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1952-12-09 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 關谷 勝利君 理事 佐伯 宗義君    理事 田原 春次君 理事 正木  清君       岡田 五郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    中野 武雄君       永田 良吉君    松岡 俊三君       臼井 莊一君    河本 敏夫君       熊本 虎三君    竹谷源太郎君       楯 兼次郎君    松原喜之次君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸政務次官  木村 公平君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君  委員外出席者         議     員 重政 誠之君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  津田 弘孝君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一五号)     ―――――――――――――
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。通告がありまするので、これを許します。關谷勝利君。
  3. 關谷勝利

    關谷委員 運賃法の一部改正で、二、三点簡単にお尋ねをいたしたいと存じます。まずお尋ねをいたしたいのは、今回の運賃値上げでありますが、この運賃値上げは、大体いわゆる物件費人件費石炭とか電力料、あるいは人件費高騰赤字補填というふうな筋合いからの値上げであります。大体運賃値上げをいたしまするのに、サービス改善を忘れた運賃値上げというふうなものは、あるべきものではないのであります。今回のはそういうふうな物件費人件費高騰によります赤字を埋め合わすだけの運賃値上げ、こういうふうなことになつておるので、何と申しまするか、今度の運賃値上げは暫定的なものである、こういうふうなことで、ただちに明年度あたりまた運賃値上げが来るのではないか、こういうふうな気持がするのでありますが、この運賃値上げを決定せられます際の考え方が、そういうふうな暫定的な値上げであるのかどうか。これで現在のような経済の横ばいの状態が続くということであつた場合には、このままで推し進めて行くというふうなお考えであるのかどうか。その点まず第一番に伺つておきたいと思います。
  4. 石井光次郎

    石井国務大臣 きのうの説明に申し上げましたように、国鉄の方としては三割ぐらい値上げをさせて喜もらいたい、そうすればいろいろな仕事の上にも非常に敏速にやつて行けるものもたくさんあるというようなことの希望がありましたけれども、いろいろな情勢考えまして一割にとどめたのであります。一割にとどめたということは、今度の国鉄のベース・アップの金額にも少し足りない程度ではないかと思うくらいでありますので、来年は運賃収入もいろいろなことでふえる、数も旅客その他荷物の運送の収益の増額になるとも考えまして、それで来年はつじつまが合うという見込みでやつておるのでございます。来年になりまして何か特別な問題でも起らない限り値上げをする心持ちは持つていないのでございます。
  5. 關谷勝利

    關谷委員 それで大体の暫定措置ではないかというよう気持を持つてつたのですが、これでやつて行けるというよう考えようであります。そういたしますと、国鉄はまず三割くらいの値上げがほしい、私たちはちよつと概算いたしてみまして、大体この三割値上げというふうなのが適当であるというふうに考えておつたのでありますが、一割というふうなことにして、そうして償却不足荒廃施設の取替の資金については別途措置によるということが書いてあるのでありますが、この別途措置ということについて詳細な資金見通しとか、あるいは大蔵省その他との話合いもありましようし、いろいろこれについては計画等もあるのでありましようが、どういうふうな計画を、何箇年間にどういうふうな資金によつてまかなうかということを詳細に、これは専門的でありますので、ひとつ国有鉄道部長から……。
  6. 細田吉藏

    細田政府委員 別途措置によると申しますのは、先般の閣議におきまして、おおむね一割の値上げという線がきまりました際に、運輸大臣からの御発言で、別途償却不足あるいは荒廃施設復旧につきましては措置ようということに相なりましたのを受けて、さよう考えておるわけでございます。  具体的に申し上げてみますと、本年度国有鉄道工事経費が約四百十七億でございます。今回の補正におきまして御承知の通りただいま国会に提案されております政府原案では、さらに二十億を借入金によつて追加をいたす。十五億が電化、五億が新線建設ということになつておるのでございますが、合せまして四百三十七億ということになつておるわけでございます。これにつきまして来年度二十八年度は、国有鉄道といたしましては新線建設を含めまして――新線建設が百二十億でございますが、これを含めまして千二百億という工事経費を一応要求いたしておるのでございます。このうち自己資金によりますものは約三百二十億でありまして、その残余は借入金、また建設線の百二十億につきましては、政府出資ということで国有鉄道並びに運輸省といたしましては要求いたしておるのでございます。千二百億の工事経費、これは本年度の四百三十億に対して三倍に近い数字でございまして、非常に大きいのでございますが、いろいろ計算をいたしますとそのようなことになるのであります。これでは予算の全体のわくからいたしまして非常にむずかしいというお話大蔵省からございまして、ただいまのところでは借入れ最大限度四百億お借りしたい。こういたしますと、先ほどの自己資金償却分と合せまして、工事経費七百二十数億になるのでございます。最小限度ぎりぎりのところ四百億お借りしたい。しかもこれは国有鉄道といたしましては、建設線を別にいたしまして四百億という線で実は折衝をいたしておるのでございます。大蔵省の方におきましても、本年度はさきの四百十七億と申しましたが、そのうち借入金は百十億でございます。それに今回の二十億をプラスいたしまして百三十億を借りておるわけでございますが、これに対しまして、ただいまの線では最小限度建設線を別にいたしまして四百億ということに相なつておるわけでございます。大蔵省事務当局といたしましては、これについでどこまで現実に出し得るかということにつきまして、いろいろ御研究を願つているところでございます。二上八年度予算折衝は、補正予算が先になりました関係で、ただいまその程度まで進行いたしておりまして、これが幾らになりますか、二十七年度予算程度では困るわけなのでありまして、この点につきまして、増額については大蔵省としても考えておるようでございますが、どの程度におちつきますか、その点につきましてはただいま折衝中であります。
  7. 關谷勝利

    關谷委員 今のお話を聞いておりますと、まことに無定見きわまる値上げであるといわなければならぬような結果になつて来るのでありますが、明年度だけの資金計画についても、まだ折衝中であつて見通しがついていない。それを別途措置によるということでたな上げをしておいて、一割だけの値上げで、赤字だけを単に埋めるその場限りの、私が最初申し上げた暫定的な値上げであるということは間違いないということになるわけでありますが、将来の計画というものが国鉄にはなければならぬ。たとえば現在の荒廃施設復旧するのに一千八百万かかる。これは十箇年間でやつて、二十箇年に償却するという意味計画あたりが、みなこの中から除かれておるというふうなことになるのではないか、こういうふうに考えられますが、来年さえ見通しがつかぬというようなことになつてきますと、またそれから後のいろいろ――恒久対策緊急対策と二つあるわけでありましようが、恒久的な対策については何の見通しもない。そして今度だけは運賃の一割値上げでその場をのがれておるのだ、こういうふうなことになつて来るのであります。そういうことならば将来の見通しもつけて、これを復旧するには何ぼいるのだ、そうしてこれを何年間にやるのだから、値上げをこれだけやつて行くのだ、こういうことにならなければならぬのでありますが、特別なことのない限りはといいますが、すでにはや特別なことを――そういうふうないわゆるサービス改善といいますか、最も安全ということを考えなければならないのでありまして、腐朽箇所、荒廃している箇所が非常に多いので、そのために非常にみなが不安にかられておることは間違いないのであります。以前この委員会におきましても、そういうふうな施設改善するための値上であるならば、野党の共産党も、その際共産党諸君がおつたときでさえ、それらの人々でもこれに同意をするのだ、こういうふうな話もあつたくらいでありまして、みな非常にこの現在の荒廃施設復旧する、そして国鉄というものを安全なものであるというふうなことにしなければならぬということを、絶えずこの委員会でも言われておつたのでありまするが、そういうふうなことについてのはつきりした見通し一つもついていない、こういうことになつておるのでありまするが、それでもやはりこれが明年度あたりにも、特別なことのない限りはこの値上げのままで行くのだというふうなこと、まことに私はつじつまが合わぬと思うのでありまするが、これでもし来年の資金計画が十分つかないというふうなことになつて来ると、ただちにまた値上げをせんならぬ、こういうふうなことになると私は思うのであります。この荒廃施設をやる上において四百億を要求しておるが、これもまだ十分見通しがついておらないというふうなことでありますが、運賃の一割値上げをする際には、大臣は将来のその計画というふうなことについての資金計画というものははつきりして、そして計画というものの見通しをつけなければならぬと用うのでありますが、この点大臣には、そういうふうな年々の計画について、資金獲得するだけの自信がおありかどうか、この点大臣から承つておきたいと思います。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 ごもつともであります。来年度仕事をやつて行く上においての資金計画について、この間運賃値上げに関連して御相談いたしたのでありますが、この一割値上げということは、鉄道自体だけから申しますれば三割も上げたいし、少くとも二割くらい上げたいというよう心持も私にもあつたのであります。いろいろ国物価の上に及ぼす影響、みなの国民生活に及ぼします心持問題等もいろいろありまして、結局この際は一割、そのかわりにいろいろ老朽施設をを直すというような問題にいる費用等については、別にひとつ相談してやつて行こうじやないかということで、私どもは結局あるいはそういうことになる――相談はいたしましたが、金額の上においてまだはつきり御相談する機会にまで至つていないのでありまするが、仕事が危険を及ぼすよう状態にあつても、ほつたらかしておくというふうなことはもちろんない程度の、必ずその老朽施設だんだん直して行くという線に沿つての動きは必ず私はやれる程度に話したい、その出した金額というのはかりにそういうふうな金額に上るもので、その通りでないかもわかりませんが、そのときはそのときの情勢、こういうことなればこういう程度までやる、これならば今年はこれまでやるという見きわめのつく程度のことは話合いをして行くつもりでございます。
  9. 關谷勝利

    關谷委員 先ほど国有鉄道部長お話のあつた最低借入金四百億で、新線は別で合計七百二十億なければならぬ、こういうふうなことは、その安全性を保持する上においての最低費用であろうと思いますが、そういたしますると、この数字をもつて大蔵省に突き当らなければならぬ、こういうことになつて来るのであります。大臣大蔵大臣打合せをして、そうしてそういう話合いができておる。そのことが事務当局に徹底しておるかどうかということが大きな疑問になつて来るわけでありまするが、これは事務的に折衝する以前に、大臣との話合い最低限度のものは出そう、安全をとうとぶ上の荒廃施設復旧最低費用を出そう、こういうことになつておるのなら、また事務的にそういうふうな折衝方法があると思うのであります。こういうふうな金高が大体どの程度というふうなことでの大蔵大臣とのお打合せができておるのかどうか、大臣にもう一回承つておきたい。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 その書類はあとで案を渡しておきました。それはまだ運輸省からのラフな数字であるが、大体こういうふうにいるよう計算なつておるということを説明いたしましたが、その前に私と大蔵大臣の間には今申したような話をしておつて、その書きつけも渡してあります。
  11. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、そのラフな説明というその金高が、この荒廃施設復旧その他を含めての工事経費というものが、新線を除いて七百二十億、この程度のもので、大蔵大臣の方にそれが提出せられておるのかどうか、もう一回承つておきたい。
  12. 石井光次郎

    石井国務大臣 書類は今国鉄部長から申し上げました四百億の借入れが必要だ、新線は別であるということが書いてあるものを私の方から渡しました。それにつきまして大蔵大臣は、これはこの通り出すとも出さぬともまだもちろん言うておりません。
  13. 關谷勝利

    關谷委員 そうしますとこの別途措置というものは、まことにあぶない話で、危ういことになつて来るのでありますが、事務当局あたりにおきまして、最低というておるその最低を確保することもできない、そうすると今度の運賃値上げというものは、ただその赤字の埋合せで、その場のがれのものであつて、そうしてそういうふうなことはあるいはできないことがあるかもわからぬというような、まことにあぶなげなと申しますか、たよりのないよう値上げなつて来るわけだと思うのでありますが、この点この新線建設を除いて四百億、これに対しまして大臣はこれを獲得するだけの自信があるかどうか、この点大臣に重ねて伺つておきたいと思います。
  14. 石井光次郎

    石井国務大臣 今の金額でなければ絶対いかぬかどうか、私まだ十分研究を深くしておりませんが、私はその目安はつけて折衝しております。なおこれにつきましては、これから先の実際折衝の問題になることでありますので、老朽施設その他の仕事目安を立てているものがこわれないような線に予算獲得努力をいたします。
  15. 關谷勝利

    關谷委員 それ以上は押問答になりますから申し上げませんが、この委員会だけの答弁ですぐに忘れるようなことがないように、大臣が最後までこの金高獲得が必ず実現するように、御尽力のほどをお願いたしたいと存じます。  次に国有鉄道部長お尋ねをいたしたいのでありますが、これは来年だけのことを今十分お話があつたのでありますが、国鉄といたしましてはこの恒久対策といいますか、現在の荒廃施設復旧恒久対策ができているかどうか。すべて総合的に何年間の計画でどういうふうな計画をして、そうしてこういうよう荒廃施設復旧して行く、そういうことにつきましては新線計画資金がどうであるとか、復興計画がどういうふうになつているとか、あるいはそれに対して運賃というものはどういうふうに考えている、運賃を上げずしてやるよう資金政策でやるのか、あるいは運賃によるのか、すべて総合的な恒久対策緊急対策と両方できているだろうと思うのでありますが、新線建設荒廃施設復旧、そういうことに関連をいたしましての運賃政策とのにらみ合せというようなことで、一応御説明を願います、
  16. 細田吉藏

    細田政府委員 お答えいたします。国有鉄道といたしましてはただいま御指摘になりましたよう荒廃施設復旧、そのほかいろいろ新しい改良の問題も実はあるのであります。たとえば通勤関係、東京、大阪付近で非常に混雑する、これに対しても対策を立てなければならぬ。国として石炭の増産、これにも対策を立てなければならぬ。いろいろございますが、これらを総合いたしまして五箇年間にわたりまして長期計画を立てております。国有鉄道のこの計画実施をいたしますためには、先ほど大臣お話もございましたが、三割程度値上げがどうしても必要なのでございます。しかし各般事情から運賃面における三割値上げということができないという状況に相なつたのでございますが、この点につきましては別途措置することでその別途資金獲得につきましては、政府として考えようということに相なつているわけでございます。この問題はもう間もなく来年度の本予算政府案が、折衝から決定に至ると思うのでありますが、これは一つの試金石に相なるかと私ども考えているわけであります。その結果によりましては、先ほど最近四百億という線を申し上げましたが、これがどうなるかということによりましては、国有鉄道長期計画考え直して行くということになるのではなかろうかと考えているわけでございます。非常に大ざつばなお答えの仕方で不十分かと思いますけれども……。
  17. 關谷勝利

    關谷委員 今の長期五箇年計画が立ててあると、こういうふうなお話でありますが、これは今詳しく説明ということになりますとまた時間が長くなると思いますので、概略のものでけつこうでありまするが、長期計画がどのようなものであるか、プリントにでもして御提示を願いたい。
  18. 細田吉藏

    細田政府委員 国有鉄道長期計画につきましては、資料はできておるのでございます。残部がどういうことになつておりますか、至急に提出いたしたいと思います。
  19. 關谷勝利

