運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-24 第15回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十日  大村清一君が委員長に、松岡松平君、山崎岩男  君、河野金昇君、竹谷源太郎君及び森三樹二君  が理事当選した。     ————————————— 昭和二十七年十二月二十四日(水曜日)     午後一時四十三分開議  出席委員    委員長 大村 清一君    理事 松岡 松平君 理事 山崎 岩男君    理事 河野 金昇君 理事 竹谷源太郎君       木村 武雄君    中峠 國夫君       原 健三郎君    牧野 良三君       古井 喜實君    前田 種男君       三輪 壽壯君    伊藤 好道君       只野直三郎君  出席政府委員         国家警察本部警         視長         (刑事部長)  中川 董治君         総理府事務官         (自治庁選挙部         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      長戸 寛美君         衆議院法制局参         事         (第一部長)  三浦 義男君     ————————————— 十二月二十日  委員押谷富三君及び菅家喜六君辞任につき、そ  の補欠として松山義雄君及び中峠國夫君が議長  の指名で委員に選任された。     —————————————  本日の会議に付した事件  委員会運営方針に関する件  公職選挙法改正に関する件     —————————————
  2. 大村清一

    大村委員長 これより会議を開きます。  この際一昨二十二日に開きました理事会模様につきまして御報告をいたし、委員各位の御了承を願いたいと思います。  まず当委員会において公職選挙法改正案をいつごろまでに作成するかという目標につきましては、明年五月二日に任期が満了する参議院議員半数改選のための選挙に備えまして、立候補者選挙民及び選挙管理者に対し、できるだけ早目に改正点を周知せしめると同時に、改正の趣旨を徹底させる必要がありますので、おそくとも明年二月中には改正案の成案を得るよう一応の目標を定めまして、調査立案に努力しようというように申し合せたのであります。  次に、今回改正すべき範囲についてでありますが、これにつきましては、どの範囲まで改正するかについて、理事各位の問に種々御意見があつたのでありますが、今のところあらかじめこれを決定いたしませんで、委員会において自由に御意見を交換していただきますとともに、各方面から資料意見を徴して進めて行きますならば、おのずから定まる方向が出て参るものと考えられるのであります。  以上のような次第で、当面の委員会運営につきましては、年内に一両回委員会を開きまして、フリートーキングを行い、年末年始の休会中に、委員各位におかれてじつくりと構想を練つていただき、休会明けより方針を定めて進行いたし、大体の案がまとまりましたあかつきにおきましては、整理のために小委員会を設けるのもよかろうという御意見もあつた次第であります。  以上、理事各位と御協議をいたしました模様について御報告を申し上げた次第でありますが、これにつきまして御意見でもありましたならば、この際御発言を願いたいと存じます。何か御発言はございませんか。——御発言もないようでございますから、理事会申合せにつきましては御了承をいただいたものといたします。     —————————————
  3. 大村清一

    大村委員 ただいまより公職選挙法につきましてフリートーキングの形で御意見の交換を願います。  なお、この際申し上げますが、委員会審議を進めるにつきまして、なるべく資料を広く集めた方がよかろうというように考えまして、委員長におきまして、とりあえず自治庁法務省国警及び参議院地方行政委員会に非公式に資料の拠出を求めたのでありまするが、自治庁及び法務省においては、改正点についてまだ結論に達していないということであります。なおこの席には自治庁選挙部長出席をされておりますので、御承知おきを願いたいと存じます。国警からはとりあえずお手元に配付いたしましたような資料が提出されました。なお参議院地方行政委員会におきましては、選挙法改正につきましての発言は、いまだあまりたくさん出ていないそうでありまして、言いかえればまだ十分審議が進んでいないとのことであります。  なお資料の提出につきましては、各位におかれまして、お気づきの点がありましたならば、委員長にお申出を願いたいと存じます。できるだけ資料の収集に努力するつもりであります。  それでは、これよりフリートーキングを始めていただきたい。
  4. 前田種男

