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1953-02-27 第15回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十七日(金曜日)     午後一時三十一分開議  出席委員    委員長代理理事 迫水 久常君    理事 永田 良吉君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 賢一君       田口長治郎君    渡邊 良夫君       河野 金昇君    鈴木 正吾君       大矢 省三君    松本 七郎君       八木 一男君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房会計         課長)     増田  盛君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   東畑 四郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         監査課長)   岡村 昇三君         会計検査院事務         官         (検査第三局         長)      小峰 保榮君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月二十六日  委員山田長司辞任につき、その補欠として伊  藤好道君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員伊藤好道辞任につき、その補欠として山  田長司君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十六日  昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和二十六年度特別会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第  八条に基く使用調書  昭和二十七年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和二十七年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)  (承諾を求める件) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     —————————————
  2. 迫水久常

    迫水委員長代理 ただいまから決算委員会を開会いたします。  引続き私が委員長の職務を代行いたしますから御了承願います。  審議にに入るに先立ち御報告申し上げます。昨二十六日、昭和二十六年度一般会計予備費使用調書(その2)(承諾を求める件)外四件が本委員会に付託されました。御承知のごとく本承諾案件衆参両院関係にもなりますので、いずれ理事会に諮つた上、その審議を始めたく思います。あらかじめ御了承を願います。     —————————————
  3. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは引続き農林省所管事項について審議をいたします。本日は決算報告書百七十五ページ、食糧管理特別会計未収金番号六〇〇、及び同じく百七十六ページ、物件、報告書番号六〇一ないし六一四を便宜一括議題といたしますが、そのうち特に六〇二ないし六一四について詳細な説明を求めます。会計検査院検査第三局長小峰説明員
  4. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 六〇二号について御説明いたします。これは昭和二十五年の二月に食糧庁日本藷類工業会との間で浮粉加工及び売買に関する契約——浮粉と申しますと精製澱粉でありますが、この精製澱粉加工及び売買契約を締結いたしまして、その原料としまして、昭和二十四年産かんしよ、並澱粉を十貫当り二千二百七十三円で売りまして、精製澱粉にしてもらい、そうしてでき上りました精製澱粉を二千四百八十円または二千四百九十三円で食糧庁買つたのでありますが、その四月から十月までの間に、今申し上げました二千四百八十円または二千四百九十三円で買つたものを、この精製澱粉が売れませんので、原材料用として二千三百八十円で安く売つてしまつた、こういう案件であります。当時もうすでにいも類とかいも加工品とかいうものは、食糧事情の好転に伴いまして配給辞退ということが非常に多く行われて来たのでありまして、その時期になりましてわざわざ多額の金を借りて精製澱粉をつくる必要はなかつたのじやないだろうかという案件であります。もし初めから原料のまま処分して加工しないといたしますと、四千三百三十五万円ほど有利になつた、こういう計算であります。  それから六〇三号であります。これは青森県の玄そば——青森県が主たるものでありまして、それ以外にもございますが、玄そばを、普通ですと、それは政府が全部買いまして需要地まで輸送する扱いになるのでございますが、これを特にここにございます東京麺類協同組合外組合に売り渡した。この外一組合と申しますのは静岡県の組合でありますが、この二つ組合産地で売りまして、そうして産地から需要地まで組合に運送をさせまして、その需要地でまた食糧配給公団が買い上げる、こういう措置をとつたのであります。御承知かと思いますが、食糧庁輸送いたしますと、これは全国プール運賃で非常に安く輸送ができるのでありますが、今のように、本件に限りまして産地駅渡しで売りまして輸送させたものでございますから、運賃が非常に高くなつたわけであります。この報告にもございますように、約八百七十九万円というものを運賃諸掛りとしてこのそば価格から引いたわけでありますが、これを政府がほかのものと同じような方法でやつたといたしますと、約三百三十四万円程度で経費が済んだのであります。そのほかにいろいろの諸掛りを見ましても、八百七十九万円というほど高くはかからなかつたのじやないか、こういう趣旨案件であります。  それから六〇四号でありますが、これも先ほど精製澱粉の場合と同じようなものでありまして、かんし粉——いもの粉を非常にたくさん買つたわけでありますが、ここにございますように、百七十三万貫というものを買つたわけであります。総合配給用として高い値段で買いましたこのいもの粉が、総合配給にまわつたのはわずかに三万四千六百貫。これは熊本で配給したのでありますが、二十五年の二日及び三月に買いましたのを、たつた三万四千六百貫だけ総合配給用にいたしまして、残りの大部分というものを翌月の四月にはもう総合配給不適食糧に指定し、原材料用として、買入れ価格から四〇%から五〇%引いて売つてしまつて、そうして非常に損をしたという案件であります。先ほども申し上げましたように、当時いも類かんしよ等の配給辞退はどんどんふえておりまして、こういう多量のものを総合配給用として買うということがいかがと思われる案件であります。  それから六〇五号から六一四号まででありますが、これは主としていも澱粉でありますが、これを加工のために業者に渡しておきましたところ、その企画中に業者が許可を得ないで無断で出庫して売つてしまつたというのが十部分であります。その中でちよつとも色のかわつたのは六一三号の長崎案件であります。これは長崎食品株式会社というのが介在しておるのでありますが、この表でごらんいただきますように、長崎食品株式会社外五名であります。金額が四千二百六十一万八千円ほどありますが、このうち三千六百四十五万円というものが長崎食品株式会社でありますから、大部分長崎食品株式会社の分なんでありますが、これは食糧事務所職員がかえ印を使いまして荷渡し指図書を変造して出庫さしてしまつたという案件でありまして、その職員公文書偽造業務横領で起訴されております。  この検査報告つくりました当時、弁償を要する金額というものが十件で六千七百万円ということになつていたのであります。そのうち収納未済が六千二百万円、四百八十万円くらいしか弁償金が入つて来なかつたのであります。その後の調査で申し上げますと、1これは昨二十七年の十月末の調書でありますが、六千二百万円はあまり減つておりません。五千九百五十万円ばかりで、三百万円ほど減つただけであります。一年間に約三百万円ぐらいしか入つて来ない、こういう状況になつております。
  5. 迫水久常

    迫水委員長代理 この際ちよつとお諮りいたしますが、農林大臣はきようは予算委員会の都合その他でちよつとここに来れないという申出があるのですが、いかがいたしましようか。
  6. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはやはり事務当局によつて事実の関係をできるだけ詳細に明らかにして、事柄をできるだけまとめて、その上大臣が答えるという方が、審議は適切に運ぶだろうと思います。
  7. 迫水久常

    迫水委員長代理 それではまた別の機会に、まとめて大臣に質問するような機会をつくるようにとりはからいます。  それからもう一つお諮りしますが、先日問題になりました印旛沼手賀沼干拓建設事業所事件の概要についての報告書がきよう出ております。これについて御質問があるならば、農地局関係政府委員を呼びますか。
  8. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 呼んでおいていただきたい。
  9. 迫水久常

    迫水委員長代理 それではただいまの会計検査院側説明に対しまして、農林省当局において特に説明される点があれば——と申しますのは、前にお出しになつている国会に対する説明書というのがありますが、これに書いてあることのほか、特に御説明になるところがあるならば、農林省当局に発言を許します。
  10. 東畑四郎

    東畑政府委員 別段そのほかに申し上げることはありません。
  11. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。吉田君、
  12. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま食糧庁長官は、別段申し上げることはないということでありますけれども、説明書はしごく簡略でありますので、一応検査院説明員の今説明になつた事実の関係に対応する諸般の事実につき、各事項について説明を承りたい。
  13. 東畑四郎

    東畑政府委員 それではただいま検査院の方の御説明にありました点を補足して食糧庁から申し上げます。  六〇二でありますが、これは千葉外十八食糧事務所で起きた事案でございます。当時食糧事情が若干緩和いたして来たのでありますけれども、なお六万一千トン——米換算でありますが——ばかりのいも加工品総合配給用に配給するという計画関係方面等と連絡の結果つくりまして、これを主食総合配給用に配給すべく澱粉加工品をつくつたのであります。その後輸入等事情も急激によくなりまして、米麦以外の、特に澱粉加工配給辞退がたいへん発生いたしました。食糧事情が急速に変革になり、その加工品等配給辞退が激増いたしまして、関係方面といろいろ折衝の結果、二十六年の四月に至つて承認をされて、これを総合配給以外の用に売却をいたしたのであります。その間、先ほど検査院の方から御指摘になりましたように、総合配給用としからざるものとの間に相当値段の差がございました。それだけ不当に損を来したのであります。当時食糧事情が急速に変化しつつある見通しの問題として、はなはだ遺憾であると考えるのであります。当時の責任者に対しましては、それそ、厳重な注意を与えている次第であります。  それから六〇三だございますが、これもやはりその当時そば総合食糧として買つてつたのでありますけれども、食糧事情が緩和せられますとともに、そばそのもの総合配給用としての困難性が生じまして、これを業務用に流さざるを得なかつたのであります。業務用にこれを充当することが実は困難でありまして、やつと東京麺類協同組合静岡麺類協同組合二つがこのそばを買うということになりまして、それに食糧庁自身政府輸送をいたしました場合と、これを業者輸送をさせました場合との間に七十万一千七百二十一円の運賃がよけいにかかる事態になつたのであります。その点を検査院の方から御指摘になつているのであります。これは食糧庁でありますと、運賃プールをいたしておりますので、プール運賃と比較いたしますと、さうなことになつたのあります。このそば青森県外十三箇所に散在をいたしておりましたため、こういう輸送になれておりました東京麺類協同組合等にやらせましたために、実費を払うということのために、政府輸送をした場合との間に約七十万の差損を生じたのであります。その点を検査院から御指摘になつておるのでございます。政府輸送をいたせばこれだけの運賃が少く済んだということはまことにその通りでございます。  それから六〇四は、先ほど申し上げました問題と大体同じような状態で、総合配給用業務用に売りましたものとの差でございます。これは食糧事情見通しを誤つたということに尽きるのでありまして、はなはだ遺憾であります。  それから六〇五から六一四は主として澱粉関係加工品等について急速に統制が撤廃いたされましたときに、その措置がはなはだ適正を欠いた。特に先ほど説明がありました長崎食品株式会社関係不正事件簿につきましては、食糧庁職員がこれに関係をしておつたということで、まことに申訳のない次第であります。急速に統制が撤廃されました場合における政府物資の処理につきまして、非常に遺憾な点があつた。その後実は収納努力をいたしておるのでありますが、二十七年の十二月四日の現在で、まだ二百八十四万円程度収納しか見ないことも、はなはだ遺憾であります。これを長期に回収すべく努力をいたしておる次第であります。職員等につきましては、目下司法関係で処分を待つておる次第であります。なおこういう事件は、同じ事案が二十六年度にもあるのでありますけれども、それはその当時の事事でありまして、会計検査院の二十六年、二十七年を通じまして、この当時の繰りかえどきの食糧管理の当を得なかつた事案批難事項相当つております。これは統制撤廃のときの慎重な準備が不足しておつたということに尽きるのでありまして、まことに遺憾であります。事案の種類によりまして厳重な注意を与えたり、あるいは訓告を与えたりして、おのおのの責任者処置をいたして行きたいと思います。
  14. 松本七郎

    松本(七)委員 ただいまの東畑長官の御説明は、検査院側説明とほとんどかわつたところはないようであります。澱粉売買の不当だとか、あるいはかんしよの購入の処置が当を得たいとか、こういうことは食糧事情が好転しておつたとはいえ輸入食糧見通し等と関連のあることですから、結局は見通しの問題でなかなか当時はむずかしかつたであろうという事情はよくわかるわけです。ところが玄そば売渡しにあたり処置が当を得なかつたなどというような事案になりますと、結局これは今の御説明では、政府輸送をしなかつたからそういう差額の損失が出たという事実を説明されるだけで、なぜ政府輸送ができなかつたかというそこの事情というものは少しも説明されておらない。そういう点を具体的に説明してください。
  15. 東畑四郎

    東畑政府委員 監査課長からそのときの事情を詳しく説明申し上げます。
  16. 岡村昇三

    岡村説明員 ただいまのお話は、当時できるだけ早くこのそばを売りさばきたいために各県に対して照会いたしたのでございますが、各県でも、ただいま御説明のありましたように、静岡東京だけしか要求がなかつたわけでございます。従いましてこのそばがあります場所は、ここに書いてありますように、青森が大部分でございますが、二十四年産米代替供出として出されたものでありますために、わずかずつが非常に末端辺鄙な土地に散在しておりまして——もし御必要でございましたら、後ほど所在場所を図解して差上げてけつこうでございますが、非常に小さく散在しておつたという関係と、総合用に配給いたしますためには、公団に一括払い下げて配給するというのが建前であつたわけでございますが、公団といたしましては、一括買い取りましても、東京なりあるいは静岡なりに持つて参ります運賃は、当時公団予算に計上されていなかつたわけであります。そういつた関係もございまして、めん類を扱つております協同組合あたりに扱わせる方が便利ではなかろうかという見解と、できるだけ早く売りさばきたいという考え方から、協同組合をして運賃実費を差引いて現地で売つてやるという措置をとつたわけでございます。
  17. 松本七郎

    松本(七)委員 それから食糧管理の問題ですが、これもはなはだ遺憾であつたというような説明だけですが、こういう事態にならないように事前にどういう管理をされておつたのか、その管理方法について少し伺いたいと思います。
  18. 岡村昇三

    岡村説明員 これははなはだ申訳ないことですが、当時澱粉加工工場が非常に多数にわたつておりまして、できた製品をそのまま加工工場に保管しておつたためにこうした事件が起つたのでございます。管理につきましては、末端検査員がおりまして、いろいろ見まわり監督をいたしておつたのでございますが、急激な統制撤廃などのために業者の動揺がありましたためと、澱粉の値下りによります金融逼迫等から、こうした業者自然政府の物に手をつけたというようなものが多いのでございまして、管理につきましてはただいま申しましたように、末端検査員が始終見まわりして数量を調べておつたわけでありますが、中にごまかすと申しましようか、箱を中に入れて、周囲だけに澱粉を置いて、検査員の目をくらましたといいうような状態もございまして、若干の不注意からこういつた事件が起きましたことはまことに申訳ないと思います。
  19. 松本七郎

    松本(七)委員 検査員を派遣して管理はやつてつたが、不十分だつたという結論ですか。
  20. 岡村昇三

    岡村説明員 そうでございます。
  21. 永田良吉

    永田(良)委員 この買上げ澱粉管理方法は、食糧庁としてどういうことをやつたのか知らぬが、澱粉のごときは、粗製でお買上げになれば水分の含まれておるものもあるから、長持ちしないことはわかつておるのであります。それでこれを精製して貯蔵したのでしようが、その地方によつて、その原料を一手に集めて精製せられるのには、大分運賃等で混乱を来すものである、しかしいずれにしても澱粉処置は並たいていでないと思う。しかしこういうことが一年や二年で済むものではない、食糧問題の対策はわれわれ子孫永遠の計だと思う、だから澱粉のごときはその主要な産地、たとえて申し上げれば、千葉県だの、私の鹿児島県のごとき澱粉の主産地には、食糧庁としても相当倉庫あるいは国立精製所を置いて、そうして何年置いても腐敗しないような半永久的な処置をとらるべきではないかと思うのです。この澱粉をお買上げになるのも、その土地食糧関係ばかりのためであつて、一年とか二年、三年相当長い期間の貯蔵には用意はないのでございます。われわれはまつたくしろうとで何もわかりませんが、そういう点について具体的な説明をしていただくとたいへんありがたいと思いますので、その説明を承つてからまた質問いたします。
  22. 東畑四郎

