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1952-12-08 第15回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月八日(月曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 迫水 久常君 理事 渡邊 良夫君    理事 古井 喜實君 理事 吉田 賢一君       田口長治郎君    永田 良吉君       松野 頼三君    鈴木 正吾君       大矢 省三君    松本 七郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部次長     谷口  寛君         警  視  正         (国家地方警察         本部総務部会計         課長)     中原ただし君         保安庁経理局長 窪谷 直光君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (検査第二局         長)      上村 照昌君         地方裁判所判事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      岸上 康夫君         専  門  員 大久保忠文君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二  十五年度特別会計歳入歳出決算及び政府関係機  関収入支出決算     —————————————
  2. 田中彰治

    田中委員長 それではこれから決算委員会を開会いたします。  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算昭和二十五年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十五年度政府関係機関収入支出決算を議題に供します。本日は裁判所及び総理府所管中、警察予備隊国家地方警察本部地方財政委員会特別調達庁関係決算につき審議する予定であります。  それでは検査報告書二十六ページ、裁判所所管不正行為報告番号一について、裁判所当局からその説明を求めます。最高裁判所経理局長岸上説明員
  3. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまのお話のありました件につき説明いたします。  本件宇都宮地方裁判所におきまして同所職員塚田博市及び桑原光男が、同所会計課に勤務中、共謀の上昭和二十五年三月から翌二十六年三月までの間に、購入しない物品を購入したこととするなどの方法で、その代金等五十三万七千円余りを領得したという事件でありまして、両名に対する刑事処分は、第一審の宇都宮地方裁判所栃木支部におきまして、塚田に対しては懲役二年、桑原に対しては懲役一年六箇月の判決がありまして、これに対しまして両名から控訴いたしましたが、東京高等裁判所におきまして、本年の六月十二日いずれも控訴棄却判決がありました。それが確定しました結果、目下両名とも刑務所に服役中でございます。  このように、職員不正行為によりまして、国に損害を与えましたことは、まことに遺憾でありまして、これが防止につきましては、各下級裁判所及び最高裁判所において綿密な内部監査を励行しておりますほかに、さらに会計機構上からも事故の発生未然防止できるように、金銭、物品出納機構を刷新改善いたしております。この国損金は二十七万二千余円になりますが、これにつきましては、すみやかな補填をはかるべく現地を督励いたしております。なお塚田及び桑原その他責任者の行政上の処分につきましては、塚田及び桑原に対してはそれぞれ懲戒免職宇都宮地方裁判所事務局長戒告処分を行いました。  以上で説明を終ることにいたします。
  4. 田中彰治

    田中委員長 次にただいまの説明に対して、特に会計検査院側補足的説明があれば発言を許します。
  5. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 特に補足するほどの説明もございませんが、検査院といたしましては、犯罪不正行為が起るのは一体どこに原因があるかということを確かめまして、これが防止に努めるように努力しておる次第であります。本件については、結局歳入歳出外出納官吏自分で持つておるものを領得したということと、それから支出官補助事務をやつておるのが虚偽の事実を書いて歳出金をとつた、こういう事態でありまして、本人の監督者とそれから最高責任者十分部下を監督する必要がある、こういうふうに考えております。裁判所の方でもただいま御説明のあつたように、これが防止の対策に十分努力しておられるということでありまして、検査院としてもその点について一段の努力を払いたいと思つております。
  6. 田中彰治

    田中委員長 本件に関し質疑がありますか。
  7. 永田良吉

    永田(良)委員 今この事件についての報告を承りまして、私は非常に物足らなく考えます。私は追放でいなかに六、七年間しやがんでおつたのでありますが、このたび久しぶりに中央に参りまして、人の動きやその他いろいろな点を観察をした場合、やはり上のなすことが一般の民衆に深い影響が及ぶのでありますから、特に会計検査院等において、地方においでになつたときのいろいろな調査とか検査についても—むろん厳重にやつておられるものと思うけれども、今の地方裁判所の例のごとく、疑いを受けた者がすぐ保釈になる。昔のように非常に謹慎して相済まぬというような反省の念が薄らいでおるようなことを、われわれは地方でも中央でも至るところで見受けるのであります。ラジオでも、新聞でも、雑誌でも、いろいろな不正事件で毎日のページを埋めておるのであります。こういう状態では、いかに政府日本再建について云々と大きな掛声をかけられても、政治は正しくなければだめだと思うし、愛と公正を欠いた政治は誤つた方向に行くことは間違いないと思う。こういう点においては今も昔も世にかわりはない。悪いことをした者は、徹底的にその者が反省して、正しく進むような方向に導いていただくようにしてほしいのであります。こういう点から会計検査院検査をなさる場合、また高等裁判所等においていろいろ罪人を処分せられる場合においても、その人の過去の罪業を責めるとともに、その人の出たあとまでも十分に地方官憲等がよく監視し、その者が再び悪いことをしないように導いてもらわなければならぬと思う。ところが私ども地方において、一旦出た者がまたぞろ、ただちに出たその日から悪いことをしておるのをたびたび見受ける。これらはもう少し厳格にやつていただきたい。一人の悪い者のために多くの人が迷惑することは困ることです。年々こんなふうにいろいろと事件犯罪の数がふえて行くことは、確かに日本再建の上からこの上なく悲しいことと思うのであります。今のお話のように、きまり文句でなく、もう少し事の詳細を御報告いただきたい。皆さん方はどう思つていらつしやいますか、やはりこのままでいいとお考えでしようか、私どもはどうもいなか者でわからぬから、国民の代表として皆さんからもう少し熱意のある報告を聞いて帰りたいと思います。決してこれは攻撃ではありません。熱意からお尋ねするのです。
  8. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま検査報告に記載することが少しわかりにくいというお話でございますが、その点は案文自身ではよつて来る原因その他が詳示してありませんのでおわかりにくいかと思います。検査院といたしましても、ただいまの御趣旨のように、不正行為のよつて来る原因がどこにあるかということを突き詰めて、これの改善をはかるとともに、そういう発生した事態についてはすみやかに責任を追究するという方針で参りたいと考えておる次第であります。
  9. 永田良吉

    永田(良)委員 私は皆さん会計検査におかれてお調べになつた各省の不正の件数などが、表に明瞭に見やすいふうに出ておるならばお示しを願いたい。なおまたその件数は明瞭であると思うから、これらをうそ偽りなく国民に知らす意味において、あるいは官報とか公報、もしくは新聞ラジオでもよろしいから発表してもらいたい。無いことをそのまま隠しておくとますます悪いことをするから、国民の教育の上とか、どの点から見ても事のよしあしを明瞭にして行くことが、日本再建の上に大事なことだと思うのであります。戦争の際にも、われわれは悪くいえば陸海軍にだまされた。ミッドウェーで航空母艦をやられておきながら、海軍大臣は知らぬ顔をして、かえつて敵の船を沈めたような報告をしておつたから、われわれ国民は観測を誤つてああいう負けいくさをやつて来た。政治そのものは常に正しい方向に行くという点から見て、何も物を隠す必要はない。物の実相に従つて政治が行われなければ日本政治進歩はない。また将来のわれわれの国民性の陶冶の上から見ても、こういう悪いことをしたのをそのままにしておき、それが年々ふえて行くようであれば、これは亡国の原因をつくるわけです。われわれが独立国になつて今後立ち上る上において、こういう問題については、最も議会でもやかましくとなえなければならぬことであると思う。ただ予算や各委員会において、何でもないところの、たとえば鉄道でも少し延ばそうとか、地方問題等について政党の間に何か争いが起つたり、あるいは政党内でも各地方等関係で妙な感情や争いでよけいな時間をつぶすことが多い。事の発生前にそういうことも必要であるかもしれないが、われわれは過去の政治のあり方を決算において検討しなければならぬことと思う。そうしてその結果をば、将来向上発展して行くような方向に向けるところに、国家進歩発展があると思うのであります。その点から考えて、こういう役人犯罪等については、事の真相についてもう少し厳格に、ああいう結果を御報告あるように願いたい。これはあまりかつてなお願いかもしれぬけれども日本の将来のために申し上げるわけですから、今後こういうものについて、もう少し詳細に、記録においてできぬければ、御説明の上でひとつ御丁寧にお願いしたいと思う次第であります。
  10. 古井喜實

    古井委員 戦後綱紀の紊乱の状況はまことに慨嘆にたえぬものがあると思つております。ただしかし、一方公務員の給与が非常に低いために、知らず知らずの間に間違いが間々起ることがあるのであります。そこで本件の場合は、ごく特殊な事情のもとにやつた人間のことであるのでありますか、それとも、何も特殊の事情のない、ごく普通の公務員の場合の事件でありますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  11. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 本件塚田博市と桑原光男は、いずれも、どちらかというと家庭が貧しい方で、生活費等に困つた結果こういう犯罪を犯したというふうに、調べの結果承知しております。
  12. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいまの犯罪自分家庭生活の貧乏から起つたとおつしやいますが、犯罪原因にはそういう生活の上から起つたものもありますけれども官吏犯罪なんかにおいては、生活上の原因で起つた犯罪と、そうでないものとの比率はどうなつていますか。一年間に起つた統計もあるでしようが、私は、飲屋に行つてつて飲んだり、かつてなことをしたりしたというものもずいぶんありはせぬかと思う。最近私が驚いたのは、—きようも実は大隅のはてから、いなかの村長さんや町長さん、町会議長とか村会議長などが来たが、電報を雨のごとく打ちやがる。何事に来るかといえば、地域給の問題である。そうして何をするかといえば、一万何千の日本全国地域給引上げで猛烈な運動をやらしてほとんど東京目がけて日本全国町村会議員町村長がわつしやわつしやと騒いで来る。こんなことをして東京はいいかもしれぬが、いなかの私の大隅なんという所はますます貧乏をする一方である。あんな遠方から来るには往復何日もかかる。あんなばかなことはやめた方がいい。ああいうことをしているから町村支出もふえるし、いろいろ困ることが多いのです。あの町長町村会議長などはわが費用で来るのではないと思う。むろん町村費用から旅費をとつて来ておると思うのでありますが、こういう無理なことをすると、町村の人々に迷惑をかけるばかりで、今後そういう方面にまた必ず犯罪がふえると思う。こういうことが悪いとお考えになつたならば、会計検査院であつても、不正なことは未然に防ぐところに政治の妙があると思う。私は、法律であつても条例であつても、明らかに国のためにならぬというものはすみやかに改廃しなければならぬと思う。やはり決算においても、済んだごとばかりでなく、さつき私が言つた通り機構の改革によつてこういう犯罪未然に防ぎ得る。またそういうふうにうまく未然に防げば、政府の金の使い方も、よけいな金を使わないでりつぱな政治が行われる。あんなばかなことをして何の利益がありますか、しかもそれは不公平きわまる。私は申し上げますよ、とんでもない所が一級地や三級地に飛び上つている。そうしてほんとうにかわいそうな所が上げてない。私は、日本政治の中でこの級地の問題ほど不公平な処置をしているものはないと思う。今、さきの方も言われました通り級地引上げに関連して、各階層とかいろいろの方面からいろいろな運動が行われているが、今電気や炭鉱のストがあると同じように、この級地問題というものは確かに日本全国八千四百万の人間の大多数が、とんでもない迷惑を来す問題と思いますから、これらの方面にも関係があると思うのです。人の手本にならなければならぬところの政府役人地方官公署人間、こういう人の犯罪は今後相当厳重にお取締りを願つて、上に立つ人が下に範を示さなければならぬ。最近また待合政治が行われる、新聞なんかにもたくさん書いてあるではありませんか、運動に来た者が役人と飲んだり食つたりする。また議員なども困るんだ、いなかから来ると、東京駅に迎えに行かぬと、あの代議士は不親切だと言う。金持ちの代議士自動車を持つているからいいけれども、われわれ貧乏代議士自動車も持たぬから非常に脅威だ。いろいろの選挙違反関係から見ても、こういうことが事前運動となり、選挙の上にもいろいろなことが起る。皆さん、今度の選挙のように違反がたくさん出たことは最近ないではありませんか。こういうことは法の上にも不備があると思うが、前もつていろいろと警戒をすればのがれることは多いと思う。こういう点から考えまして、経過についていま少し詳細な報告を賜わるようにお願いする次第であります。重ねてお願い申し上げます。
  13. 迫水久常

