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1952-12-22 第15回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 栗山長次郎君    理事 池田正之輔君 理事 谷川  昇君    理事 松本 瀧藏君 理事 加藤 勘十君    理事 田中 稔男君       今村 忠助君    植原悦二郎君       大橋 武夫君    木村 武雄君       中山 マサ君    西川 貞一君       根本龍太郎君    馬場 元治君       松田竹千代君    森下 國雄君       安東 義良君    高岡 大輔君       並木 芳雄君    中村 高一君       福田 昌子君    帆足  計君       黒田 寿男君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         保安政務次官  岡田 五郎君         保安庁長官官房         官房長     上村健太郎君         外務政務次官  中村 幸八君         外務事務官         (條約局長)  下田 武三君  委員外出席者         専  門  員 佐藤 敏人君         専  門  員 村瀬 忠夫君     ————————————— 十二月二十日  委員山崎岩夫辞任につき、その補欠として大  橋武夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員近藤鶴代辞任につき、その補欠として、  根本龍太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員根本龍太郎辞任につき、その補欠として、  近藤鶴代君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定  の締結について承認を求めるの件(條約第一  号)     —————————————
  2. 栗山長次郎

    栗山委員長 ただいまから外務委員会を開会いたします。  日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件につきましては、すでに質疑を終了いたしておりますので、ただちに討論に入ります。討論の通告がありますので、これを許します。中村高一君。
  3. 中村高一

    中村(高)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本協定に対しまして反対の意見を申し上げます。  数次にわたる委員会におきまして、総理大臣初め保安庁長官説明によりましても、この船舶軍艦でありますことは明らかであります。しかもアメリカ海軍に所属をいたしておりました軍艦でありまして、これが装備もそのままに日本海上警備隊使用せられるというのであります。保安庁法によりますと、任務遂行するに必要な限度という明確な規定がありまして、この軍艦がいわゆる戦力に該当するものでありまして、保安庁法規定されておりますところの任務遂行に必要な限度を越えるものでありますことは明らかであります。この点について政府弁明は、いずれも使用目的海上警備のためであるという、こういう弁明でありますが、使用目的海上警備でありますならば、どんな兵器使用してもさしつかえないという論は、とうてい今日の憲法並びに保安庁法規の上からは、どうしても認めることができないと思うのであります。もとより、今日の日本の長い海岸線と、いろいろの漁船に起つております問題などを考えますならば、海上警備に万全を尽さなければならないという事情はよくわかるのであります。その目的警察範囲でありますならば、むしろわれわれは強化することに決してやぶさかではないのであります。しかしながら、憲法規定せられ、保安庁法規定せられました法規というものは、厳としてわれわれは守らなければならぬのであります。必要であるからというて法規を犯し、法律を無視して、その必要の前に屈服をするということは、法治国民として断じてわれわれは許すことができない。こういうことが許されますならば、フアツシヨが生じて来るし、共産党の暴力行為も認めざるを得なくなるのであります。憲法規定をそのままにし、保安庁法規定をそのままにして、明らかに軍艦でありますものを持つて来て、その使用目的海上警備のためであるからという論によつてこれを使用するということは、どうしても許されない。こういう意味におきまして、私は本協定案に対しましては反対意思を表明する次第であります。
  4. 栗山長次郎

  5. 谷川昇

    谷川委員 私は自由党を代表いたしまして、政府提案にかかるこの協定案締結賛成いたすものであります。過去長きにわたりまして、本案の審議にあたつて政府説明を聞きまして、私どもこれを是認いたすものでありまして、相こぞつてこれに賛成をいたします。
  6. 栗山長次郎

