運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-19 第15回国会 衆議院 経済安定委員会通商産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)     午前十時二十六分開議  出席委員   経済安定委員会    委員長 遠藤 三郎君    理事 加藤 宗平君 理事 前田 正男君    理事 栗田 英男君 理事 吉川 兼光君    理事 下川儀太郎君       小林 絹治君    佐藤洋之助君       塚田十一郎君    綱島 正興君       横川 重次君    秋田 大助君       三浦 一雄君    河上丈太郎君       志村 茂治君    八木 一男君       福田 赳夫君   通商産業委員会    理事 小金 義照君 理事 今澄  勇君    理事 永井勝次郎君       河合 良成君    首藤 新八君       辻  寛一君    中峠 國夫君       福井  勇君    福井 順一君       村上  勇君    宇田 耕一君       高橋 長治君    長谷川四郎君       山手 滿男君    山口シヅエ君       加藤 清二君    木下 重範君  委員外出席者         参  考  人         (東京電力株式         会社社長)   高井亮太郎君         参  考  人         (東北電力株式         会社社長)  内ケ崎贇五郎君         参  考  人         (福島県知事) 大竹 作摩君         参  考  人         (参議院議員、         前建設大臣)  野田 卯一君         参  考  人         (元公益事業委         員会委員長代         理)     松永安左衞門君         経済安定委員会         専門員     圓地與四松君         経済安定委員会         専門員     菅田清治郎君         通商産業委員会         専門員     谷崎  明君         通商産業委員会         専門員     越田 清七君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  電源開発に関する件     ―――――――――――――
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより経済安定委員会通商産業委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が本連合審査会委員長の職務を行います。  それでは電源開発に関する件についてその調査を進めます。  この際参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず御出席をいただき、厚く御礼申し上げます。ただいま経済安定委員会におきましては、電源開発に関する件、特に只見川水利権問題につきまして、国政に関する調査を行つておるのでありますが、その調査の慎重を期するため、本問題の当事者各位より、それぞれの立場から、忌憚なき御意見を拝聴いたし、本調査参考にいたしたいと存じておりますので、参考人各位には十分その御意見を御開陳くださいますようお願い申し上げる次第であります。  それでは参考人より参考意見を聴取するのでありますが、各参考人に対する質疑は、参考人全部の方々よりその意見を聴取いたしました後、一括してこれを許すことにいたしたいと存じますので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。  なお参考人各位に申し上げますが、参考意見の開陳は、一人約十分程度にお願いいたしたいと存じます。また発言をする場合は、必ず委員長にその許可を得てから御発言をするようお願いいたします。なお各参考人発言順位等につきましては委員長に御一任を願います。  それではまず東京電力株式会社社長高井亮太郎君からお願いいたします。
  3. 高井亮太郎

    高井参考人 私は東京電力社長高井亮太郎であります。今回の只見川問題の大体の経緯当社主張を簡単に申し上げます。  第一に水利権をとりました歴史とその取消し処分及びその後の経緯について申し上げます。只見川筋沼沢並びに只見川第二水路地点、いわゆる上田本名地点水利権は、昭和四年に前の東京発電福島県知事から許可を受けまして、東京発電東京電燈に合併せられましたので、結局東京電燈を経まして、昨年の五月の電気事業編成に至るまでは、関東配電所有をいたしておつたものであります。東京電燈昭和八年の四月に只見川地点工事実施認可福島県知事申請をいたしたのであります。ちよつとお断り申し上げますが、只見川水利地点は、上田本名のほか全部にわたりまして東京発電から東京電燈に引継ぎ、関東配電に参つておるのであります。一方直接あるいは傍系会社でありまする東信電気群馬水電上毛電力等を通じまして東京電燈は他の諸地点をます開発いたしまして、日本発送電会社設立いたしまする前後には、猪苗代湖の湖面低下工事を完成いたしましたし、さらに今日なおわが国において最台の出力を持つておりまする信濃川の発電所建設する等、積極的に関東地山に対する水力電源開発しまして、電力需給の均衡を保つて参つたのであります。その後昭和十四年に電力管理広及び日本発送電株式会社法が施行されるに及びまして、原則として五千キロワット以上の水力発電所建設は、政府建設命令に基きまして日本発送電がもつぱら行うことになつたのでありますが、只見川筋水利権につきましては、官本発送電に譲渡をいたしました沼沢沼地点及び当時の野沢地点、これを日本発送電に譲りましたけれども、そのほかは関東配電においてそのまま所有をして参つたのであります。従いまして、関東配電がこの大地点開発するということは、当時の法律関係からもできない状態にあつた次第であります。しかるに電気事業編成令の公布直後、昭和二十五年の十二月でありまするが、当時再編成伴つて電源を各地区にわけるのに、あるいはいわゆる属地主義――発送電系統によらずして、むしろ供給区域境界回し境界線においてこの発電所送電線の所属も区切ろうかというような説がいろいろな方面から強く出て参つておりましたこと、及び全国的に水利権で長い間開発事務に着手をしない事情にめつたものにつきまして、建設省からり指令によりましていろいろ整理をしようかというような機運も出ておりましたこと等が種々重なつたものと存じのよすが、福島県知事昭和二十五年の十二月十三日付をもつて関東配電の持つておりました沼沢地点並びに上流全部の只見川地点に対する水利権関東配電から取消して、そしてどこか東北でしかるべく開発をしたらよろしいと思うので取消し稟伺をするというとで、これを建設通商産業大臣稟伺をせられたのであります。それで関東配電は驚きまして、昭和二十六年の一月、それからその後電気事業編成の後この水利権を承継しました東京電力は二十六年の八月に、建設大臣及び公益事業委員会委員長に対しまして、かかる取消し関東地区電力需給状況を無視したものであつて、はなはだ不当なものであるから、さような稟伺はお許しのないように各方面に陳情をいたして、それはそのままに相なつて参つたのであります。一方電気事業の再編成にあたりまして、発電所及び水利権の各地区に対する区分――これはなかなかむずかしいことであつたのでありますが、元来只見川下流にあります阿賀野川鹿瀬豊実、山郷、新郷発電所は、東京電燈の元の送電系統に入つてつたものであり、技術的にもこれは関東系統に所属せしめるのが順当な発電所でありまして、日本発送電の際におきましても、その給電の指令東京の方からやつてつたという系統なのであります。一方東北電力といいますか、東北地区の方でもこれはほしい、その発電所は、今問題になつている只見川のもつと下流にあります約二十万キロワツトくらいの数箇所の発電所のことでありますが、やはりこれが東北側でもほしいと言われる状態でありましたので、当時関東配電電力編成にあたりまして、配電会社側のいわば幹事役というようなものをやつてつた関係もございますし、それで会社間の対立というものはこれを回避して、大局的に電力編成を進めるべきであるということも考えましたし、一方また電力編成準備機関でありました電力編成審議会でありますか、政府が設けられまして、委員を五名あげられまして種々審議をされたのであります。その際にわれわれ阿賀野川下流東京に所属すべきであるということをお願いしたのでありますが、それはわかつておるけれども、只見川水利権なるものは天下の大水利権であつて、これを東京電燈から関東配電が伝わつてつておるのである。その下流阿賀野川の今申した発電所があるのであるが、これは只見の大開発というがごときことを一地区、一会社のみをもつて壟断する、あるいはこの電力をある地区のみに向けるように主張するというがごときは邪道であつて、再編成ができるということは、決して電力の大系統までもこれをばらばらにして、各地区に非常に偏した扱いをすべきではない、やはり大きな電源地帯、大きな系統はこれを適当に配分することができて行かなければならないのであるから、このような大地点東京電力東北電力と相協力して適当な会社なりをつくつて開発をして行くべきものである。そしてその際には、既設下流発電所もいろいろな調節をしたり、あるいは増設をしたりする必要もあるかもしれないので、一旦東北電力にやるとしても、これをあと只見の大開発会社ができる場合には、再びそこへ出資をして、そうして既設発電所をも込めた非常に大きな開発会社としてこれを運営して行くという方針であるから、さようなあまり東京地区に必ず属さなければならぬというようなことは言わぬでおけというお話もありましたので、そのような大局的考えであるならばということで、結局この只見下流にありまする発電所東北に所属するという政府決定が最後にあつたわけでありまするが、これに対して、ほかの地区において見られたるがごとき、非常な争いといいまするか、抗争をするというようなことはなしに、穏便に済ませて参つたのであります。これで未開発只見川水利権につきましては、これは関東配電からやはり東京電力にそのまま引継ぐということに決定を見たのであります。すなわち只見の未開発水利権はあげて東京電力に引継ぐ、しかしこれの工事東北電力東京電力と相協力して進めるようにしたらよかろうという方針によつて、われわれはその了解のもとに動いて参つたのでありまして、同時に先ほど申し上げましたる了解によりまして、下流鹿瀬豊実その他の阿賀野川発電所東北に所属しておるという大体の、さような了解によつてただいまの情勢ができておるのであります。  この大電源地帯であつて、しかも接壊地帯にあり、あるいは一地区のみに限らず電力を使用するのが当然であるというような大発電地帯に対しましては、その隣接会社共同して開発を行うということが、終始一貫いたしましたる公益事業委員会方針でありましたし、われわれもまたこれを当然と考えて参つたわけであります。  そこで再編成公益事業委員会は、この方針によりまして、幾度か当社東北電力との首脳を集めまして、共同の別会社設立の話を懲悪せられましたし、両社ともこの大方針については、別に異議なく、いろいろ懇談をいたしたり、あるいは定款の案等もつくつてみたというところまでは参つたのであります。その間において、東北から本名上田は自分がやりたいのだというお話のあつたことも事実でありますが、われわれとしては、全体として未開発の大電源地帯として残されておるものは、やはり一括して、これを共同会社でやるべきであるというふうに主張して参つたわけであります。  なお先ほど申しましたように、この只見水利権は、日発出資後の東京電力なり、あるいはさらに関東発電なりはこれをとにかく開発しかけて参つたのでありまして、よく居眠りであると言われておりますが、法律関係からいつても、前に申し上げたように、これを発電会社において設計変更をしたり、工事するということは、当然のことではないのでありますので、当時は政府建設命令によつてものが動いて行くという時代で、すなわち政府もこの建設を緊急のものとせず、まず他の地点開発してあとに譲るべきものと判定をせられておつたわけであろうと存じます。ただ東京電力ができまして以来、これは発送配電一括でありまして、電源開発ということももちろんできるのでありますが、これに対しましては、実は只見地点は非常に重要な地点であるから、徹底的な調査OCI等にも頼んでやる、政府からもその調査費を出すというような関係にありまして、大局的な見地から、これの開発方式全体をきめて、そうしてスタートすべきものであるという考えのもとに、われわれの方ではあまりがたがたしないで参つたということは事実であります。ところがその開発方式が容易に決定いたしませず、一方建設省只見川筋水利地点のうち、沼沢地点並びに只見川第二水路地点計画変更いたしましたいわゆる上田本名地点東北電力に対して許可しようとするような動向がありましたので、これ以上遷延してはいかぬということで、当社におきましても、計画変更の上に右上田本名の両地点開発することといたしまして、去る六月三十日、福島県知事に対しまして、水利使用計画変更許可申請を行うに至つたのであります。ところが七月十五日福島県知事から、この計画変更許可申請書は、河川管理上の必要によつて東京電力水利権取消し、あらためて東北電力許可するために、目下建設大臣に稟議中であるから、この願意は詮議の余地がないということで返却されて参つたのであります。しかして政府は本年七月二十五日に至りまして、閣議によつて異例強権的措置をとることを決定せられまして、八月四日、さきに福島県知事取消し稟伺せられておりました沼沢地点及び只見川第二水路地点――これはもとの東電から持つて来た水利地点の名前であります。これを取消しまして、新たにこれを東北電力に与うるということを認可せられたのであります。かようにして八月五日、福島県知事は遂に当社沼沢地点並びに只見川第二水路地点水利権を取消す行政処分に出られたのであります。これに対しまして、当社といたしましては、この取消処分は明らかに当社の権利を侵害する違法な行政処分であるといたしまして、八月十六日に福島地方裁判所に対して行政訴訟を提起いたしますとともに、この行政処分によりまして当社のこうむる償うことのできない損害を避けるために、八月二十五日同裁判所に対して行政処分執行停止申立てを行うに至つたのであります。しかしながらこの行政処分執行停止申立ては、申立て僅々四日にして、吉田首相異議申立てがあつた結果、裁判所の判断を待つことなく、法律によりまして却下されるのやむなきに至りましたが、行政訴訟につきましては、今日に至るまで、すでに三回の公判と二日にわたる実地検証が行われまして、慎重審理せられておるものであります。  次に九月十二日、仙台市におきまして、上田本名東北電力申請許可をいたします件に対しての聴聞会が開催せられたのでありますが、通商業業大臣は、この聴聞において表明せられました当社並びに関東地区需用家その他の利害関係者の強硬な反対意見があつたのではありまするけれども、九月二十六日付をもつて条件付許可をせられることになりました。さらに十月十八日に公表せられました電源開発基本計画の中におきまして、上田本名発電所建設東北電力に担当せしめることになつておりましたので、当社としては十一月十五日、電源開発促進法第三条第三項に基きまして、通商産業並びに建設大臣に対してこれに反対の旨の意見申立を行うに至つたのであります。  次にこの取消し処分に対する当社の……。
  4. 遠藤三郎

    遠藤委員長 時間が来ましたから結論だけをお急ぎ願います。
  5. 高井亮太郎

    高井参考人 時間がかかりまして相済みませんが、この処分に対しまするわれわれの主張でありまするが、結論といたしまして、これは不法なる当社財産権の侵害である、河川法第二十条によりまして、水利権取消しをなし得る場合が規定せられておるのでありまするが、このうちの公益上の必要あるときということによるものらしいのでありますが、この見地から当社取消して、東北電力に許されるということは納得ができない。政府といたされましても、このように他会社の現存する地点に、その水利権の調整を行わずして、新出願者水利権の設定をするということはいほとんど前例のない、まつたつく異例のことであるということを言つておられるのであります。  なおきわめて大局的に申し上げまして、このような只見川のごとき大電源地帯というものに対しては、やはり大きな見地から和衷協同の精神によつてこれを開発されて行かなければならない。たとい再編成がありましても、このような大筋におきましては、全国を九つに割つた特許を、ある意味においては特権を付与されておりまする公益事業でありまする大規模なる電力会社というようなものは、お互いに再編成当時の経緯にもかんがみまして、その精神によりまして、大局的に各地区電気事業がやはり各需用家に迷惑をかけずに、りつぱな進展をして行くように協力をすべきであると存じまするし、政府の各措置におきましても、その大局的な見地から、河川使用見地のみならず、全体の公益上の見地からとり進められるべきものである、ぜひさようにお願いしたいということを要望いたしまして、私の陳述を終ります。
  6. 遠藤三郎

    遠藤委員長 次に東北電力株式会社社長内ケ崎贇五郎君よりお願いいたします。
  7. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 私は東北電力株式会社社長内ケ崎贇五郎でございます。よろしくお願いいたします。御承知のように東北電力株式会社は、電気事業編成によりまして昭和二十六年五月一日に設立せられたのであります。お尋ねの只見川筋上田本名発電所水利使用出願は、会社設立の日である昭和二十六年の五月一日付をもつて福島県知事あて申請いたしたのでございます。  次に上田本名発電所開発を必要とするに至りました東北電力株式会社需給状態を申し上げます。すなわち設立当時の需給状態は、山元に換算いたしまして、需用は約五十一億キワット・アワーでありまして、これに対する供給力は約四十一億キロワット・アワーでありまして、その不足は約十億キロワット・アワーでございました。さらにこれを現在の二十七年度について見ますと、需用が五十六億キロワット・アワーに対しまして、供給力は四十六億キロワット・アワーでありまして、不足量は依然として十億キロワツト・アワーでありまして、不足率は一八%になるのであります。また二十八年度以降の想定を見ますと、二十八年度需用六十一億キロワット・アワーに対しまして、供給力は五十億キロワット・アワーでありまして、その不足は十一億キロワット・アワー不足率にしまして一八%と相なります。二十九年度の需用は六十七億キロワット・アワーに対し、供給力は五十四億キロワット・アワーでありまして、不足は十三億キロワット・アワー不足率にしまして一八・九%に相なります。これに上田本名発電所増加分を加えますと、供給力は五十六億キロワット・アワーとなりまして、不足率は一八・九%から減りまして、一五・八%に減ぜられるのであります。三十年度においては、需用七十三億キロワット・アワーに対し、供給力は五十八億キロワット・アワーでありまして、不足は十五億キロワット・アワーとなり、その不足率は二〇・七考と相なります。これに上田本名発電所増加分を加えましても、供給力は六十二億キロワット・アワーでありまして、なおかつその不足率は一五・二%の約十六億キロワット・アワーでございます。昨年八月の異常渇水以降、連日連夜にわたる緊急遮断を行つておる実情にあるのであります。また比較的豊水に恵まれました本年の上期におきましても、尖頭時におきまして約五万キロワットから十万キロワット以上を抑制いたしております。さような状態である際、是が非でも新規電源開発を早急に実施いたしまして、公共事業としての使命と責任を果したい念願をもちまして、二十六年度におきましては、只見川筋柳津発電所最大出力五万キロワット、片門発電所最大出力三万八千キロワットの新規開発工事に着手いたしたのであります。そのほかに昭和二十六年度増設工事といたしまして、阿賀野川新郷発電所一万二千六百キロワット、中村川、これは青森県でありますが、滝淵発電所、五千キロワット、それから奥入瀬川、同じく青森県、立石の発電所三千五百キロワットの工事に着手いたしまして、それぞれ竣工いたしたのであります。また二十七年度竣工の新設工事といたしましては、只見川沼沢沼揚水発電所、四万三千六百キロワット、それから秋田県の玉川の夏瀬発電所、一万九千キロワットの増設、また増設工事におきましては、荒川、これは青森県でありまするが、矢別発電所、千百キロワット、それから新潟県の加治川、飯豊川発電所三千八百キロワットの工事に着手いたしまして、完成いたしたものと年内完成のものとがあるのでありまするが、なおかつただいま申し上げましたような不足を生ずる状態にあるのであります。そこで私どもは、さらに新規開発を計画いたしまして、再編成の趣旨及び需用者の皆様の期待に沿いますよう、今年度は岩手県下北上川水系葛根田第一、第二発電所出力合せまして一万五千百キロワット、青森県下の赤石川水系大池発電所出力四千二百キロワット、それから只見川筋上田発電所四万二千六百キロワット、本名発電所五万二千キロワットの建設工事に着手いたした次第であります。  次に、東北電力株式会社が何ゆえ只見川に着目し、工輩に着手いたしましたかを順を追うて申し述べてみたいと思います。  御承知のように、発電水利地点を選定いたしまして開発いたしますためには、地質の調査、地形の測量、気象関係状況等、詳細に、しかも多年の統計を基本といたしまして、長年月にわたる十分なる調査を必要とするのであります。幸いにいたしまして、只見川におけるこの調査は、日本発送電力会社時代に着手いたしておつたのでございます。これによりその調査陣科学の全能力を傾倒いたしまして、また食糧の非常に困難な、人跡未踏にひとしいような断崖絶壁の奥地を、身の危険を顧みず調査いたしました経緯を簡単に述べますと、実に科学の粋を尽したまつたく貴重な資料技術陣容が整いまして、只見川開発を最も早期に開発いたしますにつきましては、ただいま申し上げましたような貴重なる資料技術陣容が最も必要な要素と相なつておりますとともに、開発企業体決定に、客観的にもなるほどと首肯し得るような事柄と相なるのであります。すなわち昭和二十一年八月以来、大電源総合的開発計画立案使命を持ちまして、現地に調査班を派遣いたしまして、只見川全流域の基礎調査に着手いたしたのであります。その担当は、仙台に事務所を持つておりました日本発送電会社東北支店がこれに当つたのであります。御承知のごとく、只見川における発電水利地点の大半は、二十数年前東京発電株式会社において許可を得ておるのでありますが、当時の水利権内容はと申しますと、電気事業の幼児の時代と申しますか、きわめて幼稚なものでありまして、水路式個別的計画でありまして、その出願内容も、一、二回の踏査で、この辺が発電所の位置としてはよかろうといつたような、いわゆる五万分の一の地図に赤線を引いた簡単なもので、およそ実施計画的なものではないのでございます。従いまして、最近における発電方法とはまつたく異にいたしておるのでありますから、本調査はこれと関連なく、まつたく処女調査とも申してよいのでございます。昭和二十二年五月に至りまして、前年の調査班の報告によりまして、電源としての有利性を確認いたしまして、これを積極的に調査を進めることに相なりまして、田子倉地点のやや下流にあたります只見部落調査所を設け、また奥只見には須原口というところに調査詰所を設けたのであります。しこうしてこの調査所には二十三名、詰所には十六名を配置いたしまして、そのうち若干名は積雪の中に冬営いたしまして、広汎な測量、地質調査気象関係、なだれまたは結氷状態までも調査いたしたのであります。そのうち上田本名地点調査担当員の大名は、昭和二十三年七月から十一月にかけ七計画測量を行う一方、実施計画をも進めて参つたのであります。  二十五年四月に至りまして、只見川調査所を上流調査所と変更いたしまして、別に柳津町というところに下流調査所を設けまして、二十名の所員を配置いたしまして調査を進め、上田本名地点はこの下流調査所の担当するところとなつて、引続き調査を実施いたしたのであります。次いで五月に至りまして、これらの調査総合機関といたしまして、東北支店内に只見川開発事務所を設けたのであります。  かくのごとく長年月にわたり科学と技術の集積によつて調査せられ、設計俎上にあげられました只見川は、何も知らぬげに天恵の電源そのままの姿でただいまも流れておりますが、時の流れは電力事業の再編成となりまして、昭和二十六年の五月一日、その決定指令に基きまして、日本発送電株式会社から東北電力株式会社に、これらの調査費と、貴重な調査資料、並びに只見川に関する一切の設備を資産といたしまして、また多年調査に従事いたしましたところの優秀な技術陣容及び地元民各位との交友深い人員は、これを無形の資産として引継がれたのでございます。従つて只見川に関する最も新鮮にして、最も現在の発電方式に適合したまつたく貴重な資料は、東北電力以外にはないのでございます。また東北電力株式会社が引継ぎましてからも、引続き先ほど申し上げました調査所を基点といたしまして調査を続行して参つたのでございますが、何人もこの調査に対しまして異論をさしはさむものはなかつたのであります。従いまして、東北電力株式会社調査遂行の妥当性を認めたものとかたく信じて疑わぬのでございます。また公益事業委員会は、政府の意図する電源開発調査の一部すら東北電力会社に命じ、私どもはまた喜んでその調査に協力いたしたこともあるのでございます。  次に上田本名発電所建設の意図について申し上げます。第一点は、需用のバランスをはかるために企画されたことは重大な要素であることは当然でございます。私ども公益事業の一端を背負つているものといたしましては、容易に需用に合致することはなかなか困難なことでありますが、なお不十分でありますけれでも、絶えず需用に合致するよう努力をいたさなければならない使命と責任とがございます。この観点からいたしまして、東北電力会社はこの需用に急速に応ずるためには、きわめて発電容量の大きい、かつ早期に開発し得るものを必要といたすのであります。この選定条件に最も適合するものは、東北電力会社の管内には只見川でございます。第二点といたしましては、再編成の際における開発方針の原則である河川の一貫運営と、既設設備の関連性から、当然東北電力開発すべきであると信じております。その事業としては、上田本名地点の上流部には、伊南川の発電所二万四千キロワット、下流には新増設発電所といたしまして宮下発電所、これは増設を加えまして六万四千二百キロワット、沼沢発電所四万三千六百キロワツト、柳津発電所五万キロワット片門発電所三万八千キロワット、山郷発電所二万九千四百キロワット、新郷発電所五万一千六百キロワット、豊実発電所五万六千四百チロワット、鹿瀬発電所四万九千五百キロワットの八発電所があるのでありますので、その関連性はなるほどとうなづかれることと存じます。  第三点といたしまして、御承知かとも存じますが、本名が上流部で上田がその下であります。その下には当初申し上げました世界でも優秀な沼沢沼揚水発電所四万三千六百キロワツトがあります。またその下流にはこれと関連する宮下発電所三万二千キロワットを六万四千キロワットに、三万二千キロワットの増設工事中であります。さらにまたその下流には柳津及び片門発電所合計八万八千キロワツトの新規建設工事中でありまして、只見川は柳津町というところを中心といたしまして、上下流二十キロは今やまつたく電源開発一色に塗りつぶされているのであります。このいわゆる工事基地を利用いたしまして早期に着手し、地元民との交友を機といたしまして、補償問題の急速解決に便ならしめることは、企業者といたしまして見のがし得ない重大な要素であることは、開発事業の補償問題に多年の日時を要する今日、御了解のできることであると存じます。ましてや下流に四発電所の新増設工事既設発電所を持つ東北電力会社がすぐ上流部の上田本名地点の早期開発に着目することは、再編成の際における未開発水利権の帰属の決定方針の趣旨にも合致いたしまして、何人も肯定し得るところであると信ずるのであります。  第四点といたしまして、先ほど申し上げましたように、只見川を縦断して精通する優秀な無形の資産たる技術陣容と、他社にはない貴重資産たる調査資料を保持いたしますところの東北電力株式会社を除いて何人が、しかも早期に開発し得るでありましよう。東北電力が日発より引継ぎましたゆえんのものもここにあると信じ、また東北電力使命であり、責務であると思うのであります。  第五点として、本名発電所建設にあたりましては、上流部伊南川発電所二万四千キロワットの移設問題があるのであります。この補償問題も自社内の関係でありまして容易であります  以上申し述べましたことと、調査経緯において述べました通り、只見川日本発送電株式会社より引継ぎまして以来、引続きまして調査を続行いたしましたことは、自然発生的に東北電力会社調査を担当し開発することは宿命づけられている感じを持つものであります。  私は日本に残された天与の大富源只見川電源開発には、さらに全精魂を傾ける所存であります。東北地方は関東その他の地方に比較いたしまして、気候の関係もありましようが、あらゆる開発面において立ち遅れの気味があるのであります。豊富な各種の資源を有するわが東北開発を、他地方の水準にまで上昇せしむることは高度の電力利用にあるのみと思うものであります。かような状態からいたしまして、電源開発は一刻もゆるがせにできない重大な役割を持つものであることを認識いたしまして、昭和二十七年八月六日水利権許可を得まして、その後関係法規上の許認可を得まして、上田本名の両発電所工事に着工いたしまして目下鋭意その進捗をはかつている次第でございます。  以上をもちまして私の陳述を終ります。
  8. 遠藤三郎

