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1953-03-06 第15回国会 衆議院 経済安定委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月六日(金曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 遠藤 三郎君    理事 前田 正男君 理事 栗田 英男君       小川 平二君    綱島 正興君       横川 重次君    秋田 大助君       菅野和太郎君    石井 繁丸君       中村 高一君    成田 知巳君       八木 一男君    福田 赳夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      坂根 哲夫君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 小室 恒夫君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 三月六日  委員吉川兼光君及び佐々木更三君辞任につき、  その補欠として石井繁丸君及び八木一男君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一一三  号)     —————————————
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。秋田大助君。
  3. 秋田大助

    秋田委員 最初に、各国のいわゆる私的独占禁止法に関する規定の状況並びに今回提案されましたいわゆる独占禁止法の一部を改正する法律案との関係等について、御説明を願いたいと思います。
  4. 横田正俊

    横田政府委員 御承知のように、この独占禁止政策と申しますか、反トラスト政策は、アメリカに発達した制度でございまして、一番制度として整つておりますのは、従つてアメリカでございます。アメリカ制度は多少複雑になつておりますが、大体日本公正取引委員会と非常に似ておりますフエデラル・トレード・コミツシヨンというのがございまして、これが事件を取上げ、かつみずから審判をいたしまして、その審判に対して裁判所に不服の申立ができるというようなかつこうになつております点は、日本公正取引委員会とまつたく同じようになつております。このほかにアメリカでは、日本の法務省に当る司法省におきまして、反スラストの問題を取扱つており まして、ここで事件を取上げ、これを裁判所に訴える、裁判所が判決によりまして問題を処理して行く、こういう二本建になつております。それではこの両者権限関係はどうなるかと申しますと、これは大体日本で申しますと、今度のいわゆる不公正取引方法に当る問題あるいは株式の保有というような、いわゆる予防規定というような関係、あるいはそれよりさらに進みまして、欺瞞的な取引禁止するというような問題につきましては、大体アメリカFTCで扱います。その他大きな独占の問題というものは司法省で取扱つておるようでございます。実体規定は御承知のようにアメリカのは非常に簡単でございまして、シヤーマン法というのが一八九六年でしたか、できまして、これが基本法律になりまして、それに独占禁止カルテル禁止規定がございます。これに罰則と、それから政府でいろいろな排除措置ができるというようなことになつております。そのほかに公正取引委員会法FTCのアクトというのがござ いまして、その中に不公正競争方法取締り等規定が設けられておるのでございます。大体そんな形になつておりますのがアメリカのものでございます。  カナダにややこれに類しました反トラスト制度がございますが、この方は実体的な規定アメリカのよりはよほどゆるやかになつております。お手元に資料が差上げてございますが、企業結合査察法とでも申しますような名前になつております。内容企業結合監査官というものがございまして、これが取締りに当つて行くというような制度なつております。内容の詳しいことは私もはつきり存じておりません。  それからイギリスには、比較的最近に、独占及び制限的慣行調査及び規制に関する法律というようなものができた。これは社会党の時代にできた法律でございまして、この方は大体非常に大きな企業のいろいろな弊害をためるというようなことで、一つ委員会制度が設けられておりまして、それによつて産業のいろいろな不都合な面を規制するというような形になつております。詳しくはこの資料についてごらん願いたいと思います。これもアメリカのような非常にきびしい規制ではなく、大体大企業を対象にして取締つて行くというような形になつております。  それから日本に非常に近いと申しますか、ことに今後の改正法に非常に近いものは、まだこれは施行にはなつておりませんが、西ドイツ競争制限防止法律というものができておりまして、ドイツは御承知のようにカルテルを非常に尊重する国柄でありまして、その関係ちようど戦前日本の場合と非常に似ておるのであります。法制的にも、むしろ日本ドイツ法律をまねして重要産業統制関係の法令をつくつたといういきさつもあるくらいに、カルテルのいい点を非常に認める国柄でありましたが、最近に至りましてその原則をすつかり改め、その法案によりますと、一応カルテルというものは悪であるという原則をとりまして、但し不況の場合、合理化の必要上の場合、輸出の振興上必要のある場合の三つの場合に限定してこれを認めて行くという立場をとつておるのがこの競争制限防法案でございます。そのほかいろいろ規定はございますが、この法律を動かすものはカルテル庁とでもいうものができて、このカルテル庁によつて事件を取上げ、排除措置をし、その上は日本公正取引委員会の場合と同じように裁判所に不服の申立ができるという形式になつておるのであります。 大体これが外国におけるおもな立法例あるいは法律にならんとしておるもものの例でありますが、そのほかに国連におきまして、こういう不当な取引制限というものは国際的にはこれを押えて行かなければならぬ、あるいは不公正な競争手段は国際的に取締つて行く必要があるということで、これらが取上げられ、その委員会等におきまして各国の法制を調べ、なおその線をだんだんに諸国に押し及ぼそうという動きが非常に活溌に見られるのであります。なおそういう動きは、最近アメリカ各国と取結びます通商条約の中にも、具体的にこの独占禁止法的な考え方を押し及ぼし、そういう制限的な取引があつた場合に、お互いに注意し、注意を受けた国はそれに対して善処するとい趣旨規定が設けられるのがほとんど例になつておりまして、最近締結が予想されます日本との通商条約の中にも、明らかにその趣旨規定が入つております。こまかいことは詳細に記憶しておりませんが、はなはだ説明が不足でございますので、なおこれによりこまかいことを申し上げる必要がございましたら、また適当な機会に、もう少し資料を整えて申し上げたいと思います。
  5. 秋田大助

    秋田委員 大体わかりましたが、ただいま委員長のお言葉の中に、カルテルは悪であるか、善であるか、西独においては悪なりと考え考え方に基いた規定なつておるというような御説明がありましたが、それでは今回提案されましたこの独禁法改正法律案根本趣旨は、その点についてどういう観点に立つて改正されたのですか。その点を御説明願いたいと思います。
  6. 横田正俊

    横田政府委員 今回の改正にあたりまして、財界その他各方面からいろいろ意見が出て来ております。その中には、すでに新聞紙等でも御承知のように、カルテルそのものは善でもない、悪でもない、その悪いものだけを取締るというようなことにすべきであるという基本的な線に沿いまして、今度の独占禁止法にも、かなり大幅な緩和を要望するというのが、財界のほとんど一般的な御意向のように見ております。しかし今度の改正では、こういう財界の方々の御希望を十分に考えはいたしましたが、問題は非常に広いのでございまして、各方面意見を徴しまして、その上に立ちまして大局的な態度をきめたのでございますが、ただいまのカルテルの問題につきましては、現行法は、御承知のようにやはりアメリカの線でできております。大体カルテルというものは、いろいろな弊害を伴いがちなものである、関連産業や、あるいは中小企業、あるいは消費者というものに、究極的にいろいろな不利益をもたらすのみならず、その産業自体におきましても、合理化を妨げる、あるいは競争力を弱めるというような欠点を伴いがちなものでございますので、やはり今回の改正におきましても、このカルテルというものの、そういう弊害を伴いがちであるということの基本に立ちまして、いずれもカルテルはこれを認めたいという線に立ちまして、きわめて例外的に、今回適用除外の中に規定いたしましたような不況の場合とか、合理化促進上特に必要である場合とか、この二つを掲げまして、この二つの場合だけに限つてきわめて制限的にかついろいろな条件をつけましてカルテルを認める、こういう線を出した次第でございます。  なお貿易に関しましては、輸出取引法におきまして、すでに若干のカルテルを認める制度ができておりますが、今回はさらにその線を検討いたしまして、これに若干の改正を加えて、いずれ国会に提案になりまして御審議をいただく、こういうような取運びになつておる次第でございます。
  7. 秋田大助

