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1952-12-20 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十日(土曜日)     午後一時五十一分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 田原 春次君 理事 正木  清君       岡田 五郎君   佐々木 秀世君       玉置 信一君    徳安 實藏君       永田 良吉君    松岡 俊三君       山崎 岩男君    伊東 岩男君       臼井 莊一君    河本 敏夫君       吉川 大介君    熊本 虎三君       竹谷源太郎君    楯 兼次郎君       武知 勇記君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十二月十七日  委員山崎岩男辞任につき、その補欠として大  橋武夫君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員愛野時一郎君辞任につき、その補欠として  伊東岩男君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員大橋武夫君、楯兼次郎君及び松原喜之次君  辞任につき、その補欠として岩本信行君、伊藤  好道君及び田中織之進君が議長指名委員に  選任された。 同月二十日  委員岩本信行君及び伊藤好道君の辞任につき、  その補欠として山崎岩男君及び楯兼次郎君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十二月十六日  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(楯兼  次郎君外二十二名提出衆法第一四号) 同日  日本国有鉄道職員休職者に対する給与支給に  関する請願(楯兼次郎紹介)(第一〇二七  号)  そ菜の鉄道運賃値上げ反対に関する請願(竹山  祐太郎君紹介)(第一〇四九号)  青森港中央ふ頭荷さばき施設設置請願(山  崎岩男紹介)(第一〇九三号)  青森整備促進に関する請願山崎岩男君紹  介)(第一〇九四号)  林産物鉄道運賃引上げ反対に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一〇九五号)  延岡、日ノ影間にガソリンカー運転請願(川  野芳滿紹介)(第一〇九六号)  穴水より宇出津を経て飯田に至る間に鉄道敷設  の請願益谷秀次紹介)(第一〇九八号)  日の影、高森間鉄道敷設請願川野芳滿君紹  介)(第一〇九九号)  耐火粘土及び硅砂に対する鉄道運賃引下げに関  する請願加藤鐐五郎紹介)(第一一〇〇  号)  深浦港修築に関する請願山崎岩男君外二名紹  介)(第一一五七号) 同月十八日  橋場線敷設等請願根本龍太郎君外二名紹  介)(第一二六五号)  越美北線敷設請願水谷長三郎紹介)(第  一二六六号)  湯之元駅に上り急行列車停車請願床次徳二  君紹介)(第一二六七号)  赤泊港を地方港湾に編入の請願北れい吉君紹  介)(第一二六九号)  日本国有鉄道職員休職者に対する給与支給に  関する請願外一件(楯兼次郎紹介)(第一二  九二号)  帽子の鉄道運賃引下げに関する請願中村幸八  君紹介)(第一三八三号)  豊橋駅に特別急行列車停車請願福井勇君紹  介)(第一三八四号)  岩内、黒松内間鉄道敷設請願薄田美朝君紹  介)(第二二八五号)  岡崎、多治見間鉄道敷設請願松野頼三君紹  介)(第一三八六号)  城東貨物線客車運転に関する請願大倉三郎  君外四名紹介)(第一三八七号)  木曽川、岐阜両駅間に笠松駅設置請願(大野  伴睦紹介)(第一三八八号)  札幌に総局及び室蘭鉄道管理局設置請願(  南條徳男紹介)(第一三八九号)  砂川駅舎改築に関する請願南條徳男紹介)  (第一三九〇号)  築地町地先に二号ふ頭新設に関する請願南條  徳男紹介)(第一三九一号)  港湾石炭積卸施設増強に関する請願南條徳男  君紹介)(第一三九二号)  若宮島燈台燭光増加に関する請願田口長治  郎君紹介)(第一三九三号)  室蘭港を起点とする本州、北海道間連絡航路開  設の請願南條徳男紹介)(第一三九五号)  新潟港を特定重要港湾に指定の請願吉川大介  君外一名紹介)(第一三九六号)  日本国有鉄道職員等休職者に対する給与支給  に関する請願足鹿覺紹介)(第一四一〇  号) の審査を本委員会に付託された。 同月十六日  林産物に対する国鉄貨物等級改正並びに運賃値  上げに関する陳情書  (第八九一号)  地方鉄道救済立法促進に関する陳情書  (第八九二号)  福島県小名浜築港促進に関する陳情書  (第八九三号)  四国循環鉄道敷設促進に関する陳情書  (第八九四号)  山陰線経由東京博多閲急行列車運転に関す  る陳情書  (第八九五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(楯兼  次郎君外八名提出衆法第一四号)     ―――――――――――――
  2. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより開会いたします。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、まず提出者より提案理由説明を求めます。楯兼次郎君。
  3. 楯兼次郎