    遠藤委員長 次に福島県知事大竹作摩君よりお願いいたします。
  9. 大竹作摩

    ○大竹参考人 私は福島県知事の大竹作摩であります。ただいまから只見川筋東京電力会社水利権許可取消し上田及び本名の二箇所の水利使用東北電力に許しましたところの経緯について御説明を申し上げたいと存じます。  御承知のごとく、只見川は群馬、福島の二県の境にある尾瀬沼を水源といたしまして延長二百七十一キロ、その豊富なるところの水量と雄大な落差を持つております点から最も発電に適したところの唯一最大の河川であるのであります。ゆえにこの河川の最も効果的な発電利用につきましては、河川管理者でありますところの歴代の福島県知事は鋭意慎重なる検討を続けて参つたのであります。大正十一年以来当時の東北電力――これは現在の東北電力ではありません、その会社から只見川筋に幾地点もの水利使用許可について出願があつたのでございますが、この出願には尾瀬沼の水を利根川に落す計画が含まれておりましたので許可に至らなかつたのであります。ところが昭和四年一月十八日東北電力株式会社の承継者である東京発電株式会社より、只見川最上流の尾瀬沼の水を利根川に落す計画をやめまして、群馬、新潟、福島三県の了解を受け只見川に流下する計画とするから水利使用許可を与えられたい旨の請書を提出して来たのでありましたので、同年四月二十六日付で知事は只見川筋に十三箇地点水利使用許可を与えたのであります。現在本委員会で問題になつておりますところの沼沢沼水路及び第二水路の二箇地点もこの十三の水利使用許可に入つているわけでございます。しかるに昭和八年四月十五日付の東京発電株式会社からの工事実施認可申請には、さきの請書に反しまして、利根川に落す計画となつておりましたので、本県といたましては只見川水利使用計画について再検討を加えなければならないことに相なつたのであります。その上、二県との関係もあり、その調査に時日を要したのであります。その当時は電力過剰時代でもありましたので、特に認可を急ぐ必要もなかつたのであろうと存じます。たまたま昭和十三年電力国家管理法及び日本発送電株式会社法が制定されましたために、五千キロワット以上の電源開発は原則として日本発送電以外にはできなくなつたのでございます。従いましてさきに許可をいたしましたところの十三地点水利使用許可は、昭和二十六年の五月一日まで約二十二年の長きにわたつて名目的なる存在に終つたのであります。この間わが国の国情は大きな変化を見まして、未開発電源の効率的の開発が強く叫ばれるように相なつたのであります。昭和二十五年三月十四日付で、建設省より、発電用水利権が経済的、社会的に高く評価される今日において、従来発電用水利使用許可を受けておりながら、いまだに水利使用の必要なるところの各般の設備をなさず、また、なし得ないためにせつかくの水利権が活用されないままの状態にあるものを整理されたいという旨の通牒に接しましたので、私はこの通牒の趣意にのつとりまして詳細なる検討を加えまして、現下差迫つておりますところのわが国の産業の振興、民生の安定は、いかにして早期なるところの未開発電源開発するかにあるということを考えまして、現在水利許可を得ておりまするところのこの開発方式まつたく旧式なものであることにかんがみ、また、ただいま前陳述者お二人から申し述べられましたところの、わが国の宝庫であるところの只見川開発の現状にかんがみまして、このまま存置することは国家の再建を裨益することがあまりにも少いものだ、かように考えましたので、昭和二十五年の十二月十三日、これが取消し方につきまして、一部は関係のありまするところの新潟県知事と連署の上、建設大臣並びに公益事業委員会委員長稟伺をいたしたのであります。一方昭和二十五年十一月の二十四日電力編成令が公布され、翌二十六年の五月一日、九つの電力会社が発足いたしまするとともに、只見川に関しましては、さきに内ケ崎社長が申し上げましたごとくに、従来日発が所有したところの調査資料等については、新会社であるところの東北電力が引継ぎまして、関東配電所有しておつた水利権は一応新たなるところの東京電力が引継いだのであります。この際発せられましたところの企業再編成計画に関する指令によりますると、工事中の発電所及び未開発水利権の帰属に関しましては、次のような基本方針が明らかにされたのであります。すなわちその第一は、河川の一貫運営を原則とするということであります。その二は、既設設備の帰属との関連を考慮するということであります。その三は、新会社の需給状況と電源の振合いとの均衡を考慮するということであります。ただいま申し上げましたような基本方針に基きまして、東北電力は従来の資料を基礎といたしまして、只見川の大規模開発に関しまするところの調査をなしておつたことはもちろんであります。しこうして、東北電力より昭和二十六年の五月一日申請上田本名の発電用水利使用については、鋭意調査いたしました結果、さきに申し述べましたような電力編成に際してとられたところの基本方針に基き、既設設備の考慮、河川の一貫運営の原則に従つており、かつ只見川の大規模開発に適し、完全な調査資料に基いたものでありまして、東北電力が本工事を進むることは工事上の便益及び地元民の協力等から判断いたしまして、早期開発ができ、公益に合致するものと考えたのであります。特にこの際、東京電力の持つておりましたところの水利権取消し東北電力水利権を与える、差迫つたわが国の電力事情を少しでも緩和することが国家再建と産業の進歩と民生の安定に大きな使命を持つものである、かような観点から考察いたしまするに、何といたしましても、軍閥はなやかなりし時代にほんとうに一方的開発方式によつてなされた時代と違つて、民主国家である現在では地元民の協力というものが第一に考えられねばならぬと思うのであります。発電というものは簡単なものではありません。その沿岸民、その流域の住民はその水のだめに幾多の艱難辛苦を遂げて来たのであります。かようなる観点から考察いたしまするなれば、この早期なる開発は、一に地元民の熱意あるところの理解と協力がなければ達成することはできないのであります。かようなる観点からいたしまして、この只見川の沿岸住民は、東北電力に対して非常なるところの理解と協力を示しておるのであります。これは、現在柳津、片門においてなされておりまする工事の進捗ぶり、この技術陣の優秀ということにも現われております。かようなる観点からいたしまして、この際この水利権取消し東北電力になさしめるどいうこと、これがこの電力の早期開発に最も合致するものであるという私の信念によりまして、昭和二十七年の二月十三日に、水利使用許可について建設大臣並びに公益事業委員会委員長に承認の稟伺をいたしたのであります。昭和二十七年の八月四日に、前に述べましたような東京電力只見川筋水利使用取消しの、稟伺沼沢水路及び第二水路の一部失効処分について、建設大臣の認可並びに通産大臣の承認がありましたので、翌八月五日に東京電力に対する水利使用許可取消し指令しました。翌八月六日前述の上田本名両発電水利使用許可東北電力に対して発したのであります。もちろん東京電力がこの取消しによつて損失を受けたる場合、その補償の金額及び方法につきましては、建設省河川局長の通牒の次第もありましたので、許可受人であるところの東北電力に対しまして、八月六日に、その補償の責に当ることを、本県土木部長の名をもつて命じておきました。  以上が東京電力水利使用許可取消し東北電力許可を与えました経過の大要であります。  この際かようなるところの措置をとりました私の信念を明確にいたしておきたいと思うのであります。元来発電用水利使用許可というものは、公益内容を持つものであります。単なる財産権として公益に合致しないようなものは、これを存続せしむべきではないと考えておるのであります。先ほど申し述べましたように、現下の産業経済の振興のために、只見川電源の早期開発はきわめて緊急を要するものであります。これは万人ひとしく認めるところでありまして、いかにすればこれを早期に開発して、その所期の目的を達成することができるか、私が苦慮いたしておりまする点はこの点であります。二十余年にわたり、何ら具体的なる開発の熱意を示さぬ東京電力では、早期開発の期待はとうてい持つことができなかつたのであります。早期開発公益上絶対的条件であります。ここにおいて私は東京電力に対する許可は取消すべきものであるという決意をいたしたのであります。なお東北電力許可すべく意を決しましたのは、さきに申し述べましたような条件を具備しており、早期開発を達成できるものとかたく信じたからであります。  次に本問題に関連がありまするので、本県が只見川筋電源開発について、いかなる方針で臨んでおるかを申し述べたいと存ずるのであります。わが国の電力事情は非常に逼迫いたしておりますることは、私が申し上げるまでもありません。なかんずく冬期渇水期におきましては、御存じのように、火力発電に依存しなければならぬような状況にあるのであります……。
  10. 遠藤三郎

    遠藤委員長 大竹君に申し上げます。申合せの時間が参りましたので、結論をお急ぎ願います。
  11. 大竹作摩

    ○大竹参考人 かようなる現状からして、この只見川は冬期渇水時における補給電力に最も大切な宝庫でありまして、この河川を一メートルの落差もむだにすることなく、また冬期電力の枯渇の際に、最大限に補給するよう開発することであります。しかも現下の電力事情というものを考慮しつつ、すみやかに開発することが必要でありますので、あらゆる点を考慮して、計画にとつ組んでおるのであります。只見川より発生するところの電力は、国家の要請に基きまして、最も効果的なる配分がなされなければなりません。もちろん送電ロスも勘案して、近きより遠きに及ぼすことを原則とすべきであろうと考えるのであり、なお他面現実の要請を無視し、一地区、一地方に偏することがあつてはならないと強く信じておる次第であります。  以上只見川水利権に対するところの概要を申し上げたのであります。
  12. 遠藤三郎

    遠藤委員長 次に前建設大臣の野田卯一君よりお願いいたします。
  13. 野田卯一

    ○野田参考人 本名上田の両地点開発につきまして、ただいま三人の方から詳しい説明があつたのであります。私は当時建設大臣としてこの問題の処理の直接の衝に当りましたかんじんの点だけを、ごく簡単に申し上げたいと思います。  ただいまお話のありましたように、この両地点に関吊る東京電力の持つておりまする水利権取消して、東北電力に与えるという申請が、福島県知事から二月に出ておるのであります。それから建設省におきましては、この問題を至急取上げまして、いろいろ検討いたして参つたのであります。その結果大体五月ごろになりまして、ほぼこれに対する判断と申しますか、あるいは結論というようなものに近いものが出て参りまして、部内において検討いたしました。その結果、電源開発という至上命令を果すために、いろいろな点から検討いたしますと、やはり東北電力に両地点開発をさせた方がよろしいという結論に到達いたしたのであります。ただいまお話のありましたように、東北電力はこの地点に関するあらゆる資料を持つております。またこの両地点に精通しておる幾多のスタッフを完全に持つておるのであります。またその付近には柳津、片門という両地点がありますが、こういう地点発電所をつくる必要がある。いろいろな観点から、また将来これができ上つてしまいましたあとの一貫運営というような点から申しましても、東北電力に両地点開発させるのがよろしいという結論に到達したのであります。  しかしながらそれを実行する方法といたしましては、福島県知事から申請がありましたように、東京電力の持つておりまする水利権取消しまして、他面において福島県知事がそれを東北電力に与えるという方法と、もう一つは、東北電力東京電力が穏やかに話合いをいたしまして、東京電力がその水利権東北電力に譲り渡す、こういう方法とあるわけであります。私は従来の例にかんがみまして、できるだけ東北電力東京電力が話合いをいたしまして、平和裡と申しますか、穏やかなうちに水利権の譲渡をいたしまして、東北電力開発にかかるということが適当と認めたのであります。そこで当時の東京電力の社長であつた安蔵氏に連絡をいたしまして、来ていただきまして、私は建設省で検討した結果、われわれの意見というものを申し上げまして、どうかこの水利権東北電力に譲つて東北電力開発の主体になり得るようにしていただきたいということを申し上げました。その線で会社も御意見をきめていただくようにということをいろいろと申し上げたのであります。それからそのうち東京電力の御回答があるかと思つてつておりましたが、なかなかない。そこで七月になりまして、東京電力の重役の方に来ていただきまして、この問題をさらに早く態度をきめていただきたい。こういう電源開発をするために、両地点開発をするために、工事を進めなければならぬ時期に来ておるから、ぜひとも早くしていただきたいということをお願い申し上げたのであります。それが上旬だつたと記憶いたします。それから次に七月の中旬に、まだ返事が来ませんから、また重役の方に来ていただきまして、何とかこれは早くやつていただかなければならぬということを要請をいたしました。しかしその結果もやはりどうしても結論が出て来ないのであります。そこでわれわれといたしましては、東北電力にやらせればいいという判断を持つておりますので、これを実行するためには、どうしても普通の穏やかな話合いではいかぬという見通しをはつきり持つに至つたのであります。時期的に申しましても、これ以上の遷延を許されないという立場に追い込まれまして、七月の下旬に至りまして強権を発動と申しますか、河川法第二十条の規定によりまして、東京電力水利権取消し東北電力にこれを与えるという腹をきめたのであります。しかしながら、これは建設大臣の所管事項でありまするけれども、いまだこういう例はないのでありまして、事異例に属するという観点から、閣議の最高判断を求めたいと存じまして、七月二十五日の開議にこれを出しまして、お諮りいたしたのであります。その結果、閣議ではそれがよろしいという御判断であつたのであります。それに基きまして、その後諸般の準備、書類の作成等をいたしまして、八月の四日に建設大臣福島県知事にこれを認可する、こういうことに相なつた次第であります。  簡単でありますけれども、当時の事情を御説明申し上げた次第でございます。
  14. 遠藤三郎

    遠藤委員長 最後に元公益事業委員会の松永安左衛門君よりお願いいたします。
  15. 松永安左衞門

    ○松永参考人 只見川水利権に関し、ことに本名上田を八月五日ですか、建設大臣東京電力取消し東北電力にその翌日許可を与える、それからその以前に、ただいまのお話では七月二十五日ですか、さような建設省決定をもつて閣議に諮つて、閣議の承認を得て、先刻申し上げたような行動をとつたのであるというお話であります。それに相違ないと思います。そういたしますと、公益事業委員会として本名上田に関しまする許可、あるいは許可の会議ということにつきましては、公共事業令第五十九条だつたかと思いますが、それによつて水利の許可、認可については地方長官を通じて建設大臣に協議するものとするということになつておりまするから、公益事業委員会がなくなりましたのは、七月の末でありますが、二十五日閣議にお出しになる前、あるいはその前に種々の法律上の御操作をなさる前には当然公益事業委員会に御相談あるべきだろうと心得ておりますが、それは私は公益委員長代理としていまだ承つておりませんが、しかし念のためにこちらに伺う前日に公益事業委員長松本博士をお訪ねして、何らかの御交渉があつたのであるかということをお尋ねしましたら、まつたくなかつたというお話であります。この点だけを申し上げておきまして、八月後に御許可になつた、あるいは手続をおとりになつたということについては、もはや公益事業委員会はないのであります。これは通産大臣と御相談になつた、あるいはそのほかのことがあるだろうと思うのであります。私どもの関係のないところであります。  それからもう一点。一体公益事業委員会というものは只見川開発の構想については、やはり本名上田のような部分的な問題でも、東北電力に早く許すべきものであるというような構想でおつたのか、あるいはかかる大きな仕事は事東京電力にも大きな関係がある。ことに水利権を持つておる。また東北電力の現在の需給状態から申しても、もとよりこれを東北方面電力の供給を一日も早く全うしていきたいというようなことについてどういう考えであつたかということ等について公益事業委員会の持つておりました考えだけを一通り申し上げて御参考にいたしたいと思う。  只見川調査そのほかについて、先刻内ヶ崎東北電力社長よりも、また大竹知事よりもお話があつた通り、その通りの事実に相違ありませんが、実はこれはむしろ公益事業委員会からさような調査そのほかを特にお願い申し上げ、かつその調査そのほかの材料というものが、もしも大きく東北電力東京電力というような合弁の会社ができ上つた場合は、その調査並びにその資料というものは、その新会社に移していただく御了解のもとに進んでおつたのでございます。只見川の水力問題につきましては、観念としてはもうすでに皆様御承知の通り、単に東北一部の電力として扱うべきものであるばかりでなく、広く日本の電力の需給とマッチする、また日本の国家産業を開発する唯一のエネルギー源として、これを大きく、また安く、また早期に解決するということをしなければならぬのであります。二十四年に開発審議会が起りましたときから、この目的を持つて審議会の者も評議いたしました。再編成のできました二十五年の暮に、公益事業委員会もただちにその方針にとりかかつたのであります。これはひとり日本だけの調査、あるいはわれわれだけの知識で、万一のあやまちがあつてはいかぬ。ことに外資等の関係も将来考慮しなければならぬという観点から、当時国家は、この只見川及び熊野川の調査費として、一億万円の調査費用の支出を国庫から得たのであります。この調査費用の使い方は、あげて公益委員会の所管するところとなつたのであります。公益委員会は、まずこの調査をするにあたりまして、その当時宮下の工事もやり、あるいは沼沢沼の工事調査もやり、相当そこに苦労しておられる日本発送電の旧来の職員等も東北の部門におりましたから、まず第一にこれらに相当の資料の提出をお願いしました。それから次に、公益事業委員会で間接に世話をし、また世話にもなつておりました電源調査会の諸君に、この費用を出すから、この調査をしてもらいたい。但し、政府の出し得られる費用は一億万円に限られている。この費用を電源調査会並びに東北そのほかで支出をしてよろしい。東北はお立てかえくだされば、お立てかえでよろしいが、電源調査会はお金がないから、ある程度その金をお使いになつてよろしい。しかし外国人を呼ぶのに非常に金がかかるから、なるべく倹約をして、外国人の費用に七割、八割は充てたい、それでやつてもらえるだろうかというようなことで、御了解を得まして、さつそく調査にとりかかつたのが二十六年の初めからであります。もとより、東北電力の有力なる御協力を得たのであります。そのうち、OCIの技術者等も参りまして、これらの材料、これらの事柄について研究しました。もう二言つけ加えたいのは、会津及び越後方面の山脈にあります只見川に注ぐ大きな雪の研究であります。これは電源調査会におきまして、二十四年から五年の冬にかけて、あの山の中に入つて雪の量の研究をした。これによつて只見川のどの方面にどのくらいの積雪量があるという見当が、大よそついたのであります。これらの資料に基いて、OCIの調査報告というものが、本年の三、四月でありましたか、まとまつたのであります。私どもが調査し、あるいは電源調査会の資料を求めますると、なお不十分な点がありまするので、その後、電源調査会でも再調査し、公益委員会でも再調査いたしておりますうちに、七月に至つて公益委員会はなくなつたのであります。電源調査会は依然としてあります。これらはその後も相当検討を続けている次第であります。従つて、これとタイアップしていただいた東北の諸君の御意向も十分に尊重しなければならぬものと心得ております。さような考えのもとに、只見川というものは、とうてい東北電力のみが私すべきものでないばかりではなく、また水利権を持つているからといつて、これを東京電力がやるというようなことは、技術の関係そのほかの関係、すべてにおいて非常に困難があります。かくして東京電力を除いてやるということを、かりによいとし、あるいは東北電力を除いてどこかにやるということを確定しましても、大局から考えれば、やはり両会社が協力して、その資本をまとめてやられるということは、将来外資を導入する形においても、強い団体が得られるということを考えたのであります。ただ只見川のみならず、熊野川につきましても、あるいは四国の吉野川の開発にしましても、あるいはそのほかの両社間の協力を要する問題は、なるべくその協力によつてやりたいという方針をとり、五十サイクル、六十サイクルの関係があります天龍川のごときも、中部電力東京電力の話を同時に進めた。只見川については両会社の方、東京電力の社長、重役の方とたびたび御会合申きし上げ、また自分たちも何とかしてそういう方針で行たいということを別に考えておつたのであります。しかるに、だんだん時間がたつております間に、私どもの公益事業委員会は解消されることになり、それから電源開発会社は八月をもつて出発するというようなことになりまして、この問題も新たなる形、新たなる方向で行くものであろうと思います。ただその間、只見川につきましては、東京電力東北電力の間で資本を出し合い、技術を出し合つて、中正な独立した一つの会社として出発させていただくというようなことでありますと、この水利権の解消ということも非常に円満に行くと心得ております。  以上が大体私どもの考え方であります。それから水利権許可云々については、公益事業委員会もすでになくなつておりますから、これは私のあまり関知しないところであります。  以上をもつて終ります。
  16. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これにて参考人各位からの意見の開陳は終りました。  これより質疑に入るのでありますが、質疑の時間は、申合せによりまして、一人当り大体一時間以内にお願いいたしたいと存じます。  それでは通告順にこれを許します。加藤宗平君。
  17. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 前公益事業委員会の松永安左衛門君にお尋ねいたしたいと思います。福島県知事から二月十三日に上田本名取消し並びに東北電力への許可稟伺――建設省並びに公益事業委員会意見を求めたのでありますが、これに対しまして公益事業委員会におきましては、その消滅に至るまでの相当の長い期間に、何らの意見の開陳、答弁がなかつたのであります。これは現下の日本の電力の情勢から申しまして、早期の開発ということがほとんど至上命令といつてもいいくらいの場合におきまして、それだけのことでは納得が行かないのでありますが、いかなる事情がありまして、そういう長い期間におきまして何らの意見の発表がなかつたか。この点お尋ねいたしたいと思います。
  18. 松永安左衞門

    ○松永参考人 ただいま公益事業委員会開発の構想を申し上げましたように、私どもの方でもずつとその前から、この只見川は全体を含めた――宮下以下柳津、片門というものまでの処理は、公益委員会においてそれぞれ指導してお話をしてやりましたけれども、宮下以上のところは大きな只見川開発の一環として考慮せねばならぬところでありますので、この問題に関して、OCIの調査また両電力会社に対する共同出資及び工事の方法等についてお話合いをしておつたのであります。さよう御承知を願いたいと思います。
  19. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 ただいまのその事情はわかりましたが、それならその事情を公に意見として発表することの必要というものが公益事業委員会になかつたかどうかということをお尋ねいたします。
  20. 松永安左衞門

    ○松永参考人 公にするべきものは、その当時雑誌あるいは新聞等において只見川の構想についてはお話しております。ことに二十六年一月以来この国会においても電源開発促進についてのお話がありましたので、たびたびこの構想については申し上げておるものと記憶しております。
  21. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 私の公という言葉が適当でなかつたかどうか知りませんが、私の公というのは、新聞雑誌に発表した等々のことではなくて、福島県知事から意見を求めたものに対して、公の文書なり公の経過を通してそういうことを発表したかどうか、こういう意味なのであります。
  22. 松永安左衞門

    ○松永参考人 それはさような考えをもつて只見川開発を急ぎ、かつやろうと思つておりましたから、一部分それらの未定に属する福昂県のお話に対して、公約とか返事とかいうふうなことは十分にいたしておらぬと考えております。
  23. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 次に東京電力の社長にお尋ねいたします。東京電力水利権を持つており、東北電力調査権を持つておるということを承知いたしております。そこで東京電力福島県知事上田本名電源開発申請したときにあたりましては、その調査資料はもとよりなければならぬと思うのでありますが、その資料はどこからお求めになりましたか。
  24. 高井亮太郎

    高井参考人 お説の通り、東京電力水利権を持ち、東北電力へ便宜上調査資料が帰属したということは事実でございますので、そのこと自体、両者の協力によつてこの大開発をやる大方針なのであるから、その辺はごちやごちや言わずしてこの処置はとられたということは、松永前委員長代理の言われた通りであります。やがてさような会社ができたならば、その会社調査資料は移るのである。水利権東京電力にあるのでありまするから、調査資料東京電力に移すということも当然考えられます。その点はあまりむずかしいことを言わずして、日本発送電東北支店が日発時代に相当な調査をやつておるという関係もあるから、さようなことになつたのであります。もちろん日本発送電調査したことがもとでありますから、東京電力にもその調査資料くらいは参つております。それを参考として出したものであります。いわば調査資料というのは共通のものと心得ていいくらいにわれわれは考えておるのであります。  それから先ほど前建設大臣野田さんから、今年の五月、七月にわたつて東京電力の前社長安蔵さんを呼ばれて相談をなされたというお話でありましたけれども、その際にいつまでたつても返事が来ないというようなお話がありましたので、何か誤解があると悪いので、ちよつとお断りさせていただきたいと思います。  これは前社長から聞いたのでありまするが、さようなお話があつたので、びつくりして、さような無謀なことはお断りいたします、ぜひそうしないようにお願いをいたしますという即答をして参つておられますので、いつまでたつてもそのような返事が参るはずはないというようにわれわれは考えおるのであります。  それからなお需給関係につきまして、東北電力は非常に苦しいようなお話でありますが、これはやはり両方とも苦しいのでありまして、実際東北電力さんでも昨年の夏あたりたいへん湯水いたしまして困窮した、これもまた事実であります。しかし全体から見ますと、先ほど時間がないので省略をいたしましたが、大体が前に東京電燈に所属しておりました阿賀野川下流も再編成によりまして東北電力に移つたというような関係から、普通の状態においては東北電力が輸出会社であり、東京電燈が輸入会社であるという状態になつておるのであります。たまたま渇水の状況によりましてはいろいろございますから、さような場合にはお互いに援助をいたしまして、大局的にこれを切り抜けなければならないということに考えております。ちよつと補足させていただきます。
  25. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 東京電力上田本名電源開発申請は、その限りにおきましてはやはり単独の東京電力として申請したものであると信じられるのでありますが、ただいまの社長の答弁では、東北電力でもない、東京電力でもない、第三の会社が出れば調査関係等におきましては円満に行くから、ごちやごちやにしないでおいた方がいいというのはかなり矛盾した答弁だと思うのでありますが、東京電力東京電力として申請したものでなかつたにかかわらず、東京電力の名において申請したというふうに解釈してよろしいのですか。
  26. 高井亮太郎

    高井参考人 それは東京電力資料によりまして東京電力出願として申請をやり直したのであります。先ほど来水利権が二十四年前にとつてある、それは開発方式が新式と違うというようなお話がありましたが、これはわれわれの先輩が関東地方に対する需用ににらみ合せまして、将来さらに計画を直して行くならば、この大地帯になる非常にりつぱな電源地帯であるということで、水利権をとつてありますので、これはもちろん時勢に従つて設計変更をしてまで水利を許していただくつもりであつたのであります。日本発送電会社法の施行以来さようなことは配電会社ではできないことになつておりまして、この水利権を受継いでおるところは失効しないように、期限が来たら願書の出し直しとか、失効しないように非常に注意してこれを守つて来たというわけなのであります。もしもその間に法律的にできることであつたならば、当然いくらでもダム式の設計変更くらいやつて出願をいたしたはずであります。それはともかくとしまして、ただいまの東京電力でもない出願とかいうお話でありますが、これは日本発送電時代のデータもありますので、それに東京電力が土木陣の考えを加えて出願をしたのでありまして、建設大臣の方からこの水利権東北に与えるというようなお話がありましたので、こちらといたしましては大局的に考えて従来やつて参つたのでありますが、さような無法なことがあつてはこれは会社としてまことに相済まぬことである、われわれとてもこれはやれますから、われわれの水利権であるから、われわれはそれを設計変更するからそれならその実施をわれわれに許してくれということで、東京電力株式会社の意思において東京電力株式会社出願であります。どこかの出願でない、何かあいのこのような出願などというものはあり得べからざるものであります。東京電力出願であります。
  27. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 あいのこのような出願でないことはよくわかりましたが、しかしその当時において東北電力会社開発の意思のあることははつきりわかつておるのでありますから、東北電力会社が持つておるところの調査資料を持たないで、東京電力調査資料がないはずであります。あつて東北電力が熱意を込めてやつた調査に比較いたしますれば、よりこれは悪いことはあたりまえでありますが、そういう不完全な調査で、とにかくとりあえず東北電力にとられては困るというようなところから申請をした、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  28. 高井亮太郎

    高井参考人 かように解釈をされますことは非常に不当であります。これはわれわれ技術陣の持つてつた資料でありまして、劣るものとは全然考えておりません。しこうして水利権を持つておるものが設計変更をしてその工事出願をするということはあたりまえなことでありまして、何らおかしいところはないのであります。そのことが問題になるということは実に不可思議なることであろうと思います。むしろただいま水利権のあるものを正当な理由なくして、公益事業委員会が七月三十一日になくなるその直前において閣議をやりまして、公益事業委員会消滅まで秘密にこれを処理いたしまして、八月の初めにいろいろな準備をするというような処理こそはなはだ不可思議である、何かこのような――これはあとになつたことでありますが、要するに水利権に関する何か不穏当な動ぎがありましたので、東京電力としては東京電力会社の権益を守らなければなりませんし、京浜地帯を中心とする非常に重要な需用地を控えております。これに対してわれわれの責任を果すべく最善を尽した、こういうことであります。
  29. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 東京電力上田本名の両地点開発にほんとうに熱意を持つてつたといたしましたならば、再編成後の昭和二十七年六月三十日までに保証金を納めるとかあるいは現地に調査を進めるとかいうようなことをやらなければならぬのでありますが、そういうことをやつてつたかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  30. 高井亮太郎

    高井参考人 これは冒頭に陳述申し上げました通り、この本名上田というものを切り離しておることでなく、全体の只見川としてはつきりした方針がきまるように、公益事業委員会としてもOCIをわざわざ呼ばれ、あるいは国庫の金を出し、調査が進んでおるわけでありますから、そのきまるのを期待いたしまして、特に東京電力が現地で特別のことをやつてはおりません、前の資料があるだけであります。
  31. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 終戦後民主主義の時代になりましてから、地元の協力というものが事業を進捗せしめる上におきまして、従来よりもより比重が重くなつたということはこれは明らかであります。この点は地元民の協力というものは尊重しなければならぬと思うのであります。率直に申しまして、沿岸民は東京電力に対しまして必ずしも好感を持つていないのであります。そういうところを考えますと、この点を重要視しなければならぬのでありますが、東京電力はその点において、かつて犀川それから利根川の工事の実施にあたりまして、はたして順調なる進捗を遂げておるかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  32. 高井亮太郎

    高井参考人 前段のことはお説の通りです。民主主義の時代におきまして、地元の方の協力が必要だということは非常にごもつともなことと思います。従いまして私どもそれに全力を尽さなければならないのでありますが、ただいま申されるように、福島県の中で、只見川のことにつきまして、東京電力に対して地元の方は総じてやはりいい感じをお持ちになつておらないということは事実だと思います。しかしながら、これはもし私どもやるといたしましても、さらに努力せんければならぬと思うのでありますけれども、さらにもう少し大局的にお考えが願えないでございましようか。このような一地方的でなく、日本的の電源をやるような場合に、もしも地方民がわが県の電気はわが県で使えとか、わが地区の電気はわが地区に限つて、あるいは優先してこれを使つてわが地区の振興をはかるのである、これはよろしいのでありますが、あまりにその程度が過ぎますると、地区以外の発電所開発するというようなことに非常に地方の方の御協力が得られなくなる。さようなことは日本の電気事業態勢としていかがなものでありまするか、やはり一地方的なものは、その地方が使うというようなことでよろしゆうございましようけれども、かような大きなものに対しましては、もしもさようなことがあつたならば、やはりこれは大局的に協力してやるべきものであるから、東京電力の者あるいは関東の者が来ても、協力してこの大事業を達成せしめるようにやるべきものであると、有力な皆さん方のような方から地方にもぜひ教えていただきたい。もしさようでありませんならば、電気事業のあり方というものに問題が出て来ると思います。
  33. 加藤宗平

