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帆足委員 ちよつと関連して。
ソ連からの
引揚げの場合と
中国からの
引揚げの場合とは非常に事情が違うと思うのであります。私は、北京に二箇月おりまして、相当たくさんの
日本人の方にお目にかかつたのですが、
ソ連の場合は、大体において
捕虜として、
生業についているというよりも、むしろいろいろな工事に
軍隊式に動員されていたわけでございます。ところが
中国の場合は、比較的自由を与えられて、
生業についているような形の方が多いわけです。従いまして、
向うでは特に
技術者の方などは優遇されてお
つて、
向うで
生活すれば
生活できる。しかし何年も
祖国を離れてお
つて、望郷の念やみがたしという実情であるが、それには三
種類くらいあると思うのです。あのまま残
つておりたいという方、それから、ときどき帰りたいという方、また
帰つて奥さんをつれて帰つたり、お子さんを勉強につれて帰りたい、出入したいという方、それからまた永住的に
日本に帰りたい、こういういろいろの
種類の方があると思う。今
中国の
生活は、
日本に比べますと、
暮しは楽なんです。これは昔からそうですが、特に今は農産物が豊富で、
暮しは楽です。従いまして、こちらの
住宅面と
職業面の
受入れ態勢がないと、
海外同胞の諸君が
日本へ
帰つて、さてどうしようかという具体問題になると、
ソ連の
捕虜の場合は、いや応なしに帰されるから、兵隊さんが
帰つて来るような勢いで
帰つて来ますが、
中国の場合は、それぞれ
適所適材に応じて
生業について、普通の給料をもら
つて、普通の
市民生活をしている人が大部分ですから、従いまして、
帰つてもどうにもならぬとすれば、帰らない。そうすると、御
家族の方々としては、
受入れ準備態勢はなくても、やはり早くお父さんの顔が見たい、兄さんに
帰つてもらいたいという深刻な矛盾にぶつかると思う。これは
南漢震中国銀行総裁にお目にかかりましたときに、二万数千だと思うが、大体において帰れるようになるよという話でありましたことは、申し上げた
通りでありますが、そのときに、
日本に
帰つてからの
生活が
心配だということをやはり一言漏らしております。それから、先日天津から
帰つて来たお方がこういうことを
言つておりました。これは風評ですから、うそかほんとうかわかりませんが、とにかく、
日本に
帰つて路頭に迷うような人に対しては、確かな
身元引受人等がなければ、今まで
入国許可がなかなかおりなかつたということです。しかし今度はそれがずつと寛大な条件で帰れると思います。従いまして、
次官は
ソ連の場合と同じようにお
考えにな
つておるかもしれないが、この問題は
もつと複雑であり、深刻であります。特に最近の
経済景況は御
承知の
通りであり、終戦直後は何のかのと
建設事業がありましたけれども、今は
一わたり就職面がおちつきまして、どこへ参りましてもなかなか余地がないというときですから、ただいまの御
答弁のようなことでは多少困るのでありまして、具体的に大きな
予算を組んでやられるようにお願いしたいと思います。