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1953-03-05 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 河本 敏夫君 理事 田原 春次君    理事 正木  清君       伊能繁次郎君    徳安 實藏君       永田 良吉君    山崎 岩男君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       佐伯 宗義君    吉川 大介君       熊本 虎三君    竹谷源太郎君       楯 兼次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 三月四日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(楯兼  次郎君外八名提出衆法第四一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  木船保険法案内閣提出第七五号)  日本航空株式会社法案内閣提出第一四二号)  地方鉄道軌道整備法案關谷勝利君外三十一名  提出衆法第三八号)  恩給法の一部を改正する法律案に関し修正意見  申入れの件     —————————————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  木船保険法案議題とし、質疑を続けます。御質疑はありませんか。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 大体内航船の二倍以上の輸送力を持つております木船は、いわゆる一ぱい船主でありまして、弱少企業であります。船は船主の全財産でありまして、一度これが災害に出会うというようなことがありますればまる裸になる、全財産を失うということになつて参りますので、これをいかにして救済するかということになりますると、以前には木船あたり保険に入る率は非常に少いばかりでなく、その保険料が高くて入れない。しかも保険料払つてつても、災害にあつた場合にはその半額しか払つてもらえないというような、非常に矛盾したことになつておりますために、保険をつけることができないということで、木船相互保険組合ができて、低廉な保険金によつて有事の際に、船主を救済しようということになつておるのでありまするが、木船相互保険組合は非常に創立後日が浅く、なおかつ基礎が弱体でありますので、保健金を低廉にし、かつ信用のある確実性を帯びさすためには、つて参りますので、木船保険法はどうしても国家として中小企業対策の一環としてやらなければならないことは、少しく木船業界に通ずる者でありまするならば痛感せられるところでありますので、本法の提案に対しましては、私は衷心から賛意を表するものであります。中小企業の育成が呼ばれておりますとき、まことに当を得たものと考えるのであります。そこで本法案につきましては、あまり質疑もないことと存じまするので、この際質疑を打切り、討論を省略いたしまして、採決をせられんことを望みます。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 それでは他に質疑もないようですから、ただいま關谷君から提案されました動議を採決いたしたいと存じます。關谷君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 逢澤寛

    逢澤委員長 それではこれより採決いたします。  本案原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  6. 逢澤寛

    逢澤委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決すべきものと決しました。  なお本案に対する委員会報告書に関しては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なければさよう決します。     —————————————
  8. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に日本航空株式会社法案議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。竹谷源太郎君。
  9. 竹谷源太郎

    竹谷委員 日本航空株式会社法案について質問をいたしたいと思います。  第一に、三条政府出資の問題でありますが、この規定によれば、「政府は、予算範囲内において、会社に対して出資することができる。」とありまして、二十八年度予算においては十億円の予算を見積つておるようでありますが、この会社に対する政府出資はいかなる形においてなされるか、株主権を持つことになるか。そうすると、株主権行使という問題が起るのでありますが、その出資の方法についてお尋ねいたします。
  10. 荒木茂久二

    荒木政府委員 出資は、三条では抽象的に、「予算範囲内において、会社に対して出資することができる。」こう書いてございまして、現実には第一回の出資と申しますか、附則第四項で、「政府は、会社設立に際し、十億円に相当する株式額面価額で引き受けるものとする。」こうなつておるわけでございます。従つて政府はその会社につきましては、株主たる地位を持つことに相なるわけでございます。なお将来増資をするというときにおきまして、民間資本が集まらないというような場合には、政府部内で話合がつきましたならば予算案として、増資引受につきまして国会の御審議を仰ぐということになるわけでございます。
  11. 竹谷源太郎

    竹谷委員 大体この会社の最初の資本は二十億と聞いておるのでありますが、それに対して十億円政府出資をして、その株主権を取得するということになりますと、株主総会において政府株主権行使する場合、だれが政府代表者になるか、そうして株主総会等における政府株主権行使に関して、将来どんな見通しを持つておるか、承りたいのであります。
  12. 荒木茂久二

    荒木政府委員 株主権行使でありますが、株券は大蔵省国有財産の中に入りますので、大蔵省管財局において保管することになるわけであります。現実の問題といたしまして、株主権行使するという場合には、大蔵省管財局長株主総会出席する、こういうことに相なると思います。
  13. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと、政府はいつも二分の一の議決権を持つということになりますから、大体この会社政府意向通りになるわけでありますが、実際問題としては、一々株主総会政府出席するものかどうか、これはあと監督権との関連もありますので、はつきり聞いておきたいと思います。
  14. 荒木茂久二

    荒木政府委員 従来戦争前にございましたこういう政府出資会社、それから御存じのように終戦後できました電源開発株式会社国際電信電話株式会社について同様でありますが、株主総会の場合には出席はいたしておるようでございますが、実際は、政府が真の株主利益としての配当を大きく受けるという、いわゆる投資者としての政府の立場というものは、事柄の性質上できるだけ自粛するというような考え方のもとにおきまして、株主としての権利を相当強硬に主張しておるという例は、今までのところないのでございます。御指摘通り法律的に申し上げますと、株主であるから十分に株主権行使できる、こういうことに相なるわけでございますが、政府としてはいわゆる投資者的見地において株主となつておるわけではございませんので、実際問題といたしましては、株主権行使は自粛いたしまして、この法律に書いてございます程度監督をいたすのでございます。
  15. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ただいまのお話によりますと、実際問題としては、二分の一の株主権利益を有する政府は、あまりそれを行使しないような関係に奉るということであります。多分そうであるかもしれませんが、そうしますと、残りの二分の一の株主権によつて、大体会社の人事、運営その他のことがきまるであろうと思うのであります。そうしますと、第二条第三項には、「航空法第四条第一項各号に掲げる者」すなわち外国人あるいは外国法人あるいは外国資本が、三分の一以上の議決権を持つということを禁ずる規定と同じような制限をここに置いてあるのでありますが、外国人は三万株あれば一万株までは持てる、そういうことになるのであります。その場合政府は一万五千株を持つておる。そうして外国人が持つた一万株以外には五千株しか民間資本はないということになりますと、現実問題として外国資本株主権行使する場合に、政府株主権を除いたものの三分の二を占める。こういうことになりますと、この航空法の精神にも反しますし、第二条第三項の規定にいうところの三分の一以上ではなくて、実際は三分の二を占めるという結果になることをおそれるものでありますが、これに対する政府見解をお尋ねしたいのであります。
  16. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今回会社をつくるにあたりまして、日航増資その他を考えましたし、それからまた出願をたしております会社外国会社と提携しておる分がこの会社に入つて来るためには、具体的に言いますと、大阪商船とか飯野海運でございますが、そういう外国会社との関係をきれいに清算して入つて来てもらうというように話合いをいたしておりますので、実際問題としては御指摘のような心配はないと思いますが、抽象的、観念的、法律的にはまさに御指摘通りでございます。そこでさような場合におきましては、政府といたしましては当然株主権行使いたしまして、会社がいわゆる外国資本によつて支配されるということは防ぐつもりでおるわけでございます。
  17. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今政府としては、この日本航空株式会社法を施行いたしまして、新しい日本航空株式会社設立するにあたつて、これに参加する既設の航空会社あるいはその他の人々、そういう中へ外国資本を清算して入つて来る。こういうことを目標にしておるというお話であります。これはぜひそうしなければならないと思うのでございますが、それにつきましても、一体新たにつくろうとするこの日本航空株式会社は、国の大事な航空をつかさどる、多分幹線を独占的に運用することになる重要な会社である。しかも半分は政府がその出資をするというようなものでありますから、この第三項の規定の中で、外国資本が入ることを禁止する方がむしろいいのではないかと思いますが、その点いかなる御見解を持つておられるか、承りたいと思います。
  18. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御指摘のような御意見もございまして、いろいろ検討をいたした次第でございますが、御存じのように昨年六月通過いたしました航空法におきまして三分の一を認めておりますので、その線に沿いまして、この会社株式が三分の一以上にならないという建前で、一応御審議を仰ぎましてきまつております航空法の限度にとどめておけばさしつかえないもの、まず心配ないものと考えたわけでございます。なお一面逆に考えまして、いわゆる外資と申しましても、外資の中にもいろいろございまして、たとえばワールド・バンクの出資というようなものでありますれば、これは入れてもさしつかえない。いわゆる航空事業支配するという意図のもとに入つて来るものは歓迎できない、こういう考えで立案した次第でございます。
  19. 竹谷源太郎

    竹谷委員 航空法規定私法人一般的規定でございまして、日本航空株式会社は、政府が半額を出資するような重要な半官的の会社でございますから、私法人に対する航空法規定とはまた別に規定を設けてもあえてさしつかえないと私は思う。航空法規定は、こういう半官的な会社というよりも、私法人をねらつているわけでありまして、そういう意味合いから言えば、この航空法と異なつた規定をこの日本航空株式会社法に設けるということは、あえてちつとも筋の通らぬ話ではない、かように考えるのでありますが、この点どうお考えになりますか。
  20. 荒木茂久二

    荒木政府委員 航空法一般規定でありますし、これは特別の規定でありますから、航空法を必ずしも同じにする必要はないではないかという御意見でございます。一応ごもつともと考えますけれども、しからばこれを全然ゼロにしてしまつてもよろしいかどうかということを考えるわけでございますが、これにつきましては三分の一に限定し、なおかつ商法の特例を設けまして、御存じのように商法では、株式譲渡制限というものを定款で書いても、できない、こういうことになつておりますので、株式が上場されますと、どういうふうに転々として来ても、名義書きかえを拒否することができませんので、航空法においては一応そういう原則を掲げてございますけれども、最後までトレースする措置を講じておりませんので、この法律におきましては、三分の一をオーバーする場合においては、会社定款に記載して、これを登記することによつて、三分の一をオーバーする場合に名義書きかえを拒否するということにして、三分の一を確保するということにいたした次第でございます。また一面航空関係資金というものは、現在の状態ではそう集まり得ないのでございまして、いろいろアメリカ国内法的な問題もございますが、ハワイとか、あるいはブラジルとかいうような方面におきまする日本人、あるいはその二世においても、投資希望等もあるやに承つておりまして、三分の一にして、しかもそれを確保する措置を講じておきますならば、そういつた面資金も導入できるのではなかろうかというふうに、彼此勘案いたしましてこの程度にいたした次第でございます。
  21. 竹谷源太郎

    竹谷委員 外国資本を三分の一まで認めるといたしましても、会社役員についてはあと政府認可権がありますから、意に満たない場合はそれを拒否することもできるわけでありますけれども、今の会社法規定では、累積投票法によつて三分の一の株を持てば、大体三分の一近い役員を獲得することができます。さような場合に、外国人役員政府は全然認めない方針であるか、あるいはある程度認めるか、全部を認めるか、その方針を承つておきたい。
  22. 荒木茂久二

    荒木政府委員 公に御答弁申し上げることは、ちよつとデリケートな問題もあるかと存じますけれども、お許しをいただきまして抽象的に御答弁申し上げたいと思いますが、いわゆる実質的所有実質的支配日本に属さないというような形態であります場合におきましては、これはそういうものを拒否したいと考えております。なおこれは日米航空協定日英航空協定その他におきましても、日米航空協定の例を申し上げますと、アメリカ側から来ます航空会社が、実質的にアメリカ所有もしくは支配に属していない場合におきましては、日本は形式上アメリカ航空会社日本国内への乗入れを拒否するという権利を留保いたしております。逆にまたアメリカ側について申しますれば、日本からアメリカへ行きます国際航空が、実質的に日本所有もしくは支配に属さない場合におきましては、アメリカ側日本航空の乗入れを拒否するという権利を留保する。相互にそういう規定になつておりますこと等から考えまして、政府といたしましては、日本実質的支配を確保していないという事態が起きますことは非常に困る次第でございまして、その点につきましては十分の措置を講ずる考えでございます。
  23. 竹谷源太郎

    竹谷委員 われわれに配付された資料による「各国航空会社資本金政府資本の占める割合」こういう表を見ますと、多くの外国航空会社では、百パーセント政府出資のものが半分以上も占めている。またそうでないものでも、三、四十パーセントないし七、八十パーセントの政府資本でできている。こうした会社は今一体外国資本が入ることを認められているか、あるいは現実に入つているか、その実例を御承知ならば承りたい。
  24. 荒木茂久二

    荒木政府委員 BOACとか、TCA、オランドのKLMというようなものは、政府が全額持つておりますので、外国資本は全然入つていない、こう申し上げていいと思います。その他エール・フランスでございますが——差上げた資料に若干違つたところがあるかもしれませんが、最近の調査によりますと、九七%まで政府が持つておりますので、全然外国資本が入つていないかどうか、その点は調査が漏れておりますが、フィリピン・ア・ラインは五〇%近くを政府が持つておりますが、その他の分は民間で、その分の中には外国資本が相当あるのではなかろうかと思います。なおアメリカのノースウエスト、パン・アメリカン等につきましては、ごく少数外国資本が入つているということでございます。
  25. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今航空局長の御説明によりますと、さように大部分国内資本でもつて航空会社資本というものは満たしている。そういうようであれば、むろん役員外国人は入つていないだろうと思います。それらに比べますと、日本のこの新しい航空株式会社法は、どうも外国に対して非常に寛大なような気がする。この運営にあたつてはよほど注意をしなければならぬと私は思います。  なお第七条に、会社社債募集することができる。これはむろん運輸大臣認可が必要でありますが、この社債募集にあたつて外国資本をいかに取扱うか、またこの会社外国から、社債ではなしに、飛行機をチャーターするようなことがあるかどうか、その場合に外国資本からのこの会社に対する支配がどんな関係になるか、見通しを承りたい。
  26. 荒木茂久二

    荒木政府委員 社債募集につきましては、引受制限いたしておりません。しかしこの社債引受に関しましては、法律的措置はございませんけれども、実質的には、そう外国にたよるということはないと考えておりますし、社債の割当その他につきましても、十分その点は考慮しなければならないと考えております。
  27. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に第八条に、政府予算範囲内において補助金を交付することができるという規定がございますが、二十八年度はかようなものがあるかどうか。また会社を助成する意味において、郵便物の委託による収入などによる援助政策をとられるか、それを承りたい。
  28. 荒木茂久二

    荒木政府委員 二十八年度予算には計上いたしてございません。まだ国際航空を始めておりませんので、そこまで手がまわつていないわけでございますが、初年度、二年度くらいは赤字を覚悟しなければならぬと思いますので、そういう面におきまして、二十九年度予算等においては、あるいはこの補助金を計上して国会の御審議を仰ぐことになるのではないかと考えておる次第でございます。  郵便物につきましては、これは国内郵便物につきましては、相当政府恩典を与えるということも考えられるわけでございますが、国際郵便物に関しましては、郵便の条約がございまして、それで基準がきまつておる次第でございます。なお日本航空機が飛びましても、日本航空機だけに限るということも事実上できない場合もあり得ると思いますし、また外国会社に対する郵便物料金と、日本航空機に対する郵便物料金を差別をつけるということにもいたしかねると思いますので、国際郵便物輸送に関する限りにおきましては、郵便物料金は一率にせられることと考えられますので、その点についてこの会社国際郵便物輸送に関して特別の恩典を郵政省に期待することは、事実上困難であるというように考えております。
  29. 竹谷源太郎

    竹谷委員 第九条の第二項に、この航空会社が他の会社と合併するというような場合を予想して規定がございますが、これはどんなときにこのようなことがあり得るか。どういう予想のもとにこういう規定があるのですか。
  30. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今さしあたつてこういう問題があるわけではございませんが、将来の問題として考えられますのは、先般本委員会でごらんいただきました日航整備会社というものがあるわけであります。この日航整備会社は、実はほんとうは日航自体に付属せしめた方が運営上よろしいということが考えられるわけでございますが、外国の注文をとるとか、あるいは現在の段階におきましては、外国資本を入れて、外国援助を受けて、能力をつけるというような関係におきまして、外国支配といいますか、援助というものを相当これに投入しなければならぬというような状態でございます。ところが航空会社自体にさような事態が起きることは好ましくございませんので、便宜上これを別会社といたしまして、その支配航空事業を行う部分に入つて来ないような措置を実は講じておるわけでございます。そういう面が逐次解決いたしまして、日本の技術で十分できるというような状態になりました場合には、この日航整備会社をこちらの会社に統合するというようなことが考えられるわけでございます。
  31. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に附則の第二項に「運輸大臣は、設立委員を命じて、会社設立に関して発起人職務を行わせる。」こういう規定がございます。これは設立委員任命するのでありますが、どういうような人を何人ぐらい、いつごろ任命をしてやつて行かれるのか、伺いたいと思います。
  32. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは発起人職務を行わせるわけであります。御承知のように発起人は七人以上となつております商法規定が、なまにかぶつて来るものではございませんが、実際問題としましては、七人以上を任命するこ上とが適当であろうと考えます。しからばどのくらいかと申しますと、こういう数は、並び大名式にたくさんの設立委員を置くことは何かと手数もかかりますし、実際に即応いたしませんので、せいぜい十五人くらいがマキシマムであろう、七人以上十五人以下くらいの範囲任命することに相なるものと思います。  なおこれにどういう具体的人選をするかということでございますが、これにつきましては、いずれ政令できめることにいたしたいと思つておりますが、関係各省次官とか、たとえば運輸次官とか大蔵次官というものが入ることと思います。あるいは現在の日航が実際には吸収されますので、日航役員を入れるというようなこと、あるいはその他学識経験者、あるいは会社免許を受けますときの、そういつた法律的知識のある人を入れるというようなことを考えておるわけでありますが、まだはつきりした人選はきまつておらない次第であります。なおそれをいつごろ任命するかということでございますが、これはこの法律が通過いたしまして公布後、できるだけ早く任命することにいたしたいと考えております。
  33. 竹谷源太郎

    竹谷委員 今すでに設立せられた航空会社があり、また事実航空事業免許を受けておる会社があります。そういう航空業務現実にやつており、あるいはやらんとするもの以外に、設立準備中で、航空事業免許申請をしておるものがあると思うのですが、それらもこの新会社に参加せしめる方針であるかどうか、承りたいと思います。
  34. 荒木茂久二

    荒木政府委員 現在国際線免許申請をいたしておりますのは日本航空と、大阪商船を中心として一つ会社をつくつてやろうというのが一つと、もう一つ飯野海運申請をいたしております。こういつたものも、外国会社との関係を清算して参加される場合におきましては、喜んで参加していただきたいというふうに考えております。
  35. 竹谷源太郎

    竹谷委員 第九項に「免許会社出資する営業の価格は、運輸大臣の命ずる評価委員が決実する。」これは会社現物出資の場合の検査役みたいなものであるか、またそれとは性質の違つたものであるか、お伺いいたします。
  36. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは現物出資の場合の商法検査役に該当する性質のものでございます。これを政府任命をいたしまして、公平なる評価をするということでございます。
  37. 竹谷源太郎

