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1953-03-13 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十三日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 河本 敏夫君 理事 正木  清君       伊能繁次郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    中野 武雄君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       吉川 大介君    熊本 虎三君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月十二日  臨時船舶建造調整法案内閣提出第一七六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する  法律案内閣提出第一七二号)  道路運送法の一部を改正する法律案起草に関す  る件  戦没者遺族国鉄運賃割引に関する件     —————————————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  道路運送法改正に関する小委員長より、小委員会審議経過並びに結果につき報告を求められておりますので、これを許します。小委員長關谷勝利君。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまより道路運送法改正に関する小委員会における審議経過並びにその結果につきまして、御報告申し上げたいと存じます。  本小委員会は前後五回にわたつて開会いたしましたが、二月二十八日には、参考人として業界代表四名及び労働者代表利用者代表免廃期成同盟代表学識経験者各一人を招致いたしまして、道路運送事業免許制問題を中心に、現行道路運送法に対する意見を聴取いたし、三月三日には、道路運送法の一部を改正する法律案提出者を代表して、中曽根康弘君よりその提案理由説明を聴取し、次いで運輸省自動車局長より当局意見を聴取、種種質疑を重ね、道路運送法改正に関する問題の核心の究明に努めたのであります。この間におきまして論議中心となりました点は、現行免許制撤廃の是非と、道路運送審議会に関する批判の二点でありました。  まず第一に、免許制撤廃を主張する者の理由とするところは、現行法では各業種とも一律に煩瑣な免許手続を要し、かつ免許基準が形式的厳格に過ぎ、許可が容易に与えられない等のため、多数の小企業者事業を営むことができず、やむを得ず名義借り営業自家用による営業類似行為を行う者を生じている実情であるが、かかる免許制は小企業に対する不当なる圧迫であり、職業選択の自由を不当に束縛するものであつて中小企業の多いわが国の実情に適しないものである。よつてこの際、実情に即するよう免許制度の大改革を行い、その結果問題となる道路運送秩序維持事故賠償能力低下等運送事業者自主的規則によることとし、行政監督はこれを最小限度にとどめねばならないとするものであります。また免許制存続を主張する者は、現行免許制に伴う弊害、矛盾はこれを認めるも、自動車運送事業の有する公共性から見て、免許制は当然であり、免許制撤廃のあかつきには、過小経営の濫立、不当競争の惹起、事故の頻発、従事員労働強化賠償能力低下等の事態を現出し、ために交通秩序を乱し、一般旅客、荷主に重大な損失を与えることとなる点等を強調いたすものであります。  次に道路運送審議会につきましては、その運営実情より見て、これが構成につき再検討を加うべきであるとの意見、またこれを廃止するとともに、これにかわる諮問機関を設置し、個々の免許事案にはタツチせしめないこととし、行政簡素化の線に沿つた制度とすべきであるとの意見等がありました。  しこうして以上の二点を中心として、小委員政府当局との間に種々質疑応答が行われ、また小委員間においても熱心な論議が重ねられました結果、各小委員において改正試案を持ち寄ることといたし、三月六日にはまず関谷小委員長より道路運送法改正案が提示されたのであります。その趣旨を申し上げますと、第一の免許制度存廃の点につきましては、現行免許制に対する論議の対象となつている免許基準適用事案審理手続簡素化等の問題は、昨年十二月二十七日付陸運局長に対する自動車局長通牒により、大よそその目的が達せられるものと認められるので、しばらくこれに触れないこととする。第二の道路運送審議会については、これを廃止し、新たに陸運局長諮問機関として、陸運局ごと自動車運送協議会を置き、道路運送に関する重要事項基本的方針調査審議させるとともに、必要と認めるときは建議し、または苦情を調査して意見を述べることができることとする。その委員の数は七人以内とし、関係官公庁職員学識経験者業者及び利用者のうちから任命することとし、さらに臨時委員を置くことができることとし、一地区に関する事項調査審議の際には、その地区から臨時委員任命して十分地方事情を反映させることとする。なお行政民主化を期するため聴聞制度を設けて、陸運局長事業免許免許の取消し、基本的運賃料金認可等の処分をする場合は、利害関係人意見を徴することとするというのであります。越えて九日には、これに対しまして熊本小委員より、免許基準適用についての自動車局長通牒趣旨法律に明定すること、自動車運送協議会委員自動車運送事業従業員を入れること、及び臨時委員については、特定都道府県区域内の運送事業関係のある事項調査審議する場合には、臨時委員を置くものとすることの修正案が提出され、正木委員よりは、陸運局長諮問事項に関する自動車運送協議会意見を尊重せねばならないこととすること、及び委員は九人以内とすること等の修正意見が述べられ、これらの諸点についても論議を重ね、慎重審議いたしました結果、一昨十一日に至つてようやく道路運送法改正に関する成案を得た次第であります。  次に、その改正法律案を朗読いたします。    道路運送法の一部を改正する法    律(案)   道路運送法昭和二十六年法律第  百八十三号)の一部を次のように改  正する。   目次中「第八章道路運送審議会(第  百三條—第百十九條)」を「第八章自  動車運送協議会(第百三條—第百十  九條)」に改める。   第六條第二項中「前項」を「第一  項」に改め、同項を第三項とし、同  條第一項の次に次の一項を加える。  2 運輸大臣は、前項規定により   審査する場合に当該申請につき同   項各号に掲げる基準適用するに   当つては、形式的画一的な適用に   流れることなく、当該路線又は事   業区域実情に応ずるよう務めな   ければならない。   第八章を次のように改める。     第八章 自動車運送協議会    第百三條から第百六條までを次のように改める。(自動車運送協議会)  第百三條 自動車運送協議会陸運局ごとに、これを置く。  2 自動車運送協議会は、陸運局長諮問に応じて、自動車運送につき、左に掲げる事項に関する基本的な方針調査審議する。   一 輸送需要供給との調整に関するごと。   二 輸送の施設の改善に関すること。   三 運賃及び料金基準に関すること。   四 従業員の教育及び養成に関すること。   五 その他輸送に関する重要な事項。  3 陸運局長は、前項規定により自動車運送協議会の答申を受けたときは、その所掌事務の遂行上、これを尊重しなければならない。  4 自動車運送協議会は、第二項の事項に関し必要と認めるときは、陸運局長に建議することができる。  5 自動車運送協議会は、自動車運送に関する苦情調査上陸運局長意見を述べることができる。(組織)  第百四條 自動車運送協議会は、委員九人以内をもつて組織する。  2 自動車運送協議会委員は、関係官公庁職員学識経験のある者、自動車運送事業者及び自動車運送事業を利用する者のうちから、陸運局長関係者意見を徴して任命又は委嘱する。  3 陸運局長は、自動車運送協議会特定都道府県区域内の自動車運送に直接関係ある事項審議する場合には、特にこれを審議させるため、自動車運送協議会臨時委員を置くものとする。臨時委員任命又は委嘱については、前項の例による。(委員任期)  第百五條 委員任期は、一年とする。  2 委員は、再任されることができる。(省令への委任)  第百六條 この法律規定するものの外、自動車運送協議会に関し必要な事項は、運輸省令で定める。  第百七條から第百十九條までを次のように改める。  第百七條から第百十九條まで 削除第百二十二條の次に次の一條を加える。(聴聞)  第百二十二條の二 陸運局長は、その権限に属する左に掲げる事項に関し、処分しようとする場合において、陸運局長が必要と認めるとき又は利害関係人申請があつたときは、聴聞を行わなければならない。   一 自動車運送事業免許   二 自動車運送事業の停止及び免許の取消   三 自動車運送事業における基本的な運賃及び料金に関する認可  2 前項聴聞に際しては、利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。  3 前二項の聴聞に関する必要な事項は、運輸省令で定める。    附 則  1 この法律は、公布の日から施行する。  2 運輸省設置法昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。   第五十五條を次のように改める。  第五十五條削除    理 由  道路運送審議会運営実情にかんがみ、これを自動車運送協議会に改組するとともに、所要の規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。  今のような経過をたどりまして、ただいま朗読いたしました法案ができ上つたわけでありますので、御審議のほどをお願い申し上げたいと思います。
  4. 熊本虎三

    熊本委員 ただいま小委員長から御報告がございまして、大体その通りでございます。私から修正を提案いたしましたものにつきましても、小委員会では大体これを取入れることの御了承を賜わつたわけでございますから、その点はまことに喜んで感謝いたしておるわけでございます。ただ先ほど報告の中にありました委員九名中に従業員代表を加えるということの修正につきましては、小委員会におきまして、それは学識経験者の中に取入れるということがございまして、字句にこれを表示することを避けたのでございます。従いましてこれが決定を願いますならば、将来委員任命にあたりまして、学識経験者中に勤労者を代表する人の中から一名御採用相なるよう、ここに希望を付しまして賛成をいたしたいと存じます。
  5. 臼井莊一

