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1953-02-17 第15回国会 衆議院 経済安定委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十七日(火曜日)     午前十一時九分開議  出席委員    委員長 遠藤 三郎君    理事 加藤 宗平君 理事 前田 正男君    理事 吉川 兼光君 理事 下川儀太郎君       綱島 正興君    松浦 東介君       横川 重次君    秋田 大助君       千葉 三郎君    三浦 一雄君       志村 茂治君    八木 一男君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     横田 正俊君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 二月七日  委員横川重次辞任につき、その補欠として小  笠原三九郎君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員平野力三辞任につき、その補欠として水  谷長三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員河上丈太郎辞任につき、その補欠として  中村高一君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員小笠原九郎辞任につき、その補欠とし  て横川重次君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月六日  独占禁止法改正に関する陳情書  (第一一〇〇号) 同月十一日  三崎半島地区潮流発電計画の促進に関する陳情  書(第一一七四  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  私的独占禁止び公正取引確保に関する法  律の改正に関し説明聴取     ―――――――――――――
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  私的独占禁止び公正取引確保に関する法律改正に関し調査を進めます。なお、本法律改正につきましては、その法案を近く政府より国会に提出されるものと存じておりますが、本委員会といたしましては、これに先だち行政各機関学識経験者等意見を聴取し、その参考に供したいと存じておるのであります。本日は、その主管機関たる公正取引委員会から主管事項処理状況独占禁止法改正要綱及び今日までの経過等について説明を聴取したいと存じます。公正取引委員会委員長横田正俊君。
  3. 横田正俊

    横田政府委員 それではただいまの委員長お話によりまして、所管事項についてまず申し上げるべきでございますが、本日用意をして参りませんので、ただいまお示しのうちの私的独占禁止法改正問題につきまして、今までの経過並びに公正取引委員会で先般発表いたしました一応の基礎になります案、並びにその後その案に対しまする各省意見と、その経過並びに内容について一応申し上げてみたいと存じます。  独占禁止法改正は、独立回復後の先般の国会におきましてもすでに問題になりましたのでございますが、あの際は事業者団体法改正だけで終りまして、独占禁止法につきましてはなおいろいろな関係がございましたために意のように改正の仕事が運びませんままに今日に至つたわけでございます。もちろんわれわれといたしましてもその後続けてこの改正問題につきましては研究して参つたのでございますが、昨年の末になりまして、この改正問題をどの機関でどういう方法でもつて今後処理して参るかということにつきまして、官房長官等とお話合いをいたしました結果、一応公正取引委員会におきまして案を立てて、それを関係各省に検討してもらい、その上で政府としての原案をつくつて国会にお出しをする、こういう大体の了解がなりまして昨年の暮れからことしの年頭にかけまして、われわれの方で従来の研究にさらに検討を加えました結果、二月の三日に至りまして、新聞紙でも御存じのような要綱を一応きめたわけでございます。この要綱内容につきましては順次申し上げたいと存じますが、これを決定いたしまする際の公取の心組みと申しますか、それをいささか述べさしていただきたいと思います。それは本日お手元に差し上げました要綱及び解説資料という。パンフレツトに大体われわれの基本的な考え方を書いてございます。これは御承知のようにアメリカから日本に押しつけられた法制でございますので、この際はそういう今までの行きがかりを一切捨てましてはたしてこの独占禁止法というものが日本経済のためにプラスになるか、あるいはマイナスの面のみであるか、あるいはプラスマイナスをしてマイナスの方が多いのであるかという根本の立場に立ちまして、日本人のわれわれの持つべき法制として、はたしてこれは適当であるかどうかという基本的な線に立ちまして、われわれは一応考えたつもりでございます。それがこの解説書のところにございますように、日本経済にとつてゆえ独占禁止法が必要であるかというところにその問題が書いてあるわけでございます。