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1953-03-04 第15回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月四日(水曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長代理理事 迫水 久常君    理事 永田 良吉君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 賢一君 理事 山田 長司君       田口長治郎君    山崎  猛君       河野 金昇君    鈴木 正吾君       大矢 省三君    八木 一男君  出席国務大臣         農 林 大 臣 田子 一民君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      柳澤 英藏君         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   東畑 四郎君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁漁政部         経理課長)   高橋 泰彦君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 三月二日  委員松野頼三君辞任につき、その補欠として山  崎猛君が議長の指名で委員に選任された。 同月四日  山田長司君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいまより決算委員会を開会いたします。  引続き委員長の委嘱を受けまして、私がその職務を代行いたしますから、御了承願います。  まず現事の補欠選任についておはかりいたします。去る二月十六日、理事山田長司君が委員を辞任されましたので、その補欠選任をいたさなければなりません。この際先例によつて委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 迫水久常

    迫水委員長代理 御異議なしと認め、去る二月二十七日委員に再任せられました山田長司君に理事をお願いいたします。     —————————————
  4. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは前会に引続き農林省所管事項について審議をいたします。まず検査報告書百八十一ページ、役務の項、報告番号六一五号ないし六一七号を一括して議題といたします。最初に会計検査院側から簡潔に説明を願います。会計検査院第三局長小峰説明員
  5. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 六一五号から六一七号まで御説明を申し上げます。  これはいずれも食糧運送に当り処置当を得ないものという案件であります。この六一五と六二ハは不必要な運送を実施したもの、それから六一七は加工のための運送を実施して、運賃を損したという案件であります。  まず六一五でありますが、これは愛知から長野小麦粉六百トンを輸送したのでありますが、長野ではその小麦粉はいらないと言つて来たのであります。しかし長野計画通りに送つてしまつた、それで長野で送られた小麦粉六百トンを消化しようとしたが、消化しきれないで、約四百トンというものをさらに東京へ再運送いたしまして、その運送賃として四十七万二千余円を払つた、こういう案件であります。  それから六一六でありますが、食糧輸送県外輸送いたしますと、一回について幾らということで輸送賃がきまつているわけでありまして、遠くても近くても同じなのであります。従つて県外輸送をなるべく少くするということは運賃節約上必要なわけであります。六一六は栃木から群馬へ送りまして、さらに加工上群馬から東京へ転送したという案件であります。これは群馬へ送らなくても、当時の状況では栃木でも小麦粉にできたのでありまして、栃木加工して直接東京へ送れば、この県外輸送賃が一回で済んだ、そして約八十六万円ほどの運賃節約ができた、こういう案件であります。  それから六一七は五等小麦—これは非常に品質が悪いのでありますが、この五等小麦加工のために産地の倉庫から加工工場運送した。ところが五等米は品質粗悪であるから原麦のまま農家還元用として飼料などに売渡すようにという通牒がありましたので、結局原麦のまま売り渡してしまつた、それでわざわざ加工のために運送する必要はなかつた、こういうことなのであります。
  6. 迫水久常

    迫水委員長代理 右に関しまして、農林当局において何か特に説明をする必要があると認められる点がありましたら、これを許します。
  7. 東畑四郎

    東畑政府委員 事実関係はただいま会計検査院の御説明通りでございます。食糧輸送等につきまして、各県別需給事情相当異なりますので、輸送をいたすのでありますけれども、その間二重輸送的な問題が往々生ずるのでありまして、ここに上りました事案六一五号、六一六号ともに二重輸送的なことをやりましたために、それだけ運賃がよけいかかつたという事案であります。六一七号は五等麦等につきまして、これを加工工場輸送する必要はなかつたのではないかという事案でございますが、供出農家生産意欲等に影響がありましたために、急いでその場から輸送したということが特に指摘されておる点でありまして、その後輸送等につきましては、なるべく厳重な計画をいたしまして、極力二重輸送等の起らないように、計画的な運営に努力をいたしておる次第であります。
  8. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。—六一五ないし六一七の点について別に御質疑はありませんか。     —————————————
  9. 迫水久常

    迫水委員長代理 なければ、次に前回委員の要求がございました収入未済のものの処理関係につきまして、本日大蔵省柳澤司課長出席をいたしましたから、その点についての質疑を許します。
  10. 迫水久常

    迫水委員長代理 審議の便宜上柳澤司課長に対する質疑はあとまわしにいたしまして、それより先に報告書百八十二ページの国有林野事業特別会計、工事、報告番号六一八、物件の項、報告番号六一九、その他の項、報告番号六二〇及び報告書百八十六ページの一般会計国有林野事業特別会計国営競馬特別会計不正行為報告番号六二一ないし六二三、以上六件を一括議題といたします。そのうち審議の促進上特に六一九及び六二〇について詳細な説明を求めます。小峰説明員
  11. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 六一九は、北海道の帯広の営林局管内二つ営林署で、他の例と同じように割増しをつけるべきを、これに限つてつけなかつた、こういう案件であります。パルプ用材として売りました千七百万円の松丸太でありますが、一、二等材が六〇%以上混入している場合は一〇%以内、八〇%以上混入している場合は二〇%以内の割増しを加算して予定価格を算出する、こういうことになつておりますが、本件は一、二等材が六三%から八四%以上も混入していたのに、この割増しをつけなかつた、こういうことになつております。  六二〇はオガリツト製造工場新設の問題でありますが、昭和二十四年度と二十五年度に七百九十六万円の金をかけまして、秋田県のニッ井及び栃木県の奥日光にオガリツト製造工場をつくつたということであります。オガリツトと申しますと、おがくずを固形化しました代用燃料でありますが、これをつくりましたころは、すでに薪炭がたくさん滞貨する、燃料需給状況が非常によくなつて来まして、こういうものをつくりましてもあまり売れないという時期だつたのであります。これはすでに今申し上げました、秋田と日光の工場の前に東京オガリツト工場をつくつて操業していたのでありますが、これが非常に成績が悪かつたのでありまして、この事情をよく調べれば、こういうものを新しくつくらぬでもよかつただろうという案件であります。現にこの二つとも採算割れのために操業を休んでおるような状況であります。
  12. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいまの説明によつて農林当局において格別説明すべき点があればこれを許します。
  13. 柴田栄

    柴田政府委員 パルプ材売渡しにあたりましてその処置が当を得ないという御批難をいただいておりまして、実は説明書には簡単に申し上げておりましたが、いま少し事情説明させていただきまして、御審議いただきたいと考えております。元来パルプ材は他の用材と相違いたしまして、繊維の量を対象といたします関係上、比較的質を問題にしなくて、量を問題にいたします関係で、従来は一尺下の小径材、それから一尺以上の丸太のくず材を選別いたしまして、パルプ材に供給いたしておつた次第でありますが、当時パルプ価格統制がございまして、生産計画からいたしまして、特に北海道では国有林材が大部分でありますので、国有林から一定量を供給するということで予定をいたしておつたのでありますが、非常に差し迫りまして、選別材をもつては供給の見通しが立たなかつたために、ある程度一般材の比較的小径のものを混入いたしたというところに、実は御批難を受けるような問題を包蔵いたしましたことは、非常に遺憾に存じておる次第であります。主体といたしましては、やはりパルプ適材を選別いたしておりますし、当時の北海道における条例による品等区分は一尺一寸上となつておりましたものを、私ども北海道の材の利用が非常に不集約であるという関係で、早く農林規格を遵法させて、質を小径材においても検討させて、集約利用をさせたいという考えで、八寸上を品等区分いたしておつたのであります。従来尺一寸下は品等区分いたしましても、品質増しはいたしておらないのでありまして、ここに割増しと申しますのは、その当時の市況に応じて、必要があれば割増しをつけるということで、実は割増しの適用をいたしておつた次第でありますので、御指摘のありましたように、一、二等材六〇%以上混入のものについては、市況に応じて割増しをしようという通牒は出しておりますが、これは営林署長の判断でいたすことになつてつたのでありまして、ただその取扱いにやや統一を欠いたという点は非常に申訳ないと存じておりますのと、パルプ適材ばかりでなく、一般材をある程度混入したために、かような御批難を受けたということでありますが、その後はそれらの点を徹底いたしまして、一層不都合のないように、選材につきましても、あるいは処分につきましても、御疑問の起らないように処理いたしておる次第であります。  その次は、オガリツト製造工場新設にあたりまして当を得ないという御批難でございまして、これはまことに結果から申しますと、御批難のような結果になりまして、申訳ないと存じておる次第であります。企画について十分なる検討が足らなかつたという点で申訳ないと存じておりますが、私どもといたしましては、薪炭需給見通し相当つたにもかかわらずかようなことをしたというような点も御批難を受けておりますが、わが国の薪炭林需給の前途を考えますと、きわめて暗澹たるものがあります。大体燃料の対策には非常な苦心をいたしておりますので、一面においては代用燃料あるいは林産物の集約利用という面において、早晩これを解決いたさなければ、林政全般の上に非常に憂慮すべき問題があるという前提のもとに、従来山元主体といたします製材工場等におけるおがくず処理は非常な問題になつておりました。これは下手に処理をいたしまして、川等へ流しますと、耕地に非常に害を与える。さらにこれを除去しなければ、製材工場が整理がつかないというために、金をかけて、しかも処理に困つておる。一方薪炭事情は、将来憂慮すべき状況にあるというので、これを何とか合理的に活用いたしまして、一面においては薪炭需給の上に代替燃料として有効に使いたい、反面におきましては、製材事業の収支の主において、プラスの方向に指導したいというような考え方から出発したのでありますが、研究室におきましてテストいたしました結果をそのまま用いたしました関係上、いよいよ工場で実行してみますと、予期しなかつたような機械の各方面の故障を生じまして、当初期待いたしましたよりも、非常にコストがかかり過ぎるという結果になりましたので、特別会計の建前から、さらに内容を検討する方がよろしいということで、一時中止をいたしておる次第でありますが、何とが近い将来にこの問題は十分なる検討を加えまして、一方において採算見通しが立ちますならば、ぜひともまた考慮いたしたい、かように考えておる案件でございますので、事情を御了察の上、御審議をお願い申し上げたい、かように存じます。
  14. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。吉田君。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 林野局にお尋ねいたしますが、今の御説明調査企画設備建設、経営、そういうことについて、どこでどれほどの期間どういう調査研究をしたのか、また原料資材生産過程における諸般の経費、あるいは損益は当初どういうふうな計算が出たのか、建設費は何ほどの計画であつたのか、企業的なこういう新しい企画でありますので、相当精細なものが準備されておつたと思うのですが、それは今御説明ができますか。
  16. 柴田栄

    柴田政府委員 正確な数字については追つて書類で提出することにさせていただきたいと思いますが、大体のことを申し上げますと、これはオガリツト工業株式会社というので、機械設備を考案いたしておる会社なんでございます。ここで実験的にいたしました結果を基礎といたしまして、コスト計算をいたした次第でありますが、そのコスト計算によりますと、当時トン当り六千円程度でできるということであつたと記憶いたしております。当時の木炭の価格カロリー、それからオガリツトの単価とカロリー等から比較いたしますと、代替燃料として十分に採算がとれる、こういう考え方企画いたしまして、当初に東京にありまする東京営林署で小さい規模の試験工場をやつたのであります。今施設費の額をはつきり記憶いたしておりませんが、東京営林署で小規模のものを着手いたしたのでございますが、東京は御承知の通り、のこくずふろ屋その他で相当使われるということで、これがたいへん高くなりますので、こういうところで実行すべきものでないという点が一点、それからのこくずを集めるのに相当金がかかるということで、ほんとうにコスト計算をするわけに行かぬというような点を勘案いたしまして、最も山元にありまして、のこくず処理に困るというような地方で実行すれば成り立つという見通しで、一箇所は秋田県の北秋田郡の早口の駅前で計画をいたしました。一つ栃木県の今市の奥で計画いたしたのであります。生産過程におきまして、のこくず乾燥施設予期のごとく行かなかつたために、一面においてはオガリツト能率予定と非常に違つてしまつた。それから実は熱処理をいたしてやつておりましたのが、これはわくの中にのこくずをプレスいたしまして、わくとともに焼いて固めるという仕事をいたしておりますので、焼いて温度を高めたために、わくが非常に狂つて参りまして、能率予期よりもたいへん悪くなりましたので、当初八千円程度に売れば相当に需要があるという見通しでおりましたところ、一万円ちよつとかかるような結果になつてしまいました。従つてこれではとうてい事業にはならないということで、再検討するつもりで一応中止した、こういう経過になつております。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 このオガリツト製造工場審査案件は、これは戦後物資不足の折から多数の、たとえば食糧についても、いものつるとか葉なんかを利用するとか、その他山の中へ入つて食糧をあさつた、ああいう当時からの代用食とか代用物というようなものの発展した形の典型的なものかと思うのです。そこでこれはなぜ政府直営をやつたのか。新しいそういう事業計画するときには、くろうとでも民間でも、一応は先駆者はみな失敗するのでありまして、二、三代において成功して来て、採算が合うようになる。ましてや政府直営するというようなことは、よほど私は冒険でないかと思うのですが、なぜ直営をなさることにきまつたのか、その理由を聞かせてもらいたい。
  18. 柴田栄

    柴田政府委員 御指摘通り、新しい仕事を始めるという場合には、十分に検討いたしましても危険が伴いますので、さような仕事をどうして国で危険を冒してやつたのだという御意見は、われわれも十分反省しなければならぬと思つておりますが、先ほど申し上げました通り、私どもといたしましては、木材薪炭需給の将来非常に……。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まだたくさん審査事項がありますので、さきの御説明以外におつしやつていただけないかということです。
  20. 柴田栄

    柴田政府委員 結局何とか、民間ののこくず処理に困つておる工場に、一つでも早く成り立つという事実を示して、配給されておりますものの合理的利用による活用を促進いたしたいという考えで、実は民間に手をつけさせるよりも、国で思い切つてこれを事業化して、これなら大丈夫ということでやつていただきたいという意図が相当に強くあつたということなんでございます。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 林野庁におきましては、直接物を製造して販売するという企画は、ほかにも例があるのですか。それをちよつと伺いたい。
  22. 柴田栄

    柴田政府委員 木材薪炭は、もちろん直営生産をいたしておりますし、それから製材事業も一部いたしております。さらに製材に関連いたしまして、新しい用途の開発のための加工事業等も一部実行いたしておりますが、加工の面に関しましては、一応民間企業化可能という場合には民間に移すという考えで実行いたしております。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この失敗はお認めになつてはおりますが、これについては、相当直営事業の欠陥とか危険を含む企業を、国が営むというようなことは相当反省し、今後の方針資料になるべき事案であつたと思うのですが、このオガリツト工業株式会社との間に、何か特別に引きずられるような事情があつたのではないでしようか。当時この薪炭については、全国の公団で五十億円といわれる大きな不正事件が喧伝され、また事実あちらこちらの薪炭を扱う公団刑事事件が起つたのであります。何かオガリツト工業株式会社の間にそういう私的な関係なんかでもあつて、こういうことがもくろまれたという事情はなかつたのでしようか。
  24. 柴田栄

    柴田政府委員 さような問題は全然ございません。技術的な関連においてだけこれを検討いたした次第であります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その前の問題はいかがですか。この問題は、当初の目的はいいといたしましても、あなたの方で直営したことについては相当これは反省すべき案件と思いますので、そういつたことがその後の営林局直営事業なんかの上には相当重要な資料にされなければならぬと思うのですが、その点について伺いたい。
  26. 柴田栄

    柴田政府委員 お説の通り、かような問題を従来とも新規に始めます仕事に関しましては、相当慎重に企画を審査いたしまして出発いたして参つたのでありますが、かような過誤をいたしましたので、その後の新規企画に関しましては、一々さらに慎重な検討をいたしまして、実施することを全管内に徹底いたしておりまして、その後の新規事業はそういうような観点からあまり進展しておらぬような事実でございます。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は、このオガリツト製造工場の方は慎重な調査研究が行われなかつたので、こういうことが起つた。従来は慎重な調査研究をなさつたような御説明ですけれども、やはりそこに大きな過失があつただろうと思います。故意に民間会社と組んだのでないとするならば、相当大きな過失と認めなくちやならぬ、こう思うのです。
  28. 柴田栄

