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1953-02-20 第15回国会 衆議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十日(金曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員    委員長代理理事 迫水 久常君    理事 永田 良吉君 理事 古井 喜實君    理事 吉田 賢一君       田口長治郎君    田中 萬逸君       三池  信君    河野 金昇君       鈴木 正吾君    大矢 省三君       松本 七郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 岡野 清豪君  出席政府委員         大蔵政務次官  愛知 揆一君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     小林 行雄君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      稲田 耕作君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  牧野 誠一君         大蔵事務官         (印刷局長)  吉田 晴二君         会計検査院事務         次長      山名酒喜男君         会計検査院事務         官         (検査第一局         長)      池田 修蔵君         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 二月十九日  委員河野金昇辞任につき、その補欠として早  川崇君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員早川崇辞任につき、その補欠として河野  金昇君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五  年度政府関係機関収入支出決算     ―――――――――――――
  2. 迫水久常

    迫水委員長代理 これより決算委員会を開会いたします。  前会に引続き理事の私が委員長の職務を代行いたしますから、御了承願います。  本日はまず報告書百十ページ、印刷庁特別会計の分、すなわち報告番号一六八及び報告番号一六九の二件を一括議題といたします。特に一六八については詳細な説明を求めます。山名説明員
  3. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 一六八の案件は、印刷庁黄銅板十三トン八百十六キロの加工製造を請負わせました経理行為の批難でありまして、この案件について検査院は二点がまずいという意見であります。  第一点は、この黄銅板と申しますのは、紙幣を印刷します凹版の型になるものでございますが、これを製造なさるについて、正式の契約は二十五年の十二月二十一日になつておりますが、原料になる電気亜鉛と故銅を相手の製作加工請負業者に渡しました時期は、一年前の二十四年の五月及び六月になつておりまして、委託加工が済んで製品が入つて参りましたのが二十五年三月から十二月ということになつております。従つて正式の契約以前にすでに契約の内容が実施されておるという点について、そういう経理行為は、国の契約を行う場合においては正式の契約手続をとつて行うべきであるという、支出負担行為制度という表現でいたしておりますが、その取扱いに準拠しない、手続を誤つた一つ契約関係に入つたものであつてまずいという点と、第二番目は、原料加工されました電気亜鉛と故銅の交付材料計算を見ますと、大体交付されました現物を推測いたしますと、相当純度の高い材料でありましたので、私の方では、大体黄銅板一トンをつくるのには、両方合せて一トン百三十キロのものを交付すれば足りるのではないかという計算になるのでありますが、現実に交付されたものを見ますと、これは相当の数量なつております。すなわち電気亜鉛で見ますと、総計で六トン、故銅で三十二トン九百という勘定になつておりまして、先ほど申しました一トンについて一トン百三十というものさしを当てはめてこれを計算しますと、電気亜鉛で六十七キロ、故銅で二十三トン二百二十一キロがやり過ぎになりはしないかということであります。印刷庁の方では、これは純度の低いものであるので、吹きわける経費がいるので、その吹きわける経費を交付した材料で埋め合せたのだというお話でありますが、さて私の方で見ますと、交付いたしました材料品質は相当りつばなものであつた想察がつきましたので、そういう数量はやり過ぎになるのではないかという点の二点でございます。
  4. 迫水久常

  5. 吉田晴二

    吉田説明員 黄銅板製造について会計検査院の御指摘の点は、ただいま次長からお話のありました通り二点であります。第一点の、契約締結支出負担行為制度に準拠していないという点については、まことに御指摘通りであります。実際上二十四年五月、六月に加工ができておりまして、製品が二十五年三月にできておつたのでありまして、最後の納入は十二月までの間にできたのでありますが、正式契約が十二月二十一日になつたという点につきましては、申訳ない点であります。ただこの間の事情について一言申し上げますと、当時御承知の通り戦争中から終戦後にかけまして金属が非常に不足しておりまして、印刷局としては、ただいま御説明がありましたように、黄銅板というのは紙幣版面として、紙幣を刷りますのにどうしてもなくてはならないものでして、これの確保のために非常に頭を悩ましておりました。もちろんそういうものは配給制度によりまして配給はされるのでありますが、こういうものの確保については、その事務担当者としては非常に頭を悩ましまして、これを一生懸命持つてつたわけです。ところが二十四年の五月になりまして、だんだんと事情が緩和して参りまして、配給制度もなくなつて参りました。黄銅板市中から買い入れることもだんだん問題なくできるような状態なつて参りました。それまで不測の万一のために持つておりました黄銅板古銅電気亜鉛市中に出して、そこで黄銅板加工請負させるということをそのとき初めてやつたわけであります。従つて当事者としましても、その点、過渡的なときでありまして、なれておりません。また実際上現品滝野川工場の方で持つておりまして、契約の方は本局でやつておりました。二十四年の五月に従来持つておりましたものを、統制の撤廃とともに加工するという方針は局の方できめたのでありますが、まだ正式の局の命令がない前に、その方針がきまつたということで、工場の方で、連絡不十分なために、加工業者にこれを渡してしまつた。局の方ではその点についていまだ正式な契約をするつもりをもつておりませんために、納入なつてみて、そこで初めてこういうことがあつたことがはつきりしまして、すぐにここで契約締結すべきであつたのでありますが、ちようど二十五年の三月は年度末になつておりまして、二十五年度になりましてがら第一・四半期、第二・四半期でそれだけのものを見込んでおりませんでしたために、契約手続ができませんで、ようやく十二月に契約をいたした、こういうことになつております。特にその二十五年の六月に係長塚原君というのが、本局契約担当しておつたわけでありますが、その人が死亡しましたために、その間の事情本局としては非常にわかりにくいのでありますが、今から考えてみますと、そういう事情にあつたように思つております。  それから第二の点でございます。黄銅板を一トン製造するのに、契約数量交付材料が非常に多過ぎたのじやないかという点につきましても、検査院の御指摘通り、そういう点が認められると思うのであります。ただ、ただいま申し上げました通り、その係長死亡しておりますために、当時渡しました古銅がはたしてどういう純度であつたか、それをはつきりと何かの証明で基準量を確かめておきますれば、あとになりましてからこういう問題も起りませんし、またかりに起りましても、その点が非常にはつきりするわけでありますが、その点についての措置を怠つておりましたために、現在その資料が全然ないわけでありまして、純分をわれわれの方では八五というふうに計算しておるわけでありますが、会計検査院の方では純分を九八と見ていろいろの計算が出ているようであります。ただわれわれがあとから常識で見ましても、八五というのは少し低過ぎるということが言えるのではないかと思いますので、この点は非常に申訳のないことだと思います。ただ先ほども申し上げました通り、おそらく今から見ますと、こういう措置を今までやつたことがないので、担当係長としてはそれだけの研究が不十分であつたのではないかというふうに見られるのであります。その点は何分にも、先ほど申し上げましたように、担当係長死亡しておりますので、ただいま申し上げる程度しかはつきりいたさないのであります。  なおこれにつきまして印刷局といたしまして、その後任係長が実際の契約締結したわけでありますが、その契約締結についての責任者また担当課長監督の責が十分でないという点を見まして、昭和二十七年の八月付で担当課長並びに後任担当係長訓告処分に付しておるのであります。
  6. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。御質疑ありますか。
  7. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと聞き漏らしましたが、十二月二十一日付というのは、何年ですか。
  8. 吉田晴二

    吉田説明員 昭和二十五年の十二月二十一日付でございます。
  9. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうしますと、その契約をしたというのは、材料を二十四年の五月及び六月に給付して、製品納入は二十五年の三月から十二月まで、そうして二十五年の十二月二十一日付で正式に契約した、こういう趣旨ですか。
  10. 吉田晴二

    吉田説明員 そうです。
  11. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 どうもよくわからぬ。そういうことは官庁契約にあるもんですか。納入も済んでしまつて、その後の日付で契約するということはどういうことなんですか。もう少し説明をしていただきたい。
  12. 吉田晴二

    吉田説明員 先ほど御説明申し上げましたように、こういうものの加工製造請負をやりますためには、当然最初に見積りをとりまして、かりに随意契約でやる場合におきましても、現品加工請負さす前に、契約しまして、その契約条項従つて加工製造をやらすのが建前であります。もちろん普通の場合はそういうことになつておるわけであります。  ただこの場合、先ほど申し上げましたように、一番問題となりますのは、本局工場との連絡が非常に悪かつたということにあるかと思うのでありますが、本工場の方でその材料を持ち、局の方で契約をするのでありまして、その契約をする担当係長であつた塚原君が、今度こういうことになる、つまり今まで持つてつた古銅なり電気亜鉛業者委託して、黄銅板製造する、方針がそういうふうになるということだけを工場の方へ伝えたと思われるのでありますが、工場の方では、当時の事情としては、市中から買つておりました黄銅板品質はあまりよくないのでありまして、非常に品質のいいものを欲しいということを考えておりましたために、その方針だけですぐ業者に渡してしまつた業者の方もその契約をしない前にそういうものをつくつてしまつた。そのしりぬぐいとしてこういうような契約ができた、こういうことになるのであります。ただ先ぽど申し上げましたように、担当係長死亡しておりますために、はつきりしたことがわかりませんけれども、現在調べて見ました範囲では、大体そういうことになつておるように考えております。
  13. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 こういう場合は、材料を給付したときは帳簿に記載し、あるいは伝票が受領され、あるいは受取つた受取りが出した方の責任者に返つて行く、物品が動けばその都度それを証明する文書が責任者の手元に返つて来ることに普通なるのでございましようね。
  14. 吉田晴二

    吉田説明員 お言葉の通りでございまして、その場合、工場の方の、つまり物品出納の点については、そういう整理がされておつたわけであります。ただ本局の方の物品出納の方には来ないということになつております。
  15. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はやはり物についての契約であり、また物を給付して加工委託するという契約でありますから、材料はいづ動いたか、いつ出したか、もしくは何ぼ出したか、何を注文するかということが明らかになつて、それに伴つて契約担当官はある行為をするものであると思うのです。工場契約担当者職場が離れておつたからといえ、さような事態が発生することは常識上考えられません。もう一つ係長死亡したとおつしやいましたけれども、個人じやなしに、係長死亡の有無にかかわらず、何らかの書類は現存すべきものであろうと思うのです。結局これはどこかもつとほかにたるんだものがあつて、こういうことになつたのではないのでしようか、その辺をひとつつておきたいのであります。
  16. 吉田晴二

    吉田説明員 ただいまもお話申し上げましたように、その点については、つまり工場の方としましては、非常に良質の黄銅板がほしい。そこで……。
  17. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと時間の関係がありますから、同じ御説明でなしに、何かそれを解明する新しい御意見があれば聞きたい。こういう趣旨でよろしゆうございますから……。
  18. 吉田晴二

    吉田説明員 今まで調べたところでは、そういう事情として考えられることはないと思います。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の言うのは、物品を岩窟したとしていろいろな書類が残るでしよう。それから契約する人も、材料が動いたことを前提にし、確認した上でないと契約締結行為はできないだろうと思うのです。そこで物があつた場所契約担当者職場が離れておりましても、やはりそこは有機的に関係しておるのですから、場所が離れておるからといえ、それでさような事態があるいは生ずるだろうというようなことは想像されません。また死亡しても生きておつても同じことだ。死亡しておるから調査ができないということは、私は官庁事務としては何かの間違いがあるのじやないかと思うのです。いつまでも生きておるのではありません。死亡退任等があるのでございますから……。そこで私の聞きたいことは、死亡しておるので調査が十分できないとか、あるいは場所が離れておるとか、あるいは品物を急いだとか、いろいろな御説明があるけれども、さようなことでは納得しにくいのです。あなたの方も何らかそこに相当弛緩したものがあつたのではなかろうかということについてのあなたの御説明を願いたい。
  20. 吉田晴二

    吉田説明員 ただいまのお話といたしましては、確かに滝野川工場の方で正式の契約ができておりませんのに、つまり原因なくして品物を動かしたという点に、何といいますか、弛緩しておつたといえば、その点は御指摘通りではないかと思います。なおまた全般契約にそういう当を得ないものが出たということについても、これもやはり契約担当官として責任があるではないかというふうに考えまして、先ほど申し上げましたような契約担当官責任を追究した、そういう結果になつております。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 次に物が過大に給付されておつたということ、これは品質の問題で若干議論があつたようですが、大体これは認められておる。それからこの説明書にも大体検査院の御指摘通り、こういうことになつております。過大給付があつたこともはなはだ遺憾であつた、こういうことも認められております。  そこで私はこの案件で重視すべきことは、やはりこういつた原因については相当大きな手落ちがあつたので、それに対してしかるべく原因を追究して、相当な対策が講ぜられなければならなかつたものである。ついては調査中となつておりまするけれども、爾来相当月日がたつておりますので、どのような調査ができ、どういう結果になつたか。  また結局これは価格の関係から見ましても、相当国損害が生じたことになるのではないかと思うのですが、さように了解していいのでございますか。ちよつと質問の途中になりましたけれども……。
  22. 吉田晴二

    吉田説明員 ただいまの点については、お話通り国損害が生じたと認められるものと思います。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこでそういう面についてどういう対策が講ぜられたのであるか。この原因に対する対策、今後のいろいろな措置、それから損害が生じたとすれば、それを回復するについてどういう対策がとられたか、こういうことについての答弁を求めておきます。
  24. 吉田晴二