    竹谷委員 現在国内線においても、幹線申請をやつおる会社もあり、またその支線をやりたい、あるいは一歩一歩と、急行列車でなく、普通列車のように、小刻みに離着陸をして行くという方針会社もあるようでありまするが、これらのステップ・バイ・ステップ航空事業、あるいは幹線に付随する支線を経営せんとする航空会社免許申請がありますが、これらに対しては、この日本航空会社幹線を受持つ場合、どのような方針事業免許する考えであるか、お答えいただきたいと思います。
  38. 荒木茂久二

    荒木政府委員 この政府出資をいたしますのは、国際線をやるということに関しまして主として力を入れておるわけであります。国内幹線をこれと一緒にやりますのは、現在使つております飛行機DC4でございまして、そのDC4というものは現実にはなおアメリカまでも十分飛んで行ける飛行機でございますが、しかし新しいいい飛行機が出ておりますので、現実にそれにはお客さんがつかないというわけで、DC6あるいはスーパ一・コンステレーシヨン等を使う。また人員の面におきましても、この国際線の四発の飛行機をやつておる場合等でありますれば、若干の訓練を加えますとまわすことができる。あるいは飛行機部分品等も、六〇%まではそこに利用できるということでございまして、資材、人員の効率的運用または資本の二重投下を防ぐという意味におきまして、国際線国内幹線とを一緒に行うことが適当であるという結論に基きまして、第 一条のように書いたわけでございます。従いまして支線とかローカル線とか、あるいは現在の幹線上におきましてちよんちよん飛びで、いわゆる鈍行列車で行くというようなものに関しましては、この会社の現在持つておる及び将来持つであろうところの飛行機は適当いたしませんので、そういつたものに対しましては別の会社申請をいたしておりますものについてはこれを免許いたしまして、そういう事業を行わせるようにいたしたい、こう考えておる次第であります。
  39. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に伊東岩男君。
  40. 伊東岩男

    ○伊東委員 私はごく簡単な質問であります。まずこの日本航空会社航空路線及び空港、いわゆる飛行場の問題につきましてお尋ねしたい、かように存じます。日本航空会社が新しく設立されまして、これは政府出資の特殊会社でありますが、大体この会社を中心にして日本航空事業の発展統一をはかつて行く、このねらいに対しましては非常に賛意を表するものでありますが、さらに日本航空事業の発展のためには、政府の今後十分なる保護施策が必要である、かように存じまするが、一体日本航空事業を拡大発展強化する構想について、むろん今回のこの会社を中心にすることと思うのでありますけれども、大体の構想について御意見を承つておきたいと思うのであります。  さらに先ほど当局から御答弁がありました支線もしくはローカル線の問題でありますが、その前にお尋ねしておきたいことは、この日本航空会社の現在の営業航路は、国際線及び国内幹線はどこどこであるのかということ。いま一つは将来の航空計画でありますが、これに対しましてはだんだんこれに対抗するところの国際的な航空路線の競争が起つて来ると思うのであります。これに対して政府はどういう保護方針をとつて行くのか。従いまして今後これに伴つて、いわゆる飛行場の拡張をやつて行かなければならぬと思いますが、これらの設営計画等について御所見を承つておきたいと思うのであります。
  41. 荒木茂久二

    荒木政府委員 第一の問題でございますが、御存じのように世界中がすでに、日本が七年間つばさを奪われております間において、航空路網を張りめぐらされておるわけでありまして、その中へ出て行きまして、この激烈なる競争に耐えて行くことは、非常に困難なことであります。古い言葉でございますが、国の総力をあげてこれに対抗して行くという考え方を持つておるわけであります。それにつきましてはお手元に配付してありますように、各国はいかに政府が助成しておるかということもお存じいただけると思います。政府としては財政状況の許す限りにおいてこれを盛り立てて行きまして、世界の競争に耐え忍んで、さらに優秀なる地歩を占めるように行きたいというふうに考えておるわけであります。  しからばどの程度の計画を持つておるかという御質問でございますが、さしあたり第一期三箇年計画というようなものを考えておるわけでございます。それにはまずサンフランシスコから南に飛びましてブラジルまで、それから西に対しましてはパリ、ロンドンまで参る。それから東南アジアの地域につきましては、いろいろ外国との交渉がめんどうなわけでございますが、一応イギリスと話がついております限度におきまして、シンガポール、ジャカルタへ参る。それから近まわりといたしましては、朝鮮、沖縄、台湾を考えておるのでございます。なおさらに、今やりますのはハワイを通つて行きます南まわりでございますが、北まわりのシミヤ、シャトルという空路もやりたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それから国内線といたしましては、現在やつておりますのは札幌−三沢、この三沢は向うの関係で週一回しかおりておりませんが、三沢−東京−名古屋−大阪−岩国−福岡であります。これらをやつて行くということを考えますと、大体DC4が七機、DC6が七機程度を要するわけでございます。これに対する所要資金は大体百億でございます。規模狭小なりというような非難を受けるかもしれませんが、諸般の日本の実勢、資金事情等も考え合せまして、まず第一期としてこの程度をやりまして十分な力を培養して、さらに第二段の発展をはかりたい、こういうふうに考えておる次第であります。  なお国内航空路網の拡充でございますが、これにつきましてもいろいろ三箇年の計画を考えておる次第でございますが、御存じのように農地を取上げまして飛行場を新設する、あるいは拡張するというような問題は、事実上非常に困難でございます。幸か不幸か知りませんが、進駐軍が進駐中に飛行場を接収いたしまして、相当の整備を加えた地点もございますので、私たちが考えております三箇年計画においては、新たなる農地の買収等はなしに国内航空路網を拡充して行きたい、こう考えておるわけであります。しかしいわゆる飛行場の土木費に金がいるのでありますが、飛行場の土木費に金はかけない。ところが定期航空をやるということになりますと、非常な金を要するのであります。それは基地と基地との間の通信網でございます。それと同時に基地と飛行機との通信網であります。これを整備する。それから気象関係の人員を整備するというようなことで、まず一箇所、たとえば鹿児島なら鹿児島に新たに飛行機を飛ばすということになりますと、そういつた保安上の施設を、一億ちよつとよけいかかると思いますが、そういつた程度の金を要するわけであります。そういうふうに非常に金と人とを要するわけでございますが、ぜひ皆さんの御理解を得たいと考えておりますのは、これは定期航空をやりますところの最小限度の金でございまして、航空機というものは、飛行機を飛ばすと非常に金が高くつくというふうに考えられて、非常にやりにくいのでありますが、しかしそれだけの整備をいたしますと、一回飛ばしても、二十回飛ばしてもさしつかえないのでありまして、これがミニマムの金でございます。その点十分の御了承をいただきたいと思います。
  42. 伊東岩男

    ○伊東委員 ローカル線等に対する認可はやろう、こういう御答弁でありまするが、日航が持つておる国内幹線に対して今度は外国飛行機会社が出願した場合は、認可されるのでありまするか、やはり日航に独占させて行かれるのでありますか、この点を明らかにしておいていただきたい。
  43. 荒木茂久二

    荒木政府委員 現在免許申請がたくさん出ておりますが、その中に京阪神急行が中心になりまして、パン・アメリカ航空会社が三分の一出資をいたしまして、日米航空会社というものをつくりまして、日本幹線及び支線を結ぶという計画があるわけでございます。そのほかいろいろな関係がございまして、最終的に決定いたしておりませんので、これを許すとか許さないとかいうことは、ここで申し上げるわけに参らないのでございますけれども、先ほど来竹谷委員に対してお答え申し上げましたような趣旨におきまして、日本国内航空というものが実質的に日本支配する、所有するもので行うということを念頭に置きまして、慎重に審査の上免許するかしないかを決定する考えでございます。
  44. 伊東岩男

    ○伊東委員 日本航空路は日本支配する、さような方針で行かれるのは当然だと思つております。  さらに私は小さい問題でありますが、ただいまの東京、福岡間、これは最も有利な航空路のようでありまするが、これも鹿児島まで延長する、また、してもらいたいということを九州地方では盛んに考えておるのであります。さような場合に、ただいまの鹿児島の飛行場が利用できるのかどうかということが一つと、もう一つは東京−大阪−四国、あるいは別府−宮崎−鹿屋−鹿児島といつたような線路の開通も長いことはない、かように考えるのでありまするが、これらについてどういうふうにただいまなつておるのでありまするか、この点この線がもし開くというような場合におきまして、宮崎におきましては、軍が使つておりましたところの赤江飛行場があるのでありまするが、これらを活用されることは地の利から見ても、また現在のその後の模様から見ても、非常に適当であると考えるのであります。一体ああいうふうな飛行場を活用するについては相当な経費がいると思いまするが、大ざつぱにどれくらいいるものでありましようか、こういつたような調査はまだないのでありまするか、承つておきたい。
  45. 荒木茂久二

    荒木政府委員 ただいまの問題につきましては、鹿児島まで現在の日航線を延ばしたいということは非常に強く考えるのでありまして、御存じのように鹿児島の飛行場のあの広さでは、現在飛んでおります四発の飛行機は着きかねるわけでありまして、遺憾ながら鹿児島まで延ばすということになりますれば、中型の飛行機にならざるを得ない、こういうふうに考えております。なおそのほか御指摘になりましたようなローカル・ラインを、早急に開設したいという考え方を持つておるわけであります。できるだけ皆様の御鞭撻をいただきまして、早い機会に予算をとりまして定期航空を開始し得るようにいたしたいと考えております。  なお一箇所開くについてどれくらいの金がいるかというお話であります。これはラジオ・ビーコンの置いてあるところとか、置いてないところということから、いろいろ金額もかわつて参りますけれども、まず一億から一億五千万円くらいあれば、一つの飛行場、たとえば鹿児島なら鹿児島で考えますれば、一億ないし一億五千万円かけますとできるのであります。しかもそれだけ金をかけますと、一ぺん飛ぶのも、二十ぺん飛ぶのも同じ状態ということで、回数がふえてもさしつかえないということに相なるわけであります。
  46. 伊東岩男

    ○伊東委員 私は九州の者でありますから、宮崎からここまで来るのには急行で三十二、三時間かかりますので、実際困つておるのであります。先ほどお話のように一刻も早くローカル・ラインを開通させていただきまして、地方の交通の便益に資するようにお願いをいたしまして、私の質問を打切ります。
  47. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に正木君。
  48. 正木清

    ○正木委員 簡潔に二、三点お尋ねいたしますが、この法案会社の三箇年間の事業計画を見ますと、幹線を主柱とする特殊会社でございますが、これ以外のローカール線とでも申しましようか、こうした航空輸送事業に対して特殊に何か具体的な計画を持つていれば、この際御発表を願いたいと思います。
  49. 荒木茂久二

    荒木政府委員 先ほど申し上げましたようにローカル・ラインといいますか、支線といいますか、日航がやつております線以外につきましても、相当数の免許申請書が出て来ているわけでありまして、運輸省といたしましてはできるだけ予算をとりまして、いわゆる安全航空のできる施設を整えまして、一刻も早く国内の主要都市を飛行機で結ぶということを計画いたしているわけであります。なお国内の本州並びに九州につきましては、いろいろ航空路網を勘案してみまするに、現実に飛行場の土木費といいますか、いわゆる土地の整備ということには、そう金をかけなくても、相当おもな都市を結べるという状態にあるわけであります。北海道については、地図では狭くなつておりますけれども、実際には相当広く、汽車では時間がかかる。北海道の開発促進という意味からいたしまして、道内を飛行機で結ぶことは非常に有利なことと考えるのでありまして、この点ついてもわれわれは計画をいたしているわけでございますが、本州並びに九州と違いまして、現在土木費をかけないで使えるという飛行場はきわめて少いのでありまして、この点につきましては北海道開発というような見地からも考えていただきまして、できるだけ早く飛行場を整備していただいて、定期航空路を開始いたしたいと考えている次第であります。
  50. 正木清

    ○正木委員 ローカル・ラインについて運輸当局はもうすでに具体的な計画案を持つて、たとえば来年度等においてそういう具体的に計画を実施する意図が現在あるのかないのか、これが一つ。それからそうしたローカル・ラインの航空事業が実際に開始される場合において、その航空会社というものは完全な民間資本、従つてまた安全な民間の自主的な会社組織で行くのかどうか。またはこうした特殊な輸送事業であるだけに、国内幹線及び国際路線の経営に当りまする今回提出されたような特殊な会社組織をもつて運営に当るのか。そうした具体案が当局においてできておるのであれば、この際ひとつ発表してもらいたいと思います。
  51. 荒木茂久二

    荒木政府委員 ローカル・ラインの拡充計画という三箇年計画を一応つくつたわけであります。そこで来年度二十八年度におきましては、大阪から出まして高松−岩国−大分−福岡−大村、それから福岡−鹿児島、東京−新潟−小松−大阪というルートをやりたい。それから第二年度におきましては大阪−美保−岩国、また福岡−鹿児目線に寄航地として熊本を追加する。それから福岡から大分に行つたものをさらに宮崎まで延長する。さらに大阪−徳島−高知、画館−丘球−千歳−旭川−帯広−釧路、これを第二年、第三年度におきましては東京−軽井沢−長野−富山、大阪−松山−小倉というふうに逐次拡充して行く計画を立てた次第であります。遺憾ながら第一年度分、すなわち来年度分の三線は、財政事情から予算を盛つていただくわけに行かなかつたわけでございますが、これにつきましてはこの路線を開設するための調査費が、来年度予算にわずかに八十余万円でございますが、計上してある次第であります。従いまして今申し上げました三箇年計画というものは、逐次一年ずつずれて先へ延びて行く、こういうことに相なる次第でございます。なおローカル線といいますか、支線というものは、特殊会社を設けてやるかと御質問でございますが、これにつきましては今のところ特殊会社を設け、あるいは一社を置くというようなことでなしに、民間資本によつて開拓してもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。現在相当たくさんの出願が出ております。しかし御存じのように航空事業の初期の段階におきましては、相当経営上困難なことが起きて参ると思うのでありまして、その点につきまして経営上の補助というようなものは考えて行きたい、こういうふうに考える次第であります。
  52. 正木清

    ○正木委員 日本航空株式会社の設備資金計画でございますが、そのうちの調達方法で政府出資民間出資、そのほかに借入金が相当巨額なものが計上されておるわけですが、この借入金に対して具体的な御所見をひとつ承つておきたいと思います。
  53. 荒木茂久二

    荒木政府委員 現在約十七億円ばかりの金を借りておりますが、これは四億五千万円が開発銀行の融資を受けております。それからなお残りはいわゆる外貨貸付制度と申して、政府所有の外貨を為替銀行を通じて借りておるわけでございます。その担保は何かと申しますと、買つて来た飛行機を担保に入れておるわけでありますが、現実航空機の抵当制度がございませんので、売渡し担保の制度をやつておるわけであります。なお今日以後ローカル・ラインの会社を許可するということになりますと、そういつた金融上の担保の問題に困る事態が起きますので、近く航空機抵当法案提出いたしまして、御審議を仰ぐ段取りに相なつております。なお新しくできまする日航がやります関係といたしまして、先ほど申し上げましたような三箇年計画を実施いたしますと、設備資金が約百億を要するわけであります。自己資本といたしましては本年度二十億でございますが、これをさらに増資いたしまして資本金を四十億円くらいまで持つて行きたい。そういたしますと六十億の借入金をいたさなければならない、こういうことになるのでありますが、なかなか市中銀行からの融資も御存じのようなわけで容易に参りませんで、主として開発銀行と政府の持つておりますところの外貨を、いわゆる外貨貸付制度を利用いたしまして、主としてドル貸しになるわけでございますが、ドルを為替銀行を通じて借り入れまして整える。しかしてその担保物件は航空機、こういうことにするつもりでございます。
  54. 正木清

    ○正木委員 ただいまの御答弁でこの点大体大まかに了承をしたわけですが、そうしますとすでにこの法案提出にあたつては、政府としては事務当局間で大蔵省関係の十分なる了解はもはや成立しておる、成り立つておる、こう承知してよろしゆうございますか。
  55. 荒木茂久二

    荒木政府委員 完全なる了解に到達しておるというところまでは来ておりませんけれども、大体現在の国内資本金事情等から見まして、そういつた方向で融資するというよりほかに方法がないということにつきましては、大蔵、為替当局等にも話がついておる次第であります。
  56. 正木清

    ○正木委員 重ねてお伺いしますが、当然この法律案は閣議決定において政府として提出したわけですから、事務当局間においては完全なそうした事務的な折衝が了解に達しておる。従つて法案国会を通過すれば、そういう処理も完全に実施できるのだ、こう承知してよろしゆうございますか。
  57. 荒木茂久二

    荒木政府委員 二年先とか、三年先とかいうようなところまでの資金の手当の約束は、完全にできておるとは言いかねるわけでございますけれども、さしあたりの国際線を開設いたしますと、まず第一に起つて来ますのはサンフラシスコまででありますが、そのサンフランシスコまでやるにつきましてはDC6級三機を要するわけでありますが、この資金手当については了解をつけておる、こういうふうに了解していた、だいてよろしゆうございます。
  58. 正木清

    ○正木委員 法案の具体的な質疑に入りますが、この第二条の第三項でございますが、この法律案外国資本を取入れるような法律案になつておりますが、この国策会社的性格を持つこの特殊のこの法案の中で、そうした外国資本をも受入れるような処置を法律でおつくりになつておりますが、もし一つのそういう先例の道を開きますことは、今後各種のこうした面で外国資本の流れ込んで参りますことも予想されるのでございますが、一体この航空会社設立にあたつて外国資本を入れなければならないという思想とでもいいましようか、その基準について所見を伺つておきます。
  59. 荒木茂久二

    荒木政府委員 日本航空株式会社が新たにできるにつきましては、外国資本はほとんど入らない予定にいたしておりますので、その点はさしつかえないと思います。ただ御存じのように株式でございまして、おそらくこれで行くと上場株になるだろうと思いますが、その株式の移転を一々防ぐ、譲渡性を束縛してしまうということも、実情ではなかなか困難ではないかというような点を勘案いたしまして、御存じのように現行の法律では、定款に記載いたしましても、株式譲渡を制限する措置がないわけでございます。そこでこれは特別に航空法で三分の一まで認めておりますが、三分の一をオーバーする場合におきましては譲渡制限をする。いわゆる名義書きかえの拒絶を日本航空株式会社ですることができるという措置を請じておるわけであります。しからばこれに対しては法律外資が一銭も入らないようにしたらどうかという御意見もあるわけでございますが、しかし実質的な支配を十分こちらで確保し得るという限度におきましては、外資の入つて来ることもまたさしつかえないのではないだろうか。具体的に申しますと、ブラジルにおきましても三十五万人の日本人または日系がいる。ペルーにおいても五万人いる。ハワイ、カリフォルニアにもずいぶん日本人または日系がおるわけでありまして、これらの人たちは、日本の優秀な航空機が飛んで来ることの一日も早からんことを、首を長くして待つておる次第でありますが、そういう方面から出資させるような意向もあるわけでありまして、そういう面からの出資はむしろ歓迎してよろしいのではないかというような点を彼此勘案いたしまして、この程度の道をあけておくことはよろしいではないか。それによつてこの会社支配権というものが外国側に移るという心配はまずないのではなかろうかということで、この程度にいたした次第であります。
  60. 正木清