  7. 田中稔男

    田中(稔)委員 私は日本社会党を代表して、本協定に対し反対討論を行わんとするものであります。  本協定において、船舶という名称のもとにアメリカより貸与されるフリゲート艦及び上陸支援艇は、明らかに軍艦であります。たといそのトン数は比較的小さく、その装備は貧弱であり、その艦齢は古いと申しましても、本来アメリカにおきまして軍艦として建造され、軍艦として使用されたものであります。政府はこれらの艦艇をしいて軍艦にあらず、船舶なりと申しておりますが、一旦これを借り受けた上は、保安庁法第六十八條規定にいう武器として警備隊保有に帰することは、当然予想されるところであります。通常船舶武器とは考えられないのでありまして、これらの艦艇船舶の有しない、何らかの武力を備えておればこそ、武器として保有されるのであります。しかも警備隊保有を許される武器とは、その任務遂行に必要な武器という限度があるのでありますが、保安庁法第四條に掲げてありますところの、海上警備等警備隊任務に照して考えますならば、これらの艦艇は明らかに右の限定を越えた程度の武器であり、戦力構成要素たる武器として、いつでも戦争目的に役立ち得る軍艦であると私は断定するものであります。  御存じのごとく、保安庁法は、その第八十七條におきまして、すでに日本が批准した海上人命安全條約に基いて、制定された国内法たる船舶安全法適用を除外しているのであります。先般来外務委員会及び予算委員会におきまして、改進党の委員諸君はその事実を指摘して、政府憲法第九十八條規定する條約遵守の義務違反しているのではないかと強硬に主張されたのであります。政府は本協定の通過をはかるために、遂に改進党の主張に屈して与党議員提案という形式をとつて保安庁法の一部改正行つたのでありますが、その主張の結果、これらの艦艇船舶として船舶安全法適用を受けるようになりましても、これらの艦艇軍艦である事実を否定することはできません。私はかかる法律改正の試みは、一方において政府の不見識を示すものであり、他方において改進党が政府堅白異同の弁を合理化し、そのごまかし軍備協力する口実を得るにすぎないと考えるものであります。  また木村国務大臣は、たといこれらの艦艇が本来軍艦であることを認めたとしても、警備隊軍隊でなく、その任務からしても軍事目的とするものでないから、軍艦本来の用途従つてこれらの艦艇使用される心配はないと主張されるのであります。しかし今後政府既定方針であるところの自衛力漸増が着々として行われるに伴い、警備隊任務も拡張され、従つてこれらの艦艇使用目的も、おのずから変化することは容易に想像し得るのであります。すなわちこれらの艦艇軍艦としての本来の用途従つて使用される可能性が、今後次第に大きくなつて行くのであります。私はかかる自衛力漸増こそは、吉田首相が何と言われようが、再軍備の隠れたる準備であり、むしろ再軍備そのものの推進だと考えるものであります。  さらに日米安全保障條約の趣旨にかんがみましても、日本警備隊日本区域行動するアメリカ海軍との緊密な協力のもとに、その補助的役割を果すにすぎないものでありまして、決して自主的に独立した行動をいたすものではありません。この日米一体軍事的協力関係の角度からながめますならば、現在の警備隊がすでに軍隊であり、その任務がすでに軍事的であると断定いたしましても、決して過言ではないのであります。私はこの点に関連して、本協定による船舶貸借無償で行われることの深甚な政治的意味をくみとることができるのであります。本来日本海上警備は、アメリカの安全のために必要不可欠な任務でありますが、日本警備隊がその任に当つてくれるからアメリカは大いに助かるのでありまして、ここに無償貸借ということが成立するのであります。しかしそのために警備隊傭兵的性格が完全に露呈するに至るのであります。この船舶貸借日米両国間の協定という形式をとつて国会承認を求められているからまだいいのでありますが、保安隊におきましては戦車、装甲車、榴弾砲迫撃砲、バズーカ砲等多種多様の兵器国会に何の相談もなく、従つて何ら法律上の根拠もなく、駐留軍から無償貸借の上使用されているのでありまして、これは明らかに憲法違反行為であるばかりでなく、また保安隊傭兵的性格を明瞭ならしめるものであります。  なお、これらの艦艇海上における警備行動に従事する場合、すでに漁船拿捕等の紛争の頻発しておりますところの黄海及び東支那海あるいは北方の海面において、中国やソ連との間に、今後さらに深刻な不測の事態を惹起する危険が憂慮されるのであります。私はかかる事態に際して行使されるいわゆる正当防衛なるものの限界客観的妥当性の判断は、過去の歴史に徴しましても、きわめて困難であると考えるものであります。それどころか、過去において正当防衛という美名のもとに挑戦的行動が繰返された事例さえ各国に少くないのであります。私は本協定締結が中ソ両国との敵対関係をさらに刺激し、右両国わが国との国交の回復を、永久に妨げる契機となることを恐れるものであります。  要するにこの日米船舶貸借協定なるものは、ただ独立の空名を得て、アメリカの一方的な安全保障義務を、日本国民に負わせた日米安全保障條約を実施するための一個の細目協定とみなすべきものであります。本協定締結によつて政府のいわゆる自衛力漸増、すなわち実質的再軍備は、さらに大いなる前進を遂げることになるのであります。  さらにアメリカ政府の動向をうかがいますならば、アイゼンハウアーの新政権は、もはやかくのごとき実質的再軍備にあきたらず、いよいよ本格的再軍備日本に強要する公算がきわめて大であります。  この際私は、日本の再軍備戦争の危険を誘発するというわが党の従来の見解に基き、本協定締結に絶対反対意思を表明するものであります。
  8. 栗山長次郎

