運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-02-19 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 田原 春次君 理事 正木  清君       江藤 夏雄君    岡田 五郎君       玉置 信一君    徳安 實藏君       永田 良吉君    松岡 俊三君       山崎 岩男君    伊東 岩男君       臼井 莊一君    河本 敏夫君       佐伯 宗義君    吉川 大介君       熊本 虎三君    竹谷源太郎君       楯 兼次郎君    松原喜之次君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  高井 軍一君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 二月十六日  委員田中織之進君辞任につき、その補欠として  松原喜之次君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十七日  海上保安官に協力援助した者の災害給付に関す  る法律案關谷勝利君外九名提出衆法第三四  号) 同月十六日  宮之城線にガソリンカー運転請願冨吉榮二  君外九名紹介)(第一九四五号)  中津川、下呂間鉄道敷設請願(楯兼次郎君紹  介)(第一九四六号)  北丹鉄道に対する補助金交付に関する請願(山  口丈太郎紹介)(第一九四七号)  山田、野市間に国営自動車運輸開始請願(長  野長廣紹介)(第一九四八号)  青果物等に対する貨物運賃引下げ請願(長野  長廣紹介)(第一九四九号) 同月十八日  上信鉄道敷設請願木暮武太夫紹介)(第  二二〇〇号)  三陸鉄道敷設工事に関する請願大石武一君紹  介)(第二二〇一号)  大森駅に貨物小口取扱業務復活等に関する請願  (宇都宮徳馬紹介)(第二二〇二号)  川之江、池田間鉄道敷設請願岡田勢一君外  一名紹介)(第二二〇三号)  土讃線電化請願岡田勢一君外一名紹介)(  第二二〇四号)  京都駅構内売店営業認可に関する請願大石  ヨシエ君紹介)(第二二〇五号)  根北線敷設促進請願永井勝次郎紹介)(  第二二〇六号)  古江線ダイヤ改正等に関する請願永田良吉  君紹介)(第二二〇七号)  白糠、足寄間鉄道敷設請願高倉定助君紹  介)(第二二〇八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 同月十七日  直江津、越後湯沢間連絡線敷設促進陳情書  (第一三七三号)  日の影線高森線連絡に関する陳情書  (  第一三七四号)  日の影線ガソリンカー運行に関する陳情書  (第一三七五号)  小月飛行場民間空港として選定の陳情書  (第一三七六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員会設置に関する件  海上保安官に協力援助した者の災害給付に関す  る法律案關谷勝利君外九名提出衆法第三四  号)  運輸行政に関する件  港湾保全に関する件     ―――――――――――――
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案を議題として、まず提出者より提案理由説明を求めます。關谷君。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 ただいま提案になりました海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案につきまして、提案者を代表して提案理由を御説明申し上げます。  御承知のように海上保安官は、海上における人命財産の保護と治安の確保の業務に従事いたしておりますが、広大な海面におきまして突発的に発生いたしまする災害に対しましては、たまたま現場の海上保安官の手が足りず、付近の人または船舶の応援を求めまして、臨機の措置を講じなければならない事態もしばしば起るのであります。かような場合におきまして、海上保安官の求めに応じて職務によらないで協力援助いたした者が、たまたま不幸にして死傷を受けましたときは、国といたしましてこれに対し療養等の必要な措置を講ずべきことは、当然のことと存ずるのであります。また、海上保安官からの協力の請求がなされなくても、四囲の状況からこれに協力援助いたすことが相当と認められまするような場合に、自発的に協力援助し、そのために死傷いたしましたときも、国といたしましては同様に善後措置を講ずべきであると存じます。この法律案は、かような場合におきまする国の災害給付の責任を明らかにし、その種類給付方法等につきまして規定いたしたものであります。  すなわち給付種類は、療養給付障害給付遺族給付葬祭給付及び打切り給付の五種といたし、特に必要のあるときは休業給付をもいたすこととしてあります。給付範囲、金額、支給方法等につきましては、国家公務員災害補償法規定を参酌いたして政令により定めることとなつております。なお警察官に協力援助した者の災害につきまして、警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律が制定されておりますが、同法中の損害賠償の免責に関する規定その他の所要の規定を、この法律案の場合につきましても準用いたすごととしました。  以上申し上げましたところがこの法律案提案理由の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたします。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 本案に関する質疑次会に譲ります。     —————————————
  5. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に国鉄予算に関し質疑の通告がありますので、これを許します。永田良吉君。
  6. 永田良吉

    永田(良)委員 私はこの新年度建設費九十億円の各路線の割当と年度制、これをたいへんごめんどうですが、もしわかつておればひとつこの際説明を聞かせていただきたい。まずそれからお尋ねいたします。
  7. 植田純一

    植田政府委員 二十八年度運輸鉄道新線建設予算は九十億ということになつております。御承知通り実は九十億で二十八年度から着工いたしております。合計二十四線ありますが、それの継続費用だけでも百億いる。しかも二十八年度予算で二十七年度に漏れました六線、これを何とか着手するのが適当であるという建設審議会答申もいただいておりますので、一体この六線をどう取扱うか。なるほど二十四線の継続工事だけでも、予算的にいいますると足りないのでありますけれども、そういう御答申もいただいておりまするし、また六線の関係の御要望も案に熾烈なものでございますから、何とかして六線を二十八年度において着手するのが適当ではないか、かように実は私ども考えて、大体そのつもりでおるわけでございますが、この前も建設審議会におきまして、いろいろ予算の資料を提出いたしました関係もございますので、建設審議会にその方針につきまして御了解を得ないと、最終的にはつきりと政府としてもかつてにきめるわけには参りかねるという点もございましたので、実は去る十六日でございまするが、建設審議会を開きまして、二十八年度建設予算九十億をもちまして、継続工事をやる以外に六線もやるのが適当ではないか、かような見解を申し述べまして、建設審議会にもその方針を了承していただきました。従いまして九十億の予算もちまして、今まで考えておりました計画を少しいぢらなければなりませんが、そうしても、とにかく六線を着工するという方針はきまりました。具体的にはそういうような事情もございます。各線予算割振り等においては、目下国鉄におきましてあらためて検討いたしております。ごく最近におきまして、そういう方針がきまりましたばかりなのでございますので、各線の具体的の年度割を今ただちにお示しすることはちよつとまだできないのでございますが、いずれでき次第そういう点については御報告申し上げたいと思います。なお年度割につきましても、その関係で若干今までの年度割と狂つて来る面が起きて来るということを予想しておりますので、そういう点につきましても、目下検討いたしておるような次第でございます。
  8. 永田良吉

    永田(良)委員 たいへん御丁寧な御答弁ですけれども、われわれ六線に関係のある地方民としては非常に心配をいたしておる。九十億のうち六線に対する大体のお見込み、たとえば本年度は六線に対して各線測量費とかいろいろな費用でも、どの程度くらいはというあらましのお見込みは御説明できぬものでしようか。
  9. 植田純一

    植田政府委員 大体の見通しと申しまするが、さつき申しましたように継続工事をやるだけにおきましても、予算的には足りませんので、それをかなり圧縮するという関係もございますので、六線につきましては、二十八年度におきまして着手するという方針はきまつたと御承知願いたいのでございますが、六線につきまして大々的に工事を始めるというところまでは行かないのではないか。予算的に申しますと、多分年度の後半におきまして実施測量に借手するという程度余裕しかないのではないか、大体の見通しとしてはかよう考えられるのでありますが、いずれにいたしましても、二十八年度におきまして着手するという方針だけはさまつたような次第でございます。
  10. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいまの御説明で、着手していただくということですが、そうすると実地測量費用だけしか本年度には出せぬというお見込みでしようか。そうなるとあなたの今の説明では、六線に対して年度の後半期とおつしやるけれども年度費用を出していただくなら、予算を一刻も早く活用していただきたい希望をわれわれは持つておる。その意味からいうと、実地測量ならなるべく後半でなく、前半に着手をしていただくようなことはできないものでしようか。六線のうち一線に対する測量費は、むろん長短もありますけれども、その全額は総体としてどのくらいのものでしようか。それもおわかりになりませんか。
  11. 植田純一

    植田政府委員 実はその点につきましては、六線をほんとうに着手することが最終的にきまりましたのがごく最近の問題でございますので、現在その点についてせつかく検討いたしております。もちろん継続の線の圧縮あるいは繰延べと申しますか、そういう面からの経費の捻出ということからかからなければなりませんので、新しい六線にどの程度充て得るか。実は先ほど後半からということを申し上げましたのも、はつきりとしたわけではございませんが、大体その程度経費しか充てる余裕がないじやないか。全体の予算関係から申しまして、そういうような見通しを申し上げたのでございまして、具体的な数字につきしましては、目下検討中でございます。もちろん極力この六線を着手します以上は、六線につきましても、経済速度と申しますか、測量が終りましたら、すぐに工事着手できるというふうな態勢において進めたい、かように考えておりますので、そういう点につきまして目下検討いたしております状態であることを御了承願いたいと思います。
  12. 永田良吉

    永田(良)委員 皆様方は中央にいらつしやるので、地方実情がおわかりになりませんが、私の考えは、国家のためにも地方のためにも、早くやつていただくことが有利であるという考えを持つております。皆さん方鉄道建設には多年経験を持つていらつしやるからおわかりでしようが、あなたは測量は後半期とおつしやるけれども、後半期にやつていただくと、地方農村等においては、作物等関係もある。ちようど刈りつた時期とか適当な時期には、測量等もたいへん調子よく行きますけれども、そういう地方実情もあるので、私の方の希望としては、努めて刈りとつた時期、でき得るならば早目にやつていただいた方が有利であるように考えるのであります。今までやつていらつしやる工事においても、むろんトンネルの場所もあるし、いろいろ工事のしやすいところとむずかしいところとあるのは当然でありますが、まず普通の平地であるなら、現在一マイル当り建設費がどのくらいかかるか。これは多年の体験からおわかりになると思いますが、この際説明をしていただきたいと思います。
  13. 植田純一

    植田政府委員 新線建設をいたしまする場合の各線状況によりましてずいぶん違いまするが、私どもは大体キロ当り五千万円程度いる、かように承知いたしております。
  14. 永田良吉

    永田(良)委員 それではまずこの点はこれで質問を打切りまして、次に車輌費のうちの四十億を地方交通便益に資するために内燃動車三百輛というのがございます。申請が出ております。この三百輛をやはり地方の省営バスにお使いになるのか、路線にお向けになるのでありましようか。これが現在どのくらいの速度で——これもやはり月平均というものでしよう。あるいはまた年度始めとか年度後に路線ができるという計画があると思いますので、ちよつと説明を願つていただきたいと思います。
  15. 植田純一