    東畑政府委員 その当時の食糧事情から言いますと、やはり澱粉そのものを買い上げまして、総合配給用にしようということで、全国澱粉工場三千軒ございまして、それからできる澱粉も実ははなはだ品質の悪いもの等があり、なかなか統制の困難な物資であつたのであります。従いましてその後食糧事情が急速によくなりまして、値がだんだん暴落して参りますとともに、三千の工場そのものの企業も非常に苦しくなつて来ました。その問いろいろ不正な事件が起きましたり、横領等がありましたことはまことに遺憾であります。ただいま政府は、むしろ統制でありませず、かんしよ、ばれいしよ等の農産物価格安定の一環といたしまして、最小限度澱粉買上げをやることによつて価格安定をはかろうというので、ただいまやつております点は根本的に趣旨が変つて来たのであります。むしろ検査等も厳重にやり、品質等もやかましく言い過ぎるという御非難が実はあるのでありますけれども、その当時と今日とでは大分やり方がかわつおりまして、われわれといたしましては、ただいまのところは、何といいましても、農業協同組合等にそういう自主的な価格調整をやつてもらうことが第一義でありまして、その背後に政府金融でありますとか、あるいは買上げということによつて価格安定をはかるという、二段の構えでやるべきであるという考えをもちまして、従いまして澱粉等におきましても、主要な消費地で、農協その他の業界安定施策をやつてもできない上積みのものを、買い上げるという構えでおりますから、政府そのものが買います澱粉の量も比較的少くて、しかも重要な消費に限定をして参りたい。従つてそこに当てる倉庫等につきましては、十分厳選をして、これが長期に保管されましても、決して倉庫そのものの設備が悪くて耐えないということのないようなところを、選んで行きたいという考え方でございます。もちろん澱粉買上げ時期と米の時期が重りますので、倉庫等につきましても、若干やり繰りをしなければならぬ点等もありますが、考え方としましては、当時と今日とでは大分考え方をかえております。当時の事情は、これをメーカー自体倉庫にまかせておつたということが、こういう事故を起した大きな原因ではないかいうふうに考えております。
  23. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいま承りますと、当時は食糧補給を主としてお考えになつて、お買上げになつたと思います。現在は農作物価格の安定、農家救済という意味買上げに、かわられたような意向を承つたのであります。これは農村のためにはけつこうでありまして、私ども農家の実際から見ますと、澱粉食糧としての補給のため、また価格の維持のため、そういう二本建でやつていただくことは、農村にとつてはたいへんありがたいことではありますけれども、しかしこれは永遠にそうした考慮払つていただかなくてはならぬ問題だと思います。そういう意味から言うと、私ども食糧当局としては、やはり食糧の不時のことが起つた場合のために、澱粉のごときは、相当長い間貯蔵しておいても食糧としての価格が損じないようにしなければならぬと思います。これは皆様方の学理をうまく応用されて、方々にりつば倉庫があれば、そういう心配はないと思います。その点からも、もつと平生において澱粉の主産地等には、りつぱな国立倉庫で保管しておく。なお価格安定の方面からお買上げになるのは、農村救済意味であられるけれども、事実は農家にはタッチしない。やはりもうかるのは澱粉業者がもうかつて農家には実際の利益が伴わない。私は鹿児島県の肝属郡の鹿屋、日本澱粉の主産地におるけれども、食糧局の方でそういうふうにお買上げになると、かえつて澱粉業者はたいへん喜んでおる。と申しますのは、戦争前の澱粉業というものは今まで最も不安定な仕事であつた。それが戦争でああいうふうに安定をして来て、近ごろ澱粉業者は至るところもうかつておる。会社も、個人の経営においても、現在でも政府澱粉をお買上げになると、やはり業者はたいがいその見込みで資本を入れて、いもを買い上げて、売上げておつて、損はしない。従来は澱粉が、非常にジャワの澱粉とか、朝鮮の辺からこうりやんなんかの粉が来て、非常に日本澱粉業者は破産をしたものだ。最近は戦争前後から今で澱粉業者は非常に順調に来ておる。それでこのためにお買上げになると、澱粉製造業者を保護していただいた方が、われわれも食べるのだからいい。むろんなさつたことが悪いとは言いません。たいへんけつこうだけれども、しかしこれはお買上げの時期等について、相当考慮払つていただかないと、われわれ農家生産者には、あまり利益が行かないで、中間の業者のみが利益を受ける。そうなると、農工商という立場から言えば、実際の農民はあまり恩典を受けないで、工業者澱粉の商売人がもうかるという結果になりますから、この点について、将来とも十分の考慮払つて、善処していただきたいことをお願いする次第であります。何かこれらについて、政府の方では食糧補給としての見方と、また農産物価格の安定の点と、二つ見方をしておられるのでしようが、鹿児島県等には、澱粉貯蔵倉庫でもおつくりになつておりますか。私地元の者として見受けませんし、また寡聞にして知りませんが、そういう御計画があるかないか。あるいは千葉の辺とか、北海道のじやがいも澱粉全国的にそういう澱粉貯蔵庫でもおつくりになるのか、なつていらつしやるのか、また今後なされる御計画であるのか。もし御計画があるならば、お示しを願いたいと思います。
  24. 東畑四郎

    東畑政府委員 澱粉買上げがいたずらに業界だけの安定であつて農家自体の安定にならないという御指摘の点は、まことに重々注意を要する点であろうと思いまして、私どもの方といたしましても、目下これを制度化いたしまする場合の措置について、いろいろ検討をしておるのであります。率直に申し上げますと、一昨年澱粉買上げということを通して、かんしよ、ばれいしよ価格の安定ということを考えたのであります。その当時は非常に端境期でありまして、むしろいもが非常に高くて、澱粉が下落した、原料高、製品安という事態のために、澱粉業が困つたのであります。従つて実際政府買上げるという声明をいたしましても、現実に食糧庁といたしましては、一トンも粉澱を買わなかつたのであります。昨年の予算のときに、同じ問題が起りましたために、われわれとしましては、そう大きな量を買う必要はないのではないかというので、四百八十万貫程度予算を組みまして、価格安定が得られるのじやないかと、実は若干誤認をいたしたのであります。ばれいしよ等につきましては、大体われわれの推定通りの方向へ参りまして、農家の方にも御迷惑をかけなかつたのでありますが、かんしよ等につきましては、意外の豊作であり、粉澱の生産量もわれわれの見積り以上になつたたみに、所期の効果を及ぼしていないことは、はなはだ残念であります。従いまして、かりにわれわれがある程度いも価格をきめまして、それで澱粉価格を算定した場合に、その粉澱だけを高い値段で買うことは、実際は決して農家のためにならない。そういうときに農協でやりますれば、委託販売ということになる、そういう方法もあります。営業者の場合は、粉澱を買うときに条件をつけるかどうするかというようなむずかしい問題があります。そういう点は制度化しようという場合に、いろいろ政府部内で案練つております。十分そういう点は注意いたしたいと考えております。ただ倉庫点等につきまして、先ほど申し上げましたように、それはなるべく主要な消費地で買いたいという考え方を持つております。農村で粉澱等の共販をやるという場合には、なるべく農協自体の倉庫でこれを扱う。その倉庫自体が、米、麦、粉澱等をからめまして、やはり全体として収用力が足らぬことは、政府としてもよくわかつております。そういう点は農林漁業金融等の農業倉庫金融等でこれを解決するよりほかに、ただいまのところ方法がございません。そういう農業倉庫の改造と新設許画の一環としまして、政府として考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  25. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいま承りますと、ただ一時的な買入れであつたということから、その地元の農協などの倉庫を使つておられたように承つたのであります。私どもは地方におつて見ておりますが、農協なんかの倉庫というものは、大体木造の不完全なもので、たまには石造のものもありますが、いろいろ種々雑多なものが入つております。ことに倉庫によりましては、食糧品ばかり置かないのがある。中には肥料を入れたりするような倉庫もあるのであります。これには相当金がかかる。それでこれはできることならば、こういうことは、将来食糧の不足でどんな事態が起らないとも限らないのですから、少しかつてなことを申し上げましたが、食糧当局としては、日本の将来のいろいろな事件に際してもびくともせぬような処置を、幾分なりとも平生から用意をされた方がいいのじやないか。これはわれわれ農民どものよけいな心配かもしれませんが、そういう見地から、食糧庁直轄の国立の完全な倉庫を集散地に建設されるような計画を要望して、私の質問を打ち切ります。
  26. 松本七郎

    松本(七)委員 食糧庁説明の仕方というか、そういう点について伺いたいのですが、さつきの六〇三号事案について、この事案の中心となるのは、「前記組合に発着地間の運送をさせたに過ぎないものであるから、これを食糧庁が運送したとすればその運賃は約三百三十四万円で足り、」云々ということが主要点であろうと思います。検査院としては、これはかりに結果論になつても、当時どのような特別な事情があつても、その結果において国に損失を来したということになれば、これは厳密に指摘しなければならぬわけなんです。ところが所管庁としてはそれぞれの事情があるでしようから、その通りならばそれでいいのですが、ただ遺憾であるというようなことじや済まされないわけで、特別な事情があればそれをできるだけ詳細に説明するという建前をとつていただかないと困るわけであります。この説明書によりますと、「会計検査院検査報告のとおりでまことに遺憾であるから将来充分注意する。」こういう説明になつておるわけであります。これによれば、検査院から指摘された通りだということになるのですが、先ほどの御説明では、結局非常に辺鄙な場所に散在しておる、それから公団予算がなかつた、それから非常に急いだ、こういう三つの理由をあげて説明されたわけですが、どうもそういう点を少し丁寧に、そういう理由があるならば、説明書の方にもそういうことを含めて説明していただくようにしたい。そういうことはできないのですか。
  27. 東畑四郎

    東畑政府委員 説明がはなはだ不十分でありましたことはおわびいたすのでございますが、ただいま監査課長が申し上げましたような事情等も実はあつたのであります。しかし検査院が出されました結論として、フール運賃から比べまして七十万円よけいかかつておるじやないかということは、食糧庁としてもその通りであります。その当時絶対に政府輸送ができなかつたかといわれますと、これはできないということを断言するだけの自信もありませんので、われわれは検査院のおつしやいました通りであるということの説明をいたしたのであります。事情は若干暗い点もありますことは御了承願います。
  28. 松本七郎

    松本(七)委員 検査院ちよつとお伺いしておきたいのですが、ただいまの食糧庁の御説明で非常に辺鄙であるということ、それから公団予算がなかつたという話、それから非常に急いだ、そういうふうな事情が認められる状態にあるのかどうか、その点検査院の方から御説明願いたい。
  29. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 実は先ほどの私の説明ちよつと補足を要するところがあるので、それを一緒にして松本さんの御質問にお答えいたします。先ほど私は青森に主としてあるというようなことを申し上げましたが、これは恐縮でございます、二、三連つておます。全国十四食糧事務所の管内にうつたわけですが、一番大きいのが大り阪であります。その次が愛知、それから山口があります。ともかく大阪とか、山口とか、愛知とか、こういうような食糧事務所の管内にあつたわけでありまして、これが大部分であります。青森相当占めておりますが、これらは私どもはそう不便なところにあるのを集めたとは実は了解しておりません。と申しますのは、すでに農協の倉庫に入つておるものであります。大阪府内の農協の倉庫に入つておるのも相当ありまして、ほかの米とか麦とかいうものと比べて、えらい不便なところにあつて集荷に骨が折れたというふうには実は了解していないのであります。  それから公団のことが一つの理由になつてつたようでありますが、これは実は公団予算とは関係がないのでありまして、普通の米とか麦を産地食糧庁が買い集めまして、そして日通にプールで輸送させて、公団を通じて配給するというのと、そう事態は違わないと思うのであります。  それから急いだという点でありますが、これも別に取り立ててこの案件に限つてそういう事態があつたとは私ども了解しておりません。  それから松本さんの先ほどの御発言で、会計検査院は結果が悪ければ必ず批難する、こういうような御意見のように拝聴したのでありますが、会計検査院は必ずしも結果論ばかりで文句は申しません。結果は十分に検討いたしますが、そうなつた経緯においてやむを得ないというものがあれば、決して検査院報告に載せることはじないということはしないということを原則としておる次第であります。
  30. 松本七郎

    松本(七)委員 そうすると、先ほどの御説明はそういう事情つたからやむを得ないという結論にならないと思うのです。もう一度伺いますが、今の検査院の御意見に対してどのようにお考えになりますか。
  31. 岡村昇三

    岡村説明員 先ほど私が非常に各地に散在しておつたと申しましたのは、今検査院から申されましたように、大阪とか、岡山あるいは山口といつたようなところに相当数量まとまつてつたのでございますが、先ほど申しましたように、昭和二十四年産米代替供出として出たものでありますし、そばの包装なんかにつきましても、若干期間を経ておりますために、相当いたみもあるだろうといつたような想像もできますのと、ただいまお話にございました農協と申しますのは、ほとんどそばのできます地帯が、どうしても寒地帯にあります関係上、農協にありますものもいろいろ散在しておるというふうに申し上げたわけでありまして、そういうところから集めて、東京にこれだけを持つて来るといつた状況でございましたために、日ごろ扱いつけておる麺類協同組合に扱わせたということでございます。  なお公団の問題は、配給いたします場合の米などにつきましては、新潟から東京に持つて来るといつたようなことは、需給計画上持つて来るのでございますが、その土地で配給いたしますものにつきましては、もちろんその土地で払い下げをわけでございまして、そうした東京だけしか需要がないといものを、東京に持つて参りますためには、公団に払い下げたのでは、公団東京に持つて来る運賃がなかつたということを申し上げたわけであります。そういうことから一応実費運賃を差引いて、麺類協同組合に払い下げたという事情でございます。
  32. 松本七郎

    松本(七)委員 今の御説明では、突き詰めて言えば、今度は東京に持つて来るということがおもな理由になつておるように思います。それに間違いないですか。
  33. 岡村昇三

    岡村説明員 そうであります。
  34. 松本七郎

    松本(七)委員 その点会計検査院はどうですか。
  35. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 本件は東京静岡に持つて来たことは事実であります。しかしながら米の場合でも、やはり産地から消費地に持つて来るのは、これは食糧庁の責任でやつておるのであります。日通に運送させますが、公団消費地の配給をやるために、政府から消費地で買う、これが建前である。本件の場合もその面におきましては、それとそう違つた事態ではない、こう私どもは了解しております。
  36. 松本七郎

    松本(七)委員 どうも検査院の言われる通りのような気がするのですが、説明書のように、その通りであつて遺憾であるということならこれでわかるわけです。何か特別な事情があるので、どうしてもこれはやむを得なかつたというような御説明に聞えるものですから、私はそこのところをはつきりしなければならなくなります。どうも食糧庁の御説明ではやむを得ないというようなふうに受取れないのですが、そう考えておられるわけではないのですか。検査院の方の通りであるというこの結論には間違いないのですか。先ほどからお尋ねしておるのはその点であります。
  37. 東畑四郎