  9. 松本瀧藏

    松本(瀧)委員 討論に際しましてまず第一に取上げたいことは、政府のこれに対する提出の方法であります。政府は過去の絶対多数の上にあぐらをかいて物事を処理いたしました当時の惰性をもつて、同様の手段によつてこれを通過せしめんとしたことは、はなはだ遺憾であります。  第一に、本協定は去る四月の吉田書簡に基いて行われたのでありますが、本件審議に対しまするところの総理大臣態度、並びにたまたま行われました質疑応答のときのその答弁ぶりに対しましては、まことに遺憾千万なものが多々あつたのであります。次に政府説明はきわめてあいまいであつたと同時に、ごまかしが多かつたことは、これまたいなめない事実であります。たとえばその名称において、あるいは使用目的に関しましても、戦力問題等に対しましても、政府説明はきわめて抽象的であつたばかりでなく、不必要に時間を費したのみならず、物事をひた隠しにしているのではないかという感を強く与えたことも、否定できない事実でありました。その間において、国民自由党ごまかし軍備ではないかという誤解を強く与えたことも、また否定できないところであります。  第二点といたしましてあげたいことは、政府はきわめて不用意な態度をもつてこれを提出したことであります。わが党によつて国際條違反を指摘されて狼狽したことも事実であります。すなわち本協定と関連を有する保安庁法において、船舶安全法船舶職員法及び電波法適用を除外したことは、明らかに国際條違反であることを認めまして、後に立法措置をとつたということ、しかもわが党に迫られて行われたということも、衆目の認めるところであります。これらの事実によつても、いかに政府が不用意であり、安易な考えでこれを処理せんとしたかということがわかるのであります。  第三点といたしまして、貸借の方式に関しまして将来に問題を残すことも、軽視できない事実であります。すなわち海上老朽武装船に対しましては、協定によつて国会承認を求め、質的にも量的にももつと度合いの大きい陸上武器に対しましては、調達行為国会承認を求めることなくこれを処理しておることであります。現在は米軍監督下において法的には合法であるということが、一応考えられる節もあるということでありますが、近き将来米軍将校との関係を断ち、従つて後にこの大きな問題を残すことをわれわれはおもんぱかるのであります。ことに民間関係におきましては、調達行為ということも、これは合理的に行われるかもしれませんが、国と国との間の貸借関係におきましては、どうしても国会承認を求める必要をわれわれは考えるのであります。従つて将来この問題に関しまして追究する権利をわれわれは留保いたします。しかしながら現在のわが国治安、特に沿岸線におけるそれは、きわめて不備であることをわれわれは認めるにやぶさかでないのであります。世界第二の長い海岸線を有する日本を自力で警備することは、今日海上保安庁の所有しておりますところのボロ船の数をもつてしては、不十分であることを私どもは認めるものであります。われわれはかつて軍艦であつたフリゲート及び上陸支援艇が必ずしも適当であるとは考えません。しかし今日の国家財政が新たに多くの警備艇をつくることを許さない限りにおきまして、不適当ではありますが、これを借用するほかにないという結論に達しました。よつて、前段の諸問題に対し、強い警告を政府に発すると同時に、将来さらにこれらの諸問題に関しまして追究する権利を留保いたしまして、日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定に対し、改進党は賛成の意を表するものであります。(拍手)
  10. 栗山長次郎

