運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-02-24 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十四日(火曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 關谷 勝利君 理事 田原 春次君    理事 正木  清君       伊能繁次郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    永田 良吉君       松岡 俊三君    臼井 莊一君       吉川 大介君    熊本 虎三君       竹谷源太郎君    楯 兼次郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 二月二十三日  自動運送事業免許制廃止反対に関する陳情書  (第一  四七五号)  津軽海峡の海底トンネル貫通に関する陳情書  (第一四七六号)  函館、青森間航送貨物運賃引下げに関する陳情  書(第一四七七  号)  富山県氷見より石川県羽咋に至る鉄道敷設の陳  情書(第一四七八  号)  小月飛行場民間空港として選定の陳情書  (第一四七九  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  道路運送法改正に関する小委員会参考人招致  に関する件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより開会いたします。  昨日に引続き運輸行政に関する質疑を行います。徳安君。
  3. 徳安實藏

    徳安委員 第一に国鉄の副総裁に伺いたいのでありますが、国鉄の現在のあり方について、私どもは非常な関心を持つておるわけであります。すでにわが党でも国鉄健全化について再検討を行う委員をこしらえてはどうかという議も持ち上つておりますが、この国鉄を将来経営される面におきまして、抜本塞源的な考え方としてはどうすればいいか、そういう点についてほんとうに腹を割つたお話が承れればけつこうであります。あるいはそこまで立ち至つていないといたしますならば、他の政党あるいは国会特別委員を設けて、そういうものを検討されるまでもなく、国鉄自身においてそういうものを検討される機関でもおつくりになるお気持はないか、あるいはすでにそういうことを実行されておられますか、そういう点について一応伺つてみたいと思います。
  4. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの御質問は非常に幅が広い問題でございまして、実はもう少し御質問趣旨をお伺いしないと、必ずしも適切なお答えにならないのではないかと思うのであります。戦争中以後非常に国鉄は酷使されました状態でございまして、その点は特に徳安委員なんかは鉄道の実情については御承知のことと思うわけであります。ところが戦後も引続きまして、ほかの産業等においてはそれぞれ生産数量が非常に落ちたという事態もございましたけれども鉄道のみは、生産数量といいますか、輸送数量は少しも落ちることなしに、さらに戦争中あるいは戦争前よりも非常にふえたようなかつこうで、ある時期におきましては、御承知の遣りたとえば買出しのお客さんとか、疎開先からの輸送というような質の変化もございましたが、さらにそれが立ち直るとともに、今度は一般の経済の立直りと並行して輸送数量がふえて参りまして、昭和十一年前後と比べますと、お客さんにいたしましても三倍以上あるいは貨物におきましても倍になつている、こういうことでありまして、非常に大きな数量に対して、しかも疲弊をした施設使つて、さらにまた戦争直後には、外地等におりました引揚者というような、数的には非常に多数の人を使つておりましたが、質的には必ずしも十分とまでは行かないような人をたくさん抱え、またいろいろと戦後の思想混乱の影響をこうむりながら、まずまずその転送を完遂して参つたのであります。最近に至りましてもなお戦時中の施設の悪いところが十分復旧されるに至らず、私どもといたしましては、何はさておきましても、昨日来お話がございましたように、輸送の安全、正確、迅速に努め、円滑に輸送をやつて行くということが国有鉄道として一番根本的な問題である、従いましてその点に力を尽しているわけでありますが、まだまだあきたらぬ点もたくさんございます。しかし何とかしてこれを完遂して行きたいというふうに考えておるわけであります。そこで一番私ども経営面におきまして苦慮いたしました問題は、一つは人の整理の問題であります。特に公共企業体に移りまして以来、どうしても独立採算制というような面を考えまして、たくさんの人をいたずらに抱えておるという性格だけではよくない。これを一般行政部門の御措置と並行して、国有鉄道におきましても人を減らして参りまして、一時は六十二、三万というような数でありました人が、現在では四十四万くらいになつて参りました。さらにこれの労働の生産性と申しますか、そういう鉄道職員の働く意欲というものも、最近は目立つてよくなつて参りつつあります。  それに引続きまして、施設の面につ冒しては、これも昨日いろいろ議論がございましたが、あの手この手、どういう方法ででも、この際急速に鉄道を回復するためには、できるだけたくさんの資金を得たいという意味で、いろいろ御援助をいたできまして、希望通じとまでは行きませんが、御援助によりまして着々その答えを出し、それによつて施設改善をはかつておる次第であります。さらにまた新しい施設をどうするかということにつきましても、いろいろと電化その他の質問検討いたしております。  それからもう一つ経理の面で、鉄道もつ合理化をやる余地がないか、こういう問題も御質問の御趣旨の中であろうと思うのでありますが、もちろんただいまいろいろと機械化あるいは仕事やり方についての合理化考えおりますけれども、まだまだやる余地がないわけではございませんので、その方面におきまするいろいろな部内改善委員会を活動さしておるわけであります。  この問題に関連いたしまして、お答え趣旨に合つているかどうかわかりませんが、この二、三年前くらい、運賃改正をやりますときに、GHQというようなところへいろいろ説明に参りましたときに、私ども一番先に、荒つぽく鉄道経営が必ずしも楽ではないという見方として、アメリカ鉄道においても蒸気機関車使つておる鉄道会社においては、石炭というものを多く使用しておる。日本鉄道もその通りなんですか、それがアメリカ鉄道が使う石炭、鉄の値段よりも、日本鉄道が使う石炭、鉄の値段ははるかに高い。ドルに換算してはるかに高い。同時にその得る運賃というものは、アメリカ運賃に比べて非常に荒つぽく低い、中にはまだまだいろいろ合理化の問題はたくさん残つていますが、経営自体としてはまだまだ楽ではないのだといことだけはわかつてもらえるじやないか、こういうような話をしたこともございましたが、現在の石炭、鉄というような値段もそのときあまりかわつておりせんし、高いものを買つてつております。経営自体としては、もちろん合理化余地もまだたくさんあると思いますが、必ずしも楽でないという状況であります。お答えなつたかどうか、私も疑問を持つのでありますが、一応お答えいたします。
  5. 徳安實藏

    徳安委員 ただいまの御説明、私ども鉄道のいろいろな参考資料を頂載いたしましてよくわかつております。またしばしばの御説明においてよくわかつておるのでありますが、ただ私ども考えるところによりますと、現在国鉄に対する各方面批判というものは、もちろん観念的ではあろうと思いますけれども、そう簡単なものではないと思うのであります。石炭関係だとか、あるいは人の整理の問題であるとか、あるいは戦時中酷使された軌道等に対するいろいろな問題、これはもうよく私はわかつておるのであります。これを背負い込んで経営の任に当つておられる現在の当局に対しては、非常に気の毒だと思いますが、しかしこのままではいけない。結局国に依存をして、国が全部の金を出して、無利子で鉄道を建設してあげる、赤字が出たら国が補填するということならば、これは何も問題はないのですけれども、建前が独立採算制であり、しかも世間の批判というものは、決してなまやさしいものでないということを考えてみますときに、何とかこれを考え直さなければならぬときにすでに到達しているのではないか。もし一般批判せられるような問題がまつたくの考え違いであり、まつたく不可能なことならば、これを啓蒙する方法考えなければならない、そうした面におきまして、決して現在おやりになつておることが非常に安易な考え方であるとも考えておりませんし、努力に対しては私どもも敬服はいたしております。しかしもうこの辺で国鉄の将来のあり方というもの並びに経営というものに対して、根本的に考え方を直さなければならぬ時期に到達しておるというように考えておりますので、こうした問題と真剣に取組んで御研究になる機関をおこしらえになるとか、あるいはもうすでにそういうものをこしらえなくても、こういう抜本塞源的な案を持ち合せているというようなことがあるならば承りたいし、もしないのならば、そうした問題について、他の方からそうした機関を設けられるまでもなく、国鉄自体考えなつたらどうか、こういうお考えはないかということを質問するわけであります。
  6. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま私どもの中で、非常に総合的な外部専門家の御意見を伺うという機構はないのでございますが、部門をわかちまして、たとえば事故を起しまして以来、非常に高い立場から安全という問題をどう取上げて行くかということで、安全委員会というものを設けまして、これは部内専門家をも入れまして、いろいろと案を練つていただいております。その他いろいろ合理化の問題につきましても、部分々々では委員会というようなもので、いろいろと案練つております。  さらにまた国有鉄道の運営が今非常に難関に立つて、尋常一様の覚悟ではできないぞということもお話通りで、私どもも決心いたしておりますが、まずいろいろな問題を一つ一つほぐして行くよりしようがない。たとえば公共企業体になりましてからの国有鉄道経理の仕方というようなものにつきましても、この国会にいずれ国有鉄道法改正というようなことでお願いたしまして、そういう点もやりやすいような仕方に持つて行きたいというようなことも、いろいろ考えております。なおまた今の電化問題、あるいは新しい技術といたしまして交流の電気機関車、あるいはガス・タービンの機関車交通機関は御承知通り動力の進歩で進歩するわけでありますが、そういう動力研究委員会というものを近く持ちたいというように考えております。その他お気づきの点がございましたら、いろいろご意見を伺いまして参考にしたいと考えております。
  7. 徳安實藏

    徳安委員 願わくばできるだけ私ども納得行くような抜本塞源的更生策と申しますか。再建策と申しますか、そういうものがもしできましたら、早くひとつ見せていただきたいと思います。その一環として私ちよつと伺いたいと思いますが、外部団体等に対しても、一応最近再検討でもしておられましようか、あるいはこれまでのものは、やむなくそのままだというようなお考えでございましようか、その点を伺つておきたいと思います。一例をあげて申しますと、国鉄として再検討せられましたならば、たとえば国鉄領域を侵しておるようなものが外郭団体にあ、るのじやないか、私どもしろうとでありますからよくわかりませんが、かりに交通公社の問題にいたしましても、あるいは弘済会等の問題にいたしましても、その分野におのずから限度があると思いますが、どうも戦時中から戦後における行き方は、少し鉄道領域を侵しているのではないかというような点も、ちよいちよい見受けるように思うのであります。これは一々申し上げなくても、副総裁よく御承知だろうと思いますが、そうした面につきましても、あるいはまた観光事業等につきましても、役人ではやりにくいという点もありましようけれども、しかし今日の企業体では、昔の運輸省あるいは鉄道省であつた時代よりか、もつと幅を広く考えてもいい企業体になつているわけで、ありますから、国鉄自身でおやりになつていいようなものまでも、そちらの方へ相当食い込まれていはしないかというようなことも考えるのですが、その点について再検討をお加えになり、あるいはまたされようというお考えがありましようか、伺いたいと思います。
  8. 天坊裕彦