    臼井委員 この百四條の三項の終りの都道府県区域内の運送事業に直接関係のある場合の委員任命の仕方、数でございますが、これは前項の例によるとなつておりますが、これはやはりその県内の委員を九名にするのですか、それとも九名のほかに何名とかいう、細則で設けるのでしようか、その点お伺いしたいと思います。
  6. 關谷勝利

    關谷委員 前項の例によるといいますのは、大体この九名以内でありますので、実情に適当したようなそれ以内でとることになるのでありますが、それは関係官庁職員とか学識経験者自動車運送事業者あるいは運送事業を利用する者、こういう中からとる、こういう意味であります。
  7. 逢澤寛

    逢澤委員長 ただいま報告のありました小委員会道路運送法起草案委員会成案と決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければ、委員会成案と決定いたしました。  次に提出方法についてお諮りいたします。本成案委員会提出法律案として議院に提出いたしたいと存じまするが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければ、さよう決定いたします。
  10. 正木清

    正木委員 私はこの機会に、この改正法律案と関連して運輸当局に一言御質問を申し上げておきたいと思うのでございます。この改正法律案議会を通過して、具体的に行政の面に移りました場合に、この現行道路運送法によりましては、営業認可を受けてまじめに営業をいたしておりまする半面に、現在の業界の現況におきましては、いまだに免許をとつておらないために、既存の業界から名義を借りて営業をしておる者、または現実名義借りをしないで、世間一般にいわれておりますもぐり営業をいたしておる者が相当ありますことは、営業者営業者でないものの台数の比較をとつてみても、大体想像がつくのでございます。従つてこの改正法律案が実際行政の面に移つた場合において、当局はこれらの他人から名義を借りて営業しておる者、それからもぐり業者等に対して、どういうような取締りを行おうとする用意があるのか、また取締りをいたした場合に、この道路運送法の精神に基いて厳重にそれを処罰する用意があるかどうか、この際承つておきます。
  11. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この法律通りました上は、われわれが昨年の暮れに出しました通牒趣旨がますます生きて来るわけでございますから、十分な資格なり、適格性があるにかかわらず、免許権者名義を借りなければ営業できなかつた者とか、自家用もぐり営業をせざるを得なかつた者に対して、免許を与えることがますますできるわけでございます。そのようにしてまじめに事業をやるという意思もあれば、能力もあり、需要供給関係から見ても十分に認められる者に対して免許が与えられることになりますれば、そういう選にもかからない者に対しては、これはまつたく違反行為でございますので、従来以上に取締りを強化いたしたいと思います。但し予算関係とか定員関係で、なかなか人手が不足でございまして、現場へ行けば行くほど取締りに困難を加えておりますので、これらについては予算上十分努力いたしますとともに、内部業務簡素化、あるいは業務の重複している点を整理いたしまして、できるだけ人手を生み出して、そのような取締りに当らせようと思つております。
  12. 正木清

    正木委員 ただいま自動車局長から御答弁をいただいて、その点私は法治国としての行政処置は、さようあつてしかるべきものだという安心感を持つたわけであります。正直者がばかを見て、不正直者が得をするということであつてはいけないのであつて従つて私はこういうような考え方を持つておるのですが、あらためて局長から御答弁を煩わしたいと思うのです。  陸運局第一線機関でございます陸運事務所が、日本のこの数十万台に上ります一切の貨物、旅客自動車の取扱いの行政を担当しておるわけでございますが、行政整理に伴う人員、それから予算等について思うように行かないというふうに聞えた御答弁であつたのであります。私は特にこの委員会局長から重ねて御答弁をいただくと同時に、同僚各位にもぜひお考えを願いたいと思いますことは、皆さんのお手元へも写しが出ておると思うのでございますが、陸運局事務所定員並びに予算増加に関する請願が、当議会に出ております。東京都千代田区丸の内一の一運輸省内運輸省全国陸運職員組合従つてこれは運輸省内の陸運局職員の諸君によつてつくられておる職員組合であることは間違いないと思うのでございますが、この代表者である執行委員長の土岐という方から請願が出ております。この請願の要旨及び理由を私読んでみますと、事の意外に驚くようなことが、現実にこの理由の中に列記されてあるのでございます。これを見ますと、この陸運事務所が設置されました当時におきましては、定員は三千四百三十名、陸運局を含んでございます。ところがたびたびの人員整理によつて現在では二千四百八十名という、きわめて圧縮された人員となつておる。しかも人員は極度に圧縮されたにかかわらず、道路運送車輌法自動車登録令自動車抵当法等が施行され、陸運事務所事業量は倍加されて来た。しかも職員は必死になつて努力をいたしておるにかかわらず、業務は日々に渋滞いたしまして、一般民衆に与える不利不便というものは非常に大きなものである。しかもこうした事情のもとにおいて、職員は激務のために疲労困憊その極に達して、健康状態は悪化の一途をたどり、一例として東京陸運事務所をあげておるのでございますが、東京陸運事務所におきましては、職員数百七名のうち二十一名、二〇%は胸部疾患で倒れておる。こういう実に聞くにたえないような驚くべき理由書をここに見出したのでございます。申し上げるまでもなく道路運送法が施行され、臨時物資需給調整法の施行に伴つて、この陸運事務所が二十二年にできました。続いてこれに関連するいろいろな法律なんかができて、第一線事務を担当いたしておりますのは陸運事務所であることは申し上げるまでもございませんが、一例を東京陸運事務所にとると、百七名のうちで二十一名の胸部疾患患者を出しておる。これは上級官庁である運輸省としては真剣になつて考えなければならないことではないか。行政整理とは、単なる整理のための整理であつてはいけないのではないか。もちろんむだを省き、よけいな経費を節減することは、国として当然のことではございますが、仕事の量が増加されて、そのことが直接人民の福利と幸福を願う事業である限り、むだを省き、冗費を省く半面に、こうした事務所には人員増加して、そうして国民のために完全な行政事務を施行する、これが行政官庁として当然なさなければならないことではないかと考えます。それに加えて、理由書にはこう書いてございます。加うるに自動車数は激増の一途をたどり、昭和二十一年において約十万台が、二十七年末では六十万台を突破しておる。昭和二十二年において十万台のときにはその定員三千四百三十名が、六十万台に台数増加したときにおいて二千四百八十名と、定員は減つておる。こういうことがはたして行政として妥当であるかどうか。このことも真剣になつて考えなければならない事柄ではないか。しかもこの中で予算処置にも触れておるのでございますが、一つの例をあげますと、一般旅費につきましては、一人平均月額三円という、まことに唖然たるものでございます。こう書いてございます。それからさらに庁費関係についてみましても、電話料等通信運搬費光熱水道料を支払えば、日常必要とする用紙類等の消粍品、印刷等は、まつたく不可能という状態であります。このような予算をもつてしては、絶対に行政事務運営は困難でありまして、出張旅費自己支弁、消粍品等の自己支弁等、直接職員生活面にも大なる影響を及ぼしておる現状であります。私の浅い議会経験でございますが、私は戦前戦後を通じて、私の知り得る範囲において、かような深刻な、しかも直接行政面関係を持つ請願を受けたことがございません。私はこの点について、この際自動車局長から責任ある明確な答弁を要求いたしておきます。
  13. 中村豊

    中村(豊)政府委員 いろいろと陸運事務所の、特に定員予算のことについて御心配をいただきましてまことに感謝にたえません。大体お話のような実情でございますので、われわれもその予算及び定員増加には、極力努力しているのでございまして、ある程度その実も上げておるのでございます。そこでただいまお話のございました点について二、三御説明を申し上げますと、全般に定員減つたことは事実でございますけれども、その減つた部分物調定員と称しまして、ガソリン、燃料その他資材の配給統制をしておつた時代定員を減らしたのでありまして、これは物資配給がことごとく撤廃になりましたから、そのような定員はいらないわけでございまして、これを削減するのは国民のためにも当然なことでございます。そのような数が大部分でございますから、その点は御了承願いたいと思います。ただそのほかに一般行政整理に伴いまして、ある程度一般並減員をしておりますが、そこが問題であるわけでございます。それについてもできるだけ一律にならないように、現場職員現実現業業務をかかえておるのでございますから、ただ能率向上だけではとうていまかない得ないことが多いのでございますので、減員にあたつても、できるだけ一律に削ることを避けておるわけでございます。  また胸部疾患患者が非常に多くて、非常に気の毒な状態でございますが、そのような人には長期の休養を与え、その補充をするために他方から人を持つて来ようとしておるのでございますけれども、実際にあたつて住宅事情その他で、ただちにその穴を埋められないという点があるのでございまして、これらの点も何とか解決して行く方向に努力しております。  なお旅費の問題でございますけれども、今のお話一般旅費で、ございまして、現場陸運事務所旅費は、大部分車輌検査旅費でありまして、これは十分にございます。そのほかの事務としての一般旅費は、東京に関してはあまりいらないので、そのような少額になつておるのでございますけれども、それにしても額そのものは、私たちの考えておるよりは非常に少いので、その点は数字をもう少し確かめてみなければわからないと思つております。いずれにしろ一般旅費は、東京に関してはそう多額を要しないという仕事の性質でございます。  なお一般問題としまして、いずれにしろ現場職員業務が過重になつて疲労困憊に陥らしめないように、また車輌増加に対応できますように、できるだけの努力をしておるのでございまして、毎年多少ずつでございますが、陸運事務所車輌検査関係定員増加しております。現にただいま御審議を願つております二十八年度予算においても、陸運事務所車輌検査関係定員については増加しておるのでございます。ただ問題は、全体としては何といつても少いので、その少い定員をできるだけ重点的に配置するように、たとえば東京のごときは、特に車輌増加が著しいのでありますから、東京に重点的に定員を配置するというふうな、内部でいろいろやりくりをしまして、できるだけ実情に沿うように努力をしておるわけでございます。一般的に申しまして、非常に苦しい予算定員の中から、できるだけ実情に合うようにという努力を重ねておるのでありまして、そのやり方としては、予算定員わくをできるだけとるという努力のほかに、与えられたわくの中で、業務簡素化し、また陸運局陸運事務所業務の重複を整理しまして、なるべく人手を減らすことによつて対応しておるわけでございます。
  14. 吉川大介

