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1952-12-22 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 正木  清君       岡田 五郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    永田 良吉君       山崎 岩男君    河本 敏夫君       佐伯 宗義君    吉川 大介君       熊本 虎三君    楯 兼次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 靜夫君  委員外出席者         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     真田  登君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 本日の会議に付した請願  一 弟子屈、本別間鉄道敷設請願伊藤郷一    君紹介)(第三四号)  二 戸井線敷設促進請願川村善八郎君紹    介)(第一七〇号)  三 上川、十勝三股間鉄道敷設請願高倉定    助君紹介)(第一七二号)  四 上士幌、西足寄間鉄道敷設請願高倉定    助君紹介)(第一七三号)  五 直江津、越後湯沢間鉄道敷設請願(渡邊    良夫君紹介)(第二九八号)  六 国有鉄道路線敷設に関する請願(大西    禎夫君紹介)(第二九九号)  七 帖佐、阿久根間鉄道敷設請願尾崎末吉    君紹介)(第四三五号)  八 蟹田三厩間鉄道敷設請願山崎岩男君    紹介)(第四三六号)  九 青森漁港臨港鉄道敷設に関する請願(山    崎岩男紹介)(第四三八号) 一〇 大畑鉄道敷設促進請願山崎岩男君紹    介)(第四四〇号) 一一 福知山、宮津間鉄道敷設請願柳田秀一    君紹介)(第五一一号) 一二 遠信鉄道敷設等に関する請願佐伯宗義君    外一名紹介)(第五四七号) 一三 同(太田正孝紹介)(第六〇二号) 一四 佐賀、久礼間鉄道敷設請願濱田幸雄君    外一名紹介)(第六〇五号) 一五 赤穂線敷設促進請願(逢澤寛君紹介)(    第六七一号) 一六 江迎、臼ノ浦閲鉄道敷設請願綱島正興    君紹介)(第七五一号) 一七 室木より宮田を経て博多に至る間鉄道敷設    の請願青野武一君外六名紹介)(第七五    二号) 一八 野岩羽線全通促進に関する請願白石正明    君紹介)(第七五四号) 一九 大白川、只見間鉄道敷設請願田中角榮    君紹介)(第八五四号) 二〇 湯本線敷設請願飯塚定輔紹介)(第    九九七号) 二一 二日市、夜明間鉄道敷設請願中島茂喜    君紹介)(第九九九号) 二二 穴水より宇出津を経て飯田に至る間に鉄道    敷設請願益谷秀次紹介)(第一〇九    八号) 二三 日の影、高森間鉄道敷設請願川野芳滿    君紹介)(第一〇九九号) 二四 橋場線敷設等請願根本龍太郎君外二名    紹介)(第一二六五号) 二五 越美北線敷設請願水谷長三郎紹介)    (第一二六六号) 二六 岩内、黒松内間鉄道敷設請願薄田美朝    君紹介)(第一三八五号) 二七 岡崎、多治見間鉄道敷設請願松野頼三    君紹介)(第一三八六号) 二八 大間鉄道敷設促進並び大間国営修築等    の請願山崎岩男紹介)(第四四一号) 二九 糠平発電所設置に伴う鉄道路線移設に関す    る請願高倉定助紹介)(第一七一号) 三〇 彌彦線延長に関する請願田中角榮君紹    介)(第七四九号) 三一 久大線恵良駅附近の村道踏切ガード築造    の請願村上勇紹介)(第一三七号) 三二 串木野駅プラツトホームの延長等に関する    請願床次徳二紹介)(第三六九号) 三三 串木野改築に関する請願床次徳二君紹    介)(第三七〇号) 三四 木曽川、岐阜両駅間に笠松駅設置請願(    大野伴睦紹介)(第一三八八号) 三五 砂川駅舎改築に関する請願南條徳男君紹    介)(第一三九〇号) 三六 綿漁網鉄道貨物等級改正に関する請願(    平川篤雄紹介)(第八五五号) 三七 帽子鉄道運賃引下げに関する請願今澄    勇君紹介)(第九九六号) 三八 そ菜の鉄道運賃値上げ反対に関する請願(    竹山祐太郎紹介)(第一〇四九号) 三九 林産物の鉄道運賃引上げ反対に関する請願    (大石ヨシエ紹介)(第一〇九五号) 四〇 耐火粘土及び硅砂に対する鉄道運賃引下げ    に関する請願加藤鐐五郎紹介)(第一    一〇〇号) 四一 帽子鉄道運賃引下げに関する請願中村    幸八君紹介)(第一三八三号) 四二 串木野駅に急行列車停車に関する請願(床    次徳二紹介)(第三六八号) 四三 高萩駅に急行列車停車請願山崎猛君紹    介)(第九九五号) 四四 湯之元駅に上り急行列車停車請願床次    徳二紹介)(第一二六七号) 四五 豊輪駅に特別急行列車停車請願福井勇    君紹介)(第一三八四号) 四六 城東貨物線客車運転に関する請願(大倉    三郎君外四名紹介)(第一三八七号) 四七 磐越東線の客車改善等に関する請願白石    正明紹介)(第七五三号) 四八 水郡線及び会津線客車改善に関する請願    (白石正明紹介)(第七五五号) 四九 青森港中央ふ頭臨港鉄道整備に関する請願    (山崎岩男紹介)(第四三九号) 五〇 港湾石炭積卸施設増強に関する請願南條    徳男紹介)(第一三九二号) 五一 室蘭港を起点とする本州、北海道間連絡航    路開設請願南條徳男紹介)(第一九    三五号) 五二 日本国有鉄道職員等休職者に対する給与    支給に関する請願(楯兼次郎紹介)(第    九三五号) 五三 日本国有鉄道職員休職者に対する給与支    給に関する請願(楯兼次郎紹介)(第一    〇二七号) 五四 日本国有鉄道職員休職者に対する給与支    給に関する請願外一件(楯兼次郎紹介)    (第一二九二号) 五五 日本国有鉄道職員等休職者に対する給与    支給に関する請願足鹿覺紹介)(第一    四一〇号) 五六 日本国有鉄道に対する寄附請求に関する請    願(猪俣浩三紹介)(第四三七号) 五七 福住、森上間に国営自動車運輸開始請願    (井上良二紹介)(第五二号) 五八 鳥取、岡山間に国営自動車運輸開始請願    (足鹿覺紹介)(第    一三八号) 五九 三戸毛馬内間国営自動車運輸開始の請    願(山崎岩男紹介)(第六〇四号) 六〇 私鉄補助法制定に関する請願山口丈太郎    君紹介)(第九九八号) 六一 大宮、仙台間電化促進請願小平久雄君    外五名紹介)(第三三号) 六二 延岡、日ノ影間に、ガソリンカー運転の請    願(川野芳滿紹介)(第一〇九六号) 六三 札幌に総局及び室蘭鉄道管理局設置の請    願(南條徳男紹介)(第一三八九号) 六四 通運事業者の公正なる自由競争確保に関す    る請願芦田均紹介)(第二一一号) 六五 道路運送法による指定市に北九州五市を追    加の請願平井義一紹介)(第三〇〇    号) 六六 道路運送法による免許種別撤廃並びに免    許手続簡素化等に関する請願河野密君    紹介)(第三二四号) 六七 同(河野密紹介)(第三四四号) 六八 トラック運送業免許制撤廃に関する請願    (水田三喜男紹介)(第七五〇号) 六九 自動車運送事業免許制度廃止反対に関す    る請願早稻田柳右エ門紹介)(第八一    九号) 七〇 陸運事務所の定員並びに予算増加に関する    請願山口丈太郎紹介)(第一〇一五    号) 七一 浜名港修築に関する請願中村幸八君紹    介)(第三五号) 七二 根占港修築に関する請願岩川與助君紹    介)(第五一〇号) 七三 上川口港修築に関する請願長野長廣君紹    介)(第九二七号) 七四 深浦港修築に関する請願山崎岩男君外二    名紹介)(第一一五七号) 七五 下田港避難港工事促進に関する請願宮幡    靖君紹介)(第六七四号) 七六 石巻港開発に関する請願内海安吉君紹    介)(第九〇九号) 七七 青森港中央ふ頭荷さばき施設設置請願    (山崎岩男紹介)(第一〇九三号) 七八 青森整備促進に関する請願山崎岩男君    紹介)(第一〇九四号) 七九 赤泊港を地方港湾に編入の請願北れい吉    君紹介)(第一三六九号) 八〇 新潟港を特定重要港湾指定請願吉川    大介君外一名紹介)(第一二九六号) 八一 築地町地先に二号ふ頭新設に関する請願(    南條徳男紹介)(第一三九一号) 八二 サダドー岬燈台設置請願淺沼稻次郎    君外二名紹介)(第一七号) 八三 若宮島燈台燭光増加に関する請願(田口    長治郎君紹介)(第一三九三号) 八四 秋田県に測候所設置に関する請願笹山茂    太郎君外一名紹介)(第五八七号) 八五 新庄市に測候所設置請願松岡俊三君紹    介)(第六七三号)     —————————————
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  これより請願審査に入りまするが、その審査方法は従前の例によりまして、御出席紹介議員のみの紹介説明を承ることとし、残余の各請願につきましては、各委員に配付になつております文書表によつて御承知願い、直接政府当局より意見を聴取いたしますから、御了承を願います。  日程第八、第九、第十、第二八、第四九及び第五九の請願を議題とし、まず紹介議員説明を求めます。山崎岩男君。
  3. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 蟹田三厩間鉄道敷設請願、第四三六号、請願者青森市長横山案外八名、紹介議員山崎岩男君、本請願要旨は、津軽半島の豊富な資源を開放し、北海道松前郡との交通によつて両地元民に文化の恩典に浴させるため、また国鉄が毎年使用するまくら木供給源開発の意味においても、すみやかに蟹田三厩間鉄道敷設されたいというのでございます。この鉄道に関しましては今月の二日、鉄道建設審議会におきまして、昭和二十七年度補正予算五億の中にこれが入つておるように私どもつておるのでございますが、この点につきまして政府委員から御懇切なる御解明をいただきたいと思います。  次に青森漁港臨港鉄道敷設に関する請願、第四三八号、請願者青森市議会議長伊東善五郎紹介議員山崎岩男君、本請願要旨は、青森市における年間漁獲物取扱い量は本数万トンに達し、北津漁業が再開されれば相当増加が期待されるが、その中継地的性格を有する青森漁港には鉄道輸送施設がなく、漁獲物貨車輸送には二軍の過程を要するため、時間の浪費による鮮度の低下、価格の下落を来す実情にある。ついては青森漁港臨港鉄道敷設されたいというのでございます。  次に青森港中央埠頭臨港鉄道整備に関する請願、第四三九号、請願者青森市議会議長伊東善五郎紹介議員山崎岩男君、本請願要旨は、青森港は対北海道関門として、また貿易港として重要な位置を示し、貨物取扱い数量年間七十万トン内外に達し、また年々外国船の入港が増大しつつある現状であるが、臨港鉄道明年度竣工を眼前に控えて、いまだに整備されていないため、同岸壁の使用上まことに不利不便をきわめている。ついては既設鉄道を移設し、若干の新設路線延長敷設することによつて、これが目的を達成することができるから、すみやかに中央埠頭臨港鉄道整備を実現されたいというのであります。  次に大畑鉄道敷設促進請願、第四四〇号、請願者青森下北大間町長中嶋徹夫外十三名、紹介議員山崎岩男君、本請願要旨は、青森下北郡を開発し、北海道との連絡を期ずるための大間鉄道敷設工事は、大畑大間間二十九キロ中、桑畑まで十六キロの至難な基礎工事が完成したまま、今次大戦によつて工事中止となり今日に及んでいるが、未開通の十三キロは比較的平易な工事であり、郡民は本鉄道竣工を切望しているから、すみやかに大畑鉄道を完成されたいというのであります。  次に三戸毛馬内間国営自動車運輸開始請願、第六〇四号、請願者秋田県鹿角郡花輪町長大里周蔵外二十名、紹介議員山崎岩男君、本請願要旨は、東北本線三戸駅より北輸線毛馬内駅を結ぶ路線は、木材、薪炭、並びに食糧の増産とあわせて地方民交通利便に至大なる関係を有するものであるが、現在の民間業者による運輸のみではとうてい生産物資輸送要請に応ぜられないから、該区間国営自動車運輸を開始されたいというのであります。  以上でございます。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 政府より意見を求めます。
  5. 細田吉藏