    關谷委員 それから先ほど国有鉄道もただいま諸般の事情で、こういうふうなお話でございます。それから大臣物価関係あるいは国民生活に及ぼす影響、そういうふうなことでありまするが、もちろんそれは国民生活に及ぼす影響も大きいのでありますが、いつも運賃値上の際にこれが問題になるのでありますが、いろいろ議論しおりますると、すべての大衆政策と申しますか、そういうふうな一般大衆に対しまずる政策、あるいは物価の面というふなものが、すべてが運賃しわ寄せをせられるというのが、これがいつもの常例になつております。そのために適当な値上げができない。そうしていつも低い値上げをいたしておりますために、国有鉄道がいつまでも復旧もできない、一般の要請にこたえることもできない、こういうふうなことになつておるように思うのでありますが、この点はほかの産業あたりにおきましても、いろいろそういうふうな公共性というふうなことは考えられておるのでありまするが、あまりにもしわ寄せが過ぎるというふうなことで、私たちいつも考えておるのであります。この点、国有鉄道というものがもう少し説明の仕方が足らないというふうなことが、その原因になつておるのではないのかというふうに考えられるのでありまするが、もう少しサービス改善するというふうなところへ重点を置いて、そうしてそれに伴う値上げがやむを得ないのだというふうなことを徹底さすというふうな方法がいつも足りない、こういうふうに考えておるのでありますが、将来もやはり今までのようなことでやるならば、運賃値上げの際にいつも国鉄運賃値上げは十分にできないというふうな結果に陥るのではないかというふうに考えられるのでありますが、もう少し説明上手と申しますか、徹底させなければならぬというふうな事柄は、十分にこれは何らかの方法によつてみんなに納得の行くよう方法を講じていただきたい。これは希望でありまするが、ちよつと申し上げておきます。  なおこの運賃改訂の中にでありますが、「各般経営合理化につとめた結果、」その次に「各部門ともおおむね戦前水準に達した」というておるのでありますが、この「おおむね戦前水準に達した」という意味は、どういうふうな意味であるのか、これは戦前と比較いたしまして、すべての施設等改善をせられておるというふうな意味合いであるのかどうか、いわゆる償却不足とか、荒廃施設の取替というふうなものは含まれてないので、そういうふうな「おおむね戦前水準に達した」、こういうふうに書かれておるのかどうか、それをひとつお伺いしておきたい。
  20. 細田吉藏

    細田政府委員 おおむね戦前水準に達したという言い方は、非常に誤解を招きやすい言い方であろうかと考えます。一例をとつてみまして、旅客列車の混雑の状況は、戦前水準であるかというような問題になりますと、これは問題にならないのでございますが、私どもがそう言つておりますのは、言葉が足りなくて恐縮でございますが、先日お手元に差上げました国有鉄道運賃改訂資料のうちの三十二ページをごらん願いたいと思います。これは非常に大ざつぱな言い方で恐縮でございますが、端的に申し上げますと、この表についてそういうふうな一言をもつて表現いたしておるわけでございます。まず職員について考えますと、昭和十一年は二十二万八千人でございます。これに対しまして現在四十四万二千人、これは二十六年度末の数字でございます。これは指数は一九四になつておるわけでございます。列車運転キロの一万キロ当りの人員にいたしますと、指数は一七六でございます。輸送量の百万人トンキロ当り従業員の数からいたしますと、七四ということになつております。送つております人トンキロの割合からいたしますと、従事員の数は昭和十一年よりもさらに減つている。列車運転キロに比較いたしますとふえている。これは労働基準法でございますとか、いろいろな関係もあるわけでございまして、これは仲裁裁定理由書にも書いてあるところでございますが、労働生産性というものにつきましては、少くとも戦前状態に近い状態であると仲裁裁定にもこういうふうに書いているのでございますが、おうむねさよう考えてよろしいのじやなかろうかと考えております。  石炭消費量でございますが、これは昭和十一年には三百五十万トン、今日五百六十万トンを消費いたしております。これは換算客貨車百キロ当りにつきまして、一〇〇に対して一〇三ということになつております。これは石炭消費節約国有鉄道といたしましては大きなモットーにいたしまして、従事員諸君の御努力を願つているわけでございますが、近年の数字をごらん願いますと、炭質の問題ももちろんございますが、終戦直後において一六四といつたよう数字が、昭和十一年に対して一〇三まで下つている。  貨車運用効率でございますが、これは昭和十一年三七%でありましたものが二八・二%まで下つて参つております。これは一〇〇に対して七六でございますが、これまた通運業者その他の深夜作業とか夜間作業とかいうようなものが、今日の状況では戦前と非常に違つておりますので、そういつた点を差引きますと、この二八・二というパーセンテージは決して戦前に劣るものではないと、われわれは判断をいたしているわけでございます。これを修正いたしました貨車運用効率、そういつたいろいろな事情考え運用効率におきましては、一〇〇に対して一一 ○ということになつているわけでございます。  それからもう一つ資料といたしまして休車率をとつているのでございますが、蒸気機関車体重率戦前におきましては八・一%でございました。これが二十六年度においては八%まで、これは工場の諸君あるいは機関士諸君がいろいろ骨を折つてくれているわけでございますが、これが八%になつている。電気機関車につきましては一三・二であつたものが十一年の数字がかりに悪いといたしましても、ずつと最近の状況をごらん願えばいいと思うのでありますが八・八%、客車につきましては一〇・九、電車につきましては一一・三、貨車につきましては二八、こういつたようなことでございます。そういう各般資料を私ども言つているのでございまして、言葉そのものとしては非常に誤解を招きやすいのでありますが、こういうことを言つているのでございます。
  21. 關谷勝利

    關谷委員 それで今の荒廃施設復旧等が含まれている、それが水準に達したということではないということははつきりとわかつたわけでありますが、先ほどからの御質問をまたむし返すようでありますが、資金計画の四百億というものかできなければ、国鉄長期計画いうものはこれを変更しなければならぬ、こういうふうな先ほどの国有鉄道部長お話であります。そういたしますと、この四百億ができなかつたならば、その際には別途措置というものが完全にできないことになると、やむを得ずそれは運賃値上げによつてまかなわなければならぬ、こういうふうな結果が出て来ると思うのでありますが、この四百億ができなければ、今の最低計画を実施するために運賃値上げをする、こういうよう計画をせられようとするのか。あるいはまたその計画そのものを引延ばして五箇年か十箇年になる、こういうような結果になるのか。この点ちよつとお伺いしておきたいと思います。
  22. 細田吉藏

    細田政府委員 先ほど四百億というものを申し上げ、また長期計画を申し上げたのでございますが、現状を維持いたしまして安全の確保という点だけを考えますと、それほどの金はいらないのでございます。ただ前にもちよつと申し上げましたが、増大する通勤輸送に対処してどうするか、あるいは石炭の増産に対応して輸送力を増強しなければならない、こういつた差迫つた問題をいろいろ考慮いたしますとそういうことになる。あるいは電化を考えて行くというようなことも含まれておりますので、現在の荒廃施設の維持復旧という点だけで、こういう経費を組んでいるわけではございません。長期計画ももとよりそういつた今後の輸送力増強といつた面も考えているわけでございます。従いまして資金獲得の面におきまして、これがどうなるかということがはつきりいたしますれば、これをいかにいたすかという点につきましては今後十分に検討いたしまして、少くとも安全な輸送というものは絶対確保しなければならぬわけでございまして、これに最優先に金を使うということは申し上げるまでもございませんが、そのほかの面につきましていかにいたすか。たとえば電化を繰延べるかどうかといつたようなこと、あるいは東京の通勤輸送、これはビルディグがじやんじやんできまして非常に混雑を来しているわけでございますが、こういつたものをどういたすかというような点について、各般の検討を加えて行かなければならない。かようなことになるわけではないかと思つております。
  23. 關谷勝利

    關谷委員 先ほどのお話を私は最低ぎりぎりがその線であるというので、それなりに考えておりましたが、これもやはり政治的な、国有鉄道部長がそういうふうなほんとうの運転でなくして、政治的な意味であると考えているのかと思いますが、安全確保ならそれだけいらないというようなことでありますが、もちろん荒廃復旧のみが安全確保というのではないのでありまして、今言われたような混雑あたりに対してやる処置というようなことも、安全確保の一つ方法でありますので、そういうようなものを含めなければならぬことはもちろんでありますが、そういうようなほんとうに安全確保の意味から言つて、掛値のないところは四百億がどの程度でいいのか、この点をちよつと伺つておきたい。
  24. 細田吉藏

    細田政府委員 正確な数字につきましては、今持つておりませんので、これは非常に重大な問題でございますから、大ざつばには承知しておりますけれども資料政府委員室に持つて参つてありますので、持つて参りましてからお答えいたしたいと思います。
  25. 關谷勝利

    關谷委員 それからもう一つは定期乗車券の問題であります。これはいつの委員会の際にも問題になりながら、やはり大幅の割引率がそのまま適用される、これが国有鉄道のがんであるといわれているのでありますが、諸外国にもこれだけの割引率のものがないということは、一般に知れ渡つているのであります。その定期乗車券の割引率の問題でありますがこれについてはやはり将来ともこのような、たとい国有鉄道の独立採算制がどのようになろうとも、結局これは公共性の建前から割引率は存続するというよう考えであるかどうか。すべての計画を立てられる上に、この定期乗車券の割引率の問題というようなことも、あるいは考えなければならぬ時期が来るのではないか。それともこの率だけは将来とも確保して、どうしてでもこの率でやつて行くのだ、運賃値上げの際にも、たといほかと引上率は同じであろうとも、割引の率そのものは不変のものでかえないのだ、こういうふうなお考えであるのかどうか、ちよつとお伺いしておきたいと思います。
  26. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま關谷先生よりお話がございましたところの、定期の運賃割引率が非常に高いという点でございますが、昨日も申し上げましたように、通勤定期におきましては六割から八割五分八厘の割引で、通学につきましては七割八分から九割二分二厘の割引をいたしておるのでございます。たとえば通学について申してみますと、六箇月の通学定期を買いました場合に、五十キロの地帯で普通の運賃が百十円でございますが、それに対して六箇月が二千九百六十円でございます。月二回二分乗ればもう定期の方が安いということになつておるわけでございます。輸送原価につきましては、客貨の配分あるいは定期と定期外の配分といろいろむずかしい問題がございますが、ただいま国有鉄道でいろいろくふうをして実施いたしております原価計算の方式によりますと、定期につきましては原価の方が二・四七倍でございます。こういう状況に相なつております。しかも最近定期が非常に増加をいたしておるのでございまして、昭和十一年におきましては定期が旅客全体の五六%でございました。四四%が定期外でございましたが、昭和二十六年度におきましては六一%が定期になりまして、定期外が三九%とつつたよう数字になつて参つておるのでございます。定期の増加率が非常に大きいということに相なつております。  なお昨日御説明を申上げました資料の二十三ページをごらん願いますと、収入がどれくらいなことになつておるかということが御理解願えると思います。二十三ページの増収の見込みという表を昨日御説明申し上げたのでございますが、鉄道だけをとつてみますと、現行収入、定期外におきまして六百六十八億、定期は百五十五億ということになつておるのでございます。この百五十五億が実に半分以上の人数を運んでおる定期の運賃なつておるわけでございます。こういつた見地から考えますと、定期の割引率は非常に高過ぎる。何とかこれをかえなければいかぬのじやないか。戦前の割引率よりも現在はさらに割引率の方が高くなつている、定期が定期外に対して割安になつております。戦前の割引率程度に直すといたしまして、二十七億の増収になるということを仲裁裁定理由書は申しております。今回も少くとも戦前長い間実施いたしておりました定期の割引率程度に、割引率を下げるべきではないかといつたような議論もあつたのでございますが、何といたしましても定期券の値上げ影響するところ非常に大きいものでございますから、戦後、戦前よりも下つたということも、累次の運賃改正の際に、定期にはできるだけ影響を与えないようにといつたことから、そういつた考慮が払われて下つておるよう状況なのでございまして、こういう見地から今回は割引率そのものはすえ置きにいたしたということでございます。これにつきましては、原価から考えますとそういうことでございますし、また国鉄の経営というようなものから考えますと、どうしても考え直さなければいかぬのじやないかというようなことが考えられるわけでございますけれども、今回はすえ置きにいたした次第であります。ただそういう事情もございますので、昨日も御説明を申し上げましたように、今回は定期乗車券は五〇%以上の割引でなければいけないという法律になつているのでございますが、通勤、通学という定期のほかに、普通定期乗車券というものをつくりまして、この面から定期の割引率の改訂をいたしたい、かよう考えた次第でございまして、普通定期乗車券というものを設けましたのは、ただいま御質問になりました点を若干考えて、一歩でも前進いたしたいというようなことで考えようなわけでございます。
  27. 關谷勝利

    關谷委員 あとは小さい問題になつて来るのでありますが、そうすると通勤、通学以外の普通定期乗車券を利用する人員が、平年度においては、通勤、通学に比べて大体どの程度であるかという見通し、それを承りたいのが第一点、その次に、貨物運賃については遠距離逓減法がその計算の中に含まれておるのでありまするが、現在海運界の方からたびたび陳情を私たち受けるのであります。おそらく国有鉄道当局もその陳情を受けておられるだろうと思うのでありますが、この遠距離逓減をなくしてもらいたいというような海運界の要請があるのであります。これに対してどうしろと私は言うのではないのでありますが、これに対してはどういうふうなお考えを持つておられるかということ、これが第二点、次に第三点は、鉄道の合理化というのは、これを究極に突き詰めて行くと電化を完成せしめることでありますが、この電化が、大体主要幹線だけでもけつこうでありますが、完成をいたしました際には、運賃はどの程度が採算点になつて来るお見込みであるか、そういうふうな運賃関係が出て参りますると、この電化の完成の速度というようなものを決定する上に自然に参考になると思いますので、現在幹線と称せられておるものが全部電化が終つた際には、運賃が、現在のような経済状態においての計算でけつこうでございますが、どの程度なつて来るのか、その点を伺つておきたいのであります。
  28. 細田吉藏

    細田政府委員 前の二点につきましては、国有鉄道営業局長からお答えいたしたいと思います。なお電化が完成いたしましたら運賃はどういう形になるかということでございますが、この点につきましては資料をつくりましてお答えをしたいと考えております。
  29. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま關谷委員からお話のございましたまず第一点の、今回新設をいたしました普通定期乗車券の利用者は、大体どの程度見込まれるであろうかという点でございますが、この点につきましては先ほど国有鉄道部長からお話がございましたように、現在定期乗車券の利用者が数年前に比べまして非常な勢いでふえて来ております。その理由の一つといたしましては、もちろん通勤、通学の方々の数がふえたという点もございますが、その通勤、通学以外の目的に現在定期乗車券が使われておる。何と申しますか、濫用されておるというような傾きがございます。そこで通勤、通学以外の目的のために、常時鉄道を利用される方があるわけでありまして、そのいう方のために今回普通定期乗車券をつくつたわけでございます。その普通定期乗車券の利用者がどのくらいの数字に上るかということにつきまして、はつきりした推定の資料はないのでございますが、大体これをまつ先に利用するのは、現在もあるのでありますが、行商人の人たちがまず利用するのではないかというふうに考えております。その行商をする人たちの数を大体全国的に見てみますと、二十万近くあるのではないかというふうに見込んでおるわけであります。なお通勤、通学定期の利用者は大体一日に三百六十万ぐらい、それが現在の数字でございます。  それから第二点の貨物についての遠距離逓減制について御意見があつたのでございますが、国鉄は昔から、旅客につきましても同様でございますが、貨物につきましても遠距離逓減制をとつておるのでございます。今回の運賃改正につきましても、遠距離逓減制は引続きこれをとつて行きたい。その理由といたしましては、やはり日本の国が相当長細い、従つて遠距離間の物資の流通につきまして、その取引がしやすいように仕向けまするためには、やはりこの遺蹟離逓減率を引続き採用して行くべきだというような理由から、今回もそのようなふうにいたしておる次第でございます。
  30. 關谷勝利