    天坊説明員 国有鉄道のいわゆる外部団体と申しますものも、相当いろいろな種類にわたつてあるわけでございまして、必ずしも外郭団体といつたときなに、どれとどれとが入つているのだという正確な言い方もないわけでありますが、ただいま御設例になりました交通公社であるとか、弘済会であるとかいうようなものを頭に浮べながら、お答えをいたしたいと思うのであります。  外郭団体ができましたいきさつにつきましては、それぞれ理由がございまして、それぞれ一つの大きな現実の力になつて活動しておるのが現状であります。そこでこれをひつくるめて再検討するという言い方は、なかなかむずかしいのでありまして、一つ一つについてそのやり方がいいかどうかという意味での検討はいろいろいたしておりますし、またそのやり方について、ある程度まで修正しなければならぬもの、方針をかえて行かなければならぬものというものについては、それぞれ注意をしたり、現実に必要な措置をいたしておるわけでありますが、今お託にございましたように、今の交通公社なり弘済会なりが必ずしも適当ではございませんが、いわゆる外郭団体もつと幅の広い外郭団体という意味で申し上げるのでありますが、やはりこういうものもいろいろな仕事が分業になつておる現状におきまして、その外郭団体というものが、外郭団体自身知益を得るし、同時にそういうものを育てて行く国有鉄道自身も利益を得るという面がなくてはならぬ。国有鉄道のみが損をして、それを食つて育つだけの外郭団体というものを存続させることはおかしいと思います。そうした観点から、外郭団体についても私ども考え方はつきりさせて行きたいと思つております。
  9. 徳安實藏

    徳安委員 こうした外郭団体に対しましても、私はできるだけ再検討を加えていただきたいということを申し上げたいと思います。もちろんこうした団体にはおのおの特性もあり、また軌道との従来の関係もございますので、決してこういう団体が悪いとは申しておりません。こういうものがほんとうに発達して鉄道と一体になつて、あるいは培養機関となつて協力されることは非常にけつこうでありますが、しかし度を過ぎますと、かえつて親を殺すようなことになりますから、こういう点をよく一つ一つについてお考えくださつて国鉄合理化という線とあわせてお考え願いたい。一例を申しますと、交通公社のごときも切符を売つておりますが、これはおそらく掛で買う人は一人もございません。通運業者のごときは、現金で払う荷主はほとんどない。あるいは二月たつても約手で運賃を払うというような人が多いのですが、交通公社切符代はほとんど全部現金であります。現金で売つたものを、その月の末かその翌月の末に払えばいいというような関係、これも精昇等関係において相当の日数がいるといわれればそれまででありますけれども、話を聞きますと、非常にたくさんの取扱いをしておる。全国の三〇%あるいは四〇%になるのではないかといわれている東鉄のごときにおきましても、この管内では普通の翌月の支払いに、さらにまた一箇月を置いているというような話を聞くのであります。これはおそらく事実ではないと思いますけれども、もし事実だとすれば、現金で売つたものが、六十日も放置されるというようなことは、どう考えつてりくつには合わぬのではないか。こういう点についても、ひとつ合理化の線に加えてお考えなつたらどうか。さらに承りますと、この何億という大さな金額を未払いのままで過しておる。これはうそだといいのですけれども、聞くところによりますと、交通公社担保として大正十三年ごろに二十万円入れておるそうですが、それきりで一つも入つていないといううわさであります。これは私の調査が間違いかもしれませんが、常識では考えられないことである。全国交通公社が売る何億の切符代が翌月の払いになる。東鉄のごときはさらに一月も延びるような状態であつて、しかもその担保として提供しておるものが二十万円というようなことが事実であるとしますならば、これらは早く検討せられて、正しい軌道に引きもとしていただくことが必要ではないかと考えるのであります。これはほんとうに微々たることでありまして、一例にすぎませんが、こういうものをだんだんに合理化されて行けば、鉄道分野も明らかになり、またこうした外郭団体もおのずから守るべき分野を守つて行かれるということになりまして、そうして資金全面においても、あるいはいろいろな点を勘案して考えてみますと、合理化の結果、相当国鉄を潤すものが出て来るのではないかというふうにも考えるのであります。しかしこうしたものをできるだけおやりになつても、なおいけないのだということであれば別でありますけれども、こうしただらしのないことは、たとい一つであつても見のがしてはならない。国鉄現状から見ますならば、こうした点についてもきびしく検討される必要があるのではないかと考えるのでありますが、副総裁の御意見を承りたいと思います。
  10. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの御意見まことにごもつともでございまして、私まつたく同感に存ずる次第でございます。このごろでもそうでございますが、戦争後特にインフレの時代で金に非常に困つた当時、そういう不払いの期間が長いために、かえつていろいろ弊害を起すような事例もございまして、それぞれ必要最小限度に縮めたのでございますが、お話通りでございますので、その点も十分考えまして、全体として鉄道合理化の線に進めて参りたいと考えております。
  11. 徳安實藏

    徳安委員 国鉄の方に一括してお尋ねいたしますが、二十八年度の予算の工事勘定によりますと、停車場設備費が三十億足らず見積つてあるそうでありますが、計画によりますと、その大部分旅客駅のみに使われて、貨物関係にはわずか一億ぐらいしかないというようなことがいわれておるようでありますが、これはほんとうでございましようか、ひとつ計画内容を承りたいと思います。
  12. 天坊裕彦

    天坊説明員 今一つ一つの件についてのこまかい数字は持つておりませんが、今の御説のごとく、停車場改良費と申しますものは、決して停車場の建物だけではございません。操車場であるとか、たとえば東京の引上線であるとかああいう線も入つておりますので、旅客駅だけの問題ではもちろんございません。いろいろな面で、旅客駅のみならず、貨物駅についても、いろいろ問題のあるところもございますので、旅客に偏重して貨物の方の施設を怠るようなことのないようにしたいと考えております。
  13. 徳安實藏

    徳安委員 ただいま副総裁の御説明を聞いて非常に喜ぶわけでありますが、どうかそういう計画内容でありますならば、ぜひひとつ貨物の方にもおすそわけ願つて旅客偏重でないようにしていただきたい。昔はすべて旅客偏重であつて従つて旅客収入の方が非常に多かつたのでありますが、最近は数字でも示されております通り旅客貨物収入は幾らも隔たりがないようにまで貨物収入鉄道の二分された形の収入になつておるわけであります。ところが往々にして旅客駅の方はどんどん直りますが、貨物関係の駅の方は何十年たつてもほつたらかしになるという傾向が過失においても多かつたのであります。最近の模様を見ますと、一番大さな貨物を取扱つておる駅さえも、計画から漏れておるというようなことを聞くのでありまして、どうかそういうことのないように、計画内容を変更できるならばしていただきたい、かように考えるのであります。  これについてさらにもう一つお聞きしたいと思いますことは、これは私どもも案を示されたわけではございませんから深くわかりませんが、巷間伝えるところによると、旅客駅の改良工事が、これは国鉄関係者のおられるところでこういうことを申し上げてはなはだどうかと思いますが、どうも国鉄関係者の地元駅というようなものが、非常に偏重されておるということをうわさしておるのであります。従つて、来るべき参議院選挙にそれが利用されるのではないかというようなうわさもあるという話でありますが、もしさようなことがあるとすれば、これはほんとうに遺憾なことであります。おそらく国鉄当局にはそういうことはないと思いますし、最近承りますと、総裁、副総裁ともこうした問題に巻き込まれないように、少しで疑義もを残すような問題については、かぶりを振つて判を押されないということを私どもは聞いておりますので、非常に心強く感じますが、駅の改良、新設にあたりまして、そうしたうわさ相当に強く飛んでいるようであります。これはどことどこの駅をやるのだということをはつきり示していただければ、はつきりわかるわけでありますから、もしさしつかえなかつたならば、適当な機会にお示し願いたい。そしてもしこうした問題とひつつくような場所にほんとうにたくさんあるならば、これは偶然の一致かもしれませんが、ひとつ再考を願わぬと、鉄道に対する不信の声が各方面に起きて来るのではないか、かように考えるのでございますが、そうした点について副総裁の御意見を承りたいと思います。
  14. 天坊裕彦

    天坊説明員 御承知通り旅客停車場の戦災でこわれたものの復旧がまだ済んでいないとか、あるいはまた都市計画の進捗に伴つて、町の玄関である旅客駅が非常に貧弱になつているが、これを同じ建て直すならば、もう少しりつぱなものにしてくれという御要望は至るところにございまして、毎年十億か十二、三億くらいの金でそれをまわして行くのは、なかなか骨が折れるわけであります。これにつきまして各管理局から十分な資料を提供させまして、その内容検討いたしまして、しかもまた全体的な配置と申しますか、一箇所に集中するということもどうかと思いますので、各地方に適当に行き渡るように、しかも一番必要なものから直して行くという方向でやつておりますので、今お話にございました選挙というようなものとの関連は、私は絶対にないと確信いたしております。ただ地方から、これはむしろ先生方自身も、いろいろとこの駅の問題をどうするというようなお話もたくさんございます。これは地方的には皆さん非常に御関心のある問題でありますが、しかしそれに対して特に鉄道出身者の郷里がどうだというようなことは、私どもは絶対に考えておりません。先ほどのお話の、来年度に改良するおもな駅については、今内容がきまつておりませんが、きめまして、もし時間に間に合いますれば、ぜひ見ていただきたいと思います。
  15. 徳安實藏

