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1952-12-12 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十二日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 田原 春次君 理事 正木  清君       岡田 五郎君    菅家 喜六君       佐々木秀世君    玉置 信一君       徳安 實藏君    中野 武雄君       永田 良吉君    松岡 俊三君       山崎 岩男君    山田 彌一君       伊東 岩男君    臼井 莊一君       河本 敏夫君    松浦周太郎君       吉川 大介君    熊本 虎三君       竹谷源太郎君    楯 兼次郎君       松原喜之次君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 十二月十二日  委員佐伯宗義君辞任につき、その補欠として伊  東岩男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十二月十一日  外航船舶建造融資利子補給法案内閣提出第一  八号)赤穂線敷設促進請願(逢澤寛君紹介)  (第六七一号)  新庄市に測候所設置請願松岡俊三者紹介)  (第六七三号)  下田港避難港工事促進に関する請願宮幡靖君  紹介)(第六七四号)  彌彦線延長に関する請願田中角榮紹介)(  第七四九号)  トラック運送業免許制撤廃に関する請願(水  田三喜男紹介)(第七五〇号)  江迎、臼ノ補間鉄道敷設請願綱島正興君紹  介)(第七五一号)  室木より宮田を経て博多に至る間鉄道敷設の請  願(青野武一君外六名紹介)(第七五二号)  磐越東線の客車改善等に関する請願白石正明  君紹介)(第七五三号)  野岩羽線全通促進に関する請願白石正明君紹  介)(第七五四号)  水郡線及び会津線客車改善に関する請願(白  石正明紹介)(第七五五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五号)     —————————————
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、その質疑を続けます。松原喜之次君。
  3. 松原喜之次

    松原委員 数日来質疑応答が繰返されておりますから、ほとんど質問し尽され、答弁し尽されたようにも考えますけれども、私はなお二、三の点について当局者の御意見を承つておきたい、またその心構えを承つておきたいと思う点がありますので、以下二、三の点についてお尋ね申し上げたいと存じます。  まず減価償却の問題でありますが、示された表によりますと、国鉄の全償却財産を新しい財産に換算いたしまして、一兆七千億前後となつております。かりにこれの残価を二割と見て、あとを定額償却するといたしまして、大体二十六箇年でもつてできるよう償却金額を、他のところで国鉄としては求められておるのであります。従つて二十七年度に計上してあるところの三百億程度償却では、年額二百億ほど不足であるというような議論をしておるのであると思いますが、こういう償却額は、私思いますのに相当ゆとりのある、弾力性のある償却を理想としてであるかしらぬが、掲げておられるのではないか、こう考えるのでありますが、これに対してどういうお考えか、承りたいのであります。
  4. 長崎惣之助

    長崎説明員 総体平均しますとそのくらいになるかもわかりませんが、各財産ごと耐用年数をきめまして、それからはじき出されたものでありまして、そうゆとりのあるものでもないと考えております。
  5. 松原喜之次

    松原委員 そう答えられてしまいますと結局水かけ論になるかもしれませんが、私はなぜそういうことを申すかといえば、この書類等に示されておりますところの国鉄としての考え相当理想的な考え、すなわち弾力性のある考え、悪くいえばさばを読んだ考えが至るところに現われておると思うからであります。しかしそれはさておきまして、この二十七年度の資金計画を見ますと、減価償却費と特別補充取替費を三百億前後見込んでおる上に、修繕費がございますから、修繕費を合せると八百五十億ぐらいに達します。これはほぼ性質を同じくしたものではないか。もちろん極端なものと極端なものを比べればその性質は違うでありましようけれども、その間融通のきくような点もあると私は考えるのであります。そういたしますと民間産業、ことに私鉄等に比べましては、国鉄の報告にありますよう減価償却が非常に貧弱な状態にあるということは必ずしも言えないのではないか、かように思うのであります。もちろん理想的な償却という点からいえば足らぬでありましようけれども、しかしすでに理想的な償却においても相当弾力性のある数字を示しておるように、現実的な数字においてもまた相当融通のきく数字がここに掲げられておつて、そうして民間産業等に比べれば、必ずしも償却状況が非常に悪いというわけでもない金額が計上せられておるのではないか、かよう考えるのでありますが、この点に関する当局者のお考えを承りたいと思います。
  6. 植田純一

    植田政府委員 国鉄減価償却相当民間企業に比べて多過ぎるのではないかというお話でございますが、現在の実質的に減価償却にあたりますところの三百三億という額は、昭和二十四年の物価水準によりますところの償却財産を基礎にいたしておるのでございまして、これによれば五・三倍という倍率になつております。民間の同じ種類の企業でありますところの私鉄の再評価の倍率は、平均いたしますと三・五七倍であります。しかしながらこれは全国的な平均でありまして、東京近郊あるいは郊外電鉄、たとえば東武は九・五倍でありますし、東京急行は九・八倍でありますので、かよう郊外電鉄から見まして、決してこれが多過ぎるということはないのではないか、かよう考えておる次第であります。
  7. 松原喜之次

    松原委員 なるほど営業状態のよい郊外電車等に比べますと、相当低い償却率であることは私も認めるのでありますけれども、すでに国鉄そのもの経営状態が非常に悪いのであります。それがためにたとえば最も大事な人件費等において、非常に無理が行つておるのであります。そういう状況のもとにおいてであるならば、この営業状態に恵まれておるところの都市近辺私鉄と比べるのでなくして、非常に常業状態の悪い私鉄と比べるべきではないか、私どもはさよう考えるものであります。そういう意味において、これまたやはり泣言を言うてはおるけれども相当ゆとりがあるのではないか、最も大事なものにそれをまわしても、必ずしも悪いことではないのではないか、こういうふうに実は考えておるわけであります。従いましてこの償却費営業成績に応じていま少しく割愛して、そうして給与ベース等にまわされる意思があるかどうか。これがこの間来熊本君あるいは正木君等から質問がせられておつた趣旨であろうかと思うのであります。どうかその点に対する決心を聞かしていただきたいのであります。
  8. 長崎惣之助

    長崎説明員 これはいろいろな見方はございますが、すでに各委員の御質問に対してお答えしたところかと存じます。今日なるほど主要幹線におきましては、やや戦前レベルまで施設その他も回復して参りましたが、御存じの通りローカル線に参りますと、あまりにひどいところがずいぶんあります。国鉄としてはよいサービスを提供しなければならなぬ。ことに生命、財産という貴重なものをお預かりする関係上、安全度というものについては格段の注意を払わなければならぬと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、これは過日も申し上げましたが鋼材の使い方は、昭和十一年を一〇〇といたしますと、昨今少しふえて参りまして七四、まだ三割も足りない。そのうちのレールをとりますと、やはり一〇〇に対して八〇にもなつていない。まくら木は七六、セメントのようなものは半分にも足りない四五しか使つておらぬというようなぐあいでありまして、こういう面からしましても、まだまだローカル線その他の線路の安全度を高め、サービス改善もやつて行かねばならぬという次第でありますから、この際保守費減価償却費というようなものを削減いたしますと、そういうことがいよいよ困難になりまして、安全度上昇が非常にむずかしくなる、かよう考えておりますので、なるほど従業員の力、人の力というものの軽視はできませんが、これはまた別途に何か方法を講じなくちやならぬのじやないか、かよう考えておる次第であります。
  9. 松原喜之次

    松原委員 国鉄とされましては、今までのたび重なる御答弁にかんがみましても、結局現在の状況のもとにおいては非常に営業状態が悪く、従つて減価償却等もこれでは不足であるという結論をここに強調しておられるのでありますが、その点についてはひとまずそれだけお聞きいたしておきまして、第二の問題といたしまして、さらに給与ベースについてもう少しく承りたい点があるのであります。  私から申し上げるまでもなく、人件費物件費関係において、昭和十一年から二十七年を比べてみますと、まつた物件費人件費が逆転しておつて、今日では人件費の方がわずかに四〇%、物件費が五九%、ほとんど六〇%になつておりますし、さらに労働生産性から申しましても、人トンキロで百万キロ当りの数字が載つておりますが、明らかに戦前に比べてその生産性が非常に進歩をし、増大をしておることは、私ども非常に喜ばしいことであると考えておるのでありますが、かよう生産性上つた、そして物件費に比べて非常な節約を見たところの人件費考えてみまして、よく世の中に合理化といえばただちに人員整理であるといつたふうな行き方をするが、私ども国鉄に関する限りは、もはや人員整理による合理化などは、まつた考えることのできない状態にあると推測するのであります。この点に関する当局のお考えを承りたいと存じます。
  10. 長崎惣之助

    長崎説明員 お説の通りでございまして、人件費物件費比率戦前とまつたく逆転しました。これは人件費そのもの倍率から見ましてもお説の通りでありまして、昭和十一年に比べますと、人件費増加は三百四十九倍、約三百五十倍でございます。しかるに物件費の方は五百十四倍となつておりまして、物件費が著しく増加し、ことにそのうちの石炭費は非常に値上りをいたしております。かよう人件費物件費比率が逆転したことは事実でございまして、これを元のように返して行くということについては、私ども決して注意を怠るものではございません。機会あるごとに人件費増加をはかり、勤労意欲をいやが上にも向上させたい、かよう考えておる次第であります。  なお人員整理云々の点につきましても、私はまつたく同感でありまして、今日まではなるほど余裕があつたかもしれませんが、今後におきましては、人数を整理するというようなことはほとんど不可能に近い、今後輸送量増加いたしますれば、それに伴つて人員を増すか、あるいは機械化するか、いろいろな手を打たなければならぬと考えております。
  11. 松原喜之次

    松原委員 人員についてはもはや整理の余地はまつたくない、従つて将来増員はするけれども、減員などというものはまつた考えられないというお答えでありますが、私もさように思います。そこで国鉄から出されたこの書類を見ますと、民間賃金上昇率を二百六十倍とし、国鉄上昇率はこれに対して百八十四倍であるという仲裁委員会数字をあげておられますが、いわゆる国鉄裁定賃金ベースというものは、この間も労働委員会との合同審査におきまして、委員長が明らかに言うておりました通り、これは最低限度の賃上げであつて、もうこれ以上しぼることのできない限界のものであるという断定をしておつたと私記憶するのであります。国鉄総裁なりあるいは運輸大臣なりは、この裁定賃金を高いと思われるのであるか、あるいは安いと思われるのであるか、この点についてもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  12. 長崎惣之助

    長崎説明員 種々の角度から検討されてきめられました仲裁裁定の一万三千四百円という金額は、私は適当なものだと考えております。
  13. 松原喜之次

    松原委員 適当なものというのは非常に幅のある言葉でありますが、私は仲裁委員長とともに、これはまことに最低限度のものであると思う。従つてもし国鉄経営にして順調であるならば、もつと上げるべきものである。もつと上げて初めて、今総裁のおつしやるような適当なものであると言い得る程度賃金になると私ども考えておるのであります。私から申し上げるまでもなく、やはり経営というものは施設資材と人、この三つの要素の上に組み立てられておるものであると思うのであります。いずれを大事とするか、なかなか選びがたいが、もししいて選ぶならば、人が一番大事であると私ども考える。しかるに結果においては—これはある程度やむを得ないことかもしれませんけれども、しかしたとえば石炭は二割上つた、三割上つた、その上つた価格を平気で支出しておられるのであります。しかるに一方において生活物資価格がどんどん上つて生計費上つておる。それにもかかわらず石炭と同じ、あるいはそれ以上に大事であるところの人件費が上らない、すなわち賃金生計費上昇とともに上つて行かない。さつき申しましたように、民間賃金戦前に比べて二百六十倍に上つておるにもかかわらず、国鉄では百八十四倍しか上つていない。そうして仲裁裁定仲裁委員長最低のものだと言うておられるのであります。この人という要素経営において非常に大事であるということはむろんお考えのことと思いますが、それを考えるときに、何とかしてこの経営の中から人件費をもつとしぼり出さなければならない、かよう考えるものであります。いわんや国鉄裁定完全実施さえもできないということでは、経営の任におられるところの国鉄総裁として、まことに遺憾なことであると私は考えるのであります。従いましてたびたび他の委員諸公からも質疑があつたようでありますが、国鉄総裁としてこの点に関して完全実施はもとより、それ以上に待遇改善をするという決意を持つておられるかどうか、少くとも強い希望を持つておられるかどうかということを、この際特にお伺いいたしたいと思うのであります。
  14. 長崎惣之助

    長崎説明員 ただいまお示しがありましたように、事業の経営には施設資材、人というものが、三者並立して重大なものであります。ことに何と申しましても人並びにその訓練ということに重大な関心を持たなければならぬと考えております。従いまして働く人たちが満足をして、喜び勇んで働いていただくことについては、十分な考慮をしなければならない。そのためにも給与改善、これは金銭的給与である場合もありましようし、そのほかの宿舎でありますとか、休憩所であるとか、いろいろな面で私はできる限り待遇改善と申しますか、給与改善と申しますか、物的、金銭的、あらゆる面で努力をして参りたいということをここにはつきり申し上げておきます。
  15. 松原喜之次

    松原委員 総裁従業員待遇改善について非常な熱意を示されたことは、私まことに満足するものであります。しかしながら今四十万の従業員諸君が、まことにつつましいところのこの国鉄裁定完全実施をめぐつて、非常な不安の状態をかもし出していることは、私から申し上げるまでもありません。そこでつつましい最低限のこの裁定すら完全実施ができないようなことになつて、それがために起つて来るところのあらゆる問題については、当然総裁がその責任をとらなければならないし、またここに至らしめたところの運輸大臣も、その責任をとらなければならないと思うのでありますが、総裁いかがお考えでございましようか、承りたいと存じます。
  16. 長崎惣之助

    長崎説明員 裁定の問題がいわゆる裁定通り実行されるかされないか、まだきまつておりません。これをいかようにしたらよいかということを政府が国会にお尋ねしているのでありまして、私といたしましては再三申し上げましたように、裁定は両当事者を拘束いたしますので、私はあくまで裁定完全実施を望んでやまないのであります。
  17. 松原喜之次

    松原委員 総裁はあくまでも裁定を実施したいという熱烈な決意を持つておられるとただいま承りましたが、しかしながら予算面からこれを見ますると、完全実施ができないということになつておると思うのであります。この点に関して運輸大臣はどういうふうに考えるか。今お聞きしてなかつたから繰返して申し上げますが、最もつつましい最低限のこの国鉄裁定が実行できないよう予算になつておりまするが、もしそれがためにいろいろ不祥事が起り、好ましくない問題が起るとするならば、運輸大臣はその責任を負わなければならないと思うのでありまするが、この点に関する運輸大臣お答えを願いたいと存じます。
  18. 石井光次郎

    石井国務大臣 国鉄裁定がおおむね妥当な裁定であると私思うということは、たびたび申しておるのであります。またその実現方について私も努力をいたしたのでございましたが、財政関係上、また結果的に見ますれば、公務員その他の振合い等ために、それが完全実施できない状態になつておることは、まことに遺憾でございます。ただ今度の予算に盛られましたものも、今まで予算の面に上つておるものもあります。また一般の経理の面においてできるだけのことが、団体交渉によつて妥結の道ができればたいへんけつこうと私は念願しておる次第でございます。
  19. 松原喜之次

    松原委員 この際私は総裁大臣に承つておきたいと思うことは、一般公務員鉄道従業員給与均衡についてであります。私から申し上げるまでもなく国鉄には、非常に危険な作業をやつておる人も相当にあります。また徹夜の作業を常にやらなければならないという職種もあります。それらの危険な、あるいは普通の時間以外の労働等をやつておるところの従業員をも含めて、かつまた一般官庁における公務員執務状態国鉄における従業員執務状態等と比べ合してみるときに、もしその給与が同じレベルにあるものとするならば、私は決して均衡のとれたものであるとは考えないのであります。従いまして、国鉄裁定の金高は遺憾ながら最低限度のものでありましたけれども、かりにそこにもつと適切な賃金を出し得るという状態が来た場合においては、一般公務員よりも相当上まわつた給与国鉄従業員に対して出さるべきではないか、私はかように信じておるのでありまするが、この点に関する総裁大臣の御意見を承りたいと思います。
  20. 石井光次郎

    石井国務大臣 国鉄従業員が、ただいまお話ような職場に働いておるのはその通りと思います。しかし一般公務員も必ずしもすべてがやさしい、安全なところばかりで働いていないのもまた事実だと思います。いずれにいたしましても、国鉄従業員が今どういう待遇を受けているかという点でありますが、今度の裁定によつた基本給と今度の公務員基本給とを比べても、国鉄従業員は決して低くない待遇を受けていると思います。今後の問題は、そのときにならぬとわからないことでありまして、どうすべきかということはお答えできないのでありますが、国鉄従業員待遇は、民間同種企業体ともにらみ合せ、公共企業体である立場上から公務員の方ともにらみ合せ、またいろいろな経営の面、財政の面から見まして、適正な待遇が与えられて、待遇がだんだん向上することができればたいへんけつこうであると私は考えております。
  21. 松原喜之次

    松原委員 その点について重ねて国鉄総裁のお考えを承りたいと思うのでありますが、私の言うのは非常に腰だめ的な考えであります。腰だめ的な考えでありますが、世間一般に認められている常識的立場から申しますれば、国鉄従業員一般公務員執務ぶりを比べてみますと、相当国鉄側に気の毒な点があろうかと考えております。そこで運輸委員として、今後この公共企業体であるところの国鉄ベースをきめるにあたつて、必ずしもこの一般公務員といつでもあまり不自然ににらみ合されて標準をとられることのないようにという考えから、それについてのお考えを承つておきたいというので質問を申し上げておるわけでありますが、総裁は一体こういう点についてどういうお考えでありますか。
  22. 長崎惣之助

    長崎説明員 これは仲裁委員会裁定理由等の全般を読んでみますと、やはり一般公務員とは違つている面が相当見受けられるということも言つておられるのであります。しかしながら純粋の民間とも違う。そこらになかなかむずかしいところがあるので、これはやはり民間とバランスをとらなければならぬが、といつてそれだけではいかぬ。公企業という公共性の面その他から考えまして、これは考えなければならぬと言つておられるのであります。私はこの考え相当妥当な考え方ではないかと思います。それで特に国鉄従業員勤務の中で、一般公務員その他と異なるものにつきましては、特別な手当か何かでやる方がよいかと思います。特殊勤務手当というものがございまして、非常にたくさん手当があります。そういう面もありますから、公務員と比較してどうだという比較になると、これはかなりむずかしい。一般同種産業鉄道軌道あたり給与と比べることさえもなかなかむずかしいのであります。さようなわけでありまして、その研究は始終やつておりまして怠つておりませんが、心持としてはやはり今申し上げたよう考えで行つたらどうか。さらに進んでは金銭給与だけでなく、いろいろな物質的なものにおいての待遇と申しますか、そういうようなことをもう少し考えてみたらどうか。特に北海道のようなところは、住宅等について非常に遺憾な点がございますので、それを今なるべく早く完備して、熱管理というようなことも十分やれるように、むだに石炭をたかないようにということで、両々相まつて待遇考えて行かなければならぬのではないかと私は思つております。
  23. 松原喜之次

    松原委員 今度の値上げ案は、国鉄としては初め三割の値上げ案を計画され、その実現希望されたように承知いたしておりますが、それが一割にとどめられたということは、もちろん国家政策上より来たものである。貨物の方は産業政策の上から、また旅客運賃の方は社会政策的な立場と申しますか、民生の立場と申しますか、すなわち国家政策立場から、国鉄考えをもつてすれば、独立採算制立場からぜひ三割の値上げをしたいところを、一割に切下げられたというふうに私は承知するのであります。私どもはかよう独立採算制を本質とするところの公共企業体性質の中に、国家政策を持込むことの適否についていろいろ考えさせられるのであります。そこで私は、この際そういう独立採算制をとるべき国鉄に、そういう政策運賃を織り込むことについて、大臣はどういうふうに考えておられるか、非常に大きな問題でありますので、もう一ぺんあらためてお考えを承りたいと思うのであります。
  24. 石井光次郎

    石井国務大臣 三割の希望があつたのを一割にとどめたということはその通りでございます。それは今お話のありましたよう産業発展を阻害せぬように、また旅客運賃に対しては社会政策的の意味も含んで、あまりみんなの生活費を上げないようにという心持でありますが、公共企業体である鉄道に対して、政府がその心持を伝え、そして経済の発展ために、あるいは社会政策ために、両方の点を考慮しながらやることは、私は適当な処置だと思います。
  25. 松原喜之次

    松原委員 私もまた運輸大臣と同じよう考えを現在の環境からは持つのであります。しかしながらそういう独立採算性であるべき国鉄に、いろいろな国家政策が持込まれることは、新線建設の場合においても同じようなことが言えまするし、またこの運賃の問題についても同じような事情が起つて参りまするが、独立採算制を標榜しておる企業にとつては、まことに迷惑千万なものがあると思うのであります。私の考えをもつてしますれば、たとえば黒字の線、赤字の線とわけまして、その中でも最も著しいところの政策的な意味のある線については、その赤字に特段の国家的措置をとらなければならない。新線の建設等については、それらの考えをひつくるめまして、一般会計よりの補給金をもつて国鉄経営を健全なものにできる程度の措置をとらなければならないと思うのでありますが、運輸大臣はこの点についてどういうふうにお考えでありましようか。
  26. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいまのお話ように、かりに一例としておあげになりました新線の建設のような場合に、政府はただいま申しましたような国策的の意味をそこに加えて行くならば、これに特別な扱いをしなくてはならぬのではないかというお話、私もその方向については大体賛成であります。新線の場合、あるいはこれから新しく起工する鉄道等については、建設中はもちろんでありますが、産業開発線その他の線において、将来は必ずよくなるだろうという見通しはあつても、しばらくの間は経営上困難するものがあると思うのであります。そういうものについては、国家から資金を貸してもらうばかりでなく、それに対する利子の免除等の取扱いをしてもらいたいということを希望しており、またその心持で話を今も続けておる状態でございます。
  27. 松原喜之次

