間を戸外に呼び出して、街頭個々に面接して話をして行くということは、戸別訪問でないというような解釈をしておるのですが、これが正当な解釈かどうか私は知りません。しかし、少くとも私の経験によりますと、そういう解釈をしておつた。そうしますと、戸別訪問というもの自体が、非常に不明瞭な観念になると思うのです。戸外で話をすれば違反にならぬ、一歩敷居をまたげば違反になるというような、そういうようなことで、ほんとう選挙にあたつて候補者人物とか、その識見というものを、有権者お互いが十分検討し、話合つて行くことができかできないか。むしろ私は戸別訪問というようなもの自体は、取締りの対象とするのを、この際もう一度考え直してみるというようなことも必要ではないだろうかというくらいに私は考えております。そういうような点につきましても、この際御研究を願つてみてはどうか。かつて有権者自身戸別訪問をやつてもいいということもあつたと思うのですが、そういうふうに、その都度の選挙にあたつて取締りの方針がかなり変化して行くということは、これは国民にとつても非常に迷惑であると思うのであります。結局今回の選挙法改正にあたりましては、もちろん来るべき参議院選挙というものをも一つ目途としておるとは思いますが、さしあたり一応間に合うようなものをやつて、根本的にまた次に研究するというようなことよりも、むしろ私は、ほかの事実がありましても、この際にほんとうにここ少くとも五年や十年くらいは、今度の改正法をそのまま適用してもさしつかえない程度の選挙法改正というものを、何とかしてやつてみてはどうだろうかというような感想を持つておるものでございます。もちろんこれは私一個の所見でございまして、自由党としての大乗的な意見でもありません。今後自由党としては、党としての意見をまとめることもあると思いますが、単なる自分の私見として申し上げた次第でございます。
  5. 中峠國夫

    中峠委員 これは私個人見解でございまして、別にどうということはございませんが、フリートーキングでございますから、私の意見を申し上げさせていただきます。  この選挙法改正でございますが、これは初めからもずいぶん御意見がありましたようでしたし、毎回々々選挙たびごと選挙法改正されまして、実際選挙をやる人もはなはだ迷うのではないかと思つております。私は、選挙法というものをいくら改正いたしましても、完全無欠のものはできないのじやないかと思つております。選挙法をいくら改正してもだめでありまして、結局現在の選挙法でも、極端に申しますならば、改正しなくても、このままでもりつぱな公明選挙ができるのではないかということを信じておりますし、候補者の心がけ次第でこれはできると思つております。しかし、この前のときにも、どなたか、この選挙法は絶対に実行不可能であるということを申されましたが、なるほど金額の面におきまして、法定選挙費用の面から申しますと、いかにもこれは実行不可能のようでございます。私自身は別でございますけれども、あのときの御発言にありましたように、この法律は初めから実行不可能であることを知りつつも、この法律を通したのであるという御意見があつたようでございますが、もしそうだとしますならば、これは非常に不愉快なことだと思います。何となれば、法律をつくる者は国会議員であり、そうしてまた立候補する人も大体国会議員になろうとする人でありますから、国会議員はみずから進んで法律を守るべき人でなければならないと思つております。そうすれば、法律をみずからおつくりになる国会議員皆様が、案行不可能の法律をつくつて、どうせこれは初めから実行不可能であるから、実行しなくてもさしつかえない、せんじ詰めれば、選挙違反をしてもさしつかえないというような御意見で、この法律をつくられたとすれば、もつてのほかであると思つております。もし実行不可能であるということが、そのとき十分わかつておりますならば、その実行不可能の点を案行不可能な線にまで持つて行くべきが、私は国会議員務めではないかと考えております。従つて、もし実行不可能にいたしましても、そういう法律ができました以上は、国会議員候補者たるべき者は、厳正にこれを実行して行くのが、私は国民の代表たるべき者の務めではないか、このように考えております。これは日本にも、あるいは西洋にもあつたことでございますけれども、牢屋につながれておりまして、逃げれば逃げられるべき状態にありながら、人がそれを勧めてくれましても、自分は法を犯してまで命は惜しくない、法律を犯すよりも、むしろ死を選ぶと言つて、死んで行かれた方も大分あると私は聞いております。