    關谷委員 大体以上で私の質問を打切りたいと思うのでございますが、最後に、これは私の希望でありますが、いろいろべース・アップがどうというと、それが運賃値上げというふうなことにすぐになつて来る。荒廃施設あたりが十分に完全にでき得ないのに、運賃値上げが、物価指数から言えば非常に低いものであるにもかかわらず引上げができない、こういうふうなことになつておる。国鉄として一貫した行政というものができ得ないというのは、私はこの運賃値上げががんになつておるというふうに考えられるのでありまして、幾分とも余裕と申しまするか、それができれば、そういうようサービス改善、安全確保というような面にも振り向けられるし、なおまたいつも国鉄裁定というようなことで、とかく議論されているのでありますが、公共企業体というようなものは、そういうような給与というような面につきまして相当な待遇をしたからといつて一般の公務員とは違うのでありまするし、また能率増進の上にも役立つというようなことはよくわかつておるはずでありまするし、荒廃施設はどの程度というよう長期計画も立たないのではないのであつて、すぐ立つわけでありまするので、それが終つて来ますと、また次の計画に移らなければならぬというようなことは、これは常識でありますために、そういうふうなものを総合いたしまして、運賃政策というものは立て得られるのではないか。もちろん経済状態に大きな変革がある場合には、やむを得ぬにいたしましても、平常の場合におきましては、運賃政策というものは、先の見通しをつけたすべての恒久対策その他新線計画、そういうようなものとにらみ合せて立てられるべきだ、こういうよう考えられるのであります。今回の値上げというものは、これは来年度におきましても大体これで押し通すということでありますが、私は押し通せぬのではないかというよう見通しを持つております。これが実際に当るかどうか、具体的になつてみなければわかりませんが、私が言うようになるのがほんとうであろうと考えますが、将来運賃値上げの際には、こういうようなすべての計画を加味して、そうして国有鉄道といたしまして、安全確保その他サービスというような面が完全に行われるように、それらとにらみ合せての運賃値上げというものを考えてほしい、こういうことを希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  31. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 玉置君。
  32. 玉置信一

    ○玉置委員 国鉄運賃荒廃施設の改良であるとか、あるいはサービス改善、それから石炭及び電力料金の値上げ、さらにはまた従事員の給与ベースの確保というような点から見て、ある程度値上げをしなければならぬということについては、私はこれを了承するものでありますが、しかしながらこの改訂の内容を簡単に見ただけではありまするが、また運輸大臣の御説明等によりましても、一割程度値上げを余儀なくされるというお話がありましたが、実際問題としてこの等級その他の内容を拝見しますると、事実は四割ないしはなはだしきは大割にも引上げられる。従つて国民大衆の生活に重大な影響を与えるのでありまして、従つて私は以下二、三の点について、大臣並びに国鉄総裁にお伺いしたいのでありますが、先ほど關谷委員より運賃対策あるいは施策について、基本的な大きな問題についての御意見、御質疑がございましたので、私は前段申し上げました現実の三、三の問題にとどめてお側いするのであります。そこで私は等級の改正の調整、それから特別割引の実施、青函営業キロ数の是正を中心として、質問を続けて行きたいと思うのであります。  第一に等級の改正についてお伺いいたしますが、今風の改正は申すまでもなく国有鉄道運賃法第一条の規定によりまするところの一、公正妥当なものであること、二、原価を償うものであること、三、産業の発展に資すること、四、賃金及び物価の安定に寄与すること、これらの原則によつて、平均一割増収を目標として改正されるのであろうと思うのでありますが、この点についてまずお伺いしておきます。
  33. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいまお尋ね通りでありまして、そういう趣旨によつてきめたのでありますが、一割と申しますのは、国鉄の増収一割をねらつてきめたわけであります。
  34. 玉置信一

    ○玉置委員 そうしますと、国有鉄道運賃法の第一条の規定というものには全然触れないで、収入の一点のみ考慮されて改正するということにとられるわけですか。
  35. 石井光次郎

    石井国務大臣 第一条のこの線に沿いながら、一割の増収ということでやつておるわけであります。
  36. 玉置信一

    ○玉置委員 特に重天な問題といたしまして、産業の発展に資すること、生活必需物資の需給に寄与することに関しましては、等級改正上いかなる考慮が払われるか、具体的にその内容を承知いたしたいと思います。
  37. 細田吉藏

    細田政府委員 お答えをいたします前にちよつと申し上げておきたいと思うのでありますが、先ほど四割から六割上るものがあるというお話がございましたが、これはいかなるものであるか、私何でございますが、四割ないし六割と、いうものにつきましては、元の素案ではそういうものもございましたが、ただいままで等級をいろいろ調整いたしておるところでございますが、こういうものはまずないと言つてよろしいのじやないかと思います。ことに六割はないと思つております。  それからお答えをいたしたいと思いまするが、等級につきましては、昨日も一両日中に御説明を申し上げるということを申し上げたわけでございますが、国有鉄道の方から詳細に報告をいたすことに考えております。生活必需物資についてどう考えるかという点につきましては、十二等級のほかに特別の等級を、一から三まで三等級設けまして考慮をいたしたい、かよう考えておる次第でございます。具体的な問題につきましては、国有鉄道から等級の全般につきまして御説明を申し上げたい。かよう考えております。
  38. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいま国鉄部長さんから四割も六割も上ることはないということでございますが、私の方、の調査があるいは誤つておるかもしれませんが、まだ私は詳細に調査いたしておりませんので、御参考に申し上げておきますが、まず木炭について申し上げますと、木炭は御承知のように内地における日常不可欠の物資として相当たくさん北海道から移出されておるのでございますが、現行等級によりますれば、北海道における主産地たる浦幌から東京までの運賃は一トン千八百十九円、それが今回の改正案によりますと、かりに従来の等級の十級が、生活必需品として最下級の等級たる特三を適用されると仮定いたしますと、一トンにつきまして三千五百六十八円になるのであります。これは実に四割一分の値上げになるのであります。さらにまた雑穀についてみますと、これは大豆でありますが、北海道の雑穀は非常に全国的に移出されておりまして、われわれの日常の生活にはこれまた欠くべからざる物資であることは申すまでもないのでありますが、これは主産地であります帯広から大阪まで輸送するといたしますと、現行等級では一トンについて二千三百六十八円、改訂案によりますと、特別二級と仮定いたしまして一トンについて三千百四十六円でありまして、これは三割三分の値上げとなるのであります。さらにまた大衆魚について見ますれば、蛋白供給源としてこれまた欠くべからざる大衆食である魚類でありますが、道外移出入が八〇%を実は占めておるのであります。これを稚内より東京市場に輸送するといたしますと、現行等級では一トンについて二千七百五円であります。これが改訂案によりますと特別二級といたしましても――仮定でありますが、そういたしまして一トンについて三千五円であります。これは一割三分の値上げとなるのであります。さらにわら工品、これも申すまでもなく北海道におきましては、農林、水産用としては言うまでもありませんが、一般用として多量に使用されておることは御承知の通りである。最近の道内使用量は年間約二十二万トンであります。全国生産量の約一割を消費いたしておるのでありまして、その九割までは道外から移入することになつておるわけでございます。これをおもなる生産地でありまする富山より帯広に輸送することにいたしますと、現行等級では一トンについて二千百六十二円であります。改訂案にある五級と仮定いたしまして、一トンについて三千二百三十三円、実に五割の値上げとなりまして、これを最下等級の特別三級として仮定しますと、一トンについて二千三百七十八円となりまして、これでも一割の値上げとなるのであります。その他いろいろデータがございますが、時間を省略させていただきます。かくのごとき結果になるのでございますが、これはいかがなものでしようか。
  39. 津田弘孝

    ○津田説明員 国鉄営業局長でございますが、貨物等級の改正につきましては、非常に重大な問題でございますし、実は昭和五年以来二十年ぶりの改正でございますので、最も慎重を期しておるのであります。なかんずく国鉄の独善に陥らないために、またいろいろな産業関係にも重大な影響がございますので、各産業の団体の方々、あるいは物資官庁であるところの通産省、農林省の責任ある局長、部長、あるいは国会議員の一部の方にも御参加願いまして、貨物等級審議会という機関を国鉄総裁の諮問機関としてつくりまして、この大事業に着手したわけでございます。本年の春につくりまして、爾来何回も非常に慎重に熱心に御討議を願いました結果、まず等級を改正する上におきましての方針的なものをきめていただいたのでございます。それには、まず第一には貨物のそれぞれの物資の持つところの負担力、それは物の価格によつて表現されるわけでありますが、この負担力にまず一つの要素を置いて、その次にはそれぞれの物資が運ばれます場合に、輸送のコストが物によつてかわる場合もございます。ことに特別の貨車を使いますような場合には、コストが違うわけであります。そういつた輸送のコストの面を取入れるという点が第二点、それから第三番目には、公共的な考慮と申しますか、国の産業政策その他の政策の面から見まして、そういつた前に申し上げました負担力とか、あるいは価格とか、あるいは輸送コストというもの以外に、産業的な特別な国家として考慮を払わなければならない品物につきまして特別の考慮をする、大体この三つを要素といたしましてやるということに方針を御決定願いまして、その次にはこの要素をどのような振合いで組み合わして行くかということにつきましても、二次的に御答申をいただきまして、この定められたところの方針に従いまして、具体的に個々の物資につきまして当てはめてやつて行つたわけでございます。その結果ここに当てはめてやつてみました結果は、先ほど御指摘がございましたように、物によりましては平均一割値上げというのに対しまして、さらにそれを若干上まわつているよう値上げなつておるのもあるのでございます。これらは今までの等級がある程度今の状態から見ますと妥当でなかつた。従つて今までが非常に割安になつていたために、今回これをただいまお語いたしましたようなものさしによりまして、尺度によりまして当てはめてみた結果が、非常に割高になるというような結果を招来したものもあるわけでございます。これらにつきましては個々の物資、個々の産業といたしましては、非常に重大な関心を持つておられますので、私どもといたしましては、よく各産業の御意見も承つておりまするが、同時にまたどの産業あるいはどの業界におきましても、運賃が上るということにつきまして、賛成をされる向きはあまりないのであります。従いまして農林物資につきましては農林省、商工物資につきましては通産省の方に大体おまとめをいただきまして、現在一つの案を持つておるのであります。なお二、三の点につきまして、完全な了解という点にまで達しておらないものもございます。それらにつきましては、なお折衝を続けて参りたいというふうに考えておるのでございます。  なお先ほど關谷委員から公共性しわ寄せが、運賃の面において、あるいは鉄道の制度の面においてなされておることが、あまりに多過ぎるきらいがあるのではないかというような御趣旨の御発言があつたように思うのでございますが、まさに等級の問題にいたしましても、当該物資は国の産業上、国家的に非常に大事なものであるから、等級はこれを非常に低いところにすえ置くべきであるというような御議論が、どちらかと申しますれば非常に多過ぎるのでありまして、そこで等級審議会におきましては、公共的な考慮を払います物資につきまして、これを限定していただいたのでございます。その限定された物資は、米麦とか、それからみそ、しようゆというよう国民生活に不可欠の副食物でございますとか、あるいは薪炭でございますとか、その他数種のきわめて限られた物資に限定をしていただいたのであります。それ以外の物資につきましては、ある程度一割以上に値上りになつているようなものもある次第でございます。なお現状に対しまして、非常に運賃の値上りが著しいというような物資につきましては、若干の考慮は、あるいは運賃の、時期を限りました割引でございますとか、その他の方法をもつて調整して参りたいということは考えておる次第でございます。
  40. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいまの答弁によりますると、産業の発展に資する方面のものであるとか、いわゆる公共性というようなものを多分に考慮して、これを取上げて、運賃改正の基礎をつくつておるというように承つたのですが、しこうしてまた私の御指摘申し上げたことに対して、一割をいささか上まわるという程度言葉を使つた。これはいささかどころの話でなくて、数字の上にはつきりと四倍から五倍以上に上つておるのです。この現実の問題を、しからばどういうようにお考えになるか、前に申したように、この輸送の大宗をなす物資につきましては、二割ないし六割も上げるということになりますと、原始産業である農業とか水産業とかあるいは林業等の受ける影響はきわめて大きいのであります。それのみならず、特に遠路離輸送の場合の北海道、九州等にあつては、その影響を受ける大きさという度合いから行きまして、国民生活の上から、また国家経済安定の立場から、きわめて好ましからざる影響を受けるのでありますが、これに対して一体どういうふうにお考えになりますか。この点をお聞きしておきます。
  41. 津田弘孝

    ○津田説明員 先ほど公共性に基く特別な考慮を払うべきものとして、等級審議会で御決定を願いました物資を具体的に申し上げますると、一般社会生活上、日常不可決の消費物資、米麦、小麦粉、生野菜、みそ、しようゆ、大衆魚、魚の中でも大衆魚でございます。それから薪炭、これらが代表的なもので、これらを特別等級にせよ、こういうような結論でございます。先ほどおあげになりました中で、二、三の例について申し上げますると、先ほど木炭の例をおつしやつたように思うのであります。木炭の等級は現行が十級でございます。先ほど細田部長から申し上げましたように、現在十二等級がございますが、そのうちの十級でございます。今回の改正では、特別二級、この特別というのは、生活必需物資につきまして、特別の考慮を払うべきものとして、一、二、三という特別等級をつけておるのでございます。その特別等級の中のまん中の特別等級二級というのに当るのであります。これを指数的に見ますると、現在が六〇という指数に対しまして、改正は七〇ということに相なりまして、一・七%の値上げでございます。先ほど申し上げました負担力の点、価格の点から見ますると、改正の五級に当るのでありますが、生活必需物資という特別の考慮から、まきと同様の趣旨によりまして、特別等級の中に編入せられたのでございます。それからもう一つの例を申し上げたいと思うのであります。魚でございますが、魚介類の等級につきましては、魚を現在の等級の上では、上級魚、中級魚、下級魚という三種類にいたしておるのでございます。そのうちこの上級と中級の魚というものは、きわめて量的にも少いのでございまして、問題は大衆の食膳に供せられるところの下級魚の点が一番の問題だと思うのでございますが、その下級魚につきましては、やはりこの等級審議会の答申に基きまして、生活必需物資といたしまして、今回の等級では特別等級の一級ということにいたしております。指数的に申し上げますと、現在が八五で改正も八五でございますので、運賃値上げの一割は除きまして、指数的には変化はないというような結論でございます。こういつた公共的な物資、生活必需物資につきましては、今回の等級再編成につきましても、特段の考慮を払つたという点につきまして、御了解をいただけるのではないかというふうに考えております。
  42. 玉置信一

    ○玉置委員 今の御答弁で大分わかりましたが、等級改正から考えてみまして、七級品が八級品になりますと二割  一分、それから九級のものが十級品になりますと三割八分、最下級品であつた十一級品のものが十二級、あるいは特三級になりますと、実に六割の値上げになるのでありまして、これは非常な問題だと思うのですが、この点はいかがですか。
  43. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま等級の問題につきましてだんだんとお話ございましたが、今回の運賃改正法案の御審議をいただくにあたりまして、等級の問題というものは非常に重大でございまするし、また御関心を持たれる向きも非常に多いのではないかと思いますので、先ほど私が非常にざつと御説明申し上げましたようないきさつ、沿革だけではなしに、もつと根本的な理論的な問題から、それから等級審議会でどのような御決定が累次にわたつてあつたかというような問題につきまして、詳細に御説明を申し上げる機会を実は持たしていただきたいというふうに考えております。本日ただいまでもけつこうでございますが、もし御都合によりましては、本日時間をあらためまして、そういう機会を持たしていただきたいと思つております。なお等級の問題に関連いたしまして、やはり若干の物資につきましては、まだ最後的な決定を見ておらないものもあるのでございます。これらにつきましては、なお極力折衝なり研究を続けて参りたいというよう考えております。
  44. 玉置信一