    楯委員 ただいま提案になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  現在休職者は、日本国有鉄道法第三十条により、一、心身の故障のため長期の休養を必要とする場合、二、刑事事件に関し起訴された場合、一定期間限り俸給扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の六十ないし百分の八十を支給する定めとなつており、その他の給与についてはこれを支給しないことが明示されているのでありますが、休職者実情について見ますならば、きわめて気の毒な状態であります。  すなわち休職者の大半は、結核性疾患であり、療養には環境の好状件と食餌について特別の配慮が必要でありながら、休職と同時に家族の生計費とともに療養に要する費用等がかさむにもかかわらず、実際は二割以上の減収となり、ただでさえ苦しい生活をさらに切り詰めて療養をしなければならない。従つて早期になおる病気も、生活苦と悪条件のためになおさら悪くなつて行くというのが現実であります。また刑事事件につきましては、国鉄作業の性質上、他の場合とは異なつていることはもはや説明の要はないかと存じます。  占領中は、年末手当性格について従来からのわれわれの考え方と量なつ見方が行われたのでありますが、今日においては賞与という性格から給与の一部であるという性格にかわりつつあることはこれまた説明の要はないと存じます。  なお日本国有鉄道の役員及び職員に対して支給する給与については、日鉄法第四十四条において給与準則によつて支給するよう定められており、休職者のみあえて第三十条に明示することは、法文構成の体裁上からいつても妥当ではないと考えます。  これらの点から生活に苦しみ、病床等にあつて、一時も早く職場に復帰したいと念願している職員に対し、年末年始の生活の一助とし、一般職員に支給せらるべき手当その他給与額相当する額を見舞金として支給する必要があると考えまして、この改正提案する次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 逢澤寛

    逢澤委員長 これより質疑に入ります。關谷勝利君。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、私は全面的に賛成をするものでありまするので、そのつもりで御答弁を願いたいと思います。私は休職者の諸君が非常に困つておられる点につきましては御同情申し上げるのでありまして、この法案が通過することを念願しながら、私も給与関係におきます権威者中の権威者である楯委員に御教示を願う意味におきまして、ひとつ御質問を申し上げたいと思います。  第四十四条によりますと、給与準則によつて支給すると相なつておるのであります。これが団体交渉対象にもなるのであることは、議論の余地もないのでありますが、給与準則というそのままの名前のものがあるのか、あるいはその他の名前によつて給与に関する事柄をきめておるのか、この点伺いたいと思います。
  6. 楯兼次郎

    楯委員 ただいまの關谷委員からの御質問でございまするが、それは日本国有鉄道職員賃金規程というものによつて規定されておるのであります。これはおわかりと思いますが、結局これによつて規定をされるということは、組合と国鉄との団体交渉の結果、公労法第八条によつてこういうものが決定をされて来るというふうに私は考えております。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、給与準則すなわち賃金規程考えてさしつかえないと思いまするが、そこに賃金というものに対しましては定義が出ておるのでありまするが、給与定義賃金定義とが異なつておるかどうか、その点お答え願いたいと思います。
  8. 楯兼次郎

