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1952-12-16 第15回国会 衆議院 経済安定委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 遠藤 三郎君    理事 加藤 宗平君 理事 前田 正男君    理事 栗田 英男君 理事 吉川 兼光君    理事 下川儀太郎君       小川 平二君    佐藤洋之助君       綱島 正興君    横川 重次君       秋田 大助君    三浦 一雄君       志村 茂治君    八木 一男君  出席国務大臣         通商産業大臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      石原 武夫君  委員外出席者         通商産業技官         (公益事業局技         術長)     吉岡 俊男君         建設事務官         (河川局次長) 伊藤 大三君         専  門  員 円地与四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ————————————— 十二月十三日  委員福井勇辞任につき、その補欠として福田  一君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員越智茂君及び千葉三郎辞任につき、その  補欠として重政誠之君及び川崎秀二君が議長の  指名委員に選任された。 同月十六日  委員重政誠之辞任につき、その補欠として、  越智茂君が議長指名委員に選任された。 同日  理事福井勇君の補欠として加藤宗平君が理事に  当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  電源開発に関する件     —————————————
  2. 遠藤三郎

    遠藤委員長 これより経済安定委員会を開会いたします。  議事に入る前に理事補欠選任を行います。去る十三日理事福井勇君が委員辞任せられましたので、理事一名が欠員になつております。ただいまよりその理事補欠選任を行います。これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 遠藤三郎

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。それでは加藤宗平君を理事指名いたします。  次に前会に引続き電源開発に関する件の調査を進めます。  この際前会の委員会委員長に御一任を願いました参考人選定の件は、委員諸君のお手元に印刷物で配付いたしてあります通り東北電力株式会社社長内ヶ崎資五郎君、福島県知事大竹作摩君、東京電力株式会社社長高井亮太郎君、参議院議員、前建設大臣野田卯一君及び元公益事業委員会委員長代理松永安左ヱ門君、以上五名の方々をそれぞれ選定いたしました。以上御報告いたします。  それでは質疑を継続いたします。前田正男君。
  4. 前田正男

    前田(正)委員 大臣がお見えになるまで、少しく建設省政府委員の方に御質問させていただきたいと思います。過般新聞に、参議院委員会における答弁が載つてつたのでありますが、当委員会といたしましても、将来の参考人等の場合の大きな資料になりますので、この際念のため確かめておきたいと思うのであります。建設省においては、この水利権の問題については省議を開かなかつたということが出ておつたのですが、そういうことは事実であつたかどうか。
  5. 伊藤大三

    伊藤説明員 建設省省議の問題でありますが、省議におきまして論議いたす場合もありまするし、省議にかけなくて話を進める場合もありまして、大体省議にかけるような場合は法令案などでたまにかかるのがあります。この場合におきます水利権の問題につきましては、省議にはかけなかつたのであります。
  6. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、建設省の態度を決定されましたのは、どういう方法でいつ決定されたか。
  7. 伊藤大三

    伊藤説明員 この問題の決定につきましては、大臣とわれわれ河川局の者と集まりまして、御相談申し上げて決定せられたわけであります。
  8. 前田正男

    前田(正)委員 いつ相談を最終的に決定したか、それを聞かしていただきたい。
  9. 伊藤大三

    伊藤説明員 確実な日は、また間違いがありました場合には訂正させていただきますが、私の記憶によりましては、閣議の前の日か、その前の日あたりつたかと存じております。
  10. 前田正男

    前田(正)委員 次にお聞きしたいことは、この水利権を取消したのは第二十条であるわけですが、新しく東京電力許可されたのは十八条で許可した、こういう意味でありますか。
  11. 伊藤大三

    伊藤説明員 その通りでございます。
  12. 栗田英男

    栗田委員 ただいまの御答弁に関連をしてお尋ねをしたいのです。水利権移転決定省議が開かれなかつた、このように御答弁をされましたが、たとえばこういう書類処理方法というものは、大体係りの者が起案をして、逐次課長あるいは次長、局長、大臣という順序を経て、書類に捺印がされて最終的決定を見る、このように私は考えておるのですが、この場合にはどうしたのですか。
  13. 伊藤大三

    伊藤説明員 普通の事務書類処理につきましては、ただいま仰せのよな形式をとつて参るのでありまするか、この問題の決定につきましては、このいわゆる強権発動の問題はもみにもんでおつたわけでございますので、そういうような事務的な書類を下からつくつて行くということでなく、首脳部が集まりましてその方針決定いたしたわけでございますので、そのような事務的な書類処理して、判を押して行くというような段階はとつていなかつたのであります。
  14. 栗田英男

    栗田委員 そうするとお尋ねいたしますが、それでは閣議決定されたあとには書類を整理する必要がもちろんあると思いますので、閣議決定を見ましたあと書類措置というのは、一番最初に大臣が判を押しまして、だんだんと係りの者が逆に判を押して、今日建設省にこの書類が保存されてあるというのですか。
  15. 伊藤大三

    伊藤説明員 閣議において決定になりまして、いわゆる水利権の取消し並びに許可書類を下からつくり上げて持つてつたわけであります。
  16. 栗田英男

    栗田委員 そうすると、逆に判をもらつて建設省に保管してあると了承してよろしいのですか。
  17. 伊藤大三

    伊藤説明員 方針がきまりましてかり、その方針に基いて今のような書類をつくる場合もございます。下から書類をつくつて、それから大臣の決裁をもらう場合もあります。この場合におきましては、方針首脳部決定をいたしまして、それから事務的な書類は下からつくり上げて参つたわけでございます。
  18. 栗田英男

    栗田委員 この水利権移転の文書の処理方法は、大臣が先に判を押して、逐次下僚の判を押させて、建設省に保管してある、かように了承して間違いありませんか。
  19. 伊藤大三

    伊藤説明員 今の事務的な書類は、下から書類を全部つくりまして、最後に大臣の判をもらつたわけですが、この方針決定ということは、今申し上げますように首脳部で一応決定いたしまして、その方針によつて、それから閣議も経まして、その趣旨に基いて書類をつくつて参りました。こう申し上げております。
  20. 栗田英男

    栗田委員 大臣も参りましたので、この問題は十九日に元建設大臣が参りますので保留をいたします。
  21. 遠藤三郎

    遠藤委員長 通商産業大臣が出席されましたので、通商産業大臣への質疑を続けます。
  22. 栗田英男

    栗田委員 通産大臣お尋ねをいたしたいのですが、この水利権を強権的に移転をしたという建設大臣処分方法というものが、通産大臣として適当であつたかどうか、この点に対する通産大臣の御意見を承りたいと思います。
  23. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 あるいは方法において慎重を欠いた点があつたかもしれませんが、しかし当時の早期開発を必要とする際の決定としては適当であつた、こういうふうに信じます。
  24. 栗田英男

    栗田委員 私は通産大臣が全面的にこの措置は適当でなかつたと言われることを期待しておつたのですが、一部これを早期開発で認めております。私は大いにこの考え方が通産大臣と違いますので、以下数点にわたつて質問さしていただきます。  七月一ぱいで公益事業委員会が廃止になりまして、八月一日から通産省の方に移管をされました。そこでこの許可は七月二十五日に閣議決定いたしましたが、福島県知事認可を与えたのは八月四日でありますから、八月一日から八月四日までの間に、この電力主務官庁である通産大臣は、どのような相談といいますか、建設大臣協議をしたか、この点に関しまして御説明を願いたいと思います。
  25. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点につきましては、八月一日以降電力に関する問題が公益事業委員会から通商省に移つたわけであります。従いまして当時今の水利権の問題は全部建設省できめる問題でありますが、これを基礎とする発電の問題については、通産省に一応聞き合せがあるのでありまして、この閣議決定に基いた水利権を持つたものにこれを許すという建前から、当時通産省は同意したものと存じます。従いまして水利権を持つたものでなければ、発電許可が得られないのでありますから、私は通産省として同意したことは当然と思うのであります。特にこの許可には条件がついておりまして、これは栗田さんよく御存じと思うのですが、(栗田委員「よくわかつております」と呼ぶ)通産省としては問題がありますときには許可を取消すという二つの条件がついておりますので、通産省とつた処置は適当だと思つております。
  26. 栗田英男