    吉田説明員 ただいまの問題の黄銅板といたしましては、最初に御説明いたしましたように、戦後の特殊事情としてこういうことが起つたわけでありまして、これ一回だけの処置でございまして、近くにおいては、全然そういうことがなかつた、その点については御心配の点はないかと思います。しかしもちろん物品全般取扱いについては、従来から十分の注意をしておるわけでありますが、お話通り物品出納あるいはただいまの契約担当関係その他についての連絡あるいは工場本局との連絡の足りなかつた点については、十分反省いたしまして、会計官吏にそれらの点を十分注意さすように、また現実にこれを監査するようにしておるわけであります。  なお国に対する関係におきましては、最初の故銅の純分というものが一応の推定ということになつておりますので、実ははつきりした確実なる証拠がないのでございます。それでは民間からこれを追究できるかということになりますと、契約の方も契約としては一応追究できております。そこに錯誤があるということも非常に疑問がございまして、一応そのままの措置なつておるという結果になつております。
  25. 迫水久常

    迫水委員長代理 別に御質疑はございませんか。――なければその次に移ります。     ―――――――――――――
  26. 迫水久常

    迫水委員長代理 それでは報告書の百十二ページであります。報告番号一七〇ないし一七六の七件を便宜上一括して議題として、会計検査院当局並びに大蔵省当局より説明を願います。池田説明員
  27. 池田修蔵

    池田会計検査院説明員 ただいま議題に上つております一七〇号から一七六号の案件につきましては、実は昨年の昭和二十四年度決算検査報告に掲載してございます案件と同類のものでありまして、ただ昨年報告いたしましたのに加えて、大体同じ事態をさらに二十五年度において報告いたしましたわけは、二十四年度におきましては、ただ代金収納に至つていないという軽い意味の報告でございましたが、だんだんその後調査いたしますと、委託を受けました会社におきまして、単に怠慢のために国に対する納入が遅れておつたばかりでなく、その預かりました金を自分の営業資金貸付金に流用したり、あるいはそこの会社の使用人が横領しておつたり、実は現金を費消しておつたという事態も明らかになりましたので、その点を報著しますとともに、そういうことで現金がすでにありませんから、回収も相当困難であるということも考えられますので、特に報告した次第でございます。このように国が直接徴収すべき現金会社買受人からとつておるという事態を容認しておるといいますか、そういうことがわかつてつたのにそのまま会社にとらしておつたということに、当局に多少の手落ちがあつたのじやないかということも考えられますので、特に御報告申し上げる次第でございます。
  28. 迫水久常

  29. 阪田泰二

    阪田政府委員 本件につきましては、ただいま会計検査院からお話がございましたように、二十四年度決算におきましてすでに問題となつ事件でございます。大蔵省といたしましては、このような問題が生じましたのにかんがみまして、委託を受けました会社が、国有財産の売払い代金予納金というようなことで受取つておる、こういう点に一番弊害があると考えましたので、その点は厳重に禁止することといたしまして、委託売払い仕事はさせますが、代金の受領はすべて収納官吏が面接にやる。なお代金納入方法につきましても、いろいろ考慮を加えまして、こういうような形で委託会社が直接金をとつて、これを国に払い込まない、あるいは中途で費消されるというようなことがないように措置いたした次第であります。それでこの会社関係におきまして、国に対して未納なつております金額でありますが、これにつきましては、鋭意整理を進めさせて参つたわけでありますが、大体ここに掲げてあります一七〇ないし一七六のこの各件のうち、都不動産というものがございますが、これにつきましては、大体ことし中に何とか完済できるのではないかというようなめどが立つたような状態なつております。  その次の新郊土地につきましては、回収も相当やりましたわけでありますが、その後新たにまた欠損が発見されましたので、未納額がふえているような結果になつておりますが、これにつきましては、ただいま整理方策を考究中でございます。  その次の国際商事につきましては、これは全額完済になりました。  それから、それ以下の四社につきましては、新規の業務の委託は停止いたしまして、もつぱらこの滞つております金の回収に努めておるわけであります。まだ残額はございますが、現在鋭意回収に努めておる、こういう状況でございます。
  30. 迫水久常

    迫水委員長代理 御質疑を許します。
  31. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいまの御報告によりますと、五千万円のうちまだ三千万円近く未回収のようでありますが、三千万円というと大した金です。こういう損害を与えておつて、まだ回収を今督励しておられるというけれども、今の説明によると、あとの四つの会社は縁を切つたのであるというのだから、なかなか縁を切つた讐んは処分がむずかしいんじやないかと思うのです。それで今はただ金回収のみを督励しておるようであるが、その監督者等責任者処分はどうなつておりますか、それをお尋ねしたい。
  32. 阪田泰二

    阪田政府委員 この関係仕事をやつておりましたそれぞれの財務局責任者であります管財部長に対しては、当時厳重な戒告を加えてございます。
  33. 永田良吉

    永田(良)委員 戦争跡始末に、国の財産を取扱つておる皆さんのうちで、大蔵省財務局ほど悪いことをする役人はおらぬ、こういう悪いことをした役人は片つぱしから免職せぬと、官紀綱紀粛正なんか何もできはせぬと思います。これは日本全国至るところの財務局役人が悪いことをしておるのであります。私は鹿児島県の大隅の者ですが、あの海軍の跡始末において、鹿屋の出張所長も問題があつて首になつた。懲役にも行つておりますが、一体日本全国、東京のまん中においても、こういう悪いことをした者はたくさんあるのです。それをただ戒告――私はそれはどうなさるのか知らぬが、お前は悪いことをしたね、今後そんなことをするな、まさか子供じやないし、そういうことを言つたからといつて綱紀粛正ができますか。今大学を卒業した者のわずかに二割しか就職できない。そういう不正な役人は徹底的に免職して、若い正直な、気鋭のある者を官吏にお使いにならなければだめだと思う。皆さんあと回収がどうのこうのと催促されるけれども、その金の問題よりも、もつと人の責任感を強くしなければだめなんだ。戦争に負けたからといつて日本人の心が悪くなつたことは事実だけれども、日本の再建は心の持ち方から改めて行かんければならぬと思う。それに国民の模範になるべき、しかも大蔵省役人が、――財務局には臨時雇もおるだろうと思うが、そういう不心得な者は徹底的に処罪せんければ、私どもが決算委員会でいくら何を叫んでもだめだ。役人が悪いことをした場合に、ただ一ぺんしかつておくというこの程度ではまたぞろ、今こうして二十五年度決算をやつておるけれども、現在も役人のうちで悪いことを毎日毎晩しているのがおると思う。どうですか。刑務所の死刑囚がきのうも飛び出した。これらは明らかに役人の心の持ちようにおいて責任感がない、怠慢であるからこういうことが起る。財務局役人は全国をよくお調べになつて、いやしくも疑いのあるものは早く未然に、そういう犯罪を起さぬように、いろいろ身の上を調査せられることも必要であるが、上の人がこういう処置について情実にとらわれず、断固たる処置をとられることが日本の再建のため――吉田さんが綱紀粛正をいつておられるけれども、こういう悪い事実が年々増加しているじやありませんか。これらについて私はもう少しはつきりした皆様方の責任ある答弁がほしいのです。ただ戒告とかそんなことは、われわれ民間の者が悪いことをした場合はすぐ留置場につつ込まれて、監獄に行くじやないですか。官吏が悪いことをしたのには、お前はそんなことをしてはいけない、そのぐらいの訓脅で済む。それこそ官僚の横暴じやありませんか。私はこれがどうもわかりませんが、もつと徹底した説明をしていただきたい。それで済むとお考えですか。戒告をなすつたのは過去の事実だからしかたがない。現在並びに将来に対する皆さんの御決心を少し承つておかぬと、われわれはただ死んだあとの葬式ばかりじやいかぬ。現在の日本の国の会計がこういう不始末では、――今一方では予算委員会があるのだけれども、われわれがいかに予案組んでも、政府の金が一年間に百何十億も不始末になつてはたいへんなことだと思う。これに対して責任ある御答弁をお願いいたします。
  34. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ただいま永田委員の御説は私どもまつたく同感でございます。終戦後の国有財産の問題でございますが、これは前回の当委員会におきましても私どもの気持を申し上げ、また弁解がましくなるとは前提いたしながら、当時の状況も御説明いたしたわけでございますが、ともかくも非常に厖大な陸海軍の所有しておりました物件が、従来そういう仕事をやつておりませんでした大蔵省の所管に一時になり、従つてまたその事務に当りました役人の素質あるいは訓練、あるいは大蔵省としての伝統による教育といつたようなことの非常に行き届いておらない人たちが、多くこういう仕事に当らざるを得なかつたというようなところから、いろいろと申訳のない事態が起つたわけでございます。従いましてこれらの処置といたしましては、さようなことを未然に防止するようないろいろの方法を現に行つておるつもりでございますが、今御指摘通り、結局根本は官紀粛正の問題であり、また同時にこれは人事の問題であると私どもは考えますので、刑法上の罪に問われるようなものでない場合におきましても、官紀の振粛上必要と認めます場合には断固たる処置をとつて、解職、免官その他の処置につきましても、今後におきましては徹底した措置をとりたいということをかたく表明いたしたいと存ずる次第でございます。
  35. 永田良吉

    永田(良)委員 この間も申し上げました通り、不正不当なことが多かつたの大蔵省が第一、その次には建設省になつておる。一体この大蔵省と建設省がこういうだらしのないことをされている。他の官庁もありますけれども、私は特に終戦後にでぎた財務局員が一番悪いことが多いと思うのであります。これらは臨時雇いの関係かもしれませんが、また戦争に使つたあと財産の処理ですから、すてばちになつた気持かもしらぬけれども、いやしくも国家の財産を処理するのにそういう情実や不正なことをして、国民に迷惑をかけるということは、これはたいへんな罪悪であります。現在においてもなお私どもの合点の行かぬことが行われておる。私はこの間も警告を発しましたが、鹿屋の海軍の航空隊のあとの工廠のレールなんか、りつぱなレールであるのが鉄くずとして今処分されておるのを私は見受けておる。その他あの格納庫の骨なんかも鉄くずとして払い下げられはしないかと思う。一方では吉田さんは再軍備は絶対にしない善うけれども、保安隊はだんだん増員されておるじやないか。それはすぐ役に立つ。それを一たん財務局で握つたものは大蔵省としては何かの財源にたたき売つてしまう。ちようどいなかのやせおやじが何か財産処分するようなふうに、財務局の所管内にあるものはどんなことをしてもいいという、そういう無責任なことをされては困る。皆様方は運輸省とかあるいは各官庁の同じ政府の役人である以上は、役に立つものはそのまま生かして、人民に課税をして、あとに迷惑をかけないように愛の政治を行わなければならぬ。官吏が自分の職権であるからといつて、自分かつてな処置をして国民に迷惑をかける、これほどの悪政がありますか。私はこういう点から財務局役人ほどかつてなことをする役人はないということを始終目撃しておる。どうかこれについては非常なる監督の目を光らせて、いやしくも多少疑いのあるものはよく取調べられて、ただちにこれを免職してしまう断固たる措置をとられんことを希望する次第であります。なおまた会計検査院においてもこういうのは厳重に報告されて、厳格なる態度をおとりにならぬければ、こんなふうに毎年千何百件も不正や不当事実が現われるということは、これは世界に対する日本の敗戦国民の恥ではありませんか。独立したとか何とかいつて大きな顔をしても、こういうふうに官吏のうちに不正なことをする者があつて日本の再建ができますか。あくまで私は断固たる処置をとられんことを警告を発して、私の質問をこれで終ります。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとこの問題について尋ねます。このよつて来るところがこういう制度の上にあるのではないかとも思うのですが、当時物品の売却委託について受託者に保証制度というものはとらなかつたのですか。
  37. 阪田泰二

    阪田政府委員 当時といたしましては、そのような保証金を納めさせますとか、担保物を入れさすとか、そういう措置はとつていなかつたわけであります。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 厖大な価格のものを売りさばくときに、受託者に保証金をとらず、保証人を立てないで、そこで買受人には予納金をとつたのではないですか。予納金、すなわち一種の保証ですが、それはどうなんですか。
  39. 阪田泰二

    阪田政府委員 買受人からは保証同様とつていないわけでありますが、ただ売払いが分納というような形になるような場合には、第一回の払込金をとるというようなことはございました。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 説明書の六十三ページ、四行目に書いてある予納金というのは何ですか。
  41. 阪田泰二

    阪田政府委員 これは売払いに伴いまして必要な手数料あるいは登記料、こういつたような名義で会社がとつてつたものです。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 手数料とか登記料のようなものをあらかじめとる、そういうことは国の指示なんですか、政府の指示なんですか、どうですか。
  43. 阪田泰二

    阪田政府委員 それはもちろん国からそういうことを指示いたしたわけではございません。それで業者がさようなことをやつておるのを放置しておつたという点に、私どもといたしましてもたいへん監督上遺憾の点があつたわけであります。
  44. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは多数の件数にわたりまして、一応国に与えた損害が五千数百万円に上つておるのであります。ところでこういう危険のある会社委託をして、その受託した人が買主から手数料とか登記料まであらかじめ受領するということをほつておくということは、これは国の財産処分方法といたしましては、とても大きなあやまちであろうと思います。そういうことはまた常識上考えられぬ。まず登記料のようなものは、御承知のように、何百分の一なのであります。手数料というのはまたきめられたささいなものであります。そういうふうなものまであらかじめ受託者がとるというような場合に、国としてこれを見のがしておつた、また国としてその受託業者から何らの保証もとつておらない、こういうようなことのよつて来るところ、この事件の起りましたのは、やはりこの売却について政府の措置よろしきを得なかつたものと私は考えるのですが、どうでございますか。
  45. 阪田泰二