    加藤(宗)委員 お話の通りでございますが、ただ私の言うことは、早期開発ということを観点に置いて考えるにあたりまして、現実の問題としてそういう現地民の協力を得ないということは、やはり工事の進捗の上においてはなはだ芳ばしくない、こういう考えを私は持つておるわけであります。但し、ただいま社長の言つた通り、それをよりよく協力せしむるべく努力することはもちろんであります。しかしその努力する過程において相当の時間のかかるということは、早期開発という至上命令からいつては、決してプラスにならずにマイナスになる、こういう考えから私はただいまの質問をいたしたわけであります。  それから東北電力の社長にお尋ねいたしますが、柳津、片門、上田本名の工業をやつておるわけでありますが、その工事の進捗状態というものは、具体的にどの程度に進捗しておるかをお尋ねいたしたいと思います。
  34. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答え申し上げます。上田本名地点につきましては、約二〇%でございます。(「上田本名じやない、片門だよ」と呼ぶ者あり)いや、四箇地点の御質問でありますから、四箇地点に対して今御返事を申し上げております。それから前に御質問のありました柳津、片門の地点でありまするが、これは大体におきまして約六〇%の進捗を見ております。なおわれわれにおきましては、一日もすみやかにこれを完成せしめるように、非常なる努力を払つておりまするからして、予定よりももつとあるいは早く完成するのじやないかと考えております。それにつきましても皆様方の絶大なる御援助を賜わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  35. 遠藤三郎

    遠藤委員長 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後一時半より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十三分開議
  36. 遠藤三郎

    遠藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  それでは質疑を継続いたします。栗田君。
  37. 栗田英男

    ○栗田委員 私は野田さんにお尋ねをいたしたいのですが、この水利権行政処分は、吉田、白洲の組んだ政治的陰謀である、かように私は見ておる。しかもそれに一役買つたのがあなたであるというふうに私は考えておるのであります。そこで私があなたに申し上げたいことは、この問題にからんで福島県と新潟県とは非常な対立をいたしておる。従つてこれは行政の最高の長としてもつと慎重審議して、しかも慎重にこれを決定しなければならなかつた。しかもこれが吉田総理からの至上命令であるとしたならば、私はあなたが罷免を受けてもこういうことはやつてもらいたくなかつた。であるからして、あなたの処置が慎重でなかつたからして、このように国民がこの処分をめぐつて多くの疑惑を持つているのである。そこであなたはこの罪滅ぼしに私の質問に対しまして、きわめて良心に誓つて御答弁を願いたいと思うのであります。そこでまずこの水利権が――私は水利権というもの、河川の特別使用権というものは、明らかに経済価値を有するところの一種の財産権である、かように私は考えておるのでありますが、あなたはどうか。
  38. 野田卯一

    ○野田参考人 ただいまいろいろと初めにお話ありましたが、別に陰謀でも何でもありませんから、その点はお断りいたします。もしそれを前提にとつて言われますと、はなはだ私の言うこともいろいろと率直にとれぬ。その点だけお断りいたしておきます。水利権は、私は法律学者でありませんから、正確なことは申し上げかねますが、ある意味で一種の財産的価値を持つということは言えると思います。
  39. 栗田英男

    ○栗田委員 この点に関しましては過日経済安定委員会において、私の質問に対しまして佐藤建設大臣も、また大審院の判例あるいは美濃部学説等によつて水利権は一種の財産権であるということはこれを認めております。そこで野田さんにお尋ねをいたしたいのでありまするが、この水利権行政処分があなたは適当であつたかどうか。この点をお尋ねいたします。
  40. 野田卯一

    ○野田参考人 私は適当であつたと思います。
  41. 栗田英男

    ○栗田委員 今野田さんは、この処分の方法は適当であつたと言つておりますけれども、これがために東北電力東京電力とは感情的に対立いたしまして、これが目下福島地方裁判所において行政訴訟になつておる。しかもこれがために日本の電力会社に対しまして非常なる不安を与えたということは天下あまねく知るところである。しかも野田さんはこれに対して適当であるというならば、私は何をか言わんやであります。  次の質問に移ります。ここに閣議請議の写しがございます。この閣議請議は一体だれが起案をいたしたか、この点に対してお答えを願いたいと思います。
  42. 野田卯一

    ○野田参考人 起案は建設省でいたしました。
  43. 栗田英男

    ○栗田委員 これは建設省でだれがいつごろ、だれの手によつてなされたかということをお尋ねをいたします。
  44. 野田卯一

    ○野田参考人 私はそれは詳しくは存じませんが、普通の文書の形式で出て来ておるわけであります。
  45. 栗田英男

    ○栗田委員 この閣議請議を起案したのは今野田さんはだれがやつたのかわからないと言つておりますけれども、これは野田さんがみずから筆をとりまして、事務官二名を相手にいたしまして、深夜、しかも夜の十二時ごろにこれをされたと、かように私は記憶をいたしております。今のお答えと私の聞いておる情報とは大分違いがあるということをこの際皆さんに申し上げておきます。  次にはこのような重大問題の取扱いにおいて、なぜに省議あるいは次官会議等にこれをかけなかつたかということでございます。これは閣議決定前のことを言つておるのであります。この点に関しましてお答えを願いたいと思います。
  46. 野田卯一

    ○野田参考人 官庁内の仕事の仕方でありますが、建設省におきましては、私が建設大臣になりましてから仕事をする場合に、省議というのは――省議という意味は私よくわからないのでありますが、省内の相談だろうと思います。省内の相談であれば、省内で相談をしてやります。これは先ほど申し上げましたように、大体七月二十日ちよつと前ですが、どうしても話合いというラインで行かなければならぬ。一方においては工事が急がれるというわけで福島県の申請の線に沿つて取消しをしなければならぬということになりまして、それで大体腹をきめまして、しかも事重大だから閣議をやる、重大なる最高判断を閣議に仰ぐ、こういうわけであります。次官会議で、今度はいろいろ具体的な正式の手続きの段階になりまして、次官会議に諮つたものと私は記憶しております。
  47. 栗田英男

    ○栗田委員 私が野田さんに申し上げたいことは、この閣議の内容をしさいに検討いたしますると、電力行政に関係をすることが非常に多い。しかもあなたはもとは大蔵官僚で、電気のことはよくわからない。そこでこういうことはもう次官会議にかけて慎重審議をしなければならない。まずその手続の方法を誤つておる。  これはあなたがわからないと言えばそれまでだから、もう一つ話は次に移りまして、これをいまだかつてない異例の処置だといつて、あなたは閣議にかけたと言つた。しからば他の大臣からこのような異例の処置をすることによつて、どのような発言があつたか承りたいと思います。
  48. 野田卯一

    ○野田参考人 閣議の内容については申し上げにくいと思います。
  49. 栗田英男

    ○栗田委員 閣議の内容が秘密で発表することができないというならば、これはやむを得ません。そこで私の考え方から申しますると、この閣議の請議をつくる前に、あなたは当然電力の主務官庁であるところの公益事業委員会と十分話合いをしなければならなかつたわけである。これはやることが当然である。しかるにあなたはこのことをやつたかどうか、今松永さんからの話によると、そういう話合いは一回もなかつたということを言つておる。しかしながら話は一方だけ聞いてはいかぬからして、野田さんの話を承りたいと思います。
  50. 野田卯一

    ○野田参考人 こういう水利権の問題等の処理につきまして、私が直接公益事業委員長、松本さんなり松永氏に話すということはあまりない。結局事務当局が話せば連絡がとれるということでありますが、事務当局がどの程度に連絡をとつたかということは、私はよく存じません。
  51. 栗田英男

    ○栗田委員 今大分野田さんは詭弁を弄しておりまするけれども、私がこれは一般常識の判断として、なぜ公益事業委員会がこれに反対した。これは公益事業委員会反対である、公益事業委員会反対なので、これは公益事業委員会に閣議の決定前に事前に相談をすると、どうも公益事業委員会は――特に松永さんのようなうるさいおやじがおる。これは反対するにきまつておるから、かけない方がいいだろう、そういうことであなたはおそらくかけなかつたのだろうと思うが、その点はどうか。
  52. 野田卯一

    ○野田参考人 別に公益事業委員会反対するからどうだということではないのであります。
  53. 栗田英男

    ○栗田委員 それでは、公益事業委員会が、只見川開発については東京電力東北電力共同して新会社をつくつて、これが開発に当らしめるというところの基本方針が、公益事業委員会決定しておつたというところの事実を、建設大臣は知つてつたかどうか。
  54. 野田卯一

    ○野田参考人 私はそれを存じません。
  55. 栗田英男

    ○栗田委員 実に驚くべき当時の建設大臣であつて、私は唖然たらざるを得ないのであります。  次にはこの福島県知事から東北電力許可してくれという稟伺は二月十三日に建設大臣の手元に出された、こう言つておるが、これで間違いないかどうか。
  56. 野田卯一

    ○野田参考人 私の実際の体験を申しますと、何日にその書類が出されたかどうかということは、大臣はあまりせんさくしないのです。二月に出たということをあとで聞きました。あとで問題になつてから聞きました。
  57. 栗田英男

    ○栗田委員 まことに今の野田さんの答弁は奇々怪々と言わざるを得ないのであります。そこでしからば、あなたに続いてお尋ねをするが、七月二十五日の閣議決定までに、具体的に、これが解決のために、当時の大臣として本件をめぐつて、どのような処置をしたかということであります。
  58. 野田卯一

    ○野田参考人 ただいまの点につきましては、先ほど私が参考人として説明した中に、相当詳しく申し上げた通りでございます。
  59. 栗田英男

    ○栗田委員 ただいま野田さんからは、相当詳しく説明されたとは言つておりまするけれども、東京電力社長の陳述との中に非常な食い違いがあるのであります。それはいずれ閣議請議の質問のときに、私は野田さんにあらためて質問をいたしたいと思います。  そこであなたにお尋ねをいたしたいのですが、この福島県知事から二月十三日に建設大臣に提出をされて、建設省はこれは誠意を持つておればすぐ調べられることで、私は建設省に行つて調べましたところが、福河第七十五号をもつて建設省は二月十八日にこの書類を受付けておる。そこでこの書類を建設省が受付けてから、あなたの部下、下僚、河川局長であるとかあるいは次長、こういう方の意向は、本件に対してどのような考え方を持つてつたか。
  60. 野田卯一

    ○野田参考人 あとから調べた結果、二月中旬に建設省に着いたということは、今お話の通りだつたと思います。それで、その後おぞらく事務当局はその問題を研究したのだろうと思います。私のところに話が出て来たのは、前のことで記憶ははつきりいたしませんが、いろいろと研究された結果、只見川措置はどうするかというような相談が、五月になつて具体的に取上げられた。私に関する限り、そういうふうに記憶しております。
  61. 栗田英男

    ○栗田委員 そのときに部下の意向はどうであつたか。すなわちこの許可に対して賛成であつたか、反対であつたか。
  62. 野田卯一

    ○野田参考人 そのときの状況は、先ほど申し上げましたように、いろいろら観点から検討いたしまして、結局これは東北電力をして両地点開発に当らしめるのがよかろうというような方針といいますか、そういうような判断になつたのであります。
  63. 栗田英男

    ○栗田委員 東京電力と、話合いは一体どの程度にやりましたか。
  64. 野田卯一

    ○野田参考人 東京電力との話合いは、安蔵社長に来てもらいまして、たしか今私の記憶では、この国会の中の建設省政府委員室だつたと思いますが、安蔵さんと話をいたした。それはいろいろな検討の結果、建設省としては東北電力にやらせるのが適当だと思う。その線によつてひとつ両社の間で――言葉を端的に申せば、水利権の譲渡という方向で話をまとめてください、というようなことを申しました。
  65. 栗田英男

    ○栗田委員 この東京電力大臣が折衝する場合に、私の知る範囲内におきましては、非常に熱意がないと私は見ておるのであります。これはもつと積極的に――一回や二回の会合で、こういう重大な水利権の移転というものが決定されるものじやない。それでどのようにあなたは折衝したかというと、私の調べたところによると、本年五月にまず東電側を呼び出して、この水利権東北電力に与えてやろうと思うがどうかということを聞いている。もちろんこれに対しまして、それは困ると、いつて東京電力反対することは当然である。第二回目にはどうかというと、今度は今言つたように、安蔵社長を呼んだ。そこでどうだと言うたから、私の方としても、東北電力が一社でやるなら、東京電力でも一社でやれるのだからやります、こう言つておる。最後にどうしたかというと、閣議決定直前に、東京電力をまた呼びつけまして、何と言つたかというと、この水利権東北電力許可することに決定したから承知してくれ、こういう三回の会談によつて、一方的にあなたが押しつけておるのであります。このような暴力的な会談の折衝というものはないと私は思う。あなたは権力の濫用だ。そこで問題になることは、この期間中において、白洲東北電力会長からどのような圧力がかかつたか、この点に関しまして……。(笑声)
  66. 野田卯一

    ○野田参考人 私は白洲君から圧力はかかりません。(笑声)
  67. 栗田英男

    ○栗田委員 もちろん圧力はここでかかつたなんということは、おそらく私は参考人からは期待しなかつた。期待しなかつたけれども、一応念のために私はお聞きしたのですが、これも私の知る範囲によりますると、白洲東北電力会長はみずから大臣室にあなたのところに督励に行つた。督励に行つたがどうしたと言つたら、どうも許可をいたしたいのだけれども、部下が反対で困るということを言つた。ところが白洲氏は何を言う、一体だれが、どの部分が反対するかと言つた。そこであなたは大臣室へ河川局長と次長を呼んで来て、この間の事情を白洲東北会長に説明をさしている。ところが白洲氏はかんかんに怒つてしまつてあとで何と言つたかというと、そんな部下は首を切つてしまえとまで暴言をしたのであります。こういう事実がある。あなたはこういう事実を否定するかもわからないけれども、ところがあなたも確かに若干良心があつた。初めは東北電力許可することを反対しておつた。ところが、初めは反対しておつたけれども、そのうちに強権を用いてもやろうという決心をしたのが何かといつたならば、これは吉田総理から非常命令があつたからである。吉田総理から非常命令が本件に関してあつたかどうか、この点に関してお答えを願いたい。
  68. 野田卯一

    ○野田参考人 別に非常命令はございません。それから今大分お話になりましたが、大分つくりごとというと語弊がありますが、私の部屋へ来て白洲氏が云々ということは、どこでお聞きになつたか知りませんが、私は全然そういうことはございません。
  69. 栗田英男

    ○栗田委員 吉田総理から非常命令があつたかどうかということに関しましても、はなはだ私としては不満足な答えであるが、私は満足する答えを期待しなかつた。そこであなたにお尋ねしたいが、この水利権許可したあとにおいて、この行政処分をしたあとにおいて、どうもこういう処置はしたくなかつた。したくなかつたけれども上からの圧力によつてやらざるを得なかつたと言つて電力業者に告白をしたということであるが、かかる事実があつたかどうか。
  70. 野田卯一

    ○野田参考人 かかる事実は全然ございません。
  71. 栗田英男

    ○栗田委員 私はこの閣議の内容についてあなたは電力の行政の主務官庁にも相談をせずに、あなたがこのまつたく異例に属するところの閣議請議を立案をして、閣議において質問をいたしました当事者でありまするので、私はこの閣議請議の内容についてあなたにお答えを願いたいと思います。そこでこの閣議請議の内容を見ますると、東北電力許可するということは、まずこの閣議請議の内容の一番重大な事項として、早期開発上有利であると言つておる、その一点、これで間違いないかどうか。
  72. 野田卯一

    ○野田参考人 早期開発東北電力にやらせた方がいいという結論には達しておつたわけであります。
  73. 栗田英男

    ○栗田委員 まさか今になつてその答えを翻そうと思つても、閣議で文書になつておるから、これは翻すわけに行かない。そこであなたは早期開発上有利だと率直に認めた。この通り早期開発上有利なりと書いてある。早期開発上有利なることとしておりまして、この理由はこれこれであるといつて、四つの事例をあげております。その四つの事例の中の第一はどういうことを言つておるかというと、この地点の直下流において現に柳津、片門地点建設を実施中であるために、準備態勢が容易である、こう言つておる。その第一の要点は準備が整つておるからであるということが早期開発の第一の有利な点である。しかしながら準備が整つておるということは具体的にはいかなることか。
  74. 野田卯一

    ○野田参考人 御承知のように当時すでに柳津、片門の両発電地点につきましては、建設省許可をもらい、またその他の許可も得て、工事に着手し、進行中であります。でありますからそのすぐ隣の地点に新しくダムをつくり、発電所をつくるという場合には、片方でどんどん工事が進んで、そこでたくさんの機械も来ていれば、人も来ている、すべてのものがありますから、そういうものが今度は引継いでただいまの両地点開発に利用できる、そういういろいろな点から見て準備態勢、準備というようなものが、両地点開発するためには都合のいい状態になつている、こういうことであります。
  75. 栗田英男

    ○栗田委員 この点に関しましてあなたのお答えに対してまたあとでお尋ね白をいたします。  そこでまず第一に早期開発上有利であるということをあなたは言つておる、そこで早期開発上有利であるならば、福島県知事から稟伺されたときは二月十三日である、二月十三日であるならばもつと早く本件は処置しなければならない。ところが七月二十五日という公益事業委員会がまさに廃止直前にやつたということがまことにこれが不明朗だ。早期開発ということが、二月になつたというものならば、早くやつたらいいじやないか、この点に関してはどうだ。
  76. 野田卯一

    ○野田参考人 その点につきましては先ほど申し上げましたように、ぼくの方も建設大臣としてその問題にタッチし、審議を始めたのが五月であります。それから五月二十何日かに安蔵社長に会つているわけであります。また七月に会つてなるべく話合いで進めてもらいたいという考えからそれを向うに要請し、それを待つていた。どうしてもこちらの要請をいれられないということになつてやむにやまれずこれ以上遷延しては工事に支障を来すということで……。
  77. 栗田英男

    ○栗田委員 しからばあなたは東京電力と交渉の過程において、東京電力が早期開発の意欲があるかなかつたかということを確かめたかどうか。
  78. 野田卯一

    ○野田参考人 私たちの方はただいま申し上げたようにいわゆる客観的の条件、技術的、経済的条件から言いまして、東北電力が適当であるという結論に到達して、そうして東京電力にその線に沿つてつてくれということを言つている。
  79. 栗田英男

    ○栗田委員 きわめてあなたの考え方は一方的である。そこでこれから逐次順を追つてこの早期開発のことについてあなたに質問するが、早期開発で一番必要なものは何だとあなたは思いますか。早期開発上あなたとしては一番何が大切だと思うか。この点はいかん。
  80. 野田卯一

    ○野田参考人 早期開発には一番何が必要であるかというのは、たとえば金であるとか物であるとか、そういう意味でありますか。
  81. 栗田英男

    ○栗田委員 何でもよろしい、考えてみて早期開発上一番大切なるものは何かということ。
  82. 野田卯一

    ○野田参考人 何が一番大切であるかというと準備、早期開発の必要な条件が備わつているということが必要である。
  83. 栗田英男

    ○栗田委員 早期開発上一番必要なことは――この四点をあとで質問するが、一番大切なのは資金です。金がなければできない。これはもうおそらく上田本名でも八十億も金がかかる。そこで資金の目安がなければできない、問題はそこだ。そこで私らはなぜ疑惑があるかというと、この許可にからんで見返り資金の問題が出る、そこで政治資金がからみ合うというところにわれわれは不可思議なところがあると思う。  そこで資金の問題はあとの問題にいたしまして、今早期開発上有利であるということの閣議決定したその第一点として準備態勢ができているとこう言つた。しかもすぐ下の片門、柳津に機械があると、こういうことを言つている。そういうことを言つていると只見川の上流の開発というものはみな下でもつて工事をしているところの会社がこのような理由でだんだん上のいわゆる水利権を強奪をして開発してもいいかという思想になるが、この点に対するお考えはどうか。
  84. 野田卯一

    ○野田参考人 問題は想像的なことに関しておりまして、私の答弁の限りではないのでありますから、当該の上田本名についてはただいまのことも一つの要件であろうと思います。
  85. 栗田英男

    ○栗田委員 これが重大な考え方であつて、いわゆる直下流でもつてこのように工事をしているから、また上田本名工事東北電力に許した、こう言つておいて、どうなるかというと、分流案を骨抜きにして、東北電力只見川の全部の開発をしようという一つの既成事実をつくろうとした陰謀じやないか。  次に第二の閣議の重要な事項として、地元の態度が特に好意的だということを言つておる。あなたは一体現地に行つて調べて来たのか、この点に対して……。
  86. 野田卯一

    ○野田参考人 地元の態度が好意的であるということは、これはもう建設省の人もみんな知つておることなんです。私は現地には昨年の十二月に行つただけでありまして、その後行つておりませんが、現地が好意的であるということは、すべてわかつております。
  87. 栗田英男

    ○栗田委員 地元の態度が好意的であるということは、それでは補償はすでに済んでおるのですか。
  88. 野田卯一

    ○野田参考人 補償したかどうかということは知りませんが、好意的であるということは事実だと私は聞いております。
  89. 栗田英男

    ○栗田委員 地元の態度が好意的だということは、ボスを県庁の車か何かに乗せて、この只見川の沿岸を見せて、そして東山温泉で御馳走するということが、この地元が好意的だということですか。
  90. 野田卯一

    ○野田参考人 これは御承知のように電源開発をやる場合にはダムをつくります。ダムをつくるときには、いつも水没手当とかいろいろな問題が起ります。これはケースがずいぶんだくさんある。われわれはそういうケースをたくさん取扱つておりまして、そうしていろいろな方から情報をとりまして、地元の意向が好意的である、そういう判断をいたしたのであります。
  91. 栗田英男

    ○栗田委員 今野田さんは水没に関して云々と言われたけれども、ただいま現地において水没被害民が水没被害民組合を結成をいたしまして、前高裁の判事であるところの長谷川太一郎氏を顧問弁護士として熾烈なる闘争を展開しておることを知つておるかどうか。
  92. 野田卯一

    ○野田参考人 私はそれは存じません。
  93. 栗田英男

    ○栗田委員 次に第三点として工事電力の需給が容易であるなんという、ばかげたことを書いてありますが、一体これはどういうわけでありますか。
  94. 野田卯一

    ○野田参考人 これは東北電力があの辺は全部発電をしておるのでありまして、すぐ下に宮下という発電所もあり、いろいろな点から工事電力がただいま申された通りの事実になつております。
  95. 栗田英男

    ○栗田委員 こういうことは水利権行政処分するところの重大なる理由にはなりません。こんなばかなことでもつて水利権処分されたらどうしますか。工事電力の需給が容易である、こう言つておるけれども、公共事業令第五十三条を見ると、公益事業者は正当な事由があるのでなければ、何人に対しても電気の供給を拒んではならないと書いてある。従つてたといここで東京電力工事をするにしても、東北電力はこれを拒んではならない。また東京電力の地域で東北電力工事をいたしましても、東京電力東北電力に電気の供給を拒んではならない。これは公共事業令によつてちやんときまつておる。そんなことを閣議の早期開発上有利であるの第三点に入れておることは、不見識もきわまるじやないか。電気も知らぬくせに、公益事業委員会と相談もせずに、こんなものを夜の十二時ごろ事務官を相手につくるからこんなことが起る。  第四点、只見川開発について、先ほど盛んに論議になつたが、必要な調査資料技術陣容がそろつておる、こういうことを言つておる、こういうこともばかな話である。東北電力にも技術陣容がそろつているかもしれぬ。東北電力にも東京電力にもおのおの調査資料技術陣容もそろつている。いやしくも両方とも天下の電力会社である。なお問題になることは、只見川調査資料を得るために国費一億円を投じてわざわざアメリカから技術者を呼んでいるじやないか。これに対してどういう考え方を持つているか。
  96. 野田卯一

    ○野田参考人 先ほどからここでほかの参考人からもお話があつた通り、調査資料というものは全部東北電力に引継がれている。それにまたあの土地に親しみのあり、現に調査した優秀なスタッフはあげて東北電力に譲つたというか、手に入れたという事実がある。これは私が申したのではなく、先ほどから皆さんからお話ししている。それを言つているわけであります。
  97. 栗田英男

    ○栗田委員 私は技術的な調査資料がそろつているとか、あるいは技術陣容を有しているということは、閣議がこれを決定する重大なる資料ではない。特に私はこの只見川開発というものは、OCIの資料があるならば、当然どつちの会社がやつてもできるものでなければならぬ。私はかように考えている。なぜならば、わざわざ只見川開発のために国が一億円の国費を投じて頼んだのであるからであります。  次にはこの閣議の決定の第二点として、こういうことを言つております。運営管理上有利であるということであります。この運営管理上有利であるということでどういうことを言つているかというと、「東北電力株式会社所有下流既設発電所との一貫性を有し綜合的な運営が可能である為水資源活用上有利である」ということを書いてあります。これは具体的にはどういうことか、お尋ねいたします。
  98. 野田卯一

    ○野田参考人 水資源活用上有利であるということは、水を使つて電気を起すのでありますから、あと発電所下流に十ありまして、すぐ上に二箇所、その発電所が一貫的に経営されることは、水を有効に使うという点からよろしい、こういうことであります。
  99. 栗田英男

    ○栗田委員 そういたしますと、あなたの考え方は一つの河川を一つの会社でやるという一河川一統制という考え方かどうか。
  100. 野田卯一

    ○野田参考人 全般的な方針は、この際私が申し上げるのはいかがかと思いますが、この場合におきましては、上田本名については下流と一貫的にやる方がよろしい、こういうことであります。
  101. 栗田英男

    ○栗田委員 今の野田さんはそのように運営管理上有利であると言つておりますけれども、これもまことにおかしいと思うのであります。何もその下流に他会社のダム式の発電所がありまして、その上流を他の会社開発したといたしましても、運営管理上少しもさしつかえはありません。なぜさしつかえないか。ダム式発電所というものはピーク時に使う発電所にきまつております。そういたしますと、ピーク時といつたら、一日を通じてわずかに二時間か三時間しかない。そういたしますと、ピーク時というのはほとんど東北電力東京電力も同じです。従つて両方が共同でやるならば、そういうことは少しも顧慮する必要はないのです。しからばそういう例がないかどうかというと、すぐ近くの信濃川にもそういう例がある。上流は東京電力、下は国鉄、この例であります。これは国鉄と東京電力とはピーク時が違う。ピーク時が違つても、運営管理上うまく行つておる。なぜうまく行つておるかというと、東京電力と国鉄が非常にうまい連繋のもとに水の操作をやつておるからである。従つて要は東京電力東北電力の協調いかんによつて幾らでも運営管理というものはできるのです。この点私は当時の大臣の頭がどうかしておつたということを言わざるを得ない。運営管理上こういう点を考えたかどうか、この点に関してお答えを願いたいと思います。
  102. 野田卯一

    ○野田参考人 二つの会社にやらせて連繋をよくするというお話でありましたが、私はただいまの点は、ほかの条件から考えまして、東北電力にやらせる方がよろしい、こういう状況であり、また一貫経営の点から見ましても、やはり東北電力にこれをやらせるがよろしいという結論になつたのであります。
  103. 栗田英男

    ○栗田委員 第二の運営管理上有利であるという中に、送電線が近くまで来ているから非常に便利であるということを言つておる、これは具体的にはどういうことであるか。
  104. 野田卯一

    ○野田参考人 現地の実情をごらんになるとわかりますが、送電線がその近くまで来ておるということであります。
  105. 栗田英男

    ○栗田委員 しからばその送電線は何万ボルトの送電線であるか、お答えを願いたい。
  106. 野田卯一

    ○野田参考人 私は技術屋でありませんので、何万ボルトというような記憶はいたしておりません。
  107. 栗田英男

    ○栗田委員 そういうことが危険であります。そういうことがあなたはわからないから、公益事業委員会と、こういうことをつくるときには相談をしなさいということだ。近くまで送電線が来ておつても、おのずと送電線というものは限度があります。たとえば何万ボルトの電力を乗せられるかというと、ここに内ケ崎さんも来ておりますから、すぐわかることでありますが、この来ておるところの送電線というものは、会津開閉所までにおきましては、十五万ボルトが来ておる。しかしながらそのあとは全部六万ボルトである。この六万ボルトではもう限度に達しておりまして、乗せることができない。発電所をつくつても電気を乗せられないのです。その乗せられない送電線が近くまで来ておるから許可をするのだというこの閣議の請議の内容に至りましては、あまりにも権威のない請議の内容でありまして、私はまことに遺憾である。この点に関して野田さんの御答弁をお願いいたします。
  108. 野田卯一

    ○野田参考人 これは先ほど申し上げましたように、技術上の問題でありますから、われわれは検討いたしまして、送電線が近くに来ているからいいという理由を一つあげたいのであります。
  109. 栗田英男

    ○栗田委員 こういう技術上の問題をいやしくも閣議請議の内容に記載するならば――記載しないならいい。記載をするならば、あなたはそういう技術的問題も十分検討し、調べて、こういうものはつくるべきであつた。従つてあなた方のやつていることは、よく言えば慎重を欠いたということになるのであります。おわかりですか。  次には、送電線に関連をしてですが、これを東北電力許可する前に、東京電力政府命令によつて二十七万五千ボルトの送電線工事に着手しておつたということを知つてつたかどうか。
  110. 野田卯一

    ○野田参考人 その話は、これに直接関連しては知りません。
  111. 栗田英男

    ○栗田委員 これはあきれました。次であります。  次に最後にこう言つております。この問題の処理は国土総合開発法によつてできたところの審議会の答申を待つて決定することがよろしいということ、それから電源開発調整審議会の議を経て決定することが適当であるけれども、早期開発上必要であるからそういう処置は政府はとらなかつたと言つておる。その間の事情を御説明願いたいと思います。
  112. 野田卯一

