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1953-02-23 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十三日(月曜日)     午後一時三十九分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 田原 春次君 理事 正木  清君       江藤 夏雄君    玉置 信一君       徳安 實藏君    中野 武雄君       永田 良吉君    山崎 岩男君       臼井 莊一君    河本 敏夫君       吉川 大介君    熊本 虎三君       竹谷源太郎君    楯 兼次郎君       武知 勇記君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  吾孫子 豊君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 二月二十一日  委員岡田五郎君辞任につき、その補欠として伊  能繁次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十日  木船保険法案内閣提出第七五号) 同日  自動車運送事業免許制度廃止反対に関する請願  (植原悦二郎紹介)(第二三〇一号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二三〇二号)  大森駅に貨物小口取扱業務復活等に関する請願  (松岡駒吉君外一名紹介)(第二三〇三号) 同月二十一日  みつばちの鉄道運賃引下げ等に関する請願(原  茂君紹介)(第二四七一号)  延岡、日ノ影間にガソリンカー運転請願(甲  斐政治君紹介)(第二四七二号)  目ノ影、高森間鉄道敷設請願甲斐政治君紹  介)(第二四七三号)  八戸、北福岡間国営自動車運輸開始請願(山  崎岩男紹介)(第二四七四号)  鉄道線路地上げ工事促進に関する請願粟山博  君紹介)(第二四七五号)  岡崎、多治見間鉄道敷設請願小林かなえ君  外二名紹介)(第二四八六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員及び小委員長選任に関する件  木船保険法案内閣提出第七五号)  海上保安官に協力援助した者の災害給付に関す  る法律案關谷勝利君外九名提出衆法第三四  号)  運輸行政に関する件     —————————————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  木船保険法案議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。石井運輸大臣
  3. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま上程されました木船保険法案について説明申し上げます。  木船は、いわゆる機帆船、はしけ、引舟等を合せまして総計約二万八千隻、約百十万総トンを擁し、機帆船について見ましても、その輸送量は内航汽船の二倍以上であつて国内輸送上きわめて重要な地位を占めているのでありますが、木船海運業は概して零細企業でありまして、その大部分がいわゆる一ぱい船主で、みずから家族とともに乗り組んでおりまして、木船木船船主にとつてその全財産と言つても過言でなく、また唯一の生活手段でもあるのであります。従つて木船の滅失は、一方において国内輸送の円滑な運営を阻害するとともに、他方において木船船主生活の困窮に陥れ、社会問題化するおそれがあるのであります。  しかるに木船は、鋼船に比し危険率が高く、従つて保険料も高く、また木船船主側にも保険思想の普及が遅れているため、木船保険営利保険の対象としては不適当な弱体保険であります。  このため昭和二十五年、船主相互保険組合法が制定され、木船船主相互に相集まつて結成する木船相互保険組合によつて相互保険を行い得ることとなつたのでありますが、この木船相互保険組合保険事業には再保険を引受更ける機関がないのでありまして、これは保険事業として危険きわまりないものであります。また現在の木船相互保険組合は、発足後いまだ二年を経過したばかりで、その基礎も弱小で、信用度も微弱であり、付保隻数も全機帆船の一割にも満たない状態でありますので、これらの弱点を是正補強するため、新たに木船保険特別会計を設けて政府が、木船相互保険組合の負う保険責任を再保険し、もつて木船相互保険組合の健全な経営を確保するのが、この法律案提出する理由であります。  次にこの法律案の概要は、木船相互保険組合とその組合員との間に保険関係が成立したときは、同時にかつ強制的にその保険金額の百分の七十を政府に比例再保険することといたし、政府がこの再保険事業を行うために要する木船保険特別会計事務費は、一般会計から繰入れて国庫で負担することといたしますとともに、政府木船相互保険組合保険責任を再保険することとなつたために、弱小な木船相互保険組合が濫立することを防止し、木船相互保険組合及び政府木船保険事業の健全な経営を確保するため、附則において船主相互保険組合法を改正し、従来付保隻数百隻以上となつていた木船相互保険組合設立要件を、付保隻数三百隻以上に改正するものであります。  なお、木船保険制度実施に要する経費及び木船保険特別会計予算は、昭和二十八年度政府予算案に計上せられております。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 本案に対する質疑次会より行います。     —————————————
  5. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案議題とし、これより質疑に入ります。質疑がありますればこれを許します。         ————— 質疑がなければこれを省略するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なければさよう決します。これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  討論通告もありませんので、これを省略するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議なければさよう決します。これにて討論は終結いたしました。  これより採決いたします。本案原案通り可決するに賛成の諸君の起立をお願いします。     〔総員起立
  8. 逢澤寛

    逢澤委員長 起立総員。よつて本案原案通り決すべきものと決しました。  なお本案に対する報告書に関しては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければさよう決します。     —————————————
  10. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に前会に引続き運輸行政に関する質疑を行います。通告順にこれを許します。正木君。
  11. 正木清

    正木委員 運輸当局にお尋ねをしたいと思うのでございますが、休会前の国会におきまして、旅客並びに貨物料金の一割値上げ実施を可決したわけでございまして、これがすでに実施の時期に入つておるわけでございます。そこで国鉄としてのその後の営業の実績は一体どうなつておるか、これをお伺いしたいのでございますが、会計年度も三月を残すだけになりましたから、おそらく各月実績数字がまとまつておると思うのでありまして、数字基礎にしてお答えを願いたいのであります。
  12. 植田純一

    植田政府委員 実は各月資料ができておりますが、いずれ国鉄当局が参りますので、詳しい数字的な説明国鉄当局からお話し申し上げると思いますが、大体大ざつぱな点でよろしゆうございますなら、私からお答え申し上げたいと思います。  一月十五日から旅客運賃値上げがありまして、また二月から貨物運賃値上げがございましたが、暮れにおきますところの炭労スト影響が、今日におきましてもいわゆる滞貨の面におきましてまだ十分ぬぐい切れておりません。そこでほんとうに運賃値上げの純粋な影響と、それから炭労ストの余波と申しますか、滞貨がまだ一掃できないというような関係とこんがらがつておりますが、収入の面から申しますと、一月におきましては旅客収入予定収入に対しました二億円の増収貨物収入におきましては予定収入よりも三億の減収なつており、差引一月におきましては予定収入に比べまして一億の減収なつておる、かような実情でございます。もちろんこの一月は、貨物運賃値上げは二月からでございますので、貨物運賃値上げ関係はございませんが、予定収入よりも貨物におきまして三億の減収なつておる、かような実情でございます。二月に入りまして貨物運賃値上げが行われましたが、先ほど申しましたように、今日でも百四十万トンばかりの駅頭滞貨がございます。これの一掃に努力いたしておるわけでございますが、二月に入りましてこの貨物運賃収入増加によりますところの影響は、この上旬あたりまでにおきましては、まだ十分はつきり出ておらない。さような状況で、先ほど申しましたように、数字的なより詳細な資料につきましては、国鉄当局から説明していただきたいと思つております。
  13. 正木清

    正木委員 私の質問の第一項の貨物旅客運賃値上げのその後の実績等については、国鉄説明員出席してからあらためて質問をいたすことにしまして、その次に移りたいと思うのでございますが、二十八年度国鉄事業計画編成にあたりまして、運輸当局は当然主務監督官庁でございますので、事業収入基礎となりました、われわれに配付になつ資金計画のうちの第二表の、輸送人員増加の一・二%、輸送トン数の一・三%の増加率というものは、この基礎は一体本年度実績基礎にして割出したのか。それとも一口に申し上げますと、日本経済世界経済一環であることは議論余地がございませんが、わが国経済動向というものの見通しを立ててのこの事業計画案であるのか。当局としての事業計画編成するにあたつて一つの心構えとでも申しましようか、それに対してひとつ具体的に御答弁を願いたいと思ひます。
  14. 植田純一