    細田政府委員 お答え申し上げます。  まず第八の蟹田三厩間鉄道でございますが、これにつきましてはただいま山崎委員からも御説明がございましたが、本年の十二月一日の第八回鉄道建設審議会におきまして、二十七年度の補正予算によりましてただちに工事着手するのを適当と認める旨の答申がありました。この間は約二十八キロ五分でございまして昨年延長いたしました青森蟹田問延長路線相当いたすものでございます。この答申に基きまして国有鉄道目下諸般準備を進めておりまして、不日われわれの方に認可の書類が出ることになつております。  次に青森漁港臨港鉄道敷設に関する請願でございますが、ただいまも御説明がございましたように、漁港臨港鉄道が入つておるか、おらないかということは、当該漁港にとりまして非常に重大な問題でございまして、線路が入つて直接の積荷ができるということが、漁港使命達成の上に非常に有効であることは申し上げるまでもないところでございます。この点に関しましては、岸壁工事臨港線敷設、そういつたようなものを一体のもとに計画を立て、また施工することが望ましいということも、これまた申し上げるまでもない次第であります。国有鉄道といたしまして、こういつた角度から種々研究をいたし下参つておるのでございますが、問題は金の問題でございまして来年度の予算につきましてはまだ決定をいたしておらないのでございます。現在の国鉄財政でただちにこれを実施するということがやや困難な状況にございます。今後十分研究をさせていただきたいと考えております。  次に青森港の中央埠頭臨港鉄道整備でございますが、これに関しましても前に漁港について申し上げましたように、岸壁線路といつたようなものが一体的に計画されなければならぬと思うのであります。中央埠頭につきましては、現在の臨港鉄道をこの請願要旨にもございますように、若干変更はいたさなければならぬと思いますので、どういうふうにこれを新岸壁と結ぶかといつたような問題もあると思います。これもただいま前のものについて申し上げましたように、国鉄財政現状ではただちにこれを実施することが困難な状況にございますが、今後研究をいたしたいと考えております。  次に大畑の問題でございますが、この区間は前国会もたしか請願が出て参つたと思いますが、下北半島の交通の便をはかるとともに、資源開発目的を持つておるものでございまして、昭和十四年に工事着手いたしまして、十八年に大畑から桑畑までの護岸工事を完了いたしたのでありますが、戦争のために工事を中止いたしまして、桑畑大間間は未着手のままで今日に及んでおるのでございます。申し上げるまでもなくいわゆる建設未成線として残されておるわけでございます。奥地一帯林産資源が豊富でございましてまた沿岸に漁業も盛んでございます。工事といたしましては、桑畑までは軌道工事のみで容易でありますが、未着手区間桑畑大間間は地形がやや錯雑しておりまして、相当隧道ができますほかに、土工量相当多いようでございます。ただ、ただいままでに残つておりますいわゆる新線の中では、工事が非常に困難な方であるということではないと考えております。工事の再開につきましては、さらに研究をいたし、予算の今後の状況建設審議会の御審議等との関係があると思いますが、われわれといたしましては十分趣旨を体して、研究をいたしたいと考えております。  それから三戸毛馬内間国鉄自動車運輸開始せられたいという問題であります。これにつきましては、実は青森から毛馬内まで現在国鉄自動車が動いておるのでございます。この三戸毛馬内という路線のうち中滝毛馬内間の二十一キロにつきましては、国鉄自動車十和田線といたしまして、客貨輸送を実施いたしておるわけでございまして、三戸中滝間四十九キロが問題になると思うのでございます。これにつきましては最近国有鉄道の方から旅客運輸営業を開始いたしたいという申請がございましたので、目下審査を進めておるような次第でございます。なお本区間貨物運輸につきましては、現在国鉄では計画いたしておりません。先ほど申し上げましたように、旅客運輸についてのみ申請が出ておるのでございますが、現地の実情等につきまして、十分研究をいたさせたいと考えておる次第であります。
  6. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 二、三点さらに重ねてお願い申し上げたいと思います。蟹田三厩間鉄道敷設の件でありますがこの件につきましては、鉄道建設審議会におきましても上申をしていただきまして、まことに感謝にたえない次第でございます。昨年度におきましては、先ほど政府委員からも御説明のございました通り、青森蟹田間二十七キロを竣工いたしまして地方民はただいま非常な利便を受けて、文化の情というものに郡民は非常な感謝と感激をもつてこの鉄道を利用しておるような次第でございます。今回さらに二八・五キロにわたりまして、三厩までの鉄道政府の取上げるところとなり、国鉄の取上げるところとなり、着工せられるということになりますると、本郡の文化興隆の上に一大飛躍を遂げることになりまして北海道への関門として、北海道とのつながりが非常に近くなるという点にかんがみまするならば、これは日本経済再建のためにも重大なる役割を果すものであると私ども信じて疑いません。本郡は天下の三大美林の一つといわれるあのひばの美林の所在地でありまして、鉄道まくら木筆生産も、日本では一番といわれておるところでございますから、私どもは今後さらに地下資源開発等と相まつて、この鉄道を十分に利用いたしまして日本経済再建のために努力して、国鉄の御誠意に報いたいと考えております。政府当局ならびに国鉄当局に対しまして、深甚なる敬意を表したいと存じます。  さらに青森漁港臨港鉄道敷設に関する請願につきましては、ただいま御説明がありましたが、これはまだ漁港竣工というところまで行つておりませんので、政府当局におかれまして漁港竣工のあかつきにどういう処置を講ぜられるか、今から御研究くださいますことはまことに感謝にたえないところであります。どうぞ十分御研究くださいまして、地方民の要望にこたえることができるようにお願い申し上げたいと思います。  その次の青森港中央埠頭臨港鉄道整備でございますが、これは昭和二十八年度には三千トン岸壁竣工いたすことになるのでありまして、年間七十万トンにわたりますところの貨物をここで呑吐するわけでございます。この点につきまして港湾局長さんも非常に心配されておりまして、この港湾竣工して船が接岸するというような事態になりましても、そこに臨港鉄道がないということになると、これは画龍点睛を欠くことになりまするので、国鉄当局とも折衝を重ねまして、何とか臨港鉄道敷設しなければならない、こういう方針をもつて、実は港湾局長さんも一生懸命努力せられておるようなわけでございますから、どうか政府当局におかれましても、国鉄当局におかれましても、港湾局長さんと十分に御連結くださいまして地方民の念願するところを一日も早く達成せられるように重ねてお願い申し上げたいのでございます。  その次の大畑鉄道関係でございますが、大畑鉄道はもう戦時中に着工いたしまして十六キロまでは竣工いたしておりますが、この竣工区間が問題でありまして、非常に難工事が多かつたのであります。トンネルもたしか五箇所くらいあると思います。またまことに並々ならざる難工事を予想せられた鉄橋もあるのでございまするが、そういうような金を食うたいへんに工事難渋な場所はことごとく竣工しておるのでございまして、残りの未開通の十三キロのところは、先ほどの政府委員お話では、やや難工事であるかのようなお話でございましたけれども、私どもこの地方を絶えず歩くのでございまするが、私どもの見るところでは、まことに容易なるものである、工事は決して難渋なところでないと考えておりまするが、大間港の竣工によりまして、函館大間との問における旅客連絡に非常な便益を与えるものと私ども確信をしておるのであります。先年度におきましても、本運輸委員会から八名の運輸委員が派遣されまして函館大間間の航行をいたしました。海上保安庁の船に便乗いたしまして、函館大間間を一航行してみたのでありまするが、わずかに二時間で函館大間閲連絡されるわけであります。従いましてこの鉄道竣工することは、函館大間間の連絡上に非常に大きな便益を与えることになるのでありまして、函館大間間がつながることは、とりもなおさず北海道奥地につながることであります。札幌あるいは旭川につながることになるのでございまするから、どうかこの鉄道を一日も早く竣工さしていただきまするように、政府におかれましては国鉄と十分に御連絡のほどをお願い申し上げたいと存じます。  なお最後に、秋田県の大湯青森県の三戸をつなぐ、ただいまの国営自動車運輸開始請願でございまするが、これは大湯から三戸まで国鉄からは認可申請が出ておるとのことでございまするが、国鉄当局の御意見では、ぜひやりたいというお考えをもつて、ただいまいろいろな準備を進めておるやに承つております。そこでこの三戸大湯をつなぐというのは、さらに私ども進めまして、八慣と大湯間を結ぶのでなければ、私は本来の目的を達成することはできないと思うのであります。地方実情をよく見ますと、三戸大湯を結んだだけでは、その目的の全部を果すわけに参りません。これは八戸大湯を結ぶことによつて太平洋岸秋田県の奥地とを結ぶことになるのでありますから、鮮魚の運輸関係、あるいは八戸地方における生産物秋田地方における生産物の交流の関係、そういう点からいたしまして非常な便益を受けるものと私ども確信しております。そこで地方民におきましては、ただいま一大郡民運動と申しましようか、三戸郡、八戸市の住民の方々が大運動を起しまして、ただいま八戸とも馬内間あるいは大湯聞をつなぐ、この点についていろいろ研究を遂げて、ただいま運動いたしておるようなわけでございます。私ども大湯八戸間をつなぐという運動を、これから国鉄並びに政府等に対しましてもお願いに上りたいと考えておるのでありまするから、どうか百尺竿頭一歩を進めて、八戸大湯間までつなぐようにこあつせんをお願い申し上げたいと思います。
  7. 逢澤寛

