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1952-12-06 第15回国会 衆議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月六日(土曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 逢澤  寛君    理事 尾崎 末吉君 理事 關谷 勝利君    理事 佐伯 宗義君 理事 田原 春次君    理事 正木  清君       岡田 五郎君    玉置 信一君       徳安 實藏君    中野 武雄君       永田 良吉君    松岡 俊三君       山崎 岩男君    臼井 莊一君       河本 敏夫君    吉川 大介君       熊本 虎三君    竹谷源太郎君       楯 兼次郎君    松原喜之次君       武知 勇記君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         運輸政務次官  木村 公平君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (自動車局長) 中村  豊君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君  委員外出席者         中央気象台長  和達 清夫君         専  門  員 岩村  勝君         専  門  員 堤  正威君     ――――――――――――― 十二月四日  帖佐、阿久根間鉄道敷設請願尾崎末吉君紹  介)(第四三五号)  蟹田、三厩間鉄道敷設請願山崎岩男君紹  介)(第四三六号)  日本国有鉄道に対する寄附請求に関する請願(  猪俣浩三紹介)(第四三七号)  青森漁港臨港鉄道敷設に関する請願山崎岩  男君紹介)(第四三八号)  青森港中央ふ頭臨港鉄道整備に関する請願(山  崎岩男紹介)(第四三九号)  大畑鉄道敷設促進請願山崎岩男紹介)(  第四四〇号)  大間鉄道敷設促進並び大間国営修築等の請  願(山崎岩男紹介)(第四四一号)  根占港修築に関する請願岩川與助紹介)(  第五一〇号)  福知山、宮津間鉄道敷設請願柳田秀一君紹  介)(第五一一号) の審査を本委員会に付託された。 同日  港湾及び漁港整備費に対する国庫補助増額等に  関する陳情書  (第六七二号)  磐越東線の客車改善並びに磐越東西両線の電化  促進に関する陳情書  (第六九七号)  水郡線及び会津線客車改善に関する陳情書  (第六九八号)  野岩羽鉄道貫通促進に関する陳情書  (第六九九号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  運輸行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 これより会議を開きます。  前会に引続き、運輸行政に関し質疑を行います。臼井莊一君
  3. 臼井莊一

    臼井委員 私はまだ一年生でなれませんから、機構のことであるいは見当違い質問をしないとも限りませんので、ひとつよろしく御指導いただきたいと考えております。  監督局長のやはり職責でもあられると考えますので伺うのであります。国鉄総裁がおいでになるとよけいいいのですが、二、三日来の新聞で見ると、炭労スト影響を非常に受けて、国鉄輸送が非常に減退されております。そこでこれに対してどういう対策を考えられておるのか、またこれに対して、鉄道公共性立場からどういうふうに指導せられておるかを伺いたいと思います。まず第一にその点をお伺いしておきたいと思います。
  4. 植田純一

    植田政府委員 炭労ストによりまして、現在まで第一次及び第二次の列車削減を余儀なくされております。第一次におきましては最も貯炭状態の悪い北海道地区におきまして列車削減し、また第二次におきましては二十八日から全国的に貨物列車一〇%程度旅客列車八%程度削減いたしておるのでございます。それによりまして十二月一日現在におきましては、全国的な貯炭状況は二十八万トン、三十万トンを割つております。このままの状態が続きますと、十日には二十一万トン程度貯炭が減るわけでございますので、国鉄といたしましては、このままの状態で推移するということになりますと、列車平常運行にも大きな支障を来すおそれがある。かような見地から十二月十一日から第三次の削減をかなり大幅に実施しなければならないという状況でございまして、この第三次におきましては、全般的に申し上げまして、三〇%程度を越える削減を行わなければならぬ、かようなことでかなり旅客貨物とも終戦直後の状態に近いような状態に追い込まれておるわけでございます。なおその場合の列車削減計画等につきましては、国鉄におきまして鋭意検討をいたしておりまして、いずれ国鉄の方からその点につきまして詳細説明あることと存じます。なお一般的な輸送力確保といたしましては、船舶、自動車等によりまして極力この輸送力を補つて参りたい、総合的な輸送力の補充をして参りたい、かような意図によりまして運輸省におきましても、これの対策委員会を設けまして、今後の事態に即応いたしまして、できるだけの手段を講じて参りたい、かように存じておる次第でございます。
  5. 臼井莊一

    臼井委員 いういろいろくふうは講ぜられておるようですが、ただ貯炭が結局足りなくなつたから輸送力削減だけでやつて行く、こういうような方法しか講ぜられていないように、はたから見ると見えるのであります。そこで戦争直後のような混乱状態ということは、国鉄公共性からいつても非常に重大であり、ことに年末年始を控えておりまして、貨客ともに非常に輻湊する際でありますので、その混乱も一段と憂慮せられるのであります。この炭労ストはすでに一箇月にもなるのでありまして、ストの性質からいつて最近の労働運動の一つの傾向としても、電産スト炭労ストと相当深刻なものがありますので、これは相当長く続くということも予想せられたのではなかろうか。そういうことになれば、一応石炭を応急に手当する。これは内地で間に合わなければ、外国から輸入する。聞くところによりますと、石炭緊急輸入政府の方でも考えられておるようでありますが、これはガス炭用とかあるいは鋼鉄用に使うためで、鉄道には用いないようでありますが、もちろん鋼鉄とかガスも重要でありますが、何か運輸の方を軽く見られているというふうにとりようによつては、考えられるのですが、緊急に輸入するというような方法はないものかどうか、その点をちよつと伺いたい。
  6. 石井光次郎

    石井国務大臣 私がお答えいたします。ごもつともでありまして、私ども石炭ストが始まつて以来、だんだんと石炭の貯蔵が減つて参りました。これが今説明申し上げましたように、十一月のうちに輸送配車を一部減らさなければならぬという状態になつて来て、非常に心配いたしております。ストが済んでも、一週間ないし十日間は出まわるまでに時間がかかるのであるから、あらゆる手当をしなければならないことはもちろん考えております。大体十一月中には話がつくという見込みを私どもは伝えられておりましたので、北海道だけで済めばけつこう、もしいけなくても、現在の一割減程度でそのうち回復できると思つておりましたけれども、同時に石炭手当も考慮しなくてはならないということで、現在におきましても、今私数字を持ち合せておりませんが、インド炭、それから台湾炭国鉄の方に入れることに話ができております。ところがインド炭が来るのが少し遅れまして両方とも一月ころからの入荷になるのではないか。そうするとそれをにらみ合しましても大分手詰まりになつて、今局長から申し上げたような結果になるのであります。これはなお努力をいたしたいと思つております。それから国鉄運輸省とも一緒になりまして、鉄道輸送力減等に対してどうしたらいいか、その刻々の状態に応じ得ますような対策委員会を今急にこしらえて、こまかい問題にもなお遺漏なきを期したいと思つております。
  7. 臼井莊一

    臼井委員 いろいろ手当等をお考えになられておるようでありますから、ぜひ全力をあげていただくとともに、炭労ストが早く話合いがつき、調停ができることが望ましいのでありますが、きのうの予算委員会においては、まだ緊急調整の時期ではないというふうに労働大臣は答えられておつたようであります。しかしこの国鉄関係のことだけ見ても、非常に重大であり、緊急であると私たちは考えております。その点について労働大臣閣議においてでも何かお話合いなつたことがあるかどうか、その点を伺いたい。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 その問題については、私はこの現状、将来の見通し等閣議に伝え、一日も早く石炭が出て来るようにしてもらわなければ非常に困る、石炭の欠乏のため輸送力が先ほど説明したように激減をするような状態になれば、これは産業上の問題のみにとどまらない大きな問題になるのではないかという点を申しまして、どういう方法が一番適切であるか、緊急調整をいたしましてもすぐ石炭が出ないようなことでは困る、こういう意味でいろいろ話し合いまして、中労案中心にして強力に話をしていただくということで、しばらく様子を見ております。
  9. 臼井莊一

    臼井委員 その点についても一段と御努力をお願いいたしまして、この点でもう一点お伺いしておきたい。これは大臣でなくてけつこうですが、大分収入減になると考えるのです。そうするとここでまた補正予算を出して、再補正というようなことも考えられるのですが、およそどのくらい収入減を来すというお見込みか、これは今後の問題でありますからどうかと思いますが、もし見通しが立つていればここでお伺いしたいと思います。
  10. 石井光次郎

    石井国務大臣 大体のところを申しますと、旅客収入減はまだ統制もいたしておりませんから今のところ見当がつきませんが、貨物収入の方は、もし第三次の手配をする前に三分の一減るようなことになりますれば、ちようどその割に三分の一くらいの収入減ということになります。これは輸送力においても一日十五万トンくらい減るというような大きな問題でございますから、今までの多少の利益とにらみ合せてというようなことでは、なかなか追いつかない問題であると思います。これは数字的にはまだはつきりいたしませんが、もう少し調べまして御報告いたします。
  11. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 関連してちよつとお尋ねいたします。ただいまの列車削減による北海道並び東北地方の実情を申し上げまして、これに対する緊急処置をお尋ねいたしたいと考えます。北海道も御承知通り莫大なる滞貨があります。また東北としましても、私の県は東北の一番突端の青森県でございまして、りんごは本年二千一百万箱とれたのです。このうち中央並びに阪神地方の市場に送り出すためりんごは約一千八百万箱です。それを今まで国鉄においてはいういろいろめんをしてくださいまして、順調にやつてくれておりました。ところが今度貨物車削減によりまして、たいへんな滞貨を来しておるのであります。駅頭滞貨は現在南部地方において二十万箱、津軽方面においても十万箱くらいあります。ところが御承知通り雪が降つて参りました。りんごは生ものですから、これが腐つてしまうわけなんです。北海道方面東北地方で生産された貨物を東京から阪神方面に送り出すためには、国鉄を利用しているのでございますが、それが今度ぴつたりととまるということになれば、年末を控えて実に塗炭の苦しみをするわけです。聞くところによりますと、十一日からさらに貨物車を三割減ずるということでございますが、そうなつて来るとすつかり困つてしまう。さなきだに東北線、奥羽線は単線でございます。そこでちよつと貨車まわりがよくなると、極度につかえるような状態です。こういう際に、炭労ストのあおりを受けまして、国鉄輸送が非常な拘束を受けるということになりますと大問題であります。しかし石炭がないため列車削減しなければならぬことはよくわかります。ところで船会社方面におけるただいまの貯炭状態はどうなつているか。それについて御研究があつたならばお知らせ願いたい。そうしてこの際至急に、北海道方面滞貨は、小樽、室蘭、函館というような港を利用して、船で運ぶくふうをし、なるべく鉄道向け貨物を軽くするような措置をとつてもらわなければならないと思うのですが、この方面については何か手を打つておられるのですか。
  12. 石井光次郎

    石井国務大臣 今お話りんご、それから紀州方面みかんを逆に北海道に持つて行くというようなことが、同じように非常に問題になつていると私は聞いております。それには近いところはトラックを用い遠いところは船ということについて研究させておりますが、あなたのおつしやるような線に沿うて何とかしなければならぬ問題でありますから、それについてどういう手配をしているか、また今後どうするかということは、あとでお答えいたします。
  13. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 承知いたしました。
  14. 玉置信一

    玉置委員 私も臼井委員の御発言に関連して、一言大臣にお伺いしておきたいと思います。ただいま山崎委員から北海道貨物の問題に触れて御質問が、ございましたが、まつたくその通りでありまして、先日長崎国鉄総裁に私が質問した際の御答弁によりますと、滞貨といつて輸送の大宗は石炭である。従つて一般貨物はそう影響がないということでありました。時間の関係上私は再質問は控えたのですが、かりにストが早期に解決して列車が動くにいたしましても、大臣先ほどお話通り、一週間や十日ではなかなかということでありますと、一番先に運ばれるものは石炭である。これは緊急な問題でありますから石炭を当然先に運ぶと思いますが、それだけに一般貨物滞貨はいつ処理されるかということになりますと、これに対しても私は相当心配があるわけであります。特に年末を控えまして、たとえば正月用みかん北海道に行かないというようなことも関連いたしまして、ストの当事者はともあれ、一般国民感情に及ぼす影響は相当大きなものがありはしないか。わが国の経済再建において国民感情心理作用から、このままにしておくととんでもない派生的な問題が起りはせぬかというところまで私は心配しているわけであります。従つてただいま山崎委員の申されましたように、港を利用して搬出の方法等も考慮すべきであるということで発言したわけでありますが、ことに国民感情に及ぼす点を考慮されまして、大臣としての御所見をこの機会に伺つておきたいと思います。
  15. 石井光次郎

    石井国務大臣 了承いたしました。なるべく早くそういうふうな手をとつて行きたいと思つております。
  16. 臼井莊一

    臼井委員 いずれにしてもこの問題は、公労法等によつて国鉄においてはストライキがない。従つて一応運輸の確実が期せられるという安心感も、炭鉱スト等によつて相当破られるわけでありまして、結局公労法の精神というより、むしろその効果が非常に奪われるわけであります。こうなりますと将来ともに非常に不安になる。この点今後公共事業としての電産とかあるいは炭鉱方面のことについても考えなくちやならぬと思いますが、この点は一応本日はとどめて、後日にいたします。  第二点としてお伺いいたしたいことは、やはりこれにも関連するのでありますけれども国鉄安全性、この点についてお伺いしたいのであります。国鉄のサービスで一番大切なることは、安全性確保であることは明瞭であります。ところがすでにこの委員会及び先般の連合審査会等においても論ぜられたように、国鉄独立採算制をもつて公社としてやつておるということと、国鉄としての公共性ということの矛盾が非常にできて、それがため従業員人たちの生活の犠牲をもしいつつある。すなわち裁定がいまだにそのままのめないという状態で、いろいろの問題が起りつつあるのでありますが、現在従業員人たちが非常に不安な気持仕事をやつておる。また不満な気持仕事をやつておる。そこにおいて鉄道という非常にスピードを重んじ、またわずかなポイントの誤りとか、また踏切りのちよつとした勘違いとか、あるいは軌道のゆるみ等の点検がちよつと足りなかつたがために、非常な災害を及ぼすということも考えられるわけでありまして、この点について当局また政府においては心配ないかどうかということをお伺いしたいのです。それとともに安全性に関して、今申し上げたような理由でやはり独立採算制に非常に災いされて、このパンフレットにも出ておりますように、国鉄は少からず陳腐化しておる。また老朽化しておる。すなわち償却補修等がまだ十分でない、こういうことを認めておられるようでありますけれども、この点について補格費補正予算に出ておりませんが、予算に出ておる程度のことで決して心配ないのかどうか。すでに日暮里等の単なるブリッジの点でもああいう事故が起きておりますし、今後そういう点について決して心配ない、こういう御確信があるかどうかということをひとつお伺いしたいのであります。
  17. 石井光次郎

    石井国務大臣 先ごろからも国鉄総裁からどなたかの質問に答えておつたようでありますが、まだまだ老朽施設を直すべきものがたくさんあるということは、たびたび私どもそれを心配して申しておるところであります。これは国鉄償却金目当のものによつて、ひどく悪いものはどしどし直しておりまして、一応の見方において人命その他に影響を及ぼすというような心配のある状態にはないという国鉄総裁の言葉を、私はそのまま信用いたしたいと思います。しかしもつと愉快に旅行もでき、そして安全度がさらによくなるというような問題等を考えますと、先ごろから話が出ておりますように総計千八百億の金がいるということでありますが、それは順次直して行つてよくするという面のものであつて、今技術的に見まして危険というような状態にはないということを承知しております。しかし思わぬところに思わぬすき間ができて来るものでありますので、そういう問題につきましてはできるだけ早く、まだ大丈夫だろうと思つても直し得るものは直すというくらいの努力をしてもらいたいということを念願しております。そのつもりでやつていただきたいと思つております。そういう面について資金関係がどういうふうに動くものであるかという問題等で、運輸省として国鉄を鞭撻する上に必要なものがありますれば、私も協力してやつて行きたいと思つております。それから従業員指導訓練ということも、これも考慮して行く問題として非常に大事な問題であります。これは運転考査等をいたしまして、万遺漏なきを期して参りたいと思つております。
  18. 臼井莊一