    秋田委員 ただいまの横田さんの御説明で、今回の独占禁止法の一部改正法案中心課題カルテル容認の問題でありますが、このカルテルについて、カルテルは悪であるという根本思想によつておられるということが明瞭になりましたが、今度の二十四条の三の、不況カルデルないしは合理化カルテル容認する場合の認可権主務官庁にあるということにした点は、これは消費者本位というよりは、むしろ事業者本位考えによつていると見られないかどうか、この点あなたのお考え方を伺いたい。
  8. 横田正俊

    横田政府委員 認可権の所在につきましては、御説の通り、形式的には主務大臣ということになつております。この点は、最初に案を立てます当時におきましては、公正取引委員会としましては、この委員会認可による、但し主務大臣意見を徴して、これを尊重して公取認可するというような線を出しておつたのでございますが、各事業主管省である主務大臣というものは、やはりその事業に関しましてはいろいろな関係を持つておりまするし、平生その業界にきわめて密接に接触しているという関係もあります。なおこのカルテルを認めまするということは、二つの面が実はあるのでございます。一つは、カルテルを認めるかいなかということは、独占禁止法解釈並びに適用という面があるわけでございまして、つまりカルテルを認められないということは、即そのカルテル独占禁止法上の違法な行為ということになるのでございまして、この線をどこまでも押し進めますれば、われわれの出しましたような、一つ独占禁止法適用問題ととまして公取があくまでも主導的な立場に立つて認可権公取が持つべきであるという立場が出るわけでございます。もう一つは、カルテルが好ましいものであるかどうかということは、やはり産業政策上の観点からいたしまして、所管事項といたしまして主務大臣に相当重大な関係があるわけでございまして、この線を強調いたしますると、主務大臣というものが表に出て来るわけであります。この点はすでに輸出取引法やあるいは特定中小企業の安定に関する臨時措置法等においては、主務大臣認可権を持ち、公取がこれに同意をするというような線が出ております。こちらの方は、まさにその点にかなりの重点が置かれました結果、公取同意という一歩下つた形なつているわけでございます。しかしながらそれは特別法関係でございまして、この独占禁止法自体の中に、公取がそれほど下つた形で出乗るということは、われわれとしてもとうてい承服できませんので、この点は各省、特に通産省並び公正取引委員会におきましていろいろ折衝いたしまして、なお閣議でもこの点に関して異論もありまして、その結果一応主務大臣認可権を与える。但しその認可をいたします前提といたしまして、その当該カルテルがいろいろこまごまと規定しておりますような要件に該当してこれを認め得るかどうかの認定公正取引委員会がいたしまして、その認定を得た上で主務大臣がまたその立場において認可をいたす。なお認可をいたしました後も一定の要件が欠けて参ります場合には主務大臣みずからその認可取消し、あるいは内容変更を命ずることもできますが、公正取引委員会はやはり独自の見解によりまして、変更なりあるいは認可取消し主務大臣に申し出ることができまして、主務大臣がこれに応じませんでも一箇月たちますれば当該カルテル適用除外であるという恩典がなくなりまして、その後は公正取引委員会独占禁止法上の問題としてこのカルテルを取上げる、こういうような仕組にいたしまして公正取引委員会権限主務大臣権限との調節をはかつたわけでございます。もつともこの制度運用いたしますためには、いろいろ立場の違いもありまするから、もちろん意見の相違も出て来ると思いますが、公正取引委員会認定過程なりあるいは主務大臣認可処理につきましては、相当密接な関係を取結びまして、お互い意見を闘わし、あるいは資料お互いに利用し合いまして、このカルテルを認めるという重要な問題についての処理に万全を期したいと考えておるわけであります。のみならずこれは表には主務大臣だけが出ておりますが、公正取引委員会認定をいたしますにつきましても、主務大臣認可をいたしますにつきましても、なお他の関連行政庁があるわけであります。それらの関係庁意見も、もちろん十分にしんしやくして、認否を決定いたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  9. 秋田大助

    秋田委員 主務官庁認可権公取委員会認定の権能とを同格に考えられておるという御説明でありますしわれわれもその趣旨には賛成でありますが、はたして実際問題として認可権主務官庁にある場合と、公取委員会がおそらく原案として持つておられたであろう認可権公取委員会でお持ちになつておくという場合とは、差異を生じて来はしないかということが、世間でも非常におそれられておりますが、その点横田さんはどう考えられるか、並びに通産省企業局長がお見えになつておりますが、通産省としてその点をどう考えておられるか。両者の御意見を伺つておきます。
  10. 横田正俊

    横田政府委員 その点は私どもといたしましても公取認可権を持つことが一番望ましいとは存じますが、しかし今回のこの改正の線に沿つてこれを適正に行つて参りますれば、公取認可権を持つのと実質的には全然違いのない形になし得るというふうに考えております。これは結局運用に対します公正取引委員会態度そのものできまることになると存じます。先般参議院の本会議におきましても、ただいま秋田さんの言われましたのと同趣旨の御質疑がありました。それに対しまして私といたしましても、今後カルテル弊害を予防するという面に十分の努力を払つてこの法律適用するようにして参りたいということを申し上げましたが、そういう態度で臨んで参りたいと考えております。
  11. 中野哲夫

    中野政府委員 今回の改正案が成立いたします過程におきましては、公正取引委員会ともいろいろ議論を重ねましたが、主務大臣認可にするか、公取認可にするかにつきましてだんだんこれを掘り下げて参りますと、きのう内田さんからお話のありましたように、公正取引委員会という機構の問題まで到達するわけでございますが、政府の最後の結論といたしましては、独禁法体制公正取引委員会機構というようなものは、少くともガツトの加入とか今後の対外通商を円滑に進めて行くという場合に、その本質をかえるというような点まではいかがとわれわれも考えまして、決定案といたしましては、混乱防止合理化促進をはかる場合には行政処分として、業界の実情を把握している主務大臣がその権限を持つ。またそういう混乱を未然に食いとめ、業界の安定をはかるという観点から主務大臣認可をいたしますが、それにつきまして基本的に公正な取引確保する、公正な競争を維持するという独禁法の精神から見て、当該協定が行き過ぎでないかという、あるいはそれが不当なる競争制限にはならぬかという観点から、公正取引委員会認定する、こういう両機構の合意をまちまして、初めて独占禁止を除外し協定を結べる、こういう態勢でよかろうということでこの成案を得た次第でありまして、ただいま横田委員長から申されました通り、この法案が施行される段階になりますれば、十分話合いを進めましていろいろ数字にわたる問題もありましよう、値段にわたる問題もありましよう、あるいは原価の調査というような問題もありましよう。それらを十二分に打合せをいたしまして、今回の改正の線で業界の安定を期して行き、また消費者関連産業にも不当なる影響は及ばないようにするという、運用面で万全を期して行きたい。通産省としてはかよう考えております。
  12. 秋田大助