    逢澤委員長 政府からお願いします。
  8. 黒田靜夫

    黒田政府委員 青森港の臨港鉄道に関しまして御説明申し上げます。青森港の一十トン岸壁は、ただいま山崎委員からお話のように目下工事中でございまして、今年度をもつておおむね完成する予定でございます。一部工事は残るかもしれませんが、大体完成いたす予定でおります。この地域に対しまする臨港鉄道につきましては、港湾公共事業費をもつて目下隣接地区に一部引込み中でありますので、岸壁が完成いたしましたならば、これに対しまして臨港鉄道引込みを引続いて考えて行きたい、かように存じております。
  9. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま港湾局長から、港湾公共事業費から経費を出すというお話でございますが、先ほど私の申しましたのは、国有鉄道として行けるかどうかという点で申し上げたので、先ほどの私のお答えは修正をさせていたたきたいと思います。  それから次に八戸三戸間の国鉄自動車でございますが、これにつきましてはまだ私どもよく承知いたしておりませんので、今後十分研究させていただきたいと思います。
  10. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 何とぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  11. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に日程第五一、室蘭港を起点とする本州、北海道間連絡航路開設請願及び日程第六三、札幌に総局及び室蘭鉄道管理局設置請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。正木満君。
  12. 正木清

    ○正木委員 本州と北海道連絡航路を開設しまして、室蘭港を起点といたしたいという請願でございますが、北海道と本州を結びます現在の定期航路は、一応主幹線として青函連絡があるだけでございます。     〔委員長退席、山崎(岩)委員長代理着席〕  御承知のように、この室蘭港と青森港とは過去におきましては、山陽汽船株式会社において定期航路が開設されておつたのでありますが、戦時中徴用によりまして運休のうき目を見ておつた次第でございます。その後室蘭市民の強い要望がございまして、大阪商船によつて再開されまして、新造船の若草丸の配船によつて来たのでありますが、本船はデイーゼル・エンジンと吃水の浅いために、北海道のような非常に海の荒いところには適しません。従つて機関の故障等も起きておつたような次第でございまして、思うようではございません。そこで定期航路は、ひとり一部市、一地区を目標とする以外は、あくまで汽車に接続する運行が望ましいのでございますので、ぜひともお考えを願いたいと思うのでございます。御承知のように、北海道日本民族のホープとしてそうした開発が急速に進められておりまして、室蘭の埠頭の整備、国賞倉庫、市営倉庫等の完成を見ておりまするし、従つて港湾としての条件も今日備つておりまするので、当局においては室蘭を起点として本州に結ぶ定期航路の開設をぜひお願いしたい、これが請願の趣旨でございます。  次に札幌に総局を設置し、室蘭鉄道管理局を設置せられたいという請願でございまするが、国鉄としては全国的に新たに鉄道管理局を設置する計画があるように聞いておる次第でございまするが、御承知のように室蘭北海道南の表玄関でございまして、その発でございます。そこでぜひとも室蘭に管理局を設置していただきたい、これが請願要旨でございます。
  13. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 本件に関して政府より意見を求めます。
  14. 細田吉藏

    細田政府委員 北海道開発計画の進捗に伴いまして現在青森函館間の航路に対する負担が非常に重くなつてつております。今後を考えますと、本航路の書函航路の輸送力が行き詰まるのではないかというふうに予想いたしておるのでございます。そこでその補助航路を開設いたすことにつきまして、国有鉄道におきましてかねてから大きな懸案事項といたしまして、いろいろと調査研究をいたしておるような次第でございます。室蘭と本州を結ぶ航路につきましても、いろいろ研究をいたしておるような次第でございます。ただ在来ございました民間の航路との関係も十分考えて行かなければならないのではないかと考えておりますごとと、それから予算の面からいたしまして早急には実施が困難ではなかろうかと考えておるのでございます。いずれにいたしましても青函航路の補助航路の問題の一つといたしまして十分検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。  次に札幌鉄道総局、室蘭鉄道管理局を置いたらどうかというお話でございますが、これは国有鉄道地方機構全般の問題を含んでいるように拝承いたす次第でございます。昭和二十五年の八月に、北海道は少し前でございましたが、全国的に国鉄地方機構が、国有鉄道始まつて以来の大きな変革を見たのでございます。在来の鉄道局が廃止になりまして、いわゆる縦割制度が実施され全国に二十七の鉄道管理局ができたといつたような形に相なつたのでございます。その後この縦割制度について再検討する必要がある、それから二十七の管理局が国鉄本庁と直結するという関係について、相当検討すべきものがあるというようなことから、本年の八月に機構の再改正をいたしまして、地方総支配人制度を設けました。在来も運輸支配人、営業支配人というものがありましたが、これはスタツフも非常に少い微力なものでございましたので、これをある程度強化をいたし、各系統につきまして副支配人を置くというようなことをいたしまして、元の鉄道局ごとではございませんが、相当程度強化をいたして参つておるような次第でございまして、在来の八月以前のものよりはよほどよくなつてつておるように考えます。ただこれをさらに総局にするということにつきましては、今回の八月以後の改正せられました総支配人制度を十分に検討いたしました上でなければ、決定できない問題であろうかと思います。  なお、鉄道管理局を室蘭設置することでございますが、先ほど正木委員から全国的に新たに局を設置いたす計画ありやというお話もございましたけれども、ただいまのところ、管理局を設置する計画はございません。従いまして室蘭につきましては、従前は御承知のように札幌鉄道室蘭管理部というものがございまして、室蘭の地域一帯を受持つておりましたかなり大きな管理部があつたわけでございます。ただいまでは駐在運輸長というような制度で、札幌鉄道管理局の下の仕事をやつておるわけでございます。この点につきましては、鉄道管理局増設の計画はございませんので、ただいまのところでは本年八月実施いたしました地方機構の組織のままで進めるという考え方でおるのでございますが、根本的な問題で、これは総局制がいいかどうかということと関連を持つており、総局制を設置いたすということになりますれば、ただいまの管理局の数でいいかどうか、もつと細分する必要があるのじやないかというような点が考えられるわけなのでございます。これらの点につきましては、国有鉄道総裁の裁量で実施できる問題でございますが、今後の研究の問題ではなかろうか、かように考えておる次第であります。     —————————————
  15. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 次に日程第一二、遠信鉄道敷設等に関する請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。佐伯君。
  16. 佐伯宗義

    佐伯委員 本請願要旨を申し上げますと、裏日本並びに天龍川流域及び長野県の未開発資源はきわめて豊富でありますが、これが資源の開発にはトラツク輸送によらなければならないのでありまして、さらに輸送力の画期的増強を必要とするのであります。しかるに浜松市を起点として二俣町を経まして飯田線に連繋し、静岡県と長野県とを結ぶ遠信鉄道敷設いたしますれば、地方産業の飛躍的振興に寄与するところが大であります。ついては前記鉄道敷設されるとともに、佐久間ダム建設によつて飯田線の一部が水没をいたしまするから、これがつけかえ架線を静岡県側にせられたいというのが本請願の趣旨であります。何分よろしくお願いいたします。
  17. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 本件に関し、政府意見を求めます。細田政府委員
  18. 細田吉藏

    細田政府委員 この路線は、鉄道敷設予定線辰野、浜松間のいわゆる遠信線の一部に該当しており、このうち浜松と二俣間は、地形がきわめて平坦で、すでに遠州鉄道が開業をしております。二俣、佐久間間につきましては、資源開発地方交通の便をはかる目的のもとに、大正十一年に建設費予算に計上いたされ、予算は計上になつたのでございますが、未着手のまま中止となりまして今日に及んでおるのでございます。経過地は天龍川の沿岸でございまして、林産物資が非常に豊富でございます。また鉱産資源、水力の電源につきましても豊富でありますが、地形は一般に急峻で、隧道、橋梁等を相当多く要するし、土工量もかなり多いようでありますので、工事はやや困難の見込みでありますが、建設未成線になつているわけでありまして、今後の建設費の予算、また建設審議会の御審議等によつて新線の追加をいたします場合には、十分検討いたしたいと考えている次第であります。  なお飯田線のつけかえの問題でありますが、これにつきましては静岡県側、愛知県側といろいろ議論があるようでございます。私ども両方の御意見を聞いているわけでございますが、佐久間ダムの問題か、最近ようやくにして電源開発審議会を通つたばかりの状況でございます。この佐久問ダム計画の具体化に伴いまして慎重に検討を加えました上で、つけかえは必ずやらなければいけませんので、どういうルートでつけかえるかという点につきまして、十分研究をいたしたいと考えている次第でございます。     —————————————
  19. 山崎岩男

    山崎(岩)委員長代理 次に日程第一五、赤穂線敷設促進請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。逢澤君。
  20. 逢澤寛