    楯委員 給与賃金というのは、私もあまり根拠がはつきりしないのでありますが、一応この規定によりますと、賃金といわれておりますものは、基本給扶養手当、それから勤務地手当職務加算給作業加算給及び割増賃金賃金と、こういうふうにいわれておるのであります。私たち給与といいまするのは、これらをひつくるめまして、俗称、言葉をかえた意味給与、こういうふうに言つておると私は考えております。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 賃金というものは、今提案者からのお話のあつた通りそこに規定が明確にせられておるのでありますが、それならば給与というものは賃金と同じではないかと思うのでありますが、給与すなわち賃金と解釈していいわけですか。
  10. 楯兼次郎

    楯委員 厳密なる意味においては今關谷委員の言われた通りであると思いますが、一般にわれわれが給与といつておりますものは、この賃金規程法律的に規定をされておりませんので、この項目に細分化したもののうち、大体基本給並びに扶養手当勤務地手当その他今提案をいたしております法律案の中心であります年末手当というようなものをひつくるめて、給与というふうに私たち考えております。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 これは提案者お尋ねするのでなく、鉄道部長お尋ねをいたしたいと思います。賃金というものは賃金規程の中にはつきり定義が出ておるのでありますが、賃金給与の一部分であるというような言葉——言葉としてはわかるのでありますが、国鉄には給与に対する定義がないか、この点お伺いいたします。
  12. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま提案者楯委員から御説明がありました給与準則という法律上の名前を用いたものはございません。給与準則法律上にいつておりますのは、いろいろな給与のもとになる定めを、先ほど御説明がございましたように団体交渉によつてきめまして、それを何らかの形で出したものが、法律上のいわゆる給与準則であるというふうに考えております。法律でいわゆる給与準則で定ます給与は、日本国有鉄道給与総額というものがございますが、その給与総額の中に含まれておる給与であるというふうに解釈いたされておるのではないかというふうに考えております。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 それではそういうふうなことはまたあとに譲るといたしましよう。もう少し言いたいことはあるのでありますが、その程度にいたします。次にこの賃金規定には、いろいろな休職者に支給いたします条項というか、それにはこの第三十条に書いてあるのと同じような意味のことが書いてあるのでありますが、それより先にお尋ねいたさなければなりませんのは、先ほど楯提案者説明せられました刑事事件については、国鉄作業性賃上他の場合とは異なることはもはや説明の要はないということでありますが、こういう書き方になつておりますと、ほとんど全部が業務上の過失によつて起訴せられた刑事事件というような意味にとれるのでありますが、業務上の刑事事件とその他の刑事事件起訴せられたものとの件数並びにその比率について伺つておきたいと思います。
  14. 楯兼次郎

    楯委員 十月現在で刑事事件は大体百二十三件ありまして、それらが休職となつておるわけであります。今御質問の要点は、いわゆる破廉恥罪等に該当するものと、業務上の過失によるものとの比率という御質問だと思いますが、私の記憶では破廉恥罪等におきましては、現在はほとんど免職という措置がとられておりますので、この百二十三名の中には入つておらない、このように考えております。なお詳しいことは細田部長から御説明願います。
  15. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま御説明がございましたが、刑事事件に関係いたしております者は、最近の調査において百二十三名であります。ちようどこの機会でありますので、現在の休職考の員数を御報告いたしておきますと、全体で一万四千二百名であります。そのうち結核性疾患が一万一千名であります。そのほかの病気が約二千ございます。公傷が約一千人であります。端数はちよつとありますが、切り捨てたり、一人二人のところは切り上げて申し上げております。そういつた全体の数字であります。  なお刑事事件中、いわゆる業務上の過失によるものがどれだけあるかということでございますが、はつきりした調査のものがございません。私どもも若干意外といたしておるのでありますが、一割から一割五分程度業務過失によるものという数字であるというふうに、ごく最近の調査といいますか、私の方からただしましたところ、国鉄の方からそういう報告でございます。ただいまの楯委員お話と非常に食い違いがあるようでありますが、私どももさらにその点につきましてはもう少しはつきりした調査をいたしたいと思いますけれども、ごく最近参りました国有鉄道からの報告——口頭報告でありまして、はつきり調査はいたしておらぬようでありますが、その程度であろうということであります。
  16. 關谷勝利