    秋田委員 ただいまの横田さんのお話によりますと、実際の運用の妙を発揮して、消費者擁護にも公取が当られるというような御趣旨に受取られたのであります。しかし何と申しましても公取委員の方の身分保障はありますが、任命権限が、国会の承認を経てではありますが、総理大臣にあるというような身分関係規定上、実際問題において、やはり制約を大いに受けて来やしないか、こう考えられるのでありますが、その点横田さんはどうお考えになられるかという点と、もう一点は、運用の妙を発揮されるという御趣旨のお言葉でありますが、行政官庁は、何と申しましても実際の事業者との接触が緊密であるだけに、事業者利益擁護に傾きやすいのではないかというような懸念があります。その際に、公取委員の方で良心的な立場に立たれるとなると、この意見対立する場合がありはしないか。そういう対立が起きた場合に、認可をしようと思つても、公取の方で認定をしないとなりましたならば、一体どうなるのでありますか。そこに非常に調和をはかつておるようであつて、非常な弱点がまたありはしないか。運用の妙ということは、あくまでも実際の問題でありますが、これが事情上うまく行かないということになりますので、につちもさつちも動きがとれないということがありはしないか。すなわち規定に根本的な欠陥がありはしないかということがおそれられるのでありますが、その点横田さんのお考えをお伺いいたしたいと思います。
  13. 横田正俊

    横田政府委員 ただいま公正取引委員会委員身分保障があるが、実際の事件処理については、やはり任命権者である総理大臣あるいは内閣に気がねをしなければならぬというような心配があるというような御趣旨の御質疑でございましたが、これは制度といたしましては、ただいま申されました通り身分保障もございまするし、ほとんど裁判官にひとしい地位が与えられておりまして、あとは結局その人々の性格と申しますか、心の持ち方の問題でございまして、この点は不肖私ほか委員一同、この法律を守りますにつきまして、そういう外部からの影響、その他良心に反するようなことは絶対にいたさない心組みでございます。 なお公正取引委員会主管大臣との意見が食い違つた場合に、動きがつかぬことになるのではないかという問題でございますが、これはまさに意見が食い違いまして、結局認可ができないという場合がもちろん予想されるわけでございます。この点は何も今度設けられましたカルテル容認の問題ばかりでなく、いろいろほかの面につきましても、行政官庁との間にいろいろ意見対立もあろうかと存じますが、ただそういう場合に、普通の行政官庁でございますと、閣議というようなところでまた問題を処理する方法もあるのでありますけれども、公正取引委員会の場合には、独立して職務を行うというような関係からいたしまして、今仰せのような問題が確かに起り得るだろうと思うのでございます。ただそれならばその上の調節をはかる方法はないかということになりますと、この点は昨日内田委員からお話がございましたように、公正取引委員会権限と申しますが、独立性というようなものを検討しなければならぬというような問題にも波及をいたすかと思います。この点につきましては、われわれといたしまして、この数年の経験の上から申しまして、独占禁止法を守つて参りますためには、やはり公正取引委員会独立性がなければいけないということを強く確信をいたしておるわけでございます。従いまして御質疑のような事態が、これはきわめて不幸なこととは存じまするが、起り得る場合が考えられます。しかしこの点は先ほど中野局長からも申しましたように、これを全然認めるか認めないかという基本的な線で食い違う場合もございましようが、しかし認める条件その他につきましてはやはりいろいろ両方で意見を闘わせまして、適当な線が、出るという場合が相当多いであろうと考えております。御質疑に対してはなはだ正確なお答えではなかつたかもしれませんが、一応そういうお答えを申し上げる次第であります。
  14. 秋田大助

    秋田委員 ただいまの横田さんの御説明、はなはだ苦しいお立場からのお話のように受取れます。そこにやはりこの法律の根本的な欠陥と申しますか、十分割切つていない点が、あろうと思います。どちらかにやはり権限を固めておいて、正面衝突の場合を、実際の運用なり、ただいま横田さんお話のように、お人柄によつてきめて行くというようなことは、もうこの改正法律案中心課題であるカルテル容認の問題に関しておるだけに、これは私はもう少し根本的に検討の要があろうと思う。その点についてなお掘下げることはまた後の機会に譲りたいと思いますが、それに関連してお尋ねをいたしたいのは、先ほどちよつと御説明もあつたかと思いますが、カルテル条件をかえたり、あるいはそれをとりやめようというような処分をすべきことを、公取委員会請求することができる、こうなつておりますが、ただ請求のしつぱなしで、主務官庁側行政官庁側はそれに対してどうするのか、あなたの方が請求しても、主務官庁がそれに同意しなければ、そのままそのカルテルは続いて行くのかどうか、規定だけではどうもそこが非常に不明瞭のように思う。この点を見ますと、行政官庁公取委員会というものは同格じやない、何か一段下のように見えまして、あなたのさつきの同格であるという御説明と少し違つておるように読み取れるのであります。どうでありましようか
  15. 横田正俊

    横田政府委員 取消し請求の問題は、二十四条の三の六項、七項に規定がございまして、これはもう存続すべきものでない、あるいは内容をかえる必要があると認めました場合に、公正取引委員会主務大臣に対してその処分請求できる。この請求をいたしました場合は、第七項におきまして、その旨を官報公示をいたします。この官報公示をいたしましてから一月たちますと、主務大臣がこの公取請求に応じませんでも、二十四条の三の一項の但書におきまして、第七項の規定による公示があつた後一月を経過したときは、この限りでないというのは、つまり独占禁止法適用かあるということになるのがございます。従いまして、その後は公正取引委員会が、この法律の不当な取引制限規定等をもちまして、そのカルテルを解除できる、こういうふうになるわけでございます。
  16. 秋田大助

    秋田委員 ちよつと解釈上の問題をその二十四条の三に関連してお尋ねいたしますが、ずつとおしまいの方に「第二項又は第三項の認可に対して不服がある利害関係人は、」云々とありますが、「この不服がある利害関係人」というのはだれをさすのか。何人でもというふうに読みかえてもいいような意味であるかどうか、ちよつとお尋ねいたします。
  17. 横田正俊

    横田政府委員 大体仰せのようなことになるかと思いますが、結局そのカルテルによつていろいろ迷惑をいたすものが、特に関連産業等にあるわけでございますが、主としてそういう場合をさしておるわけでございます。そのほかに消費者というようなものがはたしてこの利害関係人というふうに解せるかどうか。この利害関係ということを非常に広く解釈いたしますれば、そういうものも入つて来るということになろうかと思いますが、それに全然関係のない——何人というほどこれは広くはないかと思いますが、やはり何かの経済的な利害関係を持つという人だと思います。
  18. 秋田大助

    秋田委員 何人といえどもと読みかえてもいいかということは、少し誇張して申したかもしれませんが、実際問題としてりくつをつけますと、一般の消費者大衆が関係なしだとは言えないことだと思います。そこは事実問題かもしれませんが、もしこういうふうにして、カルテルの問題について非常に一般大衆の認識が深まり、注意が喚起されるという場合には、そういうことが起きて来ると思いますが、いずれにしましても、この場合のみならず、カルテル容認に関するいろいろの事務上の問題が、公取においては相当複雑にもなり、お仕事もお忙しくなると思いますから、この改正案の実施に伴つて公取委員会の事務の陣容を強化拡大する、いわゆる増員というような問題が実際問題として起きて来はしないか、どうでしようか。
  19. 横田正俊

    横田政府委員 御指摘の通り、この改正法律を良心的に施行して参るということになりますと、勢い公共取引会員会の事務はかなりふえまして、現在の人間で万全を期し得るかどうか多少の疑問もございます。御承知のように公正取引委員会は非常に小さな世帯でございまして、わずかに三百人余りでございましたものが、先般の行政整理の二割減によりまして、現在は二百四十人そこそこの役所でございます。しかしながらわれわれといたしましては、国の行政整理そのものには賛成でございますので、先般の行政整理につきましても、忍びがたいところを忍びまして、この小さな世帯で善処して行くという態度をきめまして、進んでこの二割減に賛成をいたしたのでございます。本改正案を提案いたすにつきましても、普通の順序で申しますれば、やはり相当の増員を要求すべきものであろうと存じますがなお、行政整理がこの上進められる傾向もございますので、そういうような点を勘案いたしまして、一応ただいまの障容でやつてみるということにいたしまして、今回の予算の中には増員その他の予算を全然組んでおらないのでございまして、この点まことに御指摘の通り、われわれといたしましても、これを正確に施行するにつきまして一抹の不安は感じておる次第でございます。
  20. 秋田大助