    阪田政府委員 委託売払いの問題につきましては、この前二十四年度決算について問題になりましたときにも、いろいろ申し上げたわけでありますが、御承知のように、財産税が施行されまして、非常に大きな件数に上る、しかもいろいろむずかし問題のついた財産が国のものになりまして、これを処分する方針を立てたわけでありますけれども、何分そういうような非常に多数の件数にわたりまして散在しておる財産を、一々こういうふうに処分してやつて行く、売払いの交渉等の手続もやつて行くというだけの人員がとうてい間に合いませんでしたので、当時やむを得ない方法といたしまして、こういうような会社委託して売り払うというようなことを考えましてやつたわけでありますが、何分そういうふうな際で初めてのことでもあり、非常に多数の財産をなるべく早く処分したいというつもりで始めました仕事でありましたので、会社の選択あるいはそれの仕事ぶりの監督その他の点につ冒して、どうも十分われわれの方の監督なりやり方が徹底していなかつたということは痛感されるわけであります。その辺まつたく私どもといたしましても遺憾に存じておるような次第であります。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大体において政府の措置よろしきを得なかつたということは御同感のようでありますけれども、但し、やはり当時の実情について客観的にやむを得ざりし原因を強調されるきらいがあると思います。しかしながら物納する国民の立場は十分に御理解にならなければいけません。先祖代々の財産を税金に取上げられて、二束三文に売られたものもあります。売り急ぎをされたという理由は私にはわからぬ。ここで多く議論はいたしませんけれども、なぜ一体売り急ぎをしなければならぬか。人の財産を相当価格に見積つて、できるだけこれを高い値段で売るということが、国民の納税によつてできたものを売却処分して納税金に引当てる場合の政府の根本方針でなければならぬと思います。従つて売り急ぎをしなければならぬということはまつたく不可解なお言葉であります。また会社の選択よろしきを得なかつたということは、これはもつてのほかであります。やはり人の物だからどうでもいい、二束三文、十ぱ一からげに国民の財産処分するというようなぞんざいな考え方が根本にあつたのではないでしようか。大事な人の財産処分でありますから、厳重の上にも厳重にその受託会社を選択すべき責任が政府になければならぬのに、その選択も疎漏であつたというようなことでは、それはもう弁解にならぬのであります。またこれはどさくさの時代であつて処分物件が多数に上つて手が足りなかつたというようなことも弁解にはなりません。もし手が足りなかつたとしたら、現在税務署のごときは手が足りないので多数の人間を増員して徴税に努力しておるじやありませんか。政府は手が足りなければあらゆる手段で増員する方法もあるし、予算がなければ国会に要求なさればいいのであります。だから、そういうこともこの問題については私は弁解にならぬと思います。要するに、こういうように五千四百九十一万円という大きな損害を加えたのでありますから、これについてはやはり相当責任は追究されてしかるべきではないかと思うのです。五千万円くらいの金は、何とか公団の若い者が一億円も使つたのだから、大した貨幣価値もなかろうというようなお考えがあつたら、これまたたいへんであります。  そこで、それについて一点尋ねておきますが、その後回収は相当あつたようにここには書いてありますが、損害回収するのは無料ではできておらぬと思います。どのくらいの経費がいつたのですか、それをひとつ聞かしておいてもらいましよう。
  47. 阪田泰二

    阪田政府委員 回収につきましての経費ということでございましたか、ちよつと御質問の御趣旨がわかりかねるわけでありますが、結局一般の財務局の職員がそれぞれ会社から未納金を取立てる仕事もやつておるわけでありますから、そういうものの給与とか事務費というものを考えますれば、経費がかかつておるわけでありますが、そのほかに別段の経費は出しておらぬのであります。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 あなたの方の財務局の通常の業務として回収が進められておるのならば、その問題はあえて論ずるに足らない。しかしながら、やはりこの会社が、あなたの報告によりましてもなかなか遅々として回収は進んでおらぬものも相当あるらしい。近畿物納不動産株式会社のごときは八百六十二万円あつて、二十七年の一月に八百五十八万円残つておる。三、四万円しか回収できておらぬ。こういうようなものの回収は銀行から金を受け出すように簡単には行きますまい。やはりいろいろな手を尽さねばなりますまい。従つてこういう回収の完了には、場合によりますと訴訟が起つたり、また回収する金額よりも経費の方が多いという場合が世上往々あるわけであります。だから何ほど回収されたかということは、やはり計理面の結末をつける意味においては、それだけおつしやるだけでは説明にならぬと思います。しかしそこま書くとだんだん議論になりますから、その点は論じませんけれども、あなたの方はまだ少しあるようですから、やはりそういう点についても一応の御説明つて、なんぼほど経費がいつて、もしくはちつともいらなくてこれだけ回収したとか、対策費についてどうとかいうことは、やはり総括して要綱について前もつて説明つて、質問の時間をなるべく省略させていただきたいと思うのであります。  そこで尋ねておきますが、すでに国の政治のあり方といたしまして、終戦のどさくさの際には一層厳重に注意せなければならなかつたのにかかわらず、それができなかつたことがよつて来たる大きな原因である、こう判断いたしますので、責任の範囲につきまして沓奮がいろいろと御追究になつておりましたが、厳重戒告というようなことは、われわれしろうとにはよくわかりません。そこでこういつたようなおよそ既往の方針に誤りがあつたというふうな認定がされるような場合には、どの範囲にまでこういう事態が起つたことについて責任を負うのが当然であるかどうか、これはひとつ政府当局の御説明をはつきり聞いておきたいのであります。
  49. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 責任の及ぶ限界でございますが、国有財産の処理について、大蔵本省から財務局に対しまして、財務局長の権限でやれるようなあらかじめの指令がございまして、権限の委任が明瞭でありまする場合は、最終的の処理の責任財務局長ということになると思うのであります。それから財務局長から各財務部長に対して、やはり同様の権限の委任等が明瞭であります場合におきましては、法律上やはり財務部長の責任ということになるわけでございます。しかしなおそのほかに一般的な監督の立場という、公務員としての機構の上から申しましての規律の上、あるいは監督の上からの一般的の監督責任というものが、さらにそのほかに考えられると思うのでありまして、その場合におきましては、事案の非常に重大なもの、あるいは一般的な監督が十分でなかつたというようなものにつきましては、さらにその上部にも、公務員法と申しますか、公務員の組織上の監督責任というものが、さらに何か残るものと私は考えるのであります。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 財産税がかかりましたのは二十一年かと思いますが、およその概算でよろしゆうございますが、昭和二十六年ごろまで――これは財産税に限らぬようですが、全国で物納財産処分額というものは、大まかに申してどれほどの金額に上つたものでございましようか。それを一点ちよつと尋ねておきます。
  51. 阪田泰二

    阪田政府委員 財産税の関係で、財産収納いたしました額は、今ちよつと大ざつぱのところでございますが、十億円くらいあると思います。ただそれはその当時の収納価格でありまして、その後これを処分するときには、そのときの時価で処分いたしておるわけでありますから、その後毎年の処分額は、大体六、七億から十億くらいの金額を毎年処分いたして参つたと思います。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 やはり国の財政の数字からの比例に見ましても、また地方の収支の数字の割合から考えましても、相当大きな金額であると私は解します。つきましてこういう場合に、そのよつて来たるところは、国の政府の方針が適切でなかつたという場合には、やはり財政処理が適当でないということでありますから、次官とか大臣が何らかの形で責任を負うへき制度がなければならぬと思うのでありまして、方針よろしきを得たならば、さような事態が生じ得ざりしものなのに、下僚末端が厳重に処分せられて、上の最高幹部は何らの責任を負わずに済むということでありますならば、永田委員意見まつまでもなく、私は百年河清を待つの感をひとしゆうするのであります。そこできようは愛知さんがおられて、大臣はお見えにならぬのですが、あなたは大臣だとお思いになつて、そういう場合にやはり大蔵当局は最高の責任を負うということにならねばいけないのじやないかと思いますが、ひとつ御所見を伺つて、これで私はこの問題を終りたいと思います。
  53. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 先ほども申しましたように、一般的な監督責任というものは、事態が重大でありかつ悪質のものであります場合は、最高の責任者責任だろうと私は考えるのであります。ただ、いま一つの場合は、当時の政策というお話がございましたが、たとえば財産税にいたしましても、当時の政府が国会の審議を願つて、国会の議決により法律ができておるわけでございまして、その法律の実際上の行政の執行の面で起つたいろいろの問題でございますから、政策が悪かつたとかよかつたとかいうことは、こういう種類の問題の責任の限界とは別個の系統の問題ではなかろうか、こういうふうに私考えますので、大体これはやはり行政組織監督上の責任という問題で上まで波及することを考えなければならない。政策の問題はまた別ではなかろうか、私はこういうふうに理解いたします。
  54. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと訂正いたしますが、私の質問の趣旨は、政策のいかんというのじやなしに、政府の最高の方針が適切でなかつたことがこの事態を生じた大きな原因であつた、こういうふうにきようの質疑応答、諸般の資料によつて結論づけるわけであります。従つて国の政治の最高の方針に適切を得ざりしものがある場合には、やはり財政の最高の責任者として何らかの責めを負うということが相当でないか、こういう趣旨なのです。
  55. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 ちよつと食い違つたことを申し上げるかもしれませんか、この国有財産処分、これは物納の財産も何も皆入つての話でありますが、これを一年度間にどれだけ処分をして、大体どれだけになるかということについては、予算の歳入の方で国会の御審議も願つておるわけでございます。その方針と申しますか、歳入の款項目にわたつて大蔵省としてはそれだけの歳入をあげなければならないということから、それだけの実績があげられ得るように、大蔵大臣は管財局を通じ、あるいは財務局等に対しまして、いろいろの処理の方針等を行政執行上の問題として移しておるわけでございます。もしその方針の決定やあるいはその下部への伝達や、それらの点につきまして悪いことがあつたということであれば、これはやはり政治的な責任、行政上の責任という問題になるかと思うのでありますが、私の現在理解しておりますところでは、会計検査院から御指摘を受けております問題の多数の案件は、むしろそこから来ておる問題はほとんどございませんで、第一線の直接の衝に当つておる人たちの善意、悪意を問わず、そこに遺憾な点が起つた事例が全部であろうかと私は思うのでありまして、観念上は今申しましたような責任論があると思いますが、実際今回御指摘案件についてはそこに触れた問題ではないのではなかろうか、私は現在のところこういうふうに理解いたしております。
  56. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さつきの阪田局長の答弁は、正直に政府の措置が相当でありしならば、この問題は起らざりしごとき趣旨なつておると私は理解するのです。といいますのは、やはり末端財務局であろうと何局であるにかかわらず、これほど大きな収入を予定しました財政処理につきまして、何の保証もとらずに、しかも数百万円を横領するような会社に多数の物件の処分委託するというようなことは、政府において適切な方針さえ示しておるならば、私はこういうことはなかりしものと思うのです。現に小さな請負でも、売買においては前金もとり、予納金もとるのですから、まして大きな財産の売卸を委託するものに対して、保証金をとらなかつたのかという問いに対しては、それをお認めになつておるわけです。ですから末端における行政事務上の問題だけではなしに、根本における方針に触れるべき案件であります。従つてその場合に政府の方針を定めるところ、指令をするところに責任があろうというのが私の議論なのです。またあなたが御指摘なつておりましたけれども、会計検査院がどういう形で指摘するかせぬかにかかわらず、やはり決算委員会全般の財政処理についての審査でありますから、それにとらわれずにわれわれは審査しておるつもりでありますので、やはり政府において負うへき責任のあるような事案に対しては、あつさりと責任を負うべきであつたという御答弁でないと、いたずらに下僚に責任を負わしてしまつて、上の方が逃げて行くということであるならば、ほんとうにそれが政府の真意かどうかということをわれわれは追究しなければならぬということになつて来ます。
  57. 愛知揆一

    ○愛知政府委員 私の申し上げましたのも、その責任が上に及ぶということについては肯定しておるわけでございまして、これは問題によりましては最高の責任の問題であると私は思うのであります。ただ先ほど管財局長から申されましたが、保証とか予納金をとるとかとらぬということについて、そのときの方針が悪かつたのかどうかということにつきましては、なるほど吉田委員の御説の通りだと思うのでありまして、私はさつき会計検査院との関係において主としてお答えしたわけでございます。今のこの決算委員会の国政全般の処理という観点からのお話でございますれば、私は広い意味での責任という問題は当然肯定せざるを得ないと思います。ただそのときの方針がよかつたか悪かつたかということにつきましては、意見が相当わかれるところじやなかろうかと思うのでありまして、もしこれがいかなる点から申しましても、悪い行政方針を決定しておつたのだとすれば、その責を免れるものではない、こういうふうに私考えます。
  58. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほどの御説明で、委託業者予納金の受領を厳禁させることにしたと言われたが、いつから厳禁されたのですか。
  59. 阪田泰二

    阪田政府委員 二十五年の四月以降厳禁する措置をとつております。
  60. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうすると、それは昭和二十四年度決算報告で不正事項が出て来たので、それから処置されたということでありますか。
  61. 阪田泰二

    阪田政府委員 決算につきまして不正事項を指摘される前に、こういうような予納金ができたという事実が判明いたしましたので、そのときに禁止の措置をとつたのであります。
  62. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうすると、この事案について見ますと、ただ予納金ばかりじやなしに、売払い代金の流用ということも重要なものになつておるわけですから、予納金の受領を厳禁するばかりでなしに、売払い代金の国庫納入の方法についても、もう少し制度上考える必要があるのじやないかという気がするのです。ここに「売払に当つては、」云々というようなことは書いてありますが、これだけでこういう弊害が除去できるのかどうか、そういう点についてもう少し対策を伺いたい。
  63. 阪田泰二

    阪田政府委員 先ほどちよつと説明が不足いたしておりましたが、予納金のみならず、売払い代金会社が領収するということも、こちらが認めていないにかかわらずやつてつたのであります。当然それも同時に禁止いたしました。
  64. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。――ございませんければ、その次に移ります。
  65. 迫水久常

    迫水委員長代理 次は報告書の百十四ページ、「職員の不正行為に因り国に損害を与えたもの」のうちの最初の四件、すなわち一七七、一七八、一七九、一八〇、この四件を議題といたします。このあとの分は税務署の関係でありますので、国税庁関係案件を審議いたしますときにまわしまして、この際は右申しました四件について審議をいたします。会計検査院説明を求めます。
  66. 池田修蔵