    東畑政府委員 監査課長は事実を述べたのだと思います。やむを得なかつたというのではありませんので、結論においては検査院のおつしやる通りでありますということでありますが、その間に若干の事実において、政府自身が輸送することよりも、麺類協同組合等輸送させた方がよりよいであろうという事情があつたことは事実でありますが、そうすれば政府に七十万円の損害をかけなかつたということにおいて遺憾であるということは、検査院の御指摘の通りであります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の六〇三号の問題ですが、これは相当な損害を国がこうむつたという結果になるのですか。
  39. 東畑四郎

    東畑政府委員 結局政府輸送をいたしますと、全国運賃プールをいたしておりますので、協同組合にまかせた場合との差引七十万一千七百二十一円だけがよけいかかつたという結果になつたのであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 長官は二十七年に就任しておられるので、その前のできごとでありますけれども、これは全体に通ずるので一言お尋ねしておきたいのでありますが、やはりこの種の損害が何ほどか生じたというような場合には、ほんとうの責任者を追究するとかいう措置相当講じられるのですか。それともそういうようなことは、当委員会で問題が取上げられるまではさほど問わない、こういうことにでもなるでしようか。厳重に注意を与えたということに説明書はなつておるのですけれども、それ以上の方法はとられずに来たのでしようか、その点だけお伺いしておきます。
  41. 東畑四郎

    東畑政府委員 不正事件その他の場合には当然問題ありませんが、検査院批難事項に該当いたすような事案は、もちろん事前に検査院から御注意を受けてわかつておりますわけで、そういう事案の起りました場合には、役所、いたしまして注意を与える仕方がいろいろあります。同じ注意をすると言うと簡単でありますが、事案の軽量によりまして、相当処置がかわつておるわけであります。履歴書等にもはつきり載せる場合、これは相当厳重な例でありますが、履歴書等に載らぬ場合でも訓告的にいたします場合、あるいは同じ注意でも厳重に注意をうながすというような、いろいろな処置があります。それから書面ではつきりと本人に通知するようなこともございます。この検査報告にありますものは二十五年度の事案で、検査院の事前の御注意によりまして、もちろんすでに処置はいたしておるわけであります。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは六〇一号、これは重点事項にはなつておりませんけれども、相当聞いておきたいと思うのです。まず栄食糧工業株式会社外十三名に対する澱粉めんの加工買取り契約、この加工買取契約といううのは、大体どういう趣旨のものが取結ばれたのでありますか。
  43. 岡村昇三

    岡村説明員 買取り加工と申しますのは原料を……。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いや、具体的に本件の場合……。
  45. 岡村昇三

    岡村説明員 澱粉めんの原料を栄食糧工業株式会社外十三名に対しまして売つてつて、そのできた澱粉製品を政府が買い上げるという契約にしておつたわけであります。当時澱粉めんをつくるという仕事が、初めて千葉で発見されましたために、加工技術が全般的には普及していなかつたため、ここに指摘されておりますように、政府が製造規格も買取り価格も決定しない間に、この澱粉がほかに売り渡されたという結果になつて来たわけであります。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の聞きたいのは売渡し金額が六千九百四十余万円、澱粉数量が四十九万八千貫でたいへん厖大な引取でありますが、この取引はやはり政府が取引をなさる以上は、相当厳重に内容は規定されるべきであつたと思うのです。どういう内容で契約をなさつたのか、それを聞きたいのです。そうしたら次に規格あるいは買取り価格をきめなかつたという事情は、まだ一般にこの種の企業が起つて間もなかつたという御説明でありますが、どうもそれだけでは合点が行かない。約七千万円のものを売るというものですからその企業の発達の状態がどうあろうと相当厳重なとりきめがなされなければなるまいと思う。
  47. 岡村昇三

    岡村説明員 ただいまお話のありましたように、厖大な額の売払いでございますので、契約書もございますし、澱粉加工実施要領等に十何箇条にわたりまして掲げているわけでございます。なおこの契約書は後ほど提出してけつこうでございます。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 おもな要旨だけをつまんで述べていただけばいいのです。要するに製造規格、買取り価格がきめられない買取り契約というものが、通常では想像されませんので、それで聞いているのです。
  49. 岡村昇三

    岡村説明員 例を申し上げますと、食糧事務所長は県下澱粉めん工場の設備能力その他加州実施上必要な事項について調査をなし、右の中から加工実施に適当な工場を選定の上工加を行わしめること、工場別原料割当数量は本庁で決定し、加工数量に基いて工場調査の結果を勘案して食糧事務所長が決定する、といつたようになつております。  なお加工歩どまりは浮澱を原料として加工した場合には九八%とし、並粉澱をもつて加工した場合には九六・五%とする条項も入つております。保管は加工工場付属倉庫において行うこととする、保管料支払いについては、食糧事務所長は加工工場付属倉庫を、できるだけ農業倉庫支庫または営業倉庫支庫としての取扱いに準じ、この場合は全販連との寄託契約を締結してやるという条項もございます。そのほかに政府といたします普通売買契約は締結されておるわけでございます。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、今の製造規格とか、あるいは買取り価格は事実とりきめをしておらないのですか。今の説明契約の基準になるようなものの御説明らしいので、具体的に栄食糧工業株式会社外十三名と調印したものについてのものではないように思うのですが、その種の基準に基いてするならば、工場の調査あるいは相当厳重なとりきめをするようにうたわれておりますが、事実何をつくつて幾らで買取るかというとりきめをしなかつたのでしようか。とすればなぜそれをしなかづたのか、もつと詳細に述べてもらいたい。
  51. 岡村昇三

    岡村説明員 澱粉めんと申しますのは、澱粉をできるだけ活用したいという考え方から、澱粉めんの製造が千葉でたまたませられまして、これが総合配給に適当であろうという考えで、実施させるよう契約したわけでございます。たまたまその澱粉めんというのが新しいものでありますために、一定の規格を全般的に推し進めるということが十分研究済みでなかつたということに起因するのでございまして、それがために検査規格あるいはでき上つた製品の価格が、契約しましたときよりも非常におそくなつてきまつたという状態のために、こうした結果になつたのでございまして、非常に申訳ないことだと思つております。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 検査院の方にお尋ねいたしますが、これはまつたく最初の澱粉めん加工の工場であつたのでしようか。あるいはそのほかにも当時すでにあつたのでしようか。その辺はお調べになりましたか。
  53. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 食糧庁としては、この澱粉めんの加工は初めてでございます。しかし千葉県としてもあまり従来はやつていなかつてそうでございます。宮崎にこの種の工場があつたように聞いております。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは私自身の経験によりましても、愛緩県八幡浜におきましては、相当前から相当大きく経営した事例はあるのであります。従つて私どもは、七千万円近い物件を売り渡すというようなときには、食糧庁としては、その辺相当調査をした上でせられなければならぬと思うておるのですが、どうもできておらぬことが一つ。それから短絡がはつきりしなかつたこと、価格のとりきめができぬうちに何か他の用途に処分されてしまつたというようなことで、どうもその辺が、相済まぬとおつしやる今の課長のお気持はよくわかるのでありますが、何かそこに相当大きな手落ちがあつたんじやないだろうと思うのです。もつともらしい御説明のようでありますけれども、まことにわれわれとしては納得しかねるのであります。食糧庁長官もその道の練達の人でありますが、この問題の売却処理、買取り契約のとりきめの処理、そういうことについてどうお考えになりましようか、ひとつ長官の御答弁を伺いましよう。
  55. 東畑四郎

    東畑政府委員 普通こういう新しい製品をつくります場合には、その規格なり価格なり歩どまりをはつきりきめまして、売買契約をやるのが当然だと考えます。本事案は、契約書自体非常に抽象的になつておりまして、食糧配給公団から原料澱粉を買いまして、澱粉めんを引渡すということになつておりまして、その澱粉めんそのものの規格がどうであるかということは、実は具体的に何らとりきめがしてないのであります。従いまして、その後鋭意その規格、違約金等の決定をやつてすべきだつたというときに、食糧事情等が好転をいたしましたために、総合配給用で売却すべきものを配給用以外に処分のせざるを得なくなつたという点が、御批難になつておるのでありまして、このことは、契約書自体がはなはだ不備であり、ことに新しい澱粉めんをつくる場合において、売れ行きでありますとか、コストでありますとか、規格を何らきめないでやつたこと自体が、根本的におかしいと私は考えております。この点はまさに検査院指摘されました通りでありまして、単に食糧事情がいいというだけではなかなか説明がつきにくい根本的に不備な点があつたんじやないかと考えます。こういう澱粉関係のものは、その後は加工品等もなくなつて来たのでありますが、契約書なりとりきめそのものに非常に注意を欠いておるように思います。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 違約金はとりきめておつたのですか。
  57. 岡村昇三

    岡村説明員 そうでございます。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 違約金は抽象的なのですか。何かよりどころを具体的に示してあつたのですか。
  59. 岡村昇三

    岡村説明員 契約書の中にそのことをうたつておりまして、ここにあげられました違約金は、総合価格原材料用価格との差額を違約金としてとつたわけであります。
  60. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今説明された方は、あなた御自身がこれをやつたのですか、当時も課長であつたのですか。
  61. 岡村昇三

    岡村説明員 違います。
  62. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 違約金がとりきめられて、買取りの価格がきまらず、製出価格もきまつておらぬというような、そういう契約書は、ちよつと普通想像されぬのですが、ここに出ております批難事項六〇一から六一四までは、大体におきまして代食の澱粉であるしか、あるいは玄そばであるとか、そういつた食糧の売り買い、保管ということに大体なるのでありますが、こういうような全体を見まして、いかにも重要なものを扱う食糧庁の当時の準備といたしましては、まつたくこれは無準備で扱つたのではないかと思うほどに、今の御説明によりましては納得しがたいのであります。私はそういうような点から見て、食糧庁自身がその後いろいろ改善されたかもしれませんが、やはり何かそこにそういう契約書のとりきめとか、とりきめの基準、あるいは契約書が抽象的であつたとかいうようなこと以上に、当時何か疎漏に扱うような大きな原因があつたのではないだろうか。そういう点についてちつとも出て来ないで、いかにも末端の形の上の不備、過失がここに至らしめたような御説明に落ちてしまうのですが、何かこういうふうなものを起らしめた原因があつたのではないでしようか。重ねてそこを聞いてみたいのですが、いかがでございましようか。
  63. 東畑四郎

    東畑政府委員 事案昭和二十四年から昭和二十五年にかけて起つているいも澱粉関係事案が多いのでありますが、食糧事情が非常に悪く、米麦のみでは足りませんので、総合配給としていろいろなものをまぜて羅をいたしておつたのであります。関係方面との折衝等になかなか時間がかかつたり、あるいは輸入食糧が思うように行かなかつたりというような事情で、いろいろなものを、いわゆる悪い言葉で言えば、押しつけ配給できた時代から食糧事情がかわつて来たのでありますけれども、そのかわるのが非常に急激にかわつてつたのであります。その間に長い間の統制の弊害というものがあつて、だんだん澱粉、雑殻等が配給からはずれて行くという過程に、食糧庁職員としての精神的な準備あるいはこういう契約等についての見通し、的確な判断というものについて、やや客観的に事情が悪かつたのでありますけれども、不注意の点があつたことは認めざるを得ないと思うのです。その点について慎重な判断をやる場合に、時間をつぶしたために、かえつて国損を来したという場合もあるのであります。また疎漏に取扱つたために、このような事案を起した事例もあります。そのほかに別段この事件に関連して申し上げることはないと思つております。
  64. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本件六〇一号は慎重に扱つたという形跡がごうまつもありません。疎漏に扱つたという以上に、私どもは何か原因を追究したいと思つたのです。要するにこの問題は、四千六百九十万円の違約金をとることに徴収を決定しながら、四千二百万円が二十六年九月当時まだまつた収納されておらぬ、こういう莫大な損害も生じておる。これはやはり相当官紀が紊乱しておつたのではないかというふうに思うのであります。長官は官紀紊乱といつた面については御意見はありませんか。
  65. 東畑四郎

    東畑政府委員 不正事件を起した者も実は食糧庁に若干あつたのであります。官紀紊乱しておるというと、これは私としても責任でありますが、この当時官紀紊乱をしておるということは、私はなかつたと思つております。
  66. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 四千二百二十一万六千円は二十六年九月現在まだ返つておらぬのですが、これは返つたかどうか、それから一体この栄養食糧会社などは資力であつたのかどうか、そういうことについての調査、ないしは回収についての対策はとつておるのかどうか、これらの点及びこの一切の結末といたしまして、政府はこれらの所管担当者、監督者等に対してどういうふうな措置を講じたか、総括してこの二点で私はこの問題は終ります。
  67. 東畑四郎

    東畑政府委員 二十七年十二月四日現在でなお四千百四十五万千六百六十一円の残がございます。回収がなかなかできていないということはまことに遺憾でございます。
  68. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 それはどういう理由なのか、回収ができないというのは資力がないのか。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その辺についてわかる事務当局から詳しくお述べ願つた方がいい。あまり大きな損害ですから……。
  70. 東畑四郎

    東畑政府委員 それでは事務当局の方から御説明いたします。
  71. 岡村昇三

    岡村説明員 先ほど申し上げましたように、澱粉価格が値下りいたしましたために、こうした澱粉業者が資金の回収に困つて結局横流しをしたということでございますために、急速に金の取立てができなかつたわけでございますが、その後法務当局の御援助によりまして全部和解調書によつて裁判上和解いたしまして、財産のあるものは全部抵当をとり、そうして和解調書を全部についてやつておるような次第でございます。現在回収されておりますのは、先ほど長官からお話がございました十二月四日現在で残は四千百万円という結果になつておりまして、なお和解の条項に基きまして順次少しずつでも取立てに努力しておるわけでございます。
  72. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それだけではわからぬのです。相手に資力があるのかどうか。和解をしたというだけではわからぬのでありますので、どういう方法で取立てておるのか)資力はどうか、こういう辺を伺つておるのであります。
  73. 岡村昇三

    岡村説明員 資力と申しますと、裁判上の和解に出ております抵当物件は、調査いたしまして、とるべきものは全部抵当物件としてとつておるわけでございます。
  74. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員に伺いますが、これは農林当局からすつかり整備して表でもつくつてもらつて提出させたらいかがでしようか。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしたら、そのとつている物件の価格、その処分をまだしておらぬのなら、なぜしないのか。会社ですから解散してしまつたら個人のように追究できぬ。事実こういうような国に四千万円以上の損がありますが、この今後の結末について一応長官から聞いておきましよう。今後この問題の結末はどうなさるつもりか、ないしは政府はこのこうむつた損害についてどういう処置をおとりになろうとするのか、これをひとつ長官から聞いておきまして、報告資料としては、どういう和解をして、どういう物を抵当にとつて、その価格はどうか、処分するのかしないのか、今後の見通しはどうか、ないしはその会社の資産状態がわかれば、それ。要するにその損害の回収についての客観的ないろいろな資料をまとめて出していただくことにします。
  76. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 今のような問題は聞かれるにきまつている問題なんだから、ぼくがこの間から政府委員の勉強が足りぬというのはそこのところなんです。ほかのところではどんな質問がどう出るかわからぬけれども、決算委員会では、もう想像し得る問題の範囲というものはきわめてわずかで、全体としてこれは結局どのくらいの国家の損害になつたか、処置はどういうふうにとつておるかということが質問されるのは当然のことだと思う。それに対して何らの答弁の用意がないということをぼくは不勉強だというのです。決算委員会に出て来る政府委員はもう少し勉強して来いということをこの聞も注文したんです。今の資料として出すということも、今答えられないとすればしかたがないとして、こんなことわかり切つたことじやないですか。こんな質問が出るだろうということは当然のことなんです。それを即座に答えることができぬという不勉強なことで決算委員会に出て来ることが悪いということを、この間も警告しておいたのでずが、あらためて私は政府に警告したい、当然のことじやないですか。
  77. 松本七郎