    秋田委員 行政管理の叫ばれている折から、少い人員でも能率を上げてやつて行きたいという委員長の御抱負は、まことにけつこうでありまして、ぜひその線に沿うてひとつやつていただきたい。しかしカルテル容認とその他の措置について、事務の敏捷能率化は十分御注意を願いたいと思います。  次に委員の組織の問題ですが、現行法の二十九条の二でございますか、「法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、」云々となつておりますが、非常に漠としております。巷間いろいろ言われているように、これは各省の代表者をこの中に入れるなり、ないしは未組織である消費者大衆の中からも何らかの形で、適当な人格、学識、経験のある方を選び得ると思う。そういう人をここへ入れて置くという必要を私どもは痛感するのでありますが、この点公取委員長はどうお考えになりますか。また行政官庁側の御意向として企業局長の御意見を承りたい。
  21. 横田正俊

    横田政府委員 公取委員会の構成の問題につきましては、規定はただいま申された通りなつております。これも最初委員長及び委員六人、合計七人をもつて構成することになつておりまして、発足の際にはいわゆる財界事業界から二人の方が、在朝法曹一人、在野法曹一人、外務省関係——国際関係に明るい方という意味で外務省関係から一人、それからいわば学識と申しますか、法律関係、学界から一人というような、ある意味のバランスのとれたことになつておつたわけでございます。その後行政整理によりましてこれが五人に減りました。なお財界から、御承知のように兼任も何もできない、ちようど判事と同じようにこの仕事だけしかできないというような関係から、財界方面からはその職をなげうつて委員会へ入つて来て、日本の経済民主化のために努力をしようというほど熱意を持たれる方がなかなか見当らないと見えまして、財界代表というような意味で入られました方が二人やめられましたその後は、そちらの方面からは一向委員が選ばれておりません。但し現在の構成は、民間からは新聞関係におられました委員の方が一人と、あとは大蔵省あるいは昔の商工省におられまして、いわゆる行政方面に非常に明るい方がそれぞれ入つておられます。それに私と、それから先ほど申しました外務省方面から見えました方がずつと最初からおられまして、各省の立場をこれに反映させるということになりますとこれは非常にむずかしくなるのでございますが、大体現在の構成は、主務官庁立場公正取引委員会の仕事の上に反映させるという面におきましてはかなり整つておるのではないかというように私は考えております。  なおただいま仰せの消費者代表のごときものを入れるというようなお考えもまことにごもつともでございますが、要するにわずかにこの五人の委員でございますので、現在のところは特にそういう関係で入つてもらえるということは非常にむずかしくなつております。だからといいまして、さらに五人を七人にし、十人にし、あるいは十五人にするというようなことになりますと、これはまた事務的な問題といたしまして、会議制のこの委員会運用ということにつきましていろいろ問題もあろうかと存じますので、要はやはり選ばれましたその人のいかんによるものでございまして、この点は結局内閣総理大臣がどういうお気持でこの委員任命され、また両院議員がこれに対してどういうお気持でこれをお認めになるかという、そこにかかつて来るわけでございまして、われわれといたしましてはこの委員会の構成についてこれほどまでにいろいろ各方面から御議論が出るということは、公正取引委員会の仕事そのものについて相当強い関心と御理解をお持ちになつて来ているしるしだと思いまして、むしろ私どもとしましてはその点は非常に喜ばしく感じておるわけでございます。この構成につきましてはなお十分に検討する余地はあるのではないかと考えております。
  22. 中野哲夫

    中野政府委員 今回の改正案におきまして、不況時等において認可認定ということで、端的に申しますと現行法のもとにおきましては特定中小企業の安定に関する臨時措置法、輸出取引法という例外立法の場合は別といたしまして、現行独禁法のもとにおきましては、何と申しますかほとんど共同あるいは協力というようなことが禁止されている建前でございまして、私の方も公正取引委員会ととかく敷居が高くなりがちでございまするが、今度は認定認可は現実の運用においてはほとんど意見の一致を見る場合が大半だと思われますので、私の方も十分資料を提供いたしまして、これはひとり当該業界資料のみならず、それの関連産業中小企業及び消費者に及ぶ影響というような資料も十分に公正取引委員会に差上げまして、ひとつ業界方面も十分御勉強を願い、それから私どもも随時出向きましていろいろ公正取引委員会独禁法の精神に即するいろいろな御見解も伺うということにいたしますれば、この改正案の施行後におきましては今日よりはるかに両機関の間の意思の疏通がうまく行くじやないかと思いまして、期待をいたしているような次第でございます。従いまして現在の委員消費者あるいは言論界の代表というようなものを入れたらどうかというような御意見でございまするが、今回の改正の施行をこの線でやつて参りまして、その運用の結果によつて、将来の輿論あるいは国会の御議論等を内閣としてお取上げになつて、将来の決定になると思いまするが、当面の問題としては現状のままでひとつ運用をうまくやつて参りたいと、かように考えている次第であります。
  23. 秋田大助

    秋田委員 私は先ほど申し上げました行政官庁認可権公取認定権との正面衝突を避ける意味において、今度の改正案では正面衝突になるおそれがあるだけに、委員の構成の面においてくふうをこらすことによつてその点が大分避けられるじやないかとこういうことを考えますので、ただいまのような質問をいたしたわけでありまして、この委員の数を十名とか十五名前後に多数ふやすことは、これは適当でないと思いますが、いま一、二名の増員によりまして、非常に行政官庁公取との間が円滑にも行くし、また消費者大衆の利益擁護にも大いに貢献するような仕組みになりはしないかと考えているのでありますが、この点はまた後日掘り下げて御研究を願いたいと思いますし、また御質問もしたいと思つておりますが、その問題はそのくらいにしまして、少し条文上はさかのぼりますが、十一条の金融業を営む会社が株式の取得について公正取引委員会認可を受けるようになつておる、そうするとカルテル容認の問題については、認可権行政官庁にあることは多少カルテル容認と株式取得と違うのであります。株式取得の場合の主務官庁は大蔵省かとも思いますが、これはどうしてこういうことになつたのか、ちよつと形式上おかしいように思います。事の性質は違つて、もこれは統一ができないのは、統一しては不都合な場合があるのか、この点ひとつ公取委員長の御意見を伺いたいと思います。
  24. 横田正俊

    横田政府委員 大体十一条の規定は、御承知のように銀行その他の金融業者につきましては、一般の事業会社と違いまして、株式の保有をきつく制限をして参るという趣旨で、パーセンテージは上げましたが、結局百分の十、一割以上の株は持つてはならないという線を、独占禁止法的な見地から出しておるわけでございます。その意味におきまして、但書できわめて例外的な場合に、一割以上のものを認めるということになりましたので——この点もまつたく独占禁止法的な弊害の面を考えまして特に認められるものを、公正取引委員会認可ではずして行く、これはまさに独占禁止法適用の除外例と考えまして、公取委の認可ということにいたしておるわけでございます。この点も、やはり大蔵大臣というものがございまして、ある一つの銀行なり保険会社がたいへんな株を持つということについては、またそちらの立場もございますので、大蔵大臣と協議をいたしまして、認可するのは公取委でいたすということにいたしたわけでございます。これが独占禁止法上の問題といたしましては、一番正確なやり方ではないかと考えます。
  25. 秋田大助