    前田(種)委員 私フリートーキングとして二、三意見を申し上げたいと思いますが、その前に本委員会に間に合いますならば、法務省責任者を至急呼んでいただきまして、会期延長と、選挙違反取締りの件につきましてお尋ねしたい点があります。まずその点について委員長にお願いしたいと思います。
  5. 大村清一

    大村委員長 ただちにとりはからいます。
  6. 前田種男

    前田(種)委員 私は、前回もこの委員会公職選挙法改正にタッチした一人でありますが、過ぐる選挙をやつてみまして、お互い党派を超越して、実際に選挙をやつた結果、現行選挙法に対していろいろな意見があると思います。しかしこれも全部を取上げてどうということはなかなか行きませんが、その中の重要な点を拾い上げまして、あるいは緩和した方がいいか、あるいは強化した方がいいか、あるいは大所高所から見て、選挙法はかくあるべしというようないろいろな意見があろうと思いますが、できますならば、そういう意見をできるだけ集約いたしまして、大体基本的な選挙法の線にして行くという行き方が私はいいと思います。来るべき選挙参議院選挙が中心でございますから、あるいは参議院の方から重要な意見が出て参りますと、参議院意見を受けて立つというのが、参議院に対する衆議院の一応の態度でもあろうと考えます。しかし参議院意見といえども、要するに大所高所から考えました基本的な線はやはり守つて行くという意味で、この選挙法内容を検討して行きたい、私はそう考えるんです。問題を要約いたしますと、罰則規定をもつと強化するかという問題が一つあります。それから選挙運動範囲をもつと緩和したらどうかという点もあげられるわけです。具体的に申し上げますならば、ポスターの制限の問題、個人演説会の問題、街頭演説会をどうするかというような、いわゆる具体的な選挙運動を、この間の実績から見てどうしたらいいかという点についても、双方から意見があるのじやないか。それから問題は、少くとも衆議院選挙に関する限りにおいては、今日の人口異動別表を一体どうするかという点が基本的に考えられる。そうなつて参りますと、今日の中選挙区がいいのか、一人一区制がいいのか、あるいはもつとほかの方法があるかという点に発展して来るのじやないかと考えますが、これも来るべき会期中に、別表に手を染めるということに皆さん意見が一致いたしますならば、こういう点も積極的に検討をして行くことが必要になつて来るのじやないかと思います。しかしなかなかそこまで行けないというようなことになりますと、当面の選挙運動範囲内容等について改正をするということになつて来るのじやないかと思いますが、いずれにいたしましても、今のように人口選挙区との間がアンバランスになつております実情は、いつまでもこれを見のがすわけには参りませんから、基本的な別表改正ができなくとも、この問題は少くとも何とかして解決づけるという方向へ進めてもらわなければならぬと思います。  それからもう一つは、新聞あるいは内閣等でいろいろ審議しておりますところの、憲法改正に対する国民投票方法が一体どうかという点について、私の記憶では、そういう国民投票に対する法律案がないのじやないかというふうに考えます。これは選挙法とは別個であるかわかりませんが、内容選挙法に盛られている内容と同一のものが多分に含まれておりますから、国民投票の問題にまで触れて本委員会がやる権限があるかないか、あるいは早晩国民投票の問題も法律化しなければならぬということでありますならば、本会議の承認を得て本委員会に付託をしてもらうか、あるいは別個の委員会を設けて専門的に議論をするかという点等も、あわせて考えるべきじやないかというような点を、大まかな点でございますが、私見として申し上げておきます。
  7. 牧野良三

    牧野委員 議事の進行のことでありますが、フリートーキングの形で話してはどうかという委員長の御意見であります。その意味においては速記をやめ、立つことをやめて、この委員会ではどういうふうな取扱いをするか、今委員長のお述べになつたように、参議院選挙に資する上において、来年の二月中にやり上げたいというならば、その行き方も考えなければならぬ、また私は、特別委員会を設けられた点からいうならば、根本的な改正も考えて行かなければならぬという点もあるのじやないかと思いますので、皆さんでいろいろ雑談的に懇談をしてみたらどうかと思うのであります。一応御参考に申し上げます。
  8. 大村清一

