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1952-12-08 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月八日(月曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 佐伯 宗義君 理事 田原 春次君    理事 正木  清君       岡田 五郎君    佐々木秀世君       徳安 實藏君    中野 武雄君       永田 良吉君    松岡 俊三君       臼井 莊一君    河本 敏夫君       吉川 大介君    熊本 虎三君       竹谷源太郎君    楯 兼次郎君       松原喜之次君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉藏君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君  委員外出席者         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ————————————— 十二月六日  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一五号)  運輸行政に関する件     —————————————
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より提案理由説明を求めます。石井運輸大臣
  3. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいまから国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本国有鉄道昭和二十七年度予算損益勘定は二千九十九億円余りの収支で組まれていたのでありますが、この予算編成の基礎であります物価の動向は、一般的には横ばいの状況といえますけれども、物件費の大宗である石炭及び電力が値上りを示したほか、仲裁裁定に基く従事員給与ベース改訂の必要及び戦時中、戦後の資金資材事情のために、現在緊急取替を必要といたします施設、車両についての復元等を考慮しますと、収支の均衡が破れ、このまま推移すれば健全なる国鉄の運営を維持することが困難であると考えられるに至つたのであります。  これら経費増加に対する措置としましては、独立採算の建前から運賃値上げによる増収をはかるほかないので、当初日本国有鉄道においては三割程度値上げを強く要望したのでありますが、現在の経済状態にかんがみて大幅な値上げは極力これを避けねばならないとの見地から、償却不足、荒廃施設取替のためにする経費については、別途の措置を考慮することとし、運賃値上げ最少限度にとどむべく努力いたした次第であります。  先般日本国有鉄道からこの趣旨に基いて、旅客運賃及び貨物運賃ともに一割程度増収の得られるような運賃改訂の申請が提出されたのでありますが、運輸大臣といたしましてはさつそく運輸審議会に諮問し、審議会は三日間にわたつて公聴会開き、広く一般 の意見を聴取して慎重審議の結果、一部修正の上、旅客貨物とも一割程度増収が得られるような引上げを可とする旨の答申があつたのであります。これは別途御審議を願う補正予算案とも合致し、かつ妥当なものであると存じ、政府におきまして国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を本国会提出した次第であります。  今回の運賃改正のおもなる点を申し上げますと、まず旅客運賃並びに料金は総体としておおむね一割程度引上げでありますが、最低普通旅客運賃及び寝台料金をすえ置いたこと、並びに定期旅客運賃割引率につきましては、あまりにも高過ぎないかという見方もあるのでありますが、定期旅客負担を考慮して今回は割引率をすえ置いたのであります。なお通勤通学以外に定期乗車券を必要とする人々のために、通勤定期旅客運賃より割引率の低率な運賃を定めるため所要法律改正をなし、これが具体的取扱い方を近く決定したいと考えているのであります。  また船室特別設備に対する料金の設定について法的根拠が明確でありませんので、これを明確にするための所要改正を加えたのであります。  次に貨物運賃につきましてもおおむね一割程度増収となるような引上げでありますが、経済状態がおおむね安定の方向に向つておりますので、従来の懸案でありました貨物等級制度改正をすることになり、本年四月国鉄総裁諮問機関として各界代表者よりなる等級審議会が設置され、爾来慎重審議の結果、十一月十五日に等級査定方法について答申があり、これに基いて今回の改正運賃負担力及び運送原価に応じ、従来の九等級を十二等級とし、別に公共性に基く調整措置として、一般社会生活上日常不可欠の消費物資等につきましては特別等級等級を設けました。また軽量かさ高貨物につきましては減トン制度を復活することにいたしました。なお貨物運賃計算キロ程及び小口貨物運賃計算重量細分化等、広範囲にわたつて運送制度改正を企図いたしまして、一般荷主の要請にこたえることになつたのであります。  今日国民各位に幾分でも負担増加を願うことはまことに心苦しい限りでありますが、国鉄の財政を健全化し、もつて国民鉄道でなる機能を発揮せしめるためには、必要やむを得ない措置であることを御了承願いたいと存じます。  最後に、本法案実施旅客運賃一月十五日より、貨物運賃を二月一日よりと予定しておりますので、重要案件の御審議にきわめて御多忙のことと存じますが、何とぞ慎重御審議の上、予定期日実施かないまするよう御承認賜りたくお願い申し上げる次第であります。
  4. 細田吉藏

