○永田(良)委員 ただいまの説明を聞いて、まことに立ち遅れた
日本の
民間航空の再建に向
つて、私どもは国民の一員として非常に残念に思う次第であります。あなたが今
お話の
通り、過去の
日本の戦争に負けた原因等もいろいろありますけれども、私は過去においても現在においても将来においても、
日本国民として最も関心を持たなければならぬことはこの
航空機であります。今政治の裏面においてすぐ問題になるのは原子爆弾でしようが、これらは
飛行機なくしては投げられはせぬ。水素爆弾にしても同様である。政治の裏には必ず恐ろしいものを持
つて来ておるのです。外交の裏にも……。こういう点から見て、今世界をあげて
航空機の問題、原子爆弾の問題のごときは、世界の二十三億の人がみな血眼にな
つて研究しておるのであります。従
つてわれわれの国土の保安、八千四百万の人の生命
財産の保安に向
つても、われわれはわずかの保安墜、ちよつとした駆逐艦にも足りないような小さい軍艦の形みたいなものの守りで、
日本の国土や八千万の人命、
財産の保護ができるかということを
心配しておるのです。こういう点から見れば、
航空局長は御
承知でしようが、一体世界各国の
民間航空というものは国を守るための
一つの予備隊であ
つて、
民間航空の充備ということは、
国内保安のために非常に大きな責任を持
つていると思うのであります。こういう点から
考えて、私は
運輸大臣としては、陸運と海運と
航空と三つ持
つておらなければ、この立ち遅れた
日本の空軍の責任から
考えても、またそういう治安的な方面から
考えても、これは責任が重いと思うのであります。私は今日の運輸
委員会において、あの熱心な
運輸大臣が、この
民間航空の問題があるのに、ちよつとでも顔をお出しにならぬということを、たいへん悲しむ一人であります。これは一番困難な仕事なんです。一番困難な仕事には、大臣は最も努力をせなければならぬのです。私はこの点から
考えまして、
日本の
民間航空の将来を
考えた場合に、搭乗員の養成のごときは最もやすい仕事なんです。やりようによ
つては、ものの六箇月もすれば、ちよつとしたのを操縦ができるような訓練もできるし、三年も四年も十年もやつたのがいいのだけれども、いずれにしても
飛行機を操縦する操縦士の教育訓練というものは、陸海軍の過去の経験から見ても、
民間航空の面から見ても、皆さん一番御
承知なんです。この点は相当金もかかるけれども、これは割合に容易なんで、簡単であるけれども、
航空機の製作は世界の科学の粋を集めたものであるから、
日本も過去においては相当ないい
飛行機も持
つておつたけれども、何分にも六、七年間休んだのだから、今後世界における優秀な
飛行機を取入れて行くには、相当な苦心がいると思うのであります。この意味から、
航空機に関する政策とか、一般の研究とかいうことは、
日本の大学の科学教育の面から見て、またさつきあなたのおつしやつた
通り保安隊のいわゆる治安の方面から見て、これをどういうふうにされるかしらぬけれども、昔のように海軍の飛行隊とか陸軍の飛行隊というような—多少海、陸と両方にわかれて
飛行機を持つ
部分もありますが、大体の政策としては国の治安の面から見ても、また
民間航空という面から
考えても、やはり
航空行政は一元化し、統一することが、遅れたものが先進国に追いつく経路でなければならぬと思う。この意味から、今あなたは
航空工業方面は通産省が持
つているとおつしやいましたが、そういうように、製作と搭乗員とを別々に持
つているというようなことは、機構もますます複雑になるし、いろいろ連絡もとれぬから、一層遅れをとることになるのであります。これは総理大臣としても、各閣僚、ことにあなたの上に立
つておられる
運輸大臣としては、十分の決心を持
つて、そういう構想のもとに突進されなければならぬ。しかるに両方から
予算の取合いつこをするようなぶざまなことをして、しかもそれが削られてしまつた。こういうことではいかぬと思う。海運と陸運は相当回復されましたが、一番
航空が遅れているから、この遅れている
航空行政を扱うものとして一局として置くのはどうか。事は局であ
つても、もう一局長の場面ではないと思う。