    大村委員長 ただいま牧野さんからお話がありましたが、いかがでございましようか。
  9. 前田種男

    前田(種)委員 今の点はよろしいのですが、私の要求しております法務府の責任者が参りましたときの質疑は、やはり速記をとつて選挙違反会期延長等にからんでの現状等について、ひとつお聞きしたいと思います。
  10. 大村清一

    大村委員長 とりあえず懇談会をやりまして、また本委員会を開くということでいかがでありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大村清一

    大村委員長 それではこれより懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午後一時五十五分懇談会に入る〕     〔午後二時三十一分懇談会を終る〕      ————◇—————
  12. 大村清一

    大村委員長 これより再び議事に入ります。前田種男君。
  13. 前田種男

    前田(種)委員 国警本部刑事部長が見えておられますから、実は法務省から来ていただきたいと思いますが、選挙違反のその後の状態がどうなつているのかというのと、会期延長されたため、三月末日まで国会が開かれるという関係で、前回改正のときに特に参議院から希望が出まして、選挙違反は百日以内に結論を出すようにという一条が加わつております。そういうこととの関係が一体どうなるかという点を一応お聞きしたいと思います。
  14. 中川董治

    中川政府委員 選挙違反被疑事件検挙状況でありますが、大体大勢といたしましては、違反事件検挙は一応一段落いたしたのであります。今日の状況は、その後いろいろなことで、たとえば告発といつたようなことで明らかになつたとか、あるいはまたこれに準ずるような違反の生じた場合、並びにその被疑者につきまして、本人所在の不明なものが若干ありますので、そういつたものの所在を捜索いたしまして、その被疑者逮捕に努める、こういう状況でございますが、その被疑者もだんだん所在がわかつて来つつある状況でございますので、こういうような事件もだんだん解決して行くのではないかというふうに思つております。  それから御質問の第二点の裁判関係は、私の方の直接の関係ではありませんが、警察におきましては、検挙いたしました事犯につきましては、至急検事に送致いたしまして、検事の方でそれの起訴、不起訴を付議いたしまして、一部起訴されておるようでございます。裁判状況は、法律に基いてだんだん進捗しておると思いますが、私の所管ではございませんので、ちよつと正確にはお答えできません。
  15. 前田種男

    前田(種)委員 当選された議員のうちで、今日まで取調べの結果、身柄を拘束せねばならぬというような人がおよそどの程度あるか、あるいは身柄は拘束しなくとも、任意出頭の形で十分取調べができるというような状態の者がどのくらいあるか、そういう関係をお尋ねしておきたい。
  16. 中川董治

    中川政府委員 当選なさつた方につきまして、公職選挙法違反被疑事件の容疑がある方も若干おられまして、当国会開会する以前に裁判官の令状によつて逮捕して、取調べて、それから検事に取次いだものもあるのでありますが、国会開会されましてからは、御存じのように、憲法国会法関係で、逮捕につきましては、内閣を通じてその院の許諾を求めるという制度がありますので、その制度によつてもなおかつ逮捕する必要が認められますものは、その手続をとる、こういう方針で来ておるのでありますが、大体本人捜査に対する御協力によりまして、いわゆる任意捜査によりまして、だんだん事件は解決しておりますので、ただいまのところ当院に院の許諾内閣を通じてお願いするというような人は、今のところございません状況でございます。
  17. 前田種男

    前田(種)委員 これは法務省の人が来なければはつきりしないと思いますが、法務省の方は見えますか。
  18. 大村清一

    大村委員長 ただいま請求中でございます。
  19. 前田種男

    前田(種)委員 そうすると、前の選挙法改正のときの、参議院の百日以内に裁判結論を出すようにということは、事実上は空文にひとしいということで、憲法保障される院の承諾を得なければならないということになりますと、会期がかように延長されるということから、選挙通反取調べは順調に行かないということになるおそれが多分にあると思います。今のお答えでは、身柄を拘束する必要はないように言つておられましたが、実は本国会開会以前に拘束された人もあわてて急に釈放したという点で、十分な取調べができているかどうかという点も、相当疑問があるのではないかと思われますが、そういう点についてはさようなことはないですか。
  20. 中川董治