    關谷委員 それではその点はあとで資料の提出を願つておきます。賃金規程によりますと、休職者に対して支給いたしますものは、第二項に規定いたしておりますいわゆる刑事事件によつて起訴せられたものということで、業務上の過失によるものと、しからざるものとが同じようなことになつておるのでありまして、何と申しますか、別に区別はしていないのでありますが、この法律が通過をいたしました後には、いわゆる給与準則を決定いたしまする際には、そういうふうなものは区別するのかどうか、それとも先ほど楯委員からお話がありましたように、破廉恥罪その他は免職となつておるのがほとんど全部だそうであるということでありますが、そのような場合には必ず免職にして、そういうふうなことを区別する必要がないのか、あるいはまた区別をしておかなければならないのか、それを区別するという考えであるのかどうか、この点を伺つておきたい。
  17. 楯兼次郎

    楯委員 区別の問題でありますが、団体交渉でやることになりますと、極端なことを言いますと、一銭も出ない場合もありますし、また現在の規程より上まわるような面が考えられますけれども、大体団体交渉の両当事者からも意向を少し聞いたのでありますが、この点については常識的に考えまして、現在うたわれておる率以下によつて交渉が成立するというような見通しで、これは私の見通しでありますが、この点は団体交渉によつて率が変動をするおそれはないというふうに考えてさしつかえないのではないかというふうに考えます。これから私も刑事事件内容についてははつきりした数字を持つておりませんが、大体私の経験から行きましても、破廉恥罪等免職になつておりますので、提案者といたしましては、踏切り事故であるとか、あるいは乗務員というような刑事事件に関連をする仕事をやつております方には、ここに明示されておる以内の額は同じように出していただきたいというふうに考えております。しかしこの点に関してはいろいろな問題がある意いますので、あえて提案者としては刑事事件については固執をするものではないということだけを申し上げておきたいと思います。
  18. 關谷勝利

    關谷委員 固執をするとかしないとか、そういう問題ではないのでありまして、これは区別をするのがほんとうと考えておるのか、あるいは区別をせぬでも、破廉恥罪の者は起訴されれば必ず免職するのだ、団体交渉の際にそういうふうな気持を持つておるというのなら、もう何にも問題はないのであります。破廉恥罪免職にするのだから、休職者としての給与をする必要はないのだ、そのかわりに業務上の過夫その他の刑事事件のみに給与をすればいいのだ、こういうことになつて来るが、そのいうふうにただ免職するのだから必要がないというのか、中には業務上にあらざる刑事事件その他であつても、支給しなければならないような場合が起る。その起る場合には業務上のものと区別する気持があるのかないのか、その点をお尋ねいたしておきたいのであります。
  19. 楯兼次郎

    楯委員 その点につきましては、当然私は区別をされるべきであるというふうに考えます。ただいわゆる破廉恥罪等の問題については、免職にはなると思いますが、それが休職になつておるという人については、それだけの理由がその内容にあると思います。そういう方たちに対しては、ただ一概にこの対象から取除いてしまうというようなこともどうかというふうに考えておるわけでありますが、当然区別をしてしかるべきものであるというふうに考えます。
  20. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、今の御答弁を総合いたしますと、業務上以外の者のであつて免職にならずして休職の扱いにするというものには、それ相当理由がある。もぢろんそういうものがあると思います。そういたしますと、特別な理由があるもの、あるいは業務上以外のものは免職をするのだとはつきりと言われておるように結論がなつて来ると思いますが、そう了解してさしつかえありませんか。
  21. 楯兼次郎

    楯委員 これは第三者の私がそういう記憶であるというふうに申し上げるのであつて、私がそうしてもらわなければ困るというような発言力はないと思います。そういうようになつておる現状からいつて、先ほどから私が申し述べたような取扱いをすることが、最も妥当ではないかと私は考えておる、こういうことなのであります。
  22. 關谷勝利