    細田政府委員 国有鉄道部長細田でございます。御審議を願います御便宜としてお手元に配付いたしました資料について、あらまし御説明を申し上げたいと思います。  まず現行国有鉄道運賃法、それから旅客運賃制度概要日本国有鉄道荷物運賃料金制度概要現行貨物運賃制度概要とその変遷、これは今日までに至りました過去の制度概要について参考資料までに差上げたものでございます。それからこういう大きな表、鉄道運賃改訂資料昭和二十七年十二月、これが今回の改正の詳細を盛り込んだものでございます。そこでまず現行運賃法の中で、法律としては御承知のように非常に簡単にできておりますが、改正案として出しておりますのは、現行法の第三条第一項の普通旅客運賃三等の賃率、それから第五条でございますが、第五条は定期旅客運賃日本国有鉄道がこれを定めることになつておるわけでございます。そうして第二項のところに定期旅客運賃割引率最低限を定めておるのであります。これについては後ほど御説明を申し上げたいと存じますが、今回通勤通学定期以外に普通定期運賃というものを定めたいというふうに考えておりますので、この条文の改正をお願いいたしたい。それから第六条の第三項でございますが、ここに「日本国有鉄道は、客車寝台その他特別の設備をした場合には、」とございまして、客車だけ書いてあるのでございますが、連絡船にも特別の設備をいたしたものがございますので、「客車及び船室」というふうにいたしたい。それから最後別表でございますが、別表第一は航路運賃別表の第二は急行料金別表第三は車扱い貨物賃率表でございますが、この表について改正願いたい、大体こういう要点になつておるわけでございます。  そこで、鉄道運賃改訂資料につきましてあらまし御説明を申し上げたいと思います。まず初めの国鉄運賃改訂理由につきましては大臣からの説明がございましたので、省略させていただきます。その次に損益勘定資金計画というのがございますが、これにつきましてもただいま大臣から概略お話がございましたが、その一番最後に、差引として昭和二十七年度補正のところへ四十二億一千四百万円、平年度に直しまして二百十四億四千九百万円というものが出ておりますが、これが大体今回の運賃改正で企図いたしております収入増加に該当いたすものでございます。次の四ページ以下、具体的な内容につきまして御説明申し上げます。  まず旅客運賃料金でございますが、運賃のうち鉄道普通旅客運賃は御承知のように遠距離逓減なつておるわけでありまして、百五十キロメートルまで一キロ増すごとに現行一円八十五銭を二円十銭、これは一割三分五厘の値上げでございます。百五十一キロメートルから五百キロメートルまでの一キロメートル当りは、現行一円三十銭を一円四十五銭、これは一割一分五厘の増になつております。五百一キロメートルから千キロメートルまで、一キロメートルにつきまして七十五銭、これは現行七十銭でございまして、七分一厘の増でございます。千一キロメートル以上は現行四十五銭を五十銭、一割一分一厘の増でございます。次の旅客運賃最低額現行通り十円でございます。なお三番目は、三等旅客運賃計算の結果生ずる十円未満の端数は、現行では四捨五入の方法で十円単位といたしております。五円という数字は国鉄旅客運賃にはないわけでございます。これを百五十キロメートルまでは現行通りといたしまして、百五十キロメートルを越えるものにつきましては端数を切り上げて十円単位にいたしたいというのでございます。  次に航路普通旅客運賃でございますが、青函間は、三等につきましては現行二百円を一割の二百二十円、二等につきましては四百円が四百四十円、一等につきましては千四百円が千四百八十円、宇野、高松間の連絡船現行四十円を五十円、二等は現行八十円を百円、仁方、堀江間でございますが、仁堀航路現行の百三十円を百五十円、二等はそれの二倍、宮島の航路は十円でございまして、すえ置きといたしております。山口県の大島の航路、これは現行二十円を三十円、関門、下関と門司港間をつないでおります連絡船、これを二十円を三十円といたしました。  次に定期旅客運賃でございますが、通勤通学定期旅客運賃につきましては、一番初めに申しました普通旅客運賃賃率に準じまして改訂をいたしました。割引率につきましては、現行と同じものを採用いたしておるわけでございます。通勤定期につきましては、六割から八割五分八厘までの割引に相なつております。通学定期割引といたしましては、七割八分から九割二分二厘の割引に相なつでおるわけでございます。この割引率につきましては現行通りといたしまして、基準の賃率をかえたいということでございます。通勤通学定期旅客運賃最低額が、通勤の方が現行百五十円を二百三十円、通学現行百円を最低百四十円、これは三キロまでの地帯でございます。次に前にちよつと申しました普通定期乗車券制度でございますが、これを設けまして、通勤通学定期と別に割引率の低い、逆に言いますと高い定期を設置いたしたい、かように考えておるわけでありまして、二等につきましては、通勤定期乗車券をやめまして、全部二等普通定期乗車券といたしました。二等の普通定期旅客乗車券につきまして、一箇月のものにつきましては三割から四割の割引、三箇月のものにつきましては、三割五分から四割五分の遠距離逓減運賃といたします。あとの方に別表がございますが、三等につきましては普通定期乗車券を新設いたしまして、これは前に申しましたように、通勤定期旅客運賃よりも割引率を低くいたしたい。それでは通勤通学定期普通定期をどうしてわけるかということになります。通学定期はもちろん学校がきまつておりますから問題ございませんが、通勤定期普通定期をどうわけるかという問題がございます。通勤につきましては、会社、工場、事業場、そういつたところにつきまして、それぞれの駅に駅勢圏内がございますが、駅勢圏内のそういつたところが一応駅に登録をいたすということで考えておるわけでございます。次に航路定期旅客運賃でありますが、航路定期旅客運賃は、普通旅客運賃引上げに応じまして、これまた割引率は同様に考えております。  次は料金でございます。急行料金特別急行料金普通急行料金準急料金は、十四ページをひとつ見ていただきたいと思います。最も一般的な普通急行について申し上げますと、三百キロメートルまでのところで三等百五十円を二百円、六百キロメートルまでのところで二百五十円を三百円、なお現行では六百キロメートルから千二百キロメートルまでを飛んでおるわけでありますが、この中間に九百キロメートルというものを設けまして、九百キロのところの四百円はそのまますえ置きの四百円となつております。千二百キロメートルまでのところは四百円を五百円、千二百一キロ以上は五百円を六百円にいたしておるのでございます。二等はこれの二倍、一等はこれの三倍となつておるのでございます。特別急行につきましては、三等について五百円を六百円、七百五十円を八百円、これまた九百キロという地帯を設けているわけでございます。千二百キロのところは七百五十円を千円、千二百一キロ以上は千円を千二百円といたしておるのでございまして、これまた二等は三等の二倍、一等は三倍ということに相場なつております。準急につきましては、ごらん願えればわかりますので説明を省略させていただきます。  なお特別二等車料金でございますが、これは現行三百キロメートルまで二百円を二百五十円、六百キロメートルまで三百円を三百五十円、九百キロメートルまでを新たに設けまして四百円を四百五十円、千二百キロメートルまで四百円を五百円、千二百一キロメートル以上は五百円を六百円ということにいたしてございます。急行料金につきましては、普通旅客運賃値上げよりもやや高率にいたしておるような次第でございます。  次に元にもどりまして寝台料金でございますが、寝台料金はすえ置きにいたしております。これまでもかなり高いというような声も非常に強いのでありまして、すえ置きにいたしました。  それから特別二等車船室料金につきましては、ただいま一括御説明申し上げたのでございますが、前に申しましたように、航路の特別二等船室に対して五十円の船室料金をとることにいたしました。以上が旅客概要であります。  次に荷物のことについて簡単に申し上げたいと思います。荷物運賃並びに荷物車貸切り運賃は一割の引上げなつております。これは別表通りでございます。なお新聞紙、雑誌運賃等につきましては、一割引上げまして一キログラムにつきまして新聞は一円五十銭を一円六十五銭、雑誌は四円を四円四十銭、これは距離にかかわりませず重量だけによる運賃でございます。次に小荷物関係の表は十五ページにあるわけでございます。  次に貨物運賃について御説明申し上げます。貨物につきましては、運送制度戦時中に非常に簡易化されたのでございます。そのためにいろいろ当時としては手数を省き、大量の輸送をやるということが主眼でございましたために、いろいろ不都合な点がかなり多いのでありまして、いわば非常に大ざつぱな制度にいたしておつたようなわけであります。今回制度全般にわたる改正を願いたいと考えました。  まず車扱いのものについて申しますと、第一は等級でありますが、凡百の貨物を幾つかの等級にわけまして、その等級ごとに、運賃法別表第三にございますが、それぞれ賃率を異にする等級別距離別賃率をつくつておるわけでございます。この貨物等級は、国有鉄道といたしましては昭和五年に大改正があつたのでございますが、その後長い間にわたりまして等級の根本的な是正、改正はいたしておりません。経済事情の変動、社会情勢変化等、いろいろな点から考えまして、不都合な点が多いのでありまして、前回の改正の際にも貨物等級については根本的に検討するということが、国会におきましてもいろいろ御議論になつたように記憶しておりますし、また運輸審議会あたりでもそういつたお声が強かつたのでございます。そこで貨物等級審議会—これは国有鉄道総裁諮問機関でございますが、これには各官庁あるいは各産業の代表者の方々に出ていただいておるのでございますが、この等級審議会答申を尊重いたしまして、等級改正をいたすという案をつくつた次第であります。普通等級を今回は十二等級、特別の割引をする等級を三等級つくつたのでございます。現行はどうかと申しますと、この十二等級当りますものが九等級でございます。