    植田政府委員 内燃動車関係と存じまするが、二十六年度末におきましては百八十四輛ございまして、二十七年度におきましては大体五十四輛の計画でございます。今日まで二十四輛できておりまして、年度末にはさらに三十輛できる、かような状態になつております。二十八年度におきましては、ただいまお話がございましたように地方からの要望も非常に熾烈なものがございますので、大体三百輛見当をつくりたい、かように考えておるわけでございます。それで実はこの内燃動車は、今日までは各地方線区に分散いたしまして、各地に使つております。いわゆる支線の輸送回数増加等のために分散使用いたしておるのでございますが、今後の問題といたしまして、各地方に分散いたして使用いたしますると、予備軍の率から申しましてもかなり不経済な面も生ずるというようなことと、もう一つは従来は各車輛ごとに一輛々々しか運転できなかつたと申しまするか、各車輛運転士がいつたというようなことで、これを何輛か一緒に運転するということにつきましても、非常に不便な点も多かつたのでありますが、今後そういう面につきましても制御できる車ができるようになりました。その点の便利も増して参つております。従いまして今後の方針といたしましては、いろいろの考え方もございまするが、どういうふうに来年度の車を使うかということにつきましては、いろいろと今後検討をしなければならぬ問題もあるのでございまして、国鉄におきましても、またどういうふうに配置するかということにつきましては、まだきまつておらないと承知いたしております。
  16. 逢澤寛

    逢澤委員長 ちよつとお待ちください。委員長から植田政府委員ちよつと尋ねたいのですが、さきに永田委員から質問になつております六線の本年度着手予算に対する回答は、その着手は大体秋ころからでなくてはできぬというお話なのですが、その予算に対する回答は、本国会中に回答ができるかできないか、結局は三月の終りくらいまでに、大体予算見通しがつくかつかないかということを知らせてもらいたいと思います。
  17. 植田純一

    植田政府委員 いわゆるその実行計画と申しまするが、その予算の点につきましては、できるだけこの会期中に検討していただきまして、御報告できるようにしたいと思つております。
  18. 永田良吉

    永田(良)委員 私どもそう思つていたのです。今委員長がおつしやる通り、新線計画線路のごときは鉄道審議会においても議会の半ばを越えてからでなく、もうちつと早くお開きになつて、二十八年度議会召集までにこういうことはもうらちを明けて説明してくださる、明瞭におできにならぬければ、私どもはどうも不安でたまらぬ。今も私が質問しても、まだこれについて考慮中というようなことで、これはいろいろ慎重考慮せられるということはけつこうではあるけれども、いくら考慮されたからといつて、何十年かかつても片づかぬ問題もある。私どもはかつてなことを申しますけれども、早くこういうことを御研究なさいまして、われわれのこの議会委員会においてもちやんと答弁のできるような態勢に持つていただくように希望する次第で、これは無理なお願いかもしれぬがそう願いたいと思います。  それでは私は地方の具体的な例につきましてお尋ねしたいと思う。しからば三百輛つくつたらぽつぽつ配置するとおつしやるが、私はそれがどうも合点が行かぬと思う。三百輛という数字を示して予算をとつて車輛をおつくりにならぬければならぬが、大体これはどことどこの線に何車輛渡すというようなことは、運輸省としてはもはや計画案のもとに予算をおとりくださつたものと思う。これがこしらえてからだんだん配るということは、どうも私どもは不安に思う。そういうことをされますと、われわれ地方の者は日本全国困つてしまう。その理由は、そういう不安なことをおつしやいますと、各地方からわつしよわつしよ押しかけて陳情運動が始まる。こういうことは私はあまりよろしくないと思つております。明瞭にされる範囲のものは明瞭にしていただきたい、この意味で申し上げます。  それでは私ども次都城から北郷線、それから志布志から古江線、この方面には昔ガソリンカーがあつた。今運転していないので、戦前運転回数が復活しないのはあの地方だけなのである。皆さん方は御承知でありましようが、あすこの個人会社の三州バスは、鹿屋垂水間を一日に二十四回も走つている。それにお客さんはほとんど吸収されてしまつて鉄道はがらんとしている。そうして話を聞いてみればあの線は赤字であるとおつしやる。皆さん赤字の線にはもう配車の必要はない、増発の必要もない。われわれが地方管理局に行くと、たいへんあの線を軽視している。私はこういうことはあつてはならないと思う。これは悪く言えば、何がゆえに高価なレールを使つて、われわれの地方の産業の開発に線路を敷いてくださつたのかということになる。それで客が全部地方会社バスにとられてしまうということ、これはいかがなものでしよう。バスは高いのですよ。われわれとしてはなるたけ国鉄によつて地方の品物や人間を輸送していただきたい。予算を出される以上、どこの線に一車とか二軍ということは御説明できると思いますが、あの線にはお見込みがあるのですか、もしありますならばあつさりとおつしやつていただきたいのでございます。
  19. 天坊裕彦

    天坊説明員 お答えいたします。国鉄は終戦後、いろいろこわれたものを復旧さして参つて、除々ながら整備のかつこうがついて参つた次第でありますが、今もお話がございました通りまだ戦前通りの姿に実はなつていないのでございます。その理由の一番わかりやすい点は、機関車であるとか客車であるとかが、まだ元へもどつていない。従いまして各線区において、従来あつただけの回数がまだやはり足りないというのが実情でございます。具体的にガソリンカーの点でお話がございましたが、ガソリンカー戦前は三百輛以上あつたが、それが先ほどの答弁にもございましたように百八十輛前後しか今のところ復活していない。  この百二、三十輛というものは、どこかの線区戦前はあつたけれども、まだ動いていないという勘定で、元へもどつていないのが実情でございます。そこで私どもといたしましては、客車もこしらえたい、それから非常に評判のいいガソリンカーと申しますか、デイーゼル、カーもふやしたい。デイーゼル・カーができて来ればそれを客車に置きかえて、客車はまた客車で使えるところへ持つて行つて回数もふやしたい。そういう観点で今年は三百輌近くつくつておるのであります。従いまして、従来動いておつたところにもぜひふやしたいというのが一つと、さらに戦後の輸送事情がかわりました点も考えて、その辺にも置きたい。あるいはまたデイーゼル・カー性能は、先ほども話がございましたように、昔のように一輛運転だけしかできないというものではなくて、何輛か連結しても動かせるという性能のものになつて参りましたので、現在の長い客車に置きかえるなりして、従つてそれから浮いて来た客車は各線区に補強して行きたい、こういうふうに考えておるのであります。具体的な御設例につきましては、私もちよつとはつきりいたしませんが、従来あつたところにはなるべく置きたいという気持でおります。から、御了承願いたいと思います。
  20. 楯兼次郎

    楯委員 デイーゼル・カー配置ですけれども、私は今ここで詳細に三百輛に対する配置計画をお示し願いたいということは申しませんが、国有鉄道として、大体総括的に一箇所を全部デイーゼル・カーに置きかえて、残りを各所に配置するという方針であるか、あるいはある輛数を戦前運転しておりました線区に総花的に配置する方針であるか、その基本的な方針を承つておきたい。
  21. 天坊裕彦

    天坊説明員 先ほど申し上げましたように、総括制御ができるという新しい形式のデイーゼル・カーになりましたために、従来の考え方だけでも押し切つて、そこへ新しくそういうデイーゼル・カーを置くことによつて、経済的な利益が鉄道の方にもできるだけ集中してもたらされるようにはしたい、同時に、それを使う地方にはできるだけ利便を提供したい、こういう両面の考え方を持つておりますので、場所によつてはある程度は集中して、そこに現在動いている蒸気機関車も余らせる、客車も浮かせる、こういう地区も優先的に考えたい。しかし同時に、従来動いておりましたところにはやはり相当の交通量があつて、頻繁な回数も必要であつたということが言えるのが実情であろうと思いますので、そういう地域にもある程度は置きたい。また言い方が非常に矛盾しているようでありますが、集中しておりましても、すぐ機関車をやめてしまうということはなかなかできにくいので、その辺のところは実情とにらみ合せながら、ここ二、三年の間にデイーゼル・カーをふやすならばふやすという方向へ持つて行きたいと考えております。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 今の御答弁では、まだ基本的な方針がきまつておらないと思うのであります。それはいろいろ根拠はございますけれども、私の考えでは総花的といいますか、ある一簡所に集中的に客車と交換しないように、地方の要請に応じて幾分かは地方へ分散して配置をするようにお願いをしておきたい。
  23. 永田良吉

    永田(良)委員 ただいまの御説の通り、私の方も一線路に集中してもらうことは、他の地方がたいへん迷惑すると思う。私がお願いをした大隅の方も今機関車が走つておりますが、これが一日五回しか走つておりません。それで待つ時間が三時間半くらいある。ところがバスの方は三十分か一時間で走るので、そのためにみなその方にお客さんが吸収されてしまう。要するに現在の機関車でもよろしいが、それが私の地方はまだ戦前にまで復活しておりません。今度志布志から油津に行く方は一回増加になつている。ところが志布志から私の方の鹿屋市に来るあの線は、この間の地方新聞を見ますと見えておりません。たいへん失礼ですけれども、これは矛盾した話だと思つておりますが、交通ではだれが何と言つても、私の方の鹿屋から垂水、あの線が一番交通量が多い。これはたしか三月一日から実施なさるということですが、さつきの御答弁通りまだ御考慮中であると思う。私が申し上げました点にもし誤りがないならば、まだ日にちがあることですから、どうか手落ちがないようにお願いしたい。都城から志布志行つて、それから油津に行くあの線のみを五回を六回にし、志布志から鹿屋の線を昔のままに置いておかれるということは、たいへん矛盾したことだと思う。鹿屋には昔航空隊もありましたし、今は予備隊もあるのです。鹿屋線の方も、五回とあるのを六回にしていただければ、赤字もだんだんと消えて行くと思う。どうか落ちのないように、この点を特に希望としてお願いをしておきたい。それからガソリンカーも、これは一回でもよろしいし二回でもよろしゆうございます。決して私の地方にばかり便益を与えて、他の地方に御迷惑をかけるようなことをお願いするのではございませんが、しかしだれが何と言つても私の方の地方は日本の最南端であつて、道路にしても、港湾にしても、また鉄道にしても、交通の便においては最も恩恵をこうむつておらぬ場所であります。特に私はこの機会に鉄道の方と——航空の方がいらつしやらないから残念ですけれども、最後に皆様方お願いがあるのであります。それはまず鉄道の方にお願いしておきます。私は将来の交通は、運輸省としては、海運と陸運と空運と三つが一緒になつて行くべきものだと思う。しからば日本の海運は戦前状態に復活するには非常に困難がある、船がたくさん沈んだからこれにも困難があるが、しかしある程度までは回復されたと思うのであります。鉄道も、今申された通り戦前に復活するには御苦心があると思うけれども、大体鉄道から海それから空運、私はこれが日本としては一番の難点だと思う。きのうも私どもは羽田に行つて日航の飛行機に乗つてみた。そうして乗務員からも航空局の局長からもいろいろ話を承りましたし、また私ども昔外国の飛行機にも多少乗つたことがあるけれども、日本の民間航空ほどみじめなものはない。戦前からだめです。だめと言つては失礼ですけれども、欧米各国に負けている。それが戦争で六、七年のロスがある。また最近機体なんかは、アメリカのおかげでりつぱな飛行機が、今福岡と北は北海道の千歳まで通つておりますが、これの運航回数も少い。少いが、現在の運航状態においてたいへん困つたことがある。その実例を申し上げますから、御参考のために航空局と皆様の鉄道と話合いの上、どうか研究してもらいたい。その実例は、羽田を七時半に日航の旅客機が出る。それが伊丹や岩国を経て福岡に着くのが十二時前後、ちようどそのころ博多から鹿児島、それから長崎に行く急行があそこを通る。私はもう老人だから、私はパスを持つているけれども、三十五時間も汽車に乗りたくはない。それで貧乏ではあるけれども、飛行機を使つて往復している。ところがそれが一ぺんも間にあつたことがない。私は追放だつたから、あれを始めたのはだれであつたかわからぬけれども、おそらく福岡に飛行機が着いたときには、あの急行に間に合つて、熊本、宮崎、鹿児島、長崎、この九州南部の四県は連絡がついて、利便を受けるようなふうに、鉄道と航空とが御協議があつたものと思います。それが連絡がとれないということはたいへん残念だ。私はあそこで十二時の汽車に間に合うと、夕方の六時には鹿児島に帰れる。ところがそれに間に合わないから、晩の急行は博多を十一時に通るが、それに乗つて翌る朝の七時に鹿児島に着く。東京から博多までは四時間で行ける。あそこから先が十三時間もかかつてはたまらぬ。これは鹿児島県のみでない。宮崎も熊本も長崎も南九州の人がみな迷惑する。これが三十分くらい時間の余裕を御研究になれば連絡がつきはしないか。これは絶対不可能でしようか。それは羽田発を夏のころは三十分早めて七時にしたらどうか。また皆さんのダイヤはたいへんむずかしいと思うが、それだつて博多発を鹿児島行きや長崎行きを十五分でも延ばすようなダイヤの切りかえができぬか。今度ダイヤの改正の際、ぜひそういうことにお願いしたい。私の鹿児島県のごときはああいう不便な場所だから、地方の人が陳情に来るにも、また文書で請願するにも、航空便がないといかぬ。だから、この連絡がつかないのは残念に思つておりますが、まず鉄道側としての皆様の御意見が、絶対にダイヤの十五分や二十分、三十分も改正ができぬのでしようか、この際お尋ねしておきたい。
  24. 天坊裕彦