    迫水委員 これは資料の要求になるかもしれませんので、あるいは委員会専門員の方にお願いする方がいいかもしれぬけれども、「職員不正行為に因り国に損害を与えたもの」というのがずいぶん出ておりますが、全体でどのくらいになるかということと、それから大体それがどのくらい回収されているのか。それから不正に領得した今は何に一体使つたのか、女に使つたのか、生活費使つたのか、そういうふうな一覧表をつくつたら、非常に参考になるのじやないでしようか。
  14. 田中彰治

    田中委員長 簡単なものはここにあるのですが、これは金額処分だけで、ちよつとこれでは徹底しないのです。ケースと金額はややわかつておるのですが、どういう事情で何に使つたか、それがないのです。
  15. 迫水久常

    迫水委員 それからどこの役所で一番そういうのが多いか、そういうものがはつきりわかる一覧表ができるといいじやないでしようか。
  16. 田中彰治

    田中委員長 そうですね。何とか考慮して相談してみましよう。
  17. 迫水久常

    迫水委員 会計検査院では今総額幾らぐらいになつていましようか。
  18. 上村照昌

    上村会計検査員説明員 お答えいたします。検査報告の総論のところで一部触れて書いてございますが、十五ページのところに、これは国と政府関係機関の分を全部一緒にして計数がとつてございます。全部で百九十三件、金額が二億七百十余万円、それから二十六年の十月末現在で—ただいま状況調べておりますので、十月末現在においては、そのうち四千百五十余万円が補填になつておる。これは検査報告の全部を集計して、一応概数だけあげてあります。
  19. 迫水久常

    迫水委員 私の希望としては、このもとになるものを整理していただいたらいいと思います。
  20. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 もう一回補足して申し上げますと、検査報告の七ページのところに、ただいまお話がありました大体の件数と、不正行為各省別金額が、下から三段目に、この検査報告に載せてあるものの表を掲記してございますので、御参考までに申し上げます。
  21. 迫水久常

    迫水委員 今古井委員が言われた言葉の中に、役人の月給が少いから、不正行為をするものがあるのだ—これはよく言われる言葉ですけれども永田委員が言われたように、飲み屋へ行つて飲んだものも、ずいぶんあるのだろうと思いますが、そういうことがはつきりすると非常にいいと思うのです。何らかそれを説明していただくなり、一覧表にして出していただくなりしていただいたらいいと思う。
  22. 田中彰治

    田中委員長 今上村説明員のお答えですが、迫水さんからあなたに質問されているのは、件数金額だけでなく、事件を起す端緒、それから領得した金はどこへ使つたか、こういうことです。それを表にして出していただきたい。それにはその過程の事情も……。
  23. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいまの点でありますが、多少その使つた先、その他正確にわからぬ面があるかと思いますが、その点幾分御了承願えれば、多少時間はかかるかもしれませんが、大体拾つて行けば出て来るものと思います。
  24. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいま七ページの表を言われましたが、これについて私は驚きにたえぬのは、このあとの方の政府関係機関と書いてあるところです。政府関係機関といいますと、最も政府の方に関係が深いのだが、こういう政府公団というのが近ごろたくさん設けられた。その下の方を見ると、驚くなかれ、四十七件、それから日本専売公社、これもまあ公団と同じように政府のお役人がお仕事をなさるが、これも二十六件とある。それから国有鉄道が三十五件、こういうふうに政府関係機関がここに何か賞金なんかとるようにして先を争うてこんなふうになつておる。ほかの民間団体の、たとえば商工組合中央金庫や郵政省の共済組合なんか、わずか一件かそこらです。復興金融金庫なんかも六件なのに、政府関係機関公団とか国有鉄道日本専売公社—ことに私は鹿児島県のものですが、近ごろ専売公社は相当締めていただきませんと、いろいろなことを私どもいなかで聞いております。ずいぶんこれには注意を払つていただかぬと、また来年、再来年かの決算には何件起るかしれぬ、前もつて御警戒なさつた方がよいと思いますから申し上げておきます。それから特に大蔵省関係はまたひどい、四百十七件もある。文部省が八件、これは少いからよろしゆうございますが、いずれにしても官庁のこういう不正事件の多いのは、確かにこれは日本の国の恥でありますから、どうか前もつて警告を発せられて—ことにこれは年末だから、今ごろにはずいぶんいやなことでありますけれども、こういうことはむしろ隠さずにきれいに発表なさつて、そして上に立つ人が下に範を示されんことを重ね重ねもお願いする次第であります。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ひとつお尋ねしてみたいのですが、私ども日本官吏の中で、いつの時代におきましても、裁判官が比較的国民の信頼と尊敬を失わないものであることを実は頼りにして来たのであります。従つて裁判所関係における不正行為等一般の他の行政府に比較いたしまして少かるべきことは当然のことと思うのでありますが、昭和二十五年における財政処理しただ一件しか不正行為が出ておらぬというのではどうもいかがかと思いますのですが、法律上の不正にならずとも、やはり内部で問題になりましたようなことが相当あたつたのではないだろうか、といいますのは、事務官素質は、私ども日常見聞しておりますところでは、もつともつと改善余地があり、向上余地があるということも、幾多毎日見せつけられておりまするので、そういつた雰囲気からはいろいろな事件がどうも起らざるを得ないように思うのであります。二十五年における全国裁判所関係予算執行上いろいろと問題になりましたことがあれば、これ以外にひとつ表でも出していただいて今後の参考に資したいと思うのでありますが、いかがでしようか。
  26. 上村照昌