    松原委員 運輸大臣のお考えも、私の考えと同じであることを承りまして、たいへん満足に思うのであります。しかしながらもつと理論的に、一体幾ら国家が補給しなければならないかということを、遠慮なく国鉄では計算をして、それを国家から補給させるように、国鉄では権利として主張すべきであると考えるのであります。国鉄当局はいろいろなことを考えために、遠慮をしておられるところが多いのではないかと思うのであります。私はこれは国鉄の方でやつていい問題だと思いますが、はたしてそういう計算をしておられるかどうか承りたいと思います。
  28. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま新線の建設等の中で、真に国家産業開発のために必要なものにつきまして、国家の資金でやれというようお話がございました。その問題につきましての総額がどの程度になるかという点について、今詳しい資料を持つておりませんが、その問題にも関連すると思うのでございますけれども、一体国鉄国家政策に即応いたしまして、原価以下で輸送しておるものがどの程度あるかという問題です。これは昨日河本委員からもその額を示せというお話があつたのでございますが、まず旅客につきましては、学生に対しまして五割の割引をいたしております。それから被救護者、身体障害に対しましても、法律に基きまして割引をいたしております。この三つの合計が約十二億になります。それから定期運賃につきましては、前々お話申し上げておりますように非常に高率な割引をいたしておりますので、この割引の全額が百八十三億という額に達しております。それから小荷物関係につきましては、新聞紙あるいは雑誌の持つ公共性にかんがみまして、約二十三億の割引額に相なつております。それから貨物は現行の等級で十一等級ありますが、そのうち五級のところが収支とんとんでありまして、六級以下は全部赤字でございます。その六級以下の貨物をもし原価まで頂載するとすれば、百十二億でありまして、合計いたしますと三百三十億余というようなものを、公共的な面から原価を割りましての輸送をしておるのであります。これを国家ためにやつておるのだから、それだけのものを国の財政の面から支給しろという議論も成り立ち得ると思うのであります。これは全体の国家財政資金その他の関係から申しまして、現在はこういつたものを国鉄が負担しておるというような点を御参考までに申し上げたいと思います。
  29. 長崎惣之助

    長崎説明員 新線の建設が当分の間国鉄の重荷になることは事実でございますので、この点につきましては、私は建設審議会その他において強く主張して、何とかしてその補給とか、あるいは少くとも利子の免除、あるいは利子の補給ということを要望しております。その他施設の復興、復旧等につきましては、非常に大きな問題になるのであります。国から資金をお出しいただくようにということはしばしば申し上げておるのでありますが、やはり政府に対する国家の資金要請が非常に広範囲にわたりまして、しかも相当の額に上りますので、まだ十分なる借入れをも見ることができないのはきわめて遺憾であります。今回の運賃改正等にかんがみまして、来年度予算におきましては、相当の額を出していただきたいというふうに考えております。
  30. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 私は昨日運輸大臣に対する質問を二、三留保しておきましたが、今の松原委員の御質問にも関連がありますので、伺いたいと思います。日本国有鉄道経営の難渋困難な状態につきましては、万人のひとしく認むるところであり、本委員会においても各位のことごとくこれを批判し、そしてその対策について当局に御質問申し上げたのでありますが、ただいま運輸大臣はその点を認められまして、なおかつ国有鉄道公共性というものはこれを大いに重視しなければならぬ、こういう方針を示されたのであります。しかるに従来までの政府のやり方並びに日本国有鉄道法の欠陥不備のゆえに、現在日本国有鉄道は非常に困難な経営状態に陥つておる。これに対しては何とかしなければならない。特に鉄道の公益性を重視して、国家としてこれのめんどうを見なければならないというような御意見が、この委員会において支配的であつたと私は拝聴して来たのであります。しかるにただいま新線の建設とか、あるいは経済政策上から来る低運賃、それらの問題に対しましては国として考えなければならないという御答弁もあつたのでありますが、しからば運輸大臣といたされましては、この不備欠陥の多い日本国有鉄道法を改正して、従来の政府のやり方に対して検討を加え、十分今までの誤謬に反省を加えまして、日本国有鉄道が日本の産業の根幹としての使命を十二分に発揮できるような、そういう日本国有鉄道法の改正についてお考えがあるかどうか、多分私はそういう御計画を持つておられると思うのでありますが、その計画のアウト・ラインなりあるいは構想でもよいから、この際御発表をお願いいたしたいと思います。
  31. 植田純一

    植田政府委員 日本国有鉄道法改正につきましてのお尋ねでございますが、現在の国有鉄道法は、日本国有鉄道が発足当時にできましたものでございます。もちろん現在の予算制度のもとにおいてできておるものでございますが、その後電信電話公社法もできまして、それと比較いたしてみますと、電電公社法の方がいわゆる企業体に対するところの予算制度その他におきましては、一段進んでおる点があるのではないか、かよう考えまして、目下電電公社法を参考といたしまして、日本国有鉄道法につきましても、各般の点につきまして慎重に検討いたしておるところでございます。
  32. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 今植田局長から事務的な御答弁をいただきましたが、運輸大臣の方針を承りたい。
  33. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は国有鉄道が発足して今日までやつて来た間に、いろいろな不便な問題がたくさん出て来ておるように聞いております。私といたしましては、せつかく公共企業体として発足した国鉄でありますし、この国鉄独立採算制ということを片一方に申しておりますので、その線にも沿い、だんだんと国鉄が国有から離れて運営されることも考慮をいたしまして、できるだけ自主的な経営の方向に進んで行く、そういう考えで、検討することも出て来るだろうと思います。
  34. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 自主的な経営をさせるというだけで、先ほど松原委員お答えなつ公共性を重視し、その点については国としても十分考慮をするという問題はいかがですか。
  35. 石井光次郎

    石井国務大臣 公共企業体でありますから、さつきからお答えしたようないろいろな注文が政府から出ることは多いと思うのであります。独立採算制だけから考えますと、どうしても私の会社のように—私の会社といえども国家的なことを忘れることはないのでありますが、まずそろばんが合うか合わぬかというのが商売の常道でありまして、そういうものの方が重視されるのでありますが、そうでなく、公共企業体である以上、公共企業体自体としての考え方、一般に奉仕するという心持の動きは当然必要であります。ただそういう場合に、そろばんの全然合わないものがいろいろ出て来るが、ものによつて国有鉄道そのもので処理して行くもの、またものによつてどんな形であるにせよ、国家がそれをやつて行くものがいろいろ出て来ると思いますが、これは一個々々の場合、いろいろな場合について研究しなければなりません。さつきお尋ねになりました新線建設ような問題につきましては、私は自分の考えを申したのであります。それは個々の場合に起つて来る問題もありましようし、政府の援助するものもありましようし、政府の援助をまたず、みずから公共企業体立場努力するというものもあるだろう、こういうふうに思つております。
  36. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 大臣公共企業体としての独立採算制を考慮しつつ、国家的な要請に基く国有鉄道の犠牲負担については、十分考えて今後運営して行きたいということであればけつこうであると思いますが、大臣運賃改正法の提案理由の中で、今回は三割値上げ国鉄からの要求もあつたが、経済情勢にかんがみて一割程度にとどめた、こう言つております。そうして他の問題につきまして、すなわち償還の不足、あるいは荒廃施設の取扱い等に要する経費は、別途これを考慮するという説明をいたしております。これはいかように考慮するつもりであるか。なおまた一割の値上げにとどめたと言つておりますが、これは三割であれば経済上非常に重大な影響があつて考えなければならぬが、一割程度ならば軽微であつてさしつかえない、産業、経済、国民生活に対しての影響も微々たるもので問題ではない。こういうお考えであるか、この二点をお尋ねいたします。
  37. 石井光次郎

    石井国務大臣 運賃改正で三割を一割にしたという問題につきましては、これはできるだけ少い方が経済的の影響も少く、また社会政策的にもよろしいということは、趣旨としては言えるわけであります。三割と一割と申しますると、単に三割は一割の三倍だというだけ以上に、金額の面から申しましても、国鉄の収入は相当大きく入りますだけに、影響するところもそれだけ大きいのは当然かと思うのであります。それではどこまで小さくできるかという点を考えまして、平均一割にいたしますれば何とかやつて行けるという限度を考え、やつたわけでございます。それから荒廃施設等については別途にその措置を講ずるというのは、荒廃施設等の問題も、この運賃改正の収入によつてあげたい、すなわち三割に上げれば、そのうちからこれを出したいという考え方でありましたが、これは今申しましたように一割にとどめますために、なかなかそういう方面までの費用は出せない。これは国家の方からの財政資金等の借入金によつてまかなつて行くことにしようという考えでございます。
  38. 竹谷源太郎

    ○竹谷委員 一割は三割の三分の一で、影響も三分の一だ、こういうふうに簡単に問題は考えられないので、これは五十歩百歩でございます。昨日私は運輸省の政府委員に、この一割運賃値上げによつて日本の産業、経済並びにわれわれ国民生活に対していかなる影響があるか、その資料を要求したのでありますが、何ら研究の見通しも計画もなされておらないのでありまして、この一割値上げということは、給与引上げと動力費がやつとまかなえるかまかなえないかという、要するに単なる賃上げのための一割値上げであつて、何らの見通しも計画もない、お座なりの、場当りの運賃値上げであるとわれわれは断定せざるを得ないのであります。今回お米の消費価格を一割強値上げすることの影響の甚大であることは、これは申すまでもないのでありますが、運賃の場合は、このお米の消費価格値上げにもまして、私は日本の産業、経済や国民の消費生活に与える影響は甚大なものがあると思うのでございます。昨日資料を要求いたしましたところ、二枚ばかりの紙に書いて渡されましたが、かくのごときものはごく一部のものでございまして、たとえば木炭とか石炭とかは何ぼ上ると書いてありますけれども、一体石炭というようなものを生のままで食う者はだれもありません。これが原料となつて第二次、第三次、第四次というようにいろいろな製品にかわつて行く。従つてあらゆる物資が原料から製品となつて、われわれの欲望満足に至るまでの間に数回もしくは十数回の運賃がかかつて、やつと最後の経済上の欲望満足まで達するのでありまして、この運賃値上げに基く国民経済の、実質ではなくて、形式的な膨脹というものは非常に大きい。本年度の国民総生産は何ぼになるかわかりませんが、現在までに出ている統計によれば、本年来すなわち第三期までで四兆円ぐらいといわれておりますが、来年の三日までには大体五兆五千億くらいになるだろうと思う。これがただ運賃一割値上げの一事だけによつて六兆円にも価格だけ上り、実質の生産は同じだということになるだろうと思うのでございます。またわれわれの家庭の消費生活にとりましても、昨日私はその例をあげたのでありますが、各家庭にお米以上の—足代だけでも響いて来るのでありまして、こうした産業、経済、国民生活に対するはね返りがどうであるか、そして日本の経済にいかなる影響を与えるかということを十分研究、考慮の上に、運賃値上げもまた計画、決定せらるべきでありまして、単に給与引上げのために一割値上げの必要があるからといつてぽんと一割上げるというようなことは、国民勤労大衆にとつて非常にめいわくな、無計画な、ほとんど政治のないやり方でございまして、かような問題に対してはわれわれはどうもおもしろくないのでございます。それで、かような無計画な運賃値上げではなくて国有鉄道法改正に関するお考えもあるようであり、また日本国有鉄道公共性を維持して、国家としてもこれに対する財政上の考慮を十分払わなければならぬというような構想を持つておられるようであります。従つて今回の賃上げに基く本年度における経費増というものは大した金額でない。これはひとつ国鉄法の改正なりあるいは日本国有鉄道の運営に関する長期な、根本的な見通しと計画に基いて方針が決定せられ、その新しい計画、方針に基いて適切妥当な運賃の額を決定するまで—これは明年度からおやりになるだろうと思うのでありまするが、本年はこうした無計画な運賃値上げ問題は、ひつ込めたらいいのじやないかと思うのであります。運輸大臣はこの国鉄運賃法改正案をひつ込めて、来年度にほんとうにりつぱな計画のもとに、運賃の妥当な決定をなさるお考えはないかどうか、伺つておきたいのであります。
  39. 石井光次郎

    石井国務大臣 運賃を改正いたしませずにおきますと、国鉄の負担は、年度内においても相当大きな金額になるのであります。これは御承知の通りと思います。今度の運賃改正は、来年の一月十五日から旅客運賃、二月から貨物運賃の値段改正ということにして、なおかつそれとあわせて全体の経理を見て参りますと、年度末に三十億円の借入金をしなくてはならないのであります。今、二月、三月、あるいは一月半ば以後の収入を増すことができないということになりますると、金額は、今資料を持つておりませんが、相当大きな金になると思うのであります。このくらいのものは出しておいたらいいじやないか、何とか根本的に考えろというお話になりましても、そう簡単にそれだけの金は出し得ないと私は心配いたしております。この際どうか原案通り一割を御承認願つて、これに並行してわれわれはいろいろな問題を考究して行きたい。かようにお願いいたしたいと思うのであります。
  40. 松原喜之次

    松原委員 国鉄だけではありませんが、国鉄公共企業体であるというので、公共性企業としての本質の矛盾の間を、あつちへ行つたりこつちへ行つたりして便宜なことが言われて、あるいはもやもやしてはつきりしないと思うのであります。たとえば運賃の引上げ、それは公共性を持つて来て、三割でなく一割にする。今度は、しからばその二割分は国家から補給するのかといえば、そうでなくて、これは独立採算制だ、こういうように言うて参りまするから、どうももやもやするのだと私は思うのであります。そこでもつとはつきりと、企業体である以上は、国鉄運賃法にきまつておる運賃原則第二の「原価を償うものであること」、これはもうくずしてはならない一つの前提であると思うのであります。もしこれをくずすとすれば、これはいわゆる公共性ためにくずすのであつて従つて明らかに国策の立場からやるのだから、それだけは国家から補給するのがあたりまえだというふうに割切つて行けば、事は比較的簡単であります。かつ明瞭に事が運ぶのであると私は考えるのであります。現に一割の値上げで、わずかに二百億の増収をはかるだけであります。これくらいの金高であるならば、ただいま竹谷委員から言われたようにこの値上げによつて非常に経済的な、社会的な影響を及ぼすのであるが、その影響に比べましては、あまりにも小さい金高であります。従いましてかよう金額は、要するにこの公共性という点から国庫より補給いたしまして、そうしてこの経済的、社会的に重大な弊害の生ずることを防がなければならないと私ども考えておるのであります。ことにこの公共性ために、産業政策上あるいは社会政策上、まさに上げるべき運賃も上げられないという結果のそのしわが、先ほど申しましたところの人件費に寄つて来る。国鉄総裁あるいは運輸大臣も、従業員待遇はできるだけよくすると品では言つておられますけれども、しかしその結果においては、最低であるところの仲裁裁定完全実施すらもできないようなはめに陥れて、そのままに捨ておくというようなことに相なつておることは、まことに遺憾千万なことであります。われわれはこれらの公共性から来るところの国鉄経営上のマイナスというものは、ぜひとも一般会計からこれを償わなければならないものである、かような観点に立ち、かつわずか二百億の増収のために大きな影響のある運賃値上げを、しかも竹谷委員が言うように無計画に断行されることはまことに残念であつて、この点はひとつ考え直していただかなければならないと思うのでありまするが、この点に関する運輸大臣のお考えを承りたいのであります。
  41. 石井光次郎

    石井国務大臣 二百億円はわずかな金だとおつしやいますが、実際上ふところ勘定をしますと、なかなかそうは行かないようであります。この運賃値上げは一月、二月のころになります。それで一つの例をとりますと、今のベース・アツプの問題がかりに十一月ということにきまりましても、三十億からの金を借りなくちやならぬ。財政資金を借りる。その三十億を借りることさえ、決してああそうか、それならばすぐ出そうというので出たのではないのであります。同じ政府部内におつて、いろいろ言うて責めてもそういうふうな状態であります。これが公共的なものならば、公共企業体のものをみんな政府が出してしまえというふうなことを言うても、実際上の問題としてなかなかそうは行かぬことが多いだろうと思いますが、これはどうお思いになるかわかりません。これは公共的なものである、これは社会政策的なものである、それだからこれはみんな政府の方で負担しろということになると、国鉄は一商売会社で、損はしないでもうかる部分ばかりやつて行くというようなことになつて少し困るのではないか、こう思うのですが、どんなものですか。実際上はなかなか困難で、それを両方勘考しながら進んで行かなければならぬものだと思います。どれでもこれでも、国策的なものだから政府が金を出せということで一歩々々渡つて、さきにお話のありました新線の場合のようなことは、これもまだ政府部内でどうまとまるかわかりませんが、運輸大臣としましては、少くも利子補給の問題をやつて行くという線で私も努力したいと思つておるのであります。この際の運賃値上げは不完全なものであるとお思いになるかもわかりませんが、ただいま運賃値上げは影響するところが大きいのじやないかとおつしやつたが、その通り考えまして、三割をやめて一割にしたということは、あなたのおつしやつた線に沿つて努力して出した最低限の線だ、こう私ども考えておる次第であります。その意味におきまして御了承を願いたい。
  42. 松原喜之次

    松原委員 私の議論はおそらく運輸大臣国鉄総裁も御賛成のことと思いまするが、公共性ということから来るところの経理上のマイナスは、全部国家が負担すべきものであるという建前を一応立てて、それを基本としてそういう方式を確立するということがなければ、国鉄公共企業体なつたという意味がないと思うのであります。独立採算制を云々するところの企業体になつた限りは、その点は一応はつきりさせて、それを将来の建前に押し通すように、国鉄側もあるいは直接監督の位置にあるところの運輸省の意見も、そういうふうに確立すべきものであると私は深く要望しておるのであります。そういう大きな問題に比べますると、この二百億ぐらいのものはわずかである、かように申しておるのであります。二百億どころか、この三割運賃との差額四百億を国庫が負担するのが建前であろうかと思うのであります。いずれにいたしましても、私どもは国庫から出す金は、納税者のふところから出るものであるということもまた考えなければなりませんし、必ずしも手放しで幾らでも出せばよいというものではないと思いまするけれども、しかしながら結局この小さなわくの中で動こうとするから、非常に手が詰まつてしまつて、動きがとれないのであつて、もつと大きなわくで考えたならば、こういう問題もおのずから解決つく。われわれは一般予算の中にそれらの十分な財源がないわけではないと考えるのであります。たとえば二十六年度の剰余金であるとか、あるいは使いもしない安全保障費であるとか、その他いろいろ考えてみますと、かような二百億ぐらいの金はどうでもなるような穴はいくらでもあるのでありまするから、小さいわくの中で躊躇しないで、大きなわくで考えて、その小さなわくをぶち破るだけの考えがなくては、とうてい国鉄経営などが健全に行つて公共企業体にした目的を達することはできない。私どもはたまたま今日の情勢に直面いたしまして、その観を深くするのであります。運輸大臣は、この点について大いに国鉄ため努力をお願いしたい。私は最後にさように要望いたす次第でございます。
  43. 石井光次郎

    石井国務大臣 御意見を承りまして、勉強いたします。
  44. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に楯兼次郎君。
  45. 楯兼次郎

    ○楯委員 重複いたしますが、気になることがございますので、ただいま松原委員から御質問されました点に、一つ追加いたしたいと思う次第であります。  私どもは総理大臣の施政演説並びに大蔵大臣の演説、それからこの運賃改正に伴う運輸大臣お話を聞きまして、今度の内閣は運輸面に非常に力を入れたい、こういうようなことをたびたび聞いたわけであります。ところが予算面になりますると、一向に金が出て来ない、やむを得ないというようなことを先日来論議をしているわけでありますが、竜頭蛇尾という言葉がありますが、まことにその通りであると思います。私どもはこの経理面において困難であるという面は承知いたしております。しかし長期にわたつて国鉄発展を計画する、その計画性というものが示されないことを非常に不満に思つているわけであります。たとえば一例をあげますると、先ほど来より論議をされました新線の建設であります。私ども考えますると、現在全国で二百三十四億の線区があり、その中で黒字になつておるのがわずかに四十三線である、そういうように資料を見て承知をいたしております。従つて今後行われます新線建設は、公共性から言いまして、否定はいたしません。しかし今まででさえ多数の赤字の線区をかかえて経営いたしておりまするので、今後発生いたします新しい線区においては、まず政府が建設費の資金を繰入れる、それからこれに対する利子の補給をして行く、並びに採算がとれないので、新しい線区においては将来補給金を政府が補償して行く、そういう三段構えの保障があつて、私たちは納得ができるわけでございまするが、そういうような計画性が全然示されておらないわけであります。従つて今年はこれで切抜けられるかもわかりませんが、また来年の今ごろになりますると、やはりどうにもならないから、ひとつ運賃値上げをしなくちやならないというような問題が再び起きて来るのではないか。その点について非常に危惧を持つているのでございまするから、先ほど松原委員が言われましたように、どうか長期的な、抜本的な計画を立てて、国鉄のほんとうの健全な発展をはかるように、運輸大臣から強力にやつていただきたいと思います。  これに関連いたしまして、私が一つ御質問申し上げたいことは、来年度の新線建設について百二十億の金を借りたい、こういう計画を持つておいでになるわけでありますが、この金が、先日来よりの論議を聞いておりますると、借りられるかどうか、きわめてあいまいであります。もしこの金が借りられない場合には、一体どう新線建設をされるつもりであるか。この点についてひとつお伺いをしておきたいと思います。
  46. 石井光次郎

