○高橋
説明員 ただいま御質問の出た点について従来の経過を概略御
説明申し上げます。従来の占領軍当時でありますが、占領軍
関係の演習の補償につきましては、
昭和二十五年七月二十一日に閣議におきまして補償要綱が定められました。その要綱に従いまして
昭和二十一年から
昭和二十四年度分の補償額を、
昭和二十五年度のいわゆる終戦
処理費で約一億二千四百万円を計上して、
関係の漁業者に交付したのでございます。問題の
昭和二十六年度についてやや詳しく御
説明いたしますと、引続き連合国軍の演習によりまして漁業者のこうむる損失中
昭和二十五年度、
昭和二十六年度の分と、
昭和二十一年以降のその他の漁業制限の分を入れまして、
昭和二十六年度のいわゆる終戦
処理費でも
つて合計二億八千八百万円を交付したのでございます。そのうち千葉県といたしましては約九千七百万円でございます。これの
関係する演習区域は片貝区域及び富津区域の
二つの区域でございます。この交付といたしましては、水産庁の方で大体の漁業者の意向をとりまとめまして、総理府の特別調達庁—当時でございますが、これへ事務的に連絡いたしまして、金額を改訂いたしました。調達庁の方からは終戦
処理費の中の補償費として知事に委託して、この経費を漁業者に交付したのでございます。数字は千葉県の九千七百万円のうち、九十九里
関係の分は八千九百二十万三千六百六十円でございます。この金額は大体
昭和二十七年の二月末ごろに調達庁の方より知事に示達されまして、漁業者への配分が終
つたのは三月末だ
つたと記憶しております。この補償のやり方でございますが、これにつきましては、特別調達庁の長官と水産庁の長官との共同通達によります損失補償金交付要綱を出しましてや
つたのでございますが問題になりますおもな点は、補償金は漁業者に対して損失の
程度によ
つて交付するということをい
つてあります。
次に補償費の決定方法でございますが、これは
予算の範囲内で都道府県知事から
報告された当該漁場における平均漁獲高に対する減少高、その他損失の
状況を勘案して算定式を示しまして、それによ
つて計算して、知事あてに補償金を定めたのであります。
次に都府道県知事は、この中央からの補償金の
わくがきまりますと、まず各漁場ごとに地区を定めまして、その地区内に告住する漁業者から、一定の示された洋式に基きましてつくられました損失補償金交付申請書を、提出することにいたしたのであります。なお都道府県知事は漁業者から選定されました代表者及び都道府県の
関係者二名をも
つて、地元地区ごとに演習被害
調査委員会というのを構成いたしまして、この申請書を審査いたしまして、代表の漁業者別に補償金を決定するような組織をつく
つたのであります。
以上のような経過をたど
つて、こちらから示達された金額が各漁業者に行
つたのでありますが、これについて、ただいま御
指摘になりましたような、多少の問題があ
つたのであります。その点について御
説明いたします。
これは昨年の十二月ごろ漁業者から私
どもへ陳情がありましたので初めてその
状況がわか
つたのでございますが、次のような陳情を受けたのであります。その大体の点を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、片貝の演習場に対しまして、補償金を八千九百万円交付をしたのでありますが、この51ち約一五%が天引されたといううわさが出て参
つたのであります。漁業者の手元に渡る前にただいま申し上げました九十九里浜沿岸漁業対策
委員会とい
つたような
委員会の手で、約一五%が天引されたというようなうわさでございます。それからこの約一五%の控除については、漁業者の同意を得ていないということであります。さらにこれが漁業協同組合に参りまして、協同組合においても、これは組合ごとで
相当事情が違うようでございますが、ある
程度の天引が行われておるということでございます。さらにもう一点といたしましては、補償金の交付指定と申しますか、末端の漁業者まで何千何百何十円というような交付指令が出るわけでありますが、個々の漁業は知らないというような陳情も受けたのでございます。従いまして水産庁といたしましては、さつそくこの間の
事情を県を通じて
調査いたしましたところ、大体次のような
状況でございました。この補償の対象となる漁業者の数は二万八千二百三十三人に相なりました。従いまして、非常に短い期間になるべく急いで漁業者にやるということのために、県知事といたしましては、非常に困難な事務をや
つたということがまずわか
つたのであります。しかし、非常に漁業者からも急がれたりして、先ほど御
説明しましたように、三月末で大体割当を終了して、四月五日付をも
つて支払いを県としては完了した、こういうことでございます。