そのように、法というものは厳正なものでございますから、それを十分守ることによつて、社会の秩序が保たれて行くのではないかと私は考えております。そういう点におきまして、現在の選挙法そのものが実行不可能であるということは、私はちよつと言い過ぎではないかというように感じております。  それはそれといたしまして、今後金のかからない選挙ということが非常に大切だということは、この前のフリートーキングのときにもお話がありましたが、これはたいへんけつこうなことでございます。私は、金のかからない選挙でなければならないということを考え始めまして、昭和二十二年から六年間これを叫び続けて参りました。金のかからない選挙でなければ、きれいな政治は絶対にできないというのが私の信念でございましたし、また、この金のかからない選挙を実現さすことが、私の一生の仕事であるように考えてとりかかつて参りましたが、幸いに有権者皆様方の絶大な御理解によりまして、実を結ばせていただいたのであります。選挙費用法定選挙費用でできないとおつしやる方もございますけれども、私は千円足らず、四百五十五円で大体やらしていただいたのでございます。これは皆さんに、こういう選挙をおやりなさいということを宣伝するのではなく、またいろいろな情勢から考えまして、現在の法定選挙費用は安きに失するので、私はこれを五倍から十倍くらいにまで上げてもいいのではないかと考えております。しかしそれはそれだけ使うという意味ではなしに、皆様方のためにそれぐらいが必要ではないかと考えておるのであります。選挙費用の面におきまして実行不可能ということのないように、十分な費用皆様方がきめられることが必要であると思つております。  それから金のある人と金のない人と、同じような選挙がやつてほしいというような発言もこの間ございましたけれども、これもごもつともでございますし、そういう方向に持つて行かなければならないでございましようが、これもいろいろな面でなかなかむずかしいところもあろうと存じます。それにつきまして私の一つ試案といたしまして、これも実行不可能ではございましようけれども、たとえば金のかからない選挙、そして金持とそうでない人と同等の選挙をやるということになりますれば、これは公営でやる、そうして立会い演説が非常にいいということを申された方もございましたが、その通りでありまして、立会い演説の回数を非常に多くし、一日に少くとも十回以上やりまして、小さい村村までにこれを波及いたしまして、候補者はもう街頭演説とか個人演説会とかいうものを一切なしにいたしまして、すべて立会い演説一本やりにしまして、また国家の費用自動車も三台か五台くらい一つのグループに当てはめまして、次から次と候補者を送り届けるようにいたしまして、それ以外の選挙運動は一切なしにいたしますれば、これが一番きれいな選挙ではないかと考えております。これは理想でありまして、実行は不可能でありましよう。  それから無料郵便はがきですが、三万枚とか一万枚とか、これは少いという御意見でございますけれども、これに対しましても、私は無料郵便はがきは、人が出せば自分も出さねばならぬということになります。また三十五万から四十万くらいあります選挙区の有権者皆様方に、一万枚や三万枚のはがきを出したところで、ほとんど何の役にも立たないのではないかと思います。従つてこういうものを一切やめにいたしましても、選挙公報というものがございますので、これは今千五百字になつておりますけれども、これを少くとも三千字か五千字くらいにいたしまして、候補者意見をこれに十分盛り込んで、これを各家庭に必ず一枚ずつ配達する。それによつて候補者の政見なり抱負なりが十分読みとれるのでありますから、私は一番公平ではないかと思います。わずか三万枚や五万枚のはがきを配りましても、三十五万から四十万の有権者皆様方の何分の一にも当りませんので、これは皆さんに行き渡ることはないのでございますし、従つて公報を唯一の手がかりとすれば、そこに何ら不公平のない選挙ができるのではないかと考えております。  