    柴田政府委員 その点は非常に申訳ないのですが、率直に企画のずさんであつたことを認め、将来に対しまして十分徹底して注意することにいたしております。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 将来に向つて言うのではない。私の伺いたいのは、二十五年八月に操業を開始して、二十六年の八月にすでに作業休止状態に陥つたのであります。もうすでに一年半を経過しておりますので、これが相当重要なその後の直接企業についての資料になつたのではありませんかというのが、問いの趣旨なのであります。
  30. 柴田栄

    柴田政府委員 何とか一部分ずつ悪いところを発見いたしまして、これを改善すればということで続けて参つたのが全部失敗に終つてしまつて、このままではどうしても事業にならないということで、中止することになつた次第でございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は林野当局といたしましては、実に首にかかるほど重大な失敗だと思うのであります。その後休止した施設はどうなつたとか、あるいはこの責任者については、何か報告によりますと、責任者にそれぞれ注意を与えたということになつておりますが、それぞれ注意ということで、千万円近いものがふいになつてしまつて燃料需給についての緩和の目的は達せられない。そうでなしに、そういうことは無用なことであつたという、国家に損害が加わつておるのでありますので、その後の処置はどうなつたか、人間の処置はどうなつたか、それについていかがですか。
  32. 柴田栄

    柴田政府委員 人の処置につきましては、当時の企画者行政上の措置をいたしまして、他に転用等をいたしております。施設その他は現在休止いたしておりますが、他に事業をいたしておりますので、一部倉庫等転用いたしておるのもありますし、一部は目下まくら木の防腐等のために建物を利用しようというような計画をいたしておりますが、一部分は将来さらに検討して、何かこの仕事に使えたらということで、そのままになつておる分もあります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは二十四年と二十五年にわたつて約八百万円ですが、貨幣価値から見ますとどうなるか、その後さらに上昇しているのではないかと思うのですが……。そうするとこの部分については施設がまだ現存しておつて、それぞれ措置をされておらぬらしいですが、一部分他転用、流用される、こういうような場合には、予算面から見まして八百万円の予算の使い方の失敗であり、また施設そのものから見ましても、無用の長物が新設されたのであり、そういうことになりますと、人の関係処分がかりにできたといたしましても、物件については即時適切な売却とかあるいは転用とか何らかの—今日まで一年半もたつて、こういうのは、少し緩慢過ぎやしないかと思いますが、どうでございますか。
  34. 柴田栄

    柴田政府委員 御指摘の点は十分に考えなくてはならぬと思つておりますが、実は最近において民間におきましても、オガリット類似工業で非常に成功いたしておるのもあるのでございます。これによりますと、従来の私ども考えました機構とは逆の、熱処理ではなしに、冷却等処理によりまして非常にスムースにコストを引下げて実行できておりますので、これらを取入れましてあるいは私どもの方で直営いたしますか、あるいはこの施設民間に払下げまして、民間で御利用願うか、それらの点をも考慮いたしたいということで一部まだそのままになつておる点があることを御了承願いたいと思います。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、これは国が所有しておる不動産、工場、土地、設備などが、オガリツト製造工場として現存しておるわけでございますか。
  36. 柴田栄

    柴田政府委員 さようでございます。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういうものはやはり一種の国有財産としてあるわけですが、担当しておつた人のみの問題じやなしに、林野庁におけるひとつの行政上の大きな上の方針の現われと思いますので、そういう場合には何か他に前例も—あるいはないかもしれませんが、前例がなければなおさらのことで、急速にそれぞれの措置を講じて活用しなければならぬのじやないかと思うのです。二十五年、六年といいますと、なるほど薪炭類はだんだんと滞貨するような供給過剰の状態であつたかもしれませんけれども、同時にまた二年も三年も工場が閉鎖されて捨ててありましたならば、これは物がいたみますから、いためば値打ちも下り、処分にも困ると結局腐つてしまうまで放つておくというような結果になる危険がありはしないかと思いますので、やはり林野庁の最高の方針として、こういうものは過去のあやまち等にもかんがみ、また国有財産一つであるということと、物価の上下の関係等も勘案いたしまして、これは早く処理してしまわねばならないものと思いますが、すみやかに御処理なさる御用意はありませんですか。
  38. 柴田栄

    柴田政府委員 極力検討いたしまして、こちらで利用するもの、あるいは民間に払下げるものとを区分いたしまして処置をいたしたいと存じます。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 最後に一点、こういう場合には予算が八百万円近いものが使用されて物にかわつて、その物が無用の長物になつて存在しているというようなこと、こういつた状態に立ち至つた場合は、一種の不用建築物施設等になるのですが、大蔵省の国有財産を管理しておる方面との間に、やはりそういう場合は、報告するとか何らかの措置をとる必要があるのじやないかと思いますが、そういうことはいかがですか。
  40. 柴田栄

    柴田政府委員 営林財産でございますので、私ども処置をさせていただくことができることになつております。
  41. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいま議題になつております点につきましてほかに御質疑はございませんか。     —————————————
  42. 迫水久常

    迫水委員長代理 次は百八十七ぺ一ジ、是正させた事項、未収金、報告番号六二四、物件報告番号六二五ないし六二七、役務、報告番号六二八、財務諸表、報告番号六二九ないし六三二、その他の項、報告番号六三三ないし六三六の以上十三件を便宜上一括議題といたします。そのうち審議の促進上特に百八十七ページの六二四、及び百九十一ページの六三三、ないし六三六、この五件について詳細に説明を願います。なお報告書の百九十一ページ以下に記載せられておりまする「既往年度決算検査報告禍乱事項に対するその後の処理状況」についてもこの際合せて説明をお願いいたします。
  43. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 まず六二四の賠償金を徴収していなかつた案件を御説明いたします。食糧庁でタイ米をたくさん買つておりますが、その契約で砕米の混入率というのが二〇%以内ということになつております。それが二九%から三三・五考というような契約以上の砕米が混入しておりましたのに、契約上の賠償金の徴収決定をしなかつたという案件でございます。これが千三百万円余であります。これは検査院の注意によりましてその後検査後に収納しております。  それから六三三以下四県の米の買入にあたりまして金をよけい払い過ぎたという案件でございます。この六三三、六三四は、米穀買入価格加算額—ちよつとおわかりにくいかと思いますので、御説明いたしますが、これは米を供出いたしましたところの基準で金を払うわけでありますが、そこから政府の配給に都合がいいとか、あるいはさらにほかへ輸送するのに都合がよいというような所に、運んでもらうということがあるわけでございます。その場合には距離に応じて運賃を代金に加算するという扱いになつておりますが、その距離を間違えまして過払い二口で百六十万円あまりしてしまつた、こういうのでございます。これもその後検査院の注意によりまして直つております。  それからその次、これは米の供出後に値段が上つたのでありますが、その追加払金を払い過ぎたという案件でございます。  それから六三六は、これは積みかえの作業賃を間違えてよけいに払い過ぎた、こういう案件でございます。  それから既往年度の報告事項のその後の処理状況を簡単に御説明申し上げます。四七九でありますが、これは二十四年度の検査報告に掲載されたのでありますが、その当時農業水利費分担金でありますが、徴収決定未済が八千十五万円ほどあつたのでありますが、それがずつと一年間に減つて八十万円残つておる、それから今のは徴収決定もしていなかつたという分でありますが、徴収決定はしましたが、収納未済というものが一億七千百万円あつたのであります。それが一年間に一億一千五百万円減つて来た、しかしまたその一億一千五百万円が入つておらぬという次第であります。  それからその次の林野庁管下の各木炭事務所の収納未済、これは非常に大きいのでありますが、十一億五千五百万円ありましたのが、この年度では大部分が入らないで、十一億三千百万円というのが残つておるということが書いてあります。御参考までにこれがその後どうなつたかという状況ちよつと申し上げておきますが、これは薪炭需給特別会計がなくなりまして、この収納未済額を全部大蔵省に引継いだのであります。それでこの二十五年度の検査報告を作成いたしましたときには、十一億三千百万円というものが収納未済としてわかつていたのでありますが、その後三億四千四百万円の新しく判明した額が出たのであります。これを加算いたしましてざつと十五億でありますが、そのうち二十六年度の検査報告を—その翌年でありますが、つくるときになお八億一千四百万円ほど残つております。十五億のうち八億一千四百万円であります。これが二十四年度の現況であります。  それからその次の二三四ページ、四八七というのが二十三年度の検査報告に掲げた案件でございます。これは二十三年度批難いたしました当時は、一億三百万円というものが収納未済だつたのでありますが、二十五年度の検査報告をつくりますときには、三千四百万円まで減つて来たわけであります。それで二十六年度には残りもごく少くなつて、百七十万円ほどに減つております。  それからから四九一は、船舶と建物、これを貸したのでありますが、その貸付料がとれなかつたのであります。建物貸付料が二十五年度の検査報告をつくるときには五十七万円ほど残つておりましたので、ここに書いたのであります。これはその後三十六年度になりまして全部返つております。  その次の二百三十五ページの五一〇という案件でありますが、再保険料、これは二十三年度の検査報告をつくりますときには五千六百三十八万円という収納未済があつたのであります。それを二十五年度の検査報告をつくりますときには、今申し上げました五千六百万円が、ここに書いてございます千三百九十一万円に減つたわけですが、これはさらに一年後の二十六年度には七百九十五万円まで減つております。  それから次の五一一、農地の購入代金、これは最初二十三年度に批難いたしますときには、五億三千八百万円という大きな収納未済だつたのでありますが、これは一年後には二千百万円となり、さらに二十五年度には七百七十三万円に減つた。二十六年度にはこれは全部収納になつてゼロになつております。
  44. 迫水久常

    迫水委員長代理 右の説明について、農林当局において特に説明を必要とする点があれば発言を許します。なお既往年度の分については、本日農林省からお手元に資料が配付されておりますから、ごらんを願いまして、こういうものに書いてあるもののほかに特に説明を要する点があれば発言を許します。
  45. 東畑四郎

    東畑政府委員 六二四番、賠償金を徴収していなかつたものというのがございますが、本件はタイの輸入米に関しまして、当時民間貿易にいたした当初にあたるものでございますが、当時のタイ国の事情等から、なかなか契約いたしております規格のものを輸入することが困難でございました。本件につきましては、会計検査院の御指摘を受けまして、二十六年の十一月九日に兼松から、江商からは二十六年八月十日、おのおの賠償金は徴収いたしたのでありますが、遂にタイ国政府に対するクレームは成立しなかつたという案件でございます。当時のタイ国自体の食糧事情というものは非常に困難でありましたために、なかなかタイ国に対する要求は通らなかつたのはまことに遺憾であります。商社からは損害賠償を徴収しております。食糧庁に関するその他のことは、特に申し上げることはございません。
  46. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。
  47. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 質疑をいたしまする前に、二十六年の会計検査院報告二百ページ、番号七七四、これはやはりタイ米の輸入に関しまして、不要の麻袋を八億七千万円で買つたという事案でありまするので、これは前々会から関連して質疑したいことを申し入れてありましたので、この際あわせてひとつ質疑させていただきたいと思います。
  48. 迫水久常

    迫水委員長代理 委員各位にお諮りいたします。ただいま吉田委員から、昭和二十六年度決算、農林省所管中食糧管理特別会計物件に対する批難事項について、参考的に農林省にただしたいというお申出がありましたが、これを取上げるに御異議ありませんか。     〔「異議な上」と呼ぶ者あり〕
  49. 迫水久常

    迫水委員長代理 御異議なしと認めてさように決します。それでは御質問を願います。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず会計検査院側に御説明を求めて、それで農林当局にそれに対する御説明を聴取したいと思います。要点だけでけつこうです。
  51. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 二十六年度の七七四号、不急の麻袋を購入した案件について説明いたします。これは二十六年八月に小泉製麻外二会社から購入したガンニー麻袋三百万枚、八億七千万円という大きな金を支出したのであります。この麻袋は二十七年のタイ米の輸入上必要であるということで、二十七年の買付見込み数量を四十五万トンといたしまして、これに四百五十万枚麻袋が必要である。そのうち百五十万枚は現地調達で、残りの三百万枚を日本で調達する。これを一枚二百九十円の割合で八億七千万円で購入したのでありますが、これはよく調べて見ますと、その後昨年の九月ごろ、会計検査院で実地検査したのでありますが、全然使つていない。三井倉庫外四会社倉庫に保管されておりまして、月に約三百万円という保管料を払つているという状況つたのであります。大体外米の輸入の場合には、この麻袋は先方で、米を輸出する方の国で調達するのが普通でありますが、ちようど二十六年にタイ米を輸入するときに、タイ国の政府から麻袋を日本で調達するように、こういう要求があつたのであります。これは一時的の異例の事態で、いろいろ向うに都合があつたように見受けられるのでありまして、大体は麻袋つきの輸出というのが普通だつたのでありますが、タイ国政府から二十六年のときには要求がありました。二十六年には三十万トンに対しまして、二十二万トン分の麻袋二百二十万枚でありますが、これを最初日本側で調達するように、こういうような要求があつたのでありますが、実際には百万枚だけ手当いたしまして、あとの百二十万枚というものは、向うで出してくれたような事情つたのであります。それで私どもといたしましては、この八億七千万円というような大きな買物をする場合に、前年度に、一時的な現象としてそういう麻袋の日本側調達というような事態があつたからというて、何も一ぺんに三百万枚も買わなくてもよかつたじやないだろうか。そして二十六年の九月には、これははつきり資料が残つておりますが、タイ国政府から、向うで麻袋をつけて輸出するというような意思表示もあつたような状況なのであります。それでこの三百万枚という大量の麻袋の購入契約をしましたときには、食糧庁は約百六十六万枚新品の手持ちの麻袋があつたのであります。さしあたり四十五万トン一ぺんに来るわけではないので、少しずつ来るわけでありますから、とりあえずのところこの百六十六万枚という相当の手持品があるのでありますから、これを使つていても間に合うのでありまして、もし必要があれば逐次購入すればいいじやないか。一ぺんに三百万枚、八億七千万円も買わなくてもよかつたじやないか。そして結局昨年の九月当時、これは一枚も手を着けないで倉庫へ預けて、毎月三百万円ずつの金を払つているというのは、なんぼなんでもひどいじやないだろうか。輸入を離するという点で、いろいろ広い方面に配慮されるという点は十分に事情を了とするし、お察しもするのでありますが、こういう大きな買物をする場合には、逐次手持品から使つて、足りない分の見通しを立てた上で買つても済むのではなかろうか、こういうことでこの批難をしたわけであります。しかもこれは契約を見ますと、政府の都合でいらなくなつたあとで解除するというような条項もあるのでありますが、実際にはいらないということがはつきりわかつたのに解除をしておりませんし、そのいらないということがはつきりわかつてから大部分のものは納入されたような状況なのであります。その点でもいかがかと思つている次第であります。結局保管料として一千五百三十八万円、こういう大きな保管料をその後払つている状況であります。
  52. 迫水久常

    迫水委員長代理 農林省、これに対して説明がありますか。
  53. 東畑四郎

    東畑政府委員 実は会計検査院のおつしやいました通りであります。当時インドとパキスタンとの国交上の問題がありまして、麻袋が非常に払底をいたしました。タイ国自身も麻袋が非常に払底をいたしておりましたし、日本でも朝鮮事変等のために麻袋が非常に足りないという状況であつたのであります。米の輸出国であるタイは麻袋をいつもつけて輸出するのでありますが、このときに限つて麻袋が不足しておるから輸入国から麻袋を持つて来いということでありますために、こういうぐあいになつて問題になりました。こういう厖大なものをなぜ一時に発注したかということでございますが、その当時麻袋会社は三社ございました。計画生産をして相当先物発注をいたしておるような状態でありましたために、食糧庁といたしましても、そのときの麻袋の需要等から考えまして、相当の量を計画的に発注をして一括購入処置をいたしたというのがこの事件であります。その後麻袋状況等が緩和しましたために、今日から見ますと、これは相当高い原価になつておる、それがためにタイ国に持つて行く必要がなくなつて後も食糧庁が持つておりまして、相当の保管料がかかりましたことは、その当時の事情は、われわれとしまして若干諸事情があつてやむを得なかつたと思いますが、まことに遺憾である、こう考えております。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その後どうなつておりますか。
  55. 東畑四郎