    ○玉置委員 私はこの等級改正で非常に不可解に思うことは、上級品の運賃率が非常に低減されて、そうして蔬菜あるいは生活必需品等の輸送の大宗をなす物資、または産業の振興上あるいは生活上欠くべからざる物資について、極端に上昇していると思われるのです。これは地方産業にも重大な影響を及ぼすのでありますが、一体当局はどういうよう考えておられるのですか。
  45. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま営業局長からも説明があつたわけでございますが、等級の問題は、全体といたしましてわれわれ鉄道部におきましても非常にむずかしい問題でございまして、昭和五年に大改正をいたしまして以来、改正をいたしておりません。前回の運賃改正のときにも、等級について根本的に考え直す必要があるのではないかという御議論もございまして、先ほど説明のありましたような、等級審議会でいろいろやつおるわけでありまして、たいへん恐縮な申し上げ方で恐れ入るのでありますが、一応等級につきましては、ただいま営業局長からもお話がございましたように、最後的な決定を見ておらないものもございますので、一両日中に一応全貌につきまして御説明をいたしたいと思うのでありますが、ただいま御指摘になつておるような点もあると思います。これは率直に申しましてあるのでございまして、その点につきまして私どもこれをどう調整するかということで、今いろいろとやつておるところでございますので、たいへん恐縮でございますが、一応その案を国鉄の方から御説明をいたしまして、その上でいろいろ御審議願いたいと考えておるのでございます。
  46. 關谷勝利

    關谷委員 ちよつと関連して……。運賃値上げと等級の改正とがち)うど時を同じゆういたしておりますために、運賃値上げの率も含め、等級の関係も含めて何割というような議論が起きて来るわけであります。これもまたやむを得ぬ次第でありますが、運賃値上げと等級改正とはおのずから別個でありますので、この等級の改正につきましては、各奮ともいろいろ説明を聞きたいところであろうと思いまするので、まだ最後的な決定を見ておらないそうでありまするが、当局に早急にこれを決定していただいて、この等級改正の方法とか、あるいは従来はどのようなつておるか、なお物価に占める割合がどうであるか。こういうよう物価の中に占める運賃の割合というものが出て参りますると、おのずからそこに運賃が高い、安いということもはつきりして来るわけでありますので、この点は等級のあらゆる資料を早急に整えてもらつて、その上であらためて等級改正に対する質疑をする。こういうようなことで、現在は運賃値上げだけということにしてはどうかと思いますので、この点ちよつと御参考までに申し上げます。
  47. 玉置信一

    ○玉置委員 ただいま資料を提出して御説明をくださるということでありまするから、等級改正とこれを適用する物資、品目の関係等の資料を御提出願つて、御説明を願いたいと思います。  最後に、これはきわめて重要な問題でありますので、一点だけお伺いしてあとは次会に譲りますが、青函営業キロ数の四百五十キロは、実キロ数が百十三キロであるのにかかわらず、北海道、本州を一層引離しておることは御承知の通りです。これは国鉄の船舶のみに関する局部的独立採算制によることであろうと思うのですが、しからばはたして全国における各線の営業は黒字であるかどうか。たとえば多額の建設投資も行つてできた関門トンネルのごときは、多大の便宜を与えておりますが、これはプール制をとつておるのであります。利用者にとつて時間的に、あるいは労力的に不便のまま残されておりまする船舶連絡のみに、採算制が適用されておるということは、非常に不平等累加政策というと当てはまらないかもしれませんが、さよう考えるのであります。こういう点について一応どういうようにお考えなつておるか。
  48. 細田吉藏

    細田政府委員 私では非常に事務的な答弁しかできませんので、大臣がお越しになりましてから、さらに根本的な点の御答弁があるのじやないかと思うのですが、なぜ現在青函航路が四百五十キロということになつておるかという点について、一応御説明を申し上げたいと思います。ただいま玉置先生からもお話があつたのでございますが、航路につきましては、先ほどあ運賃法第一条を持ち出すわけではございませんが、原価といたしましてかなり上つておるのでございまして、これはたしか昭和十五年の改正だつたかと思うのでありますが、その前は三百四十というキロ程であつたのでございます。この二百四十というキロ程自身も、実キロに対しては擬制キロと相なつておつたのであります。これを四百五十キロに上げたわけでありますが、なぜ上げたかと申しますと、それまでは航路運賃を別に計算しておつたのでありますが、これを通算をいたします関係から、遠距離逓減の利益を受けるということになつたわけでございます。その通算をいたしますために、同じキロのままで通算をいたしますと、これは非常に値下げになるわけでございます。そういつた関係から、要するに運送原価の関係と全国通算をいたすということの関係で、現在四百五十キロに相なつておるようなわけでございます。なお先ほど關谷先生のお話もございましたが、青函間の運賃につきましては、民間の船舶との関係からいたしますと、なお安いのじやないかといつたような点もいろいろいわれておりますが、ただいままでのところでは、そういつた事情で四百五十キロになつておるわけでございます。なお採算の線区はどれくらいあるかということでございますが、国有鉄道も、これは原価計算方式にもよりますけれども、採算の合つておる線区は予想外に少いのでありまして、東海道、山陽、鹿児島本線、東北本線、常磐線というような数本の幹線で、一応現行の原価計算方式では黒字が出ておるのでございまして、残りの大半の線につきましては、線自体としては赤字が出ておるよう状態でございます。関門隧道につきましては、これは原価をどうこうということでやつておりません。上越も、たとえばループ・トンネルにいたしましても、これも非常にかかつた、あるいは丹那隧道の工事が非常にかかつたからといつてどうこうということでやつておりません。一ただ日常かかる費用が航路につきましては鉄道より高くついておりますので、ただいまのところではそういう形になつておるわけであります。
  49. 玉置信一

    ○玉置委員 まだ直接に運輸大臣、長崎国鉄総裁にお尋ねしなければならぬ問題が相当ありますので、爾後の質問を保留いたしまして、本日は私の質問を打切つておきます。
  50. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 一時半まで休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後二時十八分開議
  51. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 休憩前に引続き会議を開きます。徳安君。
  52. 徳安實藏

    徳安委員 きわめて簡単に二、三伺いたいと思いますが、今度運賃値上げによりまして、トラックとの関係において非常に微妙なものが生れると思います。今後鉄道としてトラックの活動範囲と国鉄の活動範囲、要するに輸送圏内の区わけはどういう御見当をお持ちになつておりますか、一応それを伺いたいと思います。
  53. 細田吉藏

    細田政府委員 お答えをいたします。トラックと鉄道の運送の分野をどういたすかということにつきましては、これはなかなかむずかしい問題でございまして、一般論としてはいろいろな説があるところでございますが、運賃との関連においてお答えを申し上げたいと思います。小品扱いの貨物運賃と積合せの自動車運賃との関係で申し上げてみますると、これは両者それぞれのカーブがあるわけでありますが、重量によりましていろいろ違つて参るわけであります。四十キログラムの貨物といたしまして百四十キロメートルのところ、それから五十キログラムにいたしますと七十キロメートルぐらいのところが、自動車と鉄道との分界点になつております。これよりも遠いところは鉄道が安いというような開きになつておりますが、このカーブにつきましては、後刻お手元へお届けいたしたいと思います。このカーブで見ていただく方がおわかりがいいと思います。運賃からいたしますと、こういうことでございます。  ただ昨日も御説明を申し上げましたが、自動車との関連はいろいろなところでこの改正にも織り込まれて参つております。たとえば小口扱い貨物の割増、割引というようなものを整理いたしましたことは、自動車運賃に鉄道運賃を近寄せた。自動車は御承知のようによほど特別なものでない限りは、品物別に値段が上つたり安かつたりいたさないわけでありますが、鉄道は在来そういう点を非常にこまかくわけておつたわけであります。これを面しましたような点は、自動車に近いことになつているということが大体言えるのではないかと思います。さらにキロの刻みを小さくいたしましたような点も、若干自動車に影響を及ぼす可能性があるのではなかろうかと考えております。重量、距離ともに小刻みにいたしましたのは、格別に自動車に影響を及ぼそうというよう気持でやつたわけではございませんが、今までの大ざつぱな運賃のとり方から合理的なものにかえたというのが趣旨でございますが、若干の影響が出て参るのじやなかろうかと考えております。
  54. 徳安實藏

    徳安委員 私の心配いたしますのは、トラックの方の営業が成り立つとか成り立たないとかいうものでなくて、国鉄の現在の貨物でトラックの方に転移して来るものがだんだんに多くなつて行くのじやなかろうかということと、それから現在営業自動車と自家用車が争つておるようでありますが、輸送秩序であるとかなんとかいう名目でいろいろなことをいわれおりますけれども、現在営業自動車より場所によりましては自家用車の方を三倍ぐらい持つておる場所がありますから、そういうものが相当に一般の荷物でも扱えるよう状態になりますと、国鉄に一大脅威を来すのではないかということを考えるのであります。従つてこの自動車対策というものは、トラックの方でも国鉄に対する対策がなければなりませんが、国鉄も将来トラック対策を輸送の方から大いに研究されて、まとまつた一つの道筋を民間にも示してもらつた方がいいのではないかと思うのであります。従つて今後における国鉄の輸送範囲、トラックの輸送範囲というものがもし明確にされるならば、そういう点も明確にしていただいて、そうして民間の企業と国鉄との輸送関係が、あまり大きな摩擦を起さないような賃率を定めることがいいのではないか、こう思つて質問したわけであります。
  55. 細田吉藏

    細田政府委員 ただいま小口扱い貨物について申し上げましたが、車扱いについてちよつと申し上げておきたいと思います。一トン当りの諸掛込みの運賃で比較いたしますと、車扱いにつきましては大体三十二キロくらいのところで自動車運賃と鉄道運賃とが接しております。これよりも近距離が自動車が安く、遠距離が鉄道が安いということは、最低運賃のすえ置きをいたしておりますので、その関係は現在と大体かわりがないということに相なつております。なおトラックと鉄道との関係につきましては、実は先ほどお話がございました等級の問題に非常に関連を持つておるのでございます。先ほど小口扱いについて申し上げましたと同じようなことでございますが、車扱いにつきましても、現行の最高運賃二五〇という指数を二〇〇まで下げております。ここで二〇〇とか二五〇とかいうのは、現行の五級を一〇〇といたしまして、最高が二五〇、現在の一級が三五〇でありますものを新等級の一級は二〇〇というふうに下げて、それでこの面におきましては鉄道の運賃がこういつた物資につきましては比較的安くなるという点がございまして、この点はトラックに対する競争という点、もちろん運送原価を中心とした運賃の立て方にしたので、そういうかつこうになつておるのですが、トラックに対する競争力は、こういう点では出て参るのではなかろうかと考えております。反面に下の方も大分上げておりまして、六八というものが現行の九級の最低なつておるわけですが、その下に減トン関係でさらに引いておるものがありますが、この六八を十二級で七五ということになつております。この関係では両者見合うわけでございますが、どちらかといいますと、最低のものは問題なく鉄道が安かつた。最高が安くなるということは、トラックとの競争力がむしろ出て参るような向きになつております。国の運輸政策として、トラックと鉄道との輸送分野を明確にして、それぞれの機関としての特性に合つた輸送をいたしまして、競争というよりも、むしろ競合の関係に置くということは、運輸政策の非常に大きな問題であろうと思います。われわれの方でもいろいろ議論はいたしておるのですが、まだそこまで明確に、これくらいのところはトラック、これくらいのところは鉄道といつたものを政策的に取上げるという段階にまで至つておらない点は、非常に遺憾でございますが、これも国の政策としては、考えて行かなければならないのではないかと存じております。
  56. 徳安實藏

    徳安委員 運賃値上げに対する問題と通運業者との関係でございますが、国鉄は将来通運業者との関係をどういうようにお考えなつておりますか。自分の出先機関あるいは培養機関あるいは細胞というよう考え方で育成される考えであるか、ただ取扱い業者として取扱つている程度で、いくらしぼつても甘味の出ないよう運賃政策をおとりになるというお考えであるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  57. 植田純一

    ○植田政府委員 通運業者に対する工作につきましてのお尋ねでございますが、実は自動車局長が御答弁申し上げる筋合いと考えます。ただ鉄道の運営におきまして、通運業者はどうしてもなくてはならぬ、必要があるということにつきましては私としてもまつたく同感でございます。なおその点につきまして直接業務上関係のある国鉄から御答弁願つたらどうか、かよう考えております。
  58. 徳安實藏

    徳安委員 御承知のように現在では非常に荷物がたくさんありますから、別に通運業者をかわいがる必要がないかもしれませんが、かつて昔は出荷誘致などで懸命に手足に使われた時代もありますが、また今後におきましてもトラックとの競争の関係から、あるいはそう遠からずして鉄道も悲鳴を上げる時代がなきにしもあらずだと思います。そういうときに通運業者がただ鉄道に荷物を託するものを扱うだけでなくて、進んで国鉄の培養機関となつて――過去の時代にはできるだけたくさんの荷物を国鉄に託するよう努力する機関であつたわけです。今後においてもそういうぐあいに育成されて行くべきがほんとうではないかと思う。ただ荷物がたくさんあつて断り切れないときには通運業者はどうでもいいのだ、荷物がなくなつて、どうしても国鉄の方の荷物をとられるときには、いろいろな政策をしてやらせるというようなやり方でなくて、一貫して育成されるような、助成されるよう方法をおとりになることが必要ではないかと思うのでありますが、ほのかに聞きますと、今度の運賃改正にあたりまして、これまで多少でも通運業者の方が技術的にやれば、あるいは努力いたしますれば、しぼれば甘味のあるよう方法が相当あつたのですけれども、これは全部もぎとられてしまつた。そして味もそつけもないよう運賃政策をとられるというようなことが盛んに伝えられておりますが、これはひとり日通だけではありません。ほかの通運業者もあると思うのです。言葉をかえて申しますと、減トンの関係であるとか、あるいは小品混載の関係であるとか、そうした問題に対しては相当に大きな脅威を与えておるようであります。ですから国鉄の方でも、あるいは運賃政策の方でも通運業者の方を育成助成されて行くというよう考え方、自分の出先機関として使つて行こうというようなお考え方があるといたしますならば、ただ荷物がたくさんある今日の場合だけをお考えなつて、そして通運業者が成り立たないような行き方でなくて、この赤字補填ために運賃を上げると同様に、やはり国に付属する通運業者従業員の待遇なども平均して上つて参ることになりますから、そういたしますとやはり通運業者の方も生きて行かれるようなぐあいなお考え方で、運賃政策を立てていただくことが必要ではないかというふうに考えるのであります。これは上の方よりか少し下の方の問題かもしれませんが、おつしやつてくださればわかると思います。通運業者の方では今相当問題にしているようであります。非常に苦心して研究しているようでありますから、多少努力いたしますれば味が出て、国鉄と協力し得るよう運賃政策を立てられるなら立てていただきたい、こう思います。おそらく何年かの後には必ず通運業者が一生懸命国鉄の手足になつて、荷物をかり集めなければならぬような時代が来るだろうと思います。そういうときのことをお考えくださつて、今からそうした問題については多少ゆとりのあるよう運賃政策をとつていただくことがよいではないか、かよう考えます。どうかそういう点につきまして御配慮をお願いいたしたいと思います。  それから今度の赤字補填の問題でありますが、運賃値上げということについては私どももうなずける点がございますけれども、ただこの赤字を埋めるための運賃値上げについて、国鉄自身の犠牲は一体どこにあるのか。国鉄自身としてこれ以上の犠牲はできないのだ、結局運賃値上げによつて国民から取上げるよりほかには方法がないのだというようにぎりぎり一ぱいになつているのか、あるいは国鉄もこれだけの犠牲を払い、こういう方法でやるのだから、国民の方でもこれだけの犠牲は払つてくれというような、納得の行く何かあるのですか。そういう点がございましたらひとつお聞かせを願いたいと思います。
  59. 植田純一