    栗田委員 私が今通産大臣に聞いておることは、発電所許可じやない。発電所許可じやなくて、水利権許可する上において、建設大臣通産大臣はどのような協議をしたかということであります。
  27. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 いかなる協議があつたか存じません。
  28. 栗田英男

    栗田委員 それは私は非常に困ると思うのです。なぜ困るかというと、公共事業令の第五十九条によりますと「都道府県知事は、発電水力の利用について河川法第十七条から第十九条までの規定による許可又は認可申請があつたときは、意見を附して委員会に報告」する。従いまして福島県知事建設大臣公益事業委員会に対しまして、水利権許可稟伺をいたしております。しかしながら公益事業委員会は七月一ぱいでなくなつておるわけでありますから、この八月一日から八月四日の水利権認可の間までに、当然通産大臣建設大臣協議をしなければならぬ。その協議はどのような協議をしたかということであります。
  29. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私の知らないことでありましたので存じませんと言いましたが、事務的にはあつたのでありますから、政府委員から答弁させます。
  30. 石原武夫

    石原(武)政府委員 八月一日になりまして、通産省電力行政が移つて参りました。福島県からの稟伺は、当時公益事業委員会に出ておつたのですが、その書類は八月一日付で通産省に引継ぎました。それで八月一日以降建設省からお話がありまして、閣議決定趣旨も伺いまして、通産省といたしましては八月四日付で福島県に水利権に関する公益事業委員会に出ておりましたものに対する回答を出した。その内容は建設省福島県に出されたものと同様であります。
  31. 栗田英男

    栗田委員 ただいまの政府委員答弁に対して、私は非常な疑問があるのであります。どういう疑問があるかというと、八月一日に、公益事業委員会に提出をされた福島県知事稟伺書類は、通産当局においてこれを引継いだと言つております。しかしながら私が今日まで調査したところによりますと、この公益事業委員会に提出された書類は、八月十日まで梱包中であつたのであります。従いまして八月十日までに公益事業委員会福島県知事稟伺した書類は、通産当局に行つておるはずはありません。もし八月四日までにこの書類通産当局において処理したとするならば、これは明らかに公文書偽造であると思うのですが、これは番号が何番で、どのように処理したかということを御説明願いたいと思います。
  32. 石原武夫

    石原(武)政府委員 公益事業委員会仕事を八月一日付で通産省に引継いだわけでありますが、その当時公益事業委員会は木挽町にございました。それで後には事務所も移転しましたが、引継いだ当初は、その現場においてそのまま引継いだのであります。それ以後いろいろ事務上不便だというので今の場所に引越しをいたしましたが、しばらくの間はあの場所使つてつたのであります。従つて現場において引継いだのは八月一日ということになつております。なお書類番号の点は、ちよつと今わかりませんので、後ほど調べてお答えをさせていただきたいと思います。
  33. 栗田英男

    栗田委員 この問題は十九日に参考人を呼ぶことになつておりますので、そのときまで私は留保いたしますが、番号だけはあとでおわかりになつたらお知らせ願いたいと思います。  次に、通産大臣お尋ねをいたしたいのでありますが、八月の中旬に通産省から大蔵省に対しまして、上田本名分が本年度において大体二十億金がかかる。そこでその二十億のうち十二億円をひとつ何とかしてくれないかといつて見返り資金放出依頼状を、私の調べたところによると公文で出しております。はたしてこういう事実があるかないか、お答えを願いたいと思います。
  34. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 そういう公文は出ております。
  35. 栗田英男

    栗田委員 しかりとするならば、はなはだ奇々怪々であります。発電所新設通産大臣許可したのは、一体いつでございますか。
  36. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 九月二十六日であります。
  37. 栗田英男

    栗田委員 通産大臣上田本名発電所新設を九月二十六日に許可をしておいて、八月中旬にこれに金を出してくれないかといつて大蔵省に十二億円という厖大なる見返り資金を融資してくれと公文書で頼んでおることは、まことに不可解であると思います。この点につきまして、通産大臣の御説明をお願いいたします。
  38. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 政府委員より答弁をいたさせます。
  39. 石原武夫

    石原(武)政府委員 公共事業令に基きます許可をいたします場合には、その一つの要件といたしまして、その工事をいたします財政的基礎と書いてありますが、資金的見通しがついておるかどうかということを審査の上許可をすることになつております。従いまして通産省といたしましては、閣議決定に基きまして、東北早期電源開発をやらすのだという趣旨に基きまして、公共事業令による申請が出ておりましたので、それを処理いたします場合に、はたして東北電力がこの工事をやるだけの資金的な準備と申しますか、それがあるかということを検討いたしたのであります。その場合に、御承知のように、新規の相当大きな電源開発については、従来も見返り資金が出ておりますので、東北電力について調べましたが、見返り資金がつかないということでございますれば、独力ではなかなか困難だ思います。従いまして、他にありますように、新規開発早期にやるという閣議決定がありますので、当時大蔵省が所管しておりましたので、見返り資金をこの工事についてつけるかどうか、これは大蔵省が最終的に御決定になることでございますので、それでわれわれの方としては、大蔵省にかような閣議決定趣旨がきまつており、私の方にその申請が出ておるので、これを審査するのに対して、大蔵省として見返り資金をこの工事につけるかどうかということで照会をいたしたのであります。
  40. 栗田英男

    栗田委員 政府委員は大分こじつけのような説明をしておるのでありますが、大体この上田本名水利権を強権的に取上げるときに、すでに金を出そうということはきまつてつたのではありませんか。
  41. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまのお尋ねの点は、当時われわれが関係をいたしておりませんので、何とも承知しておりません。
  42. 栗田英男

    栗田委員 今、政府委員から公共事業令によつて財政的基礎が確立しておるかどうかということが、この許可の第一条件だということを言われました。これはもつともであります。これは公共事業令の第二十八条にこのことが明確化されておる。これは第三号である。しからば、これよりももつと大切な第一号はどうかということ、一般需用に適合しておるかどうかということが、発電所新設許可の第一条件である、しからば一般需用に対して適合しておるかどうかということに対、する御説明を願いたい。
  43. 石原武夫

    石原(武)政府委員 その点は、その開発地点におきます電力需給から申しまして、その開発が必要であると申しますか、それを開発して、その地区需用に充てる必要があるかどうかということでございます。東北地方におきましても、現状におきましては、電力は相当逼迫をいたしております。従つて需給バランスを合わせる、あるいはそれに近づけるためには、かような地点開発が必要であるというふうに考えたのであります。
  44. 栗田英男

    栗田委員 それでは、それに関連してお尋ねいたしますが、東北電力東京電力と比較した場合に、どちらが需用が逼迫しておると思いますか。
  45. 石原武夫

    石原(武)政府委員 これは、その許可をいたしました当時でございますが、一応その当時におきます需給バランスが破れておる程度は、東京の方が少し多いと考えております。
  46. 栗田英男

    栗田委員 私は今の説明にも非常に食い違いがあると思う。東北電力というものは、大体電力が余つておりまして、東京電力に対して一箇年間に大体三億五千キロワット・アワーくらい売電しておる。しからばこの発電所新設というものは、どういうときに使われるか、この発電所は何に使われるかというと、いわゆる渇水期のピーク時にこの電力を使用する。そこでこの電力需給状態から見ると、もしこれを東北電力が使用すると、たとえば水が非常に多かつた電力か非常に多かつたとき、何で調整するかというと、水が多くてできた電気は、需用家にたくさん使つてもらうという方法によつて調整しようというのが、東北電力の思想です。もしこれを東京電力に使用させるときは、東京電力は非常に火力発電をやつておるから、火力発電をただちに中止して、電力が非常に多かつた場合に対処するとか、あらゆる運用というものが、むしろ私は東京電力の方がいいと考えておりますので、今の答弁に対しましては満足はできません。  そこでもう一つは、今あなたは第三点で、財政的基礎が確立しておらなければ困るというので、八月の中旬に大蔵省に対しまして、資金を放出してくれないかということで依頼状を出したそうでありますが、その結果はどうなつたか、ひとつ答弁をお願いいたします。
  47. 石原武夫