またポスターでございますが、これも人が張れば自分も張らねばならないということになりまして、従つてこれはまた大きな競争になりますし、いろんな色刷りも出て来ましようし、これはまた非常に大きな経費のかかる問題でございますから、このポスターというものをやはりなしにいたしまして、そうして、各町村の選挙管理委員会から張つてくださいます候補者名前の書いてある紙がございますが、あの場所をできるだけ多くやりますと、みんなの候補者名前がずらつと一ぺんに並んで来るのでございますから、だれが立候補したということもわかつて参りますし、この方をむしろ私は多く張りまして、ポスターを全廃にした方が、やつぱりみんなに同じような選挙ができるのではないか、この方がむしろよいのではないかということを考えております。  またこの前、たとえば自動車の話も出ておりましたけれども、トラツクでやれば代議士の候補者の面子にかかわる、体面にかかわるとかおつしやつた方もございます。私は、だれがこのトラツクというものを考え出したのか知りませんけれども、これもなかなか便利な道具ではないかと考えております。しかし私はトラックは使いません。私は自動車でたつた一人飛びまわるのでございますから、そういう芸当もできませんし、人がトラツクでやりましようとも、私はうらやましいとも思いませんが、もしこのトラックでやつて体面を汚すというようにお考えの方がございますならば、これはトラツクでやらなくても、乗用車で走つて行きまして、自分目的地へ行きまして、そこでとめて、車から出て来て街頭演説をなさつてもよいのでございます。選挙法におきましては、トラツクと制限はしてございませんで、自動車という言葉が入つておるのでございますから、トラツクでやろうと、乗用車でやろうと、何でやろうとさしつかえございませんし、また荷物車でもさしつかえないのでございまして、この点も私は非常にフリーであると考えております。  トラツクのことでございますけれども、トラツクへ応援の人を棄せて走りまわられますが、その費用でも、たとえば一日に三百円という公定費用では絶対に雇うことができない、この点は非常に無理じやないかというようにおつしやる方もありましたけれども、これもまた考えようでございまして、朝から夜のおそくまで三百円で雇うのは無理だということになりますれば、労働基準法も一日に八時間労働ということになつておりますので、従つて大体十時ごろから晩の四時なら四時まで三百円で雇うて、そうしてそれ以上お金を出すことが、もし選挙違反になるというならば、そのときはそのお方にやめていただきまして、そうして休んでいただきまして、自分一人でやつてもよいし、また新たに交代の方を三百円で雇つて、一日に二回雇うわけになりますが、そうしてやつてもよいと思つております。それでもしまた費用が超過するといたしますならば、大体十五人乗るものなら、朝五人、昼から五人というようにわけて考えたら、これもやはりその費用の限界で済むことと私は考えております。無理に十五人乗せなければ選挙ができないというのでもございませんし、たつた一人でも選挙かできるのでございますから、そういうようにいろいろに考えて行きますと、現在の選挙法でも、私は、何ら実行不可能ではないし、そうして金のかからぬ選挙の実態は、そのようなものであると考えております。  初めに申しましたように、私は四百五十五円で当選さしていただきました。私は自転車に乗りまして、たつた一人飛びまわつて参りまして、時には陰ながら応援してくださる方もございますし、また私は、自転車にたつた一本ののぼりを立てまして、自分で御飯をたいては弁当箱へ詰めまして、それを自転車のハンドルにつけまして、そうして昼の飯が晩の五時になるときもありますが、われを忘れてたつた一人飛びまわつておりました。こういう金のかからない選挙をやりましたが、皆様方にこういうことを全部おやりになつてくださいといつても、これこそほんとうに実行は不可能でございましようから、私はそういうやぼなことを申し上げるのではなくて、徹底した金のかからぬ選挙をやろうと思えば、これだけ金のかからぬ選挙もできるものであるということを皆様方に御説明申し上げまして、そうして今度は、こういう法律をつくりますならば、これでこそほんとうに実行可能の法律ができ上るのである、こういう確信のもとに、この改正案を私はつくつていただきますよう、くれぐもお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、私の意見を申し上げます。
  6. 安平鹿一

