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1953-03-09 第15回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月九日(月曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長代理 理事 迫水 久常君    理事 永田 良吉君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 賢一君 理事 山田 長司君       田口長治郎君    三池  信君       山田 彌一君    渡邊 良夫君       河野 金昇君    大矢 省三君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         水産庁長官   清井  正君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務         官         (大臣官房会計         課長)     及川 逸平君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         財務課長)   志賀 清二君         総理府事務官         (調達庁不動産         部不動産補償課         長)      鈴木  昇君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      立川 宗保君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         参  考  人         (千葉水産部         長)      河野 勝彦君         参  考  人         (九十九里浜沿         岸漁業対策委員         会会長)   小栗山熊太郎君         参  考  人         (漁業従事者) 山口 俊彦君         参  考  人         (千葉漁民組         合協議会会長) 中村 一郎君         参  考  人         (千葉富津町         漁業協同組合         長)      森 竹次郎君         参  考  人         (千葉大貫町         漁業協同組合         長)     山口 卯之松君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和二十六年度特別会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第  八条に基く使用調書  昭和二十七年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和二十七年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)  (承諾を求める件)  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関收支出決算  参考人より意見聴取に関する件     —————————————
  2. 迫水久常

    迫水委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  私が引続き委嘱を受けまして、委員長の職務を代行いたしますから御了解を願います。  まず本日の審議予定を申し上げておきます。最初予備費五件の提案理由につき説明を聴取いたします。次には前々会質疑応答のあつた九十九里浜沿岸駐留軍使用に対する補助金交付に関する問題及び東京湾における駐留軍施設による漁業経営上の損失に対する見舞金支給に関する問題について、関係官庁並びに参考人より説明または意見を聞くことといたします。最後に、前会通商産業省所管事項審議の際保留となりました、報告番号六四二を審査いたす予定でありますから、あらかじめ御承知おきを願います。  それでは昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和二十六年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条に基く使用調書昭和二十七年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和二十七年度特別会計予備費使用調書(その1)、以上五件について大蔵省当局からその説明を求めます。愛知大蔵政務次官
  3. 愛知揆一

    愛知政府委員 ただいま議題となりました昭和二十六年度一般会計予備費使用件外四件の事後承諾を求める件につきまして、御説明申し上げます。  昭和二十六年度一般会計予備費予算額は十億円でありまして、このうち財政法第三十五条の規定により、昭和二十六年五月一日から同年十二月七日までの間において使用いたしました八億一千五百九十余万円につきましては第十三回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしましたが、その後昭和二十七年一月十六日から同年三月二十五日までの間におきまして、八千五百七十余万円を使用いたしました。そのおもな事項恩赦実施準備事務に必要な経費公立学校建物風水害復旧費補助に必要な経費、海上保安庁の沿岸警備力強化に必要な経費等であります。  次に、昭和二十六年度特別会計予備費予算額は二百二億三千八百六十万余円でありまして、このうち昭和二十六年五月十五日から同年十二月二十五日までの間に使用いたしました三十二億七千百八十余万円につきましては、第十三回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしましたが、その後昭和二十七年二月十五日から同年三月二十八日までの間に予備費使用いたしました特別会計は、外国為替資金外十一特別会計でありまして、その使用した総額は三十八億八千二百万余円であります。そのおもな事項は、健康保険給付費に必要な経費農業共済保険金支払に必要な経費漁船特殊保険保険金支払に必要な経費電信電話事業設備に必要な経費労働者災害補償保険金支払に必要な経費等であります。  次に、昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条の規定に基き予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、資金運用部外特別会計でありまして、その内訳は、同予算総則第七条の規定に基いて、資金運用部特別会計において支出いたしました預金利子支払に必要な経費四億五千四百六十余万円と、厚生保険特別会計健康勘定において支出いたしました健康保険給付費に必要な経費二十八億三千五百二十余万円並びに同予算総則第八条の規定に基いて、郵政事業特別会計において支出いたしました業務量増加に伴い必要な経費五億五千万円であります。  次に、昭和二十七年度一般会計予備費予算額は三十億円でありまして、このうち財政法第三十五条の規定により、昭和二十七年四月二十五日から同年十二月二十六日までの間において十七億一千百八十万余円を使用いたしました。そのおもな事項は、経済審議庁等の設置に必要な経費防火思想普及に必要な経費破壊活動防止法の施行に必要な経費神戸商船大学創設に必要な経費十勝沖震災復旧に必要な経費、鳥取市火災復旧に必要な経費農業協同組合再建整備補助金増加に必要な経費特別営繕業務促進に必要な経費等であります。  次に、昭和二十七年度特別会計予備費予算額は三百三十六億一千四百九十万余円でありまして、昭和二十七年七月一日から同年十二月十五日までの間に使用いたしました特別会計は、漁船保険外特別会計であります。その使用した総額は十一億九百二十五余円でありまして、そのおもな事項は、援助物資輸入掛費に必要な経費電信電話施設災害応急復旧に必要な経費失業保険金給付に必要な経費等であります。  以上、昭和二十六年度一般会計予備費使用件外四件につきまして事後承諾を求める件の御説明をいたした次第であります。何とぞ御審議の上御承諾くださるようお願いいたします。
  4. 迫水久常

    迫水委員長代理 本件に関する質疑は後日に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 迫水久常

    迫水委員長代理 次に、去る三月六日の委員会で決定いたしましたところの九十九里浜沿岸駐留軍使用に対する補助金交付に関する問題及び東京湾における駐留軍施設による漁業経営上の損失に対する見舞金支給に関する問題を議題といたします。本件に関しましては、前会に参考人の選定の件をお諮りいたしました結果、委員長一任となつておりますが、すでに参考人として選定いたしました河野勝彦君、小栗山熊太郎君、山口俊彦君のほかに、さらに千葉漁民組合協議会会長中村一郎君、富津漁業協同組合長森竹次郎君、大貫漁業協同組合長山口卯之松君を参考人に指名いたしたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 迫水久常

    迫水委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおこの際参考人各位に対して、一言申し上げます。本日は御多忙中のところ御出席くださいましたことに対してお礼を申し上げます。御出席くださいました以上、各質疑に対しては、率直に、躊躇することなく、腹蔵のない御意見、御答弁を希望してやまない次第でございます。  それでは最初東京湾における防潜網に関する問題、すなわち駐留軍施設による漁業経営上の損失に対する見舞金支給に関して水産庁当局から詳細な説明を願います。立川漁政部長
  7. 立川宗保

    立川説明員 東京湾口防潜網関係でございますが、これについては、魚道遮断をいたしまして、漁船防潜網地区通ります際に非常に迂廻せねばならぬ。そのために時間のロスあるいは油の消費増というようなことがございまして、いろいろ損害がある。それからなお防潜網のために魚群東京湾に入つて参りますのを遮断される。それが非常に影響があるというようなことで、これについての補償の問題がいろいろ出て参つおつたわけであります。そこでこれについては部内でいろいろ検討をいたして参りました結果、昨年の十二月二十七日にこれに関する見舞金支給に関しまして、次官会議で決定をいたされました。それに基きまして、東京湾関係の分につきまして一億九百万円の見舞金千葉県に対して支払い委任をいたしまして、支出いたされたわけでございます。
  8. 迫水久常

  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水産庁説明員の方に伺いますが、この見舞金の額はどこで決定したのですか。
  10. 立川宗保

    立川説明員 政府部内におきましては調達庁大蔵省、それから農林省の水産庁の三者で御相談をいたしまして、調達庁から支払い委任千葉県に対していたしました。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 財源は何になつておるのですか。
  12. 鈴木昇

    鈴木説明員 本件支出科目は、平和条約発効日以降の分につきましては、防衛支出金漁業補償費から支出されております。それから占領期間中の分につきましては、特別補償費から支出をされております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 特別補償費というのは一体何ですか。
  14. 鈴木昇

    鈴木説明員 特別補償費と申しますのは、終戦処理費です。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次に農林当局にお伺いいたしますが、見舞金を受ける最終の対象はどういう人なんですか。
  16. 立川宗保

    立川説明員 これは被害を受けました漁業者でございます。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 漁業者といいますと、漁船所有者という意味なんですか、あるいは乗組みの従業員も含んでという意味なんですか。その辺は具体的にはどういうことになるのでしようか。
  18. 鈴木昇

    鈴木説明員 本件補償対象になります者は、漁業者及び漁業労働者でございます。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 人数は何人になるのですか。人数計算する方がいいのですが、何人くらいになるのですか。
  20. 鈴木昇

    鈴木説明員 漁業者につきましては、権利者である組合対象になりますので、組合を単位として計算をいたしたらいいかと思います。労働者につきましては、労働者個人人員の総和でございます。これをもつて計算をいたしております。人員組合数につきましては、ただいま表を見ますまで、ちよつと御猶予を願います。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水産庁の方にお尋ねしますが、防潜網の方の関係につきましては、対策委員会とかそういつた種類のものはないのですか。
  22. 立川宗保

    立川説明員 私どもはまだ聞き及んでおりません。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 聞き及んでおる、おらぬよりも、どうせこれは詳細に他の省とお打合せの上できたのでございますから、あるかないか御承知だろうと思いますが…。
  24. 立川宗保

    立川説明員 これは支払い要綱調達庁一緒関係府県にお示しをしておるのでありまして、それに基いて県に実施をお願いしておる、こういうことでございまして、私どもそれ以上事柄の内容については存じておりません。県がこの要綱従つて関係漁業者支払いをするものと考えております。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは閣議あるいは次官会議のどちらでもいいのです。が、そこで要綱あるいはその他の必要な事項は決定されておると思いますが、その資料はお手元にありますか。
  26. 立川宗保

    立川説明員 手元にございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 委員長、早急にその取寄せ方をおとりはからい願います。
  28. 田口長治郎

    田口委員 この補償金問題につきましては、二十六年まではよるべき法律がありませんでしたために、見舞金として出しておつた次第でございますが、二十七年度政府及び国会におきまして、直接被害及び間接被害に対する立法をするということで、大体昨年末までくらいには法律ができ上る、こういうようなことで努力をしておつたのでありますけれどもいろいろな都合で間接被害に対する立法が遅れております。しかるに一方漁業者の立場から言いますと、ことに年末、年始を控えて、この補償金がいつまでも渡らないということは、どうしても耐えがたいというような事情からいたしまして、いずれ立法措置はできるのだから、その立法された法律に根拠した補償金内渡し金被害者に交付しよう、こういうような意味におきまして二十七年度は一億二千万円程度千葉県に対して交付されておると思うのでございます。これはひとり千葉県ばかりでなしに、長崎県なんかでも、法律に基く補償金内渡し金という意味で渡つておるというふうに国会側としては了承しておるのでございますけれども、この点二十七年度分も二十六年度以前の分と同じように見舞金で、一億二千万円その他で打切つてしまつたという観念と混同しておるように考えられるのでございますが、この点につきましては、国会最後までの考え、最後までの希望といたしまして、法律に基く補償内金として出しておる、こういうふうに了承しておるのでございますが、鈴木不動産補償課長はこの点についてどういうお考えでおられますか、お伺いいたしたいと思います。
  29. 鈴木昇

    鈴木説明員 ただいまの御質問でございますがお話のように、この防潜網に関する東京湾及び大村湾関係見舞金につきましては、ただいま国会におきましては日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失補償に関する法律案というものの御審議を願つておるわけでございまして、この特別損失につきましての見舞金支出について昨年末閣議了解が成立いたしました際にも、これらの見舞金はさつき申し上げました特別損失補償に関する法律実施前のいわばとりあえずの補償ということに相なりまして、この補償実施せられました際におきましては、その補償の際に、今回支出になつております見舞金を調整いたすということに閣議了解でも相なつておるわけでございます。
  30. 田口長治郎

    田口委員 ただいま鈴木不動産補償課長の話によりまして、先般交付されました金は、法律ができたら、この法律に基いて清算をし、今までの分は内金として出しておるのだ、こういうこがはつきりいたしましたから、その点は了承いたします。
  31. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは御出席参考人の方々からそれぞれ御意見を承りたいと思います。  まず千葉県の水産部長河野勝彦君にお願いいたしますが、河野君からは防潜網の問題及び九十九里浜問題両方について御説明を願い、それ以後順次それぞれの御関係について実情の御説明なりあるいは御意見なりをなるべく簡単に、わかりやすく要点だけを述べていただきたいと思います。千葉水産部長河野勝彦君。
  32. 河野勝彦