    天坊説明員 非常に実際の面からごもつともなお話でございまして、私どもとしても、飛行機の方と十分の打合せができていないと思つております。ひとつできるだけその点も考えまして、どちらかの方で乗り継ぎができるように考えたいと思つております。まことにごもつともなお話だと思います。
  25. 永田良吉

    永田(良)委員 きようは運輸大臣がいらつしやいませんから残念ですが、私はさつき申し上げました通り、どうも日本の国民一般の航空に対する研究が薄いことを悲しむ一人であります。われわれは戦前派の古いたぬき代議士でありますが、われわれは飛行機を一番専門に唱えたものですけれども、残念ながら戦争に負けた。戦争に負けた原因は多々あつたけれども、第一に日本の空軍、それから民間航空なんかの航空方面の研究が足りなかつたのが、あの東京や全国の町々を焼き払われて、多数の死傷者を出した原因であると思う。今の日本の飛行機はこんなに貧弱な状態であるが、今保安隊はいるけれども、陸上ばかりではなく、空を守らずして国の治安とか、生命、財産の安固はあるものじやない。やつぱりわれわれが八千五百万の日本の将来を思うた場合、航空機には非常な関心を持たなければならぬのではないか。これは政府のお役人を初め、われわれ国民代表の議員も深甚の注意を払わなければならぬと思うのです。この意味から、運輸大臣を中心として、航空の関係鉄道関係、海運関係、三者の連絡がうまくとれてあんばいよいよやつていただかなければ、私は世界の航空の進歩に遅れをとるのではなかろうか。皆さんは専門家だから、こんなじじいがそんな心配をせぬでもいいかもしれないけれども、現実は航空の面が一番遅れておると思うのです。それでも福岡まで一日二回ぐらいは飛ぶくらいの力はありはせぬかと思うのです。それがないならば、予算をとる場合、皆さんが熱意を持つてつてくれればLうなかなか大蔵当局なんというものは、各省からねだりに行くわけだから、説明が悪かつたり、熱意が足らぬと削つてしまうのです。私の九州の航空路のローカル線なんかも、鹿児島まで延ばしてくれと言つたけれども、ことしはとうとう削られて航空路が実現しない、こういう状態である。どうか航空方面には少し熱意を込めていただきたい。また露骨に申し上げれば、日本では今の大臣であつても飛行機に一ぺんも乗つた体験のないような方がいらつしやるかもしれない。そういうふうで日本の人は飛行機に乗ることをこわがつているような、失礼な話だけれども、人がいる。どうしても子供さんでもみな日本人は乗らなくてはうそです。今飛行機に乗るお客さんの中には米国人が多い。家族づれで福岡辺まで乗つている。こういう点から見て、もう少し航空方面について、何か進歩発展するような方途を熱心に考えていただきたいと思うが、私が先ほど申し上げました鉄道と飛行機と、博多でわずか十五分か三十分の差で間に合わぬということはおかしい。どうか同じ省内だから即刻研究をして、少くとも新年度の四月一日、欲をいえば三月一日ぐらいにはそういう利便をはかつていただくように、いいことは即決してやつていただきたいことをお願いする次第であります。もうじじいは詳しいことを申し上げませんから、この希望を申し上げて私の質問を打切ります。
  26. 逢澤寛

    逢澤委員長 次は玉置信一君。
  27. 玉置信一

    ○玉置委員 私は本日は時間の関係で詳細な質疑を行うことができませんので、国有鉄道予算に関して一つだけお聞きしておきたい。先般の委員会におきまして、二十八年度国鉄予算の全貌についての御説明がありまして、もちろんその中の款項についての内容等もお伺いしたのでありますが、国鉄運輸の面における、すなわち旅客、貨物の運賃改正をやつたのでありますが、それの改正に基く増収見通し、それからそれに関連しての二十八年度予算が、この中に含まれておるのか、おらないのか、きようはその点をちよつとお伺いして、次の委員会において詳細にお伺いしたいと思います。
  28. 高井軍一

    ○高井説明員 お答えいたします。二十八年度の運賃改正に基く影響は、増収とか増送とかその他の関係もありますが、運賃改正では二百十億というものを旅客、貨物で、平年度といたして見込んでおります。
  29. 玉置信一

    ○玉置委員 次は運輸行政について、船舶局長がおいでになりますればちよつとお尋ねしておきたいと思います。私聞くところによりますと、フイリピンの沈没船引揚げを行うことになつて、しかもそれが賠償協定調印前に実施をするというやに承つておりますが、事実でございましようか。
  30. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 ただいまのところ、沈船の調査はやつておりますが、実際に沈船を引揚げ、あるいは解撤するというふうなことについては、まだ具体的に話がきまつておりませんし、賠償協定を結ぶ前にそういうことをやるというようなことは、まだはつきりいたしておりません。
  31. 玉置信一

    ○玉置委員 すでに調査船君島丸が現地に乗り込んで調査をいたしており、来る三月五日ごろに呉港に帰つて来る、こういうように聞いておりますが、その点はどうですか。
  32. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 最初予定通りマニラ湾の四十数隻の沈船の調査と、その後セブの二十隻の調査はすでに終りまして、たしか本日だろうと思いますが、セブを立つて内地に帰港いたします。来月の五日ころに着く予定であります。
  33. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいまの船舶局長お話によりますと、まだ賠償に関する問題等については方針が定つていないようでございます。ところが一方においてはすでにこの調査船が帰つて来たならば、三月十七日までに調査報告書を出せというようなことになつて、調査にかかつておるということであるが、この事実はいかがですか。
  34. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 初め調査団と話合いをしましたときには、内地に帰港後十日ぐらいで調査報告ができないかということを話しましたが、なかなか十日ぐらいではできない。少くとも十日以上はどうしてもかかるということで、具体的に調査報告書を帰港後十日以内につくるというようなことはまだきめておりません。
  35. 玉置信一

    ○玉置委員 そうしますと、沈船引揚げの作業に当るということについては、今政府としては何も考えておらぬのですか。
  36. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 少くとも中間協定あるいは賠償協定が締結される前に実施するというようなことは、今考えておりません。なお実施計画につきましては、調査団が帰つて参りまして、その調査報告書を求めまして、それをしさいに調査した上で、具体的に沈船の処理の方式をきめたいと考えておりますので、今のところお話のような話はまだ具体的になつておりません。
  37. 玉置信一

    ○玉置委員 仄聞するところによりますと、調査団の報告書を提出した後、十日以内に見積書を出せというようなことを、指示か内々の話か知りませんが、そういうような話があると聞いておるのですが、政府はどうなんですか。こういう点において何か話があつたのですか。
  38. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 今のところ、調査団が帰つて来まして、おそらく十数日から二十日、あるいはもつと以上かかるかと思いますが、その期間において調査報告書を提出させますが、この調査報告書は沈船の位置、水深、あるいは破損箇所、あるいはそれが再び浮き上ることができるか、あるいはスクラツプにしなければならぬか、そういう程度のものの調査報告を求めるのでありまして、見積書をいついつまでに出せとか、あるいは調査団に見積書を初めから報告させるというようなことは、全然まだ言つておりません。
  39. 玉置信一

    ○玉置委員 そうしますと、調査の結果に基いて引揚げ作業を開始するという場合におきましては、政府はこれに対して直営の形といいますか、そういうことでやるのであるかどうか、もちろんそういうことはむずかしいであろうと思いますし、結局は請負になるのではないかと思いますが、これはどういうことにお考えになつておりますか。
  40. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 先ほど申しましたように、まだ報告書も出ておりませんし、またいろいろな中間協定、あるいは賠償協定もできておりませんので、具体的の話はきまつておりませんが、まだ将来実施する場合には、今お話のように直接やる場合、あるいは間接にやる場合、二つの方法が考えられると思います。従つてわれわれとしましても目下のところは、両方の場合の利害得失等を研究している段階であります。
  41. 玉置信一

    ○玉置委員 巷間伝えられるところによりますと、すでに請負に対して指名入札をするというようなことさえ実は伝わつておるのですが、その点は、今のお話によると全然そこまで行つていないように思いますが、重ねてお伺いしておきたい。
  42. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 お話通り、まだ全然そういう問題については具体的に意思表示をしておりません。まだ方法の優劣について抽象的に議論している程度であります。
  43. 玉置信一

    ○玉置委員 この問題はきわめて重大でありまして、もし政府方針と取扱いいかんによりましては、国民の大きな疑惑を招くおそれがあるので、私はつつ込んでお伺いしておるのです。前段申し上げましたように、すでに調査書を作成して、提出後十日以内に見積書を出せというような、きわめて具体的なうわさが出ている際であります。もしこれが事実としたならば——私は仮定として申し上げますが、そうすると、調査した者には、先ほど局長のお話なつた現状の実態がわかるのですが、調査しない他の業者はわからない。ある日にちを切つて見積りを出せと言われた場合は、その調査に当つた特定の船だけしか見積りは出せない。こういうようなことがあつては、私が先ほど申し上げましたように、国民の疑惑を招く一大原因になると思うのでありますが、これを局長はいかようにお考えになつておりますか。将来どうしようというお考えでありますか。
  44. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 調査の結果は調査団で整理いたしまして、運輸省に提出いたしますから、われわれの方でさらにこれを整理いたしまして公開いたします。従つて公開後入札の場合には、どういう入札になるかわかりませんが、入札させる場合には、相当の期間を置き、あるいはその間の調査に対するいろいろな質疑もありましようから、そういうものに対して具体的にお話いたしまして、十分納得行つた上で、さらに見積書を提出させるようにしたいと考えております。従つて入札に際して、調査に行つた者と行かない者との間に差があるというようなことは避けたいと思つて、できるだけ公平にやるつもりでおります。
  45. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいまの御答弁で、私ども大体安心することができましたが、さらにつけ加えて要望しておきたいことは、これはひとり運輸省の問題ばかりではなくして、大蔵省、外務省に関係がある問題と思うのであります。従いましてただいま御答弁になりました基本的な方針にのつとりまして、横の連絡をとられまして、あくまでも公明正大、いかなる人に見られましても誤解の生じないように、一般に公開して、十分な見積りの期間を与えて公正な入札をされる。これは第三者的の仕事をする場合のことですが、そういうことに取扱われるよう重ねて要望いたして、私の質問を終ります。
  46. 逢澤寛