    吉川(大)委員 ただいま審議されております道路運送法改正案は、先ほど小委員長の御報告にもありました通り営業を受けんとして受け得ざる多数の人たち、また道路審議会あるいは陸運事務所陸運局にからまる幾多スキャンダルの説も、この改正によりましてその根源を断ち、多数の営業をなし得ざる人たちが、明るい営業をなし得るようになりましたことは、まことに幸福なことであり、明朗な仕事ができることとなつたことは、私も愉快に感ずるところでありますが、これと同時に今後、今まで免許を受け得べくして受け得なかつた人たちが多数申請を出すことと存じますが、今日もこの免許申請に対して何とも言いようのない、非常に多数の書類がいるのであります。われわれはつとにこの簡素化を唱えておつたのでありますが、これらに対して今後局長申請書類簡素化をやられるかどうか、ぜひやつていただきたいと思います。また免許制を存置いたします以上、先ほどお話もありましたように、今後もこれは厳重に取締つていただかなければなりませんが、現在の罰則を見ますとその罰則が人にかけられていなくて、車が罰せられるというようなことで、これがただちに翌日から名義をかえて用いるという盲点があり、また取締りにあたつて幾多の困難があると思いますが、これらに対して一応局長の御意見をお伺いしてみたい。
  15. 中村豊

    中村(豊)政府委員 書類が非常に複雑であるという御指摘でございますが、この点についてはわれわれも急いで研究をしまして、できるだけ簡素化をはかりたいと思つております。なお手続も非常に複雑でございまして、ただいまは道路運送審議会諮問して、いろいろと公聴会が行われる。そのために日数も非常にかかるわけでございますが、今回の改正案によりますれば、そういう煩雑な手続はほとんど解消するわけでございますから、この面からも非常に迅速な行政ができることは間違いございません。なお取締りの場合に、車にかかつて人間にはかからないという点も、われわれも平素の取締りにおいて感じておる点でございまして、これらについての改正もいろいろ考えておるわけでございますが、この国会には間に合わなかつたものでございますから、できるだけ早い機会にいろいろの他の改正点と一緒に、その問題も解決いたしたいと思つております。
  16. 臼井莊一

    臼井委員 ただいま吉川さんの御質問の趣旨は、私もその点お伺いしたいと思つてつたのですが、ただいま局長の御答弁で逐次改良されるものと期待して、その点は信頼しておきますが、ただ陸運事務所が今でも手が足りないということは、先ほど正木委員のおつしやつた通りで、それとともに形は知事の監督下にあるような形になつているように伺つているのですが、実際にはどうも独立して陸運局の下にあるように思いますので、従つてその点将来やはり県の機構の中に完全に課なら課にして入れた方が、いろいろな申請事務の連絡とか、それから一般の人のいろいろの希望を受入れるにも、あるいはまた監督する面とか、あるいは手の足りないときには他の課の方から応援を出すというようなことも、県庁の内部へ入つていればできるわけでありまして、現在の機構ですと、どうも陸運事務所があまりに、お役所には違いないのですが、いわゆるお役所式になり過ぎてしまつて、地方の自治体との関連がどうも密接でないように思うわけで、場所も大体県庁とは離れているので、手続の便利の上からいつても非常に不便のように思う。その点将来そういう県の行政機構の中に完全に入れてしまつて、それを通じて陸運局でやるということができるのかどうかということと、それに対してのお考えを伺いたいのであります。なおこういう今までどつちかというと、制限するようなことにばかり重きを置いていたように見られる免許制度が、今度はできるだけ許可を与えるような方向に行つていただけると私たちは期待しているのですが、従つて申請も多くなるでありましようし、そういう点から見ても県の正課とした方がいいように思うのですが、その点ひとつ意見をお伺いしたい。
  17. 中村豊

    中村(豊)政府委員 現在陸運事務所が県の中に入つているにかかわらず、県の中に完全に溶け込んでいずに、運輸大臣によつて予算及び人事を左右されているという形は、御指摘のごとく確かに中間的な、変則的な形でございます。しかしこの形ができましたのには、いろいろのいきさつがございまして、陸運事務所の現在やつている仕事は国の事務であるという考え方と、これは地方の事務であるという考え方が相対立しまして、なかなか結論が出ないうちに、何とか結着をつけなければいけないというので、両者の協定によつていわば中間的な形ができたのがいきさつなのでございます。そこで今後もその議論はたびたび出ると思いますし、現在考えられている地方行政制度の根本的解決という場合にも起ると思うのでございますが、その場合に運輸省としての考え方を申し上げますと。これは臼井先生のお考えとは少し違つておりまして、陸運事務所仕事は全部国の事務である。従つて運輸大臣直接の独立した機関、地方機構でなければいけない。従いまして昔のように知事から独立した別個の地方機構にしなければいけないと考えているわけであります。その理由をいろいろ申し上げますと、長くなつて非常に議論のあるところでございますが、結論的に申しますと、国の事務である。従つて国の独立機関として運輸大臣直属のものにしなければいけない、かように考えているわけでございます。
  18. 臼井莊一

    臼井委員 運輸省のお考えはわかつたのですが、ただ民間側の考え方とすると、運輸大臣直属の機関という考え方がやはり陸運事務所にも強く響いて、よけい地方の一般民衆との連絡とか、理解というものが行き届かないように思う。これが県庁の一部課ということになれば、いろいろ輿論の反映というものも県会等を通じてすぐ反映するし、従つて地方の実情というものに即して、許可というものも扱われやすいのではないかと思う。たとえばナンバーにしても、実際上は自家用組合なんかでいろいろ便宜をはかつてつているようですが、元は警察でよかつたのが、一応法規的には陸運事務所へ一一ナンバーを借りに来る、こういうのが原則になつているようで、何とかこれは将来地方の自治体ともう少し密接に関係のできるような機構を考えなければならぬと思うのですが、それについては私どももなお十分研究いたしますが、われわれの希望としてはそういうことがあるということだけをお考えにお入れいただきたいと思います。
  19. 逢澤寛

    逢澤委員長 伊能委員
  20. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 きよう小委員会の御決定を願つたこの法律案改正でありますが、さいぜん来関係委員がいろいろと御質問をなさつておりました、その点について臼井委員から今のような御意見が出ましたが、本案審議に際しては、さいぜん局長から本案実施にあたつての概略のお考えを承つたのでありますが、でき得れば本案実施に際して、運輸大臣自身の権限、運輸審議会のそれに関する今後の行き方並びに道路運送審議会が廃止せられて、新たな道路運送議会ができたことによつて、その内容は本案に明示されておりまするが、その元となるべき陸運局長の権限、さらにただいま臼井委員からお話がありましたが、中村自動車局長お話では、国家事務として一貫してやられる、その際にどういうような行政簡素化並びに事務の敏速簡捷化をはかつて行くかという意味における陸運事務所の今後の仕事のあり方についてのお考え、陸運局としては、免許事務は大体どの程度のものを専決で行つて行くか。さらに運輸省自体、本省においてはどういう仕事をつかさどるかというような、行政簡素化の実態に関するお考えがもしおありでしたら、この際承つておきたいと思います。
  21. 中村豊