    石原(武)政府委員 通産省からの照会に対しまして、大蔵大臣から通産大臣宛に、見返り資金から融資を必要とするだけについては、これを融資するように考慮するということでありまた。
  48. 栗田英男

    栗田委員 金額は。
  49. 石原武夫

    石原(武)政府委員 書いてございません。
  50. 栗田英男

    栗田委員 考慮するという大蔵省からの御回答があつたそうでありますが、その考慮に対しまして——大蔵省東北電力に対しまして、きわめて親切な考慮を払つておりますが、その考慮の結果に対しまして、通産大臣の知れる範囲の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  51. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私が承知しておるところでは、十二億出すことになつて、うち六億を開発銀行から借りておるそうであります。
  52. 栗田英男

    栗田委員 本年度において上田本名の分に対しまして、大蔵省から十二億見返り資金として出す、そのうちの六億円をすでに出したということに対しましては、通産大臣答弁満足をするものであります。そこでこの上田本名に対しまして、十二億という見返り資金わくを設けたということは、他の新設工事と比較してはたして適当であろうかどうかということを、通産大臣に御説明を願います。
  53. 石原武夫

    石原(武)政府委員 十二億という数字は、約六割に当るかと思います。本年度所要資金が二十億と一応推定されておつたのであります。それの約六割と思います。それでこれは、他の電源地帯について見返り資金から出しておる比率と、そう大差はないと思います。必ずきちつと六〇%というわけでなく、五十数パーセントということになるかと思いますし、まだ第四・四半期の分が全部決定しておりません。これがきまりましたあかつきに、はたして全部六〇%になるかどうかははつきりいたしませんが、大体六〇%という目途で、ほかの地点も出すことになつております。
  54. 栗田英男

    栗田委員 ただいまの政府委員答弁は、まことにでたらめであります。なぜでたらめであるかというと、すでに開発銀行に対しまして、通産省からは上田本名に対して十二億円のわくをきめてしまつたので、他の新設工事との均衡上非常にぐあいが悪いというので、これを調整するために、あと二十六億出してくれぬかということを、開発銀行に対して通産省から依頼をしておるという事実もあるのであります。しかしながら、これはまた別の問題といたしまして、この書類から今の答弁に対して御質問をいたしたいと思うのであります。それでは今までの九電力会社の本年度新設工事に対しまして、一体見返り資金からどこの地点に幾ら出されたかということの御説明を願いたいと思います。
  55. 遠藤三郎

    遠藤委員長 今資料を調べておりますから、次の点をどうぞ。
  56. 栗田英男

    栗田委員 それでは大臣お尋ねいたします。発電所新設許可するかどうかということで、九月十二日に仙台市において聴聞会を開いたのですが、聴聞会を開かない前にすでに大蔵省に対しまして、十二億の資金を融通してくれぬかということを通産大臣依頼するということは、私は少しおかしいと思うのですが、それに対しまして通産大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  57. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 それは私は見込みを聞いたのであるから、当時早期開発を急いでおるという事情から見れば、余儀なかつたかと思います。
  58. 栗田英男

    栗田委員 この聴聞会のとき、特にとの電力需給状態から、早期開発ということで政府は逃げるのですが、一合の問題は、電気業者というものは何が一番責任があるかというと、いかなるものに対しても電気供給を拒んではならない供給責任というものが、電気業者の一番大きな仕事であります。そこで仙台における聴聞会において、特に関東地区からは、いわゆる大口需用者の日本鋼管その他関東代表の二百四社から、電力需給上これは非常に困る。上田本名東北電力に許してはいかぬという非常に反対が、当日の聴聞会において行われたのでありますが、これらの反対意見に対して、通産大臣はどのようなお考えを持つておられるか。
  59. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 東京側から強い反対があつたことは承知いたしておりますが、また東北側に非常に賛成意見もあつたように、私は伺つております。
  60. 栗田英男

    栗田委員 もちろんそれは東北側にしたら賛成でしよう。私は通産大臣が両方の意見を聞いて、どちらに与えてやることが適当と考えるかということを聞いておるのであります。
  61. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 当時の大臣決定しました通り東北側決定したのを、私は適当と思います。
  62. 栗田英男

    栗田委員 通産大臣お尋ねいたしますが、昭和二十七年の十月十八日に、総理府告示第二百三十七号で、電源開発基本計画が発表されております。この電源開発基本計画添付事項の中に、おのおの新設工事地点が出ております。もちろんその中に東北電力株式会社の施工するところの、今時の水利権上田本名も入つておるのであります。そこでその基本計画に対しまして、第三条によつて基本計画がおそらくとられたと思います。この第三条によつて、やはり官報を見ますると、東京電力から利害関係人として、「三十日以内に、政令の定めるところにより、国の行政機関の長にその意見を申し出ることができる。」ということで、異議の申立をいたしております。これに対しまして通産大臣経審長官は、「しんしやくして必要な措置を講じなければならない。」ということが、電源開発促進法の第三条の第四項にありますが、これに対しまして、どのようにこれをしんしやくして、必要な措置を講ずるかということに対して御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  63. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 政府委員から答弁をいたします。
  64. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいまの件に関しまして、公表事項の中に上田本名がございまして、公表したのでありますが、この公表に対して、所定の三十日以内に東京電力の方から意見申入れがありまして、意見申入れ政令にあります通り、第一次的には主務官庁の長に申出ることになつておりまして、現在通産省の方に意見申立てがございます。
  65. 栗田英男

    栗田委員 通産大臣に対しまして意見の申出があつた。しからばこれに対して通産大臣は、これをしんしやくして、どのような必要な措置を講ずるか、これに対しまして御答弁を願いたいと思います。
  66. 石原武夫

    石原(武)政府委員 通産省といたしましては、水利権が現状のまま東北にあるのであるという前提であれば、当然東北開発をやらすべきだというふうに考えております。水利権は御承知のように係争問題になつておりまするが、その決定いかんによりましては、移譲に条件をつけておりますが、水利権東北にある限りにおいては、東北にやらせるべきだと考えております。
  67. 栗田英男

    栗田委員 そうしますと、水利権東北電力にある以上は、「しんしやくして必要な措置を講じなければならない。」という第三条第四項の規定を準用しないということで了承してさしつかえございませんか。
  68. 石原武夫

    石原(武)政府委員 通産省としては、ただいま申し述べましたように考えております。
  69. 栗田英男

    栗田委員 大臣お尋ねいたしますが、先ほど大臣は、この発電所新設許可にあたつては、条件を付してあるということを申されましたが、その条件を私了承はいたしております。しかしながら、この場合に問題になることは、上田本名発電所新設許可というものが失効になつた場合には、この東北電力が建設した既設の発電設備というものは、どのように措置をするか、これはきわめて重大な問題でありまするので、この点、大臣の今後のために明確なる御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  70. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 栗田さん御承知の通り、つけてある条件水利権に関する行政処分が取消された場合は、今度の場合も取消しとなりまして、従いまして、水利権の問題が取消されました場合におきましては、それらのことは一切相当の条件東京電力に引継ぐものと、私は常識的に了解いたします。
  71. 栗田英男

    栗田委員 それはもちろん東京電力に引継ぐということは、常識的に了解するといいますけれども、その発電工事の請負金額その他から推して非常な問題があると思いますが、その点に関しまして大臣の御答弁をお願いいたしたいのであります。
  72. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 もし引継ぐ補償金額その他について問題がありますれば、何らかの調停機関のようなもの、あるいは最後には裁判になるかもわかりませんが、そういうような方法によりまして解決をすべきものであろう、これも常識的に私は考えます。
  73. 栗田英男

    栗田委員 ただいまの上田本名の問題でありますが、この基本計画を見ますと、もちろんこれは基本計画添付事項ではありますが、この添付事項の中に、この基本計画決定する上において、電源開発調整審議会において、この上田本名基本計画の中に添付する上において、どのような論議が行われたかということを、御答弁願いたいのであります。
  74. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この前にも御説明申し上げましたように、基本計画決定事項の中には上田本名のように、九電力開発する地点あるいは自家発等で開発する地点は入つておりません。審議の対象になつておりません。あくまでも基本事項に基きまして、一つの参考資料といたしまして添付して公布するのでありますが、そういう事情でありまするから上田本名地点に関しましては、審議会といたしましては、ほとんど審議しておりません。
  75. 栗田英男