    中川政府委員 御存じのように当選なさいました衆議院議員の方につきましては、院の審議をお願いする関係等もございますので、この人たち取調べにつきましては、警察におきましても優先的に早く取調べを済まし、これを検事に送致いたしまして、検事の方ともわれわれは連絡を密にしておりまして、非常に早く当選職員方々捜査を進められまして、本国会開会する直前にそれぞれ拘留が解けたわけであります。その後そういつた方々の起訴等事案も出ておりますので、もちろん捜査する側から見ますと、そういつたことについて特に急いだ点は確かにあるのでありますが、そのために、致命的にその捜査ができなかつたという点はないのであります。
  21. 前田種男

    前田(種)委員 世間一般に、こうした選挙違反は、結局普通の一般国民で、ただ単に選挙運動に携わり、法規を知らなかつたために、形式違犯等罰金に処せられたという数は相当あるのです。しかもかんじんかなめの相当悪質な選挙違反をやつたであろうと思われるような人は、ずるずるべつたりになつて結末はつきりしないというようなことで、今日社会から非難されている原因は、そこにあると思うのです。いろいろな関係でそういうことになつていると思いますが、今の答弁を聞いておりましても、どうも世間でいろいろ疑惑を持つておりますことが、そういう方針だから疑惑を持たれるのだという結果になると思うのであります。しかし国会がかように延びて、しかも身分保障されているために、取調べはやりたいが、そう簡単にできないというものがあるというならば、そういう点をはつきりしてもらわなければならぬ。しかし拘束しなくても十分だという自信がありますならば、やはり各方面疑惑を持たれておりますものをきれいにするという意味において、何人でありましようとも、そういう選挙違反疑惑のある人は公正に取調べをやつて結末はどうであつたかということを、検察当局からやはり社会に発表しないといかぬと思うのです。そういう点等会期関係で十分できぬという点を言つてもらい、それでいいというならばいいが、今の答弁では私は満足しません。しかしこれは所管が違いますから、刑事部長にそれ以上のことをお尋ねすることは無理かもわかりませんが、法務省の人が来ておりませんので、刑事部長にやむを得ず質問をしているのでございますが、どうも世間疑惑を一掃するということがもつと明瞭にならなければならぬという点は、おそらく当事者の方も同感だと思います。私はこの点についてお尋ねしておるのであつて、何か一物を持つてものを尋ねるというようなけちな考えで質問しておるのではないのでありますから、その点に対する当局の見解をお聞きしたいと思うのです。
  22. 中川董治

    中川政府委員 ただいまのお話はまことにごもつともで、こういう犯罪が行われたとすれば、本年の十月一日以前の事案でありますので、その捜査結末をなるべく早くつけるという点でまつた同感であります。但したくさんの被疑事件のあるうちで、全部急ぐべきですが、われわれは当選議員の方の関係について、国会法関係で急いで参り、特に急いだつもりでありますが、その後所在不明等によつて事案がまだ明らかにならぬ面もあるのでございます。そういつた面につきましては所在調査を十分にやつて参り、だんだんその所在を求めて、被疑議員の方を先にする。国会法関係で、開会中でも支障がないということは言い過ぎであろうと思いますが、そういうことを念頭に置きまして、当選議員関係の分は特に急いだということを申し上げておるのであります。  ただいま御質問の過般の改正の百日以内の審査の点につきましては、法務省の方も来られたようでありますから、その方にお願いいたします。
  23. 前田種男