    ○野田参考人 そういう機関のあります場合に、そういう機関に諮つてやるということが一応適当と認められる場合があるのであります。しかしながら今回の場合は時間的に非常に早期開発のために急ぎまして、そのいとまがない。いまとがないというわけで、ただいまのような措置をとつた、こういうように御了承願いたいと思います。
  113. 栗田英男

    ○栗田委員 私の考え方からすれば、国土総合開発法なり特に電源開発促進法というものは自由党がつくつた法律である。そこでそういう機関がまだできてない、あるいは答申ができてないということは、政府みずからの怠慢であつて、こういうものができていなければ、どんどん早く促進をして、こういうものの議にかけて決定するのが至当だ。こういうことをやらないのもはなはだおかしい。それからもう一つ、電源開発促進法は、もちろん必要だからこういう法律をつくつた。これもよろしい。国土総合開発法もしかりだ。こういうことを早く進めて結論を出すことが、飛び抜けて上田本名を早期開発上必要だといつてきめるよりも、こういう電源開発法なりあるいは国土総合開発法全体を軌道に乗せてやることが、私は真の早期開発であり、真の電源開発であると思うが、野田さんの考え方はどうか。
  114. 野田卯一

    ○野田参考人 話は関連事項になりますが、電源開発促進法を早く国会を通すということにつきましては、自由党も政府も非常に努力した、これは事実であります。
  115. 栗田英男

    ○栗田委員 私はその努力が足りなかつたと、かように考えます。そこでこの請議の最後の方に分流案に若干触れております。「発電所の使用水量を人為的に減少してその機能を喪殺する程に分流することは容易にできることではない。」こういうことを言つておる。そこでこの上田本名東北電力許可することによつて、分流案を骨抜きにするという意図がなかつたかどうか、この点に関しましてお尋ねしたい。
  116. 野田卯一

    ○野田参考人 全然ありません。
  117. 栗田英男

    ○栗田委員 しからば当時新潟県と福島県と、この問題に関しまして熾烈なる対立をしておつたけれども、この点に関してどのような考え方を持つてつたか。
  118. 野田卯一

    ○野田参考人 事態がわかれば必ず円滑に行く、こう思つておりました。
  119. 栗田英男

    ○栗田委員 こういうふうにあなたが軽卒な処置をしたために、なお両者間において、はげしき対立がさらに増したというふうに私らは見ておるが、この点に関してどうか。
  120. 野田卯一

    ○野田参考人 雨降つて地固まるで、かえつてよく問題が解決されると思つております。
  121. 栗田英男

    ○栗田委員 この問題はいずれ新潟県知事と福島県知事と両方に聞いてみれば自然とわかることです。  そこで最後に備考のところで、こういうことを言つておる。東京電力と懇談して、種々打開の方法を講じたと書いてある。あなたの今までの話から見ると、種々打開の方法を講じたと言つておるが、一つも打開の方法を講じてない。ただ一方的に東北電力にきめたというだけである。一つも打開の方法を講じていない。そこでこの閣議において決定した種々打開の方法というのは、具体的にどんな案を示したか。
  122. 野田卯一

    ○野田参考人 幹部に来てもらいまして、種々お話をして、何とか平穏裡に、円滑裡にこの問題を処理してくれぬかというので、私としては最善を尽した。
  123. 栗田英男

    ○栗田委員 この種々の打開の方法の根本が誤まつておる。電力会社というものの責任は何であるかというと、一番の責任というのは供給責任だ。電力会社というものは電気を供給しなければならぬ。これが一番の電気会社の責任である。そこであなたの考えなければならない種々打開の方法というものは、具体的にどういうことかというと、上田本名がかりに八万キロの発電所ができるならば、この電力の分配はどうしよう、東北電力には幾らやる、東京電力には幾らやると、このような方法が、いわゆる種々打開の直接的な方法であると思う。ところがあなたは少しもこういう親切な方法をとつてないばかりでなく、種々懇談して打開の方法を講じたとか言うて、全部これはでたらめなことを言つておる。これはあなたが一つの公文書を偽造しておるのである。この内容はみなでたらめを書いておるいうとことになる、このように私は判断をいたします。そこであなたも先ほど水利権財産権であるということを言つておられる。私もまつたく同感である。そこで水利権財産権であるならば、補償のことに対しましてどのような考え方を持つてつたか、この点に関しましてお答え願いたいと思います。
  124. 野田卯一

    ○野田参考人 水利権東京電力のを取消しまして、東北電力に与えるということに関連いたしまして、あと補償の問題が起りまするから、これには十分両方の意見を聞いて補償の問題を円滑に解決するように知事に訓示をしたのであります。
  125. 栗田英男

    ○栗田委員 しからばその補償問題に対しましては、どのような法的根拠によつてあなたはそういうことを配慮したか。
  126. 野田卯一

    ○野田参考人 今までの水利権の譲渡の場合につきましては、電力会社間であれば、電力会社間が十分相談をいたしまして、適正値段を決定して支払う。こういう慣行になつております。その線に沿つて話合いをして、知事さんが中に立ちまして話をつけて円滑に問題を解決する、こういうことを私は知事さんに要請した。
  127. 栗田英男

    ○栗田委員 私の聞いておるのは補償措置の法的根拠であります。
  128. 野田卯一

    ○野田参考人 どういう意味か御趣旨がわからないのです。
  129. 栗田英男

    ○栗田委員 水利権に関しましては、あなたは財産権であるということを言つておる。財産権を侵害する以上は、これは当然補償しなければならない。そこで補償をしろということをあなたは命じたそうであるが、いかなる法律的根拠によつてこのようなことを勧告をしたかということであります。
  130. 野田卯一

    ○野田参考人 それはただいま申しましたように、財産権水利権の実際上の事情で、片一方ができて片一方がなくなる、そういう場合におきまして、片方ではある程度経費を使つておる。こういうような点について、新しく水利権を得ました東北電力が何がしかの補償金といいますか、金を東京電力に払うということは適当である、こういうふうに考えてやつたのであります。
  131. 栗田英男

    ○栗田委員 今の野田さんのお答えは、何ら法的な根拠はありません。これは法的根拠はないわけであります。なぜならば、当時の野田建設大臣許可方法は、憲法第二十九条に違反する行為であるからであります。従いまして、補償の法的根拠はありません。あえてあるならば、土地収用法によつて、土地収用法を準用してこの財産権を擁護しなければならないのであります。従いましてその法律によりますると、補償は前払いであります、前金であります。これはおそらく東北電力上田本名の補償処置をやつておるのと同じでありまして、水没する土地に対しましては、すべて前払いであります。従いまして、この水利権も補償は前払いをいたしまして、これで円満妥結したときにおいて、初めて水利権の移転は可能である。そこで私は、あなたがこれまた河川法第二十条の第三項と第六項によつてこれを取消したというならば、憲法第二十九条の違反であり、その河川法は違憲立法であると私は断定をいたさざるを得ないのでありますが、その点に関しまして野田さんの御見解はどうであるか。
  132. 野田卯一

    ○野田参考人 私は別に違憲だとは思つておりません。
  133. 栗田英男

    ○栗田委員 あなたは今河川法の第二十条第三項、第六項によつて取消しをしたことが違憲ではない、かように考えておる。これはいずれ後日判断をしてもらわないと、ここで解決はつかない問題である。そこでこの河川法第二十条の第六項の思想であります。第三覆いろいろ問題があるでしようが、第六項は公益上必要あるときということがおそらく取消しの理由であると思う。そこであなたは公益上必要である、東京電力にやるよりは、東北電力でやることの方が必要であるというその公益判断を、あなたの公益判断をお尋ねをいたしたいと思います。
  134. 野田卯一

    ○野田参考人 先ほどからるる申し上げた通りに、東北電力にやらせる方が、日本の現在の至上命令であるところの電源開発をすみやかに実行するという大きな公益上から適当だと思つております。
  135. 栗田英男

    ○栗田委員 今野田さんの考えておるような公益判断というものが、電気事業考える上には大きなあやまちであります。公益判断というものは、先ほども申し上げましたように、電力会社というものは電気の供給責任を持つておるのであるからして、東北電力東京電力を比較検討いたしまして、どちらが電気が足りないか、余つておるか、まずその比較を検討しなければならぬ。それから、これから先の需給の見通しはどちらがふえるか。その次は第三点として、どちらの方が電源の未開発地点――開発可能の未開発地点を持つておるかというこの三点が、公益判断の基本とならなければならない。ところがあなたの考え方は、何でもかまわない、乱暴に早期開発上、早期開発上ということにがんばつておりまするが、この点に関しまして、大分あなたと私は食い違いがある。そこでしからば、それほど早期開発上必要であるならば、この上田本名開発計画というものは、いわゆる二十七年度の計画の中に入つてつたかどうか。この点をお尋ねをいたしたいと思います。
  136. 野田卯一

    ○野田参考人 二十七年度の計画というものはどこの計画でございますか。
  137. 栗田英男

    ○栗田委員 電源開発計画であります。
  138. 野田卯一

    ○野田参考人 だれがつくつたのですか。
  139. 栗田英男

    ○栗田委員 上田本名の両地点がいまだかつてない異例の処置をして行政処分をするというようなことならば、これは当然昭和二十七年度の安本の計画によるところの緊急電源開発計画の中にも、また昭和二十七年度の公益事業委員会において発表された電源開発計画の中にも、当然上田本名という地点は私は含まれておらなければならないと思う。これは役所の仕事として当然である。しかしながら役所の仕事として必要であるのにもかかわらず、上田本名地点が早期開発上有利であるといつて見返り資金も一番最初にあらゆる便宜が与えられたということは、あなた方は電源開発が早期に必要である、こう言つておるけれども、私はそうじやない。利権の開発が早期に必要ではなかつたのですか、その点に関しまして野田さんのお答えをお願いいたします。
  140. 野田卯一

    ○野田参考人 別に利権の開発が早期に必要だつたというわけではありません。
  141. 栗田英男

    ○栗田委員 この点はきわめて大切でありまするから、あなたに慎重にお答えを願いたいと思います。それは、七月二十五日に閣議で決定をいたしました。その後この書類はどのような事務処理がいたされておるか、この点に関しましてお答えを願いたい。
  142. 野田卯一

    ○野田参考人 私はあとでだれがどういうふうにつくつて、どういうはんこを押したかということは別に存じません。
  143. 栗田英男

    ○栗田委員 官庁の事務処理というものは、すべてこういう事件を通達し、あるいは処理する上におきましては、通常たとえば何々第何号、昭和何年何月何日、起案者だれく、課長補佐、課長、部長、局長、事務次官、政務次官、大臣、こういう判を押さなければならないのであります。そこでこの書類は、どのように整理をされたかということであります。
  144. 野田卯一

    ○野田参考人 普通の書類の処理の形式で処理されたと思います。
  145. 栗田英男

    ○栗田委員 しからばこの書類に対しまして、野田さんは閣議決定大臣の判を押したと了承してさしつかえありませんか。
  146. 野田卯一

    ○野田参考人 私はもちろん所管大臣といたしまして、水利権取消しあるいは水利権を与えるという場合の書類にははんこを押しております。
  147. 栗田英男

    ○栗田委員 この判は非常に重大である。七月二十五日の閣議決定の前にあなたは押したか、閣議決定後に判を押したか。この点に関しまして、はつきりと御答弁を願いたいと思います。
  148. 野田卯一

    ○野田参考人 閣議決定前にそういう最後の政府決定する書類ができたということを私は知りません。
  149. 栗田英男

    ○栗田委員 そういたしますると、閣議決定後そういう書類ができたことを聞いてないというならば、あなたがこの許可指令にサインをしたということは、閣議決定前であつたと了承していいか。
  150. 野田卯一

    ○野田参考人 今反対に解されたようですが、閣議決定前にそういう決定書類ができたということは、私は聞いておりませんし、記憶もありません。
  151. 栗田英男

    ○栗田委員 私がこの書類を建設省に行つて調べたところによりますと、あなたがサインをした日、また起案者全部の判をもらつた日は、福河第七四号及び七五号で、その処理日は昭和二十七年七月五日となつてつて、閣議決定より二十日前にあなたは判を押してあるけれども、この点に関しましてはどうか
  152. 野田卯一

    ○野田参考人 私は全然記憶ありません。
  153. 栗田英男

    ○栗田委員 いずれこの問題は行政監察委員会において問題にいたしたいと思いますので、この点は保留をいたします。  次にまた公文書の関係であります。公共事業令第五十九条によつて福島県知事公益事業委員会建設大臣水利権許可を票伺をした。ともにこれは二月十三日に公益事業委員会に提出されておる。そこでこの最後に、建設大臣に協議するということが出ておる。これは公共事業令の第五十九条である。そこで公益事業委員会は、七月一ぱいで終りましたから、公益事業委員会からはこういう書類は出しておらない。そこで問題は、八月一日から四日までの間に、建設大臣に協議をいたしたいという公文書を通産大臣からもらつたかどうか、この点に関しましてお答えを願いたい。
  154. 野田卯一

    ○野田参考人 私は一々の書類が来たかどうかということは存じません。
  155. 栗田英男

    ○栗田委員 この問題は本件許可の最も重大な点であります。水利権許可する場合においては、公益事業委員会はなくなつたのであります。従つてこれは通産大臣建設大臣は十分協議をしなければならなかつたのであります。そこで私が今日調べたところによりますると、これは通産大臣において公文書を偽造したのであります。これは疑いでありません。実際に偽造いたしました。そこでどういう書類が発せられておるかというと、こういう書類を福島県知事公益事業委員会稟伺をいたしました。しかしながら公益事業委員会は七月一ぱいまでこの書類は保管をしておりました。そこで何ら福島県知事に対しましても、建設大臣に対しましても、公益事業委員会は回答を与えておりません。そこで八月一日から通産大臣の所管になつたのであります。そうすると今度は八月四日に建設大臣福島県知事に対して許可指令を発しております。そこでどうしても建設大臣といたしましては、八月一日から四日までの間に通産大臣からオーケーを得てなければならないのであります。それでなければ本水利権は無効である。そこでどういうことを通産大臣は後日やつたかということであります。この点に対しまして野田さんは知つておるかどうか。
  156. 野田卯一

    ○野田参考人 私は詳しいことは存じません。
  157. 栗田英男

    ○栗田委員 そこで通産大臣から書簡を発せられております。その書簡はどこに発せられたかというと、八月四日付で福島県知事に、許可してもさしつかえないということ、もう一通は八月三日付で建設大臣に対しまして、許可してもさしつかえはないけれども、協議をしようという書類であります。次には仙台通産局長と東京東北電力の両社に対しまして、このように福島県知事許可を与えたから、さように承知しろという公文書を通産大臣発送いたしておる。そこで私はこういう重大なる問題にからんだ公文書であるからして、これには役所に確固たる原本がなければならないと、私はかように考えまして、通産省に行きまして、その原本を見て参りました。しかもそれは私は後日の証拠のために、ここに示されておるように写真まで、カメラ班を連れてとつて参つたのであります。ところがどのようにしてその書類は出されたかというと、公益事業委員会から福島県知事稟伺の書類を通産大臣が受取つたのは八月十八日であります。従いまして、すでに建設大臣は八月四日に許可してしまつたのでありますから、通産大臣はどうしてもこの日にちを八月四日に合せなければならない。そこでどうしたかというと、鉛筆のメモ書で、しかも福島県知事に対しまして案の一、建設大臣に案の二、仙台通産局長、東北東京電力会社に対しましては案の三といたしまして、起案者もなければ課長、責任者の判はだれも押しておりません。このようなメモ書程度の書類にそれぞれ契印を押しまして、許可を与えておるのであります。これは明らかなる公文書の偽造でありまして、この許可は無効であります。もちろんこれに対しまして、参考人も多数おいででございますので、私も参考として皆様に申し上げたのでありまして、この問題は後日行政監察委員会において、徹底的に究明いたしたいと思うのであります。
  158. 遠藤三郎

    遠藤委員長 栗田君に申し上げます。申合せの時間が過ぎましたので、結論をお急ぎ願います。
  159. 栗田英男

    ○栗田委員 私は今の野田さんのお答えを伺いまして、まことに無責任だと思います。これは不明朗きわまるもので、遺憾千万であります。これが、あなたに一時間にわたつて質問して得た私の結論であります。さよう御承知願いたいと思います。  なお福島県知事、両電力会社社長にお尋ねをいたしたいのでありますが、時間の関係委員長いかがでありますか。
  160. 遠藤三郎

    遠藤委員長 なるべく結論を急いでください。
  161. 栗田英男

    ○栗田委員 次は福島県知事にお尋ねをいたします。福島県知事は本件許可の直前に、仙台市に東北電力の本社を蓮沼県会議長を同道して訪れまして、福島県の自由党支部、奥会津開発株式会社只見川開発協会、奥会津開発協会に対しまして多大の献金を受けたと伝えられておりますが、この点に関して御説明を願いたいと思います。
  162. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの栗田委員の御質問に対してお答えいたします。私並びに蓮沼県会議長同道して、東北電力株式会社仙台の本店に訪ねたことはございません。また奥会津開発会社なり、奥会津開発協会なりその他の問題に対して、かような問題はもちろん何もありません。
  163. 栗田英男

    ○栗田委員 この問題に関係をいたしまして、わけ前のことから県会議員が仲間割れをいたしておるということを聞いておるのでありますが、この点に関しましてお答えを願いたいと思います。     〔「ばかなことを言うな。」と呼ぶ者あり〕
  164. 大竹作摩

    ○大竹参考人 これはまことに福島県会を侮辱する言葉で、それは少し失言であります。われわれはかようなことに対して答弁する義務を持つていません。
  165. 栗田英男

    ○栗田委員 大竹さんは県会議員を動員いたしまして、本流案支持に対しまして、東北地区はもとよりでありますが、関東地区各県にわたりまして、猛烈なる運動を展開いたしたようでございますが、その費用はどのくらいかかりましたか、お答えを願いたいと思うのでございます。
  166. 大竹作摩

    ○大竹参考人 このことも私はこの席でお答えする筋でないと思います。
  167. 栗田英男

    ○栗田委員 お尋ねをいたしますが、しからば福島県会では、この只見川開発のためにどの程度の予算を計上いたしておりまするか、この点にお答えを願いたいと思うのでございます。
  168. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの御質問でありますが、只見川開発に関しましては、ただに福島県だけの問題ではなく、これはわが国の再建に大きな使命があることという信念のもとに、われわれは本流案によつて開発されることが最も望ましいものである、いわゆる只見川こそはこの渇水期に対処する補給電力として確保せんければならぬ。かようなために、栗田議員からも御指摘がありましたように、この問題について本県と新潟県と対立になつておりますことは御承知の通りであります。ために、あるいは県議会、並びに県のわれわれも、この問題について相当の費用もかかつております。これは二十三年の電力の県営問題、それからただいままでの一切の費用を見まして、一千二百万円くらいかかつておる、かように思います。
  169. 栗田英男

    ○栗田委員 これは新聞紙上等にも大分騒がれておりますし、私、先般福島県の地方裁判所に参りましたときにも、大分県民がこのことを言つてつたのでありますが、この只見川を称して、ただのみ川と大分言つておりまするが、この点に関しまして大竹さんのお考えはどうでございますか。
  170. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまのお話でありますが、私はそのようなことを考えておりません。しかも只見川こそは、わが国の再建に最も大きな使命がある、かように考えます。
  171. 遠藤三郎

    遠藤委員長 栗田君に申し上げます。結論を急いでください。
  172. 栗田英男

    ○栗田委員 東北電力からの上田本名水利使用許可申請を福島県で受付けたのはいつでございますか。
  173. 大竹作摩

    ○大竹参考人 二十六年五月一日であります。
  174. 栗田英男

    ○栗田委員 私はここで疑問があるのでありますが、今結論を急げと言われましたので、東北電力の内ケ崎さんにお尋ねいたしますが、五月一日に福島県知事に対して水利使用許可申請を出したといつておりますが、昭和二十六年の五月一日は、電気事業の再編成がなされた日であります。従いまして私は事務的な考えから推しまして、まだもちろん申送りも何もできておらないのであります。従いまして、その日に東北電力から五月一日付をもつて福島県知事に出されたというところに非常な疑問があるのでありますが、この点に関しまして御説明を願いたいと思います。
  175. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答え申し上げます。当社におきまして、上田本名地点水利使用許可申請をいたしましたのは、先ほど私の御説明の際にも申し上げました通り、昭和二十六年五月一日であります。これは御承知の通り、再編成で新会社ができたのが同じ日でございます。その前に日本発送電から出願いたしておつたのであります。それを引継いで、その際に新たに出し直す必要があつたので、それを引継いで出願いたした、こういうわけであります。
  176. 栗田英男

    ○栗田委員 この点に非常に疑問があるのでありますが、この水利権の帰属というものは、電力編成のときに東京電力上田本名は帰属いたしたのではないかと思います。しかるにただいまの東北社長のお話によりますと、五月一日に日本発送電から引継いで、五月一日に出したと言つておりますが、この点に関しまして御説明を願いたいと思います。
  177. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 ただいまの御疑問の点はごもつともと思いますが、再編成にあたりましては、水利権は一応東京電力に引継ぐ。しかしそのほかのいろいろな関係――先ほど私が冒頭陳述いたしましたような関係のあらゆる書類は、すなわち早期開発に必要なすべての書類は、これは東北電力において引継ぐべし、かようなことに再編成決定指令書できまつた問題であります。さよう御承知を願います。
  178. 栗田英男

    ○栗田委員 そういたしますと、ただいまあなたが言われました日発から水利権を継承したということは誤りでございますね。あくまでもこの水利権東京電力に帰属したものである。そこであなたは電力編成の五月一日に、あらためて私の方に許可してくれないかといつて福島県知事申請して、福島県知事はさように稟伺した、かように了承してよろしゆうございますか。
  179. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 先ほども申し上げましたように、水利権東京電力に継承されましたのは、一応継承する、再編成決定指令によりましてさように決定したので、一応でありまして、確実に引継がれたものとはわれわれは解釈いたしておりません。それからわれわれの方といたしましては、水利権を引継いだとは申し上げません。許可出願申請権と申しますか、出願をしておつたものを、そこで中断してはいけないから、再編成の際にあらためてこれを出願を継続しておる、こういう形であります。
  180. 栗田英男

    ○栗田委員 東京電力にお尋ねいたしますが、この水利権電力編成のときに、一応東京電力に引継がれた、かように東北電力から言つておりますが、この点に関しまして御説明を願います。
  181. 高井亮太郎

    高井参考人 問題の水利権は、昨年の五月一日確実に東京電力に引継がれたと考えております。もしこれを一応というならば、資料の引継ぎもまた一応でありまして、新たなる協力したる会社をつくるというような場合には、水利権も出す、資料も出す、協力してやろうじやないかというような精神から言われることでありましたならば、資料も、水利権もさようでありますが、法律上的確に東京電力に引継いであります。
  182. 栗田英男

    ○栗田委員 知事にお尋ねいたしたいのでありますが、この許可申請を受け付けたのが五月一日でございまして、これを建設大臣稟伺をしたのが二月十三日でございます。その間約十箇月ほどございますが、この間どのような処置をとつたか、この点につきまして簡単に御説明を願いたいと思います。
  183. 大竹作摩

    ○大竹参考人 東北電力から出願になりました二箇地点に対しまして、公益上いかにしてこの開発をなすべきか、かような検討をいたしました結果、前段に陳述を申し上げましたような結論に到達いたしましたので、東北電力許可申請をなしたのであります。
  184. 栗田英男

    ○栗田委員 ちよつと松永さんにお尋ねいたしたいのですが、今水利権の問題で、片方は一応だと言うし、東京側ではこれを確実に引受けたのだといつて、若干食い違いがあるようでありますが、松永さんは電力界の長老でもございますので、この点に関しましてお尋ねいたしたいと思います。
  185. 松永安左衞門

    ○松永参考人 私の承知しております範囲におきましては、本名上田水利権東京電力が持つてつたものであります。これを開発する。そのほかについては、先刻申し上げたように、種々話合いしております聞に、公益事業委員会もなくなり、遂に今日の御質問のような問題になつておるかと考えます。
  186. 栗田英男

    ○栗田委員 わかりました。大竹さんにお尋ねをいたしたいのですが、この十箇月の間に、東京電力お話合いをいたしましたかどうか、この点をお尋ねいたします。
  187. 大竹作摩

    ○大竹参考人 この問題について話合いをいたしません。
  188. 栗田英男

    ○栗田委員 私はこの稟伺自体もむちやであると思うのであります。他人の水利権福島県知事稟伺をするのに、東京電力に対して何ら話合いをせずに、突然これを建設大臣なり、公益事業委員会稟伺するということは、少し親切が欠けておるのではないか、どちらをひいきするわけでもありませんが、冷静に見て私はこのように考えます。この点に関しまして大竹さんのお答えを願いたいと思います。
  189. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの御質問でありますが、そうおつしやられますと、あるいは親切が欠けておつた、しかしながら私の考えはさきに申し上げましたように、水利権というものは、これは絶対的のものではない。またかようにあつてはならないと私は考えておるのであります。すなわち水利権というものは、公益が優先すべきものである。どの観点から考えましても、私は東北電力になさしめることが一番よい方法であると考えてなしたのであります。
  190. 栗田英男

    ○栗田委員 六月十三日に東京電力から変更許可申請福島県知事に出しております。ところがこれを七月十五日に返しております。これは私の考え方から言えば、当然一応建設大臣稟伺しなければならなかつた、かように考えるけれども、福島県知事があえて稟伺せず、独断をもつてこの書類を返したということはどういうわけか、この点に関して御説明を願いたいと思います。
  191. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの御質問でありますが、私はこの水利権に対しては、有名無効なものである、かように考えまして、建設大臣に対して申請をなさなかつたのです。
  192. 遠藤三郎

    遠藤委員長 栗田君に申し上げます。もう時間が来ておりますから、結論を急いでください。
  193. 栗田英男

    ○栗田委員 あなたの御答弁はまことに乱暴であると私は考えます。そこで建設大臣からあなたによろしいという許可書が来たのはいつでございますか。
  194. 大竹作摩

    ○大竹参考人 本年の八月四日であります。
  195. 栗田英男

    ○栗田委員 この許可日付に関しては、私は問題にはしません。そこで問題は建設大臣からは八月四日に許可された。それからあなたはもう一通は公益事業委員会に対して稟伺をしております。その稟伺許可がいつ来たか。私はあなたに申し上げますが、おそらく通産大臣は、公文書を偽造しておるのですから、八月四日付にはなつております。しかしながらあなたのところに来たのはいつであるかということであります。
  196. 大竹作摩

    ○大竹参考人 その到着した日はちよつと判明しません。なおいずれ調べてお答えいたします。
  197. 栗田英男

    ○栗田委員 これはきわめて重大なことで、事務当局の方もおるようでございますが、御記憶はございませんか。
  198. 大竹作摩

    ○大竹参考人 記憶しておりません。
  199. 栗田英男

    ○栗田委員 しからば受取つた日はわからなくてもけつこうですが、通産大臣の認可は幾日付になつておりますか、お知らせを願います。
  200. 大竹作摩

    ○大竹参考人 八月四日付でございます。
  201. 栗田英男

    ○栗田委員 時間もありませんから、もう一点だけお尋ねいたします。八月四日付となつておりますが、これは私の想像した通りであります。通産大臣ぱ八月四日に公文書を偽造いたしまして、あなたのところに送つたのは、通産省で調べましたところが、八月の二十三日にあなたの方に書類を発送しておると思いますから、念のためお帰りになりましてから受付簿を見てください。  そこでこの許可にからんで問題があります。福島県知事東北電力に対しまして命令書を発送いたしておりますが、その命令書の中に疑問があります。どういうところに疑問があるかというと、本名発電所新設工事契約であります。この本名発電所新設工事契約を、東北電力と間組が結んでおります。これにどういうことになつておるかというと、着工期日が昭和二十七年九月一日、竣工期日が昭和二十九年十一月三十一日として、東北電力と間組との契約が結ばれておりますが、これで福島県知事はよろしいと思うかどうか、念のためにお尋ねをいたしたいと思います。
  202. 大竹作摩

    ○大竹参考人 よろしいと考えます。
  203. 栗田英男

    ○栗田委員 これは福島県知事の重大なる失態であり、過失であります。なぜ重大なる失態であり過失であるかというと、知事がみずから東北電力に下した命令書の中に、「この命令書交付の日から六箇月以内に水路実測図、構造図、工事説明書、工事予算を知事に申請して工事実施の認可を受けなければならない。」といつております。従つて当然知事はこれに認可を与えなければいかぬ。まず許可を与える前に、知事は建設大臣稟伺を得なければならないのであります。建設大臣福島県知事許可を得てから、六箇月以内に工事に着手し、着手の日から三年以内にこれを竣工しなければならない、こういう命令を知事みずから与えておりますのに、九月一日に東北電力が間組と契約して工事に着手して、この川をいじり始めたことが合法であるということは、私はまことに遺憾でありまして、この問題に関しましては、幾多不明朗なる点があるのでありますが、時間がありませんので、関連質問でいたすことにいたしまして、私の質問を保留いたします。
  204. 遠藤三郎