    徳安委員 ただいま副総裁お話を聞きまして、ほんとうに安心したわけでございますが、どうかそうしたうわさに飛ばないように、そうしたことを払拭するようなことにお考えおき願つて、御善処願いたいと思います。  次にデイーゼル・カーでございますが、昨年おつくりになりましたものの、各線にどういうふうに配分せられましたか。二十七年度はまだ全部完成しないかもしれませんが、もし完成したあかつきには、こういう線にこういうぐあいに配分するのだというような御計画でもあれば、ひとつ承りたいと思います。
  16. 天坊裕彦

    天坊説明員 二十七年度は非常にデイーゼル・カーつくりたいと思つておりましたにもかかわらず、デイーゼル・カーの性能についてやや形のかわつたものをつくるという問題と一緒にからみまして、本年度は五十両つくることになつております。その五十両が非常に遅れまして、まだ一部分しか入つてないというのが実情でございます。その一部分については千葉管内でちよつと使つておりますが、今ちよつと記憶しておりませんが、一部分は千葉に、その残りの部分をどこに使うかにつきましては、この前の前の委員会でも御説明申し上げたのでありますが、いま少しどこに使うかについては、従来のガソリン・カーと性能を異にしておりますので、その使い方内部的にいろいろ慎重検討いたしておりまして、まだきまつていない。一部分は北九州にも使いたいというようなことの程度で、あとの詳細についてはまだ検討由でございます。
  17. 徳安實藏

    徳安委員 二十八年度には三百両つくるという案が出ておるようでありますが、これについてもただ予算の関係で三百両つくるのだというだけであつて、その配分計画だとか、あるいは地方々々のあの局には幾ら出すというようなことについての基礎的な関係から割出された三百両ではなくして、三百両今年もつくるが、その三百両はどこにやるのか全然わからないのだ、二十八年度はこういううことなのでしようか。
  18. 天坊裕彦

    天坊説明員 ガソリン・カーの性能は、デイーゼルさえ補給が続きますれば、非常に成績がよろしいのでありまして、各地ともデイーゼル・カーを置かしたいという希望はどこにもここにもあるわけであります。従いまして片一方で客車を新しくつくるという問題もあるわけでありますが、できますればある程度思い切つてデイーゼル・カーをたくさんつくつて、それによつて浮いて来る客車を客車として使わなければならぬところに集中して使う、従ろて客車増備の一部分の役目をデイーゼル・カーの増備によつてつて行く。こういう考え方をもちまして、二、三年間に千両くらいつくれないかというような大ざつぱな基礎があり、片方ではこの区間にぜひデイーゼル・カーを置きたといいうところは幾らでもあるわけでありまして、さらにまた戦前におきましても約三百二、三十両のガソリン・カーを持つておつたのでありますが、現在動いておりますのは百八十両くらい、百二十両というものは昔あつたけれども今は動いていない、そういう区間があるわけです。しからば三百両をどこに動かすかということは、内裏で、どこもかしこもやりたいというので、その選び方については骨折つておるわけでありまして、私どもとしては一番効率が上つて、私どもの全体としての経費の節約にもなり、増収にもなり、御要望にも沿えるというような、非常に欲張つた考えで入れる場所を検討中でございます。
  19. 徳安實藏

    徳安委員 このデイーゼル・カーの配分につきましては今お聞きいたしましたが、なるほど鉄道経営自体から申しますれば、もちろんお客も満足し、鉄道にもうんと収入のある場所、こういうところにどんどん入れることも当然であると思います。しかし恵まれない場所、あるいは同じ料金でほんとうにうすぎたない車で運ばれておるところ、あるいは交通の便が悪くて、所用が達せられないような場所、こういうところにやはり同じようにある程度の満足感を与えていただくようなことを考えることが、いわゆる国鉄としての性格ではないかと、かように考えますので、どうかこの点につきましては裏日本、山陰等については、ことに猛烈な要望があるようでございますから、収入の面におきましてはあるいは御期待に沿い得ないかもしれませんが、しかしあの不便の場所、あのトンネルの多いところ、こういうところは特にお考えを願いまして、そうしてかりに来年三百両できましたならば、その相当量をこつちの裏日本や山陰の方面にもまわしていただくようにお願いいたしたいと思いますが、副総裁の御意見を承りたいと思います。
  20. 天坊裕彦

    天坊説明員 今お話の山陰地方というようなところにも、デイーゼル・カーを動かすのには適当としたところも多分にございますので、できるだけ御趣意に沿いたいと思います。
  21. 徳安實藏

    徳安委員 もう一つ総裁にお伺いしたいと思います。サービスのことでございますけれども、各局々々で乗務員が交代をする。これはまことにやむを得ぬことだと思います。しかし私どもが旅行いたしまして非常に不愉快を感ずることと、非常に喜びを感ずることと、同じ車で二つございます。一例をあげて申しますと、私どもいなかへ帰りますのに、京都から乗りかえまして、ある程度のところまで参りますまでは一人の車掌がついて参りますが、中途でかわります。先般も参りましたときに、四時幾分かの汽車に乗りましたが、冬ではありながら日当りのよい、非常に天気のいい日でございまして、ぽかぽかと暑くてしようがないのにスチームを入れて、もう上気するような状態、これはとめてくれたらどうだと注意したぐらいであります。ところが途中で乗務車掌から何から全部かわつてしまいました。今度は晩になりまして、だんだん冷えて参りました。寒くなつたらスチームを全部落してしまつた、よく聞いてみましたら、これは乗務員がかわつたのでこういうことになつたのだということです。再三お願いして、ようやくスチームを入れてもらつたという状態でございます。山陰の方がら帰つて参りますときに、そういう点を非常に痛感するのでございますが、車掌におきましてもその言葉使いといい、お客に対する話ぶりといい、ほんとうに気持よく、何という車掌だろうかと思つて、心から喜びを感ずる場合もあれば、今度は違つた車掌が乗つて来るとぶつきらぼうで、時間を聞いてもろくに教えてくれないというような車掌もございます。乗務員か各局々もによつて交代されるということもやむを得ないことかとも思いますが、でき得るならばこのサービスの面につきましてはずつと一つの線を通して、同じサービスができるようなことにお考えができないものかということを考えるのであります。これは地方に行きますと、こういうことを非常に考えますので、御意見を承りたいと思います。
  22. 天坊裕彦

    天坊説明員 まことにごもつともだお話でごいまして、これを特に注意し、特にお客様に接する乗務員、車掌とか、あるいは駅の出札掛の態度というものにつきましては、日ごろ非常にやかましく言つて、いろいろとよくなるようにという訓練をいたしております。また車掌区長とか、現場のそういう人たちの長、監督しております人たちも、それぞれくふうをこらしまして、いろいろな手を打つておるのでございますが、何分たくさんのものでございまして、いろいろとご不快の念を与える。しかも一回の不快はあとまで残つて、全体の不快ということになるわけでありまして、そういうお話をあちこちで承るわけで、はなはだ申訳なく思つております。先ほどもお。話がございましたように、車掌がかわること自体が問題でなくて、かわるたびにはつきりサービスの違いが出て来る。しかも悪い違いが出て来ることは、非常に不愉快だというお話につきましては、何とかそういうことが一貫してうまく行くように心がけておりますが、なかなかもう一息というところがうまく行かないという実情であります。乗務員が乗継ぎをいたしますことにつきましても、必ずしも今の区域で区切るのがいいと思つておりませんが、かわるのはやむを得ないので、かわりましてもできるだけ同じいいサービスが続けられるように、今後努力いたしたいと思います。
  23. 徳安實藏

    徳安委員 次に、自動車局長も見えておりましたか……。
  24. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 自動車局長は来ておりません。
  25. 徳安實藏

    徳安委員 ではそちらの方の御答弁はあとでお願いすることにして、国鉄の方の方だけにお伺いしたいと思います。最近聞きますと東京都内の隅田川、横浜の方の高島、東高島というような、石炭のたくさん着きますところに、鉄道を退職された方々によつて荷役会社をこしらえて、鉄道のある構内に一定の場所を借りて、それによつて積みおろし免許を受け、あるいは限定された一つの免許をとりまして営業しようではないかというようなことで、すでに議が進み、非公式ではあろうと思いますが、関係の向きにもそれぞれ打診があつたように聞いておりますが、現在すでにこれらの駅は複数制がしかれまして、通運業者として、新規免許店と既存の業者と相協力して、国鉄培養機関として努力しておるわけであります。もしかりにそうした鉄道退職者によつてさようなものができて現在では構内の買入れ等につきましても相当制約を受けて、着いた石炭はその日にでもどんどん運ばなければならぬということで、一つも買えていない。しかるに鉄道退職者によつて会社ができて、そうした置場もつくられる、荷物もどんどんそこにおりるのだということになりますと、現在でもすでに既存業者によつて相当公正な競争の域を脱して、不当な競争まで行われそうな雰囲気にあるときに、そういうようなことがあるとしますと、これは通運業界の混乱になる。ただひとり東京や横浜だけでなく、他にも累を及ぼすのではなかろうかというので、今のは非公式の話でございますから、ここで取上げることはないと思いますが、しかし国鉄もあるいは運輸省の方も退職者をかわいがられるということは、これはけつこうなことですし、先輩、後輩に対して情誼を厚くせられることはけつこうだと思いますけれども、できれば秩序立つた一つの業界を混乱させるような行き方には、ぜひ御協力をしないようにしていただくことが妥当ではなかろうか、かように考えるのでございますが、副総裁の御意見はいかがでございますか。
  26. 天坊裕彦

    天坊説明員 鉄道も毎年退職者も出て参りますし、この人たちに今のままでやめて、それで生活はやつて行けませんので、いろいろな仕事考えるようなことをいたしておりますが、今御説明になりましにようなことにつきましては、私ただいまのところ耳にいたしておりません。御説の通りそういう退職者の新しい生活の方法考えるにいたしましても、片方で特別なかつこうなことができるというようにも私思いませんし、それにそうした余地があるかどうか、業界の混乱を招くかどうか、そうした方がいいかどうか、そういうことは慎重検討を要すると思います。みだりにそこに摩擦と混乱を生ぜしめるという見通しで、そうしたものを設けるということは考えておりません。
  27. 徳安實藏