    逢澤委員長 委員長からこの問題について追加質問ちよつとしてみたいと思います。この沈船の場所と水深、その破損の場所等の調査をして、それを公開した上で入札に付するというお話であつたのですが、この場合の調査団は日本に何ぼあるかということが調査できておるか、できておらないか。いかなる調査機関でどういうような方法によつてこの調査を進めたかという点について御質問します。
  47. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 大体こういう沈船の調査の経験のあるものは、今まで南方で経験があるという社が十社ぐらいございます。そのほかに一般に終戦後沈船の処理をしたものがたしか十二、三社あつたと思つておりますが、今回調査に行きます場合には、いろいろな会計法規上の関係上、数個の調査団といいますか、会社と契約を結ぶことが非常に困難だというようなことで、ある一定の、最も適当と認められる会社と大蔵省と契約をいたしまして、それからそのほか今申しましたような、南方で終戦後沈船の引揚げに実質的に経験のあつた数社の人々をおのおの1名ずつ、船の定員の許す範囲において乗船せしめまして調査をしておりますので、今のところ調査の方法としては最も公正な方法でやつておると考えております。
  48. 逢澤寛

    逢澤委員長 もう一ぺんお尋ねしておきたいのですが、そうすると調査団は一個の調査団を編成しておる。それに対して従来の沈船引揚げの経験者は十二社ほどある。その十二社の者を配属してそれに調査に当らしておる。こういうことに承知してよろしいか。
  49. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 十二社とおつしやいますが、南方で沈船引揚げに経験のある有力なものが七社か八社ございます。そのほかに沈船解体業者として従来南方ではありませんが、内地あるいは沿岸でやつてつたものが十二、三社ある。みなで二十二、三社になると思いますが、そのうち今度の調査団へ加わつたのは、たしか責任者が日サルで、それに七社か八社から一名ずつ加わつております。これは船の定員上、それ以上乗せられないものですから、その程度にとどめておるわけであります。
  50. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 甘利船舶局長さんがいらつしやいますから、玉置委員質問ちよつとはずれるかもしれませんけれども、白鳥丸事件というのをちよつとお尋ね申し上げたいと思うのであります。  きようの朝日新聞の記事は非常に要領を得て書いておりまするから、読み上げます。「〔神戸発〕去る十五日早朝静岡県白浜村沖で愛知県漁業指導船白鳥丸(百五十八トン)に衝突した米船チヤイナ・ベアー号(八千二百五十総トン)は十六日朝神戸に入港、十七日夜九時呉に向け出港したが、神戸在泊中同船C・W・クロフオード船長(四十五)は神戸地方海難審判所根東理事官の会見申込みに応ぜず、出港の直前になつて弁護士を通じて供述書を提出「本船は正規の航法をとつていたと確信している。白鳥丸の方が本船を避けるべきであつた」と主張した。これに対し根東理事官は「チヤイナ・ベアー号のコース・レコード(自動的に記録する航跡誌)によるとベアー号の右側から白鳥丸の赤ランプ(左側)が目撃されている。これは白鳥丸の航路をベアー号が横切りかけていることを示すもので、ベアー号は白鳥丸に航路を譲るべきであつた。ところが事実はベアー号は針路をかえず、右に急カーブを切つた白鳥丸の船尾に激突したものと思われる。白鳥丸は沈没したので遭難の正確な位置も原因もつかみにくいが、日本側に十一人の犠牲者を出したことでもあり同船長の態度は実に遺憾だ」と語つた。」注といたしまして、「航法第十九條によると針路が交差した場合、他船を右に見た船が避譲する義務がある。」かように報道されておるのでありまして、この白鳥丸事件というものは、相当問題になる問題だと私は考えるのでございまして、これはもちろん外務省との間の外交交渉にもまたなければならぬと思います。船舶局長さんだけでなく、海運局長さんの所管にもかかわる事件だと思います。報道するところによると、向うの船長の態度は実に不可解である。日本側の白鳥丸に責任がある、おれの方には責任がない、こういうふうな態度をとつて呉に向けて出港した、呉からただちに本国に帰つた。これの跡始末はどうするかということを国民は当然考えるべきであると思うのであります。これに対して運輸省当局は何か手を打つておられますか。また打たねばならないと思うのでありますが、その御構想があるならば承りたいと思います。
  51. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 今の白鳥丸の件につきましては、私も本日新聞を読みまして、もしそういう事案があるとすれば、国民の一人として非常に憤慨にたえない次第であります。ただこういう衝突事件でありますので、しかも一方の船が沈んでおりますし、責任者もいまだもつて発見されないような状態でありますので、軽々しく一方の言を信じて論断を下すことは軽卒かと思います。この所管は海難審判庁でありますので、おそらく海難審判庁の方から運輸大臣の方にいろいろ連絡があるかと思いますが、私からもお話の旨よく申しておきまして、運輸省としても審判庁長官と連絡をとつて、何らかの措置をとりたいと考えております。
  52. 山崎岩男

    ○山崎(岩)委員 どうぞ局長さんのお答えの通りに、この問題は完全に独立国家なつた日本の国の体面にもかかわる問題でありますから、今まで日本が占領されておつた、おれの方で切捨てごめんであつても、お前の方では文句は言えないというような態度であれば、これはゆゆしき問題でありますので、運輸大臣にも、強く局長さんの方から委員会においての論議を御報告の上、外務大臣とも連絡をとつて善処せられるようにお願い申し上げます。  もう一点、これは副総裁がおられますからお尋ねを申し上げます。青函連絡船の問題でありますが、御承知通り津軽海峡の浮流機雷は、幸いにしてここ一、二年というものは、全然流れて来ていないような状況を私は地元でもつて見受けているのであります。しかるところいまだに青函連絡船の夜間航路が停止されておりますが、もはや解消されてもよろしいかと、私地元においてかように考えているのであります。国鉄当局におかれましてはどのようにこれをごらんになつていらつしやいますか、お尋ね申し上げたいと思います。
  53. 天坊裕彦

    天坊説明員 青函連絡船の夜航便につきましては、私どもも大体現在の状況から、もう復活してもいいのではないか、そのつもりでできればこの四月ごろから復活したいという気持でおります、何分人命尊重の問題もございますので、できますれば保安庁の方で哨戒をやつていただくというふうなこととあわせて復活したいと考えまして、保安庁と目下折衝中でございます。
  54. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほどの玉置委員質問に関連いたしまして、二、三お尋ねしておきたいと存ずるのであります。  まず第一にお尋ねを申し上げたいのは、フイリピン国の領海、あるいは近海において、すなわち日比賠償問題解決のために、いわゆる引揚げられる沈船といいますか、沈船の予想トン数は一体どのくらいあるのか、もちろん概数しかおわかりでないと存じますが、この概数をまずお聞かせおき願いたいと思います。
  55. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 私今ちよつと数字を持つて来ておりませんが、たしかマニラ湾で四十四隻、セブで二十隻、合計いたしまして二十七万トンと記憶いたしておりますが、後ほど詳細な資料をお届けいたします。なお沈船の数及び総トン数については、日本側とフイリピン側にいろいろな食い違いがございますので、その辺についても私の方で今できるだけその数字を合せるように、両方の表の調査をいたしておりますので、それができましたならばまた御報告いたします。
  56. 岡田五郎

    岡田(五)委員 もう一つお伺いしたいのでありますが、聞くところによりますと、最近遠からずと申し上げてよいかどうかわかりませんが、フイリピン政府から賠償使節のごときミツシヨンが日本に来られるらしいのでありますが、さような計画をお耳にしておられるかどうか。もしお耳にしておられればお答え願いたいのであります。
  57. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 これは外務省の関係になりますが、私の聞いております範囲では、沈船その他の加工及び役務賠償について、いろいろ調査のため今月末あるいは来月早々に調査団が来るということは聞いております。
  58. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほど玉置委員質問に対しまして、役務賠償としての沈船引揚げにつきましての方法として、あるいは日本政府とフイリピン政府が契約して、そうして日本政府が日本の沈船引揚げ業者に割当または契約をするという形と、フイリピン政府が、日本の沈船引揚げ業者というか、解体業者と直接契約をさせる方法と、二つあるようなお話もありましたし、またその方法については日比賠償その他の会議において、こまかく打合せられると思いますが、賠償関係は私から申し上げるまでもなく非常にむずかしい問題で、ざつくばらんに申し上げますと、日本側としてはできるだけ高い値段で沈船を引揚げて、役務賠償額をできるだけ実質的に少く済ませるということになれば、日本国全体のためにもなりますし、安くやつてたくさんやらなければならないということになりますと、実質的に非常な賠償をしなければならぬ。国家国家の賠償関係からするとこういう考え方になりますが、一面業者側からすればこれは出血受注というような、最近経済界に行われる悪い傾向からいたしまして、赤字を出しても沈船引揚げの下請けをする。こういうことになりますと、非常に安い値段でフイリピンヘの役務賠償のために沈船を引揚げなければならぬ。現在の日本の経済界の事情からする弊害が、こういう面にも現われて来る。こういうことを考えますと、この問題につきましては政府においても、相当慎重にこれが対策を講ぜらるべきことを私は痛感するのでありますが、こういう点について、いろいろ今後賠償問題の交渉の経過にもよると思いますが、沈船引揚げ作業という特殊な作業でございますので、これについてどういう御構想を目下のところ政府においてお持ちになつておるか。ちようどいい機会でありますので、お聞かせおきを願いたいと思います。
  59. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 今岡田委員お話のありました通り直接法と間接法とありまして、先ほど私が御答弁申し上げましたように、その優劣を比較いたしておりますが、たとえば直接法によつて向うの政府と内地の業者が直接話合いをする場合においても、やはりある程度政府の監督権なりを保留いたしまして、ただ単に業者と向うの政府と話合いはさせないようにいたしたいと考えております。また間接法で、たとえば特別調達庁に類似の機関を設けまして、そこで賠償の問題を向うの政府との間にとりきめるような場合におきましても、お話にありましたような、単なる業者同士の商売でやる問題ではありませんし、いずれも貴重な国費を使つてやるものでありますので、お話のようにその点は十分適当な方法を考えまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
  60. 岡田五郎