    栗田委員 そうすると、基本計画の大綱を決定をするときに、その過程において、これほど大騒ぎをいたしました本名上田水利権の問題が、しかもこれはもちろん基本計画の中に、それを審議する必要はないかもしれないが、しかしながら、添付事項として上田本名は、これは出ておる、従つてその委員会において、このような大きな問題になつたのですから、当然私の常識からいたしますると、電源開発調整審議会において、この問題が取上げられなければならなかつたと思うのであります。従つてそれが電源開発調整審議会において取上げられておつたかどうか、話に出たかどうかという点を聞いておるのであります。
  76. 佐々木義武

    佐々木政府委員 審議の対象事項には取上げていません。
  77. 栗田英男

    栗田委員 もちろん基本計画には取上げられなくてもいいのでありますが、要するに基本計画というものには、日本全体で発電量を幾らにする、それがためにはどことどことどこの発電所をやつたらいいかということは、私は審議過程において当然問題になると思うのであります。しかるにかくのごとく重大問題であるところの本名上田を審議の対象として審議会において話題も出なかつたという、その電源開発調整審議会の審議の低調ぶりに対しまして、国民とともにまことに遺憾千万であるということを、私は政府側に申し上げたいと思うのであります。  そこで私は通産大臣に御希望するのでありますが、通産大臣は有力な、しかも欲深く、経済審議庁長官と通産大臣の二つの資格を持つて委員に入つておるのでありますから、大いに、活発に御論議をいたしていただきたいと思いますが、通産大臣、この点はいかがですか。
  78. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今後電源開発調整審議会等におきましては、栗田さん仰せの通り、私も活発に議論をいたしたいと考えております。そして論議を十分尽したい、かように考えております。
  79. 栗田英男

    栗田委員 この発電所新設許可にあたつてお尋をいたしたいのでありますが、閣議決定を見ますと、直下流において発電所新設をしておる。すなわち宮下、柳津、片門、おそらくこれを指しておると思います。これをやつているのだから、上の工事はまことに便利なんだということが閣議決定の重大なる理由になつております。ところがさらに今日阿賀野川の揚川と上野尻の二地点を、東北電力は未開発地点として持つており、揚川は八万キロ、上野尻は六万キロと記憶しております。本名上田より発電量においてはるかに多いのでございます。ところが本名上田許可する前に、東北電力はそういう人のものをとらなくてもすでに持つておるのですから、こういうものは新設許可に、通産省としては対象にならなかつたかどうか、この点に関して御説明を願いたいと思います。
  80. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今問題になつております本名上田の方が、工事も下の工事等の関連でやりやすい。それから地点としても有利だということで、先にやろうということになつたのだろうと思います。
  81. 栗田英男

    栗田委員 そうすると、ただいまの政府委員の御答弁だと、地点として有利であるということになれば、自分が持つてつても、人のものをとつてつてもいいというのですか。早期開発上必要ならば……。これは驚くべき暴論といわなければならないと思います。
  82. 伊藤大三

    伊藤説明員 揚川の問題でございますが、揚川は一番下流にあります関係で、逆調整の問題で、相当研究を要する問題がありますのと、地盤の調査とかいうような、そういういろいろな調査がまだ十分でないということだと思います。
  83. 栗田英男

    栗田委員 今揚川の問題に対しまして御説明がありましたが、もちろん揚川は、本名上田に対しまして川幅は広い。それに対して落差は少い。しかも砂利層が非常に多いというようなことで、本名上田に対しまして条件は悪いけれども、自分の持つておるところの水利権でありますから、私は早期開発の熱意があるならば、そういう点は十分克服して、自分の持つておるところの水利権許可するように、主務官庁としても指導することが適当である、かように私は考えております。大臣のお考え方はいかがですか。
  84. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今十分なお答えができませんが、個々の場合について考えて指導するほかあるまいと存じます。
  85. 栗田英男

    栗田委員 それから見返り資金の融資の問題に対しまして、政府委員は調査をして報告するということでありますが、その調査は完了いたしましたかどうか。
  86. 石原武夫

    石原(武)政府委員 二十七年度新規開発地点として、見返り資金の対象に取上げた地点を申し上げますと、中部電力の井川、北陸の神通川第二、この二地点はすでに見返り資金が支出済みでございます。それから次に申し述べますのは、政府として内部で打合せをいたしまして、開発銀行にこれらの地点を取上げて融資をしてもらいたいということで、申入れと申しますか、連絡済みのものは、北海道の層雲峡、東京の須田貝、関西の打保、中国の柴木第一、第二、第三、四国の伊尾木川九州の相浦、以上の地点であります。
  87. 栗田英男

    栗田委員 そういたしますと、あなたの御説明を聞きますと、新規事業として見返り資金の融資の対象になつたものは、井川と神通の第二だ、このように了承してさしつかえありませんか。すでに放出しているものは……。
  88. 石原武夫

    石原(武)政府委員 すでに放出済み  のものはその通りであります。
  89. 栗田英男

    栗田委員 しからば、井川と神通第二に対して幾らの見返り資金になつておるか、御説明願いたい。あわせて出力も御答弁願いたいと思います。
  90. 石原武夫

    石原(武)政府委員 お答えいたします。井川は出力は十三万六千キロワットであります。それから見返り資金は四億であります。その次の北陸の神通川第二、これは出力は四万キロワット、見返り資金は二億五千万円であります。
  91. 栗田英男

    栗田委員 ただいまの見返り資金の放出は、どこから調査したかわかりませんが、私の調査によると、十二月一日現在といたしましては、井川に一億五千万円しか出ておりません。それから神通第二に対しては、新規事業として一億しか出ていない。しかも私が非常に疑問があると思うのは、この後第四・四半期に対しては、新規事業に対して幾ら出すかということがまだきまつておらない。ところがもうすでに本年の二月十二日に、経済安定本部から、緊急電源開発要綱というものを発表している。この緊急電源開発要綱の中には、今の井川も神通第二も入つている。新規事業として入つている。ところが上田本名というものは入つておらない。これは九月二十六日に無理やりにつつ込んだ。ところが井川と神通というような、経済安定本部の二月十二日の緊急電源開発要綱の中に入つているところの発電所が、今あなたは四億とか五億とか言つておりましたが、十二月一日現在の調査によると、井川は一億五千万円、それから北陸の神通第二は一億円しか融資をされておらなくて、第四・四半期に幾ら出すかということはまだきまつておらない。ところが本名上田の分に対しては、両方で九万四千キロであり、井川は十三万六千キロで、今日まで一億五千万円しか融資をいたしておらないで、第四・四半期においては幾ら出すかきまつておらないという状況である。ところが九月二十六日に決定した本名上田工事は、この井川の工事よりも少くて、神通川とほぼ同じであつて、すでに六億円の金を出しておる。そればかりじやありません。第四・四半期においてなお六億円を融資するというように、すでにこれは決定いたしておるのであります。先ほどあなたは、他の新規事業に対しても、見返り資金の配分はきわめて公平であるということを言つておりましたけれども、これを見て一体何が公平であるか。これほど不公平なやり方は、これは東北電力に対してのみきわめて不可解なるところの融資方針でやつているということを断定せざるを得ないじやありませんか。これに関して通産大臣の明確なる答弁をお願いいたしたいと思います。
  92. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 一応政府責任者からお答えいたさせます。
  93. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま御指摘がありました中部、北陸につきましては、手持ちの資料お答えいたしましたので、あるいは仰せのように実績について食い違いがあるかと思いますので、これはよく調べてからまたお答えをいたしたいと思います。計画としては、さようになつておることだけ申し上げておきます。
  94. 栗田英男