    臼井委員 今の後段の問題は、指導訓練というよりは、国鉄裁定が現在まだ決定していない、あるいは八月にするか十一月にするかということについての協定がまだ完全にでき上つていない。それがために組合はすでに超過勤務等を拒否しておる。また新聞等で見ますと、幹部の方は野宿をしてその運動を続けておるというようなふうでありまして、仕事が手につかぬというようなことで事故があつたり、また手不足ために過労になる、こういう点についてお伺いしたのであります。
  19. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 ただいまの御質問関連をいたしますので、簡単に私からも御質問申し上げておきたいと思います。昨日の予算委員会において、運輸大臣が早く御出席になれば運輸大臣に御質問申し上げたあとで、大蔵大臣その他に御質問するつもりでありましたが、連合審査会ため運輸大臣の御出席が遅れたので、先に大蔵大臣等にこの問題について相当突き込んだ質問を申し上げたあとで、運輸大臣が御出席になつてから少しばかりこの問題に触れたのでありますが、あらためて御質問申し上げることは、争議の問題について、争議の起る原因、特にほかの方面における争議違つて公共企業体である国鉄に起つておる争議原因を考えてみますと、非常にほかの問題とももとより関連をいたしておるのでありますが、国有鉄道性格というものが、一方においてはいわゆる国がすべての財産を出しておるところの国有鉄道であるから、公共性を持つておる。従つて建設やその他の運営についても、採算の成り立たないところでも、できるだけ広く、できるだけ頻繁に輸送をやれ、あるいは鉄道建設をやれ、こういう議論が一方において成り立つて来る。他面においては、公共企業体なのだから、独立採算制によつて運営をやつて行け、こういう議論も成り立つのであります。この二つ議論を実際に移して参りますと、一方においては建設補修改良等公共性立場からやらなければならないし、これに要する経費というものは独立採算、すなわち私企業でやるような、常業を成り立たせるような考え方でやらなければいかぬ、こういう相反した、矛盾した二つ性格が出て参つているのが現在の国有鉄道であります。従つてすべての問題の欠陥、矛盾というものがここから生じて来ますので、数年前からしばしばこの問題が論議をせられました通りに、元々通りのいわゆる鉄道省式に、運輸省がやつて行く、こういうものに返して行くか、あるいはもう少し営業を主として行くところの、独立採算を主として行くところの自由なやり方にして行くか、二つのうちどちらかにしなければやりにくいのではないかという議論が、数年来しばしば論議せられたことは御承知通りであります。ところがどちらにもはつきりすることができないのが、今の国有鉄道なのであります。昨日大蔵大臣と私との間にむし返し質問応答しました点はここなんであります。こういう相反した性格を一本にすることができないというのが今の国有鉄道でありますから、従いましてここから生じて来るものが、労働争議、すなわち給与等の問題について適当なやり方をやることができないことになつて来るのでありますし、他面また鉄道の新しい建設につきましても、適当なやり方をすることができない。さつき御質問になつたよう補修改良等の問題につきましても、当面安全であるかのように一応糊塗しておりながら、実際はなかなか不安、危険な状態が各所に見られるのであります。この危険、不安というだけでなく、さらに補修改良等施設の方に十分の手を尽しますれば――もう少し具体的に申しますれば、貨物等の荷揚げ、荷おろし等の場所であるとか、あるいは旅客に対する諸施設であるとか、あるいは港湾鉄道との結び場所等についての施設を改良するとか、こういう点に力を注ぎますれば、採算の点において十分の収入が入つて来る見込みのところもたくさんあるのであります。こういうことをやれないのは、会あ公共性独立採算制という二つの相反した性格を持つところから生じて来るのでありますから、そこで政府として考えなければならぬ問題は、この相反した性格から生じて来るところの欠点、具体的に申しますならば予算不足、いわゆる経営費不足、この分だけは政府一般予算の中から繰入れて行くという、この根本的の方面を確立することが絶対に必要である。これに対するきのうの大蔵大臣答弁といたしましては、その点については十分に考慮するということであつたのであります。考慮するというだけではいけないから、根本的にこの問題を確立せよ、こういう質問をいたしたのに対しまして、できるだけ御希望に沿うように研究し努力するという御返事があつたのであります。さらにつけ加えて、鉄道建設等についても建設公債を発行してこの公債によつて建設をやつて行く。ところが公債によつて建設をやつて行つて、その利息に追われるようなことがあつたのでは、後の運営上困るから、公共性を持つという立場から、発行した公債に対する利息一般会計から補給する、いわゆる利子補給の制度をここに確立する、こういうやり方によつて公共性の方を満たして行く。他面独立採算の方の面におきましては、収支償わない路線といえども、間接的には産業経済の開発に利するところが非常に多いのであるから、その点を考えながら今言つたようやり方を確立して行かなければならぬ、こういう私の質問に対する答弁は、その点についても急いで研究いたしましよう。それまでの間は一般会計の方からできるだけたくさんの予算を繰入れることを考えましようということであつたのであります。できるだけたくさんというのではいけないから、そこの線をはつきり出したらどうかということを追究したのでありますが、その点もう少し研究さしていただきたい。ただ今までよりは思い切つて努力をする、こういう確答を昨日得たのであります。こういうことから考えてみまして、先ほどの御質問の御趣旨にもあつたように、何と申しましても交通事業は安全性が一番大事でありますから、その安全性確保して行くことと、一方においては産業経済の開発に沿うて行くという建前から、思い切りこの主張を運輸大臣政府に向つて強くせられて、その目的を達成せられる、こういうことについて昨日予算委員会において一応の御意見は承つたのでありますが、この際あらためて伺つておきたいことは、そういう点について絶対にこれを実現して行きたいという強い御決意があるかどうか、重ねて伺つておきたいと思います。
  20. 石井光次郎

    石井国務大臣 臼井さんと尾崎さんの御質問に対して、あわせてお答えいたします。国鉄裁定がまだはつきりした状態にない、そういうことがいつまでも続けば、鉄道安全性にも影響を及ぼすのではないかという御心配、ごもつともでございます。私としましては国鉄総裁に対して、国鉄総裁のやり得る範囲の交渉、いわゆる第二項、第三項、第四項という裁定の中の項目について、できるだけ早く話合いをつけてこれを通そう。そうして一日も早くこの問題が解決して、お互いが、不満ではあるがここらで了承しようという点が妥結できることを期待しておりますが、まだそういうことがはつきりしない今日において、鉄道に不安な状態の起らぬようにということは、従業員諸君も、国民に迷惑を及ぼし、生命にも影響を及ぼすようなことについては、もちろん十分な考慮をしておるはずであります。私どももその意に沿いましてその心持はよく受入れまして、早く妥結に至るように努力いたしまして、安全を保持したいと思つております。  それから尾崎さんの独立採算制公共性、この矛盾したような対立状態からいろいろ困つた問題がある。私どももそういうふうに思います。私は筋としては、ああいうものを設けた以上は、だんだん独立採算制という方里として近づけて行くことが、本筋でなくてはならぬだろうと思つております。そうでなかつたら、運輸省で、元鉄道省でやつたように昔に返ればよいのであります。私は筋はそういうことになると思うのであります。しかし今の状態におきましてその問題をなお研究し、だんだん近づけるということのほかに、ただいまの問題といたしまして、老朽施設等を改善しあるいは新しい線をこしらえて行く問題について、政府からも金がなかなか出ないようであり、国鉄そのものの財的力ではどうにもならぬものは、建設公債ということももちろん考えられると思うのであります。老朽施設をだんだん直して行くのには、国鉄本来の仕事の金の中でやり繰りして行く。建設はその中から出せるものではない。これは民間の仕事の場合でもそうでありますが、別に考えなければならない。今のところは政府から金を借りておる状態でありますが、本年予算または補正予算に盛られた新しい線等について考えますと、これは経済線でありまして、将来必ずよくなるだろうという線も、もちろんその中にたくさんあるのでありますが、ある線については、そろばんになかなか合わぬが、連絡その他の関係上どうしてもこしらえるべきだという線等もあるわけであります。こういうふうなものにつきましては政府が出資してやつて行くことも話があつたのでありますが、一応独立採算的な立場において公社というものができておりますので、これはまだすぐ取上ぐべきものではないだろうというような空気が閣議においても濃厚であります。それならばこの費用は国家から借り入れるが、そのかわり利子は国家で持つてもらいたいということで、ある時期になつてそろばんが合うようになれば別でありますが、これは国策的に必要だといつて国有鉄道にやらして利子負担をさせ、それが大きな負担になつて、結局補修の問題の方にも影響するようなことになつてはならないと思うのであります。この間の補正予算によつて建設しようとかかつておる線については五億円、もう年度末にも近いのでありまして、仕事にかかるのも少いであろうということで五億円で了承したのでありますが、このときもその問題を取上げて折衝したのであります。この話はなかなかつきませんが、とりあえず五億円借入れで出してもらう。しかしこの五億円を出してもらうから、この補正に出て来る線はすべて国有鉄道が利子を払う、そして建設をやつて行くということでなく、この問題は補正を組むのに非常に短時日になつておりましたので、あらため大蔵大臣と折衝することに留保されておるのであります。そういうふうなことについて話を力強く進めて行きたいと思つております。それからその金の総額の問題は、昨日もちよつと申し上げましたように、本年度の予算に組まれておる十二線、この補正に出しておる約十線内外、この線の費用を経済的に建設して行くには、来年度約百億円いるだろうと思います。こういう問題につきまして今尾崎さんから大倉大臣にいろいろ言つていただいたそうでありますが、これはぜひたくさん出してもらうように折衝したいと思いますから、御援助を願います。
  21. 尾崎末吉

    尾崎(末)委員 今大臣からその点はつきりした御答弁を伺つていささか安心したのでありますが、さつき申しましたことをもう少し補足して申し上げておきます。今伺つた御答弁の中に、私どもが多年主張して参りましたように、補修改良の方に要する経費は鉄道の益金をもつて充てて行きたい。一方建設に要する経費は一般会計から借り入れるなり、あるいは建設公債を発行して、これをもつて充てて行く。その一般会計から繰入れてもらつた金の利息、または建設公債によつてまかなつ公債利息は、一般会計の方から補給させるような方法に向つて努力いたしたいということがありましたが、まことにけつこうでありまして、その通り格段の御尽力を希望いたしておきます。昨年も一昨年も私どもが主張いたしたのに対して、当時の池田大蔵大臣は、公債を今思い切り余分に発行すればインフレーシヨンを激化するおそれがある、こういうことを強く主張しておられたのでありますが、この春の通常国会におきまして私どもが出した資料、すなわち他の公債であれば別でありますが鉄道建設公債を発行したため経済事情を圧迫するというような事例はかつてない。つまり公債を多額に発行いたしたためにインフレを激化したという事例は一つもない。というのは、建設をする公債ではあるが、建設をする場所が国内の一地域に限られるために、その地方においては直接に相当経済上の殷賑をきわめることになりますが、国全体の経済事情を圧迫することにはならない。こういう幾多の実情を調べて主張いたしてみました結果、今年の春の国会においては、さすがに頑強といわれた池田大蔵大臣も、なるほどといつて首肯されて、その点を考慮されることになつてつたのでありますが、特にこの問題について堪能な運輸大臣は、こういう点について深い御認識があるようでありますから、閣議等におきましてももこの程度建設公債によつてインフレを激化するおそれはないという建前において、強い御主張を願いたい。それから建設の予定線につきましては、何と申しましても経済産業の開発は、この種の交通、特に鉄道による開発でなければ力をなさないことはもとよりなのであります。できるだけたくさん建設することが、四割五分を失つた日本の国土を有効に利用して行く最大の力となるのでありますから、できるだけたくさん建設をいたしてもらいたい。その建設をするについては、さつき申したような方法によつてつていただきたいということを強く希望申し上げておきます。  もう一つ申し上げておきたいことは、これも昨日の予算委員会議論いたしたことでありますが、二十八年度の予算には、経済力充実あるいは鉄道建設等方面にまわすべき予算が、相当多額に出て来るということを私どもは確信をいたしておるのであります。きのうの大蔵当局の答弁も、このことに沿つて答弁をされておるのであります。という基礎は、昭和二十六年度の予算は、御承知通り数十年来歴代の内閣が計画して成功し得なかつた画期的の大減税をやることに成功いたしたのであります。あの大減税に成功いたした二十六年度の予算におきましても、国民所得と二十六年度予算との割合は一七%であつたのであります。二十七年度の予算におきましては、一千八百二十三億の治安防衛費というものが予算の中に計上せられたにもかかわらず、国民所得は五兆三百億というもものに上りましたがために、国民の注目を引いた総予算八千五百二十七億という大きな予算であつたにもかかわらず、国民所得との比率は一七%弱であります。一昨年の画期的大減税に成功したときよりもやや下まわつておるというのが、国民所得と予算との割合であります。こういう見地から考えてみますと、いわゆる自衛力の漸増ということは、訓練や装備等は強化するが、予算の面においては、二十七年度の一千八百二十三億以上に上げない。予算の面においては漸増ではないのだ。こういうことを昨年の一月三十日と三十一日の国会再開劈頭における総括質問において、私が総理大臣並びに大蔵大臣と質疑応答を重ねた結果、この方針がはつきりいたしておるのであります。そのことを昨日も予算委員会でむし返して聞きますと、その方針にかわりはない、こういうことであります。そこで国民の注視の的になつておる防衛力、いわゆる自衛力の漸増という面についての経費はふくらまない。ところが今問題になつておりますところの国民所得というものが相当に上つて行つて、その割合から健全財政、均衡予算というものを編成しましても、こういう経済力の充実や建設等の面にまわすべき予算は、相当巨額なものが出て参ることははつきりいたしたのであります。従いましてこういう際において、特に鉄道建設あるいは補修改良等の重大問題を確立する必要があることを私は強く主張いたしておるのであります。非常に深い御見識と、堪能なお力を持つておられます運輸大臣におかれましても、この際ぜひともこの根本問題解決のために御尽力くださるよう希望いたし、重ねて御所見を伺つておきたいのであります。
  22. 石井光次郎

    石井国務大臣 お答えいたします。新線建設補修という問題は、今度の政府の政策の中にも特に取上げて強くうたつておるわけであります。大蔵大臣もその心持を当然持つておることと思います。私も微力ではありまするが、ぜひ今のお話の線に沿つてつて行きたいと思つております。
  23. 臼井莊一

    臼井委員 資金の調達のことについてお伺いしたいということを通告してあつたのですが、今尾崎先生からの御質問で大体私の伺いたいことも尽きておるようでありまするので、重複を省きましてその点はやめます。  結局私のお伺いしたい点は、鉄道で一番大事な安全性、それさえもさつき申し上げたような炭労ストによつて鉄道の運転を削減するということになると、勢い戦後のようなたいへん混乱した状態になつて、窓から飛び込むとか、あるいはまたぶら下るというようなことで無理をして、非常に危険なわけなのでありまして、従つてその点非常に心配になるのであります。しかし先ほど申し上げましたように、根本的にはまだ種々論ぜられておる公共性ということと、独立採算制矛盾ということ、この二つの問題によつて補修も十分できないということであります。なお政府では新線にも力を入れるというお話でありますが、この新線建設は、私鉄であればもちろん一般から株券を募集する関係もありますし、また責任上からいつても、採算の合わないようなところはつくりませんし、またつくれない。ところがこういう国家的にやる仕事であるから、ある程度採算を犠牲にしてもその地方の開発のために新線をつくるということは、これは力を入れなければならぬわけでありまして、開発されること自体は国家的な利益でありますけれども、しかし開発されて行くことによつて、将来ともに鉄道が多少の採算がとれない。しかもこの採算がとれないというのは非常に多くの地方に及んでおるわけでありまして、聞くところによると、私の記憶に誤りなければ六、七十パーセントぐらいはむしろ採算がとれないという話でありますが、こうなると、先ほど尾崎委員が言われたように、どうしても国の力によつてこれを補つて行かなければならぬ。先ほども申し上げたように、従業員の犠牲とかあるいは安全というようなものを無視してまで新線をつくるということは、これは考えなければならぬことであつて、新線をつくる上においては、大臣がおつしやつておるように、また先ほど言われておるように、目鉄法によつて政府の出資追加というものはできるのでありますから、ぜひ政府がこれを出資し、そして採算もある程度とれるようにして行かなければならぬと考えますが、暫定の処置としては少くとも借り入れて、利息だけは政府一般会計でこれを補つてもらうということが必要であろうと思います。ぜひひとつそういう点については、委員の方も皆さん御同意であるので、お願いしたいというふうに考えておるわけであります。なお説明書によると、実はわれわれしろうとでありますが非常に心配になるのは、大体老朽施設の車両の復元には千八百六十億円はかかるのだけれども、しかし緊急を要するものは大体七百億である。そして二十七年度において大体減価償却費及び特別補充取替費で合せて三百億、そうすると四百億というものが来年度においてもおそらく計上されるというふうに私は期待しておるのでありますが、いずれにしてもこの点をできるだけ急速にやつていただくことをお願いするとともに、安全ということについては御心配がないというふうに御確約願つたことに了解いたしまして、この程度にとめておきます。  それから最後にちよつとお伺いしたいのは、実はこちらへ要請書が来ておるのでありますが、それはそちらへも通告いたしてあります改正道路運送法の問題で、自動車運送事業に対する免許というものは、戦時中の統制経済時代そのままの免許をほとんどやつておる、こういうのは不合理じやないか、こういう陳情が来ておるのであります。実はこの点、ちよつと法律を調べてみたところが、昨二十六年の六月に一応改正してあるらしいのであります。その点、昨年改正していてどうしてこんな法律があるのがというふうに、私はふしぎに思つたのです。元来、現在の自由党政府の方は自由主義ということを非常に主張された。むしろこれは極端に言つて古い自由放任主義に類するような、極度にまで自由主義ということを採用せられておるように私思うのであります。ところがひとりこの自動車運送事業については、非常に厳重な統制をやつておるごとについて不審に思うのであります。戦時中でありますれば、もとよりガソリンが足りない、物資が足りない、また重要物資を輸送する、これが自由に運行されることは困るというような点がありますので、従つて各事業を合同させたということがあり得るので、やむを得なかつたのであります。しかしすでにガソリンもわくをはずされて自由に使える、また物資も非常に出まわつて来ておる、こういう時代になつてもやはり非常に厳重なこういう法律をつくられておるということについて、一応法規にはその目的が書いてありますけれども、その真意を一応お伺いしたいと考えております。
  24. 石井光次郎