    東畑政府委員 その後その麻袋等につきましては、物品会計管理としてもなかなか容易でありませんので、食糧庁から麻袋は全部はずしまして、今日は食糧庁自身が麻袋を管理しておることはございません。ただ食糧が入つて来ますと、麻袋つきで入つて来ますので、これを払下げておるということでございます。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員  この七七四号の今の問題の麻袋は現在どうなつていますか。
  57. 東畑四郎

    東畑政府委員 これはもう全部使つて一物もただいまのところはないはずでございます。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、二十七年の九月から二十八年の三月までの問にこれを使つてしまつた、こういうことになるのですか。
  59. 東畑四郎

    東畑政府委員 さようなはずでございます。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは今一、二点お尋ねいたします。  二十五年度の六二四号につきまして、これは砕米の混入率が規定の許されるものよりも超過していたということになつておるようであります。その場合に正当に徴収すべき賠償金はここに書いてありますが、買付商人に対して何ほどだつたでしようか。
  61. 東畑四郎

    東畑政府委員 二〇%が契約でございますので、現実に参りましたものが三二%のものと二八%のものとございます。厳密に申し上げますと、三二%から七%引いた差額を損害賠償すべきであつたのでありますが、先ほど会計検査院の申されましたように、二七%までは免責をいたしました。結局兼松で八百五十万円、江商で四百五十五万円だつたのです。厳密に申し上げますと、七〇%だけを業者からはとつていたということになつております。計算数字は事務で計算いたしまして申し上げます。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの私の質疑は賠償金として千三百四万五千円ですか、これをとつておるが、これで計算相当額になつているのですか。
  63. 東畑四郎

    東畑政府委員 賠償金としてはこれは相当額をとつているのでありますが、政府貿易の当時でも欠減が二七%あつた。これは免責いたしまして二七%を出るものの賠償金がちようどこれに見当る。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 砕米の混入についてはタイ国側政府ですか商人ですか、その側との間にはクレームに関する契約はあらかじめとりきめはなかつたのでありますか。
  65. 東畑四郎

    東畑政府委員 これは民間貿易でございましたので、政府貿易でございませんので、政府としてとりかわしておりません。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと兼松とか江商など輸入米を扱つた商人の損失に帰して、それから先の問題はどうなつているかわからぬとこういうことに了承していいのですか。
  67. 東畑四郎

    東畑政府委員 この事案は兼松、江商の損失であろうと思います。それから以後タイに関する損害賠償の要求は成り立たなかつた事情てあります。
  68. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただ一点、検査院に指摘せられましてから賠償金をとつたというのは何かそこに事情があつたのですか。
  69. 東畑四郎

    東畑政府委員 これはまことに申訳ないのでありますが、なるべくならばタイから賠償金をとれる話合いをつけてから賠償をとろう、こういうことでありますので、若干時間がかかつてつたのでありますが、会計検査院の御指摘を受けて交渉いたしました。その後も交渉しておつたようでありますが、結局とれなかつたという結果になつたのであります。
  70. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十六年度の七四四号に移ります。ページは二百ページです。タイ米購入の件で、これは御説明によりますと、現在はすでに使つてしまつたということになつておりますので、使つてしまつたということは了承できるのですが、どういう事情で使つたのか、あるいは無理やりに使つたのかという臆測もされるのですが、それはさておきまして、大体全面的に事実はお認めになつておるようであります。そういたしまするとこの問題は、契約上小泉製麻会社その他二社との購入についてガンニー麻袋三百万枚購入に関して契約上は途中で納入を中止させるという条項があつたのに中止をしなかつた。これはどういう事情なのでしようか。総計いたしまして約八億七千万円といいますと、なかなかに小さい金ではございませんで、小泉製麻その他の会社側、商売人側といたしましても重大なことでありますから、簡単に契約条項の実行を求められるということも困つたかも存じませんけれども、しかし食糧庁といたしましては、八億七千万円の金を商人に支払うという問題は、また重大なことであります。何ゆえに契約上納入中止の措置に出なかつたか、これをお伺いしたい。
  71. 東畑四郎

    東畑政府委員 麻袋につきまして食糧庁で使いますものは、米だけではございませんで、大麦、小麦等がほとんどばらで来るものが多いものでございますから、従来ばらで来るものは、食糧庁が麻袋を持つておりまして、それで製粉会社なり製麦会社等に運ぶというのを慣例としておりまして、食糧庁自身麻袋を相当必要としておりましたので、いつかまたその必要があるだろうというので、これをそのまま納入をいたしたというのが経緯でございます。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 米のみにあらず、麦とか粉とかにも使う余地があるというお説でありますが、実は総理府その他にも不要不急の物件を多量に買いつけて、中には予備隊のごときは二千七百方円のものを買うて、梱包に包んだまま倉庫へほつたらかして何年も経過しているという実例もあるのであります。そこでこういう場合には厳密に契約した趣旨を実行させるという措置に出るか、あるいはタイ米輸入に必要として買付をしたものでありますから、一応それはそれとして措置して、他へ流用しないというふうにになすのが至当ではないか。そうしないで他へ流用するということは—他に必要であるならば、別途それが買付をなさればいいはずであります。すでにタイ国からいらないといつて来たものを買うというのですから、そこにやはり不急のものをあらかじめ買いつけて用意しておこう、こういうものが含まれておつたのじやないかと思います。ことに現に二十七年九月までに二千五百万円の保管料をさえ支払つておるのであります。二千五百万円の保管料を支払つた損失、それから八億七千万円についてそんなに買う必要もなかつた。そういうようなことを考えてみますと、これはそういうふうに流用するとか、他へ使うためにあらかじめ用意するとかいうことも、やはり誤れる措置でなかつたかと思うのであります。食糧庁においてはやむを得ざりしというような御見解であるのですか。そうでなしに、これは相当つた措置であつたというような御見解であるのでしようか。それらの点について重ねて御意見を承つておきたいと思います。
  73. 東畑四郎

    東畑政府委員 ものを購入いたします場合に、目的をはつきりいたすのが当然でありまして、その麻袋を買いましたのも、まつたくその目的は、タイ国から輸入米を送るためであつたことは事実であります。その後の急激の変化等のために、本来ならば会計検査院の言われますように、注文を取消してやるべきであるというのが至当と思うのであります。その間麻袋等が若干払底をするのであろうというような情勢を考えまして、実は不注意にもそのままにしておくという政策を立てまして、不急なものをたくさん持つてつたというこ自体は、われわれといたしましても、十分注意を要する点でございまして、この点につきましては、まことに遺憾であると考える次第であります。
  74. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは末端の事務当局があらかじめ他のものに流用すべく契約上の納入中止の措置に出なかつたというのではなくして、やはり食糧庁として、上の方の方針として、今おつしやつたように、納入中止の措置に出なかつた、こういうことになつておるのですか。その点を伺つておきたい。
  75. 東畑四郎

    東畑政府委員 こういう場合には納入中止をさせるべきであると思うのであります。そこを不注意にもそのまま継続せしめまして、今日から考えますと、非常に多くの不必要な麻袋を保管しておつたということは、まことに遺憾である、こういうように考えます。これは食糧庁としても、こういう場合におきましては取消しをして、必要最小限度のものを持つべきであるというように考えます。
  76. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは八億七千万円の不急の麻袋代の支払いであり、不急のものを買つたばかりに保管料二千五百万円支払つたという案件でありますので、いかに大きな世帯をしておられる食糧庁といえども、やはり相当重要な過誤の事件として扱つて、適当な措置を講じるということが、私は予算執行の責任者として相当であろうと思うのであります。ついてはそういうような趣旨で、その後何らかの措置をとられたかどうか。あるいはそうでなしに、これはまことに少しばかり思惑違いであつた、二千五百万円の保管料も損であるけれども、八億七千万円の麻袋は他へ使つたからいいじやないかということにでもなつたのですか。その点はいかがでしよう。
  77. 東畑四郎

    東畑政府委員 二十六年の事案でございまして、そのことについて的確なる事実は、責任を持つて答弁する資料を持つておりませんので、いずれ後刻はつきりと申し上げたいと思います。ただ問題は麻袋等につきまして、根本的に、食糧庁として今後なるたけこういうものを買つたり売つたりすることをやめようという方針を、昨日でございますか、きめまして、根本的にこういうものの管理はやらないという方針でやつておる次第であります。
  78. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もしこれが民間会社であるならば、八億円の不急のものを買つたら、たいていの会社はつぶれてしまいます。あるいは二つ、三つの会社が破算してしまいます。それほど重大な損害を生じた案件でありますので、新しいようでありますけれども、事二十六会計年度のできごとに違いないのであります。その後二十七年の一月から三月までの間に二百十二万袋納入しておるのでありますから、二十六会計年度中の案件でありますので、二十七年もここ二十日ほどで会計年度は終了せんとしておるのであります。すみやかにこういう重大なできごとについて適当な対策といいますか、措置をとられるべきが至当であろうと考えます。いかがでしよう。
  79. 東畑四郎

    東畑政府委員 事情をよく調べました上でお答え申し上げます。
  80. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは書面ででもよろしいから、この麻袋購入の件につきましては、当委員会まで何らかの御報告をしていただくことをおはからい願いたいと思います。
  81. 迫水久常

    迫水委員長代理 農林省は、昭和二十六年度決算検査報告書二百ページ記載の報告番号七七四、不急の麻袋を購入したもの、これに関して詳細な説明書の提出をしてください。
  82. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 六三五号でございますが、埼玉県で、未購入代金の追加払い、その摘要欄に支払い証票を二重発行した、こういうことが記載してあります。支払い証票というのは、支払い官庁の方で発行したと思います。こういうことはちよつとわれわれ想像できぬのですが、やはりあり得ることなんでしようか。何か非常に大きな間違いのためにこういうことになつたのでしようか。
  83. 東畑四郎

    東畑政府委員 米を供出いたしました場合に、その代金が一日も早く農家に参りますために、末端の事務所の検査員が支払い証票というものを発行いたします。それを農業協同組合あるいは登録銀行に持つて参りますとそれがすぐ現金にかわる、こういう制度ができておるのであります。これはどこでもやつておる一つの制度でありまして、本件は、その支払い証票をバツク・ペイいたしたときに、二重に発行をしておつた過誤でございます。その後訂正をいたしたものでございます。
  84. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 地方末端の食糧事務所が—食糧事務所について一々御質疑はいたしませんけれども食糧庁全体といたしまして、批難事項に一番たくさん現われておるのであります。そこでこれを総括いたしまして、食糧事務所は相当弛緩しておるのではないかという感じがしてならぬのであります。われわれも民間におきましていろいろなことを聞いておりますけれども、これは煩瑣になりますからこの際は申し上げません。食糧事務所が全国に五十か六十あるはずでありますが、やはり数が多いので案件が多いということも考えられますけれども、その他共通いたしまして指摘すべき何らかの事情をお認めになつておるかどうか、そういう点について伺つておきたいと思います。
  85. 東畑四郎

    東畑政府委員 実は末端には穀物の検査員がおりますが、検査員は、どちらかと申しますと、米の検査の等級をきめる者でございまして、割合に事務にふなれな者が多いのでございます。これに対しまして米の供出制度、価格制度等が非常に複雑にできておりまして、あるいはパリテイによつてバツク・ペイをいたしますとか、超過供出奨励金を加えますとか、価格でもいろいろな仕組みで価格形成をいたさざるを得ないのであります。それに対して、出まわり期に一時に米が殺到いたします。ために、末端で一々について支払い証票等を切りまして金銭の計算をするのも検査員になつております。その間事務的な訓練がなかなかできない。事務と業務の関連において、若干事務の方がふなれである人が多かつたということは、まことに遺憾であります。このために、こういう過誤払いその他の問題が非常に多くなつて来ておるのでございます。その後食糧庁といたしましても、検査員の訓練ということに相当努めまして、目下各県、各事務所等において講習をやりまして、だんだんと事務の訓練をいたしております。そういう点が最も大きな事務整理のまずかつた点ではないか。不正事件等をやります者は言外でございますが、全体としてこういう事件が起りますのは、米が一時に殺到しますについて、制度、価格が非常に複雑になつておりますのが、事務のふなれの原因である、こういうように考えております。この点は重重訓練と指導にその後も努めておりまして、漸次改善されておるというように実は考えておる次第でございます。
  86. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は米の買入れ、買付あるいはその他の末端食糧事務所の事務の扱い、機関、構成等について別に少し意見がありますけれども、これは別の機会にいたしまして、きようは述べないことにいたします。私の食糧庁に対する質疑はこの程度で終ります。
  87. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。
  88. 山田長司

    山田(長)委員 批難事項の百九十二ページ、四九〇の収納未済が多額のものの金額の中で、十一億三千何百万円についてはまだ収納の報告に接していないという懸案がありますが、このことについて……。
  89. 迫水久常

    迫水委員長代理 検査報告百九十二ページ、林野庁の木炭事務所の関係です。山田委員に申し上げますが、きよう配付しました資料の二ページに、その点に関することが一応載つております。
  90. 山田長司

    山田(長)委員 ただいま申し上げた案件につきましては、この中に東京燃料株式会社というのがあるのではないかと思うのです。これは新聞をかなりにぎわせた事件で、保管料を余分に六百四十万ほど過払いしておるという案件がこの中にあるのではないかと思うのです。聞くところによると、この会社はすでに解散してしまつているという話を承つておるのですが、そういうことについても詳細な御説明を願いたいのであります。
  91. 永田良吉

    ○永田(良)委員 これに関連したことですが、今委員長から百九十二ページ、四九〇「収納未済が多額のもの」「林野庁管下各木炭事務所収納未済額一、一五五、一三八、五七六円のうち、一、一三一、三五八、八六九円についてはまだ収納の報告に接していない。」と書いてあります。これの報告はきよう配付になつた書類に書いてあると言われますけれども、この数字以外には何も書いてないではありませんか。それでは質問者は何もわかりはしません。こういう多額の、木炭事務所の十一億の未済があるというのだが、この内容について私ども説明を願いたいのです。林野庁からだれか来ておられますれば御説明を願います。
  92. 迫水久常

    迫水委員長代理 本件についてあらためて説明を願います。柴田林野庁長官。  その前にお諮りしますが、農林大臣の出席を要求しますか。何か新農林大臣に対して御質疑があるならば、要求しますか。     〔「お願いします」と呼ぶ者あり〕
  93. 柴田栄

    柴田政府委員 この問題は昭和二十五年の九月現在で、実は大蔵省の方に徴収方を引継いでおりまするので、その後の経過は実は私どもの方ではよく承知をいたしておらない次第なのでございますが、その後大蔵省において収納分となりましたものが昭和二十五年度中に四億七千五百三十九万七千三百五十六円八十四銭ということになつております。昭和二十六年度中に一億八千百四十七万七百四十五円九十七銭、さらに昭和二十七年度中に十月末現在で二千七百四十六万二千八百四十七円十銭、合計いたしまして、引継いでから六億八千四百三十三万九百四十九円一九十一銭収納されており、差引きまして十億一千五百五十一万三千八百七十八円十二銭というものがなお収納未済で残つておるという現状になつておりますが、収納未済額の中には、和解によりまして分割納入するもの等も入つておりますので、まだ納入期限の参つておらないものも含まれておるというふうになつておるようであります。
  94. 永田良吉

    ○永田(良)委員 その未済額が十一億からとおつしやるのですが、今収納未済が十一億もできましたこの事件というものについて御承知なら、一体これは何によつてこういう未済が生じたのか承りたい。たとえば請負者が、ごまかして金をとつてしまつて、その払下金を政府に納めなかつたのは、確かにふらちなことに違いありません。こういうことをするのはろくなやつでないことはわかつております。そのことについて説明を願いたい、こうお願いしておるのであります。
  95. 柴田栄

    柴田政府委員 私、実は内容が非常に複雑になつておりまして、詳細は現在心得ておりませんが、なおこの内容を調査いたしまして、提出いたすごとにいたします。
  96. 永田良吉

    ○永田(良)委員 いやしくも自分の所管内に起つたこういう国家に迷惑をかける問題について、あなたは大体どういう事件によつてつたということくらいは知つておらなければならぬと思う。われわれ国民の代表としては、そのあなたの御答弁はたいへん無責任な言い方じやないかと思う。もし大蔵省に引継がれたのなら、ここに大蔵省の役人がおられますなら大蔵省の役人からその内容について説明を聞きたい。われわれはそうでなければこれを黙つて通過させるわけに行きません。
  97. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 ただいま御質問になりました件につきましては、これは大蔵省の管財局の方に引継ぎになつておりますので、詳細につきましてはこの次の機会に管財局長から御説明申し上げることにしたいと思います。
  98. 迫水久常