    松本(七)委員 今の六〇一号事案ばかりではなしに、さつきの「食糧管理当を得ないもの」の項も二十七年十月現在ではまだ約五千九百万円残つているわけです。この方もやはりこれらのその後の見通しをあわせて御報告していただきたいと思います。  それから今の事案で一点、もう一度確めておきたいのですが、先ほど吉田委員の質問に対する御答弁で、規格も価格も決定しないで契約する場合が、事情によつてはあり得るというような御説明を聞いたのですが、先ほど東畑長官の御答弁ではそれ自体が悪いというふうなことをちよつと言われたようです。われわれとしても当然いかたる事情があろうとも、規格、価格も決定せずに契約すること自体が、根本的に間違つておるのじやないかと思うが、その点ひとつ明確に東畑長官に御意見を伺つておきたいと思います。
  78. 東畑四郎

    東畑政府委員 澱粉めんというのはまだ新規の商品でありまして、常識化されていないものについて、何ら規格、価格をきめないで澱粉めんをつくつて売れ、こういう売買契約書自身は、私としては、その当時の事情はいかがあれ、はなはだ不注意であつたと実は考えております。
  79. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと一点だけ最後の締めくくりをいたしたい。これは説明書によりますと、当時の責任者にそれぞれ注意を与えたということになつておりますが、およそ一般の実例に比較してみましても、四千万円、五千万円という厖大な損害をこうむりましたならば、たいていの会社、個人はつぶれてしまいます。何億円という国の金を使い得るというので何か事済んでおるようでありますので、従つてこれの責任の帰属という問題については相当厳重でなければ私はいかぬと思います。いろいろと責任の関係を規正すべき条件はあるといたしましても、この問題に関して単に注意をするということでいいのでしようか、それとも今なお四千万円から取立てができないで苦慮しておるという状態でありますので、これらのことにつきましては政府といたしまして相当強い決意をもつて、一般を戒告する意味も含みまして、適当に処理すべきでないかと思うのですが、いかがですか、御意見を伺います。
  80. 東畑四郎

    東畑政府委員 こういう事案が起りましたことにつきまして注意するというだけではありませんで、再びこういう事案の起らないように厳重に注意すべきであるということは当然であります。当時の責任者等もはつきりいたしておりまして、もちろんこういう面そのものをやりましたのは本省自体の問題にもなつております。現地の事務所自体を責めるだけではこれは解決できない。こういうことをやるについては実は本省にもその責任はあつたのでありますので、その担当の課長等につきましてはもちろん厳重な注意を与えております。この間事案の軽重がございまして、またその事案の直接の責任者あるいは間接の責任者、いろいろありまして、おのおのの責任の程度において注意の仕方をかえておるような次第であります。さよう御了承願います。
  81. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この際長官にお伺いますが、あなたの方ではもう三、三年前に済んだことであるからまあいいじやないか、あなた御自身も二十七年の一月に任官せられて、前任者はおらぬのだからというのでは、国の会計といたしましては済まぬのであります。そこでこれから審査する幾つかの案件は、食糧庁の物件、労務、工事につきましても、相当私は注目すべき事件が並んでおると思いますので、やはり食糧管理の特別会計を厳粛に将来執行するという目的のものとに、一層官紀を振粛するというために、やはりこの一つ一つの問題をとらえて、責任を明らかにするということを何らかの方法で庁内において審査をする、こういう措置でもおとりになつてはどうかと思うのであります。そういうふうになさるならば、私は来年からはだんだんと減つて行くだろうと思いますが、単に注意した、厳重に注意したで通過してしまいましたならば、これはいつも言うのですが、百年河清を待つと思うのであります。そういうようなことでもおやりになつてはどうでしようか。いかがでございますか。
  82. 東畑四郎

    東畑政府委員 会計検査院の御批難になりました注意事項等につきましては、注意がありますと部内におきましていつも会合をいたしまして、その事案についての事実をよく調べましてお互いに検討し、食糧事務所長会議等でも強く要望いたしておるのであります。批難されましたことにつきましては、もちろん農林省としまして、その責任者に対して厳重なる注意なり訓告をいたしておるのであります。それ以上になつて参りますと、これは本人自身の問題になつて参ります。同じ人が二度やるということは実は従来あまりないところを見ましても、注意いたしましたこと自体で将来どうかと思つておりますが、これは絶えず会計検査院と連絡いたしまして、こういう事案の少くなることについて努力をいたしております。もちろんこういうものは漸次減つております。私としましても、自分がやつたことじやないということでなく、これは食糧庁長官という官として、ずつと絶えず継続して責任を持つ問題であるというように、実は考えておる次第であります。
  83. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私が今申し上げたのは、注意をしたのでそれで足りるということであつては、われわれは納得しがたいのでありますから、進んで庁内におきまして適当に責任を明らかにするというような方法を、何かの審査の手段を用いなさつて、今後こういうものがなくなるようにされてはいかがか、こういうように申し上げるのであります。これまでの報告書及び説明書だけによりましては、これは私どもはその責任等につきましても、少しく無責任な措置でないかと思われるほどの印象を受けます。二十五年だけじやありませんで、二十六年もまた大きなやつが出て来るのでありまして、きようはは関連してどなたから質問することになるのでありますが、やはり本委員会におきまして、だんだんと食糧庁における特別会計についての予算の執行が、非常に乱れておるということが大きく指摘されて行きまして、そのままで進まれるならば、私は将来の予算を編成される上におきましても、非常に悪い影響を受くることは必至だろうと思いますので、そういうことをなくするたたに、少々のことは涙を振つて粛清するといういう態度をおとりになるのでないと、われわれにほんとうの責任を全うすることができないと思う。そういう老婆心も実は手伝つておるのであります。でありますから、責めるという意味よりも、御協力するという意味において一面言つておるのでありますから、進んでひとつそういうことをされてはどうか、重ねて尋ねます。もしそういうふうになさるならば、私どももできるだけ今後あなた方の御誠意と努力を見守つて行きたいと思います。重ねて伺いますから、御意見があればひとつ御答弁を願います。
  84. 東畑四郎

    東畑政府委員 厖大な会計を預かつておりますものとしまして、吉田さんの御忠告はまことに感謝するものであります。厖大な人間と非常にたくさんな農産物を預かつておりますので、厳重にも厳重を重ねましても、なかなか注意か足らないのであります。食糧庁としましても監査課等も設けまして、絶えず現地等にも出張いたしまして、自発的に批難事項の起らないような注意をいたしております。ここに上りました事案等につきましては、実はその責任者をはつきりいたしておりますので、おのおのの軽重の度によりまして、すでに注意もいたし、訓告もいたし、刑事事件等になつた者もあるのであります。ただいまの御意見等も十分伺いまして、かかる事案のなくなることを期したい、かように考えております。
  85. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 もうすでに責任者が明らかになつておるのだから、注意をされておるのだから、それでいいということ以上に対策を講じる御意思はありませんか。
  86. 東畑四郎

    東畑政府委員 われわれとしまして一つ一つの事案を見まして、それで全般に注意をいたしますのが、実は一番的確に行くのであります。こういう事件がありますと、よくこれを参考にしまして、皆に通牒を出しまして、注恵を絶えず喚起しております。なお官紀を振粛する方法につきましては、御意見等もお聞きしまして検討してみたいと考えております。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは一つ御検討願つて、できますれば、本国会が終了しまするまでに御検討の結果、あるいは具体的にとりなさる手段、そういつたことについて適当な機会に本委員会で御報告願えば、われわれもそれを資料といたしまして、いろいろと意見、態度などをきめたいと思いますので、ぜひ一つ御希望申し上げておきます。  それから、もう一つついでに伺つておきますが、結局ただいまの六〇一号であるならば、昨年十二月末当時で四千万円強の未収損害になつているのですが、こういうものは、たとえば食糧庁において合計何ぼほどあるというようなことを、予算の執行上に起つた損害でありますので、予算を執行する責任者といたしまして、進んでいずれかへ報告をすることが必要な措置でないかと思うのですが、どうでしよう。われわれは、委員会において検査院指摘して、これだけの数額があるということを知るのですが、実は国にこういう損害があり、それは個人への債権になつている一つの国の資産のような形ですが、そういうものは予算の結末として何らかの報告措置でもとるべきでないかと思うのですが、そういうものはあるのですか。なおそれについて検査院の御意見があれば伺つておきたいと思います。
  88. 東畑四郎

    東畑政府委員 売買をやりました場合の売掛代金の中で、こういう事案を起しましてとれないものと、延納を新たに認めたものと実はいろいろございまして、全体として売掛代金等は大蔵省とも話合いをいたしておるのでありますが、こういうもの等につきましては、決算委員会以外にまだ報告はいたしておりません。その点今後検討してみたいと思います。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それはひとり食糧庁の問題だけにとどまりませんで、政府全体として予算執行の結末がこういうことになつており一つの債権、資産が新たに別の形で生じておるというのでありますから、ぜひひとつ進んで何らかの方法で、いずれにか報告をなさつて、明らかにするという措置をとられんことを御希望申し上げておきます。
  90. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田君に申し上げますが、今の点は大蔵省の主計局の司計課長がきようここへ来ておりませんが、来ていたら答弁をさせれば、あるいは明らかになるんじやないかと思いますから出席を要求しておきます。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 できましたら、次の機会にそういうふうにしていただきたい。
  92. 松本七郎

    松本(七)委員 それに関連するのですが、検査院の常時検査の実情はどういうふうになつておるのですか。どういう方法検査をされておるのですか。
  93. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 常時検査状態でございますが、御承知のように、会計検査院検査は、書面検査と実地検査と両方にわかれるのであります。書面検査は、各官庁から毎月定例的に書面で証拠書類、計算書等をお出し願いまして、ずつと継続的に検査しております。それから実地検査でありますが、現在の法律は昭和二十二年にできたのであります。そのときに常時または臨時に実地検査を行う、こういう方針が新しく入つたわけであります。それまでは常時または臨時という言葉はなかつたのであります。常時実地検査ということは、結局は定期的頻繁にというふうな意味に解釈しております。常時と申しましても、決して向うに詰め切りに行つておるという意味ではありません。それを具体的に申しますと、従来の会計検査院よりもはるかに各庁に対する実地検査の頻度が高まつた、こういうふうに御説明申し上げるのが適当かと思います。決して向うに常時詰め切つておるわけではないのでありまして、従来よりも相当密度が高い実地検査を継続的に、定期的に施行しておる、こういうふうに御了承を願います。
  94. 松本七郎

    松本(七)委員 常時検査のときには、その都度警告を発するとか、そういう点はあり得るわけですか。
  95. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 この検査報告も菅と違いまして、千件とか千百件とか多くなつたのでありますが、昔はせいぜい一年に百二十件とか百五十件とか、この程度であつたのであります。それで実地検査の都度、各省なり地方の出先の役所に対しましてするのは、照会と申しておりますが、その照会事項なども実は一年に一万件以上になつておるのが現在の実情であります。おそらく実地検査をいたしまして、一つも照会事項がないというところはまあないであろう。私どもの局では、今各府県を主として担任しておりますが、県によりましては、一回実地検査に二週間くらい参りますと、百件くらい照会が出るというような実例もございます。相当程度会計検査院で実地検査の結果、疑問を持つて質問を発するという事項は多いのでございます。その中から、いろいろな角度から検討いたしまして選んで、その検査報告にあげるわけでありまして、一応疑問を持つて照会するという事項は、非常に多いのが現在の実情であります。
  96. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと今のに関連いたしまして、実地検査及び検査のあり方につきましてひとつお尋ねいたしておきますが、検査をなさる場合に、書面検査でなしに、実地検査を臨時あるいは常時なさると、大体何パーセントくらい批難事項は確定されるものでございましようか。
  97. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 直接の御質問がありましたので申し上げますが、食糧庁では、二十五年度に本庁、それから全国食糧事務所、こういうものを全部ではございませんが大分歩いたのでありますが、その結果発しました照会事項は、二百五十件であります。二百五十件の照会を発しまして、ここにあがましたのが十八件にまとめてあがつているわけであります。これは検査報告の件数を、そうむやみにふやすのもどうかと思いまして、幾つかの照会をまとめて一件にしたような例もございますが、件数で申しますと、今申し上げましたように、二百五十件、これは一つ一つの件数でございます。こまかいことでもらく伺いますから、二百五十になりますか、それが今申し上げましたように、二十件たらずが検査報告に載る、こういうふうになつております。ほかの役所はこれぼどひどい差のあるところはございませんが、大体照会は相当程度たくさん出ますが、その中でいろいろな角度から回答をいただいて検討しますと、実地検査官の思い違いもございますし、それからここに出た資料について、検査報告にあげて批難するのも無理だというのもございますし、また一件当りの金額が非常に小さいというようなものもございまして、検査院としては検査報告に載せるのは、これは大丈夫だという相当程度事案を選んでおりますから、こういうような率を示すわけであります。
  98. 松本七郎

    松本(七)委員 照会された場合に、いろいろな報告が来る。その報告をとるだけでなしに、照会することによつて、多少とも不正を防止できた、あるいは不正の程度を食いとめたというような効果はあるのでしようか。
  99. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 事態によりましては、たとえばこれは多少の例になりますが、顕著な効果と申しますか、会計検査院で照会を出し、いろいろ改善を求めまして、一年できれいになつてしまつたという大きな事案もございます。私のところで担当しております、後ほど御審議を仰ぎますが、建設省の架空経理、二十五年度では四億四千七百万円という大きなものが検査報告に上つております。これは全国的に検査いたしまして、幽霊人夫とか、から材料とか、こういう国費を支出しているのを四億四千万円も見つけたのであります——これはいろいろ手を尽しまして改善に努めたのですが、二十六年度の検査報告を見ますと、それが三千五百万円になつております。これなどは最も照会の効果の上つた例であります。三千五百万円というのも、前年に残した残りというものでありまして、二年たたぬうちに会計検査の結果きれいになつてしまつた。こういうような顕著な例もあるのでありまして、ほかの役所ではこう照会を出しまして検査報告に載せてさえなかなか事態は収善されないちいうのが多いのでありますが、今のような非常にきわだつた検査の効果が早く上つたというような事態相当にあるわけであります。
  100. 大矢省三