このほかにあとから申し上げます減トン関係でさらに二つ加えまして十一等級であつたわけでございます。等級では何がどういうような等級になるかという点が、非常に大きな問題であろうと思います。これにつきましてはおおむね成案を得ておるのでございますが、まだ数個の点につきまして、関係庁あるいは関係業界等とも話合いをいたしておるようなわけでございまして、一両日中にはこれにつきましてあらためて御説明できるかと考えておりますし、また関係資料も出さしていただきたいと考える次第であります。  次に軽量貨物につきましての運賃調整、これは現在は貨物等級査定の際併せて考慮されているが、」と書いてございますが、これはどういうことかと申しますと、軽量貨物単位容積当り重量が非常に軽いもので、貨車に満載をいたしましても、たとえば十五トン車に十五トン積めないものがあるわけでございます。こういうものにつきましては昔は減トン制度を実行いたしておつたわけでございますが、戦時中の簡素化のために、減トンをやめまして等級に織り込んだわけでございます。たとえば本来であれば等級が五級なら五級という等級でありますものを、五級の等級減トンしておりましたものを、その減トンの分を初めから重量はそのまま計算するとして、五級を六級に落す、あるいは七級に落すというようなことでやつて参つたのであります。これは昔からやつておりました減トン制度実施した方が、貨物それぞれの実情に合うわけでございまして、各業界からも非常にこの要望が強いわけでありまして、別に軽量減トン制度を設けて調整したわけでございます。これは等級表減トン何トンというように書きますと、たとえば十五トン車にそういう軽量品を積みます場合に、初めから二トンなら二トン引きまして、十トンの運賃として計算するということでございます。  次に賃率でございますが、賃率につきましては、収入が大体一割増となる賃率にいたしたわけでございまして、別表に掲げてございます。なお等級間の賃率指数はやや専門的になるかと思いますが、一級を一〇〇〇といたしますと、最低特別等級の三の三七五ということになつておるわけでございます。次に賃率地帯を細分し、現行の二分の一の刻みとするということであります。これは現行法別表第三を見ていただきますとおわかりになりますが、十キロ刻みでございます。十キロ、二十キロ、三十キロというように地帯が刻まれております。これはたとえば十一キロのところでありますと、もう上の二十キロのところの運賃をいただくということになつておるわけでございまして、切り上げる方式なつておるわけでございます。この刻みが大き過ぎるということで、全部この中間に一つずつ刻みを入れておるわけでございます。この範囲におきましては、刻みを入れただけは運賃が安くなるといいましようか、合理化されるということでございます。それから遠距離逓減率は、おおむね現行通りとする。最低運賃につきましてもおおむね現行通りとする。列車指定運賃割増率現行三割でございますが、これを二割に直しました。これは戦前非常に長い間二割であつたわけでありまして、三割はあまりに高いという声が非常に強かつたのでございます。それもこの面で合理化いたしまして平常状態に返したわけであります。それから特種貨車運賃割増制度を設定する。これは冷蔵車につきまして、貨車をつくります経費、あるいは配車、回送というような運用上の点を考慮しまして、歩増制度を設けまして、一割増を頂戴いたしたいということでございます。それから潤大品運賃割増率を調製しました。  なお小口扱い及び急行小口扱いでございますが、これは賃率割増及び割引する品目改正いたしました。軽量品貴重品危険品以外の賃率割増を廃止いたしました。この面においては安くなります。それから特別割引賃率を適用する品目を整理する。この面におきましては高くなつております。小口扱いにつきましては、原価主義と申しますか、運送に要するコストを重く見て、こういうふうに割増するものも少くする、割増するものも少くするというふうにいたしたわけでございます。  次に賃率でございますが、小口扱い及び急行小口扱いを合せた収入が一割増となるよう賃率引上げております。小口扱い急行小口扱いレール上の運賃開きをおおむね一割にしております。これは昨年つくりました急行小口扱い配達付運賃でありまして、列車急行便を使いましてサービスのいい扱いでございますが、つくりました当初はこれを五%のレール上の運賃開きにしておつたのでございますが、これを一割に改めたのでございます。それから割引賃率は、レール上の運賃において二割となるように改めました。次に賃率地帯を細分し、百キロメートル以上は現行の二分の一の刻みとする。これは車扱いのところで申し上げた通りであります。次に運賃計算重量刻みを細分する。これは運賃法そのものにはございませんが、国鉄法に規定してあるわけでございます。これも三十キログラム以上百キログラムまでは十キログラム刻みとし、百一キログラム以上は二十キログラム刻みとするわけでございますが、これにつきましてはキログラムの刻み方が小さければ小さいだけ、より実情に合うのでございます。というのは切上げ方式—以前からずつとそうでありますが、とつておりますような関係から、こういうことに相なるわけであります。現行は三十キログラムまでと五十キログラムまで、それから五十キログラムを増すごとにということでありますから、三十、五十、百、百五十というふうになつておるわけであります。それをこういうふうに小さん刻んでおるわけであります。それから、最低運賃現行通りであります。  さらに三番目に、これも以前の平和状態のときにあつたわけでありますが、トン扱い制度というものを新設いたしております。これは車扱い十トンとか、十五トンといつた程度の数量もまとまらない、しかし二トン、三トンといつたようなかなりの量があるというものでございまして、車扱い小口扱い中間のものなのであります。これにつきましては二トンから四トンまでといたしまして、小口扱い賃率の五分減という、これは現行小口によらざるを得ないことになつておるわけでありますから、これ自体といたしましては五分だけ安くなるということでございます。  それから次に四番目の重量減トン制度、これは前の軽量滅とん制度とは違うわけでございまして、積めば貨車に一ぱい積めるものでありまして、取引関係から積めない。たとえば十トン車と十五トン車が大半の国鉄貨車でございますが、十トンという取引が、経済界事情等から非常に多いわけでございます。ところが十トン車を待つておるとなかなか来ない。といつて十五トン車に積んだのでは、十五トンの運賃をただいまのところではいただくことに相なつておるわけなので、その不都合を是正いたしますためにこれをきめたわけでございますが、十五トン車積み有蓋車に限りまして、最低は十トンまで、十トンの貨物を積んで、そしてあとに書いてございますように、車扱い賃率の一割増しとなつておりますから、十トン積んだ場合は十一トンの運賃—現在は十五トンの運賃をいただいておるわけでございます。十一トンの貨物を積んでいただきましたときは、十二トン一分という運賃なつておるわけでございます。  以上で大体終りますが、最後に二十三ページ並びに二十四ページの表をちよつとごらん願いたいと思います。これは大体増減収の見通しはどうかということでございまして、最初の方が旅客荷物でございます。旅客につきましては、中ほどから三分の一くらいにございますが、百二億二千三百万円ばかりの増収を平年度計算で見ております。運賃料金改訂に伴う利用減というのが二十二億ここに計上されております。これは国有鉄道で非常にむずかしい計算でありますが、いろいろな過去の実例その他から帰納いたしまして、この利用減を出しておるわけでございます。それから定期運賃—鉄道定期運賃航路定期運賃の三%。一番左方にございます七百五十五億、それから七億三千九百万、これの合せましたものの三%を一応利用減として計上いたしておるわけでございます。それから荷物関係につきましては、増収九億一千万円でございます。これの利用減は、小荷物収入の九十一億幾らとございますが、これのうち二百キロから四百キロまでの地帯のもの、これの五%が大体トラックに移るという考え方から利用減を見ておるわけでございます。旅客荷物と合せました増収が百十一億という数字でございます。  それから次のページの貨物でございます。貨物につきましては、一応等級そのものといたしましては値上げになりますものや、値下りになりますものというか、等級が上になるもの、下になるもの、いろいろ錯綜いたしておりますが、これ自体では増収、減収というようなことなしに、一応計画をいたしておるわけでございます。下るものがある反面、上るものがあるという計画にいたしておるわけでありまして、賃率の修正だけでございますが、この増収が九十九億ということになつております。客貨合せまして二百十億三千九百万円という一応の想定をいたしておる次第でございます。この二百十億が、現行客貨運賃収入のおおむね一割増という数字でございます。  いろいろ詳しい点は、また御質問がございますれば御説明申し上げます。以上簡単でございますが、一応御説明を申し上げた次第であります。
  5. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 本案に対する質疑は次会より行います。     —————————————
  6. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 この際お諮りいたします。国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案審議に際して、利害関係者並びに学識経験者を委員会に招致いたし、審査の参考に供したいと存じまするが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 御異議がなければさよう決します。  なお招致参考人の氏名、招致月日などにつきましては委員長に御一任願いたいと存じまするが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田原春次