    上村会計検査員説明員 ただいまの御質問でありますが、二十五年度においては特に予算執行上問題になつたという点は、これ以外には実はございませんが、ただ検査の途中におきまして、いろいろ質問なり照会した事項もございますが、不当として上るのはこれ一件、こういうふうに考えております。今の照会した事項その他の内容は、実は現在のところ詳細承知しておりませんので、その点御了承願いたいと思います。
  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の知りたい点は、不正行為としてあげられておる一点があることは明瞭であります。ここに至らざる幾多の問題があつただろうと思いますので、それを一々全部あげてどうしようというのではありませんが、いろいろな全体の概況を知るということは、予算の編成なり、予算執行なりの上で非常に参考になるべきでないだろうか。大体ここで審議するということは、何も検察庁のまねをしたり、あるいは会計検査院の再審をするというような意味ではないのでありまして、別な観点から政治的な批判資料を出してもらつて批判をして行こうとするのでありますから、そこで一つということはわかつていますけれども、幾多いろいろな問題があつただろうと思いますので、そういつた概況が御説明できるならば、非常に幸いなんです。ポツンと一つ出ているやつを、とやかく事務官二人が懲戒になつた、裁判になつたというようなことだけでは、やはり裁判所全体の予算執行についての批判といたしましては、非常にわれわれ物足りなく思います。
  28. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 実ははなはだ申訳ありませんが、二十五年度の方は直接私が担任しておらなかつた関係上、二十五年度で御説明するというかわりに、現在二十六年度を検査しました結果、振り返つて多少考えましたことを申し上げておきたいと思います。もちろんそれは二十五年度にも関係があると思いますが、御承知のように裁判所関係経費で相当大幅のものを占めておりますのは、営繕関係に相当大幅の経費を占めておるかと思うのであります。営繕関係経費使用状況を見ますと、これはいろいろ特殊の事情もあると思いますが、家庭裁判所がふえるとか、あるいは裁判所検察庁が分離するとかいうような関係で、方々に土地を購入して、新たに建物を建てられる、こういうような事態が起つておりますが、それを見ますと、土地を相当早く買われて、現在まで使用されておらないというような事態、あるいは土地を購入されて、相当営繕関係経費が切られたというような事態もあるかと思いますが、姿としては、土地を購入されてあるものが、相当まだ未使用のままにある。それから営繕関係におきましても、これは大きい建物を建てられるのでありますから、数年かかるのは当然かと思いますが、もう少し集約的な仕事ができるんじやないかというふうな気持を、検査の結果では抱いておりますので、その点だけ一応申し上げておきます。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ただいま非常に重要なことを伺つたのですが、今の説明員は二十五年度における予算執行については、その職にあらざりしがゆえに説明ができないというお話でありますが、私どもはきようのこともさることだけれども、当該付託されておりまする中心題目は二十五年度です。だからこの機会に委員長に、やはり審議を進めていただく上において、一つ希望を申し上げておきたいと思いますが、二十五年度の予算執行状況あるいは当然問題になつた事件、なるべき事情にあつたようなもの、そういつたものについて説明のできるような方に、やはり政府委員なり説明員になつて出席を願わないと、審議は非常に不便を感じますので、ぜひひとつその辺のことはそれぞれの省庁に対して申入れをしておいていただきたいと希望しておきます。  あなたは二十五年の状況がおわかりにならぬというのであれば話にならぬのですが、事務官素質について向上改善余地が相当あると思うのですが、御見解とこれに対する研修等につきましても、何を目標にしてどういうふうにおやりになつておるのか、こういうようなことについてもひとつ明らかにしておいていただきたい。
  30. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま申し上げたことに対してはなはだ恐縮に存ずるのでありますが、もちろん私出て来ております以上は、二十五年度の検査報告を御説明するつもりでおりますし、二十五年度のことを詳細知らないと申し上げましたのは、実は検査報告に掲記した以外には不当として考えておることはないということだけはかわりございません。それからあとで御説明申し上げました土地関係その他も、もちろんこれは二十五年度に購入したものでございますが、今振返つてみると、現在において使用されていないから、何か集約的な営繕の進め方があつたのではないかと、現在において考えておる次第でありまして、二十五年度には私の考えてみたところでは不当事項はございません。それからその間において照会その他を出しておりますが、その点は現在資料を持つてつておりませんので、もし御必要であるならば、どういう事項について調査したということは、資料を持つて参りまして御説明したいと思いますので、もちろん私は二十五年度の検査執行のときは関係しておりませんでしたけれども、現在においてはそれを承知し、ここで御説明する立場にありますし、説明するつもりで参つておりますので、その点ひとつ御了解をお願いしたいと思います。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まだあと二点お尋ねしたのですが、いかがですか。
  32. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 検査院検査の能率を上げますためには、検査院の各職員の資質を向上することが最も緊要であると思いまして、検査院におきましては、新職員と申しますか、検査院が終戦後人が相当ふえました関係上、新職員の研修をその都度やると同時に、毎年いろいろ機会をつくりまして、院内におきまして、検査能力向上をはかるために、一般的の研究を行い、あるいは特殊の事項につきましては部外者も招聘しまして、資質を向上し、検査能力を向上するために努めておる次第であります。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は機会がありましたら、なお裁判所に関する質疑を保留さしておいていただきたいと思います。そこで、今おつしやいました二十五年度における予算執行上本委員会参考となるべき資料があれば、ひとつ集計してお出し願いたいと思います。  それからこの種の問題の起るよつて来るところは、個人的な事情もあるかと思いますけれども一般的な原因もあるかと存じまするので、私はこれを絶滅するということに対して、たとえば研修にしろ、あるいは経済的な給与の問題にしろ、仕事の分量にしろ、時間にしろ、各角度から検討して行くべきだと思うのでございます。本委員会において裁判所関係というのは、ただ一つですが、この一件を通じまして、日本の全裁判所予算処理の問題をわれわれは検討して憂いのであります。そういう意味におきまして、事務官不正行為が起るべき原因事情というものは、全国的に共通して相当何か考慮されておるものがあるだろうと思うのでございますが、そういうことについて、もつと深刻な、具体的な、あるいは広汎な、御見解なり、対策なり、また状況なり、何なりと御説明を願わなければいかぬと私は思つております。しかし今できなければ、きようは一応は保留して、さきに申したような資料もお出し願つて、その際にひとつ十分に御説明を伺うことにしたいと思います。  そこでこの機会にもう一点、あなたに質問することが適切かどうかと思うのですけれども最高裁判所あたりにおける裁判の渋滞問題、処理が長引いておるという問題は、全国の弁護士連合会におきましても過般問題にいたしましたし、一般在野法曹におきましては、全国的に悩んでおる問題でありますが、こういつたことは、そのよつて来たるところはやはり扱われる事件が多過ぎるということに原因があるのか。あるいは担当せられる人に原因があるのか。あるいは制度に原因があるのか。あるいはいろいろな給与とか設備とかいう物の方面原因があるのか。どこに原因があるかわかりませんが、これは非常に重要なことになりますので、予算執行関係上、全体として今申しましたような問題に関連して御説明を願う面があれば、ひとつこの際に伺つておきたい、こう思うのでございます。
  34. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 私の方からお答えすることは適切でない部分があります。裁判の関係で事務が渋滞しておるという点についてはちよつとわかりかねますので、この点は御了承願いたいと思います。  最初お話になりました、こういうものを根本的に絶滅する方法をどういうふうに考えておるかという点についてお答えしたいと思います。議題になつております件を例にとつて申し上げますと、支出官裁判所長になつておりますが、その事務を補助する人として、ここに書いてあります塚田某が支出官の事務の補助をやつておるわけであります。それともう一つは、塚田自身が前渡官吏として前渡金を扱つておる立場におるわけです。それであとの方の、前渡金を扱います立場のものは、自分が金を持つておるのでありますから、とにかく自分が使つた、こういう事態でございます。それから歳出金の方の関係につきましては、補助者としていろいろな書類をつくりまして、上司に出して判をもらつて、それから小切手を振り出すという建前になつておるわけでありますが、前の方の分につきましては、結局人を得るということが最も必要であろうかと思います。それからあとの方の、所長が支出官になつておる分につきましては、支出官がよく部下を監督して行くということが最も適切でありまして、この点につきましては、支出官の印鑑とか小切手帳の保管をどういうふうにするという規定でもできまして、犯罪防止に努められるような形になればいいと思います。それと同時に、検査院といたしましても、これはもちろん相当の責任者が扱わなければなりませんが、実情に即した者がなる——もつとも実情に即したと申しましても、下の方がやつているから下の者にまかせたきりで支出官にしろというのではありませんが、ある程度まで実情に即して十分責任をとるような形に持つて行くよりほかしかたがないということと、やはり機構その他をいろいろきましても、事務量の関係上、必ずしも監督のみによつて間違いの起らないようにするわけにも参りませんので、これについては絶えず内部監査をやつて行くことが必要であろうかと考えております。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の点重ねてお尋ねしますが、全国的にこの種の問題を絶滅するといつたようなことについては、総括して全国的な視野から扱つて行くという役人裁判所にはないのですか。つまりこの場合だつた宇都宮地方裁判所の所長ということになるのですが、機構上の問題として、対策を立てるとか、あるいは指令するとか指揮するとかいつたようなことについて、全国的にやるとなるとだれがあるのですか。
  36. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまお尋ねの点につきましては、全国的には事務総長、あるいはこの指揮を受けた最高裁判所の経理局長が、会計上の監査といいますか、そういう不正の防止という点について直接の監査をする建前になつておりまして、実際にも係員が随時現地に参りまして、経理の状況の監査をするということも内部的にやつておる実情でございます。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この程度で留保いたしまして、もし後日いろいろな資料でも出ましたら、裁判所の問題をもう一ぺん扱いたいと思います。
  38. 田中彰治

    田中委員長 吉田委員に申し上げますが、先ほど御質問になりました裁判の遅れる問題については、もし当局者を呼んでよければ、この次に呼んで説明させてもよろしいのです。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 できましたら、最高裁判所責任者に来ていただけましたら、たいへんいいと思います。
  40. 田中彰治

    田中委員長 そういうぐあいにとりはからいます。
  41. 永田良吉

    永田(良)委員 宮崎の高等裁判所の支所が—終戦の際に鹿児島が爆撃されて、鹿児島の裁判所が焼けたものだから、しかたがないので宮崎の方に一時移転しておつた。そしてその後あそこに新しく建築をなさつたというようなことも聞いておる。それが最近焼けて、またこの際鹿児島に復帰してくれというようなお願いと、向うの方は、それをつくつたんだからここに置かんならんというようなふうに、宮崎と鹿児島が対立的な状況になつて、これは高等裁判所だから、人民の裁判の一番上の人がなさるのだから、これは見ものだろうと思う。しかしわれわれはこういう問題については、その費用がどのくらいかかつたものやら、もし知つておられる方がここに来ておられたら伺いたいと思う。宮崎の焼けた損害額は、ことしの二十五年度の決算には見えておらぬかもしれぬが、来年の決算か再来年は出て来るだろうと思う。しかし出された金額はわかると思う。いずれにしても、これは地方の問題として、鹿児島に昔からあつたのですから、また件数も多いんだから、当然民主政治の本体から見ても、件数の多いところが主体にならなければならぬと思う。こういう点等について、これは過去の例であるけれども、少しこの機会に、もし御答弁のできるものなら教えていただきたい。私の場はずれのお尋ねかもしれぬけれども、実際の話だから、これについてもし御答弁ができるならばやつていただきたい。
  42. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまの件でございますが、私の承知しております範囲で申しますと、宮崎の地方裁判所が最近焼失いたしましたのは、地方裁判所の本館の建物約四百坪程度のものが焼失いたしました。それの火災復旧費といたしまして、予算的には予備金で—このはつきりした数字はきようございませんが、大体四千五百万程度の復旧費が計上されております。但しこれは地方裁判所の方の火災復旧費でございます。
  43. 永田良吉

    永田(良)委員 高等裁判所の方も鹿児島から向うに移転して、それも焼けたというのですが、その方はわからぬですか。
  44. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 焼けましたのは、元の地方裁判所の本館でありまして、高等裁判所の支部がその当時臨時的にその中に同居しておつたように記憶しておりますが、高等裁判所支部の独立の建物というのはまだできていないわけでございます。
  45. 田中彰治

    田中委員長 次は検査報告二十七ページ、総理府所管警察予備隊経費、不当事項予算経理報告番号二ないし六及び報告番号十四、計六件につき国警当局から説明を求めます。国家地方警察本部次長谷口政府委員
  46. 谷口寛

    ○谷口政府委員 御説明申し上げます。  昭和二十五年の七月に警察予備隊の創設が当時のマッカーサー元帥から指令せられまして、その創設の業務につきましては、国家地方警察が担当を命ぜられたのであります。その内容といたしましては、警察予備隊員を募集、試験、身元調査をいたしまして、合格者を決定いたし、この合格者を国警において、六管区本部に付設せられておりまする国警の管区警察学校に一時収容いたしまして、これをかりに編成をいたし、これに適当なる被服、什器を装備いたしまして、その後司令部側の指示をまつて、受入れ準備の整つており まするそれぞれのキャンプに輸送をするという段階までを、国警が担当いたすことになつたのであります。そのために必要な予算を要求いたしまして、各地方に配賦をいたしまして業務を開始したのでありますが、その問題に関連いたしまして、事がきわめて短期間に準備執行をいたす必要がありました関係上、総合計画を立てて、その上に個々の細目の実施をやつて行くといういとまがございませんで、必要の都度計画を立てて行くというような事情から、初めから総数を一応予定いたしましたけれども、その総数がはたしてどのくらいの期間に入隊完了まで行くかということについては、完全な予測もできないような事情で、次から次へと集合いたすものを、予定のキャンプへ送り込むというような事情にあつたのであります。この場合に、国警の管区学校の施設は、従来から各都道府県の警察隊の現任の巡査、巡査部長の教養機関あるいは警部補の教養機関として、場合によりましては自治体警察の依託によりまして、自治体警察の警察官の教養の機関としてつくられておつたものでありまして、警察予備隊の受入れ、編成並びに輸送の緊急業務を遂行いたしまする建前からは、必ずしもその施設、宿舎施設あるいは武器、装備等の保管をなしまする倉庫施設等におきまして、その予備隊受入れの態勢のものとしては必ずしも十分のものとはいえないような事情にあつたのであります。従いまして急遽大蔵省と予算の折衝をとげまして、あるいは倉庫の改増築をやる、あるいは宿舎の改増築をやる。場合によりまして宿舎と宿舎の間の渡り廊下がありませんので、その結果は相当多量に入りました予備隊の採用者の収容のためには、雨の降る日なんかに非常に不便がある、そういうような事情から渡り廊下をつくり上げるというような、各種の方面において予算の施行をいたしたのであります。これがその後予備隊が完全に整備いたしまして、それぞれ予算関係におきましても、予備隊の正式の予算として成立をいたし、すべての責任が予備隊に移りました後におきましても、国警の施設としてそのままその当時増改築せられたものが残つておるような状況にあるのであります。この点は予備隊受入れの緊急な必要から、やむを得ないものではあつたといたしましても、結果から見ると、その後の国家地方警察のために利用せられたというようなものになりまして警察予備隊そのものが利用した期間はきわめて短期間であるというような結果になつたのであります。この点を会計経理の運用上遺憾であるとして指摘せられたのがこの案件でございます。以上簡単でございますが、説明いたしました。
  47. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対して、会計検査院側で特に補足的説明があれば、発言を許します。
  48. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 検査院報告しております趣旨は、なるほど予備隊が発足当時、急速にいろいろな募集業務を国家警察でやらなければならなかつた事情ということはわかりますが、実際の時期も、募集員はごく短期間しか警察の方にはおりませんし、またこの工事をやられたのが大部分八月にもありますし、九月にもかかつておるわけでありますが、隊員が実際入つて参りましたのは八月下旬ごろで、幾分この点は短期間で出るということがわかつてつたのではないかというふうに考えております。と同時に、応急的にやられたものは実はやむを得なかろう。しかしここに掲記してあるのは、恒久的のものであるし、一時的の場合には予備隊としては必要ではなかつたであろう。こういうふうな観点から、これは予備隊の経費から出されるのは穏当ではないというふうに考えておるのであります。
  49. 田中彰治