    關谷委員 私がお尋ねをいたしておりますのは、将来この運用をいたします際に、休職者刑事事件起訴せられた人々に対する給与団体交渉は、どのような精神でやつて行くべきかということについて、私は法を制定した際の精神がどうだあつたかが根本になると思いますので、いま少しはつきりとこの点を伺いたいわけです。破廉恥罪のものは、楯議員の言われるようにいたしますと、特別な理由がないものは免職になるのだ、だから休職者としての給与は支給しない、こういうことに結論がなつて来ると思いますが、そのように解釈してさしつかえないかどうか、もう一回承つておきたい。
  23. 細田吉藏

    細田政府委員 刑事事件業務過失以外の場合、しかも休職になつておる場合、これは厳密に申しますと非常にむずかしい問題があると思います。と申しますことは、起訴されたからと申しましても、その人が必ず有罪になるとはつきりきまつたものではないわけであります。事件内容によりましていろいろな場合が考えられると思うのであります。そこで刑事事件係属中のものでありましても、たとえば、最近は非常に少くなりましたが、一時非常に多かつた抜取りといつたようなもの、これは鉄道調査だけではつきりいたしておる場合には、起訴になるならぬということと別に、おおむねすぐ懲戒免職の手続をとつておるわけなのでございます。ただ起訴になつて休職にせられ、行政処分が行われておらないということになりますと、これはしかく明瞭でない場合が、かなり多いのではなかろうかと考えられるのでございます。これは今後の団体交渉でどうきめるかということでございますが、業務過失以外の場合に、いろいろな場合が考えられると思うのでございまして、その点どのようなきめ方がいいのかということについては、今後相当検討を要するのではなかろうか、かように考えておるわけなのであります。先ほど楯委員からお話がありましたように、起訴になつて有罪になるかどうかわからぬけれども、本人は明瞭に自供をしておるし、はつきりわかつておる場合におきましては、昔で言えば行政処分、今は公共企業体ですから行政処分という言葉はどうかと思いますが、国有鉄道懲戒規程による懲戒をしておるわけであります。それがまだできない、しかも刑事事件起訴されおるものでありますので、いろいろな場合についてきめ方が非常にむずかしいのじやないかと思いますが、この点につきましては実情に合うように十分検討する必要があるのじやなかろうか、かように考えておる次第であります。
  24. 關谷勝利

    關谷委員 業務上以外のものは、特別の理由のもの、ごく少数のものを除いてはほとんど免職になるのだからというふうに、あまりはつきり割切るからそういうことになつて来るのでありまして、私は実情はそのようなものでないと考えておるのであります。起訴になりましてからも、即刻免職になる場合はきわめて少いようです。判決を受け、あるいはほとんど確定的になつて免職になるのであつて起訴せられてしばらくの間は休職になる場合が多いと思う。楯提案者の言われるような場合はきわめて少いのであつてお答えの方が少し実情に沿わないように思います。これ以上その点はお尋ね申し上げませんが、実は私が言いたいと思いますことは、鉄道従業員刑事事件は、業務上によるものが非常に多い。善意と申しますか、悪意でないと言うのが一番簡単であると思いますが、悪意でない場合が多い。そういうふうな業務上の場合には、現在の百分の六十という刑事事件によつて起訴せられた者に対する率が、あまりにも低いのでかわいそうなのではなかろうか。その他のものは百分の六十、これは以内でありますので適当に運用ができるからそれでよろしいが、業務上のものについてはもう少し率を引上げる必要があるのではなかろうか、こういう質問に持つて行こうと思いましたのに、楯提案者が妙な割り方をいたしますのでああいう質問になつたのでありますが、悪意にあらざる業務上の過失の者に対しまして、他の公社の場合と同じように百分の六十でよろしいというお考えを持つておられるかどうか、その点を伺つておきたい。ただその際に、一方は百分の六十以内でもよろしいが、一方は百分の六十というようなわくで拘束せられたのでは気の毒な場合があるのではないか、この点はつきりお答えを願いたい。
  25. 楯兼次郎