    石井国務大臣 この改正道路運送法で、貴重な他人の財産の安全とか、それを正確に運ぶとか、あるいは迅速に運送するとかいうような使命を持つたトラック事業というものは、公共的な性質のものであるという建前から、自由営業とせずに、今免許をいたしておるわけであります。これは世界のどの先進国でもみなこの制度をとつておるようであります。それでこういうふうな規定になつておると思います。ただ実際の許可の場合に、やかましくてなかなか許されない、もつと許したつていいのじやないか、これは見方の問題があると思います。既存のトラック業者を保護して、新規に出て行こうとするものを押え過ぎるのじやないかというような声は私ども聞いております、この許可をする問題には、もう少し私は扱いの道があるだろうと思うておりますが、ただいまのところは、この規定をどう直そうという考えを持つておりませんけれども、なおこれはいろいろな声も聞いております。十分研究いたしたいと思います。
  25. 臼井莊一

    臼井委員 大分いろいろと声があるということはお耳に入つているようにただいま伺つたのですが、考えてみますと、二十六年に改正されたときには、自由党政府の絶対多数の際にこれが通つたのでありましてこの法律をつくつたときにどういう意見が出たかは私存じておりませんけれども、どう考えても自由党内閣においてこれがそのままであるということは解せないと思うのです。しかし戦時中と同じだという業者の言うこともはたしてそうなのか、どうなのか、戦時中の統制と現在の統制のやり方と、多少こういう点は緩和してあるのだとかなんだとかいうことがあるのじやないかと思うのですが、その点お伺いしたいのであります。
  26. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 私からお答え申し上げます。戦時中の統制のために免許制度がとられて、それが戦後にかかわらずその制度を存続しておるというものではございません。ただいまお話のありましたガソリン、タイヤその他の資材が自由になつたのに、まだ統制を存続しておるのはいけないという御説でございます。資材の面からであれば、御説の通りでございますが、この免許制度を存続した理由は、そういうふうな資材の面からでは、ございませんので、このように制度が残つておるわけであります。昭和六年に自動車交通事業法というものができまして、そのときに自動車運送事業は、バスに限らずトラック、タクシー、ハイヤー、全部免許制度になつたのでございましてその後たびたび変遷を経まして、昨年の改正道路法でもこの免許制度が存続されておるわけであります。その理由は、先ほど大臣から申し上げましたように、トラック事業はバス、タクシーと同じように、高度の公益事業であるからという趣旨でございます。これは自由主義を国是とするといわれるアメリカでも、一九三五年からはトラックも免許制度にしているのでございまして、各国とも同様の例になつております。  そこで戦争中と戦後とでは、物事の考え方に当然相違ができて来たのであるから、それを免許制度についてどのように考慮したかという御質問でございますが、それにつきましてはいろいろと考慮いたしまして、改正道路法では第六条に免許の基準というものをはつきりと掲げまして、その免許基準に適合しているときには運輸大臣は免許をしなければならないので、運輸大臣が自由かつてに免許の可否を判断するのではなく、法律に基いた基準に適合した場合には、必ず免許をするということを保障したのでございます。この点がいわば行政の民主化ということになつております。また免許をする処分官庁といいますか、権限官庁といたしましても、運輸大臣がことごとくそれをやるというふうにはせずに、一応地方ごとに、陸運局長にタクシー、ハイヤーとか小型のトラックについては免許を委任いたしまして、できるだけ手続を簡易化してやることもいたしております。また免許を申請された申請人の方の言い分を十分に聞かれる公聴会の制度を活用しているわけでございます。その他この制度の運用につきましては、法律の精神あるいは経済民主化の精神に基いて十分に考慮しているのでございまして、免許を絶対にしないという考え方ではなく、りつぱなものならば免許して行くという考え方をとつておるのでございますから、われわれとしても今後運用につきまして十分に注意いたしたい。そうなればいろいろと世間に問題になつておるような誤解だんだんとなくなつて行くであろう、かように思つている次第であります。  なお一言、戦時中の統合の問題は、そのまま存続されているじやないかという御心配でございますが、これにつきましては、戦争によつて無理な統合が進められた場所もないとは言えないのでありまして、あるいは重役間がうまく行かない、あるいは地域的に無理な統制をしたような地域もありますので、さようなところにおいてはこれを解体して、妥当な、実情に合つたものに対することについてはどんどんとお認めしているのでございます。そのような解体はここ数年間は非常にふえております。今その地域においてはおおむね満足を得ておるような次第であります。
  27. 正木清

    ○正木委員 関連して……。私は自動車局長の御答弁に対して御質問申し上げるのですが、改正道路法によつて免許基準は法律的に明示されている、それから行政処置として民主化のためには、それぞれ出先機関を通じて万全の処置をとつておる、こういう御答弁でございますが、しからば現実にはどうかという問題でございます。誤解は出ないであろうとおつしやるが、実際ははたして局長がお考えになつておるように運用されておるのかどうか。現実はどうなのか、私はこれが非常に大きな問題ではないかと思います。そこで前回の委員会における局長の説明の中にもあつたと思うのでございまするが、既存の営業者が自己の権益を擁護するあまりに、現在届出をしようとしておる者に対して、ある種の圧迫を如えておらないかどうかという問題も、一つの大きな問題であろうかと思うのであります。現実に私はまつたく不可解な事実を知つておる。このたびの選挙で、私も選挙区を広くかつ多くまわつたのでございますが、地方に参りますれば参りますほど、こういう事実を私は直接陳情を受けて来ておるのでございます。いなかに参りますれば参りますほど、営業者は現実にないのです。しかも省営貨物自動車の運転すらない地区に参りますと、自家用車を持つております者に、その地方の生産業者なり、飲食業業者が物を託します。従つて託されたその自家用常業者は当然若干のお礼と申しましようか、心づけをいただく。このことが改正道路法の違返行為であるというので、運輸省の出先機関はこれをどんどんと摘発しております。そうして法の精神に基いて、その自家用車に対して営業禁止を命じております。従つて営業禁止をされたその自家用率の諸君は、非常手段としてどういう手を打つておるかというと、既存業者に一箇月七千円から一万円の権利金を出しまして、その会社のマークを借りるのです。マークを借りますと、その次の日から営業行為も自家用行為も自由にできるという事実を、私は僻村の地において数多く陳情を受けて参りました、こういう事実のあることが一点、そこで私は運輸大臣並びに局長にお伺いしたいのですが、既存の営業者の権益を守るということも、公共性を持つ立場から行けば考えなければならないけれども、その免許を与える基準というものについて、幅の広い行政処置が必要なのではないか。たとえて言うならば、従来運輸当局は、大型トラックに関する限り二十台以上でなければ許可しないというようなことも言われたことがあるのでございますが、地理的条件等も勘案して、その地方の特殊事情も顧慮の中に入れて、十台なり八台なりが結集して、その地方の開発の利便に供するということ、これすなわち公共性を発揮することです、こういう点についても十分考える必要があるのではなかろうか、この点が一点、それから民間のそうした自家用車を持つておる諸君の取締りに急の余り、運輸当局の最高のあなた方がお考えになつておる精神が逆作用をいたして、社会的に与える思想上の影響というものが大きく現われて来るのではないか、この点私実は非常に心配いたしております。そういう点については、十分に下級出先機関を督励いたしまして、さようなことのないように細心の注意を払う必要があるのではないか。もし局長にして、具体的な事実を示せというのならば、私は十分示す材料を持つております。  さらに小型三輪車については、私は改正道路法の精神に基いて、それほど厳格に取締る必要はないではないか、五台なり六台なりそろえば、もはや資材の面等においては何ら統制すべき事態はなくなつておるのですから、企業協同組合なり、小さな会社等も許可して、むしろこういうものに対してこそ、国産品の奨励の意味からも許可すべきときが来ておるのではないか、こういう点について十分にお考えになつておられるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
  28. 吉川大介

    ○吉川(大)委員 私もこの問題について幾多質問をし、あるいは御参考までに申し上げたい点が多々あるのでありますが、今正木委員から詳細申されましたので、私はいまさら申し上げません。全然正木委員と同様のことを考えております。なお場合によつては私もいろいろの事例をあとで申し上げてもよろしいのですが、あえてここで賛言を費しません。
  29. 中村豊

    ○中村(豊)政府委員 ただいま正木先生からいろいろお示しがございました欠陥といいますか、そのような事情については、私たちもいろいろと耳にするので。ございます。それは免許制度がいけないというよりも、免許制度の運用あるいは免許制度の内容について不備があるのではないかと考えるのでございます。たとえば今の免許制度を運用する場合に、新しく免許を得たいという申請人に対して、なかなか免許をやらない。そのために何とか事業をやりたいものが、免許を得ずしてやれば、これは違法行為になつてどしどしと取締りをされる。そこで取締りの目を免れるために、既存業者の名義を借りて、相当多額の名義料を出して営業をする。このようなことはまつたく法の精神に違反し、また明らかに条文に抵触するのでございまして、まことに遺憾な事実でございます。そこでそういうような事態をどのように直すべきか、どういうふうにしたらいいかを私たちはいろいろ考えおるのでございますが、何といつても根本的には、貴重な他人の財産を安全、正確、迅速に運ぶということで、この事業をまつたく自由にしてしまうことは、例はおかしいかもわかりませんがパチンコ屋のようになつてしまいましてまことに荷主、公衆が困り、一般の経済混乱を起すことであり、またそれによりまして、路線トラックあるいは鉄道、軌道全体が混乱に陥るのであります。これは世界各国全部を調べまして、何ゆえにトラックを免許制度にしたかという理由でありますが、全貨物運送界を混乱に陥れることであるから、これを免許にして厳重に取締り、資力、信用の十分にある者に許す。そうして運賃を認可にし、あるいは事業計画を厳重に監督し、あるいは車内の整備をはかり、運転の保安をはかる、こういうところから免許制度は出ておるのでございます。ただ問題になるのは、先ほど申しました免許基準に適合するものは全部許すという場合に、免許制度の中に問題の点が一つあるのでございます。それは道路運送法の第六条の第一項に免許基準が書いてありますが、その第三号でその地区において供給輸送力輸送需要量に対して著しく超過した場合には、免許しなくてよろしいということになつておるのであります。これがつまり争いのもとになるのでありまして、その地区における免許者業のトラックの輸送力ですが、それが貨物の数量よりも著しく超過しておる場合には、もうすでに車が遊んでおるのであるから、それにさらに新たに免許業者を入れることは不当競争が起つて業者も共倒れになり、またひいては荷主も不測の損害を受けることになる。これは最もはつきりした例を他に引いて申し上げますと、ちようど昔東京にありましたようなあの円タクの氾濫時代、ああいう状態が起つてはいけない、こういうような趣旨から、需要供給の関係というものを非常にやかましく見るのでございます。そこでその見方によりまして、とかく既存業者の擁護になるようなおそれがございますので、この見方につきましては、十分に実情を調べなければいけないのでございまして、この法律を通していただいた当時の国会においても、その需要供給の見方についてどのような考え方をとるかということは、非常に議論なつたわけでございます。この点について、われわれは運用について十分考慮をし、先ほどお話のありましたような幅のある考え方をもつて臨みたいと思つておるのでございます。そうなれば今問題になつておるような多くの問題が解決して行べのではないか。ただ現在問題になつておるような点においても、あまり申請される方が自己本位で、まつたく資力も信用も何もなくて、しかもわずか一台くらいで大都会のまん中で許せとかいうような御議論まで、全部が一緒になつておるのでございまして、やはりその中にはあまりに資力、信用のないものはお断りしなければいけない。これ免許制度をとる限りは当然であると思うのでございます。そこでその場合に二十台とか三十台とかいう標準をもつて、それより小さいものは許さないというような話があるということですが、そのようなことは現在はございません。もう基準の台数として何十両以上ということはただいまはとつておりませんから、今後は御心配はないと思います。ことに東京の小型トラックは、すでに三台でもお許ししておるのでありまして、ことに小型トラックのごときは全国各地ともどんどん新規免許をわずかの台数で与えておるのであります。これは免許制度といいましても、運輸大臣ではなくて、陸運局長が現地において簡易な手続で許すという方向をとつておるのでございます。われわれは免許制度についても事柄の重い軽いによつて手続を十分考慮しておるわけでございます。そういうことにいたしますれば、御心配のような逆作用というようなことをだんだんとなくして行けるのではないかと思いますので、今後ともこの法の運用については十二分に考慮をし、また地方機関に対しても十分にその趣旨を徹底いたしたいと思つております。
  30. 臼井莊一