この点につきましては、われわれはここに掲げましたような理由によりまして、独占禁止法日本経済にとつて必要なものであるという一応の結論を出したわけでございます。  但しこのままの状態でこの法律がよいとは決してわれわれも考えないわけでございまして、この点が、次にいかなる理由現行独占禁止法改正しなければならないかということを掲げてあるわけでございます。ここにあげましたことが大体今度の独占禁止法改正案のおもなる条項になるわけでございます。つまり先般来財界から強く要望されておりますカルテル認容ししてほしいという問題につきましては、ここにあげましたように、不況に対処する場合のカルテル、それから貿易の振興上必要なカルテル、あるいは産業合理化を促進する上において必要なカルテル、こういうものを今後は認めて参りたいという線を一応出したわけでございます。なおカルテルと並びまして独占禁止法一つの大きな線になつております株式保有制限するとか、あるいは重役の兼任をやかましく取締つて参るというような線も、不必要な厳格さを適当な線に是正するという点が第二の問題になつております。なお自由競争と申しましても不公正な競争経済に害があることは申すまでもないことでございますが、この不公正な競争方法現行法がいろいろ規定しておりますが、それをさらに検討いたしまして、これにいろいろな修正を加えました点が第三点でございます。この三つが大体におきまして今度の改正の基本の線をなしているのでございます。内容につきましては後ほどだんだん申し上げます。  さらに最初申しましたカルテル三つの場合に限定して認めますこの公正取引委員会態度につきましては、いろいろもつとゆるやかにカルテルを認めて、弊害のあるものだけを除去して行くという考え方一つあるわけでございますが、われわれが何ゆえにそういう態度をとり得なかつたか、きわめて限定的にカルテルを認めて参りたいという態度を何ゆえにとらざるを得なかつたということにつきましては、この解説の第三のところに、何ゆえカルテルを無制限に認めることができないかというようなところに書いてございます。  以下ただいまあらましを申し上げました各問題につきまして、お手元に差上げました要綱、それからその前に方針というのがございますが、これをこの点からごく簡単に御説明をいたしたいと思います。  まずこの改正要綱方針でありますが、ここに第一から第七まで掲げてございますが、この第一が先ほど申しました、いわゆるカルテル問題に関するものでございます。この点におきましては、現在のカルテルにつきましては条文が二箇条ございます。そのうちの第四条というのは、かなりきつめにできておりまして、いろいろな業者が話合いをいたしますと、それが、ごくつまらないものは別でございますが、多少実のある問題は、ただちに第四条の違反というような問題を引起しがちになつておつたわけでございます。この第四条につきましての業界の反対が非常にございましたことは御承知通りでございます。今回はこの第四条と第三条を一つにまとめまして、結局カルテルというものは一定取引分野における競争を自主的に制限する場合以外は問題にしないという点に、はつきりいたしましたわけでございます。この点が今後の実際のカルテル問題の上に及ぼします影響は相当なものと考えております。さらにその制限の上に持つて参りまして、先ほど申しました三つの場合、すなわち不況に対処する場合理化の遂行上必要な場合、それから貿易に関しましては、輸出入ともに適当なるカルテルはこれを認めて参るこういう形にいたしたのが、この方針の第一に書いてあることでございます。もちろんこの輸出につきましてはすでに御承知通り輸出取引法というものが先般の国会で制定せられましてある程度の解決を見ておるのでございますが、この法律はいろいろな点でなお不十分な面がございますので、ただいまの輸出に関しましては、輸出取引法改正するという方法によつてカルテル認容の問題を解決して参りたいと思いまして、この点は現に通産省におきまして、輸出取引法輸出及び輸入に関する取引法といたしまして、その内容についてすでに要綱も昨日の省議あたりできまつたようでございます。これにつきましては、公正取引委員会協議の上に適当な案がきまる予定であります。  次に第二といたしまして、現行法の第八条には不当な事業能力較差という規定がございまして、これは大きな企業はそれ自体いろいろな弊害を生みやすいというようなところからいたしまして、その大きさそのものを問題にするというような規定がございましたが、この点につきましては、今回はその規定を削除いたしまして、大きなこと自体を必ずしも悪とは見ないで、その結果いろいろ独占というような状態が生じて参りました場合にそれを取締る。なおいろいろな事業上の優越した地位を濫用いたしまして、たとえば中小企業に不当な圧迫を加えるというような面は、別に不公正な取引方法としまして別途これを見張つて参りたい、こういうことにいたしました結果、この第八条の規定そのものはとつてしまうということにいたしたわけでございます。  次に第三が先ほど申しましたトラスト規制の著しい、非常にやかましい面を緩和するという意味におきまして、株式保有や、役員兼任につきましても相当緩和をいたしました。なお合併等につきましても、後に申しますような若干の緩和の方向が出ておるわけでございます。  