    ○田原委員 希望だけ添えて賛成しますが、特に下級サラリーマン、通勤者、定期券の利用者と、それからみそ、しようゆとか、米等の必需品の輸送業者で事情のわかるような者の人選を考えてもらいたい。人選は委員長に一任いたします。
  9. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 承知いたしました。それではさよう決します。     —————————————
  10. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 それではこれから、前会に引続きまして一般運輸行政に関する質疑を続行いたします。熊本虎三君。
  11. 熊本虎三

    ○熊本委員 一番最初に伺いたいのは自動車関係ですが、局長は見えておりますか。
  12. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 来ております。
  13. 熊本虎三

    ○熊本委員 それでは二、三点お伺いしたいと思います。いろいろ各委員から御質疑がございまして、少々重複するところがあろうかと思いますが、その点は前もつて御了承を願つておきたいと存じます。局長は常々ここで、質疑がありますとそれに答えて、一々是は是、非は非として十分その趣旨に沿うということを繰返されておりますけれども、実際運用面に至りますと、何ら実践が伴つておりません。私が東京陸運局長をここへ呼んでもらおうと考えましたのもそういうことがあつたためでありますが、手続上複雑だということでありますから、重ねて中村局長にその点をお伺いいたしたいと存じます。  まず第一に、昨日たとえば統制については廃止の時期でない、その意思はないと言われたのでありますが、それに対しまして、いろいろ各方面ら現在行われている不正事実を指摘されておるのでありまして、この点については、私率直に言わせていただくならば、現在の許可を受けている自動車、特に貨物自動車会社にしてナンバーのやみ貸しをしておらないものは一つもないと私は信じております。しかも正木君は一千円から一万円程度というようなことを言つておりましたが、東京におきましては三万円から四万円のナンバー料をとつている、こういうような事実が限りなくあつた。そういう違法は取締るという局長のお言葉を何回か聞きますが、それについて一体いつごろどういう形でこれを処置したかという、処置の具体的な事例をあげて一応お聞かせ願いたいと存じます。
  14. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 名義貸しの取締りの問題でございますが、これは今年の初めから非常にやかましく言いまして、権利の上に眠つてはいけない、また権利を他に貸して不当な利得を得ることは違法であるというので、厳重に取締つております。ただ問題は、いろいろと会社へ調査に行きましても、なかなか巧妙に帳簿をつくつてありますものですから、その事実を発見するのがむずかしいのであります。初めは非常にしろうと的につくつてあつたのですぐわかつたのであります。経理の収入支出はもちろん営業者に所属しますし、また車の修繕費などが今までは一切名義を借りているものに帰属していたのでありますが、最近はそれも帳簿の上では権利を持つたものに帰属するようになつているので、いろいろと伝えられる風評はあるのでありますけれども、帳簿の面ではなかなかこれを押えにくいので困つておるのであります。しかし監査する方もなかなか巧妙になりまして、いろいろと調査した結果事実があがつておりますので、そういうものについては全部それを返上するか、あるいはそういうものについて権利を認めるかということを突きとめまして、処分しているわけでございます。最近の実績を今ここに持つておりませんが、これはある程度わかつておりますので、この次の機会に数字をもつてお示しいたすつもりでおります。
  15. 熊本虎三

    ○熊本委員 このことにつきましては、私の真意を先に申し上げておきますと、単に取締りを厳にして、不正を行つているものは法に基いて処分する、こういうことを強化しろということのみが私のねらいでないことだけは、前もつて御了承願つておきたいと思うのであります。その前提のもとにお尋ねするのでありますが、かような法に反した業者の、あるいは自家用ナンバーに基く営業輸送、ナンバー貸しというような不正についての取締り調査はどこでおやりになるか、御答弁願いたいと思います。
  16. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 それは最末端では陸運事務所の輸送課でありまして、それを督励したり、あるいは一緒に手伝つたりするのはブロツクごとの陸運局ということになつております。
  17. 熊本虎三

    ○熊本委員 その陸運局並びに陸運事務所の所員において、はたしてかくのごとき無数ともいうべき不法行為のものの調査、取締りに対する完全性があるかどうかということについて、局長のお考え方を承りたいと思います。
  18. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 その点はまことに残念なのでありますが、予算と定員が非常に少く、しかもたびたび削減されるものでありますから、非常に手不足であります。従つて完全に実施することはとうてい困難であります。その点をわれわれも心配しまして、法の運用はもとよりでありますが、正しい法の運用をするために必要な予算と定員をぜひ要求いたしたいと思いまして、来年度の予算折衝に当つているわけであります。
  19. 熊本虎三

    ○熊本委員 私をして言わしむれば、とうてい不可能事であると断定せざるを得ないわけであります。この前いろいろの問題があつて中村局長をおたずねいたしましたが留守であつたので、ちよつと名前を忘れましたが、直接自動車の関係部長に会いましていろいろ内容を承りました。さらに陸運局に参りまして局長に会おうといたしましたが、居留守を使つて会いません。そして部長に会いました。さらに事務所の所長に会いまして、これらの真相を詳しくただしました。法は法であるが、実際上の通用が伴わない。末端に至れば警察に依頼して協力を求めるというのでありますが、警察といえども余分な仕事をするほど手すきがないわけであります。従前のごとくに警察行政の中にこれらに関する許可、認可の制度をしいておりますれば、おのずから責任があつてただちに行うのでありますが、許可、認可の制度は他に移譲されていて何ら関知しない。ただそういう不法行為を取締るということだけでありますれば、警察行政に関する単なる交通取締りの関係において、一部これに便乗せしめる以外にないのであります。ですから私の考えるのに、どんなに局長が法に従つてこれを行おうとされても、末端機関はこれが行えるというようになつておらない。だからこそ私は直接の責任者をここに呼び出してもらいたいと考えていたくらいでありまして、おおむねこの点に関する限りは法文は死文化されていると言つても過言でない。ここに幾たびかの委員会でこれらのことが各個からかわるがわる指摘されて問題になる理由があると私は考えている。この点についてもし法を生かして現在の法令を尊重するという建前にしてこの問題を処理しようとされるならば、局長としてどういうことをお考えになつているかということを、念のため伺つておきたいと存じます。
  20. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 法の精神を生かして、しかも現在の限られた予算、定員でもつて円滑に事務を処理して、利用者の満足を得て行くようにするために、本年の当初から輸送秩序確立運動というのを実行しているわけであります。その眼目とするところは三点ございまして、第一は、免許を受けたトラック事業者が法に基くあらゆる義務を完全に履行する、のみならず名義を他人に貸すようなことを一切させないようにいたすことであります。第二は、免許を受けなくて、自家用をもつて営業類似行為をしておることは違法であるから、これを取締るということであります。しかしこの二つだけでは十分でありませんので、第三の眼目として、いまだ免許を受けていないけれども、法に基いて正当な権利を得て、りつぱな事業運営をしたいという希望を持つておる者に対して、申請があれば、法に基いてこれを審査するということでございます。これがいわゆる新規免許の問題でございます。ところがいろいろと誤解を受けております点は、既存のトラック業者は、輸送秩序確立運動ということは、自分らを擁護して、自家用でいろいろと事業をやろうとし、免許を受けようとするものを一切認めてくれるな、こういう運動と解釈しております。また自家用で免許を得ようとする者は、輸送秩序確立運動は、われわれに正当な道を与えずに、既存業者を擁護することである、このように見ておるのでありまして、これは決してわれわれの真意はないわけであります。この点は既存事業者の会合で、私はたびたび主張をしておりまして、輸送秩序確立運動は、あなた方の営業を擁護することではない。だからまず第一にあなた方は十分に義務を履行して、荷主に満足を与えなければならぬ。しかるにもかかわらず、至るところで名義貸しが横行して、非常に不公正なことをしておるじやないか。これを即刻やめて、あらゆる義務を履行してくださいこういうことを要望しております。そこで第三の眠目の新規免許ということもあわせて取上げなければ、この秩序は確立できないのでありまして、また一般社会の要望にも沿えないのでありますので、たびたび申しておりますように、正しい姿で、正しい目的で営業免許をとろう。しかもそれが今までに相当の荷主を獲得しておるような場合には、新規免許は認めるという考えでおるのでございます。ただ問題は、いつもまつたくもぐりでやることを正当化しようというだけの目的であつて、重要なトラック事業で、貴重な他人の財産を運ぶにかかわらず、その責任を果すような意思はまつたく持たずに、会社としての形もなさず、あるいは事業者としての責任を果す考えは毛頭なしに、とにかくわれわれに権利を与えよと言われるような方が相当間に入つております。そういう人に対してまで免許を認めれば、これは免許制度なきにひとしいことでありますので、免許制度を堅持する以上は、その資力、信用、その他の内容についても、十分適格性があるかどうかについて審査しなければいけない、こういうことを考えておるわけであります。但しその場合でも、たとえば十台でなければいけないとか、二十台でなければいけないというような基準台数というものは一切持つておりません。これはまつたく持つていないのであります。かつて数年前に、都市では何台、地方では何台ということを内規として持つたことがありますので、それがいまだ残つておるように誤り伝えられておるのでありますが、これは一切ございません。ただわれわれの気持としては、公益事業としてりつぱなものにしたいために、台数が多ければ多いほど望ましいと思つておるのでありまして、その土地の実情により、あるいは申請人の内容によつて、りつぱなものであるならば、決して台数についてとやかく言う意思は持つていないのであります。そういう考えで、最近特に現地を督励しておりますので、新規免許で、しかも台数の少いものが相当各地に認められつつあるのでございます。これは昨年よりは今年、今年も前半よりは下期において、そのような事例がふえて来たのでございまして、この点はわれわれのやつておる仕事の最近の実情をよく見ていただければ、あるいは御納得が行くのではないか、かように思つておる次第でございます。
  21. 熊本虎三