    臼井委員 今正木委員、吉川委員からもお話がありましたが、私もそういうことは非常に耳にいたすのであります。一つの免許をとるのにそういうことが相当あるということを聞いて、実に不可解に思うのであります。そういうような利権化するというようなことが、この問題にあつてはならぬというふうに考える。外国の例を私は不敏にして知りませんけれども、実際過度に混乱になるということは、これは考えなくてはならぬ。ただ日本ではまだ自家用だけでは、自動車一台持つのに経営には少し荷が重過ぎる、しかしこれを合せて商売をやつて行きたいという人が、地方の辺鄙なところでは相当あると思う。東京のような大きな都会では一台、二台でもまくということは必ずしも必要でないかもしれませんが、相当辺鄙ないなかへ参りますと、やはり簡単に営業ができるようになる方が――遠くの方から免許を持つている人の車を頼んで来ると、むしろ迅速ということにおいても遅れてしまう。また経営の点でも、何十台というものを持てば、そこに相当の企画をもつて、何々係長から課長から部長、社長、専務というふうなことになろうと思うのです。九州の例を聞いたのですが、十台免許を持つていても、実際は三台しか動かしてないというような事例も耳にしておるのでありますが、それよりはもつとラフに許可して、地方の商工業者が簡単に利用のできるようにした方が、むしろ私は公共的にはいいのではないかと思う。ただ値段の点の競争にならぬように統制するということだけが、公共性の保持ということにはならないので、結局一般社会の利益に十分になるように考えるという点に至れば、そう厳重なことはやらぬようにした方がよかろうと考えております。今局長から伺いますと、台数の制限などないというふうに伺つたのでありますが、まだ地方ではそういうことを耳にいたしておりませんで、ハイヤーにいたしましても、何か三台以上でなくちやいかぬとか、また公聴会を開くにもいろいろな手練手管があるとか、非常にやかましいようであります。正木委員もおつしやつたにようにおそらく地方で自家用車を利用しようというのは、値段も安いだろう、またそう荷物をたくさんまとめぬでも簡単に持つて行つてもらえる、こういう利用価値があるからそれに業者は頼むのであつてああいうトラックに頼むと危険だということまで冒して近所の自家用車に頼むということは、私はおそらくないと思うのです。ところがこれをやれば法に触れるということで、今月いただいた「運輸」という雑誌によつても、最近取締りによつて事業界が明朗化したというふうに伺つたのですが、明朗化したというのはどういう点が明朗化したのか。ただ現在の既業者が取締りによつて非常に有利になつた、保護を受けたということだけが明朗ということでは、ほんとうの明朗になるのではない、そういうふうに私考えたいのでありまして先ほど局長の言われたようであれば、しかも免許をそうむずかしくなく許すということであれば申しませんが、今までのように相当な資本を持たなくてはいかぬということであると、どうも中小企業というようなものに対して政府は御理解がないのではないか。やはり大企業中心主義のような考え方で、従つてそういう小さい企業者がたまたま利便のために頼まれてやつた、法を犯したら、自動車の使用をとりやめる、それがために非常に苦しくなつた。運輸大臣はそうは考えないでしようが、これが元池田通産大臣であると、それによつて五人や十人死んでもしかたがないのだ、そういうような結論になりかねないのでありまして、日本の経済の規模においては、中小企業者の成り立つように、むしろ育成するような方向に運輸を持つて行かなくてはいけない。極端に言えば、一台であるからそれを営業させると、安全性がなくなるとか、あるいは正確でもないとか、公共性に反するとか、あるいは迅速性に欠けるとか、そういうことは考えられないのではないか。一台であれば家内工業的にはなるかもしれませんけれども経済にもなりますし、自分の車であれば大事にもする。そして荷主のためにも親切にやる。そうすればけつこう商売になつて行く。それによつて一つの仕事が与えられるのではなかろうかというふうにも考えられる。危険と言いますけれども、自動車は御承知のように何箇月に一回かは、その自動車々々々によつて相当厳重な検査をしているのでありますから、危険なものを許すのは、それは車体の検査の方が悪いのであります。そういう点から考えれば、法の改正をしてやれば、楽に、自由に、そしてもぐりでなくて、堂々と商売がやれて、それによつて税金もあがる。営業者であれば当然そこに税金も納めるということになるのでなかろうかと考えます。もちろんこれは一定路線を走る定期とか乗合バスについては別の考え方が必要であろうと思いますが、そういう点を十分お考えいただきたい。この法が改正できるまでは十分あやまちのないように運用する、こういう局長お話でございますから、その点を信頼いたし、お願いいたしまして私の質問を終ります。
  31. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十三分開議
  32. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 それでは休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を続けます。永田良吉君。
  33. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私は気象の件につきまして、ちよつと簡単な質問を申し上げたいと思います。長い間追放でいなかに立てこもつていたので、近、ごろの事情に通じませんから、あるいは質問の要領等、間違つたことを申し上げるかもしれません。なおまた私はややともしますと興奮するくせがありますので、たまには脱線的な失礼なことも申し上げるかもしれませんが、そういう際におきましては、委員諸君や当局の方でも遠慮なしにおつしやつていただけば、脱線したことはただちに取消しをいたす覚悟を持つていますから、この点を前もつて申し上げておきます。われわれが若いころは、地方の測候所の気象の予報なんか、失礼ですが間々当らぬことが多いので、われわれの地方では魚でも食う場合に、測候所測候所ととなえて食うた時代があるのです。これはすなわち測候所があまり当らぬから、魚が当らぬように、そんな皮肉を言つたのでしようが、最近は皆様方の御精励によつて、気象の予報によつてわれわれが幸福を受けている点は、まことに甚大であるのであります。この点は国民として、当局の御熱心に対して深く感謝の意を表する次第であります。私は中央の気象台のことはよく知りませんが、それらのことについても最近承りますと、アメリカであるとか欧州各国の方面には、気象上の設備もずいぶん完備しておるようであります。わが国でもずいぶんやつておられるとは思うが、まだ当局としていろいろ要求せられておることも多々あろうと思います。先ほど来委員会の席上でもお話があつたように、大蔵省との予算関係で意のごとく設備ができないということは、これは各省とも同じことであると思います。特にこの気象観測方面において、長年間における皆様方の施設要求のうち、最近それが他の官庁の項目に比べて並行して行つているか、またその平均からいつて十分目的を達しないでいるか、よくやつておられるか、こういうこともよけいな心配であるかもしれませんが、お尋ねしておきたいと思うのであります。またこれは簡単な質問ですけれども、かりに新しく測候所を一箇所つくるという場合には、場所にもよるかしれませんが、大体一箇所の設置費は何ぼぐらいがかるものか、これもこの際教えていただければけつこうだと思うのであります。  それから、これは地方的のことを申し上げて済みませんが、私は大隅のものですから、あの地方のことには若干体験を持つておりますが、気象と、地方民衆が幸福を受けるか受けぬかの点について、例証を一つ申し上げ、私の希望を申し上げておきたいと思うのであります。これは昭和十三年のできごとで、測候所の当局、中央気象台長さんその他の方々は御承知であろうと思うけれども、昭和十三年に大隅半島を突然襲つた風水害があつた。あの際大隅半島で六百有余の人命を失つてしまつた。私は当時郷里におりましたが、一日暴雨の飛来によつて一地方民六百名の生命を失つた。あのとき水死した者の死骸の悲惨な状態は、いまだに私の脳裡に深く刻まれております。ひとり六百の人命を失つたのみならず、当時田は埋められ、がけはくずれ、家も流され、昔の間数でいうと長さ約二十何間もありそうな、十何丈という大きなすぎの木までも一里四方押し流されたことがあるのであります。これらの悲惨な水害は人間のみならず、馬、豚、鶏にまで及んで、たくさんの人畜の被害を見たのであります。当時それらの復興については、県や政府の方にもたいへん同情していただいて、意外に早く復興したのでありますが、私はその際の県や政府やり方に一つ物足らぬ点がある。それは何かと申しますと、これはただ暴風雨の一つの例ですけれども、日本に襲来する暴風雨がわが大隅半島を通過することは、過去の記録において日本一、あるいは過言であるかもしれませんが世界一であるということは、中央気象台の方も御承知であろうと思う。しかるに香川県と同じくらいの面積の大隅に測候所の一つもないということは、政府当局としてこれは当を得たる処置であるかどうか、この点を私は中央気象台長さんにお尋ねしたいと思うのであります。薩摩半島には鹿児島、枕崎、串木野の三箇所の測候所と観測所があるのであります。これらは多く漁民並びに県民一般の意味からして設置されておることと思いますけれども、ひとり気象台は海上ばかりではありません。陸にもかかる乱暴な、非常な被害をこうむるのであります。今私が申し上げました昭和十三年のときには六百名の人命が失われた。他のことではありません。そのかわり一般の施設政府や県の力で復興していただきましたけれども、この風水害の原因は風の害か雨の害か。結果においては、風はさほど強くなかつたのであります。私は経験者であるから申し上げますが、そのときの被害の原因は、かつてなき降雨が見舞つたからであります。その現象を申し上げますと、夕方から夜中の四時ごろまでしの突くような猛雨が襲来したのであります。そのころ風が衰えて来たものでありますから、われわれ大隅半島の者は、ああ、もう風がなくなつてしまつたな、低気圧は去つてしまつたなと言つてぐずぐず寝こんでおりりましたら、夜明けになつて突然大洪水で、寝ながら一家五名も六名も、家とともに流されて三人も死んだのがあるのであります。皆さんこれは何を意味しますか。すなわち大隅半島に測候所がなくて、雨量が何百ミリに達するという、過去になかつた雨水が降つた。測候所があつたならば、ただちに警報を鳴らしてわれわれ大隅半島の住民にお知らせがあつたことと思う。これなきがために、六百名の人命を失い、また田畑を荒され、家の復興にもわれわれ大隅半島の者は非常なる苦心をしたのであります。すなわちこれら政府の設置せられる測候所が、適当なる位置に設けられてあつたならば、この惨害を未然に防ぎ得たであろうと私は考えます。私はそういう気象の専門家でないから知りませんけれども、さように考えるのであります。現在私どもの地方にある雨量計などは、まつたく町村役場にある昔のものであろうと思うのであります。今これらに進歩した方法、早く周知せしむる方法として測候所があれば、何よりも早くその地方に知らせ得たと思うのであります。大隅は現在交通、通信の面において欠けておるのであります。薩摩半島のみ三つもあつて大隅にないから、大隅の人に直接知らせる方法がなく、昨年のルース台風でもそうだ。ルース台風の被害報告は、薩摩半島だけが中央新聞に報ぜられ、中央に反映したが、私の方の大隅は、電信、電話みな線が切れて、船も無電の設備がないために、何ら中央にこの被害の状況を知らせることができなかつたのであります。そのためにあの暴風雨の際に、中央から野田建設大臣が総理大臣の代理として見舞に来られたけれども、薩摩半島ばかり被害が強かつたというのであの地方だけをおまわりになつて、大隅には一歩も足を入れられなかつたという事績もあるのであります。こういう点から、今後政府施設としてわが大隅半島に測候所を御設置になり、またぞろかかる被害が到来する場合に、われわれ地方民を救うべきことを考えて、政府当局に来年の予算にでもそういうお考えがあるかどうか。もしないならば大蔵当局にも迫つて、当時の写真も私は持つておりますから、どうしてもかかる恵まれない地方には、こういう設備を設置されて救済されんことを要望してやまない次第であります。  このついでに、失礼でありまするが、中央気象台長さんは中央気象台に今まで何年くらい御勤続なさつていらつしやるか。また私が申し上げた昭和十三年に大被害があつた折に、大隅に御旅行あそばしてあそこを見られた経験がありますかどうか、これもついでにお尋ねいたしておきます。まず以上お尋ねいたします。
  34. 和達清夫

    和達説明員 ただいまは大隅半島の気象の災害につきましていろいろとお話を承りました。まことに御同感であります。お尋ねの件でありますが、私は中央気象台に参りましてから約五年でございます。昭和十三年ごろは大阪の気象台に在任しておりました。気象のことはいたしておつたのでございますが、御当地に参りましてその被害を拝見することはありませんで、ございました。ただいまの御質問の中の、測候所を新設するときの費用であります。大きさにもいろいろありますが、小さなものでも少くとも二千万円、あとは規模によつてそれよりずつと多くなる。この大隅地区には、お話通り現在測候所はございません。しいて気象の設備がどれだけあるかと言いますと、小規模なものでございますが、二箇所に気象観測所と二箇所に雨量観測所があるだけでございます。この地方が台風その他の気象災害を非常に受けますことは、ただいまお話通りでございまして、わが国でも有数の場所かと思います。現在この地方は総合開発の特定地域にも指定されておりまして、この開発のためにも、産業の振興のためにも、気象観測を十分に実施しなければならないところであると承知しております。そのために、わずかでありますがシラス地帯の調査ということがありまして、今年は雨量の観測につきまして六箇所ばかり新設はいたしました。なお国土総合開発関係といたしましては、肝属川の開発のために、私どもの計画では昭和三十年度にもう少し雨量観測を十分にいたしたいと思つております。大隅地区に測候所を設置いたしますことは、私どもも気象の立場から考えまして、まことに必要なことと存じております。ただいまお話のように大きな気象災害がしばしば起るのでありますから、なおさら必要であると存じます。ただ現在、予算とか人員の都合によりまして、早急にこれの御期待に沿い得ない事情がある点につきましては、まことに遺憾に存ずる次第であります。なお現在大隅地区に測候所がございませんけれども、できるだけ警報とかいうようなものが伝達されるように、鹿児島測候所がその任に当つておりまして、現在は警報伝達組織という組織ができておりまして、鹿児島測候所がその責任におきまして、大隅地区の気象に対してはできるだけ的確な警報が、できるだけすみやかに到達されるように努力はいたしておりますけれども、いま一層われわれは努力いたしまして少くとも測候所ができます間までも、災害を少しでも少くするよう努力いたしたいと思います。
  35. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま御親切な御答弁を賜わりまして、まことに感謝にたえませんが、今当局から説明がありました通り、あの恵まれぬ大隅地方は、今年からシラス地帯の特殊な事情の関係で、政府から手をつけていただく段取りになつている。この方面は天候方面関係から、今まで悲惨な目にあつている。肥しをやつても、雨が降ればすぐ海に流れてしもう。大隅半島は桜島の軽砂の被害地帯であるから、一雨降つたら、大きな穴がたくさん明いてしもう。年々風水害のために、肝属川の河口には波原、柏原というりつぱな港湾があつたが、それが最近は埋もれて、通い船も通わないという悲惨な状態なつた。数々申し上げれば限りもありませんが、ああいう六百人も死んだような被害のあつた場所でありますから、せつかく政府があの大隅方面の救済に何千万の金をもつて当ろうという際に、中央測候所の当局がみずから現地の被害状態をごらんになつたならば、黙つておられましたでしようか。私は政治は愛なりということをこの間も申し上げましたが、あのかわいそうな大隅の人たち中央に遠いから、陳情に上るにも村長さんや県会議員なりいろいろな人は、なかなか関東地方のようには参れません。時間を使つて、たくさんな金を使つて来なければならぬ。今でも貧乏しているものが、始終上京してお金を使つたら、なお貧乏する。このように日本の最南端の場所でありますから、かつてなお願いですが、気象台長さんは、足によつて行われた政治がまことに善政の基礎をつくると思うので、どうかごたいぎでしようが、あすこまでお出ましを願つて、私が申し上げますことが事実かどうか、実地を御調査の上、今三十年とおつしやいましたが、それじや私のような年とつた者は死ぬかもしれません。一刻も早く来年度予算にこれを切盛りする、予算補正はこれからでありますから、大蔵省に出してください。ぼくらは大隅からどしどし行つて迫ります。測候所一つが二千万円という大した金ですが、六百名の人命を失つたという悲惨事のあつた場所でありますし、年々農作物も何億という被害をころむつておる。今沖繩や大島の島民は、日本の国へ復帰運動をいたしております。涙をこぼして訴えておる。あの地続きなんです。どうぞああいう恵まれぬ地方ですから、たいへん御迷惑ですが、一段の勇気を振つて、さつき私のお尋ねした点の御答弁がありませんが、はたして測候所の予算は、他の鉄道や海運のいろいろな予算に比べて、過去二、三年間の累計の比較はどうなつておりますか、新しい予算で最近とられた金額をお教え願いたい。私は長く議員をしておらなかつたから、その点教えていただけば、たいへんけつこうだと思います。
  36. 和達清夫

    和達説明員 災害がございますと、現地の測候所長はむろん参りますし、またその地区の管区気象台からもこれを見に参ります。また大きいときには中央気象台もできるだけそういうことを直接見まして、対策を立てております。お話の点は十分拝見いたしたと思つておりますが、その措置が十分行かなかつたことにつきましては、まことに申訳なかつたと思つております。この気象の仕事は、御承知通り戦後非常に縮小されておりまして、測候所は戦争が終りましたときにありましたよりも、その数ははるかに減つております。今日測候所新設ということが非常に困難な事態になつております。地方にいろいろ測候所を新設することについての御要望のあることもよく存じておりまして、また私どもも必要なところには建てたいと思つております。まことにくり言になりますけれども、気象事業全体の予算というものが、私は他と比較して多いとか少いということはよく存じませんけれども、それ自体として十分でないために、既存のものすら設備が整わない状態であります。そういうような御要望もできるだけ実現いたしたいと思いますけれども、早急に参らなかつた今までの事情をおわびしたいと思います。今後できるだけ努力したいと思います。
  37. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま戦争後予算がはるかに縮小されたというお話を承つたのでありますが、同じ運輸省関係においても、港湾関係の燈台もりなんかは、ぼくらはたびたび新聞記事で拝見したり、ラジオなんかで聞てことがあるのです。ああいう海難を救うために苦労する人の身の上も思つていただかなければならぬと思うのですが、むろん測候所の方は、われわれ国民最大多数の生命財産を保護していただく消防組の警防隊と同じであります。こういう点から見て、何千億円という国の予算から見れば、二千万円ぐらいの予算は一箇所ぐらい切取つて、われわれ民衆のために幸福を増すのはけつこうなことであります。こういう点から見て、たいへん御迷惑と思いますけれども、測候所の方が大きな勇気を出されて、われわれ民衆の熱望を達成するように一段の御協力あらんことを希望して、私はこの質問を打切ることにいたします。
  38. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 私の質問は陸運行政その他のものに対する質疑でありますが、ここに幸いに木村政務次官が見えておられますから、私の言うところをよくお聞き取り願いたいと思います。木村君は岐阜県から出ていらつしやるので、かねて御承知であられましようが、私が十年かかつて日本の法律に初めて雪害問題を入れた。その当時においては北陸四県中ただ新潟県のみが呼応して東北六県だけで検討し、十年かかつてようやく雪害の二字が法律に入つた。これが今度積雪寒冷単作地帯云々というときには、木村君のところの知事さんなどは私と一緒にやつていた人だが、わざわざ出て来て、もしあ問題で岐阜県が閑却されるようであつたならば、君らは代議士にせぬぞというくらいに肉迫されたかのように聞いております。それほどまでに必要な問題になつた雪害の一番の発端はどこにあつたかと申しますと、それは山形県の最上郡及び旭村山郡の一部であります。最上郡が十九箇町村、北村山郡が十箇町村、あの一種独特な降雪量については、中央気象台はよく御存じのはずだと思う。まずあそこは特別にかわつているところかどうかという、これについての御認識を承つてから、私の質問をいたします。
  39. 和達清夫