    中村(豊)政府委員 御質問の点について、運輸省として確定的な意見ではございませんが、ただわれわれ関係者がいろいろと考えておる構想を申し上げますれば、現在本省と陸運局陸運事務所とこの三段階があつて、そこで最後の末端の陸運事務所で民間の方と接触しておる。そこで自然に手続も煩瑣なれば、いろいろとその間の性格も議論になるわけなので、何とかこれを、私がたびたび申し上げましたように簡素化しなければいけない。業務の重複をできるだけ除かなければいけないという見地から、先般来検討しているのでございますが、その考え方としては、できるだけ本省の権限を地方陸運局長に委譲する。現在陸運局長は御承知のごとくタクシー、ハイヤー事業、これを乗用旅客自動車運送事業と申しますが、それと小型貸物自動車運送事業、この二つについて権限を持つておるわけでございます。その他特定のものについてはありますけれども、これはこまかくなりますから省きますが、さらにそのほかに区域貸物自動車運送事業、いわゆる地場トラックでございます。これも地方陸運局長に委任して、迅速な処分をしたらどうか、かように考えております。また大型貸切と申しますか、俗にいう遊覧バスについて、これを本省に残しておくか、地方に委譲するかという点は、目下研究中でございます。そのようにして本省の権限をできるだけ地方に委譲して、本省まで一々書類が来なくても済むように簡素化をはかりたいと思つております。また陸運局陸運事務所関係でございますが、これは現在陸運事務所陸運局の下請けでいろいろと免許、許可の仕事をしております。従つてただいま臼井委員からお話のごとく、いろいろと御説か出るのでございますが、このような免許、許可、認可仕事は、相当広いブロツクにわたつて行われる事業についてでありますので、行政の公益性という点から、また国有鉄道、地方鉄道、軌道あるいは今後海運でありますとか、航空等の関係もあわせて、交通全般として考えなければいけないという、交通行政の総合性という両方の見地から、一府県だけにとどまつて考えては判断を誤りますので、陸運事務所からできるだけそのような仕事は吸い上げて、陸運局長に集中いたしたいと思います。そこで陸運事務所は今後その性格は車輌の検査登録というふうな、整備関係、車輛関係仕事と、それから先ほど正木委員からいろいろお話のありました運送事業の監査と申しますか、取締りという、あとの事業の実態、内容を取締るといいますか、そういう方面に仕事を集中して行きたいと思います。そのようにして陸運局陸運事務所の性格がすつきりしますれば、民間の方はその仕事に応じてどちらかに書類を出せばそれで済む、従来のように二軍の手続、さらに本省も加えて三重の手続はいらなくて済むというふうにいたしたいと思います。このようにして簡素化もできますれば、迅速化もできまするし、またわれわれ内部の公務員の能率的な活動もできる、こういう考えを概想として持つておるわけでございます。
  22. 逢澤寛

    逢澤委員長 伊東君。
  23. 伊東岩男

    ○伊東委員 この法律改正によつて免許制度が非常に緩和される。従つて小さい資本家がどんどん免許をとつて営業をするということに相なります。今交通事故として自動車事故が一番多いのでありまするが、資本の大きい会社が事故を起した場合には割合に救済の道もありまするけれども、小資本家の事故がだんだん起つて来ると思いますが、これらの救済について、どういうふうにお考えになつておるのでありますか。
  24. 中村豊

    中村(豊)政府委員 この改正案によつて免許がどんどんされるというようなお話でございましたが、その点は多少、お言葉をつかまえて言うのではございませんけれども、あくまでもそれは免許基準従つて適格性のある者にだけ免許するわけでございますから、その点はちよつとお断りしておきますが、それにしても小さい事業者がこれからも大分出て来ると思うのでございます。そこでその事故の賠償の問題でございますが、これについてはただいまいろいろ考えを練つておるのでございますが、一番問題になるのは、外部の人に対して損害、被害を与え、死傷を与えたような場合に、これを救済できないのでは困りますので、社会保障的な見地から、人に対しての損害賠償に関しては、保険制度をできるだけ強制しまして、それによつて保険でもつて簡潔に解決するようなことを考えておりますが、これらについては法律措置を必要としますので、できるだけ早い機会成案を得て御審議を願いたい、こういうふうに思つております。物に対する損害につきましては、そこまで強制保険制度を及ぼすのは時期尚早でございますし、諸外国でもあまりそこまで行つておる例はありませんので、物の損害賠償責任に関してはただいまは考えておりません。それは免許をする場合に、申請人の資力、信用を十分審査することによつて、資力のある人にだけ許すということによつて、その点を保障したらどうかと思つております。
  25. 伊東岩男

    ○伊東委員 ただいまの事故が起つた場合の救済については、当然法律措置がなければいけないと思うのでありまするから、局長お話のように、これは早急この点をお考えくださるように……。  さらにもう一点、局長がおいでになつておるから、関連してお尋ねいたしますが、国鉄バスは大体今独占線になつておるようであります。ただいま民営の競願線が多数あると思うのでありますが、これが競願した場合には、許可の関係をどうされるか、また新しい路線について出願した場合には、国鉄バスを優先するのか民営を優先するのか、これはただいま各地に相当起つておる問題だと思います。私の宮崎県のごきは、この点でいろいろ心配しておるようでありますが、これについて局長の御意見を承つておきたいと思います。
  26. 中村豊

    中村(豊)政府委員 国鉄バスと民営バスとの関係をどう調整するかという問題は、非常にむずかしい問題でございまして、その根本方針を立てるについて、目下慎重に検討中でございます。個々の案件について議員の皆様方にいろいろと御迷惑をかけておることも承知しておりますので、何とか根本方針を打立てて、それによつて明快に事案を解決して行きたいと思つております。それについての考え方としては、これはこの前の国会においても当時の村上運輸大臣から御答弁申し上げたのでございますが、原則として民営事業を尊重して行く。競願があつた場合には、そこの民営業者が十分なサービスをして、現在の段階で満足できるような事業運営をしておれば、それでよろしいので、それ以上に国鉄バスを許す必要はない。また多少不満足であつても、それに改善を要求して民営バスが改善される見込みが十分である場合には、国鉄バスを許す必要はない、そういういずれにも当らず、まつたくどうにもならないような事業者である場合には、利用者のために国鉄バスを許す、国鉄バスには根本的には性格に、使命に制限があるのであつて、これは簡単な言葉でいえば、国鉄の先行線であるとか、代行線であるとか、短絡線とか、培養線とかいうものに限られる、それ以外のものは民営自動車がどのような状態であろうとも、これは国鉄には許されない、そのような性格に該当する場合でも、民営バスとの調整は、ただいま申し上げたような考えで調整して行く、こういう御答弁を申しておるのでございますが、この点をさらにはつきりさせるために目下検討中でございます。
  27. 伊東岩男

    ○伊東委員 もう一つ簡単にお尋ねいたします。大体国鉄バスは独占されておるために、どうも評判が悪いのであります。なおまた国鉄バスの方は赤字線が相当多いように考えております。が、これは乗客が少いからであります。元来国鉄バスの車輌は、民営バスに比べておそまつ千万でありますが、これは御改善にならなければ、一般からいえばますます迷惑を受けるわけであります。なお独占線は、そういうような採算上の関係もありましようが、回数ふ少いためにますます乗客が減つて来るという現状であります。これは国鉄バスみずからの救済の上からも、よほどお考えくださらなければならぬし、乗客の側からいえば、むしろ民営の方がいいという場合が多いのでありますが、この点いかがでありますか。
  28. 中村豊

    中村(豊)政府委員 一般的に申しますと、ただいまのお話と大分事情が違いまして、いろいろとわれわれのところに陳情に来られる地方の方々は、圧倒的に国鉄バスでなければならない、民営バスはサービスが悪い車が悪い、運賃が高いと言われるので、むしろただいまのお話は宮崎県の特殊な事情であろうと思うのでございます。しかし私たちは、かりに国鉄バスの方がサービスがいいであろうと予想される場合でも、そこに民営バスがあつて十分な努力をしておる場合には、それを尊重して行きたい、こう申しておるのでございます。民営バスが国鉄バスよりもずつといい地区では、われわれの申しました考え方をますますはつきりできるわけであります。
  29. 徳安實藏

    徳安委員 自動車局長にちよつと伺つておきますが、この法律改正になりまして公布されました日から施行されるわけであります。施行と同時に道路運送審議会がなくなるわけですから、そうした場合に、この道路運送審議会の権限——権限と申すかどうか知りませんが、そういう権限に基いて、あるいは公聴会というような、先に開かれる予定になつておつたようなものは、どういうぐあいになりますか。この審議会がなくなるのですから、そういうものは通知が出ておつても、自然やらないことになりましようか。
  30. 中村豊

    中村(豊)政府委員 それは施行されると同時に道路運送審議会に関する條文が全部削除になりますから、それに関する今までの手続は、全部ないものになるわけであります。
  31. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、それにかわる運送協議会というものができるわけですが、この自動車運送協議会ができて、基本的ないろいろなものが決定されるまでは、一切の免許とかなんとか、そういう問題につきましては一応空白になるのでございましようか。
  32. 中村豊

