○永田(良)
委員 たいへん御丁寧な御答弁を得まして満足に存ずる次第でありまするが、実はこれについて少しこの
地方としての一つの杞憂がある。それは、ごらんの通りこの根占港のお隣に大根占港というのがあるのです。これもやはり県や
政府の補助をいただいて、
相当今
修築されております。これは距離がわずか三キロか四キロしかないのです。こういうふうに鹿児島湾の大隅沿岸には、大根占港根占港あるいは高須港、古江港、無水港というような小さな
港湾がたくさんあ
つて、それらがお互いに内輪で奪い合いつこをしておる傾向がある。これは私もあの
地方の村会議員とか村長、あるいは市長、県会議員などを長くやり、その後代議士にもな
つてお
つて、その
状況はよく知
つておるのであります。こういう点から見まして、はたしてこの根、占港に最重点を置いて国が指導して行くがいいか、また隣の大根占港がいいかということは、実は政治家としてやつかいな問題でして根占港からはか
つて津崎尚武代議士が出ておられ、大根占港からは前
運輸委員長であつた前田郁君が出ておつた。私はその
地方の選出議員でありますけれ
ども、あの大隅半島の西海岸すなわち鹿児島湾方面に対しては、なるべく公正な見地から、皆様方専門家から見られて少い経費で、しかも
地方の開発上最も有利な場所に電点的に御指導を賜わりたいという考えを持
つておるのであります。これについて、きように御答弁を賜わらぬでもよろしいから、指導の立場にあられる皆様方の方で
十分研究をしていただきたいという希望を付しておきます。なお大隅半島の東海岸にも大泊港、串良港内之浦港、波見港、柏原港、志布志港、福島港というふうにたくさんの
港湾がありますが、そのうちでも波見港のごときは、今までは月に三回ぐらいは大阪商船の船があそこに入
つておつた。それが最近肝属川の改修によ
つてあの河口が埋もれて参りまして、今では船が入らぬ状態にな
つております。そういう点であの大隅半島は、鹿児島湾方面も東海岸方面も、陸運の上からも海運の上からもまつたく離島と同じような悲惨なる状態にあるのであります。従
つてこの点から、
政府とされても
相当の権威者をあそこに御派遣になりまして、内海も外海も慎重な御
研究の結果、あの
地方の開発のために御指導を賜わりたいことを要望してやみません。なおあの大隅半島は、
日本の国内の船舶の航海ばかりでなく、見方によ
つてはフィリピン、台湾、沖縄等と
日本との
連絡の上から、外国航路として考えてみましても、実は私この間も申し上げましたが、四国沿岸と九州の東海岸には重要
港湾がない。
日本の北には釜石とか小樽とかあるいは
函館とか、りつぱな
港湾がありますが、南の方の
太平洋岸にはいい
港湾がない。これが将来われわれの
地方の開発上非常な障害にな
つております。それでこの点について、この間も私ちよつと歴史を申し上げましたら、某
理事さんからお前はか
つてなことを言うとい
つてたいへんおしかりを受けましたけれ
ども、これは国家の将来のため、
地方の開発のためには、お互いに真剣に
研究するところに国家の発展があり、
地方産業の開発があると思う。この意味から大隈半島の有明湾は、運河をも
つてうまく計画されますと、いい
港湾ができると私は信じておる。私はか
つてバタヴイアに行
つて参りました。またオランダ、ベルギー、ドイツなどにも行
つて来たのですが、あの辺の欧米各国は、運河によ
つてよき
港湾を利用する。
日本においては運河によ
つて港湾をうまくやつた例は、東京ではちよつと計画を立てながらも、まだ実現がされない。運河によ
つて大隅半島に対外的な重要
港湾を
設置していただいて、
日本の将来の海運に貸せられることを要望してやまない。この点については
港湾局長さん、決してじようだんじやありません。明治九年に大隅半島にベルギー人のチクセンという人が大箇月もお
つて、運河の測量をした。それから明治三十六年か七年にもやつたことがある。なぜそういうことをしたかといいますと、鹿児島湾の港は、あまり湾が多くて、往復八時間もかかるので役に立たない。それで将来南九州における
港湾問題というものは、皆様方権威者が実地をごらんにな
つて開発をしていただかぬと、私はだめだと思うのです。私の遺言として皆様方にお願いをして、将来の
日本の、再建のために、皆様方がただいたずらに
地方の人の陳情ばかりによ
つて、それじや行こうというようなことでなしに、常に地図を広げて、世界の海運、空運、陸運の
関係等に心を悩まして、頼山陽さんが血を吐いて死んだように、
日本の再建の上から言えば、大臣も
港湾局長さんもわれわれ代議士も、血を吐いて国家の将来に御奉公するという意味から、私は真剣にお互いに
研究したいと思うのであります。この意味から私はこの席を借りて、たいへん乱暴でありますが、ぜひあの
地方に
港湾局長みずから、また
港湾局に
関係のある方に行
つてもらいたい。運河によ
つて港湾問題を解決するという一人の偉い博士か学者が
日本に生れて来なければならぬと思う。中国においても南洋においても欧米各国においても、りつぱに運河によ
つて港湾の設備が開発されておる。
日本は運河によ
つて港湾問題を解決されていないということは、
日本の土木工業界、
港湾界にと
つて残念なことではないかと思うのです。この意味から切に
日本に運河
設置による
港湾を開発するために、大隅半島の志布志湾の沿岸を御
研究あらんことを切望してやまぬ次第であります。これに対する局長さんの御見解を、簡単でもよろしゆうございますから、ちよつと伺いたいと思います。