    ○安平委員 私の方の同僚が何か前に御発言なつたかと思われますが、望むらくは、この際選挙法の根本的な改正をしたいと思つております。たとえば選挙区の問題にいたしましても、大選挙区制として、比例代表、もしそれが不可能であるならば、大選挙区にして、何かの方法——一番最初終戦後やられた連記制というようなこともよいと考えます。しかし時間的の制約がございましてそれができないとすれば、まず部分的な改正をして、一応参議院選挙をするということでもよいと考えます。改正の要点といたしましては、今あちらの方がおつしやいましたように、金のかからないこと、これが一番大事なことだと思います。そのためには、ある程度まで現在の選挙費用を増額いたしまして、しかしそれ以上越える場合は、厳罰に処すというような規定を必要とするのではないかと思います。さらに公明選挙を行うためには、今までの選挙におきましても、また過般の衆議院選挙におきましても、相当悪質な選挙違反者が、その法の不備によりまして時数にかかつて行くというようなことも、もつと厳重に改正しなければならないことではないかと思うし、それから悪質な、たとえば饗応とか、あるいは買収とかいうものに対しましては、連座規定を設けて、ただちに候補者が失格するというほどの厳重な処罰にする改正が必要ではないかというふうに考えております。  さらに、選挙をするためには、やはり選挙民に周知徹底せしむるということが必要であるし、それからまた公報その他の使用いかんによりましては、新人の当選が非常に困難なる場合が多多あろのでありまして、私はこれらの点を改正して、ポスターの点にいたしましても、都市美観の点におきまして、枚数の制限は相当しなければならないと思いまするが、そのポスターの意匠等につきましては、自由に意匠をこらして目立つようにして、自分名前を、新人といえども、十分周知徹底のできるような方法を講じたらよいというふうに考えております。そういう周知徹底せしめる点で申しますならば、今までのマイクの使用等によりましても、たつた一つの場合は非常に周知徹底に困難を来しますので、当然あまり多くは必要でないと思いますけれども、もう一台、要するに二台くらいは必要じやないかというふうに考えております。  それから立会い演説等におきましても、今は現法律によりますと、大体昼一回、夜一回というように規定されておるようでありますが、これらの点につきましても、私の場合、あるいは私どもの場合だけではなくて、いずれも皆さんの場合もそうであると思いますが、工場から帰り、あるいは、農村では田畑から帰つてからが、聞く機会が非常に多いと思いますけれども、これらの諸君により多く立候補の宣言なり、あるいは党の政策なりを聞かせるという意味におきましても、昼一回、夜一回ではあまりに少な過ぎますので、夜をよけいとりまして、昼一回にいたしましたら、夜は二回というようにして、なるべく多くの人に政見を聞かせるというような態度を、法律改正にあたつて織り込んでいただきたい、こういうふうに考えております。さらに個人演説会等につきましても、相当回数を多く——無制限というわけには参りますまいが、回数を多くする必要があるのではないかと思つております。  さらに前のお方が言われたように、戸別訪問の点でありますけれども、これらはやはり団体、知己等はもとより、一般に対しましても、相当立候補者の人格に接する機会を多くするというような観点から考えまして、候補者戸別訪問は、団体、知己のみならず、一般の人にもできるように改正が望ましいものだと考えております。  そのほかこまかいことは抜きにいたしまして、以上の諸点を中心に今回の法律に織り込んで行きたい、私はかように存じます。
  7. 三輪壽壯

    ○三輪委員 フリートーキングでございますから、私も、その委員の一員として、所見を述べておきたいと思うのであります。  私は、今までの本委員会の審議を承つておりまして、問題がちよつと根本的になつて来るのでございますが、先回委員長から参議院選挙目途として、二月中くらいには成案を得たい、こういうお話がありまして、委員会もこれを了承したようなことになつておるのでございますけれども、私は、それでいいのかどうかということに、疑問を持つのでございます。つまり参議院選挙を目当に、現行選挙法改正するということが本委員会の目的だということでは、この独立後の総選挙によつて選ばれましたお互い議員といたしまして、それではちよつとその任務を遂行するということに欠くるところがあるのじやないか、もつと根本的に考え直して行かなければならないのではないか、こういうことを御意見を伺いながら痛感するのでございます、なるほど、皆さん方の御意見の中にも、そういう御意見もございます。