    中村(豊)政府委員 その空白状態をできるだけ避けるために、道路運送審議会に関する手続はなくなるのでありますから、その手続なしにしてできるだけ事案を進行したいと思います。この自動車運送協議会ができましても、これは一般方針についてやるだけでありますから、この一般方針関係のない事案についてはどんどんと進行いたしたいと思います。ただ運輸大臣権限の事項に関しまして、たとえばバスにつきましては本省にあります運輸審議会に諮問するのでありまして、従来運輸審議会が仕事が多過ぎたので、その中の一部の仕事を地方の道路運送審議会に調査を委託していたわけです。ところがその道路運送審議会がなくなりますから、本来の運輸審議会に仕事がもどつて来るわけなので、バスに関しましては従来地方でやつていた公聴会その他の手続を運輸審議会がやるということになつて、そう特別に簡素化されたことにはならないわけであります。しかし根本的にはできるだけ事案の審査を簡素化して急げという一般的な御要望なので、運輸審議会に諮問して公聴会を開くような事案もできるだけ減らしまして、軽微事項でできるだけ扱つてもらうように、そちらの方の折衝をしたいと思います。
  33. 徳安實藏

    徳安委員 そうしますと、第百三條によつて基本的な方針調査審議するために運送協議会が置かれるのでありますが、その基本的な調査ができてからでなければ、局長がその権限に基いて許可なり免許なりというような個々のことはしないですが、基本的のことは一応協議会できめて、局長がそれに基いてどんどん許可するとか、許可しないとかいうことになるのじやないかと思いますが、もしそうだとすれば、結局免許する前提條件としては、基本的な方針を決定することが第一であつて、その基本的なことをきめるのには、運送協議会というものを早くこしらえて、それを早くきめなければ、どんどんやるというわけに行かないのではないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
  34. 中村豊

    中村(豊)政府委員 基本的な方針のうち、一号から五号まである二号以下はすぐ問題ではございませんけれども、一号は相当問題になるわけでございます。従いましてたとえば、これは例でございますからその通りであるとは申しませんけれども、たとえば東京においてタクシーはもう十分なのか、まだ足りないのか。十二分であれば、免許はしばらく差控えなければいけませんし、まだまだ不足しておるということになれば、まだ免許をする、こういうことになります。これは例でございますけれども、そういうふうな事業者なり車の氾濫した地区について、今後免許をどうするかについては、まず第一号の問題について基本方針をきめなければいけないと思います。特定地区については第一号の方針をきめることについて、急いで協議会を開かなければいけないことが起ると思います。
  35. 徳安實藏

    徳安委員 これは運輸省ばかりではありませんが、特に政府の方のこうした委員会をこしらえるような場合には、一月も二月も、ときによりますと、きまらなくてごたごたして、期間が過ぎておつてもきまらない場合が、政府の方には多いように思います。従つてそういうことになりますと、第一号のごとき問題につきましては、相当に申請などが出た場合に、事務が渋滞しますか、あるいは免許の期間が非常に長くかかりまして、一般の方が迷惑するわけでありますから、どうかこれが施行されましたならば、一日も早く協議会をこしらえていただいて、そうして基本的なことを早くきめていただくように、特に御配慮願いたい。これが一月も二月も、事情によつて人選が遅れたりなどいたしまして、その協議会が結成されませんと、こうむる迷惑は業者ばかりではなくて、民衆もこうむることになりますから、できるだけ早くそういうことをおきめ願いたいと思います。  それからもう一つ、今のバスの問題でありますが、これは地方の道審に委任しておつたというお話でございますが、これは今度は運輸審議会でじかに扱うということになりますれば、すべて東京聴聞会あるいは公聴会というようなものをお開きになることになりますか、あるいはやはり協議会等を利用されることになりますか、あるいはまた地方各局に運送審議会の委員が出張されて、そこでお聞きになるようになりますか、そうした点についての御見解を承りたいと思います。
  36. 中村豊

    中村(豊)政府委員 第一の問題につきましては、委員の人選はできるだけ早くいたしたいと思います。ただ小委員会のときもたびたび申し上げたのでございますが、これについては、ただいま予算がまだついておりません。そこでこの改正案を国会で成立させていただければ、すぐ予算の折衝に移るわけでございますが、その点まつたくこれからの問題でございますので、予算がなかなか思うようにもらえないとすると、実行がずつと遅れるわけなのでございまして、その点でたびたび私は予算々々ということを申し上げたのでございます。その点についてはできるだけ努力いたしますが、せつかく委員会で御提案してくださつたことでございますから、どうか皆さんからも応援をしていただきたいと思います。  それから第二の公聴会の問題でございますが、これはできるだけ現地に出かけてやつていただくように、運輸審議会にはお願いしたいと思いますが、これもそれだけ仕事がふえたので、運輸審議会の予算はそれだけふくらしてあげないと、なかなか思うように活動ができませんので、これまた予算折衝がいるのであります。これを迅速にしかも効果を上げるように運用するには、予算がすべているわけてございまして、その方の問題がまだ残つておるわけでございます。
  37. 徳安實藏

    徳安委員 今予算措置についてお話がございましたが、道路運送審議会の方の予算は、協議会の方には流用することはできないのですか。
  38. 中村豊

    中村(豊)政府委員 その問題は、いろいろ検討したのでございますが、予算総則第十三條で移しかえという條文がございますので、これでいろいろ相談してみましたが、これはまつたく同じ性格のものが名前がかわるとか、ある省からよその省に移つた場合に対します條文であつて、このように性格がかわつてしまうと、その候文は使えないわけでございます。そこで移しかえはできません。だから流用ということもできませんので、予備費からでも出すよりしかたがないということになります。ただわれわれとしての言いがかりは、現在道路運送審議会に関する予算を衆議院では通してもらつていただいてありますから、それを種にして、それを見合いにして何か予算をくれという要求をしたいと思つております。
  39. 玉置信一

    ○玉置委員 私は徳安委員お話事務の問題に関連いたしまして、ちよつと要望をし、お聞きしておきたいと思いますが、この改正案は小委員会の案でございまして、完全とは言えないでも、理想に近いものができたと思うので、賛意を表しておる一人であります。しかし理想に近い案ができたと申しましても、要は運用のいかんにあると思うのであります。そこで事務の問題でありますが、これは私が経験したことでありますので、将来のために一言申しておきますが、私は昨年自家用車の登録で東京陸運局に行つたのですが、こういう話を聞かされた。私の手続は実は三日で許可になりました。ところが届出の手続をする場合に、早くても一週間はかかる、それが三日でできたというのは異例だ、大体一週間かかつて、二万円はいるはずだが、代議士さんだから簡単に行つたんでしようという話でした。三日でも私自身としては長いと思う。実は一日よけいにかかつておる事実を申し上げたい。それは実は陸運局で簡単に、その問題に触れることなく許可ができるものを、係の方の主張は、横濱の税関まで行つて、あそこで認証してもらつて来てくれというのであります。私はやむを得ず、ガソリンを使つて、一日棒に振つて横濱に行つて来た。あとで聞きますと、そういう必要はなかつた。かような事務的な面における独善的なやり方が非常な誤解を生じ、いろいろつまらぬ評判が立つのではないか。これはせつかく局長が先般関係管下に向つて事務の簡捷その他を指示した、その方針に反する結果が生れておることを思い出しまして、今後の運用面においては、かかることのないように厳に注意を喚起する必要がありはせぬか。それから私先日北海道に参つて、ただちに耳にいたしましたことは、通運事業は今日御承知のように自由になりまして、このために各方面からの申請をいたしておるが、これが非常に遅れておる、中には條件がかなうにかかわらず却下されておる、どういうわけであろうという話を承つたのですが、単にそれだけで全部を論ずるわけには参りませんが、少くともこの改正法案の精神から申しまして、やはりそう長くかかつてはいけないのではないか、先般の局長お話によりますと、北海道は三箇月に一回くらいしか審議会を開けなかつたというお話も承つたのですが、いろいろな事情のあることもよく承知はいたしておりますが、今後かかることのないように私はしてもらいたい。そこで北海道のような僻陬の地における公聴会を開くという場合において、もう少し事務簡素化、進捗をはかるべき方針等について、あらかじめどういうようにお考えになつておるか、これをお聞きしておきたいと思います。
  40. 中村豊

    中村(豊)政府委員 事務簡素化につきましては、今後も十分に努力をいたしたいと思います。最初の問題の税関の問題は、おそらく外国自動車の輸入の問題で、権利義務がはつきりしなかつたのではないかと思います。これは大蔵省からの要望もあつて車輌検査のときに関税の問題に協力してやることになつておりますので、その辺の手続であつたのではないかと思います。  なお通運の問題は、道路運送法ではございません。通運事業法によつて規律されておるのでございますが、もちろん事務処理の精神は同じことでございますから、今まで皆様からお話のありましたように、できるだけ迅速にやれるように努力いたします。北海道に一々出向いて今後公聴会をやるということは、これはなかなか困難かと思いますので、多少何箇月分かをためてやらなければいかぬとか、事案によつて東京までおいで願わなければならぬということはあると思いますが、その辺はできるだけ業務を集約して、能率を上げたいと思つております。
  41. 玉置信一