    池田会計検査院説明員 ただいま議題に上つております最初案件の一七七号は一千七十四万円の不正事件なつておりますが、このうち一千万円は財務局の理財部関係でありまして、資金運用部資金の横領でございます。それから七十四万円は、財産の売払い代金の横領になつておりますから、二つをわけて御説明申し上げます。  この資金運用部資金の横領の一千万円は、財務局の理財部融資課の運用の係長が、同僚及び自分の友人三者共謀いたしましてやつた事件でございます。愛知県の東春日井郡の篠岡村及び西春日井郡の西枇杷島町の短期融資の申請を自分たちが偽造いたしまして、嵐たかも両町村から短期融資の申請があつたような書類をつくりまして、これを日銀に持つて行きまして、日銀から一千万円をおろして、そのまま費消した、もしくは他に浮貸しをしたり、融通をしたりした事件でございます。その手段はきわめて巧妙でありまして、内部の事情を知つておる当該担当官吏でありますから、申請書、日銀に対する通知書、その他の手続が完備しておりまして、日銀においても真正な書類と信じて渡したわけでございます。従来この資金運用部資金の現金の喜取扱いはわりに厳格に行つておりまして、こういう不正事件はなかつたのでありまして、私たちが知つております限りは本件最初の事案と思いますが、何ぶんにも自分がその職に当つてつて、すべての手続等が詳細にわかつておるので、その書類を偽造いたしまして、日銀から一千万円という巨額の金を横領いたしましてこれを費消したという点についてはなはだ遺憾と存ずる次第でございます。  それからその差額の七十四万円と、あとの一七八、一七九、一八〇、これは類似の案件でございまして、国有財産の売払いの代金を横領したもの、もしくはこれから支払うべき現金を持つております者が、その現金を横領したもの等でございまして、これらの案件は全部がすでに判決によりまして、それぞれ刑事上の処分を受けている案件でございます。この前御審議を願いました一五九号そのほかの案件におきまして、財産を売払うときに相手と共謀しまして数量を超過して相手に引渡したという案件と大体類似のものでございまして、これは相手によけいに売り渡してその報酬を得たというものでは一なくて、みずからが売つた代金を横領したという案件で、いずれが罪が重いかは知りませんが、いずれにしても実に遺憾なる事件でございます。
  67. 迫水久常

    迫水委員長代理 大蔵省当局から説明を願いますが、まず第一にただいまの預金部の一千万円の問題について、理財局資金課稲田説明員の説明を伺います。
  68. 稲田耕作

    稲田(耕)説明員 東海財務局におきまして、融資課員がほかの者と共謀いたしまして、資金運用部資金一千万円を、愛知県東春日井郡篠岡村及び同県西春日井郡の西枇杷島町に対して、平衡交付金の見返りといたしましてのつなぎ融資をいたしますように見せかけまして、借入申込書、借入決議書の写しとか、金繰表、理由書等、それから公共団体の責任者の判を偽造いたしまして、貸付をいたしましたように見せかけて、現金を受取つたのであります。資金運用部資金の七十年の歴史といたしまして、一度もこういうことがなかつたのでありまして、このたび空前の不祥事件を起しました。まことに遺憾のきわみでございますが、あまり長い間何事もなかつたものでありますから、監督者を初めといたしまして一般に注意が散漫になつたということが、一番大きな原因であると思うのであります。この対策といたしまして、さつそく厳重なる通知を発しまして、財務局長以下職員に厳重なる綱紀の粛正を要請いたしました。また制度上の問題といたしましては、長期債の融資と同様につなぎの短期資金の融通につきましても、運用をつかさどる者と審査を行います者とを峻別して、同一人にやらせないようにする。大体がそうなつておつたのでありますが、弁解がましいことですけれども、人の不足のようなところは同一人がやつてつたということがありましたが、それを以後改めるように、また短期債の貸出簿、貸付簿及び回収簿には財務局課長が必ず目を通すようにする。また日本銀行との関係におきましては、大体公共団体の責任者の判を日本銀行の本店、支店、代理店に届けておくことになつておりますが、その励行がされてないところもありましたので、必ず公共団体の責任者の判を日本銀行の支店、代理店に届けさすようにいたします。それから短期債を一定の公共団体に対してやりますときには、指図書を日本銀行の代理店一支店に渡します。それから当該公共団体に対しましては融資決定通知書を出します。それをもつて照合して、公共団体に金庫がありますれば、日本銀行において小切手でその金庫に預ける、あるいは公共団体の取引銀行に小切手で引きかえをいたすのでありますが、このときは悪いことが重なりまして、名古屋の日本銀行支店から面接現金で払つておるということもありますので、今後はできるだけ現金を渡さないで小切手で振替をやるようにいたします。それからこの一千万円のうち回収いたしました金額は昭和二十六年度において五百五十万円、二十七年度の九月末に四十六万円であります。回収の費用といたしまして大体五十万円を要しているようであります。一言つけ加えておきますが、責任者の処罰は、関係をいたしました両名は懲役二年半の言渡しを受けております。それから行政的な責任者である財務局長及び理財部長は懲戒戒告を受けております。それから融資課長及び課長補佐あるいは係長は懲戒減俸を受けております。あとで融資課長と理財部長は責任を痛感いたしまして辞職をいたしております。今後といたしましても十分気をつけて参りたいと思います。
  69. 迫水久常

    迫水委員長代理 その他の点について阪田政府委員
  70. 阪田泰二

    阪田政府委員 一七七号事案のうちの千七十四万二千円、それから一七八、一七九、一八〇、これは管財関係事件でありまして、先ほど会計検査院からお話がありましたように、国有財産処分した代金を横領使用したとか、あるいは国有財産の分納金でありますとか、前渡資金等を横領して使つてしまつたというような事件でございます。関係者はいずれも懲戒免官になりまして、起訴されて、刑はいずれも大体確定はいたしておりますが、一部横領金額等につきまして相違がありまするために、はつきりまだ確定まで行つていないものが一件ございます。大体それぞれ懲役というような刑に処せられておるわけでございます。横領しました使用金額の回収につきましては努力をいたしておりますが、まだ全部回収するまでには至つておりません。関係者の処分といたしましては一七七の件につきましては、先ほど資金運用部関係について申しましたのと同じように処分なつております。それぞれ局長、次長課長係長等が懲戒処分を受けておるわけでございます。一七八その他の件につきましては関係出張所長その他が戒告処分を受けております。国有財産関係の不正事件につきましては、先般も御説明をいたしたことでありますが、これらの事件につきましても御同様まことに申訳ない実情でありまして、今後かかることのないように十分監督上の注意をいたして参一りたいと存じております。
  71. 迫水久常

    迫水委員長代理 御質問がありますか。
  72. 永田良吉

    永田(良)委員 私はほかのことは知つておりませんけれども、一七九号につきましては、私当時あの地方の市長をしておりました関係で、よくこの事件の内容は知つておるのであります。さつきも申し上げました通り財務局役人がかかる不正なことをしておつて国民にとんでもない迷惑を及ぼしておる。むろん本人は刑に処せられたことも私は知つております。またその不正の金額もまだ取立て未収になつておるのもあるとおつしやるが、われわれ直接目撃しておるのに民間の人が悪いことをしたのと、官吏が悪いことをしたのとではあとの処置にたいへんな差別があるようであります。私は、こういう国の大事な財産を預つておる、官金公金を預つておる人は最も責任が重いと思う。またそういう人が悪いことをした場合は、むしろ民間の個人よりも、いわゆる責任感において強きものを感ぜなければならぬのであります。またその本人の心構えも、またそれを監督される人も厳粛な態度をとらなければならぬ。しかるに今御報告を聞きますと、上の出張所長なんかは戒告で済んだ。これはたいへんゆるいと思います。戒告どころではない。その監督不行届きの罪を国民に謝するためにみずから辞職をさるべきものである。しからざれば上から相当厳重な処罰をされなければならぬ。それがないからやはり終戦後年々こういうふうに官吏の不正事件がふえておるのです。さつきも私が申し上げました通りに、国有財産を預つておる大蔵省が一番この不正事件が多いということは、とれほど国家にとつてやつかいなことはない。これは大蔵大臣初め一国の総理大臣も閣僚もみずから決算については軽んぜずにやつていただきたい。予算には閣僚が行つて予算とりに大騒ぎをしておる。そしてあとのしりぬぐいには閣僚は顔も出さない。私どもはこれらの大臣や役人をはなはだ不親切なる、また責任のない人々であると思つておりますが、思うのが間違いか知らぬが、こういう点からお互い政府の役人もわれわれ代議士も自粛せんければならぬと思う。  私は南九州の鶴添某を知つている。私が市長時代に、この者が某料理屋へ毎晩のように入り浸つていることは、私目撃しております。この点から考えて今後大蔵当局の、この不正なことを――これは大蔵当局ばかりではありません。どうも終戦後お役人の飲み方が多過ぎる傾向があります。このことは私一人申し上げるのではない、私の地方の人々もみなそう考えている。おそらく日本八千四百万の人もそう思つているのではないか。私は追放が解けて久しぶりに東京へ来て見ると、またぞろ昔のような待合政治に返つている。こういう状態ではいかに綱紀の粛正を唱えても私は不可能だと思う。あまり役人が頻繁にいなかも都も料理屋で飲み食いされることは、確かにこれは綱紀紊乱の徴候だと思う。われわれ議員は今待合に行かなくても、議員の食堂もあり、会館や議員宿舎にも食堂があり、たいがいのことはそこで済ませる。願わくは、こういう不正なことが大蔵省に起きた以上は、大蔵大臣はみずから自粛して宴会などへは御遠慮する態度をとつていただきたい。たいへん乱暴なことを申し上げるかもしらぬけれども、それでないとわれわれ政治家も役人も国民から信を失うことになります。こういう点はほんとうに心から罪を感じたという意味で――わずか五十八件の百人内外の悪い者がおつたために、皆様方のまことにりつぱな方々に対してこういうことをお願いするのはたいへん御迷惑だけれども、一つの伝染病がはやつたと思つて、何十年もということは申し上げません、せめて一年のうち何箇月間でもよろしいから、厳粛な態度をとつていただくことをお願いする次第であります。  なおまた、私さきにも申し上げましたし、吉田さんもおつしやつた通り国有財産をむちやくちやに早く処分してしまわなければいけないという傾向が私の方では見えている。そうお急ぎにならなくても、価値のあるものは待つておればりつぱに使える。そういう国の財産のりつぱなレールを鉄くずという名目のもとに処理してしまう。これはお互いに自殺的な行動なのだ。そういうむちやなことをなさらぬで、価値のある物は価値のあるように処置をなさらないといかぬ。ことに私の方の南九州などでは、中央から目が届きませんから、会計検査院の方でもまた上の大蔵当局の方もちよいくああいうところも御視察なさつて、事が現われぬ前に警告を発して取締りをしていただきたいものであります。私はたいへん失礼なことを申し上げましたが、何とぞこのことについては、これは二十五年度であるけれども、事実今相かわらずの不正が行われているということを私は目撃しているのです。不正不当が行われている。それで現在の大蔵大臣、大蔵当局が断固たる処置をおとりにならぬと、やはり毎年こういうふうにして不正あるいは不当な大蔵省役人行為は決して尽きはせぬと思つております。どうかこういう意味から――今回も三千五百万円のたくさんの金を国に迷惑をかけておられる。それが約七分の一、五百万円しか回収ができておらぬ。七分の一しか回収ができておらぬというのは、民間の事件であればこんなことはない。国の役人のせられたことは未回収納入が悪い。そうして上の役人戒告ぐらいで置く。これはいけないと思う。私の郷里のことを申し上げると失礼ですけれども、皆さんは御承知でしようが、島津さんが徳川時代に木曽川の工事でたいへんなおきゆうをすえられて大阪の高い金を借りて困た。われわれ鹿児島の百姓どもはそのたたりで夜も昼もたたかれて難儀苦労をした。その際の家老の平田靱負さんは、その罪を感じて自刃をして死んだということは世間周知の事実なんです。今の世の中にそんなやぼなことを申し上げるのは失礼かもしれぬけれども、私は腹を切れとは申し上げませんが、いずれにしても自分の責任を感じて、みずからそういう際には上の人が進んで辞職をする。辞職をしない場合には、もつと上の人が厳重な処分をされなければ、あるいは減俸をやるとかあるいは他にどうかするとか相当な処置をとられなければ、下の悪いことをした者だけ処分されても、上の人がそういう生ぬるい態度をしておられたんでは私はだめだと思う。これはやはり責任者である上の人がもつともつとりつぱな態度をとらぬければ、かつて石川五右衛門が言つた通り、なかなか盗人の種は尽きはせぬと思う。こういう意味から、今でもやはりありつつありますから、今後厳重な監督をして、再びかかる事件がわれわれ国会の決算委員会に出ないように、防止されんことをお願いする次第であります。  では以上申し上げて私の質問を打切ります。
  73. 迫水久常

    迫水委員長 ほかに質問ありませんか。
  74. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 それではここでひとつ聞いておきますが、官庁で悪いことをした者におしかりを与える、そのおしかりの段階はどういうふうになつているか。それが結局実際の役人の名誉とか職分にほんとうのおきゆうのすわる程度はどの程度になるのか。その段階をひとつ。こういうものを読んでもその程度がわからぬので……。
  75. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいまお尋ねの点ですが、ごく大体のことを承知しているわけでありますが、国家公務員法に基く懲戒処分というのは大体四段階にわかれておりまして、一番きつい場合が懲戒免官。その次の段階が停職。これは一定の期間を定めて停職にするわけでございます。その次の段階が減俸。これは期間と何パーセント減らすかをきめて減俸の処分に付します。その次の段階が戒告であります。それで、国家公務員法に基く懲戒処分はそれだけでございますが、そのほかにもう少し事情の軽い者につきましては口頭で戒告を加えている。こういうことをいたしております。
  76. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 その口頭の戒告というのが注意というやつですか。
  77. 阪田泰二