    遠藤委員長 今澄勇君。
  205. 今澄勇

    今澄委員 この問題については栗田委員から詳細な質問がありまして、その全貌はあらかた明らかになりました。通商産業委員会としては、日本の電気事業の再編成並びにその後日本の電源開発を担当する電源開発株式会社、それらの電気に関する一連の国会内の動きが、今日只見川に見られるような問題を起したということは、まことにこの際将来の日本の電気事業のあり方を考える上から遺憾でありますので、二、三参考人の方々に御質問をいたしたいと思います。  私の趣旨は、これらの只見川上田本名の問題の究明というよりも、むしろ電気事業の再編成がもたらしたこのような結果は、本日お見えの東北電力の社長、東電の社長も、電気事業編成のときには、電気事業が九分断されれば実にうまく行くのだという答弁を、国会に参考人として出て答弁されておりながら、わずかの間に東電、東北両社間に、かくのごとき血で血を洗うごとき水利権の係争問題が起つたことは、私どもは電力業者みずからが招いた結果であると思います。そこで私はこの際本日お見えになつておりまする松永委員長代理にお伺いをいたしたいのでありますが、只見川のこの開発の担当者をどうするつもりであつたか。もう一つは只見川水利権が、あなた方が公益事業委員会廃止のときに考えておられた構想と今日の現状とを比べてみて、どういう点で公益事業委員会としては遺憾な点があつたかということについて、御質問申し上げたいと思います。
  206. 松永安左衞門

    ○松永参考人 第一の御質問に対しては、只見川開発のごときは、その規模においても大きくあります。また関係においても広く移つております。政府もこれがためにOCI等及び民間の団体の協力を得て、十分に調査を進めておつたのであります。しかしこの開発に当る責任者をどうするかということについては、公益事業委員会はだんだん頭を固めて参りました。これは利害も交錯しておるし、資金の点においても考えなければならぬ。一方に偏すべきものでない。国家のために、また両区域のために完全な、かつ早期な開発をするのには、むしろ両者が協力して新たな株式会社をつくつて、そうしてこれに中立性、独立性を持たして、遺憾なき開発を進めたい、これが私どもの構想でございます。  次に水利権の問題でありますが、もし私どもの構想の通りになりますれば、当然水利権もその新会社に円満に移るべきことは、常識上期待しておりましたし、両者に向つてもそのことは常に申し上げておつた次第でありまして、両者ともその点は御了解があつたように記憶いたしております。
  207. 今澄勇

    今澄委員 そこで当時の松永委員長代理の御見解を聞いてみると、私は行われたいろいろの過去の究明については、行政監察なりその他国会の専門委員会において御検討を願うこととして、新たな今後の建設的な建前から進むならば、今松永委員長代理の言われたような、新会社にこれが共同開発をもつて行くという構想から、今日東北電力においてはそのような新会社でこれをやつて行こうというような日本の電気事業に関しての大乗的な譲歩の考え方があるかどうか。  なおもう一つは、電源開発株式会社と日本の電源開発をするいわゆる調査審議会とができておりますが、もしあなた方が言われるような、電気が公益的なものであるならば、これを電源開発株式会社の事業として、東電と東北電力とが発電と電力をわけ合うというような大乗的な今後の解決策に対する東北電力社長の御見解を承りたいと思います。
  208. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。上田本名地点東北電力において現在工事を進行中でございます。間もなく完成すると考えております。それで私どもの方といたしましては、われわれの方で開発することを強く主張いたします。もつともこれは命令でやらせぬということであれば別でありますけれども、もうすでに工事は非常に順調に進行いたしております。よつてこれを蔑するのがわれわれの責任であり、電気事業者としての責任であると強く考えております。従つてわれわれは自分の手でこれをやりたいと考えております。と言うのは、あの発電所は規模においてそう大きな発電所ではございません。現在私の方でやつておりますものは全部で三十万キロ、一斉に建設をやつております。ところがその中で柳津の発電所、これは五万二千キロワットであります。しかるに本名上田のこの両地点のうちの大きい方の上田発電所は五万キロワットであります。従つてこういう程度の規模はわが社一手において十分にすみやかに開発できます。先ほども申し上げたように、すべての資料もその他の人的陣容すべての点においてわれわれの方はただちにこれを完成する確信を持つております。よつてわれわれの方がやるのがほかの会社がやるよりも一日もすみやかにこの完成が達成せられまして、日本の復興に寄与するところが多いと考えているのであります。われわれの方はこれは自分の方でやる。かように考えております。
  209. 高井亮太郎

    高井参考人 私どもといたしましては、ただいまの問題の発電所はあくまで両社協力の形において完成をしたいというふうに考えております。もちろん法律的な観点から参りますれば、この水利権を移転したことは不法であると考えますから、われわれとしてはわれわれの方に返してもらいたい。これがもちろん第一案であります。しかしながら大乗的な見地に立つて、前々からの方針もあることでありますから、協力して完成するということを考えているわけであります。
  210. 今澄勇

    今澄委員 現在東京電力はこれを裁判問題としてこの水利権の問題を争う、東北電力は昼夜兼行の工事をいたしているというこの現状のもとにおいて、当連合審査委員会で今承つた東北電力社長の御見解では、私どもは本問題は今後ますます重大な政治問題として発展をし、しかも日本の電気事業の経営者としてついせんだつてまでは公益に名をかりて九分断をし、九分断をなしたあとは今度は自分たちの会社の利益を追求して、電力会社血で血を洗う争いを続け、しかもこれが水利権許可に関しては、法的に見て多くの疑問があるというこの現状は、日本の電気事業経営者として、少くとも国民の負託にこたえ得るものではない、かように私は思います。そこでこの電気事業の将来のいろいろな公益的な性格から見て、福島県知事にもう一ぺんお尋ねしておきたいのは、かかる東北電力の態度であるけれども、この際いろいろ問題はあるが、電源開発という新しい法律もでき、そういう会社もできておるのであるから、この際福島県としては、これを電源開発株式会社の帰属にゆだねて、そしてできた電力をこれらの両電力会社の話合いによつて使用して行くというような水利権のあり方については、福島県知事はどのように考えておられますか。
  211. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの御質問でありますが、さきに陳述申し上げましたように、私は発生電力を一地方で独占すべきではないと思います。国家の需給状況から見まして、むしろ公平に分配すべきものだ。しかしながら、東北の現状はまことに容易ならぬ事情でありますので、東北も一定の水準までは電力を使わしていただきたい。またこれが電源地の当然なる主張でもあると考えます。なおごの上田本名の問題に対しまして、これはすでに東北電力許可を与えたのでありまして、これらの詳細等につきましては、いずれ通産省なり資源庁の御指図があるものと承知いたしております。
  212. 今澄勇

    今澄委員 私、引続き松永さんにお伺いをしたいのは、昭和二十四年十二月の通産大臣命令で、信濃川発電所付近から東京方面に超高圧の送電線が計画され、これが只見川方面の将来の開発輸送をも考慮するよう勘案され、自発がその計画を進めて、大体二十七万ボルトの送電線ができ上つておるようであります。だから私は当時の公益事業委員会は、このような送電線の計画も含んで、いろいろと考えておつたものを、野田建設大臣が一方的にこういうことをしたということは、かくのごとき公益的な国家の機関を遊ばせるという結論にも私はなると思います。そこで松永さんが当時計画せられました電源開発の計画の中にも、この本名上田は入つておらなかつた、資金の面でもこれが当時計画には上つておらなかつたというような観点から、私どもは非常なこれに対する疑問を持つておるのであるが、もし公益事業委員会が、今解散しておりますけれども、この際大乗的な見地に立つてこれが裁定を、今の電源開発株式会社にゆだねて、そうしてこれらの出て来る電力を、こういう送電線も活用し、いろいろな問題の解決のために進むということが私は一番妥当な方法で、両電力会社が別の新しい会社をつくるということは、この際、事態ここまで来れば困難であると思うが、これに対する御見解がどうか。  もう一つは、建設大臣は――少くとも先般来の質疑応答で明らかになつたように、いろいろ私は建設大臣の手落ちがあると思います。そこでこの水利権の問題は、佐藤大臣にこれは今後ともに追究いたさなければならぬと思うのでありますが、建設省としては、こういういろいろな施設の問題、資金の問題その他の問題を協議しないで、一方的にきめたのであるから、この際私はこれらのことが明らかになつた以上は、再検討をするということが日本の役所としては正しいものと思うが、野田さんの今日の御心境について、松永さんの次に承りたいと思います。
  213. 松永安左衞門

    ○松永参考人 只見川の発電をつなぐ大きな送電線ができております。これは只見川を円満に、あるいは他の言葉で申しますと、一地方に偏することなく、需給の調節が合うように開発すべきものであるというふうに、松永個人は考えておつたかと仰せられれば、その通りでございます。  その次に、そのことに関して的確な手をお前は打つたのであるかどうかということと考えまして申し上げれば、これは先刻から申し上げるように、どうしても、水利権を持つた東京電力もあります。また地元で工事を進めておる東北電力の能率的立場もあります。これらをすべて総合して遺憾なからしめるために、私どもはたびたび技術部長の会議を開き、五箇年計画もすべてこれらのものを考慮して立てたのでありますが上田本名の問題は、只見川の両社開発の一部分としてやり、もし両社の話はまとまつたけれども、まだ株式の発行その他のために、万一両社の話合いが遅れる場合には、この話合いによつて東北電力がまず先に便宜上やられるということも、あえて辞せないという考えを持つて、実際に即して、二十五年の電力編成後、あるいは二十六年の九会社分割前後にありましては、私どもの考えはさようなところにあつたのであります。
  214. 野田卯一

    ○野田参考人 お答えいたします。ただいまの点につきましては、本件は既定の方針で進むのが適当だと考えております。
  215. 今澄勇

    今澄委員 松永さんにもう一点お伺いを申し上げますと、この公益事業委員会の、事業会第五十九条によると、その第三項によつて、必要があるときは知事に対し必要の勧告ができるということになつておりますが、七月二十五日の閣議決定前後に、公益事業委員会がこれらの問題について何かその意思を発表したり、あるいは連絡をされたことがございますか。
  216. 松永安左衞門

    ○松永参考人 その前には、知事に向つて特別な指令あるいは勧告をしたことはございません。
  217. 今澄勇

    今澄委員 そこで私は東北電力の社長さんにもう一言お伺いをいたしておきますが、今のこの状態を最後まで東北電力はこのまま押し切つて行く。建設省の立場もそういうような、一旦決定した水利権であるから、どのような問題があつてもこれは変更しないということが妥当であるということになりますならば、私どもは通産あるいは経済安定あるいは建設その他の委員会において、この問題を今後とも、なおこれは論議しなければならぬということになるのであります。そこで私どもは、少くとも日本の電源開発のあり方並びに今日の電気会社のあり方から見ると、まずわれわれは新木大使の東電からの進出といい、それから白洲次郎氏の特使としてのアメリカヘの使いといい、少くとも電力財閥をバツクにしての今日の政治的な活動というものはあまりにも活発である。そして電力事業に伴う土建あるいはその他の建設業務が、その裏に大きな疑獄的なものを蔵しやすいということも事実です。そこで私は少くとも今日の電気事業の経営者は、日本の将来の電気事業に関して賢明な判断と、そうして日本の公共的な立場を思うならば、私どもは本名上田等の問題は妥協的な賢明な解決策をもつて処理されることが、実にこの際望まれる一番大きな問題であると思うが、この点を重ねて東北電力の社長に聞くとともに、もう一つは間組とあなたの方で契約された先ほどの契約書の問題、これに対する知事の態度、それからもう一つは、その下流においては銭高組、熊谷組などもこれらの仕事を引受けておつたのに、匿名入札で、これらの組が少くともその工事からはずされておるという反面には、この工事の引受けにあたつていろいろの条件をつけられておるので、それはまことに不快であるというような話もわれわれのもとに来ておるのである。私どもは、東北電力がそれらの匿名入札で下請の組を使うには、どういうような手続と、今度銭高組と熊谷組がやめになつたのはどういつた関係にあるかという点についても、まことにこれは恐縮な質問ですが、一言ひとつお答えを願いたいと思います。
  218. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。前段の御質問である電気事業者はひとつ仲よくやらぬか、こういう問題でありますが、この点につきましては、われわれは再編成以来非常に緊密なる連絡をとりまして、非常に仲よくやつておるつもりであります。決してけんかはいたしておりません。ここにおる高井君とも非常に仲よくやつております。いつも心おきなく何も隠し立てをするというようなことはなしに、しよつちゆうよく連絡をとつて電気事業の円満なる運営をはかつておりますから、この点は御安心ください。  それから電気はお前の方でみなつくるそうだがというお話ですが、これは私の方がつくるのが最も早く完成すると私は確信しております。この二発電所については、だれにも負けずに早くつくります。それだから、これはどうしてもわれわれの方におまかせくださいということを申し上げる。それから、さればといつて、その電気を全部私の方で使わなければいかぬと申しておるわけではないのです。その点につきまして、何も御質問はなかつたのですから、その点には私触れておりませんが、しかしながらもう一つ、私の立場も御了承願いたいのですが、御承知の通り、東北開発は非常に遅れております。これは皆さんもおそらく御異論ないと思います。これはなぜかと申しますと、東北はおいてけぼりを食つたのであります。明治御一新のいろいろの事件もあつたろうと思いますが、その後東北は非常に虐待されております。私は、東北生れであるからさように申すわけではありませんので、これは公平な眼から判断いたしまして、ここに御列席の方は、相当に東北御出身の方もあろうかと思いますが、われわれまことに憤慨しておつたのであります。しかるに今日の現状はどうであるかという問題でありまするが、日本はこの通り四つの島国に局限されて、自分で何かやらなければいかぬという事態に追い込まれた。この際はどうしても東北開発と北海道の開発、この二つ以外には日本の再建を達成する方法がない、かように考えておるのであります。
  219. 遠藤三郎

    遠藤委員長 内ケ崎君に申し上げます。簡単に願います。
  220. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 よつてこの電源開発をやりまして、日本の再建に資するということが、私の最大の目的でありまして、単に東北電力の利益のためにだけやつておるのじやありません。と申すのは、生きた実例を申し上げますと、現在私の方から東京電力に対しまして、一箇年に約三億キロワット・アワー電力を送電いたしております。東京からは何ももらつておりません。東北からそれだけ東京に加勢いたしております。なおそのほかに、今度発電所が続々完成いたしますが、そうなりますと、現在ほかの電気事業会社から二億六千万キロワット・アワーの第二融通電力というものをもらつておりまするが、この電力は、二十八年度におきましては、全部返却いたします。その電源をほかの地区が使用することによりまして、日本の産業はもう勃然として興ると思う。かように考えております。
  221. 遠藤三郎

    遠藤委員長 内ケ崎君に申し上げます。簡単に願います。
  222. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 それで私の方は独占するつもりはございませんので、仲よて電気事業の発展をはかると同時に、日本の再建を企図しておる次第でありますから、御了承願います。
  223. 今澄勇

    今澄委員 それではもう一問。最後に、私は今の御答弁によると、もうみずから東北電力社長が告白されたように、東京電力の需給関係よりは、東北電力の方が電力が余つておるのだ。比較対照の問題から行くと、常に東京電力東北電力から電気をもらわなければならぬ。しかも東北電力は、只見川のほかに、北上、阿武隈、最上、雄物川等多数の有利な地点に今後の電源開発の候補地がうんとある。また現在東京は、こういつた観点から見ると、そう有利な開発地点を持つていない。私はこういう観点から見ても、野田建設大臣がここに強引に東北電力にこの水利権を持つてつたということは、今の社長の答弁から見ても理解できないことになる。これは社長みずからがそういう自分のところの電力を常に東京電力に供給して行かなければならないというような答弁をされるほど、東北電力は、その候補地もいろいろあるのに、これを強引に決定したということは納得できないが、野田さんもう一ぺんひとつ御答弁を願いたいと思います。
  224. 野田卯一

    ○野田参考人 内ケ崎さんの御意見は御意見といたしまして、本名上田につきましては、今何といつても電気が不足しておる。この不足を補うためにはこの両地点開発をいろいろな条件のそろつておりますところの東北電力にやつてもらうのがよろしいというので実行したのであります。
  225. 今澄勇

    今澄委員 もう一つ私は東北電力社長にお伺いをいたしますが、私はこの際東北電力はこういういろいろの問題が起き上つて来るのは、会長に政治的なあまりにも色彩の濃い人がすわつているから、そういう結論を招くので、私はこの際こういう社会世論に顧みて、そういつた人々を会社から退任を願つて世論の疑惑を招かないような措置にお出になつたらどうかと思いますが、ひとつ御答弁を願います。
  226. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 会長の問題は、これはほかの人の話でありますから答弁をごかんべん願います。  とにかく電気は仲よくやつておりますから、そうけんかはいたさないようにいたしますから、われわれの方が開発したものは自分らの需用にまずあてて、余力があればこれをほかの地区には必ず送電いたしますからどうぞ御了承を願います。
  227. 今澄勇

    今澄委員 もとの松永公益事業委員長代理に最後にお伺いをして私はやめましよう。少くとも松永さんが電力の日本における残された先輩としてるる苦心の結果行われました電気事業の九分断は今非常に仲よくやつておるということでありますが、片や裁判所に係争問題としてこれを訴え、片や昼夜兼行工事でどんなに言われても、これは曲げられない、通産大臣はまことに便宜的なときの内閣の主流に屈して、心ならずもこれに同意をするというような、しかも通産省には白洲氏の系統から大きな圧力が加わるということで、私は現在の電気事業の置かれているあり方は、これは九分断の大きな失敗の一部をここに現わしたものであると思う。ただ松永さんをして言わしむれば、公益事業委員会があまりに早期に解散したということがこういうことになつたというふうにお考えになるであろうと思いますが、私はその後できた電源開発株式会社についても、これらの電源開発株式会寸法による審議会等の問題があるが、この東北電力の問題はこの審議会にかけてからきめても決しておそくはなかつたのであるけれども、かようないろいろの利権をからんで行われておるということは、今度できたこの開発会社もかような電気事業会社のあり方が続く限りにおいては、有名無実のものになるおそれも多分にある、そこで松永さんは今後の電気事業のあり方は、私どもは電気事業はこの際再び全国的な一本的な経営にするか、これができなければ三分割くらいに現在の東北電力東京電力を合併してしまえば、この問題のごときは立ちどころに解決すると思う。われわれはかような一つの企業形態によつて今後これらの問題を処理するか、いろいろ考えておるのでありますが、松永さんの御見解を承つて私の質問を終ることといたします。
  228. 松永安左衞門

    ○松永参考人 たいへんむずかしい御質問でございまして、こういう本名上田の問題で紛糾いたしておることは、私はまつたく関係である。九分割のためでもなんでもない。要するにあとから起つたことであるというように申し上げようとも思いません。いろいろ欠陥もあります。ただ遺憾であるということだけを申し上げておきたい。今後どうあるべきかということについては、ここであまり老人が申すことも権威もないことでありますので、こういうことは審議会等もできております。また通産大臣などもりつぱな方がいらつしやるのでありますから、よろしくどうぞ行政的にも御処理あることを希望してやまないのであります。
  229. 遠藤三郎

  230. 下川儀太郎

    ○下川委員 先ほど栗田君から詳細な質問がありましたので、なるべく簡単に申し上げますが、ただいま今澄君が申し上げた通り、本問題はやはり先般の電力編成のずさんきわまる処置と、同時にまた電力行政に何々の側近派とか、あるいはまた政党のボスどもが暗躍する、その結果の現われが今日の問題を生じたように私は考えます。同時に最初松永先生がおつしやられた通り、われわれにとつては一会社水利権、あるいは一会社調査事項等々が問題ではないのであります。いわゆる高度の立場に立つて日本の産業の開発の面に即して、いわゆる地域的な電力需給状態を十分にらみ合せて、その線に沿つて電力行政をやつて行く。ところがたまたま今度の問題に際しましては、そうした面が、われわれの観点からすると、とられていない。いわゆる強権発動によつて水利権をめぐつての係争が生じ、あるいはこれが政治的なスキャンダルのにおいが多分にあるということ、それを考えてみますると、やはりわれわれは、かつて九分断に反対した。その当時のいわゆる電力の国営なるものが浮び上つて来るのでありまするが、それはそれといたしまして、栗田君の質問と重複いたしますので、わざわざ東北からおいでなさつた参考人の方にいささか御質問申し上げたいと思います。  先ほどお聞きしますると、東北電力の社長さん並びに東京電力の社長さんは非常に親密にやつておられる、はなはだけつこうなことでありまするが、この問題を通して見ますると、先ほど福島県知事並びに東北電力の社長が最初いろいろと意見を話されました中で、電力開発に対する意欲は十分わかりますけれども、その根本をなしておるところのいわゆる東北電力の持つておる水利権財産権、これに対する考え方があまりにも道義性を失つたように考える。一言もこの点には触れておりません。いわゆる既得権のある、たとえば東北電力の社長と東京電力の社長とは同業者である。しかも親密な間柄であるということを聞いておりますが、それにもかかわらず、一会社の持つ水利権を抹殺して、自分の会社がその利権を得る、その場合に犠牲者の立場にある対等の東京電力に対して、いささかの人聞性、いささかの道義性ということを言つておらない。これをどのように現在お考えになつておられるか。同時に立場をかえて、いわゆる既得権を失われた東京電力会社の立場に立つてものを考え、またその傘下の多くの株主あるいは従業員の立場を考えるときには、非常に重大である。従つてその利権を失つた者の立場に立つてものを考えてみなければならぬ。この点についてどういうふうにお考えでしようか。
  231. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答え申し上げます。先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、電力編成のとき、企業再編成計画に関する指令というものが出まして、これが日本国家の法律上の措置であつたのでありますが、その中に工事発電所、未開発水利権等の帰属決定方針というものがはつきり明示されおります。その中にいろいろありますが、最後の第五番目に、配電会社が現在所有する水利権は一応新会社に引継がせる、かようなことになつております。一応引継いだのでありまして、法律上はどうか私は存じませんけれども、再編成は非常に大事な、日本の画期的な事業であつたのであります。それで一応引継がせるということは、必ずしも今までのような法律的のはつきりしたもの、これはあるいは法理上はそうかもしれませんが、しかし実際問題としては、日本の再建に最も必要なことを考えろ、こういう立場からこれは決定されたものと私は考えております。つきましては、なるほど表面は、訴訟問題というようなことは、はなはだおもしろくはないのでありますが、こういう一応というような文句もありますので、われわれの方が開発に当ることが、全電気事業として最もすみやかにいろいろな問題が解決される、かような観点から私がやつておりますので、高井君とはしよつちゆう顔を合せますが、いささかも気まずい思いは私いたしておりません。そういうところを御存じのない方は、東北ががむしやらにやつたというようなお考えになられるかもしれませんが、こういうことでありますから、日本の再建に最も必要な方法、日本の電気事業としては最も必要なことを私はやつておると、かように考えております。
  232. 下川儀太郎

    ○下川委員 あなたのお考えは、あなたの一方的な解釈のように存じますけれども、一つの水利権を同一地域でもう一つ許すということ、これを最初からお考えになつてつたかどうか。その点をお聞きしたい。
  233. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 別に何もそういうことを予定いたしません。私は、とにかく自分らの使命である電源開発が必要であるということで各方面と連絡をとりまして、当時の許可権を持つておる方々の御意向もみな伺いまして、なるべく円満にやろうと考えたのでありますが、どうしても折合いがつかなかつたので、やむを得ずやつたのであります。しかしこれは四つに組んで相撲をとつたと私は考えております。小手先のことをやつておらぬと、かように考えております。
  234. 下川儀太郎

    ○下川委員 そうしますと、この水利権が中心となつて紛擾しておりますけれども、これは先ほど東京電力の社長からお聞きしますと、定款までつくつて会社が発足されようとした、というと、途中まではこれが協力的な態勢になつてつた。それがいかなる事情でそうした変更になつたのですか、その点をお伺いしたいのです。
  235. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。只見川開発問題につきましては、先ほど前の委員長代理の松永先生からいろいろ御説明があつたのでありまするが、先生の方から、東京とお前の方は只見川開発について大いに相談してやつたらよかろう、こういうお話がありましたので、われわれといたしましてもこれをやろうと考えまして、前後三、四回にわたりまして安蔵社長、高井当時の副社長、それから私の方からも関係者が出ましていろいろ御相談はいたしたのであります。そのときにはわれわれも共同でやるということを主眼としてやつたのでありますが、本名上田のごとき、この程度の規模の発電所は、先ほども申し上げましたように大きな規模でないのであります。しかも早期にやる必要に迫られておつたので、東北においてこれを開発するということを、最初から終りまで、決裂するまでこれは主張しておりました。途中からかわつたのではございません。
  236. 下川儀太郎

    ○下川委員 そうしますと、初めから東京電力水利権というものは抹殺してかかつたということになりますね。
  237. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 先ほど御答弁申し上げた通りでございます。
  238. 下川儀太郎

    ○下川委員 そうすると、やはり栗田君と同じような見解に立つのでありますが、憲法二十九条によつて、当然これは財産権を擁護されておるにもかかわらず、これをいわゆる強権発動へまで持つてつた、そういうふうな解釈をしてよろしゆうございますか。
  239. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 許可権というような国家の権力は私ども持つておりませんので、そういうことの見解は申し述べませんが、福塩県知事からの水利権許可の条件には、補償をせよということがありますので、それはやるつもりでおります。
  240. 下川儀太郎

    ○下川委員 補償という条項がありますけれども、民主主義の今日において、やはり相手方の納得の行く立場に立つての妥協がなされなければならぬ。それが全然なされていないうちに、いわゆるどういう政治的工作をやつたか、あるいは東北電力の会長が白洲さんである、吉田首相の側近者であるという建前によつて、これが強く世論の中に響いておりますけれども、そういう一つの観測の上に立つてものを考えるときに、これは最初から計画的に他の会社水利権を抹殺し、そうして問題を今日のように発展させた、このようにわれわれは考えるのでございます。同時にこの許可を受けるまでにどのようないわゆる政府当局との懇談あるいは交渉があつたか、その点について詳細にお話願いたいと思います。
  241. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 重ねて申し上げますが、補償はいたすつもりでおります。  それから政府当局と懇談をいたしたかという御質問でありますが、われわれは民間会社でありますから、必要なところへはいろいろお願いに参ります。
  242. 下川儀太郎

    ○下川委員 福島県知事に御質問申し上げますが、先ほど作文的ないろいろ信念の朗読がございましたけれども、その結論的なものは、他人の財産権であろうとも、これは公益上ならばやむを得ず取消すというふうに結論づけられたと思いますが、その点明確にもう一度お答え願いたいと思います。
  243. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの御質問でありますが、私は只見川水利権に対して概要は先刻申し述べておきましたが、只見川水利権が、建設省の通牒によつて、遊休その他に関して整理をする、かような通牒もありましたので、只見川開発を慎重に考慮いたしまして、この問題は真に国家再建の大きな使命がありますので、この只見川を真剣に検討するために、東京電力のただいま有しております水利権に対して、先刻申し上げましたように私はこの水利権は有名無効である、かように考えております。その根拠は、さきに申し上げましたように、日本発送電法並びに電力国家管理法が実施されまして、五千キロ以上の既設発電所は全部これが発送電会社に収用されたのであります。その他、五千キロ以上の開発日本発送電会社開発命令をもつて開発をなしておつたのであります。しこうしてこの水利権に対しまして、昭和十八年に現在有しております関東配電株式会社から、この水利権の認可を得るためには、県の規則によつて証拠金を徴収しておりましたが、この証拠金の返戻の申出がありましたので、十八年にこれを返戻いたしているのであります。かような観点からして、私は名はありますが、この水利権というものは有名無効なものである、かような考えを持つているのであります。現在この問題に対して係争中でありますが、私は私の主張が通ることとかたく確信しております。
  244. 下川儀太郎

    ○下川委員 ただいまの福島県知事意見に対して、東京電力の社長の意見をお伺いしたいと思います。
  245. 高井亮太郎

    高井参考人 ただいまの福島県知事の御答弁は、まことにもつて意外な暴論であると私は存じます。東京電力にこの水利権が現存しているということは事実でありまして、もしも無効ならば、これを取消す必要がないのであります。閣議を経て、正当な国家的手続を経て取消す。ないものを何で取消す必要がありますか。ここをお考えになれば明瞭であると存じます。  なお先ほど内ヶ崎さんから一応のお請がありましたが、前にすでに答弁をいたしましたけれども、一応の意味は、これは当時公益事業委員会方針といたしまして、奥只見は大資本による大規模開発が必要である。従つて会社のみに独占させるべきでなく、今後の開発形態については慎重検討を要するということが、ただいま内ケ崎さんの言われたところに同時に書いてあるのでありまして、すでに竣工済みであり、あるいは一部工事中であつた宮下発電所及び沼沢発電所は、これは東北電力に所属せしめるというところまで、その既設分は東北電力である、こういう区わけをいたしまして、その上の奥只見、すなわちその上をさすものであります。これに対しましては、この水利権東京電力にやるが、ただいま読みました、「一会社のみに独占させるべきでなく」でありまして、一応東京電力に置くけれども、あと東北電力へやるというような意味では全然ないのでありまして、大局的な本名上田を含みましたる只見川系統開発をする組織ができた場合を頭の中に置いた意味においては、これは水利権資料も一様であるという、大きな筋の考えの上に立つているものであることを重ねて申し上げます。
  246. 下川儀太郎

