○
木村(忠)
政府委員 御
承知の
通りに、
中共放送によりますれば、三万人
向うに
日本国民がいるということに相な
つております。従いまして、三万人は帰
つて来るものと
考えなければならぬことは、
先ほど外務大臣が
お答えにな
つた通りであります。
従つてわれわれといたしましては、三万人を一応
基礎といたしまして
仕事を進めなければならぬというふうに
考えます。そういうふうに
仕事を
準備しておるのであります。
それから次に、
援護の
内容でございますが、これにつきましては、従来帰
つて参りました場合と今度の場合とは、
先ほどもどなたかが御指摘になりましたが、
事情が
違つておるのであります。同じ
抑留と申しましても、
中共の場合は
留用でございまして、
ソ連等に
抑留されておりました場合とは
状況がかわ
つておるものが大
部分であると思います。
従つて、帰
つて参ります場合におきまする条件もかわ
つておりまするし、また
先方におきまして、
集結をいたしまして、そうして
乗船するまでの間の
問題等も、従来とは異
なつた
状況にあるということは
考えなければならぬ。また
向うにおきまして普通の生活を営んでおる人が大
部分であると
考えられますので、これらにつきましても、
向うにおきまする
財産等の問題もございましようし、従来と違いましたいろいろな問題がございますので、これらの点を考慮いたしまして今後の
受入れ態勢はとらなければならぬというような
考えをもちまして、大体
考えておりまするのは、
向うの港からこちらに
引揚げて参ります港まで、それからこちらの港に着きまして、ある一定の
引揚げたときのいろいろな
事務をいたします、
手続をいたします、その
援護の問題、それからそこから郷里に帰りますまで、定着する
場所に帰りますまでの
援護の問題、帰りましてから
あとの
援護の問題、これだけのものを
準備しなければならぬのであります。
そこで、
先方におきまする
援護というものはいろいろ問題があろうかと存じます。つまり
向うの土地におきまするところの
援護につきましては、いろいろの問題があろうと思いますけれ
ども、
用意といたしましては、やはりこれが
集結、
乗船までの
準備ができないというために帰れないということがあ
つてはなりませんので、これに対しましても万全の
措置は講じておかなければならぬ。これにつきまして、どの
程度の
経費がいりまして、その
経費がどういうように負担されるかという点については、おそらく今後の
折衝にまつところではないかと思いますけれ
ども、われわれの
事務といたしましては、これに対する
措置を一応
考えておかなければならぬ。これに対する方針は
はつきりさせたいというふうに
考えまして、これにつきましての
準備をいたしております。どの
程度の
経費がかかりますかということは、従来
個別引揚げで
大分帰つて参りましたので、それらの
事情がわか
つております。従いまして、それらを
基礎にいたしまして、
最低限度どの
程度かかるかということにつきまして考慮いたしまして、この
準備をいたしたいと
考えております。
次は、
海上輸送の問題でございますが、
海上輸送につきましては、御
承知の
通り現在
高砂丸が舞鶴港に繋留されておりまして、これは何どきでも迎えに出かけることができるようにな
つております。従いまして、いつ
引揚げが始まりましても、第一船を出しますることはそう大して困難はないというふうな自信を持
つております。ただ問題は、従来と違いまして
高砂丸によりまして
引揚げをいたしますると、大体一回に二千五百人ないし三千人というものが
乗船できます。この二千五百人ないし三千人というものが一時に
集結いたしまして
乗船ができるという
事情になるかならぬかということは、
先方の御
都合がございますので、なかなかこちらでも
つて、二千五百人一ぺんに集めてくれ、それでなければ船を出さぬというわけには行きません。従いまして、一回の
集結がきわめて少く、たとえば二百人とか三百人という場合に、
高砂丸を出すのは
輸送上きわめて不経済であります。
従つてこれに対する
準備をしなければならぬということが
考えられます。これに対しましても、現在の
政府といたしましては、
配船を指示いたしまして、これを
配船させるということができる法律ができておりまして、必要がございますれば、それに対する
措置もできる。これにつきましては、現在運輸省の方とその点につきまして連絡をいたしておりましてこの
準備も十分いたしたい、かように
考えております。
それから、
海上輸送の場合におきまして、船の中での問題でございますが、従来の
引揚げでございますと、一つの部隊組織といいますか、隊の組織ができておりまして、その組織でも
つて帰
つて参りますので、これのいろいろの世話をいたしますことは非常に簡単でございます。ただ今回になりますと、皆ばらばらの者が集ま
つて船に乗るのでございますから、これにつきましての
措置は、従来と同じようには参りません。
従つて相当これには手がかかるというように