第四の不公正な競争方法、これは現行にすでにいろいろ規定してございますが、これは先ほど、今回の改正一つの大きな眼目といたしまして申しました通り、この問題につきましては若干の修正をいたしまして、これを今後の日本経済の正しい競争に役立つ一つの制度に育て上げたいというふうに考えて、第四にこういう方針をきめたわけでございます。  なお第五は、これはいずれ後に出て参りますが、再販売価格を維持するという契約は、考えようによりますると競争を相当制限する面があるのでございますが、一方におきましては、かえつて競争のよい面を助長するという面もございますので、この点につきましては特に、財界からの要望もございましたので、この際明らかに規定いたしまして、再販売価格維持契約はある範囲においてこれを適法行為であるということに法律の上ではつきりいたしたいということでこの第五が生れて参つたわけでございます。  第六の事業者団体法改正は、先般の国会におきまして大体きつ過ぎる面が是正されまして、独占禁止法の線まで下つてつて来ております。今回独占禁止法そのもの改正機会に、事業者団体法はこれを廃止いたしましてその必要な事項だけを独占禁止法の中に取り入れる、これは先般の国会でもそういう御要望がございましたので、それにおこたえいたしたつもりでございます。  第七といたしまして、これはいろいろ手続規定等にも若干の修正を加える予定でございます。これは大した問題ではございません。  以上が方針でございまして、次に要綱お話に入りますが、この中には、非常にこまやかに書きました面や、ばかに簡単な表現を用いておるところやはなはだふぞろいでございますが、これはいずれ法文になります場合には、適当な表現をもつて御審議をいただくことになると思いますので、この要綱につきましてはごくあらましの御説明を申し上げて、またいろいろ御質疑がございましたらそれにお答えいたしたいと考えます。  第一は定義のことでございまして、これは大した問題でございません。  第二が、外国事業者日本会社の株を持つ、あるいは役員を送り込んで参りましたり、あるいは国際契約日本事業者といたしまして、その契約を通じまして日本事業者国内における活動を制約するということが往往にしてございます。この点は現行独禁法でも取締り得るというふうにも考えられますが、これは解釈上いろいろ疑義もございますので、この際はその点をはつきりいたしまして、国内事業活動を行わない外国事業者についても、そのもの国内事業者契約をしたり、あるいは株を持ち、あるいは役員を送り込んで来ることによつて、直接間接に国内事業者活動を拘束する場合は、日本独禁法でできるだけ監視をしてもらいたいというのが、この要綱の第二でございます。  第三、第四は、これは定義を適当なところに移したものでございまして、第四は、先ほど申しましたカルテル一定取引分野競争を自主的に制限しなければよろしいということが、第四の定義の仕方で今度はつきりいたすことになるわけであります。  その上に持つて参りまして、要綱でははなはだ飛んでおりますが、第十八のところに参りまして、特定の場合におけるカルテル認容というのが第十八で、これが第四のところに自主的にはつながつて参ることになるわけであります。第十八の御説明は後に譲らせていただきます。  第五がちようど第五条に当るわけでございますが、これはいわゆる私的の統制団体を設立したり、それに参加することを禁止する現行法規定でございますが、これは終戦後に御承知のように私的統制団体がたくさんございましたものを、司令部の方で私的統制団体除去の政策というものを掲げましていろいろやりましたその一環の現われといたしまして、ここに第五条というような形が出たのでございますが、現在の状態になりますと、そういうような法律を置いておく必要はないように思いますし、なおこの規定と同じような趣旨の、一種のシンジケートというようなものにつきましては、後に事業者団体規制ということで適当に是正して参るということになりますので、この第五条はこの際潔く削除いたすことにいたしたのが第五でございます。  第六は、先ほどもちよつと触れました国際契約に関する問題でございまして、この点は、すでに国連等におきまして、いわゆる国際カルテルについての取締りということを非常にやかましく言つております。また最近に締結せられると予想せられます日米間の通商条約等の中にもこれに関連した規定がございますので、やはり日本事業者国際カルテルに入る、いわゆる取引制限的ないろいろな共同体に入つて行くということについては、やはり日本立場においてもこれを取締つて参ることが、この国際間の現在の傾向にまつたく合致するわけでございますので第六条の国際取引につきまするカルテル規制規定は残す必要があると存じます。もつともこの現行法の中には国内事業者同士取引規定もございましたが、これは今回はずしまして先ほど第四のところで申しました国内カルテル規制で事足りまするし、なお輸出入に関しましては、先ほど申しましたように別法律をもちまして適当にある場合はカルテルも認めて参ろう、こういうことにいたしまする結果国内事業者同士のいろいろな話合には第六条からはずしてしまうということにいたします。なお国際契約につきましては従前通り届出制は踏襲して参りたいというのが要綱の第六でございます。  