    阪田政府委員 そうです。
  78. 田口長治郎

    ○田口委員 一七七号についてちよつとお伺いいたしますが、地方公共団体の短期債の、しかもつなぎ融資という性質のものを横領したというのですが、どうも常識としてはすぐ暴露しそうで、とうてい普通の人間では考えられないことだと思うのでございますが、これはどういうようなつもりで、こういう問題が起つたのでしようか。あるいは何か相場をごの金でやるとか、浮貸ししてただちに埋めてしまう、そういうつもりであるか、その点をはつきり御調査になりました分がありましたら、御説明願いたいと思います。
  79. 稲田耕作

    稲田(耕)説明員 いろいろ取調べました結果、御想像のように三箇月々々々であれいたしておりますから、その間に埋めることができるという考えであつたようでございます。
  80. 田口長治郎

    ○田口委員 そういたしますと、これはどういう機会にばれたのでございますか。
  81. 稲田耕作

    稲田(耕)説明員 詳しく申し上げますと、昭和二十六年の七月十日、日本銀行名古屋支店より資金運用部資金の貸付金の残高表の送付を受けて、貸付台帳とつき合せをいたしました結果、合わない点が出て参りましたので照合いたしましたところが、藤岡村六百万円、西批把島町四百万円、その残高が符合いたしません。なおこれが償還の事跡がないということを確認いたしました。それで七月三十日に貸付書類を再調査いたしまして、借入れ申込書には行員の判こが押してありますし、付属書類もちやんと添付されておりますが、ただ両公共団体の書類の筆跡が大石明という融資課員の筆跡に似ておりまして、それから正常な決済文書として処理されておりますが、怪しいというので調べて行きますうちに、融資を受けておるはずの藤岡村、西批把島町が借入れの事実がないということがはつきりわかりまして、それでわかつたような次第でございます。
  82. 田口長治郎

    ○田口委員 沢田某という人はどういう学歴の人で、どういう経歴の人なんですか。
  83. 稲田耕作

    稲田(耕)説明員 沢田義男、大正六年十一月一日名古屋市に生まれておりまして、昭和十年の三月三十日に愛知県の第一中学を卒業しております。それから名古屋中央電話局の通信事務員になりまして、そこをやめて東海工業株式会社に入つております。またそこをやめまして但馬産業株式会社に入り、二十三年の一月三十日にそこをやめまして、二十三年八月二十一日に大蔵事務官に採用になつております。
  84. 田口長治郎

    ○田口委員 どうもこの種の犯罪には、学校を出て官吏になるまでに、いろいろな経済界の体験を経て来た人が割合いに多いように考えるのでございますが、何かこの犯罪とその人の経歴から――これは大蔵省自体の仕事ではないと思うのでございますけれども、犯罪者の学歴あるいは民間会社との関係、そこらにどうも相当関係があるようでございますが、こんなふうに大蔵省から非常にいろいろな問題が出るといたしますれば、その点をひとつ御研究くださいまして、もしそういうようなプロバビリテイがあるとすれば、よほど将来考えなきやならぬと考えるわけでございます。私も非常に犯罪自体がおかしいから、何か学校を出てからそういうような経歴のある人ではないか、こういうふうに想像したものですからお尋ねしたような次第でありますが、そういう方面をひとつ研究していただきたいと思います。
  85. 永田良吉

    永田(良)委員 私もただいまの田口さんの意見と同様に考えておるのですが、財務局役人は終戦後にわかに登用されたのが多いようであります。それで前の身元調べもよくできていない関係もあるであろうが、またこれは臨時的な役人であつて、あまり将来も長く在職して働くというような希望もないのかしらぬが、そのために当時こういう悪いことをした者が多いのじやないかと思います。それで、財務局にはむしろ大蔵省の中央なんかにおられた、大学でも出て相当の教養のあるりつぱな方を出張所長とか、そういうところに入れて葉れぬと、ますますこういうことになりはせぬかと思います。こういう点について、当局はやはり現在のようなやり方でいいとお考えですか。  なおその次に、公務員の懲戒法の適用ですが、私はこれははなはだゆるいと思う。四段階があるとおつしやいましたけれども、そのうちの一番軽い戒告で上の人がおるということは、これはひどいと思う。本人が刑に服した以上は、その次のそれを監督すべき人は、順序としてやはり免官か休職か、そうして一番最高の監督者も減俸に処すべきものとわれわれは考えます。大臣初め大蔵省役人はみな一箇月か一年か減俸をやるような処置をおとりにならなければ、この弊は改まりません。たいへん私は失礼なことを申し上げるけれども、こんなに悪いことをたくさんの人がするのに、ただ戒告で、何べん戒告したからといつてそれが改まるものではない。もしそういうことをなさらぬことには、われわれ委員会でこの公務員の懲戒法を改正でもしていただくか、もつと段階をよけいつくるか、何か方法を講ぜんければ、このままでは私はやはりこの不正事件の種は尽きないと思う。何かこれに対してもつと上の人が責任を負う態度をお乏りにならぬければ、決してこの弊は改まらぬと思つております。これに対して大蔵当局はどういうふうにお考えになりますか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  86. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいま財務局財務部の問題等につきましてお話がありましたわけでありますが、私どもも御趣旨とまつたく同様の考えを持つてつたわけでありまして、先ほど来いろいろお話が出ておりますように、財務局は終戦以来、軍用財産その他厖大な財産を引受け、その処理をするために非常に急ポで各方面から人を集めました。その中にいろいろ適当でない者がまざつてつたことは、確かに御指摘通りでございますが、しかしその後こういうような苦い経験にかんがみまして、人事等につきましては、よほど注意いたして、優秀な人を入れるように努めたつもりでございます。ただ  いま大学くらいを出た程度の相当な者を地方に配置するようなお話がございましたが、現在は大体地方の財務部長程度のところは、みな大学を出た人が当つておるようになつております。管財部長その他もちろんそういうふうな人でありまして、一層これから気をつけて参りたいと思います。以前に比べますれば、非常によくなつて来た、大いにしつかりやつてもらいたいというふうに私どもは考えておるわけであります。  それからただいまお話のありました懲戒の問題でありますが、これにつきましては、先ほどの預金部関係のような、ああいう大事件を引起しまして、それに対して次長、部長等が懲戒として減俸程度であるのは適当でないというような御意見と思いますが、これにつきましてはいろいろ事情もその当時あつたのだろうと思いますけれども、実際問題といたしまして、事件当時在勤しておりました次長、部長は、いずれも、減俸処分を受けました以後責任を感じて退職しております。実情はそういうふうな状態なつておるわけでございます。
  87. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 一、二点だけにとどめたいと思います。  前会から、私としては一応懸案になつておつたのですが、例の東海財務局関係でございます。またもきよう出て参りました。しかもこれは前の、番号一五九号の場合六件になり、それからまた一七七号、さらに二十六年度報告における四五六号、いずれもが昭和二十五年、六年ごろにわたつて案件のようであります。そこでこれについてどういうような最後の処分ができたのか。処分というのは、処罰といいまするか、その関係者に対する人的措置はどういうふうにしたのか。この報告書にはどうもはつきりしていないのですが……。
  88. 阪田泰二

    阪田政府委員 東海財務局関係でこういう不祥事件が非常に起きたということにつきましては、先日も御指摘のありました通りでございまして、まことに申訳ない次第でございます。関係者の処分につきましては、その事件事件につきましてそれぞれ処分されておりますので、今までに申し上げたわけでありますが、全体といたしまして、この東北財務局関係、ことに国有財産関係、あるいはこの預金部資金関係等で、他の局に比べてみましても、そのごろの時期におきまして、そういうふうに不祥事件が頻発したということは、やはり全体として仕事がどこか弛緩しておつたところがあるのじやないかというふうに考えられるわけでありまして、先ほども申し上げましたように、局長は戒告を受け、関係次長、部長は減俸処分を受けるというような事項もあつたわけでございますが、結局その後におきまして局長は他へ転勤いたしました。それからこの期間に次長をしておりました者は、当時他へ移つておりましたが、責任を感じてすべて辞職いたしております。それから関係課長が、局の課長でありますが、二人あるわけであります。一人は同様辞職いたしております。あとの一人は現在休職中ということになつております。
  89. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この「二十五年度決算報告に関する関係処分調書」の第十六帖の裏の一七七号でありますが、東海財務局長吉橋何某については何も書いてありませんが……。
  90. 牧野誠一

    ○牧野説明員 御指摘のように、当時東海財務局では、犯罪関係だけでなく、資金運用部資金の関係で、両方が一緒に起きましたので、局長、次長に対しての戒告という処分は、そのとき一括と申しますか、時を同うして起きましたもので、戒告ということをあわせて処分したというようなことに相なつております。
  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると一五九、一七七、昭和二十六年度報告番号四五六は、大体時を同うしておつたので、一括して戒告処分を受けた、こういうことになりますか。
  92. 牧野誠一

    ○牧野説明員 そうです。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そのあなたの方の資料はどこに書いてあるんですか。一五九というのもどういうわけか出ておりませんね。
  94. 牧野誠一

    ○牧野説明員 これは一括して処分したということに御報告申し上げませんで、たしか預金部資金関係の件について処置をしたということに御報告してあつたかと存じますが、これはわれわれの方の手落ちでございます。申訳ないと思います。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると、これが不備であるわけなんですね。そのことには聞違いないわけですね。
  96. 牧野誠一

    ○牧野説明員 そうです。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これはわれわれの方でも重要な参考資料でありまするので、できれば訂正して、今のように明らかにしていただくことと、なおできまするならば、他と御相談の上、これからなお大蔵省審査が残つておりますので、現在その人はどこに勤めているか、それとも勤めていないか、その辺についてももう少し詳細につけ加えてもらえばなおけつこうと思うのですが、これは適当におとりはからい願います。どうせ国税庁の調査のときにまた要求が出ると思います。
  98. 迫水久常

    迫水委員長代理 そのようにとりはからいます。  それから稲田説明員から今の件について補足説明があります。
  99. 稲田耕作

    稲田(耕)説明員 一七七につきまして補足的に御説明申し上げたいと思います。東海財務局長吉橋鐸美及び理財部長栗林四郎はいずれも懲戒戒告なつております。融資課長高田万一郎、課長補佐伊藤賢、第一運用係長荒木正矩は一箇月間一割の懲戒減給になつております。そのあとで融資課長高田万一郎は責任を痛感して辞職、理財部長栗林四郎はその後になつて辞職いたしております。
  100. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうすると結局不備でありまして、やりかえていただかぬと、資料にならぬと思います。それからこれは事務当局に伺うことは適当でないのですけれども、一応われわれの参考に事務当局意見も聞いておきたいと思うのですが、本委員会においてこの間来議論の中心になつているものの一つは、処分が少し寛大でないかという点であります。われわれも情においては忽びませんけれども、非常に厳粛に処分するということになりましたならば、何千万円の損害が防げると思います。国家の財政から考えましても、上の人に責任を生じ処分をせられるという措置を講じて下を戒めるというふうにすれば、この一七七号だけでも千万円の国家の損害でありまするので、こういうものがもつと機構の改善とかあるいは人の優遇とか、そういつた方面に振り向けられることによつて、国家の行政は改善されて行くものと思うのであります。それで、やはりこれは、あなた方事務当局としては高い地位におられる方でありますが、できるだけ上まで及ぶということにして損害を防ぎ、こういうことの起らないように十分に予算も組んで、人間も大切にするというような何かの手を打たなければならぬのじやないかと思うのでございます。これは事務当局の方に聞くのはちよつと酷かもわかりませんけれども、何かお考えがあればひとつ局長の方の御意見も伺つておいたらと思うのです。
  101. 迫水久常

    迫水委員長代理 吉田委員に申し上げますが、その点はいずれ大蔵大臣でも見えたときにしていただきたいと思います。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 よろしゆうございます。  それではもう一つつておきます。これならばあなたらの御答弁もお困りじやないと思うのですが、私どもも毎日目にあまつております。実を言えば、これは速記はやめていただいて御答弁願いましてもけつこうですが、地方からたくさんに陳情される方が来られ、役人を招待なさる機会が多過ぎます。役人の方もたいへん迷惑であろうと思うのですが、東京の待合とか料享においては盛んにそういつた風景をわれわれ目撃するのであります。そういうようなことが犯罪ということに至らずとも、絶対に避けなければならぬというくらいな心構えで臨んでおられたら、私はこの事件も起らずに済みはしないかというふうに考えるのです。そこでこれはほとんど常習というと悪いですけれども、白昼公然と、平然と行われるという弊風が彌漫いたしておりますので、このことについて事務当局として御感想はありませんでしようか。
  103. 阪田泰二

    阪田政府委員 ただいま御指摘の点は、御趣旨通りまことにごもつともだと思います。私どもの国有財産関係仕事は、ことにある財産処分するとか、貸与するとか、いろいろ覆相手の経済的利害に関係して来るということで、特に気をつけなければならない仕事だと私ども考えております。それで直接そういうような、関係のあるものから饗応を受けるということは、本局ではもちろんやつておりませんし、地方でもそういうことは絶対に受けさせないように注意いたしております。ただ実際問題といたしまして、御指摘のようなことが目に触れるといたしますれば、これはたいへん遺憾なことでありますから、今後ともいろいろな機会に十分注意いたすように申して参りたいと考えております。
  104. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかに御質問はありませんか。――ただいままで大蔵省所管関係について御審議をいたして参りましたが、その大蔵省所管関係のうち国税庁関係案件につきましては、資料の要求その他の事情によりまして、その審議を後日にいたしたく存じますので、御了承願つておきます。
  105. 古井喜實