    河野参考人 防潜網九十九里演習補償金配分問題でございますが、これに関しましては、最初に申し上げておきたいのでございますが、私は昨年の六月末に赴任をいたしまして、すでに配分になつております問題につきましては、全然タツチしていないのでございます。従いまして詳細のことは私としてはわかりかねるのでありますが、担当部課長が全部かわつておりますので、私やむを得ず出て来たわけでございます。書類は、失礼でございますが、一緒に参りました者がカバンの中に忘れて参りまして、あと十四、五分したら来ると思いますので、初めごく大ざつぱな要点だけをお話申し上げたいと思うのでございます。  私事務引継ぎを受けました範囲内のことで承知しておるのでありますが、九十九里防潜網ともに、金が参りましてから配分をいたしますまでの間に、期間が非常に短かつたのでございます。たとえば二十六年度予算におきましては、三月初旬に金が参りまして、当該年度が打切りになりますので、三月の終りにはすでに請求書が出て来なければいかぬというような状況でございましたので、県といたしましては非常に急いでこれを配分したという関係があるように聞いておるのであります。ところが関係地区漁民の数は、九十九里におきましては約二万八千名防潜網地域におきましては約二千八百名、正確な数字書類が来てからお話いたしますが、その程度の数でございまして、この関係漁民に詳細に金の配分をするということは、とうてい不可能な状態にあつたというふうに聞いておるのでございます。従いまして県の考え方といたしましては、まず関係組合長及び関係組合の大きい業種別代表者——大きい業種と申しますと、たとえば網繰とか、地びきとか雑漁というような大きい業の大別がありますが、その大別に従いまして代表者をきめまして、その代表者に県から金を渡したということになつておるのであります。県といたしましては、かような代表者に金をお渡しいたしまして、代表者から領収証をとつた。しからばどういう権限で代表者に金を渡したかと申しますと、その代表者は全漁民の方方の委任を受けまして——金を受取つて来てよろしい、請求もしてよろしいという委任を受取りまして、その委任状をつけまして代表者は県に出て参りまして、関係漁民の分を一括してその代表者受取つて帰つて漁民の方にわけたということでございます。それをわける前に、九十九里地区におきましては、これはもうみなわかつておることでございますが、一五%という額を、漁民の方の希望によりまして、初め差引きまして、これを別途保留いたしまして、その残りの金を漁民の方にわけた。わけるにつきましては、大体県といたしましては、関係漁民の方が、九十九里の場合は、以上申し上げましたように、二万八千名で非常に数が多いわけでありまして、その人が一体いくら漁船として活動しておつたか、またどのくらいの漁船の規模を持つてつたか、また乗組員をどのくらい持つていたかという実態を把握することが県の少数の係官のみではとうていできなかつたわけでございます。従いましてこれを各組合長に御一任をいたしまして、組合長がさような実態を調査なさつたわけであります。しかしながら県といたしましては、短時日に金を交付しなければならぬという状況下におきまして、やはり一応個人別の目安がなければ金が払えないということがございましたので、一応漁民の方に、この方は大体どのくらいであるかという金の配分計画を立てて、九十九里におきましては対策委員会にそれをお話申し上げまして、対策委員会からさような金を受取るというような委任状を持ちまして、県に来て、県がそれを払つたわけでございますが、その後におきまして、関係地区のある場所におきましては、その県がきめた頭が実態にそぐわないという点で、組合長さんがその金を一部修正をされまして、——修正と申しますのは、前に申しましたように、漁船の実際働いている日数、トン数、船員の数、こういうものを勘案いたしまして、修正をいたしまして、それを交付したというように聞いておるわけでございます。従いまして、会計上の書類といたしましては、前に県が個人別にきめました数字による委任状委任状に基くところの組合長請求書、これが会計上の書類でございまして、あとから実際に交付された額によるところの領収証というものは会計上の領収証ではないということになつておるわけであります。これは日にちがございますれば県が末端まで個人別配分を全部精査いたしまして、この末端個人別の割当を確認いたしました上で、県が支払うというのが筋であつたと思うのでございますが、きわめて限られた日にち支払いを了しなければ、年度予算が切られてしまうという状況下、及び県の担当職員が非常に数が少く、あまつさえ事務費は国から全然交付されていないという現状におきまして、二万八千名に上るところの漁民実態を県が一々把握することができなかつたというのが実情でございますが、当時の情勢としてはやむを得なかつたと思うのでございます。  本年度においてただいま配分計画を立てておりますところの防潜網の金につきましては、かようなことがないように、県で個人別配分で全部調査の上で、金を支払うという計画でございます。九十九里の場合にはそれが十分にでき得なかつたというのは、私どもといたしましては、事情やむを得ないところがあつたであろうというふうに考えておるのでございます。そのこまかい点につきましては、また御質疑の際にお答えをいたします。
  33. 迫水久常

  34. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 ただいま県の水産部長さんの言う通り、われわれ沿岸漁業対策委員会会長といたしまして、九十九里不漁対策委員会を開きまして、皆さん方の御協議の結果、一五%ということを決定いたしまして、そうして漁船組合に超短波無線をすえつけるのに三百万、七%というものを加工業者ということになつておりますが、加工業者九十九里の場合は漁業にも携わつてくださつておるのでありますし、また網をほすのも、船を押し出すというようなこともなさるというので、われわれ委員会といたしまして、県の方からいただきましたものを配分したのであります。別段そのほかに申し上げることはありません。
  35. 迫水久常

  36. 山口俊彦

    山口(俊)参考人 ただいま対策委員長からの御説明にございましたように、対策委員会といたしましては、対策委員の中に経営者あるいは漁民代表がおりまして、上からいただきました見舞金の分配につきましては、各代表総意のもとに、ただいま会長が申し上げましたように、七%加工業者、八%のうちの三%は無線関係、それから五%は経費そういつたふうに先にとりまして、残りをわれわれ漁民が各組合別に贈られたものを、再び各組合員、各船主並びに各船の従業員代表が集まりまして、納得の上で分配いたしました。そのほかは会長の申した通りでございます。
  37. 迫水久常

  38. 中村一郎

    中村参考人 私は参考人として、ここで私の証言をする前に、委員長に質問いたしたい点があるのですが、それは私がこの席上で九十九里射撃補償金の問題を証言することによつて、その内容が非常に複雑怪奇であるということによつて、本年度もしくは本年度以降の射撃補償金千葉県の取分の金額が減つたり、もしくは予定支出がもらえないというようなことがありますと、私立場上非常に困りますので、そのことと今までの補償とは別個であるということを確約願いたいと思います。
  39. 迫水久常

    迫水委員長代理 中村さんに申し上げますが、きようあなたに参考人として来ていただきましたのは、過去の事態についての真相を伺うためにおいでを願つたのであつて、これから先の補償金がどうなるかということについて、この委員会は何も関係を持つておりません。従来の問題についての真相を伺う、こういうことでありますから、そのお含みでお述べを願いたい。
  40. 中村一郎

    中村参考人 この問題が持ち上りましたのは、昭和二十三年の米軍射撃が始まつてから、当時網繰の漁業者加工業者、地びき、雑漁業者間において、とにかく漁はできないし、非常に困るから、ひとつ何とかしてもらいたいというような声が起りまして、それが県庁へ、また中央に波及いたしまして、これが実現いたしたのでありますが、その点につきましては、その当時委員でありました諸君には御礼を申し上げるのであります。ただ私たちが問題といたします点は、千葉県の県知事の委嘱による千葉射撃補償委員会というものと、九十九里不漁対策委員会という二つの委員会がありまして、私は千葉県の方の委員会委員としてこの問題に関係いたしたのでありますが、九十九里不漁対策委員会という一つの団体の意思が千葉県の委員会の中に持ち込まれて、あらゆる面において漁業従事者に不利であるというような印象を受けたわけであります。それは一五%の天引きでありますが、この点につきましてはとにかく、あの熾烈な射撃の中で働いている漁民に対しまして、運動資金をとらなければ射撃補償金がとれないかという点であります。別段運動資金を使つて運動しなくても、あの莫大な損害に対しては、当然補償金がもらえるのじやないかという考えは、県下の漁民の皆さんが持つておると私は考えております。その点について一五%差引いておる。しかもその一五%の内容は、昭和二十五年度、二十六年度補償金については七%は加工業者残りの八%のうちの三百万円は、ただいま小栗山会長が申した通り、超短波無線の費用として使われておる。ところがそのほかにまだ残りの何百万円に対して、使途が全然明らかにされておらないという点にあるのであります。その何百万円について、漁民の中にいろいろ疑問を持たれて参りまして、それを調査する機運が濃厚になつて来たのであります。そうして私が昨年の九月二十二日、小栗山会長に対して、——その前に小栗山会長に文書並びに電話をもつて、この問題についてのうわさが巷に非常に流れておるから、実際を調査したいから、委員会の事務所で待つていてもらいたいというようなことを申し、文書もやり、電話でも申しました。そうして九月二十二日の十時ごろ私が委員会に行きましたところ、会長はおりませんで、事務局の秋葉という人がおりまして、その人に私がいろいろ聞きました範囲内においては、現在百八十万円ほど残つておることと、それから帳簿がないということであります。帳簿はあれだけの金の、しかも公金の帳簿がないということはどうだと聞きましたところ、それについては会長が自宅へ持つてつておるということでありますので、私は驚いて、では二十三日に会長が帳簿を持つて私の方の千葉漁民組合協議会事務所まで説明に来てもらいたいということを確約いたしまして帰つて来たのであります。ところが九月二十三日、私は一日中待つておりましたが、来てくれませんでした。その後いろいろ選挙にからみまして、いろいろな悪宣伝というものが飛びまして、今度のような問題が起きたのではないかと思います。そのようにして加工業者の件につきましても、非常にお気の毒であるということは私たちも同感でありますが、それ以上に毎日海で働いておる私たちは、加工業者どころではないのでありまして、あす食う米もなく毎日沖から帰つて来て米を見つけるというような状態にある私たちの補償金の中から、加工業者へやつたということにつきましても、私は当時の委員会におきまして猛烈に反対したのであります。昭和二十三、二十四年度分におきましても一二%を差引いてそのうちの八%を加工業者にやつております。二十三、四年度最後委員会におきまして、本年度はしかたがない、来年度については補償金加工業者にやらないことを確約してもらいたいというふうに各委員に話しまして、大体了承していただいたのでありますが、昭和二十五、六年度補償金が参りましたときに、また加工業者にやるというようなことで、多数の網繰の業者並びにその他の人たちの賛成によつて、私は加工業者にやるというふうなことに賛成せざるを得なかつたし、反対してもどうにもならなかつたという実情であります。そのほかにそのときの調査において、会長、副会長が礼金をもらつたというようなことまでも聞いております。  それから私が調査した範囲内では百八十万円くらいであるということでありましたが、その後約一箇月たちまして衆議院の総選挙が終末に近づいたころ、射撃補償金の運動資金の残額は二百八十万円あるということであつた。私が帳簿らしい長い紙にその支出の明細を書いてありましたものを見たときは、確かに百八十万円であつたものが、九月の月末ごろになつたところが二百八十万円にはね上つてつた。このことを委員会のある有力な幹部が、二百八十万円現在残つておるのだ、何も不正はないということを、選挙演説の会場においてはつきりと言明しております。しかもその選挙中に、共産党らしき者たちから、田中元代議士その他そういつた人たちが射撃補償金をごまかしておるというような、怪文書というような性質のビラがまかれたのであります。それにつきまして九十九里浜不漁対策委員会が反駁文を新聞並びにそこらの壁、それから自動車に乗つて散布して歩きまして、大体その枚数だけでも何十万枚というほどの数のものではないかと思います。そういうくだらないどろ合戦をやつて、貴重なわれわれの補償金の割当の中から差引いたものを、選挙費用に使つておるというようなことまでもうわさに上つておりました。あとはそういつた面で私に対する質問がありましたら、そのときどきに答えます。
  41. 迫水久常

    迫水委員長代理 富津漁業協同組合長森竹次郎君、何かお述べになることがありましたらどうぞ。
  42. 森竹次郎

    ○森参考人 防潜網が敷設されましたのは昭和二十六年の一月でありまして、われわれ漁民防潜網迂回の燃料費また漁獲の損害に対して、二十六年度政府からいただきました見舞金額は、地区別に申しますと、青堀が九%で五十四万一千円、青堀南部六%で三十六万三百四十円、新井一考で六万円、富津六五%で三百九十万四千円、冨津下州三彩で十八万円、大貫一六%で九十六万一千円でありまして、漁民代表者を選びましてこの二十六年度見舞金を公平に分配いたしたのであります。以上であります。
  43. 迫水久常

    迫水委員長代理 大貫漁業協同組合長山口卯之松君、何かお話がありましたらどうぞ。
  44. 山口卯之松

    山口(卯)参考人 ただいま富津の森組合長から二十六年度防潜網見舞金のことについて配分の金額を申し上げましたが、私の方でもその一六%をいただいておりますが、それは各業種別漁民代表を選びまして、その人たちに全額を与えて、そうして全部公平にわけたものであります。それ以外に何ものもありません。
  45. 迫水久常