    ○正木委員 この法案の第四条、附則の二項の会社設立、それから附則評価委員の決定権等、この法案全体を通じて見て私の受ける感じ方は、一口に言つて戦時中の国策会社である。従つて一切の実権を政府が握つておる。言葉をかえて言うと、官僚が実権を握るという感じを非常に強くするわけです。そこで私のこの考え方からすれば、これほどまでに政府が、こうした特殊な会社の実権を握らなければならないのかどうか。なるほど一面において政府も半額の資本を投下する。それから当然補助政策もとらなければならない。だからといつて民間の盛り上る自主的な意欲を、どうしてかような法律をもつてかた苦しく規定しなければならないのか。もちろん重要な点については、当然政府監督権及び支配権を持たなければならないが、でき得る限り民間の自主的な意欲を盛り上らせ、そして責任を持たせつつ営業成績を上げるというところに、思想の重点を置かなければいけないのではないか。そこで私が質問しました各項について、ひとつ運輸当局のこの法案提出したものの考え方に対する御所見を承りたい。むしろ私は、こういうことによつて厳重に人事の実権を握るというよりか、経理に対する監督に重点を置き、しかも民間資本を強くこの国策的な事業会社に吸収するために、民間の投下資本に対しては、政府みずからが一定の株式配当の保障をしてもいいのではないかと考えるのでありますが、当局の御所見をこの機会に承つておきます。
  61. 荒木茂久二

    荒木政府委員 この会社に対する基本的方針についての御質問でございまして、それにつきましては私から御答弁申し上げるよりも、むしろ大臣から御答弁を申し上げる方が適切かと思いますが、大臣がおいでになりませんので、私から御答弁申し上げますと、先般大臣が提案理由を御説明申し上げた際にも、政府の干渉をできるだけなくして、民間企業のヴィヴィッドな活動に期待するように配慮いたしておるということを申し上げられたのであります。政府特に大臣の気持は、まさに正木委員のおつしやる通り方針で行つておるわけであります。  第一に御指摘になりました第四条の人事の点でありますが、そういつた方針の現われといたしまして、終戦前の会社でございますと、総裁、副総裁、理事というような、商法上の執行機関とは別な取締役会でない新たな機関をつくりまして、それを政府任命にするという体制が多かつたのであります。電源開発会社等はまさにその例になつているわけであります。なお最近できました国際電信電話株式会社につきましては、これは別な執行機関を設けないで、商法にのつとつて取締役会を執行機関にいたしておるわけでございますが、なおかつ取締役及び監査役の全員を政府認可にかかわらしめておるわけであります。本法におきましては、前申し上げましたような趣旨から、特に会社を代表すべき取締役についてのみ大臣の認可を受けるということになつておるわけでございます。事実上は定款できまることでございますけれども、会社を代表すべき取締役の決定—取締役と申しますと社長、副社長程度になると思いますので、社長、副社長程度についてのみ認可を受けるというようにいたしておるわけでございます。  それから第二に御指摘になりました点は、設立にあたりましては発起人ができてやるわけでございますが、政府出資いたしますので、ここに設立委員政府が命じてやるということにいたしたわけであります。なおこれは会社ができるときだけの問題でございまして、将来にわたつてこれが継続するものではないのでございます。いわゆる発起人が自発的に集まつてやるというのではなしに、政府出資いたしますので、設立委員を命じて発起人職務を行わせるということにいたすのは、さしつかえないのではなかろうかと考えております。  なお第三番目に御指摘になりました評価委員の決定でございますが、これは現在の日本航空の営業全部の出資をこれにいたすわけでありまして、その現物出資評価いたします場合、商法規定によると、発起人に該当する取締役が裁判所にお願いをいたしまして、裁判所が検査役任命して、その財産を検査する、こういうことに相なつておりますので、この規定をのけまして、九項を書きませんと、裁判所が検査役任命して、その検査役がこれをやるということに相なるわけであります。そこでこういつた会社性質上、裁判所の任命でごくわずかな人の検査に付するよりも、こういう制度によつて有識者を任命いたしまして評価させる、そうしてその評価の結果を発表するということが、日航の現財産出資する上については、公正な手段をさらに一層確保し得るゆえんであると考えて、これをつくつたわけであります。これは会社設立する段階におきまする財産評価の公正を期するという点から来ておるものでありまして、会社のできました後においては、裁判所の任命する検査役職務がなくなります。すなわち会社設立前において、評価委員というものはその使命を失つて存在しなくなるわけでありますので、会社の将来の運営に関しましては、運輸大臣任命する評価委員というものは、何らの関係を持たないわけであります。
  62. 正木清

    ○正木委員 大体は了承いたしましたが、大臣の提案理由の説明の中でも、「政府出資による特殊法人ではありますが、政府の干渉はできるだけ排除し、民間企業の長所を発揮し得るよう特に十分なる考慮を払つた」、こう言われたのです。その考慮を十分に払つたということを土台にして質問をいたすわけですが、第四条ではあなたの言われたように、社長、副社長だけが大臣の認可を受けることになるであろう、こういうような御答弁でございますが、国がこれだけ出資しておるのだから、それはあたりまえではないか、こういうことも言い得られますが、その会社の最高人事、具体的に言うと、実際の任免権は大臣が握つておる、こういうことまで一体必要なのかどうか。一体それほどまでにいたさなければならぬものかどうか。経理の監督権、その他重要な部分さえ政府が実権を握れば、さしつかえないのではないかというのが私の考え方ですが、その点重ねてお伺いしたいのです。  それから附則評価委員法律的な解釈上のことはわかつたのですが、何といたしましてもこの法律案は、現在できております航空会社を土台にして、国家が資本を投ずると同時に、特殊な性格を持つた会社に拡大発展したわけですが、私の漏れ聞くところによりますと、この法律案が当委員会にかかるまでには、相当の悪天候による難航があつたように聞いておるわけです。従つてこの法律案が当委員会提出されるまでは、そういう点も十分に話合いをつけて出したことと思うのですが、この際そういう経過、すなわちいきさつ等について、現存の民間航空会社との間にも円満に話合いがついて、こういう法律案が出たのかどうか、その点を簡潔でよろしゆうございますからお話願いたいと思います。
  63. 荒木茂久二

    荒木政府委員 第一の点は、大臣のお気持も正木委員のおつしやるお気持もまつたく同じでありまして、われわれ事務当局もまさにさように考えておる次第でございます。今比較して申し上げましたように、この監督規定は、既存のもの並びに終戦後できました二つの国策会社に比べまして、さらに一段の緩和をいたしたわけであります。政府が国民の税金の中から出資するについて、監督規定がむしろ少きに失するのではいかという一部の非難もございますけれども、できるだけ民間の創意と活発な企業意欲を発揚してもらうという趣旨において、その程度にいたした次第でございます。  第二番目の点につきましては、いろいろお聞き及びの点もあるかと思いますが、現在の段階におきましては、他の出願者等も欣然としてこれに参加するというように話合いがつきまして、全部セッッルいたした次第であります。
  64. 正木清

    ○正木委員 最後に一点だけ、先ほど私御質問申し上げたのですが、御答弁がなかつたので重ねて申し上げます。こういう一つの国家的な性格を持つた特殊会社に対して、一定の配当の保証というようなものを当局が持つて民間資本の吸収の促進をはかる、こういうような考え方を、この法案をおつくりになつて事業計画をつくり、しかも外人にある一定の株の所有をも認めるという過程において、持つたことがあるがどうか、この一点だけお伺いしておきます。
  65. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今申されました問題につきましても、十分検討をいたした次第でございまして、われわれ事務当局といたしまして、さような規定をつけるということについては、いろいろ折衝をいたした次第であります。ところが株主平等の原則、あるいはまた政府出資した場合におきましても、その株主的地位は民間政府分も、平等に扱わなければならぬというような現行法もございます。大蔵省意見等もございまして、その規定はこの中に入らなかつたのでございますが、その辺につきましては、十分な検討をして熱意を持つて折衝をいたした次第でございます。今申し上げましたような事情に基きまして、この法律には削除してある次第でございます。
  66. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に關谷勝利君。
  67. 關谷勝利

    關谷委員 私ちよつと席をはずしでおりましたので、あるいは重複するかもわかりませんが。先ほどの局長の御答弁の中に、戦後にできた二つのいわゆる国策会社と申しますか、特殊法人よりも進んでおるというふうなお話があつたのでありますが、これはただいま正木委員からもお話があつたように、大臣の提案理由の説明の中にも、「この日本航空株式会社なる新会社は、政府出資による特殊法人ではありますが、政府の干渉はできるだけ排除し、民間企業の長所を発揮し得るよう特に十分なる考慮を払つた次第でございます。」こういうように書いてあるのであります。私がこれを検討いたしますと、そういうふうな干渉はできるだけ排除したということが、あまり見受けられないように考えられるのであります。なお大臣は、将来民間にこの株を開放するのだ、やがてこれを民間で消化することができる場合には開放する、こういうふうなお話もあつたので、私は極力そのような方向に持つて行くことが望ましいと考えるのであります。そういうふうに考えてみますと、この条項の中には株主権行使と、航空法によつてこれが実施し得られる条項がたくさんあるのであります。少しくこれは行き過ぎになるかもしれませんが、第四条、第七条、第九条、第十条、第十一条、第十二条、第十三条、第十五条、ほとんど条項がなくなるようなことになるかもわかりませんが、そういうふうな事柄は、あるいは株主権行使航空法によつて実施することができるので、必要がないのではないかというふうに考えられるのでありますが、この点について簡単でいいですから、政府の御見解を承つておきたいと思います。
  68. 荒木茂久二

    荒木政府委員 大臣の言われた趣旨通りにこれがなつていないではないか、いわゆる官僚統制的色彩が強いではないかという御質問でございますが、われわれといたしましては、従来のものに比較して、政府部内のいろいろな折衝の結果を見まして、この程度にまで官僚統制を少くいたしたつもりでおるわけでございますが、官僚というものはいつまでも官僚主義が残つておるというような御非難は、あるいはそういう方面がなきにしもあらずではなかろうかと思いますが、われわれといたしましては、できるだけその面を排除することに努力をしたつもりでございます。  なおもう一つ株主権行使によつてまかないがつく、あるいは航空法の適用によつて片がつくから、相当多くの条文を削除できるのはないかという御質問でございますが、前段の株主権行使についての問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたわけでありますが、これは従来のものもそうでありましたが、政府がこの会社投資してその利益を享受しようという見地から、この会社投資する次第ではございませんで、むしろいわゆる民間企業として発達して行くことを政府は希望いたしておりますけれども、現在の資金需要並びに資金事情からいたしまして、民間資本のみをもつてスタートするということは困難でございますので、それを援助するといいますか、民間企業として発達し得る段階に至るまで政府が財的援助をする、こういう趣旨において出資をいたすものでございますので、ほんとうの営利主義的株主権行使することはむしろ適当ではないのではないだろうか。株主権行使政府はむしろ自粛いたしまして、そうして必要最小限度の監督規定によりましてこれを処理して行くということの方が実質に合つているのではなかろうか、そういうふうに考えておる次第であります。
  69. 關谷勝利

    關谷委員 ただいまの御答弁によりますと、会社援助する、そのための出資であるというふうなお話でありますが、これは先ほど正木委員からも出ておりましたが、そういう御趣旨と解釈するのでありますならば、法人に対します政府の財政援助制限に関する法律、昭和二十一年法律第二十四号でございますが、その第一条の規定にかかわらず、毎営業年度において配当する利益金額を、政府以外のものの所有する株式に対してはある一定のものを配当して、そうして政府出資したものに対しては配当することを要しないという規定を適用するような考えを持たれてどうかと思いますが、そうすることによつて政府が将来出資をいたします金額を縮小することができ、民間からの投資を誘発と申しますか、わき起すことができるということになりますので、そういう方法に持つて行かれる考えはないかどうか、お尋ねいたします。
  70. 荒木茂久二

    荒木政府委員 その問題につきましては、先ほど正木委員に御答弁申し上げました通り、そういつた問題について政府部内におきましていろいろ検討をいたしたのでございますが、現段階においてはさような規定はつけない方がよかろうということに相なりまして、これを削除した次第であります。
  71. 關谷勝利

    關谷委員 見解の相違ということになりそうでありますので、それ以上追究はいたしませんが、私はそうすることが望ましいのである。ここは政府見解を異にしているということだけを申し上げておきたいと思います。  なお第三条で、「政府は、予算範囲内において、会社に対して出資することができる。」こういうふうなことで、これが政府出資しておりますために、第十二条でありますか、大蔵大臣に協議しなければならぬことになつておりますが、出資をいたしますと、国有財産でありますので、おそらくこれは大蔵省所有ということになるであろうと思いますが、これは出資いたしましたものを、航空法その他におきまして運輸大臣がこれを監督いたすのでありますから、株主権行使というようなことにつきましても、国有財産法第六条の規定にかかわらず運輸大臣がこれを行うのだ、こういうふうにして、大蔵省出資をしたのであるから、いつまででも大蔵省がやらなければならぬのだ、こういうふうな考えは、私は同じ政府部内におきましては、すべて事務簡捷の叫ばれております際に、これは運輸大臣が行うということにするのが当然であろう。こういうふうに考えるのでありますが、これは日本国有鉄道法についても出て来ることでありますし、またこの委員会に損失補償の関係の外航船舶の建造融資に対しますところの損失補償の法律につきましても、同じようなこどが出て来るのでありますが、多少でも大蔵省が金を出すということになりますと、いつまででもそれがひもつきのように大蔵省監督する、協議をしなければならぬというふうな、非常に複雑な、あたかも大蔵大臣は他の大臣を信用することができない、こういうような法律になつて来るように思うのでありますが、こういうことは、同じ政府部内といたしましては極力排除すべきものであると考えるのでありますが、運輸省といたしましては大蔵省に対してどのような交渉をせられたのか、そういうお考えを持つておられるのか、持つておられるとすれば、どの程度の交渉をしておられるのか、この点伺つておきたいと思います。
  72. 荒木茂久二

    荒木政府委員 出資と申しましても、あるいは将来補助金を出すというようなことにいたしましても、あるいは外貨貸付というような点についても、大蔵省と緊密なる連絡をりまして物事を進めて参る次第でございまして、現実の問題といたしましては、政府部内においてときどき関係各省と折衝をいたし、連絡をいたし、協調をとらなければならない実情でございますし、またその必要もございますので、そういう点を考えまして、この十二条を大蔵省と相談の上挿入したわけであります。
  73. 關谷勝利

    關谷委員 これもまた政府の御見解とは私たちはちよつと違うのでありまして、緊密な連絡をとるために大蔵省と協議をしなければならぬから、いろいろ予算的な措置において緊密な連絡をとらなければならぬというふうな趣旨から連絡するということでありますならば、各省において行います行政というものは、ほとんど全部予算の裏づけがあるものに対しましては、大蔵省と協議をしなければならぬというようなことになつて来るのでありますが、これは行政簡素化の面から行きましても、どうしてもそういうようなことは、一応大蔵省出資をいたしましたならば、それぞれ所管の大臣にこれをまかすべきもので、運輸省の方からこれが適当だと思つてやつたというふうなお考えはかえてもらいたいと思うのでありまして、この株主権行使等については運輸大臣にまかしてもらいたい、その他の法律においてもこれから同じようなものが出て来るのでありますが、それは一応まかしてその省にやらせるというのが本筋であろうと考えますので、航空局においては、緊密な連絡をとるためにこれは適当であろうと思うというそのお考えは、根本から考え直してもらいたいのであつて、そういうふうなことを極力排除するというように考えをかえてもらわなければならぬ。そうして、少しでも事務の簡素化に向つてもらいたいという希望を私は持つておるのでありますが、やはり依然として緊密な連絡をとるためにこうしなければならぬと考えておられるか。あるいは将来はそういうふうに持つて行きたいというふうに考えておられるのか、その点を伺つておきたいと思います。
  74. 荒木茂久二

    荒木政府委員 行政の能率を増進するという見地から、責任態勢を明らかにする、事務の簡素化をはかつて、事務を能率的に運営するという措置を講ずべきだということに関しましては、われわれ平素からそういうふうに及ばずながら努力をいたしておる次第でございます。
  75. 關谷勝利

    關谷委員 何やら大蔵省が恐ろしいものであつて、めつたな答弁をすると、また大蔵省にいじめられるのではなかろうかというふうな、日ごろの荒木航空局長に似合わざる御答弁で、私はまことに遺憾に思うのであります。私は重ねて申し上げておきますが、そういうふうな事柄につきましては極力主張をいたしまして、そうして簡素化の線に向つて、すべての財政的な調整とか、あるいは株主権の幅というようなことにつきましてはそれぞれ所管の大臣において単独でやり得るのだ、一々相談する必要はないのだ。こういうふうなところに持つて行きますように、今後とも御努力を願いたいと思います。別に大蔵省を恐れなければならぬ必要はないということだけを申し上げておきたいのであります。  なお第十一条に規定いたしておりますところの、「会社は、毎営業年度の開始前、その営業年度の事業に関する基本的計画について、運輸大臣認可を受けなければならない。」ということになつておるのでありますが、これは航空法におきまして毎年事業計画を出さなければならぬことになつておるのでありますが、その航空法に定めてありますところの事業計画と、この営業年度の事業に関する基本計画というのは同じものであるのか。あるいは異なつておるものであるのか。その点ちよつと伺つておきたい。
  76. 荒木茂久二

    荒木政府委員 航空法事業計画は、航空法に書いてございますように、航空機の運航及び整備に関する計画でございまして、飛行機を飛ばせること自体に関する狭い範囲事業計画でございます。ここに書いてございます事業に関する基本的計画と申しますのは、それよりも広い意味のものでございまして、たとえば附帯事業として整備事業を行うとかいうような面は、航空法規定してないわけでございまして、これはそういうものを主として目的といたしておりますが、規定といたしましては、大は小を兼ねるいうような意味合におきまして、航空法規定しておるものが全然ここに重複していないかといえば、重複する部分が絶対にないというわけではございません。
  77. 熊本虎三

    ○熊本委員 私も遅れて来ましたからいろいろ重複していると思いますが、先ほど来の正木君、關谷君の御質疑の精神はよくわかりますが、私は逆に、大臣が言われたように、なるべく民間にまかせるという形式をとつて会社の日常経理について、政府を代表する者が入つておらない。たとえば満鉄ならば総裁というようなものが政府任命によつてつて、日常の経理、運用をまかせられておつたわけでありますが、そういうことが、今度は大いに奮発して、できるだけ民間の自由にまかせる経営だ、こういうことを言われたために、あるいはそうしようという形式を整えるために、ついに条文上に先ほどからいろいろ御質疑のあるような不安があるために、慎重な配慮が必要になつて来ておるのではないか、こういうようにも考えられますが、そういう面について、もしそうだとすれば、私は率直にその主宰する責任者を任命して、そのもとに経理、運用が思う存分に快腕を振い得るという態勢と逆のコースをとつた方がよりいいのではないかと思われるが、そういう点について何かお考えがございましようか。
  78. 荒木茂久二

