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1953-02-21 第15回国会 衆議院 外務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十一日(土曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 栗山長次郎君    理事 池田正之輔君 理事 戸叶 里子君       今村 忠助君    植原悦二郎君       西川 貞一君    馬場 元治君       松田竹千代君    安東 義良君       楠山義太郎君    高岡 大輔君       並木 芳雄君    帆足  計君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君  出席政府委員         保安庁次長   増原 恵吉君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         保安庁保安局長 山田  誠君         外務政務次官  中村 幸八君         外務事務官         (大臣官房審議         室勤務)    島  重信君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 二月十九日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として田  中稔男君が議長の指名で委員に選任された。 二月十九日  千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百  二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三  十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の  原産地虚偽表示防止に関する千八百九十一年  四月十四日のマドリツド協定への加入について  承認を求めるの件(条約第四号) 同月十八日  沖繩教育行政権日本復帰促進に関する請願(  江崎真澄紹介)(第二一五一号)  坂戸町地内開拓地駐留軍通信施設設置に関す  る請願松山義雄紹介)(第二一五二号)  都井岬に駐留軍施設設置反対に関する請願(伊  東岩男紹介)(第二一五三号) 同月二十日  沖繩教育行政権日本復帰促進に関する請願(  水谷昇紹介)(第二二九三号) 同月二十一日  大和村に駐留軍宿舎設置反対請願中村高一  君紹介)(第二三九〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  航空業務に関する日本国グレートブリテン  及び北部アイルランド連合三国との間の協定の  締結について承認を求めるの件(条約第三号)  千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百  二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三  十四年六月二日にロンドンで修正された貨物の  原産地虚偽表示防止に関する千八百九十一年  四月十四日のマドリツド協定への加入について  承認を求めるの件(条約第四号)  国際情勢等に関する件     —————————————
  2. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまから外務委員会を開きます。  最初に、外務当局から本委員会に対する報告の件をごひろういたします。ポンド決済の件は、大体安東委員の話された線に沿うて日本政府の意向をとりまとめ、目下事務的手続としてインドネシア政府に照会中であるので、近日中に経済局から御報告できると思います。  去る二月四日、済州島付近の公海で漁業中の日本漁船に対し、韓国側が発砲及び漁夫を射殺した事件があるのでありますが、これに関する外務大臣報告及びさらにこれに対するわが方の措置等について、外務大臣説明を求めます。
  3. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 去る二月四日に済州島の西方距岸約二十マイルの海域で、本邦の漁船の第一大邦丸及び第二大邦丸韓国側漁船らしきもの二隻から銃撃を受けまして、その後拿捕され、しかもその際第一大邦丸乗組員一名が頭部に盲貫銃創を受けて死亡した事件が発生いたしました。その後第一、第二大邦丸済州島に抑留されておりましたが、二月の十六日に釈放され、同日米国軍艦の護送のもとに、佐世保に帰港して、二月の十八日在日国連軍防衛艦隊当局から佐世保アメリカ海軍司令官を通じて、船体と乗組員と双方ともわが方に引渡されたのであります。  両船の帰港によつて発生事件の経過がようやく明らかとなりまして、その状況国連軍海軍とはまつた関係のない韓国船によつて公海上で加えられた行為である。また乗組員被害者拿捕の際受けた銃撃によつて死亡したものである。この二点が確認されたのであります。本件につきましては、まだ報告がはつきりいたしません二月十三日でありますが、韓国東京代表部に対しまして、口上書をもつて外務省から抗議をいたすとともに、拿捕船及び乗組員即時返還方要求するとともに、特に今申しました第一大邦丸乗組員射殺が事実であるとすれば、わが方でもこれは深甚な考慮を払わざるを得ないのであるから、その事情の有無を至急調査して回答するように要求をいたしました。  なおこれととも、在京の米国大使館に対しまして、同じく十三日付の口上書をもつてこの事件を通報するとともに、国連軍がかかる事件再発防止するために取締りを厳重にし、かつ韓国政府に対して、本件漁船乗組員をすみやかに釈放帰還せしむるようにあつせんを希望することを申し出てそのあつせんを依頼しました。なお乗組員射殺の点についても、現地当局について調査の上回答方を依頼いたしたのであります。これに基いていずれも調査等を進めておつたと思われるのでありますが、今回漁船が帰りまして、その事情が明らかとなりましたので、韓国代表部に対して、さらに十八日付の書簡をもつて重ねて抗議をいたしました。かつ責任者の処罰とか事件再発防止とかいうような措置をとり——これは常にこういう事件が起つたときの措置でありますが、こういう一連措置をとることを要求いたしました。なおこの際かかる事件が頻発することは、日韓両国親善関係樹立しようとする努力に対して、いい影響を与えないのであるということが懸念される旨を述べて、韓国側の注意を喚起しておきました。  私としては、本件がもちろん故意で行われたものでなくして——本件というのは射殺事件でありますが、間違いで起つたことと期待しておるのであります。従つてわれわれとしては、日韓両国間の従来の特殊の関係、ことに独立後の韓国との友好関係樹立の必要を強く感じておりまする現在、また李承晩大統領が先般来日された場合の声明等もありますので、もしこの事件解決されて、今後かかる問題が再発しないということが信じられるような状況であるならば、本事件を、将来長きにわたつて日韓友好関係樹立の阻害となるようなことにさせないという決心で努力をいたすつもりでおります。
  4. 栗山長次郎

    栗山委員長 この件に関する質疑等は次に譲ります。     —————————————
  5. 栗山長次郎

    栗山委員長 次に、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にへーグで、及び千九百三十四年六月二日にロンドンで修正された貨物原産地虚偽表示防止に関する千八百九十一年四月十四日のマドリッド協定への加入について承認を求めるの件を議題といたします。政府側から、提案理由説明を求めます。岡崎外務大臣
  6. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 ただいま議題となりました原産地虚偽表示防止に関するマドリッド協定への加入について承認を求める件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この協定は、一八九一年六月十四日にマドリッド最初に成立し、その後三回修正され今日に至つております。今回わが国加入いたしますロンドンで最後に修正されたマドリッド協定は、一九三八年八月一日に効力を生じ、現在その締約国は、十六に上つております。  この協定は、締約国の一またはその中にある場所を原産地として虚偽に表示した生産物をその輸入に際して差し押え、輸入を禁止しまたは国内において差押える等の措置によつて不正競争防止することを目的としたものであります。すなわちこの協定は、すでに公私の貿易及び通商において国際的に承認された公正な慣行を取入れたものにほかならないのであります。  わが国は、一昨年九月八日にサンフランシスコにおいて平和条約調印に際し、この協定加入する意思を宣言いたしておりますのみならず、この協定加入することは、わが国国際信用を高め、国際通商におけるわが国の地位の改善に資するゆえんでありまして、本件について御承認を求めたい次第であります。  以上の事情を了察せられまして、慎重御審議の上、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。
  7. 栗山長次郎

    栗山委員長 本件に関する質疑次会に譲りたいと存じます。     —————————————
  8. 栗山長次郎

    栗山委員長 次に、航空業務に関する日本国グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件に関する質疑を許します。並木芳雄君。
  9. 並木芳雄

    並木委員 この日英航空協定で一番問題になりますのは、交換公文であろうと思います。その交換公文には、英国日本請求権が存在するものとして、沖繩のことを特にあげてあるのであります。これは今までの政府答弁ですと、サンフランシスコ会議においてすでにアメリカが言明しておるところである、従つて各国がもう当然了解済みと思つておるのでありますけれども、ここにあらためて英国がこの点をことさらに交換公文によつて意思表示をしたということは、いかなる意義を持つておるのか、その点をお尋ねいたします。
  10. 下田武三

    下田政府委員 御指摘の点は、イギリス側の発意であらためてこういうことを確認したと申しますよりは、わが方の主張によりまして、イギリス側がこういうことを認めたという経緯でございます。御承知のようにアメリカとの航空協定の際におきましては、附表に単に日米両国平和条約第三条の規定を忘れるものではないということの記載があつたにとどまるのでございます。しかるに今回はもう一歩進めまして、将来日本沖繩に関する主権主張する——その請求権というのはむしろ主張ということでございますが、日本残存主権主張しても、その主張を妨げるものでないということをイギリス側が認めておるわけであります。その点で非常に日本側としては意義が深いと存ずるわけであります。従いまして決して英国側主張日本がやむなく認めたというのではなくて、逆に日本の立場を一歩進めたというのが現実であるとお考え願いたいのであります。
  11. 並木芳雄

    並木委員 そうすると、サンフランシスコ条約で言明された点は非常に力が弱い、あれだけではたよりにならないから、これからあらためて各国に確認をしてもらうようにして行くのだ、こういう意味ですか。従つて今後の航空協定において、これと同じものを各国に一々交換公文によつて示してもらうようにやるつもりであるのかどうか。
  12. 下田武三