    ○玉置委員 第一点の私の質問にお答えになつて税関関係と言われたが、それは実は税関関係でなかつたのです。それはみな了解がついて、万端手続が済んでおつた。ただ専門的なことですから今私は記憶しておりませんが、ナンバーの点で、アメリカでは略しておるわけです。それをこちらでは全部その通りに書いて来なければいかぬということだけで、これは陸運局内でもこれでいいのだとほかの人は言つて通つた問題なんです。そういうような点において、あとで個人的にお話すればよくわかりますが、一日を費す必要のないことを、係官がそういう取扱いをやつているのです。私は自分のことであるから詳しくは申しませんが、明らかに陸運局の係官の行ぎ過ぎであろうと思います。手落ちであろうと思いますから、念のために私は申し上げておきます。
  42. 逢澤寛

  43. 熊本虎三

    熊本委員 同僚から非常に熱心に御質疑等がございましたので、重複を避けまして私一、二点、御質問ではなくて御希望をこの機会に申しておきたいと存じます。  まず第一には、審議の過程においていろいろ論議されまして、局長からも御答弁を願つておりましたが、さしあたりは今度の修正で現状の緩和、打開はできまするし、一歩前進であることだけはまことに喜びにたえません。でありますが、私お願いいたしておきたいことは、審議の過程に申しておりました、局長も同感でございましたいわゆる車輌別によりまする認可基準整理といいますか、こういうことについてひとつなお御勘案の上、早急に御提案を願いますようにお願いをいたしたい、こういうことが一点であります。  それから、その次には、これも審議の過程で論議されましたことでございますが、これは行政措置でいいかと思いますけれども、トラックの許可が現在では大臣の許可に組み入れられております。この点はやはり局長も同感のようでございますから、行政処置といいますか、あるいは実施要綱といいますか、こういうものを改訂せられまして、やはり今まで論議されたものがただちに整理されるようにお願いしておきたい。  それから先ほども同僚から御心配になつておりましたが、今度の法律改正による審議会の廃止に伴いまして、審議の過程に山積した申請書があるはずであります。これはもちろん廃止とともに、ただちに処理さるべきであろうとは存じます。しかしたくさんの書類の中で、しかも煩瑣な事務でありますから、この改正案の実施とともにただちに書類整理をされまして、これらに渋滞その他のあやまちなきまうに御配慮賜わりたい、これが三点であります。  最後にお願いいたしておきたいことは、先ほど正木君から特に陸運局その他に関しまする人員問題等について、痛烈な御質疑がございました。私も本委員会で一番最初この問題を取上げまして質疑をいたしておつたのでございますが、それに対する局長答弁は、やはり予算面に縛られておるという御答弁でございました。その他この改正法案審議の過程におきましても、常常局長の悩みの種は予算措置の問題で思うようにならないということが、おおむねその原因のようであります。しかしながら考えまするに今日の運輸省所管——単に車輌関係ばかりでなく、再建日本のために必要なる重要性はあらゆる面にありますけれども、しかしながらその中にとりわけて交通運輸の問題は重要であり、緊要であるのであります。従いまして必要欠くべからざる予算について、大蔵省当局が認識不足のために当局を困らしておるのではないかというふうに、強く胸に響くものがございます。従つてこれらの点につきましては、単に運輸省あるいは局長というような関係者にのみ私どもが求めることは無理かとも存じますから、本説のようにあらゆる機会にわれわれといたしましても、大蔵当局の認識を改めしめるということのために努力はいたしたいと存じますが、まず第一に所管の運輸省自体がもつと強く、もつとその必要性を強調せられて、この運輸省関係の重要諸案件に対しまして完全なる遂行ができるように、ひとつ御奮闘を願いたい。われわれがあらゆる角度からあらゆる問題を取上げましても、予算措置の面でとどめをさされますことは、遺憾千万だと存じます。この面、特に御希望を申し上げまして、私は当局の御考慮を煩わしたい、かように存じます。     —————————————
  44. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。關谷勝利君。
  45. 關谷勝利

    關谷委員 外航船舶建造融資利子補給法の一部を改正する法律案につきましては、すでに長らく海運議員連盟等におきまして審議し尽されておりますので、多くの質問は差控えたいと存じます。その中で一、二点だけ御質問を申し上げておきたいと存じます。  まず第一番にお尋ねを申し上げたいのは、第十二條、第十三條に関してでありますが、会社が一定率以上の配当をした場合に利子補給を停止し、または国家に補償金を納付させることが定められてあるのでありまするが、これに関連をしてお尋ねをいたしたいと思います。まず戦前に行つておりました利子補給及び損失補償の法律には、新法律の第十二條及び第十三條に規定されているような、一定率以上の利益配当を船会社がした場合に、納付金を国家に納めさせる規定はなかつたのでありますが、新しいこの法案にこういう規定をことさらに設けた理由が何であるか、これを承つておきたいのであります。特に第十二條は利子補給を受けておる会社が一定率以上の配当をいたしました場合に、補給金を返還させることを規定をいたしておるのでありまするが、先般今国会の当初に審議可決いたしました現行の利子補給法にもさような規定がないのに、これを新たに設けたのはどういうわけか、これを考えを改むべき事情の変化でもできたのかどうか、その理由を承りたいのであります。  なお利子補給と損失補償等の両制度は、同じく外航船舶の建造をはかるための制度でありまするが、政府の提案理由説明にもある通り、利子補給制度は日本の新造船が国際的に見て金利、船価等が非常に割高である。金利を引下げて国際競争力を付与することを重要なねらいといたしておるのであつて、損失補償制度が、船主の市中金融機関からの借入れ能力に国家がてこ入れしようというのとは、ねらいが違うのであります。従つて利子補給を停止することは、それだけ国際競争力を低下させることになり、利子補給制度の目的に矛盾することになつて来ると思うのでありまするが、この点につきまして第三番目に承つておきたいと思います。  以上申し上げましたような、船主が一定率以上の配当をした場合に、国家が損失に対する補償金をとるということは一応どうかといたしましても、利子補給を停止するということは、利子補給制度の本質から見て適当でないのみならず、いたずらな高配当を押えるのが目的であるのならば、この法案の第十六條及び第十七條によつで利益金の処分について国家は勧告ができるとともに、必要な場合には配当率についてこれを制限する命令を出し得ることにしておりまするので、十分だと考えられるのであります。従つてこの十二條というものは削除するのが妥当ではないか、このように考えられるのでありますが、以上申し上げました四点につきまして、政府当局の御意見を承つておきたいと思います。
  46. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 ただいま御指摘になりまとた点につきまして簡単にお答え申し上げますと、一定率以上の配当をする場合に利子補給を停止するという点につきましては、造船融資に対する利子補給法を前国会で提案いたします際、政府部内で論議をいたしましたときにも問題になつたのでございます。しかしそのときは利子補給はただいま御指摘になりましたように、わが国海運の最も弱点としている金利高を是正するものである。従つて利子補給等の措置によつて会社が相当の利益を上げたという場合には、その利益金処分について政府が適当なる勧告をすることによつてでき得るのではないかというので、利子補給法のときにはこれを規定しなかつたのであります。ところが今回この利子補給法に加うるに、造船融資に対する損失補償という制度を加えることによりまして、造船に対する国家的恩典が重なるようになります。従つて政府としてはこの両制度による国家的支出を少しでも減らしたい、こういう趣旨から一定率以上の配当の場合には利子補給を停止する。またその損失補償については一定率以上を配当する場合には、いわゆるコマーシヤル・べースに立つて一般銀行がその債務に対する補償をするような場合補償料というのと同様の考え方で、その補償の相手方から補償料をとるというような考え方に立つて、補償料という制度を設けたのであります。いずれも造船融資に対する国家的な恩典が相当厚くなります。従つてこれに対する国家的支出も相当多額に上るようになるであろう。それでその支出を少しでも少くしようというような意味合いにおきまして、船会社が相当の利益を上げたというような場合には、その国家的恩典を削除するというのが、十二條及び十三條のねらいでございます。利子補給法が御指摘のように日本海運の国際競争力を培養するという観点から見ますと、はなはだ矛盾する点があるわけでございますけれども、一面においてこの両制度実施によつて、国家的支出を少しでも減らすという観点から見ますならば、十二條、十三條のような行き方が是認されるのではないか、かように私ども解釈いたしております。
  47. 關谷勝利