考えなければなりませんので、これにつきましては、そのつもりで
準備をいたしております。
それから、船内の所要物資につきましては、従来
準備をいたしておりますので、これにつきましては、従来の
準備でも
つてできるというふうに
考えております。
それから、
引揚げて参りまして検疫をいたします。またこちらに帰りましていろいろな入国の
手続その他をいたさなければなりませんが、これにつきましては、現在舞鶴の
援護局に各種の
準備ができております。大体一回に二千人ないし三千人はこれに収容することができるようにな
つております。もちろん一ぺんに一万人も同時に船で帰
つて来るというような
事態が、万々ないと思いますけれ
ども、万一ありますような約束がもしできましたならば、その場合には、これに必要なる対策を立てなければなりませんので、これにつきましては、従来から持
つておりま設備、非常に多数のいろいろの設備を持
つておりましたが、現在ほかに使わせておりますので、それに対する
措置は講じなければならぬというふうに
考えております。しかし、現在のところ三万人でございますので、
向うにおきまするところの現在の人の配置の
状況から見まして、一ぺんに一万人、二万人とどつと帰
つて来るということはなかろうというふうに
考えます。従いまして、現在のところでは、舞鶴
援護局の設備でも
つて、これを補修いたしますれば、十分受入れられるのではないかというふうに
考えております。しかし、これは今後の
交渉次第によりましては、適当の
措置を講じなければならぬというようなことがあると
思つております。局内における
援護は従来
通りでありますが、もちろんこれにつきましては、
経費等が、従来とは物価等もかわ
つておりますから、これに対する必要な
措置は講じなければならぬというように
考えております。
それから、帰還いたしました際に、一番われわれとして
考えておりますことは、ぜひこの際、従来ございませんでした帰還手当を出すようにいたしたらどうだろうか、
——帰還手当を出しませんと、こちらに着きまして、しばらくの間困ると思いますので、これを出すようにいたしたい。これはまだ
財政当局は了承いたしておりませんので、何とも申せませんが、われわれはそういたしたいと
考えております。
それから、帰りまして定着地まで行きます陸上
輸送、これにつきましては、主要な駅におきまするところの各種の
援護の問題は、従来同様十分なる
措置をいたしたいと
考えております。
それから最後には、定着
援護でございます。これにつきましては、いろいろ問題がございまして、第一に職業問題、これは労働省の方におきまして、職業問題については十分
準備されますように、先般来労働省と連絡をとりまして、この
程度の
引揚げならば労働省といたしましては特別の
措置を講ずるということを
言つております。
それから、帰りました者の定着いたします場合に、こちらに留守宅のございます人あるいは縁故者のございます人は、一応そこにおちつくということができるのでございますが、全然無縁故の人あるいは縁故のきわめて薄い人、あるいは縁故者のところにおきましておちつくことができないような特殊の
事情のあります人、こういう人に対しましては、その方々がどこに定着するかというようないろいろの問題もございますので、一応一時的にそういう方々を定着させるための収容施設が必要でございますので、これにつきましては、従来持
つておりますところの収容所あるいはその他の
場所につきまして、一時収容施設を整備いたしたい、かように
考えております。
それから、実際に定着いたしました場合の引揚者の住宅につきましては、これは新たに新設をいたさなければなりません。これは、全然無緑故者の引揚者に対しましては従来も新設いたしておりますので、これも従来と同じように無緑故者の引揚者の住宅を新設いたしたい。これにつきましては、その
経費を要求いたすつもりでおります。
それから、応急家財、燃料費、それから更生資金というものにつきましても、従来と同じように、これについては
援護いたしたいと
考えております。
それからなお、こちらに参りまして、そういう方々を受入れる
国民全体の態勢というものも必要でございますので、これにつきましては、従来と同じような愛護運動の
経費をこのためにとるつもりで、大体そういうようなものにつきまして、一応計画をいたしまして、
準備をいたしております。
なお、現在通常の
引揚げに対しまして、従来の
基礎によりまして、約一万人分の受入れの
経費を持
つておるのでございます。このうちで、
個別引揚げでも
つて帰
つて参りました者の
援護に対しまして、従来相当使
つておりますので、現在では一万人分はございません。大体八千人分くらいの
経費に相な
つております。これが足りなくなりました場合には、ただちに予備金その他の財政
措置を講ずるというのが、従来予算をとりますときからの約束であります。これは問題がないと思います。
先ほど申し上げましたように、従来と違つたような
措置をとるにつきましては、急速に態度を決定いたしたい、かように
考えております。