    秋田委員 まさに独占禁止法趣旨からいえば正しいやり方であろうと私も思います。そうするならば、カルテル容認の場合も、主体性を公取委に持つて来なければならない。そこで初めて平仄が合うと考えられるのでありますが、この点は、これ以上私はお返事を求めません。私の意見ちよつとつけ加えて、この問題はやめにしておこうと思います。
  26. 遠藤三郎

    遠藤委員長 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後一時半より再開することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後二時三十分開議
  27. 遠藤三郎

    遠藤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。成田知巳君。
  28. 成田知巳

    ○成田委員 昨月三菱化成の東亜合成株式会社の買占めの問題についてお尋ねいたしましたところ、事務局長の御答弁だつたと思いますが、株式買占めに充てられました金の一部——一部と申しますか、その金は借入金だというお話がございました。新聞紙その他の報道では、爐の改修に充てるための社内積立金を一時流用した、こういう話でありますが、社内積立金であるか、借入金であるかによつて問題の性質が大分違つて来ると思いますが、はたしてどちらであつたかお伺いしたいと思います。
  29. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 お答えいたします。ただいまのところは昨日ここで御答弁申し上げました点について、一応われわれとして今調査を進行中でありまして、今のところはまだはつきりいたしておりませんからいずれ調べまして御報告申し上げます。
  30. 成田知巳

    ○成田委員 新聞紙の報道では爐の改修に充てている積立金を一時流用したということであります。公取の方でも大体非公式ではありますが、事務担当者をお呼出しになつてお調べになつておると言つておられましたが、それまでの経過では一体どちらになつておりましたか。三菱化成の事務当局の報告もあつたと思いますが、積立金を流用したか、あるいは借入金を流用したか、その間の事情を承りたい。
  31. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 実はただいま私が出るまで担当の課長によく打合せしておりませんので、その点はまた帰りましてからどういうことになつておるか調べまして御報告申し上げます。
  32. 成田知巳

    ○成田委員 昨日お願いしてありました白木屋の株の買占めの経過でありますが、審査部の審判の方にまわつておるそうでありますが、わかつておる範囲内で事実関係だけを御報告願いたいと思います。
  33. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 これも審査部長と私まだ打合せしておりませんが、私が出るまで私のところでわかりましたものは、横井産業関係の株が百三万株、堀さんの方が七十万株、大体百七十三万株でございますが、二百億円の資本でございますから、約半分近い株をこの両者で持つておるという事実を今明らかにして参つたのであります。
  34. 成田知巳

    ○成田委員 意見なり判断を言われることはある程度お立場もあつておさしつかえあるかもわかりませんが、昨日のお話でも、常識的に見て三菱化成は独禁法違反の疑い濃厚だというお話がありましたが、白木屋の場合はすでに審判にまわつておるわけですから、今までお調べになつた経過としては相当独禁法に違反する疑い濃厚だとお考えになりまして審判の方におまわしになつたのだと思いますが、これは独禁法四十五条でございましたか、白木屋の方から報告がおりまして、その報告に基いてお調べになり、審判の方におまわしになつたのか、あるいは職権でお取調べになつて、独禁法違反の疑い濃厚だ、こういう御判定のもとに審判の手続をおとりになつたのか、お伺いいたします。
  35. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 私の承知しておる限りでは白木屋から提訴がございましたすのですから、これを審査部で取上げまして——今審判とかおつしやいましたが、まだ手続の途中でありまして審査しておるのであります。
  36. 秋田大助

    秋田委員 午前中最後にカルテル容認認可権と、それから金融会社の株式保有の際の公取認可権というものが符節を合せないということについて公取側の御意見を伺つたのでありますが、この点は行政官庁側の責任者になおお伺いいたすことといたしましてその辺でとめましたが、再びカルテル容認の条項にもどりまして、二十四条の三でございますが、恐慌カルテルを認められる場合はそのおそれのある場合ということになつておりますが、おそれがあるというと、これは認定の問題ですが、非常に広く解釈される危険がありはしないか、もう少しはつきり限定をする必要がある、それが必至であるというぐあいに差迫つた状態というように規定する必要がありはしないかと思いますが、どうお考えになりますか。
  37. 横田正俊

    横田政府委員 このカルテルを認容いたします要件の、今お述べになりましたのは第一項の第一号のお話だと思いますが、これはここにございますように、「当該商品の価格がその平均生産費を下り、」これはおそれにはかからないのであります。つまり現実に平均生産費を下つて赤字が出ておるということであります。それから「且つ、」以下が「おそれがある」ということで、これはやはり相当部分の事業の継続が困難が困難だというかなりな状態を考えましてそういうふうになるおそれがあるということでございますので、大体上の方でかなりきつくしぼつてございまして、下も相当部分の事業継続が困難だというふうになつておりますので、おそれという言葉を使いましても、あまりにカルテルを認め過ぎるというようなきらいがないものと考えます。
  38. 秋田大助

    秋田委員 「平均生産費を下り、」というところへ「おそれがある」というのにかからないということの御説明で、その点はほぼ明瞭になり、了解をいたしましたが、その平均生産費というこの言葉内容が問題であろうと思います。平均生産費ということはどういうことを考えられるか、これをひとつ通産省側の御意見を伺つてみる方がこの際妥当かと思いますので企業局次長の御見解を伺いたいと思います。
  39. 小室恒夫

    ○小室説明員 ただいまお尋ね通り、平均生産費の算定というものはなかなかむずかしいものでございます。平均生産費ということの概念が一体どういうものであるかということについては、もちろん経済学者の間にはいろいろの意見がございます。私どもといたしましては、過去において通産省のみならず政府各機関で公定価格等を算定したような経験も相当ございますし、当該産業の重要企業における平均生産費はどういうところが常識的に押えた平均の生産費であるかということについては、各産業の実態をよく調べまして、それに基いて最も常識妥当な見解に到達いたしたい。これは判を押したようにどの産業にも共通の算定の仕方があるというふうにはなかなか申せないかと存じます。
  40. 成田知巳

    ○成田委員 今の平均生産費の問題で秋田さんから御質問がありましたが、これは各産業の実態についてお調べになるというのですが、戦争中も陸軍の原価計算規則とか海軍の原価計算規則とか、相当法的に強制いたしまして生産費を調べておつた。それでもなかなか企業の実態というものは複雑でわからないのですが、今度硫安の出血輸出の問題もありまして、それがはたして出血輸出であるかどうかを調べるためには、原価計算の報告を法的に強制して出さないと問題は解決つかないと思うのです。実態に即して調べをおやりになるというのですが、原価計算について強制的に報告書をおとりになるような準備はできているのかどうか、それを承りたい。
  41. 小室恒夫

    ○小室説明員 私ども実際問題といたしまして、このカルテル協定認可の申請が出ます際は、別段強制的な法的措置をとりませんでも、関係企業から十分資料の提出があると思いますし、またその間にかりに正直に原価等について記載していないという疑いがあればあくまで調査を尽しまして、その上でもつて協定認可をすべきかすべからざるかを判断いたしたい。従いましてこの独占改正法案の施行につきまして、強制的に平均原価についての調査をする必要があるとは、ただいまのところは考えておりません。
  42. 成田知巳

    ○成田委員 それでは平均生産費というものはとてもわからないと思うのです。戦争中の陸海軍の原価計算の調べでも、担当官が実際に各工場に常駐しまして、それで報告書を出し、個々のケースについて当つてみて、しかも原価計算というものはなかなか企業の実態から正確に調べることは不可能であつた。今のお話では任意的に、認可の申請があつたときに報告書が出る、それについて調べるということは、実際の平均生産費をお調べになることは不可能であると思う。やはり業者の一方的な資料というものを基準にして御判断になるのでしようが、それでは平均生産費をつかむことは実際上不可能だと私たちは思うのです。これは過去の例からいつてもそうだと思うのですが、おできになるという御確信がございますか。
  43. 小室恒夫