    ○大矢委員 一言お尋ねいたしますが、これはまだここに金が残つているようですが、先ほどの答弁によりまして、こういうことにしてこれを摘発はする、それから一ぺん答弁書が来てこういう事情であつた、さようか、これで済んでいると思う。そこでこれは裁判所に例を求めるのははなはだどうかと思いますが、不正もしくは不当の支払い等について一応警告する、こういうことだと思う。それで調べた結果、これこれの損害を与えて、まだ回収がないということでここに報告し、また、こつちでは関係省からそれぞれの顛末書が出ている。その年でなしに、翌年あるいは引続いて回収状況というものに対しても監査しておるのか、先ほど答弁があつたがどうもはつきりしない、向うの財産があるとかないとか、ただ摘発し警告し、一方では遺憾であつたという、それをどうやつて、あるものは処分した、それで会計検査はもう終つた、こういうのでなしに、これほどたくさんの未回収がまだあるのでありますから、それに対してどういう方法をとつて、どうしておるか、どうして回収できないのかということをもさらに翌年引続いてやるべきだ、この報告書を見ると、その年々でそのままになつておる、さらに二十六年度の決算のときには、それと同じような事件というか、こういう不始末がもつと重つて来る、こういうようなことで、今申しましたあとの始末を、ただ単に関係省にまかすのでなくして、検査院としてどういうふうに処分しておられるか、ただ遺憾であつて注意しておるというのでなしに、現実の損害に対する回収状況というものを再調査しておるのか。
  101. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 大矢さんの御質問のうち、会計検査院に対する御質問の部分をお答えいたします。  現控政府の財源というものの確保を統一的に担当しておる官庁は、現在の制度ではないのであります。大蔵省の財務局が、一応一般会計の古い分というようなものについては、ごく最近に統一的な権限を持つて来たのでありますが、各特別会計——食糧庁など現に大きな特別会計なのでありまして、そういうところでは大体各会計課が責任をもつておやりになる。それから大蔵省に引継ぐものは、一般会計では各省各庁の責任で回収に努力されるというのが現在の制度なのであります。先ほどもどなたかの御質問があつたようでありますが、政府財源の確保ということを一つの強力な官庁でやつて行くというのは、制度としては日本ではございませんが、ほかの国などには幾らも例があります。これはぜひ必要なことだと思いますが、現在の制度ではまだ  そこまで行つてないわけでございます。現在会計検査院もこの権限を持つておりません。ただ私どもとしては批難をするだけが実は能じやないのであります。こうようことが二度と起きないように、また一旦起きたことは早くよくなるように、こういうのが私どもとしての——現在の法律でも、その点是正改善ということをねらつておりますが、私どもの検査態度としてもそういう態度をとつておるつもりであります。検査報告ちよつとごらん願いたいのでありますが、二十五年度の検査報告の百九十一ページの末の方に「既往年度決算検査報告掲記事項に対するその後の処理状況」こういう欄を設けまして、裏を返していただきますと、前年の二十四年度の批難事項で、回収を要するとか、その後の是正を国会の皆様に御報告をした方がいいと思うのは、ここへ別に書きまして、実ははなはだ失礼な話ですが、御注意を喚起しているわけなのでありまして、私どもとしてはなるべくこうならないように、ここへ書かないで済むように、全部回収になつたという状態にしたいのでありますが、私どもの現在の権限では、回収につきまして、そう強い権限を与えられてもおりませんしするので、この程度でひとつつて行こうということで、ここに載せている次第であります。
  102. 松本七郎

    松本(七)委員 その場合に検査院として未収分がこれこれあるということを指摘されるについて、ただ事実がこれだけ未収であるから早く処理しなければならぬということであつて、それじや債務者の方の状態、能力はどうかということは調べられずにやるのか、あるいはそこまで調べられるのか、いかかでしようか。
  103. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 私どもとしては当然債務者と直接接触し、調査するとか、そういうような権限を持つておりません。これは当該官庁を通じてやるほかないのでありまして、当該官庁としては、こういう跡始末を要するような大きな事案があれば、当然にこれは調査する義務があるわけでありますが、現在の状態では、会計検査院としては権限の上からは直接にそこまでやれないわけであります。
  104. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田君に申し上げますが、今大蔵省の主計局長を呼んでおります。その間に平川農地局長も見えておりますし、またこの前鈴木委員からお話のあつた件についても答弁を用意しておると思いますから……。
  105. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 農地局長はもうしばらくお待ち願えませんか。
  106. 平川守

    ○平川政府委員 よろしゆうございます。
  107. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 それでは私がこの間頼んでおいたことでありますが、今ビルマ米の毒になるとか、食えぬ米が、新聞によつて値段は違いますが、あるいは八億円といい、あるいは十二億円ということが伝えられておる。あの問題について私どものところへ、どうしてこういうことが起つたものだろうか、食糧管理庁の役人と、そういうことを扱つておる商人との間の不正事件でもからまつているのではないだろうかということで、この真相を明らかにしてほしいという要望がかなり来ております。そこでこれはわれわれにも一向わからぬことですが、今決算委員会は二十五年の決算をやつておるわけですが、当面、目の前に起つたこういう事件も、われわれとして国家に与えた損害の大きいことを思うと、見のがすわけには行かぬ気持がする。ここに合糧管理庁から出た材料によりますと、この損失推定額は一億九千五百五十三万幾らとかあつて、大体三億円ばかりの金額としても、これは非常に大きな問題ですけれども、一体こういうようなことは、食糧管理庁の処置よろしきを得れば起らずに済んだはずだと私どもは考えざるを得ないのですが、こういうことが現実に起つた経過を食糧庁長官から詳細に御説明を願いたい、こう思うのであります。
  108. 東畑四郎

    東畑政府委員 今回のビルマ米の黄変米につきまして、まず事実を先に詳細申し上げたいと思います。昨年産米が非常に不作でありましらので、食糧庁といたしまして玄米で約百五万トンの輸入計画を立てまして、食糧の輸入をはかつてつたのであります。ビルマ政府との輸入交渉がなかなか難航いたしまして、向うの割当が来なかつたのであります。政府といたしましては、外務省を通じまして、たびたび向うと輸出の割当についての折衝をいたしておつたのでありますが、最後に今回黄変米の事件を起しました米の一部であります四万トンの割当がきまりましたのが、昨年の夏を過ぎた九月であります。ビルマにおきましては、雨季前に米を買いまして、そのときまでに買つた米は、大体かびの生えたような米は来ないのでありますが、雨季を過ぎますと危険であるということは、よくいわれておつたのであります。何分にも端境期を控えまして、昨年度はどうしても操作上外米がほしかつたために・四万トンの割当が来たときに、これを買うことをきめたわけであります。その買い方につきまして、ビルマでは二つの買い方がありまして、一つは政府政府の貿易、これはビルマだけでございます、いわゆるGG貿易といつております。政府政府の割当のものでございます。もう一つは国際入札に付するものであります。国際入札のものにつきましては、ビルマの政府はビルマ人でないと国際入札に参加を許さないので、日本側はビルマ商社が入札したものについて、商社を通じて買つておるのであります。政府貿易でございますと、食糧庁長官の代理であるビルマにおきます総領事と、ビルマの国家農業商品局——むずかしい名前でございますが、SAMBと訳しております——という役所がございまして、そこのSAMBの局長と、食糧庁長官代理ビルマ総領事というものが、売買契約をいたします。その売買契約をいたしました政府のものを、商社が代行人になつて日本に持つて参るわけであります。所有権は現地の船側渡しになります。そこで食糧庁の所有になるわけであります。現地には事務所はございませんで、総領事館があるわけであります。そこに食糧庁から事務が一人、外務省の官吏となつて駐在をいたしております。それからこれを担当いたします商社は、従来から三社ございます。日綿実業株式会社、東西交易株式会社、第一物産株式会社、この三社を従来から指定してございます。この指定商社が政府の代行人となつて米を運んで来る、こういう関係に実はなつておるのでございます。今回の米は四万トンの政府政府の割当を受けました米であります。売買契約は長官代理の総領事と、向うのSAMBとがやつておるのであります。  そこでビルマの米でございますが、これはタイ等にはございませんが、ビルマ国には国営の検定局がございまして、輸出のものはその役所がやつておるのであります。タイであるとか他の国で買います場合には、食糧庁といたしまして国際的な検査会社というものがあつて、その検査会社が検査をいたしまして、その検査を通つたものでないと買わないことになつております。ビルマ等におきましては、向うで輸出検査という国営検査をやつておりますので、食糧庁といたしましては、その会社にもう一ぺん検査をやらすということはしなかつたのであります。いつも問題になるのでありますが、ビルマの検査規格におきましては、米のいろいろな規格があるのでありまして、もみ米の混入率、赤米の混入率、砕け米の混入率の三つが大きな規格になつております。それで米の規格がきまつて来る。虫害等がありました場合には、値引きをするとかいろいろなとりきめをいたしております。私行つたことがないので現地の事情はよくわからないのでございますが、遺憾ながら黄変米というものについての認識が実はなかなかない。ビルマの米に有毒なかびが付着している米があるということは、一昨年の十二月に初めて日本でわかつたのであります。その後食糧研究所なり大学等に頼みまして、いろいろ黄変米についての研究を現在やつております。いろいろな種類がありまして一大体今までわかりましたのは四種類程度があるようであります。そのうちで一種類は有毒ではない、あとの三種類は有毒であるというように、今のところ研究が進んでおります。もつと深く研究いたしますれば、まだまだ出て来ると思いますが、その黄変米は一種のかびでありますから、ある程度の湿気と温度によつて急にふえるというものであります。われわれとしても、実は現在検査官というものはいないのでありまして、ビルマの検査局が検査しますときに、一応商社が政府の代理で立会いをいたしまして買つておるわけであります。現実は米を螢光ランプで見ないとなかなかわからぬそうであります。黄変といいましても、船の途中でふえて黄色くなるのでありまして、あちらでは黄色いものではないのでありまして、黄変米を起す病菌が付着しておるというものであります。そういう米は現地にもあるわけであります。そこで螢光ランプで見ましてピック・アップして別にするというので、昨年来そういうものをこしらえまして、現地へ持つてつてやらしておるのが実情であります。ただビルマ政府としては、遺憾ながら検査規格に黄変というものをなかなか認めてくれないのであります。実はたびたび折衝いたしておつたのでありますけれども、要するにビルマの検査規格にないものでありますから、遺憾ながら損害賠償とかクレームか要求するだけになつていない。そういう米を買わないように食糧庁としては注意をしておつたのであります。そういう状況のもとに四万トンの米を入れたのであります。その後国際入札でも若干来ておりますけれども、ただいまのところ一万二千七十一トンという米が黄変米という的確なことはまだわかりませんが、黄変しておるのであります。それが、清水、名古屋、門司、芝浦等守に七、八隻の船で参つております。これを扱いました商社は三社が交互にやつておりますので、三社とも関係しておるわけであります。この一万二千七十一トンという米変をいたしておりますので、厚生省の食品検査官と連絡をいたしまして、これは配給用にまわすことは危険であるという判定をいたしまして、現実倉庫に入れてしまつて隔離いたしております。これをどうすれば毒のないようにできるかということについての検討もしておりますが、まだそこまで進行いたしませんので、あとは仮定の議論でございます。これをどういう用途に使うかということについては、再搗精をして処分するという以外にないわけであります。みそ用、蒸溜酒用、アルコール用であれば大体厚生省等の意見もよろしいというわけでありますが、みそ用にこれを転用いたします場合には、現在でも若干米を渡しておりますが、損失はそう大きくは出ないのであります。工業用アルーコルにいたしますと、総合配給に比べまして非常に安くなりますので、損が出る。一万二千七十一トンに対する国内の総合配給価格を申し上げますと、一トン当り五万二千九百九十円につく。一万二千七十一トンにかけますと六億三千九百六十四万円。この米をどう処分するかにつきまして、まだ現実の米を今当つておるのでありまして、国損を少しでも少くするように努力いたしております。あとは推定でありますけれども、二億七千五百万円と申し上げましたのは、かりにこれをアルコール用に売りました場合に、昨年度のアルコール売却価格は三万百四十五円二十八銭になりますので、一万二千七十一トンで三億六千三百八十八万円になります。その差額が一億七千五百七十五万円ということになるわけであります。ただいままでの報告によりますと、黄変といつてもそれほど悪いものばかりでもないというので、みそ用にも相当まわりますれば、これは五万円以上の価格で売つておりますので、おそらく損失はないのですが、ただそれを総合食糧に配給できないということはまことに遺憾のきわみであります。事実関係は今申し上げた通りでございます。  これの起つた原因でありますが、現地の立会いの検査の模様でありますとか、あるいはビルマとの折衝の模様等その当時の事実につきましこは、外務省を通じまして、現地の調査を厳重にいたしておるのであります。まだその事実関係だけでありまして、責任関係その他につきましては、もう少し詳細に調べた上で御報告申し上げたいと思います。ただいままでの事実はそういうふうになつております。
  109. 松本七郎

    松本(七)委員 黄変といのうは、日本では一昨年の春に初めてわかつたというが、向うではどうなんですか。
  110. 東畑四郎

    東畑政府委員 向うで黄変というものがあるかということについて、私はずいぶんビルマにおつた人にも聞いたのでありますが、ビルマ人は非常にぜいたくであつてうまい米を食つている、悪い米は食わないそうであります。悪い米が海外に出るということも事実だと思いますが、黄変というものがそれほど恐ろしいものであるということの認識はないようであります。今回も日本でこういう騒ぎをして、総領事館からビルマ政府に言う必要があるということになりましたが、ビルマでも非常に驚いて、事実を教えてくれというので、こちらの事情等も相当つております。黄変米というものが肝臓黄変を起す黴菌であるということについての医学的認識等は、まだ欠けておるのではないかというふうに思います。
  111. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 事実の問題ですが、一昨年の十一月に黄変米というもののあることがわかつておる。今問題になつておる米を仕入れたのが二十七年九月。そうすると、このときには黄変米というもののあることは、向うは認識しなくても、日本側ではわかつてつた。そこでそれをわかつている三商社の代表が、政府の代行としてその米の検査には立ち会つておる。その立会いの三商社は、これに対して、螢光燈か何か使つて検査しなければわからぬものだから、わからずに通したということですが、そこに大分ずさんなところがありはしないかと思います。
  112. 東畑四郎

    東畑政府委員 ビルマ米に黄変米があることは一昨年の十二月からわかつております。従いまして食糧庁でもよく注意をして、螢光ランプで調べるところまで手当をしておることも事実であります。今回の米についてどういう検査をし、どういうことがわかつてつたかということにつきましては、今その当時の現地の事情を、外務省を通じて調べておるのであります。いずれにしても不注意であることは事実であります。黄変している米が来たわけであります。しかしそのときに故意または重大な過失があつたかなかつたかということになりますと、これは事実の認定の問題でありまして、今盛んに向うへ照会して、その当時の事情を調べておる次第であります。
  113. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 黄変米を配給して、たいへんな毒があつたということで騒ぎ出したのはいつごろなんですか。
  114. 東畑四郎

    東畑政府委員 黄変米を配給したことは実はございません。外米は大体臭いものでありますので、臭い外米を配給したり、黄いろいろなつている外米は現にあるのでありますが、これは黄変米ではないのであります。むれたにおいがついたりして臭いのであります。黄変米はまだ政府は配給したことはないのでありまして、いつも輸入港でよく検査をいたします。食品検査を厚生省が検査をし、食糧庁検査をいたしておりまして、いつも発見して隔離をされる。新聞で読みました、黄変米を配給したというのは事実と違いまして、これは黄変米ではございません。黄変米はまだ配給をしないで、それだけのものを総合配給しなかつたということの責任問題になつておるのであります。
  115. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 黄変米が門司へ入つたのが昨年の十一月十五日と今年の一月二十二日、それから清水へ入つたのが昨年の十二月二十八日、それから名古屋へ入つたのが十二月三十一日と今年の一月十八日というふうになつております。そうすると、去年これが陸揚げされるときにすでに黄変米であることを発見して隔離したのですから、それから計算すると、大体二箇月の日子がすでに経過しておるわけであります。こういうことを、今日飛行機もあるし、無線電信もあるときに、取調べ報告を受取るのに、そんなに長い時日を要するものでしようか。
  116. 東畑四郎