    前田(種)委員 法務省の人が見えたので、重ねてお聞きしますが、会期がかように延長されました結果、過般の総選挙後における選挙違反取調べが、いろいろな関係で、特に当選議員関係においては、十分な取調べができぬのではないかということがいろいろ言われておるわけです。選挙法には、御承知のように、選挙犯罪は百日以内に結論を出すようにという参議院の強い要望もありまして、さような条項が挿入されておりますが、国会会期中の身分保障されておるということで、今日当選議員身柄を拘束しなければならないような人々が幾人あるか、あるいはないのか、あるいは拘束しなくとも、任意出頭の形で同調べは十分できるというようなことになつておるかどうかという点に対して、今日までの取調べの結果を求めておるわけでございますから、その点についてお答えを願いたいのであります。
  24. 長戸寛美

    長戸説明員 お答えいたします。このたびの衆議院議員選挙では、違反が非常にたくさん出まして、十一月三十日現在におきまして、全国検察庁で受理いたしました数は四万四千六十九人でございます。そのうち四千八百八十六人を公判請求いたしまして、七千六百二十九名を略式請求をいたしております。その他不起訴とか中止とかございますが、未済なつておるものは七千九百七十八名でございます。全体の数から見ますと一八・一%が未済なつておるということでございます。この選挙違反は、ほかの事件もさることでありますが、集中的にやらなければならぬということで、全国検察庁も非常に急いで処理をいたしておりますので、大体年内にはこの未済も大部分片づくというふうに考えております。  ただいまお尋ねになりました議員関係候補者関係の方は、今月の十九日現在の調べでございますが、候補者関係違反として受理いたしましたものが百九十八名でございます。そのうち四十七名を起訴いたしまして、八十名不起訴なつております。未済は七十一名でございます。この残つておりますものは、事務長とかあるいは出納責任者とか、そういうふうな者が逃走しておるようなことのために、その調査が遅れておる、あるいは受理をいたしましたのが少し遅れておつたためになお未済である、こういうふうなものがあろうかと思います。私どもが見ます。ところでは、この年内には候補者違反関係も大体目鼻がつく、こういうふうに考えておるわけであります。逮捕を必要とするものがあるかどうかというふうな問題は、逮捕を必要といたしました者は、大体一番最初に逮捕をいたしておりますので、今後あるいは逮捕を必要とする者が出て参るかもしれませんが、現在のところ、そうたくさんはそういう者はないのじやないかというふうに考えております。もし逮捕をぜひお願いするということでありますれば、正式の手続国会にお願いをすることになろうかと思います。
  25. 前田種男

    前田(種)委員 どうも私の質問かんじんなところにはそれた答弁をしていらつしやるのです。少くとも当選議員の中に逮捕の必要な者があるかないかという点と、取調べ支障があるかないかという点が大事です。それと公職選挙法の百日以内に結論を出すようにという条項と、国会開会中の身分保障の問題が一体どうなつておるかという点です。今御答弁になりました事務長出納責任者等が逃亡しておる関係上、かんじんなところに取調べが進まないという点は、世間に言われておる見方から行きますと、六箇月間逃げておれば時効になるのだから、それまでかくまつておるのだ、出さぬのだ、また当局もそう強く追究していないのだというようなことで、結局かんじんかなめの者が出て来ないために、当選しておる議員取調べが十分できない。これも要するに四月か五月になればのほほんとして出て来て、それで済んでしまうということになりはせぬか。そういうことになりますと、先ほどの件数の中にあるように、略式罰金やその他の処罰を受けた一般国民がかわいそうです。やはり悪質なものは、身分がどういう人であろうとも、当局としては徹底的に取調べをやつて、そうして世間一般疑惑のかけられておるようなものをきれいさつぱり、結果はこうだつたと言えるようにしていただきたい。そのことに対して、今言つたよう国会長期延長なつたのと、身分保障と百日以内というような条項との関係、あるいはあなたの方の取調べの現段階において、何も拘束する必要はないというならば、任意出頭でももつと積極的にやつて、その結末をつけるようなことをやる意思があるのかどうかということまで含めてお尋ねしておりますから、あなたの御答弁が十分でなければ、結局犬養大臣に来てもらつてそれを聞かなければならぬことになるわけです。しかし大臣が来なくとも、あなたが法務省を代表して答弁されれば、私はその答弁を信用してお聞きしますので、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  26. 長戸寛美