    楯委員 提案者感違いをしておりましたが、今關谷委員のおつしやる通り、実際問題としてここで区別をするという点については、われわれもどうかと考えておつたのでございます。でき得れば同じように、少くとも百分の八十という点まで引上げていただければけつこうだと考えておるわけであります。
  26. 關谷勝利

    關谷委員 一般職員休職者との間、これは予算を調べてみればお尋ねする必要はないのでありますが、調査する余裕がなかつたから参考お尋ねするのですが、一般職員休職者給与の額は別途に計上しておるのか、あるいは一つのわくに含まれておるのかお尋ねしたい。
  27. 細田吉藏

    細田政府委員 休職者給与は、給与総額の全体の中に含まれておるのでございますが、休職者以外のものと別に計上しておるような次第でございます。今回の補正予算について申し上げてみますと、約十六億二千八百万円が休職者給与として計上されております。全体は約八百十四億九千九百万円、これは休職者も含めたものがそういう給与総額になつておるわけであります。
  28. 關谷勝利

    關谷委員 それから、本年度はすでにわくがきまつておるわけでございましようから、その点は問題ないと思いますが、先ほど言われましたところの一万四千二百名という数でありますので、これが一般職員と同じように要求せられるでありましようが、来年からどの程度の増額になりますか。これも簡単に参考に伺つておきたい。
  29. 細田吉藏

    細田政府委員 年末手当だけで概算いたしまして——実は詳細なる数字ではありませんが、約一億程度に相なろうかと考えております。但し団体協約の結果、率が変更いたしますればかわつて参ることはあり得ると思います。
  30. 關谷勝利

    關谷委員 もう一つお尋ねいたしたいのであります。休職者休職になる期間は必ずしも同一時期ではないのでありますが、かりに、一方において年末の手当を受ける期間ほとんど全部休職者としての取扱いを受けておる。一方においては十二月に入つてから休職なつたが、十一月までは勤務しておつた、こういつた場合におきましては、同じような休職者としての率によつて支給せられるのか、あるいは月割というようなことで、十一月までのものは一般の職員と同じ比率によつて計算して、十二月だけが休職者としての給与を受けるようになるのか。
  31. 細田吉藏

    細田政府委員 この問題は、地域採用あるいは運輸省から国有鉄道へ転出をいたすというような場合にも起る問題でございまして、年末の手当を支給いたしますのに、現職の者についてもいろいろこまかいとり諾をいたしまして、そのとりきめによつて支給をいたすわけでございまして、ただいまお話にございましたような点につきましては、手当を出すべき期間のほとんど全部が現職で、その一部が休職だつたというような場合には、当然それが考慮される。全期間休職者であつた場合はそれが全部考慮される。お説のごとくこまかく団体交渉の上で総裁がきめることに相なると考えております。
  32. 關谷勝利

    關谷委員 次にもう一つお尋ねしておきたいのは、刑事事件起訴せられました者が無罪の判決を受けた場合、もとよりこれは刑事訴訟法によりますか、いわゆる国家に対して損害賠償を要求するわけでありますが、その間休職者として、場合によれば免職せられるようなことがあるかもしれませんが、かりに無罪ということになつて参りますと、その差額が問題になつて来ると思います。国の方から全部をまかなうのであつて鉄道としては責任がない。従つて鉄道の方で休職者としての給与を支給しておる場合には、そう差額だけを国が補償するということになるのですか。その点についてお伺いしておきたいと思います。
  33. 細田吉藏

    細田政府委員 国有鉄道といたしましては、現行の国有鉄道法第三十条に定められております通り、その休職は法定の休職になつておりますので、その差額は、無罪になりましたからといつて支払いをするということは相ならぬものと考えております。国家の補償の問題でございます。
  34. 關谷勝利

    關谷委員 今回国有鉄道の一部改正ということが起つて参りましたのも、休職者に対して非常にお気の毒であるというようなことから起つて来たことと思いますが、今まで労組あたりが団体交渉でこういうふうなことをやるならば非常によくなつて来るわけでありますが、従来は鉄道としては休職者には見舞金というふうな名目で支給したことがあるかないか、その点をお伺います。
  35. 細田吉藏