  11. 黒田寿男

    黒田委員 私は労農党を代表いたしまして、日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定締結について承認を与えることに反対をいたします。  反対理由の第一は、本協定によつて借り受けるフリゲート艦及び上陸支援艇は、米国海軍艦艇でありまして、武装船舶であります。商船を一時的に武装したものも武装船舶一種ではありましようが、しかしここでいう意味武装船舶とは、構造造材及び装備上、本来海軍艦艇として海上戦闘に用い得るように建造せられた船舶という意味であります。これは米国におきましては明らかに戦力と見られているものであります。われわれは、これをわが国において保安庁使用するとき、保安庁制度に現われております事実上の軍備に、新たな戦力を加えるものである、かように考えます。私どもは、本来保安庁制度それ自身憲法違反制度である、すでに一種軍備であるという意味においてこれに反対しておるのでありますが、その軍備に新たなる増強策を結果するこの協定に対しましては、もとより賛成することはできないのであります。  私は、以下において私ども考え方を多少詳しく申し上げてみたいと思うのであります。私どもフリゲート戦力である、それとあわせて保安庁制度それ自身戦力であるというふうに考えておるのであります。今日までの政府の御答弁を承つておりますと、政府は第一に、保安隊——これは私は警備隊をも含めた意味で申し上げますが、保安隊軍隊ではない、第二に、軍隊でない保安隊使用に供せられる限り、軍艦あるいは戦車大砲等の純然たる兵器を用いても、それは戦力にはならぬ、こういうように強弁されておるのであります。武器ないし兵器戦力であるかどうかという問題と、これを使用しております主体である部隊性質とを切り離して戦力問題を論ずることはできません。総合して論じなければなりません。私はこの方法によつて考えてみたいと思うのであります。  私ども見方からいたしますれば、保安隊及び警備隊はまず人の集団であります。そしてその集団は、保安庁法という法律によつて定められた組織を持つ集団であります。その集団行動は、同じ法律によつて定められておるところの一定命令系統のもとにおいて行われておりまして、かつその任務遂行のために、武器ないし兵器を持つておる。従つて保安庁がいかなる力であるかということは第二の問題といたしまして、第一に言えることは、人的、物的に組織せられた一つ総合力である、こういうことだけははつきり言えると考えます。  次に保安隊性格について言い得られる第二の事柄は、これは保安庁長官のお言葉を借り用いるのでありますけれども保安隊戦力にならぬ武力を持つ自衛力だ、こういうふうに御解釈になつておるようであります。私は、頭隠してしり隠さずという言葉が、ちようどこの政府側の御説明の中に現われておると思うのであります。自衛目的警察目的とは異なると私は思います。警察目的は、その目的国内すなわちいわば内に向けられておるのでありますけれども自衛目的ということになつて参りますと、それは国外勢力へ向けられるものである、すなわち外に向けられるものであると私は考えます。保安庁法において、形式上どのように定められておりましようとも、保安隊任務自衛目的にありということになつて参りますと、この組織使用する武器及び訓練が、この目的に即するように行われるようになつて来るのは当然でありまして、そして事実上の問題といたしましても、われわれ日本人全体が、実際においてはそのように行われておるというふうに見ております。保安庁国家地方警察などと同じように、警察組織であるというように政府説明しておいでになりますけれども、それにかかわらず、保安庁は別個の独自の編成を持ち、装備訓練も普通の警察とは非常に異なつております。そしてこのことは、保安庁任務保安庁法の第四條にありますごとく、特別の必要があるとき行動する部隊を管理し、運営することにあるということに現われております。特別の必要あるとき行動するというのはどういうことであるかといいますと、日米安全保障條約第一條で「一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて引き起された日本国における大規模の内乱及び騒じようを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて」駐留軍が出動する場合に、わが国共同措置をとるという、そういうことが予想されておりまして、こういう場合に保安隊行動させようというのが、私は一つのねらいになつておると考えます。また特別の必要あるときということの中には、行政協定第二十四條の、日本区域において敵対行動が発生した場合に、日米両国政府が必要な共同措置をとるという場合、こういう場合に保安隊が出動するということも当然に予想せられておると私は思うのであります。結局、この保安隊米国軍隊共同動作をとるということが予定せられておる制度であります。この場合の共同行動というのは、すなわち軍隊的行動であるといわなければなりません。軍隊同一行動をとることが予定されておるので、保安隊武器装備編成方法及び訓練において、普通警察的であるよりもむしろ軍隊的である、こういうようになつておると私は思うのであります。