    東畑政府委員 外米が着きますと、それを現地で再調整をいたしまして、もう一ぺん搗精をし直しまして配給をしておるものが多いのであります。実は着きましたものが全部悪いのはなくて、若干悪いのがありました。たとえば十月に着きました神戸丸というのは、これは六十一トン程度いものがあるが、全体の三千五百トンから見ればわずかなものでありましたので、これは注意をして隔離をいたしておつたのでありますが、十二月の末から一月に入りましたものが非常に悪くなつている。これはたいへんだというので、その当時の実情につきまして、今調査をいたしておるのであります。事重要でありますので、若干の報告が参つておりますけれども、責任等をもつと明確にするために、厳重に調査をいたしておるのであります。
  117. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 ある程度報告はすでに来ているのですか。
  118. 東畑四郎

    東畑政府委員 絶えず照会をしておりますので、若干の当時の事情はわかつているのでありますが、もう少し精細なことを要求しているのであります。
  119. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 その精細なというのはどういう意味か。大体この問題について考え得ることは、政府の代行機関として、ビルマ米の検査に立ち会つた三商社が検査したときに、黄変米であることを認めて積み込んだのか、それを知らずに積み込んだのかということが、根本的の問題であろうと思います。そのことを調査するそれ以上に、責任の所在を明らかにするということで、何かめんどうなことがあるのですか。常識的に考えれば、そのめんどうな調査ではないように思われますか……。
  120. 東畑四郎

    東畑政府委員 故意でなかつたことは事実でありますが、要するに検査の場合に、麻袋に一俵ずつ積んでいるものをピック・アップして検査をしているのであります。その検査をどの程度厳重にやつたかということが、重大な過失があつたかどうかということのわかれ道になるのでありますので、その点を精細に調べております。初めから黄変米であることをわかつてつたということは、この報告でもないのです。その点についてももう少し調べる必要があると思います。重大な過失いかん、こういう問題です。
  121. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 調査が完了して責任の所在を明らかにするには、どのくらいの日子を要するのですか。
  122. 東畑四郎

    東畑政府委員 なるたけ早くやりたいと思うのです。ビルマの総領事館等から外務省を通じて報告をとつております。そう長くはかからないと思います。
  123. 大矢省三

    ○大矢委員 ビルマ米は配給してからどれだけ返されて来ておりますか。
  124. 東畑四郎

    東畑政府委員 黄変米は実はまだ配給はいたしておりませんで、全部隔離しているわけであります。
  125. 大矢省三

    ○大矢委員 この以前に配給の米が食べられなくて返つた。それを莫大な損失を政府が補填して、配給米不当である、いわゆる不合格品であるということで安く払い下げたのが、たくさん損失が出て来ている。今度の不合格の米は大体工業用のアルコールであるならば使えるのだと言つておりますが、これはアルコール用としてすでに契約がなつておりますか、そのままですか。
  126. 東畑四郎

    東畑政府委員 一万二千七十一トンは全然無契約のものであります。かりにアルコールに売ればという仮定で申し上げているのでして、まだ話はきまつておりません。
  127. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 こういう取引の金を支払う責任者というのはだれですか。
  128. 東畑四郎

    東畑政府委員 これは商社に代行さしておりますけれども、BLが到着しましたときに食糧庁が金を支払う。そうして現物引渡しは、輸入港に着くまでは商社が代行して参ります。輸入港に着いてから、そのもの自体は食糧庁が引取るわけであります。金の支払いはBLが到着したときにすることになつております。
  129. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 私の聞いているのは、結局金の支払いの最後の責任者食糧庁長官、あなたが責任者になるのです。あるいは何か会計の経理課長とか局長というものがあつて、それが最後の責任者になるわけでしよう。
  130. 東畑四郎

    東畑政府委員 支出の点は私の責任になつております。
  131. 松本七郎

    松本(七)委員 この黄変米は向うでおそらく輸出用に使われているのだろうというお話でしたが、そういうように向うでは全部これを輸出しているのか、あるいは向うで家畜等に飼料として使つているものがあるのか、あるいは向うでも黄変というような異変のかびを生ずるのか、日本の風土でそういうものを生ずるのか、そういう点は今回のこの事件を契機としてお調べになるおつもりでしようか。
  132. 東畑四郎

    東畑政府委員 もちろんそれは調べておりまして、黄変は日本の風土で起るものではない、これは雨季に起る、雨季前に参りますビルマ米は絶対にこういうものはない。七月くらいまでに到着したものには絶対ございません。七舟以後雨季を過ぎました米にこういうことが起るということ自体が、日本の風土じやなしにビルマの風土が影響するところと思います。
  133. 大矢省三

    ○大矢委員 この商社に対して金を払う責任者は自分であるという長官の答弁ですが、こういう厖大な約三億円に近いところの損失が当然起きている。これに対して、まだ原因が明らかでないから調査中だ、できるだけ早い機会に調査しますという今の答弁でありましたが、これは商社が代行してそれを日本政府に売りさばきをした。まあ仲介人というかあるいは代行者といいますか、当然それらの責任であると思う。これに対して支出する責任者たる長官はこの三億円近い損失を払われるのですか。どうもこういうむるわけに行かぬ、君のところの検査が不十分だ、君のところの責任だと言つて支払いを停止するところの意思があるか。それからこの際言いますが、こういうものが新聞に出ますと、当然相当に外米の中からもどりが来る、そのもどりを見てまた損失を政府が補填して、そうしてアルコールなり方々にまわすということになると、これは厖大な損失になる。それからこれからあとにも入つて来ないという確信があるか。政府の割当が四万トンあると思いますが、その割当を入れると、さらに食糧不足からどうしても入れなければならぬということで、こういうものがどんどん入つて来て、次から次へ損失が大きくなるということになるとこれはたいへんなことですが、そういうことを商社に対して——今責任を調査するまでもない。そういうものが入つて来たのですから、これに対してなお完全に契約当時の金を払う御意思を持つているかどうか。
  134. 東畑四郎

    東畑政府委員 クレームの問題につきまして、本年ビルマ国政府とクレームをつけまして、食糧庁としまして商社に代行させてとりましたこれの金は、実は一千数百万円にすぎないのであります。ビルマ政府との売費契約書には——お手元に差上げてあると思います。いろいろ契約条項があるのでありますが、遺憾ながら黄変米をもつてクレームの条件にはなつていない、これは外交折衝の問題でありまして、なかなかこれを向うが認めてくれないのであります。これも今強力に外交折衝いたしておるのであります。それができますると、これは全部損失のクレームをビルマ政府に持つて行けるのであります。それができないのであります。あと商社対食糧庁関係になりますると、この委託契約の代行人としての責任の所在いかんということが損害賠償の問題になる、これは先ほど申し上げました、いわゆる故意または重大な過失がありやいなや、こういう事実を法律上はつきりさせなければならぬ、そこが大矢さんの申されました一番大事な問題だろうと思います。この点は事実問題でありますので、相当調査をし、厳密な検討をする必要がある、こういうように考えておるのであります。今後こういうものが起らないかどうかということにつきましては、もちろん起すべきものでないことは当然であります。われわれとしまして、こういう危険なものを買わないということになりますと、ビルマで買う場合におきましては、特に雨季前に買う、こういうことにすれば絶対に大丈夫でありまして、雨季後に買うということはなるべくないようにするということより解決のしようがないと思います。雨季後に買うものについては、まず厳密な検査をやらなければならぬ、あとはどうしてもクレームの条件をはつきりするということ以外にないと考えております。
  135. 松本七郎

    松本(七)委員 ビルマ政府がクレームの条件に黄変米を認めないという理由、これは何か向うでは黄変米になつても何ら害がないとか、そういう認識でいるのか、それから先ほどこういう米は主として外国に出ておるのではないかというお話であるが、そうなればよそでも問題になるわけです。ビルマの中でも雨季を過ぎればそういうことになるのですか、害があるという認識に立つならば、当然これはクレームを認めなければならぬはずですし、そこの害がないという認識を持つところのクレーム拒否の理由が何かはかにあるのですか。
  136. 東畑四郎

    東畑政府委員 その点が非常に重大でありますので、私も外務省を通じて聞いておるのでありますが、外務省で聞きましたところでは、要するに認識がないということに尽きるのであります。日本でも黄変米を食つて、これで肝臓の病気を起した人は実は現実にはまだいないのでありまして、大学における二十日ねずみの試験の結果を言つておるのであります。そういう試験の結果、二十日ねずみに食べさせますと死ぬのであります。そういうところから肝臓硬変を起すというので、これは危険であるという厚生省公衆衛生局の考えであります。それから人体試験等はまだいたしておりませんが、もちろんこれが危険なものであることは事実であります。ビルマ国で、そういう肝臓硬変等を起す病気が、こういう黄変米であつたかどうかということについての認識がまだないのではないかというふうに推測をいたしております。その辺も今外務省を通じて調べております。ただ今回のことで日本でいろいろ問題を起しましたが、総領事館の報告によりますと、ビルマ政府で驚いて日本事情を教えてくれ、さらにその黄変米を見わける方法があるかないかということについてもつと教えてくれということをごく最近の機会に育つて来ておるのでありまして、ただいままでの研究の結果では、螢光ランプでこれを照らして見る以外にない、螢光ランプで現地で米を照らして、その色合いを判定するということが一番よいのですが、実は厖大な麻袋に入つておる食糧ありますので、麻袋の一つ一つについて検査するということはできなかつたような事情であります。それができないとなりますと、これはピック・アップの検査になります。非常に危険なものです。たまたま一つの麻袋等にそういうものが入つておりまして、それが輸送途中でかびますと非常に急速にふえます。そういうことを考えますと、とにかく雨季後に買う米というものは一つずつ当つてみないとこれは非常に危険であるという認識を今新たにしている、その間の事情等ももう少しよく調査いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  137. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 いわゆる政府政府の貿易の場合には、指定商社が、口綿実業、それから東西交易、第一物産とこの三つがある、こういう話だつたのですが、国際入札の場合には、ビルマ人に限つて入札ができる、そのビルマ人の入札をしたものを日本の商社で買う、この商社もこの三つなのでありますか。
  138. 東畑四郎

    東畑政府委員 さようであります。
  139. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 ここに会計検査院から出ておる外国食糧売買契約書という中に、兼松株式会社というのがございます。それからもう一つは、江商株式会社というのがございます。これは口綿実業とか、東西交易というものの別名なんですか、それとも別の商社なんですか。
  140. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 今お読みになりましたものは、二十五年度の批難事項六二四号、これの参考資料としてお出ししてあるわけです。ビルマ米の関係ではではございません。タイ米でございます。
  141. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 今はこういうものはなくなつたわけですか。現在は兼松とか、それから江商とかいう株式会社が外国食糧売買政府代行機関のようなことをしておるわけではないのですか。
  142. 東畑四郎

    東畑政府委員 これは国によつて契約者は違うのでありますが、今お読みになりましたのはビルマではありません。今回の黄変米を起しました契約書は、それとは別でございます。
  143. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 そうすると、今問願になつたビルマ米だけの問題ではないのですが、今食糧庁の代行機関として、外国食糧品の売買をやつておる商社というものが、食糧庁関係で幾つあるのですか——できればそのおのおのの名前と、その社長とか、会長とかそういう人の名前を承りたい。
  144. 東畑四郎

    東畑政府委員 米と麦によつて実は違います。米につきましては、国別に指定をいたしておりまして、タイを除きまして十七社あります、タイは七社認めてあるわけでありますが、これはダプつておりますので、精細に調べます。麦につきましては、商社の指定はいたしておりませず、いつも入札によつて買つております。
  145. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 私の聞くところによると、こういう単に外国食糧の問題に限らず、農林省関係の仕事に携わる会社とか、もしくはその黒幕というか、そういうものに農林省関係の古い役人がたくさん入つている。その古い役人との因縁情実関係で、いろいろの不正行為が行われておるということをわれわれは反聞しておる——ありそうなことだとも思える。そこで農林省と今金銭上の取引関係のある商事会社等の首脳者で、かつて農林省に関係のあつた人がどれだけいるか。これは名前だけ知らせてもらえばわかるわけですから、そういうことを一応調査の上出していただきたいと思います。
  146. 迫水久常

    迫水委員長代理 大体黄変米のことについての質疑応答は終つたようでありますが…。
  147. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 まだ結果的には、今の調査を聞いた上で、どこに責任があるか、その責任のあり場所いかんによつて——食糧庁長官は金を払う責任者ということになるわけですから、これはちよつと簡単には済まぬ問題だと思うのです。だから一応これで保留しておくのであります。
  148. 迫水久常

    迫水委員長代理 一応本日のところは、質疑応答が終つたように思いますから、ただいままで議題になつておりました六一四までのところについて御質問はありませんか。この点について、先ほど吉田委員が御要求になりました大蔵省の主計局長は、参議院の関係で本日出席が不可能でございますが、農林省の方は、この次の会まで持ち越しますから、そのときに御質問願つたらどうかと思います。そうすると、ほかの点について、なお六一四までの間に御質問がありましようか。
  149. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよなとその前に、最初から出席してもらつておりますので、印旛沼、手賀沼の件を片づけてしまいたいのですが……。
  150. 迫水久常

    迫水委員長代理 それは議事の進行の都合から、食糧管理特別会計の分を、平川農地局長がせつかく待つておられますが、もう少し待つてもらつて、それをやりたいと思います。
  151. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それでは一、二点お尋ねします。六〇二号でありますが、これにつきましても、やはり藷類工業会との間に、加工及び売買に関する契約ができておりますが、この加工売買についての契約は手元にありますか。手元にありますれば、売主と買主、契約の条件、代金、数量、特に条件について詳しく述べてもらいたいと思います。
  152. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員に申し上げますが、六〇二号は茨城外十八食糧事務所の問題のようでありまして、今御要求のことは、簡単にここで口頭をもつては言えないじやないかと思いますが、資料を要求されてはどうでしようか。
  153. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それではただいまの点は資料としてお出し願いまして、その他の点について尋ねることにします。これは藷類工業会と加工売買契約をする当時の食糧事情の認識が、おもな問題ではないかと思うのでありますが、その当時食糧事情が好転するというようなことは、これは一日や二日で急転する問題ではなしに、大体食糧庁としては、一月、二月あるいは数箇月間のいろいろな情勢の動きによつて、これは見るべきものと思うのですが、好転しつつあるのか、あるいは好転しないのかというようなことは、たえず相当注意をせられるのじやないかと思うのですが、その辺については、好転を認めるか認められないかというようなことについて、庁内においてこれをつかむ方法でも具体的にとつておられたのでしようか。その辺を伺いたい。
  154. 東畑四郎