    下田政府委員 御承知のように平和条約発効前に、ダレス氏は沖繩に対する日本潜在主権を認めるかのごとき演説をしました。これは平和条約締結前からのだんだんの日本政府努力一つの結実であつたのでありますが、さきに日米間の航空協定で、第三条の規定を決して忘れるものでないということを書きましたのに、さらに一歩を進めて、今回の交換公文でこういうことを書いたわけでありますが、今後一連国々締結して参ります、航空協定締結の際には、やはりこのような交換公文をもちまして、同じことを規定して参りたいと存じております。
  13. 並木芳雄

    並木委員 私どもの感覚からいいますと、むしろ今日においては沖繩とか小笠原というところは、一刻も早く日本主権を回復してもらいたい、こういう要望を持つております。ですからいまさらこういうことを書かれるということは、むしろ月遅れの感じがするのです。そこでお伺いしたいのですけれども現地のあの要望も切実なるものがございます。沖繩信託統治ということにせずして、一日も早くこれを返してもらいたい、日本主権を回復させてほしいということの交渉はどういうふうになつておりますか。
  14. 下田武三

    下田政府委員 平和条約規定は、普通パーマネントな、恒常的な事態を設定する条項が多いわけでありますが、ことに領土の処分のごときは、よほどのことがない限りはめつたに改訂されない、ほとんど恒久的な条項であることは、御承知通りであります。しかしながら、沖繩でありますとか、小笠原諸島は、先ほど申しましたように、平和条約締結前から歴史的、経済的、民族的、いろいろの観点から、日本政府が十分に連合国側の理解を深めるための措置をとつたわけであります。従いまして領土主権そのものの譲渡ということには触れないで済んだわけであります。沖繩におきましては、ここに書いてありますように、領土主権には触れないで、ただ行政上、立法上、司法上の権能を平和条約第三条におきまして米国が行使する、それは信託統治になるまでの間行使するということをきめております。しかしながら今の国際情勢のもとにおいて、いつ信託統治協定提案されるものであるかどうかということも、何ら見通しがつかないわけであります。このような国際情勢のもとに見通しのつかないままで放置せられております場合には、経済上初めいろいろな問題が起つております。従いまして先般も外務大臣から本委員会で御説明がありましたように、さしあたりの措置としては、日本同文同種沖繩民族、そういうものの教育でありますとか、行政一般、そういうものが現状のもとにできるだけさしつかえが少く生ずるようにということを目ざしまして、関係国側と折衝いたしておるわけであります。これは御承知のように、沖繩の住民が長い間日本の役人をしておつたにもかかわらず、恩給がなかなかとれなつた、そういう問題も解決いたしました。また送金するのに、郵便為替が送れなかつた。これも話をつけまして、内地と同じように郵便為替で金を送れるようになりました。そういうふうに恒久的な長い目で見なくちやならない領土の問題の根本的な解決を待つてつては、なななかけりがつきませんので、現実の問題をとらえまして、個々解決をはかつて行くというのが、ただいまの政府方針となつております。またその方向で着々解決を見つつある次第でございます。
  15. 並木芳雄

    並木委員 現在交渉中の事柄にはどういうものがございますか。
  16. 下田武三

    下田政府委員 私の主管ではないのでありますが、現在最も大きな問題は、教育の問題でございます。できれば沖繩教育行政内地教育行政と同じように、日本の先生が日本の教科書で教えることができるようにいたしたい、そういう方向で進んでおります。
  17. 並木芳雄

    並木委員 信託統治にする見通しがほとんどつかないということでございますれば、私どもとしては、こういう提案がなさるべきではないかと思うのです。それはアメリカは何もあそこで行政司法立法の三権を掌握しなくてもいいはずなのです。もともと信託統治方針も、軍事的な必要から起つて来ておると了解しております。従つてアメリカとしては、沖繩などについては軍事的の基地、拠点をさえ確保していれば、目的が足りるものと思うのです。この見地からいたしますと、日本主権を回復された領土として、日米安全保障条約にあれを包含させれば、十分その目的が達すると思うのでありますけれども、この点についての所見をお伺いしたいと思います。
  18. 下田武三

    下田政府委員 まことにごもつともな御主張だと存じます。アメリカ側としては、まさに御指摘通り、軍事上の見地から、あそこに基地を持てば十分ではないかというりくつは十分立つのでありますが、しかしながら平和条約発効後いまだ一年にもなりませんときに、根本的な処理をなすということは、従来の平和条約の取扱いから見ましても、なかなか早く望み得ないことだろうと存じます。またいまだ日本に対して不信の念を抱いている国が一方においてあるわけでございまして、ただちに沖繩等日本領土に返還するということは、それらの日本不信の念を持つている国々との関係におきまして、時期なお早いのではないかという懸念も、連合国側にはあるのではないかと存ずるのであります。従いましてごもつともな御主張で、われわれも共感いたしておりますが、そういう主張がただちに実現できるものという見通しは、ただいまのところつけがたいと存じます。従いまして先ほど申しましたように、現実の問題を個々に取上げまして解決をはかるという方向で、ただいま努力いたしておる次第でございます。
  19. 並木芳雄

    並木委員 今の答弁の中に、まだ不信を抱いている国があるかもしれないと言われたのですけれども、これは私どもは聞き捨てならないと思うのです。ほかのことはいざ知らず、事沖繩小笠原に関しては、どこの国も、これが日本領土であるということに対して疑問を抱いたり、不信を抱いたりする国はないと思うのです。あるとすれば、どういう国ですか。英国ですら、この交換公文においてはつきり指摘したくらいなのです。これはもう第一歩、日本に復帰せしめる一里塚であると思うのです。そのときに条約局長ともあろう者が、まだ不信を抱いている国があるということを言われたのでは、引下れない。どういう国ですか。
  20. 下田武三

    下田政府委員 名前をあげるのははばかりますが、平和条約締結のときにおきまして、沖繩、南西諸島の帰属に  ついてああいう解決を見ました理由は、一つには、米国戦略的要求を満足せしめるという観点と、もう一つは、かつて日本帝国南進基地としてあの方面の島々を利用した、従つて再び日本南進の足場となることを防ごうという観点もあつたことは、これは争えない歴史的の事実であると思うのであります。従いまして私どもとしては、一方におきまして、これらの不信の感情を一刻も早く解くというための努力をいたしておるものでありますが、現実国際情勢におきましては、遺憾ながら平和条約締結当時数箇国が示した不信の念は、いまだ完全に払拭されてないというのが事実であろうと存ずるのであります。
  21. 並木芳雄

    並木委員 この点はなお私は岡崎大臣にお尋ねいたします。  次に、この協定が結ばれまして、日本としては英国への航空路をどういうふうに開設して行くか、その計画をお尋ねしたいと思います。今後一年間くらいの見通しでもよろしゆうございます。
  22. 荒木茂久二

    荒木政府委員 われわれといたしましては、できるだけ早くロンドンまで行きたいと考えておりまして、できることなら本年度中に行きたいと考えておりますが、御存じのようにその行きます間の途中の国との協定も逐次締結されなければいけませんし、またアメリカの方を先にいたしたいと思つておりますので、飛行機の手当その他の問題もございまして、希望としては本年中に解決したいと思つておりますけれども、はたしてその通りに行くかどうか、多大の疑問がある次第であります。
  23. 並木芳雄

    並木委員 計画しておる路線は、どことどこの国を通つて、どういうふうなコースをとるか。
  24. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは相手のあることでございまして、いろいろございますが、まず台湾香港、バンコック等に、中東その他の地域であまして、ロンドンへ参るとしますと、この別表のルートをとつて参るわけでございまして、日本から出まして中国本土において協定される地点、これは現在のところは見込みがございませんが、この協定地点または台湾における地点—香港またはマニラーインドシナ内の地点—バンコツク—ビルマ内の地点—コロンボ—インド並びに東部取び西部パキスタン内の地点—中東内の地点—ローマ—チユーリツヒまたはフランクフルト・アム・マイン—パリ—ロンドン—プレストウイツク間となつております。プレストウイツクまでは商売の関係で延ばさないかもしれません。なおこれは協定に載つておるルートでございまして、いわゆるお客さんとか荷物とかいう面を考えますと、全部ここへおりることがいいとは参りませんので、協定によりましてこの地点を省略することができる、こうなつておりますので、お客さんと荷物の比較的多いところをとりまして、なおかつ早く到着し得るようにという要求も満たさなければなりませんので、発着地点につきましてはわれわれの方でも研究しますが、同時にまたこれを開設する業者においても、十分研究した後にきまる  ということになつております。
  25. 並木芳雄

    並木委員 途中の国との協定——その承認を求めることですが、それはどういう手続によつてどういうものをつくつて行くわけなのですか。
  26. 島重信

    島政府委員 大体途中経過いたします所へ着陸して普通の通り営業する場合は、やはり日英航空協定と同じような航空協定を、それぞれの国と結ばなければならないことになります。現在この東京ロンドン線が経由することになつております地点として上つております国の中で、一、二現在交渉中の国もございます。さらにその他のヨーロツパ諸国につきましては、この日英航空協定調印後、最近オランダ及びスエーデンと調印を了しました。そのほかにデンマーク、ノールウエーとはすでに成案を得まして調印を待つばかりになつております。
  27. 並木芳雄