    ○熊本委員 私は中村局長を責めるのはいささか無理だと思つておりますが、いかに局長一人が答弁され、努力をされましても、なかなか困難と考えております。だれしもがそうであろうと思いますが、一方厳格な意味において、法と方針に基く現在の許可を受けたる自動車輸送、特に小型等につきましては、その趣旨に沿うことのために、多大なる犠牲を払つて法に殉ぜんとしている会社がある。そうして犠牲に犠牲を重ねて、どんぶり勘定も相ならぬということで、ようやくそれすらも排除した純真な業者が一方におるかと思えば、今言うようにナンバー借りや自家用車の名前によつて、営業に食い込んで来て、そうして基準法や課税というようなものがやみにならざる会社は、基準法も適用しない、税金ももぐりで行くというようなやみ営業者のために追いまわされて、まことに純真な立場で法と方針に沿おうとしておる業者は悲鳴をあげておる。ところが一方において、無免許あるいは自家用車によつて行つておる連中も、せつかく看板を受けたのであるから、何とかして飯の種にしようということで、これまた一生懸命生活のためにあらん限りの死力を尽して、その目的を遂行しようとしておる。こういう二つの中にありまして、正式認可を受けたる方では、不正行為を取締つてもらいたいと言うし、そうでなくて正式認可をとつておらない連中は、早く正式営業ができるように努力せよということで、われわれは両方からの板ばさみになつて、迷惑しごくであります。かくのごとき状態が出て来て、せつかくの民主国家である法治国民として、法をみずから犯してまでもやらなければならないという現状を一体どう処置するか、根本的な問題の再検討をやらなければならぬと私は思う。でありますから私どもの考え方としては、当然その担当者でありますあなた方としての基本的なものはあろうかと存じますが、現在東京ならば東京における一般貨物自動車の輸送数量、小型貨物の輸送数量、それが営業用であろうと自家用であろうと、あるいは特免であろうと、一切合財の総車両の輸送量のバランスをとつて、一体自動車が多いか少いか、適正であるかいなやということについて、根本的な統計をとられることがあるかどうか。われわれから言いますると、たとえば今無免許のものに、そう方法を緩和して、台数をも考慮せずして許可するということに相なりますと、それはいろいろの基準から割出しまするならば、これに類似して、甲を許可したのであるから、乙も許可しなければならない、丙も許可しなければならない、こういうことに相なつて来ようかと存じます。もしその基準原則に大差がないのに対して、甲は許して乙は許さぬということになりますと、これはたいへんな政治問題になつて来る。でありますから届出主義で許可をして行きますならば、その条件だけは整えて来ると思いますので、現在あるものをみんな許可しなければならない。そうした場合に、はたして今日のトラック、小型の輸送能力に対する貨物が適正であるかどうか、こういうことを検討しなければ、どこまで行つてもいたちごつこで問題にならないと私は考えておる。この点についてまず許可、認可の制度を改めますならば—数年前あなた方の指示方針に基いて根本的にこれを遵奉したるものと、それからこれをあらためて許可するものとの間に、どういうような関係を結ばれて行くか。そうしてこれから許可するところの程度を、すなわち営業に対する条件上の問題ではなくて、貨物の数量から割り出して、将来まだこれにプラスしてもよろしいか、あるいは現在でももうすでにオーバーしておるのかということを基本的に建て直して、これからの貨物自動車に関する方針を改めてもらわなければならない、かように考えておるわけでありますが、その点について何か資料でもありましたらお示しを願いたいと存じます。
  22. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 ただいまの御質問はまことに核心をついた内容を持つておるのでございまして、非常にむずかしい問題でございます。たびたび申しますように、既存業者を擁護するものではないのでございますから、権利だけを主張して義務を尽さないような事業者に対しては、どんどんと業務の改善を要望しておりますし、名義貸しはこれ取締つて、われわれがわかる程度においてはすべてこれをなくさせておるのでございますが、遺憾ながらわれわれの目をかすめ実質的に名義貸しをやつておる事実が、まだ跡を絶たないのははなはだ遺憾に思つております。これは何とか今後も取締つて、絶滅を期したいと思つております。また新しい免許をなぜしないかという場合にいろいろと御陳情もあり、いろいろ運動が展開されておりますが、ただお願いしたいことは、それを額面通りにお受取りにならなくて、中にはただ法律でいうからやむを得ず免許をするのであるというだけで、実際には公益事業としての責任を尽す意思も何もなくて、とにかく商売をやらしてくれというふうな人も実際あるのでありますから、そういう方にだけは免許は差上げられない。いろいろ運動している中に質のよい人もあれば、まだ十分と思えないような人もあるのでございますから、この点はわれわれも免許にあたつては十分審査いたしたいと思います。運動すればことごとく免許がとれるというものでないということだけはお断りしておきたいと思います。  それから根本問題に触れて申し上げるわけですが、はたして東京なら東京においてトラックの輸送力が余つておるのか、足りないのか、もし余つておるとすれば、新しくこれに免許業者を入れたらますます車が多くなり過ぎて困るのではないか、その辺をどういうように考えておるかという問題でございますが、これは結論的に申しますと、東京においてはもうすでにトラックは余つております。これは営業用トラックだけでも、輸送力としては二割以上余つておるという私たちの考えであります。これは全国同様でございます。これは最近の経済界の不況その他の事情をお考えになれば、当然常識的にも御判断できることと思うのでありますが、その数字についてはできるだけ早くお手元にお渡し申し上げたいと思います。     〔委員長退席、松岡(俊)委員長代理着席〕 そういうような事情でありますので、さらにこれに免許業者を入れればますます輸送力は余つて、業者は成り立たなくなるという御心配はごもつともでありまして、私たちもその点を心配しております。また既存業者が新規免許絶対、反対と言うのはそのためであります。自分らに輸送力が足りないならば、新しく仲間がふえて運んでもらうことはさしつかえないが、現在でさえ自分たちは車が余つておつて遊んでおるのにかかわらず、これにさらに免許業者を入れられるとますます競争が激しくなつて、商売が成り立たなくなるというような趣旨に出ておるのであります。しかしながら他面まじめな気持でぜひ事業をやりたいという者がある場合に、既存業者を擁護するあまり新規業者の進出をまつたく押えるということも、これまた無理なことだと思うのであります。そこで、その辺をいかに調和するかがわれわれの非常な悩みでございまして、審査にあたりましては免許申請をする者の過去に貨物を運んだ実績をいろいろ拝聴しまして、それによつて、相当多数の荷物を運んでおれば、それはもうすでにそれだけの荷物を自分の手に握つておるのである、荷主を獲得しておるのであるから、そういう人に権利を与えても既存業者のなわ張りを荒すものではない、ただそれを脱法、違法の形でなしに、正当な法規にのつとつた形に直してやるのだ、こういう考えで、そのような人に対しては内容がよく、資力、信用さえ十分であればそれに免許を与えるということに考えておるのでありますが、全然今まで荷主も握らず、荷物を輸送した実績も何もなしに、ただりつぱな会社をつくつてこれに許せという場合には、これは輸送の需要供給の関係で相当問題がむずかしかろうと思うのでございます。そういうことにまで考えて来ますと、現存日本全体では、あるいは東京都においてもトラックが余り過ぎておるのに、さらにどんどん車をつくつて、トラックの台数をふやすということが、はたして妥当かどうかという問題にまで触れるのでありますが、しかし、さればとて自動車の生産をコントロールするということも不適当と思いますので、その辺は自然に経済のおちつくところをにらみながら、この免許をやらなければならないという点に非常にむずかしい点があるのでございまして、ただいま熊本先生の御理解あるお言葉を賜わつて、われわれも大いに努力しなければいかぬと思つておるわけであります。
  23. 熊本虎三