    迫水委員長代理 そうするとちよつと伺いますが、九十九里浜のように何パーセントか天引したものはないのですね。
  46. 山口卯之松

    山口(卯)参考人 ございません。
  47. 迫水久常

    迫水委員長代理 全部漁業者に分配したのですね。
  48. 山口卯之松

    山口(卯)参考人 全部わけております。
  49. 迫水久常

    迫水委員長代理 参考人の陳述は一応終りました。質疑に入ります。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず河野水産部長に、九十九里浜の方から伺いますが、あなたの方は九十九里浜の演習被害に対する補償金の交付についてどこから命ぜられ、もしくは委嘱された関係になるのでございましようか。これは調達庁ですか。
  51. 河野勝彦

    河野参考人 それは政府でありますが、官庁は調達庁であります。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからさつきお述べになつたうちに委任状のことが出ましたが、委任状はどういう趣旨のものがだれからだれへ向つてあるのですか。その内容を伺いたいと思います。
  53. 河野勝彦

    河野参考人 委任状補償を受ける権利を有しますところの漁民が、請求と金の受領一切を代表者委任いたしまして——その代表者というのは、先ほど申し上げましたように大部分は組合長でありますが、大きい業態におきましては、網繰業者代表、地びき業者代表、そういう代表委任いたしました。七十何名になると思いますが、その七十何名かの代表委任をいたしまして、その代表が県へ委任状を持つて参りまして、県がその代表者に金をお払いした次第でございます。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その委任状の権限の内容は、この補償金請求するごとと受領すること、その目的を達するための付随した行為、こういう趣旨になるのですか、そういうふうに伺つていいのですか。
  55. 河野勝彦

    河野参考人 さようでございます。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから九十九里浜対策委員会とさつきおつしやつてつたが、もう少し正確に言うと、これはどういう名前になるのですか。
  57. 河野勝彦

  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この対策委員会は、どこに事務所があるのですか。
  59. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 長生郡の茂原にあります。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 小栗山参考人は、この委員会会長をしておられるのですか。
  61. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 二十六年度補償金をいただきますので、私は会長をいたしております。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いつから会長をしておられるのですか。
  63. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 二十六年の四月から現在まで会長をしております。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この対策委員会の構成はどういう人ですか。
  65. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 雑漁業者——雑漁というのは、たいをつる漁師のことです。それから地びき業者、網繰業者漁民もたくさん入つております。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、そういう各種類の業者と、それから漁民というと乗子……。
  67. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 乗子——乗組員でございます。それに九十九里の、現在のところは荒浜でございますから、船をおろすのに困難であるから、加工業者も船をおろしたり上げたりするので実は加工業者もそれに入つておるのです。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、その構成には、今お述べになつたような漁業者漁民加工業者以外にはないのですか。
  69. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 ないのです。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから水産部長に伺いますが、一割五分の天引は漁民希望によつて差引いたという御説明がありましたが、それはどういう手続で行われたのですか。
  71. 河野勝彦

    河野参考人 私そのとき関係しておりませんので、手続の詳細は存じませんが、漁民の方の御承諾を得て差引いた、かように存じております。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたは、赴任以前のことだから、直接御承知ない、こういう意味なんですね。
  73. 河野勝彦

    河野参考人 はい。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 だれかの報告文書、ないしは何か文書があるのですか。今の委任状から見れば補償金請求と、請求した補償金の受領の権限があるだけで、それ以外に一割五分を天引して、他へ流用するということは委任状内容にはないのでございましよう。そうすると何らかの授権関係が新たに発生する必要があるだろうと思うのですが、その辺についてはいかがですか。
  75. 河野勝彦

    河野参考人 私着任いたしまして書類をいろいろ見てみますと、今お説の通り請求受領の権限を委任するという委任状はございますが、一五%差引くという委任状はないのでございます。従いましてこれを一五%差引いたというのはどういう権限で差引いたかということを、私後任に参りました職責上一応部下に聞いてみたのでございます。そういたしましたところが、部下の言うには、それは対策委員会において全部が了承した、対策委員会の了承の根拠は、対策委員はおのおのの地区の代表者であるから、代表地区の漁民の賛成を得た、それで引いた、かように申しておりますが、委任状はございません。しかしながらこの問題は理論的に申しまして非常にむずかしい問題であるというふうに思つてつたのでございます。昨年の暮れであつたと思いますが、千葉の地方経済調査庁から来られまして、そのときに——現在は行政監察局という名前になつておりますが、その当時は経済調査庁であつたか、監察局であつたか、ちよつとど忘れしましたが、とにかく中央から行政管理庁の方が見えまして、一緒九十九里に調査に参りまして、その結果、実際承諾しておつたにいたしましても、委任状または承諾書がなければまずいというお話がございまして、私、行政管理庁に呼ばれまして、これをどう処置するかということを聞かれました。従いまして私といたしましては、私の聞いておる範囲では漁民の方はこれを全部了承して引いた、だから委任状を今からとつてもおそくはないと思うがどうだろうかということを行政管理庁に相談いたしましたところが、それは今からとつてちやんとそろえておくべきであるというお話がございましたので、本年に入りましてから全部承諾書にさらに調印を求めまして、承諾書をそろえた次第でございます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本年に入つてから二万八千二百数十名の全部の調印が整つたわけですか。
  77. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 委任状は整つております。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二万八千二百数十人の全部が調印されておるのですか。
  79. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 書類というお話はございませんでしたので、きよう書類は持つて来ませんでしたが、全部委任状をいただいております。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、中村さんに伺いますが、関係漁民の全部が委任状に調印したという御説明なんだが、そういう事実はどうなんですか。
  81. 中村一郎

    中村参考人 今の委任状の件でありますが、ここに控えを一通持つて来てありますのでお読みいたします。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと待つてください。その委任状請求と受領の権限の場合の委任状ですか。
  83. 中村一郎

    中村参考人 違います。それは昨年の十二月の半ばころ漁業対策委員会という会より、委任状が必要になつて来たからひとつつくつてもらいたい、こういうお話が私の方へありまして、私の方としては組合をつくつておる漁業従事者千葉漁民組合協議会という会議にかけましたところ、今さら使つてしまつた金を一五%承認したのしないのと判こ押してもしようがないという結論になりまして、私の方では当分の間、十二月から二月十六日まで印を押しおりません。ところがいろいろの方面からどうせ使つてしまつたのだからしようがないから印を押してやつた方がいいじやないかというような忠告もありましたので、私が最後に私の名前の下に印を押しまして、二月十六日に茂原の対策委員会の方へ提出してあります。その承諾書の内容を読みます。     承諾書  私ども昭和二十五年、昭和二十六年度分として交付せられた米軍演習による損害補償金より左記経費として十五パーセント差引くことを承認する。     記  一、補償金獲得運動資金  一、水産加工業者への見舞金  一、超短波無線機七台購入資金   昭和二十七年月日は入つておりません。出したのは二十八年の二月十六日であります。そうしてその月に全部記名調印がしてあります。この点につきましては、私が今申し上げました通り、一五%については加工業者へもうすでに配分してしまつておる。ただ残りの若干の金が使途が明確でないというだけであつて、すでに大半は消費されておるというので、無効印を押してやつてもしかたがないという考えで、私は自分たちの仲間である大原の漁船労働組合外五組合の各委員長を集めまして、印を押してやつたらどうかということで印を押してやりました。  それからこの問題に関連いたしまして一五%の件でありますが、このうちの残金につきましては、私は昭和二十七年の五月三日、九十九里漁業振興会という会が結成されましたときに、小栗山会長に対して、昭和二十三、四年度に対する運動資金の決算書とともに、昭和二十五、六年度の中間報告を、決算書のような形式で出してもらいたいということを、私それから安房の鴨川漁業従業員組合組合長加茂坂久男、それから勝浦町労働組合組合長の江沢豊吉、もう一人の方とお願いしましたところ、承諾はしてくれましたが、現在に至るもまだ決算書は出ておりません。それだけであります。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 小栗山さんにお聞きしますが、ただいまお聞きしました委任状は、いつ、だれが作成したのですか。
  85. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 今の承諾書は、ただいま河野部長さんからもお話があつた通り、全部承諾してやつたら今からでもおそくはない……。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 理由ではなしに、だれが、いつ、つくつたのですか。
  87. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 それは対策委員会でやつて、皆さんの方に御相談してつくりました。
  88. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたが命じてつくらせたのですか。
  89. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 そうです。
  90. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると小栗山さんに伺いますが、最初のこの委任状によりましては、補償金請求請求した金額の受領の権限だけでありますので、一割五分天引して他の費目に流用することは、委任状の権限を逸脱しておるということになるのではないのですか。権限外ですな。
  91. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 権限外ではございませんですが、先ほどお話した通り対策委員会の七十名の代表者が御相談をしまして、そうして加工しておる方にも、いろいろな関係があるのでくれてやつたらどうかということで、対策委員会代表者と御相談をして書いたのであります。
  92. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 対策委員会協議のことはともかくとして、対策委員会に入つておられるメンバーは七十人、ところが漁業者漁民は二万八千余名、そこで二万八千余名からの、金をもらつてもらいたい、受取つてほしいという最初委任状では、今のように一五%を天引してそれをほかへ流用するということは記載されておらぬのですね。
  93. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 それは私たちが七十名の代表者と相談をしまして、対策委員会の方から県の委員会へ出しまして承諾を得てもらいましたものですから………。
  94. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 承諾は、それはむしろ漁民やら漁業者末端の人の承諾が必要じやないですか。
  95. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 それはここに中村さんもおりますが中村さんたち皆さんが漁民代表者として各地区から出まして、県の委員会で御承諾を得てもらつた
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 県の委員会のことはよいのですが、あと承諾をとりましたね。
  97. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 そのときには、私も漁民の方ですから、そういう詳しいことは考えないでやりましたが、その後河野部長さんから、承諾書がなければいけないではないかというお小言を受けたために承諾書をいただくようになつたのであります。
  98. 中村一郎

    中村参考人 ただいまの問題につきまして、私が知つている範囲内で説明いたします。九十九里の本問題の一五%について、他に流用したという問題でありますが、不漁対策委員会には漁業業者は一人も入つておらぬと私は記憶しております。各業態の経営者のみをもつて組織されているということを聞いております。現実に私は漁民代表者でありますが、一回もそこに呼ばれたこともありません。それから県の委員会でありますが、県の委員会の構成人員はたしか二十一名だつたと思いますが、従業員代表は六名であります。それから網繰並びに雑漁、地びきの経営者代表がたしか十二名ではなかつたかと思います。それに県の井下田水産部長、本部水産課長、林漁政課長、これだけの人数で構成されておりました。それで九十九里の不漁対策委員会ではこの問題を具体的にするためにいろいろ今まで運動をした。これに相当な費用がかかつておるが、今後も一層補償金額増額の運動もやらなければならないし、また射撃場撤廃の運動もしなければならぬし、それと同時に、ただいま小栗山会長が言われたように、九十九里というのは特殊な状態にありまして、漁民であるような、加工業者であるような業態のところもあるわけで、そういうような点で、当初加工業者も不漁対策委員会の構成メンバーであつた関係上、それにもやらなければならないだろうというようなことが起りました。それは昭和二十三、四年度分の補償金配分委員会のときでありました。それが不漁対策委員会から正式に県の委員会に持ち込まれまして、いろいろ審議した結果、どうしてもやらざるを得ないような状態になりまして、そのときは私も承諾いたしました。そのときは一二%差引くことでありまして、そのうちの八%を加工業者にやり残りの四%を運動資金として残したのであります。先ほど私が証言いたしましたが、最後委員会におまして、とにかくわれわれは食うや食わずでおるのだから、今年度以後の補償に対しては加工業者にやることは遠慮してもらいたいと言つたことを、ここに会長もおられますし、参考人ではなく傍聴人の方の中にも委員の方がおられますので、記憶があると思います。そのときに、この次の分については加工業者にはやらないでもらいたいということをはつきりと強く主張いたしまして、大体各委員がその点については了承しているわけであります。ところが昭和二十五、六年度分の補償金が参りまして、また不漁対策委員会の方から加工業者に七%やつてもらいたいというような要望がありましたので、私は二十三、四年度補償をわける当時の約束と約束が違う。あのときはすでにやらないことに決定したではないかというふうに反対をしたのであります。ちよつと申し上げますと、私がこの委員会出席できる資格の点についてでありますが、私は各射撃場内に組合を持つ組合員総員に推薦されまして委員になつております。だから私のその委員会における発言は、すべてその傘下の従業員組合組合員の総意であるということによつて、私はその委員会において発言したのであります。そのときにまた七%を差引くということなので、私は猛烈に反対したのでありますが、大勢がやらなければならないだろうというような形態でありまして、私は反対のまま敗れてしまつたのであります。それで七%が交付されたのであります。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水産部長に伺いますが、あとから部下の報告によつて詳細御承知なつたらしいのだが、しかしいわゆる当初の委任状によつては、一割五分を他へ流用することはできないということは御判断になつたのではありませんか。
  100. 河野勝彦