    田中委員長 以上の説明に対して、この際質疑を許します。
  50. 大矢省三

    ○大矢委員 これは警察予備隊がずつとその後保安隊にかわるまで相当長い期間で、この問題が起きているのは主として購入関係であります。あるいはまた払下げその他にも相当あると思いますが、その後処分を受けた人が、あるいはまた自発的にやめた人もありましようが、その人の転職—これは予備隊だけの関係でなくて、各省関係あることですが、購売その他物の払下げに関してそういう不正のあつた場合には、官庁に勤めることはできませんけれども、民間会社にすぐ転勤して、むしろ栄転される。あるいは傍系会社に入ることができる。さらにもうそれを事前に承認の上でやつているようなケースも相当あると思います。そこでこの処分を受けた人並びに退職された人が、どういうふうな職についていられるか。  それからいま一つは、このたくさんの処分の中に、懲戒、戒告、その他免職といろいろありますが、こういう決定に対して、裁判ならば異議の申立てがありますが、相当に本人の事情を聴取し、公平な決定が行われたかどうか。これは人間でありますから、感情の上で、十分本人が弁明されれば了解が得ることも、検査官に指摘されたからといつてただちに処分されるようなことがないでもないと思う。そういうことで、本人が十分に自分から経過なり意思なりを述べ、公平な決定を受けるような機関がそれぞれあるのか。あるいはそれについて検査官が十分それをも聴取されておるかどうか。これは全体にわたることですが、特にこの警察予備隊のいろいろな購入の面で、しばしば私も問題を聞いておりますが、そういう問題のあつた人のその後におけることを調査をされておるかということと、それから今言う処分の決定について、本人の意思を十分聞ける機関があるかどうか。この二点について伺いたいと思います。
  51. 谷口寛

    ○谷口政府委員 私の説明が不十分であつたかもわかりませんが、私の方は国警本部としてこの委員会に出て参つておるのでございまして、決算関係といたしましては、二十八ページの六の「警察予備隊経費で特に必要のない施設をしたもの」という部分の御説明を申し上げたわけであります。予備隊そのものの経理紊乱に関連する事案につきましては、予備隊方面責任者において御説明をしていただく機会があろうかと考えております。
  52. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほど会計検査院の方からの御説明では、あらかじめ臨時に使うことは予測されておつたというような御意見があつたようですが、国警の方としてその点はどうなんですか。予測されておつたのならば、応急のものとしてそう警察予備隊費用を使う必要はないというように私聞えたのですが。
  53. 谷口寛

    ○谷口政府委員 警察予備隊が創設せられるようになりましたのは、先ほど簡単に御説明申し上げましたように、昭和二十五年七月八日のマッカーサー元帥から総理大臣への書簡で、初めてそのことがきまつたのであります。それから至急に設備するという関係になりましたが、当時の事情といたしましては、警察予備隊の創立関係を直接警察予備隊に終始する責任者としてやつて行く人といたしましては、当時わずかに警察予備隊の次長になられる予定者が一応きまつた程度でございまして、それ以外の人選は全然進まなかつたのは、御承知の通りでございます。その結果、先ほど御説明申し上げましたように、一応募集から編成、装備の一部をつけてキャンプまで送り出すという仕事を、一番縁の深い国警本部で扱つたらよかろう、こういうことになりまして、われわれの方でその創設業務の引受けをさせられたような事情にあつたのであります。それでその大局の考え方といたしましては、警察予備隊でございまするから、もとより警察そのものではございません。国警本部とはおのずから組織、機構も異にするものでありますがゆえに、いずれこれは整備せられた予備隊本来の責任と施設ができ上るということは、当然に予定せられておつたことでございますが、それがいつどういう形で行くかというような期間の見通し等につきましては、当時の事情といたしましてははなはだ明瞭を欠いておつたのでございます。はたしてそれが二箇月で完了するか、あるいは三箇月で完了するか、場合によつてはその年を越さなければならないかというようなことにつきましても、相当明瞭を欠いておるような事情にあつたのでございます。結果論といたしましては、国警で第一次に募集をして管区学校へ入れましたのが、先ほど会計検査院からもおつしやいましたように、八月の下旬、正確に言えば八月二十三日でございますが、八月二十三日に第一次の集合がございまして、逐次順を追うて最後に第十一次、これは十月十二日に集合いたしまして十四日にキャンプへ到着した。この十一次をもちまして一応予定の七万五千名が、予備隊の予定せられたキャンプへ送り出されるということに相なつたのでございます。これは一応結果論でございまして、当時の事情といたしましては、かような短期間に国警の預けられた責任が全部終了するというようには考え得ないような前後事情にございました。率直に申し上げますならば、先ほど申し上げた通り、本来警察官の教養をなすべき管区学校を、この募集の予備隊員を受入れて一時とめておく場所として予定いたしておりました関係上、完全にその期間国警側の警察官の教養はストップをいたしてしまうというような事情にまで至つておりました。そこらの点を考え合せまして、いろいろと施設の拡充あるいは補修というようなことをやつたような次第でございます。
  54. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいま総理府の職員不正行為、この項目六件と書いてある、そうして金額が九百八十二万円、その註を見てみますと職員俸給とか前渡資金、入札及び契約保証金、労務者の給与等、それから発生箇所が警察予備隊第二管区総監部外一箇所と、こうなつておる、これらの内容について警察予備隊関係がこの六件のうちに幾つになつておるのでございますか、ただ一つであればその事件の内容の大要でも説明ができますれば教えていただきたい。
  55. 窪谷直光

    窪谷説明員 さしあたり議題になつておりますのは第二から六まででございます。予備隊創設当時の状況の概略を申し上げますと、八月十日にポツダム政令として警察予備隊令が施行になりました。急遽七万五千人の隊員を募集することに相なつたのでございます。普通の募集の順序から申しますと、まず幹部を任用いたしまして、適当な幹部がそろつたところで一般隊員の募集をいたすのが常道だろうと思います。ところが当時の状況からいたしましてそういう通常の手続なり順序なりをふむことができなかつたのでありまして、一般の隊員を早急に募集しなければならない。さてこの仕事をだれがやるかということになりますと、ポツダム政令の警察予備隊令によりまして、国家地方警察本部で当分の問その仕事をやるということに相なつたのであります。創設の当初二、三箇月の間は国家地方警察の非常な、ごやつかいになつたわけであります。その後漸次警察予備隊の側にも幹部がだんだんと充足をして参りまして、十月、十一月ごろに国家地方警察の方でやつていただきました仕事を、全面的に警察予備隊本来の方に引継ぐということに相なつた次第であります。今御指摘になりました第二管区総監部ほかの不正行為につきましては、国家地方警察本部としては全然御関係のないことでございます。それはいずれ私の方と申しますか、警察予備隊の方が議題になりました際に、概略の御説明を申し上げたいと思います。
  56. 松本七郎

    ○松本(七)委員 先ほどの国警の方の御説明ですが、結局これが時期がいつになるかわからぬということと、それから当時国警が引受けてやる上についてはどうしてもこれをやらなければ、国警の費用でそういうことをやることはできないという実際の必要から、やむを得ざる措置としてやつたということなんですか。
  57. 谷口寛

    ○谷口政府委員 お答え申し上げます。今おつしやられた通り事情でございます。
  58. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと御相談なんですが、二ないし一四までは予備隊に関するものと思われますので、これはこの際逐次御説明願つて、どの面たりともわれわれが予備隊の予備経理について質問する方が便宜じやないかと思うのですが、どうですか。
  59. 田中彰治

    田中委員長 それでは吉田委員の要求によりまして報告書二十九ページ予算経理、報告番号七、物件、報告番号八ないし一一、役務、報告番号一二、不正行為報告番号一三、以上七件につき保安庁当局から説明を求めます。特に報告番号一二、批難事項については政府並びに会計検査院両当局から詳細説明を願います。
  60. 窪谷直光