    東畑政府委員 当時は昭和二十四年でございまして、二十四年の十二月にいも統制を廃止したという時期でございます。当時まだ司令部等が厳密に食糧輸入を管理いたしておりまして、ガリオア資金等で食糧等が相当つてつたときであります。従いまして六万一千トン程度いもそのものを総合配給にまわすという需給計画を立てまして、司令部の許可を得ておつたのでありますが、二十五米穀年度になりまして、麦等の輸入がガリオア等で相当つて来てよくなつたのであります。食糧庁におきましても、当時は司令部からすべて情報をとつて、司令部の意向によつて輸入をはかつてつたという事情でありまして、その間にESSのフツド・セクションの関係官の情報をもつて食糧操作はしておつたのが現実であります。私当時これには直接関係がありませんが、やはり食糧関係から見まして、担当官の方は盛んに日本食糧事情なりいろいろ困難性というものを強調しまして、すべてのものを配給しろという声がやかましかつた。それが客観的に急によくなつて来たという過渡期の事情がありました。そういうときで、若干見通しが違つて来たということは現実であります。
  155. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 二十四年度のいも類加工品六万トンを主食配給に振り向けるということをおきめになつたのは二十五年の一月である。そこで今の日本藷類工業会浮粉加工及び売費の契約をなさつたが、だんだんと澱粉等配給辞退が増加して来たというのでありますから、藷類工業会へ売費をする当時は、食糧事情好転のきざしがあつたのではないだろうか。しからば一月に一旦如上の決定をいたしたとしま参しても翌月はもう食糧事情は好転しつつあつたのではないか。そういう場合にはただちに、これを浮粉加工することをさしとめ、なるべく原料もしくは値の高いものでおくとかいう措置を講じるということを、どうしても積極的にせねばならぬのが、食糧管理なさる役所の責任でないかと思うのですが、どうなんでありましようか。
  156. 東畑四郎

    東畑政府委員 吉田さんのおつしやる通りなことだと考えます。一々関係方面の許可を求めておつたという事情で、おそらくそういうときに、より強い折衝をすべきであつたというように思います。その点事務的の折衝等を強くやらなかつたために、こういう結果になつたのではないかと考えます。
  157. 松本七郎

    松本(七)委員 検査院の方にお尋たいたしますが、そういう事情から、結果として国に損害を与えたというだけで検査院としてはとどまつているのじやないかということを、私がさつき申し上げたのはそこにあるのです。こういう諸般の情勢で、輸入食糧相当たよらなければならぬという一つだけを取上げてみても、輸入契約がちやんとできておつても、これは船で持つて来るのですから、どういう事態にならないとも限らない。それからまた司令部のさしずというものが中心になつてつた時代なのですから、そういう点から考えて行けば、日本食糧確保という意味からは、いもその他のものを考えて需給計画を立てざるを得ない立場も、私は了解できると思う。そういうところになると、今長官から司令部に対する折衝が弱かつたというようなお言葉がありましたけれども、そういう判断は検査院ですなかなかむずかしいところなので、そういうところをどの程度勘案して指摘されるか、そこをさつき伺いたかつたのであります。
  158. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 二十五年の一月に、いも類加工品を含めまして六万トンを需給計画にのせた、こういう話でございますが、私ども実はそれが少し無理じやなかつたかと思うのです。と申しますのは、前年の二十四年七月から二十五年二月までは、いも加工品一万五千数百トンというものが配給辞退となつておるのであります。同時に食糧配給公団の藷類局分調査でありますが、二十四年度中に食糧配給公団食糧庁から買入れた二十三年産かんしよも、約二百万貫が配給辞退になつておるのであります。われわれもあのころ食糧の出まわりが若干よくなつて来ましたので、いもが食べたくなくなつた時代がありますが、そういうときに六万トンというものをお乗せになる。これは主要食糧は輸入にまたなければなりませんから、お乗せになるのもしかたがないかもしれませんが、すでに二百万貫のかんしよが配給辞退になつて返され、一万五千トンの加工品配給辞退ということもわかつておるのです。これは農林省もおわかりになつていたわけであります。これは両方とも私どもがそれぞれのところについて調べた資料であります。こういうときに、こんなたくさんのものを二十五年の二月に加工させるというのはどうだろうか、こういう資料で批難を出したのでありまして、これも決して先ほどの結果だけでやつたのではございません。今のような資料を集めまして、どうも少し——当時非常に食糧事情がかわつて来た時代の処置でありますから、当局の御処置としては、あるいは無理はないというような点も若干はあるのでありますが、しかし今のような資料も出ておりますので、こんなにたくさんやるのはどうだろうか、こういう趣旨で批難したのでありまして、決して結果だけでやつたつもりはございません。
  159. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当時はもちろん浮粉かんしよ、澱粉価格も転送も統制時代であつたと思いますが、さようでございましようね。
  160. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 私からお答えいたします。いも類は二十四年十一月に統制撤廃になつております。それから浮粉を配給不適食糧と指定したのは二十五年三月であります。本件の加工は二十五年二月で、相当きわどい時期ではありますが、もういもが主食からはずされまして、浮粉も配給不適食糧になりかかつており、外部に発表されたのが三月であります。そういう時期の注文であります。
  161. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると浮粉は二月はなお統制中ということなんですか。
  162. 東畑四郎

    東畑政府委員 政府の配給しているものだけは統制をしておつたのであります。
  163. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこの案件について、他の同僚からもお尋ねになつておりましたが、藷類工業会がこの案件の買受けをすることによつて、市場で何か相当の巨利が得られるというような事情もあつたのではないだろうか、こう推測をたくましゆうするのですが、そういう点について検査院の方では何かお気づきのことはなかつたでしようか。
  164. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 今の藷類工業会との関係でありますが、これについては、私ども調べました範囲では、そういう事実はわかつておりません。
  165. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、この六〇二号につきまして会計検査院指摘の通りであるとするならば、もし二月に藷類工業会へのこの種の契約をして、つぶしてしまわず、原材料のまま売つたとするならば、総計四千三百余万円が有利となつた、四千三百万円損をした、こういうことにもなるのですが、そういう数字については食糧庁側の御見解はどうなりますか。
  166. 東畑四郎

    東畑政府委員 結果といたしまして、その処置が十分でなく、四千三百三十五万円の、より有利に処分すべきものが不利になつたという会計検査院批難事項につきましては、まことに遺憾でありまして、検査院の言われました通りであります。
  167. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はあえてこの問題の当の責任者を追究しようとはいたしませんけれども、六〇一号と同じような性質も含むことでありますので、適当に御考慮になる案件として、食糧庁においては今後これも題材として何らかの措置をお考え願うことを御希望申し上げておきたいと思います。  それからそばの問題につきましても、あるいはかんしよの六〇四号につきましても、多少事態は異なりますけれども、似たような原因が流れて共通しておるように私は思います。要するに、これらは非常に官紀が弛緩しておつたことに胚胎するものが多いのではないかと思います。  それはさておきまして、六〇五号から六一四号の問題について一、二お尋ねして明らかにしたいと思うのですが、こういう保管者について、その能力、資力あるいは補償責任の負担力、具体的な補償の関係、そういうものについてはあらかじめ政府は用意をして保管を託するということをしなかつたのですか、その点いかがですか。
  168. 東畑四郎

    東畑政府委員 澱粉、乾めん、マカロニー等の加工を委託する場合におきましては、個々の工場等の能力、信用その他もちろんこれは調査してやつておるのであります。その後の事情等においてこういう始末が起きたのでございます。
  169. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 たとえば六一三は、かんしよ並びに澱粉が十六万九千余貫にわたつており、また弁償金額としては四千二百六十一万円に上るのであります。従つてこういうような大量のものを、もちろん長崎食品のみではありませんけれども、さつきの検査院の御説明によりますと、長崎の分だけで三千六百四十五万円の弁償額のようにも私は聞いておりますが、さすればこのような大きな保管を託するについては、調査はもちろんですけれども、何か補償するような制度——簡単にとるとか何とかそういうことで将来の損害をあらかじめ担保するような道を講ずる必要はなかつたのでしようか。
  170. 東畑四郎

    東畑政府委員 特に長崎の三千六百四十五万円という大きな事件につきましては、職員が食品会社と結託をいたしましたいわゆる不正事件のようなものでございまして、会社自体ももちろんでございますが、職員そのものの不正事件が原因であつた。これだけが特殊の例の事件でございます。
  171. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 職員と申しますと、あなたの方の食糧事務所職員と了解しますが、これが三千万円余の損害をかけるに至つた事件でありますから、この監督の状況あるいは本省との関係、そういうようなことについて相当御調査になつたと思うのであります。詳しくはいりませんから、要点だけ明らかにしてもらいたい。
  172. 岡村昇三

    岡村説明員 前職員二名がこれに関係しておつたのでございますが、一応依願免でやめまして後に、オーダーを偽造して長崎食品外から無断に出庫したという事実が発見されて、起訴されたのでございます。現在その二名とも公判中でございます。
  173. 松本七郎

    松本(七)委員 吉田委員の質問にまだ答弁がないんですが、原因はどうあろうと、そういう誤りのないようにあらかじめ調査はされておるということですが、こういうふうに保管者を指定する場合に、その保証金を積むとかいろいろ事前の対策というものがなさるべきではないか、これがしてあるのかというような点について……。
  174. 東畑四郎

    東畑政府委員 原料売買契約はしておりますが、委託加工品の保管そのものについて担保等はとつておらなかつたことは事実であります。
  175. 松本七郎

    松本(七)委員 そういう点は、今後何らか改める方策を考えておられるのですか。
  176. 東畑四郎

    東畑政府委員 こういう事件が起りますのは、精麦委託加工だけだとただいまのところ考えます。精麦委託加工につきましては、これは麦の間接統制方式に切りかえましたときに、相相厳選をいたしまして、委託加工工場をきめて絶えず監督をいたしております。その後こういう事案は起らないのでありますけれども、保管しておるもの自体についての担保というものはとつていないのでございます。
  177. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この保管でありますが、検査院指摘のものによりますと、「保管者によりほしいままに処分されたもの、説明書によりますと、「会計検査院検査報告のとおり」ということになつております。そうしますと、二名の職員が文書を偽造し横領した、そういうことのみでなく、これは六〇五号ないし六一四号のすべての保管責任者がいずれもほしいままに横領したということになるべきと思うのですが、そういうことに処理すべきではなかつたのでしようか。
  178. 東畑四郎

    東畑政府委員 長崎事案だけが職員関係いたしておるのであります。その他は全部保管者の無断出庫でありまして、職員関係しておらないのであります。
  179. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の伺つておるのは、職員関係したのは長崎職員の二名で、他のものは関係しておりませんけれども、国のものを、国の委託によつて保管しておつたのをかつてに処分してしまえば、人のものを横領したことになるのですが、そういう不正事件として政府は処理するよう対策を講ずべきでなかつたか、そうなさつたかいなやということです。
  180. 東畑四郎

    東畑政府委員 刑法上横領であれば、これはそうすべきかとも考えたのでありますけれども、政府としましては実は未収金をとることをもつてまず第一義と考えておりますので、告発等の措置はいたしておらない次第であります。
  181. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ところが未収金は事実ほとんど成績が上つておりません。三百万円でしようか、まことに成績不良であります。未収金の回収はできず、また国のものをかつてに処分せられて、不正事件として法律的措置も講ぜず、会計検査院にかく指摘せられて、今なおこれがどうも回収の目途のありそうな報告もない。こういうことは、国の財産を処理なさるお立場といたしましては、まことに一考を要すべき事態でないかと思います。いずれにいたしましても、適切な措置は講ぜねばならぬものと思います。どうしても回収ができなければできないで、方法を講じて、何かそこに積極的に早く結末をつけることが、せめてもの責任者者の立場でないかと思うのであります。今なおこのままで行くならば、来年の検査院報告書にもまた載つて来る。すみやかにこういう事態に対して適切に処理をすることが、関係官庁の、あなたの責任でないかと思うのですが、どうでございましよう。
  182. 東畑四郎

    東畑政府委員 吉田さんのおつしやる通りでありまして、こういう事案を起しました場合に、まずどうしても代金の回収をしようということが先に立ちますので、告発の手続はいたさなかつたのでありますが、全部裁判上の和解調書ができております。回収につきましては、御指摘のように、いまだ二百八十四万円程度でございまして、実は遅々として進まないのでありますが、裁判上の和解調書ができておりますので、われわれといたしましてもなるたけひとつ回収いたしたいと思つております。六千万円程度の未済額を一挙に回収いたしますことは、現実問題としてなかなか困難でありますが、これはあくまで追求をしたいと考えております。
  183. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 追求もけつこうですから、そこは適当におやりになつてしかるべきと思うのですが、同時に、六千万円以上の物資を他人に保管せしめるようなときには、こういう被害が起らないようなあらかじめの措置をもつと厳格に十分に講ずべきような方針が具体化されて来ないと、食糧事務所の責任観念が薄かつたことにも原因しましようが、今後もこういうことは繰返される危険があると思います。進んで経済的に大損害を生せしめないような方法でも、今後何らか講ずる必要があるのじやないかと思いますが、何かこういう頻発した多数の事件の被害にかんがみて、今後の対策を新たに講ずる必要がありませんか。もしあれば、具体的にどうなさるか、これだけをお尋ねしておきます。
  184. 東畑四郎

    東畑政府委員 現在委託加工をしておりますのは麦類でありまして、今のところ、工場を厳選することはもちろんでありますが、銀行保証をとる、あるいは担保をとるという措置をいたしております。今後こういう事態が起りました場合において、銀行保証をとつておりますので、国の損失的なものは回収できるのではないかと実は考えております。過去のいろいろな措置につきましては、まことに遺憾でございます。
  185. 松本七郎

    松本(七)委員 未収が非常に多いということから長官が告発というようなことも考えられたわけだが、やはり回収ということを第一に考えるべきだ。これはあくまで追求するということでございましたが、これはやはりきめる場合には回収の見込みというものを立てて行かなければいかぬのじやないか。この事案から行けば、一年間でわずかのものしか回収できておらず、二十七年の十月にまだ五千九百万円から残つておる。そういう回収状況で、今後の見通しはどうかということになつて来て、これは回収見込みがないということになれば、これはやはり告発というようなことも考えなければならぬでしようが、一体いつまでこうやつておくのか。回収することに極力努めてもいつまでもそれが思うように行かない場合には、それはそのまま放置されるのか。あるいは、ある時期においていよいよ見込みがないということになれば告発等も考えられるのか、そういう点もひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  186. 東畑四郎

    東畑政府委員 裁判所の和解条件は、大体事案によつて違いますけれども、一応五年が目途になつておりますので、五年間の裁判所の和解条件に基いて回収を求めておるのであります。それから以後の措置になりますと、これはまた別個に考えたい、こういうふうに考えております。今のところ回収は非常におそいのでありますけれども、裁判所の和解条件に従いまして、極力回収をいたして行きたいというふうに考えております。
  187. 松本七郎

    松本(七)委員 ただ私が特に希望しておきたいのは、こういう悪いことをやつて取り得というような結果にならないように特に御留意願いたいと思います。
  188. 大矢省三

    ○大矢委員 ちよつとそれに関連して……。先ほど検査官から注意があつたので、間違いがないかと思つてちよつと概算で計算しましたが、やはり依然として、二十四年度当然入るべき金で今まで入つていないのが約十二億六千万ほどあります。こういう厖大な金を、一体見込みがないのをずつと引続いて載せておるのか。これはとれないというのか。その点大体どれくらいとれる見込みがあるのか。わずか十万円、二十万円で懲役ニ箇月、三箇月行くのに、これだけの厖大な金がとれないということはたいへんなことです。しかし、見込みがないものをずつと続けて行くと、これは公文書でありますから一体国民が見たらどう考えますか。
  189. 迫水久常