    ○逢澤委員 赤穂線敷設促進のことにつきまして申し上げます。本請願の喜要旨は、国有鉄道赤穂線の建設促進のことでありますが、赤穂線は現在建設予定線の中で、採算上におきましても一番有利な線だと伝えられております。戦時中から建設に着手いたしまして相当距離にわたつて、具体的にいえば、兵庫県を経由いたしまして岡山県の日生までは土工工事はほとんど終つておるのであります。その残工事部分に対しましても、すでに着工は見ておるのでありますが、その着工はきわめて遅々としております。この線路は、一部開通だけでは真に線全体の効果がきわめて薄いのであります。そこで沿線の住民といたしましては、三方面からこれを借手されたいというような希望を持つております。工事箇所も、今きわめてむずかしいところだけはできまして、平坦部分が残つておるのであります。願わくば三方面から着手するということが財政の見通しから困難でありますれば、せめて西大寺町の、つまり起点の方と終点の方の二方面からぜひ着手をされていただきたいというのであります。これは御承知のように二十数年間非常な問題であつたのでありまして線路を西にするか東にするかという問題もあつたのでありますが、今日ではそういう問題は一切解決しておるのであります。特にあそこには西大寺鉄道という私鉄があるのですが、この私鉄も省線の西大寺経由につきましては完全に了解しておるのです。こういう時期に西大寺を経由するということをはつきりしていただきませんと、将来またどういう変化が来るかわからぬのです。今日では岡山県全体が西大寺を経由することを承知し、かつ利害関係を多く持つております西大寺鉄道も、西大寺を通過することを承知しておるのです。すでにその社長も先般本省に参りまして、そのことの陳情をいたしておるような次第でありますから、三箇所起工ということは困難かもしれませんが、せめて二箇所からはぜひやつていただきたいというのが請願要旨であります。何とぞ地方民の意をおくみとり願いたいと存じます。
  21. 細田吉藏

    細田政府委員 赤穂線につきましては、ただいまお話がございましたように、今度の新線建設のうち最も有力な線であることは、私からあらためて申し上げるまでもないところであります。昭和二十六年十二月に相生、播州赤穂間が開通いたしまして、残余の区間は本年度の予算をもつて着手をいたすことになりまして、すでに建設を許可しております。目下播州赤穂と日生の間を工事中であります。請願要旨にもありますように、これが全通することによりまして、赤穂線が完全に生きて来るわけでございまして、われわれ国有鉄道といたしましても、これが全通につきましては全力を傾けたいと考えておる次第であります。  なお三方面から工事をしたらどうかう少くとも二方面からというお話でございますが、この点につきましては、実は敷設を別表には、相生から播州赤穂を経て西大寺付近に登る鉄道ということになつておりまして西大寺付近がいかなる線路選定になるかということは、前々から問題になつておつたのであります。ただいまお話がありましたように、最近ようやく解決の明りが見えて参つておりますが、この点はまだ最後的確定ということまで至つておりません。早急に話合いをつけまして路線の確定をいたすようにしなければならぬと考えております。西大寺を通るということにつきましては、大方の御了解は願つておるようでありますが、最後的な決定を見ておらぬような次第であります。なお両方から工事にかかるということにつきましては、来年度以降の問題になるかと思いますが、これは新線建設の予算を赤穂線に幾ら投入するかという問題でございます。最初に申し上げましたように、われわれといたしましては一日も早くこの線の全通を期したいと考えておりますので、来年度の予算をどういたすかということに関連いたしまして十分御趣旨を体して研究いたしたいと考えておる次第でございます。
  22. 逢澤寛

    ○逢澤委員 重ねて主張いたしまして恐縮と存ずるのでありますが、両端起工ということにつきましては、やはり予算と関連のあることですから、予算とにらみ合せてやらねばむずかしいと思います。そこで私は起工ということが困難でありますれば、せめて決定という線だけは出していただくことが、最もよい時期たと心得ております。それはさつきもちよつと申し述べておきましたように、二十数年間にわたりまして、あるいは西だ、あるいは東だといつて、もめにもめておりました線が、ようやく今国鉄当局からも御指摘になりましたように話合いがまとまりまして、利害関係を持つております私鉄も、ここを通るのが適当である、こういうことまで述べておる際でありますし、これがあまりまた決定に長引くと、そこでまたどういう事態が起つて来るかしれないので、なるたけ早い機会に願わくば年度内にでも路線の決定ということだけはぜひやつていただくことを要求しまして、お話を終りたいと思います。
  23. 細田吉藏

    細田政府委員 路線の決定につきましては、できるだけすみやかに決定をいたしたいと考えております。     〔山崎(岩)委員長代理退席、委員長着席〕     —————————————
  24. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に日程第七、帖佐、阿久根間鉄道敷設請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。尾崎君。
  25. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいま議題となりました帖佐、重富地区、阿久根間鉄道建設の問題でありますが、この路線は三十年余り前に、私どもの鹿児島県選出の先輩であつた長谷場純孝という、文部大臣や衆議院議長をやつた方でありましたが、その方があつせんをせられまして、前に一ぺん調査をやられたことのある路線であります。そして一ころ棒ぐい等を打たれたこともあるのでありますが、その後各種の事情でそのままとりやめになつて今日に及んでおる路線であります。つきましてはこのことの請願についていささか申し添えておきたいと思いますことは、去る第六国会に私が提案者を代表いたしまして共産党を除く各党の賛成のもとに、鉄道建設の決議案を本会議に上程いたし、共産党を除く各党一致の賛成によつて通過をいたし、越えて第八国会におきまして、この第六国会における決議案の趣旨をさらに強化して、鉄道建設促進の決議案を上程し、これまた私が代表者となりまして趣旨弁明をいたし、この際は共産党をも加えた全会一致をもつて賛成され、その後第九国会におきまして、鉄道建設審議会をつくるべしという提案をいたし、これが法律となりまして、現在設けられておる鉄道建設審議会と相なつたわけでありますが、その際私が各党を代表して申し述べました趣旨と申しますのは、結局国土の四割以上を失つた日本の経済と産業との今後の開発は、主として交通によることが最も大きな力をなすものであるが、その交通の中では、日本の立地条件から考えまして道路その他の開鑿、あるいはまたトラツクその他の輸送等によることももちろん大きな力とはなるが、日本の立地条件、すなわち山は高く谷は低く、土地が横に狭くて縦に長いという立地条件のところにおいては、鉄道による交通の開発ということが最も必要であるのであるから、そういう点も考えてみてどうしてもごの鉄道新線を多く建設をいたして、これによつて経済と産業の開発を行い、かつ文化の向上をはからなければならない、こういう趣意であつたのであります。ところがこういう中におきましても、わが国の鉄道の性格上、独立採算が成り立たない場所でありましても、やはりこの趣意に沿うために、直接には採算が成り立たなくても鉄道の建設をしなければならない場所もあるから、これも進んで建設をいたさなければならない。他面、建設をいたしますればただちに採算の成り立つ路線相当にあるのであるから、これらを開発することによつて、他面採算が成り立たなくても建設をしなければならない場所と合せて建設をすれば、ただちに採算が成り立ち、いわゆる国鉄の栄養の役割を受持つことのできる路線等は、特にここに重点を置いて建設を急がなければならない、こういう趣意であつたのでありますが、こういう点から考えて申しますと、この鹿児島の帖佐、重富地区から阿久根に至る間のこの鉄道は、どう見ましても採算の上におきまして非常に有利であり、人口の多い点から申しましても、いわゆるすべての経済開発の点、すなわち物資の多い点から申しましても、他面またこれを利用する人々、鹿児島本線を経由してこの重富、帖佐あるいは阿久根に行き、あるいはまた一方日豊線、肥薩腺を利用してこれらの地区に現在行つておる人々からいたしますと、時間の上から申しましても三分の一ないし四分の一に短縮される、こういうふうに交通の上から申しましても非常に便宜を受けるところでありますので、どの面から見ましてもこの路線はすみやかに建設をやつてもらわなければならないと思う路線であるのであります。でありますからこの趣意にのつとりまして、建設ができたあと採算が成り立たないでどうしようかなどというのでなくて、どう見ましても採算はすぐに成り立つという、まことに国鉄の栄養の役割を受持つ一ころの路線でありますので、これは至急建設を希望をいたすのでありますが、その前提といたしまして、急いでこの路線についての員休的の御調査を願い、そして引続き建設に移つていたたく、こういうことの請願であります。この点につきましての当局の御答弁を伺いたいと思います。
  26. 逢澤寛

    逢澤委員長 本件に関し政府意見を求めます。細田政府委員
  27. 細田吉藏

    細田政府委員 この路線は、ただいまも御説明がございましたように、鉄道敷設法の予定線に該当しておらない線なのでございます。やるといたしますれば、まず敷設法の予定線につけ加えなければならない路線でございます。沿線には農産物、林産物が非常に豊富でございますが、ただ経過地が非常に複雑な地形でございまして、隧道、橋梁等を多数必要といたしますほか、土工量も多くて特に途中の千貫岳附近、横座峠附近が非常に急峻でございまして、長大な隧道ができる見込みでございます。これは、ごくあらましの調査をいたしておりますので、そういつた結論が出ておるのであります。工事が非常に困難であり、多額の工費が予想されております。しかしただいまも御説明がございましたように、沿線の物資は豊富のようでございますので、今後十分研究いたしたいと考える次第であります。また調査等につきましても十分にできておるというわけではございませんので、そういつた点も努力いたしたいと考えております。なお念のために申し上げますと、帖佐、入来間につきましては、現在国鉄の自動車が開業いたしておりましてさらに入来からは——これは阿久根ではございませんけれども、宮之城へ行き、宮之城から出水に向つて国鉄の自動車が現在開通をいたしております。それだけつけ加えて申し上げておきます。
  28. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ごく簡単にもう少し申し添えておきます。ただいま御当局からの御説明では、いわゆる難工事と思われるところが二箇所あるということでありますが、今御説明なつたような経過地であるとすれば、その二箇所ほどの難工事があることは私も承知いたしておりますが、少しばかり迂回をいたしますれば、やや路線が延びるというだけで難工事を避けることができるようでありますから、それらの点についてひとつ具体的に急いで御調査くださるよう希望いたしておきます。  もう一つは省営バスの問題であります。宮之城、出水間には省営バスがあるのでありますが、この路線の最も特徴といたしますところは、これら関係町村の旅客の上の交通量がこれによつて非常にふえるというだけでなく、物資は非常に豊富なのでありますが、その物資についてはあの阿久根港、この港はかつて旧幕時代においては、薩摩藩が幕府の許可を受けずにかつてに密貿易をやつて、そしてこの発展をはかつたといわれる千石船というものが大隻も置かれた由緒のあるところでありまして、それほど海の面における交通、並びに海産物等についての重要な港であつたのであります。現在もその通りでありまして、国鉄の急行停車場になつております。従つてこの阿久根と山の地帯の物資並びに旅客の交流をはかろうという点に、最も大きな意義を持つ路線であります。さらに阿久根から向うには、ただちに熊本県の天草につなぎ、長崎につなぐという最短距離の海のりつぱな交通を持つておるのであります。でありますから、この海と山との両方をつなぐ交流においは、非常に大きな経済的発展と産業の開発並びに交通便益をはかることになるところでありますから、それらのことをお考え願つて、特に御調査をいただきたいと思うのであります。重ねてこのことを希望しておきます。     —————————————
  29. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に日程第七四、深浦港修築に関する請願、日程第七七、青森中央埠頭荷さばき施設設置請願及び日程第七八、青森整備促進に関する請願を一括議題とし、紹介議員説明を求めます。山崎岩男君。
  30. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 深浦港修築に関する請願、第一一五七号、請願者青森県西津軽郡深浦町長工藤和一郎外一名、本請願要旨は、青森県深浦港付近は、海難きわめて多く、昭和二十一年から昭和二十四年までの四箇年間に財産一億二千万円、人体三十四名の損害あり、昭和二十五年はさらに上昇して一箇年の損害財貨一億五千六百余円、人命一箇月平均三・五名ずつ死亡している。深浦港は避難港として指定され、今回さらに運輸省直轄によつて調査が完了したが、深浦港の完備ば、莫大な財貨の損害ととうとい人命の災害を防止し、海運と漁業の躍進をはかることができる。ついては深浦港を避難港として修築のため、すみやかに施工を開始されたいというのでございます。  次は青森中央埠頭荷さばき施設設置請願、第一〇九三号、請願者青森市長横山実外一名、本請願要旨は、昭和二十八年度を期して青森中央埠頭に三千トンの岸壁が建設される運びとなつたが、せつかくの岸壁も荷さばき施設が整備されなければ岸壁の利用率は減じ、経済的効果もはなはだしく低下するので、政府財政資金をもつてすみやかに荷さばき施設を設置されたいというのでございます。  次は青森整備促進に関する請願、第一〇九四号、請願者青森市長横山実外一名、本請願要旨は、青森港は本州北の関門であり、北方開発の基地として発展して来たが、その地理的条件、水陸交通上の利便、原材料の入手容易等、臨海工業地帯造成上有利とする利点が多々あるので、政府財政資金によつて工業港を建設整備されたいというのでございます。
  31. 逢澤寛