    窪谷政府委員 まず警察予備隊の二十五年度の決算の概要をごくかいつまんで申し上げたいと思いますが、警察予備隊の二十五年度の経費警察予備隊令の附則の第二項によりまして、一般会計の国債費から二百億円を移用いたしまして、二十五年度の必要経費といたしたわけであります。従いまして二十五年度には国会の予算として成立をいたしたものはないのでございまして、法律かわりますいわゆるポツダム政令によりまして、国債費から二百億円を移用いたした次第でございます。そのうち支出をいたしました金額が百三十二億円余、警察予備隊令の附則第三項の規定によりまして、これは繰越しができるということになつておりますが、それに基きまして翌年度に繰越しました金額が六十七億七千余万円でございました。不用になりました金が二千余万円でございました。創設の当初におきましては、経理その他の機構が無整備のために、その業務の一部を警察予備隊令に基きまして、国家地方警察に委任をいたしたのであります。国家地方警察におきましては、同年度十九億九千余万円を支出いたしておる次第でございます。なお営繕の工事につきましては、小さな補修の工事を除きまして、ほとんどすべて建設省に支出の委任をいたしたのであります。二十五年度に六億二千余万円を支出いたしました。二十八億九千余万円を翌年度に繰越しをいたしておる次第であります。  次に支出済みのおもなるものについて概要を申し上げますと、七万五千人の隊員の募集経費が三億一千万円でございます。個人の被服及び装具が四十六億円、ベッドその他寝具類が十四億円、車両が十八億五千万円、通信機械が五億八千万円、衛生資材が一億三千万円、各種の机、いすその他を含めました需品類と工具類が約十七億円、合計百二億六千万円を使用いたしたのであります。なお施設につきましては、七万五千人を非常に取急いで収容しなければなりませんでした関係から、営舎の施設の獲得は最も急を要したのであります。非常に困難をきわめたのでありますが、一部は当時の進駐軍の好意によりまして、アメリカ軍が接収をいたしておりましたキャンプを利用いたしますとともに、他は国有財産でありました旧軍の施設でありますとか、あるいはまた若干民有の元の工場跡を応急に修理いたしまして利用いたしましたほか、さらに恒久の施設として四つの管区総監部をそれぞれ東京の練馬、北海道の札幌、兵庫の伊丹、福岡県の福岡市に設置いたしました。また秋田、青森、函館に営舎を新設することといたしまして、その工事に着手いたしましたのであります。その金を四管区総監部に十六億九千万円、新設の三営舎に四億七千万円、既存の施設の応急修理費に十一億四千万円使用いたしたのであります。以上のほか、隊員に対します給与でありますとか、あるいはまた現物で支給いたします食事の代金あるいは旅費、その他事務運営に必要な経営費で五十五億円を使用いたしたのであります。警察予備隊は、先ほど申し上げましたように、二十五年の八月十日の予備隊令の公布即日から隊員の募集を始めまして、公布をいたしました十数日の後、すなわち八月二十三日にはすでにもう隊員が集合いたすというふうな、非常に取急いだ募集をいたしたのであります。これの受入態勢には非常に苦労いたしたのでありまして、当時の国家地方警察には多大の御援助と御協力とをいただきまして警察予備隊の幹部が充実いたします間まつたくそれの御高配にあずかつた次第であります。そういうふうに創設の当時、幹部の数は少い、しかも経験者も少いというふうな状況でございまして、会計その他の経理につきましては、非常に困難な事態に遭遇いたしたのであります。今回会計検査院からも批難の指摘を受けておりまして、非常に恐縮に存じておる次第でありますが、当時の一般的な概況はそういう状況でございます。  次に、各事項につき一まして概略を御説明いたしたいと思います。事項の第七番目の問題でございますが、これは警察予備隊創設の初期に、第二管区総監部を北海道の札幌に置いておつたのでありますが、第二管区総監部内に起つた犯罪でありまして、会計検査院が御報告をされておる通りでありまして、まことに私どもも残念に思つておる次第でございます。この原因考えてみますと、当時創設早々の際におきまして、隊員の採用又びその採用した人間をどの職につけるかということにつきまして、相当取急いで事を処理いたしましたために、本人の性格でありますとか、その他の調査が十分にできなかつたということが一点であろうと思います。なお内部統制の制度も、創立早々の際でございまして確立をしておらなかつたということ、それから会計の知識経験を有します有能な幹部の数が非常に少かつたために、十分部内において審議を尽さないで業務を進めておつたということが原因であつた考えられるのであります。当時一等警察士でありました斎藤某につきましては、昭和二十六年六月二十三日に起訴がございまして、越えて二十七年三月懲役二年六箇月の一審の判決があつたのでありますが、本人はさらに現在控訴中の模様でございます。警察予備隊におきましては、二十六年七月二十日付で本人を懲戒免職にいたしたのであります。この本人を監督いたします監督上の責任者でありました第二管区総監部の総監、それから同総監部の幕僚長に対しましては、戒告をいたしたのであります。なお直接の監督責任者でございました同総監部の会計課長につきましては減俸—俸給の百分の十を一箇月減俸いたしたのでございますが、減俸の懲戒処分をいたしたのでございます。なお国損金が九十四万三千四百十円あるのでございますが、この回収につきましては、賠償請求の訴訟を提起いたしますとともに、できる限り回収の措置を講じておりますが、はなはだ残念ながらまだ回収することができないで今日に至つておる状況でございます。その後警察予備隊におきましては、こういうふうな部内の不正行為、不当な経理を防止いたしますために、それぞれ各管区総管部の中に、事実上の問題といたしまして、監督要員を置いてしばらくそれでやつてつたのでありますが、なかなかどうもうまく仕事が運びません。それで当時は七万五千人でありますから、七万五千人の定員から、非常にきゆうくつな中を人員を引抜きまして、内部監査機構をつくつたのでございます。これは全国を通じて一つの隊でありますが、監査隊というものをつくつたのであります。これは幕僚長に直属いたす機関——各管区総監部に駐在はいたしておりますけれども、それは幕僚長の直属の機関として、管区総監の指揮命令を受けないで、独立の立場から地方におきます会計その他いろいろな監査に当る組織をつくつたのでありまして、その要員の訓練等にも特に意を用い、中央に集めまして何回かの講習その他の訓練をいたしまして、現在配置について成績をあげているように考えている次第であります。こういう事件の絶無をできるだけ期して、内部におきます監査もやつて行く考えでおる次第であります。  次は第八番の事項でございます。スキー具の購入に当りまして不注意の結果出て参つたものであります。その一つは、税率がかわつておりますのにもかかわらず、それに気がつかないで、旧税率で物品税を支払つたという事件でございます。これは、当時緊急に調達をいたしましたために、その税率の変更についての調査が不行届きでありまして、非常に恐縮な事態が起つたのでありますが、過払いになりました物品税につきましては、それぞれ昭和二十六年十一月の二十九日に、内外通商株式会社というのから十六万百二十八円それから二十七年の二月の二日に至りまして、株式会社日本屋から七万五十六円、さらに二十七年の一月三十日に株式会社中島というところから七万五十六円というものを回収をいたしました。過払いになりました物品税は、全部今日においては回収をいたしまして、処置を完了いたした次第でございます。  次にスキーのつえの購入でございますが、これはスキーの本体のもののほかに、スキーのつえを若干と申しますか、千五百組を購入をいたしたのでございますが、スキーのつえは、すでにスキーと同数だけ購入を実はいたしておつたのでございますけれども、その後また千五百組を購入いたしたのでありますが、これは使用者が初めてのものが多いために、相当破損が多いであろうということを予想をいたしまして、購入をいたしたのであります。これは単純にからだだけで乗つかるものではございませんで、背嚢でありますとか、その他の装具をつけてスキーをはいて訓練をいたしますために、スキーのつえの損傷が相当多かろうということから購入をいたしたのであります。なお使用の実績等を検討いたしました上で購入をしてもさしつかえなかつたことかと思うのであります。若干処置よろしきを得ないというふうに考えておりますが、だんだん経験を積みまして、将来どの程度に準備をして行けばいいかということの参考にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  次に第九は、エチルアルコールを買つた事件でございまして、これも会計検査院で御報告がありました通りでありまして、当時緊急調達の必要がありましたのと、調達機構が、先ほど申しましたように、まだ十分整備しておりませんために、業務に精通した幹部も少く、また非常にたくさんの物品の購入に忙殺をされまして、十分な価格の検討が行えなかつたということによるものだと考える次第であります。その後の購入につきましては、いろいろ調査をいたしまして、価格を引下げて購入をいたしておりますことは、検査院検査報告通りでございます。  それから、次の十番目の事項でございますが、これは昭和二十六年の一月二十五日に総隊総監部の被服係が中川メリヤス株式会社というものに対して、腕章の見本の作成を依頼をいたしたのであります。ところが業者におきましては、これを発注と勘違いをいたしまして、相当量の現品を作製をいたしまして、二月の十二日、十六日の両日に納入をいたしたものでございます。これにつきまして、物品の検収係は、成規の手続による契約ではないために、当然その検収を拒否したのであります。現品を引取るように業者に命じたのであります。ところが二月の末ごろになりまして、営内の保安の任務に服します警察予備隊員に、保安腕章を緊急に着用させて警戒を厳重にする必要のある事態が起つて参りましたので、たまたまさきに納めておりました中川メリヤスの腕章が転用できるという状況になりまして、これを使用することにいたしまして、三月の八日に契約を結び、翌九日現品の検収を実施したのであります。この保安腕章の現品は、理想的な規格から申しますと、若干適合はしない点があつたのでございますが、使用にはさしつかえもございませんでしたし、また価格もほかの業者の見積りの価格をとりましたところ、こちらの方がより安いというふうなことと、一般の市価に比べても大体いいところであろうというふうに考えまして、購入をいたしたものでございます。右に申しましたように、緊急調達の必要からとは申しながら、成規の手続によらないで便宜的な措置によつて購入をいたしましたことは、適当な措置とは考えられないのでありまして、将来は十分注意をいたして行きたいと考えております。  それから次の十一の事項は、くつの機械であります。くつの機械の一部であります縫付機と、それから本底回り仕上機というものを購入をいたした件でございますが、これはくつの製造並びに修理用として、底革打抜機等々とともに調達の計画を立てましたものの一部でございまして、予算関係からとりあえず縫付機と仕上機だけを購入いたしたものでございます。検査院検査をされました当時は、まだ利用の段階には至つておらなかつたのでございますが、その後要員の養成をいたしますとともに、宇治にございます補給廠の重要施設の一つでありますくつの修理工場の設備として、現在は活用をいたしております。さような次第でございますので、御了承を賜わりたいと思います。  次の第十二番目は、庫移補償費の事件でございます。これは第一管区総監部の建設に関係をいたすものでございます。警察予備隊ができました当時におきましては、とにかく既設の施設等を利用をして、さしあたり隊員を入れるということで参つたのでございます。従つて地方におきます指揮をいたします中心地となるべき管区総監部等も、まだ編成は十分にはできておらなかつたという状況でございますが、こういう状況では相なりませんので、早急に管区総監部だけはしつかりしたものをつくつて、指揮と統率とが乱れないようにという配慮から、各地に管区総監部を設置をいたしたのでございます。この第一管区総監部も、練馬に建設をいたしたのでございますが、練馬に決定をいたしますまでに、東京都を中心にいたしまして、いろいろ候補地なり既設の施設なりを調査をいたしたのでございまして、その調査に相当の日数を要しまして、いよいよ練馬に位置をきめるということになりますまでに、相当の遅延をいたして参りましたために、その後の仕事を非常に取急いで進める必要があつたのでございます。土地そのものはこれは民有地でございまして。昔陸軍の倉庫地帯でございました。旧陸軍が土地を借り上げまして、その上に国の経費で倉庫を建設いたした地帯でございます。土地につきましては、これを買収をいたしたのでございますが、上の建物につきましては、国有財産でございます。ここに関係をいたしております二つの倉庫会社が当時の管理の責任者でございます東京財務局から、一時使用の承認を受けて倉庫業務を営んでおつたものでございます。一時使用ではございますが、当事者の考えと申しますか、内約といたしましては、将来それが払下げができる状況になりました場合には、払下げを受けるという黙契のもとに営業いたしておつた次第でございます。ところが管区総監部をここに建設をいたしますためには、その倉庫の立ちのきの必要があつたのでございます。当時倉庫業務を営んでおりましたものに対しまして、急遽その建物を立ちのき、中にある品物をよそに移すようにという必要が出て参つたのであります。警察予備隊の必要から、業者としては必要のないにもかかわらず、出費をかけて荷物の搬出をしなければならないという状況でございましたので、これの経費を補償してやるということは、社会通念上やむを得ないというふうに考えて、補償をいたしたしだいであります。ところがその後になりまして、会計検査院の方で御調査になりましたところ、倉庫業者としては全然経費を負担しておらない。その倉庫に荷物を寄託をいたしております者が、自分の負担で荷物を運び出しておる。従つて荷物の移転費を補償したのは、事実のないものについて補償をしたのではないかという御指摘であるわけでありますが、警察予備隊といたしましては、警察予備隊の必要によつて、倉庫の中にある荷物の搬出をしなければならぬということになつたのであります。業者としてはまつたく予期せざる事態でございまして、特別の経費を要するのでありまして、この経費を補償するのが適当であるというふうに判定をいたしたのでございます。なお倉庫業者が経費を実は負担しないで、寄託者が経費を負担して出したということでございますが、これは倉庫業者と荷物を寄託しております荷主との間の取引の問題でございまして、警察予備隊としては、そこまでの民間の取引の内容にまで立入ることはできないのでございまして、やむを得ず倉庫業者との間に補償の契約を結び、現実に倉庫の中から荷物が搬出されたことを確認をいたしまして、その支払いをいたしたのでございます。それから先のことは警察予備隊としては介入ができないというふうに考えておる次第でございます。警察予備隊としては、社会通念上当然の補償をしたものであるというふうに考えておる次第でございます。大体概略の説明をこれで終らせていただきたいと思います。
  61. 田中彰治