第三章は現行法は、第八条のいわゆる事業能力較差規定がここにすわつてつたわけでございますが、これを削除いたしまして、そのあいたところへ事業者団体法規定をはめて、第三章を事業者団体といたしまして、要綱の第七にございますように、ちようど先般の改正によりまして緩和されました線をさらに簡素にいたしました形において、現行法のたしか一号から九号まであつたと思いますが、それをいろいろまとめまして、今回は一号から四号までの四つにいたしまして、これだけをこの事業者団体としてしてはならない行為として見て参りたい。こういうことでございます。第二項におきまして事業者団体定義を掲げておるわけでございます。ただしこの点につきましては、先般の改正の際は、純然たる営利団体は除くということになつておりますが、最近の事業界の動きを見て参りますと、先ほど申しましたようなシンジケート等取締りということが今後もやはり必要なように思いますので、一応この事業者団体——会社の形態をとりましても、二以上の事業者結合体であつて事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とするものにつきましては、一応事業者団体として取扱つて参りたいということにいたしたわけでございます。三項は事業者団体届出規定で、大体現行法届出をもう少し簡素にいたしまして残したいということでございます。  第四章は、いわゆるトラスト規制規定でございます。第八の持株会社禁止は、現行法規定定義の仕方がやや妥当を欠きますので、これを適当に是正いたします点にいささか修正が加えられたのでございますが、大体現行法持株会社禁止の線は今後も残して参りたいと考えて、第八にそういうことを入れておるわけでございます。  第九、第十は、会社が他の会社の株を持つ場合の規制でございますが、これにつきましては現行法規制を大分ゆるめまして、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合と、不公正な取引方法による場合の二つの場合だけを禁止することにいたしまして、その他の場合は不問にいたしたわけでございます。なお届出制現行法と同様にとりましたが、これも現行法は五百万円以上の会社というようなことになつておりましたのを、ずつと上げまして、総資産が一億円以上の会社につきまして届出制をとる、こういうふうな、あと若干届出についての規定もございますが、こまかなことになりますから省略いたします。第十の金融会社株式保有につきましても、現行はいろいろ規制をしておりまして、大体ある一つ会社株式を百分の五までしか持てなかつたのでございますが、これはすでに保険業法におきまして、保険会社につきましてはこれを一割に上げておりますので、保険会社以外の金融会社につきましても今回の改正機会に百分の十に引上げますと同時に、百分の十以上を持ちましても弊害のない場合も考えられますし、なお持つ必要がある場合もございますので、その点は認可制をしきまして、以上でも持てる場合を認めるというのが第十でございます。  第十一は役員兼任制限でございますが、これも現行法競争会社同士役員は絶対に兼任してはならぬことになつておりますが、これもややきつ過ぎますので、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な取引方法によつて無理やりに相手の競争会社役員を送り込むというような場合だけを取締つて参りたいということにいたしたわけでございます。なおこういうふうにゆるめました一面、総資産一億円以上の会社につきまして兼任の場合には届出制をとりたいというふうに考えております。  第十二は会社以外の普通の人あるいは法人等株式を持ちますことについての規定でございますが、これは大体最初にも申しましたが、第九の普通の会社が持つ場合と、大体同じにいたしたわけでございます。この点も現行法よりは大分ゆるんで参つて来ております。なお届出制を若干残して参りたいと考えております。  合併につきましては、先ほどの不当な事業能力較差規定を削除いたしまする結果、合併をしてはならない事由が三つございますうちの一つがなくなりまして、二つになりましたこととそれから合併につきましては、現行法でも認可制をとりませんで、一応届出をして参りまして、それから三十日内に公正取引委員会で取上げなければ、そのままずつと合併ができる。この三十日の不行為期間というようなものがあつたのでございますが、これは事情によりまして短かくできる。問題ないようなものにつきましては短かくできるというふうにいたしまして、この実益は、次の営業の譲り受け等について特に顕著に現われて参ります。  なお十四におきましては、固定資産の賃貸というものを制限規定に入れようと一応考えておりますが、これは後にいろいろ各省との折衝の結果、今度はとりやめることに大体なる予定でございます。  それから第十五が、今度の改正の三法案の柱とも申すべきものの一つでございますが、不公正な取引方法禁止。この点は現行法は不公正な競争方法という言葉を用いておりますが、この言葉がやや適当でないと思われます面が出て参りましたので、この点を不公正な取引方法というふうにかえまして、一から七まで掲げてございますような、要するに公正な競争秩序を侵害するおそれのあるようなこれらの行為を監視して参りたいということでございまして、この中で一、二、三、四とこの四つは、現行法規定の一号から六号までをややまとめて書いたものでございます。これは条文の際にはもう少しはつきりした形に表現できると考えております。