    植田政府委員 実はこの結論を出しますまでにおきまして、いろいろの角度から検討いたしまして、結論的にこういう結果になるということを妥当と認めた次第でございまして、この点のきわめてこまかい資料と申しますか、考え方につきましては、資料提出してごらん願つた方がいいじやないか、かように存ずる次第でございますが、そういうふうに御了承願いたいと思います。
  15. 正木清

    正木委員 委員長にこの席上から要求いたしておきますが、この事業計画編成にあたつて基礎となりました当局としてのいろいろ計画書と申しましようか、その書類は、資料をもつて提出を願うということを要求いたしておきます。  ただここで、そうした基礎的な数字を私が見せていただく前に、一般論として、国鉄として従前の実績基礎にして編成したのか。それとも経済動向というものを基礎にして編成したのか。この点は私ども国鉄の来年度における事業計画その他万般に対する審議にあたつては、非常に重要と思いますので、この点だけ明確に御答弁願いたいと思います。
  16. 逢澤寛

    逢澤委員長 委員長かう正木さんにお答えいたしておきます。今御要求の点は、私からも要求しまして、提出さすことにいたします。
  17. 植田純一

    植田政府委員 これは本年度実績予算に対しまするところの趨勢等を勘案いたしまして、その増加の実際の趨勢と、あわせて今後の経済界見通しというものを基礎にいたしまして、この増加比率というものを妥当と認めたわけであります。
  18. 正木清

    正木委員 国鉄総裁が御出席になられたようなので、私は重ねてお尋ねするわけでございますが、あなたが御出席にならないので、運輸当局から御答弁をいただいのでございますが、詳細のことはわからない。そこで重ねてお伺いするのですが、旅客貨物料金の一割値上げが完全に実施された。それで会計年度ももう三月が一月しかないわけですが、この各月事業成績の実態というものが、あなた方がお立てになつた通り軌道に乗つて実施されているのかどうか、この点を数字をあげて具体的に御答弁願いたいと思います。
  19. 天坊裕彦

    天坊説明員 経理局長から、数字をあげて説明いたさせます。
  20. 高井軍一

    高井説明員 十二月末における予定収入収入実績との関係でございますが、十二月末におきましては、旅客貨物雑収入を合せて一千六百二十七億余というものが収入実績なつております。それで一月の推定でありますが、御承知のようにこの決算実績は前年度対比とか、その他の関係もありますので、推定をいたして参りますと、一月は——ちよつと全部の収入のトータルをここに今持つておりませんが、旅審は百五十六億が実績なつております。それに駐留軍収入その他があるのでございますが、駐留軍はずつと遅れて参りますので、ここでは運輸収入旅客その他の収入を申し上げます。それで二—三月の取扱いの予定でありますが、これは今までの情勢その他を見て参りますと、二—三月で推定決算は三百五十九億八千九百万円、約三百六十億といのふうに推定をいたしております。そういたしますと、運輸収入が十二月末と一月の実績、二—三月の推定を合せますと、年間決算見込みが二千四十四億でございますが、これに対しまして補正予算が二千三十九億ということに相なつておりますので、現在のところ運輸収入といたしましては、四億余というものが補正予算に対しまして増収なつておるということに相なる見込みでございます。但し駐留軍収入の方が予定よりも悪うございまして、これまた三月末までの推定を入れますと、年間の決寡見込みが百三億九千万円に対しまして、補正予算は百十億ということになつておりまして、六億七千万円余というものが不足いたしております。それに雑収入の方におきまして収入予定よりも一億六千万円程度のものが増収が見込めますので、差引きいたしまして八千四百万円程度のものが、補正予算見込みに対しまして不足するのじやないかというふうに現在のところ見積つております。
  21. 正木清

    正木委員 その点で重ねてお尋ねいたしますが、おそらく炭労争議等によつて一時貨車の運転に不円滑を来したと思うのでございまして、ただいまの監督局長の御答弁の中でも、その当時の滞貨処理もいまだ十分に解決されておらないという意味のことがあつたと思うのでございますが、ただいまの御答弁のその数字は、現在滞貨処理が十分にできておらないものが、期末までに完全に処理ができたという上に立つての御説明でございましようか。その点もう一度明らかにしておいてもらいたいと思います。
  22. 高井軍一

    高井説明員 これは現在の輸送力その他を勘案いましまして、滞貨が一掃するとはもちろん考えておりませんが、現在の滞貨状況から見まして、この程度収入は上げられるというふうな見込みでございます。
  23. 正木清

    正木委員 では重ねて国鉄当局が御出席になつたのでお尋ねしたいと思うのでございますが、委員長に正式に要求いたしまして、詳細な点は書類提場出をしていただくことになつたのですが、二十八年度国鉄事業計画編成にあたつて、特に運輸収入基礎となりました人員増加率並びに貨物増加率というものは、われわれ配分を受けましたこの資料の第二表の資金計画の中では、人員においては一・二%、輸送トン数においては一・三%の増加率が出ておるわけでございます。この増加率基礎数字というものの基礎なつたものは、国鉄としては従来のいろいろの実績基礎にしてこうなるであろうとい基礎を出したのか、それとも一面世界経済一環であるわが国経済動尚、特に二十八年度経済動向というものの見通しをも組んで、その上にこういう事業計画を立てたのであるか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  24. 高井軍一

    高井説明員 まず旅客輸送量を申し上げます。旅客輸送量は当初予定をいたしましたときは十月までの実績を見たのでありますが、予算決定その他で十一月末までにおきます対前年度からのふえ方というものを見まして、それで地区別波動がありますので、それを調整しまして輸送人員をきめたのであります。  貨物におきましてはどういうぐあいに見るか、日本経済がどういうぐあいをたどるか、いろいろな見方考え方があると思うのであります。しかしそれとともにいろいろ検討を要する点があるのでありますが、一応私ども見方といたしましては、石炭輸送が相当ふえる、それがことしの実績は一億六千万トンの予定でありましたものを一億六千二百万トンということで、二百万トンの増送を貨物で見たのであります。しかし電源開発とかその他の輸送数量については見ておりませんので、そういうような事項が決定しますれば、輸送数量、従いまして収入というものはプールをかえなければならぬとさように考えておりますが、現在のところは石炭増産の分だけを見ております。従いましてこの輸送のキロと申しますか、輸送距離につきましては石炭輸送は非常に短距離であります。輸送トンキロといたしましてはふえ方が非常に少なくなつており増すものと石炭増産関係は見ております。
  25. 正木清

    正木委員 そういたしますと人員増のことは別といたしましても、貨物輸送トン数等においては相当内輪見積つている、こういうように私考えて間違いございませんか。
  26. 高井軍一

    高井説明員 内輪見積つておるかどうか、ちよつと私はつきり申し上げかねるのでありますが、要するに貨物の今までの実績を見まして、あとに大きく動くであろうと申しますものは、石炭増産関係だけを見ておるのでありまして、ほかの先ほど申し上げました開発の点につきましては、数字としては見積つておりません。
  27. 正木清

    正木委員 この問題で重ねてお伺いするのですが、国鉄が運輸省を経由して、本年度予算最後的決定をするための大蔵省との事務折衝をされた場合、あなた方が要求した運輸収入金額大蔵省との査定の間には数十億の開きはございませんか、この点重ねて明確にしておいてもらいたい。
  28. 高井軍一

    高井説明員 もちろん収入につきましても、見方が違うのでありまして、私どもの考えておりましたより三十億ほど収入がよけいになつております。
  29. 正木清

    正木委員 あなた方の計画を立てましたその予算金額と、大蔵省との査定の間に三十億ほど相違があるのですが、大蔵当局が、数十年の歴史を持つておる国鉄事務当局の立てた運輸収入に対して、三十億ほど見積り増数字を発表しておる。この根拠を私は明らかにしておいてもらいたいと思います。
  30. 高井軍一