    和達説明員 私気象台におります者の常識として、十分に存じ上げているつもりであります。
  40. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 十分に御承知であつたららば、何がゆえに長年の間あの雪害問題が閉却されておつたか。土地の者がこれを熱烈に叫ばなければわからないというのでは、国民の血をもつて仕事をしていらつしやる役所の責任上いかがかと思うのですが、今それはおきます。あそこは最上郡一部だけで愛媛県にもひとしく、神奈川県より少し小さ一いくらいの大きさで、あの一部と北村山郡の十簡町村を合せて、たつた一里くらいの間に、まつたくあれほどまでに雪が猛烈に来るところは他にありはしないだろうと思う。せつかく汽車が行つても、あと一里というのに楯岡町でもつて動かなくなつて、もういかんともすることができないような雪になるところで、ございましよう。ああいう地方だのに、酒田と山形の測候所だけで農民に安心を与えることができると思つていらつしやるかどうか、この点を伺いたい。
  41. 和達清夫

    和達説明員 仰せの通り山形県のこの地方は、非常に雪が多いところでありまして、他にこれを求めれば新潟県のある部分に匹敵するかと思います。雪の観測は場所によつて非常に違いますので、できるだけこまかく観測所を置いて観測しなければならない。気候観測所あるいはそれぞれ委託したところにおいて、できるだけ精密な観測をいたそうと思つております。また現在及ぱずながらいたしておりますが、測候所がそこに今までなかつたということは、必要でないからなかつたのではなくて、率直に申し上げれば予算がそこまで足りなかつたと申し上げるよりいたし方ない。現在でも雪の多い地帯におきまして、私個人といたしましては測候所が少な過ぎると思つております。
  42. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 そうだろうと思う。あそこのまん中のところは測候はできはしませんでしよう。だから昭和二十三年以来、最上十九簡町村及び北村山の十簡町村の者が組合をこしらえて測候して、初めて営農している。どうぞ木村政務次官よくここのところをお聞き取りください。こういう間違つた政治をやつているのである。そのために農林省の農業総合研究所の施設を利用し、山形測候所から借りてあとは大部分測器及び器具は中央気象台から貸、しているわけですね。そして民営でやつて一生懸命営農をやつている。こういう測候のできないような、まるきり一種独特の地方に何ゆえ民営でやらせているのか。これを国営にするのは当然中の当然だと思うが、木村政務次官にこの点をお聞きしたい。今お手元に状況を詳細に書いたものを上げますが、気象台でもすこぶる遺憾の点があるということをお認めになつていらつしやる。それからまた中央気象台では測候に要する機器を全部貸している。また山形の測候所からも貸している。そうしてやつている有様でありまして、これを国営に移管するのはわずかな金です。測候所ではどうしてもこれをやりたい気持で一ぱいだろうと思う。予算がとれないですこぶるかわいそうだと思いますけれども、あの一種独特の積寒法もやれるようなぐあいになつていて、あなた方も余恵を受けている。酒田と山形の測候所をやつて、その本家本元の一番雪害の独特なまん中のところを何ともすることができない。そこで二十九箇町村の者が金を出して昭和二十三年から今日まで努めている。何千万円などというのじやない。百万そこそこのほんのわずかな金があれば、これは国営に移管できることだと思う。幸い木村政務次官から、少し元気のいい御答弁をお願いして、今まで二十三年以来苦労してやつておる農民に安心を与えていただきたい。
  43. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 松岡俊三君が、過失数十年にわたりまして雪害防止のために御協力、御奔走になりましたことは、私もかねがね承つておりまして、まことに敬意おくあたわざるところであります。まことにふしぎな因縁で、今日は委員会で初めてお目にかかる機会を得ましたので、この機会に政府を代表してお礼を申し上げたいような気分でおるわけであります。測候所の点でありますが、従来は御地の雪国協議会とかいうものが結成されまして、それが国にかわつて長く測候のことをやつていただいておるようであります。これもまことに感謝にたえません。私どもの見るところでは、測候というようなことを民営的なことでやらせるということは、まことに不合理であります。できれば予算の許す範囲内において可及的すみやかにこのようなものは民営ということでなく、国そのものが責任を持つて、ことにここには和達博士もおられますが、世界的な専門家も運輸省にはおられるわけでありますから、この諸君とも相諮りまして、すみやかに民営測候所が国営測候所になるように努力をいたしたいと思う次第であります。
  44. 松岡俊三

    ○松岡(俊)委員 非常に人情のある、ほんとうの政府家の今の御答弁、私はたいへん喜んでおります。こうなければいけません。二十三年以来あの貧弱な、一種独特な雪の中で百姓をしておる者が、山形、酒田の両測候所の及ばないところを今日までやつて来た。そのことに対して中央気象台でもこれを認めておる。ただいまの御答弁でさぞかしあすこの者も安心することだろうと思います。切にこの実現をお願い申し上げまして、私の質問を終ります。
  45. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま松岡さんから雪害の観測に関するお話がありましたが、私がさきに言つた大隅半島の風水害、これはともに南のはてと北のはてで、日本の国民にかわりはない。この点から見て、ただいま私は中央気象台長からの御親切な御答弁を承りましたけれども、せつかく民間から行つておられる政務次官からは、このことについて一言のお言葉もありません。奥州地方の国民の方はさぞお喜びだろうが、私の質問したことに対して、あなたが御答弁にならない。大隅の南のはての者は、あなたを恨み、政府を恨むかもしれません。あなたは私の言つた大隅半島の、あの暴風雨の始終襲来する地方における施設については、山形の者と鹿児島の者と比較対照していかにお考えられるか、これらについてあなたの御所見を承つておき」たい。
  46. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 大隅半島が世界的な風害、それに伴う災害が多いということは、かねがね承知をいたしておるとろであります。もし測候所が新しく新設されることによつて、さような災害を多少とも未然に防ぎ得るとすれば、これは国家のため、地方のため、まことに慶賀すべきことであつて政府といたしましては当然これに重大な関心を持つべきでありましよう。私は今日突然このお話を承りましたので、まだ準備いたしておりませんが、予算とて大した予算ではありません。私は詳しいことは存じませんが、この程度のことはおそらく予算の面よりも、定員法の面によつて――定員法という法律は御承知通り、人員のわくをきめておりまして、このわく以外には人を雇うことができないといういわば不便な法律でありますが、この法律に縛られて、測候所の新設なども遅々として進まないのではないかと私は想像しております。しかしこの点においても内部的に欠員を集めまして、多少のことはなし得るのではないかとも考えております。予算は一測候所に二千万とか二千五百万とかいうお話が先ほど説明員からありましたが、その程度のことは九牛の一毛でありまして、国家的見地から見れば、人命を尊重する思想から行きましても、地方の生活をよくするという思想から行きましても、測候所新設によつて風水害が予知できて、これがために数千、数万の人たちの危険が防止されるとするならば、これは政府として大いに関心を持たなければならないと思う次第であります。私は微力でありますが、この点については大いに努力をいたしてみたいと思います。さよう御了承願います。
  47. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへん御丁寧なる御答弁を承りまして、松岡さんと同様に、私のところの町民も大きな期待を持つであろうと思います。どうかすみやかに、かかる地方に惨害を及ぼす問題に、いろいろな法律の障害等は押し破つてでも、新設せられんことを希望してやまないのであります。気象台に関する質問はこれで打切ります。
  48. 玉置信一

    玉置委員 私は本日の議事日程ではございませんが、予算措置に関する根本的な問題につきまして、政務次官にお尋ねをし、特に御努力を願いたい点一点について申し上げます。御承知のように運輸省所管の燈台建設の問題でございますが、今年度は灰関するところによりますと、全国的に三百三十三基、十二億余円の予算を要求しておるそうでございます。ところが御承知のように二十七年度までは、この燈台建設費用は公共事業費でまかなつておつた。しかるところ今度大蔵省の方針によりまして、これが一般予算から支出されることに相なつたわけであります。そういたしますと、一般会計からの諸般の支出内容を検討してみますと、どうもごの燈台の建設に対する政府の考え方が非常に稀薄なようで、当局者も非常に心配しておるわけであります。従いまして、私はやはりこの燈台施設は二十七年度までやり来つたと同様に、公共事業費でやるべきでないか。そうしないと、おそらくあまり社会的に認められていない燈台施設は、どうも影が薄くなるのではないかということを心配しておるわけでございます。これに対する木村政務次官の御所見を承りたいと同時に、特にもしこういう点について御留意が願えるならば幸いと思います。この点一言お伺いいたします。
  49. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 玉置委員にお答えいたしますが、燈台の必要なことは政府も十分認識しておると、私どもは確信をいたしております。ことに運輸当局の燈台の所管をいたしておる方面からの熱烈な、来年度予算に対する要求、まじめな希望等が私のところへも連日来ておりまして、運輸当局が燈台というものをいかに重視し、これに対していかに熱意を持つておるかということは、私自身が身をもつて今度体験した次第でありまして、これは海国日本にとつては、まことに慶賀すべきことであると喜んでおるような次第であります。今お話によりますれば、燈台というものは政府の認識が少いようであるから、燈台を独立予算としてとることなく、むしろ公共事業費等からとつた方がよけいとれるのではないかというような御議論があるようでありますが、しよせんこれも力の問題でありまして、公共事業費に燈台予算をかりに入れましても、力が微弱では公共事業費から燈台に対する予算を獲得するということは多くの努力がいりながらも、案外効果が少いのではないかと思うのであります。それよりもむしろ運輸省予算のわくを大いに広げまして、そのわくのもとにおいて燈台の予算を計上した方が、私は燈台の数をふやし得るのではないかと考えた次第であります。もともと私はしろうとでありますが、ただ予算獲得の面においては、そのような思想のもとに大いに努力いたしたいと思いますから、玉置委員の御協力をもこの際お願いをいたしておきたいと思う次第であります。一言もつてお答えといたします。
  50. 玉置信一