    石井国務大臣 先ごろの鉄道建設審議会の答申によりますものを、今年から来年にかけまして、だんだん経済的に工事を進める、それから前年度の分と今年施行中のものと合せますると、今おつしやつたように百三十億を借りるか、いずれにしても出してもらわなければならないということでありますが、これがもしできなかつたならば、どうするかというお尋ねであります。まだこれから大蔵省その他と折衝してみなければ、はつきりしたことはわからないのでありまするが、今度の補正予算で五億円の予算を見積つて、新線がスタートすることを認めたのは、来年になれば相当な金がいるということは、計画的にどの線を選ぶかということがわかりませんでしたから、大よその数、概算の値段を大蔵大臣には話しおつたわけであります。いよいよ国鉄の方からこれだけのものをやるという実際の問題についての話合いが出て参りますれば、私は大蔵省とも折衝いたしまして、その金額にできるだけ合うようにしたい。万が一いろいろな金の出し方のために出す項目が多く、それだけのものが出せないというようなことがあつたならば、どの程度仕事を引延ばしてやれるか、あるいはそれ以上に悪くなるならば、根本的な計画からかえなくてはならぬというような問題にまで行くと思いますが、そこまで行かずに何とかして話をつけたい。政府としても、御承知のごとく今度発表しました新しい政策の中にも、この鉄道の問題は入つておるのであります。これは力を入れなくてはならぬはずのものでありまして、そのつもりで私は折衝をいたしたいと思つております。
  47. 楯兼次郎

    ○楯委員 大臣努力をしてとつていただかなくてはならないわけでありますし、その意気でやつていただきたいと思いますが、過去の事例を見てみますと、同じこうした場合に、人件費を食い、物件費の方を支出して、先日来非常に問題になつている面の金が支出されているというような点を非常におそれているわけであります。従つて新線等の建設については、ぜひ今の営業費の面を食わないように、その決意ように金をとつて建設して行くようにお願いしたいと思います。  次にお伺いしたいことは、この運賃改訂理由書でありますが、これを一読いたしますと、運賃値上げをされる点については相当の配慮が払われて、一割というようなことになつておるのであります。私は国鉄自体の経理面の内容について検討された様子が見えないと思いますが、こういう点についてはまだ相当節約する点がないか、あるいはこうしたら金が浮いて来るのじやないかということが多少なりともあると考えておりますが、こういう面について検討されたかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  48. 植田純一

    植田政府委員 もちろん経費の増加をそのまま運賃改訂とか、あるいは借入金に依存するというよう考え方は全然いたしておりません。そこで極力経費を節約し、あるいは収入を生み出すということを検討いたしておるのでございます。収入面においてはもちろん不用品の売却等の点を十分考えまして、そういう点における雑収入の増加を今年度において約十四億程度見込んでおります。また輸送量増加に伴う収入増も五十七億程度見込んでおつたのでございます。さらに経費の方におきまして、物件費等の節約において約十六億円程度の経費の節約を見込んでおりまするが、しかし一面において石炭単価の値上り、あるいは電力単価の値上り、また輸送量増加によります反面の経費の増加、そういうような点を全部検討いたしまして、差引収入のバランス上本年度においては約七十二億程度不足が生ずるのでありまして、このうち四十二億ばかりは運賃増によつてまかなうことにいたしましても、なお三十億が不足するということで、極力折衝いたしました結果、先ほど来お話がございましたように三十億の借入金を認めていただくということで、収支のバランスをとつているような次第であります。
  49. 楯兼次郎

    ○楯委員 運輸大臣にお聞きしたいのでありますが、これは国鉄裁定の実施の問題で、十日の予算委員会お答えであつたと思いますが、第一項は十一日からにしてもらいたい、その他の年末手当については、国鉄の経理上できるだけ団交をして結論を出してもらいたいという答弁をされておるのであります。運輸大臣としては、現在の経理内容において余裕財源があつた場合には、団交によつて年末手当の結論を出す、余裕があつた場合には団交によつて額を変更せよ、こういう意思でお答えしたのかどうかという点をお伺いしたい。
  50. 石井光次郎

    石井国務大臣 私の答えたのは、今度の補正で〇・五というものが年末賞与の面において追加されております。その前の残りもありますし、また給与は全体として一本になつているということであります。これらのものをどこまで動かし得るか知りませんが、国鉄そのものの経理において、国鉄総裁が可能なりと思われまする金額、範囲内においてやつていただくという意味のことを申し上げたのであります。私がどこまでこれをどうしようというのではありません。国鉄経理の中においてしかるべくやつてもらうという意味においてお答えしたのであります。
  51. 楯兼次郎

    ○楯委員 もう一つお聞きしたいのでありますが、八月から実施いたしますと〇・二、政府の補正になつております案で行きますると〇・七五でありますが、それを私は多いと思つておらないのであります。運輸大臣としては何とかしていま少しでも上げてやりたいというお気持でおられると思いますが、そういう気持からいつて団体交渉をやつても一銭も出ないのだから、団体交渉でやれというのでつつぱねておるのではないと思います。幾分なりとも節約して財源の捻出の余地があるのではないか従つてその財源の捻出の余地だけ年末手当を上げてやろうというお気持で答えられたと推察いたしまするが、この点についてお伺いをしたい。
  52. 石井光次郎

    石井国務大臣 ほかの振合いもいろいろありましようが、経理の範囲において、できるだけの待遇をしたいということは、国鉄総裁も絶えず念願しておる問題であります。私も同じように思つております。
  53. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは総裁に一つお伺いしたいと思いまするが、運輸大臣はそのような気持で、十日の日に答弁をされております。そういたしますると、今度は総裁と組合との団体交渉によつて、余裕財源が少しでもあれば、それだけ年末手当は膨脹をするわけでありますが、この点について、その余地があるかどうかという点をお答え願いたいと思います。
  54. 長崎惣之助

    長崎説明員 余地があるかないかということなんですが、それは全然余地なしということもできないでしようが、また余地ありということも私は言えません。なぜならば炭労のストライキによつて、収入の激減を来しております。むろん支出も当然減るわけでありますけれども相当の影響があるのではないかと思います。それらともにらみ合せなければなりませんから、それはここではつきり言うことはできません。炭労のストライキがいつ終るかということの見通しがつかない以上、何とも申し上げることはできません。
  55. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも仲裁裁定団体交渉でやれ、こういうのに政府総裁もひつかけておると思います。たとえばこれだけで、政府の方は〇・七五出せるという。総裁の方はわくがきまつているから、団体交渉でやつても金が出ないといい、政府の方は団体交渉でやれば金が出せるという、ただいまの総裁お答えもちようどこれに類似をしておる思います。たまたま炭労ストで列車が削減になつたから金がないと言われるのならば、当初炭労ストがないものとして、どのくらいの支出の余裕を考えておられたか、この点を承りたいと思います。あなたは炭労ストをやつたので金が出なくなつたということをお答えなつたのです。しからば炭労ストがなかつた場合、当初どれだけ年末手当にプラスすることをお考えになつていたか、ひとつお答え願いたい。
  56. 長崎惣之助

    長崎説明員 それを楯委員に申し上げることは、団交をやることになりますから、申し上げられません。
  57. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは今度はこまかい問題になりますが、きわめて重要であると思いますのでお答えを願いたい。これは監督局長または営業局長になると思いますが、先日来あるいは合同審査会におきまして、公安官の経費の問題がたびたび出て参りました。これはなるほど鉄道自体としても幾分あるかもしれません。しかし現在ほど必要はないと考えておりますし、またその性質から行きまして、全部を国鉄の経費によつて負担するということは妥当ではない、このよう総裁自体も考えておられると思います。これを何とかして政府の資金によつてまかなうならば、さしあたつて五億くらいの金は何とかなるのじやないかというふうに考えるわけですが、この点どういうふうに考えておられるか、赤字のある国鉄がこういうものまでなお甘んじて負担する必要はないと思うのです。
  58. 植田純一

    植田政府委員 鉄道公安官の問題につきましては、これはやめてもいいのじやないか、なくてもいいのじやないかという前提の問題のように存ずるのであります。なるほど鉄道公安官は現在三千三百人、その給与総額六億ちよつとございます。公安官という制度は戦後できたものでありますが、しかし先ほどもちよつと御指摘がありましたように、この仕事の大きな部分は、以前から鉄道の構内の警備であるとか、秩序維持ということのために存続しておつた。この仕事をそのまま引継いでおるのであります。終戦後非常に秩序が混乱したときにおきまして、警察の仕事に属すべきことも負荷されておつたことは事実でございますが、しかし鉄道企業をやつて行きます上におきまして当然必要な仕事と、純粋の警察の範疇に属する仕事と、これは画然と切り離すことができないのが現在の公安官の仕事でございます。従いましてただちにこれをどういうふうに整理して行くかということにつきましては、非常に困難な問題でございますが、考え方といたしまして、このうちのほんとうの警察の範疇に属する部分の仕事、これはさきに申しましたように非常に引き離すことは困難でありますが、今後の問題としまして、この部分につきましては考える必要があろうかと存じますが、現在のところはこれをただちにやめるということは困難ではないか考えておる次第でございます。
  59. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は全然廃止をしてしまえということを申し上げておるのではない。だから数は少しは減してもいいではないかという点と、なおこれを現状のまま置いても、国鉄のみが全額を負担するということは、現在国鉄の非常に赤字であるという面からいつて、妥当ではないということを申し上げておる。たとえば映画館に警官が来て警備をやり、秩序維持をやつた従つてその時間だけ映画館で払うということはあり得ないわけです。その性質からいつて、当然政府の資金からまかなうべきものではないか。しかも相当黒字が出て、その資金を国鉄が持つということならば私も納得するのでありますが、先日来の論議からいつて赤字がはつきりしておる。その国鉄がこういう一般性を持つたものに全額を支出して行くということは妥当ではない。こういうことを考えるならば、少くとも五億円くらいの金はただちに浮いて来ると思う。そういうことを申し上げておるのでありますから、いずれ考えるということでなくて、はつきりと考えて処置をしてもらわなくては困ると思う。よろしくお願いします。  次にこれは裁定書の中にうたわれておるのでありますが、高架線の下の用地の使用であります。現在東京は一平方メートル当り二百円、おそらく五十年くらい前の金額で貸しておるわけでありますが、大阪が一平方メートル当り百三十円、こういう点を仲裁の裁定も指摘をしております。何とかして現在の物価に見合うまで行かなくても、相当値上げをしたならば、ここからも相当財源が浮いて来るということを指摘しておりますが、この点についてどういうふうにお考えになつておるか伺いたい。
  60. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま楯委員から御指摘のございました鉄道のさまざまな用地、あるいはその他の物件の貸付料につきましては、現在まだ地代家賃等統制令という法律がありまして、従いまして民間と違いまして、国鉄でございますから、こういつた法律、命令の定めるところには従わなければならないわけであります。その範囲におきまして一般の時価等に比べまして、あまりに格安に過ぎるというようなものにつきましては、これを値上げいたしたいということで、現在準備をいたしておる次第でございます。現在予算には二億三千七百万円が計上されておるのでございます。それに対しまして約一五%値上げの三千五百万円の増収を予定いたしておるのでございます。そのほか、今はお話がございませんでしたけれども、車両の使用料でございまするとか、あるいは私鉄との間で共同荷役を使用する場合に、共同使用料というようなものを徴収いたしておりまするが、そういうようなものにつきましても若干の増収を予定いたしております。また鉄道のいろいろな機械、設備等を利用する場合に、それの使用料を徴収しております。これも一般のそれに比べまして、格段に安いものにつきましては値上げを準備いたし、あるいはすでに実施したものもございます。
  61. 楯兼次郎

    ○楯委員 私はこういうこまかい問題について、深く論議をしたいとは思いませんが、準備をしておるとかそういうことでなく、これは当然やるべき問題であると思います。赤字の出ておる国鉄として、早急にひとつ値上げをしていただきたい。  次にいま一つ、これも裁定で指摘をいたしておりますが、いわゆる死過蔵品であります。先日熊本委員質問に対しまして答えられた点は、当初一億九千万円予定をしておつたという御回答があつたのですが、私どもがしろうと見にあなた方が出されました統計を見ましても、本年度内に大体十億五千万円が死過蔵品から出て来るという点を承知いたしておるわけでありますが、この点についてどういうふうに、どのくらいの額が出て来るかという点についてお答え願いたいと思います。
  62. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま楯委員からお話のございました不用品あるいは不用施設の売却の計画につきまして、当初国鉄といたしましての計画は、まず不用品の売却といたしまして一億九千万円、次に不用施設物の売却といたしまして一億円、合計二億九千万円の計算を立てたのでございますが、その後現地につきまして死過蔵品の状況を考慮いたしまして、これは運賃値上げをしなければならないというような逼迫した国鉄財政、経理の状況でもございまするので、こういつた死過蔵品は一掃しようという計画を立てまして、最初の計画のほかに、さらに八億六千万円を増加する予定を立てて、目下着々と実施をいたしておるような次第でございます。
  63. 楯兼次郎

    ○楯委員 今のあなたの御回答では、二億七千万円くらいしか出ないということを言われておるのでありますが、私たちは、あなた方の資料によつても、大体十億ぐらい出て来るというふうに考えておるのでありますけけれども、この点どうですか、大分食い違いますが……。
  64. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま私申し上げましたのは、当初の計画は二億九千万円でございましたが、それに対してさらに八億数千万円のものを加える、こういうことを申し上げたのでございます。
  65. 楯兼次郎

    ○楯委員 いま一つ財源の問題でありますが、駐留軍輸送であります。四月二十八日以前におきましては相当な特権を与えてをつたということも、いろいろの情勢上やむを得ないと思いますが、それ以後においても何か特権的な協定というようなものがあつて、それによつて輸送されておるということを聞いておるのでありますが、この点、なければないとはつきりお答え願います。
  66. 津田弘孝

    ○津田説明員 駐留軍の輸送に関しましては、軍隊輸送の場合は協定によつて輸送するわけでございまするが、それ以外は一般の日本人の輸送と、輸送の方法におきましても、あるいは徴収する運賃の額におきましても、何らかわりはないのでございます。
  67. 楯兼次郎

    ○楯委員 次に自動車の問題であります。これは民間との競合によつて相当もんちやくを起しておるのでありますが、現在国鉄ではバスを運転しながら、団体貸切制度が認めておらないということを聞いております。私はもし国鉄に団体貸切制度が認可されました場合には、おそらく一億以上の増収があり得るというふうに直感的に考えておるわけでありますが、なぜ同じバスについて、民間にはこういうことを制限せずして、国鉄のみ制限しておるのか、この点承りたいと思います。
  68. 植田純一

    植田政府委員 国鉄バス団体貸切をもつと活発にやつたらどうか、こういうお説のようでございますが、実は国鉄自動車の使命は、国有鉄道にあくまで関連する自動車運送事業であると考ております。従いまして国鉄自動車の本来の仕事は、定期乗合自動車運送事業があくまで本体であろうと考えておるわけでございます。しかしながら国鉄バすの沿線の公衆の便利、また自動車の本来の性格から考えまして、ある限度におきまして団体貸切も当然やるべきである、かような見地におきまして、団体貸切を全然許さないという方針をとつておるわけではございません。ただ従来におきましては、国鉄の団体貸切につきまして解釈上若干疑義もございまして、この点はつきりしておらなかつたのでございますが、国鉄の自動車に対しましても必要な限度におきまして団体貸切を認める、かような方針に現在収めまして、この団体貸切の承認を行つておるような次第でございます。現在までにはつきりと承認を処置いたしましたものはわずか六件程度の少数でございまするが、今後逐次国鉄自動車の国体貸切につきましても、一定の限られた範囲におきまして正式に承認をして参りたい、かような方針のもとに現在処置を進めておるような段階にございます。
  69. 楯兼次郎

    ○楯委員 この団貸しの問題でありますが、私は民間業者の勢力範囲まで進出して行けということは言いません。だが自己の線内における団体旅客の要望には応じ得るように許可をしてもらいたいと思います。聞くところによりますと、自己路線内の団体旅客も国鉄のバスには乗れない、こういうようなばかげた制度をとつておられるということを聞いております。しかも先ほど来申し上げまするように赤字で四苦八苦の国鉄が、なぜこういうばかげた措置をとつておられるのか、了解に苦しんでおる。ぜひこれはひとつ早急に、民間業者を圧迫しない自己路線内における団体旅客の要望には、応じ得るように措置をしていただいたいと思います。  次に御質問を申し上げたいと思いますることは、ベース・アツプ等の問題におきましては金がないというようなことを強く主張されるのでありまするが、ここ一、二年私の経験によりますると、首切りのときは相当簡単に、物件費あたりが首切り費用にまわつて来ておる実例を承知いたしておるわけであります。従つてだんだんと今後も経理面が苦しくなつて参りますると、また人員整理というような問題が起るのではないかというふうに心配をいたしておるわけであります。先ほど松原委委の質問に対しまして、現在の人員以下にはしない。もう減少はさせないということを総裁が言つておられたように聞いておるのでありますが、この点もう一回簡単に御答弁を願いたいと思います。
  70. 長崎惣之助

    長崎説明員 かつて相当に職員をかかえておつた時代がございますが、松原委員お答えしたときに申し上げましたように、現在の運輸数量に変動があり、これが減つて来るというようなことになれば別でありますが、しかしながらむしろ運輸数量はふえる傾向があると思いますから、ふえる場合はむしろ人をふやさねばならぬ、あるいは機械化いたしまして、人のかわりに機械を使うという方向に行かねばならぬのではないかと思つております。
  71. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういう総裁決意であれば、われわれも安心をするわけでありますが、ともすばきゆうくつになつて来ると、首を切つて赤字を埋めるというのが過去の実態であつたのであります。この点を私は心配をしておりますが、ただいまの総裁の御回答を得まして安心をしたわけです。それから現在の国鉄の職員は多いとか少いとか、いろいろの論があるわけですが、一体あなた方は現在の国鉄の定員の査定について、何を基準にして定員をきめられておるか、それを承りたいと思います。
  72. 長崎惣之助

    長崎説明員 これは定員の査定方法ということについては、楯委員専門で非常におくわしいと思いますが、一概には申し上げられないのであります。しかしながら大ざつぱに申しますと、やはり輸送量というようなもの、あるいは実車キロとか、あるいは営業キロであるとかいうものをもとにして行くことが一番簡明であり、こまかになりまして現場の査定人員というようなことになりますれば、これまた非常に複雑多岐ないろいろな項目から考えなければならぬと思います。しかし大ざつぱに申しますと、実車キロ、あるいは人トンキロ、営業キロというようなものに基いて行くのがほんとうだと思います。
  73. 楯兼次郎

    ○楯委員 だから何を基準にしてやつておられるのか聞いておるのです。そのほんとうであろうということでは、何を基準にして国鉄は定員を査定しておるかという回答が出て来ないわけです。これはもう私がここで質問をしなくても、大体昭和十一年ごろを基準にして、その数に対して多いとか少いとかいうことがいわれておると思います。昭和十一、二年ごろを基準にいたしますると、現在の国鉄人員というものは業務量と比較して下まわつておるということは、もうはつきりいたしておるわけであります。今後非常に労働過重に悩んでおる国鉄職員の数の増加という面も、総裁として十分考えていただきたいと思います。  次に休暇でありますが、休暇がとれないというような声があるわけであります。休暇が使えないということも、現在の人員では非常に足らないからではないかというふうに考えるわけですが、休暇の消化状況がおわかりになつておりましたならば、簡単に概数だけでけつこうでありますが、お答え願いたいと思います。
  74. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま楯委員からのお話の休暇に関する件でございますが、ちよつとここに数字を持つて来ておりませんので、本日の午後でも資料を差上げたいと思います。
  75. 楯兼次郎

    ○楯委員 それではひとつ休暇の消化状態を表にしてお配り願いたいと思います。  次にいま一つお伺いしたいことは、休職者の問題でありますが、現在国鉄に一万一千名あるということを聞いております。これも徹夜勤務その他からの労働過重から、そういうことになつて行かれる人が多いと私は承知をいたしておるのでございますが、だんだんと休職者の数がふえて行く。しかも国鉄の赤字の経費で、これらの経費をまかなつて行かなければならないという点について非常に心配をいたしておりますが、この点将来どういうふうに考えて行かれるのか、お答え願いたいと思います。
  76. 長崎惣之助