    徳安委員 どうかそうした点につきまして、今後とも気にとめていただいて、そういう問題が起きたならば、できるだけ一般の者が納得するような線において、御解決を願うようにお願いいたしたいと思います。  さらにこれは免許の関係でございまから、国鉄の方にはあまり関係がないと思いますが、しかし一応荷物を扱いになる関係から、国鉄の方にもちよつと伺つておきたいと思います。大阪、神戸等の港の地帯におきまして、三井倉庫、三菱倉庫、住友、渋沢、川西、これは五大倉庫でございますが、この五大倉庫が限定免許を申請をしておるということであります。この五大倉庫につきましては、もちろんこれは大きな資本と大きな設備を持つている倉庫でございますが、本然の任務が倉庫業でございまして、しかもこの地帯におきましては、すでに既存業者が数店ございまして、先ほど申し上げました通り、場合によりましては血みどろの争いをするような雰囲気までかもしておる状態であります。しかも会社自身が専有しておる側線、自分がつくつて鉄道に寄付したという側線である場合にはこれには別でございましようけれども、まつたくの営業線という取扱いになる線、しかもこの各倉庫が自分みずからの責任において保管し、取扱つておるものはその十分の一、あとの十分の九は一般通運業者が扱つておるものに対して、全部これを限定免許にして、そういう荷物を倉庫業者に扱わせるということは、結局現在の設備からいつても、これは混乱を来す何ものでもないということが、各方面で叫ばれておるようであります。と申しますことは、倉庫業者は倉庫こそりつぱなものを持つておりますが、その作業自体におきましては、決して通運業者にまさるようなものを持つておるわけではございません。聞くところによりますと、通運業以外の一般の出し入れの作業すら、下請業者を使つておるということでありますから、もし限定免許を受けたといたしましても、結局多くはそうした下請業者が仕事をするような状態になるだろうといわれております。ただこういう倉庫業者でありますから、無理押しに押すかもしれませんが、しかし現在すでに既存業者によつて発着ともスムーズに行われておるときに、何も苦んで十分の一の責任しか持つていないような倉庫業者に、全部の荷物を自分で扱うような免許をされることはないと考えております。これも免許の方針につきましては運輸省の方でございますから、あとでその方からも聞きたいと思つておりすが、こうした問題についてもしお耳に入つておりましたならば、作業の上において決してさしつかえないと国鉄ではお考えになりますか、あるいはこれは従来のように既存業者に扱わせておいた方が混乱を来さないとお考えでございましようか、作業面から見てのお考えが御答弁願えればけつこうだと思います。
  28. 天坊裕彦

    天坊説明員 免許の問題は、全面的に運輸省の御関係のものでありまして、私から御答弁するのはどうかと思いますが、私どもといたしましては、個々の判定はなかなか困難でありますが、既存の業者で十分やつて行けておるではないか、あるいは片方で直営の人がどれだけ持つておられるか、あるいは専用線を持つておられるかというようなことを十分勘案して、実情に即した答えを出して行かなければならないと思いますので、今のところただいま御説明になりましたような話は全然聞いておりませんけれども、私どもの方でそういう調査をして、もし運輸省に御意見を申し上げなければならないような場合には、十分実情を調べまして、実情に即した答えを申し上げるつ、もりであります。
  29. 徳安實藏

    徳安委員 大臣が見えたようでありますが、しかし大臣では免許のことについては御答弁しにくいかとも思いますので、自動車局長が見えましたときに譲りまして、本日の私の質問はこの程度にとどめたいと思います。
  30. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 臼井君。
  31. 臼井莊一

    ○臼井委員 この機会にちよつと国鉄当局にお伺いいたしておきたいと思います。それは先般問題になつて、すでに二月一日から廃止になりました乗越し手数料の問題であります。すでに輿論の力によつて廃止されたことでありますので、こに事新しくあらためて取上げることもないようでありますが、しかし将来の問題として一応お伺いしておきたいと考えるのであります。乗趣し手数料を決定した真意、それは増収をはかるためにやつたのであるか、あるいはその他の理由でやなたのであるか、その点をちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  32. 天坊裕彦

    天坊説明員 去る一月十五日から実施いたしました旅客運賃改正の機に二、三取扱いにつきまして規則をかえたのでございますが、その中でただいまお話のございました乗越し手数料の制度を設けましたところが、非常な輿論の反撃と、また内裏の従事員の手数料が非常と煩忙になるということから、内裏からも非常に困るというようなことで、慎重に検討いたしました結果、二月一日よりこれをやめることにいたしたのであります。それを設けました理由は、御承知通り従来の鉄道の定期券につきましては、大体通学と通勤、この二つの目的のもとに定期券が出されておつたのであります。これは御承知通り七割から八割近く、はなはだしいものは九割近くも割引いたしておる非常に安い定期券でございまして、これが全体の数量としては、定期外の人を含めまして、半分以上も定期券を利用する人の割合になつております。しかも一方では収入は二割弱というようなかつこうになつておりまして、だんだんと定期券がふえて参つておるという事情でございます。そこでいろいろ検討いたしました結果、これは本来通学、通勤に限つて特別に安くしておる定期券である。従つてそれ以外にお使いになるとすれば、その定期券でついでに利用されるというのではなく、別に割引率をややそれとは異にして、五割程度の割引率の普通学期制をこしらえまして、通学、通勤でなくてお使いになる場合には、その定期に切りかえていただきたい。特に問題は東京付近でありますが、東京環状線の区域で、どこでおおりになつても、自由にお使いになつてもよろしいという定期券をこしらえました。この二つの定期券をこしらえまして、通学、通勤以外にしよつちゆうお乗りになる方には、そういう便宜の方向へ切りかえていただきたい。従つて同時に通学、通勤の定期券は、通学、通勤の場合に限つて使うようにしていただきたい、こういう意味でそちらへ切りかえる措置をとつたわけなのであります。それをはつきりいたさせますために、それをお硬いになつて乗越しされた場合には手数料をいただきますということでございまして、決して手数料によつて増収をはかるなどということに、毛頭考えておつたわけではございません。普通定期券をこしらえまして、それに切りかえていただくというつもりで通学、通勤に制限を加えた、それが手数料という形で現われたということでございます。
  33. 臼井莊一

    ○臼井委員 通学、通勤の定期を普通定期に切りかえてもらうという希望のために、手数料をとつたということであります。ところが一般の受ける感じは、たまたま国鉄の一割増案の決定されたとたんでありますので、どうも増収を目途としてこれが決定されたように印象を受けるのでありまして、また事実支払う方からいつても、一区間十円区間のところを十円とられれば、一割上つておるところへ、さらに十割も料金を払う、しかも短距離のところでは上る率が多いことは、鉄道運賃値上げの際に論ぜられたのであります。それがために非常に高くなつたという感じを受けるわけです。これは結果において増収になることは事実でありますけれども、ただその問題をなぜ委員会あたりで一応お話にならなかつたかということを、私たちは非常に不満に思う。もとよりこれは決定されて一向さしつかえない問題でありますから、お前らに聞かぬでもいいといえばそれまででありますけれども、やはり一応こういう委員会等で案をお漏らしになれば、それに従つて委員の方の、また需要者側の意見も論ぜられる機会があつたと思う。それがないためにわれわれもああいうばかなことをして、お前ら委員何をしているのだという非難まで受けるので、知らないのだということは、一つの不見識にもなる。それで昨日も委員会に対して、委員の方から御意見があつたようですが、鉄道五箇年計画も、委員お話になる前に新聞等に発表されてしまうというな点も、そういう御意図はないのでしようけれども委員会を軽視しているような向きがあるのではないかというひがみも、われわれとしては起るわけであります。あのことはにわかに決定したのでから、一割増収案のときに、すでに計画としてはお持ちになつていたのでありますか、もしお持ちになつていたとしたら、なぜそれを一応お話にならなかつたものであるか、まあ簡単なことだからいいとお考えなつたのであるか、その点をちよつとお伺いしたいと思うのです。
  34. 天坊裕彦

    天坊説明員 定期の運賃につきましてどういうふうにするかどいうことにつきましては、最後まで私ども協議いたしておつた問題であります。乗越し手数料というようなかつこうできめましたのは、ぎりぎりになつ実はきめたわけでございまして、用意が不十分でありましたのでお話できなかつた次第であります。ただ以前んにもいろいろ方向変更をやりまししたときに、手数料をとるというようなことをやつております。結果から申し上げると、私どもの用意が足りなかつたという次第でございます。
  35. 臼井莊一

    ○臼井委員 にわかに決定されたように伺いますので、お話になる機会がなかづたというふうに了解いたしますが、そのために結局内部からも手数ばかりかかつてしようがないということで、輿論の反撃と相まつてこれをおやめになつたのであります。従つてやむを得なかつたというふうに考えるのでありますけれども一般お客の意向といたしまして、補助券を出す場合には、ある程度しようがないのではないかという意見も二、三聞いたのですが、どうも私たちの方で手数をかけて、逆にお客の方でおりて買い直すか、あるいはまた乗るところであらかじめ申し出て切符を買えばいいのですが、そうでないとわざわざ精算所まで行つて数料をとられる。そういうところに非常に不満があつたようでありますが、今後そういう運賃値上げというような場合には、御慎重にお願いいたしたいということを申し添えまして、私の質問を終ります。
  36. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に竹谷君。
  37. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は昭和二十八年度政府関係機関予算の予算総則のことでお尋ねしたいのでありますが、この予算総則の第十三条には、国鉄が事業量の増加によつてその収入がこの予算において決定した金額に比べて増収になつた場合には、運輸大臣が大蔵大臣と協議してその増収になつ収入金額の一献を、事業のために直接必要とする経費に支出することができる。こうありますが、これは増収になる結果、汽車を増発するとか、石炭、電力がこれにスることは、むろんであると思いますが、なお第十五条の第一項では、但書に「この予算の基礎となつた給与準則を実施するため必要を生じた場合において、」云々、または第十三条の規定によつて給与総額の変更について運輸大臣の承認を経たときは、給与準則を実施するために必要な経費を出せる。かようなことが書いてあります。この場合国鉄の仲裁裁定第八号第二項によつて、特殊勤務手当がそのままになつている。非常に少い費用をいろいろな特殊の作業手当に出さなければならぬ。それを四年も前から踏襲するという現状でありますから、そうした場合この増収になつた場合は、その金をもつて仲裁裁定第八号第二項の費用にも使えるかどうか、それを一番初めにお尋ねしたいと思います。
  38. 植田純一