    玉置委員 ただいま政務次官のお答えによりまして、私も一応納得できます。わくの拡大によりましてやつていただくことも、私の希望したことも、結論的に見ますと同じのようでありますから、私も微力ながらお手伝いをいたしたいと思いますが、特にこの場合希望を申し上げておきたいことは、本州、九州にかけての燈台施設というものは、北海道に比較しまして割合に海の関係というか、気候の関係というか、利用度も大きいかわりにまた施設も簡単でありますし、危険の程度からいつても少いわけでありまして、それに比較しますと、北海道の北方は国際情勢の点から見ましても、相当重要度を増しつつあるわけであります。ことに北海道は普通の港湾燈台とは趣を異にいたしまして、漁業に利用するという面が非常に強いわけなんです。北海道の東南地区から北方に出漁をする大型漁船、あるいは一般貨物船等も、燈台を非常にたよりにいたしておるのであります。最近までの統計もありますが、数字は省略いたしますが、毎年遭難が非常に多いわけであります。従いまして特に北方地区に対する燈台施設の点につきましては、二十八年度においては予算措置に対して特別に御留意あらんことを希望いたしまして、私の質問を打切ります。
  51. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 航空局長がお見えになりましたから、永田君に発言を許します。
  52. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私はただいまから民間航空に関して二、三御質問を申し上げたいと思うのであります。この間御配布になりました書類を拝見しても、大体わが国の民間航空の状況承知したわけでありますが、この際今少し深く掘り下げてお伺いしたいと思います。  まず第一にお尋ねしたいたことは、大臣に伺いたいのでありますが、お見えになりませんので他日伺うことにして、まず局長にお尋ねしてみたいと思うのであります。それは運輸省関係でいろいろな審議会をこしらえていらつしやるのですが、これは航空ばかりではありませんから、ほかの方面は御承知ないかもしれぬが、一体運輸省関係で海運と陸運と航空と、その三部門にわかれて審議会が幾つありますか。他の部門は御承知なければ、その方面の方から御答弁があつてもよろしゆうございますが、航空局関係の航空審議会委員にどういう方がなつていらつしやるか、これは他の鉄道の審議会などには衆参両院より三分の一くらい入つているようですが、航空審議会にも入つておりますか、入つているとすれば、現在何人くらい入つておりますか、それもお知らせ願いたい。また航空に関する生産審議会というものがあるやに承つております。これなどの名簿も、今すぐの御返事でなくてもよろしいのでありますが、あとで調べてお知らせ願えればけつこうと思うのであります。私は日本の民間航空が、この航空審議会の答申によつても発表されております通り、なおまた当局の配布になつた文書から見ても、六箇年の空白があつて先進国に対してはたいへん遅れがちになつておる、立ち遅れておる、これをいかにして再建して行くかということについて、航空審議会にも御諮問があつたと思います。それに対して航空審議会においてもたいへん御熱心に御研究の結果、りつぱな御答申が出されておりますことは、まことに感謝にたえません。欧米各国の進歩した民間航空に比較して、わが国は六、七箇年も航空機関係は禁止になつておつた都合上、立ち遅れておることは明らかな事実であります。これを再建することは並たいていでないと思う。皆さんの出された文書を見ても、並たいていでないと御発表になつておる。ただそうおつしやつても架空的な発表である。この六、七箇年の空白時代の遅れたのを、大体政府見通しとしては何箇年くらいで他に追随して行く程度にまでお伸ばしなされる計画があるか。これらはただ二、三年の計画だけは航空審議会の報告に出ておりますが、なかなか二、三年ではものの足しではないと思うのでありますが、これらに対する航空局の意見を承りたいと思うのであります。  なおこの航空審議会の答申の中に民間航空の使命についていろいろ重要なことが発表されておりますが、この発表以外に政府としては民間航空を単に政治、経済活動の能率化、国際交通の促進、科学技術の振興、貿易外収支の改善等に寄与する云々と書いておられます。これはもとよりけつこうでありますけれども、世界の民間航空の使命から見て、ここに置き忘れた一つの大きな問題がありはしないか。それはすなわち民間航空の使命において、防のあるところは国防軍、空軍の予備隊としての任務の偉大なることは、世界周知の事実であります。わが国には今軍備がない。吉田首相も相当保安隊の増強はしたいが、経済力が伴わぬからできぬとおつしやつておられます。ところが国内の治安に当る予備隊は、漸次これを強化するということは御発表になつておるのです。しからば今日もし東京であるとかあるいは北海道方面に、何かの大きな治安上の大問題でも突発した場合、速急にそれに動員して行くのには何によるのですか。鉄道で間に合いますか。あの距離を船で間に合いますか。今日八千四百万円の国民の治安について最も必要なる使命を有しておるのが、すなわちこの民間飛行機であると思うのです。この点について航空審議会では何をはばかつてこれを強調せられなかつたのか。また政府が諮問事項の第一号というのを出して審議会にかけておられるようですが、審議会においては政府答申のみならず、新たにわが国の民間航空を世界の航空と比較研究し、なお私が前に申し上げた民間航空本来の使命たる治安維持における民間航空の価値を、なぜ御答申なさらなかつたのであるか。これが私の質問の第一点であります。
  53. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 第一番目の運輸省における審議会にどういうものがあるだろうかというお尋ねでございますが、航空に関しては今の航空審議会、それから海運の関係については造船業合理化審議会、それから鉄道の方に関しては鉄道建設審議会というものがあるわけでございます。なおもう一つおつしやいました航空機生産審議会は運輸省ではございませんで、通産省に属しておるわけでございます。その構成員でございますが、建設審議会は衆参両院から委員を入れるということが法律に書いてございますが、海運の方及び航空審議会の方には入れるということが書いてございませんので、両方には衆参議員はお入りになつておりません。なおその名簿は後ほどお届けいたしますが、定員は三十名、こういうことになつております。  それから第二番目の問題の何年くらいで世界並にするつもりであるかというお話でございますが、これについてはまことに遺憾でございますけれども、何年くらいして世界の水準に追いつくかということは、まだ見通しを立てていないのでございます。この飛行機の問題につきましては、運航の面もございますが、生産の面におきましては御存じのような状態でございまして、現在はもう軍の方においてはジエツトというものが進出しておりますのみならず、民間航空の一面におきましてもこれからはジエツトの時代であるということでございます。現在日本ではまだ飛行機らしいものをつくるという状態まで来ておりません。いわんやジエツト航空機というような段階には、なかなか及び得ないものであろうと思います。  なおこの生産の面に関しましていかにこれを促進して行くかということは、目下のところ通産省の所管に相なつておる次第でございます。なお三番目の点でございますが、民間航空は有事のときにおいて治安の面に大いに役立つものであるからということでございましたが、この審議会におきましては民間航空の助長策という諮問でありまして、運輸大臣の諮問事項としては治安の面まで問題を提起するということもいかがかと思いまして、問題を提起しなかつたわけでありますし、また本審議会におきましても治安の問題と民間航空との問題を結びつけた議論は遺憾ながらなかつた次第でございます。
  54. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま御審弁を承りまして、まことに遺憾に思うのであります。これはなぜかとなれば、わが国の民間航空は戦前も遅れておつた。私は多少航空のことは関係しておりましたが、日本の国で一番進歩しておつたのは、何といつても海軍、その次に陸軍で、民間航空が一番貧弱であつた。戦争に負けた原因は他にもたくさんありますけれども、第一に日本国民が航空に関する研究と熱意が足りなかつた。航空に熱心に努力した国家、民族が世界を支配することは当然で、アメリカが今日あるのは当然であります。かかる重大問題について政府がこんなふうに航空行政を分散しておつて、将来わが国の民間航空の遅れておるのが急速に発達せられると思われますか。これは常識論からいつてたいへん間違つたことである。私から申し上ぐれば、こう航空機の生産の関係なんかを、発注にしても何にしても通産省が持つておる、そんなことはないわけです。これは海軍では、皆さんもこらんの通り機材の方面は海軍みずからが海軍航空廠というのを横須賀に持つていたじやないか。陸軍は、私どもが代議士として進言してから数年遅れて、終戦まぎわにやつと航空廠ができた。航空の発達、研究というのは、教育方面、生産工業、搭乗員の訓練の三者に統一した指導がなければ、私は真の発達はむずかしいと思う。日本の政府当局は、何ゆえに所管外のことは連絡がうまくとれないのか。これは所管外を政府の方で研究されれば統一されぬことはない。私は二の点について、民間航空業の将来の真の再建のためには、航空機の生産のみはやはり運輸省がこれを一手に握つて指導監督して行かれるところに、真の民間航空の発達があると思うのでありますが、この点についてやはり現状のままがよいとお考えになつておられるか。重ねてお尋ねしておきます。
  55. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 ただいまの永田委員のお説まことに、ごもつともであります。航空行政が分散と申しますか、分裂しておることが、民間航空の発達を阻害しておるということは十分言い得ると思います。この意味においてはこれを統一して、一貫的に飛行機をつくる。そうしてつくつた飛行機を操縦する者をもあわせて養成するところまでも行き得るならば、これはまことに好ましいことであると考えておりますが、現段階においては御承知通り機構の点において分散いたし、しかもセクシヨナリズムと申しますか、各省とも互いに功をあせつて、その結果かえつて行政が分裂するということは、ひとり航空行政のみならず、随所にこれを認め得ることは遺憾であります。これはぜひとも皆様方の御協力によつて、内閣委員会等において機構を改正していただきたい。ひとり航空行政のみではありますまいが、ことに航空行政はこれを統一することが必要であると私は確信いたしますので、一層の御協力を得て、これが国会において取上げられ、行政が統一されるために、機構が改革されることができますならば、おそらく運輸省としては喜びにたえないところでもあると思いますし、民間航空発達のためにもまことに必要なことであると思いますので、一層の御協力をいただきたいと思う次第であります。
  56. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま政務次官から御丁寧な御答弁がございまして感謝にたえません。今御答弁がありました通りこういうちりぢりばらばらな方法では、確かに民間航空はいつ何時他の先進国に劣るか、五里霧中に迷うかわからない。機構の改革はかかる遅れたものの再建には最も重要なことでありますから、すみやかにその方途を講ぜられんことを祈る次第であります。また航空審議会の答申にも、確固たる航空政策を確立して積極的な各般の施策をすることが急務であるということが見えています。この意味から現在の航空局も機構の充実が足りないと思う。航空局そのものからもつ乏機構を整備せんければならぬと思う。今までの陸軍や海軍における人員や各課の機構の状態、それに比較して今あなた方の航空局の状態を見て、われわれ国民の一員としてまことにさびしさを感ずる。こういうことは侮辱ではありません。愛の言葉である。あの昔から遅れておつた通信省時代の古家に立てこもつてつて、そうして御熱心だけれどもこんなわずかな人では、この立ち遅れたわが国が、世界の民間航空に太刀打ちできぬじやありませんか。あなた方はすみやかにワシントンやニューヨークの辺に行つて、アメリカのあの発達した民間航空の状態なんかも視察なされたらいかがですか。飛行機で行つたらすぐなんです。またはなはだ皮肉なことを申し上げるようですが、せつかく東京駅の前には新しい丸ビルもできた。むろん運輸省の一番近くでもあるから、今のところをたたき売つてでも、ああいうところに入つて、欧米各国の人とも行き来するぐらいにして、少し活気だつた御研究がほしいと思う。これは言い過ぎかもしれません。家はどうでもよろしいが、とにかくもつと機構を整備して、人も入れなければならぬ。私が見たところでは、失礼ですが、あなたの民間航空局には、ほんとうの航空の専門家はおらぬじやありませんか。失礼ですが、航空局の局長さんは飛行機に何十時間お乗りになつたか。これは皮肉な質問でありますが、お尋ねいたします。またあなたの民間航空局の事務員や課長やいろいろな人に、航空機の実際に体験のある人が何人おるか。そのパーセンテージも大体御承知ならば、お教え願いたい。
  57. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 私は御激励のお言葉をいただきまして、まことに感謝にたえない次第であります。御指摘の通りまことに微々たる力でございまして、汗顔にたえない次第でございますけれども、せつかく日本の民間航空の再発足にあたりまして、ぜひすみやかにこの目的を達したいと思いまして、駑馬にむちうつて努力しておる次第であります。今後ますます御激励、御鞭撻、御支援をいただきたいと思います。なお航空局に航空の専門家が少いといつた御指摘でございます。少いと言われればそれまででございますが、今までプランクになつておつた日本の現在としては、比較的集めておる方ではなかろうかと考えておる次第であります。なお私自身の飛行時間を聞かれたのでございますが、私は遺憾ながらそう長く乗つておりませんので、現在までの滞空時間は五十二、三時間程度にすぎない次第であります。職員中には一万時間以上乗つた課長もおりますし、相当乗つておる者もおります。また現在アメリカの学校で戦後の新しい教育を受けて帰つて来た者もおるわけでございますが、ちようど今飛行機のパイロットなり通信士などの経験を有する者とそうでない者との比率は、ただいま持ち合しておりません。まことにありがたい御激励の言葉でございまして、胸に銘じまして一層努力いたしたいと思つております。
  58. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ちよちよい私が失礼なことを言うかもしれませんが、感情にとらわれないように願います。私は国のため思つて申しているのです。なぜこういう皮肉なことを申し上げるかというと、ちようど終戦のころ、私がさき申しましたように、総理大臣はじめ閣僚に、飛行機にお乗りになつたことがあるかと予算委員会質問したことがあります。そのときに平沼さんも民間航空をつかさどつておる逓信大臣も、飛行機には一ぺんも乗らぬとおつしやつた。総理大臣でもする人が飛行機に理解がない。これは日本国民が航空機に理解がないということですよ。民間航空がなく、飛行機で日本を飛ぶことができなかつた日本国全体は、航空に対する理解と認識が足りない。それだから私はまず教育の場面からこれを推し進めて行かねばならぬ、こういう点から小学校の生徒、幼稚園の時代から玩具にしても、他の玩具よりも飛行機に関係のあるものをよけいもてあそぶように、国家としてもやる。また中小学校の生徒などにも、あるいはグライダー、あるいは模型飛行機などについても研究するように、教育方面からも文部省と皆さんの航空局と協議して、国民が早く航空機に趣味と理解を持つようにしなければならぬ。なお国民一般も確かに航空機には理解が乏しい。航空機の搭乗ばかりではない。通信ばかりではない。修理ばかりではない。航空機工業において熱心な研究をして、技術のすぐれた者がおつた国が将来勝ちだと思う。飛行機あつての民間航空なので、民間航空機会社から飛行機を買つて飛びさえすればいいということでは、真の航空の発達は生れて来ないと思います。それは国防航空ですることだとおつしやるかもしれませんけれども、民間航空機の発達でも、まず航空機そのものの研究が必要でありますから、下は小学校から中学校、高等学校、大学に至るまで、航空機に関する一般の知識を折込むことが必要であつて、またそれが将来航空機の製作にも――日本にもアメリカからの発注もあるだろうし、日本自体も独立になつた以上は、戦前のようにみずから航空機を生産することが必要だと思う。こういう意味から教育方面においても、ひとつ再建策を考究されんことを希望してやまない次第であります。  次に答申のうちに国際航空路と、国内航空路の拡充策について見えておりますが、昭和二十七年度においては国際航空路として東京――釜山間、東京――沖繩――台北間、東京――台北――香港――バンコック――ラングーン――カルカツタ――カラチ、東京――ホノルル――サンフランシスコ、この四つが答申書にも見えておりますが、これについては二十七年度内において、一線でも実現せられる計画がありや、またその力があるか、これについてまず一応答弁を聞いてから次に移ります。
  59. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 日本が終戦前におきまして、世界の航空国として優秀な地歩を占めておつたことは御存じの通りで、ございましてわれわれとしては一刻も早くその当時に返りたいと念願してやまない次第でございます。御指摘になりました青少年の空へのあこがれと、航空思想の普及と申しましようか、そういうものに関しましても、われわれ大いに努力をいたしておる次第でございますが、幸いにして青少年の間におきます航空に対する熱といいますか、空に対するあこがれは非常に強烈なものがございまして、まことに喜ばしいことだと心強く感じている次第でございますので、こういつた面にさらに一段の努力を注ぎたいと考えております。なお大学等における航空学科の復活というような面につきましても、東京大学におきましては、かつての航空学科が応用数理という名前において温存されている状態でもありますので、こういうものがすみやかに航空学科として復活することを念願している次第であります。  第二に、二十七年度に計上されております路線について、来年三月までに実現できるかという御質問でございますが、御存じのように外国に参りますについては、外国との話合いをつけなければいけないのでございます。現在調印が済んでおりますのはアメリカとの関係でございます。しかしてそれはアメリカ側では条約として扱わないので批准を要しないわけでありますが、わが国では批准を要しますので、国会に提出されて批准の手続をとることになつておりますが、その批准の行われない前においても、すでに日本はアメリカには乗り入れ得ることになつておるわけでございます。従つて今日の状態においてホノルル、サンフランシスコ、それからアメリカの行政権のもとにありますところの沖繩には飛んで行ける状態でございまして、三月までにはぜひ一番機をホノルル、サンフランシスコまで、沖繩までは少くとも実現いたしたいと考えている次第であります。  なお近間として朝鮮との関係でございますが、朝鮮とは御承知のように基本的国交が回復しておりません。それでそれに先んじて航空協定を締結することは困難であろうと思います。しかしただ相互の話合いによりまして、ちようど船が相互に出入りをしているような形式において、朝鮮と相互に乗入れしてもらいたいという朝鮮航空会社からの強い希望がございますが、今話合いが確定するという段階にまで来ておりません。御存じのように朝鮮との基本的国交の面が微妙な関係にございますので、そこまで進んでおりません。  なお台北、すなわち蒋介石の中国政府との間におきましては、目下台湾乗入れにつきまして折衝はいたしておりますが、まだ話合いがついておる状態に至つておりません。  なお日英間におきましては、大体航空協定の話がつきまして、近く調印の運びになつておる次第でございます。従いまして、それがアメリカと同じような形式になりますれば、批准前におきましても香港までは飛んで行けるということに相なると思つております。
  60. 永田良吉

    ○永田(良)委員 日英の香港までのことを承りましたが、オランダは昔からジャワまで航空路を開いておる。私もジャワまでは一ぺん飛んだ経験がありますが、オランダとの協定はどうなつておりますか。これもお尋ねする次第でありますが、その前に東京――沖繩――台北までの路線のうちで、沖縄までは近く延ばすとおつしやいますが、沖縄までお延ばしになれば、途中の中間着陸場、たとえば伊丹、岩国、福岡、こういう着陸場があるのですが、九州は今では板付が一つであります。地方的のことを申し上げましてたいへん失礼ですが、われわれ地方民の希望を申し上げておきたいと思います。われわれのところはさつ話し上げたように大隅の最南端です。あそこには私が命がけで苦労をした海軍の飛行場が三百町歩もりつばに今残つておる。これは現在アメリカが一部支配しておりまして、今は予備隊が来ておりますけれども、ただいま国内航空路としては福岡まで来ておるが、これが鹿児島まで来ておらぬために、われわれは非常に不便を感じておる。鹿児島県は日本で中央に送る文書も一番遅れる。福岡まで行けば航空便があるけれども、そこまで行くのに九時間から十時間かかる。そのために鹿児島県は非常な不利を受けておる。私どもも東京に来るのに三十五、六時間かかつて来る。こういう状態から考えて、国内航空路はあと質問するものですが、関連しておりますから申し上げるのですけれども、国内航空路も鹿児島は二十八年度に予定しておられるが、もう少し早くこれを達成する方法はないか。補正予算ででも何とかされて、鹿児島まで早く延ばしていただきたいと思います。私どもの鹿屋飛行場は、民間航空局の方では航空港として指定はされても、皆さんはあれをどう考えていらつしやるか知らぬが、鹿児島の飛行場は、いかにあれを修理しても、ローカル線としては金をよけいかけぬで行けるけれども、かりに三十人から五十人乗りの大きな飛行機は、鹿屋の飛行場を使つたらいい。板付でもほかの飛行場でも、アメリカと共同で使つておるが、あれはアメリカが占領しておるけれども、民間航空に貸さぬということはないと思う。またわれわれとしては占領後六箇年、あそこの三百町歩の土地を遊ばしておる。これをたまに予備隊が演習に使うぐらいでは困る。もしあれを返してもらえば、りつぱにいもを作つて食うとか、陸稲もできる。またアメリカとしても、必要もないのにまさかの場合まであそこを何年も遊ばしておかれたのではわれわれは困る。あそこなら千八百メートルの滑走路があるから、今でもすぐ飛べるのです。だからこれを飛行場に御指定賜わつたならば、沖縄までの中継ぎ飛行場として、板付と同様に鹿屋の飛行場も扱つていただいて、鹿屋――沖縄間を飛べるようにしていただけばよいと思う。沖繩は今大きい問題も起つておるのですが、鹿児島県の財政というものは、昔から沖縄と大島があつてこそ持ち得ておつた。今は鹿児島県の民度の疲弊ははなはだしい。こういう点から見ても、また沖繩に行くのに、九時間も十二時間もかかつて福岡に行つて飛行機に乗らなければ沖縄に行くこともできないという点からも、願わくは近いところに飛行場があるのですから、あれを飛行場に指定していただきたい。毎日とは言いません。隔日に一回か、あるいは何日かに一回でもよろしゆうございます。あの飛行場を沖繩――東京の飛行に中継ぎ場として御利用していただくような御計画を立てていただきたいと思う。これらに対するお考えをまず伺つておきたい。
  61. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 沖繩の立場は、現在日本の支配の中に入つて行けない状態にありまして、外国並の扱いをいたさなければならぬわけでございます。外国に行く飛行機の発着する場所は、いわゆる国際空港というものになるわけでございます。そこで今御説のように、沖縄の親近感といいますか、経済的な面とか、いろいろな面から、非常に近くて国内同様に扱うことが最も望ましいわけでございますけれども、この沖繩は日本の国内でないというわけでございまして、これが国際線ということに相なるわけでございます。そういたしますといろいろ問題がございますので、そこで全部申し上げかねる点もあるわけでございますが、そういう関係から鹿児島を国際空港にすることは非常に困難ではなかろうかと考えております。各国を通じまして、いわゆる国際ポート・オブ・エントリというもののの数は、相当に制限をいたしておるわけでございます。たとえば日英協定におきまして、イギリスは三つの飛行場を国際空港として使いたいという強い要望があつたわけでございますが、そういう面におきましても、日本が参りますのは、ロンドンとプレストロックの二箇所という限定を受けておるわけでございます。そういう関係から国際空港の数をふやすことは、たとえば沖縄に対する関係におきまして、日本政府がそういうふうにいたしますと、外国の、たとえば今台湾にありますキヤツトあるいはノースウエストというようなものも、同様にこれを利用することに相なりまして、御指摘の点はまことにわれわれもそういたしたいと考えるわけでございますが、また他の面におきまして配慮しなければならない点が多々ございますので、遺憾ながら目下のところ、鹿児島を国際空港にして行くことは非常に困難な状態にあると考えておるわけでございます。実質上釜山、台北、沖縄というようなものは非常に日本と近いところでございまして、戦前でございますれば国際空港でなく、国内空港として扱い得たわけでございます。経済的その他の必要から申しますと、この度は非常に強いわけでございますが、現在国際路線としての扱いをいたしますので、いろいろむずかしい問題をかかえておる状態でございます。
  62. 永田良吉