    ○古井委員 大蔵省関係の資料のことですが、先ごろ酒屋の許可の資料をお願いしたのですが、それについて終戦後を一括して書いた資料が来たわけです。これは終戦後を一括しないで、年度別にいたしてもらいたい。ことに二十七年は月別にしてもらいたい。それからもう一つ、認めた石数も明らかにしてもらいたいということを事務の方にお願いしておきましたが、この点よろしくおはからい願いたいと思います。  それからもう一つ、内認可というのを与えておる事実があるようですが、この内認可を含めて資料にして出してもらいたい。この点はきよう新しく申し上げますから、よろしくお願いいたします。
  106. 迫水久常

    迫水委員長代理 了承いたしました。     ―――――――――――――
  107. 迫水久常

    迫水委員長代理 次に文部省所管の審議に入ります。  文部省所管につきましては、報告書の百三十九ページであります。百三十九ページの報告番号五二二及び五二三の二件を便宜一括して議題といたします。これについて特に詳細の説明を求めます。会計検査院検査第二局長上村説明員。
  108. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 五二二号の案件でございます。これは事実を申し上げますと、名古屋大学の附属病院で、二十四年の九月から二十六年の五月まで社会保険診療報酬支払基金事務所から診療報酬として受けました病院収入の二千八十九万七千五百二十円を、帝国銀行の支店に預け入れておきまして、その間に生れました利子七万六千何がしのうちから、当時愛知県丹羽郡犬山町外二十五町村から収納未済になつておりました二十四年度の病院収入に充てた、こういう事案であります。御承知のようにこれは収入官吏が扱つたのでありますが、収入官吏が収入金を受取りました場合には、即日あるいは翌日に日本銀行に払い込む建前になつておるわけでありますが、ここではそういう措置がとられないで、一時市中銀行に預け入れという異例の扱いをされておつた、こういうことはおもしろくない、またこういうことが弊害を生じる、こういうふうに考えております。それからその次にはこういう取扱いをしておられました関係上、実は当時の二十四年九月から二十六年五月までの収入になつたものと、それから日本銀行に払い込まれましたものとを全部つき合せてみたわけでありますが、結局において受取られた金額と日本銀行に払い込まれた金額の間に十一万八千二百七十円の誤差がある、こういうことになつております。これは実は私の方で相当調べてみて誤差のあることはわかりましたが、それがどこでどういうふうになつたという原因までははつきりいたしておりません。なおこういうふうな扱い方は会計の建前としては非常におもしろくありませんので、二十五年の七月文部当局に対しまして、面接こういう種類の収入金は日本銀行に払い込むようにして、過ちのないようにされるよう、実は改善の要求をいたしまして、多少時期はずれておりますが、その後直接日本銀行に払い込まれるようになりまして、こういう事態は起らなくなつておるのだと思います。  次は、五二三号でありますが、これは京都大学の結核研究所で、二十三年七月ごろから二十六年四月ごろまでに受取つた病院収入のうち、百二十三万千九十七円を当然日本銀行に払い込まなければならないのにかかわらず、これを一般の経費に充てたことは法規の建前上おもしろくないわけであります。これを歳入に払い込まれないで、職員の旅費の貸付金あるいは俸給の貸付金あるいは土地の購入費の補足、接一待費等に充てられたわけでありますが、この穴につきましては、その後京都の病院に財団法人の和親会というものがございまして、二十六年七月に全額を国庫に入れられまして一応補填されておる、こういうふうな状況になつております。
  109. 迫水久常

    迫水委員長代理 これに関し文部省しの説明を許します。会計課長小林政府委員
  110. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 病院収入の取扱い当を得ないものといたしまして、二つの事案を御指摘なつたわけでございますが、そのうち五二二号の各古屋大学附属病院の事案につきまして、その事件の事実につきましてはただいま会計検査院の方から御指摘のあつた通りでございます。支払基金事務所から支払いを受けた収納金は、出納官吏事務規程によつて、一定の時間内に日本銀行に払い込まなければならぬことは当然でございますが、これを一時市中銀行に預入したと申しますのは、これはもちろん会計事務の規程上よろしくないのでありますが、しかしそれには事情がございました。当時いろいろな社会保険がございまして、この診療料金の納入状況が、支払基金事務所の財政状況から必ずしも順調に行かなかつた。そのために、大学病院の方から診療料金を請求いたしましても、そのうちの一部しか払つて来ない。御承知の通り社会保険につきましては、一定の基準に従つて診療するということで制限診療になつておるのでございます。ところが大学病院におきましては教育あるいは研究というような建前から、必ずしもこの制限診療に拘束されることをよしとしないというようないろいろな事情もございまして、制限診療のわくを越えた治療をするといつたような事情もあつたわけでございます。従つてこの診療料金につきまして料金の請求をいたしますと、その料金の請求に対して査定をして内払いをして来るというようなこともございます。従つて支払基金事務所の方から料金の納入がございましても、これがどの支払いに対する料金の納付であるかというようなことを、一々調査しなければななないような事情がございます。出納官吏事務規程によりますれば、一定の時間内に、その日またはその翌日に、ただちに日本銀行に払い込まなければならないというように規定されておるのでありますが、これをするのはなかなか容易でございませんので、そういつた事情から一時保留中の国庫金を市中銀行に預入したという扱いをいたしたのでございます。しかしながらこれは会計法上もちろん当を得たものではございませんので、先ほど会計検査院の方からお話のございました通り、一昨年十月にこういう制度は廃止いたしました。今後はこのような事態は起らないことと思つております。  なお、銀行に預入いたしました預金利子のうちの大部をもちまして、病院収入の未納金の払いをいたしました。これは組合等の支払い状況が悪いために、どうしても未納になりがちでありますので、その一部分に代替いたしたのであります。この金額も現在までにはすでに回収を終りまして、皆済いたしておるわけでございます。  なお、ただいま申しましたような経理の方法をいたしておつた関係上、支払基金事務所から支払われた総額と、国庫に現実に払い込まれた金額に差額を生じまして、十一万八千二百七十円が不符合になつておる。これにつきましては、検査院の方でも非常に御熱心に検査をしてくださいまして、その原因がはつきりわかつたということでございますが、文部省といたしましてはそれだけでは困りますので、その後積極的に努力をいたしまして、この実態をつかもうといたしたのでございます。社会保険の中で、いろいろ重複した支払い等もあつたようでございますし、推定でございますが、なおそのほかにもつぶれた保険組合等もあつたようでございまして、現在その実情を調査し把握することが困難な状況になつておるわけでございます。  第五二三号の京都大学結核研究所の事案でございますが、これも、病院収入は当然国庫収入として日銀に払い込まなければならぬのを、その職員が結核研究所の事業の拡充、その他の必要から、土地購入費の補足、あるいは接待費等のために使用をいたしましたり、また一部分を職員に対する貸付金に使用するような事態を生じましたことは、まことに遺憾と考えておるわけでございます。この結核研究所と申しますのは、昭和十六年に創立された研究所でございまして、病院の一部分を使用いたしまして、研究室並びに病室として発足したのであります。その後だんだん義至つて参りましたので、でき得るならば独立の建物、敷地等がほしいというようなことで、研究所としまして、事業拡張についていろいろと奔走されておつた事情もございまして、そのために職員の旅費の補足その他にその一部分を流用するような事態を惹起したことだと思つております。しかしながら、こうした金の使用といたしましては、もちろん不当の使用でございますので、今後は一層会計事務の監督を厳重にし、また取扱いも厳重にいたしまして、このような犯罪事案の絶滅を期したいと考えております。なお五二三号の事案につきましては、当時の研究所長が責任を感じまして、その費消金額の百二十三万一千九十七円の金額を個人で融資を受けまして、国に対して弁償をいたしたような次第でございます。
  111. 迫水久常

    迫水委員長代理 質疑を許します。
  112. 永田良吉

    永田(良)委員 私は土地購入費についてお尋ねいたしたいと思います。註記によると、八千五百七十五坪とあるようです。これを全部お買上げになつたとすれば、土地の購入費の補足であるから、この二十万円がそれになつているのか、どうですか。御説明願いたい。
  113. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 結核研究所の土地購入費の補足についてのお尋ねでございますが、大体この土地購入につきましては、所有者と結核研究所の長い交渉の経過がございまして、所有者の方は大体百万円というような言い値をしておつたようでございます。しかし文部省の予算でこれを購入いたします際に、いろいろ見積り等をいたしまして、大体六十万円見当が適当であろうというので、六十万円の予算を実は配賦いたしたのでございます。それで一応購入できる見込みでおつたのでありますが、土地の所有者はどうしてもやはり百万円ほしいというようなことで、大学の結核研究所の方に種々交渉をいたしました。従つてこの交渉の責めに当りました関係者が、遂にやむを得ず、その六十万円と百万円の中間の八十万円程度にしてもらいたいというようなことで、二十万円だけを補足したというようなことに相なつておるわけでございます。
  114. 永田良吉

    永田(良)委員 しからば八千五百七十五坪に対しては八十万円と解釈してもいいのですか。
  115. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 正規には六十万円で購入したのでございますが、それ以外に不正の金をもつて二十万円を補足したわけでございます。
  116. 永田良吉

    永田(良)委員 しからば八千五百七十五坪というのを借りておられて、土地購入費の補足が二十万円、こうなれば、単価を明瞭にするためにはこの註記ではわれわれはどうも了解ができにくいから、こういうものは何でももつと単価に対する明細な説明がないと誤解しやすいので、八千五百七十五坪に対して二十万円だけの補足だから、単価は、八十万円をこれで割ればよいわけです。  それはそれでよいですが、私は日本全国大学のうちでふに落ちないものがあるから、この際にお尋ねいたしておきたいと思う。一体官立の大学、特に農科大学で、元官有地を払い下げて持つていらつしやる山林の総面積というものは大体どれくらいあるでしようか。これを御承知ならば、たいへん御迷惑だけれども、ちよつとお教えいただきたい。
  117. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 ただいま的確な数字を持つておりませんので、いずれ調べてお答え申し上げたいと思います。
  118. 永田良吉

    永田(良)委員 それでは一つの例について質問申し上げます。鹿児島の農科大学が、大隅の牛根村というところに約二千五百町歩、それから佐多町に約三百町歩と記憶しておりますが、元官有地の演習林を持つておる。考えてみると、一農科大学で、約二千八百町歩の元の国有林を払い下げて演習林にしておられる。これは高等農林時代の玉利校長の功績であつて、たいへんけつこうなことであると思うが、これについて非常に都合の悪いことが起つた。それは農林省の国有林であれば、今皆さんごらんの通り、特別法令で払下げができる。しかるに文部省関係のものはそれができないんじやないかと私は解釈しておる。これについて御答弁ができますならば、ちよつと教えていただきたい。
  119. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 大学で所管をいたしております演習林の面積でございますが、これは学生の数、その他教授上の必要からその規模が大体決定され曲るわけでございます。従いまして、ただいま御指摘の鹿児島大学の例について申しますと、教育上必ずしもこの二千八百町歩を必要としないというような大学当局の意思に相なりますれば、不必要の部分につきましては、これを公共の用途を廃止いたしまして、大蔵省の方に引継ぐことに相なると思います。
  120. 永田良吉

    永田(良)委員 しからば重ねてお尋ねいたしますが、実は今の鹿児島の農科大学の演習林のある牛根村と佐多町は、大隅で一番貧弱町村なんです。ことに牛根は山と海とによらなければ一村の生活ができない。それが、ただいま村内にある国有地が全部大学の演習林になつてしまつた。それで村民が幾ら払下げをお願いしても今までできなかつた。きようの説明でわかりましたから、そうしていただければけつこうだと思います。国有地は大隅半島、薩摩半島に十七万町歩もある。それで学習の程度から見ても、あるいは一部分は町村にお払下げになつて、その金をもつて他に演習地を新しく開設されることを佐多町、牛根村ともにお願いするわけです。佐多町も牛根村も引揚者が入つて来ておつて、いずれも演習林で包囲されていて、開墾もできない、払下げもできないで、たいへん困つておる。そういう事実があるから、農村を指導開発すべき土地を文部省の農科大学の演習林にとられて、二つの町村が泣いているということは、今の時代においてたいへん時代錯誤のなげかわしいことでありますから、私は大隅の出身であつて、こんなことを申し上げるのは失礼でありますが、どうかこの二箇町村民の悲痛な思いを解除していただくように、文部省の方で考究していただきたいということを、この機会にお願いいたしておきます。たいへんかつてなことを申し上げて済みませんが、よろしくお願いいたします。
  121. 迫水久常

    迫水委員長代理 文部大臣は大体三十分くらいの予定で御出席になつておられるそうでありますから、文部大臣に対する御質疑がありましたら、先にお願いをいたします。
  122. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 五二四号はまだ入つておらぬのですか。
  123. 迫水久常

    迫水委員長代理 今入つていないのですけれども、それでは先に説明させますか。
  124. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その方がいいと思います。
  125. 迫水久常