    ○植田政府委員 予算総則の十三条の規定と十五条の関係でございますが、十五条は御承知通り給与総額をはつきりと規定してございます。国鉄法にございますように、給与準則というまのを国鉄はつくらなければならぬ。しかしそれは給与総額の範囲内において実施できるようなものでなければならぬというのが原則でございます。原則的に申しますると、給与総額の範囲内において給与準則をきめるのでありますが、この給与準則を実施するために必要を生じた場合と申しまするのは、給与準則をかえるために経費がよけいいるという場合は含めておらないのでありまして、給与準則を実施するために必要を生じたような場合に、経費の流用あるいは予備費の使用ということが起つて来るわけであります。また十三条の場合におきまして、たとえば例を申しますると、事業量が増加をいたしますると、同じ基準によりますけれども、超過勤務がふえて、全体の支出もふえて参ります。また給与総額の変更をしなければならぬというような場合も起つて参ります。そういう場合の規定家でございまして、給与準則といいまするか、給与の支給の内容をどうきめるかという場合の規定ではないのでございます。一応給与総額の範囲内においてと給与の内容がきまつておる。その実施上、さきに申しましたような、たとえば仕事量の増加によつて、どうしても超過勤務手当をふやさなければならぬというような場合のいわゆる弾力條項でございます。なお十五條の第二項に、職員の能率向上による企業経営改善によつて収入が予定より増加し、または経費を予定より節減したときは、職員に対し特別の給与として支給するため、給与総額を変更することができるという條項がございます。これは特定の場合に特別の給与として、若干給与総額を変更することができるという、新たな弾力條項が加わつたのでございまして、この場合には特別の給与を支給することができるということになつております。
  39. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は十五條一項但書の規定と、国鉄仲裁裁定第八号第二項の特殊勤務手当の関係を聞いたのですが、今の答弁ではそれは入らないのだといううにも聞えるのであります。しかしながら仲裁裁定の主文にも「特殊勤務手当は、前項による職種別新本俸決定の後、理由に従い、両当事者の団体交渉により、従来のものを改訂する。」とあり、国鉄としては団交によつてすみやかに改訂する義務があるわけであります。給与準則がきまつたということになれば、自然この十五條一項の但書の規定を適用しなければならぬようになるのではないかと思いますが、その見解を承りたいと思います。
  40. 植田純一

    ○植田政府委員 仲裁裁定第八号第二項の問題の経緯につきましては、国鉄当局から御説明願いたいと思いますが、ただいまの十五條の関係におきまして、とにかく特殊勤務手当につきましても給与準則をつくらなければならぬということは、これは裁定の趣旨に従いまして改訂する必要があろうと思います。給与準則をつくらなければならないことは当然でございますが、その給与準則は最初から予算を逸脱するという前提でつくることはできないのでありまして、あくまでも給与総額の範囲内に収まるものでなければならぬことは国鉄法の示すところでございます。あとの弾力条項は実施上の特殊の場合の問題でございまして、給与準則はあくまで給与総額の範囲内においてつくる、こういう建前になつておるわけでございます。
  41. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 そうすると、鉄監局長の解釈は、簡単に言うと十五条一項但書は、今まできまつておる給与準則に基いて見積つたのであるから、今後改訂すべき給与準則のことは含んでいない、こういう意味でございますか。
  42. 植田純一

    ○植田政府委員 二十七年度におきまして、仲裁裁定によりまして給与総額の補正も行われております。従いまして予算総則のこの金額は二十八年度のものでございますが、二十七年度の補正によりまして補正されました給与総額の範囲内におきまして、給与準則が定められなければならないのではないか。これは国鉄法の四十四条から見ましてそう考える次第でございます。
  43. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 当局の御説明はわかりましたが、私はちよつと解釈が違うわけです。これは予算でございますから、予算に定められた給与総額が別の方法によつて増額できるという場合に、特殊勤務手当に関する給与準則がかわれば、やはりかわつた準則に従つて予算を支出してもよいと考えるのでありますが、これはなお御研究を願いたい。  それから十五条二項に、職員の能率向上による企業経営改善によつて収入増となつた場合、あるいは経費を予定より節約した場合には、特別の給与として職員に支給することができるというように書いてありますが、しからば十五条一項の但書でできないとしても、二項でもつて、団交によつて給与準則の費用に充て得るかどうか、それをお伺いしたい。
  44. 高井軍一

    ○高井説明員 私からお答えをさしていただきます。特殊勤務手当は先ほど監督局長の方から御説明がありましたことぐ、給与総額内におきまして決定いたすべきものでありまして、この十五条の第二項は報奨的な性質を有するものでございます。従いましてこの特殊勤務手当の所要額を十五条の二項の参報奨的な臨時増額になりまする額で支出をするということは、これは妥当ではないのじやないか、さように考えるのであります。第二項はもつぱら業務の運営の改善だとか、あるいは経費の節減とかいうふうなものに対しまする報奨的なものとして、給与総額以外にこれを支出することができるというふうにとるべきであると考えております。
  45. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 十五条第二項は勤勉手当のような意味を持つてつて、給与準則に基くべき特殊勤務手当の場合ではないと考える。この解釈は一応もつともだと思いまするが、第一項の但書の方は、予算というものをさようにきゆくつに解釈しないで、仲裁裁定の趣旨従つて、すみやかに労使当事者間の団交によつて従来のものを改訂をして、非常に危険な作業の多い国鉄職員が、後顧の憂いなく業務に従事し得るように、しかして予算の補正なくしても第一項但書によつて支出し得るという解釈をとつて、すみやかに仲裁裁定の内容を完全に実施されんことを私は希望いたしまして、予算総則に対する質問を打切ります。
  46. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 前議会で国鉄総裁にお尋ねした問題が、まだ御返事をいただいておりません。それは全国で一行政管内で鉄道局が三局に分轄されて七るところがあるかどうか。山形県は仙台、秋田、新潟に三分されて、今言われるように給与の上から言うても、ちよいちよい出て行かなければならぬようなぐあいになつている。あんなぐあいにしてよろしいかどうかという質問に対して、答弁をまだ総裁から得ておりません。その後の御調査、お考えはどのようになつておりますか。あのままでよろしいかどうか。ことにあの雪のひどいようなところで、あんな小さな局を分轄して、それでよろしいと思つていらつやるのですか。これは知事以下全県から熾烈なる要求が出ているはずですが、これについてのはつきりしたお考えを承りたいと思います。
  47. 天坊裕彦

    天坊説明員 一行政区域内に鉄道の運営面で局が二つ以上にわかれておるというところは、いろいろあるわけでございます、たとえば今お話になり季した山形県もお話通りであります。そのほか山梨県が長野、東京、静岡にもわかれておる。北海道にも一つくらいありますが、これは四つにわかれておる。昔でもたとえば三重県は名古屋と大阪にわかれておつた。そういうところがあちこちにありますが、その中で特に山形、酒田の地方は、そのために非常に困つておることは十分伺つております。ただ区域の変更という問題は、今お話の不便なり御迷惑をかけている点と同時に、いろいろひつかかりがたくさんございまして、実はどの程度まで修正するかという点についてなお研究中でございまして、はつきりした答え、ここまでは直せる、ここは置さなくても済ませるというような見通しがつきかねておる実情でございます。ただ現実お客さんなり、荷物なりという面で御不便をおかけしておる点がございますが、これはできるだけ直したいと思つて、その面については区域の問題とは別個に、できるだけのことはいたしておるつもりであります。
  48. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 長野県のような大きな県は、常識的に考えてもあそこは考えられることでありましようが、山形県はあの板谷のトンネルからあそこらのところを見て、これは実に不自然ではないかと思つておるのですが、総裁は東北の出身たるがゆえに提案できなくておるような内情を承つておる。何だか我田引水をやつたようになるというので、提案するのを控え目にせられておるのではないか、きようはちようど副総裁がおいでだから特にお尋ねするのですが、総裁は東北出身であつて東北の実情をよく知つておる。雪で困つておる事情もみなよく知つておるから、自分では返事ができなくて保留したのだということをよく聞いておる。そばでそういうところをお考えなすつたならば、もう少し国鉄のサービスの上から考えても、あんなちつぽけな板谷のトンネルから酒田までの間のあのところに三分されておることを、とくとお考えなつたらどうかと思うのであります。今までというようなことでございますが、御善処くださるような意味で御調査を進めてくださるのかどうか、御善処くださる意味においてということに私は重点を置くのですから、そのつもりで御返事を願いたい。
  49. 天坊裕彦

    天坊説明員 区域の問題につきまして非常にお困りというか、問題が大きいところと、まあこれならばがまんしていただけるところといろいろあるわけでございますが、その中で山形のお話は非常にごもつとものところもあるというふうに考えておりまして、十分研究の上善処したいと思つております。
  50. 楯兼次郎

    ○楯委員 ちよつと関連して……。これは先ほどの竹谷委員の関連質問ですが、昨年の本委員会において抜本塞源的な日鉄法の改正ということになると思いますが、特に財務会計制度の改正をわれわれも要望し、かつ運輸当局も次の国会にはぜひ提案をいたしたい、こういう御答をいただいておるわけですが、いまだ一向にこの改正案の用意をしていないわけですが、どのくらい進捗をしているのか、あるいはいつ御提案になるのか、ひとつ承りたいのであります。
  51. 植田純一