    ○熊本委員 はなはだむずかしい問題でございますから、局長だけに言うのはいやだと思つていたのですが、とにかく非常な重大問題でございます。そこで統制撤廃などというような議論が強く全国的に行われて来るゆえんであります。従つて許可制度をしくならば、あくまでもそれは需要供給の関係に基く統計によつてこれがなされなければならない。それがなしに、一方の方にはどんどん許可をしてみたり、あるいは自動車のナンバーを与えるような認可をしてみたり、そういうようなことをやつておりますれば、これは無統制になるのは当然であります。しかしこれも困難な問題でございまして、財界の変動に基いて貨物輸送の需要量は増減するわけでありますから、困難であろうと思いますけれども、少くとも行政の上において根本的に忘れてならないことは、先ほどから言いまするこの問題についての基本的な数字の上に立つた処置がなされなければならないということでありまして、あくまでも統制して行かれますならば、その点について遣漏なきを期していただきたい、かように考えます。ただ一言、先ほどの御答弁の中に—よくはつきり聞いておりませんでしたけれども、もし私が御説明を受けたようなことだとするならば稔穏やかでないと思いますが、許可をする場合に、何らの実績を持たずしてただ会社をつくつて来るものについてはというお言葉場がございました。許可のないものが実績を持つわけはないのであつて、もし実績がなければということであれば、やみ実績を積んで来なければならないという結論になる。私の聞きようが悪かつたかもしれませんが、そのことはどういうことかというと、現在無免許の諸君が、われわれの実績に徴して政府は許可したらいいじやないか、こういう論を堂々と公聴会で言つている事実がある。しかるに監督の長たる局長が、実績を持つならばとにかくというような話になつて参りますと、相呼応するものがあるのでありますが、しからば法律はどうなるかということでありまして、この点もう一ぺんお聞かせ願いたいのであります。
  24. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 非常にむずかしい点でございますが、先ほど熊本先生から御注意がありましたように、どんどん免許すれば、ただでさえトラックが余つておるのに、ますます競争が激化して事業が成立たなくなるのじやないか、だから免許にある程度限界があるのじやないかという問題がある。他面おれたちに免許をよこせという運動が非常に熾烈である。それをどんどん許せばますます限界点を究破してしまう、その辺の調整をどうするか、輸送の需要供給の見通しをつけながら考えておるかどうかという御質問でありましたので、それに触れて申し上げましたわけで御説の通りどんどんわれわれも免許をとろうとされるのを、会社の内容がよいからといつて全部お許しすれば、結局トラックが余り過ぎてますます困る。そこで需要供給の関係をあわせ考えると、今まで荷主をつかんでいた、あるいはつかむことが確実なようなものならばそれにお許ししても、今まで免許をとつていた事業者のなわ張りをそう荒さないだろう。しかしまつたく新しくここに会社を計画されて出て来る場合には、結局そのつかもうとする荷主は既存業者のお得意さんであるということで問題が起るわけであるので、いろいろとその辺を考える場合に、荷主を確保できる見通しいかんということは十分に調査するわけでございます。
  25. 熊本虎三

    ○熊本委員 なかなか局長も苦しい答弁だと思いますが、とにかく及ぼす影響はまことに重大でありまして、今のようなことで他の営業に災いしないで、独力をもつて営業する能力があるかないか、その実績をだんだんと追い詰めて行きますと、やみをもつてできるだけ実績をつかんで行くことが、次の免許の重大なる一つの課題になるというようなことになると、これはたいへんなことになりますので、私一人ではなくて他の委員諸君もそういうふうに聞かれたかのように聞いておりますが、あとで速記録をお調べになつてよほど御留意を願わないと困るのではないかと存じますが、これはこの程度にして次に移ります。これは道路運送法に基くのですか、東京では三人だと思いますが、道路運送審議会というものがございます。これは民主的に十分慎重審議の結果、万遺漏なきを期するという目的をもつて出発しましたことは言うまでもございません。ところがその後の審議会のとつております行動を巷間聞きまするならば、まことにもつて聞き捨てならざる行動が多分にある。私のある友人でありますけれども、円タクを許可してもらうために約百万円の運動資金を費しておる。そうして結局結論としては不許可になつたということで、えらい打撃をこうむつて泣いておる者があります。しかしながらそれがどう使われたかは私も聞いておりませんし、それから向うもそういうことを大げににしたのでは、みずからもまた不正が暴露するという弱みがあるからだろうと思いますが、単に濁す程度で、その内容等については私にもまだ聞かせておりません。これを私どもが想像するに、この審議会のメンバーのところへいろいろと三拝九拝の運動をしているのであつて、それが現われて見て、はたして法的不正となるかならざるかは別として、そういう被害をこうむつた者があるのは一つ二つではございません。かような民主主義を運用するような不正行為を行う審議会に、あえて過大なる権限を付与することは、まことに遺憾千万だと考えます。かくのごときものは無用の長物ではないかと私は考えざるを得ない。なおさらに公聴会等、まことに形は民主主義的でありますが、その公聴会のメンバーたるや、おのおのこれに関連する業者ばかりである。従つて自己の利害あるいは他の利害等等を中心にしてものを判断するのであつて、少くとも国家産業発展のための重大なる輸送力の関係について、大乗的見地に立つて公聴会が行われておらないことは、まことに嘆かわしき限りであります。これらについて私どもはかような見解をとつておりますが、当局におられる局長はいかなる見解をとられるか、お尋ねいたしておきたいと思います。
  26. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 道路審議会の問題でございますが、終戦後できるだけ行政を民主化する必要があるため、従来のように運輸大臣または陸運局長が、自分の意思に基いてすべての行政処分をして行つたのでは、民意を十分に反映できないから、民間から選んだ数人の委員をもつて構成した審議会に諮問して、その決定を尊重しなければならないことになつたのであります。この趣旨は民主化の精神からまことにけつこうなことと思うのであります。またその場合に事実を発見する重要な機会として公聴会をつくつたことも、これまた趣旨はまことにけつこうなことと思うのであります。また御指摘になりました運用につきましては、予算その他について十分な裏づけができないので、十分に民間の意思を尽していただくような機会あるいは時間が少いのであります。従つて早急に結論を出しておられるような場合もあるのでございます。そのような点についてはわれわれも日ごろから痛感して、予算折衝についてもいろいろ努力いたしておるのでありますが、十分な成果が得られなくて、まことに残念でございます。また委員の手当、報酬につきましても非常に薄く、まつたくその労に報いるところが不十分なので、これまた残念に思うのでございます。そのような形でこの審議会をどういうふうに運用するかについて十分に責任も感じ、いろいろと連絡をしておるわけでございますが、もし御指摘のような点があれば、今後ともこれを改めることに努力いたしたいと思います。
  27. 熊本虎三