    岡田(五)委員 これは希望になるかもしれませんが、今後の契約の形態によりまして、日本政府とフイリピン政府と直接沈船引揚げの契約をする、協定をする、こういうことになりまして、これはあるいは思い過ぎになるかもしれませんが、またそうあるべきでないと考えますが、この賠償の点でこちらはとられる方であります。向うはとる方であるが、政府政府との交渉のために、あるいは日本政府が実際の引揚げ価格よりも安い価格でフイリピン政府と契約をしなければならない。安い価格で契約した結果、つい安い価格で解体業者に押しつける。市場市価よりも低い値段で押しつけるというような場合も、いろいろなケースを考えますと考えられるのであります。かような場合に日本政府自体が日本の国費の負担のもとにおいて、これら業者の負担を軽減するといいますか、価格調整の措置をも講ぜられる場合もあり得るということを考えるのでありますが、こういうような場合をも十分お考え合せ願いまして——国と国と戦争いたしました、日本の国の罪でありますか、何でありますか、償いのために賠償するのでありますが、それがために日本国民すなわち業者が何も犠牲を払う必要もないのであります。どうか業者に迷惑のかからぬように十二分に日比賠償会議におきましてはあらゆる角度を御検討になりまして、かような問題の解決に御精進くださらんことを、希望になりましたがお願い申し上げまして、私の関連質問を終ります。
  61. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に臼井莊一君。
  62. 臼井莊一

    ○臼井委員 国鉄当局に一、二ちよつとお伺いしたいのですが、先ほどどなたかの御質問によつて、本年度の収入二百十億、約一割の増収を見込んでおるようであります。値上げ後わずかな期間でありますが、実績といいますか、それがどのくらいの率増収になつておりますか、その点をお伺いいたします。
  63. 高井軍一

    ○高井説明員 御承知のように旅客は一月から、貨物は二月から改訂運賃によつたのでありますが、一月はまだ炭労ストの影響がありまして、的確に運賃値上げ後どういう情勢であつたかということの把握はいたしかねるのであります。また二月になりましても、そうした炭労ストの滞貨が非常にありまして、現在百四十万トンほどの沿線滞貨がございます。そういうような関係で、運賃値上げの影響というものは出ておらず、二月になりましてからは順調に予定収入の通り行つております。一月におきましては旅客が予定収入より二億増収いたしました。貨物の方が三億減収をいたしております。それで差引一月は一億の減収ということに相なつております。
  64. 臼井莊一

    ○臼井委員 今炭労ストの影響の話が出たのですが、炭労ストの影響を非常に受けたことはわかるのです。それがどの程度収入に影響したか、もちろん支出の面も節約になつたと思うのですが、その点さらに電産ストの場合には、やはり影響がどの程度つたものかをお伺いしたいと思います。
  65. 高井軍一

    ○高井説明員 電産ストにつきましては、御承知のように東京付近は自営電力を持つておりますので、全体的にはさして影響いたしておりません。炭労ストにおきましては、十二月までに旅客が三億八千万円ほど、貨物が十億二千万円ほどの減収、合計いたしまして旅客、貨物で十四億の減収に相なつております。但し先ほどお話がありましたことく、列車削減に伴いまする経費の節減と申しますか、不用額が出ております。それが約四億というものが不用になつておりますので、十二月末までには十四億の減収に対しまして四億の節減、差引きまして十億の減収ということに相なつております。
  66. 臼井莊一

    ○臼井委員 もう一点お伺いしたいのですが、新線の建設は、地方の産業の開発の上にも非常にけつこうでありますが、ただ国鉄が独立採算をとつておるというその制度の上からいうと、将来非常な負担になるような新線をつくるということは、また影響を受けるところが非常に多いと思うのですが、鉄道建設審議会でございますか、その審議会等において審議される場合に、採算という点も十分考慮せられてやつておられると思うのでありますけれども、最近の情勢によると、私鉄などでもバスあるいはトラツク、そういうものに相当影響されて、増進が頭どまりになつておる、こういうことを伺うのですが、新線をつくらないでバスを運行する。もとよりバスでは都合の悪い道路の関係もございましようし、いろいろございましようが、あるいは国鉄においては貨物はやつておるかどうか私よく知りませんけれども、そういう点を考慮し研究して、決定したところについてはこれはもうしかたがないとしても、将来そういう点をよほど考慮に入れる必要があると思うのですが、せつかく鉄道を敷いても、また貨物あるいはバス等によつて減収を来すということになると、採算上国鉄として非常に困ると思いますが、そういう点について審議会がどういう審議の仕方をしておりますか、ちよつと伺いたいと思います。
  67. 植田純一

    植田政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、鉄道新線建設関係いたしまして、いろいろと議論のあるところでございまして、鉄道建設審議会におきましても、さしあたり着工を必要とする路線はどうであるかというその諮問に対しまして、相当長時間、数回もその根本問題につきまして、建設審議会におきましても議論があつたところでございます。それで結局新線建設をやるにつきまして、さしあたり着工するにつきましては、たとえば交通系路上どうであるとか、あるいは産業資源の開発上どうであるとか、あるいはすでに戦争以前から一部分着工しかけておりまして、中途半端になつておるような路線もございますし、そういうようなものもどういうふうに考えるべきであるかというような点、いろいろな点から総合的に考えまして、なるほど収支の採算という点から申しますと、必ずしも全部プラスになる線ではございません。むしろその線だけでは採算がとれぬという線が多いのでございますが、そういう交通系路上、あるいはまた産業資源の開発上、さらに大きな見地から見まして、どうしてもやる方が国家的、大局的に見て必要である。またそういう輿論も非常に強いという線をピツク・アツプいたしまして、そういう線路を着工するというような方針がきまつたようなわけでございます。
  68. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に江藤委員
  69. 江藤夏雄

    ○江藤委員 私は日本の今後の航空事業ということについての、運輸省の基本方針をお伺いしたいと思いますが、航空関係の方はお見えですか。
  70. 逢澤寛

    逢澤委員長 次会に航空局長を呼びたいと存じております。
  71. 江藤夏雄

    ○江藤委員 それでよろしゆうございます。
  72. 逢澤寛

    逢澤委員長 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  73. 逢澤寛

    逢澤委員長 それでは速記を始めてください。  海岸保全のためにはイ、農地の保全、口、一般土地家屋の保全を目的とする場合と並んで、港湾の保全をはからねばならない。従つて海岸保全法案の中に港湾の保全を目的とする場合を規定し、従来運輸大臣が行つて来た港湾内の海岸保全の責任を明定する必要がある。この旨の修正意見を海岸保全法案が建設委員会に付託になりましたならば、本委員会から強く申し入れたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 逢澤寛

    逢澤委員長 異議なしとの声がありますので、そういうふうに決定いたします。     —————————————
  75. 逢澤寛

    逢澤委員長 熊本虎三君。
  76. 熊本虎三

    ○熊本委員 少しお尋ねをいたしたいと存じます。先ほど新線建設に対しまして、今年度は昨年の約三倍額を計上されておりますので、これに対する国民の関心は非常に重大であろうということから質問がございまして、さらにこれに関連して、電化設備費もやはり本年はいささか増額計上されております。これらの問題については先ほど質疑がございましたから、特にお尋ねはいたしませんが、予算を計上するにあたつて、いまだその具体的予算の割振りというもの、いわゆる着工の線がきまつておらないというがごときは、はなはだ当を得ていないという考え方は、先ほどと一致でありますから、この点については至急に具体案をつくられまして、本委員会に御提示のことを冒頭にお願い申しておきたいと存じます。  その次にお尋ねいたしたいことは、予算を見ますると、本年度の借入金が百十億並びに国鉄公債百二十億というものが計上されておりますが、借入金並びに公債発行について、大蔵省とそれぞれ了解済みであるかどうかということをまずお尋ねいたしたいと思います。
  77. 植田純一

    植田政府委員 この資金計画につきましては、政府部内の考え方は一応きまりまして、ただいま国会におきまして、御審議を願つておる次第でございます。
  78. 熊本虎三

    ○熊本委員 それではあとでまた関連して申し上げるかもしれませんが、一応次に移ります。  次にお尋ねいたしたいことは、運輸収入は約一割、すなわち二百十三億円程度の増ということに計上されております。しかるに人員の増はわずかに三百三十人であります。このことにつきまして当然輸送収入による労働力の増強並びに新線工事に対して昨年度の三倍になる工事に要する人件費、及び電化につきましても約二割増の予算を計上されておるのでございまして、こういう事業面につきまして非常に厖大なる予算を計上しておきながら、人員の増を三百三十人でとめたという理由は一体どこにあるのか。パーセンテージにすれば、一%にも当らない人員増でありまして、さなきだに労働強化ということが問題になつている際に、こういうような予算でその執行ができるかどうか、この点をお尋ねいたしたいと存じます。
  79. 高井軍一

    ○高井説明員 お答えいたします。運輸収入は、二十七年度の公布予算に対して二百十三億の増になつておりますが、これは先ほど申し上げましたごとく、運賃改正に基きますものが、平年度といたしましての二百十億程度というものが入つておりますので、二百十三億はこの運輸数量の増だけではないのでございます。またそれに対して三百三十人の増員にとどまる、まことにその通りでありまして、これは新線の要員といたしましての三百三十人でありますが、ほかにオーバー・タイムといたしまして、八千人分の予算を計上いたしておるのでございます。それと、さらに国鉄は合理化に努めて参つておるのでありますが、箇所によりますと、過剰員のところも必ずしもないとは言えないのでありまして、そうしたいわゆる人員の適正配置、でこぼこ調整というものをいたしまして、このオーバー・タイムと現在の定員によりまして実施しなければいけないというふうに考えておるのでございます。
  80. 熊本虎三

    ○熊本委員 収入の増は、昨年末の運賃改訂によりましても、約一割程度増加を見ることに相なることは、大体その通りでなくてはならないと存じます。しかしながら新線建設に関し、あるいは電化の増強に関するこれらの人件費は、やはりこれに比例すべき増員がなされなければならないと存じておりますが、当局としてこれに対するところの目安がはたして立つておるかどうかは、私どもから見ますと、妥当でないと考え、必ず労働強化になるものという不安がございます。従いましてこれは今後ますますいろいろの問題と相関連して、ほかからも議論が出ようかと思うのでございますが、十分御検討の上再考慮を願うべきでなかろうかと存じております。  次にお尋ねいたしたいことは、特別補充取替費でございますが、なるほど昨年度に比較いたしますると十億程度の増額に相なつておるようであります。しかしながら国鉄自体が発表されておりますところでは、昨年度すでに千六百億になるところの危険的取替の必要を認められているわけであります。しかるに本年度やはりこの程度の取替補充をもつて、運転あるいは増強についてさしつかえないというお考えであるかどうか、その点を一応お尋ねいたしたいと存じます。
  81. 高井軍一

    ○高井説明員 お答えいたします。今年度の減価償却及び特別補充取替費として計上いたしております三百二十五億は、昨年度予算のときに御審議願いましたと同じ方式によりまして、概括的に申し上げますれば二十四年の物価ベースに基いて減価償却を算定いたしておるのであります。それで昨年の運賃改正のときに適正なる取替補充、減価償却をやつて参りたいと考えまして、二十七年度末の物価ベースによつて運賃の改訂方をお願いいたしたのでありますが、前回の国会におきまして、結局在来と同じく二十四年度の物価ベースで減価償却をいたすような額しかお認め願えなかつたのであります。現在の運賃構成がそういう次第になつておりますので、今回の予算もそれにのつとりまして、在来の方式のごとく三百二十五億というものを計上いたしておるのでございます。
  82. 熊本虎三