    關谷委員 損失補償制度を附則の第二項におきまして、四十三億三千万円を越えることができないというように規定いたしているのでありますが、昭和二十八年度の四十三億主千万円の中には、油槽船も含まれているのか、いないのか、この点を承つておきたいと思います。
  48. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 この附則に書いてあります補償金の総額におきましては、一応貨物船だけを対象にいたしております。運輸省といたしましては、昭和二十八年度に三十万総トンの船舶を建造する計画を持つております。そのうち二十三万総トンが貨物船、七万総トンが油槽船でございます。それでその四十三億三千万円は、二十三万総トンの貨物船について市中銀行から融資を受けます金額の三〇%に相当するものに相なつておるのであります。従つて一応油槽船は対象外——法律面ではそういうことが出ておりませんが、実際の運用においては油槽船は対象外、こういうふうに相なるのでございます。  私ども政府部内で、この法律案を提案するにつきましていろいろ論議いたしました。その経過を申し上げますと、政府の一部では、油槽船はまだ相当の利益が上つておる、従つて損失補償をする必要もないのではないかという意見があつたのでございますが、油糟船は、昨年後半期以来急激な運賃下落を見まして、今日では貨物船とほとんど採算状況はかわらない。ところが貨物船の建造につきましては、御承知の通り七割を開発銀行から融資する。あとの三割については利子補給をするという制度があるのでございます。油槽船については財政資金をわずか二割出すだけでございまして、利子補給の制度がございません。従いまして二十八年度における七万総トンの油槽船の建造につきましては、相当の困難が伴うのではないかというふうに運輸省としては考え、大蔵省とも折衝したのでございますが、大蔵省の方におきましては、油槽船の建造は時期的にある程度先になるのではないか。そのときにおいてこの問題を討議しろというふうなことで、一応油槽船をこれに含めるということは未解決の問題で進まざるを得なかつたような次第であります。油槽船の建造を促進いたします上におきましての実情といたしましては、ただいま申しましたような状況でございます。
  49. 關谷勝利

    關谷委員 油槽船についての損失補償が、これにはないことになつておりますのはまことに遺憾でありますので、この点につきましては、私たちは油槽船の損失補償もぜひやつてもらいたい、このように考えておるのでありまするが、政府はこれに対して大蔵省とさらに折衝をする御意向はないか、増額をされるというふうな見通しが立たないか、ちよつとお伺いいたします。
  50. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 現在の段階においては一応貨物船を対象として進むよりしかたがない、かように考えておるのでございます。この油槽船の建造の時期がいつになりますか、その油槽船の建造の時期が至りました場合には、ぜひともこの油槽船を対象とする。従つてここに書いてあります金額の訂正を願わなければならぬ、かように考えておる次第であります。
  51. 關谷勝利

    關谷委員 次に第十三條に、国家による損失補償の恩典を受けておる船会社が、政令で定める限度を越えて利益配当をした場合には、政令で定めるところにより、補償金を国庫に納付させることを規定いたしておるのでありますが、その政令で定める内容の数字を具体的に御説明願いたいと思います。
  52. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 政令で定める配当の限度でございますが、実はまだ政府部内ではつきりとした率をきめておりません。大蔵省との話合いでは、大体一割五分から二割というところでございます。この配当率につきましては、私どもと相当意見の相違がある。従いましてこの法案の通過を願いました後におきまして、この政令を速急に実施したいと思うのでございますが、それまでにただいま申しました一割五分から二割までの間におきまして速急に解決をつけたい、かように考えておるのでございます。私どもの見解を申し上げますると、一般産業の平均配当率が二割五、六分になつております。従いまして海運会社が、自己資金の造成という面からいたしまして、増資を盛んにやつておりますが、その場合に、少くとも二割程度の配当ということが一般に認められませんと、その増資というものが、円滑に行かないという観点から、二割を主張しておるのでございます。これに対しまして、ただいま申しましたような別な議論もございます。たいへん申訳ない次第でございますが、現在の段階ではまだきまつておりません。速急にこれを決定するように持つて行きたいと思います。
  53. 關谷勝利

    關谷委員 最後に政府の気持と申しますか、御意思のほどをちよつと伺つておきたい点は、第十二條は、現在海運の輸送能力を育成しようというような点から、いろいろな事柄が各方面から要望せられておるのでありますが、それは極力私たちといたしましては将来の日本の発展のために、海運を育成して行かなければならぬ、そのためにはどうしてもやらなければならぬ、こういうふうに思つておるのでありまして、おそらくこれについては運輸当局もそれと同じ気持を持つておられるのではないかと思うのでありますが、そういたしまして国際競争力をつくりますためにこの利子補給等をやつておりますのに、少しくもうかつた、こういうことになりますと、すぐにこれを返還させる、納付せしむるというふうなことをうたつておりますことは、こういうふうな大きな方針にこれは矛盾をしておるように考えられますし、さらにまたこの会社の基礎を強固にいたしますためには、どうしても配当金というふうなものを抑制すべきものではないのでありまして、その配当をするということで一般の民間資本というふうなものも、株式の増資というふうなこともでき得るのであります。そうすることが将来への国際競争力をつくり、強固な基盤をつくることになるのでありまして、どうも運輸省が希望しておりますのとこの法案の精神というものに矛盾がある、こういうふうに考えられますので、私どもといたしましては、この第十二條削除すべきものである、このように考えるのでありますが、この点に対しまして運輸当局はどのように考えておられるか、その点伺つておきたいと思います。
  54. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 利子補給制度の本旨から申しますと、まつたく御説の通りでございます。日本の海運の一番の弱点が、外国の海運の金利と比べて非常に高い。今度の利子補給制度によりましても、日本の海運は七分五厘でございますが、英国あたりでは三分余、その他の国もせいぜい五分程度、私どもといたしましては日本の造船融資に対する全体の金利を、五分程度まで下げて行きたい、かように強い念願を持つておるのでございます。その第一の段階として、この利子補給制度が実現されたわけでございます。従いまして船会社が多少の利益が上つたからというので、この利子補給を停止するという措置をとりますことは、まことに御指摘の通り私どもとつております海運政策から見ますと、矛盾するように考えられるのでございますが、一面においてまた国家的支出を少しでも減らしたいというふうな観点からいたしますと、一定率以上を配当した場合にはそういう恩典をなくするということを考えておるわけで、ございましてそのような理由からいたしまして第十二條のような規定を設けた次第であります。
  55. 熊本虎三

    熊本委員 ただいま関谷君から御質疑がございまして大体はわかつたのでありますが、これはかつての質問中、関谷君からあるいは社会主義理論家などとひやかされるほど、執拗にこの問題に対する政府の対策を要求したわけでございます。しかしこの十二條によりますと、「政令で定める限度をこえて利益の配当」、こういうことに相なつおりますから、われわれ勤労階級から申し上げますと、利益の配当を、たとえば政府が守つておる一割五分ないしは二割の制限を越えてやるというような場合に、さらに利子の補給というようなことは、社会主義理論から言えばまことに相反するのでございます。しかしながら半面考えますと、海運界がやはりいつまでも政府の保護政策によらなければ発展ができない、そのことによつて貿易外収入等も見ることができないで、国際貿易上の赤字が出るというようないろいろの点から考えますときに、これをなるべく民間の自力によつてなさしめよう、こういうことが大きなねらいであります。その面から考えますならば、利益配当も他の産業と同等程度の利益配当ができて、そこに民間資本が集中して、国家の保護政策からこれを解除することができるというふうな面も考えなければならない、こういう面からいたしまして、関谷君のただいまの質問があつたことと解釈いたします。両方の角度から見ますると、いずれももつともでございますが、こういう問題について、先ほどのお説のように、その材料もトン当り二万円も高い、金利も高いという日本の海運界でございますから、非常に困難は困難でございますけれども、たとえばこういう保護育成の方針について、アメリカ、英国等の実例がございましたならば、それを参考までにお示し願えれば、われわれの態度決定に重要な資料と相なろうかと存じますので、もしございましたならば、その点の御説明を願いたいと存じます。  それから附則の方でございますが、先ほどの御質疑中から私聞いておりますと、現在の金額は貸物二十三万総トンの建造に要する見積りであるということでございます。油槽の問題についてはその必要を感じているけれども、時期的にこれはまだ着工に至らないからこれを除外した、こういうような答弁のように承つたのでありますが、はたしてその通りと承つてよろしいかどうか。
  56. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 各国の造船保護政策でございますが、お手元に資料をお配りしてあるかと思いますから、簡単に申し上げますと、一番重い保護政策をとつておりますのは、アメリカあるいはイタリア、フランスでありまして、アメリカは自国の造船船価が非常に高いから、自国の造船船価と、それから英国あたりの造船船価の差額を国が補助しております。それから運航費につきましても、アメリカ船の船員の給料が非常に高い。従つて運航費も高いから、その運航費の差額を補助する。それからちよつと話がこんがらかりましたが、建造費についてもその差額を補助してもらつて、自分で負担する分につきましては、政府の金を融資するというふうな方策がとられておるのであります。それからイタリアにおきましては、船価の三分の一を国が補助してやるという方策をとつております。またその船価の四〇%を政府が補償するというふうな方法をとつております。イギリスは昔から自由な海運国でありまして、特段の補助政策がございません。ただ新造の場合に、初年度に五〇%まで償却を認める、こういうふうな制度がとられておつたのでありますが、これも今はなくなつております。その他フランスあたりも相当高度の補助政策をとつておるわけでありますが、全般的に申しまして、英国あるいはその他の欧米諸国の海運は、戦争の被害が日本ほどひどくない。それから戦勝国でございますから、戦後の立ち直りが非常に早かつた。しかも戦争直後に海運の景気が非常に出まして、それによつて非常にたくさんの利益を上げたわけです。それから英国の船主のごときは、戦争中の損害に対して政府から相当大きな補償金をもらつております。こういうことが欧米の海運を非常に強いものにしておるわけです。しかも金利が非常に安い。新造するにしましても、その安い金利の金と、あるいは大部分が金利のいらないもの——先ほど言いましたような自分のもうけた額、あるいは政府から補償を受けたものでつくつておるわけです。従つて相当の不況が来ましてもこれに耐え得るわけでございますが、日本の海運は、戦時補償の打切りで、当時の金で二十三億、現在の価値に換算しますと数千億のものが打切られた。しかも船価の非常に高い新造船、あるいは改造船ばかりで商売をしなければならぬ、金利がべらぼうに高い、こういう大きな不利な点も持つておりまして、欧米の海運に追随いたしまするがためには、他の方から見ますると、現在の海運は相当の庇護を受けておるようでございますが、海運自体から見ますると、欧米の海運に追随しますがためには、相当高度の保護政策が必要である。かように考えられるのであります。なお詳しくは、お手元にお配りしました資料でごらん願いたいと思います。  それからタンカーの点でございます。これ実は大蔵省といろいろ交渉したのでございますが、最後的な話がなかなかつかなかつたのです。時日も切迫いたしますので、タンカーの点につきましては、そのタンカーを建造する時期になつてあらためて論議をしよう、こういう話をしているわけであります。しかし先ほども申しましたように、私どもの考えでは、せめても損失補償制度が実施されませんと、二十八年度に予定されております七万トンのタンカーは建造できない、かように考えているのでございます。このタンカーを建造いたしますがためには、どうしても次の機会にこの金額の訂正を願うように持つて行かなければならない、かような関係になつております。
  57. 熊本虎三