    ○熊本委員 この点お考えおき願いたいことは、かくのごとく許可、認可、統制の関係があればこそ、今言つたような忌まわしき問題等が方々に巣くうのであります。自動車輸送のごときは一段階としてできるならば統制をはずす、これは産業の進展に伴い幾多の環境から来るものでありますから、従つて十分お考えを願つて善処していただかなければ、このままではまことに憂慮にたえないものが至るところに存在することをお含みおき願い、この点についての考え方を整理していただきたいと存じます。  最後に伺つておきたいことは、これは陸運局の擁護になろうかと思うのでありますが、陸運局の従事員は非常に少いということでございます。私がある方面から入手いたしましたところによりますと、車体は二十四年に三十一万程度のものが、現在六十万を突破して約二倍になつておる。ところがこれに従事いたしまして監督行政を行つておる陸運局の事務担当者は、二十四年度に三千四百三十名であつたものが現在二千四百八十名ということで、約千名から減員されておるということであるが、はたしてそういう事実があるかどうか、これは適当であるかどうかということをお尋ねしたいと思う。
  28. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 ただいま御理解のあるお言葉を承つて感謝しておりますが、まつたくたび重なる減員で、現在では車両の検査登録あるいは事業の監査を十分にできないような状態にあるのでございます。その理由は、ガソリンの統制撤廃、あるいはその他の資材の統制撤廃及び一般国家公務員の減員という機会に、その都度落されて参つたのでありまして、現在はそのように落ち込んでおりますので、来年度の予算要求として、特に陸運事務所の現場に相当人数の増員を要求しておるわけでございまして、これは予算化して御審議を願う段階になりましたら、よろしくお願い申し上げます。
  29. 熊本虎三

    ○熊本委員 官庁というところは、昔からあるようでありますが、たとえば一つの合理化が唱えられ、そして縮小が唱えられますると、各省ともに自己の保全のために議論が始まつて、結局は頭割的減員が行われ、拡大増加される場合においては、一方が必要に応じて求むる人員に対しても、他の関係者からやはり劣らざる要求を出して、いやが上にも必要以上の人員が増加するという弊風がある。従つて人員整理につきましても、問題はその所管事務の重要度、必要度について厳密なる調査が行われて、そこから各省の競争的整備やあるいは増員が行われてはならない。この数字だけではもちろんわからぬと思いまするが、こういうようなこと等も、いわゆる官界に長く伝わつておりまする悪弊の産物であろうかとさえ考えられますので、この点については十分御調査を願いたい。なお過労からかと存じますが、東京の事務所などでは、百四名中結核患者が二十一名おるという。官公庁の一般結核患者の比率は四・八%というような数字が出ておるはずであります。しかるに東京事務所では約二〇%の結核患者がおるというような数字が上つておるということであります。こういうことが、もしそういうような人員の不足に基く過労から来るものといたしますれば、まことに重大であろうかと考えますので、この点は特に御調査の上、適正なる処置を講じていただきまするようにお願いを申し上げまして、一応自動車関係についての私の質問は打切りたいと思います。
  30. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員長代理 楯君。
  31. 楯兼次郎

    ○楯委員 時間もないので簡潔に自動車局長にお伺いしたいと思います。先日民間自動車の大会において、「国鉄バスの不当進出防止について」というプリントをいただいたのでありますが、現在国鉄と民間との一番問題になつている点についてお答え願いたいと思います。
  32. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 国鉄自動車は、主として現在問題になつておりますのはバスでありまして、トラックはほとんど問題は解消したと思つております。そこで国鉄バスと民営バスとの摩擦でございますが、結局各地方において国鉄バスが路線延長を計画されるわけです。そこに民営バスがない場合は割合に簡単でございまして、国鉄法にいうところの日本国有鉄道に関連する自動車運送事業というもの、つまり国鉄線の先行、代行、短絡、培養というふうな性格に該当する場合には、それを許可することができるのでございます。民営バスがすでにその地区の全部または大部分の地域に先にすわつている場合には、非常に問題が複雑になるわけであります。国鉄バスの当局の人あるいはこれを支持する沿線地方民の方は、ぜひこの国鉄バスを許してくれ、その理由はというと、民営バスは営利本位で十分のサービスをしない、たとえば運賃が高いとか、回数が少いとか、設備なつてない、鉄道との連絡が悪いとかいう理由をあげられるのであります。そこで私たちがそのような申請を受けた場合にすぐ調べることは、はたしてその地区における民営バス業者が、十分に責任を尽していないかどうかを見るわけであります。そうしてそのような責任を十分尽していない、義務を履行していない、また早急にこれを改善する見込みがないという場合には国鉄のバスを許可するが、しかしまあその程度ならば十分だ、現在の段階では民営バスが十分義務を尽しているというときには、それでがまんしていただいたらよいではないかということで、国鉄バスをお断りするというようなことに話の段取りはなると思うのであります。問題は、そのように具体的に事柄を審査して決定すべきことでありますが、その場合にどう判断するかが非常にむずかしいわけでありまして、その辺にもしばしば各方面でいろいろと問題を起しているわけであります。
  33. 楯兼次郎

    ○楯委員 この間説明があつたわけでありますが、国鉄自動車は、今おつしやつたように先行、代行、短絡、培養というふうな、きわめて公共性を帯びている。ところが会計面は独算制をやつて行けという。この表を見ますと、二十六年度は営業計数が一二〇%というところまで向上をして来ておりますが、二十七年度の前半においては九四%で、また営業計数が低くなつて来るおそれがあると思います。先日国鉄バスの関係者に聞いてみましたところが、団貸しの許可をしてもらわなければ、独算制の建前からとてもやつて行けないということを言つておられた。私もいろいろ話を聞きましたが、現在の国鉄路線においては団貸しができない。その路線に在住する住民が団体貸切を要望した場合には、他の民営から車を回送してもらつて、それを使用しなければ団体旅行ができない、それがない場合には、国鉄バスが目の前にあつても旅行ができない、こういう不自然さがあるので、これを何とか解決してもらいたい。こういう要望を聞いたわけですが、局長として、国鉄の現在やつておる路線における国鉄バスの団貸しについてどういう見解を持つておられるか。
  34. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 不経済線をやられるにかかわらず独立採算を要望されておる、その矛盾の点でございますが、それから国有鉄道全体の経理、財政を監督する鉄道監督局の方から答弁していただくのが適当であろうと思います。私どもの理解するところでは、独算制というのは、名前はそうであるけれども、完全な意味においての独算制ではなしに、国鉄バスに関する限りは高能率経営であるというふうに承つております。それからそれに関連して団体貸切の問題でございますが、お話のような要望があることを十分承知しております。そこで根本的に議論が一つあるのであります。それは国鉄バスのようなものが団体貸切のような仕事をやるべきではないという根本論を唱える人があるのでございますが、私は国鉄バスであろうと民営バスであろうと、団体貸切というものは自動車の発達に即応して最も利用者の希望する形であるから、やられてさしつかえないという考えを持つております。ただ問題は、そこでまた民営との調整になるのでありますが、お話にありましたようにその付近に民営業者がある場合には、民営業者にやつてもらつてよいのではないか。ところが遠くの民営業者に頼まなければ車がないような場合には、沿線住民の要望において国鉄バスがやられていいことである。そこで遠くとか近くということが水かけ論になりますが、遠くから車を頼むと回送料という料金をとられるのであります。それをとられるような場合には、そこに頼むことは、いたずらに利用者の負担がふえるばかりでありますから、それは認めない、国鉄バスがやつてよろしい。しかしそう遠くなくて、回送しても別に回送料をとらないような場合、これを具体的に申しますと、大体二十キロくらいの範囲と見ておりますが、その範囲に民営バスの営業所があるような場合には、まず民営におまかせしたらよい。こういう考えでもつて、それを各地方ごとに具体的に調べて一線を画して、国鉄バスが団体貸切をやつてよろしい自動車区及び車両数をきめることに準備しておるわけであります。すでにその方針で具体的な審査を進めておりますが、何とか一日も早くこの問題の許可を差上げたいと思つております。
  35. 楯兼次郎