    ○植田政府委員 実は日本国有鉄道法の改正につきましては、御説の通り改正案をかねて検討いたしておりまして、最もその必要を感じておりますところの財務会計編の改正案を提出いたしたい、かように存じまして、政府部内におきまして事務的な交渉をいたしておりまして、実はその関係で話がなかなかまとまらない問題がございましたので、今日まで遅れておつたわけでございまして、私どもといたしましても、非常に不本意に存じておつたところでございます。もう大体話がつきそうになりかけておりますので、遠からず提出できる、かように存じておる次第でございます。
  52. 楯兼次郎

    ○楯委員 遠からずというお答えを聞いて喜んでおるわけですが、そうするとこの特別国会には必ず提案をする見通しがある、こういうふうに受取つておいてもよろしいかどうか。それから今大体話がつくといつておられますが、一番困難な対象というのはどこであるかということをひとつお答え願いたいと思います。
  53. 植田純一

    ○植田政府委員 もちろん今特別国会には提出いたしまして、御審議を願うつもりでおります。なお今日まで非常に長引きましたのは、大蔵省との関係の問題がございまして、その点はいろいろと紆余曲折を経た点もございまして、今日まで遅れておるわけでございますが、いずれ提案になりましたならば、その間の問題の点につきましても、各問題につきまして御説明できると思つております。
  54. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 この際航空問題に関し大臣より発言を求められておりますので、これを許します。石井運輸大臣。
  55. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 お手元に(新)日本航空株式会社法案要綱というものを差上げておきましたので、ごらん願いたいと思いますが、かねて日本の航空問題に皆さん方の一方ならぬ御配慮をいただいております。今度の予算で、国際航空のためにできるものに十億円の出資をするという案が出ております。予算案が通過をいたしますれば、この十億円の出資をする会社をさつそくきめなくてはならぬわでありますが、先ほど来国際線につきまして出願が三つほどありました。この三つともに太平洋の南側を通ります。すなわちハワイ径由サンフランシスコに行く線であります。これがそろつて三社ともその線を出願いたしております。北まわりの線、それから欧州線については、どこもまだ出願がないのであります。それで、これを一体どうしたらいいか、そのうちの一つを許すか、どれも自分のとこるは十分国際航空に進出し得る準備ありということを申されまするが、国内線言えもなかなかひとり立ちが困難な状態で、国際線に進出いたしまして、今まで幾多の経験と資力とを持つて雄飛しておりまする会社と対抗して、旅客並びに荷物、郵便の運送をつかさどり得るような会社になるのには、これは相当強力なものでも初めは困難だと思うのであります。それで今の出願三社の一つ一つをどれか選び出すということは、実際上なかなか困難で、それだけの力があるものとも思えませんので、いろいろ話合いをし、研究をいたしました結果、新たにここに航空会社を一つ設立いたしまして、これに出願の三社をすべて吸収する。日本航空も吸収する、それから大阪商船も、飯野海運もこれも吸収いたしまして、でき上りまする会社に向つて、政府は十億円の出資をするという形をとるということが一番好ましい方法ではないか、国内と国際線とを一本にしないで、別々にしたらどうかということも一つ考えられたわけであります。一月末の航空の発達過程から見ますると、まだこれは一本にして、二重な資金の投資というようなこともせずに、力を合せて一つの会社にして、国内線、国外線一本になつて、助け合いながら発達を期して行くということだした方がよろしかろうという結論に到達いたしたわけでございます。その意味においてだんだんと話を進めたいと思いまして、実は本日の閣議において、この要綱によつて閣議の了解を得たものでありますから、とりあえず皆さん方に御心配を願つておりましたので、ここにごひろう申し上げ、なおまたこれの会社設立には相当な期間を要すると思うのであります。これに政府は十億円とだけ書いてありまして、資本金の高も何も書いてないのでありまするが資本金は大体最初二十億の予定でございます。民間十億、政府の出資十億ということにいたしたいと思つております。そうして日本航空会社をそつくりそのままこの中へ吸収してしまうつもりでございます。実際上の運び方は、そのほかの大阪商船、飯野海運等はどういう形で一緒になつて来るかというような技術的な問題がいろいろありますが、これはいろいろ研究いたしております。大筋はそのようにいたしたいと思つております。  これは政府の出資がありますので、このように法律を設けて御審議を願い、特殊会社の形になるのでありまするが、本体は一般の商事会社とかわらぬ経営の行き方をぜひしたい。そこは役人の声のかかつた、あるいは役人の古手の逃げ場所だというようなことでは、世界のはげしい仕事の競争の上には、どんな優秀な人でも、実業界の経験のない人は困難だと思います。社長、副社長と申しますが、代表取締のような立場になる人は、この会社あるいは初めの創立委員から持つて来た人についてばりばりばり仕事のできるような、そしてほかの兼業などでやつていなくて、初めはもうこの仕事に三年でも五年でも没頭して、日夜この仕事に熱意を披瀝するような、りつぱな実業家を首脳部に充ててもらいたい、それを出していただいて、それを運輸大臣が認可するという形をとりたいと思います。そのほかの中の役員は、代表取締の人を運輸大臣が承認いたしますれば、それから先はその首脳になる人がみずから、この陣営なればという人を選んで、どこからひもがついている、どこからの代表者というようなことで、ただ形だけ整えて仕事がうまく行かぬというような弊は、いろいろよく合併する場合には起る問題でありますが、そういうことのないうにやつてもらいたいという希望を私は持つております。それでできるだけ自主的な経営になるように、役所からの監督というものは……。これは国民の金を出すのでありまするから、これを監督する意味においての監督はやりますが、仕事の上はそこの実際を預かる人たちの責任においてやるのだという線で運びたいというのが、今度の案の大体の眼目でございます。まだこれからいろいろの問題が起るる思いまするが、法律案として出しまして、十分御討議を願い、またこの会社がうまく運んで、日本の自主的航空のスタートが切れまするように、皆さん方の御努力を切にお願い申し上げる次第であります。
  56. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 質疑を継続いたします。質疑の通告があります。これを許します。玉置君。
  57. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいま運輸大臣より国際航空の発足について、今日までいろいろと御心配になり、御尽力されまして、本日閣議においてその基本的な問題をとりまとめられたということを聞きまして、私非常に愉快に存じておる次第であります。御労苦に対して衷心より敬意を表する次第でございます。大臣も御承知のように、今日まで東京の大新聞等にいろいろ国際航空の問題について報道がされ、また社説等においてもしばしばこの問題に触れたのを私ども見まして、心ひそかにわが国の自主的航空運営の面に危惧の念を持つておつたわけでございます。ただいまの大臣の御報告によりまして、そうした心配はなくて、完全に自主的な運営が行われるというように私受取つたのでありますが、もし私の表現の仕方が足らなければ具体的に申し上げますが、大臣も御承知のことと思いますので、一応大臣に御所見を伺つておきたいと思います。
  58. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 この会社をつくります場合に、いろいろな問題も十分検討いたしまして発足することになりました。この会社をつくるにあたりましても、出願されました会社の中に、外国の会社と非常に深い関係を持つた出願がありました。こういう方々には、これをつくる場合に種々お話をいたしまして、純然たる出資であれば、株を持つということだけであれば、航空法の規定の許す範囲において賛成をいたしますが、経営にタツチし、あるいはその会社に支配力を及ぼすようなことが約束されておるようなことでこの会社に合流される場合は、お断りせざるを得ぬということをはつきり申し上げまして、みな了承されました。そういう外国の資本はみな入らないことになるような様子であります。  それから国内の方でよくまだうわさの種に上る出願があるのでありますが、これは国際線をきめるという問題から関連して、国内線である日本航空をふところに入れるわけでありますが、まだ国内線の幹線並びに支線に対する出願が何件か残つております。これをどうするかという問題は、御承知のように地方の航空路線を少し開きたいと思いましたけれども、私ども力及ばず、予算上なかなか航空上の設備ができないことになりましたから、そういたしますと、一体地方線はどの程度まで許せるか。それでも経営上困らない、それだけでもやりたいというところがあつて、許せるものが見つかれば、許せるものは許したらどうかと思つております。これはあわせて研究いれしますが、私ども日本国の航空の自主性をそこなうことのないように、十分注意しながらやるつもりでございます。どうか御心配なくおまかせ願いたいと思います。
  59. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいまの大臣の御答弁で内容を大体知ることができまして、私どもも安心いたしたのでありますが、率直に申しますと、今日まで日米航空会社というものができて、これにパン・アメリカの方から三分の一の資本が入つて来る。これは三分の一の出資ということに法律上きまつておりますから、表面の形式上の点では心配がないようであるが、大臣のお話のように、技術、経営その他の面にタツチして来るおそれもある。しかしこれはすでに大臣の御答弁で安心いたしましたから、詳しい数字説明することを省略いたしますが、ただいまのお話によると、そうした外国資本もさしあたりは入らないのである、かよう今に承つたように記憶いたしますが、そのようでございますか、もう一度重ねて伺いたいと思います。
  60. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今度の計画のこの国際、国内を通しましての新会社には、全然入らないことになると思います。私はそういう条件を出しましたところが、それでは多分入らないだろうということでありまして、資本だけ入れないようなところは入つてもらわぬでもよろしい、入らぬ方がよいということを答えましたから、みな多分抜けると思います。国内の方の問題は、出願の中にただいまお話のものがまだありますが、国際線の場合は、私は一個々々に当りまして、全体と折衝いたしましてようやく到達したのでありますが、国内線はまだ話を進めておりません。趣旨は一貫した気持をもつて話を進めたいと思つております。
  61. 玉置信一