    逢澤委員長 本件に関し政府より意見を求めます。
  32. 黒田靜夫

    黒田政府委員 まず初めに青森県深浦港の整備の問題でございますが、深浦港は港湾法が制定いたされた後の政令によつて、避難港に指定されました港湾でございます。ただいま山崎委員からお話がありましたように、この港は海の難場の一つでございまして、この港の避難港施設につきましては政府としてもその必要性を認めておるのでございまして、今年度におきましては調査費を計上し、その避難港施設としての防波堤の位置、延長等について、技術的な調査をいたしておるのでございます。来年度におきまして、これが整備についてはできるだけ実現できるように努力して参りたいと考えております。  次に青森中央埠頭荷さばき施設設置請願に対するお答えでございますが、青森港は先ほどもお話いたしましたように三千トン級の岸壁が今年度におおむねできることになつておりまして、これが背後地における上屋、荷役機械等の荷さばき施設につきましては、その整備港湾管理者がいたすことになつており、岸壁浚渫のような港湾施設については、国の公共事業費の方からの補助が出るのでございますが、荷さばき施設につきましては地方港湾管理者である主として公共団体が整備する建前になつておりまして、でき上つた後に使用料等が上ります関係で、補助の対象になつておらないのでございます。しかしながら接岸施設をつくりまして荷さばき施設ができないことは、非常に片手落ちでございまして、この機能を全面的に発揮させるために、どうしても荷さばき施設を促進する必要があるのでございます。この点につきましては政府としても、このような国の補助の出ない港湾施設について、政府財政資金をこれに貸し付けるなり、あるいは国の直轄で完成させて、後に港湾管理者に貸付、譲渡をするというような方法を考えまして、港湾整備特別措置法案というものをつくり、これをもつて今まで申しましたような港湾荷さばき施設あるいは臨海工業埋立地に対して、何らかの形で促進するというようなことを考えて、目下せつかく努力中でございます。  次に青森整備促進に関する請願でございますが、これは青森港の西方地区に臨海工業港を整備するという問題であろうかと存ずるのでございますけれども、この点につきましては国土の総合開発なり、あるいは産業の発展とにらみ合せまして、この臨海工業地域が採算がとれるものであるか、あるいは必要の度合いが相当強いものであるかどうかということを十分検討いたしまして、もし必要性が強いものでありますならば、先ほど申しました港湾繋備特別措置法を目下制定するのに努力しておりますので、この線で取上げて行きたいと考えております。
  33. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 深浦港の問題につきましては、調査書をいただきまして、政府当局においていろいろご研究くださいましたことは、地方民一同にかわりまして深ぐ感謝申し上げる次第でございます。この港が避難港として完成したあかつきは、今まで失われておりました国絡の莫大な損害、あるいは人命等の損害等に対する重大な援護の処置となる次第でありますから、どうぞ北門の最も荒れる地帯における避難港整備という点に御勘案くださいまして、一日も早くこの港湾整備されるようにお願い申し上げる次第でございます。  次に青森港の中央埠頭の荷さばき施設に関する請願につきましては、御懇篤なる御説明を賜わりまして、まことに感謝にたえません。港湾整備特別措置法案というものを準備されまして、こういうもろもろの案件を解決するために政府当局、わけても港湾局長さんにおかれましていろいろあつせんいただきます点は、まことに感謝にたえない次第でございます。こういうものがこれからどんどんでき上つてくるのでありますから、どうぞこの法案を上程されて一日も早く法律として、国家財政資金等の金融面に重大なる役割を果すことができ得ますならば、私ども地方民としましてもまことに利益を得る次第でありますので、一段と御努力を賜わりまして、こういう問題の解決が得られますようにお願い申し上げる次第であります。  また青森港の整備促進に関する請願でございますが、これはただいま御説明もございました通りに、青森港の発展性というものに観点を置かなければ解決のつく問題ではないのでありまするが、幸いにして国有鉄道当局の御奮発により、青森からつながつております津軽半島に、先年度に二十七キロの鉄道が完成されました。さらに昭和二十七年度の補正予算から三厩というところまで二十八キロ五分にわたる鉄道敷設されることになつたのでありますが、本郡は日本にもその例を見ないといわれるひばの美林をかかえ、あるいはまた石油鉱、鉄鉱石、硫化鉄鉱というようないろいろな地下資源が眠つておりますので、運輸交通利便を受けることによつてこの港を将来発展させて行くためには、工業港をつくり上げてやつてつて初めて日本経済再建にもお役に立つことができる。今日まで雪に埋もれておりました当地方が、今こそほんとうに日本再建のために役立つ資源をここから生み出すという気構えをもつて、私ども地方民は努力しているような次第であります。この鉄道の完成と相まつてどもは本郡の使命達成に重大なる役割を持つものと思いますので、どうぞ青森港の工業港としての価値を御研究くださいまして、何とぞ今後とも私ども地方民を御鞭韓くださいますようにお願い申し上げる次第でございます。  次に先ほどの日程におきまして、港湾局長さんにお願い申し上げることができなかつたわけでありますが、第四四一号、大間鉄道敷設促進並び大間港湾国営修築等請願でございます。大間鉄道と申しますのは、これは日程第一〇大畑鉄道の誤りでございます。大畑鉄道敷設促進並びに大間国営修築等請願、こう相なるわけであります。訂正申し上げます。本請願要旨は、現在、本州、北海道連絡青森函館を結ぶ青函連絡航路一線のみで、現下の両港運送能力より推定するに、貨客の運送上万全を期しがたい実情である。ここにおいて、本州、北海道の最短距離に位する大間函館間に新航路を新設すれば、まさに数時間を短縮することができ、また燃料等の節約も多大である。ついては大間函館間に新航路を開設するとともに、大間港を国営で修築し、かつまた大畑鉄道をすみやかに完成されたいというのであります。この点につきましては、大畑鉄道敷設促進請願の際に申し上げた次第でありますが、青森県は二つの触角を持つておりまして、一つは津軽半島であり、一つは下北半島であります。津軽半島三厩北海道をつなぐ関係につきましては、国有鉄道の御英断によりまして、このたび三厩までの鉄道延長敷設ということが実現される運びになり、片方の半島は解決がついた次第でございますが、いま一つの下北半島大畑鉄道の竣成ということと、大間港の修築ということは、函館につながるいま一つの触角を完備するということになりまして、東北の六県に新潟県を加えただけの莫大な面積を持つておる北海道の開発は、日本の再建に非常に役立つことは申し上げるまでもない次第であります。北海道開発庁という特別なる機関を設けまして、ただいま政府が力こぶを入れております実情にかんがみましても、北海道の開発がいかに重大な使命を持つかということは賢台を要しません。従つてこの北海道と本州とのつながりという点につきましても、これまた非常に産業面に機能を持つ次第であると私ども考えるのでありますが、大間港は幸いにいたしまして、ここ二年間ばかり港湾局長のこあつせん、御同情によりまして、浚渫の工事をやつておりますが、その浚渫の仕事も本年度あたりで大体完了になるように考えるのであります。そこで今度は防波堤を百メートル延ばすことによりまして、五百トン級の機帆船が接岸することができる、こういう状況になるのでございます。そうなつて参りますと、函館大間港とを結ぶということは、連絡船に非常な便益を与えるという結果になるのでございますので、どうかひとつ港の完成のためにも、政府としての一段の、ごあつせんと御同情とをいただきたい、こういう趣旨をもつて請願申し上げた次第でございます。
  34. 黒田靜夫

    黒田政府委員 大間港の整備に関してお答え申し上げます。大間港は、今詳しくお話のありましたように、日本の本土の北端にありまして、北海道に一番近いところでございます。交通相当重要な港でございますし、また地方の発展、開発という点からも重要な港でございますので、政府といたしましてはこの港に対しまして、ここ数年来修築費の助成をいたしまして、まず船の入る深さを得るために浚渫工事をいたしておるのでございますが、この浚渫工事をいたしましても、なお静穏な水面を獲得するためには、どうしても防波堤を築造しなければならないのでございます。この防波堤は大間修築計画の中に入つておりますが、今まで国家財政の都合等がございまして早く着手できなかつたのでございますが、港湾の公共事業費の増額等を得まして、できるだけ早い機会に着手いたしたい、かように考えております。
  35. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 まことに御懇篤なる御説明を承りまして感謝にたえません。何とぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  36. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に新潟港を特定重要港湾指定請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。吉川君。
  37. 吉川大介