    栗田委員 ではもう一つお尋ねいたしますが、今あなたは北海道の層雲峡であるとか、あるいは東京の須田貝、中国の柴木、四国の伊尾木、九州の火力発電所の相浦等に対しまして、新規の融資を今運動しておるということを言つておりましたが、これに対して今幾らやつておるのか、御答弁願いたいと思います。
  95. 石原武夫

    石原(武)政府委員 一つ一つ申し上げます。
  96. 栗田英男

    栗田委員 全部まとめて大わくでけつこうです。
  97. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ちよつと計算が概略でございますが、約八億二千五百万円くらいかと思います。
  98. 栗田英男

    栗田委員 そうすると八億二千万という金ですが、第三・四半期の分でございますか、それとも第三・四半期と第四・四半期を入れたものが八億二千円ですか。
  99. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま申しましたのは第一・四半期以降第三・四半期までの分で、第四・四半期だけは入つておりません。
  100. 栗田英男

    栗田委員 そういたしますと、私は今の政府委員答弁によりますと、東北電力に対しまして十二億というわく新規事業に出しておるので、その均衡上八億二千万円を出さなければならないということでもつて、目下政府側は運動しておるわけですか。
  101. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいま申しました地点につきましては、かねてから二十七年度新規計画として考えておつたわけであります。従いまして、これらにつきましては、特に上田本名との関係ということでございませんで、当初からこういうものは二十七年度の計画として考えておりましたので、これを目下関係の向きとも相談をいたしまして、開発銀行とも話をしております。大体のところは開発銀行とも打合せ、開発銀行も大体了承しておりますので、ほぼこれに近い数字で近く融資が行われるだろうというふうに考えております。
  102. 栗田英男

    栗田委員 そういたしますと、電源開発見返り資金の大わくは三百億でありまして、今度上田本名に十二億というのは、これは別わく融資をやるというのですか。この点をひとつ……。
  103. 石原武夫

    石原(武)政府委員 この点につきましては、われわれの方としては、当然そういう希望を持つておりまして、実はこれは大蔵省が最終的に御決定なるのでございますが、この間衆議院の予算委員会だと思いましたが、大蔵大臣もさような御趣旨の御答弁をしておられたように思いますので、われわれとしてはさように考えております。
  104. 栗田英男

    栗田委員 そういたしますと、電源開発のいわゆる最初の計画は三百億、それから別わく融資として十二億、さらにあなたが申しました他の八電力会社合計八億二千万円、合計三百二十億二千万円と了承してよろしゆうございますか。
  105. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今のお話のうち、三百億と十二億のほかに、われわれは、今開発銀行その、他と話合い中で、決定をいたしておりませんが、さらにふやしてもらいたいという希望を申しております。その額は二十六億円です。と申しますのは、当初電力資金計画をつくります場合に、上半期、下半期おのおの二十六億程度の肩がわりということが考えられておつたわけです。従いまして、電力会社の本年度資金計画をつくりますときに、下期におきましても、開発銀行の市中肩がわり分が約二十六億あるという予定で計画ができておつたわけであります。ところがそれがその後の状況で肩がわりが行われませんので、その分をひとつ電力の方にまわしてもらいたいということを希望いたしております。ただこれがどの程度その希望が達成されますかは、まだただいまのところきまつておりませんので、はつきりしておりませんが、われわれの方といたしましては、二十六億肩がわりということできまつてつた分は、これを電力にまわしてもらいたいということで折衝をいたしております。
  106. 栗田英男

    栗田委員 そういたしますと、今あなたは八億二千万円を新規に出してもらいたいということを言つておりますけれども、あなたの話を聞くと、そうするとさらに八億二千万円でなくて、ほんとうは二十六億ということですか。
  107. 石原武夫

    石原(武)政府委員 私の申し上げますのは、トータルといたしますと、三百億は当初からきまつておりました。これのほかに、年間の計画で申しますと、二十六億肩がわり分があつた。それが肩がわりが行われるなら直接融資に切りかえてもらいたい。こういう考えでございまして、そのほかに十二億がもし財源が許すならば、これもひとつ追加をして出してもらいたい。こういうのがわれわれの方の希望数字でございます。
  108. 栗田英男

    栗田委員 その十二億の財源が許すならばということは、どういうわけですか。十二億は上田本名分のことでしよう。あなた方は十二億を非常に言葉のごまかしをしておりまするけれども、財源が許すならばということは、それなら三百億の大わくの中から十二億を出そうということなんですか。
  109. 石原武夫

    石原(武)政府委員 私が申し上げたのは言葉が悪かつたので、恐縮でございますが、十二億はお話のように、これは三百億のそとであるというふうにわれわれも考えおります。それから先ほど申しました二十六億でございますが、この分はいろいろ開発会社としても、資金計画として年初の通り動いていないようでありますので、その分は財源が許すならばという意味でございますので、先ほど十二億と関連して申し上げまして、はなはだ恐縮でございました。
  110. 栗田英男

    栗田委員 そういたしますと、三百億が大わくで、それから十二億というものは、すでに大蔵省の方からわくをいただき、なお通産省の希望としては、そのほかに二十六億ほしい。合計三十八億ほしい。しかしながらこの二十六億というものは、まだ大蔵省の問題もあるだろうし、開発銀行の都合もあるだろうし、従つて二十六億は決定しておらないと了承してよろしゆうございますか。
  111. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今お話の通りでございます。
  112. 栗田英男

    栗田委員 見返り資金の融資の方法というものをしさいに検討いたしますと、新規工事見返り資金の配分がきわめて不均衡であり、一方的であるということを私は申し上げまして、私の質問は、通産大臣もお忙しいようでございますから、留保いたしておきます。
  113. 前田正男

    前田(正)委員 大臣に関することだけ一つお聞きしたいと思いますが、通産大臣といたされては、八月四日に回答されるにつきましては、通産省としてはどういうふうな手続をもつて、いつその態度を決定されたか、大臣お答えを願いたと思います。
  114. 石原武夫

    石原(武)政府委員 私からお答えいたします。通産省としては八月一日に御連絡を受けましたので、普通の事務手続によつて、上司の決裁を得て回答をしております。
  115. 前田正男

    前田(正)委員 何日に……。
  116. 石原武夫

    石原(武)政府委員 八月四日付で回答を出しております。
  117. 前田正男

    前田(正)委員 その省議を開かれたと思いますが、その省議はいつ開かれたか、ちよつとお答え願います。
  118. 石原武夫

    石原(武)政府委員 この場合は省議を開いておりません。
  119. 前田正男

    前田(正)委員 通産省としての意思決定は何日に行つたのですか、その点……。
  120. 石原武夫

    石原(武)政府委員 四日付で決裁になつておりますので、四日と考えております。
  121. 前田正男

    前田(正)委員 ここでちよつと大臣にお聞き願いたいと思いますが、七月二十五日に閣議決定をされておるわけでありますが、通産大臣とされては、そのときにいかなる意思をもつてこれに賛成しておられたか。当然この決定は、七月一ぱいにおいては公共事業令というものがありますので、七月一ぱいにこの水利権認可を出すことができない。従つて八月に入つてこの認可を出すということについては、明瞭であるわけです。だから八月四日に建設省認可を与えておるわけです。従つて七月の二十五日に開かれました閣議のときには、通産省とされてはどういう意味でそれに賛成されたか、それをお伺いしたい。
  122. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 それは私どもは早期開発に最も熱意を持つて早期開発を急ぐ関係上、東北電力側の方が早期開発が期待し得る、またその次には、本地点に関する調査とか設計を東北電力は完了しておりまして、また地元民も非常に好意的な態度のうちに、地方の補償関係なども順調に進んでおりますので、工事を施工しようとすれば、ただちに着手することができる態勢にあつたこと、また先ほども出ました本地点の下流に、柳津、片門両発電所を現に工事中でありまして、その工事の準備を容易にし、かつ下流の既設の発電所との総合運営上も有利であつて、相互連絡も容易である、こういう観点からこの案に閣議賛成をしておるのであります。
  123. 前田正男