    迫水委員長代理 管財局長出席を要求いたします。管財局長に来てもらいますからしばらくお待ちを願います。その間何か大臣に御質疑がありますか。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は印旛沼事件を少し究明し、さらに水産庁関係で、九十九里浜における米軍の演習補償金九千万円のうち一割五分もどうかしてしまつたというようなことで大分もめておるらしいので、その真相を—農林大臣も新しく就任されて、何かとここに現われた事実は御承知になつておいた方がよいと思いますので、私どもはもう少し事実関係を明らかにした上で大臣にお尋ねする方が効果的だと思つておるのです。
  100. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいまここに報告になつておる木炭事務所の収納未済金にしても十一億幾ら、それから農林省関係で、食糧管理の過去の会計年度の未収納額というのが莫大なものになつておる。それで新しくなられた農林大臣は、自分の管内で国家に迷惑をかけるようなことを起したことについて、現在の責任者が、これは過去のことであるからおれはかまわないのだというようなことでは、綱記粛正はできないと思います。しかも大蔵省にこのことは引継いだのだから、それはもう何も知らぬというような無責任なことじやいけないと思います。今度新しく農林大臣になられたあなたの管下において、こういうような不正なことは今でも私はあると思います。大蔵省の収支の点から見ても、会計検査の結果から見ても事件は年々減つていない。四分の一会計検査したのに一千百幾らという事件が起つておる。それに対して不当、不正まで加えると百四十億、最小限不正事件が三十億も出ておる。この事件なんかも、これは大蔵省の方にもう引継いだから、農林省は関係がないというなら、その責任はだれが負うのですか、新しい農林大臣にお尋ねいたします。過去の農林省関係において起つた事件の責任はだれが背負うのですか。私はいなかものでわからないから、ひとつあなたから教えていただきたいと思います。
  101. 田子一民

    ○田子国務大臣 この席を拝借して、ちよつと簡単に、ごあいさつを申し上げます。昨日突然農林大臣になりまして、まだ引継ぎも半ばで、参議院の本会議に呼ばれまして時間の遅れましたことをおわびをいたします。  今永田委員より不当支出その他につきまして、政府考え方についてお話がありました。これは引継ぎ書類を見ませんでも、不当の支出を厳に戒め、また不当にわたるごときことは、もちろん刑法の規定もありまするし、相当取締りはあるものと考えます。私は大臣としまして、農林省は、農民のために最も有効に予算を使用し、刻下最も重大なる農山漁業、あらゆる方面の増産に寄与しますためには、徹底的な妥当な支出を奨励しなければならぬと思う。現に私は本日引継ぎにあたりまして、さようなことを幹部に申したのでございます。今議題になつておりますそのものは、実は今参議院の本会議からこちらにかけつけた、だけで、いかような事件でありますかよくわかりません。しかしあとでよく調べまして善処をいたしたいと思います。
  102. 永田良吉

    ○永田(良)委員 大臣の就任初めに、御祝辞も申し上げないで、こんなあなたの省に関係のある不吉なことを劈頭にお尋ねしたことはたいへん失礼でありますが、今あなたのきれいな局部に対する御決心のほどを承つて、われわれは国民の代表としてたいへん安心する次第であります。過表のことはいたし方ないとは言いませんが、こういう不始末をやつたらわれわれ民間の者はただちに懲役に行つたりひどい目にあうのに、官庁の者は、悪いことをしてもそのままほつたらかしておかれるというわけはない。これらの跡始末についても、新大臣の監督のもとに、厳重に未済のものは国家に納入するようにして、国民に損失を与えないようにする。また過去にそういうことがあれば、現在の職務の執行上においても、私は明らかにあり得ると見ている。これは失礼なことを申し上げるけれども、現にこういう不正、不当が年々跡を絶たないようでは、官紀の振粛ということをいかに吉田さんがおつしやつても、これはうそだと思います。こういう意味から、あなたの断固たる処置を希望して、私の質問は打切ります。     —————————————
  103. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは前会におきまして質疑未了となりました、昭和二十五年度決算検査報告書百七十四ページ、報告番号五九八に関連いたしまして、昭和二十六年度検査報告百『十ページ、報告番号五〇八ないし五一三、すなわち農林省印旛沼手賀沼干拓建設事業所に関する直轄工事の経費が索乱しているものについて、質疑を許します。吉田君。
  104. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはまだお調べになつておるまいと思いますが、時間の都合もありますから、御承知がいなかはともかくといたしまして、事務当局に技術関係について質疑を行いたいと思います。  前会は、二十五年度決算検査報告五九七号について、二千余万円で日製産業ほか二名から購入したドラグライン五台を、地盤の支持力が平メートル当り二、三トンにすぎない湿地帯で、接地圧力の非常に大きい五、六トンもあるような重機械を、使用に適しないことを認めながら買いつけて使用しなかつたのはいかがか、こういうことになつておりましたが、これに対する答弁は、調査不十分のために的確に一々の御答弁が得られなかつたのであります。そこで質疑を進めたいと思うのですが、検査院が二十六年三月に現地調査をいたしましたときに、五台とも使わずに放置されておりましたということは、農林当局はお認めになつております。その後全部使用されておるとか、あるいは全部でなくても使用されておるとかいう御説明があつたのですが、いずれ御研究になつて来たと思いますが、どういうことになつたのでしようか、お答えを願います。
  105. 平川守

    ○平川政府委員 二十五年度におきましては、見返り資金が九月に認められまして、そのために従来一億円以内くらいの事業をいたしておりましたのが、急激に四億円くらいの仕事をいたすことになりましたので、機械力を大いに用いるべきであるということで、ドラグラインを使用できるという見込みで購入いたしたのでありますけれども、地盤の関係でその目的に使用できなかつた。そのためにこれを主として積込みのために一部使つたのであります。二十六年度におきましては極力これを使うことにいたしまして、五台のうち三台を運転いたしました。しかし二十六年度におきましては、たまたま不祥事件が起りまして、事業計画等につきましても非常に齟齬を来しましたので、十分な運転はできませんでした。二十七年度におきましては、この五台につきましては全部運転はいたしたのであります。但しその運転の期間につきましては、まる一年使いましたものは三台でございまして、その他の二台については、一台は半年、また一台は二箇月ほどしか使用できなかつた実情であります。
  106. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは二千万円からの金を出して機械を買うのですから、その機械の重量、どういうところに使用すべきか、使用すべく予定されておつた場所の地盤の支持力があるかないかということは、当然に調査されたものと思うのですが、使えないような食い違いが生じたのは、調査を十分にしておらなかつたというところに起因するのではないですか。
  107. 平川守

    ○平川政府委員 その点について齟齬はないとは言えないと思うのであります。ただ実情を申し上げますと、非常に雨が多いとかいうようなことで、もともと沼でありますから、予定のところ以上に水が増して来たといつたような事情はあつたようでございます。しかしそういうことは当然予測すべき事柄でありますから、これらも十分勘定に入れて購入をはかるべきであつたということは、その通りであると思います。
  108. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この干拓事務所でさきに不祥事件が起つたと今説明になつたのですが、やはり不祥事件を起すような所長でありますので、実は今お述べになつたような単純なことでなしに、もう少し請託といつたような、購入についての不正に関連のある事項があつたことに原因しているのではないでしようか。
  109. 平川守

    ○平川政府委員 その点については、われわれの方では実はあまりよく調べてない事情もございますが、買受けそのものについての不正というのは、まだ聞いておりません。一応私どもの調べではないように存じております。
  110. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 公文書偽造、それから業務上横領、収賄ということになつておりますが、この五九七号について生じたのではないですか。
  111. 平川守

    ○平川政府委員 このことではないと聞いております。
  112. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしその辺はよくお調べになつておらぬというのがほんとうじやないのですか。今日はあなたの方の審査を終りますので、ひとつできるだけ的確なところを御答弁願つて参おきたいと思います。
  113. 平川守

    ○平川政府委員 一応起訴状から見ますと、このドラグラインの購入について収賄をしたというようなことにはなつておりません。あとに出て参りますような金を、会計法的に不当に支出をいたしましたことが文書偽造に当る、あるいはそれを虚偽の報告によつて支出をした、支出官から受取つたということが詐欺になるとか横領になるとかいつたような事案もあります。いろいろございますが、ともかくこのドラグラインの購入そのものについて収賄のあつたということは起訴状にはあがつておりません。
  114. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 刑事事件を起しておりますのが、いずれも所長以下農林技官で、あなたの方の資料によりますと、九名とも農林技官ということになつております。農林技官は必ずしも技術者ではないかもしれないが、技術方面に一応堪能な人々らであろうと思います。そういう人々らが不用のものを二千万円で買い入れたということですから、私はやはり本省のあなたの方の監督の立場といたしましては、そこまでさかのぼつて、起訴状のいかんにかかわらず、御調査にならねばいけなかつたのではないかと思うのであります。いろいろな書類あるいは人間があがつておらぬというので調査不十分かもわかりませんけれども、すでに数年経過しておりますので、今なお未解決の状態である様子でありますが、その辺はこの番号の事件についてはこう、次の五九八号についてはこうという最後的な確かなところが確認されるところまであなたの方としても行つておらなければならぬと思うのです。刑事事件になつたら裁判所が扱う、検察庁が扱う、その結果を待つて適当に処理すればいいじやないかというようなことでは、この問題は済まされないだろうと思うのですが、あなたの方においては今お述べになつた程度以上に御調査はできておらぬのでありますか。
  115. 平川守

    ○平川政府委員 公金の使い方の点につきましては、農林省としても別に調べておるのでありますが、収賄の関係になりますと、農林省が直接に厳密な調査をいたすという権限もないわけでありまして、これらについては、個人に対する監督指導を一般監督権で行うということにとどめておるわけであります。
  116. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、ただちに使い得ない機械を五台、二千万円余りを投じて買つたことは非常に大きなあやまちであると思いますが、その点はお認めになるわけでございますか。
  117. 平川守

    ○平川政府委員 これは確かにあや主ちであると思うのであります。ただ先ほど申し上げたような事情がありますので、その点多少情状を酌量すべき点があろうとは考えておりますが、しかしあくまでもこれは技術的な観点から見まして、不当なものであるということは申すべきである、かように考えております。
  118. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 技術的な専門家が二千万円の国家支出をする場合に、適当でない支出をして機械は無用に放置されておつて会計検査院に見つけられたというような事態が起りましたら、刑事事件のいかんにかかわらず、あなたの方といたしましては、適当な物もしくは人に対する措置をおとりになつてしかるべきだと思うのでありますが、いかがでございますか。
  119. 平川守

    ○平川政府委員 こういう機械の購入そのものにつきましては、そういうむだのないようにということで、十分な監督指導をいたすことになつておるわけでございます。たまたまそういうあやまちがありました場合には、これに対して厳重に注意をいたすというような措置がそれぞれとられるわけでございます。そういう措置はとつておるわけでございます。
  120. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は次々と尾を引くがごとく発展して参りましたような、この種の不正事件につきましては、単に注意をいたしましたというような今の御答弁では、どうもその真意を捕捉するのに困るのでありますが、一応その程度にして次に進めることにいたします。  五九八号につきまして、前会もだんだん御説明があつたのでありますけれども、しかしこれもディーゼル発電機船を九百八十万円で買うたけれども、実は買わなくてもよかつた、こういうように指摘されておるのですが、結果から見ると似たようなことであつたと思うのです。これにつきまして前にいろいろ御説明がありましたが、五九七号事件のそれにかんがみまして、何らかの御意見があろうと思いますが、局長はいかがですか。
  121. 平川守

    ○平川政府委員 これは当時の事情からいたしますと、変電所をつくりまして、そこから電気を送つて事業をいたす予定にいたしておりました。この変電所の方が急速に予定通りでき上りさえすれば、これは購入すべきものではなかつたのでありますけれども、当時の実情からいたしますと、資材その他の関係でなかなか予定通りでき上らないであろう、特にたまたまいわゆる電力再編成の時期にあたりまして、配電会社の方がある程度混乱しておつたような事情にもありましたたために、配電会社の方との打合せの結果、どうも予定通りにはできない、こういうことを向うから言われまして、それではやむを得ず発電機船を買おうということになつたようであります。ただ一方においてはこの変電所の方も極力進みまして、結果においてはこれが間に合うことになりまして、この発電機船の方はその年度においてはいらないということになりました。これは結果から見まして、まことに不当なことに相なつたわけでありますが、当時の責任者としては、年度内にぜがひでも割当てられた事業量を完成したい、それが九月以降に解除になりまして、三月までに仕上げたいということに非常に熱中をいたしましたために、そういう面だけをおもんぱかつて購入いたしたような実情があるのでございます。しかし結果におきましては、はなはだもつたいないことになつたのでありますが、この発電機船はその後において全然使用できないものではございません。やはり全体の事業といたしましては、変電所からの電気のまわらないところもございます。どうしてもいることはいるのでございます。そういう点も考慮に入れて購入したことと思います。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 御説明はもつとものように見えますけれども、しかしこれをお買いになつたのは二十五年の九月で、十月、十一月に金を九百八十万円支払つた。今のあなたの御説明によりますと、当時の配電状況から見まして、専用の変電施設を年度内に完成しなければならぬというようなお話がありましたが、実は十月、十一月に買い入れて、十二月にすでに設備を完成しております。そうすると翌月完成しておるわけでありますから、十二月に完成するということが前月にわからなかつたということは、どうもわれわれはさようでございますかと言うわけに行きません。やはりこれは翌月完成するという見通しが大体ついておるにかかわらず、いらざる発電機船を約千万円で買うた、こういうことが真相じやないかと思うのです。その後これも無用なものでなしに、また使い道があるということは、そういうことは個人なら言えますけれども、国の予算を執行する立場といたしましては、私はそれでは筋が通らぬと思います。やはりディーゼル発電機船が必要であるから買う、必要でないものは、一応国としては買うべからざるものである。予算というものは、こういうように筋を立てて執行しなければならぬと思う。だからこの発電機船という船も無用ではない、後日いるのだというようなことは、御説明にならぬ。それから当時の送電事情が、電力再編成の当時で、容易に送電されないかもわからぬというようなことも、一箇月後に送電設備が完成しておるのですから、これも御説明にならぬ。これもやはり印旛沼の不正がだんだん広がつてつたことくに、責任者がいらぬことを知つておりながら買うたというのがほんとうじやないか。それにしても政府がそうだということをおつかみになつておらぬ。われわれは常識から考えてもそう思いますが、こんな刑事事件が起つて、紛糾して混乱しておるのに、政府といたしましては、その原因を的確にまだつかんでおらぬということは、私はまことに申訳ないことになりはしないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  123. 平川守

    ○平川政府委員 私どもはこれの購入を、まつたくいらないものであるのに買つたとは考えておりません。そこは私どもとしても調べ得ない点があるわけでございます。ただ当時の実情から申しますと、この十二月に、結果においては変電所ができましたけれども、見返り資金が解除になりまして、これを発注する当時の九月ごろの状況においては、配電会社自体がその通りできるかどうかわらぬということを言つてつたわけであります。責任者の所長としては、やはり四億の事業を年度内に完成するということに非常な重点を置いたわけです。これは実は農林省の方といたしましても、せつかく見返り資金が出て、その事業予定通りできなかつた、これはいろいろな手違いがあつたからだといつても弁解にはならないので、完全にその旅行をするようにということを非常に強調いたしておつた関係もございます。所長といたしては、その点に非常に重点を置いたために、万一をおもんぱかつて、しかも全然むだになるものではないということもあろうと考えて、購入いたしたものというように了解しておるわけであります。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいまの御説明によりまして、大体前の番号のものと似たような御理解の程度とわれわれは判断いたしまして、その次に移りたいと思います。  二十六年の五〇八号ないし五一三号のこれでありますが、特に私ども指摘いたしたい点は、五〇八号の印旛沼のこの建設工事の責任者が、千葉県の印旛郡阿蘇村風間某外百七十七名の、おそらくこれは百姓でありましようが、この百姓に払うべき二百四十万円を、これを百姓に離作料その他の代価として支払わずして、ほかのいろいろな接待費あるいは手当、雑工事費等々にこれを使つてしまつておりますので、ここにも非常に重大な問題がひそんでおるのではないかと私は思うのであります。言いかえますと、やはり工事には計算の表向きにできないようなものが伴う。そこで、何でもいいから予算をとつて、から人夫、あるいはから材料あるいは他に払うべきものまでも流用し、工事の請負人から二十二万円の寄付を受けるというような、非常に乱雑、悪質な捻出金のいたし方で、どうせ表向き出せないような経費がたくさんいるのだからというので、そこにぶち込んでしまつた。こういうのが真相ではないかと思いますが、どうでございましようか。
  125. 平川守