    並木委員 そうするとロンドン航路開設の時期は大体何月ごろと見込んでよろしゆうございますか。
  28. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今申し上げましたような事情でございまして、いろいろ現在の状態で明言申し上げる段階に来ておりません。
  29. 並木芳雄

    並木委員 この航路開設については、すでに業者の方から申請が出ておりますか。出ておりますれば、どういう会社でどういう計画であるということを……。
  30. 荒木茂久二

    荒木政府委員 まだどの会社からも申請書は出ておりません。
  31. 並木芳雄

    並木委員 その点について、先般アメリカ航路においては競願者が多かつたといわれております。あれはどういうふうに決定を見たのですか。
  32. 荒木茂久二

    荒木政府委員 まだ決定を見ておりません。しかし今後国際線を経営する会社に対しまして、十億の政府出資をするということで目下予算審議して  いただいておるわけでございます。航空審議会答申案にもあるのでございますが、遅れた日本競争のはげしい国際線に乗り出して行きますには、どうしても政府業者の方も一体となつて、強い形で行かなければ、とうてい競争に耐え得るものではないというのが、遺憾ながら現実の姿でございます。運輸省といたしましては、一つ会社にして強力なものとして進めて行くということで話を進めております。近く話が最終的な段階に参りまして、法案を提出する予定になつております。
  33. 並木芳雄

    並木委員 そうすると大体一社に決定を見る見込みでございますか。
  34. 荒木茂久二

    荒木政府委員 国際線をやりますについて、将来近まわりをどうするとか、その他支那大陸に行くというような事態が起きますれば、そのときはまた別の事情がございますけれども、現在の状態での国際線をやるとしますれば、一社で行くというよりほかに方法はない。一社で行つてもそれを継続するということは並たいていのことではございませんので、今運輸省として考えておりますのは一社で行く、こういうことでございます。
  35. 並木芳雄

    並木委員 その点については私は専門家でありませんから、また他の専門家である委員からも質問があると思います。そうすると日英航路においても、許可すればやはり一社ということになりますか、それとも多数社に対して許可を与える方針ですか。
  36. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように、アメリカへ行くよりも西の方へ行く航路の方が一層競争が激烈でありまして、従つて西の方に行きますについては、さらに一層一社として強いもので行かなければならぬという事情がございますので、ロンドン線をやる場合におきましても一社でやる、こういうように考えております。
  37. 安東義良

    安東委員 関連して。ただいまの航空局長の御説明もつともと思いますが、ことに競争激甚なる今日において、日本がこの事業に手をつけるということになりますれば、日本飛行機それ自身に、何らかの特色がなければならぬと私は思う。そこで今後の指導方針として、いかなる特色日本飛行機に持たせようとしておりますか。
  38. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように、運賃は全部協定運賃でございまして、運賃を安くして競争するということはできないわけでございます。もつぱら快的な旅行と、かつ迅速に目的地に到達するようにということより競争の手段はないわけでございます。そこでわれわれといたしましては、できるだけ優秀な飛行機を買つて行かなければなりません。従つてサービスを良好にして行くということを考えておるわけでありますが、特色のあるサービスの問題ということは、今他にぬきんでてお客さんを吸収し得る、荷物を吸収し得るという名案はございませんけれども、要するにサービスをよくし、安全性を高め、正確なる時間でもつて、迅速に目的地に到達するということに、全力を注ぐよりほかにないと考えております。
  39. 安東義良

    安東委員 新聞の報道でありましたか、日本の某会社がジエツト機をイギリスに注文したというようなことが出ておりましたが、これは事実でございますか。
  40. 荒木茂久二

    荒木政府委員 一応注文の話はしておるようでございます。ただ手付を打つたかどうか、その点ははつきりしておりません。なおこのジエツト機は、注文をいたしましてデリヴアーされるまで三年以上かかるわけでありまして、手に入るのは前途遼遠のことでございます。
  41. 安東義良

    安東委員 それならば目下のところ、かりに一社が許されて事業を始めるとしたとき、どういう飛行機を使用しようとする計画ですか。
  42. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今のところ三社申し出ておるわけでございますが、その三社のいろいろやつておるところによりますと、飛行機を確実に入手するというめどのついておるのはただ一社だけであります。その一社につきましては、DC六を獲得するめどが大体ついておるようでございます。さらに一つ出物がございまして、新品はなかなか手に入らないわけでございますが、新品で手に入る見込みが非常に強いので、目下交渉しておる次第でございます。
  43. 並木芳雄

    並木委員 英国航路でもし民間の会社が希望を申し出なかつた場合にはどうするつもりですか、国営か何かでやるつもりでありますか。
  44. 荒木茂久二

    荒木政府委員 現在航空事業を営んでおりますのは日本航空でありますが、日本航空はもちろんやる意思を持つておるわけでございます。しかし願書を出すのは、いわゆる国際協定等ができまして、その見込みがついたときに願書を出したいというわけで、その見込みも立たないのに願書を出すといいましても、自然その計画はずさんになりますので、出すのを差控えておるので、確実にやり得る状態なつたら願書を出す意思ありということを申し出て来ております。なおそういう状態がはつきりして参りますれば、さらに願書を出すものがあるのではないかと思つております。願書を出すものがなくて、政府がみずからやるかどうかというような問題は、まだ考えておりませんが、政府でもやらなければならないというような状態は、まず起きないのではなかろうかと考えております。
  45. 並木芳雄

    並木委員 競争のはげしいところですから、場合によつた政府でやるということも考えてもらいたいと思います。それから欧州航路の場合には、使用飛行機はやはり英国製とか何か向うでできたものを使う方針ですか。
  46. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは将来の問題で、機種をいかにするかということは、会社の経営の面から考えまして、非常に大切なことでございます。御存じのように今世界の定期航空に使つております飛行機は、ロッキードのコンステレーシヨン、ダクラスのDC六——DC七もやがてできるでしようが、それからボーイングのストラトクルーザーでありましようか、大体世界の定期航空に使つております飛行機の七〇%以上はアメリカ製のものでありまして、ヨーロツパに行くからといつて、その国の飛行機をというわけには参りませんので、おそらくアメリカ製の飛行機で行くということになると思いますし、またアメリカ線を開くのにアメリカ飛行機を使うというようなことで、今申し上げましたような事情飛行機を入手しておりますから、その型になりますと、ボディーの交換、製品の関係からして、自然そういつた型を使うということになるのではないかと思います。
  47. 並木芳雄

    並木委員 先ほど安東委員から御質問があつたかと思いますが、日本飛行機をつくれば相当安くつくし、昔の技術も残つておりますから、工場を利用すれば、いい飛行機が安くできるのではないかと思うのです。当然政府は国産の飛行機をつくつて使うということを考えておると思いますけれども、その計画はどういうふうになつておりますか。
  48. 荒木茂久二

    荒木政府委員 航空機の生産は私の方の所管でないわけでありますけれども、私ども使う方の側といたしましても、優秀な日本製の飛行機が一日でも早くできることを希望してやまない次第でございますけれども現実状態では、国際線に乗り出して行く旅客機というものは、そう簡単にはできないのじやないかと思つております。
  49. 並木芳雄

    並木委員 反対に英国の方から見た場合に、現在行つている航路のほかに、英国としてはどういうことを計画しているかわかりませんか。
  50. 荒木茂久二

    荒木政府委員 どういう計画をしておるかということは存じませんが、御存じのように、近来北極経由の飛行が考えられておりまして、現にスカンジナヴイア・エアーライン・システム等の試験飛行をやつておる状態で、将来の問題としては、グリーンランド経由の飛行ということが問題になつて来るのじやないかと思います。なおBOACとしてはジエツトを持つておりますので、今四往復いたしておりますが、本年の四月から三往復だけはジエツトによつて定期航空をやる、その他のことについては存じません。
  51. 並木芳雄

    並木委員 航空路の発展とともに、乗組員の養成が、いよいよ重要性を増して参りますが、先般養成所をつくつたあの経営はうまく行つておりますか。なお本年度は何人くらいの人員を養成する計画であるかということを伺いたい。
  52. 荒木茂久二

    荒木政府委員 養成所をつくりましたのは私の方ではございませんで、保安隊でございますので、その運営がいかになつておるか、私から御答弁申し上げるわけに参らないわけでございますが、民間航空の方といたしましては、定期航空だけではなく、新聞社等で使いますものについて訓練する必要がありますので、来年度予算でもつて訓練所をつくる計画を立てましたけれども、財政の都合上それが実現しなかつたわけであります。来年度の問題としては、国内における定期航空並びにこれから行うであろう国際航空について、できるだけ日本の乗務員をもつてまかなうということにしたいと思いまして、せつかく努力しておるわけでございます。現に十五名ばかりアメリカにやりまして、猛訓練をいたしております。なお来年度におきましては、そういつたことをやると同時に、また国内においても定期航空のパイロットを養成するということにつきまして、いろいろ計画をいたしておりますが、これに対して政府として養成補助を五千万円計上して、今予算の御審議をいただいておる次第であります。なお現在訓練いたしますのは、戦前に五千時間なり、多い者は一万時間以上の、相当長時間の経験者を現在の状態における定期飛行にならすのでございますから、そう一年、二年という期間はかかりませんで、まず百時間程度訓練すればよろしいという見込みであります。
  53. 並木芳雄