    荒木政府委員 大臣の考え方は、先ほどからいろいろ御議論がありました際に申し上げましたように、できるだけ民間の自由なる企業意欲によつて航空事業の発展をはかるという趣旨を貫く考え方で立案をいたしておるわけでございます。しかしながら政府出資するわけでございまして、国庫から十億の金を出しますので、これを野放しにするということは、むしろ政府から出した金に対して配慮が足りないという点がまた逆に考えられますので、責任者であるところの会社を代表すべき取締役の決定の決議は運輸大臣認可を受ける、こういうことにいたしたわけでございます。今熊本委員の御指摘では、むしろ政府から任命して、あとは自由自在にやらすべしというようなお考え方のようにも拝承するわけでありますが、政府任命するというのは、あまりにも独善的になりはしないかというわけで、取締役会できめましたものについて政府が承認を与えるという形式にいたした次第であります。
  79. 熊本虎三

    ○熊本委員 総出資の半額を国民の血税によつて出資するのでありますから、自由放任に流れることは許されない。これは申すまでもございません。同時に、その点に政府としての責任があるために、各条項の中にいろいろむつかしい取締り規定を設けなければならないことになつておるのではないかとすら思われる節がある。そこで私の言う逆のことを考えてみるということは、そういう日常のささいなものにきうくつなわくをはめるよりか、総括的な責任者の信頼し得る者を任命して、日常の活動の中に、国民資本の権限をもつて、より活発な活動ができるという方法も一つの案ではないかという考え方です。これは法案が出ておるのでありますから、いまさら研究というわけにも参りますまいが、将来のこともありますので—要するに角をためて牛を殺すという形では、形式だけで、実質は逆効果になるおそれがある。これらの点について一応参考までに考慮の中に入れておいてほしい、こういう意味でございます。
  80. 荒木茂久二

    荒木政府委員 大体できておりますところ及び考え方は、今御指摘になりましたような方針で立案をいたしておるわけでございます。できるだけ自由にして、民間の創意を発揮させるということも、大いに尊重しなければならぬプリンシプルであります。また逆の面から申しますと、国民の税金から十億の出資というのであるから、むやみにかつてなことを、自由放任にするということは、これまたけしからぬことではないかという逆の意見もあるわけであります。そういつた点を彼此勘案いたしまして、その二つの要求を調和して、ほどのいいところで進むという考え方のもとに実は立案をいたしておる次第でございます。従つて結果的に申しますと、私としましてはこの点は御指摘のようにできているのではなかろうかと考えておるのであります。
  81. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に永田良吉君。
  82. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私は国内のローカル線の問題について、まず第一着にお尋ねしたいと思うのです。さきの航空局長の説明によりますと、相当の計画はしておられるとおつしやいまして、われわれとしてはむろん国際航空並びに国内航空幹線の発達も大事であります。私は世界に取残された日本民間航空を発達せしめるには、国内のローカル線を迅速に開発せられることが、たいへんけつこうなことじやないかと思うのです。しかるに最初航空審議会なんかでおきめになつた予定の計画が、一例を申し上げますと、私たちの鹿児島の航空路のごときも、たしか七千万か八千万か、飛行場をつくるについての予算も組んであつたようだけれども、それらもまだ達成されていない。それにまたことしはローカル線については大蔵省との交渉がうまく参らぬで、どうも一頓挫を来したようなことを承つておる。国内コースの幹線の方はいいけれども、ローカル線をたよりにしておるところの地方民は、たいへん失望いたしたのであります。またさきの航空局長の話によると、いずれ近く福岡から鹿児島のローカル線を第一着にやるというような、今の計画でいらつしやるらしいけれども、今度は一面大阪を中心とした大阪−高松、それから大分の別府から宮崎に延びる線、これも私は宮崎まででそのローカル線をお打切りになることは、九州循環コースの関係から見てあまり感心しないと思う。やはりこれは鹿児島は福岡から来た一線と、宮崎方面から来た線が結ばれてこそ、初めてローカル線の効果を達成すると思うのです。この点に対する航空局長の御意見、また国際線において考えた場合に、今ではサンフンシスコの線を第一着におやりになるけれども、いろいろオランダやスエーデン、ノールウェイ、フランス、イギリス方面からも突入して、国際航空線にヨーロッパ方面からも日本に侵入するという情勢にある。この見地から見て、日本と南方との連絡、たとえばフィリピンであるとか台湾、沖縄方面との、またあるいは香港その他の連絡において、むろん九州では北九州の板付が今では大事な基地になつておりますけれども、われわれ南九州の者から見ますと、従来の南洋貿易、いろいろな南方との連絡の関係上、やはり海運のためには鹿児島港が基地となつて南方方面はやつておるから、やはり空の交通であつても、海の交通、陸の交通にしても、この三者を結んで南方との連絡をいたすには、日本の最南端の基地も相場考慮を払つていただきたいということを私どもは要望するのです。その点から見て私どもは、大隅の鹿屋に海軍の航空隊の基地ができました。三百七、八十町歩の土地を農民がつぶして、終戦当時には地元としては協力をした。それを米が進駐してからしばらく使つておつたが、現在は米はそれを日本政府に一部返しまして、保安隊が練兵場に接収しておる。そこには現在りつばな滑走路もまだ残つておるのであります。こういう点から見て、板付の飛行場が軍の練習とともに、また民間の飛行場としてもあれが使われておるのですが、私の南九州にもあれに劣らぬようなりつぱな飛行場が現存しておるのであります。むろんこれは海上警備隊とか陸上の保安隊、両方とも連絡機か偵察機みたいなものを使つて、近く保安隊の飛行場としてあれが復活するものとも考えますけれども、一面あの飛行場は南方との連絡には相当の価値がありはせぬかと思うのであります。また従来われわれが南方の貿易等に関係を持つた点から考えて、もしも将来国際航空路が九州においては板付を基点とした場合に、これは九州の最北端であります。熊本、宮崎、大分の一部、鹿児島県地方、なおまた近くは奄美大島等は鹿児島に復帰するようなうわさもあるのであります。こういう観点から見て、われわれ南九州の者が南方に航空旅行する場合、ローカル線で福岡まで行つて、そしてまた自分の目の前を通つて南方に行くということは、時間の関係、経費の関係から見ても、非常な不便を感ずるのであります。こういう点について九州の南端に幸いりつぱな飛行場があるとしたならば、一日に一回という希望もありますが、それができなかつたらせめて一週間に一回でもよろしいから、あそこを国際航空路として南方との連絡に使つていただくような考慮、研究はいかがなものでございますか、こういう点もこの機会にお尋ねしておきたいと思うのであります。何にしても南九州の地方の人は、そういう要望をいたすことはもちろんであります。この点について、まず国内民間コースのローカル線の問題と、国際線の問題の二つについて局長の答弁をお伺いしてから、またお尋ねしたいと思います。
  83. 荒木茂久二

    荒木政府委員 第一の点でございますが、われわれもまさしく永田委員と同様に考えておるのであります。今説明書等におきましては、宮崎で打切るというようなかつこうに見えますけれども、宮崎に保安設備をいたしますと、それは鹿児島に向つて参りましても、また大分に向つて参りましても、両方使えるわけでございまして、宮崎に保安施設をいたしますれば、この保安施設を補充しますと環状線が十分できるのでありまして、この点はそういうふうに考えておるわけであります。  第二の点でございますが、南方との連絡では、特に沖縄との連絡を考えますと、これは鹿児島から参るということが一番よろしいわけであります。しかしながらこの沖縄にいたしましても、航空交通から考えますれば、国内として考えてもいいような近いところの台湾、朝鮮というものが、遺憾ながら国内航空というわけには参りませんので、国際航空の手続を経て相手国の承認を得なければならぬ、こういうことに相なつておる次第であります。そうしますとかりに沖縄へ行くにいたしましても、現在の状態ではこれは国際航空、こういうことになるわけであります。従いまして沖縄へ行くために鹿児島を使うということになりますと、この鹿児島は国際空港−インターナショナル・エア・ポート、こういうことにせざるを得ないことになるわけであります。ところが一般の風潮といたしまして、いわゆる国際空港というものを国の領土内にそうたくさんは置けない、いわゆる外国機の入り得る飛行場というものはそうたくさん置かないという考え方が、また他方にあるわけでございまして、現在日本では、国際空港は羽田と、一時的なものとして岩国があるわけでありますが、われわれといたしましては、岩国をできるだけ国際空港でなくして、国際空港は一つにしたい、こういうふうに考えておるわけでありまする。一つと言わなくても、国際空港はそう多くない方がいいと考えておるわけでございます。そこで鹿児島にも国際空地を—船で言いますと開港場でございますが、開港場を日本の領土内にたくさん置くという考え方に対しましては、いかがかと考える節もありますし、また沖縄、台湾が国内航空の手続で行えない、国際航空として処理しなければならぬという現実の苦しい立場も、御理解いただきたいと存じます。永田委員のお話はまことに同感であり、そうあることを希望してやまない次第でございますけれども、他の面の、今申し上げましたような支障の面も御考慮いただきたい、こう考えます。
  84. 永田良吉

    ○永田(良)委員 むろん現在の国内航空情勢から見れば、それは局長さんのお考えが最も妥当であると思います。但し次々に外国飛行機日本に進出した場合に、たとえばオランダの今ジャワまで来ておるのが、フィリピンから台湾とか沖縄等を経て日本に来る場合とか、またフランスの仏印からこちらに来るとか、イギリスのシンガポールから、香港からこちらに来るとか、欧州航路も将来日本に対して国際的に幾つも進出して来はせぬかと思う。これはまた一面観光コースとの関係もあるので、そういう点から考えてむろん今あなたがおつしやる通り、羽田と岩国にあれば、あそこからあるいは北九州とか別府の温泉地帯、長崎の雲仙、あるいは熊本の阿蘇山とか、私の鹿児島県の霧島等、国際観光コース方面等にも進出して行けるので、そういう場合にはむろんローカル線でやつてもいいけれども、何分にもあなたも知つておられる通り、鹿児島は大隅が最南端で、あれから先はすぐ国際関係になるわけで、これはめんどうな関係がありますから皆さんも御心配されているだろうと思うけれども、私が考えますには、ローカル線としては鹿児良の海岸にあるあの小さい飛行場を整備して、十二、三人乗りの飛行機を使うよりほかないと思う。しかるに大隅の現在の飛行場は、今あなたの監督していらつしやる七十人乗りでも、ちよつと修理すれば楽に使用できる。そういう点から考えて、私が申し上げることは当るか当らぬかしれぬけれども、将来外国から来る観光のお客さんなどは、むろん第一着に東京に来て、それからあと返りして岩国にまた飛んで、あれから九州方面に行つて、欧州方面にお帰りになるかもしれぬが、ある場合には東京へ飛行機で来た人も、岩国へ来た人も、九州くんだりを観光して、いざ鹿児島になつてからまたローカル線で福岡、岩国、あそこまであと返りして香港に飛ぶとか、フイリピンに飛ぶとかいうようなことは、どうもいかがかと思うのです。これは今ただちにというわけではないけれども、ここ数年あと、やはり日本の最南端地方に適当な空港があればそこにちよつと寄港して、台湾やフィリピン、南方に連絡するということが当然起り得るではないかと思う。こういう点から鹿児島がローカル線のコースとして用いられ、それにまた鹿屋は、保安隊の航空隊が復活すると思うが、あの飛行場を保安隊の方面、また航空方面から見た場合に、あそこが国際航路として全然見込みのないということはなかろうと思う。その証拠には、現にアメリカなんかもあの飛行場をいまだに日本に返しておらぬ。アメリカがいまだ持つておる関係から見れば、相当考慮せねばならぬ大事な場所であると思う。こういう点について、私どもの地方はたいへん迷惑しているのです。今あそこを返してもらえば、私のところはいもの産地であるので、いもをたいへんよけいとつて、多少百姓も助かるのですが、ああいうようにして遊ばしてあるので、私どもとしては、何とかして保安隊の航空隊でもでき、また民間航空路としても—あなたはさきに飛行場をつくるのは、ローカル線としても、航空幹線の達成から見てもたいへん困難だということをおつしやいましたが、幸いあそこにはあるのだから、あるのを何とか生かしていただくようなくふうはなかろうかと思つてお尋ねしたのであります。まあ皆さんは世界の情勢、日本国内のこともお詳しいので、できるものなら—せつかくああして地方の者が戦争中ほんとうに血の涙で提供した場所なんです。そういうところを、あなたもおひまがあつたら実地を御研究の結果、何とかしてあそこを生かすような工法を請じていただきたいと思つて質問しているわけです。これに対していま一ぺんあなたの御意見を承つておきたいと思います。
  85. 荒木茂久二

    荒木政府委員 国内に使用し得る飛行場が多いということは、非常に望ましいわけでございまするが、御承知のような情勢で、飛行場の農地還元運動が非常に強いわけでございまして、そのために相当の飛行場が農地に開放され、あるいは飛行場の大部分が農地に開放されて、滑走路だけ残つておるというようなことがあるのでありますが、鹿屋の飛行場は、幸いにして永田委員のお力によつて、現在まで原形をとどめておることは、われわれとしても非常にありがたいことだと考えておる次第であります。そこで鹿屋の飛行場を有効に使うということについては、十分考慮いたしたいと考えております。あるいは保安隊等において十分活用されることもあるであろうし、その点われわれもお話をいたしたいと考えております。ただ私の最も遺憾に思いまするのは、鹿児島と沖縄との交通で、これは国内交通に準じて国際航空の手続を経ないで行けるということになることが非常に望ましいと考えるわけであります。しかしながら現在の状態ではそれができないのであります。しかして国際空港として鹿児島の飛行場を開放しますと、外国航空機もまた国際空港である限りは、開港場でございますから入つて来る、こういうことになるわけでございます。そこで鹿児から沖縄へ飛べるようにしたいという非常に強い熱望を持つておるのでありますが、逆にまた鹿児島を開港場にしますと、外国飛行機も入つて来る。こうなつた以上は、日本の飛行場は自由自在に外国飛行機の発着ができる状態にしていいのではないか、こういう御意見も出るかと思いますが、世界の趨勢その他を考えますと、いわゆる開港場的空港というものは、ある程度限定すべきであるという考え方が強いのでありまして、外国との航空折衝におきまして、わが方からこの飛行場を使わせと言つても、それは使わせないという飛行場もあります。なお外国との交渉におきまして、大阪、福岡を国際空港として開けというような強い希望も出ておるのでございますが、そういう問題につきまして、われわれか今折衝しておる見地から考えますと、国際空港いわゆる開港場は、一国内にそうたくさん置かないという考え方が支配しておりますので、そういつた面から考えますと、鹿児島を開港場にするということはいかがかと思います。そうすれば、沖縄には鹿児島から飛べないということになりますが、この点は御承知のように、潜在的主権しかございませんので、かりに日本から沖縄へ行くということになりますと、沖縄は現在立法、司法、行政権を米国が行つておるということになつておりますので、日本政府から国務省に願書を提出いたしまして、向うの許可を得て、そして行わなければならぬ、こういうことになつております。その他、今国会にかかつております日英航空協定の批准、スカンジナヴィア三国、オランダというようなところと調印いたしまして、近く国会提出して御批准を仰ぐことになつておりますが、その面におきましても、沖縄の地位につきましては非常に問題になりまして、結局沖縄は立法、司法、行政の権限がアメリカで行われておる間は、国際航空の扱いをする。しかしそうでなくなつて日本が完全に立法、司法、行政の権限を行うことになつた場合においては、現在与えている沖縄における外国航空機が降りて商売をするという権利は消滅してしまう。そうしてその後に新たに折衝を開始する、こういうような協定で沖縄の地位を明らかにしておる次第でございまして、今申し上げましたような点から遺憾ながら、われわれとしては、沖縄は国内と同じような措置をとりたいという考えでございますが、それができないという点につきましても御了承をいただきたいと思います。
  86. 永田良吉