    ○平川政府委員 これは農地に対する補償金は、東京農地事務局が直接に支出をいたすことになつておりまして、事業所長は局長から委託を受けてその現金を受取り、具体的に補償額がきまりますに応じまして、その金を受取つてつて参る、こういう方法になつてつたのでありますが、この補償金の一応支出の基準というものがございます。これは農地事務局限りで大体の基準としてきめておつたものでございますが、その基準通りになかなか話がつかない場合が出て参るわけであります。そういう場合に、こういう補償金の性質上、場合によつてはただちに即金で払うというようなことが、解決上必要な場合があるわけであります。そういうものに対して正式に東京農地事務局の方で、何の何がしに幾らときめた金を、場一時急ぐ方に先払いするというようなことが行われておつたのでおりますから、これは明らかに不当なことでございまして、この基準以上に払わなければならぬ場合には、それを事務局に申し出まして、特別に事務局の許しを得て払えばいいのでありますけれども、実際問題としてその手続を行つてつたのでは話がスムースに進まないというようなことから、それを一時流用して基準以外の補償に充てたというようなことが行われておつたようでございます。これは明らかに不当なことでございまして、爾今非常に注意を与えまして、こういう場合には一々事務局長の方に伺いを立てて、正規にその超過額を受取るようにということを注意いたしておつたのであります。そういう不当なことが行われておつたのでございますが、ただこのいろいろな接待費、あるいは職員手当等に使いました金と、これらの費用が混同せられておりますので、この農家に支払うべき補償金をただちにこちらに使つたというわけではありませんけれども、混同しておりますから、どれがどれに当つているかということがわからない。当然この中に含まれているとも考えられるわけであります。そういう点については明らかに不当でありまして、これは弁解の余地がないわけであります。
  126. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは今の予算の流用あるいは移用にあらざる場合に該当するので、財政法の三十二条でしたか三十三条でしたか、それに違反するのではないですか。その点どうなんですか。
  127. 平川守

    ○平川政府委員 この補償金を基準を越えて払うということは、これは補償金としての予算の範囲内において、具体的に一反歩当り幾らといつたような、農地局できめております基準を超過するだけでございますから、これはさしつかえないのでございますけれども、これを接待費に充てるとか、あるいはその他の用途に充てるということは、これは明らかに違法でございます。
  128. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはいろいろ種目がありますが、六千五百十七万円に数額が上る案件であります。そこで今多少りくつがあるような意味の御説明になつておりましたけれども、やはり全体として、架空の人夫賃の捻出もいけなければ、架空の購入費の名義もいけなければ、百姓に払うものを流用するのもいけないし、工事請負人から寄付を受けるのもいけないし、やはり五〇八号関係は、全体として当然これはすべからざることをしたということに帰するのではないでしようか。いろいろ同情的な御説明があつたようにも印象づけられるのですけれども、これは明らかに悪質であつて、全体としてすべからざる経費の支出の仕方、捻出の仕方ということに帰着するものとしていいのじやないですか。
  129. 平川守

    ○平川政府委員 全体として明らかに不当でございます。なおこの際、私先日申し上げましたことがちよつと違つておりますので訂正いたしますが、この六千五百万円の架空人夫賃あるいは材料購入等の名前で支出をした、これは明らかに会計法上不当でございます。そういうことが、いわゆる切投げ工事といわれておりますが、直営の工事のような形をとりまして、実は請負に出しておる、実質は請負であるというのが、架空の人夫賃で行つた六千五百万円の事案でございまして、これは明らかに法律上不当なわけでございます。そういうわけで、私の方もこの批難がございましたし、厳重に禁止をいたしまして、請負は請負としてはつきり出すということに命令をいたしておりますので、今後はこういう事案は絶対にないというふうに考えております。この六千五百万円を、実質上請負であるにかかわらず、直営のような形をとつて、架空の人夫賃等として支出をいたしまして、そうして実際は請負でございますから、請負でその事業をいたしておる。この請負代金五千六百万円と、それから直営工事の九百万円、これが実際にその六千五百万円にあたる事業をいたすために使つた金でございます。この金の使い方が、ただいま申しましたように違法である、これは厳重に禁止いたしておるわけでございます。そういう事柄でございますから、全体として明らかに違法であり、不当であるということは、その通りでございます。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 方針が改まつたという御説明になつておりますが、形式を直営にして、そうして実際には請負事業にさしてある、他人に請負さしてある。そういうことはよくあることかもしれませんけれども、それ自体も予算執行上、財政法の三十三条に違反することになるのじやないですか。
  131. 平川守

    ○平川政府委員 でありますから、これは明らかに不当であると、私どもも認めておるわけであります。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではこれらの事件の結末ということへ進めて行きたいと思います。なお五〇九ないし五一三、これは全部直轄工事の会計索乱事項になつておりますが、今刑事事件の進展過程にありますでしようから、まだ不明な点もあり、行政当局としての事実に対する最終の判定と処理は、まだその時期でないかもしれませんけれども、しかしいずれにいたしましても、これは食糧増産等に非常に重要な関係のある国家の事業が、こういうような紊乱のために少くとも蹉跌したり、不利な影響を受けたことは間違いないのであります。従つて行政上のいろいろな責任問題も、その辺から考えなければならぬのでありますが、農林当局といたしまして、あなたの方といたしまして、この跡始末、あとの対策はどういうふうになさつたのであるか、もしくはなさるのであるか、前々会の御説明で若干予算の切下げの措置に出たということを聞きましたのですが、それだけではこの問題に対処する政府措置としましては、私はきわめて不十分であると思いますが、いかがでございますか。
  133. 平川守

    ○平川政府委員 責任の追究の問題につきましては、刑事事件が進行中でございますので、その判決をまつて措置いたしたい。しかしいずれにいたしましても、これは責任者を懲戒なりその他の処分をすることは、当然いたすつもりでございます。それから実質的に今後事業の建直しと申しますか、そういう面におきまして、とりあえず二十六年度においては、今お話のように、事業費の削減をいたしまして、さらに陣容を改めまして、印旛沼については監督を厳重にする必要があるという考えから、東京農地事務局において、直接に印旛だけの関係者を置きまして、厳重に監督いたすという措置をとつております。そういうことで事業計画そのものについても、もう一度誤りがないかどうか再検討するということも、同時にいたしておるようなわけであります。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その次に、翌年でふりましたか、予算相当削減されたと聞いたのですが、その数額をおつしやつていただきたい。
  135. 平川守

    ○平川政府委員 二十六年度におきましては、当初予算は三億円でありましたが、それを二億四千七百万円に削減いたしました。それから二十七年度におきましては二億七千四百万円、これは普通から申しますと、全体としての予算も非常にふえておるわけでありまして、その事業には本来ならば三億円の何割増しというくらいの仕事をさすべきところでございますが、こういう事情がございましたので、慎重を期して一億七千万にいたしたわけであります。
  136. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 毎年二億四千万円以上、二十七年は二億七千四百万円ですか、そういう厖大な支出を要しつつある事業でありますが、さような事業でありますならば、裁判が何年かかるかわからぬと思います。そういうようなことを待つまでもなく、人間は断固として粛清し、あるいは入れかえ、そうして予算執行が適切厳粛に行われるような積極的な措置が必要じやないでしようか。その点いかがでありますか。
  137. 平川守

    ○平川政府委員 この事件関係があります者は、すべて休職にいたしておりまして、この事業の運行は、全然別の職員をそれぞれ後任に充てまして運営いたしております。
  138. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事業の担当者が責任者であることももちろんですけれども、これはやはりいろんな面から判断いたしまして、決算委員会に現われました御意見なり資料なりを総合いたしてみましても、国家直轄のこの種の事業といたしましては、相当典型的ないろんなものを含んだ事案でありますので、やはりこれは現地の末端だけでなしに、ずつと上の方までこういう問題については責任を感じられるということが、少くとも日本の政治道徳から見て要請さるべきものでないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  139. 平川守

    ○平川政府委員 これはなかなかむずかしい問題でありますが、当時の東京の事務局長はこの問題に対する責任を感じられまして退職をいたしております。なお私どもも直接担当者としての責任があるわけでございますが、これにつきましては今のところ格別の措置をとつておりません。
  140. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 再びこれが繰返されることのないように、この際これを模範のケースといたしまして、政府は適切なる善後の措置をすみやかに講ぜられんことを望んでおきます。  なお前会いただいたこの資料のしりから二枚目のいわゆる不当経理の内容、資金捻出面、捻出資金総額七百二十八万六千余円というのは、これは計算の仕方が会計学的には誤つておるのである、検査院の御指摘になつた数字であるということにお認めになるのですか。それともやはりこの通りであるということを御主張になるのですか。その点をきめておきたいと思います。
  141. 平川守

    ○平川政府委員 これは会計検査院指摘せられておることが正しいのでございます。ただこれは弁解ではございませんけれども、しいて申しますれば、特に悪い部分をここにあげたということは、この余の五千数百万円につきましては、これはともかくも予定の設計の工事に使用した、しかるにこの部分についてはその予定の設計の工事以外のものに充てておるという意味において特に不当である、違法であるということは……。
  142. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもあなたの御説明は矛盾が生ずるのであります。二十六年の五〇八号事件六千五百十七万二千円は全画的に不当経理であつたということを御承認になつたのです。そしてこの今の資料は、捻出面の総額が七百二十八万円ということになるのであります。でありますから、いわゆる工事費支出総額とかいうような、その次のページでありますが、そういう意味じやなしに、これはやはり不当不正に捻出された資金として総計六千五百万円余りというのが正しい数字になるのではないのですか。これは何でもないことでございますが、資料として残りますから……。これだけを読んでおると、こちらとまつたく矛盾して来ますので、きまりだけつけておきたいのです。
  143. 平川守

    ○平川政府委員 これはそういう意味におきましては、六千五百万円が全体として不当でございます。従いまして、あるいは資料を訂正してもけつこうかと思います。
  144. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはりこれはきちつと訂正したものをお出し願つておいた方がいいと思いますから……。これで一私はよろしゆうございます。
  145. 迫水久常

    迫水委員長代理 会計検査院の方から、印旛沼について御説明があれば、ついでに伺つておきたいと思います。
  146. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 二十五年度分でありますが、先日吉田さんから御質問のありましたドラグラインのその後の使用状況であります。二十六年の十月ごろ、五台まるきり遊んでおるので、私どもはこの批難をしたわけであります。二十五年度に買いまして、二十六年度は全然使つていなかつたのであります。二十七年、昨年の九月、十月にかけまして現場の実地検査をしたのでありますが、そのときに五台のうち三台、当初予定しました工事箇所でなく、別な工事箇所、地盤のいい所でありますが、持つて参りまして三台使つていたのであります。二台は昨年の十月ごろは依然として遊んでいたわけでありまして、この前私最近の状況を申し上げませんで、五台のうち一台をほかへ使つて四台遊んでいる、こう申し上げましたけれども会計検査院として確認いたしました最も新しい、昨年の十月の現況を報告しておきます。  それから今の二十六年度の六千五百万円の点でありますが、これは農林省もお認めになりましたが、やはりこれは全体が同じ意味で悪いのでありまして、決してこの中でどれがいいとか悪いとかいう差はございません。幽霊人夫やつけがけで金を出しまして、それを請負い工事に使うということはもつてのほかでありまして、そういうことをあまり悪いというふうにお考えにならぬととんでもないことになるのでありまして、ほかの役所にも例がございますが、会計検査院といたしましては、幽霊人夫なり、から材料なりは全然悪いということで、全部統一した取扱いをしております。
  147. 迫水久常

    迫水委員長代理 永田さんに申し上げますが、先ほど大蔵省に御質問の点、十一億幾らがどういうわけで収納未済になつておるかという点について、阪田管財局長が見えましたから、もう一ぺん御質問願います。
  148. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今の件についてここで説明してほしいと思います。
  149. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 御質問は承つておりませんが、一応お答え申し上げます。薪炭需給調節特別会計の債権を引継ぎました件並びにその以後の件について申し上げます。この薪炭需給調節特別会計は二十四年度に廃止になりましたが、二十四年度の収納未済額は十四億五千九百万円ということになつておりましたので、この検査院の報告に出ております金額は、この中の金額であろうと思います。それに対して大蔵省が、正式にこの債権を引継ぎました手続をいたしましたのは、二十五年十月一日でございます。そのときに引続ぎを受けました金額はその後増加いたしましたものを含めまして、十六億九千九百万円という金額になつてつたわけであります。それに対しまして大蔵省といたしましては、これは私ども管財局、地方では財務局あるいは財務部というものが、これの回収に当つておるわけおりますが、いろいろ回収に努めました結果、回収いたしました金額は昭和二十五年度では四億七千五百万円、二十六年度では一億八千百万円、それから二十七年度では十月末までで二千七百四十六万円、そういうような金額になつておるわけであります。回収には骨折つておるわけでありますけれども、何分債務者の大部分薪炭配給関係とか、統制組合の関係のものでありまして、すでに機能を喪失して、清算というような状態に入つておるのが大部分でありまして、資力がありませんので、回収当初はかなり回収ができたのですが、今日ではだんだんとむずかしいものばかり残つておるという状態になつておるわけであります。そこでいろいろ和解をいたしまして、分割して返済をする、組合から薪炭を買いましたその先の債務者に債務を負担させますとか、いろいろそういうような措置を講じまして、ただいま回収に努力いたしておるような次第であります。何分そういうような状態でありまして、なかなか最近でははかどらないような状態で申訳ない次第であります。
  150. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま詳細に報告を承りましたが、四百九十の註があまりに不親切だと思う。こういうのはやはり少くとも林野庁管下何県何木炭事務所外何十箇所とかいうように、収納未済総額がわかるように、場所の表示がほしいと思うのであります。それからなおただいまのお話で、初年度はたいへん結果がよかつたようであるが、年々しりつぽが小さくなつて来ておるということでありました。これは私ども貧乏政治家にはよくわかるので、借金というものは先に引延ばせば延ばすほど調子がいい。これは民間も官も同じことだと思うのですが、いずれにしてもこういうのは国民に大きな迷惑を及ぼす問題でありますから、やはり相当厳格にお取立てをお願いしたいということを希望いたします。  なお今大臣が来ておられますが、農林省関係の決算報告で一番不当とか不正の起つておるのは営林関係、つまり国有林関係であります。その次は食糧関係ですが、私はこの国有林野事業特別会計報告の中でちよつとわからないところがありますので、林野庁長官さんにお尋ねいたしたいと思います。同年度の立木、素材の売渡し、これが二項目にわかれて三十数億と八十六億、合計百二、三十億となつております。その前の方の収支計算においては十四億くらい利益があつたことになつておる。一体、日本の国有林野の総面積はどのくらいあるのか。二十五年度は総収入は百二、三十億程度となつておるが、そのほかに収入があつたのか。これは特別会計であるから、この収入の利益は一般会計に入らないで林野庁仕事をされる費用——造林費などに充てられておるのか、何か一般の利益金が国家の歳入になつておるのか、それを御説明していただきたい。
  151. 柴田栄