    迫水委員長代理 大矢委員にお諮りしますが、私が見るところによりますと、農林省当局のそれは対する答弁が準備ができていないようです。ここで出たとこ勝負の答弁を聞いてその場を通してしまうよりも、この次にもう一回、農林省の食糧管理関係をそのために残しておきたいと思うのです。従いまして、東畑長官に申し上げますが、この次の機会未収金の整理の問題について、根本的な御見解を、あるいは農林大臣からでもいいが表明されるように希望しておきます。
  190. 大矢省三

    ○大矢委員 それではその際に私もう一ぺんお伺いします。
  191. 迫水久常

    迫水委員長代理 大体六一四までの間は一応御質問はないと考えます。そこで、実は今日は食糧管理特別会計全部終えてしまおうと思つたのですが、まだ食糧管理庁当局に対しての質問事項も残つておると思いますから、次の六一五以下はこれを次会に延期いたします。     —————————————
  192. 迫水久常

    迫水委員長代理 この際吉田委員から手賀沼及び印旛沼に関する御質問がありますから、これを許します。吉田委員
  193. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 きよう、印旛沼干拓建設事業事件概要という資料をもらつたのでありますか、どうも資料の数字の記載の仕方が若干私には合点が行当ませんので、この資料と対照しつつ、五十七号と五九八号、それから二十六年度のこれに関連しての同じ性質の同じ印旛沼の直轄工事の会計紊乱事件の五〇八ないし五一三、このうちの五〇八についてひとつ御質疑申し上げたいのです。  二十五年度の五九七は、不用の機械を二千万円で購入したという案件です。不用の機械を二千万円で買うて、これが使われないということ、その土地の地盤の支持力が弱過ぎて、従つて接地圧カの大きいこの種のドラグラインはとうてい使えないということは、この文書によればしろうと目にも明らかなんです。しかるに、くろうとで出るこの農地事務局の事業所の当局などが、こういうふうに当然使えないものを二千万円もの金を出して買うに至りましたのは、一体どこに原因があるのでしようか。
  194. 平川守

    ○平川政府委員 このドラグラインは、この種の水路掘鑿等につきましては、最も能率的なそれに最も適当した機械なのでありまして、この程度の工事をいたしますには、アメリカ等においてはもつと大規模なものを使つているのであります。ただその場合には足にげたをはかせるというような方法をとりまして、まくら木のようなものを使つて、沈まないような方法をとつてやるということもやつているのであります。たまたまこの検査のときにはそれが十分使われておらほかつたのでありまして、そのためにこういう批難事項があがつているのでありますが、すでに二十七年度においては相当にこれを使つております。従いまして、この地盤支持力と機械の重さとの関係は、もちろん場所々々によつて適当なる補助手段を講じなければならぬのでありまして、掘鑿用としましてはどうしてもこの機械を使うことが必要なのであります。
  195. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、これは会計検査院が批難したことが不当であるという御見解なんですか。
  196. 平川守

    ○平川政府委員 たまたまこれを当初買いましたときにその使い方がまずかつたと思うのでありまして、従つてつてみたところが予想よりも支持力と機械の重さとの関係がバランスがとれていなかつたというようなことで、うまく使えなかつた。そのところを検査せられたわけでありますから、そういう準備が十分にできていなかつたという意味において、検査院指摘せられることはごもつともだと思うのであります。あとからくふうをいたしまして、二十七年においてはこれをフルに動かしているわけであります。
  197. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の答弁に対する検査院の御意見向いたい。
  198. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 今この機械をフルに使つているという御説明でありましたが、私案は初耳でありまして、私が伺つておりますところでは、このうち一台をほかの地盤のいいところに持つてつて使つている、あとの四台は使つていない、こういうふうに了解しております。ただかりに二十七年度で使つたという今の御説明の通りといたしましても、二十七年度になつてお入りの用のものでしたら、二十七年度に買えばいいのであります。何も二十五年度に急いで買う必要はないのであります。かりに使つておられたにいたしましても買い方が非常に早いということは言えるのでございます。
  199. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは重大な食い違いが生じました。ぜひとも明らかにしなければならぬ事案であります。農地局の当局に伺いますが、買うた時期、それから時期の適切でありしやいなや、それからフルに運転していると御答弁されるが、いつから何台運転したのか、要するに今の検査院との食い違いにつきまして、明快なる御答弁を願いたい。
  200. 平川守

    ○平川政府委員 私ただいま何台についていつからどういうふうに使つているという資料を持つておらないのでありますが、この買いましたときは、米国の対日援助見返り資金が、たしかこれは八月でありましたか、年度の途中において、かな。大幅についたわけであります。従来各事業所が、非常に予算が不足になつて小規模な仕事をやつておりましたのを、ああいう種類の大事業所に対しまして、特利に十数億の見返り資金がつきましたために、印旛沼が、その対象になりまして、数億の金がついたのであります。そこでその年度の途中から年度末までの間の仕事をそれだけに拡張していたします方法として考えられましたのが、ある程度機械化してやつて行こうということを考えられたわけであります。そういうような経緯から、どうせいるものだから、できるだけ早くドラグラインを買おう、こういうこととになつたと思います。ただこの批難事項にありますように、そのドラグラインは、具体的な土地についての土地の支持力関係において観測を誤つたことがあるかと思います。そういう意味において、当初ただちに予定の場所に使えなかつたというような点については批難に値するわけであります。ただこれについては、ただいま申しましたような工夫によりまして、ある程度地盤の固いところはただちに使える。またやわらかいところについては、いろいろまくら木のようなものをはめまして使うという方法によつて、できるだけこれを十分に使うことをくふういたしまして、二十七年度においては十分に使つておる、こういうことになつておるわけであります。
  201. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この委員会におきましては、ひとつ誠実な御答弁を願いいいのです。私どもは今あなた自身を非難しようとしておるのではないのです。ただ事実の関係を明らかにして、そうしてこれに対する意見なり、判断を加えて行さたいというのがわれわれの趣意なのであります。やはりドラグライン五台をフルに使つておるというような場合は、それを正確な資料に基いて御答弁願わぬといけないと考えております。資料なしに漫然とお答えになることはわれわれの判断を誤らしめることになります。そのくらいにします。  そこで二十六年度の五〇八号でありますが、これはどんなに強弁なさつても典型的なる架空経費でもあり、あるいはまたから資材でもあり、ことにわれわれが見のがすことのできないのは、多分これは、離作料と書いてありますから、農家だろうと思いますが、この農家へ払うべき離作料などを流用せられた。あるいは工事請負人から二十二万円寄付がある。これは一体どういうわけでこんなにひどい事案が起つたのでしようか。前回の御説明では、要するにもつと潤沢に予算がとれるというようなことを議して、いろいろな予算支出ないしは流用をやつたかのような、そういうお答えであつたかと私は印象が残つております。しかし五九八号というのはたいへんひどい。大体いりもしないディーゼル発電機船が買われた金額が九百八十万円であります。
  202. 迫水久常

    迫水委員長代理 ちよつと御質問の途中ですが、食糧庁長官は退席したいと言いますが、御用はございませんか。
  203. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうぞ、もうございません。
  204. 迫水久常

    迫水委員長代理 ちよつと長官に申し上げておきますが、決算委員会で今日ぐらい時間を長くやつたことはないのです。その主たる原因は質問と答弁との間に時間があつたり、答弁が不得要領であつたりしたことだと私は委員長として思います。もう少し勉強してください。鈴木委員が言われる通りであります。
  205. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今のは二十五年の五九八と二十六年の五〇八号の事実を述べておつたのですが、直轄工事の経理紊乱につきまして、印幡沼の干拓建設工事です。これは三十五年、二十六年と、同種の事案が継続してたくさんにあがつております。二十六年の五〇八号ないし五二二号のうち五〇八のみを私は取上げております。これについでその原因等につきまして、もう少し詳しい御説明を願いたいと思います。
  206. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員の質問は、現に議案になつているものに対して関連事項として二十六年度の検査報告百五十ページ、五〇八号に関する質問であります。
  207. 平川守

    ○平川政府委員 これろ全体をわかりやすいように、別に参考資料を配付いたしたわけであります。ここにありますように、昭和二十三年の十二月、二十四年の一月ごろから二十六年の七月までの間に、こういう不都合な支出が行われたということで、たまたま刑事事件として事業所長その他が取調ベを受けましたときに、明らかになつて参りましたので、事柄の全貌をつかみますために、約二箇年半にわたる事柄を総括して書いたわけであります。このうちの一部が、五〇八号に二十六年分として載つておるわけであります。  この事件の直接の動機は所長が収賄いたしたということでありまして、いろいろ調べておりますうちに、検査院の方のお調べでも同様のものが出ているわけでありますが、こういう二箇年半の間に七百万円ほどの金について、会計法的に見ましていろいろ不都合な点があつたということでございます。その内訳はここにありますように、いろいろな事柄に使いますために工事費の水増しをいたした。これはもう明らかに不当でございまして、弁解の余地がないわけでございます。先ほどもお話のありましたような、いわゆる架空支出というものでありまして、実際にそれだけの人夫賃を払つておらないにかかわらず、人夫賃を払つたごとき帳簿をつくりまして、それだけの金を浮かせた。それからその次に用地補償金よりの流用分二百四十万円というのがございます。これはあの水路の敷地を買収いたしますために、用地の補償金がいるわけでございます。これは東京農地事務局長から事業所長が委託を受けまして、金を預つておりました。それを一番最後にありますような費目に、実際上流用いたした、こういうことであります。それから業者よりの寄付によるものというのは、これもまつたく不都合な話でございますが、たしかこれは雑工事のための寄付を受けた。これもまつたく不当なわけでございます。それらの金をどういうふうに使つたかというのが、この一番最後のところにございます。用地買収の金というのは、用地の補償金というものは別にこれだけをちやんと事務局長からもらつてつたわけでありますけれども、同地の補償の基準というものが比較的に低く出ておつた。実際問題としまして、水路の敷地に充てますところの田畑などを買収いたします場合に、なかなか基準通りの金で買収ができないといつたようなこと、あるいは事実上地元といろいろ連絡その他をしなければならぬ雑費のようなものがいるというようなことで、そういうものに充てたものがあるようでございます。それから予算外の雑工事というのは、これはいろいろ設計によつてきちんとやればよいわけでありますけれども、予想外の、たとえばトンネル工事ができたとか、いろいろなものを雑工事としてその金を充ててしまつた。これなどは明らかに成規の手続をとりまして設計の変更をいたすなり、あるいはその他の成規の手続をいたしまして使用すればいいわけなのであります。こういう妙な水増し等で金を浮かしてそういうことをやつてしまつたということは、明らかに会計法上不当なわけであります。それから食糧費と申しますのは、これはいわゆる接待費といいますか、印旛におきましては特に東京に近い関係もあり、また非常に大規模な珍しい工事でありますので、視察のお客さん等が非常に多いのであります。それに対する正規の予算はわずかしか組んでおりません。それにこういうような費用の中からつぎ足して使つたというようなことであります。それから職員に対する諸給与というのは、これは職員に対する手当として年末等に出した。それから雑費と申しますのは、いろいろございますが、たとえば自動車の部分品を買うとか、いろいろな費用をこれから捻出して出して行くというようなことでございまして、これらはいずれも会計検査院の規則から申しまして不当なことでございますので、検査院の批難に対しましては、弁解の余地はまつたくないわけであります。ただ刑事事件といたしましては、当初これが起りましたのは、収賄の方の関係で起つておるのでありまして、これはここには直接関係はございません。それでその間にこういう事柄が一面公文書偽造である、あるいは横領であるというようなことで、そういう罪名で関係者が起訴をせられておる。その関係者につきましては、最初に掲げておいたわけでございます。
  208. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この資料の表紙ともで三枚目の二、不当経理の内容として、資金捻出は総額が七百三十余万円ということになつております。検査院の五〇八号によりますと、架空な人夫賃、架空な材料購入の名義によつて六千五百十何万円を支払いに立てた、こういうことになつております。それから農地局から印旛郡の阿蘇村風間某外百七十四名に対する離作料その他の補償料が二百四十一万円、それから工事請負人からの寄付金が二十二万円、合計いたしまして六千七百八十万円余というものが、不当不法に捻出された資金の総額ではないのでございますか。そういうことになるのじやないですか。
  209. 平川守

    ○平川政府委員 私の方で了解しておりますのは、この六千五百万円というのはこういう今の架空支出を行いました関係の事業費の総額でございまして、これだけの六千五百万円に当る事業を行う中において、七百数十万円がそういう架空の支出になつてつた、こういうことであります。
  210. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 つまり私の言うのは、その後事実工事費用もしくは実際にいつたものに使用したことは、これはともかくとして、当初の計画に基いた予算には計上されておらなんだけれども、それを人夫賃とか材料費とかいう名目のもとに六千五百十七万円をとつた、こういうことじやないおですか。
  211. 迫水久常

    迫水委員長代理 これは会計検査院から説明してください。
  212. 小峰保榮

    小峰会計検査院説明員 この農林省の資金の捻出額七百二十八万円というのは、これは差引いてしまつたわけであります。差引きましたものは六千五百十七万円、それから離作及び樹木伐採等の補償金として支出した二百四十万円、請負人から寄附を受けた二十二万円合計六千七百万円から、その次にございます印旛承水路第五工区外一四工事の請負代金五千百三十万円を差引いているのであります。こういう計算はちよつとできないのでありまして、会計検査院検査報告が正しいのであります。と申しますのは、最初の六千五百万円は幽霊人夫であります。ちようど人夫を使つて直営で工事をやつたような整理をしておきまして、実際は五千百万円請負いに出してしまつた、こういう事案であります。これは金にしるしはないのでありますから、六千五百万円の中からあとの交際費とか職員諸手当が出たか、寄附金の中から出たかわからないわけであります。悪いのは全部悪いのでありまして、これは一本にプールして計算せざるを得ないのでありまして、こういうふうに架空人夫賃と工事請負代金とを差引いて残りを捻出した資金、こう見るわけに行かないのであります。やはりこれは全体として見ていただかなければいかぬと思います。
  213. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の通りであるといたしますと、この資料の御説明の中の二の(一)資金の捻出面のところの捻出資金の総額七百二十八万六千何がしというのは間違いであつて、二十六年度決算検査報告百五十ページの五〇八号の第二行以下が正当だということになるのですか。御見解いかがですか。こういうものは経理上もしくは財政、予算等の法規上これは明らかなことなんですから、いろいろな議論が出るはずがないと思いますが、明らかにしていただきたいと思います。
  214. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員にお諮りいたしますが、これはものの考え方検査院と農林省と根本的に食い違つている問題のようです。あそこで相談をしていいかげんな答弁をされては困ろので、むしろ本日は大分時間もおそくなりましたから、この次にもう一ぺん農地局長に来てもらうことにして、この問題を今晩中に研究しておいてもらつて、正確な答弁をしてもらつたら、うでしようか。
  215. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さようにひとつおはからい願います。
  216. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは本日はこの程度にいたしまして、次会は三月二日月曜日午後一時から農林省の残余の審議をいたします。もし時間がありましたら、通産、運輸両省の分に入つて参りたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時十五分散会