    吉川(大)委員 戦前新潟港が日満ルートの幹線として最も重要なる役割を勤めましたことは、いまさら申し上げるまでもありません。しかるところ、戦争末期において空襲によつて、完膚なきまでに戦禍をこうむりましたけれども関係方面の協力を得ましてようやく復興を見まして今や戦前以上に整備せられ、外航船など大型船舶の入港もふえまして、一万トン級の船が入つて来ることは、先般当委員会におきまして港湾局長もお認めになつておるところであります。かくのごとく外航船の入港等増加の一途をたどる状態であり、また現在新潟港の本船荷役能力を有する岸壁延長は三千六十五メートルに及びまして、少しく手を加えれば、一万トン級の繁船岸壁も千メートル以上になることは明らかであります。また本念一月から十月までの間におきまして、原油、燐鉱石、麦、塩等の貨物の扱い量は百数十万トンに及んでおりまして、また外航船の入港も数十隻を数えております現在、特定重要港湾指定を受けておりまする清水、四日市港をはるかに現状は凌駕しておるといつてもさしつかえないと考えるのであります。なお今後引続き毎月定期的に入港が予定されておりまするし、新潟港を中心としたる背後地帯における各工場の必要資材の将来外国から輸入せらるる額も、巨額になると思うのであります。今や対外貿易が盛んに行われんとするときにあたりまして新潟港を日本海随一の国際港たらしめるために、今後一層航路の水深の整備港湾諸施設の改良に努め、大刑船舶の受入れ態勢に遺憾なきを期することは、まさに現下の急務であると存ずるのであります。よつて国におきましては、早急に新潟港を特定重要港湾指定せられ、その発展と振興をはかられたいというのが請願の趣旨であります。何とぞ趣旨徹底するようにお願いいたします。
  38. 逢澤寛

    逢澤委員長 本件に関し政府より意見を求めます。
  39. 黒田靜夫

    黒田政府委員 新潟港は最近港湾の浚渫が促進いたされまして、現在は十メートル近くの維持が百能になつております。これが終戦後わずか五メートルしかなかつたのでございますが、年年の雪解けなり、あるいは洪水によつて埋没しりつつありた水深が、最近に至りまして浚渫の促進あるいは導流堤工事着手によりましてどうにか積み一万トン級の航洋船が出入可能な程度にまで港が整備されましたことは、まことに日本の経済発展のために御同慶に存ずる次第でございまして、今後とも新潟港の整備につきましては、私どもといたしましても関心を持つて行きたいと考えておるのでございます。ただいまお話のございました特定重要港湾指定のことでございますが、特定重要港湾は、目下六大港と申しますか、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門、この六つの港のほかに、滑水、四日市が特定重要港湾指定いたされておるのでございまして、この特定重要港湾指定いたします大体の基準というものがあるのでございますが、その基準のうちのおもな点を申し上げますと、ただいまお話のありましたように、一万トン級の航洋船が自由に入れて、接岸施設もおおよそ一千メートル程度あるということが一つの条件になつておりますし、また貿易額がたしか百五十億だと思いますが、この点は記憶違いがあるかもしれませんので、後ほどまた間違つておりましたら御訂正申し上げたいと思います。それから貿易トン数が年間四十万トンというふうに記憶しておるのでございますが、これらの諸条件が当てはまり、またもう一つ最も重要なことは、国際航路の要衝に当るということになつております。国際航路の要衝に当るということの内容は、おおむね定期船の航路数が二十前後入つておることでございまして、この点は清水、四日前ほか六大港もみなそういつたような現状にあるのでございまして、この点について新潟港は目下いろいろな国際情勢におかれておりますので、将来この新潟港の落勢が大いに発展いたしまして、日本海における貿易が盛んになつた場合、外国との貿易が進展いたしました場合には、当然特定重要港湾という問題が取上げられるのではないかと思うのでございますが、現状においてはもう少し港勢が発展いたしますまで模様を見てみたい、かように存ずるのでございます。
  40. 吉川大介

    吉川(大)委員 いろいろ御説明を賜わりましたが、大体今御説明のうちの条件にはおおむね該当し、もしくは該当すべき立場にあるのではないかと考えております。ただ定期船という問題は、戦前満州との関係の際は、隔日航海の貨客船が出るまでに至つておつたのでありますが、遺憾ながら今日定期船はありませんが、やがて定期船も実現する機運になつておると存じますし、さらに近く当然開通せられると存じます中共との貿易が実現いたしますならば、当然それらの条件も整うわけであります。ただしかし整つた後においてすべての設備をするのであつては、まことに適当な処置であるとは、港湾行政の上からいつしも考えられぬのであります。願わくばそういうことを見越して、すみやかにこれに着手することこそ、ほんとうに日本経済の発展に尽すべき港湾行政の一つだと考えるのであります。こいねがわくばすみやかに特定重要港湾指定になつて、新潟港の改善と拡張に処せられんことを希望してやみません。     —————————————
  41. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に日程七〇、陸運事務所の定員並びに予算増加に関する請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。楯君。
  42. 楯兼次郎

    ○楯委員 当請願要旨は、各都道府県の陸運事務所の事務量に適応する定員及び予算増加するように請願いたすわけであります。理由の第一といたしましては、各都道府県陸運事務所昭和二十二年十二月二十六日、道路運送法並びに臨時物資需給調整法の施行に関する事務をつかさどるため設置されたもので、当時の定員は三千四百三十名、これは陸運局を含んでおるのでりますが、たびたびの人員整理によりまして逐次定員の減少を見て、現在においては二千四百八十名というきわめて圧縮された人員となつたのであります。このような人員減にかかわらず、事務量は極度に膨張し、予算と定員を伴わない諸法律、諸制度——道路運送車両法であるとか、あるいは自動車登録令、あるいは自動車抵当法等が施行せられ、陸運事務所の行政事務量は倍加され、職員の必死の努力にもかかわらず、業務は日々に渋滞し、その対象となる一般民衆に与える不利不便は申すに及ばず、職員は激務のため疲労困憊の極に達し、その健康状態も悪化の一途をたどり、一例を東京都陸運事務所の現況にとつてみますならば、全員百七名中二十一名、これは二〇%に当るわけでありますが、きわめて高率の胸部疾患者を出すに至つたことを見ましても、おわかりいただくことと思います。加うるに自動車数は激増の一途をたどり、昭和二十一年において約十万台が、昭和二十七年七月末現在では六十万台を突破し、職員と事務掃は完全に反比例する結果となつたのであります。二番目の理由といたしましては、諸法律の施行に関し何ら予算措置が講ぜられておらないことは、先ほど定員増加についての理由で触れた通りでありますが、陸運事務所に対する予算配付の状況は、東京都陸運事務所を一例といたしましても、一般旅費に至りましては一人平均月額三円という、まことに唖然たらしめるものであります。なお庁費関係について見ましても、電話料等の通信運搬費、光熱水道料を支払えば、日常必要とする用紙類等の消耗品、印刷等はまつた不可能という状態であります。このような予算をもつてしては絶対に行政事務の運営は囲難でありまして、出張旅費の自己支弁、消耗品等の自己支弁等、直接職員の生活面にも大なる影響を及ぼしておるような現状であります。以上の実情御調査の上、早急に善処されんことを請願をいたします。請願の要項といたしましては、業務量に相当する定員及び予算として最小限、定員においては一万三千四百三十名を確保していただきたいということと、旅費約一億円——これは陸運局を含むものでありますが、その確保は絶対必要であると信ずるものであります。以上ぜひ実現方に御努力をお願いしたいとともに、この請願の内容についてどういうふうにお考えになつておりますか、御回答をお願いしたいと思います。
  43. 逢澤寛

    逢澤委員長 本件に関し政府より意見を求めます。
  44. 真田登

    ○真田説明員 ただいまの件について御答弁申し上げます。陸運局及び陸運事務所における予算、定員の裏づけが不十分であるということはわれわれも痛感しておるのでありまして、このことは特に陸運事務所において著しいと思つておる次第でございます。従来から予算あるいは定員の充実につきましては、機会あるごとに大蔵省とも折衝いたしまして、できる限りの努力を続けておるのでありますが、昨年度におきます行政整理及び本年度における石油製品割当事務の廃止による減員等のために、定員、予算はかえつて減少しているのに、自動車数の非常な増加に起因して事務貴は反対に増大しつつありますため、末端機関におきましての業務は著しく繁忙をきわめておる次第であります。現在施行しております陸運関係の各種制度は、いずれも必要不可欠のものでありまして、その実施上の手続その他細部の事務につきましては、極力簡素化に努めておるのでありまするが、これにはおのずから限界がありまして、必要な予算、定員の確保によつて解決すべきであるとわれわれも考えておる次第でありまして、今後も最大の努力を注いで行きたいと思つております。陸運局及び陸運事務所に対しまする本年度の定員は二千百二十七名でありまして、このうち陸運局が九百六十名、陸運事務所は千百六十七名となつておりまするが、来年度はその定員といたしまして二千七百九十九名を大蔵省の方に要求いたしております。これは今年度に比べまして六百七十二名の増員要求であります。内訳としまして陸運局百三十三名、陸運事務所五百三十九名という増加を要求しております。現在のところ、今お話のございましたことに対するわれわれの方の措置は、その程度でございます。
  45. 楯兼次郎

    ○楯委員 二、三点お伺いしたいと思います。昭和二十四年度におきまして大体車両数が三十万で、定員が三千四百三十名おつたのであります。ところが二十七年に車両数が倍の六十万両になりまして、反対に人員は二千四百八十名ときわめて減少しておるわけでありまするが、これを少くとも昭和二十四年の設置当時の三千四百三十名までは増加をする必要があるのではないか、このように考えるわけであります。  次にお伺いしたいことは、二十四年にできましてからあと、道路運洋車両法だとか、その他相当法律というものができて制定をされておりますが、法律だけをつくつておいて、定員並びに予算というものはそれに伴つておらないように私どもは考えておるわけであります。この点について、法律はできたが、それを実施する予算並びに定員というものは、どういうふうに考えておられるかという点をお伺いしたいと思います。  第三番目には、先ほど申し上げましたようにきわめて胸部疾患者が多い。東京事務所におきましては、全定員の二〇%というような患者を田しておるわけでありまするが、このままほつておきましたのでは、これは全滅をしてしまうのではないかというように考えまするし、自動車事業におきましては、陳情団その他事務面が非常に煩雑であろうというふうに私どもは推察をいたしておるわけでありますが、とれら大衆に対する応接、事務のさばき量というような面においても、支障を来すのではないかと考えているわけでございます。先ほどの御説明では、六戸七十二名来年度増員の計画であるというようなことでありますが、再度前進して三千四百三十名はぜひ確保をしておかなければならねと考えますので、以上の四点についてのお考えを御回答願いたいと思います。
  46. 真田登