    柴田政府委員 林野の総面積は、約二千五百万町歩でございますが、そのうち農地改革その他牧野移管等もありまして、現在は七百八十万町歩ほどの国有林で経営いたしております。昭和二十二年度から特別会計の制度で運用いたしておりますが、二十二、三、四年度は特別会計は赤字が生ずるくらいの経営であります。それはなぜかと申しますと、当時は林産物がいずれも統制をいたされておりまして、価格の統制がありまして、いかに努力いたしましても方法はなかつたわけであります。二十五年の一月から統制が撤廃になりまして、それ以来極力収入の充足にも努力いたしまして、二十五年度においては一部黒字を出す結果となり、二十六年度におきましては約七十億の黒字を出しておりまして、それはそのまま預託をいたしております。二十七年度も現在の見通しでは約十五億くらいの黒字が出る見込みであります。あるいは正確に集計いたしますと、もう少し上るかもしれぬという見通しを持つております。そういう関係で二十八年度におきましては、一般会計への繰入れ二十二億を予定いたしまして、予算に組んでおるという状況になつております。
  152. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへん黒字を出していただいて、国家のためにありがたいことで、非常に感謝いたしますが、さてそんなふうに上げられた金は、国有林は全国に広い面積にわたつておる、これらについて、地方では国が林道をつくつてくれないので困つておる地方がある。今地方の財政も行き詰つておりまして、国有地に県の知事が県道でも通すことができないような場所が多多ある。そこで私はこういう地方に利益金をもつて林道を開設して、地方の森林資源の開発に当つてほしいと思うのです。幸い新大臣はきようの新聞を見ますと、二男、三男に国有地を開放したいという考えを持つておられるようであります。これはたいへんありがたいことだと思います。しかし戦後外地から引揚げた者がたくさんある。これらが土地を買い求めようとしても、今までの耕作者がなかなか許さぬ。そういう状態にあるので、農林大臣としては、二男、三男ばかりではなく、ひとつ引揚者その他一般の者にも開放してほしい。大臣は無償とおつしやつておられますが、無償ならなおけつこうです。有償で払い下げるというと、たいてい営林署の値の見積り方が高い。これではぐあいが悪いから、やはり大臣がおつしやつた通り無償に近い価格で農民に払い下げていただきたい、そうせぬと増産はできないと思う。国有地の中にはダムをつくれば五千町歩も水田になるところがある。私は鹿児島の大隅ですが、もし農林大臣がダムをつくつていただけば、一万町歩くらいの水田ができる。そういうようなところもありますから、将来大臣は農地の払下げをなさる場合考えていただきたい。現在地方の農民とか、農協とか、県の財政はもう行き詰つておる。こういう点から見て、国有地を県もしくは町村、農業会、こういう方面に相当量お払下げをしていただくことは、今後の農村問題としては、国家の政策として大切なことだろうと思う。今度の新しい大臣が今までの蒙を開いて、農村の開発のために一つの新政策を立てて断行されることは、たいへん日本の将来の食糧問題のためにけつこうだと思う。それで払下げとともにダムもつくつていただきたい。この間もこの決算委員会でシャム米のことが問題になりましたが、そんなビルマやシャムから米を買い入れなくても、国有地を開放すれば、確かに米が日本でできると思う。たくさんの人が外地から帰つて来ているので、国有林を開放すれば増産ができると思う。新大臣にその御構想のもとに、国有地を払い下げて食糧増産をやるとか、ダムをつくるとかあるいは林道を開発していただくという方面に、この黒字になつた金をまわしていただくことをお願いする次第であります。これに対して新大臣はどういう考えを持つていらつしやるか、この際御答弁をいただければたいへんけつこうと思います。決算をもつて将来をはかるということはよいことだと思います。過去の死んだ子のよわいばかり数えても、日本の国は進展しない。決算を考え、将来に希望を持つような政策を立てなければならぬ。この意味から、大臣がきよう来られたことはたいへんけつこうだと思いますので、将来の日本建設のためにあなたの抱負を承つておきたいと思います。
  153. 田子一民

    ○田子国務大臣 永田委員のお尋ねにお答えをいたします。御承知のように、国有地は今もおそらく大蔵省がこれを握つておると思います。国有林には不要存地と要存地とあり、この不要存地の中で、あるいは農耕に適する地、こういうものは努力をすれば地方の要望に応ずることができると思います。但し要存地の方は—日本の木材数量というものは人口のふえますよりも伸びが遅い。他国の暖かい土地のように一時に木が伸びるということはありませんから、一面林業の国策ということと、一面ただいまお話になりました不要存地に対して二男、三男あるいは引揚者等を入れる、これも一つの構想であると思います。これは平素私が主張しておるところでありますが、まだ役所にも相談いたしておりません。また農林省も国有林の開放をずいぶん最近は熱心にやられまして、すでに二十三万町歩開放したということであります。ダム工事、林道関係のごときは最も必要なものであります。ダムも地方地方によりましては必要だと思いますから、今年度予算は大体きまつておるのでありますけれども、御趣旨に沿うように考えてみたいと思います。
  154. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今大臣の説明の中の、民間に払い下げるのと国の方で経営するのときまつておることはむろん私どもも知つております。しかしそのやり方によつて、民業の圧迫されている地方がある。つまり営林署計画を立てて仕事をしていて、その地方の農がその付近を払い下げてもらおうとしても、どうしても手をつけられぬ。それはどういうことかというと、これは東北でもあることでしようが、ことに私の鹿児島県のごときは、十年戦争の余波を受けて、十二年の地租改訂当時、農家の壁のわきまで滞納で処分されて、民有地が国にとられた。このわれわれの先祖からの土地がとられたと言つては失礼かもしれませんが、それは事実である。昔の官僚政治ならばそれでよかつたかもしれないが、今の民主政治の時代には、多少地方の町村とか個人の権限や幸福の権利を認めてくださつて、そういう無理があるところは法律をかえればいい、またそういう無理なことをしておられるところは、農林省の方で計画を御変更になれば、民間の人がそこに食い込む余地ができる。少し乱暴なことを申し上げるけれども、そういう愛の政治もたれていただかぬと、地方民には泣いておる者が多い。どうかこの点について、将来多少計画は変更してでも、地方の町村や県や個人に対してもひとつ同情をたれて、幾分か払い下げていただくというようなふうに私は希望します。言葉を大きく言えば、国有林民間に対する開放、これはこの機会をおいてないと思う。田子さんのごとき多年政界におられて民衆の味方をして来られた方が大臣になられた機会に、慎重なる考慮のもとに、そういうことをお願いしたい。たいへんかつてでありますが、お願いいたします。     —————————————
  155. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは前会に委員の要求がありました大蔵省柳澤司課長出席を求めましたから、収入未済処理関係について質疑があればこれを許します。
  156. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは大蔵省の方にお尋ね申します。各省、特に総理府における特別調達庁関係あるいは、今まで審査いたしました農林省関係、大蔵省関係、こういう省庁の予算の執行の上に現われました批難事項を通しまして、過日来幾たびか御説明になつたうちに、相当巨額の回収を要すべき金円、資産あるいは物というようなものが現われて参つております。もつとも未収金といたしまして、検査報告書の総則に、租税などの未収金が記載芦れておりますけれども、一応これは別にいたしまして、当然回収しなければならないものが、おそらく九百数十億あるいは百億円にも達するのではないかと思います。そこで各省のそれぞれの事務当局等の御説明を求めましても、その後できるだけ厳重に取立てに努力しておるということが落ちで、何億円、何十億円というものが、数年間ほとんど回収未済のまま次へ次へと報告が順送りのようになつておる観もあるのであります。こういうような債権は、一種の国家の資産を構成すべきものであると思いますので、これはやはり相当統一的に国の財産を全体として保管する責任のある、また予算決算を作成する責任のある大蔵当局において、こういう国の資産である債権財産をどういうふうに見ておられるのか、またどういうふうになさねばならぬと思つておられるのか、その辺をまずひとつ事務的に御説明を願いたいと思います。
  157. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 私からお答え申し上げます。ただいま御質問になりました収納未済と申しますか、国の債権として保全しなければならない財産につきまして、どういうような保全措置を講じ、また収納未済の現象につきまして、どういうような措置を講ずべきかという点に対しましては、いろいろございますが、まず国の歳入徴収の機構につきまして簡単にお話し申し上げまして、御了解をお願いいたしたいと思います。  その歳入の機構につきましては、御承知のことと存じますが、会計法の規定によりまして、大蔵大臣は歳入事務の総括の権限を与えられておりまして、各省大臣は各省所管の歳入の事務に関しまして、管理権限を持つております。しかもその各省大臣の委任を受けまして、会計法上歳入徴収官という一つの会計機関がございまして、この歳入徴収官が実際の歳入の徴収の事務を取扱つておるわけであります。この歳入徴収の事務の範囲は、まず法令なり契約なりによりまして、国の債権が発生いたしました場合には、その債権を調査決定いたしまして、これがはたして国の歳入としてとるべきものか、金額に誤りがないかという点を十分に調査いたしまして、相手方に対しまして、納入の告知をする、納入通知でございますが、納入通知をするということに相なります。そこで納入通知がありまして、初めて今度は相手方が納付をする、こういうようになるわけでございまして、その場合に歳入徴収官は一応歳入の徴収簿という帳簿を備えておりまして、その歳入徴収簿に調査をいたしました事項を登記いたしまして、それによつて一応国の債権額というものを具体的にそこで表示をする、かような仕組みになつております。それを調定と申しますが、調定をいたしまして、相手方が期限までに納入いたしました場合にはもちろんこれは問題ありませんが、納期を過ぎましても納付をしない、こういうようなことになりました場合には、いわゆる収納未済というものが生じて参ります。これが収納未済という性質のものでございます。  それからさらにまた国の債権としてあるいは登記しなければならない事由が発生いたしたような状態にありましても、まだ何らかの都合によりまして登記をしない、一例を申し上げますならば、延滞金とかあるいは追徴金とか、そういうようなものになりますと、やはり相手方に対しまして、一応の納付についての督促をいたしまして、そうして調定をする前に、調定を待たずに、一応現金が入りました場合に調定をするというような、いわゆる事後調定と称しておりますが、金が入りまして調定をするというようなものもございます。手数料、税金の納入といつたようなものにつきまして、やはりそういうものがございます。そういうようなものになつて参りますと、そういう事由が発生いたしまして、現金が入りまして調定をするというような場合が出て参ります。そういうようなものにつきましては、これはまだ調定にはなつておりませんが、国にそういう徴収をし得る権利があるということになつて参ります。その権利につきましては、現在のところ会計法上におきまして、いまだこれを権利として、一つの財産として整理をするというような積極的規定は設けられておりません。もちろん各省におきましては、そういうものにつきましても、補助簿等を設けまして、登記をいたしておるはずでございますが、会計法上正式にそういうものを国の財産として整理をするという会計法上の措置はございません。でありますから収納未済と、さらにまた調定を終らない、しかしながら国に債権が発生をしておる、こういう状態のものもあるわけであります。これらのものにつきましては、もちろんできるだけ早く調定をすべきものでありますし、また法令上当然一定の期限が来ました場合には、調定をするということが必要になつて参りますが、何といいますか、違約金とかそういうようなものになつて参りますと、多少相手方との交渉の問題もございまして、抽象的には債権が発生しておりましても、まだ具体的にこれを調定する段階に至らないというようなものもございます。また会計検査院批難事項によりまして、これは当然徴収すべきものだ、こういうように決定になりましても、まだその手続が行われないというものもございましようし、また相手方との話合いがつきませんので、金額が確定しない、そのためにまだ調定の手続をしておらないというようなものもあるのであります。戸ありますから、国の債権に関しますものを区分いたしますと、収納未済として当然会計法上の帳簿に載つておりますものと、それからまだ載つておらないものと、こう大体二つに大別することが可能であろうと存ずるのであります。  そこでその収納未済の分につきましては、これはどこまでもやはり歳入徴収官の職務の内容でありますから、歳入徴収官の手元におきまして、できる限りの措置を講じまして、これが回収に努めるべきことは当然であります。また調定をしておらないものにつきましても、やはりこれは国の債権であるべきものでありますから、従いまして、歳入徴収官のところにおきまして、徴収の手続をできる限り早くやるというようにしなければならないものと思うのであります。大体国の債権として財産の実際上の整理の問題につきましては、今申し上げましたような点であります。  そこでその次に、それらの収納未済なりあるいはまた収納未済として調定をしないものの財産の管理の問題でありますが、管理につきましては、現在のところ各省が一応管理をいたしておりまして、大蔵省に対しましては、毎月の報告書が参りますが、この報告書は、収納未済についての報告が参りまして、まだ調定をしないものの報告は参らない、法規的にもこういうような建前になつておるのであります。その点につきましては、ある程度今後の研究の問題としまして、そういうものにつきましても報告を出していただくというような点もある程度考えなければならないのじやなかろうか、かように考えますが、事情は今申し上げましたような状態になつております。  それから収納未済についての措置につきましては、従前もいろいろ措置を講じて参りました。まず収納未済の生じますところの原因を調査いたしますと、国の契約によつて、たとえば物品の売払い代金を収納するというような場合におきましては、納入の告知をするのでありますが、そういう場合におきましては、契約によつて当然物を引き渡す契約をいたしますと同時に、代金を収納する契約をいたすわけでありますから、前に金をとりまして、財産を引き渡す、こういうのが国の会計法上の原則になつておりますから、これを厳格に運用いたしましたならば、収納未済を生ずるという余地はないと思うのでありますが、ただ例外といたしまして、国の物品を売り払う場合におきましては、延納の制度を設けております。また国有財産法の規定によりまして、国有財産処分をいたします場合にも、限定的ではありますが、ある一定の場合にはやはり延納の措置を講じておるような次第であります。もちろんその場合におきましては、原則としては担保をとりまして、国に損害を及ぼさないように措置はいたしておるのでありますが、規定の中を見ますと、ある場合には担保の免除をすることが可能なような場合もございますので、これがあるいは原因いたしまして、国に収納未済になりまして、後日とれないというようなことは全然ないとは申し上げかねるのであります。しかしながら担保を免除する場合におきましても、やはり厳格に調査をいたしまして、十分に代金を徴収し得るという意図のもとにやつており、また担保の免除も認めて行くような運用をやることに相なつております。  最後に、しかもそういうような措置を講じましても、やはりどうしてもとれないというものも出て参りますが、その場合におきましては、租税債権及び貸付金債権以外の国の債権の整理に関する法律、これは昭和二十六年の法律でございますがこういう法律がございまして、債務者が無資力のために、どうしても一時に納付できないという状態におきましては、定期貸しあるいはすえ置き貸しに編入をいたしまして、相手方の資力の回復を待ちまして国が徴収をする、こういう方法もございます。  また租税につきましては、御承知の通り国税徴収法の規定によりまして、一年間は徴収の猶予も可能になつておりますし、また滞納処分をいたしましても、一定の条件が成立いたしました場合には、三年間はその滞納処分を停止いたしまして、しかも三年を経過いたしましてもなお滞納処分することが適当でない、かように認められるものにつきましては、租税の納付義務を免除する、こういうような措置もございますので、そういうようにいたしまして免除するということも考えられておるのであります。  でありますから、収納未済の問題、それから収納前の財産の管理につきましては、これを統合的に十分に管理することは非常に必要なわけでございますが、現在制度的にも多少不備の点もございますし、また運用上におきましても、十分な運用が行われておらないというのが実情でございます。多少脱線いたしましたが、お答えいたします。
  158. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 各省の資産等の管理者から大蔵省の方へ収入未済の分として報告されるのは、これは例外なく報告になつておるのでしようか。
  159. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 例外なく報告に相なつております。  なお申し上げますと、報告に関しましては、会計法の施行令といたしまして、予算決算及び会計令という政令がございまして、この三十六条の規定によりまして、まず歳入徴収官がその月分の徴収の報告をつくりまして、これを翌月の十五日までに各省大臣に送付をする、かようになつておりまして、各省大臣は自分の管下の歳入徴収官の分をとりまとめまして、その月の末日までに大蔵大臣に送付をする、かような規定になつておりますが、現在の実行上は多少遅れておりまして、大体報告は普通の、法定のものよりも一箇月ないし一箇月半遅れているというのが実情でございます。
  160. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が聞きたいのは、予算決算に関する政令でしたか、法律でしたか、それによつて大蔵省に報告する建前にはなつているけれども、事実において、各省がさような場合まつたく例外なしに報告が実行されておりますかということを聞いておるのです。
  161. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 収納の報告は、収納済み額と収納未済額についてのみの報告でございまして、まだ調定をしないものにつきましては報告は参つておりません
  162. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは例をあげてお尋ねしますが、二十五年の検査報告の百八十ページ、番号六二二号、これはこの間からも問題になつてつたのですが、長崎食品株式会社にかんしよ並びに澱粉、かんしよ澱粉浮粉などの保管を託しておりまして、横領されてしまつたという案件であります。これは長崎食品株式会社外五名になつておりますが、長崎食品株式会社はそのうちの約八、九割まで占め、約四千万円あるのです。これが二十六年の十月にはなお四千二百六十万円のうち四千二百万円の残があるのです。たとえばこういうものも、あなたの方は数額が確定しましたとき—いずれ二十五年中と思いますが、そういうときに大蔵省へ報告済みになつているのでしようか。この点は具体的ですから、あるいはお答えができるかどうかわからぬけれども……。
  163. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 お答えいたします。少し私の申し方が足りませんでしたから、ちよつと補足さしていただきます。収納済み、収納未済額の報告は毎月の報告になると申しましたが、報告になりますのは、その所管の合計額が報告になるのでありまして、個々の案件についての報告は参つておりません。もちろんこの六一三号の案件を見ますと、弁償金額に対しまして、下の方の欄が収納未納額というように会計検査院報告に載つておりますので、これはおそらく調定したものと考えますから、総額の中にはもちろん入つて報告されたものと考えます。  なおこの際つけ加えて申し上げますが、現在の報告の形式というものは、一般会計の決算の制度上からいたしました、その年度の決算に現われますものは、その年度の収納未済額のみが計上せられる、こういうぐあいになつております。従いまして、報告もその年度年度の、しかもその年度の月々新たに発生いたしました収納未済額が計上されて来るという状況になつております。その点も確かに一つの欠点ではなかろうかと考えております。
  164. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明によりますと、二十五年に収入未済のある案件があつて、四千万円収入未済額が出た。それから二十六年になつて新たに収入未済案件が発生して、収入未収の事実が生じたものは報告されるので、前年はあらためて報告はない、こういうような御説明なんですか。
  165. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 今申し上げましたように、報告になりますのは、その年度で入つて参りましたもの、それからその年度で発生いたしました収納未済が計上されて参ります。ただ今のお話のように、二十五年度で発生いたしました収納未済につきましては、その収納未済額である間につきましては、二十六年度になりましてもそれは報告になつて参りましようが、それが二十六年度において収納になりました場合には、収納済みの中に入つて報告にたつて来る、こういうようになつております。
  166. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、まず二十五年の総計が各省でまとめられて報告になるので、具体的に、個別的には大蔵省は内容がわからぬということが一つと、それから翌年になつて新たに発生した件よりする収入未済として報告されて、そして何ほどか収入があつたものはまた別途報告される、こういうことであるとしますと、大蔵省につきましては、実際の収入未済の内容をなしているものはどういう相手方で、どういう理由によつて収入未済であるか、どういう措置が講ぜられているので収入がいまだないか、そういう措置の内容、経過は結局わからぬことになるのですか。
  167. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 結論から申しますならば、御説の通りでございます。その理由といたしましては、あまり理由とはならないと思いますが、これは歳入徴収官の職務権限の問題から起きて参るのでありまして、歳入徴収官は自分の調定いたしました分につきましては、やはり終局までの一応の責任を負う、こういう態勢にありますので、そういう個々の問題につきましては、現在のところは歳入徴収官あるいは所管大臣限りにおいて処理されておるという状況でありまして、大蔵大臣は個個の問題につきまして全部を把握するという状況には立ち至つておらないのであります。
  168. 迫水久常