    田中委員長 ただいまの説明に対して、会計検査院の方で発言があればこれを許します。
  62. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ただいま保安庁の方から、予備隊発足当時からの状況は御説明がありましたので、省略させていただきまして、特に本件検査報告に載せてありますものについて、保安庁側の見解と異なるものについて、事実を申し述べて見たいと思います。検査報告番号の一二の庫移し経費の点でありますが、これはただいま御説明がありましたような事情土地が必要になりましてそこにおります倉庫業者に蔵前倉庫の方に三百七十万円、それから都商事方に二百九十九万八千円、都合補償費としまして六百六十九万八千円余りを支払つたのでありますが、そのうち蔵前の分につきましては二百八十二万六千円何がし、それから都商事の分につきましては百八十二万四千円を、それぞれの会社が負担しておりまする貨物の移転費として支払つたものであります。  まず蔵前の方から申し上げますと、倉庫に入れてありますものの移転は、三月ごろから順次始まりまして、二十六年の七月ごろまでに完了しておるのでありますが、検査院調べてみますと、当時在庫貨物の寄託者は全部自費で引取りをやつてつたわけであります。そして全体について全然会社が負担していない。それでただいまの御説明によりますと、そこまで調べる必要がないというお話でありますが、いやしくも国費を使つて行きます上には、これが経済的使用の面を十分考慮する必要があると思いまして、ただいま申しましたように、三月からすでに搬出を始めておりますので、少し御注意くださつたならば、その点も判明したのではないか、かように考えておるのであります。  二の方の都商事の方は、東京特別調達局の解除物件が入つておりまして、その分については売渡し後順次引取つて行くというふうになつておりまして、またこれについて検査院の方で調べましたところが、百八十二万円に対しまして会社の方で使用しておりましたのは八万二千円くらいであります。会社の責任者について聞いてみますと、会社としては実は請求する意思がなかつた、こういうふうにさえ申しておるのであります。この点について御参考までに申し上げますと、当時の第一管区総監部の管理部長の笹某という人に、ここの練馬の方を担当していた会社の方の関係の人が、班からもらいました補償料を別途に預金しておりまして、それから相当部分を管理部長に渡した。こういうふうな点で起訴されておる事実もございます。検査院といたしましては、保安庁の方で御説明がございましたが、事実必要のないものであるならば、よく調査しまして—相当急ぐ事情があつたと思いますが、もう少し調べていただけば、必要がないということが判明したであろう、こういうふうに考えておる次第であります。
  63. 窪谷直光

    窪谷政府委員 先ほど説明すべき事項について一つだけ漏らしておりましたので、はなはだ恐縮でありますが、二三の事項でございます。これは職員不正行為によりまして国に損害を与えたものというものの中の、第二管区総監部のものでございます。これは先ほど申し上げました七の事件と同様でございまして、このような事件発生いたしましたことはまことに恐縮に存じておる次第でございます。斎藤敏夫につきましては、昭和二十六年の八月三十日付で懲戒免官の処分にいたしますと同時に、責任者につきましては、先ほど申しました七の斎藤吉次の事件と同様に、それぞれ懲戒処分をいたしたのであります。なお亡失金につきましては、ことしの三月末日までに一万四千五百円を回収いたしました。残額の九万余円につきましては、賠償要求の訴訟を提起いたしたのでありますが、本年の八月六日札幌の簡易裁判所で、昭和二十八年の十二月までに分割納付するようにという和解が成立をいたしました。十月末日までに八千円を回収いたしましたので、現在八万二千二百六十余円が未回収と相なつておる次第でございます。これは和解の内容に従いまして、厳重に回収をいたして参りたいというふうに考えておる次第でございます。  なおこういう事件の再発防止内部監査等につきましては、先ほど申し上げましたような措置を講じて、鋭意努力をいたしておる次第でございます。  以上をもちまして、会計検査院の指摘事項のうちで、警察予備隊で扱いましたものの御説明を終了していただきたいと思います。
  64. 田中彰治

    田中委員長 この際御質疑を許します。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いろいろお尋ねしたいのですけれども、お尋ねする資料として御説明願いたい点があるのであります。二十五年度の予算は二百億円、支出総額は百三十二億何がし、繰越しが六十七億円余りというようなことになつていますが、その繰越し関係はどういうことになるのですか。
  66. 窪谷直光

    窪谷政府委員 警察予備隊令の附則の第三項によりまして、二十五年度末までに契約の済んだものについては、翌年度に繰越してよろしいという規定がございます。従いまして繰越されました予算は、二十六年度の予算と合体されまして使用をいたすことに相なつたのでございます。
  67. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから不用額という項目がありますが、これはどういうことになりますか。
  68. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは翌年度に繰越しをいたしませんで、俸給費でありますとか、事務費でありますとか、その他二十六年度に繰越して使用するということの適当でないものを、不用額として計上いたしまして、その予算を翌年度に繰越さぬという措置をいたした次第であります。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 今の御説明の六十七億七千六百何がしの繰越しの内容の資料を、各個別に提出していただきたいと思います。
  70. 窪谷直光

    窪谷政府委員 実は相当厖大な資料になつて、各会社別に契約をずつと洗つて参るのでございますが、やはりその程度の資料が御必要でございましようか。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 当委員会において審議に必要な程度でありますから、そんな大きなものを出してもらつたつてもしようがないから、適当に……。
  72. 窪谷直光

    窪谷政府委員 それも時間さえちよつとお許しくださいますれば、提出できると思います。
  73. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いろいろお尋ねする事項がありますから、きようは終了するわけに行きませんが、次の機会までにぜひひとつ……。なるべく詳細の方がいいですから……。
  74. 窪谷直光

    窪谷政府委員 承知いたしました。
  75. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なお、これも同趣旨で明らかにしておきたいのですが、二十六年度は予算がずつと落ちて、百六十億円ということになつておりますがこれはどういう理由ですか。
  76. 窪谷直光

    窪谷政府委員 翌年度の予算が百六十億円に相なつておりますのは、実は政府部内の仕事のやり方といたしまして翌年度の予算を国会で御審議願うためには、八月ごろから政府部内としては一応事務的には準備を始めるわけであります。その当時はまだ警察予備隊ができました早々でございまして、当該年度の仕事自体も、国家地方警察の方でやつていただくというような状況でありましたために、十分な計画を立てることができなかつたのでございまして、まずさしあたり百六十億円あれば、大体警察予備隊の維持運営には支障なかろうというふうなことから計上されたのでございますが、その後いろいろ研究いたしますと、それではどうにも警察予備隊の充実なり維持運営に非常に不足をいたすということから、二十六年度の補正予算によりまして、百五十億を追加いたしました。従いまして二十六年度の予算は、当初の予算の分が百六十億円、追加予算の分が百五十億円、合せて三百十億円に相なつております。
  77. 松本七郎

    ○松本(七)委員 ちよつと前後しますが、先ほどの国警の問題について検査院側にちよつと質問しますが、先ほどの国警の方の御説明によると、警察予備隊仕事を担当する上から、やむを得ずああいう処置になつたということですが、検査院側としての考え方は、緊急やむを得ざる状態にはあつたけれども、恒久的なものではない。そういうものを警察予備隊費用でもつてすることそのことが不当だといわれるのですか。それとも、実際のそういう状態からはやむを得ないが、あと何らかの整理をすべきであるというような考えから不当といわれるのですか。その点をはつきりしていただきたいと思います。実際にそういうふうに警察予備隊仕事を国警が担当する場合に、それならば一体どうやつて予算的な措置をすれば妥当なのか。そういう点の御意見を伺つておきたい。
  78. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 御説明いたします。ただいま御質問の点で、結論から先に申し上げますと、結果的にこういうものが必要じやなかつたということばかりを考えているわけではありません。ここに提起してありますように、当初から予備隊の隊員が募集されて、今度どこかに送られて行くわけでありますが、その期間はそう長くはない。だから恒久的なものをやる必要がない。もしほんとうにそれが予備隊の募集に必要でありますならば、これはやむを得ぬ、と、こういうふうに考えておりますが、ここにありますものは、何とか差繰つて、当時の現状の管区の学校で間に合わされることができるのだ、こういうふうに考えておるわけであります。たとえばこの中で、こまかいことを申し上げて恐縮と思いますが、三の東京の分でありますが、同校生徒寮六棟外装というのがございますが、六十七万三千円、これをクレオソートで塗るとかいうような仕事でありまして、破れて入れないとか、こういうふうな事態であれば、これはどうしてもやむを得ぬと思いますが、そうでないもの倉庫にいたしましても、従来の柔剣道場とか、そういうものを便宜使つて間に合わした方がよかつた、そうすることができた、こういうふうに考えているわけであります。
  79. 松本七郎

    ○松本(七)委員 結局それは状態なり事実の認定の相違になつて来るので、むずかしいところだと思いますが、そういう問題を起さないようにするために、一体そういうふうな仕事を他の者が責任を負つて一時やらなければならぬというような場合に、会計整理上において、どういうふうな改革をしたらそれを根本的に避けられるか。今の状態ですと、結局国警側としてはそれが必要だ、実際に仕事をやる上には必要だという判断の上に、おそらくやられたのだろうと思います。検査院の方から見れば、必ずしもそうは認められないということで、そこに見解の相違が出て来る。そういう見解の相違にまかせておくということでは解決できないと思う。何かそこに根本的に、そういう場合に、紛争というか、そういう余地のないような方法はないわけですか。
  80. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 御説明いたします。ほかの方におきまして、たとえばAという省について申しますれば、Aの役所でやつて行くのが建前でありますが、営繕工事というふうなものは、建設省に委任してやるとかいうようなことをやつております。また本件のような場合に、まだ人員が整備しておりませんから、予備隊の募集事務を国家地方警察にやらせるということはやむを得ぬと思います。結局これが特殊のケースだけでなくて、ほかの場合でも、国家の行政機構の性質から全部をそこでやることができない場合に、引継いでやらなければならぬ。できるものは営繕関係予算をつけて建設省でやるということが望ましいと思いますけれども、必ずしもそうはつきりできないものがありますので、こういう事態が起るということは、避けるべきかもしれませんが、やむを得ないと思 います。要は、そこでおやりになる方の御判断によつて、実際そこの役所のために必要なのか、委任されておる仕事に必要なのかという見わけをやつていただくよりほかにしかたがない、こういうふうに考えております。
  81. 松本七郎