    並木委員 私のあとの質問は逐条審議になりますから、総括質問はこれで終ります。
  54. 栗山長次郎

    栗山委員長 帆足計君。
  55. 帆足計

    ○帆足委員 先ほど並木委員からお尋ねの沖繩の問題につきましては、前国会闘争におきましてたびたび論議になつたことでございますけれども、私ども今国会になりまして、外務委員会ではまだ十分な討議はいたしておりません。先ほど並木委員から御質問のあつた点につきましても、いろいろの問題があるのでございますが、従いまして重ねて一、二の点だけをお伺いいたし、いずれ他日本格的に検討いたさねばならぬ問題であると思つております。  アメリカとの各種の条約につきましては、ちようど英米の協定のように、自由社会擁護の立場から、ある程度まで協力し合わねばならぬという条件のあることはよくわかるのでありますが、それにもかかわらず、日本の場合は、各種の条約が占領下において交渉が進められ、いわば押え込みをされたような状況のもとで各種の協定はできたのでありますから、非常に合理的な要素と、きわめて圧力にまかしてつくつたという不合理な要素と両方があるのでありまして、この点はインドのネール首相などが非常に強く警告をしておることは御承知通りであります。沖繩の問題につきましても、そういうような点が露骨に見られるのでありまして、その趣旨は先ほど並木委員から御質問した通りであります。そこでお尋ねいたしたいのは、残存主権という言葉が使つてありますが、この用語につきましてもう少し明確な御解釈をもう一度だけ伺いたいのであります。
  56. 下田武三

    下田政府委員 残存主権という言葉の意義でございますが、別に国際法上確定的なその主権の内容をきめた定義はないと存じます。あるいは残存主権といい、あるいは潜在主権つまり眠つてつて現実には立法司法行政というような形では現われて来ないけれども、しかしながらその前提となる基本的な一種の権限がある、そういうきわめて抽象的な観念と御了解願いたいと存じます。
  57. 帆足計

    ○帆足委員 今日沖繩の置かれておる状況は、実にさんたんたるものでありまして、従いましてこれにつきまして公正合理な状況にもとずくことが、私は絶対に必要であると思つておりますが、これは日本国民としてだれしも異存のないところであろうと思います。従いましてこれを正常な状況にもどしますための見通しとして、政府はどういう順序で手を打つて行こうとお考えでございますか。
  58. 下田武三

    下田政府委員 私の主管ではないのでありますが、聞いておるところを申し上げますと、先ほど並木委員の御質問に対して申し上げましたように、元来平和条約条項、特に領土の帰属に関する条項は、これを変更することはなかなかむずかしい、またこれを変更しようとするために、過去において幾多の国際紛争を生じておるのであります。日本平和条約に定められました領土条項につきましても、これを一朝一夕に変更するということは非常にむずかしい、また慎重な用意がなくてはなし得ないところであると存じます。従いまして先ほど申し上げましたように、同文同種の民族が異なる行政のもとにあるがために起る不都合、不便というものを、できるだけ早く解消せしめるという方向に、政府努力いたしておる次第でございます。
  59. 帆足計

    ○帆足委員 沖繩の諸君に対して、同文同種の民族というような異様な言葉を使わねばならぬということ自体が、われわれは憤激おくあたわざるところでありまして、私はアメリカ主張、またアブラハム・リンカーン時代の伝統自体には、実に尊敬すべき要素があると思いますけれどもアメリカもまた暗い面を持つ。日本だけが犯罪国ではない。アメリカも今までよいこともしているし、数々悪いこともしている。人類自体が進化の過程にあるのでありますし、地球自体が進化の過程にあることでありますが、アメリカの政策は大体全部民主主義——アメリカの言うことは民主主義であつて日本はまだようやくにして十二歳だということが独断的に考えられている傾向があり過ぎます。アメリカもまたごみあくたに満ちあふれているところもある。功利的なことを言われることもある。従つてこれに対してははげしい国民的な情熱、または世界の公正な輿論に訴えて直して行く。アメリカ側の行き過ぎや不当なことや、その力にまかして弱小国に対して強過ぎる要求をしていることに対しては、強力に反省を求める必要があると思うのです。従いましてこの航空協定について、ほんの片言隻句でありますけれども、この言葉に対してはわれわれは非常な不満を持つておるのでありまして、政府当局としてはもう少し強い態度で、国民各界の声に耳を傾けられて、この問題の解決努力していただくことが必要でありますが、これを条約局長に申し上げてもしかたがありませんので、私は今字義上の点だけをお尋ねしておきまして、これはまた他日大臣、次官のお見えのときに申し上げます。
  60. 栗山長次郎

    栗山委員長 他に一般質問はございませんか。——もしございませんようでしたら、本件は前に本院を通過いたしました日米航空協定と趣を同じゆうするものでありますので、これより逐条審議に入ります。  まず前文及び第一条について質疑を許します。御質疑はございませんか。——ございませんければ、第二条について質疑を許します。御質疑はございませんか。——第三条、第四条について質疑を許します。——ございませんければさらに第五条について質疑を許します。質疑はございませんか。——それでは第六条から第十九条までを一括して審議いたします。
  61. 安東義良

    安東委員 この審議用資料として提出されております日英、日米航空協定の主要相違点のうちで、第六条に関連して、日米は相互主義に基く協定であり、日英は内国民または最恵国待遇ということになつておりますが、この差異の生じて来た理由説明していただきたい。
  62. 下田武三

    下田政府委員 これはイギリスがよその国と締結いたしております同種の協定に、やはり今回のと同じ協定が入つておりますために、イギリスとしては従来のイギリスのやり方で提起して参つたのでありますが、別にわが方としてはそのようにしまして一向さしつかえないために、かつはまたこれから結ぼうといたしますヨーロツパ各国との航空協定も、大体英国側協定を採用しておる国が多いものでございますから、その統一をはかる意味におきましても、むしろアメリカ式を離れまして、イギリス以後はヨーロツパ式の規定を盛り入れる方がよかろうという見地から、イギリスの主張に同意いたした次第であります。
  63. 栗山長次郎

    栗山委員長 先ほど留保されております並木芳雄君の提議されました航空要員養成所の件に関し、保安庁山田保安局長から答弁を求めます。山田保安局長。
  64. 山田誠

    ○山田政府委員 お答え申し上げます。現在保安庁といたしましては、保安隊関係の航空要員の養成機関といたしまして、静岡県の浜松におきます旧陸軍施設を利用いたしまして、昨年の秋以来学校を開設いたしております。その使用機種は軽飛行機でありまして、二座高翼単葉固定脚の飛行機であります。大体航続時間二時間ないし三時間程度の機能を有しておるものでございまして、予定といたしましては、ただいまのところ全部で操縦員約二百名、機付整備員約三百二十名、機体検査修理員約二百四十名くらい養成する予定でございまして、もつぱら連絡、観測に必要な人員をことしの春くらいまでに教育いたしたいと考えております。現在は、その第一回といたしまして、操縦、整備合せて約四十名ほど教育をいたしております。なお、飛行機は約三十機程度、アメリカから事実上の貸与を受けております。
  65. 並木芳雄

    並木委員 二十八年度においては何名くらい養成するつもりですか。
  66. 山田誠

    ○山田政府委員 引続きましてこの予定計画に達するものを教練いたしたいということで、来年度の計画につきましては、今後新たに軽飛行機を持つというような計画もございますので、その点の計画が詳細に確定いたしませんと、将来のことははつきり申し上げることはできませんが、今一応のところは先ほど申し上げたような計画で進めております。
  67. 並木芳雄

    並木委員 アメリカから飛行機を借りているという話でありますが、またラリゲート鑑みたいな問題が起つて来そうです。これはやはり無償で借りているのですか。
  68. 山田誠

    ○山田政府委員 一般の武器と同じような形式で借りておりますが、まだ事実上の契約は何らいたしておりません。
  69. 並木芳雄

    並木委員 それだけでも契約をして国会の承認を求めるようにする方針ではないのですか。そうしたらどうですか。
  70. 山田誠

    ○山田政府委員 私からはつきりお答えできませんですけれども、保安庁の方針といたしましては、一般の武器と同じような取扱いをいたす、さような方針のように承つております。
  71. 安東義良