    熊本委員 前の方の答弁につきましては、先ほども自動車局長にお願いしたように、どうも大蔵省ががんこで、運輸省の出す案件に対して冷淡であり、無理解であるということの証左もここへ現われているように聞くのでございます。  十二條の問題については、私のお尋ねしようということの大事なところがはずれております。資料を頂戴いたしまして、米英等がいかに船舶事業に対する高度の育成をしておるかということは、私も拝見しておりますが、ただ私のお尋ねしたいことは、それほど高度の育成を受けておるこれらの船舶業者の、利益配当の現況はどういうようになつておるか。それだけの利益配当があるにもかかわらず、ただいま仰せになつた高度の育成を今日もなお続けておるかということの比較を伺いたい、かように考えておつたわけであります。
  58. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 海運会社は、終戦後ずつとその保有船舶が、船舶運営会という国家機関に使用されておりまして、従つてその期間における船会社の利益というものはまつたく微々たるものである。従つて船舶運営会が解散になりまして、船会社が自営になりました当時におきましては、これはさんたんたる状況でございまして、各船会社は配当するに至らなかつたものであります。その後朝鮮事変が起りまして、一年あるいは一年半余り相当の利益を上げたのでございます。中には三割あるいは四割の配当をしたものもございます。これは三期ぐらいそういう状況が続いたのであります。その当時の船会社の平均配当率は一割五分程度であつたと思います。その後海運界が非常に悪くなりまして、前期におきまして、タンカーは配当いたしておりますが、貨物船で配当いたしましたのは、郵船くらいでございます。あと三井船舶、大阪商船などは、みな配当しておりません。郵船の配当いたしましたのも、増資含みで、相当苦しい配当をしたような状況でございます。この期もあるいは次の期も、配当どころか、銀行から借りておる利子も満足に支払われるか支払われないかわからぬ。従つて元金はもちろん支払われないというような状況であります。
  59. 熊本虎三

    熊本委員 私の質問が悪いらしいのですが、海外において高度の補助育成をやつておる、その国の補助育成によつて発達しているところの米英の船舶会社の現在の利益配当はどのくらいのものをやつておるかということを、ただいまでなければあとでよろしゆうございますが、せつかくのあの資料に、見落したかどうか、なかつたようでありますから、何か書類で出していただきたい。アメリカはこういう補助を受けておる、イギリスはこういう援護を受けておるということは出ておりますけれども、それら保護の中で幾らの利益配当を現在しておるかということを聞きたい。それと比較して、この政令に定める限度を越えた利益配当というものと対照してみたいというわけなんですから、何か書類で出していただきたい。
  60. 岡田修一

    ○岡田(修)政府委員 私感違いいたしまして申訳ございません。ただいま私の手元には外国の船会社の配当率は持つておりません。至急調べまして……。しかし外国の会社の配当率は相当低い。金利も低いのでありますが、会社の配当率も非常に低いものでありまして、配当率なりその他はやはりその国の経済によつて違うものと考えます。先ほど申しましたように、日本の他の一般産業の平均配当率は二割五、六分になつております。従つて海運も二割程度の配当をいたしませんと、増資をする場合、一般大衆がついて来ないということが言えるのであります。
  61. 熊本虎三

    熊本委員 ちよつとお願いしておきますが、それはアメリカならアメリカという全企業、体の中における利益配当率というようなもの、これに比較対照しなければもちろんわかりません。それから日本における各産業の利益配当率の関係等を考慮しなければ、私の問わんとする結論は出て来ないと思います。しかし私どもといたしましては、いかに重要なものであろうとも、限度を越えて配当するということ、なおかつこれを継続するということを党内に了解せしめるためには、やはりそういう資料がいりますから、たとえばアメリカでは一割ないし一割五分より配当していない、こういう数字が出ましても、当然アメリカ大資本の利益の平均率がどうなつておるかというようなことと勘案いたしまして、ものを処理したい、かように考えておりますので、その点御心配なく書類だけは御提出を願いたいと思います。
  62. 逢澤寛

    逢澤委員長 ほかに御質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければ、本案に対する質疑は終了いたしました。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  64. 逢澤寛

    逢澤委員長 速記を初めてください。関谷君。
  65. 關谷勝利

    關谷委員 昨日の新聞でありましたか、靖国神社に参拝をいたしますのに、国鉄が運賃の五割引をするというふうな意味のことがちよつと出ておりましたので、私けさ営業局長に電話をいたしましてこれを問い合せましたところが、そういうふうなことにしたいという気持を持つておるということで、その意思はあるのでありますが、早急に、二十一日あたりにお参りをする者がたくさんあると考えられますので、それに間に合うかどうかということを尋ねましたところが、その点に対しましては一応相談をしますというようなことであつたのであります。同じくこの割引をするのでありますならば、そういうふうな時期的に適切に間に合うようにしなければならないと存じまするので、この委員会において、これが早急に実現いたしまするように要望書を提出いたしたいと思つて、動議を提出いたします。   新たに合祀される旧軍人軍属の戦没者の遺族が参拝のため日本国有鉄道の鉄道及び連絡船に乗車船する場合、その乗車船に対しては日本国有鉄道においてさしあたり運賃割引等の措置を講ずるよう要望する。この動議を提出いたします。
  66. 逢澤寛

    逢澤委員長 関谷君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければ、さよう決定いたします。政府委員より発言を求められておりますので、これを許します。植田政府委員
  68. 植田純一

    ○植田政府委員 ただいまの御動議に対しましては、御趣旨まことにごもつともと存ずる次第であります。日本国有鉄道といたしましても、国民全般の輿論に基きますこういう方々の輸送につきましては、極力御趣旨に沿つて輸送に当りたいと考えております。先般来いろいろ打合せもしおつたのでございますが、二十八年度におきましては、五割引で輸送するということになりましたような次第であります。この実施の時期は御趣旨に沿いまして、極力早く実施するようにいたしたいと存じておりますが、輸送の計画その他等につきましても、まだ検討をしなければならない点もあるように承つております。従いましてそういう点もにらみ合せまして、できるだけ早く実施できますように、国鉄当局に対しましても決議の趣旨を十分お伝えいたしまして、そういうふうに督励いたしたい、かように存じております。
  69. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまの御答弁に、輸送の計画とにらみ合せてというふうなお話がありましたが、割引と輸送の計画は別途のものであります。割引をするのだという決意をすでに持つておられるようでありますので、この二十一日ごろにはたくさんお参りがある、それに必ず間に合わすように、ぜひ実現の措置をお願いいたしたいと思います。
  70. 逢澤寛

    逢澤委員長 本日はこの程度にとどめ、明日午前十時より開会することにし、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会