    ○小室説明員 陸海軍の例のお話がございましたが、監理官等を派遣され、ずいぶん人をお使いになり、書類もいろいろおとりになつたようですが、その結果妥当な平均原価計算が出たかどうかも疑わしいくらい、この平均原価計算はむずかしいわけであります。従つて御質問の意味の趣旨はよくわかりますが、私といたしましては工場に臨検いたしましたり、またやたらに人を常駐させてまでしてつくらせることが平均原価計算を知る最適の道だとは存じませんが、なるべく手数を省くなり、まあ輿論を聞くなりして、この平均原価計算の推定をやつているわれわれ通産行政のものといたしましては、そう間違いのないところに行くのではないかというふうに考えております。
  44. 成田知巳

    ○成田委員 今監理官、監督官を工場に常駐させて法的な強制力をもつて資料を出させても原価計算というものをつかむことができないということをお認めのようですが、通産省の今までの経験というものを尊重しなければいけませんが、常識的に申しまして、なかなかそれでは原価というものはつかめないと思うのです。従つて今の秋田さんの御質問は非常に問題が今後残るだろうと思います。これについては通産省の方ではつかむことができるという判断でございますが、実際問題としてできないだろうと思います。この法案の審議でこういう点は問題になると思います。あとに質問を留保しておきます。
  45. 秋田大助

    秋田委員 平均生産費をどういうふうにして出すか、どういう判定をするか、これは非常にむずかしい問題だと思います。何人といえども神ならぬ身のこれが平均生産費だという断定を下すことはむずかしいと思いますが、少くとも向うから出して来る資料について調べるということで事足りるかどうか。会社の経理内容に立入つて相当精査し、また帳簿なども十分精査できるという権利をここに明確に規定しておく必要はないか。実際上は行政官庁としてできるとおつしやるかもしれませんが、ここに書いておく必要はないかどうか。これは行政官庁並びに公取側の両者の御意見を伺いたい。
  46. 横田正俊

    横田政府委員 今小室次長から申しましたように、この平均生産費の算定というものは非常にむずかしいものであろうと存じます。この点につきましては、認可官庁である主務大臣及びその前提の認定をいたします公正取引委員会が緊密な連絡をとりまして、ことにこの平均生産費等については平生接触しております主務官庁資料意見というものが非常に重要なものと思います。ただ今小室次長の述べましたように、大体はなはだしい強制力をもつてしなくてもいろいろの点から見当がくことが多いと存じますが、しかしいよいよ何か相当きついことをしなければならぬような場合につきましては、独占禁止法には若干の規定がありまして、四十条に「公正取引委員会は、その職務を行うために必要があときは、公務所、特別の法令により設立された法人、事業者若しくは事業者の団体又はこれらの職員に対し、出頭を命じ、又は必要な、報告、情報若しくは資料の提出を求めことができる。」というふうになつておりまして、これの違反に対しましては刑事制裁もございますので、問題によりましてはこの規定を発動して資料なり報告を求め、それにつきまして通産省側と緊密な連絡をとつてこのむずかしい認定に対しまして万遺漏なきを期したいと考えております。
  47. 小室恒夫

    ○小室説明員 先ほどから申し上げたことを繰返すことになりますが、私どもは強制によつて特に正確な資料が出るとかということもなかなか言いがたいことでありますので、大体強制的な指導をとらなくても十分所期の目的を上げことができと信じております。もつとも今後の運用によつてこういう点が特に必要なことになりますれば、今後の問題としてこういうことも考えなければならぬと思いますが、ただいまのところはそういうふうに考えております。
  48. 秋田大助

    秋田委員 四十条にはなるほど情報もしくは資料の提出を求めて、それによつて精査すことができるということになつておりますが、向うから出さした資料だけでいいかどうか。これはカルテル容認する場合は相当限定して行かなければならないという立場、午前中も横田さんがおつしやつたカルテルは大体悪であるとはつきりおつしやいませんでしたが、やはりそういう思想によつてこの改正案ができているという御説明でありましたが、そういう点から行けばここのところは重要な点であります。これをいいかげんにのがして行くと、カルテルがどんどん許されて行くということにもならないと限りません。こういうような四十条みたいなときには、こちらから事業場に行つて精査でき、問題の平均生産費を調べことができというような規定がある場合がある場合と、この四十条だけで行く場合と相当違つて来ると思う。この点はそのくらいにして、また後日に質疑を譲りたいと思います。  それでは「平均生産費を下り、且つ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるに至るおそれがあること。」というこの「相当部分」というのは、事業者の数で考えておられるか、その事業者のやつておられる仕事の量で考えておられるか、両方を考慮してやるということかもしれませんが、ここは一体、どういうふうに考えておられるか。これらの規定が非常にあいまいで、こういうところが非常に問題になる。実際の取扱い上、手心でどうにでもかわつて来るおそれがありますから、ひとつ関係官庁の御意見を承つておきたいと思います。
  49. 小室恒夫

    ○小室説明員 「相当部分」という言葉も御指摘の通りかなりあいまいな言葉でございます。これはやはり常識的に解釈して行くほかないと思います。当該産業産業として成り立たぬような事態になつては、不況対策も手遅れであります。経済界というものははなはだ変動の多いものでございまして、今日成り立つても明日なくなるというな情勢もございましようが、そこは見通し等も立ち得るわけであります。当該産業が全体として成り立つか成り立たぬかということを判定するに必要な範囲の部分、そういう意味に「相当部分」というものを解釈しておるわけであります。
  50. 横田正俊

    横田政府委員 これも非常にむずかしいことになるかと思いますが、小室次長の言われたことで尽きるかと思います。要するにいわゆる限界企業と申しますか、非常に採算の悪い企業が倒産するおそれがあり、その後その状態がだんだんもう少し上の方の企業にも及んで行くおそれがあるという状態をさしておると思うのであります。数量的にどうというよりも、これはむしろ質的な判断の上に立つてのことではないかと考えます。
  51. 秋田大助

    秋田委員 次に合理化カルテルの問題であります。二十四条の四で合理化カルテルは生産業者だけについて認められておるようでありますが、現在の状況等を考えて、商業部門なりあるいは金融部面であるいは運輸部等についても、合理化のためならカルテルを認めていいのじやないかという議論もありますが、この点行政官庁側公取側の両者の御意見をお伺いいたします。
  52. 横田正俊

    横田政府委員 この点は、この法律をつくります際に、いろいろ議論の対象になつたのでございますが、大体私どもの考え方では、生産業者だけでよいのではないか。というのは、今回はカルテルというものに対します規制基本的に大分かわつて来ております。と申しますのは、現行法の第四条の規定がなくなりました。これは昨日も申しましたが、なくなつたという理由は、現行法におきましては、カルテル競争に対する影響力がきわめて軽微なもの以外は、大体違法になつてしまうような、きわめてきつい規制なつておつたのでございますが、今度の改正法によりますと、競争を自主的に制限すようなところまで行かなければ一応よろしいという線になつておりますので、われわれが一般に常識に合理化合理化と申しておるようなものは、大体競争を自主的に制限しない範囲内ででるきものが多いというように考えます。つまり競争を自主的に制限しても、なお特別な理由によりまして、合理化のためにカルテルを認め、こういうものがこの二十四条の四で救われ、こういうことになりますと、結局いろいろな点を考えまして、一応生産業だけについてこれを認めれば足りるのではないかという結論に達したわけでございます。  なおその他の通運関係とかいうようなものにつきましては、なるほどいろいろな観点で業者が話し合いまして、合理的な運営をして行くというために、カルテルが必要な場合があると存じますが、これは大体現行法でも、そういうような趣旨のものは各その事業事業についての特別法によりまして、ある程度のカルテルが認められるような形になつておりますので、独占禁止法の中に一般的な形としてここではつきり抜く必要のあるものは、ただいま申し上げました生産業限つてけつこうなのではないかということで、かなりしぼりました形でここにこの条文が載つておるわけであります。
  53. 小室恒夫