    ○下川委員 福島県知事に申し上げますが、両者の意見を聞いたのでありますが、結局あなたも一県の行政の責任者である限り、これを紛擾に持つてつて解決させる、裁判まで持つてつて解決させるということでなくして、やはり政治的に妥当な立場、たとえば水利権が一方にある、一方にはいろいろな調査資料がある、それを努力してその妥結の上に、いわゆる東北開発とか、あるいは日本に寄与するような大きな電源開発の点にその線を持つて行くというような、そういう政治的な面の御努力をなさつておられたかどうか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  247. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいま申し上げましたように、基本的の水利権に関する考えは、今申し上げた通りであります。但しこの両者の妥協等に対してその道を尽さなかつたことは、遺憾であると思います。
  248. 下川儀太郎

    ○下川委員 そこに私は福島県知事の非常な欠如があると考えられます。いやしくも一県の行政の責任者である限りにおいては、やはり紛擾は避けて、基本的な日本産業開発の面から、両者を握手させて、その上にまたがつて電力行政をやつて行く。これは一福島県の問題でなくして、日本に大きなひびが入つて来る問題です。たとえば電源早期開発がされようとするその刹那に至つて、やはりこうした裁判が行われ、あるいはこうして参考人が喚問されて、国会の一部屋で論議が行われておる。この事実は、あなた自身が一応のこうした問題に対して熱意がなかつたと言つても、私は過言でないと思う。しかも万一東京電力が訴訟に勝つた場合、あなたはどういう責任をとられるでしようか。その点お伺いしたいと思います。
  249. 大竹作摩

    ○大竹参考人 私はこの係争に対して、現在自分の主張が通ると考えております。そのあとのことは答弁の限りではありません。
  250. 下川儀太郎

    ○下川委員 それから、財産権であろうとも、公益上やむを得なければこれを取消すという信念に基いてやつたと仰せられましたが、その公益という問題にもいろいろ見解があると考えられます。いわゆる局部的な立場に立つた考え方と、また日本という全体の大きな立場に立つてものを考え公益、この二通りあると思いますが、いわゆるこの水利権をめぐつて東北電力の地域的な電力需給状態、あるいはまた重工業地帯であり、あるいはまた消費地であるところの関東を中心とした東京電力の地域の需給状態、こういつたことがこの水利権の大きなポイントになつて来ると私は考えておりますが、そうした点についてもあなたは配慮になつたことがあるでしようか。
  251. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの水利権に対して、公益が優先して来るということはどうか、またこの公益というものが局部的であるか、国家的の見地から考えるか、かようなお尋ねでありますが、私はこの両地点開発につきましては、国家的、大所的見地からいたしまして、一日も早く開発するということが公益上最も大切だ、かように考えましたので、私は今申し上げましたように、私の考えによりますこの水利権というものは、決してかような問題でない、この二箇地点の発電の開発こそが最も公益上大切なるものである、かように考えて行つたのであります。
  252. 下川儀太郎

    ○下川委員 同一の質問ですが、野田前建設大臣にお伺いしたいと思います。
  253. 野田卯一

    ○野田参考人 先ほどから繰返してお答えしておりますように、現在日本は非常に電力が足らない、この電力を満たすという至上命令を果すために、いろいろな条件がそろつておる東北電力にやらすことが、公益上必要であると認めて、処置したわけであります。
  254. 下川儀太郎

    ○下川委員 私の聞こうとするのは、東京電力の持つておる水利権を抹殺して、東北電力にこれを許可する方が公益上プラスになるか、あるいはまた東北電力の方を却下さして、東京電力をそのまま存置させることがプラスになるか、そういう点まで御配慮して、この問題を強権発動まで持つてつたのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  255. 野田卯一

    ○野田参考人 当該の問題といたしましては、東京電力水利権取消しまして、東北電力水利権を与えるということが公益上適当と思います。
  256. 下川儀太郎

    ○下川委員 どうも野田さんの答弁は当を得ていないように思いまするが、いわゆる東京電力地域の需給状態等を十分観察されておると思いますけれども、非常な電力不足状態、これはもう東北電力の比ではないと考えております。今後重工業の発展、その他の点から考え、あるいはまた国家的な見地、重要産業等の推進等、こういう点をオミツトして、いわゆる一東北地方の局部的な考えに集約されてこれを許可したように私考えておりますが、この点いかがでしようか。
  257. 野田卯一

    ○野田参考人 決して東北地方の一局部的な観点にのみ考えを集中してやつたのではなくして、日本の不足しておる電源開発を一日も早く実行するという観点であります。
  258. 下川儀太郎

    ○下川委員 それならば、先ほど今澄君が言つた通りに、どうして東京電力東北電力を妥協させて、その上に立つての早期開発建設省としてやらなかつたのでしようか。
  259. 野田卯一

    ○野田参考人 この点につきましても、先ほどからもお答えしておるように、この電源開発するために水利権を片方で取消し、片方で与えるというか、円滑に譲渡するというような方法でやるということが、当初適当だと考えて、その方に極力努力したけれども、それは成功しなかつたから、ただいま申し述べましたようなことにいたしたのであります。
  260. 下川儀太郎

    ○下川委員 この問題に関しては、栗田君に対する答弁でるる伺つておりますので省略いたしますが、最後は松永先生に本問題の今後の解決としての御意見をお伺いしたいと思います。もちろん、政府がこれを取消して白紙に返すという誠意があるかどうか、それはわかりませんけれども、いわゆる公平な立場に立つての松永先生の御意見を伺つておきます。
  261. 松永安左衞門

    ○松永参考人 私はこの両者が、今日といえどもよくお話合い願つて、一般のためになるように、また両者将来の関係上円満な話合いが行われればまことにけつこうなことであると思います。そのほかについての考える、別に今日まだ申し上げる時期じやないと思つております。
  262. 下川儀太郎

    ○下川委員 まだたくさん質問者があるようでございますから、あとは保留いたしまして、次会に譲ることにいたします。
  263. 遠藤三郎

    遠藤委員長 前田正男君。
  264. 前田正男

    ○前田(正)委員 わが党からは、後ほど詳細な質問が他の委員からあるようでありますので、私は経済安定の委員といたしまして、電源開発促進法を担当しております経済審議庁の関係の仕事をやつております経済安定委員会の立場から、ひとつ質問させていただきたいと思います。  そこでまずこの電源開発の計画という問題がまず第一の問題になつて来ると思うのでありますが、この際東北電力の社長にお聞きしたいと思うのでありますが、この両地点開発を早期にやりたいということは、いつごろから御計画をされたのでありますか、聞かせていただきたい。
  265. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 新電力会社が誕生したのは二十六年五月一日でありますが、そのときからすべての開発計画を考えておりました。
  266. 前田正男

    ○前田(正)委員 この両地点を二十七年度に着工したいという計画は、いつになつてお持ちになりましたか。
  267. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 当初から考えておりました。
  268. 前田正男

    ○前田(正)委員 当初からお考えになつておりましたことは、通産省でありますとか、あるいは経済安定本部であるとか、そういうところにはいつごろ御連絡になりましたか。
  269. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 当初からさように連絡をいたしておりました。おそらく御質問は、何か役所の計画に現われたものと食い違いがあるのじやないかというお話と思いますが、私どもの会社の計画は、当初から計画いたしておりました。
  270. 前田正男

    ○前田(正)委員 それで会社としてのお立場はよくわかりました。そこで私たちは、ちようどこの問題のときには、電源開発を促進するために新しく電源開発の促進法をつくろうというのでやつていましたので、この電源開発促進法は、すみやかに電源開発を行うためにつくられたものであります。そこでこの電源開発の促進法を遂行するにあたりまして、われわれは電源を緊急に開発して行くためには、新しく電源開発会社というものをつくつた方がいいんじやないか、こういう考えのもとにこれが審議されまして、七月三十一日には施行されております。そこでこの計画が前からありました場合において、当時の建設大臣の野田さんは、いつごろから東北電力は着工したいと言つているということをお聞きになりましたか。
  271. 野田卯一

    ○野田参考人 私はこの水利権許可の問題を建設省の中で話をし始めたときから、そういうことを聞いております。
  272. 前田正男

    ○前田(正)委員 いつごろから……。
  273. 野田卯一

    ○野田参考人 五月……。
  274. 前田正男

    ○前田(正)委員 五月ごろになりましてこの計画が出て来たというのでありますが、ちようどそのときは電源開発の促進法も大半の目安がついておりました。特に野田さんは自由党の党員でもおありでありました。われわれの党の主張し、そして私たちの国会において承認されましたこの法案によりますならば、只見川の重要地点というのは、電源開発株式会社において行うべきじやないか、こういう意向は国会において述べておりました。この法案に只見川という特に字が書いてあるのと、そういう空気があつたということは、その当時野田さんは御存じでありましたか。
  275. 野田卯一

    ○野田参考人 電源開発促進法只見川――只見川という文句があるなしにかかわらず、只見川のような重大なる電源開発をこの開発会社が担当するという考え方は、夢からわれわれも主張しておりました。知つておりました。しかしながら本名上田というような小さな開発地点のことは、別に考えておつたわけではありません。
  276. 前田正男

    ○前田(正)委員 そこで先ほど松永委員長代理からもお話がありました通り、この点につきましては、宮下以上は大体大規模の発電地帯に入れるというのがその当時の公益事業委員会意見でありました。また私たちも当時の政府の案によりまするならば――二十七年度におきましては電源開発法をわれわれは審議いたしております。当時の政府意見によりますならば、東北電力東京電力両社においてはこの両地点はやらせない、将来できます電源開発株式会社においてこの両地点をやらすべきではないかということがわれわれその当時の参考資料として配付され、われわれはその意見に基いてこれを審議したと思つております。そういうことについては建設大臣は御存じなかつたかどうか。
  277. 野田卯一

    ○野田参考人 私は存じません。
  278. 前田正男

    ○前田(正)委員 そこで建設大臣はそのことを御存じないとしますならば、その当時の法律によりましても、閣議決定される前におきましては、こういう電源開発計画というようなものは当時の経済安定本部の長官がこれを策定する権利を持つているように思うわけでありますが、当然経済安定本部の長官と御相談があると思いますが、いつごろ御相談されましたか。お聞かせ願いたいと思います。
  279. 野田卯一

    ○野田参考人 この問題は計画の策定そのものは私相談を受けておりません。
  280. 前田正男

    ○前田(正)委員 計画の策定そのものでありません。この両地点電源開発株式会社がやるべきであるかどうかということについて、経済安定本部の長官と御相談があつたかどうかということをお聞きしたいと思うのであります。
  281. 野田卯一

    ○野田参考人 私は、この両地点は、先ほども申しましたように五月からです。大体これは東北電力にやらせるべきものだという建設省内の研究の結果によつて東京電力に話しているということははつきり申し上げた通りであります。それで動いているわけであります。それに反対のものがあるということは私は知らないのです。
  282. 前田正男

    ○前田(正)委員 知らないとは思いますけれども、この許可になりましたところの八月四日におきましても――もし七月二十五日の閣議決定をもつて決定事項であるということになつたら、先ほど松永委員長代理からありました通り、その当時は公益事業委員会でありまして、公益事業委員会の承認がなければ電源開発地点をどこでやらすべきかということは決定されない。従いましてその当時の閣議決定は、これは参考意見であるというふうにわれわれは思つておりますが、建設大臣の認可事項でもつて八月四日に認可されたのだと私は思つているのでありますけれども、その点は間違いないでしようか。
  283. 野田卯一

    ○野田参考人 その点少し考え方が違うかと思います。私どもは水利権許可をいたすわけでありまして、それから別に知事が――実行するのは知事でありまして、知事が許可するわけでございます。知事が許可するにあたりまして建設省の方と公益事業委員会の両方に、私どもの方にも伺いを立てるし、公益事業委員会の方には意見を聞く。それを知事のところで集めて最後的な決定をいたす。こういう建前になつております。
  284. 前田正男

    ○前田(正)委員 これは八月四日に認可されているわけでありますが、八月一日から経済審議庁は発足されております。そうしてまた先ほど申しました電源開発促進法は七月三十一日に施行されているわけであります。これによりますならば当然電源開発株式会社というものがこの開発地点をやるべきかどうかということについては、建設大臣が一方的にこの両地点は民間の会社発電所をやらせたらいいのだと、そういうことがきめられるとお思いでありますか。それとも経済安定本部、今度の経済審議庁長官に当然御相談あるべき地点ではないかと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  285. 野田卯一

    ○野田参考人 行政組織といたしましては、今のように建設大臣建設大臣として認可を与える、公益事業委員会公益事業委員会として自分の意見を述べる。それが知事のところで集まつて結論が出て実行される。こういう建前になつております。事柄を経済安定本部長官が知つているかどうかということは、閣議にたしか出ておられましたから知つておられたと思います。
  286. 前田正男

    ○前田(正)委員 これは知つている知つておらないの問題ではありません。こういうふうに法律に書いてある。基本計画において電源開発会社が行うべき地点というものについては、この主務官庁に申し出たものを、この内容が適当であるかどうかということについて、いろいろと審議会においてやつて行くことになつているのでありますが、この電源開発会社に対しましてどの地点をやるかやらぬかということについては、経済審議庁設置法第四条に「電源開発に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。」という権限を経済審議庁長官は持つておるわけであります。従いましてこの権限に基きまして、電源開発会社でやらないということになりましたならば、当然これは審議会にかける必要はない。しかし電源開発会社がこれをやるべき地点であるかどうかということにつきましては、この基本計画を立案するところの権限を経済審議庁長官は持つておるわけでありますから、当然その意見を求められるのが行政的な措置であると思いますが、いかがでございましようか。
  287. 野田卯一

    ○野田参考人 私はこれは基本的計画かどうかということは、はつきりわからないのであります。
  288. 前田正男

    ○前田(正)委員 いやわからない、わかるの問題ではありません。野田さんも自由党の党員でありまして、特に国会議員でもおありでありまして、電源開発促進法というものが制定されて、七月三十一日に施行になつておるということは御存じであると思いますが、電源開発株式会社というものが、電源開発を急速に促進するために、特に只見川地点については地名まで入れて、川の名前まで入れてこの法案ができておるということは、よく御存じであると私は思うのであります。従いましてそれは知らないというべき問題ではありません。しかも当時野田さんは、この法案をつくりますときには行政管理庁の長官をしておられまして、私は特に野田さんとこの権限の問題についてもいろいろお話合いをしたことがあると思つておりますが、当然この問題については経済審議庁の長官と御相談あつてしかるべきじやないか。それはなぜかと申しますなら、私は一番問題になりますのは、なぜこれを電源開発株式会社にやらせないで、民間にやらしたかという点がわれわれとしては不明なんであります。この国会の審議においては、当然私たちは新しくできる電源開発株式会社が担当するものだと了解しておる。そういうように政府の説明としてもあつた。また公益事業委員会意見も、先ほど委員長代理からお話がありました通り、宮下以上の地点は大規模発電所として一括して考えておられた、こういうふうに思つております。しかしてまた電力会社お話を伺いましても、そういう点を含めたお話です。ただ東北電力の方は、それは初めから私の方でやるべきだ、大規模発電所でやるべきではないというお話でありましたけれども、この両地点を含めて考えておられたということは事実であります。また公益事業委員会もそう考えておられた。われわれもそういう資料をもらつて、この電源開発促進法という法律を成立さしておるわけです。従いまして電源開発株式会社がこの地点をやるべきであるかないかということにつきましては、大臣として認可されるときに当然関係官庁に御連絡されるべき点であると私は思いますが、どうでございましようか。
  289. 野田卯一

    ○野田参考人 逆に申しますと、この問題は、五月から先ほど申しますように大体腹をきめまして、交渉もしておつたのでありますから、この問題は電源開発会社でこれをやるんだというようなことを、閣議であるとか、その他の場合において言われれば、私はただちにそれは反対する、そうじやないということを申し上げます。しかし私にはそういう機会が一度も与えられておらなかつた建設大臣には何らそういう機会が与えられておらなかつた、これは事実であります。
  290. 前田正男

    ○前田(正)委員 その当時の五月というのは、もちろん電源開発促進法審議された前でありまして、われわれはこういうものについてやつた。また経済審議庁の権限がこういう権限になるということも、みなその前におわかりになつていることであります。またたとい五月からそのことが考えられたといたしましても、八月四日の正式に認可されるまでの間に、すでにこの法律は施行されているわけである。従つて当然その権限に基いて、経済審議庁においても、あるいは電源開発促進法に基いても、私は行わるべきじやないかと思うのであります。しかしこの見解問題については、私はあえて野田さんを追究するわけではありませんけれども、私たちといたしましては、せつかく国会において電源をすみやかに開発するためにこの法律をつくつて、かくのごとき係争問題が起ることを避けるために電源開発株式会社というものをつくつたのであります。しかもまた只見川のようなものは、国家の資金を投じて円満裡にすみやかにやつて行きたいとわれわれは希望しておつたのであります。その理由は皆さん御承知の通り天龍川におきましても、いろいろと問題の地点があつた。しかしこの間から電源開発促進法ができまして、審議会ができましたために、天龍川の地点については――天龍川の作久間地点でありますが、第四回の電源開発調整審議会におきまして、電源開発会社がやるということについて実際は中部と東京電力が話合いをするということで円満に進みまして、開発を行つているのでございます。政府資金を多額に投じてこういうふうなことをやるというのは、それがためにこういう法律ができたものとわれわれは考えているのであります。また東北電力の社長は、この電気の開発地点はわずか五万キロばかりのところだ、こうおつしやいますけれども、しかし二十七年度に電源開発株式会社が担当着工いたしましたところの地点には、もつと小さい地点もあるのであります。それは政府がやつております直営の工事であつたとか、あるいはまたこの際急速に発電するためには必ずしも大きいところばかりやらなくてもいいというような観点から、現在もつと小さいところにおいても、電源開発株式会社は二十七年度に工事に着工しておるわけであります。その辺のこともよくおわかりになつておると私は思うのであります。この問題については、私たちも与党でありますから、あまりつつ込んだことは言いません。(笑声)私はまず私の見解を述べておきます。  そこで最後に知事に一言お聞かせ願いたいと思います。先ほどから知事は、東北電力に地元が協力をしておるというようなお話でありましたけれども、私の考えますところでは、国会が議決いたしまして、電源を早期に開発するために特に公益的に開発するために、電源開発という特殊な株式会社をつくつておるのでありますが、こういうような特殊会社に対しても――地元の東北電力だけに協力するのではなしに、こういうような政府で、また国会で考えました新しい電源開発会社に対しましては、地元は協力できないと仰せでありますか、その点はどうお考えでありますか。
  291. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいまの御質問でありますが、新しく発足しました電源開発会社に対しては、全面的の協力をいたします。
  292. 前田正男

    ○前田(正)委員 それで非常に私も助かつたと思つておるのであります。これからあとまた行いますところの只見川電源開発というものが、当然この大規模電源開発株式会社でやらなければやつて行けないという点が相当あると思うのであります。ことに先ほど来政府意見の中には、同一水系には同一の会社がいいだろうというようなことを言つておりますが、そういう点から見ますならば、当然宮下以上は、電源開発特殊会社がやるべきでありまして、ここで新しく東京電力東北電力が入つて来るということは、同一水系の電源開発を乱すことになるわけではないかと私は思うわけであります。従いまして、こういう点については、こういうりつばな電源開発地帯というものを開発されて、そうして東北地方を開発して行かれることについては、今後極力政府資金をたくさん出されて、一日も早く開発して行くように努力したいと思いますので、当然電源開発株式会社は、こういうようなところを担当されて行くようになると思うのでありますが、地元の東北におきましても、御協力をお願いしたいと思います。この問題については私はこの辺で質問を終りまして、また別に考えることにいたします。
  293. 遠藤三郎

  294. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 たいへんおそくなりまして、遠いところから御苦労にあずかつております。松永先生はお年寄りの身でもあり、長らくお待たせをしまして、ほんとうに申訳ないと思つております。同僚議員から各種にわたつていろいろな御質問がございましたので、簡単に二、三点承つてみたいと思うのであります。東北電力の社長さんが、自分の営業権を獲得するために、手段を選ばずにいろいろやるということもまたしかりだと思うし、知事が県民を思い、県民の上に立つ知事が、この開発をして、県内の電気事情をよりよくして、県民の生活を一段とよりよくしたいというお気持もよくわかる。しかしながらわれわれの納得しない点は、当時の建設大臣の野田さんが、平地にかくのごとき血で血を洗うような闘争をなぜ起させなければならなかつたか、もう一段御努力を願うことができたならば、このようなことはなく済んだのではないか、東北の社長が、われわれは非常に円満に行つおります。東電の社長に会つても、いつでもにこやかに通つておりますと言われましたが、それは両者とも少くとも東北電力の社長であり、東電の社長であるから、両者紳士が相寄つて、通りすがりにまでも角突合いをするようなことは、おそらくありますまい。このようなところに野田建設大臣がどういうようなお考えでかくのごとき構想を選んだかということであります。従つて明瞭でない点が、二、三ございますので、それを承るわけでございます。  先ほど河川法の二十条の六号にある「公益ノ為必要アルトキ」ということの説明もございました。またこの第三号にあるのを、先日来私が伺つたこともあるのでございますけれども、どうもはつきりしておりません。当時の野田建設大臣は、この二十条の第三号をどのように御解釈をなすつているか、お聞きしたいのであります。
  295. 野田卯一

    ○野田参考人 私は今回一方の水利権取消し、一方に与えるという際に、河川法の二十条の規定を適用いたしたのでありますが、公益のために必要だということにつきましては、先ほどから繰返し御説明を申し上げておる通りであります。電力開発が最も緊急を要し、あるいは東北電力にやらせるのが、各種の条件がそろつて、よろしいという結論に達したのであります。
  296. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私は野田さんにはまことに申訳ないけれども、私も法律は非常にふなれでございまして、わかりませんので、あなたの御見解をもつとはつきりと聞きたい。たとえばこういう文句が書いてあるのです。「河川二関スル工事ヲ施行シ又ハ許可ヲ与ヘタルモノノ外二工事、使用若ハ占用ヲ許可スル為二必要ナルトキ」と、こうあるのです。ですから河川法のこの項目は、あなたの大臣としての御判断でなく、この法律をつくられた精神がどこにあつたかということを、あなたにお聞きしているのでございます。
  297. 野田卯一

    ○野田参考人 私は河川法の解釈をここでその立法の沿革にさかのぼつて云云するということは適当でないと思いますが、今回のケースにあたりまして、その法文を引用したということは妥当である、こう考えております。
  298. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それは非常に私の納得の行かないところであります。少くともときの大臣が、法律があるのにもかかわらず、しかも担当の大臣がみずから法律を無視してやらなければならない――法律はあつてもそういうものでなく、ただ公益という点にだけとらわれるのだ、こういうことでは大臣をなさつたあなたの御答弁とはどなたもとりにくいではないでしようか。もう一度お聞かせください。
  299. 野田卯一

    ○野田参考人 御質問の御趣旨がよくわかりかねます。
  300. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 あなたがそうおつしやるなら、もう一度申し上げます。私はあなたと闘争しようとか、あなたをいじめようとかいう考え方で申し上げておるのじやない。先ほど申し上げた通り、東北の社長は自分の会社をよりよく導くために、知事は県民を考えてやつておる。本日お集りの中にも、またこの国会の中にも、東北の出がおられます。そして福島県出身の代議士諸公は、衆参両院を通じて只見川の今の決定を最も有利に持つて行こうとしておる。私の党に山下春江君は私に質問してはならぬとまで言つておるのです。しかし政治という面から立つて見たときに、政治は私が申し上げなくても、東北だけ東京だけ、九州だけの政治ではない。こういう点から考えてあなたの解釈をもう一度聞いておるのです。あなたはこれがわからないというのならば、あなたにこれをあげますから、ちよつて見て説明をしてください。
  301. 野田卯一

    ○野田参考人 私はここで法文の解釈をするのじやなしに、法律の適用をしておるのです。今のやつが条文に当てはまるかどうか、それはあなたと意見が違うなら違うでいいのでありまして、私は公益のために必要だというときにはいいと考えております。
  302. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 あなたが解釈をせずに、ただおれは漠然と許可したのだというのと同じようなことであります。ですからあえてこれ以上追究する必要はないでしよう。  そこで先ほどの答弁の中にもあつたのですが、その当時五千キロ以上の開発に対しては、日発がこれに当つて、そしていつでも強権発動ができた。こういうときであつても、こういうものを遵法して、そしてこの精神にのつとつて両者の談合的なものですべてが解決をして行つた考えられており、またそういう例は今日までないそうであります。ただあなただけがこれを無視したということよりほかにないのであります。  もう一つ承りたいのは、たとえばこの五月の電気事業編成の際に、つまり関東というものを見たときに、割当てられた数字が大体九〇%、東北という面を見たときには一〇六%、こういう仮定ができたのだ、こういうようなことで割当当時にもそのような差があつた。しかしこれをカバーするために、すなわち今いろいろ騒ぎとなつている二箇所というものを入れて行けば、ややバランスがとれるのではないかというようなお考えがあつた、こういうように聞いておりますが、こういう点について当時の大臣のあなたはどんなように考えられておつたでしようか。
  303. 野田卯一

    ○野田参考人 それはずつと前のことをお話でございますか。
  304. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 そうでございます。
  305. 野田卯一

    ○野田参考人 前のことは私存じません。
  306. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 それではもう一つ前のことにさかのぼつてお聞きしますが、これは先ほどどなたかお聞きしたが、はつきりしておらないのですが、昭和二十四年十二月に日本発送電政府から信濃川発電所付近及び東京付近に超高圧変電所の建設を計画するとともに、将来只見川方面開発に超高圧送電を考慮するようにという通牒をときの稻垣通産大臣が出しておるのですが、今度の閣議にあたつて、あなたが御判断をする場合に、こういうようなものを基礎として御判断なされたでありましようか、お伺いいたします。
  307. 野田卯一

    ○野田参考人 稲垣さんの通牒などは私よく存じません。
  308. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 しかしこれだけの重大ことを御決定なさるのですから、どういうような書類が出ていて、どういうような径路になつていたかぐらいのことを大臣が御存じなく一切をそのときどきに御決定なさつたのでございますか、お伺いいたします。
  309. 野田卯一

    ○野田参考人 私は建設大臣という立場から判断をいたしまして、結論に達しておるわけであります。
  310. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 まことに申訳ないけれども、松永先生にひとつお聞きしますが、今まで申し上げたように、この再編成の際に、需用に対して東京は大体九〇%、東北の割当が一〇六%、こういうような割当て方をしておるので、その当時東京を中心とする関東全般の需用というものに対してどのようにお考えがあつたか、先生からお答えをしていただきたいのでございます。
  311. 松永安左衞門

    ○松永参考人 その当時から大分時間もたつておりますので、数字等についてもはつきり記憶がございません。必要がありましたら調べて御返事申し上げますが、大体帰属の問題についても、あるいは開発後の電力の需給についても、先刻申し上げたような主義によつて、ごく大きなものは境を接しておる区域で協力してやるがいい。そして自分の力の及ぶものは見返り資金、そのほか世話をして、できるだけ早く早期開発をするがいいというふうにただ考えておつただけであります。なお詳しいことは取調べて申し上げてもよろしゆうございます。
  312. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 東北電力の社長さんにちよつとお伺いするのですが、電気の融通性について、あなたからいつでもそういうような用意があるというようなお言葉も承つたのでございますけれども、お宅の会長白洲さんは、関東には一キロワットも出さないのだということをとなえておるのですが、それにもかかわらず、あなたの御意見が大分食い違つているように考えますけれども、どちらを真実として、参考としてよいか、御答弁をお願いしたいと思います。
  313. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えします。白洲会長が何と申したか私は存じません。私は余力があれば、これはほかの地区には幾らでも差上げる、かように考えております。なお先ほど何か数字的のお話がありましたが、その数字は私は存じませんが、つまり各地区とも需要供給がちようどバランスするように、あの当時におきましても帰属の少かつたところに対しましては、第一融通電力契約というようなものをやりまして、現に私の方から東京電力に対しまして年間約三億キロワット・アワーを送電いたしております。ピーク時においては、大きいときには十何万キロというような電気が東京に行きまして、この電燈に寄与しております。
  314. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 知事さんにちよつとお伺いいたしますけれども、日発から東電に渡された開発の権利というものは、有名無効なんだということを御断定なさつておりますけれども、この通りに解釈してよろしゆうございますか。
  315. 大竹作摩

    ○大竹参考人 先刻只見川筋東京電力株式会社所有いたしております水利権に対して有名無効と申しましたのは、有名無効同様であるということに御訂正願います。
  316. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 少くとも福島県の、あれだけの大きな県の知事さんですから、お言葉に間違いはないと思いますけれども、あなたが行政をする上においても、やはり法というものがあつて、その上に立つての行政をなすつておるのでございまして、同様というまで御訂正をいただいたから、それでも幾分か納得が行くようにも考えます。そこで野田さんにもう一度お伺いしたいのですが、そうしますと、野田さんの大臣のときに日発からさような指令が出たときに、東電が送電線というものを二十七万五千キロワット・アワーか、そういう送電線を完成できた、すでにできておつた、こういうことでございますが、こういうことも野田さんはやはり御存じなかつたのでございましようか。
  317. 野田卯一