    ○玉置委員 国内線は申し上げるまでもなく、鉄道における国鉄と同じように基幹産業でありますので、国内線の会社設立にあたりましても、ただいま大臣のお考えになつている方針で進められることが非常に望ましい、私はかように考えております。それから日航が解散して新しい日本航空というものが生れるようでございますが、私は今日までの日航自体の経営につきましても、実は相当検討すべき要があるということを、あらゆる点から調査いたして参つたのであります。幸いに大臣のお話によりますと、経営の任に当る者はその経営のエキスパートをすえるということでありますから、これまた私ども心配のないことがわかつたのでありますが、どうかあくまでも独占的な事業であるという思想を持つ者は、この経営の任に当ることは遠慮してもらいたい。高度の公益性を持ち、しかも国が十億の出資をするということになれば、なおさらそうした点に思いをいたしてもらうように、政府には陣容等につきましてこの上とも御留意くださいまして、国際、国内の航空運営の面に万全を期したい、かように思いますので特にこの点大臣に御希望を申し上げまして、もしお考えを承ることができますれば伺つて質問を終りたいと思います。
  62. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 関連して……これは実にわれわれは急速の発達を希望する次第でございますが、政府が十億円をとにかく出資しして、半額を担当するということでありますから、今のうちは会社の希望する路線でよろしいといたしましても、将来もうかるものの方だけはやるけれども、他に希望してもなかなか容易にやらないというものが出て来るだろうと思う。そのときに十億円を出している政府として、どういうことを言い得るかという点は、御研究なされたものとは思いますけれども、今日の場合においてはかようなことは心配ないと思いますが、会社の要求している路線でもなかなか一ぱ一ぱいいでございましようから、われわれは努めてこれに同情し、協力して、発達を促進して行かなければならならぬのでありますが、先に行つて今のような問題が起つたときに、何らか政府の方において、会社に、この方面にも何とかしたらどうだろうというようなことを言い得るものなのかどうか。会社から希望させるように、内密になれなれしくやらせるという方法もありましようけれども、それはなかなか会社が聞かないというときがあるだろうと思います。そういうときに政府として発言の資格があるものだかどうか、それらの点だけは考えておいてよかろうかと思つて質問いたします。
  63. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 まことに取越苦労のようなことでありますけれども、そういうことを実際考えておく必要があろうかと思いますが、ようやく世界の線の一本に点を打つだけでおります。これは十億円出資と申しますが——これは一円でも十円でも国民の税金であるということを考えれば、おろそかになりませんが、この事業から考えますと、十億、二十億は実に微々たるものでございまして、大体私の腹づもりは——いずれそういう問題も詳しくお話申す機会もあるかと思いますが、台数で、国内線は今の路線に今度飛行機が二台ほどよけい就航しますから、九州に二回、北海道に二回、大阪に二回、大阪は自然四回ということになりましようが、そういうふうなことに六台の飛行機のDC4というのが予定され、国際線にDC6というのが三台予定されております。これは大体話がついておりますが、これによつてようやくサンフランシスコまで週に二回行くつもりであります。やがてこれを南米まで延ばしまして、南米の日本の一世、二世の人たちの日本との往復に資するようにしたいと思うのであります。それからヨーロツパ線に出て行くというようなことは、最小限にしても大体百億の金がいるだろうと私は思います。そういう場合に、資本金をどういうふうにするかというと、資本金が四十億、借入れ六十億というくらいのところが無難ではないかと思つておりますから、もう一ぺんこれだけの増資をしなければならない。そのときに、あとの十億を政府が約束してこれを出しているかというと、それはまだないのであります。将来の大きな計画としては、これだけではいかぬということはわかつておりますが、政府部内でも、今年十億出して、来年十億出そうという話までまだ至つておりませんが、どういう方法でもそこまで行かないと第一期計画ができないと私は思つております。  それから国内線の問題等がそこで起つて来ると思います。今お尋ねの趣旨は大体国内線の問題だと思いますが、国内線では、このほかに航空審議会の答申によりますと、国内支線と申しまか、今のを幹線としますと、そのほかにずつとほかへ行くのを支線といたします。これは大体二つくらいの会社に許したらどうだろうか。地域的にどこかでわけて二つぐらいにできないだろうかというものが出て参ります。これに対して出願が現に四つ出ております。こういう人たちを見ますと、それは飛行場のあることを前提として考えているようでありますが、相当おもな町をつないではあります。これがさつき申しましたように、このごろの航空というものは、私どもが昔朝日新聞で帝国航空を始めたときのように、飛行場というか、空地があればすぐ定期航空というようなことをいばつて言い出した時代と違いまして、空の設備、陸の設備等なかなかむつかしくて、簡単に始められないものでありますから、少し遅れるかと思いますが、でき次第始めまして、なるべく早い機会に事業をいたしたいと思います。それに対して、この会社に政府は発言権があるかと申しますと、その会社はさつき申しましたように、国際線と国内幹線だけにとどめたいと思つております。支線の方は別問題でありますが、これはそういうふうなところで利益のある線をやつてさらにそれに関連した線もやつて行く、それはうまく行かないけれども、こそがぜひ必要だという問題になれば、おのずからそれを何かの方法援助し得るような、補助金といわないでも、実質的な援助を何かしてやらせるような問題が考えられるのではないかというふうに思つております。なるべく全国に行きわたることはもちろん望ましいことでありますから、その心持で行きたいと思います。
  64. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 私ただいまの大臣の御説明を承つて、非常に心強く思うのですが、私はただこの十億円をもつて足れりとするものではない一たびこういうあんばいでやつたならば、ほんとうは国がまだまだやるべきなので。そういう意味で金は出す、この線はやるというようにやらせるべきものだと思いまして、先ほどの質問をいたした次第でございます。国内線については、他にまだお考えのあるお含みの御答弁でございますから、私は大臣の本問題に対する将来を見通しての熱意がはつきりわかりましたから、安心いたしますと同時に、いとど遅れているこの航空事業について、急速に、列国に負けないようなところまで行かしむるように一段の御奮発をお願いしまして、私の質問を終ります。
  65. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 永田良吉君。
  66. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私は国内線の航空路の延長について、大臣の御意見を承つておきたいと思います。ごらんの通り国内線の幹線は、北は北海道の千歳、南は博多の板付になつている。これにつきまして、私は幹線を九州南端の鹿児島まで延ばしていただきたい。その理由は、現在日本国際航空会社がやつている博多線の航空路は、今鉄道と航空機との連絡がついていない。私はたびたび乗りますけれども、ここ定時半に立つて行くけれども、博多に行つた際には、鹿児島行の十二時十五分かの汽車には間に合つていない。これはあなたも九州の御出身だから特に御承知だと思うが、私の鹿児島や宮崎、それから熊本、長崎県の方面は、あれに遅れますと、夜の急行の十一時まで待たなければならぬ。そうします。と十一時の急行に乗つても、鹿児島には明くる朝の七時に着きますから、十三時間待たなければならぬ。南九州地方の人は非常に不便を感じておる。ただいま大臣のお話によりますと、近く日本航空が大台にする。そうなれば一日二回になうて、あるいは連絡がつくかもしれませんが、どうしても将来空と陸と海との交通を立体的に結びつけるという観点から、ぜひこれもひとつ御研究を願いたい。できますものならば、鹿児島まで線を延ばしていただきたい。私はあの地方のことはよく知つておるわけでありますが、現在鹿児島の海岸にある飛行場は、むろんローカル線として十二、三人乗りは使えるだろうと思いますが、さらに大型の五、六十人乗りはとてもむずかしいと思う。しかるに大隅の鹿屋の海軍航空隊の跡には、ごらんの通りりつぱな飛行場があつて、しかもこれは滑走路も相当大きなものがあります。これが終戦後そのままになつてつて、たまにアメリカの飛行機が不時着をやるぐらいなものである。ところがこれは私ども地元民としても、三百何町歩を出して犠牲を払つてつくつたのです。今では保安隊が演習ぐらいには使つてくれますが、どうしてもあそこに航空路を開設していただきたいということを要望しておるのです。あそこであれば、多少不便もありますが、南九州地帯という点から考えると、都城市、日南市、鹿児島県の半分は便利を受ける。あそこまで国内航空路を延ばすためには、相当施設がいります。鹿児島にローカル線をやるのに、鹿屋までやるのは少し御迷惑かもしれませんが、しかし今ある滑走路を使つていただきますれば、将来あの地方がたいへん助かると思うのであります。なおまた将来国際線を考えた場合には、板付から沖縄に飛んで、フイリピン、欧州航路に連絡すればいいのであります。またわれわれ南九州の者から考えますと、将来南方に発展をする場合に、鹿児島からローカル線で福岡に行つて、乗り直して南方に行つてもいいのでありますけれども、向うから来る人も、たまには観光関係から見て、鹿児島にも着陸したいと思う人がおるかもしれぬ。そういう点から考えまして、九州南端に国内航空路を延ばしてそれが将来国際航空路の不時着場としての考慮を払つていただくことは、日本の将来の航空の発展から見て、また経済、文化の点から見ても大事なことだと思う。しかるに南九州の方の国内コースと、国際的な航空の立場から見て、今日本の政府のやられるところはそれを閑却せられておりはせぬかと思つて、その点を心配しておる。これはただちにということではありません。今大臣から御説明があつた通り日本の民間航空の将来は、よほど資本もかかるし、また周到な計画のもとにやつていただかなければ、実現困難だと思うのでありますが、以上の点からあそこの国内コースの延長は、国際的な立場からも多少考慮を払つていただく価値があると思うので、大臣の御意見をこの機会に伺つておきたいと思います。
  67. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今通つております本線では、福岡でちよん切られおりますが、しかし鹿児島まで何らかの線を延ばしたいということは、この間の予算にも、四国のある地点と九州では鹿児島の調査から進んで、不時着場の整備までやつて飛行機が飛ぶようにという計画でありましたが、残念ながら今度は調査しかできなかつたのであります。ということは、やがて最も早い機会に飛行機が飛び得るようになると思うのであります。どういうふう飛行機を飛ばすかということは、あまり大きなものを初めからむやみに飛ばして、デモンストレーシヨンになつても、お客が少くて採算がとれなくては、やはり商事会社でありますから困る。それとにらみ合せて、だんだん多くなれば回数を増し、機体も大きくするということが考えられます。なるべく早い機会に、今日本の南の端でありますところまで飛ばしたいということを考えております。そのために今後とも努力をいたすつもりであります。
  68. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今大臣の御説明にもありました通り、鹿児島の位置としては、板付からのローカル線のコースとしても九州の最南端にあります。なおまたお説の通り、大阪から四国を経て別府から宮崎、鹿児島、この線との交叉点になつております。私は日本の国内のコースの中では、どうしても鹿児島を第一に早く実現していただきたいという要望を持つております。それに今年の予算がとれなかつたことはたいへん残念に思う次第ですが、願わくぼ、ああいう未開拓の地方もすみやかに航空路を開くことによつて、開拓せられるように要望する次第であります。鹿児島県は日本の最南端であります。いろいろの県や町村から中央に請願、陳情等に来る。文書によつても航空便があれば早く着く。皆さんごらんの通り日本国中の人が政府に向つて陳情が押し寄せておる、われわれの鹿児島から来るにはよけいの経費がかかるので、他の府県と競争ができぬ。その結論としては、請願か陳情等の文書を速達するよりほかに道がないと思います。こういう点から見ても、あそこは最も不便を感じておる。こういう観点からすみやかに航空路が開設せられるようお願いしてやまない次第であります。
  69. 臼井莊一