    細田政府委員 その点につきましては、国有鉄道実情調査の上、後刻お答えいたしたいと思います。
  36. 關谷勝利

    關谷委員 実はいろいろお尋ねするつもりで大分準備して参つたのでありますけれども、これは共同提案になるのだそうでありますので、差控えまして私の質問を打切ります。
  37. 逢澤寛

    逢澤委員長 永田良吉君。
  38. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま關谷さんから詳しく御質問がございましたから、よけいなことはお伺いいたしませんが、ただ一、二少しわからぬことがありますから教えていただきたいと思います。この休職者のうちで、結核性疾患休職になつておるのは、先ほどちよつとおつしやいましたけれども私聞き漏らしてしつかり覚えておりませんが、休職者の数のうちの幾らぐらいになつておりますか。
  39. 細田吉藏

    細田政府委員 こまかく申しますと一万一千百二十一名になつております。最近の調べでは全体が一万四千二百八名でございますから、相当大きな部分が結核になつております。
  40. 永田良吉

    ○永田(良)委員 次にもう一つお尋ねしておきたいのは、一万四千名の休職者の全体の鉄道従業員の数に対するパーセンテージ、それとほかの官公署の公務員と休職者のパーセンテージの比例はどういうふうになつておりますか。鉄道は特にこういう休職者が多いのですか。その辺のことがおわかりならば御説明願いたい。
  41. 細田吉藏

    細田政府委員 その点につきましては、現在数字を持つておりませんので、調べまして後刻申し上げたいと思いますが、ただ公傷関係が約千人ございます。全体の一万四千二百名のうち約千名が公傷でございますから、この率は明らかに他の諸官庁より多いということだけははつきり申し上げることができると思います。電電公社あるいは事売公社等との比率調査の上お答えいたしたいと思います。
  42. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それではこの刑事事件に関係して休職になつておるのは、この一万四千から一万一千を引きまして二、三千名程度なんでしようか。
  43. 細田吉藏

    細田政府委員 それは違うのでございまして、刑事事件は百二十三名でございます。そのほかは結核以外の病気、それから公務上の傷害でないものでございます。
  44. 永田良吉

    ○永田(良)委員 刑事事件の百二十三名というのは、私ども想像しておるよりか少いような気がするのですが、この中には踏切りで衝突さしてけがをさしたとか、そういうのも含まれておると思いますが、そのほかに、これはちよつと聞きにくいことですけれども鉄道に頼んだ荷物を抜いて窃盗した事件のごときは、この百二十三名のうちのどのくらいになつておりますか、わかつておれば教えていただきたいと思います。
  45. 細田吉藏

    細田政府委員 先ほど御説明を申し上げましたが、刑事事件休職者百二十三名、これはある時点をとつた——これはたしか十月の数字だと思うのですが、国有鉄道は全体で四十四万五千人おりまして、このうち刑事事件にひつかかつておる者がこの程度数字ということは、非常に少いわけでございます。実際問題では、これは刑事事件にひつかかつて休職になつておる者というのでありますが、たとえば抜き取りをやつたというようなことは、鉄道調査で明瞭にわかるわけでございまして、刑事事件にひつかかつておる、ひつかかつておらないで、別に懲戒をいたしておりますから、ここにある百二十三名につきましては、むしろ非常にわからぬ昔でいいますと行政処分、今でいいますと国有鉄道懲戒規程に触れるような者につきましては、起訴、不起訴あるいは有罪、無罪にかかわらず処分いたしておりますので、そういう数字が具体的にこの百二十三名のうちにどれだけ入つておるかということは今調べておりませんが、荷物を抜いたというような者は、われわれの調査はつきりわかるわけでございます。そういう者は懲戒いたしますから免職になつてしまうので、休職者の六〇%の給与をくれておらないというふうに御了解願いたいと思います。
  46. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへん御迷惑かもしれませんけれども懲戒規程によつてそういう拔き取りなんかした者を免職、解雇なさつたのは、一年間にどのくらいの数になりましようか。
  47. 細田吉藏