    ○野田参考人 そのことは知りませんでした。
  318. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 非常に大きな責任問題ではないかと思うのですが、いずれにしても、これだけ大きな建設をし、三十億になんなんとするような大きな費用を政府の命令によつて建設をさしておいて、従つてお前のところはこれを取消すということになると、国家的に見てこれらの莫大な損害がここに生じて来るのでございますけれども、こういうようなことも御判断がなく、こういうような基礎をあなたが一つも知らなくてやつたということになると、たいへんなことになるのだが、こういうような報告をあなたは一度も受けたことがございませんでしようか。
  319. 野田卯一

    ○野田参考人 本名上田の問題に関連して、それを関係事項として聞いたことはありません。
  320. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 くどいようだけれども、もう一度ひとつ聞かなければなりませんが、ときの大臣も自由党の政府である、あなたも自由党の政府である。その期間もわずか二年しかたたない、一年有余しかたつていない今日、前大臣の言葉も、前大臣のすべてのものも、次のあなたは知らない。あなたは建設であろうとも、前の商工大臣から建設大臣にその権利がかわつたとするならば、すべこういうものを継承されているはずではないかと私は思う。こういう点について、あなたが全然知らないのだと言い切つておるのですけれども、ただ知らないということだけでは、あなたの責任問題にもなるのだろうと私は思うのだけれども、いかにあなたが知らなくても、どなたかからあなたにはこういう妙な指令も出ているんだというようなことは、私はあつたと思うのですけれども、いま一度考え直してみて、御返事をお願いしたいと思うのですが……。
  321. 野田卯一

    ○野田参考人 ただいまのお話、先ほどから御答弁申し上げておる通りでありまして、本名上田の問題に関連して、そういうことはだれからも聞きませんでした。
  322. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 もう議論の余地はありませんし、また質問するのにも、しようがありません。野田さんという方の大臣としての資格を私は疑わなければならない。(拍子)その大臣が、何らこれに対して経緯も知らず、そうして自分が大臣のいすにただ腰をかけただけだ、白洲が言つたからおれはそういうところに判を押すよりも閣議にかけたんだというのと同じことなんだ。こういうようなことを今日までの自由党の政治のあり方と考えなければなりません。われわれは先ほど冒頭に申し上げた通り、与党だとか野党だとかいう題問でこれを解決しようという考え方は毛頭持つておりません。関東といい東北といい、これらの問題をめぐつてどちらの地区においても電力の需給というものを考えなければならない。その需給のバランスをどうとるかということが、私は時の大臣の大きな使命でなければならないと思うのであります。しからば当時の野田建設大臣は、関東に対するところの需給のバランスをどうとるお考えでございましたか、お伺いいたします。
  323. 野田卯一

    ○野田参考人 これは当時いろいろと話を聞いておるときに、電力の需給調整という規則がありまして、各地域で過不足があつたときには、それに対して調整する、こういうことは聞いておりました。
  324. 長谷川四郎

    ○長谷川委員 新しくこれから出て行かなければならない日本の産業の基礎となるべきものが、ただ野田さんがおつしやるように、どこから持つて来られるだろう、どこからでも持つて来られるということになれば、ごく簡単な問題でございますけれども、先ほど私が申し上げたように、なかなか自分の地区を一ぱいにしなければ、余らなければ出せないのだ、余ればどこにでも出しますと東北の社長さんみずからがとなえております。こういうような段階にあるので、今われわれの住んでいる群馬県では、何とかモーター半馬力分の電力をといつても、これさえも許可にならない。なかなかこれをやつてくれないという、どうしてだというと、どうしても電力不足してだめなんだというお断りであります。これくらい関東も苦しい立場にございます。東北も苦しい立場にあるでしよう。しかしこういう上に立つていかに調節をとるかというのが、時のあなたの使命であつたのです。その使命をあなたが考えずに――使命を忘れたと私はいわなければならないけれども、そうは申し上げませんが、もつとあなたはほんとうに大臣としての公平なる立場に立つて御判断を願いたい。この許可をめぐる今日の闘争をさせるようにしたのは、あなたの責任であります。そこで私はもうあなたに御質問をしておつてもしかたがないので、質問はしないけれども、この問題に対して、時の建設大臣であつたあなたは、両社をあくまで闘争させておくつもりであるか。それとも何らかここに妥協点を見出して、あなたの政治力によつてこれを解決してやるというような御意思がございますか、承りたいのでございます。
  325. 野田卯一

    ○野田参考人 この問題は、よく論議をされ、真相がよくわかりますれば、ただいまお話がありましたように、社長と社長と非常に御懇意で、親密になつておられるのでありますから、私は適切に解決がつくものだと信じております。
  326. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私はそんな簡単に解決がつくものでないと思います。しかし両者とも紳士と紳士ですから、どうなるかは別問題として、少くともあなたとしても過去を振り返つてみて、いま一段の努力をして、そして円満な解決をし、所期の目的に進みたいというくらいのお気持があなたのいずこにかあつてもよいのではないでしようか。私はぜひともそのようなお気持になつて、格段の御努力とごあつせんをあなたにお願いしたいということも申し上げまして、私の質問を終ります。
  327. 栗田英男

    ○栗田委員 関連して……。大分塚田さんも急いでおるようですから、一点ずつ、福島県知事東北電力の社長にお尋ねをいたします。福島県知事東北電力と共謀して鉱業権を公売処分に付したということを私は聞いておるのでありますが、その事実がはたしてあつたかどうか御答弁を願いたいと思います。
  328. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいま御質問の鉱業権の公売に関する件でありますが、これは県税の滞納によりまして、大手沢鉱山の鉱業権が、地元の機関である地方事務所長から公売の手続があつたのであります。この問題に対しましては私はあとに訴願が出まして初めて承知いたしたのでありますが、この公売の送達される字大平沢というような名前が間違つたために、その公売通知が送達できなかつたのであります。従いましてこの問題を承知いたしまして、私は正しくこの手続に違法があつた、間違いがあつたということがわかりましたので、これはただちに取消しをいたしたのであります。もちろん東北電力と結託してなどということはあるはずがありません。
  329. 遠藤三郎

    遠藤委員長 栗田君に申し上げます。鉱業権問題は本委員会の議題外でありますから、御遠慮願いたいと思います。
  330. 栗田英男

    ○栗田委員 ただしこの鉱業権の問題は中東北電力と密接なる関係があるのであります。なぜかと申しますと、この鉱業権の問題は、ただいま西松組が只見川の片門の工事を実施いたしております。ところがこの鉱業権者の了解を得なかつたならば、この片門の工事の遂行は不可能であります。そこでどうしたかというと、東北電力福島県知事は突如として、大手沢炭鉱に滞納が若干あるということを奇貨といたしまして、七万八千円で公売いたしました。その公売をしてどうしたかというと、地元の河沼郡の八幡村の村長がこれを七万九千三十五円で落札をいたしまして、六千円の登記料を払い、仙台通産局に登記いたしたのであります。ところがこの地元の、補償問題々々々々と騒いでおります、ダムをつくつておるところの村長が落札をして登記をした、登記をしてから初めてこの鉱業権者がわかつたのであります。この鉱区はかつて戦争中に福島県で第一に亜炭が出まして、優秀鉱山として表彰された鉱区である。そこでどうしてこれをやらなかつたかというと、この福島県知事に重大なる過失があつたのでおります。その過失はどうかというと、公売処分というものは県税徴収条例によりますると、まず督促状を発行する、その次には公示送達をする、次いで公売というのが順序であります。ところがそれをやらずに、公売処分にした。もちろん知事といたしましては、これを取消すことは当然でありまするけれども、私はややここに不当な点があつたのではないかという疑問がありまするので、福島県知事にこのことをお尋ねいたした次第であります。それからこの問題に関連して、東北電力社長にもう一点質問したいのでありますが、この問題は昭和二十七年二月二十五日に仮処分をされておる。そこで三月十日に第一回の公判が開かれ、三月十八日に第二回公判が開かれまして、この問題は両者協議をするということになつておりますが、これをどのように理解されたかということを、東北電力社長にお伺いいたしたいと思います。
  331. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えします。補償の必要もあるものは遅滞なくこれを補償するということで、協議を進めるものはみな進めております。
  332. 栗田英男

    ○栗田委員 東北電力の社長にお尋ねをいたします。本名上田の来年三月までの工事費は幾らであるかお尋ねをいたします。
  333. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 本名上田地点を合計しまして、二十億円を予定しております。
  334. 遠藤三郎

    遠藤委員長 栗田さんに申し上げますが、この一点だけで終つていただきます。
  335. 栗田英男

    ○栗田委員 内容について非常に疑問がありますのでお尋ねをいたしたいと思います。私の手元に配付されましたところの資料も二十億で、間違いありません。そこでこの中の補償費というものは幾らであるか、この補償費の総額をお聞きいたしたいと思います。
  336. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 総額は二十億でございますが、その内訳が幾らであるというようなことは、ただいま資料を持つておりません。適当に必要な金を、支払い義務の発生したものは遅滞なくこれを支払う、すべて工事を一日もすみやかに完成せしめ得るように金の支払いをやつております。
  337. 栗田英男

    ○栗田委員 ただいまの二十億に対しまして、非常な疑問がありますが、あと大分急いでおりますから、私は質問を保留いたします。
  338. 遠藤三郎

  339. 塚田十一郎

    ○塚田委員 たいへんおそくなりまして、御迷惑と存じますが、私はわざわざお尋ねしたいために、本日この委員会に臨時に委員に任命をしていただいて出て来たのでありますし、問題を非常に重大だと考えておりますから、しばらく時間をちようだいしたいと思うのであります。ただ私は他の委員諸君の御質問の中で感じられますように、この問題のうしろに何かいろいろな暗いところがあるのじやないかというようなことは、私は承知もいたしておりませんし、そういうような考え方でお尋ねするつもりは、毛頭ないのであります。本日は午前から各参考人の御陳述及び各委員との間にかわされた質疑応答を聞いておりまして、この問題のおぼろげな状態というものが頭の中に出て来たように、実は感じておるのであります。その結論として、私は、東京電力の方々は、どうも少しぼやぼやしておられたんじやないかという感じを持つておるのであります。東北電力の方は、これはまた、なかなかすばしつこく立ちまわられたものだなという感じを持つております。大竹福島県知事は、発電用水利権許可というものは、公益内容を持つておるものだ、従つて公益に合致するように開発しないものには、許可を取消すこともあり得るという御信念をお持ちになつておるということで、私は実にりつぱな信念であると、それには敬服をするのであります。ただ、世の中で、ぼやぼやするようなのは、大体人間がいいのでありますが、すばしつこいのはちよつと人間が悪い面があると思う。それで東北電力がぼやぼやして、人間よくやつておられる間に、すばしつこい東北電力にしてやられた形がある。そうしてこの事件の推移をずつと見ておりますと、東北電力のやり口には、相当意図した、計画的な面があると思うのです。こういう点は、私ども国会としては、そう簡単に容赦はできない。そうして東北電力のこの計画的な意図に、りつぱな御信念を持つていらつしやる福島県知事も、また非常な人格者でいられる前建設大臣の野田さんも、みんなうまうまと利用されていらつしやるんじやないか、それがこの問題をこんなにめんどうにした経緯じやないかと私は思うのであります。私は、この問題の核心は、どこにあるかと申しますと、ああいうような異例措置政府がいたしましたのには、これは公益性というものと緊急性というものが二つ問題になつておると思うのです。電気を開発しなければ、公益のために悪いということと、早く開発しなければ公益のために悪い。この公益性と緊急性は、二つ、一つのようなものでありますが、しかし、ただ公益性という観点からだけ行きますならば、あの時期にああいうような強権措置をして、東京電力から水利権を取上げて、東北電力にやらせなければならないという結果は出て来なかつた。ところが、先ほどからいろいろ伺つておりますと、大竹知事が、東京電力水利権をお取消しになつたのは、法的根拠は河川法二十条だという。そうして河川法二十条は、この公益性に合致しないものは、取消せると書いてある。ただそれだけのことならば、先ほど来、栗田委員その他の方々も御指摘になりましたように、この段階では、東京電力に与えてある水利権を取消すという結論は出て来るけれども、すぐに東北電力へこれを新しく認可するという結論は出て来ない。皆さん方は、この事件を議論されておるときに、東京電力の持つておるものを取消すということと、東北電力が同じものを新しく与えられるということを一つにして考えていらつしやるが、これを頭の中で分離してみますと、ここのところがはつきりして来る。そうすると、さつき栗田委員が指摘されましたように、もし東京電力の持つている水利権を有名無効に近いものにしているということがいけないならば、お前、なぜ早くもつと開発しないのか、開発をしなければ取消すぞという時間的余裕があつたはずだ。それをなさつていない点は、栗田委員その他の委員が指摘されたように、大竹知事の行政措置として、これは少くとも親切味を欠いた措置であつたと私は思う。しかし今度いよいよ政府があの措置をいたしますときになると、確かにもう緊急性が出ておる。今月の七月の終り、八月のあの許可になつたときになりますと、今度は東京電力許可を与えてももう間に合わない。東北電力でなければ開発できないという事態が確かにできておつた。ですから、そこのところまで来ると、緊急性がはつきりして来て、あの許可になつたときの状態を見てみれば、それをそのまま既成事実として何も疑わずに見てみれば、まさにこの措置は妥当であつた。ところが、その前段階に私には納得行かない節が実にたくさんある。私はこの前、予算委員会で質疑した通りであります。なぜ東北電力があの時期において、まかせられればすぐにできるような態勢になつてつたかということは、水利権をお持ちになつていないのにもかかわらず、水利権があるという前提に立つて、もうどんどん準備工事を進めていらつしやつたからなんです。私どもが政府に対して強く追究しておるのはこの点なんです。しかし、きようは参考人の皆さん方でありますから、そういう点を追究する意思など毛頭ありません。それは目的外でありますが、そういう気持で実はお尋ねを申し上げるわけなんです。  そこで最初に松永前委員長代理にお尋ね申し上げたいのであります。さつきから私どもが聞いておりますと、他の委員からも御指摘になつて、それに対して一応の御答弁がなされておりますが、どうしても納得の行かないのは、九分割の際に、水利権は、東北電力の社長の言葉によれば、一応だといわれる。東京電力ではそうじやないといわれるが、とにかく水利権東京電力にある。ところがその水利権を実際に開発する場合に必要な調査資料というものは全部東北電力に言つてつた。これは事実のようであります。普通から言えば、水利権のあるところへどうして調査資料を一緒に与えられなかつたというこの点の疑問が、私どもにはどうしても解けて来ない。この点は当時公益事業委員会におられた松永先生はどういうお考えであれをおわけになつたか。この点をもう一つはつきりとお聞かせ願いたい。
  340. 松永安左衞門

    ○松永参考人 水利権を九つの会社にそれぞれ分割しましたことについては、それぞれの理由、研究の後に決定した問題であります。その理由について今詳しく申し上げることは省略しておきます。しからば、ただいまお話水利権がきまつた場合に、その調査資料あるいは調査関係書というものを水利権者に引継がなかつたという処置の原因となつている理由をお尋ねになつたものと思いますが、これについては、先ほど来一、二度大体触れておきましたが、只見川そのものの開発は、その当時宮下がすでに開発されておりましたけれども、これはもう少し水力を流すことができれば、もう一台電力を増すことができる。なるべくそれをおやりなさい。それから次に、その下にあります片門等は、なるべく適当なときにこれをおやりを願うがよかろう、それから大只見川開発については、私ども初めより大きく利害の関係のある両会社において会議しておやりになるがよかろう、このときに調査資料及び調査関係状態を顧みて申し上げれば、御承知の通り、この日本発送電におきましても、早くから只見川開発というものは計画いたしておりました。それはもう十八、九年ごろから相当な調査をしております。その人間たちは再編成になりましても依然として残つたのであります。そうしてその帰属する会社はどこであつたか申しますると、東北電力にその連中は多く帰属しました。中には多少移りかわりもありましたけれども、大体八、九分の人間というものは東北電力の社員となつております。従いましてこの連中は、いわば日本発送電時分から、只見川調査をしている人であります。この調査を、ただ本名上田東京電力水利権であるから、その調査までこれを引きさいてするというわけには参りません。やはり本名上田といえども大きな上の只見川のダム、あるいは尾瀬原以降の大きな水力と連絡があります。やはりこの宮下以上の開発は、東京電力が権利を持つている云々に関係なく、おもに東北電力の旧来の調査員が継続して調査しておつたのであります。その後調査方針が別にかわつたわけでありませんが、ただ水利権調査員並びにその資料の扱い方については、さような考えを持つて、継続的にかつ総合的に、将来の只見川開発に最も有効な方法をとつたつもりでございます。
  341. 塚田十一郎

    ○塚田委員 それでは松永先生にもう一点伺いたいのでありますが、公益事業委員会が、水利権調査資料及び技術者を、別々の会社に所属させたときの意図には、その後東北電力がそういうものを持つてつたから、それを幸いとして、どんどんと調査、さらに準備工事まで進めて行つて、そうしてあのときの、水利権許可のあつたときのような事態をつくるというような前提、そういう考え方は毛頭なしに、ただ今まであれは、日発時代東北支店東北電力の母体になつたと私は承知しておりますが、東北支店調査をしておつたから、その行きがかりでその人たちが東北電力へ行つた。だからその人たちに調査をさしておけば、うまく、早く調査ができるだろうというだけの理由であつて、それで東北電力にその水利権開発させようという意図は、公益事業委員会としては全然なかつたのでございますね。
  342. 松永安左衞門

    ○松永参考人 お答えを申し上げます。先刻から申し上げておるように、只見川の大きな開発は、両者話合いでしてもらう、調査は引続いて前からの調査、後に電源調査会の調査、それから後にOCIの調査、これらがまとまつて、そうして両者の協力ができましたならば、本名上田というものは、どちらが早くやるか、場合によつては臨時的に東北電力にそのままやつてもらうという便利方法もあります。そこまで行かないうちに、私どもの公益事業委員会はやめられた次第であります。
  343. 塚田十一郎

    ○塚田委員 ありがとうございました。  それでは次に移りますが、どうも東北電力東京電力とのこの問題をめぐつて関係を見ておりますと、東京電力の方はひさしを貸して母屋をとられたようなかつこうになつておると私は思うのです。なぜあの東京電力水利権取消し東北電力がやらなければならないかという理由に、それは早期開発東北電力の方ができるのだということになつておる。ところが東北電力が早期開発できるのは、調査資料技術陣容を持つてつたということ、それともう一つ、あの閣議決定の理由書を見ますと、下の方は東北電力が持つているから、その上も持つ方が一貫経営ができると、こういうことになる。この二つが一番強い大きい理由のようです。ところがその下の方の持つているというのは、実は東京電力が持つておられたのを、九分割のときに、これまでやらなければ、東北電力の需給がうまく行かないだろうからといつて、渡した。しかし未開発の今の本名上田から上は、これは東京電力の将来の電力需給というものを考えると、これは東京電力に置かなければならないというのが九分割のときの方針つたと思う。ところが九分割のときに、本名上田のあの下のところを東北電力に渡した。今度それを渡したから、これがあるのだから、一貫経営で上もとらなければならない、こういう結果、まさにこれはひさしを貸して母屋をとられたというかつこうになつておると私は思う、そこで今私どもが非常に心配しておりますのは、東北電力が今また田子倉の地点を盛んにその同じ手でもつて調査なさつておるそうでありますが、東北電力の内ケ崎社長にお尋ねしますがこれはどういう目的でなさつておるのか。また同じ手でおやりになろうというおつもりなのか。
  344. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。先ほどのお話の中には、宮下から下の地点東京電力の――東京の前の関東配電の方のものが移つたような御発言でありましたが、あれは日本発送電会社が持つてつたので、再編成にあたりまして、地域的にこれを分割したために、それを東北に帰属せしめるのが最も妥当である、こういうことで帰属したのでありまして、別に東京電力の方からわけてもらつたのではありませんので、この点を御了承願います。  それから田子倉の地点を、また前の方法でやるのじやないかというようなお話でありまするが、さような考えは持つておりません。とにかく最も妥当なる開発方式があそこにとられるべきだと私は考えております。
  345. 塚田十一郎

    ○塚田委員 内ヶ崎社長にお尋ねを始めましたついでに、まとめて疑問の点をお尋ねしたいのでありますが、一体この東北電力があの地点のいろいろな調査――まあ調査までは従来の行きがかりであるいはいいかもしれませんが、少くとも準備工事と言われる段階の仕事に着手されましたのは、いつごろからなんでありましたか。
  346. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えします。何と申しますか、調査と申し、準備工事あるいは本工事と申しますが、その間に定義として何らのことはございません。私の方といたしましては、もし許可されたならば一日もすみやかに開発し得るように、調査を極力進めております。自分の方に再編成で引継ぎましたものに対しましては、十分に調査を進めること、これを怠らずにやつております。
  347. 塚田十一郎

    ○塚田委員 実は私がちようだいしておる資料によりますと、東北電力本名上田地点でいろいろな準備を始められたのは、昭和二十六年の五月からだ、こう書いてある。二十六年五月というのは、先ほど来各委員の質疑でも明らかにされましたように、電力再分割のときでありますし、そうして東北電力が初めて許可申請されたときなんであります。それからバツチヤー・プラントは本年六月ごろに発注し、また工事用動力設備、油入遮断機、断路機は、七月十日すでに東北電力に納入されている。それから両地点の索道関係は、本年七月ごろすでに着工している、こういうようないろいろなことがあるらしい。一体電力会社のいろいろなこういう場合の措置として、水利権がないようなところでも、こういうことを大胆にやられるというようなことがしよつちゆうあるものなんですか、どうですか。
  348. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。上田本名に関して、われわれの方といたしましては極力調査を進めておりましたことは、ただいま申し上げた通りであります。工事はやつておりません。索道工事をやつたというお話でありますが、索道工事のごときは、許可をもらつた後に手をつけたのであります。
  349. 塚田十一郎

    ○塚田委員 索道工事自体は許可をもらつてから手をつけられたのでしようけれども、目的はおそらくあそこの開発のために必要で許可をとられたものだろうと思うのですが、少くともこういうようないろいろな調査結果から見て、とにかく水利権がないものに、当然おれのところに水利権が下つて来るんだという確信を持つて仕事をしておられる。この辺に私は東北電力側にやはり計画的な意図によつた作為があると思う。こういうことを考えますと、いくら早く電気を起してもらうことがありがたいといいましても、国の政治、行政というものは、そんなことばかりで曲げておつてはしようがない。こういう考えを少くとも国会としては強く持つのであります。私どもがこの問題に関心を持ちますのはこの点なんでありまして、こんなことが許されるならば、これからどうにでもそういうことができるかもしれない。どこかのだれかの水利権のあるところに行つて、そうしてどんどんと準備工事をやつていれば、電力開発が急を要するからということで、また許可になるかもしれない。こういうことは、少くとも政治としては許される限界を越えておると私どもは強く考えておるわけであります。  それから次にお尋ねいたしたいのは、こういうことをいろいろなさるためには、おそらく相当の資金を必要とされたと思うのでありますが、もしも御記憶があるならば、それらの資金をどんな時期に、どこから御調達になつたかということをお聞かせ願いたい。あわせてあの見返り資金の十二億が決定されたときのいきさつもお聞かせ願えれば、たいへん幸いだと思います。
  350. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。資金は市中銀行からと、それから政府資金の見返り資金をちようだいいたしておりますが、二十七年度の私どもの方の計画は、大体百四十三億くらいの金を使うつもりでやつております。しかしこれはもつと金を貸りることができるなら、もつと拡大するつもりでおります。しかしこれは金を貸すところがあればということと、それから官庁の許可や何かあればという前提に立つわけでありますが、一日もすみやかに電源開発をやろうと考えております。その約百四、五十億のうち、見返り資金は約五十億見当を政府からぜひ出していただきたいと考えております。残りの三分の二は市中調達をする、かような計画にいたしております。その市中調達については、前から、あるいは普通銀行、あるいは信託駅行、あるいは生命保険であるとか、各階層の金融機関にお願いしまして金を借りております。その金をもつていろいろな調査を進めたのであります。
  351. 塚田十一郎

    ○塚田委員 十分まだお尋ねしたい点が出て参りませんけれども、時間の都合上どんどん進めて参りますが、次にもう一つお尋ねしたいのは、一体他の会社が、しかも同業の他の会社水利権を持つているところに、他の同業会社が新しく水利権出願するというようなことは、平たい言葉で言いますと、電力会社間の仁義というようなものからいつて、一体ちよこちよこあることなんでしようか。それともまつたく異例なことであつたでしようか。
  352. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 この問題は、先ほどどなたでありましたか、御質問がありましてお答えいたしたはずでありますか、私といたしましては、かようにすることが日本再建のために最もよいことである。八千万大衆のためであると確信いたしましてやつたことであります。
  353. 塚田十一郎

    ○塚田委員 私がこの点をお尋ねしたいのは、一つは、どうも本件措置の裏に、先ほどどなたかも御指摘になりましたように、東北電力の白洲会長が動いておられたのではないかという疑念を持つわけであります。しかも内ヶ崎社長は、先ほどから言われますように、東京電力の前社長安蔵さん、また今の社長の高井さんと非常に懇意だということで、表面は、ひとつ公益事業委員会方針に従つて、仲よく共同出資会社でやろうということでやつて来ておられたのに、裏で白洲会長がどんどんと工作して、しこうしてこういう結果をつくられたのでないかという疑念を持つわけでありますが、そういう状態ではなかつたのか。先ほどどなたか質問されましたが、相当久しい間、両社の間で共同出資会社でやろうというので、定款草案までつくつておられたというようなことも承知しているのですが、その辺のいきさつはいかがですか。
  354. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。先ほどもこの問題は御答弁申し上げましたが、本名上田に関する限りは私の方がこれを担当するということを、最初から最後まで主張いたしたのでありますが、どうしても話がまとまらなかつた、こういうことでございます。
  355. 塚田十一郎

    ○塚田委員 次に大竹知事にお尋ねを申し上げたいと存じます。実は大竹知事は、先ほど申し上げましたように、電力問題については信念と見解をお持ちになつている。私は新潟県選出の代議士でありますので、例の本流案、分流案に重大な関心を持つているわけであります。先ほど大竹知事は、自分は本流案が日本の電力開発、ことに只見川電力開発のために一番よい方式だ、だから信念を持つてあの方式で行くのだということを仰せられた。私は非常にりつぱなお考えだと思います。ただ私どもが今日までのこの本流案、分水案のいろいろな調査資料の集め方その他を見ますと、どうも調査の段階において、すでに分水案に非常なまま子扱いをされている節がある。先般OCIも、本流案が適当であるという結論を出しているようでありますが、新潟側が調べたところによりますと、あのOCIの報告自体の中にも、かなり本質的な計算の誤謬その他があつて、新潟側の調査によりますれば、必ずしもああいう結論が出て来ないはずだということになつて、今幸い電源調整審議会で調べていただいているようでありますが、もしほんとうに調整審議会などでお調べ願つて、公平な判断の上で、分水案というものにもとるべきものがあるということがおわかりくださつたならば、少くとも先ほどから仰せられている大竹知事の御信念では、必ず分水案というものにも御考慮が願えるものと実は考えるのでありますが、この点の御信念をちよつとお聞かせ願いたい。
  356. 大竹作摩

    ○大竹参考人 ただいま塚田先生からの御質問でありますが、この只見川開発方式に対しましては、さきに申し上げましたように、私は補給電源開発という観点から、これはどうしてもわれわれの主張いたしております本流案の堰堤式開発でなければならない、かように考えておるのであります。ただ私は、この問題はただに政治的問題によつて解決すべきものではない。あくまで日本の現状にかんがみまして、真に技術と科学の上に立脚いたしまして、そしていずれをとることが国家再建に寄与するかという観点に立つて考察いたすべきものと考えるのであります。この結果分水することが国家のためにいいものであるということになりますれば、これはそのことをよく考えてさしつかえない、かように考えております。この問題に対しまして、塚田先生も御承知のごとくに、本県と新潟県は隣県であり、そしてすべての関係に深い関係を持つております。そのために、私ら並びに県の執行部、両県の議会等が一丸になつて、この開発に対して、しかも昨年の六月まで一致の歩調で参つたのであります。しかるにこの電源開発調査会なるものが、今の分流案というものを極端に推し進めて参り、あるいは天文学的な計画を発表しましたようなことから、両者の一致点を欠いて現在に至つておる。これは国家のためまことに悲しむべきことであると考えます。従いまして、今申し上げましたように、この開発がわが国の再建上いかに重大であり、電力の問題を解決するのがいかに重大であるかという観点から、しかも技術の上の、科学の上の検討をなした結果、本流案になるも分流案になるも、これは釈然しなければならぬ問題であると考えます。
  357. 塚田十一郎

    ○塚田委員 なお幾つかのこまかい点を残しておるのでありますが、私の気持からすれば、ただいまの大竹知事の御発言を承ることが最も望であり、またりつぱな発言を承りまして安心いたしました。時間もありませんので、本日はこれで打切ります。
  358. 遠藤三郎