    安東委員 ちよつと関連質問ですが、ただいまの御答弁に対して、私ははなはだ不満の意を表せざるを得ない。と申しますのは、フリゲート型の審議のときに、改進党といたしましても、賛成の場合に、この点については特に注意を喚起したはずであります。政府当局としては、一切の武器について、アメリカから借り受ける場合にはこれを国際協定の形に持つて行つてもらいたい、保安庁自体のいわゆる行政的な措置によつて、向うの官憲というよりもむしろ軍部と約束をして、そして今後どしどし保安隊の武力を増大して行くという行き方は、やめてもらいたいのだということをよく申したはずでありますが、それにつきまして、ただいまの御答弁から見ますと、まだ何ら反省の色なしといわざるを得ないわけであります。これにつきましては後刻木村長官からさらにいろいろお伺いいたしますけれどもその点についてはもつと考えていただきたいと思います。なおこれに関連いたしまして、御答弁をいただければけつこうと思います。
  72. 栗山長次郎

    栗山委員長 木村保安長官、もしくは増原保安庁次長の出席を要求いたします。
  73. 戸叶里子

    戸叶委員 今の武器貸与の問題につきましては、安東委員とまつたく同じ意見を持つものでありまして、そういう点はもつとはつきりさせていただきたいと思います6  それから私が一番伺いたいのは、聞き漏らしたのかもしれませんが、先ほどの四十名の訓練を受けておる人たちの人選とか、それからまた年齢の点について、何か制限があるかないか、承らしていただきたいと思います。
  74. 山田誠

    ○山田政府委員 ただいま教育いたしておりますのは、大体旧陸海軍の将校のうち、かつて飛行に関しまして経験を持つておる者から主として人選をいたしております。現在の四十名の操縦、整備の学生は、将来保安隊におきまして、かような航空員の養成をいたします学校の教官としてあらかじめ予定をしておる者であります。
  75. 戸叶里子

    戸叶委員 年齢などに制限はありませんか。
  76. 山田誠

    ○山田政府委員 年齢は、はつきりしたことを私今記憶いたしておりませんが、大体三十代ないし四十前後の者だと思つております。
  77. 帆足計

    ○帆足委員 ちよつと関連しまして。聞き漏らしましたので、借り入れた飛行機の種類、台数をもう一度だけ伺いたい。
  78. 山田誠

    ○山田政府委員 飛行機は軽飛行機でございまして、たしかL五とL六だつたと思います。二座高翼単葉固定脚でございます。合せて三十機前後でございます。
  79. 帆足計

    ○帆足委員 それが全部ですか。
  80. 山田誠

    ○山田政府委員 はい。
  81. 栗山長次郎

    栗山委員長 委員長から質問いたします。ただいま御説明になりました航空要員養成所及びその運営等によつて、ただいま議題となつております日英航空協定に使います高級飛行機の高級飛行要員を養成することができますか。
  82. 山田誠

    ○山田政府委員 私個人の考えでございますが、さような高級飛行機の乗員の養成にこの機関を利用するということには、いろいろの困難があろうかと存じます。
  83. 並木芳雄

    並木委員 この前航空局長に質問したときに、焼津に訓練所をつくる予定だというような御答弁を得たと記憶しております。今の保安庁関係の訓練所と、焼津につくるという訓練所との関係はどういうものになつているのですか。
  84. 荒木茂久二

    荒木政府委員 焼津につくる計画をいたしたわけでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、予算の関係でこれをつくることができませんので、目下のところ、そういつた特別の施設を設けて民間航空の養成ができません。各会社において、自分の責任においてこれを養成することにならざるを得ませんので、それに対する補助金を来年度五千万円計上して、御審議を仰いでおるわけでございまして、焼津の問題は、来年度に関しましては立消えになつておる次第であります。
  85. 栗山長次郎

    栗山委員長 保安庁長官もしくは次長が参りますまで逐条審議にもどります。第六条から最終条項までの御質疑を許します。
  86. 並木芳雄

    並木委員 これは条約局長かと思いますが、紛争の場合の解決方法が、英国アメリカとで違うようですが、この違う点を説明していただきたいと思います。
  87. 下田武三

    下田政府委員 これもほとんど同趣旨なのでありますが、一つ差異といえばいえますことは、日英協定の第十四条第三項に「締約国は、本条(2)に基いて与えられた決定を遵守することを約束する。」つまり仲裁裁判の決定は日英両国とも守りますということを約束しておるわけでありますが、アメリカはそこまで約束できないと申しまして、決定的にバインデイングすることをいやがりまして、それに拘束力を与えなかつたという点に差異がるわけであります。
  88. 栗山長次郎

    栗山委員長 増原保安庁次長出席であります。安東義良君、あなたの御質問の要旨を繰返してください。
  89. 安東義良

    安東委員 ただいまの質疑応答中に練習用飛行機として、三十機ばかり借りてある。それはまだ協定ができないので、事実上アメリカの軍隊から借りておるのだという御答弁であつたように思うのです。それに関連して、なお山田局長は、他の武器と同様にやはり借りて行きたいのだというようなお話でありますが、過般フリゲート等の船舶の問題につきまして、しばしば政府当局の御注意を喚起しておるように、いやしくもアメリカから武器を借りるという以上は、これを国際協定の形に引直して、国会の承認を得るように努力してもらいたいということを申し上げたのであります。そして木村長官はもちろん、あなたもそうじやなかつたかと記憶しておりますが、それについて考慮するようにおつしやつてつたと思いますが、ただいまの山田局長の答弁では、はなはだ不満足なのであります。これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。
  90. 増原恵吉

    ○増原政府委員 先般の機会に木村長官からその点についてお答えを申し上げたのでありますが、現在保安庁で事実上使用をしております武器関係は、当時も御説明を申し上げましたように、機銃であるとか機関銃であるとか、いわゆるバズーカであるとか、大砲であるとか、特車であるとか、そういうものを事実上使用をいたしており、そして練習用の飛行機についても、現在三十機ばかりのものを、同様の形で使用をいたしておるという実情であります。これをどういうような形にするかということにつきましては、先般木村長官から申し上げましたように、決定的なことについてはなお研究をいたしておる段階であります。現実にそうしたものを使用をして訓練をしておるということは実際でありますが、決定的なことはなお研究中であります。
  91. 安東義良

    安東委員 ただいま相かわらず研究中であるというお話でありますが、研究という意味は、私ども要望するような方向にほんとうに努力するつもりであるか。そしてまたアメリカ側ともすでに折衝を開始したかどうかという点につきまして、さらに明白なる御答弁を願いたいと思います。
  92. 増原恵吉

    ○増原政府委員 アメリカ側とも話合いをいたしております。しかしながらまだ結論を出すというところには至らないということであります。
  93. 安東義良

    安東委員 アメリカ側と話をしておるというお話で、これは当然やらなければならぬことでありますが、もしこれに対する難点があるとするならば、いかなることが難点であるか。その点をまた答弁していただきたい。
  94. 増原恵吉

    ○増原政府委員 難点と申して、まだ明確に申し上げるわけには参らぬと思うのでありますが、御承知のようにフリゲートなりパトロールLSSL艇につきましては、向うの方でも法律をつくりまして、これに基いてこちらの方に貸してくれるという手続をとつたわけでありますが、保安隊で今事実上使用しておるようなものについては、向うの方でもアクトをつくつていないというようなところにも、一つの問題があるということであります。
  95. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまの問題につきましては、本協定と取離して独立の問題にもなり得るように思われますので、理事会の協議に基き、委員会としての扱い方を決定いたします。  逐条審議にもどりまして、第六条から最終条文までに関する質疑を続行いたします。
  96. 並木芳雄

    並木委員 さつき条約局長答弁で、遵守するというのと最善の努力をするというのと違いがあるように伺つたのですが、実際上違いは出て来ないのですか。それとも法律上どういう違いが出て参りますか。  それともう一つ、紛争の場合の仲裁裁判の経費について、アメリカの場合は折半ということがはつきりしておりますが、英国の場合には経費分担の条項がないようであります。その点聞いておきたいと思います。
  97. 下田武三

    下田政府委員 お話のように、文句の上では片一方は遵守しといい、片一方は行政府の権限内で最善の努力をすると書いてありますが、結果においてはまさに仰せのように同じことになると存じます。  それから経費の点でございますが、日英の方は折半のことをうたつてありませんが、これは国際慣習によりまして、当然日英両国で折半することになる了解でございます。
  98. 栗山長次郎

    栗山委員長 ほかにございませんか。——ございませんければ附表について質疑を許します。——ございませんければ次に交換公文について質疑を続けます。——質疑がございませんければ、一応本協定に関する質疑を打切ることにいたしますが、もし後刻お気づきがありましたならば、次会において質疑されることを妨げません。次会はこの協定に関する討論及び採決をいたすことにいたします。     —————————————
  99. 栗山長次郎