    ○小室説明員 ただいまの公取委員長の御説明に特につけ加えることはございません。
  54. 秋田大助

    秋田委員 次に不況カルテルで設備制限を許した場合、事業により事情によつては、アウトサイダーも規制して行かなければ、うまく行かないという場合が出て来やしないかと思いますが、そういう場合は、この法律でやつて行くよりは、単独法の規定でやつて行く方がいいとお考えなつておるか、あるいはそういうものは、アウトサイダーまで規制する強権を発動して行くということはいけないとお考えなつておるかどうか。ここらは自由主義経済の範囲をあるいは逸脱いたしまして、計画的な統制経済に移行しなければならないという領域にまで入つて来る問題かと思いますが、その辺通産省側としてはどういうふうにお考えなつておりますか。
  55. 小室恒夫

    ○小室説明員 ただいまの御指摘の問題は、私どもとしても慎重に検討している問題でございますが、今日の経済情勢においては、とりあえずただいまの独占禁止法改正法案運用して参れば、不況安定の効果を一応上げることができるのじやなかろうか。ただ今後の世界情勢の推移等をよく見ました上で、不況切抜け、経済の安定のためにどうしても必要であるということになれば、アウトサイダーの規制という問題は、独禁法とおのずから法体系を異にいたしますので、これは別途の立法をもつて考えて行かなければならぬと思つております。
  56. 秋田大助

    秋田委員 法体系を異にしているので別途のもので考えなければならぬ、しかし現状ではこれでいいとおつしやつておられますが、現状でもすでにいけないので破綻を来しているのじやないかと思う。よく言われる実例でありますが、綿紡の操短のごとき、めちやくちやに設備をどんどん拡張さして、政府はこれを容認して行つたために、ああいう行政措置でもつて実際上独禁法違反の行為を業者にやらすような状態に立ち至つているじやないか。これは根本的な政策の問題でありまして、あなた方にお尋ねをするのはあるいは当を失しておるかもしれません。いずれ通産省の最高首脳部の方ないしは総理大臣、官房長官に伺つてみたいと思つておりますが、せつかく企業局次長がおいでになつておりますから伺いますが、その辺どうお考えなつておりますか。
  57. 小室恒夫

    ○小室説明員 たいへんむずかしい問題でございますので、大臣からひとつ……。
  58. 秋田大助

    秋田委員 それではこれ以上追究しないことにいたしますが、どうしてもわれわれは単純な現自由党内閣の自由経済政策では、この法の範囲とは逸脱をしておる問題でありましようけれども、密接不可分の関係がある問題であつて、自由党内閣の単純な経済政策では行かれないという点が、この独禁法考える場合には痛切に考えられるのであります。  それでひとつ通産省側に、日本の戦前のカルテル、これを当時の商工省なども相当奨励された面もあるのでありますが、一体戦前のカルテルというものが、中小企業者なり、農民なり、あるいは消費者大衆に、どういう影響を及ぼしたか、もちろんいい面もあつたのでしようし、悪い面もあつたでしようが、ひとつ判定して、功罪半ばしていたと思うか、どつちがよかつたと思うか、悪かつたと思うか。この辺の御判定を題いたい。それによつてやはりこの改正法案根本思想というものが違つて来ると思いますので、お伺いしたいと思います。
  59. 小室恒夫

    ○小室説明員 確かにむずかしいお話でございますが、戦前のカルテルをどの範囲にお考えになるか、私ども常識的に——カルテルという言葉の定義もなかなかつけにくいのでありますが、私どもが商工行政としてカルテルの問題を法的に取上げましたのは、大企業につきましては重要産業の統制に関する法律、これは昭和六年の三月でございます。そのときのねらいは、当時昭和四、五年からたいへん世界的な不況になりまして、日本もそのあおりを食つて、大企業といえども、なかなか不況の切抜けに難渋するような状況でございました。主としてこの不況対策という面から、やはりカルテルをある程度、一面では強化する、アウトサイダーの問題等もだんだん出て来まして、他面では行き過ぎを規制する、こういうふうな行政をやつて参つたのであります。そのうち、満州事変あるいはその他支那事変等々が発展いたしまして、準戦時体制、戦時体制に伴う経済の組織化というような気持でもつてこのカルテルの問題を別に見直して参つたような経緯もあります。広くカルテル解釈しますれば、今の重要産業統制法の対象になる協定のみならず、工業組合とか商業組合とか輸出組合とかいうようなものも、あるいは問題になるかもしれませんが、大企業カルテルだけをとらえまして、かりに功罪ということを申し上げれば、やはり今の不況を切り抜ける点からどうであつたか、経済の組織化という点からどうであつたかということになれば、たいへん長い話になりますが、これは省略させていただいて、中小企業との関係だけを一つ申し上げれば、これは大企業を安定して、それによつてやはり下請関係中小企業が安定するという面もございます。またその反対に、大企業が非常に強くなつて、中小企業が圧迫されるという面もございまして、これは各産業カルテル各種各様の実態でございまして、そこでもつてにわかに結論を得がたい、こういうことでございます。
  60. 秋田大助

    秋田委員 まだお尋ねしたいことは多々ございますが、主として大きな政治上の問題になりますので、それらの点は他日に質問を留保いたしまして、もう一点、第六条の第一項に「国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」というのがあります。国際信義上の問題もありましようし、この法の精神の建前ということもありましよう。しかし相手のあることである。こつちがこうやつていても、相手がこういう精神で出て来なければどうにもならぬというような点も考え、またわが国の輸出入貿易のことについて考えてみますと、そう厳格に規定しなくてもいいのじやないかとも思われますが、通産省側はどういうようにお考えになりますか。
  61. 小室恒夫

    ○小室説明員 これは公正取引委員会からお答え願つた方がいいのではないかと思います。
  62. 横田正俊

    横田政府委員 これは一口に申し上げますと、いわゆる国際カルテルに入つてはならないということが、この第六条の特別な規定を置きました意味でございまして、この点は、結局国内のカルテルにつきましては、御承知のように第三条でこれを規制いたすというのと歩調を合せまして、国外の取引、分野における問題につきましても、第六条でカルテル規制をして参るということと、それから今回さらにつけ加えまして、従来外国の事業者日本事業者取引をいたします際に、日本事業者の活動をいろいろな面で制約いたしますようないわゆる不公正な取引に該当するような内容を持ちます国際契約をやるのでございます。この場合につきましても、日本の業者のそういう不当な拘束を排除してやる必要があるというような趣旨からいたしまして、今回特にここにカルテルだけでなく不公正な取引をも取上げて、それをわれわれの排除の仕事の対象にいたす、こういう意味があるわけでございます。もちろん、この場合にその外国の事業者をどうするかという問題が実はございますが、これは日本に支店なりその他の活動をしているものにつきましては、これは外国事業者でも日本で取上げることができるのでございます。ただ契約だけをして事業者そのものは外国におつて、拘束を受けておるのは日本事業者、この事態に対しまして審判手続等をどういうふうにしてやるかという問題が実は残されているのでございますが、実は非常にこの法律案改正を急ぎました結果、その点に対するはつきりした解決をしないで、この点は今後法制局等とも十分に打合せまして、よい案を考え出そうということになりまして、その点は今度見送つたのでございます。ただ日本事業者を対象にいたしまして、日本事業者の受けている拘束を解くということについては、この第六条の規定をもつてある程度のことができるというふうに考えております。
  63. 秋田大助