    ○永田(良)委員 むろんあなたが言われる通り、現在の状況で鹿児島を国際空港にすることは、専門家に尋ねても無理がある。しかし私は将来の世界の民間航空の発達の状態を見た場合に、今あなたが言われたように、ラングーンからカルカッタ、カラチからずつと欧州に延びる定期航空、それから南洋やジャワやいろいろな南方諸国のアジア諸民族との定期航空を考えた場合に、この問題が起つて来ると思う。北の方では、アメリカから飛行機が飛んで来て第一着に日本領土に入るのは、北海道に違いないと思う。日本の一番の空港の中心地はもちろん東京の羽田であつて、これは国際空港になつているが、大都会付近の伊丹であるとか、あるいは九州でいえば博多の板付は国際空港として見られます。観光の関係やいろいろな点から見て、将来の世界の欧州航路、南方航路を考えた場合に、北の端は北海道で南の端は九州と見たとき、九州では板付にするか鹿屋にするかという問題が起つて来る。私は終戦当時あそこの市長でしたが、あの当時米軍が三千五百来ておつて、空軍もおつた。そうして一年三箇月後には第八軍の航空参謀が来て、あそこに長さ四キロ、幅二百フィート、深さ四尺のB36が着く国際航空路をつくるようになつておつた。ところが私が追放になつて間もなくそれが中止になつている。これは明らかな事実であります。鹿屋だつて米軍は何かの意図を持つておつたと思う。今あなたが言われる沖縄はアメリカの支配下にある。そういう点から見ますれば、外交的に何かできそうではないかと思う。鹿屋の問題も、地方民としては実際困る問題です。アメリカとしても、日本政府の方としても、ああいう地方民の悩みをお考えの上で、この問題については研究をして、何とかあそこにせつかくある飛行場が、何かの目的に早く復活して使われるようにひとつ御尽力を賜わりたいと思う。特にアメリカの飛行機は沖縄にたくさんおります。あの修理なんかも沖縄の工廠でやつておるけれども、あそこも暑いところである。空中輸送すれば鹿屋までは二十五分で来られますし、鹿屋には海軍工廠の機械も八億のものが残つておるので、こういう機械を使つて、発注会社があそこに工場を復活してやつてくれれば、アメリカの飛行機の修理なんかはできようと思う。鹿児島県には何らの工業もない。民間航空とか、あるいはいろいろな航空機工業は、鹿屋附近だつてりつぱな飛行場があるし、また昔海軍工廠があそこにあつたのであるから、それを復活していただけばたいへん地方民も助かります。こういう点から通産省とあなたのところの民間航空とがわかれておるのはよくないと思う。やはり飛行機の修理も製作も飛行場についても、みな一つにして御指導を賜わらぬと、日本の民間航空はしつくり行かぬと思つている。こういう点にも悩みがあるので、どうかこのことも深く御研究を賜わりたいと思うのであります。  それから今あなたが言われたイギリスでしたか、三つ要求しておるというのはどこですか。
  63. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  64. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 速記を始めてください。
  65. 永田良吉

    ○永田(良)委員 板付をイギリスも要求しておるということになり、アメリカもそれと関連があるということになれば、問題が少しむずかしくなるのではないか。そういう際に鹿屋なんかは、田舎にありますけれども、南方から来るイギリスの国際航空路としては中継ぎとなる。そういう方面からの参考としてお考えをいたたきたい。  次に、産業航空の関係でありますが、遊覧飛行を民間会社からも相当お願いをしておると思うのであります。これらを許可せられる場合、これは運賃をとつてやるのでしようけれども、学校とかにいろいろな面で公共用の飛行機を買つて飛行する場合は、運賃なんかとらぬでしよう。いずれにしても日本国民全般が簡単に短時間飛行機に乗つて、その体験を深めることは大事である。われわれの年配の人のうちには、飛行機はあぶないもので、乗れば落ちばせぬかと御心配をしていらつしやる方もあろうと思う。この間私は羽田に行つたのですが、奥さんがお見送りに来ておつた。停車場でも船でもお見送りには行くでしようが、そのお見送りの奥さんのおつしやつた言葉がおかしい。お父さんよ、大事になさい、あぶないよ。そこにはアメリカの婦人もたくさん来ておつた。こういう状態では日本の民間航空は発達しない。まず子供から婦人から大人から、飛行機なんかへでもない。自転車に飛び乗るくらいな気持で飛び乗つていただかなければならぬと思う。こういう意味から小さい子供のうちかち、飛行機に関する搭乗の体験を得させる。これはよけいなことを申すかもしれませんが、そういう点から遊覧飛行の会社なんか申出があつたならば、航空局としてはどしどし許可をしていただいて、危険のないりつぱな飛行機を買わして、五年でも十五年でも安い料金でもつて体験を得るような方法をおとりになることはいかがなものか。これに対する当局の御見解を承りたいと思います。
  66. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 航空の発達のため、あるいは民間航空発展のために、遊覧飛行などの奨励はどんなものであろうかという御意見は、まつたく同感でありまして、今の免許制度の詳しいことは私は知りませんが、このような制度はなるべくゆるやかにして、民間からこういう気分が大いに醸成するようにはかりたいと思つておる次第であります。何とぞ一層の御協力をお願いいたします。
  67. 永田良吉

    ○永田(良)委員 次に進みまして、この間の航空審議会の答申の中に、航空事業の運営方針の確立について出ております。それを見てみますと、さしあたり国内はニブロツク程度にわけて、各ブロックに一会社程度を認める。これは国内航空に関する政府に対する御要望だと思うのです。国際航空に対しては、資金も多少いるから、まず一社にしたらどうかというようなこともここに見えております。むろん資金の関係等もあるから、国際航空の方は一会社に許可をなさるのが当然かもしれません。日本の国内にはたくさんの希望者もあるから、それをプロツク別に二つにわけて、各ブロックに一つずつ認めようということは、りくつとしては当然そうであるけれども、ある意味からいうと、一つの会社が独占的な傾向を現わすことは、将来の民間航空の発展の上に一利一害であるという見解を持つております。日本の貧弱な民間航空を進めて行くのには、相当の力の持合せがあるならば、最初から一つにせぬでも、まず二つぐらいやらして、大いに競争をやらした方がいいじやないかと思う。国内のも二社といわず、三つぐらいあつていいだろうと思います。これに対する当局の御見解はいかがでありますか。
  68. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 航空審議会の答申は私案はよく存じませんが、運輸省としましては、国会の運輸常任委員会に一番多くのウエイトを置かなければならぬことは言うまでもない。今日各種の審議会がありますが、この審議会の答申などを重視するところに今までの大きな欠陥があると思う。たとえば鉄道の新線をきめる場合の審議会もあります。しかしこれはあくまで大臣の諮問に答える答申機関なのです。一番大事なのは、権限もありますのは、国会の運輸常任委員会でなければならぬ。この運輸常任委員会があるにもかかわらず、いろいろの審議会ができておるという、そのことに対しても私は一つの疑惑を持つております。私は航空審議会の答申の内容を今初めてお聞きしたので、どのような考えを持たれておるかは知りませんが、少くとも航空行政に対するいろいろの語中言は、運輸常任委員会において活発に御吐露を願いたい。政府はこの常任委員会の御意見を拝聴しながら行政を行うべきであると私は思つております。御説まことにごもつともでありまして、私はまつたく同感であります。諸種の事情はありましようけれども、一つだけの会社に許可を与えて、他は一切認めないということを長く続けますならば、御説の通り独占事業になりまして、御役所式の、あるいは今まで戦争中いろいろ統合された半官半民のような、変な統制機関のような、実に不愉快なものになるおそれがありますから、私の思想としましては二つといわない、あまたこれを許したらどんなものであろうか、さらに十年、二十年あとには、免許制なんかはとるべきではない、こんなものはいつまでも存続しているべきものでないというくらいに考えております。私自身の思想はそうですが、この思想がどの程度まで運輸行政に浸透させ得るかということは、一に運輸常任委員会委員諸氏の御協力にまたなければならぬと思いますから、これまた一層の御協力をお願いいたします。
  69. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま政務次官から積極的な御意見を承つて、まことに民間航空の将来のために喜びにたえない次第であります。うんとがんばつていただきたい。私は決して航空審議会を悪く言うわけではありません。航空審議会の専門家の方の御研究ですから、いやが上にも敬意を払いますが、こういう方の覧とともに、われわれ国民代表の議員の意見花政府は取入れて善処されんことを希望してこういう質問をしたわけですが、私の質問した以上に、あなたは民間航空を許可して行きたい。そうしてみんな許可して、競馬だつて一頭じや競馬はできない。やはり競走というものは多数ないと気負いが立たぬから、あなたのおつしやつておるように最初にやつてみて、いかぬものは自然に滅びるでしよう。あまり言うと池田さんのようにしかられるから、あまり言いませんが、やはり相当許可をした方がいいと思います。また私は審議会に敬意を表して申し上げるのですから、悪口を言うのではありません。審議会の意見も大事でありますが、国民の意見も尊重していただきたいと思つております。  次にこれはやはり航空局長から承りたいのですが、この問の政府の書類は、ただ一般の書類であつて、ほんとうの世界の民間航空の実際をキヤツチすることはできない。今東京と大阪間を一日二回飛んでおる。だが私はかつてワシントンとニューヨークを夜間飛行したことがあります。もう十数年前になりますけれども、今日進歩したアメリカでは、ワシントンとニューヨークは密接な町ですが、一日昼と夜と何回くらい往復しておるか、これは即座に御答弁なさらなくてもよろしい。東京と大阪は日本でも人口は多いのですが、この問を一日二回飛んでおるのですが、向うの方は何回飛んでおるか、また塔乗員の数も比較した表をわれわれに示していただきたい。それからロンドンと欧州大陸の関係とか、パリとイタリアとかいつたように、いろいろな各国間の――これは短距離でもよろしいが、この航空回数なども調べて教えていただきたい。私は長くいなかにいたから何にも知らぬ。  なお国際航空に対する所要資金の確保ということを審議会からも要求しておりますが、ことしは四億円とかおつしやつたが、答申書には三十二億というような要求をしておられる。今飛行機のコストも相当高いと思うが、今の四機か六機でなさつておるのを、また近く何機か買つて、もつと回数をふやしたり、鹿児島まで延ばしたり、ほかの方にも延ばすようにして行くために、三十二億くらいで満足かどうか。二十七年度に三十二億というのですが、政府はどのくらいな予算になつておるか、具体的に御発表願いたい。
  70. 荒木茂久二

    ○荒木政府委員 これは政府予算では、ございませんで、会社の予算でございますが、この三十二億と申しますのは、国際線をやりますための金でございまして、国内線は今たくさんの会社が申請を出しておりますが、その会社によつているく回数がございますから、はたしてどこを許すかということでおのずからかわつて来ると思います。何と申しましてもまだ初期でありまして、アメリカのようになりますと、向うの汽車の三等に当るものと、飛行機の三等に当るいわゆるコーチ・サービスとを比べますと、汽車の方が高いという状態でありますから、飛行機の利用度が多いのでありますが、日本ではまだ遺憾ながら二等まで飛行機の運賃を下げるということがせいぜいの努力でありまして、当分の間二等よりも安くなるということは、遺憾ながら期待できないという状態でありますので、運賃等の関係でそうアメリカのように利用客がふえるというところには、遺憾ながら行き得ないのではないかと思います。従つて、交通機関としては回数が多いということが一つの使命でございますけれども、スタートした初期におきましては、そこまで一挙には参りかねるのではなかろうかと考えております。  なお先ほど二つ程度というお話でございましたが、定期航空をやりますためには、定期制を維持しますために、どうしても予備の飛行機を必要とするわけでございまして、一機で飛べるような小さいところでも、スペアーが一台いるというわけで、理想的に考えますと、飛行機十機くらいを一つの単位として持つておることが望ましいわけでございますが、そこまでは行きませんので、大体今申請されておる路線を見ますと、五機程度くらいのところではなかろうか。同時に御存じのように飛行機は修理が非常にたいへんでございまして、修理が十分でない飛行機を定期航空で飛ばすことは非常な危険でございますから、ユニットが小さくなりますと、修理工場やオーバー・ホールは別の工場でやるにしましても、ラインのメイソトナンスはどうしても自分のところでやらなければいけませんので、おのずからそういうところの制限が出て来るのではなかろうかと考えております。そういう点から考えまして、今どれだけの資金がいるかといいますと、国際線の方は申し上げた通りでありますが、機種によつで違うわけでありまして、このごろ飛んでおります飛行機の四人乗りのものは、新品で部品をつけて、こちら渡しで五百万円経度でございます。それから今買つて来て今飛んでおりますDC4が、新しさによりますが、五十万ドルから六十万ドル、七十万ドルくらいでございます。それから国際線に使おうといつておりますのが新品で、二、三年先でなければ入らぬ状態ですけれども、それが百六十五万ドル程度、それで古物でもただちにかせぎますから、新品ですと今注文しましても軍需生産の方にまわつてなかなか手に入りませんから、新品の方が安いという状態でありまして、それで買いますと百九十万ドルから二百万ドル程度それからローカル線に使う飛行機ですと、八人乗り程度からせいぜい二十人乗り程度でありますが、二十万ドルないしその辺になりますので、路線の免許されるものとも兼ね合せて、おのずから所要資金が出て来る、こういうかつこうでございます。また使用飛行機も申請者の方で具体的に確定いたしておりませんので、はつきりしたことは申しかねます。大体今のとろはその程度であります。
  71. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま詳細にわたつて答弁がありましたが、私はさきも申し上げましたように、また委員長にも申し上げておきたいと思うのですが、われわれ議員から航空に理解を持たなければならぬので、他の委員会せも視察をなさつたりいろいろなことが行われますけれども、羽田の国際飛行場にはここからバスで行けば一時間で行ける、それで衆参両院の議員が議会のひまにあそこに行つて、国際航空のいろいろな状態を見て、いろいろ聞く。そして十五分でもよいから委員がみな飛行機に乗つて、東京の上を飛んで航空の味を味わつていただきたい。失礼なことを申し上げますが、四百六十六名のうち、参議院まで入れて大体七百名、そんな人はないかもしれませんが、たまに一人でも乗つておいでにならない方がいらつしやるかもしれない。そういう方がいらつしやると、私ども予算を要求した場合に、航空に理解のない人では説明してもおわかりにならないので、これが一番よい方法であると思う。航空局長としては、千万言を費やすよりも、われわれ代議士や参議院議員をあそこに連れて行つて、ずつと飛ばせることが一番いいことだと思う。浪人の言うこともたまには御参考になさつて委員長さんは理事の方とも御相談の上、ここにおられる速記者さんも、委員の方も、政府委員の方も、みんな飛び乗つて、航空気分を味わうのが、長い説明をやり、答弁をなさるよりも一番いいことではないかと思う。皮肉なことを申し上げるようですけれども、実際大事なことであると思うので、そういうお催しをすみやかに計画されんことを望む次第であります。
  72. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 この際木村政務次官に新線建設関係についてお尋ね申し上げたいことがございます。今年の四月二十八日に鉄道建設審議会から答申されました答申案の中に、「諮問第二号に対する答申」としまして、「昭和二十六年七月二十七日第二側鉄道建設審議会に於いて諮問された諮問第二号「きし当り直ちに着手を要すると認められる鉄道新線の建設に関しとるべき具体策について別紙の通り答申する。」と答申がなされたのでありまして、そのうちの別紙の2として、「左の十一線は昭和二十七年度公布予算二十億円をもつて、直ちに着手するを適当と認める。」こうありまして、中湧網線のほか十線があげてございます。3に、「左の十六線は年度内予算補正により速やかに建設に着手するを適当と認める。」とありまして、遠羽線ほか十五線があげてございます。このほかに建議といたしまして「左の営業休止線については予算補正により速やかに営業を再開せられたい。」とありまして、札沼線ほか二線がございます。このように答申されておりまして、別紙の第二の項目の十一線につきましては、すでに大部分着工されておるように承つておるのでありますが、第三の項目の「左の十六線は年度内予算補正により速やかに建設に着手するを適当と認める。」この十六線なかなか難渋な工事もあるかと思うのでありまするが、ただいまの補正予算は五億円より計上されていない。そこでその五億の金をもつてこの十六線と休止線の三線をやるということはなかなか至難であるという建前から、鉄道建設審議会におきましては十一月二十九日、十二月一日、二日、二の三日間にわたりまして慎重に御研究くださいました。政府委員であらせられる木村政務次官も、この審議会の委員として非常に熱心に御研究くださいましたことは、私ども委員としてまことに感謝にたえないものがあるのであります。その審議会における審議の結果といたしまして、十六線はとてもやれない、休止線の三線を加えて十九線はとてもやれないというので、十線の新線と三線の画業休止線を取上げたかに新聞等において報道されておるのでありますが、政務次官におかれましては委員としてこの審議に参加された御関係もございますので、ひとつその十三線の名前をおわかりでございましたならば、この際お漏らしいただければまことに仕合せに存ずるものでございます。
  73. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 ただいまの山崎委員のお尋ねにお害えいたします。先般の鉄道建設審議会におきまして営業休止線三線を除いて十線をすみやかにやるべしとの答申をいたしたのであります。もともとその前の審議会におきましては、常業休止線を除いて十六線の新線をすみやかに着手すべしという答申があつたのでありますが、その当時の予算は大体十六線をやろうとすれば二十億いる。さらに十六線並びに休止線を復活すれば二十億いる。そこで補正予算において二十億の予算がとれたならば、十六線ならびに休止線の復活をいたそうという答申の含みであつたかとわれわれは聞いておつたのでありますが、不幸にいたしまして補正予算が五億円より計上いたされなかつたために、最近の審議会においては従来の答申をかえまして、休止線の復活と同時に十線を決定いたしたわけであります。十線の名前は、違羽線、福山線、津軽線、気仙沼線、野岩線、能登線、越美線、三江線、岩目線、宮原線の十線であり、復活されましたのは、営業休止線でありますところの札沼線、白棚線、魚沼線の三線であります。ことに以上十線の新線、並びに復活いたします三線の新線建設のうちで蟹田、三厩間の津軽線の建設は審議会にお垂ましても論議の中心となりまして、活発な論議がなされたのでありますが、本日御質問なさいました山崎委員などの非常なる御協力、地元民の熱情が反映いたしまして、遂に津軽新線が着工を認められましたことは、私どもの喜びにたえないところであります。以上の十線並びに休止線の復活の臓か、残りました六線につきましては、昭和二十八年度の予算とにらみ合せまして、私どもの希望通り予算がとれますれば、これまたすみやかに着工いたすべきものであると考えておる次第であります。以上簡単でありますが、一応お答え申し上げます。
  74. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 まことに喜ばしい御説明をいただきまして感謝感激にたえないものでございます。政務次官は鉄道建設審議会の委員であられると同時に、この審議会からの答申に基いてこれを実現せられる政府立場におられますので、私は政府としてはこの答申に基いて着工せられる御用意があるものと考えますが、今度の補正予算がいよいよ国会の協賛を経ましたあかつきにおきましては、政府としてこれをすぐに採択されて実現される御用意があるかどうか、その点についてもこの際承りたいと存じます。
  75. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 もちろん補正予算の五億円が国会の承認を得られましたあかつきには、十線並びに休止線の復活はただちに本年度内、すなわち来年の三月三十一日以前に着工すべきことは言うまでもありません。政府といたしましては、着工いたす用意をすでに完了いたしております。それと同時に来年度は引続き、予算とにらみ合せまして継続いたさなければならぬことも、これまた申し上げるまでもありません。御期待に沿うように万全の努力をいたすつもりであります。
  76. 山崎岩男