    細田政府委員 さつそく調査をいたしましてお答えいたします。
  48. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへん失礼なことを申し上げますけれども、この抜き取りについては、私どもの聞き得たところでは、運輸省では懲戒をせられ、免職をされても、やつぱり跡を絶たない。そんな傾向にあるのですが、これからは、さつき關谷さんがおつしやいましたが、悪意の行をした者はもつと徹底的にあとに出ないように、少し厳重な取締りをしていただきたいと思うのであります。これはわれわれも現に送ることを頼んで抜き取られた例がたくさんある。これは卑近な例ですが、私ははちみつを送ることが多い。はちみつを送ると、必ず途中で悪意にあれに穴をあかせてとつてしまう。東京まで十本一斗カンを送る場合に、必ず一、ニカンはこわされておる。そういうものは非常に悪意であると思う。たとい微細なことであつても、日本全国の人がいろいろな品物を鉄道輸送に頼んだならば、頼んだところまで安心して行けるというふうにしなければならぬ。これは日本全国の業者が言うておる。はちみつを送るといつも抜き取られる。これは参考のために申し上げておきますが、一万四千のうちに一万一千名も肺病患者がいらつしやる。そういう患者の療養についてこういう手当対象とされることは、これはしごく御同情申し上げるわけで、むろん私どもも決して反対いたしません。賛成はいたしますが、一面においてこういう悪意を持つてやつたようなことに対しては、俸給でも上げる場合には懲戒のやり方を少しきつくやつていただかぬといかぬと思う。そういうふうにお願いしたいと思います。私の質問はこれをもつて終りといたします。
  49. 細田吉藏

    細田政府委員 国有鉄道の荷物の抜取り事故、これは私どもも戦時中以来ずつと国有鉄道の現場で仕事をして参つてつたのでありますが、非常に多かつた。昭和二十年、二十一年が絶頂でございました。いやしくも抜き取りをしたということがはつきりした者は、全部懲戒免職いたすという当時の鉄道総局からの通牒がございまして、厳重に処断をいたしております。それで今日といえども続けてやつております。従いまして抜き取りの事故の件数は——この数字は後ほどお手元に差上げたいと思いますが、激減をいたしております。しかし今日といえどもまだないわけではございませんので、この点につきましては今後とも厳重に処断をいたすと同時に、そういつたことが起らないような措置につきまして万全を期したいと思つております。なお終戦直後二、三年間は、外部からもかなり貨車あたりをねらわれましたし、ホームもねらわれました。私どもの方の職員ではなくて、外部からもずいぶん入つたようなわけであります。ただいまお説のようなはちみつつあたりは、非常によだれをたらしておつたものですから……。数字につきましては後ほどお手元に差上げたいと思います。
  50. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 議事進行について……。本国会の会期の終了も近づいて参つたのでありますが、どうか請願委員会をなるべく早目にやつていただかないと、各委員会における請願が殺到して参りまして、私どもたとえば他の委員会において請願しなければならぬ場合であつても、本委員会請願のためにその委員会に出て趣旨弁明をするということができないことが往々にしてあるのです。ですからこの委員会はなるべく早目に請願委員会を開くよう、その準備を立てられるようにお願いたしたいと思います。
  51. 逢澤寛

    逢澤委員長 お答え申し上げます。月曜日の午前十時から請願に関する委員会を開くことにいたしたいと思います。
  52. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 了承いたしました。
  53. 逢澤寛

    逢澤委員長 本案に対する質疑はこの程度にいたしまして、暫時休憩をいたします。     午後二時三十七分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  54. 逢澤寛

    逢澤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本案に対しほかに御質疑はございませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければこれにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入りまするが、通告もありませんので、これを省略するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければさよう決します。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  57. 逢澤寛

    逢澤委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手)  この際お諮りいたします。本案に対する委員会報告に関しましては、委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 逢澤寛

    逢澤委員長 なければさよう決します。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四分散会