    ○永田(良)委員 この点については詳細なる局長の御答弁がありましたから、もうこれ以上このことについては質問は申し上げません。  私は次に、一般の航空行政のうちで、飛行機の製作方面あるいは修理方面、これらの点について航空局は、むろん今までは外国飛行機を貸りて来てそれでまず運行しておられますけれども、漸次日本民間航空の進み方としては、飛行機の修理からまた製作にも進むべきものではないかと思うのです。こういう点から考えて、過去の日本の行き方においても、航空においては海軍の方が最も進歩した技能を持つておつたのですが、ごらんの通り横須賀方面にはりつぱな航空工廠があつて飛行機の製作からいろいろなことの研究をしておつた。それにならつて陸軍もあとから航空工廠をつくつて飛行機の製作方面には相当な研究をしたのであります。今後日本国内において、国際線から国内線を飛ぶ飛行機もだんだん多くなる思うのですが、むろん飛行機は当分は外国から買い入れたりすると思うのですけれども、修理したり何かするということにおいても、漸次日本航空機工業も相当進出するような場面に進んで行くのが当然だと思うのであります。こういう見解から国立の航空機の製作とか、いろいろな各部品等に関する方面について研究をする、国費で航空の研究所を設置せられるような御計画を持つていらつしやるかどうか。またこれらについての航空局長の御高案があれば、この機会に承つておきたいと思うのであります。
  87. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように航空に関しまして、航空機の製造事業というものは通産省所管になつておるのであります。いわゆる航空運送事業の面及びこれに接着するところの修理というのが運輸省の所管、こういうことになつておるわけであります。製造まで全部運輸省の所管ということになつていないのであります。そこで来年度予算編成にあたりまして、運輸省は運輸省的見地から、航空研究の施設を持ちたい。通産省は通産省としての立場で、通産省側の研究施設を持ちたい、こういう意見で、それぞれ予算の要求が出されたわけでありますが、大蔵省では両方ともその研究の予算を削除いたしたわけでございます。しかしながらこの研究は一刻も進めなければならぬという考え方で、科学技術行政協議会におきまして、いかなる形式でもつて航空研究を始めることが望ましいかということを目下研究しておられるのでございます。そとで私の考え方を申しますと、日本の国費を分散して使うということは不経済であるから、運輸省といわず、通産省といわず、また保安隊もいろいろ研究があるでしようが、保安隊といわず、また大学の学理的研究といわず、そういつた方面にばらばらに資金を注入するよりも、一箇所にまとめてそこに集中的に資金を投入いたしまして、強力なる研究施設をつくることが望ましいではなかろうか。昔ありましたように、陸軍とか海軍とか民とかいうようなことでなしに国をあげて一つのものに主力を集中するというようにすることが望ましいのではなかろうか、こうういふうに考えております。目下科学技術行政協議会において研究をされております。この研究の結果はおそらく私の申し上げたような結論が出るのではなかろうかと思いますが、その結論に基きまして、将来大蔵省予算措置考えることになるであろうと、こういうふうに考えておる次第であります。
  88. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいまの説明を聞いて、まことに立ち遅れた日本民間航空の再建に向つて、私どもは国民の一員として非常に残念に思う次第であります。あなたが今お話通り、過去の日本の戦争に負けた原因等もいろいろありますけれども、私は過去においても現在においても将来においても、日本国民として最も関心を持たなければならぬことはこの航空機であります。今政治の裏面においてすぐ問題になるのは原子爆弾でしようが、これらは飛行機なくしては投げられはせぬ。水素爆弾にしても同様である。政治の裏には必ず恐ろしいものを持つて来ておるのです。外交の裏にも……。こういう点から見て、今世界をあげて航空機の問題、原子爆弾の問題のごときは、世界の二十三億の人がみな血眼になつて研究しておるのであります。従つてわれわれの国土の保安、八千四百万の人の生命財産の保安に向つても、われわれはわずかの保安墜、ちよつとした駆逐艦にも足りないような小さい軍艦の形みたいなものの守りで、日本の国土や八千万の人命、財産の保護ができるかということを心配しておるのです。こういう点から見れば、航空局長は御承知でしようが、一体世界各国の民間航空というものは国を守るための一つの予備隊であつて民間航空の充備ということは、国内保安のために非常に大きな責任を持つていると思うのであります。こういう点から考えて、私は運輸大臣としては、陸運と海運と航空と三つ持つておらなければ、この立ち遅れた日本の空軍の責任から考えても、またそういう治安的な方面から考えても、これは責任が重いと思うのであります。私は今日の運輸委員会において、あの熱心な運輸大臣が、この民間航空の問題があるのに、ちよつとでも顔をお出しにならぬということを、たいへん悲しむ一人であります。これは一番困難な仕事なんです。一番困難な仕事には、大臣は最も努力をせなければならぬのです。私はこの点から考えまして、日本民間航空の将来を考えた場合に、搭乗員の養成のごときは最もやすい仕事なんです。やりようによつては、ものの六箇月もすれば、ちよつとしたのを操縦ができるような訓練もできるし、三年も四年も十年もやつたのがいいのだけれども、いずれにしても飛行機を操縦する操縦士の教育訓練というものは、陸海軍の過去の経験から見ても、民間航空の面から見ても、皆さん一番御承知なんです。この点は相当金もかかるけれども、これは割合に容易なんで、簡単であるけれども、航空機の製作は世界の科学の粋を集めたものであるから、日本も過去においては相当ないい飛行機も持つておつたけれども、何分にも六、七年間休んだのだから、今後世界における優秀な飛行機を取入れて行くには、相当な苦心がいると思うのであります。この意味から、航空機に関する政策とか、一般の研究とかいうことは、日本の大学の科学教育の面から見て、またさつきあなたのおつしやつた通り保安隊のいわゆる治安の方面から見て、これをどういうふうにされるかしらぬけれども、昔のように海軍の飛行隊とか陸軍の飛行隊というような—多少海、陸と両方にわかれて飛行機を持つ部分もありますが、大体の政策としては国の治安の面から見ても、また民間航空という面から考えても、やはり航空行政は一元化し、統一することが、遅れたものが先進国に追いつく経路でなければならぬと思う。この意味から、今あなたは航空工業方面は通産省が持つているとおつしやいましたが、そういうように、製作と搭乗員とを別々に持つているというようなことは、機構もますます複雑になるし、いろいろ連絡もとれぬから、一層遅れをとることになるのであります。これは総理大臣としても、各閣僚、ことにあなたの上に立つておられる運輸大臣としては、十分の決心を持つて、そういう構想のもとに突進されなければならぬ。しかるに両方から予算の取合いつこをするようなぶざまなことをして、しかもそれが削られてしまつた。こういうことではいかぬと思う。海運と陸運は相当回復されましたが、一番航空が遅れているから、この遅れている航空行政を扱うものとして一局として置くのはどうか。事は局であつても、もう一局長の場面ではないと思う。航空局には長官でも置かれて、機構を相当強化してかからなければならぬと思う。失礼ですけれども、今あなたがおられるところは、日本が戦争に負けた、いわゆる敗惨国の部屋なんです。今運輸省は東京駅の前のああいう大きいビルディングのりつぱなところに住まつていらつしやる。あなたの航空局のみがああいうバラックの、いなかの町村役場よりきたないところにおられる。ああいうところにあなたがおられて、欧米各国のりつぱな航空会社の社長さんがハイヤーで横づけにされた場合、どういう感じをされますか。これは国際的にも考えなければならぬことと思う。今丸ビルのそばに新丸ビルができているが、あそこにはまだ貸間もありはせぬかと思う。同じ国費を使うならば、効果的に、能旅の上るようにすべきです。欧米各国の人が来てもはずかしからぬように、見目に御移転なさつた方がいい。また運輸大臣として部下の監督指導、という面から見ても、現在の場所は売り払つた方がいい。ほかにいくらも使える場所があるじやないか。どうも日本の閣僚は燈台下暗しで、こんな小言を言うとおしかりを受けますけれども、相当考えていただかなければならぬじやないかと思う。こういう意味から、航空局もこれから航空庁とするとか、極端に言えば航空省とかいうものができて、そして機構から改めてかからなければならない。今言う通り国立の航空技術研究所のごときは、一番先にできんければならぬものである。私はこの意味から航空機の研究所のごときは第一着に御設置になつて日本民間航空をいやが上にも進歩発展させるように、御指導を賜わらんことを希望する次第であります。これに対して局長は運輸大臣に向つて。どういう御決心で今交渉しておられますか。また大蔵省に向つてもどういう決心でやつておられるか。一体日本大蔵省の役人は、失礼な話だけれども、そういう国家の将来にとり、また現在日本のなさねばならぬことについて、あまり強く考えられないように思う。私は治安の維持において、現在航空ほど大事なことはないと思う。今スターリンもどうかなつているという話だが、これでいざとなつたら、東京のまん中でわれわれ国会でこうしておられませんよ。飛行機もたいこんな状態でどうするのですか。こういう意味から考えれば、航空の方面はすみやかに発足させなければならぬ。そこで私は、あなたには御迷惑だけれども、きようは資料を提供していただきたいことを今申し込んでおきます。それは現在の閣僚とか局長以上の人で、航空機に搭乗した者が何パーセントなりや。これは大臣であつてまだ飛行機に乗らぬ者は一人もおらぬと思うけれども、体験なき者はそれに親しみを持たぬ。特に大蔵省の主計局あたりの連中は、あなたは航空局長としてわれわれ運輸委員を飛行機に乗せたように、羽田へつれて行つて乗せてもらいたい。それから失礼だけれども、代議士もお調べくだすつて、参議院議員と衆議院議員で飛行機に乗つた人も、乗らぬ人もいらつしやるかもしれないけれども、そのパーセンテージもいただきたい。それから日本の国民の搭乗の数と、先進国のアメリカ等との比較はわかりにくいかもしれないけれども、もしわかつているならば—これは解散にでもなれば、あるいはどうなるかしれないけれども、いずれにしてもそういう搭乗者のパーセンテージ等もお示し願いたい。  また一面小学校初め中学校から高等学校、各大学という方面の教科書などについて、むろん航空機関係の教材は相当あると思いますけれども、この遅れた日本民間航空を進歩せしめるには、教育方面から入つて行かなければならぬと思う。こういう教育方面に航空局としては、文部省関係ともよく連繋をおとりになつて航空機を理解せしめる方面の教材をよけい取入れていただきたい。それからグライダーなんかを学生でやつているようだが、できるならば、民間航空会社で安全な飛行機を使つて、ごく安い金で、羽田から東京都の上空へでも飛んで、十分か十五分でいいから乗せる、それくらいのことをしないと、航空機の理解と親しみを持たぬと思いますから、そういう会社なんかが出願した場合には、航空局としてはすぐに許可を与えてくださつて航空思想の啓発をし、親しみを持つようなふうに御指導を願いたいと思います。こういう点に関して局長の御意見を重ねてお尋ねいたします。
  89. 荒木茂久二

    荒木政府委員 航空の初期の段階から戦時中及び戦後を通じて、非常な熱意をもつて航空の発達のために尽力されました永田先生から、非常な御叱声、御鞭撻のお言葉をいただきまして、まことに恐縮にたえない次第であります。私はなはだ微力でございますが、御指摘のような方向に進みまして、驚馬にむちうつて、絶大の努力をいたしたいと考えている次第でございます。今後一層御叱声、御鞭撻をいただきたいと思います。なお資料の要求がございましたが、この資料は、もちろん調査はいたしますけれども、各議員が搭乗されたかいなかということを調査するのは若干時日を要するかと思いますので、その点は御了承願いたと思います。
  90. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私はそれはやりようによつては、そう時間はかかるまいと思う。これは決して人の秘密をあばくというのではないのです。実際のところ私ども運輸委員だけ飛行機に乗せていただいて感謝しております。あれは航空会社も一時間十八万円もかかるというからたいへんな犠牲だけれども、遅れた国が立ち上るには、やはり相当の苦心と考慮を払い、困難を突破せんければならぬと思う。そういう意味から航空局長としては、民間航空会社にも十億くらい融資の道をつけてやられたのだから、衆議院の四百六十六人や、参議院の二、三百人の人を乗せるくらいは、航空会社も御迷惑だけれども、そう犠牲はかからないと思う。これは今初めてのことでもない。ぼくらは年とつた議員だから追放になつたが、前の代議士の時代にも、たしかあの辺に行つてみな乗つたものです。これは御迷惑だけれども、あなたの方でそういうふうに御努力をお願いしたいということを希望します。  なお私は民間航空の発達を祈る上から見て、今の料金では高いような気がする。これを税金を控除するような努力をするとかなんとかして、もう少し安い料金で乗るようになると、相当搭乗者もふえはせぬかと思う。それから回数も福岡線が一回では、私ども鹿児島に行くのにここを七時半に飛んで行つて、福岡に十二時前後に着く。そのときには鹿児島行の急行はもう通り抜けておりはしない。そうして私はいつもあそこに夜の十一時まで十二、三時間待たされる、こういういやなことはない。今度は二回にせられるというから、そうなると相当時間も短縮せられると思うけれども、いずれにしても実際の場面にぶつかつてみて、もう少し実際的な方面を研究して、丁寧に御指導賜わりたいと思います。今度三月からか四月からか、一日二回運航せられるそうですから、この点もこの機会にお尋ねしておきます。
  91. 荒木茂久二

    荒木政府委員 航空思想の普及発展につきまして、いろいろ抱負をお述べいただきましたが、運輸省といたしましては、海については海事思想の普及に努力しておりますが、特に取残された航空の国民的認識を高めてもらうという意味におきまして、航空思想の普及についてはない知恵をしぼりまして、せつかく努力をしたいと思つております。なおこれに関しましては航空協会というものが発足いたしまして、こういう方面からもこのことが推進せられると思います。なお青少年学徒に対して航空思想を普及する非常にいい方法としましては、グライダーをスポーツ的意味において大いに普及したいということでございますので、その方面も文部省と連絡しておりますが、ずいぶんグライダーの協会ができて、青少年の熱が上つておる次第でございます。  次に、鹿児島の汽車との連絡の問題でございますが、この点は三月十五日から二回にすることになります。いろいろな観点から考えまして、朝の便を鹿児島行の列車に接続することは非常にむずかしゆうございますので、夜の便を接続し得るように、東京をおそく出す便をつくつて、鹿児島との連絡をよくしたいと考えております。なお料金の問題でございますが、交通機関として最も重要なことは、料金を安くして、サービスをよくして回数をふやす、こういうことでございますので、その点に向つて努力をいたしておるわけであります。御存じのようにアメリカにおきましては、汽車の三等運賃に該当するコーチよりも、飛行機のコーチの方が安いという状態になつております。日本状態ではとうていそこまでは及びませんけれども、できるだけ早い機会に二等より少し上まわる程度にまで持つて行きたいものであると考えております。これについては通行税の二〇%かかつておる点をぜひ撤廃するというふうに持つて行きたいと考えまして、大蔵省と折衝しておりますが、これもまだ解決をいたしておりません。大いに努力するつもりでございますが、せつかく御鞭撻をいただきたいと考えておる次第であります。
  92. 永田良吉

    ○永田(良)委員 これはたいへん皮肉なことを申し上げるようだけれども、われわれ議員は鉄道のパスはもらつておる。けれども私どもは鹿児島まで三十五時間も汽車に乗つて往復するのはなかなか困難だ、だから貧乏代議士ながらやつぱり飛行機を使つて旅行しておるのです。世界各国はどうか知らぬけれども、もう航空機が発達したところでは、代議士さんも忙しいときには飛行機に乗らなければならぬと思う。旅費規程では航空便に乗つた人も支払いがされるようになつておるようですけれども、パスを発行するについては、今後航空機の搭乗についても相当考慮を払つていただきたいと思いますが、これらについてはいかがなお考えを持つておられるか、お尋ねしてお身たいと思います。
  93. 荒木茂久二

    荒木政府委員 現在の段階におきましては、純然たる民間会社でございますので、その点の民間会社であるという点と、御存じのように飛行機は座席が非常に限定されておるというようか点から、現在の状態では会社に命令することは、ちよつと困難だろうと思います。将来の問題といたしましても、国鉄と違いまして、これが全額政府出資ということになるわけではございませんし、その問題はそう簡単には参りかねるのではなかろうかと考えております。
  94. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それは失礼だけれども、私は御研究が足らぬと思います。私は汽車で行けばただだ、飛行機で行けば福岡まで一万二、三千円損するけれども、こういう老骨でも航空を一生涯の仕事と思つて努力する意味から特に乗つて行くのですが、しかしこれは私はこう思う。何も全額パスをという意味ではありません。あなたは今航空運賃を安くするために努力すると言われるけれども、われわれ代議士には民間の地方の会社でもパスをくれております。民間会社だから無理ではない。一日一ぺんくらいの運航ならば無理かもしれぬけれども、私は飛行機にたびたび乗るのですが、代議士が一ぺんに三百人や四百人も乗りはしません。これは全額のパスということを一概に皆さんがお考えになるから、ちつともものが進まぬ。やはり少しでもものというものは割引すると気持のよくなるものです。そうすれば乗り手が多くなるじやないか。私は老骨だからいやなことをあなたに申し上げるけれども、日本民間航空を進める上から、そういう微細な点でもあなた方から運輸大臣に言つて閣議できめれば何でもない。また日本航空会社の社長や専務を私も知つておるが、そういうことを理解のできない者はない、そういうことはえらいことではない、これくらいのことは研究されてしかるべきことだと思う。そうすることは決して国家のために損でもない。むしろ世界に遅れたる日本航空を進めるには、私の言うことにも真理があると思う。たとえば東京の観覧、遊覧飛行でもなさるには、あなたが民間会社の中で相当資力のあるものにでもやらせれば、これは必ず引合うものです。そこを察していただいて、安い運賃で遊覧飛行ができれば、確かに日本国民が航空に親しみを持つものである。そうすれば民間航空を達成するために非常に有利であると信ずるがゆえに、私は老骨でありますが、あなたに進言いたします。この点についてあなたは全然見込みはないというお考えを持つておられますか、重ねてこの点についてお伺いいたします。
  95. 荒木茂久二

    荒木政府委員 その問題は、いやにかしこまつたような答弁をして恐縮でありますけれども、別人格であります会社の問題であります。政府が直接関与する問題でもございませんので、表向きの答弁はそういうことに相なる次第であります。命令事項とかなんとかいうものには該当しないではなかろうかと考えております。
  96. 永田良吉

    ○永田(良)委員 荒木さんにはいやなことを申し上げるけれども、あなたが非常に御勉強なさつたことは心から感謝しておる。それでいろいろな方面に御心配をしていただくわけですが、こんな補助くらいのことはどうでもいいのですけれども、いずれにしても今後日本民間航空を推し進めて行くには、相当な困難が伴うことはもちろんでありまするが、何とかしてあらきる方面に知恵をしぼつて、ポスターなんかも、もちろん今では航空機の雑誌にはずいぶん出ますけれども、いずれにしてももつと日本国民が航空に親しんで、関心を持つようになつて日本民間航空の遅れたのを少しでも進歩させるようにという考えから、老婆心からあなたに無理なお願いをしてるわけですが、近く欧州航路について、向うから日本に来るように聞いておりますが、これに対して欧州航路の進出については、どの時期に、どの辺までというような御計画があれば、お示しが願えればけつこうであります。
  97. 荒木茂久二

    荒木政府委員 できれば今年中にカラチまでは行きたいと考えております。その関係国との交渉でございますが、目下日英航空協定は衆議院を通過しまして、今参議院に参つております。日仏協定は遠からず調印の運びに至るものと思います。そのあとヨーロッパに行きますと、各経過地と交渉をしなければならないわけであります。インドからも申し入れがございますので、インドと近く交渉が開始されることになつております。なお中間との関係につきましては、現在は台湾でございますが、台湾とは条約の形式でなと、交換公文の形式ではどうかということで、具体的に台湾とは関係国間の交渉をやつておるわけであります。またサイゴンのヴェトナムとの関係は、相当話が進んでおりますが、まだ妥結に至つていないという状態であります。御承知のように通過いたします国と、それぞれ協定を結ばなければなりませんので、目下それを取急ぎやつておる次第であります。
  98. 永田良吉

    ○永田(良)委員 インドのカラチまでとおつしやるけれども、どうしてもこれは将来欧州航路はやはりロンドンまで行かなくちやいかぬと思う。せめてフランスまででもいいけれども、いずれにしても将来は一方はサンフランシスコまで行き、一方はロンドンまで行く。なおこれは架空なことを申し上げるようですが、理想的にいえば、アメリカ大陸を横断して大西洋を通つてロンドンまで、世界を一周する日本航空路が立ち得れば、たいへんけつこうです。一体それをやるのには、どれくらいの資本がいるというお考えですか、これも簡単に伺つておきたいと思います。
  99. 荒木茂久二

    荒木政府委員 今申し上げましたのは、今年度中にカラチくらいまで行きたいと考えておりまして、できるだけ早い機会に西はロンドン、東はアメリカからブラジルに行きたい、かように考えております。なお世界一周の飛行でございますが、これにつきましては日米航空協定にも日英航空協定にも、インドを通つて来る表まわり、それから裏を通つて行くというか、大西洋を越えて行くものも話をして、調印をいたしたのであります。なお非常に新しい航空としまして、北極飛行というものが今考えられておるわけであります。これによりますと、たとえば今度締結いたしましたスカンジナヴィア三国との航空協定によりますと、スカンジナヴィアを出まして、グリーンランドの氷の上にツールという飛行場がございますが、そこに着陸しまして、それからアリューシャンを通つてこちらに来るというルートもあります。これになりますと、時間が非常に短縮されまして、着陸地点も二箇所くらいでいいというわけで、将来の計画としましては、国際間の協定にそういつた線まで入れて協定いたしております。ところが事実問題として世界一周飛行をやるというようなことは、経営の面から参りまして、そう簡単には参りかねる。旅客、荷物とにらみ合せて進まねばなりませんので、営業採算ペースから考えますならば、そう簡単に実現するということは困難かと思います。かりに世界一周をやるといたしましても、飛行機は非常に足が早うございますので、一周飛行をやるといたしましても、週一回としまして二機程度追加すれば行けると考えております。
  100. 永田良吉