五は、先ほど事業能力較差で申しましたように、非常に巨大な産業等が、その取引上の優越した地位を利用いたしまして、他の産業を圧迫する結果、ことに中小企業に酷な取引をするというふうな場合の取締り規定でございまして、言葉がはなはだ簡単に書いてございますので、これだけでははつきりおわかりにならぬと思いますが、これは条文になります際には、もう少しはつきりした表現にいたしたいと考えておりますが、気持はそういう気持規定でございます。  次に欺購的方法による取引、これはいろいろ誇大な広告をいたしましたり消費者等の知識の不足につけこみまして、いろいろなおもしろ長い売り方取引方法をいたします。それを今度は独占禁止法の線からも監視して参りたいというのが、この欺購的方法による取引——消費者に一番関係の深い、おもしろくない取引方法というものの取締りに関する規定でございます。  それから第七が、先ほど申しました株式の持ち方やあるいは役員の送り込み方や、あるいは合併営業譲受等をやります際に、あまりおもしろくない方法競争会社を支配したり、あるいはこれをなくしてしまうというような趣旨をもちまして、株式を買いあおつて、そしてその株にものを言わして合併に持つて行く、あるいは役員を送り込んでその会社を支配して参るというようなことは、大体現行法でもそういうことを禁止する趣旨が出ておるのでございますが、やや規定はつきりしておりませんので、今回はこの第七というところにそれをはつきり表わそうというのが、この第七の意味でございます。  なお第二項へ持つて参りまして、今あげましたようないろいろな表裏取引方法はやや抽象的に掲げてございます結果、実際の運用等におきましてはたしてどこまで行つたら不当になるかという点にはいろいろ疑義がある場合が出て参りますので、この第二項におきましてこれらの各号のものにつきまして、もつとより具体的にこれを告示等をもつて明らかにして参りたい。これにつきましてはその各事業界の人人とよく話し合いまして、こういう線以上越えた場合にはこれを不公正な取引方法と見る、こういうふうにいたしたいと考えまして、第三項にもございますような、その各事業につきまして必要に応じまして、公正取引協議会とでも申すようなものをつくりまして、それに案をかけ、その人々の意見を聞いて、そして適当な線を具体化いたしまして、そしてその上はむしろこの各事業者の方々に自主的にその線を守つていただく。いよいよいけない場合に公正取引委員会がこの規定をもつてその不公正な取引を排除して参りたい、こういうような考え方をいたしたわけでございまして、これが要綱の十五の二と三に掲げてある点でございます。  それから要綱の十六は、先ほどちよつと申し上げましたいわゆる再販売価格維持契約でございまして、これは日用品等につきまして、名前の通つたものにつきましては定価販売を正当化いたして行こうということがこのねらいでございまして、この点につきましては先ほども申しましたように業界の強い要望もございますし、各省意見等を徴しましても、これについてはいずれも賛成をして参つて来ております。もちろん価格を維持しまする結果、それが競争品のないようなものでございますと、メーカーが指定した不当に高い価格で消費者が押しつけられて、買わざるを得ないという面が出て参りますので、そういう面はまたここにも書いてございますように、他のしつかりした競争品がある、それと競争状態にあるという場合に、ある品物についてさし値を認めるということで行く、こういうふうないたし方にして参りたいと思います。出版物についても同じようなことがあるわけでございまして、出版物についても規定をいたしたいと考えております。  第十七の一定の組合の行為、この点は御承知のように現行法は協同組合につきましては特に適用除外を設けまして、一定取引分野における競争を自主的に制限することによつて、不当に対価を引上げることとなる場合以外は独占禁止法によつて攻撃せられるということのないようにしてございます。もつとも不公正な取引方法はやらぬことになつております。この二つの場合以外は独占禁止法から適用を除外されておるわけでございますが、しかしこの規定の仕方がやや不十分でございますので、今回はこれをもう少し広めまして、いわゆる不当に対価を引上げることとなる場合以外にも、その他消費者または関連事業者の利益を著しく害するような場合には、かりに協同組合の行為であつてもこれを是正して参りたい、こういうことにいたす予定でございますが、これにつきましては農林省等からも反対の意見がございましてこの点につきましてはわれわれもあえてわれわれの要綱の第十七を必ずこうしなければならぬというふうにも考えておりませんので、今後の各省の折衝の結果、要綱の十七はとりやめになるかもしれないのであります。  それから十八、これが最後の、また一番重要な点になつて参りますが、これが共同行為につきましては、先ほど申しましたように自主的に制限することにならなければよいということにいたしまする上に、特に必要と認められた場合は公正取引委員会の認可にかけまして、不況の場合のカルテル、あるいは合理化に必要なカルテルを認めて参りたい、こういう趣旨でございます。この点につきましては、最初の不況カルテルにつきましては、生産部門に属する事業者に限つてこれを認めて参りたい。