    長崎説明員 国鉄の休職者の数がだんだんふえて行く傾向にあるということは、これは非常に憂うべき傾向であります。これに対する方策としましては、やはり病気にかからぬように健康の増進というような面、これが一番根本的な面だと思います。それから採用のときの身体検査、これも昔から見ればよほど進んだようでありますが、こういうことを厳密にやりまして、健全な身体の者を採用して行きたい。そういう面にむしろ積極的に進むべきでありまして、消極的に休職者が出ましたら、給与をやるというようなことではいかぬと思つて、できるだけ療養施設もいたしますが、できるだけ病気にかからない方法、それをひとつやらなければならぬではないか考えております。
  77. 楯兼次郎

    ○楯委員 病気にならないということについては、これはもう論のないところで、今かかえている休職者をどうするかということが、私の質問なんです。国家の費用によつて救済をして行くという面も必要ですが、国鉄は休職者を多くかかえてお困りになるのではないかと心配をいたしているのですから、ぜひそういう方向に御尽力願いたいと思います。  それから先ほど来二、三財源の捻出の面についてお伺いしたわけでございますが、さしあたつてただいま論議されました財源捻出によつて生ずるところの金は、団体交渉によるところの、いわゆる年末手当なり、年度末手当にまわるものであるというふうに私は承知をいたしたいと思いますが、それでよろしゆうございますか。
  78. 長崎惣之助

    長崎説明員 それらの金はすでに補正予算編成当時、あるいはその前に予算上計画済みでございますから、それが全部余るわけではございません。
  79. 楯兼次郎

    ○楯委員 これから値上げとか、また用地の使用料とか、団体貸切によつて生じて来るところの黒字であるとか、その他これから生じて来る余裕財源のことを私は言つているわけです。ですから、当然それらは先ほど運輸大臣が言われました団体交渉による云々という項目に該当する金額であると承知をいたしておいてよろしいわけではないですか。
  80. 長崎惣之助

    長崎説明員 これから出るべきものでありましても、年度当初そういうふうに計画を立てておりますから、それがあなたのおつしやるようなアルフアーですか、そういうものになるかならないかは、実績を見なければわかりません。
  81. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも急所へ行くと、何だかわけがわからなくなるのですが、ここで聞いておられる全員が、総裁の御回答はふかしぎだというふうに思つておられると思います。ぜひ団体交渉希望に沿うように、できるだけ財源の捻出を願いたいと思います。これで私の質問を終ります。
  82. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に正木清君。
  83. 正木清

    正木委員 私は簡潔に本委員会提出されたこの法律案に対する態度を決定するために、重ねてお伺いしたいと思うのですが、結論的な私の意見を申し上げますと、現在の国鉄は、法律に規定された立場の上に立つて、公共的だという基本的な理念の建前から、政策運賃というものを強く押しつけられて来ておる。その反面には企業独立採算制というものを非常に強制されておりながら、一方運賃算定の基礎は原価を償うものでなければならない。こういう相反した二つの姿が今日の国鉄の姿であろう、こう私は見るのでございます。従つて一方では公共的だという立場の上に立つて、すなわち政策運賃というものは大きな国策として多分に計画性を強制されておる。ところが一方には営業という面から見ると、それに必要な一切の建設、改良、取替工事、すべてのものが自由主義経済による野放し価格である。ここに国鉄の今日の姿が現われておる、こう結論をつけるに至つたのでございます。そこで私はまずこれからの私の心構えの基礎を固めるために、事務的に質問申し上げたいと思いますが、政府委員並びに説明員の御答弁は簡潔でけつこうですから、要点だけお願いしたいと思うのでございます。  まず国鉄というものを企業体の姿として見て問題になりますのは、やはり自己資金蓄積のため償却金でございます。この委員会の御説明で漸次明瞭になつて参りましたのは、現在計上されておる償却基金の三百億というものは、昭和二十四年度を基準として算出されたものである、こういう御答弁であつたのでありますが、そういたしますと二十七年度の場合は、一体この三百億がどの程度金額になるのが妥当なのか、この点を御答弁願います。
  84. 植田純一

    植田政府委員 五百二十億と考えております。
  85. 正木清

    正木委員 企業というものの観点から考えて、二十七年度を基準とすれば五百二十億である。そういたしますとすでに二百億以上の赤字が現実に出ておる、こういう結論に到達するわけですが、そう考えてよろしゆうございますか。
  86. 植田純一

    植田政府委員 赤字と申しますか、老朽する施設をとりかえるにつきまして、それだけ不足が累積して行くものである、かよう考えます。
  87. 正木清

    正木委員 そこで総裁にお尋ねにいたしますが、国鉄の生命というものは、何といつても安全であり、正確であり、敏速である、この三つが精神でなければならいと私は思います。この安全、正確、敏速を完全に守るためには、建設、改良、取替工事、これに国鉄は一切の力を集中いたさなければならないと考えております。従つてこの上に立つて国鉄としては当面千八百億からの事業計画を立てておるのでございますが、この事業計画というものの基礎算定というものは一体どこから出て来たのか。この書類によりますと箇年間をもつてこれをとりかえるというのでございますが、その十箇年間をもつてとりかえるという理由がどこから一体出て来たのか。具体的に申し上げますと、たとえば橋梁の年数はどういうことが妥当であつて、現在の国鉄の橋梁の年数はどういう姿になつている、事故件数はどういう形になつておる、この理由は一体どこから生れて来たのだというようなことが基準になつて、緊急に取替を要する財産の取替事業年度というものが生れて来たと思うのでございますが、これに対する御答弁を願います。
  88. 長崎惣之助

    長崎説明員 一番先に橋のことを申し上げますと、橋の命数は大体四十年ないし五十年というふうに考えております。その考え方から参りまして、五十年以上を経過しておるものは全体の橋梁の約三割、四十年以上のものは半分ございます。蒸気機関車などは二十五年、電気機関車が二十年、客車が三十年、電車が二十年、貨車が三十年というふうに考えて参りまして、蒸気機関車では、二十五年以上のものが三四%、電気機関車は二十年以上のものが約三割、客車が三十年以上のものが一二%、電車が二十年以上三二%、貨車が三十年以上一九%というふうになるのであります。先ほどの一千八百億というのは償却不足、今日まで償却されずにたまつて来たものであります。それをまずやらなければ一番危険でおります。その計画に千八百億、十箇年云々というのは、少しゆうちよう過ぎるのではないか。ところが実際はその千八百億に該当する分を、毎年の三百億なり五百億なりの収入でやる。しかしそれをやつておるとまた不足になりますから、そこでその穴を十年間に埋めるという計画で、年百八十億程度の借金をして、そしてそれを二十年間に返すという計画であつたわけであります。
  89. 正木清

    正木委員 今の御答弁によりますと、国鉄の生命である安全というものが保障されない。従つて正確さをも漸次欠いて来る。なぜ安全が保障されないかというと、私が頂戴いたしましたこの参考資料によりますと、事故件数は昭和十一年に比較いたしまして二十六年度においては五倍近い数字を出しております。国家がみずから国の財産である鉄道を公共的な企業体である国有鉄道に移して、現在企業を行つておるのであるが、一体総裁は、この事故件数が五倍以上にもふえて来、しかも年間事故件数が二方六千をも突破しているというこの事実の基礎の上に立つて、あなたはどういうよう責任をお感じになられておるのか。その事故の発生する根本の理由が一体どこから出て来るのかということを、良心的な、技術的なものの上に立つて御研究された上での現在のこの事業計画なのか。この点を明確に御答弁を願います。
  90. 長崎惣之助

    長崎説明員 事故件数が昭和十一年当時に比較いたしまして著しく多いという点については、私は非常に遺憾に存じております。ただしかしながら昭和二十六年からは、漸次減少の傾向をたどつておることを私は非常に喜んでおります。これは一日も早く事故の絶滅を期さなければならぬということで、全職員をあげて運転事故の防止ということには努力をいたしております。ある局においては三百万キロ運転無事故というようなこともございます。それともう一つは、事故について今日新しく起つて参りました問題は、踏切りの事故であります。これはどうも道路上の運送、特に自動車、バス、トラツクというものが著しく増加しまして、遺憾ながら踏切り設備がいまだ十分でございませんので、その事故が相当にあります。これについては、一日も早く対策を立てなければならぬ、かよう考えております。
  91. 正木清

    正木委員 私は総裁に心からお願いをしたいのですが、何十年という官僚生活をやられて、しかも議会になられてあるあなた方の老獪な答弁技術けでは、私は承知しませんから、その点は御願いを申し上げておきます。この国有鉄道から頂戴いたしました資料によりとこう書いてあるのです。事故の件数は十一年度に比して二十六年度は五倍に近い数字である。一体この事故は何のために起きたのかしらというと、その半分の一万四千件は、車両とかあるいは設備の事故のための運転事故である。その次は軌道損傷によるものである、こう書いてあるわけです。事故の原因が明確になりまして、同時に一方国鉄から頂戴いたしました「国鉄財政の現状」の中に緊急に取替を要する財産が千八百億、一方現在の予算面では減価償却としての三百三億、それから政府の資金運用部の百十億が、この緊急を要する取替の財源として入つておることは私十分承知しております。そのあとの足りないものを十箇年でとりかえて行くという、この良心の上に立つた事業計画を、あなたは貫徹するかたい熱意があるのか。総裁としてただ一片の机上の、お役所式な単なる事業計画を立てて、われわれ委員提出したのかどうか、この点を明確に御答弁を願います。
  92. 長崎惣之助

    長崎説明員 計画を立てて皆さんにお目にかけた以上、これはぜひやりたいという熱烈な希望を持つております。
  93. 正木清

    正木委員 大臣にお尋ねいたしたいのであります。あなたは主務大臣としては運輸大臣でありますが、一面国務大臣でもあります。従つて政府の資金の配分計画というものは、十分あなたはおわかりになつておらなければならぬ。これは当然のことであります。従つて二十七年度における資金の配分計画は別といたしましても、すでに二十八年度における政府資金の配分計画の構想は、当然立てられているはずであります。従つて二十八年度の国家予算の編成にあたつて、すでに閣議においてもこのことは当然検討されたと思うのです。運輸当局としても、事務当局はすでに大蔵事務当局との間に資金配分計画について折衝が進められておると思うが、今国鉄総裁が言われた、たとえば当面緊急を要する一千八百億の資金獲得について、大臣はどのように交渉を進められ、どのような御信念でこれを具現するため努力されておるかを御答弁願います。
  94. 石井光次郎

    石井国務大臣 二十八年度の資金計画予算の構想というような問題には、残念ながらまだ入つていないのでございます。従つて私それをはつきり申し上げられないのであります。ただいまお話の億却不足千八百億の問題も、まだ具体的な話の線には入つていません。ただこれだけは申し上げます。この話はまだもう少し詳しくいろいろ聞かなければなりませんが、大体の線は私も了承いたしております。こういうもの、それから新線建設の金、その他いろいろなものについて、運輸省は全体として相当大きな財政資金を求めなければならぬものがたくさん出て参る、こういう問題につきましてできるだけ早い機会に、できるだけその目的を達するように話を進めたいと思つております。今までにはそこまでまだ話は進んでいないのであります。
  95. 正木清

    正木委員 私は運輸省の政府委員である監督局長にお尋ねしますが、すでにあなたの方は大蔵事務当局と事務的折衝を進めておられると思うのです。私は私の属しておる社会党の立場から、いかにしたならばということはここでは申し上げません。しかし現政府のもとにおける運用部資金の資金計画は、非常にきゆうくつになつているのだということは私は承知しているつもりです。従つてこの償却資金の不足分の年間百八十億がはたして借りられるかどうか、この点について事務折衝をして御支持を得たかどうか、この点の御答弁を願いたいと思います。
  96. 植田純一

    植田政府委員 二十八年度の予算要求といたしましては、工事経費におきまして、新線建設百二十億を含み建設資金千二百三十億という要求をいたしております。そのうち鉄道建設以外に資金運用部から借入れを五百六十五億、先ほどお話ありましたように新しく見直した約二百億ほど自己資金を増加して考えて要求しておるのでございますが、しかしこの点の折衝におきましては、まだ大蔵省の態度ははつきりいたしておりません。しかしこれを全面的に認めてもらうことは、今までの話合いではとうてい無理でございますので、私どもといたしましては、鉄道線建設の経費は別といたしまして、それ以外に少くとも四百億の借入金、財政資金をぜひ考えてもらいたい、最小限度四百億の借入金を来年度はぜひ考えてほしいと折衝を続けているよう状態でございます。鉄道線建設を別といたしまして、四百億の借入金を仰ぎたいという態度で現在は臨んでおります。
  97. 正木清

    正木委員 重ねてお尋ねをいたします。あなたから頂載いたした資料をもつて質問いたしますが、この新線建設の百二十億というものは、単なる机上プランの事業計画でございますか。それとも先ほどお尋ねしたように、自信と信念があつての事業計画でございますか。それともあなたの言う百二十億を別とすれば、今後行わるべき一切の建設工事費というものは、政府出資という形で別個に取扱うお考えでございますか。
  98. 植田純一

    植田政府委員 新線建設の経費を別として申しましたのは、実は二つの意味があつたのでありますが、実はこの百二十億と申します経費は、本年度新線建設にすでに着工しております十一線と、さらに補正予算をもつて着工する予定でありました営業休止線の復旧も含めまして、十九線全部の来年度の所要額が百二十億、こういうことでございます。これは本年度の補正予算が思う通りに得られませんでしたので、この百二十億の計画は若干狂つて参りますので、百億見当になるのではないか、かよう考えられる点が一つでございます。もう一つは、財源の点におきましては、先般来いろいろと議論がありましたように、新線建設性質から見まして、事務的にはこの所要の金額政府出資でお願いしたいということで、一般の借入金と別に考えて折衝いたしておるわけでございます。そういう意味におきまして一般の借入金と別にと申し上げた次第でございます。
  99. 正木清

    正木委員 もう一点、新線のことでお尋ねいたしますが、この百二十億は継続年度の計数でございまして、当然二十八年度に繰越されて行くわけでございますが、今の政府委員の御答弁のように借入金と切り離して、政府出資金として事務的折衝がどの程度まで進んでおるか、これは重ねて大臣にもお聞きいたさなければなりませんが、この点に関する予算措置に対しては、十分なる御自信がございますか、お伺いしておきます。
  100. 石井光次郎

    石井国務大臣 この問題はさつきもお答えいたしたのでございますが、私どもはこの間建設審議会の方から答申がありまして、それについてはまた国鉄から話が出て来ると思いますが、私といたしましてはできるだけその答申を尊重してやりたい、それには本年五億というものが一応頭を出したのでありますが、来年は経済的にやつて行くには五十億近くのものがいるということであります。それを前の分と合せて百億確保することにまず努力いたしたのでありますが、ただいまお話がありましたように、あちらからもこちらからも盛んに財政資金を出してくれということが多いので、運輸省といたしましても各方面にいろいろ持ち出すのでありますが、はたしてそのままできるかどうか、私は必ずしもそのままできるということについては確信がありませんが、そうなつたならばどうするか。まず第一段にこのままで行く。それができなかつたならば、できるだけ多くのものを確保して、三年ででき上るもの、あるいは四年ででき上るもの、あるいはもう一年くらい延ばすというようなこと等も、将来考え合せなければならない事態が起るかもしれませんが、私どもといたしましては、ぜひこれをやるよう努力いたしたいと思つております。
  101. 正木清

    正木委員 そこで政府委員にお尋ねするのですが、二十七年度の当初予算と補正予算とを加えて、今年着工した線の資金が、二十八年度の予算関係で予定通りとられなかつた場合の処置を、一体運輸省は考えているかどうか。  それからもう一点、国鉄の方にお尋ねいたします。私は専門家でございませんが、新線を開設した場合に、新線が一定の安全を保ちながら運行いたしますためには、一箇年間莫大な経費が食われるものだと聞いておるのでございますが、これに対して国有鉄道として数字をあげて御答弁願います。
  102. 植田純一

    植田政府委員 ただいまのお答えの前に、先ほどの答弁に多少不備な点がございましたので、少し訂正いたしておきます。来年度要求金額百二十億のものが、百億程度に減るであろうと申し上げたのでございますが、これは本年度着工いたしました線で、当然来年度においても継続して行きますものにどうしても百億いるだろう、また来年度におきましてもできますならば新線に着工いたしたいというよう考えを持つておりますので、予算の要求といたしましては百二十億の要求を続ける、かよう意味に御了承願いたいと思います。  なお先ほどの本年度着工の線に対して、来年度必要な経費が得られなかつた場合どうするかというお尋ねでございますが、先ほどこの点について大臣からお話がございましたように、極力工事計画を狂わさないようにやつて行きたいと思つておりますが、その額でかりに大きな狂いがあるような場合は、工事計画を変更せざるを得ないのではないか考えておるわけでございます。
  103. 長崎惣之助

    長崎説明員 新線を開設しましたときに、一キロ当りどのくらいの経費がかかるかというお尋ねのようでございますが、最近あまり新線がなかつたので、詳細な統計はございません。しかしここに二十六年度の国鉄全体の営業費がございます。その計数によりますり、一日一キロ平均二万一千五百円ほどかかつております。でありますから新線の場合は、どんなところでもトラフイツクが非常に低いですから、こんなにはかかりません。おそらくこれの半分とか四分の一という程度だろうと推測されます。
  104. 永田良吉

    ○永田(良)委員 委員長は、きよう委員会は午前中で打切るのか、午後も引続いてやられるのですか。
  105. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 午後もやります。
  106. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それならば時計は何時ですか。一時半であります。人間は食うべきときには食わなければならぬ。そのくらいのことは委員長考えなければならぬ。委員長は何と思つておられるか。
  107. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 お答え申し上げます。重要な議案でありまするので……。
  108. 永田良吉

    ○永田(良)委員 重要な議案であればあるほど、休んでゆつくり飯を食つて慎重にやらなければならぬ。
  109. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 正木君、継続をお願いいたします。
  110. 正木清

    正木委員 委員長に私の方からも希望申し上げますけれども、皆さんの御意見が、休憩してゆつくりしてやつたらいいという御意見であれば、私としても質疑を打切りましてさしつかえございませんから……。
  111. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 正木君に申し上げます。政府委員、特に運輸大臣総裁のいろいろな時間の都合もありますので、大臣総裁を必要とするものでありますから、この際継続しておく方が発言者に対しての便宜だと心得まして、あえて質問時間を延長しておりますことを御了承願いたいと思います。
  112. 正木清

    正木委員 それでは継続して質問しておきます。そこで重ねてお伺いをいたすのでございますが、先ほど借入増に対する数字の御説明があつたのでございます。そういたしますと、国鉄考えておりまするこの千八百億と、それから二十八年度の工事経費予算のこの計画のうちから、新線建設費の百二十億を除きました部分の予算処置については、御自身としてはまだ確固たる見通しがない、こう考えてよろしいかどうか、この点について御答弁を願います。
  113. 植田純一

    植田政府委員 現在のところ、まだ来年度の予算につきましては確たる見通しがついておりません。
  114. 正木清

    正木委員 私は大臣にこれから質問をするわけですが、私が当初に私の結論を申し上げましたように、今の国鉄の姿というものは、公共的な立場に立つて政策運賃というものが非常に強制されておる。その反面、企業という立場の上に立てば、原価を償うものでなければならぬという原則が打立てられておる。この相反した矛盾の中にあつて国鉄を完全な国家福祉の公のものとして考えた場合には、何といつても生命の安全でなければならないし、正確でなければならないし、迅速でなければならない。それがためには建設、改良、取替工事その他が具体的に、しかも国家政策として計画的に年度計画が立てられて行かなければならないのにかかわらず、今日までの過去数箇年間をたどつてみても、そのことに対する安定性というものがございません。はたしてこれでよろしいかどうか、この点に対して主管大臣はどうお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。
  115. 石井光次郎

    石井国務大臣 今お話ように、人命にかかわるようなことがあつてはならないし、迅速に物を運ばなければならないし、また正確でなければならぬことはその通りです。その線に沿うての動きといたしましては、戦後ひどい状態になりました日本の鉄道を回復するために、その年々の持つ力に応じて今日まで来たのでありますが、ただいまの状態では、償却金としてあげておるものが、すなわちこの取替工事の大宗をなしているものであります。また先ほどから説明がありましたように、三百億それに使つておるけれども、もう二百億を使いたいという国鉄当局の案は、それを何とかして実現するような線に進まなければならない。それには今千八百億を十年間にだんだん出せば、そういうような線になるというよう意味のことを私どもは承知いたしておりますので、これから何年間にどうするかというのは、十年間に千八百億を出すということ、それから年々の問題は、その償却金の問題によつて、ただいまお話の眼目である生命の安全、正確、迅速という線に一歩々々近ずけて—生命、財産の安全は一歩一歩ではなく、ただちにの問題でありますが、そのほかの悪いものを直して行きたいと思つております。
  116. 正木清