    秋田委員 今度の改正案を密接不離な関係があります輸出取引法、中小企業安定法、これらが改正されるそうでありますが、法体系を別にするために、別途に規定されるわけでありますが、これは同時に考え合せて行かなければならぬものですが、それはどういうふうに改正をされるおつもりでありますか。要点を通産省にお伺いいたします。
  64. 中野哲夫

    中野政府委員 輸出取引法につきましては、現行の輸出取引法独占禁止法改正と平仄を合せて、かつ一層国の貿易、つまり輸出上の不利を免れ、あるいは輸入上の不利を免れる、こういう趣旨改正案を練りまして近く国会に提案に相なる見通しでございますが、その改正の要点は、これまで輸出組合のみの設立を認めておつたのでございますが、このたびは輸入組合も認めよう、法律の題名も輸出取引法に改める予定でございます。  それから第二点としましては、現行におきましては、輸出業者の間だけでこの協定を認める、こういうことになつておりまするが、その輸出業者間の協定では不十分である、あるいは不適当であるというような場合には、輸出業者と当該輸出品の生産業者あるいは国内の販売業者——一種の縦の関係と申しますか、そういうものの間でも協定を結び得るという道を開いた点でございます。  第三点としましては、輸出組合については出資制をとり得る。現行法では出資制はないのでありますが、出資組合にいたしまして、かつ組合の事業としましては、輸出貨物を組合が購入しまして、これを組合員に売り渡し、その組合員が海外に輸出する、そういう共同購入の仕事を行い得るように改めたのでございます。なお輸出組合におきまして、統制規定によつて価格なり数量なりの事項をきめました場合に、組合員以外のいわゆるアウトサイダーがおりまして、その輸出場合は安売り等になると思いますが、そのために当該組合の統制規定による協定の効果が上らぬというような場合に、通産大臣が輸出の振興、輸出秩序を維持しますために特に必要であると認めました場合には、そのアウトサイダーに対し勧告または強制力を有する命令を出しまして、輸出の統制に服するようにアウトサイダーを規制する規定も盛り込んだのでございます。  それから輸入の混乱を避けまするために、輸入業者間で協定を締結する道を開いたのでございます。その輸入業者の協定も、先ほど輸出業者について申し上げました通り、輸入業者の協定だけでは有利なる海外輸入ができないという場合には、その輸入貨物の需要者あるいは国内の販売業者と輸入業者との間にカルテルを結び得るということにいたしました。それから輸出の場合より持入の場合は比較的カルテルでいろいろな不利を避け得る道が多いと思いまするが、そういう協定だけでは効果が少いと思われる場合に限り、輸入組合を通商産業大臣の認可を受けて設立し得るということにいたしまして、組合が設立されます場合は、輸入貨物の価格とか、品質とか、数量とか、その他の取引条件について組合員の守るべき事項を統制規定で設定ができる、こういうことにいたしたのでございます。そして以上申し上げたような設立の認可その他の認可を受けていたしました輸出組合あるいは輸出協定、輸入協定あるいは輸入組合の活動は、改正私的独占禁止法適用を除外されるということに相なつております。  なお通商産業大臣は、その輸出取引法の施行に際しましては、認可等の場合は公正取引委員会同意を求める、これは現行法にもそうなつておるのでございまするが、そういう仕組みを踏襲するつもりございます。その他輸出組合及び輸入組合に対しましては、法人税の軽減措置を講じたい、そして組合の健全な育成をはかりたい、かように考えておる次で第ございます。
  65. 小室恒夫

    ○小室説明員 中少企業安定法の方は、これは承知のように議員立法として先般成立いたしましたもので、独占禁止法改正の線に即して改正いたしたいということで、目下提案議員等を中心として御審議中でありまして、私どもの方からあまり推測がましいことを申し上げたくないのでございますが、大体仄聞するところによれば、御承知のように中小企業安定法は別衣でもつて業種を相当しぼつておりますが、その業種の拡大ということもお考えなつておる模様であります。それからまた独禁法の方が緩和されたのに伴いまして、この中小企業の調整組合等の事業、あるいは価格の統制であるとかあるいは共同購入とか共同販売、そういつたような不況の克服についてのさらに進んだ措置もとれるようにお考えなつておるようです。その他いろいろの面で小改正を御検討のようでありますが、何分にも議員立法でありますので、もうちよつと固まるまで私の方からは御答弁を差控えたいと思います。
  66. 秋田大助

    秋田委員 第十五条の合併の制限の問題でありますが、第二号に、「当該合併によつて一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合」これはいけないということになつておりますが、合併によつて非常にその当該業種の生産その他について大きな意味の合理化促進され、全体の国民経済の健全な発達に寄与するという場合がありはしないかと思います。そういう場合は許してもいいのではないかと思いますが、通産省側ではどういうふうにお考えなつておりますか。
  67. 中野哲夫

    中野政府委員 ただいま御指摘の点は、私どもかねてから現行法のもとにおきましては、たとえば貿易商社の例をとりましても、あまりに企業が細分化いたしまして、いたずらに不必要な過当な競争を惹起する素地をつくり、企業の数がむやみにふえますから、合理化促進する意味におきましても、また海外進出を力強くやる点から申しましても、ある程度の会社の合併は現行独禁法に許す範囲で、方針としてはどちらかといえば奨励するというような心持で見ておつたわけでございます。このたび現行法が、合併ということは一種の企業の集中になるおそれがあるということで非常に制限を強くいたしておりますのを緩和いたしまして、ただいまお話のようにその合併によつて一定の取引分野における競争が実質的に阻害されないというような場合は、合併を認める。それと同時に現行法において企業の不当な較差、つまりある一つ産業界において、一つの会社が生産力あるいは販売力においてある程度以上の能力を持つておる場合には、それは排除せられるというような規定もあつたのでございますが、その現行法規定を削除いたし、会社の合併の際も、不当なる事業能力の較差が生ずる、事業力の較差がはなはだしくなるという場合も認め得る、こういうように緩和されておりまするので、今度の改正案の許す範囲内で、先ほど申し上げました通り、合併等によつて企業の基礎が強化されることを通産省としては希望しておる次第でございます。
  68. 秋田大助

    秋田委員 第一号を削つたことによつて、ただいまお尋ねした問題を実際的に解決して行こう、大体こういう御趣旨と理解いたします。  なおいろいろまだお尋ねいたしたい点があります。ことにこの改正法律案の根本随旨、さらにその趣旨の建前による認可権認定権との関係、それがカルテル容認の場合と、金融機関株式及得の場合と、平仄の合わない、首尾一貫しない点があろうと思います。こういう点については、なお通産大臣あるいは官房長官あるいは総理大臣等にもお伺いいたしたいと思います。  なお今までの行政措置によるところの実際的な独禁法違反の行為、こういう点に対する政治的責任の点、その他独禁法という取締り規定ではもはや及ばない範囲が非常にある。それがこの法律内容と密接不可分な関係があるという点について、お尋ねしたい点が多々あるのでございますが、それは後日に譲りまして、本日の私の質疑はこの程度にとどめておきます。
  69. 遠藤三郎

    遠藤委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本日の質疑はこの程度にとどめまして、次会は明七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十三分散会