次に事務上、ただいま申し上げましたような二万八千人を相手として、わずかの期間で事務を完了するための方式といたしまして、各地区ごとに漁業者から代表者、これは漁業者協同組合長でございますが、協同組合長あてに補償金の申請、請求、領収に至る一切の権限を委任していただくような
措置をと
つた模様でございます。大事な点なんでもう一度申し上げますと、漁業協同組合長は補償の対象となる各漁業者より補償金の申請、請求、領収に至る一切の権限の委任状をと
つたのであります。そこで県はこれらの委任を受けたものを
主体といたしまして、交付金額をきめまして、これらの委任を受けた者の申請に基きまして、書類をまた審査し、配分額を決定したために、わりかた早く事務的な
処置をすることができた模様でございます。ところがこの金額の委任を受けたものが、交付せられた金額の約一五%を九十九里沿岸漁業対策
委員会分として、これを控除いたしまして、その差額を漁業者に配付した模様でございます。この控除したものの内訳もわか
つておりますが、省略いたします。こういうことはどうも事実だ
つたようでございます。
そこでなお詳細に、その後県が
調査並びに指導を進めておるのでありますが、このままではいけないのではないかというこちらの勧告に対しまして、知事としては次のような
処置をと
つておるのでございます。一応解釈としては、県は漁業者個人より申請、請求及び領収方を委任された代表者——これは漁業協同組合長でありますが——に補償金の全額を渡し、かつその代表者より領収書を受取
つたのであるから、この点についてはいわゆる会計法規上の手落ちはないのでございます。第二点といたしまして、約十五パーセントの経費を控除したのであるが、これは漁業者の承諾を求めなければならなか
つたことは当然であるということであります。ところが漁業者の承諾を求める点が非常に不十分であ
つたことを認めております。そこで県は、九十九里対策
委員会の幹部を一月十三日に招集いたしまして、この間会計法上の問題は別として、道義的にも少し
考えたければならぬ点があるのではないかと
指摘いたしましたところ、九十九里対策
委員会の方でも、確かに漁業者個人から承諾書をとる点について、必ずしも完全ではなか
つたということを認めましたので、その後事後承諾ではありますが、承諾書の提出を極力とりまとめることにいたしまして、不承諾の漁業者に対してはこれを還付するというような
方針をと
つて、そのことで目下漁業者と話合いをしておるような次第であります。
このように、会計法規上の問題はなか
つたとは思いますけれ
ども、水産庁といたしましては、やはり水産
行政上
相当の率の金が途中で、漁業者の必ずしも十分な納得の得られないうちにある方面に流れたという問題につきまして、重大な関心を持たざるを得ませんので、引続き県を督励しておる次第でございます。その点は私
どもの監督もやや不十分ではなか
つたかと思いまして、その後はこういうようなことがないように、各方面について非常な
注意を払
つて参
つております。
それから防潜網
関係について御質問がありましたので、御
説明申し上げます。
東京湾の入口及び佐世保港の入口に防潜網が設置されまして、そのために漁業者がかなりの損害を受けて参
つております。この問題は、従来はいわゆる間接被害として補償の対象からはずれてお
つたのでありますが、漸次問題が大きくなりましたので、昨年末これらの損害に対しても金を出すというように大体の
方針を定めまして、調達庁にもお願いをいたしまして、十二月末に補償の指令を出した次第であります。その額を簡単に申し上げますと、防潜網
関係を三つの場合にわけまして、防潜網によ
つて魚道が遮断されると申しますか、そういう
関係といたしましては約六千万円、防潜網によ
つて漁業の
操業ができなくなるというような点につきまして約千二百万円、それから防潜網の前面の海の底に障害物が設置されておりますので、その障害物によ
つて操業ができなくなるということにつきましては約三千六百万円、
東京湾
関係といたしましては合計一億九百十八万九千円、これを昨年末、先ほど
説明したと同様な方法によりまして、知事に委託して、漁業者に交付するような
処置をと
つたのでございます。その後の
状況を聞いてみますと、特に千葉県あたりでは、御
指摘になりました九十九里の問題である
程度反省して、非常に慎重な方法をと
つておりまして、ただいま漁業者の間に
委員会を設けさせまして、漁業者の
委員会の方で協議しておりますが、問題がなかなかむずかしいので、まだ結論に到達していないと思います。ただこの防潜網につきまして、今回は千葉県も
相当慎重にや
つておりますので、従来見られたような途中での横流れ、あるいは末端の漁業者が自分のところへ幾ら来るかわからぬというようなことはなくなると思います。しかしその反面、
審議に非常に長時間を要しまして、いまだに結論が出ないというような
状況にあるのでございます。
以上簡単に
説明いたしましたが、御質問があればお答えいたしたいと思います。