    高井説明員 私どもの事務的な折衝において明らかになつておりましたことは、三十億ということに関しては、大部分運賃値上げに伴う利用減を考えておつたのであります。しかし大蔵省といたしましては、経済的な見方、あるいは一般の賃金の動きその他の関係から見まして、われわれが考えておる程度収入減利用減はないであろうということと、もう一つは、努力によつて増送をやるべきだということで、折衝の過程においてこのように査定をされておるのでございます。
  31. 正木清

    正木委員 次に、二十八年度歳出面に移ります。これは国鉄当局非常に御苦心されておることだろうと思うし、また予算編成にあたつて一番の難点になつたところであろうということは、常識上想像されるのでございますが、何といつても今の世の中は、野放し自由経済だ、こういわれておりますし、また実際もその通りのようでございます。従つて二十六年度、二十七年度における日本物価の変動は相当大きな動きがございました。これはあなた万からわれわれに提出された諸般の統計をもつても明らかでございます。そこで、こうした物価動きのはげしいとき——全体としてはやや横ばいの形になつてはおりますが、この工事費勘定の中で、国鉄としては特に大きな予算を食う木材、たとえばまくら木関係については、経済審議庁等調査資料を見ましても、二十七年度予算より下まわるものだとは私には考えられないのでございます。そこで私が特にお伺いしたいことは、この事業費並び工事費勘定予算単価は、二十七年度の当初予算予算単価を踏襲したのか、それとも今日の物価動き、あるいは今後の物価動き見通し等をも勘案して組まれたのか、その点明確に御答弁を願います。
  32. 高井軍一

    高井説明員 物価見通しにつきましては、今までの二十七年度予算に見ておるものと離れまして、最近の物価動向なりを大きく参酌して予算編成いたしております。たとえば、今まくら木の話がありましたが、石炭単価をどういうふうに決定するか、これは国鉄経営費の大宗を占めるものでありまして、非常に大きい問題でございます。これについても、さらに下るであろう、あるいは下るとしてもどの程度下るかというような点が問題になるのでありますが、予算上は一応この下期の契約単価で算定いたしました。そうして不徹底のようではありますけれども、さらにある部分節約を加味して査定を受けたのでございます。
  33. 正木清

    正木委員 この予算を組むにあたつて、二十七年度の当初の予算単価でなくて、現在の物価動向等を勘案して、二十八年度予算単価決定した、まことに私ごもつともなことだと思います。そこで、今あなたから石炭単価の事柄を御説明になつたのでございますが、これはここで議論をいたしましても、想像論になりますから議論をいたしません。私なりの考え方をもつてすれば、二十八年度の下期からは漸次物上昇線をたどるのではないか、世界経済動向、ことにアメリカの動向等から考えて、鋼材価格はあるいは下るかもしれぬが、日本に関する限りでは石炭木材関係等上昇線をたどるのではないかと考える。そこで、あなたのお考えになつている通り予算単価のままで二十八年度経営が順調に参りますれば、議論余地はなくなつて参りますが、これと関連した、国鉄事業の中で大きな比率を占めるのは人件費でございます。この予算書を見ますと、人件費等は一万三千四百円ベースを基礎として組んでおるようでございますが、今のこの国鉄予算全体の中で、予備費は二十億しか組んでおりません。けれども人員増加は、予算決定しておる人員と、あなた方が大蔵当局に折衡した人員との間には相当の開きがあるようでございますし、人件費等においても、今の単価でこの一年がそのまま経過されるとも想像できませんが、現在のこの予算計画の中では、予備費以外に多少ゆとりを持つているものであるかどうか、この点を一言聞いておきたいと思います。
  34. 高井軍一

    高井説明員 予備費と見ておりますのは、予算書のごとく二十億でありますが、この二十億も、そうした弾力性と申しますよりは、国鉄に生じます災害の復旧に主として使うものでございまして、これをほかの経費に充当いたすまでの余裕もございません。
  35. 正木清

    正木委員 小さな問題ですが、一言この機会にお伺いしておきたい。あなたの御答弁の中で、石炭節約云々といことがございましたが、この第三表の損益勘定経費内訳を見ますと、二十八年度と二十七年度では約三億六千三百万円ばかりの予算節約的な数字の発表になつておるのでございますが、一方、事業面においては非常に飛躍をする、貨物輸送においても、人員輸送においても、非常な上昇線をたどる、一方においては事業経営の中で非常に予算を食う石炭の面では逆にこのように減つておる。ここにあなたの言われる予算節約石炭節約根拠があるのでございましようか。もう少し詳しくこの点を明らかにしてもらいたい。
  36. 高井軍一

    高井説明員 運転用石炭につきまして先ほど申し上げましたことをさらに申し上げますと、単価につきましては下期と同様な単価をとつておりまして、さらに見方といたしましては、下期よりももうちよつと下るのじやないかというような点もありまして、全体の一%とい節約をしいられておるのでございます。従いましてこの単価がどういうぐあいな推移をたどるかということが問題ではございますが、さらに石炭消費効率の向上によほど努力をしなければいけないというふうに考えております。
  37. 正木清

    正木委員 重ねてこの点でお尋ねをするのですが、国鉄の支出面において非常な比重を持つておりまする石炭節約をされて予算を縮めるということについては、もちろん私に異論があろうはずはございません。皆さんの努力に感謝はいたしますけれども、一体二十七年度予算単価をもつてして、なおかつ一面に貨物の増送が行われ、人員の増送が行われ、そしてこの二十八年度のあなた方の事業計画予算書を見ますと、私など想像のつかないほど、人員において切り詰めた人員しか予算に組んでおらないわけですね。そうですね。そうしますとこの石炭節約というものは、一にかかつて機関車に乗務されておる乗務員の非常な努力と、その他の技術の改善等がございましよう。この点について国鉄当局としては細心の注意と具体的な計画を持つておられるのかどうか。この点を重ねて御答弁願います。
  38. 高井軍一

    高井説明員 お説のごとく鉄道の経営がうまく行くかどうかということにつきましては、石炭をうまく使うかどうかということが大きく左右するのでございます。具体的な計画といたしましては、今のお説のごとく従事員の努力にまちまするものも非常に多いのでございます。しかしいろいろ計画部門といたしまして、たとえば列車の牽引、むだな機関車を走らせないこと、牽引をフルにすることによりまして、計画面において浮かすべきものが相当ございますし、さらに逐年研究いたしております清罐剤の使用によりまして、石炭節約をいたすということ、それから先ほど節約予算上出ております対前年度減につきましては、御承知よのうに東海道線を、旅客八月から名古屋まで、貨物十一月から稲沢までの電化を考えておりますので、そちらの方の石炭の減というものが出ておるのでございます。今の御質問と相関連はせぬかもしれませんけれどもちよつと先ほどのを補足いたしておきます。
  39. 正木清

    正木委員 たとえば石炭節約の面でごとしのこの予算書を見ますと、工事費勘定の中では、デイーゼル・カーを三百両ほどおつくりになる。これはいつまでに完成して、一体何月から軌道の上を走るのか。私はまだ聞いておりませんが、ここで御答弁願えればけつこうです。こういう面からもあなたの方の事業計画では、石炭一%節約計画のようでございますが、こういうものにも関連があるかどうか。その点も明らかにしてもらいたい。
  40. 高井軍一

    高井説明員 一%の減とは全然関係はございません。それはそれとして考えておるのでございまして、先ほど申し上げましたのは、対前年度予算との対比において数字をあげての御質疑でございましたので、その点ちよとつけ加えた次第でございます。今年はいつから電化をする、あるいはデイゼル・カーを走らすというようなことにつきましては、計画面として列車キロにおいて、はつきり予算上とつてしまつております。
  41. 正木清