このように軍隊と同じような実質を持つたものとして実現されておるこの制度は、制度上の形式では、あくまで治安目的とうたつておりますけれども、知らず知らずの間に、保安庁長官の御言明の中で、それが自衛力だという言葉が出て来ることからもわかるように、このことが実はほんとうのねらいであろうと考えるのでありまして、長官国士的性格を持つておいでになるので、いわゆる官僚的なごまかしはできない人だと思う。そこで、どうしてもほんとうのことが言いたいので、閣議においても、ごまかさないで早く再軍備をやれというような御提案をなされたということを承つております。私はさもありなんと考えます。保安隊自衛目的を持つておるのでありまして、しかもそれが一定命令系統のもとにおいてその部隊員行動する組織的集団でありますし、それが武器及び兵器を持つておりますし、その訓練軍事的である。これだけの條件がそろえば、法制上軍隊という名称を用いようと用いまいと、実質的には軍隊であるといわなければならぬ。百歩譲りまして、軍隊というまでに至らぬといたしましても、少くとも、いつでも軍事組織に転化できる可能性を持つておるような制度として、現在この保安庁制度が存在しておるのだ、こういうことが言えると私は思う。私どもはこのような存在を戦力というのであります。そしてこの解釈は、憲法上の解釈として間違いないと思います。そこで私は保安隊というものはやはり戦力であるというように解釈しないわけに行かない。そしてその保安隊という制度の中に、新たに使用する兵器として加えられようとするのがフリゲートでありまして、こういう組織の中において用いられる兵器であると見る見方から、このフリゲートは明らかに戦力であるという見方ができると思うのであります。先般私は非常に奇怪なお言葉を承つたのでありますが、本来は戦争用武器、すなわち兵器であつても、これを使用する主体が、治安目的制度であれば、その武器戦力という性質を失うことになるのだ、こういう説明保安長官は先日私に対してなさつたのであります。これは非常に乱暴な、かつ間違つた議論だと私は考えます。何らの一定限度もそこには置かれておりません。だから、こういう考え方からすれば、巡洋艦でも、戦闘艦でも、保安隊使用すれば戦力ではなくなるという主張が成立することになるのでありまして、こういう限界のない乱暴な主張というものは許さるべきものではない。私はその反対に、むしろ本来戦争用兵器を用いることによりまして、これを用いる部隊性格戦力的になつて来る、こういうふうに考えるべきであると思いますので、これは政府考え方とまさに逆な考え方であります。今私が申しましたような実質を兼ね備えている部隊が、ここで新たに、本来軍艦であるものを持つて来て、さらにその使用する武器の上にこれをつけ加えるということになつて参りますれば、ますます使用する武器の面から申しまして、これを使用する部隊戦力的になるのだ、こういうふうに私どもは考えます。以上のような理由フリゲート保安庁という戦力要素であり、そしてこの戦力要素戦力たるわが保安隊に新たに加えるということは、憲法上の立場からも、また私どもの本来の平和論立場からも、これに反対せざるを得ないのであります。  それから、簡単に申し上げますが、第二の理由は、かりに保安隊戦力であるかどうかということを別といたしましても、私は先般も論じましたように、フリゲートという、構造上、造材上及び装備武装船舶であるところのものを保安庁が用いるということは、保安庁法第六十八條違反することになる。同時にそれは憲法違反にもなる、こう考えるのであります。保安隊及び警備隊は、その任務遂行に必要な武器保有することができるというように、第六十八條において定められておりますが、そのことは、反面から申しますれば、その任務遂行に必要であるという範囲を越えた兵器保有は禁じられている、こう解釈しなければならぬと私は思います。そう解釈しなければ、任務遂行に必要なという限度法律の上で特に設けました意味がないと思うのでありまして、本来戦争用目的を持つておるような武器を用いるということは、保安庁法第六十八條規定から申しましても、これはその逸脱となるのでありまして、このような兵器を用いるということは、保安庁法第六十八條から申しましても許されない。それは同時に憲法から申しましても、許されないことになると思うのであります。  いろいろと他の理由が他の諸君からお話がございましたので、私はとりあえずこの二つの理由をつけ加えまして、反対の意を表したいと思います。
  12. 栗山長次郎

    栗山委員長 これにて討論は終局いたしました。   採決をいたします。日本国アメリカ合衆国との間の船舶貸借協定締結について承認を求めるの件を、承認すべきものと議決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  13. 栗山長次郎

    栗山委員長 起立多数。よつて本件承認するに決しました。  なお本件に関する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 栗山長次郎

    栗山委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。   本日はこれにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会