航空局には長官でも置かれて、機構を相当強化してかからなければならぬと思う。失礼ですけれども、今あなたがおられるところは、
日本が戦争に負けた、いわゆる敗惨国の部屋なんです。今運輸省は東京駅の前のああいう大きいビルディングのりつぱなところに住ま
つていらつしやる。あなたの
航空局のみがああいうバラックの、いなかの町村役場よりきたないところにおられる。ああいうところにあなたがおられて、欧米各国のりつぱな
航空会社の社長さんがハイヤーで横づけにされた場合、どういう感じをされますか。これは
国際的にも
考えなければならぬことと思う。今丸ビルのそばに新丸ビルができているが、あそこにはまだ貸間もありはせぬかと思う。同じ国費を使うならば、効果的に、能旅の上るようにすべきです。欧米各国の人が来てもはずかしからぬように、見目に御移転なさつた方がいい。また
運輸大臣として部下の
監督指導、という面から見ても、現在の場所は売り払つた方がいい。ほかにいくらも使える場所があるじやないか。どうも
日本の閣僚は燈台下暗しで、こんな小言を言うとおしかりを受けますけれども、相当
考えていただかなければならぬじやないかと思う。こういう意味から、
航空局もこれから
航空庁とするとか、極端に言えば
航空省とかいうものができて、そして機構から改めてかからなければならない。今言う
通り国立の
航空技術研究所のごときは、一番先にできんければならぬものである。私はこの意味から
航空機の研究所のごときは第一着に御設置にな
つて、
日本の
民間航空をいやが上にも進歩発展させるように、御指導を賜わらんことを希望する次第であります。これに対して局長は
運輸大臣に向
つて。どういう御決心で今交渉しておられますか。また
大蔵省に向
つてもどういう決心でや
つておられるか。一体
日本の
大蔵省の役人は、失礼な話だけれども、そういう国家の将来にとり、また現在
日本のなさねばならぬことについて、あまり強く
考えられないように思う。私は治安の維持において、現在
航空ほど大事なことはないと思う。今スターリンもどうかな
つているという話だが、これでいざと
なつたら、東京のまん中でわれわれ
国会でこうしておられませんよ。
飛行機もたいこんな
状態でどうするのですか。こういう意味から
考えれば、
航空の方面はすみやかに発足させなければならぬ。そこで私は、あなたには御迷惑だけれども、きようは
資料を提供していただきたいことを今申し込んでおきます。それは現在の閣僚とか局長以上の人で、
航空機に搭乗した者が何パーセントなりや。これは大臣であ
つてまだ
飛行機に乗らぬ者は一人もおらぬと思うけれども、体験なき者はそれに親しみを持たぬ。特に
大蔵省の主計局あたりの連中は、あなたは
航空局長としてわれわれ運輸委員を
飛行機に乗せたように、羽田へつれて行
つて乗せてもらいたい。それから失礼だけれども、代議士もお調べくだす
つて、参議院議員と衆議院議員で
飛行機に乗つた人も、乗らぬ人もいらつしやるかもしれないけれども、そのパーセンテージもいただきたい。それから
日本の国民の搭乗の数と、先進国の
アメリカ等との比較はわかりにくいかもしれないけれども、もしわか
つているならば—これは解散にでもなれば、あるいはどうなるかしれないけれども、いずれにしてもそういう搭乗者のパーセンテージ等もお示し願いたい。
また一面小学校初め中学校から高等学校、各大学という方面の教科書などについて、むろん
航空機関係の教材は相当あると思いますけれども、この遅れた
日本の
民間航空を進歩せしめるには、教育方面から入
つて行かなければならぬと思う。こういう教育方面に
航空局としては、文部省
関係ともよく連繋をおとりにな
つて、
航空機を理解せしめる方面の教材をよけい取入れていただきたい。それからグライダーなんかを学生でや
つているようだが、できるならば、
民間航空会社で安全な
飛行機を使
つて、ごく安い金で、羽田から東京都の上空へでも飛んで、十分か十五分でいいから乗せる、それくらいのことをしないと、
航空機の理解と親しみを持たぬと思いますから、そういう
会社なんかが出願した場合には、
航空局としてはすぐに許可を与えてくださ
つて、
航空思想の啓発をし、親しみを持つようなふうに御指導を願いたいと思います。こういう点に関して局長の御
意見を重ねてお尋ねいたします。