    ○松本(七)委員 そうなりますと、それをやつたあとで、結果から見て、これだけのものは必ずしも必要でなかつたというような判定を下した場合に、今度の場合なら国警自体の予算から後になつて支出するというふうな方法はないのですか。それを、実際に予備隊の費用としてやむを得ざるもの以外は、後に国警の方で今度は支払うというか、調整するという余地はないのですか。
  82. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 お答えいたします。現在の予算制度ではちよつとできかねるわけであります。この場合に、本来ならば予備隊のものを予備隊の経費でつくつた。こういうことであるならば、予備隊が使えばよろしいということになるかもしれませんが、つくつた場所がこういうところでありますから、これはやむを得ぬと思いますが、あと予算の方で予備隊の方でつくつたのを警察で見てやるということは、現在の予算制度ではちよつとむずかしいと思います。
  83. 大矢省三

    ○大矢委員 今説明警察予備隊経費で改修新築があるのですが、その後独立した保安隊にこれが引継がれたかどうか。警察予備隊で必要があつてこしらえたものならば、保安隊にかわつたのだから当然それを引継ぐべきである。先ほど問題になつておるところの、それに名をかりて、国警がこういうふうに使つたのじやないか。そのあとの始末について明らかになつておるかどうか。この点はどれだけ引継いだか。依然として国警が使つておるならば、国警が必要なためにつくつたということを立証されると思う。その点でこの内容はどうなつておるか。改修というようなことろは別でありますが、現に大阪のごときは、倉庫を新築しておる。相当額に上るこの新築倉庫は保安隊に引継いだのか。依然として国警がこれを使用しておるのか。その当時のことを明らかにしていただきたい。
  84. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは国家地方警察本部で、募集いたしました隊員を応急に一時収容いたしましすために、つくつた施設でございまして、従いましてもちろん警察の、主として管区学校の校内にあるわけでございます。警察予備隊の施設は、それとは全然関係ない場所に、警察予備隊の警備上の観点から選定されて施設をいたしたのでございます。考え方によりましては、あるいは倉庫をとりこわしまして、こちらに持つて来るということも考えられぬこともないでございましようが、国全体の立場から考えてみますととにかく一時的ではございましようが、警察予備隊のために使われた。それであとそれをどう処置するかという場合に、とりこわして警察予備隊の方に持つて来て建て直すのが適当か、それとも国家地方警察の方でそのままお使いになるのが適当かというふうな考え方もあろうかと存ずるのでありまして、これらの施設につきましては、実は警察予備隊としては国警の方でお使いになつて支障はなかろうというふうに判断をいたしまして、引継ぎは別に受けてはおりません。そのほかに国家地方警察の方でやりました仕事の中で、いろいろな物品類がございます。たとえば毛布でございますとか、あるいはまたベッドの鉄のわくでございますとか、それからいろいろな隊員に対する通知その他のために郵便切手をあらかじめ相当買つてございました。そういうものは、すべて国家地方警察から警察予備隊の方に引継ぎを受けておるのであります。その間、不動産だけがこういう状態になつておるのでありまして、物品等で国家地方警察で買いましたもののうちで、なお使用ができますものについては、それぞれ適切な処置をいたしておる次第でございます。
  85. 大矢省三

    ○大矢委員 ぼくは備品その他について聞いているのじやない。この二から六までの校舎の新築、改修、改造というものについてすでに必要がなくなつたのだ。別になつたのだ。その当時は必要で設備したということは、今説明を聞いてよくわかつておるが、現在だれが使つておるか。もし国警が使つておるとするならば、警察予備隊費用でこれを改修し、あるいはまた新築しておるが、今日それをちやんと国警が使つておるということはどうか。先ほど松本君の尋ねられたように、国警と警察予備隊、現在の保安隊との間に何らかの決算がついておるのかどうか。そのまま使つておられるのかどうか。その実情だけをお聞きしたい。
  86. 窪谷直光

    窪谷政府委員 警察予備隊では、国家地方警察から、これらの施設につきましては引継ぎを受けておりません。おそらく国家地方警察の方では、その後の必要に応じまして、こういう施設を使つておいでになることだろうと思います。
  87. 大矢省三

    ○大矢委員 これは現在警察学校ということになつておりますが、警察予備隊費用で修理し、さらに今言つた倉庫なんかは新築しておるのですが、そのまま国警で警察学校として使い、あるいは国警の必要な学校の倉庫として使つておるなら、私が今言つたように、警察予備隊費用で、こうして現に無償といいますか、そのまま国警で使つておるということは変だと思うのですが、その実情だけ聞けばいいのです。
  88. 中原ただし

    ○中原政府委員 お答えいたします。ただいま御質問の施設は、なるほど現在国警としては十分に使つております。しかしそのつくりました際は、募集事務に必要だということでつくりまして、その後の処置につきましては、備品の引継ぎ等の際にも、予備隊の方とも打合せをいたしまして、そのまま国警の方で活用した方が国家経済の上から申しましても適当であるということで、そのまま使つておるわけでございます。
  89. 松本七郎

    ○松本(七)委員 今の問題は、実際からいえば、そのつくつた当時は、警察予備隊の必要からそれをつくり、それを使つてつた。その後になれば、今度国警の方では設備ができないでしようから、いろいろ使い道はあろうと思います。しかし問題は、そういうことをそのまま放置して置いたということは、はなはだ妙なことなんで、そういう問題が起らないようにやる方法が何かないものか。検査院側でそれを放置しておけば、そういう問題がいろいろ起つて来る。それで何か制度上の改革案ということをお考えかどうか。こういう点を伺いたい。
  90. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 先ほどお答えしましたように、現在の制度からいえばしかたがないと思いますが、ただこれは私の方と直接関係いたしませんが、警察の方の関係で、かりに倉庫が必要だとすれば、当然警察関係の営繕の予算に、将来は少くとも倉庫をあげて来なければならぬと思います。そういう場合に、そういうものを考慮されるとかいうような方法で、予算の規正をして行くということになろうかと実は考えております。
  91. 大矢省三

    ○大矢委員 これは警察予備隊から、国警の方に使つてよろしいということで、現在使つておりますというお話ですが、もしそういうことが警察予備隊と国警の間に話ができるならば、たとえば一例としてこういうことはどうなんですか。警察予備隊が今度保安隊になつて必要がなくなつたとか、あるいは募集するときに必要であつたが、現在必要がなくなつたから君のところにやるということで、自治体警察と国家警察あるいは予備隊警察の間でこういう譲渡しといいますか、合意の上で話がついたということは、会計上どうなるのですか。これは自治体警察に移したときでもさしつかえないのか。またそういうことが何らの報告もされずにかつてに行われていいのか。おそらく今検査官は初めて聞いただろうと思う。これが現在の警察予備隊費用で新築しておきながら、現に国警が所有し、使用しているということは、会計上さしつかえないのか。あるいはもしそういうことが許されるならば、地方自治体においても警察予備隊の使つていたものを話合いでいただけるのか。これは現実の問題として重要ですから、その点を両者から伺つておきたい。
  92. 窪谷直光

    窪谷政府委員 保安庁の方から先にお答え申し上げます。たとえば警察予備隊費で施設をしたものを、自治体警察に無償で使わすことができるかということが一点だろうと存じますが、これにつきましては、できないというふうに考えております。これは警察予備隊で使つております土地建物等が不用になりますと、行政財産という整理から、普通の財産に組みかえをいたしまして大蔵省に引継ぎをいたすのでございます。引継ぎをいたしまして、大蔵省の方では国有財産法の規定に従つて処分をいたすことに相なります。従いまして、警察予備隊から直接にそういうふうな操作をやるということはできないのでございます。なお大蔵省に移りましたものにつきましても、無償で自治体等に渡せるものにつきましては、法律にそれぞれ制限がございまして、おそらく自治体警察の庁舎等につきましては、無償で引渡すということはできないのではなかろうか。普通の処分の価格で、契約を結んで引渡しをするということに相なろうと存じます。なお国家警察で、警察予備隊費を使用してつくりましたものにつきまして、こういうふうな処置をいたしましたのは、いずれもこれは一般会計の中の事柄であります。政府の間の事柄といいましても、一般会計と特別会計との間におきましては—これはある意味において便宜的な措置でございますが、それはとれないと思うのでありますが、一般会計の中のことでございまして、ただ所管の庁が違つておるという程度のものでございますので、若干不穏当かと存じますが、便宜的な措置として、しかも先ほど申しましたように、これをとりこわして予備隊の方に引継ぎましても、むしろその方が一般会計全体から見れば不用の支出をさらにすることに相なりますので、せつかくつくりましたものは、そのまま置いて国家警察の方でお使いになる方が、一般会計全体としても利益ではなかろうかと考えておる次第であります。
  93. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 一般会計と特別会計の中では、そういう融通は許されぬけれども一般会計の中でも、庁の所属が違うのだから、そういう便宜がはかられるということは絶対にできぬと思うのですが、それはできるという解釈でいいのですか。
  94. 窪谷直光

    窪谷政府委員 国有財産法におきまして一般会計と特別会計との間では、その所管がえについては、有償で所管がえをするという原則に相なつております。しかしながら、同じ会計の中におきましては、大蔵大臣の承認によつて無償で所管がえができることに相なつております。
  95. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 その手続は済んでおるのですか。
  96. 窪谷直光

    窪谷政府委員 それは先ほど申しましたように、そのものとしての大蔵大臣の承認なしに使われておるということに相なつておる次第であります。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 関連して……。その物件の国有財産法上の主管長官はだれなんですか。
  98. 窪谷直光

    窪谷政府委員 これは警察予備隊経費支出はいたしましたが、建物の管理の責任者国家地方警察本部ということに相なつておると思います。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 なつておると思うというのではなしに、これは国有財産法によれば、記録はちやんと備えつけてあると思うのですが、あなたは経理局長なんですから、いずれにその記録があるかということははつきりしておると思いますが、明確にしたらどうですか。
  100. 窪谷直光

    窪谷政府委員 私の方には私の方の管理の財産としては記録をいたしておりません。
  101. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 この建物は国警で使つておられて、記録関係も国警の方にございます。それで総理府所管でございますから、結局所属庁から正式に所属の引継ぎをするというような措置がとられてはおりませんが、そのままで国警の方に記録されておると思います。
  102. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 事実そのまま使つておる、そういう関係だからそのままにあるというのは、それは事実だろうが、あなたに対する質問は、法律的にそれで正当なのかどうかという見解を求めているのです。
  103. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 予備隊の方でつくりましたものでありますから、予備隊の方の国有財産に一応あげまして、それからもし国警の方に実際使うために必要であるならば、予備隊の方から国警の方に引継ぎの処理をいたさなければならぬのであります。
  104. 大矢省三

    ○大矢委員 それを聞いているのです。今現に説明によりますと、現在使つている。前にはこれは自治庁関係で、国警並びに警察予備隊一緒であつたが、特に今度は別個になつて、保安隊になつている。しかるに今日なお依然として手続をせずにそのまま使つている、こういうことが会計の検査上、それでいいのかどうかということです。今の国警の方の説明でいいのかどうかということです。それを検査院の立場から……。
  105. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 ちよつと私の説明がこんがらがつておりましたので、初めからお聞き取りを願いたいと思います。この建物をつくりましたのは予備隊の募集関係経費でつくりましたので、その中のいわゆる施設費ということでやつたわけでございます。それで臨時的な措置として実はやられたわけでありますが、それがずつとそのまま残つておる、こういうわけであります。一般の場合にこういう施設をするときには、臨時的できないものは、本来の営繕関係経費でつくつて支出されるわけであります。これが今申し上げましたように、臨時的な募集費の中に含まれておつて、臨時的な措置だということで来ておりますので、そうきちつとしてとつてないというのが実情だと思いますので、その点ひとつ……。
  106. 大矢省三