    ○永田(良)委員 まず世界一周飛行を週一回、恥これは先に説明のあつた百億の程度でできる可能性がありますか。
  101. 荒木茂久二

    荒木政府委員 百億では困難かと思います。先ほど申し上げましたような、第一期三箇年計画をやるとしますれば、まず百億程度でございますが、それを世界一周を週一回やるとすれば、二機程度飛行機がいります。とこるがそれをやる程度飛行機と申しますと、まず部品等を入れれば大方十億になります。飛行機そのものの値段は安うございますが、部品を入まして大方十億近くなると思います。二機買えげ十八、九億くらいの金を要するわけばあります。
  102. 永田良吉

    ○永田(良)委員 最後におつしやつのは何億ですか、もう一ぺんおつしやつてください。
  103. 荒木茂久二

    荒木政府委員 二機分の金を追加すればいいことになるわけであります。部品をどの程度入れるかによつて違いますけれども、まあ一機が十億足らずでございます。だから二機分としますれば二十億足らず、こういうことでございます。
  104. 永田良吉

    ○永田(良)委員 あなたのお話を承つて実際信じられぬです。世界一周をやるのに二機じやどうですか。不安でもるし、この間の三原山事件のようなこともあるし、私はやはり周到な計画のもとに、腰をすえてかからなければいかぬと思う。あなたのおつしやつたことからいえば、たいへん簡単に世界一周の航空輸送が日本でできるということになつて、私どもこんな愉快なことはない。もしそれくらいでできるものなら、早く欧米各国と協定をやつて、早く実現されることを希望するものですが、二機ばかりじやなく、一つ十億円くらいのものを十くらいなければ不安のように思いますが、どうですか。
  105. 荒木茂久二

    荒木政府委員 昔は御承知のように七〇%、八〇%という予備飛行機の率を持つておりましたが、現在は予備飛行機をできるだけ少くするということが経営上よろしいというので、予備飛行機は非常に切り詰められまして少くして行くということになつております。今申し上げましたような機数でできると思います。しかし問題は、たとえばお客さんの面をとりますと、外国国内の商売はできませんので、たとえばアメリカに行きましても、ホノルルからニューヨークを出てしまうまでの間、いわゆるホノルルー二ユーヨーク間の相互発着のお客さんや荷物はとれないことになつておりますので、商売になりませんから、世界一周をやるということは、飛行機の面から週一回やるのはきわめて簡単なことでありますが、しかしながら商売の面からいいますと成り立ちませんので、事実上は損をするだけの話である、こういうことになります。
  106. 永田良吉

    ○永田(良)委員 事実上損をすることはむろんやらなければいいが、しかし国民の体面、国家の体面から見ても、乗ります以上はあなたが言つた通り—海運においても太平洋航路なんか今から十何年前、日本は船は小さくてもたいへんサービスがいいとか何とかいつて日本の船も欧米各国の人から相当ほめられた点もあるのであります。航空機の輸送においても、日本人が今度立ち上つて欧米各国の人と手を握つて行くには—われわれは太平洋の孤島であつて、各国の人との親しみが少い、そのために外交方面で、日本は過去の戦争でもばかを見た例が多いのですから、今後国際的に手を握つて行くには、どうしても船や飛行機によつて世界各国の人と頻繁に往復するということは、日本が将来立ち上つて行く上において大事なことだと思う。こういう点から、できるならばあなたがおつしやつたように、もう支那と日本との間に航空輸送ができぬというのははずかしいのですから、すみやかに上海と九州方面、羽田を早く結んでいただいて、ことに近ごろは朝鮮と日本との連絡の船なんか夜は航行せぬという、これなんかもアメリカの仲裁によつてうまく行くならば、朝鮮と日本との間にも早く航空路を開く、まずアジア方面の各国との航空路の開設はむろんであるが、いずれにしても国内国際ともこの際相当の奮発をなさつていただかなければ、日本民間航空の画期的の発展ということはむずかしいと思うのです。こういう意味から、御迷惑ですが、東京都内から日本の全般に向つてこういう航空路を開設することについての新聞の宣伝とか、雑誌の宣伝とか、また航空局の皆様方の方からたまには地方に講演にでも出かけていただく、御苦労ながらいろいろ御努力をしてほしいと思うのです。多少損にはなつても、日本民間航空を進めるには、その困難を突破して、一刻も早くそういう場面に突入されることを特に私は希望する次第であります。利益本位からいわれるならば、そういう日本と南米との関係も必要ですけれども、それよりも私はやはり世界の人類の一番多いところへ航空路を開かれた方がいいと思うから、まずロンドン線をつくつて、できれば大西洋からアメリカ大陸にも突貫して、世界一周のコースをつくつて、そうして日本が早く握るということは、国際親善の関係から見てもたいへん重要じやないかと思う。この点は先ほども申し上げました通り大蔵省の主計局長さんにもずいぶん熱烈な交渉をいたされて、日本国内並びに国際的な航空路が、一日も早く達成せんことを希望する次第であります。これについていろいろ御度力をしていただくが、特に欧米各国の進歩した状態日本との比較問題について、ずいぶん考慮を払つて行かなくてはならぬ。ところが国内の点から見ても、福岡へ行くには外人の家族連れなんかが相当座席を占めておる。これに対して日本でも家族を連れて航空旅行をするくらいにならなければならぬが、どうも日本の現在の生活程度ではお互い困難でありますけれども、何とかしてもう少し飛行機の運賃を引下げることについては税金の関係、各方面に努力を払つて日本の八千四百万の国民が一人でもよけい飛行機に乗つて、そうして航空に親しみを持つて日本の将来が発展するようにということを祈つてやまない次第であります。これらについて現在の航空局の機構はこれでよいとお考えになりますか、もつとこれを何とかかえて突進するような方法はお考えになりませんか。
  107. 荒木茂久二

    荒木政府委員 御存じのように航空局は、運輸省の内局として発足したのが昨年八月一日でございまして、私が航空局長をそのときに拝命いたしたわけでありますが、その後の実情から考えましてやはり運輸省が陸海空を所管して、それが総合的に発展して行くようにという考え方からいたしますと、海運、陸運、航空も同じ立場において運輸省の内局として存在することにつきましては、私はその組織がよろしい、こういうふうに考えておるわけであります。
  108. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私の航空に関する質問は、まず一応これで打切つておきたいと思いますが、せつかくの問題についてどうも大臣から答弁を承つておかぬと、私どもは寝ても寝られないような気がする。それで失礼ですが、他日大臣に質問する時間を五分でも与えられるように、委員長にお願いいたします。それはできるでしようか。
  109. 逢澤寛

    逢澤委員長 承知いたしました。
  110. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それでは私の質問はこれだけで打切つておきます。
  111. 臼井莊一

    ○臼井委員 補助金の問題で簡単に御質問いたしたいと思います。日本航空株式会社法案の提案の理由によりますと、公益上必要ある路線の運営維持のために将来補助を交付し得る道を開いてある、こういうお話でありますが、これは今度新設される日本航空会社だけに対するお考えでありますか。それとも一般のローカル線に対してもやはり同様の適用があるのでございましようか。
  112. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは日本航空株式会社に対してだけの規定でございます。他の将来できますだろうローカル線に対しては、この規定そのものは適用になりません。しかしローカル線を開きましても、何を申しましても御存じのように、初期の段階においては相当経営は困難だろう、従つて初年度、次年度くらいは少くとも赤字を出さなければならないだろう、その赤字の程度その他経営の状態を勘案しまして、それに対応した処置をとりたい、こういうふうに考えます。
  113. 臼井莊一

    ○臼井委員 なお道を開いてあるというが、何か法的根拠でもあるのですか。
  114. 荒木茂久二

    荒木政府委員 これは第八条に、「政府は、会社に対し、その行う定期航空運送事業のうち当該路線の性質上経営が困難なものにつき公益上必要な最少限度の運送を確保するため、予算範囲内において、補助金を交付することができる。」こういう規定がしてある。しかしこれは規定上そうなつておりますけれども、来年度予算には計上してございません。
  115. 臼井莊一

    ○臼井委員 もう一点お尋ねしますが、現在日本航空は大分赤字になつておりますが、新設の会社に合併するときは、やはりその赤字もそのままで現在の状態で合併する予定になつておるのですか、その点をひとつ。
  116. 荒木茂久二

    荒木政府委員 その問題につきましては、いわゆるその営業を幾らに評価するかということは、ここに書いてありますように評価委員の認定によるわけでございますが、初期の段階でございまして、のれん代というようなものもそう大してございませんでしようけれども、やはり今まで開拓した展も考慮しなければならぬ部分もあるでありましようし、またその後会社発足以来の資産の評価というようなもので、いろいろ勘案いたしましてきまることでございまして、おそらく一対一ということになるのではなかろうかと思いますが、そういう点は評価委員会で厳重に審査してきまる、こういう建前になつておるわけであります。
  117. 臼井莊一

    ○臼井委員 ありがとうございました。もうよろしゆうございます。     —————————————
  118. 逢澤寛

    逢澤委員長 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめまして、次に地方鉄道軌道整備法案議題とし、これより質疑に入ります。通告があります。熊本虎三君。
  119. 熊本虎三

    ○熊本委員 この法案の大体の提案の総合的なお考え方を先に承りたいと存じますが、第一には前に地方鉄道補助法、北海道鉄道補助法等がございましたが、補助の方策と、今度出されておりまする法案の補助方法との上に、相当な開きがあるわけでございますが、この点について私どもからいいますと、こういうような複雑なことではなしに、補助育成の方法はできるだけ簡潔な方法で育成したい、かように考えますが、この点についてひとつ提案者のお考え方をお伺いいたしたい。
  120. 關谷勝利

    關谷委員 私たちも熊本委員のお考えと同じように、一つにまとめたいというようなことで、北海道拓殖鉄道に対しまする補助もその中へ含めまして、一本のものとして将来やつて行きたい。但し現在北海道拓殖鉄連が既得権として認められておりますものは、依然としてその既得権を失わないというふうにしておるのでありまして、大体はお説の通り一つのものによつて全部のものを簡潔にまとめ上げたのがこの法案ということになつております。
  121. 熊本虎三

    ○熊本委員 その次に伺いたいのは、この法案が通過いたしますれば、現在のところこの法案に適応して補助育成をしなければならない。大体こういうような路線で何十線くらいのものが現在考慮の中に入れられているか、こういうことをお伺いいたしてみたいと思います。
  122. 關谷勝利

    關谷委員 大体二十八年度の予算で認められておりまするのが、北海道の地方鉄道軌道に対する補助の予算額が一千八十九万四千円、こういうことになつておるのでありまするが、なおこの草軽鉄道のように、すでに廃止の申請が出ましても、三年間も運輸省で押えてあるというふうなものは特に助成する必要がある、こういうふうに考えてあります。なお必要最少限度にとどめましても、現在考えられておりまするのは、六線で約六千六百万円程度で、これの内訳を申し上げますと、寿都鉄道が二百七十七万、十勝鉄道が二千四百四十九万、士別軌道が百十三万、岩手開発鉄道が千百三十七万、羽後鉄道が千百七十六万、草軽鉄道が千四百九十九万、この程度が現在の地方鉄道の状況から見まして補助したいと考えられる線であります。
  123. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいま御指摘がありました六線というようなものが、さしあたり北海道鉄道の現在補助されている以外にお見込みのようですが、少し早かつたので、内容がわかりませんから、書いたものをあとで御提示願いたいと存じます。  なおこの機会に運輸省の方へお伺いをいたしますが、この前説明を承つたところ、地方鉄道で経営困難となつて廃止というか、休止したものが二十数線あるということを承つております。ただいま提案者からは、さしあたりは六線ということでございましたが、そのほかにも相当この法案に該当するものがあるのではないかという感じがいたしますし、休止線の二十二線につきましても、休止のままで再運転する必要がないということで、これについてはさしあたり該当しないというお見込みであるかどうかを御説明願つておきたいと思います。
  124. 植田純一

    ○植田政府委員 ただいま御指摘の二十二線のお話でございますが、これは自動車の発達その他の関係で営業の継続が困難になりまして、営業廃止の申請をする会社が漸次増加して参つている傾向でございます。それで実は鉄道を廃止いたしまして、たとえば自動車に置きかえるとかいうことで、円満にとは申しかねるが、この廃止もやむを得ない、また一応廃止いたしましても、特に大きな支障もないということで、廃止をしました線が先ほどの二十二件ございます。これは全線廃止が六件、一部区間の廃止十六件、合計二十二件あるだけでございます。ただこの二十二件につきましても、いろいろと地方的に問題もあつたのでありますが、中には廃止することによりまして地方の民生上大きな影響を与える、たとえばそれが唯一の交通機関であつて、この鉄道がないと地方の交通が杜絶するというような鉄道等もございまして、そういうような鉄道は廃止の希望がございましても、運輸省といたしましては、ただちにこの廃止を許可するというわけには参らないのであります。そういう鉄道も各地に出ておりまして、そういうような鉄道につきましては何とか維持をはかるということがどうしても必要ではないか。かような趣旨から考えまして、何とかしなければならぬというふうに考えられますのが、先ほど關谷委員からお話のありましたような最も典型的なものが六線くらい考えられるというわけでございます。もちろんそのほかに全然そういうものがないわけではございませんが、いろいろの段階がございまして、このほかにもいろいろと廃止についての問題の線もございまするが、最も典型的に何とかして維持をはかる必要があるという線が、ただいまの六線というふうに考えておる次第であります。
  125. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいまの御説明によりますと、六線の名称がよくわかりませんので、この二十二線の全線廃止並びに一部廃止の線等も復活というようなことが、この議案提案の中に含まれておるかどうかはわかりませんが、そうしてただいま局長からお話のように、運輸省で現在お考えになつておりますものは廃止もやむを得ない。それ以上の必要性を認めないというようなお考えのようでございますが、一たびこういう法律ができまするならば、これが条文にありますような必要性に該当する条件というものの判定は、しかく簡単ではないかと存じます。こういうような法案が成立いたしますれば、やはり二十二線等の関係者及びこれに関する地方の要求、さらに現在六線の勘案中のもの以外からも、やはり相当数申請をして来るのではないか、こういうふうに考えられますが、局長はその点はさしあたり心配はないというお考えかどうか。それらの目安をちよつと脈知らせ願いたいと思います。
  126. 植田純一

    ○植田政府委員 ただいまの二十二綿につきましては、廃止の許可をいたしたわけでございまして、従つてこの線の復活という問題はさしあたり起らないのじやないか。この線は廃止してしまつたのでありまして、権利がなくたつてしまつたわけでございますので、この線の復活ということは考えておりません。たださしあたり最も典型的と考えます六線以外に問題の線が、この法律ができると出て来るのではない希という御説でございますが、なるほど必ずしも六線に限定して問題は終らないと思います。このほかにも問題の線があることも事実でございますし、また助成の対象としてそういう点が問題となつて来るということは当然考えられるのでございまするが、それはこの法律によりますところの精神と申しまするか、この法律の趣旨、この会社の実情と、さらにまた予算関係等を勘案いたしまして、この助成の対象といたしまするかどうかということにつきまして、慎重に考慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  127. 熊本虎三

    ○熊本委員 それでは条文に入つてお尋ねをいたしますが、第三条の助成の対象となるべきものの決定は、次の各号に基いて運輸大臣の認定したもの、こういう文章に相なつておるのでございますが、運輸大臣がこれに該当する、しないという認定は、単に運輸省内の議によつてこれを認定するものであるか、あるいは他にこれに対しまする意見を聞くべき機関を設けられる意思があるかどうか、この点について御説明を願つておきたいと思います。
  128. 植田純一

    ○植田政府委員 運輸大臣の認定いたします場合におきましては、ただいまも申しましたように、当該鉄道の新線の重要性、あるいはまた既存鉄道の状態、あるいはそれの国民生活に与える障害の程度等につきまして、広く関係者の意見を聞きまして、慎重にきめるということに相なるのであります。その点につきましては、実際問題といたしましてかなり困難な問題も当然あるかと思いますが、さつき申しましたような見地を慎重に考慮いたしまして認定いたしたい、かように考えております。
  129. 熊本虎三

    ○熊本委員 こういう認定の機関というものは、単に運輸省の意思によつて広くその意見を聞くというような、臨時措置的な方法をもつてこれをきめるというようなことは、そこに非常な複雑性といいますか、あるいは社会的に問題をかもすのではないか、かように考えられるわけでありまして、先ほどから言いますように、次の一、二というふうに必要性の条文はありますが、これはおのおの判断の仕方、立場、見方によつてことごとくが違うのであります。従つてこういう補助育成の方法を講ずる場合において、特にその事業の広汎にわたるものであればあるだけに、もつと恒久的な、民主的な、何人にこれを批判させてもそこに疑いあるいは不安のなきような方法、処置を講ずべきものだというふうに考えておりますが、先ほど仰せになりましたように、重大であるから広汎なる意見を聞いて、しかして運輸省すなわち運輸大臣が独断できめる、こういう御意思でございましようか。もう一ぺんお伺いしたいと思います。
  130. 植田純一

    ○植田政府委員 この運輸大臣の認定いたします場合に、先ほど申しましたように広く関係者の意見を聞いて、運輸大臣が慎重に考慮しなければならぬということは申すまでもないことでございますが、この場合に、たとえば審議会というような、いわゆる固定した方式のものをつくつて、その機関の御意見を承つて、そうして認定するということも確かに一つの方法であろうかと存じます。しかしまた一面におきましては、その審議会といつた固定した方式のものでなしに、もつと融通性のある関係方面の関係者の意見を広く聞いた方がいいのではないかというふうな考え方もございまするが、この提案の御趣旨は、その審議会といつた特に固定した方式の機関を設けていない法案でございますので、広く関係者の意見を聞いて運輸大臣がきめる、もちろんこれは政府として関係の問題につきましては、あるいは閣議によつてきめるというようないろいろの方式もございましようが、いずれにしましても、この審議会といつたような固定した方式というものを予定していないという意味に解釈いたしておる次第でございます。
  131. 熊本虎三

    ○熊本委員 提案者の關谷さんにお尋ねいたしますが、これに関しまする提案者の御意思はどうでございますか。
  132. 關谷勝利

    關谷委員 大体認定手続と申しまするのは、この第三条の一、二を出ております産業の振興上著しく重要な新線であるとか、あるいはどうしても国民生活しなければならぬ、こういうふうなことになつておりますので、しかもそれで赤字が出たものということになりますし、会社の処理に関しましては、これが善良なる経営が行われておるということは事前に監査もするものでありまするし、なお予算に関しましては、国会審議も受けるのでありまするので、私はそういうふうな弊害はない、このように確信をいたしております。
  133. 熊本虎三