    迫水委員長代理 便宜、報告書百四十ページの、報告番号五二四ないし五二九の六件も、この際一括して議題といたします。  これについて特に説明をすべき分があるならば、上村説明員からまず御説明を願います。
  126. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 大体あとの事案は、簡単明瞭の案件かと思いますが、五二四号の、予算を越えて薬品を購入したという事案について、一言御説明しておきます。  これは御承知のように、病院でありますから、入院患者がいます。あるいは外来患者が来るわけでありますが、来ました場合に、薬がないというわけには参りませんので、薬をお買いになつた。ところが予算の方の制約を受ける関係上、予算では買えませんので、実際は薬を買われたが、当該年度では薬品代が払えなかつた、こういう事態であります。こういう事態は、二十五年度のみならず、二十六年度にも同じような事態が起つて来ておりまして、二十五年度は、私の方でわかりましたところでは、そこに書いてありますように千二百万円、二十六年度は五千四百万円くらいになつております。一応やむを得ない面もありますが、この根本原因は結局予算が足りないというところが主たる原因だと思います。あるいはそのほかに、ほかの方の経費を節約するというような面も幾分見えておりますが、大局的には、予算が足りないということが原因だろうかと思います。こういうことは経理上おもしろくありませんので、何とかして正常な経理に持つてつていただいたらということで、実はこれの解決策はないかというので、文部省の方にもお話し、最近聞いておりますところでは、二十七年度におきましては、病院関係経費で、看護婦関係の生徒の経費が、当初の予算定員の四千四百人ばかりに対しまして、減員が千二百名くらいで、実際は相当減つておる関係上、余りが出て来る。これを大蔵大臣の承認を経て、目款の流用をいたしまして薬品の購入代に充てる。と申しますのは、こういうことが年々繰返されておりますのは、結局予算が足らぬ、予算が足らぬというのは、前年度からこういうものが引続いて来るということも、大きい要素になつておりますので、そういう面で、ただいま申し上げましたような措置をとつて、一応二十六年度で解消し、その後は病院の運営面その他において、節約すべきものは節約して、予算で間に合せて行くというふうな方途をとる、こういうふうに聞いておりますので、この事態も順次改善するかと思います。
  127. 迫水久常

    迫水委員長代理 文部省当局において、もし補足的説明を必要と考えるならば、発言を許します。
  128. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 五二四号につきましては、ただいま検査院の方から大体お話がございましたが、これは現在まだ大蔵省当局と完全な話合いの一致は見ておりませんので、決定的に申し上げることはできないのでありますが、看護婦養成学校の生徒の定員が、予定ほど入つておりませんので、この方の経費をこの薬品費の赤字解消に使用いたしたい。もし大蔵当局が認めてくれれば、大体これでやれると思つております。なお今後につきましては、二十七年度の補正予算から医療費の単価がある程度増額を認められましたので、明年度の予算によりますと、大体十六億五千万円程度が医療費に認められるということでございますので、今後はこの経理を厳密にやつて参りますれば、赤字は生じないだろうというふうに考えております。  なお第五二七号以下の公共事業費の関係でございますが、これはやはり年々検査院の方から御批難が実はあつたのでございます。この一般公共事業費につきましては、従来経済安定本部で所管をいたしておりました。その当時は、事実上の取扱いといたしまして、なかなか年度繰越しということが認められて来ておらなかつたのであります。従つているくな事情で工事が遅延いたしましても、場合によつては、補助金を取上げなければならぬというような事態に立ち至ります。六・三制等を推進いたしますために、そういうような事態になることは、文部省として忍び得ないところでございますので、従来この年度繰越しをいたさずやつてつてつたのであります。ただ二十五年度の途中、大蔵省にこの予算が移管されましたので、二十五年度からは、本来当然会計事務といたしましては、年度繰越しをいたすべき性質のものでございますが、しかし二十五年度の途中において、予算が移管されまして、実は事務上の折衝の経過におきまして、なかなかこの予算について年度繰越しがはつきり承認されるかどうかということが、きまらなかつたような事情もございます。従つて年度繰越しの手続をしろということを言つてやるというような状況になりましたのが、年度末に迫つておりました。このために府県から出て来る調書が遅いというようなこともありましたし、また文部省といたしましては、実は公共事業費、ことに六・三建築費の補助というような補助金は、非常に件数が多いのでございまして、一々工事の進捗状況を見てまわるというようなことは、とうていできません。大体府県から工事の計画書、工事の進行状況報告書等をちようだいいたしまして、これを信頼して補助金を交付し、また必要なものについては繰越し手続をするというようなことをやつてつたのでございます。しかしながら、こうした手続上のことで、当然予算繰越しをすべきものをしなかつたという御批難は、これは何とも弁解の余地がございませんで、今後はできるだけこういうようなことのないように、極力努めて参りたいと思つております。
  129. 迫水久常

    迫水委員長代理 御質疑はありませんか。
  130. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この五二四号につきましてお尋ねしたいのですが、これは長年の繰返しでだんだん漸増し棄た数字のように見えるのでありまして、二十四年は百八十万円であつたのが、五年には千二百万円となり、六年には五千四百万円となつたようであります。そこで、今の御説明によると、看護婦学校の手当を振り向けることなどによつて穴埋めをして行きたい、将来は、二十八年は十六億五千万円ですか、この医療費によつて、かような事態は生じないだろうということですが、看護婦学校の予算にしても、それぞれ必要な理由があつて組まれた予算であろうに、そういう厖大なものを他に流用するということをなぜしなければならぬか。また新しく予算に十六傭五千万円組むというのであるならば、その方で解決をするということの方が、根本の予算の編成方針としては筋が通つて来るのでなかつたかと思うのですが、この点はいかがでございますか。
  131. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 薬品の赤字解消につきまして、ただいま御指摘がございましたが、これは御意見通りだと思つております。ただ文部省といたしましては看護婦学校の生徒が予算定員通り実は入つておりません。これは実際に予定したほどの志望者がなかつたということでございまして、これをそのまま年度末において落すというようなことは、文部省としては非常に惜しいように思いますので、もしこれについて財務当局の御承認を得られるならば、これを充当したいというのでございます。本来の筋道といたしましては、ただいま御指摘のございましたように、明年度大学附属病院の医療費の予算においてやるべきものでございまして、その点につきましても、文部省といたしまして、極力財務当局と折衝いたしました結果、この十六億五千万円にはある程度赤字解消的な意味を含めて、この金額を認められたわけでございます。しかもいろいろ黎希て参ることでございますし、また診療患者等もだんだん童参ります憲でございますので、でき得れば先ほど申しましたような看護婦学校生徒経費の不用になる額がもしありますれば、これも充当いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  132. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは大臣に聞いておきたいのですが、こういうように薬品を予算を越えて買うということは、これは緊急やむを得ざる療養上の必要等によつて、あるいは薬品の価格の高騰などによつて生じたことかもしれませんが、いずれにいたしましても国立の病院の経費でありますから、やはり予算を使用する原則を守らねばならぬのを、何年も守らずしてルーズにやつて来たということが、事ここに至つて五千四百万円とたまつてしまつたのであります。そこでその問題の解決を、看護婦学校の金が、看護婦が募集人員に満たぬので余つたから、それを流用するというようなやり方は、やはり根本的に文部省の予算の執行につきまして、厳格に予算を守るという根本態度が、私は欠けているのじやないかと思うのです。この五二二号、五二三号の問題についてみましても、今後はやらないことになつたというので、これはまことに安心でありますけれども、元来こういう病院収入金は日本銀行に納入すべきものだということは、出納官吏事務規程などにも明示するところであります。それをしないでだらくやつてつたので、亡失金として十一万八千円というようなものを上げるような失態を来しておる。あるいは五二三号の事件につきましても、和親会という第三者に弁償してもらつておる。こういうことはほかの官庁では見られない現象であります。こういうことは予算というものに対する観念が明確でないことに由来するのではないかと思います。それでただいまの穴埋めを、財政法上許された目の流用について財務当局の承認を得ればいいというような、そういう形式上だけの問題ではなしに、やはり予算というものは、看護婦学校なら看護婦学校としての使命があるのですから、募集人員が足らなければ足りないで、なぜ足りないのかということを究明して、そうしてその予算は適当に使つて行く。それを他の穴埋めに使うということは一この三つの事件を関連して流れておるものは、やはり文部省がこういづた予算執行について、非常に責任感が薄いということに、一つ原因があるのではないかということを痛感するのであります。なぜ新しく医療費を増額するならば、そこで抜本的にきちつとすることをしなかつたか。余つたもので穴埋めをする、これがみんな共通した思想の流れではないかと思います。この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  133. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私も実は昨夜この報告書を読みまして、そういう点を発見したのでございます。今までどうも予算がえてして削減されまして、そうして実際は保険の問題などというものは、ことに尊重しなければならないものが、十分でなかつたという点があるのでございます。御説まことにごもつともでありまして、私もその通りに考えますから、今後は予算の充実ということに対して十分努めて参りたいと考えます。
  134. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今大蔵大臣と折衝中ということでありますが、そういう流用をしないで、別途予算を補正されるなり何なりの方法で、本来の正規の筋の通つた予算をとつて行くという行き方をされてはいかがかと思うのですが、その点はいかがですか。
  135. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 将来そうして行きたいと思います。
  136. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 関連してお答え申し上げます。実は私先ほどその看護婦学校生徒の経費が余剰を生ずる予定であるので、これを赤字解消にまわしたいというふうに申し上げたのでございますが、これはとにかく何とかして病院の赤字を解消したいということのために、そういうことを考えたのでございます。それも確かに一つの方法とは思いますが、しかしこの点につきましては、明年度の予算におきまして、従来の単価が引上げられました関係で、相当額増額せられておりますし、また二十七年度の補正予算におきましても、ある程度病院の医療費につきましては予算をもらつておりますので、この病院の医療費の予算によつて、できるだけ薬品代金の赤字の解消に努力いたしたいというふうに考えております。
  137. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これも大臣にぜひ伺つておきたいのですが、この委員会において本朝来、また前回、前々回の委員会で繰返し論議されておる点は、幾多の批難事項、特に不正とか不当とかいうような批難の趣旨で、国家に多大の損害を加えたという事件が累積しております。幸いに文部省関係におきましては非常に軽微なふうなので、文教の府の予算執行の成績といたしましては、私ども実は喜んでおるのであります。しかしながらやはりこの五二二号、五二三号のそれによつて見ましても、何十万円の金を紛失金というような名目で処理しなければならぬ事態が起つております。そこで伺いたい点は、かような予算執行上不正不当な行為の結果国家に損害を加え、あるいはいろいろと国の各面に迷惑をかけましたような事案の結末といたしまして、官吏、公務員に対する処置が非常に寛大でないかということが論難の焦点になつておるのであります。何千万円の損害を加えて戒告とか訓告とか何とかいうことでほとんど済まされている。これはたいへんなことであります。何とかわれわれも合して、国会の権威によつてこれの結論を得なければならぬというふうに目下腐心しております。そこで国務大臣としてのあなたに伺つておきたいことは、やはり文部省におきましてもこういうような、たとえばこの中におきましても病院収入のうち五二三号は日本銀行へ払い込むことをしないで、接待費その他に用いておるということであります。今日の腐敗した社会から見て、接待費が若干いるということはよくわかりますけれども、やはりこれはこういうふうに公けになる以上は、そういう点については相当糾明せられなければならぬ。そこで、相当上の地位の人は、少くとも政治の方針として、行政の方針として誤つてつたような事実が指摘される場合には、次官、大臣までがその責めを負うて、何らかの形においてやはり国家国民に謝するという道が開けて来なければ、年々千数百件に上る批難事件は跡を絶ちません。末端の人間はそれぞれ名前まで指摘されまして、麗々しく書かれて、いろいろと処罰されたことがここに書いてあるのです。しかし上へ行くほど消えてしまつている。だんだん聞きましても、ともかく局長まではやや行つておる姿が見えますが、それ以上は行かぬのです。こういうことは逆でありまして、われわれは上に対して厳格であつて、下に寛大であるということであれば、こういうことはなくなつてしまいます。しかし上に寛大で下にきついという行き方をしましたら、末端は広がつて行くのですから、そういう結果は得られないと思います。そこで官紀振粛の意味におきまして、不正とか不当とかいわれる事項の責任は、上へ行くほど厳格に負わねばならぬという方向へ、政治を持つて行かねばならぬと思うのであります。またこういうことについて立法措置なり何らかの措置を講じなければならぬだろうと思います。そうしなければ、決算委員会で幾ら審査しても、これは意味がないのであります。それについてひとつ国務大臣としての御所見を承つておきたいと思います。
  138. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 ただいま伺いました点につきましては私もしごく同感でございます。ただ問題は、終戦後いろんな事件が起きまして、それがまた非常に広汎に出て来るものでございますから、これは何とか最高責任者が相当に考えなければならぬと思います。よくわれわれ内部で、と申しますか、どうしたらこういうことがなくなるのだろうか、またどうしたらほんとうにやつて行けるのだろうかということを研究しておりますが、その点はひとり文部省ばかりでございませんで、全省に向つて、そして適当な措置を考えなければならぬ、こう考えております。その点はしばらく御猶予願いまして、われわれといたしましては御趣旨に沿うように、またそういうことのないようにできる方策を講じたいと思います。
  139. 永田良吉

    永田(良)委員 決算の上において千何件もあつたのに、一番多いのは大蔵省で、建設省も多かつた。文部省は比較的少いということはたいへんけつこうなことだと思います。但しこれらの原因を考えてみますと……。(「予算が少いからだよ」と呼ぶ者あり)それはそうでありますが、いずれにしても年々こういう不始末が出ているというのは、やはりその局に当る人の教養において今後気をつけていただきたいのであります。どうか学生の教養においても責任感を重んずるように、ひとつ一段の御努力をお願いしたいと思うのであります。そういう点から、今後文部省を第一着に、こういう会計検査院から不当不正の指摘を受けるようなことがないように、一段の御努力をお願いしたいと思うのであります。  なおこれは決算にはちよつと関係がないのですけれども、私は最近の日本の火災の多い点、これが特に学校の火災は、その損害が国や地方の府県市町村に及ぼす影響が大きい。これらはどこの官庁でも同じですけれども、特に学校は寄宿舎があるとか、病院があるとかで、特に寄宿舎の宿直員の勤務状態を十分引しめていただきたいのであります。それから不正事件等が起つたのは、学校の職員は教育の一員だけれども、大概学校には書記というのがおられて、あの人がいろいろ授業料を集めたり、支出をしておられる傾向がある。あのりつぱな学校の職員のほかに、この書記の任免については相当御注意が必要ではないかと思うのであります。いかがわしい人間は絶対に学校の書記には任用せぬようなふうに御注意ありたいと思いますが、これに対してひとつ文部大臣の御所見を承つておきたい。
  140. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。終戦の結果でもございましようか、人を選抜してやつて行くということが事実上できなかつたことも原因でございましようし、また終戦後非常に、何と申しますか、国民が自信を失い、また生活に非常に困つたというようなことが一般でございまして、相当人選に力を入れてとつてつたのでございましようが、いろいろな不始末が出て参つておるわけであります。今後われわれといたしましても、御説のように、そういう方面に十分気をつけまして、また一旦その職につきました者につきましては、十分に訓練をして行きたいと考えております。
  141. 迫水久常