    正木委員 総裁に伺いますが、この提出された資料から見ますと、こういう数字になるわけでございます。償却費の三百三億は二十四年度分であり、二十七年度で償却することになれば、監督局長の御答弁では五百二十億が必要です。そうするとここで二百二、三十億の、私の言葉で言つて穴があくわけです。国鉄が今立てられている千八百億だけのものをとつて考えてみても、かりにあなたの計画に基く二十箇年間としても、これに償却すべき元金が九十億、これに要する利子が二十九億、そういたしますとあらためてここで三百五十億の財源がなければやつて行けない。そうするとこの三百五十億の財源は、今ここに提出された平均一割の運賃値上げの中でやつて行けれる財源なのかどうなのか、この点の御答弁を願いたい。
  117. 長崎惣之助

    長崎説明員 それは一割の運賃値上げではやつて行けません。さればこそわれわれとしては、三割引上げをしていただきたいということであります。
  118. 正木清

    正木委員 大臣にお尋ねいたしますが、今総裁からあなたはお聞きの通りでございます。問題はここにある。国鉄側から見た場合に、国鉄としては、国鉄の精神である安全を保障し、迅速を保障するためには、何としてもこれこれのものを急速に改善しなければならないが、このためにはこれだけの資金計画が必要である。しかもこの資金計画が、政府からこの計画通りに配分を受けたとしても、今の運賃ではやつて行けない。だからこそ三割上げていただきたいということを政府にお願いをしておるのだ、せんじ詰めれば総裁の御意見はこれに帰すると思うのでございます。ところが政府は、この政策運賃の面を強力に押し出して、これを一割で食いとめようとされた。これが政府の原案でございます。その結果、こうした矛盾の中からどういう姿が生れて来たかといえば、労働賃金については裁定が出たにもかかわらず、政府はこれを八月から実施せずして十一月から実施をし、これら一切の苦しい犠牲を総裁以下の働く従事員にしわ寄せしておる。従つてこうした国鉄の相反した二つの矛盾を解決しない限り、かりに現在のこの運賃が議会を通過したとしても、二十八年度においてまた国鉄の経理自体に大きな困難が来るであろうということの想像はつくと思うのであります。そこで私は国有鉄通運賃法の第一条からお伺いしたい。一、二、三、四と規定が書いてあるのでございますが、この中で公正妥当でなければならない、原価を償うものでなければならない、産業の発達に資すること、それから賃金又び物価の安定に寄与すること、すなわち政策運賃です。そこで諸国と日本の国有鉄道との関係でございますが、過日の参考人の陳述によりますと、進んだ外国等においてはこの相反した二つの矛盾を解決するために、法律的に明確に規定されてある、こういうことであります。そこで私は事務当局にお伺いをいたしたいのでありますが、諸外国で現在完全に行われておるのはどうか。行われておるとすれば、一体どこの国でどういうような姿で行われておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  119. 津田弘孝

    ○津田説明員 諸外国におきまして、鉄道公共性の面から特に運賃の割引をする、あるいは原価を切つても輸送するというような場合に、国家がこれに対して補給をしておるような例につきましては、私は寡聞にしてあまり存じませんが、たとえば最近におきましてはブラジルの国有鉄道においては、そのようなとりはからいをしておるというようなことを承つております。それ以外にはあまりは存じません。
  120. 正木清

    正木委員 津田説明員に重ねて聞きますが、先ほどの松原委員質問であつたと記憶いたしますが、たとえば通勤定期、通学定期、その他各般のものを原価計算主義で行くと、三百三十億からの収入財源が出てるというような御答弁をされたと記憶しておるのでございますが、間違いがないかどうかお伺いいたします。
  121. 津田弘孝

    ○津田説明員 先ほど松原委員の御質問に対しまして、私は確かにそのよう数字を申し上げたのでございます。ただここで一言申し上げておきたいことは、鉄道が原価を割つて運びました旅客、貨物に対しまして、もし原価を償うまで運賃をいただくならば、原価に対する不足分が三百三十億というふうに申し上げたのでございます。国鉄の旅客あるいは貨物の中には、原価を償いまして、あるいは原価をオーバーして輸送しているものもございますので、全部合せまして総原価、総収入を比べますと、昭和二十七年度におきましてはとんとんであつた。それが今回の人件費あるいは物件費の値上りによつて収支の均衝が破れる、こういう趣旨でございます。
  122. 正木清

    正木委員 私は今の答弁は、あなたのお考えになつておるその考え方を、それこそ政策的に漸次変更して来たように思われるのです。たとえば三百三十億というものは、国の政策運賃決定として現われて来る数字であることだけは間違いないが、そのほかにも公共的だという建前の上に立つ限りにおいては、国鉄の犠牲は非常に大きいことだけは、御提出になりました各般の書類から数字的にうかがい知ることができるわけでございます。  そこで私は大臣にお尋ねしたのでありまするが、政府が一つの国策として政策運賃国鉄に押しつける。押しつけるというと語弊がありますが、政策運賃を実施する。その反面には企業体であるという独立採算の上に立つて、原価を償うものでなければならないということがこの運賃法に明確に規定されている。そうすれば国として当然政府出資額をふやすか、あるいは国鉄法に明確に規定されておるように、国鉄の建設公債を発行して、その利子は国が負担するとか、相当具体的な案が、主管大臣であるあなたになければならないと思いまするが、この点に対する大臣の御所信を承りたいと思います。
  123. 石井光次郎

    石井国務大臣 原価を償うものであるというお話ですが、四原則、これは運賃というものはこの線に沿うてきめられるという原則であります。なるべくこの線に近いことをこいねがうのでありますが、今までの沿革その他の事情からみまして、なかなかその通り行かぬことがあるのはやむを得ぬことだと思います。またその原則を破るような事態がかえつて好ましい場合が起つて来ることもあるだろう。いずれにいたしましてもそれは例外的の考え方でありましよう。新線建設お話があつたと思いますが、それは鉄道債券でも出しまして、その利子は政府が補給したらという線、今度の補正予算に出ております新線のごときは、私は国鉄そのものが利子の支払いに大きな負担にならぬ線に持つて行くべきだと考えております。その意味において、利子補給あるいは鉄道債券の問題等もありますが、まだ鉄道債券の線には話が進まないのであります。借入金でやる、そしてそれに対する利子を政府の方で払つてもらうようにしたいという線で話を進めております。
  124. 正木清

    正木委員 国有鉄道にお尋ねをいたしますが、現在の石炭価格、電力の価格、その他の資材でございますが、一般資材は横ばいだといわれておりますけれども、二十八年度における国鉄経営面において、現在ここに提出された法律案で、要するに石炭、電力、その他の一切の資材価格が、現在の予算単価でやつて行けるというお見通しがあるのかどうか、この一点をお伺いしておきます。
  125. 長崎惣之助

    長崎説明員 今の物価は横ばいになつておるのでございまして、現在の見通しでは大した変化なしにやつて行けるのではないか考えております。
  126. 正木清

    正木委員 そこでお尋ねしたいのですが、過日この席上の参考人として北海道議会の商工委員会が参考陳述をされたわけですが、そのとき距離の運賃改訂について、それが国の一般的な経済、国民生活に与える点を非常に心配されて、その点を強調されておつたのでありますが、私どもの持つております資料によりますと、たとえば木炭でございますが、これを北海道の裏の方から東京へ運ぶのは、従来の実績から見まして、年間一万九千四百トンから来ております。これを現行の運賃と改正運賃とを比較いたしますと、一トンで八百九十五円から違つて参ります。従つて木炭だけを考えてみても年間一千七百四十二万一千二百円ほどの開きが出て参ります。これは一つの例であります。それから木材でございますが、トン当り六百四十二円の開きが出て参ります。石炭でございますが、石炭はトン当り二百五十六円の開きが出て参ります。こうしたこのたびの貨物の改訂率によつて、素材的な性格を持つ資材価格に与える影響は、決して軽視できるものではございません。これが第二次、第三次、第四次の製品になればなるほど、一切の物価に影響して参りますことは当然でございます。しかもこの中で私どもの見のがしてはならないと思いますことは、わら工品でございますが、富山から帯広までの計算を現行運賃と改訂料金とを比較いたしますと、トン当り千七十一円かかります。これがどういう形になつてわれわれの生活経済に影響し、一般経済に影響して来るかというと、雑穀、ばれいしよがこのわら工品に詰められるのでございます。詰められてこれが逆に本州に入つて参ります。こういうものを見ますと、北海道だけでもこの改訂料金において受ける負担額は、年間において驚くべき厖大な金額になつて参ります。そうしたことが一体どうして石炭価格に影響しないのか、どうして一般経済界に影響しないのか、どうして国民生活に影響しないのか、そういうことを勘案しないで、総裁は単に今の予算単価でやつて行けるであろうというような抽象論では、はなはだこの委員会を侮辱したものではないか、無視したものではないか。あなたに相当科学的基礎の上に立つた資料がなければならないと思うが、ただやつて行けるであろう、やつて行けなくなつたらまた運賃値上げをやればよろしいのだ、事故が起つてもよいのだ、列車が転覆してもよいのだ、従業員が生活に困つてもよろしいのだというような無計画なことでは困ると私は思う。従つてこれに対して、今の委員会でなくてもよろしいから、相当の計数を基礎にした、どういう形でどういうふうに現われて来るかということの資料を提出してもらいたい。  以上で私の質問を打ち切ります。
  127. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 三時まで休憩をいたしまして、三時から補充質問をいたします。暫時休憩いたします。     午後一時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時十七分開議
  128. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続けます。玉置信一君。
  129. 玉置信一

    ○玉置委員 私は先般の当委員会におきまして、石井運輸大臣並びに長崎国鉄総裁に対しての質問中、大臣が退席せられまして、その後保留になつている分を本日重ねて御質問申し上げますが、時間の関係上、質問の事項はたくさんありますけれども、二点だけお伺いしたいと思います。  今回の運賃値上げの問題を通覧いたしまして、一番納得のできない、言葉をかえて申し上げればはなはだ不合理であり、矛盾を来している重大な点についてお伺いしたいのでありますが、事務当局の非公式な御答弁によりますと、この問題は事務的にはなかなか困難で、政治的に解決しなければならぬではないかというような大きな問題であります。と申しますのは、先般も少しく触れたのでありますが、青函連絡の運賃の問題ですが、これは青函と申しましても、ひとり北海道の住民だけにとどまらず、本州、九州地区の消費者部面にも及ぶ問題であります。従つてこの問題について私は率直に内容を披瀝して、大臣の御所見をお伺いしたいのであります。  大臣すでにお気づきであろうとは存じますが、青函連絡の貨物運賃は、実際のキロ数は百十三キロになつておるのを、営業キロ数として四百五十キロと見て、これによつて運賃が支払われておるのであります。それで実際キロ数から参りますと、二十五年度の実際に運んだ荷物を私調べましたのですが、年間三百三十万トン、八級品のものといたしましてこれがトン当りで千五百九十九円、そこでこれが営業キロ数によつて行きます関係上、次のようなことになるわけです。実質の運賃で行きますと五十二億七千万円、ところが営業キロ数で行きますと六十三億九千万円になるわけです。余分なことを申し上げて語弊があるかもしませんが、このために年間実質と営業キロ数の差によつて生ずる道民の余分の負担は、実に十一億二千万円になります。かかる不合理なものを何十年間と続けておるわけです。かつて昭和七、八年ごろ、私ども道会議員に出ていた当時から、この問題の解決方を政府に迫つた歴史がございますが、今なおこれを続けられておる。そのために今回の改訂運賃から参りますと、実質運賃が六十九億一千万円、営業キロ数運賃になりますと八十三億八千万円、かような厖大なものとなります。この差引計算をいたしますと、驚くなかれ三十一億一千万円というものを北海道民は余分に負担をいたしておる。国鉄総裁初め各当局者、あるいは大臣も補足して申されております国鉄経営の実態、すなわち経営内容の苦しい実情は私よくわかります。しかし何と申しましても、一面において高度な公共性を持つ国鉄経営であります。従いまして全国的の国民全体の受くる負担が、かかる不均衡のままにいつまでも放置されておるということは、きわめて不合理であると考えますが、この不合理性について、まず大臣いかようにお考えになりますか、お答え願いたいと思います。
  130. 石井光次郎

    石井国務大臣 私はどういうわけでそういうものが初め起つて、しかも長年今お話ように天理さんを初め心配して御主張になつておるか、その事情をよく知らないのであります。ひとつ長崎国鉄総裁に御答弁いたさせます。
  131. 長崎惣之助

    長崎説明員 この運賃問題は、相当長い問題でございます。実はああいうふうな通算制にいたしましたのは、私が運輸局長時代のときであります。それまでは、船は船で別の運賃でありました。それではまことに仕事の上に不便があるので、その当時の船の運賃がそのまま入るようにしまして通算にし、そうして遠距離逓減の利益を続けさせる、こういう考え方で実はやつたのであります。従つて今日実際がどうなつておるかということは、これはよく調べてみなくてはわかりませんが、そういうわけなのであります。それでありますから、本来ならば鉄道はやはり鉄道で原価計算をし、船は船で原価計算をしてやるのがほんとうだろうと思います。それを汽車と同じようにやるところに無理があるのでありますから、少くとも船の原価がどれだけになつておるかということを見てあそこから切り離して船だけの運賃鉄道だけの運賃と、こうわける方があるいはいいかと私は思いますが、その点はとくと研究いたしたいと思います。
  132. 玉置信一

    ○玉置委員 総裁の御答弁の船運賃関係は私よく存じております。しかし国鉄経営の面から見まして、たとえば関門トンネルのごとき莫大な工事費を投じたその面に対しましても、ある程度のものは見てあるかもしれませんが、その大部分はプール計算に行つておるのではないか。そういうことを考えますと、私はひとり青函連絡のこの運賃のみを道民の負担に帰せしめて、このままで置くということは、何としても納得できない。この点について大臣のお考えを伺います。
  133. 石井光次郎

    石井国務大臣 私は不勉強でありまして、まだこのことを詳しく承知いたしておりません。今承つたのでありますが、長年のしきたりもあり、それからまた今おつしやるようなものに反対されておつたところもあると思いますこれはなお研究いたしまして、よく話し合つてみたいと思います。
  134. 玉置信一

    ○玉置委員 せつかく大臣が御考慮くださるとの親切な御答弁がございましたので、具体的にもう少し申し上げてみたいと思います。これは正木委員からも先ほど触れられたようでありましたが、たとえば木炭、ばれいしよ、雑穀、わら工品、鮮魚、木材、肥料、石炭、こういうふうなデータをあげて申し上げますと、現行の十級を今度の改訂で特二とする。そうした場合どういう結果が出るかと申しますと、北海道の浦幌から東京までのキロ数は千八百キロ、これは現行運賃でありますと千九百九円であります。これを今回の運賃値上げの基準に算定して割当てますと、二千八百七円になるわけであります。この差額が八百九十五円となりまして、値上り一割平均どころでなく、実にこれは四七%となるわけであります。このようにして例をとつてみますと、ばれいしよにおきましても四二%、雑穀におきまして一四%、わら工品に至つてはまつたく倍の一〇〇%になる。それから鮮魚類におきましても六三%、それから木材におきましては二六%、このほかに計算してみますと六〇%まで上るものもあるわけです。かような実情から見まして、私どもは今回の運賃値上げの内容の点において、まつたく納得しがたいものがあるわけです。  それで先般もこの問題については少しく触れましたし、先刻来同僚委員からもいろいろ御質疑があつたので省略いたしますが、私は少くともかような個々の品物についての内容は、ある程度是正することができるだろうという希望を持つておりますが、先ほど申し上げました青函キロ数の問題は、何としても容認できない。これを是正していただくまでのお考えがあるならばいいが、さもなければ、私は実は与党でございますが、本原案には賛成しがたいわけであります。私はかかる悲壮な考えをもつて、真剣にこの是正方をお願いするとともに、大臣並びに総裁のこれに対する御所見をお伺いしておきたいと思うのであります。
  135. 長崎惣之助

    長崎説明員 先ほど来申し上げましたように、この問題はかなり長い間御論議になつた問題であります。つきましては、その点について何らかの方法を講じて、できるだけ御希望に応ずるようにいたしたいと思います。
  136. 玉置信一

    ○玉置委員 もう一つだけお伺いいたしますが、大臣に次ぎまして、長崎国鉄総裁よりも、何らかの方法で考慮かするということは、このキロ数に対して、まさか実質キロ数にお直しになるというところまでの度胸あるお腹はきめられないであろうと思つていますが、少くともこれをある程度緩和するということに私ども解していいでしようかどうですか。
  137. 長崎惣之助

    長崎説明員 御希望に応ずるようにできるだけ努力いたします。
  138. 玉置信一

    ○玉置委員 なおつけ加えて、私はこの運賃等級の問題につきまして、ただアウト・ラインだけを申し上げますが、原案によりますと、北海道から出しまする物資並びに本州地区より移入する物資なんかを、どうもすえ置きの形にされるのではないかという杞憂を持つております。御承知のように建材ブロツクのごときは、北海道の寒地住宅の建設にきわめて重要な資材でございます。お聞きでもございましようが、すでに今国会で間に合わなければ、通常国会に寒地住宅促進法というような法律をつくつて、北海道のあの寒い地帯に住む人の生活改善をはかろうとさえいたしておる実情であります。これは所管庁でありまする建設省におきましても、非常な熱意を示しておられる。ところがかようなものに必要な資材を移入するにあたつて、現行の運賃等級をもつてすえ置きされるということになれば、私はこれまたゆゆしい問題ではないか考えるわけであります。またビートの搬出のごときであります。これまた御承知のようにわが国の糖業保護政策上、ビート糖の政府買上げの立法措置をこの前の国会で私ども講じてやつた経過がございますが、さらに来るべき国会におきましても農林委員会が中心となつて、各党各派が超越して、その立法措置を講じようとしておる現状であります。これらの国家保護政策を加えようとするものに対して、一面輸送の面から運賃の対策として、このままにすえ置くということは、非常な不合理ではないか。その他木材におきましてもいろいろございますが、要するに北海道におきましては、御承知のように北海道開発法という特例法をつくりまして、日本でただ一つ残された豊庫北海道の開発のために、国がある程度力を注ごうとしておるところである。こういうことを申しますと、国策としてやる以上は、国の財政資金によつてこれらの処置を講ずればいいじやないかというお答があるかもしれぬ。これも私ども一応了承いたし、かつ進んでそれを要望するものでありまするが、しかしにわかにその措置はできないと思う。従いましてさしあたり運賃値上げの各項にわたりまして適切な是正をいたしまして、これを埋め合せるために、他の国の施策も講ずる。この国の施策につきましては、先刻来各委員からしばしばお話もございましたが、前段申し上げましたような措置を講ずべきであると私は信じておるのでございますが、これに対して大臣並びに国鉄総裁いかにお考えになりますか。私はぜひともこの希望を達成していただきたいと思うのでございますが、お伺いいたします。
  139. 長崎惣之助

    長崎説明員 今回は運賃の賃率の引上げと等級の改正とが二つ重なりましたので、いろいろ混乱を招いておるのでございます。もとより運賃は安きに越したことはないのであります。しかしながら先ほど来るる申し上げておりまするように、公共性と申しましても、やはりここに若干の限度があるのではないかと思います。また国がわれわれに対して補給あるいは保護の金を出すということにも、おのずからこれまた財政上の限度があるのではないか考えます。そこらはどの辺で折れ合うのが一番よろしいかということは、最もむずかしいところでございます。御説の点等につきましても、今後等級を決定するにあたりまして十分考慮いたしたいと思います。
  140. 玉置信一

    ○玉置委員 なお国鉄総裁にお伺いいたします。現在実施されておりまする国有鉄道運賃法第八条による特別割引についてでありますが、今回の改正によつて、これを廃止するお考えでありましようか、あるいは存続するお考えでありましようか。もし存続するとすれば、その法律はどんなときに、どんな方法で適用なさる御意思でございましようか。これを伺つておきたいと思います。
  141. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま玉置委員からお話のございました、全体の収入に著しい影響を及ぼすことがない運賃、料金の軽微な変更は、日本国有鉄道としてこれを行うことができるという第八条の条文に関しましては、これを廃止するとか、あるいは改正するとかいう意思は、政府としても持つておられないだろうと考える次第でございます。従いまして先ほど来お話のございます北海道の地理的な事由に基きまする特別な事由につきましては、運賃上、従来とも若干の物資につきまして、運賃割引等の措置を講じておるのでございますが、今後これらをどうするかということにつきましては、目下国鉄といたしまして農林省あるいは通産省等の物資官庁とせつかく協議中でございます。さよう御了承願いたいと思います。
  142. 玉置信一