    河野参考人 そのときの県の担当者の意見としては、対策委員会というものの委員が各地区の代表であつて、名地区の漁民が納得し、推薦した人々を出してある。その委員会において納得したのであるから各漁民の意向としてこれは納得になつておるというふうに見てよかろうと考えておられたようでありますが、これは事実上の問題といたしましても、正式には書類がなければいかぬというふうに私は考えて、書類をとるようにした次第であります。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それならばさきにお述べになつたように、一割五分の天引については、漁民希望によつて差引いたというのは、少し言い過ぎになるのではありませんか。御訂正になるべきではありませんか。
  102. 河野勝彦

    河野参考人 希望というのは、お説のように、ちよつと言い過ぎであつたかもしれません。大体漁民の内意があつて差引いた。こういうふうに訂正いたします。
  103. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからよしんば対策委員会が各階層、各地域から出ておるといたしましても、しかし問題は国から出た補償金であるので、その国から出た補償金を他の業者へわけたり、また他の個人、団体にこれを流すということは国の予算の執行といたしましても、これはできないのであるというふうに御判断はなかつたでしようか。
  104. 河野勝彦

    河野参考人 今のお説しごくもつともでざいます。私も一応不審を持ちまして、これも部下に聞いてみたのであります。以下述べるのは部下の話でありますので、私の直接の意見ではありませんが、今お述べになりましたように、相対立するもの、または全然わく外の他のものにやつたというふうには、その当時県の担当者は考えていなかつたように思うのであります。その理由を申し上げますと、第一点は、運動費でありますが、運動費につきましては、これは結局運動費が相当かかりましたのは、それほどほむべきことではありませんが、とにかく百数十回という大挙した運動を繰返し繰返しやりまして、やつといただいた金でありまして、その運動費なかりせば、この補償金はおそらくいただけなかつたであろうということが、現在の段階において考えられます以上、この金は全部の人間に均霑されておる金でありまして、これは差引いてよいのであろうという判断が一つ。  第二点といたしまして、無線機に金を出しました点につきましては、これは進駐軍が——当時は進駐軍でありますが、演習を始めますときには無電で連絡をいたしまして、漁船は早い時間内に現場を立ちのくということが命ぜられておつたのでありまして、その命令が早い時間に徹底するということが必要であつたというふうに思うのであります。その早い時間に命令が徹底するためには、数隻の漁船がやはり無電を持つてつて、その無電を受けた漁船が他の漁船に連絡をするということが必要でありまして、その数隻の無線だけが受益を受けるというふうに考えていなかつたように思うのでありまして、その点も全部の受益の金であるというふうに、当時の県の担当者は判断しておつたようであります。  第三点の加工業者の問題でありますが、この加工業も私参りましたときには、加工業者にやつたということは非常な奇異の感を持つたのでありますが、だんだん調べてみますと、九十九里におきます加工業の形態は一般の都市にあります商工業者たる加工業者というような進歩した形態でなくて、おそらく漁民と同類項の人間がやつておりますところの、一つの漁民的形態の加工業であるというふうに私は現在判断をしておるのでありまして、この判断は間違いでなかろうと思うのであります。かような意味におきまして、商売人にやつたとかいうことでなくて、おそらく水産業者の——大きく言えばそのわくの中に含まれる人間にやつたのであるというふうに、当時の担当者は判断してやつたようであります。
  105. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調達庁の方に伺つてみますが、これは予算の費目のうちどういう目になるのですか。
  106. 志賀清二

    ○志賀説明員 古い方の分は終戦処理業務補償費ということになつております。それからその次の分が九千七百万円ですが、これも同じであります。それから防潜網関係の分は、防衛支出金漁業補償費漁業見舞金、それが四月二十八日以後の防潜網関係であります。それから四月二十八日前の占領期間中の分が特別補償費漁業見舞金ということになつております。
  107. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと調達庁といたしましては、この予算の執行は最終的には演習によつて被害を受けた漁業者、それと乗り組んでおる漁業労働者漁民ですか、そういう人々に支払うべき損害である。こういうふうに了解してよいのでございますか。
  108. 鈴木昇

    鈴木説明員 さようであります。
  109. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると水産庁長官に伺つてみますが、水産行政上この種の損害を適当に補償するということが最も必要なことであることは問題はないのです。さりながら漁民漁業者補償するという費目の経費が、それ以外の人に流れて行くということは、これは財政法上できないのではないのですか。
  110. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問でありますが、財政法上の法律的な関係については、私ども詳しく研究いたさなければお答えできませんが、水産庁といたしましては、当該補償金は水産事業者に対する補償金ということで、私ども承知をいたしておるのであります。従いまして、この一割五分程度のものが漁業者以外の手に渡ることは、ちよつと問題があるのじやないかというふうにも考えておりますが、かりに漁業者が同意をいたしたということであればやむを得ぬのじやないか、こういうふうに考えております。
  111. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 かりに百歩譲つて漁業者が同意ということでありましても、同意の根拠がもう一つはつきりしないままに経過しておりますが、予算の執行上は、やはり一応その対象になつておる業者漁民に渡ることが趣旨じやないでしようか。途中で一千数百万円が他へ流用されるということは、水産庁のお立場からしても、それは絶対に避くべきことだというほど、強く考えるべきで筋合ではないのでしようか。
  112. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御質問でございますが、確かにこれはお話の通り漁業者に渡るべき金でございますから、漁業者に全部渡るべき筋合のものであると私も考えております。ただ実際問題といたしまして、先ほど県の水産部長からもお話があつたのでありすまが、事実相当支出してある部分が、ある程度理由があるようにも思われるのであります。それと同時に、漁業者がこれについて承諾の意思表示をしておるということでありますれば本来の趣旨とはちよつと違うかもしれませんが、やむを得ぬのじやないか、こういうような考えを持つておるわけであります。
  113. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水産部長も、この金が対策委員会へ渡る以前に漁業者及び漁民の全権利者が自由に他へ流用することを承諾しておるという御見解ですか、そこをひとつはつきりとお述べを願いたい。
  114. 河野勝彦

    河野参考人 私もその当時の事情はよく存じませんので、その辺は私の見解としては申し上げられませんが、県の担当者の意見としては、みんなの気持の上では承諾をとつてつたというふうに判断しておる、こういうふうに申し上げておきます。
  115. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 県の水産部長としては、私が今質疑いたしました点について部下からお聞きになつ程度で、みずから事実に基いて判断なさつておるようには思えないのであります。  そこで小栗山さんに伺いますが、小栗山さんは対策委員会会長であるが、一般漁業者漁民にまずもつて納得をせしめた上で、使うべきであつたというようにはお考えになりませんか。
  116. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 納得があつたことと考えます。ここに中村さんもおりますが、たとえば、匝瑳からも、山武からも、長生からも漁民代表者の皆さんが出ておつたところへ、加工業者からそういうお願いがあつたから、委員会に取上げまして話をしたら、納得が行きました。
  117. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一五%の金をそれぞれ分配したのは何月何日でございますか。
  118. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 四月六日と思います。
  119. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 中村さんに伺いますが、四月六日に金を渡した。一割五分の金を渡したり、物を買つたのでしようが、そうしますと、漁民の諸君のこれに対する承諾的な行為があつたというのは一体いつのことです。
  120. 中村一郎

    中村参考人 その点についてでありますが、先ほど私が申し上げた通り、県の委員会の最終決定は、たしか三月の二十二日に委員会が開かれておりまして、そのときに八千九百三万円の七%を加工業者にやるということと、それから運動資金として八%を残すということが決定になつておると思います。日にちは一日か二日ずれることもあると思いますが、私の日誌の記録ではそういうふうになつております。そのときには、従業員代表として六人が全部出席しておつたかどうかわかりませんが、他の委員は——これは従業員代表意味でありますが、これに対しては賛成でもなければ反対でもないという無言でありました。これにはその土地の漁業実態からして、いろいろな含みのある問題じやないかと思います。それで発言することは差控えたのではないかと思いますが、私は自分がその当時の協議会の会長としまして、協議会はこの問題については再三開かれておりましたが、その決定に基いて反対したのであります。委員は県の委員も混ぜて二十二人おりましたが、反対したのは私一人でありまして、あとの者は発言しない人、もしくは賛成の同意者でありまして、漁民の意思云々というようなわけではなくて、会議の構成上からいいますれば、当然多数決をもつて決定されたということになると思いますが、私は当初から反対でありました。私の意思は即千葉漁民組合の意思であります。
  121. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次に進みます。あなたが会議に参加されたときに、あなたの傘下にある各漁民——何万かしりませんが、その何万かの漁民の意思を代表したということだが、しかしながら千二百八十三万余円に対する一割五分が、この間の水産庁のお説明では四百六十三万七千何がしになつておりますが、四百六十万円の金を対策委員会の方へ交付してもよい、そういうふうに流用してもよいということをあなたは受任されて行きましたか、そういうことをどちらにきめてもいいという権限があつたのですか。
  122. 中村一郎

    中村参考人 私にですか。
  123. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうです。
  124. 中村一郎

    中村参考人 その県の委員会は、私が知つている範囲内では、最初補償金千葉県に来て、それを各業種別代表が集つていろいろ数字的に、またその演習場への遠近、それから操業の度合い、それから漁船のトン数、その他いろいろな計算の問題を検討いたしまして、大体どこそこの地区はどの程度被害がある、どこそこの地区はどの程度被害であるというような算定をして、その委員会の決定によつて補償金が交付されたというふうに考えております。
  125. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたに伺いたい点は、どこへ多く、どこへ少くするという配分協議に参加する権限があつたとしましても、補償金対策委員会へ四百数十万円流す、そういうようなことを同意する権限があなたにはあつたかというのです。
  126. 迫水久常

    迫水委員長代理 中村君、こういうふうに答弁されればいいのです。あなたは漁民組合の協議会会長という立場で、漁民の意思を代表してその県の委員会出席しておつた、こういうことをさつきからしきりに言われる。しからばその場合、あなたの代表する漁民の意思の中には、流用するということを承認するとか承認しないとかいう問題まで含んでおつたのかどうかということです。
  127. 中村一郎

    中村参考人 わかりました。その点につきましては、その当時、ここにありますが、連合国軍の演習による漁業者のこうむる損失補償金交付要綱という書類が各委員手元に渡りまして、この内容は、加工業者並びに運動資金、その他無線の費用にするというようなことをしてもいいというようなことは書いてありません。これは各自各自に漏れなく配付しろということは書いてありますが、運動資金にとれとか、あるいは加工業者にやれとかいうことでなく、直接被害を受けた漁民に交付するということになつておりますので、私はこの点については再三再四反対しておりました。だから私としましては、交付要綱以外に、この問題に賛成するとか賛成しないとかいうような権限はなかつたのであります。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、あなたは対策委員会へ四百六十数万円を流すということについて、被害者である漁民代表しての、その可否、承諾するやいなやについての何らの権限がなかつた、こういうことですね。
  129. 中村一郎

    中村参考人 そうです。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでさらに小栗山さんに伺います。小栗山さんの方で四百六十三万何がしか対策委員会経費として流されているわけでありますが、今お聞き及びの通りに、漁民代表としての中村さんには、何らの同意する権限、承諾する権限がないのですが……。
  131. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 いや、そういうこと はありません。中村さんも県の委員会にタツチしておりまして、それはもちろん運動費はわれわれのためにかかるのだから十分引いてくれという言葉もあつて、満場一致できまつたのでございますから、私たち対策委員会として無線機に三百万、加工連に七%のほかは、別段一銭も流してありません。
  132. 中村一郎

    中村参考人 ただいまの小栗山さんの発言でありますが、県の委員会におきましては、私は運動資金をたくさん出してもらいたいというようなことを発言した覚えはいまだかつてありません。但し九十九里対策委員会という会議でどのような決定がなされたかわかりませんが、この会議には私一度も出席しておりませんし、その会議のメンバーでもございませんので、その点について私はわかりません。
  133. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 小栗山さんに伺いますが、四百六十三万七千八百円ですか、この金は対策委員会が受取つてどういうふうにお使いになつたのですか。
  134. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 大体対策委員会としましては、運動費あるいは県の方へ出す資料作成のための会議費で、大体が会議費と運動費に使つております。
  135. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 運動費というのはどういうことですか。
  136. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 水産庁の方へ陳情に参ります旅費——日当はとりませんが、汽車賃、それが数回にわたりておりますから、そういう金に使つたわけです。金もまだ残つております。
  137. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 調達庁の方の方に伺いますが、調達庁といたしましては、この種の経費が他の別途の経費もしくは別の方面へ流れて行つた加工業者あるいはその他機械、備品の購入及び対策委員会へというふうに流れて行つたということについては、いつごろ御承知なつたのでありましようか。
  138. 鈴木昇