    正木委員 次に移ります。国民の唯一の国鉄を扱つております国鉄の皆さん方が、国民の福祉を考えて、輸送上における人命と財産の安全を考えて非常に努力をされて、逐年業績を上げておりますことは、本員も感謝をいたしているわけでございます。そこでお伺いしたいことは、現在の国鉄の各般の施設が、国民が喜んで国鉄に信頼する程度までにはたして復活しているのかどうか、この点についてこの機会に、運輸当局でも国鉄でもけつこうですから、一つ相当具体的に明らかにしてもらいたい。ということは、漸次御質問を申し上げますけれども、私ども当初この委員会出席して参つたときにおける国鉄当局から出ました諸般の資料等を総合してみますと、国鉄に国民が安心しておまかせするためには、現在の状態をもつてしては不可である。どうしても旅客貨物とも三割の値上げをしていただかなければならない。この値上げをしていただいた収入というものは、かようかくかくの用に使われるものである、こういう資料を実は頂戴したわけでございます。ところが政府当局は財政上、資金上、それから国民経済安定の観点から、一割でなければいけない、こういうことになつて一割の案が議会を通過した。その一割によつて現在の国鉄事業計画その他を立てられているわけですが、この点を当委員会を通じて明確に国民に納得させるだけの義務が、運輸当局に、あるいは国鉄当局にあるのではないか、なければならない。従つてこの点を具体的にこの機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  42. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま正木委員から国鉄の現状について御意見と申しますか、意味深長なお話を伺いました。また現在の国鉄がいろいろと欠陥と申しますか、まだ不備な点をたくさん持つております点について、それを補うために私ども国有鉄道の従事員が一生懸命やつている、それに感謝するというようなお話を承つて、私ども非常に感銘深く感じた次第であります。今の正木委員のお話にもございました通り、また前国会その他国会のありますたびに、いろいろと国有鉄道の実情につきまして御説明申し上げているのでございますが、交通機関といたしまして一番生命と申すべき運転の安全というようなものにつきまして、最近と申しますか、昨年、一昨年と次々と大きな事故がございましたりして、国民的に国鉄の安全感についての信頼という点に疑いを持たれるような輿論が出て参りましたということは、私どもとしてまことに申訳なく存じている次第であります。私どもといたしましては、すでに何度か申し上げたと思いますが、戦争中の保守上の手入れ不足というようなものが、いまだ十分回復しておりません。これを何とか早く回復して、安全というような点について不信を持たれることのないようにぜひしたい、さように考えまして、一番危険を感じておりますようなもの、たとえば線路の折損を防ぐために線路の取替を多くするとか、あるいは車両のバネが折れて事故を起す、こういうようなものにつきまして、直接そういうものに重点を置いていろいろ取替をやつて進めて参つているわけであります。それにつきまして、もう少し思い切つて一時的に金を投じたならば、そういう点がもつと早く解決できる一そういうような点を考えまして、昨年度の国会におきましても、こういう手も講じていただいたならばということを、いろいろ考えて参つたのでありますが、必ずしも私どもの考え通りの方策ができるというところまで参りません。従いましてその整備の進捗状況というものも、私どもの考えておりますほど急速度に回復が一ぺんにできない。その点ははなはだ残念でありますが、しかしながら逐次一歩々々一番危険と考えられるようなところから手をつけまして、徐々に回復して行きたい。一例を申し上げますれば、たとえば線路が折れるというような事故は、戦前にはほとんど数え立てて言うほどの数がなかつたのでありますが、戦後の状態はそれが一日に十五、六本も折れることがある、こういうようなことでありまして、昔の鉄道の人に言わせると、線路がそんなに一日に何回も折れるというようなことは考えられないというような事実があるのであります。線路の折れることが、従事員の努力によつて、大きな事故にならないで、未然に防いでおるのが現状であります。しかしながらこれも列車回数の多いところからそれを直す、見まわりをよくするというようなことで、逐次直して行く。この事故の問題は御承知の通り、一方では速度がはげしくなれば危険が多くなるということで、速度をゆつくりやれば一応技術的には安全である、こういうような相対的な関係もございますので、その辺を勘案しながら、片方で資金の状態をにらんで、一番危険と思われるようなものから逐次直しているわけでありまして、急速にはできませんが、徐々によくしつつあるわけでございます。特にこういう鉄道の安全という点につきまして、国民的に不信を来されるということはゆゆしき大事と思いますので、そういうことのないように努力いたしていることだけを申し上げておきます。
  43. 正木清

    正木委員 ただいまの答弁で、えとしてのお気持は納得いたしました。そこで私具体的に数字基礎にして重ねてお伺いしたいと思うのですが、この予算書を見ますと、当然出資及び工事勘定になるわけでございますが、この予算書の出資及び工事勘定のこの予算金額と、当初あなた方が大蔵省折衝されましたものとでは——あなた方は政府出資というものについて相当な金額を要求されたように聞いておりますが、この点御答弁願いたい。
  44. 天坊裕彦

    天坊説明員 私どもが資金の面で多額な費用を要する関係で、ある特殊の部門に使う金につきまして、これを出資にしていただきたいということを申し出たのであります。それは御承知の通り、新線建設が非常に国民的な輿望を持ちまして、全国的に数十線手をつけて行くということになりまして、こうした金につきましては、これを政府の出資にしていただくことが理論的に筋であろうと考えまして、そういう要求をいたしたのであります。遺憾ながらその説がいれられませんで、一応借入金でやつて行くということになつたわけであります。
  45. 正木清

    正木委員 私は、本日はまだ大臣が御出席でないのでございまして、運輸大臣及び大蔵大臣に対する出席の要求をいたしておりますが、その点に関する限りは質問を留保いたしておきます。そこで新線の予算関係のことを重ねてお伺いしたいと思うのですが、これは事務的になりますが、日鉄法の第三十九条によると、繰越しをすることができるというように規定が明らかになつておりますが、二十七年度の工事勘定中で、この日鉄法の第三十九条に基いて二十八年度に繰越される予算があるのかないのか。あるはずでございますが、あるとすればそれは一体どのくらいの予算額になるのか、この点からまずお伺いいたします。
  46. 高井軍一

    高井説明員 新線の繰越しはないつもりであります。
  47. 正木清

    正木委員 重ねてお伺いいたしますが、二十七年度予算で三十億の借入れをいたしましたね。この三十億の借入れはどこに使われたか、簡単でけつこうですから要点を明らかにしてもらいたい。
  48. 高井軍一

    高井説明員 三十億の借入れは短期借入れの分でございますか、長期借入れの……。
  49. 正木清

    正木委員 短期です。
  50. 高井軍一

    高井説明員 短期の三十億は、損益勘定の欠損を補填するために三十億借りたのでありまして、それは損益勘定の給与改訂がおもなるもので、ほとんど全部が給与改訂に使われております。
  51. 正木清

    正木委員 そうしますと、重ねてお伺いするのですが、今年度予算の中で、この資金計画の中に借入返済金三十億というのは、これはどこに当てはまるのですか、伺います。
  52. 高井軍一

    高井説明員 ちよつと先ほど申し上げましたのを訂正いたしておきますが、実質的には、損益勘定のものは短期借入れでございますが、年度内に返すことができないので翌年度返すものといたしまして、長期借入れの扱いをいたしております。それで当時の打合せから、二十八度におきましてこれを返還するということになつておりましたので、予算損益勘定の支出の借入金返還として出ております三十億は、今申し上げました損益勘定の欠損を補填するために、二十七年度において借りたのでありまして、これを二十八年度に返すことに相なつております。
  53. 正木清

    正木委員 ちよつとわからなかのですが、もう一回お願いします。
  54. 高井軍一

    高井説明員 二十七年度に、運賃改訂の時期が遅延いたしまして、収支のバランスがとれませんので、損益勘定の欠損を補填いたしますために、三十億の借入金をいたしたのであります。それは当時の話合いから、二十八年度におきまして返還をいたすことになつておりました。それが二十八年度予算書に出ております損益勘定の借入金返還といたしましての三十億でございます。
  55. 正木清