    ○楯委員 くどくは申しませんけれども、これが国鉄対民間の場合には二十キロ以内というような線があることを聞いておりますが、民間同士ではそういうとりきめがないことは非常に片手落ちであると、公平な立場に立つて私たちは考えておるわけです。また国鉄全体の赤字も、こういう面があるのでしわ寄せられて参るのであります。これは先日来いろいろ論議がかわされておると思いますので、ひとつ局長も不公平な取扱いのないようにしていただきたい。せめて自己が現在運転をしておる路線内における団体貸切については、今後民間と同じような取扱いをやつていただきたい、かように希望をいたしておきます。  それから今度は通運の点についてであります。先日御説明があつた複数制の問題ですが、下部の事情を私ちよちよい聞いてみますると、初め複数制の問題は、一駅に対して一店主義であるというような決定がなされたにもかかわらず、現在においては相当数が払大をして行つておる様子です。なお最近では小さな駅までどんどんと拡大をして行く傾向があるので、当初の閣議の決定と非常に相違した事態が起きておるということが考えられるのであります。そういうような問題がだんだんと拡大をして行きますると、どうしても非常に不明朗な競争が起りまして、定額料金を維持することが困難になつて来る。従つてここで働いておりまする労働者の労働条件の面から見ると、労働基準法は守られないというようなことで、非常に不当な労働条件下に置かれるという事態が出て来ると思います。なお駅の設備の点におきましても、たくさんの業者が入りまして、いろいろな施設の使用方についての紛争が起きておるようなことも聞いております。従つて監督者といたしまして、この複数制をさらに拡大して行く方針であるのか、現在にとどめたいと思つておられるのでありますか。
  36. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 閣議の決定では、一駅に新しく一店だけ認めるということにはなつていないのであります。そこの駅の大きさによつて数店を認めることも、別に否定されておりません。地方の小駅には認めないということにもなつていないので、その点は別に何とも触れておりません。私たちが初め複数制にとりかかつたときには、全国全部の駅を複数制にしなければいけないものだというふうにさえ考えてスタートしたのですけれども、お話のごとく、だんだんやつて参りますと、一駅にあまりたくさん新規業者を認めても、また地方の小駅には一店新しく認めても、今の定額制を破つたり、施設の利用に混乱を起すという点、あるいは従業の待遇に響いて来るという点がありますので、複数制をこれからさらに推し進めることについては相当消極的でございます。それで先般の御説明でも、複数制はほとんど完了してその峠を越した、今後は特殊な地域について特殊なものだけ認めることになるだろうと申し上げたわけでございます。具体的には当つてみないとわかりませんが、かりに取扱いの数量の非常に少いところでも、その地における既存業者のサービスが悪い場合には、荷主のためにまた店を認めなければなりませんし、もう一つ根本的には、通運というのは普通のトラックやバスと違いまして、隔地取引でありますから、ある程度全国的に、系統ごとに網の目のような取引網を持たなければ競争態勢ができない。そこで新規業者の方は、われわれの仲間をいなかの小さい駅にも認めてくれ、そうしないと、いなかがらの荷物取引に相手方がいないから、みな既存業者の日通の方に行つてしまうということを言われておる。これも通運事業の一つの特殊性から見てもつともな議論だと思うので、その辺を勘案して、あまり極端に走らないように、相当消極的にこれからは対処して行かなければならぬと思つております。
  37. 楯兼次郎

    ○楯委員 この問題もりくつをつければいろいろなりくつはつきますけれども、常識的に考えて、現在より細分化することは、私も幾分懸念があるのですが、いけないのです。そういうような方針でやつていただきたいと思います。
  38. 臼井莊一

    ○臼井委員 簡単に一点だけ局長さんにお伺いしたいのであります。先ほど熊本委員からの御質問に関連しての問題ですが、御承知のように炭労ストの影響を受けて、鉄道が非常に削減されておる。そうして滞貨が大分出ておる。こういう特に年末の際で、相当緊急に輸送すべきものもあろうと思います。そこで既存の業者においてはなかなか需要に応じきれない。ことに年末である。こういう特殊事情があり、緊急の場合には、自家用車でも簡単な手続である期間を認めるとか、あるいは件数によつて許可するとか、便宜な方法を講ぜられるお考えがありますか、この点をお伺いしたい。
  39. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 お説の通りそのような必要があり得るわけでありますから、改正道路運送法においてもこの問題を取上げまして、第百一条において、「自家用自動車は、有償で運送の用に供してはならない。」という原則は立てられておりますけれども、「但し、災害のため緊急を要するとき、又は公共の福祉を確保するためやむを得ない場合であつて運輸大臣の許可を受けたときは、この限りでない。」という但書をつけておるのであります。この運輸大臣の許可は、地方陸運局長にその権限を委任しておりますので、地方的に迅速に処置できることになつております。御心配になりました国鉄の輸送力低減によつて、その対策として船またはトラックをどういうように使つておるかということでございますが、現在はガソリンの統制も何もやつておりませんから、別に資材の面から手配をしてやることはなく、ただ地方において滞貨があつた場合に、緊急に輸送するように自家用自動車あるいは自家用トラックを動員しろということは、各地方に伝達してあります。
  40. 熊本虎三

    ○熊本委員 ちよつと運輸大臣に伺いますが、これは予算とも関連すると思いますけれども、やはり一般質問のときがよかろうと思いますが、必ずしも鉄道ばかりに関係することではなくて、道路法その他によりますと、自治体にも関係が相当あることでございます。しかしながら特に地区的な問題を取上げて恐縮でございますが、東京の隅田川以東の国鉄に関する施設を取上げてみますならば、まことにもつて旧態依然たるものがある。平面交叉というところが多分にありますが、特に南千住のごときは、一たび遮断されれば、三十分、四十分の間停止させられるというような、まことに非文明的なところがたくさんあります。それから道路が改修されましても、ガードの改修が行われておらない。これは道路法に基けば自治体がやるということになつておるようではありますけれども、しかし国鉄の施設のために普通道路の使用が減殺されるということについて、自分に影響がないから国鉄としては放任しておくのか。簡単に言いますれば、道路が二十メートルに幅員が広がりましても、ガードはわずかに十メートルか十一メートル程度に放任されておる。それから向うの方は非常に沈下が激しいのでありますから、遂にガード下は貨物自動車も通れない。掘り下げなければ普通の人も通ることができない。これを掘り下げますと、一たび雨が降れば底は水たまりになつてしまつてまつたく交通遮断になる、こういう個所があげますれば無数であります。こういう問題について一体運輸大臣といたしましては、全国輸送交通の面に重大関係を持つておられますが、将来これらをどういうふうにしようとされるか、御所信だけ簡単に伺つておきまして、具体的なことはあとでまた伺うことにいたします。
  41. 石井光次郎

    石井国務大臣 まことにおつしやる通りのことを、私もそういう場面にぶつつかるたびに感ずるのであります。これは鉄道だけの問題でない点は、今おつしやる通りに交通に関連する部面で至るところにそういうものがあります。これには踏切りを立体交叉に直したり、幅員を広げたり、その他の改善をするために、鉄道と道路とどちらが主として責任を発揮するかというような関係を、法律にもきめたらいいじやないかということもありまして、それの法的措置は今考えております。しかし法的措置の問題はあくまでも法的措置の問題で、実際上それをやつて行くかどうかという全体の問題としては、政府の施策にも、鉄道だけ取上げましても、老朽施設を直して行くという問題を強く打出している以上、何としても今お話のような、人命に直接影響はないけれども、これを直さなければ、社会的にもいろいろ問題があり、また経済の発展の上にも大きな障害になるというふうなものがたくさんございます。こういうものにはできるだけの力をいたしたいと考えております。それで御了承願いたいと思います。
  42. 熊本虎三

    ○熊本委員 次に希望を申し上げておきます。こういうことは至るところにあろうかと存じますが、特に東京都の隅田川以東は別段だと思います。大臣にお願いすることはいかがかと存じますが、国鉄に関するだけでもけつこうでございますから、これらによつて支障を受けておる箇所その他の概要等について、簡単な資料をひとつととのえていただきたいということをお願いしておきます。
  43. 石井光次郎

    石井国務大臣 承知しました。
  44. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十八分散会