    鈴木説明員 調達庁といたしまして、水産関係補償を扱うようになりましたのは、本年度からでございますけれども九十九里本件関係のことにつきまして話を聞きましたのは、二十七年の八月ごろかと思います。
  139. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十七年の交付されました当時はどこが扱つたのですか。講和条約発効以前は終戦処理費、以後は防衛支出金というふうに今お述べになりました。大体こういう事務は調達の扱う事務のように思いますが、どうですか。
  140. 志賀清二

    ○志賀説明員 終戦処理費特別補償費調達庁として所管いたしておりますが、この補償額の算定にあたりましては、調達庁自体では実際漁業を管理しておりませんので承知しておらないために、水産庁で算定をしていただきまして、それを通知を受けまして配付したわけであります。従いまして終戦処理費でやりましたものにつきましては、二十五年の十二月に通知を受けてそのままやつておるわけであります。それからその後の分につきましても、二十七年の二月二十一日に水産庁から通知を受け、それに基いて同じく二十五日にその通り当該府県に配付しておるわけであります。
  141. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体事態は判明いたしましたが、九十九里浜の件について最後水産庁長官に承つておきますが、この程度の金が二万八千数百名に渡るということになれば、その高に多少はあると思いますけれども、おそらくは千円とか五百円とか、二、三千円とかいうふうになる人がずいぶんあるのではないかと思います。従つて最後末端に渡るときはそういうような零細な金になるのでありますが、そういう現実に受けた損害を補償してもらうというような問題を、中央政府に向つていろいろと陳情いたしまして——陳情はたいへんけつこうでありますけれども、それにしましても、これぐらいな金額で四百六十万円もの運動費を天引するようなことは、私ども予算の執行の面から考えてみましても、水産庁としても相当深い関心を持つて、今後また考慮されるべき筋ではないかと思います。そういうこともあるので、今度の内海の方の防潜網については、直接渡したことになつてつて改善されたのかと私どもは考えるのでありますが、要するにこういう大きな運動費をとるというようなことは、今のまことに悪い例だというふうに私どもは判断します。先般来のこの委員会におきましての審議においても、公共事業費なんかは、あつちやこつちいろいろと調べてみますと、運動費とかなんとかいう名目でたくさんな金を使つて、その愛いろいろな事件を引起しておる例もあるのです。今後もあることでしようから、ひとつ長官としてこういう問題に対しましてどうお考えになるか、もう一ぺん伺つておきたいと思います。
  142. 清井正

    ○清井政府委員 ただいまの御発言まことに適当なる御発言と私どもは考えます。確かにこの私ども計算いたしました金は、いわゆる漁業者に手渡すようにということで計算いたされたのでありますから、当然これは漁業者に行くべきはずのものであります。しかしこの問題は、先ほど来お話があつたのでありますが、漁業者の同意がありますし、それから他へ流したと申しましても、超短波無線機、あるいはその他等ある程度やむを得ないところに相当流用されておるというように考えますので、この事件につきましては、私どもといたしましては、やむを得ないというふうには考えておるのでございますが、確かに先ほど御指摘になりました通り、かかる問題は絶対に今後に尾を引くようなことがあつては相ならぬ、こういうように考えるのであります。実は私も最近転任して参りましたので、詳しく事情承知しておりませんが、すでに水産庁といたしましては、この事件につきまして、去る一月八日に、防潜網等による漁業経営上の損失に対する見舞金支給に関する件という通牒を、長官名をもつて関係各県に出しました。かかる問題が今後起ることのないようにという趣旨において、各現地に対して厳に戒めておるような次第であります。従いまして私どもといたしましては、かかる事件が今後起らないように、今後漁業者に不利益を与えないように、漁業者に行くべきようにし、もしもかりに加工業者に金を出さなければならないという事件が起りますれば、これはまた別途の措置でやるべきものだと思いますので、この点は絶対にあとに尾を引かないようにいたすべきであるというように考えております。
  143. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 小栗山さんに尋ねますが、あなたの方は、今金が配分された残りは、幾ら残つておりますか。概算でよろしゆうございます。
  144. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 七十万円ぐらい。これは概算でございます。
  145. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 運動費と称するのは、予算が決定し、もしくは配分されるまでが普通運動費だと思いますが、その運動費すら、私どもはよくないと思います。しかし、さらに何もかも済んでしまつて、なお七十万円も残しておくという金をとるのは、どういうわけですか。
  146. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 別段とるという私どもの気持でもない。私は正直にやつておりますから、余分な金は使いません。使いませんから残つているということになります。決して私は不正なやり方はしておりません。今まで対策委員会の方がたくさんな費用をもらつたということにつきましては、私の至らないためにこういうことになつたのですから、私は本日ここでおわびいたします。今後決してそういうことはいたしません。
  147. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が申し上げるのは、事がなるまでが運動で、済んでしまつてから、なお運動資金にとつたものを残しておくというようなことは、多額に取過ぎるということにもなるのじやないでしやうか。運動というのだつたら実費弁償ということなら筋が通るだろうと思うのです。しかるに使いもしない金がまだ七十万円もあるというのは、一体どういうわけでしよう。
  148. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 必要と思いましたからもらつておいて、それがいらなかつたから今日持つているような始末で、今後のあれには、決して費用としてはいただきません。
  149. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの対策委員会というのは、それぞれの財源があり、予算が組んでおありであると思いますが、零細な漁民へ、各方面の協力があつて、せつかく補償として渡さるべきものを、中間において対策委員会で、なお七十万円もじつと持つておるということは、良心的に考えてもあまりほむべきことではないと思うのですが、あなたはそれを持つておられても、あたりまえだというお気持でございますか。
  150. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 あたりまえという気持でもないのです。漁業者にわけてやるべきが普通でありましようけれども、使わなかつた金だから、予定よりいらなかつたから余つたというようなことであります。
  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは大体議論も尽き、事情も判明いたしましたが、さかのぼりまして、四百六十三万余りのこの金は、やむを得ざるものを差引いて一般の漁業者あるいは漁民に返してやることはできないものでございますか。
  152. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 それはできます。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしませんと、政府予算をとりに行くのに運動資金を巻き上げるようなことは往々あるのです。天引き一割とか一割半というようなことで、あらゆる事件を引起しております。この間からここで審議をたくさんにしましたが、そういう例は何ぼでもあるのです。ですからそういうことは本来のあなたが目的になさる趣旨には沿わぬだろうと思いますので、これはもしできたら、事態を円満に収拾する意味におきまして、それぞれと御相談になつて、やむを得ざる実費は差引くとしましても、それぞれ漁業者配分すべきが至当じやないかと思いますから、これを希望いたしておきます。  それから、防潜網の問題でありますが、防潜網のは最初に渡りましたのはいつということになつておるのですか。私ちよつと聞き漏らしましたので、水産部長さんに伺います。
  154. 河野勝彦

    河野参考人 ちよつと私……。
  155. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どなたでもけつこうです。——これはやはり調達庁から出た金でございますね。
  156. 立川宗保

    立川説明員 防潜網につきましては、昭和二十六年度におきまして七百八十二万円、これは、防潜網を迂回するためにいろいろよけいな経費がかかつているためにこれだけのものがすでに支出されている。それから先ほど申し上げました金額でございますが、一億九百十八万円、これだけのものは現在千葉県の方に支払い委任をしておりますが、これは魚道遮断その他によつて漁業に非常な影響を及ぼしたということを内容といたします見舞金でございます。これは現在千葉県の方でどの程度支払い方が進行しておるか、お取扱いが進んでおるか、あるいはまだ漁民の方々には行き渡つておらぬかもわかりません。
  157. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、まだ交付が完了しておらぬかもしれない、こういうことでございますか。
  158. 立川宗保

    立川説明員 その通りです。
  159. 迫水久常

    迫水委員長代理 水産部長さんの方はいかがです。
  160. 河野勝彦

    河野参考人 防潜網のあれで今度もらいまして、今配分計画を立てております金についての御質問でありますれば、私からお答えいたします。この金の参りましたのは、昨年の御用終いの二十七日であつたと思いますが、その後の県の措置を簡単に御説明いたします。  まずこの金が県に参りました上は、これを数千名にわけるということでございますので、県といたしましては関係地区ごとに——実はこの金は三本にわかれて参つたのでありまして、その三本と申しますのは、魚道遮断による影響、防潜網の遮断による直接被害の影響、防潜網の南部におきます海底聴音機の影響で、この三つにわかれて参りました結果、この三つの委員会をつくりまして、各関係地区から委員を選びまして御推薦をいただきまして、これを知事が県条例に基く委員として委嘱いたし、この委員会にそれぞれこの三本の金の配分をお願い申し上げたわけでございます。詳しく申しますと、魚道遮断の中にもう一つ分科会がございます。東京内湾に入り会う入会いの中型網繰船への配分でございますが、この四つの委員会が現在できて、配分計画を立てておるのでございます。初めこの委員会におまかせをしておつたのでありますが、この予算が本年の三月三十一日をもちまして終りになるわけでありまして、先月の終に、実はこの委員会委員長に県に御参集いただきまして今のままの状況では本年の予算の執行ができなくなる、これを明年度に繰越すというようなことは非常に不手ぎわである、従つてどうしても配分しようではないかということを提議いたしました結果、委員会ごとに現在審議しておりますところの状況過程におきまして、いろいろな異論が続出しておるのでございますが、これは委員会それぞれの手においては処理し得ない問題が多々あるのでございます。その点につきましての調整は県ではかる。初め委員会にあげて一任したのでございますけれども委員会で相当日数を要しましても配分計画ができないという現状におきましては、そのできないといういろいろな点について相当程度県が調整しなければならぬという段階に参つておるのでございます。現在その調整は八、九分完了いたしまして、配分計画がきのうきようあたりに大体確定するというような段階になつております。ただこの配分計画が確定いたしましても、いろいろ請求の申請の手続、それからその書面が数万通に上り、その書面の審査その他に相当の日数を要することでございますので、県といたしましては極力事務手続を急ぎまして、本月の終りごろには関係地区に金が渡りますように——個々の業者にはあるいは四月になるかもしれませんが、代表者には三月の終りに金が渡るように、職員を督励いたしまして鋭意勉強中であります。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この防潜網の見返り資金につきましては、九十九里浜補償金のごとく中間に対策委員会とか何かがあつて、何パーセントか天引したという事実はないのでありますか。
  162. 河野勝彦

    河野参考人 天引するということになれば金が渡つてからの話でございますが、現在は金が一文も渡つてないのでありますから、途中で天引というようなことはあり得ないと思います。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 十二月二十七日に金が来たのではないのですか。
  164. 河野勝彦

    河野参考人 金が来たと申しますのは、日銀の千葉支店に来ておるわけでありまして、それを現在県は全然引出しておりませんし、関係漁民に渡してもおりません。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと、この防潜網の方の関係につきましては、最終の漁業者へ渡るので、その中間にどこかへまた流れて行くということは考えられぬのでありますか。
  166. 河野勝彦

    河野参考人 実は九十九里の問題は非常に芳ばしくない実例でございますので、今回は、先ほど申されましたように、水産庁長官の御指導もあつた次第でございまして、県といたしましては、最終の個人別配分が決定しなければ金を出さない。その個人別配分に関しまして、りつぱな委任状組合長あてに出させまして、組合長がその委任状を持つて来たあかつきにおいて県がこれを交付いたしますけれども、各委員会におきましてすでに配分計画ができますと、個人別のものがすつかりわかるわけであります。個人別にすつかりわかつたあかつきにおいては、県はこの金を書面をもつて個人別に通知する。九十九里浜の事件が起きました原因を考えてみますと、各個人が自分でどのくらいの金をもらうということがはつきりしておらなかつたということが非常に問題だつたと思いますので、このたびは県でわけました金は、AならAという人間には幾らであるということをはつきり確認をいたしまして、それを書面をもつて個人別に通知をするということにいたしますれば、個人に幾ら金が来るかということははつきりいたしますから、これは途中で差引くことができないということになろうと存ずるのでございます。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは巷間伝わるところでは同様に一割五分天引になるということを言つておる向もあるのですが、そういう協議とか話合いとか形跡とかいうものも何もないわけですか。
  168. 河野勝彦