    ○玉置委員 これはわかり切つたことなんですが、最後に重ねて希望を申上げることにして質疑を打切りたいと思います。青函連絡の実キロ数と、営業キロ数の差は御承知の通りでありまするが、これを仙台から東京までのキロ数と比較いたしますと、これが三百四十一キロあるわけであります。それから東京から名古屋がたしか三百六十三キロだと思います。こうなると青函連絡の実キロと営業キロ数の差が、ややこの東京、仙台あるいは東京、名古屋に匹敵すると思うのであります。そういたしますと、北海道の営業キロ数を負担する道民の犠牲において、仙台、東京間あるいは東京、名古屋間の運賃は、ただ運んでいるということも言えるわけであります。かかる矛盾撞着を私どもは納得できないのでありまするが、幸い先ほど来、大臣並びに国鉄総裁よりきわめて明瞭なお答えがありましたので、この御答弁を信頼申し上げまして、またその実現方を期待申し上げまして、本日の私の質問を打切ります。
  143. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に松浦周太郎君。
  144. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 本委員会において運輸行政一般にわたる総合的な質問が繰返されておりましたから、重要問題については各委員質問によることにいたしまして、私は貨物運賃の等級などに対する問題について、二、三お尋ねをしておきたいと思います。まずそれに対しまして資料を少しいただきたいのでありますが、貨物等級の各品目別の等級、輸送トン数及び輸送キロトン数、平均輸送距離、運賃額の新旧対照表、こういうものが出ておりましたならば、それによつてやりますが、もしこの中で出てありませんものがありましたら、出ておらぬ部分を出していただきたいと思います。それから普通等級と特別等級とはどういう違いがあるのが、それと同時にまた特別等級にはどんなものを入れておるのか、全品日を明示されたいと思います。同時にその理由をお示し願たいと思います。等級改正に対しましては、審議会においていろいろ審議されたようでありますが、そのときにおいて不減収、不増収ということを原則といたしまして、その中における不均衡を是正するというよう意味においておやりになつように聞いておりますが、それは別にかわりないかどうか、御答弁を願いたいと思います。
  145. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま松浦委員お話にございました鉄道貨物の品目別の等級と、それからそれの平均輸送キロ、等級につきましては新旧というようなものにつきまして具体的に示せ、こういうお話でございますが、先般御配付申し上げました貨物運賃等級改正資料というプリントがあるのでございますが、それにくつつけまして、おもなる貨物の価格に占める運賃の割合というプリントが、最後のところに三枚ほどつけてございますが、それにおもなる貨物の価格の中に占めるところの比率とか、あるいは平均輸送キロとかいうようなものは出ておるのでございますが、なおこれで足りません分につきましては、もう少し品目をたくさんあげまして、これは全部と申しますると、貨物等級表五部ぐらい厚いものを全部出すのはたいへんでございますから、鉄道で運ばれております物資で、たとえば年間一万トン以上というようなものにつきまして、ほとんど網羅的になりますが、それを作成してお示しいたしたいというふうに考えております。  第二段の今回の等級再編成にあたりまして、普通等級、特別等級というのは、どういうものをさすのであるか、また特別等級とはどういうようなものが入つているのかという点につきましては、数日前にも私から当運輸委員会に今回の改正の内容なり、あるいはいきさつを詳しく御説明申し上げたのでございますが、今御質問の点につきましてさらに若干申し上げますと、今回の等級改正にあたりましては、貨物等級審議会を国鉄総裁の諮問機関として設置いたしまして、非常に熱心にかつ慎重に、たびたびにわたりまして御審議を願いました結果、今回の等級改正にあたつてどういうよう要素を組み入れて、どのような尺度をもつて等級改正の仕事に当るべきかということにつきまして、詳細な御答申をいただいたのでございますが、それによりますと、まず第一にすべての貨物の負担力、これは通常は価格をもつて現わされるのでございますが、それを負担力の第一要素といたしまして、それからそれに対して若干の物資、なかんずく生活必需物資の中で特に限定せられたもの、あるいは特定産業に対して非常な影響を与えるところの物資、原材料というようなものにつきまして、公共的な見地から若干の考慮を払えという点が第二点、それから第三点はある種の貨物はその輸送方法等につきまして特別のコストをよけいに要するものがございますが、これらにつきましては運送原価というものを加味してやるべきであるというような、この三つの尺度を与えられまして、凡百の貨物につきましてそれぞれの標準に従いまして、新しい等級の再編成をしつつあるというよう状況でございます。特別等級の中には、先ほど申し上げました生活必需物資の中で、特に公共性の著しいものというようなものが入つておるのであります、具体的には米麦とか、みそ、しようゆというような特殊の調味料といつたようなものであります。  それから申し遅れましたが、先ほどお話のございました不減収、不増収の点でございますが、これは等級審議会のまず最初に、国鉄総裁から不減収、不増収、なかんずく不減収という点を申し上げまして、審議会の委員の御了承を得るようお話申し上げたいと考えております
  146. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 ただいまのお話の資料の出ている分はようございますが、資料の出ていない分に対して、特に運賃の新旧対照表をお願いいたしたいと思います。ただいま不減収、不増収について、特に不減収を建前にしてというお話がありましたが、先ほど国鉄総裁がおつしやつたように、等級改正と運賃の一割値上げが二本重なつたから非常に困るという御苦衷もわかるし、また国民もその二つが一緒になつために、先ほど玉置君が申しましたように、ある部分においては非常な負担になつて耐え切れないものがある、これは国民として聞かなければならぬところです。そこで不減収、不増収ということを言つておきながら、この審議にあたつて不増収の問題をつかれるものだから、特に不減収だけを考えたということになると、公共性を没却して、鉄道だけなつたら国はどうなつてもよいという考え方になると思う。われわれのグループの中からもこの審議会に出ておりますから、審議会の速記録及び審議会の進行状況をよく聞いておりますが、この不減収、不増収を原則としてやられた、特に不減収に重点を置いたということは遁辞です。ここに申し上げたいことは、今回の等級改正については、不減収、不増収の方針のもとに作成したものであるが、しかし今まで運輸省から出された資料によつて、従来の貨物の輸送トン数によつて計算してみるならば、数十億円の増収が含まれておるということを私は指摘したいのであります。今回の等級改正の考え方は、公平にやるということではあつたでしようけれども、農林物資と商工物資とを比べてみると、農林物資の原始生産的なものに重くかけて、商工物資方面の価格の高いものが割合に安い。そこで私は自分たちのこしらえた資料によつて申し上げますならば、まず農林物資の中の米、麦、木炭、まき、パルプ及び木材、原木、不工製品、かんしよ、ばれいしよ、肥料、みそ、しようゆ、この農林物資の十品目は、今度の改正によつて実に二十七億円余負担が重くなるのであります。ところが商工物資の方はどうかというと、重要商品を示してみましよう石炭、砂利、セメント、石灰というような重要物資でマイナスになる分は、全体の運賃から見るならば一分二厘です。しかし今の二十七億円の予担が過重になるという方は一二・六%過重になる。差引してみて農林の方は十品目、商工の方は四品目で、品目はわずかでありますが、農林の方ではこの十品目が九二%のトン数になつており、商工の方はこれらの四品目が六八%になつております。こういうもので計算してみると、ここのところにおいて少くとも二十七億円余の増収が秘められておるというふうに考えるが、あなた方の計算は一体どうなつておりますか。
  147. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま御指摘になりました品目については、私まだおつしやつた数字に当つてみるひまがないのでございますが、貨物等級新旧比較という調書、これは農林省にもまた通産省にもお見せしておるのでございますが、ここは約数十品目、大体一万トン以上の輸送のあるものの全品目にわたつて、現行の等級あるいは改正の等級、これを指数にして表示したものを私手元に持つておるのでございますが、農林物資、商工物資とも値上りしているものもございます。あるいは値下りしておるものもございます。そして個々の物資につきますれば、今回の一割値上げ以外に若干値上りになるものもございますし、あるいは一割値上げではありますけれども、一割ほども上らないというようなものも、この等級の改訂によりまして起るわけでございますが、全体といたしましては一番初めにお目にかけました運賃改正資料の中にもございますように、増収は大体一割ということになつておりまして、別にただいまお話のございましたような増収分を隠しているというようなものはないわけでございます。
  148. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 増収分一割ということは、等級改正によつて総合的に見て一割の増収になるというのでございますか。
  149. 津田弘孝

    ○津田説明員 貨物運賃の一割値上げということによりまして、全体的に一割の値上げになるのでございますが、その以外に等級の改正によりましては個々の物資については上るものもございますし、下るものもございますが、全体として見ると等級改正によつて特に増収を見込むということはないわけでございます。
  150. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 それは資料を示されずにおいてただそうおつしやつても、私は承認できない。今度改正になつた各品目の、あなた方がここでお示しになつている賃率表によつて、過去三年の平均の輸送トン数にこの賃率をかけると、不減収、不増収ということを原則にしておるならば、減るものがあつてふえるものもある、全体的に国民の負担は同じだということにあなた方は考えているだろうが、それをお示しにならないで、ただそうだとここで口だけ言うことは、われわれ承認できない。今のお話によればこの等級の改正は、国鉄運賃法の第九条によると国鉄に委任立法になつている。しかしながら全体に一割増大するというような改正をするならば、これはその精神からいつて議会の承認を得なければできないと私は思うのです。あの四原則から行けば、国民の生活に大きな影響を与えないということを原則にしているのです。それを原則にしての委任事項なのです。それをあなた方に一応は委任しているけれども、そういう多額の増収をするということになるならば—あなたが表をお示しにならぬから、きようは私は自分の表によつてやるよりしようがないのですが、農林物資の九二%のものをピツク・アツプしてやつてみるならば、従来より二十七億円の過払いになる。それと同じようなものが商工物資にも、減収になるものがなければならないのです。ところがそれを出してない。ただ口でそう言つても、あとあなた方にまかしてあるのです。ここのところは一体どうなつているのですか。
  151. 津田弘孝

    ○津田説明員 ちよつと誤解があるのではないかと思うのでございますが、この運賃の一割増収ということに伴いまして、貨物の賃率をかえて来るわけでございます。その賃率の改正が運賃法の中に入つているわけでありまして、その賃率の改正等につきまして御審議を願つておるわけでございます。賃率がそのようにかわるならば、旅客、貨物ともに一割増収になるということでございまして、等級の点につきましては全体といたしまして不増収、不減収でやつているのであります。ところで具体的にはどうなつているかと申しますと、松浦委員が御計算なさつたと思われますように、やはり新賃率によりましての貨物の新しい等級を、それぞれの貨物のトンキロにかけてやつておりまして、その結果不増収、不減収ということになるわけであります。これはこまかい数字について具体的にこういう物資はこういうトンキロになつて、全体としてはこういうふうになるということをお示しすることはできると思います。
  152. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 それではあとでそれに対する表をつくつてお示しを願いたいと思います。  もう一つ同じようなことを聞きたいのですが、古い等級は一級から十一級まで、指数は一級二五〇、十一級は五三、さらに危険物輸送なんかは十割増しですから五〇〇の指数を持つておる。一級二五〇から二級一九〇、三級一四五、四級一一五、五級がちようど一〇〇になつて、五級の石炭が中心になつておるように見受けられる。今度の新しい改正は上の二五〇の方を五〇とつて二〇〇とし、最低は五三が七五に切上げられた。切下げられたのと切上げられたのを見ますと、全貨物の運賃は五・五三%という増収があると思うのです。これだけから見てもそういうことが言える。それは予定収入を八百二十億と見て約四十五億円の増収となると思う。この上の指数を切下げ、下の指数を切上げ、中を縮めたその結果による増収は、品目別でなく、立て方において増収になるのではないかと思うが、いかがですか。
  153. 津田弘孝

    ○津田説明員 先般本委員会におきまして、今回の等級改正についてるる御説明申し上げました際に、ちようど松浦委員はおいでになりませんでしたので、いろいろと御疑問が出るのは当然のことでございまするが、今御指摘になりましたように、現行では指数的に見ますと、最高の一級が二五〇、今回は二〇〇というふうに指数的には下つております。それから先ほどお話になりました現在の最低は十一級で五三になつておるのに対しまして、今度は七五というふうに上つておることについて、若干御疑問がおありになるのではないかと思うのでございますが、これは五三とお考えになつていただかないで、今までの貨物等級は一級から九級までであつた。そして十、十一という二つの等級が現在あるのでありますが、これは特に軽量貨物でありまして、軽くかさばつた貨物、貨車の表記トン数一ぱい一ぱいに積めないような貨物に対しまして、われわれは特に軽量減トンと専門的に申しておりますが、そのはからいによりまして十一級、十二級というものをつくつておるのでございます。これを除きますれば九級は六八という指数になつておるのでございます。従いまして六八と今回の七五というものを御比較いただくのがよいのではないかと思うのであります。しかしながら六八と七五にしましても、さらに最低上つておるではないかという御疑問は当然生ずるわけでございますが、これは先般も私ここで御説明を申し上げたのですが、貨物等級審議会から、いかなる貨物も輸送の直接のコストだけは運賃として頂戴をしてよいのではないか。輸送のコストの中にはいろいろ管理費、たとえば本庁の経費でございますとか、その他の管理費もございます。あるいは利子に相当する部分もございますが、そういつた管理費、利子等を除きましたいわゆる輸送の直接の原価、これだけは最低運賃として、どんな物資につきましても頂戴すべきであるという御答申がありまして、それにのつとりまして最低を七五と押えたのでございます。しかしながらその後の経過に徴しまして、七五で押えるということは理論的には正しいにいたしましても、現在の貨物等級あるいは運賃に対して、著しい影響を与える場合があるということにかんがみまして、農林省あるいは通産省とも具体的の物資につきまして、場合によりましては、この七五以下の指数になる場合も考えなければいけないのではないかというような方向で、今作業をいたしておる次第であります。従いまして指数的には下の方は六八から七五になり、また上の方は二五〇から二〇〇になりますが、先ほども申し上げますように指数的に上るもの下るもの、これらをプラス、マイナスいたしますと、全体としましては不増、不減に相なる次第でございます。なお申し遅れましたが、現在の等級の十二等級、これは軽量貨物に対して特にそういつた等級上の操作をいたしておるのでございますが、今回の改正におきましては、この等級とは別に減トン制度というのを設けまして、それぞれ小型、中型の貨車につてまして、具体的の物資について一トンなり二トンなり三トンなりを減トンすることによりまして、この等級上操作しております現在の制度の代替といたしました次第でございます。
  154. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 今いろいろ御説明になつたのですが、かりに十級、十一級が特別のものであつたから、ほんとうは九級なんだというのならば、八級が七五なんです。全部八級以上のものになるとすると従来の九級、十級、十一級は六八、六〇、五三というものの約一三・八%で、こういうものは七五以上の運賃になるにきまつておるのですから、それはそれだけでも増収になるのではないか
  155. 津田弘孝

    ○津田説明員 たびたび申し上げますように、下の方で上るものがありますと同時に、下る物資もある。上の方の等級あるいは中間の等級あるいは下の方でもございますが、そういつたものをあわせまして不減収、不増収ということでございます。
  156. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 それでは事務当局の方のお話はそれだけにいたしますが、運輸大臣並びに総裁にお尋ねいたします。ただいまの議論の中にありましたように、七五以下、特に八五以下というような指数になつているもの、これは農林漁業物資、いわゆる原始生産物なんです。しかもこれに携つておる人々は、非常に薄い国家の恩恵によつて苦しんでおる現状なんです。こういうものを全部高い運賃の方にたたき込んでしまつてつて行くということは、これは一体当を得たものであるかどうか、私は国鉄経営がずいぶん苦しいというお話は、なるほどこの間うち聞いておりますが、それならばもつと国民全体に負担させるようにして行かなければならぬのではないか。現在の等級は昭和五年ないし十五年に改訂せられまして、その間戦時、戦後の激動の中に、国民はこの運賃になじんで経済生活を営んで来ておるのです。それを一ぺんに直す。しかも今度その直した上に運賃値上げの一割がかぶさつて来る。先ほど木材の問題が出ましたが、かりに木材の問題を考えてみましても、今度直すことによつて一三%ないし一四%値が上るのです。その一四%の上に一割上ることになると、これは二六%以上も木材全体でかつがなければならないことになる。こういうように急激にその商品に負わせるという結果はどうなるか。どういう心境でこういうことをやられたかということを、私は責任者にお尋ねしておきたいと思います。
  157. 長崎惣之助

    長崎説明員 御説ごもつともでありますが、等級の改正の問題につきましては、去年の末の国会だつたと思いますが、早く等級を改正せよという声が非常に強かつたのであります。その間なかなか等級の改正ということはむずかしいものですから、いろいろ研究せられておつたようですが、もうそう遷延を許しませんので、この春に等級審議会というものを設けまして、各階層の方々の非常な御協力と御勉強を得まして、ようやく等級改正の目鼻がついて来ました。そこへ持つて来てたまたまこれが賃率引上げとぶつかり合つたのであります。従いましてこれがいろいろこんがらがつて考えられるおそれがありますので、御説のようなことが種々いわれるのじやないかと思います。しかしながら等級改正によります混乱をできるだけ起させないという建前はとらなければならぬと思つております。いかんせん御承知のよう国鉄経営がはなはだ苦しいので、実はこの等級改正のようなものは運賃を下げる際ならば非常にうまく行くのじやないかと思いますが、それを賃率を上げる際にやるものですから、まことにぐあいが悪い点があるのであります。はなはだしくぐあいの悪いものについては、私は十分に考慮しなければならぬと思つております。
  158. 石井光次郎

    石井国務大臣 賃金の等級は、国鉄総裁が全責任でやつておる線になつておりますけれども、しかし監督の立場から考えますと、これは長い間の研究の結果出た問題でありまして、大体私ども見ておりますと、いろいろ注意深くやられておるようでありますが、ただいま御質問のありましたような幾つかの問題に、もう少し気をつけてもらいたいというような点はなきにしもあらずであります。そういうような問題については、特に慎重に国鉄総裁において善処してもらうよう希望いたしておる次第であります。
  159. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 この収増の点について、もう少し申し上げておきたいと思います。今度の等級改正によつて最高運賃を引下げるというお話が先ほどありましたが、二五〇が二〇〇になつたというような高い賃率のものを引下げるということになると、たとえばトラツク輸送に対抗して増収をはかるということも一つのねらいではないか。そうするとそれによつて相当増収があるから、この鉄道運賃改正というものはそういう増収を見込んで考えられたものであろう。またその次に考えられることは、国は食糧の自給自足をしなければならぬということで、農林省では食糧の五箇年計画、千七百万石の食糧増産計画を立てておる。これは毎年増産されて行かなければならない。この食糧が増産されるとともに、輸送量は必ずふえて来る。また今日の自衛力の漸増という面からしても、相当輸送量がふえて来るということは必然であると思うのです。しからば従来の輸送の自然増量というものはどうなつておるかというと、あなた方のお示しになつた表によつても、昭和二十四年は一二%、二十五年は八%、二十六年は二〇%、平均一四%の輸送増になつておる。これにかてて加えて食糧の増産計画と、その他の輸送量増加するものを加えると、増収という点から見れば、運賃の一割値上げと等級の改正による増収の二つになつている。それを一つにできるのではないか、私はここがねらいなのです。今日の委員会は一割値上げの相談をしておられるようでありますが、等級改正による増収等を見合つて運賃の一制値上げを承認するかどうかということの腹をきめなければならない。今後の自然増収を見込んでやるならば、一割値上げしなくてもいい。何となれば、等級改正というものは不減、不増を原則としてやるという建前から見て、私はそういうふうに思うが、当局の御見解はどうでございますか。
  160. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま松浦委員お話の御趣旨は、鉄道の貨物輸送量がふえるのではないか、それによつて増収になるから一割値上げをやらなくてもいいのではないかということでございますが、実は二十八年度の予算につきましては、先ほど運輸省の方からお話がございましたように、まだ具体的なこまかい数字作業にまで入つておらないのでございます。二十七年度を平年度として換算いたしまして考えた場合に、輸送量はこのために特段にふえもしなければ減りもしないという前提で、年度当初に立てられました輸送トン数あるいは輸送トンキロによりましてやつておるのでございます。のみならず実際の傾向といたしましては、炭労ストの影響は別問題といたしましても、最近における国有鉄道の貨物の輸送トン数は、昨年度に比べまして相当程度減少いたしているような次第でございます。今松浦委員お話にございました増送によつて増収ができるのではないかという点につきましては、現実の鉄道の貨物輸送はむしろ減りつつある、昨年度に比べまして各月滅つているというのが実情でございます。  それからトラツク対抗云々のお話がございましたが、これは鉄物の貨物輸送制度が戦争中あるいは戦後の輸送逼迫時代に、物を送れというよう輸送量第一主義をとりましたのと、それから何分にも職員が未熟であつたために、従業員の取扱いの簡素化という面から申しまして、こまかい行き届いたサービス本位の制度になつていなかつたのでございます。従つて新しい事態の要請に応じまして、またお示しのございましたように、対抗運輸機関との競争にも鋭くさらされているというような現実の事態に即応いたしまして、貨物の運送制度の面におきましては、今回の運賃値上げに伴いまして、従前荷主あるいは各産業から御要望のありましたようサービス本位の制度をできるだけ取入れたのでございます。これによりまして従来トラツクに転移しておりましたところの貨物が、できるだけ鉄道にもどつて参るということを非常に希望いたしておるのでございますが、はたしてどのように参りまするか、前途のことでありまするし、明確に申し上げることはできません。
  161. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 こつちでそう言つても、あなたの方はそうでないとおつしやるのですが、二十六年までは漸増はお認めになるでしよう
  162. 津田弘孝