    正木委員 それでは重ねて新線勘定に入りたいと思いますが、二十八年度の新線建設の予算面では九十億が計上されておるわけでございますが、前回の補正予算と今回出された予算等にも関係を持つのでございますが、国鉄としては国民の要望にこたえて開発路線とでも申しましようか、新線をどしどしやらなければいけない。ところが当初私どもがあなた方から頂戴したこの「国鉄財政の現状について」を見れば、どうしても百二十億なければやつて行けないのだ。私はことさらにこれをここで読み上げてあなた方の心境を尋ねるわけではございませんが、その百二十億の予算処置をかりに完全に行われたとしても、国鉄の受ける経済上の犠牲というものは非常に大きいものであるのだ、こういうことを私は承つておつたわけでございまするが、この二十八年度予算書を見てみますると、予定通り新線、それから休止線の復活工事をやるのだ、予算面においては九十億だ、こういうふうに私は数字を見て考えさせられるのですが、この点をひとつ具体的に、私のわかりますように御答弁を願いたいと思います。
  56. 植田純一

    植田政府委員 新線建設に関しましては、二十七年度に着手し、あるいは着手することになつております線が二十四線ございまして、実はこの二十四線の二十八年度における継続費が約百億近くいるということになつておるわけでございます。なお問題になつておりまして、本年度に着手漏れになりまして、二十八年度予算において着工するのを適当と思うという御答申をいただいております線が六線ございます。これを二十八年度に着手するという前提におきまして、今お話がありましたような予算要求をしておつたわけでございます。それが全体として九十億ということに相なつたわけでございまして、きわめて数字的に申しますと、今まで通り計画では二十四線の継続だけでも足りない。かような状況でございまして、いずれにいたしましても、この九十億では従来の計画をある程度変更しなければならぬ。一方におきまして、この六線につきましては、先に申しましたような御意見、御答申もいただいておりますし、また関係の地方からの建設の要望も非常に熾烈なるものがございます。従いましてこの六線につきましては、二十八年度に着手するといたしましても、予算の状態から見まして、そう大々的にかかるということはとうていできません。一方におきまして、さらに六線以上にも新線建設の要望もございまするが、そういうものはとうていお話にもならぬというような予算状況でございますので、いろいろ諸般の情勢を考えまして、従来の工事計画をある程度変更することにいたしまして、この九十億で従来の継続——もちろん変更いたしますると若干完成年度等にも影響して来る線もございまするが、そういう一部分の変更をいたしまして、この二十四線の継続、さらに六線の着工をするという方針をとりました次第でございます。そういうような状態でございますので、この六線につきましても、何と申しますか、二十八年度に着工いたしますが、そう大々的にはかからない。むしろきわめてわずかの予算しかあてがわれないのではないか。かようなふうに考えておりまするが、大体そういうふうな状況でございます、
  57. 正木清

    正木委員 政府委員の御答弁としてはたいへんに御自信のない答弁でございますね。私も常識上からそうだと思うのでございます。一方には国民の要望でもつて国鉄当局に向つて、二十四線をやれ、さらに六線を追加してやれといいながら、予算上の処置では当然百二十億がなければ、小さいながらも継続事業として継続をして行くことはできない。実際には国鉄大蔵当局に迫つた政府出資金の百二十億もまかりならぬ。こういうことになれば、あなたの言われたようにこういう小刻みな総花的なものでは、これは事業着手しかできないのではないか。これは当然だと思うのです。そこで私は国鉄というより運輸当局に重ねてお尋ねしたいのでございますが、国民の要望に沿うて、あなた方がこれだけの巨額な資本を投じてこの新線を開発するためには、あなた方事務当局としても——これは大臣にお尋ねすべき筋合いのものではあるが、事務当局としてもそれだけのかたい一つの信念がなければならないのではないか。予算がこれしか来ないのだから、総花的な、食い荒し的な事業をやれば、それで事が足りるのだというような考えであつてはいけないと私は思うのです。少くともこれだけの開発の線をやるためには、これだけの巨額な予算措置が必要なのです。しかもこの予算措置が講じられなければ、こういう結果になつて現われるのだということについて、事務当局としての信念から大臣を鞭撻して、せめてこの問題だけでも当初の事業計画従つて予算処置等がとられてしかるべきものではないか。私はあなたの答弁から受ける印象は、ほんとうに事務屋らしい感じを受けるのですが、重ねてこの点をお伺いしておきます。
  58. 植田純一

    植田政府委員 もちろんこの新線建設につきましては、一般の要望がございます。そういう点を十分承知いたしまして、この予算折衝におきましてもそのつもりでお願いしておつたわけでございます。極力建設費の予算につきまして努力したつもりでございまするが、一方国鉄の工事経費——御承知の通り新線建設とそのほかのいわゆる改良的な経費との関係におきまして、どうしても新線建設費にこれ以上のものを振り向けることは不適当である。かような状況もございまして、一方新線建設の要望も非常に熾烈なものがございますので、御指摘のように工事計画を変更したり、あるいはまたあまりむやみに間口を広げるということは好ましくないのでございまするが、この九一十億でさつき申しましたような工事計画を立てるという方針をきめました次第でございます。
  59. 正木清

    正木委員 委員長を通じて運輸当局に要求いたしておきますが、二十四線フラス六線でございまして、予算総額では三十億からの予算減と当初計画から見るとなつておるわけでございまして、事業年度計画等においても相当大きな変更を来しておると思うのでありますが、ひとつ資料をもつて委員会提出せられますよう、委員長を通じて要求いたしておきます。よろしゆうございますか。
  60. 逢澤寛

    逢澤委員長 お答えいたします。そういうような資料提出することにいたします。
  61. 尾崎末吉

    ○尾崎(末)委員 まだ年度がかわらなくて、予算をどういうふうに使うかということは、これは正木委員の言われることはごもつともではあるが、目下その計画を進めておられる際だから、資料が今すぐにできるかどうか。この間鉄道建設審議会の方においてもせつかくきまつて間もないということでありますから、資料が急いでできるかどうか疑問だと思います。その点どうなのですか、概略の予定だけでいいのですか。
  62. 正木清

    正木委員 予定だけでけつこうです。
  63. 逢澤寛

    逢澤委員長 正木君にお答え申しヒげます。できるような段階になつてできるだけ早い機会に資料を出すようにいたしたいと思います。
  64. 正木清

    正木委員 大臣が出て来ないので、いずれ大臣に質問するわけですが、これはやはり運輸当局としては当然大蔵省折衝されたことがあると思うのでありますが、前回の当委員会において、これは私以外からも質問したと記憶しておるのですが、私の質問に対しては、石井国務大臣はこういう答弁を実はしておるわけでございます。「少くもこれから先の新線建設と申しますか、この間新たに組んだものの来年度から先のものにつきましては、借入金によりますれば、それは政府が利子の補給をする。少くとも国鉄にも迷惑をかけないという線でやつて行きたい、そういうように努力するつもりでおります。」こういう運輸大臣からの答弁があつて、私などは実は非常に意を強うしたわけでございます。これはここで事務当局のあなたを中心として議論及展開するわけではございませんけれども、新線建設に関する限りにおいては、これは借入金でやるべきものではなくして、政府出資金でやるべきものだという、これは基礎的な一般論としても、基本論としても成り立つと思うのです。しかし政治は生きておりまするから、現実には成り立つておりませんけれども従つて国鉄が借入金でこのような大きな事業を行つて行く、しかもこれから生ずる経済的な犠牲というものは、全部四十数万の総裁以下従事員にかかつて来るわけでございまするが、この借入金の利子補給について、事務当局は大臣の意を受けながら、大蔵当局とどのような事務的折衝をしたか、事務当局としてのこれに対する折衝の経過をここで明らかにしておいていただきたい。
  65. 植田純一