    前田(正)委員 理由はよくわかりましたけれども、八月の四日通産省として意思決定されておるのに、二十五日に閣議賛成しておられるということは、大臣とされては通産省の意思と反したことを、あるいはまた未決定なことを大臣の専断で閣議でやることができるものかどうか、その辺のお答えをひとつ願いたい。
  124. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 当時の閣議建設省の提案でございまするが、水利権許可あるいは不許可の権限を持つておる建設省の案でありまするので、それからただいま申し上げたような説明等も当時あつたと承知しておりまして、従つてこれに賛成したものと存じます。
  125. 前田正男

    前田(正)委員 それはしかしながら八月一日以後においてこの認可許可が降りるということは、明瞭になつておるから、七月二十五日閣議決定のときは、七月一ぱいにおいてこの認可を与えるというならば、それは通産大臣は単なる国務大臣として賛成をされる、これはけつこうでありますけれども、八月一日以降において、この認可が出るということは明瞭になりますならば、公益事業令に基きまして、当然通産大臣許可がなければこの認可を出すことはできない。従つて通産省から許可されましたのは、八月四日であります。八月四日に通産省回答しておる。その前に閣議でこれを決定されるということは、通産省の公益事業令に基くところの意思決定に反した閣議決定をしておられる、あるいはまた意思決定のないものを閣議決定しておる、こういうことになると私は思うのであります。この問題はまたもう一度お伺いいたしますが、もう一つ大臣にお聞きしたいのは、大臣はやはり経済審議庁の長官を兼ねておられるのであります。経済審議庁は八月一日から発足したのでありますが、その以前の安本の中におきましても、あるいは経済審議庁においても、両方におきまして、電源開発基本計画というものは、経済審議庁もそれから安本もこれは行うことになつております。この電源開発促進法によりますならば、電源開発会社がやらないところは審議会にかける必要はありません。しかしながら権限によりますと、基本計画の立案の権限を経済審議庁は八月一日から持つておる。その前の経済安定本部もその権限を持つておるわけなんです。従つて当然事前に相談がなかつたわけでありますが、相談がないものをなぜ閣議決定のときに承認されたか、これをひとつ伺いたいと私は思うのであります。
  126. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 これは当時の電源開発法は、いわゆる本流案とか分流案といつたような根本問題に触れるものではありませんので、さような決定を見たものと承知しております。
  127. 前田正男

    前田(正)委員 時間がないようですから、なるべく簡単にいたしますけれども、しかしながらこの基本計画により立案するにあたりましては、電源開発会社がこれをやらないかやるかということは、この基本計画の一番大きな問題です。従つてこの電源開発会社が、只見川はやらないということを、これは当時の経済安定本部の長官の意思を聞いて決定さるべきものであつて、それの相談なしに閣議で承認される、意思決定されるというようなことは、私は経済安定本部の権限に反するものだと思いますが、これは大臣どうお考えになりますか。
  128. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 個々の地点の問題は、経済審議庁の取扱うべき問題でなくて、これはやはり全般の問題についての基本問題だけを経済審議庁で審議するわけでありますので、上田本名の問題については取上げなかつたのも、当時としては適当であつたと私考えます。
  129. 前田正男

    前田(正)委員 今私がお話しましたように、個々の地点をどうするかということは、それはなるほど経済審議庁の権限ではありません。しかし電源開発会社において、この地点はやるかやらないか、ということは、審議会にかけて将来きめるべきものである、従つてこれはどこの会社がやるか、東北電力にやらすか、東京電力にやらすか、それはなるほど経済審議庁の権限ではありません。また審議会にかけるべきものではありません。しかしこれを電源開発株式会社においてやるかやらぬかということは、これは電源開発促進法の第十三条第二項にも書いてありますが、電源開発会社から主務官庁に申出があるわけです。これを待つて電源開発会社がやるかやらぬかということをきめてからやるべきである。当時電源開発会社というものはこれから発足すべきものでありまして、その事務を担当しておつたものが経済審議庁であります。従つて経済審議庁は、この地点電源開発会社でやらすべき地点であるかどうかということについて意見を求められるのがこの権限に基く当然の権利であると思います。これは東京電力にやらすとか、東北電力にやらすとかは別問題です。しかしこれをやらすべきであるかどうかということの意見を求めらるべきであると私は思う。それを意見を求められないで、閣議決定するということはおかしいと思いますが、それはどうでしよう。
  130. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 当時の事情を知つておる佐々木政府委員答弁いたさせます。
  131. 佐々木義武

    佐々木政府委員 この法律十三条によりますと、先願優先ということになておりまして、電源開発株式会社は自分でやりたいと思う地点であつても、その地点に対してほかの担当者が計画を付して、それが適当であり、かつ実施が可能であるならば、優先的に許すというふうにうたつてございます。その趣旨から申しましても、できるだけほかの開発担当者に開発をゆだねまして、どうしてもそういうほかの担当者では開発が困難だと思われるような地点を、電源開発株式会社がやるべきだというふうにうたつてございます。そこで今の上田本名地点でございますが、この地点に関しましては、閣議水利権付与、あるいはこの開発主務者というように、この法律のできます以前にきまつていますので、当然これは実行可能なものとして、先ほども申しましたように、公表の手続をとつたわけでございます。  なお最後の御質問の、それでは閣議決定します際に、その事前に安定本部に相談あるのがしかるべきじやないかという御質問でございますが、この点に関しましてはもちろん大臣あるいは次官等には御相談つたのじやなかろうかというふうに考えます。
  132. 前田正男

    前田(正)委員 それはいつ建設省から安定本部に御相談があつたか。建設省政府委員もおることだし、あるいは通産省、安本の政府委員もおられますが、いつその相談があつたか、それをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  133. 佐々木義武

    佐々木政府委員 事務的にと申しますか、局長あるいは次長、課長等からは安定本部にはこの水利権の付与の過程におきましては相談は受けていないように承知しております。
  134. 前田正男

    前田(正)委員 どうもやはり受けていないように私は思うのですが、建設省政府委員はどうですか。安本に相談されたのですか。
  135. 伊藤大三

    伊藤説明員 水利権の付与の問題につきましては、法的にそういうことは私らとしては必要ないと考えるわけであります。なおその問題につきまして、慎重の態度をとらなければならぬという意味が閣議の線に出まして、閣議においてこの決定を見たわけでありまして、閣議には安本の長官も出ておられることと私は存ずるのでありますから、この最高の責任者が出ておられまするところへお諮りしてあるという以上、この連絡をもつて一応の連絡はついたと、こう考えるわけでございます。
  136. 前田正男

    前田(正)委員 それはなるほど電源開発促進法というものが国会で審議されておる途中であるとか、あるいはまだ審議されていない、こういう場合ならよくわかります。しかし国会の意思におきまして、すでに法律は成立しておつたときでありまして、七月三十一日にはこの法律はもう施行になつておるわけであります。その過程におきまして、これはちやんと法律の明文に書いてある。只見川はその電源開発会社がやろうという地点の中に明文に書いてあるわけです。しかもこの経済審議庁はこの覧源開発会社の創立事務——そういうことに対する担当の責任を持つておるわけでありますから、当然これを電源開発会社がやるべきかどうかということについて諮問があるべきものでありまして、この経済審議庁の権限によりまするならば、第四条の第十五号に、「電源開発に関する基本的な政策及び計画を企画立案すること。」と権限がちやんと書いてあります。こういうような明瞭な権限から見ましても、当然この電源開発会社においてこれをやるべきものであるかないかということに対する、建設省から当時の安本あるいは経済審議庁に対して相談すべき必要があるものと私は思いますが、そういうことは必要ないとお考えになつておられますか。
  137. 伊藤大三

    伊藤説明員 先ほど佐々木政府委員から御説明もございましたように、決定いたしておりますものにつきましては、優先という意味で、その電源開発会社の只見川の地点につきまして、上田本名については、これはもう電源開発会社の範囲外においてやるものとせられて取扱つた、こう私も考えておるわけであります。
  138. 前田正男