    迫水委員長代理 ちよつとこの席から政府委員にお伺いいたしますが、二十五、六年ごろは学生が大分ストライキをやつた時期だと思いますが、ああいうことに関連して大学では特別にふだんにいらない金がかかつたと思いますが、そういう金はどうして支弁したのでしようか。
  142. 稲田清助

    稲田(清)政府委員 御推察はいろいろございましようが、実はその金が出ないので、各大学は非常に苦心しております。身をもつて事に当つてつた。そういう点はわれわれとして非常に遺憾に思つておりますので、今御審議願つておる予算等については、多少そうしたこと等について増額を願つておる次第であります。
  143. 迫水久常

    迫水委員長代理 もう一つ伺いたい。官立、国立大学というものは、月謝のきめ方はどういう基準できめておるのでありましようか。大体各大学というものはそれぞれの独立採算が合うように、そういう見地できめておるのですか。収支の状況はどういうようになりますか。
  144. 稲田清助

    稲田(清)政府委員 お話のような次第でございませんので、国立大学につきましては授業料その他の学生からとりまする収入をもつて支出をまかなうということにはいたしておらないのでございます。と申しますのは、第一に国立大学は学生に対する教育だけが目途ではございませんで、国家のため有為な研究をいたしますことが、非常に経費のかかる主目的でございます。そうした次第でございますので、授業料収入はごく一部でございます。  次にいかなる基準をもつて定めておるかという点でございますが、これは終戦後、物価の増高その他に従いまして、一回、二回値上げいたしております。しかし急激に上げますことはいかがかというような点で、前年徴収しております金額を基準として、たとえば三千六百円でありましたのを六千円、約倍額に上げるというような点でございまして、その上げ方は現状を基準としてあまり大幅でなく、しかもまた容認し得る程度ということで、必ずしもそこに合理的な基準を立ててないのでございます。国立大学の総経費は二百六十億余りに相なつておりますけれども、授業料総収入は約十五億程度にとどまつております。
  145. 古井喜實

    ○古井委員 文部大臣が御出席になりましたが、今回の国会の最重要法案を担当なさつてつて決算委員会においでになる機会もあるいは少いかと思いますので伺いたいと思いますが、先ほど文部省関係には比較的に不正が少い、こういうことでありまして、これはたいへん数字から言えばけつこうであります。一方形をかえた不正というか、予算が少いための不正ということが文部関係にはたくさん起つておるような気がするのであります。六・三制実施以来、特に地方の教育費が圧迫を受けておるものですから、これは教育職員の給料の問題というよりも、校舎であるとか設備であるとかという方面の充実のための経費が至つて乏しい。そのために父兄に対するあるいは寄付金であるとか負担金であるとかという種類のものが、まことに多く行われておるのであります。これはきわめて不当なことでありまして、ことに義務教育関係は憲法にも無償であるというくらいにいつておりますが、形をかえて不正が父兄に転嫁しておるものが多いと思うのであります。こういう方面についてどうお考えになつていますか。校舎の関係を見ましても、老朽校舎かわつて、このごろでは危険校舎という名称になつているくらいやかましくいつて来ておるのであります。これを充実して行くための、改善して行くための助成金等も至つて乏しい。またいまだに教室が足らないで不便をきわめている学校も多い状況であります。廊下を使う、出入口の横つちよを教室に使う、あるいは役場の一部を使う、組合の集会所を使う、お寺を使うというようなところもあるのであります。それでも足らないで二部教授、三部教授さえやつておるところもまだ残つておる状況でございますが、容易に校舎の設備の方が充実して行かない。また一方において父兄に対する負担はいろいろな形においてすこぶる多いのであります。こういう点についてどういうふうに大臣はお考えになつておりますか。それからまた義務教育の学校の関係で父兄がどれくらい、一体寄付金あるいは負担金というようなもので負担をしておると、達観してごらんになつておりますか、この辺についてのお考えをひとつつておきたいと思います。
  146. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お答え申し上げます。私も文部大臣になりましてから、地方の教育に対する予算が、国家財政がしからしめたのでございましようけれども、非常に十分でなかつたということを発見しまして、驚いたような次第であります。それで今後はできるだけそういう方面に予算をまわしまして、充実して行きたいと考えております。明年度の予算といたしましては、できるだけのことをしたつもりでございますが、しかしわれわれの理想といたしましては十分でないことは事実であります。  それから危険校舎の問題でございますが、御承知の通りに、学校の校舎というものは、今まで学制ができまして以来七、八十年の間、市町村の義務においてやつて来ておつたのであります。ところが最近危険校舎というので使用禁止が十二万坪、使用制限が二十何万坪あるとかいうようなことを発見しまして、この三、四年来国庫補助をしてもらいたいということで、文部省で非常に努力しておつたのでございますけれども、性質が国庫の補助すべきものでない。ただ六・三制をしきますにつきまして、新しい学制の改革であるから、それに対して国庫が相当の補助をして行くということになつて今までやつて来たので、危険校舎に対してはそういうような性格はないというようなことでございましたけれども、しかしそれは片手落ちであるから、やはり危険校舎、すなわち学生がひやひやしながら、もしくは退避訓練をしながら勉強しなければならないというような状態にある学校を、そのままうつちやつておくわけに行かぬということから、来年度はわずかでございますけれども、とにかく十二億確保いたしました。これは最初の年でございまして、私微力で十分とることができませんでしたけれども、しかし一旦国庫が補助するという道さえつけばいいわけで、今後はそれに対して相当の増額をして行きたいと考えるわけであります。危険校舎はそういうことにしております。  それからお説の通りに、この六・三制ができましてから、理想はよかつたのでございますが、地方財政も国家財政も窮乏のときでございますから、十分なる経営を公式の金ですることができなかつた。そこで父兄から寄付を受けて地方では経営しておるようなことでございます。私の聞き及びますとろでは、確かではございませんが、PTAが約百億くらいな金を出して補師しておるということでございます。憲法には二十六条で「義務教育は、これを無償とする。」としてありますが、教育基本法でしたか、法律では月謝をまけるということにしてあるのであります。私の考えとしては、月謝だけをまけるということは、これはもう少し拡充すべきものでないかと考えまして、今後は、幸いにできておりますところの教科書を無償で配付するという法律によりまして、この法律は第一学年の教科書だけでございますから、これをひとつできますならば、おいおいではございますが、国家財政の許す限り、全学年に無償で配付する方向に持つて行きたいと考えます。それから学校給食の問題も、今まではいろいろな事情がございまして、それに力を入れることができなかつたのでございますけれども、私はあれをできますならば、またしたいと思いますが、法制化しまして、そうして児童には昼飯はただで食べてもらう。ただでいけなければごくわずかの負担で、できるだけ広くやつていただくという方向に進んで行きたいと思います。それから教材費も、今度わずかでありますが、これを支給するということにしました。教材費、学校給食費、また教科書の無償配付、それから校舎の改善、充実という方面からいつて、できるだけ父兄に御負担をかけないようにして行きたいという、理想の方向に進みつつある次第でございます。
  147. 古井喜實

    ○古井委員 決算委員会に出ておりますので、きようは予算委員会によう出ておりませんが、いずれ機会を得て義務教育費国庫負担の問題について得心の行くまで御所信を伺いたいものだと思つておりますが、ああいう問題に血道をあげておいでになつて、一方むしろ切実な校舎とか、設備とかいう方面のことにどうも腰をお入れになつておらぬような感じがしてならぬのであります。あの制度のことはきようは論じませんけれども、少くとも大事な方面に力が入つておらぬ。ことにまた雪の降る地方などの体操場などの問題もまことに困つたものであります。これは大臣一々実情を御承知ありますまいけれども、これはまつたく困つた状態にある学校もたくさんあります。そういう方面も私は至つて不十分だと思うのであります。教職員の給与をどこで払うとか、これは国庫で持つとかいうようなことよりも、そういう方が実があるのでありまして、これはぜひひとつお考え願わなければならぬと思いますし、これは考えたいというお考えでありますから、後日の御手腕を楽しみにして拝見したいと思つておるところであります。教材費の問題なども十九億という金額が見込まれておるということであります。これも批判すべき点が根本的にありますので、十分どころの騒ぎじやない、これはああいう方法で教材費を出すということは、大間違いだと思つておる一人であります。きようの予算の問題ですから、これは別にいたしますが、要するに実質的な、ほんとうの実のある方面に極力力を入れていただきたいと思うのであります。あの道義の高揚ということとどう結びつくかしらぬけれども、私どもにはわかつております。わかつておりますけれども、精神的もけつこうでありますけれども、今のような辺にぜひひとつ次の予算をお扱いになるときまで文部大臣御健在ならば、御健闘願いたいものだと思います。なお御所見がありますならば伺つておきたい。
  148. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 お説しごくごもつともでございまして、努力したいと思います。  それから義務教育費国庫負担の方に血道をあげてあとおろそかにしているではないかというおしかりをごうむりましたが、私は決しておろそかにしているのではございませんで、各部局部に命じまして、ただいまお説のような、屋内体操場とかいろいろ、の産業教育方面とかには勉強をさしております。ただ問題はただいま二十八年度の予算を提出しておりまして、あの予算でも通りますれば、むろんそれに対してすぐ即応でぎるような準備もいたしておる次第でございます。ただ予算がたくさんとれなかつたという点におきましては、あるいは御期待に沿わなかつたかとも思いますが、これは全体の国家予算のことでございますから、どこの省でもみな不満らしいのでございます。そういう点におきまして、むろんこれから二十八年度の予算を通していただきますならば、それを十分にやることは準備しつつあります。また二十九年度まではたして私健在であるかどうかわかりませんけれども、もし健在でおりますならば、むろん馬力をかけてやつて行きたい、こう思つております。
  149. 迫水久常

    迫水委員長代理 鈴木君。
  150. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 道義の高揚ということ、これは国民全体の道義を高揚しなければ、役人の非行も粛正されないというりくつも立つでしようが、官紀が紊乱しているということが道義高揚の非常に大きな支障になつているということも事実だと思います。今大臣は昨日ようやく文部省のこの決算報告をお読みになつたということですが、これは大臣全部が一応自分の所管だけでなしに、ここにあげられたものは大体日本の官紀がいかに紊乱しているかということの集積なのです。しかもこれは紊乱した事実のほんの一部分が現われているだけで、隠れた事実はもつとあるだろうということは、常識的に判断できる。私は行政改革ということは大事なことだと思いますけれども、もし役人が国民の血の税金をもつと大事に使わなければならぬという心棚えがあれば、役人の首を切らなくても、現在の日本の総予算の中から五百億くらいの倹約はできるということを、ただ抽象的でなしに、先年以来行政改革の具体案をつくろうと思つて努力したその結果、大体において私どもはそれは可能であると信じておる。そこで私が大臣にお願いしたいことは、一文部大臣としての立場でなしに、日本の綱紀をどうするか、官紀の粛正というようなことを本気で閣議全体の問題として、これを強く日本の政治に打出してもらいたい。そういう努力を本気でおやりくださる覚悟があるかどうか。つまり綱紀粛正、道義高揚に対する大臣の信念をひとつここで吐露していただきたいと思うのであります。そしてそのことは必ず日本の国民道義の高楊ということについて非常に意義のあることだと思う。ただここでお話になるだけでなしに、閣議の問題として――私はこの間私的の話でありましたけれども、年度末に役人が無用の旅行をやつて、もらつただけの予算を使うという弊風がある。これをひとつ改めてもらいたいということを大蔵大臣に申し上げました。ぞれを大蔵大臣に言つた翌日、本気でやつてくれるかと言つたら、そのことは閣議で問題にした、こう言つておられる。私はここで申し上げた官紀粛正というようなことを、内閣の問題として何らかの形でこれを強く打出してもらうように、特に文部大臣にその御努力が願いたいという希粟があるものですから、そういう意味で文部大臣の御決意というか、信念を吐露していただきたいと思うのであります。
  151. 岡野清豪

    ○岡野国務大臣 先般道義の高揚ということを取上げまして、国民道義が頽廃しているから、これを直して行かなければならぬということが出ましたときに、実はお説のように、国民を指導する政治家並びにまた国民と接触しているところの官吏が、血税といわれ、苛敏課求としわれるほどにしてとつた税金を、何と申しますか、ずさんな使い方をするとか、浪費ではないかもしれないが、あまりまじめに扱つていないのではないかというようなことがある。これは官紀粛正ということが何か忘れられているのではないか。まず官紀粛正をし、それから国民に対して道義を高揚すべきものだということは、もう二、三箇月前に、第四次吉田内閣ができましてから直後に閣議で申し出しているはずであります。そうして各大臣ともそれはそうだと――もつとも異論のあろうはずはありませんが、賛成をされましたが、しかしお説はまつたく同感でございますから、今後私も及ばずながらほかの大臣にもよく話をしまして、できるだけこういうことが起きないようにいたしたいと存じます。
  152. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 私の聞きたいのは、何か具体的の形で、閣議を通して今のお心持を打出してもらいたい。ただ努力して見るというだけでなしに、ぜひやつてもらいたいと思うのです。それがなければ百の説法をしても何にもなりはしないと思います。切に御奮闘をお願いいたします。
  153. 迫水久常

    迫水委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。――それでは以上で文部省所管の審議を終ります。  次会は二月二十三日月曜日午後一時から、厚生省及び農林省所管事項の一部について審議をいたすことといたします。  本日はこれで散会いたします。     午後五時十一分散会