    栗山委員長 これより国際情勢等に関する件につき質疑を行うことにいたします。本件に関する質疑の通告がありますので、これを許します。安東君。
  100. 安東義良

    安東委員 外務大臣と木村保安庁長官がおられませんから、あとにしてください。
  101. 栗山長次郎

    栗山委員長 それでは並木君。
  102. 並木芳雄

    並木委員 中村政務次官にお尋ねいたします。さつき岡崎外務大臣から説明のあつた点でございますが、あの中で国連軍に対して今後の取締りその他についてお願いをした、こういう説明があつたのです。そうすると公海上で起つたこの事件というものは、例の防衛ラインの中で起つたのですか、純然たる公海ですか、どつちですか。
  103. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 いわゆる防衛水域、クラーク・ラインの中で起つた問題であります。
  104. 並木芳雄

    並木委員 防衛水域の中で起つたにしても、国連軍にまず今後の保護を依頼するというのは筋が通らないと思うのです。こういう場合に、日本はできるだけ自分の力で守りたいのだということで、先般来フリゲート艦や上陸支援艇などを借用したわけなのです。今度の場合には、海上の防衛措置というものはどういうふうにとられたのか、その点が明らかになつていない。全然フリゲート艦なんかは出動しておらなかつたのかどうか。その点政府として手落ちがあるのではないかと思いますが、いかがですか。
  105. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 フリゲート艦等は、そういう目的で使うために保安庁が持つておるのではないのであります。従つて現在におきましては、海上保安庁の巡視船が保護に当たつておる、こういう関係になります。
  106. 並木芳雄

    並木委員 次官は、きのう参議院で経済的の措置をとるという答弁をしたそうですけれども、一体経済措置ということはどういうことですか。
  107. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 わが方といたしましては、そういう実力に訴えて、この問題を解決しようと思つておらないのであります。でき得る限り円満に解決したい。従つて韓国側から、われわれの方の抗議に対しまして、友好的な誠意ある回答を期待しておるのであります。もしわが方の期待するような回答がどうしても得られない場合には、適当な措置を講ずるという必要も起つて来るのではないかと考えております。
  108. 並木芳雄

    並木委員 その適当な措置の中で、経済措置というのはどういうことですか。それを伺つているのです。
  109. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 今日におきましては、まだ具体的に経済措置がいかなるものであるかということを申し上げる段階ではないように思います。
  110. 並木芳雄

    並木委員 なぜその段階じやないのですか。その内容がわからないで、経済的だとか、政治的だとか、説明がつくわけがないじやありませんか。
  111. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 まだ韓国側から回答が参つておりませんので、回答が参つた上でいろいろ研究してみたいと思います。
  112. 戸叶里子

    戸叶委員 関連して。その経済措置の問題に対しまして海員組合で発表したところによりますと、日韓両国政府の間で正当に解決されない場合には、韓国の救済物資輸送に従事している一切の韓国向け船舶の出港拒否をもつて抗議することも辞さないと決定したということが書いてございます。この点と中村政務次官の御答弁とが一致するように私は思いますけれども、それはいかがでございましよう。
  113. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 海員組合でどういう決定をせられましたかは、新聞で承知いたしておるだけでございまして、私が申し上げましたことと直接何も関係はございません。
  114. 戸叶里子

    戸叶委員 それでは、きのう政務次官が参議院で御答弁なつ経済措置ということは、ただ漫然とおつしやつただけで、何ら根拠はないことなんでしようか。
  115. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 漫然ということよりも、まだ具体的にこの問題を決定すべき段階にないから申し上げないだけでございます。
  116. 並木芳雄

    並木委員 本件について政府韓国抗議を出した。そうすれば、先般の北海道上空侵犯の問題についても、日本政府としてはソ連に対して抗議が出せるわけでありますけれども、いかがですか。アメリカから抗議を出すか、日本から出すかということを研究しておるというふうに伝えられております。しかし韓国とはまだ条約が結ばれておらない。ソ連とも結ばれておらない。そういう国際法上の地位からいえば、同じなのです。ですから韓国に対して抗議が出されるならば、日本はもう独立国ですから、ソ連に対しても、日本政府としてアメリカに依頼しないで出せるわけでありますが、その通りですか。
  117. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 北海道の領空侵犯の問題につきましては、必ずしもソ連の飛行機であるという確証を握つておらないのであります。国籍不明なというように外務省でも発表いたしております。かつまたソ連とは国交も回復いたしておりませんので、抗議をソ連に提出はいたしておらないのであります。
  118. 帆足計

    ○帆足委員 そうすると、ただいまのは結局国籍不明の飛行機という段階だと伺いましたが、ただいま外務省当局では国境線、領海をどういうふうにお考えですか。歯舞、色丹の方はどちらに考えてのことでございましようか。
  119. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 歯舞、色丹はわが方の領土と考えております。しかしながらこの二島には、現実の問題としてソ連の軍隊が占拠いたしております。そういう関係からいたしまして、領空侵犯の問題については、歯舞、色丹の上空は含んでおらないように考えております。
  120. 帆足計

    ○帆足委員 今日の世界のようなこんとんたる時代におきましては、国境においてこのようなことは始終ありまして、これが政争にもまた利用される。いずれを信用していいかわからないということは、私どものたびたび経験したことでありまして、三十八度線の問題におきましても世界の輿論は二つにわかれ、また日本の場合は、例の満州事変が起りましたときは自衛のためと称しながら、実は日本のごろつきが満州鉄道を爆破していたということは、すでに当時の総領事によつて岩波新書に詳細に書かれておるようなことでございます。従いまして私どもは、個々の小さな紛争の問題よりも何よりも、外交が先行して国交調整への努力、平和への努力がソ連に対しても、アメリカに対しても熱心誠実に行われ、そしてその他の要素はこれを補うための小さな要素であると考えなくては、今日のようなきびしい時代において国の自立自存を保つことは困難だと思うのですが、政府はソ連に対しても、外交的に一体どういう手を打たれておるか。第二には、こういう飛行機の衝突事件などに対して、日本政府としてその真否、またその危険の程度等を判断する自主的判断の、いかなる基準ないし機関を持つておられるか、二つの点についてお尋ねしたいと思います。
  121. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ソ連が中共並びにソ連の間の同盟を破棄する、あるいはまた日本に対して真に友好的な意図から手を差延べて来るならば、必ずしもソ連と国交を回復しないとは言つておらないのであります。まだしかしながら、今日の段階におきましては、ソ連がそこまで考えを直して来ておるとは考えられないので、今日これ以上、ソ連との間の国交を深める考えは持つていないのであります。  なお次の問題について、ちよつともう一ぺん……。
  122. 帆足計

    ○帆足委員 越境問題、領空侵犯問題などに対して、日本政府としてどういう自主的判断を持たれておられるか。アメリカの言うことをそのまま全部まるのみに信ずる以外に道はないのか、それともこういうものの判断に対して自主的な判断を持ち、その紛争の限界等について調整する自主的な力——外交的に相談を受けるとか、話し合うとか、検討するとかいうような観点を持つておられるのかどうか。ただアメリカ軍の方から言うて来て、ああそんならそうだろうと言つてことごとくそれにまかせておられるのか、その辺のところを伺いたいのであります。
  123. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 現在のところ、わが国では飛行機の領空侵犯等の探知をすべき設備等も持つておりません。従いましてどうしてもこれは、アメリカのそういう設備によりまして承知いたしたことを知るよりほかにないのでありまして、今日はアメリカ軍に要請いたしまして、そういう情報は常にとつておるわけであります。
  124. 帆足計

    ○帆足委員 この問題につきましては、非常にむずかしい問題でありますから、私はこれ以上申し上げません。  そこでこの問題に関連いたしまして、先ほど、中ソ友好同盟の結ばれておる以上は、国交調整はむずかしいと言われましたけれども、困難な状況であればあるほど、国交調整のために努力いたさねばならぬのであつて、別にソ連ときわめて友好という状況にすぐなることをわれわれは期待し得るものではないけれども、危険な状況を少しでも緩和するための努力もつと続けていただきたい。昔回教徒とキリスト教徒が対立していた時代でも、なお調整の余地はあり得たのでありまして、そのための努力を全然しないで、中ソ友好同盟が解消しなければ、いわゆる蒋介石を相手とせずというような考え方は、私はあまりにも観念論ではないかと思うのです。中ソ友好同盟にしましても、向うの立場から見れば、日本アメリカとが軍事同盟を結んでおる。そうしてマッカーサー元帥は、まさに鴨緑江を越えようとした。あのときに中ソ友好同盟がなかつたならば、マッカーサーは鴨緑江を越えたかもしれないというようなことも、インドの論調で言つておりますので、世の中のことはやはり国際連合の精神に従つて、一面日本の立場から考え、他面は国際連合と申しますか、公正合理の立場から考えて、ほどよいところで平和を保つように努力をしなければならぬのに、政府は二つの世界の調整のための平和への努力の方は、一向見えない。ただとらの威をかるきつねというか、部分的な問題にのみ煩わされておるということで、われわれは北海道の事件を見てから、非常に心配しております。武力をもつて国を守るということも必要でありますけれども、武力の問題は末の末であつて、根本はやはり国民の国に対する愛情と責任観、並びに平和外交、世界の輿論が納得するような公正合理な立場を常に続けてとる。そして今日の平和の確保のためには、憲法にありますように、国際連合の精神にのつとつて、公正合理な日本の立場というものが、世界の同情を浮けるという観点に立たねばならぬのに、今日西ヨーロツパ、イギリスまたはインドあたりから、しばしば日本政府は非難されておる。こういう点について、政府は多少反省していただきたい。従いまして、中ソ友好同盟条約がある以上は、もう国交調整ができないというような御答弁は、私は納得行かないのです。そういう条約があればあるほど、そういう条約から来る災難を免れるために、ひとつ大いに話し合つてみる、こういうような手がかりをつかむことが必要であると思いますが、いかがお考えでしようか。
  125. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 ソ連がもし真に日本と国交調整をはかりたいという希望があるならば、まず平和条約調印すべきであると考えるのであります。
  126. 植原悦二郎