    前田(正)委員 そんなでたらめなことはありません。水利権の設定されておるところはたくさんほかにもあります。しかし今後電源開発会社がやつて行きますことは、水利権が設定しておりましても、この電源開発会社が取扱う場合においては、その水利権を取上げて、そうして政府がやつて行くということに電源開発促進法にちやんとその趣旨が載つておるわけです。水利権を設定しておるところでも、電源開発会社は民間会社が水利権を設定しておるところはやらない、そういうものではございません。それは当然民間がそういう水利権を持つてつても、電源開発株式会社としてはやるかやらぬかということは、基本的な計画として電源開発会社が主務官庁に申出てから、そうして審議会におきましてこれを決定して、これはやるところ、やらないところ、こういうことになつて来るわけです。現にいろいろ問題になりましたところの、天龍ですか、ああいうところの問題も出たが、すでに民間の持つておりましたところを、電源開発会社がやつておるというところがたくさんあるわけであります。しかも私らがこの電源開発促進法を制定するにあたりまして、只見川と明記してある。従つて当然この両地点につきましても、一応電源開発株式会社がやるべき地点であるかないかということについては相談があるべきだと考えるのですが、そんなことは相談する必要はない、こういうふうにお考えになるのですか。
  139. 伊藤大三

    伊藤説明員 私の申しましたことに、もし誤解が持たれましたならば、私もその点についておわびしなければならないのでございますが、もちろん電源開発調整審議会が成立いたしまして、たといほかの会社が水利権を持つておる場所につきましても、電源開発会社においてやるということが決定になりますれば、決定の線に沿いまして、これを変更なりあるいは取消しなりいたして参らなければならないと存じまするが、その当時におきましては、電源開発促進法の施行令も実はまだ未制定でございますし、従つて電源開発調整審議会の発足もまだ見ていないというような実情にございましたので、この点につきましては、急ぎまして実は決定して参つたのであります。
  140. 前田正男

    前田(正)委員 私は説明を了解することはできませんが、さらにひとつお聞きしたいと思いますのは、通産省に今聞いたと同じことでございますけれども、通産省は、これを八月に入つて公共事業令に基いて意思決定をするということは、明瞭になつておるわけです。従つてその意思決定をすることがまだ行われていないときにおいて、七月二十五日の閣議決定の前に、建設省としては意思決定をされたようでありますが、そのときに通産省はこれに賛成の意思決定をするものとお考えになつてつたのか、あるいは建設省として意思決定をなさる前に通産省と話合いがあつたのかどうか、その辺をちよつとお聞かせを願いたい。
  141. 伊藤大三

    伊藤説明員 公共事業令五十九条に基いて、公益事業委員会から県へ意見が述べられます場合において、建設省相談になる、こういうことになるわけでありまして、むしろ建設省といたしましては、この点受動的な問題でございます。決してこれをたてにとる、こういう意味ではございませんが、そういうような立場に立つております。それからこの点につきまして、建設省といたしましては、閣議の直前までというものは、この条件的な措置をとるかとらぬかということの態度を十分にまだ決定いたしておりませんので、それまでにおきましては、これについてわれわれの方から官庁仁義といたしまして御相談もいたす段階にもなつていなかつたのであります。それからこの閣議決定になりまして、処理を進める場合におきまして、この手続が遅れたのは、実はわれわれの方といたしましては、官庁仁義に欠くという点においては遺憾な点もございましたが、ただ時期的に私の方から連絡をいたさなかつたわけでございます。
  142. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますと、どうも説明が明瞭でないようですけれども、今のお話を私が総合いたしますと、閣議決定の前には、建設省として意思決定をされる前には、通産省との間には相談がなかつた通産省との了解を得てなかつた。そうしてその効力は——公共事業令の発効される八月一日以降において認可を与える、こういうことは明瞭になつておる。この事業会に基きますと、河川法の第十七条から第十九条までの規定による許可であります。新しく東北電力に第十八条で許可なつたとさつきお話になつておりましたが、その許可されるにつきましては、通産大臣意見を求めなければならぬ、こういうことになつております。そうするとそういつたような、この公共事業令が発効されてから正式の認可が行わるべきものに対して、閣議決定の前においては、公共事業令に基くところの協議とか、あるいは通産大臣に対する意見を求めるということが行われなかつた。そうするとこの閣議決定というものは、公共事業令の精神に違反する閣議決定が行われた、こういうことになるわけではありませんか、どうですか。
  143. 伊藤大三

    伊藤説明員 五十九条のその条文は、知事から公益事業委員会意見を求める規定でございまして、建設大臣からその公益事業委員会意見を求める規定ではございません。河川法に基きますところの認可の処分、それが私の方に参りまするのと、それから公益事業委員会の方から知事さんの方へ意見が行く、二つが知事さんの方に参るのでございます。
  144. 前田正男

    前田(正)委員 その第二項によりますと、「通商産業大臣は、前項の規定により意見を求められたときは、建設大臣協議するものとする。」という事項でありますが、通産省に対しては、公益事業委員会にすでに稟伺が出ておつたわけでありますから、当然道府県知事からその認可申請があつたときに、この通産大臣に対して意見を求めておつたわけでありますから、これは当然五十九条の第二項によると、通産大臣建設大臣協議しなければならぬことになつているわけです。
  145. 伊藤大三

    伊藤説明員 公益事業委員会の方面からその御協議がなかつたのでございます。それから公益事業委員会から知事さんの方に意見がその当時あつたのか、これは私は存じません。
  146. 前田正男

    前田(正)委員 そうしますとその閣議というものは、公共事業令が発効して、しかる後に認可するということがわかつていて、そうして通産大臣建設大臣協議が行われないで閣議決定をした、こういうことになるわけですか。
  147. 伊藤大三

    伊藤説明員 閣議決定のときまでには、公益事業委員会から御協議はなかつたのでございます。
  148. 前田正男

    前田(正)委員 この点につきましては、法制関係の人と、その閣議の効力とか、あるいは公共事業令の発効との間の閣議決定の問題についての有効、無効の問題につきまして、もう少しく私法律的に研究いたしてから、さらに大臣等に対しまして意見を述べたいと思います。  先ほどの質問にちよつと関連するわけですけれども、栗田君の質問で非常にわかりにくかつた点は、見返り資金の融資の基準というものが当然あるわけなんです。もちろん出力が大きいから見返り資金がよけい出るというわけじやないのですけれども、工事金額とか、あるいは工事量とか、あるいは出力とか、——もちろん出力が大きいと発電機のかつこうなんか大きくなつているわけですが、何か見返り資金については融資基準というものがあると思うのです。その点、今度の開発地点については、東北電力の方によその開発地点に比べてよけいに金が出たような印象をさつきの質問で受けるのですが、何か基準があると思うのですが、その基準を説明してください。
  149. 石原武夫

    石原(武)政府委員 本年度見返り資金を、新規電源開発地点及びすでに二十五年度から着工している——これの方が金額では多いのでありますが、それに出す大体の金額は五〇%ないし六〇%という程度を考えて見返り資金をつけておるという状況でございます。
  150. 前田正男

    前田(正)委員 その五〇%、六〇%の基準というものがあると思うのであります。工事費とかあるいは全体の発電機の費用とか、何かそういつたようなもののどの部分に対して見返り資金を出すとか、何か標準なしに、片一方にはよけいに出して、片一方には少く出すというはずはないと思います。その辺ひとつどういう標準で出しておられるか。
  151. 石原武夫

    石原(武)政府委員 ただいまも御説明いたしましたように、本年度たとえば三百億というわくがございますると、その中にはすでに継続工事費が相当ございますので、これはまず第一に優先的に取上げる。継続工事はすでに二十六年度見返り資金が出ておる。それを本年度も継続してやるという分は、優先的に見返り資金を出す。なおその残りと申しますか、余裕で、その金額と各会社の新規開発したいという地点の計画とにらみ合せて、そうして新規地点を選んで行くという関係であります。
  152. 前田正男

    前田(正)委員 今のお話は地点のお話であります。そうじやなしに、私はその地点々々の比較において、片一方の発電所は何億出す、片一方の発電所は何億出す、そのときにはこの発電所はこれだけの工事量があるから、これだけの発電機がいつて、これだけの費用がいる、従つてそれの五〇%を出そうとか、こつちの発電所についてはこれだけの土木工事がいつて、これだけの機械代がいるから、そのうちのどの部分を幾ら出そう、こういうものは大体一律にやつてあると思うのです。それの基準があると思うのですが、それを伺いたい。
  153. 石原武夫