なお認めまする場合に、いわゆる不況とは何かと申しますと、これはいろいろな書き方もございましようが、自己の生産にかかる商品の需給関係が著しく均衡を失するということと、その結果ここにございますように市価が生産費を下まわる、いわゆる赤字が出ておるということと、その結果事業者の全部または相当部分が立ち行かなくなつた場合、倒産というと少し言葉が強うございますが、または休業のやむなきに至るおそれがある場合、こういう事態に至りました場合に、これらの生産部門に属する事業者の生産数量、販売数量、設備の新設もしくは拡張を制限するカルテルを結成することができるということにいたしたわけであります。ここでお気づきの通り、販売の価格の協定は一応認めない建前でございますが、これも第二項へ持つて参りまして特殊のいろいろな理由によりまして価格協定まで行かなければ、どうしてもほんとうの目的を達せられない、不況を打開できないという特殊の事情のありますものにつきましては、価格を決定したり維持したり、あるいはある程度引上げるということのためにカルテルも認めて参りたいというようなのが、この第二項でございます。  これらの認可をいたしまする場合の基準につきまして第三項に書いてございますが、これはいわば仕事をいたします者の心組みで、これらのものをしんしやくいたしまして、公正取引委員会が認可をいたす。もちろんこれらにつきましては、最も主務大臣の意見というものを尊重すべきでございますので、特にこういうような経済的な面につきましては主務大臣の意見を尊重して認否を決定する、こういうことが第三項であります。  それから次に不況と別に、合理化カルテルをある程度認めて参りたい。これは大体標準化運動とか、あるいはそういうような技術的の面が主たるものでございますが、場合によりましては必ずしもあれに限定をされる必要はないと存じますが、この三の一号にございますように、技術の向上、品質の改善、規格の改良、生産費の引下げ、能率の増進、その他企業合理化を著しく促進するため必要な場合には、競争制限的な状態が生じましても、それはむしろプラスになる面が多いと見まして、合理化カルテルをやはり公正取引委員会の認可によりまして認めて参りたいというわけでございますが、しかしこれはあまり広範囲のものを認めますことは、いろいろな反対の弊害も出て参りますので、第二号におきましてカルテルは生産価格、販売その他事業活動の重要な競争の機能をなくしてしまうというようなものであつては困るということで、そこをやや制約して参るというのが、この第三号の趣旨でございます。なお、販売に関しまするカルテル、ものの利用または購入に関しますカルテルというものは一応は認めがたいのでございますが、しかし第三号のような特殊の事情のあります場合につきましては、そういうカルテルも認めて行けるという余地を第三号で規定いたしたわけでございます。この認可をいたします場合には、期間をきめましたり、あるいはいろいろな一定の条件をつけましたり、あるいは報告義務を課しましたりすることができるというのがこの第四項でございます。こういうカルテルはその後の運用によりましていろいろな弊害も出参りますので、第五に行きまして、そういうカルテルがしてはならない行為を一から四まで一応書きまして、こういう差別的でない公正な、またあまり拘束的でないものであるというようなことで保障いたし、かつその後の事情によりまして、カルテルはもうなくしてもよいという事態になりますれば認可を取消す、あるいは認可しました事柄の内容の変更を命ずるというような点が第六に規定せられておるわけであります。  あとなお廃止の届出、これは当然なことでありますが、なおこの点に関しましては、こういうカルテルを認めることを公正取引委員会が認可をするのが筋であるというふうにわれわれは考えておりますが、たとえば通産省等におきましては、これはむしろ主務大臣が認可をし、公正取引委員会の同意を得るというような形にしたいというふうにいつておりまするが、いずれにいたしましても、この公正取引委員会活動と主務大臣の見解というようなものは非常に密接な関係がございますので、われわれの案におきましても認可を決定したり、あるいは取消し、変更を命じます場合には、主務大臣の意見を聞いてこれを尊重するということをはつきり要綱にうたつてあるわけでございます。  なお、最後の不服申立と申しますのは、カルテルは御承知のように、その当該の事業だけに影響があるのではなくて、必ずや関連産業あるいは消費者にいろいろな影響を及ぼすものでございますので、一応公正取引委員会の認可いたしました場合でも、利害関係人から、こういうカルテルを結成されたために自分たちの事業がこういうひどい目にあつている、これは何とかしてくれなければならぬというふうに、いろいろ不服や異議がある場合が多々あると存じます。そういう場合には認可した後もそういう人たちの言葉を虚心坦懐に聞きまして、そしてカルテル弊害ということが認められます場合は、先ほど申しましたようなカルテル内容を変更を命じたり、場合によつては認可の取消しをするというような手段をとる。これが第九の問題でございます。  第十八が、今回の改正のかなり重要な眼目でございます。ただこの点につきましては、なお一歩進んでアウトサイダーを束縛するというような問題が残されておるわけでありますが、これにつきましては、われわれといたしましては、アウトサイダーを縛るという問題は、すでにこれは統制の問題でございまして、いわゆる独占禁止法の問題からは大分離れた問題で、もしその実際の必要があれば、特別な統制法規をもつてその問題を解決すべきであるという立場をとつております。