    植田政府委員 お説の通り新線建設は政府出資で行くべきであるという建前と申しますか、意見で、あくまで最後まで政府出資ということで折衝を重ねたわけでございます。事務当局といたしましては、借入金ではなくして、政府出資という建前であくまで折衝いたしまして、その点につきまして意見の一致を見なかつたわけでございます。それから最終的な問題といたしまして、利子補給という点ももちろん考えておつたわけでございますが、むしろこの政府出資という方針で、最後まで折衝を重ねたというのが実情でございます。
  66. 正木清

    正木委員 国鉄総裁である天坊説明員にお伺いをいたしますが、あなたは非常に御努力をされております。その労は多とするのでございますが、今日まで提出されたこの各般の資料と、実際に二十八年度におけるごの工事勘定との予算金額に、相当大きな開きがあるわけです。これだけの大きな開きがあつても、国鉄としては、国民に生命上、財産上御心配をかけない、今後においても輸送上においては完璧を期してやつて行けるのだという御自信がございますか。その点を明らかに御答弁願います。
  67. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいまの御質問は、先ほどの御質問と関連を持つていると考えるのであります。国有鉄道が安全性という点で疑われるようなことがあつてはならないと考えまして、私どもは最小限度安全性は確保するというふうに努力いたしておるわけでありますが、国有鉄道に対する要望は、単に運転上の安全のみならず、さらに輸送のスピード化と申しますか、迅速に輸送するという要望も非常に強いわけであります。さらにまた輸送の正確さあるいは円滑な輸送というような点につきましても、いろいろと御要望が多いのでありまして、そういう点も考慮いたしまして、この際鉄道が全面的に要望にこたえるとすれば、とにかくこの程度の金を増していただきたいのであります。一例をあげますれば、東京近傍の通勤輸送について、どうしても国有鉄道が持つております線路の配置あるいはその役割という点から申しましても、この際思い切つて金をかけるべきではないか、そういう問題をどう取扱うかということによつて、国有鉄道としては相当巨額な金を予算に計上したいとか、あるいは北海道における石炭増産については、室蘭なり、小樽なり、留萌、こういう港における荷役労力というものをこの際大きく向上せしめなければ、石炭の生産増は期待できないとか、こういう問題を今までの鉄道の立場という点から考えますれば、鉄道で相当思い切つて金を投ずるという行き方が一番すなおでありますし、従来そうであつたという意味で国有鉄道でやらせることになれば、その際それだけの金がいる。こういうものを合せていろいろ予算の額が大きく出ておつたのでありますが、この際最小限度になるとすれば、私どもとしては一番大事な安全輸送という点だけはどうしても確保しなければならぬ、これだけはできると私どもは考えているわけであります。
  68. 正木清

    正木委員 この点重ねてお伺いしておくことが必要だと思いますので伺います。この「国鉄財政の現状について」を頂戴して、これを中心としその他の資料によつて、皆さんの御苦労、それから今後の国鉄の復旧のあり方等について非常に良識を得たわけですが、これを見ますと、主たるものは十箇年計画なつておつたわけです。ところが本日の朝日新聞を見ますと、「国鉄改良五箇年計画案なる、幹線輸送力を増強、戦時老朽施設など一掃」という非常に大きな発表になつておりますが、これはあなたは御存じありませんか。
  69. 天坊裕彦

    天坊説明員 まだ国有鉄道としての公式版ではございません。
  70. 正木清

    正木委員 公式版ではなくても、事務当局として一応成案を得た、それが朝日を通じて発表になつた、こういうように了解してよろしゆうございますか、重ねてお伺いします。
  71. 天坊裕彦

    天坊説明員 事務当局でいろいろ研究しております分を、新聞で抜いたというようなかつこうになつているのではないかと思います。
  72. 正木清

    正木委員 そうしますと、あなたは、否定はせぬということですね。あなたは首脳部の会議で正式に取上げたのを、公式に発表になつたとは言われていないけれども、否定はされていない。そうしますと、前にわれわれに配付した十箇年計画と、今度新聞に発表になつている五箇年計画との相違等について、あなたが説明できなければ他の説明員でもけつこうですから、具体的に明らかに御答弁を願いたい。
  73. 天坊裕彦

    天坊説明員 御要望がございますれば、その新聞に出た記事について、研究いたしておる者をよこしまして、御説明申し上げてもけつこうだと存じますが、まだ審議の過程でございまして、この席で皆様方にごひろう申し上げるところにまで至つていないものだと存じます。
  74. 熊本虎三

    ○熊本委員 関連して……。私も特に緊急質問ということで先ほど届けを出してあつたのはこのことです。この前の委員会でいろいろ質問をいたしまして、たとえば国鉄の経理上の報告につきましては、耐用年数を経たるものは四千数百億円といい、それからすでに緊急を要する一千六百億円の金がなければ危険を防ぐことができないという報告を受けまして、そうして昨年からの議論の対象は、国鉄のそうした取替、補修及び新線については、当然国家の支出をもつてなさなければ、国鉄の運用はできないのではないかということが、議論の対象であつたはずであります。そうしてまた過ぐる四、五日前の委員会におきましても、新線その他に関連して同僚委員からも質問があり、私もこれに対しては十分なる希望を付してここに御説明を求めることにいたしておつた。わが委員会に対しては説明するに至らざる内容が、新聞記事に堂々と特版のごとき形をもつて発表されるということは、はなはだ不謹慎きわまると考える。でありますから、私も新聞を持つて来て、このことについて質問しようと考えたのであつて、もう少しこの経緯並びに当局の持てる計画、これについては具体的にお示しを願いたい、かように考えます。
  75. 天坊裕彦

    天坊説明員 本日の新聞記事につきましては、私のところへ先ほども朝日の方が来られまして、どうも妙なふうに書きましてという断りを言われたような次第でありまして、当局の方といたしまして発表した次第ではございません。ただ今熊本委員のおつしやいました鉄道の計画、あるいは十箇年計画、あるいは五箇年計画というようなものについて、機会を得まして御説明申し上げたいと思います。
  76. 逢澤寛

    逢澤委員長 委員長から当局に注意を喚起しておきたいと思います。それは私もけさあの新聞を見て実にけしからんことだと、実は憤慨したのです。しかし今副総裁からのお話を聞きまして、新聞記事なるものがあなた方の同意を得て出ていないのだ、こういうことを聞いてやや納得したのでありますが、委員会に報告しない前にああしたものを大衆の方が先に知るということは、まことにけしからぬことだと実は憤慨したような次第であります。今後ひとつよく注意していただきたい、かように考えます。
  77. 熊本虎三

    ○熊本委員 委員長からも注意警告がありましたから、再びかようなことはなかろうと思いまするけれども、この新聞の記事を見ますると、国鉄自体においてその自力においてかような完全なものができるという建前においての計画のようである。われわれは、いつも言いまするように、国鉄事業というものは、もちろん国家興隆のための開発であり、あるいは経営であるために、先ほど正木さんが言つたような資金面においても、あるいはその他の取替、補修は、言いかえれば戦時中の政府の負債をそのまま背負い込んでおる。そのために国鉄経営が非常に困難であつて、そのしわ寄せが従業員の犠牲となつて現れておる。だから大蔵大臣等もわざわざここに出席求めるという立場において、真剣に国鉄の将来に向つてわれわれは考えておるのです。何も国鉄に恩を着せるのではなくて、国家再建のための基幹経営である、この意味において国家が等閑に付することはできないという建前をとつておるにもかかわらず、かような見地においてやられる。そうして国鉄の自力によつてこれはなし得るというなら、われわれはあえて大蔵大臣等をここにひつぱり出して、そうして国鉄経営のために力を尽す必要はないのである。その点について、基本的なものの考え方だけでもここに説明を求めておかないと、われわれが運輸委員会としてこれからの議事の進行上重大なる分岐点となるのであるから、さらにその点を一応伺つておきたいと思います。
  78. 天坊裕彦