    河野参考人 防潜網につきましても幾らかかつたか存じませんが、運動費は多少はかかつたように私どもも仄聞しておるのでございます。従いましてこの金はどうなるかという処置につきましては、われわれも関心は持つておるのでございますが、このたびの水産庁の御通牒にもございます通りに、漁民の手に各個人別に一旦金が渡りまして、そうして領収証がはつきり出ておるということを県の方では突きとめたい、こう考えておるのでありまして、個人に一旦渡りました上に承諾をいたしまして、その対策委員会というようなものにみずからの希望で金を拠出するということになりますれば、これは県の関知しないことでございます。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは形式が、渡つてから後にまた一割五分引かれるということになりましたら、非常に巧妙な天引が行われるということになるだけでありまして、やはりそれによつて流す実害また芳ばしからざることは同様になりますので、渡つてから後に自由処分してもいいというのは、それは渡つてから後に受取る、他へ一割五分に相当するものをとられるということになるべきでないと思うので実は伺うのです。この種の予算をとるときに、何パーセントか運動費にとるというようなことは、政治を腐敗さすもとであります。だから前であろうとあとであろうとそんなことはわれわれ問わないのであります。いずれにいたしましても、運動なら運動で最初からこれだけの費用がいるのだといつてとるのならわかります。あるいはまた一定の財源を持つた何かの会が動く、それもわかります。けれどもこれであと先にかかわらず何割か天引するということは、私は九十九里浜と同種の大きな問題を含んでおるように思いますので、それを危惧するがゆえに巷間伝わつているいろいろなことをお聞きするのであります。ほかの方の、富津関係の方なんかもおられますが、何か御相談でもあつたのか、そういうことをこの委員会説明のできる人があつたらひとつ言明しておいてほしいと思うのです。
  170. 森竹次郎

    ○森参考人 経費の点に対しましては若干かかつておりますが、各単協別に私の方は経費を負担いたしますゆえ、政府から見舞金を交付されました金額は、そのまま漁民配分する計画を立てております。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の質問はこれで終ります。
  172. 田口長治郎

    田口委員 河野さんにちよつとお伺いしたいと思います。さつきのお話で何か代表者に金を渡した、その代表者が地元に持つてつていろいろなアンバランスの点があつたから、それらの点を修正して漁業者に渡した、こういうお話のようでございますが、それに間違いございませんか。
  173. 河野勝彦

    河野参考人 私あとから聞いたわけでございますが、全部ではないのですが、一部にそういう組合があつたように思います。
  174. 田口長治郎

    田口委員 この配分計画は、各組合別あるいは業種別個人の金額をまず算定して、そして県の方に申請をし、その書類を国の方に送つて来た、こういうことになつておると思うのです。従つて実際上から言いますと、国が割当てたときに、おそらく各個人のものを集計した漁業組合に対する金額がはつきりしておると思うのでございますが、一歩譲りまして県まで行く金が、そこまではつきりしていないということにいたしましても、少くとも県は責任を持つて、各個人までの割当金額がはつきりした上で、交付すべきものと考えるのでございますが、県が一応交付した金額を、漁業協同組合組合長といいますか、代表者が、かつてにそこのところでかげんをして交付することができるようなことになると、この補償法で考えておるきわめて重大なる重点と、非常に反することになるわけなのですが、この点県の方ではどういうふうにお考えでございますか。
  175. 河野勝彦

    河野参考人 その点につきましては、たびたび申し上げますように、私その当時いなかつたので、どういうふうに考えるかと申されましても、その件につきましては私意見がないのでございますが、今後は、日にちがございますれば、やはり個人別に確定をいたしまして、その確定額に対しまして、個人別の通知書をもつて金を払うというふうにすべきものであると考えております。
  176. 田口長治郎

    田口委員 二十五年度、二十六年度補償金につきましては、とつさの場合でございましたから、いろいろな問題がその間にあると思いますけれども、本来この補償金というものは、的確に個人に行くべき金なのですから、将来その点をひとつよく御研究くださいまして、少くとも協同組合長、あるいは代表者のところに行つて代表者の裁量によつてこの金額が左右されるということがないように、御注意を願いたいと思うのでございます。  それから小栗山さんにちよつとお伺いいたしますが、九十九里浜漁業補償金加工業者に分配された。これは加工業者が、漁業従業員漁業関係の仕事をある程度負担してやつておるという事実がなければ、なかなか説明しにくい問題と思うのでありますが、ああいうような特殊の地形でもありますから、多分加工従業員漁業の仕事の一部をやるというような点も多々あると思います。ちよつとあなた方がお考えになつて、その種類の仕事はこういう仕事だという点を、ひとつ詳細に御説明願いたいと思うのでございます。
  177. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 ただいまお話の、加工業者補償金を交付したということにつきまし、御説明申し上げます。この加工業者というのは、朝六時から、運搬船が運んで来た魚を動力で本船へ引上げるワイヤーを引く手伝いをしたり、仕事を終つた船をおかに引上げるときに、船の下へ敷く——海岸ではこれをバンと言いますが、その船の下へ敷くものを持ち運んだり、みんなそういう関係で、九十九里浜としては、どうしてもわれわれ業者としても——先ほどからのお話では、政府からいただいた金は業者でわけるべきではないかと言われましたが、われわれとしては、そういう人たちが人手の足りないときに、加工をしていても、網をしまうときには来て手伝つてくれるので、どうしてわれわれ業者としては、情をもつてしても出さざるを得ないというので、協議の結果そうなつた次第であります。
  178. 田口長治郎

    田口委員 ああいう遠浅のところでございますから、船を沖に出すだけでも、少くとも冬なんかは、腰まで水につかつて船を出すような仕事もしておられると思いますが、漁夫が人員が足らないときに、加工従業員がかわりに、それではぼくが行こうというようなことで、飛び乗つて行く、さようなこともありますか。
  179. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 あります。それは地域によつてはないところもございましようが、九十九里浜の場合には特にそういう場合が多いのでございます。
  180. 田口長治郎

    田口委員 今の事実は中村参考人もお認めでございますか。
  181. 中村一郎

    中村参考人 その点につきましては、九十九里、太東岬以北については、ただいま小栗山会長が言つたようなことがあると考えます。但し私の地域以南のところでは全然別個でありまして、加工業者というものは一種の商人であります。そういつた点で、私の方と小栗山会長のいる片貝あたりとは、多少性質を異にしておると思います。
  182. 田口長治郎

    田口委員 ただいま太東岬以南の加工業者は商人だというようなお話がございましたが、この以南において、漁業者から、いわゆる網主の方から、原料を加工業者が買う場合においては、資金の点はどういうことになつておりますか。原料を受取られて、すぐそこで仕切られるような状態になつておりますか。
  183. 中村一郎

    中村参考人 その点でありますが、大体太東岬以南、ことに私の地区あたりでは、一応船主に対する常あげと言いまして、大体株券——いわしの枚数、漁獲高に対する割当を受ける券、そういうようなものを持つておる加工業者でありまして、私のところは全部あぐりの業者で、個人経営であります関係上、競争入札のような形でありまして、一応常あげがあつても、常あげの方で、たとえば一貫目につき百円だと言う。ところが経営者の方では百二十円で売りたい。折合いがつかない場合に、常あげの方にはまわさないで、飛び入りと言いまして、他の地区から買いに来ている人に売ることも往々にしてあります。それで加工業者の方はそれを買つて行きまして、自分で加工して、自分で出荷して、利益があればもうける。損した場合には自分が損する。特別な状態で、ひよりが悪かつたり、雨が何日も降つたりして、特別な大損の場合には、私の方と経営者加工業者と三者で協定いたしまして、ある程度値段を安くすることもあります。  それから先ほど委員の方から御質問のあつた点でありますが、その点について私の見解を述べさしていただきます。先ほどの河野水産部長に対して、途中で組合でというようなことがありましたが、その組合については、漁業協同組合をさしておるのでありまして、おそらく漁船労働組合とか漁業従業員組合とかいうものをさしておるのではないと思うのでありますが、一応あの金を受取りますときには、漁業協同組合が主体となりまして、漁業協同組合が金を受領して、それが漁業協同組合の地域において各業種別配分しております。たとえば私の組合を例にとりますれば、網繰従業員全部が組合員でありますので、私の方の幹部が参りと欲して組合から受領いたしまして、各船から何名かの委員を出して、その委員の立会いのもとに、各船ごとに漁業協同組合から指示された額だけをわけまして各般でまた自分たちの計算によつて、たとえば私は一年半だ、あるいは一年だという月別の算定をいたしましてわけております。
  184. 田口長治郎

    田口委員 河野水産部長にお伺いしますが、この補償金の問題につきましては、県に対策委員会というものを設けておられるわけですが、これは県の条例か何かでつくつたのですか。
  185. 河野勝彦

    河野参考人 はい。
  186. 田口長治郎

    田口委員 そのほかに下部組織として九十九里浜沿漁業……。
  187. 河野勝彦

    河野参考人 間違いました。対策委員会というのは、県の条例でつくつたのではないのです。配分委員会は条例でつくつたのであります。
  188. 田口長治郎

    田口委員 配分委員会ですか。そうすると、この補償金に関する公式の県の委員会というのは、配分委員会だけですか。
  189. 河野勝彦

    河野参考人 はい。
  190. 田口長治郎

    田口委員 この九十九里浜沿岸漁業対策委員会、これは別に県が関与されておる団体ではなしに漁業者が便宜のためにつくつておる会、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  191. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 あれは漁業経営者がつくつておるのでございます。
  192. 田口長治郎

    田口委員 さつき中村さんは、このほかに千葉射撃委員会というようなことをお話になつたようでございますが、さような委員会もまたあるわけですか。
  193. 中村一郎

    中村参考人 その点につきましては、私の間違いでありまして、正式の名前はたしか千葉補償配分委員会ではないかと思います。それの間違いではないかと思いますので、訂正いたします。
  194. 田口長治郎

    田口委員 今のお話は、河野水産部長の言われたいわゆる配分委員会ですか、そういう意味ですか。
  195. 中村一郎

    中村参考人 そうです。間違いでした。
  196. 田口長治郎

    田口委員 今までの河野さん、小栗山さんあるいは中村さんの話を黙つて聞いておりますと、何かそこに気持が合致しないような点が見受けられるのでありますが、これは立場々々の関係もありまして、そういうような気持で主張されるから一致しない、こういうふうにとれるのであります。大体こういうような問題が国会あたりで持ち上るということは、千葉県としても、あるいはまた日本の水産界としても、あまり名誉なことではないと思うのであります。何か委員会を通じて、あるいは九十九里浜沿岸漁業対策委員会とかいうようなところで、千葉県の方々がほんとうに心を一つにして打合せができて、そこできまつたことでみなが気持よく一致して進む、こういうようなことができないがために、千葉県内の問題にいろいろさらけ出すということは、千葉県のためにも非常におもしろくないし、またこの補償金問題なんかにしても、将来に決して好結果を及ぼさない、こういうふうに私は考えるのでございます。きようちようど関係者が一同そろつてこの委員会においでになりました機会に、内部的にきまるまでは徹底的に議論をして、一旦きまつた以上は一致団結して千葉県のために正当なる補償金を国家からとる、こういうようなことに将来はまとまつてもらいたいと考える次第でございますが、こういう考えに対して、小栗山さん及び中村さんはどういうような気持でおられますか。そういうことはできないというのか、あるいは将来何とかそういう方向に努力して、一日も早くそういう形にしてしまおうというような気持でおられるのか、御両人のお考えをちよつとお伺いしておきたいと思います。
  197. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 今後は一本立てにする考えであります。
  198. 中村一郎

    中村参考人 ただいままでは、私の方も幾分感情的に走つてつたということがあつたことも事実でありますが、対策委員会、また小栗山会長初め何人かのグループがあらゆる問題を独善的にやつてつたというようなそしりを受けることも免れないのじやないかと思います。小栗山会長も、今後こういうようなことをなくして、お互いに協力して射撃の問題その他あらゆる問題を漁業発展のためにやつていただけるということでありますので、私の方も、誠心誠意経営者並びに関係各諸団体、県庁とも連絡をとり、かつ協力して、今後の水産業の発展のために尽して行きたいと思います。
  199. 田口長治郎

    田口委員 千葉県の問題に関連しておられますところのおもだつた方から、将来はとにかく一つにまとまり、かくのごときことがないようにというお話を承りまして、たいへん喜びにたえない次第であります。こういう問題がたびたび起りますと、調達庁も迷惑しますし、水産庁も迷惑し、またひいては千葉県庁も迷惑する。それがたび重なると結局漁業者の損だということになるのですから、その点もひとつお含みの上、私のいろいろ申しました点を十分将来是正していただくということを特にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  200. 中村一郎

    中村参考人 ただいまの委員の御説明によりましてよくわかりましたが、先ほどからの私の答弁と小栗山会長さんの答弁とに相当の開きもありますので、私の希望する点は、小栗山会長さんが前年度射撃補償金に関する決算をすることをお願いいたしたいと思います。
  201. 小栗山熊太郎

    小栗山参考人 二十六年度の決算はいたします。
  202. 迫水久常

    迫水委員長代理 会計検査院の方はこれについて何かお話がありますか。——別になければ、以上でこの問題に対する審議を終ります。参考人の各位には御多忙のところまことに御苦労さまでございました。これでお引取り願つてけつこうです。     —————————————
  203. 迫水久常