    ○熊本委員 次にお尋ねいたしたいことは、国鉄は昨年八月十三日に下されました賃金待遇裁定に関する問題を実施する御意思があるかどうか、その点についてちよつとお尋ねいたします。
  83. 高井軍一

    ○高井説明員 昨年の八月の仲裁裁定の実施でありますが、それは前回国会において御審議を願いました線に沿いまして、実施をいたしておるのでございます。
  84. 熊本虎三

    ○熊本委員 具体的でないから答弁にお困りになつたろうと思いますが、なるほど本俸については一万三千四百円というものを、期日は相違いたしましたけれどもこれは実施になりました。しかしあのときの裁定は単に本俸ばかりでなく、数箇項目の條件があつたわけでございまして、その裁定第八号の中には特に第二項において、特殊勤務手当の問題については俸給の改正とともに団交をもつてこれに準ずべしということが書いてあつたはずであります。本年の予算にそのことが組み入れてあるかどうかをお尋ねいたします。
  85. 高井軍一

    ○高井説明員 予算におきましては、ベースの引上げに伴いまして算定計上いたされております、また団体交渉によりまして解決をいたしております。
  86. 熊本虎三

    ○熊本委員 そうしますと、たとえば特別勤務手当については、現在の一万三千四百円ベースに基き、旧来の比率を改めて予算面に組み入れてございますか。
  87. 高井軍一

    ○高井説明員 予算面におきましては、この前のベースと現在の新ベースとの比率を見ております。
  88. 熊本虎三

    ○熊本委員 私の聞くところによりますと、こういう特殊勤務手当というようなものは、四箇年すえ置きの金額である。従つて多少の改訂はあるが、それは二千九百円ベースのときに組まれた金額に幾分かをプラスしたものにすぎない。本年度ベースの変更の比率をそのままやれば、四億六千万円程度のものを組み入れられなければならないのに、それに対して当局では七千五百万円程度のものより計上されておらないということを聞くのであります。はたしてどちらが真であるか、御答弁願います。
  89. 高井軍一

    ○高井説明員 先ほど申し上げましてごとく、予算ではこの前のベースと新ベースの差、すなわち二割五分程度のものが増額になつております。予算はそういうことでありますが、ただ今御質問になりました特殊勤務手当は、各ベースのときから必ずしも上つていないものがあるのでございます。すなわち古いベースのままでおりましたもの、あるいはその後創設、改訂いたしましたものがありまして、必ずしも昨年までのベースでなつたものではないのであります。そういうような関係で、予算的にはそれだけ増額になつております。またただいま御質疑のように、二九ベースのものまで新ベースに上げますと、四億云々というような大量のものが出るのであります。これは給与総額について全体として調整しながら、この特殊勤務手当を決定いたしておる次第でございます。
  90. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいまの御説明によりますと、昨年度の改訂による概略二割という本俸改正、これに伴う特殊勤務手当の増額を予算に計上した、こういう御説明のようであります。ところが要求の内容は、要するに幾たびか給与改訂があつたけれども、これらの諸手当に関しては、当局は依然すえ置きの金額をもつてしておる。従つてこれは本俸改正とともに当然その率をもつて改訂さるべきであるという要求であつたはずだ。そして裁定されたものには、団交をもつてこれに準ぜよということを書いてあるわけです。そうしますと、今あなたの方で組んでいるところの予算は、裁定の趣旨に沿つておらないと私は解釈するが、あなたの方ではそれでよろしいというお考えであるかどうか、もう一ぺん御答弁願います。
  91. 高井軍一

    ○高井説明員 昨年までの事実と申しますか、これは改訂したものやら古いのやら新しいものということで、ベースはまちまちでございまして、新ベースには引直しておりませんが、予算的にはこの差額を認めてもらつておりますので、この特殊勤務手当については根本的にいろいろ考えなければいかない点、その他もありますから、労働組合の方との団体交渉によつてこれを決定し、この不足の分については運用なりその他でいろいろ考えて行かなければいかぬと思つておりますが、現在におきましてはこの予算の運用によつて処置できると考えております。今お話のように二九ベースのものをそのまま新ベースに上げるべきかどうかということについては、議論があるのであります。
  92. 熊本虎三

    ○熊本委員 私は、労組の要求が、この点を取上げて、その不当を鳴らしながら、当然なる改訂であるという建前に立つて要求しておつたものと解釈いたします。それにこたえる裁定の回答は、これに準ぜよということでありますから、私の主張は妥当だと信じております。従つて当局においては、当然予算の組みかえをもつてその団交にこたえるがごとき態勢をとるべきであると解釈いたしておるのであつて、その点もう一度念のため、考え方に相違があるかないか、御見解を御答弁願いたいと思います。
  93. 高井軍一

    ○高井説明員 現在の手当の中には駐留軍の清掃手当、あるいは機雷手当というようなものがありまして、機雷手当は相当な額に上つておりますが、情勢によつていろいろかわつおるのもありますし、各手当の種類によつて団体交渉をして参りますれば、これも根本的に組みかえなくてもやつて行けると考えております。あるいはさ少な相違については、予算総額というものもあるのでありまして、そこでこれは調整して行かなければいかぬと考えております。
  94. 熊本虎三

    ○熊本委員 そういたしますと、基本的には私の言う解釈が妥当だ、しかしながら今日までの過程において、特殊勤務手当というものの中にいろいろの関係で複雑錯綜するものがあるから、これらを整理して具体的には団交によつてきめる、かような答弁だと解釈してよろしゆうございますか。
  95. 高井軍一

    ○高井説明員 必ずしもただいまの御意見のごとく考えないのでありまして、手当によつては、そのままの率を上げるのが正しいとは考えておりません。個々の各手当について、他との関連その他を考えて、組合と団体交渉に基いて、納得のもとに妥結できれば実施をいたしたいと考えております。またその線で交渉が妥結をいたしておりますので、今申し上げたことく予算上の二割五分の増というものを根幹として運用すれば支障がない、さように考えております。
  96. 楯兼次郎

    楯委員 私実はこの特殊勤務手当について請願書を出しております。せつかくの機会でありますので、関連して御質問申し上げたいと思います。今お答えになりましたことは、いろいろな関係があつて、結論に合せた答弁であるというふうに受取れるわけです。と申しますのは、昭和二十三年の二千九百二十円の給与のときの、その給与によつて出された手当が四年間もすえ置かれている。今の答弁では、前年度より二割五分でありますか、上まわつておるということですが、この答弁は、あなたの方としては苦しい答弁であろうと思います。給料の割合によつて支給されておりました手当が四年間もすえ置かれておりますし、今日はどんどんベース・アツプしておるのですから、当然本法に合せてアツプすべきものであると考えますが、あなたはどうお考えになりますか、もう一回御答弁を願いたい。
  97. 高井軍一

    ○高井説明員 ただいま答弁を申し上げましたごとく、各職種その他を考えまして、その率でよいかどうかというようなことにつきまして、組合と団体交渉に基いて決定いたして行く。それで、そうした場合にこの予算の中でまかない得るかというような問題があるのであります。それは、先ほども申し上げましたごとく、予算の編成、それからただいまの実施の問題もありますが、給与総額の中で運用いたしますればよいのでありますから、その点、特殊勤務手当としての算出にはなつておりますが、そこは組合との団体交渉に基く給与の支給ができるように考えて行かなければいかぬと考えております。
  98. 楯兼次郎

    楯委員 それは昨年の暮れの補正予算のときに、運輸、人事、労働の三連合審査会において、運輸大臣に念を押しておきました。とにかく裁定の二項から四項は、団体交渉によつてその結論が出たならば、予算の修正をするのかと質問したのに対して、やりますという御答弁であつたのであります。従つてこの項についても団体交渉をされたと思います。ところがあなた方の団体交渉をされました賃金に関する協約の付属覚書には、このようにうたわれておるわけであります。仲裁裁定書第八号に伴う作業加算給については、今回改訂にあたつては時間的並びに予算事情により制限を受けたので、今後十分その実現に努力したい、こういう覚書になつておるわけです。昨年の暮れには確かに時期もありませんし、予算も国会においてある程度制約を受けていたので、当局としても無理であろうと思つてつたわけでございます。この付属覚書においてあなた方の言わんとする精神は、暮れにはいけないけれども、次には考えようということであつたわけです。それを否定されるならば、この覚書は何ら意味をなさないと思う。ところが今度出て参りました予算を見ますと、この覚書の精神が働いておらない。一体いつあなた方は組合と約束した内容、精神を実現するのか、非常に私たちは不可解に感ずるわけであります。暮れに組合とお約束されましたこの覚書によつて、今年は、とにかく金額といたしましては、組合に言つておるものを百パーセントということにはならないと思いますが、当然その精神が盛り込まれて予算の編成をされなくてはならないと考えておるわけです。この点について、なぜこういう覚書を結ばれたか、その実現をはかりたいという意図、時期はいつであるかということをひとつ答弁願いたい。
  99. 天坊裕彦

    天坊説明員 手当の予算に計上するやり方につきましては、ずつとベース・アツプいたして来て、数年来やはりベース・アツプの率に応じて、手当の総額は一応ふやして計上して参つたのであります。従つて手当の総額としては、大体ベース・アツプと並行して必要なだけの予算は出ておつた。その手当の総額の中で、従来の手当のうちどの手当をそのまますえ置いたがいいか、あるいは新しい手当を設定したいというような意見もありまして、新しい手当も設けて行つたりして、大体手当の総わくでやつて来たわけです。そこでそのまますえ置かれた部分につきましては、昨年の仲裁裁定でも、何とかこれは考えるべきじやないかという御意見があつた。私たちとしては実質的に、それを希望通りではなくても、ある程度直して行きたいというふうに考えているわけですが、予算面でその手当のふえる分を毎年々々べース・アツプに伴つて必要なだけ手当の額はふやして参つておるのですから、二割以上にふやすということは予算面では困難である。そこで今度新しく今の機雷手当とかなんとか、不要になるもの等も考えまして、ある程度手当の話合いはできるというふうに思つておるわけです。
  100. 楯兼次郎

    楯委員 私の質問しておるのとあなたの御答弁とは全然違うわけです。というのは、いわゆる〇・二倍というのは、十一月から前年度に比較して上げた、こうおつしやつておられるわけです。ところが賃金の協約というものは、昨年の暮れに結ばれておるわけです、だからこれは全然問題外です。今は時期的にも金がないので〇・二倍である、しかし非常にお前たちの要求しておるものは妥当と考えるので、今は時期的にできないのだが、次にはというのが、この裁定の第二項であるというふうに考えておる。しかも国会においては、三合同委員会において、団体交渉ができたならば予算を修正すると、そこまでとにかく暮れに言つておるわけです。従つて年度はこの協約の関連性を考えたならば、当然組合の要求するところの手当の増加ということは、あなた方の責任において予算に計上して行かなければいけない。このように考えておるわけです。あなた方の御答弁はどうもその辺が大分私の御質問申し上げた点と違つております。ぜひひとつあなた方が今後、本年度予算にこれだけ追加されるように御努力を願いたいと思います。
  101. 熊本虎三