    ○真田説明員 まず最初に定員のお話でございますが、この三千四百三十名の中には、物調定員が入つておりましたので、物調関係の定員は、今度の石油関係の事務の廃止に伴いまして落ちるわけであります。ここまでもどることは、三千四百三十名ということを基礎にいたしますと無理だとは思いますが、車両数の増加その他から比べますと、もし昔と同じ仕事ぶりならば、相当数増員すべきであるということはわれわれも痛感しておるのであります。行政整理その他で、いわゆる天引きの整理が行われたために、非常にアンバランスができていることは私たちも考えているわけでありまして、今後もできるだけ増員をするように努力を続けたいと思います。  それから法律ができるのに、たとえば車両法なら單両法ができて非常にこまかい手続を要するのに、人が足りないという点もお説の通りでありましてこの問題につきましては、常に大蔵省方面と折衝いたしておりますが、遺憾ながら今まで増員が実現しておりません。もちろんある程度の増員はできておりますが、車両関係でふえて他の関係で減るというふうな関係で、絶対数においては毎年激つているという数字になつております。  それからそういう増員が思うようになりませんために、増大して来る事務に対応できないで、事務所員が健康を害することはまことに遺憾なことでありまして、われわれといたしましては増員要求をするとともに、事務の簡素化を徹底的にやつて、ある程度増大して来る事務の食掛を軽減したいと存じております。  以上の三点だと思いましたが、もう一点は……。
  47. 楯兼次郎

    ○楯委員 胸部疾患者が二〇%も出ているということが統計に出ているわけでありますが、これの対策ですね。
  48. 真田登

    ○真田説明員 二〇%出ているという数字を、実は私ども今までよく存じなかつたのてありますが、至急調査をいたしますとともに、そういう病人ができないように、またたとえば局から事務所に応援に出すとか、事務の簡素化によつて、われわれそういう人たちに過労を与えないように努力したいと思います。
  49. 楯兼次郎

    ○楯委員 昭和二十四年のときには、物調関係の職員がこの中に入つていると言われますが、それは何名でございますか。
  50. 真田登

    ○真田説明員 二十四年には、物議関係の定員が千四百二名入つております。二十五年には八百六十五名、二十六年には四百六十三名、二十七年八月にはゼロになつております。
  51. 楯兼次郎

    ○楯委員 そうすると、昭和二十四年には千四百二名だつたが、それが廃止になつたので、それをマイナスいたしますと、あなたの方では、来年度の二千七百九十九名については相当見合う数字である、こういうふうにお考えになつているわけでありますか。
  52. 真田登

    ○真田説明員 三千四百三十名から千四百名を差引きますと、約二千人ということでありますが、来年度要求しておりますのは、二千七百九十九名という数字になつておりますので、約八百名近くの数字が他の関係の事務で増加している、こういうことになるわけであります。
  53. 逢澤寛

    逢澤委員長 熊本さん、関連ですか。簡単に願います。
  54. 熊本虎三

    ○熊本委員 関連して伺いますが、陸運の定員問題についてただいま御答弁がございました。私はこの前からいろいろ質問をしておりますが、陸運当局が所管しなければならぬであろうところの現在のトラツク業界の実情等に対する監督、指導は、私の考えでは陸運局がやるべきであると思つておりますが、一体それらはどうなつておるか、この機会に承つておきたい。ただ人員が、この前からいたしまして自動車のふえた数字に対して大体バランスが合うように、八百名くらいふやすと言つておられるけれども、それは日常業務に関してのことであつて私の言う今日の無統制、何といいますか、法律のなきがごとき業界の現状の紊乱は、一体だれが取締るか、だれが指導するかということをこの機会に伺つておきたい。
  55. 真田登

    ○真田説明員 現在の自動車界の輸送状況が、非常に混乱しているというただいまのお話でございます。一昨年朝鮮事変が起りました当時、非常にトラツク界が活気を呈したのでありますが、その後大した輸送需要の増加を見ないで、だんだんと減つて参りましてその間営業車の扱う荷物と、自家用車の営業類似行為といつたものとが、だんだんと入り組んで参りまして、そのために業界が非常に混乱いたしました。これにつきましてわれわれといたしましても大いにその監督、指導を続けて来たのでありますが、本年度に入りまして、輸送秩序を確立しなくてはならぬということで、関係のたとえば警察方面その他に連絡いたしましてそれの方からの御協力を得まして四月一日から自動車運送秩序確立運動というものを展開いたしましてこのために増員も来年度は百四名要求しておる次第でありますが、なかなか経済界の事情は好転しない。そのためにトラツク事業を営んでおります者も非常に苦しんでおります上に、自家用車が跋扈しておる事態が改まりませんで、この運動後次第に好転しつつありまするが、現在でもそういう違反行為が全然ないとは言えない実情にあるのでありまして、この点は今後とも大いに努力を続けて行くつもりであります。先ほど申しましたように、この運動のためと申しますか、取締りを強化するために、百四名の増員といいますのは、これに対する対策の一つであります。
  56. 逢澤寛

    逢澤委員長 熊本君、簡単に願います。
  57. 熊本虎三

    ○熊本委員 委員長は簡単々々と言われるのですが、これは天下の大問題になつている。だから私から言わしめれば、今日のトラツク業界の紊乱に関して、陸運局がこれの取締り指導の任にあるとするならば、今言つたような人員の増加程度では、とうてい不可能だと私は考えておる。なるほど警察とも連絡し、協力を求めていると言われるけれども、前に警察がやつておつたのは、許可、認可の件を行政事務として持つておつた次第ですが、現在の警察は単に交通事故に関する行政措置をするだけであつて、こういうような業界の紊乱等に関する協力方などはなるべくやりたくない。協力を求めたところでそれが徹底しようはずはないわけです。陸運局がこういうものに対しましてもう少し熱心に、法律は法律として生かし、行政措置は行政措置として、いやしくも国の名においてこれをやろうとするならば、もう少し人員を強化してこれが完成を期さなければならぬ。しかるにそのことはできないままに人員を制限して、そしてなさざることをなさしめるというような、あるいはこれを徹底せしめるというような詭弁を弄しただけでは、問題の処理はつかないと私は思う。でありますから、この点についてもう少し当局の意見を聞いておきたいと考えます。
  58. 真田登

    ○真田説明員 ただいまのお話まことにごもつともだと思うのでありますが、輸送秩序が乱れておりますのにはいろいろな原因があると思うのでありまして、自家用車が実際に輸送需要があつて荷物を運んでおるとすれば、ある程度そういつた荷物を対象とする事業者として正式の免許申請をしていただきたい。そしてそういつた人たちが正しい事業者としてその荷物を運んでいただけば、それは合法的な輸送でありますから、決してそういうものを対象としての取締りを必要としない、すなわちわれわれとしてそういつたことに対する取締りの人員を必要としなくなる、そういうことも一つだと思つております。また現在の定員の状態では、何もかも事務所でやることは非常に無理であるということも存じておりますので、仕事の再配分をやるべきである、ある程度事務所でやる仕事も局なら局でやつて、事務所の輸送関係の人たちには、そういう取締り関係の仕事にできるだけ力を入れていただく、そのかわり免許その他の仕事について、いろいろとむずかしい調査を事務所にやらせておりましたような仕事は、できるだけ局でやるというように、ひとつ事務の配分をかえまして、それによつてたとい少い人間でも、できるだけのことをやつていただきたい。その半面、できるだけ大蔵省その他によく事情を説明して定員を増加していただいて、現在の法律が命じております事柄を忠実に実行して行きたい、こう思つております。
  59. 逢澤寛

    逢澤委員長 この際熊本さんにちよつと申し上げておきます。この問題は重大問題でありまするから、最近の別の機会にお願いいたしたいと思います。この間もそういうようにお約束を申し上げておりまするから、御了承を願いたいと思います。
  60. 楯兼次郎

    ○楯委員 一人三円の旅費の問題について……。今統計によると一人三円しか旅費が当らぬというのですが、出張しても自己資金で支弁をしてやつておるという非常にかわいそうな実情なんですが、三月までのあなたの方の取扱い方と、それから二十八年度に対する旅費の増額方についてはどのように考えておられるか、その点だけ……。
  61. 真田登

    ○真田説明員 ただいま非常に旅費が少いために事務所員が苦労しておるということは、私たちもよく聞いており、また私たちも実際にそういつた実情を見ておるのでありますが、先ほどからたびたび皆さんに申し上げますように、大蔵省方面といろいろ折衝しておるのでありますが、全体としての経費がなかなか増加してもらえないために、今までそういつた状態になつております。来年度陸運局及び陸運事務所に対する要求といたしましては、本年度と両方申し上げますが、本年度は旅費が二千九百十七万円余りになつておりまして、一人当り二か三千七百円強でございますが、来年度は旅費一億七千三百六十万円、すなわち一人当り六万二千円強の要求を出しております。これは大蔵省とも折衝の結果きまることでありますが、われわれといたしましてはそういつた増額をして、仕事をうまくやつて行きたいという努力をしておる次第でございます。     —————————————
  62. 逢澤寛

    逢澤委員長 日程第七二、根占港修築に関する請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。永田君。
  63. 永田良吉

    ○永田(良)委員 この根占港は、旧藩政時代においては天然の良港として、大分うたわれて来たよき港であつたのでありまするが、その後上流の方から土砂を毎年押し流して来て、現在では満潮時でも船が入れぬというようなさんたんたる光景になつておるのであります。根占港の周囲には、ごらんの通り大隅半島の官有林、民有林等の林産物、特に粗材、木炭等も相当あるのであります。それらが、ごらんの通り鉄道の便もないし、よき港もないので、例年この天然の入江を通して外に持つて行くことができないという苦しい状態にあるのであります。そういう意味で、この根占港を来年度予算において少上でも国の方から手を加えて、ひとつ開発していただきたいというのがこの請願の趣旨になつております。これに対して当局の御意見を承り、またその御意見によつてもう一度簡単に質問さしていただきたいと思います。
  64. 逢澤寛