ありましたけれども、しかし結局、参議院選挙に必要なだけの改正をしておこう、こういうことにおあきらめになつておるようでございます。けれども私は、委員皆さん方に、もう一度その点を考え直していただくわけには行かないだろうか、こういう考えを持つのでございます。なるほど、先般の総選挙を私ども経験いたしまして、いろいろ欠陥があることもわかつております。それから、国民の中からも、選挙法の種々の欠陥について指摘されるところもあるのでございますから、その意味におきまして、何らかの改正をしなければならぬということも、これは当然のことだと思いますけれども、今申しましたようなこういう時期に、選挙法改正を、衆議院においてこういう委員会ができて審議する、こういうことになつた以上は、国民選挙法について要望しているところにこたえる意味におきましても、もつと根本的にこの選挙法を検討いたしまして、そして理想的な選挙法をつくるということに持つて行けないものであろうか、また持つて行くことが私どもの責任ではないだろうかということを感ずるのでございます。前回、自由党なりあるいは改進党の委員の方の御意見を伺つておりますと、選挙運動はなるべく制限しないように、そして自由にやらせるようにしたらよろしい、こういうような根本的な態度が見えたのでございます。私はそれはまことにけつこうだと思います。選挙運動というものは、これはできるだけ自由にやらせるということにすべきものだと思うのであります。しかし、その選挙運動を自由にやらせるということになると、一体どういうことができて来るかといいますと、この点については、前回前田委員からもお話いたしましたように、日本の政治常識と申しますか、政治道徳というものが一体そこまで進んでいるかどうかということが問題だと思うのでありまして、たとえばポスターも十分張らせる、あるいは選挙演説会の回数も何回でもよろしい、あるいは選挙文書もあいさつ状も出したらいいだろうし、あるいは推薦状も、ことに第三者からどんどん出してもよろしいということにするとか、あるいは自動車の台数もふやしてよろしい、選挙運動員も無制限でよろしい、こういうふうにやりますと、これはどうしても、申すまでもなく選挙費用というものがせり上つて来るということになる。結局よけい金を使わされるということになる。そうしてまた、よけい金を使つた者が有利な立場に立つということになつて来る、こういうことで、私は、今選挙の自由というものをほんとうにやろうというお考えを持つておられる方の、その考え方を徹底して行きますると、そういう難関にぶつかつて来ると思うのであります。私は、こういうことを考えますと、選挙運動の自由もいいけれども、それをやるならば、やはりもつと選挙制度全般について考察いたしまして、そしてその根本的な改正一つといたしまして、選挙運動の自由ということを強く打出して行くことは、これはできることであるし、そういうことにやらなければならぬのじやないかと思うのであります。たとえば、先ほどもお話がありました選挙区制の問題なんか、これは党の意見というものではありませんけれども、選挙区は小選挙区ということでやつてみるのがいいのではないか、こういう考えを持つておる。小選挙区にいたしますれば、狭い地域のうちでありますからして、選挙民の監視が十分届く。そして法定選挙費用の範囲内で自由に運動をやらせる。しかも、たとえば饗応、買収というものをやる者に対しましては、これはどんどん処罰をして行き、また失格させる。こういうような方法をとることによりまして、今までの選挙運動につきものであります買収、饗応というようなものを、だんだんなくして行くということにもつて行けるのではないか。それはなるほど小選挙区でありますと、当初の間は競争が激甚になりますから、従つて買収なんかをやる人も出て来ると思いますけれども、しかし、狭い地域においてそういうことをやつております人は、だんだん政界から葬られるということになつて来ると思うのでありますから、そういう意味において、小選挙区ということが、今の金のかからない、しかも公正な選挙をやるということのためには、考えられていいのではないかと私は思うのであります。これは今の自由党とか改進党とか社会党とかを考えます場合においては、今の進歩的なというか、革新的な政党については不利な制度だろうと思います。しかし、そういうことはあつても、これはまだ今申しますようにきまつた意見ではございませんけれども、そういうことに賛同いたしましてやる。