    ○植田政府委員 実は国鉄といたしましても、運賃値上げに際しましては、いろいろの面におきまして収入の増加をはかり、あるいは経営の合理化をはかつておるのでございます。たとえば雑収入におきましては、本年度補正予算におきまして十四億ばかりの増加を見込んでおります。これは不用品の売却、あるいは土地、物件の貸付料の値上げ、そういう雑収入の増加を見込んでおりますし、また経営費の場合におきましても、極力経費の節約に努めておるのでありまして、その点におきましても約十六億という経費の節約を支出の面において実施する見込みで、予算が組まれておるわけでございます。かようにいたしまして、運輸収入の面におきましても、実は本年度におきまして、五十七億見込んでおりますし、今申しました雑収入の増、あるいは支出の面におきまして経費の節約という点も相当考えておるのでございまするが、そのほか支出の面におきましていろいろの増加がございます。御承知のベース・アップの問題、あるいは炭価の値上げ、あるいは電力単価の値上り、また輸送量の増加に伴いますはね返りと申しますか、その半面の経費の増加、こういう点を見込みまして、差引収支のバランスにおきまして、おおむね一割程度の増収を見込んで、なおかつ本年度におきまして三十六億の借入れをしなければならぬ、かよう状態なつているのでございます。
  60. 細田吉藏

    細田政府委員 先ほどの通運業者との関係でございますが、まつたく御指摘の通り、もう日ならずと申しますか、今日でもそういう状況だと思いますが、通運業者の力で国有鉄道の荷物を確保しなければならぬような時代であろうと考えます。通運業者のために非常によくないと申しますか、不利な運賃制度ではないかというようお話に拝聴いたしたのでございますが、私どもとしてはそういうことで考えておるわけではないのであります。ただ通運の方で、あるいは御指摘になつているのと違うかもしれませんが、一番大きな問題になりますのは減トンでございます。ただいまでは減トンをやつておりません。貨車の容器トン数が原則としては運賃計算トン数になつておりますし、これが通運料金算定の基礎になつておるのでございます。これが減トンになりますので、実質的にこのままの認可運賃料金を適用いたしますと、相当大きな収入減になるわけでございます。現在の通運料金は全体としての通運業者の経営を考えてきまつておるのでありまして、そういつた点が鉄道のこの制度改正にようてだけ、非常に大きな収入減になるということでありますと、当然認可運賃制度の問題になつて参ります。この問題につきましては、ただいま自動車局におきまして通運料金をいかにすべきか。ことに減トンの点が最も大きいものでございますが、これを中心にいたしまして、そのほかの要素も考えておるわけでありますが、ただいまいろいろ準備をいたしております。その点はさようなつております。ほかの点につきましては、小品混載のお話もちよつとありましたが、小口扱いにつきましては、別段これの運賃につきましての修正はいたしておりません。ただトン扱いができたというようなことは、あるいは結果的には混載の仕立てが非常に困難だということにもあるいはなるかと思いますが、これはむしろ荷主の御要望にこたえるためにトン扱い制度をいたしたようなわけであります。特に通運業者に非常に不利を与えるというようなことについて改正をいたしたものはない考えでございます。
  61. 徳安實藏

    徳安委員 ただいまのお説明によりまして非常に安心したわけでございますが、どうかそのようなことをお考えいただきまして、この通運業者が本来の使命からトラック業者の方に肩がわりしてしまつて国鉄はどうでもいいのだというよう気持にならないように、運賃政策の上にも多少通運業者が成り立つて行くよう考え方で、しんしやくをしていただくようにお願いしたいと思います。  なお国鉄の犠牲においているく赤字補填の道が考えられていないかということについての御答弁を承りましたが、これは私ははつきりしたものを持つていてここに御質問するわけではございませんけれども国鉄のやられる仕事が、現在戦争中から戦争後におきまして、弘済会なりあるいは交通公社に関係したものその他について、何だか行過ぎがあるのじやないかというようなことも、世間でもうわさされているようでありますが、本来国鉄自身でやるべきことが他に移つてしまいましたり、あるいは国鉄自身でおやりになることが当然のものが、他の方に移つてしまつたりなどしておるのではないかというようなことがうわさされておるのでありますが、これはあまり掘り下げて申し上げられませんけれども、こういつたよう関係につきましても、国鉄の方で何かお考えなつておりますか、全然そういうことはお考えなつておりませんでしようか。
  62. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま徳安委員から国鉄経営合理化の問題に関連いたしまして、鉄道の外郭機関でございます弘済会の問題、あるいは交通公社等野の関係につきましてお話があつたのでございますが、鉄道の外郭機関は今お示しになりました以外にたくさんございますが、その中でもこの交通公社あるいは弘済会は最も大きなものであろうと思うのです。  まず第一の交通公社につきましては、乗車券の代売をさせておるのでありまして、その代売に対しまして、戦前よりはある程度低い代売の手数料を支払つておるのでございます。公社方面からはさらに手数料の戦前復活につきまして非常に強い要望もあるのでございますが、なお経営合理化でそれはある程度のめないかというようなことで、現在はまだそのままにしているのでございます。公社で売つております乗車券、鉄道で売つております乗車券、その間に何も乗車券を売るということにつきましてはかわりはないのでございますが、何と申しましても旅行に伴いましているくな宿泊の関係、あるいは遊覧の関係、その他船舶あるいは航空機との連絡の関係等々につ身まして、やはり鉄道の職員がやりますよりも、そういつたようなことについて熟練を積み、知識も持つております公社にやらした方が、ひつきようお客さんに対するサービスもいいというような方面につきまして、特に公社を使つている。かたがた普通の乗車券も交通公社で売らしているというようなわけであります。  弘済会につきましては、鉄道でやつてもいい仕事を弘済会にやらしておるというわけではございませんで、弘済会の設立のほんとうの趣旨は、鉄道の外郭機関といたしまして、鉄道の退職者その他職務上いろいろな負傷をこうむつたり、あるいはなくなりました遺族の方の救済、救護という点、職員の厚生福利というような点が主たるものでございます。その手段として各駅ごとに売店をやつたり、その他の事業をやつておるわけでございます。特に何か厚い特恵的なものを弘済会に与えておるというようなことは、交通公社の場合と同様にないわけであります。
  63. 徳安實藏

    徳安委員 お説の通り私もそうあることを望んでおりますし、そうなければならぬと思つておりますが、私は掘り下げては申し上げませんけれども、一例を申し上げますと、ガードの下あたりに対する権利なども、前は公務関係で貸したり取上げたりしておつたそうでありますが、戦争直後からか戦争中からかはわかりませんけれども、2にかくああしたものの権利も弘済会あたりに移されてしまつて、その間の権利の売買等について、いろいろ不愉仲なニュースを私どもしばしば聞くのであります。ああいう行き方は、弘済会の方も行き過ぎであるし、鉄道の方も譲り過ぎじやないか、こういう点に対してもう少し再検討を加えられて、明朗にされることが必要じやないかと考える。これもやはり国鉄を福建される一環のものとして、御検討を願いたいものだというふうに考えておるのでありますが、これ以上こういう問題については申しません。  今政務次官が見えましたから、一つ御質問いたしたいと思います。先日政務次官は国鉄のことはまだあまりわからぬので、わかつてからゆつくりということでございましたが、あまりわかつていただくとむしろやりにくいので、わからないぐらいのときに、ひとつ無理押しでも私ども気持をくんで、事務当局にやつていただくようにしていただきたい。ですからわからぬ先にどんどんやつていただくぐらいにお願いしたいと思います。  遺族の問題でありますが、昔は靖国神社に参りますのに、無賃あるいは割引等の制度があつたようでありますが、最近は全然それがなくなりました。大分時勢も変化して参りましたし、今後運輸省として、あるいは国鉄として、この遺家族等に対する靖国神社の参拝に対しましては、昔のようなお取扱いをしていただくようなお気持があるかどうかを承りたい。さらに遺児でありますが、各府県とも遺児を靖国神社に参拝させることについて、いろいろな計画を立てておるようであります。しかし予算等の関係で思うように行かないので苦しんでおるようでございますが、これらの点につきましても、一番の問題は汽車賃の問題であります。こういう県単位等によつて遺児の靖国神社参拝を行わせる場合に、無賃取扱いなどの恩典をお考えくださる御意思がありますか。これをひとつ政務次官から伺いたいと思います。
  64. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 大事なことは、わからない者が言質を与えるということは、結果において重大なることになることが往々ありますので、わからないことはわからないと申し上げざるを得ないのでありますが、ただいまの御質問はまつたく同感であります。ただそのようなことをいたしますことが、どの程度予算面に影響を与えるかという事務上のことにつきましては、なおまだ私よく研究もいたしておりませんので、そのこまかいことはひとつ事務当局より答弁をさせたいと思いますが、思想は、あなたのおつしやることはよくわかりますと同時に、私も相なるべくは、ひとり遺族の方々といわず、傷痍軍人の方々も含めて、汽車賃等は軽減ができればした方がよろしいと思うのでありますが、ただその予算面に与える影響等がまだ不明でありますので、その点はひとつ事務当局よりお聞取りを願いたいと思います。
  65. 津田弘孝

    ○津田説明員 靖国神社参拝の遺族に対する運賃割引の問題でありますが、ただいま政務次官から御答弁がございましたが、補足いたしまして申し上げたいと思います。戦前におきましては、靖国神社の大祭に新たに合祀される方の遺族には、鉄道運賃は五割引を実施いたした、あとの五割は政府でこれを負担いたす、国鉄は五割の運賃一般会計からもらうということで、数を限りまして無賃にいたしておつたわけでございます。今後これをいかがいたすかということが問題になるわけでございますが、実は本年の春に慰霊祭がございまして、全国から遺族の代表の方がおいでになりました。非常に厖大な数に遺族がなつておられるよう関係から、遺族の代表の方が御上京なさつた。その際に厚生省の方から私どもの方へ御相談がございまして、運賃割引をしてくれないかというお話があつた。それで運輸省国有鉄道と相談いたしまして、戦前ような五割引を実施いたそうかということに一度なつたのでございますが、厚生省の方からあとで今回は自分の方の予算でまかなうからよろしいという話で、ことしの春は実施をいたさないで、そのままで――もちろん遺族の方は無賃でお乗りになつたと申しますか、汽車賃が出たわけなんでございますけれども、そういうことでことしの春は実施いたしたわけでございます。今後につきましては、厚生省方面とも十分御相談をいたさなければならぬかと考えておるのであります。
  66. 徳安實藏

    徳安委員 政務次官並びに政府委員からお話を聞きまして非常に安心したわけでございますが、終戦直前までは前の制度で扱われておりましたが、終戦直後からというものは、いわゆる向うのお達しか何かによりまして、とにかくほとんどそうした制度ができなくて、みな金を払つて出て行くというようなことでございまして、その後の戦死者の数が非常にたくさんございますから、国鉄の方でもお困りだと思いますけれども、しかし一時に全部が合祀されて、一時に全部が参るわけじやございませんから、できますればこうたものは国民感情として、特別な御配慮を将来願いたいと思います。  次に傷痍軍人の問題ですが、先ほど政務次官からお話がちよつと出ましが、現在では身体障害者として扱われておる。そして百キロ以上のものに対して割引ができておるようでありますが、もちろん傷痍軍人と申しましても、小指が一本なくなつたとか、かすり傷をしたとかいような人々までも、汽車賃の割引をしてもらいたいという気持はわれわれもございません。しかし片足ないどか、片腕とられたとか、ほんとうに傷痍軍人の中でも、ある程度のわくの中に入る人々に対しましては、百キロというような大きなわくを除いていただいて、そしてもつと小刻みな程度においての特別な割引をしていただきたい。身体障害者というものからはずして、傷痍軍人の片腕ない、片足ないというような人には、特別な割引をしていただきたいというよう気持を持つているのですか、いかがでございましよう。鉄道の方ではそういうような点に対して御考慮願えないでしようか。
  67. 津田弘孝

    ○津田説明員 身体障害者に対する運賃の割引の問題に関しましては、前々からお話がございまして、国有鉄道運賃法の第五条の二「前三条の運賃は、政令の定める身体障害者で介護者を同行しなければ乗車又は乗船することの困難な者が介護者を同行する場合には、当該身体障害者及び介護者につきそれぞれ半額とする。」この法律に入りました際に、これはたしか去年に改正がございました際に、その運賃を割引する傷痍者の傷痍の程度でございますが、これにつきまして私こまかいことはちよつと今ここに記憶しておらないのでございますが、傷痍の程度が指が何本ないとか、足の関節以上がどうのこうのというような、非常に医学的ないろいろな標準があるのでございまして、それらの点につきまして厚生省とも非常に詳細に打合せをいたしました結果、昨年の改正によりまして、相当程度その範囲を広げたように記憶いたすのでござい出す。現在のところではこの程度でお願いして行つたらどうかというふうに考えております、なお御趣旨の点につきましては、運輸省、厚生省その他関係方面と十分にさらに研究を進めて参りたいというふうに考えます。
  68. 徳安實藏

    徳安委員 ただいまのお話は距離には関係がなく、そういうふうになつておりますか。
  69. 津田弘孝

    ○津田説明員 その点はキロの制限でございます。たしか百キロで制限をしておると思いますが、昨年の改正の際に、厚生省ともお打合せをいたしまして、近距離を身体障害者の方が旅行される機会が非常に多いわけでございますが、そういう場合に一々証明書をもらつて運賃の割引をするということも、非常に煩にたえないといつては語弊がございますけれども、そういつた手続きの問題と同時に、百キロ以内、東京から熱海ぐらいまでが百キロでございますが、その程度のところの旅行は運賃の全体額も少いからまあいいだろうというようなことで、たしか百キロの制限をつけたというふうに記憶いたしております。
  70. 徳安實藏