    遠藤委員長 山手滿男君。
  359. 山手滿男

    ○山手委員 私の方の党の栗田君、そのほかあるいは自由党の諸君からもいろいろお話がありましたし、時間がたいへんおそくなりましたから、抽象的な問題やいろいろな信念論は私はこの際省いて、せつかくでございますから、簡単に二、三問お尋ねしておきたい。質問に御答弁なかつた点、そのほかの点についてお伺いをしておきたいと思うのであります。  なおこの際申し上げておきたいことは、私どもの方の党としては、一つは電力行政をいかに持つて行くかという根本方針を確立するために、この問題は徹底的に糾明をして行く。もう一つは綱紀粛正ということがきわめて重大な問題でありますから、この問題は、今後さらにこういう委員会やそのほかで続いて徹底的に解明をして行くことをこの際申し上げておきます。  本日は二、三簡単にお聞きをいたしたいと思うのでありますが、まず第一に、東北電力の社長さん、あるいは知事さんにお伺いをしたいのでありますが、この本名上田の両地点開発をかくのごとくお急ぎになつた具体的な理由は何か。今塚田さんから話のありましたところの公益性及び緊急性、この二つにわけて考えると、結局は緊急性ということがこの問題のポイントになつて行くだろうと思う。ところがこの緊急性の問題を取上げて、かくのごとくいわば他人の地所にでも踏み込んで調査し、他人の地所にでも入つてどんどんやつて行くというふうな緊急性は、さつきからいろいろ指摘をされましたように、東北地方には数多くの、東化電力が、問題なしに、こういうトラブルを起す必要なしに、開発し得る有利な地点がたくさんある。これをさしおいて、あるいは下流方面においても、まだわずか六〇%くらいしか完成していないのに、あるいはそのほか中途半端なところが幾多あるにもかかわらず、なおかつわずかの日数を惜しんでかくのごとき緊急な手配をなされなければならぬ理由は何か。率直に社長さん及び知事さんから御説明願いたいと思います。
  360. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 ただいまの御質問によりますと、東北電力は何か東京電力の屋敷内に家宅侵入でもしたようなお話でありますが、決してさようなことをやつたのではございません。私の方は当然の権利として自分らの調査を進めたのであります。それにすぎません。それは先ほど来何回となくお話に出ました通り、再編成にあたりまして、只見川調査書類、一件調書はみんな東北電力に帰属したのであります。これは法律によつてさようにきまつたのであります。そのほかに新会社になりましてからも、公益事業委員会から、お前の方で調査を大いに進めろ、かようなお話もあつたので、私の方はそれにわが社の考えも加えまして、それの調査を強力に進めたというにすぎないのでありますから、御了承願いたいと存じます。  それから緊急性の問題でありますが、この点は先ほど私が冒頭において陳述いたしました通りに、電力は非常に不足いたしておりますので、これを早期開発することは至上命令という言葉で先ほど来お話が出た通りでございます。私の方としましても、これはどうしても一日もすみやかに開発せんければならぬ。これは天下の輿論でございまして、間違いのないところでございますから、御了承を願います。
  361. 大竹作摩

    ○大竹参考人 お答えいたします。何で開発を急いだか。これは何回も申し上げましたように、わが国の電力事情が非常に逼迫していることから、現在われわれ農村が供出のために使うところの脱穀の電力の十キロの配給さえ現在容易でないのであります。かような事情から考えまして、私は電力の早期開発が要請されておるという観点から急いでいたしたのであります。
  362. 山手滿男

    ○山手委員 今のような御答弁を求めているのではないのでありまして、特にこういう問題地点に食いつかれて、そして同業者の他社とも競争しつつあえておやりになつた、特に本名上田を目ざして行かれた理由というものを私はお聞きしたのであります。そこで私はお伺いをいたしたいのは、日本の電源開発計画というものは、政府において、安本において、資金計画その他大体の目安をつけて、毎年度計画的にやつておる。一部の業者がかけ抜け的にやることは、いたずらに電力行政の根本を乱すことになるのでありまして、こういうものを調整をとりながら、物動的といいますか、資金計画その他いろいろなものを計画的にやつて、全国的にながめて最も合理的なこの計画を安本が立案してやつておる。そういう関係から考えてみまして、安本の策定しておりまする電源開発計画の中にこの本名上田が入つておらない。そういうことはもうとつくの昔、昭和二十七年の初めに御承知のはずでありますが、それが入つておらないときに、東北電力はどういう手をお打ちになつておるか、政府に対してどういう要請をされておつたか。資金計画の中に入つておらないのですから、政府、国家が要請しておる地点に向つて、あなた方は緊急性を集中的に持つて行かれなければならないと思うのですが、それについでどういうようにお考えになつたか。これはそういう政府、国家のきめる資金計画なり開発計画をあなた方が無視をして御了承されるということになると、これはたいへんなことになるのであります。その間の交渉なり政府とのいきさつをここで御説明願いたい。
  363. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 電気事業者といたしましては、一日もすみやかに電源開発するという使命を帯びております。よつて会社発足以来、急速にこの計画を進めまして五箇年計画を策定いたしております。それはまことに厖大なる計画でございます。但しこれが全部できるとは私どもも考えておりません。国家の資金計画あるいは許可、認可というようなものとまつて初めてこれは達成できるものでありますから、かつてにやるわけには参りません。しかしわれわれ事業者といたしましては、できるだけ多くの開発をやることがわれわれの義務である考えております。八千万大衆は必ずやわれわれの主張を援護してくださることと考えております。その確信のもとにいろいろな計画が立ちましたけれども、しかし現実はそう簡単には参りません。ただいま申し上げましたような条件を具備しなければできませんので、それを具備させることが私の任務でありました。冒頭に陳述したように、あるいはその後御質問に対してお答えしたように、すべての手続を強力に各方面にお願いして私の目的を達成したわけでございます。
  364. 山手滿男

    ○山手委員 われわれは通産委員会で専門的にこの電力行政についてやつておるのでありまして、単に電力が日本に足りないとかなんとかいう抽象論ではなく、国家資金を有効適切に活用しつつ、それをどういうふうに開発して行くかという問題に議論を集中しておるのであります。そういう点からも、安本の作成するいろいろな計画にのつとつておやり願うことこそ、全体的な見地に立てば早急に電力開発する一番いい道であるということを皆さんに強調をしたいのであります。  そこでこれは野田さんにお伺いをいたしたいのでありますが、さつきからの御答弁を聞いておりますと、あなたは先般の第十三国会忙おいて非常に議論のありました電源開発促進法のことをあまり御存じないようなとぼけたお話でありますが、あなた自身もいろいろ意見を述べるチヤンスがあつたわけでありますし、ことに水利権の問題はあの法を通すときに非常に大きな議論の対象になつたのであります。私どもは率直に言いますと、電源開発促進法には必ずしも賛成じやなかつた。いたずらに混乱させるであろうということで賛成じやなかつたが、しかしいろいろな関係で、われわれの方も賛成するようなかつこうで通つてつた。しかしあなたの方の参議院においてはさらに強い講論がありまして、これは従来から手がけておる各電力会社との工事の競合そのほかでトラフルを起すから、ごく極限をした国家的な要請のある地点について特に集中的にやれという議論が出て、最後に参議院で修正をして、あな先御承知の通り、その中にはつきり只見川という文字を入れたのです。電源開発促進法は修正をして衆議院に返つて来て、衆議院はそれをのんで通した。それはあなたの方の参議院の意思である。いわんやあなたはその当時の政府大臣であります。しかも関係大臣であります。それで只見川のこういう問題はあげて新しい電源開発会社が引継いで、うまく調整をしつつ、国家的な立場に立つて開発をして行くことが一番合理的であると思うのです。さつきからのあなたの答弁を聞いていると、たいへんな御答弁であるようでありますが、もう一度どういうお考えでこういう裁断を下されたか、その間電源開発促進法との関係を御説明願いたい。
  365. 野田卯一

    ○野田参考人 電源開発促進法は初めわれわれ政府の方で出そうと考えつたのでありますが、いろいろな事情がありまして自由党提案になつたのであります。私は電源開発促進法を早く提出して早く通したいという熱意に燃えておつたのであります。そのときには電源開発促進法と今の本名上田というものはあまり直接的な関係を持つておらない。私の知る限りにおいては、最後に参議院で只見という地域が入つたのでありますが、あれは大規模で非常に困難だという一種の例示として入つたと聞いておる。電源開発促進法ができるから、今緊急を要する、しかも今できるものまで押えてしまえという意思は政府部内にも全然なかつた。現地についてごらんになるとわかりますが、本名上田地点開発もきわめて容易でありまして、あまり問題はありません。実際技術的な問題はありますけれども、経済的な問題はない。先ほど申しましたように、付近に柳津、片門もやつており、その他の条件が備わつておりまして、東北電力がやるのに最もふさわしい。しかし今手をつければ本年間に合うが、今手をつけなければ本年間に合わない。そういう緊急な状態に逢着して、先ほど申したようになるべく話合いで片づけようどしたのでありますが、つかなかつたのであの措置に出たというのでありまして、そんなに電源開発促進法本名上田というものは結びつけられる問題じやないと考えております。
  366. 山手滿男

    ○山手委員 あなたのお話から行くと、限られた国家の資金及び資材はどこにでもその都度都度の考え方で飛躍して持つて行けばいいように思われるのでありますが、そうじやなくて、国家資金というものはそれ自体量が一定しておる。ここでこういう横車を押されれば、東北電力に行つておる資金がどこへ行くか知らないが、とにかく何十億の資金でどこかで必ず開発をやる。少々横車を押しても、本名上田はこうこうだとおつしやれば、いかにももつともらしく聞えますが、只見川を参議院で例示に入れたのは、只見川は日本の電源開発としては最も重大な地点である、例をあげるなら只見川をあげなければならないような地点であるからという一貫した大方針で、あの電源開発促進法のときにはいろいろ議論になつた。今のあなたの御答弁は私は答弁としてはきわめて不満足でありますが、時間がないのでその点はさらに押しません。  そこで東北電力の社長にいろいろお伺いをしてみたいと思うのです。さつき今澄委員であつたと思いますが、質問をいたしましたときにお答えなかつた点であります。両地点開発工事費は約二十億というふうにお見積りのようでありますが、実際の工事費は幾らで補償費は幾らくらいかかるものか、現在までどの程度出ておるか、それを御説明をお願いしたいと思います。
  367. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えします。両地点の総工事費は約七十億でございます。そのうち先ほどお答えいたしたように、二十七年度には二十億を使用する予定でおります。補償費はそのうち幾らかというお話でありますが、先ほどもお答えしたのに対しておしかりを受けたのでありますが、補償費という意味は、用地どかあるいは人家の立ちのきとか、そういつたような意味での御質問と心得ますけれども、その方の費用はそう大きな費用ではございません。私は現在幾らであるかというような的確な数字は持つておりませんので、必要とあらばまた調査の上でお知らせいたしたいと思います。
  368. 山手滿男

    ○山手委員 補償費が相当の金額になつておるように聞いておるのでありますが、この点はあとでお取調べの上お知らせ願いたいと思います。  さらにこういう地点を相当な金額をかけて開発するにあたりまして、請負業者との関係でありますが、従来こういう地点開発をやらせますときにはどういうふうな形式で請負わせますのが通例であるか、特にこの両地点開発におきましては、あるいは銭高組、あるいは西松組、そういうふうな組が漏れたりいたしてもおるようでありますが、その問のこれは東北電力の方で入札をされるとか、いろいろ指名されるとかいうふうなことで私の金をお使いになつたように見えますけれども、事実はやはり国家資金でありますから、そういう請負そのほかは公明にやらなければならないと思いまするが、通例及び今度おやりになつたそのやり方はどういうふうなやり方で実行されたのか、具体的に御説明をお願いいたします。
  369. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えいたします。この御質問は先ほどどなたかからもあつたのでありまするが、私失念をいたしましてお答えしませんで申訳ありませんでした。請負の工事は私どもの方といたしましては、しかもこれは従来の民間会社におきましてどこでも共通の問題でございますが、ある業者に特定に特定見積りを徴収してやる場合と、それから適当なる業者を選定いたしまして競争見積りを徴収する場合と二つございます。但し競争見積りを願う場合におきましても日本に業者は非常にどつさりございます。そういう多数の業者から一つの工事に対して見積りをとるようなことはいたしません。ある限られたる数、適当なる数、その工事によりまして適当、妥当と考える数を選定いたしまして、競争見積りをとる場合二つございます。しからばこれをどの方法によつてやればよいかという問題でありまするが、先ほどもお話ありましたように、国家資金をわれわれは拝借して建設をやつておる関係上最も安くこれを完成させる義務を持つております。それで最も安くこれを請負いし得る能力、しかもこれを完成し得る能力のあるところ、十分資力、工事力のあるところを選定いたしまして決定するわけでありまして、そのただいま申し上げました二つのどちらを選定するかということは、その都度の判断によりまして経営者たるものが責任を持つて最も妥当にして低廉に工事を完成し得るような方法を採用いたします。今度の問題の上田本名の両地点の請負の選定は、特定見積りが最もただいま申し上げました目的に合致すると考えましたので、本名発電所の方は間組、それから上田発電所の方は前田組、この二つの組にお願いいたしております。この二つの組ともただいま申し上げましたように工事力においても、資金の能力におきましても、また今度の発電所をやるにつきましては、これと同種類の工事を請負つてりつぱに完成をなし遂げたという十分なる経歴を持つておる、その組に特定をもつて工事を委託した、かようなわけでございます。
  370. 山手滿男

    ○山手委員 その請負わし方そのほかという問題は、これはやはり国営事業そのほかにおいてやつておりまする問題、競争入札、それは不特定なものをどこへでもするということでなしに、やはり相当な実力のある業者は数がたくさんあるのでありますから、相当な業者を集めて競争入札をさすというふうなことが好ましいものであろうというふうに思います。しかしこの点はいろいろまだよく研究してみたいと思うのであります。  もう一点お伺いをしておきたいと思うのでありまするが、各電力会社におきましては、いわゆる会長制をとつておるところボあります。東北もその一つの例でありますが、東北電力の場合、社長と会長との職分、任務というものはどういうふうにわかれているものか、その点をお伺いをしておきたいと思うのです。白洲さんがいろいろ話題になつている関係もありまして、この点ははつきりしておかなければいけないと思うのでありますが、社長は渉外的にどういうふうにおやりになつているか。あるいは会長はどういうふうに職務を分担をされておりまするか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  371. 内ケ崎贇五郎

    内ケ崎参考人 お答えします。社長と会長との職務の分担は定款に明記してございます。しかもこの定款は政府よりたしか認可をちようだいしたものと心得ております。再編成の際におきまして定款はかようなものにするがよかろうがという窓瀬を得まして、それによりまして各社で相談いたしまして大体において電気事業は共通のものになつておりますが、中には少々の食い違いはありますが大体においては同一のものでございます。  そこで仕事は何をやるかという問題ですが、これは定款にはつきりいたしておりますが、ただいまちよつと文句を覚えておりませんが、要するに社長は会社の社務を統括して執行する権限を持つております。全部をやることになつております。それから会長は取締役会の会長をやるということ、それから株主総会の議長を勤めるということが最も大きな任務、かようなことになつております。
  372. 山手滿男

    ○山手委員 定款に書いてある一応のそういうことであれば、私はこの問題はこういうふうに紛糾をして行かなかつたであろうと思う。要するに東北電力に関する限りにおいては社長のあなたの影が非常に薄くなつているというか、白洲さんの動きというものが取締役会の会長を勤めるとか、株主総会の議長を勤める程度あるいはそのほかの相談にあずかる程度というようなことではなしに、まあ東北電力の意思決定の中心者であるように見受けられるところにいろいろ問題があるわけでありますが、きようは委員長から督促があつて非常におそくなりまするから、こういう問題はきようの速記録を取調べた上後日またこういう委員会を請求をして、この議論をすることにして私の質問は保留をいたしておきます。
  373. 遠藤三郎

    遠藤委員長 福井勇君。
  374. 福井勇

    福井(勇)委員 委員長にまず希望しておきますが、これで本日の最後の質問に立ちまして、ほんのわずかな時間だけいただきたいと思いますが、私たちこの専門の電気技術者出身の者は、この種の東北電力並びに東京電力に関するいわゆる只見川の問題は、予算委員会あるいは経済安定委員会あるいは通産委員会、またその他の委員会においてももういつでも重複してこの問題が繰返される、同じ私も一人の電気専門の委員という立場からいつも出ていると同じことが繰返される。だからこれが今後委員長の方におかれてそういう重複があまりしないように委員長会議においてとりはからつていただきたい、これが私のきよう最後において申し上げる希望であります。  それから松永さんにわざわざ小田原から出て来ていただくような機会はまたとありませんので、ちよつとだけお尋ねいたします。その他の方には実は厖大な準備を私はして来たのでありますが、すでにたいへんお疲れになりましたようで、だれでもこんなに長くなれば疲れるにきまつており、非常に私はお気の毒であり、また感謝をしているのでありまして、重複したところもございましようから一切私の質問は省略することにいたします。この問題につきまして松永さんに二点ばかりお尋ねしたいのは、東北電力並びに東京電力の技術陣営の問題が間々各委員から質問が出て、そして答弁の中に技術的に東北電力の方がいいとかあるいは東京電力の方がいいとか、私はどちらにも味方しませんが、そういう答弁がちよいちよい現われておるが、私たち技術陣営の者から見ますと、今日水力発電所建設のごときは、アメリカのボールダー・ダムやあるいはグランドクーリー・ダムとかあるいは水豊ダムのような大きいところの問題になると、これはその技術陣営を相当整備してかからなくちやならない。しかし普通の水力発電所でありますれば、まあ一律に言うと、三万キロあるいは五万五千キロあるいは十万五千キロ程度のものは、問題はタービンとジエネレーターだけであります。設備の方は土木技術の方でやる、そこで技術の陣営がどうのこうのといいますけれども、タービンやジエネレーターをゼネラル・エレクトリツクから入れるか、ウエスチングから入れるか、あるいは最近でいえば外資があまり問題となるから日立あるいは芝浦とかあるいは明電舎とかいう国内のものでまかなうということで十分つくわけでありますが、そういう点について法律系統の出身の人々が技術だとか科学だとかいつて姿をくらませばそれでうまく行くと思いますが、われわれから言えば非常にこつけいな感じが間々あるのであります。そこで松永さんにこの東北電力東京電力の技術陣営にそんなに差があるものかどうかということを、公益事業委員会においでになつた――今おいでになりませんが、長い間の電気関係の権威としてその点をお漏らし願いたい。
  375. 松永安左衞門

    ○松永参考人 お答えをする前に耳が少し遠いものですから、もう一度お確かめしておきたい。この問題は只見川に関して技術陣営としてどう考えたかと言われるのであろうかと思いますが、技術陣営が只見川をどう考えたかというそのかんじんな点がちよつと耳が遠くてわからないので恐れ入りますが、どうかもう一度……。
  376. 福井勇

    福井(勇)委員 非常にお疲れのところをたいへん恐縮ですが、要するに東北電力東京電力の技術陣営に相当相違があるがごとき表現が間々行われておるのです。逕庭があるがごとき表現が、どの委員とかどの答弁者ということでなくて行われておる、これは今日ではなくて、ほかの委員会においても私は絶えず出席してこの問題をよく注視しておるのでありますが、相当相違があるがごとき表現が行われておる、その点について御意見をお漏らし願いたい。
  377. 松永安左衞門

    ○松永参考人 その点でありますとお答えをしますが、私は本名上田開発するのに東北電力の陣営ならばできる、東京電力の陣営ならばできないというほどの問題じやないと考えております。ただ先刻から私が繰返し申しておるのは、大きな只見川開発するのは本名上田といえどもやはり関係があります、それから下流阿賀野川に行つてもやはり関係を及ぼします。また本流案、分流案という建前からいいましても、この問題は多少関係を持ちます。これは技術的にそうなる。それでOCIの調査もその点において調査をしておる、またOCI委員調査を批判する人もその点において反対の批判をしておることも御承知の通りであります。それでこの本名上田の問題についてどちらの陣営が力があるから許すあるいは許さぬというようなことは、公益事業委員会でいまだかつて議論になつたことはないのでありまして、要するに根本の大きな只見川開発についての両社の技術陣ばかりじやなく、他からも独立的に技術者を入れて、そうして資金も集め、知能も集めて、新たなる立場において只見川全体の計画を立てるべきであるということを両者にご相談したのでありまして、本名上田の問題について技術陣云々はまつたくかけ離れた問題になつております。以上御答弁申し上げます。
  378. 福井勇

    福井(勇)委員 私たちの意見と松永さんの意見とは同じであるということがわかりました。やはり多年電気関係においでになる方ですから、そういう判定だと私たちも思つておりました。  次にこれも松永さんにお願いしたいのです。今回経済審議庁で電力開発五箇年計画を立てまして、約五百五十万キロワツトの新設火力並びに水力発電所増設を機として最近発表いたしましたが、この案はあなたが担当なさつたころにおつくりになつたものと私たちは承知しております。そこでその内容を申しますと、水力が三百九十八万キロ、火力が百十八万キロワツトという比率になつております。ところが私たちの考えでは、現在の日本のこの資源の足らないときに、外国から石炭が自由にロハで入つて来るならこれは別のこと、あるいは重油が新潟県から画期的に出るということがとんでもないときに起つて来れば別のこと、この際に私は十分もつと水力の比率を上げて火力を少くして、一九二五年ごろにあなたが超電力連系、スーパー・パワー・システムの計画をなさつて、十五万四千ボルトないし二十二万ボルトの送電力でこの日本の電力を解決しようという計画をあなたがお立てになつて、岩淵君をアメリカにやられてその報告書が出ておる、それを最近私もまた引きずり出して見たのでありますが、そういう私の考えがあるのでありますが、水力約四百万、火力百十八万という比率がいいとお思いになつておるでしようか、その点をひとつ……。
  379. 松永安左衞門

    ○松永参考人 今回通産省関係から御発表になりましたのはつい昨今の新聞で拝見したのであります。これについてまだ是非の批判を私が下すのは早計であります。しかし大体において公益事業委員会考えておりました電力需用増加の考え方は約一割として最初から考えておつたのであります。その当時経済安定本部では三%の増加で大概間に合いはせぬかというお考えでありましたから、それはたいへんな間違いであるということはたびたび申し上げたのでありますが、ただいまではその線に沿うて約一割というものを目当てにしておられるというふうに見受けるのであります。しかしこの一割といううちには、二年前と違いまして、各県あるいは建設省の国家で直営しておられるダム工事のごときも、時勢の要求によつて非常に促進されております。最近旅行しましても、建設省なり県の工事が非常に促進されていることは明らかであります。それからまた電力不足のため自家用をお願い出になつて、これもその当時想定しております以上に自家用が発展しております。これもけつこうな傾向だと思うております。で、この数字を織込みますれば、今の計画で大体五箇年計画は立つやに見受けられるのであります。  次に御質問なり御意見のありました、わが国の最も大切であり、かつ最も尊重すべき資源である石炭を電力の発生にたくさん使うということははなはだ得心が行かない、何とかこの点について考えるかどうかという御質問に対しては、まつたく同感でございます。私ども最初から再編成にあたつて九つの会社電力の発生に最もカを入れましたのは、できるだけ大きなダムをつくつて、そうして石炭をなるべく最大需用のときに使わないように、御承知の通り、冬今ごろから一月にかけて夕方の時間が短かくなりまするから、非常にピークが上ります。その時分に予備の設備を持たない限りは、必ずサイクルを落し、ボルトを落して緊急停電をしなければならぬことはすでに皆様の御承知の通り。しからばこのピークに応ずるのにはどうするかというと、二つの方法のあることもまた御承知の通り。一つは火力発電所をたいて水力の渇水及び需用の増加に応ずる設備をしなければならぬ。これは今お話になつたように、日本の石炭のないような状態及び機械設備等のはなはだ高価に当りますときに、かような貧乏な国でぜいたくな設備をすることは最も避けなきやならぬのであります。そうすると第二の方法である、できるだけ大きな貯水池を使う。そうして夏の間あるいは春電力が最大ピークに達しませんようなものは、この貯水池の方に東京電力であろうとも、東北電力であろうとも、できるだけ入れてもらう。そうしてこれを使う状態において、なるべく石炭をたかなきやならぬときに最大電力を出して、石炭代並びに火力設備にかえなきやならぬことは当然であります。そこでもう一つそのことをはつきり申すために申し上げたいと思うのは、緊急停電を現在いたしております。すなわちそういう時期になつて火力が足りない、貯水池はまだできておらぬという状態。でありますから、これは急いで大きなダム、たとえば只見川のような大きなダムは間に合わぬならば、何とか火力でもしなければならぬというのが今日の電力界の悩みでありまするがために、ウエスチングハウスあるいはGEというところに能率のいい大きな火力を注文して、そうしてできるだけ費用をかけぬようにして、そうしてできるだけ停電事故を切り捨てようというのが各社の非常に御奮発であります。しかしながら私が存じておる限りにおいても、ただいまお急ぎになつて御契約になり、あるいは資金関係等が片づきましても、どうしても二年以内にこの最大火力を運転することはできぬのであります。私ども承つたところによれば、二十八箇月はどうしても契約してからかかるという話であります。あるいは三十箇月かかるという人もおります。でありますから、われわれは最初からかかることを予想して、再編成にあたりましても只見川のごとき大きなものは議論を絶して早く調査にかかつて、そうして早く着手しなければならぬ。これについては、あるいは国立公園の問題を起し、あるいはダムが高ければ埋没というような問題も起りますが、相当ダムの高さをきめるにしても、あるいは埋没地域をきめるにしましても十分の調査をして、できるだけ迷惑の少いようにして、そうしてこの石炭代用の大貯水池を一日も早くつくらなきやならぬということに苦心したのであります。これはひとり東京電力水利権を持つているから東京電力にやらしていいとか、あるいは東北電力調査を継続しているからこれは東北電力にやらしたがいいという問題でなくして、大きな問題の早期開発の手を打たなきやならぬ。これについて分流案という問題も起つております。分流案は要するに早期開発の一端であります。別にキロワツトがそうふえるわけでもなければ、あるいは資金が非常に安くできるというものじやありません。本流案にしても分流案にしても、その点は同一でありますけれども、ただこの眠つている落差を早く生かすというのはどうすればいいかというのが分流案のよつてつたところでありまして、電源調査会においてもこの点に最も主力を置いたのであります。何がゆえに主力を置いたかというに、これは早期開発をせなきやならぬが、それができれば、あるいはそれができた後に大きなダムをやるという問題じやない。ダムをやる間ひまがいるから、できるだけ早く分流によつて早期開発をやりたいというのであります。つまりダムを一日も早く着手したい。只見川の大体を決するものは大きなダムの問題である。その大きなダムの問題は、要するに東京並びに関西あるいは東北に起りまする冬の石炭代用をいかにして解決するかということが最大眼目してわれわれは着目をしたのであります。それ以上いろいろ申し上げても話が長くなるばかりでございますので、御必要なことは御質問によつてまたお答えいたします。
  380. 遠藤三郎

    遠藤委員長 福井君に申し上げますが、参考人の諸君も大分お疲れですから簡単に願います。
  381. 福井勇

    福井(勇)委員 よくわかりました。さすがに松永先輩の話は啓発されるところがあります。たいへんありがとうございました。  最後は私は今日本で水力火力あるいは科学的な発電というふうにいろいろ言つておりまするが、本日の朝日新聞によりますと、アメリカでゴードン・デイーン原子力委員長がブルックヘヴンの研究所の一つの会合で、いよいよ原子力発電の問題を実際的にアメリカに貢献させることができるようになつて来たということをきよう発表しております。私は先年イギリスのハーウエル原子力研究所に行つて、電気暖房はこの原子力で置きかえられるという状況を見て参りました。今日軍事方面は別として――あまり長くなるとまた委員長が心配しますから結論だけ申しますと、今日本で水力火力を非常に一生懸命で研究して、そうして五年十年先の建設をやつている最中に、ウラニユーム資源なりあるいはプラトニユームの資源があるいは得られるときが来ている。そうして驚くべき電力発電の基礎が原子力によつてここに出現して来るということは、ちようどラジオがわれわれ人類の表面に現われて来てびつくりしたと同様にこの問題が今起つて来ると思います。そこで一九二三年ごろあなたが日本の電力開発の先達としてアメリカ並びにイギリスに技術者を派遣された最初の人でありますが、今日原子力発電についてこの問題をどういうふうに考えておいでになるか。あるいは調査にやつた方がいいかどうか。最後にひとつ、これだけお漏らし願いたい。
  382. 松永安左衞門

    ○松永参考人 簡単に申し上げます。その問題もございます。研究しなければならぬ問題であります。それからまた日本は火山国でありまして、地下熱を利用するということが一つ大きな問題であつて、ことにイタリアあたりは現在十二万五千キロくらいの発電をしている。この研究も急いでし、かつ実行に移さねばならぬと考えております。それから海潮です。潮流を利用することによつて発電するということも近く研究の成績が上るだろうと信じております。そういうことばかりではありませんけれども、本年中央電気研究所というものをつくりまして、旧来の日発の持つておりました水力研究所を一緒に合併しまして、目下そういう問題について皆研究いたしております。いずれまた後刻そういうことは……。
  383. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これにて質疑通告者全部の質疑は終了いたしました。この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には御多忙中にもかかわらずかくも長時間にわたりそれぞれのお立場から忌禅なき御意見の御開陳をいただきましたことを委員長より厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十三分散会