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天坊説明員 ただいま
正木委員から
国鉄の現状について御意見と申しますか、意味深長なお話を伺いました。また現在の
国鉄がいろいろと欠陥と申しますか、まだ不備な点をたくさん持
つております点について、それを補うために私
ども国有鉄道の従事員が一生懸命や
つている、それに感謝する
というようなお話を承
つて、私
ども非常に感銘深く感じた次第であります。今の
正木委員のお話にもございました
通り、また前国会その他国会のありますたびに、いろいろと国有鉄道の
実情につきまして御
説明申し上げているのでございますが、交通機関
といたしまして一番生命と申すべき
運転の安全
というようなものにつきまして、最近と申しますか、昨年、一昨年と次々と大きな事故がございましたりして、国民的に
国鉄の安全感についての信頼
という点に疑いを持たれるような輿論が出て参りました
ということは、私
どもとしてまことに申訳なく存じている次第であります。私
どもといたしましては、すでに何度か申し上げたと思いますが、戦争中の保守上の手入れ不足
というようなものが、いまだ十分回復しておりません。これを何とか早く回復して、安全
というような点について不信を持たれることのないようにぜひしたい、さように考えまして、一番危険を感じておりますようなもの、たとえば線路の折損を防ぐために線路の取替を多くするとか、あるいは車両のバネが折れて事故を起す、こういうようなものにつきまして、直接そういうものに重点を置いていろいろ取替をや
つて進めて参
つているわけであります。それにつきまして、もう少し思い切
つて一時的に金を投じたならば、そういう点がもつと早く解決できる一そういうような点を考えまして、昨
年度の国会におきましても、こういう手も講じていただいたならば
ということを、いろいろ考えて参
つたのでありますが、必ずしも私
どもの考え
通りの方策ができる
というところまで参りません。従いましてその整備の進捗
状況というものも、私
どもの考えておりますほど急速度に回復が一ぺんにできない。その点ははなはだ残念でありますが、しかしながら逐次一歩々々一番危険と考えられるようなところから手をつけまして、徐々に回復して行きたい。一例を申し上げますれば、たとえば線路が折れる
というような事故は、戦前にはほとんど数え立てて言うほどの数がなか
つたのでありますが、戦後の状態はそれが一日に十五、六本も折れることがある、こういうようなことでありまして、昔の鉄道の人に言わせると、線路がそんなに一日に何回も折れる
というようなことは考えられない
というような事実があるのであります。線路の折れることが、従事員の
努力によ
つて、大きな事故にならないで、未然に防いでおるのが現状であります。しかしながらこれも列車回数の多いところからそれを直す、見まわりをよくする
というようなことで、逐次直して行く。この事故の問題は御承知の
通り、一方では速度がはげしくなれば危険が多くなる
ということで、速度をゆつくりやれば一応技術的には安全である、こういうような相対的な
関係もございますので、その辺を勘案しながら、片方で資金の状態をにらんで、一番危険と思われるようなものから逐次直しているわけでありまして、急速にはできませんが、徐々によくしつつあるわけでございます。特にこういう鉄道の安全
という点につきまして、国民的に不信を来される
ということはゆゆしき大事と思いますので、そういうことのないように
努力いたしていることだけを申し上げておきます。