こういうことになりますと、今申しますような選挙の制限禁止というようなものは、できるだけこれをとりはらつてしまいまして、そしてその範囲内において自由な選挙をやらせる、こういうふうに持つて行くことが考えられるのではないかと思うのであります。  そういう意味で、選挙運動の自由ということを考えましても、私は、ただいまの選挙法の條項をいじりまして、部分的な改正をするということでは、本来の目的を達成することはできないと思います。ただ前の選挙法でこういうことが不便であつたということで改正をいたしておりますと、今もお話がありましたように、何回改正してもおつつかないということで、選挙たびごとにこれを改正するということになつて来ると思うのであります。そういう意味で、なるほど参議院選挙というものを控えておりますので、本委員会が、その参議院選挙ということを対象に考えるということはもつともなことではございますけれども、私はもつとその問題を見直しまして、そしてこの国会における本委員会の任務というものを考えます場合においては、目の先の参議院選挙のために選挙法改正をいたす、こういうことでなくして、二箇月かかりましようとも、三箇月かかりましようとも、ほんとうにこの委員会がこうした国民の要望にこたえ、そうしてまた委員会の使命を果すということのために、先般大体きまつたようになつておりますけれども、この際この委員会の審議の態度を考え直してみる必要があるんじやないか、こういうことを考えますので、どうも証文の出し遅れみたようで、今になつてそういうことを申しましては、はなはだ皆様に相済まぬと思いますけれども、そういうことをひとつお考え願いまして、私の意見を申し上げた次第であります。
  8. 大村清一

    大村委員長 ただいまの御発言に関連いたしまして、一言申と上げて御相談をいたしたいと思うのであります。もとより当委員会は、選挙法の根本的の改正問題を審議する権能を持つておることは、申すまでもないのでありますが、根本的の問題を含めてこの際審議を進めました場合におきましては、当会期中で成果を得るかどうかも危ぶまれるのであります。しかし、お話のように、あるいは閉会中にもこの特別委員会の活動を継続する、ないしは次の会期におきましても特別委員会を設置いたしまして、さらに審議を進めるというような方途も、もとより講ぜられることでございますが、近く参議院選挙等も予想せられますので、とりあえず当面の問題をこの際処理いたしまして、その処理が終りましたならば、また進行中におきましても根本的の問題を念頭に置きまして、当面の改正が一段落になりましたならば、ただちに根本的問題の審議に移りまして、当会期はもとより、閉会中も、ないしは次の会期におきましても継続いたしまして、根本的改正の目的を達するという行き方もあると思うのであります。これらの点につきましては、委員各位の御意向によつて委員長は善処したいと考えている次第であります。     —————————————
  9. 松岡松平

    ○松岡(松)委員 フリートーキングで大分意見も出ましたので、私はこの際小委員会設置の動議を提出いたしたと思います。すなわち、従前の特別委員会において設置いたしました通り、主として公職選挙法改正要綱の調査作成に当り、それに基き改正案を作成の上、本委員会に報告せしめるために、公職選挙法改正調査委員会を設置することとし、その小委員の数は十一名に、各派の割当は各派の所属委員数の比率によりまして、自由党六名、改進党二名、社会党左右両派及び無所属いずれも一名ずつとして、委員長には大村委員長が当り、小委員委員長において指名せられんことを望みます。  なお、小委員会には、小委員のほか委員が任意出席して、審査に加わることを認めるの処置をとられんことをあわせて希望いたします。
  10. 大村清一

    大村委員長 ただいまの松岡君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大村清一

    大村委員長 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  小委員はおつて指名をいたします。各派の理事におかれましてそれぞれ小委員の御希望をおとりまとめの上、委員長までお申入れのほどをお願いいたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午前十一時五十分散会