    ○熊本委員 私どもから考えますると、最近私鉄の経営状態も相当に復興しているようでありますから、あえてこういうような補助育成を求めなくてもいいというように、相当に経営内容がよくなつて来ておると存じます。しかしながらこういうような法案ができて参りますると、現在の経営の中からも、次の第四条にもありますように、運輸開始後十年未満のものもこれを新線同様にみなして、これに該当するというようなことに相なつているようでございますが、そういうことになつて参りますると、相当に要求申請が行われるものと存じます。さらに新線の新設等も、国鉄の新線開発が思うように進まないのでございますから、これらと並行して相当数あるものと考えなければならない。こういうような見地からいたしますると、抽象的には二項の基本的要件が備わつておりまするが、先ほど来言いまするように。その判断の仕方はあらゆる角度からおのおの見方があるはずであります。そこでこういうものにつきましては、やはり単にその都度都度行われるところの審議というものではなくて、日常から私鉄経営あるいは鉄道開発、こういうものの調査研究と相並行して、これらの育成のためになさるべきではないか。こういう観点に立ちまするならば、恒久的にそういう民主的な機関の設置というようなことを私どもは希望したいと考えておるわけでございまするが、重ねて御答弁を願いましても、見解の相違であればやむを得ませんが、何か御考慮の余地がありますかどうか、もう一ぺん伺つておきたいと思います。
  134. 關谷勝利

    關谷委員 大体現在道路運送法の改正あたりが叫ばれておりまするのも、民主的な機関であるという、あらなければならない、道路運送委員というものが、これが弊害になつておる、こういうふうなことも考えられており、なるべく事務の簡捷化をはからなければならない、こういうことになつておりまするので、よくその内容は調査をいたしまするし、なおまたこういう第三条にきめられたような条件を具備しなければならぬということにもなつておるのでありますし、よく監督をいたしまして、しかもその予算につきましては、国会の議決を経る、こういうふうなことになつておりますので、その弊害はないというふうに考えております。
  135. 熊本虎三

    ○熊本委員 それでは第七条に行つてお尋ねをいたしたいと存じますがこの第七条は、「毎年、予算範囲内で、当該認定鉄道の維持を助成するための補助金を交付することができる。」こうなつておりまするが、それはその都度の予算審議によつて範囲内はきまることとは存じますが、提案者といたしましては、大体この補助金の下付についての見込みは、どういう基礎によつて、どの程度のものの補助金を出そうとされるか、その御精神を承つておきたいと存じます。
  136. 關谷勝利

    關谷委員 これは認定鉄道の中でありましても、しかも経営困難でありまするので、赤字の範囲内において補助をいたしたいこのような考えを持つでおります。
  137. 熊本虎三

    ○熊本委員 お尋ねいたしますが、この前の北海道鉄道の補助法を見ますると、たとえば経営困難にしてこの条件を具備するものであれば、利益が五%に達せざる場合においてその差額分、それから全然赤字の場合は、総資本に対する六%どいうふうか一つ範囲がきめられておるようでございますが、ただいまの御説明では赤字の範囲と、こう言われますが、赤字が出ればそれだけことごとく補助をされるというのかどうか、これらの点について御説明を願つておきたいと存じます。
  138. 關谷勝利

    關谷委員 大体この経営が維持できまするように、予算が許しまするならば、この赤字の範囲内においてこれを補助いたしたい、このように考えております。
  139. 熊本虎三

    ○熊本委員 そうしますと、とにかく条件が具備すれば、毎年の経理についてその不足分、こういうことに解釈してよろしゆございますか。
  140. 關谷勝利

    關谷委員 そのように考えております。
  141. 熊本虎三

    ○熊本委員 それでは次に移ります。十二条でございますが、十二条の末尾に、「又は交付した補助金の全部若しくは一部に運輸省令で定める利息を附して返還を命ずることができる。」と書いてあります。なるほど条文としてはいいのでありますが、こういうような補助育成をしつつある企業において、そしてそれがその条項に適せない、言いかえれば不正の事実があつたというような場合において、こういう条文が生かしてそのまま運用できるかどうかということについては、相当の疑義を持たなければならない。従つてこれについては何か政府としては担保物件というような何かの確証をもつてこれに渡す。そうして必要があれば返還を命じてこれをとりもどす、こういうようなことでいいという提案者の御意思であるかどうかを伺つておき、たいと存じます。
  142. 關谷勝利

    關谷委員 大体これは前の認定鉄道法にもこの条文があるのでありまして、通例の場合、このような規定になつておるのであります。なおまたいろいろ三項目ほど並べられておりますが、これに違反しました際には返還命令を出さしめる、あるいはもしこれがただちに現金化できないという場合におきましては、担保物件をとるということは、これは事務的なことになると思うのでありますが、もしそのような際には、そのときに便宜な方法は講じ得るように考えております。
  143. 熊本虎三

    ○熊本委員 それでは次に第十三条でございますが、これによりますと、税制面においてもこれを援助しようとすることに相なつておるわけでございますが、問題は最近の地方自治体は、財政の困難の折から、皆様方にもさような陳情書が参つておると思うのでありますが、国鉄にすら地方税がかけられるような措置をとつてもらいたいというような意見すら出ておるのであります。従つてこういう必要なる私鉄に対しての補助育成は、私どもも基本的に反対ではないのでありますけれども、その補助育成の方法に税制措置をも加味するということはあえてとるべきではない。もし必要であれば、先ほどお話にもありましたように、政府の当然補助すべき正当なるルートによつて与えられるようにして行くべきではないか、それを税制面にまで口を入れるということになりますと、謹ますく複雑になつて来ると思います。この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  144. 關谷勝利

    關谷委員 大体国が認定鉄道に補助いたしまするほど必要なるものでありますならば、その地方もこれに援助すべきであります。恩恵を受けますのはその地方でありますので、当然その地方も税法の措置によつてある程度援助はすべきであると思います。なおそれをいたしますために、地方財政がきゆうくつになつたというようなことになりました場合には、これは平衡交付金というようなことによつてまかなうのが至当であると考えております。
  145. 熊本虎三

    ○熊本委員 一応もつともでございますが、問題は補助育成指導という問題が重大でございます。従つて税制面にかかわる措置というものは、あまり複雑化して妥当ではない。たとえば固定資産税、事業税というようなものについては、後にはおそらく多くの関係事業に類似のものが出て来ると思うのでございまして、わざわざこの法律の中に条文をあげるということでなしに、別の税法に基きます措置ができ得るならば、税法に基いてその地方の処置、あるいは経営者の事情に基く申請というふうなことで、別個にしたらどうかと考えるのでありますが、重ねてお考えを承つておきたいと存じます。
  146. 關谷勝利

    關谷委員 大体私たちの考えておりますのは、恩恵を受ける地方において当然負担すべきものであると考えておるのでありまして、これは観光ホテル整備法にいたしましても、地方税の減免ができることになつておりますし、なおまた企業合理化促進法なども適用され得るのでありまして、地方税におきますところの負担を地方自治体でなすべきが適当ではなかろうかと考えております。
  147. 熊本虎三

    ○熊本委員 次に第十四条でございますが、これは利子補給に関する条文と相なつているわけでございまして、この条件に伴う改良等に必要な融資に対する利子補給の差額のようでございまして、次の十七条と相関連して問題は年利七分五厘以上の利子についての補給のようであります。そこで問題は融資をしてくれる相手の機関であります。この機関につきまして運輸省令で定める範囲の金融機関だというふうに書いてございますが、もしも指定する金融機関以外から融資を受けた場合においては、これはどういうことに相なるかということをお尋ねいたしたい。
  148. 關谷勝利

    關谷委員 運輸省は決して金融機関を省令で定めているのではないのでありまして、この利子補給の額が運輸省令で定めるところによつてその会社が借入れをいたしました金融機関、どこでもけつこうなのであります。その間と契約できるということなのであります。
  149. 熊本虎三

    ○熊本委員 それは私の読み違いでございまして、それでは十五条は移ります。これは利子補給を八年内ということにしてございますが、もし八箇年たちましても、なおその会社の経営が楽でない、そうして融資の返済もできない、こういうような場合があつたと仮定いたしましたときに、それでも八箇年以上はこの補給を打切る、こういうことでいいかどうかを、念の為お伺いいたしておきたいと存じます。
  150. 關谷勝利

    關谷委員 この利子補給の年限は、設備資金の償却が大体工事進行五箇年程度というのが通例になつておりますので、このようなことを定めたのでありますが、八箇年以上たちまして後に、なおこれが認定鉄道といたしまして、地方の公共の福祉にどうしてもなければならぬということになりますと、それが赤字の出て参ります場合には、補助金によつてこれをまかなう、こういうことになると思います。
  151. 熊本虎三

    ○熊本委員 次に第二十一条に移ります。これは国有鉄道が地方鉄道に接近しまたは並行して鉄道路線を敷設して運輸を開始したために生ずるところの補償でございますが、これは運輸省がこの問題に関係いたしまして、収益を著しく減少する場合、あるいは廃止のやむなきに至つた場合における補償がうたつてあるわけでございます。この問題に関しまして、その査定、その決定等は、運輸省と国有鉄道とがどういう形において審議し、その査定、決定をするか、こういうことを伺つておきたいと存じます。
  152. 關谷勝利

    關谷委員 日本国有鉄道を敷設いたしましたために、これが収益を著しく減少し、あるいは廃止することになりますれば、それは補償自体は日本国有鉄道がなすべきものでありますが、その双方の当事者間では、そういうふうな金高の決定、査定というふうなことはなかなか困難になると思いますから、運輸省においてこれを決定する、こういうにいたしておるのであります。
  153. 熊本虎三

    ○熊本委員 もちろん当事者間ではなかなかできないであろうと考えますが、私のお尋ねいたしたいことは、少くとも国有鉄道である公社を運輸省との間において協議をするというような形において、その査定ができ得べきではないか。それを運輸省が査定をして、国有鉄道に支払わしめるという形は、いささか片手落ちではないかという感じがいたしますので、この点をお伺いしようと思つたわけです。その点についての何か御意見がございますれば、承りたいと存じます。
  154. 關谷勝利

    關谷委員 運輸省と国鉄とが協議をいたしまして、これを決定するということになつて参りますると、片手落ちはむしろ私鉄の方が片手落ちになるのでありまして、これは国鉄、私鉄双方が協議をいたしまして、双方でまとまればけつこうでありますし、まとまらない場合におきましては、運輸省がその間に介在をいたしまして、これを決定することが至当であると思うのであります。
  155. 熊本虎三

    ○熊本委員 私はこれは先ほどの資格決定に対しての意見と同じように、やはりこういうような問題には相当権威ある機関が必要ではないかと思う。たとえば国有鉄道の払下げ問題等が出て参りますと、ただちにそれが何か政治性があるかのごとくに喧伝されて、そ場してさにあらざるものまでもおおむね猜疑心を持つて見ると同じように、たとえば国有鉄道が必要があつて並行線を敷設するというような場合になつて参りますと、ただちにこの条文がかかつて来るわけでございまして、そういう並行線に同有鉄道がどうしても敷設しなければならないかどうか。そして国有鉄道が並行線を敷いて、一方にはこの条文によつて補償をする、そしてこれを賠償するという形等が行われるような場合には、見方によりましては、ますます複雑になつて、参るのでございます。従つてこういうのは、単に運輸省ばかりでなく、こういう面にこそ一つの恒久機関があつて、重要なる審議の結果、そういう複雑な社会的つ疑心暗鬼の中にものが行われざるような注意が必要であろう、かように私は考えて、こういうものについては何か特別調査審議の機関が必要ではないか、こう考えているわけでございまして、でき得れば提案者といたしましても、このような点についてもう一応お考えおきを願つたらいかがかと存じます。あらためてもう一応の御答答弁を願つておきたいとじます。
  156. 關谷勝利

    關谷委員 第一の並行線を敷かなければならぬというふうなお話もありましたが、これは国鉄が幹線として敷きます場合に、一部地方鉄道と並行するというようなことは、将来の新線建設上やむを得ないことがあるのではないかと思われます。  なお特別の調査機関をつくつてこれにかけてはというふうなお話がありますが、互いに双方が協議をいたしまして、妥協しない場合には、やはり運輸当局におきましてこれが綿密な調査を行います。なおまた将来こういうふうな問題が起きて来ると思われるものに対しましては、収支等について事前の監査等も行います。ことにまた支出いたします金高は、国会の議決を経るということになつておりますので、疑念を招くようなことはおそらくないであろうと私は考えております。
  157. 熊本虎三

    ○熊本委員 それから先は意見の相違だと思いますから、私は以上できようは質問を終りたいと存じます。
  158. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に正木清君。
  159. 正木清

    ○正木委員 提案者にお尋ねいたしますが、この法の全体を見ました場合に、まず第一に補助と、それから利子の補給金と、補償の三項に大体要約されるわけですが、この法の内容を検討してみますと、補助金の使途について一定の条件が付されておりますが、ここで運輸省として、国としての監督の点について私いささか疑問があるので、その点お尋ねしたいと思うのですが、一定の規格に基いた書類で申請をして補助金をいただく。従つて補助金をいただく場合には、当然政府はその補助金の使途に対して指示をすることができる。但しそれに違約した場合には、補助金も取上げるし、従つて利子もとる。ところが第十条に「第八条の規定により補助金の交付申請書を提出した認定鉄道の地方鉄道業者は、当該認定鉄道に関する損益計算の根拠が明らかであるように関係帳簿及び書類の整理をしなければならない。」こういう一項があるわけですが、こういうことは一体法律の条文として必要なのか必要でないのか、こういうことまでも法律の中へ入れる必要があるのかないのか。こういう補助に関する法律は相当出ておるのですが、ほかの法律にも第十条のような規定が一体あるのかないのか。この点をお伺いしたいのです。  それからもう一つ伺いますが、全体を通じて見て、補助もする、利子の補給もするということになれば、第十条のようなこういう規定をするよりか、むしろもう一歩前進して、少くともこういうものに対しては政府監督権従つて政府の職員がいつでも帳簿を閲覧することができる、またそういう帳簿を提出せしめることができるような規定をさえ明らかにしておけば、こういう第十条のような規定は必要ないのではないか、こういう規定が一体他の法律の中に出ておるか、同じ運輸省から出ておる法律にそういう規定があるのかないのか、こういう点をまずお伺いしておきます。  それからもう一点伺いますが、提案理由の説明によりますと、「今地方鉄道、軌道を具体的に検討しますと、経営が困難なため営業廃止の寸前にあるものの中には、たとえば、」云々ということがあるわけです。これは先ほどの熊本委員の質問でほぼわかつたのでありますが、地方鉄道補助法による補助が昭和二十二年で停止になつた。そうしますと、これは運輸当局にお尋ねするのですが、二十二年から今年度まで、なぜ一体こういう処置が講ぜられなかつたのか。もちろん北海道に関する限りは別途の法律がございまするから、それによつて助成の道が講ぜられて、二十八年度でも約一千万円を出る金額が1多寡は別として、助成せられておるけれども、一体二十二年から今年度までなぜ放棄されておつたのか、そうして二十八年度に至つてなぜこの法律が出なければならなかつたのか、その間の理由を御答弁願います。
  160. 關谷勝利

    關谷委員 この第十条と同じような条文が、運輸省関係の他の法律にあるかというお尋ねでありますが、これは離島航路整備法の中にこれと同じ条項がうたつてあるのであります。なお帳簿の閲覧とかいろいろなことができるようになぜしないかというお話でありますが、これは第五条、第六条においてそれがなし得る、こういうふうに解釈をいたしておるのであります。
  161. 正木清

    ○正木委員 提案者にお伺いしますが、たとえば帳簿の閲覧とか帳簿の提出については、第五条と第何条にございますか。
  162. 關谷勝利

    關谷委員 私条文をはつきり覚えておりませんが、地方鉄道法において帳簿を閲覧することができることになつております。
  163. 正木清

    ○正木委員 これは運輸省関係にお尋ねしますが、地方鉄道法の何条にそういう規定があるか、それから地方鉄道法とこの法の関係はどうか、それをお伺いいたします。
  164. 植田純一

    ○植田政府委員 地方鉄道法の第二十三条に、「監督官庁ハ監査員ヲ派遣シテ鉄道ノ工事、運輸保線ノ状態、会計及財産ノ実況ヲ監査セシムルコトヲ得」という規定がございます。そうしてさらにこの法案の五条、六条という特別の監督規定があるわけでございます。それから先ほどの御質問は、地方鉄道補助法による補助が二十二年に停止になつて以後、今日までどういう状態になつておつたか、こういうお尋ねでございますが、終戦後の状態におきまして、総司令部の方の指令によりまして、法人に対する政府の財政援助制限に関する法律というものができまして、法人に対しての補助金というものが一応厳格なものになつた。そういうような状況下におきまして、一般的な補助につきましては、非常な制約を受けたわけでございます。御承知通り地方鉄道補助法は全国の地方鉄道に対しまして、それが経済困難であるならば、どの地区の鉄道またはどういう種類の鉄道であるとを問わず、補助の対象になる、こういうのですが、補助はやるべきでないというような空気が終戦後の総司令部の方にございまして、それが支配的であつたために、そのままになつておつたのであります。しかしながら先ほど来お話が出ておつたように、特に維持をはからなければならぬという特別の鉄道につきましては、特別の灘由に基きまして、どうしてもこの維持をはかるための補助が必要である。またそういう必要に基きまして、運輸省といたしましても相当以前からこの補助助成という点につきまして、政府部内で折衝をしておりました。また地方におきましても、特別の維持をはからなければならぬ鉄道につきまして、そういう要望が年を追うてますます熾烈になつて参つた、かような状況でございます。それが実は来年度の予算要求の場合におきましても、運輸省といたしましてはその問題を取上げまして、極力これの法制化、予算化に努力したわけでございますが、それが政府部内におきまして結論を得ないままに今日になつておる、かような状況になつております。
  165. 正木清

    ○正木委員 最後に一点だけお尋ねいたしますが、法律に基いて北海道の拓殖軌道等に対する補助金が一千万円ほど載つておるわけですが、一体北海道の各会社から、二十八年度における補助申請額はどれくらいであつて、その一千万円との開きはどんなふうであるかということ、これは運輸当局にお伺いいたします。  なお提出者にお伺いしたいのですが、提出者としては、補助を与えなければならないであろう全国の路線は、大体おわかりになつておると思うのです。従つてその金額等も大体おわかりになつておると思うのですが、先ほどの熊本君に対する答弁を聞きのがしてしまつたわけです。  私もう一点当局にお尋ねしたいことは、この法律によつていろいろの厳重な監督をされておるわけですが、それが地方住民の福利増進のために絶対不可欠な軌道であつたとしても、これは私の会社事業をやつておる限りにおいては、事業そのもののある一定の利潤保障というものが原則なわけです。そういう場合に、今の運輸当局の大蔵省に対する予算折衝というものについては、なかなか困難な事態が出て来はせぬか、そういう場合の最後的処置は一体どういうようにこの法律のわくの中でお取扱いになるのか、この点をお尋ねしておきます。
  166. 植田純一