    長戸説明員 続けてお答え申し上げます。逃亡者につきましては、法務省といたしましても、五月の選挙の始まります前の全国検事会同におきましても、また選挙期日後の十一月の二十一日と二十二日に行いました、選挙違反をいかに処理するかという点についての全国検事会同におきましても、これは徹底的にやる、そういうふうな者が逃走しておるために、時効期間をのがしたり云々ということで、得をすると申しましようか、罪を犯しながらのがれるような者があつてはならぬということで、徹底した捜査をするように指示してございます。従いまして、先ほどお答えしましたところの、大体年内に済ますというのは一般的な問題でございまして、これらにつきましては、あくまでも追究の手はゆるめないという方針をとつております。また裁判を百日以内に終結するということは、選挙違反の建前からしまして、なるべく早期にやるというふうなことで非常に重要な問題と考えております。従いまして、選挙違反取締りも、やはりそれに準じて、むしろそれよりももつと短かくといいますか、裁判でさえもそのようにやつておるわけでありますから、検察の部面においては、もつと短時日に事を決するように努力しておるわけでございます。また候補者違反につきましては、もとより違反があるというふうな方々につきましては、あくまでも候補者以外の方と特に異にするということなくやつて参るつもりでおります。ただ任意出頭の問題におきましても、現在までに処理いたしましたのは、一応釈放後任意出頭の形で徐々に取調べ処理をいたしておるわけでございます。
  27. 前田種男

    前田(種)委員 どうも今の答弁で私は満足が行かぬのです。というのは、特別国会の召集は二週間か一箇月、あるいはそれ以上にならないというのが常識であつたわけです。おそらく当局も、当選された議員に関する限りにおいては、特別国会終了後において、いろいろ違反事項が上つて来たならば、都合によつて身柄を拘束して取調べをやるという方針であつたと思います。しかし事志と違つて会期が年末までとなり、さらに来年の三月末日までというように非常にかわつて来たのです。選挙後の実情と今日とは、国会運営会期がかわつて来ておるのです。こうなつて参りますと、取調べが順調に行くかどうかということが、第一にお尋ねしたい点です。しかしこの点は、当選議員に関する限りにおいては、拘束しなくても十分取調べには支障がないというお返事ができますならば、そのお返事をしてもらつていいのです。しかし数ある中でございますから、そうも行かない者がある。会期中でありますから、身柄保障されておりますが、今後どうされるということは、政府部内においてはあるいは意見も統一されて、それぞれの手続をしてでも取調べはやるという方針か、あるいはその必要はないとおつしやるのか。あるいはこれはあなたにお聞きすることは無理かもわかりませんが、お答えが得られなければ、結局大臣に来てもらつて、そういう点について大体の方針答弁していただきたいと思います。私がお聞きしたいのは、さきにも申し上げましたように、特別国会会期が常識的に考えた情勢と非常にかわつて来た今日の情勢のもとにおいて、取調べが順調に行くか行かないかという点に重点を置いて、一体当局方針はどうかということを尋ねておるわけです。それを明らかにすることによつて、国民全体に対する疑惑が一掃されるのです。また一掃させねばならぬと思います。そうせなければ、結果から見ると、悪いことをやつた者が得だということになる。そうなるといつまでたつても、こういう選挙法その他の法規というものは守られぬ。守られぬということではいかぬので、そういうことをお聞きしておるわけです。
  28. 長戸寛美

    長戸説明員 ただいままでの取調べ状況から見ますと、今後の当選候補者取調べにつきましては、大体において身柄を拘束しないで任意出頭の形でできるかと思いますが、逮捕を要すべきものがありますれば、これはやはり院の許諾をお願いいたしましてどこまでもやつて参る。ただその院の許諾を要するというような点につきまして、今度のような会期延長によつて若干の不便と申しますか、そういうような点はございましよう。その程度でございます。
  29. 前田種男