    天坊説明員 重ねて申し上げますが、私どもあの新聞記事につきましては、発表した、あるいは意見についてこちらから申し出たということは全然ありません。今後大いに注意いたします。
  79. 正木清

    正木委員 この御提出になりました参考資料の第五表の昭和二十八年度予算人員表によりますと、二十七年度と二十八年度では三百三十人の増になつておりますが、この三百三十人の増というのは、先ほどあなたから御説明になりました新線工事の中の必要人員数を計上したのか、それとも現在の既設営業線の中での人員増であるか、それを御答弁願います。
  80. 高井軍一

    高井説明員 三百三十人の増員は、二十八年度におきまして新線を開業し、運営をするに要する所要人員のみでございます。
  81. 正木清

    正木委員 重ねてお尋ねをいたしまするが、現在のこの予算に盛られておる人員というものは、国鉄としてはもうぎりぎり一ぱいである、これ以上減員をする余地はないのだ、非常に切り詰めた最低の予算人員であるというふうに、前会御答弁をいただいたと思うのでございまするが、事務当局としては、大蔵当局事務折衝をした場合においては、相当数の人員増加の要求をされたと漏れ聞いておるのです。率直に申し上げますと、一万二千五百名からの増員を要求されたと聞いておるのですが、この点について御答弁を願います。
  82. 高井軍一

    高井説明員 おおむねそれに近い人員を要求いたしております。
  83. 正木清

    正木委員 事この人員に関しては、大幅にさようしかく簡単に屈伸が自由にできるものかどうか、これは私常識上非常に大きな疑問を持つておるわけです。国鉄としては事業成績を上げるために、総裁以下皆さん方が一体となつて専心努力されておる、従つてこの人員に関する限りそう大幅に自由自在な予算措置は講ぜられるとは思わないのですが、あなたが今否定をされない限りにおいては、これは私の漏れ聞いたところでありますが、一万二千五百名の要求に対して、わずか三百三十名しか大蔵省はこれを認めなかつた、それであなた方は引下つたのというようにしか聞えないのですが、それでよろしいのかどうか、それで完全なのかどうか、この点明確にしておいてもらいたい。
  84. 高井軍一

    高井説明員 予算査定内示案によりますときには、現在の人員よりも予算上八千人のオーバー・タイムといたしまして1定員はありませんが、オーバー・タイムとして八千人分を認めておるのであります。しかし私どもはそういうオーバー・タイムよりも、実員としてほしいというので、それを加えまして一万二千人の復活要求を出したのであります。さらに次の折衝に移りまして八千人のオーバ・ータイムなればこれは定員として、ほかに四千人——結局は同じでありますが、四千人の要求をいたしておるのであります。従いまして当初考えておりますよりは三百三十人ふえましたから、三千六百七十人でありますか、それだけの査定の減を受けております。但し私ども計画いたしましたのは、いろいろなサービスの向上とか、こうもやりたい、こうした要求にも応じたいというような数字で人をはじいておりますので、それができ得なければそうした面の規制は受けるのでありますが、ネツトといたしましてはこの八千人のオーバー・タイムというものは認められておる、さように御承知を願いたいのであります。
  85. 楯兼次郎

    ○楯委員 おとといもこの点について私御質問したのですが、どうもわからないのは、本年度一万二千名の要求をしておる、ところがオーバー・タイムとして八千名を認めておるのであるという御回答なのです。そうすると前年度はなかつたのだが、三百三十名プラスをすると、少いけれども相当大幅な定員というものが認められて来たのであるというふうに、われわれ委員としては受取れるわけです。だから前年度に対しては実際問題として三百三十名しか増加をしておらないと私は考えておるのですが、その点ひとつはつきりしていただきたいと思います。
  86. 高井軍一

    高井説明員 定員といたしましては三百三十人、オーバー・タイムといたしまして八千人、これだけふえております。去年は七千二百名のオーバー・タイムをとつておりましたものを、二十八年度は八千人のオーバー・タイムを得ております。オーバー・タイムといたしまして八千名、定員といたしまして三百三十名であります。
  87. 正木清

    正木委員 二十八年度予算書には、これは日鉄法によつて初めて鉄道債券百二十億が計上されたわけですが、この百二十億の債券は、当然国会を通過しなければ具体的な事務処理には入れないわけですが、当然事務当局としては通過するという仮定の上に立つて、それぞれ具体的な処置を講じておると思うのです。ということは、本年度も余すところわずか一箇月しかないのですから、これに対する事務当局の取扱い、現在の状況等を御説明願います。
  88. 高井軍一

    高井説明員 今年度は百十億の借入金と、御承知のように百二十億の鉄道債券ということが予算案になつておるのでございます。この百二十億の鉄道債券をどういうふうにして消化するかということが来年度の工事を進捗“る上に大きい影響があるのです。それで現在の過程といたしましては、運輸省、大蔵省あるいは同じく公社であります電電あるいは日銀、そういうような関係機関と連絡をとりまして、発行方法あるいは発行条件につきまして検討をいたしております。
  89. 正木清

    正木委員 その発行方法、発行条件の内容を承りたい。
  90. 高井軍一

    高井説明員 発行の方法でありますが、これは面接国鉄が発行いたします方法と、他の機関を介して募集をいたします方法とあるのでございますが、現在どの方法をとるのかということにつきましては、事務的にもまだ未決定でおります。と申しますのは、どういうふうにした場合に国鉄の負担を最も少く発行でき得るかということ、それからまた発行条件にいたしましても、どの程度の利率、どれくらいの期限にしたらよいか、その他の条件にいたしましてもどうしたらよいかということは、他の債券、社債との関係もありまして、慎重に検討いたしております。これは現在におきましては、残念ながらここでお答え申し上げます段階に立ち至つていないことを御了承願いたいと思います。
  91. 正木清

    正木委員 今のあなたの答弁で大体想像はつくわけですが、しかし実際には国鉄というものは、一般役所と違つて非常に大きな事業を担当されておるわけです。そこでこの百二十億の国鉄債券の可否はここでは論じませんが、今あなたの答弁のような状態で推移すると、なるほどこれはりくつの上では国会を通過しない限り、事務当局は具体的な行動には移れないわけですが、そういうふうに事務的局のそうした事務的な処理が遅延して参りますと、新年度からただちにこの百二十億というものは生きて——おそらく工事費勘定だろうと思いますが、常識としてそれが使えないということになる。そういう場合の予算上、経理上の処置は、一体どうなさるのですか。その点を承りたい。
  92. 高井軍一

    高井説明員 冒頭に申し上げましたごとく、ことしの工事の資金といたしましては、公債のほかに百十億の資金運用部からの借入金があるのであります。それでこの百二十億を四月から均等にやるか、あるいは別々にやるかということは、公債だけではなしに、借入金との関連において考えるべきではないかと考えております。それで借入金との関係資金計画を綿密にいたしますとともに、これをいかなる条件で出すかということは、よほど慎重に検討をいたしませんと、以後の発行に対しまして大きい影響を及ぼしますので、これは一般借入金との関連を考慮しながら、さらにただいま正木委員から御注意がありました資金繰りの点、その他は十分頭に入れながら、どういうような状態で行つた方が最も消化がいいか、また国鉄に負担が軽くて済むか、こういうような点から鋭意綿密な連絡をとりながら対処いたして行きたい、かように考えております。
  93. 正木清

    正木委員 本日の朝日新聞の五箇年間事業計画にも、実は外資導入の一項が載つておるのです。これは天坊さんはお知りにならないかもしれないが、新聞の記事を見るとやはり載つておるのです。それから実は前の国会でも私お尋ねしようと思つたのですが、中央の大きな新聞には外資導入の記事は大きくは取扱われておりませんでしたが、地方の相当有力紙にはこれは大々的に報道されたのです。従つてこういうことが事務的に現に折衝されておるのかどうか、この点最後に一点だけをお伺いしておきたいと思います。運輸大臣の質問、大蔵大臣の質問は本日は留保して、これで私の質問を終ります。
  94. 天坊裕彦