    石原(武)政府委員 二十六年度当初におきまして計画をいたしましたときには、大体六〇%はぜひつけたいということで計画をいたしました。従つて継続工事の分については、大体六〇%という目途で、これを各一半期ごとにつけますから、年間が全部済みませんと、はたして幾らついたことになるかわかりませんが、当初におきましては六〇%をつけたいということで計画をいたしております。ただ先ほどの御質問でお答えいたしましたように、当初の計画のうち、市中肩がわり分が事実上下半期に行われないというようなことで、当初の計画が何らかの形で補完されないと、六〇%という率を全部そのまま年間を通じて適用することは困難になりまして、従いましてその間に、もし先ほど申しましたように、今後のプラスが可能であるかいかんによつては、年間として各地点バランスをとるように、多少六〇%を調整しなければならぬというように考えておりますが、まだ第四・四半期を使つておりませんので、当初はできるだけ六〇%ということでございますが、もし財源その他の関係でこちらの希望通り行きませんあかつきにおきましては、第四・四半期で各地点同じ平均になるように調整をいたしたいと考えております。
  154. 前田正男

    前田(正)委員 先ほどの十三万キロの発電所と今度の本名上田発電所は、両方とも六〇%になるわけです。これは発電能力も大分違うから土木工事の金額も違うわけでしようが、片方は四億、片方は六億と非常な差があるように思います。けれどもそれは両方とも工事量の六〇%ずつを融資した、こういうわけですか。
  155. 石原武夫

    石原(武)政府委員 それは工事の大きさによりまして金額も違いますし、計画完成の期間によつても違いますが、その年度におきまする所要資金を一応算定いたしまして、それをベースに率をかけるわけでございます。今お尋ね新規地点は、先ほど申しましたように、財源関係がございますので、さしあたり資金をつけると言つております地点につきましては、大体五〇%という率をつけてございます。これは先ほど申しましたように、できるだけ第四・四半期に調整して六〇%にしたいというような考えを持つております。
  156. 前田正男

    前田(正)委員 只見川は何パーセントですか。
  157. 石原武夫

    石原(武)政府委員 本名上田につきましては、実はいきさつを多少申しますと、大蔵省見返り資金がつく可能性があるかどうかを聞いたわけですが、考慮されるという返事によつてこちらは公共事業令許可いたしております。その後東北電力会社が大蔵省見返り資金の要求と申しますか、申請をいたしておりましたが、見返り資金の問題が開発銀行に移管されることになりましたので、具体的にはさらに東北電力開発銀行と折衝いたしまして、その結果、私が聞いておりますところでは、大体十二億、さしあたりは六億というふうに決定をしたと聞いておりますが、われわれの方の希望といたしましては、当初大蔵省には、われわれの方針といたしまして六〇%をなるべく確保してもらいたいということで、約十二億という要望をいたしましたが、開発銀行には、はつきり十二億とか幾らという数字はまた私の方からは要求として出しておりません。ただ大体そうした基準で出るということは一応きめられただろうと思いますが、開発銀行が年間必ず十二億を出すということははつきりしていない。具体的な工事の進捗状況その他をにらみ合せまして出すとしても、年度内にはたして幾ら出るか、まだ必ずしも確定していないように私は聞いております。
  158. 栗田英男

    栗田委員 ただいまの前田君の御質問に関連してお尋ねいたしますが、八月の中旬に、通産当局から大蔵省に対しまして、本名上田に対しまして本年度において二十億かかるんだ、従つて融資をしてくれぬかということを依頼をいたしました。そこで大体十二億のわくがきまつたのですが、来年の三月までに、二十億を、東北電力本名上田の何に使うか、もちろん資料も準備されてあると思うのですが、そこでその資料が今出ればけつこうですが、なければ、十九日に必要でありますので、十八日までに御準備を願いたいと思います。
  159. 石原武夫

    石原(武)政府委員 今のお尋ねは、三月までの所要資金ですか。
  160. 栗田英男

    栗田委員 二十億の内容でございます。
  161. 石原武夫

    石原(武)政府委員 承知いたしました。
  162. 三浦一雄

    ○三浦委員 十二月十日に、大臣から電源開発五箇年計画の概要が出ております。つきましては、すでに電源開発の問題につきまして、具体化された問題についての論議並びに研究も大切だと思いますけれども、将来の五箇年計画そのものについて、われわれは深い認識を持ちたい、こう思うのです。つきましては、現在三百八十八億キロワット・アワーの電力を五箇年後には五百五十億キロワット・アワーの電力開発したい、こういうことでございます。従いまして、この基礎になつておるところの諸案は、これは固いものだとは心得ておりません。しかしながら、すでに大臣がかような御計画を本席で御発表くださいましたのですから、その基礎になる計画の概要といいますか、そのことをもう少し細目にわたつて資料として御提示を願いたいと思います。すなわち、現在の電力需給関係一つ、それから五箇年間における需給の見通しについてのお考え、これは買い方別に——そのわけ方はおまかせいたしますが、重工業とか化学工業とか、いろいろあると思いますが、なるべく了解しやすいように願います。それから第二は、水力を四百億キロワット・アワーに高めるのですから水力、火力を通じて百六十何億という増加になるわけです。そこでこの資料にあるように、公共団体でやるとか、あるいは電力会社でやるとか、あるいは自家用でやるとか、電源開発会社でやるとか、この四つにわけて、どういう計画をやるか、なおその際にできるならば、地点並びに開発電力の予定数量、それからこれに要する資金の概要、それをひとつ適切な配列のもとに御作成を願いたいと思います。その地点は、申すまでもなく北海道、東北いろいろあるのですから、従来の整理方式に従つて、ひとつ作成を願いたいと存じます。なるべくすみやかに、お手元にあることですから、お願いしたいと思います。
  163. 佐々木義武

    佐々木政府委員 ただいまの資料の要求でございますが、五箇年間の所要出力とか、あるいは開発計画といつたような概略はございますけれども、各担当者別、あるいは地点別、あるいは地域別といつたようなところまでは、深く入つておりません。この前大臣からお話がございましたように、五箇年聞の需用を大体想定をいたしまして、それに必要な電力がどのくらい、またどのくらいの出力が必要か、それを火力、水力等に配分する場合にはどうなるであろうかというような資料はございますけれども、毎年別の、各地点を詳細に各担当者別に積み上げた作業までまだ至つておりませんので、御要求の趣旨に沿えるかどうか疑問に思いますけれども、できるだけの資料は御提出いたしたいと思います。
  164. 三浦一雄

    ○三浦委員 もう一点。佐々木部長の御苦心も察せられます。つきましては、それはこういう点をごしんしやく願いたい。開発地点等を具体的にきめかねるという説明も理解できます。けれども、この地点開発する場合には取上げなければならぬだろうというくらいは、皆さんも御案を持つておるのじやないか、それは動くことを前提としてもよろしゆうございますから、それらは場合によつては、備考欄にでも書くとか何とかして、この五箇年の全貌が各地区によつてほぼわかる程度でございませんと、単に札の上でこうしたいのだといいましても、将来の電源開発の施策を推進するについては、不十分だと考えますから、その点はごしんしやくしてよろしゆうございますから、なるべく希望に沿うような資料をひとつ御提出願いたい。
  165. 佐々木義武

    佐々木政府委員 繰返すようでありますが、所要資金が全体でどのくらいというふうなものは出ておりますけれども、二十八年度分に限りましては、まだはつきりこれが本ぎまりというところまでは行つておりませんが、検討の過程の資料はございます。二十九年度以降の地点に関しましては、ただいま各担当者からの、こういう地点をやりたいという希望の地点はございます。たとえば、県ではこういう地点を取上げたい、電力会社ではこういう地点を取上げたいという希望の地点がございますので、そういう地点を、ただ希望としてまとめ上げまして、提出する程度でよろしゆうございましようか。
  166. 三浦一雄

    ○三浦委員 大体御当局も私たちの要望は御理解のようですから、一応つくつて、配付していただきたい。それからさらに検討したい、こう考えております。
  167. 遠藤三郎

    遠藤委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十六分散会