    迫水委員長代理 次に前々会に保留となりました通商産業省所管決算検査報告第百九十六ページ、報告番号六四二、すなわち丸菱通商株式会社に対する輸入故衣料の売渡しにあたり処置等を得ないものを議題として、ただちに質疑を許します。吉田君。
  204. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産当局に残りをお尋ねいたします。大体これは取引上のあらゆる事態に対する責任を丸菱が負担するという約束になつてつたということが、これが需給の変化に伴いまして、この批難事項を生むに至つた原因と思いますので、大体どういうような丸菱と通産省当局との間に話合いができておつたのか、これを一応はつきりしておきたい、こう思うのでありますが、概要でよろしゆうございます。
  205. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員にお伺いいたしますが、一応通産当局に本件の概要をわかりやすく説明さしたらどうでしようか。
  206. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかるべく……。
  207. 及川逸平

    ○及川政府委員 本件の概要に関しましては、私からお話申し上げます。  この六四二号の輸入故衣料の売渡しにあたつて処置当を得ないという御批難をいただきましたことの経過を簡単に申し上げますと、これは通商産業省が、ダドリアン商会とのバーター契約に基きまして、輸入いたしました故衣料の原価は、大体四億六千万円、そのほかに関税その他の諸掛り約一億円を加えまして五億六千万円ほど支出をしたのでございますが、通商産業省でこれを販売しまして獲得した金がおおよそ四億三千万円、差引一億二千万円ほどの損害を招いた次第でございます。  この原因その他につきまして申し上げますと、この件につきましては、昭和二十五年度の決算報告の説明書で大略の御説明はいたしておるのでございますが、もともとこの輸出入はバツク・ツー・バツクという信用状に基いて行うことを原則としておつたのでございますが、信用状の開設のときにあたりまして、総司令部側がちよつとミスをやりました。その結果として、われわれの予期いたしました同時に輸出入を行うというような、いわゆるバツク・ツー・バツクというようなことが信用状の開設の際のミスによりまして、行われなくなつたために、先方の品物が一方的に入つて参りまして、輸出は全然行われないというような事態になつたというのが大きな理由となつております。  この状況を簡単に申し上げますと大体におきまして、昭和二十五年三月十一日から同年の五月三十日までの三月間に、第一船より第七船まで先方のものが一度に全部入つて来たわけでございます。なお通商産業省は、丸菱通商株式会社とは、この入つて来た品物をキヤツシユ・オン・デリヴアリイと申しますか、現金で、しかも船側で丸菱通商に引渡すというような契約をしたのでございますが、前にも申し上げましたように、わずか三箇月間に金額にいたしまして数億のものが入つて来たといつたような関係上、丸菱自体におきましても、この引取りに非常に困つたわけでございます。当初バツク・ツー・バツクでやるものが、それがやれなくなつた。従つて契約を実行するためには、通産省に対しまして代金の延納をしてもらう以外には手がない。こういうことで通産省に対しまして延納の申入れをして来たわけであります。しかしながら当時通産省の貿易特別会計におきましても、延納する場合におきましては、銀行の保証付手形というようなものを差出さない限りにおきましては、延納は認められない。なおかつかかる大量の品物を一社に売掛金として残すことは必ずしも適当ではないというふうに考えました結果、この契約を船側渡しで売るという契約にかえまして、第一船の当初に遡及いたしまして、政府でみずからこれを実施するというような形にいたしまして、丸菱通商との間はそういうふうにすつきり割切つた形にしまして、この第一船以降の残品を全部通産省が引取りまして、通産省がみずからこれを処分した、こういうことに相なつた次第であります。その結果先ほど申しましたように、損害といたしましてはおよそ一億二千万円の損害を招いた次第でございます。  なお通産省に引継ぎました後におきましては、故衣料の市況も相当に悪くありましたし、われわれとしましてはこれを販売するにあたりまして、いろいろ故衣料の市価というものも調べまして、極力損害を未然に防ごうと思つて努力したのでございますが、遂にこういう多額の損害を招いてしまつたというのが大体の事のいきさつでございます。  なお先週の会計検査院の御説明の際に話がございましたが、民間貿易に移行する直前に、何ゆえに政府貿易をやらざるを得なかつたか、あるいはまた総司令部がなぜこういう間違いを起したのであるかという点につきまして、いろいろ御質疑もあるかと思いますが、この点につきましては松尾政府委員からお話ししていただきたいと思います。
  208. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 第一点の、なぜ民間輸入を控えて政府貿易をやつたかという点を簡単に御説明申し上げますと、そもそも故衣料の輸入の問題が、ダドリアン商会から申し込まれまして議に上りましたのは、ちようど二十四年の六月ごろであります。それ以来故衣料の形態で輸入すべきか、あるいは国産奨励と申しますか、羊毛から製品にするというふうな方向がよろしいかという点につきまして、部内でもいろいろ議論もあつたのであります。もつとも原毛の輸入ということも非常にきゆうくつな時代ではありましたが、わずかながら原毛の輸入がありまして、羊毛工業というものも漸次増加の傾向にあつた際なのでありますが、何分国内の衣料としては絶対的な量において不足しておるということ、それから資金量としても故衣料として入れればかなり安いというような点から、司令部との間におきましてもやるべきかやらざるべきかということについて非常に長く議論が闘わされたのでありますが、やつといろいろな角度から輸入してもよかろう。しかしそれはバーターのかつこうでやるのだ。従つてその当時貿易公団が持つておりますような滞貨を輸出することによつて、この輸入ができるならば、一石二鳥ではないかということになりまして、司令部の方からやるべしというメモランダムが来ましたのが、たしか十一月ごろであつたかと思うのであります。それに基きましていろいろ、こうこういう条件を満たす人があれば申し込まれたいというような、輸入の公表をいたしました。それより以前にダドリアン商会からほぼその条件に合致するような申出がありましたために、そのケースだけが事実上は申し込まれた、それを採用したということなのであります。従つてちようど二十四年の末ごろでもありましたし、二十五年の当初から民貿も始まるということでありましたので、その問題も、これを決定するにあたつて考慮の対象なつたのでありますが、何分二十五年から初めて民貿形式をとりましても、司令部から移管を受けました金額というものは非常にわずかであるし、はたしてこういう故衣料の輸入等を外貨予算の上に組むことも非常におぼつかないということ、それからまた民貿の初期でありましたので、そういうバーターという方式をはたしてどういう形式でこの予算上に織り込むかというふうな疑義もありました。そういうような関係から半年がかりでいろいろもたもたして来た事件でありますので、民貿は控えておりますが、一応政府貿易のかつこうでそのバーター取引を処理しようということになりまして、正式にきまりましたのが、二十四年の十二月にそういう契約ができたような次第であります。  第二点の、本件におきましてこういう瑳跌を生じました一番大きな点は、先ほど会計課長からも説明がありましたが、今お手元にお配りいたしておりますダドリアン商会との売買契約書、それから輸入信用状の条件をごらん願えばおわかりかと思うのでありますが、要するにバーター取引というものが、総額としては百二十八万ドルではありますけれども、現実の問題といたしましてはあるいは十万ドルなり、あるいは二十万ドルなり、輸出と輸入との契約がうまく合致したところで、いわゆるバツク・ツー・バツクのLCを開設して出すということに契約がなつておるのであります。それがその当時輸入信用状の発行というものが、司令部の処理しておりました事項でありましたがために、売買契約書にふさわしからぬというか、一致しないような輸入信用状が出てしまつた。百二十八万ドル全部をカバーするような輸入信用状が開設されてしまつたというところに、実は一番大きなトラブルが生ずるようになつたわけであります。従いまして十万ドルなり二十万ドルなり少しずつ輸出入が行くであろうと思つておりましたが、今申しますように、百二十八万ドル分の輸入信用状が開設されて出ましたがために、輸出取引の方がかりに遅れましても、向うの方からカウンター・L・Cの百二十八万ドル立てて来れば、こつちの輸入信用状が有効ということになりまして、非常に短時間の間に大量のものが入つて来てしまつた。そこで輸出取引の方があとに取残されるということになりましたし、さらにその当時国内の方の毛織物の相場も下落の傾向にあつたというふうなことが重なりまして、このような不始末をでかしたということになろうかと思います。
  209. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 結局これは丸菱とダドリアン商会という輸出会社との間の契約を、形の上において民間貿易が許されぬので、通産省が輸入する形をとつたということと、それからもう一つ、司令部が介在しておつた関係もありまして、今御説明のように、今のように自由が全然きかなかつた時代であつたので、一方的にどんどんと故衣料が多量に入つて来たということになるらしいが、丸菱と政府との約束といたしましては、いろいろな場合を想定して、丸菱に危険を負担させるというような契約でもなかつたのでしようか。
  210. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 ただいま申しましたように、ダドリアンとの関係政府輸入のかつこうでありましたし、政府と丸菱会社の間はあくまで普通の輸入物資の払下げの形態、すなわちCODと申しまして、現金引きかえというか、キヤツシユ・オン・デリヴアリーという契約でやつておるのであります。少くとも当初はそういうことでやつてつたわけでありまして、もちろんCODでやりましたことは、いわゆる政府物資の払下げの一般原則になりますので、別段取立てて御説明するほどもなかろうと思いますが、確かにその当時といたしましては、その貨物を輸入してはたして利益があるかないかということにつきまして正直のところ契約しました後若干不安が持たれたところに、当初ダドリアン会社と一緒に行動いたしました丸菱会社の方から希望があつたということで、どつちかというとそれに乗つたといいますか、こういうことではなかつたかと思うのであります。従つてわれわれとしては当初丸菱会社にそれをやらすことについて、いわば他方では対外的には一社にやらせることによつて、その商社の配給上の問題、あるいは価格操作上の問題において、不当利得を得るのではないかということを心配しながら、従つて配給につきましても、たとえば官吏優先であるとか、あるいはマル公でもつて規制して行くとかいうふうな配慮をいたしておりまして、どつちかといいますと、もうけ過ぎられぬようにということを心配すると同時に、相場の方向として若干、変な言い方でありますが、早く民間の方に引渡してしまつた方が有利ではなかろうかというふうな感情もまじりまして、丸菱会社の方にCODで渡すというような契約に相なつた次第でありますが、それがかなり相場の下落、変動がはげしかつたために、その後いろいろな問題が起つて来たようなわけであります。
  211. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 総司令部が介在しておりますから、今のように万事いろいろと考究して、いろいろと手を打つということが困難な時代であつたことは了承いたしますが、要するに商品を買つてもうける意思はないけれども、損をしてはいけない立場に政府としてはあるわけでありますから、従つて政府がこういうことに介在するときには、相当愼重な態度で、十分調査をして、また扱う丸菱の立場、資力、信用状態等についてもよほど厳密に考えた上で協力するというか、手をさしのべるということになるべきであつたが、どうもそうしておらなんだところに一つの原因があると思われます。その後丸菱も解散してしまつておりますから、また契約上別に丸菱に対してどうにも言えない関係があるかもしれませんので、結局こういうことに政府としては手出しすべきではなかつたことをしたとも判断せられるのでありますが、大体事態の推移がわかりましたので、私はこれで打切りますけれども、やはり損益の問題ないしは民間の会社と提携してやるときには、相当愼重な態度でおやりになることが至当であるというふうに強く感じるのであります。と申しますのは食糧庁あたりでもこういうことで失敗している例はずいぶんありまして、批難事項に幾つかの類似の案件が現われて来ておりますので、これはそういう総司令部なんかが介在したということも一つの原因としてあげるべきだと思いますけれども、私が受ける感じはこの事態からいたしまして、ただいま申しましたように、もつと愼重になさつたらこういうことが起らざりしものをと、こういうふうに感ずるのであります。
  212. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 ただいまお話にございました点につきまして、通産省といたしまして本件の取扱いの経過なりそのいきさつは、今までるる申し上げた通りでございまして、その当時の状況におきましては占領下でもございますし、できるだけの努力をいたしたつもりでございますが、結果から申しますと、ただいま御指摘の通り、明らかに国家に損失を及ぼしたという結果に相なりまして、この点は何とも通産省といたしましてはなはだ遺憾に存ずるところでございます。今のような輸入の問題は、最近におきましては通産省関係ではほとんど例がございませんが、ただいま御指摘くださいましたように今後の会計出納にあたりましては十分注意して、これに類することがないように配慮して参りたいと思います。
  213. 迫水久常