    ○大矢委員 結局この予備隊の募集の一つ費用として一部こういうものを使われたのだ。よし、どんな名目で使われたものでも財産そのものが残つている。ことに施設費で、それがそういう名目で使われたから、どうも何か関係のないようになつて来る。財産は財産として、あくまで所管はどこにあるのみか、どこが使つているのか、手続はどうしているのか、そのままで行くのかどうかということは、いくら費用の目的が募集に使われたからといつて、依然として設備その他が残つている関係上、それのちやんとした処理というものはしなければならぬと思う。
  107. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 臨時的な経費でつくりましても、たとえばほんとうの営繕費の科目で必ずしもものをつくらぬ場合があるわけだと思いますけれども、そういう場合でも、臨時的なものでつくつたから、これは国有財産でない。これは別に扱つていいのだということではございませんので、臨時的な経費でつくりましても、成規に国有財産として、科目はどうであろうと、やるのが正当だと思いますので、その点だけ……。
  108. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 これをとりこわして、保安隊の方へ持つて行けばほんとうかもしれぬけれども、そうすることはむしろ国家に余分な経費をかけるからというような御説明があつたようですけれども、こういう官吏の裁量で国家の成規の規定を破るということはできぬはずだと思う。従つてこの問題については、その手続ありやいなやということが私は問題になると思う。
  109. 中原ただし

    ○中原政府委員 ただいまの点でございますが、募集経費の一部の中に、警察学校改修費ということで、施設費が予算的に認められております。それから募集事務自体は保安隊の仕事ではなくて、国警の仕事ということになつております。従いまして国警の募集事務をやるにつきまして、警察学校の改修費という予算を国警が使つたわけでございます。従いましてその施設はやはり国警の施設でございますので、その後も引続きこれを使用するということはさしつかえないと存じます。さらにまたこれはもともと警察学校としての必要な施設でございますので、もしこれが経費支出されていなければ、次年度において警察学校の予算として要求されるべきものでございますが、その点は、結局次年度以降の予算におきまして、この経費支出しましてつくりました施設については、予算が認められておりませんので、そういう意味でも予算的には次年度においては調整がされておるということも言えるわけでございます。
  110. 松本七郎

    ○松本(七)委員 今の御説明によると、募集費というものは国警の費用でもあり、警察予備隊費用でもある、そういうような性格のものだというのですか。
  111. 中原ただし

    ○中原政府委員 予算自体は予備隊の経費として組まれておりますが、その中の募集経費、しかも募集事務は国家地方警察本部でやるということが政令に明記されてございます。この募集事務の費用のうちに警察学校の改修費という施設費が認められております。
  112. 松本七郎

    ○松本(七)委員 問題は警察予備隊予算として上つているというところに問題があるのです。そこがはつきりしている以上は、仕事をどこがやろうが、それはあくまでも予算警察予備隊予算の中から出ている、こういうことには間違いないと思う。
  113. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 先ほどから説明を聞いていると、本来は警察予備隊の財産であるけれども、それを国家警察の方で使つているのだ、その手続をふんでいないというのが今までの議論であつたが、今あなたの御説明を聞くとそれじや今の保安隊予算でつくつた建物は、国家警察の校舎補修という名前で予算をとつてあるから、その建物の財産権、そういうようなものは国家警察に所属するとあなたは解釈しているのですか。
  114. 中原ただし

    ○中原政府委員 その点は同じ総理大臣の所管のもとでございますので、所属は関係の両者の話合いで、そういう臨時的なものは、国警の所属でそのまま使用してさしつかえないと思います。
  115. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 さしつかえあるなしの問題でなく、その財産というものは国家警察に所属すると初めからきめてかかりているのかどうか。あるいは財産のほんとうの所有者というものは保安隊であるかということを認めてかかつているのならば、そこを聞きたい。
  116. 中原ただし

    ○中原政府委員 その点は国警の所属だと私は考えております。
  117. 大矢省三

    ○大矢委員 国警の所属だということを明かにしているが、もし国警の所属でありまするならば、一体二から六までに対する検査院の意見はどういうものかというのです。それは必要としてつくられたものを、なぜ不当支出だとして二から六までにあげて、こういうものは不必要だということをここにあげているか。それがもし今のお話でありますならば、当然国警がこれを使い、国警が必要に応じて設備し、しかも募集費用の一部だ。それがこつちに委任されたのだから当然国警がこういうことをして何のふしぎがあるかということになる。
  118. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 実は今問題になつております案は、後の所属はどうだということは別といたしまして、後の所属がどうであるからというのでなくて、募集事務のためにはこれは必要でなかつた、こういうことを実は申しているわけでありまして、あとで募集が済みまして後に、国警で使つているからそれでいかぬというふうにすぐこの案で申し上げておるわけではありませんので、経費の使い方としては、予備隊の募集でもよろしゆうございますが、募集のために真に必要な経費に使わなければならぬ。これがそうじやなくて私の方で見ておるところでは、国警のためだとか、言葉が行き過ぎかもしれませんが、少くとも募集の事務にはこの経費は必要でない、こういうふうに実は考えておるわけであります。
  119. 大矢省三

    ○大矢委員 今私の聞いているのは所属と、それから今の使途についての不当か不当でないか、この二通りになつておると思います。そこで今お話のように、国警の方では、当然募集その他の費用としてこれだけのものは必要だ、こうあくまでも言い、従つて営繕費から出たから当然所管も内閣総理大臣にあつたんだから、今使つてもいいんだ、こういう説明でありますが、それについて不当支出だとして二から六まであげてちやんと報告している。これが不当であるないという争いは今現に行われているが、この報告は不当だということを一方的に認めて出したのかどうか。
  120. 上村照昌

    上村会計検査院説明員 この案に出してありますのは、実は私の方で検査いたします場合に、実地検査をいたすわけでありますが、実地検査をいたしまして、募集関係経費で修繕したものも、このほかにもございます。それは見たところはやむを得ないと見られるのでありますが、ここに並記してありますものは、実地検査をして参つた結果において、どうも必要とは思われない、こういう判定をしておるわけであります。その点は、ただ経費そのものが倉庫だからどうというのではなくて、実地検査をしまして、当時の状況から見て、これらは必要なかつた、こういう判定をいたしておるのであります。
  121. 大矢省三

    ○大矢委員 今、会計検査院の方が言われたように、こういうものは必要なかつた、これに名をかりてこうしたんだといつて、こういうふうにあげて報告しているが、その報告を承認されるのか。それとも先ほどのように、依然として当然必要であつたと思われておるのか。
  122. 中原ただし

    ○中原政府委員 その点でございますが、当初次長からもお話いたしましたように、結果的に見ますと、確かに検査院の御指摘のように、よけいなことをやつたという結果になる点は遺憾でありますが、当時の事情につきましては、先ほど来御説明いたしましたように、緊急事態事情やむを得なかつたものである—結果的に見ますと、ここにありますように、本来ならば学校の施設として別途解決すべき問題ではなかつたかということにはなりますが、当時の状態としてはやむを得ないものがあつたということを御説明したわけでございます。
  123. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 先ほど来のことをこういうふうに要約した解釈しておいていいのですか。つまり本来は警察予備隊経費でつくつたものだから、今日の保安庁の財産であるべきものを、それが不要になつたから大蔵省の管理に一ぺん移して、それをさらに国家警察で使用するというのが成規の手続で、最初はそういうふうになつてつたが、後にあなたの御説明によると、同じ総理大臣の管轄下にあるんだから、それは何らの手続なしに流用してというか、国家警察が使つてもさしつかえないんだ、こう解釈していいのですか。
  124. 中原ただし

    ○中原政府委員 私の申し上げましたのは、募集経費であり、警察学校の改修費ということで予算が入つておりますので、結局警察学校という相当厖大な施設がございますので、それに附加されます形になりますので、附加して一体をなすという意味で、結局最初から所属としては国家地方警察本部の所属であるということでいいのではないかと考えております。
  125. 田中彰治

    田中委員長 ちよつと委員長として申し上げておきますが、御承知の通り、野党の方からも、この決算委員会には相当熱心な体験のある方々が今後たくさん出席されます。与党からも、今日は非常に出が悪いですが、幹事長、総務会長に話しまして、ぜひとも出ていただくようにしていただきます。国民の泣いて納めた血税を、役人が、役所が自由に使つて下の事務員が処分されたから、あとはここへ来て幹部があやまればいいというようなことで許されないで、たといその人が北海道へ行つていようが、あるいはどこへ行つていようが、その人が刑事上の処分は食おうとも、われわれは警察でもなければ検察庁でもありませんから、そういうことはかまわずに、もしその責任委員諸君から追究されますれば、それが大臣のところへ行こうが、どこへ行こうが、委員長はそれを許してやる決心でありますから、皆さんもどうか説明される場合は、十分に御用意をして説明をしていただきたい。いま一つ政府委員の方で出席がない場合は、この委員会において、どんな重罰が科せられようとも、どんな結果になりましようとも、委員長委員諸君の正当なるところのものを認めて決定いたしますから、どうか説明員の方も、政府委員の方も、今までの決算委員会のごとく、ただ上手な言いわけの説明で通つたというような考えを捨てていただいて、真剣に説明をしていただくことを切にお願いしておきます。
  126. 鈴木正吾

    ○鈴木(正)委員 ただいままでの御返事で私は満足できません。それは説明する方の説明がどうも私に納得できないのです。これは大事な問題ですから、次の決算委員会まで十分お打合せの上、できれば保安庁長官からはつきりした説明をお聞きさしたい。  つまり、私のお聞きしたいのは、あなたの今の解釈を保安庁がとるのか、あるいは保安庁の財産であるべきものを、正式の手続からいえば大蔵省に移して、その大蔵省から有償か無償かしらないが、国家警察に使わせるというのが正当の手続であるけれども、その手続は踏んでないというのが正当な解釈なのか、そこの点をはつきりして、保安庁長官の御答弁を得たいと思います。これだけのことを注文しておきます。
  127. 松本七郎

    ○松本(七)委員 ちよつと関連してはつきりさせておきたいのですが、ただいまの答弁によりますと、かりに警察予備隊予算から費用は出ておつても、その項目が警察学校の拡充その他ということになつておるならば、国家警察の財産として認められる、こういうふうに私は解釈しておるのですが、それは間違いありませんか、そこをはつきりしておいていただきたいと思います。
  128. 中原ただし

    ○中原政府委員 そういうふうに解釈いたしております。
  129. 田中彰治

    田中委員長 この次にはできるだけ長官を呼ぶようにいたします。  本日はこの程度にし、次会は来る十日水曜日午前十時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後一時十九分散会