    迫水委員長代理 ちよつと申し上げますが、農林大臣は参議院の予算委員会から呼びに来ておられるらしいのですが、大臣に対する御質問がありましたらお願いします。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣はおかわりになりましたので、農林省の批難事項に対する審査状況は、あるいは御承知でないかもわからぬのですが、私どもずつと審査して参りますと、また報告書を一覧しますと、公共事業費というものが相当乱脈なんです。農林省という役所において、陸の食糧、海の食糧にかかわらず、公共事業についてかくも数数の批難事項が出て来るということは、公共事業食糧政策上重要であればあるほど、私どもはこの問題に深い関心を持たざるを得ないのであります。そこでこれは具体的に御質疑をすることは適当でないかもわかりませんので、一般的に御意見を伺つてみたいのですが、農林省といたしましても、今問題になつておりましたように、各局、各部、庁等におきまして、かなり大きな収入未済もあるし、また今申しましたように、公共事業費というものが、あらゆる形において批難事項の一番大きな対象になつて来るのですが、これはどうにか抜本的に手を打つという行き方をしませんと、どうにもならぬように思うのでございます。と申しますのは、予算と違つて決算なんですから、いわば使つたあとは何万円残つておろうとも、また使い道が適当であつてもなくても、あるいはまた会計報告にかりに違反があつてもなくても、違反をしたといつて責められるだけであつて、もう済んでしまつたことで、財産が残つておりましても、これは厳重に督促しておりますということになる。これらを考えてみますと、農林省におきましては、各局、庁を通じまして何らか相当抜本的な対策を立てないと、せつかく御熱意を持つて大臣のお仕事をおやりになつても、いい結果が得られないのではないか。たとい何百万、何千万の公共事業費を予算措置で組んでも、途中でボスの暗躍やら不正事件やら、何やかやで何十パーセントかがなくなりはしないだろうかということを心配するのです。そうなりましたら、事実は食糧増産、食糧管理の結果は得られませんし、日本の食糧政策は予算だけ組んで結果は逆になるというおそれがあります。今の大蔵省の答弁も一面には違いありませんけれども、これから実行するという面におきまして、たとえば予防的にはどうすればよいか、財産をまかす、支払いをする、仕事を託する、売買契約をする、そういつたときにもほとんど調査はできておりますけれども、補償制度は完備しておりません、これは大体わかりました。それからあとの始末につきましても、善後措置がどうも統一的にとれておりません。予防の面やらあるいは善後措置の面、こういう面が首尾完結するというところに、公共事業を一応取上げましても、その予算の収支が初めて適切を期し得ると思いますので、こういう点についてさつそく御研究を煩わさないといけませんが、長年の政界の練達の大臣ですから、かねてこういうことについてのほぼ御識見もあつたと思いますので、ひとつこの際何か御意見を伺つておいたらと思います。
  170. 田子一民

    ○田子国務大臣 実は私も決算委員の一人でありまして、この聞廣川農林大臣がここに出席されましたときから、この農林省関係をよく承つております。私も古いころは役人をいたしましたが、会計検査院からこんな厖大な不正、不当支出を指摘せられるなんということはかつてなかつたのであります。これは金も大きくなりましたせいもありましようけれども、私自身は非常にふしぎな世界を見るような気がしておつたのであります。本日は非常に熱心な御審議を得まして、私は非常に感激をいたしておるのであります。従来の会計法とか、あるいは戦後の人心の頽廃とか、あるいは官吏の生活問題とか、そういうことばかりがこの原因というのではなく、やはり今お話のように、何らか根本的に考え直さなければ、かような不正、不当は防ぎ得ないものだろうと思います。今の御趣旨に従いまして、事務的にもまた精神的にも何らかの方策を立てて、御期待に沿うようにいたしたいと思つております。なおまた長年衆議院におりまして感じますのは、予算委員会にはずいぶん出席も多く、討議も熱心でございますが、決算委員会はややもすれば軽んぜられまして、今日のように長時間にわたつてしさいに質問し、答弁するという機会を私は多く見ないのであります。この委員会制度の重要性をうまく運用することもあるいは一つかと思います。また国家の会計法を根本的に直しますか、あるいは新しい制度でやりますか、これは早急に調査検討しまして、かような厖大な不正不当を会計検査院から御指摘を受けないようにしたいと思います。
  171. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 私今の農林大臣の御発言に関連して要求したいことがあります。これはこの前も要求しておいたことなんですが、いつも関係資料というものがその日になつて配られる、こういうことではほんとうの審議はできはせん。これから審議に移るのは政府機関としては商工省を初め七省、それから政府関係の機関では専売公社、国有鉄道、公団、復興金融金庫等七つ指摘せられておる。不正不当というような事件の数で、なお残つておるのが四百七十七件ということになつております。私はこの際この委員会の名において、残つた各省各機関に対して、この委員会に提出すべき資料を前日の朝でなしに、とつくにこつちへ渡しておけ、そうしなければはつきり読んで、質疑をしたり研究したりすることはできやしない。だから当日の朝配付するようなことをしないで、これは通産省のはあさつてになるかもしれませんけれども、これはあしたのうちにでも、あとの省や政府機関のものは、何もそんなに差迫つてからよこさなくてもいい。当然もうその資料はあるはずなんですから、一括してすみやかにこの委員会に提出することを、委員長から各関係機関、各省に向つて要求せられるようおとりはからいを願いたいと思います。
  172. 迫水久常

    迫水委員長代理 承知いたしました。  先ほどの質問を継続いたします。吉田君。
  173. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省当局にお尋ねいたします。大蔵省において収納未済分が具体的にわかるのは、会計検査院指摘した場合のみになるのでしようか。
  174. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 法規的には、会計検査院指摘いたしましたものにつきましても、特に報告を受ける、こういうことではありませんが、この点に関しましては、最近になりまして、たいへん会計検査院批難事項が多うございまして、しかも国の債権として処理しなければならない案件も多いような事情にありますので、大蔵省におきましては、昨年度から、一応会計検査院批難いたしましたもののうちで、まだ未処理のものについては、その後処理状況というものを各省から毎月報告をとりまして、それに対しまして御注意を申し上げ、また御要望もいたしまして、できる限り早くこれを解決したい、かような心組みをもちまして、一応私の方で便宜各省からそういう報告をとるような措置を講じておるのであります。
  175. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省は具体的な事件については、会計検査院批難したことによつて御承知になる以外には、数字の結末だけがわかつてつて、具体的案件がよくわからないということでありますが、大蔵省のみならず、各省の大臣は自分の省における各局各課のその種未済事件というものについて、やはり知らないということが通常なんでしようか。その点あなたでなくても、どなたでもおわかりの方に御答弁願いたいと思います。
  176. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 各省ではある程度おわかりになつておるはずだと思います。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 たとえば林野庁関係食糧管理庁関係という、お互いのものはやはりわからぬだろうと思いますが、それを総括して次官、大臣においては一々巨細にわかるということになつておるのでしようか。現況はいかがでしよう。もしおわかりでしたら、お答え願いたいと思います。
  178. 柴田栄

    柴田政府委員 林野庁についてお答え申し上げます。年度末においては全部を集計してわかることになつておりますが、それぞれの歳入徴収官は毎月の分が明確になつております。さような状況でございます。
  179. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省の方に伺います。いろいろと批難案件が全て参りまするが、政府物件を売却いたしましたり、あるいは相当高額の物の保管を託したり、あるいは大蔵省において税金の物納物件の売却を、個人に代行委託せしめたり、あるいは金を渡す場合、たとえば事業の請負、これは当らぬかもしれませんが、いろいろと未回収、未済の金が生じないように予防的にするという一面におきまして、保証制度をもつと完全にしたらどうかと思いますが、そういう点につきましては、別に規定とか内規とか通牒とかいうものはないのでしようか、いかがですか。また実行されておるのでしようか。
  180. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 御質問の点でありますが、場合をちよつとわけて考えてみたいと思います。まず第一番目に、国の財産を売払いするような場合におきましては、会計法の原則といたしまして、前に金を受取りまして、受取つた後に財産を引渡すというのが原則になつておりますことは、先ほど申し上げた通りであります。ただ国有財産につきましては、国有財産法の規定がございますし、また物品に関しましては単独の法律がございますが、その中におきまして、ある程度の分納の制度がきまつております。年賦払いとか、あるいは二回、三回に分割して支払いさせるというような制度がございます。その場合におきましても、原則は担保をとるようになつておりますが、公共団体とかその他それに準ずるような法人とか、あるいはまた特殊の場合におきましては、担保を免除するという処置もございますので、すべての場合に担保をとつて分納を認めるということになつておりませんが、普通の場合は原則として担保をとるということになつておりますので、これを厳格に励行いたしますならば、国に損害を及ぼすということは、ほとんどなかろうと思います。またもう一つの場合を申し上げますと、たとえば先ほどもちよつと触れたのでありますが、弁償金とか、そういうように、こちらでもつて反対給付を直接するというものではなく発生するようなものにつきましては、そういう事態が発生いたしますと、債権が発生いたします。しかもそれにつきましては、相手方の資力とか、そういうものを考える余地がありませんので、そういうような債権が発生いたしました場合に、これをとるわけでありますが、相手方の資力の関係で、なかなか収納ができないというような場合があろうと思います。その場合は、現在は和解の方法、そういう方法でもつてある程度措置はとられておりますが、この点につきましては、場合によりましてはもう少し積極的に、どうしても収納せられないものについては資力に応じた納付の方法を講ずるとか、何らかの方法を講ずることも一案かと思いますが、これにつきましては大蔵省におきましても、数年前からいろいろ研究をいたしおりますが、まだ成案を得るに至つておらないような状況であります。
  181. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでたとえば二十四年の四九〇号の今の木炭の事務所の収納未済が十一億円ほどあるのでありますが、こういうものは一体どれほどの金額に上るのでありますか、数百億円に上るのではないかと思いますが、大体の見込はいかがですか。
  182. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 先ほどの木炭事務所の木炭売払代の滞納問題につきましては、あれは一応財産を売り渡しまして調定をいたしたものの数字が十一億になる、こういうことになろうと思います。その前の段階として、木炭をどれだけ渡しまして、それに対する債権はどれだけあつたかという点については、私事情を明確に知つておりませんが、少くとも十一億何がしという金は……。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 各省の総計がどれくらいあるか、聞きたいのです。そして回収を要すべき債権はどのくらいですか。
  184. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 回収を要すべき額と申しましても、収納未済金額はわかておりますけれども、それ以外の金額につきましては正確な数字はつかんでおりません。ただ会計検査院で二十五年度に批難を出しました事項の中で、国が跡始末をしなければならないという性質の金を拾いまして、それを調査したものはございますが、しかしながらその中にはすでに各省におきまして調定をいたしたものも含まつておりますから、その分を差引きまして、まだ調定の終つておらない金はどのくらいあるかということは目下調査中でありまして、これは取急ぎ資料をお送りいたしたいと思います。
  185. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の資料の点でありますが、これはやはり会計検査院のこれを見ましても、本年発生したものも書いてあるらしいのでありますが、前年中のものもあるはずでありますから、今日現在何ほどつかむかということ、年々累計ということになりますが、できるだけあなたの方でわかる範囲の資料を至急出していただきたいと思います。それのおとりはからいを願いたい
  186. 迫水久常

    迫水委員長代理 承知いたしました。
  187. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大分時間が迫りましたので、続いてお尋ねしておきますが、こういうような案件につきまして、収納未済の案件を中心課題としてやはり今の各省ばらばらの状態、大蔵省は暗中模索というか、正確に具体的内容がつかまれていない。検査院の報告によつては前年度のものも統一的にわかつて来る、こういうことになつて来ますので、何かこういうものの始末をする処理機関というか、処理方法というか、これは各省の支出責任省の責任を解除するのではなく、何か新しい方法がないかと思いますが、そういうことについて何かありましたらひとつ簡単に御意見を伺いたいと思います。—なければまた別の機会に何らか御協力願つて成案を得たいと思います。
  188. 柳澤英藏

    柳澤(英)政府委員 御質問の点はごもつともな点でありまして、これについては私たちも研究をいたしております。いずれ案でもできましたならば、試案としてごらんに入れたいと思つております。     —————————————
  189. 迫水久常

    迫水委員長代理 この際お諮りいたします。吉田委員から農林省関係事項として、九十九里浜の演習の被害の弁償及び東京湾内の防潜網に関する補償金交付についてただしたいという申出があります。これを参考的に取上げるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 迫水久常