    ○熊本委員 ただいま楯君から補足的に質問がございまして、最後の結論としては希望なつたようでございます。私もここで団交をするわけでないのでありますから、あまり具体的にどこからどこということを御明示いただこうとは思つておりません。しかし先ほど私が言いましたように、大体われわれが主張するものが最低の精神である、そうして協約に基きますうたい方も、またわれわれの主張が当然織り込まれた協約の條文である、こういうふうに解釈することが妥当でありますから、従つてその線に準じて努力を願わなければ、またこの問題で暗礁に乗り上げるかと思うのであります。そこで問題は予算の組みかえでございますが、具体的にそのままの要求をいれるといわないまでも、ほかにもまだ二、三点ありますので、あとでこの予算の組みかえというと大きいのでありますが、修正程度のものはしていただかなければならないかと存じます。その前提で次に入るのでありますが、次の問題は寒冷地手当の問題であります。これが現在トン当り単価幾らということで換算して手当を計上されるつもりであるかどうか、この点をお尋ねいたしたいと存じます。
  102. 高井軍一

    ○高井説明員 ただいま御質疑がありましたことく、石炭手当につきましては、公務員との関係その他も考えまして単価を設定いたしまして、そうしてそれに世帯持ちは一人当り何トン、あるいはその他独身者は何トンというようなぐあいに支給をして行きたい、かように考えております。
  103. 熊本虎三

    ○熊本委員 その単価です。石炭の単価は幾らに計上されているか。
  104. 高井軍一

    ○高井説明員 六千四百円にいたしております。
  105. 熊本虎三

    ○熊本委員 六千四百円で現在買えますか。
  106. 高井軍一

    ○高井説明員 公務員は六千四百円で見ております。そういう関係で六千四百円というような査定に相なつたのではないか、さように考えております。
  107. 熊本虎三

    ○熊本委員 そうしますと、他のバランスをにらみ合わせて、事実上この単価で買える買えないは、目安をもつて計上される、こういうことに相なるかと思うのですが、そういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  108. 高井軍一

    ○高井説明員 もちろん平均でありますので、六千四百円で買えるところもありましようし、あるいはその他、これを上まわるところもあるだろうと思うのでありますが、国鉄といたしましては、物資部その他を大部分が利用いたしております。そういうようなものの活用によりまして、できるだけ従事員に苦痛をかけないように考えたいと思つております。ただ世帯持ち三トン、独身者一トンと申しますのも、トン数で出ておるのでありますが、金額的な面も、独身者が一トンということは、六千四百円もらえるのだというようなぐあいにも考えなければいかんというふうに思つております。
  109. 熊本虎三

    ○熊本委員 次にお尋ねいたしますが、国鉄従業員の退職手当の問題が、他の産業と比較して低位にあるということを聞くのでありますが、この点当局といたしましては、妥当なものであつて、改める必要はないというお考えかどうか、お尋ねいたしておきたいと思います。
  110. 高井軍一

    ○高井説明員 国鉄の従事員は、現在御承知のように、公務員と同じ退職手当の法律によつて退職手当を支給されておるのでございますが、国鉄のごとき職員におきましては、これはもともと特別な退職金の率を適用されておつたのでございます。そういうような関係から参りまして、私ども国鉄といたしましては、公務員と別途な退職金の支給方というものをきめる必要があるのではないか、さように考えております。
  111. 熊本虎三

    ○熊本委員 そうすると退職手当の問題に関しては、公務員と同列にあらざる、たとえば専売局及び私鉄等の比率等を勘案して、あらためてこれを改正するという御意思があるということに了承してよろしゆうございますね。
  112. 高井軍一

    ○高井説明員 他産業と申しましても、統一したものもございません。なかなかむずかしいのでありますが、国有鉄道といたしましては、公務員と同様であるべきであるという考えは持つておりません。
  113. 熊本虎三

    ○熊本委員 私の質問することは、低位であるから改めてくれという従業員の要望に対しての質問でございますから、国家公務員並でよろしいということのお考えでないということの答弁は、それよりか上昇されたる方向に向つて勘案するということに了承したいと思いますが、よろしゆうございますね。
  114. 高井軍一

    ○高井説明員 公務員より低位であつていいとは私ども考えておりません。
  115. 楯兼次郎

    楯委員 私もついでに関連質問をやります。退職手当は、私は額の面もあると思いますが、公労法の第八條によつて団体交渉の対象であると思うのであります。ところが今まで公企体に移行してから、労使双方がその面まで入つて行けなかつたといういろいろな点で、悪く言えば、一方的に公務員と同列に、同じ法律でもつて支給されておつたのが現状であろう、今までの経過であろうと思います。従つて公労法がはつきりありまして、少くとも公社職員として、一般公務員とは違つた法律によつて運用をされておりますので、金額の面は別といたしましても、これは当然あなた方と組合との団体交渉の結論によつて規正をされて行くのが、正常な運営であろう、こういうふうに考えておるわけであります。この点について、国鉄当局としてはどういうふうにお考えになつておるか、御答弁を願いたい。
  116. 植田純一

    植田政府委員 退職手当制度につきましてのただいまのお説、公社という性質からいたしまして、一応そういうお考え方もできるかと思います。ただ現状におきましては、ただいまお話がございましたように、国家公務員と同じ法律において規制されておるわけでございまして、この点から公社ははずしてはどうか、事実問題として、この説を通すといたしますと、これははずさなければいかぬわけでございます。その点はずしてはどうかという意見もございまするが、この点につきましては、必ずしも全部の公共企業体が同じように、そういう意向もまとまつていないようでありますし、また大蔵省の現在の立場から申しましても、なかなか意見がまとまつておらない。従いまして現在におきましては、退職手当は依然国家公務員と同じ法律において縛られておる。それがはずれないというのが現状であります。
  117. 楯兼次郎

    楯委員 そういう考え方では私はいけないと思います。ということは、たしか私の記憶では二十五年の——いわゆる結論が出ないので、調停委員会に申請をしたと思います。その結論としては、当然これは団体交渉の対象事項であるので、団体交渉によつて決定をせよ、私はこういう結論が出ておると思います。今監督局長の御答弁では、今まででも調停委員会、仲裁委員会が無視をされたかつこうになつておるわけでありまするが、そういう観念がとにかく調停委員会の結論に沿つてつて行こうという意思が、私は全然ないと思います。これは今度の国会においても、委員会は違いますかわかりませんが、私の方としてはこれを人事委員会にも要請したいと思つておりまするが、当然現在ありまするところの法律によつて、これは金額は今ここでは論じませんけれども、軌道に乗せて行くべきであるというふうに考えるわけであります。しかし当局は、大蔵省がうんと言わない、あるいはよそとの関連があると言われる。そういうことを言わないで、当然あなた方が運用をされておるところの法律の線によつて、これを規正して行く、正規のルートに乗せて行く、そういう考え方で進んでもらいたいと思います。そんなものまでも調停委員会の結論を無視するということは、非常にけしからぬと思います。ぜひ調停委員会の出しておりますように、あるいは公労法第八條第二項にうたつておりますように、あなた方が団体交渉をして、その結論によつて公社職員の退職手当として行くというふうに改めていただきたいと思います。これは後日またここで論争をやります。
  118. 熊本虎三

    ○熊本委員 どうも楯君が一々結論を出してくれまして、大体出たようですから、この問題はその程度にしておきます。  次にちよつと御質問いたしたいのは、駐留軍との輸送協定の問題でございますが、この問題について非常に一方的優先の弊があつて、そのためにわが国の産業輸送上にも非常な障害を来すのみならず、時間的操車の関係等にも重大な影響があるということを聞いております。この点についてどういうような状況にあり、将来はどういうふうに改むべきか、これは外交上の問題になるかもしれませんが、当局としてのこれに対する御説明と、将来への考え方をこの機会にお伺いいたしておきたいと存じます。
  119. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま駐留軍と輸送協定をいたしておりますが、その内容は、主として運賃の後払いの問題でありまして、特に駐留軍に対して優先的な取扱いをするというようなとりきめは、あまりございません。特に作戦輸送というような場合には、できるだけ車を早くまわすというようなことをきめておる程度でありまして、特別の待遇をしておる点は非常に少い。その輸送協定の名前がそういうふうな誤解を生ずるというようなこともございまして、後払い契約というような名前にでも今後はかえようかと実は考えております。たとえば一例を申しますと、昨年石炭飢饉になりましたときも、向うの方では軍隊を動かさないということを言つて参りました。全体として、そういう契約をたてにとつて、むずかしいことを言つて来ておるということはございません。また一般の産業に大きな支障を与えておるという事実もございません。
  120. 岡田五郎

    岡田(五)委員 先ほどの退職手当に関連して、ちよつとこの機会に当局の方々の御意見を鮮明にしておいていただきたいと思います。退職手当は私は非常に大きな問題だと思います。また歴史のある国鉄関係の退職手当は非常に問題でありまして、これは私が申し上げるまでもなく、先ほど政府委員、また国鉄の方々が仰せられておりましたように、過去においては一般官吏と違つた厚い退職手当をもらつてつたのであります。これは当然の理由があつて、数十年の歴史を持つておるのであります。その当時の理由としては、私たちが聞いておりますのは、鉄道は非常な危険作業である。また鉄道を退職後、他の職に非常に転じにくい。そういうことを理由にして、一般公務員と違つた厚い退職手当をもらつてつた、かように考えるのであります。ところが最近は、一般公務員と同じようになつてしまつた。そうすると、これらの鉄道は危険な作業に従事するものでない、また退職後の就職は、一般の公務員と同じように他職に転じ得るのだ、こういう事情が現われて来たのかどうか。こういうことをお尋ね申し上げたいのであります。先ほど聞いておりますと、公社なるがゆえに、一般公務員と違つた退職手当をきめるべきだというお話のようにも聞きました。公社なるがゆえに一般公務員と違うべきだとか、公社なるがゆえに一緒にやるべきだとか、退職手当についてはこういう形式論をすべきではなくて、公社においても一般行政官庁と同じような作業をしておる公社もあるのであります。こういうような点からいうと、国鉄職員の退職手当は別個であるべきだという理由は、危険作業に従事して、しかも退職後その余生というものはほかの職員に比べれば非常に短かい、非常に短命に終るのだ、また退職後においては他職に転職する機会が、一般公務員に比較して非常に少いという意味において、老後手当として厚く手当をしなくちやならない、こういうことだと思うのでありますが、現在の国鉄職員の退職後における寿命はどのくらいになつておるのか。また現在における国鉄職員の退職後における就職率はどういう状態になつておるかというような、過去の歴史は一応離れまして、現実の姿を基礎として、退職手当はどうあるべきかということを検討せられるべきであろうかと、私は潜越ではございますが考えるわけでございます。  そこで承りたいのは、現在の退職した鉄道職員は、退職後どのくらいで死んでおるのか、死んだというと言葉が悪いのでありますが、とにかく生命を絶たれておるか。その他現在の鉄道職員の就職状況は、一般公務員に比較してよく見える場合もあります、また非常に悪いようにも見える、私たちには個々の場合しか目に映らないのでありますが、この辺の統計資料は十二分に私は国鉄首脳部においてお備えおきになつておると存じますが、そういうような事例を十分お示しいただきまして、そういう事例に基いてわれわれがほんとうに国民の代表として、国鉄五十万従業員の退職手当はこうあるべきだという信念を固め、かような信念のもとにおいて、一段公務員の退職手当法と一緒に準用せられておるならば、断固としてこれから削除するという立法的措置に行くべきではないか、こういうふうに思うのであります。先ほどお尋ね申し上げました退職後における国鉄職員の寿命はどうか、また退職後における就職状況は一般公務員に比較してどうかということをもしお聞かせ願えるならば、ちようどいい機会でございますのでお聞かせ願いたい、かように思いまして関連質問を申し上げたようなわけであります。
  121. 天坊裕彦