    逢澤委員長 本件に関し政府より意見を求めます。黒田港湾局長
  65. 黒田靜夫

    黒田政府委員 根占港の修築に関する件でございますが、根占港は御承知のように鹿児島湾におきまする地方の港といたしまして、生活必需物資の輸送なり、あるいはその根占を中心といたしました地方の発展あるいは民生の安定のためにこの港の重要性を認めまして、運輸省におきましては全国に六百足らずございまする指定港湾の一つになつておるのでございます。これまでいろいろと国の財政がゆたかでなかつたがために、いろいろと不便をおかけしておつたのでございますが、今後これの修築計画はいかなる形で持つて行つたらいいかということを十分研究、いたしまして、御趣旨に沿うように努力して参りたい、かように考えておる次第であります。
  66. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへん御丁寧な御答弁を得まして満足に存ずる次第でありまするが、実はこれについて少しこの地方としての一つの杞憂がある。それは、ごらんの通りこの根占港のお隣に大根占港というのがあるのです。これもやはり県や政府の補助をいただいて、相当修築されております。これは距離がわずか三キロか四キロしかないのです。こういうふうに鹿児島湾の大隅沿岸には、大根占港根占港あるいは高須港、古江港、無水港というような小さな港湾がたくさんあつて、それらがお互いに内輪で奪い合いつこをしておる傾向がある。これは私もあの地方の村会議員とか村長、あるいは市長、県会議員などを長くやり、その後代議士にもなつてつて、その状況はよく知つておるのであります。こういう点から見まして、はたしてこの根、占港に最重点を置いて国が指導して行くがいいか、また隣の大根占港がいいかということは、実は政治家としてやつかいな問題でして根占港からはかつて津崎尚武代議士が出ておられ、大根占港からは前運輸委員長であつた前田郁君が出ておつた。私はその地方の選出議員でありますけれども、あの大隅半島の西海岸すなわち鹿児島湾方面に対しては、なるべく公正な見地から、皆様方専門家から見られて少い経費で、しかも地方の開発上最も有利な場所に電点的に御指導を賜わりたいという考えを持つておるのであります。これについて、きように御答弁を賜わらぬでもよろしいから、指導の立場にあられる皆様方の方で十分研究をしていただきたいという希望を付しておきます。なお大隅半島の東海岸にも大泊港、串良港内之浦港、波見港、柏原港、志布志港、福島港というふうにたくさんの港湾がありますが、そのうちでも波見港のごときは、今までは月に三回ぐらいは大阪商船の船があそこに入つておつた。それが最近肝属川の改修によつてあの河口が埋もれて参りまして、今では船が入らぬ状態になつております。そういう点であの大隅半島は、鹿児島湾方面も東海岸方面も、陸運の上からも海運の上からもまつたく離島と同じような悲惨なる状態にあるのであります。従つてこの点から、政府とされても相当の権威者をあそこに御派遣になりまして、内海も外海も慎重な御研究の結果、あの地方の開発のために御指導を賜わりたいことを要望してやみません。なおあの大隅半島は、日本の国内の船舶の航海ばかりでなく、見方によつてはフィリピン、台湾、沖縄等と日本との連絡の上から、外国航路として考えてみましても、実は私この間も申し上げましたが、四国沿岸と九州の東海岸には重要港湾がない。日本の北には釜石とか小樽とかあるいは函館とか、りつぱな港湾がありますが、南の方の太平洋岸にはいい港湾がない。これが将来われわれの地方の開発上非常な障害になつております。それでこの点について、この間も私ちよつと歴史を申し上げましたら、某理事さんからお前はかつてなことを言うといつてたいへんおしかりを受けましたけれども、これは国家の将来のため、地方の開発のためには、お互いに真剣に研究するところに国家の発展があり、地方産業の開発があると思う。この意味から大隈半島の有明湾は、運河をもつてうまく計画されますと、いい港湾ができると私は信じておる。私はかつてバタヴイアに行つて参りました。またオランダ、ベルギー、ドイツなどにも行つて来たのですが、あの辺の欧米各国は、運河によつてよき港湾を利用する。日本においては運河によつて港湾をうまくやつた例は、東京ではちよつと計画を立てながらも、まだ実現がされない。運河によつて大隅半島に対外的な重要港湾設置していただいて、日本の将来の海運に貸せられることを要望してやまない。この点については港湾局長さん、決してじようだんじやありません。明治九年に大隅半島にベルギー人のチクセンという人が大箇月もおつて、運河の測量をした。それから明治三十六年か七年にもやつたことがある。なぜそういうことをしたかといいますと、鹿児島湾の港は、あまり湾が多くて、往復八時間もかかるので役に立たない。それで将来南九州における港湾問題というものは、皆様方権威者が実地をごらんになつて開発をしていただかぬと、私はだめだと思うのです。私の遺言として皆様方にお願いをして、将来の日本の、再建のために、皆様方がただいたずらに地方の人の陳情ばかりによつて、それじや行こうというようなことでなしに、常に地図を広げて、世界の海運、空運、陸運の関係等に心を悩まして、頼山陽さんが血を吐いて死んだように、日本の再建の上から言えば、大臣も港湾局長さんもわれわれ代議士も、血を吐いて国家の将来に御奉公するという意味から、私は真剣にお互いに研究したいと思うのであります。この意味から私はこの席を借りて、たいへん乱暴でありますが、ぜひあの地方港湾局長みずから、また港湾局に関係のある方に行つてもらいたい。運河によつて港湾問題を解決するという一人の偉い博士か学者が日本に生れて来なければならぬと思う。中国においても南洋においても欧米各国においても、りつぱに運河によつて港湾の設備が開発されておる。日本は運河によつて港湾問題を解決されていないということは、日本の土木工業界、港湾界にとつて残念なことではないかと思うのです。この意味から切に日本に運河設置による港湾を開発するために、大隅半島の志布志湾の沿岸を御研究あらんことを切望してやまぬ次第であります。これに対する局長さんの御見解を、簡単でもよろしゆうございますから、ちよつと伺いたいと思います。
  67. 黒田靜夫

    黒田政府委員 日本港湾のあり方の問題でございますが、日本は御承知のように地形が急峻でございまして、海岸線が長く、平地が乏しいのでありまして港湾の数が非常に多いのでございます。これはいろいろ日本の経済、文化、産業、政治というものが、いわゆる海洋の方面から発展して参つたのでございまして、平地が少いために、今御説がありましたように、運河につきましては非常に少いのでありますが、港湾の数はよその国に比べまして非常に多いのでありまして、全国に三千有余ございます。海岸線八キロに一つの割合になつております。さらに根占のような、あるいは志布志のような、福島のような、内之浦のような港湾は、平均して四十キロ程度に一港の割合になつております。このように日本は大きな港湾を中心といたしまして地方港湾がこれを培養して行くという立場にあるのでございまして、アメリカ、欧州、中国のような大港中心主義とは趣を異にしているのでございます。一つの貨物の動きから申しましても、アメリカなり欧州の港湾はたくさんございます。イギリスの港湾を除きまして、西独、フランス、ベルギー、オランダ等には、いずれも世界的な港湾がございます。中国におきましても有数な港湾があるのですが、これらの大港におきましては、入つて来る貨物の八五%が奥地輸送されるのでございまして、その港の付近で消費されるものは一五%しかないのでございます。こういつたような貨物の動きのヒンターランドの広大な平原があるために、運河が発達しているのでございまして、日本港湾はこれとまつたく逆でございまして、地形が急峻であるがために、その港で消費する貨物がおおむね八割から八割五分になつておりまして、奥地輸送する貨物は一割五分程度しかないのでございます。こういつた意味におきまして運河が発展しない。しかしながら私どもは瀬戸内海あるいは日本の沿岸は、一つの運河であるという観点から、港湾整備をやつているのでございまして、ただいまありましたお説は十分考慮いたしまして、今後の港湾整備に尽して行きたい、かように存じている次第でございます。
  68. 永田良吉

    ○永田(良)委員 港湾局長に誤解があつてはいかぬから申し上げますが、明治九年にやつた運河は、大隅半島の志布志湾から鹿児島湾に掘り割る運河であつた。ところが私が今申し上げたいのは、ジヤワのバタヴイア式に、志布志には砂丘がある、その砂丘の裏に水田がある。それをわずかに一万メートルくらいコの字型に掘り切つて、運河を通してもらえば、海の中に堤をつくつて港をつくるよりいい港ができる。わずか二里半くらいの小運河をつくつて、それによつて港をやつていただきたい、こういう希望であります。これはまたいずれあらたまつて陳情に上りますから、そのことを申し上げておきます。
  69. 黒田靜夫

    黒田政府委員 今の志布志の問題については、具体的にそういう御計画があるということは私承つておりますが、詳細な計画も資料も持ち合せございませんので、お答えは差控えますが、そういつたような運河計画なり大きな港湾の計画をいたします場合には、投資に対する経済効果というものをにらみ合して行かなければ相なる支いと思いますので、また後ほどいろいろ具体的な資料によつてお答えいたしたいと思います。     —————————————
  70. 逢澤寛

    逢澤委員長 次に日程七九、赤泊洪を地方港湾に編入の請願を議題とし、紹介議員説明を求めます。
  71. 吉川大介

    吉川(大)委員 紹介議員北れい吉氏が見えませんので、私からかわつて説明いたします。新潟県佐渡郡の赤泊港は南佐渡の中央に位いたしまして、越後との最短距離にあるまことに天然の良港とも見るべきものであります。大型船舶の寄港、避難港として航海関係に備えられたものでありますが、同港が港湾法に基く地方港湾としての指定に漏れましたことは、同港開発発展のみならず、新潟県の産業、経済上にも悪影響を与えるおそれなしといたさざるを得ないのであります。つきましては国土開発の見地より、この赤泊港を港湾法に基く地方港湾指定されんことを切望してやまないものであります。
  72. 逢澤寛

    逢澤委員長 本件に関して政府より意見を求めます。
  73. 黒田靜夫

    黒田政府委員 離島の港湾整備につきましては、政府といたしましては日本の国情から非常に力をいたしておるのでございまして、赤泊港の地方港湾編入につきましては、いろいろな方面から検討いたしまして、本年十月十九日付をもつて運輸大臣より地方港湾指定されておりますので、御請願の趣旨は達成されたことと存じます。     —————————————
  74. 逢澤寛

    逢澤委員長 本日の日程に掲載しております日程中、ただいままで議題といたしました以外の請願を議題といたしまするが、これに対する政府よりの意見は、文書をもつて求めることといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時一分散会