この点はその後各省との折衝の面におきましても、このわれわれの見解が正しいというので、独占禁止法改正の中にはそういう問題は盛り込まないということについて各省との間にも意見の相違がないのが現状でございます。以上がわれわれの独占禁止法そのものに対しまする改正のいろいろな意見でございますが、最後に二十といたしまして、他の適用除外法令の改正の中で、輸出取引法につきましては、先ほど申し上げましたように、現行輸出取引法規定がいろいろ欠けておる点がございますので、この際独占禁止法改正と並行して、これに適当な改正が加えられてしかるべきだということで、ここに協定等を行い得る場合をさらに追加したらどうかということと、それから輸入についても必要に応じて適当なカルテルをある点で認める手続等につきましても、わずかの期間でございますが、先般の法律制定後の実績に徴しまして、適当な改正を加えるべきであるということが私どもの意見一つでございます。なおこれも先般国会通りました特定中小企業の安定に関する臨時措置法につきましても、この際さらに思いを新たにいたしましてああいう特定企業というようなことでなく、いわゆる臨時措置法としてでなく、一般法規として、中小企業について予定をしたような非常時にある程度のカルテルを結成して企業を守つて行くという方向に行くべきではないかと考えますので、最後にわれわれの意見をここにつけ加えたわけであります。これは輸出取引法も、中小企業臨時措置法も、いずれも通産省によつて現にいろいろ考究中でございます。われわれの意見もその際には大いに述べたいと考えているわけであります。  以上公正取引委員会といたしまして最近に発表いたしました要綱のきわめてあらましでございますが、御説明をいたしたわけでございます。これにつきましては各省の人に集まつてもらいまして、この案についての意見を広く求めました結果、今まで出て参りました意見は、通産省、経済審議庁、大蔵省、農林省、運輸省、それから今日あたり——これは口頭ですでに参つているそうでございますが、今日あたり正式の文書で外務省あるいは法務省あたりから意見が来ることになつておりますその意見についてはすでにお手元要綱案に対する各省意見という一覧表を差上げてあるそうでございますからそれを見ていただけばいいわけでありますが、どこの省もほとんど問題にしてないような点はこれから除いてございます。たとえば第一、定義がございまして、その次に第七に飛んでおりますが、この間の問題については各省とも意見が一致しているわけでございます。大体そうひどい意見の相違はないのでございます。この中で定義につきましては、いろいろ考え方もございますが、これは何とか話合いがつくと考えます事業者団体につきましても、これは一から四まで禁止事項がございますが、そのうちの二つは必要がないのではないかという意見が通産省からは出ておりますが、そのほかからは何も言つて来ておりません。それから第九の株式保有制限につきましては、金融会社もある程度の届出義務を課そうということでございますが、これは大蔵省からは、金融会社については一々届出をとることはどうかという意見もございました。私の方も大体これは金融会社からはとらないでも支障はないというふうに考えております。この点はあるいは大蔵省の意見になるかと存じます。これはもちろん公正取引委員会として常に何時でも届出をとろうと思えば別途とれるのでございますから、定期的にこういう届出をとるということは金融会社についてはなくしてもいいかと考えております。  第十の点は、一割以上の株式を持つものについて、大蔵省が、自分の方と協議してほしい。公取の認可でけつこうなのだが、協議してほしい。これもわれわれとしましては別段異議はないから、おそらくこういう大蔵省の意見のようになるかと存じます。それから役員兼任につきましては、経済審議庁からちよつとしたお申出がございますが、これは何とか適当に調整し得ることと考えます。  十三の合併制限についても、小さな企業については一々届出などとる必要がないではないかという大蔵省の意見がございますが、この点につきましては、われわれは一応届出はとるが、そういうこまかなものについてはきわめて簡素な方式の届出で足りるようにそういうふうに規則を適当に改めようと考えております。それから通産省から合併制限を削除するというような意見がございますが、この点はわれわれとしては同意いたしかねるので、今後折衝いたすことになると思います。  それから十四につきましても、これは先ほどちよつと申しましたように、大蔵省から、あるいは運輸省等から、われわれが一応考えました固定資産の賃借を一々届出をするということはいろいろ支障がある場合もございますので、あるいはこれは大蔵省、運輸省等の意見を尊重いたしまして、要綱の十四はとりやめることになるかもしれません。  第十五は不公正な取式方法禁止、これは少し今度追加した面もございますので、そういうような点は不必要ではないかというのが、通産省、審議庁の共通した意見でございます。しかしこの点につきましては、われわれは今回相当の重点を置いておるつもりでありますので、この点は今後この二つのお役所との意見の調節をはかる必要があると考えます。  