    迫水委員長代理 御異議なしと認めまして、さうにいたします。吉田君。
  191. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういうことについてひとつ御説明願いたい。二十六年度中九十九里浜海岸の米軍の演習によります被害補償として九千万円が渡されたはずであります。ところがどうもはるかに少い金額しか被害者の方には行つておらぬ。そういうことがあるらしい。もう一つは、東京湾における防潜網の被害について見舞金七百八十一百万円支給されるはずであつたのが、実は相当多額のものが被害者のところに行つてないらしいのであります。でありますので、農林関係、水産庁関係でありますが、この際その概要について御説明願いたいと思います。
  192. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 ただいま御質問の出た点について従来の経過を概略御説明申し上げます。従来の占領軍当時でありますが、占領軍関係の演習の補償につきましては、昭和二十五年七月二十一日に閣議におきまして補償要綱が定められました。その要綱に従いまして昭和二十一年から昭和二十四年度分の補償額を、昭和二十五年度のいわゆる終戦処理費で約一億二千四百万円を計上して、関係の漁業者に交付したのでございます。問題の昭和二十六年度についてやや詳しく御説明いたしますと、引続き連合国軍の演習によりまして漁業者のこうむる損失中昭和二十五年度、昭和二十六年度の分と、昭和二十一年以降のその他の漁業制限の分を入れまして、昭和二十六年度のいわゆる終戦処理費でもつて合計二億八千八百万円を交付したのでございます。そのうち千葉県といたしましては約九千七百万円でございます。これの関係する演習区域は片貝区域及び富津区域の二つの区域でございます。この交付といたしましては、水産庁の方で大体の漁業者の意向をとりまとめまして、総理府の特別調達庁—当時でございますが、これへ事務的に連絡いたしまして、金額を改訂いたしました。調達庁の方からは終戦処理費の中の補償費として知事に委託して、この経費を漁業者に交付したのでございます。数字は千葉県の九千七百万円のうち、九十九里関係の分は八千九百二十万三千六百六十円でございます。この金額は大体昭和二十七年の二月末ごろに調達庁の方より知事に示達されまして、漁業者への配分が終つたのは三月末だつたと記憶しております。この補償のやり方でございますが、これにつきましては、特別調達庁の長官と水産庁の長官との共同通達によります損失補償金交付要綱を出しましてやつたのでございますが問題になりますおもな点は、補償金は漁業者に対して損失の程度によつて交付するということをいつてあります。  次に補償費の決定方法でございますが、これは予算の範囲内で都道府県知事から報告された当該漁場における平均漁獲高に対する減少高、その他損失の状況を勘案して算定式を示しまして、それによつて計算して、知事あてに補償金を定めたのであります。  次に都府道県知事は、この中央からの補償金のわくがきまりますと、まず各漁場ごとに地区を定めまして、その地区内に告住する漁業者から、一定の示された洋式に基きましてつくられました損失補償金交付申請書を、提出することにいたしたのであります。なお都道府県知事は漁業者から選定されました代表者及び都道府県の関係者二名をもつて、地元地区ごとに演習被害調査委員会というのを構成いたしまして、この申請書を審査いたしまして、代表の漁業者別に補償金を決定するような組織をつくつたのであります。  以上のような経過をたどつて、こちらから示達された金額が各漁業者に行つたのでありますが、これについて、ただいま御指摘になりましたような、多少の問題があつたのであります。その点について御説明いたします。  これは昨年の十二月ごろ漁業者から私どもへ陳情がありましたので初めてその状況がわかつたのでございますが、次のような陳情を受けたのであります。その大体の点を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、片貝の演習場に対しまして、補償金を八千九百万円交付をしたのでありますが、この51ち約一五%が天引されたといううわさが出て参つたのであります。漁業者の手元に渡る前にただいま申し上げました九十九里浜沿岸漁業対策委員会といつたような委員会の手で、約一五%が天引されたというようなうわさでございます。それからこの約一五%の控除については、漁業者の同意を得ていないということであります。さらにこれが漁業協同組合に参りまして、協同組合においても、これは組合ごとで相当事情が違うようでございますが、ある程度の天引が行われておるということでございます。さらにもう一点といたしましては、補償金の交付指定と申しますか、末端の漁業者まで何千何百何十円というような交付指令が出るわけでありますが、個々の漁業は知らないというような陳情も受けたのでございます。従いまして水産庁といたしましては、さつそくこの間の事情を県を通じて調査いたしましたところ、大体次のような状況でございました。この補償の対象となる漁業者の数は二万八千二百三十三人に相なりました。従いまして、非常に短い期間になるべく急いで漁業者にやるということのために、県知事といたしましては、非常に困難な事務をやつたということがまずわかつたのであります。しかし、非常に漁業者からも急がれたりして、先ほど御説明しましたように、三月末で大体割当を終了して、四月五日付をもつて支払いを県としては完了した、こういうことでございます。  次に事務上、ただいま申し上げましたような二万八千人を相手として、わずかの期間で事務を完了するための方式といたしまして、各地区ごとに漁業者から代表者、これは漁業者協同組合長でございますが、協同組合長あてに補償金の申請、請求、領収に至る一切の権限を委任していただくような措置をとつた模様でございます。大事な点なんでもう一度申し上げますと、漁業協同組合長は補償の対象となる各漁業者より補償金の申請、請求、領収に至る一切の権限の委任状をとつたのであります。そこで県はこれらの委任を受けたものを主体といたしまして、交付金額をきめまして、これらの委任を受けた者の申請に基きまして、書類をまた審査し、配分額を決定したために、わりかた早く事務的な処置をすることができた模様でございます。ところがこの金額の委任を受けたものが、交付せられた金額の約一五%を九十九里沿岸漁業対策委員会分として、これを控除いたしまして、その差額を漁業者に配付した模様でございます。この控除したものの内訳もわかつておりますが、省略いたします。こういうことはどうも事実だつたようでございます。  そこでなお詳細に、その後県が調査並びに指導を進めておるのでありますが、このままではいけないのではないかというこちらの勧告に対しまして、知事としては次のような処置をとつておるのでございます。一応解釈としては、県は漁業者個人より申請、請求及び領収方を委任された代表者——これは漁業協同組合長でありますが——に補償金の全額を渡し、かつその代表者より領収書を受取つたのであるから、この点についてはいわゆる会計法規上の手落ちはないのでございます。第二点といたしまして、約十五パーセントの経費を控除したのであるが、これは漁業者の承諾を求めなければならなかつたことは当然であるということであります。ところが漁業者の承諾を求める点が非常に不十分であつたことを認めております。そこで県は、九十九里対策委員会の幹部を一月十三日に招集いたしまして、この間会計法上の問題は別として、道義的にも少し考えたければならぬ点があるのではないかと指摘いたしましたところ、九十九里対策委員会の方でも、確かに漁業者個人から承諾書をとる点について、必ずしも完全ではなかつたということを認めましたので、その後事後承諾ではありますが、承諾書の提出を極力とりまとめることにいたしまして、不承諾の漁業者に対してはこれを還付するというような方針をとつて、そのことで目下漁業者と話合いをしておるような次第であります。  このように、会計法規上の問題はなかつたとは思いますけれども、水産庁といたしましては、やはり水産行政相当の率の金が途中で、漁業者の必ずしも十分な納得の得られないうちにある方面に流れたという問題につきまして、重大な関心を持たざるを得ませんので、引続き県を督励しておる次第でございます。その点は私どもの監督もやや不十分ではなかつたかと思いまして、その後はこういうようなことがないように、各方面について非常な注意を払つてつております。  それから防潜網関係について御質問がありましたので、御説明申し上げます。東京湾の入口及び佐世保港の入口に防潜網が設置されまして、そのために漁業者がかなりの損害を受けて参つております。この問題は、従来はいわゆる間接被害として補償の対象からはずれておつたのでありますが、漸次問題が大きくなりましたので、昨年末これらの損害に対しても金を出すというように大体の方針を定めまして、調達庁にもお願いをいたしまして、十二月末に補償の指令を出した次第であります。その額を簡単に申し上げますと、防潜網関係を三つの場合にわけまして、防潜網によつて魚道が遮断されると申しますか、そういう関係といたしましては約六千万円、防潜網によつて漁業の操業ができなくなるというような点につきまして約千二百万円、それから防潜網の前面の海の底に障害物が設置されておりますので、その障害物によつて操業ができなくなるということにつきましては約三千六百万円、東京関係といたしましては合計一億九百十八万九千円、これを昨年末、先ほど説明したと同様な方法によりまして、知事に委託して、漁業者に交付するような処置をとつたのでございます。その後の状況を聞いてみますと、特に千葉県あたりでは、御指摘になりました九十九里の問題である程度反省して、非常に慎重な方法をとつておりまして、ただいま漁業者の間に委員会を設けさせまして、漁業者の委員会の方で協議しておりますが、問題がなかなかむずかしいので、まだ結論に到達していないと思います。ただこの防潜網につきまして、今回は千葉県も相当慎重にやつておりますので、従来見られたような途中での横流れ、あるいは末端の漁業者が自分のところへ幾ら来るかわからぬというようなことはなくなると思います。しかしその反面、審議に非常に長時間を要しまして、いまだに結論が出ないというような状況にあるのでございます。  以上簡単に説明いたしましたが、御質問があればお答えいたしたいと思います。
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 九十九里浜の沿岸の被害の問題につきまして、わが方に渡される金が八千九百万円、ところがこれは一割五分天引されておるようですが、この天引した人の中へ水産庁の職員が加わつておるということはわかりませんか。
  194. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 約十五パーセントが末端の漁業者に届かなかつたのでございますが、これの使途を申し上げます。県の報告によりますと、控除額は千二百八十三万千七十円でございますが、この使途は、そのうち五百十九万三千二百十円が水産加工者へ出しておるものでございます。それからさらに三百万円を超短波の無線機の購入代に使つておるようでございます。それから残りの四百六十三万七千八百六十円、これが委員会の経費に充当された模様でございます。  簡単に御説明いたします。この水産加工業者へ渡つた問題でございますが、これは九十九里の水産加工業者が漁業者と一体になつて水産物の加工を営んでおります関係上、演習によつて魚が減つたことに対して、漁業者へ補償金は渡りますけれども、水産加工業者はこの補償の対象になつていないのでございます。しかし漁業者として非常に気の毒だというので、この対策委員会としては、漁業者に十分納得していただいた上で、自発的に水産加工業者へこの金を出したと、こう申しておりますが、ただそれが十分周知徹底したかどうかについては幾らか疑問がございます。それから超短波無線機の購入代でございますが、これは御存じのように、演習が天候によつては中止されることがあります。そういうときには、この陸上の演習地から沖の漁船に対して早くこれを通報すると、演習の被害のかなりの部分を少くすることができるのでございます。それから非常に大漁があつた場合、たとえばもう三十分演習開始の時間を遅らしてくれるならば、網にせつかく入つた魚を投げずに済むというような場合には、沖の方から陸地の演習司令官に対して、三十分ないし一時間の演習開始時間の猶予を求めることが非常に痛感されておつたのでありますが、この経費を出すことによつて、超短波の無線機を各漁業組合の代表の船につけることができまして、爾後非常に円滑にこの操作が行われております。それから残つた委員会の経費でございますが、これはその内容は、書類の作成費、旅費その他の事務費に使つた、こう申しておりますが、確かにこの補償の関係の事務は相当多い事務でございまして、この書類もかなり大部の書類が要求されるのは当然だと思います。御存じの通り、漁業者は実を申しますと、字が書けない業者も相当おりますし、やはり業者個人が申請書を書くとかその他の書類を書くことが不可能な実情にございますので、対策委員会が相当活躍したことは事実でございます。ただやり方としてはこういうような補償金から補助するのではなくて、何らか別の正当な経費を補助すべきだつたかと思いますが、予算的な手当もないままに、漁業者としてはこういうようなやり方をとらざるを得なかつたのじやなかつたかと思つております。  それから、ただいま御質問の、水産庁の役人がこれに関係しておるかどうかという点でございますが、これはさようなことはございません。
  195. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと聞き漏らしましたから、数字を確めます。総計が千二百八十三万千七十円ですか。そうですね。使い道について御説明がありました元金は千二百八十三万千七十円ですね。そのうち加工業者に行つたのは二百十九万三千二百十円でございますか。
  196. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 五百十九万でございます。
  197. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 五百十九万三千二百十円ですね。それから四百万円無電ですね。それから四百三十六万……。
  198. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 四百六十三万……。
  199. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 四百六十三万円あまり、これが委員会の経費ですね。
  200. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 そうでございます。
  201. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから漁業者は二万八千二百三十三人、漁業組合は名前は何という組合ですか。たくさんあるのですか。
  202. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 三十四組合ございます。
  203. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の片貝というののほか三十二ですか。
  204. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 三十三。合計関係組合が三十四組合でございます。
  205. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 三十三組合ですね。それからこの協同組合長というのは、何兵衛ほか何名ということになるのですか。受任した人ですね。補助金の申請とか受領の権限を持つ人……。補償金の下付申請をし、補償金を受領する権限を委任されました協同組合長がありますね。これは何人ですか。たくさんですか。
  206. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 これは各組合長一名ですから、三十四人と記憶しております。
  207. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 各受取る漁業者の属しておる組合のそのおのおのの組合長合計三十四名が受任したと、こういうことになるのですね。
  208. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 さようでございます。
  209. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それからもう一つ、水産庁において漁業者の承諾をとることに努力なさつたのですか。事後承諾をとることに水産庁が努力したのですか。
  210. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 この点は、漁業者から協同組合長に、先ほど申しました委任状を出すことが完備されておると思つておりましたが、その後陳情その他によりますと、その点もかなり不完全なものがあつたということがわかりましたので、口頭ではございますが、千葉県の水産課長に命じまして、その後委任状を完備することの督促をさせております。
  211. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 水産行政上、この種の外国軍艦の演習の結果被害を受けた漁業者への補償という問題は、ほかの水産委員会なんかで問題になつて、これは非常に重大なことでありますが、その場合に、補償金が現実の水産業者に千何百万円渡らずに、承諾を得ないまま他へ流用した。そこで承諾を得ないままに他へ流用したということを合理化するということは、水産庁として関与する必要はないのじやないかと思うのですが、どうですか。
  212. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 これはなるほど事務的には調達庁その他の官庁の事務の監督の問題かと思いますが、私どもとしてはやはり漁業者一般のこういつたような大事な問題につきましては、権限のあるなしにかかわらず、やはり関心を持たざるを得ませんので、陳情がありますれば、それが一体どういう事情になつておるかということを、県の水産課の方にも連絡いたしまして確め、また足りない点があれば、やはりある程度の監督と申さないまでも、ある示唆を与えまして、漁業者のためになるようなことをして、今後も参りたいと思つております。
  213. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 漁業者にわたる金が約千三百万円抜かれて、その抜かれたことは、当初承諾をあらかじめ得ておらなんだことが発見されて、その趣旨の陳情があつて、さらに後日になつて、別の方に流用してもいいという委任状を出さすということに協力するのは、何も漁業者のためじやないのじやないですか。さかさまじやないのですか。使つた人の立場でやる場合にはそういうことがありますけれどもね。漁業者の立場からいつたら、憤慨してやつて萎のでしよう。われわれに渡るべき金が千三百万円どこかへ行つちまつた、こういうふうにあなたの方に陳情に来たのに、それに委任状を完備するというのはさかさまじやないでしようか。使つた人の立場はそれで解決することになりましようけれども、漁業者は迷惑な話ではないでしようか。
  214. 高橋泰彦

    ○高橋説明員 そういう考え方もあろうかと思いますが、これはやはり個々の漁業者への周知徹底が足りなかつた点が根本原因だと思います。それから委任状がどうであるかという個々の事務的な監督の問題もさることながら、その委任状についての不備な点もやはり漁業者に知らせてあげまして、その際漁業者に徹底させるというような措置はやはり必要ではないかと思つております。
  215. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはやはり会計原理から見ましてまことに奇怪な御説明なのです。大体あなたの方の水産庁がいろいろと漁業者の立場を考えて、東京湾では一億円余りの補償金を水産業者に出すということに予算はきめたのではないですか。それが加工業者に五百万円渡り、また委員会の経費に四百六十万円渡るということになると、約九百数十万円というものを予算目的以外に使うということになるのではないですか。
  216. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員に申し上げますが、高橋説明員は経理課長なので、そういう政治的な責任がある答弁はできない立場だと思いますから、一応事実だけをお聞きくださいまして、来週月曜日に若干の時間があるかもしれませんから、御必要なら、御要求によつて水産庁の幹部を呼びつけまして、御質問になつたらどうかと思います。
  217. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはやはり農林行政上組んだ何億円という予算ですから、この予算の執行上の一つの近来の問題として明らかにしておきたいと思います。
  218. 迫水久常

    迫水委員長代理 その際また会計検査院の方からも説明を聞いたらどうかと思います。  本日は以上で農林省所管事項の審査は一応終りました。もつともただいま申しました通り若干の残つたものはございますが、一応終りました。次会は三月六日、金曜日、午後一時から、通産、運輸両省の所管事項について審議する予定であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十六分散会