    前田(種)委員 私は、真意をこれ以上お尋ねすることはどうかと思いますので、きようはこれ以上質問をいたしません。しかし今の答弁には満足しません。
  30. 大村清一

    大村委員長 竹谷君。
  31. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 当選者であつて検察庁に送致を受けた人数、それで起訴された数、未処理の件数、それを承りたいと思います。
  32. 長戸寛美

    長戸説明員 当選候補で違反者として受理いたしました総数は五十五名ございます。うち起訴いたしました人員は六名、不起訴の人員が二十八名、それから未済が二十一名になつております。
  33. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 この二十一名については、いつごろまでに事件処理をきめる見込みであるか。先ほど一般的に話されたように、年内には起訴、不起訴が決定せられるかどうか。
  34. 長戸寛美

    長戸説明員 この二十一名の中には、形式的な割合軽い者もあるようでございますので、なるべく年内処理いたしたいと思いますが、事案によりまして、たとえば重要な関係者が逃亡してそれを追いかけているというようなことからして、年内処理が困難なものも若干はあろうかと思います。なお最近もどしもどし報告が参つておりますから、この二十一名も二十七日ごろまでにはもつとその数が減るかと考えております。
  35. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 未処理の者の中に、院の許諾なくしては逮捕ができないというような事情から、十分捜査が行き届かないで、起訴、不起訴についてなかなか検察庁は確信が持てないというような者はありませんか。
  36. 長戸寛美

    長戸説明員 この候補者につきましては、その関係者を十分に調べてございまして、御当人を逮捕してまで調べなければならぬものもあるかもしれませんが、現在われわれの見ておりますところでは、大体において事が決せられるというふうに思つております。
  37. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと、大体会期延長によつて捜査はあまり妨げられない、こういうふうに受取つてよろしいですか。それからまた将来院の許諾を得る必要な事案が出て来ない見通しであるか、あるいは必要が起るような情勢であるか、その点をお伺いいたします。
  38. 長戸寛美

    長戸説明員 現在ずばりと答えができないかと思いますが、今調べております関係からして、あるいはぜひ院の許諾をお願いして、逮捕してまで調べなければならぬという者もあるかもしれませんが、その院の許諾を要する場合に、会期延長ということが、特にそれによつて現在のところ——ちよつと将来のことをはつきりと断言いたしかねるのであります。
  39. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 年内処理が全部つきそうだと言つたのに、今になつて院の許諾を必要とするような事案があるかないかわからぬということでは、年内処理が不可能だというふうにも見えるし、あなたの言うことはつじつまが合わないように思うのですが、いかがですか。
  40. 長戸寛美

    長戸説明員 少しお答えがまずかつたと思いますが、大勢としては年内処理ができるかと思います。ただ、先ほども申し上げましたように、わずかの者についてどうしても来年にわたるものがある、そのうちに取調べ状況によつてあるいは逮捕を必要とする者があるかもしれない、こういうことであります。
  41. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうしますと、会期延長によつて捜査上非常に困難を来す例もあるわけでございますね。  それからもう一つお尋ねしたいのは、当選者の事務長であつた人で検察庁事件を送致した者、それからその中の起訴者、不起訴、未処理の数がもしおわかりになればお答えを願いたい。総括主宰者と出納責任者と両方です。
  42. 長戸寛美

    長戸説明員 総括主宰者は、検察庁の方で総括主宰者と認定いたしたのでありますから、はたして候補者の側で総括主宰者と言われておるものと合うか合わないか、ちよつと疑問がございますが、十一月三十日現在におきまして、総括主宰者として処理いたしました総員は七十名でございます。そのうち公判請求をいたした者が四十四名、それから略式請求いたした者が四名、不起訴その他が二十二名。出納責任者処理いたしました総員は九十五名、公判請求が四十九名、略式請求が四名、不起訴その他が四十二名であります。
  43. 大村清一

    大村委員長 ほかに御質疑はございませんか。  ではこれにて散会いたします。     午後三時六分散会