    ○植原委員 私は質問というよりは——今の帆足さんやその他の質問で、私質問になるかもしれませんけれども、今日条約ができておらないということは、朝鮮もソ連も同じだと思います。条約ができておらない限りは戦時状態が継続するというのが、これ原則であると思います。そこで日本から言えば、ソ連の大使館がここに存在することも、否定はしておるけれども、実はまだ立ちのきを命ずるところまで至らない。朝鮮とは条約はできておらないけれども、朝鮮の代表者を東京に駐在せしめておる状態である。両国の間の関係は常にまとまらなかつたけれども日韓両国の間においては、条約締結しようとして、その交渉も進んだこともある。ただ不幸にしてこれがまとまらなかつた。その後、李承晩大統領日本に来て、そうして日韓両国の間で、なるべく早い機会において条約を結ぼうという相互的の態度に両方ともなつておると思う。朝鮮沖におけることは、御承知通り日本漁船が行つたので、実は朝鮮で捕獲されたことも事実上わかつておる。日本は空中において偵察する何もないから、歯舞、色丹の上空を国籍不明の飛行機が通過したのも、日本ではこれを推定することもどうすることもできないので、アメリカ報告によつておると言うけれども、たとえそういうことがあつても、日本としてはなるべく世界各国友好関係を保つて行くという立場からすれば、一にアメリカが言うからということばかりでなくて、ソ連が手を伸ばさないから、こつちが手を伸ばすわけにも行かないが、そういうふうに両方とも無条約国であるにもかかわらず、現実はそういう状態にあるという建前をよくおつしやらなければ、今の御答弁では、帆足さんの非難する通り日本アメリカ一辺倒だという非難攻撃も受けるような立場になるおそれがありはせぬかと思う。両方の国交の状態は、同じ無条約国であるけれども、非常に違う。片方はたとい越境でも、海上で日本の船に関係したことだから、すぐわかる。片方は空のことであつて日本はソ連に対して、偵察する設備がないから、わからないという立場で、日本の自主的な独自の判断で外務省はやつておいでなさると私は思う。どうも答弁からみると、一方アメリカに引きずられておるように思うし、一方はどうもこちらから手を伸ばしているような感じを与える。両方とも無条約国であるにかかわらず、現実の両国との関係は、非常に違つておる、その関係から、勢い今の外務省当局の御答弁のような状態になるので、決してアメリカに左右されておる立場でない、自主的だということを、はつきり答弁していただきたい。そうじやないのでしようか。すべて引きずられておるのかどうか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  127. 中村幸八

    中村(幸)政府委員 お説の通り、ソ連と韓国とはいずれも無条約国の間柄でありますが、ソ連につきましては戦争状態がまだ継続されております。韓国の方は戦争状態はないのであります。むしろ国連を通じまして、韓国日本の間は相当深い関係になつております。しかもソ連の代表部というものは、今日存在いたしておりません。しかるに韓国においては国交は回復いたしておりませんが、東京韓国在日代表部というものが存在いたしております。これを相手に抗議を提出いたしておる次第であります。
  128. 並木芳雄

    並木委員 これは条約局長でけつこうですが、そうすると、もしソ連の飛行機だということがわかつても、日本政府としてはソ連に直接抗議をしないで、アメリカから抗議をするというふうに受取れますが、そうですが。私はさつきの質問では、国際法上は同じように考えて、韓国抗議ができるならば、日本は直接ソ連に抗議してもいいというふうに考えたのですが、その点解明してもらいたい。
  129. 下田武三

    下田政府委員 法律関係をはつきり述べたいと思いますが、北海道の領空侵犯を排除する措置は、どこの国の措置かと申しますと、ほかならぬ日本国措置であります。日本国は植原先生の御指摘になりましたように、領空を監視する有効な手段を持つておりません。従いまして情報は米軍から得たことは事実であります。その米軍から得た情報によりますと、昨年の七月三十一日から十二月三十一日の五箇月間におきまして、数十回のわが北海道の領空侵犯が行われたのであります。いかなる国といえども、自国が排他的にかつ完全なる主権を持つておる領空に、外国の軍用機がそのように頻繁に侵犯したという事実、これは国家の安全に対する重大なる脅威であると認めざるを得ないのであります。日本政府もまさにそう認めたわけであります。ところが日本政府はその手段を持つておりません。従いまして米国側に要請をいたしまして、米国側の手段をかりて、日本が主体となつてやるわけであります。ですから米軍のやる行為は、日本の手足となり、手段となつて日本の領空侵害を排除しておる、そういう法律関係でございます。  並木さんの御質問の要点は、なぜ韓国には抗議をいたしながら、ソ連には抗議しないかという点にあると思うのであります。領空を侵犯いたしました飛行機がソ連のマークをつけておつたことは事実のようでありますが、これを着陸せしめたのでもなければ、撃墜してパラシュートで乗員が北海道上空からおりて来て、それを調べることができたわけでもないのであります。従いまして明確にソ連の飛行機だと断定することはできないと思うのであります。さきの一月十三日の政府声明におきましても、外国の軍用機という言葉が使われておりまして、今後領空の侵犯を続けた場合には、一切の責任は軍用機が所属するところの国にあるという声明をいたしております。従いましてソ連の飛行機と断定はできませんにしても、その外国軍用機の所属する国の政府は、まさに一月十三日のわが方の警告をよく知つております。従いまして心当りのある国は、十分にこたえておると思うのであります。かりにこれがソ連の軍用機であると断定されたと仮定いたしまして、その場合にも日本とソ連との間には、いまだ国交関係がないのでありますから、もし抗議をいたすにしましても、これは第三国を経由するというような措置が必要だろうと思うのであります。しかしながら政府といたしましては、さきの一月十三日の厳重なる警告に触れるような行為をしておる国がありとすれば、十分その国はわかつておるはずであり、こたえておるはずであると思うのでありますから、重ねて何らかの具体的な抗議措置ということは、今必要ではないのではないかと考えておるでございます。
  130. 並木芳雄

    並木委員 今後起つた場合に、第三国を通じて抗議をする方法があるということがはつきりしたわけなのです。従つてもし今後起りました場合に、アメリカが単独で抗議をすることがなく、日本の依頼によつてアメリカ抗議をする、あるいは日本抗議アメリカなりどこかの第三国が先方に伝える、こういう方法でなされるというわけでございますか。
  131. 下田武三

    下田政府委員 もう再び外国の軍用機による領空の侵犯が起らないことを希望いたす次第であります。従いましてもう一回起ることを実は予想いたしたくないのであります。十分さきの警告付の政府声明と今回の有効適切な手段によりまして、関係国には十分こたえておろうと思いまして、再びこういうようなことが起らないことを希望いたします。従いまして仮定してのことは考えたくないのでありますが、万一起りましたら、その場合に考えたい、そういうふうに考えます。
  132. 戸叶里子

    戸叶委員 今の条約局長のお言葉をもう一度確かめておきたいのですが、この間の北海道の領空侵犯の問題は、あくまでも日本国措置であつて米国側の手段をかりたということをおつしやいました。それは日米間の書簡で、領空侵犯に対しては有効適切な処置をとらしめることになつておるので、それによつて今回アメリカがああいう措置をとつたと了承していいと思うのです。そうしますと、もしも日本アメリカ側のとる有効適切な措置の考え方が違つたような場合が起らないとも限らないと思います。そういうような場合にはどうされるかということと、それからもう一つ、こういうことが起らないことを望むからというお話でございましたが、私どもといたしましても、こんなことが二度と起つてもらつては非常に困ることである。こういうことの起らないことを望みますけれども、起るか起らないかは、それは私ども決定できないことであつて、起るかもしれません。そういうときのこともやはり考えておかなければなりませんが、もしもそういうようなことが起つた場合には、結局直接の被害を受けるのは北海道だろうと思います。そういうような場合に、アメリカが有効適切な処置をとられるということが日本に非常に迷惑な場合があろうと思うのです。その点はどういうふうにお考えになるか。
  133. 下田武三