    徳安委員 私のお願いしたいのはそこなんです。身体障害者といいましてもたくさんの種類がございます。また傷痍軍人といいましてもピンからキリまでありますから、その者にことごとく適用するということは不可能でございましようけれども、身体障害者の中で特に旧軍人、しかもそれが片足ない、片腕ない、生活の困窮しておるような人々、おそらくそういう人は百キロ以上出るということは容易でない。たとえば鳥取におつて東京で大会でもあつて代表で行けと言われるような時分には、これは出て来ることはありますが、そのほかにはほとんど利用する価値がない。ですからまず自分の県内ぐらいは、そういうほんとうに大きな犠牲になられた人々ぐらいには、やはり割引してやつていただきたいものだ、またしてもほしい、こういう意味でありまして、そういう点についてひとつ特別に御検討を今後お願いしたいと思います。どうぞひとつお願いいたします。それでは私はこの程度で打切ります。
  71. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 松岡君。
  72. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 大臣はお見えになりますか。
  73. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 大臣はちよつと出ておりますが、政務次官が来ておりますから、政務次官に聞いていただきます。
  74. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 私の質問は根本的な問題に関するのですが、運輸省には大臣が二人いるというようなぐあいにいわれ、最も実力のある木村君がおられるのですから、世の中のうわさのごとく、木村君にしつかりとお聞きを願つて、あるいは私の質問に、この場合御返事が得られないようなことがありましたならば、大臣と御相談の上に、後日御返答をお願いしておきたいと思います。  私はしばらくぶりで国会に参つたのでありまするが、われわれが鉄道の予定線路を往年決定したのでありますが、この鉄道予定線路が当時着々として進みつつあつた際に、不幸にして国難に直面して、蹉趺せざるを得なくなつたのです。終戦後またくこの方面に力をいたす情勢がうかがわれるのでありますが、この線路図を一見しますと、国民の産業を進展せしむる上に、どこに重点を置いておるかということについて、国鉄の性格を私ははつきり御返事願いたいと思うのでございます。国鉄は営業主義によるものなのか、あるいは国鉄というものはそういうものじやなく、未開発のところを大いに開発せしむるようにするのが本務であるのか、どつちであるかという点であります。先般来各委員諸君からの御質問並びに当局の応答を、一日も欠かさず私は今日まで聞いておりましたが、残念ながらただ一つつておる問題がある。それはこの往年きめた予定線路が、政府はこんなものはもう必要がない、こういうことになつたかどうか。アメリカに占領されている時代は、一鉄道会社の課長くらいなものが指示したかのようにも伝えられて、わが日本の鉄道の状態が深刻に変化されておるのである、こういうあんばいになつていて、営業を主とするのが国鉄の使命か、未開発の開発にあるか、どつちか、先般来の質問応答を承りますれば、財源がないという一点に集中されておる。やりたいけれどもやれないと言つている。しかしながら加賀山総裁時代のこと、及び現国鉄総裁のお話など、審議会の経過によつて精細に調べてみますと、また答弁をお聞きしても、何となく営業の方面に重点が置かれているように見える。これをまずはつきりしたいと私は思います。まずこれをお伺いいたします。
  75. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 松岡委員の御質疑にお答えいたしますが、これはどちらもほんとうなんで、国鉄ができましたのは、御承知の通り独立採算制ということで、国鉄は一種の営業人である半面を持つているのでありますから、でき得べくんばなるべくもうかる線を敷きたいというのが、これは偽らざるところであろうと思いますが、一方鉄道というものは公益事業でありますから、そこで政府はこれに貸付金をいたしましたり、あるいは補助金を出したりして、収支伴わないところの新しい線を敷くことを拒絶しているわけではないのであります。従いまして今の御質問の、どちらに主点を置くかということは、二つに考えなければならぬと思うのでありますが、あるいは国鉄側だけから見ますれば、その独立採算制だけから見ますれば、採算の合う線をもつて得策とするでしよう。これが本質的な議論になると思います。しかしながらかりにそろばんが合わなくても、公益事業である以上は、未開発地帯を開発してそれがために国家全体の利益になるとか、あるいはその付近の住民多数の方に非常な便益を与えることができるが、しかしそろばんの上においては合わないというような場合もあり得るのでありますけれども、さような線路に対しましては、国家は自己の負担において、あるいは貸付金、あるいは補助金等を支出することによつて、これを進めているわけです。こういう線路にも手をつけなさいというような、一つ考え方を持つておるのであります。御質疑の焦点はどこにあるか存じませんが、根本的に営業を主とするや、あるいは営業的な考え方を捨てて新線をつくるべきやという、この二者択一のような御返事はできませんけれども、いずれにもりくつがつきますが、われわれの思想といたしましては、国鉄としてはなるほど採算の合うべき線のみを選びたいのですけれども、さようなぐあいには行かないのだ。やはり国全体から見れば、そろばんが少々とれなくてもよろしいから、国家のため、大衆のために便益があるような場合には、損失を覚悟の上でやらなければならぬ場合もあり得ると思います。主点はどこに置くかとおつしやれば、これは後者に置くべきではなかろうかと私は思うのであります。ところが今コーポレーション制度そのものにも非常な疑問があるわけですが、やはり独立採算制というようなことを申しますと、そろばんをはじきがちであります。従つて予算面において大いに御協力を得て、少々国鉄がいやがる線をも、国家の要請に応じて、予算の点でわれわれがこれをカバにして、どんどん新線ができるならば、それは慶賀にたえないことであると私は思います。
  76. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 講和によつてわれわれは独立した。このときに長年やり来つたものを何とかしようというようなことではなしに、この際ほんとうに日本を何とかせんければならぬというためには、現状ではいけないのだ。どこにかメスを入れなければならぬ問題に直面しておるのだと思うのであります。木村次官は最も卓越した政治家なんですから、こういうときにほんとうのメスを振うべきときが来たというようなぐあいに考えていただきたいということを前提として私はお尋ねするのですが、国鉄にあんなふうにして、われわれ鉄道省からあるい運輸省から鉄道の方を預けたようにはなつておりますけれども国鉄の使命から言うたならば、私はもうかる線などは民間に払い下げて、しつかりその金をとつて、そうして新しい希望を満たしてやるよう考えを持つのが私は政治家じやないかと思う。どうも鉄道が自分らのところに入つたのだからして、もうかる方に独立採算云々なんということは、これは国鉄のほんとうの使命じやない。国鉄は、政府がもうからない、何とかせんければならない間は育ててやる。もうかるようなつたら、それを高く、民間の方で要求するならばこれをやつて、そうしてその金でもつて新しい希望するところの線をつくるというところにこそ、私は始めて国鉄の使命があるのじやないかと思う。こういう点に今まで論議がされたのかどうか、審議会なども見まするというと、実に姑息なものです。ああいうあんばいな、いろいろ建設する必要の理由なども私見まするというと、あれでは百年河清を待つてもできはせぬ。今日のようなぐあいに、片方危険を防止するために、あるいはサービスをよくするために金がいるというようなことになつておつても、しかも独立採算云々というようなことにもとらわれておる。建設だけは国家からこれを出してもらうようにする。しかしながら利子の補給も問題だ。先般来の質問応答を聞していますると、結論は金がないということになる。金がないということは、国鉄の使命、ほんとうに性格がはつきりしていないから、そこに来るのじやないか。国鉄というものは、もうからないで民間ではとてもやれないところをやつてつて、そうして少しもうかるようなつたならば、それを民間に与えてこれを高く売ると言うては何ですけれども、適当な値で売つて、その金で新しいものをやる。ちようど商売を料理するようなぐあいに行くのがほんとうじやないかと思う。どうも一たび自分の領分に入つたら、これをあくまで離さないようなぐあいにして、営業のうまくいつている線から出た金で、修理云々するなどというようなことばかり考えておるのはどうかと思う、この国鉄の使命をちようどいい機会ですから、独立になつた今日では、ほんとうの日本の更始一新の上から考えて行かなければならぬじやないか、これがほんとうの政治家の私は任務だと思う。幸いに木村君が石井大臣とともにおられるのですから、この国鉄の性格をはつきりして、そうして国策の一つとして何か考えようなぐあいに行かなければ――たいへん私のことを申し上げて恐れ入りますけれども、明治の御維新のときに、伊藤博文が何と言うたか、東北の賊軍を征伐し、まさに凱旋せんとする官軍の将兵は云々と言うて、そうして建白書を出して、この建白書がものを言うて近衛師団ができた。近衛師団ができて、一つは論功行賞の不平を押える。一つは明治政府のいまだ定まらないものを固くする。地方の人心を治めるという一石三鳥をやつたゆえんですけれども、これがすなわち東北の賊軍ということになつて、東北の――ここに永田さんなんかいらつしやつて恐れ入りますけれども、東北がこういうぐあいにして八十年遅れておる。この線路図を見てもわかるのです。これほどまでに遅れておる。この間からたいへん国鉄総裁、その他がサービスサービスと言いますけども、東京から大阪に行くところの汽車のサービスと、上野から行くところのサービスをひとつごらんになさればわかる。  かつて雪害問題を唱えたときに、たいへん尾籠な話ですけれども、冬、もう私のところは雪が五尺も降つておりますが、汽車の中で便所に行つて来ればすぐかぜを引く。あんなふうにして汽車の中にいて、スチームの暖かいところにいてつい便所に行くというと、もうもすつかりかぜを引いてしまうような汽車にしておいて、これを何としているのだと言つたときに、喜安鉄道次官が、まことにそうです、恐れ入りましたというぐあいで、五百万円を投じてようやくスチームを通すようにした。また東北に働いておるところの鉄道員も、私が雪害問題をひつさげるまでの間は、熊本の方面も九州の方面もどこでもみな同じ取扱いではありませんか。言う者がないというとこんなふうになつている。そればかりではない。さらに全国の国有林中東北大県だけで四割五分を占めておる、こういう間違つた政治が実際にある。あそこに今北海道からおいでの方がいらつしやるけれども、維新のときには、東北六県を飛び越えて北海道に国力がすつかり使われたものですから、北海道は、函館などは東京と同じように銀座になつていますけれども、一たび東北を歩いたらどんなことになるか。東北の惨状は実にあまりにもはなはだしい。そこに持つてつて政治家の少し有力な人がいなかつたかどうかわかりませんけれども、この十一線と十六線のことなんです。みなこれを調べてみますと、東北の方が、北陸三県中の百五十何キロに対して、わずかに五十キロそこらしかない。こういう配分をやつておるじやありませんか。こういうぐあいになつておるときに、金がない、戦災のために、まことにもつともな話、これを復旧して危険のないようにする、サービスもよくせんければならぬという、一々ごもつともな話で、私は決して無理を言いません。それだからこそひとつ東海道を山陽線までずつと、あるいは東北の日本鉄道の持つて行つたようなところの、もうかる線のようなものを高く売り飛ばして、民間にやらして、その金で新しい線を建設するというような画期的なことをしなければ、未開発なところを開発するということはなかなかむずかしかろうと思う。国家はこんなに貧乏なんですから、貧乏な中においてひとつこういうぐあいの画期的なことをやるには、非常に熱望しておる鉄道がなければならない。もうすでに自動車の道もでき、たくさん自動車も利用されるし、飛行機も利用されます。けれどもその飛行機が東北のあの雪の中でもつて利用できますか、自動車が利用できますか、これを考えなければならぬと思うのです。そうでなければわれらはいつのときにか国家のあたたかみに浴することができるか。国鉄の人はこれがわかつているかと思うのです。自動車も利用することができない。飛行機も利用することができない。ただ一つ鉄道を利用して行かんければならぬ。その鉄道がハンディキャップで、半年ないし四箇月も雪の中に納まつているものですから、工事が難儀だ、人口が少い、みな条件がはまらないじやありませんか。この選択の順位に来ないようなところばかりが残つておる。この残つておるところをいつのときやつてくれるのか。私はどうも東北の人間が少しぼんやりしておるものだから、昨今のようなデモ行進をすることも知らない者ばかりおりますけれども一たび真剣に考えときには、日本政治のあまりに不公平なのに対して、何びとか敢然として立つときがあるのじやないかと思う。私が十年間苦闘して、ようやく雪害の二字を入れて、――この前申し上げました通りに、その当時はどこでも共鳴するものがなかつた。東北六原の中でも福島県や宮城県は共同しなかつた。新潟県だけです。それが今日は鳥取、島根に及ぶ積雪寒冷単作地帯でもつてちやんといつているようなぐあいに、利用するような頭がぴんと来る人と、東北のようなぴんと来ない人間がいるところでは、こんなふうになつているのを政治が少しは考えなければ、ほんとうの政治じやないと私は思うのです。一番国鉄ではわかつているのじやないかと思うのでございますが、今私が根本的の問題をお聞きしたいというのは、国鉄の使命、性格、これをはつきりしていただいて、もうかる線であつたならばこれを民間に移してもうからない線こそ国家の力をもつてつて行こうというようなぐあいにしていただけるかどうか。長い聞こういう不遇な地域にいるものも税金は出しているので、その税金によつて鉄道もできているのです。その鉄道でもつて相当利用されている。この線路図を見ると、一目してよくわかる。こんなふうにいいものはいつまでもいい。悪いものはますます悪いものになつて行くようなぐあいになつている。政治はこの機会だからこれを改めることが心要じやないか。私は木村君はお父さんの時代からよく知つていて、なかなか実力のあるお方ですから、私の話はよくおわかりだと思うのです。戦争のあとでこういうぐあいになつているときにこそ、初めてほんとうの政治をやる機会だと思うし、またそれが政治家としての本来の使命でもあるかと思うのでございます。こういうために、国鉄の性格をはつきりさせるために、大きいといいますか、力強い調査会をつくる考えがおありになるかどうか。またもう一つは、こういうあんばいな政治になつて議会政治が重んぜられるときにおいて――この前、田原君が質問されましたが、方々に議会を拘束するような審議会のようなものがたくさんある。これは法令でもつてできているからというこの間の御答弁でありましたが、それは単なる御答弁と私は承るのですけれども、議会が無視されて、これで政治家はいいのか。議会に力のない者ばかりいるからこんなことになるのか、どうなのか。それだから議会に何ら席のない者さえも大臣になるというようなぐあいになつている。こういうぐあいではたして議会政治に権威があるかどうか。いろいろ考えますと実いい機会ですから、国鉄の性格の問題を一導因として、日本の政治の更革のところまで進むようなぐあいに、木村政務次官に大臣とともに御奮闘くださるお気組があるかどうか。ここまでの御答弁を願いたいと思うのでございます。
  77. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 松岡君の御質問まことに卓見でありまして、われわれもその思想には大いに共鳴するのでありますが、国鉄と申しますのは、御承知の通り鉄道の所有権は国家にあるわけで、国鉄自身がこれをただちに処分するという権能は今ないものであろうと私は思つているわけであります。よくはやる線路を売り飛ばして、その金でもつて未開拓の土地を開拓するために新線をつくれという考え方、これはまことにおもしろいと思う。はたしてそれがただちにできるかできないかということは今後の問題でありましようが、思想としては私は大体賛成であります。東北は由来人物の多いところでありまして、原敬を初め、ここにいらつしやる松岡君なんかも大人物で、私はかねがね敬意を表しているわけであります。従いまして東北から出ていらつしやる国会議員諸君の御協力によつて、本年度予算並びに追加予算で野岩線、白棚線、津軽線などが新たに着工できるに至りましたことは、慶賀にたえざるところでありまして、お喜びを申し上げます。かくのごとき鉄道の線ができましたことは、おめでたいと同時に、今後も御協力を賜わつて続々と新線を――ひとり東北地方だけではなく、全国にくもの集を張つたように行き渡らせることができるならば、これは日本の文明を今よりも高進させるためにも喜ぶべきことであるかと思うのであります。しからば一体世間でいう二兆億以上の国有財産の委託を受けながら、国鉄はなぜ新線を敷く金がないかというような根本論になりますが、そのような点については、私はなお研究が未熟であります。これはともに研究いたさなければならない大きな問題であろうと思います。二兆億円の政府のものを預かりながらなおかつ赤字で苦しむということは、まことにふしぎなことでありますから、私はしろうとでありますが、これは松岡先輩あたりの卓見を伺いながら、将来の研究問題にいたしたいと思う。  それから次の問題は、これはひとり東北だけの問題でありませんが、根本的思想としては、お説の通りほんとうに国鉄が独立採算制ということが理想であるなら、すみやかに独立採算制に移行しなければならないわけです。ところがなかなかそれができない。ことにそろばんは合つて新線などはこれを独力でもつてやることができないということは、やはりここに欠陥があると思う。しかしながらコーポレーションの制度でできてから間もないことでありますから、これはまだ運営が未熟であろうかと思われるから、しばらくおとなになるまでは国家が保護政策を用いなければならぬということも、これまた御承知であろうかと思います。今は国鉄に対して国家が保護をする保護時代であろうかと思うのでありますが、やがて成長するに従つて国鉄はコーポレーションの本質を理解すると同時に――運用を改めてだんだん真の意味の独立採算制を樹立される必要があるのではなかろうか、それを楽しみにしているわけであります。新線を、東北に特に少いから将来考うべきであるというお言葉に対しては、言葉をお返しする意味はいささかもありません。あるいはそうであるかもしれませんが今年幸いに野岩線、白棚線、津軽線などが着工されるに至りましたことは、東北の諸氏に対して慶賀にたえざることであると同時に、このようなよい例ができたのでありますから、今後われわれも協力はいたしますが、先輩の御協力を得てもつともつと、新線がどんどんできることを希望する次第であります。
  78. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 たいへん御努力の結果、十六線とか十六線、いろいろなぐあいになりましたことは喜ばしいことでありますけれども、そのうちにおいても、表が示すごとく、北陸の方は百五十何キロ、東北六県中において五十二、三キロしかない、三分の一もないというようなぐあいになつております。これは政党内部の事情その他をよく知つている私としては、これ以上のことは申しませんけれども、今申し上げました通り運輸省としては新しい仕事がでさて来たのである。航空のこと及び自動車のこと、船のこともありますが、鉄道に関する限りは今申し上げたようなぐあいで、ひとつ大きな転換をする必要に来ているのじやないかと思われるのであります。それが先ほど申し上げましたようなぐあいに、自分のものならもうこれを離さないというぐあいにならないで、もうかる線ならば民間に移してやらせて、そうしてその金をとるというぐあいにして行かなければ、新しい線などはなかなかできないのです。私はこれをすこぶる憂えるものであります。この点についてはただいま説明がありましたから、他の機会において根本的に国鉄の性格を改めるために、何らかの処置をとるというお考えのもとに進んでいただくかどうかということを、あらためて御協議の上で御返事を承りたいと思います。私の質問は、過日来各委員諸君の熱烈なる質問と応答によつてわかりましたから、この一点だけはのけて、線を売つて新しい線をつくろうじやないかということについては、大蔵省その他の方面との折衝が相当あります。これは大きく運輸省あるいは運輸委員会においてこの問題をまとめて行こうかというようなところまでも、私は委員長にお願いしようと思つているくらいです。そうでなければこの日本の現状を変革することはできないと思う。  あとは小さな問題ですから、当局の方から御返事いただけばけつこうです。山形県には鉄道局が三つあつて、千葉県のようなあんな小さいところでも一つの鉄道管理局があるようですが、山形県は三つになつて、あれで何ともないと思つていますか、どうですか。新鉄、仙鉄及び秋田と小さな一瞬に三つが錯綜している。実に行政の上からも何からもとんでもない不都合を来しておることを存じていらつしやるかどうか。
  79. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいまの、山形県が三つの鉄道管理局に分割所管されておりますために、鉄道を利用される方が非常な御不便をこうむつておるという点につきましては、先年機構改正以来たびたび取上げられました問題でございまして、今年の八月の機構改正にあたりましても、やはりその問題が取上げられたのでございます。一応その問題につきましては現行のままになつておるのでございますが、私の直接所管いたしておりまする業務と違いますので、この点につきましては後日国鉄総裁から御返事を申し上げるということにさせていただきたいと思います。
  80. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 もう一つ聞きますが、仙台から山形に行く仙山線、あれはまん中だけが電気になつております。あれを両方にやつたら輸送の上からも非常にいいと思います。今度は福島に大きな発電所もできるから、電力の方においても心配がないようなことになろうと思つておりますが、電化設備というものは板谷のトンネルのようなところはやりましたけれども、あれ以外は電化のところは東北にはない。あそこの仙台から山形まではそれほどの雪でもない、雪の非常に多いところでこうだというならば、私はそういう無理は申しませんけれども、あそこのところは輸送の上から、ことに東北の一番重要な仙台との連結であり、そうして越後の方にも通ずる捷径でもあるというような上から考えて、あそこの仙山線の電化というものはどの程度にまで認織されておるのですか、御返事をいただきたい。
  81. 細田吉藏