それから十七につきましては、先ほど申しましたように農林省から強く反対をして参つておりまして、あるいは中小企業庁、あるいは中小企業の団体等からもいろいろ協同組合の活動をさらに制約するような改正は困るというような趣旨も来ておりますので、この点は先ほど申しましたように、われわれとしても必ずしも要綱の十七を固執しようとは考えておりません。  十八の一番大事な今度の改正の眼目につきましては、まず大体不況カルテルを認める場合につきましては、あまり大きな差はないのでございます。通産省、審議庁等につきましても格別そうひどい差はないのでございますが、ただたとえば生産部門と限つておりますのを、通産省ではすべての産業について不況の場合のカルテルが認められるようにしてほしいというような趣旨がございますが、しかしこの点は審議庁とその他の役所からは、すべて生産部門でよろしいというふうに言つて来ております。なお認めまする場合、いわゆる不況定義とでも申しますものにつきましては、おのおの各省からいろいろなことを言つて来ておりますがわれわれの線と違つおりますのは、われわれの方は赤字が出なければ不況カルテルというようなところまで行けないことになつておりますが、通産省の場合は赤字が出、あるいは出ることが必至である、その一歩手前というような気持でございまして、そういうような場合につきましてもカルテルを認めないと間に合わないというような気持がございまして、ここに若干の狂いがございます。農林省に至りましてはただ赤字が出ただけではいけない。著しく赤字が出なければ不況カルテルは認めるべきでないという、むしろ反対の、われわれよりもつときつい案が農林省の考え方でございます。  経済審議庁は大体私どもの線と同じで、書き方はいろいろ違つておりますが、大体同じであります。この点は主として通産省との間の意見の調節が必要になるかと思います。  それから認可権の点につきましては大体われわれは先ほど御説明いたしましたように、公正取引委員会が主務大臣なり関係庁の意見を尊重してわれわれが認可をして行くという建前にいたしてありますが、通産省と審議庁は、これはやはり各主務大臣が認可権を持つて公正取引委員会の同意を得て認可をするという形に行くべきであるというふうに言つております。もちろん審議庁は独占禁止法の中にそういうものを織込むことはどうかということになればまた別でありますが、通産省とは線が多少違つておるように見えますが大体この二つの役所からは所管大臣が認可をすべきであるというような意見それからもう一つ、通産省からは重要産業だけは認可にして、その他は事前届出制にしまして、三十日以内に別段に公正取引委員会等がそれは困るということを言わなければそれでよろしいという、ちようどわれわれが現行法合併にとつておりますような行き方を重要でない産業についてはこういう事前届出制度ということを通産省では言つております。そこら辺にいろいろ見解の相違がございますが、しかしその他の各省からは公正取引委員会意見とまつたく合致しておる次第でございます。  それから合理化カルテルにつきましては、これは大体生産部門ということになりまして、これはあまり——ただ経済審議庁からは販売部門あるいは金融部門についても合理化に必要なカルテルを認めるべきではないかという意見もございますが、この点は今後いろいろ折衝いたしまして、この合理化カルテル規定をもう少し具体化しませんと、実はほんとうのぎりぎりの議論ができないのでございますが、この点は今後大いに折衝いたしまして、おそらく経済審議庁あたりで考えていますような事柄はすでにわれわれの規定でもできるのではないかと思うのでございますが、そこら辺は今後条文のつくりぐあいその他によつて適当に各省との意見を調整して参り、認めるべきものは中に入り得るようにして行きたいというふうに考えております。  それからこの点につきましては農林省からはもつと公取案よりも強い、公取案では少しゆるいというような意見も出ております。大体全体を通じまして農林省関係は御承知のように農民というものが対象になつて参ります結果あまり強いカルテルなどをつくられてその結果関連産業であるところの農業にいろいろな不利益が行くことについて非常にしんちような態度をとつておるように考えられます。  なお外務省につきましてはここに出ておりません。先ほど申しましたように、本日あたり文書をもつて来るそうでございますが、これはすでに新聞紙等でも御承知のように、今回のこの改正につきましては非常な関心を持つておりまして、結局公正取引委員会の案がぎりぎりなところであつて、これ以上はゆるめるようなことがあつたら非常に困るという意見の申出があるそうでございます。  私の一応の要綱案の説明と、各省との今までの折衝問題の説明を終ります。なお明日あたりから各省との具体的な意見の調整をはかりまして、少くとも今週中に何とか一応の成案としての形をつくりたいというふうに考えております。  はなはだ簡単でございましたが、これをもつて終ります。
  4. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これにて当局からの説明は終りましたが、ただいまの説明に対して、何か御質疑がございますか。——別に質疑もないようでありますから、本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせすることといたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時十一分散会