    ○津田説明員 さようです。
  163. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 今減つておるのは、長いストで石炭は減つておるのだし、それは話になりませんよ。そんなものは非常時のものであつて、少くとも平常時のことを考えなければならない。そういうことを言つて言いのがれをしないで真剣に考えられたら、これは漸増なんですよ。漸増となればなるほど、コスト一ぱいに輸送しておるからもうけにならない。でありますから増収にならないということは言えるでしよう。しかしながら等級改正によつて従来よりも、はなはだしいのは造林物資の中の苗木のごときは七割五分上るのですよ。木炭のごときは四割、たばねたまきは六割上るのですよ。ここの議論は国民全部にわからぬですけれども、ほんとうにゆゆしい問題ですよ。まきや炭や、造林しなければならないと大騒ぎしておる日本の苗木の輸送が、六割も上るということになつてはたいへんです。現行のものと上つた率との間の増収は、まるきりそのまま黒字になつてつて来るということを私は指摘しておる。ですからこの点については私は、運賃改正によつて増収を伏せておる、その上に一割を要求しておる、こう見る。私の与えられた時間がだんだんに減りますから、一緒に答弁してもらうようにもう少し申し上げます。  それから公共性の問題であります。先ほど特定の産業については公共性を十分考慮してやつたと、玉置委員質問に対してお答えなつた。公共性というものは、公共性を多分に含んでいる営業状態において見なければならない。しかるに木材その他林産物が、従来公共性なり、政策的なものが加味されておつたにかかわらず、今度は全然公共性を無視されて、従来八五であつたものが九五になつておるということなんです。これについて私は少し申し上げてみたい。なぜ木材というものの公共性をとつたかということなんです。公共性がないかどうかということです。この木材というものは、木材そのものにも公共性があるが、こんな一ぺんに二割六分も運賃が上ることになるならば、今日の経済状態として消費者の購買力がなく、消費者は負担することはできない。そうすると木材業者はどうするかというと、必然的に山にはね返つて行くのです。立木価格が安くなる。政府が山の荒廃をおそれて造林の経費に対して国家補助をしておるのに、今日のよう運賃の等級改正によつて政府の方の造林補助が一万四千円だとするならば、今度二割六分運賃が上ることによつて森林にはね返る損失は、計算すると一万九千円になる。それではまるきり矛盾があるじやないですか。一方農林省の方は、治山治水、国土保全についていろいろ心配してやつておるのですが、その国費を運輸当局が吸い上げて行く。こういうことで一体国家経綸が行われるかどうか。私はこの点につきましては特に石井さんにお聞きしたい。お互いに国家を守ろうとしておる。今日本の国が山が赤くなつたらどうなる。しかも馬の背中のようなところに八千万住んでおるようなものだ。少くとも森林緑化によつてすべての産業、すべての文化が成り立つておる。民族生活が成り立つておる。だからして国は造林費を半額補助することになつている。しかしせつかく国が助成しても、この緑化しようという目的以外に運賃を払わなければならぬことになつたならば、一体森林の保全ができるかどうか。公共性なんてあまり高度に認めるものではない、鉄道経営の方が大事だと言われるが、国家の前途とどちらが大事か、私はこれについて運輸大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  164. 津田弘孝

    ○津田説明員 大臣からお話のございます前に、私からちよつと事務当局として申し上げておきたいと思うのでございます。先ほど来お話になりました中にいろいろ数字が出て参るのでございますが、私どもが農林省あるいは通産省と打合せをして、数字等についてお互いに了解をいたしておりますところとは若干、場合によつては著しく異なつております。従つてどのような資料に基いてごらんになつておるかわかりませんが、私どもの計算によりますと、先ほどおあげになりましたたとえば原木につきましても、現在の指数が八五でございまして、それが今日の等級改正によりまして八八になり、三だけ指数が値上りするということに相なるわけであります。もちろんこれに別途に一〇%の値上りがあるわけでございますから一三%ということになるのでございますが、これについて、私の聞き違いかもしれませんが、先ほど二六%というよう数字をおつしやつたように聞くのであります。私の方の計算によりますと八五が八八になるということでございます。但し八五が八八になるのでも、とにかく上るのではないかということは確かにそうでございますが、これにつきましては、木材の国家経済上に持つところの地位、性格から申しまして、農林省とも目下打合せいたしつつございます。  ただここで一言蛇足でございますが、つけ加えさせていただきたいことは、従来もあらゆる物資につきまして、公共性のゆえをもちまして等級を下げろ、運賃を安くしろという御要望が、実はあまりにも多いのであります。またいろいろな経済物資が鉄道運賃に支配されているということを、前前から機会あるごとに申しげておつたのであります。そのよう関係からいたしまして、今回の等級の再編成をいたします場合にも、公共的な考慮から特に等級の引下げを行うべきもの、あるいは特別割引等級の中に入れるべきものといたしまして、等級審議会で御答申をいただきましたところによりますれば、消費物資として米、麦、小麦、生野菜、みそ、しようゆ、大衆鮮魚、薪炭等、一般日常生活に不可欠の程度が特に著しいものに限るというふうにうたわれておるのでございまして、木材の公共性につきましては何ら異論がございませんが、等級審議会の答申の中にはそれは省かれております。あるいは等の中に入つておるというお考え方かもしれませんが、そういうことになつております点を念のために申し上げておきます。
  165. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 大臣の答弁の前に、今の点でもう少しつけ加えて御返事を願いたいと思います。ただいま御指摘になつた物資は、なるほどそれは入つておりますね。ところが鉄鋼、マンガン、金属、硫化鉱というようなもの、特にマンガンというようなものはあとからお入れになつた。われわれの方の委員もまた農林省林野当局も、この公共性を認めさすことに最後まで食い下つておりますけれども、あなたの方で入れさせないのではないか。諮問機関は黙つて答えなかつたけれども、あなた方はそこに出て来て、これはいかぬ、これはいかぬといつて入れさせないのではないか、なぜそういうことをするかというのです。同じ公共性のあるものならば、従来認めておつたから認めてもよいのではないかということを私は言つている。しかもマンガンだとか鉄鋼だとかを入れている。マンガンのごときはあとから入れている。はなはだしいのは調味料のソースなんかもやはり公共性を認められている。ところが木材の方はなぜ認めなかつたかというと、とにかく木材はあなたの方の大貨物なんだ。それは石炭輸送に次ぐ大貨物なんだ。ほかのものは公共性を認めてサービスしても、収入に大した影響はない。品では公共性と言つておるが、営業を中心にして差別するものだから、大貨物は公共性があつても認めないということを言つたのでしよう。これが真相です。そこを私は運輸大臣に聞きたいのです。今まで長い間二十数年もこういうふうに認められて来た。しかも戦時中の激変の中においてもこれは認められて来た。特に先ほどアメリカのお話がありましたが、私も昨年アメリカに行きましたが、アメリカの鉄道を調べますと大貨物の割引制がある。特にイギリスのごときは木材については等級外に置いておる。それを従来の等級の計算をすれば二階級も上る。あなたは今そうおつしやつたけれども、これを実際に計算すると二割六分、あとで二割六分の計算をちやんとお示ししますが、そういうはね返りが山に行く。マンガンは掘つても、再生産しなくても鉱石はあるのです。木材は再生産しなければならない。民族生活はその森林によつて営まれておるのです。国家経綸の上から見て、大臣はこういうことを考えなければならない。なるほど大貨物だからこれらのサービスの中には入れなかつたというならば、一方農林省の政策の造林助成は一体どうなるか、同じ閣僚であられるのですから、国をどうするかということを考えてもらいたいと思う。
  166. 石井光次郎

    石井国務大臣 国の政治が一貫していろいろ考えられなければならぬということは、私も同感であります。今いろいろなものについてのお話がありましたが、先ほども申し上げましたように、また国鉄当局よりお答えがありましたように、目下いろいろな種類のものについて検討、打合せ中だと聞いております。それであなた方のお心持を十分入れて、国鉄当局が善処してくれると期待いたしております。
  167. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 農林大臣並びに農林当局からも、これについては相当強い要請があると思いますから、ただいまの御心境において善処されんことを要望します。それについてさしつかえございませんか。
  168. 石井光次郎

    石井国務大臣 農林大臣からお話がありましたら相談いたします。
  169. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 それではあと結論に入ります。今長崎さんは、はなはだしいものについては考慮すると答弁中に言われ、説明員は特定産業公共性は認めなければならないと前段に言われておる。これは速記録を調べればわかる。これらについて非常に不均衡と見られるようなものは減トンする、それによつて緩和したいという御答弁もあつた。それならば木材の減トンについて、今後どういう構想を持つておられますか、お聞きしておきたいと思います。
  170. 津田弘孝

    ○津田説明員 木材を初め種々の農村物資また通産物資につきまして、主務省といろいろ御相談をいたしておる点は、前々申し上げた通りであります。木材につきましても、農林物資として非常に重要な品目である。鉄道の輸送の上から申しましても非常に輸送量の多いものでございます。従いまして農林省との間のお話合いでも、最後まで残つておる種々の物資の中の一番大きいものと申し上げてよいものであります。これにつきましてはなお一層慎重に考慮いたしたいと思つております。ただいまお話のありました減トンにつきまして若干考えるというようなことにつきましても、相談に上つておる次第でございまして、減トンをするにつきましては、それぞれ一定の基準を設けて減トンしておりますので、その基準に合わないとぐあいが悪いのでございます。基準に合う限りにおきましては、減トンの方法につきましても十分研究をいたしたいと思います。
  171. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 減トンするといつても、形式だけの減トンではだめですよ。今伝えられておるところによりますと、全体を通じて七%しか減トンできぬとか言つておるが、あなた方が安過ぎるというところの現在の運賃でも、相当に減トンしてもらつているわけです。トキの二十五トンは二十トン、チキの二十五トンに二十トン、トキの三十トンまたは二十八トンに無蓋車ですが、二十トンにしております。チキの三十トンは二十五トンに、三十五トンは二十五トンにしております。この減トンが、今直した中において不均衡がある。特に農林物資は最後まで残されておつて大臣は今後農林省当局、林野庁当局と相談すると言われたが、木材業者の要望する点に直そうとするならば、これ以上の減トンをするのでなければ緩和にならない。減トンするからそれでいいだろうと言われても、今おつしやつておる七%くらいの減トンではだめなのだが、その見解はどうですか。
  172. 津田弘孝

    ○津田説明員 今まだ農林省と打合せ中でございますので、確たることを申し上げるわけには参らないのでございますが、大体現在の八五に対し八八というよう数字になつております。これを或いは減トンの方法により、あるいは従来ともやつておりまする下級木材に対する遠距離割引という方法によりまして調整したらどうかというふうに考えております。
  173. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 今言われている七%ぐらいの減トンではだめですよ。それは従来これだけ減トンしているから、それでどうにかやつて来たのだ。それは減トンしました、あのとき議会で減トンすると言いましたから七%減トンしましたでは、森林の荒廃を防ぐことはできないから私は言つておる。  そこで最後にひとつ長崎さんに答弁をしておいてもらいたい。総裁ははなはだしいものについては考慮する、大臣は閣議において農林大臣の言うことを十分考慮して国家の前途を危うくしないようにする、これは同じようなお考えなのですが、事務当局に言わせれば八八になつておるという。われわれは九五だと思つておるのですが、あるいは九二になるかもしれない。あなた方のおつしやるように八八に実際なるものとすれば、指数三だけです。それを減トン遠距離逓減において緩和する、こうおつしやつた。しかし、ただ抽象的な言葉で、はなはだしいのもについては考慮するということだけではいけない。実際に運賃が急激にかえられることは、国民経済に影響することは当然である。二十年も同じ形の中において国民経済生活を行つて来たものだから、苗木の六〇%だとか木炭の四〇%だとか、木材の二六%だとかいうものは耐え切れるものじやない。木材の二六%はあなた方の提出された材料によつて勘定にすれば大体一二%になるのですが、改正によつてその上に一割上るのだからちようど二六%になるのです。ここに私どもの計算した表がありますから、あとでお目にかけます。そういう激変するということは、あらゆる産業に影響するのです。国民生活全体は、二十何年間というものは現在の等級なやつて来たのだから、そこに国民生活が立てられておつた。これが二割六分も上るということになれば、どの家庭にも響いて来る。特にまきを六〇%上げるということは、この冬空を迎えて一束のまきすらも買うことのできない人々が、それだけ上ることによつてどういうことになるか。はなはだしいものを考慮するということは、具体的にどういう考慮をせられるか、お聞きしておきたい。
  174. 長崎惣之助

    長崎説明員 営業局長からたびたび申し上げましたように、これらのものについては主管官庁その他と協議中でございますので、これが進行し次第具体的に申し上げます。
  175. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 主管官庁の要求を十分くみ入れられまして、産業が総合的に発達するように考慮されんことを要望して、私の質問を打切ります。
  176. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次は永田良吉君。
  177. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私は午前中に議事進行について委員長にお願いしたのですが、どうも委員長少し御迷惑だつたようであります。朝の十時の開会がきようは十一時になつても始まらない。私が申し上げるのは、少し失礼かもしれませんが、時間を励行せぬと、当局の方も御迷惑ですから、われわれ議員としても時間を励行していただかぬとこのようになる。私はその理由からきようはもう御遠慮申し上げる。私は朝が早いから晩は早く休む。こんなに時間を遅らすことが、またあくる朝の出発の遅れる原因になる。老人の言うことはくどいが、どうか委員会としては時間だけはきちんと御励行願いたいと思う。それから十二時になつたらもう委員長はちやんと切つていただきたい。そうでないと、ずるずるべつたりになつて、われわれの借金延ばしと同じようになつて切りがない。やはり日本人はお互いに規律的生活をすることが、日本再建のために第一である。朝の一分間が一番大事である。これは平凡なようですが、時間を守ることが、日本の向上、進歩のため大事である。この委員会において時間を励行する意味からも、もう私の質問は御迷惑と思いますから、ごく簡単に要点だけを申し上げます。  先に数回いろいろな方から御質問があつたことで、私は重複しますから、一例だけ申し上げますが、北海道方面や遠隔の土地からの農産物、木炭、わらというようないろいろなものの輸送について、詳しい御質問があつたのです。私はそれと同じく日本の南のはて、今では大隅が最南端ですが、私は実際そこに住まつておる。これは大臣も御承知だと思うが、ここに松岡さんもいらつしやいます。かつて松岡さんのことて熱心な方が九箇年間も叫んで、雪害の問題でとうとう東北の開発問題が法律になつてあの地方は救われた。われわれの大隅方面はいつも申し上げます通り、風水害の多いところで、ことに火山灰のシラス土壌で、特殊土壌である。そういう関係でわれわれは祖先伝来、天災に困つて苦しい生活を続けて来ておる。ところがそれを開発するために、追放中に他の議員が苦心をして、ようやく南九州方面、特に私どもの大隅を中心として、特殊土壌の開発問題として今取上げられておる。これには大蔵省も運輸省も、各省の次官の方が委員になつておられる。鉄道総裁委員になつておりましようか。もし委員になつていらつしやらなければ、大事なことですか追加していただきたい。そういうよう関係から特殊土壌の関係で皆さん方から大蔵省に予算の御要求があれば、それはとらるべきもので、相当つて来ておると思う。こういう点から運輸大臣もあの地方の救済の面から見ても—私どもの大隅にはたくさんの木炭があり、終戦前後は非常に活発に中央市場にも飛び出しておつた。それが皆様方の運賃値上げによつて、最近は一大頓挫を来して、それこそ炭屋はみな開店休業で何にもできない。今度また値上げをされると、大隅の木炭とか木材は中央市場にはまつたく出ないと思う。そうなればせつかく大隅の特殊土壌開発を政府で取上げられても、一方では救うておいて一方では殺すことになります。こういう点からたとえば五千キロとか四千キロとかいう長距離に対しては、特に低廉に取扱うようにしていただいて、今炭鉱のストがあつたりかれこれしますから、大隅の木炭が東京の市場にも飛び出して来るようにしてもらいたい。鉄道の方は大隅からずつと関門をまわつて来るとずいぶん距離がある。これは交通の関係から言つて、ここには海運関係の方がいらつしやるかもしれないが、むしろ大隅の方面に築港していただいて、そこから船で持つて来ていただければなおよい。  今の運輸大臣は陸と海と空と三つ持つていらつしやる。この関係から特に私はこの間から申しておるのですが、日本の民間航空については戦争前は逓信大臣が持つてつた。あのころから日本の民間航空は問題にならなかつた。それが今度また発足する。委員長、どうですか、航空問題は明日で打ち切つて追加してできないのですか、お尋ねしておきます。
  178. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 まだ機会がありますから……。
  179. 永田良吉

    ○永田(良)委員 それではその方は今日は申し上げません。鉄道関係からだけ申し上げますが、今度の運賃値上げについても、あの地方にはわら細工もあり、木炭もありますから、北海道と同じようにあの地方の物資が中央にも運ばれるような方法をとつてもらいたいと思う。  なお大臣が来ていらつしやるから申し上げておきますが、デイーゼル・カーの件です。大隅半島には戦前にはデイーゼル・カーが走つてつた。それが終戦とともにやんでしまつた。今度鹿児島の管内では薩摩半島にそれを走らせておる。そして大隅にはそれをやめさせておる。こういう乱暴な行政があつたものではない。何ゆえに鉄道管理局は薩摩半島だけにやつたのですか。薩摩と大隅は二本の足です。一方をびつこにして歩けるはずはない。鹿児島の鉄道管理局がびつこ主義のことをやつておるが、私は現在のそういう不公正な措置を鉄道局がとられることに対しては、はなはだ不愉快です。中央の方から私の言うことがうそかほんとか、すつかりお調べになつて、すみやかに善処されたい。私は今度帰りますが、正月のお酒を飲むときには、ガソリン・カーがあそこを通つてもらわぬと、私は腹を切つて死ぬかどうかしないと選挙民に申訳ない。びつこにならぬようにしていただきたい。運輸大臣はわれわれが最も崇敬するまことに御熱心な方であります。今までのそういうびつこ政治を正しくやつていただきたい。  ここに伊東君もおられるが、今度あそこで鉄道の十九線が十三線になつて、六線滅びてしまつた。それがまくらを並べて南九州がはねられておる。運輸審議会とか建設審議会にはどういう人がなつておるか知らぬけれども、私は必ず中央の偉い方がなつていると思つて尊敬をいたします。そういうことまでなさつたことを決して悪くは言いませんが、しかしああいういなかは御承知ないだろうと思う。宮崎県の線路も、大隅の線路も、薩摩の線路も、三つとも戦死をしておるから、どうかこういうのは何とかあの地方の人々が失望せぬように、測量でもやつていただきたい。今のままでは十九線のうち十三線は喜ぶでしようが、あとの六線は泣く。人を泣かせるようなことは、今なさるものじやない。師走のもち米もないのだから、そういうへんぱなことをなさらないように、せつかく今日独立国になつたのだから、国民全般が喜ぶような態勢に持つてつていただきたい。それは皆様方の御考慮いかんによつてできることだと思う。どうか早くあそこにガソリン・カーを走らせてもらいたい。それが公正な行き方だと思う。また桜島と鹿児島との間は、今あそこで、ある町が町営で渡し船を走らせている。ところが、あそこまでは省営でバスが行つている。これは県か国かが当然その渡し船を経営しなければならない。ところがあの町はそれを負債の財源に充てている。こういうことは現代にはまことに、珍しい例です。一町がそれでもつて自治体の財源にしているというのは、それは無慈悲な、かわいそうな話だ。運輸省の方では、あなた方青森と函館間でもやつていらつしやるし、四国と中国も結んでおられるのです。その他、鉄道経営の船がたくさんある。関門トンネルが通つても、わざわざ門司、下関間はやつていらつしやるように、この桜島、鹿児島間は、たつた十五分で行けるのだから、熊本の管理局が鹿児島に出た以上、目の前にあるそのくらいのことは新しく目をつけて、存分に調査をしてやつていただきたいと思う。今度の新しい予算では、そんなことはわずかなものでできるのだから、もし御計画をなさつて、いいと思つたら、たつた十五分間で大隅、薩摩が渡れるところなんですから、一つの船ぐらいは渡していただけたらいいと思う。あれはどうも鹿児島の管理局の桜島に対する研究が足りないのだと思う。桜島の溶岩地帯を通り抜けて鹿児島に渡れば一番早い。あそこの国分、古江間は鉄道予定線となつているけれども、国分、古江間の交通量は少い。政治は現実を重んじなければならぬ。現在大隅半島の人は、垂水、牛根、福山、国分、加治木を経て鹿児島に入つているが、そうでなく、溶岩地帯を通過して行けるようにすれば、それが近道になつてだんだんよくなつて来る。もちろん国分に行く予定線は、距離の上においても、時間の上においても、将来つけてもらつた方がいいことはいいけれども、実際はとうてい無理だと思います。こういう点から、路線研究も相当考えていただきたいと思う。これはなお建設省との関係もありますし、あの省営バスとの非常に複雑な関係がありますから、相当御研究を賜わりまして、大隅地方の交通上の解決をしていただきたい、こう思つております。それから航空路も、鹿児島の民間航空はまだとても金がかかり、一年半はかかる。現在鹿屋には元海軍の飛行場がある。それを使えば鹿児島との陸上交通の差はたつた二時間しかない。それが両方使えるようになれば、民間航空としても相当大な飛行機を使わなければならぬでしよう。こういうふうに空の交通、海の交通、陸の交通、三つを総合して考えた場合に、従来十分に恵まれない大隅地方も、専門の皆様方があそこに行つて御研究を賜われば、私は新しく交通の上から恵まれると思つております。皆さんに対してたいへん御無理な御願いをしましたが、中央の交通関係の偉い方も、私の申も上げることがうそかほんとうか、そういう点を実地に御視察の上、どうかこのシラス地帯の大隅とか南九州方面の交通から第一にはかつていただきたい。交通が第一です。この大隅地方は、離れ島と同じような苦しい生活をしている。その点をお願い申し上げておきます。あまりくどく申し上げることは皆様に御迷惑と思いますから、ほかの点はまた他の機会に申し上げることにして、これで打切ります。これについて大臣から何か御答弁を賜われば幸いであります。
  180. 石井光次郎