    山崎(岩)委員 来年度におきましてもこれを継続的に御処置賜わるというお言葉を承りましてまことにありがい次第でございます。私の県でございます青森県の津軽線が、先ほど特に政務次官からのお言葉の中に載つたのでございまするが、私ども県民としてこの路線は四十年来運動を続けて参りまして、今回はからずも長い間の私どもの願いがかなうことができ、県民百二十万の者がどんなに喜んでおるか、これらの人々の喜び、しかも一昨年の十一月五日に青森から蟹田までの鉄道が開通されまして、そして開通式をあげたわけでありますが、地方の古老は神様に向つてお供えもちを供し、あるいはおみきをささげ、合掌して拝んで盤つた実情を私どもは見聞いたしまして、実は政府の当局も国鉄の当局も、地方民の感激に涙をこぼしてお帰りになつたような次第でございます。雪に埋もれておる東北の、しかも本州の果てである青森県の一端が、文化の交流の間に非常に大きな力を得たものであり、われわれはこの機会に緊褌一番いたしましてごの鉄道の路線を生かして、将来産業開発のために、祖国再建のために必ず努力することをお誓い申し上げまして、政府当局並びに新線建設委員の方々全員に対して感謝の言葉を述べたいと思います。政務次官の御努力に対しても、深甚なる敬意と感謝とをささげたいと思います。ありがとう、ございました。
  77. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ただいま報告の次に鉄道に関する質疑応答等があつたわけでありますが、この機会に質問を許可せられんことを望みます。
  78. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 永田君。
  79. 永田良吉

    ○永田(良)委員 われわれは今までの委員会において、他の委員会にもまじめに出席をして、他の委員の意見も正直に承つて来たのでありますが、鉄道といい、海運といい、航空といい、この三つを見た場合に、航空は当局も言われる通り世界の情勢に一番遅れておる。このかわいそうな日本の民間航空を委員会において質問応答するにあたつて、ある時期にはわずか二、五名の委員の方しかいらつしやらない。ただいまはこうしてまだ四名おつていただくからたいへん気強いけれども、私はやはりこういう日本の国の将来にとつて大事な問題の審議には、一人でもよけい御出席を希望してやまない次第であります。これは委員長においても、なるべく委員の方が、ほかにどういう粛要なことがあるかもしれませんが、努めて御出席を賜わるように御督励あらんことを希望する次第であります。  なおまた今の御質問に対して、私は非常に胸を打たれるものがあるのであります。今東北の方で、四十年来要望されておつた鉄道の線路が、このたび鉄道の審議会で決定された。そうして近く補正予算が通過すれば、この地方の人がお喜びになる。これはまことにけつこうなことであります。私どもの方も、日本の国の南の果てからその地方の喜びを、まことにともに喜ぶ次第であります。但し私はこの際政府当局に重ねて伺いたいのは、さように日本国内において喜ぶ地方もあるが、一面においてまこと泣いて泣いて悲しむ地方のあることを、政府当局はこれをいかんとせられるか。その一例は、私はさきに大隅方面は風水害がひどいところであるということを申し上げましたが、あの地方の志布志、隼人間の鉄道であります。これは私どもがまだ子供のときからお願いしておつたけれども、半端線で、もう最近一日も延びない。大隅は、いもも山ほどできます。木材も山と積むほどたくさんあるのです。こういうのが交通不便のために、地方民はたいへん安くたたき買われておるのであります。この地方に何とかして鉄道の便を開きたいと思つて、われわれは多年いなかの村会議員から村長、市長、県会議員、代議士、それに追放の連中まで加えまして――私は四十一年になりますが、四十二年の間この交通問題に奔走したけれども、いまだにその目的を達しない。しかるに今政務次官のお話を承ると、私はその線まで言つておるかどうか知らぬが、おそらく鹿児島県における枕崎線と、私の方の大隅線は漏れているのではないかと思う。それは今御答弁があればいいと思う。ところが私の方の大隅線は、何分にも線路が長いから、おそらく大蔵省が首を振るのだろうと思う。こういう線は、線路名を切つて三つくらいにして、その一部だけでも早く通していただけばいい。これは私が申し上げますが、明らかに高須、大泊間というのは支線であります。これはやはり古江線の延長ですが、この支線は支線として、独立した線路として予算をお組みになるように、またそういうことができるものならそういうふうにしてもらいたい。また古江、隼人間も垂水、古江間が一番交通量が多い。日本の里数にして古江、垂水間はわずか三、四里しかない。この間を早くやつていただければいい。あれから向うは交通量が多少少くなつている。要するに大隅半島の鉄道線を一線にして長くしておるから、予算額が二百何十億になつておる。それだから大蔵省はうんと言わぬのであります。願わくばそういうのを三線くらいに切つて、そうして最も交通量の多い、最も住民の便宜をはかる点から、一日でもいいから早くそれを開通していただきたい。また今度承りますと五億の予算で十線、十九線もといつたつて、大して建設は延びないと思う。願わくはその五億の金で私の大隅の方面に――たとえば二十八年度予算で組んで建設工事を始められるにしても、土地の買収とか測量とかで、相当時間がかかる。こういう点から言えば、十九線のうちで十三線か十線か通過いたしましたならば、他の六線か九線は泣くでありましよう。そういう地方の測量費にでもこの補正予算のうちから分割されて、全国民が喜ぶような処置をなぜ運輸省はおとりにならぬのでしようか。私は今まで通過した線路は喜ぶのです。しかし落ちた線路に対しても、何かそこに将来安心がつくような意思表示を賜わらぬと、たいへんこちらは困ると思うのです。これらについて政府当局はどう思つておられますか、政務次官から御答弁をいただきたいと思います。
  80. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 詳しいことは、実は私はまだ勉強が足りないのかよく知りませんが、六線が落ちたことは大体先ほど申し上げた通りであります。しかしながらこの六線につきましてはもはや調査も完了いたしておりますし、すでに路盤ができているところも大部分であるかのように承つております。さらに、明年度予算の話になりますからまだこれは今後の問題でありますが、自由党の方面としましても、私どもとしましても協力をいたしまして、来年度は新線を建設するために少くとも百二十億の予算を計上してもらいたいという要求を党からも、私の方からも大蔵省に強固に申入れいたしておるのであります。大蔵省といたしましてはこれを一般会計から出すことなく、貸付金ということで、ある程度までこれを支出いたしたいという腹であるかのように、われわれはただいまの段階においては承知をいたしておるのであります。そこで十三線をきめる場合にも、しからば一体見込みとしてはどの程度の貸付金が得られるかという具体的な話合いをいたしておつたのでありますが、大体私どもは最低百億はとれるものであるという見込みを立てておるわけであります。しかしこれはあくまでわれわれの見込みでありまするから、これが皮算用に終ることがありますれば遺憾でありますが、われわれは大体百億程度の新線建設の貸付金は獲得できる自信を持つておるわけであります。さよういたしますれば、この百億の貸付金が四年、五年引続いて得られることができますれば、一両年で完成する路線もあることでありまするから、順次国中が新線の恩沢に浴し得るのではないかと思います。  それからもう一つ、今の運輸省の考え方はかつて建主改従か、改主建従かという、しろうとの耳に一番わかりやすい言葉がありましたが、その意味から言いますと、新線をつくるということに重きを置こうではないかという考え方をいたしておるようであります。それは自由党そのものの積極政策から来ておるところの考え方を根底にして、私どもはかような方法で行くべきであると思つております。お話の大隅線その他の線のことにつきましては、具体的によく私はまだ聞いておりませんが、お話のごとく、えんえん何十キロあるいは何百キロに及ぶというような線を全部予定線に入れることよりも、それを分割して、予算の比較的とれいいようにして、これを新線に編入するという戦術は、まことに私も巧みだと思います。大隅線などもよくは存じませんが、予算の可能な範囲内において漸次やつて行かれるということになれば、あるいは近き将来において手がけられるものではなかろうかと想像いたしておるわけであります。いずれにしましても、私はまだ政務次官になつたばかりで何もわかりませんので、今後大いに勉強をいたしまして、新線が一線でも多くできるように、予算の面においても獲得に努力をいたしたいと思つておる次第でありまするから、一層の御指導をいただきたく思います。
  81. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 ちよつとお許しの前に委員長といたしまして、先ほど永田委員から委員長に要求のありました件についてお答え申し上げておきます。実は委員長といたしましても、委員会における出席率の悪いということは非常に痛感しております。従いまして委員長会議のときなどにもこの点をよく協議いたしまして、この運輸委員会に対して興味を持つていない、あるいはこれに対する責任感の薄い委員の諸君は交代していただいて、熱心な人に当委員会委員になつていただくことを、委員長といたしましても委員長会議に諮りまして、今永田委員の御発言になつたことにこたえたいと存じます。一応お答え申し上げます。
  82. 永田良吉

    ○永田(良)委員 さつきの政務次官のお話によりまして、鉄道線などのごときは、当局に対する運動の熱意が反映することはむろんでありますが、われわれ大隅の地方からここまで参るのには、さつきも申し上げた通り相当な時間もかかりますし、またああいう貧弱な県でありますから、今まで政府に当る熱意の程度は、もういくらお願いしても一向達せぬものだから、あるいは熱意が足らぬように中央では誤解されているかもしれませんが、何分にも不便な場所でありますから……。今おつしやつた今度の六線に漏れておつたのは、私の方の古江、国分線、枕崎線、鹿児島県におけるごの二線とも落選でしようか。
  83. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 十線に漏れておつた六線の中に枕崎線はあると思いますが、国分、古江線も六線の中に入つて落ちましたが、これは二十八年度にやるという建議もいたしておりますから、二十八年度予算が獲得され次第、審議会を新たに開きまして、正式にこれをきめたいという考えでおります。
  84. 永田良吉

    ○永田(良)委員 たいへんくどいことを申し上げますが、地方の大きな問題であります。この間私は委員会でも申し上げました通り、この問題について審議会の内容が鹿児島のある新聞に伝えられている。またおかしな話だけれども、前の代議士か委員長なんかしておつた人が、国分、古江線が今にも通るようなことを宣伝されて、地方民はそれを関心を持つて見ている。その際に事もあろうに、ここの某委員が電報を打つてしまつた。それが郷里の鹿児島県の新聞に載つて、またこれが落ちたとなると、鹿児島県は大きな騒ぎなんです。こういうことは軽々に言うべきことでないと思う。だからきようは政務次官が責任を持つておつしやるからいいのですが、十九線のうちの十三線が通つたことはけつこうである。あとの六線も来年度予算に入ればけつこうです。わずかのことですから、しんぼうしなければならぬが、さきに私が申し上げました通り、今日国民は非常に不安の念にかられているから、こういう際に鹿児島県百八十万の県民を心配させて、迷わすことは政府としても相当考えていただきたいと思うのです。こういう意味から五億の予算の中に測量費というものが一千万か二千万あつたが、私はそうたくさんはいらないのではないかと思う。一里でも、一キロでもよろしい。今の延長せんとする線路の第一期工事にすぐ充てるように、区間の実施測量とか土地買収の内輪交渉とか、そういうことは幹線としては無理かもしれぬが、何とかあの地方民が希望を失わぬように、補正予算か何かの方法で処置を願いたいと思うのです。私の地方ばかりではない。私が申し上げます通り、全国で六線落ちました地方ではたいへんな悲痛です。私は六十幾つにもなつてここに来たのは、自分の地方の民衆の悲しみを身をもつて解決しようと思つて、実は来ている九州方面に線路は幾つ入つておるか。北九州なんかは炭鉱もあつて景気もいいが、南の方の薩摩、大隅には鉄道は一間も延びない。これが来年度予算に入れば、わずか半年か三箇月の問題ではあるけれども、これでは鹿児島地方の人々は正月に泣きましよう。鹿児島、大隅地方民を失望させぬよう希望のある方途を講じていただきたい。まだ予算が決定にならぬのだから、決定ならぬ前に、政党としても、政府としても御考慮あらんことをお願いいたす次第であります。これに対する政務次官の御答弁を重ねてお願いいたします。
  85. 木村公平

    ○木村(公)政府委員 永田委員にお答えいたします。国分線、枕崎線などは、すでに調査の結果用地の買収も行われ、路盤もできているように私は聞いておりますが、調査の余地がまだあるといたしますれば、調査費というものがありますから調査のことは可能であります。まだ調査もできておらない、路盤もできておらないというようなことでありますならば、当然これは急いで調査をいたさなければ、来年度予算が得られた場合に四月一日から着工ができないことになりますが、すでにこれは調査もいたし、それどころでなく土地も買収され、路盤もできておるというふうに私は承知いたしておりますけれども、いかがなものでしようか。
  86. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私はあそこにおりますが、まだ土地の買収というようなことは聞いておりません。確かにないと思つております。測量も昔やつたので、どうですか、最近は測量した様子もないようです。そこでこの三箇月間にすみやかに実地測量と土地買収の費用でも出していただいて、ずつと暖かくなつて、四月に二十八年度予算がとれれば、すぐ工事が実施できるようにしていただきたい。全線というのじやないのです。古江から垂水という日本の里程にして五、六里の間だけでも、ここが一番交通量が多いわけですから、早く建設していただきたい。あの地方さえよければ他は悪くてもいいということは私は考えておりません。至るところどこでもともに少しずつでもお喜びをして、新しい日本を建設したい。私は決して我田引水論ばかりを申し上げるような卑劣な根性を持つておりません。大多数の人がなるべく悲観しないような公正な政治が必要である。私は政治は熱と公正だと思う。これによつて行かなければ人心の安定はできない。たいへん御迷惑ですが、そういう、ふうに御指導願いたいと思います。私はこれで打切りますが、皆様方にもたいへん御迷惑をかけました。
  87. 逢澤寛

    ○逢澤委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後四時十三分散会