    天坊説明員 外資導入の問題に関しましては、昨年度世界銀行の副総裁が来られましたときに、政府として電力開発の問題、そのほか国有鉄道の電化問題等について、材料を添えて説明したらどうかというお話がございまして、その際私ども総裁からガーナーさんにお話を申し上げた、こういう程度でございます。
  95. 逢澤寛

    逢澤委員長 楯君。
  96. 楯兼次郎

    ○楯委員 本会議が始まりましたので、簡単に要点だけお聞きしたいと思います。おととい私がいろいろ退職金の問題について御質問申し上げたのでありますが、そのあと公務員の恩給法の改正の新聞記事が出まして、あの中をずつと見てみますと、気にかかることが二つあります。それは年齢引上げと、それから加算を取除く、この二点であります。こういう点については、おそらく公務員は反対であろうと思いますが、特に私が心配いたしますのは、今統計はどういうふうに出ておるかわかりませんが、国鉄を退職して、五年も年齢を引上げられたならば、実際生きておるうちに年金が国鉄の場合もらえないのではないか、そういう点がまず一つであります。それから機関乗務員等であると思いますが、相当恩給が加算になつております。これが国鉄の場合やはりとられてしまう。非常に他の公務員の影響も多いのでありますが、国鉄にとつてはきわめて重要な問題であろうというふうに考えます。この二点についてあなた方はどういうふうにこの問題に対処されようとしておられるのか、その基本的な考えを承りたい。
  97. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今お尋になりましたうちの第一点の方の恩給の待期年限が延びた場合に、国鉄職員はおそらく一般国民や何かとの平均余命に比べて短かいのではないか、従つてもらえない人が多くなるのではないかというふうにお尋ねがあつたと思うのでありますが、この点は多少の差はございますけれども、実際国鉄で調べております実績によりますと、それほど取立てて申し上げるほどの違いはないのであります。  それから第二点の加算の問題は、現在の法案について私ども仄聞しておるところによれば、入つていないわけでありますけれども、これはおつしやる通り相当大きな問題であると考えておるのでございますが、現在社会保際制度の問題や何かとも関連いたしまして、国鉄職員で既得権で今恩給受給資格のある者が大部分ではございますが、公共企業体になつてから以後採用になつた職員については、恩給の適用は御存じのようにないのでございます。そういうものとあわせて将来は、退職後の生活保障のための年金制度のようなものを考えて行かなければなりませんので、いろいろ研究をいたしておるというような段階でございます。
  98. 楯兼次郎

    ○楯委員 簡単に御回答いただけばけつこうですが、そうすると加算については、公共企業体にかわつたの国鉄にとつて影響はない、こうおつしやるわけですか。
  99. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 現在恩給受給資格のある者にについては、明瞭に影響があるわけであります。
  100. 楯兼次郎

    ○楯委員 くどく言わなくてもわかつておると思いますが、第二点を考えますと、今ほかと比べて年齢については大差ないとおつしやつたのでありますが、私のところに退職後の平均寿命というふうなものが来ておりませんが、しかし作業の実態からいいますと、過去三年間の死傷者が一日六十二人、一時間二人半という統計であります。ことほどさように退職後の寿命に影響するところが大きいと思います。こういうような点をひとつ十分考えまして、この政府案に対して、事実だとすればひとつ国鉄当局としても対処していただきたいと思います。  それからいま一つは、おととい私が申し上げておきましたように、これは作業の内容の面と、それから公労法の面からいつて、当然これは国鉄独自の退職金制度を確立すべき必要があると考えますので、これを契機にいたしまして、独自の退職金制度をつくるよう御尽力願いたいと思います。これは公労法の線から行きましても疑義のないことでございますので、ぜひそのように御配慮願いたいと思います。
  101. 逢澤寛

    逢澤委員長 この際玉置さんにお尋ねしますが、あなたの質問は長いですか。
  102. 玉置信一

    ○玉置委員 次会に譲りましよう。
  103. 逢澤寛

    逢澤委員長 それでは江藤夏雄君。
  104. 江藤夏雄

    ○江藤委員 日本の今後の航空政策について、政府の御所見を明らかにしておいていただきたいと思います。これは先般も毎日新聞だつたかに出ましたが、それによりますと、事務当局としては大体ある種の統一せられた御見解に到着せられたように見受けられます。国内路線、国際路線とわかちまして、国際路線、国内線に対しては、どういう方針でやつて行かれるのであるか、あるいは一社主義で行くか、あるいは競争を認めるかどうか、戦前大日本航空があれだけに持つて来られたということについては、私がここでいろいろ言うまでもなく、非常に大きな国家的な一つの方針のもとにこれが運営せられて参りまして、ああいうふうな発達を遂げたのでございまするが、こういう点についての政府の所信を明らかにしておいていただきたい。  それから第二は、外資導入の問題でございまするが、この外資導入について、今後の日本の航空事業をやつて行く場合に、いかにお考えであるか。大体世界の例を見てみますと、一流の国と申しますか、そういう国においては、航空事業の特殊性にかんがみて大体自己資本でやつておる。西独あたりは大体そういうふうにきまつたということを聞き及んでおりますが、この点に関して政府はいかなる御方針であるか。この二つの点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  105. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 大方針に関する御質問でございまして、政府委員より、むしろ大臣から御答弁申し上げるのが筋かと思いますが、私の関しております限りにおきまして御答弁を申し上げたいと思います。  まず航空政策の問題でございますが、いつかこの席上で御説明申し上げたかと記憶しておるわけでございますが、国際線に関しましては、羽田に現在参つております外国会社は、十一社営業をいたしております。それが相互に猛烈なる競争をいたしておるわけであります。わが国は遺憾ながら終戦後今日に至るまでのブランクがございまして、非常な遅れをとつておるわけでございます。これをとりもどして激烈なる国際競争場裡に出て参るには、国力を一本にまとめ、分散しないで強い形でもつて行きませんと、この競争に耐える力が出ないと考えますので、この国際線については航空審議会の答申等も考えて、一つで行くべきであると考えております。なお国内線の問題につきましては、国際線と国内幹線というようなものは、いわゆる飛行機の互換性というか、ローカル線になるとそうは行きませんけれども、近まわりの国際線ですと互換性がございますので、同じ経営者に行わしめることが、人員及び資材の効率的運用の見地から、きわめて経済的であると考えております。  なお外資導入の問題に関しましては、航空法によりますと、議決権の三分の一までは外資が入つてさしつかえないということに相なつておりますが先ほど御指摘になりましたような点をも十分勘案いたしまして、法律上は形式的、抽象的に三分の一となつておりますけれども、実際の場合においては、その外資の具体的内容を検討いたしまして、個々に、日本の航空の自主性が阻害されないようにということを、十分考慮に入れてやつて行きたいと思います。
  106. 江藤夏雄

    ○江藤委員 大体それをもつて了承いたしました。
  107. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ちよつと議事進行について……。航空問題は必要ですから、今日は本会議が始まるならば、これでやめてくださつてけつこうですが、私はこの次も引続いてたくさんの質問を持つておりますので、どうか今日で打切らぬように願います。
  108. 逢澤寛

    逢澤委員長 承知いたしました。     —————————————
  109. 逢澤寛

    逢澤委員長 この際報告を申し上げることがあります。前会の委員会において設置いたしました道路運送法改正に関する小委員会の小委員長及び小委員は、委員長に一任になつておりましたが、きまりましたので指名をいたします。   小委員長 關谷勝利君   小委員に    關谷 勝利君  玉置 信一君    吉川 大介君  熊本 虎三君    正木  清君を指名いたします。  次会は明日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十三分散会