    天坊説明員 ただいま岡田委員から非常に示唆に富んだお話を伺つたのでありますが、退職金制度につきましては、今もお話がございましたように鉄道はその特殊作業というような観点から、従来退職金制度のりつぱな歴史を持つてつたわけであります。これが今お話になりましたように、その後鉄道事情がかわつて、やめたあとの就職先がどうということが一般公務員と均一になつたためになくなつたのではなくて、公務員と一緒になりましたのは、おそらくは戦後は勤続年数の違いというものをあまり大きく考えないような、生活給的な考え方でいろいろな給与制度が考えられたときに、その一環として公務員と同じになつたのだ、私はそう考えておるわけでありますが、今公務員と一緒になつております制度の中から、またあらためて鉄道の問題だけは別個に考えるべきだというように取上げて行くとすれば、今お話になりましたような材料を十分整えて議論しなければならぬと思います。当然今持つているはずではないかというお話でございましたが、残念ながら本日はその資料を持つておりません。ただ感じといたしまして、ここ数年間整理等でやめてもらつた人がたくさんありますが、その行く先は公務員に比べて必ずしもいいようなかつこうになつておると私は思つておりません。やめた人の平均寿命がどうなるかということは、今材料を持つておりませんから、後日機会がありましたら資料をもつて説明いたしたいと思います。退職金全体についての一応の考え方はそういうふうに考えております。公社なるがゆえにという言い方は、いろいろつけ加える理由としては取り上げらるかもしれませんが、鉄道の退職金については、鉄道の特殊作業という面を大きく打出して行くのが本筋だと私は考えるわけであります。
  122. 熊本虎三

    ○熊本委員 先ほど副総裁から御答弁がございまして、協定上には特別恩恵を受けるべきような特別待遇はないということでございます。しかし実質上の問題は、運営面かどうか知りませんが、たとえば貨車の到着後普通は五時間以内にこれをおろさなければならないという取扱いがあるにもかかわらず、駐留軍であればこれが一昼夜でも二昼夜でもそのまま放擲されるということがある。それから普通貨車をとる場合に、申し込んでから一定の時間がなければ配車がつかないにかかわらず、駐留軍はただちに数時間内にでも貨車の使用をやるということからして、総合的配車の関係に重大な悪影響があるということを聞いております。もし協定上の問題でないとすれば、運営上の問題だと思いますが、そういうことについてもただいま考慮の必要はないほど好成績が上つているかどうか、もう一ぺん御答弁を願つておきたい。その御答弁のいかんによつては、私は具体的事例を持つて来てあらためて質問してみたいと思います。
  123. 天坊裕彦

    天坊説明員 駐留軍の貨車が荷物をおろして時間を長くとめておくという場合には、正規の料金をとつております。それから優先に配車するかどうかという点につきましては、軍の作戦輸送に関する場合には優先的に軍を持つて行つておりますが、そうでないときは一般並にやつております。但しその場合にも細則は非常にやかましく言つていることは事実であります。
  124. 熊本虎三

    ○熊本委員 私の質問は以上でありまして、ただいまの輸送協定に関する問題は、具体的資料をもつてお示しすればお気づきになろうと存じますから、後刻にいたします。  なお先ほど来の従業員の待遇上の問題に関する総合的な最後の私のお願いでございますが、先ほどからの御答弁を伺つておりますと、整理があるがごとくにしてないがごとき態度で、さつぱり目標がつきません。しかし繰返して申しますが、国家法律上の機関として下されたる国鉄裁定並びに法律に基く労使間の労働協約に基きます問題は、当然当局者が実施しなければならないということを前提にしている。大した金額ではないにしても、予算上の措置をこの決定線に出していただいて処置をつけたいと考えるわけでございますが、その予算措置をここであらためて修正しなくても、運用上の問題としてこの程度のことはできるという含みがございますならば、その含みを、こういう形でこういう場合にはこういう運用をするという御説明を願つておかなければならない、かように存ずるわけでございますから、本日は私の質問はこれで打切りますけれども、本委員会継続中にその点をあらためて御説明を願うことにいたしたいと思います。私はこれで終ります。
  125. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に楯兼次郎君。
  126. 楯兼次郎

    楯委員 関連質問のような形になりますが、人員の面について一言御質問を申し上げたいと存じます。先ほどの御答弁では、この予算人員を見ますと三百三十人ふえておる。ほかに八千人分あるのだ。こういうような御答弁があつたのですが、どうも聞いておりますと、前年度より八千人分のほかに三百三十人をプラスされるというふうにもとれるわけです。この点はどうですか。
  127. 高井軍一

    ○高井説明員 お答えいたします。オーバー・タイムとしましては、去年は七千二百人だつたのであります。それが八千人ということになりましたので、いわゆるオーバー・タイムとしてふえておりますのは八百人ということに相なつております。そうして三百三十人の増員は新線開業に要しまする所要員でございまして、その他は現在の職員の適正配置ということによりましてまかなうという建前でございます。
  128. 楯兼次郎

    楯委員 そうすると八百人でありますから、前年度とかわらないのだが、結局三百三十人がふえたということになるのですね。この予算書を見ますと、旅客の輸送トン数の方で一・二%、貨物の輸送トン数で一・三%ふえておるわけです、ところがこういうのはこの定員の中には膨脹率といいますか、増加の要素にはならないのかどうかということをお伺いしたい。三百三十人というものは新線開業に伴うところの要員である。こういう御答弁でございますので、輸送増に伴うところの要員の増加ということは、どういうふうにお考えになつておるか伺いたい。
  129. 高井軍一

    ○高井説明員 輸送増によりましては、所要員は当然多くなる算定になるのでございますが、御承知のように一昨年までは欠員不補充で参つたのであります。それが二十七年度から欠員だけは補充して行くという建前を持つて参りました。今までのいろいろ中間の駅を廃業するとか、あるいは輸送増は今までの職員でやりくりして参つたのであります。その後御承知のように二十七年度管理部門の退職者その他もありまして、この過欠調整と申しますか、実際がまんできると申しますか、余剰になつておりますところと非常に欠員のところとありまして、そういうような職種的な点は、同じ数字でありましても充実をいたしておるのでありまして、数字こそ同じでありますが、二十七年度よりは二十八年度の場合は質的には充実をいたしておるというふうに考えております。従いまして現在の定員及びこのオーバー・タイムの余剰を認めております。この職員の配置運用によりまして、これだけの輸送はまかなえる。まかなつて行かなければならないと考えております。
  130. 楯兼次郎

    楯委員 時間もありませんから、過欠調整とかいろいろな問題もあるかと思いますが、こまかくは言いませんけれども、どうも業務実績から申しますと、もう少し輸送増に伴う定員というものを上げて行かなくてはうそだと勘で考えるわけです。  いま一つお伺いしたいことは、この新線の建設は非常にやかましいのでありますが、開業に伴う三百三十人をここに載せておられますが、新線の工事勘定における定員というものは一人も載つておらない。私詳しいことは知りませんが、私たちが考えまして、当然これも人員なしではやつてゆけぬだろう、こういうふうに考えておるわけですが、この点についてひとつお尋ねしたいと思います。
  131. 高井軍一

    ○高井説明員 新線の開業要員はただいま申し上げました三百三十人でありますが、その他新線の工事などは、原則といたしましてこれは外注と申しますか、請負でやつておりますが、ただ監督要員の問題、あるいは設計要員の問題もあります。これらの所要員につきましては御承知のように、かつての整理のときから、技術温存という建前で、いわゆる普通の現業職員と違います観点から、残しておるのであります。それからこの仕事はいろいろ波動がありまして、建設をやるからといつて、すぐふえるものではございません。それでいろいろやりくりをいたしまして、新規採用はこの部門としてはいたしておりませんが、予算上にはオーバー・タイムといたしまして三百七十人ほど、それから人夫賃金といたしまして七百九十三人、それで新線関係トータルで千百六十一人でありますか、それだけの人間を予算化いたしております。それで先ほど申し上げましたごとく、特殊な監督なりあるいは要員でありますので、これはかつての、温存をいたしておりました職員及びそれらの運用によりましてまかない得ると考えております。
  132. 楯兼次郎

    楯委員 いろいろ御答弁になるのですが、どうも非常に無理があると思います。従つて私たちとしましては、いま少し増員する必要があるのではないか、非常に無理をしているというふうに考えられます。  それからいま一つお伺いしたいことは休暇でありますが、休暇の消化が予備員といいますか、定員が少くて完全に消化できない。この前の暮れの委員会においても、休暇の消化状態はどういうふうになつておるか、一覧表をつくつてお示しを願いたいと私要請をしましたところ、ただちに配付をいたしましようというお約束だけはされたのでございますが、今に至つて配付がないわけでございまして、こまかい面はわかりませんが、現在休暇の消化状態は、概括でよろしゆうございますが、できているのかどうか、その点ひとつお答え願いたいと思います。
  133. 高井軍一

    ○高井説明員 私あいにく所管が違いますので、数字を持つて参つておりませんが、それは担当におきまして調査できていると考えておりますので、最近の機会にお答えいたすようにしたいと考えております。
  134. 楯兼次郎

    楯委員 どうもそういう面から考えても非常に無理があると思います。暮れの委員会あたりでも各委員が言われたのでありますが、戦前の定員の査定には科学的な資料がないと思います。大体昭和九年、十年がこのくらいであつたから、こんなものだろうというのが、実際定員を査定する根拠だろうというふうに考えておるわけですが、そういう面から見ますと、裁定にも出ているように、業務量実績というものが、昨年の定員では戦前を上まわつている。しかも今年はなお合計して二%くらい増員をやらなければならぬという面、それから新線工事の面は監督あるいは設計というようなことを言われましたが、それ以外にも相当な人員が私は必要であろうと思います。従つてぜひそういう面を勘案されまして、あまり無理をしないように、私たちも増員の要請を今後続けて行くつもりでありますが、できるだけの措置をひとつつていただきたい。     —————————————
  135. 逢澤寛

    逢澤委員長 この際お諮りいたします。本委員会に道路運送法改正に関する小委員会を設置し、現行法に対する調査並びに立法措置の必要があればその起草を願い、また現在付託になつております道路運送法の一部を改正する法律案衆法第二十四号)をもあわせて審議いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議がなければさよう決します。  なお小委員及び小委員の選任につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 逢澤寛

    逢澤委員長 御異議がなければ、さよう決します。  次会は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会