    下田政府委員 御質問の前半は、仰せの通り一月十三日の往復文書によりまして、わが方の要請に応じて米側が有効適切な措置をとるという関係でございます。そして有効適切な措置の範囲は具体的にはどういうことかと申しますと、これは結局米軍の判断にまたざるを得ないと思います。これは哨戒機に乗つております士官が、どこまで追跡して行くべきか、いかなる場合に発砲すべきかというような現実事態——これを防ぐ方も命がけでございますから、ゆるゆる警告を与えておる間にこつちが逆に落されるというようなことは当然困ることでありますから、まさに数百キロのスピードで上空で遭遇する飛行士の、その状況判断によつてとられるわけでありまして、これを日本側からどうしろということをさしずしても、いたし方のない問題だろうと思うのであります。しかしながら米軍の方では北海道の上空を守るというのが目的でございまして、この間の場合もそうでございましたが、もう少しおつかければ撃てたかもしれないのです。それを途中で引返してやめておるのであります。その点米軍の規律、それから米軍将校の常識という点は、世界の各国の軍隊のレベルに比べまして、まさつておるとも劣つていない。従つて有効適切な手段を米側におよそまかすとしても、心配のいらない軍隊ではないかと私どもつております。  それから御質問の第二点の、米側が有効適切な措置をとつた結果、北海道に迷惑を及ぼすことはないかという点でございますが、かりに日本自身が空軍を持つておりまして、同様な事態において日本自身がやるといたしましても、ある場合には飛行機が民家の上に落ちる、あるいは不測の火事が起るという損害はやむを得ないことでございます。国家の独立と安全を全うするためには、そういう危険はどうしてもやむを得ない。さらに大事な目的である国家の安全を守るというために起るネセサリー・イーヴルといたしまして、いたし方ないのではないかと考えておる次第でございます。
  134. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 今の問題に関連してお尋ねいたしてみたいのですが、この間の北海道の問題で、あれを最初発表したのは極東空軍ですか。それから発表の形式、時間関係をちよつと承りたいと思います。
  135. 下田武三

    下田政府委員 外国軍用機等の交戦がありましたのが、十一時十五分ごろでございまして、飛行士が飛行機の上から電話でただちに米軍の方に連絡いたしました。それがただちに東京の側に伝わりまして、ただちに電話で外務省に伝わつたのであります。従つて、まだ当該飛行機が着陸もしないうちに空の上から連絡し、ただちに日本側に連絡を受けたのであります。これは日本側の自主的措置であり、アメリカ側はその手段であるという関係からいたしまして、そのようなすみやかな連絡を受けることは当然のことと存ずるのであります。  それから発表のことでございますが、これはアメリカの部内の問題でございますが、発表をまつ先にいたしましたのが空軍司令官でありますが、これはある最小限度の事実だけは、その責任のある司令官が発表するという慣例がアメリカにあるそうであります。何らの政治的の意味を持たない事実のみをいち早く発表するという慣例があるそうなのであります。実は最初の電話連絡がありましたときに、どう発表するかということを、ただちにアメリカ大使館と相談いたしておつたのでありますが、その最中に米軍司令官は、米軍の慣例に基きまして、いち早く事実のみを発表したのであります。政府として、また大使館として、あらためて発表する必要がありやいなやという点を相談いたしましたが、これは事実のみ明白になればそれで足りることではないかということに、アメリカ大使館と意見が一致しまして、両国政府としては何らの発表もしないということにいたしたのであります。しかし当日ちようど情報部長との記者会見がありましたので、別に政府の正式発表でも何でもないのでありますが、ごく簡単ながらとりあえず事実だけを述べた、そういうわけであります。
  136. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 そこで私重ねてお尋ねしたいのですが、今回の事件は米空軍がやつた。今まで数十回あつたが、これを発表したかどうか、日本の国民にどういうふうに処置したか。
  137. 下田武三

    下田政府委員 昨年の領空侵犯につきましては、日米両国とも正式には一回も発表したことはないのであります。
  138. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 そこが問題なのです。日本の外務省がそういう問題を発表すべきかどうか、ことに今回の問題はアメリカの法律によつてアメリカの軍部がかつてに発表をした。そのことが日本国内の治安なり、民心に与える影響はどうなるのか、この点についてあなた方はどうお考えになつておるか。
  139. 下田武三

    下田政府委員 発表関係のことは実は私の責任に属する仕事ではないのでありますが、おそらくその発表をなすことによつて、国民に与える影響という点も考慮せられたのではないかと思うのであります。これに対する何らかの明確な措置が明らかにされずして、一方的にそういう侵害が行われている事実のみを発表するということは、やはりある種の不安を与えるおそれがあるのではないか、そういう見地から発表せられた。しかして明確な措置をとることに合意が行われるのを待つて、その有効適切な措置をとる用意を表明するとともに、事実が発表されたという関係にあると存じます。
  140. 池田正之輔

    ○池田(正)委員 こういう事態が起つて、それがときには逆に非常な大きなデマとなつて、国民に悪影響を及ぼす場合もあり得る。それからそういうものを隠しておつて、突如として非常な事態に突入したときに、国民はびつくりして、精神的にも実際的にも、これに対する何らの準備がなかつたというような事態もあり得る。いろいろな場合をわれわれは想定する。従つて、民主主義下の政府においては、あらゆることを特別の事情がない限りにおいて国民に知らしめて判断させるということが、私は最も正しい政治のあり方だと思う。われわれも領空の侵犯がしばしばあちこちであつたということを耳にし確かめておつたが、それについて外務省は今まで何らの措置を講じてなかつた。外務省はただ単に外交条約なりその他の事務的な処理だけをやる役所ではない。そういう意味からいつて、これは実は大臣でなければいけないのです。たまたまこの話が出たからついでにやるのですが、今度は向う側で発表したけれども、今までの数十回の例に徴してもこちらでは発表する意思はなかつた。ところが軍が発表してしまつたので情報部長の談話で非公式にしやべつたのだ、こういうお話なのですが、今後こういう問題が起つたときに一体どうするつもりですか。そういう場合は、政治的考慮もいるのだから、かつてに発表してもらつては困るというような話をアメリカとしているのか、してないのか。
  141. 下田武三

    下田政府委員 どうも私の仕事ではないのでありますが、していると思います。それからまことにごもつともな御意見でありまして、かりに今まで何らの発表がなくて、いきなり先日のような飛行機の衝突が起りましたら、これは国民に甚大なるシヨツクを与えたと思います。まさにそういうことを防ぐために一月十三日に発表したといつたわけでありまして、一月十三日の措置の裏づけとして両国の文書まで公表いたして経緯を明らかにした次第であります。
  142. 今村忠助

    ○今村委員 今の御答弁を聞いていると、どうもふに落ちない点がある。一体日本は独立国であるのかどうかを疑うくらいな感じが起る。独立国なら敵国が入つて来れば、当然しりぞけるだけの決意が政府になければいかぬと思う。それがぼかされているのは、日米安全保障条約というものがあつて、それによつてアメリカがこの仕事を担当しているのだ、そしてそれに基いて処置がなされて来たからだと私は想像していた。こういう問題に対して日米安全保障条約はどう規定しており、それによつてどういうような細部のとりきめがあるのか。この点を明らかにしてもらわないと、その都度起きて来た問題を漫然とアメリカにまかせておくと占領時代と同じような気がする。
  143. 下田武三

    下田政府委員 安全保障条約との関係につきましては、安全保障条約第一条に、在日米軍をいかなる場合に使用するかという規定がございます。つまり第一は極東の安全維持のために在日米軍を使うことをうたつておりますが、先ほど申しましたように、北海道の領空侵犯が頻繁に行われることは、日本の安全に対する重大なる侵害である。換言すれば極東の安全に影響するところである、そういう点について日本政府もそう思い、アメリカ政府もそう思うということで見解が一致しまして、この侵害を排除するために日本側から要請したという関係になつております。従つて日本側の一月十三日の要請がなければ、米軍はかつて日本の領空で外国機と交戦し、これを落すということは全然なし得ない。わが方の要請で、わが方の手段として働いてくれることをアメリカ側承知してくれたればこそ、先般の事件が起つたのであります。
  144. 栗山長次郎

    栗山委員長 御質疑中でありますが、議事進行上お諮りしたいことがあります。さきにあげられました航空訓練所における飛行機の米軍側からの貸与の問題、これに関連する日米両国間の措置に関する点、並びにただいま問題となつております領空、領土、領海等が侵された場合の克明な発表、また侵した方面に対する行動等については、長官もしくは当然大臣の出席を求めて討論を進めることがよろしいと存じますので、次会にさようとりはからいたいと存じます。  いま一つお諮りいたしたいのは、この委員会における発言は、主として質問に限られているようにお考えの向きもあるやに想像いたしますが、決してさような限られたものではないと存じます。政府に対する批判、警告、また議員の発言に対する批判、御意見の開陳、いずれの方面からでもあつてしかるべきものでありますから、その点はどうぞきゆうくつにお考えにならずにお進め願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十二分散会