    ○植田政府委員 さきにお尋ねになりました北海道の拓殖鉄道補助法に基きまして、二十八年度どのくらいの補助申請があるか、こういうお話でございますが、実は二十八年度の要求といたしましてはまだ出ておりません。二十七年の決算でなければわかりませんが、大体二十七年度の実績等から見まして、約二千五百万円くらいではないか、かように考えております。  次にこの法律予算化でございますが、なるほど御指摘通り、この予算化につきましてはなかなか困難が伴うと思いますし、十分な予算化ということも非常に困難ではないかと考えておりますが、私どもといたしましては、この法律が施行になりますれば、極力この趣旨に沿いまして予算獲得には努力いたすつもりでございますが、さらにもう一つの見のがすことのできないことは、そういうような鉄道が平素銀行からの融資その他におきましては、業績がかような状態でありますから、必要な融資にもなかなか困難があるというのが事実でございますが、この法律の施行によりまして、あるいは認定鉄道に認定せられるということによりまして、そういう面におきましてある程度の便宜ということも期待できるのではないか、かような方法も確かにございます。そういう点の融資のあつせんということについても努力がしやすくなる、かようないろいろの点から考えまして、もちろん大いに努力を必要といたす点が多いのでありますが、いろいろな面において便宜が供与をせられる、かように考えております。
  167. 正木清

    ○正木委員 提出者の關谷さんに今質問しますから、先ほどのとあわせてお答え願いたいと思います。この法律の中でやはり問題になるのは、ただいま答弁になつた点だろうと思うのです。ほんとうにこの廃止になつた二十二線というものは、地方住民の要望がどのように強くても、自動車事業というものの発達もあつてとうていやつて行けない。むしろ廃止してその路線を利用して自動車事業をその会社がやつた方が、健全企業体としての経営が成り立つのではないかというようないろいろな理由があるのであろうと思う。従つて実際営業を廃止するものが続出して来る状態にあるという軌道—私よく事情はわかりませんが、長野県と群馬県ですか、革軽という鉄道があるということを聞いておりますが、実際そういう鉄道などは、私帳簿を通じて見ておりませんから、実際の経営内容はわかりませんが、どうにももう動きのつかなくなつてしまつておる鉄道ではないかと想像されるのです。その場合に経営保全に関する指示事項を第五条で明確にうたつております。もちろん人の生命と財産を預かる鉄道ですから、当然監督権が厳重でなければならないが、その半面常に予算範囲内というわくの中で、この補助政策というものは縛られてしまう。もちろん事務当局としては、予算獲得のためには非常に努力するでありましよう。努力してみたところで、当委員会の二十八年度の各般の事業計画と予算面とを比較してみても、大体三分の一程度予算が確保されれば、まず成績のいい方ということになるわけです。従つてそういう軌道でございますから、金融機関がある一定のわくでもつて、非常に厳格な規定の中で、かりに金融の道を講ずるとしても、補助額というものが常に敏感に金融機関に響いて行くのではないかと私は思う。従つてこの法律ができても、常に当該大臣の、一口にいう政治力と申しましようか、この力が一にあずかつて地方軌道の育成及び助成ということに大きな影響を与える。これだけのりつぱな法律をつくる限りにおいては、もう一段とつつ込んで何らかの具体的な処置のとれるような方法がなかつたかどうか、この点提案者からお伺いしておきたいと思います。
  168. 關谷勝利

    關谷委員 まず最初にお答えいたしますのは、全国でどのくらいかというふうなお話ですが、先ほど申し上げましたのが六線で大体六千六百万、内訳は寿都鉄道が二百七十七万、十勝鉄道が二千四百四十九万、士別軌道が百十三万、岩手開発が千百三十七万、羽後鉄道が千百七十六万、草軽電気鉄道が千四百九十九万、こういうことを申し上げたのであります。ほかにもいろいろ現在赤字が出ておりますのが、全国で十七社、配当のできないものが四十六社というふうなことになつておるそうでありますので、その中でも特に重要なものがありますならば、それも一部出て来るのではないか、このように考えておりますが、それにいたしましても、せいぜい一億以内というようなことでこれがまかない得るのではないかと思います。  なお大蔵省あたりに対してもう少し打つ手はなかつたのか、こういうふうなお話でありまするが、これは私たちといたしましては、本年度の予算に対しまして側面的に援助をいたしまして、努力いたして参つたのでありまするが、大蔵省といたしましてもこの補助に対しましては反対であります。しかしながら現在運輸省といたしまして非常に困つておる。私在職当時から陳情を受けまして、事実私たちが調査をいたしまして、なるほどとうなづかれますのが、先ほどお話のありました草軽鉄道であります。ほとんど二日に一回の割合で脱線がある、こういうふうなことを聞いております。しかしながらこれは金融機関から金を借り入れようといたしましても、赤字が出ておりまする会社に対しては金を貸さない、こういうふうなことで施設の改善、安全な経営ということができないようになつておりますので、どういたしましても本年度の補正予算等におきまして、この草軽鉄道だけは本年度において実現をさせたい、そのためにはこの法案をどうしても通さなければならぬというようなことで、皆さん方の御支援を得て提出をいたしたような次第でありまするが、この法律ができ上りますと、大蔵省といたしましては自然に出さなければならないように、またわれわれが交渉をすることができる、こういうふうに考えておるのでありまして、そういうふうなまことに不安定な、危険な、しかも冬季間はそれ以外にたよる交通機関がないというものに対しましては、重点的に万全の措置を講じたい。現在運輸省あたりにおきましては、いろいろ節約のできる中からそれに対しまして安全な運転のできるように、金融機関が融資のできる程度の補助をする、大体こういうふうな法律ができてするということ自体で、すでに金融機関あたりは融資に対しましては非常に考え方がかわつて来るというふうに称せられているのでありますから、補正予算並びに来年度におきましては、どういたしましても一億程度の金額を要求いたしまして、万全を期したい、このように考えております。
  169. 熊本虎三

    ○熊本委員 ちよつと関連して……。先ほど正木君から補助育成した事業に対して管理、監督、督励といいますか、そういう意味においてもう少し目体的な条文を入れたらどうか、こういうお話がございましたのに対しました、地方鉄道法の中に二十二条ですか、そういうものがあつて、書類の提出その他監査の必要があるからという御説明でございました。地方鉄道法にもあるいはあるかもしれませんが、同じような条文にいたしましても特にここに特別の法律ができました限りにおいては、どの条文かの中にこれを指示しておく必要がある、かように私は考えます。要するに先ほど私が申し上げました十三条の免税措置等の問題でありますが、これとても当然地方税法第六条にその規定があるにもかかわらず、特にこの法律案に掲げぬでもいいではないかというのに、やはりその必要があるということで掲げられているのでありますから、従つて補助育成のされるこれらの経営体の指導、あるいはある意味の監督、協力という立場において、書類の提出あるいは監査、調査等の条文を設けておきたいという感じが私はいたしますが、その点お答えを願いたいと存じます。
  170. 關谷勝利

    關谷委員 監督規定をこれに入れてはどうか、こういうふうなお話でありまするが、これは地方鉄道法の第二十三条によりまして、これは帳簿の閲覧その他の検査をすることができることに規定がなつておりますので、それでこの条文に書く必要はないのでありまして、それで規定することができないそれ以外のものを、本法の第五条、第六条で規定をいたしておるので、それに対しても監督することができる、こういうことになつておるのであります。なお第十三条はいらぬじやないか、こういうお話でありますが、これは公益上必要あるときにはこれは減免することができる、こういうふうなことになつておりますので、ここでその条項の適用があるものとするというようなことを明確にするために、この一項を加えておるのであります。
  171. 熊本虎三

    ○熊本委員 議論になつては相済みませんが、やはり地方税法によつて、公益性のあるものでそういう該当するものは免除することができるという法律がある。しかしながらこの整備法なるものができて、そこにいわば再録の形に相なつておるわけです。従つて鉄道法にいたしましても、こういう法律がありますならば、この法律によつてもできるがごとき処置をさるべきではないか。私は法律家でございませんから技術上の問題はわかりませんけれども、私はそういう考え方で遜るわけでありまして、これから先は議論になりますれば、遠慮いたしたいと思います。けれども、特に何か御考慮がありましたらお答え願つておきたいと思います。
  172. 關谷勝利

    關谷委員 前に申し上げました通りであります。
  173. 逢澤寛

    逢澤委員長 楯兼次郎君。
  174. 楯兼次郎

    ○楯委員 この法律が成立をした場合に、私たちが考えますと、地方税の問題、固定資産税の問題、それから利子の一部補給についてはあるいは可能性があると考えるのでありますが、国庫補助の問題については少し困難ではないかと考えます。もしできるとしたならば、その予算提出の方法をもう一回御答弁願いたいと思います。
  175. 關谷勝利

    關谷委員 これに対しましては別にどの財源でなければならぬという限定せられておる特別の財源ではないのでありまして、一般会計の歳入財源から許す範囲内において出してもらう、こういうふうに考えるほかはないのであります。本年度もこれは非常に問題になつたのでありまするが、この法律が通過をいたしておりませんために、法律が通過をした場合にはまた何とか協議をしよう、こういうことになつておりますので、私たちは多くの期待をかけてこの法案を提案いたしておる次第であります。
  176. 楯兼次郎

    ○楯委員 そうすると幾分望みがある、こういうことだと解釈をいたします。あとで一緒に御答弁願いたいと思いますが、どのくらいの見込みがあるか。それから、ずつと条文を読んでみますると、助成処置のわけ方でありますが、なるほど補助あるいは地方税の減免、利子の一部補給というふうに、三通りに載つておるわけであります。経営という面から見ますると、施設の改良というようなことが利子の補給については載つておりますけれども、実際問題としては私はこの三つの方法に、具体的にわけるということが困難ではないかというような気がするわけであります。従つてこの三通りありまする補助育成の方法について、それぞれ具体的に区別をして補助育成して行くのか。例をあげて言いますると、一つの鉄道でこの三つの方法が併用をして補助をされる場合があり得るか、そういう点をひとつお答え願いたいと思います。
  177. 關谷勝利

    關谷委員 これは相関連しておりますので、並用してあると私はこういうふうな考えをいたしております。現在の私鉄あたりは金融難でありまするために、改善もできない、安全運転もできないというようなことになつておるようでありますが、赤字を補填するということになつて参りますと、自然金融もできて来る、従つて施設の改善等につきましても、安全な経営ができるということにつきまして、借入金の融資を受けたものに対して利子の補給をする。但し地方においても恩恵を受けるのだから、固定資産税とか事業税とかいうものは、これは減免してもらう。こういうふうな三の線を並行して行われる場合が多い、こういうふうに私は考えております。
  178. 楯兼次郎

    ○楯委員 次に融資金の流用禁止の条文でありますが、これも先ほど補償金をやる鉄道を認定をする機関がないということで、熊本委員の方からいろいろ言われたわけでございまするが、この融資金の流用禁止の監視方法という点についても、同じようなことが当てはまるのではないかと思いますし、またこの点については、実施をして参りますると、相当弊害が出て来るのではないかというふうに考えますが、どういうような具体的な方法によつて、この融資金の流用禁止の監視を行つて行こうとされるのであるか、ひとつ御提示を願いたいと思います。
  179. 關谷勝利

    關谷委員 これは私はさほどむずかしいことではないと思います。かりに車両の取替ということに対してこの融資がなされた場合に、車両がとりかえられるかどうかというようなことは、簡単に監視ができる。このように具体的問題といたしましては、さほどむずかしいことには考えておりません。
  180. 楯兼次郎

    ○楯委員 次に国有鉄道の問題でありますが、この二十一条にいわれておりまする内容は、過去、現在、未来についてうたつてあるのかどうかということを、まず第一に伺う次第であります。過去のものをこの中に入るのか、将来の新線建設という面も入つて来るのか、一緒になつているのかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  181. 關谷勝利

    關谷委員 これは本法が制定せられて将来の問題であります。
  182. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういたしますと、この第三項でありますが、おそらく国有鉄道としては新線建設ということは、独算制の建前上、昨年の暮れからいろいろ論議をされて来たのでありますが、ほんとうの腹を言いますと、反対であろうと思います。新線建設をした、赤字ばかり出るというようなことでは反対であろうと思いますので、そういうような考え方に立ちますると、国有鉄道自体としては、こういう場合はあり得かいというふうに考えられるわけです。それでここの第三項に「政府の命令に基くときは、政府は、」云々、こういうことがいわれておりまするが、この関連性でありますが、新線建設とは全部「政府の命令に基く」という項目に入るのかどうかという点を、ひとつお答え願いたいと思います。
  183. 關谷勝利

    關谷委員 大体新線建設をいたしますのは、運輸大臣がこれを鉄道建設審議会に諮問をいたしまして、その答申を求めて、そうしてこれをやれというふうなことになつて、その示された線について、国鉄が手続上は認可申請を出すことになつておりまするけれども、現在やつておりますような行き方は、私はこの提案者といたしましては、これは命令によるものと解釈してさしつかえないと思うのであります。なお国鉄が、この線ならばもうかる、こういうふうなことで、その新線を建設いたしたいということで、国鉄が自発的にこれを運輸大臣の方へ認可申請を出し、これを運輸大臣が鉄道建設審議会にかけた、こういうふうな場合におきましては、これは政府の命令によらざるもの、このような解釈をしたいと思つております。
  184. 楯兼次郎

    ○楯委員 国鉄がもうかる、これをやりたいというような点は、これはだれしもわかると思いますが、現在われわれが常識として考えまして、鉄道建設審議会の答申に基いて敷設しておる新線は、これはもうからないから命令によつてつておるということにわれわれ考えておるわけです。今關谷委員が言われてましたような考え方で、そういうふうに解釈をしておいてさしつかえないか、ひとつ監督局長の方から御答弁願いたい。
  185. 植田純一

    ○植田政府委員 実はただいまの御質問でございますが、形式的に申しまして、政府の命令と言い得ないのではないか、かように考えられます。実質的にはいろいろと事情もございまするが、この法律の解釈といたしましては、政府の命令による建設という範疇には属しないものと考えられます。
  186. 楯兼次郎

    ○楯委員 そうすると、これはどうも質問の時間に討論になりますが、私は赤字経営の日本国有鉄道のために、この三項は賛成ができないと思いますし、また提案者の方の先ほどの答弁と監督局長の答弁とは、大分違つておりますので、ひとつ御一考を煩わしたいと念願する次第であります。  それから最後に先ほど正木委員並びに熊本委員から言われました認定の方法でありますが、これはやはり何らかの、この法律であればもちろんけつこうでありまするが、何らかの規約において、この認定の機関を私は縛つておく必要があると思います。いろいろなむずかしい機関をでかしましても、だんだんと年数がたちますと、いろいろな弊害が生じて来るわけでございますが、それでも最も合理的な方法によつて、責任を持つてこれを決定する機関をつくる必要があるというふうに私も考えますので希望を申し上げておきたいと思います。
  187. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に臼井莊一君。
  188. 臼井莊一

    ○臼井委員 監督局長にちよつと二点ばかりお尋ねしたいのですが、二十二年に廃止になつ法律と、今度できました案と、特に何か異なつて追加されたような点はございませんですか。
  189. 植田純一

    ○植田政府委員 従来ございました地方鉄道補助法と今回のものと、根本的に違います点は、先ほどどちよつと申し上げましたが、従来の補助法は地域を問わず、また鉄道の種類を問わず、地方鉄道で営業の困難なものについては補助の対象になる。今回は御承知通り、特に認定された鉄道だけが対象になるいうふうに、対象が非常に狭められておるということが根本的な違いだと思います。
  190. 臼井莊一

    ○臼井委員 もう一つ、二十一条の並行線の場合でございますが、これは並行路線ができて損失補償をする、こういう場合に、その他の原因で、バスができたとか、そういうための損失については、これは当然賠償するときにそういう点も考慮するだろうと思いますが、その点どうなつておりましようか。
  191. 植田純一

    ○植田政府委員 バスが発達したために鉄道が成り立たなくなつた、それがために廃止しなければならなくなつたというような場合は、実際の場合として非常に多いのでござい荒すけれども、バスと鉄道というものは、違う種類の交通機関ができたために、一方の交通機関が立ち行かなくなつたというような場合には、法律規定としてそういう場合の補償を義務づけるということは考えておりません。考え方によりますれば、一般論を申しますと、たとえば人力車が自動車になり、あるいは将来自動車がうんと発達するというふうに、交通事情がかわつて参るということは、ある意味においては時代の趨勢、進展によるところというふうにも考えられますので、そういう異なつた種類の交通機関ができたために補償を義務づけるということは、いろいろ問題もございますので、それを法律で義務づけることは穏当ではないと考えます。ただ国鉄バスが動いたために民間バスが成り立たなくなつた、あるいはまた国鉄が通じたために民間鉄道が成り立たなくなつたというような場合に、補償するのが建前ではないか、かような意味におきましてこの規定ができておるわけであります。
  192. 臼井莊一

    ○臼井委員 ちよつと私の聞き方が不十分だつたかと思うのですが、私の伺いたいのは、並行線ができたと同時に、バスにもそういう区間ができたという場合を仮定したときに、当然今お話のようにバスに対しての分は、どこがやつたつて、種類が違うのですから、補償する必要はない。ただその補償をする場合に、特殊の場合かもしれませんが、鉄道で影響を受けたと思われる点だけを補償するように考慮するのだろうと思うのですが、そうなんでございますか。バスで影響を受けたというような面は除いてですね。
  193. 植田純一

    ○植田政府委員 お説の通り考えております。
  194. 臼井莊一

    ○臼井委員 そうすると私のお伺いしたいと思つた点が、今御答弁の中に入つておつたのですが、先般の委員会でも、大分国鉄のバスが出て来るというので議論がありましたが、並行路線においてはそういう問題が起ると思うのですけれども、今の御答弁だと、同種類のバスの場合には、やはり考慮するというように伺つたのですが、そうなんですか。
  195. 植田純一

    ○植田政府委員 国鉄バスが開通したために民間バスが立ち行かなくなつて廃止したとか、あるいはまた著しく影響を受けたというような場合には、一定の条件のもとにこれについて補償ができるという道が道路運送法に開けてございます。
  196. 逢澤寛

    逢澤委員長 本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  197. 逢澤寛

    逢澤委員長 速記を始めてください。  この際お諮りいたします。ただいま内閣委員会において審議中の恩給法の一部改正案に対しまして、海上保安庁関係の事項で修正を要するものがあると認められますので、内閣委員会修正意見を申し入れたいと存じますが、その案文については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議ないようですからさよう決します。  次会は明後七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十分散会