    迫水委員長代理 ちよつとお伺いいたしますが、バツク・ツー・バツクの信用状というのか、最初予定せられたような信用状が発行されずに、スキヤツプの間違いで一方的な信用状が発行されたために、三箇月の間に六億円ばかりのものが入つて来てしまつた。契約はバーター契約ができているようですね。ダドリアン会社が奇貨おくべしとなして、さつと送つて来たということなのか。そこのところ何かもう少し説明がないと……。バーターの契約は確かにできているようですね。だからそれをちやんと契約通りにやれば、信用状はたとい一方的な信用状が開設されておつても、品物が一ぺんに入つて来るということはないのじやないかと思うが、信用状の発行を間違えたとたんに、元の契約のバーター契約というものは無視されて、一ぺんに品物が入つて来てしまつた。というのは、ダドリア商会が奇貨おくべしとなして押しつけてやろうと思つて、日本に積み込んで来てしまつた、というよりほか説明のしようがないと思いますが、この点はどうですか。
  214. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 その点をちよつと申し上げますが、バツク・ツー・バツクというか、これは非常にテクニカルなやつかいなやり方なんでありますが、たとえば、この場合で申しますと、百二十八万ドルなら百二十八万ドルの故衣料を日本が買う。買うにつきまして、こちらから百二十八万ドルの要するに輸入信用状というものを向うに開設するわけです。その場合に、百二十八万ドルの輸入信用状が有効になるためには、バーターであります関係上、逆に向うから同額のLCを開設して来なければ、こちらから開設したLCが有効にならぬ、こういうことになつているわけです。今回の場合でもその限りにおいては間違いがないわけであります。こちらから百二十八万ドルの輸入信用状を開設したに対して、向うから百二十八万ドルの、日本が輸出する場合の、向うからいえば輸入信用状を開設して、それを双方同時開設していれば問題はないのでありますが、従つて向うからいいますれば、一方的にこちらへ送つては参りましたが、向うも逆に、もしその間に輸出ができるならばするであろうところの、百二十八万ドルの輸入信用状を開いて来ているわけです。そこで、要するにわが方から立てました輸入信用状が有効になつて向うから送つて来た、そして金の支払いが行われた、こういうことになるのでありますが、契約の本来の精神は、輸出と輸入との取引が同額できた都度、双方開き合おうという趣旨でありまして、かりに向うは幾らでも日本に売るものはあるでありましようから、いつでも五十万ドルなり百万ドルの金額には上りましよううが、日本から逆に輸出するものは、この契約で来ておりますような、中近東諸国に対して滞貨を売るということになると、そう急激に進まぬわけであります。そうなると、たとえば自転車なら自転車、陶磁器なら陶磁器なりを、二十万ドルなりあるいは十五万ドルだけ輸出の話がついたときに、その十五万ドル分の輸入信用状と輸出信用状——と言うと語弊がありますが、双方輸入信用状を開いて行けばスムースに行くべかりしものなんであります。それを輸出の方の商談がうまく行かないにかかわらず、一括して百二十八万ドルの輸入信用状を全部開いてしまつた。それに対してまた向うから開いて来ました信用状が現実の輸出はできないにもかかわらず、一応カウンター・LCを同額向うから開いて来た、そこで有効になつて物が入つて来た。こういう事情であります。
  215. 迫水久常

    迫水委員長代理 するとこちらからも一つも輸出をしなかつたわけですな。
  216. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 いろいろ努力をし、その当時公団も話はどうだというようなことで大分苦労してやつたのでありますが、全然できなかつた、こういうことであります。従いまして向うから買つて来ました輸入信用状というものは、たしか一年間くらいは有効であいたはずです。従つて向うとしてもそういう信用状を立てて参りまして、一年間ほつておく以上は、かなりその金利上の負担になつていることは間違いない。結局少額に開くべきものを全額最初に開いたというところに誤りのもとがあつたわけです。
  217. 迫水久常

    迫水委員長代理 そういう誤りをした原因はどこにあるのですか。それはまつたく係官のミスなのかしら、その点を少し。
  218. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 これはあまり有効な説明にならぬかと思いますが、要するに契約をする係と信用状を開設する係とが、司令部の中で別々の部局でもありましたし、また建物も違つてつた。その当時契約をする方は、農林ビルの方におりました。その当時の貿易ビルであります。信用状を開設するのは郵船ビルの中にありましたフアイナンス・デイビジヨンがやつておるというようなことで、この契約を完全に見て、LCを開設したのか、あるいはいいかげんな勉強をしてLCを開設したのか、そのところはわれわれにもわかりませんし、またそういう間違つたLCを司令部が出したということも、三月ごろになりまして、商人があまり一度にどこどことやつて来るので、初めてわが方は気づいた。これはおかしいじやないかということで調べてみると、そういう一括した百二十八万ドルの大きなLCが出てしまつたというようなことで、これもあとから知つたような現状であります。
  219. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかにこういう例がありますか。民間貿易を政府貿易の形でやつた。それがうまく始末がつかなくなつて政府が背負つて損が出なかつたということがありますか。これは損が出てから会計検査院から批難されたんですが、損は出なかつたという例はありますか。
  220. 及川逸平

    ○及川政府委員 これは昭和二十六年度になりまして、米書の輸入でほぼ同じような例があります。この方はやはり司令部から政府へ直接やれと言われましてやりまして、極東貿易という会社に下請をさせたのであります。ちよつと事情は違いますけれども、今委員長のおつしやいましたように、政府貿易という形でやつて損をしたというケースが昭和二十六年度にあります。
  221. 迫水久常

    迫水委員長代理 会計検査院で何かお調べになつた結果、そういう例がほかにありますか。
  222. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 例といたしましては、ただいま御説明がありましたように、二十六年度の検査報告に、ただいまのお話の分が八三一号に載つておりますが、それ以外にはございません。ちよつとケースは違いますが……。
  223. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。
  224. 田口長治郎

    田口委員 この八四二号の件につきましては、占領治下中でもございますし、向うの方から押しつけられて契約存した、そういうような点はございませんか。
  225. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 押しつけられてと強く申し上げられないと思うのであります。御存じの通り、その当時は政府貿易でありますので、まず外人のバイヤーは司令部に行きまして、そしてこの物を買わないかという話をして、司令部は所定の計画に従つて買いたいというのは、一応向うで契約をつくりまして、われわれ通産省側に相談をして来るという形式になつておりましたので、従いましてこのダドリアンのケースも、最初は司令部へ行つたようであります。そうすると日本政府の意向を聞いて来いということで、日本政府に来て、日本政府側でもいろいろ内部でも議論もありますし、その当時安本を中心としましていろいろ研究してもらつた結果、大体こういうことでやろうじやないかということで、司令部へ持ち込んだということであります。司令部から押しつけられてやつた——今司令部はおりませんのであれでありますが、イニシアチーヴの全部が向うにとられたということは、少しおらない人を非難し過ぎやしないかと私は思います。大体五分々々ではなかつたか、こういう感じがいたします。その当時われわれの方はあくまで困るということでやつておりますれば、この事件といいますか、こういう取引は起らなかつたのではないかという感じがいたします。
  226. 田口長治郎

    田口委員 今のお話で大体通産省も納得のもとに、こういうようなお話のように受取れるのでございますが、そういたしますと、日本から出すべき品物の問題ですが、出そうとして出せなかつたということは、結局通産省として見込み違いだつた、研究が足りなかつた、その当時の価格の関係か何かで、出せない状態にあつたにかかわらず、出せるものとして用意をした、こういうふうになるのではないかと考えるのでございますが、その点はいかがでございますか。強制的に引きずられたとなりますと、その問題も起つて来ないと思うのですが、日本から物を出そうとして出せなかつた、これはどういう事情によるのでありますか。
  227. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 こちらからの輸出は、先ほどちよつと申しましたように、バーターと申しましても、現在やつておる民間貿易のようなバーターでございませんで、輸入する政府側と、それからそれを売り込んで来た向うの売手との間の問題でありまして、従いまして実は通産省としてバーターだからといつて、輸出の義務を負うわけであります。向うが日本からその商品を輸出する、要するに買つて行かなければ、その関連する信用状が有効にならないという意味のバーターなんでありまして、その当時交易営団にもかなり滞貨もありましたし、われわれとしては物は十分にある、しかしながらこれを売り込むか売り込まぬかは、いわゆるダドリアン会社側のドルいかんに関する問題である。その当時も問題になりましたのは、はたして彼が輸出をできるとは言つておるが、価格の問題、あるいはそういう新しい市場への滞貨輸出というものが、はたして売れるものかどうかということを十分に調べたのであります。彼としては、いわゆる近東諸国については十分売れるのだ、こういう主張だつたわけであります。従つてそれならばそういうことで契約にそれを盛り込もうということで、輸出品はこういう種類のものだ、またその仕向国はこういう地域だというふうに、非常に限定をいたしまして、また彼らは輸入をしつぱなしにして輸出をせずに逃げてしまう心配もなきにしもあらずということで、バツク・ツウ・バツクにして、それを個々に輸出契約と輸入契約とが金額が合致しなければお互いに信用状も開き合わぬということで、非常に注意をしてやつてつたわけであります。ところが契約通りに信用状が開かれなかつたというところに問題があろうと思います。通産省が輸出について不安心あるいは見込みを持たずしてやつたのではないかと言われましたが、極論すれば、そういう自信がなくとも、向うに買つて行けという義務を負わしておるのでありまして、従つて向うはよう買つて行かぬということになれば、輸入もできぬというような契約になつておるわけであります。そういう押え方をしておれば、われわれとしては、大体一方的な輸入に終ることはなかろうということで、こういう契約をいたしたのであります。
  228. 田口長治郎

    田口委員 どうもその点がぴんと来ないのでございますが、少くとも輸出入問題でバーター契約に基いてやる、こういうことは日本に輸入するだけの数量、金額を日本からも出す、日本からも品物を輸入させる、こういうところにその実際の意味があつて、民間貿易でございますれば、通産省が許可されるところでございますし、本問題は名義人となつておりますが、少くともその当時外国に対してこれだけの金を払うとすれば、また外国の金をこれだけ受取るのだ、そういうところに重点を置いて進められたのではないか、こう考えるわけなのです。にもかかわらず、向うがそういう契約に基いて品物をなお輸入をしなかつたということは、通産省自体がこのバーターで先方からとり、こつちからもやる、こういうような重点的の考えが、向うの一方的意思によつて、あるいは向うの人の調査不十分に基くかもしれませんが、そういうことによつて全然蹂躙されてしまつた、こういうことになりはしませんか。今から先もこういうバーター制なんかの契約で、こういうことが続出をして行くというようなことになると、外貨問題その他について、国家として非常に困る問題が出て来ませんか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  229. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 現在はもうこういう政府輸出入ということはほとんどございませんで、近東から輸入をいたしております若干の物資につきましては、そういうような形態がございますが、いわゆる普通の場合におきましては、こういう政府がバーターをやるということはありませんので、今後はそういう問題はなかろうかと思つておりますが、今御指摘の点は、バーターというものを強制する方法が不十分ではなかつたかということに結論づけられるかと思うのでありますが、バーターというものは結局信用状の面で押えるほか押え方が実はないわけであります。従いまして輸出に輸入とのLCを双方立て合うということによつて、またLCの、要するに向う側の信用状の期間を非常に長くしておくということによつて、できるだけその間に日本から輸出せしめるという間接の強制力を働かせるという以外に、実は手がないのでありまして、これは大体民間でやつておりますバーターでも、そういう場合が通例に相なつております。バーターがかりにうまく行かなかつた、輸出ができずに輸入がしつぱなしになつたという場合には、外貨面では損失であるが、その輸入品が適当に処分されておる限りにおいては、円経済においては何ら損害はないというわけであります。ただ民間貿易におけるバーターの場合だと、輸出を十分にやらなかつた人については、爾後の輸入について制裁を加えるとか何とかいう方法をとつておりますが、その当時のやり方としては、われわれとしては向う側にこういうLCの開設の義務を負わせ、分割して処理をさせるということ以上に、これを強制する方法も実はなかつたように思うのであります。あるいは研究すれば、また何か有効な方法があつたかもしれませんが、まあこの契約より以上に出る強制的な方法はなかつたのじやないか、バーターをやる以上は、この辺でやむを得なかつたのじやなかろうかというふうに考えます。
  230. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 通産省関係の批難事項で、二十六年度の八三五でありますが、これはやはり物の売買に対する適当な措置がとられておらなかつた非常に適切な例のように思いますので、適当な機会にこの問題を審議していただきますよう特におはからいを願いたいと思います。
  231. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員から昭和二十六年度の検査報告、二百二十八ページ八三五番を関連事項として審議するということについてのお申出がありましたが、審議するについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 迫水久常

    迫水委員長代理 御異議がなければ、いずれ時日をつくりましてその運びにいたします。  なお事件について、あるいは田中委員長が質問されるかもしれないそうでありますので、本件について、きようは一応ここで質疑を終了することにいたします。  次会は三月十一日午後一時から、運輸省所管事項の残部、郵政省所管事項の一部につき審議をいたす予定であります。  本日はこれで散会いたします。     午後四時四十八分散会一