    細田政府委員 仙山線の電化のお話でございますが、国有鉄道といたしましては、電化につきましては幾つかの計画を持つておりまして、相当長期計画の中にはたしか入つておると承知いたしております。さしあたり電化工事を現在いたしておりますのが東海道本線の浜松から名古屋まででありますが、予算面上は浜松から姫路までを一応やることになつて、線続工事でやることにいたしております。これは電化をすると輸送量が非常に多いところが、石炭の節約の面からいたしましても、いろいろな点からいたしましても、有利たと思いますから、そういう形になつております。ただいま国鉄考えております問題は、山手線の貨物線、これも非常に輸送量が多いのであります。それから高崎線、上越線は御承知のように今年ででき上つたわけでございます。仙山線の全線電化につきましては、大分先の話でございますが、ただいまのところでは考えておらないのであります。
  82. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 しかし仙台をあまり閑却されておるように思うのです。塩釜、仙台、それと裏日本との連絡を考えたならば、輸送量の点もそれほどまでに貧弱でないのじやないかと思うのですが、順位はよほど下ですか。
  83. 細田吉藏

    細田政府委員 その点につきましては実は本日も資料を持つて参つておりませんので、あらためて資料をもつてはつきりお答えをいたしたいと思いますので、次の機会にお願いしたいと思います。
  84. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 私の質問はこれで終りますが、木村政務次官には、これは一個の政務次官としてじやなく、政治家として日本の更革の上にこういうチャンスをつかまえることが非常に必要じやないかと私は思います。幸いにも大きな国鉄問題があるときに、あなたが就任なされたのですから、ひとつ特にお願いして私の質問を終ります。
  85. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 永田良吉君。
  86. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私も鉄道の未成線のことについてこの間もお願いをしたのですが、きようは未成線のことでありませんけそども、現在運転しておる線路の運転関係についてお尋ねしたいと思うのであります。日本全国の状況はどうであるか、私は専門家でないから知りませんが、最近日本の一番隅つこである大隅の繭端においてさえも、鉄道の貨車の今の運営方法では、地方のバスの動きによつて、われわれの地方の交通量は鉄道の方が年々少くなつてしまつた。そして私営バスの薩州バスのごときは、すばらしい勢いで、一日に十何回も頻繁に回転をして、客を吸収しておる。しかもその運賃たるや、マイル単位として鉄道の運賃よりも高くなつておる。これは私の方の実際の話であります。私は鹿屋市といういなかの町の片すみにおる。そこから汽車で行けば十円で行けるが、バスで行けば二十円で、倍とられている。なぜ二十円のバスに乗り手が多いかというと、回数が多いからお客さんはみんなその方に行つてしまう。今日では十円や五円のことは何とも思わぬから、バスが先へ先へとお客さんを奪つて乗せてしまう。これはごく短距離の一例ですけれども、大隅半島の志布志から鹿児島間のあの大隅半島の横断の状態を見てみると、もはや国鉄は今日はまことには火を消したようなさびしい状態です。しかも戦前においては七回も九回も運転をされておつたところです。それがそんなふうにジリ貧でもうからぬから、このごろはようやく一日に五回走一つて往復しております。しかも時間割の悪いことはおそらく日本一だ。こんなおかしな時間割のところはない。もし皆さんがうそだとお考えになるならば、都城から志布志に来て、そうして鹿屋の地に来て鹿児島に帰つてみると、私が申し上げることがいいか悪いかわかる。これは日本人のみではありません。あそこには予備隊がおるので、アメリカの顧問が来ておる。少佐とか大尉、あるいは准将なども来ておるが、これらの人の家族が来て都城で四時間も待ち合せておつた。都城から志布志に向つて行くのに、朝の八時から十三時ころまで四時間待たぬと汽車がない。おそらく日本の中で、列車運転において、次の発車まで四時間も待つところが何箇所ありますか。鉄道当局は調べてこの老人に教えてもらいたい。私はこれを地獄のみやげに持つて行きたい。日本の鉄道当局はこんな残酷なことをする。お客さんに四時間も待たせる。そんなことが残酷でないと言えますか。郵便局に行つて為替を組むのに、たくさんの人が来ていて三十分も三十分も待たせられると、どうも気があせります。私が言つたではありませんか。今松岡さんも言つた。皆さんは政治の上においてすみつこをそまつにしたらいかぬ。鉄道の方に関係のある委員に、参議院と衆議院の議員でこの九州の方面からの人がはたして何人おられるか。これもお尋ねしたい。私は今後航空関係研究したいと思うのですが、航空なんかには衆議院も参議院も一人も置かない、こんなむちやなことがありますか。一番遅れた日本の民間航空、世界の物笑いになつておる民間航空が、世界並に追いついて行こうとするのには、審議会の二つや三つをつくつてあとから走らねばならぬ。それには専門々々といつて、むろん専門家は必要だけれども、この専門家というものは、ある場合において自己の立場からいろいろ妙な主張をする。国内の航空路は一線あればよかろう、外国航路は云々というようなことで、国内はようやく二つくらいになつた。せつかく今立ち上る日本の航空熱をそんなに圧迫せぬでもいい。自由にやらして政府の方としては見ておればたいがいおわかりになるだろうと思う。従つて鉄道にもすみつこの方にはこういう矛盾がある。志布志で二時間も待たせられ、今度は汽車に乗つてから都城で四時間待たせられる。二時間と四時間といいますと、一日に午前六時間待つたら、冬の短かい時期には日が暮れてしまう。まことに俊寛僧都上ではないが、遠方から来られた方は、もう大隅などには一生行かないとおつしやるだろう。これは結婚問題にも影響します。遠方のべつぴんさんにほれても、くれ手があり寄せんよ。ほんとうにこれは人道上の大きな問題であります。あなたはよく御研究をなさると松岡さんがほめていらつしやる。私は最近来たからよくわからぬが、南のはてと北のはてのことをよく御研究なさつて、こんな無理な時間割は改正してもらいたい。しかも今まで鉄道局は南部になかつたが、最近ようやく鹿児島にできた。この鹿児島にできた鉄道局というのが、またぞろ鹿児島に悪い政治を持ち込んだ。政治というものは歴史を研究しなければならぬ。地理と歴史を研究せぬと悪い政治が行われる。大隅というのは昔島津がいじめた。島津というのは悪いことをした。皆さんは島津というと違かつたたように言うが、これが悪いことをしました。なるほど島津には偉い人もおつたが、一面においては悪道をして、人道を無視して、大隅半島民をまつたく植民地扱いにした。悪い政治を行つた。それがいまだ残つていて、われわれ大隅人は、交通において、教育において、産業においてしいたげられておる。行つてごらんなさい。鹿児島県は右足が薩摩半島、左足が大隅半島ですが、この大隅と薩摩半島とに非常な差異がある。こういう差異のある悪政に向つて、ぼくらは六十七年の老年になつて立ち上つて来た、この間から私が申し上げる通り、終戦後の日本国民は正義観念に立脚しなければ、日本の再建はできないと思う。御馳走によつたり、金によつたり、情実によつて政治を左右するように日本の政治が堕落したならば、日本再建はどこにできますか。皆さん、私はこういう点から六十七年の命は惜しくない。日本再建のため、政治の革正のために死をもつて闘う。一人でも私は正義のためには死をもつて闘うつもりであります。まずこの証拠に一番わかりやすいのは交通関係であります。皆さん、交通関係において、われわれ大隅の鉄道は一日五回で、戦前ように復活しておらぬ。一体日本全国で戦前と同じように回数の復活しないところが何箇所ありますか。どうぞこれを局長さんから報告してください。鹿児島に鉄道局を置きながら、こんなかつてなことをしている。しかもなおかつてなことをした例がある。代議士をした何とかいう悪いやつがあそこにおつて、大隅にあつたガソリン・カーを今薩摩半島に持つてつて走らせているではないか。戦前においては志布志と鹿屋、大隅の方にガソリン・カーを一日十一回も運転しておつた。それを取上げてしまつてただいま揖宿の方にやつている。揖宿と鹿児島、あの半島には人口が幾らありますか。私が申し上げます。志布志から鹿屋、古江方面には幾万の人口があるということは御承知だろうと思う。これに宮崎県の一部、大隅主体を加えますと、向うの人口の三倍、三倍はある。こういう過去に運転した経験があるのを、それを蹂躪して薩摩半島に鉄道局ができましたから、みんな近くにおる者が運動をすれば皆さんは惑わされます。鉄道局でもどの官庁に行つも、運動がはげしいところに許可するとおつしやる。そういうならば、松岡さんがおつしやつた通り、東京の近所の人は、電車や汽車を利用すれば一日何回も来られるでございましよう。われわれ大隅や東北の人はだだちには来られません。大隅からは二日間もかかる。三十時間も四十時間もかかる。貧乏で金もない。それでわずか一年に一回くらいしか来ないのだから、あんな不熱心なやつには鉄道もやらない。運転回数も増さない。それならばいつ何時こういう僻遠の地の開発がされますか。そういう乱暴な政治があるならば、日本の国家の将来はだめじやありませんか。皆さんはなぜそんな無慈悲な政治をなさるのか、これらに向つてまず一応答弁を願います。ガソリン・カーの問題でも、薩摩と大隅はびつこだ。これはびつこ政治だ。しかも一方のものを取上げてしまつて、強い方にばかり運転を盛んにやつて、左の足をますくびつこにする。明らかな例証をもつて私は皆さんに訴える。しかも夜はこの汽車は走らぬ。八時半になつたならば大隅半島の汽車は休んでしまう。夜国民の足をとつてしまつて、働けといつたつて働けますか。夏であつても困るのだから、冬の日の短かいときはなお一層困る。こういう乱暴なやり方はない、これは明らかに不公平な運転の仕方であると思う。またさつき松岡さんがおつしやつたように、あんまり営利ばかりに立ち入つて、バスを通すから、ますます鉄道の運転はジリ貧になる。私の知つております駅員は、一日にたつた四回汽車が往復するたびに仕事をしさえすれば、あとは遊びです。ストーブに石炭をたいてきんたまをあぶつて碁を打つている。一方自動車は一日に十何回も走るのだからかせぐ。かせぐやつはもうかる。鉄道は少い回数しか走らぬのだから、遊んでおればいいじやないかというが、それでは収支が償わぬので、お前の線路には一回よりよけいまわすことはできない。これは鹿児島の鉄道監督局の答弁です。うそじやありません。私が追放を受けておる間にそんな無慈悲なことをしてわれわれをいじめておる。私は今度大隅半島から、少くとも数万の人の投票をもらつて来た以上は、死をもつてもこの政治のために闘う。皆様方は将来もこういうやり口で、日本の鉄道の運営方法の不公平なことをそのままやつて行かれようという御方針ですか。ここに明らかなる大臣の答弁を求めます。委員長大臣は何をしておりますか。私は徹夜してでも待つている。まず局長、政務次官からでもよろしい、責任のある答弁を求めます。うそをついたら承知しませんよ。
  87. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 お答えをいたします。まことに御同感で、万一さような不公平なことがありますならば、それは政治の貧困でありますから、なお十分調査いたします。政治というものはやはり全国民すべてに恵沢を与えるのが理想でなければならぬたまたまさような不公平が今あるとするならば、これはただちに政府はもちろんのこと、諸君方の協力を得てこれの是正をいたさなければならぬ。これは私どもの当然の義務なのです。お説のごときことは、初めて今伺いまして、私も実は一驚を呈しておるところでありますが、ことにかつて大隅半島にあつたガソリン・カーが強権によつて薩摩に奪取されたなどという話を今初めて聞きましたが、さようなことがありますれば、これまたただちに調査をいたしまして善処いたさなければならないと思います。私としましてはよくわかりませんが、暫時調査期間をお認め願いたい。
  88. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま永田委員からお話のございました点は非常にごもつともな次第でございまして、国鉄といたしましても、支線におけるところのサービスの政善の問題が焦眉の急であると思つておりまして、この点につきまして非常に頭を悩ましておる次第でございます。ただ、やや一般的なお話を申し上げて恐縮でございますが、全国で列車回数の推移がどうなつているかという点をまず申し上げたいと思うのであります。戦前に比べまして現在の列車キロでございますが、戦前昭和十一年には、全国で毎日々々走つております旅客列車のキロが四十万五千キロでございました。その後さまざまな戦争中の推移、また戦後の推移をたどつて参りまして、最高のときには昭和十六年に四十三万キロ毎日走ておつたのでございます。それが終戦と同時に非常な旅客列車の削減をいたしまして、一番旅客列車のひつこみましたのは昭和二十二年で、一日に二十二万キロしか全国で走つていなかつたのでございます。その後漸次回復をいたしまして、今日におきまして毎日走つておりますのは約三十六万キロという次第でございまして、なお戦前には到達いたしておりません。昭和十一年の四十万キロをかりに一〇〇といたしますと、昭和二十六年、あるいは今日におきましては指数は九〇ということに相なつておるのでございます。それに対しまして一体お客さんの数がどうなつたかという点でございますが、これは年で申上げますが、昭和十一年には旅客の輸送人員は年間約十億人でございました。それが昭和二十六年、最近もほぼ同様でございますが、三十三億人というような、約三倍以上に輸送量の方は上つております。それに対しまして輸送力の方は、その三倍の量を運びますのに戦前にも到達していないというよう状況でございます。その結果が非常に幹線あるいは支線におけるところの乗客の混雑というようなことになつて、あるいはただいまのお話のありました乗審の御不便というような現象となつて現われて来ているのでございます。結局先ほどもお話がございました待合い時間が三時間も四時間もあつて、非常に御不便をかけておるということをなくすには、ただいま申し上げました列車キロを国全体としてふやして行くことが必要であるわけでありまして、われわれはできる限りそういうような方面に逐次努力を払つておるのでございます。何分にも、何と申しましてもお客さんの数が多い幹線にまず重点が注がれまする結果、勢い支線におきましては今御指摘のよう事情が所々に生じておりまして、非常に心痛をいたしておるのでございます。国鉄の総裁といたしましても、支線のサービス改善につきましては非常な努力を続けておりまして、本年の何月でございましたか、夏ごろ支線に対しまして、ローカル輸送の改善というような趣旨のもとに約六千キロだつたと覚えておりますが、その程度のキロの増加もいたしまして、地元の管理局長に具体的な線の選択、また回数の増加というような点につきましてはまかせたのでございます。まあ六千キロほどのサービス改善をいたしたような次第でございます。それから何と申しましても支線方面におきましては、幹線におけるほど輸送量があるわけではございませんので、一般の長大な列車を何回も走らせるという必要は実はないのでございまして、先ほどお話のありましたようなガソリン・カー、ディーゼルカーしというようなものを頻繁に走らせるということによりまして、十分地方の交通に対する需要はまかない得られるのではないかというふうに考えております。このガソリン・カー、デイゼル・カーの増備につきましても、国鉄といたしましては大いに努力をいたして参りたいと思つておりますが、現在全国でガソリン・カーの動いておるります両数が、わずかに百八十四両であり、しかもその区域が全国的に非常にばらばらばらまかれおります結果、これはちよつと専門的なことになりますが、車両に対しまして、予備軍をよけいに持たなければならぬというような実情にもございまして、なかなか地方の御要望に対しまして、その供給の方がまかなわれていないというよう状況でございます。本年度つまり二十七年度におきましては、いろいろ予算等の都合もございまして約五十両――昨年は実は百両つくつたのでありますが、本年におきましては五十両程度の新車ができ上り、あるいはでき上りつつありまして、数線につきましてガソリン・カーの運転を始める、あるいは汽車路線に対しまして増強をいたしておるのでございます。来年度予算につきましては、けさほど運輸省の方からお話がございましたが、いまだ皆目と申しますか、具体的なものにはまだなつておらないのでございますが、われわれ事務局当といたしましては、この支線におけるサービス改善のために、ガソリン・カーを相当大量に新製をいたしたいという希望を持つておるのでございまして、それぞれ関係方面に今折衝中でございます。今お話のございました揖宿線とそれから志布志線との関係につきまして、今お話になりましたようなことが事実上ございましたかどうか、今私はここで申し上げることはできないのでございますが、いずれにいたしましてもお話のありました志布志線のごときも、たくさんある候補の一つには取上げられているような次第でございまして、ガソリン・カーの増備をまちまして、漸次改善されて行くと思うのであります。いましばらくごしんぼうをお願いいたします。
  89. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへん詳細なお答えを願いまして、厚く御礼を申し上げます。私は決してうそは申し上げません。戦前において私は、あそこに海軍の航空隊があつて、戦争当時市長をしておつた。その当瞬には汽車とガソリン・カーと両方走つて、一日に十何回も交通の便ができておつた。それが戦争が済んでから、ガソリン・カーはやめてしまつて列車ばかりでこの六、七年やつておる。しかるにガソリン・カーが志布志の車庫に長く入つてつたのを私は見ておるのであります。確かに二つか三つあつたと思う。それが最近姿を見せない。それはこわされたのか、あるいは修理してどこかに使つておるのかもしれませんが、今志布志にないことは確かです。その後鹿児島の方に、こう言つては失礼ですが何とかいうインチキな代議士が来て、運動して取つてしまつた。新しい鉄道とともに、ガソリン・カーも入れて、あそこには交通頻繁です。薩摩半島の方はバスもあれば、ガソリン・カーもある。幾つもある。大隅半島は横断線が一つしかない。昔、薩摩半島より先に、大隅の交通不便な場所にガソリン・カーが走つておつた実績がある。それならばそれを復活していただくのが正しいと思う。それが政治的に妙なやり方があるから、あんなことになつたのですが、これはだれが見ても不公平です。これはどうしてもすみやかに復活してもらわぬと困る。今お話を承つていると、ガソリン・カーとディーゼル・カーを今おつくりになつておるそうですが、これはたいへん高いそうですね。一つが一億円か一億五千万円か、その予算ででき上つて、大隅半島にまわつて来るのは一年先か何年先か、そうするとわれわれじいさんはとうに滅んで、生きている間に見えぬかと思う。日本の政治というものはあまりにも研究調査、これがよくありませんよ。年中研究調査ばかりしておつたら、一向発足ができない。これがいいという場合には、千金丹を飲んですつとやるようにやつてごらんなさい。木村さん頼みます。私は口が悪いから怒つたようなことを言いますが、怒つているんじやありません。陳情しているんです。もし速記録を見て、貴様こんなことを言つた、けしからぬ、取消せとおつしやるなら、きれいに取消します。私は熱の余り怒声のようなものを発しますけれども、決して怒声ではありません。私の心からの熱意のほとばしりでありますから、ごかんべん賜わつて、大隅半島の交通の状態のごときは、本庁からも行つて御視察賜わりたい。だからといつて、私は鹿児島の監督局を弾劾するのじやない。鹿児島の方からもみな鉄道の方が行つて見ていただきたい。夜走らぬというのは無理です。今五回走つておりますから、せめていま一回やつてください。そうすると、夜の十時まで汽車が動く。それから先は私は望みませんが、せめて十時までは走れるように、いま一回すみやかに今の運転系統をふやしていただきたい。これは早急なお願いです。現に走つてるんですから、それに客車をつければいい。そういう親切がほしいと思う。それからガソリン・カーをここしばらくの間に走らしていただく。その次にはバスです。こんな工事の困難な場所はバスでけつこうです。ところがふしぎにバスが一向に延びない。これは民間会社の関係があるかもしれませんが、並行線ならばしかたがないが、新しい線でも創設されて、ぜひバスをやつていただきたい。皆さまにお礼を言わなければならぬのは、桜島には省営バスをやつてもらつて、今ほとんどこの方面に客が吸収されておる。将来鹿児島と桜島の間を省営船で、1車でもトラックでも運ぶような輸送船をお願いなされば、大隅と薩摩の将来の交通は、運輸省のおかげで助かります。これは早く申し上げておかぬと、私生きている間に一ぺん通つてみたい 今から偉い方が御視察を賜わつて、私の申し上げることがうそかほんとうか調査の上、実現あらんことをお願いする次第であります。むしろ交通量の多いのは、鹿屋から垂水間が一番、それから桜島を通るものが多い、ほんとうは隼人まわりというのは距離と時間の関係もございますから、将来荷物などはどうか知らぬけれども、人の動きは鹿児島を中心として垂水、鹿屋、志布志という、この間が最も交通量の多い主要幹線だと私は思つております。まずこの方面にバス網と連絡船と、あるいは将来ガソリン・カーを走らせていただく。普通の鉄道とのあんばいを皆様方専門家の方がいらつしやつて研究の上、交通上の不備を解決していただくようにお願いを申し上げ、怒声を発して大きなことを申し上げたのはたいへん礼を失したかもしれませんが、私が悪かつた点は切におわびを申し上げます。私は切に政治の公正のために、またああいうすみつこの民心を政府が手を延べて、かわいがつていただきたいというお願いから申し上げたわけですから、くれぐれもよろしくお願い申し上げます。また私の礼を失したことは深くおわびを申し上げます。
  90. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これで永田さん場の質問は終りましたか。
  91. 永田良吉