    石井国務大臣 るる各問題についてお話を承りました。木炭の問題は、さつきから何度も出ておりますし、われわれの方もまだ研究中でございます。デイーゼル車の問題とか新路線の問題とか、そのほかいろいろな問題につきましては、地方の実情に即した善処を御要望だと思うのであります。私どもなおよく研究いたしまして、それぞれの機関で善処するようにいたしたいと思つております。
  181. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に松岡俊三
  182. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 先般、国鉄の性格の問題について木村政務次官にお尋ねいたしまして、この問題は大臣とよく相談の上御返事を承りたいということを申してあるのでございます。  もう一つは、山形県の問題であるが、あの小さな県において新潟、仙台、秋田の管理局が三つに分割してやつている。こういこうとでやれるかどうか、さしつかえないのかどうか。青森県には港湾があり、青函連絡があるから、あそこはあれでよろしい。秋田、岩手、宮城みなそれぞれ同様ですけれども、山形県だけがああいうぐあいになつていて、あれでやれるかどうかということをお尋ねしたところが、営業局長からは、それは自分が答弁できないから、総裁から御返事いたすということで今日に来ておるのであります。こんな小さな問題のようですけれども、私はなぜこのことを言うかといえば、われわれ国民はともに泣き、ともに苦しみ、ともに楽しむのでなければいけないと思う。今次の料金引上げに関して、給与ベースの問題は別といたしまして、その他のものは大部分が修理その他に使われることになるように承りますが、私は終戦後まる五年山にいて、久方ぶりに東京に出て参つたから、あるいは私の見聞がきわめて狭いのかもしれませんけれども、あまりに都市方面に対する設備はりつぱです。そして吹雪にさらされる東北の停車場をごらんになつたならばどういう感じを持つか。続いて建設の問題、さらにはデイーゼルが今度は非常に必要だといつて、昨日配付になつたこの地図、これを見てもわかるがごとく、ほんの目薬にしたいようなところしか東北六県には出ていない。こういうぐあいになつていて、ほんとうに国鉄総裁は実情をよくごらんになつていらつしやるかどうか。まだ就任以来長くはありませんからお忙しいこととは察しますけれども、私はこれを疑うのです。今申したことく、日本人全体がともに泣き、ともに楽しむということでなければいけないのに、いい方はいつでもいい。いわゆる正面者はばかを見る、おとなしい者は黙つておれば一向に恩恵を受けないというようなことになりはせぬかと思うのです。ですから私は国鉄総裁に今度の運賃値上げによつて得るところのその他の費用というものは、どういうあんばいに使われるか。前のようなぐあいに、これは私の見聞が狭いのかもしれぬけれども、東北方面と関南西方面との比較があまりにもひどい、実にひどい。こういうことを国鉄総裁としてどんなぐあいに考えていらつしやるか。その一つとして、ようやく米沢まで電化ができて板谷でくすぶつていたものがよくなつたけれども、それが三分されるようなぐあいになつている。あそこに急行が行きましても、ほんのわずかな恩恵を受けているくらいである、一たび東京から関西方面に旅行するものと、上野から行つて表日本と裏日本を比較したならば、その差があまりにひどいことはおわかりだろうと私は思うのです。この地図を見たばかりでさえもこの通りである。この点をよくお考えの上、小さな問題ですけれども、今の問題をこういうぐあいにしていいのかどうか。小さな千葉県一県でさえもがちやんとしたものを持つておる。そうしてあのような山形の方では、一郡だけで香川全県にほとんどひとしいぐらいのところさえもある。それが三分されているようなことでもつて国鉄の使命を果していると思うかどうか。これは一例をあげたにとどまるのでございますけれども、私がお尋ねするのは相当の覚悟を持つてお尋ねするのであります。御承知のごとく過去十年間、二十三年余の議会生活の半分をただ雪害問題のためにのみ過して来て法律に入れた私ですから、こういう問題はきわめて小さいようなすけれども、お尋ねするについてはよほどのお考えで御返事を願いたいと思うのです。国鉄を主宰するあなたとして、こういうぐあいにやつていていよろしいのかどうか、これをお尋ねする。
  183. 長崎惣之助

    長崎説明員 私が就任いたしまして一年ちよつとになりましたが、お説のようにやはり現業の第一線を詳細に見ておくことは、きわめて重要な点であります。従いましてしよつちゆう出て現場の実際を見ることに努めたいのでありまするが、何分時間もございませんのでできないでおります。参りましたのは北海道、東北地方、北陸関西の一部、中国、それから山陰道—四国、九州はまだ参つていないのであります。東北方面も主要幹線が主でありまして、ローカル線にあまり参つておりません。しかしながら一部を見れば大体わかるのでありまするが、お説の通り地方線はまだまだ設備も悪く、サービスもきわめてよくないということはよく承知しております。従いまして今後におきましては、地方線の三等旅客の輸送、貨物の輸送ということに十分重点を置いて行きたい。それにはデイー・ゼルカーでありますとか、いろいろなものをつくつてその経営に当りたいと思つて、計画を立てております。  なお局の管轄区域というような問題が現地に残されておることも承知しております。しかしながら行政区画と私の方の局の管轄とを完全に一致させるのがいいの悪いのか、いろいろ考えさせられる点がございます。しかしお説のよう考え方も十分尊重しなければならないことでありますので、でき得る限り行政区画とわれわれの方の鉄道の管理区域というようなものを、一致させるような方向に研究を進めて参りたいと思います。
  184. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 この三分されておることについては、知事初め全県民がその不便のはなはだしいことを痛感してやつておることですから、今日まで相当お耳に入つておることと思うのであります。ただいまのようなぐあいに行政区画も相当考慮に入れてやれば、あそこの問題は一つにせんければならぬはずです。それがあんなふうになつておるのですから、これは十分御研究の上に御善処を願いたいのであります。  もう一つは、ただいま私聞き漏らしたようでありますが、今度の値上げによつて得るところの金を、鉄道の地図を見ても、どこを見てもまた審議会の審議のありさまをよく読んでみましても、ほんとうに東北の実情を知つている人がこれを述べていないように思うのです。私は残念ですけれども、ほんとうに東北の実情を知らない者が多く入つておる。今度は私が出て来たのですが、雪害問題に十年かかつて雪害の二字を入れた私が、あの雪害問題を唱えるまでには、鉄道の寒冷手当その他がちつともなかつた。あれから出たのです。また逓信省の方面においても、スキーなどは一つも入れなかつたが、私が言つてからみな入れられた。すべてが政治の更革に寄与するようなつたわけであります。それほどまでにひどかつた。ところが今度の建設審議会のありさまその他のことを見ましても、よく精読すればするほど、どうしてこんなふうに同じ日本人でありながら、一方は黙々としてやつているからそのままにうつちやつておく。—うつちやつておくとは言わないけれども、閑却された。片方強いものはやられる。私が雪害問題を唱えたときなんぞは、東北六県中でも宮城県の南部、福島県の浜通り、中通りはちつとも耳をかしてくれなかつた。北陸のごときは新潟県を除いた三県、その他一つも関知しておらない。幾ら呼んでも、幾ら叫んでも聞かなかつた。それがようやく今度積雪寒冷単作地帯になつて来ると、みな一ぺんにとつてしまつておる。どうもああいうぐあいになると、そこにはなはだ残念なことが多い。この点においては、永田君が大隅の方を申されるけれども、私は共感するところが多いのです。あまりにも私はともに泣き、ともに苦しみ、ともに楽しむというような思いやりのない政治が、はなはだ残念でたまらない。私はこれを生命として来たのですから、今度はとてもこれは許されないことなので、私は相当の覚悟をもつてお尋ねする次第でございます。それについて、給与ベースの問題は別といたしまして、その他の題政は論議すこぶる多いのでございます。これらの問題について、政府をとるとどの政党といえども難儀をするのは当然でございますが、反対をしているときにはいくらものを言つてもいいということは、われわれ長い議員生活でよく知つているのです。やれないことは私は言いはしませんけれども、アメリカのような実力のある、そうして知識の進歩した人人がやつておるものを、占領中に強権でもつてしいられたかのように思う今日の国鉄の組織については、再検討の必要があると思うのです。これは大臣にこの間木村次官を通して述べておいたのでありますが、決してわれわれは元のような政治にしようとかなんとか言うのじやありませんけれども、ほんとうに国会を尊重するならば、国民の代表として大臣のごとく国会に出てからやればいいのです。国会にも出ないで、ほとんど国会を拘束するような、たとい法令がそういうぐあいにできておるかもしれぬけれども、そういうぐあいにして、無責任とは言わないが、国家の選良として出て来ない者の言つたことが尊重されて、国会を拘束するようないろいろな会ができておるのです。これらのことをよく御研究なさつて、ほんとうに日本は日本らしい、日本の国情に適するように、アメリカのように実力あり、民知が発達した者のくふうしたものを、わが日本がいくら負けたからといつて、これもしいられた当時はしかたなくかえたのでありましようから、これを再検討することも必要だと思うのであります。私は給与ベースの問題については文句はありません。その他の問題について頭をしつかりこしらえる上に必要な条件になりまするから、この点についてどのようなぐあいに大臣がお考えになつていらつしやるか、御返事を賜わればたいへんありがたいと存じます。
  185. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいまお話のありました中で最後にお話なつた審議会と委員会の類につきましては、この間この委員会において田原代議士からも似たような御発言があつたと記憶いたしておりますが、私どもの運輸省関係におきましても、ずいぶんたくさんの委員会に類するものがあります。いろいろ政府各役所にそういうものがあつて、一度は執行権を持つよう委員会は一通り整理されたのであります。また諮問機関に属するものが各方面にたくさん置いてあります。私はこういうものがあることは、非常に各方面の意見を役所に反映することができてたいへんけつこうだと思います。しかし全部が全部その必要あるかどうかというような問題も考えられるのじやないか、これは十分検討しみたいと思うのであります。  それから新しい路線の問題のお話がありましたが、これは鉄道建設審議会があります。これは私どもの諮問機関として存在しているのでありますが、大体において法の精神からしまして、私どもその決定を尊重して動くということに今はなつておるのであります。これがなかなかむずかしい問題でありまして、各方面の人、国会の中においても各党各派、衆参両議員、経験者というように、非常に慎重な人選がやられて、その方々の集まりで論議せられておるのでありまするから、私はそこにへんぱなものがあるとは思いません。しかしただいまお話のありましたように、その実態が詳しくないために、そういうことであつたのかとあとで言うようなことがあり得るということは、今まででもあつたかもわからぬと思いますが、これは私は存じません。こういう問題につきまして幸い南の永田さん、北の方から松岡さんのような熱烈な方がおいでくださつて委員会の諸君にその意向が反映し、委員会が日本全体の必要度をよく研究して、審議会等町に反映せられるようになれば、ますますこの議会は生きるものだと考えているのでございます。  そこで根本の国鉄のあり方については、松岡さんは非常に御心配になつて、この間も御意見が出たということでありました。国鉄そのものが国から離れてまだ四年くらいであります。鉄道は八十年の歴史を持つておりまするが、国鉄としてはわずか四年であります。これがいろいろと能率を上げ、そうして公共の福祉を増進するという国有鉄道をこしらえました精神に基いて、国鉄当局は鋭意努力していると思うのでありまするが、今の国鉄そのものの規定について、先ごろもここでちよつと話が出たのでありますが、最近できました電電公社などに比べて、事務的に見てもまだ相当直すべきものがあり、根本的の考え方についても、いろいろな角度から見て意見を立てられるように思うのであります。私自身これをどういうふうに運んで行つたら最善の方法であるかという抜本的な問題については、まだ決心がついておりません。但し国鉄ができて四年、すべて組織というものができますと、三年、五年というものはなかなか思うようには動かないのが実情であります。今のままで改善して、どういうふうにするか、もう先はだめであろうかというような問題等について、十分な研究をいたすつもりであります。
  186. 松岡俊三

    松岡(俊)委員 非常に御懇切な御説明、私ありがたくつつしんで拝承いたしました。ただ今までは占領中に強要されたということ、あるいは私の見解が間違つておるかもしれません。けれども事実がそのように思うのであります。また国鉄法ができた当時と今日とでは、そこに開きもあることであります。いろいろの意味から日本の動脈である鉄道の問題を、抜本的に考究するにいい機会じやないかと私は思うのです。戦争によつてあの通り破壊され、ここに独立して、これからほんとうにやらなければならぬときに、これではたしていいかという抜本的な調査の歩を進めてやるべきじやないかと思うのであります。私はこれを大臣に特に希望する次第であります。そういうふうにいたしますれば、国鉄の今度の値上げの金をどう使うかというような問題も出て来るだろうし、償却がはたして必要かどうかというような問題も出て来るでありましよう。今度の値上げの問題も、それと関連してここで三割だけはどうしても値上げをしなければならぬということが前提になつている。しかも電力及び炭価はこれより安くなろうなどということはなかなか思いやれないので、高くこそなれ安くなることはなかろうと思う。そういう点から考えて、国有鉄道法が定められた当時の状況相当に研究の余地があろうかと思うのであります。ここに初めて鉄道に関する抜本的な施策を定めて行くいい機会じやないかと思います。  以上を申し上げて私は質問を終りますが、最後に、先ほど国鉄総裁に申し上げたように、今度の値上げによる金の使用の上において、ともに楽しみ、ともに苦しむということ、同じ日本人でありながら、片方には泣いている者があるという状況をとくと考えなければ、私はいずれかのときにはきわめておとなしい者が本気になつて出て来るようなぐあいになりはせぬかと思います。雪害というたつた二字を法律に入れるのに、私がただ一人で二十五万人の雪国一帯を全部わらじをはいてあんぎやして歩いて、十年かかつたのです。そして法律にこれが入つて、いよいよ効果が出るというときに、その雪国の人々が恩恵を受けるところが少いとは言いませんけれども、みんな持つて行かれて、鳥取、島根の方まで全部持つて行かれるような矛盾があるのです。しかしながらそこに議会政治があるのであつて、これは多数を得なければできないことです。私はそんやぼなことは申しませんけれども、せめて局に立つものはともに楽しみ、ともに苦しむというよう心持でやつていただいたならば、行政上の手心でこれらのことは納得させることができはせぬかと思うのです。そこのところを国鉄総裁として納得させるように、これはずいぶん苦しいことですけれども、私はそういうところに行かないとはなはだ危ういという憂慮のあまり申し上げている次第であります。決して過去の怠慢はどうだこうだと申し上げるのではないですから、この点は特に御了承をいただきたいと思います。政治の要諦はここにあるのじやないかと思います。どうぞ大臣には、いい機会に到着したかのように私は思いますから、ひとつ抜本的な御研究を願いたい。また国鉄総裁には、ほんとうに愛の政治の上から、維新以来八十年間、賊軍という名によつて北海道に一飛びされて手遅れになり、吹雪の中に泣いているあの東北というものを考えなければ、一たび東北の人間が本気になつたら、私は相当に心配じやないかと思うのでございます。どうぞこの点をお含みいただいて、私はきよう大臣及び総裁の御答弁に心から満足して、今後の御処置をお待ちするものであります。これで私の質問を終ります。
  187. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 次に伊東岩男君。
  188. 伊東岩男

    ○伊東委員 私は運賃問題に関連してお尋ねしたいと思つておりましたが、同僚松浦君から詳細につつ込んだ質問があり、お答えがあつたので、この点には触れません。ごくやさしい問題を簡単にお尋ねしておきたいと思いまするが、その前に、ただいま松岡先輩、永田先輩のお話を聞き、かつ丁寧親切なる大臣お答えを聞いておりまして、今日まで本会議においても委員会においても諤々たる大議論があつたのでありますが、きようお話を聞いてこれがほんとうの大政治論だと思いました。むしろ若い議員たちにこの先輩の言い分を聞かせてみたいような気がいたすのであります。かように申しますと、私も戦前派であまりして、何か戦前派の泣言のようでありますけれども……。  鉄道新設の問題でありますが、審議会の答申の模様では、十九線のうち十三線が答申されたということであります。私はきよう初めて委員会に来ましたので、その内容についてはわかりませんが、答申案の内容を資料として御配付願いたいと思います。私どもも以前から議会生活をいたしておりまするが、十九線のうち十三線が今度認められ、オミツトされたのが六線であります、しかし私どもの知つている範囲においては、このオミットされた六線こそきわめて重要な路線であり、これこそが新設選定基準にもがつちり合つた路線である。そしてこれが取残されたということになつているようであります。先ほど永田先輩からもお話になりましたように、鹿児島県においては二線オミットされ、宮崎県におきましては、南九州の総合開発上きわめて重要な内海線が除外されておるのであります。そこでお尋ねしたいことは、十三線はまず経費のかからないような線がうまく行つたものと想像いたしますし、また補正予算では五億でありますから、そう全部を建設するわけにも参らぬといたしましても、十三線が入つたことによつて、二十八年度の本予算に継続予算が計上されなければならぬということになつた場合に、またまたこの重要なる六線が除外されるということがありはしないかということを非常に心配しております。次の予算のことは御答弁が困難かもしれませんが、私は永田、松岡委員と同様、国家の前途に対して非常な憂いを持つておりますけれども、はたしてこの六線が二十八年度の予算には計上される確信があるかどうかということが一点、もう一つは、内海線は六線のうち建設順位と申しますか、重要性でありますが、一体何番日ごろに位置しておるものであるか、こういうような点について御答弁願えれば幸いであります。
  189. 植田純一

    植田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、この鉄道の新線建設につきましては、ただいま御指摘のように営業休止線の復活を含めまして十九線、本年度の補正予算をもつてできれば全部着工いたしたい、かようなつもりで補正予算の交渉にかかつたわけでありますが、御承知のような事情でありまして、全部を着手するということはとうてい無理である。かようなことでそのうちどの線を着工すべきか、これは運輸大臣といたしましては、諮問機関といたしまして鉄道建設審議会がございますので、この審議会に諮問しておつたわけであります。その諮問と申しますのは、「昭和二十七年四月二十八日付答申第三項十六線、及び同日付建議営業休止線三線のうち昭和二十七年度補正予算をもつて着手すべき路線の選定をいかにすべきか。」これが諮問でございます。これに対しまして十二月二日に答申があつたわけであります。ただいま御指摘のように「十三線を二十七年度補正予算をもつてただちに着手することを適当と認める。」こういうことになつております。ところが第二項におきまして、「残余の六線については昭和二十八年度において着手し得るよう予算措置を講ずることを適当と認める。」これは第二項に答申しております。それで問題は来年度の予算の問題になるわけでありますが、今日午前中でしたか、この問題についてちよつとお答えいたしましたように、現在のところ予算要求はいたしておりますが、二十八年度の予算としましては確たる見通しはついておりません。しかし今回の十三線並びにすでに本年度着工いたしておりますところの十一線がございます。来年にいわゆる継続工事といたしまして必要な経費が約百億円になるだろう、かように想像されるわけであります。来年度の鉄道建設といたしましては百二十億を要求しているわけであります。従いまして本年度着工いたしました線の継続はもちろん優先的になると思いますが、できますならば予算の要求を認めてもらつて、残余の六線につきましても答申にありますように、二十八年度において着工いたしたいと考えているわけであります。またこの六線の順位というお尋ねでありますが、現在のところ順位につきましては考えておりませんと申しますか、何とも申し上げられないのであります。来年度の予算によりまして六線全部着工いたしたいと考えておりますが、万が一予算その他の関係におきまして、六線全部着工できないというような場合におきましては、あらため運輸大臣としては建設審議会の意見によりましてきめることになろうかと考えております。
  190. 伊東岩男

    ○伊東委員 継続工事費が百億いるといたしますと、今お話によると、百二十六億くらい来年度に予算がとれたならば六線とも着手し得る、こういうぐあいに承知してよろしゆうございますか。
  191. 植田純一

    植田政府委員 そのつもりで予算を要求しております。
  192. 伊東岩男

    ○伊東委員 どうでございましようか、あなたたちの要求額がいよいよ認められる見通しがありますか、ありませんか。
  193. 植田純一

    植田政府委員 そう、いう意図のもとに要求しておりますが、目下のところこれにつきましてはまだ見通しが全然つきかねております。
  194. 伊東岩男

    ○伊東委員 われわれ及ばずながらその点については骨折りもいたしますので、どうか当局としては真剣に自信を持つて御主張、御要求を願いたいと思います。今度五億円で十三線を認められて、その線名及び各線の五億円の予算分配額等について、資料としてひとつお出しを願いたいと思うのであります。どうか新線については全力を注いでいただくことを希望いたしまして私の質問を打切ります。
  195. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これにて本案にす対る質疑は終了いしたました。明日午前十時半より開会することといたし、本日はこれはて散会いたします。     午後五時三十七分散会