    ○臼井委員 大体大臣の御説明でわかつたのですが、実際国際競争となると、優秀なものを他の会社が持つて来るでありましようし、現在の資本金で足りぬということは、ただいまの大臣の御説の通りであります。この十億出資することになりましたのは、資本金二十億の半額の五〇%を出資しようという考え方からでありますか、それとも十億程度は資本金のいかんにかかわらず出資をしよう、こういうお考えでありますか、従つて将来増資というような場合にも、やはり半額だけは政府で持つて行くのであるというお考えか、先ほどのお話では将来のことは考えないようでありますが、その点をちよつとお伺いいたします。
  70. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 これは会社を設立するのには、航空会社として二十億くらいます基本的にいるだろうというラフな計算で、これだけの資本があれば、それの倍近くまで金融の道もつくだろうということも想像いたしております。できれば初めかち二十億くらい出して、五十億の会社ということにして行けばなおよいと思いましたけれども日本の貧乏な財政状態考えまして、十億を初めに出してこれをお願いしておるような次第であります。それから将来百億くらいいる、資本が四十億、借入れ六十億というようにラフに考えましたのももう一つあるのであります。そのときに政府がどうするかという問題、実はそこの話合いはしておりませんけれども、私は政府の出資ももう一ぺんやつていただきたいというふうに思つております。それが来年になりますか、あるいは再来年でいいか、スタートしてみなければわかりませんが、私の心持はそういうふうに思つております。将来とも伸びるにつれて政府が半分だけ持つかというと、私は政府が少くとも半分持つということにあまりこだわる必要はないと思います。幸いにいたしましてこういう会社が経営もよく、いろいろな情勢からして経営が立つようになり、そして民間の資本も集まつて、役所の出資があつて役所から一々何やかや言われたくないというくらいな勢いまで、この会社が伸びることができましたときには、政府はこの資本金を民間に引渡して引下るべきだと思つております。その心持でやつて行きたいと思つております。
  71. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は運輸大臣に航空法の精神についてお尋ねしたいと思うのでありますが、航空法の規定によると、外国人の資本が三分の一以上あるいは役員を三分の一以上占める場合には、日本の航空会社として免許を与えるようなことはしない、こういう規定があるのでございます。しかし実際問題として、資本は三分の一以下であり、役員は人数において三分の一以下であつても、実質的にその会社を支配するような場合が多々起ると思う。飛行機を全部借りて来る、あるいは飛行士も借りて来る、その他いろいろな援助を受けて、その会社の資本金は二億円であるが、外国から百億の資金を仰いでおるような場合には、実質的に外国人の支配を受けざるを得ない結果になると思うのであります。ところがすでに廃止になつたポツダム政令の国内航空運送事業会といいましたか、あの規定には、実質的に外国人が支配する会社には、航空事業の免許を与えないということが書いてありました。こういう規定を形式的に見ますると、国内航空法の方が、前の廃止になりました国内航空事業会よりも、ある場合には実質的に支配するような場合も見なければならぬ結果になるのではないか、これをわれわれは非常におそれるのでありますが、やはり前に廃止になりました国内航空事業会の趣旨によつて、新しい航空法の規定を解釈する、かようにお考えになつているかどうか、それを第一にお伺いいたしたいと思います。
  72. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 航空法の三分の一ということは、それから見ますると、形式的にそうであればどういうものでも許すというふうに見えますが、何がゆえにこういう制限を置いたかといえば、日本の航空事業を外国資本に蹂躙されない、日本の自主性を失うべきものではないという精神でつくられたものだと私は思つております。その通りにいたしまして、出願されるものについても、ただ形式的の資本金の三分の一の問題だけ考えずに、実質的に日本の航空界が支配されるやいなや、要するに経営権を外国人が持つやいなやということによつて判断すべきだ、私はその線に沿つて承認して行くつもり下おります。
  73. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 航空法の規定の精神は、単に形式ではなくて、実質的な日本の航空事業に関する自主権を守るための規定であるという運輸大臣のはつきりした御答弁を得まして、私は満足に思います。  次に、私ただいま公職選挙法の小委員会があつてちよつと中座したので、あるいは他の委員から御質問があつたかもしれませんが、ただいま手元に配られました(新)日本航空株式会社法案要綱の第一に、「国際線及びその基盤となる国内幹線を経営することを目的とする」とありまして、今回の航空事業に対する十億の出資は、国際線を目途としておるようでありますが、同時に国内線もその中に含めて経営をするという方針のようでありまして、今回の航空事業に対する十億の出資は、国際線を目途としておるようでありますが、同時に国内線もその中に含めて経営をするという方針のようでありまして、この点はたいへんけつこうであると思いまするが、ここにいう基盤となる国内幹線というのは、現在札幌、福岡などに行つておりますものだけであるか、その国内幹線も含んでおるかいないか、これをお尋ねしたいと思います。
  74. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 そこをよく言われますと、はつきりせぬものがあるように思いますけれども、私ども国内の幹線は、相当りつばな設備があつて、大きな飛行機の着き得るような設備のあるところ、国際線の飛行機くらいのものが着き得るような設備のあるところと思つております。現在やつております路線が私どもの言う幹線とこう思つております。そのほか裏日本の線であるとか、あるいは四国、そのほかに数社出ております会社、それの中に適当なものがありますれば、その支線としてこれに関連してやつたらよかろう、こういうふうに思つております。
  75. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大体わかりましたが、その場合現在経営しておる東京、札幌間あるいは東京、福岡間というような、同じところでもステツプ・バイ・ステツプで小さいところを経営して行くという御説は、いわば国内幹線以外の経営であるから、別途会社に許可する場合もあるということになりますかどうか。
  76. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 そういう場合もあり得ると思います。
  77. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 次にこの間われわれは羽田飛行場を視察に参りましたが、新日本航空株式会社というものができました場合を考えればなおさらであります。現在でも日本使つておる羽田飛行場の施設はきわめて狭く、貧弱であつて、とうてい新しくできます日本航空株式会社の施設としてはどうにもならない、従つてアメリカから返してもらわなければならぬものが非常に多いだろうと思いますが、これに対してどうお考えでありますか。
  78. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 ごらんいただきました通り状態でございまして、ぜひ一刻も早く、かつできるだけ広い地域を日本側に解放してもらいたいという強い念願を持つておる次第でございます。これはしばしば合同委員会、その下にありますサブ・コミテイーである航空委員会におきまして論議を重ねて、努力をいたしておる次第であります。今後もなお一層力を入れまして、この実現をお願いするつもりでおります。
  79. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 ぜひどうかそうしてもらいたいと思います。それから民間航空の飛行場として、一応七つの飛行場が指定になつておるようでありますが、その中で仙台の飛行場は、現に民間飛行機はまだ離着陸しておりません。前には仙台の松島と称されて、実際は矢本という飛行場であつたろうと思いますが、これが仙台から一時間半以上も自動車でかかり、不便のためにまだ利用されておらぬ現状でありますが、そうすれば一体仙台の飛行場はどこをお使いになるのですか、それをお尋ねいたします。
  80. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 占領中いろいろの事情がございまして、矢本飛行場を使つて民間航空を開設すべく、予算的措置その他を講じてその準備を進めて参つたわけでありますが、御指摘の通り矢本の飛行場は仙台から四十八キロもございますし、道も逐次改良はされておりますけれども、一時間半では、相当のスピードも出さなければならないということでございまして、都心から相当に離れておりますので、他に適当な飛行場はないかと考えていたわけでございます。途中霞目というものも考えたわけでございますが、これは御存じのような高圧線の関係で使えませんので、矢ノ目の飛行場は現に陸軍が接収しておりますが、この飛行場はそう向うが使つているわけでもございませんし、かつ仙台から十八キロでございまして、道路もきわめて良好でございます。ただ阿武隅川が氾濫するというようなこともあるそうでございますけれども、将来の仙台地方におきまする空港としてはここたが適当ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。ただ矢ノ目飛行場の整備等を勘案いたしまして、中型機が早く入つて来まして、仙台に行けるというよう状態が予想より早く参りましたならば、あるいは一時的に矢本を使うということがあるかもしれませんが、仙台地方における空港としては、今のところ矢ノ目が適当である、こういふふうに考えている次第であります。
  81. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 ところがその矢ノ目は今滑走路が相当こわれておつて、そのまま使えない。これは地元ではすみやかに飛行機が寄つてもらいたいという要望がございますが、燃走路のその他予算措置はどうなつているか、これを伺いたい。
  82. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 その予算措置は大体・見当をつけまして、目下細目を大蔵省と折衝しておる次第であります。     —————————————
  83. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 この際お諮りいたします。道路運送改正法に関する小委員長より、小委員会において参考人を招致いたしたき旨の申入れがありましたので、これを許し、その参考人の選定につきましては、委員長及び小委員長に一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十四分散会