    ○永田(良)委員 終りました。
  92. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 それではこの際お諮りいたします。議員重政君から委員外の発言を求められておりますので、これを許すのに御異議はございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 なければさよう決します。重政君、ひとつ簡単に御質問を願いたいと思います。
  94. 重政誠之

    ○重政誠之君 私が申し上げまして、委員の皆様方、政府側でひとつ考えを伺わなければならぬ、こう考えてあえて委員外の発言を求めたわけでございますが、それは藺製品の問題でありあり。申し上げるまでもなく、繭製品の主要なるものは畳表でありますが、これが今回の運質の値上げに伴いまして、従来階級がたしか七であつたかと思いますが、それが今回四階級に改められるということになるやに聞いておるのでありますが、これは申し上げるまでもなく日用品である。日用品と申しますと生活必需品であると思うのでありますが、それが一応原案では除外をせられておるのであります。これにはいろいろ御議論のあることと思うのでありますが、しかし戦争以来非常に住宅が払底をしました関係上、製材等につきましては現行の階級が七のものを六にするというようなお考えであるかに承つておるのでありますが、これは住宅払底の折から、おそらく製材につきましては特別の御配慮になつておるのだと思うのであります。そういたしますと、生活必需品としては畳表は認められないといたしましても、ただいま申し上げますように住宅払底の折から、製材につきましては特別の御措置をせられるということになりますれば、畳表も同様の地位におるものと私は心得るのであります。従つて少くとも製材の運賃についてお考えをいただくと同様なお考えを、どうしてもこの畳表にはいただかなければならぬ、こう私は考えるのでありますが、その点当局ではどういうふうにお考えなつておりますか。お考えを伺いたいのであります。
  95. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま重政議員からの御発言でございますが、実は等級関係の問題、この運輸委員会でも先般来非常に大きな関心をお持ちになりまして、個々の品目等につきましての御質問、御意見等もあるのでございますが、けさほどの運輸委員会におけるお話合いによりまして、等級改正の問題につきまして事の起りからどういうような方針で、どういうような内客で改正が行われようとしておるかというようなことにつきまして詳細に御説明を申し上げて、それによりまして個々の物資あるいは御意見を承るというようなお取運びになるようなふうに私は承つております。従いまして今の繭製品の問題も、当然にその一般的な御説明を申し上げた後に、御質問の中にあるいは出て来る品物ではないかというふうに私も想像いたしておつたのでございます。しかしせつかくお見えになりましたので、この藺製品につきましてどういうふうなとりはからいを、われわれ事務当局が目下進めておるかという点につきまして申し上げたいと思うのでございます。  畳表につきましては、現在の等級表によりますと七級でございます。それを今度の等級改正の方針に従いまして査定をいたしますと、新等級では三等級ということになるわけでございます。いささか専門的になるのでございますが、数字的に申しましますと、現在八五という指数なつておりますのが、一三〇というように非常に飛び上つて運賃が高くなるというようなことになる。しかしながらただいまお話にございましたような民生安定というような、あるいは建築の資材としての生活必需品というような観点を考慮いたしまして、これも専門的になるのでございますが、その後貨車の減トン扱い、運賃計算しまする場合に、畳表もその一つでございますが、軽量品は貨車一ぱい一ぱい載せることが物理的に不可能であるというような点を考慮いたしまして、これをわれわれは減トン扱いによつて調整すると申しておるのでございますが、そういつた方法によりまして減トンの数を若干ふやしまして指数的には八八ということに相なるわけでございます。現在の八五に対しまして、八八でございますので、ほとんど運賃の値上りはない。もちろん一般的な一割値上りの適用は受けるのでございますが、それ以外は八五が八八になるので、ほとんどかわりはありません。これによりまして十分に畳表あるいは藺製品の公共性に対する考慮は払わしていただいたつもりでございます。
  96. 重政誠之

    ○重政誠之君 現在指数が八五であるのを八八程度に扱うというお話であります。これはまことにありがたいことでありますが、そうしますと大体どのくらいの値上りになるのでありますか、ちよつとお示しを願いたいと思います。
  97. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま申し上げましたように八五が八八ということでございますから、これは具体的にどこからどこまでのものという例について申し上げれば一番いいのでありますけれども、ちよつと聞に合いませんが、大体十三%上る。そのうちの一〇は当然一般運賃値上げの一〇%でございます。あとは三%程度上るのであります。
  98. 重政誠之

    ○重政誠之君 輸送しただいまお話のありました減トンについてどう取扱うとか、遠蹟離の輸送についてどれだけの割引をするとかいうようなことがいろいろあると思うのでありますが、そういう問題につきまして、特に畳表はどういう扱いをせられるかということについて、大体の御腹案があれば、ひとつお示しを願いたいと思うのであります。
  99. 津田弘孝

    ○津田説明員 実は畳表だけでなしに、凡百の鉄道で運ぶ物資があるわけでございますが、今度等級を再編成する場合に、どのような格付をしたらいいかという問題につきましては、これはけさほど申し上げたのでございますが、ただ鉄道だけでやつて、独善に陥るというそしりがあつてもいけませんので、物資の所管庁でございます農林省あるいは通産省と十分に打合せをいたしまして、新しい等級の編成をいたしたいというふうに考えて、目下着々とその作業が進行中でございます。畳表につきましても、先ほど申し上げました畳表の持つ公共的な性格に対する考慮から、目下のところでは通産省、農林省との間におきましては、先ほど申し上げましたようなところにおちつけたいということに相なつておるのでございます。さらにそれ以上の問題、ただいま例にお出しになりました遠距離割引というような問題につきましては、まだ具体的に内容がきまつていないというのが実情でございます。
  100. 重政誠之

    ○重政誠之君 そういたしますとこの等級改訂の問題とか、遠距離割引の問題であるとか、減トンの輸送の場合における運賃の何割かの値上げといいますか、そういう問題は今後関係官庁と御協議の上で御決定になるわけでありますか。
  101. 津田弘孝

    ○津田説明員 ただいま物資所管官庁と個々の物資につきまして、着々打合せをいたしておるのでありますが、現在の段階におきましては、ほとんど大部分の物資につきまして調整ができて、なお通産省、農林省の間で数種の物資について、いかように取扱うかということにつきまして折衝をいたしておるような次第であります。それでけさほどもこの運輸委員会お話がございましたが、全体がどういうふうになるかというその姿を、きわめて最近のうちに本委員会に提出をいたす予定に相なつております。
  102. 重政誠之

    ○重政誠之君 ただいまの御答弁によりますと、それらの点につきましてさらに原案を作成せられて、本委員会に御提案になるということでありますから、その際にまた委員長のお許しを得て、その原案について御質問いたしたいと考えます。ただその原案を作成せられるにあたりまして、私は特に当局に一言希望を申し上げたいのでありますが、私の今まで拝見をいたしておりまする――もちろんまだきまつたことではないと思うのでありますが、物資別の等級改訂等について、どうも均衡を得ないものが非常に多いのではないかと私は思うのであります。先ほども冒頭に申し上げましたように、製材の改訂と畳表についての等級改訂のごときものが、どうも均衡を得ないように改訂せられるということでは、ただ農林省と相談して、農林省がそう言うからといわれるのでは、ちよつと私ども納得行かないところがあるのであります。それらの点につきましては、やはり均衡を得て、それぞれ必要な物資につきましてはその待遇の均衡を得せしめるということが、私は非常に必要なことであると思うのであります。申し上げるまでもなく畳表は藺製品でありまして、農家に影響するところはきわめて大きいのでありまして、各府県ともこれは非常に重大な問題として、農村並びに関係業者が注目をいたしておるところでありますので、どうかひとつそれらの点を十分当局においてはおくみとりの上で、適正なる等級その他の御改正を願いたい、かよう希望いたす次第であります。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。たいへん委員の皆さんに御無理を願いまして失礼いたしました。
  103. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十九分散会